1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年二月二十五日(火曜日)
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平成九年二月二十五日
正午 本会議
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○本日の会議に付した案件
特定産業集積の活性化に関する臨時措置法案
(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後零時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X01119970225/0
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001・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X01119970225/1
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002・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御報告することがあります。
永年在職議員として表彰された元議員原田憲君は、去る一月二十九日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
原田憲君に対する弔詞は、議長において去る二月二十二日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。
〔総員起立〕
衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに運輸委員長対フィリピン経済援助に関する調査特別委員長リクルート問題に関する調査特別委員長等の要職につき またしばしば国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等原田憲君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
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特定産業集積の活性化に関する臨時措置法案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X01119970225/2
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003・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、特定産業集積の活性化に関する臨時措置法案について、趣旨の説明を求めます。通商産業大臣佐藤信二君。
〔国務大臣佐藤信二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X01119970225/3
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004・佐藤信二
○国務大臣(佐藤信二君) 特定産業集積の活性化に関する臨時措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
近年の経済環境の急激な変化により、我が国においては、産業の空洞化に対する懸念が高まっております。この懸念は、物づくりを支えてきた部品、金型、試作品等の基盤的技術産業や、産地などの中小企業の地域における集積の崩壊に対する懸念として顕在化しつつあります。経済構造改革を推進し、地域産業の自律的発展を図るためには、その基盤たるこれらの産業集積が、技術の高度化や新分野進出を行うことにより活性化されることが不可欠であります。
以上のような観点から、これらの産業集積の活性化を図る措置を総合的、体系的に実施するため、今般、特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法を取り込みつつ、本法律案を提案した次第であります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、主務大臣は、基盤的技術産業集積及び特定中小企業集積の活性化に向けた都道府県及び事業者の取り組みに関する指針を活性化指針として定めることとしております。
第二に、都道府県は、この活性化指針に基づき、基盤的技術産業集積を対象として計画を作成し、主務大臣の承認を受けることとしております。この計画には、活性化を促進する措置を講じようとする基盤的技術産業集積、工場用地等の施設整備などの支援事業の内容等を記載することとしております。また、基盤的技術産業に携わる事業者や組合等による基盤的技術の高度化やその円滑化を支援するため、地域振興整備公団による工場用地造成等の特例、産業基盤整備基金による債務保証の特例、中小企業信用保険法の特例、課税の特例等の措置を講ずることとしております。
第三に、都道府県は、主務大臣の策定した活性化指針に基づき、特定中小企業集積を対象として計画を作成し、通商産業大臣の承認を受けることとしております。この計画には、活性化を促進する措置を講じようとする特定中小企業集積、当該特定中小企業集積の活性化に寄与する分野、中小企業者の連携の推進などの支援事業の内容等を記載することとしております。また、中小企業者や組合等による特定中小企業集積の活性化に寄与する分野への進出やその円滑化を支援するため、中小企業信用保険法、中小企業投資育成株式会社法、中小企業団体の組織に関する法律の特例、課税の特例等の措置を講ずることとしております。
その他、関係省庁とも密接に連携をとりながら施策を講ずることとしております。
以上が、本法律案の趣旨でございます。(拍手)
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特定産業集積の活性化に関する臨時措置法案
(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X01119970225/4
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005・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。石井啓一君。
〔石井啓一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X01119970225/5
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006・石井啓一
○石井啓一君 私は、新進党を代表いたしまして、ただいま趣旨の説明のありました特定産業集積の活性化に関する臨時措置法案に関しまして、総理並びに通産大臣に質問をいたします。
まず、今回の法案提出に至った背景、すなわち、経常黒字、円高、産業空洞化に対する政府のマクロ政策について質問をいたします。
国全体の貯蓄が国全体の投資を上回れば、その貯蓄超過分は経常収支黒字となり、逆に、投資が貯蓄を上回れば、その投資超過分は経常収支赤字となります。我が国の場合、高い貯蓄に対し国内投資が少ないため、国全体では貯蓄超過となり、大幅な経常収支の黒字を生じてきました。八〇年代初めから黒字基調が定着拡大し、九三年には一千三百億ドルを超す経常黒字に至っております。
この大幅な経常黒字、貿易黒字を背景とし、八五年のプラザ合意を契機として、急激な円高を招いたのであります。プラザ合意直前の円相場は一ドル二百四十円台であったものが、八六年から八七年にかけて一ドル百二十円台にまで一挙に上昇し、九五年には瞬間的に一ドル七十九円台に至っているのであります。
貿易摩擦に対応するため、また円高による国内生産コストの上昇に対応するため、生産拠点を海外に移す企業がふえ、九四年の数量ベースの海外生産比率を見ると、カラーテレビが七八%、ステレオが六九%、VTRは五三%となっております。自動車は、九五年の国内生産台数千二十万台に対し、海外生産台数は五百三十万台に達しております。このように、我が国の産業の将来が危ぶまれるほどの空洞化を生じているのであります。
結論として申し上げると、高い貯蓄を国内で有効に使うことができなかったため、長期にわたる経常黒字、貿易黒字、円高、そして深刻な産業空洞化を招いたのであります。この間の政府のマクロ政策について、どのように評価しあるいは反省されているのか、総理の見解を伺いたいと存じます。
次に、産業空洞化の現状について伺います。
御承知のように現在は多少円安となっており、各産業も一息ついているかもしれませんが、一方で、そのような中でも産業の空洞化はひたひたと進んでいるとの認識があります。確かに、電気機械、一般機械といった量産型加工組み立て産業を中心に、特にアジア地域への海外進出が進んでおります。これにより、例えば九五年の製造業の海外生産比率は、製造業全体で一〇%、海外進出企業では二五・五%に達するものと見込まれております。また、アジア諸国の経済成長を背景に、繊維等の産業では急増する輸入品の問題が起きております。
このような状況は、我が国経済の国際化に伴い起こるべくして起こったとの考え方もありますが、一方で、産業の空洞化が進展すれば、生産性、技術開発力、貿易収支、国内雇用にマイナスの影響を与えます。この産業空洞化の現状をどうとらえ、問題をどう認識されているのか、通産大臣の答弁を求めます。
また、産業空洞化の状況の中で、中小企業の状況はどうなっているのか伺いたいと存じます。
我が国経済において、中小企業はその土台の役割を果たしてまいりました。中小企業は事業所数では九九%を占めていることは御存じのとおりでありますが、中小企業の中には産業空洞化のあおりを受けて経営困難に陥っている企業もございます。すなわち、大企業、中堅企業への依存度の高い中小下請企業は、国内生産縮小のあおりを受け、受注数量の減少、採算を度外視した単価の要請、さらに、取引中止に追い込まれる企業もあります。大企業の業績が堅調である背景に、今までにない中小企業への強いしわ寄せが見られます。このような中小企業の大変厳しい経営状況や倒産状況をどう認識しているのか、通産大臣に伺います。
さらに、これまでの景気回復局面では、大企業の回復が中小企業に浸透し、設備投資に結びついて景気を押し上げる形になっていましたが、今回は、親企業の生き残りのために中小下請企業が切り捨てられ、中小企業の回復力は極めて弱くなっております。さらに、人材不足、経営者及び従業員の高齢化で後継者がおらず、時代の変化に対応できなくなっている上に、長期にわたる不況から資金余力をなくしている中小企業が多くなっております。中には変化をビジネスチャンスとしてとらえ、業績を伸ばしている企業もありますが、多くの中小企業の経営者、従業員の意識、やる気は弱まっております。
これに追い打ちをかけているのが、最近の株安、円安を背景とした景気の先行きの不透明感で
あり、四月から実施される消費税の値上げであります。私は、今後、中小企業の廃業、倒産が大幅にふえることを懸念いたします。中小企業への総合対策を通産大臣に伺うとともに、新進党が強く主張しておりますように、緊急経済対策として、特別減税の継続、地価税の凍結、有価証券取引税の廃止を重ねて要請いたします。総理の誠意ある答弁を求めます。(拍手)
また、昨今、円レートが一ドル百二十円台となり、一時期に比べ円安に振れております。これにより産業空洞化の懸念はなくなり、景気が回復する可能性があるとの考えが一部にありますが、実態はいかがなものでありましょうか。私は、事態はそんなに甘くない、多少円安に振れたとしても、現状のままでは企業の生産拠点の海外移転は基調として変わらないと見ておりますが、通産大臣の認識を伺います。
これまで伺った状況を踏まえますと、産業空洞化を防止するためには、何よりも我が国の経済構造の改革を強力に進める必要があるものと考えます。折しも先般、政府は経済構造改革プログラムをまとめたところですが、各省庁の既定の施策を取りまとめたものにすぎない、あるいは具体的な目標が示されていないとの批判を受けております。
経済構造改革を進めるには、新進党が主張しておりますように、規制の撤廃・緩和を大胆に進めることによりビジネスチャンスを拡大させる。法人税について、課税ベースの拡大と並行して基本税率を引き下げ、さらに連結納税制度を導入し、企業の税負担を主要先進国並みに引き下げる。産業のコストを国際水準まで引き下げるため公共料金のあり方を個別に総点検し、大幅に引き下げる。これらの施策を強力に実施すべきものと考えますが、総理の見解を伺います。
続いて、本法案に関して質問をいたします。
産業集積活性化対策については、これまで、いわゆる中小集積活性化法に基づき対策が講じられてまいりました。これは、いわゆる産地や企業城下町といった中小企業集積を活性化するものでありますが、本法案によりこの中小集積活性化法は発展的に解消され、新法に統合されることになります。つきましては、現行の中小集積活性化法の実績と、それをどう評価しているのか、通産大臣に伺います。あわせて、これまでテクノポリス法や頭脳立地法といった地域開発立法に基づく対策を講じてきたわけですが、これらの対策の実績と評価についても伺います。
産業空洞化の中で、我が国の物づくりの基盤が失われようとしております。我が国の産業を支えてきたのは、決して一部大企業だけではなく、各地域に存在する物づくりの基盤となる産業集積が我が国の製品の品質を支えてきたのであります。それどころか、二十一世紀において、試作開発型、付加価値型の物づくりをするに当たり、これらの産業集積の力は不可欠であります。ところが、例えば東京都の大田区や東大阪市は、高度な分業システムを形成している金属加工、機械関係の中小企業の集積地でありますが、長期の不況、円高、企業の海外展開、後継者難などのために、企業数が減少しております。
これらの企業は、地域間の密接な分業により互いが支えられておりますので、特定の企業の消滅は他の企業に対して大きなダメージを与えます。この事態が続けば、やがては地域の産業集積そのものが危険にさらされ、日本経済の先行きに重大な影響を与えることになります。物づくりの基盤である産業集積をどのように認識し、この産業集積を支えるために具体的にどのような対策をとるのか、通産大臣に伺います。
産業集積の活性化のためには、単に商工政策にとどまらず、道路などのインフラの整備や労働者の技能の発展対策、研究開発における大学との連携等、関係各省庁との連携が不可欠と考えます。本法案においては、建設省、文部省のほか、労働省との連携がうたわれておりますが、具体的にどのような連携を考えているのか、通産大臣に伺います。
最後に、物づくりを支える人の問題について伺います。
これまで日本の工業技術の多くには名人と言われるほどの腕のよい職人が多数存在し、精密な物づくりを行ってきました。ところが、現状は、中小企業の現場には若者の姿がほとんど見えなくなり、特に三K、きつい、汚い、危険などと言われる部門では、平均年齢五十歳を超えるところも多くなっております。人材面から事業継続の難しい中小企業も多くなっており、東京の大田区では、かつての約九千工場から現在では約七千工場へと、およそ二千工場も減少しております。技術の継承が難しくなっているという意味で、技術の空洞化ともいうべき深刻な事態が進行しております。
製造業で成り立ってきたはずの我が国が、現場でまじめに働くことをばかにし、三Kなどとやゆし続ける限り、若い良質な人材が物づくりの現場に入ってくる可能性はありません。時間がかかったとしても、物づくりを大事にする、まじめに働くことを当然とするような人づくりに力を注ぎ、社会的な雰囲気を盛り上げることが不可欠と考え
ます。総理、通産大臣の見解と具体的な対策を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X01119970225/6
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007・橋本龍太郎
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 石井議員にお答えを申し上げます。
まず、政府のマクロ経済運営についてのお尋ねがございました。
政府は、今日までも内需拡大や市場開放など適宜適切な経済運営に努めてきたところであります。政府は、産業空洞化への懸念を払拭していくためにも、新規産業の創出などを柱とする経済構造改革など六つの改革を最重要課題とし、これを一体的に推進してまいりたいと考えております。これにより、中期的な経済発展の基盤が構築されると考えております。
次に、特別減税の継続などについてのお尋ねがございました。
特別減税につきましては、回復の動きを続けております現在の経済状況や危機的な財政状況のもとで、その財源を特例公債によらざるを得ないということから、実施しないという決断をいたしました。
地価税につきましては、平成八年度税制改正におきまして税率を半減する措置などを講じており、地価下落もありまして、地価税負担は相当減少していることを御理解いただきたいと存じます。
有価証券取引税につきましては、平成八年度税制改正におきまして税率を軽減する措置を講じてまいりました。そのあり方については、金融システム改革の進展状況などを踏まえながら、株式等譲渡益課税を含む証券税制全体の中で検討してまいりたいと考えております。政府としては、九年度予算の早期成立に努めながら、八年度補正予算とあわせて切れ目のない予算の円滑な執行に努めるなど、適切な経済運営を進めてまいります。
次に、規制の撤廃・緩和によるビジネスチャンスの拡大についてのお尋ねがございました。
規制の緩和・撤廃は、まさに御意見のとおり、ビジネスチャンスを拡大し、競争を活発化させ、企業の自由な創意工夫を引き出すことにより、新規産業の創出などを踏まえて我が国経済の活力を高めるものと考えております。こうした観点から、昨年の末閣議決定いたしました経済構造の変革と創造のためのプログラムに従って、今後、徹底した規制の緩和・撤廃を含めた経済構造改革を推進してまいる所存であります。
次に、法人課税につきましては、税の公平中立などの基本的な視点に加え、企業の活力、新規産業の創出、我が国の産業構造の変化などの観点も踏まえ、課税ベースを適正化しながら税率を引き下げるといった基本的な方向に沿って検討を進めていきたいと考えています。連結納税制度の問題は、企業経営の実態、商法などの関連諸制度の動きを見据えながら、慎重な議論が必要とされる研究課題であると考えております。
次に、我が国の高コスト構造を是正するためにも、公共料金に係る事業の効率化を促すことの重要性の指摘を受けました。
これはそのとおりでありまして、そのためにも、これまで効率化インセンティブを付与する価格設定方式の導入に努めてまいりました。引き続き、価格設定方式の改革に加え、参入規制の緩和、情報公開の徹底などを図り、公共料金の低廉化を図ってまいりたいと思います。
最後に、物づくりを大事にする、まじめに働くことを当然とするような人づくりに力を注げという御指摘がございました。
私自身、この点は全く同感でありますし、マスコミの方々にもよくお願いをすることでありますが、三Kといった言葉を避けてもらいたい。かつて、学校を出て生産現場のある企業を自分で選んで行きました私から考えますと、生産というものに対してこれほど世間の目が冷たいことは、耐えがたい思いがいたします。それだけに、戦後の我が国を支えてまいりました製造業、その成長を支えてきたすそ野産業、中小企業の生産現場で働く方々に対し、近年、若い方々の製造業離れ、技術者、技能者の数の不足といった事態が生じていることは、まことに残念なことであります。
今後とも、我が国の製造業の発展の基盤を支えていくためには、快適な職場環境の整備、体系的、計画的な教育訓練、さらには本法案による措置を含めた人材育成支援などに政府を挙げて取り組んでまいりますが、ぜひとも三Kといった言葉が世の中から消えるために御協力を心から願う次第であります。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣佐藤信二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X01119970225/7
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008・佐藤信二
○国務大臣(佐藤信二君) 石井議員にお答えをいたします。
まず最初に、産業の空洞化についてお尋ねがございましたが、企業が最適な事業環境を求め国際展開を図ること、それ自体は評価できるものであります。しかし、最近のように高コスト構造等の
要因により、本来比較的優位を持つ産業までが海外に移転する懸念が高まっていること、これを踏まえて、経済構造改革を断行し、我が国の事業環境を国際的に魅力あるものとするとともに、新規産業の創出に力を入れていく考えであります。
次に、中小企業の現況についてお尋ねがございました。
生産については、上昇傾向で推移しているものの、大企業に比べそのテンポは緩やかなものとなっております。また、昨年の倒産件数は一昨年に比べてやや減少したものの、高水準で推移しております。総じて見れば、中小企業の景況観は引き続き足踏み状態にあり、今後とも中小企業の動向に注意する必要があると認識しております。
次に、中小企業に対する総合対策についてお尋ねがございました。
九年度予算案において中小企業対策費を増額し、新たな商品の開発や市場の開拓等の経営革新に努める中小企業に対し積極的な支援を展開していくとともに、経営の安定に引き続き努めてまいる所存であります。
また、今般御提案申し上げております地域産業集積活性化法案とともに、新規事業を育成するために、いわゆるエンゼル税制、この導入などを盛り込んだ中小企業創造活動促進法の一部を改正する法律案、これを提出したところでございます。
次に、円安が海外移転に与える影響についての御質問でございました。
当省の調査では、一ドルが百二十円の水準でも海外移転の基調に大きな変化は見られないとの結論を得ております。一方、景気は緩やかながら回復を続けており、政府経済見通しに示された経済の姿を実施すべく、引き続き景気の動向を注視し、適切な経済運営に努めるとともに、経済構造改革を積極的に推進していく考えであります。
次に、現行の中小集積活性化法の実績と評価についてのお尋ねがございました。
平成四年以来、全国で九十四地域の計画が承認されているところであり、地域の特性を生かした商品開発、技術開発等が積極的に展開されているものと承知しております。これらの成果に大いに期待するとともに、本法案においても引き続きその円滑な遂行を支援してまいる所存であります。
テクノポリス法と頭脳立地法についてのお尋ねでございましたが、これまでにおのおの二十六地域を承認しているところでございます。両法の評価につきましては、テクノポリス地域については工業出荷額や工業付加価値額等の工業指標が、頭脳地域については研究所の立地件数が、それぞれ全国を上回る伸びを示す、こういうことで一定の成果が上げられているという認識を持っております。
次に、産業集積の現状認識と、これへの具体的な対策についての御質問でございました。
現在、海外生産の進展等を背景として、空洞化の懸念が深刻になっており、産業構造や需要構造の変化に適切に対応することにより、物づくりの基盤である産業集積を活性化することが不可欠であります。このため、今般の法律において、産業インフラ整備、研究開発、人材育成や投資の促進を柱として、地域の取り組みへの総合的な支援を推進してまいります。
次に、関係省庁との連携についてのお尋ねがございました。
産業集積の活性化のためには、当省のみならず、政府全体での総合的な施策の展開が極めて重要であります。具体的には、建設省とは、幹線道路等の重点的な整備のため、都道府県の計画を共同で承認してまいります。文部省とは、企業と大学等との協力のもとでの研究開発の支援や制度運用の改善等、また、労働省とは、本法の支援策と技能集積での雇用開発施策を可能な限り同一の地域において協調し実施してまいります。
最後に、労働力確保についてのお尋ねでございました。
当省におきましては、平成三年以来、労働省との協力のもと、中小企業労働力確保法に基づき総合的な支援策を講じてきたところであります。さらに、今般の法律に基づき地域の産業集積を魅力あるものにするべく努めるとともに、地域の実情に応じた中小企業の人材の育成を重点的に支援してまいる所存であります。
以上であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X01119970225/8
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009・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X01119970225/9
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010・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十七分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X01119970225/10
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