1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年十二月十七日(土曜日)
午前十時開会
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委員の異動
十二月十六日
辞任 補欠選任
岩本 政光君 野沢 太三君
斎藤 文夫君 小野 清子君
渡辺 四郎君 及川 一夫君
塩出 啓典君 中野 鉄造君
和田 教美君 中野 明君
吉井 英勝君 吉川 春子君
野末 陳平君 秋山 肇君
青島 幸男君 下村 泰君
十二月十七日
辞任 補欠選任
佐藤謙一郎君 林 健太郎君
対馬 孝且君 大森 昭君
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出席者は左のとおり。
委員長 梶木 又三君
理 事
斎藤 十朗君
林 ゆう君
平井 卓志君
降矢 敬義君
吉村 真事君
志苫 裕君
安恒 良一君
峯山 昭範君
近藤 忠孝君
栗林 卓司君
委 員
井上 吉夫君
井上 孝君
板垣 正君
小野 清子君
大河原太一郎君
大木 浩君
岡部 三郎君
加藤 武徳君
久世 公堯君
後藤 正夫君
斎藤栄三郎君
下稲葉耕吉君
田辺 哲夫君
仲川 幸男君
野沢 太三君
林 健太郎君
藤井 孝男君
松浦 孝治君
森山 眞弓君
及川 一夫君
大森 昭君
千葉 景子君
福間 知之君
山口 哲夫君
山本 正和君
太田 淳夫君
中野 明君
中野 鉄造君
橋本 敦君
吉川 春子君
柳澤 錬造君
秋山 肇君
下村 泰君
事務局側
常任委員会専門
員 竹村 晟君
常任委員会専門
員 片岡 定彦君
常任委員会専門
員 保家 茂彰君
参考人
会 社 社 長 井上 光一君
会 社 員 西川 元啓君
生活協同組合E
コープ中期計画
委員 米山久美子君
総評・愛知県労
働組合評議会常
任幹事 大島 良満君
富士短期大学講
師 西川 寿子君
大阪しろきた市
民生活協同組合
専務理事代行 藤永 延代君
会 社 役 員 本間 幸男君
税 理 士 右山昌一郎君
全国高齢者退職
者連絡協議会事
務局長 庄司 中君
立教大学教授 和田 八束君
税 理 士 金子 圭賢君
弁 護 士 中村久瑠美君
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本日の会議に付した案件
○税制改革法案(内閣提出、衆議院送付)
○所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○消費税法案(内閣提出、衆議院送付)
○地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○消費譲与税法案(内閣提出、衆議院送付)
○地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/0
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001・梶木又三
○委員長(梶木又三君) ただいまから税制問題等に関する調査特別委員会を開会いたします。
税制改革法案、所得税法等の一部を改正する法律案、消費税法案、地方税法の一部を改正する法律案、消費譲与税法案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
本日は、各案につきまして、お手元の名簿の十二名の参考人の方々から御意見を拝聴いたします。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
皆様には、御多用中にかかわりませず本委員会のために出席を賜りまして、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして、心から厚く御礼申し上げます。
本委員会におきましては、目下税制改革法案外五案を審査中でございますが、本日は忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にしてまいりたいと存じますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
次に、会議の進め方について申し上げます。
まず、お一人十分程度で御意見を順次お述べいただきまして、その後で委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
それでは、これより順次御意見を承ります。
まず、井上参考人にお願いいたします。井上参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/1
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002・井上光一
○参考人(井上光一君) 御指名をいただきました井上でございます。
こういうところで自分の所見を述べる光栄に感謝をいたします。
最初にお断りをさせていただきたいと思うんですが、十分だそうでございますので、非常に抽象的になったり、それから舌足らずの点があると思いますので、あらかじめお許しをお願いしておきたいと思います。
私は、税制改革の必要性について二つに絞つてお話を申し上げたい。一つは消費税でございます。もう一つは、事業者の承継税制について特にお願いをしたい、こういうふうに考えております。
さて、税制改革の必要性でありますけれども、私はこれを是とするものでございます。なぜならば、昭和二十五年のシャウプ税制以来、税制には抜本的な改革がなされておりませんので、当時、経済も小さく、そして流通もほとんどなかった時代の税制と今日の税制では比較にならない相違があって、その間に生ずるアンバランスは大変大きいものではないか。こういうふうに考えますと、今日的現象の中では、これはやはり抜本的に改正すべき必要がある、かように思うからであります。ただし、これを改正するのには、私どもには若干の希望がございますので、その希望についてお話を申し上げたいと存じます。
まず第一番に消費税でございますが、消費税導入に対する問題については、やはり相当の不安感と懸念が中小企業界にあることは覆いがたい事実でございます。したがって、反対する人も多少おりますし、その意図は依然強いものがございます。これは、そういう制度で価格転嫁ができるか、あるいは納税事務負担費はどうなるのか、将来税金のパーセンテージがどんどん上がっていってしまうんではないのか、こういう不安があるからでございますが、それらのものが明快に改善されれば私はこれはやはり改正する必要がある、こういうふうに思うのでございます。
それにはまず価格転嫁の問題ですが、中小企業は業種、業態、規模、取引実態、取引の力関係、まさに千差万別でございますので、その中ではなかなか私どもが想像しがたいような取引もありますし、とても中間者が下まで税を転嫁できるというような取引のできない業種もあるわけでございます。したがってこれらについては、本当に価格転嫁の保証をどうするのか、あるいは中小企業者が締結する転嫁・表示カルテル等の必要がどうしても生じてまいりますので、そうしたものについて取引実態に即したガイドラインを早急に示すことが非常に必要ではないか、こういうことをぜひやってほしい、こういうふうに思うわけでございます。したがって、実効性のあるカルテル手法についての情報提供やそうした条項をしっかりつくってほしい、こういうふうに思うわけでございます。
次には、税の転嫁の問題でございますが、業者間取引で、特に優越的な地位にある大企業とか企業者の消費税負担分をその価格の中に吸収さしてしまうようなものがあることがいろんな取引の中では習慣化されております。そういうことをさせないためにはいかに適正な処理をするか。すなわち取引の下請代金支払遅延等防止法やいろんな問題がありますが、これらのものを若干手直しをして、さらに強固なものにしてこれらのことをさせないような工夫をしてもらうことが必要である。もしこれがないと、私どもが一番心配する一物二価、一つのものが二つの価格構成と、消費者の手に渡るのに、こういう場合が生ずるからでございます。
次には、中小企業者に対する研修あるいは講習を含めた消費税のPRを初めといたしまして、特に転嫁問題の最前線になる中小企業者には魅力ある商店街づくりや、あるいはこれを支援する方法や転嫁力と転嫁するための事業基金、これはいろいろの問題がこれから生じてまいりますので、それに必要なエキスを生む整備基金事業、こうしたものの創設とか、あるいは商店街の共同利用施設の整備整とん等の促進を図れるような御援助がお願いできればというふうに思うわけでございます。それでないと納税負担がかかる問題、いわゆる納税コストが高くなってまいりますので、そういう点では簡易課税制度やあるいは帳簿方式等の採用を考えられているようですが、さらに加えてこういう配慮が大変必要になってくるということを御認識をいただきたいわけでございます。
次に、消費税は以上のことにしておいて、承継税制の問題でございますけれども、これは大変大きな問題でございまして、今私どもの周辺で一番困難なのは承継税制の問題だろうというふうに考えております。したがって私どもは、従来、承継税制に対するもっと有利な方向やあるいはまた生前贈与制度や、そうしたものについてあらかじめそういう措置を講じていただくよう長い間かかってお願いを申し上げてきたところでございますが、なかなかこの実現を見るに至っておりません。
それで、生前贈与制度の創設をこれから考えてまいりますには、いろんな問題点があろうかと思いますが、農業者には既にできておるわけでありまして、一つのサンプルもあるわけでございますから、こうしたものをひとつ手本にしながらも、十分お考えおきをいただきたい、かように思うわけでございます。
さらに、中小企業者の場合、事業を相続いたしますと、その相続による負担のために事業の縮小を余儀なくされたり、あるいはひどいのになると廃業に追い込まれたりする場合が随所に見受けられまして、これらについては特にお考えをいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
それから、特に近年の著しい地価の高騰等によりまして自然に財産がふえてきておりますので、そういう意味で、承継税制の場合にこれらの総額がまともに対象になるというのは、実益のないところに対象額がふえるわけでございますので、とても納める方としてはたまったものではないわけでありまして、こうしたことによってそういう今申し上げた倒産とか廃業とかいうものに追い込まれる例が非常に多くなってきた、こういうことでありまして、特にこの辺についての御配慮をお願いしたい。
個人事業者については、事業用資産の贈与に関する生前の特例制度を設けない、こういうことができるということでございました。中小会社においても株式の評価方式の改善を行い、中小企業における事業承継が円滑にできるようなラインができ上がらないと、なかなかこれは言うにはやすくして行うことは困難ではないかというふうに思いますので、この点については特に御配慮をお願いしたい、こう思う次第でございます。
それから、税制改革についてはもう私が申し上げるまでもありませんが、公平であり、中立であり、簡素を旨とした中で、中小企業の活力ある維持増進を念頭に置いたものでありますことを切にお願いを申し上げまして、委員長から指示された時間が参りましたので、私の意見の開陳を以上で終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/2
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003・梶木又三
○委員長(梶木又三君) どうもありがとうございました。
次に、西川元啓参考人にお願いいたします。西川参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/3
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004・西川元啓
○参考人(西川元啓君) 会社に二十年間勤務いたし、現在課長の職にあります西川でございます。
本日は貴重な機会をお与えいただき、まことにありがとうございます。
それでは、御審議の法案につきまして、これに賛成いたします立場からサラリーマンとしての個人的意見を述べさせていただきたいと存じます。
私は、今回の法案につきまして全容を把握しているわけではございませんので、見当違いの点もあるかと存じますけれども御容赦いただきまして、日ごろ考えておりますことをこの場で申し述べさせていただきたいと存じます。
まず最初に、私どもサラリーマンの生活に最も関係の深い所得税法の改正につきまして述べさせていただきます。
私は、自分を中堅サラリーマンの一人であると認識いたしております。サラリーマンの多くがそうでありますように、会社のため、ひいては、大げさではございますけれども、日本経済の発展のために、仕事に喜びを求め、一生懸命働いておりますけれども、若いときには、毎月会社からいただく給与明細書の所得税でありますとか住民税の額につきまして、まあこんなものかなとそれほど意識していなかったのでございますけれども、近年これがずしっと肩にのしかかってくる、こういう思いを強くいたしております。この理由は二つございます。一つは、私どもの年齢になりますと教育とか住宅の関係でお金がかかること。二つ目には、給与が伸びるその率以上に税金の伸び率、これが高いために、税負担の重みを強く感じる、こういうことからでございます。この現行税制の持つ小刻みな大幅累進税率構造のもとではややもすると働く意欲も減少しかねない、こういうふうに考えている次第でございます。
したがいまして、このたびの改正によりまして、中堅所得者を中心として税負担の累増感の解消を図るために、これは単に昭和六十三年度の単年度の措置としてのみではなくて、税率の累進度が緩和され、さらには高校とか大学生の年齢の子供を持つ者の扶養控除等の割り増し等が盛り込まれまして所得税の負担が軽減されますこと、これは私の非常に大きな喜びでございますし、多くのサラリーマンも同じように感じているのではなかろうかと思います。
続きまして、法人税の改正につきましても触れさせていただきたいと思います。
申すまでもなく、私どもサラリーマンは会社からの給与によりまして生計を維持しているわけでございますから、会社の存続、発展なくして私どもの生活向上は図れないということとなります。企業が競争力を維持し続けるためには、不断の研究開発投資や設備投資をしてまいらなければなりません。このためには、企業には適切な内部留保を必要といたします。しかるに、我が国法人の実質的税負担は世界で最も高いと言われております。企業活動のグローバル化が進む中で、世界の企業は同一の土俵で競争すべきであると考えます。日本の企業のみ高い税金を納めることは、日本の企業を国際競争上著しく不利な立場に追いやるものでございまして、このようなことはもはや許される状況ではないと考えます。また、我が国法人税制上のかかる不利が私どもサラリーマンの生活に大きな影響を及ぼすこととなる国内産業の空洞化につながる懸念、これを払拭していただかなければなりません。
以上によりまして、このたびの法人税率を引き下げる法案を強く支持いたす次第でございます。
しかしながら、今回の引き下げによりましても、地方税を含めた実効税率は、いまだ米国等と比べ、なお高い水準にあるわけでございますので、今後の課題といたしまして、さらなる税率の引き下げを御検討願いたく、要望するものでございます。また、税率を引き下げましても、この財源を確保するために課税ベースを拡大するということのないようお願いいたしたいと思います。特に、退職給与引当金でございますとか賞与引当金、これらは私どもサラリーマンに対する債務を積み立てているものでございますので、これを廃止したり圧縮したりすることがないよう強くお願いいたす次第でございます。
このように、所得税及び法人税の減税を強くお願いするところでございますが、次に消費税の導入につきまして述べさせていただきます。
消費税は、サラリーマンの家計に大きな影響を与えること、これは否定できません。しかし、当面の自然増収に着目して、所得税減税はしてほしい、消費税は払いたくないというようなことは、中長期の視点でとらえれば、ないものねだりをするものではないでしょうか。私は、所得税、法人税の減税を行うためには、消費税の導入もやむを得ないと考え、これを支持いたすものでございます。以下にその理由を申し述べさせていただきます。
私は、現行の税の徴収に強い不公平感を抱くものの一人でございます。私どもサラリーマンは、自営業や農業を営む方々とは異なりまして、源泉徴収により所得の捕捉が完璧になされております。この税務執行上の不公平を是正するために、申告納税制度に改善すべき点はないか、このあたりの検討も望まれるところでございますが、すべての納税者の所得を捕捉することが徴税コストの関係で不可能であるといたしますと、国民の多くが不公平と考えております現在のありよう、これは何か別の手段で是正してしかるべきでございます。消費する者だれもが負担する消費税の導入、これはこの不公平の是正に寄与するものと考える次第でございます。
また、国の財政の健全化の観点でございます。適正な直間比率はいかほどかなどの難しい議論、これを展開する能力はもちろん私にはございません。しかし、企業とサラリーマンに税収入の半分以上をも依存するのはおかしいのではないか、そういうふうに思います。特に、企業の収益は大きく変動するものでありますから、これにかなりを依存する財政では、安定的、堅実な国の施策を期待することはできません。財政基盤の健全化を図るためには、これらの税への偏りを是正し、これを補うものとして消費者が広く薄く負担する消費税を導入する以外に道はないと考えます。
国の重要な施策の一つに社会保障制度がございます。私どもサラリーマンも年をとります。今後到来する高齢化社会に向けまして、適切な社会保障を受ける財源を今からぜひとも確保していっていただかなければなりません。この社会福祉の充実のためにも消費税の導入を図らざるを得ない、こう思います。
以上、申し述べました理由から消費税の導入を支持いたす次第でございますけれども、ここで少し要望がございます。
一つは、よほどの事情がない限り、三%の税率を引き上げるべきではないこと、二つ目は、所得税が課されていない低所得のサラリーマンにとりまして、今回の消費税の導入は明らかに増税となるものでございますので、このための措置として歳出面からの手当てをぜひ御検討いただきたいと存じます。
以上、御審議の法案に対します賛成意見を申し上げ、また、一部要望事項を述べさせていただきまして、私からの発言を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/4
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005・梶木又三
○委員長(梶木又三君) どうもありがとうございました。
次に、米山参考人にお願いいたします。米山参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/5
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006・米山久美子
○参考人(米山久美子君) 私は江戸川区に住んでおります一主婦でございます。今回の参考人としての意見を、家計を預かる主婦、消費者、生活者の立場から述べさせていただきます。
今、多くの国民は本当に怒っていると思います。十一月十六日の衆議院での採決の強行には、私も本当に腹が立ちました。私たち国民の生活に大きな影響をもたらす税制の改革を、単に時間をかけただけで、中身の審議はろくにもしないで、採決を強行するなどということは絶対に許せません。
なぜ、今の時期に三兆円もの自然増収があって、景気も上向きになっているというのに、無理やりに増税を私たちに押しつけようとするのでしょう。とても不満でございます。一たん撤回して、時間をかけて審議を尽くしていただきたいと思います。
私たち町の主婦の素朴な疑問と怒りは、内閣の中軸にいる方々や高級官僚のお歴々が、リクルート疑惑の汚れた手で国民大衆に新しい税金を負担させようとしていることです。率直に言って、今の政府にはそんな資格はないと思います。自分たちは、ぬくぬくとぬれ手にアワで、一千万円も二千万円ももうけさせてもらって、ばれてもその責任をとらずに知らぬ顔で私たちに増税を押しつけようとするなんて、全く許せないわよねえというのが、私たち主婦の町の会話になっております。こうした庶民の感情について、どうお答えになるつもりでしょうか。私は、まず、リクルート疑惑を徹底的に明らかにしていただいて、きれいな身になってからこの問題を通していただきたいと思うのです。最初にどうしてもこのことを言わずにはいられません。
今回の消費税については、いろいろ主婦の立場としては疑問がございますが、これだけはどうしても納得がいかないという点、二つに絞って言わせていただきます。
まず一つ目は、今度の消費税は、すべて最終的には消費者に負担をかぶせるというのが前提になっているということですね。これがまず第一に気に入らないんです。新聞やテレビでも、金持ち優遇、一般庶民や弱者にしわ寄せという形で多々指摘はされておりますけれども、とにかく不公平を一層に拡大するとんでもない税制だということでは一致していると思うのです。内閣は、今回の税制改革に当たって、不公平の是正ということを強調していたはずなのに、実際には全くの逆で、中身を知れば知るほど、私たちとしては不公平感が深まるばかりでございます。
いろいろ勉強してみますと、非課税になるものがほとんどなくて、何を買ってもそれに税金がかかる。つまり、私たちには逃げ場がない、選択の余地がないということなんです。毎日食べるお肉とかお魚、電気代、水道料金、郵便料金、家賃など、暮らしに欠かせないものにすべて税金がかかるなどということは、本当に考えてもみないことでした。サービスにまで課税されるというのも驚いたことです。お産の費用や火葬場の手数料にまで税金がかかるなんて、本当に信じられません。言ってみれば、生活すること、生きていくことそのものに税金がかけられるということではないでしょうか。そうなれば、イギリスのように揺りかごから墓場までの社会福祉の完備ではなくて、私たちの住んでいる日本では、揺りかごから墓場まで税金、税金で一生苦しめられるということなんですね。
宝石や毛皮など、ぜいたく品に一五%の税率で課税されていた物品税を廃止して、今度は一律三%にするということですが、これは私たち多くの消費者から見れば、ダイヤモンドなど、生活になくても済む品物をうんと安くして、御飯とか飲み水とか、どんな所得の低い人でも、暮らしていくためには節約できない生活の必需品を値上げするということになると思います。一体皆さんの頭の中はどちらの方を向いて政治を行っているのかというふうに、私たち主婦としては疑わずにはおられません。
二番目に申し上げたいことは、三%という税率と、物価の便乗値上げの問題です。これは歯どめがないということです。この点は、リクルートでこれだけ国民を欺いて平気な顔をしている政治家の言うことは、本当は信用できないということもあるのですけれども、実際には国会のいろいろな答弁を聞いていても、非常に不安になります。
付加価値税を実施している西ドイツ、フランス、イギリスなどヨーロッパの共同体十二カ国でも、一律税率は負担を不公平にするという理由で、デンマークを除いては、複数の税率を採用しているということですから、今回の税制改革で、竹下内閣の行おうとしていることは、非課税なしと三%の一律税率とを組み合わせた、とにかく世界一不公平な税制をつくろうとしていることではないでしょうか。
私は、税金の負担が、言われているように三%で本当に済むのかなという不安がございます。税率の一律引き上げを牽制する仕組みが全くないわけですから、将来、情勢がちょっと変われば、必ず増税になるような気がいたします。既に大蔵省は、五%にすることを要求するとおっしゃっているのですから、これを聞けば、竹下さんがどんなに私の代ではやりませんとおっしゃっても、代がかわればフリーハンドですよ、というようにしか聞こえないわけです。
消費者物価への転嫁の問題でも、便乗値上げは数限りなくあると思います。転嫁カルテルとか表示カルテルなどいうのは、複雑でわかりにくいですし、個々の商品ごとではなくて、売り上げ全体の消費税負担額を見込み計算でできることとか、免税や簡易課税など業者の側のいろいろな納税特例など、私たち消費者にはわかりにくいことが多過ぎます。私たちが負担させられたことになる三%の消費税が、本当に国庫に税金として納められることを約束してくれるでしょうか。
再販商品のように、たとえ免税業者であっても、同じ価格で売ってもよいということになれば、三%前後の値上げがされても、便乗値上げとはみなさないということになって、実際には政府自身がある程度の便乗値上げは業界に対して認めているということになりはしませんでしょうか。
要するに、かつての売上税に反対した中小業者に対して今度は受け入れやすいように配慮はしたけれども、私たち消費者には相変わらず犠牲をかぶれということだと思うのです。私たち消費者は一向に守られていないのだと思います。
さらにもう一つ申し上げたいことは、共働き世帯の不公平の問題です。これは所得税減税のわかりにくい大きな一つの落とし穴になっていると思うのですが、増減税の損得分岐に関する計算というのもいろいろあって、プロの税理士さんに聞いてさえ、どれを信じていいのかわからない状態だというほど複雑だと思います。いずれにいたしましても、上に厚く下に冷たい減税だという不公平は、既に多くの方々が指摘していらっしゃると思います。
これに加えて、共働き世帯の年収八百万円以下では増税になってしまうという問題がございます。日本生協連の試算では、年収六百万円世帯では、いわゆる片働きと共働きの格差が八万八千円にもなってしまいます。
東京都の女性の有業率は、既に十五歳以上で四七・五%、二十から五十歳では六〇%近くになっております。この比率はこれからもどんどんふえていくと思います。私たちがこれからの生活を少しでも豊かにと願えば、何らかの形で働きに出るというのが時代の流れだと思いますが、そういう共働き世帯が働くことがばかばかしくなるというような時代逆行の税制改革は、ぜひとも考え直していただきたいと思います。
一人一人でしかない私たち主婦は、今非常に無力さを感じておりますけれども、これ以上なめられてなるものかという声は大きく大きくなっていると思います。恨みをどうして晴らしてやろうかとも考えております。どうしてもこの消費税を押し通そうとするんだったら、直ちに国会を解散して、総選挙で民意を問うていただきたいと思う思いでいっぱいでございます。お笑いになっていらっしゃいますけれども、私たちの国民の素直な感情というのを素直に耳を傾けてくださるということが為政者としての態度ではないでしょうか。一主婦の立場としてはこれだけは申し上げたいと思います。
よろしくお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/6
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007・梶木又三
○委員長(梶木又三君) どうもありがとうございました。
次に、大島参考人にお願いいたします。大島参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/7
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008・大島良満
○参考人(大島良満君) 御紹介をいただきました大島でございます。
私は、十六年間サラリーマンの減税運動と言われるものを東海地方で取り組んでまいりました。きょうは現場の生の声を皆さんにお伝えをするために参りました。
保育園で、リクルートコスモスという花の株を植えるとお金がふえるそうだが、園に植えるといいねと、先生に質問したそうです。また、政府の高官は自粛だとか襟を正せとおっしゃっておみえになるようですが、新聞を拝見いたしますと、毎日高級料亭で大会社の偉いさんと飲み食いしておみえになるようですが、この金は一体だれが負担をしておるんでしょうか。
リクルートで何千万円ももうけて一円も税金を払わぬ人たちが中心になって、私たちの暮らしに丸ごと税金をかけようとしている。こんなでたらめのことが数だけで押し通せると思っておるのかという声です。皆さんの耳に庶民の声は聞こえませんか。ごちそうをただで食べ過ぎると聞こえなくなると言っております。少しでも値打ちな品物がないかということでバーゲンカレンダーをつくって、母ちゃんたちが一銭でも安く買いたい、こういう気持ち皆さんわかりますか。たった二週間ぐらいの審議で何が十分な審議をしたと言えるのでしょうか。竹下国会と私たち国民生活とのずれがわからないですか。わからぬ人は、次に当選するのではなくて、落選確実です。はっきり申し上げておきたいと思います。世論調査の結果を皆さんたちは一体どういうふうに思っておみえになりますか。これが現場の声です。自信がおありになるなら国会を解散してみなさい。結果ははっきりします。去年の売上税で一割も県会議員の皆さん落ちられたんじゃないんですか。
所得減税が目玉だそうですが、最低生活費には課税しない原則からも、生活保護基準より課税最低限度を上げるのかと思ったら、標準世帯でたった八万円の引き上げです。六十二年度の夫婦子供二人の四人世帯の生活扶助基準は約二百三十五万円、改革案では所得税で最高の人で百九十五万、個人住民税で百六十万円です。減税というパンを求めておる人に増税の石を与える、こういう内容に税制改革案はなっておるんじゃないですか。
源泉徴収制度の欠陥のために、今、年末調整が職場で行われております。翌年三月十五日までに払えばいい税金を私たちは十五カ月も前から払わされておるんです。私たちの所得税は、収入を得るために必要とした経費の実額控除は認められず、画一的な根拠不明の控除があるだけです。その控除の最低額が五十七万円で、控除率は四〇%から五%までの低さです。税務当局が資料を公開しないので、私たちは税金の経費の計算根拠がわからぬままずっと税金を取られております。
新聞報道によると、大蔵省の算定基準は、年収五百万円のサラリーマンの必要経費はたったの四十八万六千三百十三円です。
明細の一部を皆さんに念のために紹介をしますと、衣料品は一年間三万五千八百五十二円、背広は三年で一着、オーバーは二十六年で一着、ワイシャツはたったの一・七枚、ほかにシャツ二枚という内容です。身の回り品は一万三千二百五十九円、ネクタイは〇・八本、ケミカル靴が五年で一足。理容、洗濯は二万二千九百八十七円、床屋さんは年に四・六回、これでは床屋さんがつぶれるはずです。文房具は五百六円、万年筆は何と二十九年に一本だそうです。私は、中小企業に三十五年働いておりますので買えるかどうかということですが、年収五百万ありません。つき合い費は一万三千八百七十八円。ここはどういうわけか、さすがの大蔵省も内訳の説明ができぬそうです。皆さんが料亭へ行けば一人前一万円では済まぬと思います。私たちだって忘年会やせんべつや香典、人のつき合いをやるのは当たり前でしょう。どうしてこんな金額でやれますか。これが税金の根拠にみんななっておるんですよ。
この金額は、本人以外に家族の分も入れてあるんだそうです。生きていてこそ働けるのですから、食事代、住居費、家賃、子供の教育費など一円も、何で認めぬのでしょう。今この計算で私たちの税金が天引きされておるんです。公表できぬはずです。知ればだれでも怒ってまじめに税金を払うのがばからしくなるからです。税制改革はこの点何の改善もしておりません。国会は何をやっておるのかというのがみんな怒っておる声です。
交代制勤務や住宅や交通政策の無策の結果、マイカー通勤をせざるを得ませんが、自動車には自動車税、重量税、自賠責保険料などがかけられております。任意保険も加えると年間十九万三千百七十五円も負担をさせられておりますが、私たちだけは、自動車は通常の生活に通常必要な資産ではないとの理由で、一円も必要経費が認められず、他の所得者には、これらのほかに修理、車検、ガソリン、減価償却、車を買いかえれば譲渡損など全額の金額がオーケーです。なぜ認める改正をやらぬのですか。
マル優の廃止は、サラリーマン世帯全体で一兆六千億円もの増税となり、リクルートや土地転がしでぼろもうけした大金持ちの源泉分離課税三五%を一五%も引き下げたために、これらの人に四千億円もの大減税をやっておるじゃないですか。最高税率の引き下げで高額所得者への減税額は大盤振る舞いではありませんか。
所得二百万円で、六十二、六十三年の減税額合わせて十三万六千六百四十円、五百万円では二十八万七千六百二十円。一億円の人では千三百八十七万四千八百円、十億円の人では何と二年間で一億三千五百六十九万二千五百円も大減税になるんですね。自民党の議員の皆さんの中には、これを政治献金で当てにしておる人がおると新聞に書いてありました。だれが改革の恩恵を受けるのですか。答えは高額所得者の人たちだけじゃないですか。私たち平サラリーマンはだしに使われておるだけです。年収五百万円以下はサラリーマンの七八・六%、二千九百六十二万。みんな有権者ですよ。
年金生活者の場合どうなったでしょうか。扶養家族になれるのは、六十五歳以下で百五十三万円以下になっちゃいました。去年までは百六十八万円までオーケーだったんです。増税されたわけですね。皆さんたち帰っていって老人クラブで顔向けできますか。年金が上がってもおらぬのに扶養控除がなくなり、家族手当がカットされ、国保料金や固定資産税が上げられるんです。おまけに所得税、税金まで取られるんです。
相続税、贈与税でも最高税率の引き下げで大資産家を優遇する結果になっております。贈与税の基礎控除六十万円を何で引き上げぬのでしょう。
株式譲渡益課税もどんなにぼろもうけしても二〇%の分離課税でおしまい。源泉分離課税では売買価格の一%の税金だけで済み、架空名義や他人名義が野放しになります。配当所得者は政府の資料によっても五百九十二万二千円までは所得税がゼロですね。
法人税は既に六十二年度住民税のはね返りを入れると年間六千億円ぐらいの減税が行われております。これも減税の中身に入れられておるわけです。
これとは逆に、私たちがつくっておる、暮らしを守るために努力しておる消費生活協同組合には課税強化がたくらまれておるのだそうですね。税制調査会でも論議されておらぬのに突然法案の中に強引に入れられ、適正な手続を経ておらぬというふうに私ども思っておるんですが、国会の民主的な運営からも許せぬことだと思います。絶対反対です。条文を削除すべきだと思います。
消費税は、皆さんやると言って公約されて当選なさったんですか。うそをついちゃいかぬですよ。うそは神様も仏様も許しません。消費税は、生きていくためのすべてに課税し、税金を払えない人たちにも課税をする不公平な最たる税制であり、絶対反対です。一億円の宝石、一千万円のコートも、千円の私たちの着る下着も同一税率ではたまりません。
帳簿方式では、売り上げた商品がA、B、Cの三種類で、売り上げの比率が一緒ならAに六%、Bに三%、Cはゼロ、こうすれば平均三%の税率でいいということになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/8
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009・梶木又三
○委員長(梶木又三君) 参考人の方に申し上げます。時間が来ましたのでまとめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/9
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010・大島良満
○参考人(大島良満君) はい。それじゃ最後に申し上げます。
物品税法四十二条二項、ここには、売った物の値段と税額を分けて書けと書いてある。今回、消費税で守られますか。今ある法律でさえ守られておらぬわけです。簡易課税方式では、税金と言って私たちから取っておいて、最高一千三百五十万円も国庫へ納めずに懐へねじ込めるわけでしょう。
こんな政治と税への不信をもうこれ以上募らせることはやめてください。国会を解散して国民に聞いてもらえばはっきりわかる。これが現場の多数意見だということをお伝えして、私の意見を終わらしていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/10
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011・梶木又三
○委員長(梶木又三君) どうもありがとうございました。
次に、西川寿子参考人にお願いいたします。西川参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/11
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012・西川寿子
○参考人(西川寿子君) 御紹介をいただきました西川でございます。
私は、税制改革法案について、消費者の立場から幾つかの問題と思うところを述べさせていただきたいと思います。
まず、何と申しましても、消費者が関心を持っているのは消費税の問題です。この税制改革は、国民が公平感を持って納税し得る税体系の構築を目指しているとのことでございます。消費税はその税体系の三本の柱の一つになっております。消費税を実際に納税なさるのは事業者ですが、真の納税者はほかならぬ私ども消費者です。そこで、この消費税が公平感を持って納税し得る税金かどうかが、消費者にとっての最大の関心事になっております。
課税の仕組みを見ますと、メーカーから末端の消費者に至るまで、各段階で既に納付された税額を次々に差し引き、最終的に消費者に転嫁されることになっております。けれども、御承知のように、我が国の流通経路は非常に複雑で、仕組みの説明に用いられておりますような単純な経路というのはむしろ珍しいのではないかと思われます。さらに、事業者の課税免税点が年間売上高三千万円、簡易課税適用の上限が五億円というのは、余りにも緩やか過ぎるのではないでしょうか。
昭和六十一年度ベースの試算によりますと、年間売上高三千万円未満の企業数はおよそ四百十四万社、全企業数の六八%に達します。簡易課税が適用される五億円未満の企業まで入れますと五百八十七万社で、何と九六・七%になるわけです。これを消費者が最もなじみのある小売業に限ってみますと、免税される業者が七四%、つまり四軒のうち三軒までが納税しない業者なんです。もちろん理屈の上では、この小売業者の手に渡るまでに課税された分は小売価格に含まれますが、業者が免税されている分については、たとえ少額といえども安くなることになっております。
しかし、こんなことが現実になるとは考えられません。あちらの大型店は三%の消費税がかかるが、こちらの一般小売店ではそれがかからないからといって、じゃどれだけ安くなるでしょうか。しかもあらゆる業種、流通のすべての段階に免税の事業者、簡易課税の事業者は存在しています。消費者、すなわち国民のすべてですけれども、そのだれでもが識別できるよう大きなマークでもつけてくださるのなら別ですけれども、そうすれば私どもでも見分けることができますけれども、それは今の皆さんが考えていらっしゃるお話では見分けることができませんし、まして、きちんと納税しているかどうかわかるはずもございません。
事ほどさように、末端の消費者からこの制度をさかのぼってというか、逆の流れでもって見てみますと、この消費税は全く不透明な税制です。私どもが払った税金をだれがいつ、どこで幾らぐらい払ってくれているのか、私どもには一切わからない、そういう仕組みです。初めにも申しましたように、真の納税者は私たち消費者です。その納税者にわからない課税の仕組みでも、なおかつ納税者は信頼して払うとお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
世の中、善人ばかりではないのと同様、事業者もまた善良な事業者ばかりではありません。この消費税の脱税は消費者が払った税金の横領であり着服です。しかし、制度そのものがこのように不透明であれば、脱税する事業者が出かねないと私どもは危惧いたしております。脱税についてはかなり厳しい罰則を設けてありますが、何しろ企業数は六百万社以上、仮に免税点以下の企業を除いても二百万社近い数字になるんです。現在の税務行政体制はこれに対応できるんでしょうか。もしその対応というのも、取りやすい事業者だけ厳しく捕捉して、結果的にまた新たな不公平を生むことがないように対応することができるんでしょうか。なぜなら、そのような不公平が生じると、小売価格の上昇という形で結局その被害は私ども消費者にはね返ってくるという可能性があるんです。
もう一つここで心配なことは、今回の税制改革全体の収支のつじつまが合わないということなんです。所得税、住民税、相続税、贈与税、法人税などの減税分と、消費税、有価証券譲渡益課税などによる増税分との収支を締めてみますと、二兆六千億円のマイナスになってしまいます。来年の経済予測を見ますと、まだ好景気が持続するという楽観的な見通しが出ており、税収が自然増収を見込むということはできるかもしれませんが、これがいつまでも続くものと当てにするのは少し見通しが甘過ぎるのではないかと思います。しかも、このような新しい税制を取り入れればそのための行政コストもかかってくるはずです。総理は、竹下内閣では税率を上げないと答弁されていますが、この竹下内閣ではというのは客観的な時間を示す言葉ではありません。したがって、私はこの税率がいつ変更され、つまりその変更というのは値上げしかないと思いますけれども、そういう値上げされるという不安をぬぐうことはできません。
さて、もし消費税が実施されたとすると、まだ懸念されることは幾らもあります。既存間接税の廃止によって下がるはずの小売価格、これが本当に下がるだろうかということです。これまでの物品税などが、消費者から要求されていたにもかかわらず、税額を明示したものが極めて少なかったので、多くの消費者はどれだけ間接税を払っていたのか知らない場合が多いのです。政府にすれば、国民の知らないうちに税金を取れるというところが間接税の魅力なのかもしれませんけれども、この税制を今変える、あるいは税率も変わるとなると、消費者にとっては知らないということが大変不利なことになってまいります。便乗値上げもさることながら、値下げされたのを知らぬ顔の半兵衛を決め込んで値下げしないという事態が恐らく起こるでしょう。これまでにも円高差益還元について、あれやこれやの理由づけによって消費者に還元されないでいるという腹立たしい経験を私どもはしております。さらにこれから、広く導くかもしれませんけれども、消費税を負担して、その上に税制改革差益というようなものが事業者にひとり占めされるようなことは、到底私どもは容認できません。
そして、これだけ不安材料がそろっているものを、なぜ来年四月から実施することにこだわっておられるのか、どうしても納得ができません。政府の方々は、こんな短期間ですべての消費者、つまり納税者に理解させる自信がおありになるんでしょうか。いわんや事務手続をする事業者の理解と実行がスムーズにいくと本気で考えていらっしゃるんでしょうか。
税制改革というのは大変大事なことで、それをやらなくていいとは私は考えておりません。しか、し土地問題、教育制度問題、農産物の自由化問題など焦眉の問題が山積している中で、消費税だけがなぜ、十分な合意も、納税者の納得もないまま、かくも慌ただしく実施されようとしているのでしょうか。これが、私たち消費者が持っている大変素朴な疑問でございます。
以上、私の意見を述べさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/12
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013・梶木又三
○委員長(梶木又三君) どうもありがとうございました。
次に、藤永参考人にお願いいたします。藤永参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/13
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014・藤永延代
○参考人(藤永延代君) 私は、大阪のしろきた市民生活協同組合で、現在は専務理事代行をしています藤永延代でございます。
私は、民主主義のルールを無視する強行採決や消費税に反対する圧倒的多数の消費者、国民の立場から意見を述べさせていただきます。
まず初めに、台所の立場、暮らしを預かる主婦の目で見て、この消費税が家計にどんな影響を与えるのか、私どもの生協がことしの九月に行いました「わが家の増、減税チェック」の集約の一部を参考に報告をさせていただきます。
今回の税制改革では、年収五百二十四万円のサラリーマン家庭で平均五万一千円の減税になると言われています。しかし、私たちのところに返ってきましたものでは、年収五百六十三万の片働き家庭で十一歳と七歳の子供二人の家庭では、八万三千七百二十円の増税になっています。この人は、税金の多さにびっくりした、その上まだ取られるなんて取るところが違っているんじゃない、これ以上サラリーマンを税金でがんじがらめにしないでと感想を書いています。また、年収六百八十万の片働き家庭で七歳と九歳、二人の子供を持つ家庭でも、年収六百七十万以上の減税対象世帯のはずだけれども、減税はわずか千二百八十円にしかならない、このことを実感しました。もし、五%になると七万八千円もの増税ですと言っています。一千万を超え、四人家族で五万円減税になる人でも、二人で働いている割に消費支出が少ないので減税に見えますけれども、ローンに追われ老後も不安で消費をふやせないだけですと書いています。それぞれに数字を出してみて改めてびっくりした、甘い言葉にごまかされてはいられないと感想を寄せてくれました。
家計簿をきちょうめんにつけている人は、収入の中に占める税金や社会保障費の比率の大きさをよく認識しています。「くらしからみた社会保障費しらべ」、この調査では、給与世帯では収入の三〇・九%が社会保障費、税金、医療費で占められて、大きな負担になっていることが浮き彫りになりました。これ以上取って一体何に使うの、台所の目が国家の予算案を見ますと、軍事費の増加が目立ちます。平和憲法を持つ日本で、高齢化社会に必要な財源だと言われるならここを削ればいいじゃありませんか。
私たち大阪の婦人は、九月二十一日、「なまえを変えてもいややねん消費税」、消費税法案の撤回を要求する大集会を持ちました。近畿二府四県はもとより、愛知からも広島からも四国からも、子供の手を引いたお母さんたちが七万二千人も集まったんです。消費税の内容を知るにつれ、何に使われるかを知るにつれ許せないと怒りを持って立ち上がったのです。
大粒のダイヤにも赤ちゃんの粉ミルクにも同率にかける悪税を許せない、黒いうわさの手で台所を直撃する消費税をごり押しする政治は許せない。何よりも間接税は導入しませんと約束した人たちが主権者国民をだまして導入しようとしている民主主義破壊を許せない、こんなことを許したら日本がむちゃくちゃになる、社会がむちゃくちゃになる、そんな思いのお母さんたちが、日差しの強い大阪城に七万二千人も集まったのです。消費税絶対反対の一致点で、消費者、事業者、市民百五十七団体、六百十七単位団体が集まりました。障害者の皆さんの姿もありました。短冊に消費税ノーの意思を託して五万個の風船を空に放ちました。あのときのどよめき、今も耳に残っています。
私は二人の子供の普通の母親でした。家事が大好きな専業主婦でした。その私が石油パニックのとき物不足で振り回されました。これではいけない、私たちの暮らしは私たち自身の手で守ろうと生活協同組合づくりに参加したんです。自分たちでお金を出して、仲間を誘って、みんなで分け合って、そんなことを通してたくさんのことを学びました。障害者のお友達もできました。障害者の福祉後退で障害者にどんなことが起こっているか御存じですか。私たちの生協のすぐそばに知恵おくれの子供たちの施設がありますが、軽度で少し仕事のできる子は職場実習に出かけます。そこでもらう四、五万の小遣いがあっても、二十過ぎた子はあらゆる措置をストップされるんです。親があろうがなかろうがストップされます。私たちの精米所で働くある子は、アパートとの約束で、極寒の冬の日でも電気あんか一つしか使わせてもらえません。厚い援助の要る子への補助はカットして、消費税はこの子からも取るのです。今、私たちはこの子たちの家をつくろうとカンパ活動を進めています。
今回の税制改革で、私たちが見過ごせない重大なことが隠れています。それは生協への課税強化です。私たち自身が暮らしを守ろう、生活を文化的に向上させようと小さな力と大きな知恵を寄せ合ってつくってきた生協、お母さんたちが生き生きと活動している生協、法人税減税のもとでなぜ生協にだけ課税強化をするのですか。大きな生協だけといいますけれども、組合員が五十万人いても百万人いても一万人でも、一人の組合員の利用高は同じです。願いは同じです。利益追求を目的とする一般企業の税金は引き下げて、お母さんの暮らしを守る事業に、ここだけになぜ課税強化をするのですか。こんな不公平なことは絶対許せません。
おしまいに、先ほど申しました消費税集会に参加したある組合員の感想文を読ませていただきます。
今の政治家は江戸時代から進歩していない。悪徳代官みたいだ。一人でどなっていても生活は変わらない。どなりたい人が七万二千人集まった。このパワーで庶民の暮らしを守る方法はないのか。私は考えた。炎天下で考えた。私たちの生活を守る唯一の方法は選挙だ。消費税に賛成した政治家には金輪際入れないことだ。婦人は子育てだけでなく政治家も育てよう。立派な政治家を育てれば庶民の暮らしは進歩する。
今、子供たちの中に国会への関心が高まっています。今どきの大人はと言って見ています。今私たちがどんな判断をするのか、子供たちがにらんでいます。国際化の時代、二十一世紀に向けて、もう政治は陰湿な駆け引きの場では済まされません。理論的で科学的で人間的で、そして正義まかり通る場でなければなりません。今このとき、きょう大阪の中之島中央公会堂で、私たちの仲間二千人が集まって、「消費税あくまでNO! 主権者・怒りの集会」を開いています。公約違反の消費税は断じて許しません。どうしても入れたいのなら解散をして国民に聞け、これがみんなの声です。
諸先生方に心から訴えます。子供たちのお手本となるような民主主義と、正義感あふれる政治活動を進めてください。それが今一番求められています。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/14
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015・梶木又三
○委員長(梶木又三君) どうもありがとうございました。
以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。
この際、参考人の方々にお願い申し上げます。質疑応答の時間が限られてわずかでございますので、質問には簡潔にお答えいただきたいと存じます。
それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/15
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016・松浦孝治
○松浦孝治君 ただいまは、参考人の皆さん方からそれぞれの立場で、またそれぞれの言い方で御意見がございました。
私は、自由民主党の松浦孝治でございますが、かつて商工中金に勤務したこともございます。また中小企業が主体の徳島県の選出でございますので、井上参考人が申されました御意見、全く同感でございまして、また中小企業者に対する認識も同じだと思っておるわけでございますが、所得の捕捉状況を称してクロヨンとかあるいはトーゴーサンとか言われるのをどのように考えて受けとめておられるのか、御意見をお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
また、全国に中小企業が幾らぐらいありまして、そのうち消費税の課税対象企業が幾らぐらいになるのか。また、小規模企業はその面でどのようになるのか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/16
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017・井上光一
○参考人(井上光一君) 今、松浦先生から急所急所についての御質問をちょうだいいたしまして、私も先生ほどの知識はございませんが、知っている範囲でお答えをさせていただきたいと思います。
最初のクロヨン問題、トーゴーサンと言われておりますが、今はそれを通り越して、十、四、二、トヨニという数字に変化しつつあるようでございます。この問題は、もちろん十が給与所得者で、五ないし六が中小企業、それから三ないし二が農業である、こういう認識に立っているわけですが、そこから出てきた数字がこういうふうに言われております。それはやはり私は、税の仕組みの問題と捕捉の仕方に大変違いがあってこういう不公平な数字が出ているように考えております。
と申しますのは、給与所得者は最初から源泉徴収その他でもう逃れようもなく税金というものは最初に払っているわけですが、その他の商業、工業については申告納税でございますので、多少ともそこに微妙な食い違いが生じてくる。そういうものがこういう数字で言われるような形を形成しているのじゃないか、こういうふうに思っている次第でございます。その辺で今のことはよろしゅうございましょうか。
それから次に、今、中小企業のどれくらいが課税対象になるかというお話が二つ目の御質問のようでございますが、先生も御承知のとおり、日本の中小企業は大体六百四十五万人で九六・四%が今の実態でございまして、これらの関連人口その他を一切含めますと、これほどの国家の安定勢力になる数字はないと私は確信をいたしております。そういう意味で、税金を納める段階においても、中小企業者が最も多いことは当然の結果でございます。私どもの試算によりますと、おおよそ中小企業が納める税金というのは幾つかの分類ができようかと思いますが、まずそれを申し上げる前に、中小企業が平均付加価値といいましょうか、納めている税法上の付加価値を申し上げますと、全業種が一八・五%、製造業が二四・九、卸売業が八・八、小売商が一六・七というふうになっておりますが、今回御審議をされている消費税がもしストレートにそのまま通ったということになりますれば、この対象になる企業数はおおよそ全体の六二%くらいではないかというふうに考えております。といいますのは、このところ若干、インフレ的様相はないにしても、物価の値上りはないにしても、企業を取り巻く環境が土地を中心に非常に上昇ムードにありまして、それらのものを対象に加えると、その辺まで行くのではなかろうかというのが私どもの試算でございます。非常に科学的根拠に薄い御返答になりますが、そんなことが今答えられる、私が持っておる考え方でございます。よろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/17
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018・松浦孝治
○松浦孝治君 ただいまトーゴーサンとかクロヨンとかの御認識、若干私と違うわけでございます。
私は、商工中金で融資を九年ほど担当しておりましたし、また地域でいろいろ中小企業の実態を見ておりますと、世間で今言われておりますようなトーゴーサンとかクロヨンとかの四とか六とかのそういう財務内容でない非常に厳しい過当競争を強いられておりまして、実際にそれだけの税金が上がってない、六割も四割も脱税をしておるようなそういう状態では絶対にない、私はそう信じております。また、客観的に見ておるわけでございまして、若干ちょっと私のとらえ方と違いましたので申し上げました。
私が何でそんな御質問をしたかと申しますと、現在、多様化した価値観なりあるいは消費ニーズがあるわけでございます。それに反して供給過多の経済情勢になっておりますので、税率三%で消費税が導入されましても私は消費者の購買意欲は減退しない、このように考えておるわけでございます。転嫁問題は、最前線に立っておる多数の中小企業、先ほど数字を示されましたが、多数の中小企業の納税義務者が努力していただくか否かが今回提案している消費税の定着の成否を私は握るものだと、このように考えておるからそういう御質問をさせてもらったわけでございます。
そういう点で、先ほどお話がいろいろございましたが、転嫁の問題とかあるいは事務負担軽減対策等について、中小企業政策当局と財務当局が調整をいろいろやっておりまして、消費税導入等に対する円滑な執行体制ができるようにということで今努力をしておるということを私は聞いておるわけでございます。
ところで、ちょっとほかのことになるわけでございますが、この委員会で簡易課税制度の選択を今回認めておるのに、付加価値率、これが二〇%、あるいは卸売では一〇%ですか、これに対する論議が非常に強いんですが、井上参考人はどのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/18
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019・井上光一
○参考人(井上光一君) 今ちょっと私の言い方がそれこそ舌足らずなところがありましたが、クロヨンというのは要するに税金を払った後の結果を言うのではなくて、申告の場合の過程の中で出てくる数字をそういうふうに押さえて言っているわけでございまして、実際には青色申告といえども白色といえども、税務署でいろんな御注意をいただいたり何かして修正されますと、これはおおよそは十に近いだけのものを納めている、これは事実でございますので、申し開きをいたしておきます。
それから、後半の問題は選択の問題ですけれども、私はやはり極めてフランクに考えて、ある一定のところで線を引かれた以上は、引かれたところの部類に属する人たちの自由な体系でそれらを選択できる、こういうふうにしておいていただければ問題はないであろう、こういうふうに非常にこれは楽観的に考えておるわけでございます。
ただ問題は、非常に数が先ほど申し上げたように多いわけでありますので、この人たちに徹底をさせ、周知を図り、そしてさらにそれを御納得いただくということにするのには、私は今までのような税制行政の指導やあるいは諸団体が行っている指導だけではとても半年や一年では間に合わない。こういう意味から、先生がおっしゃるように、これらについては農業関係ですら九百億からの今回の特別予算を組んでそういう費用に充てる、経費に充てるようでございますが、この数からいったら、あるいは金額からいっても、これに数十倍するほどのものでいいと思いますが、やるべきだろうと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/19
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020・志苫裕
○志苫裕君 どうも参考人の皆さんありがとうございました。社会党の志苫です。
何せ時間がないもので、皆さんからじっくりお伺いする機会がないんですが、まず最初に、幸いお二方サラリーマンの立場でお話をいただきましたので、西川参考人と大島参考人に端的に聞きます。
たまたま西川参考人のお話がありましたが、中堅サラリーマンというのはライフステージにおける税金の累増感があって困る、もう働く意欲もだんだんなくなるというたぐいの話なんですが、ならば消費税を導入いたしますとそれが解消されますか。これが両参考人にお伺いすることの一つ。
二つ目は、たまたまこれも西川参考人のお話でありましたが、法人税がどうも国際的に高い、これには議論がございますけれども、だから引き下げてくれ、回り回ってサラリーマンにはね返るというたぐいのお話がありましたが、そのようなサラリーマンの実感でございましょうか。そして、サラリーマンは同時に消費者です。法人税減税のために消費税の財源を法人税の減税に回してくれ、個人の所得を法人の方に移転してくれと、こういうお話なんですが、これがサラリーマンの実感になるだろうかということについて両参考人から簡潔にお願いしたいこと。
全部もう聞いてしまいます、時間がありませんので。
それから、主婦の立場で米山参考人、藤永参考人からお話いただきましてありがとうございました。
端的に聞きますが、この税金、いろいろ議論しておりますと、実は税金というのはお上に納めるものだと思っていましたら、今度の税法というのは、お母さん方が支払った税金が必ずしも納税されるとは限らない、途中でどこへ行っちゃうんだかわからないと。だが、消費者であるお母さん方は、この税法では、いわば何というんですか、法律的には当事者能力を持っておりませんので、どこにも物を言っていく場所がないわけですね。あら私のお金どこへ行ったのといったってどこにも訴える場所もないという、そういう仕掛けになっていることを普通のお母さん方は知っているでしょうかね。このことをお聞かせ願いたい。
それから、済みません、一番最後になるかもしれませんが、一番最初の井上参考人にお伺いします。
賛成の立場で御発言がありました。賛成にもいろいろあるんですが、歓迎する立場なんでしょうかね。消費税の導入を歓迎する立場でお述べになっておるんですかということと、お話を聞きますと、転嫁の問題など中小企業が抱えておるさまざまな懸念も表明されましたね。こういうことを解決してくれぬかというふうに御意見を伺いまして、実は我々も、賛否はともあれ、そういう御意見もあろう、だからもう少しじっくり相談するところは相談をして、これはおかしいなというところが直せるものなら直すという意味でも、今急がぬでもいいじゃないの、もう少し時間をかけたらという議論もしているんですが、実施の時期などについてせっぱ詰まって急ぐ必要があるのかないのか、こういう点について御意見をいただければありがたい。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/20
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021・西川元啓
○参考人(西川元啓君) お答え申し上げます。
私ども中堅サラリーマンの累増感、これが消費税の導入によって解消されるかという一点目の御質問でございますけれども、私どものこの累増感というのは不公平感と一緒に強くなっているものでございまして、消費税はだれもが負担する、こういうものが導入されることによって不公平感が減少されること、またこれが我々特に中堅サラリーマンにとって強くなっております税負担の減少に使われるということ、これで累増感は消費税の導入によってかなり減少してくると私は思っております。
次に、一般のサラリーマンが法人税と消費税とを比べて法人税を議論するのはどうもおかしいじゃないかというふうなことでございますけれども、私申しましたように、少なくとも中堅サラリーマンは常に会社の動向に注意し会社の発展のために働いているわけでございますから、法人税が小さくなること、これが消費税の導入によってその財源がてん補されること、これについて賛成をするサラリーマンは、特に中堅サラリーマンにおいてはかなりの数に上るだろう、私はそう認識しております。
以上、お答え申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/21
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022・大島良満
○参考人(大島良満君) 志苫先生の御質問、二点ございましたのでお答え申し上げたいと思います。
まず第一点目のサラリーマンといってもいろいろおるということですね。今、西川参考人は中堅とおっしゃいました。この中堅というのは実はあいまいなんです。これは政党の皆さんの、学者、専門家の皆さんの試算によっても、大体年収八百万以上の人は消費税が入って減税があると、その影響力がどっちかというと減るというところへ向くという試算が出ているようでございます。
問題は、大多数のサラリーマン、先ほども数字を申し上げましたように、五百万以下で約七九%、これが七百万、八百万になると九割近い人が消費税が導入されることによって大増税になるわけでございます。したがって、まじめに考えておる人は、当然のことながら税金の使い道自身も余りサラリーマンの役に立つことをやっておっていただけぬものですから、反対というのは至極当然なことであろうと思います。解消はできないどころか、不公平が拡大するものと言わざるを得ません。
次に、なぜ不公平というのがあるのか。これは国会の論議を拝見しておりますと、税率に問題があるやに言われておりますが、私どもはそうは思っておりません。先ほどもちょっと指摘をいたしましたように、いわゆる給与の概算控除、これをもっと大幅に引き上げる、そして課税最低限度額を生活保護基準よりもっと引き上げる、こういうことをまずやって、その次に税率の問題を私どもは議論すべきであろう。この前提条件を抜きにしておやりになるものですから、今回の改正案でいきますと、例えば三百万をわずか十円越えても一〇%の税率が二〇%になっちゃう、こういういうことに実はなりまして、依然として不公平というものは現実的に残ることになると私は思います。したがって、これらについても十分なひとつ御議論というものをお願い申し上げたい、かように思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/22
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023・米山久美子
○参考人(米山久美子君) 端的に申しまして、私たち消費者は余りにも消費税について知らされてなさ過ぎると思います。一般の主婦が得る情報源というのは、毎日配られる、家庭でとっている新聞でしかございません。ですから、その中でかなり解説記事を詳しく読んでも、私の実感ではやはり消費者がどういう仕組みで毎日買うものに税金がかけられ、それがどういう形で納税されているのかというのが非常にわかりにくくなっていると思います。そこがともかく第一の問題点だということを、本当に声を大にして言いたいと思うんです。何が何だかわからないうちに値上げされて、それで取られてしまうというこういう怒り、これをよく御理解いただきたいと思います。
志苫先生の御質問にありました本当に税金が納められるかどうか普通の主婦はわかっているだろうかということですが、わかってないんじゃないかと思います。それも実際に物価に、何か物を買ったときに、結局その中に税金が含まれているんだよという程度の理解でしか実際には私たち国民には実態は知らされてないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/23
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024・藤永延代
○参考人(藤永延代君) 私は、そもそも納税という言葉が古いと思うんです。本当は私たちは税の支払い者であるというふうに思いますが、この転嫁の方法でスーパーなどで最後の集計の一括で三%かけていいというふうになっているというのを聞いています。そうなりますと、支払わなくてもいい分まで私たちが支払うことになるという不合理があること。それから端数処理、端数の切り上げとか切り下げでトータルで三%になればいいというふうになっていることも聞いております。それからもう一つはカルテル、お互いに相談をしてもいいというふうになっているということもお母さんたちは知っております。だから、知るにつれてこれは許せないというふうに立ち上がっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/24
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025・井上光一
○参考人(井上光一君) 賛成については本音で積極的な意思で申し上げました。それは先ほど申し上げたほかに、国際化なりあるいは高齢化なりがどんどん進んでいる中でまごまごしてはいられない、安定するようなものに早くつくってほしい、こういう考え方でございます。
それから二つ目のお問いかけにつきましては、担税力の問題等もございますので、それらも含めて積極的に前向きでやっている、こういうことでございます。
それから最後の問題でございますが、だからゆえに、私どもがお願いすることを、要望することをやってください。それはゆっくりやってくれということは意味いたしません。急いで早くそういうふうにしてくれ、それによって私どもそういう余日を、余った日にちを真剣に業界その他の指導、啓蒙をしていく、こういうゆとりが欲しいからでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/25
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026・太田淳夫
○太田淳夫君 参考人の皆様方には貴重な御意見を賜りまして本当にありがとうございました。
時間もございませんので、皆さん全部にお聞きするというわけにもまいらないと思いますので、とりあえず西川寿子先生にお尋ねしたいと思うのでございます。
先ほど消費者の立場からるるお話がございました。私ども拝聴いたしておりまして、まさしく私どもが主張している消費者の皆さん方の御意見の立場を代表されているものだと、このように拝聴いたしておったわけでございます。
今回の消費税、考えてみますと、事業者の皆さん方の立場というものが主として中心的にこの制度をつくるときに論ぜられてきたんではないか、消費者の皆さん方の立場というのは忘れられていたんじゃないかというような思いがしております。きょう貴重な御意見を賜りましたので、私ども早速その意をまた生かしていきたい、このように考えておるわけでございます。
最初の第一点は、消費税、パーセントとしては低率でございますけれども、これが導入された場合には非常な逆進性と申しますか、高い所得のある方々に対しましては軽い税金の負担で済むし、あるいは低い所得の皆さん方には重い税金の負担となってくるんじゃないか、こういう懸念が消え去りません。その点について先生のお考えをお聞かせいただきたいことと、先ほど土地の問題あるいは教育の問題についてまだまだ緊急的に解決しなきゃならない問題があるんじゃないか、こういうお話でございました。
土地の問題についても、私ども六十三年度の国民生活白書等を見ますと、第一分位と第五分位の皆さん方の間の資産の格差というものはますます広がる一方である。やがてはそれが日本の国の中で二つの大きな階層をつくっていくんじゃないか、新たな階級社会を日本の中に形成していくんじゃないかという心配、それがまたこの消費税によって助長されていくんじゃないかというような心配を持っておるわけでございますが、先生のお考えの土地の問題あるいは教育制度の問題について御意見を承れれば幸いでございます。
それから井上参考人にお尋ねしたいわけでございますが、今、消費税につきましては積極的に賛成であるということをおっしゃっていただきました。私どもは反対という立場でございます。
そこでお尋ねしますが、先ほど西川参考人の方からも税率のアップについての懸念がございました。当委員会でも竹下総理は、自分の時代にはないであろう、しかし、この歯どめについては、この内閣で一つ一つ決めて先に縛りをかけるわけにいかないということでございまして、非常にこの税率のアップについての懸念が残っているわけでございます。商工業者の皆様方は、三%ならば賛成なのか、あるいは一〇%まではいいのか、ヨーロッパのような軽減税率あるいは重い税率、そういった複数税率でいいのか。また総理は、この委員会でもおっしゃっておりましたが、帳簿制度については見直しをしていきたい、こういうこともおっしゃっておりますが、その点についての参考人の御意見を承れれば幸いでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/26
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027・西川寿子
○参考人(西川寿子君) お答えをいたします。
第一番目の問題の逆進性の懸念でございますが、これは私も懸念をいたしております。いろいろ数字が出されまして、この程度であれば逆進性があるといっても大したことはないだろうとか、あるいは、いやそれでも大変だと、いろんな議論が行われていることも承知いたしております。しかし、現代の社会というのは単に統計で割り切れるようなそんな単純な社会ではございません。生活というのも極めて多様化いたしておりますので、統計でこのぐらいの所得があれば大丈夫だろうとか、そんなものじゃないわけです。特に、高齢者それから身体障害者、いろいろなどうしてもここは何とかしなければならないと思われる方々、あるいはそういう世帯というのがたくさんございます。そういうところには、これは別途の配慮というものが絶対に必要です。それがセットして考えられなければならないというふうに私は考えております。
二番目の土地問題でございますけれども、これは相続税の改正ということで多少軽減されるかと思います。けれども、基本的に今、問題になっておりますのは、大変に高くなった土地を抱えている人たちの問題にかなり集中的に出ているわけでございまして、この問題は大都市周辺などに特に顕著に見られますけれども、そこに居住して、しかも長年居住している人、それが連れ合いが亡くなったために住むところさえ失ってしまうような問題になってきているわけです。今、これは相続税だけで多少改正いただきましても焼け石に水の問題でございまして、基本的には政府が土地の問題をもっと大幅に改革する、あるいは土地問題に対する極めて斬新な思い切った政策をとっていただかなければ解決しない問題だと思います。
三番目の教育の問題、これは教育費の高さということにまず一つはあらわれておりまして、今回の税制改革の中では扶養控除割り増しということで、若干、高い教育費に悩んでいる親たちに少しの救い水ということになります。けれども、これは私が学校で今教えている生徒たちを見ております立場からいいますと、何か大変に間に合わせの小手先の解決でしかない。基本的な解決になっておりません。なぜかと申しますと、そもそもこんなに高い教育費を払わなければならないということ自体、変えていかなければならない問題だと。だから、そこにちょっとばかり何かお金が、私たちが楽になるからといって、じゃ変わるかというと変わらない問題で、この問題もやはり基本的には教育制度の改革ということを考えていただきたいというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/27
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028・井上光一
○参考人(井上光一君) 先生のおっしゃられるように、問題点が幾つかありまして、一物二価の問題、逆進性の問題、率の問題、そういうことでありますが、その中でも一番気になるのが、私はやはり今は三%ですけれども、スタートしたらすぐ上がってしまう、こういうことではないかと思います。実際に巷でもそういう議論をしているわけであります。少なくとも何%というふうに決めたら、そういうコンセンサスが得られたら相当長年月、——長年月といいますと、五年が一区切りか十年が一区切りということになりましょうが、そのぐらいはそれでもってやっていくというようなことでないと問題であろうと思います。ぜひそういうふうにお願いをしたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/28
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029・吉川春子
○吉川春子君 参考人の皆さん、きょうは年末の忙しいときに大変貴重な御意見を伺わせていただきまして、本当にありがとうございました。
時間の関係で、まず藤永参考人にお伺いしたいと思います。
国会でリクルート疑惑の解明がなかなか進んでいない。新聞の投書を見ても世論調査の結果を見ましても、国民の怒りの声が伝わってまいります。藤永参考人が生協の運動の中で主婦の皆さんあるいは組合員の皆さんと接触されるわけですけれども、リクルート疑惑に対してどんな声があるでしょうか、具体的に紹介していただきたいと思います。
二番目は、参考人の大阪しろきた生協では、家計簿による増減税チェックを組合員の皆さんの協力で行ったという御報告でした。現在の家計簿を基礎に、万が一消費税が導入されるとどうなるかという、こういう数字なんだと思いますが、もう少し具体的に伺わせていただきたいと思います。集計の途中なら、わかる範囲で結構なんですけれども、何人ぐらいの組合員さんを対象にして行い、またこの調査の過程でどういうような感想が寄せられているか、そういうことにも触れていただければと思います。
三点目は、障害者あるいは低所得者など今まで税金を納めていなかった人々にも情け容赦なく課税されるのが消費税ですが、新たに課税される人々の数は一千万人以上といわれています。おむつやミルクにも課税がされる。そういう中で、婦人がこの消費税のどこに一番不安を感じているんでしょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/29
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030・藤永延代
○参考人(藤永延代君) お答えいたします。
リクルートの株というのは普通の人が絶対に手に入れることができない、そんな株なんですけれども、それを国会の運営の主軸に当たる人たちだけが手に入れて、そういう人たちが手に入れて大もうけしているというそのことがまず第一に不信。
それから、その中で大きな関与をされている江副さんという方が政府の税調特別委員になっているということも許されない。何をしてもいいのか。先ほど、私たちの仲間の感想文にもありましたけれども、本当にあの江戸時代の悪徳代官みたいや、そのままの政治スタイルが今日に引き継がれているんと違うか、国際的に恥ずかしい、子供たちに恥ずかしい、そういうことをお母さんたちは言っています。
それから、先ほど申しました消費税の集会で、「「リクルート疑惑」の徹底解明と政治倫理の確立を求める「特別決議」」というのをいたしました。この中の一部なんですけれども、事は民主主義の根幹にかかわる問題だ、疑惑に絡む政治家に税制改革を語る資格はない、国会はみずからの責任で政治倫理の確立と国民の根強い政治不信を振り払うために最大の努力が求められる、そういうふうに決議をしています。ぜひこういう声を聞いていただきたいというふうに思うんです。
それから、先ほどの増減税チェックなんですけれども、こういうものなんですが、(資料を示す)
これは税務署で働く皆さんが生協のお母さんのためにということで、いろいろ相談をしながらつくってくださいまして、実は自分の一年間の消費支出がどれくらいかつかんでいる人でないとなかなか難しいということで、今、生協では二万八千人組合員がおりますが、家計簿をつける運動に参加している約百五十人くらいに送りまして、今返ってきているものが大半なんですけれども、先ほどから八百万の収入では減税という話でした。その方の中でも、計算上は減税と出ましたが、実感がわきません、給与明細の収入欄はふえているのに、手取りが余りふえていない上に、五人の生活費が年々かさむ一方で、もっとサラリーマンに対して必要経費を認めて減税をしてほしいという意見も来ていますし、また、ほとんどのサラリーマンが増税になるとよく耳にしていましたけれども、自分のところはどれぐらいなのかはっきりしていませんでした。数字を出してみて改めてびっくりして、これは大変だと実感したと言われています。やはりきっちり数字をつかんでみると、何ぼ所得が減税されても生活費がかさんでいるから、結局増税になるというふうに言われています。
それから、障害者の方なんですけれども、先ほど申しました私どもの精米所で働いている知恵おくれの子供、この子は実は森永砒素ミルク事件の被害児なんですけれども、両親も亡くなってひとり暮らしをしています。いろんな措置はカットされていても、その子からも取る税金。そして、生協の組合員さんの中に視力に障害のある方がたくさんいらしゃいます。その人たちも、今までは本当に安いお金でホームヘルパーを派遣してもらっていたのが、もう一時間二千五百円ぐらい払わなあかん、なかなか頼めないという、消費税はそういう人からも取る税金だと。それを称して広く薄くと言うんでしょうけれども、その導くのところにかかる負担の大きさ、それは随分暮らしを厳しくするというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/30
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031・吉川春子
○吉川春子君 井上参考人にお伺いいたします。
消費税導入に賛成論をおっしゃられました。中小企業の振興策あるいは相続税の問題、こういうものは消費税とは別にやらなければならない課題がたくさんあると思います。消費税の導入に不安を強く持つ人もいると、こういうふうにおっしゃられました。その中で、税率の引き上げあるいは転嫁をその例として挙げられました。今も税率の問題について参考人のお答えがありましたけれども、税率の三%の引き上げということは、今の自民党多数の国会の構成では簡単にやろうと思えばできるわけで、私はそういうことの保証さえもないというふうに考えているわけですが、その点についての参考人の御見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/31
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032・井上光一
○参考人(井上光一君) 私は、私どもの選んだ先生方のコンセンサスが得られたものがそうたやすく変わるとも思いませんし、そうでないように信じているから今回のことでも賛成をするわけでございますので、お含みをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/32
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033・吉川春子
○吉川春子君 もう一点お伺いいたしますが、私つい最近、中小企業家の方から多数陳情を受けまして、消費税の導入には強く反対だとおっしゃっておられました。その理由として、競争社会において結局転嫁ということが非常に難しい。その税金を自分が払うということになるのはもう火を見るより明らかなので、そういう観点からも絶対に導入しないように頑張ってほしいというふうに陳情を受けたんですけれども、この点は参考人はどうお考えでしょうか。
それから、済みません、時間の関係でもう一つ続けて伺います。
米山参考人にお伺いいたしますけれども、やはり婦人の立場から消費税反対のお考えを述べられましたので、婦人の方の不安の声を紹介していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/33
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034・井上光一
○参考人(井上光一君) 中小企業は非常に多種多様でございまして、取引関係も非常に複雑怪奇でございます。そういう点から申しますと、先生の御心配のような向きも随分ありますし、ですから私は冒頭の、賛成はいたしながらもそういうことのないような指導なり啓蒙をしてほしい、またそういうための費用もたっぷり使って徹底してほしい、こういうふうにお願いをしたわけでございますが、私は、どうもそのために絶えず中小企業が苦しんできたという事実も否定できませんので、こういう税制改正というような折にそういうものを改めて見直して、そういうものまでもしっかりやっぱりそうでないような、払うべきものは払う人が払うというような習性をしっかりつけてしまう、つけさせる、こういうことが必要ではないかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/34
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035・米山久美子
○参考人(米山久美子君) すべてのものに三%の税金ということで、これが毎日毎日いろいろなものを買うのに家計にどのくらい本当に響くのかしらという不安ですね。実際に実施された場合に、片働きの場合ですと、御主人のお給料で家計をやりくりするわけですから、それが果たして、給料が上がった分と物価が上がった分と差し引き幾ら減税になるとはいえ、本当はやっぱりますます生活が苦しくなるんではないかという、そういう不安がまず端的な点だろうと思います。
それから、便乗値上げがどんどん起こるんではないかという不安です。もし三%で端数というものが出ましたら、それは何円という形で切り上げ値上げになるだろう。実際に消費税が導入された後の総物価へのはね返り、それがインフレーションを招くんではないか。多々、日常生活に対するやはり物価へのはね返りに対する不安というのが一番大きいだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/35
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036・柳澤錬造
○柳澤錬造君 私は民社党の柳澤でございます。
参考人の皆さん方、本当にきょうは貴重な御意見をお聞かせいただきまして感謝を申し上げます。
最初に、この法案について非常にお詳しく、勉強されているのに私、感心をして聞いておりましたんです。事の賛否は別にしまして、一般の国民の人たちには今度のこの法案というのはなかなか複雑でわかりにくいんで、だから、そういう中で皆さん方はその辺が非常にお詳しくなにしておりますので、参考人公募のときに御自分の意思でもって応募をなさってきたのか、それともだれかに薦められて出てきたのか、そこのところを皆さん方にお聞きしたいんです。(「各党推薦だから」と呼ぶ者あり)ああそう。じゃ、わかりました。それはもうわかりましたから。
それで、西川寿子参考人にお聞きしたいのはこの消費税が非常に不透明だということを先ほどおっしゃいましたがこれもそのとおりなんです。
それで、その不透明だというふうに判断をされた、幾つかあるけれども、その中の一つを取り上げて、こういう点がもうまことによろしくないじゃないかといって教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/36
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037・西川寿子
○参考人(西川寿子君) お答えいたしますが、先ほど私が述べました中に不透明な理由というのは挙げたつもりでございます。もしあれでしたらもう一度繰り返しますけれども。
大体、こういうふうな制度を考えますときに、税金を取るという側から制度というのはつくっていかれるわけでございますが、私どもは反対に払うという立場から逆にこの制度を見るわけでございますね。そのときに、取る側から見ますと大変透明感があるようでございますけれども、逆さまに払うという立場から見てみますと、私たちは実際に払っている、しかし、私たちが払ったものが本当に国に払われているのかというのは、この制度を突き詰めて見ていくとわからないというところで不透明感があるんだということを申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/37
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038・柳澤錬造
○柳澤錬造君 次に、米山参考人にお聞きをしてまいりたいと思います。
参考人の先ほどの御意見の御開陳の中で特徴的なのは、日本で今度やるのは三%だけれども、ECではいわゆる複数税率をやっているんじゃないか、そういう御意見があったんですが、その辺を具体的にもうちょっと御説明していただければと思うんです、どこの国のという。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/38
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039・米山久美子
○参考人(米山久美子君) 私は、生活協同組合に属しておりまして、生協の中の学習会等で勉強した点でございます。私は税務の専門家ではございませんので、日本生協連の出している資料の中で勉強をしたということで述べさせていただきます。
今の問題でございますと、日本生活協同組合連合会の「消費者と消費税・税制の抜本改革」という中にございますので、もし御必要でしたならばこれを資料として提出させていただけますればよろしいかと思います。私自身がヨーロッパに行ってそういう体験をしたということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/39
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040・柳澤錬造
○柳澤錬造君 じゃ次に、西川元啓参考人の方に。
サラリーマンの立場でいろいろ先ほど御意見を述べられた中で、サラリーマンにも申告納税制度を認めろと言ったのかどうなのか、そこのところがはっきりしなかったのでお聞きしたいんです。というのは、私もそういう意見を持っていて、クロヨン解消のために、今までどおりの源泉徴収でいいと思う者はそのままさせておいたらいいし、それから確定申告をできる人は確定申告させたらいいじゃないかと言って、その選択の自由ぐらい認めろと言って予算委員会でやったことがあるんで、その点についてもうちょっとはっきりさせていただきたい。
それからもう一つは、一番最後に、いわゆる低所得者、恐らく税金のかからない人たちのことだと思うんです、結局消費税がかかるから。だからこういう人たちの税負担の軽減のことを考えてやれと、こうありました。
その二点について御意見をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/40
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041・西川元啓
○参考人(西川元啓君) お答え申し上げます。
申告納税制度につきましては、先生のおっしゃっている趣旨で申し上げたのではございませんでして、舌足らずでございましたけれども、いわゆるクロヨン等の対処の方法といたしまして、自営業でございますとか農業でございますとか、このあたりの申告納税のあり方について、もう少し何かより徹底的な申告がなされるような制度面での改善ということが検討なされないものだろうかどうかという趣旨で申し上げた次第でございます。
二点目の低所得者の問題でございますけれども、やはり今税金のかかっていない人につきましては、消費税がかかるとその分は明らかな増税になるわけでございますから、先ほど申し上げましたように、医療費がかかる、いろんなことがかかってまいりますから、そのあたりの歳出面、保障面の観点からの国の別の政策を期待したい、こういうふうに申し上げて、そういうように考えている次第でございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/41
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042・柳澤錬造
○柳澤錬造君 最後に、井上参考人にお聞きをしてまいりたいと思います。
この消費税の問題で中小企業は大変不安感を持っているという御発言と、それから、しかし国民からちゃんと選ばれてきた皆さん方がやっているんだから、この税制改革のあれには賛成するという御発言があったんですが、聞いておりまして、その辺若干矛盾を感じるんです。中小企業の皆さん方が今回の消費税ではかなり不安感を持っているというのは私たちも随分聞かされているわけですけれども、それで、消費税そのものの今度の税制改革は賛成だと言われたその辺をちょっと解明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/42
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043・井上光一
○参考人(井上光一君) 基本的に大変難しい問題ですけれども、ただ私どもは、日常生活の中でもはや現在の税制では限界に来ているという、こういう実感を持っているわけでございます。その限界という中にはいろいろの理由があります。
これも、申し上げると切りがありませんが、そういう気持ちでおったところへこの問題が出てきた。しかし、売上税の場合には、古い話になりますが、反対をいたしました。というのは、あれは全く一方的でございますので、公約の違反でもあり、いろんな面で国民感情としても許せないという気持ちがあったからです。今度は最初からオープンに広げて皆さんと御相談をしてきて、反対、賛成は随分ありましたけれども、それがどんどん煮詰まる過程の中でこうして私どもの意見まで聞いていただけるという機会をつくったり、こういうふうな民主的に開かれた討議の中で進めていく税制、新しい税制に変えていこうということですから、そういう点で、今や限界に来ている税制の中において新しい方向を見出し、もっといい方向を見出していく、そういう意味で賛成という、そういうふうに受け取っていただいてよろしいかと存じますが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/43
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044・秋山肇
○秋山肇君 本日は、お忙しいところを参考人の皆さん方に御出席をいただき、それぞれのお立場で御意見をお出しいただいたわけですが、本当にありがとうございました。
共通している皆さん方の御意見の中で、私も感じております三%の消費税が、皆さん方が御負担をされたものが完全に政府の方に納入されていくかどうかという問題があろうと思います。今までも、我々の税金を政府、自治体にかわってこれを受けている税があるわけです。
一つの例として、皆さん方がお食事に行かれて、そこでちょっと高額になると料飲税が取られていますが、こういう税で、皆さん方がお食事に行かれて領収書を必ずいただいているかどうか。皆さん方からお聞きするわけにいきませんので、西川元啓さんから、御家族でお食事に行かれたりお友達同士で一杯飲まれて税金の対象になったときに、料飲税の領収書をいただくくせというのがおありになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/44
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045・西川元啓
○参考人(西川元啓君) そういうくせは持ってございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/45
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046・秋山肇
○秋山肇君 恐らくそういうくせというのは、それぞれ皆さん方も余りお持ちになっていないと思います。
そうしますと、今度の消費税の問題は、それぞれの消費をされる方々が三%というものを負担しながら、これが国庫に入っていかない、途中で何か消えてしまうような感じが私も強いのでありますけれども、ぜひひとつ、今までそういうくせがなかったということからすると、今度この消費税が導入をされたときに、皆さん方が今その心配をされて論議をされておりますけれども、一般の方々に自分の払ったものが確実に国に納まっていくということの話し合いというのは、今度は米山久美子さん、そういうお話をされたこと、今までの例と比較してありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/46
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047・米山久美子
○参考人(米山久美子君) 一般の主婦の間ではないように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/47
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048・秋山肇
○秋山肇君 そんなことで、それぞれの皆さんというのはそういうくせがない。そうしますと、この問題、委員会でも論議がされているわけですけれども、ひとつ皆さん方、そういう関心を今度の機会にぜひお持ちをいただきたいなということを私から要望をしておきますし、それぞれの皆さん方の会合の機会に、そういうお話をぜひしていただきたいというふうに思います。
それから相続税。井上さんから、あるいは西川寿子先生から相続税の問題がありました。相続税というのは財産があるから取られるんだ、金持ち優遇であるというふうに今度の改正でも言われておりますけれども、現実には今、相続税を払う方というのは、サラリーマンの方、あるいは駅前の商店街で商売をやっておられる方がその負担に耐えられなくて商売をやめてしまうという例が多いわけですけれども、この路線価の決定について皆さん方、井上さん、西川寿子先生、どういうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/48
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049・井上光一
○参考人(井上光一君) 相続税については、冒頭に申し上げましたように、金持ち税ではなくて、それも多少入るかもしれませんが、今急速に土地が上がっている、あるいは土地に対する関心度、あるいはこのごろ土地は商品化してきた。そういう中で、企業なら企業を行う場合にどうしても一番基礎になる土地が商品化されてきて高くなってくる。したがって、基本的に非常に高いものになっている。だからそれを相続される場合には、今の税法でいきますというと三代相続税を納めればつぶれると一般に言われております。個人でも企業でもそうですけれども、そういう意味で、相続税等についてはよほどの配慮をしていただかないとそういう弊害は免れませんと、こういうことでございます。
その点は、どうぞひとつ先生方でまた十分御相談いただいて、ぴしり安定したものにしていただきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/49
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050・西川寿子
○参考人(西川寿子君) お答えいたします。
私は、税務の問題の専門家ではございませんので、路線価がどのように決定されるのか余りよくは承知いたしておりません。しかし、私どもでいつも話しますのは、土地の値段の中に、路線価というものがあり、それから固定資産税の評価額があり、それから実際に売買される価格があり、一つの同じ土地なのに幾つも幾つもの値段がつけられ、それがある場合にはこれを使い、ある場合にはこれを使いというふうなことが、私どもではどうしてこうなるのかというのが大変わからないというのが私の正直な答えでございます。
それからもう一つは、これは私の身近なところで、一生懸命老妻の看護のかいがあって、年をようやく越して、お正月過ぎてから亡くなった御老人がいらっしゃいます。しかし、年を越しましたために路線価が上がりまして、残されました奥様が相続税で大変に苦労をなさいました。そういうのを目の当たりに見ておりまして、路線価がどのように決定されるかということについて、実は私は本当に消費者にわかるように教えていただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/50
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051・下村泰
○下村泰君 皆さん御苦労さんです。二院クラブの下村でございます。
井上光一参考人、西川元啓参考人、お二人はもうほとんど賛成の方という御意見らしゅうございますので、反対派の四人の方々に一問だけお伺いします。
私は国会に参りまして、障害児・者の福祉専門に今日まで十数年やってまいりました。ところが、私の立場から申し上げますと、政府の方々にお願いするのは常に予算であり、これこれこういうふうにしていただきたい、この方々は今こういう現状に置かれているからこういうふうにしていただきたい、常にいただく方の立場から物を言っている人間でございます。けれども、この税制に反対であることは反対です。
ただ、皆様方にお伺いしたいのは、反対ならば、では税制はこのままでいいのか、これがまず一つ。
障害児・者というのはこれからふえるんです。殊に二十一世紀という言葉がよく使われますが、御老人という言葉を使われる人間が、老いた状態になった場合、日常生活の行動半径もおのずから狭められ、中には御自分のことが御自分でできないような状態になる、これも私は障害の一つではないかというように判断します。そうしますと、こういう方たちに対してもこれから多くの費用がかけられてまいります。したがいまして、これをお願いすると財政がないからという答えはいつも決まっています。
そこでまず、反対ならば税制はこのままでいいのかということと、もう一つは、では税制は改正しなければならないのか、改正をすることに賛成なのか、この二つをお伺いします。四人の方にそれぞれお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/51
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052・米山久美子
○参考人(米山久美子君) 消費者の立場から申しますと、弱者に負担がかかるような税制は改めてほしいということです。今の税制に問題があるとするならば、その不公平はどこにあり、弱い者、社会的なしわ寄せを食う者が犠牲にならないような公平な税制度というのはどういうものであるのか、一般の国民にまずわかるように御説明を願いたいということです。その前提に立った上での税制改革でなければならない、そういうのがまず第一の主張だろうと思います。
それから、福祉に対する予算の配分ということで言いますれば、やはり軍事費を削って、平和憲法のもとで戦争を準備するなどということはやめて、その予算を弱者のために使うような、そういう制度の予算を組んでいただきたいということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/52
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053・大島良満
○参考人(大島良満君) お答えをいたします。
現在の税金に矛盾があることは事実でございます。それはなぜか。そういうように歴代の政権党がさまざまな租税特別措置を含めてゆがめてきたわけですね。虫食いと表現をされる専門家の方もありますが、虫食いだらけに実はなっておるところに問題があると思います。
そういう意味から申しますと、税の改革の基本というのは、社会的な公正、公平というのは保てるのかという見方、そして取られる私どもの立場からいえば、本当に税金というものがガラス張りになって、計算の仕組みを含めて、また使途を含めて、わかるものでなければならぬと思います。そういう意味からいくと、直接税というのは私は今なおも正しいものだと思います。
それで、直接税という中にさまざまな優遇措置というのがございまして、特に大企業等に対する内部留保の問題、あるいは海外にタックスヘーブンを設けて、合法的に税を回避しておるという問題、いろいろこういう問題がございます。限られた時間でございますので、全部を申し上げるわけにはまいりませんけれども、そういった問題が今回は、前評判としては手をつけるぞと、こう言われておりましたけれども、国会に提案されておる法案を拝見するとほとんどない。ここがまず問題の一番のところであろうかと思います。
そこで財源問題、これはまさにその国の国民が選択すべきポリシーの問題だと思います。それなら、今の財政支出の中にむだは全くないのか、私はあると思います。今、軍事費の問題が出ました。海外援助、私どもが海外へ行って、向こうの働いてみえる貧しいピープルと言われる人たちの話を直接承ってまいりますと、ほとんど役に立っておらぬのじゃないですか。これは韓国の問題しかり、フィリピンの問題しかり、ビルマの問題しかりだと思います。こういうところに私どもはまだ財源があると思います。
ちなみに、私も母が寝たきりで、一年余面倒を見させていただきました。今、父も三級の障害者でございます。したがって、そういう人たちに対して手厚い対策を当然講じなきゃならぬというのが先生のおっしゃることだと思いますが、すべて税制だけで見ようというところに問題があるだろう。これはやっぱり社会保障というものを充実する立場でやらなければいかぬと思いますので、今、政府が言っておるように、消費税を通して、そういう人たちにしわが寄るから一時的に何かちょびっと金を出してという一時逃れではいかぬと思います。もっと抜本的な……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/53
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054・梶木又三
○委員長(梶木又三君) 簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/54
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055・大島良満
○参考人(大島良満君) 長期的なことをやるべきであろう、こう存じます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/55
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056・西川寿子
○参考人(西川寿子君) お答えいたします。
税制はこのままでよいかという御質問に対しては、私は、先ほどの意見の中でも述べましたが、このままでよいとは思っておりません。
しかし、だからといって、物すごく急いで、きょうあすに、来週にもこの問題を片づけなければならないのかということに対しては、私は反対をいたしております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/56
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057・藤永延代
○参考人(藤永延代君) 私は、税の精神はやはり累進課税だと思います。たくさんもうける人からたくさん取る、生活費にはかけない、この立場で考えていくべきだと思います。
そして、財政なんですけれども、お金の使い方です。あるお金をどう使うか、それで言えば先ほど米山さんもおっしゃいましたけれども、やはり軍事費を削るべきです。憲法の前文に、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言」して、日本の憲法はできました。この精神を、守り手である政府・自民党の方は、ぜひ貫いていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/57
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058・梶木又三
○委員長(梶木又三君) 以上で参考人に対する質疑は終わりました。
この際、一言お礼を申し上げます。
参考人の皆様には、長時間にわたり有益な御意
見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして心から厚くお礼を申し上げます。(拍手)
午後一時に委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。
午後零時十三分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/58
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059・梶木又三
○委員長(梶木又三君) 税制問題等に関する調査特別委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、各案について参考人の方々から御意見を拝聴いたします。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
皆様には、御多用中にかかわりませず本委員会のために出席を賜りまして、まことにありがとうございます。委員会を代表いたしまして、心から厚く御礼申し上げます。
本委員会におきましては、目下税制改革法案外五案を審査中でございますが、本日は忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にしてまいりたいと存じますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
次に、会議の進め方について申し上げます。
まず、お一人十分程度で御意見を順次お述べいただきまして、その後で委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
それでは、これより順次御意見を承ります。
まず、本間参考人にお願いいたします。本間参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/59
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060・本間幸男
○参考人(本間幸男君) ただいま御紹介をいただきました本間でございます。
山形県は、温海温泉という温泉場の旅館でございます萬国屋という旅館の専務をいたしております。ただいま私ども旅館業の業界団体でございます全国旅館環境衛生同業組合連合会の青年部の青年部長を仰せつかっております。本日の委員会の席に参考人としてこのような席をお与えいただきましたことを大変光栄に存じておりますし、まずもって最初に御礼を申し上げたいと思います。
最初に、結論を申し上げますけれども、このたびの税制改正につきまして、一国民といたしまして、また一経営者といたしまして、また旅館業界の若手の代表といたしまして、税制改正については賛成でございます。
しかしながら、賛成につきまして三つ特にお願いを申し上げたい。そのお願い申し上げたい第一番目は、料飲税、税制改正が成りました暁には特別地方消費税になりますわけですけれども、この特別地方消費税、それと入湯税につきましては、やはり将来は廃止をしていただきたい、これが第一番目でございます。二番目は、価格転嫁カルテルにつきまして、大変妥当な方向が公正取引委員会の方から出ておりますけれども、なおカルテル違反企業に罰則をということを希望いたします。それから三番目に、旅行クーポンの、特に手配旅行につきましてあくまでも外枠でガイドラインをさらにお示しをいただきたい。この三点でございます。
税制改正そのものにつきましては、戦後四十年たっております。戦後の復興期を経まして時代が、社会情勢が変化をしている。また、経済の発展段階に応じて、社会の豊かさの度合いに応じて課税方法が変わってくるのはこれは当たり前であろう。高齢化社会を迎えまして、直間比率の見直し、また個別間接税の見直しも含めまして、公平で簡素に、広く薄く公平にという原則に従いまして、税制改正が時代の変わり目のこの時期に進められることは当然だと思います。
お願いをいたします第一番目でございます。料飲税、特別地方消費税と入湯税を撤廃していただきたいということを詳しく申し上げたいと思います。
この料飲税につきましては、私ども業界の方で挙げて運動をしてまいりました。ぜひ撤廃をということで運動してまいりましたわけでございますけれども、やはり地方の財源を守れという声の方が大きかったのかどうなのか、調整併課ということで、最終的に特別地方消費税ということで名前を変えまして残ることに相なりました。やはり税制改正の趣旨が広く薄く公平に、直間比率の見直しの観点からも抜本的なものということであれば、当然旧来の個別間接税も含めまして、抜本的になされなければならないはずだというふうに思っております。
特に、私どもの料飲税につきましては、シャウプ以来の税制改正ということで皆さんの方からお声が上がっておりますわけでございますけれども、私どもの料飲税につきましては、昭和十四年の戦時の時限立法、遊興飲食税に端を発しております。いわゆるぜいたくは敵だと、その時代の、前時代的な税であり、言うならば、私ども旅館業界また飲食業界に課せられました差別的な税であると申して過言ではないんではないかというふうに思っております。また、国際的な観点から見ましても、料飲税、料理飲食に特別課税をするというのは、今現在我が国だけに残ります特殊な税でございます。お隣の韓国では、付加価値税導入に当たりまして、一九七七年の七月、今より既に十一年前に廃止をしております。
総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法によりまして国策としてのレジャーが、遊びが認知された時代、今や旅行が特殊な一部の方々のためのものではなく、ぜいたく行為ではなく国民広く生きがいとなっております。生きがいに特殊な税をさらにかけていくということは、国際国家を自認する我が国にとりましていかがなものかというふうに思っております。
また、特別地方消費税として形を変えて残りました税は、やはり特別徴収義務者であります私どもに二重三重の事務的な手数がかかってまいります。広く薄く公平に簡素でわかりやすい税から外れた、お客様が納得のできない税という形で残ってまいりますことがやはり残念であります。
こんなところから踏まえまして、ぜひぜひ近い将来におきましてやはり消費課税の一本化を図るべく、特別地方消費税は撤廃をしていただきたいと希望するものであります。
また、目的税であります入湯税につきましても、実態は、温泉資源の保護等という目的よりも、広く道路整備、また環境整備等を含めまして、地域全体の社会資本の整備、維持に使われております。実態といたしまして、老人医療のための温泉治療まで入湯税が課せられるというのは、やはり福祉国家を自認いたします日本としていかがかと思われますし、また、先ほど申し上げましたように、国民一般大衆の生きがいになっており、全国の自治体が観光地になりたがるという風潮を入れましても、またレジャーが国策だというふうな時代を考え合わせますと、この入湯税につきましても、やはり将来廃止されてしかるべきものではなかろうかというふうに考えております。
これが第一番目でございます。
続きまして、第二番目の価格上乗せカルテルについてでございます。
先ほど申し上げましたように、公正取引委員会の方から、中小企業経営者が価格転嫁しやすいように、その条件を整えるため、独占禁止法の一部適用除外規定を設けた。いわくポイントになりますところは二つであろうと思います。中小企業団体は、各企業の現行価格に消費税の税率三%を上乗せした価格で販売することを取り決めても独占禁止法違反には当たらない、いま一つ、価格、金額の表示方法統一が可能となる、この二点であろうと思います。
税額分の価格転嫁がどこまでできるか、ある雑誌のアンケートでは、一〇〇%税額の価格転嫁ができますというふうに自信を持ってお答えをいたしました経営者はわずか一四%であります。また、外食産業、ファミリーレストランの雄でありますすかいらーくでも、六十二年度分の決算をたたき台にいたしまして消費税税額相当分を価格転嫁できなかったというふうにシミュレーションをいたしますと、営業利益の三〇・三%が減少するというシミュレーションが出ております。まして私ども旅館業界は、今まで料飲税、入湯税等を価格転嫁できないオール込みという制度をこの二十年間甘受してまいりましたがゆえに、我々旅館業界は七割が赤字でございます。
新規参入がたやすい業界で同業者との厳しい競争ということを御紹介しましたわけですけれども、さらに私は税額分の価格転嫁カルテルこそ便乗値上げを阻止する、最終的には消費者、お客様の利益を守ることになるのではないかというふうに考えております。
下世話な話でございますけれども、一箱千円の温泉まんじゅうを売って三十円分の消費税をいただけるか。もらえないから箱の中身を減らして千円にする、また中身をふやして千二百円にする、そういうふうな形よりも現行の価格をカルテルによって守る、また経営者もその中身を今まで以上の内容のあるものに精いっぱいの努力をしていく、それが最終的にお客様に選ばれる、最終的に消費者に喜んでいただけるあきんどとしての道ではなかろうかというふうに考えるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/60
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061・梶木又三
○委員長(梶木又三君) 簡単にまとめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/61
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062・本間幸男
○参考人(本間幸男君) はい。
中小企業団体は各企業の現行価格に消費税の三%を上乗せした価格で販売すること、これは大変妥当なことで当然なことであろうと思いますし、冒頭に申し上げましたように、むしろカルテル違反の企業に罰則規定がさらに盛り込まれることを希望いたします。
第三番目でございますが、少し早口になりまして申しわけございません。
六月十四日の自民党税調に示されました税制大綱の七番目に、料理飲食等消費税の六項目目に「旅行クーポン券については、特別地方消費税等の取扱いの明確化の徹底を図る」とうたわれております。私ども旅館業界が込み込みの中で赤字に泣いてきた、税別にしてほしい、クーポン券から税を外にしていただきたいという長年の願い、訴えにこたえていただいて、私どもの業界に関します特殊な慣行でございます旅行クーポンの問題について、このような形でお取り上げをいただきましたことに感謝をいたします。
しかしながら、私どもの旅館業界と旅行会社、エージェントさんとの運輸省、自治省さんを交えました話し合いの中では、全旅協さんの方から既に御了解、この外枠ということで結構だということで御了解をいただいておりますけれども、日本旅行業協会、JATA、大手旅行業の方々からはまだ御納得はいただいておりません。平行線をたどっております。JATAさん側いわく、旅行クーポンは宿泊料金と税額を踏まえて、宿泊クーポンには宿泊料金と税額を内訳表示をして従来の込み込み表示を維持していきたいと。
しかしながら、皆さん御承知のとおりに、料理飲食税は特別地方消費税という形で名前を変えていきまして、なおかつ一万円の免税点、一連の行為ということが出ております。ですから、いろいろな問題が出てきますことを考えますと、やはり消費税、特別地方消費税、入湯税は現地にて精算時点でお支払いをいただくというのがこれは当然である、また、特別徴収義務者である旅館としての私どもの責任もここにあろうというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/62
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063・梶木又三
○委員長(梶木又三君) もうそのぐらいにしてください。最後のひとつまとめを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/63
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064・本間幸男
○参考人(本間幸男君) はい。
安易な込み込み制度はお互いの、特に私どもの旅館業にとって決していい結果を生んでおりません。お客様にとっても決して望まれるものではないと思いますし、利用者の便宜性というのは、何でも含めるという形よりも、むしろ税金をわかりやすく、正しく、誤解を与えない形で合理的に納得のいく形で提示するのが筋であろうと思います。真の利用者の利便性というのは、やはりこの形で進めていただきたいと思いますし、また今回の税制改正の趣旨であろうというふうに思います。
特に、議論の分かれております手配旅行につきまして、監督官庁並びに大綱にこの文言を入れていただきました……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/64
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065・梶木又三
○委員長(梶木又三君) もう大分時間が超過しましたので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/65
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066・本間幸男
○参考人(本間幸男君) 自民党の諸先生御相談の上、早目に明確なるガイドラインをお示しいただきたいと思っております。
大変長くなりまして申しわけございません。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/66
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067・梶木又三
○委員長(梶木又三君) どうもありがとうございました。
次に、右山参考人にお願いいたします。右山参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/67
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068・右山昌一郎
○参考人(右山昌一郎君) 税理士の右山でございます。
まず、私は所得課税と消費課税の問題から入りたいと思います。
今回の抜本的税制改革は、この両課税の関係において、私は取られる税金から納める税金への改革の第一点だというふうに認識しております。
すなわち、所得課税というのは、これは選択がなくて、サラリーマンについては源泉徴収で徴収をされて、そのあとで生活をしろというタイプの課税です。それから事業所得者については、これは生活費は幾らで生活したら、それじゃ十二月末に締めて三月十五日にはこれは納税できるだろうかということが常に頭にあります。だから、そこは非常にやはり取られる税金という意識がぬぐえないんじゃないかというふうに考えております。
そして消費税というものは、これは選択をすればいいものであって、例えば私が二十万の洋服を着ていれば、消費税がかかってくれば今度は十万に切り下げればいい問題で、それでも消費税を払いたくなければこれは継ぎはぎで着ればいい問題で、そこは選択があると思います。そしてその選択のところで、買ったところでその納税額が確定するという特徴を持っていると思います。
そして私自身のエゴからすれば、私も消費税自体は別に賛成ではないんです。それは五十八歳まで、今まで所得税を取られてきて、やっと五十八歳過ぎて、少し残ったのを使おうかと思ったときに今度は消費税だというふうになれば、これはもう一生涯税金ばかりですから、これは別に賛成ではないんですけれども、私は取られる税金と納める税金がどちらが人間的な税制かということを強調したいと思います。
税制というのは直接の反対給付がなくて、それは徴収されますから、やはり税制の構築にはこれは人間的な税制の構築ということをぜひ目指していただきたい。そういう観点から私は取られる税金から納める税金への改革の一歩としての消費税を高く評価するものであります。
ただ、将来ともにこれでいいのかといいますと、やはり生活必需品とそれからぜいたく品が同じ税率だということは、いかにもやはりそこは国民感情にそぐわない、それから人間的じゃないという感じはしますから、将来はやはり標準税率の上に割り増し税率、それから標準税率の下に軽減税率というふうなことはできないものかなというふうに考えております。
それから我々税務の実務家にとりまして大きな問題は、消費税は二月の末の申告になっております。そうしますと、個人は三月の十五日に申告する前に消費税の申告をもう一遍しなきゃならないということになります。そこで、帳簿方式でせっかく割り切られたならば、やはりそこは二月の末を三月十五日に、それはこの法案でやられるのか、それから措置法でやられるのは別にして、そういう措置はやはり実務家としては施していただきたいというふうに考えております。
それから相続税の資産課税の問題については、相続税を私の考えではやはり生存権としての相続税、すなわち居住用財産というものは、これは金額で考えるんじゃなくて、一定規模の居住用財産は非課税にするということをぜひ配慮していただきたいと思います。それから事業用の財産としては、これは小規模宅地というふうな問題じゃなくて、事業用の財産全部についてこれはどう軽減するかということを普通の相続財産と別個に、生存権としての居住用財産、それから事業用財産というものをやはり別個に考えて、これは同じように基礎控除を上げますと、それは東京では一軒の家も相続できないという状態がありますけれども、私の田舎の熊本の山の中なんというのは、これは六千四百万だと十軒も今度は相続できます、だからそういうふうに金額で考えるんじゃなくて、生存権の居住用財産についてはやはり一定規模ということをどうしても念頭に置いてこれは考えていただきたい。
事業用財産については、これは非常にやっぱり大きいところと小さいところとあります。しかし、これで生活している中小企業の人は非常に多いわけですから、そこはどういうふうに相続税の評価を軽減するか、すなわち、事業経営が枯渇しないようにどう考えるかという配慮をお願いしたいと思います。
最後に、やはり税制の審議のあり方というのは、将来に向かってどういう税制を構築した方が人間的な税制なのかというふうな、人間的な税制のあり方に向かって御審議をお願いしたいということで終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/68
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069・梶木又三
○委員長(梶木又三君) どうもありがとうございました。
次に、庄司参考人にお願いいたします。庄司参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/69
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070・庄司中
○参考人(庄司中君) 庄司でございます。
私は、高齢者の立場、それから退職者であり、それから被用者年金の受給者であるという立場から、三点について御意見を申し上げたいと思います。
第一点は消費税の問題でございます。
昭和六十年現在の公的年金の受給者数は全体で二千万人でございますが、このうち老齢退職年金受給者が約千六百万人でございます。年金額にいたしますと、厚生年金の月額の平均が約十二万円でございます。それから、最も平均的に高い地方公務員共済で十七万七千円でございます。そうしますと、現在の税制のもとでは、ほぼ六十五歳以上になりますとほとんど税金がかかりません。現在無税でございます。まあ一部払っている方もいらっしゃいますけれども。
消費税が導入をされますと、払っていない人たちがもちろん税金を払うことになる、間違いなく増税になるということがここに出てまいります。確かに、払っている人でも、これはもう静岡大学のシミュレーションとかなんかを見てましても、低所得者の範囲に入りますから、減税と増税の差し引きを計算しますと必ず増税になってくる。だから、年金受給者について言いますとほとんど全部増税になってしまうということが出てまいります。
確かに、これに対する反論もございます。増税分というのは翌年の年金の物価スライドによって戻っていくじゃないかというふうな反論もございます。ただ、私たちが懸念をいたしますのは次の三つでございます。
一つは、消費税の逆進性ということでございます。
この点につきましては、消費性向を中心にした話でもう出尽くしていると思いますので申し上げませんけれども、もう一つの問題といいますのは、例えば物価スライドにいたしますと、あれは平均の物価でございます。ところが、年金受給者というのは、いわば所得が低い層でございます。そうしますと、平均の、いわば標準の消費構造のもとの物価の上昇率と、所得の低い層の消費構造の上昇率は恐らく違うんじゃないだろうか。よく今まで出ておりましたように、数字と生活実感の食い違いということがございますけれども、私たちのような所得の低い層になりますと、この点だけでも非常に大きい問題になってくるということを指摘しておきたいというふうに思います。
それからもう一つ、これはもう大きい問題でございますけれども、例えば竹下総理が間接税は一つの癖であると、なれればいいというふうにおっしゃいましたけれども、なれ自身が怖いんじゃないだろうかというふうに私たちは思っております。例えばECの税制を見てみましても、最低のところで二〇%でございます、イギリスでございますね。それから、最高のところでフランスの四四%ということになります。平均をとりますと三〇%ということになります。先ほど申し上げました逆進性と物価の構造という上に、この三%の十倍の消費税がのしかかってきたら一体どうなるんだろうというふうなことを私たちは考えざるを得ない。将来に向かってこれは大変なことだと、これ自身が大変な不公平税制になるんじゃないだろうかと、こういうふうに私たちは思っております。
第二点の問題は、つまり高齢化社会対策の財源をどうするかというふうな問題でございます。例えば今度の税制改革の場合も、消費税導入の一番大きな根拠、目標がここに置かれておりました。二十一世紀を展望しまして、高齢化が進むのは、これはもう間違いのないことであります。確実に高齢化は進んでまいります。ただ、これは日本だけではございません。例えば先進工業国はほとんどそこに到達をする。発展途上国も工業化に伴ってそっちの方へ向かっていくということであります。日本がダントツだと言われておりましたけれども、最近の国連の予測なんかによりますと、例えば西ドイツなんかははるかに日本より高い高齢化の水準に達するということであります。我が国の問題、日本の問題というのはいわばテンポの問題である。急速に高齢化に向かうというところに実はやっぱり大きい問題があるんじゃないだろうか。
つまり、高齢化というのは暗いイメージでとらえちゃもういけないんじゃないだろうか、ある種の社会の成熟を意味するというふうに私たちは考えるべきじゃないだろうか、こういうふうに思います。いずれにしましても、高齢化社会に向かって金はかけなきゃいけない、それでどうしてもかかる。これはもう既に与件として私たちが覚悟しなきゃならない問題だろうというふうに思います。
問題は、その財源でございます。既に多くの議論がなされておりますので詳しくは申し上げませんけれども、私たちはやっぱりシャウプ勧告が示したように、所得税の総合化を強化していく必要があるんじゃないだろうか。例えば資産課税の問題は、今大きな問題になっておりますリクルート問題が一つの象徴だろうというふうに思います。
資産課税の問題、それから優遇課税の問題、それからさらに事業課税の問題など、私たちは多くの不公平税制の問題を指摘することができるだろうというふうに思います。確かに、シャウプを超えるという意見がございます。しかし、私たちはあくまでもシャウプに近づきながら、もとに戻りながら、そして超えていくべきだろうというふうに思います。
敗戦を迎えたとき、私たちのほとんどは二十代以上でございました。そして、食ったり食わなかったりで仕事に一生懸命になったわけであります。そういう人間から見ますと、現在の状態、不公平の状態というのは、ある意味ではきついかもしれませんけれども、とても我慢ができないというふうな感じを持っております。
第三の問題は、高齢化社会対策の負担と給付の問題について触れてみたいというふうに思います。
例えば、負担と給付の問題、給付と負担の公平化が言われて既に久しいというふうに思います。そして、その解決の方法としては自立自助が非常に強調をされてまいったわけであります。ところが、どういう事態が生じているかというふうに申し上げますと、例えば今度の年金の再計算の時期でほぼはっきりしたわけでありますけれども、国民年金の場合には保険料の未払い者と免除の申請が急増をいたしました。二七%を超えているということであります。つまり三〇%近くなっている。だから、掛金がふえるに従ってこういう傾向が出てくるということであります。こういう傾向をとっていますと、つまり自立自助論というものが国民皆保険の枠組みを壊しつつあるということを、私たちは非常に懸念をしております。つまり、制度を壊していく、その兆候が出てきているんじゃないだろうか、そんなふうに私たちは考えております。
また、最近生命保険文化センターが、厚生年金の将来の姿ということで研究報告を出しました。かなりショッキングなその結論でございまして、昭和三十一年生まれ以降の人は、拠出した保険料以下しか給付をされないということがございました。それから、これなら銀行預金にした方が得じゃないかというふうなこともなされております。
私たちの組織は現在五十万でございまして、そして産業別の組織が二十一、各都道府県、四十七都道府県に組織を持っておりまして、こういう問題も議論をいたします。そうしますと、みんな黙っちゃうわけですね。下を向いちゃうわけです。なぜそうかといいますと、この人たちというのは私たちの息子や娘であるわけです。高い年齢の人には孫であるわけです。その息子や孫たちの将来を考えますと非常に暗い気持ちになる、これが率直な気持ちでございます。つまり、こういうふうになってきますと、これで果たしていいんだろうか、これが先進国と言えるのか、経済大国と言えるのかという思いが痛切になってくるわけであります。
核家族化が進行するということは、高齢者の独立世帯がふえてくるということであります。そうなってきますと、現役の世代が、つまり想像力を働かせて、将来の独立家屋の構想、展望を持たなきゃいけない、ところが年金制度がパンクをする、公的年金制度が意味を持たなくなってくるということになったら、果たしてまじめに働く気持ちが出るでありましょうか。自立自助というのがむしろ日本の活力を奪ってしまうんじゃないだろうか、そんな気持ちさえ私たちにはございます。
つまり、自立自助ということで負担と給付の関係を追求しまして、そして数字はある程度整合性を持ってくるかもわからないけれども、いわば数字の陰にある人間の姿がわからなくなってきやしないだろうか。現にわからなくなってきているんじゃないだろうか、そんな思いもまた痛切でございます。
税制というのは国の基幹的な制度でございます。そういう意味では、人間の顔をした税体系、人間の顔をした経済政策を強く希望いたしまして、私の意見とさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/70
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071・梶木又三
○委員長(梶木又三君) どうもありがとうございました。
次に、和田参考人にお願いします。和田参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/71
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072・和田八束
○参考人(和田八束君) 和田でございます。
本日は、税制改革につきまして、六つの疑念ということで申し上げさせていただきたいと思います。
まず第一の疑念でございますけれども、抜本改革というふうに言われておりますけれども、やはり何のための改革なのか。理念、目標というものが依然としてはっきりしていないわけであります。
新税は悪税、旧税は良税というふうなことが言われますけれども、なお、そういう新税は悪税であっても、それを乗り越えていかなければならない一つの社会的目標、あるいは税制としての理念というものがあって初めて選択されるわけでありますけれども、そういうふうな理念、目標が非常に不明瞭である。制度としての、制度と書く税制はあっても、政治と書く税政がないではないかという印象を強く持つわけであります。
それは、税の公正ということがそもそも掲げられていないわけでありまして、前回の中曽根税革におきましては、少なくとも公平ということがありましたけれども、今回は所得、消費、資産のバランスという、かなり技術論に埋没をしてしまっておりまして、公平な税制を実現するということが一歩後退をしてしまっている。しかも、公平と公正とは違うわけでありまして、公平は、ただ等しい、同じだということなんですけれども、そうではなくて、もっと社会的な価値を持った公正というものが掲げられなければ、税制改革は説得性を持たないのではないかというふうに考えるわけであります。
第二に私は、広い意味での手続的な問題について、やはり国民としては不十分な選択ではないかという感じが強くするわけであります。
シャウプ以来の税制改革というふうに言われておりますように、税制改革の中身は、大きな税制における価値転換であることは事実であります。このような価値転換が行われるためには、国民の一人一人がすべて選択の権利を持っているわけでありまして、少なくとも国民投票的な選択の機会というものが与えられなければならないわけであります。
その手段は何かということになりますと、私ははっきりいたしませんけれども、例えば総選挙などもそういう一つの我が国における国民投票的な手法ではないかというふうに思いますが、それらのことにつきましては、国会におきましても一つの形をやはり考えて、国民投票的な選択の機会を設けるべきではなかったかというふうに考えるわけであります。これが第二の疑念であります。
それから第三の疑念は、間接税の位置づけが極めて不明確である。所得、消費、資産のバランスというんですけれども、どのように組み合わせて、どのようなものがバランスと言うのかということがよくわからないわけでありまして、数字的にもはっきりしないわけであります。今回の税制改革におきましても、著しく直間比率が変わるというふうな事態にはもちろんならないわけでありまして、どのようになればバランスなのか、相互のその関連性。
間接税の基本性格とは何か。よく補完税であるというふうに言われるわけでありますけれども、その補完とは何か。これは、直接税の求めている税の考え方というものをゆがめるようなものは補完ではないわけでありまして、間接税の位置づけ、役割というものがはっきりしない。
それから第四の疑念でありますけれども、間接税のゆがみ、ひずみということがしきりに言われていたようであります。現在のいわゆる個別消費税、物品税を中心といたします個別消費税は非常にゆがみなりひずみなりが多い。これでは将来とても税制として維持できない。ほころび過ぎていると。したがって、新しい課税ベースの広い税にするんだと、こういうことでありますけれども、どこがほころびているのか、これがはっきりしないわけでありまして、ウーロン茶と緑茶の例などはわかりやすいけれども、本質的な問題ではないわけでありまして、専門的には説得性がないということであります。
むしろ現行の間接税の方が、私は、いろいろな点から比べまして、長短を比較いたしますと、すぐれているところが多い。また、日本が長らく培ってきた現行の個別消費税体系というものは、それなりのよさを持っているわけでありまして、これが修復不可能であるというふうには到底考えられないわけであります。
消費税の持っている、徴税費が高くなるとか、あるいは脱税が多くなるとかいう幾つかの疑念というものに比べますと、個別消費税の持っている、それぞれの課税対象に応じた、担税力に応じた税制というものが持っている長所の方が決して小さくはないということでありまして、この点につきましては、徴収側の都合でのみ議論がされているのではないかという印象を強く持つわけであります。
それから第五番目には、今回提案されている消費税の持っている疑念そのものであります。前回は売上税という名前でありました。今回は消費税という名前になったわけであります。
前回の売上税のときにはどうであったのかといいますと、いわゆる業者のサイドが非常に懸念を持ちまして、反発が強かったというふうに見受けたわけでありますけれども、つまり消費者に対しては比較的甘い税であったということが言えるわけでありますが、今度は名前を変えて消費税という名前にいたしましたら、今度は業者に非常に甘い、そして消費者にとってはほとんど理解のできないような税制であるということであります。
例えば、帳簿方式しかり、簡易課税方式しかり、五%ルールしかり、納期の問題しかり、それから転嫁の問題しかり。すべて業者にとっては都合がいいわけでありますけれども、消費者にとっては、どれだけの税を負担し、どのようにその税が納付されるのかというふうなことにつきましては、ほとんど明らかにならない。一体、消費者の立場はどうなっているのかということであります。消費者不在の消費税であるというふうに言わざるを得ないわけであります。これは消費税のもたらす非常に大きな不公平でありまして、税として重大な欠陥を持っているのではないかというふうに私は考えるわけであります。
それから最後に、第六番目の疑念でありますけれども、これは地方税と地方財政の問題がどこまで議論されているのかということであります。
抜本改革というふうに言うならば、地方税の問題も非常に重要であります。現在我が国の財政のほぼ七割は地方財政によって担当されている。地方財政あっての財政でありまして、国の財政はむしろ地方財政をかりて運営されていると言っても過言ではないわけでありますが、その地方財政そのものが今回は納税主体になるという、こういう新しい経験にも直面しているわけでありますけれども、同時に、地方税としてこれまで培われてきた重要な税が失われている。例えば電気税、ガス税——ガス税は金額は比較的少ないわけでありますけれども、電気税などは非常に有力な税でありまして、これは地方財政にとって財源的にもそうでありますけれども、これは徴税費が全然要りませんし、九電力が納税するわけでありますから脱税ももちろんない、こういう非常に理想的なと言ってもいい税でありますけれども、これがすっかりなくなってしまう。その他地方税の有力な税制がむしろ消費税に吸収されてしまうということでありまして、地方自治の観点からの財政改革、税制改革がほとんど提起されていないというのは、やはり税制の抜本改革にとっては大きな欠陥ではなかろうかというふうに私は考えるわけであります。
以上、かなりもう議論は尽くされたところもあるような感のする税制改革でありますけれども、私はなおこういう基本的な問題についての疑念を晴らすことが現時点でできないわけでありまして、以上申し上げたような疑念をなお持ち続けているということを申し上げて、御参考に供したいと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/72
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073・梶木又三
○委員長(梶木又三君) どうもありがとうございました。
次に、金子参考人にお願いいたします。金子参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/73
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074・金子圭賢
○参考人(金子圭賢君) 私は、港区の東麻布というところで二十年近く税理士業務を営んでおる金子圭賢と申します。
さきの右山参考人も同じく税理士でございますが、消費税法案を除きましては右山参考人と全く同意見でございますので、その部分は意見を省略させていただきたいと思います。
税理士の存立基盤というものは、ごく一部の方を除きましては、その大半が従事者総数全国で三千二百万人余を擁すると言われる全国五百万余の中小零細事業者の納税者を対象としているわけでございます。したがって、この消費税の持つ逆進性であるとか、あるいはインフレ要因であるとか、あるいは直間比率、導入目的の変遷等、マクロ的にもミクロ的にもこの導入には納得できない点は多々個人的な意見ではございますけれども、時間の都合上、さきの中小零細事業者の立場から、次の点について意見を公述させていただきたいと存じます。
まず、転嫁の問題であります。
御存じとは存じますが、中小零細事業者というものはいわゆる大企業の下請または下請的な商売、事業形態が一般的であります。少なくとも私の関与先は、そうたくさんはございませんが、すべてそうでございます。さてその場合、現状においても請求単価の取り決めというものは大変苦労しているのが実情であります。建設業関連などの場合ですが、例えば十万円、百万円単位の請求を出しましても振り込んでこられるときには頭から値引きをされているのが実情でございます。そういうような常識的な状況にあるわけでございますから、ましてや三%の消費税の転嫁がどうやってできるんだろうかと今から憂慮している次第であります。年間取引金額、俗に年商と申しておりますが、この年商が五億円以下の事業者は実に全体の九六・七%とも承っております。そういたしますと、転嫁しなければ罰則でもつくというならばともかくですが、まず転嫁ということが現状の私どもの日ごろの業務から考えまして無理と考えざるを得ません。
そうなりますと、これは間接税ではなくて、むしろ企業課税そのものであって、第二事業税と申しますか、むしろ直接税になるのではないかというふうに考えます。そういうふうに考えてまいりますと、現在直間比率がどうのこうの言われておりますが、さらにこの直間比率というものは厳しい状況になってしまうのではないかというふうにも考えております。一口に三%の消費税と申しますが、三%の売上利益率を計上することが非常に困難な事業もございます。
例えば、私の関与先でございますが、冷凍エビ等を取り扱う魚市場の仲買人でございます。一箱単位で一万円の仕入れをいたします。この仕入れの状況というものは、朝早く市場で競りがございまして、競りをやっているところへお客さんが一緒に顔を出していれば幾らで競り落としたかわかるわけです。この一万円で競り落としたものを幾らで売っておるかというと、これが二百円か三百円乗っけて売っているわけです。まさに三%以下の粗利益しかないわけです。そういう現状でもあるということを十分に御認識をいただきたいというふうに考えております。そうすると、この三%の消費税がもし転嫁できないとなったらば、これはもうその業者は死活問題であります。ましてやこの三%が、巷間言われておりますところ、すぐにでも三%が一〇%になるんだとも伺っておりますけれども、そうなった場合にはもうその業者はやめなさいということと同じだというふうに考えております。
一方、仮に転嫁できたとして、この税額計算方法に年間取引金額が五億円以下については簡易課税制度を認めているとございます。先ほど和田参考人から事業者に甘いという意見がございました。なるほど簡易課税の中でもって納付の実態がどうなるのかわからないという面が考えられます。しかしながら、和田参考人の意見にまた反論を申し上げるわけではございませんが、大企業の場合にはまず転嫁できると考えます。問題は、転嫁できない大多数の中小零細事業者のことをひとつ考えていただきたい。ところが、中にはうまく粗利益率が三〇%も五〇%もあって、この簡易課税制度をうまく利用できる業者があるかもしれません。その場合には、今度は税金そのもののピンはねができるという矛盾が生じます。税金を商売にするなんということはいまだかつてこの世の中にあったのかなというふうに考えると、大変矛盾点を考えざるを得ません。どうも転嫁という点を考えますと、まだまだこの消費税法案は十分に検討し考慮される余地が残っているのではないかというふうに素直に考えております。
次に、納税事務の問題でありますが、これは想像を絶する苦労といいますか、煩雑さが予想されます。言うまでもなく、企業の経理あるいは法人所得にわたる直接税の申告計算というものは、企業会計原則にのっとりまして、正規の簿記の原則あるいは費用収益対応の原則に従いまして、当該事業年度の適正な利益金額を算出しまして、そして所要の税法上の調整事項を加減算して納税額が定まるわけでございますが、このいわゆる決算作業自体も決して楽なものではございません。楽でないからこそ我々税理士の商売が成り立つわけでございますが、そこに加えましてさらに人件費から始まって旅費、交通費、消耗品費あるいは通信費その他もろもろの諸費用の中から既に支払った消費税額を抽出する作業をしなければいけません。
さらに、現在の直接税の計算だけであればそれだけの事務で済むんですが、その当該年度中に建物をつくったあるいは車両を購入した、さまざまの設備投資をした部分にわたりまして消費税の抽出作業をするということは、これは大変な大仕事であるということは十分に予測できます。そして、原則的には帳簿方式ですから、これはもう絶対的にそれはしなきゃならないのでありますが、ところが年商五億円以下の大多数には簡易課税制度を設けてやるから面倒くさいことはやらなくていいということでございます。これは簡易課税制度は原則的な方法と簡易と、どちらか有利な方をとりなさいということでありますから、結局は原則的な計算をしなければどちらが有利かわからないわけです。ということになると、零細、小規模なところも全部原則的にやらなければならないということになりまして、転嫁もできないような零細事業者にとっては、もうまるきり泣き面にハチの法案であると言わざるを得ないというふうに考えます。
それから、この法案が仮に施行されたとした場合の事後の税務当局による調査の問題であります。
昔の取引高税の税務調査をやった人の経験談なんでありますが、八百屋さんなり魚屋さんでも結構なんですが、お客さんが出てくるのを待って、電柱の陰に隠れていて出てきたところのお客さんをつかまえて印紙が張ってあるかどうか確認したと。そして、ある者は一日に二十軒も三十軒も回って、役所に帰ってから、あそこの店は机が幾つあった、あるいはいすが幾つあったから大体このぐらいの売り上げがあるはずだと。俗にアルキメデスの原理と言うんだそうでありますが、そういうような方法で苛斂誅求な調査がされた時代もあります。今ではもちろんそういうことはないんでしょうけれども、それに近いような実質的な圧力のかかった調査もございます。
納税者から見た我が国の税制史は、言ってみればそのまま税痛史じゃないかなというふうに考えております。この税痛は、ある意味では民主主義社会を支える反面的な根幹理念として容認しているわけでございますけれども、問題は、この税痛感がどうして問題になるかといえば、その中身が、額に汗して人の二倍も三倍も働いて、そしてお医者さんなんかの場合には人命を預かる、人の命のために、自分のためでなくてやむを得ず二十四時間働いた、結果として多額な所得を得ることができたにもかかわらず、その一方で、最近マスコミ報道等にありますように、リクルートコスモス株を得られるような方々はぬれ手でアワのような形でもって多額の利益を得て、しかもそれはもともと税務調査以前の段階からもう無税である。ところが、勤労性の、そうやって額に汗して稼得した所得に対しては重箱の隅をつつくように、これは家事関連費ではないか、生活費じゃないか。先生方のところに来られる調査というのはそういうことはないかもしれませんけれども、実際の税務調査というのは非常に過酷な形で行われております。そういう現在の税制そのものが、いわば同じように所得を得ても、片や勤労性所得には税が重い、そして不労性といいますか、あるいは不当利得と申しますか、そういうものには税がかからないという、そういう制度そのものに問題があるんじゃないかというふうに考えております。
そういう意味で、弱者に厳しい現行税制をまず正していただきたい。それからこの消費税法案というものが出てきても十分間に合うんではないかというふうに考えますので、十分御審議をお願いしたいと存じます。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/74
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075・梶木又三
○委員長(梶木又三君) どうもありがとうございました。
次に、中村参考人にお願いいたします。中村参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/75
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076・中村久瑠美
○参考人(中村久瑠美君) 御紹介いただきました弁護士の中村久瑠美でございます。
いよいよ最後の参考人になりまして、先生方お疲れかと思いますが、なるべく簡単明瞭に申し上げたいと思いますので、いましばらく御辛抱いただきたいと思います。
私自身は、東京の港区青山で小さい法律事務所を持ちまして弁護士活動をしております。大体依頼人の半分はいわゆる中小企業の社長さん、自首の方でございます。残る半分はサラリーマンとか普通の家庭婦人でございますので、一番国民大衆一般の生の声を伺う機会が多いかと思っております。また、私自身も育ち盛りの子供を持つ母親といたしまして、日常の生活実感からこのたびの税制法案につきましては大変関心を持っておりますので、いろいろ申し上げたいのでございますが、何分限られた時間でございますので、端的な印象、特に女性の立場でこの消費税につきまして一言申し上げさせていただきたいと思います。
とにかくこの消費税、もうきょうあたりの新聞によりますと、来週早々には可決していくような報道が出てきておりますので、何か申し上げるのもむなしいような気がいたしますが、どうかいま一度御審議いただき、もう少し考え直していただけないかな、こう思っております。将来の見直し規定を置いておくからよろしいのではないか、こういう御議論もあるでしょうが、制度というものは一度入れますとなかなかこれは変わりません。将来見直すなら今見直していただきたい消費税ということで、少し話をさせていただきます。
理由は大体六つぐらいございますが、まず初めの三点はいわゆる総論で、皆様方十分もう論議されていることでございます。
一つは、もっと先にやるべきことはないか。つまり、土地税制をもっとやっていただきたい。弁護士をしておりますと、もう土地問題が一番争点の山のような問題でございます。特に東京の中央区、千代田区、港区、あのあたりの地上げ騒ぎは何だったのでしょうか。こういうものをほったらかしにしておいて、庶民の日常生活一つ一つに税金をかけることばかりをお考えでは何か解せないのでございます。もっと大きな資産課税の方につきまして十分な御審議を先にしていただきたいのでございます。
第二は、いわゆる行政改革でございます。特に国会改革、これにつきましてもう少し先生方御自身考えていただけないものか。何ですか、延長国会を一日いたしますと一億円相当のお金がかかると聞いております。国民の血税が一日国会だけで一億円流れていくのでは、どうして消費税が簡単に導入できましょうか。何といいましても国会改革。私ども、新聞でリクルートという片仮名を読んでおりますが、これは利に狂った人というふうに当て字をして読んでいる。これが庶民の感覚でございますので、どうか国会議員の先生方は、その辺につきましても十分に反省をいただき自粛の方向で御検討をいただきたい、こう思っておる次第でございます。
第三番目は、もうさんざん言われていることでございますが、直間比率を見直し、高齢化社会に備え不公平を正すということで、総論におきましてこの消費税の導入がやむを得ないのかなということは薄々わかってはおりますが、国民大衆にいま一つその理由とはっきりした目的がわかっておりません。この辺につきましてやはりはっきりしたビジョンをお示しいただいて、どうしてこういうわけで消費税が必要なのかということをもう少し具体的にお示しいただかないことには、日常生活を束縛していきます消費税を気持ちよくお払いするわけにはいかないのでございます。人間は、一円たりといえども納得しなければ税金は払いたくない、これはどなたでも同じではないでしょうか。そういう意味では、なぜ今消費税が必要なのか、その具体的な目的なりビジョンをはっきりと示されない限り、なかなかこれは導入はしてみても成功しないのではないか、こういうことを申し上げたいのでございます。以上、三点が総論的なもう少し見直していただきたい理由、次は技術的な面におきましてもう少し見直していただきたい点を申し上げます。
それは、先ほど来いろいろな参考人も触れておられましたが、どうも技術的にすっきりいたしません。特に昨年の売上税は、和田参考人の御意見ではございませんが、業界の猛烈な反対でもって引っ込められました。その反面、消費者に対するしわ寄せが大変来ているのではないか、これは特に女性の立場から申し上げたいのでございます。
先ほど右山参考人でございましたか、間接税はいいですよ、これは取られるというよりも納めるという感じがする、嫌なら物は買わなきゃいいんだからと、こうおっしゃいましたけれども、これはまことに男性の論理でございます。本当に子供はどんどん大きくなります。つんつるてんのお洋服を着せていられますか。毎日毎日の日常生活は買わなきゃならないものがやはりあるのでございますから、日常生活において必要なものは買わなきゃいけない。それなのに間接税がかかっていたらどうして納めるという気がいたしましょう。やはりこれは取られる税金でございまして、要らなきゃ買わなきゃいいんだ、嫌なら買わなきゃいいんだ、これは男の論理であることをもう一度御検討いただきたいのでございます。
次に、業者サイドという意味では、いわゆる伝票方式をやめられ帳簿方式を入れられたこと、これは消費者は納得いたしません。お買い物をして、一体どこまでが税金なのかちっともわかりません。本当に必要なら気持ちよくお払いし、それが国庫に入ってみんなのために使われるならこれは結構なんですが、どうしてもどこかで便乗値上げがありはしないか。特に三千万以下の免税点があるということですね。ここは免税点のお店だということがはっきりわかれば結構ですが、わからない。とすれば、税金だということで仕方なく納めたところ、実はそれは三千万の免税点の店であったから税金は取られなかった、業者さんだけが得をした、こういうことではせっかく消費税が導入されましてもまるでざるでございます。やはり国民が納得し、それが国に反映するようにしていただきたいので、この辺の技術面をもう少し御検討いただきたいのでございます。
先ほども少し触れましたが、そうした簡易課税制度とか限界控除制度、免税点、これは問題があるから将来見直そうということで、竹下総理大臣以下いろいろ御配慮ということでございますけれども、将来見直しというような規定を置いたところで、一たん制度が導入されましたら、これはなかなか改正できるものではないことは先生方の方がよく御存じではないでしょうか。一たん導入されました制度にはいろいろな人や予算がたくさんつきまして、十年、二十年そのままになっていきます。その間ずっと国民、消費者に犠牲を払えとおっしゃるのでしょうか。これはまことに過酷でございます。消費者の犠牲において、こうした見直し規定を置いておくからいいのだということではいけません。やはり今見直していただきたいのでございます。
もう一点でございます。便乗値上げは当分ないであろう、試算によると一・一%にとどまるであろうと、このように政府税調の方はおっしゃっておられるようですが、これは大変なまやかしでございます。なぜなら、私ども毛皮とか宝石とか、今そういった物品税を廃止してそれが一律三%になるから値下げになる、日常生活品は上がるけれども、のしてしまえば一・一%でおさまるではないかと、こういう御議論だとすれば、国民生活に対してまことに配慮のない冷たい政治と言われても仕方がないと思います。やはり生活必需品だけを取り上げて本当に一・一%でおさまるかどうか、その辺を御議論いただかないことには国民は納得できないのではないのでしょうか。
以上、細かい技術的なことを申し上げましても、やはり消費者サイドの方からももう少し御配慮いただけないことには、今すぐ導入することによって国民生活に寄せられるいわゆるしわ寄せというものは大変なことになると思います。そして、見直したらそれではどうしたらいいか、大変素人で恥ずかしいのでございますけれども、一応私なりの試案がございますのでひとつ意見を申し上げさせていただきます。
それは、今の消費税をどうしても入れなければならないのであるなら、消費者の立場から申せば、百円、二百円のものにはひとつ税を御免除いただきたい。せいぜい一万円以上のものには三%ついても、百円買って三円だ、四十、五十円のものを買って一円か二円か、こういう煩雑なことは消費生活にとって耐えられません。
先生方の中にはいわゆるスーパーマーケットのレジにどのくらいお並びになったことがございますか。私ども仕事を持つ母親は、仕事を終わって帰ってくる。そして帰りに、子供がおなかをすかせておりますのでスーパーで早く買い物がしたいのです。列はもう長蛇の列でございます。ここに消費税が入りましたら、また百円が百三円になり、一円玉を転がして、レジはどんどん長蛇の列になるんです。このような日常生活というものも、やはり消費税が余りに細かいことを言い過ぎるからではないか。これは素人の論理かもしれませんが、できましたらせめて一万円以下のものは税金をかけない、これぐらいの配慮も考えてみていただいてはどうかなと、こう思っております。
次に、今、物品税を廃止してということで一律な三%が考えられておりますけれども、本当に物品税を廃止してよろしいのでしょうか。やはり女の身からいたしますと毛皮が安くなりダイヤが安くなるのはうれしいことではございますが、それと日常生活必需品と同じというのはどうしても解せない、これが国民一般の声ではないかと思うのです。もちろん、物品税の廃止も結構ですけれども、やはりぜいたく品と言われるものは今だってあるわけです。国民の必需品でないものはあるわけですから、その辺も御配慮いただいて、もう一回本当に間接税はどうあるべきかを御論議いただきたいなと、そういうふうに思っております。
そのほか、まだいろいろ申し上げたいことはございますが、特に消費税に関しましてはどうしても必要であることの理由をちゃんとお示しいただき、そして、いま一度見直した上で国民を納得させていただくまで、もう少し待っていただきたい。これが私の意見でございます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/76
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077・梶木又三
○委員長(梶木又三君) どうもありがとうございました。
以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。
この際、参考人の方々にお願い申し上げます。質疑応答の時間が限られてわずかでございますので、質問には簡潔にお答えいただきたいと存じます。
それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/77
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078・久世公堯
○久世公堯君 自由民主党の久世公堯でございます。
参考人の皆様方には、師走のしかも土曜日の午後という時期においでいただきまして、まことに恐縮をいたしております。また、貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。
先ほど本間参考人も触れられましたように、我が国は戦後四十数年、経済社会は大きく変わってまいりました。経済の発展は著しく、それに従って産業構造も国民生活もさま変わりをいたしましたし、国際的な地位も向上いたしております。今日、二十一世紀に向かいまして、高齢化、都市化、技術革新、情報化、国際化と、さらに大きく変わろうといたしております。新しい酒は新しい革袋にという言葉がありますが、これからの日本の経済社会のために、あらゆる制度、仕組みを変革しなければなりません。シャウプ税制以来の税制も、今日のそして近き将来の日本のために改革すべき最たるものだと思うわけでございます。
まず、本間参考人にお伺いをいたしたいと思いますが、先ほどから皆様の御意見を承り、また当委員会における審議、さらに昨日、きょうの公述人、参考人のお話を承っておりますといろいろな御意見がございます。一つは、不公平税制の是正を行うべきである。それから行政改革や国会改革を行うべし。税制改革は時期尚早である。拙速を避けていろいろな意見を聞けと、何も消費税を導入しなくても減税財源はある、そういうような御意見が多いわけでございます。
不公平税制の是正につきましては、今回の改正は公平の原則を最も基本的な理念として検討し、具体的にもキャピタルゲイン課税あるいは医師課税の見直し、法人課税の合理化などの改革を行っております。行政改革もシーリング、補助金制度の改革、民営化、定数削減と努めておりますし、政治改革につきましても、総理みずから先頭に立って現在やっております。税制改革にはまだ早いという御意見に対しては、今までも十分に時間をかけてまいりました。大平総理が一般消費税を唱えられてから十年でございます。今回の税制改革でも政府税調は二十五回公聴会を開いておりますし、私どもの自由民主党の税調におきましては、売上税以来数百時間の時間を費やしております。総理や前宮澤大蔵大臣はつじ立ちをして国民に対して直接訴えておられますし、新聞も非常に多くの紙面を割いてこれを報道いたしております。また、税の自然増によって減税財源があるじゃないか、こういう御意見はあるわけでございますが、今日の日本経済は確かに好況でございます。いろんな環境もいい条件になっております。しかも、現在は日本の高齢化社会はまだ入口でございます。したがって、今のように余裕のあるうちに二十一世紀のための税制改革を行わなければならないと私は思うわけでございます。
そこで、本間参考人は今回の税制改革に賛成しておられます。また、先ほど、国民として、そして青年として、そして旅館の経営者としてとおっしゃいましたが、どうも御意見は宿屋の若だんなの御意見が大半でなかったかと思うわけでございます。その点は十分よくわかりましたので、ひとつこの税制改革一般についての御意見を賜りたいと思います。
次に、消費税について右山参考人に伺いたいと思います。
当委員会でもいろいろ御論議がありましたが、また、ただいまの参考人各位の中にも、特にこの帳簿方式や簡易課税制度につきましていろいろ御意見があったわけでございます。これに対する批判といたしましては、帳簿方式を採用し、いわゆるインボイスの発行を義務づけないために取引の際に消費税がどのくらいかかっているかが一目瞭然ではない、消費者にとっては不明朗であると先ほど中村参考人もおっしゃったわけでございます。また、簡易課税制度は負担関係をあいまいにしてしかもその適用上限が高いから不公平を拡大しているという御意見もあったわけでございます。しかしながら、消費税は消費者に負担を求めるものの、納税はどちらかといえば事業者にお願いしなければならない税金でございます。また、この種の税金になじみの薄い我が国の工夫といたしまして、御承知のように、帳簿方式にすることによって、いわゆる税額票の発行の煩わしさを解消いたしております。また、簡易課税を認めることによって、事業者の計算事務や税務署に行く煩わしさを軽減したものでございます。
このように、消費税は売上税に対する批判を踏まえて、また我が国の商慣習や流通の実態、あるいはまた中小零細企業の実情というものを踏まえてさまざまの工夫を凝らしたものだと思うわけでございます。これは消費者にも十分理解されているところだと思われます。
消費税に対する批判の中には、今もいろいろ述べられましたけれども、こういうような改良点をさらに批判をいたしまして何か売上税に戻れと言わんばかりの意見もございます。運用の面では、先ほどお話がございましたように三月十五日の点についてはお話もございましたが、そういう運用面で改善すべきことは幾らでもあるかと思うわけでございます。私は消費税は決して絶世の美人とは言えないかもしれませんが、気立てのよい大和なでしこだ、このように思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
時間が余りございませんので、恐縮ですがお二人に、本間参考人、右山参考人、それぞれ二分ずつぐらいお答えをいただければありがたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/78
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079・本間幸男
○参考人(本間幸男君) 先ほど長々と陳述をいたしまして御迷惑をおかげしましたので簡単に申し上げたいと思います。
個人のところにつきましては、先ほど来から皆さん御発言をされておりますのであえて申し上げません。経営者といたしまして、公取の方から税額の価格転嫁についてやはり経営者に対する配慮の一端が見えるというところでございます。
それから組織の人間といたしまして、何よりも私どもが旅館業界を含めて環衛業界を挙げて料飲税撤廃を条件に消費税導入に賛成してまいりました経緯がございます。そして、私自身もそれをよしとしまして青年部の代表として、組織代表の一員として行動をしてまいりました経緯がございます。来年の三月まで私、任期でございますので、組織代表として反対するというわけにはまいりません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/79
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080・右山昌一郎
○参考人(右山昌一郎君) 帳簿方式の問題ですが、私は導入に対してこれは人間的な税制の第一歩じゃなかろうかということを話しましたので、結局その帳簿方式で消費税を導入しますと。しかし将来は、やはり政府の税調が言っているように、EC型の付加価値税税制に消費税というものが少しなれてきたらやらないと、さっきの中村参考人も言われたように、生活必需品とぜいたく品が同じではこれは人間的ではないんじゃなかろうかということをさっき申し上げたわけです。そうすると標準税率、それから割り増し税率、軽減税率というのを設けるためにはどうしてもそういうEC型付加価値税というものを将来はやっぱり考えなきゃならないんじゃなかろうかと。しかし、今のところは導入ということについて、まず帳簿方式というのは帳簿がありますからそれをもとにしてやってみて、そして漸次改善していくという方向で進まれたらいいんじゃなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/80
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081・梶木又三
○委員長(梶木又三君) 久世君、往復時間ですから、質問と答えを勘定してひとつやってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/81
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082・久世公堯
○久世公堯君 時間もないようでございますので、先ほど和田参考人から地方財政の強化の問題がございました。私も、三十年近く地方自治をやってまいりましたので地方財源の強化という点につきましては大変意に介している次第でございますが、今回の消費税に伴う国と地方との財源配分につきましては、それぞれ大蔵省、自治省の努力によってまあまあのところまで行ったんじゃなかろうかと思っておりますが、今後長きにわたっていよいよこの地方財政の強化というものを念じたいと思っている次第でございます。
また、中村参考人が触れられました土地税制の問題につきましては、私も非常に関心も持っておりますし、特に東京を初め大都市周辺においては当面の課題だと思うわけでございますが、しかし、この消費税を初めとする今回の税制改正も私は緊急の課題だと思う次第でございます。
お答えの時間もないかと思いますので、以上で私の質問を終えたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/82
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083・安恒良一
○安恒良一君 右山さんにお聞きしたいんですが、どうも私はあなたの税制論を聞いていますと、やや、十八世紀に返ったのかなとか、もしくは貧乏人は麦飯を食えという有名な総理がおられましたが、あなたは応能負担の原則についてどうお考えか、ちょっと簡単にお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/83
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084・右山昌一郎
○参考人(右山昌一郎君) 応能負担というのは垂直的公平というふうに言われておりますけれども、垂直的公平というのは、例えば生活費だけ一人に百五十万円ずつ上げます、あとは生活ができるのだから納税する能力があるんだと言われるのも応能だと思うし、それから一億円の人も一割、一千万円の人も一割というふうなこれも応能だと思うし、どこで線引きするかという問題だと私は考えております。それで、今の線引きがいいかどうかという、線引きが妥当な線がどこかということがもとにならないと、これは応能というのは出てこないんじゃないかというふうに、私は理論的にはそう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/84
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085・安恒良一
○安恒良一君 それでは今のところについて、これは和田先生、応能負担の原則ということについて先生のお考えをひとつ聞かせてください。
それからいま一つ、和田先生、地方の財源論に触れられたんですが、二十一世紀の高齢化社会を展望した改革と政府は言っています。その役割を地方自治体がうんと担うわけですね。その点からいくと、どうも今度の改革は逆行してはいないかと思います。それと同時に、財源論からいうと、問題は国全体を含めましてやっぱり消費税に基づく財源論か、直接税の改革に基づく財源論か、これがあると思います。この点について和田先生のお考えを聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/85
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086・和田八束
○参考人(和田八束君) 御質問でございましたが、税の公平というのはどういうふうに見るのかという、これは現代社会は非常に複雑な社会でありますので、難しいことは当然のことでございます。大学のサークル、クラブなどでございますと大体月に千円ずつ出し合おうとかいうふうなことでやるのが平等でありますけれども、実体社会に行きますと、お互いにみんな千円ずつ出す、税金を一万円ずつ出すというのが公平ではないわけでございます。では、何%を出す、所得に対して何%出すというだけで公平かというと、そうではないわけでありまして、現代の経済力なり資産力なりというものは非常に複雑でありまして、もっと社会的な公正という観点を入れて税というものは考えられなければならないわけでありまして、そうなりますと、やっぱりいわゆる垂直的公平というものが第一義的に考えられなければならない。応能の能というものを、何によって能を見るかという、これは大変難しい問題でありまして、ここに税の公正の一つの決め手がございまして、現代の所得税というのは、不十分ながらそうした応能負担の実現については最も可能性を持った税ではなかろうかというふうに考えているわけであります。
それから、地方財政にとりましては今回の税制改革は全くプラスのところはないというふうに私は思います。すべての点においてマイナスであると。これは税収そのものについてもそうでありますし、その税収の補てんについても不十分というかマイナス部分が出てくるという、そういうバランス論からいいましてもそうでありますけれども、地方自治にとって一体いかなる税が妥当なのか、あるいは現在の地方財政にとって地方税はいかにあるべきかということがほとんど議論をされていないわけであります、この税制改革の過程におきまして。これはやはり非常に問題を持っているところではなかろうかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/86
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087・安恒良一
○安恒良一君 今、私が聞きましたように、今回の税改正は一つのやっぱり財源論の問題ですね、将来に備えて。そのときに、いわゆるシャウプ税制を守っていきながら直接税を中心にやっていくのか、それとも消費税的な間接税をやっていくのか、これが国会の論争の中心なんですが、その点について和田さんの考えを少し聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/87
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088・和田八束
○参考人(和田八束君) ちょっと最初のところを聞き漏らしました、恐縮ですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/88
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089・安恒良一
○安恒良一君 直接税によるのか、消費税によるのかという、この財源論について先生の考え方をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/89
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090・和田八束
○参考人(和田八束君) 財源論も確かにございますけれども、ただ財源論だけで税制改革の問題が律し切れるかどうかというふうに考えておりましたので、本日も余り数字的なことは申し上げなかったわけでありますし財源的な面についても触れなかったわけでありますけれども、私は税の体系ということからいいますと、やはり直接税中心主義という日本の戦後の税制というのは非常にすぐれているというふうに思うわけです。
よく、ヨーロッパの幾つかの国などとの比較があるわけでありますけれども、これはそれぞれの沿革がございますし、またヨーロッパ型と日本型とどちらがいいのかということになりますと、税のあり方なり財政学の立場からいいますとやはり日本型の方がいい。税制につきましては、戦後我が国においては混乱の中でありましたけれども、シャウプ勧告というかなりレベルの高い勧告がありまして、それが今日まで骨格としては続いてきたということでありまして、これは日本が世界に誇るべき一つのものではなかろうか。
それから、その中において補完的な間接税として個別消費税、物品税というのがあるわけでありますけれども、今日になりますと、何か物品税というのは非常にもうまずいというふうな、ゆがみがあるというふうに言われておりますけれども、やはり直接税中心主義の中で、ある種の非価値財に税をかけたり、ある種の目的税あるいは担税力に見合った課税を対象にしていくというこの個別消費税というのは非常にうまく機能しているわけでありまして、私は、今何かそういう日本のすぐれた税制を大きく変えなきゃならないという理由が、どうしてもいまだに疑念が晴れないという、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/90
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091・安恒良一
○安恒良一君 次に庄司さんにお聞きしたいんです。高齢者対策にお金がかかる、こういうことの角度で財源論を言われたんですが、問題は、今度は社会保障のビジョンというものが示されないまま消費税の改革が出された。示されたのは厚生年金の六十五歳ということですね。今、日本ではまだまだ六十歳定年の普及率というのは五六、七%ですが、ここらの問題について庄司さんの考えを聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/91
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092・庄司中
○参考人(庄司中君) 御指摘のとおり、六十二年度の六十歳までの達成率ですね、企業数の割合がまだ六〇%行っておりません。そうしますと、これから十年後に六十五歳に向けてスタートを切るという状態が果たしてできるのかどうかということは非常に私心配でございます。
事実、労働組合なんかに尋ねましても非常に難しいと。とりわけ、大企業のところと一番下の中小のところは割合いいわけでありますけれども、中堅のところが非常に難しいというふうに考えております。私たち高齢者といたしましても、つまり最近の高齢者というのは比較的元気でございますから、それから働きバチでございますので何とか仕事をしたいと思っているわけですけれども、実はないということがございます。仕事を世代別に分け合うということも非常に難しい状態ということで、私たちはやっぱり非常に将来については、六十五歳については悲観的である。したがって私たちは、年金受給を六十五歳に向かって引き上げることはどうしても容認できない、事態の深刻さがわかっているだけに容認できないという立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/92
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093・安恒良一
○安恒良一君 最後に中村さんにお聞きしたいんですが、もしも消費税を導入するとするならばということでおっしゃった伝票方式、いわゆる付加価値税、インボイス方式。それから典型的なぜいたく品にはやはり税金を高くかける。私もその二点の論理については賛成なんですが、いま一つ、課税最低限以下の者に対する還付制度をつくるというものについては先生はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/93
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094・中村久瑠美
○参考人(中村久瑠美君) 御質問は、課税最低限の還付といいますと、一応全部一律に集めた後で還付するという先生の御趣旨でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/94
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095・安恒良一
○安恒良一君 いや、消費税というのは全部取られちゃうんですね、課税最低限以下の方も。ですから、そういう方については何か還付を考えないといかぬのじゃないかなと。その先生のお考えありますかということを聞いたんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/95
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096・中村久瑠美
○参考人(中村久瑠美君) わかりました。
いわゆる低所得者層に対して還付ができないかと。それができれば結構だと思います。ただ、日常私が生活実感から申し上げましたのは、余り細かいものに、一円、二円のおつりで騒ぐことよりは大体一律幾ら以下のものに税金をかけましょうの方がどうでしょうか、こういう御議論も出て不思議はないのではないかというそういう意見を申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/96
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097・太田淳夫
○太田淳夫君 参考人の皆様方には大変にお忙しい中、貴重な御意見を賜りまして本当にありがとうございました。
最初に金子参考人にちょっとお伺いしたいんですが、先ほど税理士としての業務の立場からいろいろと御苦労なお話がございましたが、その中で転嫁の問題が一つ重要な問題として出ておりました。昨日の公述人の方のお話によりますと、ヨーロッパでは転嫁は問題になってないと。それはもうこの消費税というのは転嫁すべきものだということで決まっておる、したがって伝票制度できちんと転嫁転嫁と続いていくからその問題はないんだというお話が公述人のお話の中でございましたが、今回帳簿方式でございます。先生も帳簿方式で計算事務はむしろ非常に難しくなっているということをおっしゃっておりましたが、伝票制度でやればこの転嫁の問題はヨーロッパと同じようにきちんとされていくんでしょうか。日本の状況はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/97
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098・金子圭賢
○参考人(金子圭賢君) 転嫁の問題というのは、我が国においては間接税をEC諸国のような形で実施しているという経験が非常に浅うございまして、EC諸国、私どもの仲間が何度も視察に行っておりますが、その実体験の経験から聞いてまいりますと、彼らの場合には国情が違うためにそれを統一的に行う必要性があってされた。それから、ある国によっては非常に直接税の把握が難しくて、そして直接税の申告納付するという姿勢が非常に希薄である。具体的な国名を挙げると若干問題があるかと思いますので挙げにくいんですが、それを補完するために間接税という形で長い間やってきたという体験がある。そういうところからインボイス方式という形で転嫁をしやすい土壌があったということがまず考えられると思います。
我が国の場合にはそういう体験がなくて、流通経路も非常にある業種によっては複雑でございます。その複雑な中が非常にうまく機能をしてそして今日の繁栄があるんではないかというふうに考えておりますが、その複雑な機能を現実に今施行したとしたらどうなるかということは、私は日ごろの、通常注文書が出まして、納品書を発行し請求書を発行しそして領収書を発行するという流れが各業種によっては何段階にも流通過程がありますのでこれは大変に難しい。特に納品書、請求書がきちんと発行されないで、もう領収書だけという中小零細業に至ってはありますので、そうした場合にどうしても転嫁できなくてかぶる方がより多くなるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/98
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099・太田淳夫
○太田淳夫君 税理士の皆様方のお話の中で非課税、課税の区分経理の問題について非常に煩雑になってくるんだ、したがって税理士の皆さん方の事務所の人員の問題、先ほども先生お話しがあったと思いますが、にもなってくるでありましょうし、ほとんどの方々がコンピューターの設置が必要とされるだろう。したがって、コストアップも問題になるし、あるいはソフトが四月までに間に合うかどうかという問題もあるというお話もいろいろといただいているわけでございます。そうしますと、ただいま国会で弾力化云々ということがございまして、十月までいろいろと税務署の指導、相談というものを延ばしていこうかということでいろいろとやっているわけでございますが、十月でよろしいんでしょうか。それとももっともっと日にちが必要になるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/99
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100・金子圭賢
○参考人(金子圭賢君) 最近のマスコミ報道によりますと、この弾力的運用という用語が出てまいりますが、この用語の正確な定義はさっぱり定かではないんですが、大蔵大臣等のさきの国会答弁によりますと、適用期日は延期しないけれども、税務当局の調査指導で弾力的に取り扱う云々とございました。これは、もしそういう形でこの法案が取り扱われるとすると大変ゆゆしき問題ではないかなというふうに考えております。もとより、我が国は租税法律主義に基づいた租税国家として、納税者と国との間に信頼関係が成り立っていると解するのが前提であるはずでございます。しかるに、右のようなあいまいな文言が仮に政治的発言としてもあるいは文言としても取りざたされているということになりますと、実際の租税の税務執行の段階にまで弾力的運用というような形でやられた場合には、大変な不安感を覚えます。
そこで、実際に弾力的運用、これが調査指導等を例えば今のお話のように十月まで半年間あるいは一年間弾力的にするんだということでございますけれども、もしそういうことに実際の調査実務ということがなったと考えますと、現在の調査の場合におきましても、例えば新規に事業を開始いたしまして、そして最低第一回目の確定申告を提出するまでは調査はございません。なぜならば、どういう申告が出るかわからないから調査するわけがないのであります。現実に税務当局の調査の国税職員は五万二千人と伺っておりますけれども、納税者数との兼ね合いから見ましても、実際に調査に来られるのは最低三年間ぐらいたってから、あるいは四年、五年たってから調査に参っているのが実情でございます。したがって、調査指導を弾力的に半年間、一年間延期するということがありましても、これは実際的には無意味なことなんではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/100
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101・太田淳夫
○太田淳夫君 和田参考人にお尋ねしたいんですが、今回の消費税の導入に際しまして、政府側は、要するに経済のソフト化、サービス化というのがどんどん進んでいる、したがってサービスにも課税をしていくんだということでございました。現在も、国税では入場税あるいは通行税、地方では先ほどお話が出ました料飲等の消費税あるいは娯楽施設税等がございますけれども、いずれも限定的であり、不公平なものが多いわけでございます。
今回、消費税が導入されるわけでございますが、考えてみましても、現代的なサービスとしましてはまだまだ幅広いものがあろうかと思うんですね。情報あるいは広告宣伝、運輸、通信サービス等いろいろございますけれども、こういうものに対するサービス課税、それは先生のお考えとしては、今回の消費税で十分であるかどうか、将来どういうような方向でまだ課税ベースを広げることができるだろうか、先生の御意見をちょっと賜りたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/101
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102・和田八束
○参考人(和田八束君) 現行の個別消費税、物品税の一つの欠点といたしましては、やはりサービス課税がなされていないという点でございます。この点はやはり是正すべき一つの対象であろうというふうに考えますが、私は、いわゆる消費税、一般消費税タイプではなくて、個別消費税タイプでそれが可能であり、むしろそれの方がよいのではないかというふうに今考えております。
結論だけ申しますと、例えば対象といたしますと航空とか運輸、通信、こういう大規模サービス業、これを対象にした一種の個別消費税体系を考えたらよろしい、それの方が徴税費も最小になるわけでありまして、サービス課税ほど難しいものはないというのは、現在地方税における料飲税の実態を見ても非常によくわかるところでありまして、そういう徴税コストをかけた割に効率の悪いという、そういうサービス課税を一般型でやるというのはかなり疑問があるわけでありまして、むしろ脱税を容認する部分というのはかなり残るわけでありまして、そういう点からいいますと、部分的であってもより効率的な個別消費税タイプというものが考え得る、こういうふうに私は考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/102
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103・近藤忠孝
○近藤忠孝君 日本共産党の近藤忠孝であります。
時間の関係でどこまで行くかわかりませんが、順次質問をさせていただきます。
まず、本間参考人であります。温泉地の旅館業者としての立場から三つの御要望を伺いました。ただ、聞いておってどうもすっきりしないんです。よく考えてみました。理由は、大切なお客様のことが欠けておったんですね。水、食料、これ上がりますね。当然宿泊費の引き上げになると思うんですが、これはかなり宿泊費の引き上げになるんではないか。これが第一点。
そこで、転嫁カルテルの問題が出てまいりました。その宿泊費引き上げ分だと思うんです。そこで出てきたのが罰則です。となりますと、業者の中でやはり下へ行けば下へ行くほど苦しくなってきて値上げできない。その人々を罰則で追い落とす。となりますと、やはり今おたくあたりそうだと思うのだけれども、上の方のいい業者だけが生き残るというそういうことになりはしないかということが二番目。
三点としましては、やはり神様を大事にしないと、共産党が神様を言うのはおかしいんですが、これは月並みの意味で言いますと、お客様は神様ですからね、温泉地も発展しないんじゃないか。となりますと、やはり神様を考え、仲間全体の業者を考えるとなりますと、私は、温泉地の業者の皆さんは消費税導入に反対した方が一番いいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/103
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104・本間幸男
○参考人(本間幸男君) ちょっと御質問の内容がうまく整理できないのでございますけれども、先ほど久世先生の方から御質問がありましてお答えをしましたとおりで、やはり私ども組織として、料飲税撤廃というものを条件に消費税の導入と税制改正に賛成をするという立場に立って組織行動をやってまいりましたものですから、組織として一〇〇%通らなかったということで、上げた白い旗をピンクに塗ったり赤に塗ったりというわけにはまいらないということでございます。
なお、お客様の観点が欠けているんではないかということで御質問がございましたけれども、先ほど私が申し上げました中に、千円の温泉まんじゅうを売って三十円の消費税をもらえないからというふうな形で、うやむやな形でやっていくということはむしろお客様に対して大変失礼なことではなかろうか。税の分は税の分としてこれです、しかしながら、中身についてはこれであって今までどおりです、また、今まで以上の努力をしておりますというのがやはり商売人としてとるべき道ではなかろうか。
また、ハワイですとかアメリカへ行きましても、どんな小さな買い物であってもカウンティータックスなりシティータックスなりきちんとレジの段階で課税をされてくるというふうな形を考えていきますと、これだけ七百五十万からのアウトバウンド、海外旅行のお客様がいらっしゃるということで考えていきますと、そこのところまで踏み込んでいただくのがやはりベターではなかろうかという考え方を持つものであります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/104
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105・近藤忠孝
○近藤忠孝君 今のお話を伺っていますと、経過があるんで、本心は余り賛成できないんだけれども仕方がない、こんなぐあいに受けとめた次第であります。
次に、右山参考人ですが、先ほどもう既に中村参考人の方から男の論理だというお話がありましたが、私、男性ですが、男の論理でもないんですね。要するにこれは、先ほど二十万の洋服を十万にするという選択性があると。しかし、そんなことができるのは私はごく少数だと思うんですよ。
そこでお聞きしたいのは、年所得五百五十万以下、四人家族で、これが大体国民の八五%です。選択できるのはそれ以上の方です。となりますと、圧倒的多数の人にとってはやはり選択できないではないかという、これが第一点。
となりますと、先ほど指摘もありましたように、普通の食料その他には選択性がないんで、むしろこの消費税の一番中心部分は選択性がないんだと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/105
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106・右山昌一郎
○参考人(右山昌一郎君) 今度の抜本的税制改革で減税が二兆四千億になっております。一応、減税先行だというような抜本的税制改革になっております。その中に三兆一千億の所得税と個人住民税の減税が組まれております。そうしますと、要するに消費税の導入の財源よりも減税が多いんだと。その中で、サラリーマンに適用される所得税の減税が一番多いんだという構造になっております。そうすると、消費税を転嫁する転嫁しないという問題とは別にして、今度の減税の一番恩典を受けるのはこれはサラリーマンです。そして、これは事業者が転嫁をするんだというふうなことを考える、転嫁をしないと、サラリーマンだけが消費税を負担しないで事業者だけが負担するという観点からいいますと、私はこれは消費税は転嫁すべきものだというふうに思います。
そうしますと、選択するかどうかという問題ですけれども、それは要するに、自分の頭からとらえたところの源泉税が少なくなって手取りが多くなるんだから、そこはその手取りが多くなった分だけ選択する余地があるんじゃないかというのが一つです。それから、生活必需品は選択ができないんじゃないかというふうなことがあります。だから、生活必需品については暫時それは標準税率、それから軽減税率、もしかしたらそれはゼロ税率というふうな適用を将来はやはり考慮していただくべきじゃないかということを申し上げているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/106
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107・近藤忠孝
○近藤忠孝君 参考人ですから、ここで議論はもうしません。
そこで、次は和田参考人にお願いします。
先ほど疑念の第一に挙げられた点と関連すると思うんですが、私は、税制改革あるいは消費税導入に必要だという議論の根拠に随分ずさんな議論があると思うんですね。
その一つとして、税率構造との関係で限界税率が高過ぎたり、あるいは累進が強過ぎた場合における弊害として幾つか挙がっていますね、勤労意欲を失うとか、ほかに回避行為を行うとかね。果たして税率構造がそのような結果をもたらすものかどうか。そして、仮にそういう弊害があったとしましても、要するに多数の国民にそういう効果が及ぶのだろうか、この点まずお答えいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/107
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108・和田八束
○参考人(和田八束君) 余り細かいことではちょっと、数字を持ってきておりませんし、なんですけれども、現在、所得税の納税者の過半はいわゆるサラリーマン、給与所得者であるということでございますし、そのうちでも収入二千万円以下というところが大部分の納税者でございまして、それ以上になりますと、いわゆる申告所得者における所得をとってみましても、二千万円以上というのはごくわずかでありまして、そこにかなり高い限界税率が設定されているといたしましても、社会的にそれが大きな影響を及ぼすということは、我が国の現状からいいますと、幾分諸外国とはその辺は実情を異にしている部分があるのではなかろうかというふうに感じます。
また、累進税についての一つの誤解といいますか、いわゆる法定税率が低くなるとか、段階数が少なくなるということになりますと、何か累進的でなくなるのではないかというような議論もあるわけでありますけれども、それはこの課税最低限等がある限りにおきましてはそれなりのやっぱり累進性を持っているわけであります。
したがいまして、今回の改正におきましても、二千万円以下というところの累進度というのはそれほど大きく変わるわけではありませんので、社会的に見て、言われているような効果があるということは、マイナスの効果が余り認められないのと同様に、税率構造の改正によるプラスの効果というものもそれほど評価できないのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/108
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109・近藤忠孝
○近藤忠孝君 じゃ、時間がないので、あと一言でお答え願いたい点は、法人税が高いと企業が外国へ逃げちゃうという理屈があるんです。しかし、そんなことが果たして実証されているのか、法人税の税率と経済の空洞化の間に因果関係があるのかどうか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/109
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110・和田八束
○参考人(和田八束君) その点もはっきりしたデータを持っているわけではないのですけれども、最近における海外投資の実態というふうな報告書が大蔵省などから出ております。そうしたデータを見ましても、直接税金が高い、税金が不満であるということで外国に逃避しているというのは、統計上の問題かもしれませんけれども、余り実証的には見当たらないというのが私の印象でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/110
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111・栗林卓司
○栗林卓司君 民社党の栗林でございます。
きょうは参考人の皆さん、貴重な御意見を賜りまして心から厚く御礼を申し上げます。
先ほど中村参考人から、けさ新聞を見ると、採決近しというような活字が躍っているんで大変むなしい気持ちがいたしますというお話がございました。これは衆議院の悪い癖の影響でして、新聞記事は、新聞社がそれぞれ自分の責任で見通しを立てているのでありますが、衆議院の場合には、公聴会をやりますと、ああこれで採決の条件ができたというので色めき立つという悪い癖があるものですから、参議院の我々はあれはやめようと。大体公聴会というのは国民の皆さんの声を伺うためにやるのでありまして、伺った御意見をもとにしてさらに審議を続けていこうということを確認し合いながら現在進めておりますので、その点ぜひ御理解を賜りたいと思います。
それで、本間参考人にお尋ねいたします。
やや意地の悪い質問になるかもしれませんけれども、お立場はよくわかりますし、料飲税の扱いをめぐっていろんな議論があったことも私は遠くから見て承知はしておるのでありますが、一応、今、提案されております税制改革六法というのは、料飲税は撤廃しない内容で法律が出ているんですね。その法律に対する参考人としての御意見をお述べになるお立場にあるわけでありますから、将来撤廃してほしい、これは困るということであれば、端的に私は反対でありますとおっしゃった方が一番わかりやすい。その方が実は御要望の撤廃に近づく正道ではないかと、こう思うのでありますが、いかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/111
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112・本間幸男
○参考人(本間幸男君) 大変困った質問をちょうだいしております。
先ほども申し上げましたように、私の立場としてやはり信義というものがございます。ただ率直に申し上げたいところは、トータルとして私ども旅館業を含めて環衛業界の負担が従来よりは確実に軽くなっておるということについては、やはり諸先生方の御努力に感謝申し上げております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/112
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113・栗林卓司
○栗林卓司君 右山参考人にお尋ねをいたします。
先ほど割り増し税率とか軽減税率とかなどなど、これは複数税率の問題をゼロ税率も含めて御提起になった御意見だろうと思うんですが、そういったものも考えていくべきではないか、また帳簿方式等々に対する見直しもした方がいいという御趣旨の御発言もあったように記憶しておるのでありますが、私はなぜそれを先に延ばさなければいけないんだろうか。この複数税率を入れるのであれば最初から入れた方がもっとすっきりした税制改革になるんではないか、なれも早いのではないか。また、複数税率になりますと、これはインボイス方式をとらなければ実施不可能でありまして、それはもう最初からやった方が納税事務に乗せる場合にも便利である。したがって、現在の政府提案は、複数税率は一切考えていない、まことに何を考えているのかよくわからないような提案であるわけでありますから、これもその過ちを御指摘していただくためにも、先々直せばいいじゃないかじゃなくて、今なっていないのはこれはだめなんだということをお述べいただきながら教えていただけると大変ありがたいように思うんですが、御所見いかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/113
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114・右山昌一郎
○参考人(右山昌一郎君) 私は、消費税導入の趣旨そのものには賛成なんです。それはどうしてかといいますと、我々人間は、これは税金のために生きているわけじゃなくて、我々は生き生きと生きるために生きているという信念を私は持っております。そうすると、給与所得者の源泉が頭から持っていかれてあとで生活しろというのが果たして人間的なのか、それから事業所得者も、税金のことを考えて生活をしなきゃならないという現在の税制が人間的なのかということを考えるわけです。
それで、導入そのものには私は賛成なんですが、しかし導入をどうするかというその初歩的な第一歩の踏み出しは、多少のことはやはり洞察をしていかなければならないのだと思います。最初から割り増し税率、それから消費税率、軽減税率、ゼロ税率というふうな決めをやっていく準備も足りませんし、それからそういうことをやったら消費の中立性、消費がどういうふうにシフトするかというものが私はわからないのだと思います。だから、一応三%の均一税率でやって、要するにそういうふうに消費のシフトがこれはぐあい悪いんだということになったら、その消費のシフトに合わせて消費税というのを直していけばいいんじゃないか。転嫁の問題も、転嫁が非常に難しいならば、それはインボイス方式で何とか転嫁できないかというふうに直していけばいいんであって、消費というものがどう動くかというのは税制と非常に関係がありますから、だからそれは、中立なのか中立でないのかという問題をまず見て、その後で手直しをしたらいいんじゃなかろうかということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/114
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115・栗林卓司
○栗林卓司君 右山参考人がお述べになったことについて和田先生にお尋ねするというのは、右山参考人に大変失礼に当たるかもしれませんけれども、大切なところだと思いますので、和田先生にお尋ねいたしたいと思うんです。
税の場合、とにかくまず試行錯誤でやってみて歩きながら考えろよというやり方というのは、税の導入のやり方として正しいのでありましょうか。確かに間接税の経験があるいはないかもしれません。なければないなりに十二分に調査をして、しかも、国民から意見と経験を求めながら慎重に時間をかけて導入していくというのがもともと税というもののとるべき本来の姿ではないかと思ったりするのでありますが、この点についての和田参考人の御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/115
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116・和田八束
○参考人(和田八束君) 税でありましても、試行錯誤的にやるということは通常いろんなケースであり得ることではなかろうかというふうに思っております。ただ、今回の消費税といいますか一般消費税タイプの間接税というのは、我が国においては余り経験がございませんし、それから他国においても必ずしもベストというわけではありませんし、国民もかなり疑念を持っているということからいいますと、やはり十分な審議と、それから仮に導入するということにいたしましても、十分なスタイルをつくってその上で選択をする。後で修正するよりも、やはり完全なタイプでもって選択の機会が与えられるという方が国民にとっては望ましいことであろうというふうに私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/116
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117・栗林卓司
○栗林卓司君 ありがとうございました。
重ねて教えていただきたいのですが、実はなかなかうまく案が思いつかずに迷っているのでありますが、消費税というのは税痛がないものですから、したがってとめどもなく税率がふえていくという傾向があると一般的に言われているのでありますが、その歯どめをどうやって決めていったらいいのか。竹下総理は私の代のうちはやりませんと、ちょっとそれだけではこれは歯どめになりませんので。では、法律に明記をした方がいいのか、あるいはどうした方がいいのか。
この歯どめについて、和田参考人の御所見をぜひ伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/117
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118・和田八束
○参考人(和田八束君) これもちょっと難しいことで、私も何か名案的なものを持っているわけではありませんので。
税における歯どめというのは、税法そのものにもございましょうし、それからアメリカなどは憲法などにもある場合もございますが、我が国の場合は税法ということになるのでしょう。それから財政支出の面でも、これを抑制すれば税の方も抑制できるということでございます。ただ、消費税の場合には、一般的には現在考えられていますような収入見込みよりもかなり多くなるのではないかというふうに考えられておりますし、それから消費に対する租税の弾力性というものも、現在の間接税と違ってかなり高くなるのではないかというふうに考えられますし、それから国民の消費額そのものがふえてまいりますので、税率を上げなくてもどんどんふえていく、ある程度の期間は税率を上げなくてもかなりふえるということは予想できます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/118
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119・栗林卓司
○栗林卓司君 では、最後の質問をいたします。
金子参考人にお尋ねをしたいのでありますが、転嫁の問題がこの消費税の最大の焦点であることは、おっしゃったように、そうであろうと思います。転嫁が問題になる半面、実は便乗値上げの方がもっと大きな問題であって、しかも、これは今の政府の経済政策を見ますとはるかに可能性が高いのではないかという、そんな気持ちがあるのでありますが、税理士としてお仕事をされておられる御経験を踏まえて、便乗値上げについてどのようなお感じをお持ちになっておられるか、御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/119
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120・金子圭賢
○参考人(金子圭賢君) ただいまの御質問でございますが、少なくとも私の関与している先では、八〇%、九〇%は便乗値上げでなくて転稼できない税痛感の方がむしろ負担に考えております。むしろ、その取引先の大規模企業のところは確実になるのではないか。あるいは心配されるとしますと、先ほどの中村参考人が申されましたように、小さい単位の小売業の場合には、例えば二円、三円と出た分は十円、二十円という形で、あるいは十円、百円という形で便乗値上げがあるかもしれない。その場合には、先ほども申し上げましたように、税金を商売にするという税金ピンはね業という形でもって施行されるんではないか。その辺を大変憂慮しております。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/120
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121・秋山肇
○秋山肇君 参考人の皆さん方、暮れのお忙しいところを御出席いただき、それぞれの御意見をお聞かせいただきましてまことにありがとうございました。
最初に、本間参考人にお聞きをいたします。
先ほど来、料飲税の話が出ております。消費税で実施をされておりますものとしては料飲税が一番ポピュラーだろうというふうに思うので、この徴収義務者としての旅館の専務さんとして、あるいは業界の青年部長さんとして、ちょっと他の税目に比べると徴収率が悪いように思うんですが、この点について、今度の消費税導入にも関連すると思いますので、どうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/121
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122・本間幸男
○参考人(本間幸男君) 非常に難しい問題と申しますか、また、それぞれの各県各地におきまして非常に徴収率といいますか、そういったものにばらつきがあることは承知をいたしておりますけれども。今度、料飲税が特別地方消費税という形になりまして、これはある雑誌に出ておりましたものの受け売りでございますけれども、免税点が、一連の行為も入れてということでありますけれども、一万円ということになりました以上は、むしろ今までよりも捕捉率といったものは完全納付に近い形になるのではなかろうかなというふうに思っております。
あくまでも一般的なお答えしかできないのを申しわけないと思いますが、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/122
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123・秋山肇
○秋山肇君 徴収義務者の皆さん方の良心に任せる、今度の消費税導入によって、税金をお客様から預かりながらそれを払わなくてもいいという形で税金太りがあったのでは公平の原則に一番反するわけでありますし、ぜひひとつその辺はそれぞれの業界の皆さん方にもお働きかけをいただきたいというふうに思います。
それから中村先生にお伺いいたします。
先ほど土地税制のお話があったと思いますけれども、地上げ屋による都心の土地の値上がりということがお話にあって、その方々から土地の税金をもっと取り上げればということですが、それに関連して、先生のところには相続の相談が非常に多いだろうと思うんです。今度の相続税の改正が、この税制改革が通れば、ことしの一月一日までさかのぼるわけですね。すると、せっかく先生がお骨折りをして相続税を申告したのに、半年たって今度は税率が変わった、税金が安くなったじゃないか、じゃ、おれにも分け前をよこせというようなことがまた先生のところへもう一回来るようなことも考えられると思うんですが、その辺を含めてひとつ先生のお考えをお話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/123
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124・中村久瑠美
○参考人(中村久瑠美君) 実は、時間の関係で割愛したところをよく御質問いただけたと思って感謝申し上げます。
御指摘のとおり、私の事務所では昨年からことしにかけまして相続に関する事件が物すごくふえました。なぜこんなにふえたかというと、まことに土地が値上がりし、そんなに税金を払うほどの財産があるのなら私にも分けろ、こういうことでの相続争い。かつては遺留分などということはほとんど問題にならなかったのですが、物すごい勢いで相続事件がふえました。そして御指摘のように、ことしは、亡くなってから半年以内に相続税を納めなきゃいけませんよ、税金を計算してあげるから早く持っていらっしゃい、提携している税理士さんと御相談してやってあげるからと、こういうことで、もう何件も何件もそういうことをしておりますが、国会の動きが心配で、一体幾らになるかということをこの夏からずっとにらめっこでございまして、今ではこういう形だけれども、もしこの国会で通ればこれぐらいになりますよという計算を随分してあげております。
減る方につきましては、これは望ましいことでございますけれども、やはりことしの一月一日の路線価の値上がりが予想以上でございまして、何と二倍になっているところが世田谷あたりは大変多うございまして、ちょうど基礎控除を二倍にしていただいても案外大したことないね、やっぱり相当納めなきゃならないねということが多くございまして、都会におきましては、地価の値上がりとこの相続税の減税の控除額とが見合っておりません。焼け石に水というのは言い過ぎかもしれませんけれども、余り効果が出ておりません。これは地方に行きますと大分効果が上がりますけれども、都会におきましてはやはりなかなか難しい。
ということは、逆に、相続税法を一律に変えるだけじゃ足りないのであって、土地税制の方に手をつけないから不公平なんだと。都会に住む者と地方に住む者とはもちろん便利さやいろいろな点で違いますけれども、それが相続税にはね返って、自分の居住用の不動産まで手放したり、それからお店とか農家とかをやっておられる方も手放して、自分の生活基盤を失ってまで兄弟に分けなきゃならない。こういう現状が出ておりますので、どうしても資産税の方に手を入れていただかないと、相当な減税があっても無意味である、こういうことははっきり申し上げたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/124
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125・下村泰
○下村泰君 私は二院クラブの下村と申します。
先ほど中村参考人は、この中にはスーパーへ買い物に行った議員は一人もいないでしょうなんということを言っていましたけれども、私は行っていますから。私のうちのそばには碑文谷ダイエースーパーというのがあります。のべつ幕なし買い物に行っております。むしろスーパーダイエーヘインド洋でとれるマグロの切り身を買いに行くよりも、個人商店の魚屋さんの切り身の方がはるかによくて安いものがあるんです。そのくらいのことまで知っていますから、念のために申し上げておきます。
私は簡単にお伺いします。
この税制に反対するというと、じゃ、今のままでいいのか、こういう声が返ってきます。じゃ、やはり将来は改正しなきゃならないんだろうか。この二つだけなんです。
和田さん、金子さん、中村さん、三人の方にそれぞれ伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/125
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126・和田八束
○参考人(和田八束君) 私は、先ほども申し上げましたように、現行の税体系の骨格といいますか基本的な考え方といいますか、これは現行でよろしいということでございます。ただ、中身はいろいろと修正されるべき点が多々ございますので、それらはこれまでも議論されてきたところでありますので、体系は維持して中身を変える、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/126
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127・金子圭賢
○参考人(金子圭賢君) 私は、現行税制がいいとは申しておりませんけれども、現行税制のまず見直しをしていただきたい。
先ほども申し上げましたように、なぜ税痛感、不公平感があるかと申しますと、やはり肉体的、頭脳的は問わず、勤労性所得と、それから不労性というか資産性というか、あるいは場合によっては不当利得、投機利得もあるかもしれませんが、その辺の所得を一緒にして税金をかけておる。ここにやはり基本的な差があるんだろうと思います。資産のない者にどんなに頑張ったって資産の運用はできないわけです。現在、勤労性所得で例えば一千万、二千万汗水垂らして稼ぎましても、そこから三〇%、四〇%という税金がかかってしまいます。
最近、税務署の調査員ともよく話すのでございますが、彼らは共稼ぎで働いて、今、三十代あるいは四十代の人と話しまして、一生懸命働いても二人で稼いで年収八百万から一千万になりません。それに、二人で働いておるために保育所に子供を朝預けてきてそして勤務に来ます。生活費はどれだけかかるかというと、年間六百万ぐらいかかります。預金ははっきりいってゼロです。預金の中身は何だといったら、生命保険しかありませんというわけです。
そういう実態の中で、例えば私は今、都心に事務所を構えて高い家賃でやっておりますけれども、この私の住んでいるところは場所によっては一坪一億からするそうです。どうやって稼げますかということなんですね。郊外地へ行きたい。郊外地へ行くためには通勤二時間は考えないと買えない。そういう税制がむしろ問題だと言っているわけです。
その消費税の法案、ある方によっては理論的にはなるほどすばらしい税制かもしれません。しかしながら、まず現行税制を勤労性所得と資産性所得あるいは不労性所得の区分けをしていただいて、そしてしかるべく妥当な結論を得てからしかる後に考えてもいいんではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/127
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128・中村久瑠美
○参考人(中村久瑠美君) 私も、先ほどから申し上げておりますが、今の税制が完全だとは絶対申しておりません。
ただ、今のような形で急に消費税を入れても国民は納得しませんよと。消費税が本当に必要ならもう少し具体的に理由をはっきり示してよく説明をすること。それから技術的にもまだまだ改良の点があるから、先ほども歩きながら考える、導入しながら変えていけばいいとおっしゃるけれども、それでは国民の大変な犠牲の上に成り立つことになるから、もう一度見直して、一年ぐらいは御審議いただき、完璧なものだ、これが今ベストだということで皆の合意が得られて初めて導入しても遅くはない、こう申し上げたいことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/128
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129・下村泰
○下村泰君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/129
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130・梶木又三
○委員長(梶木又三君) 以上で参考人に対する質疑は終わりました。
この際、一言御礼申し上げます。
参考人の皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして心から厚くお礼を申し上げます。(拍手)
本日の質疑はこの程度にとどめ、来る十九日午前十時に委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
午後三時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X01319881217/130
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