1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年六月十二日(水曜日)
午後零時六分開議
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○議事日程 第三十八号
平成八年六月十二日
正午開議
第一 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
第二 歯科医師法の一部を改正する法律案(厚
生委員長提出)
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○本日の会議に付した案件
一、民事訴訟法案及び民事訴訟法の施行に伴う
関係法律の整備等に関する法律案(趣旨説明
)
以下 議事日程のとおり
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X02619960612/0
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001・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
民事訴訟法案及び民事訴訟法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X02619960612/1
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002・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。長尾法務大臣。
〔国務大臣長尾立子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X02619960612/2
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003・長尾立子
○国務大臣(長尾立子君) 民事訴訟法案及び民事訴訟法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
現行の民事訴訟法は、明治二十三年に制定され、大正十五年に全面的に改正されましたが、基本的には大正十五年改正当時の手続の構造が維持されております。しかし、その後の社会の変化や経済の発展等に伴って民事紛争も複雑多様化しており、現行法の規律については、現在の社会の状況に適合していない部分が生じております。また、裁判に時間と費用がかかる等の民事訴訟の現状に対するさまざまな問題点が指摘されている状況にあります。そこで、民事訴訟法案は、これらの問題点に対処する見地から、民事訴訟を国民に利用しやすくわかりやすいものとするために、新たな民事訴訟法を制定し、民事訴訟手続の改善を図ろうとするものであります。
以下、この法律案の要点について申し上げますと、第一は、事件の争点が何であるかを早期に明確にし、適正かつ迅速な裁判を実現するために、争点及び証拠の整理手続の種類を多様化するとともに、その内容を充実するなど、争点及び証拠の整理手続を整備することであります。
第二は、当事者が充実した審理に向けて十分な準備をすることができるようにするために、文書提出命令の対象となる文書を拡張するとともに、その手続を整備するなど、証拠収集手続を拡充することであります。
第三は、少額事件を訴額に見合った経済的負担で迅速に解決することができるようにするために、請求額が三十万円以下の金銭の支払い請求事件について、一般市民がより利用しやすい特別の訴訟手続である少額訴訟手続を創設することであります。
第四は、最高裁判所が憲法判断及び法令解釈の統一という重大な責務を十分に果たすことができるようにするために、上告について上告受理制度を導入するとともに、決定事件について許可抗告制度を導入するなど、最高裁判所に対する上訴制度を整備することであります。
なお、この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、また、現行の民事訴訟法につき所要の整理をし、必要な経過措置を定めております。
政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院におきまして、文書提出義務の一般義務化の対象とする文書から、公務員等がその職務に関し保管し、または所持する文書を除くとともに、附則において、これらの文書を対象とする文書提出命令の制度について、行政情報の公開のための制度に関して行われている検討と並行して、総合的な検討を加え、その結果に基づいて必要な措置をこの法律の公布後二年を目途として講ずるものとする旨の規定を設けること等を内容とする修正が行われております。
次に、民事訴訟法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、民事訴訟法の施行に伴い、民法ほか四十三の関係法律の規定を整備し、所要の経過措置を定めるものであります。
以上が民事訴訟法案及び民事訴訟法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の趣旨であります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X02619960612/3
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004・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。魚住裕一郎君。
〔魚住裕一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X02619960612/4
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005・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 魚住裕一郎でございます。
平成会を代表しまして、ただいま趣旨説明のありました民事訴訟法案につきまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
まず、本題に入ります前に、先般の法務大臣の本会議における答弁に対し質問をいたします。
一昨日、住専処理法案に関連し、金融機関等の寄与に関する株主代表訴訟に関し答弁がございました。取締役の善管注意義務違反、忠実義務違反について、その義務違反の有無の判断に当たって、「金融システムの安定性を確保する等の観点からの金融機関の寄与については、この点に関する国会における御議論や政府としての考え方等もこの諸般の事情の一つとして裁判所の判断に当たって考慮されるもの」というものであります。
しかし、この発言は、住専処理につき国民的関心が寄せられている状況の中において、今後起こるであろう株主代表訴訟事件につき法務大臣の発言として裁判官に予断を与えるものであり、司法の独立の上からは憲法に抵触しかねない、まことに不適切なものと言わざるを得ません。一般論的な表現とはいえ、具体的事件の裁判過程、裁判官の心証形成に重大な影響を与えかねません。ひいては国民の裁判を受ける権利を侵し、結果として株主の財産権を侵しかねません。
右の発言につき、法務大臣の御説明をお伺いしたいと思います。
さて、この民事訴訟法案は、明治二十三年制定の現行民事訴訟法の大正十五年の大改正以来、七十年ぶりの全面的見直しであります。七十年間で、時代、社会、経済の大きな変化発展がありました。この変化発展に伴って民事紛争は複雑多様化し、国民の権利意識の向上に伴って国民相互の法的紛争も増大してまいりました。そして、何といっても、明治憲法から現行日本国憲法に移行し、天皇主権から国民主権となり、司法権は最高裁判所及び下級裁判所に属し、行政裁判所は廃止されたのであります。一方、行政の肥大化、行政国家現象は、国民生活の隅々まで行政の影響、規制が加わり、その行政との紛争も増大してまいりました。
このような変化のもと、人権の擁護、権利実現、紛争解決のサービスを提供する司法の果たすべき役割、国民の期待というものは、ますます大きなものとなってきております。
これに対し、司法の現状はどうか。例えば、ファストフードでは安くて早くてうまいが鉄則であります。紛争解決手続というサービスを提供する裁判制度に、費用が高くて、時間がかかって、言葉も難しくて自分の主張を聞いてもらったのかどうかわからない、これが国民の皆様の率直な気持ちではないでしょうか。
民事紛争が増大しているにもかかわらず、他の解決方法を利用する傾向もなきにしもあらずというのでは、司法設定者の国家としてはゆゆしきことであります。
このたびの民事訴訟法案が、民事訴訟を迅速で手続を社会の要請にかなったものとし、そして国民に利用しやすくわかりやすいものにするとの目的は大賛成であり、司法の改善へ一歩前進という意味で評価するものであります。しかしながら、見過ごすことのできない重大な問題もございますので、以下、若干質問をさせていただきます。
まず第一に、司法の規模という点をお伺いいたします。
二十一世紀を指呼の間に迎えた現時点において、二十一世紀を見据えた司法のあるべき姿をどのように思い描いておられるのか。この点につき、総理、法務大臣にお伺いいたします。
裁判制度ができました明治二十三年、裁判官の定員は一千五百三十一人でありましたが、日本の総人口は三千九百九十万人でございました。敗戦後の昭和二十三年、総人口は八千万人と増加したにもかかわらず、裁判官定員は逆に一千百九十七人と減少いたしました。平成八年、裁判官定員は二千五十八人、これに対し日本の総人口は一億二千五百三万人となっております。人口は明治二十三年に比べて約三倍になっているにもかかわらず、裁判官定員では約丁三四倍になったにすぎません。
裁判官の数で言えば、諸外国に比べても、例えばアメリカの裁判官は連邦、州を合わせて三万百七十人、イギリスは三千百五十六人、ドイツの裁判官は一万七千九百三十二人、フランスの裁判官は四千五百九十一人となっており、裁判官の少なさは、裁判官一人当たりの人口で見ても六万七百五十五人であり、断然の一位となっております。
しかも、事件数で見ると、民事行政事件の昭和二十四年の地裁新受件数が約十一万件なのに対し、平成六年では約八十五万件となり、約七・七倍にはね上がっているのであります。
人口あるいは事件数から申し上げましたが、この状態では、現場の裁判官が増大する事件処理に追われているという姿が目に浮かぶようであります。充実した、そして迅速な審理・裁判のためには、そして人権擁護並びに違憲立法審査を行う司法の役割を果たすためにも、まずはこのような人的物的な司法基盤の改善が第一ではないかと考える次第であります。
この司法基盤の拡大、改善という点につきまして、総理並びに法務大臣の御所見をお伺いいたします。
次に、本法律案の中で、文書提出命令に関して質問いたします。
政府原案では、公務員の職務上の秘密に関する文書、いわゆる公務秘密文書については、監督官庁が判断して承認をしない文書は文書提出の義務を負わない、その結果、その文書は法廷に出せない、当事者がどんなに必要としても利用できないというものでありました。これに対し、マスコミ、消費者団体、弁護士会などが一斉に反対意見を表明し、衆議院での審議もこの一点に集中しておりました。
確かに、原子炉「もんじゅ」の資料隠し、エイズの資料隠し、さらに住専の資料隠し等をおもんばかった場合、到底国民の理解、支持は得られません。公害訴訟、消費者問題訴訟、住民訴訟など現代型訴訟では公文書が真相解明、紛争解決の決め手になる、そこに多くの国民が文書提出命令に対し期待しているものであります。
文書提出命令の対象となる文書を拡張すると言いながら、その実、提出するか否かの判断権を司法から取り上げ、行政庁に専属させてしまう、まさに情報公開の流れに逆行する後ろ向きの原案でありました。
衆議院では、この点に修正が加えられ、公文書については再度検討することを前提に現行法と同じ扱いにするというものであります。後ろ向きから、裁判例の積み重ねが損なわれない、現状を維持するという意味からは一定の評価はするのですが、単なる先送りではないかと考えます。製造物責任法制定のときにもこの点は民事訴訟法へと先送りにされ、今般また、民事訴訟法ではなく情報公開法の議論を待ってという結果になっております。
このいわゆる与党修正につき、政府原案を作成された法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
次に、この修正では、附則二十七条が追加され、二年を目途として、情報公開制度と並行して総合的な検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとなっております。
そこで、法務大臣にお伺いいたします。
この総合的な検討を加えるというのはどのような機関で行うのか、政府原案をつくった法制審議会で行うのか、はたまた、法曹三者のみならずマスコミ関係者も加えた機関で行うのでありましょうか。その検討過程では、公務秘密文書の秘密の要件、提出義務の判断権のあり方、さらには公務員の証人尋問に際しその承認手続・証言拒否の要件のあり方、また、いわゆるインカメラ手続を含め審理方式につき、司法権を尊重する立場からの検討が予定されているのでありましょうか。
今回の修正は、私文書の文書提出については一般義務化されましたが、公文書については従前のままという、手続的にも内容的にも大きな官民格差が生じております。官民格差の不合理性是正への再検討が加えられるのでしょうか。
また、その検討に当たっては、審議経過を適宜公開し、国民、各界の意見に十分耳を傾けながら進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。法務大臣の御所見をお伺いいたします。
この文書提出命令をめぐっての衆議院での議論を見ておりますと、ある一定の方向があるのではないかと思います。すなわち、公務秘密文書の秘密性判断は裁判所が行うべきこと、その判断のために提示手続、いわゆるインカメラの対象とすべきこと、秘密性の判断基準はできる限り厳格にすべきこと、三権分立の枠組みから司法と行政のバランスをとった一定の配慮が必要なことであります。
右の各要点につき、法務大臣の御所見をお伺いいたします。
次に、もう一つの問題は、弁論準備手続を原則非公開の密室審理とした点であります。
憲法八十二条は、「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ」とあります。対審は公開でなければならない。当事者が主張し、証拠を出し合う、この攻撃防御が公開でなければならないということであります。裁判の重要な過程の公開を要請しているのであります。これを裁判官の職権で弁論準備手続に付し、かつ裁量的な傍聴許可の制度、そして当事者双方の申し立てがなければ口頭弁論に戻れないというのであれば、例えば国を相手とする訴訟で国民的関心のある事件であっても、密室のまま争点整理がなされてしまう、結果陳述のみが口頭弁論でなされるということになります。
裁判は、結果のみならずその過程が重要で、過程が公開されて初めて公正が担保されて、国民の信頼を得るものと考えるのであります。私は、この弁論準備手続は憲法八十二条の要請する対審の公開に反するのではないかとの疑念を持ちますが、この点に関し、総理並びに法務大臣の御所見を承りたい。
次に、最高裁判所への上告制限についてお伺いいたします。
趣旨説明では、憲法判断、法令解釈の統一という最高裁判所の重大な責務を十分に果たすことができるようにするためとの説明でありました。しかし、この責務はそれ自体を目的とするものではありません。当事者が時間と費用をかけて行ってきた訴訟の結果として、憲法判断、法令解釈の統一がなされるものであります。何よりも紛争解決、当事者救済がその目的であります。
そうすると、何ゆえに最高裁判所への上告制限を行うのか不明であります。もし最高裁判所裁判官の負担減が目的であれば、上告制限に賛成できません。裁判官を増員する、あるいは調査官を大幅に増員すべきではないでしょうか。権利実現という本来の司法の役割からして、上告制限は本末転倒と考えます。冒頭でも申し上げましたように、最高裁判所の人的物的な拡大こそ正しい方向であると考えます。
総理のこの点についての御見解をお伺いして、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X02619960612/5
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006・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 魚住議員にお答え申し上げます。
まず、司法のあるべき姿についてお尋ねがありました。
二十一世紀に向けて我が国社会の複雑多様化、成熟化、国際化などの動きが一層進む中で、各種の法的紛争を適正迅速に解決し、また、刑罰権の適正な行使によって社会秩序を維持するという司法の役割に対する期待は、ますます高まるものと考えております。司法は、このような国民の期待と負託に十分にこたえ得るものである必要があると考えております。
次に、社会経済の動きに対応し司法がその職責を果たしていかれるためには、訴訟手続の見直しとともに、裁判所の人的物的な充実を図ることも当然重要なことだと思います。この点に関しましては、従来から裁判所におかれましても所要の措置を講じてこられたところでありまして、今後とも適切に対応されるものと考えており、政府としても十分に協力をしてまいりたいと考えております。
次に、弁論準備手続が憲法八十二条に違反しないかとのお尋ねでありました。
弁論準備手続は、個々の民事訴訟事件につきまして争点と証拠の整理を行う手続であり、口頭弁論期日において本格的に審理を行う前段階としての準備の手続でありますので、憲法で公開を要するものとされている対審には該当せず、憲法八十二条に違反するものではないと思います。
最高裁判所に対する上告制度の改正の目的及び最高裁判所の人的物的拡大についての御意見をいただきました。
今回の改正目的は、憲法判断や法令解釈の統一という最高裁判所の本来の使命を十分に果たしていただくことにあります。今回の改正は、最高裁判所の人的物的な拡大という御指摘の問題とは別に、このような目的を実現するために最高裁判所に対する上訴制度を手続面から見直し、上告については上告受理の制度を採用し、あわせて新たに決定に対する許可抗告の制度を採用するものでありまして、司法の役割としての適切な改正であると考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣長尾立子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X02619960612/6
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007・長尾立子
○国務大臣(長尾立子君) 魚住議員にお答えを申し上げます。
まず、六月十日の参議院本会議における前田勲男議員の質疑に対する私の答弁についてのお尋ねでありますが、この点につきまして釈明をさせていただきます。
我が国の憲法におきましては三権分立を定めており、この趣旨からいたしましても、政府が司法に対して意見を述べる立場にはないという点については十分承知をいたしており、私の答弁も司法に対して影響を与えることを意図したものではございません。
私の答弁につきましては、マスコミにも報道され、誤解を与えた点があったとすれば遺憾であり、適切ではなかったと思っておりますので、御理解いただきたいと存じます。
次に、司法のあるべき姿に関するお尋ねでありますが、今後の社会経済構造の変化、国際化等の動きに伴い、法律関係、利害関係は一段と複雑多様化していくと予想されます。そして、これに対応して、司法の場において法的紛争を適正かつ迅速に解決するとともに、さまざまな形態の違法行為に適切に対処する必要性はますます強まっていくものと思われます。
したがって、今後、司法の果たすべき役割は一段と重大なものになると考えております。二十一世紀を見据えた司法は、このような国民の期待やニーズに十分にこたえるものでなければならないと考えております。
次に、司法の人的物的な充実に関するお尋ねでありますが、司法がその職責を果たし、適正かつ迅速な裁判を実現することは極めて重要であります。
本法案は、適正かつ迅速な民事裁判を実現するためのものであります。この改正が実現されれば、裁判実務における運用の一層の改善と相まって民事裁判の迅速化が図られるものでありますが、これとともに裁判所の人的物的な充実を図ることも必要な事柄であると考えております。
この点につきましては、従来から裁判所において、逐次、裁判官の増員など所要の措置を講じてこられたところであり、今後とも適切に対応されるものと存じますが、法務省としても十分に協力してまいりたいと考えております。
次に、文書提出命令に関する規定の修正についてのお尋ねでありますが、この修正は、行政文書についての政府原案の規定には強い批判があることにかんがみ、今回の改正による文書提出義務の範囲の拡張は民間文書に限って行うこととし、附則において、行政文書については、行政情報の公開制度に関して行われている検討と並行して、総合的な検討を加え、必要な措置を講ずることとしたものであると理解しております。
本法案を御可決いただきました場合には、この附則の趣旨を踏まえまして、速やかに再検討を加え、必要な措置を講じる所存であります。
次に、検討の方法及び対象並びに審議の経過の公表についてのお尋ねでありますが、検討に当たっては、御指摘の秘密の要件のあり方、提出義務の存否についての判断権のあり方及び審理方式等の点を中心に、行政情報の公開一般についての制度や、公務員を証人として尋問する場合の取り扱い等との関係を含めて、総合的な観点から検討を加える必要があるものと考えております。
また、この問題は民事訴訟手続の基本に関するものでありますので、法制審議会の調査審議を経ることが適当であると考えておりますが、その具体的な検討の進め方及び審議の概要の公表等につきましては、この問題の性質、内容等にかんがみ、適切な方法を考えてまいりたいと存じます。
次に、文書提出命令における官民格差の是正についてのお尋ねでありますが、衆議院法務委員会におきましては、附則第二十七条の検討に当たり不合理な官民格差を生じない方向で再検討を加えるよう努力すべき旨の附帯決議がされておりますので、その趣旨を踏まえ、適切な検討を進めてまいりたいと存じます。
次に、文書提出命令をめぐる衆議院での議論の方向についての所見のお尋ねでありますが、公務員の職務上の秘密に関する文書の取り扱いにつきましては、これまでの国会の審議におきまして、御指摘の諸点をも含め、種々の観点から、今後の検討に当たり考慮すべき大変貴重な御指摘をいただいたと認識しております。
次に、弁論準備手続についてのお尋ねでありますが、この手続が憲法八十二条に違反するものではないことは、先ほどの総理の御答弁のとおりであります。
なお、本法律案においては、公開の法廷で争点の整理を行う手続として準備的口頭弁論を設けておりますので、御指摘のような国民的関心の高い事件につきましては、準備的口頭弁論を用いることになるものと考えております。
また、弁論準備手続におきましては、裁判所が相当と認める者に傍聴を許すことができることとするとともに、当事者が傍聴を求める者については、手続を行うのに支障を生ずるおそれがあると裁判所が認める場合を除き、その傍聴を許さなければならないこととして、現行の準備手続におけるよりも傍聴に配慮しているものであることに御理解をいただきたいと存じます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X02619960612/7
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008・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X02619960612/8
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009・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第一 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長宮崎秀樹君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔宮崎秀樹君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X02619960612/9
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010・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 ただいま議題となりました法律案につきまして、御報告申し上げます。
本法律案は、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の実施に伴い、内閣総理大臣等が、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、同協定に定める共同訓練、国際連合平和維持活動または人道的な国際救援活動に必要な物品及び役務をアメリカ合衆国軍隊に対して提供できることとするものであります。
委員会におきましては、同協定の適用範囲、物品及び役務の種類、リムパックにおける海上自衛隊艦艇の誤射事故等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して聽濤委員より反対の旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X02619960612/10
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011・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X02619960612/11
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012・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X02619960612/12
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013・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第二 歯科医師法の一部を改正する法律案(厚生委員長提出)を議題といたします。
まず、提出者の趣旨説明を求めます。厚生委員長今井澄君。
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〔議案は本号末尾に掲載〕
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〔今井澄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X02619960612/13
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014・今井澄
○今井澄君 ただいま議題となりました歯科医師法の一部を改正する法律案につきまして、厚生委員会を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
近年、歯学・歯科医療技術が進歩し、また、人口の高齢化等を背景に国民の歯科医療ニーズが多様化、高度化していること等に伴い、歯科医師の資質の向上が強く求められております。こうした中で、歯科医師免許取得直後の臨床研修の重要性が増しております。
しかしながら、現行の歯科医師法においては臨床研修に関する規定は設けられておらず、昭和六十二年度から国の予算事業として開始された公私立大学附属病院での期間一年の臨床研修と国立大学附属病院で実施されている臨床研修を合わせても、歯科医師免許新規取得者の半数程度が参加しているにとどまっています。
このため、歯科医師法を改正して臨床研修を歯科医師の努力義務として制度化し、臨床研修の実施を推進することを目的としてこの法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
第一は、一年以上の臨床研修を歯科医師の努力義務とすることであります。
第二は、臨床研修を行う機関を大学の附属病院または医療関係者審議会の意見を聞いて厚生大臣が指定する病院もしくは診療所とすることであります。
第三は、臨床研修を行う機関の長は、実施した臨床研修について厚生大臣へ報告することとすることであります。
なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六十日を経過した日としておりますが、臨床研修に関する規定は、同日以降に実施された歯科医師国家試験に合格した者から適用することとしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X02619960612/14
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015・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X02619960612/15
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016・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十三分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X02619960612/16
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