1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年十一月十二日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 村上誠一郎君
理事 井奥 貞雄君 理事 佐藤 静雄君
理事 坂井 隆憲君 理事 村田 吉隆君
理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君
理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君
新井 将敬君 飯島 忠義君
石原 伸晃君 今村 雅弘君
衛藤征士郎君 河井 克行君
小林 多門君 桜田 義孝君
下地 幹郎君 杉浦 正健君
砂田 圭佑君 田中 和徳君
田中 昭一君 田村 憲久君
渡辺 喜美君 北脇 保之君
鈴木 淑夫君 中川 正春君
並木 正芳君 宮地 正介君
村井 仁君 吉田 幸弘君
海江田万里君 末松 義規君
佐々木憲昭君 秋葉 忠利君
上田 清司君 北橋 健治君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 三塚 博君
出席政府委員
大蔵省証券局長 長野 厖士君
大蔵省銀行局長 山口 公生君
大蔵省国際金融
局長 黒田 東彦君
委員外の出席者
公正取引委員会
事務総局経済取
引局企業結合課
長 鵜瀞 恵子君
参 考 人
(日本銀行副総
裁) 福井 俊彦君
大蔵委員会調査
室長 藤井 保憲君
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委員の異動
十一月十一日
辞任 補欠選任
萩山 教嚴君 佐藤 静雄君
同月十二日
辞任 補欠選任
木村 隆秀君 田村 憲久君
山中 貞則君 下地 幹郎君
木村 太郎君 吉田 幸弘君
同日
辞任 補欠選任
下地 幹郎君 山中 貞則君
田村 憲久君 木村 隆秀君
吉田 幸弘君 木村 太郎君
同日
理事萩山教嚴君同月十一日委員辞任につき、そ
の補欠として佐藤静雄君が理事に当選した。
十一月十一日
酒販免許制度の堅持等に関する請願(飯島忠義
君紹介)(第三三一号)
同(遠藤武彦君紹介)(第三六六号)
同(樽床伸二君紹介)(第四〇八号)
共済年金の改善に関する請願(野田毅君紹介)
(第三八六号)
同(笹木竜三君紹介)(第四〇九号)
同(堀込征雄君紹介)(第四一〇号)
勤労所得控除六十五万円の創設に関する請願
(八代英太君紹介)(第四〇六号)
同(山本有二君紹介)(第四〇七号)
同(青山丘君紹介)(第四五三号)
同(田中昭一君紹介)(第四五四号)
同(望月義夫君紹介)(第四五五号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
十一月十日
新たな地震災害保険・共済制度の創設に関する
陳情書外四件
(第一六号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
参考人出頭要求に関する件
持株会社の設立等の禁止の解除に伴う金融関係
法律の整備等に関する法律案(内閣提出第五号
)
銀行持株会社の創設のための銀行等に係る合併
手続の特例等に関する法律案(内閣提出第六号
)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/0
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001・村上誠一郎
○村上委員長 これより会議を開きます。
理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/1
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002・村上誠一郎
○村上委員長 御異議なしと認めます。よって、佐藤静雄君を理事に指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/2
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003・村上誠一郎
○村上委員長 内閣提出、持株会社の設立等の禁止の解除に伴う金融関係法律の整備等に関する法律案及び銀行持株会社の創設のための銀行等に係る合併手続の特例等に関する法律案の両案を議題といたします。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
両案審査のため、本日、参考人として日本銀行副総裁福井俊彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/3
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004・村上誠一郎
○村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/4
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005・村上誠一郎
○村上委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺喜美君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/5
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006・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員 自民党の渡辺喜美でございます。
大臣には、連日、委員会御出席、まことに御苦労さまでございます。きょうばいつものごとく大臣には質問いたしませんので、ゆっくりとお休みをいただきたいと思っております。
さて、今世界じゅうで市場経済化が非常に進んでおるわけであります。昭和の時代には、我々日本人の競争相手というのは、たかだか十億人ぐらいでありました。平成の今、数えてみますと、競争相手が四十億人ぐらいになってしまった。そういう市場経済化の中で、世界的なリストラというのが行われております。リストラというのは、首切りをやるだけが能じゃございません。ごみ箱型リストラというのもないわけじゃありませんが、前向きのリストラというのもあるわけであります。
そういう中で、我が国においては、持ち株会社というものは制度上認められなかったわけでありまして、これでは世界の大競争時代の中に勝ち残っていくことはできない、こういうことで持ち株会社を解禁したわけであります。非常にこれは使い勝手のいい制度でありまして、例えば分社化をして企業再編の手段に使ってみたり、あるいは
事業再編をやり企業結合の手段に使ってみたり、その他無数の活用方法があるわけでございます。
こういう時代に、政府規制による保護を求めたり業界慣行に縛られたり、こういった旧態依然たることをやっていたのでは、とても時代の流れについていけないわけであります。そんなことをやっているうちに、日本の企業の体力は極めて脆弱なものになっていってしまいます。日本の企業の売上高、経常利益率とかあるいはROE、株主資本利益率、こういうものは欧米企業と比べても極めて劣悪であります。資金量だけは世界で群を抜いて大きいが、格付は途上国並みあるいはそれ以下であるという日本の一流銀行の姿は、まさにその典型であります。
金融持ち株会社というものを解禁する法案をまさに今これから審議するわけでありますけれども、護送船団方式から市場原理へ移行するに当たって、手足を縛られて、浮き袋を外されてプールに投げ込まれて泳いでみろと言われたって、なかなかこれは泳げるものじゃございません。ですから、我々は、金融持ち株会社の解禁、それから銀行持ち株会社は特例をつくって創設をするということには大賛成であります。
銀行持ち株会社の場合は、いわゆる抜け殻方式というやつがどうも使えない、根抵当権の譲渡といった民法上の問題があって非常に厄介だ刀そこで三角合併というやり方で特例をつくろうとするわけでありますけれども、これは一時的に実体のない幽霊銀行みたいなものをつくらなけりゃいけないのですね。実際はこれは株式交換なのでありますけれども、会社法上そういう制度が認められていないがゆえの、いわば苦肉の策であります。
そこで、銀行だけに特例法で一足先に持ち株会社を認める理由、それをひときわ急ぐ理由、これは何なのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/6
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007・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
銀行持ち株会社は、先生が御指摘のように、経営の形態の多様化、経営の効率化等に非常に重要な手法を導入するものであります。いわゆる営業の譲渡等を用いた抜け殻方式ということでありますと、銀行の場合は、今御指摘のような根抵当権の存在等、極めて複雑な事情があります。したがいまして、事実上その抜け殻方式が使えない、使えないと幾ら実体法を整備しましてもできないという状況であります。しかも、一方で急がなきゃいけないという要請がありまして、今回、銀行のための特例を設けていただきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/7
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008・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員 仮にこれは法案が通っても、株主のいわば強制的な現物出資に対して譲渡益課税などの問題がまだ残っているわけですね。この問題に限らず、大蔵省の局間調整というものが非常に今大事なことがたくさんございまして、ぜひ大臣におかれましては、この課税問題等々、大蔵省の局間調整を極力進めていただきますようお願いを申し上げます。
この銀行持ち株会社を仮に法案を通してつくるにしても、非常に時間がかかるのですね。恐らく、来年の早くても何月ぐらいになるか、非常に時間のかかる話であります。今、私が指摘するまでもなく、非常に景気が落ち込んでおります。私はこの間、財政構造特別委員会で、審議をやっている間にとんとことんとこ景気は落ちていくかもしれませんよということを申し上げたわけでございます。
今週発売のいろいろな雑誌を持ってまいりました。ボイス十二月号「平成大不況の深層」、文芸春秋十二月号「大不況を覚悟せよ」、東洋経済「日本の景気なぜよくならないか」「恐慌は本当に来るのか」「銀行貸し渋り「早期是正倒産」の危険な迷路?」、エコノミスト「金融恐慌の地鳴りが聞こえる」、週刊ダイヤモンド「国際証券の救済合併破談 三洋証券倒産への舞台裏」、日経ビジネス「三洋証券処理、大蔵省の神通力は消失」「株価急落で銀行の貸し渋りが加速する?」等々と、これはよくぞここまで言われたものだなというぐらいオンパレード。これは全部今週発売の雑誌なんですね。
確かに株価が暴落をしております。一万五千円台なんでありますけれども、単純平均株価でいうと、恐らく一万一千円ぐらい、あるいはそれ以下になっておるのじゃないかなという気がいたします。たまたまソニーとかああいう超優良といいますか、値段の高い株が二十個ぐらいあるものですから一万五千円台を保っておる、恐らくそういう状況なんでしょう。
円も売られております。百二十五円台に入っているようですね。それから、きのう、おとといですか、発表された国土庁の住宅地価、これも下落をしているということです。それから日銀の卸売物価の指数、これも下落をしている、こういうことなんですね。どうもデフレスパイラルを連想させるようなことばかりが出てきているわけです。きのうは月例経済閣僚会議というのですか、それがあったはずなんですが、どうもいつの間にか延期になってしまったという話もあるようでございます。
この一、二カ月、非常に金融システムに対する不安というのは高まってきております。私は、財特委員会でもって、預金保険は大丈夫なんですかということをお聞きをいたしました。きょうは、その点についてはもうお聞きをいたしません。そういう中で起こったのが、この三洋証券の倒産ということであります。
今、二けた台の株価の証券会社というのは幾つあるのかわかりませんが、もし万が一、万が一ですよ、証券会社の破綻処理をしなきゃいかぬという事態にこれから遭遇した場合、会社更生法適用という三洋証券方式でおやりになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/8
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009・長野厖士
○長野政府委員 証券会社の破綻処理につきましては、三洋証券で本年に入りまして残念ながら三度目でございます。三洋証券以外におきましては、自主廃業という形の処理がとられております。
今回の三洋証券によります会社更生法の適用の申し立てにつきましては、従来、保全処分との関係で、会社更生法の適用ということが証券会社にとっては難しいのではないかと考えられておりましたけれども、裁判所におきまして保全処分の特例の措置という考え方が示唆されましたので、新しい手法として、会社更生法により処理をしつつ再建の道を探るという新しい手法が加わったものと考えております。したがいまして、将来的に考えれば、これが唯一の方法ということではなくて、いわば選択肢が広がったものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/9
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010・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員 とにかく、今は完璧な市場原理ではないのですね、まだ。護送船団の、何といいますか最終局面にあるということであります。こういう過渡期の時代には、本当にかじ取りが難しい、私もそう思います。経験が通用しない、恐らくそういうことがたくさんあるのだろうと思います。
そこで、この三洋証券の破綻というものは、コール市場で起こった戦後初のデフォルトだというふうに言われておるのでありますが、この点はこう考えてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/10
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011・長野厖士
○長野政府委員 コール市場は、金融機関相互間の資金取引を行っております金融市場でございますけれども、今回、御指摘のとおり、三洋証券が調達した取引につきまして、期日に返済されないという意味で債務不履行が生じたものと理解いたしております。この債権債務関係は、今後、会社更生手続の中で適切に対処されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/11
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012・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員 私も素人ですからよくわからないのですけれども、このコール市場の決済の方式、ネッティング方式というらしいのですけれども、例えば、あるA銀行がコール市場で一千億円調達をする、そのうち八百億円を別の金融機関に流す、そうすると差額の二百億円をコール市場に持ち込んで差額決済をすればいいのだ、こういうことと理解していいのでしょうか。日本銀行ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/12
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013・福井俊彦
○福井参考人 お答えを申し上げます。
コールマネーもそうでございますけれども、お尋ねのそのネッティング方式というのは、結局インターバンクの資金のやりとりは中央銀行、つまり日本銀行におきます金融機関相互間の口座振替という方法でやります。その口座振替の手法の一つで、私どもではいわゆる時点ネット決済方式というふうに呼んでおりますが、この方式におきましては、金融機関が中央銀行に持ち込んだ振替指図は、一定のある時点まで、つまり交換結了時点とかあるいは午後三時までとかいうふうに一定の時点まで蓄えておかれます。その時点が到来いたしますと、各金融機関の受け取りの総額と支払いの総額との差額が計算されて、その差額だけが当該金融機関の口座から払い出されたり、入金されたりする仕組みでございます。それをネッティングシステムというふうに言っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/13
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014・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員 コール市場でデフォルトが発生した場合、このネッティング方式ですと、だれの分かわからなくなってしまうという心配はないのでしょうか。決済リスクが発生するおそれはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/14
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015・福井俊彦
○福井参考人 重ねてやや技術的なお答えになって恐縮でございますが、御指摘のとおりの問題がございます。
今ほど申し上げましたように、時点ネット決済方式の場合は、受け取りの総額と支払いの総額との差額だけが決済されるということでありますので、決済時点においては個々の取引を区別できないわけでございます。このために、仮に支払い総額が受取総額を上回っている金融機関というか、つまり支払い超過の金融機関がこの差額の決済に失敗した場合、つまりデフォルトを起こした場合、この不払い額がどの金融機関の受け取りに対応しているのかということが特定できないわけでございます。したがいまして、当該時点におけるすべての金融機関の決済をこの際は停止しなければならなくなってしまいます。決済システム上の混乱が起こる可能性があるということでございます。
こうした事態を現行システムのもとで回避いたしますためには、中央銀行、つまり日本銀行が金融機関のデフォルトを察知した段階で、もう直前ですけれども、察知した段階で、当該金融機関が発出済みの振替指図を取り消させるとか、新たな振替指図の発出をできなくするというふうな措置を事実上講じまして、これは極めて迅速に講ずることが不可欠でありますが、そういうことを講じております。
実際、今般の三洋証券のケースでも、日本銀行におきましてそのような対応をとりまして、決済面の混乱を未然に防止したというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/15
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016・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員 ぜひ金融市場が混乱しないようにお願いしたいと思います。
そこで、二〇〇〇年導入を目指しておりますリアルタイムの現金即時払い制度ですね。RTGSというそうでありますけれども、二〇〇〇年まで待っているような、そんな悠長なことでいいのでしょうか。なぜこれが今早期に導入できないでいるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/16
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017・福井俊彦
○福井参考人 お答えを申し上げます。
RTGS、ただいま渡辺委員、まさに正しく御指摘なさいました内容のものでございますが、決済システムのより近代的で安全なシステムを早く導入すべく、つまり一日も早くこれを実現していくことが望ましい、おっしゃるとおりでございます。日本銀行及び民間金融機関挙げて、その実現に今全力で取り組んでいるところでございます。
RTGSへの移行に当たりましては、システムの変換だけでなくて、実際の市中の金融取引慣行というものをかなり大幅に見直す必要がございます。したがいまして、日本銀行だけでなくて民間金融機関全体におきまして、システムの開発と取引慣行の見直しということが今非常に大車輪で進められておりますが、現実問題としてはあと数年かかるということでございます。二〇〇〇年末までの実現を目標としたのはそういう意味でございます。とにかく早くこれを実現したいという考え方には、委員の御指摘のとおり、私どもも全く同じ考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/17
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018・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員 このシステムを導入していないのは恐らく日本だけでしょう。システム開発に時間がかかるのはわかりますけれども、ちょっと三年も待っていられるような、そんな悠長な状況ではないと思っております。
今、ジャパン・プレミアムというのは再び拡大をしたと言われておるわけであります。短期金融市場で金融機関の資金調達が三洋証券問題を契機として非常にしにくくなるのじゃないか、そういう心配をする向きがあるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/18
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019・黒田東彦
○黒田政府委員 御指摘のいわゆるジャパン・プレミアムにつきましては、九五年十月のピークのときにはドルの三カ月物で〇・五%に達しておりました。昨年春以降は幸い〇・一%前後ということで安定した動きをしておりまして、特に最近の数カ月は〇・〇五%以下ということで非常に小さなものになっておりました。ただ、ここ数週間、若干拡大をしておりまして、直近の昨日の例ですと〇・一八とか一九ぐらいという水準になっております。
その理由につきましては、必ずしも特定することは簡単ではありませんけれども、御案内のように、十二月の決算期を控えて、特に外銀が十二月の決算期を控えてマーケットが薄くなっているという中で、昨年の秋にも若干そういう傾向がありましたけれども、邦銀各行が資金を取り急いでいるというようなことから少し上がってきているということだと思います。
ただ、現在までのところ、外銀がクレジットラインを締めているとか、そういうようなことは全く聞いておりませんし、資金の量的な確保が難しくなっているというような状況は全くございません。ただ、プレミアムが若干ここ数週間大きなものになっているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/19
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020・福井俊彦
○福井参考人 国内の金融市場の状況を手短にお答え申し上げますが、委員御指摘のとおり、戦後初めてのケースということで、私どもも不測の影響が市場に出ないかどうか注視してまいりましたけれども、三洋のケースはやはりノンバンクの問題にも絡んだやや特殊なケースということを市場も理解しておりまして、現在のところは市場取引は落ち着いた状況で推移しております。
不測の事態が起これば私どもは追加的な流動性の供給等、十分市場対応したいと思っておりましたが、そういう状況でございますので、現在私どもは既定の方針どおりの市場調節を淡々と続けているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/20
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021・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員 三洋証券を契機として、生命保険会社が劣後ローンというのを出しておるのですけれども、その供与に対して非常に慎重になっておるということが報道されておりますが、そういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/21
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022・山口公生
○山口政府委員 銀行等に対する劣後ローンの供与でございますけれども、供与先の経営状況、返済能力等を十分検討しながらローンを出しておりますが、今これを契機に急速にその姿勢が変わったということは聞いておりませんけれども、こちらの判断はいろいろあろうかというふうに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/22
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023・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員 とにかく株が下落をするということは金融機関の自己資本に大変な影響を及ぼすわけですね。その上、劣後ローンのお金が入ってきにくくなるということになると、これはダブルパンチなわけですよ。したがって、金融機関はどんどん資産の圧縮をしていかなきゃいけない。今金融機関が持っている株なんというのは非常に効率の悪い資産でありますから、こういうものも売り出していくということになると、自分で自分の首を絞めていくわけですね。一番手っ取り早いのは、やはり貸付金を圧縮するということになるわけです。
ですから、これはもうただごとではないのであって、私は今自己資本が大変なダメージを受けている、そういう状況にあると思うのです。したがって、これは金融システムの安定というよりは金融システムの再建、そういうレベルから私は物
を考えていった方がいいのだろうという気すらするわけです。
自己資本を向上させるやり方はいろいろあるわけであります。その中で、例えば優先株の発行ということは非常に自己資本を向上させる上で有意義なやり方であります。私は、こういうことを考えるときに公的資金投入という問題はもはや避けて通れないというふうに考えております。
公的資金というのはいろいろな種類があるわけでありますけれども、日銀の資金、一般会計の資金あるいは財投資金、それ以外に何かありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/23
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024・山口公生
○山口政府委員 正式な定義というのはございませんが、一般的に言われますのは、公的資金というのは財政資金や日銀の資金等だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/24
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025・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員 大蔵省としては、住専の処理に当たって大変な思いをしたわけでありますから、言い出すことは難しいでしょう。難しいことは我々がやりますから、ですからぜひ知恵だけかしていただきたいというふうに思います。
公的資金を投入する一つのやり方として、さっきの優先株、こういうものを、買い取り機構でもつくってみたらどうだというふうに私は思うのですね。どういう種類のお金を使うかは別として、例えば財投資金なんというのはじゃぶじゃぶ余っちゃってどうしようもないのですね。政治家や役人の使い勝手のいい制度が相変わらず続いておるわけであります。もちろん財投のスリム化とかあるいは抜本見直し、抜本改革ということは当然やらなければいけない話でありますけれども、今は過渡期なんですね。二〇〇一年まではすべての問題は過渡期なんですよ。ですから、過渡期に当たっては、今までやってこなかった大胆なことをやって、そして金融のシステムを再建していく、そういう発想が私は大事だと思います。
この優先株、公的資金を使って優先株の買い取り機構をつくる、あるいは出資機能を持つ機関をつくるということについて何か御感想でもあればおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/25
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026・山口公生
○山口政府委員 今の先生の御指摘の点につきましては大変重要な課題だと思っておりますけれども、現時点におきまして、その公的資金による優先株の買い取り機構の設立等については、自己資本充実の問題は民間企業みずからがやるべき問題だという、ある意味ではモラルハザードの問題もありますし、それから現に経営を行っている民間銀行そのものを支援してしまう、破綻処理じゃなくてですね、そういう点についての是非というのもあるでしょう。いずれにせよ、国民的な十分な議論がなされる必要がある重要な問題だというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/26
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027・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員 大蔵省ができなければ、我々がやらさせていただきたいと思っております。
以上、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/27
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028・村上誠一郎
○村上委員長 次に、秋葉忠利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/28
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029・秋葉忠利
○秋葉委員 社民党の秋葉でございます。
今回の金融持ち株会社解禁に伴う金融関係法の整備に関する法律案について、初歩的なところだと思いますが、基本的なことを何点か質問させていただきたいと思います。
第一番目なんですが、独占禁止法の中には、金融持ち株会社を解禁するに当たって、より大きな枠組みとして、持ち株会社あるいはその独占禁止というような観点から、公正かつ自由な競争の促進を妨げてはならないという、これが過度の集中というところの定義だと思いますが、これは十一条になるのでしょうか、そういった言葉がございます。
実は、独禁法の議論をしているときに我々素人がよく誤解するところなので改めて確認しておきたいのですが、この表現と、それからただ単に公正かつ自由な競争を妨げる、促進を妨げるのと競争そのものを妨げる、当然何らかの差があるわけですけれども、そこのところの実質的な違いについて、できれば具体的なケース、特に持ち株会社にそれを適用した場合に、例えばどういった違いがあるのか、わかりやすく御説明いただけると大変ありがたいのですけれども、これは公正取引委員会にお願いするのが一番いいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/29
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030・鵜瀞恵子
○鵜瀞説明員 委員御指摘の改正後の独占禁止法の規定に関する御質問でございますけれども、改正後の独占禁止法第九条第五項の事業支配力の過度の集中の定義に関する御質問かと考えております。
その中で、「公正かつ自由な競争の促進の妨げとなること」という要件がございます。これが仮に公正かつ自由な競争の妨げという要件でございますと、公正かつ自由な競争が現実に個別具体的に妨げられていることを要するというふうに考えております。「促進」という文言がございますと、そのような事態がなくても「事業支配力が過度に集中すること」に該当することになります。
金融持ち株会社について言えば、もし公正かつ自由な競争の妨げが要件である場合には、傘下の銀行がグループ外の事業者との取引を不当に拒絶するような事態の発生を想定するということになりますが、公正かつ自由な競争の促進の妨げという要件でございますと、例えば大規模金融会社と一般事業会社が統合されることによって事業者の自由かつ自主的な判断が制約され、市場メカニズムが十分に機能しなくなるおそれが生じること自体を禁止するものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/30
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031・秋葉忠利
○秋葉委員 ありがとうございました。説明の方がもっと難しくてよくわからないようなところもあるのですが、常識的に考えた線の解釈でいいようですので、次の質問をさせていただきたいと思います。
今回の銀行法の改正の部分に関連してなんですけれども、銀行持ち株会社、金融持ち株会社、その子会社との間で、金融会社が親会社、あるいは銀行が親会社というケースを考えて質問しているわけですが、例えばその子会社が営業が傾いてきたというようなところで、どうしても融資が必要である。常識的に考えると、やはりこういう危ないところに融資するのは危険であるという判断が一方ではありながら、例えば自分の子会社だからこれは救わなくてはいけないということで融資をする。結果はどうなるかわかりませんが、その結果、焦げつくこともあるだろうし、うまく救えることもあるかもしれませんけれども、要するに、親会社、子会社というような関係があるために、結局その銀行という営業から見ると余り好ましくないような融資をする可能性が、常識的に考えると出てくるというふうに思います。
ですから、法律の中では、こういった銀行にお金を預けている市民の側から考えておかしいことはやつちゃいけないんだという取引制限の規定というのがあるわけですけれども、こういった規制、具体的にはどういうような形でどういう内容の規制をされるおつもりなのか、大蔵省、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/31
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032・山口公生
○山口政府委員 今回の法律におきましても、いわゆる通常の取引の条件に照らして当該銀行に不利益を与える取引というものをしてはならないという規制を設けております。
具体的に例えばの例で申し上げますと、銀行が銀行持ち株会社や兄弟会社、子会社で並びますから兄弟会社になりますが、それに対しまして通常行わないような不当に低い金利で融資するとか、あるいは無担保で融資を行う、あるいは不当に低い家賃で店舗を賃貸する、こういったものは結果として銀行に不利益を与えてしまうということで禁止をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/32
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033・秋葉忠利
○秋葉委員 ですから、もう少し具体的に、詳細にわたってどのような規制がかかることになるのか。これは、例えば政令というような形で規制をかけることになると思うのですけれども、できればその政令のより具体的な内容について御説明いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/33
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034・山口公生
○山口政府委員 政令で委任しておりますのは対象者の範囲でございまして、具体的な行為は、その事実関係に即して判断するということでございます。余り類型化しますとそれの潜脱等もありますので、その取引、取引が実質的に銀行に損を与えるようなことかどうかということを認定しなが
ら判断するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/34
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035・秋葉忠利
○秋葉委員 それは説明としてはわかりますけれども、ただ、それなりの客観的な基準がないと、一体どういう基準によって不正であるかどうかということの判断をしているかの判断が外側からはつかないことになりますね。それについて、例えば今までの慣行とか、それから具体的な今までのさまざまな不正事例をもとにしたそれなりの基準というのは当然お持ちだと思うのですが、それを政令にしないまでもガイドラインという形でも結構ですけれども、やはりきちんと客観性のある形で公表する必要というのはあるんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/35
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036・山口公生
○山口政府委員 委員の御指摘はもっともでございますが、典型的な形としては、先ほど申し上げました不当に低い金利での融資あるいは無担保での融資、こういったものが典型的なものでございます。そういったケースを列挙してしまうことも当然可能でございますけれども、じゃ、それ以外はいいのかということになりますし、明らかにこういった場合は銀行にとって不利益を与えますので、そういったものを禁止するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/36
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037・秋葉忠利
○秋葉委員 そこは非常に優秀な皆さんがそろっている大蔵省のことですから、一つ一つの事例を列挙するのではなくて、一般的な形での基準をつくることはそれほど難しくないと思いますので、御検討をお願いしたいと思うのです。
なぜこのことが心配かといいますと、例えば第
一勧銀、これは新聞報道等によれば、系列のダミー会社を使って総会屋に融資を行った、そういう事例が現実にあるわけですね。ですから、例えばそういったことが起こらないようにするためにこういった規制があるんだと。規制というのは、ただ単に、実質的にだれにもわからないけれども、悪いことをしたときに突然天から手が伸びて悪いことをしたやつを捕まえるという形の規制もありますけれども、天下に周知された形で、こういうことはいけないんだということが社会的通念となって、それがもう一つの規制の力を持つということも重要なわけですから、最近のさまざまな不祥事を考えると、そういった教育的な意味あるいは社会的な合意をつくるといった意味でも、明確な基準を示す、その背後にはこういう考え方があるんだということを示す必要があるんじゃないかと思うのです。
今のようなアングラ取引、これも当然規制の対象になっているかどうか、それを一つ確認したいことと、あわせて、今申し上げたような、社会通念を形成するあるいは教育的な目的のためにもやはり一般的規則を明確にすべきではないか、二点お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/37
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038・山口公生
○山口政府委員 先ほど私が申し上げた点はアームズ・レングス・ルールということで、銀行の健全性の観点からの規制でございましたが、今先生の御指摘の点につきましては、公共性や社会的責任の面での問題の御指摘だと思います。
この点につきましても、今回の法律におきましては、例えば銀行持ち株会社の取締役が総会屋に利益供与を行ったり、あるいはそうした行為を子会社に、子会社といいますから銀行あるいは証券会社等が子会社になりますが、そういったところに指図をする、指示をして総会屋に利益供与をする、そういった法令違反行為あるいは反社会的な行為を行う場合には、銀行持ち株会社としての認可の取り消しなどを含む行政処分を発動できる措置を講じておりまして、先生の御指摘の点につきましては、そういった法令違反について厳正に対処していくという形になってございます。
なお、こういった社会的に通念上認められない行為につきましては、今回の商法の改正等におきましても、罰則を強化するなり新しい罰則を設けるなりして、例えば総会屋問題に対して厳しく対処するという形で対応しておるところでございます。
したがって、今先生の御指摘の点は非常に大切な点でございますが、その点についても、持ち株会社をつくったからそれが許されるという問題ではなく、それは持ち株会社があろうがなかろうが全部厳しくやる、こういう形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/38
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039・秋葉忠利
○秋葉委員 その点について関連して伺いたいのですけれども、持ち株会社ができてもできなくても、持ち株会社という形をとってもとらなくてもできる犯罪というのはあるわけですが、持ち株会社の形態をとることによって、今まではできなかった、あるいは今までやることが難しかったけれどもできるようになった、あるいは誘惑がより大きくなって、難しいのではあるけれども、どうしても悪いことをやりたい人間にとってはその誘惑に抗しがたいような、例えば業務上のさまざまな可能性というのが具体的にはあるというふうに認識されているのでしょうか。それとも、現状とほぼ同じで、持ち株会社という形態はあくまでも形の上だけのことであって、新たな犯罪を生むような可能性というのはそれほど大きくはないというふうに認識されているのか。その点について確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/39
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040・山口公生
○山口政府委員 今先生の御指摘の点につきましては、持ち株会社形態がまだ存在しませんので、どういう形になるかはよくわかりませんけれども、基本的には企業経営者のモラルがしっかりしていれば、別に持ち株制度をつくったからといって変わるものじゃないと思います。
ただ、御指摘のように、持ち株制度という新しい形をとったことによりまして、例えばインサイダー取引とか総会屋との癒着等の犯罪行為が非常にわかりにくくした形で発生する危険性があるという御指摘は、あるのではないかという気はいたします。しかし、あくまでそれは当事者がきちっとしたモラルを持っていれば避けられる問題ではございます。
そうした対応につきましても、先ほど申し上げましたように、銀行持ち株会社の設立の際の認可の適格性の審査とか違反したときの行政処分とか、それでも十分でない場合には、子会社たる銀行そのものに対する行政処分を発動できるというふうにして担保してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/40
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041・秋葉忠利
○秋葉委員 実は、このところ起こっている不祥事のほとんどは、今おっしゃった前提、企業のトップのモラルがしっかりしていれば問題はない。その企業のトップのモラルが非常におかしいということがこれほど明々白々にわかってきたわけですから、その前提ではなくて、仮にトップがおかしいモラルの持ち主であったとしても犯罪は防止できるようなそれなりのシステム、かといって、警察国家になってがんじがらめで何もかもいけないということには当然できませんけれども、常識の範囲内でということになると、やはり世論の力、それに頼るためには、一体何が基準なのかということが社会通念として理解されることが非常に必要になる。というところでさっきの問題に戻ってくるわけですが、そういったところもぜひ御検討いただきたいと思います。
もう一つ、最初に質問いたしました過度の集中に関連してなのですけれども、これは公正取引委員会にお願いしたいのです。
ここで、法律で考えている過度の集中というのは、一つ一つの会社単位でということで考えているのだと思いますけれども、例えば、日本全体として見ると過度の集中にはなっていないけれども、一地域を取り上げると過度の集中になっている、そういった場合。例えば住友銀行というのは恐らく関西方面ではかなりのシェアがあるわけですけれども、日本全体として見ると住友のやることはそれなりの範囲内におさまっている。ここで住友のような大きな都市銀行が関西の中小金融機関を自分の傘下におさめたというようなことになると、例えばの話ですが、関西地方で過度の集中が起こるというようなことは当然考えられると思うのです。
こういった場合には、つまり、全国的な集中と地域的な集中との違いというところを公正取引委員会はどういうふうにお考えになって、どうこれに対応していかれるのか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/41
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042・鵜瀞恵子
○鵜瀞説明員 持ち株会社につきましては、事業支配力が過度に集中することとなることが禁止さ
れるほか、その株式保有によって一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合においても、これは独占禁止法第十条の規定により禁止されます。
したがいまして、御質問にありました、特定の地域において金融の独占的な企業集団が形成されるというようなことになりますと、その株式保有が特定の地域の預金・貸し出し取引という一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には、十条に違反するということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/42
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043・秋葉忠利
○秋葉委員 それに関連してですけれども、そうすると、その地域の区割り、例えば県単位なのか、あるいは衆議院の選挙のブロック単位ぐらいなのか、あるいは市町村なのか、そのあたりの線引きというのはもう既に大体想定されているのか。それとも、ここは過度の集中があるのではないかという、これからの現実を見て、そういう疑いといいますか疑問が生じた段階でより細かい規則といいますか適用を考えていくのか。その辺をお教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/43
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044・鵜瀞恵子
○鵜瀞説明員 一定の取引分野における競争を実質的に制限することの解釈につきましては、個別事案に応じて、ケース・バイ・ケースで一定の取引分野を確定することとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/44
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045・秋葉忠利
○秋葉委員 それに関連して、それは具体的な事例が出てきてからでも十分間に合う話だと思いますけれども、持ち株会社の形態の一つで、ちょっと概念整理が混乱していてよくわからない例があるのです。
例えば、自分の会社の事業部、三事業部を独立させて持ち株会社にする、後に、その持ち株会社が、二つでも三つでもいいですけれども、かなり大きな企業を傘下におさめる。そうすると、それによって、ここで禁止されているような、例えば総資本十五兆円とかいろいろ規定がありますけれども、そういったものすべてについて、これが一応禁止規定をはみ出してしまうというようなケースが当然考えられるわけです。分社化を行う、自分の事業部を分けて持ち株会社をつくるということは禁止されてはいないのですけれども、その時点では違法ではなくても、後で、例えば三つの企業を傘下におさめるということになると、違反を犯すような可能性が生じてしまう。理論的にはそういうケースが考えられるのですけれども、それも分社化として考えるべきかどうかというところ、ちょっと概念的にわからないところがあるのですが、簡単にお答えいただけるのでしたら、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/45
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046・鵜瀞恵子
○鵜瀞説明員 純粋分社化につきましては、自社が現に営む事業部門を子会社化し、かつ当該子会社の株式を一〇〇%取得することにより持ち株会社に転化する場合は、過度に集中することにならないものとしております。これにつきましては、その設立のときから一〇〇%所有を継続している場合に限ってそのような解釈をすることとしてございますので、御指摘の例でございますと、その後、業態を変えるということになりますので、変えた部分につきましては一般則の方に戻るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/46
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047・秋葉忠利
○秋葉委員 わかりました。
これで質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/47
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048・村上誠一郎
○村上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前九時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00419971112/48
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