1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年十一月二十六日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 村上誠一郎君
理事 井奥 貞雄君 理事 佐藤 静雄君
理事 坂井 隆憲君 理事 村田 吉隆君
理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君
理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君
新井 将敬君 飯島 忠義君
石原 伸晃君 今村 雅弘君
岩永 峯一君 江渡 聡徳君
衛藤征士郎君 大村 秀章君
河井 克行君 木村 隆秀君
小林 多門君 阪上 善秀君
桜田 義孝君 下地 幹郎君
砂田 圭佑君 田中 和徳君
田村 憲久君 戸井田 徹君
中野 正志君 西川 公也君
能勢 和子君 桧田 仁君
宮路 和明君 渡辺 喜美君
木村 太郎君 北脇 保之君
権藤 恒夫君 鈴木 淑夫君
中川 正春君 並木 正芳君
西川 知雄君 宮地 正介君
村井 仁君 海江田万里君
末松 義規君 日野 市朗君
佐々木憲昭君 秋葉 忠利君
吉田 公一君 上田 清司君
北橋 健治君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 三塚 博君
出席政府委員
大蔵政務次官 中村正三郎君
大蔵大臣官房金
融検査部長 原口 恒和君
大蔵大臣官房総
務審議官 溝口善兵衛君
大蔵省主税局長 薄井 信明君
大蔵省理財局長 伏屋 和彦君
大蔵省証券局長 長野 厖士君
大蔵省銀行局長 山口 公生君
大蔵省銀行局保
険部長 福田 誠君
証券取引等監視
委員会事務局長 堀田 隆夫君
委員外の出席者
経済企画庁調査
局内国調査第一
課長 古川 彰君
参 考 人
(日本銀行総裁)松下 康雄君
大蔵委員会調査
室長 藤井 保憲君
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委員の異動
十一月二十六日
辞任 補欠選任
新井 将敬君 大村 秀章君
飯島 忠義君 戸井田 徹君
木村 隆秀君 岩永 峯一君
杉浦 正健君 阪上 善秀君
砂田 圭佑君 能勢 和子君
田中 和徳君 西川 公也君
田中 昭一君 田村 憲久君
山中 貞則君 宮路 和明君
中川 正春君 西川 知雄君
同日
辞任 補欠選任
岩永 峯一君 木村 隆秀君
大村 秀章君 新井 将敬君
阪上 善秀君 杉浦 正健君
田村 憲久君 桧田 仁君
戸井田 徹君 飯島 忠義君
西川 公也君 田中 和徳君
能勢 和子君 江渡 聡徳君
宮路 和明君 下地 幹郎君
西川 知雄君 中川 正春君
同日
辞任 補欠選任
江渡 聡徳君 砂田 圭佑君
下地 幹郎君 山中 貞則君
桧田 仁君 中野 正志君
同日
辞任 補欠選任
中野 正志君 田中 昭一君
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十一月二十六日
公共工事に係る会計年度の特例の創設に関する
陳情書
(第五九号)
国庫補助施設の処分制限期間の短縮等に関する
陳情書(第
六〇号)
経済構造改革の推進に関する陳情書
(第六一号
)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
罰則の整備のための金融関係法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第一四号)
金融及び証券取引に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/0
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001・村上誠一郎
○村上委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、罰則の整備のための金融関係法律の
一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君及び海外経済協力基金理事情川佑二君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/1
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002・村上誠一郎
○村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/2
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003・村上誠一郎
○村上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木村太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/3
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004・木村太郎
○木村(太)委員 委員長初め皆さん、おはようございます。連日御苦労さまです。また、大臣初め大蔵省の皆さんには寝不足が続いているのではないかなと御推察を申し上げますが、よろしくお願いしたいと思います。
早速入らせていただきますけれども、先週末に、拓銀に続きまして山一証券が自主廃業を決定した。短い期間のうちに都銀そして四大証券の一社が経営破綻し、またけさの朝刊を見ますと、預金者から見放された形で徳陽シティ銀行も破綻したとあり、いわゆる金融システム不安というものが広がり、まさに異常な状態だと思います。
拓銀の営業譲渡が発表されたときは株価が千二百円も上昇し、一方、山一の自主廃業が決定された直後の二十五日の、きのうですけれども、株価は八百五十四円の下げ幅で一万五千八百六十七円に急落し、一万六千円台をまた割った。現在、株式市場というものが一連の金融機関の破綻報道によって何か翻弄されているような感を持っております。
十一月十七日、拓銀の経営が破綻したわけですけれども、その拓銀が公表した不良債権の額というものが九千三百二十億円、不良債権比率という
ものが一三・三八%と聞いております。しかし、これには七月に倒産した東海興業向けの拓銀からの貸国債権というものが含まれていないというふうにも聞いております。また、山一証券についてはいわゆる簿外債務というのが二千六百四十八億円あり、いわゆる飛ばしの実態が明らかになったところでもあります。
これら金融機関等の監督庁に対しての虚偽報告あるいはまた情報開示の重要事項にかかわることで虚偽記載という、これに関する罰則を強化していくことが、金融機関の健全な経営の確保や、あるいはまた投資家保護のためには絶対的に必要なことと思います。しかし、その前提としての、何が虚偽なのか、何が虚偽でないのかという点がはっきりしていないという印象を私は持っております。その点について、今回の拓銀、山一証券のケースでお答えいただければ、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/4
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005・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
拓銀についてまず御報告申し上げますが、先生の御指摘のように、拓銀の九年三月末の公表不良債権額は九千三百二十九億円でございました。破綻先債権が千三百九億円、延滞債権が三千六百五十八億円、金利減免等債権が四千三百六十一億円でございました。
これは昨日の審議でも御報告申し上げておりますが、一つの基準でもってあらわしている公表の不良債権の額でございます。ここに東海興業のものが含まれておらなかったということは、それを意図的に隠ぺいしたということではなくて、その基準に当てはまらない形になっておった、つまり、相手が破綻をしている先とか、あるいは六カ月の金利が延滞されているとか、あるいは公定歩合以下の金利に金利を変更したというような、条件に当てはまらない債権だったわけでございます。
したがって、そういったものが潜在的な不良の資産として含まれておったということで、かなり拓銀の財務内容についての不信といいましょうか、そういった感じを持たれたのではないかと思いますが、それは正確に言いますと、今、各金融機関とも自己査定をやっておりまして、回収がどの度可能かということでやっていくという意味の債権のリスクの分類、これとはちょっと違う概念でこの不良債権額というのが公表されているので、そういう事態が起きているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/5
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006・木村太郎
○木村(太)委員 一つの基準ということを今強調されておりまして、東海興業の場合はその基準に当てはまらないということだと聞きました。しかし、我々、その東海興業に対してのそれが含まれない基準という姿が、ではこれまでのその基準でいいのかどうか、いささか不信というか納得いかないように思うのですが、その辺どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/6
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007・山口公生
○山口政府委員 この基準の考え方は、金融制度調査会での考え方を踏まえて全銀協で一つの基準をつくっております。アメリカにおきましても、一つの基準でもって統計をとっております。そうしませんと、各金融機関が、不良債権を非常に厳しく見る金融機関があったり、あるいは非常に甘く考える金融機関があるということになりますと、統計として非常にとりにくいということがあるわけでございます。ただ、今の基準というものが税法の考え方を受けながらつくっておりまして、そこに今回の東海興業の件が含まれておらなかったという量は、私どもも問題意識としては受けとめなければいけないことであろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/7
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008・木村太郎
○木村(太)委員 一長一短あるというような感じだと思いますし、今局長さんからはそういうふうに御答弁ありましたので受けとめて、基準の見直しというものも、ある面で必要と判断すれば、今後前向きに検討していただきたいなというふうにお願いしたいと思います。
次に、時間的には大分経過しましたけれども、九五年の秋の、あの大和銀行ニューヨーク支店がアメリカの金融当局に虚偽報告をしたとしていわゆる国外退去を命じられた事件がありました。まだその記憶は私も鮮明に覚えております。このとき、大和銀行では三億四千万ドルの罰金が課せられたということであります。そして調べてみますと、この年の大和銀行の経常損失というものが七百二十九億一千二百万円と発表されておりまして、いわゆる三億四千万ドルという罰金は、大和銀行のその年の経常損失の半分近くに及んでいるというふうに私は認識をさせていただきました。
そして今回のこの法案、虚偽報告あるいは検査報告の罰則強化という考え方の中で、法人に対する罰金が二億円という額になっておりますけれども、アメリカの例と比べた場合に、金融機関の今後の違法、虚偽というものを根絶する上で二億円という額が少な過ぎるという意見も私は聞いておりますけれども、その点、アメリカと比べた場合の認識として御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/8
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009・山口公生
○山口政府委員 今回御審議をお願いしておりますものの中で、検査回避、虚偽報告に係る罰則につきましては、銀行等の検査・監督の実効性の確保の観点から、違法行為に対する抑止力を強化するため、懲役刑を加えるとともに、法人に対するものも含めまして罰金の上限額を大幅に引き上げることとしたわけでございます。
確かに先生御指摘のように、大和銀行事件のときのいわゆるアメリカの民事制裁金の額に比べますと、それは額としては小さいわけでございますけれども、この考え方は、実行行為者に対する法定刑の一年以下の懲役または三百万円以下の罰金という水準を設定させていただきましたので、法人、銀行に対してより一層実効性のある制裁を科す必要があるという考え方で、業務停止命令違反に対する法人重課、これを一応法人の場合は三億円としておりますので、それとのバランスで二億円というふうにさせていただいたわけでございます。
この水準というのは、アメリカの民事制裁金を別にしますと、大体国際的には並んでいるという理解をしております。アメリカの場合の民事制裁金というのはちょっと違った仕組みでございまして、一つの民事的な形での制裁を科すという仕組みではございますが、これを我が国に取り入れるということになりますと、これはやはり重大なる負担を強いるわけでございます。そこには刑事手続という問題が必要となるというようないろいろなちょっと難しい問題がありまして、そういう制度はとっておりませんので、今の法人重課を引き上げる、つまり個人、実行行為者に対する懲役とか罰金のほかに、法人に対しての法人重課を大幅に引き上げたということで対処させていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/9
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010・木村太郎
○木村(太)委員 今までから見ますと大幅に引き上げた、それはそのとおりだと思いますし、刑事の面での強化も図っているということであります。国際的にも妥当な水準だろうということでもありますが、アメリカの場合は特殊な事情もあるというような、今御答弁でありました。
もちろん、この強化していくこと、基本的にはそれに対して不祥事が発覚しない、虚偽が行われないという、これはもちろんそのとおりでありますけれども、今回の改正、今我々審議しているわけですけれども、ある面では、この一連の不祥事なんかを見た場合に、その不祥事にかかわるお金の額というものが、それこそ今回の引き上げの額と比べた場合では全然けたが違う不祥事が続いているわけでありますので、今現在この引き上げを、強化を審議しているわけですけれども、この点も今後ぜひ当局におかれても柔軟な考え方を持って対応していってもらいたいなということをお願いしたいと思います。
次に、あちこち行って失礼ですけれども、野村証券の例で見ますと、野村証券の場合、いわゆる内部告発というものによって不祥事が発覚していきました。金融当局の検査に基づくものではないというふうに私は承知しております。隠されていたら幾ら検査してもわからないのではないかな、これが実際の今までの姿、実情ではなかったのかなという感じを持っております。
そういう点で、罰則を強化して虚偽の報告に対してのリスクを大きくするなど対応するということだと思いますが、しかし、虚偽報告などすることのリスクを大きくすること以外に、不祥事を根
絶する道、手段というものはほかにないのかどうか。このリスクを強化する、これ以外にももっと考えられないものかどうか、御見解があればお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/10
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011・長野厖士
○長野政府委員 当事者が完全に隠ぺいしようとした場合に、外部の者がそれをチェックすることにかなり困難があることは事実でございます。ただいま先生がおっしゃいましたように、アメリカの例などを見ますと、虚偽報告というものを端緒にしていくというやり方が非常に強く感ぜられます。
私どももこれからいろいろ、時折、会社にこういうことを聞きましたけれども報告はこうでございましたというような御報告をいたしておりますけれども、これがきちんとした形で調査を、例えば書面で出して、それに対する報告が誤っておれば虚偽報告としてチェックできていくというような形のものを、もう少しアメリカの例を参考にしながら考えたいと思っておりますが、それ以上に、一番今思っておりますことは、会社の中におきましては、不正な取引が行われた場合に、その中で相互チェックする仕組みが必ず必要でございます。会社の中に不心得者が出たときに、その人間をチェックする体制というのは、大きな金銭を扱う会社には必ず必要でございます。
それで、野村証券などの例を考えますと、その会社の中におきましてのチェック組織というものが十分機能していなかったというふうに感じられますので、すべての取引を社内でダブルチェックにして、不正な取引があった場合には、そのチェック機関の方でチェックするという形、これは、現在そのために会社内のチェックシステムのところに弁護士さんとかそういうものに入っていただいて、顔パスで、いいや、これはチェックするなということのないようにという形などをやっておりまして、その内部管理体制というのは大変重要であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/11
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012・木村太郎
○木村(太)委員 いろいろまた検討していきたいというふうに私は受けとめました。その会社内部での自己責任というものを重要視されるのは当然だと思います。そういったことも行政サイドから、当局サイドからもまた会社の内部に対してできることをこれからも考えていただいて、あればやはり内部において、実務的にはそれはもちろん当局が入ることはできませんでしょうけれども、それに対する指導強化という面での努力をぜひ続けていってほしい、こう思います。
それから、関連する形になりますけれども、いわゆる山一の飛ばしのことであります。きのうのこの委員会でも質疑、答弁ありましたけれども、もう一回私からもお聞きしたいのです。
検査ということ、検査という意味が何かこうはつきりしないというか、繰り返しになるかもわかりませんが、何のための検査なのかということを、本当にこの山一の例でも感じるわけですけれども、何のための検査をやっているのですか。基本的なことかもわかりませんけれども、ちょっと確認させてもらっていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/12
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013・堀田隆夫
○堀田政府委員 私ども証券会社に対する検査をしておりますけれども、官房検査部と一緒になって検査に入ることが多いわけでありますが、官房検査部の方は、後で検査部の方から御説明申し上げると思いますが、財務状態、財務の健全性についての検査を行う。私どもの方は、入りまして、証券取引法、その他の法令あるいは自主規制団体が定めておりますルール、そういうルールに違反する行為があるのかどうか、そういう遵守状況がどうなっているのか、あるいは投資勧誘の実情がどうなっているのか、あるいは今お話に出ております内部管理体制がどういう形で仕組まれていて、それがきちっとワークしているのかどうかということについて確認をするということを主たる目的として入っておるところでございまして、法令違反等がありますれば、大蔵大臣に行政処分を求める勧告を行う。さらに違法性の強い犯則調査の対象となるような犯則事案があれば、検察庁に告発をするということでやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/13
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014・木村太郎
○木村(太)委員 きのうもいろいろ出ていましたけれども、我々から見た場合と当局の皆さんとの違いがこのことにあると思います。マーケットにおいても、この山一の飛ばしということに対して結構ささやかれていた。しかし、それに対して検査をしないでいた。この点が、ある面では、国民から見た場合に、当局としての対応がということで一つ指摘されているところだと思います。
これも、きのうもありましたけれども、私ももう一回確認したいのですけれども、いわゆる簿外債務について十一月十七日までは全く知らなかったと。公式というか非公式というか、ちょっと表現的には的確ではないかもわかりませんけれども、本当に全く知らない、承知していなかったのだと断言できますか。もう一回確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/14
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015・堀田隆夫
○堀田政府委員 いわゆる飛ばしと言われている問題につきましては、六月時点で報道がございましたので、きのうも申し上げたところでございますけれども、山一証券に対しまして、早急に社内調査を実施してその結果を報告するようにという、私どもの報告徴取権を発動するという形で指示をしたということでございます。その結果、そういう経緯を踏まえまして、十一月十七日に多額の簿外債務があったという報告を社長から受けたということでございます。
飛ばしは通常簿外取引で行われますので、そういう簿外取引があれば簿外で何か債務というようなものがあるのではないだろうかということは推測がっく話でありますけれども、きちっとした形で調査をするように指示をしていたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/15
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016・木村太郎
○木村(太)委員 六月の時点で報道があった、それは承知しているということですが、それから結果的に十一月十七日というふうな答弁でありますけれども、この辺がやはりはっきりしない。今回の山一のことも、事が最初発覚したときに、また破綻という動きになったときに、何か皆さんの動きは十一月十七日までは全く知りませんでしたというようなことが余りにも前面に出たような印象を私は持っています。最初に、いつからわかっていたか、いつまでわからなかったかということに対しても、今の、素直にと言えば大変表現が失礼かもわかりませんが、六月の報道からこうこうというような、そういう態度を見せるべきであったのではないかなというふうにも思うわけです。
きのうその山一に対して特別の検査をした、大蔵省の官房検査部と証券取引等監視委員会の合同による山一証券に対しての特別検査をしたということですけれども、ちょっとここで確認したいのですが、特別検査というのは事が起こってから行う検査なのですか。事が起こりつつある、何か起こっているのではないかなという確固たる確信なくしても特別検査ということはできるのですか、どうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/16
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017・堀田隆夫
○堀田政府委員 特別検査をどのような目的でどのような段階で実施するかというのは、それはいろいろだと思います。
今回の話につきましては、傍ら、私ども山一証券に対する犯則調査も実施していたわけでございまして、内部管理体制についての議論もしていたということでございます。そういう中で、そういった経緯を踏まえて、十一月十七日に報告があったものでございますから、あわせて、簿外債務がある、十一月二十四日になりますけれども、簿外債務が生じる過程でいわゆる飛ばしの疑いのある取引が行われていたという報告が山一証券からあったということでございます。
いずれにしましても、昨日から特別検査に入りまして、その辺、法令に違反する行為がなかったのかどうかということをしっかり調べたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/17
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018・木村太郎
○木村(太)委員 済みません、ちょっと聞き取れなかったのですけれども、特別検査というのは事が起きてからでないとできない検査なのか。事が表面化する前でも、そのおそれがある、何かあるのじゃないかなという段階でも特別検査というのはできるのですか。そこをちょっと確認させてく
ださい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/18
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019・堀田隆夫
○堀田政府委員 要するに、私どもに与えられております検査権を行使するということでございますので、それはできるできないというような話ではなくて、適時適切に、状況を見ながら私どもの判断で検査に入るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/19
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020・木村太郎
○木村(太)委員 適時適切なる判断でということでありますが、そうしますと、もちろんきのうその特別検査に入ったわけですけれども、きのうの時点で特別検査になったこの事実に対して、もっと前に特別検査というものを適時適切にやるべき時期があったのではないかという反省のような認識を持っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/20
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021・堀田隆夫
○堀田政府委員 私ども、いろいろな証券会社に対して検査を実施する、あるいは市場におけるいろいろな取引につきまして不自然な取引がないかどうかというのを日常的に監視している、あるいは犯則調査、違法性の強い取引については徹底的な調査を行う、いろいろやっているわけでございまして、そういう中において、この問題については、まずは証券会社の内部調査を指示して、その報告を求めたということでございました。これからその事実の解明に当たっていきたいと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/21
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022・木村太郎
○木村(太)委員 きのう特別検査に入ったわけですので、きちっとこの特別検査の役割を果たしていただきまして、山一証券のこの事態になったいきさつというものをきちっと検査して明らかにしていただきたい、このことをお願いしておきます。
また、今回の罰則強化、この法案を審議しているわけですけれども、これに基づいてもう一つお伺いしたいのです。
もう一回、先ほど言った大和銀行の例で言いますけれども、大和銀行ニューヨーク支店のこの事件において、いわゆる井口被告が犯した違法行為だけではなくて、この大和銀行のニューヨーク支店の事件に関しては、アメリカ側の監督当局に対しての報告がおくれたということが当時問題にされました。
九五年のころのことを調べてみますと、九五年七月に井口被告が大和銀行の頭取に告白状を出したことから事が発覚していった。そして大和銀行が大蔵省に対して八月八日には事件の存在というものを、公式、非公式、表現はちょっと的確でないかもわかりませんが、いわゆる報告が大蔵省の方にあっただろう。そしてアメリカ側に対しては九月十八日までは報告されなかったということ、流れとして私はそういうふうに認識しておりますけれども、今私たちが罰則強化というこの法案を審議するに当たりまして、私は、大和銀行のこの件についても、アメリカ側に対しての報告の遅さが問題視された、こういったことに対して、いま一度、大蔵省としての反省する点がもしあるとすれば、その点を確認というか御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/22
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023・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
先生御指摘のように、大和銀行事件におきましては、従業員の不正行為や銀行による不適切な業務運営などによって、大和銀行が米国金融当局から厳しい措置を受けたわけでございます。その際、外国金融当局に対する情報提供のあり方ということもいろいろ御批判を受けたわけでございます。私どもとしてこの教訓をどう受けとめるべきかということを考えたときに、幾つか論点があると思います。
一つは、報告ということが、単なる事務の手続という意味合いだけではなくて、もっと重要な意味を持つということではないか。そこには、行政を誤らせることにもつながるし、国民の負託というものを考えたときに、そういった手続面での瑕疵というのに対してもきっちり対応するということが、アングロサクソン的考えと言っていいかどうかわかりませんが、やはりそういう考えもあるのではないか。
それからもう一つは、金融取引というのはかなり国際的に広がりがございます。したがって、一国の話というものが全世界に関係してくるということも十分考えなければいけないということで、これからは外国の金融当局と一層緊密な情報交換に努めるということを私どもは学んだわけでございます。
そういったことを踏まえ、今回の罰則の方も、いろいろな虚偽報告とかそういうことについてもかなり重い罰則を設けさせていただいたということで、そうしたいろいろな私どもが経験していることを教訓として学んでいきたいというふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/23
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024・木村太郎
○木村(太)委員 ぜひその姿勢でこれからも対応してもらいたい、こう思います。
次に、今現在のいわゆる金融システムの不安というものの原因、これは不良債権の問題と、もう一つが金融機関等のいわゆる一連の不祥事等による信用の失墜、信用がなくなってしまった、この二つによるものが大きいと思います。今回審議している法案というものは、その信用がなくなってしまったことに対して、ある面では対応すべきことだとも認識しております。
一方で、不良債権問題についても若干触れていきたいと思うのです。特に拓銀の経営破綻の問題で幾つかお尋ねしたいと思っていますけれども、預金者保護のために、預金保険機構を通じて拓銀に預けた預金を保護することは、これは当然不可欠なことだと思います。
そして、コール市場で取引している債権についてまで保護する必要があるのかどうかということを確認したいと思うのですが、コールが保護されないという私の認識は、コールが保護されないという前提があって、このことが結果的に拓銀の最終局面において資金ショートしたという印象を持っておりますけれども、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/24
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025・山口公生
○山口政府委員 昨日もいろいろ御質問いただきまして、インターバンク取引の重要性ということも御説明申し上げたわけでございますけれども、預金者の保護は当然まず第一に考えなければいけませんけれども、システミックリスクを起こさないという点からいいますと、インターバンク取引の安全性を確保するということも非常に重要なわけでございます。
資金ショートが突然に来るということは、健全に運営している銀行ですら起き得るわけでございます。したがいまして、今のような考えでいきますと、この金融三法を基本として、預金保険機構の資金援助を行うといった形によりまして預金の全額保護が可能とさせていただいておりますので、それでインターバンク取引も安全性を確保できる。そうしますと、そういったシステミックリスクを回避できるということで、今まさに現時点では、ある意味では短期的にも一番重要なことではないかというふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/25
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026・木村太郎
○木村(太)委員 そうすると、そもそも拓殖銀行のコール市場の調達額というのが幾らで、またこれを保護することが預金保険機構の仕事として法律にきちっと明記されているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/26
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027・山口公生
○山口政府委員 拓銀の場合で、コール市場の調達は、処理策が公表される直前は約三千億円程度ございました。そうした資金の貸し借り、つまり預金が多くて貸し出しが少ない場合、資金が余るわけでございます。逆に、貸し出しが多いけれども預金が少ないというところは資金が不足します。それを調整している。これがざつくり言えばインターバンクの機能でございますけれども、拓銀の場合、三千億程度資金が不足しているので、コール市場から、余っている銀行から借りている、こういう状態であったわけでございます。
預金保険の法律でコール市場を守らなければいけないというふうに書いてあるわけではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、金融三法の考え方で、資金援助というものができるということはロスに対する対応が十分にできるということでございますので、そうしたインターバンクの取引の債務、拓銀にとってみると債務もカバーされるということでございます。
それは、なぜそういう措置までとっているかといいますと、システミックリスク、つまり、そう
いったインターバンクでの資金の循環というのが今仮に途切れ、信用収縮を起こしますと、大変な事態を招くということが背景にあるからでございます。したがいまして、金融三法を基本としている間はそういったことが可能になっているというふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/27
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028・木村太郎
○木村(太)委員 今コールに関しての御説明ありましたけれども、きのうもいろいろ出ていましたが、例えば三洋証券の場合はああだった、山一の場合はこうだった、拓銀の場合はこうだったと。三洋証券の場合は、会社更生法を適用してコール資金というものの保護はされなかった。山一の場合は、債務の超過になる前に自主廃業を選んだんだ。拓銀の場合は、今議論しているところなんですね。要は、何かまちまちな対応、これもきのうも質疑されておりましたけれども、そういった印象を持つということを私の方からも指摘をしておきたい、こう思っております。
次に、拓銀から北洋銀行へ営業譲渡がされる。預金保険機構というものが拓銀の焦げつきの懸念がある貸国債権というものを買い取り、不良債権を除いた上で実施するというふうに報道もされているわけです。
じゃ、今現在の預金保険機構に拓銀の不良債権を買い取る力、資金力というのがあるのかどうか。今までも日銀の方からの日銀特融が実施されて、その総額はもう一兆九千億円を超えるというふうにも聞いておりますが、拓銀の不良債権見込み額というものを今現在皆さんはどのように把握しているのか、このこともあわせてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/28
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029・山口公生
○山口政府委員 二つの点をお尋ねいただきました。
拓銀の不良債権を買い取る資金的な力があるかというお尋ねについて申し上げますと、預金保険機構による不良債権の買い取りは時価で行うわけでございますが、御指摘のとおり、この買い取りに必要な資金というのは、もし足りなくなればそれは借り入れにより調達するということになります。
ただ、それは、先生も御指摘されていますように、買い取り資金は資金繰りの面の問題でございまして、見合いの資産を取得して、資産からの資金回収が行われるということになりますから、不良資産の買い取り額そのものが預金保険機構の最終的な負担というものではございません。これはあくまで時価での買い取りで、そのためのファイナンスの資金繰りが必要だというふうに御理解いただきたいと思います。だから、最終的にはロス埋めの財源の問題とはちょっと違ったということでございます。
それで、その買い取りの対象になる拓銀の不良債権というのはどれくらいあるかということになりますと、先ほどちょっと御紹介しました公表不良債権九千三百二十九億円、三月末でと申し上げましたけれども、これは今、先月からでございますが、拓銀に対し当局が検査に入っておりまして、一件一件について回収が可能であるかあるいは回収ができないのかということに分けまして、そこで最終的な判断をしてまいるということでございますので、今申し上げた公表の、統一的な基準による不良債権額そのものがこの買い取りの対象となるというものではございません。もちろんそういったものがかなり主たる対象になるということは予想はされますけれども、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/29
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030・木村太郎
○木村(太)委員 預金保険機構については、この後控える法案に対しての場面で集中的にまた議論がされていくと思いますけれども、ただ、先般大蔵大臣が参議院の方で、保険料の引き上げというものを示唆したとの報道もあったわけです。そうしますと、預金保険機構の今後の収入見込みというものを当局の方は把握しているのかなと思うわけですが、その辺どうなっているのか、また、その大臣の発言にあるように、大蔵省内ではもう具体的に保険料の引き上げというものの検討に入っているのかどうか、確認をさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/30
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031・山口公生
○山口政府委員 今の先生のお尋ねの件は、預金保険機構の財源の問題でございます。
しばしば答弁申し上げておりますように、五年間の財源見込みが平成八年度から十二年度まででございますが二・七兆円ありまして、実行済みの金銭贈与が一・四兆円でございますので、残りが一・三兆円という形になっております。
今後発生し得る金融機関の破綻またその破綻のロスの額等が、現時点では予測は非常に難しいということでございますけれども、実は、この三法、成立させていただきました法律には、現在見込まれる預金保険機構の財源では対処が困難な状況が発生した場合には、遅くとも平成十年度末までに保険料率の検討を行うというふうになっておりまして、これは施行令の附則の第二条にも明定してございまして、そうした保険料の検討ということをその時点までにやる。それは、今後の破綻がどれくらい起きるだろうか、あるいはどれくらいのロスが出るだろうかということを検討しながら、保険料そのものについての検討を行うということで、大臣の御答弁もそういった趣旨のことを申されたわけでございます。
私どもとしては、十年度末まで何もしないということではもちろんないわけでございます。この法律にありますように、十年度末までにということでございますので、それは状況に応じた対応をしていくことになるというふうに思っております。しかし、それはあくまで将来の見込みとかそういったものとの兼ね合いでございます。
〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/31
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032・木村太郎
○木村(太)委員 もっともな答弁だと思います。
この拓銀の営業譲渡を受ける方、北洋銀行のことを考えた場合に、これも議論があったと思いますけれども、いわゆる自己資本の比率が低下することが十分に予想される。報道によれば、その不足額というのが二千億円を超えるのじゃないかというふうにも言われております。これに対して、皆さんはどのように対応されようとしているのか。
そして、このことについて、財政投融資などのいわゆる公的資金を使って優先株を買い取る、こういった構想も既に一部で出ているようでもありますけれども、この構想が出たときに、橋本総理はその時点では否定したという報道が十八日の時点であったのですけれども、これらのことについて大蔵省の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/32
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033・溝口善兵衛
○溝口政府委員 お尋ねの件は、銀行等の自己資本充実のために公的な支援をするアイデアについてのお尋ねだと思います。
現在の段階で、公的な支援の問題につきましてはいろいろな構想が出ておると承知しております。ただ、内容につきましては、どういう目的で、どういう方法で、どのような形で等いろいろ詳細に検討しませんと、なかなかそういう方法について評価を下すというのは難しい問題ではないかと思っております。
そういう意味におきまして、この問題につきましては、大臣より、あらゆる選択肢を含めて検討せよという指示をいただいておるわけでございますから、幅広く検討してまいりたいというのが私どもの立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/33
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034・木村太郎
○木村(太)委員 これも公的資金という考え方なわけですけれども、その公的資金のことを考えた場合に、今、是か非かということで何かクローズアップをマスメディアでもされております。
ただ、私は、この公的資金の是か非かということを議論する前に、これまでについて反省すべき点あるいは確認しなければならない点、その点をきちっとした上で議論すべきだ、是か非かを議論する前に、判断する前に。そのことがまだ見えてきていない、そういう印象を持っております。
株価の動きから見ても、先週の十七日の拓銀の破綻という報道があったとき、株価は下落するのではなくして、一日で千二百円の上昇、史上四番目ということでもありました。しかし、これは公的資金による不良債権処理の道筋というものが示されるのではないか、マーケットがそういうふうに受けとめたことがこの動きになったと私は思います。
ただ、私そのこと以上に思うことは、与党の方で十四日に経済対策を発表したのですが、このときには株価は逆に一万五千円台を記録して大幅に下落したわけですね。こういった市場の動きというものを我々は、また皆さんも重く受けとめる必要があるのじゃないか、こう思うわけですよ。今言ったように、公的資金の導入、投入というものを、市場が、マーケットが反応したからといって安易に議論することは許されることでない。やはり議論する前にきちっとすべきこと、確認しなければならないことがあるのじゃないか。もっと具体的に言えば、あの住専処理のときの六千八百五十億円、これに対して国民が批判をした、そのときには皆さんの方からは、もう二度と信用組合の破綻ケース以外には公的資金は投入しないというふうにも決めているわけです。この辺、あのときそういうふうに決めたことは、大変失礼ですが、今現在はそのとおりなのですか、確認をさせていただきたいと思っています。
また、きょうの朝刊にも載っていましたけれども、与党の方では銀行の破綻にいわゆる一般会計から財政資金を投入して枠組みを整えることを検討しているという報道もありました。こういうことが仮にこの方向性で進んでいくとすれば、橋本政権が今までとってきた、貫いてきた姿勢というもの、基本的な方針というものが百八十度転換、変わってしまう。まるっきり考え方が変わるというふうにも受け取れると思いますので、その辺、確認したいと思います。
さらに、これは大臣から御答弁いただければと思うのですが、もちろん所管大臣また大蔵省の皆さん、努力はしていると思います。しかし、何か内閣全体としての動きが余り見えてきておりません。所管大臣三塚大蔵大臣や大蔵省の皆さんが努力するのは当然の姿だと思いますけれども、しかし内閣全体として、あるいはまた橋本総理の直接的な国民に対しての考え方がなかなか伝わってこない。このことを私は、この公的資金の是非を議論する前にきちっとすべきじゃないか。こういうことに対して、私は内閣あるいは橋本総理の対応に対しての指摘を今しましたけれども、所管大臣である三塚大臣から御意見あればいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/34
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035・三塚博
○三塚国務大臣 大蔵大臣の責務は、預金者保護そしてまた金融システムの維持安定、これに万全を期するということであります。よって、私は、あらゆる事態に対応して備えをしっかりとしていかなければならないであろう、こういうことで、次官以下事務方にそのことについての検討を指示した。検討だけではなく、何ができるか、何をやらなければならないかということについて万全の態勢をとっていかなければならないのではないかと申し上げました。セーフティーネットとよく言われます。まさに金融システム、預金者保護はその根幹の重要な要素であります。
以上申し上げましたことは責務としてやり抜くことでございますから、全力を尽くさせていただいておるところであります。
また、内閣の問題、閣議においても私は本件についての見解を申し上げておりますし、責任者である総理大臣とは基本的な問題について話し合いをしております。万全を期してまいることを重ねて申し上げまして、答弁にかえます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/35
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036・山口公生
○山口政府委員 事実関係を中心に、ちょっと大臣の御答弁に補足をお許しいただきたいと思いますが、金融三法を御議論いただいたときに、信用組合の破綻が相次いで発生しているという状況がございました。そこで、信用組合の破綻処理に際しまして、預金保険機構が信用組合特別勘定で行う借り入れについて政府保証を付すことができるという仕組みをお認めいただいたわけでございます。したがって、その信用組合以外の部分については手当てをしていないという状況でございまして、その際、保険料を七倍に上げる等の措置でもって資金を確保するという措置をとらせていただきましたので、当面、この三法で対処いたしますということを言ってまいったわけでございます。
したがいまして、お尋ねの趣旨につきましては、そういうふうな経緯があり、現在そういう対応をしているということで、信用組合以外には公的資金を投入しないということが、その性格的にどうこうということを申し上げているわけではないわけでございます。
ただ、この公的資金とかあるいは公的関与の点でよく議論に出されますのは、住専のときの議論でございます。これは住専以外のノンバンクには公的な関与は行わない、これははっきりとしたことを言っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/36
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037・木村太郎
○木村(太)委員 時間が大分なくなってきましたので、本当は、公的資金のことに関して、その前に確認すべきこと、また反省すべき点は何なのかということを議論していきたかったのですけれども、今大臣から答弁をいただきましたけれども、私、きのう担当の方に通告はしていませんでしたが、けさの新聞を見て、大臣に少し、一点だけお尋ねしたいのです。内閣として橋本総理大臣の動きがということで私は今指摘して、大臣から答弁がありました。もちろんカナダはバンクーバーの方に行っていましたからそれはそうだと思いますけれども、きょうの新聞を見ましたら、夫人の誕生日のことで周りを沸かせた、こういう記事も載っています。
私は、何かこう総理の姿勢というものがなかなか見えてこない。どこの党とか、与党だから野党だからではなくて、政治家として、今この金融破綻の一つの原因の批判の中に、倫理、モラルということも大きく指摘されているわけですけれども、もし、私がと言うと大変失礼かもわかりませんが、私が橋本総理の立場だったら、今日本では山一証券の社員が、拓銀の社員がこういう状況の中で、私はこういったことがむしろ伝わるようなことは一切しない、奥さんの誕生日に関してジョークを飛ばすような、そういった報道をさせない努力をするのが政治家として当然だと私は思うわけです。この点、三塚大臣に政治家としての御認識があれば御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/37
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038・三塚博
○三塚国務大臣 その報道を見ておりませんでした。真偽のほどが、またどういう場面なのかということでありますので、コメントは控えさせていただきますが、私は、本朝来、徳陽シティ銀行の問題で対応に追われておりました。
一言だけつけ加えますと、金融システム安定、世界通貨の安定ということについて、売買の解約が激しく行われておるということであります。首相も今日の状況をよく把握をしておりますし、出立の際にも電話連絡、会談をしまして、事柄についてしっかりと御認識をいただいておるところでありまして、そういうことで、御指摘は御指摘として承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/38
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039・木村太郎
○木村(太)委員 私は、今あえて政治家としての大臣の御認識をということで質問させていただきました。立場立場で、大臣もまた大蔵省の皆さんも、冒頭言ったように寝不足も続いているだろうし、また、現在この金融破綻に巻き込まれている人たちがあしたからどうなるのだろう、こういった状況の中で、こういった報道が伝わってくること自体、政治家としての姿勢が私は問われるべきだ、こう思っております。
時間が来ましたので、公的資金の是非等具体的なことは次の北側先輩に任せたいと思いますけれども、最後に、総括する意味で、今回のこの法案の強化によりまして、二度とこういった今まで発覚してきましたような金融機関の不祥事が起こらないという自信があるのか、もう一回確認をさせていただきたいと思います。
いま一つだけ、きょう経済企画庁の方にも出席をお願いしましたけれども、これだけ最近短期間で金融機関の破綻が続いている中で、きょう現在での景気の動向と今後の見通しというものをどのように思っているのか、この二点だけ最後にお聞きして終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/39
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040・山口公生
○山口政府委員 まず前段でございますが、今回の措置をお認めいただきますれば、十分な抑止効果を上げられると思います。そのようにしてまい
りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/40
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041・古川彰
○古川説明員 景気の動向について申し上げます。
最近の景気動向でございますが、私どもの認識といたしましては、設備投資、これは企業収益が緩やかに改善しているということ、そして設備過剰感も薄れているということで、製造業を中心に回復傾向にあるというふうに思っております。それから純輸出、増加傾向にございます。それから個人消費ですが、総じて回復テンポは遅いわけですけれども、いわゆる消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動からは立ち直りつつある。雇用も、伸びは鈍化しておりますけれども、消費の下支え要因になっているということで、民間需要を中心とする景気回復の基調は失われてはいないというふうに考えております。
しかしながら、住宅建設、駆け込み需要の反動減ということもありまして弱い動き、それから生産につきましても在庫調整の動きが一部見られるということで、一進一退ということでございまして、それから最近の株価の下落といった動きも見られます。
そういうことで、景気回復の基調は失われていないとは考えておりますが、景況感に厳しさが見られる、景気はこのところ足踏み状態であるというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/41
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042・木村太郎
○木村(太)委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/42
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043・井奥貞雄
○井奥委員長代理 次に、北側一雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/43
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044・北側一雄
○北側委員 新進党の北側一雄でございます。
まず最初に、法案に関連する質疑を少しさせていただきたいと思っておりますが、今回の法案は、ことしの春からの一連の証券不祥事を受けて、罰則の強化をしようという法案でございます。この罰則強化自体は、私は、こうした不祥事を受けてのことでございますのでやむを得ないというふうに考えるわけですが、これで本当に再発防止ができるのかというところが一番問題なわけでございます。
大蔵大臣、九一年、あのときの証券不祥事の際も、その後九一年の秋に証取法等を改正いたしまして、損失補てんを禁止し罰則を強化する等々、今回と同じようなことをやはり事後的な対策としてやっておるわけなのですね。やっていてもまた今回同じような事件が次々と、総会屋に対する利益供与、また損失補てんの疑いが強い、そういう事実が積み重なったわけでございまして、こうした罰則強化だけではとてもこの種の事件の再発防止にはつながらないのではないかというふうに思うわけなのですね。本当に、これも九一年にやって、そしてことしの春またやったわけでしょう。
そして、後でお聞きしますが、今回の山一証券の破綻に絡みまして飛ばしが報道をされておりますし、また記者会見では山一の社長が認めていらっしゃる。この飛ばしはいつから始まったかというと、これも九一年なのです。ちょうど証券不祥事の真っ最中にこの飛ばしが始まっているわけでして、一体日本の証券業界の体質というのはどうなっているのだというふうに思うのは当たり前の話でして、海外の投資家から見たら、こんな日本の証券市場に投資なんかできないと思うのは、これはもうごく自明の理であるというふうに私は思うのです。
そういう意味で、今回このような罰則強化、これはやむを得ないと思いますが、罰則の強化をしたからといってとても再発の防止につながらないというのは、もうかつての実績があるわけでして、こうした証券不祥事をもう二度としないためにはどうすればいいのか、これは本当に真剣に私は考えないといけないと思うのです。
大臣、この罰則強化では私は足らないと思います。本当にこうしたことが二度とないようにするためにはどうすればいいのか、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/44
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045・三塚博
○三塚国務大臣 これだけの経済国家であります。同時に、金融体制についてグローバルスタンダードを期していこう、信頼される市場、公正な市場、透明な市場、これを目指して昨年暮れから全力を尽くし、委員各位、国会の御論議をいただいて所定の法律が御案内のとおり進み、今後もその取り組みに万全を期すということになっております。
自由市場、自由社会は、自立した個人の集積が目標であります。同時に、自己責任というのがこれまた最大の基本的、守らなければならない心構え、あえて言えば気迫であります。それと同時に、経営に当たりましては、自助努力の中で株主、国民各位の期待にこたえていくということであります。今日までのことを深い反省、警告のこととしてこれから生かしてまいりますために、前段申し上げましたことを含め、このことに対処をしていかなければならない、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/45
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046・北側一雄
○北側委員 九一年の証券不祥事の後も、私もあのときの特別委員会のメンバーでしたからよく覚えているのですけれども、あの後も同じ議論をされているのですね。罰則の新設、強化、それから各証券会社の社内管理体制の強化、そして検査体制を充実していく、同じことを今回もまたうたわれておるわけです。だから、そういう意味では、今回、ことしの春からの証券不祥事を受けて、政府が、当局が、また各金融機関がとっておる措置で本当に再発防止になるのか、日本の証券業界の体質を変えることが可能なのか、私は非常に疑問であると言わざるを得ません。
一つは、検査体制の問題ですね。この検査体制をもっと強力にしていかないといけないのではないかというふうに私は思うのです、金融も証券も。というのは、これからは金融行政というのは、従来のような護送船団方式ではなくて、そういう大蔵の裁量による行政ではなくて、ルールによる透明な金融行政をやっていこうというのが今の理念でございまして、そうすると、ますます自己責任というのが問われていかないといけない。そうした場合にやはり大事なのは、検査体制をしっかりとやっていく、強化をしていくということが私は極めて大事であると思うわけなのです。
後でお話しするような山一の飛ばしの問題ですね。九一年からある。この間、何度も日銀も大蔵省も、そして今であれば証券取引監視委員会も監視をしているわけです。なのに全くわからなかったわけでございます。一連の総会屋への利益供与事件につきましても、これもわからなかったわけでございまして、検査体制、監視体制にどこか問題があるのではないかというふうに私は思わざるを得ないわけです。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/46
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047・長野厖士
○長野政府委員 行政全体の流れ、その中での検査の重要性というのは御指摘のとおりであろうかと思います。
先ほど来、日本の市場に対する信頼という観点からの御質問でございますけれども、証券市場というのはいろいろ問題ははらみ得るものでございまして、かつて大蔵委員会でも御答弁を申し上げたことがあるかと存じますけれども、アメリカにおきましても、今日、年間百件近い刑事告発という事件があり、五百件近い行政処分というものがSECによって行われております。したがって、事件の数だけを比較すれば日米いろいろなことが言えると思いますけれども、アメリカの市場の信頼は、事件の多さではなく、その事件に対して当局がきちんと摘発して、適正な処分をしておるという信頼に立ってアメリカの証券市場というのは国民の信頼を得ておるのだろうと私は考えます。
したがいまして、将来、日本の市場から一件もこのような例が出ないかというお尋ねに対しましては、全力を尽くすとしかお答えようがありませんけれども、それ以上に大切なのは、不正を犯した者があれば必ずチェックされるという体制であろうかと思います。その観点から申し上げますと、検査体制の強化ということは大変重要な課題であろうと存じます。
現実に、かつて私の局に検査課がありました時代から、現在、証券監視委員会という仕組みに変わりまして、飛ばしの関連でいえば、数年前に一件飛ばしを摘発され、勧告をちょうだいして処分したことがございます。それから、今回の一連の利益供与事件も、監視委員会の手によりまして順次現在整理され、私ども勧告をいただいておりますし、また、その過程で、山一証券に関しましては、総会屋に対してでない、一般企業に対する利益供与事件というものも監視委員会の手によって
解明されてきております。
そのような御努力、また、これから検査体制の強化のために何が必要であるかという点は、いろいろな角度から検討が必要であろうかと思いますけれども、検査体制の充実という方向に向けて努力しなければいけないことは、行政全体にかかわる者全員の課題だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/47
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048・北側一雄
○北側委員 私は、一つは、検査体制を本当に強化をしていくということですね。これは大蔵大臣、ぜひ具体的に考えてください。
それともう一つは、今証券局長がおっしゃいましたけれども、厳しい行政処分なり、また司法の処分なり、これを徹底してやっていく。また、ある意味では、これは一罰百戒で、ルール違反をしたところについては極めて厳しい処置を下していく、もうその金融機関が立ち上がれないような、それぐらいの厳しい処分をしていく、そういうふうな姿勢が私は大事なのではないのかなというふうに思うのです。
先ほども木村委員が大和銀行事件の話を言っておりましたが、やはりアメリカのそうした処分というのは極めて厳しいですよ。日本と比べ物になりません。そうした厳しい処置をとっていくことが、行政処分においても、また司法の過程においても、そういうことをすることがやはり大事なのではないのかなというふうに思うわけでございます。
この二点を、大蔵大臣、私は、これからますますビッグバンということで自由化が進んでいくわけでございますので、その中で、ぜひ具体的に検討をしていただきたいと思うわけでございます。
そこでお聞きをいたしますが、ことしに入ってからの証券不祥事、第一勧銀、野村証券はともに司法の方の手続も始まりましたし、そして行政処分もなされたわけでございますが、ほかの証券三社に、ここもやはり総会屋への利益供与がなされていたことが判明しまして、その後、強制捜査等が進んでおるわけでございます。一つは、この証券三社に対する告発、これはどうなるのか、いつごろになるのか、するのかしないのか、また行政処分はどうするのか、その辺のところを簡単に御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/48
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049・堀田隆夫
○堀田政府委員 野村証券以外の証券三社についての犯則調査、あるいはその結果としての告発等についてのお尋ねでございますけれども、山一証券につきましては、先ほど証券局長が申し上げておりましたが、いわゆる総会屋絡みの事件だけでなくて、大口法人顧客に対する損失補てん、二つの損失補てんにつきまして犯則調査を行いまして、強制調査は、総会屋事案につきましては七月三十日に着手をしておりまして、九月十七日に検察庁に対して告発をしております。大口法人顧客に対する損失補てん問題につきましては、十月二十三日に検察庁に告発をしております。
それから、日興証券につきましてでありますけれども、総会屋に対するこれも損失補てんでございますけれども、九月二十五日に強制調査に入りまして、十月二十一日に検察庁に対して告発をしております。
大和証券でございますけれども、同様に総会屋に対する損失補てん、利益提供の問題でございますけれども、九月十八日に強制調査に入りまして、十月二十八日に検察庁に対して告発をするということでやってきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/49
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050・長野厖士
○長野政府委員 監視委員会の告発の状況は今御報告があったとおりでございまして、これを受けまして、東京地検におきまして捜査が行われ、それぞれ、山一証券につきましては十一月十二日、大和証券については十八日、日興証券については十九日、起訴された者の名称は省きますけれども、それぞれ起訴されております。
従来の流れから申しますと、この起訴の後、監視委員会の方から私どもに行政処分を求める勧告があって、その勧告に基づいて行政処分を行うというような流れでございますが、監視委員会の方ではばかられるのかもしれませんが、私どもの感じでは、十一月十二日に山一証券につきまして一般企業に対する利益供与事件につきましての起訴が行われまして、これで検査が終結して勧告という段取りになるのかなと思っておりましたところが、調査が終結していないということは、山一証券に関して何らかの形で監視委員会がなお検査を続行しておられるのかなという推察をしながら、今日まで対応を考えておったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/50
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051・北側一雄
○北側委員 済みません、私先ほど、行政処分の勧告についてどうするのかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/51
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052・堀田隆夫
○堀田政府委員 私どもは、犯則事件につきましては検察庁に告発をしますと同時に、その問題になった法令違反行為だけでなくて、ほかに法令違反行為があるかということもあわせて検討いたしまして、大蔵大臣に対しまして行政処分を求める勧告をいたすという運びになっております。それを受けまして大蔵大臣の方で行政処分が行われるということでございますけれども、現時点では、野村証券につきましてはもとより勧告をいたしましたが、山一証券以下の三社につきましてはまだ勧告をいたしておらない。
今申し上げましたように、問題になった損失補てん行為だけでなくて、そのほか法令違反行為、何らかの行政処分を求める方がいい問題があるのかどうか、それからもう一つは、それぞれそういう問題が起きた背景として各社の内部管理体制上どういう問題があったのか、その点も問題点を抽出したいと考えておりまして、現在その作業をしている最中ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/52
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053・北側一雄
○北側委員 その問題につきましては、関心を持ちまして、また後日にお聞かせ願いたいと思います。
そこで、違う質問に入らせていただきますが、まず、ちょっときょうはこのことだけは言っておかないといけないと思っていることがございます。
大蔵大臣、きょうの新聞報道を見ますと、預金保険法の改正ですけれども、これは我が大蔵委員会に付託されていて、まだ審議に入っておりませんけれども、この預金保険法の改正ではなくて再改正の話が、次期通常国会に預金保険法の再改正案の提出というのが見出しで躍っております。中の記事を見ますと、自民党内で、今付託されている、これから審議が始まろうとしている預金保険法の改正、これを修正して今国会中に成立させようか、そういう意見もあったみたいですけれども、新聞報道によれば、もしくは、これはこれで成立させて次期通常国会でもう一度預金保険法を再改正するのだというふうな記事になっているわけです。これは一紙だけではございません。きょうの多くの新聞に出ております。
私は、我が大蔵委員会をこれほどばかにした話はないのじゃないかと思うのですね。まさしくこれから預金保険法の改正案を審議しようというときに、その再改正案の話がさんざんなされて、次期国会に提出すると。それだったら今回の預金保険法の改正案は撤回すべきです。今考えておられる再修正も含めて、改めてきちんと次の通常国会に出してこい、そういうふうに思いますが、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/53
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054・三塚博
○三塚国務大臣 これは、御提案を申し上げ、一日も早い御審議をということで御願いを申し上げておるところでございます。よって、大蔵大臣として本案の成立のためにお願いを申し上げておるところでございまして、提案をいたした法律の改正の速やかなる成立という一点でおります。
ただいまのような報道は私自身関知をいたしておりませんし、それぞれのところには、ぜひ改正法律案の成立、これが今日ただいまの中における大変大事なポイントである、また預金者保護の観点から、金融システムの観点から大事、こう申し上げておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/54
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055・北側一雄
○北側委員 この大蔵委員会に付託されています預金保険法の改正法案でございますが、この内容について議論するのはやめます。
やめますが、要するにこういうことなのですよ。今度の国会で提案されている預金保険法の改正では、今の金融情勢、金融不安、これにはとても対応できないという話なのですよ。だから、公的資金
導入云々の話だとか預金保険法の再改正の話がもう連日議論され報道されているわけでして、この国会に提案されている預金保険法の改正ではだめなのですよ。内容はいろいろ問題がありますよ。それは、もうきょうは言いません。
これじゃだめだということで議論されているわけでして、私は、改めて申し上げますが、この預金保険法、この国会に提案されている預金保険法の改正法案については、状況が変わったのですから、情勢が変わってしまっているのですから、そもそも拓銀の問題なんかは今回の預金保険法の改正法案では何の対応もできない話で、実際拓銀の処理スキームについてはこれは別途やられて進んでいるわけでして、今回の預金保険法の改正法案なんか何の役にも立たないわけですね。そういう意味で、私は改めて、この日本の今の金融情勢、金融不安、金融システムの安定化のためにどうするかというのを真正面から、ごく一部の解決だけを考えるのではなくて、全体の解決をしなければ何の意味もないわけですから、そうした提案を政府がやってくるべきだ、その意味でも、今回の預金保険法の改正法案については撤回をすべきであるというふうに主張をさせていただきます。これは、もうお答えは結構でございます。
次に、山一証券の経営破綻の問題についてお聞きをいたしたいと思います。
私が今回の山一証券の経営破綻の事実関係の中で本当にとんでもない話だなと思うのは、やはりこの飛ばしの話なのですね。証券会社の経営破綻というのは将来的に十分あり得る話だということはもう以前から言われていた話でして、そのこと自体は決して驚かないわけでございますが、その内容が、経営破綻になった一番のきっかけが、要するに簿外債務、飛ばしの問題です。その内容を調べていったら、この簿外債務、二千六百四十八億なんて大変巨額な簿外債務、それが飛ばしによるものと言われております。
この飛ばしの問題についてお聞きをいたしたいと思うわけでございますが、山一証券は十月六日に富士銀行に簿外債務の存在を伝えていたという報道、また富士銀行側の役員からそういう話が出ているそうであります。この十月六日に山一が簿外債務の存在、簿外債務二千六百億円ぐらいあるよという報告を富士銀行にしていたというのは、これは事実なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/55
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056・長野厖士
○長野政府委員 私どもとして事実関係を確認いたしておりません。そのような記者会見が行われた等の事実は承知いたしております。
今後、検査担当部局においていろんなことを御調査になる中で、山一証券におきましては、経営陣もこの夏交代しておりますけれども、現体制がどの時点でどのようなことを把握したか、あるいはそれをどのような人に報告したかということは、当然ながら検査担当部局が関心を持ってお調べになることであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/56
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057・北側一雄
○北側委員 証券局長でも監視委員会でも結構ですが、また、もちろん大蔵大臣でも結構なんですけれども、これこそすぐに調べるべきだと私は思うんですね。十月六日に簿外債務の存在を山一が富士銀行に言っておると富士銀行の役員が言っておるわけですよ。大蔵省への報告があったのは、きのうの御答弁でも十一月の十七日でしょう。一カ月余り大蔵省への報告がおくれているという話でしょう。こんなばかな話ないじゃないですか。私は、これこそ大蔵当局が、どういうことだということですぐに調べをすべきである、その事実の確認をすべきであると思います。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/57
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058・長野厖士
○長野政府委員 大蔵省の報告という以前に、国民、投資家に対するディスクロージャーという責務が各個体企業にはございます。その点について怠りがあれば、それなりの問題点もあるわけでございますから、そういった件も含めて、本日以降の検査の中でチェックされるであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/58
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059・北側一雄
○北側委員 これは極めて大事な話でして、十月六日に山一が富士銀行に簿外債務の存在、約二千六百億円の簿外債務があるというふうに報告をした事実があるのかどうか、これはきちんと確認をとってください。確認をとって、この大蔵委員会、ずっとこれからも開かれますので、これはぜひ御報告をしていただきたい。そんなのすぐ確認できるんですから。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/59
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060・堀田隆夫
○堀田政府委員 山一証券に対しましては、昨日から官房検査部と合同で特別検査に入っておりますので、その検査の中でその点も念頭に置いて検査してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/60
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061・北側一雄
○北側委員 だって、特別検査に入ったのは、山一に入っているんでしょな。富士銀行に確認するのはすぐできるじゃないですか、富士銀行の役員自体が言っているんだから。呼び出して、そういうことは事実なのか、どのような具体的な事実がその当時、十月六日に山一から言われたのか、山一のだれが言ったのか、富士銀行のだれが聞いたのか、ちゃんと具体的事実の調査を、後でやるというんじゃなくて、こんなのすぐできるんだからすぐして、当大蔵委員会に報告してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/61
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062・長野厖士
○長野政府委員 富士銀行の立場は、記者会見なすったということを承知しております。経営が行き詰まった企業に対して取引先銀行がいろいろな会話をなさって、いろいろ取引先企業の立場を承知になることはあるだろうと思っております。
問題は、私どもの立場では、山一証券におきまして法令等に触れる問題がないかということを解明することでございますから、検査の中で、まずだれにふれたか以前に、山一証券自身がどのような事実をいつの時点で把握して、それをタイムリーディスクロージャー、どう考えたかということをチェックいたしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/62
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063・北側一雄
○北側委員 それは違いますよ。簿外債務二千六百億ですよ。この事実が山一の本人から富士銀行に十月六日に言われた。これが事実だとしたら、この後、この十月六日以降もさまざま取引されているわけでしょう。極めて重要な事実が、ある人には伝えられて、ほかの関係者には伝えられていないという話でしょう。一般の投資家には伝えられていないという話でしょう。こういうことを許しちやいけないというのが今一番大事なことなわけだと私は思うのです。
そういう意味で私は、富士銀行にだって責任があると思うのです、これが本当だったら。富士銀行も、これはみずから当局に報告するのは当然の義務だと私は思うのです。そういうことをあいまいにするから、投資家の信頼が得られないわけですよ。
改めて申し上げます。
十月六日に富士銀行にそのような話があったのかどうか、二千六百億の簿外債務の存在があるという話をしたのかどうか、一体どういうことでしたのか、どのような話だったのか、そのときの具体的な事実についてきちんと当委員会に報告してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/63
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064・長野厖士
○長野政府委員 例えばゼネコンにしろ何にしろ、取引銀行が取引先企業の経営の悪化に対応していろいろな情報を得るということはあり得るという立場で申し上げました。すなわち、この場合に、いろいろな取引先から銀行というものが情報を入手することがあるということはございますけれども、問題は、山一証券に関しましては、山一証券がそういったことを伝えたことが確認できるかどうかということでございますから、検査の中でということを申し上げております。
御質問の御趣旨は、それにしても、ゼネコンと銀行であればまた話は違うけれども、いずれも大蔵大臣のもとにある銀行と証券ではないかという御趣旨も含まれておるかなと感じます。その点は、一般の取引先企業から銀行が入手した情報を、取引先企業が開示会社であった場合にすべて私どもに銀行が報告せよという立場であるかどうかは、大変微妙な問題をはらんでおるなと思っておりますので、大変口ごもった御答弁を申し上げておることも正直に告白いたしますけれども、御指摘の点も踏まえまして、対応がどのような形で可能かは検討させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/64
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065・北側一雄
○北側委員 これは、今の趣旨で委員長に改めて当委員会に提出されるように要求をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/65
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066・井奥貞雄
○井奥委員長代理 理事会で、この件はきちっとさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/66
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067・北側一雄
○北側委員 それで、十一月の十七日に山一から当局への報告があったという話でございますが、その以前には、大蔵省当局のだれであれ、こうした報告は山一からなかったんですか、確認をしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/67
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068・堀田隆夫
○堀田政府委員 監視委員会といたしましては、十一月の十七日に山一証券社長から二千億円を超える簿外債務を抱えているというお話を伺ったということでございます。
ただ、このいわゆる飛ばしと言われる問題につきましては、報道等がございましたので、会社に対しまして、内部調査をしっかりやって当局に報告するようにという指示を六月段階でしているということはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/68
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069・北側一雄
○北側委員 もう一遍、きちんと確認しますよ。
十一月十七日に初めて証券監視委員会に報告があった、それ以前には証券監視委員会にも、またほかの大蔵省当局のだれにもこの報告はなかったんだ、簿外債務の存在についての報告はなかったんだということでよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/69
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070・堀田隆夫
○堀田政府委員 監視委員会につきましては、先ほど申し上げましたように、十七日に報告を受けたということでございます。(北側委員「それ以前は」と呼ぶ)ございません。大蔵省全体につきましても、私どもは同日に報告を受けられたというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/70
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071・長野厖士
○長野政府委員 それ以前に報告があったとは承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/71
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072・北側一雄
○北側委員 大蔵大臣、この件は本当に極めて深刻な問題で、事実解明をしっかりしないといけないと思うのですけれども、まさかそんなことは私はないと思うのですけれども、今回、山一でこの飛ばしの話があります。ほかの証券会社にないのかどうか、こうした簿外債務、飛ばし。今ですよ。あの総会屋の利益供与の話も、最初は野村だけだったのですよ。ほかの三社は否定していましたよ。ところが、それが次から次へ、四大証券全部でしょう。九一年の損失補てんのときもそうですよ。次から次へ、証券会社はやっている。
そんなことは私はないとは思いますが、私は、この際、証券業界にこうした簿外債務、飛ばし、こうした問題がないのかどうか、改めて当局としてきちんと調査をすべきであると思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/72
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073・長野厖士
○長野政府委員 飛ばし取引がほかの会社にあるという報告は、現時点で受けておりません。過去、ある証券会社で、先ほど御答弁の中で触れましたけれども、監視委員会の勧告の結果、飛ばしが判明いたしましたケースがございまして、それを受けまして、平成五年八月に総合証券四十七社に対しまして、飛ばし取引の有無の調査を行ったことがございまして、その段階で、飛ばし取引があったという報告もございませんでした。その後もございません。
ただし、今日、御指摘のように、こういう事態が起こっておりますので、この事態にかんがみまして、平成五年八月の調査に関して再確認をいたしてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/73
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074・北側一雄
○北側委員 この山一証券の経営破綻の処理の問題は処理の問題で大事な問題があるのですが、この簿外債務の問題につきましては、極めて遺憾な話でございます。
そこで、我が大蔵委員会としても、この件はこれからもしっかり事実解明する必要がある。今後の金融・証券等の政策をどうするかということを考えるに当たっても、大事な問題であります。その意味で、私は委員長に、参考人として、我が大蔵委員会に山一証券の行平次雄前会長らの旧経営陣の参考人招致をされることを要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/74
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075・井奥貞雄
○井奥委員長代理 この件に関しましても、理事会で協議をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/75
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076・北側一雄
○北側委員 この簿外債務問題もほかにもたくさん質問したいことがあったのですが、それはまた後日にさせていただいて、ちょっと日銀総裁にお聞きをいたしたいと思うわけでございますが、今回、この山一証券、そして北海道拓殖銀行、巨額の特別融資が続いております。きのう聞いたのでは、何か拓銀の方は、一兆九千億に膨らんでおるというふうに聞いておりますし、山一の方も、きのう八千億ですか、特別融資がなされた。これも、またまたこれふえていくんでしょう。
この日銀特融の問題についてお聞きをいたしたいわけですが、まずは山一証券に対する日銀特融、これは従来、総裁、日銀は証券会社の経営破綻には特融は出さないというのが原則であるというようなことをおっしゃっておったと思うのです。それが、今回出した。その辺の議論は、きのうもこの質疑でなされております。この山一が債務超過とはなっていないということが、今回のこの特融の前提になっているのではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/76
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077・松下康雄
○松下参考人 山一に対しまして私どもが日銀法二十五条の融資の決定をいたしました背景は、決済機能を持たない証券会社といたしましても、山一ほどの規模で広範な事業展開をし、また多数の顧客にサービスを提供している企業が、殊に内外の市場においても活動しておりますので、これが破綻をいたしまして、その過程におきまして各種の債権者あるいは取引先に不安を与えるということが、非常に大きなシステム上の危険を引き起こす心配があるということから決定をいたしたものでございまして、御質問の、同社が現段階で資産超過の状況にあるということは、私どももそう判断をしているところでございますけれども、これがあるので特融の対象にいたしたということではございませんで、また、この日銀の特融の返済につきましては、その返済をどうやって確保するかということをそれぞれのケースにつきまして検討をし、定めてまいっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/77
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078・北側一雄
○北側委員 きのう総裁もおっしゃっていましたけれども、特融には四つの要件がある。この四番目の要件の、日銀自身の財務の健全性維持に配慮すること、こうしたことから考えるならば、今のこの証券会社の破綻に対する体制の整備状況を考えると、日銀が特別融資をする以上、それはその経営破綻した証券会社が、証券の場合は証券会社が、やはり債務超過でない、資産超過であるということが前提でないと、この四つ目の要件が満たされないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/78
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079・松下康雄
○松下参考人 御指摘のように、中央銀行としまして財務の健全性を図ってまいりますためには、一つは、融資先の資産内容なり資力がどの程度であるかということが大事でございますけれども、しかしまた、多くの場合には、特融の相手方となる融資先は自己資本が毀損をしているとか、そういう状況にございまして、自分だけの資産あるいは収入によって債務の弁済ができるケースというのは比較的少ないと思われます。そのようなことでございますので、財務の健全性を確保いたします上で私ども非常に重要な点は、この処理方策を策定いたす上で、日本銀行資金が確実に返済される仕組みというものを確保することであると考えているわけでございます。
ただ、山一証券につきましては、現状では、今回発覚しました簿外債務等を考慮いたしましても債務超過にはならない状態であるというふうに聞いておりますので、この件につきましては、返済財源が、今後の廃業、解散に向けての資産処分が進められる中で確保されることになるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/79
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080・北側一雄
○北側委員 その債務超過かどうか、資産超過かどうかということは、今検査に入って調べている最中で、これは実際やってみないとわからないわけでございますね。恐らく総裁のきのうの答弁なんか聞いていますと、今回の日銀特融の発動に当たって、政府の方から、寄託証券基金の法制化だとか、基金の財務基盤の強化とか、そういうものの万全を期しますよという、そういう話があったから特融の発動に踏み切ったんだという話じゃないですか。そういうような話をきのうもされておられましたし、記者会見でもされておられます。
ところが、もう時間がないから私の方で言いますが、寄託証券基金の法制化といったって、これは法制化ですから、これは政府が決めることじゃ
ございません。これは立法府で決めることです。政府だって変わるかもしれないのだから、こんなの当てにならないですよ。
基金の財務基盤の強化、どうやって強化するのですか。そこについて、政府から具体的な何かあったのですか。そうしたものがあって初めて、本来、日銀特融の原則である、日本銀行自身の財務の健全性の維持に配慮するという観点からは、これは返してもらわなければいけないわけですから、リスクを負っちゃいけないわけですから、そういう意味では、今回の特融というのは、私は、これまでの特融の発動に比べると極めて異例な、例外的な措置であるというふうに思わざるを得ないのですが、総裁、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/80
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081・松下康雄
○松下参考人 私どもが、仮に山一が債務超過の状態に陥っているというような場合にどうなるかということをいろいろ検討いたしております過程で、政府の方の考え方としまして、ただいま御指摘がありましたような点も含めて、今後いろいろと検討をしてまいるという基本姿勢を伺ったわけでございます。私どもとしましては、そういうこともありまして、仮に債務超過の状態に陥るというような場合には、その対策につきましては、さらに十分政府と内容を検討していくことが可能であるという判断をいたしまして、この特融の実施に踏み切ったわけでございます。
今おっしゃいました個別の何か項目につきまして、約束とかそういうものがあったわけではございませんけれども、そういう考え方も含めて、いろいろの対応策を双方で考えてまいろうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/81
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082・北側一雄
○北側委員 特融の問題は、これは大事な問題でございます。また次の機会にさせていただきまして、きょうの質疑はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/82
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083・井奥貞雄
○井奥委員長代理 次に、西川知雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/83
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084・西川知雄
○西川(知)委員 西川知雄でございます。
きょうは、七点ばかりお尋ねしたいのですが、まず大蔵大臣にお伺いをいたします。
日産生命、拓銀、三洋、山一証券、これだけでも非常にすごい状況が起きたわけですが、さらに徳陽シティ銀行の破綻、また安田信託の格付が引き下げになった、またなろうとしている、こういうことがつい最近に起きております。大蔵大臣、十月たしか二十二日ごろに財特の委員会でいろいろな法案について議論をさせていただいたところですが、そのときにこういうような事態が起きるかどうかということを予想されておりましたでしょうか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/84
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085・三塚博
○三塚国務大臣 予想をしておったかということ、具体的にどうだということはありません。しかし、ビッグバンを進める中、世界の潮流、大競争時代とよく言われます。アジア通貨の問題もありました。そういう中にありまして絶えず重要なことは、主務大臣として、預金者保護であり、その大前提と言ってよろしい金融システムの維持安定、こういうことで取り組んでいかなければならない、こういうことを基本に万全を期していく、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/85
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086・西川知雄
○西川(知)委員 私、大臣がその当時、こういう事態を予想されていたかどうかということをお尋ねしたわけで、お答えは、基本的に、具体的にはこんなふうになるとは予想していなかったという御答弁であるというふうに思います。
そこで、こういうふうな予想し得ない経済状態または金融不安が今起きているわけです。国民の金融または金融機関に対する不信、不安というのはますます増大されて、また景気も、ますますこれによって冷え込むのじゃないかというふうに考えられる次第です。
大臣、財政構造の改革法というものを審議していたときに、こういう予想し得ないような極めて急な変化というようなことがあるときには、ぜひその時々の経済状態に合わせて財政構造も改革していかなきゃならない、そのときはそういう方針であったとしても、経済というのは急激に動いたりするわけですから、その動いた実情に応じて法律を改正する、こういうことが必要であるということは、総理も大蔵大臣も御答弁されたと思います。
大臣、今の日産生命、拓銀、三洋証券、山一証券、徳陽シティ、安田信託の件、私申し上げましたが、こういうことが、金融破綻がこれだけ続々と続くとしても、まだこれは経済的にも異常な事態ではない、したがって今までどおりの方針を貫く、こういうお考えかどうか、短く、そうかそうでないかということでお答え願えれば幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/86
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087・三塚博
○三塚国務大臣 財政構造改革は、もう既に何回も御答弁申し上げておりますとおり、我が国の抱える危機的状況を打開し健全財政へ、こういうことであります。金融システムもまさにそういうことであります。よって、この法律の成立を念願いたし、今日まで来ておるわけでございます。
その時々の事態の対応につきましては、主務大臣として万全を期するというのが、金融上における責任でございます。そういう中で、財政構造改革と理念の整合性を保ちながら、これまた取り組んでいかなければならない、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/87
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088・西川知雄
○西川(知)委員 そうすると、大臣の御答弁というのは、今のこういう金融破綻の状況というのは、今までの財政構造改革法に規定しているいろいろな事項を変更するほどの異常事態ではない、こういうふうにお考えであるというふうに理解してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/88
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089・三塚博
○三塚国務大臣 委員は、紋切り型に突っ込んできますけれども、ですから、高コスト構造改革ということで、先般十八日に発表いたしました経済総合対策、よく読んでいただければ、なるほどここまで行けばと納得のいかれる箇所も多々あろうと思います。
こういう点で万全を期しながら、今後の予算編成におきましても、整合性をきっちりと保ちつつ対応していくと申し上げておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/89
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090・西川知雄
○西川(知)委員 これは、大臣の答弁もう何度聞いても多分抽象的な御答弁になると思うので求めませんが、非常にこういう異常事態が今金融で起きている、これが経済に与える影響も多々である。こういうような場合には、法律は成立したかもしれないけれども、もう一回見直そう、そして現状に合った財政改革、また経済の改革というものをやっていくということ自体が法律に書いてあるわけですから、これをさらに見直すということをやらないと、これは異常事態じゃないということを言われるのは、非常に国民にとって、こんな異常な事態が起きているのに大蔵大臣はそういう認識を持っておられないということになって、このことは極めて私は重要、また非常に大変な御認識であるのじゃないかというふうに思います。
そこで、罰則強化のことについて若干御質問をいたします。今回の改正、幾つかあるのですけれども、二つぐらい取り上げてみたいと思います。
まず第一に、監督官庁の検査回避、虚偽報告ということで、銀行法の六十三条に基づくものでございますが、現行は、懲役刑がなし、罰金五十万円以下、法人に対して両罰規定で五十万円以下というのを、改正案では、懲役は一年以下、罰金は三百万円以下、法人に対しては二億円以下、こういうことを今提案されているところです。
ところで、過去にこの適用があった案件というのは第一勧銀の案件でございまして、これについては、司法当局の対応としては、告発が平成九年七月二十五日にございましたので、七月二十八日に東京地検は、被告発者四名、個人でございますけれども、これについては不起訴の処分をした、第一勧銀については起訴を決定し、同日東京簡易裁判所は、第一勧銀に対して罰金五十万円の略式命令、これを発して、第一勧銀は即日納付をしたということになっております。
告発の内容というのは、貸出金の調査表等の資料の作成、提出を依頼されたにもかかわらず、検査を免れようと企てて、小池向け貸出金が資産査定の対象とされていることを知りながら、殊さらにこの貸出金について調査表等の資料を作成せず、検査を免れた、こういう告発内容でございま
す。
今度罰則を強化して懲役一年以下ということになるのですが、こんな第一勧銀が、この国会でも非常に問題になった事件でございます、こういうときに、私は個人的には、不起訴処分がなされたということはとても遺憾なことではないかというふうに思っております。
皆さん御存じのように、検察審査会法というのがございまして、その三十条では、告訴もしくは告発をした者が検察官の公訴を提起しない処分に不服があるとき、そのときには「検察審査会にその処分の当否の審査の申立をすることができる。」すなわち、告発をしても起訴猶予、不起訴処分にしますという検察官の決定があった、しかしながらそれは国民として大変おかしいことであるというときには、告発をした人がもう一回これを考え直して、そして起訴をしなさいという申し立てをすることができるわけで、そういう経過を通じて起訴になったケースというのは多々ございます。
そこで、これを大蔵大臣にお伺いいたしたいのですけれども、なぜこの不起訴の処分に同意したのか、また、今からでも遅くないわけですから、この者たちに対して審査の申し立てをやられるお考えはないのかどうか、これについて御答弁願いたいと思います。
〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/90
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091・原口恒和
○原口政府委員 本件につきましては、第一勧業銀行から提出されました報告等を踏まえまして、実行行為者と思料される四名と法人たる第一勧業銀行の双方を告発したところでございます。
この告発を受け、東京地検におかれましては、御指摘のとおり、実行行為者四名については不起訴という判断をされたわけでございますが、法人たる第一勧業銀行については起訴をされているということ、また第一勧業銀行に係る一連の問題に関する司法当局の総合的な判断を尊重することとし、御指摘のような審査申し立てば行わなかったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/91
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092・西川知雄
○西川(知)委員 今のは全然説明になっていないわけです。監督当局としては、こういう検査を忌避したということは非常に問題である、したがって、そういう人たちが将来こういうことを行わない、またほかの銀行に対しても同じような抑止力が働く、そういうことで、懲役というのはなかったのを今度は一年以下の懲役にします、そういうふうに改正案を出されているわけです。しかしながら、幾ら改正案を出したとしても、起訴されなければ何の効果もないということは明々白々です。
そこで、これは告発をした者が、こういうことは極めて遺憾なことである、二度と起こしてはいけないということをもう一度自分の口から当局として告発をし直して、そして審査申し立てをするということが当然のことではないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/92
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093・原口恒和
○原口政府委員 御指摘のとおり、当該行為について、それが検査の実効性を担保するという観点から告発をしたわけでございますが、個別それぞれの対応、あるいはそれに対してどういう対応をするかということ、また、今回の場合は、一連の第一勧業銀行の総会屋利益供与に係るそういう全体の中の一つの流れの中で司法当局が判断をされたということでございますので、それを尊重したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/93
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094・西川知雄
○西川(知)委員 それは、司法当局はそうしたことは明らかでございますが、それを尊重できない、そのとおりにはいかないということからこういう検察審査会の制度があるわけです。ですから、個々の具体例でよく考えてみて、第一勧銀があんなことをやった、検査機能を今後強化しないといけないということは、証券についても銀行についてもそうであるということは この場で何人の委員もそういうふうに主張されているところです。たった今、北側委員も、そういう検査・監督機能というものをうんと強めないといけないというふうにここで強く主張をしたわけです。
そういうふうに機能を強めないといけないのに、ところが、検査を免れた、検査自体やらないということをやったときにも、検察はこの状況を我々と同じようには判断していない、したがって不起訴処分にした、しかしながらそういうこと自体はおかしいんだと言って告発者であるあなた方がもう一回審査申し立てをする、これが当たり前じゃないですか。そんなことをやらなかったら、検査そして監督というものを強化しよう、また、これが今まで余りにも体制として不備であったから今度こういう事件が起こったんだということに対しての対応にも何にもなっていないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/94
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095・原口恒和
○原口政府委員 繰り返しになりますが、実行行為者四名については、本件のみならず利益供与事件その他にも関与をしている、そういう中で、全体として検察がどういう処分をするかということを判断されたということで、その点、十分の抑止力を持ったというふうに我々も判断をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/95
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096・西川知雄
○西川(知)委員 そうすると、検察当局がどう考えているかは別として、行政当局としては、こういうことで不起訴になったこと、この場合において抑止力が働いた、こういうふうにお考えなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/96
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097・原口恒和
○原口政府委員 DKB全体の中で、当該四名については、本体という言い方はあれかもしれませんが、流れの中の利益供与事件の方で起訴されているという事実もございますし、法人としての第一勧業銀行が起訴をされたというようなことを司法当局が総合的に判断をされたという説明を受けておりますし、それを尊重したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/97
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098・西川知雄
○西川(知)委員 検察の考えでいることと告発者なり告訴者が考えていることが違う場合にこういう制度があるわけです。そして、検査・監督の機能を強化しないといけないこの時期において、また、今やろうと思えば審査の申し立てばまだできるわけです。これをやらなくて、不起訴であるから、そして全体を考えて、ほかのところでは起訴をされているから構わないんだというようなことでは、これは罰則を強化したって、また不起訴になるのであれば何のための罰則強化というのか、私は基本的に疑問を感じざるを得ません。
もう一件、損失補てん。これは証取法の百九十九条ですが、現行は、懲役一年、罰金が百万円以下、法人に対しては両罰規定で一億円以下ということになっております。今度の改正案では、懲役が三年以下、罰金が三百万円以下、両罰規定で法人に対して三億円以下というふうになっております。
そこで、これに対するどんな判決が現在まであったかということに関して説明をこちらからいたしますけれども、今まであったのは千代田証券の損失補てんに係る判決が一個だけあった、こういうことが現状でございます。補てん額は約六千三百万円ということで、千代田証券には罰金が千五百万円。首謀者が、元常務でございますが、懲役六カ月、執行猶予二年。あとの元社長、取締役等々に関しましては、罰金が四十万円から五十万円。これが、現在のたった一件の損失補てんに係る終了した判決の内容でございます。
罰金刑を上げる、また懲役の期間を上げるというのは、それである程度の抑止力は働くというふうには考えられるわけですが、どうも判決が出てみると、執行猶予であった、罰金も百万円以下の範囲の半分以下であるというようなことで、果たして本当に抑止力が働くのかな、どうかなということは、私は極めて疑問に感じざるを得ません。これは下げるよりは上げる方がいいという議論においては、当然その面では賛成なわけですけれども、やはり執行の段階において、また判決の段階において、現実を反映した相当な判決にならなければ何の意味もないというふうに私は思います。
これは、裁判所が決定することでございますので、行政が判断することではないのですが、私はこの罰則について申し上げたいことは、検察が不起訴の判断をするとかそういう場合においては、ぜひもう一度、今我々が取り巻かれている環境、状況をよく把握した上で、検察審査会に審査の申
し立てをするとか、そういうようなことをしっかりと現状にかんがみてやっていただきたいというふうに、私の意見として、また議事録に載せるということで、ここで申し上げておきたいというふうに思います。
そこで、今度は、大蔵検査と監督、それから日銀の考査、これについて若干の質問をいたしたいと思います。
大蔵検査、それから監視委員会の検査というのは、証取法の五十五条と五十六条に基づいて行われているわけです。直近は七年の十一月、その前が五年の二月だと、きのう答弁がございました。
そこで、お尋ねをいたしたいのですが、これは大蔵大臣にお答えになっていただきたいのですけれども、この大蔵検査というのは何を目的として行っているのか、端的にお答え願いたいと思います。そして、これはどういうときにやるのか、この点についてもお答え願えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/98
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099・三塚博
○三塚国務大臣 金融行政が適正に行われることを念願し、チェック機能として行われておる、こういうことであります。また、ローテーションは、その都度対応していくというふうに聞いています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/99
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100・西川知雄
○西川(知)委員 大蔵検査というのは法律上はいつでもできるということで、何らかの問題が発見されたらその都度やることが可能であるということになっております。そして特定の犯則事件に関するものについて、監視委員会の権限を強化するために、監視委員会も大蔵大臣の委任を受けてやるということになっているわけでございますが、現状は三年か四年に一回だけ行うということになっているわけです。
そこで、先ほども、また昨日もいろいろな委員から、どうしてこの大蔵検査でいろいろな飛ばしの兆候とか簿外債務の存在の兆候とか、そういうものがわからなかったのかという質問がありました。そして当局側のお答えとしては、それは簿外負債であるので調べようにも調べられなかった、こういうことでございます。そこで、わかったのは、証券会社の方が監視委員会に対して、実は簿外負債はこれだけありますというふうに自白をして、そして当局にこれだけ自分がやりましたということを言って初めてわかったということのようでございます。
そこで、質問を詳しくする前提として、大蔵大臣、これは、この法律の五十五条と五十六条に基づいてどんなに一生懸命やったとしても本当にわからなかった、そういうような問題でしょうか。そういうような事件でしょうか。簡単にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/100
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101・三塚博
○三塚国務大臣 全力を尽くしても見つからないことはあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/101
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102・西川知雄
○西川(知)委員 そうすると、こういう事件、こういう案件というのは、将来も、今の体制のままでは続々と同じような問題というのが発生し得るというふうに解釈してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/102
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103・三塚博
○三塚国務大臣 今回の事態を教訓として重く受けとめ対処するということでありますから、ないようにするんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/103
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104・西川知雄
○西川(知)委員 ないようにするのは、それは当然のことですが、今こういうことがあるかもしれないのですね。もう既に山一証券でこういうことをやっている。もう既にいろいろな飛ばしというものを例えばやっているかもしれない。そういうときに、これをこれから行政当局として判断していく、そういうものがあるかないかというものを検査していかれる、こういうことですが、いろいろな御答弁を聞きますと、今の法律の五十五条また五十六条、特に五十五条は、相手から出された帳簿とかそういうものは合っているか間違っているかということを検査するのであって、それ以外のことについてはなかなかわからないというふうに御答弁をされております。
ということは、どんな方法をとっても、今の法律上の検査・監督の権限のもとではこういう問題というものは決して見つからないものなんでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/104
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105・堀田隆夫
○堀田政府委員 監視委員会の立場からちょっと御説明させていただきますけれども、監視委員会は、証券会社に対する検査に加えまして、日常的な監視、市場における取引を監視する、あるいは先生御指摘になりましたような、これは監視委員会独自の機能としていただいているところでありますけれども、犯則事件の調査をする、そういういろいろな角度から、多様な手法を使って証券市場の監視をしているということを申し上げさせていただきたいと思います。
その中で、検査と申しますのは、先ほど来お話ございますような、検査忌避等に対する罰則を担保とした上で、任意で、会社の協力を得ながら検査を進めるというところが一つあるということでございます。
飛ばし取引については、簿外で行われていてなかなか見つかりにくいという面があるということでございますけれども、これも、決して絶対見つからないということではなくて、飛ばしの、恐らく原始顧客の段階、最初の顧客の段階では帳簿上の取引が行われているはずでございますし、そこに何らかの証拠的なものがある可能性はありますし、関係者を見つけて、関係者から事情を聞くということを通じてこれに接近することは可能である。ただ、簿外であるだけに、それがなかなか難しいという事情にあるということを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/105
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106・西川知雄
○西川(知)委員 ちょっとよく聞き取れなかったので、今の検査体制のもとで飛ばしが見つからないことはないという御答弁じゃなかったかと思いますが、そうすると、今回見つからなかったのは、どうして見つからなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/106
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107・堀田隆夫
○堀田政府委員 監視委員会としては、過去二回にわたりまして山一証券の検査をしておりますが、遺憾ながら、その中ではこの飛ばしについて把握することはできませんでした。
それは、これが簿外で転売される取引である。それからやはり会社の協力を得ながら、会社の協力のもとで進められる検査であるという検査上の限界もあった。今の検査の手法で把握できないんだということはないわけでありますけれども、見つかりにくい、把握しにくい行為でございまして、結局把握できなかったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/107
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108・西川知雄
○西川(知)委員 そうすると、こういうことでございましょうか。もし法律を改正して、検査・監督の手法が法律上もっと強化されるということになれば、飛ばしなり簿外負債の存在というものがより早く簡単に判明し得るということになるんでしょうか。これは法律上の規制があるからなかなか見つかりにくいのか、それとも、法律が改正されたとしても、その手法がもっと、例えば大蔵省なり監視委員会に権限を与えるとしても、やはり同じように見つかりにくいものなのか。それはどちらでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/108
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109・堀田隆夫
○堀田政府委員 証券会社に対する検査の法的な位置づけを変えるという話につきましては、私どもの範囲を超える問題でございます。
私どもとしては、現在のシステムの中で、人員の強化を図る、あるいはコンピューターシステムの活用を図る、監視能力のいろいろな意味での向上を図るということで対応していかなければいけないと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/109
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110・西川知雄
○西川(知)委員 そこで、大蔵の情報公開ということが今国民的な関心事でございます。これは大蔵検査があって、今どういう状況が各証券会社また各銀行の中で起きているのかということについて、また、こういう破綻が大きな問題となっていますから、例えば皆さんがそういう大蔵検査なり日銀の考査で、ちょっと日銀の方は置いておきますけれども、大蔵検査の方で見つかった例えば改善事項とか、どういう問題点があったんだとか、そういうことは国民の前に情報を公開して、そして、こういう問題があるんだよ、未然に防ぎましょうよという体制をとらないといけないと思うんですが、大蔵大臣、それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/110
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111・三塚博
○三塚国務大臣 体制は体制として、基本は、みずからがディスクロージャーを充実、徹底することが本筋であろうと思います。グローバルスタンダードはまさにそれを示しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/111
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112・西川知雄
○西川(知)委員 みずからがそういうふうにディスクローズをする、すべての情報を公開するというほど皆さんが正直であれば、それは当然そのとおりであると思いますが、今度の山一証券で見られるように、必ずしもそうじゃないというところが問題であって、それを発見したら、国民の前に、こういうことがあったんですよ、例えば山一は簿外負債があったんですよ、こういう証券会社なんですよ、だからここは気をつけないといけないですよとか、そういうふうに情報を公開する、そういう体制をつくるべきじゃないかというふうに私は申し上げているんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/112
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113・長野厖士
○長野政府委員 まさに御指摘の意味で、私、大臣の指示に従いまして、二十二日記者会見をいたしまして、今回の証券会社に対して、簿外債務について、それまでディスクロージャーされていない内容を公表するということも含め慫慂したわけでございまして、昨日修正報告書という形で、現時点で山一証券が認識している簿外債務の金額、その他につきましてディスクロージャーがなされておる。そういった努力を平素続けてまいりたいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/113
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114・西川知雄
○西川(知)委員 本件の対応についてはそのとおりであると思いますが、私が申し上げているのはもう少し一般的なことで、例えば五十五条の大蔵検査をした、また日銀が考査をされて、いろいろな指導また助言をされる、また所見を述べられる。そういうことについて、この金融機関というのは一体どういうふうな内容になっているんだろう、どういう問題点があるんだろう、そういうことを国民の前に明らかにするというのが私は本当の情報公開じゃないかというふうに思いますが、今大蔵大臣はちょっと席を外されましたので、日銀考査に関して、そういう所見と、この間山一証券に入られたのが九七年の六月と七月で、これはたしか考査約定書によってこの権限が与えられている。山一証券が当座勘定を日銀に設ける際に、こういう考査約定というのをとられる。その中で、いろいろな資産とか負債の内容とかリスク管理の体制というものについて二年か三年に一度こういう考査はされると思うのですが、この間の六月、七月、山一に対してどんな所見、どんな問題点を指摘されたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/114
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115・松下康雄
○松下参考人 個別金融機関の考査のことでございますので具体的な詳細を申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じますが、私どもが最近行いました一それは六月、七月でございます、考査の結果におきましては、私どもは、山一証券の経営実態について、同社は非常に厳しい経営環境にありまして、その動向を注意していく必要があると判断をいたしたところでございます。
また、今回問題となっております含み損並びに簿外債務につきましては、当行といたしましても、当時、一部に報道されておりました飛ばし取引等につきまして関心を持っていたところでございますけれども、この考査におきましては、同社からは、証券取引等監視委員会の指示を受けて現在調査中であるという説明しか得られなかったのでございます。このために、本行といたしましては、今後調査を継続した上で、実態が判明され次第、遅滞なく報告するようにと求めたところでございます。
これに対しまして、山一証券からは、十一月の十七日に、現経営陣が社内調査の結果、含み損と簿外債務を認識したという旨の報告があったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/115
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116・西川知雄
○西川(知)委員 私、公的資金を入れるとかいろいろな議論がこれからなされるのじゃないか、またその問題点等について大いに議論がされるのじゃないかと思いますが、しかしながら、その前提は情報公開であるということは、これは大蔵大臣初め皆さんが基本的に認識をされていることであるというふうに思います。
しかしながら、どんな情報を出すのかということについて、その情報が大蔵省の方、また日銀の方で選別されるということになれば、情報弱者である我々国民というものは正確に問題を把握することができないというふうに私は思います。したがいまして、法律の五十五条とか五十六条、また日銀考査で明らかになった問題点というものはぜひ国民の前に公表していただきたいというふうに私は申し上げたいと思います。
あと十分しかないので、少し大切なことをお聞きしたいと思います。
今、銀行、証券会社、保険会社、これがそれぞれ破綻をしてまいっております。それぞれの破綻処理の方策というものがどんなものかということについて、ちょっと整理をしていただきたいと思います。
例えば、銀行では、これは預金保険機構というのがありますが、この中には外国の銀行でたくさんのリテールをやっている銀行、これが入っておりません。これはどうして入っていないのか、私はちょっとよくわかりません。
また、証券に関しましては寄託証券補償基金というものがあるわけですが、例えばこの第三十七条ではこんなふうなことが書いてあります。この基金は、補償すべき顧客及びその損失額を確定するため、補償事由が認定された日から二カ月以内に日本経済新聞に掲載することにより公告を行う。二項で、この公告には、理事会が別に定める事項及び顧客が所定の期間内に前条に定める権利の届け出を行わないときは、補償から除かれることを記載するものとする。
今どうも山一証券等々は、もう一切心配がございません、顧客に対する財産というのは一切支払われます、また政府の方も、全然心配ありませんというふうに言っておられますが、昭和四十四年八月一日の補償基金の設立に基づく寄附行為の第三十七条の中では、日経新聞に二カ月以内に掲載する、この期間内に申し出がないとあなたは除籍されますよということが定められている。日経新聞を読んでいる人はいいかもしれないけれども、日経新聞を読んでいない人はその権利の主張から除かれる、こういうふうになっているわけです。
また、保険は保険契約者保護基金というのがあるのですが、これは全部基金というものは事後拠出でいい、こういうふうになっているわけです。
私は、よくわからないのですが、銀行と証券と保険でこういうふうにばらばらに破綻処理の方法を決めているというのは、どういう基準でなぜそういうふうに決めているのか、その辺について大蔵大臣お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/116
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117・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
いろいろな制度につきましてお尋ねがございましたのでまずお答えしたいと思いますが、預金保険制度で外国銀行の支店が対象になっていないという御指摘でございます。これは今の法律でそうなっております。それは、当該支店の経営に破綻が生ずるかどうかは、原則として我が国の行政あるいは検査権限の及ばない外国の本店の問題であるという点が一つあります。それから、現在我が国の預金保険制度は強制加入となっておりますが、外国銀行の在日支店についてすべて強制加入することが適当かどうかという問題がありまして、法律上は今外されております。そういう事情がございます。
あとは関係局長から答えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/117
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118・長野厖士
○長野政府委員 証券の制度について御説明いたします。
証券の投資家と銀行の預金者はかなり立場が違います。預金者は銀行そのものに自分の金銭を預けておりますが、証券の取引者は国債ないし株式をみずからお買いになる、みずからの財産は株券あるいは国債証書というものでありまして、証券会社に対する債権を取得するわけではございません。したがいまして、証券の場合には、そういった国債をお買いになった、株券をお買いになったというものを分別管理をして、証券会社が破綻しようがしまいがきちんとどこかに管理されておって、投資家にお返しできるというのが基本でございます。
さはさりながら、若干の場合に証券に対する債権者になる場合がございます。これは信用取引をなすって現金を委託された場合、それから例えばあした国債を買ってくれといってきょう現金を払
い込んでしまったが、あしたの国債のまだ現物になる前で債権者であるという状態、あるいは株をお売りになってその代金をまだ受け取っていないという非常に特殊なケースで証券会社に対する債権者になられる場合がございます。これが、証券会社の破綻が起こりましたときに、その金が返還できるかどうかという、その範囲で問題になるということをまず一点申し上げたいと思います。それに対しまして寄託証券補償基金という制度がございまして、この制度の中身は御案内のとおりでございます。
本件の山一証券に関しましては、大変重要な点でございますからお時間をいただきましてちょっと補足させていただきますと、先ほどおっしゃいました寄託補償基金制度での補償の事由については、るる書いてあることはそのとおりでございますけれども、この山一証券に関しましては、この補償基金の発動前にそういった預かり金その他は山一証券自身から全部お返しいたします、そしてそのための必要な資金繰りも全部手配しておりますということでありますから、顧客は山一証券自身からすべて引き出しができる形にしておるわけでございます。したがって、この制度の発動以前の状況にある。したがって、この公告とかなんとかいうことは全然御心配なく、どうぞ山一証券の支店から御自由に自分の権利として引き出していただいて結構であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/118
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119・福田誠
○福田政府委員 保険の場合の契約者保護制度について御説明させていただきます。
御指摘のように、現保険業法上は保険契約者保護基金がございます。これは、保険会社が破綻した場合に、その契約を引き受ける保険会社に対しまして資金の援助を行うものでございます。
それで、保険の場合は預金あるいは証券と異なりまして、保険というものが人の生死あるいは社会に発生するさまざまな危険に備え、万が一事故が発生した場合には経済生活の連続性を保障するという役割を担っておりますので、保険の保障機能を維持ないし確保することが何よりも重要であるということで、このような制度が設けられているわけでございます。
さらに、引き受け会社のあらわれない場合どうするかということにつきまして、現在それについても支払い保証制度を導入する観点で検討が行われているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/119
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120・西川知雄
○西川(知)委員 この問題は極めて重要な問題で、破綻が各銀行、証券、保険に起きた場合にどういうふうなストラクチャーがとられるのかということの整合性等について極めて重要な問題でございますので、またの機会にやらせていただきたいと思いますが、時間がございますので、最後に一言だけ申し述べておきたいと思います。
私は、みずからいろいろな金融の仕事をしてまいりました。したがって、業界の内部等についてはよく知っているつもりでございます。しかしながら、私は、銀行、証券、保険とも、やはりもっとみずからの襟を正すということがないといけないと思います。
例えば、小さなことですけれども、外国でそういうビジネスの仕事をするというときには、大抵せいぜい二人で百ドルぐらいのランチを食べて、そしてああだこうだと言っていろいろな議論をして仕事をまとめていくのです。日本は、それこそ夜何百ドルというところで接待攻勢をやりながら、そしていろいろな仕事をやっていくわけです。そして破綻をする、公的資金を導入してくれ、こんな虫のいい話は国民はだれも聞くわけはないと私は思います。
それから、従業員対策、これについてはもう質問する時間がございません。
私は、山一証券のある人から、今忙しくて大変なんだ、こんな仕事が入ったんだよということを、廃業する宣言の前の日に電話がかかってきました。その人は部長でした。部長でも知らなくて、一生懸命会社のためにやろうとしていたんです。それを上層部からだまされたような形になったわけです。本当にさっきから言っているように、私は、やはり幹部とかそういう者を厳罰に処して、そして襟を正してこそ、日本の国民がこういう金融界に対して信頼を取り戻すことができるというふうに思います。
私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/120
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121・村上誠一郎
○村上委員長 午後零時三十分に委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時四十五分休憩
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午後零時四十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/121
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122・村上誠一郎
○村上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
暫時休憩いたします。
午後零時五十分休憩
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午後五時三十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/122
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123・村上誠一郎
○村上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、委員長から申し上げます。
零時三十分再開時において、与党委員の出席が少なく、定足数に至らず、委員会を続行できなかったことはまことに遺憾であります。
今後、このようなことがないよう、与党におかれましては十分注意するよう委員長から厳重に要請いたします。
金融及び証券取引に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。秋葉忠利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/123
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124・秋葉忠利
○秋葉委員 与党の立場から、何点か質問をさせていただきます。
しばらく前のことなんですが、一年ぐらいの単位でお考えいただければいいんですが、さる有名な作家が、毎朝新聞を見るのが憂うつだ、最近の新聞は逮捕新聞になっている、毎朝新聞を見ると、だれか偉い人が逮捕されてとんでもない話になっていて、新聞を見るのが憂うつだということを語っておりましたが、このところの新聞を見ると、今度は、逮捕もあるにはありますが、それは陰に隠れてしまって、必ずどこかの銀行が倒産しているニュースが載っている。倒産新聞になってしまっているような感さえあります。
このことに関して、もちろん国民的な関心は言うに及ばず、世界的にも大きな関心が寄せられているわけですけれども、この事態を金融危機と表現する人もいますし、あるいは世界的な、何かより大きな動きへの引き金になるという非常に悲観的な予測をしている人もおりますし、しかし、表現はともかく、重大問題であることには変わりがないと思います。
一方、市民的な立場で考えますと、確かに新聞、テレビは騒いでいるけれども、じゃ、市民的に本当にその危機感が自分のものとして実感されているかという観点から考えますと、残念ながらそこの十分な危機感もない。問題は大きいということが、一方では語られ、そのことが認識されていながら、他方、その深刻さが十分に伝わっていないというような非常にアンバランスな状況があるのではないかと思いますし、それが一層不安を駆り立てているという悪循環に陥る可能性もあります。
こういった点について、まず最初に、その大蔵省の責任者として、三塚大蔵大臣に、現在の事態をどうお考えになっているのか、これに対して大蔵省としてどういつだ方針で臨むおつもりなのか、まず、一般的なところで基本的なお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/124
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125・三塚博
○三塚国務大臣 金融不安の問題、私も心配をいたしておるところであります。こういう中にありまして、今日まで、各金融機関等の自助努力を中心として、経営リストラ、自己責任、こういうことで格段の努力をするようにと申し上げてきておるところでございます。同時に、経営実態を積極的に開示をしていくということも大事。金融三法を基本とした預貯金者等への全額保護、こういうことで全力を尽くしておることは、御案内のとおりであります。
大蔵大臣の責任は、内外の金融市場のあらゆる事態に的確に対応するということであります。
よって、今回も日銀に要請をし、市場への流動性供給に万全を期してまいっておるところを御理解いただけると思っております。これらはすべて預金者等の保護であり、金融システムの維持安定でありまして、重大な責務であることは痛感をいたしております。
私は、この市場の不安感、経済の不透明感を払拭いたすためには、あらゆる選択肢を点検し、さらなる政策の検討を進め、結論を早急に得るべしと事務当局に指示をいたしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/125
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126・秋葉忠利
○秋葉委員 ありがとうございました。
その結論を得るべしというところで、もうちょっと具体的なことを後ほど伺いたいと思いますが、市民的に、あるいは世論の立場から、実は危機感が十分伝わっていない感がいたします。そのことを何点か例を引いて申し上げたいと思うんですけれども、いろいろマスコミの報道等もあり、また政府の努力もあり、あるいは評論家、専門家の皆さんの啓蒙等もあって、ビッグバンの意味についてそれなりに理解がされてきたんではないかという気がいたします。あるいは規制緩和というような流れの中で、金融機関においてもそれは例外ではないということがだんだん理解されてきている。
そこで、国民的な理解、これは単純に申し上げますが、簡単な、ごく当たり前の生活をしている、金融について特に知識はないような人間でも、競争の時代になるんだから、今までは全く同じような、ただロゴマークが違ってポスターに張ってある女優さんの顔が違ってというような差しかなかった銀行が、例えば預金者の方に向かってのサービスで、実質的なサービスの内容、例えばそれは預金の利子が変わるとかあるいは自分たちが必要とする金融商品が出るとか、そういったことで競争をする。アメリカ等、そういった規制緩和が早く行われたところでは、この競争に勝てずに負ける。それは、ある意味では弱肉強食ではあるけれども、競争原理を導入すれば、その中で消費者に対して十分な商品を提供できなかったところがつぶれるのは仕方がないというような形で理解をされてきたところであります。
ところが、今回の一連の銀行、あるいは山一証券もそうですけれども、そういった理解で、そろそろそんなことが始まるのかなという期待を持って考えていた国民の側、市民の側から考えますと、全然サービスはよくなっていない、利子だって高くなっていない、競争も全然やっていないのに何でつぶれるんだというところで、やはり戸惑ってしまう。それは時間的に差がある云々ということはわかるのかもしれませんけれども、一方においてはビッグバンの宣伝をしてきたわけですから、それが今にも始まるという感覚でとらえていた市民、消費者にとっては、やはり戸惑わざるを得ないような状況だというふうに思います。
その人たちに対して、今の状況がなぜ深刻なのか、そういった前提でもってこういったことを考えている人にとって、なぜこんなことが起こっているのかということをやはり説明する責任というのは、だれかにあるんじゃないか。マスコミあるいは専門家と言われる方々もそうでしょうが、やはり大蔵省でもそういった説明をしなくちゃいけないんじゃないか、そんな気がいたしますけれども、大蔵省の皆さんはどうお考えになっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/126
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127・山口公生
○山口政府委員 お尋ねの、現在の金融の状況の原因についてもっとわかりやすい形でというお尋ねでございます。
正確にこれこれが原因だということを定義づけ、また公式な見解ということになると大変難しい話になると思いますが、一言で言えば、バブル崩壊の現象ではないか。つまり、高い土地を担保に金融機関が貸し付け等を行い、それが地価の下落等によって帳簿上大変な不良債権を抱えてしまう、これを何とかしてクリアしなきゃいけない。各銀行等もその努力は行っておりますけれども、それに結果的に押しつぶされてしまうところが、このマーケットの時代に苦しい段階を通り越して破綻にまでいってしまったというようなことが幾つか続いたということだと思うわけでございます。ただ、これは新しいステージヘの産みの苦しみみたいなものでもあろうかというふうに思っております。
ただ、この中にあっても、預金者等を保護しているという基本方針は変わりなく貫いているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/127
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128・秋葉忠利
○秋葉委員 今のお答えを聞いていますと、深刻さは大蔵省の皆さんはそれほど感じていらっしゃらないのかなと。産みの苦しみというのは、子供を産むというのは病気の中には入らないわけですから、そういう意味では、ある意味では危険はあるにしろ通常の出来事であるというふうにおとりになっていらっしゃるのかもしれませんけれども、そんなものでいいのでしょうか。ちょっとそこを疑問に思いますので伺いたいのです。
例えば雇用の問題一つとっても、やはりそれ以上の問題なのではないでしょうか。北海道拓殖銀行、これが二千何百人ですか、それから山一だけでも七千五百人、これだけの人がやはり仕事を失う、ほかの銀行もあるわけですから、何万という単位の、しかも働き盛りの人たちが職を失うということはやはり大問題だと思います。これについても、政治もそうですし、社会全体としても、もう少し危機感を持つべきだと私は思いますけれども、余り危機感がない。
それにはいろいろな理由があるのですが、私がゆうべ友人と話をしていて聞いた理由の一つというのは、バブル時代というのを結構皆さんよく覚えているのです。証券会社に勤めていた人は、バブルの最盛期に一年間四千万、五千万というサラリーをもらって当たり前の顔をしていた。それから二十代の証券会社の社員でもボーナスに何百万平気でもらっていて、一方でそういう生活をしていたのに、それは景気がよかったと言われればそうかもしれないけれども、自分たちはごく当たり前の生活をしていた覚えしかない。今度は、そういういわばアリとキリギリスでいえば、キリギリスが冬になって寒い、寒いと言っても、何でおれたちがそんなことを心配しなくちゃいけないのかという気持ちだってあるんだよ、そんなことを考えている人もいるみたいですね。だからといって、やはり雇用の問題、これが厳しくないということにはならないので、そのいろいろなバブル時代の後遺症ということでひっくくるならそれでもいいのですけれども、一方において社会全体で取り組まなくてはいけないような規模の問題だと私は思いますけれども、それに対するきちんとした認識ができない理由まで掘り下げて大蔵省として対策を立てるべきだと思います。
それにしては、これは産みの苦しみだからということで一蹴されてしまうのはちょっと危機感として足りないのじゃないかという気がいたしますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/128
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129・三塚博
○三塚国務大臣 今危機感が足りないという御指摘をいただきました。
私自身、今日の市場が発する警告に対して深刻に受けとめながら、先ほど申し上げました、主務大臣として、預金者保護、契約者保護、そして投資者保護に徹していかなければいけない。大事なお金をお預かりをいたしておるわけでございますから当然のことであります。破綻をしないようにお互いが全力を尽くしてリストラをやり、サービスの向上をやり、そして手厚い、PRを行っていくということで、初めて企業としての社会的使命を果たすことができ得るのではないか。経営の失敗によって失業するというこの事態は、お一人だけのことではなく御家族の悲劇でございますから、労働省を中心に協議会をつくるということで、大蔵省、関係省一体となりまして、基本的には経営体の問題ではありますが、社会的問題でございますから、本件について協議を行いながら適切なアドバイス、適切な対応をともにとっていこうということにさせていただいているところでございます。
御指摘のとおり、ビッグバンは激しい競争の中で評価を受けなければなりません。評価を受ける
以上、それなりの努力、また情報公開というものがなければなりませんし、万が一の場合の責任を痛感をするということでもなければなりません。そういう血のにじむ努力をすることによって利用者の信認を得る、そして市場の信認を得るということで初めて健全な企業体として生き延び貢献をすることができると考えておるところであり、そのことは早期是正措置等を通じながら、各企業のさらなる努力、そして情報公開に努めるよう今日に至っておるところでございまして、これは全省の幹部だけではなく、甘貝、従業員、公務員の諸君も共通をした認識を持って当たっておると感じておるところであり、御批判は受けませんようにさらなる努力を進めてまいりますようにしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/129
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130・秋葉忠利
○秋葉委員 それに関連して二つ申し上げたいのですが、一つは、結局、現在注目されている事柄の一つは公的資金の導入ですけれども、これも結局預金者保護という大義名分があるわけですが、そのテクニカルな意味での是非というのは一方においてありますけれども、世論の立場を考えると、やはり住専の処理において公的資金を導入した、もうそれでバブルの処理は終わりだというような印象が非常に強く植えつけられる。そういう形で、ともかくこれだけやればあとは大丈夫なんだからというような説得が行われた。いや、そんなことは言っていないという反論があるかもしれませんが、社会全体の印象はそうでした。それを覚えている人は、何で今さらというところが非常に強い。それが一つの問題だと私は思います。それに対する答えもやはりきちんと出していかなくてはいけない。
それと同時に、もう一つ、やはりこれからの処理ですけれども、ディスクロージャーだけではなくて、ディスクロージャーの中には、例えば不良債権が一体幾らあるのか、その全体についての事実に即した把握と、それからそのデータの提出ということも含まれると思いますけれども、今までの大蔵の認識というのは、この点についても随分過小評価が続いてきたのではないか。そこも含めてディスクロージャーをしていただいた上で、じゃ、これからどうするのかといったことについての、その場しのぎの、今回はこの銀行が倒れたからこれをやる、この次は、じゃ、またどこか倒れたときに考えるということではなくて、この不良債権処理、そしてバブルの後遺症を治すための全体像を明らかにして、こういう方針でやるんだというところが見えないと、やはり国民としては安心ができない点があると思いますし、それを示すことこそ実は今一番大事な点なんではないかというふうに思います。
それと関連をして、それだけではなくて、ビッグバンということのスケジュールもあるかもしれませんし、同時に景気が悪いというもう一つの重い事実もあるわけですから、そういったことの総体的なバランスを大蔵省としてどう考え、どう処理しようとしているのか。それも、専門家がわかったから、専門家が承知したからそれでいいということではなくて、今申し上げたような世論の立場からごく素朴な疑問がたくさんあちこちに転がっている、その中で、一体大蔵が何をやろうとしているのかということがわかりやすく説明されることがどうしても必要だと思います。
その説明の中には、今情報の公開、開示ということをおっしゃいましたけれども、きのうの質問でも申し上げたように、大蔵省はディスクロージャーということは言うけれども、自分たちの不祥事についてさえなかなか十分な情報開示をしないでいる。そのことはやはり国民は知っているわけですから、その大蔵省が、ほかの銀行について情報開示をすることが大事なんですよと言っても余り信用されない。そういった点も含めて、まずみずから身を正すということ。それから事実に基づいた対応をする。その事実そのものを、情報をきちんと開示をするといった、本当に国民とのこれは合意をつくらなくてはいけない大問題だと思いますけれども、その上での三塚大蔵大臣が好きなファンダメンタルズ、国民との合意を形成する上での本当に基本的な幾つかの条件を満たすような手を大蔵省として打っていただきたい、そういうふうにお願いをしたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/130
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131・三塚博
○三塚国務大臣 ただいま二問ございました。
まず第一問。不透明感、不安感を解消するために、国民的合意を得て、具体的な施策を明示するべきではないかとの趣旨の御質疑でございます。
先般、私の決意ということで、この不安感、不透明感を払拭するために申し上げたことがございます。まさにあらゆる選択肢を検討し、点検をし、そして何をやらなければならないか、何をできるか、こういう基本論に立って、具体策立案に向けて早急に検討、決定をしてほしいと指示をいたしたところでございます。
御案内のとおり、また御説のとおり、公的資金導入については国民間の合意を得ろ、こういうことであります。同感であります。ただいま国民の間で議論が行われております。同時に、国会におきましても連日のように本件についての論議が行われております。私は、この真剣な論議が展開をしっかりと重大な関心を持って受けとめて、これからその対応についてしてまいらなければならない、そのことによって初めて国民の御安心をいただけることになるでしょうし、また金融システムの安定維持に貢献をするものであると考えます。
ディスクロージャーの問題は、官も民も、これは自由市場の原則であり、また民主主義の原点でもあります。このことはしっかりと踏まえていかなければならぬことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/131
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132・秋葉忠利
○秋葉委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、大蔵省は、いろいろ注文をつけてはいますけれどもやはり頑張っていただかなくてはいけないわけですから、国民一体になって、大蔵省が先導してこの危機を乗り越えるということでぜひ頑張っていただきたい。そのことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/132
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133・村上誠一郎
○村上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。午後五時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00619971126/133
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