1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
本国会召集日(平成元年九月二十八日)(木曜日
)(午前零時現在)における本委員は、次のとお
りである。
委員長 中西 啓介君
理事 衛藤征士郎君 理事 大島 理森君
理事 中村正三郎君 理事 平沼 赳夫君
理事 村井 仁君 理事 中村 正男君
理事 森田 景一君 理事 安倍 基雄君
愛知 和男君 愛野興一郎君
新井 将敬君 江口 一雄君
遠藤 武彦君 尾身 幸次君
太田 誠一君 片岡 清一君
金子 一義君 小泉純一郎君
杉山 憲夫君 中川 秀直君
葉梨 信行君 鳩山由紀夫君
村上誠一郎君 山中 貞則君
山本 幸雄君 沢田 広君
野口 幸一君 早川 勝君
堀 昌雄君 武藤 山治君
村山 喜一君 柴田 弘君
橋本 文彦君 平石磨作太郎君
矢追 秀彦君 伊藤 英成君
正森 成二君 矢島 恒夫君
藤波 孝生君
──────────────────────
平成元年十月三十一日(火曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 中西 啓介君
理事 衛藤征士郎君 理事 大島 理森君
理事 中村正三郎君 理事 平沼 赳夫君
理事 村井 仁君 理事 中村 正男君
理事 森田 景一君 理事 安倍 基雄君
愛知 和男君 愛野興一郎君
新井 将敬君 江口 一雄君
遠藤 武彦君 尾身 幸次君
太田 誠一君 片岡 清一君
小泉純一郎君 古賀 誠君
佐藤 敬夫君 杉山 憲夫君
葉梨 信行君 鳩山由紀夫君
村上誠一郎君 山中 貞則君
山本 幸雄君 沢田 広君
戸田 菊雄君 野口 幸一君
早川 勝君 堀 昌雄君
武藤 山治君 村山 喜一君
橋本 文彦君 平石磨作太郎君
矢追 秀彦君 伊藤 英成君
正森 成二君 矢島 恒夫君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君
出席政府委員
内閣法制局長官 工藤 敦夫君
内閣法制局第三
部長 津野 修君
公正取引委員会
委員長 梅澤 節男君
大蔵政務次官 高村 正彦君
大蔵政務次官 高木 正明君
大蔵大臣官房長 保田 博君
大蔵大臣官房総
務審議官 篠沢 恭助君
大蔵省主計局次
長 寺村 信行君
大蔵省主税局長 尾崎 護君
大蔵省関税局長 瀧島 義光君
大蔵省理財局長 大須 敏生君
大蔵省証券局長 角谷 正彦君
国税庁直税部長 福井 博夫君
国税庁徴収部長 林 正夫君
郵政大臣官房長 白井 太君
郵政省電気通信
局長 森本 哲夫君
委員外の出席者
労働省婦人局婦
人労働課長 鈴木 佑治君
大蔵委員会調査
室長 兵藤 廣治君
─────────────
委員の異動
十月十二日
辞任 補欠選任
江口 一雄君 田澤 吉郎君
遠藤 武彦君 倉成 正君
尾身 幸次君 浜田 幸一君
同日
辞任 補欠選任
倉成 正君 遠藤 武彦君
田澤 吉郎君 江口 一雄君
浜田 幸一君 尾身 幸次君
同月十九日
辞任 補欠選任
江口 一雄君 野田 毅君
伊藤 英成君 川端 達夫君
同日
辞任 補欠選任
野田 毅君 江口 一雄君
川端 達夫君 伊藤 英成君
同月三十一日
辞任 補欠選任
江口 一雄君 佐藤 敬夫君
金子 一義君 古賀 誠君
早川 勝君 戸田 菊雄君
同日
辞任 補欠選任
古賀 誠君 金子 一義君
佐藤 敬夫君 江口 一雄君
戸田 菊雄君 早川 勝君
─────────────
九月二十八日
国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百十四回国会閣法第六七号)
十月三十日
所得税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)
同月二十四日
共済年金の改善に関する請願(伊吹文明君紹介)(第七三号)
同(稲村利幸君紹介)(第七四号)
同(櫻内義雄君紹介)(第七五号)
同(塚原俊平君紹介)(第七六号)
同(藤尾正行君紹介)(第七七号)
同(三ツ林弥太郎君紹介)(第七八号)
同(愛知和男君紹介)(第一〇八号)
同(奥田幹生君紹介)(第一〇九号)
同(菊池福治郎君紹介)(第一一〇号)
同(佐藤敬夫君紹介)(第一一一号)
同(戸塚進也君紹介)(第一一二号)
同(中村正三郎君紹介)(第一一三号)
同(野中広務君紹介)(第一一四号)
同(松田岩夫君紹介)(第一一五号)
同(武藤嘉文君紹介)(第一一六号)
は本委員会に付託された。
─────────────
本日の会議に付した案件
国政調査承認要求に関する件
所得税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/0
-
001・中西啓介
○中西委員長 これより会議を開きます。
国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
国の会計に関する事項
税制に関する事項
関税に関する事項
金融に関する事項
証券取引に関する事項
外国為替に関する事項
国有財産に関する事項
専売事業に関する事項
印刷事業に関する事項
造幣事業に関する事項
の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/1
-
002・中西啓介
○中西委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/2
-
003・中西啓介
○中西委員長 この際、橋本大蔵大臣並びに高村大蔵政務次官及び高木大蔵政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。橋本大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/3
-
004・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 先般、大蔵大臣を拝命いたしました橋本でございます。御承知のとおりの未熟者でありますが、どうぞよろしく御指導をお願いいたします。
幸いにも我が国経済は現在物価が安定する中で、極めて息の長い景気拡大を続けるなど、まことに良好な状態にあります。しかしながら、来るべき高齢化社会に備え、国際社会における責任に備えていくための解決すべき課題は多く、その責務の重大さを痛感いたしております。
私といたしましては、まず新税制、とりわけ消費税の円滑な実施に努めるとともに、平成二年度予算においては財政改革の第一段階である特例公債依存体質脱却の実現を図るなど、今後の財政金融政策の運営に遺漏なきよう全力を尽くす所存であります。
委員各位の御指導、御鞭撻のほどを切にお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/4
-
005・中西啓介
○中西委員長 次に、高村大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/5
-
006・高村正彦
○高村政府委員 先般、再び大蔵政務次官を拝命いたしました。
厳しい財政情勢の折から、その職責の重大さを自覚し、誠心誠意職務の遂行に当たる所存でございます。
よろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/6
-
007・中西啓介
○中西委員長 次に、高木大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/7
-
008・高木正明
○高木政府委員 先般、図らずも大蔵政務次官を拝命いたしました高木正明でございます。
職責の重大さをひしひしと痛感いたしているところでございます。全力を傾けて職務を遂行いたしたいと存じておりますので、委員各位の御指導と御叱正を心からお願い申し上げます。(拍手)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/8
-
009・中西啓介
○中西委員長 内閣提出、所得税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を求めます。橋本大蔵大臣。
─────────────
所得税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/9
-
010・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 ただいま議題となりました所得税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
政府は、最近における社会経済情勢にかんがみ、給与所得控除の最低控除額を引き上げる等所要の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
まず、主としてパート所得者の税負担軽減の見地から、パート所得者に所得税が課税されない給与の収入限度額を八万円引き上げ百万円とすることとし、給与所得控除の最低控除額を五十七万円から六十五万円に引き上げる改正を行うことといたしております。
次に、内職所得者について、パート所得者との均衡を考慮して、必要経費の最低保障額を五十七万円から六十五万円に引き上げる改正を行うことといたしております。
これらの改正につきましては、平成元年分以後の所得税について適用することといたしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/10
-
011・中西啓介
○中西委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/11
-
012・中西啓介
○中西委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/12
-
013・堀昌雄
○堀委員 皆さん、おはようございます。
きょうは、橋本大蔵大臣御就任後最初に開かれた大蔵委員会で、最初の質問者にしていただきましたので、一言お祝いの言葉を申し上げます。
橋本さん、大蔵大臣御就任おめでとうございます。
橋本さんは、大蔵大臣として初めて昭和生まれの方ですが、既に永年勤続議員として院議により表彰を受けておられ、厚生大臣として厚生行政のベテランであり、自民党幹事長もされ、経験豊富な政治家であります。大蔵大臣として、日本財政の健全化と民主的な大蔵行政確立を目指して、大いに活躍されんことを期待しております。
さて、本日は十月三十一日、三日しますと十一月三日でございます。これは日本国憲法が制定されて四十三年目となります。
私は、本院に議席を得まして長い間在職をさせていただいておりますが、この委員会で昨年の四月に当時の竹下総理大臣に選挙制度の改革についての提案をさせていただいておりますし、国会のあり方について、果たして日本国憲法に沿うものであるかどうか、大きな疑問を持ち、当委員会でも本会議でもこれに触れてまいりました。本日は、この憲法と政治のあり方について、新しい問題を提起させていただこうと思っております。
ただ、最初にちょっと一つ、最近新聞紙上をにぎわわしておりますところのNTT株の急落の問題がございます。これは実は大蔵省にとってかなり問題がある点ではないか、こう思いますので、まず最初に大蔵省側から、最近九月の中ごろぐらいから今日までに至る株の急落の実態と、そうして株主その他の分布の状態、それらについての答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/13
-
014・大須敏生
○大須政府委員 株価についてのお尋ねでございますが、ただいま手持ちの資料でございますが、昨日のNTTの株価でございますが、終わり値で百三十五万円でございます。九月下旬ごろは大体百五十二万円前後で推移しておりまして、百五十万円台が九月いっぱい続いていたわけでございますけれども、このところやや株価が低落しているということでございます。
それから、株式の分布についてのお尋ねでございますけれども、御承知のとおり六十三年度に至るまで三回にわたりまして株式を一般に売却して
おりまして、それらをすべて含めますと、現在百五十万人程度の個人株主がいらっしゃる、このように承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/14
-
015・堀昌雄
○堀委員 今、国が国債整理基金特別会計と産投会計に持っておるNTTの株というのは大体幾らぐらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/15
-
016・大須敏生
○大須政府委員 二つの会計合わせまして千二十万株を保有しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/16
-
017・堀昌雄
○堀委員 今のお話の百五十万円から百三十五万円、一株十五万円実は株価が下がっているのでありますが、国が一千二十万株持っている、一千万株と丸くしてお答えいただければ結構ですけれども、国の国有財産の値下がりによるある意味での損害というのは幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/17
-
018・大須敏生
○大須政府委員 ただいまお示しいただきました数字によりますと、十五万円の値下がりにつきまして国の保有する一千二十万株、これを約一千万株といたしますと、一兆五千億円程度の評価損が生じているという計算ができるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/18
-
019・堀昌雄
○堀委員 実は今のこの問題は、郵政省の電気通信審議会でいろいろと問題が提起されて、それが新聞紙上に報道された結果、このような事態が起きていると私は思うのであります。続いて今の、理財局としては国有財産として評価損が一兆五千億円出ている。
その次にもう一つ伺っておきたいのは、ことしはこの売り出しを取りやめたわけでありますが、今のような情勢では、間もなく皆さんは来年度予算を組まれなければならないのですが、来年度予算にNTT株の放出というものの収入が見込めるのかどうか。まず理財局の方で答えていただいて、後で主計局からまたお答えをいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/19
-
020・大須敏生
○大須政府委員 ただいまの御質問は、NTTの株式の売却収入を来年度予算に見込むことができるかどうかというお尋ねでございます。
御承知のとおり、NTT株の売却収入につきましては、当年度の分を翌年度のNTT事業に使うという面と、今度は翌年度の売却をどうするかという二つ問題があろうかと存じます。
まず、当年度の売却を延期した、あるいは中止した、これに伴います問題でございますけれども、これは主計局からいずれお答えがあろうかと存じます。いずれにせよ、NTT事業ということで既に予算の概算要求も行われている状況でございますので、その財源の問題をどうするか、その事業をどうするかについては、これからの予算編成の過程で検討していく、そういう過程にあると存じます。
それから来年度でございますけれども、まだその編成方針は決まっていないわけでございますが、私どもといたしましては、NTTの株に対して国民の信頼が立ち戻り、株式の処分が円滑に行われるような状況になることを期待しているわけでございます。その意味ではやや先走りであるかもしれませんけれども、来年度につきまして株式売却についての授権はいただきたい、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/20
-
021・堀昌雄
○堀委員 寺村次長に伺いますが、本年度で今のNTTの株が売り出せなかったために起こる財政上のギャップは一体幾らになり、それは本年度では大体どういう措置をされるのかをちょっと承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/21
-
022・寺村信行
○寺村政府委員 元年度予算の国債整理基金特別会計におきまして、歳入として予定しておりましたNTTの株式売却収入は二兆七千八百六十四億円でございます。この売却収入がなくなりましたことから、元年度末の国債整理基金残高は二兆三百五十億円になります。平成二年度におきます国債のネット償還額が二兆五千四百億円でございますから、二年度のNTT無利子貸し付けのための一般会計への繰り入れを行わないとしても、差し引き五千五十億円の不足が発生するという見込みになってまいります。
このような国債整理基金の状況、それからただいま申し上げました国債償還の見込みその他の状況を勘案いたしまして、今後の基金の運営に支障が生じないように国債整理基金への繰り入れが必要になってくると考えておりますが、この問題につきましてはどのような対応をするか、来年度の予算編成の過程で検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/22
-
023・堀昌雄
○堀委員 証券局長に伺います。
私はこの前、本会議で宇野総理大臣にお尋ねをしたのでありますけれども、実はイギリスのブリティッシュテレコム、これは日本と同じように国有企業でありましたものが民営化されておりますが、それが実は諸外国に放出をされているのであります。しかし、日本の日本電信電話株式会社以下その他の一種の事業者及び国際電電の株については、すべて日本人でなければ持ってはだめだという法律が規定されているわけであります。
私は各党の皆さんの御協力をいただいて国際金融経済研究所というのをやっておりますので、海外の金融の関係者からこの問題について、堀さん、これは日本が外から来る者に対して徹底した障壁を築いておる、これをまず改めないようでは日本が開かれた市場だなんとは言えないのじゃないですかとたびたび言われておるものですから、この前宇野総理大臣に対してこの問題を本会議で提起をさしていただいたのであります。これは私は、今の国際的な関係の中で極めて重要な問題であって、この次に見直し等の法案が処理されるというときには、この問題はぜひひとつ国際的に、外国の皆さんも外国の法人も買えるようにするということは今日の国際的な金融情勢の中で非常に重要な問題だと思っておりますけれども、その問題をちょっとお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/23
-
024・角谷正彦
○角谷政府委員 堀委員御指摘のように、イギリスのブリティッシュテレコムが五十九年十二月民営化いたしまして株式を公開いたしました段階におきましては、イギリスだけではなくてほかのヨーロッパの国々あるいはアメリカ、カナダ、日本においても売り出しが行われたという事実があるわけでございます。これは御指摘のとおりでございます。
なお、一方日本のNTTについて申しますと、これは御承知のように、日本電信電話株式会社法において外国人の株式の取得が禁止されているわけでございます。証券局といたしましては、我が国の資本市場の自由化、国際化を積極的に進めている、こういったことから、例えば東京証券取引所におきますところの外国株の上場もかなり進んでおります。こういった資本市場の自由化とか証券の国際化といった観点からいいますと、外国人による株式保有の緩和といったことは、外国人投資家の我が国市場への参入の機会をふやすといったふうな意味で一般的に望ましいことであると考えているわけでございます。
ただ、いずれにいたしましても、日本電信電話株式会社法という法律にかかわる事柄でございますので、こういったNTTの問題につきましては、関係者間におきまして今後総合的に検討される必要があるのではないかと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/24
-
025・堀昌雄
○堀委員 皆さん、今ここは大蔵委員会でございますから、要するに今起きておりますNTTの株の急落というのは実はいろいろな余波をもたらしておりますし、特に新聞で見ておりますと、投書の中には、もし分割をするのならJRのように分割をしてからその後に株を売るべきではないか、我々は今株を買っていて大変ひどい目に遭っている、こういう投書が殺到しておるというのが実情のようであります。新聞にも幾つか出ておりますから、皆さんもお読みになっただろうと思うのであります。
そこで、きょうは法制局長官にお入りをいただいておりますので、ちょっと法制局長官にお伺い
をしたいのであります。
国家行政組織法第二条、「国家行政組織は、内閣の統轄の下に、明確な範囲の所掌事務と権限を有する行政機関の全体によって、系統的に構成されなければならない。」「2 国の行政機関は、内閣の統轄のもとに、行政機関相互の連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない。」こういうふうに実は行政組織法は書かれております。私は、「内閣の統轄の下に、明確な範囲の所掌事務と権限を有する行政機関」こう書かれておりますのは各省として当然のことだと思うのでありますが、それが「全体によって、系統的に構成されなければならない。」ということは、内閣一体の原則として極めて重要な部分だと思うのであります。二つ目の、「内閣の統轄のもとに、行政機関相互の連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない。」こうなっているのでありますが、今行われておる郵政省の電気通信審議会から新聞紙上に流されておる問題は、予算の措置その他の点においても、国有財産の評価損においても、いろいろな点で必ずしも私は大蔵省側として一体となって処理がされておるものとは理解をしていないのであります。
そこで、具体的な問題はお聞きをいたしませんが、この法律は本来、各省は連絡をとりながら内閣一体の原則で、国に対してマイナスになるようなことをやらないということを行政組織法で確認をしておる。要するに、「すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない。」こうなっているのでありますが、これについての二つの問題の法律的解釈をひとつ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/25
-
026・工藤敦夫
○工藤政府委員 お答え申し上げます。
ただいま委員御指摘のように、国家行政組織法の二条の一項、二項を今委員お読みになりましたが、そのとおり規定されております。
私の方から一般論を申し上げますが、現行法制のもとにおきまして、やはりそれぞれの立場で各省の意見が政策の立案過程で一時的に異なることがありましても、最終的には内閣として意見の調整が図られる、一体的に行われ、整合性が図られる、こういうことであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/26
-
027・堀昌雄
○堀委員 そうすると、経過はもちろん、まだ表に出ていないから問題はないかと思いますけれども、要するに行政組織法が求めておるのは、内閣内部において連絡を密にして、国が損を招く、あるいは国民が損を招くようなことをやることについては、十分内閣内部における連絡その他がとられるというように、今の行政組織法は「内閣の統轄のもとに、行政機関相互の連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない。」というものでありますから、そうすると私は、郵政省が今とっておることは、今のあなたのお話でありましたように、内閣一体となるというのなら、もう少し今の、私は何も電気通信審議会で審議をしてはいかぬとは言っているのじゃないのですが、それが新聞にどんどん出て、百五十万人の株主に不安を与えるようなことをやることが果たして行政組織として適当かどうか。そういう意味では私は、どうも今の郵政省のやり方は、まあ最終的に法律案が出なければ問題はありませんけれども、方向としては行政組織法に関して適切でないという感じを持っておるのでありますけれども、ちょっと具体的なことでありますからお答えにくいかもわかりませんが、方向としてやはり私は行政組織法というものは、各省がそれを守るべきものが規定されておるんだ、これは基本法でありますから、その点についての御見解をもう一回承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/27
-
028・工藤敦夫
○工藤政府委員 今、委員御質問の損をするとかいう点については、ちょっと私コメントする立場にございませんので恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、各省が立案過程において一時的に意見が異なることがあるというふうに申し上げましたが、各省間で連絡を十分とり合って進めていくべきことはもちろんであると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/28
-
029・堀昌雄
○堀委員 もう一つだけ長官にお伺いをいたしますけれども、実は昭和五十九年六月二十七日の逓信委員会におきまして、当時奥田国務大臣がこの分割問題についてこのように答弁をしておられます。
今度の法案ではもちろん分割はしないということでございます。今後においても見直し規定等々設けておるわけでございますけれども、これは今ほども公取の方から御指摘がございましたように、独占の弊害が強くなって、しかも不当な形での経営形態という形で競争原理が働かないというような場合を指すものだと思っております。そういったことがない限りにおいて、私たちは今日の体制、一元体制といいますか、こういった形で分割をしない方向の中でこの問題を進めてまいりたい。したがって、この分割に関しては慎重に先生の御趣旨を体するような方向で、しかし新電電が、今言いますように、競争原理のもとで効率的な経営によって国民に安い料金サービスという形の利益を還元していただきたいということを念頭に置きながらやっていただきたいということでございます。
鈴木強議員の質問に対する答弁が一つございます。その次に、
ただ、見直し規定を設けましたのは、一種事業にも今回一定の資格を付与しながらも参入を認めることになりました。そういった形で果たして、この一元体制を維持しながらもこの参入の結果が社会、産業的にも国民生活的にもどういう環境変化をもたらすであろうか。あるいは例えばデータ通信、データの部門、今現在、電電が一種事業者であり、かつ二種事業の大型のそういったVANに似たようなあらゆる附帯メディアのサービスも行うわけでございますから、これらが将来において公正競争を欠くという形の影響が出てこないであろうか、あるいはそれに基づいてその部門のあるべき姿として分離の方がいいのか悪いのかという検討材料も含めての見直し規定でございまして、分割という形については私は考えておりません。
安井議員の質問に対する答弁であります。
さらに、松前委員の質問に対してでありますけれども、ここはちょっと長くなりますから省いて、竹内議員の質問のところだけをもう一回申し述べたいと思います。
〔委員長退席、中村(正三郎)委員長代理着席〕
御指摘のとおりに、電話中心ということで考えますと、やはり全国あまねく一体的に運営されている今日の公社のネットワークのこういった形の体制が望ましいと思います。これからのいろいろな通信網の利用形態の中で、こういった民営化論という形が一つの政策課題になってきたわけでございます。
しかし、御指摘のように、当初の臨調の答申という形になりますと、民営化し分割という形でございましたけれども、私たちはやはりこういった民営化体制は必要であろう、しかし今日の現実の情勢からいって、分割という形はそぐわないという形の中で、今回の法案の中にも、分割という形ははっきりと取り除いてきたわけでございます。
今後も、ある意味の競争原理が働くという過程の中で、これは少し御質問の趣旨から外れる余談になりますけれども、投資も自由でございますから、附帯的な業務という形は、自助努力と自主的な判断によって、将来の課題としてはできるだけそういった新システムでやっていく形、これも経営内部の仕事でございますから、私が口出しすることではございませんけれど
も、そういった方向でいってほしいなと思っておることは事実でございます。しかし、この通信網の分割という形については、私たちは全く今考えておらない、将来方向によっても、今日の一元体制が望ましいという気持ちでございます。
こういうふうにこの民営化問題のときに奥田郵政大臣はお答えになっているのであります。
〔中村(正三郎)委員長代理退席、委員長着席〕
そこで、一体この大臣の国会における答弁、発言というものと、その大臣がいなくなった後で運用されておる、現状でいえば郵政省がやっておることと完全に違うわけですね。一体、国会における大臣の答弁というものがどういう重さを持っておるかについて、法制局長官の見解を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/29
-
030・工藤敦夫
○工藤政府委員 国会におきます大臣の答弁は極めて重要なものであり、当然尊重されるべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/30
-
031・堀昌雄
○堀委員 当然尊重されるというふうに今法制局長官の御答弁がありましたけれども、そうするとそれが尊重されていないときは、どこがどういう処置をとる形になるのでしょうか、法律的な問題として伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/31
-
032・工藤敦夫
○工藤政府委員 一般論として申し上げますと、国家行政組織法の十条等におきまして、大臣は「その機関の事務を統括し、」というふうなことがございます。そういう立場にございます。当該省におきまして国会における大臣答弁の内容に即しまして事務処理を行うべきことは当然のことと存じます。
ただ、大臣答弁の中には、もう委員十分御承知のように、確定的な方針を示したものもございますし、また、それ以外に検討の方向とかいうふうな指示の内容のものがございます。また、結論を出します過程においていろいろな角度から検討を加える、こういうこと、あるいは社会情勢の変化というふうなものを考慮するというふうなこともまたあり得ることであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/32
-
033・堀昌雄
○堀委員 それでは、もう一つ伺います。
憲法第十五条、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」二、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」これはどういうふうに解するのが相当でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/33
-
034・工藤敦夫
○工藤政府委員 委員の御質問の十五条の一項及び二項は、まさにそのように書いてございます。公務員といいましても、この場合に直接国民から選定される公務員もおりますし、そういう者を通じて間接的に選定され選任される公務員もまたいるわけでございます。そういう意味で、十五条の一項は「国民固有の権利である。」というのは、その由来を説明しているということであろうと思います。また二項は、当然のこととして、一部の奉仕者ではないのだ、国民全体から選ばれ国民全体に対して奉仕する者である、こういうことを規定したものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/34
-
035・堀昌雄
○堀委員 私は二項にウエートを置いて伺ったわけなんでありますけれども、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者でない。私は今郵政省がやっておりますことをじっと見ておりまして、果たしてこれが国民全体に対する奉仕なのかどうか。実は新規参入の第二電電と言われるような方に軸足がかかり過ぎているのではないかというのが、私の率直な感じでございます。皆さん、議員の方はどういうふうにお感じになっているかわかりませんが。
そこで、ちょっと公正取引委員長に御出席をいただいておりますので伺いますが、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第一条、「この法律は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。」こういうふうに目的がなっております。
そこで、公正取引委員会の所掌事務は一体どういうふうになっておるのかをちょっとお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/35
-
036・梅澤節男
○梅澤政府委員 公正取引委員会の所掌事務という御質問でございますけれども、ただいま委員がお読み上げになりました独占禁止法第一条の目的、つまり自由で公正な競争秩序の維持促進をするということのために置かれましたのが公正取引委員会という機関でございまして、この任務を達成いたしますために独占あるいはカルテル、不公正取引のような違法な行為の排除を行いますほか、競争政策あるいは競争条件を一段と推進するために、各種の経済実態とか事業活動等の調査等を行いまして競争条件の整備を図るということが、公正取引委員会の所掌事務であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/36
-
037・堀昌雄
○堀委員 私は、当委員会に参りましてから、現在の日本の経済について競争原理の導入、市場経済ということを一貫して訴えて今日に来ておりますので、競争制限やその他の不公正な取引が行われるような実態がありましたならば、それは公正取引委員会が正しく指摘をされて対応されるのが当然だと思うのでありますが、今回は公正取引委員会ではなくて郵政省がこれらの問題について、確かに法案の見直しという規定がありますけれども、これらのことを一方的に進めて、おまけに新聞にどんどんそれが報道される、その結果株価が下がる、国民が不安を持つというようなことは、私はどうも行政上としても適切を欠いておるのではないか、こういう感じがしておるわけであります。
公正取引委員長、結構でございます。ありがとうございました。要するに、私は、これらの問題はすべて公正取引委員会が所管することだということを皆さんに申し上げ、委員長、お引き取りをいただいて結構でございます。
そこで、郵政省の電気通信局長にお尋ねをいたします。
まず最初に、今まで私が申してきたような点について、この電気通信審議会の審議過程その他がどんどん新聞に報道されている点についてはどういう認識を持っておられるのか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/37
-
038・森本哲夫
○森本政府委員 先生今お尋ねでございますNTTのあり方の問題については、昭和六十年四月に施行されました日本電信電話株式会社法の附則に、政府は、この法律の施行後五年以内に、会社のあり方について検討を加え、必要な措置を講ずるものとする、こういう規定がございますので、私どもといたしましては、この五年が平成二年、来年の三月三十一日にその期限がやってまいるということで、このために昨年三月十八日でございましたが、先ほど来お話の出ております電気通信審議会に対しまして、「今後の電気通信産業の在り方」ということについて御諮問をお願いをしておったところでございますが、この十月二日に中間答申をいただいたということでございます。
この中間答申では、基幹的電気通信事業者でありますNTTのあり方について、幅広、経営上の問題あるいは公正有効競争上の問題、さまざまな指摘を、検討の結果を開陳いたしまして、今後のとるべき方策についていろいろな考え方があるぞということを指摘をなさったわけでございまして、今後の方向について特定の方向は示してない、今後の議論の素材を広く提供する、こういうことで中間答申が行われたものと考えておるところで
ございます。
私どもとしては、今後の事の重大さにかんがみまして、引き続きまして同じ電気通信審議会に対しまして、先ほど申し上げました附則二条そのもの、今後の政府がとるべき措置について直ちに諮問をいたしました。来年の春までに結論を得たい、こんなことで現在進行いたしておるわけでございますが、御質問の、こうした点についての議論は、国民、利用者の立場からひとつ大いに十分な議論を期待したい、そういう気持ちでおるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/38
-
039・堀昌雄
○堀委員 私は、審議会で議論をすることはちっとも問題はないと思うのであります。それを外部に何も一々、発表しているかどうかわかりませんけれども、しかし新聞には明らかに報道されておる。それが国民に不安をもたらしておる。あるいは現実問題としては、いろいろな行政間における問題においても、それについての先行きの見通しは極めて困難な状態がもたらされているようなことは望ましくないので、今後この電気通信審議会の審議内容その他が、最後の報告が出るときはいいですが、中間でこれが報道されることのないようにしてもらいたいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/39
-
040・森本哲夫
○森本政府委員 審議会での御意見としては、この中間答申が出される過程におきまして、この問題は将来の国民の利益の増進という立場から極めて重大な問題である、よってできるだけ多角的に議論をしたいということで中間答申をいただき、そしてこの中間答申が、できるだけ国民的な議論も呼び起こすべきだという見解のもとにこの答申がまとめられた次第でございます。
私どもとしては、この問題をめぐって各般の論議が行われ、将来のとるべき方向について正しい選択と申しますか、決定と申しますものを期待いたしておるわけでありますが、御指摘の審議会内部の議論については、御案内のとおり各種の審議会がそうでございますが、これを公開にするか否かは審議会の決定でございます。この審議会については現在非公開とするということで審議が行われておるわけでございます。ただ、時折このことについて現状がどうなっておるか、そういうことについての報告を外部から求められた場合には、審議会において必要な措置をおとりいただくことがこれまでもあったし、今後もあり得るものと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/40
-
041・堀昌雄
○堀委員 次に、日本高速通信株式会社の主要株主についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/41
-
042・森本哲夫
○森本政府委員 お尋ねの日本高速通信株式会社についての株主構成の問題でございますが、これには各社が出資をいたしております。トヨタ自動車株式会社、道路施設協会、各六・二%、三菱商事三・一%、三井物産二・一%、その他住友商事、伊藤忠商事、丸紅、日商岩井、各一・九%と相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/42
-
043・堀昌雄
○堀委員 今の日本高速通信株式会社というのは、筆頭株主がトヨタ自動車株式会社です。会長は豊田英二さんです。その豊田英二さんが電気通信審議会の会長を務めておるというのは、利害関係人が会長を務めておるということは、皆さん、果たしてこれは適切に思われますか。私、いろいろと調べてみたけれども、意外と法制的な整備が十分になくて、そういう問題について法的な規制はないようであります。しかし、常識として今のような問題をやっておるときに、その利害関係人である豊田さんが電気通信審議会の会長をしておるということは適当でない。これは恐らく郵政省がお願いをした結果お引き受けになったのでありましょうけれども、これは豊田さんとしたら大変迷惑なことになっておるのではないか、こう考えておるのであります。これについての局長の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/43
-
044・白井太
○白井政府委員 電気通信審議会の委員につきましては、法令によりまして学識経験を有する方々の中から郵政大臣がこれを任命するということになっておりまして、お話の豊田英二氏につきましても、昭和六十三年にそのような学識経験者のお一人ということで大臣の方からお願いをした次第でございます。ただ、電気通信審議会の会長につきましては、これも法令上委員の互選によって選任をするということになっておりまして、六十三年十月に委員の互選によりまして豊田英二氏が電気通信審議会の会長に御就任になったということでございます。
なお、会議の運営につきましては、委員の合議を基本にしてこれを進めるということになっておりますので、私どもといたしましては、電気通信審議会が調査審議をするためのいわゆる諮問機関であるというような審議会の性格でありますとか、そうした会議の運営が委員の合議を中心に進められるというようなこともあわせ考えますと、せっかくの先生のお話ではございますが、審議の公正さに欠くるところがあるのではないかというような考えは私どもとしては持っていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/44
-
045・堀昌雄
○堀委員 実はきょうこの委員会席を利用させていただいたのは、後で申し上げますけれども、今の国会審議の形態が政府と私たちだけでしか議論ができなくなっているのですね。私は率直に言えば、今のようなことで果たして委員会の公正が担保されるのかどうか。そしてそれは、豊田さんが手を挙げられたわけではなくて、審議会というのは役所がちゃんと段取りをして、そうして委員長にはひとつお願いいたしますとお願いをし、その合議の上に成り立っているというのが各種審議会の実態でありますから、私はそういう意味では豊田さんは大変御迷惑を受けておられるのではないかと心配をいたしておるわけであります。その点についてはまた後に逓信委員会等で論議になりますでしょうから、本日はここまでにいたしまして、一つだけ郵政省に言っておきますけれども、見直しによってもし分割その他の法律案が出てまいりましても、御承知のように参議院は今私ども野党が多数でございますから、法律案については分割の法案を出されても絶対に成立をしないということを公式にこの場で申し上げておいて、次の問題に入らせていただきます。
実は私、皆さんにパンフレットをお配りいたしておりますけれども、大日本帝国憲法の慣行から日本国憲法への基本的な改革についてという問題を今取り上げているわけでございます。この問題は、長年にわたって、どうして私たちと自民党の皆さんが議論ができないのだろうか、ワンクッション置いて政府とでなければやれないというのにはどこに問題があるのか、このことを少し勉強いたしました。その結果を記録にとどめたいので、ちょっと早口に読み上げます。
すべては疑い得るという西欧の言葉があります。昭和二十一年、日本国憲法が制定されて四十三年になりますが、現在私たちが行っている政治のあり方が日本国憲法の定めているとおりに行われているかどうか疑ってみる必要はないでしょうか。そのためには、明治二十二年に制定された大日本帝国憲法を振り返ってみる必要があると思います。
大日本帝国憲法は、次のような経緯によって定められたものであります。
大隈重信がイギリス的な議院内閣制・政党政治を内容とする憲法を制定すべきこと、また速やかに議会を開設すべきことを強く主張するに至ったので、岩倉具視を指導者とする政府は、大隈一派を政府から追放するとともに、明治十四年十月十二日の勅諭によって、明治二十三年を期して議会を開設すること、それまでに「立国ノ体」に従う憲法を制定することを明らかにした。これを「明治十四年の政変」という。ここに明治政府の憲法制定の基本方針は定まり、明治十五年、伊藤博文が憲法調査のためヨーロッ
パ、主としてドイツに派遣された。すなわち、伊藤は、民間の自由民権論者は「英米仏の自由過激論者の著述のみを金科玉条のごとく誤信し殆ど国家を傾けんとする」ものであるとし、「君権赫々」たる当時のプロシャ憲法を模範とすることが、「大権不墜の大眼目」を達成し、わが国情に最もよく合致するものと考えたのである。
「日本国憲法概説」佐藤功さんの本でございます。
ちょうどこのときは、普仏戦争にプロシアが勝ちまして、ベルサイユ宮殿でプロシアの王が戴冠式をやるという時期にたまたま遭遇をしておりまして、そこで今の伊藤博文の提案に基づいて実は明治憲法がつくられたのであります。
この大日本帝国憲法は、天皇絶対主権を確立し、行政優位、議会軽視のものであり、その第五条に「天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ」とあり、さらに協賛という意味は、議会が予算案、法律案を成立させるための意思表示をすることになっています。
このような上から下への権力構造が、日本国憲法では主権在民の水平的な民主主義構造へと根本的に改められている点を注意する必要があります。日本国憲法第四十一条は「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」とあるのは、明らかに大日本帝国憲法第五条の「天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ」に対置して設けられたものと考えられます。日本国憲法は、前文で
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
以下省略となっています。
さらに旧憲法は、第三十八条で「両議院ハ政府ノ提出スル法律案ヲ議決シ及各々法律案ヲ提出スルコトヲ得」としています。これは、議会への法律案の提案権は専ら政府にあり、例外として議会に法律案の提案を認めていると理解するのが正しいと考えます。調べてみましたが、大日本帝国憲法下で議員立法は一本も出ていないのであります。
一方、現行憲法は、第七十二条で「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。」第七十三条、「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。 一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。二外交関係を処理すること。」三、これが重要でありますが、「条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。」五番目、これが重要でありまして、「予算を作成して国会に提出すること。六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。」となっています。
この内閣の職権が「他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。」と具体的に事務の内容を例記していることは、これ以外に内閣の職権を認めていないと解するのが正しいと考えます。内閣総理大臣が第七十二条に基づき内閣を代表して国会に提出することのできる議案には、法律案は含まれず、条約、予算の議案に限られるべきだと解すべきだと思います。
旧憲法が完全な政府行政優位であったものが、新憲法の前文のごとく、主権が天皇から国民に移り、国政が主権者たる国民の信託によるものとなり、その権威は国民主権に由来し、その権力は国民の代表者すなわち国会議員が国会を通じて行使すること、完全にこれまでの憲法の誤った上から下への支配の体系を民主的な水平体系に改めたのが現憲法で、それゆえ「これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」と明記されていると思います。
それゆえ第四十一条の「国会は、国権の最高機関」となり、「唯一の立法機関である。」と規定されているのであります。ここに言う立法機関とは、法律案の議員の手による作成、提案、審議、採決のすべてが独立した国会固有の権限であり、各政党に属する議員がまさに議員同士の活発な政策論議を行うことによって国権の最高機関にふさわしいものにならなければならないと、村田議員の提案のとおりに私は理解しております。
一番後ろから二枚目をちょっと見ていただきますと、自民党の当時政調会長でございました村田敬次郎さんが、宇野総理大臣に対する質問の中で御紹介をしております。
○村田敬次郎君 私は、自由民主党を代表して、宇野内閣総理大臣の所信表明に対し質問をするものであります。
ここから中略でございますが、
国民の政治不信の大きな原因の一つに、国会運営のわかりにくさ、審議の非能率ぶりがあることは否定できません。いわゆる国対政治の弊害をなくし、国会法の原則に立ち返り、委員会の独自性、自主性が発揮される、開かれた、国民にわかりやすい国会運営に改めるべきであります。(拍手)
国会議員が、言論の府であり、かつ国権の最高機関にふさわしい国会議員同士の活発な政策論議を行える国会でなければなりません。また、議会制民主主義における多数決原理は、異なる意見の存在を認めることを前提に、討論を通じてそれぞれの見解を明らかにし、最後に多数決によって国家意思を決定することであります。このルールは、たとえ少数党であっても、審議の場において言論によって競い合い、その評価を国民に問い、選挙による審判を受け、多数党となる可能性を保障しているのであります。
私は、村田さんのこの提案に全面的に賛成なのであります。
そこで、それゆえ新憲法では、内閣の議案提出権を明記して、国会が唯一の立法機関であると明定していると考えます。
それでは、旧憲法の一切排除されなければならない慣行は、果たして日本国憲法に述べられているように排除されているのでしょうか。形式としても、衆参の本会議場は、ひな壇という名称で政府絶対優位の構造が今日まで続いています。予算審議に当てられる衆参の第一委員室で、閣僚は大型のいすに、国権の最高機関の議員は小学生のように、当初はひじかけもないいすに机を並べて座っています。さらに衆議院では、政府と議員は向かい合って着席し、政府委員という制度も旧憲法当時のままであります。
本日、実は理事や委員長にお願いしてこの委員室を選択をさせていただいたのは、要するに衆議院は、既に私が今日提案をしておる議員同士の議論が行われるためにこの分館はこのような形で設けられていると私は理解をしているわけでございます。
さらに法案提出の内容も全く旧憲法の慣行にのっとり、主たるものは内閣提出で、議員提出とは格段に多数が提案されています。私が議員となった昭和三十三年から現在まで、内閣提出法案は四千二百九十一件、衆議院提出法案千六百四十
九件、参議院提出法案六百七件でありますが、内閣提出はその八五%が成立し、衆議院提出は二五・六%、参議院提出はわずかに三十五件、五・七%にしかすぎません。法案提出の現在のあり方は、まさに旧憲法時代と大差のない状態であります。これを成立件数の比率で見ますと、この間の成立件数は閣法が八九%、議員立法が一一%でありますから、まさに明治憲法の一〇〇%閣法であったのと少しも変わらないという状態になっていると思います。
次に、構造については、西独も世論の前に一九八六年、ひな壇を大幅に引き下げています。ちょっと後ろの方をめくっていただきますと、ここに西独のコピーが載せてございます。このコピーは、最初の方が連邦議会の旧議場というので、向こうのひな壇は日本のひな壇に比べてはるかに高い大変なひな壇でございます。これが一九八六年にドイツにおいても、その次のページのように引き下げられているのであります。
私は、この前、衆議院の池田次長に本会議のあのひな壇、その他今の予算委員会の問題というのはずっとこれまでだれもあれについて意見がなかったのですかと聞きましたら、実は尾崎行雄さんが、新憲法が発布されたときにあのひな壇を下げるべきだ、こういうふうな御提案がありましたが、当時の財政状況ではそういうようなことができなかったという歴史的な経過がございます。さすがに私は、尾崎行雄さんは新憲法公布と同時にこのことを問題提起されたというのは、私たちのすばらしい先輩だと考えておるわけでございます。
そこで次に、このような憲法解釈を行う場所は一体どこに求められるべきでしょうか。憲法第九十六条は、「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」となっています。この条項から見ても、日本国憲法をどのように解釈するかは国会の場において各党議員の論議によって行われるのが正しいと私は考えます。といいますのは、憲法を改正するという以上、その憲法の解釈が皆さん議員の中で一つの見解にまとまっていなければ憲法を改正するということにはならないわけでありますから、私は、日本には憲法裁判所もありませんし、この憲法の解釈をするところは唯一この国会が憲法の解釈をするのだ、こう実は考えているわけでございます。
そこでこの際、本臨時国会に憲法に基づく政治改革を行う特別委員会を設置し、議論を進めることが極めて緊急、重要な政治案件と考えます。
具体的な改革案は、内閣法第五条及びこの法律案の改正に伴う必要な部分の改正を行うことによって、私の提案している正しい憲法解釈が法律として実現し、実行されることになります。内閣法第五条、「内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に提出し、」こういうふうになって、「一般国務及び外交関係について国会に報告する。」となっているのを、今の「法律案、予算その他」のところを、「条約及び予算を議案として国会に提出し」ということに改めれば、内閣がこれまでの帝国憲法のように法律案を国会に提案することにはならないということになりますので、私はこの点についてひとつ皆さんと十分論議を交わせるような場が持ちたいというのが、今の率直な気持ちでございます。
最後に、私は、長年にわたって、日本の政治構造が官僚主導によって行われ、政治不在の批判が行われていることに大きな関心を持っています。
経済は一流、政治は三流と言われますが、それは今の国会の運営のあり方のためにもたらされているとかねがね指摘してきました。今、国の内外で日本の政治改革について関心が極めて大きくなっているこの時期に、日本国憲法の定めに従って政治主導のあるべき政治改革を行うことが、国際経済の場でも緊急に求められていると思います。経済摩擦は、官僚機構が各省の自分たちの行ってきた過去の行政をそのまま守ろうとし、それに政治が追従している嫌いがあります。
今、世界の国の中で最前列に立つことになった日本は、世界の国すべてがよくなることによって日本もよくなるという政治哲学を確立しなければなりません。
すべての衆議院、参議院の議員の皆さんにこの提案についての御賛同がいただければ幸いです。
大変長時間にわたって読み上げましたが、これについての御意見をいただきたくても、今の制度ではいただけないのです。そこで、例外として、橋本大蔵大臣は大蔵大臣でございますが、しかし衆議院議員でございますので、私どもはここでは政府側のだれかとしか論議ができない、この仕組みが大体根本的におかしいのでありますが、大変あれでございますが、衆議院議員橋本龍太郎さんとして、私の考えについての感想がいただければ幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/45
-
046・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 今改めて本会議の御質問を思い起こしつつ、その議事録に目を通しておりました。そして私は、基本的に委員の御主張になる点に同感の部分は多々あります。かつて、委員も御記憶のように、私自身が政府と対立をし、特定不況業種離職者臨時措置法を議員立法で書こうとしましたときには、各党に御協力をいただき、むしろ政府を押し切った形であの法律をつくりました。何回かの議員立法の経験を持つ一人として、委員の御主張が私は理解できないものではございません。
ただ同時に、内閣が法律案の提出が完全にできない状態をつくる、委員の今御主張になりましたような形で条約及び予算と切ってしまって、内閣の提出する法律案が完全に除外される形態までいくことについては、私は多少異論がございます。今後議員の立場に戻って私が今の御意見に感想を述べますならば、むしろ与野党の対話の中において議員立法の数がもっとふえていくことがより望ましい。そして、その中にはもちろん総論的なもの、各論的なものがありましょうが、できる限り議員立法がふえていくということについては、私は委員と同感であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/46
-
047・堀昌雄
○堀委員 現在は議院内閣制でございまして、今私が衆議院議員橋本龍太郎さんの御答弁をいただいたのですが、大蔵省が法案をもし出したければ、私どもに対しても情報を提供し、さっき申し上げたように公務員は全体の奉仕者でありますから、与党には情報を出すけれども野党には情報が出せないなんということは全体の奉仕者でないわけでありますから、両方に情報を出して、そうして私たちや与党、野党のみんながなるほどと考えることであれば、当然私は、衆議院議員橋本龍太郎さんが議員として、議員立法として大蔵省の考えた案をお出しになって少しも支障はないのであります。
ですから、今の議院内閣制という問題を過度に解釈したのが今のやり方ですけれども、私はそれを裏返しにして、あくまで国権の最高機関で唯一の立法機関、これについては私は自分の説を羅列したのですが、衆議院法制局に憲法学者の中にも私のような考えの方があるだろうかと尋ねましたら、田畑忍さんとか佐々木惣一さんの資料を持ってきてくれました。いずれももう二十年以上も前にお書きになった憲法講義でありますけれども、国権の最高機関であって、唯一の立法機関であるというのは、立法業務は全部国会の専決の業務である、こういうふうに両方の方が書かれております。
私は、そういう意味で今の橋本さんが前向きに御答弁をいただいたことを大変ありがたく、高く評価をいたしておりますが、今の政府提案なるも
のが一切出せないのではなくて、それは各省の大臣が議員でございますので、その手を通じて出てもいいのではないか、こんなふうに考えておるわけであります。
いずれにしても、あとちょっと勲章の制度等がありますが、これはもう時間がございませんので、省略をいたします。
次に、今提出されております議案について実は少し論議をさしていただきたいと思いますが、ちょっと資料を皆さんにお配りをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/47
-
048・中西啓介
○中西委員長 どうぞ配ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/48
-
049・堀昌雄
○堀委員 今回提案になっております所得税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、私ども日本社会党も賛成をいたしておるわけでありますけれども、この問題は、ちょうど私先週地元である労働組合へ参りまして話をしておりましたら、堀さん、実は私のところの会社では、パートの人たちがパートの我々の税金のことが一体これからどうなるのか、もしこれからずっと十二月まで働いて収入がふえたら税金が逆にふえるなどということでは非常に困るから、どうなっておるのかといって大変問い合わせが来ますが、どうでしょうかというお話がございました。そこで私は、それはもっともなことでございますが、今国会にパートの皆さん、内職の皆さんを中心としながら減税法案が出されていますから、これは私ども社会党も賛成法案でございますから、必ず通るだろうと思います、通りましたらこういうことになるということを詳しく御連絡をします、こういうふうにお約束をしました。しかし、主税局からいただいた資料では、非常に複雑でよくわかりません。そこで、主税局にお願いをして、こういう資料をつくっていただいたわけであります。
これは「夫の年収二五〇万円の夫婦子二人のサラリーマン世帯における妻のパート収入増による税引後手取額の変化」というので、夫の収入が二百五十万、三百万、三百五十万、四百万、五百万まで実はつくってございまして、そして今度は妻のパート収入が百万円までになりますが、それを月額で八万五千円、九万円、九万五千円、十万円、十万五千円、十一万円、皆さん大体月に幾らもらうかという計算でやっておられますので、それをベースにして百二万円、百八万円、百十四万円、百二十万円、百二十六万円、百三十二万円というふうにつくりまして、最終的に所得税と住民税を引かれて、合計税引き後の手取り額というのはどうなるのかという一覧表をつくっていただきました。
これは私は、パートの皆さん、内職の皆さんにとっては、この時期にこれからどれだけ収入があるかによって、これまでですと御承知のような専従控除その他ありませんでしたから、配偶者控除がなくなるために上にいくとマイナスが起こるという問題があったのでありますが、今回については、この資料で見た限り、ふえ方は別でありますけれども、マイナスにはならないということだけがはっきりしまして、その点は皆さん方が非常に安心してお仕事に従事されるということになるのではないか、こう考えているのであります。ただしかし、これはパートと内職の方だけに限られているために、例えば二人ともまともに働いておる共稼ぎの皆さんというようなものについてはどういうふうになってくるのか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/49
-
050・尾崎護
○尾崎政府委員 パートではなくて、まともな共働きというお話でございました。
ちょっとその制度の説明をさせていただきますと、今度の制度改正によりまして、夫の配偶者特別控除の適用をされる妻のパート収入の上限が百三十五万円にまで拡大されることになっております。現在百二十七万円でございますが、それが百三十五万円まで拡大されるというようなことがございます。したがいまして、例えば百二十七万円から百三十五万円の間でもって共働きが行われていた場合などを考えますと、まともにその影響があるわけでございます。しかしながら、もっと非常に高いところで御夫婦の収入があるという場合には、その直接の影響はございません。従来どおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/50
-
051・堀昌雄
○堀委員 実はフルタイムで共働きをしている場合には、要するに子供たちの問題とかいろいろな問題があるわけですね。そうすると、パートの方の減税は大変結構なんですけれども、もう少し今のフルタイムで働いておる人たちも、両者合算してそんな大きな収入にならない、例えば今のあなたのお話で、百三十五万円以上になるとこの効力は失われる。そうすると、要するに夫の収入が二百万円で、妻の収入が百三十六万円になるともうこれはだめなんだという話では、これは私はやや公正、公平を欠くのではないか、こういう感じがするのであります。
ですから、私どもの党はもう少し高いところの要求をしておりましたが、結果的にこうなったのでありますけれども、これは要するに合算所得が幾らかということがベースになってもう一つの何らかの考え方がないと、二人でフルタイムで働いているというのは、それは能力があって大いに働いて収入の高い方もあると思うのですけれども、やはり二人で働いていかないと家計が十分に維持できないという人たちもあるわけでありますから、それが実は今のパートの方というのは原則的にフルタイムではないのでありますから家事の仕事もできるわけですけれども、フルタイムの仕事をやっている夫婦というのは、これはいずれも家事をする時間というものは極めて制限される、こういうことになるのでありますから、私は夫婦合算をした所得について何らかの対応を今後考えるべきではないか、こう考えるわけでありますが、橋本大蔵大臣、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/51
-
052・尾崎護
○尾崎政府委員 夫婦の所得を合算いたしまして、例えば二分二乗というような計算の仕方をする、あるいはフランスのように家族の、世帯員全体の所得を合算いたしましてN分N乗というようなやり方をする、いろいろな考え方があるわけでございますが、今度の抜本的税制改革に当たりまして、所得税についての議論の中でも御指摘のような議論がかなりございました。
しかし、結果的には我が国は一人ずつ、一人一人についてその所得計算を行い、所得税を課すというやり方をとっているわけでございますけれども、それが定着しておる状況にある中で、夫婦の合算二分二乗というようなところまでなかなか踏み切れないという問題がございました。一つには源泉徴収の関係でございますとか、いろいろ技術的にも違ってくる点がございますのでそこまで採用に至りませんでしたが、御承知のように、先ほど委員からも御指摘を受けましたパートの逆転現象というようなものをなくすこともできたのもそのためでございますけれども、いわゆる配偶者特別控除というような制度を設けまして、中間的なところにその解決策を求めたというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/52
-
053・堀昌雄
○堀委員 私は、かねてからこの委員会で、妻の相続税問題というのを長く論議をしてまいりました。日本は、不思議なことに、夫が働いて得た収入は、これは夫の収入であって、妻はそれには全然関知しないという財産上の認識がベースにあるわけですね。それはおかしいではないかということでいろいろとやってきて、とうとう現在妻が二分の一相続税非課税ということになったのは、長い歴史がありますけれども、私は大変よかった、こう思っておるのですね。夫だけが働いて、そうして家計が維持できるのか、そんなわけがないのでありまして、これは妻が就業してない場合であります、夫だけが就業している場合でありますけれども、財産権の問題というのは、夫の収入、財産と
いうのはすべて夫だけのものであって妻のものではない。妻にやろうとすると贈与税が要るとか、そういう点で日本の税というものの特異性。これは税じゃなくて、ベースにあるところの今の経済的な諸法律にまことに問題があると私は思うのでありますが、どうかひとつ——今、山中さんが向こうでにやにや笑っておられますけれども、お互いがディスカッションできるようになったら大いにこういうことを論議をして、国民がよし、いいことをやってくれているということがわかるような国会運営をぜひやりたい、こう思っております。
今の税制改革について、大蔵省もひとつわかりやすい資料を国民に提起することによって、生活と密着した税制というものについてPRをしてほしいと実は思いますし、今後の国会のあり方についての問題につきましても皆さんとぜひ論議をさせていただいて、あるべき国会がつくられることを望んで、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/53
-
054・中西啓介
○中西委員長 午前十一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十時十七分休憩
────◇─────
午前十一時三十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/54
-
055・中西啓介
○中西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。森田景一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/55
-
056・森田景一
○森田(景)委員 やっとパート減税が百万円実現する運びになってまいりました。我が党は、昭和五十九年にパート労働法案を提出しました。そのときにこのパート減税百万円の実現を要求いたしまして、以来、国政審議の場におきまして、早急にこのパート減税百万円実現を要望してまいりました。このたび、政府の方からこうして百万円パート減税が実現する、こういう法案が出てまいりました。このことにつきましては、私も高く評価をするものでございます。
そこで、減税の法案の審議でございますから、このパート減税の特徴といいますか今回の内容について、大臣もさっと触れておられましたから、せっかくの御努力でございますので、中身についてもう少し詳細に御説明をお願いしたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/56
-
057・尾崎護
○尾崎政府委員 今回のパート減税案でございますが、主としてパート所得者の税負担の軽減という見地から、給与所得控除の最低保障額を従前の五十七万円から六十五万円に引き上げる、それと同時に、内職所得者につきましても、パート所得者との均衡を考慮いたしまして必要経費の最低保障額を五十七万円から六十五万円に引き上げるということが内容でございます。
したがいまして、今回のパート減税案によりまして減税の恩典を受ける者は、パート関係でいいますと、まず、パートで働いておられます主婦の方々などのパート所得者本人でございます。すなわち、従来、年収九十二万円を超えますと所得税が本人にかかっていたわけでございますけれども、今回の改正によりまして百万円までのパート所得者には所得税がかからないということになりました。それから、パート収入が百万円を超えましても、年収百六十二万五千円までのパート所得者は、給与所得控除の最低保障額が引き上げられるということによりまして減税の恩典が受けられるということになっております。
それから第二に、この減税の恩典はパート所得者と生計を一にいたします夫等にも及ぶことになるわけでありまして、今回の改正によりまして、その夫などの所得の税額計算上、従来、パート所得者の年収が九十二万円を超えます場合には配偶者控除の対象とならないということであったわけでございますが、年収百万円までのパート所得者を配偶者控除の対象とできるということになるわけでございます。また、パート収入が百万円を超えるパート所得者でありましても年収百三十五万円までの者、これは現行は百二十七万円でございますが、年収百三十五万円までの者を配偶者特別控除の対象とすることができるようになります。それから、同じパート収入でございましても配偶者特別控除額が増加するということになるわけでございます。
それから、内職所得者につきましても、ただいま申し上げましたパートの場合と同様に、内職所得者本人、内職所得者と生計を一にする夫などにつきまして今回の減税の恩典を受けるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/57
-
058・森田景一
○森田(景)委員 このパート減税による減収額が約七百五十億円、こういうふうに説明されておりますけれども、内容は、所得税で約五百億円、住民税で約二百五十億円ということでございます。この財源の手当てについてはどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/58
-
059・尾崎護
○尾崎政府委員 今回の減税に伴います減収額につきまして、ただいまのところその歳入の見積もりを改めるということはございませんが、今回仮に補正予算などがつくられることになりますと、そこで全体として検討の対象になろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/59
-
060・森田景一
○森田(景)委員 去る十月の六日に、我が党の坂口政審会長と刈田婦人局長が、今後さらにパート減税を百二十万円に引き上げるべきである、こういうことを政府に申し入れをいたしました。福島労働大臣は、来年度は百二十万円への引き上げを財政当局に働きかけていきたいという、こういう回答がありました。大臣の方にこういう要請はあったのでしょうか。また、あったとしたならば、来年度の予算の中には百二十万減税を盛り込むお考えがおありかどうか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/60
-
061・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 せっかくのお尋ねでありますが、まだ労働大臣からそのような申し入れを私は受けておりません。事務的に、どんな中身のものが、何かあるいは来ているのかどうか聞いておりませんけれども、少なくとも労働大臣からそのような話は私は受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/61
-
062・森田景一
○森田(景)委員 これから百万円減税が実現するわけでございますから、百二十万というお話はちょっと早いと感じられるかもしれませんけれども、労働大臣の方はそういう答弁をしておりますし、特に今回も、我が党初め各党がこの百万円の減税ということでは始終政府に申し入れをしてきたと思います。
しかし、政府の資料によりますと、こういうふうに書いてあるのですね。「六月三十日の第六回新税制実施円滑化推進本部会合において、本部長である宇野前総理が実施を約束。」こういうふうに出ているわけであります。そうしますと、総理大臣がやると言ったらこれはすぐ大蔵省もおやりになるのだ、こういうふうに理解してもいいんじゃないかと思いますが、一番大事なのは、やはり大蔵大臣が私がやりますと言えば、これは間違いなくできるのじゃないかと思うのですがね。大蔵大臣、将来に向かって百二十万の減税を実現していきたい、こういうお考えがおありかどうか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/62
-
063・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 今このパート減税の法律案を御審議をいただき、そしてこれから本院の審議が議了いたしました後、参議院の御審議を願うという状態の中で、先のことを申し上げるのもいかがなものかと存じます。
ただ、今委員の御主張は、従来からの経緯を振り返ってみますと、党としての御主張に私は理解ができないわけでは決してありませんけれども、課税最低限に絡みましたり、さまざまな問題点があることもまた委員御承知のとおりでございまして、当面、直ちにと申し上げる自信はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/63
-
064・森田景一
○森田(景)委員 直接パート減税にはならないけ
れども、例えば所得控除額を、今三十五万円でございますから、これを四十万円にアップする、そうすると扶養控除をまた四十万にする、特別扶養控除を四十万にする、こういうことはいわゆる所得税減税という方向で考えられると思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/64
-
065・尾崎護
○尾崎政府委員 ただいまパート減税百万円ということでお願いしているわけでございますが、これをさらに引き上げるために諸控除を引き上げたらどうかというお話でございますけれども、御承知のとおり、昨年の税制改正におきまして、基礎控除、扶養控除、配偶者控除をそれまでの三十三万円から三十五万円に二万円ずつ引き上げたばかりでございます。所得税、住民税を合わせまして総額三兆三千億円という非常に大きな減税をやったばかりでございます。今回の改正案によりまして給与所得控除の最低保障額が五十七万から六十五万に引き上げられるわけでございまして、それに伴いまして妻のパート収入百三十五万円まで配偶者特別控除が適用されるということにもなっておりますので、これをさらに引き上げる、特に諸控除の引き上げによって行うということは大変難しい問題があろうかと思います。
先ほど大臣から申し上げましたように、このパート百万円ということをあわせて考えますと、実は片稼ぎの家庭とパートで奥様が働いている家庭の課税最低限に相当の差が出てきているわけでございます。それから、御承知のとおり、給与所得控除の最低保障額でこれは調整いたしておりますから、給与所得控除四〇%、三〇%、二〇%と適用していきますけれども、その四〇%適用のぎりぎりのところまで今回の改正で来ておりまして、これをさらにいじるというようなことになりますと、委員の御提言はそういう意味ではないわけでございますけれども、そういうような方法で見直すということになりますと、今度は給与所得控除の率そのものを根底から見直さなくてはいけないという非常に大きな問題に触れてくるわけでございまして、パートに対する特別な手当てといたしましては、この百万円というところまでが現在なし得るぎりぎりのところであるというように私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/65
-
066・森田景一
○森田(景)委員 先ほど大臣も、我々の主張も理解できる、こういう御発言でございましたので、そういう方向で、今後もさらにパート所得者あるいは内職所得者の収入が大幅に使えるような方向でひとつ格段の御努力をお願いしたいと思います。
なお一つ、今、基礎控除を四十万円にするとか、これは何もパートに限りませんで、一般の所得者の減税につながるわけでございます。昨年大幅に減税したといいながら、本年もかなりの自然増収がある。自然増収は本来返すべきだ、こういう理論もあるわけでありますから、仮に基礎控除を四十万、扶養控除を四十万、特別扶養控除を四十万、こうした場合にはどのくらいの減収になるのか。その辺の計算はおありなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/66
-
067・尾崎護
○尾崎政府委員 ざっと目見当でございますが、基礎控除、配偶者控除、扶養控除、各一万円上げますごとに影響額が約千四百億円というように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/67
-
068・森田景一
○森田(景)委員 そういう答弁も踏まえて、今後十分検討していただきたいと思います
次に、今、今国会は消費税国会だ、こう言われているわけでございますが、政府・自民党の方は、消費税は大幅に見直す、抜本的に見直す、こういうことでいろいろと新聞報道もされております。また一方、野党四会派の提出しました消費税代替財源法案の中に自然増収から一兆四千億充当されている、こういうことについて何か大蔵大臣も、それは不自然だ、こんなことを表明されたという報道もあるわけでございます。
そういうことで、ちょっとこの消費税見直しと税の自然増収ということについてお尋ねしたいと思います。
自民党は、消費税見直しの柱として、非課税枠の拡大を全食料品、出産費、入学金の三点を対象とすることにした、このように報道されております。これは、三塚政調会長が十月二十六日、熊本の記者会見で発表したと報ぜられております。大蔵省は、こうしたことに対してどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/68
-
069・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 私どもは、消費税をスタートさせますにつきまして、さきの売上税法案で五十一項目の非課税品目をつくりましたことに対して大変厳しい御批判がありましたことを踏まえ、非課税取引の範囲を極めて限定をしてスタートをさせたわけでございます。
今、消費税の見直しにつきまして、政府といたしましては政府税制調査会に検討をお願いし、また、党は党の税制調査会においてそれぞれのお立場での御論議が進められております。党税調の中にさまざまな御意見があり、その中において非課税取引の範囲拡大についても議論があることは私どもとしても承知をいたしておりますけれども、私の立場からいたしますと、一つは、政府税制調査会に作業をお願いを申し上げている責任者として、その内容に予見を与えるようなことを申し上げることはいかがなものかということと同時に、私自身が与党の幹事長として参議院選を戦いました責任者でありますが、その時点のことを踏まえ、消費税について国民から出される御意見についてはすべてを検討のテーブルにのせ論議をしていただきたい、その上で結論を出していただきたいと申し上げてきた経緯もございます。
今、論議の進んでおりますさなかでありますだけに、こうした段階で個別の問題にわたって個人的な意見を申し述べることについてはお許しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/69
-
070・森田景一
○森田(景)委員 ただいま大臣もお話の中にありましたけれども、売上税のときは五十一品目を非課税にしたわけです。そのために税率が五%、こうなったわけであります。消費税は非課税品目を設けなかったために三%、こういうことになったわけですね。しかし、これを今度非課税品目を設ける、こういうことになると、税収が相当落ち込むことになるわけです。そうすると、三%の税率では、当初予定したこの消費税の収入はなくなるわけですね、大幅に減る勘定になります。
そういうことで、仮に全食料品、出産費、入学金、この三点が非課税になった場合の減収額について、大蔵省はどのような計算を持っていらっしゃるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/70
-
071・尾崎護
○尾崎政府委員 実は、参議院におきましても同じような御質問をいただいたわけでございますが、新聞等にいろいろ報道されておりますけれども、この減収額の計算というのは、前提によりましていろいろ難しいことがございまして、ただ食料品というようなぼんやりとした概念で計算するのが非常に難しいわけでございます。内容がかっちり固まりましたら当然減収額の計算をいたしますが、現在までのところ、私どもはまだ計算をいたしておりません。せっかくのお求めでございますが、そういう情勢でございますので、今何ともお答えをしかねる状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/71
-
072・森田景一
○森田(景)委員 大蔵省としては、そういう答弁だろうと思っておりました。先ほど堀委員からも質問がありましたように、やはり資料は自民党ばかりでなく野党にも全議員に公平に提出すべきである、こういう話があったのです。それで恐らく、自民党と政府は一体でございますから、自民党には、こういう場合にはこういうふうな減収になりますよ、そういう資料は計算して自民党の税調に行っているはずなんです。それから、政府税調にもみんな資料は大蔵省でつくって出しているわけですから、そこにも当然行っているはずなんです。そうではありませんか。
それで、これは十月二十四日の朝日新聞に報道
されておりますけれども、こうなんです。「大蔵省は、公式には「まだ具体案の議論はされていないので検討できない」としているが、生鮮食料品に絞った場合は三千億円前後、食料品すべてを対象にすると約九千億円になる。また、運送費など仕入れ段階で負担した消費税も還付する方式を食料品に適用すると、二兆円近くにふくらむ」、こういうことが新聞に報道されているのです。だから、大蔵省は試算をしているはずなんです。だから、そういう内容を我々にもぜひ提出してもらいたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/72
-
073・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 今、主税局長から御答弁を申し上げましたように、参議院でも同様の御指摘をいただきました。ただ、よほど私が軽視をされて全く主税局の作業を教えてもらえていないとすれば別でありますけれども、私は少なくとも、今委員が御指摘になりましたような内容を含んだ資料を政府税制調査会に提出をしていることは承知をいたしておりませんし、党の税制調査会にもそうした資料を提出したとは聞いておりません。そして、マスコミでいろいろな数字が報道をされておりますけれども、少なくとも現段階において私はそうした数値を関知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/73
-
074・尾崎護
○尾崎政府委員 今、大蔵大臣から御答弁がございましたように、また先ほど私が申し上げましたように、新聞で伝えられているような計算をしてはおりません。
ただ、先日、参議院でお答えいたしましたのは、今、委員が御指摘の数字のうちの二兆円というものでございますけれども、それは、食料品がしょっているあらゆる税の負担を外した、それは運送費から設備投資でありますとか、いろいろなものの負担を全部外した場合の二兆円ということについては、若干思い当たるところがございますということを申し上げました。
それは、消費者物価を計算いたしますときに、各消費物資ごとにウエートづけがございます。万分比で決めてございますが、それを食料品、飲料品それから外食費、そういうものを全部足し合わせますと、大体三二%ぐらいになるわけでございます。三分の一ぐらい、これが目見当でございまして、恐らく俗に言われております消費税、平年度六兆円というものの三分の一ということになりますと二兆円でございますから、大体そういうようなことで言われているのではないかなというように、目見当の話としてそういうことを言われているのではないかなということでございます。そういう話を耳にしたこともございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/74
-
075・森田景一
○森田(景)委員 担当局でそういうことを耳にしたこともありますなんて、そういういいかげんなことでは困るのですよ。
それで、実は、仮に二兆円の減収が出たとすると、「この減収分を歳出削減で対処することは困難と大蔵省はみており、増税をするか、自然増収をあてるか、など新たな財源対策の検討が必要になる。」こういうことも報道されているわけでございます。こういうことを検討なさっていらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/75
-
076・尾崎護
○尾崎政府委員 まだ税制調査会からの御答申もいただいておりませんし、見直しの内容が全然固まっていないわけでございますから、減収額そのものがわからないわけでございます。したがいまして、それに対する財源手当てでありますとか、その他諸手当てにつきまして考えているということも現在のところございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/76
-
077・森田景一
○森田(景)委員 公式にはそう答えざるを得ないのだと思います。
それでは、本年度の税の自然増収の見込み、それから昭和六十二年度、六十三年度の自然増収額、これについて説明をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/77
-
078・尾崎護
○尾崎政府委員 お答え申し上げます。
まず六十二年度、六十三年度の方から申し上げますと、いわゆる見積もり誤差、決算額に対する当初見積もりの差額を申し上げますけれども、六十二年度は五兆六千三十九億円でございます。それから六十三年度は五兆七千三百六十五億円でございまして、いずれも当初見積もりより決算額の方が増加いたしております。補正後を申し上げますと、六十二年度で三兆七千百九億円、それから六十三年度で二兆七千二百五億円、補正後予算に対しまして決算額の方が上回っている状況にございます。
平成元年度の税収でございますが、実は本日、月末でございまして、きょうの夕方ごろまでには九月末の税収につきまして公表できることになろうかと思いますけれども、現在明らかにされておりますのは八月末の税収でございまして、八月末の税収というのは、実は税収見積もり全体の四分の一程度にしかなっていないわけでございます。このような実績でございますので、これがどのようなことになっていくのか、まだ現段階では見積もりを見直すというところまで到底至っておりません。その点、御理解賜りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/78
-
079・森田景一
○森田(景)委員 大変慎重な答弁でございまして、実は平成二年度、三年度、四年度、この三年間の自然増収の見込みをお尋ねしたいと思ったのですが、今の様子では全然回答がないかと思います。
それで、実は財団法人の国民経済研究協会が先般日本経済の見通しというのを発表しております。これは大臣ごらんになりましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/79
-
080・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 資料として私は一度目を通しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/80
-
081・森田景一
○森田(景)委員 これによりますと、やはり平成二年度、三年度、四年度、平均して五兆円の自然増収が見込める、こういうことでございます。こういういわゆる民間の調査研究に対して、大蔵省はどのような見解をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/81
-
082・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 私が素人なりにあの資料を拝見しましたときにまず感じましたことは、随分経済見通しを楽観的に見ておられるな、こういうふうにこれから先の我が国経済が本当に動くものだろうか、まずそういう実感を持ちました。
確かに、委員が御指摘のように、この一両年、いわゆる税収の見積もり誤差というものがプラスの方向で相当大幅に出てきていることは事実であります。しかし、その大きな原因がいわゆる三高二安と言われる原因を持っております中で、まず第一にお考えをいただかなければなりませんことは、税制自体も今変化をしたわけでありますから、従来と同様の税収がという保証がありませんだけでなく、そのうちの一つの要素でありました金利を考えてみましても、本年に入りまして、先般の公定歩合の引き上げで一・二五%の公定歩合の引き上げを行いました。また、実勢のファンダメンタルズをきちんと反映しているかと言われれば、いろいろな御議論がありますけれども、G7におきましてもドル高に対して各国の懸念が表明されましたような状態は、我が国においても為替のレートにそのままあらわれております。また、本委員会に大変な御協力をいただきまして、いわゆる土地転がし等に対する抑制のために、土地税制についても厳しいチェックを行えるような対応を御用意をいただきました。
こうした諸要件が変化しております中で、果たしてあのような楽観的な見通しが将来ともに継続をするかということになりますと、私は必ずしも見方を一にいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/82
-
083・森田景一
○森田(景)委員 大臣は非常に慎重といいますか、余り景気の先行きに楽観的ではない、言ってみれば悲観的なような感じを受けましたけれども、今の状況ではこれからもかなり経済は成長していくだろう、こういうふうに一般的に見られているわけでございますから、税の自然増収が、しかも私も内容を拝見しますとかなり慎重な計算をしていらっしゃるわけです。そういうことをもとに考えますと、これからも二年、三年は自然増収もかなりの額が見込まれるだろうということが予想されるわけでございまして、特に野党が提出した消費
税代替財源法案の中に、二年間の暫定的な措置として一兆四千億の自然増収を充当するのは何ら不当なことではない、私はこのように考えるわけでございます。そういう経済の見通し等について、大蔵省は余り慎重過ぎることのないように、やはり実勢に合うような計算を今後ともしていただきたい、このようにお願いする次第でございます。
それから、先般我が党の石田委員長が本会議の代表質問で、住宅家賃控除制度ということを提唱いたしました。それに引き続きまして、予算委員会で十月十六日に我が党の木内委員も質問いたしました。この答弁が、大臣は余り乗り気でないような答弁でございました。十分検討するという内容もあったと思うのですが、例えば木内委員の質問に対しましては、大蔵大臣は、非課税世帯には効果がない、こういうことを言っているわけでございます。そういうことに対して、非課税世帯に効果がないならば、家賃控除制度と併用する形で、一定の所得水準に満たない民間賃貸住宅入居者に対し国による家賃補助制度の創設も提案したい、こういうことも委員会で論議になりました。大臣は、欧米でも実施されているが、我が国ではいかがか、こんな余り積極的でない答弁でございました。
それで、私はきょう参考に、我が党が東京都で実施しました実態調査の結果を資料として皆さんのお手元に差し上げてあるわけでございます。この資料を見ましても、間取りが狭いとか家賃が高いとかローンの支払いが大変だ、そういう実態が明らかにされているわけでございます。
そういう立場から、ぜひ私は、住宅家賃控除制度というものをまずスタートさせたらどうなんだ、こういうふうに申し上げたいわけです。やはりできるところからやっていくという姿勢が大事ではないでしょうか。家賃補助制度までやると大変だ、だから一緒にやらなければだめだ、これでは前に進まないわけです。したがいまして、まず家賃控除制度を実現させて、その後いろいろと財政を考慮して家賃の補助制度に持っていく、こういう考え方で進んでもいいのじゃないか、こう思うのですね。その点でお考えを聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/83
-
084・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 先般予算委員会で木内委員から、公明党東京都本部が実施をされましたリサーチの内容の御報告を踏まえての御質問がございました。
ただ、今、委員は私の答弁を御引用いただきましたが、主要先進国でも住宅費について特別な控除を設けている例はございません。私は当時も、主要先進国におきましても住宅費についての特別な控除を設けている例はないというお答えを申し上げたはずでありまして、その点は訂正をさせていただきたいと思います。
このとき申し上げましたのは、私としては二つの点を申し上げたつもりでありまして、一つは、限界税率の高い高額所得者やより高額の家賃を任意で支払っておられる方の方がより大きな減税の恩典を享受することになるという点と、あわせて、非納税者について家賃控除の恩典が及ばないということを考えてみますと、高家賃対策というものを税の体系から考えることはいかがなものであろうか、むしろこれは本来の住宅政策としての中で対応すべきことであろうということを申し述べたわけでございます。
委員の再度の御指摘でありますが、私はやはり非納税者の方々に及ばない家賃控除というものをもって高家賃対策とすることについては、残念ながら賛成はできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/84
-
085・森田景一
○森田(景)委員 賛成ができないと言うならば、衆議院総選挙で与野党逆転して実現するしかありません、そういうことを申し上げておきたいと思います。しかし、大事なことですから、十分検討はお願いしておきたいと思います。
もう時間も余りありませんので、大臣、結構でございます。
最後に、特別養護老人ホームの建設と土地税制の特例措置ということについてお尋ねしたいと思います。
御存じのとおり、今、日本は高齢化社会を迎えておりまして、老人福祉対策は非常に重要な課題になっているわけでございます。本年九月十五日の新聞を見ますと、六十五歳以上の高齢者の方々は全人口に対して一一・六%だ。しかも三十年後の二〇二〇年にはこれが二三%から二四%、倍になる、こういう予測もされているわけでございます。また同時に、寝たきり老人は本年は約六十万人ぐらいいらっしゃる。そして、三十年後の二〇二〇年にはこれが百四十万人になるだろう、こういう推計もあるわけでございます。
そういう立場を踏まえまして、厚生省も来年度の予算要望に、在宅介護支援センターを各県二カ所ぐらい建設したいという要望が出ているようでございます。しかし、国の、あるいは公共施設としてこうした方々に対する支援の状況というのは非常に貧弱でございまして、特に特別養護老人ホーム、こういう施設が非常に要望されているにもかかわらず、なかなか建設が進みません。その大きな原因は、今、公共施設の建設は民間業者が大変敬遠しております。これは国の基準単価と実勢が大きく乖離しているということにあるようでございます。したがって、この特別養護老人ホームも民間に依存せざるを得ない、こういう状況になっております。
ところが、お金を持っている方はこうした特別養護老人ホームの建設などはなかなかなさらない、お金のない人がやっていきたい、こういう大変皮肉な現象があるわけでございます。
私も実はこういう問題でいろいろと相談を受ける場合があります。特に最近、減反政策によりまして農家が米をつくれない、田んぼをそのままに放置している、そしてまた、東京都の土地の値上がりによりまして首都圏の土地の値上がりという問題がありまして、土地を公益法人に寄附をして特別養護老人ホームをつくっていきたい、こういう考え方を持っていらっしゃる方がかなりおられるそうです。
それで、公益法人に土地を寄附すれば、これは非課税になるわけでございます。ところが建設費が、先ほど申し上げましたように、国の補助と実勢とが約倍ぐらい違っております。五十人収容の施設をつくりますと建設費は実勢では五億ぐらいかかります。国、県等の補助では半分ぐらいしかできません。その足りない分を、今度は土地の寄附を受けた公益法人が他に売却して建設資金をつくりたいというときには、寄附をした個人に売却の利益といいますか、これの課税が行われる、こういうことで寄附する人も二の足を踏む、こんな話があるわけでございます。したがって、公益法人が養護老人ホームを建設するために寄附を受けた土地を売却する場合も非課税扱いになるようにしてほしい、実はこういう声があるわけでございます。
この点について、当局としてはどのような対策といいますかお考えをお持ちか、この辺のところを御説明をお願いしたいと思います。意味わかりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/85
-
086・福井博夫
○福井政府委員 老人ホームの建設に伴いまして租税特別措置法第四十条の承認につきましての御質問であるというふうに伺ったところでございます。したがいまして、この措置法四十条の承認の取り扱いにつきまして御説明をさせていただきたいと思います。
公益法人に対する財産の寄附につきまして租税特別措置法第四十条の承認を受けるためには、財産の寄附があった日から二年以内に寄附財産が寄附を受けた法人の公益事業の用に供される、または供される見込みであるということが一つの前提要件になっております。
その場合におきまして、公益法人において寄附財産を公益事業の新規開設または事業規模の拡張に伴う基盤となる財産の取得等のために譲渡する、つまりただいま御質問がございました、一たん寄附を受けた財産を譲渡、つまり売却をいたしましてそれをその用途に使おうということになるわけでございますけれども、その譲渡代金の金額、売却代金の金額をもちまして建物等の減価償却資産、土地または土地の上に存する権利を取得し公益事業の用に供されるときは、本法の適用があるということになっておるわけでございます。
ちょっと複雑でございますけれども、要するに、一般的に申し上げまして、特別養護老人ホームを設置、運営する公益法人、社会福祉法人が、寄附を受けた土地の一部を売却いたしまして、その売却代金の全額をもってその福祉法人が目的としております老人ホームの建物を建築し、それを二年以内にその用に供する場合には、冒頭申し上げました四十条の承認を受けることができまして、非課税の取り扱いになるということでございます。一定の条件はございますけれども、この条件を満たせば、売却代金につきまして承認を得ることによって非課税の取り扱いになるということになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/86
-
087・森田景一
○森田(景)委員 大変明快にお答えをいただきまして、それが実態であるならば、これからもこの特別養護老人ホームなどの建設も進むのではないかと思います。
ただ、私が相談を受けました方のお話によりますと、こういうことにつきまして税務署にも相談に行ったのだそうです。ところが税務署で、この公益法人が土地を売却したらそれは寄附した人の課税対象になりますよ、こういうことを言われて二の足を踏んでいる、こういう話もあります。
したがいまして、こうした問題、ケースとしては少ないかもしれませんけれども、担当の税務署の方にも、職員の方にも周知徹底を図るように格段の御努力をお願いしたいと思いますが、この点についていかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/87
-
088・福井博夫
○福井政府委員 お答え申し上げます。
ただいま先生のお話にございましたように、こういうケースが全国的に今のところ非常に少ないといったようなこともございまして、御指摘のようなこともあったかと存じます。その点につきましては、今後税務署の職員に対しまして十分指導を徹底するようにしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/88
-
089・森田景一
○森田(景)委員 最後にお尋ねいたしますけれども、その売却した金額全額をこの施設の建設なら建設の用途に使えば非課税だというお話だったのですけれども、これがその土地を売ったのと建物を建てたのと、多少の、ぴったりといかないと思うのです。差額が出ると思うのです。足りない分は問題ないと思うのですが、少し余ったというときはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/89
-
090・福井博夫
○福井政府委員 私ども、法律、政令の規定に従いましてこの四十条の承認を運営いたしておるわけでございますけれども、ただいま御説明申しましたように、法律的な要件といたしまして全額をもって建物を建築するということになっておりますので、全額ということで御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/90
-
091・森田景一
○森田(景)委員 最後と思ったのですけれども、もう一つ。
その全額というのが、計算して、土地を例えば五十坪なら五十坪売って幾ら幾ら、建物はまた別なところで見積もるのですから、これは売った金額をそのまま建物の建設費に充当しなければならない、うまく計算が合うと思いますか。だから、合わないと思ったらその辺のところを何とか手直しをする必要があるんじゃないかと思うのですが、この辺を最後にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/91
-
092・福井博夫
○福井政府委員 お答え申し上げます。
少し細かいことになりますけれども、私が全額と申しましたのは、租税特別措置法施行令二十五条の十五というところにございまして、「当該譲渡による収入金額の全部に相当する金額をもつて減価償却資産、土地及び土地の上に存する権利を取得するときは、これらの資産」が該当するという規定になっておりますので、この規定に沿って私ども執行していくということになるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/92
-
093・森田景一
○森田(景)委員 もうとにかく政令で縛られて動きがとれないということでございますが、政令というのは変えることもできるのでしょう、大臣。その辺のところの配慮を大臣検討して、必ずしもぴったりでなくても、売却する値段と建物を建てる値段とぴったりというのは、どう考えても私は不合理だと思うのです。多少の、多少というのはどの辺かというのは問題かもしれませんけれども、その辺の配慮は政令でちゃんと改めていいんじゃないかと思いますが、この辺の検討はできませんか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/93
-
094・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 政令委任事項というのは概して専門的知識を必要とする部分でありますので、よく事務方の意見も確かめ、また考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/94
-
095・森田景一
○森田(景)委員 じゃ、検討をお願いしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/95
-
096・中西啓介
○中西委員長 安倍基雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/96
-
097・安倍基雄
○安倍(基)委員 橋本さんが大臣になられて初めての質問でございますが、時間が非常に短いものでございますので、かいつまんでお聞きしたいと思います。
日本の場合にパート労働というのが最近非常に多くなっている、ほかの国と比べて恐らくは非常に多くなっているんじゃないかという気もするのですが、いろいろ税制を考えるときに諸外国との比較ということが考えられる、そのときには、その基礎になっている社会現象はどうかということも問題となっておると思いますね。日本の場合、非常に労働力不足になっている、難民が続々と入ってくるくらいでございますから。でございますから、今、パート減税についてちょっとお聞きしたいんですけれども、ほかの国と比べた場合にどうなんだろうなというようなことについては、いかがなものでございますか。
〔委員長退席、平沼委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/97
-
098・尾崎護
○尾崎政府委員 ほかの国のパート減税というような意味でございましょうか。——他国の例を申し上げますと、パート減税は給与所得控除の最低保障額の引き上げということで現在我が国では行われているわけでございますけれども、委員御承知のとおり、アメリカ、イギリスは実は給与所得控除のような給与所得者のみに認められる控除というのはございません。したがいまして、我が国で言う意味でのパート減税というようなものはないんだろうと思います。
それから、西ドイツの場合、これはクリスマス控除というような名前で呼ばれておりますけれども、給与所得者に対する控除というものはございます。ございますが、過去におきましてクリスマス控除の引き上げというのは例はございますけれども、しかし、これもパート減税というような意味とは少し違うのだろうと思います。
一番似ておりますのがフランスでございまして、フランスは給与所得者に必要経費の概算控除というのがございます。そこで最低保障額がやはり我が国と同じようにございますが、その最低保障額がフランスにおきまして、昭和五十四年でございますけれども、千五百フランから千八百フランに引き上げられたというような例はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/98
-
099・安倍基雄
○安倍(基)委員 いわゆる最低課税額というか、もちろん我々としてはパートがどんどん優遇されることは非常にありがたいことでございますし、それも我々年来の主張なんですけれども、いわゆる課税最低限というものに対するフィロソフィーと申しますか、簡単に言えば、日本の場合には独身貴族の時代がある、そのうちに、要するに年をとってくるとだんだんと負担が重たいというようなことがあるわけでございまして、そこで我々は
できるだけ中堅所得者が苦しまないようにということでいろんな控除をお願いしている。パートの減税についても、中堅段階の者が苦しまないようにという方法の一つだと思いますけれども、簡単に言えば、日本の場合に、よく我々一般的には課税最低限を上げろ上げろと言ってきましたけれども、結局所得税の累進構造は、逆に課税最低限を上げ過ぎるところから出てくる場合もあるわけです。
でございますから、パート減税はまさに中堅所得者にいわば非常にいいという意味では大いに歓迎なんですけれども、課税最低限に対するフィロソフィーというか、人間のライフサイクルを見たときに、独身のときにはべらぼうによくて、だんだんと苦しくなるという課税最低限の一つの考え方と、独身時代は独身貴族ではない、ところが年をとるに従って大体まあまあと。今のところは独身時代が一番いいというような感じで、そのうちにだんだんと苦しくなる。課税最低限の一つの考え方をもうちょっとライフサイクル的に見て、控除のつくり方についても、要するにだんだんと年をとってきてよくなるというような一つのフィロソフィーがあっていいと思うんですけれども、その辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/99
-
100・尾崎護
○尾崎政府委員 課税最低限の考え方でございますが、一時代前は、我が国の場合にも生活水準から見て最低限必要とされる生計費に対応する部分というような考え方がとられたことがございます。したがいまして、課税最低限を検討するに当たりまして生計費調査というようなことをいたしまして、それで議論をしたということがございますが、昨今は御承知のように、また委員御指摘のように、日本の課税最低限は世界的に見て最も高い国でございますから、余りそういう感じで議論が行われるということはないという状況に現在立ち至っていると思います。
むしろ一つは、所得税の累進構造との関係で、中小所得者の負担をどのように緩和していくかというような見地、それから、これまた委員の御指摘にございましたけれども、家族の構成に応じて税負担を調整するというような見地、そういうところから課税最低限の議論が行われているように思います。今回の抜本的税制改正におきましても、課税最低限の引き上げの要因を見ますと、例えば十六歳から二十二歳の特定扶養親族につきましての十万円の扶養控除の上乗せであるとか、そういうような配慮が行われているわけでございます。
これまた委員御指摘のとおり、我が国の場合、サラリーマンの収入の増加のタイプというのがライフサイクルで大体決まっておりまして、年功序列型でございますから、一定の線が描かれるわけでございます。若いときの負担、中年のときの負担、高年になっての負担、それぞれの負担の状況を考えながら、その実態に合わせて課税最低限を構成する諸控除の内訳というものを考えていくべきではないかというように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/100
-
101・安倍基雄
○安倍(基)委員 大臣、この消費税論争と関連して、いわば低所得者あるいは高所得者、そういう——消費税論争というのは非常に低所得者に厳しいという面があるわけですけれども、もちろん我々は課税最低限引き上げ、引き上げとずっと主張してきたし、それは必要なんですけれども、若干、ライフサイクルに応じて、今の状況では、例えば独身貴族が非常にいい、だんだんと苦しくなる。我々はしきりと中堅所得者が苦しいんだからどうにかしてくれということで、いろいろの控除がまたそれなりにつくられてきたことはあると思います。
ただ、客観的に言って、私は、こういったことを選挙の前に言うと、課税最低限をどうのこうのと言うとかえって票を失うかもしれないが、しかし、課税最低限についての一つのフィロソフィー的なものをやはり持っておくべきなんじゃないか。ライフサイクルから見て、若いときはべらぼうにいいけれども年をとってきてから困る、あるいは中堅になって困るという控除制度ではなくて、このパートなどはやはり中堅が救われるという控除だと私は思いますけれども、こういったことで、もう一遍ライフサイクルから見た課税最低限の再検討というか、その辺の必要があると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/101
-
102・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 今、委員の御質問また主税局長の答弁を聞いておりまして、私は一つの見識のある問題提起だと思います。と申しますのは、ここ十年かそこらの間に随分我が国の雇用構造、就業構造の変化が生じております。そして、男女雇用機会均等が条約によって保障され、国内法の体系も整備をされ、我が国の家庭を構成する中における主要な稼ぎ手というものの地位にも変化が生じている。一方では、社会保障の世界におきましては、いわば世帯単位をべースとして組み立てられてきた日本の年金制度というものが、個人に着目をし、一人一人の年金権というものを保障する方向に移行しつつある。そうした中で、課税最低限を構成するそれぞれの要素についてこれから先も不断の見直しを考えていく必要があるというのは、一つの見識だと私は思います。
ただ、これはもう委員、専門家に対してかえって失礼かもしれませんけれども、たまたま消費税と組み合わせて御論議をいただいたわけでありますが、実は、それぞれの税の特色と同時にそれぞれの税の持つ欠陥というものをどう組み合わせていけば一番その欠陥を消していくことができるか、それぞれの長所を伸ばした税制として組み立てることができるかという視点で考えてまいらなければならない問題であろうと思いまして、これから先も私どもが勉強していくべき一つの示唆であろう、そのように理解をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/102
-
103・安倍基雄
○安倍(基)委員 消費税の話が出ましたから……。大臣、現在、消費税の大議論が始まります。私は実はこの前、「朝まで生テレビ」というのに出まして五時間ばかりやったことがございます。太田君がさっき来ていましたけれども、そのときに、なかなか見直しといっても難しいよ。最後の結論は存続か撤廃かどっちかじゃないかという雰囲気に「朝まで生テレビ」はなったのでございますけれども。
それに関連して、最近ちょっと自民党の中で何か消費段階を全部免税にしようという議論が出てきているやにも、まあ一部でございますが、何かこれはごく一部の者が言い始めているようでございますが、事実そういう動きがあるのか、論議があるのか、それについての御見解はどうかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/103
-
104・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 自由民主党の税制調査会の中で、さまざまな角度から見直しについての論議が行われておることは御承知のとおりでございます。そして、私の承知をしております限り、十月いっぱいの作業としては、それぞれの方々が持つ意見を全部公表される、意見を述べたい方は全員参加をして意見を述べられるということでありましたから、非常に幅の広い意見が述べられたと承知をいたしております。
意見集約にかかられるのはこれから十一月に入りましてからと聞いておりまして、今その内容を、どういう方向になるのか私どもとして予見をするわけにもまいりませんし、また、私自身の立場としては、政府の税制調査会に検討をお願いをしておるわけでありますから、個人的な見解についてはどうぞお許しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/104
-
105・安倍基雄
○安倍(基)委員 財政当局として、要するにそういう消費段階を最後の接点でもっていわば非課税にするということは検討に値するのかどうか。事務方で結構ですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/105
-
106・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 先般敗北に終わりました参議院選、私は与党の幹事長としてその敗北の責任をとらなければならない立場でありますけれども、その際、私どもとして、国民から御要望のある見直しの御要求についてはそのすべてを俎上にのせる、そして検討の対象にするということを申し上げてまいりました。今、委員が御指摘になりましたことばかりではなく、さまざまな御意見が出ております。それは全部俎上にのせて検討をしてい
ただく。しかし、それをすべて採用するということでないことは当然のことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/106
-
107・安倍基雄
○安倍(基)委員 消費税論議でいろいろ議論になったんですけれども、結局免税品目を多くすると帳簿方式そのものがもたぬのではないか。そこのところで非常に私が心配していますのは、心配しているというか、結局消費税で一番基本的な問題としてあるのは、免税品目をふやす、あるいは税率を変更する、段階を設けるというのは、インボイス方式でなくてはできない。だから免税品目の増加はすなわち帳簿方式そのものの否定につながるのではないか。となると、免税品目をふやしていくことそのものが帳簿方式でもたなくなれば、やはりそれをもう一遍撤廃して基本から見直さなければいかぬじゃないかという考え方もあるので、本当に大幅な見直しは可能なのかどうか非常に我々は疑問に思っています。この点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/107
-
108・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 世の中に大幅とか大胆とか、思い切ったとか思い切ってとかさまざまな形容詞が流れ飛んでおることは私も承知をいたしております。しかし、私自身こうした形容詞をつけて物を申し上げたことはございません。そして、私どもとしては、今回の税制改革全体の中における一つの大切な構成要件として消費税が世の中の方々に受け入れていただけるような努力をする、その中における見直しでありますから、そうした基本線は守られることを期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/108
-
109・安倍基雄
○安倍(基)委員 ということは、大幅な見直しは難しいということでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/109
-
110・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 私は、ですから大幅とか大胆とかそういう形容詞をつけて物を言ったことはございませんけれども、その大幅であるか小幅であるか中幅であるかというのは実は見る方の主観でありまして、例えば私どもが非常に小幅だと思うものでも、あるいは世の中は大幅と見てくださるのかもしれませんし、その逆さの場合もあろうかと思います。要はその形容詞の問題ではなく、どうすれば国民が納得をしていただき、この税制が定着できるかということでありまして、最善の努力をいたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/110
-
111・安倍基雄
○安倍(基)委員 それから、現在、内税、外税と言われていますけれども、今までは主として消費者の側からの不満が出てきているんですね。これからは、徴収というか、徴収義務者、納める方の、実際税務当局に調べられて納める方のいわば不満が出てくる。
私はちょっとここで懸念していますのは、結局税務当局が広範に非常に手を緩めて、それでもって結局何でもかんでもいいやというぐあいに済ましちゃっていると、結局、私は厳しく取れというのじゃなくて、いわゆる本当の意味の欠陥なり問題点が浮き彫りにされないままでいろいろ議論される可能性がある。従来の内税、外税は、結局消費者側から見ると内税にすればいい、ところが途中の段階の人は外税の方がいいという話に必ずなるんで、現在の徴収が本当に法律どおり行われているのか、あるいは、もうどうせ危なっかしいんだから言うとおりやっちゃうんだという話であると本当に欠点そのものも浮き彫りにされてこないんですけれども、現在の徴収段階はどうなっていますか。簡単にしてください、もう時間がございませんからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/111
-
112・林正夫
○林(正)政府委員 的確なお答えになるかやや疑問なんでございますけれども、現在私どもが事実として把握しておりますのは、四月から七月の決算法人の申告の状況でございますが、現在のところ三十八万三千件の申告が出ておりまして、私ども順調な申告がなされているというふうに思っております。その納税額も千四百五十二億円に達している次第でございます。
それから、今後の姿勢でございますけれども、私ども、やはり新しい税金でございますので無理はいたしませんが、例えば申告をすべき人がまだ申告をしてないというような状態がございましたならば、関与している税理士を通じていろいろ御指導申し上げるとか、あるいはいろいろ催告を申し上げるとか、そういうふうに的確にきちんとした申告及び納税が行われるように事務を進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/112
-
113・安倍基雄
○安倍(基)委員 私は何も厳しく取れ取れと言ったわけじゃないけれども、本当に矛盾点が、いろいろな弊害があるのかどうかということは、結局今度納税の段階が、これからの話ですけれども、その辺があいまいにされたまま、先ほどの内税がいいとか、それは内税というのは必ず消費者の段階の不満ですから、外税の問題、必ず途中の納税者の段階になると外税がいい、転嫁の問題が出てきますから、この辺が本当に欠点が浮かび上がる、廃止するにしても見直しをするにしても、その辺の執行がきちっとされて初めて正当な評価ができるわけですから、この辺はあいまいにしたままやるのはおかしい。だから、本当にお互い、皆さんが見直しをする、我々は廃止するといっても、どこに本当に欠点があるかどうかは執行をきちんとやってみて初めてわかるわけですから、執行をあいまいにしたままでやるのはおかしい。私の意見でございます。
時間もございませんから次の問題に移りますが、この点、一言大臣の御見解を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/113
-
114・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 いいかげんにするということを税の徴収でできるわけはないわけでありまして、これはきちんと対応しなければなりません。半年間の猶予期間が終わりまして今作業が始まったばかりでありますが、納税者の方々に御迷惑をかけない範囲できちんとした対応はしてまいらなければならぬと思います。
それと同時に、表示の問題について、流通段階における現状を考えてみますと、外税が主流であって何ら問題は出ておらないというふうに私は理解をいたしております。そして、消費者の方々にとりましても、要はその商品を御自分の手元に引き取るときに幾ら支払わなければならないかということが明らかになることが一番大切なことでありますから、外税とか内税とかということよりも、むしろ総額を表示され、その中に税額あるいは本体価格を記載されるような形態をとられる方が望ましいのではないだろうか、そのようなことも申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/114
-
115・安倍基雄
○安倍(基)委員 私は、税を厳しく取れ取れというのじゃなくて、本当に消費税が弊害がどのくらいあるのかということを議論するのであれば、それはきちっと実行した上で本当に見直すべきなのか廃止すべきなのか、我々はむしろ廃止を言っています。恐らくいろいろびしびし取り始めたらすぐ廃止論がわっと沸き上がると思いますけれども、それをあいまいにした形でやると、やはりいいじゃないかという話になりかねない。この点はこの辺でとめておきます。
最後に、さっき堀委員から話がありましたNTTの問題でございますけれども、私も実はNTTの民営化のときにタッチいたしました。そのとき、やはりこの情報産業というものは通常の電力とか輸送と違う。電力とか輸送というのは非常にローカル的な色彩があるわけですが、情報産業はそうではない。それから、ほかの国とのコンペティションもあるという意味で、分割論はおかしいよというぐあいに私は議論したのでございます。この見解はまだ変わっておりません。
さっきいろいろ郵政省から話が出ましたけれども、最後に大蔵大臣、これは株の値段が上がる、上がらないという問題も絡みますけれども、この分割論に対して大蔵省としてはどういうスタンスであるのか。こちらはもちろん産業政策の問題とおっしゃるかもしれませんけれども、基本的には私は非常にこれからの情報産業、成長産業を、通常のいわば、電力も基幹産業、運輸も基幹産業でございますけれども、ローカル性という問題においては情報産業というのは違う、だからそれと同一視できないと思っておりますけれども、大蔵大臣の所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/115
-
116・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 私は臨時行政調査会のこの作業
が行われておりました当時、党の行財政調査会長を務めておりましたので、ある程度この関係に携わってきた一人ということかもしれません。
しかし、今、電気通信審議会が中間答申を出され、これから本答申に向けて作業をしていかれるわけであります。大蔵省の立場として申し上げますならば、NTTの分割の適否につきまして、我が国の電気通信事業のあり方、ユーザーの利益という観点だけではなく、政府を含めましたNTTの株主の利益等というものも十分勘案をし、慎重に判断すべき問題であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/116
-
117・安倍基雄
○安倍(基)委員 慎重に判断するというのは、どちらかというと、もちろん前向きか後ろ向きかということは——この辺にしておきますか。慎重ということは、分割そのものの持ついわば意味というものについて、これはもちろん産業政策的な考えじゃないかと思いますけれども、ある意味からいうと、私のお聞きしているところは、株主の利益という面もありますけれども、大蔵大臣というのはすべてのことに目を、統括的な要素もありますので、その辺について、慎重にというお言葉の意味ですね、ちょっとなかなか答弁しづらいと思いますけれども、どういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/117
-
118・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 想定し得るすべての問題点をクリアし、なおかつ分割した方が国家国民のためになるというような我々が納得する御意見が出てくればそれに従うでありましょうし、また、その利害得失を考えますときに、必ずしも国家国民のためにはならないという判断を下せばそのような主張をいたすということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/118
-
119・安倍基雄
○安倍(基)委員 苦しい御答弁かと思います。
時間も来ましたものですから、ここでやめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/119
-
120・平沼赳夫
○平沼委員長代理 矢島恒夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/120
-
121・矢島恒夫
○矢島委員 パート所得者だとか、あるいは内職所得者の非課税限度額につきましては、我が党も以前より大幅引き上げを要求してまいりました。今回の改正案、大幅ではないものの、若干でも税負担を軽減するものでありますから、その点で賛成できるものと考えております。
ところで、先ほども森田委員の方から質問の中で出されましたが、労働大臣の、ことしは百万だが来年度は百二十万に引き上げるよう大蔵大臣に働きかける、こういう発言を引用されて質問されたわけです。大臣も答弁されました。また、各党とも引き上げを要求しておるところでありまして、去る六月下旬、自民党のパートタイム労働問題検討小委員会も、非課税限度額の百五十万円への引き上げ、これを提言しております。
そこで、大蔵大臣にお伺いするわけですが、大蔵大臣、これを受けてどのように対処しようと考えておられるのか、パート所得者やあるいは内職所得者の非課税限度額についてどのように認識されているのか、さらに大幅な引き上げが必要と考えていらっしゃるのかどうか、そのところの見解をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/121
-
122・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 先刻安倍委員の御質問に対して、今、社会経済情勢の変化が進行している状況というものを私なりにとらえた答えを申し上げたわけでありますが、状況については先刻答弁を申し上げましたものを委員もお聞きをいただいたとおりの状況であります。
そうした中で今回いわゆるパート減税というものを提案をし、御審議をいただき、今こうして答弁に立っておるわけでありますが、私どもは、社会経済情勢の実態を踏まえて今回適正な改革をお願いを申し上げ、御審議をいただいておると理解をいたしております。
これから先、本院の御審議を終わりましても、なお参議院の御審議があり、その後この法律が動き出して、社会の実態とあわせてどういう御評価をいただけるかはこれからのことでありまして、今、私どもとしては最善最適と信じ、この案を提出し、御審議を願っている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/122
-
123・矢島恒夫
○矢島委員 労働省おいででしょうか。——労働省にお伺いします。
地価の高騰を初め、住宅費やあるいは教育費などが増大する中でこのパート労働者がふえ続けているということは、労働省が出されました今年度の「労働経済の分析」、労働白書の中にもあらわれていると思います。同時に、この白書の中では、とりわけ「女子パートタイム労働者の労働問題」という項目の中で、一九八七年、パート労働者は四百六十七万七千人、その中で九五%が女子のパート労働者であり、全女子雇用者の中に占める割合が二六・三%、こういうような統計も出されております。
最近、女子のパート労働者が急増する中で、パート労働者の雇用の問題あるいは労働時間や賃金、賞与、退職金、これら処遇の問題だとか労働条件の改善というものがいよいよ重要な問題になってきていると思うわけです。
こういう中で労働省は、六月二十三日に労働大臣告示ということでパートタイム労働者の処遇及び労働条件に関する指針というものを発表されました。これは、今までは行政指導の指針として八四年のパートタイム労働対策要綱、こういうものの内容を一部拡充されて強化された、そしてその位置づけも、要綱が労働事務次官通達といういわゆる行政内部の文書だったのに対して、今回は広く公表する意味を持ちます大臣告示ということに格上げされたわけであります。
問題は、この大臣告示がパート労働者の保護に具体的にどれだけ有効なものになるかということだろうと思うのです。大臣告示は、パート労働者の一定の要求を反映しておりますし、通常の労働者との格差を縮めようとする施策も盛り込まれておりますので、評価できるものもある、このように考えておりますが、実際にどれだけの効力を発揮するのか、あるいは実効性がどれだけ確保できるのか、こういう点について労働省の見解をお聞きしたいと思います。
〔平沼委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/123
-
124・鈴木佑治
○鈴木説明員 パートタイム労働指針につきましては、先生おっしゃられたように、本年の六月、労働大臣告示として制定いたしたものでございます。この制定に当たりまして、公労使の委員から成りますパートタイム労働問題専門家会議というもので十分議論いたしまして、さらに関係の審議会の中で議論を詰めて制定いたしたものでございます。
この指針は、パートタイム労働者の処遇及び労働条件等の改善のために考慮すべき事項につきまして必要な事項を決めておりますので、これが定着が図られればパートタイム労働者の労働条件等の向上に役に立つというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/124
-
125・矢島恒夫
○矢島委員 パート労働者の保護のためには、この指針が効力を発揮するということが極めて重要だと私も考えます。いわゆる啓蒙、啓発だけではなくて、現行法を改正したりあるいは新たな立法も当然必要になってくると思うわけですが、このパートタイム労働指針をそのために有効なものにするお考えがあるのかどうか、労働省、この点はどうお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/125
-
126・鈴木佑治
○鈴木説明員 パートタイム労働指針は、先ほど申しましたように六月に制定されたばかりでございます。現段階では、その定着を図るということで総合的な対策を講じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/126
-
127・矢島恒夫
○矢島委員 指針の中を見ますと、各項目の中に「努めるものとする。」とかあるいは「望ましい。」とか、ほとんどがそういう項目になっているわけですね。そのために、これは七月十三日の日経新聞ですけれども、「「強制力はないので対応は急がない」とする使用者も多い。」こういうような記事も載っております。今お答えがありましたように、本当にこれが実効性を伴う、効力を発揮する、そういう方向でさらに御努力いただきたいと、この点を御要望申し上げておきます。労働省、結構でございます。
続いて、税務行政について質問したいと思います。
私が調査したところによりますと、国税庁の税務運営方針あるいは日ごろ国税庁が言っていることと大変違った一方的、権力的な税務行政というものが行われているので、具体的な例を挙げて質問したいと思います。
まず取り上げる一つは、群馬県の桐生市で起こった問題です。館林の税務署の署員の方が、ことしの七月三十一日ですが、突然パートやアルバイトの人たちを雇用している企業を訪ねてきて、パートやアルバイトが本当に働いているのか確かめるといって給料の袋詰めを点検した。さらに、仕事中は困るというのを振り切って工場内を歩き回って一人一人の名前を確認したり、さらに、アルバイトのタイムカードを偽造しているだろうと頭から疑う態度をとったりした。その上、このアルバイトやパートの人たちの家を十軒ほど訪ねたようであります。アルバイトの高校生の家に行って、なぜアルバイトなどをさせるのだ、これを聞いた母親は悔しさの余り泣き出した、こういう例もあるほどでありますし、また、訪ねられた家庭ではそのためにパートをやめた人もある、こういうような事実があらわれております。このように、企業主の信用を傷つけたり打撃を与えて、そして無理やり修正申告に判を押させた、こういうふうに聞いているわけです。
パート労働者の非課税限度額を引き上げることは必要でありますが、今申し上げたような税務調査を続けるとか、あるいはこの機会に調査を強化する、そういうことになったら大変問題だと思うわけです。国税庁は、パート労働者やその雇い主の申告は不正が多いと見ているのか。こういう調査のやり方は改めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/127
-
128・福井博夫
○福井政府委員 お答えをさせていただきます。
ただいま具体的な課税の事例につきましてるる御指摘があったわけでありますけれども、最初に、私ども課税の具体的な内容につきましては、これに立ち入ることにつきまして私どもの立場上差し控えさせていただくということについて御理解をいただきたいというふうに思っております。
ただいまの御質問は、私どもの調査ということについての御指摘というふうに理解をいたしました。この点につきましては、先ほど先生の方から御指摘がございましたように、私どもの税務運営方針というところにもそのやり方について基本的な考え方が示されておるわけでございます。それによりますと、税務調査の実施に当たりましては、税務調査の公益的必要性と納税者の私的利益の保護との両者を十分勘案いたしまして、社会通念上相当と認める範囲内で実施していくということになっておるわけでございます。私ども、そういう方針に基づきまして税務調査を続けておる、こういうふうに理解をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/128
-
129・矢島恒夫
○矢島委員 税務運営方針にきちんとのっとったやり方をぜひ行うべきだということを改めて主張しておきますが、これに類似する問題が今非常に数多く出ておるという点も指摘しておきたいと思います。
時間の関係で私が調査したうちの幾つかしか例を挙げることができませんが、もう一つの問題は、松戸市で不動産業と生花の小売業を営んでおられる吉林秀子さんの場合です。この人は、昭和六十二年分について更正処分を受けております。税額にして千百九十一万九千六百円の追徴を受けたわけです。更正の理由、そのやり方が余りにもずさんでひどいものなので、その問題でお伺いしたいと思うわけであります。
問題の第一は、不動産内訳書に記載されている支払い手数料あるいは広告宣伝費を必要経費として認めないと否認していることであります。
この内容は、幾つかありますが、仮にEさんとしておきますけれども、このEさんへの支払い手数料は、領収書に記載されていた住所地に住民票はあるものの居住していた事実はないというのが理由で否認されています。しかし、この吉林さんの話では、Eさんは間違いなくそこに住んでいる、夫婦と子供が一緒に住んでおられるわけですが、たまたまEさんの家族全員が留守だった。それなのに、そのことを納税者である吉林さんには何の話もせずに、それだけで否認している。もう一人、Gさんとしておきますが、この方への支払い手数料についても、同様に、住所地に住民票はあるものの居住していた事実はないという理由で必要経費を否認しております。このGさんという方も夫婦と両親、子供と間違いなく一緒に暮らしておられる。税務署員が調査に行ったとき、本人がたまたま不在であったにすぎないわけです。
一体こんなことで、居住していないとして必要経費を否認してよいものなのかどうか。EさんもGさんも逃げたり隠れたりはしないわけでありますし、とりわけ最初に申し上げたEさんの場合には、仲介手数料は確かに吉林秀子氏より受け取っていることは事実だ、印鑑証明添付の上、自筆で証明いたします、こういうことで、私ここにコピーを持っておりますが、念書と印鑑登録証明書をきちんとEさんは吉林さんのもとに手渡しております。
どうしてこんなずさんな調査による更正をするのか。まさか国税庁がこのようなやり方でよいと指導しているとは思いませんが、この件についてどうお考えか。私、前もって調べておくように言っておいたので、その結果どうだったか、答弁していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/129
-
130・福井博夫
○福井政府委員 ただいま先生から、具体的な課税の事例につきましてるる御指摘をいただいたわけでございます。
本件の課税の具体的な内容につきまして立ち入ることは、先ほども申しましたように控えさせていただきますけれども、ただいまの御質問、一般的に考えまして、税務調査で経費を認めたりあるいは否認をするといった場合の資料といいますか、そういった領収書といったものの取り扱いがどういったことであろうかというようなことではなかろうかと思うわけでございます。
私ども、一般的に申しまして、経費を認めたりあるいは否認をいたす場合に、何らかの形での証拠書類、領収書といったものが納税者の方から提示されるということは非常に助かるわけでございまして、それはそれでまことにありがたいわけでございます。しかし、調査という観点からまいりますと、ただそれをそのまま受けとめるということではございませんで、私どもの一般的な調査の方法といたしましては、そういった領収書の真偽、正しいか間違っているか、あるいは実際にそういったことに伴いまして、一般的には社外流出というような言葉でございますけれども、支払いが行われているかといったことにつきまして調査をいたしまして、客観的に見て課税当局である私どもが納得ができるということになった場合にそういった経費を認めるという手続きになるわけでございます。ただいまの具体的な点につきましてはコメントを差し控えさせていただきますけれども、御指摘の点についてはそういった取り扱いをいたしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/130
-
131・矢島恒夫
○矢島委員 個別的な問題はそういうことでお答えいただけませんが、一般的な問題として今お答えいただきました。
領収書だけでは不十分であるというようなことなのかどうか。つまり、私はこの問題につきましては十分調査したつもりであります。この吉林さん関係のことは、調査がずさんだというだけにとどまってないと考えております。
もう一人、Sさんとしておきますが、Sさんに対する支払い手数料につきましては、このSさんが一度うっかり金額を間違って言ったこと、これが唯一の証拠になって必要経費の否認になっているわけです。領収書だけでは証拠にならないのかどうか。例えば、同じく吉林さんの問題で、広告宣伝費の問題です。領収書をきちんと提示いたしました。ところが、依頼先の会社がたまたま倒産して、ほかに証拠書類がないわけであります。ただそ
れだけでこれも否認されているわけであります。
このようなやり方は、疑わしきは罰せよ、こういうやり方ではないですか。吉林さんは、税務署は最初から犯罪者扱いで、納税者の話に耳を傾ける態度はまるでないと怒っておりました。国税庁は、疑わしいと思ったことはすべて否認してよいという指導をしているのですか。本人の申告を認めずに更正する以上、十分調査してから更正するのが当然ではないのですか。この点について、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/131
-
132・福井博夫
○福井政府委員 お答えいたします。
私どもの調査に当たりまして、現在の我が国の納税制度が申告納税制度であるということがその基本でございますので、調査に当たりましても、やはり納税される方の理解と協力を得ながら調査を進めていくという基本方針で臨んでおるわけでございます。また、そういう方針で今後とも進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
そこで、先ほど来の領収書、そういったことにつきまして、ただいま申しましたように、できる限り納税者の方に御協力、御理解をいただきたいということで今後とも進めてまいりたいし、そういうふうに進めていると考えておるわけでございますが、先ほども申しましたように、その場合において、出された領収書がそのまま認められる場合と、客観的に納得のできる資料かどうかということにつきましてさらに調査をいたしまして、残念ながらそれを認められないというケースもあるということにつきまして、御理解をいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/132
-
133・矢島恒夫
○矢島委員 私が取り上げたこの件につきましては、適切な調査ではないと思っておりますし、また、その居住地にいるとかいないとかいう問題だけで否認していくという点についても極めて重大な問題がある。こんなふうにやられますと、どんな納税者でも申告を認められずにすべて更正なのではないかというふうに考えるわけです。この吉林さんは税務署の調査に協力して、すべての書類、原始資料のすべてを提出しました。にもかかわらず、納税者の意見も聞かないまま、必要経費というのが一方的に否認されている。ここに問題があるわけです。しかも、税務署はわずか半年の間に担当者が三人もかわった。そのたびに方針や態度が変わってくる。納税者が非常に混乱する状態をつくっている。
私は、この問題については具体的に述べましたので、よく調査して改善していただきたいと思うわけです。
時間の関係で、もう一つ税務調査にかかわる問題で質問しておきたいと思います。
このことは、今取り上げた松戸でもそうですし、埼玉でもよく聞くことですが、税務署員が事後調査に来たときに、「貴方の確定申告は認められないので修正申告をしていただきたい。修正申告をしていただければ調査はこれで打ち切ります。」、私はできるだけ税務署員が言った言葉に忠実に読んでいきたいと思います。「修正申告に応じない場合は徹底的に調査をして、過去三年間に遡り更正します。」「この位の税金は払えるでしょう。」「修正申告に応じたらこれこれの税金ですみますが、更正ということになるとこんな税額ではすみませんよ。修正に応じた方が得ですよ。」、半ば脅迫しながら修正を強要している事実があるのです。
国税庁の出されております税務運営方針によりますと、先ほど御答弁の中にもありましたとおり「調査内容を納税者が納得するように説明し」「納税者の主張には十分耳を傾けるとともに、法令や通達の内容等は解かりやすく説明する」、こういうようなことも書かれております。
今の状況というのは、修正申告の勧奨というようなものではなくて、いわば更正にかわる修正申告というべきものであって、本来税務当局が公権力の行使をすることによって行政庁の処分として行われるべきものを、納税者が進んで行った修正申告という形式をとって同一の効果を期待している、その実現を図ろうとするものだと言わざるを得ないのです。このようなやり方は、戦後長年かけて築いてまいりました申告納税制度というものを税務当局内部から崩壊させるものではないか、このようなやり方は、まさに無理やり税収を伸ばそうというやり方で、直ちに改めるべきだと思います。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/133
-
134・福井博夫
○福井政府委員 修正申告につきましてのお尋ねでございますけれども、修正申告は、私どもといたしましても、あくまでもこれは納税者の側におきまして自主的にお出しいただくものであるというふうに理解をいたしております。しかしながら、実際の運営に当たりまして、納税者の方で税務署の方といろいろ相談をいたしたい、あるいはまた税務署の方で何らかのアドバイスを差し上げるというふうなこともあるわけでございまして、そういった場合には納税者とお話し合いをしながら修正申告を出していただくということになるわけでございます。
私ども、修正申告というのはあくまでもそういう趣旨のものであるというふうに理解しておりますので、そういうふうな取り扱いで今後ともやってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/134
-
135・矢島恒夫
○矢島委員 実際はそうなってないという点を指摘し、今の答弁で私は納得いたしませんが、時間が参りました。
大臣、最後にお伺いいたしますが、今幾つかの例を挙げて私質問してまいりましたが、この申告納税制度を守っていくということであるならば、また、税務運営方針に沿って税務行政が行われる、こういうことを忠実に行っていくということであるならば、私が申し上げたようなことは改められるべきだと思うわけなんですが、大臣の御見解を最後にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/135
-
136・橋本龍太郎
○橋本国務大臣 税務職員はみずからの職責に忠実にその職務を果たしておると信じておりますが、なお一層注意をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/136
-
137・矢島恒夫
○矢島委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/137
-
138・中西啓介
○中西委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/138
-
139・中西啓介
○中西委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
所得税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/139
-
140・中西啓介
○中西委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/140
-
141・中西啓介
○中西委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
─────────────
〔報告書は附録に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/141
-
142・中西啓介
○中西委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時二十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604629X00119891031/142
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。