1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年六月六日(木曜日)
午前十時十一分開議
出席委員
委員長 高鳥 修君
理事 小里 貞利君 理事 尾身 幸次君
理事 大島 理森君 理事 小沢 辰男君
理事 松田 岩夫君 理事 森本 晃司君
理事 早川 勝君 理事 錦織 淳君
伊吹 文明君 石橋 一弥君
柿澤 弘治君 金子 一義君
木村 義雄君 岸田 文雄君
栗原 博久君 中村正三郎君
野呂田芳成君 原田昇左右君
穂積 良行君 堀之内久男君
横内 正明君 安倍 基雄君
愛野興一郎君 江田 五月君
加藤 六月君 鹿野 道彦君
北側 一雄君 笹川 堯君
鮫島 宗明君 野田 毅君
平田 米男君 村井 仁君
坂上 富男君 田中 昭一君
永井 哲男君 細谷 治通君
田中 甲君 吉井 英勝君
海江田万里君
出席国務大臣
内閣総理大臣 橋本龍太郎君
法 務 大 臣 長尾 立子君
外 務 大 臣 池田 行彦君
大 蔵 大 臣 久保 亘君
文 部 大 臣 奥田 幹生君
厚 生 大 臣 菅 直人君
農林水産大臣 大原 一三君
通商産業大臣 塚原 俊平君
運 輸 大 臣 亀井 善之君
郵 政 大 臣 日野 市朗君
労 働 大 臣 永井 孝信君
建 設 大 臣 中尾 栄一君
自 治 大 臣
国家公安委員会
委員長 倉田 寛之君
国 務 大 臣
(内閣官房長官) 梶山 静六君
国 務 大 臣
(総務庁長官) 中西 績介君
国 務 大 臣
(北海道開発庁
長官)
(沖縄開発庁長
官) 岡部 三郎君
国 務 大 臣
(防衛庁長官) 臼井日出男君
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 田中 秀征君
国 務 大 臣
(科学技術庁長
官) 中川 秀直君
国 務 大 臣
(環境庁長官) 岩垂寿喜男君
国 務 大 臣
(国土庁長官) 鈴木 和美君
出席政府委員
内閣法制局長官 大森 政輔君
人事院事務総局
管理局長 武政 和夫君
防衛庁参事官 小池 寛治君
防衛庁参事官 藤島 正之君
防衛庁長官官房
長 江間 清二君
防衛庁経理局長 佐藤 謙君
国土庁土地局長 深澤日出男君
大蔵大臣官房総
務審議官 武藤 敏郎君
大蔵省主税局長 薄井 信明君
大蔵省証券局長 長野 厖士君
大蔵省銀行局長 西村 吉正君
大蔵省国際金融
局長 榊原 英資君
国税庁次長 若林 勝三君
文部大臣官房長 佐藤 禎一君
文部省初等中等
教育局長 遠山 耕平君
文部省高等教育
局長 雨宮 忠君
農林水産大臣官
房長 高木 勇樹君
農林水産省経済
局長 堤 英隆君
中小企業庁長官 新 欣樹君
労働大臣官房長 渡邊 信君
建設大臣官房長 伴 襄君
自治大臣官房長 二橋 正弘君
自治大臣官房総
務審議官 湊 和夫君
自治省行政局公
務員部長 鈴木 正明君
自治省行政局選
挙部長 谷合 靖夫君
自治省税務局長 佐野 徹治君
委員外の出席者
議 員 保岡 興治君
議 員 永井 哲男君
金融問題等に関
する特別委員会
調査室長 藤井 保憲君
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本日の会議に付した案件
特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進
等に関する特別措置法案(内閣提出第三五号)
金融機関等の経営の健全性確保のための関係法
律の整備に関する法律案(内閣提出第九四号)
金融機関の更生手続の特例等に関する法律案
(内閣提出第九五号)
預金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第九六号)
農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する
法律案(内閣提出第九七号)
特定住宅金融専門会社が有する債権の時効の停
止等に関する特別措置法案(保岡興治君外五名
提出、衆法第三号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/0
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001・高鳥修
○高鳥委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法案、金融機関等の経営の健全性確保のための関係法律の整備に関する法律案、金融機関の更生手続の特例等に関する法律案、預金保険法の一部を改正する法律案、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案及び保岡興治君外五名提出、特定住宅金融専門会社が有する債権の時効の停止等に関する特別措置法案の各案を一括して議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笹川堯君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/1
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002・笹川堯
○笹川委員 私は、我が党の理事から、きょうは一般質問がある、こういうことで指名をいただきまして、一時間いただいたわけであります。したがいまして、今、総括ということになりますと、私自身ももっと時間が欲しいし、もう少し一生懸命やらせていただきたい。さきの住専問題につきましては、約三時間半ぐらいやらせていただきましたが、きょう全く初めてでありますので、そういうことを委員長に申し上げておきまして質問をさせていただきます。
なお、本日は、橋本内閣総理大臣、久保大蔵大臣、大原農水大臣、そして梶山内閣官房長官、そして鈴木国土庁長官、以上の方には御質問申し上げる予定でありますが、ほかの方には質問する予定がありませんので、私は昔から、きょうだけじゃなくして、必要な人にはおいでいただくけれども、こういうことは一番むだなことなんだ、じっと座っていると必ず居眠りが出ます、居眠ると必ずカメラに撮られて、寝ているじゃないかという議論になりますので、どうぞひとつ、お引き取りをいただいても結構でございますので、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/2
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003・高鳥修
○高鳥委員長 笹川さん、どうぞ御質疑してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/3
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004・笹川堯
○笹川委員 せっかく私の方で御遠慮いたしましたが、どうしても座って私の質問を聞きたいということであれば、あえてそれ以上断るわけにもいかないし、特に、本来、順番からいきますと官房長官への質問は後の方に回す予定でありましたが、官房長官の方から十時過ぎには何か御用があるという紙をいただきましたので、順番をかえて、協力をして最初に質問をさせていただきますから、終わり次第御退出をいただいて結構であります。
それでは、梶山官房長官にまずお尋ねをいたします。
さきに官房長官としての御発言がございまして、銀行協会の橋本会長さんに対する発言でありますが、私は当然のことを言ったなというふうに理解をいたしておりますが、官房長官個人として御発言になったのか、あるいはまた、国民の声が、いろいろそういう非難の声も多いわけですから、まさに政治家として国民の声も代弁して言ったのか、その点だけちょっとお尋ねをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/4
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005・梶山静六
○梶山国務大臣 どこでの発言をとらえて御質問になったのかわかりませんが、記者会見、それからここでの、委員会での答弁で申し上げております。
もちろん、私自身、閣僚である以前に政治家でもございます。そういう政治信念もひっくるめまして、今の内閣のスポークスマンという立場もわきまえながら申し上げたつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/5
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006・笹川堯
○笹川委員 もしでき得たら、もう少し早く言っていただいても効果がもっとあったのではないのかなというふうに思うのですが、それでは、引き続きまして官房長官にお尋ねをいたします。
実は、ここに、今の天皇陛下の御成婚のときの定期預金証書を持ってまいりました。現存するものでは大変珍しいそうでありますが、私のものであります。希少価値があります。額面は五万円であります。昭和三十四年の二月の二十八日であります。
さて、官房長官、実はここに、ずっと金利の附せんがとってあるのですが、こう見ますと、ずっと大体金利というのは五・五、一番高いときで七・七五というのが昭和五十年にありますが、ほとんど五%台なんですね、六%。一番安かったときが平成五年の三・八ですね。その次が今度は平成六年で、丁六五。今は何と〇・五なんですな。〇・五といいますと、普通預金の金利並みなんですね。
そうしますと、我々政治家とすると、年金問題がなかなかうまく作動しない、年金問題も変えなければならぬという最中に、いかに景気を回復する手段としても、確かに昔は金利を安くすると購買力が上がって経済が生きた、こういう事例はありました。しかし、今みたいにこれだけ経済のキャパシティーが大きくなりますと、確かにメリットはあるでしょうけれども、昔のような効能が必ずしも一〇〇%あるとは私は考えておりません。
そこで、そういう退職金を預金をして生活している人もいるわけでありますから、そういう人はやはり消費者なんですね。だから、その点、これだけ金利が低くなっちゃうと、とても生活設計が成り立たないのじゃないか。その責任は弱者にあるのじゃなくして、借りたい放題借りた、貸せるだけ貸しちゃったという、そういうまさに金融のプロの責任と、同時にまた、欲にぼけた人たちの集団の行いによってこういうしわ寄せがいっちゃっている。ですから、私は、金利については確かに日銀総裁の専管事項であるけれども、絶対に批判したり口出したらいけないなんという法律は全くない、こう思います。
一時期、日銀総裁の首をとることが景気回復の近道だと渡辺美智雄先生が言って大変多くの人が賛成したときもありましたが、やたらに干渉することはよくないけれども、やはり一般国民の声を反映する我々国会議員はやはり適宜に発言することは決してとめられていない、そう私は思うのですが、官房長官、いかがお思いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/6
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007・梶山静六
○梶山国務大臣 総合的な観点から私は申し述べる立場にございませんが、個人的な感覚からいいますと、確かに低金利政策というのは、支払い金利が少なくなりますから企業の収益を上げる状態にはなりますが、個人の所得というか利子所得は、これは間違いなく低下をする。それが例えば日銀白書で、金融のニュートラルという問題に法的な表現では言われるのかもしれませんが、やはり個人消費を中心にして今の景気というものが、あるいは景気の拡大というのが一面もたらされるとするならば、必ずしも低金利というものが、その意味で効果的なものばかりとは言えない。しかし、こういう不況時代に低金利政策をとることはやむを得ない手段。しかし、特に、いわゆる所得の発生が金利その他にしか求められないいわば高齢者や年金生活者やその他には当然配慮がなされなければ不公平を来す、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/7
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008・笹川堯
○笹川委員 そういう意味で、官房長官として、内閣のかなめでありますので、低金利といっても、度が過ぎた低金利というものは好ましくないのだということをぜひひとつ御理解いただいて、努力をしていただきたいと思います。
その次に、官房長官にお尋ねしますが、毎日新聞の、けさだと思いますが、「〝リストラ〟も限界に」という新聞記事がございまして、実はこれは何を指しているかというと、財団法人、俗に言う公益法人でありますね。公益法人というのは国のためになるから国が許可をしたのだけれども、公益法人の財源というものは大体基金の運用益をもって充てておるわけです。また、公益団体の中はほとんど人件費が多いのですね。
そうしますと、これだけ金利が下がってくると運用が非常に困難になってくる。物をつくっているわけではありませんから、ほかの収入の道がないわけですね。では基金をふやしたらいいではないかとおっしゃるけれども、それは、基金を倍にふやすなんということは非常に難しいことであって、仮に基金を倍にふやしても金利は倍になりませんからね、昔のように。そういう意味で、「職員減らして イベント中止」とか「空前の超低金利で」、こう書いてあるわけでございますが、国が認めた財団法人であるそういうところまでが今非常に限界に来ているということをぜひひとつ御理解いただきたいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/8
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009・梶山静六
○梶山国務大臣 御指名でございますから答弁席に立ったわけでありますが、一般感覚として、私は、弱者というか、金利をもってそのなりわい、ないしは業を立てている分野に大変しわ寄せがある、このことは深く憂慮をいたしている次第であります。今の、そういういろいろな公益法人その他の運用についても大変危機的な状況にあることもよく承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/9
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010・笹川堯
○笹川委員 それでは、官房長官、お帰りをいただいて結構であります。
それでは、大蔵大臣にお尋ねいたします。
本日の日本経済新聞でありますが、お読みになられたかどうかちょっとわかりませんが、右の方に、東京都の青島知事が信用組合の監督に客観的基準を設けるという記事が大きく出ております。四十項目ですね。大変遅くなりましたが東京都自体もこういう改善計画をこしらえた。
ところが、きのうの我が党の委員の質問に対して、総理初め大蔵大臣もそうでありますが、どういうときに発動するのだという客観性というのになかなか適当なお答えがいただけなかった。一つは、住専というものが多数の金融機関と取引がある、非常に整理しにくい。それから、もう一つは農協系統ですね、この取引が金額が非常に大きいから、これがもし破綻すると、行く行く預金者に迷惑をかける、すなわち対外的にまずい、こういう御説明でありました。
これは、私も質問をしてお答えをいただいておりますので、よく理解できるわけですが、もう既に東京都でもこういうふうにごしらえているわけだから、大蔵省の方も、客観的なこういうものをもっと早く私は出していただきたいと思うのですが、大蔵大臣、いつごろこういう東京都と同じように客観的条件をお出しになるのでしょうか、例えば信用金庫にしても銀行にしても。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/10
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011・西村吉正
○西村政府委員 行政の透明性を確保するための客観的な基準というような御指摘かと存じますけれども、そういう意味では早期是正措置はそのような役割を果たすものと考えております。
早期是正措置は、今回の法案の中でも御提案申し上げているわけでございますが、金融機関の経営の健全性を確保していくため、金融機関に対する業務改善計画の提出等の処分を、客観的な指標である自己資本比率を発動基準に用いまして、また監督当局が最低限講ずる必要がある処分等の内容につきましても明確化しておくものでございます。そういう意味では、当局の裁量の幅を狭めるとともに、行政の透明性の確保にも資することになると考えているわけでございます。
そのような発動の基準につきましても、私どもといたしましては、省令で明確化し、世の中に明らかにしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/11
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012・笹川堯
○笹川委員 今銀行局長の答弁の中に、自己資本の比率ということが出ました。確かに、自己資本というのは大切なものでありますが、実は銀行があるいっときにほとんど各行だあっと軒並み、大蔵大臣、増資をしました。普通の会社のように一般公募して、あるいはまた株主に一対一だとか半分だとか割り当てればいいのですが、ほとんどお客さんに持たせたわけですね、持ってください、持ってくださいと。
これは、言葉は持ってくださいと言うのだけれども、現実は持てということなのです、僕は前の質問のときに言ったと思うのですけれども。だから、銀行に自己資本をふやせふやせと大蔵省が言うと、自動的にお客さんに持たせるわけですよ。取引している人はまず断れませんね。金がないと言えば断れる。それは、貸しますというのだから、これはもうそれで解決ですね。
だから、その辺、私は、簡単に、自己資本比率を悪くすれば落ちるぞというと、では上げますよという議論になるから、きょうは時間がないので、もう紙に書いたものを読まれると困るので、銀行局長、それを頭に入れておいてください。簡単に自己資本比率を上げればいいという問題ではありませんよ。上げれば必ず金のないところにしわ寄せが行きますよ。買ったら最後、売れないのですから。
それから、「日本の金融システム安定 金融関連法案は不十分」、こういうふうに日経新聞に載っているのですが、これは英国の格付会社のIBCAという会社ですね、どういう信用のある会社か私は存じませんが、少なくとも日本経済新聞は経済の専門紙でありますから、そこがこう書いてあります。「公的資金を導入する必要性を納税者に説明せず、」と書いてあるのですね。皆さんはしたつもりだけれども、私の言うようにそれは全然納得していない。「説明せず、母体銀行に追加負担を迫っている現状を引き合いに出し、信組などへの公的資金の導入は遅れる公算が大きい」。もう一つは、「邦銀の中では体力がある大手銀行が中小金融機関の破たん処理で今後も資金負担を迫られる可能性」がある。
というのは、今までは小さいところがだめになるとみんなで助けましたね、共同で。俗に言う護送船団方式をやったために、せっかく内容のいいところまでが下がってしまう、一緒に。おぼれかけた人を助けるために、助ける人は元気なのだけれども、おぼれる人にしがみつかれて一緒におぼれたという例はあるのだ。これは同じなのです。そうしますと、大手銀行が格下げされてしまう。そうすると、今度外国でお金を借りるときに条件が厳しくなりますから、ジャパン・プレミアムは同じなのですよ。続くのですね。
ですから、必ずしも今までの護送船団方式が私は悪いとは思わないけれども、これもやはりほどほどだ。これは後で農林省にも質問しますが、護送船団方式というのは、銀行だけにとどまらず政治の世界も、役人の世界も全部一緒だ。みんなで隠して知らない顔をしよう、時がたてばやがて風化する。私は、これは一番いけないことだと思うのですね。
特に、僕は総理に聞いてほしいのですが、平澤という銀行局長がいました。土田さんの前、前任者、昭和六十一年です。このとき私は、当時自民党で、銀行がこれ以上ばかばか金を貸すと、もう担保が掛け目を守っていないから大変なことになるということで、部会で随分言ったのだけれども、そのときの平澤銀行局長は一べつもしなかった。素人が何を言っているのだいというような顔で私は見られました。
当時は当選一回だったので仕方がないと思うのだけれども、その程度の先の見えない人が横浜銀行の頭取になって、今度は第二地銀の会長になる。とんでもない話だと私は思う。役人はだれも責任をとっていない。土田さんも責任をとった形で私はやめたのだろうと思うのだけれども、土田さんは参考人で何と言ったか。当時自民党で、ノンバンクの問題については大変な問題になりますよと言った、けれども、幹部の人は聞く耳を持たなかったと言ったでしょう。そのとおりであります。私もその現場にいましたから。ノンバンクが大きいんだ大きいんだということで、やっと通産省から来てもらって、いろいろと話を聞いて、住専の問題に実はなったわけであります。
第一次の再建計画、あんなものははなもかめない再建計画だった。理由は一つ。金利をまければ再建できます、こんなばかみたいなことは何も東大を出なくたってみんなわかっています。だって、借りる金をただにしてくれれば、だれだって商売できます。私が借りれば、その足で別な銀行へ持っていけば利息をくれるのですから。そうでしょう。そういうことは今までも全部、例えば農協にしても、県からお金を出す、補助金だとかあるいは指導金だとか、いろいろ名目はあるでしょうけれども、現実には今までも、総理、公的資金が出ているのですよね。今回だけじゃない、読んでみたら。公的資金が出ている。
だから私は、エイズのときに菅直人さんが給料を返すとか、処分した。考えてみると、今の業務局長なんか関係ないですよね。それでもやはり処分されてしまう。そうすると、当時の人は処分する法が退官しならないとおっしゃるのだけれども、私は、大蔵大臣が監督権を持っているのだから、例えば公社だとか公団に天下るときに、それはさせない、例えば五年なら五年、十年なら十年、お前罰則だよと、それぐらいのことは発動できると思うのですね、大蔵大臣。
そうじゃないと、今の人はこれだけ締められて気の毒なんだけれども、私も役目柄文句を言っているだけの話であって、個人的な恨みは何もないのだけれども、やはり国民に向かって行政当局が命がけでやるということは私は絶対必要だと思いますので、その辺、総理と大蔵大臣のお考えをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/12
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013・久保亘
○久保国務大臣 行政の責任、結果責任も含めてこれらの問題に対する責任のとり方ということでの御意見だと思いますが、私は一つの制度といいますかルールとしても、申し上げておりますように、監督庁と業界との関係というものはいかにあるべきか、その緊張関係をきちっと維持していくためにどうすべきかという立場と、それから最初に申し上げました行政の責任についてどのような対応をするかというようなことについては、厳しく考えなければならないことだと思っております。
今は、昨日も申し上げましたけれども、いかにして長い間の金融行政の持っていた欠陥、対応の遅さといいますか、鈍さといいますか、そういうものを変えていくための金融システムや金融行政のあり方についての改革を大胆に進めることがその責任のとり方の第一歩だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/13
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014・橋本龍太郎
○橋本内閣総理大臣 議員御記憶だろうと思いますが、証券不祥事が起きましたとき、中途ではさまざまな混乱がございました。そして最終的に私が辞任をいたします時点で、当時の次官及び関係局長はともに辞表を提出をしようといたしました。私は、政治家と行政官の責任のとり方は違うと考えましたので、これを受けませんでした。そして、むしろ諸君はその職にとどまって、この混乱の状態の中から新たな秩序を生み出すのが君たちの役割だ、それが君たちの責任だ、そのときそのような判断をいたしました。
私は、問題の性質、そしてその事案、それによってやはり責任のとり方というものはそれぞれ違いはあると思います。しかし、共通してなければならないこと、それは過去の起きた事象というものを反省しながら、その後にその混乱を収拾し新たな秩序をつくることに全力を尽くす、それが私は行政官の責任のとり方ではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/14
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015・笹川堯
○笹川委員 それでは総理にもう一度お尋ねしますが、証券不祥事のときにある審議官がいました。名前を言ってしまうとまずいので言いませんが、この人は実は法務部会で私が謝罪をさせました。なぜ謝罪をさせたかというと、大蔵省の失敗によって証券行政がまずかったからこうなったのに、まず申しわけありませんと言って謝って、それから説明をするべきだ、それがあたかも大蔵省は全然責任がないような顔をしてこうやって説明したから、それは待ったと謝っていただいた。今度財政部会でやはり同じ説明をされたので、また私は待ったをかけた。おかしいじゃないか、さっき謝ってなぜここで謝らぬか。それで私はまた、もう二遍実は財政部会で頭を下げさせました。
それが私は一般の常識だと思うのですね。役人には全然それがない。そのためにその人は、局長にはなったけれども残念ながらいい局長にはなれなかった。私は本当に申しわけなかったと思うのだけれども。これは私、十年間在籍しましたが、大蔵省の役人が非を認めて大変申しわけなかったと懇切丁寧に頭を下げたことは一遍もありません、いまだかつて。その人だけだった。私は、その人に大変申しわけないと思っています。
しかし、それが世の中の常識だということをぜひ役人の皆さんにも知ってほしい。そうすれば、今総理が言ったように、行政官の責任と政治家の責任は違う、政治家は腹を切るけれども、行政官はその失敗をもう一度生かしてと言うのだから、辞表は書かなくてもいいけれども、謝罪ぐらいは私はあってしかるべきだと思うのですが、総理、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/15
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016・橋本龍太郎
○橋本内閣総理大臣 当時その人間から、党に説明に上がりましたときに議員からそうした御注意をいただき、おわびの言葉を述べたという報告を受けました。私は、当然のことであり、これから先もその姿勢は忘れないでほしいということを当時申しました。
私は、議員の御指摘はそのとおりであると存じますし、そうした場合に、まず申しわけありませんという言葉なのか、こうした事態、非常に残念な事態になりまして遺憾でありますという言葉なのか、事象によって言葉は違いましょう。しかし、そうした一言はまずあってしかるべき、それは同感であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/16
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017・笹川堯
○笹川委員 ぜひ関係省庁の大臣も、今の総理大臣の発言を十分かみしめていただいて、これからひとつ行政官を指導してもらいたい、こう思います。
実は証券不祥事のときに、SECを導入する、こういう案がありました。ところが、一般の議員の人は、もうまさにSECなんて言ったってわからない人がほとんどでした、何をやるところか。現実にSECと交渉したことのある人は、当時私が一人だったと思うのですね。
そこで私は、必ずしもアメリカのことを何でもまねすることはよくない、日本は日本独自のものをつくるべきだ、こういう主張をしまして、あれは日本版のSECになったはずです。人間も少なかったし金も少なかったし。
同時にまた、当時はバッシングで、大蔵省の役人は中へ入れるな、一名も入れるなと自民党では言っておった。けれども私は、やはり下の者が行くのだから上の者もついていかないと寂しくてしょうがない、人間のつながりだということで、事務局長は大蔵省から派遣されました。そういう結果を得たわけでありますので、私は、決して責めるだけじゃなくして、やはり守るべきところも守ってやるということは必要だと思っております。
さて、銀行の監査の問題はこれから物すごく、大蔵大臣、大きくなります、農林大臣も。監査をどうするか。今までの監査というのはえてして、役人も数が足らないせいもあるけれども、つい飲み食いしてしまって監査が監査じゃないのだ。監査というのは、水ぐらい飲んでもいいけれども、紅茶は飲みませんよ、コーヒーも。これは税務署員はそうです。ところが、役人の監査というのは、会計検査院でも地方へ行っても皆ごちそうになって帰ってくる、おみやげもらって。これじゃ監査にならない。
そういう意味で、私は、さきがけが大蔵省解体論というものを言われたけれども、私は解体論にくみするわけにいきませんが、やはり少なくとも検査機構だけは大蔵省から独立する必要がある、今の公取のようにですね。独立をする必要がある。そうすればこういう非難もないし、私はうまくいくのじゃないのかな。
こうやりませんと、実は商法も改正になりまして、今まで監査役というのは、大体取締役になれなかった力のない人がなるのです。閑職なんです。ところが、商法が改正されましてから、会計監査はもちろん、業務監査もできるようになりましたので、また、取締役会の開催決議もできるようになったので、監査役の地位が非常に上がりました。ステータスがどっと上がりました。
せっかく民間はこれまでしたわけでありますので、ぜひひとつ大蔵省の銀行の検査部、将来どうなるかわかりませんけれども、検査部門だけは、だれが見ても中立だと言える省庁に移すか、完全独立して、人事関係を断つような形でお願いをしたい。私のこの提案、大蔵大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/17
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018・久保亘
○久保国務大臣 最初にお話がございました検査の姿勢といいますか、検査に臨む者のあり方は御主張のとおりだと考えております。
大蔵省における検査の体制をどうするかという問題につきましては、今笹川さんが御主張になりましたことも含めて、現在、与党三党におかれても検討のプロジェクトチームをつくられておりますし、大蔵省におきましても、そのためのプロジェクトチームが鋭意検討を進めているところでございます。
私といたしましては、金融行政の新たな時代におけるあり方はいかにあるべきかということを、大胆に、真剣に追求して、その結果、どのような体制が望ましいかということについても結論がきちっと出るようにということで指示いたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/18
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019・笹川堯
○笹川委員 いい案だというお声もいただいたわけでありますので、私は根本的に住専問題に税金を投入することは反対でありますし、それは今でも変えておりません。
本日は、最後の質問になるのかなというような気もいたしておりますが、そういうことのないように、少なくとも住専ではあれだけ長時間議論したわけでありますから、もう少し与党の皆さんにも時間を我々に与えてもらって、真剣に今のような議論をもうしばらくやらせていただければ、決して私たちはそれ以上のことを申し上げるつもりもありませんので、ぜひひとつ委員長において取り計らっていただきたいと思うわけであります。
さて、銀行局長にお尋ねしますが、この前、我が党の委員の質問で、今度の処理をする基本的考え方、二時間しかなかったので、これが出てきたわけですな、この二枚が。これで紛糾しました。これは大蔵省の人が書いたのじゃなくして、金融制度調査会の審議経過の報告だとか最終答申、それを全部写してきたわけですね。学校の試験でいえば、あんちょこの丸写しというやつだ。これは先生が見るとすぐわかるから零点なんだ。二時間ではいかに手が早いといったって無理ですな。あんちょこの丸写しで零点。点数のつけようがない。
ところが、翌日出てきた薄い方ですな、一枚の方、これは私の言っていることがそのまま書いてある。農林大臣も大体こう言った。大体、この前の二月の質問のとき、大蔵大臣は大分、立場上、うんじゃらうんじゃら言っていたけれども、「隅田川の遊覧船じゃあるまいし。」というのを覚えているでしょう。だけれども、結果においてはああいう御答弁を最終的にもらったので、それはそれとして私はよかったと思うのです。
ここでちょっとお尋ねしたいのは、公的資金というのと公的関与というもののこの差別ですね。銀行局長、公的資金というのはもうわかりますな、これは。まず税金あるいは財投の金あるいは日銀の金とか、これは大体公的なものだという、税金のほかに国が出し入れする金というのは大体公的資金、これはわかりました。
公的関与を行わないという意味をひとつ短く説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/19
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020・西村吉正
○西村政府委員 私どもの理解では、公的資金というのはお金を出すということを意味しているわけでございますが、公的関与という場合には、例えば行政が仲介をし、あっせんをするとか提案をするとかいうようなこと、もう少し広い意味をも含めまして考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/20
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021・笹川堯
○笹川委員 今のは、仲介をしないとか中に入らない、こういう意味ですね。案を出したりしない。本当にそういう公的関与を一切行わなくて、今後金融の不祥事が出たときに監督官庁としてやれるのですか。ほっておくわけですね、民民の話だから民民でやれと、基本的に。それは確かに、基本は今でもそうだけれども、実際は頭取の月給だって賞与だって、みんな知っていますよ。どうです。一切行わないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/21
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022・西村吉正
○西村政府委員 金融機関の監督は私どもに課せられた課題でもございますので、その責務を果たすという範囲において当然行うべきことがあろうかと存じますけれども、例えば、その破綻を処理するという処理の仕方について具体的に関与をしてまいるというようなことは、この住専問題以外のノンバンクについては行わないようにしていこう、このような考え方で臨むものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/22
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023・笹川堯
○笹川委員 実は、住専というのはノンバンクの中の一つだ。これは銀行局も認めましたね。この前の答弁で認められた。
そうすると、大きいものに公的資金を入れないのに、どうして小さい方に入れるのですか。大きい方を解決すれば、したがって小さい方は自動的に解決できるし、安定できるという論法なら、皆さんも納得できると思うわけです。小さい方だけうまくやれば、大きいところは勝手にやれ、おれの方は公的関与もしないし、公的資金も導入しないよというのは、非常に、悪いけれども町行く人に聞いてください、マイクを持ってどうですかと。それは絶対に理解できないのですね。大は小を兼ねるけれども、小は大を兼ねませんから。
そこで、私は、皆さん方が、十二月の十九日に閣議決定でつくられたと言うのだけれども、大変あのときは慌てられて、私は、社会党とさきがけの主導でつくられたのかなという気がしてなりませんが、実は、ノンバンクの住専に公的資金を導入するのは、住専七社の母体が百六十八、俗に言う貸し手の金融機関が三百とか、数が多いということが一つの考え方なんですね。これはわかります。非常にややこしいから。しかし、ほかのノンバンクでも、これに劣らないぐらい、実は猛烈に取引先が多いのが幾らでもあるのですよ。時間がきょうはないので、例示を示せないのです。だから、私が審議の時間をもうちょっといただきたいと言うのは、例示を示したい、同じですよと。
だから、私は、これを解決したからいいとは思わない。絶対にノンバンクも何とかしなければいかぬ。ところが、ノンバンクは自動的に向こうがやるんだやるんだと言われちゃうと、私は非常に無責任なような気がしてなりません。
そこで、本来、住専というのは預金者がいないのだから救済しない、これはもう原則だ。なぜ原則を曲げたんだ。曲げたのは、今の①の理由で、数が多いこと。これはつけ足しであります。系統金融機関という農協関係のお金が余りにも多過ぎる、五・五兆円という膨大な金額があるから、これが返せなくなると当然預金者に迷惑がいく、だから、最終的には預金者を保護するという建前で、逆にさかのぼって、事後じゃなくして、事前の策として、預金者を保護するためにこれはやらざるを得ないのです。本意とはしないけれども、余りにも大き過ぎた、理屈の世界を超越しているんだという私の理解でよければいいと言ってください。間違っていたら間違っていると、私の理解が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/23
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024・西村吉正
○西村政府委員 笹川先生の表現でお示しいただいたわけでございますが、私どもの考え方とその基本において一致しているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/24
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025・笹川堯
○笹川委員 次に、②であります。我が国の不良債権問題は緊急かつ象徴的な課題であります。こんなときに象徴的なんて言われると、天皇陛下は我が国の象徴的存在というのなら理解できるけれども、全く恥ずかしい象徴的な問題であります。これを一つやることによって、これが突破口で、次のノンバンクがこれをやることによって割方うまく解決ができるのです、だから公的資金すなわち税金を今回は投入するのです、こう言われているわけでありますね。
そこで、我が国金融システム全体の安定性を確保する等の臨時しかも異例と。普通は臨時の措置と入れるんだね。異例の措置か、どっちかなんだ。ところが、今回に限って丁寧に二つ入っている。臨時でなおかつ異例なんだ。スーパー・スーパーという意味でしょう。
そうしますと、私が言っているように、ノンバンクも、確かに金融機関ではないけれども、これが破綻をすれば、当然貸している金融機関に累が及びます。どこの金融機関がどうなるのかはまだあけてみなければわからない、将来じゃないと。そのときに、必ず預金者に対して迷惑がかかる事態が絶対にないと断言できますか。銀行局長、どうですか、絶対ない、ないならこの文章は合っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/25
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026・西村吉正
○西村政府委員 そのような問題が預金受入金融機関の経営に大きな影響を与えることはあり得ると思っております。しかしながら、そのような処理に臨む場合には、原則に戻りまして、預金受入金融機関の経営危機の問題として処理する、そのように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/26
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027・笹川堯
○笹川委員 絶対ないとは言わない、あり得る。そうすると、そのときには原則に戻る、こう言うのですね。原則に戻るということは、またゼロから話し合いをするということなんだ。ということは、公的資金を導入することはあり得るのです。ないのじゃないんだ、あるんです。そのときは原則としてと逃げている。私は、あなたが答弁したのを全部持ってきたけれども、それにちゃんと書いてある。原則に戻るということは出さないということじゃないんですよ。そのときにまた話し合ったら、やはり金を出さないと救済できないと。そうでしょう。原則に戻っても出さないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/27
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028・西村吉正
○西村政府委員 ノンバンクの処理としてそのようなことはいたしませんと申し上げているわけでございまして、ノンバンクを処理した結果、預金受入金融機関の経営問題ということ、すなわち預金者の保護という問題、そのような意味での原則に戻りましてそこで処理をしたい、このように申し上げておるわけでございます。その場合には、預金保険の発動等、預金受入金融機関の破綻処理の原則に戻ってまいると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/28
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029・笹川堯
○笹川委員 これだけでやっているとぐるぐる回りになって山手線になってしまうから、これはもう次の機会にぜひ時間をいただいて、この問題だけはしっかり解決しておかないと、大蔵大臣、ノンバンク、この次必ずなりますよ、あれだけでかいのだから、必ず被害が出る。
これはきょうは通産大臣に通告しておりませんので聞きませんが、通産省も本来関係するんですよね、ノンバンクというのは。いや、いいんです、大臣、心配しなくて、聞きませんから。私は、いじめるためにここで質問しているわけじゃありません。
そういうことで、大蔵省の銀行局長、もし誠意があれば、こういう紙をもっと早く出さなくちゃ。そうすれば、あんなに何十時間審議したなんと言っているけれども、これでもめたんだから、この解釈で。もっと誠意を持ってきっちりやれば、総理、もめなかった、あんな長時間。第一、座り込みなんて。
実は私は、体が悪くて入院していたので、座り込みできなかった。あれを見ながら、ああ、私がもし健康だったらやはり座り込みをするのかな、選挙民はどう考えるのかなと思って、物すごく実は悩みました。だけれども、座ったときはみんな賛成した、よかったと。時間がたつとやらない方がよかったと言う。まさに日本人というのは非常に気が短い。食べてすぐきくものじゃなければ、うまいものでなければだめだ。だからインスタントラーメン的なものが否定できないわけであります。
さて、せっかくきょうは国土庁長官に来ていただいたので、このことは終わったんじゃないですよ、まだ続きますが、時間がなくなってしまうので国土庁の長官にお尋ねします。
実は、「東京〝空洞化〟急ピッチ」、四年後、これは黙っていても空洞化になれば地価は下がります。何も首都なんか移転しなくたってあいてしまう。もう一つ、東京の議員が聞くと喜ぶかもわからぬ。それから、「「土地神話」大きく変化」、地価も上昇している。
実は、私たちが昔、余りにも地価がこう上がり過ぎたので、何とかこれを抑えようということで総量規制を土田さんのときにやってもらった。ただ、ブレーキは確かにきいたんだけれども、きき過ぎたということが一つと、ブレーキを放さぬものだからロックしてしまって、そのままずっといってしまった。ここに一つの問題として地価税があるわけです。
あれは、もともと税として我々がつくったのではなくして、ペナルティー的につくった。今はもうペナルティーを科す時代じゃないんですね。ところが、大蔵省は一遍つくったものは放さぬ。国土庁としては、そういう意味であれをつくったんじゃないということは知っているわけです、地価税というものは。ペナルティー的につくった、地価を抑制するためのブレーキなんだ。今、どうしてその地価税を外さないのか、また、外してくれということを大蔵省に言ったかどうか、お答えを
いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/29
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030・鈴木和美
○鈴木国務大臣 地価全般のことよりも地価税の問題でございますので、本件につきましては、八年度予算作成に当たりまして、税制の全体として踏襲することが今回決まっておりまして、これからどうするのかということにつきましては、先般も、土地政策審議会に土地税の問題についても審議をお願いをするというようなことで、全般的な討論をいただこうという態度で今終始しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/30
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031・笹川堯
○笹川委員 何か地震で穴があいてから計画を練るのと一緒で、もう遅いよ、長官。夕刊の話だよ、それは。
というのは、なぜこのことをお尋ねするかというと、この住専の清算と国民に迷惑をかけないためにはどうするかということなんです。この土地の値段が実は物すごく左右するんですね。これがうまく左右すれば損害は少なくなるし、もっと下落すれば実は損害をもっと広げる。だから、国土庁として、地価はもっと下がった方が適当なのか今が適当なのかという御答弁をいただきたいのですが、もっと下がった方が安定して勤労者は助かると言うと、この被害はもっとふえますよ。お尋ねいたしますから、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/31
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032・鈴木和美
○鈴木国務大臣 先生御案内のように、地価の動向というのは、需要供給のバランスで決まるわけでございますし、そのときの経済状況や、同時に社会状況の要因が絡み合って決まっていくんだと思うのです。そういう意味では、ちょっと、端的にどうなるのかということについては判断しかねるというのが原則だと思います。
しかし、現状、こういうところにありますから、地価の問題が、これは、有効利用というものを積極的に進めてもう少し流動化が行われるようにしていくべきだと思うのです。そのためには、今まで三つのことしか言ってなかったのです。それは、公共用地の先行取得と、それから民間機構の活力とか、二十三区とよく相談しましょうということだったのですが、今回、それをさらに踏み込んで、直接的なものと間接的なものと分けて、六項目と二項目に分けまして、土地政策審議会に諮りまして、有効利用を活発にやっていこう、こういうことを積極的に関係省庁と今話をして進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/32
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033・笹川堯
○笹川委員 私の質問は、いろいろ施策をやられるのはそれは結構なんです、予測として地価は上がるか、横ばいか、下がるか、この三つの質問しかありませんので、どれか丸をつけてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/33
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034・鈴木和美
○鈴木国務大臣 非常に難しい質問でございますが、私流に言うと、今がちょうど所有から利用に踏み切る時期であるということが、今先生の御質問にお答えする私の言葉でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/34
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035・笹川堯
○笹川委員 委員長が首をかしげているから、多分わからないんじゃないかと思う。
わかった。じゃ、大蔵大臣に。どうですか、今の質問は。上がるか、据え置きか、下がるか。これは予測しませんと、住専の解決の、十年、十五年でプロジェクトをやると言うけれども、政府が約束したことが実現できないでしょう。どんどん穴が膨らむのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/35
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036・久保亘
○久保国務大臣 統計上は今も、都市、大都市部においては下落の傾向であると思っておりますが、地方においては必ずしもそういう傾向ではない、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/36
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037・笹川堯
○笹川委員 それは、今大蔵大臣が言ったように、地方の場合には、私が前に質問したときも、そう上がっていないから下がっていないのですよ。上がったものは下がるのだから、東京、大阪、名古屋みたいに急激に四倍になったようなところはもちろん下がるわけですね。だから、ただ四倍が四分の一になったからでは、もとかというと、もとよりももっと下がるのじゃないのか。
特に大蔵大臣は社会党出身ですから、そういう意味ではもっと下がる方を党としては希望されるのじゃないのですか。いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/37
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038・久保亘
○久保国務大臣 私は、土地基本法の理念に従って、庶民が自分の居住のための土地が得やすい状況といいますか水準にあることは望ましいことだと思っております。
しかし、いろいろ土地の価格というのは経済全体と絡んでおりますので、その価格がどのようなレベルにあるのが最も望ましいのかというのは、一概にそう判断できないことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/38
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039・笹川堯
○笹川委員 確かに、勤労者に住宅が容易に手に入るようにするのが我々政治家の役目であります。
しかしまた、もう一つ、余り安くなると借金がどんどん膨れちゃってこれは返せない。運輸省の、清算事業団の二十七兆がもっとふえるわけですね。
そういうことで、総理が昔自己責任ということを大変言われたので、私はまさにそのとおりだと、自己責任なんだと。ところが、自己責任だとあれだけ総理が言ったのだけれども、現実に今回は自己責任というものが入っているかというと、法案には自己責任ということは入っているのだけれども、この解決については自己責任というのは実はないのですね。
株を投資した人は、損は間違いなく本人の負担です。ところが、今度の住専の中には株を買って損した会社がいっぱいありますから、その分まで全部税金で最終的に面倒を見るということになると、国が損失補てんを先に立ってやったということになっちゃう。たまたま定款違反なんだから、株式投資なんかないでしょう、恐らく。それなら、その分は取締役に、それこそ今度住専機構で地獄まで追いかけていくというのだから、それは大蔵省出身の役人であろうが年金であろうが押さえつけて、そこまでやりますよと言うのなら自己責任と損失補てんはしないという政府の答弁に合致するけれども、そうでなければ、言っているだけの話であってまさに公言不実行になっちゃう。損失補てんです、株は、前にも言ったとおり。
全然このことについて答弁はない、どうするとは。総理、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/39
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040・橋本龍太郎
○橋本内閣総理大臣 これを今の問題に限定してお答えをするのは大変難しいと思うのですが、金融機関が抱えている不良資産、不良債権という問題でとらえさせていただきたいと思います。
これは、間違いなしに、私は、本格的な金融自由化の時代にふさわしい自己責任原則、市場規律に立脚した新たな透明性の高い金融システムをつくっていかなければならない、その過程で解決をしなければならない問題だと思いますし、金融三法案におきましては、今議員も御指摘がありましたように、こうしたシステムに向けての努力を書き込んでまいりました。
今、緊急避難という言葉を使うとしかられるかもしれませんが、先日来、きのう平田さんと議論しましたときにも、ちょうどそこが問題点ですねというその意識は合致したわけでありますけれども、住専という問題を氷山の一角ととらえられる立場と、金融における不良資産処理の突破口ととらえる私どもと、その部分の差が昨日の議論でもどうしても埋まらない部分としてお互いの間に残ったわけでありますけれども、今議員の御質問も同様な問題点を提起した、そのような感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/40
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041・笹川堯
○笹川委員 それでは、総理、お答えいただかなくて結構ですが、今総理が言ったようなことは、この中に気持ちとしては入っているけれども文字としてはちょっと入っていないような気がしますが、政治家は、言ったことはやはり守らせるというのが行政府の長だと私は思うので、例えば、このスキームの中ではできなかったけれども、別な方法で、こういうところに対する責任追及と資産の回収はこういう方法でやりますと言えば、これはまだ説得力があると思うのですね。ところが、大事なことはこの中に書いてあるけれども、細かいことは全部大蔵省が省令、政令で決める。悪いけれども、皆さん方自民党だってわからないでしょう、そんなに細かくは。
そうすると、規制緩和というのは、実はその監督を緩めるというのですね。どんどんこれは厳しくなるのですよ。いろいろなものをつくって、焼け太りという言葉は失礼かもわからぬけれども、仕事がふえるのですね。いい意味でいうと仕事がふえる。だから、規制緩和と仕事がふえるということは実に全然違う路線を行くわけであります。
私は、実は規制緩和というものは、全く日本の場合には、残念だけれどもアメリカのようにできない、スローテンポでやるべきだ、こう思っています。それは、アメリカみたいに人の首をちょんと切ってあしたから来なくていいという国なら、農林大臣、リストラなんか幾らでもできますね。農協だって、あなた、何千入減らすなどと言っているけれども、ほとんどやっていませんよね。
時間がなくて質問できないんだ。委員長、私の質問がくだらなければもう打ち切られてもやむを得ないけれども、そうじゃないという、やじの一つも飛ばないのだから、ぜひひとつもう少し私に時間を与えていただいて、もし何だったら、自民党の人は疲れるなら出なくていいです、定数不足などと言わないから。せめて関係省庁と大臣と議論をさせていただいて、我々が選挙区へ帰って選挙民にこうだったと言えるようにぜひお願いをしたい。
ですから私は、質問を終わりますという言葉は使いません。引き続いてぜひやらせていただきたい。せっかく寝ずに資料を持ってきたのだけれども、一時間では全然できない。
それから、農林大臣にお尋ねしますが、きょうは具体的に農協の数字を示したいと思うのです。農協の不良資産ですね。これは、ノンバンクに対しては七兆以上貸しているのに五百八十億円しかないというのです。どう考えても低過ぎる。そんなに私は貸し手が優秀だとは思わない。もうはつきり言って優秀だとは思わない。もっとあると思うのです。
ところが、この全体像をお示しになっていないからよくわからないのですが、例えば、貸し出しはするけれども、住専みたいに準金融機関だと思ってだまされた話ではなくして、銀行保証を全部とったということになれば、私は損害金はうんと低いというのはよくわかる。しかし、どのくらいの金額が銀行保証があって、どのくらいが担保なんだ、あるいはどのくらいが無担保だという説明を実は全然いただいていないものだから非常に議論がしにくかった。
私は、今回の住専の問題はおろかノンバンクの問題は、もうこの際やはり基本的な整理の方法をこしらえておかないと、必ずまた外国からたたかれて金利が上がることは間違いない、そう思いますが、局長でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/41
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042・堤英隆
○堤政府委員 恐縮でございますけれども、お手元に「農協系統金融機関の不良債権の実態」ということでお渡ししてございますので、若干御説明させていただきます。
この前からの当委員会での御議論を踏まえて整理したものでございますが、これを見ていただきますと、まず全体として、「農協系統金融機関の不良債権の実態」というのを一に書いてございます。
これが、六年度末、全体として不良債権額が二千六百三十五億円でございます。その内訳は、右側に破綻先債権等がここに載せてございます。
それから、七年度末、これは注の4をごらんいただきたいと思うのでございますけれども、七年度末の数値につきましては、決算がまだ終了いたしておりませんので、聞き取り概数ということで御承知いただきたいと思います。これによりますと、五千二十一億円ということでございます。右側に破綻先債権等の区分がございます。
さらに、これまた恐縮でございますが、注の3をちょっとごらんいただきたいと思うのでございますが、七年度の金利減免等債権の定義につきましては、全銀協の統一開示基準の変更によりまして、約定改定時におきまして利ざやが確保されていないスプレッド貸出金が新たに追加されたということで、定義が広がっておりますので、それにのっとってやっておりますが、そういう意味で二千七百四十二億円ということでございます、従来の定義によりますと。
それで、「うちノンバンク向け貸付」というのがその下段にございます。六年度末で七兆六千九百三十億円ございます。それで右側に、そのうち不良債権額が、先生今おっしゃいました五百七十九億円でございます。
七年度末、これも全く概数でございますけれども、一兆一千億ほど下がっておりまして六兆六千億になっております。うち不良債権額は三千七十六億円ということでふえておりますが、これも先ほどと同じように、不良債権の全銀協統一開示基準によりまして金利減免等債権の定義が広がりましたので、その関係でふえているという理解をいたしております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/42
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043・笹川堯
○笹川委員 それでは、私の持ち時間がありませんので、もう一度農林省に、私の今言った銀行保証があるとかないとか、そういう細かいことの資料をぜひいただきたい。
それから、大蔵大臣に最後に申し上げておきますが、私は、六千八百億円、五十億は別にいたしましても、それと第二次ロスが全く値段がわからない。十年先か十五年先か、終わるまでじゃないと値段がわからない買い物というのを私も実はしたことがありません、金はたくさん持っていますが。値段のわからない買い物はしたことがない。値段は必ず聞きます。
ですから、二次ロスは幾らなんだ、幾らまで出すんだ。だから二分の一だとか三分の一と言わずに、二次ロスのうちこれこれは国が負担する、あとはあなた方が負担するんですよと言えば、向こうは負担するために一生懸命やるけれども、二分の一と言えば、なあに半分は持ってくれるんだということになってロスが結果的に非常に多くなる。
もう一つは、今二分の一を持ちますよというのは、普通の一般会社でいえば、白地手形を発行して相手に渡したんですよ。これは支払いますということは言って、判こだけ押してある。期日もなければ金額もないというものですよ。そういうことは一般の社会では全く通用しないということをぜひ御理解いただいて、お願いしたいと思います。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/43
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044・高鳥修
○高鳥委員長 これにて笹川堯君の質疑は終了いたしました。
次に、鮫島宗明君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/44
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045・鮫島宗明
○鮫島委員 冒頭に理事の方から申し上げましたように、このきょうの質疑は一般質疑としてさせていただきます。私もそのような認識のもとに一時間の質問をしたいと思います。
私の方からきょう御答弁をお願いしている大臣は、総理大臣と大蔵大臣、農水大臣のお三方ですけれども、きょうはほぼ全閣僚の方がお見えになっていただいている。確かにこの金融六法に関しては、日本の金融システムの安定化をどう図るかということですから、経済企画庁長官にとっても大いに御関心のある法案審議に違いないというふうに思います。
それから、日本の金融システムの安定化が、世界一の黒字国である日本の資金が海外にどう効果的に還流していくかということにつながるわけですから、外務大臣としても大いに御関心があるに違いない。
それから、今回提案されている法案の中には、憲法上疑義があると言われている時効停止に関する法案も出されているわけですから、法務大臣としても恐らく大いに御関心があるに違いないと思います。
また、住専の経営を圧迫する一環となったのは住宅公団の事業拡大だということもこれまでの審議でたびたび出されておりますので、建設大臣にとっても大変御関心のある分野ではないか。
また、きのうからノンバンクについて議論が沸騰しておりますけれども、リース会社及び貸金業を経営しているリース会社を指導監督する通産大臣にとっても大いに関心のある分野に違いありません。
ところが、きのうまではそういう関係大臣は一人もお見えになっていなかったんですけれども、本日になって突然御関心が高まったと。その御関心が高まった閣僚を代表して、田中経済企画庁長官、なぜ急にきょう御関心が高まったか、一言解説をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/45
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046・田中秀征
○田中国務大臣 そういう御指示を国会の方からいただいたということで参りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/46
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047・鮫島宗明
○鮫島委員 わかりました。自発的な関心の高まりではなくて、しかるべき筋からの指示に従って来ているというふうに了解させていただきます。ただ、せっかくおそろいですので、場合によったら、きょう御出席の方々に突然質問が飛ぶかもしれません。
先ほど笹川委員の方から、検査についての問題提起といいますか疑念が出されました。私がこういうことを言うのはちょっと問題かもしれませんけれども、体験的に申し上げて、やはり会計検査というのは実はいろいろな問題を含んでおります。特に地方の遠隔地の支場とか支所にとっては、会計検査院が入るというのは大変緊張を呼ぶものでして、まずその担当者たちは何を考えるかというと、忠臣蔵の浅野内匠頭のように、接待に遺漏なきようにしなければいかぬということで大変緊張いたしまして、まずそのためのお金を準備しなければいけない。つまり、会計検査を受けるためにまず会計法に違反するというのが一般的な姿勢になっているというのは大変ゆゆしいことではないかというふうに思います。
また、これは外務大臣の所掌だと思いますけれども、今、日本のODAは世界一だと言われておりますけれども、ODAについて、つまり海外で使われている日本の予算についての検査はどうなっているのか、外務大臣の方からお答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/47
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048・池田行彦
○池田国務大臣 我が国のODA、御指摘のとおり、現在世界の中でも一番大きな規模になっております。
そして、これを実行するに当たりましては、いろいろな手法がございまして、例えば国際機関に拠出して、その国際機関が具体的な事業を行うもの、あるいは日本にございますODAにかかわる機関、例えばOECF、経済協力基金のような基金に出資あるいは拠出がなされて、それが実際に事業を行うその主体に対してさらに融資という手段で事業が行われているもの、あるいはまた、国際協力事業団のように現実に政府関係法人であるものが直接事業を行うもの、そういったものに対する出資金あるいは交付金の支出等々いろいろな手法があるわけでございます。そしてまた、外務省を含めまして各省庁が、直接そういったODAに基づく仕事をするというものがございます。
そういった手法によって会計検査院の関与の仕方は違ってくると思いますけれども、政府機関であれば、当然これは会計検査の直接の対象になります。また、政府出資法人、国際協力事業団等々であれば、やはりこれも検査院が関与してくるものと承知しております。
それが、ただ他国の政府や国際機関等に拠出する、あるいは出資等がなされ、事業そのものはそういった我が国の機関でないものがその主体となって行う場合には、その拠出あるいは出資の時点における手順その他が、それから会計処理等が適正に行われているかどうかというところは会計検査の対象になりますが、事業主体の行動そのものについては、主権の問題その他もあり、関与というものは基本的にないのではないか、このように理解しておるところでございます。
〔委員長退席、尾身委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/48
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049・鮫島宗明
○鮫島委員 私の認識では、日本の予算でも、一部相手国政府に渡されるあるいは相手国機関に渡されるというようなものは会計検査の対象になっていないというふうに、むしろ外務省の自主的な検査にゆだねられているというふうに認識しておりますけれども、内部中の内部、つまり自分で自分の検査をするということは、これはやはり極めて不備な制度と申し上げざるを得ません。
ODAについてはただでさえ目が届かないという批判がありますので、こういう海外で使われている日本の税金の使途についても今後検査のあり方について検討する必要があるのではないかというふうに思います。
本論に戻りますけれども、昨年以来我が国にはさまざまな大事件が起こりました。阪神・淡路の大震災を初め地下鉄のサリン事件、そして、つぶれると思わなかった銀行が次々つぶれるというような、日本人が戦後体験しなかったようなことが次々起こってきた。そういう事件に揺さぶられてみると、非常に我が国の広い意味での危機管理体制ができていない。今この金融システムの安定の問題が大変問題になっているわけですけれども、預金者あるいは貯金者を保護する制度すらもできていなかった。どうも平穏に暮らしているうちに国家としての必要な要件を備えることをかなりなおざりにしてきたのではないかということに気づかされた二年間ではなかったかと思います。
阪神・淡路で亡くなった大勢の方々あるいは地下鉄サリン事件で犠牲になった方々、そういう方々の命に報いるためにも、私どもは、日本が本来備えていなければならなかった制度的な欠陥、これを一刻も早く克服すべく、今このような委員会も開かれているというふうに認識しています。
金融システムの安定化は、まさにそのような先進国として当然備えるべき制度を持っていなかったことがさまざまな問題の原因になっているわけでして、一刻も早く現在討議されている金融システムの安定化の措置が急がれるゆえんだろうというふうに思います。
昨日も大蔵大臣は、金融システムといいますか、金融機関の破綻処理についての一般的な法則なり原則というものがない中で住専処理を急がなければならなかったので昨年来出されたような住専処理のスキームを出したのだという言われ方をされましたけれども、私は今国会の予算委員会の冒頭の質疑の背景と今日とは違っているような気がします。
少なくとも今日は金融三法プラス一が提案されているわけですから、これは、金融機関の破綻処理の一般的なルールが初めて提案された。そしてそれとセットで住専処理法案も提案されているということでいえば、予算委員会での審議のときと私は論議の環境が変わっているというふうに思っておりますけれども、大蔵大臣はその辺の認識をどうお持ちなのか。
つまり、金融三法プラス一というのが金融システムの破綻処理についての一般ルールを決める一般法であって、そして住専関連二法は住専処理に特化した特別法であるという認識をお持ちなのかどうか、伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/49
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050・久保亘
○久保国務大臣 予算委員会でどのようにお答えしたか正確には記憶いたしておりませんけれども、今鮫島さんがおっしゃいましたような表現をしたといたしますならば、少し説明が十分でなかったかなと思っております。
私が申し上げておりますのは、今金融機関等の破綻処理について何にも法則がないとは申していないと思います。しかし、それは非常に不備であり、今日のような自由化、国際化が進んでまいります中では、新しい時代にふさわしいものに整備され、そしてその基本的な立場がしっかり固められなければならないということを申し上げたと思います。そして、そのために必要なことを金融関連法案としてこの国会で御審議をお願いをすることに考えているということで御説明を申し上げたと思っております。
それで、住専問題というのは、これはかなりな期間論議をされ、そして二次にわたる再建計画が検討され、そういう中でますます深刻な事態になり、日本の金融機関が抱える不良債権の全体を新たな法則のもとに処理してまいります上でも、この住専問題を先送りできず、これを入り口において処理しなければ新たな金融システムの確立、運用ということについても非常に大きな障害となろう、そういう意味で象徴的喫緊の課題ととらえて、これを臨時異例の措置として公的資金の投入を伴う公的関与を行って処理しなければならない、このように申し上げたと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/50
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051・鮫島宗明
○鮫島委員 いや、それは一月ぐらいの御答弁だったらわかるわけです。まず先行して住専問題を処理したい、そしてそれが片づいた後金融機関の破綻処理についての一般的な措置を充実していきたいということは、一月とか二月におっしゃっているのならわかるのです。
今住専問題についての、私どもの立場からいわせれば、政府の説明の不十分性あるいは処理スキームの不十分性によってそこが前へ進まないでとまっているうちに、次に措置しようとしていた金融三プラス一が追いついたわけです。したがいまして、今は一体的に考えるべき環境になっている。一時、住専処理を急ぐと言われていた、系統を初め預金者、貯金者に不安を与える、それは預金保険機構、貯金保険機構が充実していないので不安を与えるということでしたけれども、今や金融三プラス一が追いついて、そこの預金者、貯金者について不利益を与えないという措置も同時にとろうとしているわけですから、そういう意味では住専処理の意義というのも私は当然変わってきているというふうに思います。
なぜそういう中で住専だけを別扱いにするのかというのはきのうから大変問題になってきたわけですけれども、それと同時に、もう一つこの一連の経緯の中でわからないのは、系統を特別扱いすることがまだ十分説明し切れていないような気がいたします。母体行と非母体行の違いというのは繰り返しこの場でも言われてきました。住専の設立以来経営に深くかかわってきた母体行と非母体行とは違うんだということは国民的理解も大分進んできたと思いますけれども、では、非母体行の中で一般行と系統がどう違うのかということについては十分得心されていないのではないかという気がいたします。
一部の説明では、一般行といっても同時に母体行というのが多いんだ、だから系統とは違うという説明がありましたけれども、これはまことに不十分でして、そうではなくて、純粋に一般行としてかかわっている銀行もたくさんあるわけですし、損保もそうですから、それは説明にならない。そうすると、一般行と系統との違いというのは別のところにあるに違いない。
昨年の八月に全国信連協会の出した「住専問題について」という文書がありますけれども、その中でどこが違うのかということが非常にはっきり書いてありまして、系統としては、第二次再建計画が策定されるときに、当時、債権回収をしたいという意向を表明した、これが私は一般行と系統との一番の違いではないかと思います。
ところが、そういう意向を示したにもかかわらず、大蔵、農水当局が、今系統に総引き揚げをされたら大変なことになる、そう怖がらずにつき合ってくれ、第二次再建についても保証するからというような心証を与えて引きとめた経緯があるのではないか。これがあれば、系統が自分たちは一般行とは違うんだという論拠にはなると思います。
そのような引きとめた具体的な措置というのが実は覚書ではないかというふうに解釈せざるを得ないのですけれども、そのような経緯といいますか、一般行と系統との違いがその一点から見ると私ははっきりすると思いますけれども、農水大臣としては、そういう形での説明が余り明確になされなかったと思うのですけれども、私の解釈はどこか間違っておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/51
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052・堤英隆
○堤政府委員 私どもの方から、一般行とそれから系統との差ということにつきまして、このスキーム上の差ということにつきまして特別に申し上げる立場ではございませんけれども、系統につきましては、やはりこの住専設立の経緯なり性格その他から見て、経営に参画をしてこなかった、そういう事情、あるいは第二次再建計画のときのような経緯、状況とか、そういうことから見て、一般行あるいは母体行とはもちろんでございますけれども違うんだというふうな理解をいたしているわけでございます。
その際、先生おっしゃいましたように、この覚書に至ります経緯の中でさまざまな議論の整理が行われたわけでございますが、そういう中で、系統としてはやはり元本を引き揚げたいというような意向があったことは事実でございますし、いろいろな当事者間の話し合いの中で、最終的には、元本をそのまま引き揚げないということで、金利減免という形の協力をしていこうということになったわけでございます。そういう中で、今おっしゃいましたように、元本の保証というようなことについて系統がそういう心証を受けたということは事実であろうかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/52
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053・鮫島宗明
○鮫島委員 今の点が余り国民には理解されていない。何か系統がごねているというような印象を与えているわけですから、どういう経緯があったのか、一般的な経緯ではなくて、この全信連の文書にも、当時としては債権回収という方針を我々は出したというのが明文化されているわけですから、このことはやはり明らかにした上でスキームの説明をすべきだろうというふうに思います。
ところが、一般行について一・七兆円の根拠となった数字ですけれども、前に西村銀行局長は、二次損失まで含めた七・四兆円、これをベースに出資者比率で案分したところ一・七兆円という数字が出てまいりましたという説明をしたと思いますけれども、別のところでは数十回にわたり、二次損失が生じないようにあらゆる努力を行います、万一生じた場合にはというのをまくら言葉のように数十回繰り返しております。その言葉と、一般行の一・七兆円、これを二次損失まで含めた金額をベースにして決めたこととは矛盾するのではないかというふうに思いますけれども、簡潔にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/53
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054・西村吉正
○西村政府委員 このような金額を要請するに際してはいろいろな経緯があるわけでございますが、今御指摘の点につきましては、七つの住専がそれぞればらばらに、かつ民間の会社として債権回収に当たる、そのような場合には、私どもの検査の基準では第三分類と言われているようなものもロスになる可能性がある、そういうことでございます。そういうものをも含めた母数をもとにいたしまして、いわゆる修正母体方式で計算した金額が一兆七千億円でございますけれども、私どもといたしましては、今回のようなスキームによりまして、七社が一体となって、かつ法的なバックを得ながら債権回収に当たることによりまして、いわゆる二次ロスと言われているようなものは極力生じないように、そのような努力が行えるものと信じているわけでございます。
したがいまして、一般行に対しては、それぞれがばらばらに対応した場合には場合によって発生する損失をもとに計算した額を、しかしながらこのようなスキームによって対応するならばそのような発生を防ぐことが可能であろうという考え方のもとに御提案を申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/54
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055・鮫島宗明
○鮫島委員 この場は国民に向かって少しでもわかりやすく今のこの六法の内容を説明する場だと思いますので、私は割合わかりやすく質問しているつもりなんですけれども、御答弁で一々わかりにくくされるというのはやや心外な気がいたします。非常に数字としてはっきりしているわけでして、一般行くの一・七兆円を決めるに当たって大蔵省は二次損失まで含んだ七・五兆円をベースにして算出したというのは明らかなことですから、そのことだけ、そうですとお答えいただければ時間もかからなくて済む、国民の方から見てもわかりやすいということだと思います。
あと、先ほどの系統の経緯からいって、引き揚げようとしたのにまあ待ってくれと農水、大蔵両省からとめられた、その言葉を信じてつき合ったらとんでもないことになっちゃったというのが実態だと思いますけれども、この二次損失が生じた場合、これもやはりその経緯からいえば系統は負担する必要はないということになると思いますけれども、農水大臣はその点はいかがお考えなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/55
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056・大原一三
○大原国務大臣 正直申しまして、今二次損失の話まで我々は余り考えていないというのが実情でございます。
何回も今日まで説明いたしてきましたように、委員も確かに御質問があったと思うのでありますが、正直言いまして、系統の内部留保、つまり金融機関としての体質、その辺とか、あるいはまた今回の負担が農家一人当たりに非常に過大な負担になっておるというような実態からいいまして、我々は母体行責任をずっと言い続けてきたわけでございまして、そういった問題を踏まえながら、今後の負担というのは慎重に考えていかなければ、おっしゃるような系統の経営に大きな影響が出る可能性がありますので、そこらは慎重に考えていかなければならぬ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/56
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057・鮫島宗明
○鮫島委員 我が新進党の農業政策を考えるグループでは、やはり食管法が廃止されて新農政のもとで新しい力強い農業、農村を建設していく上では、消費者と生産者の信頼関係の強化が不可欠だということをベースにして私どもは検討を進めているのですけれども、今、消費者側といいますか都市住民側から見て一番わかりにくいのは系統の論理なわけです。用語も一々違う。こちらでは預金者と言うけれどもどうも系統の方では貯金者と言うらしいとか、いろいろ、信連といっても何だかわからないとか、大変用語も難しいところがあってわかりにくい。
ですから、わかりやすく、非農業セクターの人たちに理解していただくようなことが必要なんじゃないかという気持ちを込めて私は質問しているのですけれども、五・五兆円引き揚げようと思ったのに国からとめられた、しかしそうはいっても何か文書のようなものがないと理事会を説得できない、そこで、わかりましたというので覚書が出てきた、あれをみんな持ち帰って各県の信連の理事会は理事を説得して、まあ何とか合意を取りつけたというのが実態だろうと思いますけれども、そういう立場なら当然二次損失についてもふらつく必要はないわけでして、それはしようべき筋合いのものではないというのが基本的立場だろうと思います。
ところが、新聞紙上では、何か系統も二千億だか一千億だか新たな基金に出すとか出さないとか、かなり姿勢がふらついているようなことが出ますと、一体口先だけで言っているのか、本当に経緯に照らして強い信念で言っているのかがわからないということがありますので、そこは明快な説明をいただきたいというふうに思います。
それとの関係で、本当は五千三百億の贈与も実はわからないのです。これは何とも非農業側から見ると理由がつかない。私は唯一理由がつくとしたら、やはり系統もそれなりに反省をしたんだ、反省のあかしとしての贈与だということでしたらわかる。
ところが先日、農業の用語がわからないと言いますけれども、高野さんがここで参考人として来ていただきまして、我が方の平田委員その他から、反省はしていないのかといったびたびの問い合わせに対して、少なくとも正面からは反省という言葉は一度も出ませんでした。
私は、系統が反省すべきことは何かといえば、やはり自己責任感の欠如、過度の行政依存体質、この点については反省しなければいけないんだと思います。ところがこの前、系統の幹部は、今後の再建をどうするのか、あるいは今後このような過ちを繰り返さないためにどういうリストラを考えているのかと、もちろん構造的、制度的問題を含めてですけれども、それに対して相変わらず、いやそれは行政の御指導をいただきながら考えたいと。
これは全然反省していることにならないわけでして、この点については、過度の行政依存体質を排し、自己責任感を強化する、自己責任の体制を固めるという、その反省を込めて五千三百億を出すんだということでないと、積算根拠とかいろいろな話になったのも全く理解できないことではないかと思いますけれども、私の了解は、そういう意味ではどこかおかしいでしょうか。もし農水大臣の方から御見解があれば聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/57
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058・大原一三
○大原国務大臣 もう委員が十分御存じのように、この決定までには長いいきさつがあるわけでございます。
先ほど平成五年申し合わせ事項について御指摘がございましたが、その際、農林省と大蔵省が決めたというようにおっしゃいましたけれども、実は信連、特に信連でございますが、融資をしている数多くの信連から、個々にそれぞれの住専にお話しし、母体行にお話ししてもけじめがつかない、やはりこの際大蔵省と折衝して決着をつけてほしいという要望がありまして、農林省としては、そういった要望にこたえてあの申し合わせができたものと思っております。したがって、大蔵省と農林省の間で、我々だけの判断で結んだというものではございません。
したがって、委員御指摘のように、あの申し合わせが、いろいろ解釈はございましょうが、法律的にはいわゆる債務保証でなくても事実上の債務保証、このように認識されたことも事実であっただろうと思うのです。
そういう経緯から現在に至っておるわけでございまして、五千三百億の拠出というのは、実は最後のぎりぎりまで系統としては反対をしてきたわけでございます。しかしながら、大所高所の政治的決着から、いわゆる協力をしなさい、贈与をしなさい、こういうことで五兆五千億を今回のスキームで返済していただくわけでございますから、そういった意味でやはり我々としても責任があるわけでございますから、農協としても責任があるわけでございますから、委員の御指摘もまたそういった意味だろうと思っておりまして、理解のできる解釈だと思います。
なお、今後のリストラにつきましては、やはりいろいろたくさん問題がございます。もたれ合いの典型だと言われる御批判も、十分に我々としては受けなければならぬと思っております。
ただ、単協や信連の自己責任原則という問題が、この協同組織の中でどのような手法をやっていったら生かしてこられるかなと。例えば単協で単独に金融商品を開発するということも難しかろう。そのときそのときの、いわゆる土地の事情に応じてそういった開発等を自主的にできるかというと一なかなかこれもできない。しかも貯貸率が四割、二割という低いものでございますから、いずれにしても、七十兆円近い預金は農林中金に集約するということに相ならざるを得ない。そうなりましたときに、農協のこれからの金融改革の目玉は、農林中金の行動半径、行動範囲を広くするということによって、いわゆる協同金融のこれからの行き方を抜本的に考えていかなければならぬのではないのかな、こう思っております。
それから、委員が御指摘のございましたように、現在の農協の方々が、先ほど高野さんのお話がございましたけれども、やはり結果責任は明確にしなければ、我々が今後考えていこうというリストラが的確に行い得ないのではないのかな、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/58
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059・鮫島宗明
○鮫島委員 やはりこの自己責任というもの、自己判断力と言ってもいいのかもしれません。前の第二次再建計画のときも、系統はある程度の認識は持っていた。つまり、母体行みずからがリテール分野で積極的に進出して、子会社である住専との業務分野を調整しないまま、みずからの住宅ローン業務を拡大させ、住専の業務を侵食していった、こういう認識を持っているからこそ元本を引き揚げようとしたけれども、行政依存体質ゆえにそこはおつき合いした。
ただ、今後やはりそこのところは不連続的に体質改善をしていただかないと、私どもとしても、同じ過ちがまた繰り返されるのではないかという不安を払拭できないということでございます。
したがって、五千三百億も、何かおどかされてと言うと語弊があるかもしれませんけれども、強い要請を受けてやむを得ず出したというと、これは贈与ではないですよね。むしろ何か義務として出さされたということでして、そこは私は、むしろ主体的に反省の上に立って出すお金だということを組合、農協を含めて徹底させる必要があるのではないか。そういう反省というのが組織全体に浸透していかないと、今後のリストラがうまくいかないというふうに思います。
今、私は、一般行と系統の違いというのが非常に国民から見てわかりにくくなっているというふうに言いましたけれども、総理としては、今一定のやりとりがあったわけですけれども、国民に向かって、一般行と系統とはどうしてこんなに負担の比率が違うのか、この理由を総理として簡潔に御説明いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/59
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060・橋本龍太郎
○橋本内閣総理大臣 先ほど鮫島議員の御議論に対し、大原農水大臣からも、そうした論拠を首肯し得るものという申し上げ方をいたしました。母体行、一般行に対し最大限の負担の要請がなされるとともに、系統金融機関につきましても負担できる最大限の金額を必死に模索したもの、強いて私からお答えをすれば、そういう申し上げ方になろうかと思います。
しかし、そのいわば前段階の部分を鮫島議員が一つの議論を組み立てられた。そして、それに対して大原農水大臣が御答弁を申し上げたその方向というものは、議員の御論議の方向というものをおおむね首肯したものである、私はそのように思います。
〔尾身委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/60
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061・鮫島宗明
○鮫島委員 次に、系統のリストラに関係してですけれども、系統金融の三段階というのが普通の一般の金融機関と構造も違うし、性格も違う。一番上に農林中金があって、真ん中に信連があって、その下に農協があります。農協は全国で二千六百農協があって、平均の貯金額が二百五十三億円。つまり、小さな預金を持つ二千六百の農協をベースにして、その上に四十七の信連があり、その上に一つの農林中金がある、こういうピラミッド構造になっているわけですけれども、この系統三段階の金融業務を所掌している役所はどこだ。つまり、大蔵省なのか農水省なのかというのがはたから見ているとどうもよくわからないのですけれども、ここは所掌はどうなっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/61
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062・堤英隆
○堤政府委員 農協は、御案内のように、信用事業のほかに経済事業でございますとかあるいは共済事業でございますとか、それから一番中心になります農家への指導事業とか、そういった総合事業体ということで活動をしているわけでございます。要するに、農家の生産と生活を支える組織ということでございます。それをベースにしまして、今先生おっしゃいましたように三段階というふうになっているわけでございます。
それにつきましては、私どもとしては、農林水産省が農協の指導監督に当たるということでございますが、ただ、その中に信用事業がございます。信用事業がございますので、全体の金融行政の一環の中に農協の信用事業も組み込まれているわけでございますので、その限りにおきましては大蔵省と農水省が共管ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/62
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063・鮫島宗明
○鮫島委員 私は信用事業に限って聞いたわけでして、そうしますと、例えば信連の検査というのは、大蔵、農水、どちらかの省が定期的におやりになっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/63
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064・堤英隆
○堤政府委員 信用事業は、今も申し上げましたように共管というふうになっております。したがいまして、その検査につきましては、農林中金につきましてもそれから信連につきましても、制度上は、機能上は両方でできるわけでございますが、実態上は、信連につきましては基本的に農林水産省、それから農林中金につきましては大蔵省ということで検査をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/64
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065・鮫島宗明
○鮫島委員 大蔵省としては、この系統の行う信用事業について、今共管ということでしたけれども、御自分たちの責任はどの範囲だというふうにお考えなのか、大蔵側から御発言いただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/65
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066・西村吉正
○西村政府委員 農林系統の信用事業の監督につきましては、一義的には農林水産省、具体的に申し上げますと、農協については監督官庁である都道府県及び農林水産省において行っておられるところでございますが、先ほども御答弁がございましたように、大蔵省といたしましても、共管をする官庁として適切に連絡連携を保ちながらその監督に当たっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/66
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067・鮫島宗明
○鮫島委員 農林中金に対する検査はどちらが行っているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/67
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068・西村吉正
○西村政府委員 先ほど農水省からお答えになったとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/68
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069・鮫島宗明
○鮫島委員 大蔵が検査をしているということだと思います。
先ほど農水大臣が、これから農林中金の役割が非常に大事だ。あるいは国際金融機関としての体質強化ということもあるのでしょうけれども、業域の拡大ということも当然御検討されていると思いますけれども、これは農水大臣が考えることなのか、大蔵大臣が考えることなのか。大蔵大臣としてもそのような御認識をお持ちなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/69
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070・大原一三
○大原国務大臣 今、農林水産省が所管しております政府に置かれております農政審議会、一月から今後のJAのあり方等、特にその中で信用事業をどうリストラするかの検討をずっと精力的にお願いをしておるわけでございます。
また、私のもとにも、官房長が主宰して、農林省の中にもプロジェクトチームをつくって研究を開始をしておるところでございまして、今後の改革問題は、これは農林水産省ひとりでできる話ではございません。大蔵省と十分意見を交わして、今後の農林中金のあり方の課題は単独にはできませんので、大蔵省と十分相談をしていかなければならぬ課題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/70
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071・鮫島宗明
○鮫島委員 そういうことだと思います。今農政審議会の中で多分この系統の信用事業の問題も論議されているんだと思いますけれども、ぜひ金融の専門家を大蔵省とも御相談の上そういう場に入れておかないと、またある程度閉鎖系の議論のままで終わってしまうということを懸念するものですから、今のような指摘をさせていただいたわけです。
共管というのはなかなか微妙なことがありまして、状況がまずくなってくると弱い方に押しつけるというような場面もなきにしもあらずと思いますので、やはりどこまでが大蔵省の責任なのか、どこまでが農水省の責任なのかというのは常に明確にしていかないと、これから恐らく私は、今後両三年間で系統金融は大変な荒波に襲われるというふうに思います。きのう、おとといあたりから、ノンバンクに六・六兆の貸し込みがあって、幸か不幸か、今のところ明らかになっている不良債権の額は小さいようですけれども、一見健全と思われていた大型の債権がいっどこで不良化するかわからないというのが特に独立系ノンバンクの特徴ですから、そういう意味では大変な荒波に襲われる危険性もある。
そのときに両省が、共管ということで責任の押しつけ合いというようなことがあるとこれまた大変なことになりますので、ぜひそこのところは、むしろ共管のよさを生かすという態度で臨んでいただきたいというふうに思います。
次に、話は変わりますけれども、早期是正措置についてちょっとお伺いしたいと思います。
今、早期是正措置については、自己資本比率を一応基準とする、そして、一定の自己資本比率を割り込んだところについては各種の指導措置をとって、そしてさらに、あるレベルを割り込んだら入院していただくといいますか強い措置に入りますよということですけれども、やや矛盾する感じがいたします。
この間、この三年間ぐらい大手の都市銀行は不良資産のかなり積極的な償却に踏み切って、あの住友銀行が初めて赤字を出したときにビジネスの世界にある種のショックを与えましたけれども、この三年間でも、ある意味では資本金を削りながら積極的な償却を行っているのが今の実態だろうというふうに思います。
そうしますと、この三年間で恐らく自己資本比率は落ちているんじゃないかと思います。丸めの平均の数字で結構ですけれども、この三年間で大手二十一行の自己資本比率がどう変化したのか、数字がおわかりでしたら教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/71
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072・西村吉正
○西村政府委員 平成七年度の決算では、これは速報でございますが、九・一〇%でございます。一年前の六年度が八・九二%、その前の五年度が九・七一%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/72
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073・鮫島宗明
○鮫島委員 確かに自己資本比率は健全性をあらわす一つの指標だとは思いますけれども、もしある金融機関が非常に積極的に不良債権の処理を進めて、一時自己資本が減ってもしようがない、内容的な健全性を目指すために積極的な償却を進めるという場合には、一時的にその自己資本比率は下がる、しかし体質としてはよくなっているということもあるのではないかと思いまして、この自己資本比率を余りにも強い基準に置くと健全性を見誤るのではないかという気がいたします。
国際的な取引を行うところについては八%というのが基準になっていると思いますし、また国内業務だけを行う銀行については四%という基準になっていると思いますけれども、例えば兵庫銀行が破綻したときに、その自己資本比率は何%になっておりましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/73
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074・西村吉正
○西村政府委員 自己資本比率は四・六四%となっていたと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/74
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075・鮫島宗明
○鮫島委員 つまり、自己資本比率で見る限りは、あの腐り切ったと言うとおかしいですけれども、債務超過になっている兵庫銀行も表向きは自己資本比率を割り込んでいなかった。つまり、この自己資本比率という評価軸からいくと、本当はもう破綻している金融機関も見えてこない。健康診断でいえば血圧ということかもしれません。ですから、血圧は正常でも、ほかにひどい病態があっても、一つの評価軸だけでは決して健全性はつかめないというのが、破綻した銀行の自己資本比率がずっと出ている表を私は持っておりますけれども、割り込んでいるところはほとんどないわけですね。
ですから、自己資本比率というので今度その早期是正措置を行う基準にすると、逆に、先ほど言ったように、ある種の、積極的に償却を進めて体質を健全化しているところを見誤る、あるいは、自己資本比率が見かけ上よくても内容が腐っているところを見誤るというようなことがありまして、早期是正措置の指標がほとんどできていないといいますか、そこのところは政省令でいたします、あるいは自己資本比率も形式ではなくて実質自己資本比率といたしますという表現になっていますけれども、つまり、そこは大変行政裁量の余地が強く残されているわけでして、ここについて一番批判が強いということを認識していただきたいと思います。
今、大蔵大臣も繰り返しこの間言っておりますように、日本の金融システム全体をやはり自己責任、市場原理、透明性の高いもの、これに変えていくんだということからいって、今回出ているこの金融三法のうちの早期是正措置に関する部分、非常に銀行の健全性判断について行政裁量の余地が多い。これだとまた、今巷間言われているように、大蔵OBの行っているところについては甘い評価をして、そうではないところにきつい評価をするというような勘ぐりもされかねない。
行政裁量の余地はできるだけ小さくしておくのが透明性の高さを保証することだと思いますけれども、この点について、改めると言うとおかしいですけれども、もうちょっと透明性の高い評価の仕方についてどうお考えなのか。私の質問を繰り返さなくて結構ですから、答えだけお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/75
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076・西村吉正
○西村政府委員 今回の早期是正措置は、御指摘のように、透明性あるいは行政の迅速性というものを高めるためにぜひとも必要であるということで法案を提出しているところでございます。このような手法によりまして行政の裁量の余地というものは狭められる、そのことが一つの目的でございます。
しかしながら、他方におきまして、今委員からも御指摘がございましたが、行政の裁量の余地を狭めるということは、一つの指標でもちまして余りにも単純に物事を割り切ってしまうおそれはないか、このような点もあるわけでございますけれども、私どもは、そのような点をも十分注意しながらできるだけ透明性の高い基準にしてまいりたいと存じます。
そのための具体的な内容といたしましては、本日資料を御提出申し上げていると存じますけれども、一つの私どもの考え方をお示しいたしまして、今後、金融に関する専門家等から成る検討の場をも設けまして、そのような検討をさらに進めてまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/76
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077・鮫島宗明
○鮫島委員 ちょっと何の資料なのかよくわかりませんけれども。配られている資料はないと思いますけれども。
私は、透明性を高くすべきだと言ったのは、何も指標を一つにすべきだという意味ではなくて、多様な指標でやっても透明性は高くなるというふうに思います。
実は、こういうことを決めるのに、いろいろ過去の実例がたくさんあるわけですから、例えば兵庫銀行は自己資本比率は基準を上回っているのにどうして破綻したのか、どのような兆候が出ていたのか。あるいは、どのような評価軸でやれば病気の重さが診断できるのか。健康の判断と同じようにやはり何種類かの軸で評価しないと、そして、それに一定の係数を掛けつつ総合指標というのは出すことができるわけでしょうから。
そういう意味で、合理的で透明性の高い、それは何もメルクマールを少なくしろという意味ではございません。客観的にわかりやすくという意味ですので、ぜひこういう過去の例から、この前、兵庫銀行の破綻についても、私は、周辺では首をくくらざるを得なかった中小企業の経営者の方々とか、夜逃げ同然で今どこにいるのかわからない方とか、たくさんいると思います。こういう、やはりこの二年間のさまざまな痛みをしょった方々のことも考えて、これを教訓として、兵庫銀行の破綻にも学ぶということが大蔵行政にとっても大変重要なことではないかと思います。
ぜひ私は、この兵庫銀行のそれまでの検査の数値というのはたくさんお持ちでしょうから、こういうものを分析した上で、自己資本比率だけに頼ることがいかに誤った診断結果につながるかという教訓にしていただきたいと思いますけれども、これは大蔵大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/77
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078・久保亘
○久保国務大臣 自己資本比率を早期是正措置の基準として考えるというのは、この早期是正措置を一つのルールとして考えていくという場合には、考えられる基準というのは一番妥当なところであろうと思っておりますが、実際に早期是正措置が行われてまいります場合にどのようなことが重要になってくるか、こういったような問題については、今後、詳細な基準が決められてまいります場合に検討せられるべきことであろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/78
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079・鮫島宗明
○鮫島委員 先ほど文書と言ったのは、この「自己資本の充実の状況に応じ大蔵大臣等が講じる監督上の措置についての具体的な発動基準ととられる措置の具体的な内容」ということだと思いますけれども、まだまだ私はこれでは実際に金融機関の健全性を評価するには不十分だろうというふうに思います。これについてはさらに検討を加えて、先ほど私が申し上げましたように、数々の破綻した金融機関の例に十分学んで、少しでも現実性の高い、いいものをぜひつくっていただきたいというふうに思います。
あと、最後に、住専処理機構に住専七社の不良債権を移す、これもまだ懸念材料がありまして、日住金の株主総会が本当にクリアできるのか、これができない場合は、住専六社で住専処理機構という形に、六社分の債権を移して見切りで発足するのか、それとも、また三カ月後に臨時の株主総会を招集して、あくまでもその日住金の株主総会で承認されることが発足の前提になるのかどうか、そこだけお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/79
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080・西村吉正
○西村政府委員 今般の住専処理策につきましては、住専各社及びその母体行等の関係者が合意してでき上がっているものでございまして、株主総会に関しましても、処理スキームに沿った形での営業譲渡の議決等が行われますよう、住専各社及び母体行において、株主総会の開催、株主に対する対応等に適切に努力されるものと考えております。御指摘の日住金のケースにつきましても、そのような努力が成果を結ぶものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/80
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081・鮫島宗明
○鮫島委員 それは、処理スキームをつくった当事者としては希望するのはわかりますけれども、具体的な実務処理としてどうなさるのかということを私は聞いているわけでして、これがまた発足がおくれますと、系統側としても考えなければいけない問題が出たり、早く処理しないといろいろな問題が生じるからと言いながら、実務的にそういう場合にどう処理するのかがいまだ明らかになっていないというのは、私は大変問題じゃないかと思います。
六社で発足すると、全部いろいろ変わってくるんじゃないですかね。そうしますと、結局、日住金の株主総会の議決が前提となるということなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/81
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082・西村吉正
○西村政府委員 御指摘のような問題が生じないように関係者が努力をしておるところでございまして、私どもは、そのような努力が実を結ぶものと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/82
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083・鮫島宗明
○鮫島委員 そういう無責任な発言が大変数々の問題を呼んでいるわけで、じゃ、あしたから西村銀行局長は日住金の株主の家を一軒一軒回って、何とか議決、賛成していただきたいと言う覚悟があるならそういうことを言うのはわかりますけれども、一局長の立場でただ希望しておりますということだけでこの住専処理のスキームを認めろ、いつから発足するのかもわからない、こんなことで国民に自信を持ってこのスキームが提案できるのですか。
つまり、六社の場合と七社の場合では数値も違ってきます。それは私は全く納得できませんし、ほかにもたくさん質問したいことがありますけれども、残念ながら時間ですので、続きはまたの機会にさせていただきたいというふうに思います。
大変大きな疑問を残したまま質問を中断することを大変残念に思いますけれども、ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/83
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084・高鳥修
○高鳥委員長 これにて鮫島宗明君の質疑は終了いたしました。
午後一時十分より再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十三分休憩
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午後一時二十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/84
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085・高鳥修
○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。野田毅君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/85
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086・野田毅
○野田(毅)委員 私のきょうの質問に先立ちまして、きのうでしたか、北側委員が資料要求をいたしまして、それがけさほど提出をされましたので、その関連ということで、私が具体的質問に入ります前に、北側委員からまず資料に基づいての質問をさせてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/86
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087・高鳥修
○高鳥委員長 この際、北側一雄君から関連質疑の申し出があります。野田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。北側一雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/87
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088・北側一雄
○北側委員 昨日委員長の方から、系統金融機関のノンバンク向けの不良債権、これの現状がどうなっているのか、当委員会に提出をしなさいというふうに御指示を賜りました。そして、けさこの資料が出てきたわけでございます。
これまで農水大臣も五百七十九、五百八十億という数字をずっと答弁でおっしゃっておりました、六百億弱という数字を。きょうのこの資料によりますと、概数ではありますが、何と三千七十六億という数字になっております。約五倍から六倍ぐらいにふえておるわけですね。きのう委員長からそういう御指示があって、そしてけさもう出てきているわけですよ、この数字が。
まず、私はこれは本当に大きな問題だと思うのですけれども、この三千七十六億という数字は。また、この数字が本当にこれでいいのかどうかというのも問題があるのではないかなというふうにまだ思っておるのですけれども、農水大臣、この三千七十六億円という御報告をどう受けとめておられるのか。また、大臣、この御報告をいつ受けられたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/88
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089・大原一三
○大原国務大臣 数字の細かい内容はまた事務局からお答えいたしますが、北側委員から御要請があったのが唯一のきっかけでございまして、私は前々から六百億というのは少ないのではないか、もう少し精査できないかという話は進めておりました。それは実は各信連に電話で照会をして、これは農林中金も入りますが、速報値といったらいいのか、概数値ということで御理解をいただきたいと思います。
まだ決算の終わっていない団体もございますので、出次第に正確なものを出さなければならぬと思っておりますが、実はそれはそれぞれの機関からの報告でございまして、そのものについても今後我々としてはさらに農林省を中心に精査をしていかなければならぬ数字であろうと思うのです。
ところで、六百が三千七十六になっているということについては、計算基準を全銀協ベースに変えた結果ふえた、このように私は了解をしておりますが、なお事務局から御報告をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/89
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090・北側一雄
○北側委員 大臣、この三千七十六という数字はいつ事務当局からお聞きになられたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/90
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091・大原一三
○大原国務大臣 昨日の夕方過ぎだったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/91
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092・北側一雄
○北側委員 農水大臣は昨日の夕方過ぎにこの三千七十六という数字を事務当局からお聞きになられたという御答弁でございます。
それでは、ちょっとその資料を各委員の皆さんに配っていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/92
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093・高鳥修
○高鳥委員長 既に配付済みです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/93
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094・北側一雄
○北側委員 ちょっと資料を使わせていただきたいと思います。
これは大蔵省が既に出しております資料でございます。平成八年三月期の預金取扱金融機関の不良債権等の状況の速報でございます。
銀行局長、この中の協同組織金融機関の中の不良債権額、ありますね。銀行局長、よろしいですか。協同組織金融機関は不良債権額が六兆二千億余りある。そのうち、金利減免等債権が五千三百二十億というふうな数字になっております。平成七年の九月に大蔵省が出しております同じような報告があるのです。私、この三月期のものと去年の九月期のものを比べてみました。これは総額としては、従来三十八兆あったのが三十四兆余りに減っているのですね、不良債権が。なぜ減っているかといったら、損失処理をやっているからなんですけれども、大体減っている。
ところが、一つだけぽこっとふえたところがありまして、それはこの協同組織金融機関の金利減免等債権のところなんです。ここが、昨年の九月期では三千三百五十億なんですけれども、この間報告があったものは五千三百二十億になっているのですね。この五千三百二十億のうち、系統の金融機関の不良債権額、金利減免等債権というのはどの程度あるのですか。これは農水省でも結構ですよ。いつ発表したかも言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/94
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095・西村吉正
○西村政府委員 八年三月期、最新の速報ベースでは、この協同組織金融機関のうち信用金庫及び信用組合については内訳を明らかにしているところでございますが、九月期、前期については全体を一括して御報告を申し上げておるところでございまして、ただいまその内訳について計数は持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/95
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096・北側一雄
○北側委員 農水省、この五千三百二十億のうち、大蔵省が発表した五千三百二十億の協同組織金融機関の金利減免等債権、このうち系統金融機関、農中と信連は入っています。農中と信連の割合は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/96
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097・堤英隆
○堤政府委員 去年の分につきましては大蔵省の方で出されておりますので、私どもの方は、その内訳、今は私も知っておりません。
それで、ことしの三月につきましては、農林中金の分が不良債権額として三千二百五十二億円、それから信連の分が、すべて合わせまして千六百五十七億円と承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/97
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098・北側一雄
○北側委員 きょう提出された資料の上の方の系統金融機関の不良債権の実態、昨年の、六年度末のところは二千六百三十五億になっているのですよ。今のお話だと、農中と信連だけで既に五千億近くあるわけですよ、五千億近く。
私、何が言いたいのかというと、大臣、先週の金曜日もこの質問をさせていただきました。昨日またこの質問をして、それまでずっと農水大臣は、五百八十という数字、六百弱という数字をずっと答弁されておったのです。ところが実際は、この平成八年三月期の不良債権の状況、大蔵省が発表している速報の中に、今ここに書いてある三千億余りの数字は入っておるのですよ。既にわかっていた数字じゃないですか。それを委員長が昨日指示したから、きょうになって、けさ出してきた。三千七十六という数字はもともと大蔵省の発表した不良債権状況の中に組み込まれておる数字でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/98
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099・堤英隆
○堤政府委員 大蔵省の方でそれぞれこの表をまとめられるに当たりまして速報という形で恐らくつくられたんじゃないかというふうに思っております。
私どもは、前からこの御指摘がございましたので、大臣の指示を受けまして、改めて信連の方から、ノンバンクを中心とした全体の貸付額及び不良債権額、その内訳ということにつきまして、ここにも書いてございますように電話の聞き取りということで、概数でございますけれども、ここにお出しして審議に供しているところでございます。
なお、数字につきましては、今お持ちの注の3をごらんいただきたいと思うのでございますけれども、不良債権につきましては、私どもは全銀協の統一開示基準ということで不良債権の定義をいただいております。その定義が、七年度、ことしの、八年三月期からは、ここにございますようにスプレッド貸出金が新たに追加されるということでございますので、いわゆる定義が広がるという形の中で不良債権額が膨らんでいるわけであります。
そこで、私どもとしては、それだけをお出ししたのでは誤解を招くかと思いましたので、この七年度末の概数の下に六年度の定義に戻した場合ということの数字も改めてお出ししているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/99
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100・北側一雄
○北側委員 その基準の話はまた後で時間をとりますけれども、農水大臣、このきょう提出された資料の七年度末のところに不良債権全体で五千二十一という数字が出ています、五千二十一億。この五千二十一億というのは、先ほど局長が答弁した農中と信連全体の不良債権はもっと早くからわかっていて、それはちゃんとこの三月期の不良債権状況の報告の中に組み込まれておるわけなんですよ。五千二十一という数字はもっと早い段階からわかっているわけなんです。昨年二六三五ですから、もう倍になっているわけですね。
ノンバンクのこの三千七十六という数字も、五百七十九なんかじゃないということはずっと前から、ずっと前というか、わかっていたわけですよ。それをここの当委員会で何ぼ質問しても、出てくる数字は五百八十億、六百億弱という数字しか大臣はずっと答弁を、大臣自身もこれはちょっとおかしいんじゃないかとおっしゃって、きのうなんかは、もしかすると破綻先債権の数字じゃないかなということもおっしゃっているわけですよ。これは私は非常に委員会軽視、議会軽視だと言わざるを得ないと思います。この数字はもっと早くわかっているはずです。わかっていた。にもかかわらず出さないとはとんでもない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/100
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101・大原一三
○大原国務大臣 実はわかっていないのでありまして、五百八十というのはうそも隠しもない報告の数字でありまして・・(発言する者あり)間違っておりません。
そこで、全銀協の計算方式が八年から改められたということで、いわゆる金利ゼロ債権、それも入れろということで計算をしましたものがきょうお出しした数字でありまして、以前からずっとそういう計算はやっておりませんで、従来方式でいきますとこういうベースでございますという数字を御報告してあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/101
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102・北側一雄
○北側委員 大臣、まだ理解されていないのですよ。
この大蔵省の発表した平成八年三月期の不良債権状況、これは新しい基準で出しているのです。こちらの方も新しい基準で出していて、この基準は先月にもう発表しているわけですよ。その数字の中にきょう出てきているような数字というのは組み込まれている数字だというふうに私は申し上げているのです。
そうしたら、大臣がきのうの夕方聞いたなんというのはもうおかしな話でして、こちらの発表された時点ではちゃんと事務当局はつかんでおるわけですよ。それを大臣が知らなかったとしたら、私は大変な問題だと思いますよ。何度も系統金融機関のノンバンクに対する不良債権状況についてこの委員会で議論になっていて争点になっているにもかかわらず、それを、きちんとした数字を掌握をしていながら事務当局が出さないというのはとんでもない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/102
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103・大原一三
○大原国務大臣 大蔵省から新聞に、さっき言われた数字が発表になりました。私はそれを見まして、系統は個別には計上されていないけれども組合関係というのが出ているじゃないかとすぐに気がついて、事務局に、おい、これ、ちょっとこっちの数字と合わないのじゃないか、よく精査しろということで精査をさせたのでありますが、大蔵省の銀行局は、私が聞いたところによると、個別の数字は今発表できないという連絡がありましたというので、我々としては、北側委員の照会もあり独自に調査したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/103
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104・北側一雄
○北側委員 今の話もまた、今度は大蔵省がおかしくなりますよ。
大蔵省は、この五千三百二十という数字、それから不良債権全体の六兆二千八百という数字、この数字は積み上げの数字でしょう。積み上げて出した数字でしょう。ちゃんと系統の金融機関の不良債権の実態を調査をされて出した数字でしょう。それは農水省に言ってなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/104
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105・西村吉正
○西村政府委員 私どもが毎期発表しております不良債権額は、各金融機関からの申告に基づきましたものを集計したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/105
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106・北側一雄
○北側委員 大蔵大臣、今の銀行局長の答弁は、系統の金融機関から不良債権の実態をちゃんと掌握をして積み上げた数字がこの数字だということを言っているのですよ。それを農水省に言ってなかったのですか。答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/106
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107・西村吉正
○西村政府委員 私どもは金融機関の方から御報告を受けているわけでございますが、系統金融機関は、先ほども午前中に御議論がございましたように共管でございますので、農水省の方も、必要であれば同様の御報告を受けておられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/107
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108・北側一雄
○北側委員 今、農水省と大蔵省の言っていること、違いますよ。ちょっと矛盾していますよ。大蔵省は、農水省にちゃんと言っていると思います、そう言っているのです。農水大臣は今、大蔵省からは全然聞いていないと言っています。矛盾しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/108
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109・高鳥修
○高鳥委員長 農水省経済局長、しっかり答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/109
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110・堤英隆
○堤政府委員 北側先生のこの前からの御質疑を通じまして、ノンバンクにつきましての貸し出しの状況、貸付額がはっきりしていないということでございましたので、大臣からの強い御指示もございまして、私ども今回、この五百七十九億、三千七十六億円、従来ベースで言えば五百六十九億円という形の中で調べさせていただきまして、大臣に報告して、きょうお出しをしたということでございます。
上の方の全体につきましては、先ほど来御指摘のように、大蔵省の方で全体の金融機関の貸出額あるいは不良債権額ということにつきまして把握をされた数字ということでございまして、今回私どもは、ここ四、五日といいますか、一生懸命作業をいたしまして、ノンバンクを中心の御指摘でございましたので、その点を調べたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/110
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111・北側一雄
○北側委員 ノンバンクの不良債権に対する質問は、きのうきょう始まった質問じゃないですよ。農水大臣も、きちんと調べるように事務当局に指示していると何度もおっしゃっているんですよ。
こう聞きましょう。この五千三百二十億という金利減免等債権の数字、また全体の六兆二千億の数字、この数字のうち系統金融機関の内訳はどうなっているんだということを大蔵省から聞いておられたんですか、農水省は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/111
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112・堤英隆
○堤政府委員 ノンバンクにつきましての貸し出しの状況を聞きます際に、今回、この不良債権額につきまして私どもが調べました。農協系統の方から今回私どもが聞きました。(北側委員「大蔵省から聞いてましたか」と呼ぶ)聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/112
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113・北側一雄
○北側委員 今の大蔵省、農水省の両局長の答弁は違いますよ、矛盾してますよ。大蔵省の銀行局長の方は、ちゃんと農水省は知っているはずだと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/113
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114・西村吉正
○西村政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、私どもが毎期不良債権の状況を公表するに際しましては、各金融機関から申告を受けまして、その計数を集計をしておりますと申し上げました。系統金融機関につきましても同様でございます。それを集計したものがこの協同組織金融機関という計数に掲げられているわけでございます。
私が先ほど申し上げましたのは、農水省におかれましても、共管をしておるわけでございますから、必要があれば系統金融機関の方からお聞きになっていると思いますと申し上げたわけで、私どもが農水省に御報告申し上げたと言ったわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/114
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115・北側一雄
○北側委員 今のもまた驚く話でして、系統金融機関の不良債権の状況が一番最近の時点でどうなっているかという話を、大蔵省の方は掌握していたけれども、農水省の方は掌握していなかったなんて、こんなばかな話はないですよ。これまで農水大臣に予算委員会からずっとこの問題は論点になって議論していて、これでは委員会軽視、議会軽視も甚だしい。とんでもないですよ。それも、きょうになってやっとこれは出てきたんです、委員長の御采配があったから。やっと初めてわかったんです、そのことが。とんでもない話。
そして、議会軽視の問題もさることながら、委員会軽視の問題もさることながら、私はこの問題はもっと大きな問題があると思うんです。基準が変わった、基準が変わったと言いますけれども、この基準がなぜ変わったかといったら、より不良債権の実態にふさわしい数を出そうとして数字が変わっているんです。前の数字が不良債権の実態を示していないから、より実態一真実に近い数字を出そうということで新たな基準を加えたらこうなったということで、この数字がより事実に近い数字だということなんですよ。
ということは、今回、住専の処理スキームで五千三百億円という系統金融機関が贈与しようとしている数字、これまでの予算委員会での議論、その時点では五百七十九という数字を前提にして、ぎりぎりの数字です、積み上げの数字ですという答弁を何度もやってこられました。今もう前提条件が大きく変わってしまったわけですから、五百七十九が三千七十六というふうに変わったわけですから、不良債権の実態がより正確にわかったわけですから、これは五千三百億の農協系統の贈与の根拠が私は崩れてしまったと言わざるを得ない。新たにこの五千三百億の農協系統の根拠を出していただきたい。それを出さないと審議できないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/115
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116・堤英隆
○堤政府委員 予算委員会の席におきましてもたびたび申し上げましたように、五千三百億円の積算につきましては、資料もお出ししてございますように、平成七年の三月期のものをベースにいたしまして、一定の条件を置きまして、農協系統にどれだけの影響があるかということについて試算をしてここで御説明してございます。
その際明らかなように、ノンバンクの五百七十九億とかそういうことについては、その積算の中に全く入っておりません。そういう意味では、住専の問題は住専の問題として農協経営にどういう影響を与えるかという観点からのぎりぎりの判断をしたわけでございまして、ノンバンクにつきましての不良債権額そのものは五千三百億の積算とはまた別のものという理解をいたしております。
ちなみに、平成八年三月期の数字を今、概数として御説明しているわけでございまして、これは決算の途中の数字をいただいたわけでございますが、昨年の十二月の段階におきまして、住専問題の決着の際にはもちろんそういった数字は出ていないわけでございますし、そういう意味で、私どもとしては、先ほど来御説明しておりますような住専の負担がどれだけ農協に影響を与えるかということで、予算委員会から御説明しましたような考え方に沿いまして積算をして御説明したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/116
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117・北側一雄
○北側委員 このきょう提出された資料というのは、非常に大事な資料です。こんなのがきょう出てきているんですよ、きょう。農協系統全体の不良債権の実態が、六年度末二千六百億余り、七年度末五千億を超えているんですよ。倍になっているんですよ。皆さんのこれまでの住専処理スキーム、特に系統金融機関がどの程度贈与するか、負担するかという問題は、ぎりぎりの数字だということを今まで何度も言ってきたじゃないですか、積み上げの数字だと言ってきたじゃないですか。
ところが、きょう出てきたこの資料によれば、不良債権の実態は倍になっているということなんだから、この五千三百億という数字の根拠が崩れてしまったんですよ。農水大臣、この五千三百億の根拠を改めてきちんと出さないとおかしい。そうでないと今までの答弁と矛盾をする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/117
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118・大原一三
○大原国務大臣 北側委員おわかりになって同じ質問を繰り返していらっしゃるんじゃないのかな。といいますことは、よくお読みください、この数字を。六年度の農協系統の不良債権は二千六百三十五億、同じ計算方式でやった場合、七年度末は二千七百四十二億と申し上げております。よろしゅうございますか。
今度は、平成七年度、全銀協統一開示基準というのが変更になりまして、約定改定時において利ざやが確保されていないいわゆるスプレッド貸出金が新たに追加されまして、その分が倍増の要因であることはしっかり御認識をいただかないと今みたいな議論が起こるんではないのか、こう思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/118
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119・北側一雄
○北側委員 この基準が変わった、さっき申し上げたでしょう。基準が変わったのはより不良債権の真実、実態にそぐうように金利減免債権の定義を少し拡大したんです。そっちの方が実態に合っているんです。だから変えたんでしょう、全銀協は。だからそれに基づいてやっているわけでしょう。というふうに、より不良債権の実態がわかった、そうしたら、その数字はトータルで倍になっている。倍になっているわけですよ。だったら、これまで予算委員会からるる御答弁されてきた五千三百億がぎりぎりの数字だ、積み上げの数字だというのが全く崩れていますよというふうに言っているんです。基準が変わってより実態に合う正確な数字が出たわけなのですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/119
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120・大原一三
○大原国務大臣 北側委員、私の説明をどうもわかっていただけないそうでありますが、依然として従来方式による不良債権は二千七百億でありますから、我々が五千三百億を決めるとき、直接的ではありませんが、金融機関の内部留保、系統の内部留保等々を勘案するときに考えた数字はその二千七百億ベースでありました。新たな数字で出して、むしろ私が事務局に、そんな低い数字はおかしい、したがって、もっとすべての基準を入れながら精査をしなさいと。きょうお出ししました数字もいわゆる概数でありまして、さらに系統に対して今後精査をしなさい、こう事務的には言ってあるわけでございまして、御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/120
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121・北側一雄
○北側委員 委員長、委員長は御理解いただけると思うのですけれども、要するに、系統金融機関の不良債権の実態の数字が倍になってしまっているのですね、きょうの御報告では。ですから、この五千三百億というこれまで議論してきた数字の根拠が崩れてしまっている。改めて、この五千三百億でいいのか、その根拠をやはり当委員会に出していただきたい。これは委員長に求めます。
それともう一点。もう一点は、前段でお話ししておりました、大蔵当局、大蔵省はわかっておったわけです。系統金融機関の不良債権の実態がどうだということはわかっておった。なのに、この系統金融機関のノンバンクに対する不良債権問題がさんざん議論されているにもかかわらず、そうしたことを全然示さなかった。私は、これはもう議会軽視、委員会軽視も甚だしいと言わざるを得ないです。これは、大蔵省も農水省も私は反省すべきだと思います。これは委員長の方からぜひ厳しい指導をしてもらわないといけない。
正確な数字をもとにして金融全体の不良債権の処理の問題を議論をしようという委員会なわけですから、今ごろになってこんな数字が出てくるのはとんでもない。私は、委員長の方から、厳しく大蔵、農水両省に対しては言ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/121
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122・高鳥修
○高鳥委員長 後段の御意見につきましては、委員長も同様に思いますので、しっかり各省庁において連絡を密にして対応されるように望みます。
それから前段のお話につきましては、これは、今までの御質疑を伺っておりますと、計算の仕方が変わったということで数字が変わってきたということでありますので、したがって、必ずしも今の農協の拠出額と直接に影響するものではないと思いますので、ぜひ御質疑をお続けいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/122
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123・北側一雄
○北側委員 基準が変わったのですけれども、その基準がなぜ変わったかといったら、これまでの基準のあり方が不良債権の実態を知るにはよくない、正しくないと、より正しい、不良債権の実態にふさわしいものを出す基準にするために変わったわけなんです。今回のこの五千億という数字の方がより事実に近いのです。不良債権の実態がより深刻であることがわかったわけです。そうすると、この五千三百億の根拠は崩れているわけですから、きちんと資料を出してもらわないといけないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/123
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124・高鳥修
○高鳥委員長 私と北側さんと応答しておっても話にならないのですが、農水省は、六年度末に五千億に匹敵するものは幾らであったかということがもしわかったら、言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/124
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125・堤英隆
○堤政府委員 これは、全銀協の統一開示基準が平成七年度の決算から変わりましたので、それに応じて今回二種類の、従来の定義であればどうか、今回変わった定義であればどうかということでこの平成七年度末現在の数字をとったわけでございまして、その前の状況は、これは当然ながらわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/125
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126・北側一雄
○北側委員 それでは、私は今の答弁にはとても納得できません。この五千三百億の根拠について、新たな資料が出てきたわけですから、それに基づいて根拠となる資料を出していただきたい。
それと、農水大臣、ちょっと言った方がいいですよ。ちゃんと報告しなかったということなんですから。大蔵大臣もこれはちゃんと事務当局に言うべきですよ。また、それを知り得るにもかかわらず大臣が知り得なかったというのは、私は、これもまた問題と言わざるを得ないです。厳しく指導していただきたい。
じゃ、委員長に資料を求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/126
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127・高鳥修
○高鳥委員長 それでは、野田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/127
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128・野田毅
○野田(毅)委員 今北側委員が要求しております資料、委員長から、よろしく関係役所の方に督励をいただきたいと思います。
私の持ち時間が随分、今の資料の問題で制約を受けましたので、かいつまんで、ずっと予算委員会から引き続いてこの住専問題が大きなテーマとなってきたのですけれども、おさらいしてみますと、やはり二つの問題があったのではないかと思います。
一つは、債権回収についてのスタンスの問題であります。結論から言うと、大変厳しい言い方になるかもしれませんが、今回の政府案というのは、どうしてもロスの配分ということを決めるのに、それを急ぐ余りに、債権回収のシステムについての突っ込んだ検討がややもすればなおざりになってしまったのではないか、この視点が一つあると思っています。
それから二つ目は、ロスの配分を当事者間ではなかなか決め切れなかったので、結果として役所が間に入って、言葉は悪いが談合的手法でもって、そして結果として税金の投入ということによって決着をつけるという形をとらざるを得なかったという、大きく分ければ住専問題についてはその二つの問題があったと思っています。
そこで、最初の問題なんですけれども、住専処理機構という、機構という言葉を使うからいかにも公的組織のような印象を与えているのですが、この呼び名そのものに私はまやかしがあると思っています。
基本的にはこれは株式会社でありますから、社長さんなんですね。これが住専各社から債権債務を譲り受けるということになっているわけだけれども、社長さんでありますから、債権者という地位を受け継ぐ以外何物でもない。いかにも預金保険機構が助っ人としてそれをお手伝いをするというようなことにはなっているけれども、これは法律上も預金保険機構の仕事というのは何ら公的な権限はないのです。住専処理会社が行うその権限を、裁判上においても裁判外においても自己の名において行う権限を有するということしか規定していないわけですから、結果的には債権者としての取り立て以上のものは何もできないということなんです。
結果として住専はつぶすのですという宣伝はいいのだけれども、住専をつぶしてもつぶさなくても、それよりも大事なのは、しっかりと債権回収の実効が上がるようなシステムをどう考えるかというところに本当は力点を置くべきだった。
そこで、私は、今回与野党のいろいろなやりとりがあったのですが、しっかりした、本当に腰を入れて協議ができる、本当にまじめな、共通の出口を見出すということがあれば提起したいなという思いもあったのですが、なぜ株式会社という組織にしてしまって、公法人にして、せめて取り立てについて現行法の中で行える、倒産関連法規の中で管財人の行っておる、そういう民事上の公権力を、今回どうせ特別立法をするというのなら、与えることができないのか。
もっと言えば、アメリカのRTCのように刑事上の特別な公権力をも付与する。つまり、アメリカのRTCというのは、政府が盛んに宣伝していましたが、今回の住専処理機構ともあるいは整理回収銀行とも本質的に異なっている。それはなぜか。民事上、刑事上の公権力を特別に付与しているかいないかなんです。ここが質的に違うんです。だから、同じRTCといったって全く似て非なるものである。
刑事上の問題について、現行のこの特別検察官制度が日本の法制の中で直ちにつくり得ないということであるならば、次善の策として、せめて民事上の公権力だけでも付与できるように、なぜ公法人の組織にできないのか、まずこの点について、私は大蔵大臣にぜひ聞かせてもらいたい。何がネックになってできなかったのか。
聞くところによると、行革という中で、人間の定員がどうだとか職員の給料がどうだとか、何か全然あさっての議論の中からこれを公法人としての組織ができなかったという話も漏れ伝わっております。当初スタートしたときには公法人としての検討がなされておった、だから機構という名前をつくった。それがいつの間にか、政府部内でちゃかちゃかやっている間に、どういうわけか株式会社ということになってしまった。その結果、免責のスキームになってしまった。これを幾ら検察や国税庁がバックアップするといったって、これはやはり質的に違うんです。ここのところをぜひ大蔵大臣、なぜ株式会社になってしまったのかを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/128
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129・久保亘
○久保国務大臣 預金保険機構の指導下に債権回収機構としての住専処理機構を設置をいたします場合に、効率的で、そして今考え得る形態でどのような方式が最も合理的であるかという点について詳細な検討を加えた上、事務当局の方でそういう原案としたものを私もそれでよいのではないかという判断をいたしました。
その詳細な根拠などについては政府委員から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/129
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130・西村吉正
○西村政府委員 野田委員御指摘のように、私どもといたしましては、公法人としてはどうか、あるいは株式会社としてはどうか、いろいろな形の問題を検討をさせていただきました。結論におきましては、住専から譲り受けた債権等の効率かつ柔軟な回収を図り得る体制とするためには、住専処理機構を株式会社形態とし、預金保険機構を認可法人として公的な役割を担わせる、こういう組み合わせが最も適切である、このような判断に立ったわけでございます。したがいまして、私どもは、現在御提案申し上げている姿が住専問題の処理のためには最も適切な形態と考えているところでございます。
なお、管財人機能の付与という問題でございますけれども、確かに、管財人に与えられている機能であって住専処理機構が持たない、例えば否認権というような問題はあることを私ども承知をいたしておりますけれども、私どもは、この点につきましては、現時点における住専の資産の保全については住専において適切に行われるよう大蔵省としても要請しているところでございまして、さらに住専法案の成立後、住専の資産が速やかに譲渡され、住専処理機構において適切に保全されることとなると思います。
なお、私どもの考え方からいたしますと、問題の焦点は、住専そのものの資産の逸失という問題よりも、住専の借り手の資産隠しの問題の方がより大きな問題のように考えられるわけでございますが、これにつきましては、今回の住専法案におきまして、預金保険機構に罰則で担保された財産調査権を付与することによって対処することとしております。これは、破産ないし更生の管財人にはない特別の権限でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/130
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131・野田毅
○野田(毅)委員 だんだん時間がなくなって、一つ一つ実は本当は反論をしていきたいんですよ。政府側ですから、当然今のスキームが一番ベストだということを言わなければならぬのでしょうね、立場上。でなければ、修正するのが当たり前という結論になりますから。
私は、ここで余り突っ張って突っ張ってじゃなくて、本当にどうしたら一番うまく債権回収の実が上がるのかということをやはりまじめに考えるべきだと思いますよ。本当にその謙虚な姿勢がないと、何でもかんでも数が多いんだから与党に任しておけば大丈夫だといって役所が乗っかっていたら、それは大変なことになる。私はそのところをぜひ検討をしてもらいたいと思いますね。数の上でいろいろな結論が出るんでしょうけれども、押し切ればいいというものでは私はないと思いますよ。ここだけはまず指摘をしておきたい。
それからいま一つ、今までなぜ住専について公的資金を導入するかについて、まあいろいろ資料が出されておりますが、まあ揚げ足取りじゃないんだけれども、多少気になるのは、母体行が百六十八あるとか金融機関が約三百あるとか、いろいろなことになっていますけれども、実際にこれを考えてみたら、地銀生保ローンだけで母体行の数が九十近くあるんですね。それから総合住金、両方合わせると、その二つを分離処理したら母体行の数は十幾つかしか残らぬのですよ。そうでしょう。もううなずいているから、時間があるから。ですから、これは余り理屈になっていない。
しかも地銀生保ローンというのは、前からいろいろ議論が出ていますが、母体行が全額債権放棄したら、これは法的処理に行く前に、言うなら自力更生できなくはないんですよ。なぜこれを一括して、しゃにむに七社を一まとめにしなければならなかったのか、ここが一つの疑問。なかなか吹っ切れない疑問の一つなんです。これは大蔵大臣、しっかり聞いておいてください、本当に。なぜそんなことになっちゃったんだろうか。ですから、来し方を反省してみると、いろいろやはり問題があるんです。
もう答弁はいいです、時間がありますから。私も一方的なことで恐縮なんですが、ためにする議論はしたくない。
それからもう一つ、住専問題が非常に急ぐんだ、これは我々も急いでいます。当然だと思います。しかし、さっき農林の話も出ていましたが、住専だけが急ぐんじゃないんです。逆に言えば、本当にその住専の不良債権処理を具体的に取りかかったら、必ず関連した金融機関、ノンバンクの不良債権も顕在化するんです。順を追って顕在化するんじゃないんです。同時発生になるということをしっかり頭に置いておかなければならぬということなんですよ。そうでしょう。
この前、末野がどうのこうのあった。しかし、末野が借りている相手は住専からだけじゃないんですよ。住専以外のノンバンクからも借りていれば、通常の金融機関からも金を借りているわけですよ。実際にそこから取り立てをやろうということになれば、同時に発生することなんですよ。
ですから、住専のことがまず処理ができてその次にノンバンクですよと、そんな悠長な話じゃないんです。だから我々が、金融三法についてもやはり急がなければならぬよと、むしろ住専より急ぐべきだよと言ったのは、そこに意味があるんです。それを何か、いかにも住専だけ先にやっつければ、後は順次我々の何か手順にのっとって不良債権が顕在化しているような印象で物事に対処してきたから、実は今回のおかしな問題が起きてきたということはぜひ認識をしてもらいたい。
それから、住専の問題で急がなければならぬというのはもう一つあったと思います。やはり金融システムをどう早く安定させるかというと、これは少なくとも金融機関の抱えている不良債権の償却を早くさせないと非常に金融システム全体への影響があるんだよ、だから償却を急ぐというところに私は力点があったと思います。そのためにロス負担の配分を早く確定したいということに意味があったと思います。
そこで、これは資料の中にあるのですけれども、じゃ今、住専に向けて貸した金融機関、母体行、一般行両方含め、その中でどれだけ既に償却しているか、ことし三月末で。母体行、一般行合わせ、思い出すと合計幾らですかね、母体行が三兆五千、一般行が三兆八千ですか、合計七兆三千ぐらい、七兆二、三千。その中で債権放棄をしてもらおうと言っているのが、母体行が三兆五千で一般行が一兆七千、合計五兆二千だったと思います。つまり、政府案によると、その五兆二千をどこかの時点でできるだけ早く償却をしてもらいたいということだと思うのですね。そのためにこのスキームをつくったわけでしょう、農系の話は別として。
それで、ことしの三月、どこまで進んでいるかというと、実はこれは大蔵省からの数字ですが、四兆三千五百億既に償却しているのですよ。四兆三千だから、あと一兆円も残っていない。ですから、極端に言えば、これは住専法案が通らなくても、来年の三月決算ではおつりが出るぐらい住専については償却できちゃうのですよ、本当に。もう既にそこまで来ているのですよ。
ここまで来た中には、今まで梶山長官や何かが相当激しく銀行やらいろいろ厳しくおしかりをされて、反省を求めてきた。やはりこの超低金利という中でそれだけの体力が金融機関に発生をして、その結果、これはほとんど有税ですよ、まだ無税じゃありませんから、有税ですから、まだ損金では落ちていません。しかしいずれにしても、損金であろうがなかろうが、企業会計としてはこれを償却をしてきていることは事実なんです。ジャパン・プレミアムということを考えれば、この部分が早く償却されることが一番大事なんですね。これは金目の話です。
しかしもう一つ、不良債権処理について我々が政治家として考えるべきなのは、その金目の償却を早くするということだけじゃなくて、さっき申し上げたように、やはり踏み倒し得とか、あるいは住専の経営者で高額な退職金をもらって今は悠々としている方々が経営者であった時点における責任を、民事上の責任をきちっと追及できるかどうかということなんです。
この点はさっき西村局長からいろいろ御答弁がありましたが、少なくともやはり管財人の機能を、民事上のきちっとした対応を持たないと、損害賠償請求にしても質的に違うのですよ。不法行為というものをきちっと前提に、それから訴訟を起こして損害賠償請求をするという形をとるのか、単に疎明という形でそれができるのかにおいて、実効が全然違ってくる。
だから、この前から我が党の委員からも、今回の話はいかにも住専のかつての経営者のその経営責任を逃すためにやっているんじゃないかという質問さえあったぐらいなんですよ。ここのところを、私は、今からでも遅くない、我々の考え方を入れてぜひ修正をする、大臣、そういう柔軟な考えはありませんか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/131
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132・久保亘
○久保国務大臣 野田さんの御主張は一つの御見識としてお聞きいたしました。私どもも、これは法的な処理をやります場合にどういう結果、どういう影響になるかというようなことも十分に検討いたしました上、今日まとめました方策を皆様方に御検討をいただいているわけであります。今政府の側から修正をするというようなことに足るだけの対案をお示しいただいているとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/132
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133・野田毅
○野田(毅)委員 私は随分妥協して言ったつもりなんですよ。つまり、さっきからお話ししていますように、どうせつくるのなら株式会社じゃなくて公法人にして、そして管財人の機能を与えるようなことぐらい考えたらどうですかという意味で言っているのですよ。そこのところ、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/133
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134・西村吉正
○西村政府委員 野田委員の御意見はただいま伺ったところでございますけれども、まず公法人の件につきましては、先ほど申し上げましたように、私どもとしてそういう問題をも含めて検討いたしました結果、ただいま申し上げておりますような提案が最も効率的に進め得る形ではないかというのが私どもの考え方でございます。
なお、管財人の問題につきましても、先ほど御説明申し上げましたように、今の体制でそういう問題にも対処し得るようになっていると考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/134
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135・野田毅
○野田(毅)委員 これは本当は政治家としての見識を聞きたかったのですよ。それは役所が答弁すれば修正の余地を残した答弁ができるわけがない。
それから、本当なら、こういうような緊急異例の事態だからこそ、現在ある法体系だけじゃなくて、まさに臨時異例の税金を投入しょうというのなら、まさに臨時異例のそれだけの法的権限を与えるぐらいの政治決断があってしかるべきだ、憲法違反でない限り、立法論として。それを僕は申し上げておるのですよ。いいですか。それから、もう時間がだんだん制約を受けたのであれなんですが、実は、新聞を見ましても、やはり今のままでは、頭数でいえば国会の中は強引に通したってすぐできるんだけれども、国民の批判が怖い、こういうことで、何か追加負担なりということで、税金の投入額を今減らせれば文句ないんだろう、こういうような感覚で今いろいろ議論があるというふうに伝わっております。
その中で、何らか、どういう形で追加負担を考えておられるのかよくわかりませんが、私は、懸念しているのは、これは大蔵大臣もそうなんだけれども、特に梶山官房長官は、私は仏の梶山とは思っているんだけれども、世の中には鬼の梶山に見える人もあるらしくて、梶山長官がぐっと目を開いたら震え上がる業界だとかいろいろあって、かなり功を奏して追加負担に応ずるような話がなくはない。
ただ、私は、母体行それぞれ、本当に今までの議論の中で、問題があると思います。ただ、私の恐れるのは、母体行の中にもいろいろな立場があるな。さっき、住専も十把一からげじゃだめですよと。一つ一つ違うんだ。一般行の中でも、母体行以上に紹介融資をしてこの焦げつきに貢献をしておる、責任のある一般行もある。中には、銀行ではない、一般の事業会社で紹介をしているところもあるわけです。
ですから、これらは具体的な債権回収に当たって、どの債権についてはだれがどの程度の責任があるかということを実はぎちっと丹念にやって、その結果、税金に寄せるんじゃなくて、その責任に応じて負担を求めていくというのはこれは当たり前の世界なんです。それを何か、母体行はみんなだめよといって、わっとやるということが、結果としてジャパン・プレミアムを発生させ得る懸念があるということが海外からも漏れ伝わっております。ここが大事なんです。
まさにジャパン・プレミアムというものは、その銀行が自己責任において、悪いなら悪い、経営努力によってよくなったらよくなった、それに応じて、今アメリカでは預金保険料そのものが実質ゼロにまで持っていっているわけでしょう。今世界の金融市場はそこまで来ているのじゃないですか。それを、体力があるから負担させればいいんだ、あるいは負担させるためには、おまえらけしからぬということでレッテルを張って、共産党と一緒になって、そんなやり方をして、私は本当に日本の金融システムが健全なものができ上がるのか、むしろ私はこのことを真剣に憂えます。
我々政治家は、それは大蔵省が悪いんだ、銀行が悪いんだと言っていれば、有権者に向けては票はとりやすいでしょう。しかし、大蔵大臣はそうじゃないはずなんだ。まさに金融の最高責任者なんですよ。その点、どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/135
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136・久保亘
○久保国務大臣 今あなたがおっしゃったようなことは、私が母体行の責任や新たなる寄与について申し上げてまいりましたことと大体同じような考え方だと思って伺っておりました。
私も、銀行が体力があるから出せという言い方をしたことは一度もございません。それで、むしろ、そのことについては、銀行協会の幹部に対しても、体力があるから出せと言っているのではない、責任がある、その責任に対して今負担するだけの体力もあるのではないかということを、私は体力論としては申してきたつもりでございます。
また、海外における信頼、信用関係をどう見ていくかということは、今日この金融問題を処理いたしてまいりますときに最も重要な視点だと思っておりまして、G7等におきましても、それらの海外のいろいろな意見や評価等についても注意深く私も聞いているところであります。(発言する者あり)何言うか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/136
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137・野田毅
○野田(毅)委員 余りやじに答えないでください。
若干御了解を得たいのですが、最後になるかもしれませんので、私の大事なまとめをさせてもらいたいと思うのです。
今まで住専問題についていろいろ議論してきたのですが、結局、なぜこういうことになったか。それは、繰り返しになりますが、やはり住専というものが余りにも頭にこびりついて、そしてその中で七社を一括して処理すること、それから住専だけが急ぐんだということに実は自縄自縛になってしまった。そして、全体の不良債権処理という位置づけの中で、それだけが少し突出してしまったというところがあったのではないか。それから、ロス処理ということの負担の配分ということをまず早く決めなければならぬということ。それらが、結果としてついにいろいろな問題をもたらしたのじゃないか。
なぜ、そうなったか。それはやはり、去年の十二月中に住専処理の基本を決めますということを去年の秋に国際公約してしまった。このデッドラインがあったから、結局は十分な、自分たち自身でも得心のいくような解決策ではなくて、とりあえず税金をつぎ込んででも早く十二月中に処理しなければならぬという、その焦りが今回の結果をもたらしてしまったのじゃないか。したがって、そのことは、今になって思えば、もう少し謙虚に考えてみるならば、ああすればよかったな、こうすればよかったなという部分が必ずあるはずだ、この点は。その点だけはまず申し上げておきたいと思っているのです。
そこで、私たちの考え方について、若干いろいろな角度から御批判もいただいたりしたのですが、最後にまとめておきたいのです。
何よりもこの住専の処理を急ごうということは、それは同じです。その急ごうということは同じだけれども、基本的には一般原則ということを頭に置いた上で処理をしようという、この大原則を変えてはいけないな。特に、不良債権全体として処理するときに、最終的に公的資金を必要とするということは我々も認めている。だから、預金保険なり、そういう預金者に絶対迷惑をかけないというこの一点において公的資金を投入するということは我々も認めているのです。それだけこの大原則は崩したくないなということなんです。
この住専の問題はたびたび出ておりますから多くを言いませんが、要するに住専に金を貸した人、住専から金を借りた人、そういう直接利害関係人の中でそのロスは処理をされるべきであって、関係外の国民を巻き込んでもらいたくないというのが第一点であります。
そして第二に、さっきも言いましたが、住専からの借り手からの債権回収ということにまず総力を挙げてもらう、この点は。その場合に、さっき言いました民事上の公権力を背景とした方がいいのではないか、否認権なり保全命令なり、あるいは経営者の損害賠償責任なりということは、その方がはるかに追及できるじゃないかというのが基礎であります。
このために、本来ならばアメリカのRTCのような刑事上、民事上の公権力を行使できるような公法人をつくっていくというのがベストではあるが、次善の策として、刑事上についてはなかなか、憲法上の問題もあろうというような議論もあるものですから、この際民事上の部分だけでもいいのではないか、こういうことを我々は考えて提案をしてきたところであります。
そして、以上の結果、住専に対する貸し手である金融機関が経営破綻に陥るというような場合には、預金者保護という観点から、預金保険機構を活用して公的資金の投入ということはやむを得ない。そして、特に農系については、単協は住専に金を貸したわけじゃありません。単協は信連に対してはいわば預金者的立場にあることでありますから、少なくとも単協に対してはこの関係において一切迷惑をかけてはならない。
それよりも、先ほど来論議が出ておりますように、今後、信連、農中の経営という問題は、住専の不良債権問題のみならず、住専でも第二次ロスもあるのですからね。さらにそのほかのノンバンク、これも六兆六千のうち、とてもじゃないが数千億程度で済まないだろうとみんな見ていますよ。そうなったときに、本当に公的資金を入れないでやっていけるのですか。
あるいは、貯貸率からいっても、今金融債なんか出して、それでなくても運用難で困っているのに金をまだ調達をしていますが、やはりそこのところは、これからの農林中金なり信連というものをどういう経営形態、どういう仕事をさせるのか、あるいは都市銀行並みの運用の広さを与えることができるのか、仮に与えたとしても、それだけのノウハウはあるのかどうか。極端に言うならば、私どもは第二財投的な発想さえ検討しなければならぬ余地だってあるのではないか。そうでなければ、単協の経営から現段階において信用事業を切り離すということは、単協自身がまだもたない。そうすると、これからまだ貯貸率の問題は、言うなら資金過剰問題は構造的に生ずるのです。そうでしょう。
その中で、農林中金と信連の金融機関としての経営をどうするかという、ここの展望をきちっと本当は出してもらいたい。それまでは、私どもはあえて、日銀の金でつないでいいじゃないか、五千三百の負担もいいじゃないか。さっきの話だと、そうでしょう。五百七十とか八十とかいうものを前提にしてぎりぎりやったけれども、これからもっとそういったノンバンクの不良債権の負担がかかってくるというのなら、五千三百だっておかしくなってしまう可能性があるんだから。そういうことを考えたら、私はもう少しその辺を考えていいのじゃないか。これらのことを私どもの党としては頭に置きながら実は今日まで議論をしてきたということだけは申し上げておきたい。
だから、お互い与野党という立場で、その思惑だけでこの大事な問題をやりたくはないな、そんな思いで今日までやってきたのですが、残念ながら今日までそういう本当に冷静な、きちっとした論議をやってもらえなかった。それには、与党側がかつてと違って今は連立という枠組みにあって、なかなか三党連立の枠組みでは、そういうようなまじめな修正論議をきちっとやれるような体制にあるのかないのかよくわかりませんが、この点はやはり与党・政府サイドの方がそれだけの姿勢をまず示すということから物事はスタートするはずだ、我々はそう思っております。
まだまだ本当は質疑を続けたいのですが、残念ながら時間が若干超過をいたしました。
最後に、委員長が職権で開会をされたわけでありますが、これが総括質疑ということではなくて、私はまだまだ本当は残った問題を総括質疑の中でやらせてもらいたいな、きょうは我が党の位置づけにおいては一般質問である、こういうことでありますので、私の一般質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/137
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138・高鳥修
○高鳥委員長 これにて野田君、北側君の質疑は終了いたしました。
次に、細谷治通君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/138
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139・細谷治通
○細谷委員 住専に公的資金を投入するということについて、私どもも、必ずしも国民の皆さん方の十分な納得を得ているというふうには考えておりません。その背景を私なりに考えてみますと、国民の間に何となくやりきれない閉塞感みたいなものがあるのではないかという感じがいたします。
それは三つぐらいあるのではないかと思いますが、一つは、超低金利によって家計部門から、いわゆる消費者の懐から金融機関なり企業に所得移転が起こっている。これは数兆単位で起こっているのではないかというふうに言われております。そして事実、低金利で苦しんでいる人がたくさんいる、こういうことだと思います。
もう一つは、これは企業会計上は当然認められるのかもわかりませんけれども、不良債権の償却が無税の扱いになっているということが、これは今言いましたように企業会計上は認められるのかもわかりませんけれども、やはり国民から見ると何となくそんなことでいいのかな、そういう気持ちがある。
最後に、なぜ六千八百五十億の財政資金を投入するのかな、こういうことだと思うのです。そういうものがないまぜになって、何となく国民にだけバブルのしわ寄せ、ツケが回されているというような、そうしたやりきれない気持ちを私は持つておられるのではないかというふうに思うのです。
そこで、この状況というのはやはり一刻も早く取り払って、そして国民に明るい見通し、希望というものを持たせるのが私は政治の責任ではないかというふうに思っておりますけれども、総理からまずこの辺の御認識と、もし御所見がございましたらお伺いをさせていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/139
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140・橋本龍太郎
○橋本内閣総理大臣 住専処理策につきまして、政府としてはこれまで国民の御理解を得るべく全力を尽くしてまいりましたけれども、いまだ御批判があることもよく承知をいたしておりますし、今後とも引き続いて国民の皆様の御理解を深めていただくようにさらに全力を尽くす所存であります。
そして、その中で、今委員から挙げられましたその負担の問題あるいは低金利、無税償却、こうした問題の中から国民の中に閉塞感があるというお話がございました。私は、繰り返し申し上げてきたことでありますけれども、住専問題が不良債権問題における緊急かつ象徴的な課題だ、そして経済の動脈ともいうべき金融の安定を図るために、は、私たちはこの問題を早期に処理する必要がある、そう考えておりますし、この点については、私は大方の方々の認識は一致しているのではないかと思います。
我が国の経済の運営に責任を持つ政府の立場として、不良債権問題全体に取り組む突破口として住専を早急に解決をする。預金者保護あるいは我が国金融システム全体の安定性を確保しますとともに、経済の動脈と言われている金融に対する不安感を一掃して景気回復を確実なものとするために、現在とり得る最善のものとして、私たちはまさに国民経済全体の見地から、臨時異例の措置として財政支出を含む今般の措置を決断した次第であります。御理解を賜りたいものと心から願っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/140
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141・細谷治通
○細谷委員 そこで、この住専に対する財政資金の投入ということについて、そのことに関連してお尋ねを申し上げたいというふうに思います。
やはりこれは、この住専処理のスキームは変えないといたしましても、要するに六千八百五十億を、国民の負担をどれだけ可能な限り削減するか、そして国民の期待にこたえるかということが私は今求められているのではないかというふうに思います。事実、総理も、それから大蔵大臣も官房長官も、それから与党の皆さん方も首脳の方々も、それなりにいろいろ御努力をいただいているということでございまして、まずこれを突破口にして、一日も早くこれに結論を出して、国民の皆さん方の理解を得るようにする必要があるのではないかというふうに私は考えているところでございます。
いろいろ御努力をいただいているわけでございまして、きょうの新聞などを見てみますと、任意の拠出を民間の金融機関にお願いをして、新しい基金をつくって、さらには、何か日銀もこれに一千億円出資をする、そして参加をする、こういう新聞報道が出ておるわけでございます。
こういう状況のようでございますけれども、現在この時点において、総理並びに大蔵大臣はこの財政資金の削減の問題についてどういう決意を持っておられますか。大蔵大臣は特にその見通しについて、現在段階で言えることについて御説明をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/141
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142・久保亘
○久保国務大臣 前から私なりに一貫して御答弁を申し上げているつもりでございますが、この住専処理機構、つまり、住専の債権債務の処理の促進に関する法律案が御審議をいただいて成立する方向へ向かいます中で、私たちは、具体的に、金融制度調査会の答申にもございます公的資金の投入についてはこれを極力圧縮する努力が必要であるということについても、今後さらにこの審議の進行とあわせて努力をしていかなければならないと考えております。
その中で、政府側からも申してまいりましたが、この国会における御審議を通じても各党の皆様方から、特に住専とのかかわりに関する責任にかんがみて、母体行にもっと追加負担による新たな寄与を求めてもよいではないかという御意見がございました。これらのことについて私どもも銀行協会の側にも詳細にお話も申し上げ、自主的に、真剣に御論議をいただくよう要請をしているところでございまして、今後、このことに関しましては、さらに具体的な協議を始めなければならないと考えている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/142
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143・細谷治通
○細谷委員 私は、当委員会のきょうの審議というものは、ある意味ではこの問題の大詰めの段階を迎えているのではないかというふうに考えているわけでございまして、なお一層国民の御理解、御納得を得るために、今時点でもう少し踏み込んで説明してもらえないのか。
新聞には、具体的に新基金をつくる、そして日銀には一千億円の出資を要請するとまで出ておりますけれども、内容については定かではございませんが、どのぐらいまで検討が進んでいるのか。そして、ここにもございますが、何か大蔵大臣として新しい具体案を提示する御用意があるのか、それともあくまで民間金融機関の協議にゆだね、それを見守るということなのか、その辺についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/143
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144・久保亘
○久保国務大臣 現在、まだ私どもの側からこのような方法ではいかがなものかというようなことを具体的に提示をしていることはございません。しかし、それぞれのお立場でこのような方法があるのではないかというようなことを御検討になっているのではないかと思いまして、それらのことが折々に報道されているものと考えておりますが、いろいろな考え方があると思います。
協議に応ずるということになって、具体的に新たなる寄与の話し合いが始まりますならば、必要に応じて、私どもの方からこのような考え方はどうかということをお示しする場合もあると考えております。
〔委員長退席、大島委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/144
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145・細谷治通
○細谷委員 総理も大蔵大臣と当然同じスタンスでお臨みいただけると思いますけれども、国民は、どういう決着を見るのか、大変期待もし、見守っておるわけでございますから、一日も早く問題の解決のために御努力をいただきたいということをお願い申し上げる次第でございます。
次に、ちょっとつらい質問になろうかと思いますけれども、国民の皆さん方もまた、これはどうなるかということで大変御関心を持っておられますので、お尋ねを申し上げたいと思います。
借り手に対する民事、刑事の責任追及というのは、既に始まったということだと思います。それは一部かもわかりませんけれども、始まったということだと思います。私は、地元でいろいろ皆さん方とお話をしていますと、多少留飲を下げているという感じがございまして、もっとどしどしやってくれ、悪を眠らせてはならない、こういうことを強く訴えられております。ぜひ総理としても、この面の借り手責任の追及ということについて強力なリーダーシップを発揮していただいて、関係当局に督促をして、国民の期待にこたえてもらいたいと思います。
さて、残された責任の問題として、金融機関、それから住専等貸し手、経営者に対する責任追及はどうなるのかということがございます。参考人質疑でも私申し上げましたけれども、住専処理機構ができますれば、当然この住専処理機構によって法的責任の追及というのが厳しく行われていくということだと思いますけれども、まず第一点、住専その他金融機関の経営責任というものは、実質的にどういうふうに関わるべきものであるのかどうか、大蔵大臣に監督官庁としての御認識を伺いたいということが第一点でございます。
第二点目は、これももう最終局面に来ておるわけでございますから、もうそろそろ国民の皆さん方に対してもはっきりしなければいかぬ。行政の責任はどうなるのか。
そして最後に、政治の責任は一体どうつけるのか、どうけじめをつけていくのかということが今問われているのではないかと私は思いますけれども、これに対する御所見、考え方を伺いたいと思います。
〔大島委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/145
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146・久保亘
○久保国務大臣 住専の経営責任は重く問われなければならないと思っております。この経営責任を持っておられる方は、当然に損害賠償請求とか、あるいは経営に当たっての法的責任を問われるものは当然のこと。しかし、今日、このような深刻な事態を招いたことに対する経営責任というものは問われてしかるべきものと私は考えております。
行政の責任は、昨日も、本日も御質問がございました。私は、今行政が果たすべき責任の第一歩といいましょうか、一番重要なことは、金融システムや金融行政の新しい時代におけるあり方をしっかり確立をして、そして今日の、変化の大きいこの時代における金融の安定化と内外の信用を確保することが何よりも重要なことだと考えております。
もちろん、行政が、今日この不良債権問題にあらわれておりますような金融行政上の、その時々の対応について懸命に、当時としては考え得る最善のことを尽くしてきたといたしましても、結果責任は大きいと考えております。これらのものをどのように償うべきかというようなことについては、この金融の新しいあり方というものを確立していく中で、これらのことについても検討せられるべきものということで、昨日申し上げました。
政治の責任につきましては、今行政の立場から私どもが申し上げる立場にない、こう思っております。政治の責任は、国会において皆様方の間で十分に御検討いただくものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/146
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147・細谷治通
○細谷委員 二度と再びこういう事態が発生しないように、前向きに、将来に向かっての検討が必要だということは当然でございますけれども、私は、過去の責任、行政の責任、政治の責任、これは私たちを含めて、やはり問われているんじゃないかというふうに思います。それに対する答えをきちっと出すことが必要ではないかというふうに考えております。
次に、会計監査法人による監査の問題について取り上げたいと思っております。
金融機関経営のディスクロージャーの徹底を図る必要があるのはもう当然でございますけれども、ディスクロージャーを図っても、そのもとになります会計のデータが、内容が適正でなければ、投資家は適正な判断ができないということは当然でございます。この住専問題を機にいたしまして、会計監査人のあり方に対するいろいろの御批判、御議論があることは御承知だと思います。
外部会計監査は、もちろん経営の内情まで知ることのできない投資家にとって、企業をどう評価するかということで、大変大きなよりどころだというふうに考えております。当然、住専についても、巨額の不良債権があり、将来、相当額の損失が発生するであろうことを把握、承知していたはずであります。にもかかわらず、会計監査人の監査は、適正の意見をすべて付しております。
日住金について言えば、九三年の二月に第二次の再建計画がつくられた、その直後の監査報告を見ますと、すべて適正、適正。そして、特記事項というのがあるが、特記事項にも何ら特記されていない、こういうことでございます。当時、株価は三百五十円から四百円ぐらい。今は監理ポストですか、入っておりまして、四円。紙くず同然になっているわけですね。投資家は、これがすべてとは言いませんけれども、こうした会計監査を信じて、そして私は投資をしたと思うのですね。これでは全く機能していないと言わざるを得ないというふうに思います。
アメリカやイギリスでは、会計監査人がその決算内容を適正と判断した企業が一年以内に倒産した場合には、監査人は損害賠償の責任を問われる、こういう仕組みになっております。日本でいいますと、ちょうど平成七年六月二十九日に監査報告が出ておりますけれども、まだ一年たっておりません。日本でこのアメリカ、イギリスの法律が適用されるとするならば、監査人にも損害賠償責任が発生する、こういうことだというふうに思っているわけでございます。
このように、監査と真実、実際の決算と、どうして相違がこんなに生ずるのか。そして、なぜこうなった事態に対して外部監査人の責任は問われないのか。日本の監査人に対する法的責任は一体どうなっているのか。私は、ある意味では投資家を欺くと言ってはちょっと言い過ぎかもわかりませんけれども、ずさんな監査だと言わざるを得ないと思うのでありますけれども、どうしてこういう相違が生じるのか。そして、日本ではどうした法的責任が追及されるのか、まずその辺についてお尋ねを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/147
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148・長野厖士
○長野政府委員 お答えを申し上げます。
我が国の公認会計士制度におきましては、これは、もう先生御承知の上での御質問と承知いたしておりますけれども、会社が重大な虚偽のある財務書類を作成した場合に、公認会計士が相当の注意を怠り、重大な虚偽のないものとして証明した際には、虚偽証明として、民事上、刑事上等の法的責任が生ずる体系となっております。これは、公認会計士の職務として、会社がつくりました財務書類の監査証明を行うことが職務であるということから構築されておる体系でございます。
そこで、御質問の点は、二点論点が含まれておると私は承知いたしますが、一点は、こういった会社が作成した財務書類をチェックするという機能を超えて、公認会計士が独自の判断として当該被監査法人の存続可能性等について意見を述べるということを職務にすべきかどうかという問題でございまして、その点は、お触れになりましたように、アメリカ等でも、一年以内に企業の存続能力に重大な疑義がある場合にはその旨を監査報告書に記載することができるという法体系をとっておる国もございます。
ただ、この点は、非常に重大な問題をはらんでおる点がございまして、公認会計士独自の判断によってそのような判定が下され、存続可能性があったにもかかわらず、会社の存続がその監査報告の結果として危ぶまれることはないか等々、重大な論点が含まれておりますので、今後の検討課題であろうと存じます。
もう一点は、先ほど法的な責任は重大な虚偽のある財務書類、こう申し上げましたが、そういう虚偽という問題を超えて、不良資産といったものをどの時点でどのように引き当てを計上するかという、俗な表現をしますと、当不当といいますか、そういった領域に属する問題がございます。
これにつきましては、公認会計士協会におきましても、先生御指摘になりましたようなもろもろの公認会計士監査をめぐる最近の御批判を踏まえまして、公認会計士協会の中に委員会を設けまして、今後、銀行局から示されております銀行自身による不良資産の自己査定とそれを支える公認会計士監査の将来のあり方について今研究を進めておるところで、私どもは、その成果も期待しておりますし、その研究には協力してまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/148
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149・細谷治通
○細谷委員 なるほど、企業の存続にかかわるような大変重要な問題もはらんでいるわけでございまして、微妙な問題はあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、第二次の再建計画ができたその直後にも株価が四百円しておった、投資家はそれを信じてその株を買った、こういうことですね。実はもう倒産寸前のぼろぼろの会社になっていた、こういうことだと思うのですね。内部監査のあり方も、これは当然問われるでありましょうし、まして外部の会計監査の問題というのは、私は、投資家の保護の立場から大変重要な問題ではないかというふうに思っております。
そこで、こういうふうに、何といいますか、必ずしも投資家に適切な情報が提供できない、外部監査としてできないということについては、何か構造的な欠陥があるのではないかという指摘をする必要があるわけでございます。
外部監査人と金融機関との関係というものは、本当に癒着の温床を生むような体制にはなっていないのかどうかというようなこと、それから、公認会計士はもちろん大蔵省の所管の試験をパスしなければならぬということでありますし、多分監査法人については大蔵省の認可が必要になるのじゃないかと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、そうした大蔵省の強大な権限のもとに、なかなか大蔵省の意向を超えた意見を言うわけにはいかないとか、そうした問題があるのではないかというふうに言う人もいるわけでございます。
そこで、その一例として、大手監査法人への大蔵省OBの天下りが監査における一つの障害になるといいましょうか、大蔵省の意向を意識せざるを得ない構図を定着させているのではないかという、そういう指摘もあるわけでございまして、天下り問題に向けられております国民の厳しい批判の目を十分受けとめて、これらの問題に対処していかなければならぬと思いますけれども、監査法人への大蔵省OBの天下りの実態はどうなっているのか、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/149
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150・長野厖士
○長野政府委員 我が国に監査法人は百二十七ございますけれども、そういった監査法人への大蔵省出身者の就職状況を御報告いたしますと、公認会計士資格を取得してその職務に従事している者は除かせていただきますと、平成七年十二月末現在で、会長職にある者が四名、その他審理事務等に常勤する者が八名と承知しております。
なお、会長職と申しましたけれども、監査法人の場合には、株式会社と異なりまして、会長に代表権が与えられるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/150
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151・細谷治通
○細谷委員 有資格者を除いてということで四人、八人、十二名ということで、これは多いと見るのか、まあネグレジブルと見るのか、それはいろいろな見方があろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、天下りの批判を受けないように、その結果として監査法人の監査に対して公正さが疑われるようなことがないように、今後十分留意をしていく必要があるのではないかというふうに考えております。その点についてお願いを申し上げておきたいと思います。
農林大臣にお伺いをいたしたいと思います。
どうも、要するに農協を守っていく、そしてその農協のバックにいる預金者の預金を守っていく、そのために財政資金の投入が必要だということについては、私は国民のコンセンサスはあるのじゃないかというふうに考えております。ところが、五千三百億はぎりぎりの負担だと言うわけでありますけれども、このぎりぎりというのがなかなか国民の納得いく説明をいただいていないのではないかというふうに、私たちもまだすとんと落ちないところが実はあります。あえて積算根拠とまでは言いませんけれども、納得できる合理的な説明というものがやはり求められているのじゃないかというふうに思うわけであります。
一つは、これは公式に出たのかどうかわかりませんけれども、九三年の第二次再建計画以降、積算根拠の一つとして、貸出金利の引き下げで八千五百五十億の支援を約束をした、既に三千二百五十億円の支払い済みなので、残り五千三百だという、貸出金利の方からアプローチをした説明をなさったと思うのです。これは、当否は別にして、私は立派な積算根拠じゃないかというふうに思います。ただ、これで十分であるかどうかという、説明になっているかどうかは別ですよ。ただし、積算根拠という意味では、私は一つの論拠ではないかというふうに思います。
もう一つは、これは御説明になっておりますけれども、信連が二十とか三十とか赤字のところが出てくるということで、そうすると、言ってみれば系統の余力がなくなる、体力が弱ってしまう、こういう説明だったと思いますけれども、これはどうも説得的ではないような気がするわけでございます。赤字になっても内部留保がしっかりしていれば大丈夫だし、それから、何も単年度でやらなくても、複数年度でこれを処理するということならば可能ではないか、こういう見方だってあろうと思います。事実、一般企業の中には、赤字のまま税金も払わずに五年も十年もしっかり経営を続けている会社だって、企業だってあるわけですから、これもどうも説得的ではないのではないかというふうに思うわけでございます。
そこで、系統全体での内部留保、これは一兆三千億というふうにお伺いをいたしましたけれども、それでいいのかどうかということと、それから農中、信連別、そして、できればこの内容について、例えば貸倒引当金が幾らある、法定積立金、特別積立金が幾らあるということについて、明細がわかりましたら御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/151
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152・堤英隆
○堤政府委員 御案内のように、農協につきましては、相互扶助ということの性格を持っているものですから、余剰金が生じました場合には組合員に還元するということでございまして、そういう意味で、御指摘のように内部留保が非常に薄い、他の業態に比べて非常に薄いということでございます。
大臣の方からこの委員会におきましても御説明申し上げておりますけれども、他の業態に比べまして系統の内部留保が一兆三千億程度しかないということを申し上げているわけでございますが、今御指摘の点で申し上げますと、平成七年三月末で、農林中金が五千六百億円、それから四十七の信連で七千二百億円、計一兆三千億ということで大臣から御説明しているところでございます。
それから、項目別ということの御指摘がございましたけれども、これは農林中金と四十七の信連合わせまして、有価証券の含み益で三千九百億円、一般貸倒引当金で二千億円、それから任意積立金につきまして六千九百億円ということで、計一兆三千億ということでございます。単協につきましては、今のところ一農協当たり約六億円程度ということで、かなり低うございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/152
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153・細谷治通
○細谷委員 単純に伺いますと、内部留保が一兆三千億ある、今回の住専処理に伴う贈与は五千三百億だというと、単純に考えますと、まだまだ余力はあるじゃないか。それはもちろん、信連別に見てみればいろいろあると思いますけれども、単純に見ればそういうふうに見られるわけです。
私は、どうもこの問題を考えるにはやはりノンバンクの問題というもの、今後出てくるであろうノンバンク処理の問題というのがどうしてもひっかかるのです。なるほど住専だけだったらもう少し出す余力は系統にもあるのじゃないかというふうに思いますけれども、この後に来るノンバンクの不良債権が一体どのくらいになるのだと先ほどから議論になっておりますけれども、私自身も、正直言って五百八十と聞いたときには、主要二十一銀行が全体でノンバンクの不良債権率が二三%ということでございましたから、多分系統が一%を切るような、そんな数字ではないだろうというふうに思っている。実は私は、五百八十億なんていうのじゃなくて、もっと多いのじゃないかというふうに思っている。
そうすると、それを考えると、住専で体力を使い切ってしまったら、次のノンバンクの処理、やがてその先に来る問題について系統で処理し切れなくなって、片一方ではもう公的資金は入れないというふうに政府は決断しておりますから、そうすると、どうしても系統内で処理するという話になると、もう体力が尽き果てて、そして系統そのものの屋台骨がおかしくなってしまうという、私は、そうした見通しがあったのじゃないか。ただ、ノンバンクに対する貸し出しが、不良債権が物すごくあるんだという話になると、これまたある意味では大変なことになるわけでございまして、なかなかそこも言えない。
そうしたことを考えてみますと、私なりの結論としては、住専についてはもうそれは、ぎりぎり言えばもう少しそれは負担力があるのかもわからないけれども、これから来るノンバンク等の不良債権処理を考えたら、やはり少しぐらいは体力を残しておかないと本当にだめになってしまうという判断があったのではないかなというふうに私は考えるのでありますけれども、農水大臣、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/153
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154・大原一三
○大原国務大臣 正直言いまして、今の内部留保はこれから先のことを考えるほど余裕はないわけでありまして、一兆三千億の中の五千三百億を拠出するわけであります。半分近い拠出であります。先ほど、まだ余裕が、残りがあるじゃないかと言われると、素っ裸になってしまいますね、これは。内部留保ゼロの金融機関なんというのは存立の基盤がありません。
大蔵大臣がいらっしゃる前でほかのことは余り言いたくありませんけれども、二十一行、都市銀行だけの留保は三十一兆円であります。そういうことを考えますと、これから金融機関として体質改善をして、しかも非常に険しい自由化を進めていかなければならぬというときに、半分拠出してこれでバンザイなんというようなことは、これは大変なことでございまして、我々としては、ぎりぎりという言葉が余り流行し過ぎてしまって評判よくないのでありますが、力いっぱいの負担をした、こう考えているわけでありますので、御理解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/154
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155・細谷治通
○細谷委員 これから追加負担がどうなるのか、新たなる寄与がどうなるのかという問題はあるわけでありますけれども、まさか農水大臣は、それは民間の金融機関がやってくれればいい話であって、系統は一切知らないよということに、これは私の推測でありますけれども、ならないのじゃないかというふうに思います。
そうすれば、また五千三百億プラスアルファというのが出てくるわけでありまして、余りぎりぎり、体力の限界なんて言っていると、それもできないじゃないか、何で、どこから出てきたのだという話になるわけでございますので、そこはまた、何といいましょうか、非常に微妙な問題であるわけでありますが、私はそういうふうに理解をしております。体力にある程度余力を残して、そして体質改善をこれからやっていくために必要なんだ、こういうことではないかと理解しております。
もう時間が参りました。もう一つ、私が聞きたかったのは、国民の皆さん方が血税をこの問題に入れる。しかし私は、さっき言いましたように、何で不良債権処理、償却すれば、企業会計はわかるけれども、税制上どうして無税扱いになるのだということはまだ国民の皆さん方は納得されていないので、これに対してわかりやすく説明していただこうということで質問を準備いたしましたけれども、まことに申しわけございません、時間が参りましたからこれでやめさせていただきますけれども、やはりここは、国税庁、大蔵省、ぜひ国民にわかりやすい説明ができるように、余り専門用語を使わず、わかりやすい解説、説明を国民にしていただくことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/155
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156・高鳥修
○高鳥委員長 これにて細谷治通君の質疑は終了いたしました。
次に、錦織淳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/156
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157・錦織淳
○錦織委員 新党さきがけの錦織でございます。
私は、一月の末から予算委員会、そして引き続いてこの金融問題の特別委員会と、二月、三月、四月、五月、六月と、四カ月余りいろいろとこの議論に参加をさせていただきました。そして、前回も申し上げたかと思いますが、一月の末の予算委員会の冒頭におきまして、この委員会での審議あるいは議会での審議が実りあるようにするためには、議会政治らしく政策論争をお互いに堂々と闘わそうではないか、こういうことを申し上げたわけでございます。
既に、新進党の皆さんもいろいろ工夫を凝らして、そうして対立点が鮮明になるようないろいろな御提案もいただいていたわけでございます。そういう意味で、さらに一歩進めて、この住専問題についても具体的な提案を出していただきたいということを何度かお願いをいたしました。現段階で、残念ながらついに法案という形での提案をいただいておりません。考え方については示されたと思います。しかし、考え方だけでは必ずしも本当のところがよく理解できない面がございます。そういう点では、まだ私が新進党の皆さんの考え方と政府・与党の考え方のどこがどう違うのか、必ずしものみ込めていない点もございます。
そういう懸念もございますが、あえて申し上げれば、やはり農協系統やあるいは体力の弱い金融機関が住専処理を誤ったら一体どうなるのかということが、まずはっきりさせておかなければならない問題ではないかなという気がしております。
そこで、これまでの新進党の皆様方のいろいろな質問、あるいは新進党の皆様方が推薦をされた参考人、公述人の方々の意見、こういったものを総合いたしますと、結局問題点ほどこかと申しますと、私は、まず母体行、一般行、農協系統という三つの債権者グループの損失負担をどうやって確定するか、そしてこの住専七社が解体をしたことに伴ってどういう影響が生ずるか、全体の仕組みの中でその被害を最小限に食いとめるためにはどうしたらいいか、こうした大きな考え方というものがまずあるだろうと思います。その点がはっきりしていないと議論はお互いに水かけ論あるいは平行線になってしまう、こういう気がするわけでございます。
それで、例えば先般おいでいただいた参考人の方の意見を聞いておりますと、何となくこういう気がいたしました。実は、法的処理にゆだねる、こう言われながらも、他方で全体の処理スキームを想定されて、その中で例えば農協系統や弱い金融機関が救済されるということを想定をしておられるのではないか、そういう懸念が最後まで消えなかったわけでございます。
そこで、私はある参考人に質問をしたときに申し上げました。参考人の考え方は、結局政府・与党の処理スキームというもの、あるいはそれに類似する考え方を実は前提にしておられるのではないか、そういうふうに申し上げたわけでございます。
そういうふうに考えてまいりますと、この政府・与党の処理の仕組みというものの基本的な核になっている部分、こうした部分が維持さえされておれば、部分的なところではいろいろな工夫というものは可能ではないか、あるいは必要に応じて許容されるのではないかという気がいたします。
そこで、先般も、たしか新進党の方の御質問だったかとは思いますが、例えばこの政府・与党の処理の仕組みを前提にしながら、住専七社のうちの一社が、例えば和議によるとか、破産によるとか、その他の裁判上の処理手続にのるということが全く許容されないのか、それは必要によってはそういうこともあり得るのかということをお伺いをしたいと思います。
もちろん、裁判上の倒産手続、清算手続にはいろいろなものがございます。それぞれ一長一短もございますし、もちろんそれぞれ目的、要件が異なります。したがって、その目的、要件を充足をしなければいけない、これは当然でございますが、そうしたことを前提に置いた上で、今のような私の考え方について、これは銀行局長がよろしいかと思いますが、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/157
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158・西村吉正
○西村政府委員 御質問の点につきましては、日住金の株主総会で営業譲渡の議決等が否決された場合というようなことを御想定の御質問かと存じますけれども、その場合に和議や破産等の法的手続での処理を行うべきではないかという御趣旨でございますならば、今般の住専処理策については、住専の各社及びその母体行等の関係者が合意してでき上がっているものでございまして、株主総会に関しましても、処理スキームに沿った形での営業譲渡の議決等が行われるよう、住専各社及び母体行におきまして、株主総会の開催、株主に対する対応等に適切に努力されるものと考えているところでございます。
いろいろと深い御配慮の上での御質問かと存じますけれども、現時点で御指摘のような法的手続にゆだねるということは、私どもとして考えているところではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/158
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159・錦織淳
○錦織委員 時間の関係で次の質問に移ります。
先ほども申し上げましたように、鋭く対立しているようで、一体どの部分で対立しているのかということが明らかにされておかなければならないと思います。
私は、先ほど申し上げたように、住専七社の債権者がどういう影響を受けるか、つまり、住専七社を解体することによってその損失負担をどう分けるかとか、あるいは住専七社の解体に伴ってどういう信用上、経済上の打撃を受けるとか、そういう次元の問題がまずございます。実は、私は、これこそがこの件の核心だと思います。ですから、その点について新進党の皆さんもはっきりとお答えをなさるべきだというふうに従来から主張しております。
もう一つの問題は、住専七社を解体をした場合に、その清算手続を、例えば会社更生にゆだねるのか、あるいは破産法にゆだねるのか、あるいは和議、整理等にゆだねるのかということの違いでございます。私は、当然これらのどの手続にゆだねるかによって大きな違いが生ずるということは、もちろん専門的に見れば、つまり法的に見れば違うということはよくわかります。よくわかりますが、同時に違わない面もあるということをはっきりさせておかなければならないと思います。
それはまず、いずれにせよ国民が望んでいるのは、この債権回収がきちんと行われることでございます。では、その債権回収というものは基本的に何によって行われるかといえば、その住専七社が把握した担保価値、これがどうであるかということにかかっているわけでございます。会社更生であれ、あるいは破産であれ、和議であれ、どんな手続でやったところで、最後に合流していくところは競売などの執行手続になるわけでございます、あるいは任意売却でございます。うまり、把握した担保価値が十分でなければ、どんなにすぐれた法的手続をとっても結論は同じでございます。
そこで、一つお伺いをいたします。まず、そういう意味で、二つのことが必要でございます。つまり、実質的な回収をふやすためには、まず把握した担保価値が十分にその成果を上げるような形で実現をするということでございます。そのためには、現下の経済情勢に照らして、不動産の市場が冷え込んでいる、あるいは競売手続にいろいろな問題がある、そうしたことについて、それらの難点を克服して、そしてきちんと換価が行われていくということが必要でございます。この点について、大蔵大臣としてどのようにお考えなのかをお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/159
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160・西村吉正
○西村政府委員 御指摘のように、担保をどのように処分するかということによって住専処理機構の運営も大きく違ってくるわけでございます。
そのような意味におきまして、担保財産の、例えば再開発をいたして価値を高めるとか、そういうことも必要かと存じますけれども、そのような意味で、不動産会社との業務提携等により付加価値を高めるというような方策を検討することも必要かと存じております。所有の不動産等を一括集約的に管理いたしまして、情報を共有することによりまして適正評価による処分を行う組織として不動産部を設けるとともに、不動産取引だとか不動産鑑定の専門家等の参加をも求めて、適切に対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/160
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161・錦織淳
○錦織委員 もう一度申し上げておきたいと思います。
私どもは、法的手続にいろいろな手続がある、現行の法制度の中にいろいろな手続がある、そして、それぞれに一長一短がある、しかし、その違いを過度に強調してみても、結局最後は同じですよ、それについて幻想を持ってはいけないということを、これは与野党すべての人に理解を私は求めたいと思います。なぜならば、この違いを過度に強調して、この手続によればバラ色の道、この手続によれば地獄への道と、そんなに実は違わないんです。
そこで、なぜ違わないのかといえば、先ほど御質問した、一つは、把握した担保価値以上のものを我々は回収することができないという基本的な制約を受けているからでございます。ですから、回収の実を上げるためにはその点に改善を加える必要があるということであり、どの裁判手続によるのかという問題ではございません。このことをはっきりさせておきたいと思います。
それからもう一つ、債権回収の実を上げるためには、つまり、把握した担保価値以上の債権回収の実を上げる方法は、人的な保証あるいは損害賠償請求、つまり、その他の手段による民事責任の追及でございます。
この点については、予算委員会あるいはこの委員会において、損害賠償請求権も住専七社から住専処理機構に譲渡されるということが何度も何度も確認をされました。そして、そうした損害賠償請求やあるいは保証人に対する請求あるいはその他の民事責任の追及、これを行う場合に、どういう裁判手続、例えば会社更生法か、あるいは破産法か、和議か、そうしたもろもろの手続によって果たしてどれだけ決定的に違うか。
私は、このことについても、余り幻想を持ってはいけない、過度の違いの強調をしてはいけないと思います。それは、実務を知っていれば知っているほどそれらの違いが、最後ほどこに帰着するかといえば、損害賠償請求権を行使するに当たっては、その損害賠償を請求して訴訟で勝つだけの証拠があるかどうか、そういう証拠をちゃんととれるかどうか、こういうことのいかんにかかっているわけであり、その手前側の法的手続を会社更生にゆだねても、破産法にゆだねても、違わないのでございます。
もし、極論をすれば、例えば税金のように裁判を経ずしていきなり強制執行ができる、そういうことを提案すれば別でございます。そういう提案をすれば、確かにそれは、裁判を経ずしていきなりそういうことができるのであれば、確かに債権回収の実は上がるかもしれない。
しかし、これは、今お互いの共通の前提としてそうした憲法違反のような行為はできないわけですから、そうなると、損害賠償請求権の行使あるいはその他の民事責任といっても、結局、相手方
が争う以上は、最後は訴訟にゆだねるしかないということでございます。そうなれば、今言ったような大きな制約がかかっていく。それは、例えば破産管財人がやろうとも、更生管財人がやろうとも、それ以外の人がやっても、結局はやることは同じなんです。それは実務を知っている者だったらだれでもわかっていることなんです。そのことを過度に強調してはいけないと思います。
その上で申し上げます。したがって、問題はどこにあるかというならば、債権回収の実を上げるためには、ぜひともそうした損害賠償請求権の行使について、どれだけ本格的な人的体制をつくるのか、そしてそのことについてきちんとやっていこうというふうに預金保険機構なり住専処理機構が考えるかどうか、この点が大きな分かれ目だと私は思います。
この点について、私は、大蔵大臣からぜひとも強い決意をこの段階でお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/161
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162・久保亘
○久保国務大臣 今錦織さんからお話がありましたことは非常に重要なことだと考えております。したがいまして、住専処理機構が設立されました場合には、債権の一つ一つについて十分に精査し、そして、それに基づいて回収のために全力を挙げられるよう、機構の中にそれらの専門的な部門を確立する必要はあろうかと思っております。
結局、住専処理の問題は、どれだけ回収の実を上げることができるか、そして、そのことによってこの不良債権問題をどのように早期に処理、解決することができるかということにかかっているのでありまして、今お話がございましたように、そのことのためにどちらが有効かということで、手段をめぐってのいろいろな御論議をいただいたものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/162
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163・錦織淳
○錦織委員 これから五年後、十年後に振り返ってみて、五年前、十年前の我々の決断が正しかったかどうかということを歴史的に評価する上で、私が先ほど来申し上げていることは極めて重大な問題だと思います。
私が申し上げたいのは、仮に新進党の皆さん方が提案されるような案を採用したとしても、しかし、それほど、今日の不動産市況やあるいは我が国の実情を考えるならば、その損害賠償請求権が突然可能になったり、あるいは不動産の売却が突然可能になったりするわけではないわけでございます。つまり、我々の前には大変困難な難しい問題が控えているということをはっきり認識しておく必要があると思います。
そこで、最後に、総理にこのまとめでお伺いをしたいと思います。
これまでいろいろな議論をしてまいりました。しかし、少し前向きな、そして私がずっと一貫して主張してまいりました、バブル経済の形成とその崩壊から我々は何を学んだらいいかということでございます。そういう点についての総理の御認識と、そして改革への御決意を最後にお伺いをしたいと思います。
特に私がお伺いをしたいのは、このバブル経済の形成過程で、金融政策と財政政策との関係においてむしろいびつな関係ができたのではないか、つまり、財政の論理によれば、バブルの形成というものが容認をされていく、そういう力学が働いたのではないか、そういう点の総理の御所見をお伺いをしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/163
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164・橋本龍太郎
○橋本内閣総理大臣 私は、このバブル経済の形成から崩壊に至るプロセスというものを今振り返りますときに、そのときそのとき、政策担当者としては全力を尽くして、その局面をよりよいものにしていこうと努力をしながら、必ずしも今振り返ると結果がよかったと言えることばかりではない、これは何回か申し上げてまいりました。
そして、そのプロセスの中で、我々はやはり、第二次世界大戦後、戦後の混乱期がおさまりましてから後の経済運営の中で、このバブルの生成期、そしてその崩壊に至るプロセスというものについて、経験のなさから、同じような経験をしたことがなかったことから、必ずしも突っ込んだ対応というものをし切らなかったということは、今振り返って反省の大きな材料であると思います。
そして、議員が御指摘になりましたような財政政策と金融政策の間における力関係というものもあるいはあったかもしれません。しかし私は、プラザ合意以降、むしろ金融により経済を引っ張ろうとしたその手法が正しかった時期もあると思うのです。問題は、その正しかった手法をどこでとめるかという点について、我々は、あるいは不十分な考察しかし得なかったのではなかろうか。こうしたことを考えますと、非常に学ぶべきものは多いと思います。
この当面の局面を切り抜けること、我々が冷静にこれを反省し、分析し、将来に生かすことのできるだけのゆとりのできることを、一日も早くそういう日を迎えたい、そのような思いでおります。
激励と受けとめ、お礼を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/164
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165・錦織淳
○錦織委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/165
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166・高鳥修
○高鳥委員長 これにて錦織淳君の質疑は終了いたしました。
次に、吉井英勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/166
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167・吉井英勝
○吉井委員 予算が強行された後でも、国民の九割近い世論というものは住専に税金を投入するなという声であります。
住専法案を強行したら国民負担はどうなるのか。
例えば東京共同銀行の債権回収の実績は一五%だ、八五%は回収不能と六月二日付のマスコミ報道がありましたように、担保の土地を売って債権回収を図るというのは、これはなかなか大変なことです。
それで、伊藤忠の不動産関係部門の地価動向調査報告というのによりますと、九五年一月一日の路線価に対することし四月の実勢地価は、東京都心部及び全国主要都市の商業地において、圧倒的に、〇・五ないし〇・八。つまり、売買実例、売買実績というのは、大体路線価の半値前後というのが実態です。既に明白に二次損失は大きく膨らんでいる、これが事実だと思うのです。
幾ら債権回収に全力を尽くすと言ってみても、担保土地の価格が大幅に下落しておりますから、住専処理法案に国民負担二分の一という仕組みがある限り、国民の負担は六千八百五十億円にとどまらないで、四兆七千億円との試算もありますが、その二次損失の二分の一の負担で、少なくとも、合わせてみても一兆円ははるかに超える負担になるというのは必至だというふうに思います。ですから、法律案を通したらこの税金投入のぬかるみに落ち込んでしまうことはもう明白なわけです。
五月三十日のこの委員会で、総理は、母体行くの追加負担要求は全議員に共通した意見だと述べられた。母体行負担を軽減しろという意見がないことを銀行、あのときは金融機関という言葉をたしか使われたと思いますが、おわかりいただきたいということもおっしゃいました。
ところが、全銀協の橋本会長は、追加負担したらスキームの土台が崩れる、あるいはスキームを壊したら合意がもうつぶれてしまうんだとか、そういう発言をしております。
母体行は、住専法案がある限り、この法案を追加負担をしない理由づけの道具にしている、総理はそういうふうには思われませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/167
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168・橋本龍太郎
○橋本内閣総理大臣 長々とお答えをして恐縮でありますけれども、これは私が言うのじゃなくて、橋本さんでも全銀協の方の橋本さんが国会で述べられた言葉であります。
すなわち、公共性の高い金融機関として何か金融システムの安定に貢献できる新たな寄与について模索しておるわけでございますが、私企業としての限界もいろいろあり、なかなかいい案が思い浮かばず、苦慮しているところであります、金融界と申しましても、いろいろな立場の業態もあり、それぞれ経営状態の相違もございまして、全体としてのコンセンサスが生まれるのは大変難しいところがあるということはどうか御理解を賜りたいわけでございますが、私といたしましては、いい案が見つかるものなら検討を進める可能性があると考えておりますという発言でありまして、議員のお話とは多少私はニュアンスの違う感じもいたします。
そして、現在、関係金融機関などによる新たな寄与の問題についての議論がさまざまに行われているところでありまして、こうした発言があったことも踏まえて、結果として、できる限り国民負担の軽減につながるよう、今後とも関係金融機関などの自主的かつ真剣な取り組みを促してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/168
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169・吉井英勝
○吉井委員 今のお話にもあったように、橋本会長は、法案を通してほしい、追加負担の名案はないということを言っているわけです。法案は通してほしいと言って、通したって追加負担はしないという意思表示をしているわけで、結局、この法律を通したら母体行は食い逃げをしてしまうだけで、母体行はますます追加負担などに乗ってこないということは当然のことじゃないでしょうか。
ですから総理は、何か追加負担に応じるという約束をさせておられるのかどうか、次にこのことを聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/169
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170・橋本龍太郎
○橋本内閣総理大臣 私は金融機関の代表者と会っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/170
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171・吉井英勝
○吉井委員 だから、そういう追加負担の約束をまださせておられないということなんですが、大蔵省の方は、これまでは、総量規制のときには住専のようなノンバンクと系統金融機関には大きな穴をあけて、母体行は住専をごみ箱に使い、農協系統に融資を振りかえさせる道を開いてきました。また、民間が共同債権買取機構という株式会社をつくって不良債権処理を進めると、まさにその発足の日に無税償却に道を開く通達を出す優遇税制もやってきました。それから、超低金利政策によって最高の業務純益を上げさせてもきました。
ところが母体行の方は、みずからがつくって経営を誤って破綻させた住専の処理、これは母体行の不始末の処理ということになるわけですが、まるで国の責任であるかのように、可能な策があれば協力するという立場である。
総理、この母体行というのは、国に協力する立場ではなくて、これはみずからの不始末をわびて、住専問題の解決にはみずから責任をとるという立場なんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/171
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172・久保亘
○久保国務大臣 昨日も同じ意味での御質問がございました。
私どもは、今日、母体行に対して追加負担による新たな寄与を求めることについては、国会においても党派を超えて皆様方の御意見があったと承知いたしております。また、私どもも当初から、母体行の住専問題にかかわる責任の重さにかんがみて、その責任を償い得る体力がある限り、可能な限りの負担をすべきである、こういう立場を表明をいたしてまいりました。
そのことについて、今吉井さんからもお話がございましたが、もし処理スキーム、合意しております処理スキームを、一たんこれを破棄いたしますならば、また全然新しい出発点からの議論になろうかと思っております。追加負担といいます以上は、今決まっておりますスキームの上にさらに追加をさせる、こういうことであろうと思う、そういう立場で銀行協会の幹部とも話を続けているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/172
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173・吉井英勝
○吉井委員 母体行が負担を追加するということは、これはこの間も議論いたしましたように、六千八百億円の部分の贈与という形なり、あるいは一般行分で持っている母体行の債権の放棄という形であれ、それをやればもともとなくなるわけでありますし、二分の一のところについてだって、これは拠出金を上積みする議論等がありますが、国民の二分の一負担のその部分をなくして、それを含めて拠出金の益金で賄うとか、そういうふうに変えない限り、現実にはなくならないわけです。
ですから、問題は、母体行が名案がないだのなんだのということじゃなくて、母体行は国に協力する立場なんじゃなくて、みずからの不始末をわびて、この住専問題の解決に責任をとるという立場に立たなければならないのですよ。何で、国民が負担するいわれもないのに、母体行が居直ったら、全体でやらなければいけないからということで国民に負担をさせるのか。その立場に総理が立つ限り、母体行は結局追加負担の話などには乗ってこないわけです。なぜそういうふうに母体行がこの追加負担の話に、口では名案がないだのなんだの言いながら乗ってこないのか。
その根底にあるのは、昨年の九月二十七日のこの審議経過報告で、住専問題の解決については、「母体行が主体的役割を果たし、今後の基本的な方針や債権の処理の仕方等につき合意形成を行うことが必要」とし、行政当局は「当事者間の合意形成を促進する」という立場であったわけですが、それが結局、十二月になると、この報告の立場から外れてしまって、政府が、住専は臨時異例の措置だとして母体行責任主義の例外をつくる立場に立ったために、母体行の方からいたしますと、住専処理法案がある限り母体行は追加負担に応じない、税金で面倒を見てくれるのが当然だというふうに思ってしまっているんじゃないですか。
だから、母体行は、法案を早く通してほしいと言い、全くこの追加負担に応じる意思というものを持っていない。この立場を改めさせるためには、やはり住専法案を、これを廃案にして、これまでの当然のルールであった母体行責任主義に立ち戻るということ、私は、このことがやはり総理として今決断をされることだと思うのです。総理、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/173
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174・橋本龍太郎
○橋本内閣総理大臣 本院でも何回か御議論になりましたもののうち、今、議員のお話を伺いながら思い出したことがございます。仮にこのスキームを全く白紙に戻し、新たに負担の計算をした場合、従来の法的処理のルールでいった場合には母体行の負担は減るというのが、何回かここで語られた数字でありました。私は、このスキームを白紙撤回をいたすという議員の御意見には、賛成することはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/174
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175・吉井英勝
○吉井委員 直系ノンバンクについては全部母体行主義でやってきた、例外ないわけです。住専というのは、まさに文字どおりの銀行直系そのものであります。ですから、これについてこれまでどおりのルールでやらせるということが最も大事なわけで、逆に、この法案がある限り、母体行の方はもう追加負担など乗ってこなくても済むわけですね。
法案を通すことを考える前に、今大事なことは、従来どおり母体行に責任を持って解決させる、他に母体行が協力を求めたいというときは、母体行は頭を下げて、系統であれ一般行であれ合意を取りつけに行けばいいわけであって、行政当局は当事者間の合意形成を促進させる、この原点に立ち返った態度をとることこそ、私は政府のとるべき態度だと思うわけです。そのことは、これまでのノンバンクの処理ではみんなやってきたわけですから、母体行に力がないときには、あちこちお願いしても、基本的には母体行はみずからの本社ビルを売ってでもやったわけですから、そういう立場に立ち返るべきだ。
改めて総理の考えを求めて、時間が参りましたので、質問を終わるようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/175
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176・橋本龍太郎
○橋本内閣総理大臣 今回御審議をいただいておりますスキームを変更する意思がないということは、先ほど明確に申し上げたとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/176
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177・吉井英勝
○吉井委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/177
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178・高鳥修
○高鳥委員長 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。
次に、海江田万里君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/178
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179・海江田万里
○海江田委員 昨日の私の質問に対しまして、銀行局長が答弁で、法案が成立をしましてから住専の処理機構の立ち上がりには一カ月、二カ月はかからない、しかし債権の譲渡などには二、三カ月かかるというお話がありました。ただ、この債権の件数というのは二十万件もありますから、私は二、三カ月で終わるとは思えないわけでございますけれども、いずれにしましても、この債権の譲渡については八月を恐らくまたぐことになるであろうと思われるわけです。
八月をまたぐということはどういうことかというと、これは、ことしの一月一日時点の路線価でありますね、このことしの一月一日時点の路線価の公表が八月の中旬だということを聞いておりますから、これは、もう既にことしの路線価が発表されてしまって、国民が広くそれを知るところとなって、そして、それから債権の譲渡が行われるのではないだろうかということです。
この債権の譲渡の金額につきましては、これはもう言うまでもありませんけれども、スキームの中で正常債権を三・四九兆円で買い上げをします、回収が見込める不良債権については三・二九兆円で買い上げをします、それから、ロス見込みが強い不良債権については六・二七兆円で買い上げをします、こういうことになっているわけですね。
そうすると、その片一方で、今お話をしましたように、路線価が発表になって、しかもその路線価というのは、これは今では公示価格にスライドをして、まあ大体公示価格の八割ぐらいではないだろうかということが言われております。そして、その公示価格というのは先日公表をされましたけれども、東京圏の商業地でマイナスの一七・二%、大阪でマイナスの一五・八%、名古屋でマイナス一二・六%。もちろん、住宅地の下げ幅というのはもう少し少ないものになっているわけですけれども、いずれにしましても、この公示価格に連動して路線価が下がることはもうはっきりしておるわけですね。
そうすると、結果的にどういうことかというと、もちろん第二次損失もございますけれども、その前の段階としまして、正常債権でありますとか、あるいは回収が見込める不良債権、あるいはロス見込みが強い不良債権、先ほど言ったような金額で買うわけですけれども、その金額自体が実はもう既にかなり高い買い物になっているのではないだろうかというような見方を、当然のことながら国民はすると思うのです。
その場合でも、やはり当初どおりのこの金額で買い取りをするわけでございますか。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/179
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180・西村吉正
○西村政府委員 昨日、住専処理機構の設立と、それから債権の譲渡についてのお尋ねがございましたので、まだまだそういうことを具体的に申し上げるに十分な資料があるわけではございませんが、設立はできるだけ早く、譲渡にはもう少し時間がかかるであろうということを申し上げたわけでございます。
今の、新しい路線価が発表される時点と債権譲渡の時点との前後関係でございますが、必ずしも債権譲渡が後になると限ったものではないかと存じます。
さはさりながら、御指摘のように、地価の下落傾向というものがこの住専処理機構の運営に非常に大きな影響を与えるということは御指摘のとおりでございますし、今までもそのようなことを私ども申し上げてきたと存じます。そういう意味で、この住専処理にとって厳しさが増している事実を真摯に受けとめまして、今後とも回収努力になお一層万全を期してまいると。条件は厳しくなっている、安全性が低くなっているということは私どもも十分認識しておりますけれども、しかしながら、その評価を変えるというところまでいってはいないのではないか、安全度の範囲内には入っているのではないかというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/180
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181・海江田万里
○海江田委員 今、安全度の範囲に入っておるのではないか、評価は変えないで済むのではないだろうかということですけれども、やはり、もう路線価が発表になれば、その路線価を基準にしてやっているということですから、やはりそれは国民が見れば、もう既にその買う段階からかなり高い買い物をしているなと。
しかも、正常債権ですとか、あるいは回収が見込める不良債権ですとか、あるいはロス見込みが強い不良債権、今私は、あえてこの中身については言わなかったわけですよ。もちろん、この評価の仕方自体大変甘いものであるということは、これは多くの国民の見るところなわけですけれども、そのことはあえて言わずとも、中身については触れなくても、少なくともこの買い値が、もう既に片一方で公表された数字と比べて随分高いものを最初から買っているんじゃないだろうか。しかもその買い値の、買う場合の原資というのは、融資ではありますけれども、最終的には国民の税金も出ておるわけですからね。
大蔵大臣、どうですかね、やはりこのスキームは動かせないのですかね。特にこの金額のところは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/181
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182・西村吉正
○西村政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもとしては、なかなか条件が厳しくはなっておりますが、その安全度の中にまだ入っておると思います。
また、先ほど錦織先生の御質問でもございましたが、私ども、そのような地価の動向というものがこのような問題の処理に大変に厳しい課題を突きつけるものであるということは重々承知をしておるわけでございますが、しかし、そのような現実は現実として受けとめまして、これをどのようにこなしていくのかということに全力を注ぐべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/182
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183・海江田万里
○海江田委員 もう本当に時間がありません。地価を上げずに、じゃ、どうやって流動化させるかとかいうことについて、やはりもっとアイデアを出していかなければいけないと思う、もっと議論をしなければいけないと思うわけですけれども。
あと一つだけお尋ねをしたいわけでございますけれども、公訴時効期間の延長法案が、これは議員立法で出されておりますね。
これも朝方からの議論の中で、この公訴期間延長の法案というのは、これは、例えば現にあります支払い義務が引き続き延長されるということで、私は、この不利益の遡及、さかのぼって適用されるという問題と、それからこの時効延長という問題とは切り離しをして考えなければいけないと思うわけでございますけれども、じゃ、そうであればあるほど、なぜ行政当局がこうした措置を主体的にとろうとしなかったのか。政府は強力な債権の回収と言っているけれども、それならばこの法案を政府提案でも私はいいんじゃないだろうかというふうに考えるわけでございます。
そこのところは、橋本総理大臣、どうして政府提案にしないで議員立法にしたんでしょうか。(発言する者あり)だから、その無理というのは一体何なのかということを端的にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/183
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184・西村吉正
○西村政府委員 私ども、二月九日に住専処理法案を提案いたしましたが、今回与党のお立場におかれまして、その時効の停止等に関する特別措置法案を、政府の住専処理法案のスキームを前提といたしまして、さらにさらに住専の債権債務の処理の円滑化に資する観点から検討されて御決定をいただいたものと承知をしておるわけでございます。
この議員立法は、住専処理機構における適切な債権回収及び損害賠償請求権の行使に資するとともに、根抵当権の譲渡の円滑化に資するものと、私どもも大変ありがたく思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/184
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185・海江田万里
○海江田委員 今の話は全然納得できません。
橋本総理、今のお尋ねをしてもいいのですけれども、先ほど、このスキームはこれでもう絶対変えることがないんだというお話をされておりました。先ほども私お話をしましたけれども、この買い取りの額自体、やはり現実と比べてかなり高い値段で買うわけですけれども、本当に、これから具体的にこの債権処理機構を機能させていく上で、このスキームというのはもう万全のもので、全く変えないんだということを、変える必要がないんだということを国民の前にはっきりと約束できるかどうか、それをお尋ねをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/185
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186・橋本龍太郎
○橋本内閣総理大臣 私は、海江田議員が昨日から提起をされたような問題点を全く否定するものではありません。しかし、現在ならばこの中で対応できると事務方が申しております限り、私はそれを信じます。そしてむしろ、一日も早くこれが実行できる体制をつくれるように、ぜひ国会の御協力をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/186
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187・海江田万里
○海江田委員 時間ですので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/187
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188・高鳥修
○高鳥委員長 これにて海江田万里君の質疑は終了いたしました。
次に、尾身幸次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/188
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189・尾身幸次
○尾身委員 去る二十八日からこの金融特におきまして金融関係六法の審議をしてまいりましたわけでありますが、きょうは一応最後の締めくくりということでございますので、幾つかの聞いておきたいことをお伺いさせていただきます。
最初にお伺いをいたしますが、今までの金融行政のあり方を見ますと、いわゆる護送船団方式というような状況の中で、最近における金融の自由化、国際化に現在の金融行政が十分に対応できず、あるいはバブルの発生とか崩壊あるいは不良債権の発生というような問題を未然に防止できなかったという点について、大きな反省があると思われるわけであります。
そういう意味におきまして、今後、二十一世紀に向けて金融行政はいかにあるべきか、この基本的な考え方につきまして大蔵大臣からお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/189
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190・久保亘
○久保国務大臣 二十一世紀に向けた金融行政の基本的な考え方に関する御質問でございますが、これまでの金融行政につきましては、金融の自由化、国際化が急速に進展したにもかかわらず、市場機能を重視し、自己責任の徹底を求める行政への転換が必ずしも十分に行われてこなかったのではないかとの御批判をいただいております。
そのような御指摘を踏まえまして、これまでの金融行政の手法を見直し、二十一世紀に対応した新しい金融システムを構築していくため、今後の金融行政につきましては、自己責任原則の徹底と市場規律の十分な発揮を基軸とする透明性の高い行政を行っていくことを基本原則としていくことが重要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/190
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191・尾身幸次
○尾身委員 ただいま基本原則についてお伺いをいたしましたが、この具体的な中身につきまして大蔵大臣のお考えをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/191
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192・久保亘
○久保国務大臣 金融行政の基本原則を実現するための手段に関してお尋ねがございましたが、現在所要の法律案について御審議いただいているところでありまして、具体的には、当局の裁量の幅を狭め、行政の透明性確保に資する早期是正措置の導入、二番目には、金融機関の破綻に対し処理を先送りせず早期かつ迅速に対処するための金融機関の更生手続の特例等の新設、第三に、市場のチェック機能を活用する観点からのディスクロージャーの一層の拡充等の措置を講ずることといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/192
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193・尾身幸次
○尾身委員 現在のこの住専問題の処理のために、私どもはどうしてもこの処理のスキーム、六千八百五十億の投入も含めましたスキームは、現在の状況下において金融システムを守るためにどうしても必要な措置であると考えている次第でございます。しかし、このスキームの中で、国民の負担をできる限り軽減する必要があると考えているわけであります。そういう意味におきまして、このスキームの中で最大限の努力をして国民負担を軽減すべきであるというふうに考えているわけでございますが、これにつきまして、大蔵大臣の御意見をお伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/193
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194・久保亘
○久保国務大臣 債権回収及び関係者の責任追及に対する具体的な取り組みについてでありますが、今回の住専処理策におきましては、預金保険機構と住専処理機構とが一体となって強力な債権回収を行うとともに、関係者の責任につきましても厳格に追及することといたしております。
具体的には、住専処理機構が住専から譲り受けた貸付債権等については、担保権の実行や強制執行等、法律上認められるあらゆる回収手段や、今回新たに預金保険機構に付与された財産調査権等を迅速かつ的確に用いることによって、強力に回収することといたしております。また、住専が保有する損害賠償請求権につきましては、住専処理機構が包括的に譲り受けた後、損害の概要等が特定したものについて適切に行使することといたしております。
このような最大限の回収努力の結果、住専から譲り受けた債権等につきまして、譲り受け価格を上回って回収が図られたなどにより利益が生じた場合には、預金保険機構を通じて国庫に納付されることとなっており、これにより、まず現行の処理策の枠組みの中で財政負担が極力抑えられるよう努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/194
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195・尾身幸次
○尾身委員 次の質問は総理にお伺いをしたいと思うわけでございますが、私ども、この審議の中で、関係金融機関から新たな寄与を求めて国民の負担を結果として軽減するような方策はないかということにつきまして、議論が大変あったわけでございます。
私は、関係金融機関、特に母体行の道義的、社会的責任は極めて重いというふうに考えております。役員人事のコントロール、あるいはこの住専の目的とした個人住宅ローンへの銀行みずからの進出、あるいは紹介融資の問題等々いろいろあるわけでございます。そういう問題に加えまして、やはり経済の動脈を担っている金融機関は社会的、公共的な責任を自覚する必要がある、そんなふうに考えている次第でございます。
他方、農林系の金融機関につきましても、やはり五兆五千億という巨額の融資を行っている事実は極めて重いと言わざるを得ません。
そういうことを考えまして、この議論の中で、関係者による追加的な寄与という議論がなされてきたわけであります。
これまで母体行サイドは、債権の全額放棄、三兆五千億というのは法律的なぎりぎりの責任限界まで来ているということで、追加負担については名案がないと主張していたわけでございますが、先日の参考人質疑におきまして全銀協の橋本会長は、いい案が見つかるものなら検討を進める可能性が生まれると考える、そしてまた、私企業としての限界の範囲内で、合法性、経済合理性、公益性というような条件を満足できるような案を模索している最中であるという、従来の答弁よりも一歩二歩と踏み込んだ答弁をされているわけであります。
私は、金融機関の皆様の姿勢が従来よりも極めて前向きに変わってきたこと、そしてまた道義的、社会的責任についての自覚もされていることにつきまして、この発言を非常に高く評価しているわけであります。
そこで、こういうような状況の好転を踏まえまして、政府は、農林系統の金融機関も含めまして関係の金融機関と十分御協議の上、できるだけ早期にしっかりとした追加負担の具体策を考えていただき、そしてまたこの追加負担についての話をまとめていただき、そして結果として国民の負担が軽減されるよう全力を尽くしていただきたいと考える次第でございます。
この点につきまして、総理の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/195
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196・橋本龍太郎
○橋本内閣総理大臣 関係金融機関などによります新たな寄与についての御意見でありますが、住専を消滅させるための損失処理に要する財政負担、すなわち六千八百億円につきましては、徹底した債権回収と責任追及を図ることに加え、系統金融機関を含む関係金融機関などに新たな寄与を求めて、結果として国民の負担をできる限り軽減するよう努力する所存であります。このため、関係金融機関等と協議し、できる限り速やかに具体化を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/196
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197・尾身幸次
○尾身委員 大蔵大臣に質問をいたします。
住専問題の処理を実際に進めるためには、何よりもこの住専処理法案を早急に成立させて、住専各社の債権の受け皿となります住専処理機構をできるだけ速やかに発足させる、そして債権回収に本格的に取り組む体制を整えることが極めて重要であると考えている次第でございます。
そこで、住専処理機構はどのような体制で徹底的な債権回収を進め、そして借り手の責任を追及していくのか、大蔵大臣の御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/197
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198・久保亘
○久保国務大臣 お答えいたします。
住専処理機構の設立についてのお尋ねでございますが、法案が成立し、公布、施行され次第、出資等の諸手続を経た上で速やかに行うこととしたいと考えております。
また、住専処理機構の体制につきましては、今般の住専処理策におきましては、住専七社から貸付債権、不動産等の資産を譲り受ける住専処理機構が、預金保険機構と一体となって強力かつ効率的な管理、回収、処分を進めるとともに、旧住専経営者等に対する民事、刑事上の厳格な責任追及を行うこととされているところであります。
体制整備に当たりましては、こうした業務を円滑かつ効果的に遂行し得るよう、組織面、人材面等において十分工夫する必要があると考えております。
体制整備の具体的な内容につきましては現在検討中ではございますが、第一に、預金保険機構につきましては、住専処理機構と連携して、債権等の管理、回収全般にわたって指導及び推進を担う組織を設けるとともに、法務・検察、警察、国税当局等の職員のほか、法律、不動産取引等の専門家等の参加を求めること。二番目に、住専処理機構につきましては、強力かつ効率的な回収、民事、刑事上の責任追及を公正かつ迅速的確に行い得るよう、組織、陣容を整備することを基本として、とりわけ法務・検察、警察、国税等のOBの参加を求めるほか、法律等の専門家をも結集した特別対策部を設けるとともに、いわゆる困難事案、共通、大口、悪質案件への集中的対応のため、特別整理部を組織すること等を予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/198
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199・尾身幸次
○尾身委員 この住専の資産内容が大変に悪化した原因の一つに、いろいろな銀行から多額の紹介融資が行われまして、その紹介融資の多くが不良債権になってしまったということが挙げられるわけであります。そして、その責任を厳正に追及するために、住専処理機構は、各住専から引き継ぎました損害賠償請求権を適切に正しく行使すべきものであるというふうに考えておりますが、この点につきまして、大蔵大臣の決意をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/199
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200・久保亘
○久保国務大臣 責任追及につきましては、今回の住専処理策におきまして、住専処理機構は、住専の他の資産とともに、損害賠償請求権を未確定のものも含めすべて包括的に譲り受けた後、速やかに過去の取引等を精査した上で、損害の概要等を特定したものにつき、厳しく民事責任を追及していくことといたしております。
違法な紹介融資の責任につきましても、包括的に譲り受けた損害賠償請求権のうち特定されたものにつき、適切に追及されていくものと考えられ、このような取り組みを通じまして、違法な紹介を行った住専の母体行等の関係者の責任追及にも万全を期してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/200
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201・尾身幸次
○尾身委員 住専処理機構は、各住専から大量の不動産を引き継ぐ、そしてまた不動産に対する担保権を引き継ぐわけでございますが、この大量に引き継いだ不動産の処分を適切に行っていくことが徹底的な債権回収のためにどうしても必要であると考えているわけでございます。
そこで、この住専処理機構は、不動産の効率的な処分についてどのようにしていくべきであると考えているのか、大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/201
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202・久保亘
○久保国務大臣 住専処理機構の不動産処分についての御質問でございましたが、住専処理機構が住専七社から譲り受ける資産の中には、貸付債権に係る担保物件のほか、各住専が所有している不動産もございます。これらを適切に管理、売却していく必要があります。このため、物件によっては、例えば不動産会社との業務提携等により付加価値を高めることも検討する必要があると考えております。
こうしたことから、所有不動産等を一括集約的に管理し、情報を共有することにより適正評価による処分を行う組織として、本部に不動産部を設けるとともに、不動産取引、不動産鑑定の専門家等の参加を求めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/202
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203・尾身幸次
○尾身委員 住専の処理のために財政支出が行われるわけでありますけれども、この状況を考えますと、住専処理機構における債権回収の進捗状況につきましては、私ども大変な関心を持っているわけであります。でありますので、この債権回収の状況を常に国民にわかりやすく明らかにするということが、この問題に対する国民の理解を深めていただくためにどうしても必要であると考えている次第でございますが、大蔵大臣はこの点についてどうお考えか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/203
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204・久保亘
○久保国務大臣 住専問題への国民の皆様の御理解を深めるためには、住専処理機構における債権回収の進捗状況の全体像を国民にわかりやすく明らかにすることが必要ではないかという御質問でございましたが、住専問題については、あらゆる機会において透明性の確保や責任の明確化に努め、国民の皆様の御理解を深めていただくよう、今後とも引き続き全力を尽くす所存であります。とりわけ、財政支出の投入をお願いいたします以上、住専処理機構における債権回収の進捗状況を国民の皆様にお知らせすることは必要なことであると考えております。
具体的には今後検討されることとなりますが、国会へ適宜全体像を御報告するのは当然のことではないかと受けとめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/204
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205・尾身幸次
○尾身委員 金融機関でありますが、金融機関は、国民の皆様から大切なお金を預かって、それを産業の各分野に供給するという極めて重要な役割を担っているわけでございます。
そこで、バブルの発生、崩壊の過程において、ややもすれば企業モラルが損なわれて、融資が安易に流れていたのではないかというふうに考えているわけでございますが、金融機関においては、その使命を重く受けとめて、国民の信頼にこたえるように努力するとともに一層の経営の合理化、効率化に取り組む必要があるというふうに考えます。この監督の責任にあります大蔵大臣としては、この点についてどのようなお考えをお持ちか、お伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/205
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206・久保亘
○久保国務大臣 金融機関の公共性と経営の合理化、効率化についてでございますが、金融機関は、国民から預かった預金を、産業界等に適正な資金供給を行うことにより、国民経済の健全な発展に資するよう努める必要があり、他の企業に比べ高い公共性を有しているということは、御指摘のとおりでございます。
したがって、金融機関は、その業務の公共性にかんがみ、公共的、社会的役割を自覚し、我が国経済の発展に貢献し、もって国民の期待にこたえるため最大限の努力を行うとともに、店舗網の見直し、徹底した経費削減、合理化など、経営全般にわたって徹底的な合理化、効率化を図ることが求められているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/206
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207・尾身幸次
○尾身委員 農林水産大臣に御質問をさせていただきます。
農林系の金融機関についてでありますが、率直に言いまして、以前から、現状を見ますと、金融の自由化あるいは国際化の流れに適切に対応し切れていないのではないかというふうに考えるわけでありますが、系統の組織を見直して、より効率的な運営が可能となるよう、そういう措置を早急に講ずべきであるというふうに考えます。これにつきまして、農林水産大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/207
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208・大原一三
○大原国務大臣 委員御指摘のとおり、いわゆる系統金融機関、特に今回の事件にもかんがみまして、我々としては、自由化に即応した新しい金融体制をつくり上げることが急務である、こう思っております。
おかげさまで、中央に置かれた農政審議会におきましても一月から鋭意この問題について検討し、系統全体の組織のあり方はもとよりでございますけれども、特に金融制度における、新しい時代に即応した体制の整備に精力的に取り組んでいくのが我々の責任だ、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/208
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209・尾身幸次
○尾身委員 次に、金融関係の四法案につきまして、幾つか政府側のお考えを確かめておきたいと思います。
その一つは、早期是正措置でありますけれども、金融機関の健全性の維持、金融機構の安定化を図る上で、その導入はぜひとも必要であると考えている次第でございます。しかし、その発動基準とか、あるいは措置の内容は省令にゆだねられているわけであります。
その内容は、自己資本の比率に応じまして、店舗数とかあるいは役員給与、配当などにつきまして、監督官庁がその是正を指導、命令することができる、さらに必要があれば業務停止命令を発動することができるというように、極めて強力な行政権限を行政官庁に与えるものであります。
こういう点を考えますと、私ども立法府の立場から見て、このような強力な権限を行政府に持たせることに当たりましては、慎重な対応をとるべきだというふうに考えているわけでございます。
そこで、この省令の決定に当たりましては、事実上、十分に立法府の意見を聞いて決めるべきである、そのように考えているわけでございますが、これにつきまして、大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/209
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210・久保亘
○久保国務大臣 早期是正措置は、従来から金融機関の業務や財産の状況に照らして必要と認められるときに発動していた大蔵大臣の処分権について、金融機関の経営の健全性を確保するため、基本的には、自己資本比率を基準とした客観的なルールに基づく措置命令についての明確化を図り、金融行政の透明性を高めるためのものであります。
発動基準及び措置内容は、金融の自由化、国際化の進展の中で、金融機関を取り巻く経済環境の変化や経営の実態等を踏まえ、より機動的に見直すことが必要であることから、省令で定めることとしたものであります。
発動基準や措置内容など省令の具体的内容につきましては、金融に関する専門家等から成る検討の場を設け、十分な御議論をいただき、透明性のある形で決めさせていただきたいと考えておりますが、その際、今までの国会における御議論や御指摘を十分に踏まえて決定したいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
なお、省令につきましては、そのような手続を踏みつつ、できるだけ早急に検討を進め、公表したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/210
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211・尾身幸次
○尾身委員 次に、いわゆる更生特例法についてお伺いをさせていただきます。
金融機関の破綻処理につきましては、これまでの任意の合併、営業譲渡の方法だけではなしに、司法上の倒産手続を円滑かつ迅速に行い得るような制度の整備を図るために、今般、政府は更生特例法を提出しているわけであります。
会社更生法におきましては、更生手続の申し立て権は、会社それから債務者自身のほか、債権者等に手続開始の申し立て権が認められているわけでありますけれども、今般政府提出の更生特例法においては、これらに加えまして、監督官庁に更生手続の申し立て権を持たせるということであります。
ところで、この監督官庁の申し立てに際しましては、債権者が申し立てる場合には裁判所に対する疎明、いわゆる裁判所に更生手続の理由を説明することでありますが、疎明をする必要があるわけでありますが、この新しい法律による監督官庁の申し立てに際しましては、この手続は不必要であるということになっております。
このように、この監督官庁の申し立てにつきましては、今般の特例法において特別の配慮がなされているわけでございまして、これは一方で、破綻した金融機関の処理を促進し、処理コストを最小限にするというメリットがあります反面、監督官庁が、いわばその金融機関の生殺与奪の権を握るということになりまして、その運用次第によっては極めて著しい権限の強化につながるおそれがあるというふうに考えているわけであります。
このような懸念に対しまして、監督当局としてどのように対応をしていかれるか、この対応の具体的な方策につきまして、御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/211
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212・久保亘
○久保国務大臣 更生特例法によります監督庁への申し立て権の付与により、監督庁の権限が強化されるのではないかとの御質問でございますが、会社更生法及び破産法におきましては、手続開始の申し立てに当たっては、手続開始原因たる事実を疎明しなければならないと定められております。この疎明が要求されるのは、本来の目的を逸脱した乱用的申し立てを防止することにあります。したがって、このような乱用的申し立てのおそれが考えにくい監督庁の申し立てについては、疎明を要しないものとしたところであります。
今回、監督庁に倒産手続開始の申し立て権を付与するのは、監督庁による業務停止命令が行われた場合等において、その金融機関の倒産手続を適時適切に開始することができるようにすることを目的としたものであり、監督庁の著しい権限強化を図るものではありません。
また、当該申し立てが適正であるか否かは、第三者たる裁判所により認定されること等にかんがみても、倒産手続開始の申し立て権の付与により、監督庁が強力な権限を有することとなるわけではありません。
なお、監督庁としては、委員の御趣旨を十分に踏まえ、適切に開始原因を認定し、適正に申し立て権を行使すべきことは当然のことであり、開始原因の認定を含め適切に申し立て権を行使しているということについては、私どもとしても速やかに公表してまいることといたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/212
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213・尾身幸次
○尾身委員 次に、預金保険機構の改正法におきまして、整理回収銀行の役割につきまして大蔵大臣にお伺いをいたします。
金融四法案におきましては、金融機関の破綻処理を迅速かつ円滑に進めるための種々の制度の整備を図ることにしているわけでありますが、その中で、今後の信用組合の破綻処理を円滑に進めるという観点から、破綻信用組合の受け皿となって預金者の預金の受け払いを行うとともに、不良債権の回収を積極的に行うというようなことを目的といたします整理回収銀行の整備をすることとしております。
しかしながら、整理回収銀行につきましては信用組合だけを対象にするという趣旨でありますが、信用組合以外の金融機関についても破綻が起きないという保証はなく、金融機関の破綻処理を円滑かつ迅速に進めるための制度の整備という四法案の趣旨に照らしてみますと、整理回収銀行は、本来、信用組合だけではなしに、銀行も含みます。その他の金融機関にまで対象を拡大すべきではないかというふうに思われるわけであります。
このような意味から、本法案はその点において不備ではないか、修正をすべきではないかという考え方もあるわけでございますが、政府において、この点について何らかの手だてが可能であるのか、そしてまた、この点についての問題はないというのか、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/213
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214・久保亘
○久保国務大臣 整理回収銀行の処理の対象を信用組合のみではなく一般金融機関にまで拡大すべきではないかという御質問でございますが、信用組合については、一昨年来、相次いで経営破綻が発生している現状や多額の不良債権を抱える厳しい経営状況を踏まえ、今般の預金保険法改正案において、臨時異例の措置として整理回収銀行による事業の整理を行う制度的な枠組みを整備したところでございます。
他方、信用組合以外の金融機関、例えば銀行等につきましては、その預金や貸し付けの規模が相対的に大きいことから、信用秩序全体や地域経済に与える影響等を考慮いたしますと、基本的には、その営業の整理、解体は適当でないこと等から、これらを事業の整理を主たる目的とする整理回収銀行の処理の対象とするのではなく、健全な金融機関への営業譲渡等の方法により処理を行うことが望ましいと考えております。
しかしながら、信用組合以外の金融機関の個別の処理におきまして、例えばその営業を健全な金融機関に譲渡する中で、不良資産部分は切り離して、これを資金援助の一環として預金保険機構が買い取ることが考えられます。このようにして預金保険機構が買い取った不良債権につきまして、その回収業務を整理回収銀行に委託し、積極的に回収するという方法が可能であります。
したがって、今後の金融情勢に適切に対処していく観点から、このような方策もとり得る有力な選択肢の一つとなり得るよう、必要に応じて体制の整備を図っていくこととしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/214
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215・尾身幸次
○尾身委員 預金保険法を含みます金融四法につきましては、この委員会の審議におきましても問題点が幾つか指摘されているところでございます。今指摘されましたようなさまざまな意見あるいは問題点の御指摘があるわけでございますけれども、金融機関の不良債権の解決というのが現下の急務でございまして、私どもはこの金融四法案を早期に成立させる必要があると考えているわけであります。
しかしながら、五年後には預金保険機構が預金の全額を保証するという制度はなくなるわけでありまして、少なくとも五年後は全体のシステムを見直す必要があるというふうに考えているわけであります。その点について政府のお考えをお伺いをいたしたいと思いますし、いずれにいたしましても、立法府といたしましては、この制度の発足後の運用状況につきまして引き続きフォローアップをしていく必要があると考えているわけでありますけれども、これにつきましての政府のお考えをお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/215
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216・久保亘
○久保国務大臣 金融四法案について五年後に見直すことも考えられるのではないかというお尋ねでございますが、これまで御審議いただいております金融関連法案の早期成立は、現下の不良債権の処理のための喫緊の課題と考えております。金融の問題は日進月歩とも呼ぶべきものがあり、委員御指摘のとおり、法案成立後制度運用していく中で仮に問題が生じてくる場合には、これを弾力的に見直すことを含め、不断に検討していくべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/216
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217・尾身幸次
○尾身委員 私どもは、この住専処理法案を含みます六法案は一日も早く成立させなければならないと考えているわけでありますが、私は、この関係法案の成立というのは、実は問題が解決したのではなくて、まさにこの法案の成立によって問題解決の糸口がついた、これから幾つかの問題を解決していただかなければならないと考えているわけであります。
今いろいろ質問をしたわけでありますけれども、大きく分けて四つの課題があると考えております。
一つは、二十一世紀に向けまして、いわゆる護送船団方式と言われている金融システムを直して、自己責任原則あるいは透明性というキーワードで考えられるような新しい金融行政への転換をすることであります。
二つ目は、関係機関の追加的な寄与も含めまして、結果として可能な限り国民の負担を軽減する措置を、早急に政府側として具体的な措置として決定をしていただくということであります。
三つ目は、先ほど来お話にありますように、徹底的な債権回収によりまして、正直者がばかを見るということがないようないわゆる公正、公平な社会、そういうものをつくり上げ、そして国民の信頼を回復することであります。
四つ目は、新しい時代に即応した農協系統金融機関、それからまた農協系統の組織の改革、再編成も行いまして、我が国の農業の未来を切り開いていく中核体としての役割を十分に果たしていただくようなそういう体制をつくり上げることであります。
いろいろな問題がありますけれども、大きく分けてこの四つの課題をこれから強力に政府として進めていただきまして、そして、結果として、この住専処理法案も含めました六法案を国会で通して本当によかったというふうにいずれかの日に国民に必ず思っていただくような、そういう対策をぜひ強力に始めていただきたいと思う次第でございまして、これにつきまして橋本総理の御決意をお伺いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/217
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218・橋本龍太郎
○橋本内閣総理大臣 挙げられました四点、一々長々とお答えするのもいかがかと存じます。
全力を尽くします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/218
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219・尾身幸次
○尾身委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/219
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220・高鳥修
○高鳥委員長 この際、栗原博久君から関連質疑の申し出があります。尾身君の持ち時間の範囲内でこれを許します。栗原君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/220
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221・栗原博久
○栗原(博)委員 本院におきまして、一月二十六日からの予算委員会でこの住専問題の審議に入りまして、きょうで約百三十日の日が経過しているわけであります。その間、特別委員会は九日間、約四十時間、十二分に審議されてまいったと思います。
その間・・(発言する者あり)今、私が質問している。その間において新進党の諸君が二十二日間ストライキをされた。私も実は米の自由化を・・(発言する者あり)最後まで聞きなさい。米の自由化を阻止をすることで私は同志に呼びかけまして、国会議事堂の正門で、厳冬のとき、二泊三日、食べず飲まず、実は抗議をしたことがございます。ですから、新進党の皆さんのそのお気持ちもわかる。わかるけれども、果たして国民がそれに対して理解を示したか。私は、今でも二泊三日の座り込みは、日本国の農業を守るため、あるいはまた我が国の食糧を守るためには間違っていなかったと常に自負している次第でございます。
さて、この間、私は十二分に審議を尽くしたもの、このように理解しております。橋本総理初め久保大蔵大臣、あるいはまた大原農林大臣を初めとする大臣各位には本当に真摯に御討議をいただきました。
さて、その中で、国際経済が為替の安定を求めて、そしてプラザ合意の中、先進諸国は我が国に対しまして、大蔵、日銀、政府挙げて円高の政策を実はとってまいったわけでありますが、それがちょっと行き過ぎたという中で、円高水準がちょっと高まったということで、我が国の経済の中で負担し切れなかったということが、実は円高不況を招いてまいったことは事実と思います。
この景気対策をするために、政府は懸命に円高に対しまして景気対策を行ってまいりました。そして、その景気対策は、金融対策が財政対策を上回った。その間、昭和六十一年から平成二年ころまでの間に、公定歩合は十三回いろいろ操作されました。最初は四・五%から、さらに終わるころは四・五でございましたが、その間二・五から六といろいろ下げ幅はありました。バブルがその中で実は起こってまいった。バブルが出てまいりまして、そしてこの住専問題という大変な問題が、狂乱物価、狂乱の、物が上がってまいった。(発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/221
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222・高鳥修
○高鳥委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/222
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223・栗原博久
○栗原(博)委員 それを、日本経済を、健全な政策をとるために、どうしてもこの金融の安定化と、そして預金者の、国民を守るために政府はこの住専問題を提示してまいったと思うのであります。六千八百五十億という財政負担でございますが、その財政負担につきまして、一番、やはり国民からも御批判がございます。しかしながら、最高の道徳である我々政治家、政治をつかさどる我々は、やはり謙虚に国民のこの御批判に耳を傾けて、そしてそれにこたえる、国民の納得される政治をやはり行わねばならぬと思うのでございます。
その中で、私は、今回政府で示してまいりました処理スキームが最も的確であり、合理性があり、そしてまた適切であるというふうに実は思うわけでございます。これは、橋本内閣が、最近の世論調査で支持率は五〇%を上回っている、これはまさしくこの住専に対する国民の評価が下されているものと思います。
さて、世界の各国も、特に米国のルービン財務長官は、G7の中におきまして、この住専問題について早く解決してほしい、そして日本の政府は内需主導型の景気回復を急いでほしいというふうに言っているわけであります。その中におきまして、この責任を果たすことが、この世界の要望にこたえることが政治の使命であると思います。
さて、総理、野党の方々が、六千八百五十億のことについていろいろ御批判はあります。よく国民一人が五千円の負担になると言っておりますが、本当に国民の不満は、今、年金受給者、こういう方々が、それに対しまして財政負担……(発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/223
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224・高鳥修
○高鳥委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/224
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225・栗原博久
○栗原(博)委員 国民の皆さんは、金利が安い、金利は〇・七五%でどうにもならないという……(発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/225
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226・高鳥修
○高鳥委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/226
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227・栗原博久
○栗原(博)委員 ところが、銀行は、この間におきまして、低金利の中で約二十五兆円、今回の三月期決算では三兆五千億の純利益を上げているわけであります。これに対して国民は納得できない。あるいはまた、高い時期に住宅を買って住宅ローンを返している方々、こういう方が、実際の土地あるいはまた建物が半分以下になってしまった、どうしてくれるんだと。それに対して、日々苦しみながらその住宅ローンの返済に当たっている。あるいはまた、我が国の経済……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/227
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228・高鳥修
○高鳥委員長 栗原君、質問の要点を、きちっと質問してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/228
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229・栗原博久
○栗原(博)委員 わかりました。
経済の中におきまして、失業率が三・五%になっている、三・五%に落ちている。中小企業の方々はこの景気の回復を一番望んでおるわけであります。
この中におきまして、私は総理にお聞きしたいのでありますが、まず、景気の回復を速めるためには、どうしてもこの住専問題を早期に解決し、国際信用を取り戻してほしい。そしてもう一つは住専処理機構、この住専処理機構が刑事訴追をしながらも果敢に行動をとってほしいということでありますが、この住専問題に絡みまして総理の決意をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/229
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230・橋本龍太郎
○橋本内閣総理大臣 今委員から御指摘がございましたように、我が国の景気は緩やかながら回復基調にあるとは言いながら、失業率あるいは有効求人倍率を見ましても決して気の許せる状況ではありません。そして、中小企業の経営環境の非常に厳しい状況であることは、本日の本会議においての御質問等でも明らかなことであります。
そうした中で、我々は、何としても民需中心の経済運営に現在の流れをつないでいかなければなりません。そして、その移行のためには金融の安定が必ず必要なものであります。
今日、我が国の金融機関の抱えております不良資産の処理というものが大きな課題になっておりますことは、今さら私が申し上げるまでもありません。そうした中で、その突破口として、私どもは住専の処理に全力を挙げようとしているわけでありまして、ぜひとも御協力を心からお願いを申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/230
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231・金子一義
○金子(一)委員 質疑終局の動議を提出……(発言する者多く、聴取不能)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/231
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232・高鳥修
○高鳥委員長 金子一義君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。……(発言する者多く、聴取不能)よって、動議のごとく決しました。(発言する者、離席する者あり)
静粛に願います。(発言する者多し)
ただいま質疑打ち切りの動議が出まして、それに対して起立多数で採決をいたしましたが、それについて、ただいま森本氏から抗議の発言をしたいということでありますので、五分以内で発言を許します。森本君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/232
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233・森本晃司
○森本委員 まず、委員長、私の顔を見てくださいよ。委員長、今、そっち側に書いてあるシナリオで突然金子さんが手を挙げたことによって、何にも、一見諮っているように見せかけながら動議、打ち切りというのは、余りにもこれはひどい話じゃないですか。いいですか、委員長。委員長は、金子さんの内容が全部聞こえましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/233
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234・高鳥修
○高鳥委員長 聞こえました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/234
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235・森本晃司
○森本委員 いいですか、金子さんが手を挙げただけの話ですよ。それなのに委員長、あなたはきょうに至るまで……(発言する者あり)だれだ、打ち切り動議、聞こえたと言うのは。
委員長、あなたは、きょうまでこのわずかの特別委員会の期間で、何回職権でこのことを始めているのですか。
いいですか。一回目は、趣旨説明のそのときに委員長職権でやったじゃないですか。そのとき私は、委員長、予算委員長がそういうやり方をしたけれども、そんなやり方はやめてもらいたいということを、私も、そして私の大先輩である、あなたにとって大先輩である小沢先生だってそのことを言ったじゃないですか。そのときあなたは、さも聞いているそぶりをして、後は知らぬ顔の半兵衛、そのときだけ済みませんという、そういうやり方。
今、そして僕思い出しましたよ。あの税制のときに、そのときの委員長はあなたで、きょうと同じやり方をやったじゃないですか。今、国民の税金を投入するのに、あなたのそのやり方は余りにもひどいし、次に、テレビが入ったときの総括質疑、あれもあなたは委員長職権でやったじゃないですか。そうでしょう。どうですか。あのときは委員長職権でやったかどうか、あなた、答えてくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/235
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236・高鳥修
○高鳥委員長 各党理事の協議がまとまらないときは、委員長がこれを裁定するよりいたし方ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/236
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237・森本晃司
○森本委員 だけれども、そのときに、一回目のことがあって、二回目、もっと真剣に委員長は、そのことに対してもっともっと与野党はよく話し合ってくださいという態度をとったのですか。そのとき、与党の諸君は我々に話そうとやってきたのですか。出ていくなら出ていけという格好でやっていたじゃないですか。今与党のおごりがそこにあるのですよ、委員長。委員長は、与党ではなく、院の委員長ですよ。もっと公平であるべきです。
そして、きょう三回目、我々がきのう十二時前までいろいろ議論して、そして私たちは、私たちの質問者があることもペーパーで出して、私たちの時間割りもペーパーで出したじゃないですか。委員長はきのうこのペーパーを、私たちのペーパーを見ましたか。どうなんですか。
それから、きょうまでの理事会の中で、委員長は、我々の審議時間を保証しますとたびたび言ってきたのは、あれはうそですか。何であれほど保証すると言ってきたのに、きょうの、たったこの人の、金子さんのぱっと手を挙げたことで、我々の保証を何にもしないで打ち切るのですか。
私たちは、質問時間にこれだけそれぞれみんな質問したいとまじめに取り組んでやったのですよ。我々は八十四時間の審議を要求したけれども、それでも私は、あるいは小沢筆頭が、党内の委員の一人一人にできるだけ最低時間を出したらと――委員長、聞いているのですか。聞いてくださいよ、人がまじめに話をしているときに。あなたのおかげで今混乱しているのですよ。
いいですか。ここに、小沢辰男先生以下、八十四時間を要求しながらも、四十三時間の、私たちそれでも縮小して縮小してどれぐらいいけるのかということで、それで四十三時間です。私も三時間出しました。
私は、まだこの委員会で一回も質問に立っていないのです。このことを申し上げましたら、ある与党理事が何と言ったか。あなたは本会議で質問をしたからいいじゃないですかという話でした。確かに私は本会議で二十分にわたる質問をさせていただきました。しかし、それは本会議のルールにのっとって、私が質問して総理等々がお答えいただいて、それで本会議は終わりで、私は総理と一問一答をやりたいのに、私はそれができない。委員会の席でぜひ私にやらせてくださいよ。
それから申し上げますよ。それから申し上げます。我々の同僚議員の北側氏の質問が途中で終わったとき、政府の答弁がいいかげんで質問が途中で終わったときに、その質問は後に回すと言いましたけれども、質問時間の限られた、こういった時間内で質問した人の質問が残っているのに、委員長、それもあなたはほごにしようというのですか。北側君の質問の権利を、あなたはそれをあなたの職権で打ち切るんですか。そんなやり方がありますか。
いいですか、委員長、きのう私たちが出したこのペーパーを見ていただきましたか、どうですか。返事してください、見たか、見なかったか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/237
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238・高鳥修
○高鳥委員長 拝見しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/238
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239・森本晃司
○森本委員 どんなお気持ちだったですか、これを見たときに。これを見て、我々野党の、今国民の九割が反対しているこの問題に対して、私たちが何とかいろいろ質疑をしたい。しかも先日からの質問をいろいろ聞いていまして、きょうの北側君の質問にしたって、大蔵省と農水省がそれぞれ違う答弁をして、連絡が十分に行っていないということで質問ができない。そういう答弁を再三再三繰り返してきて、それでも委員長はこの質疑を打ち切るつもりですか。どうなんですか、委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/239
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240・高鳥修
○高鳥委員長 もう既に申し上げておりますように、質疑打ち切りの動議が可決されております。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/240
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241・森本晃司
○森本委員 委員長はそんなやり方をするんですか。
じゃ、委員長、話を聞いてください。いいですか。この審議が始まって、そして、総括質疑でかけた時間が十三時間で、そのうち我が党に与えられたのが五時間三十分。私たちは一般質疑で八十四時間をぜひやりたいと、理事会で私たちは申し上げましたね。聞いていただきましたか、聞いていただかなかったですか、どうですか。私たちが八十四時間の要求を出したこと、委員長、答えてください。聞いたか、聞かなかったかですから、忘れるはずがない。まず、よもや記憶にありませんとはおっしゃらないだろうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/241
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242・高鳥修
○高鳥委員長 六法案、一法案一人当たり一時間として、六時間掛ける員数分ということで、そういう御要求があったことは承りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/242
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243・森本晃司
○森本委員 そうしたら、きはうまで我が党が質問した時間は何時間か、御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/243
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244・高鳥修
○高鳥委員長 それは、記録係に確かめないと、今すぐはわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/244
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245・森本晃司
○森本委員 委員部、我が党の質問した時間を今委員長に教えてくれ。何時間なんだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/245
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246・高鳥修
○高鳥委員長 委員部に確かめましたところ、二十一時間二十一分であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/246
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247・森本晃司
○森本委員 委員長、数字が違うよ。我々の八十四時間を要求したうちの、一般質疑の我が党の質問した時間は何時間かと聞いているんだ。(発言する者あり)
委員部もわからなければ、委員長、私が申し上げますよ。十時間十四分です。私たちに、八十四時間やって、十時間十四分。我々の要求から、七十三時間四十六分、委員長、残っているんですよ、私たちの。(発言する者あり)委員長、十時間十四分なんですよ。こういう状況で、審議が十分に行われていないことに対して、委員長が、今私が言っていても質疑は打ち切りましたと言ってやめることに対して、私は強い抗議をさせていただきます。
それから、委員長、もう一つ。委員長はこの公聴会については、当初、私の方の小沢辰男先輩から、公聴会を開くようにとおっしゃったときに、そのように検討します、協議しますとそのときは言っていた。いいですか。少なくともこれだけの問題を行うときに、公聴会なしで事を済まそうというやり方、商都大阪でやってはどうですかということまで我が方の、理事会で言ったじゃないですか。聞きましたか、聞かなかったんですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/247
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248・高鳥修
○高鳥委員長 委員長は、もっと早い段階で決めていただければ、公聴会をやるつもりでありました。しかし、残念ながら、会期末が迫ってまいりまして、参議院の審議のことも考えますと、残念ながら公聴会をセットするゆとりはないと判断いたしました。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/248
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249・森本晃司
○森本委員 委員長、早い段階でおっしゃっていただいたらということであれば、私どもはいつ言ったか、委員長、覚えていらっしゃいますか。私たちはいつ公聴会を要求したか、委員長、覚えていらっしゃいますか。初め、希望があればやると前向きな発言であって、そして、六月三日の夜、小里理事も理事会においてそういう発言をされた。全くやる意思がないと整理していたが、せっかくのお話ですのでよく検討させていただきたいと、翌日の参考人招致を控えて積極そうな発言をされた。それから日がわずかしかたっていないのに、参考人招致から何日たっているのですか。
それに、突然委員長は、きのうあたりになってきますと、参考人招致は今となっては時間がかかる、会期末を控えて公聴会をやることは御勘弁くださいとおっしゃった。いいですか。会期末を控えているから公聴会はやらないのですか。(発言する者あり)公聴会をやる趣旨は何ですか、委員長。何で委員長、それはやらないのですか。公聴会についての……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/249
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250・高鳥修
○高鳥委員長 先ほど申し上げたとおりです。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/250
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251・森本晃司
○森本委員 委員長、あなたがこうして知らぬ顔きいて、時が過ぎればやがて僕のあれが終わるか、あるいは途中で切って、終わりました、採決しましょうと言うのですか。あなたがその姿勢でいるならば、朝までやりましょうか、それだったら。(発言する者あり)これだけの問題ですよ。これだけの問題を、委員長は何でそういう形での強硬な採決をしようとされるんですか。我々は、採決されることについては絶対に賛成することはできない。
委員長、しかも我々の十分な審議をやるということについては、この委員会で我々が要求しただけではなしに、実は予算委員会のときからスタートしているんです。私たちが国民の声にこたえなければならないと体を張って行った政治的行為に対して、それをどうするかということになったときに、そのとき委員長はこの特別委員会の委員長ではありませんでしたけれども、五党が入って、そして議長までお出ましになって、そのとき合意文がつくられたんです、五党合意文。喚問の問題についても真摯にやろう、それからまた、審議については十分尽くそうという議長のあの采配があったからこそ、私たちはあのときにあの行動を、残念ながらやめて、立ち上がって、同時に、国家の予算もありますから、そして予算成立、やったんです。
しかもその後、私たちは四党合意をいたしました。その四党合意の合意文の中に、特別委員会を設置すること、それから、加藤証人喚問について真摯に対応し取り扱うと書いてあった。しかるにこの予算委員会で、加藤さんの問題については何一つ、証人喚問をしないで、参考人で終わってしまった。そういう委員会をやりながら、きょうまた審議が十分尽くされていない。四党合意も守られていない。審議時間も十分でない。しかも、私たちは、審議をやめると言ったわけではない。審議時間も十分でない。ぜひ私たちはやらせていただきたいと言って、委員の名簿と、そして質問項目と、そして遠慮した最低質問時間を出してやったのに、それに委員長は何も知らぬ顔でいくんですか。(発言する者あり)
いいですか、委員長。委員長がそのことについて知らぬ顔されるんであれば、私はここから、このときに、だれがどれだけの時間、質問をしたか、一人一人、質問を希望したか、その内容について皆さんにわかっていただくために、これから読み上げますよ。
私の大先輩、小沢先輩からは、政治家の責任論について、最低二時間やりたい。
私、森本は、六千八百五十億円となった積算根拠等、そして選良としての政治家の発言、公党の約束について、三時間やりたい。
松田理事は、項目はたくさんございました。加藤問題、国際金融市場における住専処理スキームの評価、ジャパン・プレミアム、情報化の進展が金融業に及ぼす影響、財政政策と金融政策のベストミックス、これで三時間。(発言する者あり)参考人には立ちましたけれども、まだ一度も質問に立っていません。(発言する者あり)そうです。
安倍基雄先生。住専処理機構の運営とノンバンクへの影響、母体行責任論、保険料の算定基礎、ノンバンクの今後の取り扱い、三時間。安倍先生、三時間ですね。
愛野興一郎先生。まだ一度も質問をしていただいておりません。住専問題の責任はどこにあるのか、住専はなぜ大蔵省主導で育成したか、連鎖破綻の原因と責任、二時間。
これは、委員長だけじゃなしに、各閣僚の皆さんも聞いていてください。こんなときに眠っている場合じゃないですよ、こんなときに。いいですか。
江田五月先生。新進党の住専処理策、債権回収の方法、土地の流動化対策、金融行政の改革、住専処理への十の疑問、四時間。江田先生、四時間ですね。項目も。
加藤六月先生。不良債権の現状、金融機関の破綻処理における受け皿の相違の理由、公的支援の基準と財政危機拡大の懸念、経営責任の遡及の有無、四時間。加藤先生、四時間です。(発言する者あり)少ないとまだ言っています。加藤先生は、本当は六時間やりたいというのを四時間に抑えてもらったのです。
一つ一つ全部読み上げます。
鹿野道彦先生。行政、政治、銀行の責任、二次損失、処理期間、第三者機関設置、個別業務に対する国会への報告。それぞれ関係大臣、聞いておいてくださいね。鹿野先生、二時間。
北側一雄君。この間からいろいろとやっていますけれども、まともな返事が一つも返ってこない。早期是正措置の発動基準とその内容、預金者の自己責任原則、ディスクロージャー、ノンバンクの不良債権問題、東京共同銀行の債権回収状況、住専と個人向けローン、破綻金融機関の処理方式、公的資金導入の原則、遠慮して二時間。
笹川堯先生。住専問題、金融行政改革について、金融三法について、四時間。
鮫島先生。農協法による系統金融事業の規制について、協住ローンの経営について、早期是正措置に対する行政裁量について、金融行政のあり方について、四時間。
野田毅先生。住専処理機構の回収能力。きょうも立っていただきましたが、時間が足りないということで残念ながら終えていただきましたけれども、あと四時間希望されています。二次損失への公的負担経緯と根拠、住専処理に係る政府案の破綻の懸念、四時間。
平田米男さん。住専債権の時効延長問題、預金保険制度とモラルハザードの関連、金融と製造業シェアの低下問題、四時間。
村井先生。早期是正措置の基準、破綻金融機関の更生……(発言する者あり)私は、あなたにとやかく言われることはない。我々の委員がきちっときのう書類を出して、これだけやりたいということを委員長や閣僚の皆さんに知っていただきたい、そのために申し上げていることでありまして、とやかく言われることはない。あなたが一言言えば時間が長引くのです。そのことを知ってください。
村井先生。早期是正措置の基準、破綻金融機関の更生手続の対応の矛盾、監督官庁からの会社更生の申し立て権による権限強化。
なお、橋本疑惑に関してそれぞれの時間をとっております。
今、きのう出させていただいただけでこれだけの人たちが、まだまだやりたい、やりたいと言っているのです。
いいですか。これは我が党だけで縮小した時間です。市民リーグの皆さんだって、この間から参考人招致で二分とかそういう時間で、海江田さん、何の審議ができますかね。海江田さんのところは、オブザーバーで出てきて、言えない苦しみを持ちながらも、何とかその時間の中でやろうとやっているのです。委員長、そういったことについて委員長はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/251
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252・高鳥修
○高鳥委員長 森本君に申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/252
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253・森本晃司
○森本委員 委員長、私は、今声をからして話させていただきましたことに対しての、委員長は我々のこうした要求に対してどう考えているか、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/253
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254・高鳥修
○高鳥委員長 先ほど申し上げましたように、森本委員は、抗議の発言もさせないのかということでありますので、五分間ということでお願いをしたところであります。もうかなり超過をいたしております。さらに、この委員会は法案処理の後も続くわけでありますので、どうぞまたたくさん機会をつくりたいと存じますから、御協力願います。(発言する者あり)どうぞ御協力をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/254
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255・森本晃司
○森本委員 これだけのものを要求し、これだけのことを、今委員長は職権によって打ち切ろうとしているときに私どもは、声をからし、そして何とか我々に質問の時間を与えてもらいたい。北側君の質問は、委員長、現実に残っているのですが、どう取り計らってくれるのですか。北側氏の時間についてはどうなんですか。委員長、せめてそれぐらいは答えてくださいよ、北側氏の残っているの。委員長、残っているのです。北側さん、あなたはこれから質問をやったらどうですか。(発言する者あり)
委員部、北側さんのが残っているか残ってないか、明確に言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/255
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256・高鳥修
○高鳥委員長 どうぞ御協力をお願いいたします。――どうぞ、質疑は既に打ち切られておりますので、御協力願います。(発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/256
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257・森本晃司
○森本委員 委員長、私どもは、まじめに審議をしたいと言っているんです。きょう委員長が職権で開会して、そして、我々に回ってきたペーパーの中に討論、採決と書いてある。採決と書いてあるけれども、恐らく委員長はやってくるな、だけれども私どもは、こういった国会の中で、私たちは体を使って委員長に危害を加えるとかそんなことは一切やらないでおこうということでここへ来たんです。(発言する者あり)いいですか。それで私どもは、しっかりと私たちの要望をつけ加えさせていただこうと、発言をさせてもらおうということをみんなで打ち合わせしてここへやってきているんです。委員会らしく私どもはやっているのに、委員長はまたしても……(発言する者あり)何ですか、総理。今何かおっしゃった……(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/257
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258・高鳥修
○高鳥委員長 どうぞ御協力をお願いします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/258
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259・高鳥修
○高鳥委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。(発言する者、離席する者あり)
まず、内閣提出、特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者、離席する者あり)
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/259
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260・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。(発言する者あり)よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(発言する者あり)
次に、内閣提出、金融機関等の経営の健全性確保のための関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者、離席する者あり)
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/260
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261・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は可決されました。(発言する者あり)あなた方の方がみっともない。
次に、内閣提出、金融機関の更生手続の特例等に関する法律について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者、離席する者あり)
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/261
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262・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は可決されました。(発言する者あり)ひどいですよ。離して、手を離して。いや、だめです。(発言する者あり)そういうわけにいきません。
次に、内閣提出、預金保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者、離席する者あり)
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/262
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263・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は可決されました。(発言する者あり)だめだよ。
次に、内閣提出、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者多く、離席する者あり)
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/263
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264・高鳥修
○高鳥委員長 ……またまた……(発言する者あり)それをよこしなさい。
次に、保岡興治君外五名提出、特定住宅金融専門会社が有する債権の時効の停止等に関する特別措置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者、離席する者あり)
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/264
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265・高鳥修
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は、原案のとおり可決すべきものと決しました。(発言する者あり)
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願います。(発言する者あり)御異議ありませんか。(発言する者あり)
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/265
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266・高鳥修
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。(発言する者あり)
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〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/266
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267・高鳥修
○高鳥委員長 本日は、これにて散会いたします。
午後五時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604059X01019960606/267
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