1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年六月二日(月曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第三十一号
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平成九年六月二日
午前十時 本会議
第一 金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置
法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律
案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/0
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001・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
日程第一金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(趣旨説明)
両案について、提出者の趣旨説明を求めます。梶山国務大臣。
〔国務大臣梶山静六君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/1
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002・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) ただいま議題となりました金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。初めに、金融監督庁設置法案について申し上げます。
この法律案は、市場原理を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換に資するための金融行政機構改革の一環として、銀行業その他の金融業を営む民間事業者等に対する検査その他の監督等を専門的に行わせるため、総理府の外局として金融監督庁を設置しようとするものであります。
金融監督庁は、預金者等を保護するとともに金融及び有価証券の流通の円滑を図るため、銀行業その他の金融業を営む民間事業者等の業務の適切な運営または経営の健全性が確保されるようこれらの民間事業者等について検査その他の監督をするとともに、証券取引等の公正が確保されるようその監視をすることとしております。次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
第一は、金融監督庁の所掌事務及び権限についてであります。
金融監督庁は、その任務を遂行するため、銀行業、保険業、証券業その他の金融業を営む民間事業者等の検査その他の監督を行うほか、預金保険機構による資金援助に係る金融機関の合併等の適格性の認定等を行うこととしております。
第二は、金融監督庁の長及び関係行政機関との協力等についてであります。
金融監督庁の長は、金融監督庁長官とすることとしております。
また、金融監督庁長官は、所掌事務に関し、関係行政機関の長に対し、資料の提出、説明その他の必要な協力を求めることができることとしております。
さらに、金融監督庁長官と金融関連業者に対する検査を所掌する行政機関の長は、効率的な検査の実施のため、意見の交換を図るとともに、それぞれの求めに応じ、それぞれの職員に協力させることができることとしております。
以上のほか、金融監督庁長官は、その任務を達成するため、大蔵大臣に対して、金融制度等の企画・立案についての意見を述べることができるほか、金融監督庁長官及び大蔵大臣は相互に緊密な連絡をとるものとしております。
第三に、金融監督庁に証券取引等監視委員会を置き、証券取引等の監視に関する事務を行わせることとしております。
なお、金融監督庁は、平成十年四月一日から同年七月一日までの範囲内において政令で定める日から発足することとしております。
次に、金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について申し上げます。
今回御提案申し上げております金融監督庁設置法案において、総理府の外局として金融監督庁を設置することといたしておりますが、本法律案は、金融監督庁の設置に伴い、総理府設置法その他の行政組織に関する法律及び銀行法、保険業法、証券取引法その他の関係法律について所要の規定の整備を図ろうとするものであります。
次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
第一は、総理府設置法その他の行政組織に関する法律についての所要の規定の整備についてであります。
金融監督庁の設置に伴い、銀行業、保険業、証券業その他の金融業を営む民間事業者等に対する検査その他の監督に関する大蔵省の事務等を金融監督庁の事務等とすることとし、国家行政組織法、総理府設置法、大蔵省設置法その他の行政組織に関する法律について所要の規定の整備を図ることとしております。
第二は、銀行法、保険業法、証券取引法その他の関係法律についての所要の規定の整備についてであります。
金融監督庁の設置に伴い、銀行業、保険業、証券業その他の金融業を営む民間事業者等に対する検査その他の監督に係る大蔵大臣の権限を、改善命令、業務停止命令、免許の取り消し、合併の認可等の破綻処理に関連する権限を含め、内閣総理大臣の権限とするほか、預金保険法等に基づく適格性の認定等に係る大蔵大臣の権限を内閣総理大臣の権限とすることとしております。
また、内閣総理大臣は、銀行等に対し業務停止命令等の処分をすることが信用秩序の維持等に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、信用秩序の維持等を図るために必要な措置に関し、大蔵大臣に協議するほか、改善命令等の処分をしたときは、その旨を大蔵大臣に通知することとしております。
さらに、内閣総理大臣は、免許等を除き、その権限を金融監督庁長官に委任すること等としております。
なお、この法律は、金融監督庁設置法の施行の日から施行することとしております。
以上が金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の趣旨であります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/2
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003・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。片山虎之助君。
〔片山虎之助君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/3
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004・片山虎之助
○片山虎之助君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました金融監督庁設置法等二法案につきまして、橋本内閣総理大臣並びに関係大臣に質問いたします。
我が国経済は、バブル崩壊後、相次ぐ金融不祥事、巨額の不良債権の発生、住専問題等により信用不安を招く中で、金融システム、金融行政の改革が大きな課題となっており、金融監督庁設置法案は日銀法の改正と並んで改革の重要な柱となるものであります。
不良債権問題はいまだ我が国経済の大きな足かせとなっており、ノンバンク等の倒産に加え、日本債券信用銀行の経営悪化等が表面化し、金融不祥事も後を絶ちません。
最近になって、野村証券の総会屋グループ代表に対する利益供与等の疑惑事件に端を発し、第一勧業銀行がこの総会屋グループへ巨額資金の不明朗な融資を行っていることが判明、野村証券、第一勧業銀行ともに首脳陣が入れかわり、野村証券元社長が逮捕されるという異例の事態を招いております。
さらに、第一勧業銀行が二度にわたって大蔵省の定例検査に虚偽の報告をし、総会屋グループヘの融資を隠ぺいした疑いが出ておりますが、金融機関への検査・監督体制の強化を図っても、銀行自体がこのような体質では、信用回復が困難であることは言うまでもありません。
史上かつてない超低金利が続き、結果として、利ざやを大きく稼いでいるリーディングバンクが、このようなあってはならない不祥事を起こしていることについて、国民の怒りはますます高まるばかりであります。
総理はどのようにこの問題を認識し、いかに対処されていかれるおつもりか、まずお伺いいたしたい。
あわせて、大蔵省は全金融機関に融資状況を点検するよう指示、第一勧業銀行には経営改善命令を出し、また、銀行法で定めている不正行為への罰則規定の強化を検討すると伝えられていますが、大蔵大臣の今後のこれらに対する御方針をお聞かせ願います。
橋本総理は、昨年の十一月、東京金融市場の活性化を図るため、二〇〇一年を目標とした日本版ビッグバンとも言うべき金融改革を指示されました。総理が改革案に示されたフリー、自由な市場、フェア、公平な市場、グローバル、国際的な市場という三原則は、いずれも現在の日本の金融界に欠けているものであり、私も総理のお考えに全面的に賛意を表するものであります。
金融業は信用が命であり、信頼が元手であります。このようなビッグバンを進める上で、グローバルマーケットからの信用、信頼を得ることが緊要となっており、フリーとともにフェアな市場を確立するために、今後金融行政がいかにその役割を果たしていくべきか、総論的に総理のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
そもそも本法案は大蔵省改革の第一歩として生まれたものであり、その原点は、六千八百五十億円もの税金の投入を余儀なくされた住専問題、ニューヨーク支店の巨額損失の発覚により米国市場から退場させられた大和銀行など、金融にまつわる相次ぐ不祥事に見られる大蔵省のこれまでの対応のおくれや癒着、もたれ合いと批判のある護送船団行政、さらには政策決定過程、行政指導の不透明性等が大きな批判を受けたことにあります。
このような反省の上に立って、金融市場の活性化、金融機関の国際競争力の強化、自己責任原則の確立のため、市場規律を基軸とした透明度の高い公正な金融行政を確立することが大目標なのであります。
このため、本法案は、これまでの大蔵省中心の金融行政を排して、金融監督庁の新設により、検査・監督部門を大蔵省の金融行政の企画・立案部門と切り離したことに大きな眼目があります。このことにより、相互に緊張関係を保持しつつ、金融機関へのチェックを十分に行うとともに、それを金融の健全化、活性化にどのように生かしていくかがまさに本法案の真価が問われるところであります。もとより、企画・立案部門も金融監督庁に移管し、各省共管分もことごとく一元化すべきだという意見もありますが、それなりのメリットは認めつつも、現状ではまだまだ現実的ではないと考えます。
以上の点について、今後企画・立案を担当される大蔵大臣の所信をお伺いいたしたい。
金融機関への改善命令から業務停止命令、免許の取り消しや合併の認可まで、一義的には金融監督庁が担当することになっていますが、業務停止などの処分が信用秩序維持等に重大な影響を与えるおそれがあると認められるときは、法令の改廃、制定、新たなスキームの構築など、必要な措置について大蔵大臣に事前に協議しなければならないとされており、タイミングを失しない危機管理の対応が望まれるところであります。
また、金融監督庁長官は金融制度等の企画・立案について大蔵大臣に対し意見を述べることができることになっており、相互に緊密な連絡をとることとされております。
しかしながら、一方、これらの大蔵省関与と企画・立案部門が大蔵省に残ることにより、金融監督庁の役割は手足的な実施面に限定され、頭脳的な采配は大蔵省が振るう、いわば大蔵省の下請機関になるのではないかとの見方が出ていますが、これは大蔵省が金融監督庁との関係で依然圧倒的な力を持つのではないかとの危惧から出ていると思われます。
したがって、このような非難を受けないよう、金融監督庁のトップ人事を初め職員の人事配置、業務体制等について、その独立性、実効性に十分配慮していくことが肝要であります。
金融監督庁長官に閣僚を充てるべきだという意見には相当の説得力がありますが、行革の視点から、中央省庁の再編の行われるまでの過渡的な措置として、総理府の外局、閣僚でない一般職長官で今回スタートすることもやむを得ないと考えます。ただし、金融監督庁長官には大蔵大臣と対抗できる実力を持つ大物を任命し、人事権は独立の上、大蔵省からの幹部職員はできるだけノーリターンを目指す運用にすべきでありましょう。また、大蔵省に残る企画・立案部門の範囲を明定し、大蔵省の関与も必要最小限度に限定する配慮が必要であります。
さらに、地方の検査・監督には現在の財務局の体制を活用することは行革上これまた当面はやむを得ないにしても、大蔵省の指揮監督と明確に区分するとともに、中央とあわせ要員の確保などその体制を強化充実し、あわせて、早急に透明なルールを確立して情報開示に努め、検査・監督の実効を上げることとすべきであります。そうでなければ、現状とどこが違い、何のためにやるのかということになりかねません。
単なる機構いじりでないことを明らかにするためにも、これらの点について官房長官並びに大蔵大臣の明快な方針を伺います。
来るべき二十一世紀の日本の展望を切り開くため、国を挙げて六大改革を推進する機運が盛り上がりつつある中、財政構造改革において一切の聖域を設けない財政支出の削減が具体化しつつあり、行政機構改革においても、中央省庁の再編、特殊法人の縮減等が鋭意検討されております。
今回の金融監督庁設置はあくまでも大蔵省改革の第一歩であり、これで終わりにしてはなりません。国民は、行革推進、中央省庁の再編の中で、金融行政機構の抜本的な改革を強く望んでおります。
昨年十二月の与党三党の金融行政機構等の改革協議において、抜本的な省庁改革として金融と財政の分離を明確にする、これを総理のもとの行政改革会議において検討される霞が関大改革の課題とすることが申し合わされておりますが、この点について総理はいかにお考えか、お聞かせ願います。
去る四月二十七日、主要七カ国蔵相・中央銀行総裁会議、いわゆるG7が開かれ、円安阻止を確認する一方で、日本に対して内需主導の成長で貿易黒字の再拡大を回避することが求められました。また、デリバティブを初めとするさまざまな技術革新が進行しており、金融市場のグローバル化も今後さらに進展していくものと思われます。
このような流れの中で、超低金利政策の継続の問題を初め、国際的にも大きな地位を占め、産業の大動脈として働く我が国金融が改めて見直され、今後の金融行政と金融政策のあり方が内外の大きな注目を集めております。
今般の金融監督庁の設置や日銀法の改正は金融システム中枢の改革とも言うべきものであり、その運用に万全を期して、金融の健全化、日本版ビッグバンに大きな効果をもたらしますよう総理に不退転の決意を伺いまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/4
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005・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 片山議員にお答えを申し上げます。
まず、証券へ銀行の不祥事に対する認識についてお尋ねがございました。
今回の野村証券及び第一勧業銀行をめぐる問題につきましては、重大な関心を持って私も注視をいたしておりますが、関係当局において、その事実を踏まえ、厳正に対応するものと考えております。
今後とも、不正があればこれに厳正に対処していくことは当然であり、それが国民の信頼を回復していく道であると考えております。
次に、今後の金融行政についてのお尋ねがございました。
これまでの金融行政、いわゆる護送船団方式と言われました方式が現在既に通用しなくなっていることは、議員御指摘のとおりであります。これを根本的に見直しながら、自己責任原則の徹底と市場規律の十分な発揮を基軸とする透明性の高い市場をつくるための行政を行っていくことが肝要だと思います。
このような観点に立ちまして、情報開示の促進や早期是正措置等ルールの明確化などの必要な措置を講じながら、自由かつ透明で信頼できる市場を構築していきたいと考えております。
次に、昨年十二月の与党三党合意についての御意見をちょうだいいたしました。
議員から御指摘を受けましたようなプロセスの中から、今回、検査・監督の権限を大蔵省から切り離す、そしてこの御審議をいただく金融監督庁という法律案にまとめ上げたわけでありますが、今後なお、財政と金融のあり方についてという基本的な問題は、我が国の行政機構のあり方の根幹にかかわるものとして、行政改革会議において、中央省庁再編のあり方の大事な一環としての大きな位置づけのもとに、大所高所から十分検討する必要があると考えております。
なお、財政と金融のあり方につきましては、G7等における国際的な政策協調への対応をどうするか、グローバル化と高齢化が進展する二十一世紀において限られた資源を効率的に配分するという観点から、さまざまな観点からの検討を要するものであることは間違いがございません。
また、こうして激動する時代の変化に的確に対応しながら、国民に信頼される金融行政というものを私どもはもう一度確立しなければならないという状況になりました。そうした中から、金融行政のあり方というものを抜本的に見直しながら、デリバティブなど業態間にまたがります金融サービスの問題、こうしたものが出現しておりますこと、あるいは金融市場のグローバル化、こうした新たな課題にも的確に対応できますように、そして自己責任原則を徹底すると同時に、市場規律の十分な発揮を基軸とする透明かつ公正な行政を行っていくことが極めて必要な状況と、改めてそのような認識をいたしております。
今回の金融行政機構改革は、民間金融機関などに対する検査・監督という執行面の機能を総理府設置の金融監督庁が担い、企画・立案という政策面の機能を大蔵省が分担するという仕組みをとっておりまして、市場規律を基軸とした透明また公正な金融行政への転換に資するもの、そして御指摘のように、まさに金融システム改革の中においても大きな役割を果たすべきもの、そのように位置づけております。
どうか、そうした思いを込めて提案をいたしております本法案につきましても、十分な御審議の上、できるだけ早い可決を心からお願い申し上げる次第であります。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣梶山静六君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/5
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006・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 金融監督庁の独立性等についてのお尋ねでありますが、長官としてその重責にかなった適切な人材を得るように努め、その長官が独立の人事権を厳正に行使して、業務を的確に遂行できるよう望ましい人材の確保をしていくとともに、地方における検査・監督につき、財務局長を的確に指揮監督すべきものと考えております。
また、今後、検査・監督機能を適切に発揮すべく、要員の確保、専門能力の向上等を図るほか、金融行政の状況について適切な方法等により国民への周知を図ることにより、国民に信頼される透明かつ公正な検査・監督体制を築いてまいりたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/6
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007・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 片山議員の私に対する質問は六問でございます。
まず、第一勧業銀行の問題についてのお尋ねでございますが、公共性の高い免許業種である銀行が不適切な業務運営を行い、預金者等の信頼を著しく損ねたことは極めて遺憾であります。既に同行に対し、引き続き事実関係について徹底的な調査を進めるとともに、信頼回復に向けてあらゆる努力を行うよう指示したところであります。
大蔵省としては、まず本件についての事実関係の究明が先決であり、捜査当局の捜査の状況をも踏まえつつ、法令等に従い厳正に対処してまいる所存でありますが、かかる事案の再発防止等の観点から、いかなる方策を講ずる必要があるか、幅広く検討してまいりたいと考えております。
次に、銀行法の罰則強化についてのお尋ねでありますが、罰則の問題については、透明かつ公正な金融市場の構築を図っていく観点から重要な課題と認識をいたしております。今後、検査の実効性を担保する観点から、十分かどうかといった点を含め、幅広い角度から検討してまいりたいと考えております。
金融の検査・監督部門と企画・立案部門の分離と金融の活性化についてのお尋ねでございますが、今般の金融行政機構改革は、事前のきめ細やかな指導による金融行政から、自己責任原則の徹底と市場規律の十分な発揮を基軸とする透明性の高い行政への転換に資するものでありまして、金融システム改革の実施と相まち、我が国金融・証券市場の活性化にも資するものと考えております。
大蔵省と金融監督庁の関係についてのお尋ねでございます。
金融監督庁は、民間金融機関に対する検査・監督を専門的に行う機関として、大蔵省との明確な機能分担のもとで独立してその機能を発揮するものであります。
また、金融監督庁の大事については、長官が厳正に独立の人事権を行使して、望ましい人材を確保していくべきものでありますが、金融監督庁と大蔵省との人事交流を一般的に遮断するかどうかについては、省庁間の人事交流が、いわゆる縦割り行政の弊害の是正に資するものであること等の点も十分踏まえるべきであると考えております。
大蔵省に残る企画・立案部門の範囲を明定し、必要最小限に限定すべきとの御指摘でございますが、今般の金融行政機構改革においては、大蔵省の所掌事務及び権限は法律に明確に定められており、また、民間金融機関等に対する検査・監督に関する大蔵大臣の権限については、改善命令、業務停止命令等の破綻処理に関する権限を含めてすべて内閣総理大臣の権限に移管することとし、明確な機能分担を図っておるところでございます。
地方における検査・監督についてのお尋ねでございます。
金融監督庁長官から財務局長に委任された地方の検査・監督事務については、長官が財務局長を直接指揮監督することとされておりまして、大蔵大臣の指揮監督とは明確に区分されておると考えております。
また、金融行政に関する情報については、金融機関に対する指導内容の成文化、認可基準の明確化等を実施してきたところであり、さらにこうした努力を続けることが重要であると考えております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/7
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008・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 広中和歌子君。
〔広中和歌子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/8
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009・広中和歌子
○広中和歌子君 私は、平成会を代表して、ただいま議題となりました金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。
まず、金融改革の基本理念とともに、今後の我が国の金融行政及び金融システムはどうあるべきかという観点から質問いたします。
昭和五十年代半ば以降、世界経済の急速なグローバル化とともに、我が国の金融も急激に自由化の荒波にもまれ、それまでの金融システムは大きな見直しを迫られるようになってまいりました。日米アドホック委員会の設置を初め、銀行と証券の相互参入規制の緩和や金利自由化の推進など、一応の金融の自由化が図られてきたことは事実です。
しかし、この間、通信情報技術の発達を媒介とした金融のグローバリズムは恐るべきスピードで地球上を駆けめぐり、アメリカ、イギリスはもとより、香港、シンガポールなどのアジア各国をも巻き込んで、地球規模の革命的な進歩を遂げてきたのです。
一方、我が国の対応は余りにも遅かったと言わなければなりません。政府・大蔵省は、かたくな.に護送船団行政という従来型の金融行政を改めようとしなかったのです。
そのツケは、平成三年、証券各社が引き起こした損失補てん事件を初め、その後の大和銀行ニューヨーク支店が舞台となった巨額損失事件とその後の大蔵省の対応の不手際、さらには、住専各社を初めとする金融機関の莫大な不良債権の存在が露見したことによって、我が国の金融行政とそのシステムは、国内よりもむしろ海外からジャパン・プレミアムという不信のやいばを突きつけられ、その信頼性は根底から揺さぶられることとなりました。
我が国の金融行政及びそのシステムに対する海外の信頼喪失という恐るべき事態は、我が国の金融当局が進めてきた改革のベクトルがその強さと方向性において、ともに国際的な水準を大きく下回っていたことを物語っているのではないでしょうか。
橋本総理が遅まきながら日本版ビッグバン、すなわち金融大改革を提唱されたのも、もはや金融のグローバリズムを無視して我が国の発展はあり得ないとの認識に至ったからだと存じます。しかし、いまだその具体的内容は不明確であり、そのスケジュールも明らかになっておりません。一日も早くその内容、スケジュールを明らかにすべきだと思いますが、いかがですか。
もし、ビッグバン、金融大改革が不可欠という立場に立つならば、今回の金融改革の目玉である金融監督庁の設置は、金融のグローバリズムに対応した我が国の新しい金融行政とシステムの構築という理念を志向するものでなくてはならないと思うのです。果たしてそうなっているでしょうか。総理の御所見を願います。
その改革の理念とは、まず第一に、財政と金融を完全に分離することです。財政と金融は本来全く別のものであることは今さら申し上げるまでもございません。財政が国家権力を背景に税を徴収し、それを配分して終了する行為であるのに対し、金融は、市場原理によって集まった資金を貸し付け、運用し、それを回収してまた運用するという永続性のある市場行為です。両者はそれぞれ別の主体によって運営、管理されるべきものであることは理の当然であります。
今回の改革では、大蔵省になお企画・立案部門として金融局を残すことになっておりますが、なぜ企画・立案機能部門を一括して検査・監督機能とあわせて金融監督庁に移管しようとしなかったのか、伺います。
二〇〇一年の省庁再編の行政大改革では財政と金融の完全分離を目指しておられるのか、橋本総理から納得のいく御説明をお願いいたします。
さらに、改革の第二の理念は、大蔵省による護送船団行政、奉加帳方式、密室談合による業者行政からの完全な脱却です。しかるに、最近の野村
証券の会社ぐるみの総会屋への不正な利益供与、第一勧業銀行の不正融資、日産生命の経営破綻処理をめぐる大蔵省の対応を見ると、相変わらずの密室的業者行政が繰り広げられており、こうした不公正な旧態依然とした金融業界の日本的体質を見て見ぬふりをしてきた大蔵省の責任は重大です。検査に入っても、事前にチェックできなかった監督責任とその能力の欠如が問われなければなりません。このように頻発する銀行、証券の不正事件に対して大蔵大臣はどのような責任を感じておられるか、お伺いします。
また、ノンバンクや消費者金融においても不祥事があると言われておりますが、どうなのですか。このままでは我が国の金融行政とシステムは世界の潮流から大きく取り残されてしまうでしょう。市場の透明度を高めるシステムの構築が不可欠です。総理の御見解を伺いたいと存じます。
また、こうした視点に立脚し、透明性のある市場原理に基づく金融行政とそのシステムのグローバルスタンダードの構築こそが問われているのでありますが、今回の金融監督庁の設置は、総理が目指している日本版ビッグバンに向かって一歩踏み出すことになるのか、総理の御見解をお伺いいたします。
さて、今回の金融監督庁設置法案の提出の背景を振り返ってみますと、まず、バブルの発生と崩壊への大蔵省のかかわりとその対応への国民の不信感がございます。
バブルの発生と崩壊は、我が国の経済社会に大きな傷跡を残しました。バブルの発生と膨張に大きく加担した金融機関は、その後遺症を長く引きずっております。平成六年十二月に東京の二信用組合が解散に追い込まれたのを皮切りに、経営破綻に陥る金融機関が続出いたしました。その結果、平成九年の預金保険機構の責任準備金はマイナスとなり、日銀からの借入を余儀なくされております。
こうした預金保険機構の実態を広く国民に示すとともに、適切な対応策を講じる責任があるのではございませんか。大蔵大臣に伺います。
平成九年に入ってからは日本債券信用銀行の経営危機が一気に表面化いたしました。また、先日明らかになったところでは、大手銀行二十行の平成九年三月期の不良債権額は、二十行合計で十六兆四千億と、依然高水準となっております。この数字が示すように、銀行を初めとする金融機関の経営状況は引き続き予断を許さない状況にあると思われますが、不良債権額を中心として、金融機関の経営状況の現状と今後の見通しについて、大蔵大臣に御説明願います。
今回の金融監督庁設置法案提出の直接の契機となったのは、住専処理問題をめぐり、自民党、社民党、新党さきがけの与党三党が巨額の財政資金を投入することを決めたことにあります。すなわち、住専バブルの後始末は国民の血税で賄われることになりましたが、与党三党はこの暴挙に対する国民の怒りの声を無視できず、金融行政を初めとする大蔵省改革プロジェクトチームを発足させ、昨年十二月、一年かかってようやく金融行政機構等の改革について最終合意をし、今回の金融伴う関係法律の整備に関する法律案(趣旨説明)監督庁設置法案の提出となりました。
選挙前には公取型の独立行政委員会による金融監督機関の設立を公約していたにもかかわらず、選挙後にはがらりと変わり、その内容は、金融行政のうち検査・監督機能を大蔵省から分離するにとどまり、独立行政委員会型の構想は大幅に後退しておりますが、なぜ公取型にしなかったのか、御説明ください。
大蔵省の抜本的改革に取り組むという姿勢を示しておられた総理としては今回の法律に大いに失望されてしかるべきと思いますが、お伺いいたします。
大蔵省が引き続き金融行政に対する影響力を大きく残すことを担保するものとして、金融監督庁の長、すなわち金融監督庁長官を一般職の国家公務員とすることにしていることが挙げられます。現在、総理府に置かれている外局の庁は合わせて九庁ございますが、宮内庁を除く八庁が国務大臣をその長とするいわゆる大臣庁です。大切な金融行政の検査・監督をつかさどる金融監督庁長官を大臣とせず一般職とすることは実に理解に苦しむところであります。本腰を入れて金融改革を目指しているならば大臣庁にすべきではありませんか、お伺いいたします。
金融監督庁長官は大蔵大臣に意見を述べることができる規定や、金融監督庁長官と大蔵大臣との協議に関する規定等がございますが、金融監督庁長官が大蔵大臣にいともやすやすと寄り切られることは今から明らかなことだと思います。なぜ金融監督庁長官を一般職とすることにしたのか、また、金融監督庁長官としてどのような人が任命されるにふさわしいと考えておられるのか、総理の明確な御答弁をお伺いいたします。
さらに、大蔵省からの独立性の確保という点についてですが、金融監督庁長官は地方金融機関に対し、検査・監督権限を大蔵省の地方支分部局である財務局及び財務支局の長に委任することができることになっておりますが、大蔵省に気兼ねしながらの検査・監督が迅速にできるのか、甚だ疑問です。
また、農林系金融機関、労働金庫等の検査については、政府案では農水省、労働省との共管になっておりますが、これらの検査については金融監督庁に一元化し、責任の所在を明確化することが肝要であると思いますが、総理の見解を伺います。
さらに、信用組合等地方の零細な金融機関に対する検査・監督に関しては、現在、国の機関委任事務として行われている都道府県による検査・監督を今後どのように行い、これをどう改善していくのか、お伺いします。
現状の検査体制・能力を考えますと金融監督庁に一元化する考えもあると思いますが、あわせて総理の御見解を伺います。
また、金融監督庁が金融プロフェッショナルの集団として自立していくためには、大蔵省との人事交流を遮断することが必要であると思います。もちろん、当初は大蔵省から金融監督庁へ職員が多少移籍することはやむを得ないと思いますが、原則として片道切符にすべきであると思います。
さらに、民間からも広く人材を求めることも大切です。それが専門家集団としての金融監督庁の機能強化につながるとともに、職員の資質及び十気の向上並びにキャリアアップの形成に役立つものと確信しております。
総理は金融監督庁と大蔵省との人事交流の遮断並びに人材育成と登用についてどのように考えておられるのか、お考えを伺います。
最後に、総理、我が国には、国民が営々として働き、蓄えてきた千二百兆円に上る個人の金融資産があります。その資産の健全でかつ公正な運用が我が国の金融市場で担保されなければ、好むと好まざるとにかかわらず、その膨大な資産は海外に流れていくというのが金融市場のグローバル化の意味するものでございます。また、血のにじむ努力で経済発展を支えてきた我が国の企業も、自由で公正なシステムで運営されている海外市場で資金を調達することを選べるグローバルな時代にビジネスを行っているのでございます。金融空洞化を避け、真に日本が諸外国と比肩する国際金融センターとして生まれ変わることができるかどうかが、二十一世紀を見据えた我が国経済の存亡を決すると言っても過言ではありません。
総理の金融自由化のためのシステム構築に向けての御決意を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/9
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010・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 広中議員にお答えを申し上げます。
まず、金融システム改革の内容とスケジュールについてのお尋ねがございました。
この改革は、二〇〇一年までに我が国の金融市場をニューヨーク、ロンドンと並ぶ国際金融市場とすることを目指しております。既に外為法改正法案、また議員立法によりましてストックオプション制度を一般的に導入する商法改正法案を成立させていただき、各般の大幅な規制緩和措置も決定をいたしております。
本改革を二〇〇一年までに完了するプランの全貌につきましては、現在、現行の法令上審議を担当いたします関係審議会等で最後の詰めの作業を行っておりまして、今月中にはお答えを明らかにできるものと考えております。
次に、金融監督庁の設置の理念についてお尋ねをいただきました。
今般の金融行政機構改革は、検査・監督という執行面の機能を総理府設置の金融監督庁が担い、企画・立案という政策面の機能を大蔵省が分担するということが金融システム改革実施と相まって、市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換に資する、そうした視点により実施するものでございます。
企画・立案部門の金融監督庁への移管、すなわち財政と金融の分離についての御意見もございました。
この問題は、我が国の行政機構のあり方の根幹にかかわるものでありますし、行政改革会議において、中央省庁再編のあり方の検討の一環として大所高所から議論をする必要があり、現在もそうした議論をお願い申し上げております。
なお、財政と金融のあり方を論じます場合に、G7等におきます国際的な政策協調への対応がうまくワークするかどうか、また、グローバル化と高齢化が進展する二十一世紀において限られた資源を効率的に配分するという観点等から検討すべき課題があると考え、また論議が進められております。
次に、金融行政に関連して、透明性を高めるべきではないか、そういう御指摘をいただきました。
これは、私どももそのとおりに思いますし、これまでの金融行政というものを根本的に見直しながら、情報開示の促進や早期是正措置等ルールの明確化などの必要な措置を講じて、自由で透明で信頼できる市場を構築してまいりたいと考えております。
次に、金融監督庁の設置と金融システム改革との関係についてお尋ねがございました。
今般の金融行政機構改革によりまして、業態間にまたがる金融サービスの出現あるいは金融市場のグローバル化などの新たな課題に的確に対応しながら、市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換が促進され、金融システム改革の実施と相まって、我が国金融・証券市場の活性化に資してくれることを私は信じております。
また、新しい機関を公取型の独立行政機関にせず、なぜこうした形をとったかという御指摘がございました。
新しい機関のあり方につきましては、与党内におきまして、行政委員会型も含めさまざまな御議論があった上で、最終的に総理府に金融監督庁を設置するよう御意見をまとめられたところでありますが、政府といたしましても、民間金融機関等に対する検査・監督という執行面の機能は、合議制の機関ではなく、長官の指揮監督に服する金融監督庁によって十分発揮される、そう考えております。
また、金融監督庁長官につきましてお尋ねがございました。
これは民間金融機関等の検査・監督の専門的な行政機関であり、また、長官を国務大臣とする場合には行政組織が拡大するといった観点も持ちまして、国家公務員の一般原則により一般職といたしました。
長官としては、金融監督庁の業務を統括するその重責にふさわしい、国民各層の信頼をいただけるような適材を得られるように努めていきたいと考えております。
また、金融検査の一元化等についても御意見をいただきました。
各省の検査・監督がそれぞれの行政目的を踏まえて実施されるとともに、金融監督庁は、検査・監督の専門的機関としての立場を踏まえて、金融行政の観点から検査・監督機能を発揮していくことが重要だと考えています。
信用組合等に関する機関委任事務につきましては、都道府県知事との適切な連携を図っていくことが必要でありますし、また、機関委任事務が廃止されました後の事務のあり方については、現存進められております地方分権推進委員会の検討の結論を踏まえて対応を図っていくべきであると考えております。
また、金融監督庁の大事についてお尋ねがございました。
同庁の大事につきましては、長官が独立の人事権を適切に行使され、事務を的確に遂行できるように、望ましい人材の確保、育成、登用を図っていくものと考えております。
最後に、金融自由化のためのシステム構築に向けた決意をということでございました。
金融の自由化というものは、議員が御指摘になりましたようなさまざまな流れのほかに、資金の効率的な配分、金融仲介コストの低減、新商品の開発の促進等を通じ、国民の金融に対するニーズの多様化や高度化に寄与するものであります。
現在進められております金融システム改革におきましては、我が国の金融システムのより一層の効率化が図られますように、強い決意を持って全力を挙げて取り組んでまいりますので、院としての御協力を心からお願い申し上げる次第であります。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/10
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011・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 広中議員にお答えを申し上げます。
まず、銀行、証券の不正事件に対する責任についてのお尋ねでございます。
これまでも検査においては万全を期し、また、証券会社については監視委員会が独立して調査するシステムが確立いたしておるところであります。いずれにせよ、こうした不正事件が発生したこと自体は極めて遺憾であります。今後は、事実の解明がなされ、その上に立って、適切かつ厳正な対処を行ってまいる所存であります。
なお、消費者金融を含むノンバンクについてのお尋ねでございましたが、これらについては、主として借り手の利益保護の観点から規制、監督が行われております。今後とも、この貸金業規制法の目的に照らし、問題があれば適切に指導監督してまいります。
預金保険機構に.ついてのお尋ねでございますが、八年度には木津信用組合等大規模な資金援助案件があったことから、一時的な資金不足に対応するため、借り入れを行っているところであります。
預金保険制度については、昨年、特別保険料の導入を含む保険料率の引き上げなどの制度整備を図ったところでありますが、こうした制度の活用により対応していくことが重要であると考えております。
なお、特別保険料については、諸情勢を勘案の上、十年度末に見直しを行うことといたしております。
金融機関の経営状況の現状と見通しについてお尋ねがございました。
金融機関の不良債権総額、要処理見込み額は、ともに着実に減少いたしております。現在、各金融機関は不良債権の早期処理に取り組み、抜本的な経営合理化を行っているところでありまして、個別金融機関の経営状況はさまざまでありますが、金融機関全体としては不良債権問題を克服することは可能であると考えております。
以上であります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/11
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012・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 渡辺四郎君。
〔渡辺四郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/12
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013・渡辺四郎
○渡辺四郎君 私は、ただいま議題となりました金融監督庁設置関係二法案について、社会民主党・護憲連合を代表いたしまして、橋本総理並びに関係大臣に質問いたします。
この十年、我が国経済は、バブルの生成、崩壊を通じ、長く厳しい低迷と混乱を経験いたしました。とりわけ、土地取引などへの融資にのめり込んだ金融界におきましては、不良債権の累積という深刻な傷跡を残しましたが、問題はその過程で行政当局が少なからず関与してきたところであります。
例えば、相次ぐ金融機関の破綻の中で、東京協和・安全二信組問題では予想を超える乱脈な融資の実態が明らかとなる一方、住専問題では、母体金融機関の責任とともに、検査によって実態を把握しながら解決を先送りにし、問題を困難にした行政当局の責任は見逃せないものであります。
また、大和銀行巨額損失事件では、不正を長期間にわたり見逃した不十分な海外検査体制が指摘をされ、国際的な不信感を増幅させたのは記憶に新しいところであります。
こうした金融行政に対する内外の信頼の欠如が今回の改正につながったものでありますが、この間の行政の対応について、総理、官房長官、大蔵大臣はどのように認識されておられるか、お伺いをいたします。
さて、今回の法案では、大蔵省が企画・立案を担当し、金融監督庁に検査及び監督を移すこととしておりますが、金融行政を総合的に移さず二分化した理由を御説明願います。
二分化する以上は、金融監督庁の市場に対する検査・監督機能を大蔵省の市場育成の観点からの企画・立案機能から真に独立させ、両者の間に緊張関係をもたらすことにより、これまでの金融行政を抜本的に変える必要があると考えますが、総理のお考えをお伺いします。
〔議長退席、副議長着席〕
以下、大蔵大臣にお伺いいたしますが、地方の金融機関の検査・監督に関しましては、大蔵省の地方支分部局である財務局を活用していくこととしておりますが、これはいかなる理由によるものか、お伺いします。
今回の改革の趣旨を徹底するためには、将来はこれを分離させるべきであり、都道府県が行っている信用組合等の検査とあわせて総合的にそのあり方を検討すべきではないかと思うからであります。
また、これまでの破綻処理では、競争制限的な規制や、競争力の弱い金融機関の保護を通じて信用秩序の維持を図るといういわゆる護送船団方式、あるいは奉加帳方式とも言われる手法がとられてまいりました。これが金融機関の経営に対する過剰な介入や行政指導を中心とする金融機関との癒着、なれ合いという批判につながり、その結果、金融機関全体の地位の低下を招き、その処理の不透明さから国際競争力の低下にもつながりました。
私は、今後は、ルールの明確化やその厳正な執行を確保し、市場参加者に対するディスクロージャーを促進して、公正で透明な金融システムを構築することと、金融機関の健全性については市場によるチェック機能を活用することで、行政はこれを補完する立場で検査中心の業務に徹すべきであると考えますが、御見解をお伺いします。
あわせて、昨年の住専国会で成立した金融三法により、金融機関の経営の健全性確保のため、早期是正措置を導入することとなっておりますが、その運用によっては従来の裁量型行政が継続するおそれがあります。現在検討中の内容につきまして具体的に御説明願います。
しかし、こうした仕組みとて万全ではなく、先般の第一勧業銀行の虚偽報告のように、総会屋グループ向けの貸し付けと知りながら融資し、その上、回収困難にもかかわらず不良債権扱いとしない報告をしている例があります。どのように資産の自己査定の基準を用意しても、金融機関がこれを裏切るようではモニタリングの前提が崩れてしまいます。したがって、意図的に報告を偽った今回のようなケースは厳しい対応が必要と考えますが、その点とあわせて当局の検査体制に問題はなかったのか、御答弁願います。
一方、金融行政の転換の必要性は、こうした過去の大蔵省行政に対する反省という意味にとどまりません。最近の金融市場の動向を見ますと、技術革新の進展により、市場が国境を越えて一体化すると同時に、市場間の国際的な競争が高まっております。さらには、技術革新に伴いデリバティブなどの技術の発達があり、その中で新たな金融行政への脱皮が求められるのでありますが、総理並びに大蔵大臣の御認識はどうか、お伺いいたします。
特に、科学技術の進展に伴い、電子マネーにつきましては、英国でのICカード型によるモンデックス社の実験以来、各地で実験が行われております。我が国でも、先般の外為法の改正の際に支払い手段としての位置づけが行われましたが、行政の対応がおくれているように思われます。このまま放置しておきますと、決済リスクの発生や偽造など、利用者等に不測の損害が生じるおそれも考えられます。
この際、各省ごとに行われている論議を集約し、早急に電子マネーに関するガイドラインなり関係法律の整備を考える必要があるのではないかと思われますが、総理の御見解もあわせてお伺いいたします。
なお、こうした金融システムの高度化の中で、検査技術の向上は欠かせないと思いますが、公認会計士の資格を持つ専門家の採用など、金融監督庁の人材の確保と研さんの必要性についてはどのようにお考えか、官房長官にお伺いいたします。
次に、金融市場がグローバル化していく中で、我が国市場が活力を向上させていくためには、世界に通用する自由で適正な競争が可能な金融市場を構築する必要があります。でなければ、諸外国との競争に破れ、市場の空洞化は避けられません。総理が昨年十一月に、フリー、フェア、グローバルを三つの原則とする日本版ビッグバンについて構想を示されました。総理は、この三つの原則の中で何を一番重視し、日本版ビッグバンに関しどのような改革をなし遂げていこうとするおつもりか、そのスケジュールもあわせて総理にお伺いいたします。
さらに、今回の金融行政機構改革は、ビッグバンを的確に進める上でどのように位置づけられるのか、改めて伺いたいと思います。
ビッグバンを成功させ、今後の金融行政機構改革を実りあるものとするためには、金融機関に自己責任原則を確立することを求めるとともに、金融行政についても市場規律を補完する役割に徹することが必要ではないかと思います。
そこで、金融機関の意識改革や金融行政の改革にどのように取り組まれるおつもりか、総理、官房長官、大蔵大臣の決意を伺いたいと思います。
最後に、金融監督庁の設置は行政改革の一環という位置づけでもありますが、改革はこれで終わるものではありません。大蔵省に関しては、金融と財政の分離というのが究極の課題であると思います。昨年末の与党三党の報告書でも、「総理のもとの行政改革会議において検討される霞が関大改革の課題とすべきである」とされておりますが、総理の方針をお伺いして、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/13
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014・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 渡辺議員にお答えを申し上げます。
まず、金融行政に対する内外の信頼の欠如が今回の改正につながった、こうした点についてどう思うかというお尋ねをいただきました。
これまでの金融行政のあり方に対する国民各位からの厳しい御批判というものは、今日もなおマスコミをにぎわしている現在の状況とあわせまして真剣に我々はこれを受けとめなければなりません。
今後の金融行政につきましては、そのあり方を抜本的に見直しながら、自由かつ透明で信頼できる市場を構築するために努力してまいりたいと考えております。
次に、金融行政を検査・監督と企画・立案とに二分割することについてのお尋ねをいただきました。
今般の金融行政機構改革は、民間金融機関等に対しましての検査・監督という執行面の機能を総理府設置の金融監督庁が担い、企画・立案という政策面の機能を大蔵省が分担することが、市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換に資するという考え方から実施をいたしたものでございまして、金融監督庁と大蔵省がこのような明確な機能分担のもとに適切な連携を図っていくことといたしております。
次に、金融の技術革新、国際的な市場間の競争に対応した金融行政についての御意見がございました。
議員が御指摘になりましたように、例えばデリバティブに象徴されるような新たな金融商品が生まれております状況の中で、我が国の金融市場がニューヨーク、ロンドンと並ぶ国際金融市場として再生することを目指しながら金融システム改革を前進させていくこととしており、金融行政そのものにつきましてもこれにふさわしいものに変革していく必要がある、これは御指摘のとおりであります。
また、いわゆる電子マネーにつきましては、高度情報通信社会における利用者のニーズに対応し、効率的な支払い・決済の手段を提供するものでありまして、決済機能を担う金融産業の発展にとって重要な課題でございます。このため、現在、我が国の金融システムの改革の一環といたしまして、電子マネーの適切な発展の基礎となる環境の整備につき、法整備の必要性も含めまして検討を行っております。
次に、金融システム改革そのものについてのお尋ねがございました。
先ほども申し上げましたように、我が国金融市場をニューヨーク、ロンドンと並ぶ国際金融市場とすることを目標とし、そのためには、議員は優先順位はというお尋ねでありましたけれども、私は、フリー、フェア、グローバルという三つの原則はすべてそろえて進めていかなければならないものだと思っております。
既に、外為法改正法案、また議員立法によってストックオプション制度を一般的に導入する商法改正法案を成立させていただきました。各般の大幅な規制緩和措置も決定をいたしております。
この改革を二〇〇一年までに完了いたしますためのプランの全貌につきましては、法令上審議を担当される関係審議会等において御意見を伺わなければなりません。現在、その最後の詰めの作業を行っておりまして、今月中には明らかにできるものと考えております。
また、金融機関の意識改革や金融行政の改革に向けた決意を問うという御指摘をいただきました。
今後の金融行政につきましては、自己責任原則の徹底とともに、市場規律の十分な発揮というものを基軸とする透明性の高い行政を行うことを基本原則として進めていくことが重要と、そのように認識をいたしております。
最後に、財政と金融のあり方についての御意見をいただきました。
昨年末の与党三党合意におきましても、行政改革会議において検討される大改革の課題、そのように位置づけられているテーマでありますが、まさに我が国の行政機構のあり方の根幹にかかわる問題、そのような観点から、行政改革会議におきまして、中央省庁再編のあり方の検討の対象として非常に大事な問題の一つとして十分に議論をされる必要があり、また現に行われております。
なお、財政と金融を論じます場合に、G7等におきます国際的な政策協調への対応の問題、また、グローバル化と高齢化が進展する二十一世紀におきまして限られた資源を効率的に配分するという観点、こうした点からも検討をしていかなければならないものと、そのように考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
〔国務大臣梶山静六君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/14
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015・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) お答えを申し上げます。
まず初めに、金融行政に関するお尋ねがありましたが、先ほど総理からも申し上げましたとおり、これまでの金融行政のあり方に対する国民各位からの厳しい御批判については、これを真摯に受けとめる必要があると考えております。
今後の金融行政については、そのあり方を抜本的に見直し、金融自由化にふさわしい新しい金融システムを構築していく必要があると考えております。
次に、金融監督庁の人材の確保等についてのお尋ねでありますが、金融の自由化等の進展に伴い金融機関の抱えるリスクが多様化、複雑化しており、検査・監督行政がこれに適切に対応していくべきことは当然であります。
金融監督庁においては、長官が適切に人事権を行使し、望ましい人材の確保に努めるとともに、職員に対する研修の充実等を通じ、金融の高度化に対応した研さんに努めていく必要があると考えます。
最後に、金融機関の意識改革や金融行政の改革に向けた決意についてのお尋ねでありますが、総理がお答えになったように、今般の金融行政機構改革により、金融監督庁において民間金融機関等に対する検査・監督が明確なルールに基づき厳正かつ的確に遂行されると考えており、金融機関に対しては、自己責任原則の徹底とともに、その業務の公共性にかんがみ、重要な社会的役割を担っているとの一層の自覚を促してまいりたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/15
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016・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 渡辺議員にお答えを申し上げます。
私に対する質問は八問でございます。
まず、金融行政に関するお尋ねでございますが、先ほど総理、また官房長官から申し上げましたとおり、同様の危機意識でございます。これまでの金融行政に対する種々の御批判につきましては、これを真摯に受けとめ、そのあり方を抜本的に見直し、自己責任原則の徹底と市場規律の十分な発揮を基軸とする透明性の高い行政をつくり上げていくことが重要であると考えております。
次に、金融機関の健全性確保については検査を中心に対応すべきではないかとのお尋ねでございましたが、今後の金融行政については、市場のチェック機能の活用を図る観点から、金融機関のディスクロージャーの一層の拡充を促していくとともに、市場規律を補完するものとして、新しい監督手法である早期是正措置の導入や、リスク管理体制等の検査によるチェックの充実などの必要な措置を講ずることを通じまして、適切な監督に努めてまいりたいと考えております。
地方の金融機関の検査・監督に関して財務局を活用する理由についてのお尋ねであります。
地方の検査及び監督については、昨年末の与党合意を踏まえ、新たに金融監督庁の地方支分部局を設けることは、行政改革の理念に照らし適切ではなく、また、職員の養成確保の面で弾力性が乏しくなるとの問題も生ずることから、既存の財務局の組織を活用することといたしたものであります。
早期是正措置に関するお尋ねでありますが、その具体的な内容については、昨年末に是正措置の区分は三段階とする等の考え方を示しているところでありますが、この考え方を踏まえまして早急に省令等の整備を行い、透明性の高い金融行政への転換を図る所存であります。
第一勧銀の問題についてのお尋ねであります。
公共性の高い免許業種である銀行が不適切な業務運営を行い、預金者等の信頼を著しく損ねることは極めて遺憾であり、当局としては、さらに事実関係の究明を行い、また、捜査当局の捜査状況をも踏まえつつ、法令に基づき厳正に対処してまいる所存であります。
検査体制についてのお尋ねであります。
金融検査は金融機関等の業務、財産の健全性、適切性についてチェックを行っているものでありますが、個々の取引を網羅的に調べ上げて個別の不正発見や犯罪捜査を主眼として行っているものではありません。
また、金融検査は金融機関との信頼関係を前提に検査を行っているものであり、第一勧業銀行の問題については、その詳細について現在調査中であり、事実関係を明らかにした上で適切な対応をとってまいる所存であります。
金融の技術革新、国際的な市場間競争に対応した金融行政については、総理からも御答弁を申し上げましたが、フリー、フェア、グローバルの観点に立った金融システムの改革を推進するとともに、市場規律を基本とした透明性の高い金融行政の確立に向けて努力をしてまいる所存であります。
電子マネーについてのお尋ねであります。
いわゆる電子マネーは金融制度や通貨制度にもかかわる問題でありまして、大蔵省としては、G10諸国の大蔵省・中央銀行から成る作業部会や電子マネー及び電子決済に関する懇談会における検討の結果も踏まえつつ、それが我が国において適切な発展を遂げるよう、所要の環境整備に努めてまいりたいと考えております。
最後でありますが、金融機関の意識改革や金融行政の改革に向けた決意についていかん。総理からも御答弁がありまして尽きるところであります。
今般の金融行政機構改革は、自己責任原則の徹底と市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換に資するものでございまして、金融システム改革の実施と相まち、経済及び国民生活にとっての基盤とも言うべき我が国金融・証券市場の活性化に資するものと考えております。
以上であります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/16
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017・松尾官平
○副議長(松尾官平君) 峰崎直樹君。
〔峰崎直樹君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/17
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018・峰崎直樹
○峰崎直樹君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。
橋本総理は、第二次橋本内閣の発足に際し、六つの改革を掲げ、火だるまになる決意で取り組むことを明らかにしておられます。その六大改革の中でも最もハードと言われているのが行政改革であります。行政改革については、現在、政府の行政改革会議において鋭意検討が進められておるやに聞いております。各省庁からのヒアリングにおいてはゼロ回答のオンパレードと報道されております。今後の行政改革会議の検討作業の進行と具体化に伴い、いわゆる族議員を巻き込んだ反撃が強まることが予想されるところであります。火だるまとなって燃え尽きてしまうのか、それとも六大改革を見事に実現し後世に名を残すか、予断を許さないと言わなければなりません。
ところで、橋本総理の火だるま行革の試金石と言われるのが、大蔵省から金融の検査・監督機能を分離し、総理府の外局として新たに金融監督庁を設置するという今回の法案であります。総理の六大改革に向けての理念と決意をここで改めて再確認するとともに、六大改革における進捗状況について御説明をお伺いしたいと思います。
また、六大改革における金融監督庁設置の位置づけ及び意義について、総理の明快な御説明をお伺いしたいと思います。
言うまでもなく、今回、大蔵省から金融の検査・監督機能を分離し、金融監督庁を設置しようという契機となったのは、バブルの崩壊に伴う金融機関の経営破綻や住専処理問題、そして、大和銀行ニューヨーク支店の巨額損失事件の発覚とそれに対する大蔵省の対応等であります。これら一連の事件を通じて、大蔵省の金融の検査・監督に対し不信感が噴出するとともに、金融行政の密室性、不透明性、裁量性、業界保護、天下りに代表される官民癒着体制等、そのあり方が厳しく糾弾されました。
バブルの後遺症は今なお尾を引き、現在、日本債券信用銀行の経営危機や日産生命の経営破綻への早急かつ的確な対応を金融当局及び業界は迫られております。一方、野村証券の総会屋への利益供与事件に絡み、大手都市銀行の一つである第一勧業銀行のこの総会屋に対する巨額の不正融資の実態が白日のもとにさらされております。これらの経営破綻や事件の発覚により、金融の検査・監督は再び国民の厳しい批判を浴びることを余儀なくされております。
日本債券信用銀行や日産生命の場合、大蔵省は、事前に実情を把握しながら最終局面まで所要の措置を講じてこなかったと伝えられております。金融行政の密室性、不透明性、裁量性等の特性は依然解消されておりません。大蔵省は、日本債券信用銀行や日産生命の経営の危機の状態をいつの時点でどの程度把握し、情報の公開等の措置を含めどのような対応を行ってきたのか、改めて大蔵大臣に御説明願いたいど思います。
日本債券信用銀行や日産生命、野村証券や第一勧業銀行の行為に法律違反が確認されれば、法にのっとり刑事告発や行政処分の措置が講じられるべきと考えますが、どのように対処するお考えか、お伺いいたします。
また、金融検査で経営内容の悪化の事実を知りながら、日産生命の虚偽の決算報告に対して何らの措置もとってこなかった大蔵省の担当者を処分するお考えはないのか、また、今回の金融監督庁の設置に伴い、金融行政に対する前述の批判はどのように改まるのか、総理の明快な御答弁をお伺いしたいと思います。
今回の金融監督庁設置法案の提案に先立って、自民、社民、新党さきがけの与党三党は、金融行政をはじめとする大蔵省改革プロジェクトチームを設け、一年近い検討の後、昨年十二月二十四日の最終合意にたどり着きました。その間、二度にわたって中間的な報告がまとめられております。
これらの合意や報告の内容を検討すると、金融の検査及び監督体制のあり方については、昨年大月の大蔵省改革についての報告で示された方向での改革が望ましいと考えております。すなわち、そこでは金融の検査・監督に当たる公正取引委員会のような国家行政組織法第三条委員会として、独立した機構を設置する案を基本とすることが明確に打ち出されております。
今回の金融監督庁設置法案は、国家行政組織法第三条に基づく庁を総理府に設置しようとするものであります。同じ総理府の外局とはいえ、委員会と庁とでは権限行使の独立性等の面で大きくその性格を異にいたします。これでは、大蔵省に残すこととしている金融の企画・立案機能との強い緊張関係はほとんど期待できないばかりか、適正、厳格な検査・監督の執行も望み薄と言わなければなりません。
なぜ独立性の確保の面で当初から問題のある庁としたのか、また、金融行政の所管大臣として、金融監督庁の独立性をどのように確保し、そしてみずからは金融行政、金融監督庁にどのように関与していくお考えか、総理の御見解並びに御方針をお示し願いたいと思います。
名は体をあらわすと言いますが、新たに設置しようとする機関の名称も今後の金融行政の行方を決定づける重要な要素であると考えております。今後の金融行政については、従来型の不透明、裁量的、業界保護的行政から脱却し、グローバルスタンダードの市場ルールを重視した検査による事後チェック行政への移行が迫られております。
金融監督庁設置法案提出までの一連の論議の中で最も問題になったのは財政と金融の分離ということでありました。今回の法案においては、大蔵省に引き続き金融の企画・立案機能を残すこととしたことに伴い、金融監督庁の検査・監督に対する大蔵省の関与、干渉が必須のものとして制度化されていると言わざるを得ません。法律的には総理府の外局として設置することとしているとはいえ、実質的には大蔵省の植民地まがいの組織となる可能性は今から濃厚であります。また、金融の企画・立案機能を大蔵省が今後も担当するとしているため、金融行政の二元化も懸念の種と思われます。
今回の金融監督庁設置法案の提出までの経緯については、終始、政治主導で進められてきたと喧伝されております。大蔵省改革プロジェクトチームに参画した与党関係者の中には大蔵省の完敗と自画自賛する向きもありますが、その実質は、大蔵省のたなごころの上で踊っていたにすぎなかったのではないでしょうか。
真の金融行政改革、大蔵省改革を標榜するならば、金融の企画・立案機能も大蔵省から分離することは不可避の措置であると考えます。金融の企画・立案機能を大蔵省に残したことは、金融行政全般に対する橋頭堡を大蔵省に与えるものであると断言せざるを得ません。財政と金融の分離に対する総理並びに大蔵大臣のそれぞれの基本的な御認識をお伺いしたいと思います。
また、財政と金融の完全分離の前提条件として、金融の企画・立案機能の大蔵省からの分離がまず必要であると考えますが、この点についての総理の御見解をお伺いしたいと思います。
金融監督庁設置法案を提出しておりながら、いまだに当の金融監督庁の組織や体制が全く示されていないのは遺憾であると言わざるを得ません。一部には、組織面でも人事課を持たないなど大蔵省の影響力が残る形となっていると報道され、主体的な人事が行われ得るのか、疑問符が出されております。
いずれにしても、組織の人事は組織活動のかなめであります。金融監督庁の人事を大蔵省に依存することは絶対に阻止しなければなりません。そのためには、金融監督庁と大蔵省の人事の連動を断ち切らなければなりません。
金融監督庁の発足に当たり、大蔵省から金融監督庁に移る職員は当然発生することとなりますが、衆議院でも附帯決議がなされているように、これらの職員には基本的にノーリターンの原則を適用するのは当然であると思います。当初は移籍に落胆しても、やりがいのある職場、やりがいのある処遇ということになれば、職員の士気は高まり、金融の検査・監督の上でも目立った効果が期待できると思います。また、そのためにもノーリターンルールは絶対に必要であると思います。
最後に、金融監督庁の組織、体制の概要とノーリターンルール採用等人事管理の基本原則を総理にお伺いして、私の質問とさせていただきます。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/18
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019・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 峰崎議員にお答えを申し上げます。
まず、六大改革へ向けての理念と決意、そして進捗状況についてというお尋ねがございました。
私は、将来を考えるとき、この六つの改革はいずれも成功させなければならない、そのような思いでいっぱいであります。
まず、今、財政構造改革会議におきましては、近日中に来年度予算についての基本的な考え方等を取りまとめますし、行政改革会議におきましては、中央省庁の再編等につきまして十一月末までに成案を得るべく精力的に論議を続けております。
経済構造改革につきましては、新規産業の創出や物流、エネルギー、通信など、高コストの是正等を内容とする行動計画を閣議決定いたしました。
金融システム改革につきましては、フロントランナーとしての外為法改正を既に成立させていただいておりますし、社会保障構造改革につきましても、現在本院におきまして健康保険法等御論議をいただいているさなかであり、さらに介護保険等も御審議を願いたいと思っておるところであります。
また、教育改革につきましても、先日、中教審が審議のまとめを公表するなど着実に進んでおり、今後ともに本院の御理解、御協力を得てぜひこれらの問題を前進させていきたいと心から願っております。
次に、その中において、一体金融監督庁設置というものはどういう位置づけになり、意義を持つのかというお話でありました。
今般の金融行政機構改革は、民間金融機関等の検査・監督機能を金融監督庁が担い、企画・立案部門を大蔵省が分担する、従来一つでありましたものをこうして分離いたしますことにより、市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換を図るという、そうした明確な理念に基づいて実施をしていこうと考えているものであります。行政改革の一環をなしますとともに、金融システム改革の推進に資するもの、そのように位置づけておるところであります。
次に、幾つかの例示を挙げられながら、金融機関が違法行為を行っていた場合の取り扱いについてお尋ねがございました。
細部にわたりましては恐らく大蔵大臣から御答弁を申し上げることになりますが、これまでも違法行為が発覚いたしましたとき、刑事告発や行政処分などにより関係局において適切に対応してきたと考えております。これからも、不正があれば厳正にこれに対処していくことによって我が国金融界の信頼性確保に努めていきたいと考えております。
また、日産生命についてのお尋ねがございましたが、同社につきましては、大蔵省は従来から収支改善計画の策定を行わせるなどできる限りの指導を行ってきたと、そう報告を受けており、さらに検査結果を踏まえて一層強く財務内容の改善を指導してきたと聞いております。
また、日産生命そのものにおかれても自主再建の努力を懸命に続けられ、七年度決算ではその効果もあらわれたとのことでありますが、八年度の株式投資の失敗もありまして、先日、事業継続を断念したと聞いております。
金融行政への御批判についてお尋ねがございましたが、今般の金融行政機構改革というものは、執行面の機能を金融監督庁が、政策面の機能を大蔵省が分担することによって、先ほども申し上げましたような、市場規律というものを基軸に据えた透明かつ公正な金融行政への転換を図るという理念に基づいてこれを進めようといたしております。新設の金融監督庁により検査・監督事務がルールに基づいて厳正かつ的確に行われ、国民の皆様の御批判にこたえられると思います。
また、これは当然のことでありますけれども、不正があればこれに厳正に対処すること、それ自体が私は国民の信頼を得る方途であるとも考えております。
次に、その組織のあり方等について御論議をいただきましたが、与党内の御議論を経まして、最終的に庁として設置することで合意されたところでありますし、政府といたしましても、検査・監督の機能は、合議制の機関ではなく、長官の指揮監督する庁により十分発揮されると考えております。
また、金融監督庁は、大蔵省との明確な機能分担のもとに独立して機能を発揮するものでありまして、私としても、主任の大臣として、長官の任命、長官への指示等を通じて金融監督庁の的確な機能発揮に努めていきたいと考えております。
また、金融の企画・立案機能も大蔵省から分離することが不可避の措置であるというところからの御論議がございました。
これは、まさに我が国の行政機構のあり方の根幹にかかわる問題として、従来からも行政改革会議において、中央省庁再編のあり方の検討の一環として大所高所からの議論を求める、与党三党からもそうした御意見をいただいてまいりました。そして、現に行政改革会議の大きなテーマの一つであります。その上で、財政と金融のあり方につきましては、国際的な政策協調への対応といった違った角度からの視点も必要であることは申し添えるまでもないことと存じます。
また、金融監督庁の組織等についてのお尋ねがございました。
検査機能を適切に発揮しながら、金融危機管理に万全の体制とする、こうした点に配慮をしながら、平成十年度予算編成過程におきまして、行政改革の基本を踏まえながら、十分煮詰めたものにいたしたいと思っております。
また、大事につきましては、長官が独立の人事権を適切に行使し、業務を的確に遂行できるよう望ましい人材を確保できるようにしていくべきもの、そのように考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/19
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020・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 峰崎議員からは五問であります。お答えします。
日債銀や日産生命に関する大蔵省の対応についてのお尋ねでございますが、まず、日債銀は、年初来の市場の信認の低下を受けまして、抜本的な経営再建策を発表いたしましたが、大蔵省といたしましては、金融システム安定化の観点から、この再建策に最大限の支援を行っております。
また、日産生命については、一昨年九月の当局検査の結果、実質債務超過を把握し、一層強力な経営改善計画遂行を指導してまいりました。
なお、金融機関の情報開示の充実については、大蔵省としても従前より積極的に進めておるところであります。
金融機関が違法行為を行っていた場合の取り扱いについてのお尋ねでありますが、先ほども総理が申し上げましたとおり、今後とも、不正があれば必ずこれに厳正に対処していくことにより、我が国金融界の信頼性確保に努めてまいりたいと考えております。
日産生命についてのお尋ねでございますが、先ほども総理から申し上げたとおり、同社に対しては、大蔵省は従来より収支改善計画の策定を行わせるなど、できる限りの指導を行ってきておりまして、さらに検査結果を踏まえて一層強く財務内容の改善を指導してきたところであります。
金融の企画・立案機能の大蔵省からの分離、すなわち財政と金融の分離に対する基本的認識についてのお尋ねでありますが、これは我が国の行政機構のあり方の根幹にかかわるものであると存じます。大蔵省としては、財政と金融を一体的に把握し、政策を企画・立案する組織の存在は、G7等における国際的な政策協調への対応、通貨と国庫という制度的視点、グローバル化と高齢化が進展する二十一世紀において限られた資源を効率的に配分するという観点からもますます重要となっていくのではないかと考えております。
いずれにいたしましても、財政と金融のあり方については、行政改革会議において中央省庁再編のあり方の検討の一環として大所高所から十分に議論していただく必要があると考えております。
金融監督庁の組織、体制についてのお尋ねでございますが、これは今後、平成十年度予算編成過程において検討されていくこととなりますが、行政改革の基本も踏まえつつ、今般の金融行政機構改革の趣旨に即し、金融監督庁がその機能を適切に発揮できるよう配慮していくことが重要であると考えております。
また、金融監督庁の大事については、長官が厳正に独立の人事権を行使して、望ましい人材を確保していくべきものでありますが、金融監督庁と大蔵省との人事交流を一般的に遮断するかどうかについては、省庁間の人事交流がいわゆる縦割り行政の弊害の是正に資するものであること等の点も十分踏まえるべきであると考えております。
以上であります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/20
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021・松尾官平
○副議長(松尾官平君) 笠井亮君。
〔笠井亮君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/21
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022・笠井亮
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、金融監督庁設置法案等の問題について、橋本総理並びに関係大臣に質問いたします。
今回の金融監督庁設置法案の提出に至る経過的背景として、住専問題、大和銀行事件に続き、野村証券と第一勧銀、日債銀、日産生命問題など、相次ぐ金融腐敗・不祥事や破綻があったことは明白であります。
バブル経済とその崩壊、そして低金利政策で国民をさんざん苦しめながら、他方で国民の預金が何百億という単位で総会屋のために使われていたり、住専処理には六千八百五十億円もの公的資金を投入し、国民の血税で大銀行の不始末を助ける。まさに、国民の厳しい批判は金融行政と大銀行等との癒着の構造、金融行政のあり方そのものに向けられているのであります。
総理、今何よりも政府に求められているのは、このような大銀行、大金融機関のための金融行政を大もとから改めることではありませんか。
ところが、本法案は、住専問題を初めとする国民の怒りを受けとめて、真摯な反省のもとに提案されているのではなく、別の方向、すなわち金融の自由化を一層進める金融構造改革、いわゆる日本版ビッグバンに対応するためのものではありませんか。明確にしていただきたいと思います。
橋本内閣は、ビッグバンを進めることが当然の方向であり、あたかも国民にいい結果をもたらすと言いますが、果たしてそうでしょうか。
日本版ビッグバンによってやろうとしているのは、証券、保険と銀行の垣根を取り払い、金融市場全体の自由化を進めることです。そうなれば、日本の金融市場が世界的規模での激しい弱肉強食の荒波に巻き込まれることになり、株の売買から生命保険まですべての金融業務がごく少数の大銀行によって支配されることになります。
ビッグバンの成功例とされているイギリスにおいてさえ、古い歴史を持つ証券会社までが整理、倒産に追い込まれ、国外の巨大金融資本にかなりの金融機関がのみ込まれてしまったわけであります。事は国の主権にもかかわる重大問題でありますが、日本ではそうならないと断言できますか。
同時に、このことによって、中小企業や商店の預金を預かり、融資などを担う信金や信組など、中小金融機関の整理、淘汰が激烈に進められることになり、地域経済や多くの国民に重大な影響を与えることは明らかではありませんか。大蔵大臣、いかがですか。
言うまでもなく、銀行は決済システムを形成して信用創造を行うという社会的な役割を持っています。このような銀行業と証券業などの金融業務とは本来両立するものではありません。今でも日本の銀行は国際的に見ても異常なほど莫大な株式を保有しています。さらにビッグバンによって銀行がますますカジノ化する証券業務を行うことになれば、みずからのもうけのために庶民の大切な預金を使うことになるのは確実であります。そうなれば、銀行の公共性がないがしろにされ、日本の信用・決済システムを一層不安定にすることになるのではありませんか。
総理は、一千二百兆円に上る個人金融資産を有利に運用することができるよう規制を見直すことがビッグバンの目的の一つとしています。しかし、個人の金融資産はその大半が生活に備える資産です。ハイリスクの金融ハイテク商品が個人取引にも広がれば、個人の金融資産が内外の投機的な金融市場の大波に投げ込まれることになり、結局、変額保険と同様に食い物にされるのではありませんか。
今日、金融制度の改革にとって、大蔵省と大手金融機関の癒着の構造を打ち破り、金融機関の公共性を重視する公的規制のための監督・監視体制を確立することこそ焦眉の課題であります。なぜなら、大蔵省は、一連の不祥事を発見する力を持たなかったし、発見しても隠し続ける事実があったからであります。総理は現在の監督体制についてどういう認識を持っておられるのか、お答えいただきたい。
問題は、今回の法案によって新設される金融監督庁が果たしてこれらの課題をなし得るものかどうかです。
そこで、具体的に伺います。
野村証券・第一勧銀問題では、第一勧業銀行が総会屋の黒い資金源となり、乱脈な融資をしていた事実について、大蔵省に対し虚偽の報告をしていたという問題が明らかになりました。これは銀行の公共性をみずから踏みにじったものであり、断じて許せません。
大蔵省の監督責任も重大です。大蔵大臣は、調査の上、銀行法第六十三条違反で刑事告発するとも述べていますが、いつ告発するのか、明確な答弁を求めます。
大蔵省が検査・監督をしていなかったとか、体制が不十分とかいう問題ではないはずであります。腐敗や不祥事を発見しても、それをえぐり出し、きちんとした対処ができないという癒着の構図こそ、大和銀行ニューヨーク支店の不正取引事件に際しても、アメリカからルールなき資本主義だと日本が厳しく批判された点ではなかったのですか。これらの事件からどういう教訓を導き出しているのか、今回の金融監督庁によってこのような不祥事の再発が防止できるとお考えなのか、官房長官、いかがですか。
今、国民が強く求めているのは、我が国の銀行が巨額の不良資産を抱え、銀行倒産と言われる時代に、消費者保護をどうするかという問題であります。ところが、この法案にはそのことが全く触れられていません。一体消費者保護にだれが責任を負うのですか。政府がグローバルスタンダードを言うなら、日本が世界から厳しく指摘されているディスクロージャーや不公正な証券市場などの問題を正すとともに、消費者保護こそ明確に定めるべきではありませんか。
本法案は結局、大蔵省にあった検査・監督部門をそっくり別建てにして、これまで大蔵省が果たしてきた役割を総理府のもとに置く金融監督庁に移すだけではありませんか。一体それで監督、監視を強化することになるのですか。見解を求めるものであります。
最後に、国民が求める金融行政の改革のためにも、政官財の癒着の根を断ち切る上で、我が党が提案しているような情報公開法、天下り禁止法、企業・団体献金禁止法の実現こそ急務であることを強調して、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/22
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023・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 笠井議員にお答えを申し上げます。
まず、金融行政に対するお尋ねがありましたが、これまでの金融行政のあり方に対する国民各位からの厳しい御批判につきましては、これを真剣に受けとめなければなりません。
今後の金融行政につきましては、そのあり方を抜本的に見直し、自己責任原則の徹底と市場規律の十分な発揮を基軸とする透明性の高い行政を行っていくことが重要と考えております。
次に、本法案の提案の趣旨についてお尋ねがございました。
今般の金融行政機構改革は、国民からの御批判を重く受けとめ、執行面の機能を金融監督庁が担い、政策面の機能を大蔵省が分担することにより、市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換を図るという明確な理念に基づいて実施しようとするものであります。
こうした金融行政の転換は、金融システム改革の推進にも当然ながら資するものと考えております。
また、金融システム改革により、金融市場が大銀行に支配されてしまうのではないかというお尋ねがございました。
今般の金融システム改革が進められますなら、みずからの能力を生かして特色のある経営を行っていくことにより、顧客のニーズにより合致したサービスを提供できる金融機関が競争力を持つと考えられます。御指摘のような大銀行による金融市場の支配ということには必ずしもならないのではないだろうか、私はそう思います。
次に、個人金融資産の運用に関する規制の見直しについて御意見がございました。
今般の金融システム改革におきまして、フリー、フェア、グローバル、この三つの原則にのっとって、投資家の幅広いニーズにこたえるさまざまな商品を導入してまいりますとともに、リスク管理の徹底や公正取引確保のための措置をあわせて整備するなど、投資家保護を図っていく所存であります。
次に、金融監督体制についてお尋ねがございました。
金融検査・監督、これにつきましては、預金者保護、信用の秩序の維持等を図るために、金融機関等の業務、財産の健全性確保の観点からこれらを行うものであり、個別の犯罪捜査を主眼として行っているものではございません。
今後の金融監督のあり方につきましては、自己責任原則の徹底と市場規律の十分な発揮を基軸とする透明性の高い行政を行うことが重要だと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
〔国務大臣梶山静六君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/23
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024・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 初めに、金融不祥事についてのお尋ねでありますが、今般の金融行政機構改革は、執行面の機能を金融監督庁が、政策面の機能を大蔵省が分担することにより、透明かつ公正な金融行政への転換を図るものであります。
金融監督庁により民間金融機関等の検査・監督事務がルールに基づき厳正かつ的確に遂行されるとともに、証券不祥事に関しては、同庁に移管される証券取引等監視委員会の中立公正な市場監視機能が今後とも適切に発揮されるものと考えております。
次に、消費者保護の観点についての御指摘ですが、今般の金融行政機構改革は金融監督庁を設置することを主眼とするものであり、同庁設置法案は、現行銀行法等の実体規定を踏まえ、その任務、権限等を規定しているものであります。
金融監督庁は、預金者等の保護を図ること等を任務としており、銀行法、貸金業規制法等による検査・監督を通じ、預金者、資金需要者等の消費者等の保護に機能を発揮していくこととなっております。
最後に、本法案は、組織を一部分離するだけのものではないかとの御指摘ですが、金融監督庁は民間金融機関等に対する検査・監督を専門的に行う行政機関であり、大蔵省との明確な機能分担のもとで、同庁により検査・監督事務がルールに基づき厳正かつ的確に遂行されるものと考えております。(拍手)
〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/24
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025・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 笠井議員にお答えを申し上げます。
金融機関の整理、淘汰の影響についてお尋ねでございましたが、金融システム改革を進めるに当たっては、金融システム全体の安定に十分に配慮するとともに、個別の金融機関についても適切な監督を行うよう努めてまいります。
仮に、個別の金融機関において経営困難が生じました場合、預金者保護を図りつつ、円滑かつ迅速に対応を行うことを基本として、金融システムの安定に注意を払ってまいります。
銀行による証券業務についてのお尋ねでございますが、多様化、高度化する利用者ニーズに適切にこたえていくためには、銀行本体の業務範囲の拡大が求められる一方で、銀行の経営の健全性確保の観点からは銀行本体の業務範囲にはおのずから一定の制限がかかるものであると考えられます。
こうした観点のもと、金融システム改革において、銀行に求められている役割を適切に踏まえ、銀行の業務範囲の見直しについて検討してまいる所存であります。
第一勧業銀行に関する告発についてのお尋ねでございますが、第一勧業銀行から、大蔵省検査において一部の取引が不良債権として指摘されることを回避した疑念が生じているとの報告があり、現在重大な関心を持って具体的な事実関係について調査を継続いたしておるところであります。
このような行為が行われたとすれば極めて遺憾であり、具体的な事実を把握した上で、法令に基づき厳正に対処してまいる所存であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/25
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026・松尾官平
○副議長(松尾官平君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03119970602/26
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