1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年四月二十八日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
四月二十六日
辞任 補欠選任
三治 重信君 柳澤 錬造君
四月二十七日
辞任 補欠選任
柳澤 錬造君 三治 重信君
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出席者は左のとおり。
委員長 岡部 三郎君
理 事
高木 正明君
水谷 力君
宮島 滉君
稲村 稔夫君
刈田 貞子君
委 員
青木 幹雄君
上杉 光弘君
浦田 勝君
大塚清次郎君
北 修二君
熊谷太三郎君
鈴木 貞敏君
初村滝一郎君
星 長治君
本村 和喜君
一井 淳治君
菅野 久光君
及川 順郎君
諫山 博君
三治 重信君
喜屋武眞榮君
山田耕三郎君
政府委員
農林水産政務次
官 吉川 博君
農林水産大臣官
房長 浜口 義曠君
農林水産省経済
局長 塩飽 二郎君
農林水産省構造
改善局長 松山 光治君
農林水産省構造
改善局次長 内藤 克美君
事務局側
常任委員会専門
員 安達 正君
説明員
農林水産大臣官
房審議官 赤保谷明正君
農林水産大臣官
房審議官 濱田幸一郎君
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本日の会議に付した案件
○農用地開発公団法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・岡部三郎
○委員長(岡部三郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
農用地開発公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/1
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002・稲村稔夫
○稲村稔夫君 本日審議をすることになりました農用地開発公団法の一部を改正する法律案の内容につきましていろいろとお伺いをしたいと思うわけであります。
そこで、細かく伺ってまいります前に、本法律案の改正がなぜやられなければならなかったのか、その辺のところが、提案理由の説明を伺っているだけではどうも理解が難しいわけであります。特に、なぜ農用地開発公団を整備公団に変えなければならないのか。農業を取り巻く情勢の厳しさというのはわかりますけれども、むしろ私は農用地開発公団のやってきた仕事を発展させていくくらいの姿勢もあっていいのではないか、こんなふうにも思っておる側面もあるものですから、まずその辺からお伺いしたいというふうに思っております。
そこで、その疑問の内容になりますけれども、提案理由で述べられております構造改善を加速していくということはこれからの農業にとって一体どういうことなんだろうかということがやはり疑問として残るわけであります。構造改善ということを今までは主として規模拡大を中心にして、そしてその生産の合理化というような形で私どもはとらえてきていたと思いますけれども、そういたしますと、農用地開発公団がこれまでやってまいりましたことは、畜産、酪農経営におけるいわば構造改善の目標、モデルをつくって、それに向かって一生懸命努力をしておられた、こういう形ではないだろうか、まさにその構造改善の加速ということの一つの道筋だったんではないか、そんなふうにも思うわけでありますが、この辺のところをどういうふうにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/2
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003・松山光治
○政府委員(松山光治君) 農用地開発公団につきましては、御案内のように、昭和四十九年代の後半におきますもろもろの事情を背景として発足したわけでございますけれども、その場合における状況といたしましては、片一方におきましては畜産物の需要の増大が続いている、他方畜産物の国内生産体制については需要の増大に対処して一層の整備を図っていく必要がある、こういう事情があったわけでございます。
そこで、公団の事業といたしましては、未墾地等が広範囲にわたって存在しております地域におきまして、大規模な草地開発と農業用施設の整備といったようなことを一体的に行っていく、それで畜産を中心にいたしました濃密な生産団地を形成していくということでございまして、今先生から御指摘がございましたように、草地におきます特に大規模な畜産の確立といいますか、体制の整備という意味では日本の畜産の生産構造を前に進める上で大変有効な働きをしてくれたというふうに私は考えております。
ところが、御案内のように、畜産物をめぐる最近の事情を見ますと、牛肉を別にいたしますれば総じて緩和基調にあるわけでございます。かつまた、先ほど申しましたような大規模な畜産開発という形での、公団の事業を進める上での開発適地が減少してきておるといったような実態もございまして、今まで行っておりましたような形での公団事業に対するニーズがだんだんと減少してきておるというのが実態でございます。他方、我が国の農業を取り巻くもろもろの事情は非常に厳しいものがあるわけでございますけれども、そういった厳しい状況に対応しながら我が国の農業の健全な発展を図っていくという観点からいたしますれば、できるだけ生産性の向上を図り得るようなそういう農業構造の確立を目指していく必要がある、できる限り早くそういうものを進めていく必要がある、このように考えておるわけでございます。
構造改善としてどういうふうなことを考えていくのかということでは、経営規模の拡大というのが一つ中心になるわけでありますけれども、言っ
てみれば、今の技術水準において考えられるできるだけ効率的な技術水準を駆使できるようなそういった生産単位を個別経営なり、あるいは集団的な生産組織の形で形成して担い手を育成していく、こういうことに相なろうかと思うわけでございますけれども、そういった農業構造の改善をできるだけ早めていくということのためにも、当面必要な条件の一つは、基礎的な条件をなしております農業生産基盤の整備ということであろうというふうに私どもとしては認識をいたしておるわけでございます。そういう公団事業をめぐる状況の変化、当面する農政の課題というようなことに加えまして、この間、六十一年六月には臨時行政改革推進審議会からも、本公団のあり方について、あるいは業務運営のあり方についていろいろと御指摘をいただいておるわけでありますけれども、状況の変化に対応した事業の、あるいは公団のあり方の見直し問題というような指摘もいただいたという経緯もございます。
私どもといたしましては、今申し上げましたようなもろもろの状況を頭に置きながらこれからの公団のあり方について鋭意検討を行ってきたところでございますけれども、これまで行ってきましたような大規模な畜産開発に対するニーズといったようなものの現状を考えますれば、本来事業としては、現行の事業を一応廃止いたしまして、経過的な措置は考えておるわけでございますけれども、当面する基盤整備の問題に公団の持っております特質を有効に活用するような形での事業の仕組みを考えた方が公団のこれまでの蓄積なり特質を生かす道ではないかというふうに考えた次第でございまして、提案理由説明においても御説明申し上げておりますように、従来の未墾地開発を主体にいたしましたものから、農用地等の農業資源に恵まれまして農業構造改善の可能性の高い一定の農業地域といったようなものを対象にしながら、既存地の農用地の整備、保全といったような業務をできるだけ速やかに行っていく、そういう事業に切りかえることにしてこの改正法案を提案した次第でございます。そういう趣旨から公団の名称につきましても変更をさしていただきたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/3
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004・稲村稔夫
○稲村稔夫君 今のお話で、いろいろと御説明があったそれぞれの側面わからぬわけではありませんけれども、しかし同時に、今の御答弁の中でも、公団のやってきた事業に対するニーズの方が減少してきている、こういうお話もありましたが、なぜにニーズが減少してきたのか、その原因のところをはっきりさせていかないとこれからの対策も明確になってこない、こんなことでもあろうと思うんです。私は私なりに、コストと畜産物価格とのかかわりなどというものが畜産経営、酪農経営、その経営の上から見ていっていろいろと問題があるのでニーズが減ってきている、こういうことになるのではないかというふうにも思うんですけれども、ニーズが落ちてきているのをどういうふうにとらえておられるのか、その原因は何なのか、そこのところをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/4
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005・松山光治
○政府委員(松山光治君) 草地を開発して規模の拡大をやろうといったような意味でのニーズが全くなくなっているということではないというふうに私は理解をしておるわけであります。畜産をめぐる状況がなかなか厳しい状態にあるということは私どもも頭に置いておるわけでありますけれども、これまで公団がやってまいりましたような大規模な形での未墾地開発、それと畜産施設等を一体的に整備していくといったような形でのニーズ、これは開発適地がだんだん奥地化するとか減少してきているという問題もあろうかと思いますが、そういうことで減ってきているということでございます。
そういう意味からいたしますれば、やはりこれからの飼料生産のあり方は畜産局がいろいろと御指導をいただいておるところでございますけれども、一つには既耕地を有効に活用していくということと、地域の実情に応じた形での必要な草地開発の問題につきましては、この新しい公団の事業自体におきましても当然既耕地の整備とあわせまして必要な場合の農用地開発というのはやれるような仕組みにもなっておりますし、それからそのほかに、県営なりあるいは国営なりの形での事業の実施ということもあるわけでございますので、そういうものでもって必要な手当てを行っていく、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/5
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006・稲村稔夫
○稲村稔夫君 私が伺っていますのは、まず規模拡大ということでいけば、公団のこれまでやってきた事業というのは言ってみれば畜産、酪農経営における一つのモデルみたいなもので、規模拡大をしたらコストの面でも非常によくなってくるし、要するに国際競争力をつけていく上でも非常に大事なことだ、こういう一つの設定があってモデル的なものとしていろいろとやってこられたのではないか、そういうふうに思うんですね。
ところが、そのニーズが落ちてくるというのは、本来であれば競争力がついていくようなものであればニーズがふえていっていい。だけれども、物理的な場所としていろいろ設定する場所があるとかないとかという問題もあるでしょうけれども、しかし、我が国の国土の利用率からいってまだまだやれるところというのは随分あるはずだと私は思います、結構工夫次第でもっていろいろな形で未墾地でも開発できる部分というのはあると思います。それにしても、大経営というものを目指していながらなぜそれが魅力になっていっていないのか、魅力として少なくなってきているのかという辺のところが私にはどうしても十分理解できない。その辺をどう押さえておられるのかということが聞きたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/6
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007・松山光治
○政府委員(松山光治君) 一つには、四十年代の後半におきますような畜産物の需要がどんどん伸長していきまして外延的に拡大していかなければ国内の供給体制が追いつかないといいますか、そういう事情とは違ってきておるというのは御理解いただけるだろうと思います。
牛乳につきましては、御案内のような生産調整を必要とするような需給事情が一つあるわけであります。さらにまた、そういうこととの兼ね合いで、もちろん未墾地はまだまだ日本全国多いとは思いますけれども、そういった需給事情も踏まえて考えましたときに、一定のコストとの関係その他を見ましたときに、この際、従来と同じような形でやっていったような事業をやるのにふさわしいような適地が減少してきているというふうに理解すべきではないんだろうかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/7
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008・稲村稔夫
○稲村稔夫君 これは後にいろいろとまた伺わなければなりませんけれども、開発公団で開発をして譲渡をしたそういうところでもいろいろとまた問題があるというふうに思っておりますから、その辺のところをまた後でお伺いいたしますが、いずれにいたしましても、規模拡大ということを中心にした構造改善への方向というものに今後やはりいろいろと検討をし、工夫を加えなければならない問題点があるのではないか、そんなふうにも思うためにまずこの疑問を伺ったわけであります。必ずしも今の局長の御説明で私も納得したわけではありませんけれども、これはあるいは平行線の考え方がいろいろあるのかもしれません。もう少しこれは議論をしなければならないところかもしれませんが、時間の関係もありますから、次の方に移らせていただきます。
提案理由の中で、高生産性農業へ転換をしていくという意味のことが述べられているわけですけれども、今質問をいたしましたのは規模拡大を中心にして、こういうことで伺いました。
ここで今度は、生産性の向上というのは規模拡大を面的なものとすればこれは質的なものといいましょうか、ノーハウも含めてのいろいろなそういう面になってくると思うんでありますけれども、この生産性向上と経営の収益率の向上あるいは率と言わないでも実際の収益ですね、金額的にふえていく、そういうこととの因果関係というものが果たして見出せるんだろうか。生産性の向上を果たしていくためにはまたそれなりの技術、ソフトの面もいろいろとあるけれども、投資をしていかなければならない面などもいろいろとありま
す。それとのバランスを考えていったときに、生産性を上げていけばこういうふうにしてこの程度のところでもって収益率が上がっていきますというような何か因果関係というものがあるのだろうかどうだろうか、まずその辺のところをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/8
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009・松山光治
○政府委員(松山光治君) 一般的に生産性の向上を図ることを通じて収益性の向上を図っていくんだということで皆さん御尽力、御努力をいただいておるんだというふうに理解をいたしておるわけでございますけれども、その場合に物的な生産性は上がったけれども、費用がかかり過ぎて収益性という点から見ればマイナスになる場合もあるんじゃないか、こういうあるいは御疑問かと思うわけでございますが、そういう意味からいたしますれば、私ども事業の採択に当たりましては技術的な可能性といったようなことのほかに、費用と効果の関係あるいは農家負担との関係等々をチェックいたしまして、その上で一定の投資を行うことで一定の所得増加が見込まれ、これならいけるというものについて採択していく、こういう基本的な考え方をとっておる次第でございます。
一つには、事業を実施するに当たりまして、それぞれの条件を見ながらできるだけ事業費がかからないような形の経済的な事業の実施ということをこれからも行っていかなければいかぬ、こういうことと同時に、せっかく整備されました基盤の上で最も適合するような営農をどういう形態でやっていくか、こういうことがもう一つのポイントになるんであろうというふうに考えておる次第でございます。
そういう意味では、今度の新しい事業の実施地区におきましては、従来からもそうではございますけれども、調査計画の段階から都道府県なり普及組織なり市町村なりあるいは農協等々関係の方々との連携、話し合いを密接にいたしまして、単に事業内容にとどまらず、例えば農地流動化の問題でありますとか、中核農家なり、生産組織の育成の問題でありますとか、基盤整備後の作物の選定の問題でありますとか、要は新しく整備された土地の上でどのような営農を展開していくかということにつきまして懇ろな協議を行いまして指導にも当たっていく。なお、関連するソフト面での事業との連携にも特段の配慮をしていく必要があるだろう、このように考えておる次第でございます。
要は、できるだけ費用のかからない形での事業の実施に努めますとともに、せっかく整備されました農地を有効に活用していくという観点でこれからの事業を進めていきたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/9
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010・稲村稔夫
○稲村稔夫君 私は、その辺のところはかなり余裕を持ったというか、幅を持った体制を考えていかないと、これから先の農畜産物の価格面のことを考えてまいりますと、それがコストとして足を引っ張る、そういう可能性が多分にあるだけに心配になるわけであります。
特に、きょうは大臣がいなくて、これはもうやむを得ないんでありますけれどもお伺いできない、まことに残念であります。牛肉、オレンジということで今アメリカとの交渉中でありますけれども、牛肉が実際に自由化への方向をとってまいりましたときには、国内価格というものはいろいろな形で影響を受けてくるということは間違いないことだと思うんですね。特殊な肉は余り影響を受けないかもしれないけれども、しかし、少なくとも大衆的に、大量的に消費をされるようなものは影響を受けてくるでしょうということが言えるわけであります。そういった場合に、いろいろと生産性の向上を目指して設備投資をしていることが結局桎梏になるということも大変心配されるわけなんです。
その辺のところも当然今、片一方では自由化への圧力が相当強まっている中なんですから、そのことは意識をされながら対応ということを考えておられるだろうと思うんで、そういう生産性の向上ということを目指しての設備投資については、今も大体負担増にならないようにとかいろいろと言われましたけれども、現実に農業収益全体も収益としては落ちてきているという傾向の中で、とにかく投資をしていけばその分だけどうしても経費の負担が若干でもかかっていくということになるわけであります。その辺のところを、さらにその問題点を乗り越えるくらいのコストダウンが現実にできるかどうかというような問題とも絡んでくるんですけれども、こうした現在の事情の中でこれからの生産性向上にかかわるコスト面についてはどういうふうに対応しようとしておられるのか、そこのところをもう一度お聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/10
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011・松山光治
○政府委員(松山光治君) 牛肉、かんきつをめぐる事情等につきましては、現在大臣が大変頑張っていただいておりますので差し控えさせていただきたいと思いますけれども、今お話しのございました農業をめぐる厳しい状況の中で、どういう形で生産性の向上を図る、そのための基盤整備を進めていくのかということでございます。
やはり、国民の皆さん方の支持を得ながら、日本農業の健全な発展を図っていきますためにはできるだけの努力をいたしまして、皆さん方にわかっていただける価格で農産物の安定供給に努めていく必要があるわけでございますし、そのためには、できるだけ基盤整備を進めまして、営農が可能になるような条件整備をする必要があるというのがまず基本にあるわけでございます。
ただ、先生から御指摘がございましたようなことで、これからの基盤整備を推進するに当たりましては費用の問題、効果の問題といったようなことを従来以上に十分念頭に置きながら進めてまいる必要があるというふうに考えておるわけでございます。既に、昨年にもそういう状況の中で構造改善局長名の通達も配してございまして、できるだけ事業費の単価の抑制をまず図っていく。そのためには、整備の程度に応じました経費なり地元負担額をあらかじめ複数の形で関係者にもお示しいたしまして、地域の実情に応じて選択していただく方式を徹底をしていくというようなことも一つあるわけでございますし、それから、できるだけ経済的な工法を見つけながら進めていくというような努力も必要である。
さらに、昨今の農家負担問題をめぐる状況の一つは、いろんな事情のもとで工期が延びておるといったようなこともあるわけでございますので、予算の重点的な配分を通じまして、できるだけ事業の早期完了を図っていく、こういうことを通じてできるだけ事業費の軽減、それに伴います農家負担の軽減に努めていく必要があろう。同時に、先ほども申しましたように、せっかく整備されました上での営農のあり方ということにつきましても、従来以上に関係者の間での話を十分煮詰めていただきまして、せっかくの投資が生きるような営農を期待したい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/11
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012・稲村稔夫
○稲村稔夫君 どうもまだ私よく理解し切れませんのは、農用地開発公団から今度整備公団へと、こういうことでありますが、農用地開発公団の場合は未懇地という形で経営規模としては新たなものに拡大をしていくわけですね。そうした中で、草地造成なりその他の経費をどれだけ検約していけるか、あるいは国なり都道府県なりの補助だとか融資だとか、いろんな形で低利の融資とか長期のとか、いろいろな形を組み合わせてできるだけ負担を少なくしていけば、新たな農地への規模が拡大していくという格好の中で一つのメリットが見出せないというわけではないというふうに私も思います。
しかし、既存の農地の中で拡大ということでいけば、それぞれの経営者がそのままで規模拡大というのはできないと思うんですね、既存の農地なんであればね。経営者がそのまま自分の経営にみんなしがみついていれば規模拡大にはならない、共同化とか何とかという道しかないと思うんです。それで、共同化でメリットが出るかどうかという問題もあるでしょう。それから、本当に一単位当たりの経営規模を既存の農地の中で拡大をしていこうとすれば、一定の農家は農業と別の方向
へ転身をしてもらうというようなことでもなければ単位当たりの経営規模を拡大していくということは実際上はできないんじゃないかと思うんですよ。
そうすると、その辺のところも考えていきますと、それこそ面的な整備のための経費と、さらに、農業を分担する者とその他のところへ就労する者というふうに分けていくことに伴ういろいろな社会的な面だとか人的な関係とか、いろんなことが絡まったまた別の形の経費増ということもあり得る、いや、当然考えられるということになるわけでありまして、今まで農用地開発公団がやってこられたような未墾地への拡大をしていってということよりも既耕地の場合にはずっと工夫の余地が少ないんではないか。今のいわゆるコストを抑えて負担を減らしていくという面でのことですよというふうに思うんですけれども、その辺はどんなふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/12
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013・松山光治
○政府委員(松山光治君) 今、農政の重要課題といたしまして構造改善の必要性が言われておるのは、現在のままの農業構造では、国際化の問題も頭に置きましたときに、これからの試練に耐えて、しかも国民の皆さん方に幅広く支持してもらって農業の健全な発展を図っていくということがなかなか難しい。したがって、展開の形態は地域の事情によって個別経営が中心になる形態もありましょうし、あるいは生産組織が中心になるような形態もあるし、いろいろさまざまかと思いますが、要は、できるだけ最近の技術水準を生かしながら効率的な営農の営めるような生産単位をどのようにして形成していくか、こういうことに我々直面しておるわけでありますし、その過程では各農家の分化がかなり進んでおるわけであります。
例えば、農業への依存が非常に小さくなっている農家の方にはできるだけ安定的な就業機会の確保ということにも我々も努めまして、今までのお使いになっていた農地を、あるいはその利用を、これから農業で生きていくという人に預けていただくとか、あるいは専業的な農家と兼業的な農家との間の任務分担も行いながら地域全体としての生産性の向上を図っていく、こういったようなことで、なかなか工夫の要る話には違いないと思いますけれども、各地域での創意工夫を発揮していただく必要がある、このように認識しておるわけであります。
ただ、そういうふうなことを考えるにつきましても、端的に申しまして、非常に小さな圃場でありますとか、あるいは区画が整理されておらないとか、道も十分に通っておらないといったような基盤のもとで構造の改善を考えるのと、基盤整備をきちんとした形でその上で地域農業のあり方を考えるのとではおのずから違いがあるわけでありますし、できるだけ能率的な営農の展開ということを考える場合には基礎的な条件の整備がまず欠かせないところである、そういう認識のもとに、今回の公団事業といたしましては、全国津々浦々でということではございませんで、一定の農用地のまとまりがあるとかといったような一定の要件を備えた地域について、総合整備事業でございますれば、面の整備と線の整備を一体的に行う、こういう形で公団の持っておる特色を発揮してもらおう、こういう考え方に立つところでございますので、ひとつ御理解を賜ればありがたいと、このように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/13
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014・稲村稔夫
○稲村稔夫君 私は、意見が食い違うところがかなりあるのかもしれませんが、既耕地の場合は、特に都市周辺を中心にいたしまして、こういうふうに農業の状態が大変厳しい中に置かれておりますと、逆にその小さな土地を守っていかないと、その総合的な収入でもって、賃労働、兼業というよりも労働に今度はその農業の方が付随したような形になって、それで何としてもそういう総合的な収入で生きていこうとする、そういうものが強まっていくのではないかということを心配しております。
それで、一番対策を必要とする農山村地域というようなところでは、むしろ過疎が進行していく、離農が進行していくというようなことも大変恐れているわけであります。それらのことはそれなりに私なりの理屈もあって、考え方もあってそんなふうな心配をしているわけでありますけれども、それだけに今度の新しい整備公団になって整備を手がけていかれるという際に、それこそ先ほど負担の問題などがいろいろとあれになりましたけれども、さらに負担増ということが起こってくると事志とはかなり違ってなかなかうまくいかないということが起こってくるんではないか、こんなことを心配するので申し上げているわけでありますが、この辺のところもさらに議論はいろいろと煮詰めなければならない問題だというふうに思っておりますけれども、次に進ませていただきたいというふうに思います。
そこで、公団の組織と雇用等について伺っておきたいと思いますけれども、今回の農用地開発公団から農用地整備公団への改組が、公団職員を犠牲にする組織の縮小がその目的であってはならないということは私が申し上げるまでもなくもう考えておられることなんだろうと思いますけれども、やはり雇用不安、労働条件の悪化というようなことがどうしても心配になってまいります。その辺のところをどういうふうに考えておられるのか明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/14
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015・松山光治
○政府委員(松山光治君) 今回の公団の改正は、先ほども申しましたように、公団をめぐる状況の中で農業基盤整備という重要な仕事を担っていただく実施機関の一つとして新しく公団を位置づけて頑張っていただきたい、こういう考え方に出るものでございます。
お尋ねの公団の組織・定員の問題でございますけれども、従来から公団業務の推移を見ながら必要な見直しを行ってきておるところでございますけれども、公団が国民的な理解と支持のもとに、今後とも安定的に事業を実施していくという観点からいたしますれば、引き続きできるだけ効率的な業務運営に努めていただく必要があろうというふうにまずは考えております。ただ、公団職員が雇用面で不安を感じるといったようなことが生じますれば、これまた新しい制度のもとでの公団の安定的な業務遂行という点からすればマイナスになるわけでございまして、私どもとしてはそういう点について十分意を用いてまいりたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/15
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016・稲村稔夫
○稲村稔夫君 具体的に、農用地開発公団、これが整備公団に変わるということによって組織的に変わる部分というのはあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/16
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017・松山光治
○政府委員(松山光治君) 新公団の本来的な業務としては、先ほど御説明したような従来の業務を廃止して新しい業務に移行する、こういうことになるわけでございますけれども、附則におきまして、現在実施中の地区、それから調査をしております地区につきましては、従来と同じような形で事業を継続していくというふうな形をとってございます。
この改組後におきます公団事業の実際ということを考えてみますと、従来の業務が相当量継続して行われるわけでございますので、そういう意味では、当面、基本的には現在の組織を維持していく方が実際的であろう。それで、逐次新しい業務への移行ということが出てくるわけでございますけれども、これからの展開の仕方を見ながら必要な見直しはやっていくということになろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/17
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018・稲村稔夫
○稲村稔夫君 私が心配をしておりますのは、これからまた伺わなきゃならないと思っておりますが、今のように事業が安定的にやれるようにと考えていきましたときに、これまで農用地開発公団として蓄積してきたノーハウというものがあるわけですね。それは現在事業中のもの、ここではそれは直接、引き続き生かされていくということになります。しかし調査中のものといっても、それは野のものとなるのか山のものとなるのかまだわからぬということになります。そうすると、調査をしながらこういうことをずうっと続けていくという保証がなければ、そのノーハウというのは現在やっている事業でもって、もうあとは余り役に立たぬということになる部分も出てくる、調査の
ために必要なノーハウというのはこれは生きていくでしょうけれどもね。
それから、畜産系の技術職員というのも、現在の事業が将来もし続かなくなってしまうとそれらの畜産系の技術職員というのは一体どうなるんだろうということも心配になるわけですね。私は、それこそ産業構造の大きな転換の中でいろいろと苦労しておられる他の産業のことも気になるわけでありまして、一番代表的な例でいけば石炭なんというのがその一つでありましょうけれども、結局採炭をするという技術においては熟練工であり、すばらしい技術を持った人が新たに今度は電信柱に上って——今電信柱もだんだんなくなってきていますけれども、下へ潜っていた人が空へ上がらなきゃならないなんということはこれはもうとんでもない話だけれども、職業訓練というのは結局新しい分野にということでいろいろやるんですけれども、中高年層になってしまえばそれは大変厳しいことになる。そういうようなこともついつい心配になるものですから、技術職員の皆さんのことはどうなるんだろう、こんなことも含めてひとつお考えを聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/18
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019・松山光治
○政府委員(松山光治君) 農用地開発公団、これまで畜産を主体にいたしました草地造成なり畜舎の建設というのが中心の事業であるということは間違いないわけでございますけれども、当然のことながら事業の実施過程におきましては一種の農地開発といいますか、そういうものの事業実施計画の策定でございますとか、それから土地に関する権利の調整の問題でありますとか、さらに工事の設計なり施工、管理、一連の業務をずっとこなしてきておるわけであります。工種といたしましても、単に草地の造成と畜舎の建設だけではございませんで、伴いまして既耕地の区画整理でございますとか、農道の整備でございますとか、農業用排水施設の整備でございますとか、交換分合といったような仕事にも取り組んできております。そういう意味ではかなり幅広い技術者集団であるというふうに私ども理解をいたしておるわけでございまして、その蓄積されたノーハウを今後の新しい業務でフルに活用していただけるものというふうに期待をいたしておる次第でございます。
特に、具体的にお尋ねの畜産関係の技術者の問題でございますが、今公団には二十二人の畜産の技術者がいらっしゃいまして非常に頑張っていただいておるわけでございますけれども、お話のございましたように、現行の事業がなお何年間か継続いたしますからそこでまず活躍してもらうというのが一つございますが、同時に、新しい事業におきましても一定の条件を備えました地域をとらまえましてその中での農業をどう考えていくかということを前提にしながらの基盤整備の仕事に取り組むわけでございます。
したがいまして、調査計画の段階から、当然のことながら地域の農業ということに相なりますれば畜産を含みました地域農業のあり方を考えていく必要があるわけでございますし、そういうことをベースにいたしました営農計画の策定の問題もございます。あるいはまた、これは受託事業として予定をしておるわけでございますが、上物施設の建設等の事業も考えられるわけでございまして、そういう意味では公団の持っております畜産技術の経験なり知見が発揮される場が十分あり得ると思いますし、また発揮してもらいたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/19
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020・稲村稔夫
○稲村稔夫君 そこで、さっきの疑問がまた頭をもたげてくるわけですけれども、既設の農地を中心にして今の畜産関係を考えて今度は対応を補完していくという、地域農業としてそういうことになっていったときに、今の畜産、特に牛肉にしても酪農にしても非常に厳しい条件の中でやっていかなきゃならぬということになるわけでありますけれども、そういう中で技術職員の皆さんを配置して生かしていくという道がどれほど実際に生まれてくるだろうかというようなことなども気になるところなんです。しかし、そこのところは精いっぱい御努力をいただいて、それこそ単純な縮小合理化というようなことに絶対にならないようにということでお願いをしたい、そう思うんです。
それだけに、今度は整備事業団の事業の将来展望についてどう考えておられるのか、これもやっぱり伺わなきゃならぬということになります。これは二つになりますね。特定地域農用地総合整備事業とそれから特定地域農用地等緊急保全整備事業というのがあるということになっておりますけれども、これは具体的にどのような対象を考えておられるんでありますしょうか。六十三年度に着手するというのはどの辺のところを考えておられ、大体年間どの程度の事業量を考えておられるのか、それに将来展望も含めてお聞かせをいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/20
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021・松山光治
○政府委員(松山光治君) まず、特定地域農用地総合整備事業でございますけれども、六十三年度において事業着手を予定しているところはございません。六十三年度におきましては国の直轄調査といたしまして地区調査を二地区、それから地区調査の前段となります基本調査を数地区で実施する予定でございます。これからはこういった調査地区の実情、その地区内の意向、構想等を踏まえながら、そういうものがまとまってまいり次第事業化していきたいというふうに考えておるわけでございます。
それから、特定地域農用地等緊急保全整備事業でございますが、六十三年度におきましては石狩川の下流左岸地区というのがあるわけでございます。これは地盤沈下等がございまして内水排除が農業生産の健全な発展上非常に支障になっている、重要な課題になっているという地区であるわけでございますけれども、そこで事業に着工する予定でございます。この石狩川下流左岸地区につきましては、現在のところ総事業費三百四十億、六十三年度の事業費としては二十億予定しておるわけでございますが、これをまず手始めにやってまいる。
その他のこれからの扱いの問題につきましては、この事業の具体的な要件といたしましては地形とか地質、その他の自然条件の特殊性に起因いたしまして農用地の排水条件の著しい悪化、その他の広範囲にわたります農業生産を著しく阻害する障害の生じている地域というような要件がございますので、そういう要件に適合して、かつ地元から事業の実施の要望があるというものについては具体的に調査の上事業化を検討していきたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/21
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022・稲村稔夫
○稲村稔夫君 そうすると、これは確認になりますけれども、農用地総合整備事業については六十三年度はまだ調査の段階ということですね。そしてあと、緊急保全整備事業については石狩川下流左岸ということで、将来は、さらにそういうところを調査をされながら似たようなところに対応していきたい、こういうことでよろしいわけですね。——はい、ありがどうございました。
いずれにいたしましても、私が心配をいたしましたのは、農用地開発公団から整備公団に変わったけれども、結局、事業としてはこの辺くらいまでしかなくなってしまいました。結局、また新しく公団を改称するか何かそんなことを考えなきゃならないというようなことになることを非常に懸念しております。事業としてきちっとした展望を持ってやっていっていただきたい、こう思うわけであります。
そういう懸念をいたしますのは、実を言うと、行革審答申で具体的に農用地開発公団について触れておられる部分があるわけであります。それだけに私の方は、どうもこの農用地開発公団を改組するということは行革審答申が一つの出発点になっているんではないだろうか、そんなふうにも思うわけでありますし、そういう受けとめ方もしているわけでありますけれども、政府の方はこの行革審答申の農用地開発公団に対する指摘をどのように受けとめてこれまで検討してこられましたのか、その辺のところをお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/22
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023・松山光治
○政府委員(松山光治君) 行革審からは六十一年六月に答申をいただいたわけでございますけれど
も、農用地開発公団だけではございませんで、特殊法人関係ではその他の特殊法人も含めまして各法人ごとに具体的な指摘をいただいておるわけでございます。
現行の業務自体につきまして、いろいろと業務の効率的な実施等の観点からの見直しの御指摘もございました。そのほかに、国際経済の動向なり、国際化への対応あるいは事業の実施の状況等を踏まえて、公団の在り方の抜本的な見直しを行うことというような御指摘をいただいたことは事実でございます。
私どもとしましては、この答申を受けまして現行の業務につきましてできるだけ効率的な事業の実施に努め、農家の負担の軽減を図っていくという視点でもろもろの改善措置を指導もいたしておる次第でございますけれども、公団のあり方の問題につきましては、先ほど来申し上げますような公団をめぐります事情の変化と、それから農政の当面いたします課題というものを念頭に置いて見直しをいたしました結果、今回の法改正の御提案に至った、このように御理解をいただければありがたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/23
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024・稲村稔夫
○稲村稔夫君 行革審答申ということで必ずしも法案提案をしたわけではない、現在のいろいろな事情というものを十分考えた中でその必然として法案改正に踏み切ったんだ、こういう意味に受け取りました。
ただ、その中で私やはりひっかかっておりますのは、行革審答申の中では、「公団事業の約八五%は国及び道県の補助金で賄われているが、莫大な国等の助成を受けている農家が見られる結果となっている。」というような指摘がされているわけでありまして、この辺のところは私は必ずしも適正な指摘かどうかということに大きな疑問もあるわけでありますけれども、農林水産省としてはこういう指摘についてどんなふうにお受けとめになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/24
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025・松山光治
○政府委員(松山光治君) 今先生がお触れになりましたくだりは、公団の補助率が比較的高率でございますし、それに道県等の補助もある、かつ大規模な経営の創出ということでかなり大がかりな事業としてやっておりますから、一戸当たりの助成額がかなりなものになっているという御指摘で、事実そういうものとして受けとめておりますけれども、ただ私どもといたしましては、草地に基盤を置きました大規模な畜産経営体を創設していく、そういう形で草地に立脚した日本の畜産をつくり上げていく、当然それに伴いましてかなりの事業費もかかるわけでございますし、農家負担も考えますればそれなりの国庫助成も必要だ、こういう考え方であの事業を行ってきたんだというふうに申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/25
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026・稲村稔夫
○稲村稔夫君 さらに、いろんな雑誌等にもいろいろ書かれたりしておりますけれども、開発公団の造成、譲渡をしてきた畜産経営については過剰投資が非常に大きいんではないか、そのために負債が増大しているんではないかという指摘が世間であるわけでありますけれども、実情についてはどのように把握をしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/26
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027・松山光治
○政府委員(松山光治君) 公団事業は割高じゃないかという批判は確かにあるわけでございますけれども、これは一つには、実施区域がインフラ整備のおくれております山間僻地が主体でありますとか、それから整備水準なりあるいは経営規模等の条件の違いがございますので、高い安いの話を単純に比較することはなかなか難しい面があるというふうにまずは考えておるところでございますけれども、やはりモデル的なものとして始まったというような経緯もございまして、畜舎等の整備に関しましてはそういう意味でのモデル性を追求するといったようなことで、耐久性、安全性あるいは生産効率といったようなものを重視したものになっている、その結果多少高い例もあるというのは否めないところかなというふうに思っておるわけでございます。
しかし、近年におきましてはやはり何といいましてもコストダウンをどう図っていくかということが非常に重要な課題だというふうに考えておりますし、そういう見地から、例えば畜舎の扱いにいたしましても畜舎の単価に上限を設けるといったような指導も行いまして、他方、公団におきましてもできるだけ低コストでの事業の実施が可能になるようないろんな勉強も行い、それを実行に移してきております。その結果、近年建設単価漸減傾向にあるということを申し上げておきたいと思います。
農家負債の問題でございますが、公団事業に参加いたしました大規模な畜産農家の場合でございますが、六、七割の農家は全く順調な経営を行っておりますけれども、一部償還にかなり困難を伴っている農家のあることも事実でございます。ただ、そうなったゆえん、これは経営によって大分事情が違うわけでございますので、どういうわけでそうなっているんだろうかということについて道県等を通じていろいろとお話も伺っておるところでございますけれども、営農技術の習熟、特に大規模な営農技術の習熟にややおくれをとりましたとか、資金なり経営管理のところで少し個別差が出たとか、あるいは御不幸な事故があったとかといったような場合が多いようでございます。
したがいまして、私どもといたしましては、まずはせっかくの基盤を十分生かし得るような経営指導を強化することが必要である、こういう考え方のもとに、道県あるいは市町村によって編成されております特別指導班による経営指導の強化といったようなことを重点に置いているわけでございますけれども、負債の償還がなかなか困難な農家に対する対応といたしましては、例えば自創資金等のような低利資金の隔通の問題でございますとか、あるいは特別の事情のあります場合の公団みずからの償還猶予の措置といったようなことで対応してきたわけでございますが、御案内のように六十三年度から公団事業償還円滑化特別対策事業というのも実施に移すことにしておりますし、それから畜産対策の一環として先般特別の融通助成事業の実施も決まったことでございますので、私どもとしてはこういった措置を有効活用しながら公団参加農家の経営の安定を図っていきたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/27
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028・稲村稔夫
○稲村稔夫君 局長の御答弁の実情というのは私どもの把握とはちょっと違っているところもございます。六割くらいは順調にやっておられるようなお話でありましたけれども、後で菅野委員が質問に立つことになっておりますから、またいろいろとあるかもしれませんが、どこにその経営のあれを見ながらやるかという点でも違いはあるかもしれませんが、私はかなり厳しいように受けとめております。
それにいたしましても、農用地開発公団が造成、譲渡してきたそういうものの中には、財投資金を大いに活用しながら、言ってみれば財投資金を活用することでできるだけ工期を短く早くやれるようにという、そういう体制だったと思うんですけれども、しかしその財投資金のいわば利子が高かった時代に仕事が始まっているところも結構あるわけでありまして、高利子のところはそれだけ利子の負担分が大きいというようなことなどもあるわけでありまして、こういう財投資金の金利というようなことの対策が立てられなければならない問題ではないか、立てられているのかどうか、その辺のところもお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/28
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029・松山光治
○政府委員(松山光治君) 財投資金、国の補助残の部分につきましては公団みずから財投資金を活用して事業をやっていくということで自主負担の問題があることは事実でございます。それだけに工期を早めているという効果も実はあるわけでございます。そういうことも含めました農家負担の問題でございますが、御案内のように草地造成の場合で申しますと既に七五%という高率の国庫補助を行って事業を実施してきておるわけでございますし、かつまた農家の負担金の償還につきましても二十年という長期の償還期間を設定して進めてきておる、こういう事情があるわけでございまして、これ以上に利子の軽減を図っていくというふうなことの知恵がなかなか難しいというのが率直な実情でございます。
ただ、先ほども申しましたような償還の返済に困難を来すという農家も一部出ておるわけでございますので、従来から営農指導の強化のほかに自作農維持創設資金の活用でございますとか、あるいは公団によります特別の場合の償還猶予措置といったようなことで対応してきたわけでございますが、先ほども申しましたように、六十三年度からの新しい措置といたしまして、新たに公団事業の償還金の返済が困難な農家につきまして、償還に充てます資金の一部を農協等から借り入れます場合に、国と都道府県が利子補給をいたします公団事業償還円滑化特別対策事業というのも実施いたしまして、できるだけ償還の円滑化を図りたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/29
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030・稲村稔夫
○稲村稔夫君 私は、畜産経営におきまして、我が国畜産の一番基本的な大きな問題点として、畜産の伝統を持っている欧米のように、言ってみれば父祖伝来の農地と施設とを持っていて、そしてそれにあとは頭数を一定程度ふやしていき、設備を徐々に継ぎ足していきながら合理化をしていけるそういうところと違って、ある程度一挙にいろいろと投資をやらないと規模的には大規模なものができない、その辺のところに一つ大きな相違点があると思うんですね。それだけに我が国の畜産の置かれているギャップというか不利な面があると思うんです。
それだけに、行革審答申は、読んでおりますとかなりコスト主義が重視されているように思われまして、いわば農業とか畜産とかというものが持っている宿命とも言うべき特殊性が軽視されているというふうに思いますが、私は行革審答申については少し異なった考え方を持っているわけであります。しかし、それにいたしましても、畜産経営というのは、そうした中で何も公団の事業でやったものばかりではなくて、畜産農家全体に負債問題というのがいろいろな形で大きくのしかかっているというのが現実でありますから、それだけにこれからの畜産のあり方について私は心配をするわけであります。
ここで、ちょっと畜産についての基本的な考え方を伺っておきたいんでありますけれども、今後とも畜産については振興を図っていくという方向なんですか。それとも、もう牛肉も自由化されてくるし、これが必ず豚肉にもいろいろなものに影響してくるわけでありますが、多少の後退を余儀なくされていくというふうに考えておられるんでしょうか。ということになれば、それなりの対策がそれぞれあると思うんでありますけれども、そこのところをひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/30
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031・濱田幸一郎
○説明員(濱田幸一郎君) 畜産物、特に牛肉をめぐりましては最近御案内のとおり非常に海外からの市場開放要求が強いわけでございます。これに対しまして佐藤農林水産大臣が二度にわたりまして訪米いたしまして目下交渉中でございます。
いずれにいたしましても、牛肉生産は我が国の土地利用型農業にとりまして基幹的なものでございまして、地域農業及び地域経済を支える重要産業であることにかんがみまして、牛肉生産の存立を守るという基本的な立場に立って折衝に万全を期しているところであります。したがいまして、交渉の先行きにつきまして予断を与えるような発言は差し控えたいわけでございますが、いずれにいたしましても、今後とも「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」、これは先般二月に策定公表いたしたわけでございますが、この基本方針に即しまして長期的な観点から国際化にも対応し得る肉用牛生産の確立を目指しましてその振興、合理化を総合的に推進してまいるというのが基本的な考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/31
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032・稲村稔夫
○稲村稔夫君 畜産についてはいろいろと、それこそ今のお答えを聞けばまたさらに疑問がむらむらと頭をもたげてくるわけであります。しかし、きょうはそれを議論している時間がもうなくなってまいりました。いずれにいたしましても、そういう観点があるならばあるほど、私は従来の農用地開発公団がやってこられた事業の継続性といいましょうか、全く同じ事業をやれという意味ではなくて、そうした未利用地を利用できていくようなそういう形の継続性というものをやはり今後とも重視して、一つのポイントとして考えていっていただかなきゃいかぬのじゃないか、こんなふうに思っております。これは意見として今申し上げておきます。
時間の関係もございますから、さらに法案の提起をしている問題についてもう一点伺っておきたいと思います。
それはNTTプロジェクトの活用ということでありまして、Aタイプ事業を取り入れるということになっておりますが、これは森林開発公団のときも私はいろいろとAタイプ事業の取り入れということについては今後考えていかなきゃならない問題点があるのではないかという疑問を提起しておりますけれども、どのような形で収益を上げて、回収できると見込んでおられるのかということがやはりこの疑問のポイントなのであります。市街化区域等水田転換緊急特別対策と、それから農業用用排水施設他目的利用という二つの事業にこれを利用しようということのようでありますけれども、その収益をどうやって上げて、回収できるのか、それぞれお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/32
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033・松山光治
○政府委員(松山光治君) お話がございましたように、NTTのAタイプ事業、事業主体が無利子の貸付金の対象となります農業基盤整備事業ないしはこれと密接に関連する事業、それから得られました収益金を貸付金の償還財源に充てる、そういうことで現下の財政事情と社会資本の整備の必要性というものの両立を図っていこう、こういうようなことで始められたものでございます。
当面、私どもの方で予定しておりますAタイプの事業といたしましては、御指摘のございましたように、一つは市街化区域等水田転換緊急特別対策事業でございます。この事業は、市街化区域等におきます水田につきまして、ここでも水田利用確立対策ということで転作の円滑な実施を進めていただかなければいかぬという当面の課題があるわけでございますけれども、そういう課題を踏まえまして必要な畑地化をやっていただくというのが一つあるわけでございますが、同時に、そのこととあわせまして、市街化区域内の特性からいたしましても、非農用地をあわせて創出していくという形態のものが十分あり得るわけでございます。そうやって生み出されました非農用地を道路等の公共用地、その他の用地として売却をいたす、あるいは貸し付けるといったようなことで上がってまいります収益を事業費の償還に充てていく、こういうようなことが予定されておるわけでございます。
それから、農業用用排水施設他目的利用プロジェクトでございますが、ため池でございますとか、それから用水路、排水路等の施設整備を一方で行いながら、地域によりましては、特に都市化等の進んでおりますような地域におきましては、そういった用排水施設の整備と同時に、そこを駐車場でございますとか、一種のレクリエーション施設のようなものに活用できるような整備をあわせて行いまして、利用者から施設の利用料あるいは賃貸料を徴収していく、そういうことで上がりました収益を事業費の償還財源に充てる、こういうことを考えておるプロジェクトでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/33
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034・稲村稔夫
○稲村稔夫君 そういたしますと、どっちもそれじゃ都市に近いところばかり考えておられる、こういうことになるんでしょうかね。これは、五年据え置きで二十年間の返済という形になるわけでありますから、農村地区になればなるほど、当面は何かやれるような状況があっても、二十年間の中にはうまくいかないというようなところ、うまく機能しないというようなことも起こってくると思うんです。
それから、ため池なんというような話もありましたけれども、農村地域、準農村地域になっていけば、それは結局、他目的利用といっても農家が中心で他目的に使うということになっていきますと、農家の収入というのは言ってみれば自分の経営の中でということになりますから、表現は余りよくないかもしれないけれども、タコが足を食っ
ているみたいに結局同じ懐の中でずっとやりくりをやっている、やらざるを得ない、こんなことになっていく心配もある、こんなふうにも心配をするわけであります。
そこで、収益を回収できなくなった場合には、一体だれが返済するということになるんでしょうか。私の申し上げたことが間違っているかどうか、それと今のだれが返済することになるのか、この二つの点についてお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/34
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035・松山光治
○政府委員(松山光治君) この事業につきましては、農用地整備公団自体も事業主体になり得るという規定は設けておりますけれども、農用地整備公団自体につきましては、六十三年度には事業の実施はまだ予定をしておらないということを一つ申し上げておきたいと思います。
したがいまして、本法案との関連で申し上げますれば、土地改良区等が事業主体となる事業につきまして、公団の方から無利子資金の貸し付けを行っていく、こういうことになるわけでございます。それで、公団の方はその原資は産業投資特別会計の方から借り受けておるわけでございまして、産投会計との関係では公団が返済していかなきゃいかぬということに相なるわけでございます。
今、収益償還の見通しがあるのかどうかということでお尋ねもあったわけでございますけれども、事業の展開の仕方はそういうことで、地域の事情によってかなり違ってくるだろうというふうには思っております。したがいまして、具体的にどういうところでどういう事業をやっていくかというのがまさにこれからの、今いろいろと要望その他も聞いておるところでございまして、これからの話ということになるわけでありますが、農用地整備公団といたしましてはみずからが産投特会との関係では返済主体になるわけでございますから、貸し付けを行うというそういう立場で、当然のことながら、この資金の融資を行うに当たりましては資金の償還計画でございますとか、あるいはこの資金以外の借入金の借入方法の問題でございますとか、事業の収支見通しでございますとか、これは念には念を入れて審査を行いまして償還の確実なプロジェクトというものを対象にしていく、こういう考え方で事業の実施に当たっていただく必要があるだろう、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/35
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036・稲村稔夫
○稲村稔夫君 私は、農用地開発公団がいろいろとニーズが減少してきたという表現なども使われながらでありましたけれども、実際は今の畜産の厳しい状況の中で、特に農用地開発公団のあり方に苦慮してこられた面があるのではないかというふうにも考えます。
それからまた、それを今度整備公団に改編をしていく、こういう形になってまいりましても、我が国農業のそもそものあり方というもの、その辺のところがきちんと踏まえられないと、幾ら姿を変えたりなんかいろいろしてもまた同じことを繰り返さなければならぬ、こういうことになるのではないか、そんなふうに思うんです。その一つの例として畜産を、特にいろいろときょうは畜産を中心にした形で伺った格好になりましたけれども、何もそれは畜産ばかりではありません。そしてさらに、その規模拡大というものが、これから先の見通しということの中ではいろいろと新しい問題を提起してきているというふうにも思います。
例えば、規模拡大至上主義でいきますと、それこそ石油を使用する量がふえていくだけ、そういうことも言えないわけではありませんし、一方、消費者のニーズとしては有機農業等を中心にして安全なものを安定的に供給をというような強い声もあったりいたします。この辺とのかかわりも一体どういうふうに考えて今後対策を立てていくのか、対応していくのかというようなことなども本来でありますと私はいろいろときょうはお伺いをしたいというふうに思っておりました。しかし、私の時間ももうなくなりました。
最後に、きょうは大臣がおられませんから、大臣にかわって次官にお答えをいただきたいわけでありますけれども、要は、今ずっとやってまいりましたやりとりの中で、私の最後に申し上げたような日本農業のそもそもともかかわって物を考えなきゃいかぬのじゃないかという疑問は相変わらず残っております。その辺をどういうふうに農林水産省としては今後乗り越えていこうとしておられるのか、その辺のところもきちっとお聞かせをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/36
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037・吉川博
○政府委員(吉川博君) 国際化の進展の中で農業問題といえども国際的に孤立するようなことがあってはならないと考えております。しかしながら、農業は食糧の安定供給、活力ある地域社会の維持、国土・自然環境の保全等極めて重要な役割を果たしております。また、世界の農産物貿易構造は、輸出供給力が特定の少数の国に集中していると中長期に不安定な状態になりますので、将来に禍根を残さないようにするとの見地から、基本的には農産物を安定的に供給する体制を維持していくことが何よりも重要であると考えております。このため六十一年十一月の農政審議会報告に沿って、与えられた国土条件等の制約のもとで最大限の生産性の向上を図るとともに、食生活全体の動向を的確に把握しつつ食糧の安定供給、安全性の確保、品質の向上及び消費者価格の安定に努めてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/37
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038・菅野久光
○菅野久光君 大臣の訪米の関係で私の質問は本日とこの次と細切れにならざるを得ません。そういう関係で、個別の問題で残された時間お聞きをしたいと思います。
今回の、緊急保全整備事業の実施予定区域に石狩川の下流左岸地区の問題がありますが、先ほど稲村委員の質問でも明らかになっておりまして、総事業費が三百四十億ということになっておりますが、これらのことにかかわりまして計画年数とそれから費用負担の割合がどのようになるのか、まずそこのところをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/38
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039・松山光治
○政府委員(松山光治君) 御指摘の石狩川下流左岸地区は有数の大規模な水田地帯でございますが、泥炭土が広範囲に分布しておりまして、それに起因いたします地盤沈下の進行で著しい排水障害が生じておる、こういう地区でございまして、一万四千六百ヘクタールの農地を対象にいたしまして総事業費三百四十億ということで排水施設の整備なり集水路の整備を行っていきたい、このように考えておるわけでございます。
どれぐらいの年数を予定するのかというお話でございますが、これからの予算の割り振りの話その他も関連するわけでございますけれども、今の私どもの目標、願いとしては何とか七年程度で事業の完成に持ち込みたいなというふうには思っておる次第でございます。
それから、負担の関係でございますが、まず国の補助率につきましてはこれから政令で決めるということになってございますのでこれからの検討課題でございますが、国営内水排除事業という類似の事業がございます。これの補助率が水田で八〇%、畑で八五%ということになっておりますので、これを念頭に置きながら具体的に詰めていきたい、このように考えておる次第でございます。
それで、こういう意味での国の補助残にかかわります北海道と地元の負担の関係でございますが、道と地元の間でどう持つかというのは御案内のように北海道の条例によって定められるということで、これもこれからの話でございますが、私どもとしては国営内水排除事業の場合と大体似たようなことになるように関係機関と相談したいと思っておるところでございます。
ちなみに、国営内水排除事業におきます負担割合について申し上げておきますと、水田の場合については八〇を国が持ちまして、残り二〇のうち三分の四十を北海道それから地元が三分の二十という二対一の割合で持ち合うという形をとっており、かつ地元の負担分については現状全額市町村による助成が行われておる、このように理解をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/39
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040・菅野久光
○菅野久光君 最終受益者の戸数、それから十アール当たりの負担金がどのぐらいになるか、今の
段階ですと予想ということになるんだろうと思いますけれども、それはどのようになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/40
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041・松山光治
○政府委員(松山光治君) 受益戸数といたしましては約二千二百戸を予定しておるところでございます。
それで、具体的な地元の負担額の話でございますが、国と地方公共団体の間の負担関係についてもこれからの詰めということになるわけでございますが、仮に今の国営内水排除事業と同じようなことでという幾つかの前提を置いたわけでございますが、ラフな試算をいたしますと、地元の負担額でございますが、十アール当たりで約三万円程度ということになろうか。このほかに道の負担があり得るという前提の数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/41
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042・菅野久光
○菅野久光君 時間がございませんからここのところの論議はまたにいたしたいと思いますが、相当、土地改良事業等償還円滑化特別対策事業だとか、大家畜経営体質強化資金だとか、いろんな形で負債対策をやっておられますが、これも全部期限を切っていろいろやられているんですね。そこにまた一つの問題があるんじゃないか。十アール当たり幾ら償還できるかということで決めていかなければ農家はとてもたまったものじゃない。価格は下げられる、生産調整はさせられる、どうやって返していくんだというのが農家の置かれた現状だと私は思うんですよ。森林だって五十年です、五十年。住宅だって親子二代でやっていくようなそういう時代なんですね。ですから、いろいろ考えられてやっていることについてはそれなりの評価はいたしますが、しかし根本的な解決にはならないということだけを申し上げて、次の機会にこのことについてはいろいろ論議をいたしたいというふうに思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/42
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043・岡部三郎
○委員長(岡部三郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
午前十一時二十八分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/43
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044・岡部三郎
○委員長(岡部三郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、農用地開発公団法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/44
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045・刈田貞子
○刈田貞子君 午前中に引き続きまして農用地開発公団法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。
私は、用意した質問のほとんどが午前中の稲村同僚委員のお話の中に出ておりましたので、それを確認するような形で少し細かく伺ってみたいというふうに思います。
今回の法改正に当たって、その目的の変更等いろいろ午前中論議があったわけでございますので、その点についてはいささか異論はあるとしても一応お伺いをしておきました。その中で、御論議を伺いながら一つ感じてきたことは、そうすると、公団がこれまで果たしてきた役割というものは一体どういうものになるんだろうか。というのは、午前中からの引き続きの話のような形になるわけでございますけれども、思うわけでございます。まず局長から、公団の存在意義ですね、そういうふうなものについて、これまで果たしてきた役割、そしてこれから果たさなければならない役割等についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/45
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046・松山光治
○政府委員(松山光治君) 農用地開発公団は四十九年から昭和六十二年度までに六十九の区域で事業を行っております。そのうち完了を見ておりますのが四十六区域あるわけでございます。行いました仕事といたしましては草地造成が約四万一千二百ヘクタール、農道の整備が約千八百キロ、畜舎約千五百棟、サイロ約千二百基等々となっておるわけでございます。
まず、公団の果たしてきた役割という御質問でございますが、こういう事業の実施を通じまして、日本の畜産の体制といたしましてはどちらかといえば手薄でございました草地に基盤を置きました主産地形成と申しますか、流通体制の確立と申しますか、そういった点に寄与するところが非常に大きかったというのがまずあるであろうと思います。
それから二番目には、これは酪農それから肉用牛の多頭肥育、両方通じてでございますが、草地開発と上物施設の一体的な整備を行い、そこに入植スタイルを中心といたしまして大規模な畜産経営体を創設していく、これもまたそういうことを通じまして北海道の根室なんかにおきましてはECを凌駕するような水準の大規模畜産経営体の創設を見ておるわけでございまして、そういう意味での効果も大きかったというふうに考えられるわけでございます。
さらには、関連いたしまして、人里離れたといいますか、これまで社会資本の投資も比較的少なかったような地帯を中心とした事業でございましたから、当然のことながら基幹的な農道整備でございますとか、そういった意味での社会資本の拡充が行われておるわけでございますし、また、そういうことを通じまして地域経済の活性化にも一定の貢献をしておるという意味ではいわば地域開発への貢献という面からの評価も可能なのではなかろうか、このように考えておるところでございます。
今回の、公団法の改正に伴う新しい公団の意義ないしは役割ということになるわけでございますが、けさほども御説明申し上げましたような現行の公団事業をめぐる状況の変化と、それから生産性の向上あるいは農業構造の改善を進めるための基礎的な条件でございます農業基盤整備の必要性といったようなことを考えて御案内のような新しい事業、制度というものを創設することにいたしたわけでございますが、これを的確に実施することによりまして今必要となっております農業基盤整備事業をこれから実行していく上での重要な一つの実施機関としての役割、これを我々としては期待しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/46
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047・刈田貞子
○刈田貞子君 今のお話では、面的な部分のものはもちろんですけれども、社会資本の充実ですか、あるいはまた地域経済への寄与というようなことでかなりの貢献度をお話しなさったわけですけれども、いただいた資料によりますと、四十九年から六十年、それから六十二年見込み額までの分を入れて、ただいま総面積のお話しなさいましたね、これの我が国の草地の造成だけの実績に対する公団事業のシェア、これを見ますと平均で二六・一%になっています。大体初年度が少なかったから平均すると三割方ですね。草地造成にかかわっては公団は本来的にはこのぐらいのシェアを確保してあればよかったという当初の目的であるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/47
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048・松山光治
○政府委員(松山光治君) 当初の計画等におきましてどの程度のシェアを確保することを期待したのか、ちょっと今手元に資料はないわけでございますが、要は、公団のこれまでの事業というのは、一定の広がりを持った未墾地造成の可能性のある地域といったようなものを対象にしながら必要な草地造成を中心にいたしました事業をやってきたということでございまして、やはり二六%のシェアを持っておるというのはかなりの貢献度、草地畜産の確立への寄与度は大きかったんじゃなかろうかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/48
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049・刈田貞子
○刈田貞子君 私は、この三割程度のシェアで果たしてよかったんだろうかどうなんだろうかというところが公団の存在意義というものとあわせて考える資料になるのではないかというふうに思ってこの数字をいろいろ分析してみておるわけでございますけれども、五十五年、五十六年、五十七年、確かに非常に盛り上がっているわけですね。いい事業を恐らくなさっておるんだろうと思います。
これはこのくらいにして、やはりこの公団の存在意義、そしてこれからさらに公団を開発事業から整備事業等に改編させていくにしても、これを有効に生かしていくという意味におきましてもやはりこれまで果たしてきた役割というものをきちっと当局におかれましても把握をして、それをしかと受けとめていただいた上でさらにそれを進め
ていくということでないと、法改正後の事業がどんな方向に行くのか、ここの押さえ方一つの問題じゃなかろうかというふうにも思うわけですね。この辺のところについては十分に御認識をしていただきたい、そういうふうに思います。
私も余りたくさん時間を持っておりませんので先に進めてみますが、今後はいささか事業内容が変わってくるわけでございまして、その事業内容がこれまでの未墾地の開発という仕事から既墾地の整備へと重点が移っていくわけですね。そこで、これまで既墾地の事業についていろいろかかわってきているものがたくさんあるわけですね。言うてみれば、私が一番問題にしたいのは、国営事業とかあるいは県営事業あるいは団体営といろいろ事業があるわけで、そういうものとの競合する部分のところ、こういうのはどういう形で振り分けていかれるのか、この辺について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/49
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050・松山光治
○政府委員(松山光治君) 御指摘のように新しい事業は、圃場整備事業でありますとか、あるいは用排水施設の整備でありますとか、農道の建設でありますとかということで、事業種目といたしましては既存の国営ないしは県営の事業と異なるものではないわけでございます。
ただ、今回私どもが考えております新しい事業といたしましては、全国至るところでこれを行うといったようなものではございませんで、農用地等の農業資源にも恵まれまして、農業構造の改善の可能性の高い一定の農業地域といったようなものをとらまえまして、通常の事業でやった場合にはかなり年月がかかりかねないといったような大規模な事業、これを公団の有しております技術力なりあるいは機動力なり資金調達力を活用いたしましてできるだけ短い期間で総合的かつ集中的にやる、こういうふうなことを考えておるわけでございます。
そういう意味では、全国を対象にいたしましてその整備水準の向上を図ってまいります一般の国県営の事業とはおのずから性格を異にするというふうに考えております。むしろ、一般の国県営の土地改良事業と相まちまして基盤整備の効果がより一層高まる、こういうことではないかというふうに考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても調査計画の段階から両者の関係についてはいろいろと調整も考えまして、妙な競合が生じないように十分配慮していく必要があるだろう、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/50
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051・刈田貞子
○刈田貞子君 事業の中に、総合整備事業と緊急保全整備事業と分かれておるわけでございますね。この総合整備事業の方についてまず伺うわけですが、今言われたようにこの事業は整備を急速に図るということ、あるいはまた集中的に行うというようなことを一つの採択の基準にされているんだろうと思うんですが、かなりの広域的なスケールメリットというふうなものをもしねらっておられるとすれば、農業全般の状況がいささか厳しい現状にある中で、そういう面的集積が本当にできるのかどうなのか、手を挙げる人がいるのかどうなのか、この問題が一つあるのではないかというふうに思いますので、その採択要件のようなもの、それから、そういうものがもし今後事業の対象として出てきた場合に、先ほどは緊急の場合で七年とおっしゃったのでしょうか、どのぐらいの年月の事業を考えておられるのか、そんなふうな問題ですね、いろいろあるんですが、そこまで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/51
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052・松山光治
○政府委員(松山光治君) 特定地域農用地総合整備事業のいわば採択基準あるいは受益地の広がりの御質問でございますが、この事業につきましては、六十三年度に二地区で国による直轄調査を実施する、ほかの若干の地区でその前の段階の調査を行っていくということで、調査を通じましてこれから事業計画その他を固めていくという段取りになっておることもございまして、具体的な採択基準については今後事業着手までの段階に詰めていきたいというふうに思っております。
ただ、採択基準の考え方といたしまして現在考えておるところを若干御説明しておきたいと思いますが、一つは、やはり生産性の高い農業の展開が可能になるような集団的な農用地が相当存在しておる、かつ地域の生産基盤の整備状況から見まして基盤整備が早急に必要となっておるという地域であるというのがまず必要なことではなかろうかと思いますし、かつまた、せっかくの基盤整備を行いました後での営農体制がしっかりしなきゃいかぬわけでございますので、そういう意味では農業生産の中核的な担い手の確保ないしはその見込みがあるといったような要件も一つ要るんではないかというふうに思っております。
受益地面積の要件、これは面的整備事業と線的な整備事業の両方についてそれぞれこれから決めていくということになるわけでございますが、面的整備の面につきましては、現在圃場整備事業といたしましては、まず県営の圃場整備があるわけでございますが、これの採択要件が六十ヘクタール以上ということに相なっております。しかし、今回の公団事業の性格からいたしますと、県営と同じというわけにも恐らくまいらないわけでございますので、それよりもかなり大きな面積規模といったようなことを一つ頭に置いてこれから具体的に詰めたい。それから線的な整備につきましては、いわゆる広域農道の採択基準が現在受益地千ヘクタール以上ということになってございます。そういうことも頭に置きましてこれからの具体的な検討を進めたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/52
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053・刈田貞子
○刈田貞子君 それから、既存の事業がいろいろあるわけですよ。その中でこの公団の事業を選ぶというにはいろいろメニューがそろっていなければいけないわけですね。この費用負担の問題、さっき緊急の石狩の話が出ておりましたが、この費用負担についてはどんなふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/53
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054・松山光治
○政府委員(松山光治君) 今の総合整備事業についての費用負担の考え方でございますが、これについてもこれから具体的に詰めるつもりでございますけれども、その場合に一つ頭に置く必要がございますのは現行の類似の土地改良事業の補助率でございます。御案内のように圃場整備については四五%という補助率になっております。それから広域農道については六五%という補助率もあるわけでございます。そういうものも頭に置き、かつ事業内容の特性にも配慮しながら具体的に検討したい、こういうふうに考えております。
なお、県なり市町村なり事業参加者の負担割合の問題もあるわけでございますが、これはやはり国の補助率が決定されました後でそれぞれの条例で決められるということになろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/54
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055・刈田貞子
○刈田貞子君 国の補助率が決まってから確かに地元あるいは県の負担というのは決まってくるんだろうとは思うんだけれども、本当は、この手の法律が出てくるときには、少なくとも国はこのぐらいの補助率でいく、地域によってはこんな差をつけるというふうな形のものが出てきて初めてこれはいい悪いという論議をするのでありまして、この法律だけ見たのではまことに漠としていて、いいといって手を挙げればいいのか——なるほど厳しいのではないか、地元負担がここからはかるとこんなになりはしないかという論議に入るのが本来で、今大体土地改良がこれだけだからというふうに推測しての、仮定の話で事が進んでいくというのはいかがなものだろうかというふうに思いまして、私はできれば省令等もあわせて出てくれば非常に論議がしやすいんだというふうに思います。
それで、先般お願いをいたしまして、これまで公団が事業としてかかわってこられた完了区域の一覧表をつくっていただきまして、ちょうだいいたしました。そちらにもあると思うのでございますけれども、先ほど緊急事業の方の分について八〇とそれから三分の四〇、三分の二〇の話が出ておりましたけれども、これは例えば国が八〇持っていたとしても、工期の変動によってその比率が全部計算したら変わっているんですね。どういうことかわからないんだけれども変わっております。例えば畜産基地の事業なんかについては、これは大雪の上川町の事業だと、当初国は六四の負
担。ところが、いわゆる確定後は六〇になっておる。それから、当初地元は一七・九であったはずのものが一九・五に上がってきておる。こういう負担割合が動いていくという条件は、これは何によってこうなってくるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/55
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056・松山光治
○政府委員(松山光治君) 過去の事業実施区域の事業費の増加と、その負担の変動の要素でございますが、当初見込みました事業費がまま完了段階において変動することがあり得るわけでございますが、幾つかの要因があるわけであります。一つは、その間におきます物価変動あるいは労賃の上昇といったような、自然増と呼んでおりますが、そういう部分の要素がありますほかに、その後、地元の要望等もございまして、同じ事業種目でも例えば農道と申しましてもその延長キロ数が変わるとか、あるいは圃場整備の受益面積が変わるとか、そういう事業の中身の変動が一つございます。これまでの農用地開発公団の事業におきましても、事業の種目によりまして補助率が変わっておるわけでございまして、そういう意味で当初見込みました平均的な補助率に比べて事業完了段階の補助率の変更といいますか、変化があり得る。ただ、個々の事業について見れば補助率は変わっておらない、こういう関係かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/56
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057・刈田貞子
○刈田貞子君 いずれにしても、その事業が基本的には当初よりも四五%アップというような地元負担になってきていることについては、当然地元の了解を得てそういう事業変更が出てくるんだろうと思いますけれども、ただ数字だけを見ておりますと、比較的短い工期の間で公団事業というのは完成させられることになっておりますね。その割には当初見込みと確定後のものが非常に変化があるということについては私はいささか危惧を持つのでございますけれども、これも一つ一つ場所によって非常に疑問に思う部分もありますが、この数字をさわってばかりもおられませんので次に進めますけれども、いずれにいたしましてもこの手の事業が進められますとき、地元の意向をしっかり吸い上げる。特に最近、メニュー方式等いろいろ取り入れていただいているようでございますから、受益者の意思を十分吸い上げていただくことが必要ではなかろうかというふうに思います。
それから、公団の組織について先ほど同僚委員の方からもお話がございましたけれども、職員の雇用不安を生ずることはないのかというふうなお話がございましたね。私も単純な考え方でまいりますと、石狩の調査が既に始まって、大がかりな事業が緊急的に一つある。それから、総合整備事業の方では十一カ所の基本調査と二カ所の地区調査が進んでいるんですか、計画しているんですか、あるということ。それだけでも事業量は新規にあるわけでしょう。そのほかに既存の部分のつまりかなり継続していく事業というのがあるわけですね、旧事業ですよね。それが今かかわっているところで二十四カ所だったか、それからあと調査をしているところ十カ所、合わせてかなりの事業量をまだ持っているわけです。これを大体十年の間で完了をさせる予定だというようなことが書いてあるわけです。それを思いますと、事業量がふえていくような格好になるので、職員の雇用というのはむしろふやしていかなきゃいけない、単純に思うとそういうふうに思うんですね。この辺の今後の事業量と職員の問題、これはどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/57
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058・松山光治
○政府委員(松山光治君) 公団の事業といたしましては、現行の事業を今継続しているものを着実に実行していく、それから現行の事業の対象たるべきものとして調査しておる地区につきまして逐次可能なものから事業化していく、こういうことに相なるわけでございますが、実は新事業も含めまして調査段階は国がこれを直轄で行いましていろんなデータを関係者に提供した上で事業の是非も判断していくということでございますので、公団事業としては事業の実施だけの問題になっておるわけでございます。
新事業の着工といたしましては、石狩川左岸地区の着工を六十三年度に予定しておるということでございまして、新事業としては当面その事業が具体的なものとしてあるわけでございますので、当面の事業量として職員の増員を必要とするというような形の事業見通しには今相なっておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/58
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059・刈田貞子
○刈田貞子君 法改正前の地区が二十四カ所ですね。それから事前調査地域が十数カ所あると、こう書いてあるわけですね。これを完了までに十年程度要するものと、こういうふうに書かれていますね。
そうすると、これからの新事業と、それから今までの既存の事業と、今職員の振り分けの話をしましたが、事業費の振り分けの問題もあるでしょう。どういうふうに配分するんですか。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/59
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060・松山光治
○政府委員(松山光治君) 新事業については、例えば六十三年度で申しますと二十億を予定しておるわけでございます。私どもとしては全体としての財政計画の中で公団に所要の予算割り当てがあるわけでございますけれども、現行事業の的確な推進、それから新事業の的確な推進ないしは事業化の状況といったようなことを頭に置きながら現在のところ総額として大体三百億ぐらいのたしか予算になっておると思いますけれども、そういうことを頭に置いた割り振りを考えていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/60
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061・刈田貞子
○刈田貞子君 たくさん伺うことがあるので、先へ進めます。
次に、公団の役職員の問題でございますけれども、今回の改正案が提出された契機というのは、先ほど局長は否定していらしたけれども、基本的には行革審答申の指摘等によって改変せざるを得ないという背景があるのではなかろうかと私どもは推察をするわけでございます。
特殊法人問題小委員会が提言しておりますところで、「特殊法人等の活性化方策」で、天下り問題等を含めて役職員の処遇にはいろいろ問題があるのではないかという指摘事項がございますね。できるだけ内部登用を積極的に進めていくべきであると書いてございますね。先ほど職員の内部の方たちはそれなりのプロパーとしての資格を持っておって、これまで技術を集積してきた人たちだと。だからそういう方々は積極的に公団設立以来かかわってきた人たちも含めて登用されていっていいのではないかと、こういうのが一般論としてありますし、それからまた指摘事項としてもある。これについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/61
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062・松山光治
○政府委員(松山光治君) 行革審からは、農用地開発公団プロパーの問題というよりも、むしろ特殊法人プロパーの問題として活性化された法人の活動ということを頭に置いたときに、適材適所、適切な人事管理、こういうふうな趣旨での御指摘があるわけでございます。御指摘のように公団がその自主性を発揮し、活力ある活動をしていただきまして、託された任務を果たしていただく、これがまず一つ基本的に重要なところでございますが、同時に、公団といたしましては公団法の定めるところに従いまして国の政策を実施していく機関である、そういう性格があるわけでございまして、そういった意味での特殊性と申しますか、公共性からくる一定の制約の中で的確な事業運営を図っていただかなきゃいかぬ、こういう事情にあるわけでございます。
こういった事情を考えますと、これは公団においてお考えいただくことではあるわけでございますが、職員の、あるいは役職員の配置の問題にいたしましても、一つには主務省庁等との密接な連携が必要だというふうな事情もございます。同時に、先生御指摘のように、内部職員の中から職務経験の豊富な職員が育ってきておる、こういう事情もあるわけでございまして、そういうことを踏まえながら適材適所という観点で公団業務の目的なり業務内容から見てふさわしい方が登用されていく、こういうことが必要だというふうに私どもも考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/62
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063・刈田貞子
○刈田貞子君 私は、指摘事項もあることでございますし、極力努力をしてそういうところを考えていかなければならないというふうに、大事な指摘事項だと思うんですよ。決算委員会等でもよく
この話が出ますね。農水省に特に天下りが多いんだなどということが言われないように、私はこういうところをどんどん民主化していかなきゃいけないというふうに思います。そして実際に、地域とじかに本当に結びついて、しかも公団の性格というか機能というか、そういうものを改編していくためにも実はそういうことから始まらなければならないんじゃないかなというふうに私は思っているんですよ。
それからもう一つ、副理事長、理事についても大臣の許可制は廃止すべきだ、こういうことも出ているでしょう。だけれども、今回これにもさわっていない、こういうところも私はぜひ改正をしていくべきではないかというふうに思っています。希望として申しておきましょうか、お答えなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/63
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064・松山光治
○政府委員(松山光治君) 公団の副理事長なり理事と大臣とのかかわり合いの問題でございます。
行革審答申によりますと、副理事長及び理事は総裁等が主務大臣に十分協議の上任命すべきだという趣旨の御答申をいただいておるわけでございます。今回の改正法案では、引き続き理事長が大臣に相談をする、その相談の形が主務大臣の認可という形をとっておるわけでございますが、大臣の認可を受けて理事長が副理事長及び理事を任命する、こういう形を踏襲しているわけでございます。こういう形をとっておりますのは、役員の人事に理事長の意思を反映させることで公団の自律性を確保する、あるいは組織の活性化を図る、こういうことと、それから公団の設立目的の公共性というものを確実に担保していくということから農林水産大臣が事前に一応のチェックをして相談にあずかる、こういう二つの要請を満たすための形式といたしまして、他の同種の公団の例に倣いまして大臣の認可制をとっておるということでございまして、ひとつ御理解をいただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/64
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065・刈田貞子
○刈田貞子君 次は、先ほど私は事業完成区域の事業費の推移をいただくようにずっとお願いして、これ見たわけでございますけれども、こういう中にあっても、完成後その事業を通していい経営状態にあるところと、まことに経営状況の悪いところがあるわけですね。これは午前中にも話が出たわけでございますけれども、経営状況で六、七割は健全経営をしているんだ、三割から四割ぐらいのところでいささか不振のところがあるようなお話ちょっと聞いたんですけれども、果たしてそれ実態かどうなのか、あるいはまたそうした不振の農家に対してどんな対策を考えられるのか、先ほどちょっと諸般の資金のお話が出ましたけれども、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/65
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066・松山光治
○政府委員(松山光治君) 公団参加農家、特に大規模な農家の経営状態のお話でございますが、家計費その他を全部賄いまして、償還も円滑に行っておるという、いわゆるよく言われますA農家が六、七割というのが関係各県からの報告でございます。それじゃ残りの三、四割が全部左前になっているかと言えば決してそうではございませんで、若干償還に難渋を来しているのがたしか二割ちょっと、かなり償還に苦労されているのがいわゆるC、D農家と言われるクラスでございますが、これが一割程度というのが現在の状況でございます。
そういう御苦労いただいている農家の経営不振の原因が那辺にありやということでいろいろと事情をお聞きしておるわけでございますが、一番多いのが飼養管理技術についての習熟度のおくれという要素が非常に多いようでございます。そのほかに、公団事業を完了いたしましてから、必ずしも計画的ならざる投資を別途おやりになったとか、またひいては経営管理資金の管理が必ずしも十分じゃなかったといったようなことにもつながるわけでございますが、そういう事情とか、それから家族が病気をする等の御不幸がございまして、労働力面で多少まずいことになったといったようなことで償還に苦労されておる農家が一部あるわけでございます。
私どもといたしましては、そういう実態を考えますと、経営管理、飼養技術の問題も含めまして経営指導の問題がやはり基本的に重要である、こういう考え方のもとに都道府県それぞれ関係市町村とも連携を保っていただきながら、特別指導班などをつくりまして経営指導の強化に当たっていただいております。そういう基本的な対応を図りながら、自作農維持創設資金でございますとか、あるいは場合によれば、特別の事情の場合には公団も償還猶予の措置もとるといったようなことでこれまで対応してきたわけでございますけれども、ことしから新たに公団事業償還円滑化の対策というものも予定いたしておりますし、また別途畜産対策の一環として所要の資金対策もこの春に決まったわけでございますので、私どもとしてはそういうもろもろの施策をそれぞれの地域の実情に応じて的確に活用していただくことで経営の安定を図るようにひとつ努めてもらいたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/66
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067・刈田貞子
○刈田貞子君 これは、資料としては古いんで大変恐縮なんですけれども、六十年十二月三十一日で全中で調査なさった例の畜産経営負債動向の調査ですね、それではA農家というのは一般農家の場合ですけれども四〇・三ですね。それでB、C、D合わせて五九・七なんですね。そうすると、公団事業でもって引き渡しというか譲り受けたところの農家というのは非常に経営がいいということになるんだけれども、それでさっきからそれは本当の実数ですかと聞いているわけだけれども、数字としてはそういう数字があります。Aが四〇・三なんですね。よく見ますと全国レベルで非常にいい母集団としてとってあるデータなんです、これは。私もずっといろんな場所で使わしていただいておりますけれども、Aが四〇・三ぐらいは私は普通じゃないかと思うんですよね。その辺のところがちょっとあるんですが、時間がないので。
したがいまして、そういう農家に対して経営指導を含めて特別指導班のようなものを巡回させるのだというようなお話がありましたけれども、特別指導班というのはどういう陣容なのか私はよくわかりませんが、できればやはり事業完了後、参加農家に対しての経営実態を把握しながら、一般的に公団で言われるところのアフターケアまでやりたい、やるべきだという、その辺のところはどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/67
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068・松山光治
○政府委員(松山光治君) せっかく大がかりな投資を行いましてつくり出した農家でございますので、私どもとしても健全に経営展開をしていただくことを期待しておるわけでありますし、そのために必要な経営指導の重要性を十分考えておるところでございます。
ただ、御指摘のように、公団が経営指導まで当たるべきかどうかという点については若干問題があろうかというふうに考えておるわけでございます。それは、公団の今の事業の実施の状況を申し上げますと、言ってみれば一定の事業の実施期間といたしまして、実施期間中に限りまして事業を実施する区域に事務所を設けて集中的に事業をやっていく、それが終わりますれば事務所を閉鎖いたしまして次の事業の実施箇所に移っていくという形をとっておるわけでございまして、そういう意味では今の公団の組織体制、事業実施後の営農指導も幅広くやっていくというふうな実は体制になっておらないというのが一つあるわけでございますし、それから仮に、事業実施期間以外にも事務所をそのところに設置していくといったようなことになりますれば、当然のことながらそれに伴います人員の問題でございますとか費用の増高の問題等もございまして、ひいては農家負担の増大にもつながりかねないという要素がございます。
そこで、現在の事業のシステムといたしましては、調査計画の段階から国も調査に参加するわけでありますが、同時に地元の諸機関が連携を保ちながら参加いたしまして、事業実施後の営農につきましては主として農業改良普及所が中心になるわけでございますが、営農指導に当たる、そういう意味でのお互いの任務分担のもとに全体としての事業の円滑を図っていく、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/68
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069・刈田貞子
○刈田貞子君 きょう私は、関連して畜産の質問もたくさん用意してございましたんですが、これはまた後日に譲らせていただいて集中的に伺わしていただきますので、よろしくお願いいたします。
最後に政務次官にお伺いするわけですけれども、年前中もお話がございました。私も幾つかの点をお伺いしたわけですけれども、最終的にはこの事業の意図するところが農業の生産性の向上と農業構造の改善を図るということにあるわけですね。そういたしますと、先ほど来局長が答弁しておられますように、事業計画に当たってはさまざまな計画を立ててみなければならないということで、例えば、これは私の方の言い分でもあるわけですけれども、農地の流動化があって果たして規模拡大、面的集積ができるところなのかどうなのか、あるいはまた担い手農家、中核農家の育成ができているところなのかどうなのか、あるいはまたその生産組織ができるかどうか、それからあるいはまた場所によっては転作が円滑に進むのかどうなのかとか、そうしたら転作にかわってつくる作物は何なのか、あるいはその市場の対応はできるのかというふうなこともすべて含めて事業というのは取りかからなければならないわけですね。その手のものを考えるとき、日本の農業の将来図というものがその下敷きに出てこないとこの手のものもまさぐれないという部分があろうかと思います。その辺のところ、今回の事業のいわゆる法律の改正ですね、このことと新事業が推進しようとするもの、それは日本の農業とどう兼ね合う部分なのか、それを教えていただいて、私の質問終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/69
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070・吉川博
○政府委員(吉川博君) 大変難しい答えになると思いますが、今回の農用地開発公団法の改正は、同公団をめぐる環境の変化あるいは農業構造改善、生産性の向上が農政の緊急課題でございます。そうした事情を踏まえて行うこととしたものでありまして、そのような改正の趣旨に即し、また公団業務の効率的運営に配慮しながら事業の円滑な推進に努めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/70
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071・諫山博
○諫山博君 この改正案を見て、私は率直に言って奇妙な感じがしたんです。いつも私たちが取り扱う法律の改正とは大分違うなという感じです。つまり、一つの法律の部分的な手直しというのではなくて、何か全面的に別なものがつくられようとしているのではないかという感じを持ったわけです。昭和四十九年に農用地開発公団が設立されて、このときは、農畜産物の濃密生産団地の建設という非常に大きな目的を掲げました。そして九万ヘクタールぐらいの草地を造成するということが言われたわけです。ところが、この事業がまだ半ばにも達していないのに初め掲げた仕事からはもう撤退する。例えば工事が開始されているもの、あるいは事業調査が始まっているもの、こういうものは継続するとして、新規にはもうやらないということになるんですね。
今、日本でこの法律が最初に掲げたような事業はもう必要なくなっているのか、大規模な草地造成は不必要なのかという疑問が出てきます。時あたかも牛肉とオレンジの自由化で大もめにもめているときですね。時期的にもちょうど一致しているし、何か牛肉の自由化の受け皿つくりが行われているような感じさえするわけです。この大規模な草地造成についてどう考えているのか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/71
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072・松山光治
○政府委員(松山光治君) 提案理由等でも御説明申し上げましたように、公団が四十九年来実施してまいりました広大な未墾地を対象にいたしまして、そこでかなりの規模の草地開発とそれから所要の施設整備を総合的具体的に行う、そういう形での大規模な畜産基地建設といいますか、産地形成に対するニーズが公団発足以来の諸事情の変化の中で減少してきておるというのが実態であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/72
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073・諫山博
○諫山博君 大規模な草地造成に対するニーズが減ったというのは、もう牛肉の規模拡大というのは日本ではあんまり考えられないということなんですか、そことの関係はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/73
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074・松山光治
○政府委員(松山光治君) 畜産局からあるいはお答えするのが筋かと思いますけれども、できるだけ低いコストでの牛肉生産を進めていくというのは、これからの畜産政策にとっても非常に重要な課題であろう、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/74
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075・諫山博
○諫山博君 肉牛の問題については次回に譲るとしまして、今度の法改正のきっかけになったのは行革審の答申だと言われております。行革審では「公団の在り方の抜本的見直しを行う。」と言っている。さらにこれを受けた閣議決定、昭和六十二年十二月二十八日、「公団の組織・定員等について大幅な合理化を行う。」ということになっております。これを受けて今度の改正案がつくられたと思いますけれども、この行革審の答申と閣議決定を見ると、「組織・定員等について大幅な合理化」ですから、例えば人員整理というようなことが閣議決定で予定されていたのではないかと思いますけれども、これは午前中からの議論で大体明らかになりました。今度の法律改正を理由にして労働者の人員整理を行うようなことはないと理解していいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/75
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076・松山光治
○政府委員(松山光治君) 今回の制度改正に当たりまして、それをめぐる事情の一つに行革審の答申があったということはそのとおりでございますけれども、私どもとしては基本的には公団事業をめぐるその後の状況の変化と農政が直面しておる課題というものをきちんと踏まえた上で、公団がこれまで果たしてまいりました役割あるいは蓄積されました実力というものをこれからの基盤整備の実施の中でひとつ生かしてもらいたい、こういう基本的な考え方のもとに新しい制度に組みかえたつもりでございます。
それで、組織等の問題でございますが、従来からも業務量その他に応じながら必要な見直しを行ってここまでまいってきておるわけでございますけれども、やはり公団が国民的な支持のもとに安定的な業務を行っていくためには、必要な効率化に努めることはこれは必要なことだろうというふうには思っております。ただ同時に、安定的な業務を図っていきます上で職員の間に雇用不安が生じるということがあってはならないのもまた事実でございまして、私どもとしてはそういう考え方のもとにこれからも対応してまいりたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/76
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077・諫山博
○諫山博君 ずばり、この法律改正を契機にして人員整理をするようなことはないと聞いていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/77
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078・松山光治
○政府委員(松山光治君) 公団の組織・定員の問題については、これからもいろんな側面から考えていく必要があるわけでございまして、私が今申し上げましたように、できる限りの業務運営の効率化に努めるという必要性、それから職員の間に雇用不安が生じないようにするという必要性、この両方が公団にとっての安定的な事業運営を確保する上で必要なことだというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/78
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079・諫山博
○諫山博君 私が一番聞きたいことには答えておられません。
私はかつて、この委員会で、鹿児島市農協と鹿児島市に隣接している田上農協の合併問題を議論したことがあります。このときに私が一番強く要求したのは、農協が吸収合併される、そのことによって労働者が職場にほうり出されるようなことはないようにということを要望しました。ところが、現在たくさんの労働者が職場にほうり出されました。三名の労働者は現在自分たちが雇用されないのは不当労働行為だというので鹿児島の地方労働委員会で争つております。
こういう状況ができますと、例えば農協が合併しても労使一体で頑張るというような体制がとれませんから、これは非常に大きなマイナスが出てくる。労働者がこれほど抜本的な法律改正に不安を持つのは当然です。だから、新しく再生する農用地整備公団が本当に事業を円滑に進めていくためには、労働者の不安を解消しなければだめだと思う。閣議決定で「大幅な合理化を行う。」ということを言っているその後での法改正ですから、やはり労働者の不安をこの場で解消していただく必
要があると私は思うんですけれども、何か本当に労働者が安心して働けるような答弁はいただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/79
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080・松山光治
○政府委員(松山光治君) 何度も同じようなお答えになって恐縮でございますけれども、公団が皆様方の御理解を得ながら安定的な業務の運営をやっていくためには、各般の面にわたります業務運営の効率化への努力、これが必要なわけでございますし、そういうことも踏まえた閣議決定の趣旨だというふうに私は理解をしておるわけでございます。
ただ、先生御指摘のように、先ほども申し上げたところでありますけれども、安定的な業務運営を進めていきますためには、必要な要員の確保というのはもちろんあるわけでありますし、また職員の間に雇用不安の心配が生じることがあってもいかぬわけでございますので、私どもとしてはそういうことを頭にきちんと置いた上で、公団の安定的な業務の遂行ということを考えていきたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/80
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081・諫山博
○諫山博君 今私は、人員整理の問題について聞きましたけれども、労使間では人員整理だけではなくて、例えば職種、職場の転換というようなことも当然予想されますし、場合によったら労働条件が切り下げられるんじゃないかというような心配さえあると思います。その場合に、人員整理についてさえ明確な答弁が得られないくらいですから、職種、職場の転換というのはなかなか答えにくいと思います。しかし、それでも労働組合がありますから、この種の問題は十分労働組合と団体交渉を尽くす、労働組合の納得の上でないといろいろな雇用関係に影響するようなものは決めないということだけは明確に希望したいんですけれども、これはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/81
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082・松山光治
○政府委員(松山光治君) 新業務への移行に当たりまして、何度も申し上げておりますように、雇用不安が生じないようにするという点は非常に重要なポイントだということでございます。労使関係の問題は公団の内部の問題でございますが、労使関係の安定ということもまた公団の安定的な事業運営上は必要なことだというふうに私も思っておりますし、公団当局におかれましても適切な対応をされるものというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/82
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083・諫山博
○諫山博君 実は、今度の法律改正に当たって労働組合の方から私はいろいろ立場をお聞きしたことがあります。労働組合がこの法律改正に伴って雇用上の問題を心配するというのは当然ですから、やはり労働者の犠牲で事を運ぶようなことは絶対にしてはならないし、同時に労働条件については公団が一方的に決めるというのではなくて、労使間の対等な話し合いで決めていくというのが原則ですから、ぜひそういう指導をこれからも続けていただきたいと思うんですけれども、これはもう当然のことですから、答弁は求めません。
そこで、NTTのプロジェクトについて質問します。二つのことが計画されているようですけれども、その一つに市街化区域内の水田の畑地への転換ということが出てきていますけれども、これは具体的にはどういうことを考えているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/83
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084・松山光治
○政府委員(松山光治君) 昭和六十三年度から新たにNTT株式の売り払い収入によります無利子資金を活用いたしまして、収益回収型の公共事業、いわゆるA型のプロジェクトというのが実施されることとなったわけでございます。
お尋ねの、市街化区域内の水田転換事業のことでございますが、A型プロジェクトの一つといたしまして、市街化区域等の水田を対象といたしまして当面の営農に必要な範囲で行います畑地転換等に要する経費を貸し付ける、それで緊急に畑地転換をやってまいるというのが一つあるわけでございますけれども、これは当面の政策課題になってございます水田農業確立対策への円滑な推進に資するというねらいを一つ持つわけでございます。と同時に、市街化区域内という区域の性格上、非農地需要への対応ということもあろうかと思います。
そこで、この事業では、土地改良事業として可能な範囲内での非農用地の創設ということも予定いたしまして、公共用地なり住宅用地等の転換をこれをもって行っていく。そこで上がります収益で事業費の償還をやっていくということになるわけでございますけれども、ねらいといたしましては、そういうことを通じまして地域の良好な土地利用の整序化に資する、こういうふうな考え方の事業でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/84
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085・諫山博
○諫山博君 要するに、市街化区域内の水田を畑地にしたり宅地にしたりする、そして売っていいものは売るというような構想ですね、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/85
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086・松山光治
○政府委員(松山光治君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/86
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087・諫山博
○諫山博君 この改正案の提案理由の補足説明の中で、「委託に基づき、」「換地による非農用地の創設」という言葉がありましたね。これは、言葉は「非農用地の創設」ですけれども、NTTタイプのものとは違うことを言っているのでしょうか、それともこの問題を指しているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/87
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088・松山光治
○政府委員(松山光治君) NTTタイプのこれは、別に附則で手当てをしておる話でございまして、委託による農業施設用地の造成の問題は、公団が面的な整備をやりますときに必要となってまいります施設用地の整備を地方公共団体等の委託によって実施する、こういう趣旨のものでございまして、別でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/88
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089・諫山博
○諫山博君 水田を畑地にする、さらにこれを宅地にする、そしてこの宅地は人に貸してもいいし、売ってもいいということになりますと、まさに農水省が進めている減反政策と裏腹の関係のように思えますけれども、この点はどう理解しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/89
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090・松山光治
○政府委員(松山光治君) まず、市街化区域内の土地の性格の問題でございますが、これは申すまでもなく、将来市街化する区域として予定された土地でございまして、そういう意味では、御案内のように、農地法上の扱いにいたしましても通常の転用許可ではございませんで、届け出という形で転用を認め得るという、そういうふうな形をとっておるわけでございます。しかし、現実に市街化区域内で農業が行われておる、こういう現状があるわけでございますし、都市環境の保全、その他もろもろの要素から一定の評価が与えられているというような現実もあるわけでございまして、そういう意味では、現に農業をやっていこうという人がやり得るような、営農を継続できるような条件の問題というのはやはり頭に置いておく必要があろうというふうに私どもも考えておるわけでございます。
ところが、既に御案内のように、市街化区域内の水田のみならず、全国の水田につきまして、昨今の厳しい米の需給事情の中で、需要に見合いました的確な農業生産の遂行を図っていくという観点からは、米の生産を需要の範囲内にとどめ、残ります水田を有効に他の作物の生産に活用していくということが必要になっておるわけでございますし、その場合に、どういう地域でどういうふうに分担していくかということが常に問題になるわけでございますけれども、米を中心としたところではできるだけその特色を発揮したような形で生産してもらいたいというふうなこともございまして、市街化区域内につきましてはある程度の傾斜的な目標の配分を行ってきておる、そういう現実が一つあるわけでございます。
そういう意味では、市街化区域内の水田につきまして、その都市近郊等にあるというような立地条件を生かしましたいわば畑作営農をどういう形で行うか、あるいはそのための基盤整備をどうするか、こういうことが課題になるわけでございますけれども、私どもとしては、このNTTの無利子資金の活用事業を通じまして、当面営農に必要な条件の整備を行うという意味では畑地転換が進められることは水田農業確立対策の円滑な推進に役立つということになると思いますし、そういう事業を行う機会に、一定の土地利用計画のもとで周辺が必要としておる非農用地への転換を、これ
は地権者がそういうことを考えての上でということに当然なるわけでございますから、円滑に図っていくということはその地域におきます良好な土地利用の整序化ということにも役立つものである、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/90
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091・諫山博
○諫山博君 公団の新しい仕事として鳥取県の日野地域が予定されていると聞きましたから、私の方の秘書が現地に調査に行きました。どういうところでどういう事業をやろうとしているのかということをいろいろ調査してきたわけですけれども、ここは鳥取県ですけれども、島根県、広島県の県境に近い、標高も相当高い、そして耕地面積はそれぞれ非常に小さいところだということです。新しい公団が発足すればここでどういう事業をやるのか、そしてそれは従来やられていた圃場整備などとどの点が違うのか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/91
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092・松山光治
○政府委員(松山光治君) 日野地区につきましては、本法律案の改正をお認めいただいた後で調査に入りたいというふうに思っておる地区でございますが、今先生からお話のございましたように、中国山地のほぼ中央に位置しておるところでございまして、農林業を基幹産業としておるところではございますけれども、農用地の整備率が同じ県内に比べましてもかなり低い、あるいは地域内の道路も不備であるといったような事情がございまして、農業の近代化ももう一つ進んでおりませんし、生産性の向上にもおくれが見られる、こういうふうな実情にあるようでございます。
ところで、この地域をめぐる状況の一つといたしまして、中国縦貫自動車道が開通になりましたほかに、中国横断自動車道の開通も予定されておるといったような事情があるわけでございまして、農産物の市場流通条件についてかなりの変化が見込まれる。で、今先生から高冷地だというお話がございましたが、地元としてはそういった条件を生かしながら、かつ今も申しましたような市場流通条件の変化ということにも対応して、地域農業の確立あるいは生産性の向上といったようなことで取り組んでみたいという意向を持っておるわけであります。
現在、当地域の農業の姿といたしましては稲作と肉用牛が中心のようでございますけれども、関係の市町村といたしましては、これらの高速道路の開通を契機にいたしまして、準高冷地だという地域の特色を生かしながら、これまでの稲作なり畜産に加えまして野菜、果樹等の畑作農業もひとつ入れてきて、いわば一種の地域複合的な形での農業を目指したい。そのためには当然圃場整備も必要になりましょうし、それから畑地の造成ということも考えられておるわけでございますし、かつまた、その地域の市場流通条件をさらに整備するという趣旨からは農道の開設といったようなことも考えられておるようなわけでございます。私どもとしては、地域の実情を踏まえて、この地域がうまく農業で振興できていけるためにはどういうことを考えたらいいのか、そういう問題意識でこれから調査に入りたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/92
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093・諫山博
○諫山博君 公団がこの仕事をやる場合と従来の方式でやる場合と、例えば地元負担、農家の負担はどういう影響を受けるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/93
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094・松山光治
○政府委員(松山光治君) 対象になりますのが総合整備事業ということでございますので、先ほども申しましたように、補助率その他、もう少し事業を実行に移す様子を見ながら、具体的に事業実施までに詰めたいというふうに思っておりますので、具体的にどれぐらいの負担になるかという点についてはちょっと申し上げにくいわけでございますが、私ども補助率を設定するに当たりましては、類似の事業の補助率というものを一つ念頭に置きながら、公団事業の特性ということも頭に置いて適正な補助率を決めていきたいというふうに思っております。
財投を活用して実行していくという意味では利子負担の問題が加わるかもしれませんけれども、普通の一般的な事業を実施していくという場合には、各種の事業を組み合わせてやらなきゃいかぬようなものをいわば一まとめにしてと申しますか、総合的に実施し、かつできるだけ早期に完工を図っていくという意味でのメリットもあるわけでございまして、そういうことを彼此勘案しながら、事業化できるかどうか地元ともよく相談していきたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/94
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095・諫山博
○諫山博君 この地域は一つの畑地、一つの水田が一反歩にも満たない小さなところが多いんだそうです。でき上がった状況というのはどうなりますか、そういう耕地の面積などです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/95
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096・松山光治
○政府委員(松山光治君) まさにこれから調査をいたしまして、基本的な視点としては、できるだけ生産性の高い、しかも内容のある営農ができるような条件整備を行うという視点で物を考えていきたいというふうに思っておりますが、同時に、それがやっぱり地域の実情に合っておるということも必要でございますので、そういうふうな考え方のもとに、物具体的な調査を通じてどういう形のものを実行していくのかを詰めていく必要があるだろうというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/96
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097・諫山博
○諫山博君 この仕事が現実のものになるためには、地元の自治体、関係の農民の積極的な同意が必要だと思います。その場合に、自分たちが同意しようとしている事業がどういう形ででき上がっていくのか、でき上がった場合に地元農家の負担がどうなるのか、この点は事前に十分明らかにしないと、だまされたというような声が出かねないです。
私はやはり当委員会で福岡県の耳納山ろくのかん排事業について質問しましたけれども、そのとき一番問題だったのは、賛成はしたけれども、その結果自分たちの負担がどうなるのかという問題について十分認識していなかった、十分説明を受けていなかったということから大問題になっているわけです。とかくこの種の場合には、同意の印鑑を求めるに急であって、でき上がった姿がどうなるのか、負担がどうなるのかということがどうもあいまいのまま進められるおそれがある。それを絶対に避けていただきたいということが一つです。
もう一つは、行革審の指摘の中で、やっぱり金をかけ過ぎるということが言われていると思うんです。例えば、単位面積当たりの事業費というような言い方をして、これは行革審としては農家に保護が多過ぎるじゃないかという言い方に結びつけているようですけれども、事業に金をかけ過ぎるというのは、技術者から見たらここまですれば随分生産性が上がるからしたいという気持ちが当然強いと思いますけれども、農家はこれで競争に打ちかちながら営農しなければならないわけですね。その点を十分配慮していただかないと、確かに生産性は上がったけれども、原価が高くなって競争に負けるという事態がしばしばあるだけに心配です。民主的に事を進めていただきたいということと、余り金をかけ過ぎないようにしてくださいという二つについて御意見を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/97
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098・松山光治
○政府委員(松山光治君) 公団事業のみならず、土地改良事業全体についてできるだけ事業を実施するに当たりましては、調査計画等の段階から地元ともよく相談し、事業の中身なり費用負担について関係者に御説明もしながら御納得を得てやっていくというのが基本でございますし、これまでもそういうふうな形で対応してきたつもりでございますけれども、引き続き一層の徹底を図ってまいりたいというふうにまず考えております。
特に、今回の新しい事業につきましては、一定の地域をとらまえまして、地域全体としての農業をどうやっていくかといったようなことを含めまして、単なる事業内容にとどめず、そういう将来の展望を地域の中でどういうふうに考えていくかといったようなことを調査計画の段階からいろいろと積み上げてまいり、その上で地域の農業振興に役立つような事業になってもらいたいと思っておりますので、特に、十分念頭に置いて仕事を進
めてまいりたいというふうに考えております。
事業費の問題でございますけれども、これだけいろいろと厳しい条件下にあるわけでございます。その地域の実情、地勢の問題その他いろいろと違いはあるわけでございますが、基本的な考え方といたしましては、できるだけ事業費を安いものにして農家の方の負担を少なくしていくというのは、これは基本としては当然のことでございますし、そういうふうな観点から経済的な工法の採用でございますとか、あるいは費用と整備水準との関係をよく頭に置いた選択的な整備水準を選んでもらうというふうな考え方でございますとか、いろいろとこれまでも指導に努めておるところでございますけれども、引き続き今申し上げたような考え方のもとに事業の適正な、的確な実施に努めていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/98
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099・諫山博
○諫山博君 公団のこれからの新しい大きな仕事として石狩川下流左岸地区、さらに沖縄県の宮古島における事業が予定されていると聞いております。この二つとも農水省としては前から事業として予定していたはずだと思いますけれども、今公団の事業としてこれをやろうということになった経過はどういうことなのか。そして、他の方式でやる場合と地元ではどういう差が出てくるのか、あわせてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/99
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100・松山光治
○政府委員(松山光治君) 石狩川左岸につきましては、国営ということを一応頭に置きながら着手してきたという経緯はあるわけでございますけれども、今回の制度見直しの際にあわせていろんな見直しを行いました結果、あそこのような非常に大規模な自営基地を持ち、かつ急速に排水施設の整備を必要とするというああいう地区の特性を考えましたときには、公団の持っております技術力なり、あるいは機動性、資金力といったものを活用してこれを進めてまいる方が地元にとってもプラスになるのではなかろうか、そのように判断をしたということでございます。
なお、宮古の話もございましたけれども、宮古の地下にダムをつくるという仕事と、それから周辺のかなり広大な部分にわたりますパイプラインでのかんがい排水施設の整備という、それを二つの中身を持った事業として現在国営で予定をしておるところでございますが、例えば地下ダムのような部分については公団が担当してあわせて一緒にやっていった方があるいは地元にとってプラスになるのかもしれぬというふうな議論もございまして、まだ決定を見るに至っておりませんが、今扱いについて関係者といろいろ御相談をしておる、こういう段階でございますので、ひとつ御理解を賜りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/100
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101・諫山博
○諫山博君 地元の自治体とはまだ話はされていないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/101
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102・松山光治
○政府委員(松山光治君) いろいろと意見交換をいたしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/102
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103・諫山博
○諫山博君 NTTの事業のもう一つのタイプとして農業用用排水施設の整備、有効利用というのがありますね。ここでやろうとしている仕事は、午前中も説明がありましたけれども、公団が何でこういうことまでやらなきゃいかぬのかという疑問が出てくるんですけれども、これは公団の本来の仕事とどんな関係があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/103
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104・松山光治
○政府委員(松山光治君) 公団事業といたしましては、六十三年度では今具体的に予定しておるわけではございませんで、公団を通じましてこういう事業を行おうとする事業主体に無利子の貸し付けをやっていく、こういうかかわり合いになるわけでございます。ただ、一般論といたしますれば、その地域地域におかれた条件によって違ってくるわけでございますが、要は用排水施設の整備を行うかたがた、ちょっと別の形で手を加えれば、例えばため池の手の加え方でありますとか、あるいは用排水路にふたをするとかというふうな一工夫をやりますれば多目的に利用でき、そこから一定の収入が上げ得るというような場合もあるわけでございまして、そういうふうな地区について一定の収入を得ながら必要な用排水施設の整備の事業を進めていくという意味で、いわば各種ある事業種目の中でまた種目が一つふえたというふうに御理解いただけばいいんではないだろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/104
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105・諫山博
○諫山博君 公団は金を貸してやるだけですか、事業そのものに何か関与しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/105
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106・松山光治
○政府委員(松山光治君) 公団自体もこれから各地で事業をやっていく際にこういう形のプロジェクトでやる場合もあり得るかもしれないとも思いますので、事業能力としてはやり得る形にはとっておるわけでございますけれども、今当面予定しておりますのは、土地改良区等に対して財投から借り入れました金を貸し付けていくという、そういう形でのかかわりを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/106
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107・諫山博
○諫山博君 昭和四十九年以来今日まで、農用地開発公団のやってきた仕事と全く変わった別種類の仕事がどんどん出てくるわけです。そうすると、公団の職員は六百名近くおられるようですけれども、この人たちは今までやってきた仕事についてはそれぞれベテラン、専門家が多いと思いますが、これからやろうとしている仕事には余り経験がない人たちが多いのではなかろうかと思います。そうすると、そっくりそのまま同じスタッフで新しい仕事に対応できるのか、何らかの措置が必要なのか、その点はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/107
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108・松山光治
○政府委員(松山光治君) 今回の制度改正、新事業制度の創設は、公団をめぐるもろもろの事情の変化への対応というふうに御理解いただきたいわけでございますが、その場合も私ども頭に置きましたのは、公団がこれまで長年にわたって築いてまいりました、蓄積してまいりました農業基盤整備事業についての知識なり経験なりをいかに現代的に活用していくか、こういうことであったわけでございまして、現に農用地開発から既存の農用地の保全、整備を主体とする事業に切り変わるわけでございますけれども、私どもこれまでの公団の力を十分に発揮してもらえる事案として期待をしておるつもりでございます。もし、さらなるトレーニングが必要というような場合には、公団におきましてはこれまでもいろんな形で職員の研修等も行っているわけでございますので、十分新しい事業に的確に対応していただけるものというふうに理解をしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/108
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109・諫山博
○諫山博君 公団の仕事が相当大幅に変わりますし、当然それは職場で働いている労働者に職種、職場の問題としてはね返ってくると思う。やはり、初めに戻りますけれども、労働者の全面的な協力がなければこの種の作業というのはうまくいかないというのは常識だと思います。
今度の法改正をめぐっていろいろ労働者は心配しておられるわけですよ。その点は十分配慮した上で、労働組合もあることだし、労働組合と十分話し合いながら職種の問題、職場の問題、雇用の問題、さらに労働条件の問題についても処理していただきたいということを最後にお願いして終わりたいと思いますが、答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/109
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110・松山光治
○政府委員(松山光治君) 新しい事業に取り組む公団に対しましては、引き続き業務運営の効率化には取り組んでいただくと同時に、今先生から御指摘のございました雇用不安が起こらないように、あるいは労使関係の安定が図られるようにという点にも十分留意していただきながら、国民の皆さんの期待にこたえられるような公団運営に当たってもらいたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/110
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111・三治重信
○三治重信君 朝から開発公団についていろいろ質疑がありましたから、その中で答弁のあったいわゆる開発用地面積はわかりました。
そのほかに、開発された用地面積においてどれだけの乳用牛や肉用牛が飼われたか、入った牛の数ですね。それから、畜産基地としてどれぐらい畜産農家ができたのか、そうしてその畜産農家一戸当たりの経営面積はどれぐらいなのか、そういう畜産農家は農用地開発公団が開発する前の地主の土地を借りているのか、買っているのか、そういうようなことをちょっと御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/111
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112・松山光治
○政府委員(松山光治君) 先ほど六十九区域、完了四十六区域で開発いたしました草地面積約四万
一千二百ヘクタールというふうに申し上げたわけでございますが、今の先生の御質問との関連から申しますと、若干ブレークダウンして申し上げた方があるいはおわかりいただきやすいかと思います。
と申しますのは、この四万一千二百ヘクタールのうちで個別の経営体に直接かかわっておりますものが約二万一千七百ヘクタールございます。それから共同の採草放牧地のような形での共同利用牧場を二百八十四カ所造成したわけでございますが、その分が約一万二百ヘクタールございます。そのほかに子牛などを預かりまして育成する、概して地方公共団体が経営している場合が多いわけでありますけれども、公共牧場というのがございまして、これが八十二カ所でございますが約九千三百ヘクタール、こういうふうなのが四万一千二百の内訳であるわけでございます。
そこで、農家数の問題でございますけれども、草地造成とそれから施設の整備をあわせて行いました大規模農家でございますが、これが約七百五十戸ございます。そのほかに、草地造成のみの増反をいたしました農家、経営規模の拡大をした農家ということになろうかと思いますけれども、これが約二千百戸でございます。それから共同利用牧場にかかわっております農家が約七千戸というのが現状でございます。公共育成牧場、公共牧場の部分につきましては、言ってみれば町内の畜産農家なら預託料を払って利用できるという関係にございまして、特定の参加農家というふうな考え方をとってございませんので、数字は把握をいたしてございません。
経営規模についてのお尋ねがあったわけでございますが、地域によりまして、あるいはどんな営農類型をとっているかによりましてかなり差があるわけでございますが、事例的に若干御紹介をさしていただきたいと思います。特に大規模な農家についての例でございますが、例えば根室区域の場合は、酪農の専業でございますけれども、草地面積規模が約五十ヘクタール規模、飼養頭数規模、計画では大体五十頭でございましたが、現実にはもうちょっと大きい経営が幾つもあるように承知いたしております。それから内地の例として葛巻、これも酪農でございますが、草地面積が約二十六・五ヘクタール、それから飼養頭数規模で四十頭、多賀区域という肉用牛の繁殖肥育一貫でやっております地区の例といたしましては、草地面積が七・六ヘクタールで、飼料頭数が繁殖牛二十頭、肥育百頭といったような事例を承知しておるわけでございます。
なお、事業の実施の前後で家畜頭数がどういうふうに変わっておるのかというお尋ねでございますが、計画のベースで対比いたしますと、乳用牛につきましては、公団事業に参加いたしました農家で、事業の実施前に約三万五千百頭飼養しておったようでございますが、実施後の姿といたしましては約二・二倍の七万八千四百頭、肉用牛につきましては約一万八千百頭から約六万七千頭、三・七倍というふうにかなり大きく増加することが見込まれておりまして、現在の数字を今承知しておるわけではございませんけれども、大体計画どおりに達成しているというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。
なお、土地の所有の関係でございますが、公団事業の場合には、草地造成に必要な土地につきましては一種の持ち込み方式というふうに言っておるわけでありますけれども、自分の所有地なりあるいはほかから買い入れた形で土地は手当てして事業に参加してくるというのが基本でございます。
ただ、ちょっと例外がございますのは国有林野を開発する場合でございまして、この場合は原則として国との間の賃貸のやり方をとっておるというのが現状の姿でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/112
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113・三治重信
○三治重信君 わかりました。
それで、なかなか今までにない農家の型をつくったと思うわけですが、今実施中のものや、あと着手するものもまだ残っているわけなんですが、これ転換をするというんですが、何カ所実施をして、いつごろまでに、この事業はあと何年ぐらいかかって転換をするのか、その計画があったら教えてもらいたいと思います。
それから、新しい農家を育成したわけなんですが、その結果、結局新しい経営体に入ったんだけれども、経営がうまくいかなくて脱落したのが大分あるようなことも聞いておるんですが、そういう脱落農家の数と、それから現在のこういうような畜産農家として新しく入り、または拡張した農家の負債の状況を御説明願って、そしてこういう新しい農家はやはり既存農家がほとんどだろうと思うんですが、新規に、いわゆるその地域の農家以外に新しく入ってきた農家というものが相当あるのかどうかという点を加えて、まだこれは質問してなかったんですが、わかったらひとつ御説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/113
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114・松山光治
○政府委員(松山光治君) 公団が現在やっております事業につきましては引き続き実施するわけでございますが、六十三年度現在で事業を継続中の区域は、広域農業開発事業というのが十一区域、それから畜産基地建設事業というのが十二区域、計二十三区域でございまして、現在の見込みでは、この事業、これらの地区につきましては昭和六十七、八年度で大体完了するんではないかというふうに見込んでおるわけでございます。そのほかに現在、全体実施設計あるいは調査計画の段階の区域が十数区域ございます。これらの区域の取り扱いについては、これから地元の意向等も踏まえながらその事業化の可能性をさらに探求してくるということになるわけでございますけれども、仮に現在予定しておりますこれらの区域全体で事業を実施していくということになりますれば、大体昭和七十年代の初めに終わるような段取りになろうかなというふうに考えておる次第でございます。
それから、離農農家の問題についての御質問がございました。先ほど申し上げたように大規模畜産経営体として創設した農家が約七百五十経営体あるわけでございますが、そのうち昭和五十四年度から六十二年度の間に四十の経営体が離農をいたしております。ただ、既に大部分の経営体につきましては新しい経営者と交代をして引き継いで仕事をやっているというふうに聞いております。
なお、離農の主な理由といたしましては、やはり経営者の飼養管理技術の不足で経営が行き詰まったというのが一番多うございまして、五割ぐらいを占めております。そのほかに本人なり家族の病気、事故によるといったような御不幸な事例が二割ちょっとあるといったようなことが実例でございます。
負債状況のお話があったわけでございますけれども、私ども六十一年度に関係道県を通じて調べましたところによりますれば、元利ともに償還が順調に行われておる、そういう意味での経営が順調に行われておるA農家が六、七割程度、利子についての支払いは十分払えるけれども、元本全部というわけにはなかなかいきにくいといういわゆるB農家が二割程度、償還がかなり難しい状況にあるという農家が一割程度でございます。
私ども、これらの農家への対応といたしましては、根本にございますのが的確な経営管理をやる、そのための技術問題その他の解決を図っていくということでございますので、経営指導について格別の努力を関係者に要請しておるというほかに、資金面でもいろんな面での工夫、知恵を凝らしながらこれら農家の経営の安定を図っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
なお、全く新規の農家が入っておるんだろうかどうかという点につきましては、ちょっと手元に資料がございませんが、多分これらの農家の大部分はやはり畜産の経験のある農家だったんではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/114
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115・三治重信
○三治重信君 それで、今度そういう新しい日本に農業経営を創設しようというやつが大体畜産の自由化でやめよう、こういうことだろうと思うんですが、そこでさらに一つ問題は、飼料の、えさね、これは開発した農家ばかりじゃなくて、いわゆる畜産農家が買う配合飼料なんかが二千四百万
トンに制限されておって、こういう配合飼料なんかも国際相場から見ると三、四割も高いんだ、こういうのも円高で非常に安くなっているのに非常に高いものを畜産農家は買わされているんだ、こういうふうにサンケイの四月二十五日の「正論」というところに政治評論家の屋山さんが署名入りで書いているわけですね。これは僕も時々聞いているんだけれども、こういうぐあいにはっきり書いている。そういう新しい畜産農家を育てるのにえらい高い金を出してつくっていながら、経営をやっていくのに飼料なんかがえらい高いものになったならばこれはなかなかうまくいかぬじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/115
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116・濱田幸一郎
○説明員(濱田幸一郎君) 畜産の基本的な生産資材でございます配合飼料につきましては、私どももこれが的確な価格で末端農家に流通されるように日ごろから意を払っているところでございます。現在、年間供給量二千数百万トンという膨大な生産量でございますが、このえさにつきましては原料が大部分海外依存ということになっておりまして、その海外から入ってまいります穀物につきましては、えさ用に回ります場合には関税をゼロにするという趣旨で承認工場制度という制度をつくっておりまして、その承認工場でつくられますえさの原料につきましては関税はただというようなことで、私どもも畜産の重要な資材でございます配合飼料につきましてはできるだけ安く農家に渡るように配慮しているわけでございます。
それからさらに、実際上配合飼料メーカーは、系統農業団体とそれからいわゆる商系という二つのものに大きく言いますと分かれるわけでございますが、それぞれのメーカーの間で非常に熾烈な競争がございまして、私ども先生の今お話にございました記事も拝見いたしましたけれども、四倍というような数字につきましては思い当たることがございませんので……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/116
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117・三治重信
○三治重信君 四倍じゃなくて四割です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/117
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118・濱田幸一郎
○説明員(濱田幸一郎君) 四割というようなことにつきましては思い当たる節がございませんので、その点御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/118
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119・三治重信
○三治重信君 それとの関連でいわゆる農家の生産資材、肥料とか農薬とか農家に使う機械、こういうものの価格が非常に高いんじゃないか、こういうことも同時に屋山さん書いているわけなんですが、こういうようなものが国際価格との比較で非常に高くて、円高になっているから輸入を自由化すればもっと安くなるはずだ、それがいろいろ農業の方式からこれらが高くなっているんじゃないか、こういうふうに書いておられるわけなんですが、そういうことがあるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/119
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120・赤保谷明正
○説明員(赤保谷明正君) お答えを申し上げます。
肥料、農薬、農機具等の生産資材の価格につきましても、円高等がございまして、数字は省略いたしますが、それぞれ価格の引き下げをしているところでございます。ただいま先生から、国内の価格と外国との価格で開きがあるんではないか、そういう御質問ございましたが、日本と外国とではいろいろ事情が異なっておりまして、国内価格と外国における価格とを比較するということはなかなか難しいような状況にございます。
と申しますのも、機械について言いますと、我が国ではもう御存じのとおり水田作が中心でございますが、ヨーロッパ等西欧諸国では畑作が中心である。そこで対象作物が違いますし土地条件が違います。私どもの日本では小区画の水田が多い。したがって、機械も小回りのきくような機械でなければならぬというようなことがございまして、機械の構造だとか仕様、そういうものに相違があるわけでございます。肥料につきましても、流通形態、ばら輸送と袋物との違いとか、あるいは日本では粒状品ですが、外国では粒と粉と混合した粒粉混合形態のものが流通しているというような事情がございますし、農薬につきましても、同じ成分のものでありましても剤型が違う。日本のものはすぐそのまま使える、向こうでは薄めて使うとか、そういう剤型が違ったり、包装容量が違う、あるいは流通単位が違うというようなことがありまして、内外価格をストレートにというかじっと比較をするのは難しい事情にあるわけでございます。
いずれにいたしましても、肥料、農薬、農機具、生産資材の価格を下げるということは非常に重要なことでございますので、通産省初め関係省庁あるいはその団体等に対しましてもよく相談をし指導して、価格の引き下げに努力をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/120
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121・三治重信
○三治重信君 こういう農業の生産資材とか肥料というものが、国内農産物価格が非常に高いその原因は唯一にそういうものが高いから農家も高くせんとならぬようになっている、こういうふうなことが言われているから、これに対して本当にそうじゃないんならそうじゃない、それからさらに下げられる余地があるなら下げられる余地があるということをはっきり、まあ宣伝というんですか説明を通していかぬと、こういうような宣伝力のある評論家が言っていると農家もそうだと思っちゃうというといいことじゃないと思うんですが、その点ひとつ今後努力してもらいたいと思うんです。
それで、最後なんですが、新しく農用地整備公団と今度はなって畜産とお別れするわけなんですが、こういうような農用地整備公団がどういうふうにして今度は新機軸を出してやっていこうとしているのか、政務次官から御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/121
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122・吉川博
○政府委員(吉川博君) 毎回同じような返事でまことに恐縮でございますが、時代の趨勢で変えざるを得ないというようなことになってまいりまして変えるわけでありますが、いずれにしても生産性の高い農業経営に移行せざるを得ない、そういうことでございますので、やはりその基盤は土地改良だと思うわけでございます。その土地改良で先ほど来先生方が論じておられましたように農家負担の問題が大きな問題だと思うわけでございますが、これは国も配慮すべきでありますが、やはり県並びに市町村というものもお互いに手を取り合って農家負担に過重なものを課さないような土地改良を推進してまいりたい、かように存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/122
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123・喜屋武眞榮
○喜屋武眞榮君 この改正法の背景をなすものは、五十八年の三月の臨調最終答申、六十一年の六月の行革審の最終答申に基づいておるわけですが、そこで「公団の在り方の抜本的見直し」と、こういうことが指摘されておりますね。その観点からお聞きしたいことがたくさんございますが、何しろ時間の関係で二、三点しかお尋ねできませんので、ひとつお答えは簡潔にお願いいたします。
〔委員長退席、理事宮島滉君着席〕
それで、法改正というのは本当は、発展的に充実強化するということでなければ改正の意図に沿わぬと私は思うんですが、結論として公団の存在の意義といいますか、それをどのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/123
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124・松山光治
○政府委員(松山光治君) プロセスといたしましては、臨調答申、行革審答申があったわけでございますけれども、これら答申の出る背景にありますのも公団をめぐる事情の変化、農業をめぐる事情の変化というのが一つあるわけでございまして、私どもとしてはそういった事情を踏まえました上で従来の未墾地開発、それと畜舎の整備等を一体的に行う、そういう開発を中心といたしました事業から既存地、既耕地を中心といたしましたそれの保全、整備事業、そういうことを通じて生産性の向上、構造改善の実施という現代的な要請にこたえていこう、こういうことでございます。そういう意味では新しい公団の存在意義といいますか、役割といたしましては、今農政が求められております構造的な改革を進める上に必要な農業基盤整備を進めていく上での重要な実施機関の一つである、このように私どもとしては位置づけていきたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/124
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125・喜屋武眞榮
○喜屋武眞榮君 存在の意義を十分に発揮していくためには、何と申しましても労働者の全面的な理解と協力、これらを前提にしない限り本当の成
果は上がらないと私は思います。うかうか改正をして角を矯めて牛を殺すようなたぐいに陥ったら何をか言わんやということになるんですね。
そういう点から、先ほど来指摘されております労働者の雇用不安、それから労働条件の悪化、さらに関係家族の将来の生活に対する不安、いろいろなことが考えられますですね。そのことを大事にしない限り、それこそ結果的には角を矯めてまた牛を殺す結果に陥りかねない。特に不安の一つに新規事業の具体的な長期見通しが明らかにされておらない。このことが不安の大きな柱になっておると私は理解いたしておりますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/125
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126・松山光治
○政府委員(松山光治君) 新しい事業につきましては、御指摘のように特定地域農用地総合整備事業につきましては本年度二地区で調査する、その他数地区で調査ということで、事業化を図っていくにはなお若干の時日が必要かと考えておりますし、また特定地域農用地等緊急保全整備事業につきましては、石狩川下流左岸でことしから着工する、こういう状況にあるわけでございます。
〔理事宮島滉君退席、委員長着席〕
いずれにいたしましても、私どもといたしましては新しい事業につきましては、国の直轄調査の結果等を踏まえながら新しい事業、制度の趣旨に即しました的確な事業展開を行っていきたいというふうに考えておるところでございますし、かつまた、現行の事業が当面かなりの量として残っておりますので、そういうものの的確な推進と合わせながらいかに円滑に新しい事業、制度への切りかえを考えていくか、我々にとってのこれからの課題であるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/126
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127・喜屋武眞榮
○喜屋武眞榮君 率直に申し上げまして、沖縄における畜産、こういう観点からまさにショッキングだ、出ばなをくじかれたという印象を私は受けておるわけです。
と言いますのは、すべてに立ちおくれた沖縄の農業の中の畜産が、豊富な太陽エネルギー、それから唯一の亜熱帯気候、こういう立場から畜産が非常に軌道に乗りつつ、進められつつあるわけなんですね。既に完成したものがあるし、また予定されておるものがあるし、それから第一、第二と数をふやす、こういう計画があるさなかに、完成したものは一体どうなるだろうか。予定されておるものはどうなるだろうか。今手をつけられつつあるものはどうなるだろうか。こういう不安がいっぱいあるわけなんです。
そういう点から、沖縄における畜産基地建設の実績と畜産農家の経営状況の現状に対して政府は一体どのような見解をお持ちであるのか、そのことを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/127
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128・濱田幸一郎
○説明員(濱田幸一郎君) お答えいたします。
沖縄県におきます畜産基地建設事業は、昭和六十二年度までに五区域が完成いたしておりまして、現在二区域が事業を実施中という状況でございます。六十二年度までに完成いたしました五区域につきましては、千百七十九ヘクタールの草地造成がなされまして、この基盤を活用いたしまして六十二年度末におきまして八十六経営体が畜産経営を営んでおります。それから、六十一年度までに完了いたしました石垣第一、山原第一、石垣第二のあの三区域の畜舎を整備いたしました大規模畜産農家五十二戸につきましては、県を通じましてその経営状況を調査いたしましたところ、二十六戸から回答がございました。
その結果は、Aランクが六九%ございます。Aランクと申しますと、農家所得が家計費と年償還利息それから年償還元金の全部よりも大きい、こういうものでございます。そのAランクが六九%。それから、Bランクと申しますのは、農家所得が家計費と年償還利息の全額、それから年償還元金の一部よりも大きいというものでございます。これが八%。Cランクと申しますのは、農家所得が家計費と年償還利息の一部よりも大きいというものでございます。これが二三%。Dランクは、農家所得が家計費よりも小さいというものでございますが、これは〇%という形になっておりまして、県から報告がございました範囲におきましては、約八割の受益農家におきまして安定した経営が営まれているというふうに考えられるわけでございます。
また、経営不振農家につきましては、農家の技術向上等の自助努力と相まちまして、今後とも県家畜保健衛生所等による経営指導を一層強化いたしますとともに、大家畜体質強化資金等の低利資金を融通し、経営の安定化に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/128
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129・喜屋武眞榮
○喜屋武眞榮君 そうしますと、念を押すようでありますが、計画を予定されたものは今後の計画の中で予定どおり進めていく、また現に手をつけつつある事業に対しては目的に沿って予定どおり進めていく、このように理解してよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/129
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130・濱田幸一郎
○説明員(濱田幸一郎君) 沖縄におきまして現在実施中のところが二地区あるわけでございます。与那国地区が六十五年度完了を目標といたしまして順調に事業が進捗しております。また、八重山第二地区につきましては本年度新規着工いたしておりまして、六十六年度に事業を完了させるということになっております。
さらに、調査中の八重山と沖縄北部の二地区につきましては、事業着手に向けまして調査を鋭意実施しておりまして、地元の意向が固まり次第、県の申請を受けまして事業に着手いたしたいと私どもの方は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/130
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131・喜屋武眞榮
○喜屋武眞榮君 私の質問に対し、一言でいいですよ。同じことを繰り返す必要はありません。
私が申し上げたのは、現に完成したものも指導、育成してもらわぬといけませんが、これから予定されておることが予定どおり実現する、手をつけておりますこと、着工中にあるものは完成を見る、そのとおり進めてくださると理解してよろしいですねと私は聞いたんですから、イエスかノーかしか答えはないでしょう。いずれですか、もう一遍。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/131
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132・濱田幸一郎
○説明員(濱田幸一郎君) 言葉が多くて恐縮でございますが、それぞれの進行状況に応じましてやや扱いが異なってくるのではないかと考えまして、特に調査中のものにつきましては地元の意向、それから県のこれからの手続ということがございますので、そういうことも含めましてお答えした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/132
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133・喜屋武眞榮
○喜屋武眞榮君 ぜひひとつその調査、あるいは確認すべきことは確認してもらって、予定どおり進めていただきたいということを重ねて要望しておきます。
特に、畜産に対する沖縄県民の要望、すべてに立ちおくれがあるわけですが、公団の行う畜産基地建設事業は社会的なニーズに対処した事業であり、未利用あるいは低位利用の土地資源が存在する地域においては引き続き公団事業を推進していく必要が十分あると思われると私は理解しております。今後、公団はこのようなニーズに対処していくことがいわゆる地域住民、関係者の理解と協力を求めて裏づけて実績を上げていくもとである、これこそ私はすべて自律的な対応である、こう思うがゆえに、ひとつぜひ、繰り返すようでありますが、ひとつよろしくお願いをいたします。
最後に、公団は新たな事業方式を創設してNTTプロジェクトを計画しておられるようでありますが、今後、沖縄においても新規事業、このNTTプロジェクトを実施される予定がありますか、どうでしょうか、お聞きしまして、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/133
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134・松山光治
○政府委員(松山光治君) 沖縄におきますNTTのAタイプ事業の見通しでございますが、現段階におきましてまだ具体的な要望は出ておりませんけれども、今後、具体的な要望がありますれば県とも十分相談しながら考えていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/134
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135・山田耕三郎
○山田耕三郎君 農用地開発公団法の一部を改正する法律案に関連をして、三点お尋ねをいたします。
まず第一点は、最近の農政は猫の目農政との批判がありますが、なぜもっと長期展望に立ち、しかも農民に不安を与えない農政の展開ができない
のかについてであります。
すなわち、ただいま審議中の法律は、昭和四十九年四月二十九日に成立をしており、そのときの提案理由の説明には次のように言われております。最近における農畜産物の需給の動向から見て、国民食糧の安定的供給を確保するため、国内生産可能な畜産物については極力その供給体制を整備していくことが急務であります。すなわち、畜産の需要が大きいから国内で供給できる畜産体制を緊急に整備をしよう、こういうことでありますけれども、それからわずか十二年を経過した昭和六十一年には、行革審より見直しの意見が出され、それに基づいて今回の法改正の提案となっております。しかも、去る二十六日、農林水産大臣が訪米出発の日の提案説明には、「近年、農畜物需給が総じて緩和基調に転ずる等、公団の業務をめぐる諸事情に変化が見られるところ」であるから改正することになった、このようにおっしゃっておられます。
確かに、現在牛乳は生産調整が行われておるのも事実でありますところから、事情やむを得ないものと認められます。けれども、それでもこういった朝令暮改でよいのかという気持ちはのきません。牛乳や乳製品の消費が先進国の中で我が国が最低であります。それなのに、なぜこのような余り現象が起こるのかが明らかにされないままに国は畜産から後退をしていこうとしておられます。畜産を奨励しながら消費拡大等は全く無策であったのか、成り行き任せであったのではないか、こういった疑問が私には残ります。
後退をされてあとに残されるのは、国の指導を信じて莫大な借金を抱えて新酪農村に参加された人々を初めとして、公団事業にかかわって畜産と取り組みながら、先行き展望のない生産調整に加えて、農産物輸入自由化が、現に農林水産大臣不在で法案審議をしなければならないというほど緊迫した中で果たして今後どうすればよいのか、こういう不安にかられておいでになります農家であります。なぜこのようなことになったのかを明らかにされますとともに、これらの農家に対してどのような展望を与えようとしておいでになりますのか、国の政策をまず説明をしていただきたい。
なお、法改正がされて、畜産事業は七十年前半で終わる計画とのことでありますが、これとても今後情勢の変化が絶対にないとおっしゃるのか。今後、もし畜産の大規模な需要が出た場合に、また法律が変わるのではないだろうか。七十年前半で畜産関係事業が終結をしたときに、公団としてはどのようにしようとしておいでになりますのか、あわせて承ります。
以上で第一問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/135
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136・松山光治
○政府委員(松山光治君) 畜産あるいは牛乳、乳製品をめぐる需給その他の問題につきましては、後ほど畜産局の方からお答えすることになろうかと思っておりますが、全体的な情勢の変化と公団の対応の問題についてだけ私からまずお答え申し上げたいと思います。
確かに、四十九年の公団の発足時におきましては、恐らく今のような事態は想定をしておらなかったんだろうと思いますが、それほど昨今の情勢の変化が激しいということではなかろうかというふうに思っております。
私ども、国民の皆さんの信頼の得られる農政を的確に推進していきますためには、そういった情勢の変化に的確に対応していくことこそが必要なことではないか、そういうふうに考えておりまして、今回の法律改正を御提案申し上げておる次第でございます。
もちろん、将来の、今後の動きはどうなるか今の段階ではよくわからないわけでございますけれども、現在の状況からすれば、今までのような形での大規模な畜産基地の開発を非常に強く要望するようなニーズがあちこちから出てくる状況にはちょっとないのではないかというふうには思っておりますけれども、将来の問題は将来の問題として、情勢への的確な対応ということを頭に置いたことをこれからも考えていく必要があるのではないだろうか、このように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/136
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137・濱田幸一郎
○説明員(濱田幸一郎君) 特に乳製品につきまして、消費の動向等につきましてのお話がございましたので若干御説明さしていただきます。
我が国におきまして牛乳、乳製品の消費は、まだ非常に日が浅いということがございまして、欧米諸国に比べましてまだ消費量が非常に低いというのは事実でございますが、私どもも従来からこの消費拡大には努めてまいっておりまして、近年、その消費は着実に伸びてまいっております。数字で申し上げますと、牛乳、乳製品の一人一年当たりの消費量を比べますと、四十年三十七・五キロでございましたが、六十一年には六十七・八キロとなっておりまして、簡単に申しますと約二倍に増加してまいっております。
牛乳、乳製品は、カルシウム、ビタミン、その他人間の健康にとりまして必要な栄養素が豊富に含まれております。さらに、特に日本人の食生活で不足しがちなカルシウムが豊かだということがございまして、これはぜひ国民の皆さん方にたくさん消費をしていただきたいということで、今後ともいろんな方策を講じまして消費拡大に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
それからなお、昨今の畜産をめぐります非常に厳しい情勢、先ほど申しましたように、需要はかなり伸びておりますが、なお我が国の潜在生産力、例えば泌乳量は非常に技術進展が著しくBC並みということになっております。なおまた、飼養頭数もかなり伸びてまいっておりまして、非常に高い生産力を持っております。結果的に、生産調整を行わざるを得ない状況でございます。
また、輸入自由化を要請される等の問題がございますが、そういうような状況のもとにおきまして、今後、酪農の振興につきましては、先般二月に策定、公表いたしました「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」に即しまして、酪農を土地利用型農業として国の農業の中の重要な部門として位置づけまして、今後ともこの方針のもとに進展を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/137
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138・山田耕三郎
○山田耕三郎君 今の答弁を聞いておりますと、乳製品の需給はうまくいっておるというようにしか聞こえませんのですけれども、生産調整をせなければならないということは、計画と結果にそごを来しておりますことは事実であります。したがって、これらについては、農林大臣がお帰りになった後でまたただしてみたいと思います。
次に、今日までの公団事業の問題点は何なのか、そのことについてお尋ねをいたします。
借金の重い新酪農村ということで、日本有数の酪農地帯として名高い北海道の根釧原野の実態も既に紹介をされておりますし、各地での脱落された方の惨めな例もあります。現に償還金の支払いに困っておいでになる人たちのあるのも事実であります。しかし、国営、県営及び団体営の農地改良事業が手をつけることのできない、より困難であるがために放置された未墾地を開発することを任務とする公団事業としては、かなりの困難を克服しながらまずまずの成果を上げておられるのではないか、このように思いますと同時に、あの僻地に入植をして努力しておいでになります参加者には敬意を表しております一人であります。
しかし、失敗はあります。その失敗の一番大きな原因は、施設に対する過剰な投資による重い借金であります。それは酪農にいたしましても、肥育にいたしましても、果実を生んでくれる、すなわち利益を上げてくれる素牛に投資をされた場合には余り間違いはありません。けれども、附帯施設にお金を使い過ぎられる、わけても高価な最新式施設への投資であり、経営感覚を狂わす大盤振る舞いという表現で日本の補助金農政の矛盾を指摘されておりますこともありますが、私も農家の償還能力を無視したとしか考えられないような多額の負債で事業を進めてこられました行政当局の責任も大きいと思います。農業がそんなに利益の上がる事業でないことは農林水産省が最も知っておいでになるはずであります。
先ほどのお話にも、家族が病気になった。家族の中から病人が出るのは今日の状態からして当然なことであります。家族に病人が出ました場合には、酪農家にしても肥育農家にいたしましても、えさを食べる生きた生物を相手の仕事でありますから、一般家庭よりも三倍の出費を伴うということになるのでありますから、この辺のことをちゃんと見きわめた上の計画が必要なんだろうと、私はこのように思っております。
しかし、それでも公団事業は、国営では例えば十年かかる事業が五年で完成をされる等、事業効果の早い利点を生かして実行された結果、地域開発にも役立っており、過疎地に新しい雇用を生み出しておいでになる例もあります。ただ、この種事業の成否のかぎは、事業に参加する人の意欲とその人が持つ個々のもろもろの人間的要素が大きな要因にあるように思われます。あるところでは、夢と理想だけが先行していては無理、厳しい現実に対応できる実力が必要だと強調された人もあります。さらに、入植以前の借金を抱えたままで入ってくるのは無理だと、このことをもおっしゃった方もあります。
にもかかわりませず、ただいまの制度では公団は事業を実施するだけであって、調査や入植者を決めるのは国や道、県、市町村等であって、公団ではこの段階では何の関係もありません。さらに、公団は、事業を完了し引き渡した後の営農指導、管理等、いわゆるアフターケアにも無関係な現状では事業効果の確認もできないし、次の新規事業に着手する場合にも、さきの例を見て不備なところは直していこう、こういう参考にすることもできないし、是正することもできないというのが現状であります。調査、管理、営農指導と一貫して公団が責めに任ずる必要があるのではないか、このように思うのですけれども、先ほどの答弁の中で一貫して公団が担当するには若干の問題点があるというお答えがありまして、若干ぐらいの問題でしたらこの際飛び越えてみられたらどうか、このようにも思わないでもありません。
幸い、継続中の残事業もありますし、調査中のものもあります。これらには公団の一貫した対応を義務づけ、責任の所在を明らかにされた方がよろしいのではないか。さらにできれば農産物輸入自由化の流れの中で、いずれにいたしましても政府としては国内施策を強化する必要のある今日のことであります。公団事業の畜産よりの全面撤退ではなく、現行事業を見直されるとしましても、新しい制度とタイアップさせての事業として存続をさせることができないのかどうか、この辺についてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/138
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139・松山光治
○政府委員(松山光治君) 調査から営農指導まで公団に一貫して対応させたらどうかというお尋ねでございますが、私、先ほど若干と申したかどうか、私の頭、問題意識といたしましては相当な問題点のつもりで実は申し上げたつもりでございます。
もとより、公団がただ事業を実施して、それで事足りるということを言うつもりではないわけでございますし、現に調査の段階あるいはその後の成り行きにつきましても公団としてもそれなりの関心を持っていただいておるものというふうに私は理解をいたしておりますが、限られた人員を有効に活用しながら、かつまた、受益農家にできるだけの負担をかけないで円滑な事業の実施を図っていくということを考えますれば、やはり営農指導等の問題につきましては、その道の専門に基本的にお願いしながら受益農家の経営の発展を図っていく、そういう任務分担の考え方の方が適当ではなかろうかというふうに私としては考える次第でございます。
なお、現行事業も存続させてはどうか、こういうお話もあったわけでございますが、何度も繰り返しになって恐縮でございますけれども、現行のような大規模な開発事業についてのニーズが減少しておるということをひとつ踏まえ、かつまた、事情の変化に対しましてはそれなりの的確な対応、努力を行いませんことには国民の信頼も得られないといったようなことも考えましたときに、この際、私としては新しい事業制度に切りかえ、今までに着手しておるものないしは手をつけ始めておるものについては引き続き事業を実施していくということの方が適当ではないかというふうに考える次第でございまして、御理解をいただければありがたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/139
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140・山田耕三郎
○山田耕三郎君 次は、農業に対する補助金政策と農業の生産性の問題についてお尋ねをいたします。
行政改革審議会も、「公団事業の約八五%は国及び道県の補助金で賄われているが、莫大な国等の助成を受けている農家が見られる結果となっている。」と言って補助金政策を批判してもおいでになります。しかし私は、食糧の生産は国家の存立にかかわる基本的問題を持っておるというところから特殊性があると思います。そういったことから主要国におきましてはいずれも保護政策をとっており、その手法や規模は千差万別であります。しかし、農業を破壊した国は必ず衰退をしておりますし、そのことは歴史を見ても明らかであります。例えば、イギリスが世界を制覇しましたころは農業はおろそかにされ、一時は自給率三〇%台に低下いたしましたが、その後大変な保護政策を導入して、現在では自給率一〇〇%を超えております。
また、生産性向上の問題でありますが、私自身、生産性向上に努めることには異論はありません。努力は重ねていかなければならないのは当然であります。しかし、農家だけの努力には限界がある。日本農業に与えられた自然的環境にも制約があります。したがって、社会全体の仕組みがそういう中で競争体質をつくり上げるために農業に裨益できるようにできていなければならないということを申し上げたいのでありますけれども、現状は農業に対する保護政策でも日本ほど農民がたたかれている国はないのでないか、このように思っております。
しかし、この二点の問題は極めて政治的な問題でございます。農林水産大臣が帰朝されました暁の委員会で改めてお尋ねをすることにさしていただいて、本日の私の質問は以上で打ち切らしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/140
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141・岡部三郎
○委員長(岡部三郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215007X01019880428/141
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