1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年五月九日(金曜日)
午後一時三分開会
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委員の異動
五月八日
辞任 補欠選任
竹村 泰子君 千葉 景子君
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出席者は左のとおり。
委員長 松浦 孝治君
理 事
石川 弘君
河本 英典君
荒木 清寛君
鈴木 和美君
笹野 貞子君
委 員
阿部 正俊君
片山虎之助君
金田 勝年君
清水 達雄君
楢崎 泰昌君
岩瀬 良三君
海野 義孝君
白浜 一良君
寺崎 昭久君
益田 洋介君
千葉 景子君
吉岡 吉典君
山口 哲夫君
事務局側
常任委員会専門
員 小林 正二君
参考人
株式会社三和銀
行専務取締役国 室町 鐘緒君
際本部長
三井物産株式会
社代表取締役専
務取締役 福間 年勝君
山一證券株式会
社専務取締役 川添 允雄君
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本日の会議に付した案件
○外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/0
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001・松浦孝治
○委員長(松浦孝治君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、竹村泰子君が委員を辞任され、その補欠として千葉景子君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/1
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002・松浦孝治
○委員長(松浦孝治君) 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、三名の参考人の方々から御意見を承ることとしております。
御出席をいただいております参考人は、株式会社三和銀行専務取締役国際本部長室町鐘緒君、三井物産株式会社代表取締役専務取締役福間年勝君、山一證券株式会社専務取締役川添允雄君、以上の方々でございます。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。
参考人の皆さんから忌憚のない御意見をいただきまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
本日の議事の進め方でございますが、まず、室町参考人、福間参考人、川添参考人の順序で、お一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
なお、意見の陳述、質疑、答弁とも、発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず、室町参考人お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/2
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003・室町鐘緒
○参考人(室町鐘緒君) 三和銀行の室町でございます。どうぞよろしくお願いします。
三和銀行は、本年四月から全国銀行協会連合会会長行を務めさせていただいておりますが、このたびの外為法改正について大蔵委員会の皆様に参考意見を述べよとのことでございますので、主に外為法改正の利用者の皆様と金融界に与える影響につきまして、民間銀行の立場から所見を述べさせていただきます。
所見を述べるに当たりましては、大きく三点にまとめて申し上げます。第一は外為法の位置づけと本改正の意義について、第二は本題の利用者の皆様と金融界に与える影響について、そして第三は本改正に伴う要望についてであります。
まず第一の外為法の位置づけと改正の意義について申し上げます。
外為法は、昭和二十四年の制定以来、我が国経済が急速に国際化する過程で大きな役割を果たしてまいりました。この法律の目的は、国際収支の安定と貿易及び外為市場の健全な発展を図ることであり、この目的達成のために、外国為替公認銀行、以下為銀と省略いたしますが、この為銀に外為取引を集中させることで取引の適法性の確認や市場の実態把握及び有事規制の実効性確保が行われてきたものと理解いたしております。
この間、外為法は、昭和五十五年の大幅な改正により内外取引を原則禁止から原則自由へと大きく転換させましたが、依然、主要な資本取引に事前の許可・届け出が必要であったため、外為ユーザーにとりましては時代の発展とともに手続が煩雑で不便なものになったという面もございます。
また、欧米諸国が一九八〇年代に為替管理法を含めて急速に規制緩和を行ったため、我が国の金融市場は相対的に競争力を失ってしまったとの指摘もあります。そして、現在はデリバティブなどの金融ハイテク化や電子マネーなどの新しい支払い手段の開発が行われているため、これらに対応できる新しい外為法の枠組みが社会的にも必要となってまいりました。このような背景から、今般の外為法改正を御審議いただいているものと理解いたしております。
さて、本改正の主要なポイントといたしましては、まず第一に、資本取引の完全自由化、すなわち一部の例外的なケースを除いて従来事前の許可届け出が必要であった内外取引が事後報告のみでよくなるということであり、また二つ目は、為銀主義の撤廃によりだれでも自由に外為業務を行うことができるということです。これは、この後に続く日本版ビッグバンの諸規制緩和と相まって東京金融市場を活性化し、二〇〇一年までにニューヨーク、ロンドンと並ぶ世界でトップクラスの金融センターを実現するという目標を可能にする内容であると思われます。
私ども銀行界にとりましては、外為法改正、とりわけ銀行を経由しない対外決済の自由化は、後ほど申し上げますとおり、確かにマイナスの影響もございます。しかしながら、新しい外為法は、利用者の利便性向上に役立ち、またより大局的な見地からは日本版ビッグバンのフロントランナーとして今後の金融制度改革を促進させることが期待されます。その結果、東京マーケットがより一段活性化して国民経済の発展に役立てば、それは私ども銀行にとりましても望ましいと考えております。
それでは第二に、外為法改正により、私どものお客様にとって何が変わりどう利便性が向上するのか、またその結果銀行業界にどのような影響が生じるかについて述べさせていただきます。
まず、居住者のユーザーの中で外国との取引を頻繁に行っておられる企業、すなわち法人のお客様の場合ですが、国内外との日常の決済が大幅に自由化されることになります。
具体的には三つの例が考えられますが、まず第一に、居住者間で外貨建てで決済をすること、次に、非居住者との資金決済を海外に有する預金口座を使って行うこと、そして三番目に、親子会社間または継続的な取引を有する取引先との間で相殺やマルチネッティングを行い、資金の移動なしに決済を行うことでございます。これらは、外為法の改正により、従来必要だった事前許可なしに自由に行えることになります。
具体的に申し上げますと、一番目の居住者間外貨決済とは、例えば国内のメーカーが商社を通じて輸出を行った場合、その商社は海外の販売先から受け取った外貨をそのまま国内のメーカーに支払うことができます。現在は、居住者である商社とメーカーの間は円でしか決済できず、商社は受け取った外貨を為銀で円に交換してからメーカーへの支払いを行っております。
次に、海外の預金口座を使っての決済とは、例えば多数の販売先、仕入れ先を米国に持つ日本企業は、米国内に口座を開いて受け取り、支払いをすべてそこで完了させることができるというものであります。現在、居住者はこの口座を持つことができず、クロスボーダーの送金に頼るのが一般的であります。
三番目の相殺、ネッティングとは、国内の企業が海外の子会社や取引先である外国企業との受け払いを一カ所に集中し、その差額分だけを決済するという方法であり、単純な売り掛け、買い掛けの相殺から複数の海外拠点や継続的な取引先とのマルチネッティングと呼ばれるものまで事後報告のみで可能となります。いわゆるインハウスバンキングと呼ばれる企業内決済システムにより、銀行を経由しないクロスボーダー取引が行われると言われるのはこのためであります。
これら三つのケースでお示ししました外貨決済の自由化により、従来外貨と円を交換する際に発生していた銀行への手数料は不要となります。また、外貨と円の交換が減るということは為替リスクを負う局面が少なくて済むということになります。
銀行にとりましては、これら外貨決済の自由化により、為替の取り扱いボリュームが全体として減少することは避けられず、一定の収益の減少が予想されます。正確な減少率は現時点では予測できませんが、世界に取引のネットワークを拡大しておられる規模の大きい法人のお客様ほど、銀行にとりまして為替減少の影響が大きいものと思われます。
ただし、一方で銀行にとって新しいビジネスチャンスも考えられます。従来は外為法で制限されていたため利用者ニーズがなかった商品、例えば決済性がある外貨預金や外貨の当座貸し越し及び居住者間の外貨送金等の開発、販売に取り組んでまいりたいと考えております。また、相殺やネッティングのサポートシステムであるグローバル・キャッシュ・マネジメント・サービスの内容を充実させて、本社と各現地法人の資金ポジションをリアルタイムで把握できるようにするなど、外為法改正後の新たな顧客ニーズにこたえる準備をしていきたいと考えております。
次に、個人の利用者の方々への外為法改正の影響ですが、最も大きいと思われるのは海外預金の自由化です。これは従来から徐々に規制緩和が進められてきましたが、今回の改正により現在二億円相当という許可不要の上限が完全に撤廃されます。また、同時に入金方法の制限がなくなり、為替リスクのない円建て預金も解禁されます。これにより、個人の投資家の方々も海外の有力銀行に自由に口座を開き、これを経由してさまざまな金融商品に投資を行ったり、金融サービスを受けることが可能になります。そのため、個人のレベルでも銀行取引の選択肢がグローバルに拡大し、利便性が高まることになります。
銀行への影響といたしましては、この新たな顧客ニーズにこたえるため、海外支店や海外現法で日本のお客様にクロスボーダーで提供できる商品開発を行ったり、あるいは国内の商品やサービスを一層改善して外国の有力金融機関に対抗することなどを考えてまいります。
次に、為銀主義撤廃の影響ですが、よく挙げられるのがコンビニで外貨両替ができるとか、商店が外国からの旅行者に直接ドルで販売できるなどの例です。また、輸出企業と輸入企業が相対で外貨と円を交換するなどということも可能になります。従来、外為業務を独占的に取り扱ってきた為銀にとりましては、新しくこのビジネスに参入される方々と競争が始まるわけで、銀行以外、すなわち商社、証券会社、リース会社、メーカー等、それぞれに強みをお持ちの企業からの外為参入は銀行にとりまして大きな脅威です。しかし、利用者の利便性向上に役立つ上に、東京マーケットのプレーヤーの厚みが増すという利点があり、今後銀行も、新たな参入者の方々と切磋琢磨することにより、よりよい商品、サービスを提供してまいりたいと考えております。
ただし現状では、具体的にどのような業態が参入してこられるかにつきましては、来年四月以降の参入を明言されておられる企業は特に伺っておりませんし、また予想も困難であります。当面は外為を単独で提供するというよりも、例えば日本の商社が物の販売に外貨建ての金融や為替予約をつけるなど、従来の業務と組み合わせた形での外為サービスを提供されるのではないかと推測いたしております。
一方で、為銀主義の撤廃により、従来銀行界が担ってまいりました為替管理の側面、すなわち確認義務や報告義務が大幅に軽減されることになり、銀行は事務コストの圧縮が図れることになります。また、為銀は、これまで銀行法に加えて、例えば持ち高規制等の外為法上の規制、監督も受けており、これらの廃止でより弾力的な業務運営が可能になるものと考えております。
さらに、規制緩和の波及的な影響といたしまして、次のことが予想されます。すなわち、今後は日本版ビッグバンによる競争促進に伴い、各銀行とも自行の得意分野を強化し、個性化を図るという動きが出てくるものと思われます。外為業務につきましても、現在は全銀協傘下の都銀、長信銀、信託銀行、地銀、第二地銀のほぼすべてが同じようにサービスを提供しておりますが、今後はおのおのの顧客基盤や営業戦略、経営資源等に応じて、例えば自前のインフラとノウハウを用いて他の金融機関に事務代行サービスを提供する銀行が出てきたり、お客様への窓口サービスに専念し、自前のインフラは持たず、他の事務処理会社にアウトソースしてコストの削減を図るような銀行が出るなど、それぞれに異なる業務展開を行うことが予想されます。
以上、外為法改正の影響を、法人のお客様の観点からは対外決済の規制緩和、個人のお客様については居住者海外預金の自由化及び為銀主義の撤廃の三つの観点からお話ししてまいりましたが、ここでもう一つ、対外直接投資の制限業種の緩和について申し上げます。
現行の外為法で、我が国の銀行は対外直投の制限業種の一つと指定されており、現法設立や買収等を行うために直接投資を行う場合、事前審査つきの届け出が必要であります。また、銀行以外の我が国の企業が海外の銀行に直接投資を行う場合も事前審査つきが必要であります。
今回の改正では、銀行は制限業種から外れる見込みであります。その結果、邦銀はより機動的な海外戦略が可能となります。また、例えば我が国を代表する自動車メーカーや総合商社が外国で銀行を設立したり買収を行うということも日本サイドでの規制はなくなるわけであります。
なお、逆に外国から我が国の企業向けに行う対内直投は既に平成四年の改正で自由化が図られており、海外から邦銀に出資する等の場合にも外為法上の制限はありません。日本版ビッグバンにより、欧米の銀行との本格的な競争に向けて、直接投資の面で対外、対内ともに環境が整備されたと言ってよいと思います。
以上、外為法改正の影響について申し述べてまいりましたが、最後に第三点として東京市場の活性化、国際競争力の強化という観点から銀行界からの要望を二つ申し述べさせていただきます。
まず第一は、外為法改正に続く一連の規制緩和を、日本版ビッグバンのとおり、迅速に一気呵成に行っていただきたいということであります。
先ほど、今回の改正で自由化される居住者海外預金について申し上げましたが、海外に口座を持って投資を行う場合、税金や手数料が我が国に比べて割安な場合があります。例えば、ロンドンやニューヨークの銀行に口座を持ち、その資金を使って株や債券等の金融商品に投資を行う場合、日本のような有価証券取引税はなく、また株式委託手数料も自由化されております。税や手数料に対する自由化の議論は既に活発になされておりますが、これらの諸規制、税制、会計制度等についてはグローバルスタンダードの視点から早い機会に見直しを行い、東京をニューヨーク、ロンドンに引けをとらない利用者にとって使い勝手のよいマーケットにし、我が国からの資本流出に歯どめをかけ、さらにはより一段と厚みを増し活性化させることが強く望まれます。
あわせて、業態間の参入促進も挙げられます。現在、日本においては銀行、証券、保険等、業態間での相互参入が欧米に比べて厳しく制限されております。異なるバックグラウンドやノウハウを蓄積したさまざまな業態の参入を促進し、競争による創意工夫と利用者の選択を可能にすることにより、商品の多様化や効率化を通じた安価で良質なサービスの提供が実現されると考えます。同時に、こうした規制を緩和することによって欧米の有力金融機関が東京市場へ続々と参入してくる、いわば内なる国際化を通じて東京マーケットがニューヨーク、ロンドン並みに成長していくことが望まれるわけであります。
銀行界の要望の二番目は、外為法改正の趣旨を実現するための政省令、その他関連法律の整備についてであります。
新外為法の施行前に、報告のとり方、確認義務の内容、マネーロンダリング等に関する政省令の策定及び税務目的のための資料情報制度の立法等が検討されているとお聞きしております。いずれも規制緩和の流れに沿って実効性が確保される範囲で極力簡便な内容、特に銀行のコンピューターシステムを使った事務処理になじむものとしていただくようお願い申し上げます。
現在は世界の市場間で国際的な競争が行われる時代であります。日本版ビッグバンによって東京市場が世界の一流金融マーケットとなり、私どもみずからも国際的なプレーヤーとしてお客様のお役に立てるように、新外為法のもとで一層の企業努力をしてまいることを申し上げて、私の意見陳述を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/3
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004・松浦孝治
○委員長(松浦孝治君) ありがとうございました。
次に、福間参考人お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/4
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005・福間年勝
○参考人(福間年勝君) 三井物産の福間でございます。よろしくお願いいたします。
今回御審議いただいております外為法改正案につきましては、私自身も外為審法制特別部会の委員として議論に参加させていただきました。その部会報告等に基づきまして、今回外為法改正案が国会に提出され、外国為替取引の全面的な自由化が図られようとしていることは、委員としてはもちろん、外国為替市場の利用者である貿易・産業界の立場からも大変喜ばしく感じております。
現在の外為法は、一九八〇年に原則禁止から原則自由へと理念の転換が行われ、第一条法律の目的規定にありますように、対外取引が自由に行われることを基本とするということになっております。今回の改正案においても、この法第一条の精神は変わっておらず、これまで残されてきました許可・届け出事項が事後報告制に移行し、欧米並みのいわゆるグローバルスタンダードに基づいた制度となるわけでございます。
従来、外国為替取引に課せられておりました許可・事前届け出などの手続にかかる時間的な制約があり、いわゆる為銀主義のもとでのコストの負担などとあわせて我が国企業のハンディキャップの一つとなっておりました。また、外国為替取引のみならず、我が国市場に存在する諸規制、高コスト体質に起因する金融取引の国外流出、金融市場の空洞化への懸念も高まっていたところであります。
このような状況で、官民ともに問題意識を共有し、外為審などの場において活発な議論を経て今回の抜本的な改正案の提出につながったものでございます。
それでは、今回の改正の主な項目でございます為銀主義の撤廃、対外支払い、資本取引等の自由化、報告義務等を中心に意見を述べさせていただきます。
まず、いわゆる為銀主義の撤廃についてでございますが、そもそも為銀主義という言葉自体が我が国独自のものでございまして、今回の改正により、外国為替公認銀行の認可制度が廃止され、また両替商の認可制度も廃止され、これでようやく欧米並みの取引当事者の自由な選択が可能となります。この為銀主義の撤廃によりまして、外国為替の売買は銀行以外のものでも自由に行えるようになり、両替業務等においては多様な形での外為サービスの提供を行う企業が登場し、競争強化による手数料削減、サービス改善などが期待されるところでございます。
一方で、現在の銀行と同程度の規模で市場に参加し、不特定多数を相手に業として外国為替取引を行うことは、今回の外為法改正により可能ではございますけれども、設備、システムへの投資、リスク管理の整備、人材など経営資源への投資負担が大きく、一般事業会社にとりましては当面慎重な対応が必要な事項と考えております。
私どもは、企業間の内外取引、海外投融資などを実行するため、外国為替市場におけるサービスの受益者という立場にあり、今回の外為法改正の一つの眼目であります為銀主義の撤廃については、市場における競争強化あるいは手続の簡素化によって利用者のコスト負担の削減、取引の効率性が改善される点を期待しておるものでございます。
次に、支払い等の自由化について申し上げます。今回の改正案では、従来特殊な決済方法として許可取得が求められていたものが自由化され、許可不要となります。これにより、対外決済も国内決済と同じような柔軟性を持って行えるようになります。
例えば、現在国内においては取引先との間で売り代金と買い代金の相殺後の差額決済を自由に行っております。このように、相殺を行う目的は取引先に対する債権残高を圧縮することによるリスクの低減、または決済の回数を減らすことによる事務コストの削減などが挙げられます。
今回の外為法改正によりまして、このような相殺取引が対外取引についても自由に行えるようになり、これによって国内取引と全く同様に信用リスクの低減という効果、また、従来相殺には許可取得が必要とされていたため、受け払い別々に行っていた外貨決済に伴う手数料の削減効果、さらには事務コストの削減効果などが期待されております。
また、相殺を複数の相手と行う方法、例えば支店間決済を含めてすべての決済を本店に集中するいわゆるマルチネッティングと呼ばれる決済方法も既に国内では古くから実施しておりますけれども、今後は対外取引についても同様の形態をとることが可能となり、これまで個別に決済されていた海外支店間あるいは現地法人間の決済の集約も可能となります。これによりまして、相殺のところで申し上げましたように、手数料の削減、事務コストの削減とあわせまして資金の集中による効率的な資金運用、調達が行えるようになります。
このように、貿易業界のみならず、世界的な規模で事業展開を行っておりますメーカーなどにとりましても、外為取引の全面自由化は財務活動の効率化に貢献するものと期待されております。
資本取引等についてでございますが、許可・事前届け出が不要となります。対外直接投資、対外貸し付け、さらに海外市場における証券発行などを行うに当たり、従来届け出、許可取得に要していた時間が不要となり、取引の機動性が大きく改善されます。また、海外預金の設定が自由化され、日本の本店を含めた海外各拠点の預金を統合して管理することが可能となり、現預金管理の効率性の改善が期待されております。
このように、海外預金並びに証券取引を含め海外金融機関との直接取引が円滑に行われることによりまして、顧客、取引の獲得をめぐって国際的な金融機関の間の競争が進み、我が国における外為取引に付随するコストが国際的な水準に収れんしていくことが期待されております。これも対外取引を活発に行っている我が国産業界にとっては好ましい効果であると考えております。
また、取引の機動性が求められるリスク分散のためのデリバティブ取引などについても、海外金融機関との直接取引が可能となり、二十四時間、時差のないリスク管理が可能となります。
このような資本取引全般にわたる規制の撤廃により、最も低いコストで決済が行える市場に預金を置き、低コストかつ効率的に資金調達が行える市場において証券発行等による資金調達を集中し、有利に資金運用が行える市場に資金運用を集中させることが可能となってまいります。
従来、このような機能の一部は、外為法その他の規制があったために、海外に置かれた金融子会社あるいはニューヨーク、ロンドンなどの国際金融市場における支店、現地法人が担ってまいりました。しかし、外為法改正により国内市場の取引コストの削減が進み、税制その他のインフラが整えば、内外市場の格差がなくなり、問題は時差だけということになります。その結果として、内外の金融子会社、金融拠点も機能別に再編成され、必要な機能は国内に戻ってくるという効果も期待されます。
また、国内の規制を避けて海外に拠点を移された海外金融機関の中にも、昨今の制度改革の取り組みを評価し、再び我が国へ拠点を動かす動きが活発化しております。外為法改正やその他の規制緩和は、国内市場空洞化防止という効果だけではなく、新たな取引を東京に呼び込み、呼び戻す効果もあるということでございます。
これまで申し上げましたように、今回の改正を管理形態の面から見ますと、許可・事前届け出制から事後報告制への全面的な移行ということになります。このような外為制度のもとで、国際収支統計上の要請でもある報告義務を市場参加者が遵守する必要があることは論をまちません。しかし、一方で罰則を伴う義務であることから、これが新たな報告規制となり得る危険性についても御留意いただく必要があろうかと考えております。
本年一月の外為審の答申においても、報告の簡素化、合理化に努める必要がある旨がうたわれておりますが、今後の制度運営においても、この精神が尊重され、我が国の金融資本市場の国際競争力強化という改正の本来の目的が過度な報告要求によって損なわれることがないように御配慮いただくことが重要かと感じております。
次に、外為法改正におくれぬ国内金融資本市場改革の必要性について申し上げます。外為法改正は、いわゆる日本版ビッグバンのフロントランナーと言われておりますが、この後に続く国内の金融資本市場の改革が万一遅延することがあれば、それに伴う国内市場空洞化が従来以上に進行するおそれがあることはさまざまな機会に指摘されているところでございます。
それだけに、外為法改正におくれることなく、国内の銀行証券関連の法令、諸規制、会計制度、税制などを、いわゆるグローバルスタンダードに近づけるための改革を一気呵成に行う必要があると存じております。特に、税制につきましては、各方面において有価証券取引税等のあり方が議論されておりますが、税制の違いが金融資本取引に与える影響には無視できぬものがありますので、この面での国際化が特に重要なポイントであると考えております。
次に、改正外為法のもとでの自由で制約のない市場における参加者の自己責任原則について、思うところを申し上げたいと思います。
国際取引には、為替リスク、取引先の信用リスク、カントリーリスクなど、さまざまなリスクが付随して発生いたします。従来の外為法のもとでは、例えば長期延べ払い案件等のリスクを伴う取引は、外為法上の規制により、当局への事前届け出を行い、許可取得という形でチェックを受けてまいりました。今後、これらの取引が法制上は自由になることになり、各企業において、とれるリスク、とれないリスクをみずからの責任において確立する必要があります。
また、国際取引が全面的に自由化されますと、市場参加者が保有する為替リスク、信用リスクも従来以上に多様、多額になる可能性があり、このようなリスクは、今後は法に基づいた管理の中でその可否を判断されるのではなく、ディスクロージャーの徹底によって、市場の中でリスクを保有するコストが市場メカニズムを通じて決定されていくようになっていきます。
一言で申し上げますと、ディスクロージャーの徹底による市場規律に基づくコントロールを前提とした自己責任原則、これが外為法改正以降の制度的制約のない市場で求められていることと存じます。貿易・産業界といたしましても、自由のもたらすメリットのみに目を向けず、リスク管理の優劣が企業間格差に反映されやすくなることを心いたしたいと考えております。
最後に、総括的に意見を申し上げさせていただきます。
我が国の市場を、国際的な金融資本取引を行う場として魅力あるものとし、我が国の金融業を初めとする産業の国際競争力を高めるためには、他の市場と同等またはそれ以上のインフラ、サービスの提供、コスト競争力が必要でございます。
今回の外為法改正は、このような方向へ我が国が進む第一歩として、貿易業界、産業界といたしましても高く評価するものでございます。私どもといたしましても、法改正の趣旨が生きるよう、市場の規律を尊重し、自己責任の原則を自覚して日々の活動に当たる所存であります。
英国、米国の例を出すまでもなく、歴史的に見ましても、その時々の債権大国がその時代の市場規律を生み出し、それを背景に国際的な金融仲介機能を果たす競争力ある市場、競争力ある金融機関を生み出してまいりました。
今回の外為法改正に始まる金融ビッグバンにより、債権大国にふさわしい国際競争力のある市場が我が国に生まれ、また我が国金融業が成長産業としてたくましく発展すること、そして来る二十一世紀には我が国の市場が世界をリードする国際市場に発展することを祈念いたしまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/5
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006・松浦孝治
○委員長(松浦孝治君) ありがとうございました。
次に、川添参考人お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/6
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007・川添允雄
○参考人(川添允雄君) 山一証券の川添でございます。よろしくお願いいたします。
参議院大蔵委員会の諸先生方には、私ども証券業界は日ごろより大変お世話になっております。この場をおかりいたしまして厚く御礼申し上げます。
また、本日は、外国為替及び外国貿易管理法の改正という大変重要な御審議に当たり、意見を申し述べる機会を賜りましたことを重ねて厚く御礼申し上げます。
さて、本日は、今回の外為法の改正案につきまして、まず金融資本市場の最近の動き及び外為市場における証券会社の役割について御説明させていただきました後、それを踏まえまして、今回の外為法改正案に対する意見を申し述べさせていただきたいと存じます。
戦後、金融資本市場が急拡大してきたことは改めて申し上げるまでもないことですが、特に最近は情報あるいは通信技術の高度化などを背景といたしましてこの動きに拍車がかかっております。つまり、金融資本市場におきましては、ますます国境という概念がなくなり、共通のルールにのっとった競争という観点から取引の標準化が進んでおります。最近では、こうした傾向を取引のグローバル化あるいはクロスボーダー化という言葉で表現するようになってまいりました。
このような金融資本市場のグローバル化に対応いたしまして、ロンドン、ニューヨークあるいは香港、シンガポールなどがその地域でのマネーセンターを目指しておりまして、さらには世界のマネーセンターの地位をかち取ろうとして自国の金融資本市場のルールを国際的な観点から見直し、より多くの取引を呼び込む努力をしております。その結果、金融資本市場における諸制度が次第に集約あるいは整備され、いわゆるグローバルスタンダードという市場の統一ルールが確立されつつあります。優位に立った市場は、その地位をより一層強固なものにしようとし、立ちおくれた市場はそのおくれを取り戻すために自国のルールを改正するという構図になっております。
以上、金融資本市場について述べてまいりましたが、我が国の金融資本市場について簡単に触れさせていただきます。
我が国の金融資本市場は、戦後の経済発展に重要な役割を担ってまいりましたが、経済の拡大に歩調を合わせるように国際金融資本市場でも有力なメンバーとして認知され、東京市場もロンドン、ニューヨークと並ぶマーケットに成長したことは御高承のとおりでございます。
今後、我が国の金融資本市場のあり方を考えるに当たりましては、もちろん我が国独自の産業構造などから金融資本市場の位置づけを検討することも必要かとは存じますが、先ほど申し上げましたとおり、金融資本市場ではグローバル化が進んでおりますので、グローバルスタンダードから見てどうなのかという視点が今後ますます重要になってくるものと考えております。
次に、こうした金融資本市場の中で、重要な機能を果たしております外国為替市場におきまして証券会社がどのような役割を担っているかについて、簡単に御説明申し上げます。
証券会社が外国為替取引に参加する業務といたしまして、二つございます。一つは、一事業者として、つまり私ども自己の取引を行うエンドユーザーの立場で為替市場に参加しております。もう一つは、お客様の証券取引に付随して発生いたします外国為替取引につきまして、仲介業者として市場に参加しております。
顧客の証券取引に付随する外国為替取引とは、顧客の株式、つまり外国株式や外国債券の売買、あるいは本邦企業が海外で発行いたします証券の発行、募集に関連して発生する為替取引のことでございますが、証券会社は外為法により認可された指定証券会社として、顧客と市場を仲介するという立場で外為市場に参加しているわけでございます。
証券会社による外国為替の取り扱いに関しましては、これまでも規制緩和措置によりその取引範囲が順次拡大されてまいりましたが、顧客のニーズに十分こたえ切れない面が若干残されているというのも事実でございます。
例えば、私ども証券会社には海外の金融機関と直接為替の売買を行うことができないという制約もございます。証券取引がグローバル化し、二十四時間どの地域からも取引が可能になった時代に証券会社が直接海外の金融機関と為替取引ができないことは、私どもにとっても不便というばかりではございませんで、お客様の利便性という点でも支障があったと申し上げてよろしいのではないかと存じております。
以上、申し述べました金融資本市場の動向、証券会社の外為市場での役割などを踏まえまして、今回の改正案につきまして意見を述べさせていただきます。
先ほど、私は、金融資本市場ではグローバル化が進み、共通の市場ルールであるグローバルスタンダードが確立されつつあること、各国は自国の市場の活性化を目指し、いかにグローバルスタンダード化するかという課題に取り組んでいるかを申し述べましたが、改正案は、基本理念におきまして我が国金融資本市場の一層の活性化を図るとし、また具体的措置としましては、原則事後報告制度化、あるいは外国為替銀行に限られておりました外為業務の完全自由化がうたわれております。これらはグローバルスタンダードという観点、また我が国が置かれている実情という観点、いずれもの観点から見ましても、今後我が国市場の活性化を図っていく上で極めて適切なものであると考えております。
また、証券会社は、先ほど申し上げましたとおり、お客様の証券取引のグローバル化に伴いまして発生した外為取引に関する多様なニーズにこたえ切れない面がございましたが、今回の改正案では、原則フルラインでの対応が可能になりますので、お客様の利便性の向上に大きく寄与するものと考えております。
今回の改正は、既存の証券業務に関連してお客様の利便性を高めるだけではなく、新しい商品、新しいビジネスを生み出すことで飛躍的にお客様の利便性を向上させる可能性もございます。つまり、従来の外為業務の担い手である銀行に加えまして、私ども証券会社を初め異なった業種が新たに参入することによりまして、既成の概念にとらわれない商品あるいはビジネスがお客様のニーズにこたえることが可能になってくると予想されるからであります。
私ども証券会社におきましても、既存の商品に為替商品を組み合わせた商品あるいはサービスをいかに提供できるかについて真剣に取り組んでおるところでございます。
私は、二十一世紀の高齢化社会に日本経済が活力を保っていくために、我が国の金融資本市場は千二百兆円の個人金融資産を十分に活用し、資源を最適配分するという本来の役割を果たすべきであると考えております。
しかしながら、我が国はバブルの崩壊後、その後遺症が長く尾を引いたこともありまして、金融資本市場でのグローバル化に相対的におくれをとったとの評価を受けてまいりました。こうした意味でも、二〇〇一年までに東京金融資本市場をニューヨーク、ロンドン並みの国際マーケットにするという今回のビッグバン構想はまことに時宜を得たものであり、我が国の二十一世紀へ向けての不可欠な改革であると受けとめている次第でございます。
私ども証券会社といたしましても、このマーケットの一端を担う者として、我が国の金融資本市場の発展のために、日本の経済発展のために全力を尽くす所存でございますので、先生方におかれましても引き続き格段の御高配を賜るようお願い申し上げまして、私の陳述を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/7
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008・松浦孝治
○委員長(松浦孝治君) ありがとうございました。
以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/8
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009・河本英典
○河本英典君 自由民主党の河本でございます。
きょうは、参考人の皆様方、大変お忙しいところお出ましいただきまして、ありがとうございます。銀行、商社、証券会社ということで、それぞれ立場の違う民間の外国為替に業務上大変かかわりの深いところからのお話を聞かせていただいたわけでございます。衆議院の方では、銀行の方も邦銀ともう一つ外資系の銀行に来ていただいてお話を伺ったようでございますけれども、きょうはその三者にお伺いしたわけでございます。極めて模範的なといいますか、実は我々きのう六時間ばかりこの外為法の議論をしたわけでございますけれども、お話を聞かせていただいたわけでございます。
後は、我々が質問の形でいろいろお伺いするわけでございますけれども、都合の悪いことは言っていただかなくて結構ですし、知っている範囲のことを言っていただきたいし、また要望の部分は大いに言っておいていただかないと、相手は国会と役所でございますので、その辺はまた後で後悔してもらうと困りますので、よろしくお願いしたいなというふうに思うわけでございます。
今回は、資本の自由化ということでございますけれども、私も戦後生まれでございますので、そんなに長い自分の歴史は持っていないわけでございますけれども、私が子供のころに、ちょうど外車が自由化されるというので、日産の寺崎先生おられますけれども、アメリカの大資本で大変な自動車が入ってくるんだと、貿易の自由化ということをよく言われたことを私は非常に記憶しておるわけでございます。
当時大変心配されて、ビッグスリーが入ってきたら日本の自動車会社はめちゃくちゃになるんだという話であったわけでございますけれども、案ずるより産むがやすしで、もちろん大変な対応策が講じられたわけでございまして、大変な努力をされて現在のようになったわけでございます。そういった意味で、黒船が来るように未知のものに対して怖がるのは我々の一つの宿命かもしれません。
今回、資本の自由化ということでございます。お金、ドルの方も、私のまた覚えております範囲で申しますと、最初私が海外へ渡航するときの持ち出しの外貨がたしか三百ドル、もっとそれより前は知りませんけれども、三百ドルで規制されておったわけでございます。もちろん物価も違いますが、二週間も三週間も外国に行くのに三百ドルでよく行けたなというような感じが今ではするわけでございますけれども、それが千ドルになって二千ドルになって、何か今では自由になったと。海外旅行で私ども、外貨の使えるのが自由になったんで、よくそういうふうに生活に密着して認識しておるわけでございます。
このたび、外国為替の本当の自由化ということでございます。先ほどお話ししましたように、きのうからずっと議論しておりまして、もう少しやらせていただくわけでございますけれども、外為法が変わるわけでございますけれども、グローバルスタンダードなり、ニューヨーク市場、ロンドン市場に続いて、東京市場が非常におくれをとって、もう一回活性化をさせにゃいかぬ、空洞化を心配した中で今回の外為法の改正が行われようとしておるわけでございます。
私が、きょうのお三方に一番お聞きしたいなと思うのは、今回のこの改正のタイミングが果たして本当に適正であったかといいますか、タイムリーであったかということを実は聞きたいわけでございます。きのうもその議論がございまして、遅きに失したんじゃないかというお話が出たわけですけれども、大蔵省は当然そうですとは言えるはずがないわけです。
しかし、法制化というのは大変時間のかかる作業でございまして、この外為法にかかわらず世の中の動きというのは国際化なりそれから大変スピードがついておりまして、その法制化なり法の改正というのがおくれているのが今大変いろんな意味で問題になっているんではないかと思うわけでございます。そういった意味で大変関心を持っておるわけでございます。銀行は為銀中心で、ある意味じゃ経営を守っていただいた法律ですから変えるには後ろ向きだったかもしれませんけれども、先ほど模範的なお話をいただいたわけでございます。
それはそれとして、証券会社それから商社の方々、東京市場がどうなるかということを言われて久しいわけでございますけれども、タイミング的に本当にもうちょっと早く何とかしておればもうちょっと違う展開がなかったかなと、機会損失はなかったのかなということ、この一点に絞って、まず極めてアバウトな話で結構でございますので、知っている範囲、感じていらっしゃる範囲でお聞きしたいと思うわけでございます。
まず、福間参考人からお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/9
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010・福間年勝
○参考人(福間年勝君) それでは、回答させていただきます。
ベルリンの壁があいた以降、非常にグローバルな動きが激しくなって、我々も八〇年代末あるいは九〇年代の初めごろまでは日本がこれほどおくれているとは思わなかったんですけれども、ベルリンの壁があくとともに、各国内外資金の活発な交流ということにエマージングマーケットといいますか、後進国を含めまして非常に前向きになり出したということで、その辺から少しおくれ始めたのかなと。
それまでは、私先ほどもちょっと言いましたけれども、一九八〇年の為替管理法の自由化をやりましたので、理論の上では完全自由化だったわけですけれども、細かいところで許可とか届け出が残っていたということでございますが、ベルリンの壁があき、あるいはグローバルマーケットが出現することによってその辺の不便さを感じ始めたわけでございます。
それに応じながら、我々は、当然でございますけれども、日本貿易会あるいは経団連等を通じて何とか手続、報告等を簡略化していただけないかということでお願いをしてまいりました。それで、その都度ピース・バイ・ピースで改正していただいたんでございますけれども、やはり全体的な体系がやや継ぎはぎだらけになっていまして、だんだんと内外格差といいますか、規制格差が目に見えるようになってきたということがここ四、五年の動きだったと思います。
それで、特に一九九五年の円高、八十円を突破した円高という時代に、一段と国際化が加速いたしまして、海外での活動をやってみますと、いかにも本社のある日本というものが規制だらけである、あるいは手続が遅いというようなことをこれは我々貿易業界は早くから感じていたわけですけれども、我々だけでなく今では多数の中小企業も含めまして国際化されております。そういうところで、そういう声がいろんなところから上がり出したということが一つ内圧としてあったと思います。
もう一つは、東京に来ています外国銀行あるいは外国証券、この人たちが、一番大きな理由は人件費が高いとか、あるいはオフィスコストが高いとか、あるいは通信費が高いとか、こういう直接的な高コストに加えまして、やはり為替管理法に基づく規制というもので彼らの活動が制約される、あるいは会計制度がおくれているために東京では今非常に金融界の中心になっておりますデリバティブ商売がやりにくいというようなところで、だんだんと本社を東京から香港、極東本社ですね、極東のヘッドクオーターを東京から香港あるいはシンガポール、そういうところに移すようになって、東京支店を大幅に縮小してまいりました。
そういう外国金融機関が外へ出ること、あるいは日本の産業界、大小を含めて外へ出たことによる海外と国内の取引の不便さといいますか利便性といいますか、コストといいますか、そういうものに気づくことによって、これはもう全般的に見直していただいた方がいいんではないかというようなところで、我々いろんな形で要望いたしまして、たまたま大蔵省さんも同じような御認識でございまして、今からいいますと、約三年ぐらい前からこういう検討が始まって、法の形になったのが今回でございますけれども、そういうことでは決して早いとは申しませんけれども、まだ間に合うということが言えるんではないかなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/10
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011・河本英典
○河本英典君 ありがとうございます。
やはり、かなり事務的なこと、それから丁寧にやらなければいかぬということで法律を改正するのは大変なようでございます。しかし、先ほど言いましたように、大変なスピードで時代なり経済は動いておりますので、ここら辺をきっちりやるということがある意味じゃよく言われております行政改革なんですけれども、役所を減らすとかお役人の数を減らすとかいうことじゃなしに、一番大切なことはこの辺のスピードを上げることが実は本当の意味の行政改革ではないかなというふうに私は思っておるわけでございます。
それでは川添参考人、証券会社の方はまた別の立場で今回の法改正の動きというのをおとらえになっていると思うんですけれども、その辺、私の先ほどの質問に関連していかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/11
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012・川添允雄
○参考人(川添允雄君) お答えいたします。
私ども証券会社にかかわる為替業務につきましては、これまでも先ほど申し上げましたとおり段階的に順次自由化されてきておりまして、事為替のことに関しましては、比較的テンポは私どもの仕事にとってはやりやすい形で進んできていると思います。ただ、為替の問題ばかりではなくて、ほかの規制緩和とかいわゆる自由化の波というのは当初私どもが予想したよりもかなり速いピッチで進んでいるというのが実感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/12
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013・河本英典
○河本英典君 それでは室町参考人、私少し誤解しておるかもしれませんけれども、銀行はある意味では為銀ということでマイナス面が大きいのかなというふうに思っておるわけでございますけれども、大きな目でとらえていただいて、先ほどお話がございましたように、東京市場という、グローバルスタンダードを受け入れよということでございますけれども、その辺同じ質問でお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/13
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014・室町鐘緒
○参考人(室町鐘緒君) ただいまの御質問にお答えさせていただきます。
タイミングとして適当であったかどうか、これはなかなか一概に申し上げられないところかと思います。それは、外為法そのものもございますし、また同時に、東京マーケットを考えた場合に単に外為法だけの問題でもないという側面もございまして、そういう意味では一概にどうであったかということはなかなか判断が難しいところと申し上げざるを得ないと思います。
これまで戦後、最初冒頭で申し上げましたように、外為法の果たした役割というものは、当初二十四年に制定されて以来、あるいは五十五年に原則自由になって以来、大変に大きな役割を果たしてきたものと私は認識しております。その後もさらに時宜に応じまして、必要な部分だけ、まあピースミール的な解除という意見もございますが、それなりに対応をしてきたということも事実であります。同時に、その他の諸規制との関連も含めまして、確かに本来もともと東京のマーケットで取り扱われてしかるべき取引が海外にシフトしていた、これを空洞化と言えばそういったことが全くなかったかといえば、それもやはりあったかと思う次第であります。
ただ、私が申し上げたいのは、すべてが外為法というよりも、全体の法規制の中で、金融法制の中で位置づけられておりますので、最初に申し上げましたように一概にこのタイミングをというのは難しいかと思います。
さて、今のタイミングはどうかと申しますと、一九九九年にはいよいよ欧州で通貨統合が行われまして、これは場合によっては円のウエートが落ちるのではないかと、もちろんそういったことと、それから先ほどからも出ておりますように、香港、シンガポールも非常に力を入れております、将来は上海もと、こういうことになるかもわかりませんが、そういう中で、やはりここは思い切った改革に進むのがまさに必要であろうと、そういうことになったわけでございまして、結論的には私は時宜を得たものではなかったかと、こういうふうに判断する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/14
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015・河本英典
○河本英典君 ありがとうございます。
タイミングは早くはないけれども、まあいいんじゃないかということでお伺いしたわけでございますけれども、内容につきましては、これは完全自由化と思っていいと思うんです。先ほどから皆様方おっしゃっていましたように、報告義務ですか、報告のことで若干御心配されておるということと、それからそういう報告が規制になってはならないということでございますね。それから先ほど一気呵成という言葉を使われたんですけれども、一連の規制緩和をきっちりやってもらわぬと逆に空洞化が進むという話を福間参考人はされたわけでございますけれども、そのあたりにつきまして、福間参考人、何かおっしゃることがあったら言っておいていただいたらいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/15
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016・福間年勝
○参考人(福間年勝君) それでは申し上げさせてもらいます。
報告義務のところにつきましては、審議会の総合部会の場でも大蔵省の方からもとにかく実務レベルでよく打ち合わせて、過重な負担がかからないように配慮するという言葉もいただいていますので、法改正ができた暁にはそういうことの打ち合わせが行われることを我々は期待していますし、そういうぐあいになるんだろうと予想しております。
もう一つの問題の、この一気呵成の問題でございますけれども、今銀行局、証券局あるいはいろんな審議会を通じて金融ビッグバン構想でフリー、フェア、グローバルというもとでいろんな形で検討されております。先生御指摘のように、今回の外為法改正というのは実はそういう、先ほども申し上げましたけれども、諸改革を行ってこそ効果があらわれるわけでございまして、我々が一番心配しますのは、外為法はでき上がったけれども、改正は行われたけれどもほかの金融改革がおくれる、あるいは税制改革がおくれる、あるいは企業会計制度がおくれるということになりますと、かえってこれが空洞化を促進するというおそれを持っているわけでございます。各審議会において来月の末をめどにいろんな形で中間答申が出ますし、しかもそれぞれの審議会においてスケジュールが明示されると聞いております。
したがって、スケジュールさえはっきりして、しかも余り遠くでない形、特に、できれば理想的には来年の四月一日、この法が実施されるまでに行われることが一番よろしいわけでございますけれども、そういうことが行われますと、先ほども言いましたように外銀等はまた帰ってきています。東京というのは再び魅力ある市場に復活するんだと。最近は私らのところにも頻繁に海外の金融機関の会長とか頭取が来まして、本気でやるのかと、今度の金融ビッグバンは。今度は間違いないと、絶対にやるということで、彼らもやっと決断したといいますか、そういうことでございまして、今かなりオフィスを彼らは拡充してきて、あるいは人の獲得、スカウトを日本の銀行、証券から行っている動きがございます。
そういうことで、できるだけ同時にやってもらいたい、来年の四月一日同時にやってもらいたいというのがもう理想でございます。できない部分もできるだけ近未来的なスケジュールを出していただいて、あるいは我々利用者からしても、もうシンガポールとか香港とかニューヨークとかロンドンにあるこういう機能はもう東京へ持って帰ろうというような気がするようなスケジュールが出てくれば、相当この東京市場の活性化が図られるんではないかなと思っています。
といいますのは、日本企業にとりましては、やはりヘッドクオーターのある東京で業務を集中するのが実は一番効率的なわけです。というのは、人の数あるいは備えているリスク管理システム、そういうものがやはり東京が一番、当たり前ですけれども、ヘッドクオーターですから、目の届いた方法をやっているわけでございますから、できるだけ東京で集中したいというのは各企業が持っている要望でございます。
そういうことで、そういうぐあいに来年の四月一日をめどにできることはすべてやっていただいて、できないこともスケジュールを明示していただくというようなことになれば、私は金融ビッグバンというのは成功すると思いますし、先ほどちょっと申し上げましたように、大体歴史的に見ましても、英国、アメリカ、それぞれ債権大国のときに彼らはその時代の市場のあり方あるいは金融モラルというものをつくり上げたわけでございます。市場規律というものをつくり上げたわけでございます。ですから、我々はジャパニーズスタンダードが世界に通用するようなものを債権大国である日本がつくらなきゃいかぬと、そのためにはこういうものがグローバルなスタンダードであることが必要だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/16
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017・河本英典
○河本英典君 それこそ必要性というのは、市場が必要とするわけですから、国会が決めるとか役所がいつがいいとかいうことじゃなしに、市場の要求するとおりやっていくということが一番大事ではないかなと。私は、経済は生き物ですのでせいぜい稼いでもらって税金を取ったらいいという主義なので、税率を上げてたくさん取るんじゃなしに、低くしてたくさん稼いでもらって取ったらいいという考え方なので、ぜひ経済界には頑張っていただきたいなと思うわけでございます。
余り時間がないんですけれども、最後に室町参考人にお聞きします。報告義務の話に関連してなんですけれども、きのうも実は議論があったんですけれども、報告義務で、例えば送金のお話で百万円を何か一つのめどに、アメリカが一万ドルだから百万円を記録しておくというんですか、報告せにゃいかぬというような話があったんですけれども、百万円というのは多いんですか少ないんですか、実務的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/17
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018・室町鐘緒
○参考人(室町鐘緒君) 数字で申し上げるとわかりいいと思いますが、例えば私ども三和銀行の場合、外為の送金の取り扱いというのは月間八万件ございます。現在、報告を出しておりますものは五百万円以上の送金でございまして、これは一万件でございます。百万円にいたしますと二万四千件になると、こういうことでございます。したがいまして、小さくはないと、多いということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/18
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019・河本英典
○河本英典君 わかりました。ありがとうございました。
時間が来ましたので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/19
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020・岩瀬良三
○岩瀬良三君 平成会の岩瀬でございます。
きょうは、三人の参考人の皆さん、本当に貴重な話、ありがとうございました。今河本先生からもお話ありましたけれども、ダブらないような形でお聞きしたいというふうに思っておるわけでございます。
一番ポピュラーなのは、先ほどお話に出ましたけれども、千二百兆円の資産があると、これが流出するんじゃないかという、こういう心配をみんなされておるわけです。ただ、きのう来の大蔵省の榊原局長のお話を聞くと、リスクがあるからそれほどでもないんじゃないかと、こういうことなんですが、大蔵省の立場ということからすれば、出ますよとはこれは言えないと思うんです。皆さん、それぞれ業界のトップクラスの方でございますので、そういう意味で、実態的には感覚としてどんな方に資金の流れがなっていくんだろうと、そういうふうに思うんですね。そこら辺のところを三人の皆さんにお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/20
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021・室町鐘緒
○参考人(室町鐘緒君) ただいまの御質問にお答えさせていただきます。
個人資産千二百兆円というお話でございますが、確かにこのうちどの程度が海外に流出するかということにつきましては大変予想するのは困難でございます。といいますのも、やはり内外の金利差の問題とかあるいは為替相場の動向とかに密接に関係いたしますので、今申し上げましたように、一概にこれをこのぐらいだと言うのはとても私どもでもできることではないということをまずお断りしなければならぬと思います。
この千二百兆円も、しかし内訳をいろいろ見てみますと、やはりその中には保険でありますとかあるいは現金、流動資金であるとか、こういったものもかなりのウエートを占めておりまして、こういうものはなかなか簡単には流出しがたいだろうと。それから、貯蓄の動機でも、いろいろアンケートをとってみますと、万一への備えだとかあるいは老後への蓄えだとか等々ございまして、なかなかこれも為替リスクをとるのにはなじまないものであろうと、こういうふうに考えるところが多うございます。したがいまして、結論的に言いますと、そんなに急激な流出というのは起こらないのではないだろうかと、私はこんなふうに考えるわけであります。
ただ、そうはいいましても、やはり有利なものを求めてお客様のニーズも多様化しておる環境でございますので、全く起こらないとは言えないわけでございますが、その点は、先ほど最初に申し上げましたように、どの程度というのがなかなか難しいということでお話をさせていただかざるを得ないと思います。
私ども金融機関としましては、これ大変関心の深いところでございまして、例えば海外に流出するとすればその預金に対してどういうふうに対応していくのか、あるいははたまた国内でもっとよい商品、サービスなどを提供してこれに対抗していくのか、こういったところが関心のあるところでございまして、この辺は精いっぱい努力して、いわゆる新しいサービス、商品の供給に努めてまいりたいと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/21
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022・福間年勝
○参考人(福間年勝君) この問題、当社は商社でございまして、また産業界の代表という立場で意見を言わせてもらいますと、銀行、証券が個人資産の預託を受けておやりになっていますので、特に流出が拡大するかどうかということは業界としての意見はちょっとあれでございますから、個人的に申し上げれば、今室町参考人がおっしゃいましたように、やはりリスクとリターンという、リスクがあるものに対してそれほど多く出ていくこともございませんし、もう随分、先ほども言いました一九八〇年以降海外に出ている資金もございます。むしろ、出る金もあるけれども返ってくる金もあるというような形で、流出入が大きくなるということで、流出面だけを恐れることはないんだと。むしろ、そういう取引を東京で行うことが金融ビッグバンの一番重要なポイントではないかなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/22
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023・川添允雄
○参考人(川添允雄君) 千二百兆のお金につきましては、私ども今外国債券を個人のお客様に販売しておりまして、多分、去年おととし、この二年間で十兆円を超えるお金が外債の投資に向かったというふうに思っております。ただし、もう為替で利益が確保できたというので、その十兆がそのまま残高として残っているかというのは、ちょっと統計等もございませんのでわかりません。
先ほど、河本先生がおっしゃいましたように、基本的にはマーケット、国内の金利が物すごく低いからお客様方が何とか少しでも利回りのいい方に運用しようというような状況で起きているんだろうと思います。したがいまして、外為法を改正したから流出するとかということじゃなくて、やはりマーケットの位置とかそういうことによって決まってくるんじゃないかなという感じがいたします。
それから、先ほど申し上げました十兆円を超えるであろう外債投資は、確かに外債では持っておりますけれども、お金が日本から外へ出ちゃった、完全に出ちゃったという理解ともちょっと違うかなと思いますので、そういう意味では、これから直接国内のお客様が海外の金融機関に預金ができるとかあるいは証券取引ができるというような事態になりますと、外国のいわゆる業者がどのように活発に国内でそういう営業展開をするかどうか、そちらの方にもかかってくるんではないかという感じがいたします。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/23
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024・岩瀬良三
○岩瀬良三君 それから、先ほどお二方から一気呵成にというようなお話がありましたし、またその話もあったわけでございますけれども、その話の中でまた拠点が動いてくるというようなうれしいお話もあったわけでございます。だけれども、これはそれぞれの企業活動ということで来ておられると思うので、やはり税なら税の安いところ、手続の簡単なところというのがやはり一番の原則だろうと思うんです。
そういうことでいくと、一気呵成の中にいろんなシステム、諸制度ということは今お話ありましたんですけれども、それとあわせて皆さんのそれぞれのところでこういう点を早くやるべきだということ、この法律がもし可決になった場合に来年の四月から施行になるわけですけれども、それ以前にやっておかなきゃならないというようなものもあるのかもしれませんですね。
そういう点で実感的に見て、手続面でも結構ですし税の面でも結構ですし、何かそういう点で早く整備すべき、またそれと一緒に整備すべきだというような点がございましたら、それぞれまた皆さんからお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/24
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025・川添允雄
○参考人(川添允雄君) やはり、私ども一番常日ごろから要望しておりますのがいわゆる有価証券取引税の撤廃が中心だと思います。もちろん、取引税のほかに取引所税とか、あるいは資産課税というと先生の中にもあれされる方がいらっしゃるかもしれませんけれども。要するに、私どもが一番期待したいのは、そういう税制あるいは取引の制度、慣行、こういったものがやっぱりグローバルになっていただくというのが我々競争する者にとって公平であろうかということでございますので、その辺を一緒に整備していただくというのが我々の要望として一番大きいのではないかというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/25
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026・福間年勝
○参考人(福間年勝君) 先ほども申し上げましたけれども、やはり税が一番大きいかなと思っております。というのは、非常に金というのはコストを意識いたしますので、そういう面で有価証券取引税とか、あるいは証券に絡む、あるいは金融に絡む税制が一致しておりませんとやはり東京に集中してこない、あるいは帰ってこないということが一番重要じゃないかなと思っております。
それに付随しまして、きょうはそういう場ではございませんけれども、例えばいろんな手数料体系の自由化とかそういうことも必要なことだろうと思いますし、あるいは企業にとりましても、先ほども申しましたが、わかりやすい透明性の高いディスクロージャーをやっていかないと、どうも日本の企業のディスクロージャーは後からぽんと大きなロスが出てくるというようなことになりますので、そういう会計制度もある程度国際的に通用するものにする必要もあるんじゃないかなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/26
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027・室町鐘緒
○参考人(室町鐘緒君) 一気呵成にということは、いわゆるこれがすべての改革がある程度歩調を合わせて進んでまいりませんと、どこかが変わればまた新たなひずみが発生する、そういうようなことから私どもは特に全体が歩調を合わせて早くと、こういうことをお願いしているわけでございます。同時に、最近の金融情報技術の進歩とか、あるいは先ほどから話題に出ておりますマーケット間の競争のさらなる激化とか、あるいはお客様のニーズの高まりとか、そういうことを考えますと、我々が一気呵成にと言っている以上に実は市場が催促しておのずからタイミングを早めざるを得ないんじゃないか、こういうふうに我々も観測しておる次第であります。
それから、ひずみと申しますのは、やはりどこかに業者の自由度が阻害されておるとか、あるいはどこかでコストが高いとか、そういったことがそのひずみの具体的な現象としてあらわれると思いますので、そういう意味でどれを優先と言われると大変難しいところでございますが、できるものから早く、それから少なくともスケジュール化をして、かつて銀行界も金利の自由化をスケジュールに乗せてやってまいりましたけれども、そういったことが必要ではないかと、そんなふうにお願いする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/27
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028・岩瀬良三
○岩瀬良三君 それじゃ、個々の参考人の皆さんにお聞きしたいと思います。
初めに室町参考人にお願いしたいんですが、いろんな銀行の格付があるんですけれども、邦銀の方が何か最近下がってきているわけですね。そういう中でこういうオープンマーケットになっていくといった場合に、日本の銀行の競争力、もちろん耐えられるわけですけれども、影響するところもかなりあるんじゃないかと思うんですけれども、そういう点はどうでしょうか。参考人のところは大きな銀行ですけれども、銀行でもいろんな形態の銀行があるわけなんで、そこら辺も含めてお考えを聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/28
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029・室町鐘緒
○参考人(室町鐘緒君) 御質問の点が、この外為法改正あるいはビッグバンの進行と今の銀行の格付の問題、この辺になろうかと思いますが、私は、こういった外為法改正を初めとして、これからスタートします日本版ビッグバンというものはむしろ東京市場を活性化させるとか、あるいは銀行の経営の選択肢をさらに広げていくとか、そういった面で必ずや銀行経営自体にとってもプラスになってくる、こういうふうに考える次第であります。
もちろん、格付の低下というものがそれなりにマーケットで銀行の業務に影響することは当然でありますけれども、これは例えば不良債権問題等ありましたが、これはこれで早期な処理が必要でございますが、しかし、全体としてこの改革の流れというものは銀行界を浮上させる、そして例えばロンドンなどの例で見ますと、やはりビッグバンによりまして金融業の産業に占めるウエートというのが、もちろんイギリスの特有な産業構造もあるわけでございますが、非常に高くなっておりまして、恐らく私の記憶では全体GDPに占める割合も二割ぐらいに達しておるであろうと、我が国の場合は五%以下だという記憶でございますが、そういった意味で全体産業の強化が図られる、また図っていかなければならない、そんなふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/29
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030・岩瀬良三
○岩瀬良三君 いわゆる国際競争力と、それから国内での銀行間の競争というんですか、イギリスの方のビッグバンは確かに活気を取り戻したけれども、経営の方はよその方へ行ってしまったというようなこともあるわけなんですけれども、日本の銀行がそれに耐えられるのかどうかというような点なんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/30
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031・室町鐘緒
○参考人(室町鐘緒君) ビッグバンによりまして業際の問題それから商品規制の問題、こういったものが自由化されてくる、あるいは外為法によってこれも自由化されてくるということになりますと、先ほども御説明申し上げましたが、やはり銀行にとりましてはいろんな選択肢が可能になってくる、こういうことではないかと思います。
したがいまして、例えばいわゆる銀行によりましては特定の分野に特化していく、つまり自分の個性化を図っていくとか、あるいはすみ分けをしていくとか、そういう形で中小であれば大銀行にできない分野のサービスを強化していく、そういった形で私は経営の選択肢が広がるという意味で、個別の企業の、銀行の努力の問題でございますが、そういうことが可能になっていくというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/31
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032・岩瀬良三
○岩瀬良三君 それじゃ、福間参考人にお聞きします。
商事会社というのは、大体はこれ企業とのおつき合いだろうと思うんですけれども、そういう中で、新しいこういう形に、オープンマーケットになっていった場合に、個人も参加することが非常にしやすくなるというようなことなんですけれども、商事会社の形態として変化していくのかどうかなんです。と申しますのは、私、前にちょっといろんな施設の、大したものじゃないんですけれども、簡単な彫刻など、これは個人じゃなくて公共のあれで入れたときがあるんですけれどもね、会社にお願いしていさましたらなかなからちが明かないんですね。年度が終わりそうになつちゃうわけです。それで、しょうがなくてある商事会社に頼みましたら、それがぱぱっといったんですよね。そこら辺の非常にノウハウを商事会社は持っておられるわけですね、そういういろんな物の輸入とか、これは輸出の場合もあるんでしょうが。そうなってくると、いろいろ外国の物を買うとか持っていくとかいうことについて非常な威力を発揮するんじゃないかと思うんですけれども、そういう会社の形態が変わっていくのかなというふうにも思うんですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/32
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033・福間年勝
○参考人(福間年勝君) 外為法の改正によりまして、我々といたしましては、輸出入貿易、三国間取引、資源開発あるいはプラントの販売、こういう本来の業務を行うに当たりましてより以上に機動性が発揮できるということと、先ほども申し上げましたように、金融機関からのサービス競争といいますかサービス料が安くなるということで、商売がやりやすくなるということ、さらに言えば今度は、これは金融機関も同じでございますけれども、こういう自由化の時代ということは、結局は何々商社がこうやっているからうちもこうやるとか、あるいはだれがこうやっているからおれもこうやるとかいうように横並びじゃなくて、自由をもらうということは、そこに独創性といいますか知恵を入れた創造性がないと、これは商売がみんな同じことをやっちゃうとこれではもうからないということになるわけでございまして、今度の外為法の改正というのも、そういう観点から我々は本来の持っている業務の方で活用したいというのが第一点でございます。
第二点は、さっきも申し上げましたけれども、内外の資金決済が国内で行っているのと全く同じような方式でできるということで、マルチネッティング方式と言いますけれども、要するに相殺して一括集中管理ができるというようなことで、海外店にむだな金があるのを効率的に東京に集めるとかというようなことで、我々キャッシュマネジメントと言っていますけれども、そういう現金管理が非常に効率的に行われるということが、これは財務管理上のメリットであります。これが第二番目でございます。
第三番目は、さっきも申し上げましたけれども、よく話題になるんですけれども、商社というのは先生御指摘のように物の輸出入取引を長年やっておりますので、外国為替というのはその物の決済という裏が、付随する業務として銀行に続いて古くからやっている業務でございます。したがって、それのノウハウを、為銀主義がなくなることによって一般の不特定多数の人を相手にやる業に転換するかどうかという点でございますけれども、実はこれは海外の銀行を見ましても、実は為替業務というのは余りもうからないんですね。それでだんだん寡占化が続いておる。例えばニューヨークでも、主要の銀行、本当に外国為替を専門的に集中的に扱ってくるのがだんだん減っております。というのは、先ほどから言っていますように、ほかの銀行に勝たなきゃいかぬということは、要するに商品の開発競争が行われる、それには膨大な資金と開発費と優秀な人材を持っておることに加えまして優秀なトレーダーを備えなきゃいかぬというようなことで、だれでもできる業務じゃないという業務にだんだん変わってきています。
東京の中でも、実は同じようなことがございまして、今までですとみんな外為業務をやっておったわけですけれども、最近は銀行によっては、うちはもう外為業務は要りません、余りもうからないし、人件費もかかるし、もう要りませんというような銀行も出るような状態でございます。したがって、我々が本来の、先ほどから言いましたような、自分らの業を展開する上での外為法の改正に伴ういろんなメリットは本業の方に生かしたいと思っていますけれども、不特定多数の方々のために外国為替業務をやるというのは、これはもちはもち屋に任せということじゃございませんけれども、うちとしても多大な投資も要りますし、将来、未来永劫にやらないかと言われれば、これは場合によってはそういう時代が来るかもしれませんけれども、当面、我々としてはそういう業務は投下資本に対してリターンが少ない業務ではないかなというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/33
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034・岩瀬良三
○岩瀬良三君 それでは、川添参考人にお願いします。
今、国民、庶民といいますか、低金利で非常に悩んでいるわけですけれども、そこで、外国のいろんな投資物が今盛んになっているわけですけれども、一方、リスクが伴うわけなんでございます。このリスクを計算に入れて、リスクがないような形で一般の人が投資できる、そういうものが多く広まっていくんでしょうか。リスクはやはり自分で考えるんだよと、こういうことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/34
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035・川添允雄
○参考人(川添允雄君) 大変難しい御質問です。私は、基本的にリスクのないものはリターンがそれだけ少ないか、あるいはないかということになるんだろうと思います。例えば今、日本で一年の定期預金といったら多分〇・五とかそのぐらいの金利しかつかない、しかしほとんどリスクはございません。外国債券、今私ども盛んにお客様にお勧めしていますけれども、これは確かに為替のリスクは物すごくあります。それから価格変動リスクも債券にはございますから、もし途中でお売りになろうとすれば、それはまたリスクがあります。
例えば、お国が発行しております国債にしましても、満期まで持てば必ず額面で返ってきますけれども、もし途中でお金が必要で換金なされば、そのときの金利の水準によって損益がずれるということはございます。為替のリスクをなるべく極小化するという方法もないではございませんけれども、それでもやはりリスクは必ずあります。ですから、結局は、お客様にリスク、リターンをよく説明して御納得いただいた上で買っていただくというのが私どもの業務の基本ではないかというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/35
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036・鈴木和美
○鈴木和美君 私は、社民党の鈴木和美でございます。きょうはお三人の参考人の御出席、本当にありがとうございます。
さて、私は、御三方にまず基本的なことについてお尋ねしたいと思います。基本的と言うとちょっと格好がいいんですけれども、私、素人でございますから、皆さん方の専門家から見た東京市場の認識についてお伺いしたいと思うんです。
皆さん御案内のとおり、東京市場の認識についてある意地悪の報道から見ると、東京市場も外資系金融機関の貸し座敷になるのではないかというような論評がありますね。それから一方では、貸し座敷なら貸し座敷でいいじゃないかと。それでもうかるなら日本経済もプラスになるんだからそれでもいいじゃないか、こういう意見もあるように聞いています。
先ほどからお話が出ておりますように、税制とか会計制度がグローバルスタンダードに適合しない現状のままでは、東京市場は外資系の金融機関の貸し座敷にすらならないと。本当にこれは非常に厳しい指摘だと思うんですよ。同時に、東京市場の取引そのものが海外に流出し、我が国金融機関は淘汰され、海外の金融機関も東京には入ってこない、こういうような最悪な論評をしている方がおいでになるわけでございますが、御三方の東京市場に対する認識についてまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/36
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037・松浦孝治
○委員長(松浦孝治君) それでは、一番関係の深い川添参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/37
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038・川添允雄
○参考人(川添允雄君) 先生の御質問大変難しくて、どういうふうにお答えしていいかちょっと困っておりますんですけれども。
おっしゃられるように、東京市場が栄えても、例えば業者がいなくなるとか、以前にイギリスがそうなったと言われておりますけれども、そういうことも全くないとは申せないとは思います。だからといって、ビッグバンをやらないというわけにもまたいかない。私何年か前に、ここの先生方の中にも弁護士の御資格をお持ちの方がいらっしゃると思いますけれども、国内の先生にお聞きしましたら、そのころ、ちょうどバブルのころでしたけれども、海外の弁護士先生が日本で随分仕事を持っておられたけれども、バブル崩壊後日本から大分引き揚げたというふうに伺ったことがあります。やはり東京マーケットが活性化しなくなってから、そういうことが起きなくなったのかどうかわかりませんけれども。
御質問の東京市場の認識ですけれども、やはり私は東京市場が活性化するためには、先ほど来申し上げておりますように、今回の法案の改正等ひっくるめましていろんな規制が緩和されていかないとまず残れないんじゃないか。たまたま私の友人でアメリカでコンサルタントをやっているのがおって時々来てお話を聞きますけれども、基本的にアメリカは、日本が日本的なものを残そうとすれば結局日本をスキップしちやっと。ですから、先ほどの海外の弁護士さんがいなくなったというのも多分そういう不自由さが目についたか、一時我々の外国の証券会社が、取引所の会員をいっぱいラッシュしてとりましたけれども、随分撤退しました。先ほど来お話が出ていますように、また最近復活してきている、こういう動きがあります。
ですから、東京市場がもうどうなってもいいと考えれば別ですけれども、やはり私どもは東京市場というのは世界に冠たるマーケットであってほしいと思っておりますので、何とか規制を緩和して魅力あるマーケットにしたいというのが個人的な考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/38
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039・室町鐘緒
○参考人(室町鐘緒君) お答え申し上げます。
東京市場をどう見るか、貸し座敷としても成り立つのかと、こういうものが第一点かと思います。私もロンドンで勤務したことがございますが、ロンドンが貸し座敷として非常に栄えたということは、一つは業務の自由度が非常に高いということであります。それからもう一つは、やはり競争によってコストが低いということ。それから三つ目は、言語を含む人材が豊富である。例えば人材と申しますと、金融に携わる人材というのは、単に銀行、証券、保険だけではなく、それに対する法律家それから会計士、これも全部ひっくるめたものでございますが、ロンドンは八十万人から百万人のそういった金融関係人材がいると、こう言わ肥れております。
こういった点を一つずつ比較しまして、さて東京はどうかということでは、まだまだ自由度の問題、コストの問題、人材の問題、大いに改善すべき余地はあると思います。私は、ビッグバンがそういったものを変えていく一つのきっかけになればと願っているわけでございます。
それから、日本の銀行は消えてしまうのかと。私ども決してそれを望んでおりませんし、そのために全力を挙げるわけでございますが、御案内かと思いますが、例えば日本とロンドンを比較しますと、イギリスの場合は個人金融資産というのは三百五十から四百兆ぐらいのものでございます。これに対して日本は千二百兆。ちなみにアメリカは二千六百兆と言われますけれども、その他ドイツ、フランスでも三百から四百までの間でございます。つまり、日本にはこれだけの多くのカスタマー、お客様の基盤がございます。やはり日本の金融機関の強さというのはそこにもあるということを私は信じておる次第でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/39
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040・福間年勝
○参考人(福間年勝君) 東京市場の認識、貸し座敷、人によってはウィンブルドン方式かというようなことが言われていますけれども、今室町さんがおっしゃいましたように、各金融機関が業務を自由化して、金融業がさらに発展できるような業務規制の緩和が行われて、それぞれの銀行さんがみんな、先ほども言いました横並びじゃなくて、おれの銀行はこれをやるんだと、それぞれ特色を持ったことをやればまだまだやはり外国の銀行に負けないものを持っていると思います。
御承知のように、日本の金融機関、証券会社を含めましてエリート集団でございます。だから、決して私は人材で負けているとは思いません。問題は、やはり業務の規制とかあるいは税制の問題とか、外為法もそうですけれども、そういうインフラ整備をやればまだまだそんなに貸し座敷になることもないんではないかなと思っています。
貸し座敷にもならないんではないかなということもおっしゃいましたけれども、確かにそのリスクはございます。そういうリスクがあるからこそ、今回、昨年十一月十一日でございましたか、橋本総理のビッグバン構想というのが出たんだと思います。これをやらないと本当に貸し座敷にもならないと、日本の金融業あるいは産業界も衰退していくという危機意識からまさに出たものと思います。
したがって、今回御審議いただいているこの外為法というのが、そういう金融ビッグバンのフロントランナーとして非常に重要な意義があるのではないかなと思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/40
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041・鈴木和美
○鈴木和美君 室町参考人にお尋ねいたします。ちょっと変な話で恐縮ですが、金融界の不良債権という問題がずっとあるわけでございますけれども、この処理が済まないうちに外為法改正が行われまして、我が金融機関の体質がまだ弱いんじゃないかというような、外資系から見たときに、不良債権が済まないうちにこういうことになれば、当然嫌われちゃって外に逃げちゃうというようなことが考えられるわけでございますが、銀行協会の不良債権の処理の現状というのは、適切な質問でないかもしれませんけれども、御認識をちょっとお聞かせいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/41
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042・室町鐘緒
○参考人(室町鐘緒君) お答え申し上げます。
私ども、不良債権の処理は一刻も早く速やかに解決したいということで、これまでも何をおいても最優先として対応してまいったわけでございますが、不幸にして地価の下落もその後続いておりまして、そういったことから皆様に大変御心配をかけておりまして、まことにその点は申しわけないと思っております。
今後とも引き続き、この早期解決といいますか、これについてはもう全力で取り組んでまいりたいというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/42
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043・鈴木和美
○鈴木和美君 福間参考人にまたお尋ねしますが、この外為制度の自由化に伴いまして、今度は商社などが新たな外為取引の担い手となることになるんだろうと私は思うんです。そのとき、多少意見を聞いておりますと、経営内容の情報開示が不十分じゃないのかというような意見がたまたま私のところに寄せられているんですが、これに対してはどういう御見解をお持ちでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/43
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044・福間年勝
○参考人(福間年勝君) お答えいたします。
今度の外為法の改正によりまして、商社に限らず産業界も新たな担い手として登場することはできるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、為替業務というのは相当な装置産業でございまして、利用者として利用するのは非常に簡単なんですけれども、それを業としてやるには知恵と設備と人材が要るということで、商社によってはあるいは違ったお考えをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんけれども、当社に関しましては直ちに不特定多数を相手にする担い手ということには、繰り返しになりますけれども、どうも投資効率が悪い業種ではないかなと。むしろ、我々本来のプラント輸出入とか資源開発とか、あるいは情報産業とか、そういうところに資源配分をやった方がもうかるんではないかなと。ただ、先ほども申し上げましたけれども、未来永劫にやらないというわけじゃなくて、そこにビジネスチャンスがあれば積極果敢に出ていきたいとは思っております。
先生御指摘の、非常に重要なポイントでございますディスクロージャーの問題。これはもう本当に、担い手になるからには信頼性を得なきゃいかぬということで、その一つのメルクマールが恐らく格付会社の格付だと思います。格付会社の格付をいいものをとろうと思いますと、もちろんいい会社にならなきゃいかぬということと、もう一つはいいことも悪いこともディスクローズするということ、それと会計制度そのものも国際的なものにする必要があるということと、やはり日本がややおくれていますけれども、時価に比べての、時価情報といいますか時価会計といいますか、そういうものがややおくれているというもので、今大蔵省を初めいろいろ会計審議会等で、あるいはデリバティブ専門委員会等で検討されていますけれども、そういうオンバランス、バランスシートに載っているもの、あるいはバランスシートに載ってないオフバランスといいますか、そういうものの損益開示というものが行われませんと、なかなか今度は利用者の方がこの担い手はちょっと怪しいと、格付が悪いからやっぱりやめておこうということになりますので、先生御指摘のように、ディスクロージャーの適切な処理が行われることが担い手になる重要な要件だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/44
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045・鈴木和美
○鈴木和美君 ありがとうございます。
最後に川添参考人にお尋ねしますが、先ほどお話がありましたのである程度わかりましたけれども、いわゆる英国の状況を見ますと、英国のビッグバンというのは証券取引所の固定手数料の廃止とか、それから銀行などの会員外への資本参加容認などの大改革が行われたと思うんです。それで確かに活性はしたんだけれども、反面非常に厳しい業界の再編成が私は行われてきたと思うんです。そうやって見ますと、さて我が国はこのビッグバン構想はいいんだけれども、先ほど岩瀬先生からも御質問がありましたが、証券業界全体としては大体持ち直すのか、持ちこたえられるのか、その辺のところの展望についてお聞かせいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/45
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046・川添允雄
○参考人(川添允雄君) 持ちこたえられるかどうかというのは、私も正直言いまして余り自信がございません。これは、もう私の個人的な考え方としてお聞きいただきたいと思います。
私どもでは、例えば手数料が自由化になるということが、これまで逐次自由化になってきておりまして、多分近々かなりの程度自由化になっちゃうのかなと思っております。そういうことをこれまでも逐次やってきておりますので、証券会社の中にはやはりいろんな特色を出そう、先ほど銀行の方もおっしゃられていましたですけれども、例えば東南アジアの株に特色を持つような証券会社になってみようかとか、あるいは取引所に上場している大会社は余り得意じゃないからむしろ、我々店頭取引と言っておりますけれども、店頭取引の対象になるようなベンチャーとかあるいはベンチャーよりちょっと大きくなったような会社、そういう比較的規模の小さい会社を専門的にやってみようかとかいう証券会社もいらっしゃいます。
したがいまして、このビッグバンで証券会社が生き残れるかどうかということは、各社ともそれぞれに非常に熱心にお考えになっていらっしゃいまして、アメリカがどうだったかというようなこともこれまで何回も見学といいますか視察に行かれたりして、それはもう非常に深刻に受けとめて、これからの対応を何とか地域特性を持つような証券会社にするとか、いろいろ考えていらっしゃるというのが実情だと思います。
耐えられるかどうかというのは非常に、みんな耐えなきゃならぬと思って一生懸命やっている最中ではないかと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/46
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047・鈴木和美
○鈴木和美君 どうもありがとうございます。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/47
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048・千葉景子
○千葉景子君 民主党の千葉景子でございます。
きょうは御三名の参考人の皆さんに大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。とりわけ、私などは全くこういう問題には素人と言っても過言ではございませんので、いろいろなお話を聞かせていただきまして大変勉強させていただいているところでございます。
さて、外為法の改正というのが金融ビッグバンのフロントランナーという位置づけがなされているということでございます。ただ正直言いまして、これによって日本の千二百兆と言われるような個人金融資産が外国へ流出していくのではないか、こういうような懸念も出されておりますし、それから日本の企業などが生き残れていくのか、こういう懸念なども示されているところでございます。そう考えますと、本当に外為法の改正というのがなぜフロントランナーなんだろうということが私もよくわかりませんで、いろいろな条件整備の上でむしろアンカーとして登場するというのがひょっとしたら普通考えられる筋なのかなということも考えたりするわけでございます。
そういう意味で、外為法改正が金融ビッグバンのフロントランナーとして本当にどんな意味を持っているのか、あるいはそれぞれ参考人の専門的なお立場から見て、これはフロントランナーとして先に走り出すべき問題であったのかどうか、その辺についてそれぞれお考えがございましたら、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/48
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049・室町鐘緒
○参考人(室町鐘緒君) 数々の金融法制の中でこれがフロントランナーに最もふさわしいからということであったのかどうか、実は私はそれはちょっと正直申し上げましてわからないところでございます。むしろ私は、結果論として最初の、幾つかの金融法制、今後いろいろ日本版ビッグバンが起こっていく中で最初に取り上げられたと。結果論としてのフロントランナーであったんではないかなというふうに理解しております。
あえて考えれば、やはりしょせん国際競争力の問題でございますから、そういう意味ではあるいはふさわしい法律で、国際競争場裏で競争していく上でまずこれをというのがふさわしかったという判断がどこかにあったかもわかりません。これは、私も、本当に申しわけありませんが存じ上げておらないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/49
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050・福間年勝
○参考人(福間年勝君) お答えさせていただきます。
フロントランナーという位置づけというのは、実は先ほども申し上げましたけれども、空洞化ということが既に起きている。しかもそれがだんだん大きくなってきている。といいますのは、わざわざ取引を外に、先ほども言いましたように我々の場合でも日本に外為があるために、あるいは会計制度が違うために、あるいは税制が違うために外でやらざるを得ないような取引がどうしても出てくる。銀行の場合も同じようなことですし、証券取引につきましても証券取引税がある、あるいは手数料があるということで、わざわざロンドン経由で行われているというのは今や非常に明らかになってきているようなことなんです。むしろ、こういう忍び寄る空洞化を防ぐために内外を一体化して空洞化をとめ、むしろ外に出ている取引を日本に取り戻すんだ、あるいは外に出ていった外国金融機関にもう一度東京市場を見直させるんだということで行われていることだと思います。
それで、外為法というのがなぜフロントランナーかといいますと、内外を遮断するのは外為法でございます。先ほども言いましたように、一九八〇年代、大幅な改正が行われましたから、さほど理念の面では違いはないんですけれども、届け出とか許可とかというものがありますとどうしても金というのは嫌っちゃうんです。それで、できるだけコストの安くて手続の簡単な利便性のあるマーケットを使いたいということで空洞化が起きている。それで、その遮断をなくしてしまえば、逆に言ったら国内の市場を海外並みに整備することによって、先ほども言いましたように、外から帰ってくる、あるいは日本の千二百兆も外で運用するんじゃなくて、たとえ外貨で運用するとしても東京の中で外貨で運用する。わざわざロンドンへ持っていったり、ニューヨークへ持っていったり、シンガポールへ持っていく必要はないという形になる。そういう意味で、私はフロントランナーというぐあいに理解しております。
そういう面で、非常に今回の外為法の改正が意義の大きな、これしか今選択肢がない、これをやらなかったら内外の同一化というのは図れない、いつまでも忍び寄る空洞化が絶えず東京市場を脅かしている。こういうところは早く遮断することが必要だということだと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/50
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051・川添允雄
○参考人(川添允雄君) 私も、なぜフロントランナーかということはちょっとよくわからないんです。アンカーでもいいんじゃないかと言われればあるいはそうなのかもしれませんけれども、ただ先ほども申し上げましたとおり、私どもの証券業務にとりましてはもう既に順々に自由化されておりましたので、比較的外為が全面的に自由化になった場合の影響というのが、どちらかというと私どもにとってはマイナスの影響があろうかなと思いますけれども、非常に受け入れられやすいという感じがいたします。ただ、アンカーかフロントランナーかというのはちょっとわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/51
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052・千葉景子
○千葉景子君 ありがとうございます。
さて、いろいろなお話をお聞きしながら、この外為法の改正によって、私などは全く個人の、銀行なども一預金者であったりあるいは余り投資もできる立場にございませんので投資家とも言えませんけれども、個人の預金者あるいは投資家などにとって、この外為法の改正がどういう影響をもたらすのかということを、ぜひお聞きしたいというふうに思います。
この改正によって、どんなことがこれまでと違ってくるのかという例で、町の中で外貨を両替することができるようになるのだという例が挙げられたり、あるいはまた、最近ふえておりますけれども個人輸入のようなものが外国に預金を置いて決済ができるようになるというようなことなどもよく挙げられまして、そのあたりは個人の生活とも直結をする部分もあり、わかりやすいところでございますけれども、外為法といっても、個人の生活にどういう影響が出てくるのかということがなかなかわかりにくい部分が多いかというふうに思います。
銀行の業務が、外為法が改正になって個人の預金者に対してどういう変化が起こってくるのか、あるいは新しい個人還元がどういう形でできるのか。これは証券の場合でもそうだと思いますし、なかなか商社の仕事では明確にそういうものが出てこないのかなという感じもいたしますけれども、やはり非常に迅速な決済などができやすくなってくるということによって、価格の面とかあるいはサービスの面などでやはりこれも違いが出てくるんではないかというふうに思いますけれども、それぞれの業務の関係から個人に対して、この改正によってどういう変化が出てくるのか、その辺わかりやすい例などがございましたら、御説明いただければ幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/52
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053・室町鐘緒
○参考人(室町鐘緒君) お答え申し上げます。
私も冒頭のお話で申し上げましたんですが、例えばコンビニで両替ができるとか、あるいは日本でもドルショップができて外貨で物が買えるとか、こういうことを申し上げたわけでございますが、同時に、基本的にはまずそういった対外決済が自由化されるということでございますので、やはり一番大きいのは海外預金が開ける、それは限度なく開けると。それを通じて、これも通信販売と言われればそれまででございますが、通信販売の決済ができるとか、常時アメリカから何か書籍でも取り寄せる方はそういうものを開いておいてそこで小切手さえ切ればいいとか、そういったたぐいの話でございます。それから、通信販売の海外からの買い付けができるとかそういったことでございますが、同時に、その口座からほかの投資、これは債券とかになるかもわかりませんが、そういったことができるとか、そういうことが一つあると思います。
これについては、私ども銀行も海外の支店や現地法人を使って、現在、具体的にそれじゃこれはどうやってどういうふうにやるんだと言われると私もちょっと持ち合わせておりませんけれども、今後そういった需要を開拓していくということが銀行の側としてはあろうかと思います。
それからもう一つは、これは直接的ではないかもしれませんが、為銀主義が撤廃されると。つまり、いろんなバックグラウンドとかノウハウを持った業者が入ってこられると。福間さんは、我々すぐ銀行業をやるつもりはないよとおっしゃいましたけれども、しかしこれはいろいろな形が出てこられるだろうと。例えば両替一つでも非常に特色あるサービスを持って、例えば商社でも、銀行と同じことをやったら確かにインフラとかいろいろな問題があるけれども、しかし特色のある分野だけでやれば、ひょっとしたらニッチといいますかブティックといいますか、そういうことは可能かもわからぬ。そうすると、そういう分野ではやはり競争が起こるだろう、競争が起これば商品の工夫ができるだろう、あるいは場合によっては有利な運用になったりあるいはコストが安くなったりそういうことができるであろう、こういったことが為銀主義の廃止による、若干間接的かもわかりませんが消費者への恩恵として返ってくる、これがやはり望ましいところだと考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/53
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054・福間年勝
○参考人(福間年勝君) 先生御指摘のように、商社は卸売業でございますので一般顧客との接点はそれほど大きくはないわけでございますけれども、御指摘のように、対外決済あるいは対外決済手続が非常にスピーディーになる、あるいは為替手数料が安くなる、そういうことによって我々は企業間競争が激しくなります。何とかして、他社よりは少しでも安く少しでも差別化したものを提供したいという格好で、そういう企業間競争を通じて消費者に今回の外為法のメリットを還元できるのではないかなと思います。
直接的には我々は小売業をやっておりませんので、目に見えたところではございませんけれども、企業間競争は自由になればなるほど激しくなるわけでございますから、銀行が安くしてくれた手数料を自分で温存するなんというような時代ではもう今やないわけです。そういうものがあれば少しでも消費者に均てんして、とにかく品物をたくさん売りたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/54
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055・川添允雄
○参考人(川添允雄君) 個人投資家の方に、今度の外為の自由化でさま変わりのメリットがあるということはちょっと思い浮かびませんけれども、今福間参考人がおっしゃったように、やはり選択肢が広がるとか、あるいは海外の例えばニューヨークで、日本の個人投資家がニューヨークの株を買おうというようなときに、海外の例えば証券会社と直接売買できるとか、あるいは外国の債券を直接買えるとか、そういう選択肢は広がってくると思います。
したがいまして、私ども業者にとりましては競争が激しくなりますから、結果的に個人の投資家には相対的にコストの削減、手数料の割引とか、そういうので有利になってくるという可能性はあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/55
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056・千葉景子
○千葉景子君 ありがとうございます。
個人にとっても確かに選択の幅が非常に広がる、それから企業間競争が激しくなることによる、ある意味では間接的ではあろうかと思いますけれども、そういうメリットが個人に還元されてくると、こういうことが確かに言えようかというふうに思うんです。
ただ、先ほどからお話にも出ておりましたように、それの反面、非常に自己責任原則というんでしょうか、それがやはりこれからの非常に大きな基本的な原則になっていくんだろうというふうに思うわけですね。そうなりますと、個人なりあるいは情報を多く持っている者と、それからほとんどそういうものをなかなか手に入れにくい立場にある者との格差というものが、非常に危険、リスクを伴いやすいと、こういうことにもつながってこようかというふうに思うんです。
そういう意味では、これからのいろいろな条件の中で、先ほど福間参考人などからもお話が出ておりますように、やはりディスクロージャーというのが非常に重要になってこようかと思いますし、それから個人消費者や投資家、預金者などに対しても、アカウンタビリティーというかリターンの部分も、よい面も商売上大いにアピールしていただくと同時に、やっぱりリスクの面も十分に説明をいただいた上、そしてそれをどう選択するかという時代になっていくんではないかと。この外為法の改正だけがそれを呼び起こすわけではないにしても、かなりそれの大きな呼び水になっていくのではないかというふうに思うんですね。
その点について、福間参考人には先ほど大分お話しいただきましたので、室町参考人と川添参考人に、ディスクローズそれからアカウンタビリティー、こういう面でお考え方ございましたら、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/56
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057・川添允雄
○参考人(川添允雄君) もうおっしゃるとおりだと思います。再三お話ししておりますように、今個人の投資家の皆さんが外国債を大変大量にお買いになっていただいております。外国債というのは、先ほども申し上げましたように、まず価格のリスクと、それから為替のリスクと、二重にリスクがかかるわけでございます。したがいまして、個人の方にお求めいただくときには、私どもといたしましてはその辺のリスクのことを必ずディスクローズしてよく説明した上で買っていただいております。
それから、事外国の商品ですから、通常の債券と違いますので、お客さまが私どもで外国物をお買い付けいただくときには、これまで必ず外国証券取引設定約諾書という約諾書をいただいた上で、リスクもよく御納得いただいた上でお買い付けいただくようにしております。
あと、ディスクローズでございますけれども、今私どもがお勧めしている商品は、基本的に余りリスクのないといいますか、外国の国債とかあるいは外国の、例えばオーストラリアの州の債券とか、あるいはスウェーデン王国とかそういうところのボンド債券を基本的にお勧めしておりますので、一般の民間企業もお勧めしている業者もございますけれども、先ほどちょっとお話が出ました、いわゆる格付が非常に高いような民間企業の外債をお勧めしたりして、少しでも信用リスクといいますか、我々のリスクに幾つかございまして、いわゆる信用リスクが少なくとも余りないというようなものをお勧めしているのが実情でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/57
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058・室町鐘緒
○参考人(室町鐘緒君) 先生の御指摘はまことにごもっともだと思います。
私どもも従来からいろんな商品を販売してきておるわけでございますが、これにつきましては商品のお客さまへの説明、これは十分かつわかりやすい説明ということを心がけてやってきておるわけでございます。今後、商品が多様化するという時代になりますと、こういった銀行の我々の使命というのはますます大きくなると、そういうふうに認識しております。また、それにきちっとこたえていかなければ、まさに我々自身も市場の評価を受けない、信頼も受けない、こういうことになると思いますので、これはまことに御指摘のとおり、我々も今後せいぜい努力していかなきゃいけないことだと思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/58
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059・千葉景子
○千葉景子君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/59
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060・吉岡吉典
○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。
きょうは三人の参考人の皆さんに大変勉強になる話を聞かせていただきました。ありがとうございます。最初に、金融関係で室町先生と川添先生に、同じようなことで若干ダブる面もありますけれども、お伺いしたいと思います。
最近の日経新聞に、シティバンク在日代表という肩書で八城政基さんがビッグバンについてお書きになっていますね。今の議論に懐疑的であると、何を目的に改革するのかが明確になっていないんだということをお書きになっておりました。お読みになっているかもしれませんけれども。
要するに、お書きになっていることは、「ニューヨーク、ロンドンに次ぐ国際金融センターとしての東京市場の活性化をイメージする人もいれば、日本の銀行を国際的な競争力を持った、強いものにするのが目的だと考えている人もいる。」と、あるいは両方だという人もいるかもしれませんけれども、しかしどちらかによってその位置づけが若干のニュアンスの違いだということだと思います。ここの点は衆議院から、きのう行われました参議院の論議でもかなりこういうふうな問題が論議になってきたと思います。
私は、まずお二人に、どちらをイメージしておられるかということをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/60
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061・室町鐘緒
○参考人(室町鐘緒君) 私の理解では、東京市場をやはりニューヨーク、ロンドンに比肩する国際市場にするということが一つと、それから日本の銀行の国際競争力をつけるということでございます。やはり先生の今の御指摘では両方と認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/61
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062・川添允雄
○参考人(川添允雄君) 私も全く同じように理解しております。つまり、東京市場を活性化させ、なお業者、我々の場合は証券会社ですけれども、先ほど来御質問ありますように、生き残れるかどうかは別としまして、やはり強い証券会社ができていく、淘汰されていって残るんじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/62
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063・吉岡吉典
○吉岡吉典君 恐らく二つが目的ということだろうと思いますが、しかし、このところマスコミでも盛んに書かれていますように、ロンドンの場合には前者の方は達成したが後者は必ずしもそうならなかったと。これは去年のフィナンシャル・タイムズですけれども、ロンドンのビッグバンの十年というのは、これは大変苦痛に満ちた犠牲の多いものだったと、市場の活性化は実現できたが、こういう苦痛、犠牲を伴うものだったと書いているわけですね。
そこで、二つとも達成できる見通しがはっきり持てるかどうかということがこれまで論議になってきましたけれども、万一持てなくても、例えばロンドンのように市場の活性化という目的が達成することでも半分ないしはかなり大きい意義があるというふうに見ていいのかどうなのか。これは福間参考人にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/63
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064・福間年勝
○参考人(福間年勝君) ロンドンのビッグバンの場合に、市場は残ったけれども金融機関は非常に苦戦を強いられたと、オーナーが大陸銀行あるいはアメリカの銀行に渡ったということはありますけれども、ただ私は、ロンドンの失敗というのも、どちらかというとビッグバンが悪いんではなくて経営戦略が間違ったんだろうと思います、各行の。
というのは、あの当時、ちょっと細かくなりますけれども、ジョバー、ブローカーというその制度を一本化するということであそこのマーチャントバンクがもう多大な資金を使ってそういうものを系列化しました。それが一点。もう一つは、ちょうどそのごろ、英国のビッグバンというのはアメリカからおくれて十年でございますけれども、アメリカ勢がシティーの中で大変な勢力を持ち始めた。それに対して、彼らは米国がやっていると同じような、米国のインベストメントバンカーがやっていると同じような証券取引、トレーディングをやって、そのために大きな資本金を用意したりしたわけでございますけれども、やはり先ほど室町さんがおっしゃいましたように、それぞれの銀行で自分の戦略を絞り込んで、こちらをやるんだという絞り込みじゃなくて、アメリカのインベストメントバンカーがやっていると同じようなやり方をそのまま比較的スケールの小さいところがやったことが大きな失敗といいますか、オーナーシップを海外にとられた理由ではないかなと思っています。
したがって、私は今後日本のビッグバンでも、これは室町さん何回もおっしゃっていますけれども、やはり何の、その銀行が持っている資源をどの分野に集中的に配分していくか、特色のある銀行になることが経営戦略上一番大きいと思います。今までのように、みんながやっているから右肩上がりでみんなでもうかるという時代はもう終わったということ。さらには、日本の金融機関が相手じゃなくてグローバルな金融機関との競争だということで、そういうことでやはり経営戦略の立て方というのは非常に重要なのではないかなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/64
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065・吉岡吉典
○吉岡吉典君 時間の関係で室町参考人にお伺いしますけれども、国会論戦を見ますと、日本の大手二十行で一体どれだけ生き残れるかという論議も行われて銀行局長が自信を持ってそれは言えないというような答弁もありますね、だれもそうだろうと思いますけれどもね。そんなことは心配しないでくれ、こっちがやると、こういうふうにおっしゃるのか、いや心配はしてくれという気持ちなのか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/65
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066・室町鐘緒
○参考人(室町鐘緒君) お答え申し上げますが、幾らぐらい残れるかと言われましてもちょっとこれは全くアイデアがございませんが、ただ、先ほども私ちょっと申し上げましたが、日本には非常に大きな金融資産があるということであります、お客様がお持ちの。これは企業も個人もでございますが、特に先ほどから出ています個人千二百兆というものは大変大きな金額でありまして、そういったお客様はいろんな意味で我々金融機関のお客様でございまして、そういう意味では非常に我々は強いお客様の基盤を持っているということが一つ言えるわけでございます。特にイギリスなどのマーチャントバンカーとの比較で言いますと、これはもう際立ったものがあると思います。
そういったものを背景に、私どもは大は大なりの銀行としまして既に国際場裏で競争しておりまして、そんな中で我々も、やはりシティバンクとは違う、あるいはJ・P・モルガンとは違う、そういった行き方を既に歩んでおります。国際場裏では既にそういうことがもう起こってしまっているということでございます。したがいまして、国際場裏でやっている銀行というのはもうそういうことにさらされて、それによってそれなりの経験を得ている。
それから、国内で仮に今後そういう問題が起こりましても、やはり大銀行でできない部分というものが必ずございます。やはり地方で非常にお客様に密着してきめ細かくサービスしていくというサービスはある意味で大銀行にはできない。そういう意味では、そういった特化をすることによりまして私はそれなりの経営の可能性を見出していける、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/66
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067・吉岡吉典
○吉岡吉典君 話は変わりまして、税制の話が何人かの方から出ました。これは時間の関係で一人、福間参考人にお伺いしたいんですが、今ありましたように、いろいろ税制改革ということになると財源をどこに求めるかということになるわけで、税収減のままにしておくというわけにはいかないと思いますね。今後の税制改革に当たって財源はどこに求めるべきであると、御意見をお持ちでしたらお聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/67
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068・福間年勝
○参考人(福間年勝君) この外為法に関して申し上げますと、やはり取引を活発化することによって、あるいは東京の金融業を繁栄させることによって税収を上げるのが、やはり東京は日本版ビッグバンの一番の税収源になるところではないかなと思います。それで、税の方で、そうはいっても失うものがあります。税収を失うもの、それは先ほどから申し上げていましたように、やはり国際的な資金を東京に集めるということになりますと、ニューヨーク、ロンドン、シンガポール、そういうところと同じような税制で事金に関しては動かないとどうしてもリーケージが起きる、流出が起きちゃうと、あるいは集まりにくいということが起きますので、その部分のことはぜひともやっていただきたいと。したがって、取引を活発化することによって税収を拡大し、それでもって国際的な調和も図っていくということだと思います。
財源をどこに求めるか。これは、ちょっと私こういう立場ではあれかもしれませんけれども、やはり支出削減ということも必要なんではないかなと、財政再建という立場では。だけれども、企業がいいところだけをよこせというのは、やはり今ではちょっとそういうことを申し上げるような時代ではないことは十分承知しています。したがって、いろんな面の日本の特殊な特典があればそういうものもやはりグローバルスタンダードにしなきゃいかぬのだろうと思います。
そういうことで、このビッグバンが成果を上げるためには、何とか国際的な整合性のある税の導入をお願いしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/68
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069・吉岡吉典
○吉岡吉典君 最後に、これはどなたにお答え願いましょうかね。問題は、法律的には世界の通貨、どこの国の通貨でも日本で自由に流通するということになるわけですが、実際に世界の通貨が日本にうんと出回ってくるようになるものなのかどうなのか、もしそうなった場合に円の価値に影響を及ぼすようになるだろうかどうだろうかという問題ですが、これは順番で川添参考人にお答え願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/69
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070・川添允雄
○参考人(川添允雄君) 私、余り専門じゃございませんけれども、基本的に通貨の強弱というのは、出回る量とかというよりはその国の国力といったらいいんでしょうか、あるいは輸出入のバランスとか、その国の金利水準あるいはインフレとか、そういったもので決まるんじゃないかというふうに私は理解しておりますので、為替が自由化になって日本にいろんな通貨が流れてきたり、あるいは日本から出ていったことによって日本の円が強くなる弱くなるというのは、即断はちょっと、そういう次元とはちょっと違うのかなという気がしますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/70
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071・吉岡吉典
○吉岡吉典君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/71
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072・山口哲夫
○山口哲夫君 新社会党の山口と申します。
きょうは大変貴重な陳述をいただきまして、ありがとうございました。最後になりますと、用意した質問はほとんど出尽くしてしまいまして、そういうことで重複すると思いますけれども、若干観点を変えてお聞きしてみたいと思います。
私は、外為法の改正は必要であるという、そういう立場には立っておりますけれども、一番心配なのは円の流出の問題です。きのう大蔵省の方々にいろいろとお聞きしたんですけれども、こういう答弁でした。欧米の利子は確かに高い、五%、六%という高い金利ではあるけれども、しかし円が六円高くなればそれで元本割れになってしまうだろう、そういうことを考えれば、リスクが相当あるので簡単には海外には流れない、いい話には必ず落とし穴があるものだと、こういう答弁をされておりました。
そういうことで済めばいいと思うんですけれども、きょうの参考人の皆さんのお話をお聞きいたしましても、室町参考人は、預金者というのは万一のことを考えてそのために備える、そういう考えで預金をしているんだというお話でございました。また福間参考人は、大蔵省と同じように、リスクがあるからそれほどは心配ないだろうというお話。川添参考人は、外為法の改正が原因で流出するということではないんだというお話なんですけれども、そういうふうになればいいんですけれども、本当に心配しないでいいものなのかなという感じがしてならないわけです。
きのうも質問のときに申し上げたんですけれども、金利の差が物すごく大きいわけです。それともう一つは、海外に対して預金を自由にできるということになると、海外の銀行というのは大変大きい、巨大な銀行とさえ言われて、しかもその巨大な銀行が大変魅力のある金融商品をずらりと並べていて、そういうものを見るとどうしてもそっちの方に目が向いてしまうんではないだろうか。ですから、金利が日本の銀行なんかでも高くなって金利差が非常に少なくなれば別ですけれども、現状のままでいけば、私は大蔵省や皆さんのそう心配ないというお話をまともに受けて大丈夫かなという不安がまだ残るんです。
そういうことで、金利差を中心としていかがなものかなと思うんですけれども、その点についてのお話をちょっと聞かせていただきたいと思うんです。室町参考人の方からひとつお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/72
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073・室町鐘緒
○参考人(室町鐘緒君) 御質問にお答えしたいと思います。
金利差、例えて申しますと、日本での円での預金、それから外貨預金でも結構ですが、例えばアメリカでのドルの預金、その間には恐らく、六円という先ほどお話があったということでございますが、大ざっぱに言いまして五%ぐらいの差があるだろうということを想定されているのではないかと思います。つまり、今円が百二十円でございます。五%動きますと六円になるわけでございますね、ちょうど。したがいまして、円が今百二十円と申し上げましたが、百二十五円が仮に百十九円あるいは百十八円になれば、今度今のドルを日本円でもらうときに円が減ってしまいますから、その分は金利が多かった分を相殺してしまう、こういうことになるわけでございまして、このリスクは実は五%ぐらい、六円ぐらいでとどまればいいわけでございまして、為替のリスクは非常に大きいものがございますので、年率に、例えば、一九九五年の四月に八十円だったものが百二十六円だと、百二十七円だと、これだけの大きな為替の変動がございますので、このリスクをどう見るのか、これが非常に大きな要因だと私は思います。
したがいまして、このリスクをどう見るか、つまり円がこれから安くなるのか高くなるのかということもひっくるめて、どう見るのかということによって投資態度は変わってくるのではないかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/73
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074・福間年勝
○参考人(福間年勝君) マルクにしてもドルにしても、まさに日本で今から起きるように、全く流出入が自由でございます。それによって通貨の価値というのも決まっています。日本も一九八〇年の為替管理自由化によりましてはぼ自由になったわけですけれども、これでより一段と自由になるということでは、通貨を取り巻く環境といいますか、インフラといいますか、これはマルクとかドルとか、そういう主要通貨と全く同じような状況になる。それによって決まる価値というのが本当の価値だろうと思うんです。
それが、弱くなるか強くなるかというレベルの問題はちょっと差し控えますけれども、ドイツが、彼らも円が八十円のときには一・二ぐらいでしたけれども、今は一・七五ぐらいまで返っている、一・七台に返っているというように、相当の変動の中で自分の通貨の価値を決めているわけでございますので、市場が決めるということが私は基本だと思います。
それで、流出するかどうか、あるいはリスクとリターンをどう見るかということなのでございますけれども、これは私は、ますますこういうぐあいに内外資金の流出入が起きるようになりますと、両方ともに起こるわけですけれども、海外に投資したい人は、まあ窓口の銀行とか証券会社、きょう両者いらっしゃる前で非常に失礼なんですけれども、心配だなと思ったら恐らく、今から繁栄する産業はファイナンシャルプランナーという、そういう金融の相談を受けるようなコンサルタント的な仕事、今ぼつぼつ起きていますけれども、そういうものに相談されるようになってくるんではないかなと。それだけ、日本の個人投資家も預金者も知識武装をされるんだろうと思います。
そういうことで、私は、リスクを考えずにどんどん出ていくということは、これは全く考えておりません。そこまで今の日本の個人投資家あるいは預金者はナイーブではないと。というのは、この間対外投資が個人投資家の自由になったのは、先ほども言いましたように、もう八〇年からなっているわけでございますので、かなり訓練されています、その間に円高で損した人あるいは円安で得した人いろいろあったわけでございます。
ただ、そうは言っても新たに入る人がいると思います。そういう人たちは、必要であれば、そういうファイナンシャルプランナーのような制度を設けることによって御相談されるような知恵がついてくるんだろうと思います。一義的にはやっぱり仲介をおやりになる銀行、証券でアドバイスされるのが基本だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/74
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075・川添允雄
○参考人(川添允雄君) 先ほども申し上げましたとおり、じゃ、この外為法の改正がなかったら流出が防げるかというように、ちょっと反対に考えてみましても、外為法の改正が今全面改正がないんですけれども、先ほど申し上げましたように、この一、二年で多分十兆を超える外債投資があると思うんですね。ですから、外為法が全面改正になるからさらにどんどん行っちゃうということは私はないんじゃないかと、さっきも申し上げましたとおりなんです。
したがいまして、今の日本の金利がきのう、おとといあたりから少し上がってきていますね。そういう日本の金利が上がってくると、内外の金利差が薄まってきたりしますと、やはり個人の投資家の皆さんは、今福間参考人もおっしゃったように、いわゆる外債投資になれている方もたくさんいらっしゃいますので、今度は少し円の方にしようかとか、そういうマーケットメカニズムみたいなもので投資なさるんで、自由化になったからどんどん出ていくということではないんじゃないかなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/75
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076・山口哲夫
○山口哲夫君 大蔵省もそうですけれども、リスクの話がどうしても先に出ちゃうわけですね。
ただ、為替相場というのは変動するわけでしょうから、逆に円が安くなるということもあるわけですね。そういうことも、今福間参考人がおっしゃったように、相当投資家は訓練されていますから、高いときに買って、安いときにそれを引き取るという、おろそうという、そういうことだってあり得るんではないのかなと、そういうことを考えれば、必ずしも流れる心配はないよとは言い切れないかななんていうふうに私はまだ思うんですけれども、そういう面というのはないでしょうか。リスクばかりでしょうか。室町参考人いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/76
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077・室町鐘緒
○参考人(室町鐘緒君) これは、例えば外貨での債券というものがございますが、それから外貨預金というのもございまして、実は日本で我々の銀行が外貨預金を受け付けることもございます。この外貨預金の増減といいますのは、実はこれまでも結構ございまして、それはどういうときかといいますと、これから円高だろうと思えば減るわけでございますね、それから円安であろうということになればふえるわけでございます。というようなことで、従来からそういうものはもう変動しておるわけでございます。したがいまして、むしろ為替動向をどう見るかということの方が絶対量に与える影響は大きいだろうなという感じがいたします。
それから、自由化になれば海外へお金を持っていってしまうんだということは、ちょっと私の個人的なあれでございますが、やはりそれは日本の国が信頼を失ったときであるということでありまして、まさに資本逃避でございますが、そういうことは絶対にあり得ぬだろうという意味では、私はそんなに大きな流出というのは、むしろ金利、為替の動向によってそういった出たり入ったりはするだろうけれども、そんなに大きなことはない。ただ、より自由にやる選択の幅が広がるからいいのではないかと、こんなふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/77
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078・山口哲夫
○山口哲夫君 最後に、有価証券取引税の関係で川添参考人にお聞きしたいと思うんですけれども、きのう、この問題で質問をいたしました。
そうしましたら、大蔵省の言い分としては、それは税というのはあるよりない方がいいだろうと、そういうお話でしたけれども、しかし、日本は有取税があるために、それのない海外に取引が流れていくということにはならないだろうと、そういうことは考えられないというようなことを言っていましたけれども、だから有取税についてはそれほど大蔵省としては心配はしていない、それをなくさなければだめだなんということにはならないというふうな考え方に私は聞いたんですけれども、しかし、先ほど来のお話では撤廃を期待をしている、そういうお話もございました。それほど重要な問題と受けとめなければならないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/78
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079・川添允雄
○参考人(川添允雄君) 私どもにとっては、大変重要な問題だという受けとめ方をしております。
それで、実際にどういう商いが、どういう取引が海外に行っちゃっているかという統計的なものはちょっと私も今持ち合わせておりませんけれども、多分、日本の機関投資家なんかが、例えばロンドンで日本の株式の売買をします。そういうときには日本でやるよりも取引税分だけは安くなりますから、そういう取引があるというふうに聞いておりますし、もし取引税がなければ外に行かなくてもいい取引ではないのかなという気がしますので、これは私どもにとっては決定的な感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/79
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080・山口哲夫
○山口哲夫君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/80
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081・松浦孝治
○委員長(松浦孝治君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の方々に一言お礼を申し上げます。
本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
委員会を代表いたしまして、心から厚くお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014629X01119970509/81
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