1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年六月六日(金曜日)
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議事日程 第二十九号
平成九年六月六日
午後一時開議
第一 市民公益活動を行う団体に対する法人格
の付与等に関する法律案(第百三十九回
国会、河村たかし君外四名提出)
第二 非営利団体に対する法人格の付与等に関
する法律案(木島日出夫君外二名提出)
第三 市民活動促進法案(第百三十九回国会、
熊代昭彦君外四名提出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 市民公益活動を行う団体に対する法
人格の付与等に関する法律案(第百三十九回
国会、河村たかし君外四名提出)
日程第二 非営利団体に対する法人格の付与等
に関する法律案(木島日出夫君外二名提出)
日程第三 市民活動促進法案(第百三十九回国
会、熊代昭彦君外四名提出)
午後一時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/0
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001・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
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日程第一 市民公益活動を行う団体に対する法人格の付与等に関する法律案(第百三十九回国会、河村たかし君外四名提出)
日程第二 非営利団体に対する法人格の付与等に関する法律案(木島日出夫君外二名提出)
日程第三 市民活動促進法案(第百三十九回国会、熊代昭彦君外四名提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/1
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002・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、市民公益活動を行う団体に対する法人格の付与等に関する法律案、日程第二、非営利団体に対する法人格の付与等に関する法律案、日程第三、市民活動促進法案、右三案を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。内閣委員長伊藤忠治君。
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市民公益活動を行う団体に対する法人格の付与等に関する法律案及び同報告書非営利団体に対する法人格の付与等に関する法律案及び同報告書
市民活動促進法案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔伊藤忠治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/2
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003・伊藤忠治
○伊藤忠治君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、河村たかし君外四名提出の市民公益活動を行う団体に対する法人格の付与等に関する法律案は、市民公益活動を行う団体に対して法人格を付与すること等の措置を講じ、もって多様な価値観を有する住民が地域社会の構成員としての自覚と責任に基づいて、公益の増進及び地域社会の特色ある発展に貢献する多元的な社会の実現に寄与しようとするものであります。
次に、木島日出夫君外二名提出の非営利団体に対する法人格の付与等に関する法律案は、営利を目的としない自主的な民間団体すべてに対して法人格を付与すること等により、その活動の健全な発達の促進を図り、もって公共の福祉の増進に寄与しようとするものであります。
次に、熊代昭彦君外四名提出の市民活動促進法案は、市民活動を行う団体に対して法人格を付与すること等により、ボランティア活動を初めとする市民に開かれた自由な社会貢献活動としての市民活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与しようとするものであります。
以上三法律案のうち、河村たかし君外四名提出の法律案及び熊代昭彦君外四名提出の法律案は、第百三十九回国会に提出され、また、木島日出夫君外二名提出の法律案は、去る五月二十二日本委員会に付託されたものであります。
本委員会におきましては、五月二十八日と二十九日の両日提出者からそれぞれ提案理由の説明を聴取した後、審査に入り、六月二日には大阪府へ委員を派遣し、いわゆる地方公聴会を、翌三日には中央公聴会を開催いたしました。
また、六月四日には、熊代昭彦君外四名提出の法律案に対し、御法川英文君外三名から活動分野の範囲をより広げること等を内容とする修正案が提出され、翌五日には、河村たかし君外四名提出の法律案に対し、河村たかし君から民間公益法人の定義規定の見直し等を内容とする修正案が提出され、提出者からそれぞれ趣旨説明を聴取した後、両修正案について質疑を行うなど、各提出者に対して各委員からの熱心な質疑が連日広範多岐にわたり行われ、極めて慎重な審査を行ってまいりました。
その質疑の主な内容は、法人の設立要件を限定することの是非、法人格の付与の範囲、民法の公益法人その他非営利法人との関係、NPOの活動資金のあり方、税制上の優遇措置等の必要性、行政の関与のあり方などでありますが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。
以上のような経過を経まして、昨日質疑終局の動議が提出され、これを可決いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、河村たかし君外四名提出の市民公益活動を行う団体に対する法人格の付与等に関する法律案に対する修正案及び原案並びに木島日出夫君外二名提出の非営利団体に対する法人格の付与等に関する法律案はいずれも賛成少数をもって否決され、熊代昭彦君外四名提出の市民活動促進法案に対する修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、市民活動促進法案は修正議決すべきものと決した次第であります。
なお、市民活動促進法案に対し、税制等を含めた見直し等を内容とする二項目の附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/3
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004・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。河村たかし君。
〔河村たかし君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/4
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005・河村たかし
○河村たかし君 河村たかしでございます。新進党を代表して、以下に述べる理由により、与党案及び四党修正案について反対する立場から、討論を行うものであります。(拍手)
NPOとは、国民が国家の成り立ちの中の社会的なものに自立的にどうかかわっていくかの社会の仕組みを考える、いわば市民社会の憲法と言える極めて重要な法制度であります。そして、それは市民の自由、責任、競争という理念を基礎とする小さな政府、自由主義を支える理論なのであります。
しかるに、与党案は、市民が行政の下請となり、国民すべてをバケツリレーの国としてしまうような行政下請法案と言わざるを得ない、極めて本質的で危険な幾つかの問題点を内包しております。現状では、NPO法案と言えるものではありません。
第一に、活動目的の限定についてであります。
与党案は、NPOの活動目的を十二項目に限定しております。結局、国の役人である経済企画庁長官がその十二項目に当てはまるかどうかを判断してしまうことになります。
この点、新進党案においては、海外活動も自由にできますが、地域基盤性、コミュニティー振興を民法とのすみ分けの根拠としており、公益を目的とし、かつ非営利でありさえすれば、その活動内容には全く制限を設けておりません。多様な価値観に基づいた自主的、自立的なNPOが行政の関与、干渉を受けることなく健全に育っていくためには、活動目的の限定は決してあってはならないことでございます。
第二に、政治・宗教活動の除外規定であります。
抽象的に宗教活動、政治活動といいましても、その具体的な内容は多義的であります。どう考えでも、実際に認証を行うに際して、当該団体の行っている活動の実態審査に踏み込まざるを得ないのではないでしょうか。それでも、準則主義に近い認証制度と言えるのでしょうか。許可そのものではないのでしょうか。
委員会審議の過程でも明らかになりましたように、市民活動は、多かれ少なかれ政治性を持つものであります。実際に認証を行う際に、提案者が言われるように、政治上の施策はよいが主義は認められないなどという判断は、果たして可能なのでしょうか。民主主義を守るという活動を活動目的とするNPOは認められないという答弁に至っては、与党側はNPO法案を一体どのようなものとお考えなのか、全く理解できないのであります。一定の活動目的を内容とする団体を排除することは、NPO法案の精神と全く相入れないものであります。
第三に、税制上の措置についてであります。
NPOにとって、法人格の取得が重要であることは当然でありますが、それと並んで、産んだ子にミルクを与えるがごとく、財政上の基盤をNPOに与える仕組みが必須であります。NPOは公共サービスを官と競い合いながら分担していく行財政改革の中核たる社会的仕組みでありますから、NPOはみずからの事業収入のみではやっていけず、公的資金により活動資金を支えていくことが必須であります。
そして、補助金に依拠するのではなく、いいNPOへは寄附をするが努力をしないNPOへは寄附をしないという寄附金による競争原理の導入、補助金から寄附金へとの流れを起こし……(発言する者あり)自民党の皆さん、聞いてください。橋本行革ビジョンの国民負担率を四五%に抑える唯一の切り札なのであります。
公聴会でも参考人の多くから、そして多くのNPOも寄附金控除を切望しております。しかるに、与党案においては、NPOをめぐる税制をどのようなものにしていくか、法案においてその道筋が全く見えてこないのであります。寄附金控除制度は脱税の温床との誤解があります。しかし、それは誤りです。公開性と税金の控除の申請が課税当局に届くことにより、課税当局はNPOの所得を捕捉し、したがって、かえって脱税を防止することになることが本当なのであります。
新進党は、いわゆるNPO関連税制の法案二本を既に国会に提出しており、これら三本の法案を合わせて初めて完全なNPO法案と考えておりますが、NPO関連税制の法案については、与党側の抵抗に遭ってまともに議論されておりません。こうしたことから考えると、与党側は本気でNPO税制をお考えになっているとは到底思えないのであります。
また、過日の税制検討を附則に入れることについて、与党側が、新進党も合意した理事会決定を覆し否定した前代未聞の点についで、NPO税制には取り組まないことを証明したと言わざるを得ないのであります。寄附金控除のないNPOは、必然的に補助金漬けになり、行政の下請になってしまうのであります。
第四に、主務官庁であります。
複数の都道府県に事務所を置く団体についての所轄庁は、与党案では、経済企画庁としております。しかし、新進党は、その地域の有権者から直接選挙により選ばれた知事こそがNPO法制の主務官庁として最もふさわしいと考えており、こう考えてこそ、真の地方分権、真の地方自治が育っていくと考えております。
最後になりました。
野党であることが本当に泣けるぐらい残念ですが、私ども新進党こそが、真のNPOを日本社会の中に位置づけるために、他党に先駆けること二年、目的限定のない、そして活動資金としての税制度をも整備したNPOのあるべき姿を具体的に示したすばらしい法律案を提案しております。
現在の与党案は、活動目的を限定していること、活動資金について配慮していないことの主に二点について、現状では決定的に我が党案と哲学を異にしています。特に、税制すなわちNPOの活動資金について検討を始めるという最低限の国会の務めさえも条文で書けないでは、与党の法案は、無報酬のボランティアのみを対象とするか、もしくは補助金漬けの団体をつくっていくとしか論理的に考えられないのであります。
決して、まず一歩、小さく産んで大きく育てることにはならないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/5
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006・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 河村たかし君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/6
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007・河村たかし
○河村たかし君(続) 市民活動コントロール法案となる危険が大き過ぎ、そして一たんつくってしまった国家管理型システムは変更が不可能となりかねないということを、真のNPOの誕生を期待する国民の皆様、議員の皆様に心を込めて、心を込めて訴えたいと思います。
必ずや、新進党は真のNPOをつくってまいります。強い決意を申し上げでおきます。
以上、与党案及び四党提出の修正案の問題点を指摘し、これらの案に反対することを表明し、私の討論を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/7
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008・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 赤城徳彦君。
〔赤城徳彦君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/8
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009・赤城徳彦
○赤城徳彦君 私は、自由民主党、社会民主党・市民連合並びに新党さきがけの三党を代表して、ただいま議題となりました市民活動促進法案に対して賛成の立場から、討論を行うものであります。(拍手)
現在、多くの市民活動を行う団体は、任意団体として活動しており、法人格がないことから、契約を結ぶことが困難であり、団体として不動産登記や銀行口座の開設が不可能であります。さらには、国際的に認められるリーガルステータスがないため、国際的活動において不利な扱いを受け、また社会的信用を得にくいなど、活動上の障害が生じております。
この法律案は、市民活動を促進するための基盤整備の一環として、市民活動を行う団体に簡易迅速な手続のもとで広く法人格を付与することなどにより、ボランティア活動を初めとする市民に開かれた自由な社会貢献活動としての市民活動の健全な発展を促進せんとするものであり、多くの市
民活動団体がその早期成立を心待ちにしてきたものであります。
さらに、内閣委員会においても、中央・地方公聴会を含め連日にわたる審議が行われましたが、そうした中から、事業活動分野の拡大や認証要件の緩和等を図る修正がなされ、より準則主義に近い内容となったことも、ほとんどの市民活動団体が容易に法人格を得られるものとして歓迎されるところであります。
また、本法附則において「三年以内に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるもの」とし、さらに内閣委員会での附帯決議において、税制等を含めた見直し等について二年以内に検討し結論を得るものとしております。本法の成立をファーストステップとして、今後とも、市民活動の実態を踏まえつつ、さらにその活動の促進を図っていくものであります。
この市民活動促進法案の成立により、全国各地、各分野で活動している市民活動団体の基盤が一層安定し、今後の少子・高齢化社会、国際化の進展などのもとで、我が国が、より活力があり豊かな安心できる社会を構築していく上で、市民活動団体が重要な役割を果たしていくものと確信するものであります。
なお、新進党提出の市民公益活動を行う団体に対する法人格の付与等に関する法律案は地域を限定したものであること、共産党提出の非営利団体に対する法人格の付与等に関する法律案は民法及び他の法人制度の大幅改正が前提となることなど問題が多く、両法案とも反対をいたします。
以上、市民活動促進法案についての賛成討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/9
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010・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 木島日出夫君。
〔木島日出夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/10
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011・木島日出夫
○木島日出夫君 私は、日本共産党を代表して、与党三党提出の市民活動促進法案に対する反対の討論を行います。(拍手)
今日、我が国において、民間非営利団体が、政府、地方自治体など公的セクター、民間営利セクターと並んで重要な社会的役割を担いつつあることは、だれもが認めるところであります。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスでは、民間非営利団体に対しては、いずれも、基本的に届け出のみによって法人格を取得でき、官による許認可や介入の余地は全くありません。ところが、我が国の現行法は、非営利団体が法人格を取るためには、公益という特別な条件をつけられ、しかも主務官庁の許可が必要とされているのであります。
我が党が提出した非営利団体に対する法人格の付与等に関する法律案は、法人格を付与する団体について活動分野を限定することなく、また行政機関の許認可や認証などの関与の余地をなくした、いわゆる準則主義により法人格を付与し、民間非営利団体の自主的、民主的活動の促進を目指すものであります。
ところが、与党提出の市民活動促進法案は、非営利団体に法人格を付与するに当たって最も避けなければならない行政による介入や管理を最大の特徴とするなど、今日の日本社会の要請から見れば看過できない重要な問題点を持っています。
以下、具体的に、与党三党の市民活動促進法案に対する反対理由を述べます。
第一に、与党案によって法人格を取得できる非営利団体の範囲を甚だ狭く限定していることであります。
市民活動を「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与する」ものとし、行政による裁量の余地を与えた上に、その活動分野を十一分野に制限し、さらに、その団体の役員で報酬を受ける者の数が役員総数の三分の一以下でなげればならないというような二重三重の限定をかけているのであります。これでは、芸術団体や文化団体、オンブズマン活動など、今日の日本社会の発展に重要な貢献をしている多くの非営利団体は、相変わらず法人格を取得できない状態が続くことになるのであります。
第二は、与党案には、自主的な市民活動に対して、行政による介入と干渉の仕組みが広範につくられていることであります。
法人設立にも、法人の合併にも、法人としての活動分野の変更に当たっても、所轄庁の認証が必要とされており、そのたびに所轄庁の裁量により自主的な活動が阻害される危険が強いのであります。
さらに、所轄庁には立ち入りを含む調査、検査の権限や、刑事罰を背景にした活動内容等への改善命令、事実上の解散命令となる設立の認証の取り消しなど、自主性を第一とするべき非営利法人のあり方とは無縁な、広範で強力な監督権限が与えられており、欧米諸国では当然とされる法人の自主性の保障とはほど遠い内容になっているのであります。
第三に、この法律の適用を受けようとする団体に、自治体首長選挙などでの諸団体と政党、個人の幅広い共同による取り組みも一切封じようとしています。これでは、その団体が追求する市民活動そのものにまで制約を持ち込むことになりかねません。
第四に、非営利法人の活動を財政面から支える税制上の優遇措置など、法人の活動を発展させる具体的、物質的な支援が全く欠けていることも問題であります。
日本共産党は、多くの関係者の期待にこたえるべく、より望ましいNPO法案を実現するために、各党派の共同を広く呼びかけ、その実現のために努力してまいりました。
引き続き、市民団体、文化芸術団体を初めとする広範な民間非営利団体の皆さんと力を合わせて、今日の日本社会にふさわしい非営利法人制度をつくるため、全力を尽くして頑張ることを表明いたしまして、日本共産党の反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/11
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012・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 金田誠一君。
〔金田誠一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/12
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013・金田誠一
○金田誠一君 私は、民主党を代表して、与党三党と民主党の共同修正による市民活動促進法案に賛成、新進党案と共産党案に反対の立場から、討論をいたします。(拍手)
与党三党の立法は、民法三十四条に対し、活動内容の列挙と無報酬性を基準として、特別法として構成されるものであります。
これに対し、民主党は、次の基本的立場から修正の協議を重ねてきました。
その第一は、諸外国におけるNPO法制と同様に、営利企業の設立と同じく準則主義により、届け出制による法人設立の方向を明確にすることであり、第二は、NPOに対する寄附金税制を含む税の優遇措置を講ずる方向を明確にすることであり、第三は、準則主義に移行する間は民法三十四条の特別法としての制約を受けることはやむを得ないにしても、行政の裁量の範囲を初め、規制や管理の条項を必要最小限に縮小することであります。
協議の結果は、無報酬性の要件については社員を除外して役員のみとし、活動内容の列挙については項目の追加修正を行い、経済企画庁長官が認証に際し所管大臣の意見を求めることができるとした条項を削除し、さらに、不認証の決定の際はその理由を付して通知するなど、大きな成果を上げることができました。これにより、市民団体の懸念の多くは解消され、十分に活用し得る画期的な法律になったものと確信いたします。
また、このたびの立法過程においては、市民と議員の共同作業ともいうべき画期的な取り組みがなされてまいりました。市民団体主催のシンポジウムが都内ばかりか大阪でも開催され、与党、新進党、共産党と私ども民主党がそれぞれ参加し、議論を闘わせてきたことは、NPO法が目指す自立した市民による多元的な社会の萌芽であったと思います。
このたびは、今後の課題として大きな二つの事項、すなわち準則主義への移行と税制の優遇措置
が残されました。この課題は、現行の公益法人制度全般の見直し、民法三十四条の改正と非営利法人一般法の制定を含むものであり、税制についても、同じく公益法人税制全般、寄附金税制全般の見直しと、それとの整合性が要求されるものであります。
こうした方向性については、審議を通じて明らかにされ、さらには附帯決議が行われましたが、私は、それにも増して、立法過程を通じて体現された市民と議員の共同作業がより充実することによって、必ずや実現し得るものと確信いたします。
そして、ただいま可決されようとしている市民活動促進法案が、各NPO団体に、より大きな力を与えるものと信じます。
私ども民主党は、市民の皆様と力を合わせてその実現に全力を尽くすことをここに表明いたします。
終わりに、新進党案、共産党案について触れさせていただきます。
新進党案については、民法三十四条の特別法という枠内にありながら、可能な限り行政の介入、コントロールを避けようとし、また税制の優遇をリンクしようとしたその努力は歩といたします。しかし、地域基盤という民法とのすみ分け根拠が、例えばAMDAなど国際的に活動する団体や、アムネスティなど全国レベルの団体を除外するとともに、かえって行政の裁量の余地を広げる結果となってしまいました。また、税制についても、結果を急ぐ余り、現行税制との整合を欠くものと言わざるを得ません。
共産党案については、民法三十四条の制約を排し、非営利法人一般法の制定を試みたその努力は評価いたします。しかし、附則に、民法その他の関係法律の整備については別に定めるとうたわざるを得ない、いまだ未成熟な法案であります。
民主党は、民法体系の根幹にかかわる立法としては、民法三十四条を改正し、非営利法人一般法として制定することが民主主義の常道であるとの立場をとります。よって、新進党案、共産党案には賛成することはできません。
市民活動促進法案に対し、議員各位の御賛同をお願い申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/13
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014・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/14
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015・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これより採決に入ります。
まず、日程第一につき採決いたします。
本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/15
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016・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 起立少数。よって、本案は否決されました。
次に、日程第二につき採決いたします。
本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/16
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017・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 起立少数。よって、本案は否決されました。
次に、日程第三につき採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/17
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018・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/18
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019・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後一時三十七分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04319970606/19
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