1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年四月八日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
四月七日
辞任 補欠選任
石井 道子君 北岡 秀二君
西田 吉宏君 林 芳正君
今泉 昭君 平田 健二君
四月八日
辞任 補欠選任
佐々木 満君 保坂 三蔵君
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出席者は左のとおり。
委員長 勝木 健司君
理 事
石渡 清元君
坪井 一宇君
長谷川 清君
川橋 幸子君
委 員
上野 公成君
北岡 秀二君
小山 孝雄君
野村 五男君
林 芳正君
保坂 三蔵君
武田 節子君
平田 健二君
星野 朋市君
大脇 雅子君
笹野 貞子君
吉川 春子君
国務大臣
労 働 大 臣 岡野 裕君
政府委員
労働大臣官房長 渡邊 信君
労働省労政局長 松原 亘子君
労働省労働基準
局長 伊藤 庄平君
労働省職業安定
局長 征矢 紀臣君
事務局側
常任委員会専門
員 佐野 厚君
説明員
厚生省年金局企
業年金国民年金
基金課長 小林 和弘君
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本日の会議に付した案件
○中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/0
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001・勝木健司
○委員長(勝木健司君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告申し上げます。
昨七日、今泉昭君、西田吉宏君及び石井道子君が委員を辞任され、その補欠として平田健二君、林芳正君及び北岡秀二君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/1
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002・勝木健司
○委員長(勝木健司君) 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/2
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003・石渡清元
○石渡清元君 ただいま議題となりました中小企業退職金共済法についてお伺いをいたします。
大部分が中小企業あるいは中小企業の従事者によって日本経済、地域経済を支えておるわけでございますけれども、その中での雇用、労働条件、能力開発等々、非常に多岐にわたる政策が展開をされておりますけれども、なかんずく退職金、いわゆる労働条件、福利厚生等々、大企業に比べて非常にハンディがある中で、この退職金制度というのは非常に重要な制度だと思っておるところでございます。一般的な退職金制度の普及状況、これは今どうかということは調査室の資料等に出ておりますので、特に中小企業を中心にこの退職金制度というのはどういったような状況に今あるのか、それを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/3
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004・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 労働省が調査しております賃金労働時間制度等総合実態調査というのがございますけれども、その調査によりますと、三百人未満の中小企業についての退職金制度がある企業の割合でございますが、まず百人から二百九十九人という規模では九五・二%の企業が持っている、その下の規模でございます三十から九十九人規模ではその割合が九〇・一%というふうになっております。
さらに、三十人未満の規模の企業につきましては、労働省の調査ではございませんけれども、全国中小企業団体中央会の調査がございまして、それによりますと十から二十九人規模で九三・三%。このあたりまでは九割以上の企業が退職金制度があるということでございますが、それより下の規模、労働者数が一ないし九人という規模ではその割合は七九・四%ということで、十人以上の規模に比べて一〇ポイント以上もその普及率が低いというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/4
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005・石渡清元
○石渡清元君 結局、いわゆる規模間格差というか、千差万別な形での制度の普及ということに相なろうかと思います。退職金制度と一口に言っても、社内でやっているものもあれば、準備形態がいろいろあるわけでございまして、特に今回の法案のものは確定拠出型の社外制度による中小企業退職金共済制度、こういうことに相なるわけでございます。退職金の原資の管理運用というのも、これ最近の金利状況等々によってなかなか難しい、あるいは事務負担といういろいろ経費の問題もございます。
したがって、この退職金制度は老後の所得確保等々の機能もかなり有しておるわけでございますけれども、中小企業で人が移動しますね、移動した際、老後の所得保障という観点になりますと、退職するたびに退職金をもらうんではなくて、最後にまとめて、引退時に退職金をもらいたい等々の希望もかなりあるようでございました。
したがって、今加入率、普及状況を御説明いただきましたけれども、少なくとも今働いている方には退職金制度へ加入をしていただくとか、そういった一人でも多くの勤労者の加入を促進するような、あるいは普及率を上げるような方策というのは何か考えているのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/5
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006・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 先ほど引用させていただきました中小企業団体中央会の調査によりますと、中小企業における退職金の支払い準備形態別にどうなっているかというのがございまして、企業規模一−九人のところで退職金制度がある企業は七九・四%でございますが、そのうち社内準備をしているというのが二五・四%、中退制度に加入しているというのが五〇・五%ございます。それ以外に他の制度に入っているのもあるわけでございます。
そういう意味におきまして、中小企業では退職金制度の普及率が大企業に比べて相対的に低いという状況にございますけれども、その中にありまして、この中小企業退職金共済制度に入っている企業が半分以上あるということは、中小企業にとってこの制度が非常に重要な意味を持つものであるということを示しているのではないかというふうに私どもは考えているわけでござます。
先生御指摘のとおり、中退制度に入っておりますと、中小企業をやめるときにまとめて退職金が支払われるということになっておりまして、この制度の中では通算ができるということになっているわけでございます。そういうことから、特に中小企業におきましては、他の調査で見ますと離転職率が高いといったようなこともあり、それを踏まえた制度にこの中退制度がなっているということによって、先ほど申し上げたような加入率にもなっているのではないかというふうに考えているわけでございます。そういう意味におきまして、この制度にもっと多くの企業に私どもは入っていただきたいというふうに考えているわけでございます。
ちなみに、御紹介させていただきますと、この中小企業退職金制度への加入状況でございますが、平成八年の三月末現在、一般の中退制度につきましては加入企業数が四十一万社でございます。そして加入労働者数は二百八十一万人というふうになっておりますけれども、中小企業の数、そこに働く方々の数を踏まえますと、まだ十分な数に達しているというふうには言えないわけでございます。そういうことから、中小企業退職金共済事業団におきましても積極的に加入促進を図るということで部内に検討委員会を設け、また部内の計画なども立てまして、積極的な加入促進を図るということにしているわけでございます。
まず何よりも、こういう制度があるということを企業の方に知っていただくということが重要なことでございますので、毎年十月、この中退制度への加入促進月間というふうにしておりますが、この月間に集中的にPR活動をやっているわけでございます。もちろん事業団だけではやれないところもございますので、マスメディアの協力もいただく、また地方公共団体ですとか建設省その他関係省庁の協力もいただく、また事業主団体にも御協力いただきまして、傘下企業に加入を呼びかけていただくといったようなこともやっておりまして、さらにこういったところに力を入れ、加入促進に一層努めたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/6
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007・石渡清元
○石渡清元君 今、答弁のありました四十一万社、二百八十一万人、この数字が高いか低いか、それをどう見るか、ちょっと松原局長の評価をお伺いしたい。
加入促進というのは、私はもう少し退職金共済事業団が受け持つべきじゃないかと。ただ、受け持つといっても、加入を促進するといっても、地方に支部があったり、地方事務所を持って周知徹底をしているわけじゃないんです。したがって、周知徹底の仕方にやや限界があるのか、加入促進をもう少し積極的にやる新たな方法を含めてどんなことを考えているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/7
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008・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 御指摘のように、この事業団には地方の出先機関というものがございません。そういう意味におきましては、いろいろな機関の御協力を得ながらPR活動、加入促進活動をやっていかなければいけないわけでございます。
ただ、全く足がかりがないというわけでもございませんで、現在、全国八カ所に相談コーナーというのを設置いたしております。この相談コーナーのある場所は、多くは金融機関に割と近いようなところにございまして、そういったところで加入の手続についての情報を提供するとか、どれだけ掛金を掛ければ退職金がどのぐらいになるといったようなことを試算して情報提供するなどのこともそこでやらせていただいているわけでございます。
先ほど申し上げましたように、事業主の方に自社の福利厚生を高めたい、そのために退職金制度を導入したいという気持ちをまず持っていただく、そしてその場合に、この中退制度を活用していただくといったところにつなげていかなければいけませんので、まずもってこういったことについての全国的PR、周知を図ることが重要だと考えているわけでございます。そういうことから、先ほどもちょっと申し上げましたように、各団体、機関の御協力を得ながら、広報活動、積極的な勧誘活動をやっているということでございます。
もう一つ、これがどの程度結びつくかというところにつきましてはいろいろ議論があろうかと思います。この中退制度に入っているということが、単に退職金だけではなくもう少し別のメリットを付与することによって加入の動機づけになるのではないかということもございまして、例えばでございますけれども、中退制度に入っている企業に働いている方々が、一定のホテルですとか映画館など、そういったところを利用する場合に割引で利用できるような、そういう利用料金の割引制度といったようなことも付与し、インセンティブを高めるといったようなこともやっております。
また、中小企業では、大企業に比べまして福利厚生施設といいますか福祉施設、例えば社宅ですとか給食施設、保健施設などがどうしても十分でないという面がございます。そういうところから、自社の福祉施設をつくりたいといったときに低利で資金が得られるような融資制度、共済融資もやっております。最近でございますが、その共済融資も託児施設の設置についても融資できるように範囲を拡充いたしましたし、また貸付金利につきましても市場金利を十分勘案し引き下げも図るなど、中退制度だけではない、それに付随するサービスの活用ができるといったことで中退制度に入るインセンティブを高めるといったようなことにも取り組んできております。
さらに、どういうふうな施策を追加していけば中退制度への加入者がふえるかということについては、また十分検討したいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/8
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009・石渡清元
○石渡清元君 中小企業の労働条件等々で福利施設、今のお話はまた別途本論に入ったら具体的にお伺いしょうと思っておるところでございます。
今お伺いしているのは全般的な退職金制度、その中でこの事業団が受け持っている分野というのはどのくらいの水準なのかということを一般的な意味で聞いておるわけでございます。制度の普及のぐあいはわかりました。退職金自体の支給金額、退職金の水準というのは今どのような形になっているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/9
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010・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 中小企業退職金共済制度のうち、一般の中退制度につきましては、これは平成七年度の数字、退職されて一時金を受け取られたすべての方の平均額でございますけれども、約九十三万円となっております。この方々について、平均加入年数がどの程度であったかというのもあわせて調べておりますが、その平均加入年数は八・三年という状況になっております。
また、特定業種退職金共済制度におきます退職一時金の額でございますが、建設業退職金共済制度につきましては、平均加入年数が八・七年で、平均退職一時金額が約六十八万円。また、清酒製造業退職金共済制度につきましては、平均加入年数が十四・二年、一時金の平均額が九十一万円。林業退職金共済制度につきましては、平均加入年数が九・九年、一時金平均額が約五十四万円というふうになっております。これはすべての方を平均した数値でございますので、最高、最低でかなり幅がございます。
ちなみに、最高支給額も御紹介させていただきますと、平成八年三月末現在でございますが、一般の中退制度では最高支給額は一千二百五万円というふうになっておりますし、建退制度につきましては四百二十七万円、清酒製造業退職金共済制度では約四百四十四万円、林業退職金共済制度では約二百四十四万円というふうになっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/10
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011・石渡清元
○石渡清元君 最高と平均を今御答弁いただいたわけでありますけれども、これは平均の面でいいますと退職金の額が意外と低いような気がする。それと同時に、平均の勤続年数も、酒は十四・二年ですけれども、あとは十年以下ということでございまして、この辺が退職金の支給水準というのを引き下げているのか、あるいはもう少し制度自体を充実させて退職金の水準を上げるような充実策というのは、問題点というのはどこにあるのか、あるいは過去を見た場合に、平均の勤続年数が上がっているのか下がっているのか、そういったような点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/11
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012・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 退職金の額が高いか低いか、一概に言うのはなかなか難しいかと思いますが、先ほど最高額を御紹介させていただきましたけれども、ちなみに、一般の企業といいますか、自社で退職金制度を持っている企業においての退職金がどの程度支給されているかということを相対的な関係を見るために御紹介させていただきますと、労働省が平成五年にやりました調査では、これは従業員規模はいろいろございますが、中退制度と比較するためにこの調査でとっている一番小さい規模が三十人から九十九人規模でございます。その規模における勤続が三十五年以上の男子労働者の結果がまとまったのがございますが、それは三十五年で一千二十七万円というふうになっております。
そういう意味におきましては、先ほど平均勤続年数を御紹介させていただきましたけれども、また先生からも御指摘がございましたが、一つには平均の勤続年数が短いということが退職金額に影響しているということもございます。それから、この退職金制度というのは事業主の方が掛けていただく、その掛金を運用してお支払いするということでございますので、幾らの掛金をお掛けになるかということも非常に大きく影響してまいるわけでございます。
この退職金共済制度につきましては、掛金の最高額が三万円、最低額が五千円というふうになっております。それをどの程度の退職金にするかというのは企業が労働者の方々とよくお話し合いをなさって決められるわけでございまして、幾つかの要因から、結果として先ほど申し上げたような平均退職金額になっているということだというふうに理解をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/12
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013・石渡清元
○石渡清元君 酒の関係というのは十四・二年、九十一万円ということで割合高くなっております。酒の場合は杜氏等々で季節雇用の関係ではないかと思うんですけれども、特にそういう面で平成七年の統計を見ますと八百九十六万人が週三十五時間未満のパートタイマーになって、季節雇用とパートタイマーは違いますけれども、パートタイマーもこの事業団の制度に入れるわけですね。その現状というのはどういう数字が出ているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/13
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014・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) パートタイム労働者についての退職金の状況でございますが、一般的にパートタイム労働者を雇用する企業においてどの程度退職金制度を持っているかという調査がございますので、まずそれを申し上げさせていただきます。
労働省が平成五年にやりました調査の結果では、パートタイム労働者がいるという企業は五五・二%でございます。その五五・二%の企業のうち、パートタイム労働者について退職金制度があると答えた企業は一〇・三%という状況になっております。その一〇・三%の中がどうなっているかというのはちょっとこの調査ではわかりかねるわけでございますけれども、通常の労働者については九割の企業が退職金制度があるというふうに先ほど御紹介させていただきましたが、それに比べますとパートタイム労働者について退職金制度を持っている企業の割合というのは相当程度少ないということは言えるかと思うわけでございます。
ところで、この中小企業退職金共済制度におきまして、パートタイム労働者につきましてももちろん加入をするということはできるわけでございますが、今持ち合わせております資料では、平成三年度から七年度までの五年間に、合わせまして二万五千六百三十人のパートタイム労働者が中退制度に加入をしたという結果が得られております。
ただ、今現在どの程度の方がここに入っておられるかというのは、先ほどの二万五千幾つかとはもちろん違うわけでございまして、平成三年度以降加入した方で平成七年度末での在籍状況は一万八千三百二十二人ということでございます。御紹介いただきましたように、パートタイム労働者の数約九百万というのに比べますと、この一万八千人余りの割合というのは非常に微々たるものでございます。
そういう意味におきましては、私ども、引き続きパートタイム労働者の方々についてもこの制度が活用されるようなPRというのをやっていかなければいけないというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/14
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015・石渡清元
○石渡清元君 今の平成七年度末の一万八千三百余人、全体のパートタイマーの数から比べると大分低いような気がいたしました。
中退制度というのはパートタイマーも入れるということを知らないんじゃないですか。したがって、これからは我が国の経済は非常にパートタイマーに支えられる部分が大きいですから、制度に入れるということを周知徹底すること、いわゆるパートタイマーの加入促進により力を入れてやるべきで、何かいい方策みたいなのを考えないと、せっかく制度はあっても、約九百万人いるのに二万人にも満たない。普通の正規勤労者と大分差があるので、その辺の知恵は何かございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/15
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016・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 御指摘のとおり、パートタイム労働者につきましては、通常の労働者を前提として設計された掛金月額ではこの中退制度にはなかなか加入しにくいということから、掛金月額の特例を設けたわけでございます。通常の最低額は月額五千円でございますけれども、パートタイム労働者については二千円にするということにいたしているわけでございます。
パートタイム労働者でありましても、中退制度に加入する事業所におきましては、週所定労働時間が三十三時間以上の者については包括加入をさせなければならないということになっております。つまり、三十三時間以上の方についてはパートタイム労働者ということではなく、通常の労働者として中退制度に加入させなければならないということになっているわけでございます。この三十三時間以上という週所定労働時間のレベルを、ことしの四月一日から三十時間に引き下げるということもいたしました。こういったこともあわせて、周知広報を私ども引き続きやりたいというふうに考えております。
このパートタイム労働者についての退職金の問題は、パートタイム労働法の御審議をいただく時にも相当議論になった点でございます。
現在、パートタイム労働者についての退職金制度につきましては、事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針というのが平成五年に告示として出されております。そこにおきまして、「事業主は、短時間労働者の賃金、賞与及び退職金については、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して定めるように努めるものとする。」という文言がきちんと書かれているわけでございます。
したがいまして、このパートタイム労働者についての退職金制度につきましては、中退制度の加入促進のためのPRとあわせまして、パートタイム労働者の雇用管理の改善という観点からの周知広報等においてもあわせてやっているわけでございます。なかなかまだ力足らずで、先ほど申し上げたような結果になっておるのは私どもとしても甚だ残念な点はあるわけでございますが、今後一層力を入れて進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/16
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017・石渡清元
○石渡清元君 大体の退職金関係の現状というのはわかったわけでございますので、本論に入っていきたいと思います。
まず、中小企業退職金共済法の意義についてお伺いをしたいんです。
というのは、大分今産業構造の変化等々で企業の背景が変わってきちゃった。従来の退職金というのは長期勤続者に割合有利にできている制度だと思うのでございますけれども、しかしそれが大分変わってきた。特に、労働省サイドとしては、専門的な技能職の方の労働力を確保する必要性というのは非常に高まってきておるわけでありますけれども、一方では労働市場が流動化しちゃっている。こういう中で、中小企業の退職金制度というのを普及させる目的の中退法の存在意義というのは、時代も大分変わってきましたけれども、労働市場の流動化に対応した形で、今のままでなくて少し変えていくような考え方等々を含めて、この共済法の意義というのをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/17
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018・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) この中小企業退職金共済制度は、独力で退職金制度をつくるということについてはスケールメリット等の観点からなかなか難しい中小企業にとって非常に重要な意義を持つ制度だというふうに私どもは認識しております。今御指摘の産業構造の変化、また労働市場が今後流動化することも見込まれている中にありまして、さらに一層この制度の重要性は増すというふうに考えているわけでございます。
大きく産業構造なり社会構造、また人々の意識も変わる中で、この中退制度というのをどう考えるか、中小企業退職金共済審議会の中でもいろいろ御議論があったわけでございますが、ここの審議会から、例えば退職金の分割払い制度の充実ですとか、中退制度以外の退職金制度との通算制度の整備といったようなことについても検討するようにという指摘がなされたわけでございます。
私どもとしては、こういう御意見も踏まえまして、どういう方向で制度整備をすることがニーズとして求められているのかといったようなことも十分把握しなければいけない。また、制度を整備する場合には、それにかかるコストもあるわけでございますし、また税制上の取り扱いをどうするかといったような問題、さまざまそれ以外の技術的な問題もございますので、そういったこともあわせて検討しなければいけないというふうに考えております。
いずれにいたしましても、この中退制度が持つ重要性といったようなことを十分認識しながら、大きな社会変化におくれをとるということのないような、そういう方向で適合させるという観点から検討いたしたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/18
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019・石渡清元
○石渡清元君 重要性は共通認識で、大事だというのはわかっているんです。労働市場が流動化してきたとか、賃金形態自体も大分変わってきた。例えば極端な例でいくと、退職金も含めてもう賃金で払っちゃおうというような制度とか、あるいは年俸制だとかベースアップなしよとか、そういったような新しい賃金制度に向かっております。
そういったような時代の変化、産業構造、賃金支払い形態の変化とこの共済制度というのをどう両立させるか、あるいは労働条件、労働者の福利厚生のためにどう役立てるか、その辺のところについてちょっとお伺いをしたがったんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/19
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020・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 御指摘のように、一部の企業では退職金制度をなくしてその分を月々の賃金に上乗せするといったような、労働者の選択によってその道も選べるようにするというようなことを試み始められるということは私も承知いたしているわけでございますが、この退職金制度は、我が国企業の労使関係の中に非常に長い間の歴史を持ち、定着してきた制度であるというふうに考えております。労働者にとって退職金の使途は何かというふうに聞きますと、やはり老後の生活のためというのが非常に大きなウエートを持って答えられているわけでございます。
また、最近私どもが外部の機関に委託をいたしまして実施した調査結果によりますと、この退職金制度について企業はどういう認識を持っているかということをちょっとその調査結果から見てまいりますと、企業規模によって随分違うのでございますけれども、長期勤続者を優遇したいという企業、一定の勤続年数に達するまでは長期勤続を優遇したいというふうに答えている企業、合わせますと半分以上になるわけでございます。規模によりましては、それらを合わせまして八割ぐらいになっております。
そういう意味におきましては、退職金制度について確かにいろんな面は変わってきているということはございますけれども、人材を確保するために必要だ、そういうことから発足したというような経緯もあり、長期勤続者を優遇するという企業の考え方がそんなに大きくがらっと変わったというところまではまだいっていないのではないかというふうに考えております。
一方で、これが転職したいという人にとっていわばマイナスに働くといいますか、そういったことがあってはならないのではないかという御指摘もあるところでございますので、この中退制度のあり方についても総合的に勘案していかなければいけないというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/20
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021・石渡清元
○石渡清元君 それで、さっきパートタイマーについてお伺いをいたしましたけれども、統合しようとする建設業、清酒製造業、林業の特定業種の退職金、これについては今どういう傾向になっているのか。資金運用等々これから聞きますけれども、統合すると言っても区分経理していくんでしょう。それぞれどういう特徴を持っているんだろうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/21
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022・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 御指摘のとおり、統合後も一般の中退制度と建設業の退職金共済制度、清酒製造業の退職金共済制度、林業退職金共済制度、それぞれ区分経理をし、資金の流用を禁止するということできちんとするということにいたしております。
それぞれの制度がどういう特徴があるかという御指摘でございますけれども、中退制度はいわば通常の労働者を対象とした制度でございますが、他の三つの制度は期間を定めて雇用される労働者についての制度でございます。しかも、非常に特定業界と結びついているといったようなこともございます。そういうことから、それぞれ三つの制度については関係する業界の御意見も十分伺いながら、そこの事業主の方々の御理解をいただきながら進めなければいけないという一般的な特徴はあるというふうに認識をいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/22
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023・石渡清元
○石渡清元君 ちょっと聞き方がまずかった、よく質問の意味がわからなかったのではないか。
特定業種の退職金制度の方は非常に高齢化が進んでいるんですね、期間雇用者が対象だと言っても。それで新しく入っているんですか、どんどん減っていっているんじゃないの。その辺の加入傾向というのを建設業、清酒、林業ともにお伺いをしたかったんです。
ということは、あくまでも福利厚生、労働条件を上げるためにつくっている制度ですから。特に林業なんかは非常に若手が入ってこない、そういう問題を抱えているんですね。それに一体この制度がこたえているのかどうかということを含めて、今までの加入状況の傾向だとかあるいは高齢化の状況だとか、そういったようなデータがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/23
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024・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 平均年齢は、各業種、特定業種の退職金制度についてどういう状況かというのはちょっと資料がなくてわからないのでございますが、それぞれの退職金制度にどの程度入ってきているかという状況を申し上げさせていただきます。
平成三年度から七年度をずっと見てまいりますと、建設業につきましては、共済契約者、つまり企業でございますが、企業数は傾向的にふえてきております。また、労働者数でございますけれども、労働者数についても、例えば建設業は平成三年度末は百七十一万人がこれに入っていたわけでございますけれども、七年度末には百九十一万人というふうにふえてきているところでございます。
清酒製造業と林業でございますが、企業数が清酒製造業は若干減ってきている。また労働者数につきましても、平成三年度は三万九千人がこの共済に入っていた労働者数でございますが、平成七年度にはそれが三万八千人弱というふうに減っているということはございます。また林業につきましても、共済契約者、企業数が若干減りぎみである。また労働者数につきましても、平成三年度末約五万五千人いた労働者が平成七年度末には五万三千人余りというふうに、建設業ではふえてきているけれども、他の二つの特定退職金制度についての契約者数は減ってきているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/24
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025・石渡清元
○石渡清元君 いわゆる特定の退職金共済制度にしても普通のものにしても、結局中小企業労働者の福利向上のために制度があるわけで、この前の労働委員会での中小企業労働力確保法等々全部関係をしているわけなんですね。
したがって、この中退金制度も含めて中小企業の労働条件の向上につながるような方策というのは、まとめて大臣、どのようにお考えになっているか、あるいはそれぞれの法というのをどう効果あらしめるような方策をおとりになろうとしているのか、お伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/25
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026・岡野裕
○国務大臣(岡野裕君) 今まで労政局長もお話をしてまいったところでありますが、やっぱり大企業に比べると中小企業に働く皆さんの労働条件は一歩見劣りがあると。
日本の中小企業、まあ言いますならば、働く雇用者の皆さんは全体の七五%を占めている。企業の総体の数の中で百人未満、この企業の数が九五%から九九%ぐらいまでいっているということで、日本の産業は中小企業によって支えられているということは皆さんも御理解をいただいているところでありますが、労政局長が言いましたスケールメリットがやっぱりない。しかしながら、それだけの力を持ち、それだけ労働者がそこに職を求めているということであるとするならば、これは行政の面から手を差し伸べるのが当然だというようなことで、私どもは在来から中小企業対策というものに重点を注いでまいりました。
一番労働条件で難しいのは、まず雇用が安定をしておらなければならない、いつ辞職の羽目に陥るかもわからないというような状態ではいけないのではないか。だから、雇用調整助成金等々の制度というものを設けてまず雇用を安定させようということを考えてまいりましたし、労働時間の関係も、大企業の方に比べると中小企業の皆さんは週四十時間制、あるいは我々が目的とする千八百時間制になかなか近づきがたいというようなことで、労働時間が短縮できるようにもろもろの施策というものもやはり助成金等々を考えまして、あるいはコンサルタント的なものも設けましてやってきているというようなことであります。
産業の空洞化等々の局面から、中小企業労働力確保法に基づきますところの、先生もおっしゃいましたそういった施策も講じているというような一環の中で、このたび賃金の、言いますならば最後の、今までの分を補うという性格を持っている退職金について竿頭一歩を進めてより充実をさせたい。一般的な在来の中小企業の退職共済金の事業団、それから三つの特殊な業種、そこに働く皆さんの退職金というようなもの、あるいは勤務態様、これが相当大きく違う。しかしながら、行政改革の中で多少色合いの違ったものもひとつ一本にして行革の目的を達成させようということでありますが、態様が違えば退職金の問題もそれぞれ違う。
三事業の退職納付金の問題につきましても、林野と酒造と建設とは数値をごらんいただきましたように非常に違うというようなことで、一本になりましたが、我々は極力それぞれを区分経理する等々で、それぞれの業種の労働者の皆さんに見合う退職金を初めとする労働条件の維持あるいは向上を図っていきたいと、こう思っている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/26
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027・石渡清元
○石渡清元君 さらに、具体的にお伺いをいたしたいと思いますが、今大臣の御答弁のとおりに、中小企業対策共済事業団と特定業種対策共済組合との統合でございまして、これも平成七年の二月に閣議決定をされ、結構時間がかかった、いろいろ困難があったと思うんです。大変だったということも聞いております。その特定業種との統合についてのさまざまな困難、難しさ、これは解消されたのかどうか、どのように解決に向けて今度の法改正に至ったかをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/27
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028・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) この統合につきましてはいろいろ懸念が表明されたというのは御指摘のとおりでございます。
その最大のものは、統合によりまして中退事業団と特退組合との間で資産の流用が行われるということになるのではないか、それぞれの制度の加入者が不利益をこうむることになるのではないかというような御懸念が、加入事業者ですとか労働者の方々双方から出されたわけでございます。
これにつきます対応といたしまして、各制度間の経理区分を明確に行うということ、各制度間の資金の融通を禁止するということを法律上はっきり規定するということによりまして、私どもは関係者の皆様方の御懸念を解消していただくということができたのではないかというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/28
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029・石渡清元
○石渡清元君 そして、この統合によっての効果、いわゆる行革効果についてはいかがか。組織上どういうふうな効果があったか。これだけではありません、天下りがどうだとか巷間いろいろ言われておりますけれども、官庁OB、これは労働省だけではなくてよその官庁の方も役員に入っていると思うんだけれども、そういったような人事面。あるいは天下りがいけないというなら民間人を役員に登用することがいいのかどうか、そういったようなことについての見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/29
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030・岡野裕
○国務大臣(岡野裕君) この統合によりますところの行革についてメリットの面、これをお話しいたしますと、例えば先生おっしゃいます役員人事、これは在来二つ合わせますと十二人でございましたものを、十年以降は八人にしてまいりたい。全体の予算も、これは十年度予算でございますのでこの八月概算要求、その時点までにはどういうふうに合理化ができるかというような観点から数値を煮詰めてまいりたい、こう思っておる次第であります。
そしてまた、天下り云々というお話がございました。私は役人が、言いますならば、早く退官をする。したがって、まだ六十五歳未満の皆さんが特殊法人その他に、私は天下りという言葉は使いません、新たな職場を求めていくというようなことは、六十五歳現役主義というようなことを私ども考えております労働省として、そういう観点からも見直してまいらなければならないな、こう思っております。
その意味合いでは、役人の世界と違います民間人の皆さんもその才覚、能力等々がありますならば歓迎をしたいと思っております。しかしながら、民間の皆さんでも長年ある会社、ある会社等々で専務、社長、会長等をやって天下りというような現象があります。大きな銀行、大きな会社でありますならば、大きな銀行の子会社であるところのメーカー等々に社長、会長、副社長というようなことで参りますし、メーカーそのものも子会社に天下るという現象がないわけではありません。
そういうような民間の天下りをこういう特殊法人等が受けるというようなことは、これは特殊法人の行政使命を全うしていくのにかなうものかどうかというようないろいろな観点、新しい眼で見ていただく、新しい血を入れるというプラスと、それから天下りというような意味合いでの、例えば民間であっても、そういうマイナス面がなきにしもあらずというような点をいろいろ多角的に考えまして特殊法人等々の人事も考えてまいるべきではないか、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/30
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031・石渡清元
○石渡清元君 天下り自体を批判しているわけではありませんけれども、しかし、行革に求められている期待というのは、その部分がどこまで減るのかとか、あるいは平成十年四月からの法改正だといっても、予算的には今までと違うどういつだような節約というか効果があるか、そういったような行革に対する目標数値みたいなのはお持ちなんですか、予算面とかあるいは人事面。役員の構成は十二人から八人、今御答弁ございましたけれども、例えば職員数においてどういう方向にスリム化していくのか。行革のメリットというのを、メリットの数値的な目標というのをお持ちだったら、概略、予算面あるいは一般の職員数等々お示しをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/31
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032・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) この統合は平成十年の四月一日からということにいたしておりますので、関係いたします予算、組織は来年度の予算をどういうふうに組み立てていくかという中で、八月末の概算要求に向けて私ども省内で検討をいたしたいというふうに考えているところでございます。
この統合は行政改革の一環ということでやるわけでございますので、その検討に当たりましては、この行政改革の効果が十分反映されるようにいたしたいということでございますけれども、今、先生から御質問がございました、具体的に数値目標的なものを持っているかというふうにお尋ねになられますと、今の段階でその数値目標を持っていないということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/32
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033・石渡清元
○石渡清元君 次に、資金運用の関係、改善、効率化についてお伺いをいたしますけれども、非常に今低金利下でありますので、四・五%の予定利率では現在の運用利率から見て非常に財政的に厳しくなるんじゃないか、そういう面での運用利率の引き下げ等々について、この前変えたばかりでありますけれども、どういうふうにお考えになっているのか。特定業種退職金共済組合の関係も、新聞では九七年度じゆうに四%台にする、そういうふうに報道されておりますけれども、そのようなことを検討されているのかどうか。いるとすれば、その理由、引き下げた場合の影響はどうなのか。
さらにまた、まとめてお伺いいたしますが、退職金のポータビリティー化、いわゆる高齢化社会に向かって最後にまとめて退職金をもらいたい、そういう面で転職の妨げにならないような制度、先ほどもちょっとその問題に触れましたけれども、そういったようなニーズにもこたえる必要が出てきているんじゃないか。その辺の労働環境の整備を含めて、どのようにお考えになっているかお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/33
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034・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) まず、最初にお尋ねの資金の運用状況等から見た財政状況でございますけれども、御指摘のように、金利が低水準であるという状況が長い間続いているわけでございます。
そういうことから、一般の中小企業退職金共済制度につきましてもかなり厳しい状況になっているというのはおっしゃるとおりでございます。四・五%に予定運用利回りを引き下げたわけでございますけれども、それでもまだなお、今その制度改正の効果が十分あらわれていないということもございまして、非常に厳しい状況にございます。
一方、特定業種退職金共済制度でございますけれども、こちらの方は、建設業と清酒製造業につきましては予定運用利回りが六・六%、林業については六・二五%というふうに設定をいたしておりますが、実際の資産の運用利回りというのはこれよりもかなりの程度低いというのが実態でございます。そういうことから、平成七年度、この特定業種退職金共済制度につきましては単年度収支が赤字になってきているというわけでございます。かなりの額になってきているわけでございまして、このまま厳しい資産運用環境が続けば、数年のうちに各制度とも累積欠損金が生ずるということが見込まれておりまして、制度の財政的安定を図るということが喫緊の課題になっているわけでございます。
そういうことから、この特定業種退職金共済制度につきましては、現在、中小企業退職金共済審議会におきまして、平成九年度の早い時期に結論が得られるよう財政改善策について今検討をお願いいたしているところでございます。その結果を踏まえて労働省としては対処いたしたいというふうに考えているところでございます。
もう一つの退職金制度のポータビリティー化といいますか、加入期間の通算も含めた意味でのポータビリティー化についてのお尋ねでございますけれども、中退制度の中では通算はなされているわけでございます。つまり、この中退制度に入っている事業主の間であれば通算制度はなされるというわけでございますが、中退制度と中退制度以外の退職金共済制度との通算制度につきまして、既に平成七年に、中小企業退職金共済審議会からその検討を進めるべきだという建議をいただいたわけでございます。
そういうことから、私ども、学識経験者から成る研究会を開催いたしまして、どういう方向で検討するかといったことなどを御検討いただいたわけでございます。まだ引き続きいただいているわけでございますが、一つの御意見として、高齢社会が到来する、また労働移動がふえるといったことから通算制度の整備が必要だという御意見がございます。また一方、通算制度が整備されることによりまして退職金の人材定着効果というのが削減される、それで薄まるといったようなことについて懸念が表明され、通算制度そのものについて必ずしも必要なのかどうかといったような意見もあるところでございます。
いずれにいたしましても、通算のための仕組みをどうするか、コスト負担をどういうふうに考えるか、税制上の取り扱いをどうするかなど、総合的にさまざまな観点から検討しなければいけないということでございます。
中退制度以外の退職金制度間のポータビリティー化の問題につきましても、いろいろな方面からいろんな御意見がございます。私ども、これにつきましても今後の重要な研究課題の一つであるというふうに認識をいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/34
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035・石渡清元
○石渡清元君 非常に事業運営が厳しいという今答弁がありました。
それでは、その事業の中で外部に委託できるものは委託するような、外部化で事業の効率化を図るお考えがあるのかどうかというのが一つ。もう一つは、この法改正を中心に、今までの特殊法人等の改革に対する大臣の全般的な御見解をお伺いして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/35
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036・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 業務の外部化について私の方からお答えさせていただきます。
中退事業団と特退組合の運営する退職金共済制度につきましては、先ほども、PR、周知徹底について各機関等の協力を得ながらやっていると申し上げましたけれども、引き続きそういうことでやりたいというふうに思っております。
もちろん、地方にずっと手足を広げていって、そこでみずから職員を抱えてやっていくということによる効果があるというのはそのとおりでございますけれども、今の全体的な行政改革の流れの中で、そういったことまでやるというのはなかなか国民の支持も得られないということになりますと、地方公共団体と十分連携を密にするといったことですとか、また、掛金の収納や退職金の支給、加入促進等の業務につきまして、金融機関や事業主団体に委託をするといったようなことも考えたいと思っております。さらに、外部化を図る、効率化を図るといったようなことで、新しい法人の業務のスリム化についても十分検討していきたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/36
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037・岡野裕
○国務大臣(岡野裕君) 行革といいますか、その一部門としての特殊法人の見直し、これは、今私ども政府の最大の目標であります。
まだ党段階でありますが、それぞれの特殊法人、認可法人等につきましていろいろの検討を行われ、これから三与党間の話し合いに移る、こういうふうになっております。それをまつまでもなく、労働省としては、九つの特殊法人等の機能、これを一つ一つ分析して、その意義のいかん、これを検討しているところであります。その中で、党の方では雇用促進事業団あるいは認可法人であります中央労働災害防止協会、同じく認可法人としての中央職業能力開発協会、この三つが言挙げされているようでありますが、まだこれは政府に申し入れがございません。
したがいまして、今の自民党の案が三与党の間で意見が闘わされ、それが政府に持ってこられまして、橋本内閣総理大臣あるいは武藤総務庁長官等々から構想等がありますならば、今までやってまいった努力の上に立ちまして、行革の観点からこれから伸ばすべきものは伸ばし、そして必要の薄くなりましたものは削ってまいるという基本方針のもとで、我々十分慎重に、前向きに検討してまいろうと思っている次第であります。
よろしく御協力をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/37
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038・石渡清元
○石渡清元君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/38
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039・平田健二
○平田健二君 平成会の平田でございます。どうぞよろしくお願いします。
まず、今回の中退金法の改正法案についてお尋ねをいたします。
今回のこの統合は、村山内閣当時に特殊法人を合理化しなきゃいかぬということで、何といいますか、余り評判のよくない、単に特殊法人を合理化しなきゃならぬ数合わせ行革の一環として当初挙げられたということで、大変マスコミにも評判が悪かった。
目的ですけれども、今回のこの統合については、両者の機能強化、あるいは体質強化、こういったもののための施策かどうか、最初にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/39
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040・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 御指摘のように、今般の統合は特殊法人の整理合理化、行政改革の一環として行うものでございます。法案の段階では、両法人の役職員を現在の十二名から八名にするということを明らかにさせていただいているわけでございます。
平成十年四月一日から新しい法人がスタートするわけでございますけれども、それに向けて組織の合理化、業務のスリム化を図るわけでございます。当然のことながら、いかに業務を効率的にやっていくかと、必ずしもこれまで効率的にやっていなかったというわけではございませんけれども、今後、さらに一層効率的にやるということの大きなきっかけになるというふうに私どもは期待をいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/40
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041・平田健二
○平田健二君 確かに、この法案を見ますと役員が十二名から八名になるということは具体的になっておりますけれども、それ以外は全く具体的になっていないわけです。法案を出すわけですから、こうこうこう合理化をします、これだけ人員が減ります、だからこの法案を提出しますと、こういうことにならないといけないわけですね。
具体的にお伺いしますが、役員の数はわかりました。事務局員は具体的にどのように合理化になるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/41
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042・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 今お答え申し上げましたが、この統合された新しい法人は平成十年四月からスタートするということでございますので、これにかかります予算ですとか組織、人員につきましては、ことしの夏、八月末に大蔵省に私どもは予算要求を出すわけでございますが、そこに向けまして検討いたしたいというふうに考えております。
現在、具体的に何人になるか、どれぐらい減らせるかということについては申し上げられる段階でございませんけれども、行政改革のためにやる統合でございますので、その効果が十分反映されるようにしたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/42
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043・平田健二
○平田健二君 そういうことですから、これは多分聞いても答えづらいと思いますが、両者のランニングコスト、事務経費は今日までどれくらいかかったのか、統合することによってどれだけ減るのか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/43
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044・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 事務経費につきましての国庫補助は四十八億円でございます。
これにつきましても、来年度以降どうするかということについては、行革という観点から十分検討いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/44
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045・平田健二
○平田健二君 結局、数合わせの統廃合ということで、両方合わせてどれだけ合理化できます、こうなりますということが明確にならないまま統合する。どうもこれは、村山内閣当時に決めたことだから、労働省としても余り気乗りせぬけれども、もう仕方がないから合理化しょう、統合しょう、こういうふうに受け取られても仕方がないですね。
統合するなら統合するらしく、きちっとこうなりますということを明確にしてもらわなければ国民にわかりませんよね。統合します、統合した結果こうなりますということが明らかになりません。それは十年度ですと、それでは国民はなかなか理解できないと思います。
次に、二つの法人、四つの制度がございますね、これの予定運用利回り、これについてどうなっておるかをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/45
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046・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 一般の中小企業退職金共済制度につきましては、この予定運用利回りは平成八年四月から四・五%ということになっております。
一方、特定業種退職金共済制度でございますが、そのうち建設業と清酒製造業については六・六%、林業につきましては六・二五%の予定運用利回りを設定しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/46
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047・平田健二
○平田健二君 先ほどの質問にもございましたが、バブル崩壊後非常に低金利、いろんな金融機関も昨今資金の運用に大変苦労をしておるわけです。先ほどのお話にもありましたこの二つの法人も、まさに資金運用については苦慮しておるということですが、近年の運用実績、単年度、平成七年度、六年度でしょうか、この実績についてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/47
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048・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 中小企業退職金共済事業団の平成七年度の収支状況でございますが、掛金収入、運用収入等の収益が約四千六十億円、退職給付金ですとか責任準備金を積み増すというための費用が約四千五百七十六億円で、約五百十六億円の当期損失という状況でございます。累積では欠損金が約九百四十三億円になっているわけでございます。
一方、建設業、清酒製造業、林業退職金共済組合でございますが、それぞれについて申し上げますと、まず建設業退職金共済制度につきましては、収益が約九百八十三億円、費用が約一千二十七億円で約四十四億円の当期損失、累積では剰余金が約百五十五億円という状況でございます。
清酒製造業退職金共済制度でございますが、こちらの方は収益が約八億七千万円、費用の方が約九億二千万円で約六千万円の当期損失、累積では剰余金が約九億円でございます。
林業退職金共済制度につきましては、収益が約二十四億円、費用が約二十五億二千万円で約一億二千万円の当期損失、累積では剰余金が約五百万円という状況になっておりまして、いずれも非常に厳しい財政状況にあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/48
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049・平田健二
○平田健二君 これは中退金のあらましという、中退金が出しておるPR用のパンフレットですけれども、これに、この制度は法律で定められた国の制度です、安全確実ですと、こうなっておるんですね。
今、お尋ねしますと、単年度で赤字、累積も赤字。となりますと、確かに制度として、個人個人は安全かもしれませんが、全体として非常に先行き不安だなという印象を受けております。
お答えの必要はございませんが、ぜひ何とかこういった運用にもっと工夫をして赤字にならないようにしないと将来大変危険な状況になる。後ほどお伺いしますが、厚生年金基金と同じような状態になってしまうという懸念があるわけですから、ひとつしっかり労働省の方でも運営については監督、指導していただきたいというふうに思っております。
次に、今回のこの退職金制度というのは、特に中小企業に働く勤労者にとっては大変重要な制度だというふうに私は思っております。例えば、労働省の調査でも、三十人から九十九人の従業員がいる企業では、先ほどもお話がありました中退金に約四〇%加入しておる。ただ、中小企業全体ではまだ四三%の企業が社内で積み立てをしておる。こういった調査もございまして、私どもとしては、ぜひひとつ中小企業に働く勤労者の老後の生活の安定のために、この中退金制度、あるいは先ほどから議論になっておりますこの特定業種の退職金、これをあわせた今回の制度をもっともっと拡充するようにしていただかなきゃならぬというふうに思っております。
先ほども質問にありました加入促進、企業にPR、そういったものをこれから具体的にどうやっていくのか、お尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/49
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050・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) この制度を広げていくためには、事業主の方に新たにどんどん入っていただくということが必要なことでございますが、そのためにはまずこういう制度があるということを知っていただく必要があるわけでございます。そういうことから、先ほど先生がお示しになりましたPRのためのリーフレット、パンフレットなどをつくりまして、いろんな折に宣伝活動をやっているわけでございます。
毎年、十月を中退制度への加入促進月間というふうにいたしておりまして、そこでマスメディア等を通じまして集中的なPRをやっておりますし、事業主団体を通じまして傘下の事業主がこの制度に入るようにという働きかけもやっていただいております。また、地方公共団体にも協力要請をいたしまして、自治体の広報誌にこういった制度があるということ、こういう制度に加入してほしいといったことについての周知広報や加入の勧奨などもやっているわけでございます。
また、この中退事業団は地方に出先があるというわけではございませんけれども、全国に八カ所相談コーナーというのを設けておりまして、そこで加入のための手続ですとか、一定の掛金であればどの程度の退職金になるのかといったようなことについての試算ですとか、また税制上の取り扱いについての相談とか、そういったことも含めまして相談、情報提供などもやっているわけでございます。
また、この制度そのものではありませんけれども、制度に入ることによって附帯的な何かメリットがないだろうかということも検討をいたしまして、この制度に入っている事業主の方、また労働者の方が、例えばホテルとか映画館などを利用するときにそこと提携をいたしまして、割引料金で利用できるといったような仕組みをつくるとか、またこの制度は、あわせまして共済融資もやっておりますが、その貸し付け対象範囲を拡大する。社宅ですとか給食設備、そういったところを貸し付け対象にしておりましたけれども、託児施設についても貸し付け対象にするなど、その範囲を拡大する。
また、貸付金利につきましても市場金利を勘案いたしまして引き下げるなど充実を図り、この制度に入ることによるメリットですか、退職金そのものではないですけれども、その附帯的なメリットといいますか、そういうことを高めることによって加入促進をいたしたいということにいたしております。
今後とも、さらに画期的な加入促進策がないかどうか十分検討したいというふうに考えておりますし、またお知恵も拝借をさせていただきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/50
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051・平田健二
○平田健二君 これは質問通告していなかったんですが、ちょっと教えていただきたいんです。
退職金の保全措置を講ずることを必要としない事業主の中で、市町村、商工会議所、商工会、都道府県中小企業団体中央会、そういったところによって設立された法人がございますね。全国で法人が幾つあるのか、加入事業主はどのくらいか、あるいは加入人員は幾らか、わかれば教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/51
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052・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 今指摘されましたのは、特定退職金共済制度だと思います。市町村ですとか商工会議所、商工会連合会、都道府県中小企業団体中央会、民法三十四条に基づき設立された法人で税務署長の承認を受けたもの、こういったものが特定退職金共済団体として所得税法施行令第七十三条に規定をされておりまして、こういうところで退職金共済制度が実施をされているわけでございます。
厳密な意味でどの程度数があるか、適用労働者が何人かということまではわからないのでございますが、推定で申し上げさせていただいて恐縮ですが、団体数が約一千団体、適用労働者数が約百六十万人というふうに推定されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/52
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053・平田健二
○平田健二君 今、松原局長も申されましたが、やはりこの中退金に企業が積極的に入る何かメリットがないのかというようなことですが、企業にしてみれば、従業員の福利厚生のためのいろんな施設に投資をすることについての融資はあるけれども、事業を運営するための運転資金についての貸付制度はないわけですね。
ですから、そういった意味では、確かにこの趣旨は従業員あるいは勤労者の退職金という制度ですけれども、むしろ運転資金、設備投資、こういったものにも融資するというような制度を設けるとか、そういったことで企業主が利用しやすい、入りやすいといったような制度も考えていただく必要があるんではないか。
それからもう一つは、この中退金で退職金を受け取る勤労者の平均は大体二百五十万以下ですよね、九〇%ぐらいが。ところが、先ほど松原局長の答弁の中で大体一千二十七万というのが我が国の平均的な退職金だというような話をされておりました。もちろん、勤続年数が三十五年という前提はついておりますが。それからしますと、この中退金の退職金が、確かに勤続が短いということもありますけれども、余り魅力がない。ですから、何らかの改善策を考えていかなきゃいかぬと思っておりますので、これはお答えしていただく必要はございませんが、ぜひひとつそういったことをお取り組みいただきたいと要望しておきたいと思います。
次に移らせていただきますが、中小企業と退職金ということで多少法案からは外れますけれども、退職金と厚生年金基金の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
厚生省、御苦労さまでございます。
昨年一年間だけで七件の厚生年金基金が解散をしております。まず、設立以来今日までの厚生年金基金が解散をした数、それから最近解散した基金の数、平成六年以降ということで限定させてもらいますが、数と解散の理由、これについてまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/53
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054・小林和弘
○説明員(小林和弘君) お答え申し上げます。
昭和四十一年に厚生年金基金制度を発足して以来、これまでに二十六の基金の解散がございます。平成六年、日本紡績業厚生年金基金の解散でちょっと世間的な注目を浴びたわけですけれども、その日本紡績業厚生年金基金の解散以来、九件の解散がございます。
最近の基金の解散の理由でございますけれども、昨今の資産運用利回りの低下を原因といたします不足金の発生に加えて、母体企業の経営悪化あるいは加入員の大幅な減少ということが重なり合って生じることによる解散というのがほとんどでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/54
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055・平田健二
○平田健二君 全国に今千八百八十八、これ数字はよろしいですかね、厚生年金基金がある。これらの厚生年金基金に何らかの形で在籍をしておる厚生省のOBは現在何人おりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/55
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056・小林和弘
○説明員(小林和弘君) 調査の時点がちょうど一年前になってございますが、平成八年四月の時点、このときは厚生年金基金の数は千八百八十六でございました。八年四月現在で、常勤役員として国のOB職員が八十五名、それから都道府県のOB職員が八百三十名就職をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/56
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057・平田健二
○平田健二君 今回は中退金ということでございますので、これ以上厚生省にいろいろお聞きするのも問題がありますのでお聞きいたしません。
厚生年金基金が解散をしなきゃならないという事態が発生しておりますね。これは先ほども言いましたけれども、今の我が国の金融財政、そういったものから見ると、資金運用というのはそう簡単にうまくいくわけじゃありませんね。これから非常に厳しい状況が続いていくと思います。ぜひひとつ抜本的な対策をお願いいたしたいというふうに思います。
次に、労働大臣にお尋ねいたしますが、御承知のように、日本紡績業厚生年金基金という基金が平成六年に我が国で初めて在籍人員減や資金運用の行き詰まりで解散をいたしました。それ以降も、今お話がありました似たようなケースの解散が発生をしております。基金の解散により勤労者の受け取る年金額が大幅に減額されたり、退職金が規定どおり支払われていないという問題が実は発生をしておるわけであります。
ちなみに、これは繊維関係の日紡厚生年金基金に参加をしておった方の一例ですが、男性五十九歳、勤続三十八年、退職金一千三百万うち年金基金が二百三十五万、そのうち大幅にカットされた、六割カットされたということですが、百四十一万円がカットされて手取り千百五十九万円。同じく男性、勤続三十年、ちょうど一千万です、退職金、年金含めて全部で。そのうち年金部分が百四十五万、八十七万円が未払い、いわゆるもらえない、退職金受け取りが九百十三万。五十九歳女性、勤続二十三年、退職金総額四百五十万うち年金が四十万、未払いが十四万、手取りが四百三十六万。これはいわゆる選択一時金ということで退職時に一括して退職金としてもらうのであります。次に六十一歳の男性です。この方は、年金として退職時から十五年間年金をもらう。約束では毎年十二万四千九百七十九円、十五年間支給しますという約束なんです。ところが、実際は六割カットされて四万九千九百円しか年間に支給されていない、こういった事態が発生をしておるわけです。
やはり勤労者は、厚生年金基金なんという一番安心だ、安全だと思っておった基金がこのような状態になった。実際には勤労者の生活は大変な事態に陥っているわけでございます。この問題は、厚生年金基金ですから厚生省の管轄だからということだけではないというふうに私は思います。先ほども言いましたように、退職金という部分も非常に多いわけですから、労働大臣、勤労者の保護という面、あるいは勤労者の生活という面から見て、この事態をどのように御認識されているのか、お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/57
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058・岡野裕
○国務大臣(岡野裕君) 平田先生は、紡績関係の厚生年金基金の解散によって非常に痛わしい悲惨な状況に置かれた関係労働者の皆さんの実態をお話しをいただきました。まことに遺憾な、残念至極、こう思っております。
先生がおっしゃいますように、厚生年金基金そのものは厚生省の所管でありましょう。しかしながら、退職金がお約束どおりといいますか、就業規則どおりあるいは労働協約どおり払われるということを願って、意図してこの厚生基金に企業主がお入りになっていたと。その善意というものは私は信じたいと思っているのでありますが、やはり経済の、特に金利の変動等々で今先生がお話しになられたような解散という事態になったと、こう思っております。したがって、退職金というものが払われない、あるいはそれが減額をされるということにつきましては、就業規則違反であり、あるいは労働協約違反であります。
というような意味合いで、いろいろ労働組合があるとするならば、それぞれの手続を踏む道というものがないわけではないと存じております。あるいは就業規則でありますならば、解散をしてから就業規則を、労働側の御意見も聞いて改めてこうだと。これから厚生年金そのものが五・五%の利回りは維持できない。小泉厚生大臣がそのために資金運用部運用というものがいいであろうかという問題を投げかけておりますが、ほかにいい利回りを確保できるような、しかも国民大宗が義務的に入っている厚生年金の運用が可能かな、こう思いますと、先生のお話しになるお話によれば、紡績会社の皆さんが利回りが確保できなかったというようなことは、当該企業主の挙げての責任なのかどうなのかと。
私は、先ほど中小企業の共済事業団が大勢の皆さんのお金を預かっている以上、立派に払えるだけの自信があるかと、十分慎重にやれというのをここで承っていたわけであります。まあ善意であったのでありましょうが、事志に反してこうなったということで、労使それぞれお話をいただいて、これをどう支給していくかというものはお決めいただきたいと思いますし、労働省も退職金の十分な支払いができるようにという角度から、こういった厚生年金基金の制度あるいは運用について、私どもも参画をし、発言をして労働者を守ってまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/58
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059・平田健二
○平田健二君 具体的にお伺いをします。
まず、一九六六年に厚生年金基金制度が発足したわけでございますけれども、その後、基金設立の際に各企業がどのようにして基金へ移行したのか、退職金からの移行はどの程度であったのか。基金が始まったことによって、毎月社内で積み立てておった退職金をこの年金基金へ全部移行したあるいは一部移行したという企業があるわけですね、これについてまず厚生省、それから労働省もわかれば教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/59
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060・小林和弘
○説明員(小林和弘君) 資料がちょっと古くて恐縮なのでございますが、昭和六十一年に厚生年金基金連合会というところが行った調査によりますと、一つの企業で基金をつくります単独型の厚生年金基金の例でございますが、設立の際に退職金の全部または一部を移行している基金が五〇%という調査結果がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/60
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061・伊藤庄平
○政府委員(伊藤庄平君) 退職年金をつくる際に、今までの退職一時金の原資を年金化しているケースにつきまして、私ども平成五年に調査をいたしております。ただ、これは厚生年金基金のケースあるいは適格年金のケースと区分されておりませんので、合わせた数字で申し上げますと、退職一時金原資を年金化したケースが全体の四四%ございまして、私ども、相当数が退職金の一部をこういった形で年金化している、厚生年金基金のケースにつきましてもそういったケースが非常に多いというふうに認識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/61
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062・平田健二
○平田健二君 次に、厚生年金基金の支払い状況について、勤労者が退職時に選択一時金を選んだ率といいますか、これをちょっとお尋ねします。退職するときに、厚生年金基金の選択一時金を選ぶか年金を選ぶか、この率についてそれぞれ厚生省、労働省、数字をつかんでいたら教えてくださ発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/62
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063・小林和弘
○説明員(小林和弘君) お尋ねの一時金選択率につきまして、これも単独型の基金の例でございますが、約三五%という数字になっております。これは平成六年度決算の数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/63
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064・平田健二
○平田健二君 単独も総合型も全部、三つとも。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/64
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065・小林和弘
○説明員(小林和弘君) 単独型で約三五%、連合型、これは系列の企業なりが一つに集まって基金をつくる場合でございますが、連合型の基金で約四八%、それから総合型の基金の場合ですと約四〇%ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/65
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066・平田健二
○平田健二君 ちょっと済みません、私の聞き方がまずかったんですね。
あわせて、企業規模別、例えば千人未満はどうだと、特に中小企業の場合、選択一時金を選択する方が多いんです。ですから、ちょっと千人未満あるいは一万人以上と、その辺でひとつわかれば教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/66
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067・小林和弘
○説明員(小林和弘君) 企業規模別で見ました場合には、これは残念ながら単独型の基金についてしか数字がちょっとございません。単独型の基金につきまして見た場合、従業員一万人以上の事業所が設立する基金におきましては三〇%、それから従業員数が千人以下の場合をとりますと約六八%という数字になっております。従業員規模が小さくなるにつれまして一時金選択の割合が高くなっておるという現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/67
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068・伊藤庄平
○政府委員(伊藤庄平君) 何らかの形で退職年金が設けられている際に、それを一時金として受け取ったかどうかでございますが、先ほどと同じ平成五年の調査で申し上げますと、退職年金の全部を一時金として受給された方の割合が全体ですと三八・三%、それから、その一部を年金、一部を一時金という方もございまして、これが一四・一%ございまして、両方合わせますと過半数を超える状況でございます。
規模別に見ますと、退職年金の全部を一時金として受給された方、全体としては三八・三%でございますが、九十九人から三十人の規模の事業所で見ますと四二・五%と多くなっておりまして、そういった傾向が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/68
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069・平田健二
○平田健二君 今までお聞きした議論を聞いておりましても、いわゆる厚生年金基金の設立の経緯、それから年金基金から支払われる状況、そういったものを見ても、中小企業の皆さんにとっては厚生年金基金の多くは年金というよりもむしろ退職金、退職一時金という性格が強いわけですね。
確かに、大企業ではプラスアルファということで年金ということの部分が多いようですけれども、しかし中小企業では全く逆で、本来の退職金という性格を持っておるというふうに私は思いますが、厚生省と労働省の認識をちょっとお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/69
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070・小林和弘
○説明員(小林和弘君) 厚生年金基金、御承知のように企業年金、年金給付を基本とする仕組みでございます。
さはされど、実際に、先ほど先生も御指摘ございましたように、退職金が移行されて設立されるケースというのが現実にございますし、また先ほどお答え申し上げましたように、人数規模の小さいところにつきましては一時金選択率が比較的高くなっておるという形態、そういう現状を見ますと、実態的に見れば先生御指摘のような傾向が強いのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/70
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071・伊藤庄平
○政府委員(伊藤庄平君) 労働省といたしましても、今厚生省から答弁ございましたように、この退職年金制度はいろいろな形がございますが、やはり退職金制度が移行したものが多い。そういったことから、退職金としての性格、それから企業規模の小さいほど一時金として受給される方が多いと、こういった事実も認識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/71
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072・平田健二
○平田健二君 厚生省、どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。
次に、労働基準法八十九条三の二では、退職手当のある事業所は就業規則を作成し届け出なくてはならないようになっています。その就業規則の中に年金基金も含んで退職手当と明記されている場合は、退職手当という概念の中に年金の一時金も含むということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/72
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073・伊藤庄平
○政府委員(伊藤庄平君) この労働基準法の八十九条で、退職手当制度がある場合に所要の定めをしなくてはいけないことになっておりますが、そういった就業規則等の中で退職手当の支給について一定のことを決め、さらにその内枠として、厚生年金基金等から加算部分の給付がある場合にそれが調整されると、こういう規定の形を設けられているケースが多いかと存じますが、そういった形で退職手当全体について事業主の支払いの義務その他がはっきりしているケースにつきましては、全体が退職手当に該当するものと理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/73
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074・平田健二
○平田健二君 先ほど労働大臣の御答弁にもありましたように、一般的に言って、退職手当が就業規則に記載されておりまして、その規定どおりに退職手当が支払われない場合には労働基準法違反ということになりますか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/74
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075・伊藤庄平
○政府委員(伊藤庄平君) 就業規則等で退職手当の全体を支給する規定がありまして、その一部を厚生年金基金の加算部分の給付で行う、こういうことになっている場合に、もし厚生年金基金の解散等不測の事態によりまして事業主がそういった部分との調整が不可能になった場合に、これはやはり就業規則工事業主に一定の支払い義務が残るというふうに理解をされるんではないかと思っております。
これは就業規則上、その支払うべき範囲その他につきまして、例えば労使でそういった際の話し合いを改めて行って決めるというような規定から、いろいろ規定の設け方があるようでございまして、そういったことを踏まえながら総合的に判断される必要があろうかと思いますが、そういった問題が出た場合の事業主の支給の義務を前提、基本としつつ、どういつだ形で対応していくか、労使での話し合いがまずなされることが必要だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/75
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076・平田健二
○平田健二君 確かに労使の話し合いが基本ですけれども、労働基準法違反かどうか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/76
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077・伊藤庄平
○政府委員(伊藤庄平君) やはり就業規則で、そういった形の場合、典型的なケースの場合は事業主に支払い義務が残るというふうに理解しておりますので、そこは厳格に申せば、労働基準法上やはり事業主に支払いの義務が残る、こういうふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/77
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078・平田健二
○平田健二君 厚生年金基金に加盟しておる事業主が、賃確法上、退職手当の保全措置の義務から除外されておりますけれども、この理由は何か、お教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/78
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079・伊藤庄平
○政府委員(伊藤庄平君) 賃金の支払の確保等に関する法律におきましては、退職金の支払いの確保を図るために、一定の保全措置をとることを事業主の方の努力義務として定めておるわけでございますが、厚生年金基金に加入している場合は二つの理由からその保全措置の義務を免除しているところでございます。
一つは、厚生年金基金に加入している場合には、給付の原資がいわば企業の経営上のリスクを超えて別個の公法人において管理運用される、また、そういった公法人のところから直接支給される、こういった仕組みになっていることから、まず保全措置の適用除外の一つの理由といたしております。
また、この賃金の支払の確保等に関する法律におきましては、通常は退職手当保全委員会というものを設けて、退職手当の支払い準備状況を従業員側に十分知らせることによって保全の役割を果たしていただいているところでございますが、厚生年金基金におきましては、その基金自体におきまして、事業主代表それから従業員代表が半数ずつで構成される代議員会におきまして、毎年度の予算あるいは事業報告、決算等、基金運営上の重要事項について審議、決定される仕組みになっております。そういった意味では、この企業内の退職手当保全委員会に当たる体制が整備されている、こういった二つの理由からこの保全措置についての適用除外の対象といたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/79
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080・平田健二
○平田健二君 いや、そうじゃなくて、そういうことは法律に書いてあるんです。なぜ保全しなくていいんですか。今言われたことは、安全だからということでしょう、保証されておるんでしょう。第三者機関で保証されておるから、だから保全措置を講じなくてもいい、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/80
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081・伊藤庄平
○政府委員(伊藤庄平君) 先生がおっしゃるとおりでございまして、他に保全措置を免除しておるケース等もそれに当たるわけでございますが、やはりこの基金において給付原資が管理運営される形をとられておること、またその基金自体がそういったしっかりした従業員代表、事業主代表の方によって重要事項が審議、決定される仕組みとなっておること、こういった点から、他の同じようなケースで先生御指摘になったような理由でございますが、保全措置の適用除外といたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/81
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082・平田健二
○平田健二君 賃確法が制定された一九七七年当時では法律が全く予測できなかった年金基金の解散という事態が今日発生しておるわけですね。
労働省の労働基準局賃金福祉部編さんの「賃金支払確保法の解説」という昭和五十二年に発行された本の中にも、法令に基づく企業外積み立ての退職手当制度を採用している事業主が保全措置を要しないのは云々とあって、当該退職手当制度により確実に退職手当が支払われることになるから、だから保全措置は講じなくてもいい、こうなっていますね。
ところが、厚生年金基金、実際に積み立てておったのが崩壊したわけですから、これはこの当時の法律が予定していなかった事態が起こったということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/82
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083・伊藤庄平
○政府委員(伊藤庄平君) この賃金の支払の確保等に関する法律を策定いたしました際に、もちろん法律の体系といたしましてこういった基金の解散があることは想定をいたして法律をつくったわけでございますが、解散に至るいろんな理由があるわけでございまして、先生御指摘のように、日紡基金のように最近の経済情勢、また金利の状況等の中でいろいろ積立額の問題等が生じて労働者の方にいろんな御迷惑をおかけしたケース、こういったケースにつきまして想定した上でかという御指摘になりますと、確かに、そういったケースにつきまして私ども十分頭に置いて法制度をつくったということでは必ずしもないことは正直申し上げざるを得ないと思います。
大臣からも先ほど申し上げましたように、この厚生年金基金制度につきましても制度面、運用面についてやはりいろんな見直しを行っていかなければならない段階でもあろうかと思います。私ども労働省としての立場なりにそういった問題につきましても十分研究し、必要なことを述べてまいりたいというふうに思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/83
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084・平田健二
○平田健二君 一九七七年当時からはとても及びのつかない事態が起こったということだというふうに思います。法律に不備があるという言い方は大変申しわけございませんが、この法に不備があったというふうにはお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/84
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085・伊藤庄平
○政府委員(伊藤庄平君) この賃金の支払の確保等に関する法律、これ自体といたしましては、事業主が倒産等によりまして最終的に支払い不能になったケースを想定いたしまして、そういった場合一定の立てかえ払いを行うことによりまして労働者の方の生活の安定を図っていこう、こういう趣旨のものでございます。
したがいまして、厚生年金基金に退職金の一部を移行しているケースにつきまして保全措置の適用除外としてきたわけでございますが、御指摘のような本当に不幸な事態があった場合に、これ自体は確かに労働者の方にとって大変重要な問題でございますが、なお事業主の方は私どもが想定しているこの法律の体系のように倒産というような事態ではございませんので、先ほど御説明申し上げましたように、就業規則上の事業主の義務またそれを前提にした労使の次なる対応によって労働者の方への影響を少しでも軽減し、あるいはなくしていくことが必要かと思いますので、これは賃金の支払の確保等に関する法律の体系とはまた別の問題として、私ども真剣に対応はしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/85
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086・平田健二
○平田健二君 具体的に日紡基金の場合の救済措置についてお尋ねをいたしますが、日紡基金が解散したことによって退職金が減額をされました。企業は倒産しておりませんが、しかし厚生年金基金は倒産しました。賃確法で救済する方法はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/86
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087・伊藤庄平
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘のように、今回のケース、関係の労働者の方に大変重要な影響を与えているわけでございまして、先生のそういった御指摘につきましては、私ども問題認識は大変持っておるわけでございます。
ただ、この賃金の支払の確保等に関する法律に基づく未払い賃金の立てかえの対象とできるかどうか、こういう点になりますと、これは法制上の問題でございまして、現在の賃金の支払の確保等に関する法律が、企業が倒産した場合に、事業主の賃金支払い債務が最終的に履行不能となった時点でその立てかえ払いを行う、こういったことを仕組みといたしておりまして、やはりそこに至るまでは事業主の方に義務がある限りその履行をしてもらう、こういった思想で全体の体系がつくられていることから、この賃金の支払の確保等に関する法律の適用とすることは困難な事情にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/87
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088・平田健二
○平田健二君 賃確法上の賃金立てかえ払い制度というのは、会社更生法だとかいろんなのがございますが、事実上倒産したという要件は政令ですね、法律には明記されていませんね。倒産もしくは事実上倒産しなけりゃならぬというようなことは法律では明記されていないはずでありますが、これは絶対的な条件なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/88
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089・伊藤庄平
○政府委員(伊藤庄平君) 確かに、法律におきまして倒産あるいは事実上倒産のケースを列記いたしまして立てかえ払いの直接の契機といたしておるわけでございますが、法律上はそういったことを前提とした仕組みにいたしております。やはり事業主に賃金支払いの債務が残っている間、これは労働基準法等によりまして事業主の賃金支払いを履行させていく、そういうことによっていわば労働基準法に対する遵法意識といいますか、履行確保も図りながらやっていく。
ただ、事実上倒産等によりましてその事業主の履行を期待できなくなったケース、この場合について、最終的に労働者の方に迷惑がかからないようにこの賃金の支払の確保等に関する法律が出動して賃金の立てかえ払いを行っていく、こういう仕組みを前提として全体が構成されておりますので、先生の今回のケースに対する問題意識につきましては私ども全く理解するものでございますが、この賃金の支払の確保等に関する法律についての適用は困難な状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/89
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090・平田健二
○平田健二君 この賃確法の賃金の立てかえ払い制度の目的は何なのか。事業主が、過失という言い方は失礼ですが、事業主の瑕疵があり、過失で企業が倒産したというときには支払いますよということになっていますね。私は、やはり純粋な勤労者の保護のためにはもう少し弾力的に運用するということが必要ではないかなというふうに思いますが、この立てかえ払い制度という目的は何なのか、ちょっと教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/90
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091・伊藤庄平
○政府委員(伊藤庄平君) もちろん立てかえ払い制度の目的は、経済情勢の変化あるいはこういった最近の産業構造の変化等の中で、企業規模等の縮小あるいは閉鎖、そういったことを余儀なくされる事業主が生じた場合に、労働者の生活の安定を図るために私ども国の方がその段階で一定の立てかえ払いをしていく、こういったことを目的とした制度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/91
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092・平田健二
○平田健二君 退職金の全額を厚生年金基金に入れて倒産したというところもあるわけです。退職金の全額を基金に預けて、その企業の入っている基金が解散をした。企業は続く、企業はつぶれていませんよ、会社は。会社はつぶれていませんで続いております。しかし、基金は解散をしてしまった。退職した勤労者の方は退職金の一部が大幅にカットをされる。しかし、事業主も何も瑕疵があったわけではないといった場合にどうなるのか。
勤労者は退職金を大幅にカットされる、受け取れないという意味では、基金が解散したことはもう企業の倒産と同じなんですよ、考え方は。幾ら事業は続いておっても、企業があっても、それに入っておった基金が解散をするということは、そこに働く勤労者にとっては企業が倒産したと同じことなんです。そういう意味では、立てかえ払い制度の法の目的と少し合わないところがあるんではないかと私は思います。
これは法改正の余地があると思うんです。法律じゃないんですから、政令ですから、労働省内で検討していただいてぜひ改正すべきだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/92
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093・岡野裕
○国務大臣(岡野裕君) 先生まことに残念な悲惨なお話でありますが、当該企業としては将来退職金が払えるようにする努力を当然すべきだ。これは労働協約もしくは就業規則で決まっております。ところが、倒産しましたのは基金の方でありまして、会社は倒産いたしておりません。したがって、会社が倒産して払うべき賃金そのものも払えないということでありますと、我々は労働者の皆さんのためにこのような法律をつくりまして、そして賃金の立てかえ払いもいたしておりますが、今は退職金が払えるか払えないかということだと思います。
したがいまして、基金の倒産と、それから当該退職金を払わなければならない義務を負っているところの企業の倒産とはいささか種類が、次元が異なる、これは御理解をいただけると思っております。
だけれども、労働者の諸君からすれば、それで退職金がとうとう払えない、払えなかったということになればそのマイナスは非常に大きいと。よって、ひとつ法令等を改正したらどうかということでありますが、この賃金の立てかえ払いの金は労災保険の福祉事業の一環としてやっております。労災保険といえどもこれ公的負担であります。
今、内閣といたしましては税金その他公的負担一切をもう一遍見直せということになっておりますので、これは見直した場合に、先生がおっしゃるような方向にうまく行くかどうか、極めて困難だということは一応おなかの中に入れていただきたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/93
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094・平田健二
○平田健二君 いや大臣、退職金だけじゃないです、年金なんです。年金もあるんです。ですから、退職一時金でもらう人の部分もありますが、もう既に年金を受給している人が有無を言わさずに六割ぱっとカットされて、先ほど言いましたように十二万、十三万ぐらいの年金が四万九千、五万円ぐらいしか支給されないという事態も起こっておるということです。現在年金をもらっている人もそうなんです、基金が解散したことによって。
もう既に何年も前に定年退職して、今企業年金をもらっておって、それが六割黙ってばっとカットされるということは、これはやっぱり年金を受給して生活している者にとっては大変なことですから、その部分も含めて見直しをぜひひとつ考えていただきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/94
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095・岡野裕
○国務大臣(岡野裕君) 年金支給の義務を当該経営者、企業主は負っていると思います。それは、これから払えないということになれば債務不履行であります。そういう意味合いで、それを救済する手だてというものはまだある、こう思っております。
政令等の改正を心がけた場合にも、先ほど話をいたしました公的負担の全面的な見直しという趨勢の中でありますと、公的負担をふやす方向でありますので、なかなか難しいということをおなかの中に入れておいていただきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/95
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096・平田健二
○平田健二君 時間が参りましたので、これ以上御質問申し上げませんが、最後に要請をしたいと思います。
大臣、使用者にも瑕疵がない、働く者にもない、また厚生年金基金にもない、結局だれが一番つらい思いをしているかというと年金受給者なんです。そのことをやはりぜひ肝に銘じて、この厚生年金基金が破綻をする問題について私どもは真剣に取り組んでいかなきゃならぬ。
その中で、先ほど言いましたように、労働省としても賃確法の見直しについてぜひひとつ省内で検討していただきますように再度要望しまして、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/96
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097・勝木健司
○委員長(勝木健司君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
午後零時一分休憩
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午後一時二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/97
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098・勝木健司
○委員長(勝木健司君) ただいまから労働委員会を再開いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
本日、佐々木満君が委員を辞任され、その補欠として保坂三蔵君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/98
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099・勝木健司
○委員長(勝木健司君) 休憩前に引き続き、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/99
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100・大脇雅子
○大脇雅子君 就業条件の整備におきまして、大企業との格差が顕著な中小企業に働く労働者にとりまして、退職金にかかわる事業の必要重大性というものは大きなものがあります。これまでの中小企業退職金共済制度の中での加入実績が着実に伸びているということは、今なお総体の数としては不十分でありますが、喜ばしいことだと思っております。
平成二年にこの審議の中で、パートタイマーへの加入を上げるようにというふうに言われてきておりますが、そのパートタイマーの加入実績というものは全体のどのようなパーセンテージを占めるのか、おわかりでしたらお教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/100
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101・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 平成三年度以降のこの中小企業退職金共済事業への加入状況をちょっと御説明させていただきますと、平成三年度共済契約者、つまり企業でございますが、三万件でございました。これは新規でございますけれども、そのうちパートタイム労働者をこの中小企業退職金共済事業に加盟をさせている共済契約者は二千件、二千社でございます。
新規加入者、大体三万から二万強ぐらいの推移で平成七年度まで来ておりますけれども、パートタイム労働者につきましても大体先ほど申し上げました二千件前後の新規加入状況であるということでございます。したがいまして、新規加入の企業について見ますと、三万件のうちの約二千というのがパートタイム労働者について加入させている企業数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/101
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102・大脇雅子
○大脇雅子君 これは正社員、パートタイム労働者も含めまして、中小企業退職金における支給額の低さというものは、大企業で一般的に支払われております退職金と比べますとその差は歴然としているのではないかと思います。
先ほど一千万を超えた額というのが支給されていた実例も報告されましたが、こういった額の低さを上げていく手だてというものは何か検討をしておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/102
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103・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 先ほど退職金、一時金の平均額が一般の中退制度で約九十三万円ということを御紹介させていただきました。ただ、平均加入年数が八・三年ということでございますので、何と比較して低いか高いかというのはなかなか難しいところがございます。一方、一千万円を超えるという数字は、従業員規模三十人から九十九人の勤続年数三十五年以上の男子についてということでございますので、一般的に退職金というものは勤続が長くなればなるほど金額が高くなるということが言えるわけでございますから、そういうことから見て、勤続年数の差による部分がかなりあるというのは御理解いただいているところかと思います。
一方、それにしても退職金額を今後引き上げる必要があるのではないかという御指摘につきましては、方法は二通りあるわけでございます。一つは、掛金を引き上げていくということでございます。もう一つは、掛金を引き上げないとすれば、より有利な運用先を探して高い利率で運用するということでございます。
後者につきましては、現在のような低金利の状況が続いている中にあっては非常に難しい。予定運用利回りをむしろ下げていかなければいけないような事態に立ち至っているというのが正直のところ申し上げなければいけない点であるわけでございます。
もう一方の掛金月額の引き上げでございますけれども、これまでも掛金の月額につきましては引き上げるということをやってきたわけでございます。平成七年の十二月から最高月額をそれまで二万六千円でしたところを三万円に引き上げる、また最低月額を四千円でありましたところを五千円に引き上げたところでございます。
さらに、この掛金月額を引き上げたわけですけれども、企業としても掛金を高い方に出すということにしていただくことが望ましいわけでございます。そういうことから、掛金月額の増加を促進するという観点で、その増加する共済契約者、つまり企業でございますが、それに対しまして掛金月額の増額分の三分の一を一年間免除する助成措置を行っているわけでございます。特に、先ほど申し上げたように平成七年に掛金月額を引き上げたということがございますことから、この平成七年十二月から三カ年間は特例を設けまして、一般的な三分の一という助成措置を二分の一に引き上げる、助成率を引き上げるということによりまして、より高い掛金月額にしていただくようにインセンティブを設けさせていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/103
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104・大脇雅子
○大脇雅子君 中小企業の事業主の中退金制度への要望事項の第一は、掛金助成額の増額ということでありますので、助成率が三分の一から三年間が二分の一ということがインセンティブになって加入が増大していくということを希望するものであります。
中小企業退職金共済事業、これから勤労者退職金共済機構というものがつくられてやっていくわけですが、この制度の全体の賃金確保に関する位置づけについてちょっとお尋ねをしてみたいと思うんです。
例えばILOの百七十三号条約によりますと、使用者の支払不能の場合における労働者債権の保護に関する条約というのがありまして、賃金債権の民法上あるいは税務上の取り扱いと別に、保証機関というものによる労働者の債権保護ということが問題になっているわけであります。その点につきまして、例えば支払い保証保険制度の導入等、退職金のより確実な支払い保証に向けてどのようなお考えを労働省としてお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/104
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105・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 私から十分全体的に御説明できることではないので、申しわけないのでございますけれども、少なくともこの中小企業退職金共済制度につきましては、今先生指摘されましたような心配はないと言うとあれですが、そういうことのないように、いわば国営でやっているものでございます。
そういう意味では、支払いの確保は十分なし得るというふうに考えているわけでございますが、全般的な退職金の支払いのための機構なり基金なりにつきましては、ちょっと私からは申しわけございませんが、お答えしかねる点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/105
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106・大脇雅子
○大脇雅子君 現在、賃金確保に関する法律がありまして、三カ月間の給与債権というものが確保されていると思うんですが、退職金を別枠で保全するという意向も出ているわけですから、ぜひ賃確法との絡みで、支払い保証保険制度などの展望を持ちながら、その中に中小企業退職金共済事業も含めていくという方向が望ましいと思いますので、御検討をお願いしたいというふうに思うわけであります。
先ほど御質問がございましたように、厚生年金の企業年金制度との関係で、その移行問題が議論されましたけれども、一九八一年十一月の高齢化社会における退職金制度という賃金制度研究会の提言もいち早く行われておりまして、企業年金制度との連携ということも提案されているわけであります。この点については何か労働省内で御検討なさっていることはあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/106
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107・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) ちょっと御趣旨がよくわからなくてお答えするようで申しわけないんでございますけれども、中小企業退職金共済制度と他の、他のといいましてもいわば企業年金といいますか、特に厚生年金の基金でやっている企業年金との関係につきましては、一般的に言いまして企業規模が異なる場合が多いわけでございますので、連携して云々というのはなかなか難しいかと思います。ただ、中小企業退職金共済制度の場合につきましても、他の年金との通算制度を今後どうしていくかというのが一つ大きなテーマとしてあるのではないかというふうに思うわけでございます。
今、中退制度の中ですと通算制度というのはあるわけでございますけれども、特に厚生年金などとの通算制度というのはいろんな面でなかなか難しい点もございまして、十分でございません。こういったことは経済社会が大きく変動していく中でどうするかということは当然あるわけでございます。労働者の方にとっては移動するということもあるわけでございますので、そういう点は今後の研究課題だというふうに承知しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/107
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108・大脇雅子
○大脇雅子君 その退職金の支払いについて付加退職金の問題がございますが、付加退職金の導入については何か検討しておられますか。現在の実績等、どんなふうになっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/108
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109・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 今、手元に付加退職金の状況がどうなっているかというのは資料はございませんけれども、中退制度の場合、毎年状況を見ながらどうするかというのは決めていくことになっております。財政状況が極めて厳しいということもございまして、付加退職金は、永久にというわけではございませんけれども、今年度については難しいということで、これは審議会でも御審議をいただき、やむなしということで御了解をいただいているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/109
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110・大脇雅子
○大脇雅子君 財政状況の厳しい折からこの制度をプラスアルファの制度としてどうするかという問題は、制度の仕組み方について給付だけなのか、掛金だけなのか、さまざまな原理の問題もあると思いますが、やはり充実のためにはこれの検討も必要かと思いますので、でき得る限りさらなる御検討をと思います。
次に、統合をしていくということの行政改革上の意義についてでございますが、特定業種の退職金共済業務が累積赤字を抱えて非常に悪化の傾向がある中でそれを包み込んでいくということがあるわけであります。中退金の場合は事務費の経費、四十八億というお話でしたが、これが今後どうなるのかということと、そういう特定業種の退職金共済業務を抱え込むことによって節減が可能なのかどうか。そして、さらなる事務費の節減に向けて事務の効率化その他についてどのような改善を考えておられるのか、その見通しと改善の努力について、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/110
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111・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 今回の統合は行政改革の一環として行うものでありますけれども、当然のことながらさまざまの経費を節減していくということに結びつく必要があるだろうというふうに考えているわけでございます。
御指摘のように、中退制度それから特定退職金制度につきましても、事務費の補助というものが今行われているわけでございます。中小企業のこういった退職金制度の運営ということに当たりましては、掛金だけということではなかなか難しい面もございますので、私どもとしては事務費の補助というのを引き続き確保していく必要があるというふう考えているわけでございますけれども、一方で経費の節減をしていかなければいけないという要請もあるわけでございます。
したがいまして、今回のこの統合を契機といたしまして業務をさらに総点検をいたし、できるだけ節減できないかという観点から見直しをしたいというふうに考えておりますが、今直ちにその結論を持っているというものではございません。
この新しい機構は来年の四月から発足するわけでございますが、この八月に来年度の予算要求をするに当たりまして、節減効果が出るように、行革効果が出るようにということでこれから早急に検討をいたしたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/111
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112・大脇雅子
○大脇雅子君 外部から専門家を導入するとか、あるいはさらなる加入者の増大の中で運営のノウハウを蓄積するとか、いろいろな努力が必要だと思います。
これは一般会計からは給付費の補助が出て、掛金の助成は労働保険の特別会計からなんですけれども、この給付費の補助というのは今後どのようなことになっていくんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/112
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113・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) これは掛金の助成でございまして、先ほど掛金を増額する場合に補助しているというのを申し上げましたけれども、それともう一つは、新規に加入する場合の掛金補助もやっているわけでございます。
やはり中小企業の方々にこういう制度に入っていただくというためには、この掛金の補助というのは重要なインセンティブだというふうに私ども考えておりまして、引き続きこういうことができるように予算措置も検討したいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/113
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114・大脇雅子
○大脇雅子君 給付費の助成については何もございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/114
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115・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 今は掛金助成にそれがかわったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/115
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116・大脇雅子
○大脇雅子君 それでは、最後に大臣にお伺いいたしたいと思います。
勤労者退職金共済機構を設立されたわけですが、その中で、中小企業で働く労働者のための就労条件、周辺環境の一層の整備と一体化していかなければいけないと思いますが、それを含めまして大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/116
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117・岡野裕
○国務大臣(岡野裕君) 勤労者退職金共済機構、これは中小企業に働く皆さんの福祉の増進、その一環をなすものだと、こう思っております。
一体的に大企業の場合には福利面にもみずから手が届く。しかしながら、中小企業の企業主の場合には、一人一人では思うに任せない面がある。したがって、中小企業主群によりまして、そこに働く皆さんを群としてとらまえまして、総体的な福利の増進をやってまいろうと。
例えて言いますならば、雇用促進事業団が長い間試みてまいりました住宅の問題あるいは福祉施設、スポーツセンター等、いずれも一人一人の企業主では中小企業は無理だ。したがって、群としてとらまえ、群としての労働者諸君に福祉をもって報いようということでありましたが、今日これがいかがなものかというような問い方に相なっております。
先ほど石渡先生にお答えしましたが、雇用の安定、時短の定着・促進、あるいは中小企業労働力確保法に基づきますところの福祉についての助成金等々、今般の新たにできます機構の機能と相まちまして、中小企業の福祉の増大を我々としては鋭意図ってまいりたい、こう思っている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/117
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118・大脇雅子
○大脇雅子君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/118
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119・川橋幸子
○川橋幸子君 中小企業退職金共済制度、名前は勤労者退職金共済制度に変わるようでございますけれども、中身といたしましてはやはり中小企業の退職金共済制度でございます。今後、これをどのように展望しておられるのかを伺いたいと思います。
中小企業退職金共済法といいますのは、昭和三十四年の高度経済成長の入り口で、労働省としては、大企業との格差が非常に大きな中小企業の人々への退職金を何とか普及させたいとか、あるいは中小企業主も、条件が悪いという意味で求人難というようなこともございまして、中小企業振興のために非常に苦労してつくって、苦労して普及を図ってきた制度でございますけれども、状況が非常に大きく変わってしまっているような、そういう気がいたします。なかなか加入者数がふえないといいましょうか、そういう現状にあるわけでございます。
まず、今後どのように展望しておられるかの切り口として、一点目としましては、中小企業の方が求人難のときに、この制度というのが中小企業に普及するようにということで導入されましたけれども、今は労働力需給が大分緩んできております。そういう中小企業における従業員の確保対策ということのニーズが少なくなるのではないかと思いますが、この点からはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/119
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120・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 中小企業退職金共済制度は、単独ではこういった退職金制度をつくることがなかなか難しい中小企業に働く方々のためにつくられた制度でございます。
御承知のとおり、中小企業と大企業におきましては、賃金や労働条件、福利厚生など、その格差は高度経済成長の中でかなり改善されてはきておりますけれども、大企業に比べると依然として大きな格差が存在しているわけでございます。中小企業にとって、またそこに働く方々にとりまして、この中退制度の意義というのは非常に大きいというふうに考えております。
退職金制度がある企業というのは、十人以上の企業では既に九割を超えており、一−九人の規模でも八割になっておりますけれども、どのような形で退職金制度を設けているかを見ますと、三十人未満の企業では半分を超える企業が中退制度に加入することによって退職金制度を設けているということでございます。そういう意味においては、中小企業における中退制度の意義づけというのは非常に大きいものがあるというふうに考えているわけでございます。
今後の労働力需給がどうなるかということは、供給の方はある程度わかるにしても、需要がどうなるかということによって決まってまいりますので断言することはなかなか難しいわけでございます。労働力需給が今御指摘のように緩んできているのではないかというふうにおっしゃられましたけれども、それでもやはり中小企業では欲しい人材がなかなか得られないという声は依然として今でも高いわけでございますし、また将来的に若年労働力が減っていくということはもうほぼ確実なことでございます。
そういう中にありまして、特に中小企業が有為な労働力を確保したい、人材を確保したいと思うときに、退職金制度の存在というのは当然企業としては考えられることだと思いますし、それに対応するものとしてこの制度というのは意義づけが減少するとか減退するといったようなことはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/120
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121・川橋幸子
○川橋幸子君 もう一つの切り口は、退職金の役割というか退職金に対するニーズというのが企業側も働く人の側もそれぞれ変わってきているのではないか、そんな感じがするわけです。
どういう意味かといいますと、企業側の方では退職一時金をむしろ若年期からの賃金に反映させる、ならして賃金の方に入れて年俸制というような形で対処していくという例も見られるようになっておりますし、また労働省の行われました調査によりますと、労働者側も福利厚生よりもむしろ賃金上昇、賃金で得たいというような気持ちがある。子供の数も少なくなりましたので、私のような世代の人間は自分で持ち家を持つのに非常に苦労しましたけれども、少子化時代では親から引き継ぐ家もあるというようなのを見ますと、退職時に一時金というよりもむしろ働いている現役時代の賃金上昇というような、こんな意識も出ているやに伺いますけれども、こういう退職金をめぐるニーズという点からはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/121
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122・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) おっしゃるとおり退職金制度につきましては、企業の中で高齢社会が到来するとか産業構造が転換することに伴う労働力移動がふえるといったようなこと、また年功制そのものの見直しもしなければといったようなことから、その金額をどうするかとか、支払い方法をどうするか、算出方法をどうするかなど見直しが行われているといいますか、そういう動きはございます。一部の企業ではありますけれども一つの試みとして退職金制度をなくす、そういうコースをつくり、ただそれを選択した人は月々の賃金を高くする、そういったようなことを始める例もあるということは私ども承知をいたしているところでございます。
しかし、退職金制度は我が国企業に長い間にわたって定着した制度でございます。労働省が調査いたしました結果でも、退職金制度について見直しをしているかどうか調査したのがございます。その調査結果によりますと、三二%の企業が見直しをしているというふうに答えております。じゃ何のために見直しをしているのか、そのきっかけは何なのかということもさらに聞きますと、そのうち約六割の企業が、労働者の福祉の充実のために見直しを行っているというふうに答えております。三割弱の企業が、定年延長をするということに伴って退職金制度をどうするかという見直しをしているというふうに答えております。答えの中には、年功制の見直しに伴ってもちろん退職金制度を見直しているという企業も二割ぐらいございます。
ですから、総じて言えば、企業によってさらに充実したいという方向での見直しもありますし、賃金体系全体を見直す中で退職金も見直していくといったような企業もある。ある意味ではニーズはさまざまな面があるのではないかというふうに思います。
一方、労働者の側でございますけれども、おっしゃるとおり、毎月毎月得る賃金が高い方がいい、全部退職金をそちらに回してもらう方がいいというふうに考える人たちもいるだろうということはそのとおりだと思います。一方で、定年時にまとまったお金をもらえるということについて、それを将来の生活の基盤にしていくという意識の人たちも非常に多いというのも実態でございます。
そういう意味におきまして、この退職金制度、時代の変化に応じて労使のいろんな知恵で変わっていくということはあろうかと思いますけれども、やはり我が国の社会にとって非常に大きな仕組みであり、労使関係の中に大きく定着した仕組みであろうかと思います。
そういう意味で、私ども国が運営しております中退制度につきましても、さまざまな変化を踏まえながらもやはりちゃんとした制度として構築していくという重要性はますます高まるというふうに認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/122
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123・川橋幸子
○川橋幸子君 三点目は、運用上の問題といいますか、制度の財政面の問題でございます。既にもう午前中にも何人かの委員の方が聞いておられますので少々ダブるかもわかりませんけれども、もう一回簡単にお伺いしたいと思います。
制度が成熟しますとどうしても支払いがふえてくるわけです。それからまた、労働力人口が高齢化してくれば若年の新規加入は少なくなって支払いのウエートが高まっていく、こういう制度の持つ宿命でございます。何か、単年度赤字になっていて、これからについても今御検討中とか、苦慮していらっしゃるようでございます。
一つ、資産運用のところを拝見しましたら資金運用部への預託の割合が高まっている。市中金利が下がっているときには預託した方が運用上は確実でいいということもあるとは思いますけれども、これからの財投見直しというようなことを考えていきますと、資金運用部のウエートを高めていけばよいというわけでもなさそうな気がいたします。そうした財政上もろもろの、これからの健全な運営についてどんな姿を考えておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/123
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124・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 今、資金運用部への預託のお話がございましたけれども、この中退制度におきましては資産の約二割を資金運用部へ預託をしているわけでございます。逆に言いますれば、資産の約八割は自主運用をしているということでございます。
現在の低金利、かなり長い間続いておりますことから、中退制度の財政事情というのはなかなか厳しいものがございます。そういう中にありましても、事業主の方からお預かりした掛金を運用するということでございますので、きちんとした運用先というと変ですけれども、そういうところを確保しなければいけませんが、一方、利回りの低い商品から高い商品に、当然安全性を十分踏まえた上ででございますが、そういう方向に資産構成をシフトするなどいたしまして、なるべく資産の効率的な運用が図られるようにずっと努力をいたしてきております。今後とも、そういう努力を引き続きやっていきたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/124
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125・川橋幸子
○川橋幸子君 この制度の持つ役割というのも時代によって変化しますし、非常に資産運用についても御苦労な時期ではございますけれども、その方向で御努力いただくということで、次の、団体定期保険のAグループの問題に移らせていただきたいと思います。
団体定期保険、これは従業員が在職中に死亡したり重度の障害に陥った場合に企業に対して保険が支払われる、一年間の更新の掛け捨て保険でございます。保険料を企業が支払うというシステムなわけですけれども、衆議院の方の決算委員会とかあるいは予算の分科会で幾つか質問が出ておりました。参議院では、ちょっと企業内福祉という変わった観点から労働省の方の考え方をお尋ねしたいと思います。
本人の同意なく企業が勝手に保険を掛けて、死亡したときに逆に非常に高い保険料をもらってというような、少々社会問題といいましょうか、人道上問題ではないかというようなことが言われております。
エコノミストに去年の十一月に書かれました本間照光さん、大学の先生だと思いますが、この方によりますと、アメリカでは企業が保険金の受取人になることは禁止されているそうでございますし、ヨーロッパ諸国でもおおむねそのようなことのようでございます。
そういう問題が指摘されて訴訟も幾つか起きたということを踏まえて、あるいは国会の質疑を踏まえて、大蔵省では今回その運用基準を改定されまして、運営基準を改定して新型保険がつくられている。今までの弊害はなるべく少なくするという努力はされているようでございますが、時間もございませんのでポイントだけ伺います。
第一点目は、本人の同意がなければ、こういう団体定期保険の契約というのは無効というような、こういう判例も踏まえまして、その同意要件をちゃんと設けるようにしたようでございますけれども、不同意の場合のみ書面によってあらかじめ申し出るというんでしょうか、そういう要件になっているようでございます。今の企業内労使関係から見て、私は企業が保険金を受け取ることをノーと言いますよと、なかなか不同意の申し立てというのはやりにくいのではないかと思いますが、労働省ではこのあたりはいかが見ておられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/125
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126・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) この団体定期保険の問題につきまして私ども十分承知しているわけではございませんけれども、今おっしゃられましたのはその中でのAグループの契約であろうというふうに思いますが、それにつきましては商法の第六百七十四条に基づきまして、おっしゃるとおり、被保険者である従業員の同意を必要とするということになっているわけでございます。
先ほど運用基準の話と新型保険の開発のお話がございましたけれども、私どもその運用基準が改定されたということは聞いておりません。業界の方で新たに団体定期保険を開発された、総合福祉団体定期保険というふうな名称だと聞いておりますが、そこの業界団体がつくられた保険の仕組みというパンフレットで多分公募しておられるんだろうと思います。
こういったものを見ますと、この従業員の同意を確認する方法として二通りの方法があるというふうに書かれております。一つは、各従業員に同意の署名捺印を求めるというものと、もう一つは、契約内容を全従業員に通知して、不同意である者のみその旨の申し立てをさせるという、この二つの方法があるというふうに聞いております。
いずれにいたしましても、この問題は労働行政というより大蔵行政の問題だというふうに考えておりますが、勤労者福祉を労働省としては所管しております観点から申し上げれば、この保険につきましても、企業内の福利厚生制度の充実の観点をも踏まえて運営されることが望ましいというふうに一般的に考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/126
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127・川橋幸子
○川橋幸子君 二点目は、ヒューマンバリュー特約というものが設けられているようでございます。企業にとっては人材が失われるから損失であるとか、あるいはその人材にかわる人を募集するのに費用がかかるとか、そういう損害を補てんするという意味でヒューマンバリュー特約を契約することができるということになっているようでございます。
先ほどアメリカの例を御紹介しましたが、「企業が保険金の受取人となることを禁止して今日に至っている。」と書かれているわけでございます。弔慰金の原資に充てられるとか、死亡退職金の原資に充てられるとか、実質的には家族の方に渡るということではなくて、このヒューマンバリュー特約というのは企業の取り分になるようでございます。これは上限二千万というようなことがこのエコノミストでは書かれておりますが、それほどのものがかかるとも思われませんし、死亡、障害に限らないで、転職したってこれは企業にとって損失。あるいは交通事故に遭って死亡すれば、もしそれが損失ならば企業の側から交通事故を起こした責任者に対して損害賠償が求められるかといえばそういうことでもない。
ということでありますと、働く人の生命、身体が企業の財産というのも、経営者保険のようなキーマンの方に対象がごく限られるんなら納得できても、一般の働く人にヒューマンバリュー特約というのも、何か勤労者福祉あるいは企業内福祉の観点から見ると行き過ぎのような感じがいたしますが、これはどんなふうにごらんになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/127
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128・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 先ほどのこの保険を開発した生命保険協会のパンフレットによりますと、今おっしゃられたヒューマンバリュー特約につきまして、事例として、例えば死亡された場合に支払う退職金の元にするとか弔慰金の元にするとか、法定外の労働災害補償規定、労災の上乗せ給付、そういったものの原資になるといったようなことも書かれております。
これは被保険者である従業員が死亡した場合におきまして、そこから生ずる企業の損失について補てんすることを目的とする特約だというふうに承知しておりますが、いずれにしても保険の商品の話であり、保険業界なりこれを監督する大蔵省において検討されるべき問題だというふうに基本的には考えております。
ただ、労働者福祉を担当する労働行政の立場からは、先ほど申し上げたような労働者の福祉の充実という観点をも踏まえて、こういった制度についても必要に応じ運営されることが望ましいというのが基本的な考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/128
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129・川橋幸子
○川橋幸子君 それじゃ時間も参っておりますので、短く最後に大臣にお答えいただきたいと思います。
企業内福祉のあり方というのは企業の労使が決めること、それからこういう保険の問題については、それは監督官庁である大蔵省の問題であったり、あるいは商品の中身の公序良俗性の問題というふうになってしまいますと、何か私は労働行政の役割というんでしょうか、中身を決定するのは労使であっても、労使がテーブルに着いて議論してガイドラインのようなものを合意の上で出していくという、もう一つその秩序をつくっていく役割があるような気がいたしますけれども、特にこの団体定期保険に絡めてというわけではなくて、一般論で結構ですので短くお答えいただけるとありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/129
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130・岡野裕
○国務大臣(岡野裕君) 労働者の福祉の問題は労働行政の大きな柱の一つだと、こう思っております。したがって、労使間で決め得るものはそれで決めるし、そういう労使間の決める環境づくり、これは労働行政としてやるべきものだと。
したがって、先生お話しありますがイドラインというようなものをつくるとするならば、例えていいますと日本労働研究機構あたりが国内あるいは国外を問わず広く資料を集めて、そしてあるべき方向に情報として提供をするというようなのも一つではなかろうか、かように思っております。よろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/130
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131・川橋幸子
○川橋幸子君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/131
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132・笹野貞子
○笹野貞子君 昨日の夜、テレビのニュースを見ておりました。どこのテレビとはあえて言いませんけれども、労働省の特殊法人のことについて特集をやっておりました。それで、労働省の法人を一つ出して、こっぴどく何ということをやっているかというテレビ報道を見ていまして、労働省の自称応援団の私といたしましては、こういうテレビで、事もあろうに一番最初に労働省の、もっと言いますと雇用促進事業団をやり玉に上げまして、労働省もここまで来たかと、こういうような解説をされて、本当に不愉快な思いをいたしました。そういう意味で、やっぱり私たちは襟を正すところは正すというやり方をしなければ、国民からは非常な批判を受けると思います。
今回のこの法案というのも、特殊法人の整理合理化という行革の一つの大きな柱であるということを一番の目標にしておるわけですが、合理化するということは、その効果があらわれなければいけない。先ほど平田議員の方からもその指摘がありまして、私もまさにそのとおりと思うんですが、ここで改めて御質問しますけれども、この法案が通ると目に見えて合理化で、労働省も国民の批判は受けないんだというふうにとってよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/132
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133・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 法案の中にも明記をいたしておりますけれども、統合によりまして常勤の役員の数が、現在二法人合わせまして十二人でございますけれども、これが新しい法人では八人ということで、目に見えて減るのがまず第一点でございます。今後職員の数をどうするかとか、全体的な国からの補助金はどうなるかといったようなことももちろんあるわけでございます。それにつきましては、この新しい法人が来年の四月から発足になります。そういうことで、関係する予算、組織等々この八月大蔵省に概算要求する中に盛り込むわけでございます。
私ども、内々いろんな検討は多方面にいたしておりますけれども、法案を成立させていたださましたら、もう直ちに業務の効率化に向けて全面的な業務の精査をいたし、国民の皆様から、ああこれはやってよかった、本当にそうだ、行革の効果が上がったというふうに評価していただけるようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/133
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134・笹野貞子
○笹野貞子君 非常に今力強い思いをしたんですが、効果が目に見えてよかったというのは、私は量だけじゃなくて質の問題も一つあると思います。十二人が八人になったからいいという問題じゃなくて、八人の給料が問題なんですね。
そこで、お尋ねをいたします。中小企業退職金共済事業団の理事長はいつ就任して、そして何年いて、給料は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/134
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135・渡邊信
○政府委員(渡邊信君) 中小企業退職金共済事業団の理事長の就任年月日でございますけれども、これは平成元年の七月二十日でございます。現職に就任する以前は労働事務次官でございました。給料は報酬額、年額がございますが、二千三百九十三万となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/135
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136・笹野貞子
○笹野貞子君 うらやましいですね。平成元年に就任というのはことしで九年目になるわけですね。
行革推進会議の閣議決定のところに、行革をするときのこういう特殊法人に対する人事管理の問題が指摘されています。閣議でもって人事管理はどうしようという確認になっているか、ちょっとお知らせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/136
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137・渡邊信
○政府委員(渡邊信君) 特殊法人の役員大事につきましては昭和五十四年の十二月十八日の閣議了解がございますが、この閣議了解では、長期留任に関する例外については、「真に止むを得ないものに限ること」とするということが了解をされております。
この昭和五十四年の閣議了解は、昭和五十二年の十二月の閣議決定の運用に関する方針でございまして、さかのぼりまして昭和五十二年の閣議決定を見ますと、この閣議決定では、特殊法人の役員の選考については、「役員の長期留任は、これを避けることとし、原則として、その在職期間はおおむね六年を限度とすること。ただし、総裁等又は副総裁等の職にある者で特別の事情がある場合は、この限りでないが、この場合においても、原則として八年を限度とすること。」というふうに定められているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/137
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138・笹野貞子
○笹野貞子君 今読んでいただいたとおりで、長期留任はしてはならない、特別のときだけと、こう言っているんですが、何かこの方は特別理由があったんですか、九年やらなければならないという。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/138
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139・渡邊信
○政府委員(渡邊信君) 中小企業退職金共済事業団の理事長は、ことしの七月十九日で満八年になるところでございまして、まだ八年未満でございます。
ただ、それにしましても六年を超えているわけでございますが、この理事長につきましては平成七年で六年が来たわけでございます。当時は、運用利回りが大変低下をするというときで、中退事業団にとりましても大変なときでございました。労働省としましても、法律の別表に掲げております退職金の額を引き下げるという法律改正をお願いしたときでありまして、いわばこれは事業団始まって以来の未曾有の大事件であったというふうに思います。
こういった事情で、それまで理事長を務めてこられた現職の方に引き続き現在までお願いをしている、これが特別の事情に該当するというふうに私どもは理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/139
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140・笹野貞子
○笹野貞子君 誤解していただいては困るんですけれども、これは私は労働省だけを責めているわけじゃないんです。今一般の国民の批判にさらされている、つまり行革の一端として、労働省がそういう責めに遭わないようにするためにはやっぱり閣議で決めたことをきちっと守るという方針でなければいけないので、どう見ても私はこれは長期留任になると思うんです。
そこで、さらにもうちょっとお聞きいたしますけれども、ここで行革の中で天下りという、さっき大臣も天下りについてるるお述べになりましたけれども、さっき二千何ぼですか、年間、二千何百万……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/140
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141・渡邊信
○政府委員(渡邊信君) 三百万です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/141
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142・笹野貞子
○笹野貞子君 二千三百万、うらやましいですね。非常に一般の勤労者からすると高い給料だというふうに思います。それが八年以上も続いているということは、これはやっぱり批判にさらされてもやむを得ないというふうに思います。
良心的な労働省ですらこうですから、あとの省庁はどうなっているかということを私は非常に不安に思います。たまたま私は労働委員会に属しておりますので、資料が簡単に手に入るということでちょっと意地悪質問になっておりますが、これはそういうことではなくて、正すべきところは正すということですが、やっぱりこの天下りというのはどうも聞こえがよくない。
そこで御質問しますが、中退金事業団及び建設業、特定業種の方ですね、労働省出身の理事者は合わせて何人おりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/142
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143・渡邊信
○政府委員(渡邊信君) 中小企業退職金共済事業団につきましては、労働省出身者は三名でございます。建設業等の組合につきましては、六名の役員のうち労働省出身者は二名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/143
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144・笹野貞子
○笹野貞子君 パーセンテージで言うとどういうパーセントになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/144
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145・渡邊信
○政府委員(渡邊信君) 前者につきましては役員のうち労働省出身者が五〇%、後者につきましては労働省出身者が三三%になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/145
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146・笹野貞子
○笹野貞子君 これもやっぱり改革、整理合理化についてという閣議決定の数字から言わせると高いんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/146
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147・渡邊信
○政府委員(渡邊信君) 閣議決定・了解等におきましては、あるいはその運用におきましては、政府で所管します全体の特殊法人について国家公務員出身者の割合を半分程度にするということになっているわけでありまして、先ほど申しましたのは労働省出身者の割合でございますが、この両特殊法人には他省庁出身者の方もおられるわけでありまして、そういった点を見ますとかなり高い数字になっているというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/147
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148・笹野貞子
○笹野貞子君 どんなに多くても五〇%という線が引かれているのに六十何%以上というのは、私はちょっと怠慢だと言われるんじゃないかなという不安を感じます。やっぱり、閣議決定でされたことに対してはそのように努力するという、そういう方法はとっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/148
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149・渡邊信
○政府委員(渡邊信君) 閣議決定・了解というものは私どもも重く受けとめているところでございまして、今回も統合によりまして役員の数を十二名から八名に減らすという、絶対数も減らす努力もしているわけであります。私どもとしましても、できるだけ特殊法人そもそもの出身者の方の登用あるいは民間からの登用ということを心がけているつもりでございまして、これからもそういったことでやっていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/149
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150・笹野貞子
○笹野貞子君 つまり、こういう議論は本当に国民にわかりやすいんですね。ですから、目に見えて行革をしているかどうかという判断の材料になってしまうと思いますので、やっぱり簡単にできるところはやるという努力をしていただかないと何か行政に対する不信、政治家に対する不信というのが募っていくというふうに思いますので、私は労働省だけを責めているわけじゃなくて、一般の天下りという問題、労働省はこれから努力をして、閣議の決定を守っていくという姿勢をどうぞとっていただきたいものだというふうに思います。
続きまして、資金の運用についてお尋ねをいたしますが、先ほど午前中からの御質問に対してもいかにこれが厳しい財政であるかということですが、私のように本当にお金に対して疎い者ですらこの運用のあれを見ていると、この低金利のときに、高い利回りで返して低い利回りで運用していたらそれは赤字になるのは当たり前だという感じなんです。言葉は悪いんですけれども、このままほっておいたら不良債権の住専の二の舞ということになりはしないかというふうに思うんですが、具体的にどういうところに運用しているのか、ちょっとお知らせいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/150
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151・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 中小企業退職金共済事業団、それから特定業種退職金共済組合、いずれもでございますけれども、その資金運用先は主に金銭信託、国債、年金保険、金融債、政府保証債等で行っているわけでございますが、一部の資産、約二割でございますけれども、それは資金運用部への預託をしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/151
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152・笹野貞子
○笹野貞子君 例えば、具体的に企業として名前を挙げられるところがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/152
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153・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 例えば、金融債については商工債とか興業債、長期信用債などを購入しているわけでございますので、そういうところで発行された債券を購入するという形で運用しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/153
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154・笹野貞子
○笹野貞子君 債券だけじゃなくて、銘柄。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/154
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155・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 具体的なちょっと企業名まで持ち合わせておりませんけれども、例えば生命保険資産ですと大手の生命保険は大体運用先になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/155
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156・笹野貞子
○笹野貞子君 これはどういう安全なところに運用するかということが重大で、ただ企業名がわからないでやるということは大変私は不安だというふうに思いますので、やっぱり安全な利回りのいいところに貸し付けるという企業努力というんでしょうか、そういうものをやっていただかなければこれは非常にわかりにくい資金運用になってしまうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/156
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157・岡野裕
○国務大臣(岡野裕君) 先生御存じのとおり、この種の政府関係機関の運用先といいますのは、資金運用部を初めとしてお隣さんの年金福祉事業団等々、大体こういうところだということで決められております。
金融債と申しましても利率、利回り、今もう全部長期信用銀行関係は同じになっております。したがって、個々の銘柄はどこか調べれば出てまいりますけれども、これはこの種のものは同一である。そして、有利でかつ安全にということが鉄則になっておりますので、例えば株式だとか土地だとかというようなことには一切まいらない。そうすると、利回りが低い。今二・七、八にしか回らない今言ったような運用先でありますが、こういうときもあり、また八分ぐらいに回るという時期もこれあるわけでありますので、長い眼で運用の利回りを見ていただければと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/157
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158・笹野貞子
○笹野貞子君 わかったようなわからないような御説明で、私自身はそんなことで、つまり他人から預かっているお金をいかにふやすかということに対しては対応がおくれるんじゃないかなというふうに思っております。いずれにしても、この赤字を見ますと大変膨大な赤字になっておりますので、これはやっぱりきちっと気持ちを入れかえて、赤字にならないような運用をしなければいけないというふうに思っております。
最後になりましたけれども、先ほどの午前中の御質問にありましたけれども、勤労者にとっては、特に中小の勤労者にとってはこの制度というのは非常にいい制度なんですが、しかし、まだまだ不備な点が私はあるというふうに思います。
そこで、中小企業の退職金、企業年金の問題についての提案が平成八年の八月に出されております。中小企業の退職金、企業年金のポータビリティーの構築についての提言というのがありますが、これからこのポータビリティー、連携し合うというのが非常に重大だと思うんですが、これは非常に具体的な提案をされています。この提案に対しての御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/158
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159・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) その研究会の報告、幾つかの提案が、提案といいますかケースが示されております。
私どもも、これからの高齢化社会への展望ですとか、産業構造、就業構造が変化する中での労働移動の増大などを考えますと、この退職金制度につきましても社会経済情勢の変化に対応していかなければいけないというふうに考えているわけでございます。そういう問題意識でその研究会にも検討をお願いし、御指摘のような報告がまとまったわけでございます。
特に、中退制度と中退制度以外の退職金制度との通算の問題、これにつきましてはその研究会で報告が一応出ておりますけれども、退職金がそもそも持っている機能というのは人材を確保するという機能であるという観点からすると、その通算制度についても積極的にそれを進めるというのはいかがかという意見もないわけではございません。しかし一方で、やはりそういったことを進めるべきだという意見もございます。
その研究会の報告の中にも載っておりますけれども、そういう仕組みを取り入れるとした場合に、その制度を構築するためのコストもかかるわけでございますし、税制上の取り扱いをどうするかという問題もあるわけでございます。そういう意味では多面的に検討していかなければいけないというふうに考えております。ポータビリティーの問題以外にも幾つかその研究会の報告で指摘されている事項がございます。
例えば、退職金の分割払い制度の充実などについても触れられておりますけれども、いずれにいたしましても、そこで指摘された事項は私ども重要な検討課題というふうに認識しておりまして、今後さらに研究を深めてまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/159
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160・笹野貞子
○笹野貞子君 大変これはおもしろい提案だというふうに思いますので、ひとつどうぞ御研究の上、いい政策を出していただきたいというふうに思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/160
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161・吉川春子
○吉川春子君 今回の改正は、特殊法人の整理合理化を図るために中小企業退職金共済事業団及び特定業種退職金共済組合を解散して勤労者退職金共済機構を設立するわけですけれども、二つの共済組合が合併することでこれまでの組合員の利益が損なわれてはならないということは当然だと思います。
重要なことは、独自の退職金制度を持てない中小零細企業などに働く労働者に対して退職金をいかに多く保障するか、魅力ある制度に変えていくかということだろうと思います。しかし、二年前にもこの中退金の改正が行われまして、預金金利の低下を理由に退職金の縮減につながる、そういう改正内容だったと思います。
先日、この趣旨説明が行われまして、この中で労働大臣が「行政改革の一環として特殊法人の整理合理化を推進し、あわせて中小企業の勤労者の総合的な勤労者福祉対策を進めるため、」とおっしゃっておられますが、ここで言っている「総合的な勤労者福祉対策」とは、具体的にはどういうことでしょうか。大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/161
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162・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 一つ、この中小企業退職金共済制度をやっております二つの特殊法人、これを統合することによりまして、私どもはこれまでも効率的にやるということに心がけておりましたけれども、さらにこの制度の効率的な実施ということにこれを契機として努めたいということでございます。
中小企業労働者の福祉といいますと、もっと幅広くさまざまな面があるわけでございます。この制度そのものを運営するということは、その中の重要な柱でございますが、それに加えまして、さらに広く企業内福祉、それから企業内福祉だけではなく、企業内福祉を進めるために国がサポートしなければいけないこと、さまざまあるわけでございます。そういう意味から広くこのことを契機としてさらに検討を深め、幅広く中小企業福祉対策を検討していきたい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/162
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163・吉川春子
○吉川春子君 具体的な内容は何もないという意味の御答弁だったと思います。
それで伺いますが、中退金それから特退共の理事長、理事の前職、政府にいたときの最終のポストをおっしゃっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/163
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164・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 中小企業退職金共済事業団、今六名役員がおります。そのうち理事長は元労働事務次官でございます。理事が四名でございますが、そのうち労働省の職員であった者が二名、それから他の省の職員であった者が二名、そして一人、監事でございますが、この方は労働組合の出身者でございます。
それから、建設業、清酒製造業、林業退職金共済組合につきましては、理事長は元労働基準局長でございます。理事が四名でございますが、そのうち一名は労働省の元職員でございました。あと三人は、それぞれ建設省、大蔵省、農水省の職員であった方々でございます。なお、監事はこの退職金共済組合の職員として採用された者が登用されているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/164
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165・吉川春子
○吉川春子君 理事と理事長が全員労働省、大蔵省、建設省、通産省、農水省と、こういう出身の高級官僚です。
それで、報酬と年額をそれぞれお示しいただきたいと思います。理事と理事長ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/165
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166・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 中退事業団の理事長の報酬額は、年額で二千三百九十四万円でございます。理事の報酬は千八百五十七万円、監事の報酬は千六百十九万円でございます。特定業種退職金共済組合の理事長の報酬額は、年額で二千五十一万円、理事は千七百二十万円、監事は千五百六十二万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/166
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167・吉川春子
○吉川春子君 続いて、退職金の額もお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/167
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168・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 退職金はその方の給与月額が幾らであったか、在任期間がどうであったかということによって異なるわけでございますが、計算式は、給与月額に在任月数を掛けまして、それの百分の三十六ということになっております。
例えば、これを中退事業団の理事長に当てはめ、かつこの理事長が一期四年で退職したというふうに仮定をいたしてはじきますと、約二千八十七万円になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/168
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169・吉川春子
○吉川春子君 中退金に加入している人たちが三十何年働いて得る退職金の十倍以上の額を四年間在任しただけで得る、こういう数字だと思います。
それで大臣、お伺いいたしますけれども、私たちは天下り禁止法案を今国会に提案しているわけですが、その中身は、特殊法人の役員数の二分の一を政府の官僚が超えてはならないということと、それから、役員の高額給与、退職金規制、これを行うために一般公務員の給与及び退職金規定に準ずるべきだと、こういう法案を出しております。
役員全員が監事を除いて政府の官僚で、しかも非常に高い給与と退職金を得ている、これは到底国民の納得は得られないというふうに思います。なぜこんなに高い金額を払わなくてはならないのか疑問に思います。
それから、生え抜きの職員を理事に登用するとか、そういう道がやっぱり必要じゃないでしょうか。私は、民間と称して財界の人を持ってくるということには賛成はできないんですけれども、生え抜きの職員を登用するとか、一〇〇%高級官僚の天下り先にしている、これはもう本当に改めなければならないと思いますが、まずこの点について、大臣、いかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/169
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170・岡野裕
○国務大臣(岡野裕君) 人事の問題につきましては、先ほど笹野先生からお話が出ました閣議了解の線にのっとって運用をされるべきだと、こう思っております。
なお、理事長等の役員の報酬等につきましては、たとえて言いますならば、この中小企業退職金共済事業団の営んでいる仕事というものがいかに大きな数の皆さんに影響を及ぼし、この事業団の目的遂行のためを考えますと決して高過ぎる給料ではないと、こう思っております。先生が問題にされているのは、高級官僚が天下り、かつ数年でころころたらい回しになるというような角度から、この給料の多寡を云々されておられるのだと思うのでありますが、この事業団につきましては兼業禁止であります。
ついででありますが、NHKの会長といいますものの俸給は非常に安うございます。しかしながら、天下のNHKとよく言われるように、あれだけ言論の力を持っているならば相当立派な人を持ってこなければいけませんが、兼業禁止でかつ俸給が云々ということになりますと、なかなか立派な人を持ってきにくい。そういう意味合いからするならば、この勤労者退職金共済機構というようなものの意義を考えますと、それ相応の報酬は当然与えられるべきだと、こう思っております。
なお、生え抜きの役員がおられるということは非常にいいことだと、職員の皆さんの士気を鼓吹するためにもいいことだと、こう思っております。なお、民間人の天下りの指定ポストにこういうポストが与えられるということは、それで固定されるということは、私はおかしなことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/170
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171・吉川春子
○吉川春子君 この報酬の額が高過ぎないという感覚は、やっぱり庶民の感覚とはかなりかけ離れている、私はその点を指摘しておきたいと思います。
それで、ちょっと数字のことをお伺いしたいんですけれども、中退金制度とよく似た制度に商工会議所が行っている退職金共済制度があるんです。これは百団体、百六十万人が加盟していますが、中退金制度がなぜ必要なのか、魅力がある制度になり得るかというと、国庫補助があるということだと思うんです。
それで、数字だけ端的に伺いますけれども、九一年度から九五年度までの掛金収入、運用収入、国庫補助金の額、全収入に占めるそれぞれの割合をおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/171
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172・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 中小企業退職金事業団、一般の退職金共済事業でございますけれども、これの収益、収入でございますが、これは平成七年度で約四千億でございます。そのうち、六七%が掛金の収入、それから三〇%が運用収入、二・五%が国庫補助金ということでございます。
それから、建設業退職金共済事業におきましては、平成七年度、約九千八百万の収益がございますが、そのうち六丁六%は掛金の収入、三七%が運用収入、国庫補助金が一・四%。
それから、清酒製造業退職金共済事業につきまして……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/172
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173・吉川春子
○吉川春子君 中退金だけでいいです。ちょっと時間がありませんので、済みません。
市場最低の低金利が続く中、運用収入は大幅に落ち込んで、全体収入に占める割合も九一年度から九五年度まですごく落ち込んでいるわけです、今報告がありました。国庫補助金が百三十六億五千万から百一億まで落ち込んでいるわけです。むしろこういう低金利政策がとられているときこそ、国庫補助を引き上げて中退金の運営を強化していく、これがこの制度の信頼性を確保し、ひいては、さっきからお話がありました、たくさんの人が加入してもらえる、そういう制度にできる方法だと思います。
それで、お伺いしたいんですけれども、今度、中小企業退職金共済法の九十五条は国庫補助の根拠規定なんですけれども、この九十五条二号を削ることとしています。つまり、事務費の国庫補助の根拠規定をこの法文から削ってしまうと。これは非常に重大でして、これは事務費補助削減の布石ではないでしょうか。こういう点からしてこれは削除すべきでないと思いますが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/173
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174・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 御指摘のように、現行法では事業団の事務に要する費用について国が予算の範囲内において補助をするという規定がございましたが、それを削除いたしております。これは最近の立法例においては、単に法人の事務費を補助するという規定は設けないということを通例とするということになりましたことから、それに従って本法においてもこれを削除したというものでございます。
しかしながら、これを削除したということが、それがイコール事務費の補助をしないということではございませんで、私どもも、中小企業の従業員の方々の福祉の増進のためには引き続き事務費を含めた中小企業退職金制度についての国としての援助というものが必要だというふうに認識しておりまして、その点についてはこの規定が削られたことが、おっしゃるような事務費の補助をやめるということにつながることのないようにしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/174
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175・吉川春子
○吉川春子君 非常に重要な問題なので、大臣のコメントも言いただきたいんです。
要するに、事務費補助がなくなるとこの制度の意味が大幅に失われるわけです。そのようなことにつながらないと、今局長の御答弁でしたけれども、大臣、そのとおりでよろしいですか、一言で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/175
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176・岡野裕
○国務大臣(岡野裕君) 労政局長の答弁は間違っておらないと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/176
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177・吉川春子
○吉川春子君 残された時間で、私はそこに働いている職員の身分についてお伺いしたいと思うんですけれども、「組合は、機構の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、その時において機構が継承する。」ものというふうにされておりますけれども、ここで言う「一切の権利及び義務」の中には、そこで働いている職員、労働者との関係での義務も全部含みますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/177
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178・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 統合する前の中退事業団と特退事業団についての雇用契約を含む権利義務というのが、包括的に機構に継承されるということになるわけでございます。そういうことから、統合前に中退事業団、または特退組合の職員であった方については、機構の成立と同時に機構の職員になるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/178
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179・吉川春子
○吉川春子君 確認いたしますが、間違っても解雇などということは絶対にあり得ませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/179
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180・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 統合を理由としてそういうことが行われるということはないというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/180
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181・吉川春子
○吉川春子君 それで、それぞれ共済組合で賃金水準の違うところが一つになるんですけれども、少なくとも統合による賃金の引き下げ、こういうようなことも起こらないということは、そのとおりですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/181
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182・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 雇用契約の内容になっています労働条件につきましても承継されるものであるというふうに認識しております。賃金につきましては、基本的に労使で交渉していただいてお決めいただくものだろうというふうに思います。しかしながら、統合後におきましても適切、適正な労働条件が維持されるよう労働省としても十分配慮したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/182
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183・吉川春子
○吉川春子君 労使で話し合うということはもちろんですけれども、労使の話し合う前提といたしまして、今までそれぞれの共済組合の職員として、事業団の職員として働いてきたわけで、そこで積み上げられてきた賃金体系あるいは今の待遇というものがあるわけですね。そういうものについて、これは基本的に守られると。
労使の話し合いでどんなことでも決められるという意味でおっしゃったんじゃもちろんないと思いますけれども、そういう今までの労使で積み上げられてきたもの、これが今回の事業団の解散、併合ということによって、基本的にすごくダウンされたりとかいうことではなくて、これは当然維持されるべきものということでよろしいんでしょうか。もう一度御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/183
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184・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 職員の方の労働条件が統合を理由として引き下げられるということはないというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/184
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185・吉川春子
○吉川春子君 私は今賃金のことについてお伺いしたわけですけれども、賃金以外の労働条件もあるわけですね。
就業規則でいろんなことが決められていると思います。その中には、例えば育児時間であるとか、そういった賃金以外の労働条件、今まで労使の間で積み上げられてきていろんな既得権もあると思うし、合意でなされてきたこともあると思うんです。そういうものについても、基本的にこの二つの事業団、共済組合が合併することによって奪われることはないと。
基本的には、さっきおっしゃいましたような権利義務は、対外的な債権債務ももちろんですけれども、職員に対するそういうものも継承されるという、そういう関連で理解してよろしいでしょうか。もう一度明確な答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/185
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186・松原亘子
○政府委員(松原亘子君) 基本的には先ほど申し上げたとおりでございますが、労働条件、今例示でおっしゃられましたけれども、どの範囲まで含めておっしゃられているのかということはちょっと私は今わかりませんので、あらゆる点についてそうだと断言していいのかどうかというのは若干の戸惑いがございます。両法人でその辺が全く同じ扱いになっているのかどうか、統合後も違うままの扱いは違うままでそれはそれでいいのかどうか等を考えなきゃいけないものも場合によっては出てくるかもしれません。
いずれにしても、統合だけが理由となって労働条件が下げられるということのないように労働省としても十分見守りたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/186
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187・吉川春子
○吉川春子君 その二つの団体が併合するということは、働いている人にとって非常に大きな意味があると思うんですよね、変化があると思うんです。だから、私たちが机の上で法律とかいろんなものを考えている以上に、現場で働いている人たちにとっては大変なプレッシャーになったりあるいは身分の変化になったりするわけなので、そういう点は、今までの労使での話し合いを含めたものがくれぐれもきちんと守られるように。そして、さっきから松原局長がおっしゃっています統合ということを原因として切り下げにならないように、その点はやはり十分に私の方からも要求しておきたいと思います。
大臣、この点について、最後に確認の答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/187
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188・岡野裕
○国務大臣(岡野裕君) きょうのいろいろな先生からお話がありましたように、これは行革の一環として統合するわけであります。したがって、行革の理念というものが生かされてこなければ、平成会の先生からもお話が出ましたが、ただ二つが一つになった、数が整理されたということであってはならないという意味合いで業務の全面的な見直しをしなければならない、こう思っております。
その中で個々の労働提供態様が変わってくるということもあろうかと思っておりますが、これらは労働組合と使用者側との話し合いでお決めをいただくと。ただ統合のみが理由によって労働条件が切り下げられるというようなことは万ない、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/188
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189・吉川春子
○吉川春子君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/189
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190・勝木健司
○委員長(勝木健司君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/190
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191・勝木健司
○委員長(勝木健司君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/191
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192・勝木健司
○委員長(勝木健司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015289X00919970408/192
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193・勝木健司
○委員長(勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時二十六分散会
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