1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年五月二十二日(木曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 綿貫 民輔君
理事 自見庄三郎君 理事 野呂田芳成君
理事 谷津 義男君 理事 柳沢 伯夫君
理事 鹿野 道彦君 理事 中井 洽君
理事 枝野 幸男君 理事 松本 善明君
赤城 徳彦君 臼井日出男君
大原 一三君 金田 英行君
熊代 昭彦君 阪上 善秀君
谷 洋一君 中谷 元君
中山 利生君 福田 康夫君
船田 元君 松永 光君
山口 俊一君 山本 公一君
伊藤 達也君 石垣 一夫君
石田幸四郎君 倉田 栄喜君
斉藤 鉄夫君 富田 茂之君
永井 英慈君 西田 猛君
増田 敏男君 宮本 一三君
安住 淳君 池田 元久君
海江田万里君 末松 義規君
木島日出夫君 畠山健治郎君
前田 武志君 土屋 品子君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 三塚 博君
国 務 大 臣
(内閣官房長官)梶山 静六君
出席政府委員
内閣参事官 安富 正文君
内閣審議官 畠中誠二郎君
内閣審議官 白須 光美君
内閣官房内閣安
全保障室長 三井 康有君
内閣法制局第三
部長 阪田 雅裕君
人事院事務総局
職員局長 佐藤 信君
行政改革会議事
務局参事官 坂野 泰治君
総務庁長官官房
長 河野 昭君
総務庁長官官房
審議官 西村 正紀君
総務庁長官官房
審議官 瀧上 信光君
総務庁行政監察
局長 土屋 勲君
法務省刑事局長 原田 明夫君
大蔵大臣官房金
融検査部長 中川 隆進君
大蔵大臣官房総
務審議官 武藤 敏郎君
大蔵省理財局次
長 戸恒 東人君
大蔵省証券局長 長野 厖士君
大蔵省銀行局長 山口 公生君
大蔵省銀行局保
険部長 福田 誠君
大蔵省国際金融
局長 榊原 英資君
証券取引等監視
委員会事務局長 若林 勝三君
国税庁次長 堀田 隆夫君
自治省行政局長 松本 英昭君
委員外の出席者
特別委員会第三
調査室長 田中 達郎君
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委員の異動
五月二十二日
辞任 補欠選任
杉浦 正健君 阪上 善秀君
倉田 栄喜君 石垣 一夫君
末松 義規君 海江田万里君
同日
辞任 補欠選任
阪上 善秀君 杉浦 正健君
石垣 一夫君 倉田 栄喜君
海江田万里君 末松 義規君
五月二十一日
日本銀行法案(鈴木淑夫君外四名提出、衆法第
二九号)
金融委員会設置法案)鈴木淑夫君外四名提出、
衆法第三〇号)
は本委員会に付託された。
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五月二十二日
地方分権の一層の推進に関する陳情書
(第三四五号)
地方事務官制度の廃止等に関する陳情書外一件
(第三四六号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
金融監督庁設置法案(内閣提出第六六号)
金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備
に関する法律案(内閣提出第六七号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/0
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001・綿貫民輔
○綿貫委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井英慈君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/1
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002・永井英慈
○永井委員 新進党の永井英慈でございます。
質問をさせていただきますが、その前に、委員長さんにちょっとお尋ねしたいのですけれども、この委員会は行政改革に関する特別委員会でございます。行政改革は、橋本政権の六つの最重要課題の第一に挙げられているわけですね。きょうこの委員会が開かれるわけですけれども、聞くところによりますと、所管大臣の総務庁長官は御出席されないというお話を伺いました。最重要課題を審議する当委員会に所管大臣が不在であるということ、これが一点。それからもう一点は、官房長官、恒例のようでございますけれども、十時半から四十五分間中座をされるということ。そうしますと、残るのは三塚大蔵大臣ただ一人ということになるわけですけれども、最重要課題を審議する委員会で閣僚の出席がこういう状態でいいか、こういう日程の組み方でいいか、こういう委員会の設定のやり方でいいか、私は大変疑問を持っているのです。
そう何回もこういう席で私は質疑をしたことはございませんが、地方議会を長いこと経験しました。きちっと理事者、説明当局は出て対応をされるわけです。ところが、国会というところは地方議会と全く違うのかもしれません、いろいろ日程の設定についても政治的な意味合いとかそういうものもあろうかと推察をしておるわけですけれども、その辺、きょう今開会された当委員会、この件について、委員長さんのお考えをまず伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/2
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003・綿貫民輔
○綿貫委員長 永井さんにお答えいたします。
委員会の運営は、御存じのように、各党代表の理事の皆さん方と御協議をして、合意の上で運営をさせていただいております。
当委員会も、各党の代表の理事の方々と御相談の上、この委員会の運営につきましては、所管大臣として官房長官ということになっておりまして、その他、例えば今お話しの総務庁長官を、出席要求があればその都度お願いをして出席していただくということで御同意を得て運営しておるわけでございます。
今、所管の大臣が総務庁長官とおっしゃいましたけれども、我々理事会では官房長官ということになっておりまして、それとあわせて大蔵大臣の、お二人の御出席があれば運営する、こういうことになっておるわけですから、そういうことでございますから、御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/3
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004・永井英慈
○永井委員 そうしますと、確認しますけれども、私も薄々は承知していたんですが、この所管大臣は梶山官房長官、そして行政改革その他についての所管は総務庁長官、こういうふうに理解をしてよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/4
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005・綿貫民輔
○綿貫委員長 設置法でございますので、これは内閣官房長官が所管大臣ということになっております。その後の運営の問題とかその他につきましては、またその都度大蔵大臣と協議をするとか、あるいは総務庁の長官が御答弁申し上げるというときには御要望があれば来ていただくということで、この委員会におきましては、お二人がおそろいであれば運営できるということにさせていただいておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/5
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006・永井英慈
○永井委員 ということは、当初から私は総務庁長官の出席を求めておったのですけれども、来られなくてもどうということはないということでございますね。(発言する者あり)要求しているんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/6
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007・綿貫民輔
○綿貫委員長 それは、後からもう一度理事会でお話しいたします。
速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/7
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008・綿貫民輔
○綿貫委員長 速記を始めてください。
それでは、永井さん、今おたくの代表の理事の方ともお話しいたしまして、何かちょっとそごがあったようでございますから、決して、御要求のものに対して出席しないとかそういうことはございませんので、御了解の上、よろしくお願いします。
後から、また理事会でお話しします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/8
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009・永井英慈
○永井委員 大変、冒頭から不穏当な話をしてしまって恐縮でございますが、まず、今回の金融監督庁の設置法案につきましては、かなり長い時間審議も各党されまして、かなり問題点は洗い出されているのかな、こういうふうに理解をしております。そういうようなことで、実は私は、何回も重複するのを避ける意味で、行政改革あるいは地方分権、こういったことを中心に、またこの設置法案にも絡んで御質問申し上げたい、こういう気持ちがあったのでございますけれども、まあそれはそれとして、理事会でそういうことになったようでございますので、私も理解をいたします。
そこで、橋本総理の掲げる最重要課題、六つの改革、一つ行政改革、二つ経済構造改革、三つ金融システム改革、四つ目として社会保障構造改革、五番目に財政構造改革、そして、ややおくれて出た感じでございますが、六つ目に教育改革が挙げられ、六つの最重要課題が出ておるところでございます。
そこで、こういう法案の出し方というか、改革の手法ですね、六つ一遍に同時にブルドーザーで押し出すようなやり方はどうも無理があるのではないかという各方面からの識者の声も、私は聞いております。私自身も実はそう思っております。この六つの大改革、一つやるにもちょっとやそっとじゃない。それを六つ一遍にやっていこうというんですから、まさに、火の玉になっての改革というのは表現としてはぴったりしていると私は思うのです。しかし、六つやるのはいいけれども、手順がある、順序がある、筋道が大事であろうと私は思うのです。
今回の行政改革、この六つの改革をやる前に、今回の金融監督庁の設置法案が出てきたわけです。聞くところによれば、ことしの十一月末までに中央省庁の再編の案ができ上がる。それに先行する形で今回の金融監督庁の設置法案が出されたわけでございますが、私は、総理が挙げた六つの改革の中で一番最優先、また最も最初にやるべき課題は行政改革、その行政改革の中でも、ともすれば規制緩和が声高に叫ばれておりますけれども、地方議員をやったせいかどうかはわかりませんが、私は、地方分権をまず徹底的に推し進めるべきだという考えを持っておるのです。
なぜかといいますと、日本の政治、行政の構造を、私は、強固で強大な極端な中央集権体制と位置づけております。この中央集権体制を支えているのが実は政官業の、癒着という言葉はぐあいが悪いですから、一体的にこの集権体制を支えておられると思う。大蔵大臣にしても官房長官にしても委員長さんにしても、長いことこの国会、永田町におられて、権力の体制の中におられて、全体像をあるいは見失われているのかなという気持ちさえするのです。
というのは、私ごとになって恐縮ですが、私は百姓のせがれで生まれて、小さな企業を経営して、そして地方議員を三期ばかりやって、そのあげくに浪人もして、その後平成五年にここへ来たわけです。そうすると、体制とか権力から遠く離れておりますと、その弊害とか、いいところもそうですけれども、よく見えるのですね。山へ入ったら山が見えないということをよく言いますけれども、私はまだ入ってから浅いですから、遠くから見ていて、その中央集権体制のすごさ、政官業一体の構造、これがすごくよく見えるのです。
そこで、まず官房長官にお伺いしますけれども、日本の今の、中央集権体制とよく言われますけれども、このことについて官房長官の所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/9
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010・梶山静六
○梶山国務大臣 冒頭、記者会見に出る時間が長いのか回数が多いのかどうかわかりませんが、御指摘を賜りまして、大変恐縮に存じます。
よく記者クラブともお話し合いをしなければなりませんが、内閣官房長官というのはいわば政府の広報の窓口でもございます。そして、国民にいろいろなことを、行政の内部を知らせませんと、国民の情報不足になってはいけない。そういうところから、議会の時間をちょうだいしてその時間を充てているわけでございますので、どうか御理解のほどを願いたいと思います。
それから、今六つの改革を並べられて、それには順序があるだろう、確かにそのとおりだと思います。しかし、それぞれは一つのものをめぐって関連し合っております。行政改革と財政改革と全然関係がないかというと、密接不可分にかかわっております。それぞれがかかわっておりますから、六つの改革を総理は掲げて、それにはその切り口をどこから始めるか、そしてその関連がどこに出てくるか、そういうものを見定めながら、政府内部としてはタイムスケジュールを組みながら、それぞれの関連とそれぞれの主体、そういうものを目指して今この改革に取り組んでいるというのが現状でございます。
それから、委員は地方議員を、私も実は四期十五年地方議員をやっておりました。地方議員から出てきてまず、ヨシの髄から天井をのぞくと私自身は自分の心境を言ったのですが、私は、地方というフィルターを通じて中央政治を見て今日までまいりました。それぞれの利点、欠点がございます。
しかし、日本が今日の近代国家、果たして完成した近代国家と言えるかどうかわかりませんが、かつて、鎖国、封建社会から近代国家を目指した明治維新、その以前は確かに、これは藩閥政治で完全な、逆を言えば民主的な地方政治の集合体が幕府というものを形成し、そういうわけでありますから、三百諸侯という名のいわば完全な、今でいう地方自治の完成したものというべきか、地方政府と言っていい、それぞれに今でいう課税権もあるいは徴兵制度もあるいは農地の面積の割りつけもやれた、そういう一つの藩閥政治があったことは御案内のとおりであります。
しかし、近代国家を形成するに、やはりスケールメリットがなければできないということ、それから、それぞれの人間、同じ国民でありながらそれぞれ違った制度でやっていてはとてもうまくいかない。ちょうど今我々は、日本という国家の中から逆に、今第三の開国と言われているのは国際化、国と国の違いを余り持たないようにしようということが行われているわけであります。明治維新以前の藩閥政治から見ますと、明治政府以降は、いかにして近代国家をというのは、国をいかにして一つにするかということに大きな目標が置かれたことは御承知のとおりであります。そして、中央集権と一言に言いますが、教育にしろ、いろんな分野で中央にあらゆる権限を集めてまいったわけであります。そのことが日本の近代化を逆に進めたという一点は間違いなくございます。
国が道路網の整備をし、あるいは鉄道網を敷設し、官業で新しい重工業を起こす。教育は世界に冠たる、今でこそ各国とも熱心でありますが、なけなしの金をはたいて、義務教育制度を世界で一番、初めてと言ってもいいほど文盲率の少ない日本をつくり上げた。この近代国家の道というのは、私はやはり、中央集権で同じ言葉で同じ字で同じ表現ができる単一の国家を形成したところに日本の近代化が進んだと思いますし、それをなしたもとは中央集権というか、国を一つのものにするという一つの動きが今日まで続いてまいった。
しかし、戦後、やはり民主主義というものは地方自治からでなければならない、地方自治にこそ民主政治の根幹がある、そういう考え方に立って、おいおいに今まで地方自治というものが拡大し、拡張をされ、権限も若干ずつ参ったわけであります。しかし、今の事態、まだそこまでいっていないという点もあります。
確かに、明治以来今日まで続いた中で、よらしむべし、そういう体制があったわけでありますから、どちらかというと我々地方自治体側は、中央政治の上からいろんなお仕着せをちょうだいすれば、それを巧みに組み合わせて着物をつくって着ておったというのが地方自治の本態であったのではないかな。みずから選択をするという分野は極めて狭かった。これではやはり本来の地方自治と
いうものは成り立たない。
それから、長い産業の歴史を見ても、中央集権という、中央に力を集めることによって今まで日本の国の近代化を進めたけれども、これからは逆に、中央というものから地方にフィードバックして、それぞれの地方の力を生かすことによってもう一回の活力を求めなければなりませんし、また、住民に一番身近な問題は本来その地方地方で行われることが賢明なわけでありますから、そういうものに向かって今地方分権というものが叫ばれ、それも、いわゆる中央から眺めたものではなくて、内外の方々の英知を絞りながら、地方分権委員会の方々が懸命な、昨年答申をいただきましたし、この近くにもまた答申が出て、それを行政が受けとめてどうするか、今そういう作業を繰り返しているのが現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/10
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011・永井英慈
○永井委員 大体認識は一緒でございます。というのは、明治以来の我が国の歴史は、まさに官房長官が申されたとおりの歴史であったと思うのです。ただ、ここへ来て中央集権、肥大化し、強固になり過ぎておる、この点は私はかなり深刻だと思うのです。
その中で特に、これはマスコミ用語かもしれませんけれども、政官業の癒着とか、あるいは利益誘導の構造とか、あるいは族議員のばっことか、いろいろなことが、マイナス面が取りざたされておるわけでございますが、官房長官、この辺についてはどうお考えになっておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/11
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012・梶山静六
○梶山国務大臣 あるいは、一つには国民性というか、そういうものもあるのかもしれませんが、どちらかというと、我々日本人という民族は、和をもってとうとしとなすという風潮が強いわけであります。よく言うように、農耕民族であり、騎馬民族ではない。それともう一つは、やはり日本人自身の文化というか、そういうものがいわば朝鮮半島あるいは中国大陸から直接、あるいは台湾、フィリピン等から海洋を伝わって、何千年という長い間、それぞれの西なる文化が東進をして、そして最後の東の島に集積をした、いわば混合文化ともいうべきもの。
混合文化というのは、過去の権威、例えば儒教は儒教として認め、仏教は仏教として認め、キリスト教はキリスト教として、それぞれの存在を認め合う、いわば集合文化であります。これは、その他の国々は、単一文化と言っていいのか、何と言った方がいいのか、私そういう学問的な表現を知りませんが、それぞれのものは、片方のものが入れば片方のものを排撃するという思想があります。
そういうことでまいりますと、日本のいわば企業経営にしろ何にしろ、家族制度的経営をする、これがある意味で日本の成功の原因だとすら数十年前はほかから評価をされた時代もあるわけであります。
今やだんだん国際化が進んでまいりまして、そういうことではなくなりつつありますが、私は、やはり今の状態は、それぞれが癒着と言うと言葉が悪いけれども、協調という言葉も反面にはあるわけでありますから、それをあながち全部断ち切って、それが癒着というか悪い方向であれば断ち切るべきでありましょうけれども、少なくとも、まるっきり別なものだという認識でやってまいると相当なエネルギーが必要になる。
それが改革のエネルギーだと言えばそれっきりかもしれませんが、そんなに一挙に政と官を割り切って、まるっきり官は官で、行政府は向こうでやりなさいということよりも、ここは国権の最高機関であり唯一の立法機関で、日本は法治国家ですから法律に基づいて動いているわけで、これと官がある意味でうまく相まってやっていかなければそれはうまくまいりませんから、私は、必ずしもそういうものを絶対排撃をするという立場ではありません。
しかし、余りにも混在化をして今日その弊害が高まってしまった、今そういう時代背景があろうかと思いますので、勇気を持ってこういうものを断ち切っていかなければならない時代だ、このように認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/12
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013・永井英慈
○永井委員 わかりました。
日本文化として、和をもってとうとしとなす、私はすばらしい言葉だと思うのです。
そこで、戦後、全部とは言いませんけれども、池田内閣以降、各政権が掲げたスローガンというのですか、今の言葉ではコピーと言うのでしょうか、これをちょっと拾い出してみたのです。そうしたら非常に、今官房長官が言われたような日本民族、日本文化を的確に表現しているような用語が実はいっぱいあるのです。
ちょっと御紹介させていただきたいのですが、それらはすべて内向きなんですね。非常に不思議なんです。
池田内閣「寛容と忍耐」、有名でありました。佐藤内閣「寛容と調和」、田中内閣になりますと「決断と実行」、三木内閣「対話と協調」、福田内閣「協調と連帯」、大平内閣「信頼と合意」、鈴木内閣「話し合いによる和の政治」、ほとんどそうですね。それから中曽根内閣「思いやりと責任、戦後政治の総決算」、これはちょっと異議があるのですけれども、後でも話をさせてもらいます。竹下内閣「大胆な発想と誠実な実行」、宇野内閣「改革前進内閣」、海部内閣「対話と改革」、宮澤内閣「変革と実行」、細川内閣「責任ある変革」、羽田内閣「改革と協調」、村山内閣「人にやさしい政治」。
そして橋本内閣、私はこれはよくわからなかったのです。それで調べてもらいましたら、ことし一月二十日の所信表明演説の中に出ていた言葉がありました。「改革と創造」というのですね。(発言する者あり)私が承知しているのでは「改革と創造」。ちょっと資料を持っているのですが、どちらでも、まあそんなようなことでございまして、日本の文化を、あるいは日本の国民性というのですか、これを見事に表現しておるような気がしてならないわけでございます。
ところが一つ、「戦後政治の総決算」と中曽根内閣、大きくぶち上げました。私は、ちょっと話がそれて恐縮ですが、異議ありなんです。
戦後政治、戦後が終わったというのは、多分一九六四年ごろだったと思うのです。経済白書に出ておりました。それから機会あるごとに、戦後は終わった、もう戦後は終わったという言葉が使われましたけれども、私は、今日振り返ってみて、戦後が完全に一〇〇%は終わっていないけれども、終わったのは一九八九年、平成元年のように思われるのです。
特に経済の面で、戦後の高度成長経済がぷっつりと一九八九年、平成元年に終わっておる。それからもう一つは、申し上げるまでもなく、東西冷戦構造の崩壊でございまして、私はこの中曽根さんの「思いやりと責任、戦後政治の総決算」、この「戦後政治の総決算」、戦後政治はまさに平成元年に終わったと。
それで、この平成元年から、実はいろいろな変革が求められるようになってきていると思うのです。ですから、今どの政治家も、どの政党も、改革を言わない人はいない、それだけ歴史的に改革が求められていると私は考えるのです。そこで、先ほど申し上げました日本の強固な、巨大な肥大化した中央集権を改革すること、これが一番大きな仕事であろう、このように考えて御質問を申し上げたところでございます。
そこで、ちょっと私の意見も言わせていただきたいと思うのですが、私は、この各歴代内閣のスローガンを見ますと、みんな内向き、そしてみんな仲よく、非常にいいのですね。しかし、外に向かって、海外に向かって日本の政治が発信を積極的にしているというふうにはとれないわけです。
そこで、ちょっと長ったらしくて恐縮なんですが、皆さんにも聞いていただきたいと思いまして、「地球社会と共に生きる文化の国・日本」の創造、そして国内的には特に、市民が主役の市民の時代を築くこと、私は、この二本のスローガンを掲げて地方議員時代から二十数年間仕事をやってまいりました。
その中で、もっともっと積極的に日本の改革を進めなければいかぬ、橋本内閣のとおりでありますが、そこで、その本論に入る前に、これまた皆さん、よく図表や新聞や書籍を持ち込んで御紹介をしております。私も、それにまねるわけではないんですが、橋本内閣が発足する直前、一昨年の秋、この本を出しました。かなり勇気を持って、これ、袋だたきに遭うかなと思って出したところが、社団法人日本図書館協会の選定図書というお墨つきをいただきまして、袋だたきも半分になったかなと喜んでおる一面もあるわけですが、そこの一文を、ちょっと今の話とダブるかもしれませんけれども、お許しをいただいて、紹介をさせていただきたいと思います。
いま、戦後五〇年を経て、二十一世紀も指呼の間に迫り、私たちの住む日本と約六〇億人の人びとが住む地球社会は、環境や資源の制約による地球有限の時代に突入した。一方では、社会主義陣営が敗北する形で終結した冷戦後の新しい世界秩序を模索するなど、有史以来の文字どおり人類が経験したことのない大変革が始まっている。
そのなかで、経済大国に成長した日本の責任は大きく重い。明治維新、そしてあの第二次世界大戦後の大転換につづく、三度目の『新生日本』への壮大なる挑戦なくして、地球社会への貢献、福祉国家の実現は難しいのではないか。
申しおくれましたが、これは「序にかえて」ということで書いたところでございます。「「地球社会と共に生きる文化の国・日本」への決意」と、ちょっと大げさに書いたのですけれども、そこで、
なぜなら、戦後の日本は貿易立国をめざして経済的に奇跡とも言われる大成功をおさめ、経済大国、債権大国としての地位を築いたとはいうものの、膨大な貿易黒字に対して円高や貿易摩擦という形の外圧が強まっているほか、バブル経済の崩壊をきっかけにした長期の不況、また複合的な中央集権体制による行政の硬直化など、政治・行政・経済・社会システムの構造的、体制的なこれはストラクチャーでございます、体制的な行き詰まりが抜き差しならないところまで広がってきているからである。
言ってみれば、今回の六つの改革も、この中央集権体制の行き詰まりを打破するための改革と言ってもいい、私はそのようにも理解しておるわけでございますが、
この数年、政治改革、行政改革が声高に叫ばれてきたとはいえ、その成果が決して満足できるものと言えなかったことは周知のとおりである。二十一世紀を見据えたうえで、明治維新や敗戦による大転換と同様の、否、それ以上の抜本的な変革、もっとドラスチックな、革命的な転換をなし遂げなければ、わが国は現在の豊かさを維持し得ないし、将来の繁栄も期待できないのではないだろうか?
地球は「小さな星」と言われるが、複雑で実に巧妙にできているかけがえのない生命体である。そして、いまや地球社会の平和と安定なくして、通商国家日本の繁栄も、私たちの幸福もあり得ない時代である。地球社会はますます狭くなり、相互依存の度合いを深め、国家間、地域間の協調と共生が求められている。
これからの日本は、ODAやPKOなどの国際協力、また対外投資や輸入の拡大など経済活動をベースにした新しい国家理念や国家目標を内外に示し、同時にグローバリゼーションの時代に適応できなくなった日本の政治・経済のシステムを検証、厳しい自己改革を断行して『新生日本』にふさわしい国づくりに挑戦しなければならない。モノ、カネの豊かさによる幸福感から、心や文化の豊かさを追求する文化の国・日本の創造に取り組まなければ、日本は立ち行けない。その実現に向けて行動することが、地球市民としての私たち日本人の責任であり、また日本という国、地域社会、産業社会の市民として生活している私たち日本人の務めである。
それで、これからちょっと質問なんですが、
医師は患者の病状を的確に診断し、その結果により適切な治療を行い健康を回復させなければならない、とまったく同様に、政治家はたえず正確な時代認識のもとに、状況認識のもとに、明確な対応策をもって、危機を未然に回避しなければならない。時代認識は政治家にとつて、きわめて重要である。医師の誤診により、患者の生命が断たれ、政治家の時代誤認により、祖国の衰亡の悲劇を招いた例は枚挙に暇がないことを強調しておきたい。
ざっと私の基本的な考え方を述べさせていただきました。
そこで、歴史認識、一昨年盛んに論議を呼びましたけれども、それと全く同じように、私は、時代認識、現実に政治に携わっている政治家の時代認識というのは極めて重要であると考えます。
そこで、官房長官と大蔵大臣、御両人に御認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/13
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014・三塚博
○三塚国務大臣 時代認識ということは、現代と未来をどう見るかという視点、そして過去をどう見るかという分析、反省ということから生まれるものであると思っております。いろいろ高邁な見解を、御指摘を御披露いただきました。それぞれがそれぞれであると思います。
そういう中にありまして、今日の時代認識ということを率直に申し上げさせていただきますと、戦後五十二年、経済大国ということで驚異的な目を持って見詰められた時代は数年前でした。昨今、日本、どこに行くのであろうかという、評論家だけではなく、外国の各位からも言われるようになりました。
そういう中で、みずから顧みて見てまいりますと、国家目標をどこに明確に立てていくのか。私流に言いますと、よき伝統と文化をしっかりと守り抜いていくことから展望が開けると私は思っておるのであります。
しかし、その伝統と文化はまさに真髄でありまして、その発露は、守り抜くというためにどうするかというと、国家の誇りを、国民の誇りを守り続けるということであります。自分がすべてということであり、自分は世界人、地球人だという認識はよろしいのでありますが、民族性、国家というものが存在する限り、その基本の腹構えを、心構えを逸脱してまいりますと、さまよえる子ということになるのではないでしょうか。
それぞれが国家を形成し、国家が今日あることを身に体して取り組むということであれば、日本人の持つよさ、和をもってとうとしとなすというお話がありましたが、忍耐、我慢強く、よって自分の人格をもって相手を同化していく、感化をしていく、このことはなかなか難しいことですけれども、しかし、難しいからというので勝手気ままであってはならぬわけでしょうし、言行一致の中で、そのことの共有の友人を持つということも大事なのでしょうか。
結論を申し上げます。
六改革がどういうことなのですかという前段からのスタートであります。これをやらなければ間に合わないというところに我が国の立場が追い込まれてきておると言った方がいいのでありましょうか。今までの手法のように、歴代内閣のそれぞれのスローガン、キャッチフレーズ、政治目標とも言えるものが出されました。出された背景は、御案内のとおり、いろいろなぶつかり合いの中で、いろいろな騒動の中でやってまいりました折の内閣の誕生でありますから、それはそれとして歴史的使命はあったと思います。思います中で、ここまでまいりますと、このまま従前の方式だけで、都合のいいとき和をもってとうとしとなすということでは、この危機的状況は突破できないのではないか、これが現代人、特に政治の衝にある者、腹を据えていかなければならぬところであります。
そういたしますと、経済国家であるということであれば、経済がグローバルに国際的基準にならなければなりませんでしょうし、それは、全力を尽くして、経済界、行政だけではなく本来は経済界の仕事であります。財政構造改革、まさに税を徴収して政治を行っておるわけでございますから、税のあり方と歳出のあり方、この問題をどう考えるか。いや、よくなるまで借金をしていこうか、そのうちよくなって、高度経済成長であればその成長率によって返すことができるだろうなと。かつてのケインズ経済学がそこから威力を発揮した時代でありましたが、今、ケインズ経済学は世界経済の中で取り上げられるところではございません。財政の構造改革が言われるゆえんもそこにあります。
累積した借金は利子を払わなければならないことになりますし、企業じゃありませんけれども、延滞債権から不良債権、破産債権になってしまったら国家破産債権、経済の実態も国の財政も同じであります。私どもは、そういう認識を持ちますから、この時点においてやるべきことはやり抜いていかなければならないなと。血が出ます。痛みを伴います。しかし、その血はそのときの血でありまして、回復をして前進をするということが展望を示して御理解をいただければ、健康体に戻るわけでございますから。
限られた時間ですからこれ以上の申し上げようがありません。要すれば、言われておった社会保障にしろ経済構造にしろ金融システム改革にしろ、そして財政構造改革にしろ、そして最終的に教育改革、人間のあり方ということなのでしょう。人間であることは、地域民であり市民であり県民であり国民であるという原点、これを踏まえなければ個人はないのだと思うのです。ですから、誇りある日本人ということに、尊敬される日本人ということになるわけでありますから、そういうことで教育基本をどう見るかということも大事なことだ、ここに来るわけであります。
あしたが大事であります。しかし、やはり子と孫、次世代のことを考えるというのが現代の大人の責任ではないでしょうか。これは、ひとり政治家だけの責任ではないと思っております。そういう点で時代認識を持たさせていただくということが大事なのかなと。
批判の点はあろうかと思いますが、これは私の、政治家また人間として考えておる物の考え方を申し述べさせていただきました。ここまで来ますと、個人の考えは、立場が違っても全然変わりません。そういうことで、今後も、共有、同友の士を求め、頑張っていかなければならぬ、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/14
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015・永井英慈
○永井委員 私の期待したところとはちょっと乖離があるかな。改革の必要性を強調されました。よくわかりました。
そこで、梶山官房長官にも同じ質問で御答弁をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/15
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016・梶山静六
○梶山国務大臣 大変難しい広範な問題ですから、即座に全部答えることができませんし、なお、記者会見の時間も参っております。
ただ、一つ、その時代認識ということを申し上げますれば、今委員が、過去、歴代の総理のそれぞれのキャッチフレーズをお並べになりましたけれども、あの変遷を見ればまさにそのとおりでありまして、当初、お互いにやはり、和をもってというか大家族主義というか護送船団方式というか、遅いものを何とか先に進むものが守りながら行く、そういうのが政治体制であったわけですが、最近の総理大臣のあれを見ますと、随所に出てくるのが創造であり変革だということは、今までのままではやっていけない時代に入ったという認識があるからでありまして、決して急激に出た言葉ではありません。
それは、戦後、日本を支えてきたというより、世界の体制であったこの米ソ二大対立の中での、我々はいわばアメリカ側というか自由主義陣営、それから社会主義陣営、ソ連を中心としたものがありますけれども、私たちはその一翼にというかその傘下にあることによって自由貿易の利益を享受することができた。それから、防衛やその他に関しても保護を受けられた。そういう時代であったわけですが、その間一貫して、いろいろなことはそう大きな変化はなかった、むしろ、アメリカの後ろについていけばよかっただけのものと言うと言い方がおかしいかもしれませんが。
しかし、そのアメリカの敵であったソ連が、経済的な、いわば効率性、能率性という問題で崩壊をしてしまった。そして、軍事国家ではだめで、やはり民生を高めていかなければならないという時代が世界に到来をした。教育水準やあるいはそれぞれの条件の違いはあっても、人間が幸せになるためには経済を大きくしなきゃならないということが大変世界各国で求められ、今までは、ヨーロッパやアメリカや日本、その先進数カ国の人間が物をつくり、物を流通し、世界の経済をリードしてきたわけであります。ですから、十億足らずの人と言ってもいいのでしょう。今この六十億になんなんとする世界の人口の上で、恐らく、全部が参加をできないとしても、四十億、五十億の方々がいわばその経済の競争に参加をしている時代でありますから、これを見ますと、今まで、先進国に何とか追いつこう、ようやく追いついたなという満足感、それと違って逆に、これから後なる発展途上国が、かつて日本が欧米先進国に追いつき追い越そうとやったと同じような状態が世界に生まれつつあるということ。
そして、委員が御指摘のように、野方図なことはできない。資源や環境のいわば有限性という問題が言われるのでありますから、国際社会の中で一つの秩序をつくらなければならない。なおかつしかし、競争というものが激しくなったということになれば、国際化という、好むと否とにかかわらず、いろいろなハードルを越えていくべき時代に参ったという認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/16
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017・永井英慈
○永井委員 お二人から現在という時代の認識一についてそれぞれお伺いしたわけでございますが、やはり政治家一人一人が、言ってみれば同じ世界あるいは社会の現象をとらえるのに、随分違うものだなという印象を受けたわけでございます。
私の時代認識もちょっとお聞きいただき、その上でまた質問もさせていただきたいと思うのですが、今や、世界も日本も、そして政治も行政も経済も社会も、そして人類も、今まで経験したことのない激動、激変の歴史的な時代の転換期の真つただ中に私たちはおると思います。
したがって、従来の価値観や従来の価値体系、こうしたものの転換あるいは変革あるいは再構築が厳しく求められていると思うのです。今までどちらかというと、無限の人類の欲望に対しては無限の自然、無限の環境が供給されていたような気がするのですが、今や、人類の欲望は限りなく広がってはいくけれども、環境とか資源とかエネルギーとか人口とか、そういう面で大きな制約を受ける時代になりましたから、やはりそれに相応する人類普遍の価値体系のようなものが求められているのではないか。
ただ、そうかといって、そう申す私が高邁な理論や理想を申し上げるほどの力もございません。しかし、それでも具体的に申し上げますと、一九八九年、くしくも平成元年に当たりますが、さまざまな変化が顕著にあらわれ始めた、これが平成元年だと私は認識をいたしております。
まず、冷戦の悲劇の象徴とも言われたあのベルリンの壁が破られ、あの激しく争われた東西の冷戦にも幕がおろされたわけでございます。これは、私は革命的な出来事だと思っております。国際政治やあるいは安全保障の面ではかなり歓迎すべきこと、よかった、これで世界も全面核戦争、どうも遠のいてしまった。非常に大きな喜びを覚えた反面、これからは日本経済、この東西冷戦構造の崩壊の激震の直撃に遭う危険がある。でもタイムラグがあるから、その激震が日本へ届くのは恐らく十年ぐらいかかるだろうと思っていましたところ、私の考えるところでは、五、六年で既に日本経済を直撃しているわけでございます。その典型的な例が産業の空洞化であろう、私はこのようにとらえているわけです。
そして、国内的に見ましても、リクルート事件が発覚し大変な騒ぎとなりましたし、また、この年に消費税が三%導入されました。そして、夏の七月の参議院の選挙で、御案内のとおり初めて与野党が逆転するという大きな政治の変動があったように記憶をしております。そして、それと連動するような形で、一年間で竹下内閣、宇野内閣そして海部内閣と、三つの内閣ができてはつぶれ、つぶれてはできた、こういう珍しい年でもございましたし、また、日本労働組合総連合会が十一月二十幾日だったかと思います、発足をしまして、日本の労働界も新しい時代を迎えたわけでございます。
そして、私のとり方では、この一九八九年、平成元年、バブルの絶頂期の年ではなかったかな、このようにも思っております。それからさらに、放送・通信の世界でのデジタル技術が長足の進歩を遂げまして、マルチメディアの時代の幕あけという指摘もございます。そしてさらに、先ほどのお話と関連するのですけれども、二極構造の崩壊によって我が国がいや応なしに一元化した国際社会に引っ張り出された、あるいは登場せざるを得なかった、こういうことが平成元年に次から次へ起こっているのですね。
私は、この年は後世の史家がどう評価するか知るすべもありませんけれども、楽しみにしているぐらいの注目すべき年であったと思います。
こうした出来事に続いて、ことしが平成九年ですから約十年になります、地球の温暖化、酸性雨、砂漠化など、地球有限の時代がかなりこの間鮮明になってまいりました。続いて、人口、食糧、資源、エネルギーなどの面でも厳しい対応が求められておる。とりわけ、人口が多く、穀物収穫の少ない、生産の少ない我が国では、厳しい対応が求められております。加えて、我が国では、これまた有史以来経験したことのない少子・高齢化が急速に進んで、深刻な事態に直面していると私は認識をしております。
さらに、二極構造の崩壊と、円高にもよりますけれども、産業の空洞化と価格破壊という言葉が生まれまして、価格破壊が日本経済、産業に大きな影を落とすとともに、雇用にも大きな不安が広がっていることは御承知のとおりでございます。産業の空洞化と流通機構の変革により、既存の商店街は、歴史的なすごい町並みの商店街が大きな打撃を受けるに至っているわけです。
また、バブル経済の崩壊による不良債権の大量発生、これも今まで経験したことはございません。そして、それに伴う、今私たちが議論しておる金融不安が拡大をしております。
それから、さらに言えば、戦後の経済を支えてきた大きなポイント、これは本来大蔵大臣にお伺いしたいところですけれども、私の方からちょっと感想を申し上げますが、戦後の日本経済を支えてきたのには、いろいろなことは別として、労働とかそういうことは別として、二つの要素があると私は思うのです。一つは土地神話、一つは土地本位制ということです。しかし、この土地本位制と土地神話がバブルによって完全に崩壊してきているわけであります。
それから、米の輸入自由化の開始と米余り現象、これもかなり深刻な農業経済の問題になろうと思っております。さらに、未曾有の財政困難に直面しておることは申し上げるまでもございません。
それから最後に、こうした難問に次ぐ難問が続出していながら、政治が混迷を深めておる。言ってみれば、こうした大きな問題を解決していく、克服していくには、政治が機能しなければいけない。先ほどの六つの大きな橋本政権の改革も、政治が安定し、政治が機能しなければ、この大事業はやり遂げられない、このように私は深刻に考えているところでございます。
ところが、今だらだらと申し上げてきました大きな変化、これが相互に複雑に刺激し合い、絡み合い、影響し合いながら、私たちの想像を超えるスピードで同時進行しているということです。私は、今の時代をこのようにとらえております。
そこで、まずお伺いしたいことは、戦後半世紀以上たって、というよりは明治以来終戦まで、日本は他国に見ない近代化、成功をおさめた反面、一九三〇年代から四〇年代にかけて、大きな失敗をしました。御承知のとおりであります。戦前の失敗が第二次世界大戦に突入し破局に至ったことであるとすれば、戦後半世紀の最大の失敗、失政、これは大蔵大臣、どんなふうに見ておられるでしょうか。
成功の歴史はありました。言ってみれば、戦後の日本の半世紀の歴史は成功の歴史とも言いかえられるぐらい、ある意味ではすごかった。それは、自民党単独政権がそれなりに政権を安定させて冷戦構造の中で政治をやってきた、その成果であろう、こう評価する一面もありますが、その反面、影の部分、負の部分、失敗の部分、大きく言えば失政の部分はどんなところにあるか、お伺いしたいと思います。
〔委員長退席、柳沢委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/17
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018・三塚博
○三塚国務大臣 大変難しい問題であります。広範な戦後史五十年を振り返り、功罪相半ばするという論点、その失敗の原因は何と心得るか、せんじ詰めますとそんなところなんでしょうか。
戦後五十年は、これからの五十年に向かう貴重な経験の時代であったと思っております。しかし国の方針は、議会制民主主義の中で、日本の責任において戦争はやらない、外交その他の至難な問題を軍事力をもって解決をしないという基本目標を明示をした九条があるわけでございます。その中で全力を尽くしてきたことは間違いありません。その成果が今日の日本の成功の原動力でもありました。最小限の自衛力の整備を基本として、その他の総合力は国民経済の安定のために全力を尽くしたことが今日の基本をつくり上げました。
反面、そういうことで、政治というのは国民とともに取り組むということになるわけでございます。ですから、解散・総選挙、参議院の定期選という国政選挙を通じて政権が決まっていきます。
一義的には総選挙の結果が政権を決定するという憲法の規定に基づき、政党政治の熾烈な政策論争の中で国民の信任を得た政党が、認識し責任を持って公約の実現、政治の安定のために頑張るという仕組みは、すばらしい仕組みだと思っております。
これにかわる大統領制というのもあるわけでありますが、また一面、首相公選制などという議論も出ております。いずれも憲法改正を伴うものでございますから、憲法改正の決心をしてその部分を直す、そのためには、国民の世論がそこになければなりませんし、国会議員の三分の二の発議でこのことが提案されなければならないということはおわかりのとおりでありまして、言うべくして難しい。ならば、議院内閣制に欠点があるとすれば、そこをいい方向に直すために政治運営を政権党が、また野党がどうするかということであったと思います。
そういう中で、五十年の議会史を分析してみますと、自民党単独政権が続くのでありますが、これは国民の選挙の結果として、政権を担当せよという議会制民主主義のルールに基づいた結果により、ルールどおりにこれやってきたわけであります。そのための総選挙でもございましたし、そのための政党政治でもあったわけでございまして、これを単独という批判をもってなじるということは、国民、民意の決定に弓を引くということ、天につばすることであろう、こう思うのです。議会制民主主義を堅持をしておる限り当然の結果でありますから。
しかし政権党は、絶えず野党の言い分を聞く、よき点があればこれを採用する、この結果が、社会保障制度が世界に冠たる国家に相なりました。自由民主党という保守主義をもって立党の精神とした政党が社会主義政党の持つ平等という点に最大限配慮をした、こういうことであります。
失敗ということは、その都度その都度、時代の認識、展望、このことについて決断をするタイミングをいつも逸しておった。もっとあるのですけれども、この程度にとどめさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/18
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019・永井英慈
○永井委員 長々と三塚節を拝聴いたしましたが、実は答弁、全く的外れでございました。
私は、先ほど時代認識を申し上げました。そして、時代認識の中で、戦後半世紀、日本の政治でどこに最大の失敗、いわば失政があったか。栄光の大成功の歴史ばかりではない、失敗があったと申し上げました。そうしましたら、議院内閣制のことが出てきました。全く違うことであります。
私は、戦後五十年、半世紀の日本の最大の失敗は何かと端的にお伺いしたわけなんですけれども、お気づきになったら、ひとつお話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/19
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020・三塚博
○三塚国務大臣 失敗というと、五十年ですから、幾つもずっと、その時代背景の中で出てくるのだと思います。
そういう点で、言わんとするところは、五五年体制の中でもたれ合いの政治をやってきたのではないか。政官財というので政官業と言われましたが、そういう逼塞状態の中にあって、改革前進の気迫に欠けておったのではないか、こういうことを言わんとされておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/20
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021・永井英慈
○永井委員 実は、やはり長く政権与党におられて、その中枢で政治をとってこられた人は、ああ、こういうことが五五年体制の弊害で悪かったのだな、こういう反省を込めたお話のように受けとめたのです。
ところが、私は先ほど言いましたように、体制とは全く遠いところで見ておりましたからよく見えるのです。それは、戦後最大の失政は、私の記憶では、一九八六年の後半から、と言っていいと思うのです、始まったバブル経済へ突っ込んでいった、そして崩壊をした。
そして、私の記憶では、民間金融資産約五百兆円、土地の民間資産約五百五十兆円、小さく言えばゴルフ場の預託金約十兆円と言われております。民間金融資産の五百兆円が泡と消え、土地、不動産資産の民間資産が五百五十兆円、それからゴルフ場の会員権、預託金、約十兆円ぐらいあったそうですが、これが五分の一ぐらいになっている。言ってみれば、一千百兆円の民間資産が泡と消えたのですね。
それで、そこに残ったのは何か。巨額の不良債権なんです。大蔵省ははっきり不良債権の、数字を私は信用していないのです、でも、少なくとも民間資産の吹っ飛んだ千百兆円の一〇%ぐらいは、不良資産としてまだかなり企業を苦しめているのじゃないか、日本経済のおもしになっているのではないかと考えておるところでございます。
そういう戦後最大の失敗があった、このことをお認めになって、何か御意見があったらお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/21
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022・三塚博
○三塚国務大臣 バブル崩壊ということによってもたらされましたマイナス、こう言われました。それは認めます。
しかしながら、バブルという異常な現象の中で価値がそこまで上げられたということ、そしてバブル収束政策を、土地政策、金融政策、財政政策等を駆使しながら今日の資産に戻った、土地の資産が底を打つということになるわけでありますが……(永井委員「なったのですか。土地は底を打ちましたか」と呼ぶ)いやいや、底を打つというのは、そういうことも言われておるわけですね。これ以上下がるかもしれない。しかし、ほぼこんなところかなという、ただいまの現況を見てみますと、六十二年のバブル最高潮のときと比べますと、依然としてまだ当時より高いということもあるわけですね。
だから、その辺のところで、経済の現況を見ますときに、総合的な判断で見なければならないのではないでしょうか。一千百兆の資産減というものがあった、これがどなたが見ても水膨れ、いわゆるバブルの名のごとく、泡であったということでバブルと言われたわけですから、バブルではない正常な社会経済の資産価値に戻ったのではないかということ、昨今のそれぞれの評価になって分かれてきておる中でありますが、その中でも、なおバブル直前のところまで考えるとすれば、まだ高いのではないかという人が一方におります。
しかし同時に、それはもうここまで来れば精いっぱいのところで、これ以上下がるということはないだろう、また、政策的に下げるということをやるべきではないのではないかという、依然として両論が今日ただいまあるということは、価格は市場に任せよう、こういう自由主義経済の基本的な観点の中で行われておるのではないでしょうか。
〔柳沢委員長代理退席、自見委員長代理
着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/22
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023・永井英慈
○永井委員 長々と御答弁をいただきましたけれども、戦後半世紀の日本の最大の失政、失敗は、バブル経済に突っ込み、崩壊させて、巨額の不良債権をつくったこと、このことではないでしょうか、これを端的に伺ったわけでございますが、地価が底を打とうが株がもっと上がろうが、そういうことじゃなくて──戦後は本当によかったのです。恵まれた環境の中で我が国は発展をしてきました。申し上げるまでもありません。ただ、最大の失敗は何だったか。もう一度お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/23
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024・三塚博
○三塚国務大臣 経済政策とすれば、バブル政策は意図して行われたということではないにしましても、結果としてバブルが起きて困難を生じたということは、社会経済的に手だてがないのではないかという批判は甘んじて受けなければならぬ、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/24
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025・永井英慈
○永井委員 私は、戦後半世紀の我が国の最大の失政は、バブル経済を発生させた、そして寄ってたかって急速に崩壊をさせた、このことにあろうと思うのです。経済は生き物です。経営もまさに命がけの生き物との格闘のようなものでございます。
私ごとになって恐縮なのですが、失政をお認めにならないけれども、明確に私は記憶しているんですが、昭和でいうと六十一年の六月でございました。土地が急騰を始めました。人件費もかなり上がってきました。労働力不足も顕著になってきました。株もウナギ登りに上がってきました。六十二年の後半になりますと、これはすごい勢いでみんな上がって、お金がどこへ行っていいかわからないほど世の中に出回りました。土地上がり、株上がり、絵画上がり、高級雑貨上がり、ゴルフの会員権は暴騰したわけですね。
そこで私は、日本経済はこのままじゃもたぬと直観をしたわけです。何とかならないのかな、これは政治や金融当局がしっかりとかじをとらなかったら大変なことになる。そのとき実は、バブル経済という言葉がなかったんですね。私は、どういう言葉を使ったかというと、ササ雪経済と言ったんです。日本経済ササ雪論。
それはどういうことかというと、ササに雪がどんどん降ります。重くなってきます。重さに耐えかねて、はねます。竹は割れます。復元力がなくなります。このササに雪が積もっている状態がササ雪経済である。今の言葉で言えばバブル経済だ。このようにササ雪経済と言って心配をしたんです。ですから、株とか金融商品に、あるいは投機筋に手を出しちゃいかぬよと、みんなに、周りの者には忠告をしてやったような経験がございます。
これは私は、バブル経済は回避できたと考えているんです。ところがどうでしょうか。今のお話では、なすすべがなかった、この一言でしょうか。もっとああしておけばよかった、これからの日本経済の教訓のために、大蔵大臣、ぜひその辺のところをお話をいただきたいんです。
〔自見委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/25
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026・三塚博
○三塚国務大臣 それは、当時の政府、国会、各政党も、バブル収束について、異常な状態でありますから、こんな状態がいつまでも続くはずはないし、続けておったのではこの国の展望は全く開けない、一億総不動産屋と言われた時代、そういう言葉が出ました。過剰流動性がそれをもたらした。なぜもたらしたかということでありますと、バブルを抑える、言うなればサラリーマンがマイホームを生涯かかっても持てない、こういう状態は悪政のきわまりだということで、土地の規制があり、それと総量規制、金融に対する政策が断行されていった結果、過剰流動性、余っているお金が株式市場に御案内のように行ったわけであります。
精いっぱいやりましたけれども、そのタイミングというのがずれておって、直ちの効果はなかったのかな。しかし、とうとうたる流れの中で、一気に堰をつくり上げてとめるには巨大な流れであって、徐々にこれを収束をするということであったということだと思います。全力を尽くしたと私は思っておるんですが、結果が出なければ、失敗だと言われる批判はまともに受けなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/26
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027・永井英慈
○永井委員 時間も終わりに近づきましたので、先ほど言いましたさまざまな複合変化、同時進行、しかもすごい速さで進んでおります。これにきちっと対応して、我が国の将来が持続的に活力を持っていくようにするには改革をやらなければいけない。その改革の第一が、冒頭申し上げました地方分権であります。
地方分権についてちょっと申し上げたいんですけれども、これはぜひ、私は、これからの省庁の再編成にも非常に参考になるのではないか。まず地方分権を徹底的にやって、霞が関の中央省庁を徹底的にスリムにする。そして、そのスリムになった省庁を、橋本総理の話からすれば半数ぐらいの省庁にする。今の肥大化し切った霞が関の省庁を組み合わせても実効が上がらない。ですから、まずやるべきは、地方分権を徹底的にやってスリムにして、そしてそのスリムになった中央省庁を統廃合していくことがまず第一に重要であるということを申し上げておきたいと思います。
それから、日本の統治構造、行政構造を見ますと、国があって都道府県があって市町村、こういうふうにみんな考えでおります。私もそう思っておりました。ところが、日本の国というのは、国が二層、地方が二層なんですね。とり方はややニュアンスが変わると思いますけれども、霞が関という中央省庁がある。全国に、八つから十の支分部局というのがあります。これが、国の行政の二重構造をつくっているんです。そして地方は、都道府県、市町村、こうなっているんですね。
それで、最近もう耐えられない出来事が次から次へ起きております。それは、地方公務員の不正経理、空出張、空会議。監査委員事務局まで不正事件を起こしているんです。本来ならば、これは徹底的に解明し、追及し、弁償もされなければいけないと思うし、刑事的な責任も明らかにされなければいけないんじゃないかと思うのですが、そちらの方は全く手つかずです。このことはおきます。
次に、地方自治体の監査制度、これに問題がある。本当は、総務庁長官か自治省の大臣がいた方がいいのかもしれませんが、ちょっと申し上げます。
今は都道府県、市町村に、御承知のように監査委員という制度があります。これは身内の制度です。内部監査です。ですから、ついつい甘くなってしまう。就任するのは何かというと、職員のOBと議員、これなんですね。ですから、まさに想像を絶する不正の山が今掘り出されているのが現状だと思うんです。
そこで、これに倣って、国家公務員もかなりの不正事件や不祥事が出ておること、具体的な省庁の名前は挙げませんけれども、出ておりますね。これを抑止する、防止するために、ある党では行政監視院というのをつくろうと。私は一つの見識だと思います。しかし、役所は半分に減らすと総理は公約しているんですから、半分近くというんですか、減らすと言っている。そこへまた行政監視院をつくるという。時代に逆行していると思うのです。
そこで官房長官にぜひ伺いたいのですが、この国家公務員の不祥事、不正、これを抑止、防止するために、実は私なりにない知恵を絞って考えてみました。
人事院というのがございますね。人事院は、国家公務員の給与やら待遇やらその他再就職に関することとか、私の認識ではそんなことです。そういった国家公務員に対するいろいろなサポートをしておるわけでございます。
もう一度申し上げます。法律上明確な権限が与えられているのが、例えば会計検査院、例えば人事院、この第三者機関の調査権を十分に活用することができないのか。事業についてはもちろん会計検査院がやっております。会計検査院がやっていても、まさに氷山の一角しか調査できない状態です。そして公務員については、人事院が中立的な立場で調査をし、不正、不祥事があれば是正をするということになっているわけです。ところが、最近の不祥事を見ますと省内調査なんですね。省内で調べてみたけれども出てこなかった、省内で見たけれどもこれだけだった、こういう報道ばかりなんです。
そこで国家公務員法を見ますと、明確に人事院の機能、役割に関する条項があるんですね。ちょっと読んでみましょうか。
国家公務員法第十七条「調査」「人事院又はその指名する者は、人事院の所掌する人事行政に関する事項に関し調査することができる。」、二項「人事院又は前項の規定により指名された者は、同項の調査に関し必要があるときは、証人を喚問し、又調査すべき事項に関係があると認められる書類若しくはその写の提出を求めることができる。」、第百十条「左の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」一、二は略しまして、第三号「第十七条第二項の規定による証人として喚問を受け虚偽の陳述をした者」、それから四、五とあるわけです。
官房長官、ぜひこの国家公務員の人事院の機能を充実、高める、これは役所をつくらなくてもできることです。私のアイデアでは、人事院の中に、捜査の経験のある人とか裁判所の職員とか検察の経験者とか警察の関係者とか、そういう人もかなり入れてこうした第十七条あるいは第百十条への対応をすることが極めて現実的ではないかと思うのですが、御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/27
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028・梶山静六
○梶山国務大臣 最近の公務員の綱紀の弛緩、これは大変憂うべき問題であります。それぞれ省内においても、それからもう一つは総務庁においても行政監察を行ってやっております。しかし、後を絶たないこの不祥事というものは、一つにはやはり大きな意味で、行政の目的というか、今行政はどうあるべきか、一つの大きな目標が、みずからに求めるというか確立てきれば、私は旺盛な公務員道に従って倫理観が高まり、恐らくその責任体制が生まれてまいるのだろうと思っておりますが、残念ながら、今までのお話の中にもあったように、論調というか今までのあれは、ここまで国家目標を定めてやってまいったけれども、あるいは公務員のそれぞれの目標を定めてやってきたけれども、ここへ来て、これからどうするという問題ではっきりした目標意識が定まっていないところに一つの根源があるという気がいたします。
これからもこの行政監察を強化をしてやっていかなきゃならない。そして、今委員御指摘というか御提案の人事院の十七条あるいは百十条、こういうものを見通してこの強化ができるものかどうか、これは私がここに軽々に申し上げるべきことではございません、人事院の立場もございますから。しかし、この問題の研究は、委員御指摘でもありましょうから、私も人事院に伝え、そしてお互いにこの管理体制をどうするか、この問題ではせっかく勉強してまいりたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/28
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029・永井英慈
○永井委員 先ほどから言っておりますけれども、役所を減らす、行政改革を徹底的にやるというのが、もう火だるまになってやるというのが橋本内閣の一枚看板でございます。ですから、新しい省庁をつくるということ、どういう形にしても新しい省庁をつくることは私は避けなければいけないし、また避けることができると思っております。
と申しますのは、戦後の高度成長につれて、国、地方を問わず、行政は肥大に肥大を重ねてきたわけです。縮小した、徹底した行政改革をやった事実、覚えは私はないんです。ほとんどが肥大化をしてきました。それには時代的な要請がいっぱいあったわけです。環境問題とか、いろいろ福祉の問題とか、行政需要はもう膨らみに膨らんできました。しかし、資源、財政には極めて厳しい制限がここで加わるようになった。今までは自然増、増収に次ぐ増収で極めてハッピーな経済財政運営もできたわけですけれども、もう国、地方を合わせて約五百兆円、GDPの一年分、これだけ累積してしまった借金を次の世代に申し送ることはできないと思います。なぜならば、高齢化と同時に人口減少期に入るんですね。そして、あと三十年するというと、推計によれば人口八千万人前後になるというようなことも言われておるわけで肥す。
そこで、役所をつくることはできない。それで、最後の質問に入りたいと思いますが、この金融監督庁を設置するわけです。これはもう皆さんが聞いておりますけれども、もう一度聞かせていただきますが、この設置の目的、設置をする理由、これを改めてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/29
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030・梶山静六
○梶山国務大臣 先ほど私も実はマイクを通じて委員のバブルの罪悪という御意見を拝聴いたしました。その中で、特にバブルというのは資産インフレ、資産デフレの繰り返しをしたわけであります。これによる損害も極めて大きいことは私も承知をいたしております。
特に、金融界において住専問題をめぐる問題が一番、国民のいわば憤激の頂点になったわけであります。なぜこういうことが起きたかという反省。ですから、全体でこの行政機構を見直しをしようという、今六つの改革を行うということがありますが、それまで待っていていいのかどうなのか。
それからもう一つは、大蔵省に、この中のいわば企画立案の政策分野とその検査監督をする執行分野、これを一つの中に置いて果たして銀行の適正な指導ないしは監督ができるのかどうなのか、この問題。実は国会の中で一番大きく取り上げられた問題は、委員御承知のように、昨年の春以来大変な激論を闘わせ、そして冒頭に出てまいったのが、むしろ大蔵省解体論的な、大蔵の指導が悪い、そういうところから去年始まり、そして大蔵省の組織論が出、ようやく昨年の暮れになって、どうやったならば金融行政というのはうまくいくのかどうなのか。
これは行政改革に先立ってやらないと、国民の大切なお金を預かり、いわば産業、経済全般の血液を順調に流すための機能を金融界が持っていただかなければならない。委員御指摘のように、数多くのまだまだ不良資産があるであろうと私も推定をいたします。これと今回の金融の国際化という問題の二つのはざまにあって、果たして金融業界がどうなるのか、厳正な見方をしていかなければならないわけであります。
ですから、今までのような、長い間日本に続いてきた護送船団方式というか、これは決して私は悪いものだとは申しません。後なるものを先へ一緒につけてやるというのは、日本が戦後ずっと世界各国から、日本というのは事外交や貿易面では資本主義社会のいわばルールを守っているが、事内政に関しては社会主義的な手法。というのは、後なるものも先なるものもなるたけ同じ環境に入れていこうという、そのシステムが完成をしたというか、そのために日本というのは大変均質な国家が生まれたことも御承知のとおりであります。
しかし、これから国際化という波にさらされますと、後のものを全部押さえていって救っていってやれるのかどうなのか、この問題があるわけでありますから、今までのように、政策といわばその執行、こういうものを両方で見て、よく私は二枚鑑札とこう言うのですが、そういう形が許されるのかどうなのか。
今でも第一勧銀の問題も派生をいたしております。今までの検査でも一生懸命やったのでございましょうけれども、こういうものに対する対応が大変おくれている。当然、バブルの時代のことでありますから、金融界自身のモラルが完成をしていなければだめであります、幾ら検査してみてもなかなか全部を発見することにはいかないと思うのです。根源を正し、現象面をチェックすることによってこの問題の処理を図っていかなければ国民的な不安というものを解消することができないということで、この問題だけを分離し先行させるために今回の法案が提出をされたことを御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/30
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031・永井英慈
○永井委員 私は、選挙区が多摩川の向こうなんです。東京駅から電車に乗ると、たった十五分で地元へ着くのです。実は、ゆうべ五時五十分ごろ地元の会合に出ました。いや、実はあした二時間質問しなくちゃならないので簡単に演説だけはさせてもらいたいということで、これからの日本というテーマを与えられたのです。ところが、きょうのことが頭に入っていましたので、その前に取材を受けていましたので、この金融監督庁の話がまずあいさつ、冒頭に出ました。私は、平成九年度の予算を見ても、税金は上がってしまう、医療費は上がってしまう、消費税は上がる、もうこれで恐らく九兆円、十兆円、一軒当たりにすれば平均十六、七万円負担増がのしかかってくるのですと。
そうしたらすぐ、私の演説の途中に手を挙げて、永井さん、仕事はない、金はない、中小企業はどうしようもない。永井さん川崎でしょう。川崎は工業都市だけれども中小企業の町なんだ、でっかいのもありますけれども中小企業の町だ。金はない、仕事はない、特に仕事は、試作品でいいのができると全部海外へ、東南アジアへ持っていく。特にLSIのような高価で精密なものですね、これは十年ぐらい前までは日本の生産の七〇%を川崎でつくっていたそうです。ところが、それが今はゼロだそうです。全部海外と広島とか九州とか地方へ流出して、産業の空洞化が極めて著しい。したがって、中小企業の経営はもう涙の出るような話ばかりなんです。
でも、今の連立政権は増税路線を選択しました。私たちは、増税路線じゃない。やはり個人消費を刺激することによっての活性化をまず図るべきではないだろうか。その前にやることがある。それは何かというと、徹底した行財政改革である。消費税二%上げて四兆五千億から五兆円ぐらいでしょうか。大蔵大臣、そんなものですね。二%というのは百円のうち二円です。私はそのときに、消費税、事によったらアリの一穴になるかもしれない、消費税二%をなめて、あるいは軽く見て、これをやったら、個人消費が減税の廃止と同時にがたがたっと音を立ててデフレに突っ込んでいく危険がある。
それは、ただ単に言っているんじゃない。先ほど私がいろいろな変化を申し上げました。あの変化は、経済的に見るとある意味ではデフレ要因なんですね、ほとんどがデフレ要因なんです。デフレ要因がほとんど出尽くしているところへ消費税を上げる、そしてこの役所をまたつくるのです。そうしましたら皆さんが、勘弁してください、金融機関がしっかりするのはいい、金融秩序がしっかりするのはいいけれども、もう少しうまく貸し方もつくってくれと。今までは担保さえあれば幾らでも金が借りられた、ところが今は、担保を出しても金を貸してくれない金融機関が多くなったというようなことも言われているわけです、私いろいろなこと承知しているのですが。
そこで、金融監督庁を新たに設置すること、これは、大蔵省大臣官房金融検査部をここへ移すわけですね、人員はふやさないわけです。ただそのまま移すということで理解しております。それからもう一つは証券取引等監視委員会をそのまま持ってくる、そして人はふやさない。だから、金融監督庁をつくっても財政的には何もむだはないじゃないか、こういうことになるのかなという感じがするのですが、そういう理解でよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/31
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032・梶山静六
○梶山国務大臣 責任、分野の明確化というのが一番大きな役割であります。ですから、今まで同じ形であったことに問題がある、今までの不明朗な点があったという反省の上に立って、今回峻別をするわけであります。よく古くから、居は気を移すといいます。場所を変えることは、気持ちがまるつきり変わるということであります。御理解をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/32
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033・永井英慈
○永井委員 私は、今難しいお話だったのでよく理解できなかったのですけれども、要するに私が申し上げたことと同じことだと思うのです。
そこで私はこう言ったのです。百人ばかりのところで一時間半のスピーチでございましたが、財政削減をするために、むだを出さないように、みんなの税金を節約するために、何とか金融監督庁をつくらないでほかのどこかで対応できないだろうかと。そうしたら、それをやってくれ、こう言うのですね。
それで、私は申し上げました。全国四十七都道府県に大体日本銀行があるはずだ。日本銀行では考査というのをやっている。考査というのは、契約を結んでいるんだそうです。私は素人ですからよくわかりませんが、各金融機関の考査をやっている。大蔵省の検査部は金融機関を検査をしておる、こういうことですね。ですから、大蔵省の官房金融検査部を日銀の考査局の方へ合流させたらどうだろうというのが一点なんです。
それからもう一点は、地方の金融機関、多いのですね。大体支店を合わせて一万五千ぐらいあるようです、銀行は。ほとんどの業務は地方の財務局がやっているのです。その財務局は、地方支分部局で、九つか十なんです。ところが、日銀はどうかというと、各都道府県にあるのです。そうすると、四十七あるわけですね、単純に言って。四十七都道府県、日銀の支店があるわけです。そうすると、よりきめ細かい、より迅速な検査体制がとれるのではないか。逆に、財務局の検査部は廃止できる。要するに、特に財政削減の面から強調しているのですが、そういう形でこの金融検査のシステムをつくることができないだろうか。
皆さん知らない人です、きのう私の話を聞いた人は。それがいいよ、それはもうそれに限るよと。結論は何かといったら、不正が起きないように、金融システムがおかしくならないようになればいいんだよ、そして我々が納めた税金がむだなく使われればいいんだよ、こういう話なんですね。まさに国民の率直な声だと私は思いました。
そこで、どうでしょう。大蔵省の官房にある検査部を、日銀を多少組織がえをして、日銀に移す、そして各地方支分部局の大蔵省の財務局を各県の日銀の支店に移し、財務局の検査部を廃止する、これについてどうでしょうか。大蔵大臣と官房長官、両方に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/33
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034・梶山静六
○梶山国務大臣 私は金融監督庁の法案を提出をしている責任者でございますので、その後大蔵大臣からお答えを願いたいと思います。
日銀に関しては私は権限は何もございませんが、日銀というのは行政権を持っているのかどうなのか、私はよくわかりません。今までそれだけ濃密に考査をやっていたらば、銀行は全部日銀からたくさんのお金を借りたり何かしているのですから、言うことも聞くし、全部契約して調べていれば、何もかも全部めでたしめでたしでハッピーになっていたと思うのですが、残念ながら日銀の考査も考査以上のものには出なかった。大蔵省もやっていたけれども、大蔵省の中では、いわば政策とその執行を混在したというところに一つの問題があるであろう。だから私は、この際峻別をすることによってその成果を上げてまいりたい、このような思いがいたします。
日銀のことに関して私がここでとやかく申し上げるべきことでもありませんし、多分これは大蔵委員会か何かで、見たら、もう日銀法の改正、この件 どうぞひとつ、また改めて稿を起こして勉強をしたいと思いますので、お願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/34
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035・三塚博
○三塚国務大臣 この法律は、先ほども主管大臣の官房長官が言いましたとおり、機能の分離なんですよ。機能を分離することによって、両々相まって緊張状態の中でいい成果が出るであろう。
検査を日銀に、大蔵委員会でその議論、十数回出ております。
なぜ検査ということにしたかということについては、検査は行政機能です。国民の、預金者保護という観点、それともう一つは金融システムの安定、こういうことで、限られた人員の中でローテーションを組んでやってまいりました。これを金融監督庁、執行面を全部金融監督庁が担当することに法律で決めたわけで、それで提案をいたしておるわけでございますから、日銀に移せという一つのアイデア、これも御提案を大蔵委員会で何回もちょうだいしました。その都度申し上げております。日銀総裁からも申し上げております。これは民間契約の中でそれを行わさせていただく、機能によってやっておるのではありません、こういうことなんです。
要すれば、最終の銀行の貸し手日銀が、独自のものは銀行との契約に基づいてやっておりますけれども、ただいまそこまでに至りません、法律がきちっと今原案として提出をされておる中で、金融監督庁の権限、それは法律に基づく行政権限として行う義務、こういうことになっております、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/35
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036・永井英慈
○永井委員 そして、今回これで金融監督庁ができたとしますね。できたとします。そうすると、この秋までの省庁の再編成の対象にこれが加わるという話を聞いたのですけれども、そういう理解でよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/36
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037・梶山静六
○梶山国務大臣 当面、今々の問題として、金融の透明、正常化を図ることが第一義であります。しかし、長い先で全体を見て、行政改革でこの問題はこちらに吸収できるということがあればまた別でありましょうけれども、現在私は、金融業界の置かれている立場、国民の不安感、こういうものを考えれば、このことが最善の道だと確信をいたしておりますので、直ちに次の展望で変えるなどということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/37
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038・永井英慈
○永井委員 ちょうど時間が来まして、この辺で終わりたいと思いますが、地方の金融機関の検査について、特に大蔵大臣に要望し、また官房長官にも、これは法案修正の御検討をいただいた方がいいんじゃないかということがございます。
それは、ちょっと言いにくい、きつい話なんです。例えば、系統系の金融機関がございます。組合長さんは、ほとんど土地の素封家、名門、名士の方が多いです。この方が公職につくケースがかなりあるのですね。前回、あれだけ住専処理で系統金融機関との関係で論議がありました。税金も投入しました。そういうことからすると、地方の金融機関の経営トップが公職につくということはいかがなものか。随分抑えてお話をしておりますが、法案の検討も含めて、ひとつお考えをいただきたいと思います。
これをもって、質問を終わります。御答弁ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/38
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039・綿貫民輔
○綿貫委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時一分休憩
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午後二時二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/39
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040・綿貫民輔
○綿貫委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。斉藤鉄夫君。
〔委員長退席、野呂田委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/40
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041・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 新進党の斉藤鉄夫でございます。
私は、バックグラウンドがエンジニアでございまして、金融については全くの素人でございます。私のような門外漢がこういう大事な法案の質問に立っていいのかという、ちゅうちょする気持ちもございましたが、逆に、今回のこの金融監督庁法案、行政改革を議論する中で一番大切な、大蔵省の改革に踏み込む、そういう法案でございます。そういう意味で国民の関心も非常に高いということで、金融のことはよくわからないけれども、しかしとても大事な法案らしい、そういう国民を代表するつもりで質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。ですから、聞く方も非常に素人の質問、プリミティブに聞きますので、お答えいただく方も、素人にわかりやすく、プリミティブにお答えいただきたい。この点をまず最初にお願いしておきます。
そういうことで、まず最初に、こんな議論から入っていいのかなというところなんですけれども、そもそも金融行政、監督というのがなぜ金融業に対して存在するのかという、まずこの問題から入っていきたいと思います。
きょう、これから二時間質問させていただきますが、私自身、はっきり言って、ほかの産業にはない検査監督という特別なことがなぜ金融業だけに存在しているのか、いま一つ、私自身まだ理解をしていないところがございます。まずその点についてはっきり理解をしておかないと、後のすべての質問も画竜点睛を欠くようなことになりますので、その点をまず理解をするためにこの質問をさせていただきます。
そういう問題意識でこれからいろいろ非常に原始的な、プリミティブなことを聞くという点、お許しいただきたいと思いますが、金融行政の三つの柱、これは企画立案と検査、そして監督だと言われております。
なぜ金融行政にだけ企画立案、検査監督というのがあるのかということでございますが、まず、企画立案について、行政庁がやる企画立案業務というのは一体何なのか。
こういう議論をしましたら、大蔵省の若い官僚の方が、いや、それはほかの産業にもありますよ、例えば自動車産業にしても通産省がある程度の大きな方向というのは今までも出してきたじゃありませんか、そういう意味では通産省が自動車産業の企画立案部門なんです、こういうふうにおっしゃるお役人の方もいらっしゃいましたが、しかし、自動車産業の通産省の行政指導は、これは法律に定められたものじゃないわけでございまして、法律できちんと定めて、行政組織として決められた大蔵省の金融の企画立案とはちょっと違うと思うわけでございます。
この金融の企画立案というのは何なのか、他産業にないのに金融業だけに企画立案があるのは何なのかという点についてまずお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/41
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042・武藤敏郎
○武藤政府委員 まず、金融といいますものが、御承知のとおり、経済活動の動脈とも例えられるような重要なインフラストラクチャーといいますか、そういうものであるわけでございますけれども、それに関する企画立案と申した場合に、まず、金融・証券取引全般にわたります制度の枠組みの構築というのが企画立案の典型として挙げられるわけでございます。第二に、その取引ルールの整備を行う。こういうことは通常、法令の制定、改廃といったようなことに関係することが多いわけでございまして、そういうことに関する法令の制定、改廃に関する事務が含まれるだろうというふうに考えられるわけでございます。
恐らく、お尋ねはもっと具体的にどういうことかということかと思うのでございますけれども、制度の枠組みといった場合に、例えば銀行法は銀行というものの活動の基本を定めておるわけでございますが、昭和五十年代の中ごろ、この銀行法の全面改正というようなことが行われました。銀行制度の見直しでございます。今後も、例えば長短分離あるいは銀行・信託分離といったような現行制度を今後どうしていくかということになれば、それがまさに企画立案であろうというふうに思います。
それから、昨年金融三法が制定されまして、不良債権問題の早期解決のための法的措置がとられたわけでございますけれども、こういうものも企画立案ということでございます。
今後、例えば持ち株会社が解禁されるというようなことになりますと、その関連いたします金融法制の整備でありますとか、あるいはディスクロージャー制度というものを充実するということであればその関連の整備でありますとか、今ビッグバンと言われておりますもろもろの銀行、証券に関します制度の見直しといったようなことが制度の枠組みというグループに入るかというふうに思います。
それから、取引に関するルールの整備と申し上げましたが、例えば昭和六十年代の初めにインサイダー取引ということが問題になり、インサイダー取引規制が導入されました。こういうことは、例えば今後も公正取引ルールを整備しなければならないといったようなことが検討課題になると思われますし、またさらには、銀行、証券、保険といったような業態にとらわれない自由な市場参入といったようなことが認められることになりますと、多種多様な金融サービスの提供ということが行われるようになりまして、それに関する新たなルールをつくらなきゃならないといったようなことが考えられるわけでございます。
そういうことを全体として申し上げますと、金融システム改革の具体案づくり、あるいは信用秩序の維持を図るためのもろもろの制度の整備といったようなものが企画立案ということに該当するのではないかというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/42
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043・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 制度の枠組みとルールの整備、これが企画立案だと。
もう一つ教えていただきたいのですが、例えば電気事業には電気事業法という法律があって、仕事のルール、制度の枠組みが決められております。それから、例えば一般に自由に行われている仕事としては建設業がありますが、建設業の場合は建設業法というのがあって、建築基準法とか建設業法ということで枠組みとルールが決められている。そういうものと金融業の企画立案とは本質的にどこが違うのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/43
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044・武藤敏郎
○武藤政府委員 企画立案に関して、一般の産業と金融に関する企画立案とで何か本質的に違いがあるかということでありますと、企画立案という機能そのものは、私は基本的に異質なものではないというふうに思います。
ただし、一般の産業と金融、金融も一つのサービス産業でございますけれども、これに違いがあるかということであれば、金融といいますのは、広く産業あるいは経済活動のもとであります資金決済システムというものを提供するという意味で、インフラストラクチャーとちょっと申し上げましたけれども、経済の基本的な部分を担っている、よく動脈に例えられるということを申し上げました。そういう意味で、いわば個々の産業という観点のほかに、経済全体の基本、基盤という意味合いを持っておる。そういうことから、企画立案に関しても、行為そのものはあらゆる企画立案というものは本質的に変わらないと思いますけれども、おのずと議論に差が出てくるということではないかと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/44
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045・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 わかりました。企画立案、他産業と基本的な差異はないけれども、他産業のインフラ、ベースのインフラになる決済システム、これにかかわるから特に他産業の企画立案部門とちょっと違うのだ、こういう理解でいいのでしょうね。
次に、検査。検査業務とは一体何なのか。検査といいますと、私、昔、鉄骨の溶接部の検査の検査方法の開発の仕事をしておりました。検査というと大体溶接部の検査というのがびんとくるのですが、金融の検査というのは一体何なのかというごとについてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/45
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046・中川隆進
○中川(隆)政府委員 お答え申し上げます。
大蔵省が行います金融検査について、どういうものかという御質問でございます。
大蔵省の行っております金融検査、部長銀、信託あるいは信用金庫あるいは保険会社といった非常に幅広い分野に及びますけれども、それぞれ法律がございます。銀行の場合は銀行法がございます。信用金庫は信用金庫法、保険会社については保険業法等ございますが、それぞれの業法の検査の根拠規定、銀行法でございますと銀行法二十五条というのがございます。
このそれぞれの根拠規定に基づきまして、したがいまして、その中には監督というものがございますが、監督の一環として、監督権に基づきまして、信用秩序の維持、預金者等の保護を図りますために、銀行等の業務、財産の実態を的確に把握いたしまして、銀行等の業務の健全性、適切性を確保する立場から実施しているものでございます。
したがいまして、検査の結果を踏まえまして、必要がありますと、監督部門として適切に行うように是正の指導をする、そういう性格のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/46
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047・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 先ほどの企画立案については、他産業についてもある。検査については他産業にはないですね。例えば業法に違反したときは、それはある意味では司法がそれを取り仕切るわけでございますが、この金融にだけ特別に検査というものがあるのはなぜでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/47
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048・武藤敏郎
○武藤政府委員 銀行は一般国民の預金を預かる、そういうところでございますので、銀行業は免許制度になっております。この銀行業の免許制度といいますのは、大体どこの国でもそういうことになっておるわけでございますが、したがいまして免許の基準が必要になります。一定の基準に基づいて免許を受けたその後の行動において、その免許基準を満たさない状況になったら、これは免許を取り消すという状況が必要になってくるわけでございます。そうしますと、その基準を満たしているかどうか、これを常に検査をする必要がある、チェックをする必要があるということでございます。
今、ほかの産業にはないのではないかというお話がありましたが、個別の法令等はちょっと手元にございませんが、免許が条件になっておる産業というのは幾つかございます。かなりございます。そういう場合には、必ず検査権限を持つというのが当然のこと、理屈上いわば自然なことというふうに思います。その免許をするということは、すなわち監督するということなんでございますけれども、その監督者が免許の基準を満たしているかどうかをチェックするというのが一般的な形でございまして、これは銀行業務に限らず、その他の免許業種について共通のことというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/48
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049・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 その点に関しましてちょっとまだ疑問がありますが、監督とも関係しますので、次に、監督というのは何なのかについて教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/49
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050・武藤敏郎
○武藤政府委員 まず、監督というのは、いわゆる検査も一般的には含まれるわけでございますけれども、狭義の監督、それから検査を合わせていわゆる監督ということでございます。
金融監督庁という呼称もそういうことからきておるわけでございますけれども、まず先ほど言いました免許、免許の取り消し、業務停止命令、あるいはその他個別の、免許業種の場合には行動をとるときに主務大臣の認可を受けなければならないといったようなことがございます。それから、いきなり業務停止命令をかけるのではなくて、検査結果に基づいて改善命令を出す、あるいはさまざまな承認を、あるいは届け出を受理するといったような一連のことが監督でございます。
さらに、立ち入りして検査をするということになるわけですが、その中間といたしまして、例えば報告、資料の徴求を受けるといったようなこともあると思われますが、それらを全体として監督というふうに考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/50
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051・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 先ほどの検査のところで、検査というのは金融業界に特別なものではない、一応免許を持って仕事をする場合、それを監督する省庁に検査権限はあるのだということでございましたが、確かに一般にそうかもしれませんが、定期的に検査するということは、普通、金融業界以外には余り聞いたことがないような気がしますし、まして監督というのは、他産業では法律で定められてはいない。この金融に限って定期的に検査をし、かつそれに基づいて監督をする、その監督が常態化をしている。なぜ金融業だけそうなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/51
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052・武藤敏郎
○武藤政府委員 まず、例えば電気通信事業法によりますと、これは電気通信事業を行う者は許可を必要とするわけでございますけれども、そうしますと、許可の取り消しも当然法律に定められておりまして、それに対しまして、主務大臣がその事業者に対して立入検査ができるという規定がございます。これは一つの例でございますけれども、そのほかに、いわゆる免許許可事業になっているものは大体こういうことであります。
定期的にやっているかどうかという点については、私どもは必ずしもほかの事業のことを十分存じ上げませんけれども、銀行の場合には、預金を受け入れる、要するに国民の財産を受け入れるといういわゆる一般的な国民の権利といいましょうか資産をお預かりするわけですから、まず、これが安全であるということが非常に大事な、基本的なことでございます。現実にはいろいろな問題が起きているわけでございますけれども、そういうことから見ますと、経営の健全性というものが何よりも大事になる。一般の産業の場合にももちろんそういうことはあろうかと思いますけれども、より経営の健全性、資産の健全性というものが、一般的な不特定多数の預金を受け入れるがゆえに、非常に重要なことだというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/52
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053・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 他産業にはない検査監督があるのは、一般国民の預金という非常に大事なものを受け入れているから検査監督があるのだ、こういうお答えだったかと思います。
わかるような気がするのですが、例えばそういうことであれば、国民にとって非常に重要なものというのはいっぱいあるわけでございまして、そういう意味で、特にこの金融だけが検査をし監督をする理由の論理的説明にはなっていないような気がするのですけれども、いま一度お聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/53
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054・武藤敏郎
○武藤政府委員 今お尋ねの監督検査を伴っている業種というのはいろいろあると申し上げましたけれども、大なり小なりそこには特定の資格のある者にその営業を許可する、それは公共性なりなんなりという許可認可制度をとる合理性がなければならないということだと思います。
ただ、金融業の場合には、先ほど申し上げた預金の受け入れということがあると同時に、いわゆる信用不安という、一つの経営破綻がほかに波及していくと金融恐慌というものが常に起こり得る可能性があるということが最大のポイントかというふうに思います。過去におきましても、戦前においても大変な金融恐慌があったり、世界的な恐慌があったりするわけでございますけれども、こういう事情というのはやはり金融業に非常に特殊なことであるがゆえに、きちっとした健全性が求められるということではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/54
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055・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 大体わかってきました。
最後に、この問題について、外国でも同様な行政による検査監督、行政介入が行われているのかという質問をさせていただきます。
この質問をさせていただくのは、これがもし日本だけのものであれば、外国では行われていないということであれば、ある意味で普遍性が疑われるわけですが、先進資本主義国ではすべて同様なことが行われているということであれば、それも普遍性を信じる一つの客観的要素になりますので、どの国はこういうシステムでという詳しい話は必要ございませんので、大体日本と同じようにやられているのだとか、やられていないのだとか、そういうことをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/55
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056・武藤敏郎
○武藤政府委員 まさに今委員からお尋ねがありましたとおり、大体、主要国におきましてはこの検査監督が金融機関に対してなされております。
ごく簡単に申し上げますと、検査監督と企画立案というものがどういう形で行われているかということになると、それぞれお国柄ではあるわけでございますけれども、アメリカにおきます検査監督は、国法銀行については財務省の外局たる通貨監督局、それから州法銀行、向こうは州法に基づく銀行と国法に基づく銀行と二つの銀行がございますので、ちょっと事情が複雑なのですが、州法に基づく銀行の監督は州当局が行うというのが基本であります。FRBとかFDICといったところがそれに絡んでくるわけでございますが、それはちょっと省略をさせていただきます。
イギリスにおきましては、イングランド銀行が監督を行っております。ただ最近、五月二十日にブラウン新蔵相が証言したことを伺いますと、今度はイングランド銀行から証券投資委員会、SIBという組織が大蔵省の監督下にあるのでございますけれども、公的機関なのでございますけれども、そこに監督権限を移すといったようなことを新政権が計画をしておるようでございます。
ドイツでは、大蔵省の外局であります銀行監督局が監督を行っております。
フランスでは、銀行委員会というのがございまして、この委員会の委員は大蔵大臣が任命するのでございますけれども、そういう意味で、大蔵省、フランスの場合には経済財政省と申しますが、経済財政省と関係があるのでございますけれども、独立した合議制の行政委員会が監督を行っておるということでございます。
御承知かもしれませんけれども、こういう主要各国の監督当局が国際的な監督者会議、これは日本ももちろん参加しておりますけれども、グローバルな、ボーダーレスな金融取引というのが常態化している現状におきましては、各国の監督者の相談するそういう会合を持っているといったようなことで、大体共通したシステムになっているというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/56
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057・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 どうも行政による検査監督というのは諸外国でも行われていて、金融ルールの徹底と公正な取引をするためには、その必要性は普遍的に認められているということがだんだんわかってまいりました。
では、もう一度同じ質問なのですが、ちょっと角度を変えまして、なぜ、他産業と同じように、違反をしたときに司法がそれに判断を下して、法律に違反しているということであれば罰則を科す、そういうことでこの金融市場の秩序は保たれないのか。その点についてもう一度、ちょっと別な切り口ですけれども、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/57
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058・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
今政府委員の方からいろいろと御説明を申し上げておりますけれども、私の方から、ちょっと視点を変えまして、私が所管させていただいております銀行法というものに則して御説明を申し上げたいと思います。
銀行法の第一条で「この法律は、銀行の業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、」これが一番目でございますね、「預金者等の保護を確保するとともに」これが二番目、「金融の円滑を図るため、」と、三つ目標があるわけでございます。具体的手段としては「銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、」という、これが手段になっておるわけでございます。それで「もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」こういうふうになっております。したがいまして、今私が申し上げました公共性からくるこの三つの目的を達成するために、まず銀行というものが健全かつ適切な運営をしなければならない。そうすると、その確保をするための一つの手段として、公的なチェック、これが監督及び検査、監督の中に検査は広い意味では含まれますが、そういう法体系をとっておるわけでございます。
そうしますと、今先生の御指摘のように、司法の判断で罰則をもってやる、もちろんこれも一つのチェックでございます。例えば刑法犯、あるいはこのような法律に違反して罰金がかかるというのもそういうことです。
しかし、それ以外に、今申し上げました適切な運営あるいは健全な運営、例えば健全な運営というときによく今引き合いに出されますのは、不良債権を早く処理して健全な形になって預金者に安心を与えるということは法令に違反しているかどうか、あるいは別に刑法上問題があるということではないにしても、国民に求められている、例えば信用の維持とか預金者の保護とか金融の円滑化を図るためには、やはり不良債権というものを一刻も早く解消して預金者に安心を与える、信用秩序を万全にしていくということが求められるわけでございます。そういった場合には、今度は行政が、司法とは違った観点、行政的観点から、不良債権をきちっと処理をしているのか、リストラをちゃんとやっているのか、こういうことをチェックしてその実現を図っている、こういうスキームでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/58
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059・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 済みません、しつこいようですけれども、もう一点この点に関して質問させてください。
検査そして監督の必要性はわかったような気がするのですが、自分でできないのかなと。自分というのは、銀行なら銀行、金融機関なら金融機関本体が自立した機関としてなぜそれができないのか。どうして行政に監督してもらわなきゃいけないのか。
銀行といいますと、優秀な人がそろっております。私は理学部の出身で理科系ですが、私が大学を卒業したころは、優秀な人は大体銀行と証券会社と保険会社に行く、我々成績の悪い者がエンジニアリング会社へ行く、こういうことで本当に優秀な人がそろっていた。初任給も一・五倍ぐらい違うわけです。私は、今の日本社会は随分技術者が虐げられた社会だと思いますが、それはまた別の機会に議論させていただくとして、それだけ優秀な人が高い給与でしているところが、わざわざ行政から監督してもらわなくても、先ほど銀行局長がおっしゃったようなことぐらい自分でできるんじゃないかと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/59
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060・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
もちろん、今、一つの政策目的の遂行手段としての、健全かつ適切な運営を確保する手段としての公的なチェックということで、検査監督ということを申し上げました。これだけでこれが全部可能ではもちろんないわけでございます。一番基本は、今先生の御指摘のように自己規律だと思うのです。自分の方でそれをきちっと守る、これが最も基本であることは私どもも全くそのとおりだと思います。それはもちろん中心に据えていく必要があるわけでございます。
例えば今度、来年の四月から取り入れます早期是正措置、この前提となります自己資本比率は、あくまで自己査定というのがベースにあります。自己査定をやって外部の監査法人の監査を受けるというシステムをとっております。これなんかは、まさに自分で自分を律するというのを基本にしている考え方でございます。
では、それだけで十分かというと、またもう一つ大事なのは、マーケットからのチェックといいましょうか、つまり市場からのチェック、これももう一つ見逃せないポイントだと思うわけでございます。そのために、例えばディスクロージャーをやる。ディスクロージャーをやると、外部の、あるいはマーケットから、私は銀行の例で今申し上げますが、銀行というものが正当に評価される。正当に評価されると、それはおのずとまた自己規正、自己規律にはね返ってくる、こういうことだろうと思うわけでございます。
したがいまして、公的な監督というチェックだけですべてが済むものではないというのは先生のおっしゃるとおりでございます。自己規律というものが一番の基本であることは私どもも同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/60
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061・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 ここまでの議論は、私、理解できました。
そうすると、行政による検査監督、それから自己規律、これは相反する二つのファクター。
よく最適値問題というのがございます。相反する二つのファクター、両方満足するわけにはいかない、どこら辺で落ちつかせるのが一番結果として効果が得られるのか。例えば、町に街灯がある、街灯が少ないと真っ暗になって犯罪がふえる、しかし、だからといってやたらと明るくすればいいというものではなくて、街灯をたくさんつけ過ぎれば税金が上がって、可処分所得が少なくなって、経済状態が悪くなって、また犯罪がふえる、ちょっといい例じゃないかもしれませんが。
だから、どこかに最適値があるはずだ。この場合の監督と自己規律の最適値、それを探して、それを実現するために今回この金融監督庁というものがあるかと思うのですが、大蔵省の方で、監督と自己管理、その最適値問題をどのように考えていらっしゃるか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/61
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062・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
大変難しい御質問だと思いますけれども、大きな時代的な流れからいうと、公的な監督中心から自己規律中心へという流れではないかと思うわけでございますが、ただ、その時々の経済情勢、あるいは銀行、証券、保険、あるいはノンバンク等を取り巻く環境によりまして、場合によっては公的なチェックの方をもっと出す必要があるかもしれないということもあるかと思います。しかし、大きな流れからいうと、まず自分で自分を律するというところを基本に持っていくということが、やはりこれからの行政の基本的なスタンスではないか。
しかし、では公的なチェックは全部なくなっていいのかなということになりますと、各国ともにこの検査監督ということには大変力を入れておるわけでございます。また力を入れざるを得ない状況だということでございます。それは、自己責任というもう一つのファクターをだんだん徹底してはいきますけれども、そこにはやはり公共性というものもありますし、そうしたことで各国ともに相当な人数の監督検査の要員を擁しているということは、すべて、一〇〇かゼロかではないということではないかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/62
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063・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 随分基本的なことをお聞きして申しわけございませんでした。
今の議論を通じて検査と監督、行政庁による検査と監督が、どの程度必要かというのはこれから議論させていただくとして、必要だということについては理解をいたしました。
それでは、今回金融監督庁設置法案ができたわけですが、この行政による企画立案、検査監督、これまでの体制のどこが悪かったからそれを改正しようとしているのか。今までの議論の続きで、わかりやすく、一つ一つ論理を積み立てていくような、今までの議論を踏まえてお答えいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/63
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064・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
既に大蔵省の方から、検査のやり方あるいは監督内容、また、これまでの監督と事後チェックとのバランスというようなことについてお話があったところでございます。今回、金融行政機構改革という二法案をお願いしているわけでございますが、これにつきましては、ある意味で申しますと、大きな流れからいいますとその線に沿っているところでございますが、若干ディメンションが違う面はあろうかと思っております。
まず、これは基本的に申しまして監督のウエートをどこまで、つまり規制をどこまで及ぼしていくのかどうなのかというようなこと、あるいはその規制の内容で、どういうものを規制していくのか。
例えば、古い話でございますけれども、昭和二年の銀行法、これの前はかなりのものがほとんど規制されていなかった。免許制があったぐらいでいろんな規制はなかったわけで、それで、金融恐慌の経験を踏まえまして昭和二年の銀行法ができた。そのときには、例えば増資につきましても認可制というのがあったり、いろいろしておる。これがさらに五十六年の銀行法では、減資の認可制は維持されるけれども増資の方の認可制はなくなる、こういうことで、そういう面の規制は緩める。他方、昨年国会で御審議いただきました金融三法、これによりまして、早期是正措置とか、そういう銀行経営の健全性に関します監督の規定、これがまた整備をされていくといったような、議員御指摘のいわば実態的な監督の態様、フレーム、こういうようなことは、日本だけとりましても昭和から平成にかけましていろいろな変遷があるわけでございます。今回のは若干、ある意味では似ていると申しますか、ある意味ではディメンションが違うというところがございます。
今回のお願いいたしております金融行政機構改革、これにつきましては、やはり一昨年来の住専問題、これに象徴されますような金融機関の不良債権問題の顕在化などを機会といたしまして、これまでの金融行政のあり方につきまして、政策決定過程、あるいはルールの適用などに不透明なことがあるというようなことを含めまして、さまざまな御批判が国民各層からあったところでございます。つまり政策決定過程やルールの適用などということでございまして、このルールそのものが、例えば規制が過剰であるのかとか、あるいは規制が足りな過ぎるというような方向とは必ずしもちょっと違ったところだろうと思います。
そういうことでございまして、今回の金融行政機構改革、これはこういう御批判にこたえるものでございまして、例えば金融監督庁を設置する、そして、この金融監督庁が、先ほど申し上げました民間金融機関等に対します検査監督という執行面の機能、これを担うことにいたしまして、フレームワークでございますところの企画立案、こういう政策面の機能を大蔵省が分担する。つまり、フレームづくりとそのフレームの運用、この二つの機能を分離するということによりまして、市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政、これへの転換に資するものという考えで実施いたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/64
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065・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 そうしますと、これまでの体制のどこが悪かったかという質問に対して、企画立案、検査監督が同じところにあって不透明な意思決定がされたというのが住専問題等で言われたので、それを改善するために分離分割しますと、そういうお答えだったのかなと思います。
では、企画立案と検査監督を分けることによって、端的に言いまして、どこがどうよくなるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/65
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066・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
例えば、これまでの御批判の中で、言ってみますとある意味で自作自演と申しますか、監督権を持っている、それがゆえに法令によらない例えば行政指導等ができるというような御批判もあったわけでございます。
今回、いわばルールを定めます方は大蔵省、監督権を行使いたしますのは金融監督庁ということでございますので、監督権に基づいてそういうような、不透明と言われますようなルールを行政指導などで設定するようなことができなくなる。またもう一方で、とのルールを定めます企画立案に当たりまして、いわば検査監督を通じまして日々当該業者、業界、こういう方々と接しているという状態から、日々の接触というのは切り離されるわけでございます、企画立案当局であります大蔵省は。そういう意味で、一歩間を置いたと申しますか、そういう立場から、例えば金融システム改革でございますとか健全性のルール等、これらにつきまして、そういう企画立案をしやすくなるということが期待されるというふうに考えております。
〔野呂田委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/66
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067・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 企画立案と検査監督を分ける、このメリットは、難しいなという声がありましたけれども、私は理解できました。
しかし、問題点として言われていたのは、企画立案と検査監督部門の癒着ということではなくて、大蔵省が持っていたもっとほかの権限、例えば財政とのその密室性ということが言われていたんじゃないかと思うのです。ですから、先ほど最初にお答えになったその密室性、住専問題等で明らかになった密室性について問題点が指摘されたのでこういう措置をとったというのですが、それは、企画立案と検査監督を分けるということじゃなくて、まあそれもかなり重要なことだというのは今の説明で私も理解できましたが、もっと大事なのは、財政とか大蔵省──この企画立案、検査監督を分けるということの方が論理的には説明が易しい、理解しやすいと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/67
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068・武藤敏郎
○武藤政府委員 住専問題を契機として何が問題になったかということからまずお話を申し上げたいと思います。
御承知のとおり、一つは、検査で得た客観的事実を監督に有効に使ったのかどうかということがまず問題になりました。どうも監督の方の都合で検査結果を、無視するというとちょっと言葉は適当でありませんけれども、必ずしも十分にそれを評価しなかったといったようなことがあったのではないかという指摘でございます。それから第二番目の指摘は、監督の方がいわば事前の行政指導という形でルールを設定してしまう、その結果何が起こるかというと、行政の透明性というものが失われて、法令に基づく厳正な事後のチェックによる新しい金融行政というものがなかなか追いついていかなかった、時代に合った行政に転換できなかったという批判でございます。これらはあくまでも金融行政のあり方の中の問題でございまして、金融と財政がどういうことかという、もちろんそういう問題の御指摘はあるわけでございますけれども、議論になったのはそういうことでございます。
今回は、今申し上げましたようなそういう議論の経緯をたどって、どういう対応が適切なのかということが昨年来与党三党の中で議論され、結論が出された、その結論に基づいてこの法案が提出されておるわけでございます。
一方、財政と金融はそれではどうなのかということでございますけれども、そのときに、金融というものは一体何なのかということでございます。
金融政策、バブルの責任問題がよく御議論ございまして、財政政策と金融政策という形で議論がなされますが、御承知のとおり金融政策は公定歩合と公開市場操作が中心でございますけれども、これは日銀の所管事項でございます。確かにそこに、今の日銀法にはいろいろ独立性の十分ではないものがあるということで、今回の日銀法が改正されるという形で、財政政策と金融政策のこの関係は解決されようとしているわけでございます。
それから、残された金融行政というものは企画立案と検査監督になるわけでございますけれども、これは金融行政がいかにあるべきかというこの一年半ばかりの議論を踏まえて、検査監督と企画立案を分けるのが適切であるということになったのは、先ほど申し上げました。そうしますと、残された金融というのは一体何なのかということでございますが、これが通貨制度の運営であり、いわゆる企画立案という金融制度の枠組みの構築とルールの制定ということでございます。
それでは、なぜその部分と財政は一体なのかということになるわけでございますけれども、これはまず、いろいろ経緯がございますが、基本は通貨制度ということであろうと思います。要するに財政は、結局国庫という形を通じて資金というものをどのように分配するかという問題でございます。金融も、結局民間の資金をどのように分配するかということでありまして、それを基本としておるのが通貨制度でございます。どこの国でも、通貨制度というのは国庫当局が持っておるのが一般的でございます。もちろん、若干の例外がないわけではございませんけれども、そういうことでございます。そういう国庫と密接不可分の通貨制度というものは、結局金融の制度とも信用秩序の維持とも資金の流れというものを通じて結びついているということで、一体に運用されているというふうに理解されるわけでございます。
そういうことは何も日本だけの議論ではございませんで、先ほどから申し上げておりますとおり、主要国においては、先ほど申し上げましたような意味での金融と財政とは一体でございまして、G7でそういう財政再建と金融システムの安定ということが、一人の大蔵大臣ないしはそれに相当する大臣の会合によって議論され、決められている。G7、御承知のとおり、プラザ合意とか、メキシコ通貨危機とか、大変大きな国際経済の安定の基本枠組みとなっている会合でございますが、そこではそういう形で議論されるわけでございますが、それはなぜそうかといえば、今申し上げましたような実態があるからだというふうに思うわけでございます。
多分、財政資金を不良債権問題なんかに投入するといったようなことについていろいろ御議論があるわけでございますけれども、これは最終的には内閣において議論され、もちろん予算という形で国会の御審議を受けるわけでございますので、私どもは、そこが不透明な状態であるというふうには考えられないのではないかというふうに思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/68
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069・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 済みません、よく理解できなかったところもあるのですが。
財政と金融が密接不可分である、ですからお互いに情報交換をして最も目的を、つまり経済が活性化をする、また所得の再配分もきちんとされる、そういうために財政と金融が密接不可分である、これはわかります。
しかし、その密接不可分という意味は、どちらかがどちらかに従属するという意味ではなくて、もしくは組織として一体であるべきだということではなくて、緊張感を持って、独立したそれぞれが自分の足で立っている、その独立したものが相手を認めながら密接不可分に協力し合っていくという意味であって、住専問題のときに問題点が指摘されたのは、金融が財政の中に、ある意味では対等なものとして協力していたのではなくて、従属していた。そういう中で、ああいう不透明な密室行政が行われた。こういうことから考えれば、先ほどの審議官の説明は、企画立案部門を大蔵省に残したということの説明にはならないと思うのですけれども、もう一度、素人にもわかりやすく御説明願えますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/69
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070・武藤敏郎
○武藤政府委員 財政と金融、金融と言った場合に中身がいろいろあることは先ほど申し上げたとおりでございますので、それを前提に、片方が片方に優先するとか片方に従属するとかいうような関係にあってはいけないのは、もう御指摘のとおりだと思います。それは、組織がどうあるかということではなくて、そもそもそういうものであるということだと思います。いろいろな政策の中に、いわば対抗関係といいましょうか、要するに総合的な調整を要する関係に立つものというのは、ほかにもたくさんあると思います。例えば歳出と歳入も、これはたくさん使おうと思えば税収をたくさん上げなければいけないということで、本当にそれが理解できるのかどうかというような問題があるわけでございます。
しかし、そういう二つの、あるいは複数の政策をどうやって調整していくか、これがまさに政策選択でございますから、最終的にはもちろん内閣の決断あるいは国会の御裁可ということになるのであろうと思いますけれども、それを先ほど申し上げました理由で、財政と、私が申し上げましたような企画立案に関する、通貨制度も含めたそういう金融というものが一体になっておるということは、今いろいろ問題となりましたような、何か片一方が従属するとかなんとかという問題にはなり得ないし、ならないようにこれからもやっていかなければならないということではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/70
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071・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 この問題についてはいま一つ納得いきませんが、ここにずっとかかずらわっているとほかの質問ができなくなりますので、次に進ませていただきます。
もう一つ、企画立案部門が大蔵省に残ったということ。私は実は先週末、今度行革特で質問をしなければいけないので、私は広島なのですが、広島の銀行をちょっとお訪ねして、今回の金融監督庁法案をどういうふうに見ていらっしゃいますかということで聞いて歩いたのですけれども、一言で言いますと、ほとんど気にしていらっしゃらない。なぜかというと、いや、地方銀行はこれまでどおり財務局さんにお世話になるのだから実態としては変わらないのでしょう、こういうことでございまして、要するに金融監督庁ができたとしても、東京の銀行さんは知りませんけれども、地方銀行さんは相変わらず大蔵省に顔が向いている、こういうことなのです。審議官、そういう状態なのですが、それでも、今していただいた説明というのはやはり正しいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/71
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072・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、地方の検査監督、これにつきましては、昨年末の与党の合意を踏まえまして、また行政改革の点に照らしまして、既存の地方支分部局を活用するということにいたしたところでございます。こういう基本的考え方のもとに、金融監督庁長官がその権限の一部を財務局長に委任することといたしておりますが、この委任される事務に関しましては、金融監督庁長官が財務局長を直接指揮監督するということにいたしておりますので、地方におきます検査監督の事務、これは、金融監督庁長官の指揮監督のもとで、今般の改革の趣旨に即しまして的確に実施されるものというふうに考えております。
特に、今般の金融行政機構改革の結果、大蔵省の方は全く民間金融機関等の検査監督の権限を有さなくなる、いわば中央の方が全くなくなってしまうわけでございますので、大蔵大臣が地方の民間金融機関等の検査監督事務に関しまして指示などを財務局長に対してするということはできないところでございますので、今までどこと接触なさっているか、こういうところでもってどこに行けばいいかとかあるいはどこへ電話すればという観点から申しますと、あるいは余り違わないという御感覚かもしれませんが、当該事務がまさに大蔵省の方から監督庁に移される、これはおのずから明らかになることではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/72
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073・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 地方の銀行さんは、確かに連絡先が変わらない、お世話になるところも変わらないというところと、それから、今回の基本的な流れである、これまでのように監督主導からルールを確立して事後チェックという流れの中にこの金融監督庁もあるのだというふうな認識は全くないわけです。だから、本当の意味で、今回の法改正、まだ施行されていないわけですから仕方がないと言えば言えるかもしれませんが、そういう意味で、これまでどおり大蔵省の監督のもとで、それもかなり手厚い監督のもとでやっていくのだという意識がまだ色濃く残っておりますので、今おっしゃったような説明では通らないと思うのですけれども、もう一度お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/73
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074・武藤敏郎
○武藤政府委員 地方の銀行の方が今の状況をどのように受けとめておられるか、私ども、直接その話を聞いているわけではございませんけれども、仮に今までと変わらないのだというような認識を持っているとすれば、これは大変な誤りだろうというふうに思います。
財務局を使うということについて、今総理府、準備室の方から御説明がありましたが、その財務局の担当者は、監督庁長官の指揮監督下に入るわけでございます。その指揮のもとに厳正にこの新しい金融行政に向かってやっていかれるわけでございまして、今までとやはり行政が変わっていく。問題は、組織が変わるということも一つ重要なことでありますが、もっと重要なことは、行政そのものが変わるというふうに我々は理解するわけでございまして、そういう方向に向けて変わっていけば、地方の銀行の方々もきちっと対応するようになっていく。まだこういう議論が行われている段階でございますので、十分に事態が浸透していないということはあるいはあるかもしれませんけれども、これは間違いなく、その行政の中身が変わることによって金融機関の対応も当然変わっていくべきものというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/74
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075・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 それでは、端的に。なぜ地方財務局の、検査をする人を金融監督庁の人にしないのかという質問に対しては、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/75
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076・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
御高承のとおり、現在、財務局の方におきましては、いわば企画立案的なことは行わず、監督事務と検査事務、これを中心に従事している者がいるわけでございます。もし、これをそのまま金融監督庁の新たな地方支分部局というものをつくって移す、こういうことをしたといたしますと、まず第一に新しい地方支分部局というものが幾つかできてくるということでございまして、これに伴いまして、例えば総務部門その他のものがまた必要になってくるといった点がございます。
また、現在財務局の職員の中で申しますれば、検査監督関係の事務、この者は一見いたしますとかなり多そうに、印象としてお持ちかもしれませんが、人員的に申しますと決して高い比率ではないということでございまして、これだけ区分いたしまして新たな組織にするということでございますと、運用、人事管理等におきます弾力性というようなこともございますので、行政改革の観点あるいは管理上の観点その他の点からいきまして、むしろ一体の形にいたしまして、機能的に監督庁の指揮のもとで運用する、その方が合理的な運用ができるのではないかというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/76
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077・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 いま一つよく理解できないのですけれども、先ほどの企画立案部門を大蔵省に残すということとこの地方財務局の問題、そのほかにも、信用秩序維持に重大な影響がある場合は大蔵大臣と事前協議をする、大蔵省と事前協議をするというふうなこともございまして、一般的に、本来目的としていた金融行政検査の確立とそのルール、事後チェックという大きな流れに対してやはり不透明なところが残るのではないか、こういう指摘に対して、いま一つ今の説明は説得力がないような気がいたします。この問題は引き続きこの委員会でも議論させていただきたいと思います。
次に移ります。
企画立案と検査監督を分離した、そこまではわかりました。次に、検査と監督ですけれども、これは、これからはできるだけ、はしの上げ下げと言われた監督というのを減らして、ルールを確立し、そのルールどおりに行われているかどうか、検査を主体にしていくということなんですけれども、この検査と監督の分離というのはどうなっておりますでしょうか。
ちょっと余談になりますが、私は鉄骨の溶接部の検査方法、あの超音波を使って現場で検査する方法の開発を若いころしておりまして、それで学位を取ったのですけれども、検査するときに一番大事なのは、その検査主体が独立した人格であるということなんです。
今の公共事業はいろいろ問題がありますが、一つ問題なのは、話が金融監督庁からちょっとずれますが、責任施工という考え方で、検査も一緒にゼネコンに発注されるのです。だから、ゼネコンは、自分がやったものを自分で検査する、そういう体制です、今の公共事業は。これは責任施工という考え方で、なかなか改まらないのですが。そうしますと、一定の受注金額の中でできるだけ利益を上げようと思えば、検査費用を削る。それから、現実にもうコンクリートを打つ生コン車が隣に控えて、早く打たないとコンクリートが固まりますよというようなときに、検査をして不合格ですとは言えないわけですね。もう合格ですという報告書を書かざるを得ない。
こういうのが現状なんですけれども、こういう公共事業を直していくには、私は、検査は発注者から直接受けて、それは施工者とは違う、こういう体制をつくることが、ひいては公共工事のコスト低減にも結びついていくと思いますし、構造物の安全性にも結びついていくと思うのですが、溶接の話はここまでにしまして、この検査と監督の分離も必要だと思うのです。監督部門からコントロールされた検査では、検査の意味がありません。その点についてはどうなっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/77
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078・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
先ほど御説明いたしましたとおり、今般の金融行政機構改革、これは、検査監督という機能と企画立案という機能を分離するというものでございます。これによりまして、市場規律を基軸としました透明かつ公正な金融行政への転換に資するという考えでございます。
今御指摘ございました施工者と検査、これが同じ者というのは、これは言ってみますと、金融機関が自分で行う内部的な自己チェックでございましたら、まさに施工者というのは、いわば金融機関の経営をやっている者、預金を受け入れて資金を貸し付けている者、そういうものかと存じます。
そういう点からしますと、若干話が、現実に金を貸したり預金を受けたりしているのは金融機関でございます、これに対しまして検査監督を行うということでございますので、若干異なるかと思っているわけでございますが、この監督庁におきましては、民間金融機関等に対します検査監督を専門的に行う行政機関といたしまして、まず第一に検査機能を適切に発揮していく。そして、これに基づきまして監督機能を的確に果たす。これによりまして、検査による事後チェック機能を重視した金融行政を実現していくことが求められておるのではないかというふうに考えております。
検査と監督の両機能、これは新たな金融監督庁のもとでそれぞれの機能を適切に果たしまして、かつ的確、有効に連動していく、これが必要であろうかというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/78
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079・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 非常に基本的な質問をずっとさせていただきましたけれども、この法律が目指しているものとその問題点が私なりに理解できたような気がいたします。
大臣、ずっと議論を聞いていただきましてありがとうございます。今の議論を聞きまして、果たして、この金融監督庁、この法案で、財政と金融のこれまでの関係は変わるのか。それから、検査ですけれども、これまでは監督主体の行政指導、はしの上げおろしと一般に言われております、そういう監督中心だった検査監督業務が、本当に透明な中でルールを確立して事後チェックという形にいくのかどうか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/79
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080・三塚博
○三塚国務大臣 ただいま斉藤議員と政府委員の応答を聞いておりました。大変、今後の運営に基本的な視点を明示をしたのかな、こう思って敬意を表します。
財政と金融の前に、監督の業務、いつまで続くのか手とり足とり、こういうことの御指摘が基本、事後チェックでいくことが理想でしようと、全くそうだと思います。
成熟した自由市場における金融機関というのは、まさに自己規律、自己責任において、生保でいいますと契約者、また、証券でいいますと預託者というのでしょうか、そういうそれぞれのお一人お一人、企業投資家もあると思いますが、これに対しまして、自己責任で行えるようにしていく世界の到来を、これは各国、我が国ももちろん大きな目標とするところでございます。
しかし、世の中なかなかそううまくいかぬものでございますから、人様のお金を、国民の貴重なお金、資産をお預かりを申し上げて、これを確実に安定して運用をし、約束を果たしていく。預金でありますと、いつでもお支払いできる体制をつくり上げておきますということで、市場に対する、金融機関に対する信頼というものは高まり、金は流れると思うのですね。
まさに、そして今度は、融資という点で、産業界の、経済界の血液だとよく言われます。その要求はそれぞれの銀行、金融機関に申し入れがなされる。そのときの基本は、それを確実に償還されるものなのかという視点、その前に大前提として、何に使われてどうするつもりですか、ここが第一のスタート。
第二点は、それを担保する資産があるのでしょうかと。担保力の問題の認定ということになるんだと思うのです。そして、担保力がありますが、なおかつ、お約束どおり償還ができますか、人様のお金を運用するわけでございますから、これが金融機関として大事なことであります。バブルの経験もこれありまして、この辺のところはやはり依然として重要な問題であり、今まで大蔵省銀行局、証券局が担当をしてまいったわけでございますが、二つに分けることによって、企画立案、いわゆる政策部門です、法令等制定をして万全を期するということでありましょうし、それで執行機関の検査監督の部分は、いわゆる法律に定める明確なルールに基づいて監督をして、金融機関としての健全運営が担保されるように、こういうことになると思っております。
そういう点から考えますと、これからスタートをするわけです。これは成立しませんければスタートはできませんので、ぜひ御理解の中でスタートをさせていただきまして、これだけの論議の積み上げの中の視点を監督庁は恐らくしっかりと踏まえて進まれるわけであろうと思うし、その実績をまず見るという、万全の対策で臨むと思うのでありますが、主管大臣は内閣総理大臣、代行して官房長官がこれを担当しておるわけでございまして、私どもの大蔵省の側は、企画立案、政策面においていささかもこの部分に立ち入るということ、いささかと言ってはちょっと言い過ぎでありますが、介入という意味の立ち入りはございません。
両々相まって、時に協議という事項もあります。国際金融システムの維持という意味で、要すれば、日本発パニックが世界のパニックになるようなことは、国家として、政府としてこれは抑えていかなければならないわけでありますから、そのためには検査監督のデータも御提供いただかなければなりません。そのときは申し入れることもありましょうし、お教えをいただくということもあろうと思います。
そして、G7、先進七カ国の大蔵大臣の協議、二カ月に一遍ぐらいずつ行われておるわけでございますが、そういう中で、マクロ経済、安定したインフレなき経済成長を期するという点は、まさに財政と金融の一体的な意見交換の中で方向性を決め、協調していく、こういうルールになってきました。グローバルの観点ということで望ましい形かなとは思います。そういう、現実を私どもは踏まえながら進む。しかし、一義的には国内金融機関の健全な発展を促す、こういうことであろうと思います。財政と金融という面において、金融機関とそれから財政の運用は政府委員から答弁いたしておりますので、これ以上私からは申し上げません。
一点だけ、政府金融機関の問題につきましては、本件については毎年見直してきております。これから重要な財政構造改革元年を迎えるという視点に立っておりますから、見直しをさらに徹底をし、役目が終わったものありとすれば転換をしなければなりません。重要な政策目標の中で取り進めるという意味では、税を中心とした財政と、政府金融機関としての有効適切、これも有償でやりますから、償還確実なものということの中で運用をどうするか、こういうことになろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/80
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081・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 非常に基本的な、プリミティブな議論のやりとりの後、それをうまくまとめていただきまして、ありがとうございました。
官房長官、記者会見に行かれるということで、この後、日産生命のちょっと個別具体的な質問になりますので、ちょっとここで一つだけ質問させていただきます。
この金融監督庁、新進党としてはこの法案に賛成をするという方向は決まっておりませんが、賛成はしませんが、できるとすれば、私は、専門庁として本当にスペシャリストを備えるべきだ、ゼネラリストを集めてもしようがない。本当に、ああいう専門家の生産性というのは、まさにできる人とできない人では一対千とか一対一万ぐらいの差がございますから、本当に、専門家を集めて少ないコストで最大限の効果を上げる、少ないコストで我々国民の共有財産である公平な市場、金融市場を守るということが必要かと思いますが、そのスペシャリストを集めて最小のコストで最大限の効果を上げるということについての官房長官の御決意をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/81
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082・梶山静六
○梶山国務大臣 ただいままで質問を聞いておりまして、思い新たに、それぞれを分解をしていただいたので、私も、実はたくさんわからなかった点が多かったのですが、大変蒙を開かれた思いがいたします。分解をして、なおかつ組み立ててみますと、やはりどうしても金融監督庁は早く発足をしなければいけないという結論に達しました。今までの経緯にかんがみ、この部門だけを残しておくことは、後で行政改革のときに一緒でいいではないかという議論が多分にありますけれども、そういうものではないはずであります。そして、今言われたように、スペシャリストを結集をしてこの検査監督に当たればいい。
しかし、考えてみますと、いわば都市銀行、それから地方銀行その他もろもろの金融機関に対する検査監督の割合、これを考えますと、どうしてもこれは冒頭に、企画立案部門が正常な、金融機関が動けるような一つのルールづくりをがっちりやっておかないと、幾ら後追いで検査をやっても間に合わないという気がいたします。恐らく、私は資料をよく見ておりませんが、どのぐらいの率の検査ができているものなのかどうかというのを考えますと、大変そら恐ろしい気がいたします。
本質はあくまでも、金融が自由に、その自己責任において完結的な金融が行われるように、そして我々の行うべき金融行政、その企画立案部門が正常に作動し、それを各金融機関が拳々服膺するというか、若干の自主性はあるのでございましょうが、自分の企業を守り、自分の預金者を、自分の融資先を健全に守っていくという責任感、これを横溢させるならば、私はこれはできるという感じがいたします。
いずれにいたしましても、これから私が考えていることは、よく、今担保という言葉が出ましたけれども、今までのものは不動産以外に担保になり得るものはなかった、しかし、これからはそうではなくて、やはり経営能力であるとか、新商品の開発能力であるとか、創出能力であるとか、技術力であるとか、そういうものが担保になり得るような評価基準がこれからでき上がらなければなりませんし、それができないとどうしても、日本が新しい型の産業形態を築くこともできないはずだ。これは産業政策と全く一体になるものかもしれませんが、そういう、もう一回新たな芽を金融界自身がつくり上げてみなければならない。
そして、なおかつ、これから国際的に金融が開放されるということになれば、これに対する防御力ないしは先進性、こういうものをつくるために、金融界みずからがこれから大変な努力をし、研さんをし、それから、一つ一つの個という金融機関は大切でありますが、おおよその類型別に、私たちの金融機関はこういう役割を担っていこう、そういうみずからの目標設定をする勇気がないと、幾ら検査をやってみてもしょせんは後追いになってしまうのではないかなという心配、懸念を持っております。
そうならないように、数少ないのでありましょうけれども、スペシャリストと言われても、それが何万とあり得るところを見ますと、私はかつての戦争屋でございますから、幾ら優秀なパイロットがいても、雲霞のごとく来る数多い敵にはとても勝てなかったという昔を考えるわけでありますから、例えが大変拙劣でありますが、どうかそういうあれが整々と行われる環境を早くつくり上げることが大切だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/82
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083・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 ひとつよろしくお願いいたします。
それでは、次に、日産生命の問題について質問させていただきます。
日産生命の破綻の原因は何なのか、そしてそれはいつごろから始まっていたのか、お聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/83
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084・福田誠
○福田(誠)政府委員 日産生命の破綻の原因と大蔵省の対応についてのお尋ねでございます。
日産生命は、高金利の時期でありました昭和六十二年から平成二年ごろにかけまして、高い予定利率、大体五・五%中心でございますが、高予定利率の個人年金保険を他の保険会社に比べまして異常に大量に販売いたしまして、短期間に業容を拡大したわけでございます。その後、御案内のとおりのバブル崩壊によりまして、市場金利が低下し、株価の低下等もございまして、高い予定利率と実際の運用利回り、運用利率との間に大幅な逆ざやが生じたわけでございます。
そして、日産生命においては、以後、経営改善努力を続けておりましたが、平成八年度決算、今期決算におきましては、低金利状態が長引きましたこと、株式投資の失敗と相まって一層の株価の低下の影響を受けまして含み益が枯渇し、今般は大幅な赤字決算となる見込みに至りまして、今後の事業継続が困難な状況に立ち至ったわけでございます。
大蔵省の対応でございますが、バブル崩壊後の平成四年度以降、日産生命の経営が他社と比較して収益面で低調になりつつございました時期以降、数次にわたり収支改善計画等を策定させ、実行を求めてまいりました。
具体的には、平成七年五月には、新契約費の削減とか安定的な収益の確保などを柱とした改善計画を作成させ、実施を指導しておりましたし、さらに、七年九月の大蔵省検査におきまして経営内容が急激に悪化していることが把握されましたものですから、一層強く財務の改善を指導してまいりまして、平成七年度決算におきましては単年度で黒字を計上するなど、経営改善の兆しもあったわけでございます。また、八年度からは、一層のリストラによる経費の圧縮とか、特に日立、日産グループの企業支援による基金の増強等々を柱とする経営改善計画を実行を求めてまいりましたが、先ほど申し上げましたように、八年度末において、市場金利の低下とさらなる株価の下落の影響を受けまして、事業の継続が困難な状況に至ったものでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/84
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085・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 大蔵省がその債務超過に陥ったのを知ったのはいつごろですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/85
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086・福田誠
○福田(誠)政府委員 ただいま申し上げました平成七年九月の検査時点で把握をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/86
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087・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 日産生命の社長は、この債務超過については九四年三月期から債務超過に陥っていたと。九四年ですから平成六年でしょうか。当然大蔵省は検査に入ってこのことを知っていたはずですし、かつ、社長も記者会見で毎年大蔵省に報告していたと言っております。そして、生命保険会社ですので、ディスクロージャーはある特別な形で行われるわけですが、そのディスクロージャー誌でもこの赤字という情報は一切載っておりません。これは、決算上黒字ということにもなっているわけでございます。これは大蔵省が知っていながら粉飾決算に肩入れをしていたということにもなるわけですけれども、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/87
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088・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
日産生命は平成七年度の決算までは黒字決算でございますが、これは一般的な経理基準にのっとりまして決算を行ったものでございまして、監査役なり監査法人のチェックを受けたものとして当局に報告が行われていたわけでございます。
日産生命におきましては、業績が悪化してから、一部含み益のある資産の売却等により決算を行ってきたのは事実でございますが、含み益の活用自体は特に問題があるとは考えておりません。保険会社の決算につきましては、保険会社において、経営の責任において作成、報告するものでございまして、粉飾決算に大蔵省が加担していたのではないかという御指摘は当たらないと考えております。
なお、先ほど来申し上げている平成七年九月の当局の検査を実施した段階におきまして資産内容が悪化していたため、その時点で資産を時価で評価してみたところ、時価ベースで負債が資産を超過する状態、いわゆる実質債務超過状態にあるという事実を把握したわけでございますが、このような実質債務超過というものは、企業が継続している間はいかなる企業も対外的に発表しているものではございませんで、そのような計数の算出を義務づけられているようなルールもございません。また、私どもが検査で把握したそのような計数を機械的に公表すべき性格のものでないということについては御理解をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/88
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089・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 破綻が発表される前日にも個人契約をした方がいらっしゃいます。個人契約といいましょうか、日産生命の保険に入った方がいらっしゃるわけでございます。そうしますと、先ほど来議論をしてきました、何のために検査をするのか。検査をするのは、山口局長おっしゃいましたけれども、一人一人の国民の大事な資産を預かっているそういう金融システム、非常に大事である、国民の共有財産である、こういうお答えがあったわけですが、そのお答えと矛盾するのではないでしょうか。
それと、検査そのものは、よく聞きますと、こんなに調べて全部チェックできるのかしらんと保険会社や銀行の担当者が言うほどたくさんの書類をチェックされるそうであります、私は現場を見ておりませんのでわかりませんが。銀行の中のだれよりもその経営内容について詳しい情報を持っているのは大蔵省だ、こういうこと。これも、先ほど議論してきましたように、検査というものが必要だからということでそういう民間企業の一つ一つのチェックがされるわけですけれども、そのことに論理的に矛盾するのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/89
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090・福田誠
○福田(誠)政府委員 先ほど申し上げましたように、検査で実態を把握した以後、大蔵省として放置をしていたわけではないと考えております。
一般論でございますが、免許会社たる保険会社は、経営が悪化した場合でも、会社の抱えております保険契約のことを考えれば、自主努力で全力を挙げて経営改善、経営の立て直しを図るべきでございますし、当局としても、そのような努力を要請し、指導していく立場にあると考えております。
ただ、先ほども申し上げましたように、そのような指導監督にもかかわりませず最終的に経営を断念するに至ったことは大変残念でございますが、そのような事態に至った以上、大蔵省としては、破綻をそのまま放置することなく早期に処理することが行政上の責務であると考えておりまして、現在、契約者保護を基本とした処理スキームが早急に取りまとめられるように努力をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/90
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091・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 保険会社の方に聞きますと、まさに保険会社の経営は大蔵省の手とり足とり、保険料率はもちろんのこと、業務計画についてもすべて報告をさせる、そして売り方にも注文をつける、預かった資金の運用もガイドラインを示して指導する。手とり足とり頭を押さえというやり方。そういう中で、保険会社の方も甘えがあったのだと私は思います。大蔵省の言うとおりにやっているのだから破綻をしても救ってもらえるだろう。これが今回の日産生命破綻問題の本質ではないかと思うのですが、それでもなおかつ大蔵省には一切の責任はなかった、このようにおっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/91
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092・福田誠
○福田(誠)政府委員 大蔵省といたしましては、従来から生命保険会社経営の基本として、自己責任に基づき業務の健全かつ適切な運営を行うよう要請しているところでございまして、その点について御理解賜りたいと存じます。
当局としましても、日産生命につきましては、そのような趣旨を踏まえた指導を行ってきたところでございますが、最終的な例えば資産運用等々については個別会社の投資方針に基づく運用でございますから、あくまで経営のリスクと責任で判断してこられたものでございまして、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/92
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093・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 それでは、まさに一体何のために検査をしているのかということになりますが、その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/93
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094・中川隆進
○中川(隆)政府委員 御説明申し上げます。
保険会社に対します検査についての御質問でございます。
今の日産生命の問題につきましては、保険部長から御答弁申し上げておりますように、平成七年九月に検査を行っております。検査結果につきましては保険部の方にも連絡いたしまして、検査結果を踏まえまして適切な指導監督が行われたということは、先ほど来説明があったところでございます。
保険会社に対します検査の現状は、詳細は省略いたしますけれども、先ほども御説明いたしましたように、保険業法に基づきまして、保険会社の経営内容、あるいは保険契約者の保護を図るということで、今申し上げました資産内容の把握のほかに、リスク管理体制、募集管理体制あるいは内部事務管理体制のあり方をチェックをする、問題があれば指摘をし、改善を求めるということをやっているわけでございます。
おおむね現在四、五年に一度ということで、少し長くなっておるわけでございますけれども、御案内のとおり、近年保険会社の数が随分ふえてきておりまして、現在、生損保合わせますと百十八社、保険会社だけで百十八社になっております。
従来、三年程度という周期で、頻度で検査をしておりましたけれども、このところそういう事情もございまして、少し長くなっているというのが実情でございます。今の御説明申し上げておりますような厳しい状況もございますし、今後、検査の頻度あるいは検査の内容につきましては、十分充実を図り、改善を図っていく必要があるということで、現在鋭意取り組んでいるところでござい
ます。どうぞ御理解を賜りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/94
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095・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 先ほど、日産生命の経営が破綻する一つの原因として、逆ざやということが挙げられておりました。バブル時代に予定利率の非常に高い個人年金をたくさん集めた。しかし、その後非常な低金利状態になって、運用利回りは三%台、結局一%以上の逆ざやが生じたわけでございます。日産生命の場合はそれが一・六%程度あった。絶望的な逆ざや、こう言われていたそうでございます。
そういう中で、日本の金利が低いので外債投資に向かわざるを得ない。この外債投資も、為替リスク等があってある意味ではくちのようなものですから、今、体力のない生命保険会社はサラ金で借りた借金をばくちで返すというふうな状況になりつつある、こうとも言われているわけでございます。
この低金利、これが体力のない生命保険会社をいよいよ苦しめて、第二、第三の日産生命が出てくるのではないか、このように言われているわけですが、銀行を助けるための低金利が、片一方で生命保険会社をじわじわと苦しめ続けている、こういう現状につきまして、大蔵大臣、どのようにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/95
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096・福田誠
○福田(誠)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、日産生命の破綻につきましては、構造的な逆ざやがあったということと、それから直近におきまして株式投資等に失敗したということ、二つ挙げられるかと存じます。
低金利の状態が生命保険会社の運用環境を大変に厳しいものにしているということは御指摘のとおりでございます。しかしながら、その環境に対しまして、各生命保険会社は、さまざまな経済環境に耐えられるように、自己責任で経営を行うよう各種のリストラに取り組んでおりまして、日産生命のような状態にある会社はないわけでございます。低金利政策そのものが、今回の日産生命の破綻の直接の原因というふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/96
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097・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 直接の原因ではないというのはわかりますけれども、しかし、主要な、それもかなり長期間のボディーブローとしてきいている主要な原因であるということはお認めだと思います。
この生保をめぐる金融危機、また、先日も同僚の倉田議員の方から、今の低金利政策が非常に庶民の、特に年金で暮らしていらっしゃるお年寄りの生活を圧迫しているという指摘もございました。また、最近は、金利を上げることによって預金生活者の可処分所得をふやす、また企業預金というのもございますので、企業にも還元するという意味で、金利を上げることが景気の回復に結びつくのではないか、このような論調も経済界から出てきております。生命保険会社の、日産生命に続いて第二、第三の破綻会社が出てくるという状況も踏まえて、金利を引き上げる以外にこの状況を打開できないのではないか、こういう説もございますが、大臣、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/97
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098・三塚博
○三塚国務大臣 最近、低金利に対する見解その他、それぞれからいろいろ聞いてはおりますが、御案内のとおり、金利政策、日本銀行の専管であります。それと同時に、松下総裁、昨日の大蔵委員会でも答弁をいたしておりましたが、日本経済がようやく底がない動きにあります、しかし四-六の消費税導入による影響が残っておることは事実でありますが、しばらくはただいまの方針を取り進めていくことといたしたい、こういうことであり、大蔵大臣としても、日銀の総裁の見解はサポートをしていかなければなりません。
議員御指摘のとおり、高齢者の皆さんの大事な預金、定期その他あるわけでございまして、その目減りのことについては心苦しく思っておりますし、まことに申しわけはない、こう思い、しばらく御辛抱をいただけませんかと言わざるを得ません。
一方、低金利は経済の下支え、特に今苦しんでおられる中小企業の皆さんの償還についてもそれなりの効果を出しておるわけでありますし、また、勤労者の皆さんの住宅ローン等についても、その部分が負担軽減に働いておることも否めない事実であります。
そういう中で、私は、諸改革が、特に経済高コスト体質からの脱出という意味で真剣にこれに取り組んでもらわなければなりませんし、それと許認可等の撤廃、廃止、物によっては緩和ということもあると思いますが、そういうことの中でビジネスチャンスを展開をする、そして消費の回転をよくしていく等の措置が諸改革の断行の中で進められていくことが大事なことだな。
気持ちはわかりますけれども、ここ一番大事なところでありますものですから、御辛抱をいただきながら、政策効果が上がりますように政府の一員として全力を尽くしていくことが、御辛抱をいただいておりますことにお報いをする道かなと思っておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/98
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099・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 日銀の専管事項ですので、こういう意見があるんだということを踏まえていただいて御議論いただきたいと思います。
日産生命の破綻の原因の一つは、バブル期に多数契約した非常に利率の高い個人年金の責任準備金が総資産の四九%を占めるまでになった、これが破綻の要因と言われておりますが、これに近い生命保険会社もあるのではないか、このように言われております。これについて、今でもいろいろな新規契約者、そういう情報公開がされてないで、何も知らないで新規契約をされている国民の方がいらっしゃるわけですので、私は、情報公開、ディスクロージャーが大変重要だと思います。生保業界の中で、この個人年金の責任準備金が総資産に占める割合が日産生命に次いで高いのはどこなのか、そしてそれはどの程度なのか、大蔵省、当然検査をされていらっしゃいますので把握されていると思いますが、国民のために御提示願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/99
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100・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
今御指摘の日産が、四九%でございます。二番目は、ちょっと色が違いますして、セゾン生命でございますが、これはちょっと外社系統で性格が違うと思います。純粋国内会社ですと、四九%の日産に次ぎますのは、日本団体生命の二六%というところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/100
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101・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 これからは、自由化、そして契約者も自己責任で生命保険に入っていかなきゃいけないという時代ですので、まさにディスクロージャー、情報開示が大事だと思います。その点、情報開示につきましてよろしくお願いいたします。
この点についてもう少し質問したかったのですが、ちょっと時間がありませんので、野村証券の問題について、法務省の方、来ていただいておりますか、捜査の状況について御報告いだだきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/101
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102・原田明夫
○原田政府委員 お答え申し上げます。
お尋ねの野村証券をめぐる事件につきましては、東京地方検察庁におきまして、五月十三日、証券取引等監視委員会から、野村証券及びその関係者につきまして、いわゆる損失補てんと言われておりますが、証券取引法違反による告発を受けました。そして五月十四日に、東京地方検察庁は、野村証券関係者三名を、その証券取引法違反と同じ事実がいわゆる商法上の利益供与に当たるということで、商法違反という事実をとらえまして、双方の容疑で、また五月十五日には、その商法違反に関する利益を受けたということで小池隆一ら二名をそれぞれ逮捕いたしまして、その被疑者の関係箇所やその他の事件の解明に必要な箇所を捜索するなどして、現在鋭意捜査を詰めているところであると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/102
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103・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 今回の事件で、第一勧銀から大蔵省へはどのような報告がありましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/103
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104・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
第一勧銀が総会屋の関係者に対して融資を行っていたことなどにつきまして、大蔵省としても既に同行に対しまして事実関係の調査を指示しているところでございますが、その内容につきましては、現在捜査当局による捜査が行われているところでもございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
いずれにせよ、大蔵省としても、本件については重大な関心を有しておりまして、捜査状況等を見守りつつ、適切に対処してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/104
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105・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 SECの方、いらっしゃっておりますか。野村証券からはどういう報告が来ておりますでしょうか。
この一年間、証券市場の自由化、透明化のためにSECは大変頑張られて、その一つの成果が、今回のこの野村の不祥事が明らかになったということではないかと思います。その努力を非常に評価したいと思いますけれども、野村証券からSECにはどのような報告がありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/105
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106・若林勝三
○若林政府委員 お答え申し上げます。
野村証券問題につきましては、証券取引等監視委員会におきまして、昨年来その事実関係の解明に努めてまいったところでございます。その過程におきまして、野村証券の関係者からいろいろ話を聞く等の調査を進めてまいったわけでございますが、本年三月二十五日には、東京地方検察庁とともに関係箇所の捜索を行いますとともに、鋭意調査を進めてきた結果、この五月の十三日、当委員会は、野村証券株式会社及び同社の元役員等三名を、証券取引法に違反する損失補てんの嫌疑で東京地方検察庁に告発いたしたところでございます。
そういう意味におきまして、野村証券からそういった捜査の過程においていろいろ事実関係を聞き、その結果を踏まえて今回の告発をさせていただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/106
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107・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 一九九一年、このSECができる一つのきっかけとなりました野村証券の不祥事、このときに大蔵省がきちんと検査をし、しかるべき監督、まさに検査監督ですが、その任務を果たしておれば、今回のこういう不祥事は起きなかったのではないかと言われております。その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/107
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108・長野厖士
○長野政府委員 先ほど来、じゅんじゅんと先生が議論をお進めいただきましたように、金融行政、中でも証券行政は、事前予防的な監督から事後チェックに向かうべきではないか、この議論が一番大きく浮かび上がりましたのが、前回の証券不祥事だったろうと思います。したがいまして、そういった観点を踏まえまして、独立の機能を有し、監視、検査に当たる証券監視委員会というものを設立し、以来活動してきていただいておりますし、今回、大変な御尽力の中で告発というところまでいっていただいたのは、日本の証券行政史上、非常に大きなステップだと思います。
ただ、その中で、先生の御質問の中にもお気持ちがこもっておるように思いますけれども、事前予防から事後チェックへ、違反事実があった場合にはきちんと摘発する、そのことは今監視委員会においてなされつつございますが、監視委員会が摘発したからそれにて済みか、再発防止というのは、ただ後でペナルティーを科すだけで十分なんだろうかという問題意識が、この委員会での御審議でも、あるいは国民の議論の中にも、私どもの気持ちのどこかにも少しございます。
したがって、私どもは、現在、検査、監視は監視委員会にお任せしておるのでそこで一罰百戒で処罰が行われるでありましようというだけで済ませていいものかどうか、日本はそういうふうにならなくちゃいけないと皆思っております傍らで、その事前予防という視点に、何か、後のペナルティーだけでいいのだろうかという思いが大勢の方にあって、こんな御議論になっておるのかなという感じがいたします。
そこらについて、私、今回の答えも持ち合わせておりませんが、この監視委員会が、ただ犯則事件だけではなくて、それに至るいろいろな経緯等もいずれお調べになって御報告があろうかと思いますから、その中から、今このひっかかっておりますような問題につきまして何か答えが見つからないかどうか、研究していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/108
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109・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 先ほどの議論を通じて、特に検査の重要性は私は理解しましたので、事前予防という観点も非常に重要であるということは理解をしております。
この小池隆一容疑者ですけれども、他の証券会社の株も三十万株程度持っている。これもDKBが融資をした。これについては調査をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
今、我々は、日本版ビッグバンをやろう、透明な市場、そして公正な市場、そして日本はもとより世界じゅうからお金が集まってくるような魅力ある金融市場をつくろう、その改革のためにこういう議論をし、頑張っているわけでございますが、まさにそのようなときに、こういう不公正、不透明、アンフェアな事件が起きるというのはタイミングが悪過ぎるというふうな思いもいたします。
まだまだ不正がある、こういうふうに言われておりますが、これについてはいかがでございましょうか。ほかの証券会社についてもこういうことがあるのではないかということについて調べるということについては、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/109
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110・若林勝三
○若林政府委員 証券取引等監視委員会といたしましては、日ごろからいろいろな証券会社の公正確保に係るルールの遵守状況、また内部管理の状況等チェックをいたしておりまして、その中で何か違法な行為、そういったものがあれば、法の定める手続に従って厳正に対処するという基本的な考え方で対応してまいったわけでございます。そういう意味におきまして、今後ともその基本的な考え方で厳正に対処してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/110
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111・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 いずれ国会の方でその調査の報告をしていただきたい、このように要望いたします。
最後に、今回の証券・金融不祥事、証券のトップの野村、そして銀行、都市銀行のついこの間までは預金量トップであった第一勧銀、この証券、銀行のトップ同士の不祥事ということで、大変私は、これからの日本の金融改革、自由化について大きな暗雲が垂れ込めてきた、何とかこれを乗り切らなければならない、このように思うわけです。前回の九一年の証券・金融不祥事のときは、時の橋本大蔵大臣が責任をとって辞任をされております。今回、大蔵大臣、この証券、銀行、それを監督する最高責任者としてどのように対処されるおつもりか、お聞きをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/111
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112・三塚博
○三塚国務大臣 今回の事件は、大変遺憾千万な事件であります。時あたかも金融システム改革、日本の金融界が信頼を確立をしていくという諸改革が取り進められております。日本の国民各位に対して、同時に経済国家として、世界の金融市場としての信頼がベースでなければ、その維持は困難であります。そういう点から、私は、この真相解明、それも早期に行われるということが行政として大事なことだと思っておるところであります。
同時に、この再発防止をどうするか。今担当局長も言明をいたし、何らかの方式を、こう言っておりますが、証券取引等監視委員会設置の目的は、まさにこういう事態のないように、常時監視の中でやり抜いてきたわけでございます。よって、不正があれば必ず摘発をし、厳正に処分をするというのが今日の基本的な建前であり、そのことによって、透明で信頼のできる市場を確立をするということで責任を果たしていかなければならないな、こう思っておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/112
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113・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 よろしくお願いいたします。
以上、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/113
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114・綿貫民輔
○綿貫委員長 次に、枝野幸男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/114
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115・枝野幸男
○枝野委員 この金融監督庁の法案が行革委員会におろされているということは、広い意味での行革の問題であるという認識に基づいているわけでありますし、また、従来の政府の御答弁の中でも、中途半端じゃないかというような話に対して、全体の省庁再編の話をするまでの過程なのか、それともこれでしばらく動かないのかというのは閣内不一致をしているような部分もあるようでございますが、いずれにしても、行政改革全体の構造とこの話というのは切っても切れない関係にございます。
そういったことで、まず、行革会議の事務局に来ていただいておりますが、行革会議は議事録を完全に公開しておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/115
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116・坂野泰治
○坂野政府委員 行革会議におきましては、議事録、いわばやりとりをそのまま記録した議事録は公開をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/116
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117・枝野幸男
○枝野委員 まさに行革は、橋本内閣にとって最重点課題の一つであるというにとどまらず、今この国が最も国民的に総力を挙げて取り組まなければならない課題であります。そして、行革を進めていく場合には、当然のことながら、いろいろなところに痛みを伴いながらも進んでいかなければならない、まさに国民的な合意を得ながら進めていかざるを得ない部分というのを持っています。
そうした話について、国民にできるだけ議論の内容をしっかりと公開をして、例えば一部のマスコミ報道などの論調では、役所がいろいろとコントロールをして骨抜きにするのではないかというような疑いとか、そういったことも書かれたりすることもあるような中でございます。行革会議の議事録は完全に公開をして、さらに言えば、行革会議そのものに傍聴あるいはテレビカメラを入れて中継をさせる、マスコミを入れて取材をさせる、それぐらいのことをやったらいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/117
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118・坂野泰治
○坂野政府委員 行政改革会議におきましては、昨年十一月二十八日に第一回の会議を開催したわけでございますけれども、その際、会議の議事や審議の状況等をどのように国民の皆様方に知っていただくかということについても審議が行われております。
その結果、審議の状況を広く国民の方々に理解をしていただくことが重要だという認識のもとに、毎回会議後に、事務局におきまして速やかに議事概要を作成し公表すること、及び毎回会議終了後、議事内容についてマスメディアの方々に十分御説明をするということが決定をされております。ただ、会議の議事そのものにつきましては、公正かつ中立的な立場から、幅広く自由闊達な議論を交わしていただく必要があるということから、そのまま公開するのは適当ではないということにされたわけでございます。
したがいまして、行政改革会議におきましては、このような方針に基づき、会議をそのまま公開する、すなわちやりとりもそのまま載せた議事録は公開をしないということにしておるわけでございますが、ただ、先ほど申し上げました方針に従いまして、できる限り論議の模様や資料につきましては、マスメディアの方々を初めとして十分承知をしていただけるように努力をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/118
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119・枝野幸男
○枝野委員 まず、全面公開をすると委員の人たちが中立公平に発言できないという話、よく公開の問題では出てくるのですけれども、自分が何を発言しているのか世間に知られたら困るというような人に委員をやってもらったら、逆に言えば困るわけですよ。だれが何と言おうとおれはこれが正しいと思うんだとちゃんと言える人にやってもらわなければ、周りから何かごちゃごちゃ言われたら嫌だななんという腰の引けた人間に行革会議の委員をやってもらって議論をされては困るのです。
それから、そもそもこの手の、これが正確な意味で審議会だったかどうかちょっと覚えていませんが、私も自民党さんと一緒に与党をやらせていただいたときの行政改革プロジェクトチームの座長をやらせていただいておりました。そのときに、この手の会議みたいなものは可能な限り全面公開をしろということを、これは自民党、今の与党の皆さんも含めて当時の与党の行革プロジェクトで合意をして、それに基づいて各審議会を公開をしている過程の中でつくられてきた会議なわけですね。
そうしたところで公開をしていないのはどうしたことなのかなという疑問を挟みながら、具体的な話として、ことしの五月一日付で行政改革会議が「委員の意見の整理」という大分分厚いものをお出しになりました。この三十九ページにエージェンシー化というこの行革会議が議論をされている大きなテーマの一つのところについて、こういう記述があります。
タイトルとしては「エージェンシー化の対象業務例」という中に「自衛隊や国税庁はエージエンシー化の対象外。他の執行機能は原則としてエージェンシー化し、特殊法人に近い形。」という記述があります。国税庁は、エージェンシー化の対象外と決めたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/119
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120・坂野泰治
○坂野政府委員 五月一日に公表いたしました「中間整理」は、その性質といたしまして、これまでの間に行政改革会議におきまして各委員から開陳をされました意見を要約いたしまして、項目別に並列してそのまま整理をしたものでございます。したがいまして、先ほど御指摘の意見を述べられた委員があったということは確かでございますけれども、行革会議としてそのような結論を出したものではないというふうに御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/120
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121・枝野幸男
○枝野委員 これは詳細版とワンセットになっているわけですよね。そこのところにそんな記述なんか全然ないわけですよ。いつの間にかこれはひとり歩きをしているんじゃないですか。
例えば、各役所に行革会議はいろいろなヒアリングをかけていますね、おたくの役所、こういうことをやったらどうなんだと。大蔵省に対して、国税庁のエージェンシー化の話は投げていますか。あるいは、例えばエージェンシー化をするとすればおたくの役所ではどこですかという投げ方で、国税庁も議論の対象になり得るんだということで投げていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/121
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122・坂野泰治
○坂野政府委員 現在、行革会議では各省庁からヒアリングを行っておりますが、それに際しては、事務局から、会議の了承を得て各省に質問項目を投げかけております。
大蔵省に対します質問項目の中には、直接に国税庁について、これをエージェンシー化したらどうかという形の設問はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/122
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123・枝野幸男
○枝野委員 議論をしっかり全部公開しておけば、まずこれがどこかで決まったかのような誤解を与えるようなことはないのです。
それから、国税庁の外庁化問題なんですが、外庁化についてはいろいろな議論もありますが、もし外庁化というシステムをとるとすれば、国税庁ぐらい外庁化に適したところはないんじゃないですか。国税庁全体として考えてマル査まで含めて考えたら、そこの部分は強制力を伴った公権力の行使ですから別かもしれませんが、国税庁の一般業務というものを考えたときには、まさに、主税局が企画立案部門としてもう既に分かれていて、そして、執行部門だけ国税庁に分かれている。
エージェンシー化をやってみたらどうだろうかということをサンプルとして取り上げるのにむしろ適しているぐらいなのが国税庁なのに、国税庁がエージェンシー化の話のところへ全然具体的に出てこないで、むしろ一部の委員の意見であるとかという言い方をしながら、自衛隊がエージェンシー化の対象外なのはだれがどう見たってよくわかりますけれども、国税庁が対象外だなんという意見だけがぽんと出てくるという話は、これはおかしいんじゃないかなと思うのですが、これについてどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/123
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124・坂野泰治
○坂野政府委員 現在各省庁に投げかけております質問は、その質問項目を作成した時点におきまして委員の方々の御関心の深い項目を質問項目として挙げたというのが基本的な性格でございます。
今後、エージェンシーの導入の是非についても行革会議でいろいろ論議が深まっていくこととなろうと思っております。その論議の深まりぐあいによっては、また改めて各省庁に関連した質問を投げかける可能性は十分にあろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/124
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125・枝野幸男
○枝野委員 行革会議の委員の関心の高いところをというお話が今の答弁ではありましたが、その前のところでは、そのヒアリングの項目については事務局が云々かんぬんで委員の皆さんの了解を得てだなんということもおっしゃっていましたね。
今、行革会議の運営やそこでやっていることについて、マスコミなどからも、大蔵省と通産省で役所の縄張り争いをやって、どうも最近、大蔵省が通産省に勝って、大蔵ペースになっているんじゃないか、事実かどうかは別問題として、少なくともそういう新聞論調が書かれているような状況であるわけですね。
そして、実際にこの「意見の整理」なんかの文章のところに国税庁のエージェンシー化の問題について書かれていること、実際にエージェンシー化等について各役所にヒアリング項目として投げているところなどを考えてみても、大蔵省にとっては切り離したくないであろう国税庁の話を、意識的にとしか思えないように外しているというふうに受け取られてもしようがないようなことが書いてある。
そもそも、誤解なのか本当なのかは別問題として、なぜこんなことになるのかというと、行革会議の事務局の中に大蔵省いらっしゃいますね。李下に冠を正さずで、外れたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/125
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126・武藤敏郎
○武藤政府委員 行政改革会議の事務局には、大蔵省のみならず、官民あわせて多くの者が出向しておるわけでございますけれども、行政改革会議が平成十年六月末まで置かれる臨時的な組織であるということでありますので、このような形をとっているものと承知しております。
事務局は、今御指摘のように、中央省庁の再編のあり方の検討という使命を効果的に果たすことができるようにその適切な補助を行うというために置かれているものでございまして、その任務の遂行に当たって、会議の方針に従い、会長以下のメンバーの意を体して、出身母体の利害にとらわれることなく行動しておるというふうに思っておりまして、御懸念のようなことはないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/126
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127・枝野幸男
○枝野委員 御懸念のようなことは既にあるのです。私は、偏ったことをやっているなんて言っていないですよ。大蔵省がコントロールしているというふうに疑われるということを指摘しているのですよ。疑われていないと言うのですか。新聞に書いてありますでしょう、大蔵と通産で力争いをやって、何か最近は大蔵が勝っているらしいと。少なくとも世間に誤解はされているわけですよ。
御懸念のようなことはないという答弁は撤回していただけますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/127
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128・武藤敏郎
○武藤政府委員 今御指摘のあったようなことはありませんということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/128
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129・枝野幸男
○枝野委員 だから、私は、大蔵省の人間が入っているから大蔵省の意のままに動いているじゃないかということは言っていないですよ。少なくとも外からそういう誤解を受けますよと。誤解を受けますよということが問題なのであって、こんな行政改革の、国民的な支持を受けながらかなり強く進めていかなきゃならないような話については、まさに中立公正にやっていることと同時に、中立公正らしく見えることも大事なことなわけです。
李下に冠を正さずということわざ、大臣、御存じですね。李下に冠を正さずという言葉、御存じですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/129
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130・三塚博
○三塚国務大臣 よく知っておりますが、この場面で言う言葉でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/130
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131・枝野幸男
○枝野委員 まさに、それは最終的には国民が判断されることだと思います。
では、もう一つ事実確認しましょう。
事務局にすべての省庁から出向していますか、していませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/131
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132・坂野泰治
○坂野政府委員 事務局には、すべての省庁から職員を受け入れているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/132
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133・枝野幸男
○枝野委員 だとすると、確かに、多分、もしかすると、今大蔵省から事務局に入っていらっしゃる方は、人格、見識もすぐれていて、大変立派な方なのでしょう。だけれども、霞が関にたくさんの役人の方がいれば、同じように優秀な方はほかの役所にもいるでしょう。誤解をされないように、疑いを持たれないように、別に大蔵省だけと言わなくてもいいです、大蔵と通産で張り合っているだなんて新聞記事があるぐらいですから、大蔵も通産もどっちも引き揚げて、誤解をされないような体制にしたらよろしいのじゃないかということをこの行革会議の運営について御指摘を申し上げて、次の課題に行きたいと思います。
次に、日産生命の問題について、前回我が党の安住議員も御指摘をさせていただきましたが、この日産生命は、実は大変な債務超過の状況にあったにもかかわらず、平成五年、平成六年、平成七年と法人税を何億円単位、平成七年では五十二億も払っている。その間に償却した不良資産、不良債権部分というのは、合わせても百億ちょっとにしかすぎない。これは今の決算のルールではこうなってしまうのですよということを、安住議員の質問のところでは、大筋でお答えになっていました。
大蔵省は生命保険会社の検査監督等を行ってきたわけですけれども、生命保険会社から報告を受けている決算が今までのルールの中では別に法的にもおかしくありませんというところまではわかります。しかし、その決算を、受けた報告を幾ら見たって、今回まさに営業停止にならなきゃならないような不良債権、不良資産、債務超過の状況であるというふうな客観的な状況であることを把握できないような報告を、業務報告として受けていたわけですね。そんな業務報告、受けてもしようがないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/133
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134・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
保険会社は、保険業法に基づきまして、事業年度ごとに業務及び財産の状況を記載した業務報告書を作成し、大蔵大臣に提出しているわけでございますが、これはいわゆるオンバランスの報告書でございます。したがいまして、実質債務超過状態がわかるような業務報告書の様式にはなっておりませんが、これは、オフバランスに係る含み損益等は客観的な基準がございませんで、これらを正確に把握することは困難なためでございます。生命保険会社に限らず、銀行や他の事業会社においても同様の取り扱いとなっていると認識しているところでございます。
もし時価ベースですべてを評価する完全な時価会計のようなものを御指摘になっているとしますと、これは今申し上げましたように、生保会社に限らず、すべての金融機関、企業等に関係するものでございまして、そのような企業会計の導入については慎重に検討されるべき問題ではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/134
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135・枝野幸男
○枝野委員 大蔵省は、その業務報告書を見てきても、結局はその段階ではわからなかったのですよというようなニュアンスのことを言っているわけですね。それで、今のルールではそういうものしか出せませんという今のようなお答えなわけですよ。
だとしたら、報告書を毎年出させていることに何の意味があるのですか。こういうことをできるだけ早く把握できることのために報告書を出させているのじゃないですか。報告書を出させていること自体に意味がなくなるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/135
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136・福田誠
○福田(誠)政府委員 私どもといたしましては、一応、監査役なり公認会計士、監査を経た決算書類ということで、それ自体について真偽を問うものではないというふうに考えているわけでございます。
ただ、先ほど来申し上げている平成七年九月の日産生命の検査を機会に、行政としてはオフバランスに係る状況もある程度把握したいということで、参考としてオフバランスに係る計数の一部を徴求開始したわけでございますが、これについても、先ほど来申し上げているように正確な状態がわかるわけではございません。例えば、非上場の債券についての客観的なマーケットの価格がないとか、土地についても評価の仕方が必ずしも統一されておらないというようなこともございます。そういうことで、やはりそういう正確な財務状況を把握するとなれば、検査によらざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/136
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137・枝野幸男
○枝野委員 ということは、先ほどの御答弁では、今の報告書の形ではいわゆるオフバランスの部分は出てこないのはやむを得ない、オフバランスの部分については正確には出させることはできないと。では、検査以外に毎年報告させることは意味がないということと同義。
だから、毎年報告書を出させていたことは、例えば日産生命のようなまさにこういったことをできるだけ早く把握をして手を打つことのために、検査監督をしようとしてきたわけです。これを新しく監督庁でやろうとしているわけです。業務報告書で、まさに一般的な会計基準での報告をさせたものが今回は全く役に立っていなかった。何か役に立つのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/137
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138・福田誠
○福田(誠)政府委員 もちろん一般的な企業会計基準あるいはそれぞれの業界で統一的につくっておりますディスクロージャーの基準というのは、それなりに年々改善されてきているわけでございまして、その公表された決算数字自体に意味がないということはないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/138
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139・枝野幸男
○枝野委員 わざわざ一般の企業は株主なんかにそういったことを報告するわけです。それとは別に大蔵省に報告書を出させるということは、そのことによって大蔵省として、つまり検査監督の行政の立場として、株主や債権者のところには公表されない情報かもしれないけれども、ここのところでとれば、そこのところで専門的な知識とかいろいろな情報の中でチェックができると思うから、別途行政として報告させるのじゃないですか。
そこのところで、一般に公開をする基準で一般の人に公開させて、株主や債権者が自分たちの自己責任の判断の中でチェックをして、投資をしたりそういった取引をしたりする。そんな中で、基本的には置いておけばいいわけですよ、一般の公開基準でやっている話は。あえて行政が監督をしてコントロールをするということは、そういった株主や債権者だけに任せておけないから検査監督をするのでしょう。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/139
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140・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答え申し上げます。
先ほど申し上げたように、債務超過というのは、資産をその時点で網羅的に時価で評価してみた結果、負債が資産を超過する状態ということがわかるわけでございますが、こういういわば実質債務超過というような計数は、一般的には企業が継続している間にはいずれの産業、いずれの企業にあっても対外的に作成するものではございませんし、作成する義務も法令等にはないわけでございますので、そこについては、それをすべて、かつ、いかなる時点でも把握できるようにしておくべきであるという御主張であるとすると、なかなかそういう制度は成り立ちがたいのではないか。また、検査で把握した場合に、そういう数字を機械的に公表すべきものではないと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/140
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141・枝野幸男
○枝野委員 私の主張をちゃんと聞いてください、そんなこと言っていないですよ。
今の検査のやり方では検査をしても意味がないじゃないですか、今の報告書のとり方では。報告をとっても意味がないのです。まさに今おっしゃったように、検査をしても正確な数字が出てくるかどうかわからないような部分のところに、まさにつぶれそうなときという話は出てくるわけです。
そこのところを把握するのは非常に難しいというのはよくわかります。一般的な基準もつくりにくいというのはよくわかります。だけれども、そこのところに手を入れるのか入れないのかということはまさに行政が関与するかどうかという問題であって、一般に公表します、公開しますという基準については行政なんかさわらなくていいのですよ、公開基準をつくっておいて、公開しなかった者に罰則をかければいいだけですから。わざわざ行政が、一般的な話じゃなくて行政として情報を集めて、出させて、検査監督をするということは、一般には公表できない話のところで意味があるものをとるから検査なわけです。
そこのところは、今おっしゃったように、明確な基準でオフバランスの部分のところを出させる基準をつくるのは難しいというのはよくわかりますよ。だけれども、その難しいところをとらなかったら、日産生命みたいなものを事前に把握できない、こんなふうになって、営業停止になるようなところまでほっておいた上で手を打たなければならなくなる。検査そのものの今の仕組みが矛盾をしているのじゃないか。そこのところにしっかりと抜本的なやり方を考えていく。
いろいろなやり方があると思いますよ。思いつきのベースですから、具体的に私自身も検証していませんが、例えば、オフバランス的な部分については自分たちの会社である程度こんな状況ですという報告をさせる、後になってその事実と異なっていた、客観的な事実と異なっていたら重い罰則をかけるというような形。経営者は大体自分たちはわかっているわけです、大体どれぐらいだと、正確な数字でなくても少なくともこれぐらいだという規模は。そういうやり方とかいろいろな形があるわけです,正確な数字の、その計数でやらないやり方だって。そういったことはいろいろな発想でやっていったらどうですかと。
そうじゃなくて、ただ単に毎年報告書を出させています、時々検査に入りますが入ったところで正確な数字は計数上出てきませんという話では、そんな検査をしても、また第二、第三の日産生命が出てきますという話にしかならないのじゃないかという指摘をさせていただいているわけです。
もう一点、この日産生命絡みのところで指摘をさせていただきたいのですが、先ほど来出ていますように、九五年に検査をしたところで、どうやら相当な債務超過の状況にあるというようなことを大蔵省としては把握したようだ。ところが、そうやって把握をしている一方で、同じ大蔵省の中では、そんな債務超過でいつつぶれるかもしれない、何とかしなければならないといって片方の手で指導しながら、こっちの手ではそこから金をがっぽり税金で取っているのですよ。こんな矛盾がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/141
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142・堀田隆夫
○堀田政府委員 一般論でお答え申し上げますけれども、納税者は、先ほど来お話が出ておりますが、確定した決算に基づきまして、法人税法の規定に基づいて、各事業年度ごとに益金の額から損金の額を控除して法人税の課税所得を算出いたしまして、みずから申告し、納税をしていただくということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/142
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143・枝野幸男
○枝野委員 そんな話をしているんじゃない。そんなのわかっているんですよ。確かに法人税の世界のところでは、法人税の世界のルールに基づいて税金を取っているのですよ。でも、同じ大蔵省が、右手でそういうことをしながら、こちらの手で、検査をしたらここはつぶれそうだから何とか監督しますと、右手と左手で目が違うのですよ。そんな仕組みを一つの役所の中でやっていることが、それは法律的にはこうなっています、今の仕組みはこうなっていますという説明はできるでしょうけれども、どう考えたって、こっちの手ではおまえのところもうかっているんだから金を取る、こちらの手ではおまえのところつぶれそうだから何とかしなければならないと手を打つ、こんなばかな話、世間では通用しませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/143
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144・福田誠
○福田(誠)政府委員 あるいは庁の方から補足、御答弁いただくかもしれませんが、日産生命については、一般的な経理基準にのっとって決算を行っておりまして、少なくとも平成七年度の決算までは最終剰余は黒字だったわけでございます。業績が悪化してから、一部含み益のある資産の売却等により決算を行ってきたことは事実でございますが、そのこと自体は特に問題がないわけでございます。したがいまして、これらの決算に対して課税関係が発生したものと理解しております。
なお、経営破綻した日産生命について議論しております実質債務超過というのは、先ほど来申し上げているように、客観的な時価のない有価証券の含み損益等のオフバランスを含めたいわば清算的なバランスシートによるものでございまして、一方、課税関係は、当然法令に基づいて一般的な経理基準にのっとったオンバランスでの会計に基づくものであるということを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/144
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145・枝野幸男
○枝野委員 わかっているんです。その話はよくわかっているんです。今の制度上はそうなるということはよくわかっているんです。
だけれども、どう考えたって、世間の常識から考えたら、片方の手で、こちらの手でつぶれるかもしれない、これは幸か不幸か日産生命は公費をつぎ込むだなんて話になっていないから、まだ納得できますよ。だけれども、例えば住専みたいな話になり得るわけですよ。片方で検査して、おかしい、こんな金融機関どうなっちゃうんだ、ここがつぶれたら大変なことになるとなったら公費をぶち込むわけですよ、最悪のときには。それは、公費をぶち込むことにならないようにとめておかなきゃならない、何とか生かすように努力しなきゃならない部分もあるわけですね。
ところが、片方で税金を取っている。もちろん、それはなかなかうまくいきませんよという話はわからないではないです、実務の事情として。だけれども、同じ大蔵省という役所の中で、右手でやることと左手でやることが全然違っているという話自体が、私は、金融と財政の分離という話について、いろいろなところで分離をしなきゃならない部門がある、一つの側面だと思う。税務当局と金融の監督というのを同じようなところで持っているから、そういう矛盾を一つの役所の中で抱えなきゃならない。
先ほど、国税庁のエージェンシー化という話を振らさせていただいたのは、税の執行みたいな話はまさに税法だけに基づいて、それだけでやればいいんです。確かにそのとおりなんです。だから、大蔵省みたいなところから、ほかのいろいろな政策判断で考慮しながらやっていかなきゃならない部門のところから切り離して、国税庁をエージェンシー化して、法律に基づいてだけしっかりと課税をやればいい。そこを切り離せば、少なくともこういう同じ役所の中で右手と左手が違うという矛盾は消えるんです。
ぜひとも、大蔵省が企画立案部門的なところでこういう金融機関からの情報を把握をして何か対応しようという組織を残そうと思うのであれば、少なくとも税の部門との矛盾が生じないように、国税庁はエージェンシー化されたらどうかという話をさせていただきたい。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/145
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146・堀田隆夫
○堀田政府委員 国税庁のエージェンシー化というお話でございますので、私ども国税庁が考え方を述べるというのも妙でありますけれども、私どもは、これから大所高所からの御議論で取りまとめられる行革会議の結論を尊重してまいりたい、こう思っております。
一つ、私ども国税庁の立場として、国税庁の組織のあり方について一言申し上げさせていただきますと……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/146
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147・枝野幸男
○枝野委員 いや、いいです。聞いてないことについては答えなくていいです。
じゃ、時間がありませんので、もう一つ。
金融監督庁ができても、そこがしつかりと機能していただかなければならないということで、検査監督をしっかり公平に行政の枠組みの中でするのにどうしていったらいいかという観点から、ちょっと総務庁の行政監察局の話を聞かせていただきたいと思います。
まず、特殊法人は行政監察の対象であるのか。そして、特殊法人が例えば一〇〇%あるいは五割以上出資している子会社というのは、特殊法人を監査する場合に調査などをする対象になるのか。これを総務庁、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/147
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148・河野昭
○河野政府委員 総務庁設置法四条第十三号におきまして、特殊法人につきましては、いわゆる行政監察に関連して調査をするということになっております。
それから、特殊法人の関連会社、子会社等でございますが、これにつきましては、総務庁設置法第五条で「公私の団体その他の関係者」といたしまして「監察上の必要により、」「必要な資料の提出に関し、協力を求めることができる。」と規定してございますが、いわゆる設置法上の監察、調査の対象とはならないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/148
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149・枝野幸男
○枝野委員 その特殊法人なんでありますが、九七年、ことしの五月九日付の東京新聞に「監察対象にも堂々の天下り」「総務庁OB 特殊法人などへ百七十人」「行革の推進役〝自己矛盾〟」という見出しで一面トップ記事で載っております。この記事は大筋で正しいのかどうか。それから、具体的に正確な数字をおっしゃってください、天下り関係の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/149
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150・河野昭
○河野政府委員 総務庁を退職した職員の再就職の状況でございますが、先生の御指摘の新聞記事はおおむね正しいであろうと考えております。
これから具体的にお答えいたしますが、その答えは、数字は非常に不正確なものであるということをあらかじめ御了解いただきたいと思います。
と申しますのは、総務庁に退職職員名簿というのがございまして、この名簿上は、退職して二、三年後の職員までは比較的正確な記載でございますが、五年、十年たった職員については、あるいは会社をやめ、あるいは死亡したような場合も連絡がない場合もございます。そういう前提でお答えいたしますと、特殊法人、認可法人及びそれらの子会社、関連会社に再就職している者の合計数は六十二名でございます。
なお、ボリュームが大きいので、公益法人は今のところ積み上げの計算はしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/150
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151・枝野幸男
○枝野委員 人事院においでいただいておりますが、総務庁の行政監察局などで行政監察にかかわった人が、行政監察をした対象である特殊法人あるいは特殊会社、要するに行政監察の対象の範囲の中にかかわるようなところについて再就職をする場合というのは、国家公務員法百三条の二の対象になりますか、なりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/151
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152・佐藤信
○佐藤(信)政府委員 職員が在職していた省庁と密接な関係のある営利企業へ就職する場合には人事院の承認が必要とされていることは、御承知のとおりでございます。
この場合、人事院は、当該再就職しようとする職員が離職前五年間に当該企業に対する行政監察を実施した場合には、その就職を承認しないこととしているわけでございます。他方、行政監察の業務を所掌はしていたとしても、その職員自身が離職前五年間当該企業と職務上の具体的な関係がなかった場合などには、就職を承認する場合はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/152
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153・枝野幸男
○枝野委員 本当は総務庁長官においでをいただいていれば一番いいんですが、朝刊の記事を受けて記者会見をされたんでしょうが、同じ五月九日付東京新聞の夕刊に、武藤総務庁長官がこの朝刊の記事を受けた形で「「今後、原則として天下りをやめるというのは当然のことであり、そういう指導をしていきたい。これだけ国民から批判を受けたから、やめていくのが筋だ」と表明した。」その前には「「知らなかった。数がいかにも多すぎる。癒着した関係があって行ったのなら、誠にけしからん話だ」と厳しく批判した。」ということを受けて、今のように「天下りをやめるというのは当然のことであり、そういう指導をしていきたい。」と記者会見でお話しになったという報道があります。
総務庁は、武藤長官からこれにかかわるような何らかの指示は受けましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/153
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154・河野昭
○河野政府委員 総務庁長官からは、新聞記事が出ました当日、退職した職員が慫慂されて再就職する場合は別だけれども、例えば許認可権限に基づいて役所が押しつけるというようないわゆる天下りというのは、総務庁のみならず政府全体として慎むべきであるという趣旨の御指導をいただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/154
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155・枝野幸男
○枝野委員 少しその天下りの具体的な話を指摘をさせていただきたいと思うのですが、一九八五年五月に総務庁の事務次官で退職をされて、日本航空の顧問になり、後に会長になった山地進さんという方がいらっしゃいます。この方が事務次官当時の八四年の十月に、総務庁行政監察局では航空行政監察を行い、その対象機関に、この山地さんが再就職をされた日本航空株式会社が対象機関として挙がっております。
事務次官というポストということは、まさに行政監察局を配下に置いて、行政監察局長は、何か行政監察をするのに当たって大事な話は、大臣にも相談をしなければいけないでしょうけれども、当然のことながら事務次官にも相談をしなければならないような立場でありましょう。その事務次官として山地事務次官は、この航空行政監察の、運輸省への勧告をする時期に事務次官をしておいて、やめてすぐ、直後に日本航空に再就職をされています。人事院はこうしたことに問題があるとは思わないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/155
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156・佐藤信
○佐藤(信)政府委員 御指摘の、具体的なケースは十年以上前の事実関係でございますので、詳細についてはわからない部分がございますけれども、国会及び内閣に対して御報告しております「営利企業への就職の承認に関する年次報告書」によりますと、当人は「同社」すなわち日本航空「に関する事項を所管しなかったこと。」それから「同社と職務上の具体的な関係がなかったこと。」「その他特に問題とすべき事情は認められないこと。」というふうに報告がなされているところでございます。当時、詳細に事実関係を把握した上で慎重に判断をし、問題がないというふうにしたものであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/156
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157・枝野幸男
○枝野委員 もう一人、塩路耕次、八八年三月に中部管区行監局長で退職をされて、四月にKDDの参与になられました。
ところで、八五年の六月に郵政省に対して、電報事業に関する監督行政監察というのが行われておりまして、この対象機関には、国際電信電話株式会社というのは対象機関として含まれております。
この監察が出された八五年の六月というのは、この塩路氏は総務庁行政監察局調整課長という職におられました。それから、監察を直接に行っていた時期、八四年の一月から三月でございますが、この時期には、まだ総務庁になる前、行政管理庁行政監察局調整課長という職におられました。この方についても、人事院は再就職の許可を出しておられます。まさに、行政監察局で調整課長、行政監察を行う、いろいろな人事とかお金とかそういったことを調整をされるようなポストなんですよ、こういったポストについておられた方が職務上関係ないというふうに判断をされる、人事院の許可というのはその程度のものなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/157
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158・佐藤信
○佐藤(信)政府委員 先ほども申し上げましたように、行政監察の業務を所掌している場合においても、当該再就職該当企業と職務上の具体的な関係がなかった場合などには就職を承認しているわけでございまして、御指摘のケースについても、先ほどと同じように、この本人の属していた官職において、同社に関する事項を所管していなかったあるいは職務上の具体的な関係がなかったというようなことで、就職が承認されたものというふうに判断をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/158
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159・枝野幸男
○枝野委員 ということは、人事院の許可というのに我々は余り期待してはいけないと。確かに、現場に行って行政監察自体に直接手を下したのではないのでしょう、ましてや事務次官だなんというのは。
しかしまさに、役所というのは、担当者が一人で勝手に物を決められる組織じゃないですよ。当然のことながら、ピラミッド型の上意下達でしっかりと動いてもらわなければならない組織ですよ。事務次官としてそれを統括していたわけです。それは、事務次官がこうだという話になれば、現場なんというのはどうにだって変わるわけです。そういう関係じゃないと行政組織というのは動かないですよね、基本的には。
調整課長というような部署で、行政監察局全体の動きについて調整をする部門が、これはちょっと予算がないから少し手かげんをしろとかというようなことを、手かげんという表現は使わないでしょう、予算がないからここまでしかできませんねとか、あるいは人が足りないからこのくらいまでねと言うのが調整課長じゃないですか。そういった部署というのは、直接監察には行っていないかもしれないけれども、監察に大きな影響力を持つポジションじゃないですか。それを、直接手を下してないからということで天下りができますという話で世間が公平さというものを信用すると思っていらっしゃるのですね、人事院は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/159
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160・佐藤信
○佐藤(信)政府委員 先ほども申し上げましたように、職務上の関係が全くないような場合についても、御指摘の御議論からいえば、一切就職を承認すべきではないのではないかというふうなことになろうかと思いますけれども、現在の国家公務員法百三条に基づきます就職の承認制度は、公務の公正な執行の確保と、それから憲法でも定められております職業選択の自由との調和を図るという形の中で人事院の承認制度が認められているという趣旨でございまして、そういう観点で私どもとしては、先ほど来申し上げましたような判断をして、法律の趣旨に反しないものと考えているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/160
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161・枝野幸男
○枝野委員 事実認識の話なんですけれどもね、職務上関連があるというふうにとらえるのかどうか。直接現場に行って監察をした人だけが職務上関連があるというふうに認定をするのか、それを後ろで監督をするような立場の人も関係あるというふうにとらえるのか。当然のことながら、事務次官までなった人は、天下り先は制約されるのですよ、全体を見て全体について口を出せるのですから。そういうことでやらないと、この国家公務員法の規定というのはざるにならないかという御指摘をさせていただいているわけです。
ましてや、行政監察ですよ。第三者的な立場からチェックをするような仕事、だから残してくれ残してくれと。そこは内部でしっかりチェックをするのだから、そういう機関も必要なのだからという話で、それで私どもの提出している行政監視院法に対して、残してくれ、公平に一生懸命やっているのですと。しかしながら、天下りなんかの関係でこういうことがあるのでは、それはちょっと違うのじゃないですかという話になってくる。
本当に中立公正でやっているということは、中立公正らしく見えないといけない。第三者がチェックするわけです。裁判官をやっていて判決を書いた人が、地方裁判所で判決書いて勝たせた人のところに、高等裁判所になったら弁護士でついたりするだなんて、だれが見たって、この裁判官は危ないのじゃないか、おかしかったのじゃないかと思いますよ。似たような話ですよ、監察、第三者でチェックをするという話ですから。
それぐらいの中立性、公平性、第三者性というものがあるから、それで一生懸命現場はやっているのだから、行政監察局残して、内部監査は必要なのだというようなことをずっと政府はそういった趣旨でおっしゃってきているのですが、ところが、そういった天下りについてはとめられないのかなという話になっているわけです。
もう一点、総務庁はいろいろやらかしてくれておもしろいのですけれども、これは私自身も入手をしているのですが、平成三年十二月二十六日付、総務事務次官石川雅嗣氏が財団法人日本船舶振興会会長の笹川良一氏あてに「日本船舶振興会は、設立の形式から特殊法人とされているが、総務庁としては、実質上、民法上の財団法人として取り扱うこととする。」これは共産党の寺前さんが運輸委員会で質問されたりとかしていて、いろいろとお答えになっているようなのですが、どうもはっきりしない。
結局、これから総務庁あるいは政府は、日本船舶振興会、今の日本財団について特殊法人として全面的に扱うんだ、財団法人という形式はあるかもしれないけれども特殊法人として扱うんだ、これで間違いございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/161
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162・河野昭
○河野政府委員 特殊法人であるのか民法法人であるのかというのは、実はこれは二者択一のものではございませんで、特殊法人であり同時に民法法人である、あるいはJRとかJTのように特殊法人であり同様に商法の株式会社であるという関係にあるわけでございます。
そこで、若干御説明いたしますと、総務庁設置法で、特殊法人につきましては、「法律により直接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為をもつて設立すべきものとされる法人」というものを定義しておりまして、すなわち、政府が命ずる設立委員が行う設立、この設置の形式に着目して特殊法人を定義してあるわけでございます。
日本船舶振興会につきましては、モーターボート競走法の附則の第二条におきまして、「運輸大臣は、設立委員を命じて、日本船舶振興会の設立に関する事務を処理させる。」ここで特殊法人と整理されるわけでございます。
なお、モーターボート競走法におきましては、日本船舶振興会は、要するに、民法上の財団法人とするという規定も別途あるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/162
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163・枝野幸男
○枝野委員 このわけのわからない、何で事務次官がこんな紙を出したのかというところに実はさかのぼる話ではあるんですが、日本船舶振興会、日本財団は、モーターボートなどで集めた金をいろいろな福祉その他に補助金を出しているというのが仕事なわけですけれども、総務庁所管の社団法人、財団法人にお金が流れている。例えば財団法人行政管理研究センターには、平成八年度で一億百五十万円ですか。社団法人エイジング総合研究センターには、これは少ないですね、六千七百二十万円、船舶振興会から補助金が出ている。
そして、今、平成八年度で日本船舶振興会から一億の補助金を受けている行政管理研究センターというところには、総務庁のOBが七人も行っておられて、役員の三割を占めておられる。こういった事実関係があるということを総務庁は御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/163
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164・河野昭
○河野政府委員 承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/164
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165・枝野幸男
○枝野委員 もちろん、例によって、中立公正にやっておりますというふうにお答えになるんでしょう。しかし、何だかわけのわからない、何でこんな文書を総務事務次官がお出しになったのか。しかも、隠しておられた文書ですね。船舶振興会は民法上の財団法人として扱うこととするだなんという紙を船舶振興会にお出しになって、そしてその船舶振興会は、総務庁所管の公益法人にお金を出されて、そしてそこの公益法人に総務庁のOBの方が天下っておられる、再就職をしておられる。
少なくとも、勘ぐって見れば、こういう紙を出して日本船舶振興会に恩を売っておいて、便宜を図っておいて、そこから金を出させておいて自分たちの天下りを確保するというようなことをやっているんではないかと疑われても仕方がないとは思いませんか。そうやっていますだなんということを言っていません。疑われても仕方がないと思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/165
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166・河野昭
○河野政府委員 そういう疑念もあるやに聞いております。
そこで、私確認いたしましたところ、御指摘の文書は平成三年でございまして、その後の補助金の交付額を見てみますと、平成四年、五年と、その三年当時よりは減じている。したがって、この数字からすれば、そういうことにかかわりがあることではないということが言えると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/166
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167・枝野幸男
○枝野委員 うまくお逃げになっているつもりなのかもしれませんが、こういうふうな文書を、国民も、多分大臣も知らないようなところなんでしょうね、お出しになっている関係だなんというのは、一日でできる関係じゃないんですよ、こんなものは、世間の常識で考えれば。あるときふと、こういう文書を出してくれ、これからは特殊法人扱いしないでくれと言われて、はいそうですかと言って出して、こんな文書が、しかも事務次官がこんな判こを押して紙を出すだなんということは、普通あり得ないんです。それは従前から密接な関係があるから、おいちょっとはっきりさせてくれよというのがあって、初めてこういう紙になるんです。ですから、今の平成三年からふえていませんという話というのは、説得力を持たないんですよ。その前どういう関係であったのかということは、この文書から疑われるわけです。
そういう構造を生んでしまっているのはなぜなのかといえば、公益法人に対する天下りが全くノーチェックだという仕組みがあるからだ。公益法人で、行政にかかわるような近いようなところでいろいろな行政の経験を踏まえているということであるならば、わざわざ総務庁出身の人が総務庁関係のところにお行きにならなくたって、行政管理研究センターの役員にふさわしいような人は、大蔵省の所管の公益法人でもやはり必要にされるんじゃないでしょうか。
公益法人についても天下りの対象から外すのに含めるというようなことにしないと、いろいろなところでこうやって疑われて、本当に大丈夫なのかなというようなことを最後まで払拭できないし、そこが払拭できなければ行政改革というのは終わらないと思うんですが、人事院、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/167
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168・佐藤信
○佐藤(信)政府委員 営利企業への就職の制限の制度は、職員が在職中にその職権を利用して特定の営利企業と私的な関係を結んで退職後当該企業に就職するというような弊害を防止するということによって、職員の在職中の服務を厳正たらしめるということで、公務の公正な執行を確保しようという趣旨で設けられているわけでございます。
一方、御指摘の公益法人あるいは特殊法人等は、公共の利益だとか政策上の必要から別個の法律によって設立されるというふうなことで、本質的に営利企業とは設立の事情や性格が異なるものというふうに考えております。
したがって、これらの法人について、営利企業と同じように規制の対象とするかどうかということにつきましては、その趣旨だとか合理性等について、営利企業への規制とは別の観点から幅広く議論が必要なものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/168
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169・枝野幸男
○枝野委員 官房長官、ずっとお聞きをいただいていたと思いますし、例えば公益法人については、官房長官が総理府主務大臣ですから担当大臣だと思います。それから、この天下り問題というのは、ある意味では内閣のかなめとして大きな関心を持っていただくべき問題だと思っております。そうした立場から、官房長官にお尋ねをしたいと思います。
従来の議論をお聞きをいただいていると思います。確かにそれでも、実際にそんな疑われるようなことはしていませんというのは、それはお答えとしては一つは成り立ちますけれども、国民の目から見てみれば、二つの問題、大きく言うと、今申し上げました公益法人に天下っているという話についても、そこについて本当に全くノーチェックでいいんですか、いろいろなところで、そこでお金が動いているんじゃないですかという疑いを持たれても仕方ない部分はありませんか。
全部が全部やめなさいだなんて私は言うつもりはありません。今の行政のキャリアシステムの中では、四十五歳とか五十歳ぐらいでやめなきゃならないという仕組みの中で、天下りシステムを全部一気にやめたら大変なことになるのはよくわかっています。だから、せめて公務員法の対象にして、少なくとも人事院のチェックぐらい入れたらどうでしょうかと思います。
それから、何といっても、行政監察という第三者的な立場から、同じ役所の中とはいえ、チェックする部門の人間がチェックをされた側のところに、直接かかわってはいないという言い方を幾らされながらでも、それはまさに李下に冠を正さずで、事務次官とか担当局長とか、あるいは同じその行政監察の局の中でかかわる仕事をしていた人が、その部署にいたときに監察の相手になったところに再就職をするというような話は、これは、行政監察は監察局は一生懸命真剣にやっているんですという話を、少なくとも疑わせる大きな要素なんです。優秀な監察マンの人たちや事務次官や局長までされた方々だったら、何もそういったところに天下りしなくたって再就職の先はあるんじゃないかと思います。
こういったところについて、今すぐにやめますとおっしゃっていただけるとは思いません、少し御検討いただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/169
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170・梶山静六
○梶山国務大臣 確かに、公務員の不祥事件が多発をいたしまして、公務員のいわば天下りというのが大変一般国民の不信というかそういうものを買っている広範な背景を、私も憂慮をしている一人でもあります。
しかし、確かに、今人事院の職員局長がお答えになったように、今までの公務員の規則というか公務員のいわば再就職の規定を取り扱うべき人事院において、厳重な査定というかそういうものを通って、なおかつこれがよろしいということになるものにまで私たちがノーというチェックを働かせられるのかどうなのか。ただ、私はやはりそこまでになった、上下を言ってはいけませんけれども、事務次官や局長等を経験した方が法的に許されるからこれでいいんだということ、これが今一番問われている問題であります。
そういういわば公務員としての公務員道というか倫理観というか、こういうものをどういうふうにこれから正していってもらうのか。これはすぐれて個人の資質かもしれませんが、そういうことがなされない限り、なかなか不信感を払拭することはできない。
両々にらみ合わせまして、片や厳しくやるということと、片や、しかし長い一生のことを考えた職業選択の自由もこれありということを考えるならば、にわかに右左と言うことはできませんが、大変重要な示唆を受けたというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/170
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171・枝野幸男
○枝野委員 ありがとうございます。
私も、全部を法規制すべきなのか、それとも、特に幹部、偉い幹部になられた方については法規制ではないんだという部分で、李下に冠を正さずというところでやっていただける部分といろいろあるんじゃないかということを思っています。
そこで、金融監督庁ができた場合の、金融監督庁の検査をなされる人たちあるいはそこの幹部の人たち、やめた後金融機関に天下りをするようなことになれば、全く同じような構造が出てくると思います。
大蔵大臣なのか、これは官房長官でしょうか、ぜひ今のような御配慮というものを、これからつくり上げていく過程の中で、あるいは人を各役所から選んで集めてこなければならないでしょうし、ぜひ、そういったところの誤解を受けないような配慮をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/171
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172・梶山静六
○梶山国務大臣 先ほどの質問でもございましたけれども、金融監督庁の金融の検査監督を行う者、これは相当なスペシャリストでなければできないということになりまして、なおかつ、公務員のいわば在職年数というのは決まっております、そういう能力のある者が若干でも関係があるからということで阻害をされるならば、私は、いわばその人の持っている資質、能力というものを大変失ってしまうという気もいたします。
これは一面考えてあげませんと、その者はそれでおしまいだというのならおしまいだというなりのシステムを構築してあげなければならないと思います。ただ単に、監督に当たった者、検査に当たった者が、金融機関以外にもそういう業務を対象にする分野はあると私は思いますから、できるだけそういう別な分野に行ってほしいと思いますが、逆に、そういうものが両々相まって、金融機関自身がみずから内部チェックを厳正にするためにそういう素質を生かすこともまた、方法としては視野に入れてやらなければならない。
まだ発足前のことでございますから、私には先のことをとやかく申し上げるすべての知見の持ち合わせがありませんが、一方的に禁止をするというだけでその責めが果たせるものではないという気持ちもいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/172
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173・枝野幸男
○枝野委員 まさにおっしゃることは私も十二分に理解させていただきます。
ですから、禁止をしてくれという話だけではありませんで、例えばスペシャリストの現場の皆さんについては長く勤めていただくような仕組みというのも、これから行政改革の中では公務員制度ということは当然入ってくるのでしょうから、御配慮いただきたいと思いますし、それから金融機関以外のところにかかわるような仕事、例えば、むしろそういった特殊法人とか公益法人にあるのかもしれない。そういったところへのつながりとか配慮とか、いろいろなことの中で疑いを持たれないような、李下に冠を正さずということができるような仕組みをぜひ工夫をしていただきたいとお願いを申し上げて、残りの時間は同僚議員に譲りたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/173
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174・綿貫民輔
○綿貫委員長 この際、海江田万里君から関連質疑の申し出があります。枝野君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。海江田万里君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/174
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175・海江田万里
○海江田委員 民主党の海江田でございます。よろしくお願いします。
きょうは、証券取引等監視委員会の方にお越しをいただいておりますから、まずそこから質問をさせていただきたいと思います。
昨今、野村証券の不祥事に端を発しまして、実はそこへの、野村の株を買い増す資金の融資を第一勧業銀行がやっていたということで、金融界全体を揺るがす大変大きな不祥事になっておりますが、実はこの問題で、野村の法律に触れる事件を早くから内部告発していた人間がいるということは、これは本委員会でも共産党の木島委員から質問をされている、あるいは社民党の秋葉委員からも質問されておりまして、委員の皆様方はつとに御存じのことだろうと思います。その中で、証券取引等監視委員会の事務局長の方が、これは仮にOという名前で呼ばせていただきますが、このOさんからそのような内部告発が証券取引等監視委員会に届いていたという事実はないということを、国会で答弁をされておるのですね。
ただ、これは正確に読みますと、木島委員からの質問に対して、九三年の春に投書があった、Oという男から証券取引等監視委員会に手紙による告発があったという形での質問でございますので、九三年にそういう投書があった、そういう告発をしたという点については我々は把握をしていないという答弁なわけでございますが、九三年以降、このOという人間からこの野村の事件に関しまして、証券取引等監視委員会に対して告発というか、あるいは証券取引等監視委員会の方がこの人間に事情聴取をしたというような事実があるのかないのか、その点をまずお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/175
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176・若林勝三
○若林政府委員 お答え申し上げます。
今般の野村証券に関する事実解明の過程におきまして、いろいろ外から情報提供等をいただいております。これに限らず、いろいろな形で我々貴重な情報提供というものをいただいておりまして、そういうものを大いに参考にさせていただいて事案の解明に努めておるわけでございます。
先般国会で、九三年の春に今回の野村事件につながる情報提供があったはずだというお尋ねでございましたので、そういうものは、我々としては調べてみましたけれども見当たらなかったということでございます。
今の先生のお尋ね、では、その後どうだったかということでございますが、その後につきましては、こういう内部告発でございますから、どなたがどうしたというようなことをこういう場で申し上げるのもちょっといかがかと思いますが、今回の野村事件に関係するような情報提供が平成七年の末にございましたし、平成八年にも、多分その方と同じ人と考えております方から事情をお聞きするというようなことはございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/176
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177・海江田万里
○海江田委員 今のお答えで、九三年は資料が残っていないけれども、九五年あるいは九六年にはそのような提供もあったというようなお答えをいただきました。
どうして私わざわざこの問題を最初にお話をさせていただいたかといいますと、余りそういう情報を出しませんと、特にこの問題は、証券業界の中でガリバー的な存在であります野村証券の問題である。それから、野村証券の役員の方々は政府の各種の審議会だとか調査会等にも名を連ねている。それから、先ほどの枝野委員の議論にも関連をしてまいりますが、やはりこの野村証券の関係する研究団体に大蔵省からの天下りもあるということです。いわば大蔵省と野村証券が結びついていて、そして、その野村の内部告発者がかなり早い段階でこういう事実があるんじゃないだろうかということで証券取引等監視委員会にせっかく情報提供をしたのに、それが握りつぶされてしまったというような見方、これは木島委員もそういう指摘をしております。それから、あとマスコミなんかもそういうような論調なわけですね。
そうすると、私は、とりわけこの証券取引等監視委員会というのは、これから日本の証券だけじゃありません、今は証券のマーケットを監視をしておるわけでございますけれども、今度法改正がありますと金融監視の金融監督庁の中に入って、そこで証券取引等監視委員会が銀行等に検査などをするわけじゃありませんけれども、いわば金融監督庁の中の組織として一体となって金融界の不正に対して取り組んでいくというときでありますので、やはりこの証券取引等監視委員会が、そういう意味では大蔵省だとかあるいは野村証券だとか、そういう癒着の構造の中にあるのではなくて、やはり毅然とした態度をとっているということをはっきりあらわしておく、示しておくということが必要なのではないだろうか、そういうふうに考えましたので、私はあえて取り上げさせていただいたわけでございます。
それから、あと、この手の問題は、いろいろ外に向かって発表するとき、そのタイミング等になかなか微妙なタイミングもございますけれども、証券取引等監視委員会としましては五月十三日に野村の役員を告発をしておりますから、そういう意味では以前と比べて少しは自由に物が言えるのではないだろうか、そういうようなそんたくもしております。そういう意味では、もう既に告発をして事件が検察の手に渡っていると思いますけれども、どうかそういう内部告発をした人間の指摘というものもしっかりと受けとめていただいて、そしてきちっとした調査をしていただきたい、きちっとした立件をしていただきたい、私はそのように考えております。
ちょっと前置きが長くなりましたけれども、この証券取引等監視委員会でございますが、この証券取引等監視委員会につきましては、現在本庁が九十二名の定員でございますね。それから、私もいろいろ証券取引等監視委員会の事務局の方から実際の調査の状況なども聴取をいたしましたが、はっきり申し上げまして、この野村の問題につきましてもかなり早い段階から、それこそれ五年ぐらいの段階からこれはおかしいと思っていろいろ調べていたということでございますけれども、先ほどお話をしましたように、実際にこれが告発ができましたのは九七年の五月だということで、やはり丸二年ぐらいかかっているわけでございますね。
それはどういう理由かというと、やはり一にも二にも定員が不足をしておる。本庁九十二人といいましても、実際にいろいろ調査のできます特別調査課というのがおよそ三十人しか調査員がいないということ、これは我が国の証券市場の大きさ、それから米国の場合はもう言うまでもございませんがSECという組織がございまして、このSECという組織がおよそ二千名の職員がいるということから考えますと、余りにも規模が小さ過ぎるんじゃないだろうかという考え方がございます。今度この証券取引等監視委員会が金融監督庁の中に入っていくということに際して、やはり少し人員の増員というようなものもお考えになっておられるのでしょうか、どうなのでしょうか。その点を官房長官、あるいは事務方の方でもよろしゅうございますが、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/177
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178・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
今回の金融行政機構改革につきましては、金融監督庁の設置等を主眼とするものでございまして、これに伴い、証券取引等監視委員会は、合議制機関としての現行の体制のまま金融監督庁に移管することといたしているものでございます。したがいまして、証券取引等監視委員会の組織等につきましては、今回の改革に伴い必然的にこれを見直すべきものとは考えておりませんが、委員会の市場監視機能、これは引き続き重要なものでございまして、また、金融システム改革の進展に伴い、今後ともその機能が適切に発揮されることが必要と考えているところでございます。
お尋ねの証券取引等監視委員会の今後の定員の問題につきましては、以上申し述べましたような委員会の機能の重要性を勘案しながら、行政改革の趣旨も踏まえまして検討してまいることといたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/178
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179・海江田万里
○海江田委員 実際問題としまして、これはもうだれが考えたって、特別調査課が三十人だ、しかもその三倍の九十人が本庁の定員であるということは、少な過ぎるのですね。それが、表現をかえれば野村の問題等、摘発がこれだけおくれたということもこれは大いにやはり関係があるわけですね。
ですから、そこの点はぜひこの金融監督庁がスタートをするに当たって十分考えていただいて、私は、むしろ今度は金融監督庁の問題であるから、この証券取引等監視委員会はそのままでいくんだよというようなことよりも、まあ予算の審議も終わってしまいましたけれども、やはりこの金融監督庁の発足などに合わせた人員増というのも当然考えられてしかるべきではないだろうか、そういうふうに考えておりますので、これはどうか来年の予算のところでもそういうような措置をしていただきたい。
こういうところでふやす分には、そういう調査の専門的な知識を持った人がたくさんいれば、マーケットで悪いことをやろうとしている人たちに対してはやはり抑止力になるわけですね、これは。それが三十人しかいないから、むしろ告発を受ける方がいわば交通事故だみたいな考え方になってしまったのでは、とてもじゃないけれども、二〇〇一年へ向けての日本の市場のフェアということ、あるいは透明性ということからいうと大変大きなマイナスではないだろうかという気が私はするのですね。
官房長官、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/179
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180・梶山静六
○梶山国務大臣 今回のいわゆる金融監督庁の発足というのは、今までのいわば企画立案の分野と峻別をするということによって、一つの緊張感を持って、内部のいわばなれ合いという表現がいいかどうかはわかりませんが、そういうものを防圧していくというのが第一の柱であります。
そして、今委員言われましたように、証券取引にしろ、あるいは銀行、金融機関の検査監督にしろ、確かにどの程度のものが今までなされたのか、またなし得る能力があるのか、一罰百戒的なことにならなければとてもやっていけないという気がいたします。
ただ、私は今度の野村証券あるいは第一勧銀等の事件を見ていますと、それぞれ金融機関の中にも、数多くの人の中には若干よこしまな人というか、世の中のいわば常識に従ったパーセンテージの倫理観の少ない人もあろうかと思うのですが、いわば金融界のトップの方々の倫理観というか、むしろここにいると犯罪に極めて近いという表現しか今は使いようがありませんが、そういうことになりますと、幾らこれは下を見てもなかなか直せるものではないという感じもいたします。まずもって金融界のトップの方々がどんな経営をするか、それがなければ下から上をチェックするというのはなかなか難しいわけでありますから、経営に当たる者は本当のいわば倫理観というものを持ってもらわなきゃならない。
その上で、なおかつ今委員御指摘のように、このもので手が足りるのかと言えば手が足りるわけでもありません。確かに、それじゃ、どこまでやれば完全なものができるかといっても、一挙にはできないかもしれません。こういうものは、やがてもう少しは刑罰、罰則の強化等もひっくるめて何らかの方式を考えなければ、やり得だ、交通事故だというような思いでやられては、とてもそれは処理し切れるものではありません。
これが通れば、予算や機構その他の要求をめぐって実際の活動をするわけでありますが、いずれにしても、ただ単に素人を集めてできるものではありません。なるたけエキスパートをそろえて、これからやっていくためにどうするか、そのための研究と、ある意味で開発を行っていかなきゃならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/180
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181・海江田万里
○海江田委員 本当に、実際に話を聞いてみますと、とりわけ証券取引等監視委員会の事務方の話を聞いてみますと、それはもう大変ですよ、本当のことを言いまして。
ですから、今度の野村の話も、九五年から着手ということでございますが、その前には弁護士でやはりよこしまなのがいましたから、やはりそれが終わってからでなきゃこっちにかかれないというような実情もあるわけですね。
実際には、これは九三年から例の小池というのは弟の会社をつくってやっておったわけでございますから、やはり九三年、九四年というような間に随分その事態も進んでおるわけでございますから、そういう意味では将来的に証券取引等監視委員会の陣容をもっと充実をさせるということは、これはもうぜひお願いをしたいと思います。
それから、私はこの後に聞こうと思いましたけれども、今、官房長官から罰則の強化というお話がございますが、何かそういうアイデアがあるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/181
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182・梶山静六
○梶山国務大臣 実は、今までの検査監督の機構は、いわば銀行の内部をいかによくするかということで、罰則を設けて罰するということが目的ではないとよく言われております。しかし今までの、例えば私たちが頭で、去年、おととしあたりからのこれだけの金融不祥事が起きた原因を考えると、まるっきり状況は違うのかもしれませんが、アメリカでかつてやられたべコラ委員会的な、相当な刑罰の裁量余地のある準司法的な役割も担ってもらわないとこれからはやっていけないのではないのかなという気持ちを、私個人としては持っておるわけであります。
ただ、今の銀行法その他のあれからいいますとそういう機能はほとんど持ち合わせがなくて、一般法でそれに対応する、そういう状態になっておりますが、金融というものの特殊性、公共性、こういうものを思えば、私はやはり、特にトップにいわばもとるような問題があったときにどう対応するかということは当然考えていかなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/182
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183・海江田万里
○海江田委員 それでは、金融監督庁の問題についてお尋ねを幾つかしたいと思いますが、金融監督庁の設置法案、これは、今手元にあるのは要綱でございますが、これを見ますと、「設置、任務及び長」というところでございますが、「金融監督庁は、法令の定めるところにより、預金者、保険契約者、有価証券の投資者等を保護するとともに」ということで書き出しているわけでございます。
私、これを読んでみまして、例えば「預金者」ということ、これは銀行とのつき合い、銀行に預金のある方の場合ですね、「保険契約者」というのは生命保険会社と契約を結んでおる方、それから「有価証券の投資者等」というのが、これが恐らく証券会社とつき合いのある人たちであろうということでございますが、銀行とそれから一般の庶民といいますか、あるいは消費者といいますか、このつき合いというのは、実は預金者という立場だけじゃないわけですね。
銀行は、御案内のように、確かに一般の人は預金をしに行くところでございますけれども、それと同時に、やはり銀行からお金を借りている立場の人たちもいるわけでございますね。官房長官、大蔵大臣は借りておる立場かどうかわかりませんが、私などもやはり借りておる立場でございます。一般の方も住宅ローン等を通して借りているわけでございますが、そういう銀行とのつき合いの中での借り手の立場ということでやはり金融監督庁の設置法の中で借り手の立場を保護するというような発想というものは全くなくていいんだろうかどうなんだろうか、抜け落ちているんじゃないだろうかというのが私の基本的な考え方でございますが、大蔵大臣あるいは官房長官、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/183
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184・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
金融行政におきまして、預金者保護だけではなくて借り手の保護、こういうことも大切であるということは私どもよく承知いたしているところでございます。
ただ、今回の改革、行政機構改革ということでございまして、金融実体法の方をいじるというものではないわけでございます。例えば、今回の改革によりまして金融監督庁が所掌することになります貸金業、これは現行法でございますと貸金業規制法というものがございます。ここにおきましては、貸金業者の「業務の適正な運営を確保し、もって資金需要者等の利益の保護を図る」ということがこの貸金業規制法の「目的」ということになっているわけでございます。
ただいま御指摘ございました金融監督庁設置法案の第三条の第一項、先ほどのとおり「法令の定めるところにより、預金者、保険契約者、有価証券の投資者等を保護する」ためというふうに書いてございます。この場合の「預金者、保険契約者、有価証券の投資者」これは、ある意味で代表的な例を挙げたということでございます。これはよく御承知のとおり、何といいましても決済機構また信用システムの中心でございます銀行、また多くの方の生涯設計等にかかわります保険、さらに証券マーケットという、それぞれにつきましての代表的な例を挙げたわけでございます。次に「等」とあるわけでございますけれども、恐縮でございますが、ここで申しますこの「等」につきましては、貸金業の資金需要者でございますとかあるいは抵当証券の購入者、こういうような方々も入っているところでございます。
その後で、第三条、後の方をごらんいただきますと、「有価証券の投資者等を保護するとともに金融及び有価証券の流通の円滑を図るため、銀行業、保険業、証券業その他の金融業を営む民間事業者等の業務の適切な運営」というようになっているところでございます。当然、この貸金業者などにつきましては「その他の金融業を営む民間事業者」でございますし、またその貸金業規制法によります業務規制につきましては、その「業務の適切な運営」ということになるわけでございますので、私どもといたしましては、現行の金融実体法、これを踏まえまして、その代表的な例を例として挙げながらカバーするという形で第三条第一項の案文を作成させていただいたものでございまして、決して消費者保護等を等閑視しているというわけではないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/184
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185・海江田万里
○海江田委員 長々と御答弁いただきましたけれども、確かに貸金業法でそういう規制がある、借りた人を保護しなきゃいけないよということは私も承知をしておりますし、それから、あと割賦販売法なんかもそうですね。クレジットなんかで借りる立場の人も保護する、これはわかっておるんですが、肝心のやはり銀行との貸し借り、まあ貸し借りといいますより銀行から借りる点については、これは法律的な保護というのはないわけでございますね。
よく法律の議論をしますとき、これはどなたがおっしゃったのかちょっと私は失念をしましたけれども、場合によっては梶山官房長官かもしれませんけれども、幽霊を取り締まる法律は要らないのだと。これは、幽霊が出ないわけですから、そんな出ないものを、幽霊が出たらけしからぬといってそれを取り締まる法律などないのが当たり前でございます。だから、かつては、銀行を取り締まる法律、とりわけ銀行の融資について、その銀行の融資が適正、適切に行われているかどうかということを取り締まる法律は、まさに幽霊を取り締まる法律をつくらないでいいのと同じぐらい要らない時期があったわけですね。
ところが、どうも最近はそうじゃないのじゃないだろうか。これは、昨日も大蔵委員会で共産党の議員の方がお話をしておりました。それから、予算委員会等でも随分議論をされておる。それから、実はきょう問題になりました日産生命、枝野委員からのお話がありました日産生命の場合もそうでございましたけれども、保険会社と銀行がコンビを組みまして、そして貸し付けをする、必要以上の貸し付けをする、そういう例が随分たくさん出ているわけでございますね。
そういうような状況を踏まえていきますと、それから、これはもう言うまでもございませんが、二〇〇一年のビッグバンに向けてやはり金融機関はそれぞれ生き残りを図っていかなきゃいけないわけでございまして、みんながみんな何もユニバーサルバンクなどになる必要はもう全くないわけで、リーテイルといって小口の融資だとか小口の預かりだとか、そういうことをやっていかなきゃいけないというような時代になってくる。そうすると、私は、銀行との取り引きにおける借り手というものをどういうふうに守っていくのかということ、この法律の中にそういう一項目を、字数にすれば三字ぐらいでいいわけでございますから、やはり入れておくということは、まさに一九九七年、二〇〇一年のビッグバンに向けてこの金融監督庁をつくるという法律がまさにこれからでき上がるというときに、その視点というものを忘れておいたら、これはかなり、何だ、日本のビッグバンというのはそういう程度のものなのかと。
これは後で大蔵省からもお話を聞こうと思いますけれども、アメリカでは、当然のことながら金融自由化の前に、六〇年代の後半から七〇年代にかけて、統一信用消費者保護法という、信用消費者という形でやはり金融機関からのそういう借り入れを受ける借り手を保護しておる。それから、ロンドンの場合は若干違うのですけれども、金融サービス法という、これは主に証券の関係になっておるわけですが、やはりそういう法律をビッグバンの前につくって、そしてそこからビッグバンに入っていった。アメリカの場合は金融の自由化に入っていったという経緯があるわけでございますね。
そのときに、やはりそういう借り手に対する目配りというか、借り手も保護をするのだというような意味合いを、私は、せっかく金融監督庁をつくるのならば、その一番初めの設置の目的の中で一言触れておいていただきたい。ほかに法律があるならいいのですけれどもね。先ほど来お話をしております貸金業等についてはありますけれども、肝心の一番大事な銀行との点についてはないわけでございますから、「借り手」と、この三文字ぐらいは入れておいてもいいのじゃないだろうかという気がするのですが、無理ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/185
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186・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
先ほど御答弁申し上げましたとおり、概念的に申しますと、銀行等につきましても、その「業務の適切な運営」ということでございまして、金融実体法上そのような規定があるということになりますれば、当然そこに入ってくるということで考えられるわけでございます。
ただ、先般来御説明いたしておりますように、金融監督庁につきましては、ルールに基づきましてその執行を公正、透明に行うということでございますので、実体法の方でそういう規定がないものをいわば監督権で行政指導というのは、これはやはりまさに慎むべきことで、そのためにつくるというような組織でございますので、この実体法がどうかということについてはまた別の次元の問題であろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/186
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187・海江田万里
○海江田委員 ルールに基づいて執行する、その執行の方の設置法であるということはよくわかるのです。実体法が、今おっしゃるように、銀行についてはないわけでございます、とりわけその貸し借りのところについてはないわけでございますから。
これは私、かつて予算委員会でも質問をしまして、そのときはちょっと、三塚大臣、覚えていらっしゃるかどうかわかりませんけれども、余りはっきりしたお答えをいただかなかったのですが、その後、大蔵省で、この四月に金融サービス室をつくったということは聞いております。この金融サービス室、私、金融サービスという言葉はなかなかいいと思うのですね。これは、やはり金融サービスを受けるのは消費者なわけですから、そういう意味では、これからそういう人たちを、恐らくこの金融サービス室というものをつくられた以上、そういう金融サービスの受け手である金融サービスの消費者を何らかの形で守っていこうとする意識がおありなんじゃないだろうかというふうに私はそんたくをするわけでございます。
この金融サービス室、できたばかりでございますけれども、どんな準備をしているのかということをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/187
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188・山口公生
○山口政府委員 御説明申し上げます。
今の先生のいろいろな御指摘につきまして、私なりに少し整理してお答え申し上げたいと思うのでございますが、私どもが金融サービスというふうに通常申し上げているのは、例えばイギリスで言う金融サービス法、つまり投資者保護とか運用、調達という考え方からいうと、運用という面からの行為規制等を念頭に置いているわけでございます。先ほどから御指摘のございました消費者信用という、借り手側といいますか調達側に消費者が回る場合、これはちょっと、今、違うジャンルとしてとらえております。
それで、今お尋ねの金融サービス室というものを、確かに私ども、四月に銀行局の中にそういった体制整備をさせていただきました。今始めたばかりでございますけれども、これから金融システム改革が進展していきますと、非常に金融サービス、商品もそうですけれども、多様化していきますし複雑化してまいるわけでございます。そうしますと、業態を超えた自由化というのが広まってしまう。そうしますと、果たして業態を規制している今の法体系でそれを律し得るのかという問題意識はあるわけでございます。
そこで、その金融システム改革が進展していきますのを十分に把握しながら、金融サービス全般のあり方、私の言っている金融サービスというのは運用側の方の話でございますが、それにかかわる法制的な考え方を、諸外国の例等を学びまして我が国にもそういったものを導入していく必要があるのではないかという問題意識のもとで、今いろいろ勉強を始めたというところでございます。
また、有識者での懇談会等を開かせていただきまして、今すぐということではございません、金融システム改革で相当複雑化していくというものを踏まえた問題でございますから、ある意味では中期的な課題にもう今から問題意識として取り組んでいくという観点でございまして、今のお尋ねの金融サービス室というのは、そういった考え方から置かせていただいておりまして、先ほどの、ちょっと問題意識をお出しになりました借り手保護の方は、また別途考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/188
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189・海江田万里
○海江田委員 銀行局長は、きのう大分借り手の問題で議論をされておりまして、私もそれは、委員会室じゃありませんでテレビで見させていただきました。
確かに、おっしゃるような金融サービスというもの、例えば預金保険機構など、もう二十五年ぐらい前からですか、あったわけですよね。ところが、この間も世論調査をやったら、まだ四五%しか知っていない、あれだけいろいろな事件があって、それで初めて四五%の人が知ったと言う方がいいのでしょうけれども。
これは無理もない話でありまして、普通、預金保険があるわけです。しかもそれは、今は新しくなりましたけれども、今までは一千万円の保証ですよ、ペイオフがあったら一千万円までですよという法律が決まっておったわけですけれども、そんなことは通帳を見たってどこにだって書いてありはしないわけですよ。それから、銀行に張り紙もしていない。昔、私はアメリカに行ったとき、たしかアメリカは十万ドルですから、やはり張り紙がしてあったりするのですね。
そうすると、それを見て初めて預金者の方もわかるわけですし、それから当然預金保険の対象になるものと対象にならないものがあるわけですから、対象になるものはこれとこれですよ、これとこれは対象になりませんよというようなことを張り紙にするとか、あるいは窓口できちっと説明をするとか、そういう恐らく運用面での細かな目配りといいますか、そういうことを統一的に、こうやったらどうですか、ああやったらどうですかというのが金融サービス室だ、それが法律になるかどうかはまだちょっとわかりませんけれども、そういう理解でいいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/189
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190・山口公生
○山口政府委員 現行の法制からいいますと、例えば証取法では、顧客に対して適合性の原則の遵守義務というのがございます。相手にぴったりしたものをお勧めしなければいかぬ、俗に言うとそういうことでございます。それから、保険契約につきましては、いわゆる保険募集に関して、虚偽を告げたり、あるいは重要な事実を告げないような勧誘をしてはいけないというような行為規制がございます。それから、抵当証券業法等でいいますと、やはり誤認をさせるような表示をしてはならないとか、そういった形がございます。いろいろと、そういった投資対象につきまして、ある意味では業態に応じた規制をそれぞれの法律でつくっておるわけでございます。
それを、これだけ複雑化していきますと、少し横断的に、Aという商品もBという商品も同じお金の、資産運用としては同じではないか。そうすると、最低限こういった説明義務があるじゃないか、こういった書類の提示義務があるじゃないかという考え方はどうしても共通としてあっていいではないかという発想があるわけでございます。
それで、イギリス等は、投資業務を営む者というのを適用対象にしまして、投資物件の範囲も有価証券とかそれから先物、生命保険、いろいろないわゆる投資と言われるものを対象にしまして、そこにはちょっと預金というものは入っておりませんけれども、それを統一的に、業態と離れた、商品から見た規制という法体系をやっておるわけです。
ただ、難しゅうございますのは、そういった一応の基準をつくりましても、それをどういう形で担保するのか、エンフォースするのか。つまり、理念的なことを考えて、だめだだめだ、こうしなさいと書いていても、実際やる人がそれを守ってくれるためにはどういうふうにやるか。そうしますと、やはりそこにはまた業態的な何かの規制というものがまだ残るのかという、かなりこの問題は難しい観点を含んでおります。
しかし、従来の業態から商品を見るということではなくて、商品からそもそもの業務のあり方というものを見るというふうにちょっと逆転した考え方がどうしても必要だろうという問題意識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/190
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191・海江田万里
○海江田委員 規制の緩和と再規制というのはこれは当然行ったり来たりの話ですから、イギリスのビッグバンの中では、まさにこの金融サービス法を制定をするというのが、リレギュレーションですか、もう一回再規制ということで、これで法律で網をかけて、しかも中身の対象の範囲を非常に厳密に規定をしておりまして、そこから始まっていったというようなこともあるわけですから、私は、やはりこの手の話というのは、もう一回再規制の話ではないだろうかというふうに思うわけですね。
だから、当然業態別のやり方ももう一回必要なのじゃないだろうかという気もしておるわけでございますが、ただ、先ほど来問題にしております、とりわけ銀行の借り手というものに対するいわば無法状況というのですか、前に予算委員会でお尋ねをしたときは通達なんかあるということですが、じゃその通達が本当にきちっと守られているのかどうなのか。通達でお出しになったのは金融機関としては約款の中で書き込みをしておるはずでございますが、私も幾つか約款を見てみましたけれども、これは必ずしも通達がきちっと守られているというわけではありませんね。
そうすると、私はやはり、通達と約款で銀行からの借り手の問題がすべて充足をしているというふうには思わないわけでございますから、そういう意味では、今現在全く抜け落ちている。先ほどもお話をしましたけれども、やはりそういう必要性があるのだという時期でございますので、やはりそこは金融サービス法というのとはまた別に、まず何らかの形で法的な保護を与えておいて、それから今度業態を超えるものについては、もう一回全体的なところで保護の網をかけるというような視点が必要なのではないだろうかというふうに思うのですね。
それがあれば、ここの金融監督庁設置法の中に別段「借り手」という三つの文字がなくても、こっちでちゃんとこういう法律があるのだよということであれば私はこだわるものではないのですけれども、やはりそういう法律的な措置もない。しかも、今は通達でやっておって、各金融機関が約款でやっている。それがきちっと守られていない。しかも、今度できます金融監督庁の設置の目的の中でそういうものが抜け落ちているということになると、どうも、全くそういうことに気づいていないのじゃないだろうかというふうに考えられてしようがないのですね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/191
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192・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
今の先生の御指摘は、消費者信用保護という借り手側の保護の問題でございます。大変重要な面であると私どもも思うわけでございますが、具体的にどういうところから借りるかといいますと、銀行、それからいわゆる貸金業、それから信販会社、こう大きく言うと三つあるわけでございます。それぞれの業態がそれぞれの信用を供与しております。そうしますと、消費者側が信用を受ける方でございますから、それぞれの業態でいわゆる規制というものがあるわけでございます。
ところが、私が申し上げた後の二つは、つまり登録業者でございます。したがいまして、そこの法律の書き方は行為規制になっております。こういうことをしちやいかぬ、こういうことをやりなさいという行為規制でございます。ところが、最初の銀行というものは、これは免許制でございます。免許制と登録制は、詳しく申し上げる時間がございませんが、登録の場合は拒否要件に当たらなければ原則はいいよということです。ところが、免許の場合は、財産的基礎とか人的構成から見て銀行業をやるにふさわしい人を特に選んでやるというような形で、その条件を満たす者でなきゃいけないわけですね。条件を満たした者が、銀行法をお読み賜りますとおわかりでございますけれども、「適切な運営を期し、」とあります。
それを、ではどうやって担保するかというと、先ほども御議論ありましたけれども、監督検査というものでやっている。したがいまして、そこは、抜け落ちているという表現も当たらないとは申し上げませんけれども、適切な運営を期するためにこの法律に基づいて通達を出しているという、指導の形をとっている。つまり、法律が予定しているものが違うということです。
ただ、私どもとしては、ではそれでいいのかという問題はまた違いまして、そこは先生の御指摘も私どもよく理解します。同じ借り手ではないかという面では、また先ほどの話の繰り返しになりますが、ファンクションとしては非常に似通っているということでございます。将来的には統一的な消費者の保護法制というものもやはり検討に値するものじゃないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/192
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193・海江田万里
○海江田委員 どうもありがとうございました。そういうふうにおっしゃっていただければいいのですが、免許を与えて、絶対的な信頼を与えているものが昨今のような状況になってきますと、それなら、では免許を与えた人の責任はどうなんだということになってきますので、やはりそれだけ免許というのは重いものだということの責任感を金融機関の、特にトップの方は持っていただかないといけませんし、また免許を与えた側も、やはりそういうものなんだということをお互いの信頼関係の中でやっていただかなければいけないのじゃないか。
本当に下手をすれば、第一勧銀の不祥事なんか、当然頭取はやめることになりましたけれども、では免許を与えた大蔵大臣はどうなんだ。この大事なときですから、局長もやはり本当は腹を切らなければいけないときかもしれませんよ、これは。やはりそれくらいの覚悟を持って臨んでいただきませんといけないことになるのじゃないだろうかというふうに思います。
やはりこれは法律をつくっておいた方が私はいいのじゃないかなというふうに思いますので、局長もそれは、どうもトータルなものでというような方向性のようでございますが、そのトータルなものの中でやはりきちっと銀行の場合についてもフォローできるような法律にしていただきたい。いずれまた国会に提出をされるでありましょうから、そのときに議論をさせていただきたいと思います。
それでは、この問題を終えまして、あと、これはこの委員会でも恐らく何度か議論になった、これからも議論になるでしょうけれども、金融監督庁の金融機関に対する検査監督の一元化の問題であります。
ちょうどきのうの夕刊ですか、イギリスの中央銀行でありますイングランド銀行、BOE、これが当然これまで銀行に対する監督権を持っていた。それから、先ほどちょっとお話の出ましたビッグバンの絡みではSIBという証券投資委員会、これもアメリカのSECを若干まねをしたところもあるわけですけれども、証券市場についてはこのSIBが持っていたというのを、今度イングランド銀行が金融機関に対する、銀行に対するそういう監督権を手放して、そしてこのSIBで一本化する、あと保険も含めてというところで、やはり大きな流れは監督だとか検査だとかの一元化というのが一つの流れではないだろうか。
その一元化していく中から、先ほどの証券監視委員会もそうですけれども、やはり人員等も充実をさせて、そしてきちっとそれぞれのマーケットを監視していくというのが、これはビッグバン時代の金融の監視でありますとか検査でありますとか監督でありますとかの一つの大きな流れではないだろうかという気がするわけですね。
そのときに、やはりいかにも残念なのは、農協系の金融機関でありますとか、それから労働金庫でありますとか、あるいはノンバンクでありますとか一もちろん今度の金融監督庁は全くこれに手をつけられないということではありません。これは共管ということでございますから、もちろんきちっとした目配りもできるわけでございますが、やはり一つところに集めないと、それこそ前の住専の問題のときではありませんが、どうも責任というものが分散をしてしまうのじゃないだろうか。
今二元化と言いましたけれども、実は本当のことを言うと三元化でありまして、都道府県の商工労働部のあの例の信組担当の部署、部門もそのまま残るわけでございますから、これは何とかやはり今回のこの金融監督庁でならないのかなというのが本当に正直なところなんですね。これはもういかんともしがたいわけですか。あるいは、もうこれで平気なんだと。
二〇〇一年のビッグバン、二〇〇一年だけじゃありません、まさにそこからもう始まって、あるいは始まりつつある、来年の外為法からスタートし出すとか、いろいろな見方がありますけれども、やはり二十一世紀の日本の金融市場をきちっと監督をしていく、きちっと検査をしていくというときに、果たしてこのやり方でたえられるのかどうなのかということですね。
少し長期的な視野に立ってお考えをお聞かせいただきたいと思います。できたら、大蔵大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/193
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194・三塚博
○三塚国務大臣 ただいま御指摘のポイントは、これから二十一世紀を目指しながら検討しなければならぬ課題だと思うのです。
系統金融にしろ、労働金庫にしろ、以下幾つかあります。それぞれの政策目標を持って設置をされ、運営されておるということで、一般金融ということについては次元が違うという議論がありましたこと、海江田議員も御承知のとおりだろうと思います。
そんな点で、ビッグバン、二〇〇一年、体制を整えて本格的なスタートということになると思います。今後、論議を重ねながら、その動向を見てまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/194
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195・海江田万里
○海江田委員 これは本当に、二元化というよりは三元化で、特に地方の都道府県の信組担当の話もあるのですけれども、これは機関委任事務でやっているわけですが、実際のところ、これは住専のときの議論でよくおわかりだろうと思いますけれども、やはりこのあたりは検査の第一線に立たせるのにはなかなかつらい部分もあります。だから私はむしろ、これもいろいろな意見があると思いますけれども、この都道府県の機関委任事務をそれこそ二つの県だとか都府県にまたがるものもあるわけですから、そういうものをまず国の方で吸い上げをしておいて、そしてこの金融監督庁のところに、まずそこから始めてみる。そして、その次の段階で、農水だとか通産だとか労働だとかというところと話し合いをしていくというような段取りも私はできるのじゃないかなというふうに思っておるのです。
やはりそう遅くない時期に、これはだんだん一元化していく方向を確認をして、だけれども、今の段階では、ぎりぎりやってこの程度なんだというのが実際のところじゃないですか、そうならそうだと一言おっしゃっていただければありがたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/195
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196・白須光美
○白須政府委員 ちょっと大蔵大臣の御答弁の前に、一つ事実関係面から御説明させていただきたいと存じます。
機関委任事務の御指摘があったわけでございます。機関委任事務につきましては、地方分権推進委員会で廃止の方向ということになっておりまして、これが廃止された後の事務のあり方につきましては、あるいは直轄事務にするのか、あるいは法定受託にするのかというようなことが委員会で検討が進められているところでございまして、お尋ねの都道府県への信組などの機関委任事務につきましても、その結論を踏まえて、政府全体の中で、その一環として対応を図っていく必要があるというふうに考えております。
また、先ほどのイギリスの件でございますが、これも私どもイギリスの大蔵大臣の御発言、御発表を聞いただけでございますけれども、この場合は、いわば銀行、証券、保険と、これがイングランド銀行あるいはSIB、こういうふうになっている、これを統合してSIBにというようなお話のようでございまして、そういう意味から申しますと、現状では、これは現在大蔵省、またこれらについては機構改革後においては監督庁ということで、イギリスと同じような意味では既に一本の監督機関ということになっているということをまず一つ事実の問題といたしまして御説明申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/196
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197・海江田万里
○海江田委員 いや、だから、イギリスの場合はSIBですから、日本でいえばまさに冒頭にお話をしました証券取引等監視委員会ですから、あそこに全部集まるのなら、そういうことになるのでしょうけれども、今回は金融監督庁に集まるわけですから、これはやはり若干違うのじゃないかなという気がするのです。ただ、その議論を余りしても意味がありません、もう時間もあと四分ぐらいですから。
ちょっと先ほど、日産生命の破綻処理について枝野さんが議論をしておりましたけれども、私はその中でちょっと、このことを聞きたいなというのが二つありまして、一つは、生保にはソルベンシーマージンという、いわゆる負債があったとき、その負債に対する支払い能力がどのくらいあるのかという数値、いわば銀行で言うところの自己資本比率ですけれども、これは、大蔵省は全部もちろん把握しておるわけですよね。保険部長、お帰りになっちゃったかな。──ああ、そうですが。これはちょっと無理ですか。今答えられませんかね。通告していなかったものですから無理ですかね、これは。わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/197
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198・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
ソルベンシーマージンは、先般の保険業法の改正で新しく取り入れられたいわゆる自己資本比率みたいなもので、今度のたしか七月に報告を受けるという形になっておると思います。ただ、これは当局の方から公表するということではなくて、当該会社が自発的な発表をするというのであれば大変結構なことだという姿勢だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/198
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199・海江田万里
○海江田委員 これの方がわかりやすい話ですからね。さっきずっと議論していましたけれども、この数字が出てくれば、一つでどういう状況になっておるのかなということがわかりますので、これは大蔵省に出してくることは大蔵省に出してくるわけですが、公表するんですかね。それをぜひ公表していただければ、各生命保険会社の状況が全部わかるということです。
あともう一つ、やはり保険の契約者が一番気にしておりますのは、あるいは社会的に関心を呼んでおりますのは、とりわけ、個人年金の予定利率五・五%で集めたものを全部そのまま払い戻しをするのかどうなのかというところがポイントなんですね。今までコスモにしろ木津にしろ、高い金利をつけていたけれども、あれは元金も利息も高い金利もそのまま払ったから、この轍というか、その例からいけば、これも払わないわけにはいかないよという話だろうと思うのです。
ただ、それでいいのかどうなのかということについては恐らく議論があるのではないだろうかという考えを持っておりますので、これは、大蔵大臣、今の段階でわかっている範囲でよろしゅうございますので、もしおわかりならお話しいただけたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/199
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200・山口公生
○山口政府委員 五・五%のいわゆる高利で集めて保険を売ったということはどういうことかといいますと、保険料が低くて保障が高い、こういうことになるわけでございます。そうしますと、今入る方は、例えば二・五%を前提に入るとなりますと、保険料が、同じ保障があっても高いということになるわけです。
そうしますと、日産生命の保険契約を引き継ぐときに、契約を結んだのであるから、それをずっと維持すべきだという考えも一つあります。しかし、それを一回新しい会社として引き継いだということにしますと、そこは前提が変わるということも考えられるわけです。果たしてどちらが公平なのかという問題がございます。これは管理人である、今回は生命保険協会が自分の方で今プランを練っているところです。何がより公平かという観点からの議論がこれからあるというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/200
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201・海江田万里
○海江田委員 あともう一つだけでございますけれども、改めて、去年、預金保険機構の見直しをやったときの例の概算払い率のところをちょっと読み直しをしてみたのですけれども、今は、実際二〇〇一年の四月一日からは、まさにペイオフをやって、一千万円までは保証しますよ、一千万円を超える部分については概算払い率で計算をしますよという話ですが、今その暫定的な、二〇〇一年三月三十一日までの間も実は概算払い率の計算になっているわけですね、今は。そして、しかもそれは大蔵大臣が決めるということになっているんだろうというような理解をしているわけです。
ただこれは、二〇〇一年の三月三十一日まではどんなことがあっても元金はきちっと一〇〇%、たとえ一億あろうが二億あろうがこれは払い戻しをする、しかも利息も含めて払い戻しをするということでいいのかどうなのかということを、念のために確認をしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/201
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202・山口公生
○山口政府委員 概算払い率のお話は、先般の金融三法での、要するに、法的手続によってその清算をやっていく、破綻処理をやっていくという場合でございまして、いわゆるざくっと言いますと、一千万まではすぐこれは保証されますが、それを超えた分は結局、その破綻会社を清算したときどれくらい配当があるかということで決まってくるわけです。それを最後の最後まで待てというのは余りにも理不尽である、大体これくらいは返ってくるだろうという概算で払う、こういう仕組みでございます。
ところが、今先生がおっしゃいましたように、二〇〇一年までは資金援助という形で全額保護し得るという形になっていますが、実際上は、そちらの方が選ばれるというケースの方が多いという御理解で結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/202
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203・海江田万里
○海江田委員 もう全部保証するということですね、一言で言えば。わかりました。ありがとうございました。
ただ、るるお話ししましたけれども、やはり、この金融監督庁、二〇〇一年に向けて大事な法律でございますので、直すべきところは直していただきたいというのが私どもの主張でございますので、また、同僚議員がいろいろと質問すると思います。
大分遅くにわたって長時間、本当にありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/203
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204・綿貫民輔
○綿貫委員長 次に、松本善明君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/204
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205・松本善明
○松本(善)委員 まず大蔵大臣に伺いますが、第一勧銀の頭取室も捜索をされるし、会長、頭取が辞任するというような、そういう事態になった。大銀行が、反社会性が明らかな総会屋にノンバンクを含めて三百億の巨額を融資をする、これはもう異常な事態だと思うんですね。超低金利で苦しむ庶民から見たらとんでもないことだと思うのです。野村証券の総会屋への利益の供与、VIP口座を設けての投資家の差別扱い、これらを含めて、金融業界の腐敗をもう徹底的に正さなければならない。
大蔵大臣は、金融監督庁の長官がどういう人がいいかという質問に答えて、千万人といえども我行かんというような人がいいということをおっしゃいましたが、今、監督検査の総責任者は大蔵大臣なんですよ。あなたがそういう姿勢でなければならぬのですよ。いささかも金融業界で不正を許さない、そういう厳しい姿勢が私は今大蔵大臣に断固としてなければならぬと思うのです。そういう姿勢があなたにありますか。まず最初にお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/205
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206・三塚博
○三塚国務大臣 千万人といえども我行かんというのは、責任者の心得なければならぬ大事なポイントでありますから、御指摘のとおりであります。
間違ったことがあれば、厳正にこれに対処するというのは当たり前でありまして、よろしくひとつ御理解ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/206
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207・松本善明
○松本(善)委員 その姿勢が本当に貫かれることを期待をしたいと思いますが、これから質問をしていきます。
それで、金融業界の腐敗、この異常事態を正すのには、大蔵省だけではなくて、やはり国会も役割を果たさなければならない。これは、行政に対する監視機能という点では国会は最大でありますから、そういう点で役割も果たさなければならないし、司法も役割を果たさなければならない。本当に腐敗し切った金融業界を正すということを、国家機関のすべてを挙げてやらなければならぬことだろうと私は思います。
法務省の刑事局長に伺いたいのでありますが、既に、野村証券、第一勧銀の事件について捜査が行われておりますが、捜査中ですから答弁には限界があろうかとも思いますけれども、私は、これは十五年以上前からの、例の商法改正の前からの総会屋との関係が続いているわけですね。背任罪だとか、特別背任を含めて時効は五年、商法の利益供与とか証券取引法の損失保証の時効は三年ですけれども、やはり十五年以上前からずっとこれが続いているということになりますと、これは情状には重大な関係があると思うのです。そういう点では、時効になる時期のもの、三年、五年以前のものについても視野に入れて捜査が行われていると私は確信をいたしますけれども、それはどうでしょうか。伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/207
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208・原田明夫
○原田政府委員 お答え申し上げます。
ただいま委員の御質問の中で、委員もう御承知のことだと思うのでございますが、若干捜査の現状につきまして申し上げますと、第一勧銀に関しまして、検察官が所要の令状に基づきまして捜索いたしたことはそのとおりでございますが、現在捜査中の事案は、証券取引等監視委員会から告発を受けまして検察官が認知いたしました、野村証券に絡むいわゆる総会屋との利益供与あるいは証券取引法違反という事案に基づきまして、その事案の背景と申しますか、社会的な事実としてどういうことがあったかということを明確にいたしませんと最終的な処理ができませんので、現在鋭意捜査中、その関連での捜索であったというふうにまず御理解いただきたいと存じます。
そこで、その背景といたしまして、当然でございますけれども、この種の事案の解明のためには、犯行に至る経緯あるいは背景事情、経済事犯におきましてはその資金の流れ等を含めまして全容を解明いたしまして、その上で法令に違背するものがあるかどうかということを着実に詰めていくのが責務であろうと考えます。
そういう意味で、そのような事情を踏まえまして適正な捜査を今後とも進めてまいりまして、その上で、証拠に基づく事実関係を前提といたしまして適正な処理をするものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/208
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209・松本善明
○松本(善)委員 もう一つ刑事局長、伺いたいのでありますが、第一勧銀の巨額融資は、四大証券の議案提案権を得るための大量の株購入資金だったということが広く報道をされております。やはりこういう今度のケースというのは、証券業界、金融業界のトップにかかわることでありまして、日本の社会にとっては非常に重大な、まさに検察庁、法務省も存在価値の問われるような重大な事件であろうと私は思います。野村証券以外の四大証券も視野に入れた捜査が行われているのは当然だろうと私は思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/209
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210・原田明夫
○原田政府委員 検察官におきましてどのような事項について捜査をしてまいるかということにつきましては、まさに検察当局において判断すべきことでございますので答弁を差し控えたいのでございますが、検察当局におきましては、事案の全貌を解明するために所要の捜査を進めてまいるものと存じます。
また、一般論ということで申し上げますれば、捜査の過程において刑罰法規に触れると認められるような具体的な容疑事実が証拠に基づきまして判明すれば、まさに法と証拠に基づきまして適正に対処してまいるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/210
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211・松本善明
○松本(善)委員 大蔵大臣、今捜査当局もそういう姿勢でやはり重大なケースとして取り組んでいると思います。その趣旨の答弁もあったと思いますが、この第一勧銀が、こういう大銀行が反社会性が明らかな総会屋にノンバンクを含めて三百億の巨額の融資をする、これは一体どういう原因からだったんだろうか、つけ込まれるようなスキャンダルがあったからじゃないのか、当然そういうふうに考えなければならぬと思うのです。
大蔵大臣、大蔵省というのは、そういうことを国民にかわって検査監督をしなければならない、実情を調べなければならない。大蔵大臣はどのようにこの事態を、なぜこういうことになったのかということについてどうお考えになっていますか。どうお調べになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/211
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212・三塚博
○三塚国務大臣 本件ですが、第一勧業銀行が総会屋の関係者に対して融資を行っていたこと等については、大蔵省としても既に同行に対し事実関係の調査を指示しておるところでありますが、その内容については、現在捜査当局による捜査が行われておるところでもあり、コメントを差し控えたいと存じます。
いずれにいたしましても、大蔵省としても本件については重大な関心を有しており、捜査状況を見守りつつ適切に対処してまいる所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/212
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213・松本善明
○松本(善)委員 検察庁が捜査に入って、それを見守りながらと言うけれども、本来ならば検察庁よりも先に大蔵省が摘発しなければならない。今、検察庁を見守りながらと、本当に私は、大蔵大臣として恥ずかしくありませんか。大蔵省はこの異常事態にいつ気がついたのか、そのことだけでもあなたはおわかりですか。いつ気がついたか。これ、今まで何にも気がつかなかったのか。そうしたら、大蔵省は監督検査の権限を放棄をしているのと同じですよ。いつ気がついたのか。
〔委員長退席、野呂田委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/213
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214・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
今回、野村証券をめぐる事件の関連でいろいろ第一勧銀の融資が報道されました。その時点で私どもはそういうことについて知り得たわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/214
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215・松本善明
○松本(善)委員 報道で初めて知った、これは私は本当に許せないと思いますよ。先ほど官房長官は、銀行のトップが犯罪に近いことをやっている、今としてはそう言う以外にないというふうに言われた。そういうことを、報道があるまで大蔵省がわからない。検査監督の権限がありながら、これはもう資料の提出もできるし、検査もできるし、業務の停止もできるし、免許の取り消しもできるし、役員の解任もできるんでしょう。そういうことを何にもしてこなかった、こういうことになるのですよ。事実上無担保の融資があるんでしょう、大きく報道されていますよ。しかも、無担保融資を迫っている、七十五億が焦げついていると。とんでもないですよ。
大蔵大臣、この三百億の融資はだれの金だと思います。だれの金が貸されているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/215
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216・三塚博
○三塚国務大臣 御案内のとおり、国民各位からお預けをいただいたお金であることは間違いありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/216
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217・松本善明
○松本(善)委員 そうでしょう。だから、この公共性、新聞記事で見ましたが、あなたも銀行の公共性というのは大事だというふうに言われるわけですよ。それは、しかし言うだけじゃだめなんです。実際の大蔵省は何にもやってこなかったということでしょう。国民の金が、預金者の金が返される当てもなく貸されているというのは背任ですよ、そんなものは。人の金を返す当てもないところへ貸すなんということは絶対許されない。それが金融機関の公共性じゃないですか。あなたは、事実上無担保の融資を見逃していた、それについて大蔵省はどういう責任を感じていますか、大蔵大臣として。あなたの在任期間だけのことではありませんけれども、しかし、機関の長として、大蔵大臣として、この事態、この巨額の、事実上無担保の融資を見逃していた大蔵省の責任は何と考えるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/217
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218・三塚博
○三塚国務大臣 極めて残念、ざんきの至りであります。
いつ知ったかと言われましても、野村証券の問題について、証券取引等監視委員会で調査をいたしておる本件については報告を受けておることであり、御案内のとおり、事実を確認し勧告、こういうことになるわけです。これの関連の中で検察庁が本件について捜査に乗り出すということが行われまして、ただいま前段申し上げましたとおり、当局に対しまして事実関係の調査を指示をいたした、こういうことでございまして、思わざる事態の展開にびっくりしていることであり、ざんきの至りだと申し上げたのはそういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/218
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219・松本善明
○松本(善)委員 何かというと証券監視委員会の問題が出てくるのですけれども、根本の権限は大蔵大臣なんですよ。それは委任はします、証券監視委員会に。しますけれども、みずからそれを行使をすることも妨げないのですよ。証券監視委員会がやっておるからそれでいいんだというような姿勢であったら絶対だめです。大蔵大臣が先頭に立って、これは自分の責任として、それこそあなた、不退転の、千万人といえども我行かんというのは当然のことだと言ったでしょう。あなたが責任を持って、この第一勧銀の問題、それから野村証券の問題、調査に入っていると言うけれども、真相を徹底的に解明して、国民の前に国会で報告をしますか。その決意を聞きたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/219
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220・三塚博
○三塚国務大臣 ただいま来申し上げていることで御理解をいただいておると思うのでございますが、先ほど来、法と証拠に基づいてと司法当局が言われております。罪刑法定主義という基本的な問題もこれあり、法と証拠に基づいて、監視委員会はその事実の確認の上、大蔵大臣に処分について勧告をする、そう相なっており、告発は司法当局にやるわけです。
現行、勧銀については、野村証券との関連で総会屋と言われる方にそのことの融資を行われておる、この事実解明がただいま行われておるわけでありますし、本問題が第一弾で明らかになった時点で、ただいま申し上げたとおり、調査を指示をいたし、今そのことに入っておるわけでありますから、事態が明確になれば、当然、国会を通じ報告をすることに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/220
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221・松本善明
○松本(善)委員 私は率直に言って、大蔵大臣の答弁を聞いて少し、本当にこれでいいのかという思いでいっぱいですよ、こういう大蔵大臣で。今、金融機関についてはディスクロージャー、企業の情報公開が大事だということがもう盛んに言われるでしょう。それを徹底的にあなたがやるという決意を表明しなかったら、ディスクロージャーやりなさいということが言えますか。大蔵省自身が隠しているような姿勢でいて、金融機関にディスクロージャーやれと言えますか。金融不祥事というのは、護送船団方式のもとで、事実上大蔵不祥事ですよ。そういう自覚を持ってやらなかったら、それは国民の信頼は絶対回復しない。
それで、あなたは真相を報告すると言われた。徹底的に解明をして国会に報告するという決意を述べられませんか。その一言でいいですよ、そういうふうにやりますと。答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/221
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222・三塚博
○三塚国務大臣 今、申し上げたのじゃないでしょうか。(松本(善)委員「それならもう一回言ってください、はっきり」と呼ぶ)それは、事態を解明されましたら御報告を申し上げます。(松本(善)委員「解明されましたらでしょう」と呼ぶ)そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/222
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223・松本善明
○松本(善)委員 解明するという決意を述べてほしいのですよ、権限があるんだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/223
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224・三塚博
○三塚国務大臣 既に当局、担当局に命じてあります。調査を命じてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/224
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225・松本善明
○松本(善)委員 それを期待しましょう。
それで、大蔵大臣、もう一つお聞きしたい。銀行は公共性が大事だということを記者会見でも述べられたし、当然そういうふうだと思います。銀行法二十七条は、銀行が公益を害する行為をしたときに免許の取り消しをする権限を大蔵大臣に与えております。大銀行が、反社会性が明らかな総会屋に、ノンバンクを含めて三百億の巨額融資をするというのは、この公益を害する行為ではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/225
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226・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
大臣からも御答弁申し上げましたように、ただいま同行に対して調査を指示しておりますので、その調査を待って判断すべきものというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/226
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227・松本善明
○松本(善)委員 大蔵大臣、もちろん調査をしなけりゃいかぬ。しかし、一般的に私は聞いているのですよ。大銀行が総会屋に、総会屋というのが反社会的なものであるということはもう明白でしょう、そういう総会屋に、事実上の無担保でノンバンク含めて三百億の巨額融資をする。これは、第一勧銀に限らない、一般論として聞くのですよ、そういうことは銀行が公益を害する行為をするということにならないかと。そのぐらいのことを言えなかったら、それはだめですよ。大蔵大臣に答えていただきたい。一般論です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/227
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228・三塚博
○三塚国務大臣 一般論として言えば、法定の事実を待つまでもなく、常識的にこれはとんでもないことだということであれば、そうなるわけです。ただ、行政の責任者として対処をするということであれば、明確な証拠に基づいて行うことが行政処分として与えられておることでありますから、その基点を踏まえてまいられたい、こう思っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/228
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229・松本善明
○松本(善)委員 それはそうですよ。具体的に第一勧銀に対して何かをやるということになれば、それはあなたの言うとおりだ。だけれども、私の聞いているのは、あなたの認識として、再々言っているように、総会屋に三百億も融資を事実上の無担保で貸すということが公益を害しないかと。第一勧銀、関係ないのです。一般的に、大銀行がそんなことをしてよろしいかということを聞いているのですよ。それを答えなけりゃ、それは何も、証拠に基づくも何もないですよ。一般論として大蔵大臣の認識を聞いているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/229
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230・三塚博
○三塚国務大臣 ですから、その前提は、そういうことはあり得ないことである、こう思っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/230
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231・松本善明
○松本(善)委員 そういうことはあり得ないことで、そう思っているということを大臣がここで答弁をして、どうして銀行局が徹底的な調査をしますか。一三塚国務大臣「一般論だというから申し上げているわけです」と呼ぶ一だから、その一般論で、一般論だったら、そうだということとそうでないということとどっちかしかない。二つしかないですよ、それは。どちらですか。それは公益を害する行為と私は思いませんというのなら、それはそれでいいです。思うなら思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/231
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232・山口公生
○山口政府委員 公益を害しているかどうかというのはやはり個々のケースで判断すべきものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/232
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233・松本善明
○松本(善)委員 そんなことはないのですよ。刑事局長、きょうはもう刑事局長には聞かないけれども、一般論としてあなたも答弁で、法務省の刑事局長にこういう場合はどうなるかと聞けば、具体論でなかったら、それは刑事局長ちゃんと答えますよ。大蔵省はそれを答えられないというところが大問題なんですよ。私は、あなたに何遍聞いてもその答弁を期待できないから、そういう、答えられないんだという判断をせざるを得ないと思います。そして──答えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/233
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234・三塚博
○三塚国務大臣 松本委員、決めつけてはだめなんですよ。(松本(善)委員「だって、決めつけざるを得ないよ」と呼ぶ)いや、ですから、行政の責任者、本件の責任者として、物事をやりますときには、予見を与えず、その事実に基づいて行うというのが責任者の基本です。御理解ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/234
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235・松本善明
○松本(善)委員 そんなことを言っているんじゃないのですよ。いいですか、法解釈としてどう見ているかということ、その視点があって、それから事実について調べていくのですよ。それは予断を持たないでやることは当然です。だから、私は、やはりそのことについて大蔵大臣が答えられないということは、今の大蔵行政の欠陥の、これだけ長く長期にわたってこういうことが続いていた一つの原因をなしているということを申し上げて、次の質問をしたいと思います。
官房長官、今度は官房長官にお伺いをします。
二十日の本委員会で、閣僚の野村証券との取引に転換社債などはないというふうに答弁をされましたが、松浦法務大臣は、野村から二銘柄の転換社債を買ったということを、新聞報道ですが、述べておられます。あなたの調査は極めて不十分だったのではないかと思います。再調査をして、閣僚名は言われませんでしたけれども、既に報道もされています、閣僚名も公表さるべきではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/235
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236・梶山静六
○梶山国務大臣 私は、現時点での調査を依頼をいたしまして、閣僚以前のことについて私が調査を依頼をしたことはございません。しかし、閣僚自身が、それぞれ自分の思い当たる点、調査の件、それを発表する自由はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/236
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237・松本善明
○松本(善)委員 過去の取引、それから家族の取引は調査していないということを記者会見で言われたようですね。報道によれば、今週中に調査をするけれども、内部資料として、公開しない、そういうふうに拝見をいたしました。
今大蔵大臣とやっておりましたように、私、金融業界に対する不信は、もう危機的と言っていいような状態になっていると思いますよ。すべてを明らかにするという姿勢を内閣がとらないで、先ほども大蔵大臣に言いましたけれども、金融機関にディスクロージャーを迫ることできますか。金融機関に、モラルハザードだということで問題にすることができますか。
あなたは先ほど、金融機関のトップのモラルの問題だ、犯罪に近いことをやっている、こういうことを言われました。そういう姿勢を変えさせるには、先ほど言った大蔵大臣の監督も必要ですが、やはり内閣が全部情報を明らかにする。文字どおり、あなたが言われたように、李下に冠を正さすだ、瓜田にくつを入れずと、言葉はなかなか立派ですけれども、本当にそれをやらなければ、金融機関に対する信頼は絶対回復しない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/237
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238・梶山静六
○梶山国務大臣 このニュースソースはどこだと思うのですか。
私はあえてこの委員会で申し上げたのは、ある週刊雑誌から取材があった、全く身に覚えのない取材があったから、これは大変なことだろう、こんなことが往々にして行われてどうしますかと、弁護士にも相談をいたしました。うまく書いてあって、梶山さん、これはとても名誉毀損にも何にもならないように書いてありますよ、こう言うのですね。
なるほど、悪徳というのはこんなことをやるのかなという気がいたしましたけれども、しかしこれがあるのだとするなら、皆さん方も調査権を出して、例えば証券監視委員会、それから野村のVIP口座とはどんなものなのか、ひとつ定義をつくってほしい。私にそこまでやらなければならないことはありません。全く無実の者を載せられたふんまんが、私はここで全閣僚に対して調査を依頼したわけであります。
証券取引が悪だというのならば、あらゆるものが一しかし、なぜそれを、証券の取引を全部明らかにしなければなりませんか。そういうこじつけをやられては困りますよ。証券の悪事は悪事として暴こうじゃありませんか。議員がちょっとでも疑いがあるとかなんとか、私は調べてみて、皆VIPなぞというもののおよそ感覚も知らない。VIPというのは、何らか便宜供与、利益供与があるものだという漠然とした理解はあります。だから、VIPという口座がどんなものなのか私も知りませんし、閣僚各位もそういう事実はないというのを、信用できないとするならば、その挙証責任をだれかに負ってもらわなければなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/238
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239・松本善明
○松本(善)委員 今述べられた趣旨のことは、前の委員会でも述べられましたから、私もよく承知をしております。あなたが自発的にお調べになった。それはだから、李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れずという精神だ。それを信頼して私は言っているのですよ。何もあなたがそこまで、そういう気持ちでいるのならば、徹底して内閣としてもやるべきじゃないか。
私は、あなたが言われるように、国会としてもやるべきだという、きょうも理事会でその問題を問題にしました。国会としてもやるべきことを後で提議をしようと思います。
しかし、内閣としても、あなたのその精神を貫いて、そしてやはり国民の前に、家族の問題、過去の問題、それから家族だけじゃなくて秘書、というのは、これは仮名取引の問題があるからなんですよ。この間、前の委員会で我が党の木島委員が指摘をしましたけれども、証券取引等監視委員会の毎回の報告で、仮名取引があると報告しているのですよ。だから、閣僚は進んで家族とか秘書だとか関係者のこともやはり国民の前に明らかにして、そういう姿勢でやっていくんだということを示す気はありませんかと言っているのです。あなたのその、李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れずという精神を信頼して言っているのですよ。
〔野呂田委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/239
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240・梶山静六
○梶山国務大臣 どうぞ最後まで御信用ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/240
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241・松本善明
○松本(善)委員 そして、だからおやりになるかということを聞いているのです。信用はしているから、そういう質問をしたのですよ。過去とか家族関係者までおやりになる気があるかということをお聞きしたのですよ。信頼はしていますよ。だから聞いているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/241
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242・梶山静六
○梶山国務大臣 内閣の信用は何よりも大切であります。これは、表に公表するかしないかによって決まるものではありません。私が厳正に聞き取りをしている。ないものをなぜ私が言わなければならないか。あたかも株取引自体が全部疑惑があるように思われては大変でもあります。
それから、私は、閣僚以前の問題、道義的にはもちろんありますが、私個人が閣僚以前の問題を拘束して調べるだけの権限はありません。もしもおやりになるのならば、議会としてどうぞ全議員をやってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/242
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243・松本善明
○松本(善)委員 あなたの言葉じりをとらえるわけじゃありませんが、証券取引、悪だなんと思っていません。証券取引の公正を守らなければならぬ、それから一般投資家を保護しなければならぬ、これは証券取引法の中心部分ですよ。それが侵されているということで問題にしているのですよ。証券取引全部やめろなんて、そんなこと一言も言っていない。それだけ言っておきますが──ちょっと待って、質問があるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/243
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244・梶山静六
○梶山国務大臣 今の問題で答え……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/244
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245・松本善明
○松本(善)委員 私の質問を最後まで聞いてから一まあ興奮しないでいいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/245
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246・梶山静六
○梶山国務大臣 興奮はいたしておりませんが、私は、皆さんが思うような不正の取引が一〇〇%ないという確信を持っているからこう申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/246
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247・松本善明
○松本(善)委員 調べもしないでそんなことは言えないですよ、そんなものは。
それで、あなたは、官僚はやらないのですか、内閣として。OBを含む官僚、これはやらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/247
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248・梶山静六
○梶山国務大臣 まず前段私が申し上げたのは、全閣僚ということを申し上げました。そして全閣僚のことに関して松本委員は、多分それは仮名もあれば偽名もあれば何もあるから疑えば切りがないという御判断で申されていると思いますが、もしもそういう事実があったら挙証をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/248
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249・松本善明
○松本(善)委員 疑えば切りがないじゃなくて、証券取引等監視委員会が毎回の報告で、あると言っているのですよ。何も根拠もなしに言っているのじゃないですよ。それから、私は、挙証責任なんというものは議員の側にありません、内閣がどういう姿勢で臨むのかということを聞いているのですから。
それで、閣僚がどう言っているか。VIP口座の存在について、これは単なる符牒だと酒巻前野村証券社長が言うようなものだったら、みんな明らかにしたらいいのですよ。何の懸念もないじゃないですか。それはもう調べて全部明らかにして、内部の資料にする必要も全くないですよ。
VIP口座の存在そのものについて、毎日新聞が閣僚に質問したのに関して、お読みになっているかもしれませんが、お読みになっていないといけないので申し上げます。
池田外務大臣「法に触れなくても道義面から問題」だ、亀井建設大臣「投資家を平等に扱うのは当たり前」だ、白川自治大臣「日本の遅れた資本主義のシンボル」だ、近岡科学技術庁長官「証券取引は公正であるべきだ」、石井道子環境庁長官、これはもう本当に立派なものです、「存在自体、公正さを欠く」、伊藤公介国土庁長官「フェアでない。平等が大切」だ、こういうふうに答えている。私は閣僚は、感覚としては健全だと思います、かなり大多数がそうですから。そうでない人もあります。
それで、VIP口座の存在が一般投資家を差別することになることは明白です。何十万とある取引の中で一万人ぐらいの人を特別扱いする。これを何でもないんだということならば、証券取引の公正ということについての感覚を疑わざるを得ない。酒巻氏の参考人としての答えは、これはもううそだということをみんな各新聞が書いているじゃないですか、個人絡みでやったなんて。会社ぐるみでやったというようにどこもみんな出てきているでしょう。あんなものを信用することは絶対できないです。
それでお聞きしたいのですが、官房長官、あなたは、このあれに対して「野村が言うように人を識別するものなら大したことないが、不当利得、損失補てんは法律で禁止されており、どんなことがあっても許されない」、どっちにとったらいいのかよくわからないが、むしろこれについてお聞きするよりは、あなたのお考えをここではっきりお聞きした方がいいと思います。
証券取引で一体差別は許されるのだろうか。一般投資家をごみとかどぶとか言っているのです。そういうことが報道されているのです。単なる識別というのはどんなことを考えているのだろう。あなたは、このVIP口座が存在して、それに入れられる人と入れられない人、これが証券取引の公正を守ることになると思いますか。そういうものは放置をしていていいと思うのですか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/249
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250・梶山静六
○梶山国務大臣 私のその話の中には、実は私の官房の中から野村証券にも公式な照会をいたしまして、野村証券として来たのは、ちょうど酒巻社長の答弁のようなものであります。しかし、向こうが言っていることですから、言ってないとは言えませんから、そういうことがあるけれども、私たちの認識からいえば、VIPというのは何らかの便宜供与なり利益供与を受けるものを、過去にもあったことですから、考えるわけであります。
そういうことを見れば、そういう差別をすること、識別をすること自身すら、まあ識別はいろいろな意味であろうかもしれません、共産党といったり自民党というその識別が、それが符牒であるというのならばそれはあるかもしれませんが、特にVIPという、お金にまつわることでそういう識別があるとすれば、これは不届き千万だと思います。あろうはずもないし、いわんや閣僚には全くその点はなかったということだけは、私は胸を張って言います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/250
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251・松本善明
○松本(善)委員 閣僚にあったかどうかはお調べにならなければわからないし、全部調べたわけではないと先ほど言われていたから、それはちょっと言い過ぎだと思いますが、VIP口座というものが許されないものだという趣旨はそのとおりだと思います。
それで、三塚大蔵大臣、あなたに今度は伺います。
あなたは、これに対して「法令義務違反など不適切なことが行われているなら、証券取引等監視委員会などが厳正に対処すべきこと」「そうでなければ顧客のプライバシーで、行政が問題とする性格のものではない」ということが新聞で報道されていました。もちろん新聞報道ですから真意でないかもしれません。だから、これだけであなたを判断しようとは思いません。だから、お聞きするのです。
法令違反だけを問題にし、金融機関の道義的責任を何で問題にしないのだろうか。これは道義的責任にとどまらないのですよ。証券取引の公正を守るということが証券取引法の根本です。それから、一般投資家を保護をする、これも根本です。それはもうあなたは大蔵大臣ですから言うまでもないことですけれども、これに反することは法律に反することなんですよ。VIP口座をつくって一般投資家と特別の顧客を差別をするということが許されるのか、こういう形でお聞きしようと思います。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/251
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252・三塚博
○三塚国務大臣 そのことは、新聞記者会見で聞かれたときに申し上げたことであります。いわゆるVIP口座とは、私の聞き及んだことによれば、野村証券は、顧客管理の必要性から実施していた分類のことであります、こう言っております。一万とも三万とも言われております。
一般的に、いずれの証券会社においても営業上の必要性に基づき顧客の管理を行っているものと考えられますが、口座がどのように管理されているか自体は問題ではなく、個々の口座を利用して違法行為が行われているかどうかが問題だ、松本委員が言われるとおり、証券取引はやめろなどとは言っておりません、こう言っているわけで、そちらが顧客の整理の必要性からやっておることに対して、そのこと自体わからない当局として、それにクレームをつけようがないわけです。仮にそのことがわかりましても、今私が申し上げましたようなことでありまして、法令違反等不適切な行為が行われているかどうか、行われておるとすれば厳正に対処と、こうなるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/252
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253・松本善明
○松本(善)委員 大蔵大臣、先ほど銀行について言ったと同じ問題になるのですよ。野村証券が、酒巻氏が国会でそういうふうに言った、あなたにそういうふうに答えたと。これはそうでしょう。だけれども、VIP口座というものがあって、それが特別扱いされているという報道は山のようにありますよ。一々紹介しません。
そうだったら、大蔵大臣は報告を求める権利もある、検査に入る権利もある、それから業務の停止、場合によっては先ほど銀行について言ったような権利、全部あります。あなた、調査したらいいじゃないですか。このVIP口座、持ってこいと言って調べる、そして酒巻氏の言っているのが本当かどうか、それを調べるのがあなたの責任ではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/253
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254・長野厖士
○長野政府委員 証券取引におきまして公正な取引を守るあるいは投資家を守るということが必要であるという御指摘は、まさにそのとおりであろうかと存じます。そして、その場合、公正な取引とは何であるかということにつきましては、日本の場合でも世界の場合でも同じでございますが、きちんと法令に定められてしかるべきものでございます。損失補てんに当たるものであれば、前回はその損失補てんが法令上の公正な取引を害する行為であるかどうか不明のまま事件が起こりましたのでそこを明確にする、そのために損失補てんに当たるのであれば法令違反になりました。その他自主ルール等もございます。
したがいまして、新株の割り当てなどにつきましてはそれぞれのルールがございます。そういったものに違反することがあれば、それはしかるべく厳正に対処すると大臣が申し上げておるわけでございまして、その基準がなきままに、顧客との取引につきましては、限られた取引でございますから千差万別でございましょうが、そこに、千差万別であるから差別であるということで不公正ということにはならないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/254
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255・松本善明
○松本(善)委員 私、こういう答弁を聞いていると、大学で法律を学んだときの、本当に法の精神を理解をしない──法の根底には道義があるのですよ。ぺらぺら、どうのこうのと言っているけれども、これは何の心も通じないですね、あんな答弁は。
私が言いますのは、一般投資家と特別の顧客を差別をして扱う、それがVIP口座であるかどうか。あなたの認識になっているかどうかわかりませんよ、いっぱいそういう報道がありますから、十分その危険、可能性がある。それでなければ、五百万件の野村の口座の中から八千から九千だけ選ぶのは、何のために選ぶんだ、何の符牒なんだ、疑問を持たない方がおかしいですよ。
大蔵大臣、VIP口座というのはあっていいと思うのですか。あなたはまだ調べていないようだ。酒巻氏の言うことだけ信用しているようです。これが許されないものかどうかということを徹底的に調べるのが当然ではありませんか。伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/255
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256・三塚博
○三塚国務大臣 調べた結果を先ほど申し上げて、新聞記者にもそう申し上げたわけです。私は、株取引をやっておりませんものですからわかりません。しかし、わからないからといってこれを等閑視するわけにはまいりません。よって、マスコミが騒ぐことの実態はどうか、こういうことで調べて申し上げておるところであります。
それをもって、委員の気に合った答弁がないからといってそう大きな声でおしかりばかりを受けておっても、全く私も、言わんとする気持ちはわかるのですけれども、押しつけてはいけません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/256
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257・松本善明
○松本(善)委員 大蔵大臣、あなたの調査というのは酒巻氏から聞いたことだけでしょう。私は、VIP口座というのはあるのだ。それでは、とりましたか、VIP口座というのは資料要求で野村証券からとるなり、あるいは証券局が持っているのかもしれないけれども、あなた、ごらんになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/257
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258・三塚博
○三塚国務大臣 見ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/258
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259・松本善明
○松本(善)委員 そうでしょう。それでは判断ができないじゃないか。私は、それをあなたが権限があるんだから取り寄せて調べて、そして答弁をすべきではないか。まあいいです、それ以上の答弁は期待できない。あるなら……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/259
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260・三塚博
○三塚国務大臣 検察に押収されているのですから。それは先般の捜査で検察に証拠として持っていかれているわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/260
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261・松本善明
○松本(善)委員 私は、一万件近いVIP口座、一枚ではないと思いますよ、一通ではないと思う。それから、恐らくそれはワープロに、フロッピーに入っていると思います。控えもあると思います。それなら、手だてを尽くして、押収しているからこれはだめだと言うなら、それは、いろいろ手続が必要なら検察庁に交渉して、大蔵省が必要だと言ったら、一たん還付させて、それから取り寄せることだってできるのですよ。
私は、そういうこともやってやはり大蔵省の責任を果たすべきだということだけ言っておきますが、ちょっとらちが明きませんから、証人喚問と資料の要求をいたします。
証人として、これは前から申し上げておりますが、酒巻前野村社長、これは、ここまでうそがいろいろ国会の中で通用しているわけだから、どうしても聞かなければならない。それから、氏家現野村社長、それから近藤克彦第一勧銀頭取。それから資料は、政治家とOBを含む官僚、官僚を含め、親族、秘書などの関係者のVIP口座にかかわる全資料を議院証言法に基づいて提出をさせるように要望したいと思います。
理事会でお諮りをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/261
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262・綿貫民輔
○綿貫委員長 理事会でお諮りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/262
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263・松本善明
○松本(善)委員 あと短い時間ですが、ちょっと法案との関係をお聞きしたいと思います。これはやはり主務大臣ということになるのかな。
ディスクロージャーがなければ金融機関に対する信頼はなくなる、これはさっきから言っているところでありますが、この護送船団方式に対して国民の厳しい批判があったので、やはり一定の改革を迫られて、言うならば、私は渋々やらざるを得なくなったのではないかというふうに思うのですよ。
それで、金融機関の検査監督は何のためにやるのか。私は、官房長官、金融監督庁をつくるということをお考えになった、それはやはり検査監督が十分でないということでお考えになったのだと思うし、総理は、この間は私が聞いたら、今のように発見がおくれたり、あるいは隠ぺい工作がされるのに気づかずにいたりということは、少なくとも相当防げるだけの働きをしてくれることと信じます、こういう答弁をされました。
私は、検査監督というのは、銀行では預金者だとか善良な取引者、それから生保なら契約者、証券なら一般投資家、あるいは破綻金融機関の整理費用を負担をさせる納税者、こういう人を守るために検査監督をするということではないのでしょうか。
大蔵大臣にお聞きしてもいいが、これは主務大臣ですから、どういう考え方で金融監督庁を分離をするということをお考えになったのか。基本にかかわります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/263
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264・梶山静六
○梶山国務大臣 再三申し上げているとおり、住専問題に端を発して、大蔵不信ないしは今までの金融行政でいいのかどうなのかという反省が、むしろこの企画立案の政策部門と執行部門を峻別をすべきだ、それがこの今度の問題の第一の大きなねらいであります。
それと、もう一つ考えられますことは、これは私もうちょっと勉強してからでなければ言えないのですが、恐らく、銀行局にあるいわば企画立案というものは、今の社会情勢、世界の経済情勢、金融情勢、それから見て、こういう銀行の形であれば大丈夫なはずだ、また大丈夫だということをよく打ち合わせをし、金融業界全般としてこういうものであればいけるのかどうなのか。私は性善を考えるのですが、しかし幾ら善良であっても無知では困りますから、少なくとも、そういうもので国際金融に対抗できるのかどうなのか、そういうルールを一つつくり上げなければならないというのが前段にあろうかと思います。それからもう一つは、今、後ろ向きの、こういうことをやってはいけませんというルール、この二つの問題が私は企画立案の中にはあろうかと思います。
そして、後段、我々が言う、検査監督というものは、今度そのルールにのっとって果たして適正にやられているかどうか、なおかつそれがうまくいっているのかどうなのかということと、後段のそれに違反をするものなのかどうか、そのことを峻別するために今度の金融監督庁をつくったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/264
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265・松本善明
○松本(善)委員 主務大臣だけれども、どうも聞いたことに余りお答えいただけなかった。大蔵大臣の方がよさそうです。よさそうだというのは、質問の相手としてよさそうだということで、あなたよりもいいという意味じゃないのですよ。
検査監督で一義的に保護すべきものは、銀行では預金者だとか、銀行との善良な取引者、生保ならば契約者、証券ならば一般投資家、それから、破綻金融機関の整理費用を住専なんかの場合は負担をさせられる納税者、こういうものを守るために検査監督が厳格に行われなければならないのではないか。これは大蔵大臣にお聞きすればいいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/265
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266・三塚博
○三塚国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/266
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267・松本善明
○松本(善)委員 官房長官、聞いたのはそういうことなんですよ。だからこそ、金融機関には債務超過はないか、健全に経営されているかというようなことを公平に、客観的に調べて、そして、銀行の安全性、健全性、合法性を監視監督するということだろうと思うのですね。必要ならば、業務の停止とか免許の取り消しまで含めて、役員の解任まで含めて監督していく、こういうことになるのです。
そうなりますと、この監督を厳正に実行するというためには、やはり政治や行政からの圧力を排除できる独立性を可能な限り与えるということ。証券取引等監視委員会、まだまだ不十分ですけれども、人事は国会同意人事で、一応身分保障があります。証券だけでなくて、第一勧銀と野村の事件を見れば明らかですけれども、銀行に対しても、また、生保を含めてすべての金融機関全体に対して、そういう公正取引委員会型の、まあ証券取引委員会は余り役割を果たしてこなかったから余り証券取引委員会型というふうには言わないのですけれども、公取型の、公取もまだ不十分な点もありますけれども、それでも最大限独立性を保障するようなものにしなければならない。
何で公取型にしないのですか。銀行も証券も同じように、公取型で、国会同意大事にして、身分保障をして、それで徹底的に監視監督したらいいじゃないですか。何でしないのですか。答弁はどちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/267
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268・綿貫民輔
○綿貫委員長 白須審議官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/268
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269・松本善明
○松本(善)委員 それはだめだ。役人はだめですよ。それなら官房長官だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/269
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270・梶山静六
○梶山国務大臣 委員は既に御承知でありましょうけれども、我々与党三党が、一昨年というか、昨年来たびたびの検討を加えて、九月にはいわゆる大蔵省の改革案、その中にはいわば三条委員会的なものも包含されて、一つのペーパーが中間的にまとまりました。
それ以来、さらに精査をいたしまして、昨年の暮れ、現在の総理府の中に金融監督庁を設置すべし、こういう結論が出たわけであります。それに基づいて閣議決定をし、準備室をつくって、今日のいわば金融監督庁案なるものを提出をしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/270
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271・松本善明
○松本(善)委員 与党三党の最初の合意から後退したこと、これはもう周知のことです。(梶山国務大臣「後退じゃなく前進」と呼ぶ)私は後退と評価をするのです。ということが十分な独立性を担保しない一つの問題になっていますが、もう一つ、大蔵省との事前協議の義務について。
これは、金融監督庁の長官と大蔵大臣と協議をすれば、それは大蔵大臣の方が主導権を握ることは明白ですよ。それから、免許の取り消しについては、総理大臣まで大蔵大臣と協議しなければいかぬのでしょう。これはもうおかしな話で、どうしても大蔵省がこの金融機関の検査監督の権限を握っていこうというふうにしか思えない。独立性を確保する、独立して徹底的にちゃんと検査監督をするというならば、こんな事前協議の条項はやめたらいいじゃないですか。どうですか、官房長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/271
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272・梶山静六
○梶山国務大臣 どなたかの質問にもお答えをしたのですが、大蔵省と内閣総理大臣まで協議をしなければならないということはいかがなものかと言いますが、総理大臣には二面性がございます。少なくとも、総理府を主宰する総理大臣、これは、各省庁別な問題でもそうでありますが、合い議の事項は数多くあります。ですから、大蔵大臣との合い議ということは当然あり得るわけであります。そして、総理大臣みずからが、多忙というかいろいろなことがありますから、金融監督庁長官にこれを一任をするわけでありますから、これは読んでいただければおわかりになるように、金融監督庁長官が必要と認めた場合に実は大蔵大臣と協議をすることになるわけでありますので、必ずしも双方しなければならないということではありません。
ただし、この機関を残したことは、極めて重大な意味がある。そういうチャンスがなければ、万一、重大な発見をして金融の信用秩序に大変な大きな影響があるというときに、果たしてこれだけで物の見事にばっさり切り飛ばせばそれでいいのかというと、私は、少なくとも金融行政というのはそういうものではない。そういうところから、合い議制度というものが有効に私は機能するものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/272
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273・三塚博
○三塚国務大臣 補足説明をさせていただきます。
官房長官の言うとおりでありまして、長官に百万人といえども我行かんの人材が登用されるものと私は信じております。総理の権限を受けてやられるわけであります。
特に、金融機関等の破綻処理が必要となった場合、通常のケースにありましては、金融監督庁が、現行法令のもとでの既存の方策による対応をするということになります。しかしながら、業務停止命令の対象となるような破綻処理に関しまして、現行法令下での既存の方策による対応をするのみでは信用秩序の維持に重大な影響を与えるおそれある場合も想定されるわけであります。言うなれば、金融パニック、連鎖反応、こういうことであろうと思います。そのようなときに、危機管理に万全を期するため、金融監督庁長官、内閣総理大臣の法定委任に基づいておるわけでございますから、その判断により大蔵大臣と協議を行い、法令改正を伴う新たな措置の策定などの企画立案機能をも駆使して、最善の方法を見出すことといたしているものであると理解をいたしております。
したがいまして、大蔵省との協議は、金融監督庁が的確にその業務を行っていく上で必要なものであり、これをもって、大蔵省が、大蔵大臣が主導的にやるというような御批判は当たっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/273
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274・松本善明
○松本(善)委員 答弁が長くてあれなんですが、私、最後の一問だけちょっとやらせてもらいたいと思います。
これは、今の話でいきますと、今まで大蔵省が監督権限を持っていたのだけれども、機能しなかったのですよ。だから、独立させるというのだ。それも問題です。それで、緊急事態に対する処理は、大蔵省、それはやったらいいんです、内閣は。それで、総理大臣は、義務づけなくたって大蔵大臣に聞いて、どうだと言ってやればいいんですから、私はまことにおかしいと思います。
最後の一問というのは、大蔵省の人事の交流なんですよ。何でノーリターン制にしなかったのかという問題なんですよ。大蔵省との人事を野放しにしますと、第二大蔵省というのは随分月並みな言い方で、それこそ、やり方によっては大蔵省の植民地になりかねない。そういう人事の交流というのは非常に大事な問題です。人事はノーリターンということで徹底的に一これは一部の司法権限を持つのですよ、身分保障があって。そうでしょう。だから、これはそういうふうにしなければ独立性は担保されない。今一番大事なことは、検査監督業務を完全分離するということだということを質問して、終わりにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/274
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275・梶山静六
○梶山国務大臣 再三お答えを申し上げておりますように、金融監督庁長官の厳正な人事権、これにいわばゆだねられるわけでありますが、前半随分御指摘のとおり、この検査監督の業務には極めて優秀な、いわば専門的な知識を持った者を入れなければやっていけないということもございます。
ですから、先ほど話が出たのは、恐らく一万人に一人だろうと言われたら、みんなぞっとするような顔をしておりましたけれども、相当入れてみて、選別して、だめな者を帰していかなければ、とても、そんな優秀な検査監督官はそう数多くあるわけじゃありません。それをじっと抱えて帰せなくなったらどうなりますか。
私は、そういう適正な人事運営ができるものと確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/275
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276・綿貫民輔
○綿貫委員長 次回は、明二十三日金曜日午後一時十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後七時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00719970522/276
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