1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年四月二十二日(火曜日)
午前九時三十一分開議
出席委員
委員長 額賀福志郎君
理事 金子 一義君 理事 坂井 隆憲君
理事 保岡 興治君 理事 柳本 卓治君
理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君
理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君
飯島 忠義君 今村 雅弘君
江渡 聡徳君 衛藤征士郎君
小林 多門君 菅 義偉君
砂田 圭佑君 田中 和徳君
田中 昭一君 田村 憲久君
中野 正志君 山中 貞則君
吉川 貴盛君 吉田六左エ門君
渡辺 具能君 渡辺 喜美君
上田 清司君 木村 太郎君
北脇 保之君 鈴木 淑夫君
中川 正春君 並木 正芳君
西川 知雄君 藤井 裕久君
前田 正君 宮地 正介君
村井 仁君 末松 義規君
田中 甲君 山本 譲司君
佐々木憲昭君 秋葉 忠利君
吉田 公一君 新井 将敬君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 三塚 博君
出席政府委員
外務省総合外交
政策局長 川島 裕君
大蔵政務次官 中村正三郎君
大蔵省主税局長 薄井 信明君
大蔵省証券局長 長野 厖士君
大蔵省銀行局長 山口 公生君
大蔵省国際金融
局長 榊原 英資君
国税庁次長 堀田 隆夫君
国税庁課税部長 舩橋 晴雄君
通商産業省貿易
局長 伊佐山建志君
委員外の出席者
参 考 人
(日本銀行総裁)松下 康雄君
大蔵委員会調査
室長 藤井 保憲君
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委員の異動
四月二十二日
辞任 補欠選任
木村 隆秀君 田村 憲久君
中野 正志君 江渡 聡徳君
山中 貞則君 渡辺 具能君
木村 太郎君 西川 知雄君
同日
辞任 補欠選任
江渡 聡徳君 中野 正志君
田村 憲久君 木村 隆秀君
渡辺 具能君 山中 貞則君
西川 知雄君 木村 太郎君
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四月二十二日
共済年金制度の堅持に関する請願(青山丘君紹
介)(第二一〇五号)
同(畑英次郎君紹介)(第二一〇六号)
同(小澤潔君紹介)(第二一四二号)
同(中西啓介君紹介)(第二一四三号)
同(野呂田芳成君紹介)(第二一四四号)
同(畑英次郎君紹介)(第二一四五号)
同(平沼赳夫君紹介)(第二一四六号)
同(村田敬次郎君紹介)(第二一四七号)
同(瓦力君紹介)(第二二二四号)
同(中西啓介君紹介)(第二二二五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する
法律案(内閣提出第五三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/0
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001・額賀福志郎
○額賀委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村井仁君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/1
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002・村井仁
○村井委員 外為法の改正も、一九八〇年からということでございますから、十七年たったということでございましょうか。昔、原則自由例外規制、こういう言い方をされてやりましたのが昭和五十五年の改正でございますけれども、それから本当に急速に環境が変化しまして、外国為替及び外国貿易管理法という、昭和二十四年以来なじんできた法律の名前から管理という名前が今度は取れるという、ある意味では非常に画期的な法律改正だ、こう思うわけでございます。私も、昔、この外為法の昭和五十五年の改正に少し関与したことがございますだけに、非常に感慨無量なものがございます。
ところで、若干落ち穂拾いのような感じになりますけれども、今まで余り触れられなかった問題も少しずつ拾いながら、お伺いをさせていただきたいと思っております。
一つは、東京オフショア市場の問題なんでございます。
オフショアという観念はどうもなかなか素人にはわかりにくくて、ちょっと長話になって申しわけありませんけれども、私自身は、いわゆる金融というものにもちろん自分で仕事の上でかかわったことがございませんし、たまたま行政という切り口から見ていたにすぎない人間でございます。
自分の個人的な経験でいえば、外国勤務のときに大借金いたしまして、そして、たしか最初はポンド建てで借金いたしましたら、一九七七年でございましたか、あのポンドの大切り下げがございまして、本当に助かった。円で給料をいただいておりますから、これでポンドが切り下げになりまして、こんなハッピーなことはないと思ったのが個人的な経験としてはございます。そういう意味じゃ、為替は、私はついていると思っているんです。
それから、外国でカードで買い物をして帰ってきましたら、ちょうど、たしかプラザ合意がなんかの絡みでどんどん円がウナギ登りに上がりまして、結局円建てで払うバリューというのが非常に減ってしまって、しめた、随分これはついているものだ、こう思ったものでありますけれども、その程度のみみっちい経験しかない人間が言うわけでございますから、余り迫力のある話にならないわけであります。
その為替の中でやはり一番わかりにくいのは、一つオフショアの話だと思うんです。主として榊原国際金融局長にお尋ねをさせていただきたいと思いますけれども、オフショア市場といいますと、東京の、例えば丸の内なりなんなりにある金融機関とは別に何かあるように世間ではちょっと受けとめているような節もあるけれども、実際は、あれは別勘定、要するに帳簿を別にするか、勘定を別にするかという形でできているだけのことなんですね、本質的には。
そこで、まず一番初歩的なことからお伺いした
いんですが、今度外為法が変わりまして、完全に自由になりますね。そうすると、オフショア市場というものを特別に設けておく理由というのは、逆に何もなくなるんじゃないかという気もするわけなんです。
要するに、内外の垣根がきれいに取り払われてしまうと、そこでは、例えば大蔵省が例示したケースでいえば、日本の国内でドルショップもできる、ドルで買い物もできる、ドルが通貨として一応流通するというような状態まで想定しているということであるとすると、そしてまた、いわゆる集中というような、あるいは為銀主義というような、これまで昭和二十四年以来ずっと基本的に保たれてきた、あるいはそれ以前の統制時代、もっと古く言えば日本は長年にわたって外貨不足、戦前外貨不足に悩んだわけでありますから、その時代からずっととられてきた制度にある意味ではピリオドを打つということになりますから、オフショアというようなものを特段設けておく必要もないのじゃないかという気が、ちょっと素人考えでするんですが、そのあたりからまず教えていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/2
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003・榊原英資
○榊原政府委員 お答えいたします。
先生御指摘のように、オフショアというのはいわゆる外−外取引ということでございまして、外からの預金あるいは借り入れを、今度は外に貸し出し等で運用するということでございますけれども、実は、このオフショアマーケット、東京にもございますけれども、為替取引が完全に自由になっているニューヨークにもあるということでございまして、自由になった後でどうしてオフショアが存在し得るのかという御質問でございますけれども、オフショアマーケットで例えば外から預金を受け取った場合、通常国内で預金を受け取った場合には日本銀行に準備預金を積まなければならないわけでございますけれども、日本銀行に対する準備預金を積むことがオフショアマーケットでは免除されている、こういうことがございます。それから源泉についても免除されているということでございまして、そういう金融上、税法上の優遇措置がある、国内の預金にはない優遇措置がある、こういうことでございまして、オフショアマーケットは為替が完全に自由になった状況でも存在する理由があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/3
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004・村井仁
○村井委員 そうすると、国内金融のその一つのコントロールの手段である日銀との取引関係、それから税の問題。税というのは、私はある意味では、規制をどんどん緩和していっても最後に残る規制であらざるを得ない、そういう性格を基本に持っていると思っておりますけれども、利子について源泉課税を行う、それの関連でそれが免除される、そういう特典があるからオフショアというものはそれとして残すんだ、こういうお話、それはそれでよくわかります。
そこで、今度の法改正で、非居住者の発行する証券というのが東京オフショアマーケットの対象に加わりますね。そういう改正案になっている。これはどうして証券だけ限定してやったんですか。それを説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/4
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005・榊原英資
○榊原政府委員 お答えいたします。
従来のオフショアマーケットでは、当然、海外に対する貸し出しあるいは海外に対する預金というものができることになっておるわけでございまして、今回は、それに加えて証券形態で運用することも可能にしたということでございます。
前回、証券形態で運用することについて若干規制を設けたのは、恐らく業際問題その他の関連だと思いますけれども、今回は、抜本的な外為法の自由化をする中で、運用については預金形態、貸し出し形態あるいは証券形態、いずれでもいいということにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/5
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006・村井仁
○村井委員 それ以外に、運用の形態というのはいろいろありますよね。デリバティブだってあるだろうし、いろいろな形態があるだろうと思うんですが、こういうふうにオフショアマーケットについては一つ一つ限定的に列挙していかなきゃならないことになるんですか。それはどうしてなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/6
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007・榊原英資
○榊原政府委員 お答えいたします。
いわゆるオフバランスのものは別でございますけれども、オンバランスのものについては、預金、貸し出し、証券でこれは金融取引をほぼ網羅しているわけでございまして、アメリカのオフショアでも同じような形で運用するということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/7
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008・村井仁
○村井委員 要するに私の伺いたいのは、それでほぼ網羅しているというのは一つの実態認識としてわかるけれども、金融の世界というのは思いもかけないようないろいろな新しい商品の新規開発というのがあるわけでしょう。デリバティブなんというものは、十年といったらあれかもしれないが、十数年前には恐らくだれも考えなかったようなものがどんどん出てくる。そして恐らく、為替の自由化を、今度外為法の大改正をやることによって、いわゆる日本版ビッグバンとかなんとか言われるこの世界では、当然もっともっと新しい金融商品や何かをつくるという世界を想定しておられるわけでしょう。あるいは、そういうものを期待しておられるわけでしょう。そのときに、今までの普通の金を預金受け入れをしていわゆる外−外の貸し付けを行うという形態と、それからさらに証券という形態を加えるというような限定的なやり方ではなくて、何でもやっていいですよという形態にどういうわけでオフショアの世界はできないんですかということを私は伺いたいんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/8
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009・榊原英資
○榊原政府委員 御趣旨がわからないわけではございませんけれども、これはアメリカのインターナショナル・バンキング・ファシリティー、IBFの規定と全く同じ規定に今回したということでございまして、私どものオフショアの規制が外国に比べて厳しいものであるというような認識は私ども持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/9
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010・村井仁
○村井委員 いや、厳しいとか厳しくないとか言っているんじゃなくて、そうではなくて、オフショアマーケットで扱える商品というものを何で限定的に並べていかなきゃならないのかということを伺っております。私の言っている意味がわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/10
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011・榊原英資
○榊原政府委員 お答えいたします。
これは、日銀に対する準備を免除するとか、あるいは利子に対する源泉課税を免除するとかいうことでございますから、外−外取引であるということを確認しなければならないわけでございます。外から入ってきたものが中に使われているというようなことではいけないわけでございますので、外−外の取引を確認するためにオンバランスではこういう取引、つまり、先ほど申し上げましたように、大体オンバランスの金融商品というのは証券形態と貸し付けの形態をいろいろ組み合わせてつくるものでございますから、基本的にはオンバランスの金融商品はすべてこれでカバーできるというふうに思っておるわけでございます。ですから、外−外取引を確認するという意味で、その運用について列挙をして限定をしておるというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/11
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012・村井仁
○村井委員 どうもよくわからない。
要するに私の言いたいのは、一番最初にも確認したように、オフショアマーケットというのは帳簿を別にするというか別勘定にするということなんでしょう。だから、別勘定にするということで、そこのところは境がきちんとできているはずでしょう。できている上に、なぜ普通の預金はよろしい、それに加えて証券もよろしいというふうに限定的に並べていかなきゃいけないんですか。将来、仮にデリバティブかなんか、デリバティブが適当かどうか知らないが、何か別の商品が出てきた場合に、ニューヨークがどうか僕は知らないけれども、それをまた法律改正をして追加しなきゃならないというような形態にしなきゃならない理由がよくわからない。
私は、もう一度言えば、帳簿を別にしてあれば、それは何も商品を限定しなくても構わないじゃないかという気がするのですよ。日銀との関係あるいは税との関係、そういうところでも、これはまさに外−外の世界ですよということがちゃんとそ
ごて弁別できるはずじゃありませんか。何も商品でそこを切る必要はないじゃないか、そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/12
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013・榊原英資
○榊原政府委員 なかなか難しい御質問でございますけれども、恐らく、例えば外−外でデリバティブをやるというようなことでありますれば、オフショア勘定を経由しないでできる道があるわけでございます。オフショア勘定を使うということは、日銀の準備預金のようなものを免除してもらうためにやるわけでございますから、そういう意味で、ニューヨークの例を引かせていただきましたけれども、証券、預金、貸し付けというふうに列挙されていれば、それで金融機関等の不便はないものというふうに私ども理解しております。
私どもの理解が足りないところがありますれば教えていただきたいと思いますけれども、これで、具体的に金融機関が困るというような状況は現出しないというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/13
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014・村井仁
○村井委員 冒頭申し上げたように、私もわかっていて質問しているわけじゃないのです。わからないからお尋ねしているんですから、そこはひとつ御理解いただきたいのです。
外−外の話ならオフショアを使わなくてもできる、外−外のデリバティブなんかオフショアを使わなくてもできる、それはそのとおりかもしれません。しかし、要するにできるだけ東京マーケットを使ってもらいたいわけでしょう、私たちの問題意識としては。東京マーケットの使い勝手をよくするということに、この外為法の改正の大きなねらいがあるわけでしょう。そうであれば、できるだけ使ってもらうように、例えば東京オフショアマーケットというものをもっともっと生かしてもらうように持っていくべきなんだろう。そこで商品を限定的に列挙しているということに、何か本当にそれでいいのかなという気が私はするわけです。
そこで、やはりちょっと気になるのが、例えば税法の改正に関連して、オフショアについての対応もたしか何か触れてあったですよね、ことしの税制改正で。主税局長、たしか何か触れてあったと思うのですが、私がちょっと伺いたいのは、あえて言えば、税制上の何か制約があって、あるいは税のサイドからのニーズがあって、それで証券を加えるというところでとめたというようなことはあるのかどうなのか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/14
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015・薄井信明
○薄井政府委員 委員御承知のとおり、現在の租特の七条でいわゆるオフショアの規定がございます。今回の外為法の改正との関係では、これについては改正はしておりません。
私も今、国金局長と委員とのやりとりを伺いながら頭の中がやや混乱しているかもしれませんが、外の法人なり非居住者、外の人がオフショア勘定で預金したときに、それをまた外に持っていくという外−外の場合についての源泉徴収の免除といいますか、これが我が税法の世界でございまして、今回の改正は、その勘定が資金を運用する先の話であって、外から株式をどうするという話じゃなくて、資金運用の話だと思います。したがって、税法とは直接関係していないと思っております。当然に、そこで運用すればそこでの課税ということになるのであって、そこで外す外さないという問題は出てこない。外から入ってきた預金に対して利子を外に払う、そこは免除しています。今回の証券の話は、資金運用の話ではないかと私は理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/15
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016・村井仁
○村井委員 わかりました。私自身もよくこの辺わからない問題なものだからお伺いしていたのですけれども、とりあえずこの点は終わります。
一つ、実はこの法律が提案されたときの本会議で民主党さんから出た御議論で、特に有事規制につきまして国会の事後承認を必要とするような制度にするべきではないかという御議論がありました。民主党さんは今おいでにならない、非常に残念。本来、これは政府を相手に質疑をする話ではないし、とりわけて民主党の議員さんが御出席になっていらっしゃらないところでこれを申し上げるのは甚だ不本意なのですけれども、いずれ速記録に残ることでありますから、私ちょっとあえて申し上げさせていただきたいのですけれども、私は、まず民主党の問題意識として、国会が法律を制定するときにできるだけ、法律を通すということはある意味では行政府に授権することでありますから、その授権の範囲を明確にして、そして国会の権限というのをできるだけ留保するような、所要のところは留保するというような対応をするというのは、私はこれはこれで非常に大事な問題意識だと思うのです。しかしながら、今度お話の出ていることというのは、どうも余りそういうことに相当しない、適当な案件ではないのではないかという印象があるわけであります。
現実問題として、今までの外為法では、例えば輸出貿易管理令では政令によって任意の地域への任意の物資の輸出を一定の条件のもとに禁止するというような制度がある。同じように、送金についても、それをとめるということが行政府の判断にゆだねられている。これは、例えばイラン・イラクの問題であるとか、あるいはリビアがどうしたとか、南アフリカについて国連がどういうことをやったとかいうような過去の経験に照らしてみれば明らかなわけですね。
それで、民主党さんの御議論では、たしか内容を公開しろ、こういうことを言っておられるわけだけれども、内容を公開といったって、そもそも政令なり告示なり極めて明確に発表して、そしてすべての国民がそれを知って、そしてきちんとそれを遵守してくれることを政府は期待してやるわけでございますから、公開性ということについて何ら問題ないし、それから送金をとめるというようなことについて、それはやはり大変なことでありますから、例えばそこに駐在している駐在員については配慮しなければならないということで、例えば絶対禁止ではなくて許可制にするとかいうようなことであれば、簡単に言えば、これについて明示し、しかも絶対禁止ではなくて許可を得るということを求めるだけの手続の問題にすぎないということであって、どう考えても、まず公開性という点では問題ないように思える。
それから、後で国会に報告するというのですけれども、国会へ報告してもしだめだと言われたら、ではその行為は一体どうなるのだというあたりを考えますと、私はどうも頭が混乱してきまして、その必要があるのかどうか非常に疑問に思えるわけであります。これは既に民主党の見解に対して政府側からは何度か御答弁のあったところでありますが、とりあえず簡単に国金局長からお話しいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/16
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017・榊原英資
○榊原政府委員 お答えいたします。
従来から、私どもは三つの理由によって事後承認は必要ないというふうに申し上げているわけでございます。
委員御指摘のとおりでございまして、まず、十六条の規定は現行法と同じように許可制ということでございまして、全面的にこれを禁止するものではなく、十分理由のあるときには、これは許可をするということが前提になっておるわけでございます。
また、その許可義務を課す要件が法律の上に明確に規定されておるということでございまして、これは、例えば国会の事後承認を必要とする災害対策基本法などとは基本的に違っているところでございます。災害対策基本法等は、国会が開会されていないときにその包括委任を政令にするということでございますから、当然国会の事後承認が要るということになりますけれども、この外為法の場合には、その政令に委任する要件というのが非常にはっきりと法律に定められているということでございます。
それからまた、許可の対象となる行為も限定されております。送金とか資本取引ということで限定をされておりますので、これは国会の事後承認を私どもは必要はないというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/17
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018・村井仁
○村井委員 大臣、ちょっとここから先、この話は、私は議員同士の話にならざるを得ないと思うのでございますが、ちょっと大臣に聞いていただきたいのですけれども、私は、国会がいろいろな
政府の行動について関与するというのは、一般的に当たり前のことだと思うのですね。つまり、政令で委任してあっても、それが不適当だというふうに国会が判断したら、そうしたら政府の行動に対して例えば不信任案を出すとか、いろいろな形でチェックすることが可能なんだろうと思うのですね。
それで、今度の民主党の案のように、このようなケースについて、その国会の事後承認を求める、必要とするというような条件をつけますと、そうすると、こういうふうに法律上明記したときしか国会は政府の責任を問えないというようなことになる可能性もあるように思うのですね。つまり、わざわざ書くことによって国会がみずから自分の機能を縛るということになるのではないか、こんな感じもするのです。これは法理論の問題ではなくて印象の問題ですが、大臣、どんなふうにお感じになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/18
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019・三塚博
○三塚国務大臣 我が国は議院内閣制という政治形態、与党と連帯をして責任を負うということが政治運営の根幹であります。同時に、行政は信任を得たことでありますから、公約に基づき、また、世の中の、国際情勢の動きの中で国益のためにやることはやっていかなければならない、こういうことになりますので、その都度新法を出す場合もありますし、法律改正を提案して、国会において十分な御審議をいただく。物によっては、政令はどうなるのかという御質疑も両院において行われるわけでございますから、その中で最終的に多数をもって決定をされますと、法律は成立をいたします。議院内閣制の根幹にかかわる基本的な命題でございますから、特に政令事項にこれをおろすということは、具体的にそこに明示をするということの中で俊敏に国際問題、国内問題に対応できるということにあろうかと思います。
そういう点で、たびたび民主党の議員各位に言われたときに、議院内閣制という我が国の基本的な枠組み、唯一の国権の最高機関である国会において成立をさせていただいた法律、そして政令以下これを遵守しながらまいる、これがけしからぬということであれば、委員言われますとおり、本件についての訂正決議を出すなり、時に内閣不信任案をもってこれに当たる、こういうことの仕組みであろうと思っております。
〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/19
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020・村井仁
○村井委員 そういう意味で、私は、ともかくこの有事規制というような、本当に緊急に処理をしなければならない、しかも、今までの私どもの経験からいいましても、多くの場合、国連決議なりなんなりがあったり、外形標準からして非常に明確なケースが多いわけでありますから、というより、それがほとんどでありまして、そういうときでなければ、送金規制などという大変なことが起こるはずがない。こんな問題につきまして一々国会に報告をするというような、まして了承をとるというようなおかしな制度は、これは私は絶対につくるべきではないし、それは日本のシステム全体を壊すことになるのではないか、不適当であろうという意見を私の方からも申し述べておきたいと思います。
続いて一つ、今度の外為法の改正をずっと眺めておりまして、そして、いろいろな御議論を伺っておりまして、非常によく言われるのがグローバルスタンダードという言葉でありまして、こういうことを非常に言われる。広い意味での外国投資が一般化していきますと、相互に、先進国間でどうしても共通の方式というようなものが求められていくことになるのではないかと思うわけであります。
私は、そういう意味で、日本というのは残念ながらまだ、確かに東南アジア諸国がどんどん成長しつつあって我々と共通項もふえてきてはいるけれども、しかし、EUの諸国のような均質性というのはなかなか確保しがたい、そういう点で問題があることは事実だと思います。少なくとも金というのは、何も地理的な、地縁の問題だけではなくて、まさに瞬時にして世界を飛び交うわけでありまして、そういう意味で、OECDくらいの場では、かなりいろいろな意味で相互に調整をしておくという作業が前提として必要なのではないかと思うのであります。
そういう意味で、聞くところによりますと、多国間投資協定、マルチラテラル・アグリーメント・インベストメントというような作業がOECDの場で行われているやに聞き及んでおりますけれども、これは大変注目すべき動きだろうと私は思っております。これにつきまして概略と、それからさらに日本のMAIに対する評価、今の進行状況というものをある程度満足すべきものと見ておられるのかどうか、そのあたりにつきまして、ちょっと国金局長から聞かせていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/20
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021・榊原英資
○榊原政府委員 お答えいたします。
今御指摘のように、OECDにおきましては一昨年の九月から、国際投資に関するマルチの包括的ルールを構築することを目的として、多国間投資協定、MAIと呼んでおりますけれども、それの策定交渉が行われているところでございます。
MAIの条文につきましては、交渉中でございまして、まだ固まったものではございませんけれども、基本的には、投資の自由化及びその投資の保護のために、受け入れ国において内国民待遇を与えるということあるいは最恵国待遇を与えるということ、それからルールの透明性を確保するということを基本原則とするということで協議が進んでおるわけでございます。現在、鋭意交渉しておりまして、本年五月のOECD閣僚理事会を目途に決着をつけようというふうに考えておりますけれども、それまでに合意ができない可能性もまだ残っております。
私どもといたしましては、投資の自由化に資するMAIの意義は大きく、その成果を極めて重視しておるところでございまして、できる限り早くこの協定を成立させたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/21
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022・村井仁
○村井委員 交渉中の話について内容に及んでコメントを求めるというのは、ちょっとお立場上御迷惑なのかもしれないけれども、あえて聞かせていただきたいのは、投資の問題で日本にとりまして非常に重要なのは、何といっても、例えば東南アジア諸国の経済発展というのは私どもにとっても非常に大きな関心事。そして、東南アジア諸国の場合は、多く投資を受け入れて、そしてそれにある程度優遇措置を講じて、そしてその投資にインセンティブを与えて自国の経済を浮揚させよう、こういう問題意識がありますね。
そこで、最恵国待遇の話なのですけれども、OECDの今のお話は、OECD諸国相互の間で投資をする場合の最恵国待遇というレベルでとまっていて、発展途上国に対する投資にまでは及んでいない、こんなふうに考えてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/22
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023・榊原英資
○榊原政府委員 お答えいたします。
御指摘のとおりでございまして、途上国等に対する投資に関しましては、例えばAPECというようなところで議論がされておりまして、APECでも、これは非拘束的な、必ずしも当該国を練らないということでございますけれども、非拘束的な投資原則というのが九四年の十一月に採択されているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/23
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024・村井仁
○村井委員 私、なぜそういうことを申し上げるかといいますと、昔、輸出信用につきまして国際競争が非常に激しかった時代に、輸出信用の供与というのは、確かに先進国にとっては、一種の過当競争という意味で、非常に負担がふえるという問題はありましたけれども、一方では、発展途上国にとっては非常なインセンティブになったわけで、これが大いに競争してくれることは、いわばその輸出信用の消費者である、ユーザーである発展途上国にとってはメリットがあるわけですね。ところが、アメリカの議会が、これはアメリカ輸銀にとって余りにも過剰な負担になるというので、かの輸出信用アレンジメントというものを国際的に強要して、そしてOECD諸国全部巻き込んで、いわば国際カルテルをつくって抑えてしまった、こういう事例があるわけです。
ある意味では、先進国の都合で、その発展途上国にとって大変メリットのあるグローバルな成長
システムというものが毀損される可能性もある。そのときに日本の立場というのは、やはり発展途上国の立場をできるだけ代弁してやる、そういう立場じゃないか、こんなふうに私は思っている人間でありまして、そういう意味で、ぜひいろいろな意味で目配りをお願いしたいと思います。これは希望です。
次に、もう一つ国金局長についでながらお伺いさせていただくと、いわゆる為銀主義というものを捨てる。いわゆる外貨集中というのがいつ捨てられたのか、私どうも不勉強で余りその辺よく勉強していないものですから。ひょっとしたら、いわゆる外貨集中というのも今度捨てることになるのかよくわかりませんが、いわゆる為銀主義を捨てる結果、国際収支統計だとかあるいは通貨別統計、対外証券投資統計、オフショア統計、市場統計、こういったものについての信頼性がどうしても欠けることになってくるのではなかろうかという懸念を、私自身、正重言って持つのです。
というのは、私どももいろいろ世界経済についての議論をしていますときに、アメリカの統計の信頼性というようなことにつきまして、しばしば学者の間であるいは経済評論家の間で論議があることを聞きます。その理由というのは、やはりアメリカの自由化が非常に進んだ結果、統計資料が必ずしも適切にとれていないという問題があるやに聞くわけでありますが、このあたり、榊原局長、どんなふうに将来お見通しになられるか、自由化後の世界につきましてお話を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/24
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025・榊原英資
○榊原政府委員 お答えいたします。
御指摘のように、今回の改正でいわゆる為銀制度というのは廃止されるわけでございます。いわゆる為銀の報告義務というものも廃止されるわけでございますけれども、改正法案では新たに報告に関する章を設けて、銀行等を含めた取引当事者一般についての報告義務を課すわけでございます。
ですから、外国為替公認銀行というものはなくなりますけれども、銀行がなくなるわけではございませんので、銀行に対しての報告義務というのは残るわけでございます。当然、銀行を通じて取引をする場合には、その取引の当事者、銀行でない当事者についての報告義務が免除されるということでございますので、銀行の報告義務については、できるだけその実効性を確保しつつ、その負担は軽減しようというふうに思っておりますけれども、報告義務自体がなくなるということではないわけでございます。
それからまた、最終的な報告の実効性の担保というものにつきましては、報告を法律上の義務といたしておりますし、それは今度の改正でも変わらないわけでございます。それで、報告をせずあるいは虚偽の報告をした者に対しては、六カ月以下の懲役または二十万円以下の罰金刑に処すということになっておりまして、私どもは報告の実効性の担保は十分とれているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/25
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026・村井仁
○村井委員 経済界といろいろ話していますと、ともかく日本の官庁の求める統計基礎資料の量の多さ、これは評判悪いのですよ。ともかくあの報告を少し減らしてもらうだけで自分たちの経営というのは随分楽になるという話をしょっちゅう聞きますよ。経団連でも同友会でも、どこでもそういう声が上がっている。特に中小企業のレベルになると、この声は切実なものがありますよ。
私は、今度の改正によりまして報告徴収というのが非常に重い比重を持つだけに、また、今申し上げたようなそういった資料をきちんと整えるということがいろいろな意味で大切なことは否定すべくもないわけでありますから、そしてまた、銀行以外のところからもその報告を求めるということになるわけでありますけれども、これはひとつ大いに工夫をして、本当に必要欠くべからざるものだけに厳選してやっていただく、こういうことをお願いしたい。これは特に強く注文をつけておきたいと思います。
それからもう一つ、税の関係ですが、今度、外国における投資や預金に係る収益に課税する方法として、資料情報制度の整備ということを主税局長がたび重ねてこの委員会の場で御説明になっておられ、強調しておられます。これにつきまして、まずごく簡単に概略御説明いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/26
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027・薄井信明
○薄井政府委員 資料情報制度について今検討しておりますが、その要旨を簡単に申し上げますと、郵便局も含みます銀行等の金融機関から税務当局に対しまして、一定金額以上の海外送金あるいは入金につきまして、送金人の住所、氏名等、あるいは相手先の所在国、住所、氏名等、それから送金額、日付、送金の原因等を報告してもらう。また、この報告が実効性あるものとなるように、例えばその報告義務違反等についての罰則規定を設けること、それから本人確認等あるいは告知の義務をつける、そういったことでございまして、ただ委員御指摘のように、これが非常に煩わしくなり過ぎるということでは問題がありますので、一定金額以上のものにしたいと思っております。
また、為替が自由化しているアメリカにおける制度も参考にしまして、少なくともそれ以下の報告の程度にしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/27
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028・村井仁
○村井委員 その場合、銀行それから郵便局など、要するに通常に送金の窓口となる部分だけ押さえておけば、大体のことは足りるというふうには思えるわけですけれども、一方で、例えば両替商とかなんとかというものもなくなる、外国為替公認銀行というものもなくなる、いろいろな意味で自由になるわけですね。そういう世界で、例えばの話ですが、あるコンビニなりが私のところはそういう仕事をしますよということになりますと、そういうところにもそういう報告をしろ、こういう話になってくるのでしょうか。そのあたりがなかなか、どういう業態か業態のイメージがひとつはっきりしないものですからわかりにくい。ちょっと教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/28
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029・薄井信明
○薄井政府委員 私ども、外為法の改正後も送金業務は銀行等に限られる、送金等の業務につきましては銀行法等により銀行等が独占する、したがって、先ほど申し上げた銀行等を対象にするのであって一般の企業については考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/29
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030・村井仁
○村井委員 そうすると、これはまた国金局長があるいは銀行局長に戻るのかもしれないが、外為法が改正された後でも、送金の窓口になる、チャネルになるものはいわゆる銀行等ということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/30
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031・榊原英資
○榊原政府委員 委員御指摘のとおり、送金というのは銀行に限られるということでございます。ですから、お金を動かす方法は、銀行を通じて送金をするか、あるいは現金を持ち出す、その二つになりまして、現金の持ち出しにつきましては、支払い手段の持ち出しにつきましては、事前届け出制ということで外為法では規定しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/31
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032・村井仁
○村井委員 そうすると、結局銀行等を経由するかキャッシュでいくかということになれば、キャッシュでいく世界になれば税関で波打ち際でチェックする、こういう手段になる。それで、アメリカは一万ドルでしたか、こういう金額でやっていますが、大体それに見合う金額で押さえて、その程度のものを持ち込むあるいは持ち出すというときに申告を求める、そして申告していなくて持っていったら、こらとやる、こういう仕組みですな。わかりました。結構です。
私は、このあたりの周知徹底を図ることは非常に大切だと思いますし、それからマネーロンダリングとかいろいろな問題があるということもよく理解しますので、ぜひきちんとした制度整備をしていただきたい、お願いをしておきたいと思います。
もう一つ、これは直接外為法と関係ないのでありますけれども、ちょっと銀行局長にお伺いしたいのですが、せんだって銀行局長がどなたへのお答えだったか、日債銀の処理につきまして、あれは奉加帳方式じゃないかという質問がありまして、私の疑問は、何で普通の預金じゃなくて金融債を出している日債銀をあのような形で救済しな
ければならないかという問題意識がまずあるわけですが、これは後でお伺いするとして、それに対しましてたしか銀行局長がお答えになった中で、まず株主に負担を求めておりますということをおっしゃった。それからもう一つ、興長銀という同じように金融債を出しているところに、それは同じように影響を受ける可能性があるから負担を求めるようにした、このようにおっしゃった。それから、生損保等劣後ローンを引き受けているところに負担を求めるようにしているとおっしゃった。
別にのべつ幕なしに奉加帳しているわけじゃない。のべつ幕なしに資金供与を依頼しているわけではないから、増資を依頼しているわけではないから奉加帳方式ではない、こんなような趣旨の答弁をされたように私は記憶しております。
そこで、お尋ねしたいのは、株主は、それは確かにそうかもしれないが、明らかに、例えば日債銀の金融債は相当の期間にわたりましてプレミアムが非常に高くなってきた、こういうことで価格が落ちてきたという現象があるわけですね。明らかに興長銀と違うわけでありまして、それを同じ金融債を出しているからといって影響を受けるという判断をされるのは、ちょっと行き過ぎなのではないだろうかという感じが私はするのですけれども、その辺、もうちょっと御説明いただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/32
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033・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
委員の御指摘のように、日債銀が増資の要請を行っている先は御指摘のようなところでございまして、ある意味ではいろいろ関係があり、またメリットを受けることができる先というようなことでございます。
それで、興長銀につきましては、金融債そのものの信頼性というものがやはりベースにあると思うわけでございます。ただ、今の時点までで、ではそういう現象があらわれたかといいますと、それはまだ明らかな形ではないかもしれません。しかし、もしこのままの状態がさらに長く続いた場合には、金融債というものに対する国民の皆様の信認というものが揺らぐという意味で、興銀、長銀、いずれもやはり同じ金融債を出している長期信用銀行法のもとでの制度でございますので、その信頼を確保することによって調達コストのできるだけの低減を図るというメリットがあるのではないかというふうに私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/33
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034・村井仁
○村井委員 どうもちょっとよくわからないのは、世に奉加帳方式と言われ、あるいは護送船団方式と言われるそのゆえんは、その一番の問題点というのは、バランスシートの上で、あるいは表に出たいろいろな数字を見る限りではその企業の体質というのは十分に実力があると思われているものに、実はあなたのところは体力があるからもうちょっと業界全体のためにおつき合いしなさいよというような形で負担を求められる、これが世に言う奉加帳方式というものでしょう。
私は、その今の興異長銀の立場というのは、別に何も弁護するつもりはないけれども、たまたま同じ金融債を出している。金融債が影響を受けるかもしれないといったって、金融債に手を出す人というのは基本的に、まず機関投資家だったりそれなりの判断基準を持っている人たちですよ。その人たちにとっては、どこの金融債が信頼性があり、どこのが信頼性がないか、そのくらいのことは十分判断してやっているはずだと思いますね。いわば、私は、普通の銀行に出入りする人たちよりもうちょっと玄人っぽい世界だと思うのですよ。
そういうところで、金融債にも影響があるのだというのは、ちょっと私は説明としては甘いように思えるのですけれども、もう一回、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/34
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035・山口公生
○山口政府委員 確かに、委員のおっしゃるような視点というのはもちろんあると思います。
ただ、金融債は、いわゆる機関投資家だけではなくて、例えば割引債のように一般の国民の皆様方に買っていただいているという面もあるわけでございます。それから、この金融債に対する信認というのは、少なくともこれまではかなり高かったのではないかと私は思いますが、しかし、こういった日債銀の問題が非常に長く続く、あるいは万が一のことが起きるということになりました場合には、それは、長期的に見た場合には金融債そのものに対する信認にかなり響くのではないかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/35
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036・村井仁
○村井委員 私は、どうもそこのところが納得がいかないのです。
そこで、もう一つ、同じように金融債を出している農中、商中、それから東京三菱銀行も東京銀行のいわば権利を継承して金融債を出せるわけですね。こういったところはどういう扱いになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/36
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037・山口公生
○山口政府委員 今回日債銀が増資をお願いしておりますのは、興銀、長銀、それから東京三菱でございます。あと、農中、商中、全信連に対しては増資の御要請をしていないというふうに聞いておりますが、これはそれぞれいろいろな事情も総合的にありまして、ノンバンクの処理に当たっていろいろと影響があって、そこにお願いするのはやや行き過ぎだというようないろいろ個々の事情がありまして、ある意味では、興銀、長銀、東京三菱の場合は、私が先ほど申し上げたような考えに合うのではないかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/37
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038・村井仁
○村井委員 細かいことばかり聞いて申しわけないけれども、その場合の東京三菱というのは、株主としての東京三菱ですか、それとも金融債を発行している金融機関としての東京三菱でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/38
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039・山口公生
○山口政府委員 それは、東京三菱銀行の場合は両面ございます。両面でお願いをしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/39
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040・村井仁
○村井委員 そこで、以上のことをお伺いした上で、どうしても私よくわかりませんのは、金融債を出している日債銀につきまして、どうしてこういう救済をしなければならないのかという点です。預金がある金融機関でしたら、私は、これは確かに金融システムに非常に大きな影響を及ぼす、決済機能、金融仲介機能というようなものを傷つけるというおそれがある、そして日本の金融システム全体に非常に大きな影響を及ぼすおそれがあるということはよくわかります。ですから、それについては預金保険機構なども動員してしっかりした体制で救済をしていくということは、これは預金者の利益につながる、十分説明できると思います。
問題は、金融債、これは私は普通の預金とはちょっと違うと思うのですね。金融債を専ら出している日債銀につきまして特段の救済手段をとらなければならない理由というのは、なかなか理解しにくい問題だと私自身感じるわけでございますけれども、そのあたり、どうして日債銀を救わなければいけないのか。やり方としては増資というやり方で、みんな納得ずくだからといっても、これはさっき申し上げたようにいわば奉加帳方式で、本来健全な体質の金融機関の力を潜在的には弱めて、そして例えばムーディーズなども含めて格付機関の格が一つまた落ちるというような原因もこしらえるわけですね。私は、日本の金融機関というものに対する世界的な信認という観点からも余り望ましいことではない、こんなふうに思うのですけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/40
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041・山口公生
○山口政府委員 今委員のおっしゃった点は、預金者の保護の観点、あるいはそれに類似した金融債を購入した人の立場という切り口からの御指摘だと思います。確かに、そういう切り口からは、そういった御指摘は当然あろうかと思います。
しかし、もう一つの金融システムの安定あるいは信用秩序の安定ということから見ますと、例えば日債銀の場合におきましても、海外との間で大きなデリバティブ取引等をやっているわけでございます。また海外からいろいろな融資を受けている、ドルの融資を受けているとか、いろいろなことがあります。したがって、そういった取引が非常に複雑に絡み合っておりまして、また大口の定期なりCDなりを出して、買ってもらったりしております。
そういった取引がありますので、もし万一のことが日債銀に起きた場合にどういうことが起きただろうか、これは正確にはわかりません。しかし予想するに、日本の大丈夫だと言われていた二十行においてそういうことが起きるということは、日本の金融機関は非常にこれは危ないのではないかということで、まずジャパン・プレミアムと言われるものがまた長期間にわたって続くであろうと考えられます。それだけではなくて、そのクレジットの枠というものをかなり絞られてくる。そういった日本の銀行に対する不信というものが根強く残ってしまうであろうということで、国際的な意味でも日本の金融機関が非常に窮地に立つおそれがある。
そうなるかという保証をするというわけにいきませんが、それと同時に、日本から海外に対してそういう金融不安を及ぼしたということになってしまう。例えばベアリング社の倒産の問題とかBCCIの問題とか、海外の銀行あるいは証券会社で起きた、そういう大きな損失の話がありました、倒産の話がありました。そのとき我が国の金融機関は大変に困惑したわけでございます。そういったことが、今度は逆に日本から発信された金融不安ということになりかねないというふうに考えたわけでございます。
もちろん、日債銀そのものが厳しい自助努力をやっていただくというのが大前提でございますが、それに加えまして、こういった金融システムを国際的な意味でもぜひ守る必要があるということで、今回、私どもとしてもあらゆる限りの支援をさせていただいたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/41
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042・村井仁
○村井委員 時間がなくなりましたのであれですが、どうも金融機関がどういうときに処分されていいのかというところはなかなか難しい問題でありまして、今銀行局長お話しのように、日本の金融システム全体についてあるいは日本経済全体について、非常にはかり知れない影響があるかもしれないということは、そのとおりだろうと思いますし、上位二十行の中にランクされる銀行の中にそういう故障が生ずるということが、これはまた大変だということもわかるけれども、しかし、ツー・ビッグ・ツー・フェールですか、ともかく大きいのはつぶせないという手の話になりますと、これはある意味ではまたフェアではないということにもなるわけでありまして、一体どういうときに本当に銀行というのはつぶすことができるのだろうか、これは、私たち、いわゆるモラルハザードの問題も含めて真剣に取り組まなきゃならない大きな課題だと思うのです。そして、特にこれは金融債という、ある意味では信用秩序を考える上でボーダーラインの商品をめぐって起きただけに、改めてこの問題の難しさというものを感じる次第であります。
まだちょっと中途半端でありますけれども、またいずれ改めて機会を得てお話を伺うことにさせていただきまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/42
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043・金子一義
○金子(一)委員長代理 以上で村井仁君の質疑は終了いたしました。
次に、西川知雄君。
〔金子(一)委員長代理退席、坂井委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/43
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044・西川知雄
○西川(知)委員 西川知雄でございます。
私は、実はずっと国際関係の、特に金融関係の弁護士を二十年ばかりやっておりまして、今度の外為法の改正等についても、前の仕事の面を通じて、やっとだんだんはっきりしてきたな、実はこういうふうに思っているわけです。
今まで各委員の先生が非常に大きなマクロ的な面からいろいろな御質問をされたとは思うのですが、私は、外為法とか新しい商品を開発するときにいろいろな国税の対応とか、そういうことに非常に悩まされてきた、外国の金融機関の代理人とかそういうこともたくさんやってまいりましたので、そういう実態面を経験した者としていろいろなもう少し具体的な御質問をさせていただきたいというふうに思います。
三塚大蔵大臣も、実態が実はこういうことなんだということをぜひ頭に入れておいていただいて、よろしく大蔵省を指導していただきたい、こういうふうに思っております。
そこで、だんだん話はややこしくなるのですが、まず簡単な方からやります。大臣、スクエアトリップということを御存じですか。別に御存じなくてもいいのですが、実は、外為法これだけ六法がありまして、我々というか、私、今代議士ですけれども、弁護士はもうこれに悩まされ続けてきたのですね。それで、かご抜けというのがスクェアトリップの日本語版なんですけれども、これをちょっと御説明します、
例えば日本の銀行が海外にローンをしたい、金融をしたいというときに、銀行はその国に対してはもう枠がいっぱいだ、それではどうしようかといったときに、銀行系のリース会社を使うわけですね。ところが、銀行系のリース会社というのは、単なる普通の会社と変わりませんから、非居住者に対してローンをすることができないのですね。外為法上は一応資本取引として事前届け出をすればできるというような形にはなっているのですが、実際はできないのですよ。届け出を受理しないのですね。ですから、これは実際問題としてはローンができないというのが現状なんです。
そうすると、どういうふうにしたらいいかといいますと、リース会社が海外に、SPCというのを御存じですよね、スペシャル・パーパス・コーポレーションというものをつくるのですよ。そのリース会社というのは、割賦販売取引、これは自由にできるのですよね。それでどういうふうにするかというと、海外の子会社を立てたら、その海外の子会社が例えば英国にある金の取引業者から、その金の持ち分、金というのは地下に眠っていますから分けられませんから、その金を切ってそれを持ってくることができる権利を買うということにするのですよね。そうすると、それは物になるわけです。その物を、日本のリース会社団、投資家集団に、金融機関と言われているものに売るのです、リース会社みたいなところに。そうすると、リース会社はそのSPCにお金を払わないといけない。この払うという行為が、お金が行きますから、ローンと同じようになるわけですね。そのお金を使ってSPCが非居住者に対してローンをするんです。ところが、このSPCというのは海外に置かれますから、海外でのSPCから非居住者に対するローンというのは外為法の範疇外なんです。
きのう大蔵省の人に来てもらって、いろいろと御説明を聞いたりしたんですが、こういう話は余り政府の中にも浸透していないようなんで、私はちょっと御説明をしているんですけれども、それでSPCは、今度、すぐに日本のリース会社に対してその金の引き取り請求権というものを物として割賦販売するんですよ。割賦販売というのは、御存じのように所有権はすぐにSPCに移るんですね。そうすると、その所有権が移ったらすぐにそれをまたイギリスの金のブローカーに返すんです。だから、すっと終わっちゃうんです。そして割賦販売をしますと、それは例えば六カ月に一遍とか三カ月に一回ずつ割賦代金をSPCが日本のリース会社に返すということになるんですね。そのSPCが日本のリース会社に返す割賦販売代金の返済予定は、最終の非居住者のSPCに対するローン上の元利の支払い日と一致しているんですね。
いいですか。それで、さらに割賦販売代金の担保として、リース会社も担保が必要ですから、その非居住者からSPCに対するローン、これを担保にとるんですよ。大臣に直接質問しますから、よく聞いていてくださいね。それで、非居住者がSPCにお金を返せなければ、SPCは割賦販売代金を返さなくてもいい、こういう構図にするんですよ。こうすると、大臣、外為法の届け出とか許可とかいろいろなややこしい、また本来はできないものが実はできるというふうになっているんです。
ですから、これをスクエアトリップとかかご抜けとかいって、これは随分やっているんですよ。こういうことは今まで、外為法はこれだけあって、
だれが見てもわからなかったんです。それをこういうふうに考える人がいて、実は私も考えた一人なんですけれども、外為法は基本的に形式主義ですから形式を取っ払えれば、それで実体をとればいいわけですから、こういう形で日本の銀行は、本来枠がいっぱいであった非居住者に対して、リース会社を通じて、外為法を抜けて、そのローンを、当初の目的を果たしていたんですよ。
私は何が言いたいかというと、要するに皆さんよくわかっていただきたいのは、今度の外為法の改正というのは、もう今までがちがちであったものがばあっと取れて、こんなすばらしい改正はない、こういうふうに思っていらっしゃる方がほとんどではないかと思うんですが、大きな幾つかの部分については、実はもう実態は動いて、今言ったようなかご抜けのような取引において解消されているんですね。だから、委員の皆さんにも御説明をして、議事録にも残しておきたいことは、要するに実態というものはもっともっと進んでいるんだ、だから大臣、これで大いなる決断がされたというふうに思われるのはちはっと早いということを申し上げたいんです。
ただ一つだけの例かと言われますとあれなんで、もう一個だけ申し上げたいと思うんです。なぜ申し上げるかというと、こうやって実態を実際に経験してきて、そしてそれを議論の場にのせるというのは、やはり海外の金融機関も一番関心を持っていることなので、次はもう少し易しいですから、それあと一件で実例は終わりますから、ちょっと聞いてください。
まず、それより、最初のものは、大臣、おわかりいただいたでしょうか。最初の実態のところ、実際は形式主義であって、かご抜けで実態は居住者から非居住者に対するローンというのができている。これはちょっとわかったかどうかだけ、私もう十分ぐらいしゃべっていますので、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/44
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045・三塚博
○三塚国務大臣 世に驚きという言葉がありますが、えらいことをやるもんだなと、こう実は聞きながらおりました。生き馬の目を抜くというのが市場だと死んだおやじから聞かされておりましたが、死んだ馬が生き返る話でございまして、びっくりしております。そういうことがあることを初めて聞きました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/45
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046・西川知雄
○西川(知)委員 それでもう一つは、例えば、今は日本は市場が活発じゃないので、余っているお金は日本には投資されないんですね。そうするとどういうことが起こるかというと、アメリカならアメリカでいろいろなファンドをつくるんですね。それとかパートナーシップをつくるんですよ。それで、そのパートナーシップが、例えば知的所有権だけを持っている会社の株とかそういうファンドをつくって、そこに日本から投資をするとか、いろいろな形で海外での事業の展開について、海外でパートナーシップ、組合をつくって、そして日本の企業がそれに投資をする、こういうことになっているんですよ。
ところが、大臣、そのパートナーシップがすぐにできるんであればこれは問題ないんですが、実は、普通は中間にアレンジャーがいまして、そのアレンジャー、居住者がそれに対して、例えば六〇%なら六〇%、売れない部分を抱えておくんです。そして、その居住者が次にどんどん売っていかないといけない、本当の投資家に対して。そうすると、居住者と居住者の間で、大体ドルのベースによるパートナーシップに対する投資ですから、居住者と居住者の間でドル債券の譲渡というものをやらないといけないんです。大臣、この場合、今現行法上どういう規制があるか、御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/46
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047・榊原英資
○榊原政府委員 私がお答えさせていただきます。
原則的には、外貨の取引というのは為銀を通じなければいけないということになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/47
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048・西川知雄
○西川(知)委員 いや、私はわかっていながら聞いておるんですけれども、それでどうなるかというと、そういうことをやると許可が必要だ。この許可は、実はおりないんですね。許可とか事前届け出というと、事前届け出をしたら、届け出てそれでおりるとか思いますけれども、おりない部分がたくさんあるんです。許可といっても許可されない部分がほとんど。例えば相殺の特殊決済というのは、その許可というのは絶対ほとんど昔はおろさなかったんですよ。最近はだんだんおろすようになってきたんです。そこを知っているのが弁護士で、それで企業にアドバイスをするわけです。
でも、いずれにしましても、今のやり方はそういうことですから、どうするかというと、居住者が、初めの居住者いますよね、Aという人が。これがBという人に外貨債券を、パートナーシップ上の外貨債券を譲渡したいというときにどうするかというと、まずその組合から脱退するんですよ、脱退は自由ですから。これは許可とかそういうのは要らないんです。それでBという新しい人が加盟するのですよ。そうすると、Bという人が投資をするときには、これは送金の許可だけでいいのですよ。これは許可でもとれるのですよ。そうすると、そのBという人がパートナーシップにお金を渡す、そのお金をもらって脱退の人のお金に使う、こういうことで居住者間の外貨取引というのはその許可の対象にならないのですよ。こういうことは、まだほかにいっぱいあるのですけれども、言うと時間が足りないので言いませんが、こういうふうに世の中というのは進歩しているのですよ。
だから、私は、外為法というのは今度ほとんど自由になって、これは大変いいことだと思うのですけれども、それですべて今までこうなっていたところがばっと広がった、こういうふうにはやはり思わない方がいい。そして、これからまたちょっと次のことを言うのですけれども、新しい商品、新しい時代を先取りするぐらいの改革というものをやっていかないと世の中の国際金融マーケットには絶対ついていけない、こういうことを私は申し上げたいと思うのです。それが一点です。
それから、ちょっと質問もしますけれども、事後報告というのがありますよね。それはさっき村井委員の方からも事後報告のことについて若干質問があったのですけれども、今までは事後報告制というのもあった。今度は届け出とか許可とかそういうようなのが大体なくなって、事後報告制に基本的にはなったのです。
ところが、大臣御存じのように、事後報告をしないと、場合によっては六カ月以下の懲役または二十万円以下の罰金に処するとなっているのですね。この六カ月以下と二十万円の比較考量というのも、なかなか内閣法制局も昔からの伝統に縛られてアンバランスなことをやっておると私は思うのですけれども、とにかくそういう懲役の刑があったり罰金になるのですね。ところが、罪刑法定主義というのは御存じだと思うのですけれども、罰せられるためには、人権に大いにかかわることですから、これはちゃんと法律で決めておかないと基本的にはいけないのですよね。
それで、これについては判例がありまして、特に法律で政令に委任している場合、そういう場合には、特別な例外として、そこで政令に委任をしても罪刑法定主義には反しないという判例があるのです。だけれども、判例があるということは、大臣、これは争われたということなのですね。そういう考え方はよくないと思っている人も世の中にたくさんいるということなのですよ。それで今ここで、国会で審議しているわけですから、私はその政令に委任する部分、法律で明確に書いていない、以外の部分というのは極力限定しておくべきであるというふうに思うのです。
それで大臣、法律の五十五条の八というのは御存じだと思うのですけれども、「その他の報告」というのがあるのですね。「その他の報告」というのはいろいろな報告、対内直接投資等の報告とか技術導入契約締結等の報告とかいろいろあるのですけれども、その後にいわゆるキャッチアップクローズとして五十五条の八で、「この法律で別に規定するもののほか、主務大臣は、」これは三塚大蔵大臣なのですよ。「この法律の目的を達成するため必要な限度において、政令で定めるところに
より、この法律の適用を受ける取引」等々についての「報告を求めることができる。」と書いてあって、これに違反したら罰則が来るのですよ。
それで大臣、ここで「政令で定めるところにより、」とか「その他の」とかいろいろ書いていますけれども、具体的にこれはどういう取引に限るのかを、当然これを書いてくれと言ってもここでは直らないでしょうから、記録にとどめておくということで、どういうときにこの条項が具体的に適用されるかということをここでちょっと確認しておきたいので、御答弁を願いたいと思うのです。これは局長で結構です。
〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/48
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049・榊原英資
○榊原政府委員 お答えさせていただきます。
その前に、先ほどのかご抜けリースとかパートナーシップの問題でございますけれども、確かにプロの間では事実上そういう取引が行われていたということは認識しておりますけれども、今回の改正によってそれが自由になるということは、それにかかるコストが大幅に削減される。弁護士事務所にそういう費用を払わなくても今後は自由に取引ができるようになるということで、これは企業にとっては大変なメリットだというふうに思っております。そういうことで今度の改正の意義があるのではないかということでございます。
それから、報告義務に対しては、確かに「その他」というところがございますけれども、これは、法律の法目的を達成する範囲内において政令に委任するということでございます。また、事後報告については、今度の改正法案では特に章を設けて、第六章の二というところを特に設けまして、今までこういうものはございませんでしたけれども、できる限り報告の内容を法律で明確にしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/49
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050・西川知雄
○西川(知)委員 ちょっと、もう少し明確にしておいていただきたいのですけれども、その法律の目的を達成する限りというのは、それは当然の話ですけれども、具体的にこの五十五条の八で包含されるというか、そこの中に含まれる取引というのはどんなことを考えられているのか、そこだけちょっとお答え願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/50
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051・榊原英資
○榊原政府委員 「その他」というのを規定しろという御質問で、「その他」というのを規定するのは大変難しいのでございますけれども、これはもちろんある種の有事を想定しているわけでございまして、当然、法目的を達成するためにそういうものについて報告義務を課さなければならないような有事が発生したときということで、「その他」ということを言っておるわけでございます。
具体的にどのような報告を求めるかというのは、もちろん「その他」でございますから未定でございますけれども、例えば取引所や取引のブローカーに対して市場取引の状況について有事の際に報告を求める、そういうようなことが一つの具体例として考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/51
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052・西川知雄
○西川(知)委員 ですから、多分イラクとかそういう国に対していろいろな有事があったときに、日本の会社等がいろいろな実際に取引をして外貨を向こうに流しておる、そういうようなときに一応報告を求めることであるというふうに私は理解しておりますが、今うなずいておられますけれども、そうであるということを御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/52
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053・榊原英資
○榊原政府委員 私ども、そのように理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/53
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054・西川知雄
○西川(知)委員 それから、やはりちょっと気になることが幾つかございますので、その点を簡単に質問をさせていただきたいのです。
今までも銀行はいろいろな顧客の情報を持つことができるということで、その顧客の情報に対する守秘義務と、例えば国税庁が税務調査をする、そのときの調査権との兼ね合いというものについていろいろな前例がありまして、それに対する著書とか文献というのも実はたくさんあるのですが、ここでちょっと確認しておきたいことなんですが、十七条とか十八条にいろいろな銀行等の確認義務、こういうものが挙げられておるのです。これは先ほど村井委員の方からも質問がありましたように、国税庁との関係で、これから為替が自由になるので、それで税法上の、税金の収入を確保するためにいろいろな手段を考えないといけない。これは理論的にはわかるのですが、外為法はその目的が違うはずですから、国税庁が税務調査をするときに大蔵省の方がこの情報を流したり、そういうことはあってはならないというふうに思いますし、またないと思うのですけれども、その点を御確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/54
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055・舩橋晴雄
○舩橋政府委員 お答え申し上げます。
納税者の取引先に対する税務調査、反面調査と言っておりますけれども、これは、適正、公平な課税を実現するために、権限ある税務職員が必要と認めた場合に、所得税法あるいは法人税法等によって定められた質問検査権に基づいて行うわけでございます。
一方、銀行におきましては、一般的な守秘義務というものがあるというふうに理解されていると思います。法律によってというよりは、商慣習なり信義則なり、そういったものによって預金等に関しての秘密を保持する義務があるというふうに考えられているわけでございます。
そこで、お尋ねの、この銀行の守秘義務と税務調査の権限との関係ということでございますけれども、私ども、銀行等に対する反面調査におきましても、適正な課税を実現するために、法令に基づいて、税務調査の上で必要な帳簿書類等に対して質問検査権の行使ができるものと理解しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/55
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056・西川知雄
○西川(知)委員 余りこれ、たくさん話しませんが、私の質問の趣旨は全然違いまして、当然のことながら、銀行にはそういうことをされるというのは当たり前の話なのですが、銀行等に集まった顧客の情報について秘密を守ってもらわないとこれはだめだというのが私の質問の趣旨で、御答弁は全く違うポイントを言っておられますので、私、この点については、ほかにたくさん言いたいことがあるので余り言わないですけれども、ちょっと簡単に訂正だけしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/56
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057・舩橋晴雄
○舩橋政府委員 守秘義務につきましては、国税職員におきましても守秘義務がございます。国公法にあるばかりでなくて、各税法においてより厳しい守秘義務が課されているわけでございます。したがいまして、税務職員がその事務に関して知り得た秘密について、それを公にするということについては、そういった罰則の適用があるわけでございます。したがって、税務調査の対象とされたからといって、預貯金等の秘密が侵されたということにはならないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/57
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058・西川知雄
○西川(知)委員 ちょっと微妙な問題なのでお答えにくいということで、余り明確な答えではなかったのですけれども、基本的には、外為法の目的と税法の目的は全く別ですから、ここでの得られた情報を税の目的に使われるということはこの法律の改正の趣旨ではないというふうに私は理解をしておりますし、そういうふうに国税庁も理解をしていただきたいと思います。
特に反論がなければ、次に移ります。
ビッグバンの件ですけれども、実は私、二つ申し上げたい。
まず、私、先ほどから申し上げましたように、外国の金融機関を代理していたこともございますし、日本の金融機関も代理していたことがございます。もうしょっちゅうやっておりました。
そこで、私、一つ重要なことは、いろいろと言われていますね。弱肉強食の時代に入るということを言われておりますが、実は、日本のいわゆるリース会社が、これはある意味ではプロですね、このプロがいろいろな新しい金融商品を外国のインベストメントバンクの人から紹介されて、そしてこれに対して投資をしているのですね。例えばこれはハイリスク・ハイリターンであるということで、一応の説明はあるのです。だけれども、日本のリース会社というのも、自分のお金で投資する場合もありますけれども、本来は自分のお金じゃなくて、その裏にまたちゃんとした本当の一般投資家がいて、それで一般投資家はよく内容がわか
らないから、そこのリース会社が主幹事になって、外国のインベストメントバンクから情報を集めて、これを買いませんかと言われてそれに投資をする、こういうケースなのです。
ところが、どこの会社とかはこれは言えませんけれども、もう失敗例がいっぱいあるのですね。半分ぐらい失敗じゃないかというふうに考えられる例もあるのです。
その具体例、ちょっとだけ抽象的に挙げますと、例えばアメリカでも日本でも会社更生それから破産というのかございますね。会社更生になると、これは裁判所が監督して、破産管財人が代表取締役のかわりになって、裁判所の監督のもとに会社を立て直すということなので、いろいろなむだを省いて、会社としてはさらに成長していくかもしれない。こういうことで、これはアメリカの方ではチャプターイレブンというのですけれども、チャプターイレブンの会社があるのですね。それで、そういう会社の株ばかり集めて、これに投資をしましょう、これは絶対安全ですよ、だって裁判所がいるのですからと言って、日本のリース会社等はそれに投資をして、そして後ろの投資家も集めるのですよ。
そうしたら、これはチャプターセブンというのは破産手続に移るのですけれども、そのほとんどの会社の、だから十社あったら八社ぐらいが破産してしまったのですよ。破産してしまいますと、その会社の価値というのはもうゼロになりますから、結局、日本の投資家は、これはもうどうしようもない。
そこで、そこの中継ぎをした証券会社が、例えば外国のインベストメントバンクに文句を言いに行く。どうしてくれるのだ、大丈夫だと言ったじゃないかと言っても、それは大丈夫であるとは思うとは言ったけれども、実際は、そういうリスクもあるというということはあなたたちも知っていたはずだ、こういうふうにやられるのですね。
それで、こういう目論見書みたいなものが英語で書いてあるのですよ、英語で。弁護士意見書とか公認会計士の意見書とか、これは全部英語で書いてあるのですよ。日本の弁護士とか日本の公認会計士も英語で意見書を書くのですね。それがくっついているのです。だから大丈夫だと大体思うのですけれども、ざあっと読むと最後に確かに、これは我々の意見では、インベストメントバンクの意見では、この取引は私たちが目論見書に書いたようなリスクはあるけれども安全だとは思う、ただし、あなたが実際に投資するときには、あなたの弁護士、あなたの公認会計士、あなたの税理士に相談した上で投資してくださいというふうに英語で書いてあるのですよ。
そうすると、国際関係をきちっとやっているリース会社の人でもこんなのを、担当者は読むでしょうけれども、全部詳しくは読んでいないのですよ。後ろにいる人たちはもう全く読んでいないのです。そして、何々投資会社がこうだと言うからちゃんと投資しましょうとか、そういうレベルでやっているのです。これが実は日本の国際金融、金融マーケットの実情なんですよ。
それで、これからビッグバンということで、基本的に自由競争だ、大競争時代に入るといいますけれども、これはスタートが同じじゃないと、もう本当に強い者が勝って弱い者は負けるということになるのですね。具体的に言えば、銀行が勝ってほかは負けるというのが、私は現実性をかなり帯びているのじゃないかと思うのです。
ですから、今までの議論というのは、一般消費者というのはマーケットについて余り知らないから、ですからその人たちはそういう投資に失敗したときでも守りましょう、こういう話で、変額保険でも横浜とかそういうところで判例が出ていますけれども、みんなそっちの方向で考えているのですね。世界の潮流の中から見ると、日本のいろいろな小さな金融機関とかノンバンクというのは、これは大蔵省の方は御存じだと思うのですけれども、そんな今言ったようなレベルのところがたくさんあるのですよ。
だから、イコールフッティングじゃないと、早くイコールフッティングの場にしておかないと、絶対これは外国のマーチャントバンクなんかが入ってきて、そしてそういう商品を売る、それをリスクを十分に分析できて、ちゃんと対応できるというところは限られてくると思うのですね。私は、こういうふうにイコールフッティングを可能にさせるような土壌を早くつくっておかないと、とんでもないことと思うのです。
この点について、具体的に今からどんなことをするか大臣にお答え願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/58
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059・榊原英資
○榊原政府委員 お答えいたします。
委員御指摘のように、自由化された市場、規制の緩和された市場では、リスクを評価するということが最も重要な仕事になるわけでございます。また、リスクを評価するプロフェッショナルが欧米に比べて日本の金融機関に比較的少ないという御指摘も、事実に近いのではないかというふうに思っております。
ただ、イコールフッティングにならなければ自由化はしないのだ、そういうスタンスは我々はとれないわけでございます。自由化をすることによってむしろイコールフッティングになる基盤ができてくる、そういうふうに考えておるわけでございまして、当然のことながら競争の中で日本の金融機関も鍛えられていくのだ、そういうふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/59
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060・西川知雄
○西川(知)委員 そうすると局長、こういうことですか。今はイコールフッティングにするような対策というのは具体的には考えておられない、こういうふうに理解してよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/60
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061・榊原英資
○榊原政府委員 お答えいたします。
私ども行政として、投資家を保護するあるいは預金者を保護する、これは行政の仕事だというふうに思っております。ですから、例えばイギリスでビッグバンが行われた後に金融サービス法というようなものができた、そういうことについては私ども十分勉強をしていくということではございますけれども、プロであるべき企業のプロフェッショナリズムに若干の格差がある、それについて行政が特別の手を打つというようなことは一般的に言えば考えられないことではないか、これはやはり市場に任せるというのが今後の行政のあり方だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/61
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062・西川知雄
○西川(知)委員 おっしゃることもわからないではないのです。それが本当にプロ同士であれば私はそのとおりだと思うのですが、実は本当はプロと半分アマチュアぐらいの人が戦っているというのが事実であるということはおわかりのことと思います。
それと一つだけ指摘しておきたいことは、今、上場企業が一部、二部、店頭と入れて約三千ぐらいあるのでしょうけれども、そこの経理部長とか財務担当部長、これの約三分の一はほとんど銀行から出向なり銀行を退職してそこに再就職するなり、そういう形で極めて強い銀行支配に今の日本の企業はなっているのですね。しかも、株の持ち合いというのは、これはいろいろと指摘されてきておりますが、この株の持ち合いというのが日本の独特な制度としてまだ強く存在しているのですね。
イギリス型ビッグバンをまねるといいますけれども、イギリスのビッグバンというのは主に証券のビッグバン、要するに規制緩和だったわけです。今度はみんな一緒にビッグバンをやろう。こういうときにビッグバンをやってしまいますと、イギリスのように開かれたマーケットに本当になるのだろうか、むしろドイツとかフランスのように小さなマーケットとして発展しないでそのままに残るのじゃないか、こういう危惧を私は持っているのです。
それについては御反論もあるでしょうけれども、それは私の意見として述べるにとどめて、もっと重要なことをここでお話をして質問したいと思うのです。
今、本当に、ビッグバンといって、外為法を改正しました、これから銀行と証券と保険の垣根もだんだん開放していきましょう、こういうような話になって自由競争時代に入るということなのです
けれども、実は、日本が一番おくれているのは、これは主税局長にお答え願うのが適当なのか、大蔵大臣にお答え願うのが適当なのかわかりませんが、税の面なのですね。
これは私、たしか予算委員会か税制特別委員会でもちょっと御質問をしたと思うのですけれども、実は、新しい商品、金融商品が来るのですが、ほとんどこれを開発するのは日本の銀行じゃないのです。外国のマーチャントバンク、インベストメントバンクがそれを開発して、日本に持ってきて売る。そして、後で日本がそれをまねてどんどん売っていくというのが実は現状なのです。それで、いろいろな規制があるかないかというのをいろいろ公認会計士とか弁護士に聞いてくるのです。そうすると、さっき私が一番初めに申し上げましたように、外為法の規制とかそういうのは何とかクリアできる例が実は多いのです。そしていろいろな方法をとれば、ほかの規制も実はクリアできるのが多いのです。
ところが、一番問題は、これが果たしてどういうような税金上の取り扱いを、税務上の、税法上の取り扱いをされるかということが一番の関心事なのですね、日本の投資家にとって。それで公認会計士さんに、また税理士さんに、弁護士さんに、例えばこの税法上の取り扱いというのはどうなりますかというのを、外国の企業ですから必ず意見書をとるのです。とって書くのですけれども、それは絶対大丈夫だとか絶対だめだとかいうことは、これは新しい商品ですから、完全にわかるものは初めから開かないですから、わからない、どうかなと思われることについて議論をしておかないといけないので、やはりそういう専門家の意見をとるのです。それで専門家は、リザベーションをつけながらも、こういうふうに思うというふうにやるのです。
ところが、日本の投資家はそれだけでは安心しないのですね。税務当局に聞いてくれ、こういうふうに言うのですよ。それで、税務当局に聞きに行く。まず税務相談室とかそういうのが実はあるわけですけれども、それはそのレベルの話ではなくて、もっとややこしい、大きな何百億とする話ですから、失礼だけれども、実はその人たちがわかるような問題ではないのです。そうすると、では今度はどこに持っていくかというときに、大蔵省に持っていったり国税庁に持っていったりするのです。ところが、新しい商品ですから、実を言うと彼らもわからないのですよ。
それでどういうことがあったかというと、一つの例を挙げますと、局長御存じだと思うのですけれども、いろいろな日本型レバレッジドリースというものがあるわけですよ。それで、それが繰り延べになるということで、要するに減価償却をとれる、そして損金を算入することができる。だから、例えば耐用年数は十年でも、昔のものは二十五年ぐらいのリース期間をとって課税の繰り延べをずっとやっていたわけですね。それはけしからぬということで、ではこれを直しましょうということになったわけなのですよ。それで、リース事業協会がリース会社を集めて国税庁と話し合いをして、そしてそれを一応協会内の自主規制ということにして、そしてその自主規制を、こうしました、よろしいですかということで、国税庁からよろしいですと言ってもらっている、こんな状況に実はなっているわけなのです。
それで、そこに至るまでに長い年月が流れているのです。そうすると、国税庁の担当官、若い係長の人が、これはどうかなと。どうかなという意味は、だめだという意味なのか、よくわからないという意味なのかわからないのですけれども、どうかなと言うだけで、もうそのマーケットは全部とまってしまうのですね。
例えば、映画の「ファイナンス」というのがあったのは局長よく覚えていらっしゃると思いますし、松橋課税部長もよく御存じだと思うのですけれども、これが一回更正になったのですよ。更正決定があるところからなされた。それは例えば三十億から三百億ぐらいの取引がいっぱいあったわけですね。そうしたら、更正決定があったというだけで、それが世界じゅうをぐるっと回って、もうその取引は全部とまってしまったのですよ。そして、それは異議申し立てをやって審査請求をやると、時間がかかりますね。その間、もう何も行われていないわけですよ。
それで、そのときに何で更正決定したかという理由も、一応の理由はっけるのですけれども、はっきりしていないのです。というのは、実際私、タッチしていましたからわかりますが、一応更正決定をしておいた、そしてこれからよく調べます、こういうような回答が来ているのです。
それは例えば外国の航空機とかいろいろなものなのですけれども、それが日本からのお金があることによっていろいろな需要が生まれて、そして世界の航空業界のうちの大多数の部分、非常に多くの部分が日本からのファイナンスで成り立っているのですね。そういうものとか、そういう新しいプロダクトが、実は税の取り扱いが余り不明瞭だから、そして税は後遣いですから、取引をやってからじゃないとわからない、こういうふうに言われるのですね。そうすると、せっかく新しい金融商品を持ってきても、税の取り扱いが実際どうなっているのだということがよくわからないと、そういう新しいものが市場に出回ってこない、そして日本の投資家も投資をしない、結局そういうことになって、幾ら開放しても、このビッグバンというのは、ほかの面ではいろいろと出てくるかもしれませんけれども、新しい金融商品に対してはなかなか育たないのじゃないかというふうに私は思わざるを得ないのです。
ですから、ルーリング、例えばこういうようなプロダクトであればこれはよろしいとか、これはだめですとか、また、こういうものであればほぼ大丈夫でしょうとかだめでしょうとか、また、何日以内に返答しますとか、そういう具体的な商品についての審査過程または審査基準、これを明確にしていかないと、日本のマーケットはだめになると思うのです。
それで、私、国税庁に聞いても回答はわかっているのです。要するに実際の個々のケースケースを見てみないとわからない、そして実質課税の原則というのもある。実はそんなものはないのです、実質所得者課税の原則というのはあるのですけれども。実質を見てみないとわからない、課税上の弊害があるかどうかは見てみないとわからない、そんなことであれば、それは理屈としてはわかるのですけれども、ある一定の基準というものをぴしっと出さないと、本当に日本の新しいマーケットというものはできてこないと思うのです。
これは非常に重要な問題なので、大蔵大臣、この間から私の質問に対して、これはきちっと対処するように大蔵省に言いますというふうにおっしゃっていたのですが、その後御検討されて、その結果はどうでしたか。
〔委員長退席、柳本委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/62
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063・舩橋晴雄
○舩橋政府委員 お答え申し上げます。
まず、先般、三月二十四日の税制特におきまして、委員の方からただいまのような御指摘をいただいておりまして、また大臣の方から、これに対する対応に向けての準備を進めているということで御答弁をさせていただいたわけでございます。
そういう背景のもとにおきまして、私どもとしてもその対応を図ってまいってきているわけでございますけれども、基本的な考え方をまず申し上げさせていただきたいというふうに思っております。
新しい金融商品につきましては、これは非常に複雑かつ多様化した実態にございます。そして基本的には、その企業会計上の処理というものも必ずしも明確になっていないというケースも幾つもあるわけでございます。そういった新しい、かつ個別性の強い取引に係るものについては、取引全体の仕組みを見て判断をする必要があるということでございます。
先ほど御指摘がございましたように、税の立場は、基本的に、実質主義というふうに申し上げてよろしいかと思いますけれども、真の所得者はだれであるかということを確定していく、そういう
ことによって適正、公平な課税の実現が図られるものと考えているわけですので、そういう基本的な考えで進めているわけでございます。
そして、この新しい金融商品については、これまでの会計処理等につきまして、現在、企業会計審議会においてそのあり方について鋭意検討が進められているというふうに承っておりますし、したがいまして、税務上の取り扱いにつきましても、企業会計審議会の検討結果、それからこの税制上の措置などを踏まえまして、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/63
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064・西川知雄
○西川(知)委員 要するに、あいまいであるということがまだまだこの問題の中心であると思うのですね、今の御答弁を聞いても。実質主義というのは、部長御存じのように、そんな概念は法律上にはないのですよね。実質所得者課税、例えば名義人がいて、その人が本当の所得者じゃないので、本当の、裏の人に対して課税関係が生じるとか、信託関係があるときに本当に受益者に対してその課税関係が生じる、これは法人税法にも所得税法にも書いてあるのですね。だけれども、実質を見なければわからないというのは、今の世の中では通らないのですよ。要するに実質というのをだれが判定するのか。これは課税ですから、本来は法律で判定すべきことなんですね。それが、今の問題点というのは、大枠が決まっているけれども、その詳細についてちゃんとしたガイドラインがないのです。これは私、国税庁に言うのは酷だと思うので、主税局の方でもっとちゃんとしたガイドラインとか、そういう基本的なものをつくらないとだめなんですね。
一例を挙げますと、収益の確定というのがあるのですよ。例えば私の収益というものが百万円はある。だけれども、三年後にならないと百一万円か百二万円か百一万五千円かわからないといったときに、いつ収益が確定するのかといったときに、その収益確定の原則からいうと、その収益が益金として、所得として認識されるのは三年後なんですよね。これは一般論です、そう書いてある。ところが、それによって所得の計上時期を繰り延べする者がいるのですよね。だから、それじゃだめだということで、実質を見て、例えばこの三年間に割り振るとか、そういうことを実はやるのですね。それで、それはそれでやるということがはっきりとわかっていればいいのだけれども、大体のガイドラインというのは、収益というのを確定したときに、また損金というのが確定したときに認識しますと言っておいて、実質を見ますと。それでもう実質ばかり見ているわけですよ。そうすると、実質にはいろいろな側面があって、それはなかなかわからないのですよ。それで、それは最後で裁判で争えばいいわけですけれども、争っているともう何年もかかってしまうのです。それでは新しい商品は来ないのですよ。
だから、私が申し上げるのは、その実質はある程度いいのですけれども、もっと細かい基準というものをびちっと出しておかないと、幾らビッグバンで日本のマーケットをオープンにしましょう、外為法は開放しましょうということになっても、基本的には、そういうことがちゃんとしないと、本当に日本は世界のマーケットの中で重要な地位を占めることができないということを、私は警告し、申し上げておきたい、こういうふうに思います、時間がないのですけれども、最後に大臣、所感をよろしく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/64
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065・三塚博
○三塚国務大臣 さすがに国際法、商法、マーケットに詳しい西川さんの所見、質疑をお聞きしました。
開国です、ビッグバンは。まさに新しい分野に向けて船出しなければなりません。一千二百兆、また世界の投資家がこの市場に向けて魅力ある投資をしたい、こういうことになれば、そこに対応しなければなりません。
そういう意味で、行政は完璧主義でまいりました。頭の切りかえが、視点をこのビッグバンという金融システム改革に、国民預貯金の深刻な問題にぶつかるわけですから、真剣な勉強、検討がなされなければなりません。本番スタートに当たりまして、それまで研究をし、この仕組みをどうしたらいいかという、迅速徹底ということなんでしょうか、的確迅速なんでしょうか、行政庁、国税の見解は明確に早く伝わってまいりませんと市場は拒否をする、こういうことになる論拠はよくわかりましたので、督励をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/65
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066・西川知雄
○西川(知)委員 私の質問を終わります。ありがとうございました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/66
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067・柳本卓治
○柳本委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。
本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/67
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068・柳本卓治
○柳本委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/68
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069・柳本卓治
○柳本委員長代理 次に、谷口隆義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/69
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070・谷口隆義
○谷口委員 新進党の谷口隆義でございます。
本日は、日銀総裁、お忙しいところ出席をいただきまして、ありがとうございました。
まず初めに、日銀総裁並びに大蔵大臣にお聞きいたしたいと思います。
御存じのとおり、先月、FRBにおいてはフェデラルファンド・レートの引き上げを行って、予防的引き締めというようなことで、その結果、日米の金利差が五%を超えるというような状況になりまして、円安の進行がこれから進んでくるのではないかというようなことになっておるわけであります。
それで、日銀で支店長会議、昨日と本日やっていらっしゃるようでございますが、報道を見ておりますと、昨日のお話の中に、生産、所得、消費の好循環から見て景気回復は持続していく可能性が高いというような判断を示された。そうであるならば、この金利、大変超低金利の時代でありますので、金利の引き上げも念頭に思われておるのかなというように思うわけでありますが、一方、通貨供給量の伸びが鈍化しておるということで、景気変調の兆候ありというようなことで、当面従来の金融政策を維持していくというようなお話も聞いておるわけであります。
それで、今月の下旬に予定されておると聞いておりますG7、このG7において、我が国の現在の金利水準、これはこのテーマになるのかどうかひとつお聞きしたいのと、五月に決算発表が軒並み行われますので、特に金融機欄を中心にしてでございますが、株が大きく落ちるのではないか、下落するのではないかというようなことが巷間言われております。また、先ほどお話をいたしました円安におきましても、大蔵大臣におかれましては再三口先介入を行われておる。先日、また榊原国金局長も強烈な口先介入を行われたというようなことでありますが、仮にこの円安が百三十円というような形になった場合に、当然一層の貿易黒字が懸念されるわけでありますし、その段階でG7においてこの金利の水準が当然テーマになってくるのだろうと思いますが、このあたりも念頭に置いてひとつ旧銀総裁に御答弁をお願いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/70
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071・松下康雄
○松下参考人 それでは、初めに、私どもの経済の現況についての見方から御説明を申し上げますが、まず、私どもが金融政策の運営を行います場合には、為替相場、株価の変動等いろいろな経済の要素がありますけれども、それらを個別、単独に取り出して対応を考えますよりは、それらからの影響も含めた国内全般の経済の動きというものに着目しまして、適切な対応を図ってまいるように考えております。
そこで、経済の現状についてでございますが、消費税率引き上げ前の駆け込みの反動も一部に見られ始めてはおりますけれども、基調的には、現在緩やかな景気の回復傾向が続いていると認識いたしておりまして、この点は、昨日から開いております私どもの支店長会議の報告によりましても裏づけられたように考えております。ただ、今後、消費税率引き上げ等の影響を乗り越えて景気の回
復軌道が本当に確実なものとなっていくかどうか、この点につきましては、なお見きわめが必要な状況でございます。
他方で、物価面におきましては、これまでの円安の影響などによりまして、全般下げどまり傾向でございますが、先行きの物価動向につきまして丹念に見ていく必要があろうと思っております。差し当たりは、国内物価の上昇圧力が大きく高まるような状況ではございません。
こういった景気動向、物価動向から見まして、当面の金融政策の運営に当たりましては、引き続き、景気回復の基盤をよりしっかりとするということに重点を置きまして、情勢の展開を注意深く見守ってまいりたいというふうに考えております。
なお、御質問の為替相場あるいは金融・資本市場の動向につきましても、今申し上げましたように、それらの影響を受けながら国内経済がどのように反応してまいるかということをよく注意深く見ながら、私どもとしては適切な対応を考えてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/71
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072・谷口隆義
○谷口委員 日銀総裁、私が先ほど質問いたしました、仮に五月に株が大きく下落するとか、また百三十円に円安が進んでいくというようなことを念頭に入れた場合に、それは金利水準を検討する一つの要因になるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/72
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073・松下康雄
○松下参考人 私どもとしましては、ただいま申し上げましたように、金融政策の適切な運営によりまして、株価あるいは為替からの影響その他に対して実際の経済が全体として反応をするその体制というものを、持続的な安定成長が図られますように維持してまいりたいということでございます。
したがいまして、私どもとしては、ただいまのような金融政策の姿勢によりまして、全体的に非常に経済の安定が脅かされるといったような状況をもたらさないで推移していくことを強く期待をしているところであります。また、その過程で何らかの変化の兆しというようなものがありましたならば、それは参酌をしながら考えていかなければなりませんけれども、そういうものがないような運営でまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/73
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074・谷口隆義
○谷口委員 同様に、大蔵大臣に御所見をお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/74
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075・三塚博
○三塚国務大臣 金利政策については、日銀の専管であり、総裁が言明されたとおりであります。
また、G7等について為替レートいかん、こういうことでありますが、G7は一その中心課題はマクロ経済であります。また、それぞれの経済政策のあり方、経済情勢をどう分析するかということ、さらに、為替、金融政策を含む経済政策等について意見交換をするという場であります。率直な意見交換ということになるわけでございます。既にベルリンのG7において確認をされた事項として、行き過ぎた円安は行き過ぎた円高同様好ましくない、よって、その場合には適切に対応と協調をうたいとげたところでございまして、今後も、そういうことで市場をしっかりと見ていくということになります。
私からは、一般情勢、今申し上げましたポイントについて率直な意見の交換をしてまいる、こういうことで、全体の推移は、ベルリンG7における分析とそう変わらない基調ではないのかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/75
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076・谷口隆義
○谷口委員 ありがとうございました。
次に、この外為法の自由化が行われる前提で、前回、私質問を行った折にも申し上げましたが、不良債権の問題。先日参考人に来ていただいてお話をしておりましたら、当然のことながら、金融機関における外為収益は低下するわけであります。また、現下の我が国の金融機関は極めて収益性が低いわけでありますので、そういう意味で、競争力は弱いし、収益性が低い。ですから、そういう状況の中でこの外為法の自由化が行われた場合に、今大変問題になっておる金融機関の不良債権、金融機関の経営危機の問題があるんだろうと思うんですが、そのようなことを、まず道筋をつけていかなければいけないのではないか。その次は、この諸規制がまだ完全にフリーになっているというような状況じゃありませんので、規制を取り除くことが必要だろう。また税制においても、国際的整合性と申しますか、十分グローバルスタンダードとして通用できるような税体系をつくっていかなければいけないのではないか、このような三点を申し上げたわけでございますが、このような観点から質問をいたしたいというように考えております。
まず初めに、金融機関の不良債権の問題であります。
先日、銀行局長の方で御答弁をされておりました資料をいただいて見させていただきました。従来、この不良債権の問題が大きくクローズアップされたときに、大蔵省の方から公表の数字を出してくれというように申し上げて、大蔵省が出された不良債権の金額は、たしか四十兆弱だったと思うんですね。それが、これを拝見しておりますと、平成八年の九月末現在で、不良債権金額が二十九兆二千二百八十億、債権償却特別勘定の残高が九兆九千四百八十億、その差額が十九兆二千八百億というような形になっておりまして、推計の要処理見込み額というのが七兆三千億ある、こういうように先日御答弁されていましたね。
それで、参考にここについている業務純益が通年で七兆八千六百億ある、このようなことでございまして、これは、単純にこれを見ますと、年間の業務純益てほぼ要処理額がカバーできるというような形になっておるわけでございますが、そのようなことで考えてよろしいんでしょうか、銀行局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/76
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077・山口公生
○山口政府委員 お尋ねのケースは、私どもが統計としてとっている数字をお示しいただいたものでございまして、それは金融制度調査会の答申をいただきまして、一つの外形基準でもって統計をとらせていただいております。したがって、破綻先債権、延滞債権、延滞債権も六カ月というのを一つの基準にしておりますが、それから金利減免債権というようなことで、一つのルールをつくりまして、それにはまるもの、該当するものを不良債権額として計上しております。そうしますと、時系列的にその趨勢を見ることができまして、今先生の御指摘のようにかなり減ってきている、要処理額を見ても大分進んでいるということでございます。
ただ、業務純益との比率で、じゃ、あと何年だということを言われますと、その不良債権という概念自身が、かなりそういう統計をとるための一つの基準としてつくっておりますので、そこは余り一概には言えない。しかし、ただ一つ言えることは、一つの基準で統計をとったケースを見ましても、大分進んできているということは御理解いただけると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/77
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078・谷口隆義
○谷口委員 金融機関の不良債権は、御存じのとおり、破綻先債権と延滞債権と金利減免債権、このように三つありますね。日米の認識の違いで、先日参考人が来ていただいたときにお話に出ておりましたが、アメリカは三カ月延滞、我が国は六カ月延滞というような形であるので不良債権の認識の金額が違うのだ、こういうようなお話でありました。しかし、いわば通常の営業循環から離れた債権、もう三カ月延滞している段階でこれは普通の債権ではないのですね。ですから、本来、そういう意味では、そういう保守的な観点からしても、これは三カ月延滞としてもいいのではないか、このように私は考えています。
それと、今巷間よく言われておるのは、この不良債権、先ほどの延滞債権、この六カ月延滞に途中で内入れを入れますと、もう延滞債権にならない、正常債権だと。それで、その内入れ資金をまた与信しているというか貸し出ししておるというようなことで、延滞債権から外しているというようなことも言われておりますし、現在も不良債権の債権に対して追い貸しをして収益を上げておる、こういうことも言われておるわけであります。このようなことが現実のものであれば、これは大変大きな問題であります。しかし、このようなこと
を大きく言われておるというのはまんざら根拠のないことでもないのではないか、このように考えております。これは答弁を求めましても、ほぼどういうことをおっしゃるかわかりますので、結構でございます。
現在三十兆近い不良債権の金額は、当初不良債権が問題になってからずっと大蔵省公表の数字は漸減しているのですが、漸減しておるという前提においても、底だまりの部分、いわゆる根雪化しているというのですか、恒常的にずっとある部分というのは、いろいろ計算の仕方はあるでしょうが、平残ベースで考えて大体三十五兆と仮に考えましょうか。今この議論の前提になっておるのは、全然金利の概念が入っていないのですね。これも大ざっぱな数字で申しわけないのですが、仮に三%の金利だった、バブルが崩壊して大体今七年から八年になる、この場合で考えますと、三十五兆平残と考えて、これは本来四十五兆五千億。これを五%で考えますと、この八年間で五十四兆二千億、このような金額になるのです。必ずお金と金利はつきものですから、こういう感覚を入れた考え方は御理解いただけますか。どういうように考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/78
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079・山口公生
○山口政府委員 委員の御専門のお立場からの御指摘でございまして、利息の支払いというものの延滞をどう見るかというのは大変いろいろな御議論があると思います。ただ、毎期の決算期におきましては収益が減少するという事実でございますけれども、この要処理見込み額の統計をお示ししておりますが、この中にはもともと六カ月以上の場合は資産として計上しておりませんので、そういう前提でのデータというふうにお考えいただきたいというふうに思うわけでございます。
確かに、その利息の部分がかなりいろいろな意味を持つということは御指摘のとおりだと思いますけれども、この統計上、ではそれを含めて公表しろというような話になりますと、六カ月以上の場合、税法上も資産計上しなくていいということにしておりますので、それとの平仄でこういう統計をお示しして御審議にあずかっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/79
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080・谷口隆義
○谷口委員 お金というのは、これは金利の概念で常に考えなければだめなんですね。全然関係ない話でありますが、例えば七%の金利を十年続けると元本が倍になるのですよ。そのくらい金利を無視した考え方というのは、これはもう今だめなんですね。
そういう考え方を導入しますと、私が今申し上げたように、三十五兆円の平残ベース、末残ではこれは三十兆弱なんですが、五十五兆ぐらいの不良債権に膨れ上がっておる。国民がこれを負担していることになっておるのではないか、私はこういうことを言いたいのです。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/80
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081・山口公生
○山口政府委員 委員のおっしゃった、国民が負担しているというお言葉につきましては、どういう概念で申されているのかはっきりしませんが、国民にとって、国民経済的に見ても決してそれはいいことではないということは、私どももそう思います。
おっしゃるとおり、表面上の数字だけではなくてキャッシュフローで物事を見る、あるいは、今先生は金利概念を入れて見るというふうにおっしゃっていました。私どもとしましても、この不良債権の問題をそういう目でとらえると、一つの例でございますが、担保不動産の流動化対策ということも手をつけなければいけないということで、いろいろやらせていただいているのも、そういった考え方の一つのあらわれでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/81
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082・谷口隆義
○谷口委員 そういう考え方もやっていかなければいかぬと私は思います。
次に、ペイオフについてお聞きしたいのです。これは先日、日曜日の朝の番組で榊原国金局長が、ペイオフは保証されておるというような発言をされました。それで、このペイオフは法的裏づけがあるのかないのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/82
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083・山口公生
○山口政府委員 ペイオフを行うか行わないかという点につきましては、さきの通常国会においてお認めいただきました金融三法におきまして、二十一世紀を迎えるまでの間は預金の全額を保護し得る仕組みをつくらせていただいたということでございまして、その期間は絶対ペイオフをしないというようには、法律にはなっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/83
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084・谷口隆義
○谷口委員 ですから、ペイオフをしないというのは法的裏づけがあるわけではなくて、やらないという決意表明なんですね。どうですか。大蔵大臣、ちょっと御答弁お願いできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/84
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085・山口公生
○山口政府委員 法律上はペイオフを行わないで済むことができるようになっておりまして、しばしばの大臣等の御答弁でも、今世紀中は預金を保護したいというふうに申されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/85
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086・三塚博
○三塚国務大臣 御案内のとおり、金融三法でできるようにしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/86
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087・谷口隆義
○谷口委員 いや、金融三法で、さっき銀行局長がおっしゃったように、これは何ら法的裏づけがないものなんですね。ですから、そういう意味では、橋本内閣がそういう決意表明をされた、こういうことなんでしょう。大臣は今金融三法でとおっしゃいましたが、そういうことになっておらないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/87
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088・山口公生
○山口政府委員 まとめて申し上げますと、金融三法によって今世紀中はペイオフをしないことができる仕組みをつくっていただいているということでございます。政府としても、今世紀中は預金を保護したいということをしばしば申し上げているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/88
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089・谷口隆義
○谷口委員 ですから、今の御答弁をお聞きしますと、決意表明だというようなことで、法律的な裏づけがないものなんだというように私は理解いたしました。
最近、公的資金導入の議論が時々なされます。それで初めにお聞きしたいのは、先ほど私は銀行局長に不良債権の問題をお聞きしたのですが、そんなことは必要ないんだ、今の業務純益からすると問題なく不良債権は解決できるんだというように考えていらっしゃるのかどうか、御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/89
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090・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
マクロ的に数字をごらんいただきますと、かなり改善が見られるというふうに申し上げることができると思います。ただ、個々の金融機関によりましては、引き続き厳しい経営状況を続け、リストラに懸命になっているというところもある程度の数はあるというふうに見ざるを得ないということでございます。ただ、各金融機関とも、そうした懸命な自助努力によって、何とか国民の期待にこたえるべく努力をしているということも理解していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/90
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091・谷口隆義
○谷口委員 当然皆さんもそういうようにお考えだと思いますが、この金融インフラを崩壊させてはいけない、これはもうどんなことがあってもそういうようにやっていかなければいかぬ、こういう意味では共通の認識だと私は思うのです。
そういう意味において、一つは、昨年の住専国会の折に、六千八百五十億円の投入をめぐって大変な議論になりました。これは、最終的には農林系金融機関の救済の問題であったと私は思うのですが、そうではないということで、ノンバンクに対して、いわゆる預金者保護という立場ではなくて公的資金を投入した。こういうことについて国民が大変な怒りを持っていらっしゃって、本来、金融インフラが仮に危機的な状況、大変な状況になるなら、その救済のためには公的資金、アメリカで行われたこのような議論もやはりやっていく必要があるのではないかというように思うわけでありますが、そのあたりが大変大きな抵抗感があるというのが現状だろうと思うのですね。しかし一方では、先ほど前提として申し上げました金融危機というようなことになった場合に、当然このようなお話もしていくことも必要なのだろうなと思うわけでありますが、そういう議論は必要ないのかどうかということを今ちょっとお聞きしたのです。
大蔵大臣、できましたら御答弁お願いしたいのですが、今、現状の中で、そういう議論は必要ないのだというように考えていらっしゃるのかどう
か、御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/91
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092・山口公生
○山口政府委員 大臣の御答弁の前に事実関係を中心に申し上げますと、さきの通常国会でお認めいただきました金融三法によりまして、破綻処理の手続の多様化、預金保険制度の拡充をお認めいただきました。特に信用組合につきましては、厳しい経営状況等にかんがみまして、必要があれば、政府が保証をつけることができるように措置していただきました。そのために、具体的には保険料の七倍の引き上げ、それから先ほど申し上げた時限的な措置等をあわせ、抜本的な預金保険機構の改革をしていただいたわけでございます。
これによって、私どもとしては、最大限の努力をさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。
〔柳本委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/92
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093・三塚博
○三塚国務大臣 取り組みの概要については、銀行局長がお話しされたとおりであります。
金融システムの維持安定は、国益、国民生活の安定につながる基本的な命題でありますこと、御案内のとおりであります。
段々の御質問のとおり、不良債権の縮減に向けて、金融機関は血みどろのリストラをやり抜いておるところでもございます。さらなる経営の合理化、効率化等に向けて頑張っていただき、その頑張りを、努力を私どもはサポートしていかなければなりません。現時点におきましては、昨年の通常国会で成立をいたしました金融三法に基づき整備された枠組みを最大限に活用しつつ、金融システム安定に努力をしてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/93
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094・谷口隆義
○谷口委員 ちょっと答弁にはなっていないのですね。この公的資金の議論の前提は、私は、不良債権を発生するに至った関係者、これは金融機関の経営者その他、このような関係者の責任を明確にしてやっていく必要がある、当然のことながらこういうようには思うわけでありますが、しかし、このようなこともやはり考えていく必要があるのではないかというように思っております。
ですから、この外為法の自由化を前提にして、銀行収益が悪化するという予想のもとで、このことを今やっていかなければいけないのではないか。これをまた先送りするようなことになっていくと、大変大きな問題になりはしないか。先ほど金利の概念を入れましたが、おくれればおくれるほど膨れていくのだというように私はここで申し上げたいと思います。
今、日銀総裁に来ていただいておりますので、この公的資金投入の問題について日銀総裁の御意見をお聞きいたしたい。その御答弁の後、帰っていたたいて結構でございますので、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/94
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095・松下康雄
○松下参考人 これまで、政府それから日本銀行におきましても、破綻金融機関の適切な処理ということには引き続いて努力をしてまいったところでございます。
その際に、私ども日本銀行、中央銀行の立場といたしましては、損失の穴埋めという点はなかなか私どもが実行するというわけにまいらないところでございますけれども、必要な流動性の供給その他につきましては、できる限りの協力をいたしてまいったところでございます。
さらに、先般の日債銀の処理に際しましては、私どもの新金融安定化基金に対して行っております出資の中から、一部、そういう公的な色彩を持った日銀の資金というものの出資に応じる考えをとることといたしております。
ただ、このような措置は、あくまでも事案の内容によって、それの金融界その他全体に対して及ぼす影響の度合いや、国民全般に対する問題の大きさや、またその金融機関が再建が可能であるのかどうかというようないろいろの事情を加味いたしまして判断をすべきものでございますので、私どもといたしましては、今後の日銀の資金につきましては、ケース・バイ・ケースの慎重な判断に基づいて対応してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/95
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096・谷口隆義
○谷口委員 ちょっと明確な御答弁が得られなかったのですが、日銀総裁、帰っていただいて結構でございます。ありがとうございました。
大蔵大臣、先ほどお伺いして明確な御答弁がいただけなかったのですが、この問題、極めて重要な問題であります。ですから、当然私自身も、今の現状はもっと厳しいのだろうなという前提で考えておりまして、先ほど冒頭お話ししましたような不良債権の状況なら何ら問題はないわけですが、実はそういうような問題ではなくて、もっとどろどろとした水面下の状況があるのだろうというような前提でございます。金利の概念を入れないとどんどん膨れてまいります。ですから、一刻も早くこの道筋をつけなければいけない。外為法の自由化の前提でやっておかないと、これはもうそれこそできなくなってしまいます。ぜひそのようにお考えいただきたいというように大蔵大臣に申し上げたいと思います。
この外為法の自由化が行われますと、今まで自由と規制のバランスがありましたが、これがもうずっと自由に傾いてくるというように言われておりまして、税金逃れに対する網目が広がってくるというように言われております。それで、このような、例えばマネーロンダリングであるとか脱税行為に対する国税庁の環境がかなり大きく変わるだろう、このように言われておるところであります。
先ほどのお話にもございましたように、この秋には資料情報制度が設けられる。この外為法の自由化を補足、補完するような法案だと思うわけでございますが、これは大変難しいことではないか。難しいというのは、一方でこの外為法の自由化をどんどん進めていかなければいかぬ、これは方向において私は正しいと思います。しかし、一方で税の捕捉ができなくなってしまうということになってくると、これまた大変。そういう意味において、アクセルを踏んでブレーキを同時に踏むというようなことになってくると、自由化の効果がなくなってしまうわけで、そういう意味において、この取り扱いが極めて重要だなというように思うわけでございます。
それで、私は税の実務にしばらくおりました関係でいろいろ状況はよく知っているつもりでおるわけでございますが、今まで国内税務が中心にして行われたわけでありますが、この外為法の自由化によって一挙に海外取引がふえるだろうというような状況の中で、国税庁内部の体制ですね。一つは、今回の外為法の成立後速やかに、例えば海外税務の研修であるとか、そういう知識を集積していただくような方法を考えていただかなければいかぬのではないか。もう一つは、国際的な税務に精通した人がやはりまだ少ないのではないか。そういう意味において、各税務署一人ぐらいの割合でそういう専門官ポストを置いておく必要があるのではないかというように私は考えております。これについて、国税庁の御見解をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/96
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097・堀田隆夫
○堀田政府委員 お答え申し上げます。
国際取引事案の調査に当たりましては、取引先が海外に所在するなど、国際取引を利用した租税回避等を的確に把握することに難しい面がございまして、従来から、租税条約に基づく情報交換とか調査官の海外派遣等の実施などによりまして、適正な課税の実現に努めてきております。あわせまして、こうした国際取引に関する調査体制の充実を図るということで、関係各方面の御理解をいただきまして、国際課税関係部局の専門ポストの新増設等による機構の整備に努めてきております。
先生御指摘がございましたように、今回の外為規制の緩和によりまして、クロスボーダーの取引がふえることが見込まれますし、国際取引を利用した租税回避行為等の把握が一層困難になるということになりますと、適正、公平な課税の実現に支障を来すだけでなくて、税収の確保にも影響するという面が出てまいります。
したがいまして、前から機会を通じまして申し上げておりますけれども、私ども執行当局といたしましても、この外為法改正に関連しまして、銀行等から一定金額以上の海外送金等に関する情報
資料を税務当局に提出すること等を内容とする資料情報制度の整備が必要であると考えておりまして、また、これに伴う執行体制の整備も必要であろうと考えております。先生、今具体的に御指摘ございましたけれども、研修の必要性も十分に感じておりまして、これから充実していかなければいけないと思っておるところでございます。国際取引全体の調査体制の充実が必要であるというふうに考えているところでございます。
ますますこれから国際化等が進展する中で、厳しい財政事情のもとにはございますけれども、所要の機構の整備等につきまして関係各方面の御理解をいただけるように、私どもとしてもさらに努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/97
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098・谷口隆義
○谷口委員 よろしくお願いいたしたいと思います。
次は、規制という観点からお伺いしたいと思うのですが、個人資産が千二百兆円、このようによく言われております。これは平成八年九月末現在の我が国の個人部門の状況を見ますと、一千百九十兆というような個人部門の資産になっておりまして、このうち、いわゆる預金、定期預金、普通預金が六百二十七兆円、このようになっております。これは個人部門、個人資産総額のうち五二%、過半数を超えておるというような状況であります。今申し上げましたこの超低金利の影響を我が国は大変受けやすい体質になっておるのだということを私は申し上げたい。ちなみに日本とアメリカを比較しますと、個人資産のうち現預金の割合が、先ほど申し上げましたように我が国では五二%、アメリカでは一六・九%ということになっておりまして一七%を割るような形であります。こういうような状況になっておるわけであります。
こういう状況の中で今超低金利が続いておりまして、御存じのとおり、例えば年金財政も運用をめぐって大変大きな打撃を受けておる状況にあります。また、この超低金利の結果、海外への資金移動が今後も進んでいくだろう。現実に今海外の外債の購入をめぐって資金が流出しておるというような情報も聞いておりますが、今後、国内に資金需要が高まった折に、資金不足となって企業行動を制約するような状況になりはしないかということさえ言われておるところであります。ですから私は、金利を一刻も早く、今のような異常な金利で置いておくということのないようにしてもらいたい、このように言いたいわけであります。
私は、金利に関してお聞きしたいのですが、大蔵大臣は多分今の銀行預金の金利体系を御存じだと思いますが、普通預金の金利は今どの程度か御存じでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/98
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099・三塚博
○三塚国務大臣 普通預金ですと〇・一五であったでしょうか、その辺のところだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/99
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100・谷口隆義
○谷口委員 実は〇・一なのです。手取りでいきますと〇・〇八になっているわけです。そうしますと、百万円預けますと、金利は年間八百円です。年間八百円しかないのです。
それで金融機関の現在の手数料の体系を見ますと、先日参考人が来ていらしたときに営業時間の問題であるとか手数料の問題が議論にのったわけでありますが、自分の口座からCDカードで引き出しをしますね。そのときに営業時間外にやった場合に、これはさくら銀行の資料なのですが、百三円と出ておりますが、今消費税が五%になりましたので多分百五円になっておるのではないかと思います。一回営業時間外に、平日の午後六時から午後九時までは自分の口座から引き出すにも百五円かかる。土曜日の場合は十四時から十七時まで百五円。日曜日の場合は終日それだけの手数料を払うということになりますと、自分の口座のお金を営業時間外に引き出すのに、十回引き出したら金利が飛んでしまうのですね。そのような状況になっておる。
これは一つは超低金利の問題もあります。しかし、手数料が今後自由化になって、引き出し手数料であるとか振り込み手数料であるとか、こういう手数料は今後どういう形になるとお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/100
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101・山口公生
○山口政府委員 御指摘のいろいろな顧客に対するサービス、この点については、これからの金融機関が最も力を入れていくべき部門だというふうに思います。これから特にリテールバンキングとして生きていくには、お客様にいかに喜んでいただくか。したがいまして、この手数料等あるいはATM・CDの稼働時間等も、いろいろな競争の中でより安く、より長くというような方向へいくだろうというふうに予想されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/101
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102・谷口隆義
○谷口委員 これから外銀がどんどん入ってくるということを前提にしますと、手数料も十分競争力のあるような体系に持っていかなければいけないのではないかというように私は思っております。
また、営業時間の問題が先日も出ておったのですが、銀行法の施行規則を見ますと、営業時間について午前九時から午後三時までとする、このようになっております。これは延長できるようになっておるわけでございますが、しかし明確に一応三時までというように規定されておるわけでありますが、外国銀行については御存じのとおり終日営業をしておるようなところもあるというように聞いております。今後、この銀行法施行規則を変えられる、改正される意向はおありでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/102
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103・山口公生
○山口政府委員 御指摘の銀行の営業時間につきましての大蔵省令、銀行法の施行規則で午前九時から午後三時までとすると定められているところでございますけれども、この趣旨は、少なくとも省令で指定するこの時間帯においてはいつでも取引者ないし利用者との取引に応じる体制にしておくよう法律上の義務を課したものにすぎません。したがって、銀行がそれ以上のサービスをすることを何ら差しとめるものではございません。したがいまして、全くこれをなくした場合にこの義務が守られるかという別の問題が生じるわけで、私どもとしては、これは最低限のやっていただきたい点でございます。あとは自由な競争の中でよりサービスを向上していただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/103
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104・谷口隆義
○谷口委員 しかし、この外為法が自由化されて国際競争社会の中へ入っていくわけですから、そういう意味において十分競争力のある、これは大蔵省の省令で決まっておるわけでありますから、そういう弾力的な体制をしかれてもいいのではないかというように私は思いますが、改正の意図はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/104
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105・山口公生
○山口政府委員 先ほど申し上げましたように、最低限の義務を課しているだけでございまして、それ以上の、例えば時間を延長するというようなことについては全く自由にしてございますので、これからの競争場裏におきましてそういった動きはかなり出てくるものというふうに私ども思うわけでございます。したがって、この規定を改正する必要はないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/105
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106・谷口隆義
○谷口委員 今度、外為の自由化に伴ってこういう銀行に対する規制と申しますか、そういう諸規制、これを全般的に見直すという方向はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/106
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107・山口公生
○山口政府委員 最近の自由化の動きの中で、銀行に対する諸規制は相当程度撤廃をしてきたというふうに私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/107
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108・谷口隆義
○谷口委員 わかりました。
そういう、外為法が自由化される、我が国の金融機関が厳しい競争社会の中に置かれるという前提でぜひやっていただきたいというように申し上げたいと思います。
その次に、ユーロ円債、海外で起債をする場合の利子の非課税措置についてお伺いいたしたいと思います。
まず初めに、先日大蔵省の方からお聞きしますと、この非課税措置についてどのくらいの金額があるのかというようなことは把握できておらないというようなことをお聞きしたのですが、一つ例えば直近五年間ぐらいで結構ですが、ユーロ市場で円貨建て、また外貨建ての起債がどの程度行われておるか、ちょっと御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/108
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109・薄井信明
○薄井政府委員 私が答弁するのが適当かどうかわかりませんが、居住者外債のことかと思います
が、ユーロ円債につきましては、一九九一年で三兆二、三千億、その後三年間は三兆台、最後の年は二兆円ですか、そういうことで、この一九九一年から一九九六年ごろまでにユーロ円債の発行額が大体十兆円を超えているのではないかと思っております。発行額ベースでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/109
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110・谷口隆義
○谷口委員 今おっしゃったのは、外貨建て、円貨建て含めてですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/110
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111・薄井信明
○薄井政府委員 これは円建てでございまして、外貨建てがそのほかに十三兆円ほどこの期間にあると思いますので、両方足しますと二十四兆円ほどの発行実績になっているのではないかと思います。(谷口委員「五年間で」と呼ぶ)失礼しました。六年間ですか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/111
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112・谷口隆義
○谷口委員 このユーロ円債、非居住者向け利子課税の免除措置、こういうことなんですが、九八年、来年に還流制限の撤廃が行われるというように聞いておりまして、居住者が非居住者を装っての課税逃れを防ぐという意味で免除措置を廃止の方向で検討されておるというように聞いておりますが、これについてお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/112
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113・薄井信明
○薄井政府委員 今御指摘のように、いわゆる還流制限につきましては、九十日から四十日となり、来年の四月一日からこれが撤廃されるという流れにございます。このことと、加えまして外為法の改正によりまして、いわゆる自由に外で預金等を持てるという状況になるということで、私ども、税制上のいわゆる民間国外債の非課税制度について、現状のままでいいのかどうかにつきましては、ここ一、二年関心を持ってまいりました。
昨年の政府税調の答申においてもこの点は触れられておるわけでございますが、結論的に申し上げますと、民間国外債の非課税制度は海外の投資家が受け取る金利について非課税にするものでございまして、そういう意味では、そうした資金需要を考えたときに非課税制度をなくすということについては考えておりません。
ただし、今申し上げましたように、海外の投資家が受け取るものを非課税とする制度ですので、海外の投資家が受け取るものであるかどうか、本人確認といいますか、この点については拡充していかないといけないと思っておりまして、この点もここ一、二年検討を続けております。これは市場である海外の各国の考え方もあろうかと思いますので、今慎重に進めておりますが、いわゆる資料情報制度と同様に、この点についての制度の整備をおくれないようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/113
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114・谷口隆義
○谷口委員 このユーロ円債、日本企業が海外起債をしている大きな理由は、一つは規制がうるさいということとコストがかかるということで、本来なら国内で起債したらいいわけですよ。ところが、そういうような理由があって海外で起債をしておる。ですから、大方は、例えばこの円貨建てのユーロ債なんというのはほとんど日本に還流されておるというのが現状だ。外貨建ででも五割程度は還流されておるだろうというような現状なんですね。ですから、このような規制のうるささであるとかコストの面であるとかいうようなことが解決されますと、これは当然国内で起債されるだろうというように考えるわけでございますが、このような観点で御意見、御所見がございましたら、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/114
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115・薄井信明
○薄井政府委員 今委員が御指摘のように、国内の企業が資金が必要な場合に、これがある意味で悪用されているというような状況であるとしても、税制上はきちっとしていなければならないわけでございまして、先ほど申し上げましたように、利子の受領者が非居住者であるかどうかを確認する制度を設ける必要があると考えております。
もうちょっと整理しますと、国内に戻ってくる分についてはいわゆる水際源徴で対応できるわけですが、最終の受益者が居住者であって、しかも海外にそれを置いておくというような場合には、課税逃れに使われる可能性があります。したがいまして、国内の発行主体が発行する際にこれを識別できるようにできないかと考えております。
ただし、先ほど申し上げましたように、外国において資金を必要としているということに対しましては、これは非課税にすることが適切だと思っておりまして、この非課税制度をやめるつもりはありませんから、そういう制度が動かなくならないように、十分そこは考えて対応してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/115
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116・谷口隆義
○谷口委員 そういうことだろうと思うのですね。
これは、外為法が自由化になりますから、居住者が海外で国外市場から取得をするというような形になるというようなことで、今検討されておるのは、この免除措置を廃止する、しかし、今おっしゃったように、非居住者ということが確認できた段階では免除措置というか非課税にする、こういうことなのですね。
そういうようなやり方になりますと、現実に国外で起債されているような企業の集まりの中で海外起債する場合に、日本企業のユーロ債発行が不利になってくる、欧米ではこういうような課税をされるということはないようですから。そういうことになると、非常に発行しにくい状況になってくるというようにおっしゃっている方がいらっしゃるわけでありますが、そういうことに対しての御見解をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/116
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117・薄井信明
○薄井政府委員 先ほど申し上げましたように、この事柄につきましては、ここ一、二年、いわゆる還流制限の撤廃ということをきっかけに議論が始まりましたものですから、この議論が始まりました当初、この非課税制度をやめてしまうのではないかということが世の中の話題になっていたように私も記憶しております。そういったことが今御指摘のような御心配につながっているとすれば、私どもは非課税制度をやめるつもりはない、ただし本人確認制度を何らかの形でとっていきたいという意味ですので、その点はクリアできると思います。
ただし、それを知った上で、さらに本人確認があることすら問題があるということであるとすれば、私ども、本人確認というもののやり方につきまして、発行体あるいは市場の状況から識別してそれぞれに適切に対応することによって、還流してこないと思われるものについては本人確認の手続を簡素化する、省略するといったようなことも含めて対応しようと思っておりますので、この点で問題がないように、今海外の関係者とも調整をしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/117
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118・谷口隆義
○谷口委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/118
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119・額賀福志郎
○額賀委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時三十二分休憩
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午後二時五十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/119
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120・額賀福志郎
○額賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。池田元久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/120
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121・池田元久
○池田(元)委員 民主党の池田元久でございます。
外為法改正案の審議も大詰めに入りました。きょうは私は、野村証券の利益供与事件、そして外為法の有事規制、そして金融インフラの整備を中心にお尋ねをしたいと思います。
なぜ野村証券の利益供与事件を冒頭に取り上げるか。これは、つい先日この委員会で、この事件について参考人を招いて質疑を行いました。この事件は、外為法改正の対象となっております金融・証券市場で起こったわけですね。そして東京マーケットの信用に大きな影響を与える事件であることは皆さん御存じのとおりです。そこで、法案審議の冒頭、この問題を取り上げたいと思います。
つい十八日でしたが、ここで質疑もいたしました。私も加わりました。証券界をリードしていた野村証券が、昭和六十一年の暴力団会長による株の買い占め事件、巨額な損失補てんなどの不祥事に続きまして、再び不祥事を起こしたわけです。少なくとも二人の常務が総会屋に一任勘定取引、花がえという取引形態によって利益を供与したという容疑で、東京地検特捜部、証券取引等監視委員会の強制捜査を受けました。これは証券界、金融・資本市場を揺るがす事件と大きな波紋を呼んでおりますが、所管であります三塚大蔵大臣の御
所見、御所感を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/121
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122・三塚博
○三塚国務大臣 今回の事件についてはまことに遺憾な出来事でございます。かつての証券事件の不祥事の反省を踏まえまして、取引の公正を損なう法令違反行為については、監視委員会が独立して、事実認定をした上で行政処分を大蔵大臣に勧告するシステムを確立しておるところであります。現在、このシステムが有効に機能しておるところであり、今回の事件についても、行政としては、今後監視委員会による勧告があれば厳正に対処をしてまいります。
〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/122
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123・池田元久
○池田(元)委員 野村側の発表によりますと、常務二人が関与していた。さらに先月、この場での酒巻前社長・現相談役の発言では、もう一人の本店長を務めていた常務につきましても、不正取引を行った口座の開設に関知していたことが明るみに出ました。この常務は監視委員会の事情聴取も受けていたとされております。事件は、あのとき朝日新聞の天声人語子も取り上げましたが、残念ながら個人ぐるみですという、こういう野村証券前社長の発言があって、私もそれを聞いてあきれて皆さんの顔を見た。決して私は言葉を荒げたわけではございません。しかしながら、この個人ぐるみという酒巻さんの発言とは裏腹に三人目の常務の名前が浮上する、そして株主提案権をその総会屋が持っていたということなどがございまして、組織ぐるみ、会社ぐるみの様相を示してきたと言っていいのではないかと思います。
また、社内の業務のチェック体制も、酒巻さんによれば、常務にブロックされると言いました。つまり、役員に阻まれて業務のチェック体制もきかなかった。これは大変重大なことですね。その業務のチェック体制がなかったというわけではありません。タイは頭から腐るという言葉があります。それが妥当するかどうかはわかりません。しかし、今の組織ぐるみの様相、そしてまた社内の業務チェック体制もありながら、上層部といいますか幹部にフロックされた、大変問題があると思うのです。証券局長の長野さんにお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/123
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124・長野厖士
○長野政府委員 現在指摘されております事件につきまして、具体的にいかなる範囲の個人が関与しておったか、そしていかなる法令に触れる行為があったかという全体は、監視委員会あるいはその他の司法当局において現在チェックされておると思いますので、その御判断を待ちたいと思います。
また同時に、監視委員会は犯則事件の調査だけではなく内部管理体制のあり方というものもチェックなさっておると思いますので、それによって、私どもは監視委員会の目から見た内部管理体制の不備ということが解明できるのではなかろうかと考えております。
しかし、監視委員会にすべてお任せするということではなくて、私は、事件の発生後、大臣の御指示をいただきまして、野村証券に内部管理体制の見直しということを指示いたしました。それは何となれば、私ども行政当局は、公的主体としての事実関係の認定は監視委員会にまたなければなりませんけれども、野村証券それ自体は行為者でありますから、自分自身で自分の体制の不備がどこにあったかということはわかるはずでありますから、野村証券自身は監視委員会の結論が出ないと何もやることがありませんという状態ではないはずだという気持ちに立ちまして、そのような指摘をしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/124
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125・池田元久
○池田(元)委員 今局長がおっしゃいましたが、その報告だけちょっと聞きたいのです。タブるかもしれませんが、大蔵省は野村から報告を受けていたようですが、いつ、どのような報告を受け、それに対してどのような指導といいますか方針を示したか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/125
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126・長野厖士
○長野政府委員 この件に関しまして、報告という言葉が適切なのかどうか私は若干思うところがございますけれども、いずれにしても野村から私どものところに連絡がございましたのは、三月の六日でございましたか、野村証券が記者会見をなさる、その記者会見をなさるという事実と、それから事実関係につきましては証券取引監視委員会に誠実に対応いたしますという連絡を受けております。その後、野村における記者会見がございまして、ある程度の範囲のことが野村を通じて発表になりましたので、それを受けまして、三月七日と記憶しておりますけれども、私から内部管理体制のチェックと再発防止に全力を尽くすようにということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/126
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127・池田元久
○池田(元)委員 野村側によりますと、二月末に社内調査の結果がまとまった、そして三月六日ですか、夕刻発表をした。今の話、わかるのですが、発表するというのは事前にいつ、電話であったと思うのですが何で、それから発表翌日は大蔵省に訪ねてきたのですか。その態様を聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/127
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128・長野厖士
○長野政府委員 記者会見の前日であったかなと思いますけれども、これは後刻確認はできますけれども、野村の担当役員の方から出向いて、先ほど申し上げました内容の連絡がございました。記者会見後につきましては、私の方から当時の酒巻社長に対して申し上げようと思いましたところ、先方からもこちらに報告したいということでありましたので一どちらが呼んだ呼ばれたということでなく、お目にかかって先ほどのことを申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/128
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129・池田元久
○池田(元)委員 ここに報道資料がありますが、内部管理体制を早急に総点検をしなさい、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/129
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130・長野厖士
○長野政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/130
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131・池田元久
○池田(元)委員 事前に電話連絡をしてきたのは担当役員とおっしゃいましたが、もっと具体的に、どういう方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/131
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132・長野厖士
○長野政府委員 斉藤副社長であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/132
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133・池田元久
○池田(元)委員 ちょっとあれを少し変えまして、いわゆるVIP口座、世間であれこれ話題になっております。不正取引の温床になりがちである、そういう意味で捜査当局から関心も持たれている。先日酒巻さんに私も質問しまして、プライバシー等を理由にVIP口座の残りを出すのを渋っているという話がございましたので、捜査機関に協力はすべきではないかと言ったところ、求められれば全面的に協力するというようなことを言っておりました。しかしながら、このVIP口座の実在が少し明らかになって、いろいろ物議を呼んでいるわけです。
この口座の実在を国会で指摘したのは私の隣の隣に座っていらっしゃる北側議員であることは、皆さん御存じのとおりです。二月七日でしたか、予算委員会でそういう指摘をされました。
ある報道資料によりますと、野村証券の役員が、この国会質問の後、大蔵省から当社首脳部の方へ「例のVIP口座の一件は何とかしろ」と言ってきたと話していることが出ておりました。これについて、そういう事実があったかなかったか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/133
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134・長野厖士
○長野政府委員 そのような事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/134
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135・池田元久
○池田(元)委員 私もそのように信じたいと思っております。
さて、この事件は、先ほどもちょっと一部出ておりますが、当然行政処分の対象になります。ちょっと先ほどおっしゃいましたけれども、どのような態度で行政処分に臨まれるのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/135
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136・長野厖士
○長野政府委員 監視委員会から、いずれ事案を整理なさった上で、それが必要と御判断になりますれば、当然のことながら事実関係に関する認定も踏まえて行政処分を勧告するという段取りになろうかと思います。
現在の段階では、いろいろな報道は承知いたしておりますけれども、監視委員会やその他の司法当局において確認された事実関係というものは私ども承知しておりませんし、現在の行政処分のシステムは、私どもが先入観を持ったりあるいは一部情報に基づいて物を考えることのないように、きちんとした監視委員会の認定した事実に基づいて行政処分をするようにという法体系でございますから、それを待って適正に対処するとしか申し
上げようがございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/136
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137・池田元久
○池田(元)委員 ただ、このケースの場合は、当の野村側が、もっと広がるかもしれませんけれども少なくとも常務二人が不正取引に関与していた、内容は一任勘定取引と花がえであるということを言っておりますので、その点についてどうですか。白紙というよりも、これはやはり証券界に対する一つのシグナルともなりますので、再度よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/137
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138・長野厖士
○長野政府委員 野村証券においていろいろおっしゃっておられることが事実であるのかないのか、それがすべてであるのかないのかも含めて、監視委員会はお調べだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/138
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139・池田元久
○池田(元)委員 行政処分の内容は、会社に対しては、証取法三十五条免許の取り消しまたは六カ月以内の業務の一部または全部の停止、個人に対しては、証取法六十四条の三ですか、外務員登録の取り消し等と書いてあります。これで間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/139
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140・長野厖士
○長野政府委員 行政処分につきましては、会社に関しましては、免許の取り消しまたは六カ月以内の業務の一部あるいは全部の停止、これが証取法の三十五条に定める行政処分でございます。
証取法六十四条の三で、個人に対しましては、外務員登録がある場合には外務員登録の取り消しまたは二年以内の職務停止、外務員登録がない場合には不適格者として登録する、不適格者というのは証券業もできなくなるということでございますけれども、そう定められております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/140
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141・池田元久
○池田(元)委員 この行政処分の内容ですが、刑罰なら量刑の範囲ですけれども、これは適当だと思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/141
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142・長野厖士
○長野政府委員 これは法律に基づきまして私どもに与えられました権限でございますから、誠実にその法律を執行するということでございます。(池田(元)委員「この幅が適正かどうか」と呼ぶ)法律によりまして、私どもに、この幅で対応するようにという法整備をいただいておるわけでございますから、私どもはその範囲で行政をさせていただくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/142
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143・池田元久
○池田(元)委員 外国と比べてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/143
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144・長野厖士
○長野政府委員 外国におきましては、やはり最も重いチェックとして、これは免許制をとっている国とそうでない国がございますけれども、登録制の国におきましては、登録の抹消ということまでは法律上の権限としてある。その手続は、行政だけでできるのか司法手続を経るのか等々の違いは各国によってございますけれども、最終的には、法体系としては似たようなことかなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/144
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145・池田元久
○池田(元)委員 次に、刑事罰にかかわる罰則の強化について話を進めたいと思います。
アメリカでは、不公正取引全般につきまして十年以内の懲役、百万ドル以下の罰金、法人の場合二百五十万ドル以下、ほかのイギリスやドイツも日本とは格段に罰則が重いわけです。日本では、損失補てんについては一年以内の懲役、百万円以下の罰金、法人一億円以下、インサイダー取引は懲役六カ月以内、罰金五十万円以下となっております。この辺、日本の罰則は軽過ぎるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/145
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146・長野厖士
○長野政府委員 事実関係だけちょっと補足させていただきますと、最初にお挙げになりました不正取引行為というのは、いわゆる詐欺的行為の場合のアメリカの規定であろうかと思います。それに対応します日本の罰則は、三年以下の懲役、三百万円以下の罰金ということになっておりますから、十年と三年の開きがございます。
おっしゃられました損失補てんにつきましては、アメリカでは実は罰則規定はない、日本だけがこれは罰則規定があるということになります。
話題となっております一任勘定取引も、我が方はこれは罰則はございません、行政処分の対象である。米国では、これは法令上許されておる。
それから、御指摘のインサイダー取引につきましては、アメリカは十年以下の懲役、日本は六カ月以下の懲役ということで、規定によりまして日米それぞれ少し違いがございます。
これらの点につきましては、やはり今後証券取引全体を健全化していく上で、不正取引のチェックという観点から、これらの罰則の、日本の国内の他の経済関係法規とのバランスもございましょうけれども、またこういった証券取引自体の諸外国との比較ということもございましょう、そういった点も今後研究していくべき課題だろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/146
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147・池田元久
○池田(元)委員 損失補てんについては確かにアメリカではそうなので、その点はちょっと訂正いたしますが、インサイダー取引につきましては、今長野さんもおっしゃったように十年と三年、詐欺的行為というふうになっておりますが、これはインサイダー取引はそういう面が大変あるわけですね。
いずれにしても、細かいことは別にして、大変ペナルティーが少ないと思います。これを改正するつもりはないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/147
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148・長野厖士
○長野政府委員 アメリカにおきましては、インサイダー取引が先ほどの詐欺的行為の範疇として同一の罰則になっておる、日本の場合には詐欺的行為と異なる、それよりかなり軽い罰則になっておるという問題意識は私どももございます。法務当局にも私どもの問題意識をお伝えしながら、法務当局のいわば罰則法規に関する全体の体系ということも御検討いただかなくてはいけませんので、問題意識を持って対応いたしたいと思います。
〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/148
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149・池田元久
○池田(元)委員 わかりました。ぜひそういうふうに対処していただきたいと思います。
また現行法では、不正に利益を得てもそれを没収する規定は我が国にはないと思うのですが、これは企業犯罪、経済犯については取り締まりといいますか、ペナルティーとしての意味が大変あると思うのですね。その辺の検討はなされていないかどうか聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/149
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150・長野厖士
○長野政府委員 インサイダー取引に関してのお尋ねと承知してお答え申し上げますと、アメリカではインサイダー取引によって得た利益をいわば民事制裁として没収する規定があり、日本にはございません。この差は私どもも意識はいたしております。
ただ、この民事制裁みたいな規定というものは、実はインサイダーだけに関連する問題ではなく、私どもよく承知いたしませんけれども、ほかの経済事犯でもアメリカ全体のこういった不正取引に関するペナルティーとしての体系というものがあるようでございますから、このインサイダー部分のところだけ取り出して、アメリカと違うからという議論を私どもが申し上げてよいのかどうか、ちょっと悩ましいところでございます。少なくとも、インサイダーだけを所管する立場からいえば、巨額の富を得てもそれを民事制裁として拠出させるという規定がないなどいう思いは率直に申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/150
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151・池田元久
○池田(元)委員 長野さんは頭いいから、問題意識を持っているとかうまいことをおっしゃいますけれども、今のこのスピーディーな時代ですから、もっと明確にやる、こういうふうなクリアな御発言をしていただきたいというのが私の要望です。
一任勘定取引について話をしたいと思います。
一任勘定取引は、九一年の証券不祥事で損失補てんなどが不公正取引の温床になったとされまして、証取法の改正で禁止されました。今回、また同じ野村証券が一任勘定で不公正取引をした疑いが出てきた。そうなると、この一任勘定取引の解禁をするという問題はどうなるのでしょうか。見合わせざるを得ないと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/151
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152・長野厖士
○長野政府委員 日本におきます取引一任勘定の現在の取り扱いは、御指摘のような経過を経まして、英米では禁止されておりませんけれども、日本におきまして、必ずしもそれ自体責めに値する行為とは言えないが不適切な取引につながったことがあるということで禁止になっておりますが、言ってみればこれは予防的観点からの禁止措置でございます。
この問題と、今後金融システムを改革して国民
に非常に広い投資機会の選択の幅を与えていくという観点から考えていきますと、これ自体をその目的と手段との組み合わせの中でどう考えるか。結果といたしましては、日本におきましては、投資家に英米で許されておるような形の投資行為をいわば予防的に禁止しておるということになりますが、それがよろしいのかどうかということはもう少し議論されるべきであろうと思います。
法に触れた人がいるからその経済的ないわば規制措置はやめるべきでないと考えるべきか、規制は規制として今後もそれ自体存続すべきなのか、あるいは何かの目的のためにそれをやっているのでほかの手段でできないか、監視委員会の強化という形で損失補てんをチェックしていくのであればそこまで事前予防することはないではないかという考え方もあり得るのかどうか、ここはこの事件と絡んでおりますので、私もまたおしかりを受けそうで歯切れよく申し上げられませんけれども、やはりきちんと幅広く議論をしていただきたい項目の一つでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/152
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153・池田元久
○池田(元)委員 同じようなケースで、自己売買の問題もちょっと話してみたいと思います。
今度の不正取引は、花がえという名前、自己売買業務、ディーリング業務で行われたわけです。大蔵省は自己売買業務を主とする専業社を解禁する方針だと言われておりますが、この前の参考人質疑もそうですが、あのような証券業界の現状からいって大丈夫でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/153
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154・長野厖士
○長野政府委員 ここは仮定の話として、あるいは事実関係を解明しないままにお答え申し上げるのをちょっとお許しいただきたいと思いますが、自己勘定で得た利益をある顧客につけかる手段として、それを顧客の取引があったような形にするのか、それはそれとして贈与みたいを形で処理をするのか。いずれにしても私どもの問題としては、そういう問題であれば、やはりその自己勘定での売買があったこと自体の問題というよりは、そこで得られた利益をどういう形でどういう処理をしたかということに着目されるべきであろうと考えておりまして、証券会社の自己勘定自体に何か非常な問題があるという問題意識を持つのはいかがかなと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/154
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155・池田元久
○池田(元)委員 違うのではないでしょうか。
自己売買業務というのは大変市場を円滑にするということで許されてはおりますが、マーケットの主要な一部ですね。今度野村証券はそこをまさに汚したわけですよね。そこに顧客情報を入れて、マーケットを機能させないといいますか、マーケットに反することをする。ですから、これを解禁するのは問題ではないかと私は言っているわけです。もう一度お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/155
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156・長野厖士
○長野政府委員 自己勘定をおやりになっても、そういった不正にかかわる取引をなさらずに誠実にやっておられる証券会社というのも私は多々あると存じます。
したがいまして、自己勘定に基づく利益をある種の不正に使われたとしたら、その会社に対して特段の別途のペナルティーが科されるというのが物の考え方で、よその会社も含めての、そういった自己勘定取引を禁止すべしという議論は、少し議論が広がり過ぎているのではないかなと感じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/156
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157・池田元久
○池田(元)委員 時間がないからこれ以上議論しませんけれども、なぜ今までこういうことを中小の証券に対して禁止していたか。それはちょっとリスキーと、要するにやらなかった理由があるわけですよ。それを指摘したいと思います。また議論しましょう。
何かいい答弁する、どうぞ。時間がないから、端的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/157
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158・長野厖士
○長野政府委員 解禁するというよりは、今まで証券会社はブローカー業務が主であって、ディーリングはわき役としてやりなさいという位置づけをしておりましたものですから、証券会社で行われるディーリング業務というのはいわばまま子的な形で今まで証取法では扱われてきた。これもきちんと諸外国と同じ証券会社が行う普通の業務として位置づけた上で、その業務に関してもし不正があればどういうチェックをしていくかという、先進国と同じ体制にしたいということでありますから、中小証券も今までディーリング業務が禁止されておったわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/158
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159・池田元久
○池田(元)委員 やはりディーリングとフローキングのファイアウォールというか、それは果たしてちゃんとした確固としたものができるかどうか、大変私は疑問を持ちます。ですから、改めてこの問題は議論したいと思います。
大分時間を費やしてしまいましたが、外為法の改正案について入りたいと思います。
外為法の改正というのは、先進諸国に比べてやや遅きに失したと言えるのではないかと思います。しかし、対外取引での国際基準、グローバルスタンダードに合わせるために資本取引等を自由化する、外国為替の規制を廃止することが趣旨でありまして、私はおおむねこの外為法規制の経済行為の自由化の部分は賛成します。おおむね妥当だと考えます。
しかし、法案を検討いたしますと、経済行為の自由化と並んで、いわゆる有事規制がかなり盛り込まれております。平時は自由、有事は規制。平時自由、有事規制の法案と言えるのではないかと思います。しかしながら、余り論議されておりません。後でちょっと理由がありますけれども、それほど論議されていない有事規制について取り上げたいと思います。
有事には、経済的有事、これは余り使わない言葉ですが、審議会の言葉に出ております。経済的有事もあるが、いわゆる外交上、安全保障上の有事もあります。いわゆる有事、外交上、安全保障上等の有事について論議を進めたいと思います。
三つありまして、まず一つは経済制裁の内容、手段、二番目は有事の想定、発動の条件、三番目は経済制裁発動と国会審議のかかわりについて話をしていきたいと思います。今度の法案で規定されている経済制裁の具体的な態様は、例えば資産凍結、輸出入禁止とかありますね。具体的な態様を端的に示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/159
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160・榊原英資
○榊原政府委員 お答えいたします。
外為法に基づく経済制裁の具体的な態様としては、第十六条第二項に基づき、経済制裁国向け支払いを許可制とする措置、いわゆる資産凍結措置でございます。
第二は、第二十三条第二項及び第二十四条に基づき、経済制裁国に対する直接投資及び対外貸し付けを変更または中止命令措置が可能な審査つき事前届け出制とする措置、いわゆる投融資規制でございます。
第三は、第二十五条第三項に基づき、経済制裁国との役務取引または経済制裁国向けの仲介貿易を許可制とする措置でございます。
第四は、第四十八条第三項または第五十二条に基づき、経済制裁国との輸出または輸入を承認制とする措置でございます。
なお、上記四つの経済制裁措置の確実な実施を図るために必要があると認めるときには、第十八条に基づき、経済制裁国向け支払い手段または証券の輸出または輸入を許可制とすることができるというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/160
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161・池田元久
○池田(元)委員 よく送金停止とかそういう部分だけ取り上げられることが多いのですが、今榊原局長がおっしゃったように、資産凍結、送金許可制、資本取引許可制、特定資本取引許可制、役務取引、仲介貿易の許可制、現金等の持ち出し、それに加えて輸出輸入も入っているわけです、禁輸措置。今までいろいろ歴史上ありましたね。そういったものも入っている。
この経済制裁というのはかなり多岐にわたるわけです。これは外為法と我々は言ってはおりますが、外為法だけじゃないのですね。外国貿易法でもあるわけです。そこのところを着目もしなければならないと思います。
現行法との違いを端的にお述べになってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/161
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162・榊原英資
○榊原政府委員 お答え申し上げます。
我が国が国際社会の一員としての責務を的確に
果たすためには、国際情勢に対応して、支払いの規制等の経済制裁を機動的かつ効果的に実施し得るメカニズムを確保する必要がございます。
ここでもお答えしたことがございますけれども、例えばイラクのクウェート侵攻に関して……(池田(元)委員「違いですよ。端的に」と呼ぶ)それじゃ、その例はあれいたしますけれども、その違いについては、今般の改正に関して、経済制裁等の発動要件につき必要な整備を行ったということでございます。
また、資本取引のうち投融資規制につきましては、現行法では事前届け出制の枠組みで実施しておりますけれども、改正案では資本取引全体について許可を受ける義務を課することができるようにしているわけでございます。
発動要件につきましては、今までは、我が国が締結した条約その他国際約束を誠実に履行する必要があると認めるときということでございましたが、改正案では新たにこれにつけ加えまして、「国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるとき」という要件を定めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/162
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163・池田元久
○池田(元)委員 先回りしてというか、答弁資料に余りこだわらないで、私のこの生の言葉を聞いていただきたいと思います。今、経済制裁の内容、手段について現行法との違いをお聞きしたわけです。
私の方から言いましょう。現行法では投融資は届け出制になっている。ところが、改正後は資本取引一般として許可制になっているわけです。この中には海外預金の凍結というものも含まれるわけです。そこが違いです。これでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/163
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164・榊原英資
○榊原政府委員 御指摘のとおり、その二点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/164
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165・池田元久
○池田(元)委員 投融資の届け出制が許可制になった。新たに海外預金の凍結もできるようになったわけです。ですから、経済制裁の手段としては強化をされていると言っていいと思います。
今度の外為法、外国為替・外国貿易管理法の基本、平時は自由、有事は規制。平時は自由にしておいて、こういった資本取引の許可制とか現金等の持ち出し等々、そういった経済制裁の実効性が確保されるかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/165
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166・榊原英資
○榊原政府委員 まず、今回の改正案では、我が国が国際社会の一員としての責務を的確に果たすために、国際情勢に対応した経済制裁の発動を機動的、効果的に実施できるために、先ほど申し上げましたように発動要件の整備を行っておるところでございます。
また、経済制裁等を実施するためには、まず取引当事者が自己責任でその義務を遵守するということが求められるわけでございます。その違反に対しては罰則規定が設けられております。取引当事者の違反に対する罰則は、三年以下の懲役または百万円以下の罰金ということでございます。
さらに、その実効性を確保する観点から、他人のために送金を業として行う銀行等の目で資金の流れをチェックする仕組みが重要であるため、今回の改正案においても銀行等の確認義務の規定を設けたところであり、今後とも、経済制裁等の機動的、効果的な実施に努めてまいりたいと思っており、ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/166
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167・池田元久
○池田(元)委員 なかなかこの実効性を確保するのは大変だと思うのですね。しかし、やはりやる以上はしっかりとやらなければならないとは思います。
現在、イラクなどに経済制裁が発動されております。発動継続中の経済制裁を簡単に、国名ぐらいを中心にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/167
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168・榊原英資
○榊原政府委員 経済制裁の対象とされている国は今三カ国でございます。イラク、リビア、アンゴラでございます。
イラク及びリビアについては、同国向けの支払いを許可制とするほか、投融資、輸出入寺及び役務取引について規制の対象とされております。これらの取引について、外為法上、許可、届け出及び承認制に係らしめているわけでございます。
また、アンゴラにつきましては、輸出及び仲介貿易が規制の対象とされており、これらについては許可及び承認制に係らしめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/168
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169・池田元久
○池田(元)委員 二番目の発動の条件、ここが大変問題なんです。経済制裁はどんな場合に発動されるか。
先ほど先回りしておっしゃった、「我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき、」と書いてあるわけですね。ここで言う「国際約束」とはどんなことを指しているのでしょうか。総政局長、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/169
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170・川島裕
○川島政府委員 お答え申し上げます。
経済制裁につきましては、まず国連憲章であり、国連憲章のもとで安保理が行う法的拘束力を持った決定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/170
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171・池田元久
○池田(元)委員 法的拘束力、覊絆力を持った、そういった文書等によって明らかにされる。国際約束というのはそういうことでしょう。
次に、今度新たに発動の条件として加えた「又は国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるとき」、この平和への国際的な努力に寄与ということは何を指すんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/171
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172・川島裕
○川島政府委員 この問題はつまるところ、平和に対する脅威とか平和の破壊あるいは侵略が生じた際に国際社会としてどう対応するかという問題で、その国際社会の対応に際して日本としてどういう責務を果たすかということなわけでございます。
今申し上げました国連憲章の場合はまさに法的拘束力で、憲章第七章でございますけれども、こういう平和の破壊等がなされた場合には非軍事的措置として経済制裁を行う、みんな法的義務としてこれを行うわけでございます。
ちなみに、非軍事的措置が不十分な場合には、さらに国連軍による軍事的措置まで国連憲章では想定しているわけですけれども、これは、国連軍はできないので、そこまではいったことがないというのが現状でございます。
そういうふうに、国際社会が一致して平和の回復のために努力をしている際に具体的に日本がどうするかということについて、今の改正でございます国際平和のための国際的な努力に寄与するという観点から具体的に判断をして行う、先ほど榊原局長がちょっと述べられましたけれども、機動的に対応することを可能とした改正である、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/172
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173・池田元久
○池田(元)委員 回り回ってまた国際的な努力に返ってくるようですけれども、国際的にというのは数カ国かそれ以上か、努力とは何を指すのか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/173
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174・川島裕
○川島政府委員 先ほど申しましたとおり、典型的なのはまず憲章七章でございますけれども、経済制裁で非軍事的措置。その次に、軍事的措置は、これはとれる状況には今のところなっていないということでございます。
そういう中で、経済制裁を国際社会の大宗として、何カ国かというお尋ねでございますけれども、何カ国以下だとできないとか何カ国以上ということではないと思います。それは具体的な判断の問題だと思いますが、ただ、これは国際社会全体として平和を回復する努力、それに寄与するという話ですから、逆に一、二カ国が、例えば日本だけで、あれは平和の破壊がある、だから何か行動をとるというようなことではなくて、あくまでも国際社会全体としての平和回復のための努力という脈絡がなければならない話だろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/174
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175・池田元久
○池田(元)委員 国連決議とか国際約束をすぐお話しになって、そこはわかるのです。しかし、平和への国際努力というのは極めて抽象的です。ですから、国際的な努力というのは何でしょうね。極めてあいまいですね。政府にフリーハンドを大きく与えていると言わざるを得ない。後で言いますけれども、この点でも国会の審議が必要だと思います。
次に、法案の四十八条三「国民経済の健全な発
展に必要な範囲内で、」輸出の「承認を受ける義務を課することができる。」法律用語というのはこういう書き方をするわけですね。つまり、承認制、許可制にできる。五十二条では「国民経済の健全な発展を図るため、」輸入の承認制。この条項が経済制裁、つまり禁輸措置をとる場合の根拠条文になっているわけですね。一言で答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/175
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176・伊佐山建志
○伊佐山政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/176
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177・池田元久
○池田(元)委員 国民経済の健全な発展に必要とか発展を図るとは、これはどういう意味ですか。一言で、何かコメントがありましたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/177
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178・伊佐山建志
○伊佐山政府委員 特別の定義を持っているわけじゃございませんが、状況、それぞれの置かれている環境にどういう対応をすべきかということを私どもなりに判断いたしまして、それが日本にとってプラスになるというときにこれを発動するというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/178
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179・池田元久
○池田(元)委員 国民経済の健全な発展に必要とか発展を図るというので経済制裁ができるわけですね。経済制裁というのは重大なことですよ。どうしてここだけこんな表現になっているか。ほかと同じように、少なくとも、国際約束とか国際的な努力というのもあいまいですけれども、それぐらい書けないのか。どうして規定しなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/179
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180・伊佐山建志
○伊佐山政府委員 現実に法律を運用する上で、四囲の状況を総合的に判断いたしまして、必要最小限の範囲内でこの条項を読む。具体的に、例えば経済制裁を発動するというようなケースに当たりましては、閣議決定または閣議了解を経るという手続をとりまして、慎重に対応いたしてきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/180
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181・池田元久
○池田(元)委員 平和へ向けての国際的な努力も極めてあいまいですが、国民経済云々、これが発動の条件とは言えませんよね。無条件同様です。欠陥と言っていいのではないかと思います。要するに省庁の総合調整ができない今の弊害、省庁縦割りの行政の弊害がここにあらわれているということを僕は強調したいと思います。
時間がありません。次に行きます。
有事という言葉が使われていますね。この法案の作成過程、審議会で有事規制という言葉を使っています。しかし、法案の説明資料では有事という言葉をほとんど使っていない。どうしてか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/181
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182・榊原英資
○榊原政府委員 いわゆる有事規制でございますけれども、法案では経済制裁という表現を使っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/182
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183・池田元久
○池田(元)委員 何か使いたくない理由があったのかなという感じもいたしますが、正面から国際的な平和とか経済制裁の問題に取り組んでいただきたいと思います。
私は、今度の発動の条件を見まして、大変問題がある。それは、ほかの外国がよその国から侵略されたり、脅威を受けた事態を想定しているわけですね。ところが、我が国としてはもっと大事なことがあります。我が国自体の平和と安全が侵されたり脅威を受けた場合はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/183
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184・川島裕
○川島政府委員 我が国の安全が侵された場合の対応というのは、単に経済制裁をもって対応ということではなくて、経済制裁を行う状況になるかどうかということはその状況によって異なると思いますけれども、急に我が国が侵略をされた場合は、通常であれば国際社会の圧倒的多数がこれを糾弾し、しかるべき措置をとることになろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/184
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185・池田元久
○池田(元)委員 そういう場合が抜けております。
またさらに、国民、市民の生命や安全や人権、それに財産が侵されたり脅かされた場合はどうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/185
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186・榊原英資
○榊原政府委員 お答えいたします。
そのような場合、外為法上の第十六条第一項の「国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与する」ことができるという条項で読める場合があるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/186
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187・池田元久
○池田(元)委員 それは多国間だけでありまして、二国間では該当できません。
私きょう、外務省の方、優秀な方が書いた「経済制裁」という本がありまして、時間があれば紹介したのですが、かつてイギリスがソビエトに対して行った経済制裁で、二国間で大変成功をおさめた例がある。粘り強く交渉して、ついに逮捕された技師といいますか、イギリス人の釈放をかち取った。細かく申し上げる時間はありません。経済制裁は、当然のことだが二国間でも行われるわけです。それから、国家のみではなくて、国民の安全や人権を守るためにも行われるということを示しているわけですね。
我が国ではどうか。自国や国民の安全が侵された場合どうするんですか。だれが責任を持つんですか。国際平和のための多様な有事規制を盛り込みながら、この法案には重大な不備があると私は指摘したいと思います。大蔵大臣の御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/187
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188・三塚博
○三塚国務大臣 我が国の有事体制は、自力救済、救済というか戦守防衛、これが一つ、同時に安保条約、こういうことで急迫不正の侵略に対して対応する、これだけはきちっとなっているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/188
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189・池田元久
○池田(元)委員 せっかくの御答弁でございますが、経済制裁のところは抜けておりました。要するに抜けているんです、そういうことが。自国の安全とか市民、国民の安全を守るということが完全に抜け落ちているわけです。これは外為法・外国貿易法の改正といいましても、対外経済取引の基本法なんですよ。外国でやっているわけです。大変問題があります。
それから、国会とのかかわりについて論議を進めたいと思います。
経済制裁の発動の条件が大変包括的です。極めて漠然としていると言ってもいいでしょう。多くを政府の裁量に任せております。政府にフリーハンドを大きく与えることになっております。発動する場合、国論の統一という言い方があります。国論の統一、こういう言い方よりも国民のコンセンサスを得ることが大事だと思うのですが、大蔵大臣、いかがでしょうか、端的にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/189
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190・三塚博
○三塚国務大臣 当然、法律にしろ、新しく政令がつくられるにしろ、絶えずその執行について、またこういう経済制裁の関係でありますればこのことを会見において御披露を申し上げる、こういうことでありましょう。そういう事態に対応して、準備段階といいますか、閣議決定という意味です、政令に基づくものとして、その前に、事前に国民の各位に向けての会見において行う、国会が開会中であれば国会においてそのことを報告を申し上げることは当然であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/190
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191・池田元久
○池田(元)委員 先ほど午前中の質問で、定かに私も聞いていたわけじゃありませんが、送金規制のようなことはめったに起こらない、一々国会の承認をとるのは不適当だ、システムを壊すという発言があったようですが、システムとはどういうことなのか、この場合。既存の官僚主導のシステムを壊すというのなら、その部分はその限りにおいて正しい。しかし、立法府におる者として、言いたくないのですが、全く的外れだと言わせていただきたいと思います。
重要な問題について国会の承認が必要とされるケースはいっぱいあるんですよ。ここに書いてあります。国連平和維持活動協力法、警察法、そういった法案から、決算調整資金法、健康保険法、漁港法。健康保険法は大臣の告示日決定についても国会の承認が必要だ。漁港法は漁港整備計画についても国会の承認が必要。放送法、国営企業労働関係法、地方自治法、十一もあります。
時間がありませんので先を行きますが、アメリカでは、経済制裁を行う根拠法として、インターナショナル・エマージェンシー・エコノミック・ハワーズ・アクト、国家緊急時経済権限法、そして輸出管理法があります。この国家緊急時経済権限法では、明白な脅威、アンユージュアル・アンド・エクストローディテリー・スリートというのですか、これに対してのみ大統領に権限を与えている。新しい脅威に対しては個別の国家緊急事態宣言が必要だ。特に二百四条では、コンサルテーション・アンド・リポーツ、私は英語にそんな強くないん
ですが、コンサルテーション・ウィズ・コングレスとあります。議会との協議では、大統領は、可能であればどんな場合でも、権限を行使する前に議会と協議しなければならない、及び権限が行使され続ける限りレギュラリーに議会と相談、協議しなければならないとなっております。また、輸出管理法という別の法律では、経済制裁をする場合には関連する企業と協議する、議会との協議も必要としている。三権分立がはっきりしているアメリカでも議会との協議が必要になっているわけです。
一方、ドイツではどうか。ドイツでは、対外経済法に基づく連邦政府法規命令によって経済制裁を行う。当該法規命令は、公布の後遅滞なく連邦議会及び連邦参議院に報告されなければならない。連邦議会が公布後四カ月以内に廃止を要望すれば遅滞なく廃止されなければならない。さらに、対外取引の許可権限を連邦政府に与える内容の法規命令については連邦参議院の承認が必要とされている。
国会の承認のどこがおかしいんですか。この重要な問題について、それでも国会の承認を必要としない理由はあるのか、大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/191
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192・三塚博
○三塚国務大臣 毎回お答えをしておるところでございます。
法律に基づいて委任をされる明示をされた事項、これが政令であります。よって、法律の審議においてこのことを確定をしていただきますとそのとおりに対応するということになるわけでありまして、イラク、湾岸戦争の経験にちなみながら、国連決議を待つということになりますと、おわかりのようにある程度の時間的なものが当然出るわけでありますから、それでは国家としての責任を果たすことにならないということで、今日の有事に対する基本的な我が国の取り組みを、外為法の中に、その分野について入れさせていただいた、こう理解をしております。
報告は、国会が開いておれば、毎回言っているとおり、前にか後にきちっとさせていただく、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/192
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193・池田元久
○池田(元)委員 最後の御答弁はしっかりと受けとめました。
国会への報告は、アメリカでも五項目について報告をしております。公表も、当事国、相手国へのシグナルとしても重要ですから、ぜひはっきりとやっていただきたい。
最後に、一言だけ申し上げたい。
金融インフラについてもちょっとお尋ねしたいんですが、それはまた、これから日銀法その他の審議もありますのでそこでやりたいんですが、対外経済取引の管理調整の基本法としてこの外為法・外国貿易管理法があるわけですね。ところが、自国の安全、国民、市民の安全については、有事規制について重大な不備があると私は重ねて指摘したいと思います。また、国会とのかかわりを断っていることにつきましても、議会制民主主義の立場からいって大きな問題があるということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
修正案にぜひ賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/193
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194・長野厖士
○長野政府委員 先ほどの私の答弁に誤りがございましたので、訂正させていただきます。
野村証券の記者会見に関する連絡でございますけれども、三月六日、たしか前日と申し上げましたけれども、当日でございましたので、訂正させていただきます。(池田(元)委員「午前中」と呼ぶ)はい、午前中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/194
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195・額賀福志郎
○額賀委員長 次に、佐々木陸海君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/195
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196・佐々木陸海
○佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海です。
いわゆる日本版ビッグバンをめぐる議論では、規制の緩和・撤廃がいわば絶対的な命題とされておりまして、規制の必要性を否定する論調が盛んであります。自由化万能論が振りまかれている。しかし、金融自由化は手放しで評価できるのか、国民にとってプラスになるのか、そのことを明らかにしながら、外為法改正案について質問をしたいと思います。
まず、金融自由化のもとでは、自由化と銀行や金融機関などの持つ公共性とのかかわり合いが問われることになります。その例として、銀行店舗行政の問題をちょっと最初に取り上げたいと思います。
全銀協の「金融」という雑誌の九六年十二月号は、大蔵省の銀行店舗行政について解説して、こういうふうに言っています。「過当競争防止等の観点から、店舗数の増加を抑制する政策をとってきた。また同時に、店舗の廃止による顧客利便の低下を回避するとの観点から、店舗の廃止、配置転換等についても一定の規制を行っていた。」こう言っています。
大蔵省は、銀行の公共性に照らして、店舗の政策の中で、店舗の廃止による顧客利便の低下を回避するという観点、これをこれまで必要としてきた、この点は間違いないと思いますが、御確認を願いたいと思います。また、現在でもその有効性に変わりはないと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/196
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197・山口公生
○山口政府委員 店舗の廃止の際には、その当該店舗の業績等を考慮しまして、預金者に大なる影響が及んではならないというような観点から、そういった配慮をしてきたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/197
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198・佐々木陸海
○佐々木(陸)委員 今も変わりありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/198
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199・山口公生
○山口政府委員 その時代時代によりまして、その自由化の進展とともに、公共性に対する考え方というのは若干の変化はあると思います。ただ、底に流れる預金者に対する配慮というものについては、ある程度の思いやりというものが必要であろうということは同じだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/199
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200・佐々木陸海
○佐々木(陸)委員 前回の委員会で我が党の佐々木憲昭委員が、銀行のリストラ問題を労働者の雇用という点から取り上げましたけれども、リストラの一方では、店舗の廃止、縮小、無人化という流れをつくり出しております。今、そういう点についてもいろいろ配慮をすると言いましたけれども、実際のところ、全銀協の調査分析でも、銀行の国内店舗数は、九三年をピークに横ばいあるいは減少に転じておりまして、店舗の統廃合や無人化、すなわちCD・ATM化が進んでいることを指摘しております。
こういうリストラ、店舗の統廃合が進むもとで、今、全国的には、地域から銀行がなくなる、銀行窓口がなくなるといった事態が生まれています。
地域といっても田舎の話ではありません。例えば東京都清瀬市と埼玉県新座市にまたがる住都公団清瀬旭ヶ丘団地では、昨年三月、さくら銀行が、団地内の唯一の銀行窓口である旭が丘出張所の窓口を閉鎖し、ATMのみの無人化店舗にすると発表いたしました。この地域には、周辺四キロ四方に銀行がありません。無人化されれば、バスで二十分かかる清瀬駅前にしか銀行窓口がなくなるという状況であります。
同様に、世田谷区の住都公団希望ヶ丘団地でも、大蔵大臣の近くだそうでありますが、周辺地域の唯一の銀行である住友銀行希望ヶ丘出張所が、昨年十一月に窓口業務の停止とATMだけの無人店舗化を打ち出して、一万六千人の利用者に通知をいたしました。窓口業務の統合先は三・五キロ離れた下高井戸支店になりますが、そこに行く公共交通機関がないという状況であります。
そこでお聞きしますが、現行の九五年六月二日に出された店舗通達は「利用者利便の観点から、」「店舗の設置が必要と思われる地域への店舗設置についても配慮させる。」というふうに述べております。旭ヶ丘団地や希望ヶ丘団地での銀行窓口の閉鎖は、この通達の趣旨である利用者利便の観点に沿うものとは言えないのじゃないでしょうか。その点、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/200
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201・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
各金融機関におきましては、店舗網の見直し、人員の削減、徹底した経費削減、合理化など、経営全体の合理化努力を一方で続けておるわけでございます。そうした中で、いろいろな店舗の問題も、これまでの有人の店舗を無人化していくというような方策をとるところも最近ふえているわけでござます。
しかし、その際にも、御指摘のような例をお挙げいただきましたけれども、各地域のお客様等の利便性の確保というところにもできるだけの留意をしながら、その無人店舗への変更についてもいろいろ配慮をしながら、そうしたリストラを続けているということだろうと思うわけでございます。したがって、そうしたことがその通達の趣旨に反するということではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/201
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202・佐々木陸海
○佐々木(陸)委員 通達の趣旨に反するものではないとおっしゃいますけれども、ATM化されれば、公団住宅の高齢化のもと、このATMのみでは、機械にふなれなお年寄りにとって極めて不自由になるという声が強く上げられているわけであります。
希望ケ丘団地では、団地の住民が反対署名の運動を広げているさなかの昨日、住友銀行は窓口閉鎖を実施いたしました。清瀬旭が丘出張所では、周辺地域の町内会、商店会を含む大きな反対運動が起こり、昨年九月には、清瀬と新座の両市議会で、無人化計画の撤回を求める請願も全会一致で採択されました。清瀬の市長、新座の市長も、無人化撤回への協力を表明しています。言ってみれば、ここでは町を挙げて反対していると言ってもいい状況であります。しかし、さくら銀行は無人化の方針を変えず、八月から実施をするということになっております。
私、ここに、九五年九月の「ニューファイナンス」という雑誌を持っておりますが、ここで、大蔵省銀行局総務課金融調査官里舘健彦さん、この方の、今の店舗通達についての解説が載っておりますけれども、ここでも「廃止するのも、地元の了解をきちんと得た上であればかまわない」というふうに解説をしているのです。「地元の了解をきちんと得た上で」という解説、つまり、この解説に照らせば、市長も市議会も何とかしてくれと言っている中での無人化の強行は、少なくとも好ましい対応とは言えないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/202
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203・山口公生
○山口政府委員 廃止する場合に、地元の了解が得られれば、それは一番スムーズにいくと思いますし、そういうことが最も望ましいと私は思います。
しかし、それが条件だということで、無人化もできない、リストラに努めようと思ってもそれが公共性の観点からやることができないという事態では、これはまた一方で、自由化が進み、競争が激化している中で、銀行としてその経営戦略が立てにくいということになるわけでございます。
したがいまして、一番問題が少ない形はそうであろうということを指摘しているだけでありまして、問題としては、そういった自由化の中で店舗行政を自由にしていきます一方で、地元の人たちあるいはお客様との関係をできるだけスムーズにやってほしいということがその趣旨でございまして、一律に、その同意がなければできないというものではございません。
ちょっと御披露させていただきますと、今先生の御披露いただきました世田谷の件でございますけれども、無人店舗に変更した後は、お年寄りなどその機械の扱い方等がなかなかのみ込めないだろうということで、職員の配置をしばらくの間は継続しますということも言っておりますし、それから、もう一つの清瀬の例におきましても、この無人店舗への変更を昨年の六月に予定しておりましたが、ことしの八月まで延期しているというような、最大限の配慮をしているというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/203
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204・佐々木陸海
○佐々木(陸)委員 もちろん配慮は、それなりに運動が起こればそれに対応してするのは当然なのですけれども、先ほどの里舘さんの文章の中でも、「赤字だけれどもこの町に一つしかない、この村に一つしかないという店をどうするかという問題、今後はそういう問題が切実な問題になってくると思います。」というふうに指摘をしている。これは九五年に書いたものですけれども、まさに二年前からもうそういう事態を想定をしていたわけでありまして、そういう利用者の側の利便というものを決して無視してはならないし、これに大蔵省が無策であってはならないと思うのです。
ですから、大蔵大臣にお願いしたいと思いますけれども、こういう事態が起こった場合に、地元の合意と納得が得られる方向を可能な限り大蔵省としてもしっかりと指導すべきだというふうに思うのですが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/204
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205・三塚博
○三塚国務大臣 ただいま佐々木議員と銀行局長のやりとりを聞いておりました。銀行がさらに経営を改善して力をつけていかなければならぬという一方の要請、そういう営業方針のもとにおける無人化というのがあります。一覧表を見てみますと、微増でございますが、それを懸念されて地元の意見をと言われる趣旨は理解しないわけではございませんけれども、何せ自分の両足で立って、ビッグバンに備え、健全経営でいきたいということ、また住民の皆さんの中のニーズも見逃してはならぬのだろうと思います。
そういう中で、それぞれの銀行が丁寧に町内会、また地区住民の皆さんにお願いということで通知をしておるということでありますので、そこはさらに丁寧にやるように、銀行局長から、いろいろと意見があったことをお伝えをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/205
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206・佐々木陸海
○佐々木(陸)委員 まさに最初に指摘したように、自由化オンパレードという中での公共性という問題の矛盾があると思うのですね。国民は超低金利で銀行に大いに協力をしているわけでありますけれども、そういう中でも、自由化ということが旗印に掲げられると、こういう矛盾が起こってくるという問題があると思うのです。
三月に再改定された政府の規制緩和推進計画には、店舗規制の一層の緩和が盛り込まれております。店舗関連通達の廃止という方針も伝えられております。しかし、銀行は免許業種として、繰り返しますけれども、公共性を持っている。銀行が経営効率を至上の命題として追求していくことになると、店舗や窓口の廃止をめぐって起きている現在の事態を踏まえるならば、すべてを経営効率にゆだねるのではなくて、銀行の公共性を踏まえた一定の歯どめというものも必要じゃないかと思うのですが、大臣、その点はいかがでしょう。大蔵省、よく検討していただきたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/206
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207・三塚博
○三塚国務大臣 これは経済の実態の中で、動きの中で、それぞれが営業活動をやる。さらに、安定した経営体をつくりたい、こういうことでございますから、この辺のところが自由主義経済の中における原則というのでしょうか、道行きというのでしょうか、傾向、こういうものだろうと思っております。またそこは、撤退したB銀行さんがありましても、あるいはまたC銀行さんが行くかもしれない、これもまた自由主義経済の成り行きなのでしょうか。
丁寧に理解を求めること、銀行の方々、これからの発展のためにも大事なことでありますから、努力をされるものと期待をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/207
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208・佐々木陸海
○佐々木(陸)委員 議論でも明らかなように、金融自由化で規制を緩和していけば金融機関は効率性を唯一の命題として行動する、これは目に見えているわけです。それが国民の生活にマイナスの影響を与えることは店舗の統廃合問題を通しても非常に明らかだと思うのですね。ですから、公共性を持つ存在にふさわしい行動をとらせる上では、私たちは一定の公的規制が必要であるということを一貫して主張してまいりたいし、これからも主張していくところであります。
外国為替の問題でも、自由化推進の一方で、為替の安定という公共性の確保の視点が求められると私は考えます。今回の外為法改正案では、自由化を促進し、東京市場の活性化を図るということが追求されております。その根本は徹底した自由化であります。為替や貿易に対する管理という概念も放棄する、外国為替に着目した大蔵省の指導や監督の役割も放棄する、市場のことは市場に任せるというのが基本というふうに説明をされております。
では、その市場はどうなっているか。一年間を通じての商品、物の国際的な流れ、世界の貿易の額は、最近の資料では年間約五兆ドルであります。
これに対し、現在の世界の外国為替市場の一日の出来高はほぼ一兆六千億ドルでございますから、一年分の貿易に必要な外国為替取引はほぼ三、四日で済んでしまうという勘定にもなります。この三、四日間以外は、資本取引に伴う外国為替取引及び外国為替取引そのもので投機的利益をせしめようとする取引ということに実際上なっているわけであります。
ですから、今日の為替相場というのは、いわゆるヘッジファンドによるデリバティブを駆使した通貨投機によって揺さぶられております。ホットマネーが大規模に、瞬時に、自己の最大限の利益を求めて世界の市場を徘回する。国の経済や国民の利益などは関係ない。例えば一九八七年でしたでしょうか、ニュージーランド・ドルを暴落させて暴利をむさぼったし、九二年のヨーロッパの通貨危機の激動に際してはポンドを暴落させて大もうけをした、さらに九三年のメキシコの通貨危機では、これは国際的な投機筋の動きによって一国の経済が文字どおり打ちのめされたという例もあります。
大蔵省国際金融局のある課長さんが、ことし一月二十日号のある金融専門雑誌にこう書いています。「外国為替管理制度の抜本的見直しに向けて」、今度のこの改正に向けての文章の中でありますが、「世界の投資家は考えうるいちばん有利な方法で資産を運用できるように」なった。「世界の各金融資本市場は、そういった機能を取引者にどの程度提供できるかで、評価される時代となった。市場が取引者を選ぶのではなく、取引者が市場を選ぶ時代となった。」というふうに述べております。
そこで、大臣にお聞きしたいと思いますが、ヘッジファンドによる為替投機を当然の前提として東京市場の自由化を今進めるというわけでありますけれども、そうなってまいりますと、これは結局のところ、ホットマネーのために環境整備を進めるということに結果としてはなるのであり、巨大な賭博場と批判される外為市場の投機性を一層拡大することにしかならないのじゃないでしょうか。為替投機の存在を、大臣、どのように考えておられるのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/208
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209・榊原英資
○榊原政府委員 先に技術的な問題をお答えさせていただきますけれども、投資家、いわゆる資産を持っている方が資産運用をするときに、できるだけ高い利回りを得たいと思うのは、これは当然でございまして、その行為を私は投機と呼ぶことはできないというふうに思っております。
御指摘の、例えばヘッジファンドあるいはミューチュアルファンド、いろいろなファンドがございますけれども、これは投資家の大事な資金を集めて、それをできるだけリスクを回避しながら高い利回りを得よう、そういう行動をしているわけでございますから、我々はこれを資本取引というふうに言っておるわけでございまして、これがすべて投機だというふうに割り切ることはできないのではないか、そういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/209
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210・佐々木陸海
○佐々木(陸)委員 しかし、現実にはそういうものを特定の会社がたくさん集めて、それによって世界の為替相場まで左右しながら、そこから利益をむさぼるということが現実に行われているわけです。
我が国も、九五年に円が一時八十円を突破するという急激かつ異常な円高によって、国内の中小企業や地場産業などが甚大な打撃を受けました。為替相場の安定や通貨の安定は日本経済の安定的な発展の根本条件であり、その実現こそ外為法の目標として明示されているものですが、しかし、このヘッジファンドの動きなどというのは、ここを本当に撹乱するものとして存在していることは間違いのない事実であります。
しかも、そういう外為法の目標を達成する一つの重要な手段である経済的理由での有事規制というのですか、これについては榊原金融局長は、世界恐慌のようなことが起これば発動もあり得ないことではないという程度に位置づけているわけでありまして、だからこれが本当にこういう撹乱に対する有効な手段になるという位置づけではないようであります。市場原理、マーケット主義の尊重が強調されている。
では、どのようにして為替の安定を図るのか。
榊原局長は、我が党往々木委員への答弁の中で、非常にインフォーマルに市場関係者と情報交換を行っていると言い、インフォーマルな情報交換が極めて重要だと言い、事後報告とマーケットとの常日ごろの対話を非常に重視する方向に行政も変化しているということを強調されました。ある新聞紙上で榊原局長は、「ヘッジファンドと意見交換している」、毎日話をしているのだということも強調されております。
昨年三月二十七日付の日経金融新聞、当時の日本の大蔵省それから日銀当局の円高防止への対応を評して次のように述べております。「大蔵省・日銀の円高防止戦略は、「移り気な投機家」を当てにしている限り、危うい綱渡りを続ける公算が大きい。」つまり、そこにお金を出している個々の国民はどうかは別としても、ヘッジファンドの行動原理は、さきに見たように自己の最大限の利益追求だけでありまして、為替の安定をこういうものとの対話や情報交換に求めるのでは国民経済の安定は守れないのじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/210
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211・榊原英資
○榊原政府委員 お答えいたします。
まず、委員御指摘のように、現在世界では一日で一兆六千億ドルの為替取引が行われておるという、これはBISの報告でございますけれども、そういう状況でございます。ですから、為替レートというのはまさにもう無数の為替取引に参加している人たちによって決められるわけでございますから、一国の政府が為替レートをコントロールするということはできない時代でございます。
ただ、私ども、為替の安定が経済にとって極めて重要だというふうに思っておりますので、例えばG7等の会議で各当局が情報を交換するということ、それから、場合によると政策の協調を行うということでございます。金融政策あるいはマクロ政策の協調を行う、あるいは情報の交換を行う、あるいは場合によれば協調介入を行う、そういう政策の協調によって為替の安定を図るということを私ども基本としているわけでございます。
それから、当然のことながら各当局は、市場の動きを正確にモニターしていくということが非常に大事になりますから、ファンドマネージャーあるいはディーラー、トレーダーといった方々と常にインフォーマルな意見の交換、情報の交換というものを行って、市場がどういう状況にあるかということをできるだけ的確に把握するということに努めているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/211
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212・佐々木陸海
○佐々木(陸)委員 ヘッジファンドの為替投機が引き起こした九二年九月十六日のイギリスのブラックウェンズデー、これはイギリスが欧州通貨協定からの離脱を余儀なくさせられました。当時のイギリスの蔵相は、大量の投機資金が為替維持の制度を揺るがせたというふうに言いました。一方、そのポンドの暴落を演出したヘッジファンドの側は、これはある米投資専門会社社長の発言ですけれども、中央銀行にとっては楽しい出来事ではなかっただろう、しかしこれは多くの人々が利益を得るための必要不可欠なゲームだとまで言っております。投資を求める世界がこれを必要としていると、国家の経済運営などは一顧だにしていないという状況でありまして、こういうヘッジファンドの行動を当てにすることはできないわけであります。
私ここに持っておりますのは、これは九五年のある雑誌ですが、東京銀行常任参与の本田敬吉さんという方が「資本移動の自由化、証券化、グローバリゼーションが入り込んで、やや制御不能に陥ってきた」「その現状に対して、金融政策や為替政策はほとんど打つ手がないところにきた」「まるでジャンボジェット機が離陸したのに、飛行機には制御装置がないようなもの」と言い、「ジャンボ機の操縦席には、ニヒリズムという麻薬を打たれていないパイロットがちゃんと座ってないと」困るのだということまで言っているわけでありま
す。
ところが、今度の外為法の改正が進める自由化の方向というのは、言ってみれば、このジャンボ機からパイロットをおろそうということに結局のところなっているわけでありまして、為替市場の現状に照らせば、為替と経済の安定のためには投機的資金の監視の強化や為替投機の規制、経済的理由での有事規制の強化などの方向がむしろ必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/212
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213・榊原英資
○榊原政府委員 お答えいたします。
日本経済は基本的に資本主義であり市場経済でございますから、為替レートといったような市場の価格は基本的に市場が決める、そういう原則は貫かなければいけないと思っております。
ただ、為替の安定というのは非常に重要なものでございますから、これは当局としては、できるだけ市場の動きはつかみ、あるいは関係当局と協調し、その安定に努めているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/213
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214・佐々木陸海
○佐々木(陸)委員 榊原局長は一九九五年四月十七日号の日経ビジネスで、当時は大蔵省財政金融研究所所長であったのですが、「マーケットが、デリバティブあるいは新規に民営化された企業の株式という「妖怪」が徘徊するバクチ場に近くなりつつある」という認識も示し、「我々に必要なのは、いかなる公的モニター装置を整えて、私的資本の国境を越えた取引を監督するかということなのだが、規制の緩和あるいは自由化のイデオロギーだけが先行する状況で、これを言い出す専門家は少ない。」と嘆いておられたのですけれども、国際金融局長になったら、大分、存在が意識を規定するのか、自由化ということを強課されているわけですが、自由化を推進する理由づけの一つにグローバルスタンダードという言葉が使われ、資本取引の自由化、マルケット主義という国際基準に合わせることが主張されています、
しかし、投機が国家を揺るがすような危険性が増大するもとで、一方には為替投機の規制の必要を認め、その具体策を探求する流れも世界的に言えばあるのじゃないでしょうか。ブレトンウッズ委員会は、現行国際金融システムに為替相場の行き過ぎた均衡水準からの乖離や乱高下といった欠陥を認め、各国の政策協調のあり方と通貨制度改革の検討を行っている。あるいは、カナダがトービン税というようなものを提案していたということもあります。
こういうものをそのままやれというわけではありませんけれども、大蔵大臣にお聞きしたいと思うのですが、投機的な資金の流れを規制して為替の安定を図る国際的な仕組みというものを各国が協調して整えていく努力が必要になっているのじゃないか、そういう方向を本当のグローバルスタンダードとして確立していくために日本が積極的なイニシアチブを発揮すべきだと私は考えるのですが、大蔵大臣の見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/214
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215・三塚博
○三塚国務大臣 自由主義経済が今日の世界の安定、平和をもたらしております。そういう意味で、為替はその市場のファンダメンタルズで動いていくということは常識であります。規制は自由と反対概念でございまして、自由の中でいかに生き延びるかということでたくましさが出ます。
しかしながら、急激な行き過ぎた円安でありますとか円高でありますということは決して安定した経済成長にプラスをもたらしません。困難をもたらすものでございますから、G7は、本件に対して適切な対処をするということにさせていただいております。二月のベルリンのG7におきまして私は絶えずそのことを言い続け、G7の申し合わせということで位置づけをさせていただき、自後、為替は、変動は若干ありますけれども、安定した中で来ておるのではないでしょうか、こう申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/215
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216・佐々木陸海
○佐々木(陸)委員 規制手段をすべて取り払って自由にするということが結構というわけには我々はいかない。一国にとって最も公共的なものである為替相場を国際的な投機筋にゆだねかねないような無秩序の拡大方向を、国民の立場からスタンダードと言うようなわけには到底いかないということを申し上げておきたいと思います。一最後に一言、日本共産党は、この外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案に関しましては、これまでの一連の質疑でただしたような理由で反対であります。
経済制裁の実施に関連して、事後に国会の同意を求める等を内容とする修正案が出されることになっておりますが、日本共産党は、経済制裁の必要性は否定しておらず、それを透明に、しかも恣意的でなく実行するということが重要であると考え、この修正の趣旨には賛成であります。
以上のことを申し上げまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/216
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217・額賀福志郎
○額賀委員長 次に、吉田公一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/217
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218・吉田公一
○吉田(公)委員 いつも十分間質問ばかりやって、急に三十分やれと言われましてもこれは容易じゃありませんが、質問をさせていただきます。
今回の外為法改正によりまして、御承知のとおり我が国の経済も財政も、そしてまた金融も、ひいては個人金融資産についても非常に影響があるわけでありますが、そういう影響に対してマイナス面が出ないような総合対策みたいなものは当然考えておられると思うのです。外為法改正、やったはいいけれども、どうもなれないものですから混乱が起きたというようなことにならないように、あらかじめきちっとした総合対策というものを用意しておく必要があるのではないかと思いますが、その点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/218
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219・榊原英資
○榊原政府委員 総合対策という意味では、金融システム改革を全体として進めるということでございまして、たまたま外為法改正が一番最初の法改正でございますけれども、証取法、銀行法、企業会計法、さらには税制というようなことで、総合的に対応しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/219
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220・吉田公一
○吉田(公)委員 外為管理法改正によりまして、外為管理の事実上の廃止は資金の海外移転を自由にするわけですね。源泉課税を基本としております現在の税制度の継続を困難にするのではないか、こういう危惧があるわけでありますが、その点についてはいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/220
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221・薄井信明
○薄井政府委員 税制の立場からは、税以外の制度が余り資金が動かないようになっていれば、それはそれで税の立場からは動きやすかったと思いますけれども、ただし、経済がこれだけ自由化し、国際化し、そちらの方向に日本がいくということは決して悪いことではないと思います。その中で、なかなかやりにくい面はありますけれども、各国のやり方を勉強しながら税としてできることをやって、そして公平な課税を実現し、また税が逃れないようにできるだけのことをやる、それが私どもの道だと思っております。おくれないように対応したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/221
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222・吉田公一
○吉田(公)委員 そこで、税の公平性を確保するために納税者番号制が必要になってくるのではないか、こういうことが言われておりますが、その点についていかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/222
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223・薄井信明
○薄井政府委員 所得を把握する、あるいは資産を把握する上で納税者番号を入れて、これによって名寄せをする等々のことをする、これは一つのアプローチとしてアメリカがやっている方式でございます。これも一つの方式がと思いますが、しかし番号を入れることは、私ども税の立場からはありがたいことではありますけれども、国民一人一人のお立場から考えたときに、これは義務づけられる。例えば口座を開く、あるいは資産を取得する、その場合に番号も告知しないといけない、そのことによって、場合によってはその御本人の意識として、プライバシーを侵される、自分の情報が役所の方に入っていくことについて望ましくないと考える方もいらっしゃる。そういったことでヨーロッパの各国では、議論はいろいろされていますけれども、納税者番号がフランスとかドイツでは入らない、北欧では入っております。そのように、国ごとに国民の皆様が納税者番号ということについての十分な御議論をいただいた上でこれは判断していかなければいけないと思っております。
政府の税制調査会ではかなり前からこれを議論
しておりまして、政府の税制調査会としては、納番の本質を国民に十分知ってもらいながら、今後の税務執行のために非常にプラスでもあるので、この辺、総合的に考えろというふうに私どもに指示してもらっているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/223
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224・吉田公一
○吉田(公)委員 そこで、為替取引の自由化に対応して国内の金融市場の自由化が仮に実現しなかった場合、そういう場合には国内資金の海外流出が加速をするのではないか。国内預金の減少が懸念されるということでありますが、そういう点について我が国の対応というのは大丈夫でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/224
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225・榊原英資
○榊原政府委員 お答えいたします。
外為法の自由化というのは、実は段階的に進んでまいりまして、けさの質問でもそういうことがございましたけれども、プロの間では国境を超える金融取引が既にかなり自由になっておったという部分がございますので、外為法改正をして直ちに大量の資金が流出するというような事態にはならないものというふうに思っております。ただ、国内の金融の自由化が全く行われないというような状態、全く進まないというような状況があるとすれば、これは数年後にはかなりの資金が外に出ていくということも可能性としては十分考えられるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/225
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226・吉田公一
○吉田(公)委員 我が国の個人金融資産というのは約千二百兆円ある、こう言われておりますが、その流出要因の一つに外為法改正があるわけであります。そのほかに、ビッグバンだとかあるいは金融不安だとか低金利という問題もありますけれども、その千二百兆円というのは実は我が国の財政赤字を支えているもとになっている。そのもとになっている千二百兆円の個人金融資産がどんどん流出することによって、我が国の体力が、血液が流れる、言ってみれば貧血になるのではないか、そういう心配があるわけでありますが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/226
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227・榊原英資
○榊原政府委員 我が国の低金利、あるいはドル金利が高いということで我が国の金融資産が直ちに流出するのではないかというような懸念が実はいろいろなところで表明されておるわけでございますけれども、これは、実は為替リスクをどう評価するか、双方の国のファンダメンタルズがどうなるか、そういうことによっているわけでございまして、為替リスクを完全にヘッジするという方法もあるわけでございます。
例えば米国債を買う。一年物の米国債を今買いますと、ドル金利は大体五・九%ぐらいになるわけでございます。ですから、未来永劫ずっとドルで持っておれば五・九%の利回りがあるわけでございます。ただ、通常の日本の居住者の場合は、一年たったときにドルから円にまた転換するわけでございます。そのときに為替リスクが生ずるわけでございますので、その為替リスクをゼロにしようということは実は今の市場ではできるわけでございます。それは一年先にドルを円に売っておく、先物で円を売るという行為でございますけれども、それを例えばアメリカの一年債でやりますと、ドル建ての金利は五・九%でございますけれども、それを円建てに直しますと〇・二%ぐらいにしかならないということで、むしろ日本で残存期間一年の国債を買った方が利率が高いということでございますから、為替リスクというものを勘案すれば、ドル金利と円金利の差が大きくあるから一挙に資金が流出するということにはならないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/227
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228・吉田公一
○吉田(公)委員 先ほどの関連でありますが、外為法の改正によって個人投資家が事後報告だけで海外口座、銀行に口座を設けることが可能となる。そうすると、もう既に三兆円前後にわたって個人投資家による外貨建てが行われている、こういうことのようであります。外為改正は二〇〇一年に予定されているビッグバンに先行して行われるわけでありますが、それに合わせて有価証券取引税の見直したとか、あるいは株式売買委託手数料の自由化が迫られることになる、こう言われておりますが、そのことについてどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/228
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229・薄井信明
○薄井政府委員 有価証券取引税につきましては、来年四月一日から為替が自由化になる、そういったときに、海外に口座が持てるようになればそちらで有価証券の取引をしやすくなるといったような、いろいろな背景から、今のままの有価証券取引税を置いておいて大丈夫かということを御議論いただいているわけでございます。
こうした有価証券取引税を含む金融・証券税制全般につきまして、私ども、新しい自由化の市場の中でどういう位置づけがいいかということを議論しなければいけないと思っておりまして、これは、一つの面では緩和をしていかなければならない、もう一方では、資料情報制度と言っていますように、今までにない、お金の流れを税制の面からとらえる、そういう仕組みもつくっていかなければいけない、両面から対応していきたいと思っております。
御質問の有価証券取引税につきましては、税制全体の中で年末までに議論をいたしまして、来年度改正として提案してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/229
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230・長野厖士
○長野政府委員 手数料に関する御質問がございましたので、お答え申し上げます。
株式委託手数料につきましては、既に実は平成六年から大口取引、十億円以上につきましての自由化措置を始めておりますが、これから株式市場といったものも国際化してまいりますと外国に取引が流れるのではないかという問題意識も、この問題を扱うときには当然考えなければならないと思っております。そういったことを除きましても、証券会社自身の自由な創意工夫でもう少しいろいろなサービスと自由な対価があっていいではないかという考え方もございます。
いずれにいたしましても、御指摘のように外為法の改正で今後さらに自由化が進められていく中で、この問題もどのように対応すべきか、早急に結論を出していかなければいけないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/230
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231・吉田公一
○吉田(公)委員 国債や地方債が市場化すると言われるわけでありますが、例えば地方公共団体が金利のいい外国銀行に預けて基金をつくる、その利回りでいろいろな団体の運用等を図るということもあるわけでありますが、地方公共団体が外国にお金を積んで、仮に、我が国よりか金利がいい、したがってイギリスの銀行に積んだ方が利回りがいいからその方がいいと判断した場合に、地方公共団体がそういうことをすることが可能なのかどうか、ひとつそれをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/231
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232・榊原英資
○榊原政府委員 当然、個人も地方公共団体も外国に預金をすることが完全に自由になるわけでございます。
ただ、円金利ということで考えれば、外国の銀行が提供する円金利が日本の銀行の提供する円金利よりも高くなるということは通常考えられないことでございますから、外国に預金するということであれば外貨で預金するということになる。外貨で預金する場合には、当然のことながら為替リスクというものを考えなければいけないわけでございますから、為替リスクを勘案した上で有利と考えれば外国に預金することになるということであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/232
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233・吉田公一
○吉田(公)委員 このことは、地方公共団体は、今局長お答えになりました為替リスクは当然あるのですけれども、つまり、市区長あるいは県知事が提案をして議会の承認を得れば、直接やるか銀行を通じてやるか、それはもちろんその判断ですけれども、法制化も何もしなくて、果たして地方公共団体がそういうことができるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/233
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234・榊原英資
○榊原政府委員 ちょっとお答えさせていただきますが、私の今の答弁が適正でない部分がございました。
外為法に関しては完全に自由になるということでございまして、それぞれの地方公共団体で資金運用に対して法律なり規制なりがあれば、これは当然それに従うどいうことでございまして、外為法に関する限りは完全に自由になります、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/234
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235・吉田公一
○吉田(公)委員 次に、我が国の金融市場というのは、どちらかというと非常に閉鎖的だと言われ
てまいりました。そこで、財政制度や政策の転換を考えることは不適切になっている。特に外為管理の改正に伴って、事実上これが廃止されるということは、税制も含めた財政に対して大きな影響を与えざるを得ない、こういうことであります。
今度の外為法改正に伴って当面予想される財政への影響はいろいろあると思いますが、例えば大きな課題としては、今度の改正によって財政にどういう影響があるのか、もし予想されることがありましたら御答弁いただきたい、そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/235
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236・榊原英資
○榊原政府委員 今回の外為法改正で、例えば金利にどういう影響があるかということは、これはちょっと予測ができないことであろうと思います。先ほど申し上げましたように、資本がどういう形で動くかということ、資本がどのくらい流出するか、あるいは流入ということもございますので、その辺は非常に予測しがたいことでございますから、もし財政に影響があるとすれば国債市場を通じて影響があるということだろうと思いますけれども、国債市場に対する影響というのは、そのときの経済状況あるいはファンダメンタルズの動向、そういうものに左右されますので、外為法改正によってこういう影響がある、あるいはこういう方向に影響があるということは言えないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/236
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237・吉田公一
○吉田(公)委員 我が国の低金利政策を転換しなくて対応できるのかどうか。つまり、低金利政策というのを途中で転換して対応できるようにしていく、そういうことにならないかと思っておりますが、日本の低金利政策と外為法改正とはどういう状態にあるのか、低金利政策を続けていった方が我が国にとって有利なのかどうか、その辺をお尋ねしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/237
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238・榊原英資
○榊原政府委員 外為法改正で、確かに資本取引、通貨を超える取引が自由になる。ただ、自由になると申し上げましても、先ほど申し上げましたように、既にプロの間では自由になっておりますから、マーケットの取引としてはもう相当自由である、それが最終的に完全に自由になるということでございます。
それでは、その自由になることによって金利にどういう影響があるかということについては一義的には決められないことでございますから、我が国がどのような金融政策をとるかということと、外為法改正によって資本取引が自由になるということに関しては、直接的な連関はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/238
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239・吉田公一
○吉田(公)委員 今のとちょっと関連するかもしれませんが、財政を取り巻く環境として、実は外為法改正も一枚かんでいるわけでありますが、今後、超高齢化、少子化あるいはビッグバンの要因で、戦後半世紀金融改革は余り行われていなかった、つまり我が国は財政主導型の金融政策を実施していた、その前提となる閉鎖的な金融市場が崩壊することは財政運営に対して大きな影響を与えるのではないか、そう危惧されるのでありますが、その危惧は全く無用でありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/239
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240・長野厖士
○長野政府委員 私が適任かどうか、ちょっと定かでございませんけれども、マーケットにおります側からお答え申しますと、御指摘のとおり、今後金融システムを改革していくということは、要するに金融市場を自由にしていく、それが外為の自由化と重なっておるということは、内外の金融市場も全体として自由にしていくということでございましょうから、経済運営全体がマーケット主導型になっていくという変化はあろうかと思います。
したがいまして、国の経済運営全体につきましても、そういった内外まで含めた自由化された市場に対応してどういう政策運営をしていくか、あるいは財政運営をしていくかということは、当然それに対応しなければいけない。しかし、それは国際社会いずれもが歩んできた道であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/240
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241・吉田公一
○吉田(公)委員 恐らく質問があったと思いますが、つまりお金の清浄化をするために外国の銀行を利用するという懸念が当初からあったわけであります。これについては事後報告ということもございまして、心配ないとは思いますけれども、果たしてそうなのかどうかということでありますが、この点についていかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/241
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242・榊原英資
○榊原政府委員 お答えいたします。
マネーロンダリングに対しては、本外為法の中で二つほど措置がしてございます。一つは、両替業務について本人確認義務を課しておるということでございます。もう一つは、税関における支払い手段の持ち出し・持ち込みについて事前届け出制という措置をとっておるということでございまして、この二つが本外為法がマネーロンダリングに対してとっておる対応でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/242
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243・吉田公一
○吉田(公)委員 単純に考えますと、個人資産金融、つまり、今日本は低金利なものですからどこかに自分の資産の運用をうまく利用できないか、そういうことを皆さんはほとんど考えているわけです。
問題は、これは関連でありますけれども、低金利政策をとることによって、年金生活者あるいはまた教育資金の積み立て、高齢化への積み立て、そういうものをやっている人たちにとっては大打撃なわけですね。ですから、この低金利政策というのは、いい面もあるけれども、反面そういう弱者に対しては非常に厳しい政策でありまして、これらについてもっともっと対策を考えるべきだ、こう思います。
そのことが一つと、もう一つは、個人資産を運用するために、外国に金利の高いのがたくさんありますよというようなことで、個人資産をねらって出資法違反みたいな業者が出てきて、海外へ投資をすれば非常にもうかりますよ、こういうようなことも実は考えられるのです。そのことについては説明義務みたいなものを統一したものがないと、例えば宅建取引業なんかでは重要事項説明というのがありまして、これを必ず説明しないと取引業法違反になってしまう。世界に向かってお金が出ていくわけですから、やはり基本的な重要事項説明みたいなものをちゃんとやらないと、相当また被害が出てくる可能性がある。それを心配しているのですけれども、そういうことについてはどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/243
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244・長野厖士
○長野政府委員 前段の御質問でお触れになりました、いわば個人金融資産の主として小口を念頭に置いた御質問かと思いますけれども、そういった方の運用先という問題でございます。
現在、私ども問題意識を持っておりますのは、日本の金融、金融といえば銀行預金というふうなものにほとんどイコールで考えられておった。諸外国に目を転じましたときに、個人といえども株式、債券その他もろもろの金融商品、それはプラス・マイナスがございますが、預金は安全確実だけれどもインフレには弱いとか、いろいろな組み合わせで世界じゅうの方が投資しております。そういった道をできるだけ広げていくということがこの金融システム改革の課題であろうかと存じますので、そのような方向で対応いたしたいと思います。
そうやって商品を広げてまいりますと、しかも海外の商品までということになりますと、御指摘のように、物によりましては、リターンは高いかもしれないけれどもリスクが非常に大きいといった商品は当然出てまいります。それに対しましては、やはりきちんと御指摘のような説明義務と申しますか、私どもの証取法の世界では適合性の原則という言い方をしておりますけれども、顧客の知識経験や財産の状況に適合した投資勧誘を行うということが基本になっておりますし、また先物取引とかオプション取引とか言われます特殊な取引につきましては、リスクを十分説明するとともに、取引の内容を記載した書面の交付を義務づけるといったようなルールもつくっております。
また、私ども、例えば中国の企業が日本で上場し、日本の投資家に中国の企業の株を持っていただくというようなことも今取り組んでおりますけれども、そうした場合には、中国の企業が抱えるリスクというものを投資家にきちんとわかっていただくようなもろもろの手だてが必要でございます。そういった面につきましては、万全の努力を
払ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/244
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245・吉田公一
○吉田(公)委員 余り聞いている人はいないな、新聞読んだりなんかして。最後ですからいつも不利な条件になっているのですよ。もう聞いていないのに一生懸命言っても余り意味がありませんから、五分早いですけれども、また大臣にサービスをいたしまして、これで質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/245
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246・額賀福志郎
○額賀委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/246
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247・額賀福志郎
○額賀委員長 この際、本案に対し、池田元久君外三名から、民主党提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。末松義規君。
—————————————
外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/247
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248・末松義規
○末松委員 私は、民主党を代表しまして、本修正案を提案する理由を御説明いたします。
政府提案の外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案は、我が国が締結した条約や国連決議等の国際約束を履行する場合以外でも、国際平和のための国際的な努力に寄与するために、政府がみずからの判断で外国に対して経済制裁措置をとり得るようにするという内容を含んでおります。
民主党は、政府がそうした国際情勢の緊迫した状態の中で第一義的に経済制裁措置をとり得るようにすることには賛成ではございますが、同時に、その政府の判断に対して行政の監視役である国会が速やかにその意思を明らかにし、行政のチェック機関としての機能を果たしていくことが、行政の民主的なコントロールを確立する上で極めて重要であると考えます。
そこで、経済制裁措置をとる場合には、速やかにその理由を公表し、情報を広く国民に周知徹底すること、自衛隊法の防衛出動や警察法の緊急事態布告、PKOの実施計画、災害対策基本法の緊急政令の制定などに準じて、速やかに国会の事後承認を求めることの二点が必要であると考え、所要の手続規定を原案に追加することが修正案の提案の柱であります。さらに、本改正案施行前の既往の措置については、この修正案の規定を適用しない旨、経過措置として附則で定めることとしております。
緊急時における国民のコンセンサスを重視し、国会の行政監視機能を高めようという本修正案の趣旨を御理解いただき、御賛同をよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/248
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249・額賀福志郎
○額賀委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/249
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250・額賀福志郎
○額賀委員長 原案及び修正案につきまして、日本共産党から討論の申し出がありましたが、理事会の協議によりまして、御遠慮願うことになりましたので、御了承をいただきたいと思います。
これより採決に入ります。
外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決をいたします。
まず、池田元久君外三名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/250
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251・額賀福志郎
○額賀委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
原案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/251
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252・額賀福志郎
○額賀委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/252
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253・額賀福志郎
○額賀委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、坂井隆憲君外五名から、自由民主党、新進党、民主党、社会民主党・市民連合、太陽党及び21世紀の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。吉田公一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/253
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254・吉田公一
○吉田(公)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
一 本法律が平成十年四月に実施されることを念頭に置き、金融・資本市場及び金融システムにおける規制緩和を可及的速やかに進め、我が国が国際金融センターとして国際的市場間競争に対応し得るよう、金融インフラの整備に不断の努力を払うこと。
一 国内金融機関の不良債権の早急、着実な処理を進め、もって金融システムの安定性確保に万全を期すること。
一 投資家や消費者等の立場にも十分配慮しつつ、外国為替取引の自由化によってもたらされる危険のある不正取引等を防止し、更に税に対する国民の理解と信頼が損なわれることのないよう、資料情報制度の整備等適切な対応に努めること。
一 外国為替取引の自由化等により、税制面での適切な対応が求められるとともに、国税業務の一層の国際化・高度情報化・複雑化が進み、更に事務量の増大も予想される。従って複雑・困難でありかつ、高度の専門知識を要する職務に従事する国税職員につき、定員の一層の確保及び職場環境・機構の充実につき特段の努力を行うこと。
一 政府は、我が国が締結した条約等の国際約束を誠実に履行するため、又は国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、本邦からの海外送金、資本取引等をしようとする者に主務大臣の許可を受ける義務を課した場合は、速やかにその理由を公表し、国会に報告すること。
以上であります。
何とぞ御賛成賜りますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/254
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255・額賀福志郎
○額賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決をいたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/255
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256・額賀福志郎
○額賀委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。三塚大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/256
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257・三塚博
○三塚国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/257
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258・額賀福志郎
○額賀委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/258
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259・額賀福志郎
○額賀委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/259
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260・額賀福志郎
○額賀委員長 次回は、来る二十五日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。
午後五時三分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X01619970422/260
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