1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年十月二十八日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
十月二十七日
辞任 補欠選任
水島 裕君 和田 洋子君
十月二十八日
辞任 補欠選任
山本 保君 但馬 久美君
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出席者は左のとおり。
委員長 山本 正和君
理 事
上野 公成君
南野知惠子君
浜四津敏子君
清水 澄子君
委 員
石井 道子君
尾辻 秀久君
田浦 直君
中島 眞人君
中原 爽君
長峯 基君
宮崎 秀樹君
木暮 山人君
但馬 久美君
山本 保君
和田 洋子君
渡辺 孝男君
今井 澄君
西山登紀子君
国務大臣
厚 生 大 臣 小泉純一郎君
政府委員
厚生大臣官房審
議官 江利川 毅君
厚生省健康政策
局長 谷 修一君
厚生省老人保健
福祉局長 羽毛田信吾君
事務局側
常任委員会専門
員 大貫 延朗君
説明員
労働大臣官房審
議官 吉免 光顯君
労働省職業能力
開発局能力開発
課長 岩崎 伸夫君
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本日の会議に付した案件
○介護保険法案(第百三十九回国会内閣提出、第
百四十回国会衆議院送付)(継続案件)
○介護保険法施行法案(第百三十九回国会内閣提
出、第百四十回国会衆議院送付)(継続案件)
○医療法の一部を改正する法律案(第百三十九回
国会内閣提出、第百四十回国会衆議院送付)(
継続案件)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/0
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001・山本正和
○委員長(山本正和君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨二十七日、水島裕君が委員を辞任され、その補欠として和田洋子君が選任されました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/1
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002・山本正和
○委員長(山本正和君) 介護保険法案、介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/2
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003・渡辺孝男
○渡辺孝男君 平成会の渡辺孝男でございます。
前回に引き続いて、介護保険法の質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、日経新聞と日経産業消費研究所が行いましたアンケート調査に関しまして、それを土台にしまして質問させていただきたいと思います。
日経新聞社と日経産業消費研究所は、本年九月に全国三千二百三十二市町村と東京二十三区を対象に公的介護保険に関するアンケート調査を行い、その結果が去る十月二十四日に新聞に発表されました。その結果では、ホームヘルパーの確保や介護施設の整備など二〇〇〇年度末までの福祉サービスの整備目標を掲げた老人保健福祉計画について、「ほぼ達成できる見込み」は二二・〇%にすぎず、「達成困難」一一・九%、「一部の事業は達成困難」六四・〇%と、約四分の三の自治体が完全達成を困難視していることが改めて再確認されております。
このように介護基盤の未整備が各自治体によって不安視されているわけでありますけれども、現在政府提案の介護保険法が二〇〇〇年度から始まるということでありますけれども、このような状況でもし開始されれば、やはり保険あって介護サービスなしの懸念が実際に起こってしまうんではないか、そのように私自身も考えますし、現時点といいますか、アンケート調査は九月の時点ですけれども、九月の時点におきましても地方自治体側はそのような懸念を持っていらっしゃるということであります。
このような現状に関しまして厚生省の御認識、本当に介護保険あって介護サービスがないというような国民が一番恐れる事態が発生しないのかどうか、この点に関しまして改めて厚生省の御認識をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/3
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004・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。
今、先生お挙げになりました調査におきまして、今お話ございましたように、各市区町村でこの老人保健福祉計画の達成というものが、「ほぼ達成できる見込み」というのが二二%、それから「一部の事業は達成困難」というのが六四%、逆に言えば大半は達成できるということにもなるのかと思いますけれども、純粋に「達成困難」と言われたのが一一%ということで載っておりました。
新高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆる新ゴールドプランというものにつきましては、繰り返し申し上げておりますように、市町村がいわばみずから主体的に作成をされました老人保健福祉計画というものの集大成としてやっておるわけでありますから、各地方自治体は当然計画策定に当たられましてもサービスの、自分のところでこれだけは必要だということを市町村自体が御判断をされて、それで計画をおつくりになったという性格のものでございます。
したがいまして、その計画の達成が困難ということになるとすれば、やはりみずからのこととして、まずサービス基盤の整備がおくれている理由についての分析でありますとか、その分析に基づきましてどういうふうに対策を打っていくか。そういったことで、計画的にもう一度見直す中で目標達成に向けた取り組みをしていただくということが必要になってくると思います。
私どもとしましても、それをいわばバックアップする形で、おくれている地域につきましては重点的に補助をしていく。さらに、それぞれの地域の実情、やっぱりおくれたらおくれたなりの実情というものがございますから、そういったことを考えまして、サービス基盤の支援のためにも、例えば一つの例で申し上げれば、平成九年度におきましても、公衆浴場だとかあるいは公民館といったような既存の施設を利用して行います、そういった既存施設活用型の日帰り介護、いわゆるサテライト型デイサービスなどと申しておりますが、こういったいわば市町村が取り組みやすい条件整備というようなことについても私ども支援をする。
また、そういった施設整備、あるいはこういった手段の整備について私ども弾力的な考え方をとっていくというような中でバックアップをするというようなことをしまして、今、先生がお挙げにもなりましたとおり、介護保険をあれするためにも、市町村の老人保健福祉計画の実現ということは大変大事というか、むしろそれがあってこそ介護保険が完全に機能していくということにもなりますので、そういった支援策を一層推進していきたい、そして目標達成に向けて努力をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/4
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005・渡辺孝男
○渡辺孝男君 今のお答えでありますと、「一部の事業は達成困難」六四・〇%は、好意的に解釈しているのかどうかわかりませんが、そちらの方はほぼ達成できる方向に何か集約してお答えになりましたけれども、新ゴールドプランそのものの基盤の状況というのは、私自身あるいは多くの有識者がそれではまだまだ不十分なんだと、最低とは言わないまでも、ある程度の整備基盤のプランである、現在もし介護保険というものが通るようなことになれば、介護需要が多くなってきてとても新ゴールドプランの状況では間に合わないというような意見の方が多いんではないかというふうに思います。その新ゴールドプラン、そういう老人保健福祉計画のプランそのものも一部達成できないということはやはり大変な事態ではないかなと私自身は思うので、ほぼ達成できるというふうに、いい方向に考えるというのはちょっと危険ではないかというふうに私自身は認識しております。
次の質問に入らせていただきます。
老人保健福祉計画の達成を困難にしている理由というものもこのアンケート調査では明らかになっております。一番多いのは、「自治体の財源が苦しい」ということで、これが八〇%。それから、「マンパワー不足」五一・七%。それから、「ヘルパーに対する国の補助単価が低い」三二・九%などが主な計画達成の阻害要因と考えられますけれども、この点に関しまして、自治体に対する財源の支援、それからマンパワーの不足に対する支援、それからヘルパーに対する国の補助金単価に対する国としての支援というものが今後、二〇〇〇年まであともう三年弱でありますけれども、その間にどういう国の支援ができるのか、その点に関しまして厚生省の見解をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/5
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006・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。
私どもも一部の事業が達成困難ということを楽観視しているわけではございません。確かにやはり大変なことだと思いますし、目標達成に向けてそれは大変に努力をしていかなければならない、そう手をこまねいていて達成できるというようなものではないと思います。一生懸命の努力を私どもはしなければいけないという前提でございます。
そうした中で、阻害要因、いろいろ今挙げられたようなことが出ておりますけれども、まず財政的な面で申し上げますと、私どもは今国庫補助をつけております。それと並行いたしまして地方財政上の手当ても交付税等で手当てをしているということがございますので、そういう意味では、一般的には財政上の問題についてはそれなりの対応を今日までもしてきておりますし、それから、今後のことでございますけれども、これにつきましては、現在御案内のような財政改革期間中ということで非常に厳しい財政下ではございますけれども、一方において新ゴールドプランという計画、これは先はどのようにそれぞれの市町村の計画から積み上げてきた計画でございます。それについては一応三大臣の間での合意という形でもって財源の裏打ちもある計画としてでき上がっております。
したがいまして、この新ゴールドプランそのものにつきましてはそういったものに即して財源も計画がされておりますので、その財源手当てに即した財源はこの厳しい財政下においても確保していくということを基本にしながら、しかしやはりこういう時節下でございますから、できるだけ先ほどの既存資源の活用でありますとか民間参入等、いかに効率的にそれを達成していくかということを工夫しながらこれに取り組んでいくということで目標の達成を進めてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/6
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007・渡辺孝男
○渡辺孝男君 ヘルパーに対する国の補助単価が低いというような阻害要因も挙げられているわけでありますけれども、これに関しましてはどのような対応をされる予定でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/7
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008・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) ヘルパーの単価に関しましては、今のように低いという御意見がある一方で、公的なヘルパー単価が民間の単価に比べて非常に高いというような地方自治経営学会の報告などもございますし、いずれにしてもやはり実態に即した単価にしていくということは非常に大事でございますので、そういった意味では、毎年度単価の見直しということはしながら今日まで来ております。
それと同時に、ホームヘルパーの方々のいわば勤務の形態というようなことについても、できるだけ効率的にやっていただくというようなことをも含めまして、例えば、滞在型でずっといくよりも、頻回に行くけれども滞在時間を短くするという巡回型というようなものをやはりニーズに応じてやっていくというようなことも大事だというような、運営の仕方の効率化というようなこともあわせ考えながら対応していきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/8
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009・渡辺孝男
○渡辺孝男君 マンパワーに関してまた質問させていただきたいと思います。本法案による介護保険制度を支えることになっておりますマンパワーの一つでありますケアマネジャーの確保に関しまして、このアンケートでは、確保の見通しが一八・五%、それから確保あるいは養成の見通しが立たないが二三・一%、確保の見通しが厳しいので各機関等に養成を依頼するが五六・一%となっております。すなわち、約八〇%が自力ではケアマネジャーを確保できないと自治体が見込んでいるというふうにアンケート調査では明らかになっております。
これはやはり大変なことではないかと。介護保険、介護サービスを運営する場合にケアマネジャーの役割は大変大切なものでありまして、それの確保自体が一八・五%しか見通しが立たないということは、やはり介護基盤、マンパワーが非常に足りないことを如実に物語っているのではないかというふうに考えます。
このケアマネジャーの今後の充足に関しましてどのように厚生省として手を打っていくのか、御見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/9
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010・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) ケアマネジャー、介護支援専門員でございますが、介護支援専門員は居宅介護支援事業者あるいは介護保険施設に所属するわけでございまして、すべて市町村に所属するということではございません。ですから、市町村として確保しなければならないという前提に立つ必要はないというふうに考えているわけでございます。
この介護支援専門員は、要介護認定のため市町村の委託を受けて訪問調査をしたり、あるいは介護サービス計画をつくるキーパーソンとして働いたり、さらには要介護者の状況等を継続的に把握したり、先生おっしゃいますように介護保険制度を運営する上で非常に重要な役割を果たすわけでございます。この人たちにつきましては、都道府県が実施します研修を受けていただくことによりまして養成をするという考えでございます。
こうした養成を図るため、平成八年度それから今年度にかけまして、都道府県において養成指導に当たる人、介護支援専門員の指導者の研修を国で今行っているところでございます。国で行いまして、その人たちが今度は都道府県に戻りまして、都道府県において行います介護支援専門員の研修を担当するということになります。今年度の末ぐらいから多分その研修がスタートできるのではないかというふうに思っております。
新聞のアンケート調査で一八・五%しか確保できないというふうな話がございましたが、今申し上げましたように、介護支援専門員の養成は都道府県が行うということになっているわけでございますし、その介護支援専門員そのものは居宅介護支援事業者であるとか介護保険施設に置かれるということでございますので、そういう意味で全体を見渡して事業をしているのは都道府県の方であると。ですから、市町村サイドから見ると、ある意味で見通しが立ちにくいというんでしょうか、答えにくい質問だったんではないだろうかという感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/10
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011・渡辺孝男
○渡辺孝男君 私自身は、市町村はこういう介護保険の今後の方向について県と相談、協議しながら考えているんではないかと、当然考えていると思います。そういう都道府県の状況を踏まえてのアンケート調査のお答えではないかというように私自身は考えておりまして、このケアマネジャーの確保が一八・五%しかできないという市町村の認識というは非常に重いものであるというふうに私自身は思っておりまして、御質問させていただいたわけであります。
それからもう一つ、要介護認定のために必要な調査員でありますけれども、この調査員の確保も見通しが一一・〇%しか立っていないということでありまして、介護認定そのものの作業もこれではなかなか進まないんではないかと。厚生省は認定の申請があってから一カ月以内に要介護判定をするというふうに目標を立てておるわけでありますけれども、このように調査員が一一・〇%ぐらいしか確保できないとすれば、この一カ月という目標も大変危ういものではないかと、そのように考えるわけでありますけれども、この調査員の確保に関しましてはどのように厚生省は考えておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/11
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012・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護認定を行います際に市町村の職員が訪問調査をすると。ただ、この訪問調査につきましては市町村は介護支援専門員に委託をすることができるようになっております。ですから、すべて市町村の職員がやるわけではなくて、居宅介護サービス事業者の介護支援専門員に委託をしてやる、そういうケースもあり得るわけでございます。
平成八年度に六土地域でモデル事業をやりまして、そのモデル事業をやった市町村ではそういう訪問調査をやった経験者が出てくるわけでございます。平成九年度におきましては約四百地域でモデル事業を行うということにしておりまして、これから実施するわけでございますけれども、それを通じて恐らくまた訪問調査の経験を持つ人が出てくるわけでございます。
そしてまた、これは来年度予算要求をしている段階でございますからそのとおり予算がっくかどうかはこれからの問題ではありますが、私どもとしましては全市町村でモデル事業を実施したいというふうに思っているわけでございます。そうしますと、全市町村でそういう訪問調査をする人というものがモデル事業を通じて実際に経験を積んでいくということになります。こういうようなことで、いわゆるモデル事業を通じながら市町村の職員なりあるいは委託をするなりする形で訪問調査の経験者というものを養成していきたいというふうに思っているわけでございます。
市町村におきましては、高齢者の保健、医療、福祉に関する業務に現に従事している方もいらっしゃるわけでございまして、こういう方は所与の研修を受ければ調査員として十分活躍できるのではないかという感じもしているわけでございます。介護支援専門員につきましては先ほど申し上げましたように順次都道府県において養成をしていきますので、あわせて考えますと、訪問調査をする体制というのは整えられるのではないかというふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/12
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013・渡辺孝男
○渡辺孝男君 この訪問調査の調査員は別に市町村の職員である必要はないということでありますけれども、ただ、今回のアンケートでは民間事業者の積極的導入を考えているのは一五・五%ぐらいしかないというような話もありまして、やはり当初は市町村の職員が調査に当たらなければならないような事態になるんではないかというふうに考えております。厚生省としましては、この調査員の構成は市町村の職員がどの程度担うべきである、あるいは担うように予定されているのか、その件に関しまして御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/13
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014・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 市町村の職員あるいは市町村から委託を受けました介護支援専門員が調査をするということになっておりまして、市町村の職員が何割でなくちゃいかぬというふうに考えてはおりませんので、どの部分が市町村の職員である、そういうことの見通しは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/14
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015・渡辺孝男
○渡辺孝男君 非常に大事な調査員をだれが担当するのか、事業者あるいは市町村の職員、そのところまでまだ詰めていないということでありまして、この法案が通りますと三年後に迫るわけでありますけれども、まだまだそういう意味では少し詰めが甘いんではないかなというふうな感じもします。
民間活力の導入はうたっておりますけれども、まだまだ市町村の認識では、先ほども言いましたけれども、一五・五%ぐらいしか積極的な導入を考えていないということでありまして、やはり調査員の確保、ケアマネジャーの確保というものをきちんと整えていく必要があるんではないかというふうに考えるわけであります。
次の質問に移らせていただきます。
厚生大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、このアンケート調査ではこのような介護に関する基盤がまだ二〇〇〇年の時点では未整備であろうというような状況でありますから、政府提案の本法案に対しまして市町村の考えはどうかということでアンケート調査が行われております。この法案を早急に実現すべきというのがまた八・三%と極めて少ないお答えでありました。
一方、保険ではなく税金で補うべきというのはその倍の一六・一%ということになっておりました。また、最も多かった答えは介護サービスの供給体制が整ってから実現すべきだということでありまして、これは五〇・二%、約半数の地方自治体はそのように考えていると。まだ介護の基盤が整わないうちは導入すべきでないというふうに半数が考えているということであります。それから、まだ法案のわからない点が非常に多いので法案を出し直すべきではないか、そのような御意見を持っているのが一三・八%あるということであります。
早急に実現すべきが八・三%。それに対しまして、慎重な対応、介護基盤が整ってからやるべき、わからない点が多いので法案を修正して出し直した方がいいんではないか、そのような答えを合わせますと、五〇・二%プラス一三・八%でありますから、約七〇%ぐらいは慎重に対応すべきでないかというようなお答えでありました。
このようなアンケート調査に関しまして、厚生大臣はどのようにとらえておられるのか、認識をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/15
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016・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 調査ではいろいろな反応が出ておりますが、まだ具体化していない段階ですから関係者にとっては不安な点もあるのは事実だと思います。また、質問の仕方によってもこの調査結果というのは違った反応が出てくると思いますが、現在の時点で介護問題をこのまま放置していいかということを聞けば、私は多数の方は何らかの整備が必要だという反応が出てくると思います。そして、整備状況が不十分だからまだ早い、もっと基盤整備をしてから導入せよという意見に対しても、むしろ、この法案が成立するともう待ったなしだ、基盤整備の促進になると私は見ています。
不安があるのは否定いたしませんが、私は、そういう不安を解消するべく今後市町村関係者とよく意見交換をして、少しでもこの法案の持つ意味と重要性を理解していただき、お互いが連携を密にしながら、保険あってサービスなしという状況を、国と市町村関係者が一体となって取り組むことによってこの介護基盤というのは整備されていくんではないか。そして、今や個人だけではもう支え切れない、社会全体でこの介護問題というものを解決していこうという機運がこの保険制度導入によって高まってくればなあと、その努力を今後厚生省は全力でしていく必要があると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/16
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017・渡辺孝男
○渡辺孝男君 私自身は、家族介護の負担を少しでも取り除いて、国民が十分な介護を受けられるようにしたいという願いはみんな共通であると思いますけれども、そのためには、介護基盤をまずきちんと国の支援によって整えるということがやはり第一番ではないか、これもまた国民あるいは有識者の共通する認識ではないかと思うんです。
今までも本法案に対しましては問題点もいろいろ指摘しておりますし、また介護基盤も十分整っていないことでありますから、拙速に法案成立を急ぐべきでないという声がやはり多いのではないかと私自身は考えております。今後さらに慎重な審議を我々でしていきたいというふうに考えております。
このアンケートの中にもう一つ調査の事項がありまして、この介護保険法案が通りました場合には、介護保険料の未納率というものは国保の未納率を上回るんではないかというふうに市町村はまだ懸念を持っていらっしゃる、四分の三の市町村がそのように答えているということであります。この介護保険料の未納率が国保を上回るということの懸念に対しまして厚生省の認識とそれからその対策、未納率を少なくするための対応に関しまして再度御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/17
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018・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険制度につきまして十分な理解がいくかどうかというのが、私は保険料の未納率がどうなるかということに大きく影響するんではないかと思います。介護保険制度は、六十五歳以上の人でいえば、二〇〇〇年の段階におきまして二千二百万人の六十五歳以上人口がいる中で、要介護者あるいは要支援者というのは二百八十万人いる、そういう推計をしております。こういう推計をもとに、要介護状態で介護保険の給付を受ける人は一〇%ぐらいじゃないかということを言われる方もいらっしゃるわけでありますが、私はこれは正しい認識ではないんだというふうに思っております。
といいますのは、残りの八十数%の方も順次入れかわって要介護状態に移っていくわけでありますから、ライフサイクルで見るとどこかで要介護状態を経験するということはあるわけであります。たまたまある静止した時点でとれば一割ちょっとしか対象者がいなくても、ライフサイクルで順次人が生きていく間のどこかでは要介護状態になると。私どもの調査では、六十五歳以上の方で亡くなられた方につきましては、要介護状態、要支援状態を含めますと五〇%近くの方が六カ月以上そういう状態にあったという調査が出ております。したがいまして、二人に一人ぐらいは要介護状態、それに近い状態を経験するわけでありまして、夫婦であればどちらか、その両親を含めますと何らかの形で介護問題に遭遇するんではないか。介護というのがそういう問題であるということを認識していただいて、その上で保険料負担について説明をして、まず理解を十分求めるということが大事だというふうに思っているわけであります。
また、そういう趣旨だけではなくて制度的にも幾つか工夫をしておりまして、一つは、保険料の取り方につきまして五段階、そして低所得者には低い保険料を取るような形にしておる。また、全体の構成では半分が公費の財源である。そして保険料も、四十歳から六十五歳未満の方の保険料が残る半分の三分の二、全体の三三%。高齢者の保険料は全体の一七%ぐらいだと。そういうものを負担していただくということで、全体として高齢者に無理のない負担をお願いするような仕組みになっているわけでございます。かつ、国保の実績を見ますと、高齢者は大体九八%から九九%ぐらい保険料をちゃんと納めている、そういう実績もあるわけでございます。
そういうことから、制度を十分に説明していきますと、そしてまた今の国保に対する高齢者の保険料の納め状況、そういうものを見ますと、十分保険料を納めていだたける、未納率はそう高くはならないんではないかというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/18
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019・渡辺孝男
○渡辺孝男君 またこの未納者問題に関しましては、介護保険が導入されて介護保険料を払うことになると、市町村は未納率が国保よりふえるという懸念を持っているわけであります。介護保険が導入されることによって未納率が高くなる、それに伴ってまた国保の未納率も連動して高くなるというような不安もあるわけでありますけれども、そのような不安、懸念に対しましては厚生省はどのような御認識を持っておられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/19
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020・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 国保加入者につきましては、確かに国保の保険料に介護保険料を上乗せして取るということになります。ですから、それによって国保も含めて未納率というのが高まるんではないか、そういう御懸念だと思います。
基本は、先ほど申し上げましたように、介護というのはだれでも直面し得る問題だ、そういうリスクにみんなで相互扶助ということで助け合うんだと、この趣旨をわかってもらうことによってそういう事態を防ぐ努力をする、これがまず第一だと思いますが、そういうことによってある程度そういう効果も上げられるというふうに思っています。
ただ、御心配のような、例えば介護保険料の上乗せによりまして何か収納率の低下が有意に認められる、そういうような事態が仮に生ずるというようなことがありましたら、これにつきましては市町村国保に対しまして国費による何らかの助成を考える、そういうことを考えていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/20
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021・渡辺孝男
○渡辺孝男君 介護保障といいますか、その制度がもし保険制度を導入するとなれば、その介護保険というものが本当に国民に理解を得るような立派なものであれば、逆に保険料未納率が下がって国保も連動してよくなるというような事態も考えられるわけでありますけれども、今の法案はいろんな問題点を抱えておりまして、そのような見通しは余り立たないんではないかなというように私自身は心配しているわけであります。
次の質問に移らせていただきたいと思います。
厚生省は昨年、平成八年度で介護認定のモデル事業を六土地域で行いまして、そのときに認定作業に当たられました方々からさまざまな意見、要望が出されております。
厚生省は本年度、全国三百四十七老人保健福祉圏域にて認定作業のモデル事業を追加して行うというようになっております。またさらに、八年度に行った六十モデル地域では、ケアプランの作成の試行も行うというような方向になっていると聞いております。
要介護の認定調査作業では、昨年行われましたモデル事業の経験を踏まえまして数々の改善がなされていると、そのようにこの資料では見ております。
例えば、痴呆で日によって変動がある場合には、家族から日ごろの状況もよく聴取してあわせて勘案して調査を行う。あるいは特記事項に関しましては、内容の不統一を避けるために記入マニュアルを作成する。それから、かかりつけ医の意見もマニュアルを作成して十分に対応できるようにする。それから要介護認定に係る審査判定の進め方についてもマニュアルを作成して対応する。さらに、判定基準を明確化するとともに、典型的な判定例を列挙して審査判定を容易にする。そのような改善点が検討されていると聞いております。
そこで厚生省の担当の方にお伺いしたいんですが、そのようなマニュアルの作成あるいは典型的な判定例の提示というようなものは現場の方に既になされているのかどうか、現在の進捗状況に関しましてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/21
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022・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 先生御指摘の九年度のモデル事業でございますが、これにつきましては、今お話にありましたように、八年度のモデル事業の成果あるいは反省点、こういうものを踏まえて改善を行いまして九年度実施するということで進めております。
当初、各老人保健福祉圏域三百四十七地域で行う予定でございましたが、県の方で若干、一地域複数行いたいというところもございまして、四百を超える地域においてモデル事業が行われるということでございます。そういう意味では、都道府県あるいは老人保健福祉圏域を構成する自治体の方々の熱心さというのがその数にも、予定より多いという意味ではあらわれているのかなという感じがするわけでございます。
この事業は今後、十一月の上旬から十二月の上旬ぐらいにかけまして認定調査を行う、そして来年の一月末を目標にその実績報告を取りまとめてもらうというふうに考えております。
そのために、今お話のありましたかかりつけ医の意見書とか、いろんな記入のマニュアルであるとか、あるいは判定審査についてのマニュアルであるとか、これは通知と一緒に各都道府県の方に連絡をしてあります。
それからまた、これを連絡する際にあわせまして、八年度のモデル事業で得た実態を踏まえて、どういう状態の方が要介護度の幾つに該当しているか、そういう典型例というんでしょうか、これを八年度のモデル事業の中から選びまして、その典型例をまとめたものも同じように添付をして都道府県の方にお送りをしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/22
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023・渡辺孝男
○渡辺孝男君 平成九年度のモデル事業は四百以上の地域で行われるということでありますけれども、この十一月あるいは十二月から始まるということであって、その結果が平成十年の一月にまとまるということでありますから意外と早くまとまると思うんですが、かなりの数の症例になるんではないかというふうに思うんですが、短期間にまとまるということでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/23
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024・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 十一月から十二月上旬にかけまして認定調査を行う、そして年内に認定審査会を通じて二次判定までやってもらう、そして一月末を目途に事業実績報告を取りまとめていただく、一応こういうことで各都道府県にお願いをしています。
すべての都道府県がそのとおりぴたりといくかどうかというのは、いろいろ事業をやっていく中で何かあるかもしれませんが、一応私どもとしては去年の経験を踏まえてこのスケジュールでいけるんではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/24
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025・渡辺孝男
○渡辺孝男君 前回のモデル調査では、二次判定のときに一次判定の変更が二七・六%に起こったということでありますけれども、少し範囲を広げた今回のモデル事業ではこの結果がどのようになるか。一次判定、二次判定の乖離が縮まってくるのかどうか。改善点というものが昨年度の事業で出されてきて改善されているので、当然その乖離は狭まってくるというふうに期待しているわけでありますけれども、もしその調査でまたまたそういう乖離が認められる、第二次判定で変更が多く出てくるということであった場合には、さらにモデル事業を追加して行うというような方針で臨まれるのか、あるいは第二次モデル事業ですべて完結するというようにお考えなのか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/25
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026・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 八年度のモデル事業では、先生御指摘のとおり、一致しているというのは七割強でございまして、一致していなかったケースが三割弱あったわけであります。ただ、一致していなかったものもほとんど一ランク上か一ランク下かという中に入っているわけでありまして、極端なずれというのは非常に少なかったのも事実でございます。このモデル事業をやりまして、例えば記入の仕方について少しわかりにくいとかいろいろな問題がありましたので、先ほど申し上げましたように記入要領その他をつくりまして、今回はできるだけ正確に調査ができるような工夫をしたわけでございます。そういう意味で、私どもは今度の調査によりまして乖離が狭まってくれるものという期待を持っているわけでございます。
ただ、今度は多くの地域でありますので、六土地域のモデル事業とは違ったまた新しい課題も出てくるかもしれません。そういういろんな問題はこの実績を踏まえてさらに検討しまして、さらに直すべき点があったら直して、平成十年度におきましては、九年度の結果を踏まえて必要な改善があれば改善をしたものですべての市町村でモデル事業を実施したいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/26
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027・渡辺孝男
○渡辺孝男君 モデル事業を進めていくということでありますけれども、それを基盤にして改めてまた法案そのものにも変更が必要になるかどうか。法案で決められているところが少なくて政省令で決められるという部分が多いというふうな指摘がありますけれども、そういう点も、見切り発車的にいってしまって後で修正していく、あるいは検討していくというようなことで進められるのかどうか。私自身は、やはり最初にそういうモデル事業で得た結果をもとにしてしっかりした法案をつくり、また政省令に反映できるようにすべきではないかというふうに考えるわけであります。
今回の改善点で、いただいた参考資料なんかではちょっとわからない点もありましたので、その点に関してお伺いしたいと思います。
八年度のモデル事業で意見が出ていたわけなんですが、在宅と施設で異なる調査票を用いる方がいいのではないかというような御指摘があったわけでありますけれども、この点に関しましては改善がなされているのかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/27
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028・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護サービス計画、こういうものをつくるときには、その人の状態を詳しく調べてつくっていくということが必要だと思うんです。ただ、要介護認定におきましては、施設にいても在宅にいても公平、客観的に同じように判定されるということが大事なのではないか。そういうことで私どもの考え方は施設、在宅で共通した介護認定のための調査票、これを作成するということでやっております。
具体的に幾つか改善した点を申し上げますと、施設が入所者にかわって行うことが多い、例えば掃除とか金銭管理などの社会的行為につきましては、八年度の調査票で「できる」とか「していない」と。この「できる」とか「していない」といっても施設の方でかわってやってしまいますと判定が非常にうまくいかない。こういうものにつきましてはその人の生活状態から見て、本人の能力を勘案して答えができるような工夫をする、そういう工夫を凝らしまして在宅でも施設でも共通して判断できるような調査票にしたわけでございます。
在宅と施設で異なる調査票が要るというのは、私はこれは、最後の介護サービス計画をつくるときは重要だと思いますけれども、要介護認定は共通な判定が適切なのではないかというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/28
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029・渡辺孝男
○渡辺孝男君 また、ちょっとこの参考資料ではわからない点があったのでお聞きしたいんですけれども、複数のかかりつけ医がいる場合とかかりつけ医がいない場合の調査方法なんですけれども、この点に関しましては統一がなされているんでしょうか。
例えば、平成八年度のモデル事業で、複数のかかりつけ医がいて判定に意見の食い違いが起こったとか、かかりつけ医がいないために何らかの工夫をしたとか、そういう事例とかそういうものがあって何らかの改善がなされているのかどうか、その点に関しましてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/29
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030・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護認定に関しますモデル事業におきましては、調査対象者から調査協力の同意をいただく際に、一名のかかりつけ医師というものを指名していただく、こういう形で特定をしまして、その人に意見書の記載をお願いする、こういうふうな形でやるということにしております。八年度事業におきまして、複数のかかりつけ医師がいるというケースがありました。そういう場合には、一番その人の状態をよく熟知している医者に書いてもらうように指導をしたところでございます。
九年度のモデル事業におきましては、かかりつけ医師の意見書の中に他の医師への受診状況も書いてもらう、こういうような形でほかの医師にもかかっているということがわかるような形にしております。かかりつけ医師そのものは一番その人を熟知している人、ただ、そのかかりつけ医師の意見書の中には他の医師にもこうやってかかっておりますということを書いてもらう、こういうようなことにしているわけでございます。
それから、かかりつけ医師がいないケースはどうしたかという話でございますが、モデル事業だったわけでございますので八年度の事業におきましてはそういうケースはちょっと想定していなかったものですから、意見書を得られにくいケースについては審査の対象外として処理をしました。
九年度におきましては、モデル事業でございますので、かかりつけ医師がいる人を選んでくれということで実施をするということにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/30
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031・渡辺孝男
○渡辺孝男君 モデル事業の結果をもとにしていろいろ改善、あるいはモデル事業では対象外になっていたような項目に関しても今後検討していくということでありますけれども、今回のモデル事業の対象となった方は、現在介護サービス施設あるいは在宅で介護サービスを受けている方が対象となって調査がなされたというふうに理解しております。介護保険がもし導入されることになれば、家族でいろんな介護をしているので現在は介護サービスを受けていないけれども、介護保険が導入された場合にはぜひともその保険に入ってサービスを受けたいというような、そういう潜在的需要を抱いている方というのが当然いると思うんですね。介護保険の導入に伴って潜在的な介護需要者がどの程度ふえてくるのか、そのような調査というのも必要ではないかというふうに思います。
現在介護サービスを受けていない人で、今後介護保険が導入された場合にどの程度の人が介護サービスを受けようと希望しているのか、その辺の地域での具体的な調査というふうなものは今後厚生省としてどのように進めていかれるつもりなのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/31
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032・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。
この介護保険制度導入によりまして、新しく介護保険事業計画というものをつくるということにいたしてございます。その中では、先生今お話しございましたように、これから介護保険が導入をされますことによりまして、新たに顕在化をしてくる需要というものは当然出てまいります。もちろんその前に、高齢者の増加に伴います要介護者の増加というものも出てまいります。そういったものを含めました需要、それを真に必要な人たちがどれくらいおられるかということをきっちり把握をして、それを計画に反映していくということが大変大事だというふうに思っております。
したがいまして、この法律が成立をしましたならば、速やかにそういった実態調査をまず市町村の段階から行っていただく。そのために私どもとしても調査の際によるべき基本方針というようなものを定めまして、これにのっとって実態把握を行い、これによりまして今お話のございましたような顕在化したサービス必要量というようなものも含めて介護事業計画をつくり、したがって、介護保険法成立後におきましても、引き続いて介護サービス基盤の整備を進めていくということで進めていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/32
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033・渡辺孝男
○渡辺孝男君 介護需要がどれくらいふえてくるか、法案が成立してからそういう顕在化を調査するというのでは、私は逆ではないかと。そういう潜在的な介護需要、介護保険が導入された場合にはどのくらいの人が介護保険のサービスを受けて、また介護保険に入りたいかというようなニーズをきちんと調査して、それこそまさに保険あって介護サービスなしにならないようにするためには、それに基づいてきちんと介護基盤を整備するのが当然であると私は思うので、法案が成立してから調査するというのでは問題だ、その前にすべきであるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/33
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034・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 介護保険は御案内のとおり、今回の法案では平成十二年からのスタートにいたしております。その十二年度という形で期間を置きましたことの一つの理由は、やはりこの新しい保険ができることによりまして、それによって具体的なサービスの内容あるいは各給付の限度額というようなものも定まってまいります。
こういった新しい介護保険のいわば枠組みというものに基づいてどういう需要が出てくるかということを、推計ではなくて現実にその実態のところから調査をしていくという作業、これは法律を待ってやらなければなりません。したがって、法律成立後直ちに施行にせずに十二年度にしているのは一つそういう意味合いもあるわけであります。
そして、その十二年度に向けましては、現在進めております新ゴールドプランというのが、先ほどお話もございましたようにまだなかなか達成できないというところもございますし、地域的なばらつきあるいはサービスごとのばらつきもございますから、こういったもののまず達成についてさまざまな努力をしながら、あわせまして今申し上げましたような需要把握も並行してやっていって、新ゴールドプランが達成をされますのが平成十一年度末でございますから、それに引き続いて十二年度からは新しい計画が立ち上がれるようにしたい。そのためにも、この介護保険法案が今通りまして十二年度からの施行というのは、そういう意味では非常に大事な時期であるというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/34
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035・浜四津敏子
○浜四津敏子君 平成会の浜四津でございます。前回に引き続きまして質問させていただきます。
法案の第二十八条一項は要介護認定の有効期間を定めておりますが、この有効期間そのものも「厚生省令で定める」、こういうふうになっております。厚生省は大体どれぐらいの期間を考えておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/35
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036・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護状態の区分であるとか更新回数等を勘案して定めるということになりますが、大体三カ月から六カ月を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/36
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037・浜四津敏子
○浜四津敏子君 介護状態の変化があったときには二十九条で変更の手続をとる、これも認定の申請の手続が必要と、こういう仕組みになっております。高齢者の方々の気力、体力あるいは症状というのは一日で急変することも多いわけで、迅速的確に現場のニーズに対応できる仕組みとは到底考えられない仕組みであると思います。余りに機械的であり、また現場の声を入れていないのではないか、こういう批判があります。
これはある福祉施設の方の声ですけれども、きのうまで元気でいらっしゃった高齢者の方が一日で最重度の要介護状態になる、そういうことはかなり頻繁にあり得るんだと。こういう高齢者の方々の気力、体力の哀れさというものを厚生省の方々は本当に知っているんだろうか、こういう声がありました。
この要介護認定ですけれども、認定を拒否されたりあるいは軽い等級に判定された場合に、多数の不服申し立てが予測されます。ドイツでも大変殺到したと言われております。不服審査に当たる介護保険審査会、百八十三条、百八十四条にその関係の規定がありますけれども、この不服審査に当たる介護保険審査会、この仕組みで恐らく多数予測される不服申し立てに十分に対応できるというふうにお考えでしょうか。また、機能できると考えておられるのか。それから、不服審査の透明性、迅速性はどのように担保されているかについて、厚生省、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/37
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038・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 不服審査を行います介護保険審査会の体制でございますが、法律の百八十五条にありますように、被保険者を代表する委員と市町村を代表する委員と公益を代表する委員とありまして、前二者は三人ということでありますが、公益を代表する委員は「三人以上であって政令で定める基準に従い条例で定める員数」というふうになっております。
介護認定をめぐる不服申し立てのうち、特に要介護認定に関する部分、これは専門的な判断が要るんだろうというふうに思います。こういう部分はまさに公益を代表する委員だけでそれに対応することができる。ですから、人数に応じて、高齢者のニーズに応じて条例で必要な定員を定めて、そして対応できるような形にするということでございます。
それから、迅速性、透明性でございますが、迅速さにつきましては、要介護認定に関する不服につきましては、今申し上げましたような公益を代表する委員を多く選任することによって不服審査に対応する、これで迅速に対応できるということでございます。後の透明性というものにつきましては、いわゆる通常の不服審査と同じような形で、文書をもってとか、そういう形で対応することになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/38
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039・浜四津敏子
○浜四津敏子君 ちょっとただいまの御説明では、透明性、迅速性について十分担保されているとは考えられないように思います。このままではドイツと同じように日本でも大変な混乱が予測されるというふうに思います。
次に、四十一条の二項に「居宅介護サービス費は、厚生省令で定めるところにより、市町村が必要と認める場合に限り、支給する」、こう決められております。ここでも「厚生省令で定めるところにより、」とこうなっておりますが、何を定めるんでしょうか。また、「市町村が必要と認める場合に限り、支給する」というのは、それでは市町村が必要と認めない場合は支給しなくていいという仕組みになっている、こういうことですけれども、どういう場合を想定しているのか。また、市町村によってこれは必要だこれは不要だ、こういうまちまちの判断が出ることになるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/39
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040・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 四十一条の二項の規定でございますが、この厚生省令では、訪問看護とか訪問リハビリテーションなどの医療系の居宅サービスを念頭に置いております。それぞれの事業の定義の中で、例えば訪問看護でありますと、主治医の医師がその治療の必要の程度につき厚生省令で定める基準に適合していると認めたものに限るということで、訪問看護は主治医の判断によって受けられるということになるわけでありますが、その要件に合致しているということを例えば医師の指示書とか医師の作成するリハビリ計画書などで確認をするというようなことが四十一条二項の厚生省令で定める中身でございまして、その確認をして市町村が支給をするということでございます。そして、この「必要と認める場合に限り、」とありますが、それを確認した場合には当然支給をする。要件に合っていながら給付をしないことがある、こういうケースは生じないような形で運用していただくということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/40
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041・浜四津敏子
○浜四津敏子君 次に、同じく四十一条の四項で、これは居宅介護サービス費の額についての規定がなされております。介護報酬額あるいは介護報酬の点数ということになるんでしょうか。
この中で、「居宅サービスの種類ごとに、当該居宅サービスの種類に係る指定居宅サービスの内容、当該指定居宅サービスの事業を行う事業所の所在する地域等を勘案して算定される当該指定居宅サービスに要する平均的な費用の額を勘案して厚生大臣が定める基準により算定した費用の額」、その九割を支給すると、こういう規定になっておりますが、ここで言う平均的な費用というのはだれが算定するんでしょうか。それから算定の手続はどうなっているのか。また、算定の根拠は公開されるのかどうか。費用の見直しの手続、期間、こういうものについてもどうお考えなのか。一般の市民の方々が、その算定の根拠とか手続とかあるいは額が正当かどうかというのはどういう方法で知ることができるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/41
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042・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) まず、当該指定居宅サービスに要する平均的な費用でございますが、これにつきましては条文にありますようにサービスの内容とか事業所の所在する地域等を勘案して算定される平均的な費用というふうになっているわけでありますが、この費用は現に要する費用につきまして実態調査をして把握するということでございます。
それから、厚生大臣が定める基準でございますが、これは今、実態調査をやって把握しました平均的な費用、これを踏まえましてあらかじめ審議会の意見を聞いた上で厚生大臣が定めるということになります。
それから、費用算定の見直しの時期の問題でございますが、これは当該審議会の議論を踏まえてどういう間隔で改定をしていくか、これを決めていくということになります。
それから審議会、ここでいろいろ決めていきます審議会の議論でございますが、これは原則として公開をするという方向で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/42
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043・浜四津敏子
○浜四津敏子君 今、平均的な費用については実態調査をして把握すると、こういう御答弁がありました。
そうしますと、実態調査をして実勢価格はきちんと把握される、それを勘案して今度は厚生大臣が基準を決める、それによって算定した費用の九割を支給すると、こういう二段構えになっていますけれども、実際に支給する額の算定については実勢価格で計算するつもりはあるんでしょうか。それとも従来のように、いわゆる国の基準単価というのは実勢価格よりはるかに低い、大体半分以下というふうにも言われておりますけれども、そうなりますと、幾ら介護に要する費用の九割を支給するといっても実質的にはそれよりはるかに低い部分しか支給されない、こういうことになります。ですから、この「厚生大臣が定める基準により算定した費用」というのは非常に重要な意味を持ってまいりますが、これは実勢価格で計算する御予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/43
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044・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 厚生大臣が定める基準につきましては、今の規定の第五項にありますように、あらかじめ審議会の意見を聞くという手続を経て決めるわけでございます。
決めるに際しましては、先ほど申し上げましたように、サービスの内容であるとか事業所の所在する地域とかそういうものを勘案して、実態調査をやった実勢価格、平均的な費用、これを勘案して設定をするということになるわけであります。
現に要している費用等につきまして、実態調査によって把握されたその結果を踏まえて、この審議会にかけて議論をして整理をしていただくということになりますので、実勢価格とかけ離れたものになることはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/44
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045・浜四津敏子
○浜四津敏子君 今の御答弁で、この支給の対象となる金額については、つまり実勢価格とかけ離れた金額にはならないんだと、こういう御答弁でした。その九割が支給されると、このように理解してよろしいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/45
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046・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 実勢価格を踏まえて基準が定められるわけでございます。そして、それの九割が介護保険から給付されるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/46
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047・浜四津敏子
○浜四津敏子君 そこの仕組みのところで実勢価格とかけ離れる、こういうこれまでのやり方があったわけで、そこを一番危惧しているところでございます。
いずれにしても、これが本当に実勢価格できちんと算定されるのかどうか。それは、仮にこれが導入されるということになりましたらきちんと監視していかなくてはいけない重大なポイントであるというふうに考えております。
ところで、実勢価格を参考にすると言いながら、恐らくこれまでと同様にかなり低い金額になるんだろうというふうに予測されますけれども、そうなりますと、介護報酬だけではほとんどの特養ホームというのは経営が成り立ちません。厚生省はこういう介護報酬の決め方で特養ホームの経営が成り立つというふうにお考えなのか。あるいは経営がちゃんと成り立つようにきちんと報酬の額を決める、こういう姿勢なのかお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/47
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048・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険制度導入後の特別養護老人ホームの介護報酬につきまして、これも今申し上げましたようなルールに従いまして、費用についての実態であるとか施設入所の実態、そういうものを把握して、平均的な運営や入所実態にある特別養護老人ホームであれば、適切な経営が行われるような水準に介護報酬が設定されるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/48
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049・浜四津敏子
○浜四津敏子君 今の御説明ではどうもやはり介護報酬というのは大変低いと。これでは現在の特養ホームというのは利用者から保険外負担を取らなければ経営が成り立たなくなる、多くのところが倒産のおそれが出てくるというふうに危惧いたします。
また、現在入居している人が要介護認定から外れた場合、これもかなりの数が予測されるわけですけれども、保険から介護報酬を支払われなくなります。その場合、施設としてはどう対処すればいいというふうに厚生省はお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/49
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050・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 現在、法施行時点におきまして特別養護老人ホームに入っている人につきましては五年間の経過措置があるわけでございます。
この経過措置期間の介護報酬の定め方につきましては同じルールに従ってやるわけでございますが、その場合には、先般釘宮議員からの御質問もありましたが、今までの施設経営との接続性というものを考えながら、この介護報酬を審議会で検討していただくわけでありますが、十分そういう問題意識を持って検討していただこうということを申し上げたわけでございます。
したがいまして、五年間の経過措置における介護報酬のあり方は、そういう側面も踏まえて審議会で検討して適切な基準を定めてもらおうというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/50
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051・浜四津敏子
○浜四津敏子君 ところで、この介護報酬というのは、要介護度が高ければ高いほど報酬も高くなる、こういう仕組みと考えてよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/51
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052・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護度が高い人はそれだけサービス量が多い人ということで基準をつくっておりますので、要介護度が高い人の方が当然介護報酬の限度額は高くなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/52
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053・浜四津敏子
○浜四津敏子君 そうしますと、例えば現在、要介護度Ⅳ度の人を一生懸命リハビリをして、あるいは寝たきりにさせないためにいろんな努力をして、そして介護度が低くなった。こういう自立支援の努力というのはどう評価されるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/53
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054・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) そういう問題意識が衆議院でも議論されまして、衆議院の附帯決議におきまして、「介護報酬の設定に当たっては、介護の困難度、地域差、要介護度の改善への動機づけ等を勘案すること。」ということを言われておりまして、まさに先生御指摘のいわゆる改善したときのインセンティブ、こういうものを介護報酬の中でも考えるようにと。ただ、具体的にこれをどんなふうにするかはこれから検討していくことになりますけれども、そういうことが必要ではないかというふうに思います。ただ、この考え方も、施設と在宅と全く同じで考えるのかどうか。サービスの内容は置かれている状態によって大分違ってくるんではないかと思います。
そしてまた、リハビリその他によりましていわゆる自活力が高まって、そして例えば介助が必要な人が自力でトイレに行けるようになるとこれは本人も大変喜びというか幸せになるわけであります。そういうときに、その人にその後必要なサービス量がきちんと提供できれば基本的にはその人の自立支援ができるわけでありますから、そういう自立支援をきちんとやりながら、かつまたインセンティブ、改善をもたらしていくそういうような要素も加味しながら介護報酬のあり方を検討させていただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/54
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055・浜四津敏子
○浜四津敏子君 特に施設サービスの中においては、介護度が重度化するにつれて給付額が増加する、こういう仕組みだけですと、今答弁にありましたように、要介護度を軽くするインセンティブが働かないことになります。そういう介護の倫理が働かない仕組みというのは制度として欠陥があるんだと思います。
ドイツでの介護保険が施行一年足らずで失敗という声が上がった理由の一つがこの重度化するほど給付額が高いということで、リハビリ努力もしないで見せかけの介護になっている、これが原因だというふうに言われております。
リハビリあるいは自立支援の努力をして、そして介護度が低くなった場合にはそれを評価するシステム、例えば割り増し料を払うとかそういう工夫がぜひとも必要である、今のままでは欠陥があると、こう思います。
次に、要介護の方々へのサービス、その中でも例えば徘徊する高齢者、その徘徊への対応、あるいは暴力行為あるいは異常行動、こういうことに対する対応というのが非常に現場では大変なわけですけれども、これらの対応はこの報酬の中ではどう評価されることになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/55
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056・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険法案におきましては、介護の必要度に応じて介護認定がなされるということでございますので、徘徊であるとか暴力を振るうであるとか、そういうことが原因でその人を見守ってなくちゃいけないとか、あるいはいろんな問題行動へ対応しなくちゃいけないとか、そういうふうに介護の手がかかる、そういうものにつきましては、それが要介護認定に反映されるようになるものというふうに考えております。
それは、今回のモデル調査でもそうでございますが、先ほど渡辺先生のお話にもありましたけれども、調査員が要介護者の自宅を訪問して調査する調査票にその人の日常の動作などを特記事項としていろいろ書いていただくとか、あるいはかかりつけ医師にもそういう痴呆の問題その他、それの様式をつくりまして、その中できちんと書いてもらう。そういう工夫をしているわけでございますが、そういうものを総体として踏まえて要介護認定が行われるわけでございますので、そういう認定に反映されるものというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/56
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057・浜四津敏子
○浜四津敏子君 ところで、施設では、その施設を利用されている高齢者の方々のために、より文化的あるいは人間的な処遇をするためにいろんなサービスを提供しております。例えば、クラブ活動とか、あるいはさまざまな行事というこういう付加的なサービスというのは介護報酬の対象にならないんでしょうか。仮にならないとすると、金銭的にはやるだけマイナスということになります。良心的あるいは良識的な施設が苦しむことになる制度であると言わざるを得ませんけれども、おかしいんではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/57
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058・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 現在の特養などでも、時にはレクリエーションをやるとか花見をするとかどこかへ出かけるとかという、そういう行事を組んだりしているわけであります。介護保険の介護報酬につきましては、施設の場合でございますが、要介護度に応じてその介護報酬を決めていくことになりますが、当然その施設における共通の経費というものがあるわけでございまして、そういう共通の経費と要介護度に応じて変わる部分と、それを組み合わせて多分介護報酬というのはつくられるようになると思います。
そして、例えばそれはこれからの検討でありますが、逐一おふろに入って何点、あるいは食事をして何点と細かくするのではなくて、施設ですから生活全体を見ているわけでありますので、包括的にそのサービス全体をとらえて評価をするということになるのかなと。そうしますと、そういう例えば四季折々の行事を組むとか、非常に娯楽的なプログラムを組むとか、そういうことも個々に評価をするというのではありませんが、施設運営全体の評価としてそういうものも含まれた評価で介護報酬というものが考えられると。これから検討する話でありますが、そういう方向で検討していただくということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/58
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059・浜四津敏子
○浜四津敏子君 そうしますと、この報酬については個々の要介護度に応じた報酬と、施設の全体のサービスに対する報酬と二種類あるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/59
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060・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 二種類というのではなくて、考え方でございますが、要介護度の高い人、低い人がいれば、当然介護という意味での手のかかりぐあいに大小の差があるわけでございます。しかし、仮に要介護度が低くても高くても、例えば事務スタッフは置かなくちゃいけないとか、あるいは食事のための体制を整えておかなくちゃいけないという共通経費もあるわけでございますので、そういう両方を勘案して要介護度に応じた介護報酬基準、これが定められるものというふうに思っております。申し上げましたのはいわゆる考え方でありまして、あらわれてくるのは一本の基準ということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/60
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061・浜四津敏子
○浜四津敏子君 つまり、現段階でこういう現場にとっては非常に重要な事柄がまだこれからの検討、決まっていませんと、こういうことが余りに多過ぎるんじゃないでしょうか。
また、もう一つ、要介護者にはおむつが必要な方々が多いわけですけれども、おむつ代というのは施設サービスと在宅サービスとでその対応に違いがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/61
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062・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 現在考えておりますのは、施設に入りました場合には施設のサービスの中におむつにかかる費用も含ませるというのが適当かなというふうに思っております。在宅の場合には、その費用は含ませないでそれは自分で調達をしていただいて、いわゆる介護サービスを提供するというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/62
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063・浜四津敏子
○浜四津敏子君 そうしますと、おむつ代というのはほんの一例ですけれども、こういうふうに同じサービスの内容でも施設サービスと在宅サービスとで格差が出てくると。これも恐らくこれからの検討ということで目に見えてくるのがいつなのかよくわかりませんけれども、本来利用者は施設サービスでも在宅介護サービスでも選べるんだと、こういう厚生省のお話ですけれども、選んだ結果がこういう格差になる、こういう仕組みというのはやはり問題があると思います。
時間がありませんので次に進みますが、費用の自己負担、利用者が自己負担をする割合というのが一割と、こう決められております。利用者が負担するのは費用の一割、この定率負担についても先ほどちょっと指摘いたしましたが、果たして本当にかかる費用の一割となるのかどうかというのが非常に疑問ですけれども、いずれにしても費用の一割の定率負担、それから食費の標準負担額、それから日常生活費、こういうものが利用者の負担になってくるわけです。
現行の制度においては所得に応じた利用料の徴収が行われております。
介護保険が導入されるということになりますと、所得の多い人はこれまでより負担が軽くなる、それに対して低所得者は負担が重くなることがほとんどと。この介護保険制度というのは、現行制度に比べて明らかに低所得層には非常に厳しい仕組みになっている、制度そのものがそういう仕組みになっております。極めて逆進性が高い。
例えば在宅サービス、上限が決められておりますけれども、重度の、例えばⅣ度の方々には給付の上限は大体二十一万から二十七万、こうなっております。そうしますと、このサービスを利用する方はその一割、大体二万円から二万七千円を月負担する。あるいは施設サービスですと、例えば特養は二十九万円、そのうちの一割、二万九千円。老健施設、三十二万までということになりますとその一割、三万二千円。
これは、例えば老人ホームの利用者の所得調査によりますと、年収五十万未満の方が約半分、年収百万未満が七五%を占めております。施設サービスの自己負担分、これは例えば特養で約三万ということになりますと年三十万です。年収五十万のうちの三十万、これに食費、それから日常生活費。
厚生省は、こういう施設収容者の例えば食費とか日常生活費は大体どのくらいと推計しておられるのか、こういう方々は果たして本当に生活をしていけるというふうに考えておられるのかどうか、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/63
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064・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 正式には実態調査を踏まえて介護報酬等で決めていく話になりますが、私どもの方では、例えば食事につきましては現在の医療保険の入院の際に取られておる食費ということを考えますと一日七百六十円、これの三十倍という数字になるんだと思います。それに施設サービス費、食事を除いたサービスについての一割負担を乗せていくということになるわけであります。
その施設の方のサービスは、療養型病床群、老健施設、特別養護老人ホーム、それぞれサービスの内容が違いますので、それによりまして当然介護報酬でカバーする範囲が変わってきますから、その金額が高くなってまいります。それのそれぞれ一割ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/64
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065・浜四津敏子
○浜四津敏子君 また、在宅を例にとりますと、現行の在宅サービスを受けている世帯には非課税世帯などの低所得者が多い、利用者負担ゼロの世帯も多いわけです。これまで無料サービスだった、あるいは有料でも非常に低い額だったサービスが、介護保険制度が導入されることになると保険料を取られた上にまた有料でかなりの負担となる、これで理解が得られるというふうにお考えでしょうか。
制度を導入するときには何となくバラ色の夢を持たされて、そして制度が導入されてみたら非常に厳しい負担になった、これは制度に対する信頼性を非常に損なうものであると思います。徴収する現場は特に混乱するのではないでしょうか。この点は厚生省はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/65
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066・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 現在の介護保険制度は応益負担、受益した効果に応じて負担をしていただくということでございます。
そういうことでございますが、低所得者の方につきましては高額介護サービス費、こういう上限を、医療でいえば高額療養費と同じようなものでございますが、そういうものにつきまして定率負担でありましてもサービスのもとが大きくなりますと負担額が大きくなるわけでございますので、その上限を課すと。その際に低所得者につきましては、さらにそれに配慮した上限を低い水準に抑える、あるいはまた施設に入所した場合も食事の一部自己負担をしていただくわけでありますが、その自己負担の金額につきましても低所得者の場合には少し低い水準にする、こういうことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/66
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067・浜四津敏子
○浜四津敏子君 例えば施設の中での食費とかあるいは一割負担、日常生活費というのは施設が徴収することになるだろうと思いますけれども、これは非常に徴収しにくいということになるだろうと思います。また、自己負担分が払えない人について減免措置がありません。この減免規定を、仮にこういう仕組みを仕組むのであれば、当然きちんと整備するべきであると思います。
ところで、附則の三条には、「政府は、この法律の施行後、」「必要があると認めるときは、居宅サービス、施設サービス等に要する費用に占める介護給付等の割合について、検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」、こうあります。私はこれを読んだときに何を言っているのか、ちょっと一読したときにはわかりませんでしたけれども、これは要するに一割の自己負担分を見直すという意味ですね。いずれ二割、三割に上げるという意味がこの中に含まれているんではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/67
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068・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護費用は、全体の費用を自己負担とそれから給付の中身では半分を公費、半分を保険料で賄うというようになっているわけであります。制度を運営していく中でこの給付と負担の公平とか制度の安定的な運営のために制度施行後一体どういうふうにそれを考えていくかということでございまして、上げるぞということを一律に決めているわけではありませんが、今申し上げました保険料、公費、利用者負担の三者の適切な均衡を検討すべきであるということが規定されているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/68
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069・浜四津敏子
○浜四津敏子君 つまり、医療保険の自己負担の割合がこの九月から一割から二割に上がった、そしてまた三割に上げようとされているわけですけれども、これと同じ構図、システムとして同じ構図なんだろうと思います。この保険料とかあるいは自己負担の割合とか、こういうものが国会の審議は全く経ずに知らないところで厚生省が決める、こういう仕組みになっている、これは一度制度が導入されますと保険料もあるいは自己負担も国民の方々が異議を挟む余地なく決められていく、こういう構図になっております。
次に、保険料について伺います。
百二十九条に規定がありますけれども、いわゆる第二号被保険者、つまり四十歳以上六十五歳未満の被保険者の保険料についてはその半分が事業主負担あるいは公費負担、本人は基準額の二分の一を負担するだけで済む、こういうことになっております。また、被扶養者の妻は負担がない、こういう仕組みになっております。
これに対しまして、第一号被保険者については一般的に現役世代よりは所得が低い、統計でもそう出ておりますが、所得が低いにもかかわらず、今度は六十五歳になりますと逆に本人が全額負担しなければならない、しかも被扶養者である妻も当然負担する、この格差というのは不公平ではないですか、あるいは矛盾するとお考えではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/69
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070・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) お答えの前に、先ほどお答えしましたことと関連してちょっと一言つけ加えたいのでございますが、給付率につきましては法律の中に百分の九十というふうに書いてありますから、給付率を見直すということになれば当然これは法律の改正が必要でありますので、厚生省が独自に直すというものではございません。
それから、保険料につきましても、医療保険料と介護保険料を足し合わせた保険料の上限というのは、政管健保の場合、法律に書いてあるわけでございますので、これを超えて保険料を上げるということになれば当然法律改正が必要になってくるわけであります。ですから、その辺はいわゆる給付率も保険料率も厚生省が決めると、今のは政管健保のケースで申し上げましたが、そういうものではないわけでございます。
それから、ただいまの御質問でございますが、二号被保険者と一号被保険者との対比ということでございます。これは、四十歳から六十五歳までの方は医療保険の制度に乗っかって保険料を納めていくという仕組みにしておりまして、そしてその医療保険の保険料の納め方と同じ考え方で介護保険料を納めてもらう。それが、今、先生から御指摘がありましたように、納めるべき保険料の半分は事業主が負担するということになるわけでございます。
また、被扶養者としての奥さんが働いていない人がいた場合に、四十歳を超えていればその人も当然第二号被保険者でありますから、その人の分も負担分は計算されて、それを現に働いている人が分担をするという形になるわけでございまして、保険集団としては四十歳以上の人の被扶養者も含めた集団として負担をするという形になっているわけであります。
それから、そうでありましても六十五歳以上の人につきましては本人負担だけではないかというお話でございました。これは、実際要介護状態になる確率というんでしょうか、これの確率が大分六十五歳未満と六十五歳以上では差があるわけでございまして、そういう受益の機会というものを考えますと、保険料負担について一人当たり見れば均等すると同じということになるわけでありますが、その内訳についての負担の仕方は違いますけれども、受益の確率というものもまた大きく違うわけでございまして、これを踏まえれば御理解いただけるものではないかというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/70
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071・浜四津敏子
○浜四津敏子君 先ほどのまた議論に戻りますけれども、例えば九割の給付率を見直すときには法律改正が必要なんだ、こういうお話ですけれども、給付率を見直さなくても、もともと基準単価の設定を下げれば実質的には給付率を下げたのと同じ効果になります。本当は実勢価格で五十万かかったところを三十万しか認めない、こういうことになりますと、三十万という基準単価で二十七万円出しますといっても五十万のところを二十七万出す、こういう結果になりますので、それは先ほどの質問のお答えにはならないんじゃないかと思います。
いずれにしても、また議論を戻させていただきますが、保険料の改定を三年ごとにする、こういうことになっておりますが、これは年金支給額の物価スライドをはるかに上回る値上がりが予測されるという声が上がっております。この年金支給額の物価スライドとの関連性は配慮されるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/71
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072・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 一号被保険者の保険料は、市町村が定めます介護保険事業計画、これでその区域におきましてどういうサービスが提供されるかわかるわけでございます。こういう提供されるサービスの量を踏まえて介護保険料というものが定められていきます。この計画は五カ年計画でございますが、三年ごとに見直しをしてローリングをしていくということにしておりますので、介護保険料もローリングのたびごとに見直していく、そういうことで三年に一度見直すということになるわけであります。
介護費用がこれから高齢化が進むにつれまして高まっていくだろう、これは確かにそのとおりでございます。医療保険と福祉措置制度に分かれている現行制度でありましても、あるいはどんな制度でありましても高齢化率が高まっていくわけでありますから、必ず介護費用というのは総体としては高まるわけであります。この高まる率は、恐らく物価上昇よりも高いスピードでいくだろうというふうに思います。ただ、介護保険料の決め方は、年金の物価スライドと全く連動することなく、最初に申し上げましたように市町村が定めます介護保険事業計画、そのサービス量をもとに計算していきますから、それで介護保険料が決まっていきますので、年金の物価スライドとの連動は特にございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/72
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073・浜四津敏子
○浜四津敏子君 つまり、三年ごとに介護の経費を計算して、その二分の一の財源を保険料で賄う、こういう仕組みになっていますから、自動的に改定額というのは決まってくる、つまり介護経費がふえればそこから保険料というのは自動的に決まってくる、こういう仕組みなんだろうと思います。そうなりますと、介護経費が非常に増大した、だから保険料もそれに伴って天井知らずに上がっていく、そういう危険性のある仕組みだろうというふうに思います。
この続きにつきましてはまだまだたくさん質問したいことがありますのでまた次回に譲らせていただきますが、今回、厚生大臣に一つだけお尋ねさせていただきます。
前回も質問いたしましたが、政令・省令委任事項というのが約三百にも及んでいる。今質問いたしましても、これから検討します、これからこういう事情を考慮しながら決めますと、こういう御答弁が返ってくる。つまり、明確な具体的な中身というのはまだはっきり見えていないと言っても過言ではないと思います。
つまり、政省令事項にこれだけ多くのことを、しかも重要なこともたくさん委任しているというのは何を意味しているのか。それはやはり、ある面で言えば、国会を軽視しているということになるんじゃないでしょうか。国会ではなくて行政がほとんど決める。行政改革に非常に前向きで熱心に取り組んでおられる小泉厚生大臣が、こういう法律を積極的に、そして一日も早く通してほしいと、こうおっしゃる意味がよくわからないんですけれども、一言御見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/73
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074・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 今までのお話を伺ってみて、よくこういう難しい問題を法案化したな、関係者の努力は大変だなと、敬意を表したいと思っております。
大事なのは、政治が大方針を決める、後、行政がその方針に従って細かいことを決めていくという点にかなっているのではないかと。法律を逸脱するような政省令を決めるわけありません。またそのようなことがあったら国会が承知しないということで、まだまだ具体的にわからない点があるけれども、基本的な方針をよく官僚諸君が把握して、その中で行政サービスを展開するという上において、私は、余り細々法律で決めるよりも法律の精神をよく理解して行政が対応する方が適当ではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/74
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075・浜四津敏子
○浜四津敏子君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/75
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076・今井澄
○今井澄君 私は、本日は主として基盤整備について御質問をしたいと思います。
先ほど渡辺委員の方でかなり詳細にされましたのでダブる点は省略していきたいと思いますが、先ほど渡辺委員の御質問に対して厚生大臣が、この基盤整備、新ゴールドプラン達成について不安がある、しかし法律の成立が介護基盤の整備を促進するというふうなことを言われたと思います。
それで、まずその新ゴールドプランの達成率というのが現在必ずしも高くない、むしろ低いんじゃないだろうかというふうに言われていること、それから先ほどの渡辺委員の引用にもありましたように、日経のアンケートによれば完全に達成できるのは本当に二割ちょっとに過ぎないというふうなことですね。この前の二十一日の参考人質疑でも、伊藤参考人は七割の自治体で達成が困難視されているというふうなことを言っておりますし、先日ある新聞の社説の中では、まだ新ゴールドプランの達成率は五〇%前後だなどという指摘もあるんですね。そういうことについて、このままでいくと介護保険のスタート時点で保険あってサービスなしと、私もそういう危惧を持つわけですが、もう一度厚生大臣にその点の認識。
それから、こういうふうに各種報道されたりアンケート調査の結果が発表されるわけですが、その中には間違いもあると思うんです。そうしたら、間違ったらこれは国民にいたずらに不安を与えるものですから正さなければならない点もあるのではないかと思うんですが、そういう世論、マスコミの動きを含めて、厚生大臣の御認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/76
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077・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 現在、御審議いただいておりますこの介護保険の制度が導入されるという可能性が高まってくるにつれて、私は、関係市町村、国民の理解も深まってくるのではないか、一方で不安が出ているのもそのあらわれだと見ております。現実に、だんだんこの法案が成立するな、自分たちの市町村はどうなんだろうか、あるいは介護基盤の進捗状況はどうなんだろうと。遠いことのように思えた問題が身近な問題になってくるということでいろいろ関心が高まり、その中で、それでは自分の市町村はどうなんだろうかという点においては、いろんな問題点が新聞、マスコミ等で報道されることによって、むしろ私は理解が進んでいくのではないかと思っています。
その中で、新ゴールドプランの整備が順調に進んでいるところ、あるいは予定どおりいっていないうまくいっていないところが当然出てくると思います。全般的に順調に進んでいるという方向だと思いますが、中には進んでいない、そういうところについては今後この格差をどうやって埋めていくか、進んでいるところと進んでいないところの両方を見て、厚生省としては進んでいない地域においてしかるべき指導、助言をしていかなきゃならないと思いますが、この法案が成立することによって真剣に、今よりもより真剣に各地方自治体が基盤整備に取り組んでくれるということを期待しております。
そして、なぜ進んでいないのか、なぜこっちは進んでいるのかというのを比較しながらその理由分析をして、できるだけその差がないように、そしてゴールドプランが順調に十一年度末までに整備されていくようにいろいろな支援策、指導が必要ではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/77
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078・今井澄
○今井澄君 今、厚生大臣の言われたことで一つ大事なのは地域差の問題だと思うんですね。それから、特に進んでいないところはなぜかという原因を調べる。確かに進んでいる地域は大変に進んでいるわけでありまじて、まだ民族大移動にはなりませんが、わずかな移動ですけれども、そういうサービスの進んでいる地域に住んでみたいとむしろ引っ越す人なんかも出てきているという現状があるわけです。
これは振り返ってみますと、高齢者介護・自立支援システム研究会報告が出され、研究会の中でも、市町村間の格差ができることはいいとは言わないけれども、むしろ競争してもらいたいと。自治体が住民に対してどういうサービス、例えばいわゆるインフラ整備、道路とかそういうものの整備を主に進めるのか、産業とか観光開発とかを進めるのか、あるいは福祉の充実を進めるのか、そういうところをむしろ市町村の自主性に任せるという分権の考え方がかなりあったと思います。それが今はどちらかというと世論の方向としては一律にという、もちろん国の政策としては全国の水準が落ちるところのないように上げることが必要なんですけれども、どうも現場から求めるのは横並びというか一律ということが強くなっているようで、むしろ私は危惧するわけです。
さてそこで、地域差という問題の前に、地域差も含めてで結構なんですが、今、特養だけは達成率は非常に高いわけですよね。例えば、私の手元には平成七年度の実績までしかないんですが、ゴールドプランが始まって新ゴールドプランが完成する平成十一年度まででは、平成七年度で六年目になるわけですが、六年目のところで既に八〇%を超えて達成されている。国の予算も当初予算を上回るわけですが、それ以外のものはおおむね達成率が低いと考えていいと思います。平成七年度、一番高いものでも例えばホームヘルパーが五六・二%ということで六割に達していないわけですが、こういうふうに達成率が低い、あるいは、先ほど渡辺委員からお話がありましたように、市町村が何か悲鳴を上げているような状況というのはどういうところに原因があるのか。
先ほど老人保健福祉局長は、市町村みずからが原因分析をすべきである、国は支援するんだと、ちょっと突き放した言い方をされました。それも私はわからないわけではないんですね、先ほどちょっと申し上げた市町村が責任を持ってという意味では。現にやっているところがあるんだから、やっていないところは自分で分析しろというのも私はあながちいけないということは申し上げませんが、しかし厚生省が全体として支援するというからにはその理由についてある程度分析を、これからというのじゃなくて、もう既にしておられてしかるべきだと思うんです。
この前も私、参考人質疑のときにちょっと参考人に質問したんですが、明確な答えは得られませんでした。例えば、そもそも目標が高過ぎたんだと。例えばシンクタンクに委託してつくらせたと、自分でつくっていないというところも含めて。そういうことがあれば当然もともと達成できないわけです。
それから、よく言われる目標数値に合わせた国の財源措置が不足しているということについてはどうなのか。国の財源措置はあると先ほど局長は言われたんですが、現場の市町村がそれを十分にこなしていないということなのか。あるいは、財源も一応ある、市町村もやろうと思った、ところが現にニーズがない、だから例えばホームヘルパーをふやしてもこれ以上ニーズがないからとりあえずふやさないでおく。いろんな理由があると思うんですけれども、その点については厚生省の方ではどの程度まで地域差だとか事業別だとか原因分析を進めておられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/78
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079・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。
先生のお尋ねの前に、先ほどの答弁に関しまして、私ども専ら市町村長の責任、市町村長のやる気次第だということを申し上げているわけではございません。私どもの方もある意味からいうと大変腐心をしていかなければならないことであろうというふうに思います。したがって、その分析等につきましても、私どもの方も会議等を通じまして、いわばともに考えるという姿勢で分析をしょうじゃないかということでやっております。
もう一つ、前提であれさせていただきますが、先ほど先生、平成七年度の状況で言っていただきましたけれども、その後の状況等も踏まえて一応あれいたしますと、確かに特別養護老人ホームが非常に進んでおります。そのほかホームヘルパー、いわゆる訪問介護員でございますとか、ショートステイ、短期の入所、ここらについても比較的順調にその後も伸びてきております。また、老人保健施設も全国ベースではその後の伸びが急速でございます。そのほか主として在宅部分でかなり落ち込みというかまだ落差のある部分がデイサービスでございますとか、あるいは在宅介護支援センター、訪問看護ステーション、こういったところの進捗が全体的に見てもちょっときついところでございまして、そういったことが一つあるのと、それから今申し上げた全体的には伸びているというものについても地域差があるということで先生のお話がございました。
そこで、その地域差のいわば原因でございます。これも全体的にその地域の置かれている状況、地理的な条件でございますとか、あるいはその首長さんのいわば方針でございますとかという一般的な原因がありますと同時に、施設ごとにやはり一つ原因があるだろうというものもございます。例えば、デイサービスのようなものについてはどうしても特養を拠点にしてデイサービスをするというような形に展開をしがちでございますから、仮に在宅サービスであってもそういった施設が拠点として要るようなものについては都市部ではなかなか用地確保が困難であるとか、それからいわゆる過疎地においては利用人員の確保が困難であるとか、こういった原因が一つ大きくございます。
それからさらに言えば、その地域での気風みたいなものも確かに影響している部分がございまして、できるだけ地域で支えていこうという風潮があるところと、もう大変になったら施設でという気風がありまして在宅が伸びないところがあるとかさまざまな原因がございますけれども、私どもとしてはそういった原因を乗り越えてできるだけ意欲を持って進めていただくためには、例えば先ほどの用地難というようなことについては既存の施設の利用というような弾力的な運用をするとか、あるいは規模等についても比較的小規模のものも認めていくとか、そういったような工夫をする中で、原因分析と同時に、そういった分析に基づいてできる手段というものについてはこれまでもきめ細かに整えてきております。これからもまだそういう意味での知恵をさらに出していかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/79
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080・今井澄
○今井澄君 先ほど渡辺委員が引用されましたが、やはり市町村に行きますと私も財政が苦しいというお話を聞くんです。これはそもそも市町村の財政が苦しいということでありまして、国の財源措置が足りないかどうかという問題については、物によって違いますけれども、例えば国が半分、残りの半分を都道府県と市町村というふうな場合にはそれなりに確かに予算上は措置されている面が多いというふうに思いますが、そもそも市町村が負担する、例えば四分の一を負担するのに苦しいというふうなことがあると思うんですね。
こういう問題は国全体として解決していかなければならない問題があると思うんですが、一応のルールにのっとって国の方が予算措置をした場合、先ほども挙げられましたホームヘルパーの補助単価が低いという問題、局長さんは、いや一方では自治体のホームヘルパーは高過ぎるよという研究報告もあるんだと、事実そのとおりだと思いますが、しかし私はこれには二つ問題があると思うんですね、そう言い切っていいのかどうか。
一つは、やはり人件費というのは地域格差が物すごく大きいわけですね。今、ホームヘルパーの補助基準というのは例えば常勤の場合にはたしか年間三百六十何万ですか、というふうな基準が一方にあるし、もう一方では事業ごとに、例えば訪問をした場合には一回に、一人につき幾らとか、何かそういう両方あるわけですよね。特に、地方に行きますと今の補助単価というのは必ずしも低くはないんだと。その範囲内で年間の常勤を雇えるというところもあるんだろうと思いますが、問題はこの地域格差をどうするか、それ抜きの一律の補助基準が問題なのではないかということ。
それからもう一つ、先ほど局長さんが言われたことでの問題点は、自治体あるいは社協のホームヘルパーのコストが高くつくというのは、実は有給休暇が当然あります。ですから、働かない日がある。それからもう一つは、いろいろ管理的な業務をやらなければならないということから、実際に訪問に行っている時間当たりにすると民間に比べれば何倍も高いですよということを言われるのでその辺をはっきりさせないと、今度は民間事業者ということになると事業者が管理から何からやって、ホームヘルパーの方は行ってサービスしている時間だけではかられればそれは安いわけですよね。そのことがまたいろんな問題を生んでくる。
また、厚生省の補助のつけ方の一方で、事業に対して一回幾らとか一時間幾らとかというつけ方というのは非常にこれまた問題があります。例えば、地域格差で都市の方が人件費が高い。反面、今度は農村に行きますと、移動時間が長くて山の中まで行かなきゃならない。そうすると、実際に仕事をやっている時間は短いのであの単価ではとても人を雇えないと、こういう問題が出てくるんですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/80
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081・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) ホームヘルパーの方々の単価につきましては、私どもも今日まで実勢を調べながら単価の改定等も行ってきておりますし、先生今御指摘もございましたけれども、事業に即して、あるいは介護保険をにらんで今までのいわゆる人件費補助というやり方から事業費補助というようなものを導入しまして効率的にやっていただくということを考えております。
それから、先ほどの民間、それから公立の単価差ということについての原因、今、先生お挙げをいただきましたけれども、こういったことにつきましてもできるだけ両者の組み合わせということはあってしかるべきだろうというふうに思います。できるだけ民間で効率的にある程度、何といいますか、事業費単価的に巡回型なら巡回型でやれるようなところは民間にやっていただくということは当然あっていいと思いますし、そうした中で効率化を図るということはやはり今後も求めていかなければならない方向であろうというふうに思います。
また、巡回の場合のいわば移動の費用ということがございました。これが十分であるかどうかの議論というのはまた別途あるのかもしれませんけれども、私どもの方も補助単価の設定に当たりましては、一応移動にかかる費用というものも考慮した上で単価を決定するということを考え方の中の要素には入れて現在もやってございます。それが実勢に合うかどうかのところについては不断にやはり見ていかなければならないと思いますし、今日決めたからもうそれで今後動かさないというようなものではなかろうと思います。
それは両面において、効率性を求めるという意味、あるいは逆に実勢の単価に合わない低い単価であるとすればそこを見直すという両方の目で見ていかなければならないであろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/81
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082・今井澄
○今井澄君 先ほど浜四津理事の方からも介護報酬の設定についていろいろありましたが、やっぱり地域格差の問題とか、いろいろその実勢に合わせ、また、ただ人さえいればできるというわけではなくて、いいシステムを管理するものについてもきちっと配慮していただきたいと思うんです。
ただ、もう一つ、国の方で十分な予算をつけているかどうかということについて、平成七年度の予算と実績を見ますと、ホームヘルパーとショートステイは予算よりも実績が上回っている、要するに予算が足りなかったということですね。特養もそうですね。それ以外は実績が予算を下回っているということになるわけですが、平成九年度はどうでしょうか。ホームヘルパー、ショートステイ、特養、そのほか老健などももう予算が足りないんじゃないかと。先ほどのお話のように、ここのところ急速に老健施設の整備が進んできている、あるいはデイサービスも急速に整備が進んできているので平成七年度とは違って平成九年度は予算が相当足りなくなるのではないだろうかというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/82
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083・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 予算でございますけれども、先ほども申し上げましたように、総体としては、大変厳しい財政下ではございますけれども、この新ゴールドプラン関係につきましてはいわば破格の予算枠全体をつけていただいております。そうした中で進めてきておりますが、一方において需要、ニーズも大変高いことも事実でございます。
そうした中で、今お話のございましたように、施設の整備の進んでいるもの等がございまして、予算枠が全体として潤沢であるというところまでは当然言えません。私どもとしても厳しい予算の中でのやりくりということはしておりますし、そうした中で先ほどお話のございましたようなそれぞれの個別の施設として見ると、もうその枠を超えてやりくりをしてやっているという部分もございます。そういう部分については当然全体としては厳しいことにはなるわけでございますけれども、平成九年度、今日までのところは、各地域からの御要請をいただきましたもの、それと新ゴールドプランに照らし合わせての進捗という意味で、新ゴールドプラン達成のために必要だけれどもこれはどうしても予算が足らないから切らなければならないというようなところまでは全体としては行っておりません。
今後については、さらにそういう意味での予算確保は必要であろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/83
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084・今井澄
○今井澄君 そういうお話ですが、しかし平成九年度の予算を見ますと、平成九年度というのは新ゴールドプラン達成の平成十一年度を考えますと八年目になるわけですね。だから、機械的な単純計算はできないにしても、およそ目標の八割前後が達成されなければならないだろうと思うんです。ホームヘルパーは八九・四%達成の予算、特別養護老人ホームは九〇・六%達成の予算、老健も七八・九%達成の予算ですからこの予算どおりにいけばまあまあ順当にいくのかなというふうな感じがいたしますが、デイサービス、デイケアについては七一・一%、在宅介護支援センター、これから特に重要になるこういう一種の司令部みたいなもの、そこは六一・七%、訪問看護ステーションですら六四%、こういうことになっているわけですね。ですから、明らかにこれは九年度予算ではもう足りないと思うんですよ、八年目の予算としては。こういうところもやっぱり十分考慮していただかなければいけないと思うんです。
さて、地域格差の問題を少しやろうと思って準備をしてきたんですが、ちょっと時間がなくなってしまいましたので、これは改めてまた次回に十分やらせていただきたいと思っております。
ただ、この地域格差の問題で先ほど渡辺委員から詳しく御指摘、御質問のあった日経のアンケート調査ですが、これは私もアンケート調査用紙を手に入れてみないとわからないと思います、アンケートはやり方によって随分違いますので。特に日経はこの間、介護保険について非常に批判的な論調をずっとしてきているので私はもとを取り寄せてみないとわからないと思っておりますが、この中で一つ注目すべきことは、首長を初め行政の取り組み姿勢に問題があるというのが一四・一%あることなんですね。この一四・一というのは私は少ない数と考えない方がいいように思います。というのは、多分このアンケート調査をやったのは現場の職員だと思うんですね。その現場の職員が自分の上司を批判する、こういうところに丸をつけるというのはよほどのことなんですよね。ということは、よく言われているように、これは姿勢というものもかなりあるんじゃないかと思っているんですけれども、そのことはそのこととして、もう時間がありませんので最後に、実は大事な問題があるんです。
先日、十月二十一日の本委員会の参考人質疑で池田参考人はこういうことを言っています。介護保険制度が導入された場合に、新たな保険料収入が入るため、現行制度と比較して国庫負担は二〇〇〇年度で五千億円、市町村負担は二千二百億円減少すると指摘しているわけです。つまり、今は公費を主体として新ゴールドプランをやっている、その上に介護保険制度をさらに大きくさせていこうと。全体としては規模は大きくなるわけですが、一割自己負担、残りの半分が保険料ということになるために公費負担は平成十二年度、二〇〇〇年度にはむしろ減るんだということを指摘しているわけですね。
これはこれまでの国民との約束、あるいは三大臣合意等を含めて政府の中における約束、これは介護のために使うということでこの間特別に上乗せをしてこういう予算を確保してやってきているわけですから、当然これは介護保険制度がスタートしても国のお金が助かったからといってよそへ回すものではないと思うんですね、この五千億のお金は。
そこで、まず厚生省事務当局の方にお伺いしたいんですが、この池田参考人の数字は、国の負担が五千億減るということは間違いないかどうか。それを確認して、その上で大臣に、この額は当然基盤整備に振り向けるべきものなんだと、これは社会保障制度審議会の昨年の勧告にもそう書いてありますし、ドイツの介護保険もそうですね、基盤整備は公費を投入してやるということになっているわけですし、その基盤整備の全部を介護報酬でやるということは非常に難しい、医療保険でも診療報酬だけで病院の設備投資とかそういうものまで全部見るのは難しいのではないかという議論もされているわけですが、その辺大臣に、このお金は必ず基盤整備に振り向けるということについて、そういうお考えかどうか決意をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/84
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085・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 最初に、事務当局に対する質問のあった部分についてお答えを申し上げます。
平成十二年度におきますサービス単価であるとかサービスの利用率等につきまして、一定の前提を置いて推計しているわけでありますが、介護保険制度を創設しないで現行制度のままで介護費用を賄った場合、国庫負担に要する額は約一兆五千五百億円というふうに推計しております。これが介護保険を創設いたしますと国庫負担に要する費用は一兆一千八百億円ということでございまして、差し引き国庫としましては約三千七百億円出てくる、差し引きがあるというふうに推計をしております。
ただ、池田参考人の数字は、この介護保険制度を創設した制度的な効果のほかに社会的入院、介護保険制度を創設しないで現行制度のままでいった場合、介護を主たる理由とする長期的入院、いわゆる社会的入院、この費用が介護費用の中に含まれるわけでありますが、この部分も含めて推計をした数字が大体五千億円ということでございます。私どもは、この部分は社会的入院の費用の効率化というようなことでありますので医療保険制度の中で解消されていくべき費用というようなことで、介護保険制度そのもので減少する費用というときには三千七百億円と言っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/85
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086・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 新たな介護保険制度が導入された段階で保険あってサービスなしということのないように基盤整備を進めていくということは当然でありますので、その基盤整備に向けて全力投球していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/86
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087・西山登紀子
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
前回の質問で私は、都道府県の各担当者に聞き取り調査をいたしました結果、特養老人ホームの待機者が全国で約九万人以上になっているということ、特養ホームの待機者数が一年間で二万人以上ふえているという実態を示しました。羽毛田局長もショッキングな数字であるというふうにその部分についてはお認めになったわけなんですよね。結局、いろいろ努力しているとか努力するとかおっしゃるんですけれども、現在進めている特養などの施設サービス、それから在宅のサービスなどなど含めまして基盤整備が需要に追いついていない、だから一番進捗率が高いと言われている特養でも待機者が加速してふえていくということじゃないかと思います。
いろいろ言いわけをなさる前に、率直にそういう実態をお認めになるべきではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/87
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088・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 先日もお答えを申し上げましたように、先生がお挙げをいただいた数字については、私どもの認識といたしましては、各自治体の把握をしておられる中には特別養護老人ホームにおけるいわば二十四時間の専門的な介護を必ずしも必要としない方、あるいは在宅サービスを全く利用していない方も含まれているということでございますので、そういう意味では私どもとしてはそれをもって直ちに特別養護老人ホームの本当の需要であるということについてはいささかためらうものがあると。そういう中で、一年間で二万人もふえているということは、ショッキングという言葉を言いましたかどうかちょっとあれしておりませんけれども、私としては今のようなことで言うとなかなか理解しづらい部分のある数字ではないかという意味で申し上げました。
このことについては私どもも私どもなりに各都道府県からのヒアリングもいたしております。そうした中で聞いておりますと、中には今申し上げましたような必ずしも特養の入所が必要とは考えられないもの、あるいは在宅サービスを一切利用していないものも入っているということでその割合等についてもお話がございまして、そうした中の認識で申し上げたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/88
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089・西山登紀子
○西山登紀子君 きょう私が質問しておりますのは、だから特養などの施設サービスも在宅サービスも含めて全体として進んでいないからそういう待機者が出るのじゃないかと改めてきょう御質問をしているわけなんです。
じゃ特養ホームの定員がどれだけふえたかということで九五年の実績ベースでいいますと、二十三万三千五百六十人なんです。九六年十月の速報でいただいているわけですが、それで特養ホームの定員が一体幾らになっているかといいますと、二十三万五千九百九十二人になっているということ、つまりその間の増員数はわずか二千四百三十二人なんですね。実績ベースで特養ホームの定員がどれだけふえたかどいえば、九五年から九六年まで二千四百三十二人しかふえていないんです。これが冷厳な事実であります。
そこで、私たち日本共産党は予算を二倍に引き上げて基盤整備を急ぐようにとかねがね提案をしてまいりました。保険あって介護サービスなしというようなことが非常に懸念されている中で甘い幻想を振りまくということは許されないと思うんです。
先ほど来、同僚の議員から日経新聞の世論調査のことで質問がされておりますが、私もその点で質問をしたいと思っておりました。
大臣、先ほどの御答弁のことで二点についてお伺いしたいと思います。
この日経新聞のアンケートというのは、やはり基盤整備の達成が困難だという不安を非常に持っていて、その理由は自治体の財源が苦しいというのが八割で、阻害要因のトップバッターは財源問題が挙がっているわけですね。そして、じゃこういう状況でこの介護保険法案を早急に実現すべきかということについては、早急に実現すべきだは八・三%、これに対して介護サービスの供給体制が整ってから実現すべきだというのが五〇・二%という数字に上がっているわけです。
私は、自治体が非常に慎重になっている原因というのは、今度自治体は保険者になりますから、保険金を払っていただく方に対して給付ができないということに対しましては契約違反というそしりを免れませんので、そういう非常に責任感のある立場からの慎重論ではないかと。この点は大臣はどうお考えになるかということが一点。
それからもう一つ、先ほど基盤状況が不十分だという今の現状を大臣もお認めになっているんですけれども、むしろこの法案が成立するということによって基盤整備が進むんだというようなことをたしか言われたと思います。しかし、この六月に厚生省が全国の担当課長を集めて指示をしているその文書がここにありますが、その中にはこの基盤整備の課題はそもそも介護保険以前の問題として取り組むべき性格のものであるというふうに、厚生省自身がそういう指導をなさっています。
この二つの点について、私は大臣の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/89
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090・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 早期成立を求める声が少ないということなんですが、財源の問題についても、あるいは保険制度導入に伴って事務的な準備等を考えると不安になるという気持ちも私はわからないではありません。率直な気持ちをあらわしたものだと思います。
しかしながら、介護の問題を重視して何らかの形で社会全体で介護問題を解決していこうという気持ちについては、私は多数の意見ではないかと思っています。そういう中の不安というのは、今後よく自治体とも相談して、少しでもその不安面を取り除いていく努力が必要ではないかと思っております。
また、介護基盤の問題ですけれども、これは介護保険制度が導入される前、三年ありますからその間に基盤整備を進めていかなきゃならない、それが整うかどうかという心配だと思うんです。いざ平成十二年にこの保険制度が導入されたときにサービスに対応できないのではないか、いろんな要求に対応し切れないのではないかということなんですが、それまでの間に基盤整備を進めていって、そして十二年度に導入する。導入する前の予想と導入してからの実際の要望、これも食い違いがないとは私は言いません。当然出てくるだろうと思います。
しかし、十二年度導入までこの法案を成立させていただければ準備期間はありますから、想定し得る範囲でいろんな要望に対応できる基盤整備を進めていく。そして、なおかつ導入後にそうはいってもいろいろ問題が多いなという点が出てきた場合には、それに対して少しでも改善の努力をしていくということの方が、まずこの導入をおくらせるというよりは早く成立させていただいて準備に向かって全力で地方団体と国が取り組む方がかえって基盤整備が進むし、この介護問題を解決するに当たっての環境が整っていくのではないかなと、私はそう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/90
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091・西山登紀子
○西山登紀子君 これは保険ですから、保険料を払っていて給付がないというのは、これはやっぱり欠陥ですよね。私は欠陥車のまま走らせるわけにはいかないと思うんですよ。国会としてもそういうことはできないと思います。だから、やはり慎重な論議が必要だし、今出している法案そのものが非常に問題があって、しかも各自治体は目標が達成できない、部分的なものも含めましてトータル七割の自治体が達成できないというふうに言っている現状で見切り発車すべきではない、こういうふうに考えます。
次に、大臣、引き続きこの六月の課長会議の文書を読ませてもらったら、自治体に対して自治体が悪いんだと言わんばかりの表現がやっぱり自立っんですね。例えば、整備が進んでいない自治体は住民から大きな批判を受けることになるというような指摘もしているわけです。
そこで、この法案の第五条に国の基盤整備についての責任をきちっと明記すべきだと考えますけれども、大臣の御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/91
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092・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) この法案において基盤整備を着実に進めていくというのは、これは当然必要なことでありますが、介護保険法案第五条で国の責務とされている「必要な各般の措置」、これには基盤整備に対する支援が当然含まれていると私は考えているんです。介護保険制度施行後は基盤整備の計画は市町村介護保険事業計画等で定められるということになっておりますけれども、国はその計画の基本方針を定める責任を有することも踏まえ、基盤整備について必要な支援を行うこととしておりますので、この「必要な各般の措置」の中に当然基盤整備に対する支援が含まれるというふうに読めるんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/92
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093・西山登紀子
○西山登紀子君 聞かないとわからないということでは困るんですね、法律というのは。ですから、私たちの修正案では希望する要介護者のすべてが介護給付が受けられるよう国の責任で計画的に体制を整備しなければならないことをきちっと加えるというふうに提案をさせていただいているわけですので、ぜひよく御検討いただきたいと思います。今のままでは読み取れません。
ところで、自治体が積極的に老人保健福祉計画の見直しをやって基盤整備を進めて新しい住民要求にこたえようと思ったときに、現在進められない事態が起こっているわけですね。例えば、京都の丹後地域に大宮町という町があるんですけれども、ここで新しい特養施設を住民も町長さんもつくりたいと思っているんですが、それがつくれないという状況になっております。
それはなぜつくれないかといいますと、ことし九月の一般質問の町長さんの答弁は、国や府のゴールドプランに入っていないということで府は計画変更を容認できないと。もともと大宮町というのは施設よりも在宅介護がいいということで町長さんが、住民の要求はあったんだけれども、むしろ先送りをしてきた町なんですよ。最近になってやっぱり特養施設が要るということで住民の皆さんも運動をされて、そして議会でも共産党だけじゃなくていろんな議員からも要望が出るようになって、そして町長さんが建てようと思ったら、今度は府が今のゴールドプランの中に入っていないからだめだよということで抑えているわけですよ。
こういうところは平成十二年以降でないと認められないんでしょうか。これは当初計画に入っていないというふうなことで都道府県に、計画の新設というんでしょうか、底上げを認めてはいけないというような指導を厚生省は行っているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/93
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094・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 私どもとしては、新ゴールドプランの達成というこのことをまず第一に考えていく、そういう姿勢でやってまいっております。したがいまして、新ゴールドプラン、先ほど来の御議論もございましたように、新ゴールドプランの達成に向けて、そのベースとなりますそれぞれの老人保健福祉計画に掲げられた目標がまだ達成できないでいるところについて重点的にやっていく、そこをまず優先的にやっていく、そういう姿勢でやってまいります。したがって、そういう過程の中での御議論というものはあるいは出てきたかもしれないなというふうに思います。
ただ、今お挙げになりました京都のケース、私も具体的な事情はつまびらかにいたしておりませんが、老人保健福祉計画の中で市町村においてつくりたい、当初は計画はつくっていなかったけれどもつくりたいという場合に、特別養護老人ホームというような施設につきましてはその市町村だけで需要が完結をするというような施設ではございませんから、やはり広域的な利用というものを考えていかなければならない。そうすると、京都府がごらんになっていわゆる老人保健福祉圏域、その圏域における需要と供給の状況というものを府において御判断をされ、その中で府全体としての優先度がどうなるかというような御判断がまずあると思います。
さらに、そうした中でそれでも府全体として、あるいは圏域全体としてもう既に整備目標を達成しているという場合ですと、全体の中でいえば私どもとしてはまだ達成していないところを優先的にやりたいというふうにまずはなると思いますけれども、そこへ行きますまでの順序としていえば、その市町村だけで見るのじゃなくて、その地域でまず見ていただいてどうかというところでの判断がありまして、その地域ではまだ整備の必要が全体としてその広域圏の中ではあるというところであれば、そこはある程度弾力的にという部分も個別に御相談を申し上げながらやってきているというのが現在の対応でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/94
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095・西山登紀子
○西山登紀子君 その地域としては、ほかの町がどんどんホームを建て出したんですけれども、まだ丹後地域は百三人も待機者が、加速してふえているわけですよ。だから、今まで自分のところの町に特養ホームがなくてほかの町にお願いをしていたんだけれども、それじゃいけないじゃないかということで自分のところの大宮町に特養ホームをつくりたいというふうに町が積極的に今動いているんですね。土地の造成なども既に進めているようですけれども、それでも京都府の方がだめだ、それはゴールドプランに入っていないからだと、こんなふうなことになっているわけですね。そこで、大宮町のように、大宮町だけじゃなくて、まだつくりたいというところが随分出ているわけですが、全くゼロの自治体で、少なくとも全く今特養施設を持っていない自治体が積極的に建設したいというふうなことを、新ゴールドプランをつくって以降、二〇〇〇年までまだあと三年あるわけですが、つくりたいと言ったときにはやはり積極的に財政援助を行うべきじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/95
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096・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 今申し上げましたように、まずその市町村でつくりたいからつくるということにはやはり問題があろうと思います。特別養護老人ホームというようないわばある程度広域的なシステムをあれするべきものについてはそれぞれの市町村に一カ所ずつという考え方はとっておりません。
やはり、その老人保健福祉圏域、一つの広域圏の中でどういうふうにニーズと供給が対応しているかというところをきちっと押さえなければならない。そして、その際の需要、ニーズというものが、先ほどのお話にもございましたように、単に待機者ということではなくて、先ほど先生のお話にあったように、在宅サービスや何かを伸ばすというようなことをも含めてその自治体が総合的に、特に在宅重視というような考え方も踏まえながら総合的に老人の介護福祉を考えた中でどういうふうに対応していくか、そうした中で本当の需要かどうかという点についてきちっと押さえでいかなければならない。そして、今度の介護保険法成立後におきます介護保険事業計画においても、そういった意味の需要をきちっと押さえた上で計画をつくっていかなければならない。
したがって、そういったことの上に立ったものであるかどうかについての慎重な検討が必要であるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/96
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097・西山登紀子
○西山登紀子君 特養施設を選択するというのは家族にとっても、また御本人にとっても非常にぎりぎりの選択なんですよね。そういうもとで選択してもなおかつ待機者が出るということについて、もっと手厚いといいますか、スピードアップさせるという意味の財政的な支援はもっともっと進めるべきだと。そうでなかったら自治体が保険者として、保険あって介護なし、そして契約違反を問われるというような事態になるわけですから、それは避けるべきだと思います。
時間が迫ってきたので次に移ります。
先ほど同僚の議員からもありました施設の介護報酬の問題なんですけれども、この介護保険で特養ホームの施設運営はどのようになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/97
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098・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険制度ができますと、特別養護老人ホームは介護報酬、そのホームで要介護の人をお世話するわけでありますが、その人に対する介護報酬で施設を運営することになります。この介護報酬は、先ほど申し上げましたが、サービスに係る費用について実態を把握する、そして要介護度ごとに決める、さらに施設の所在地ごとに平均的な費用の額を勘案して審議会で御検討していただいた上で設定をするということになるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/98
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099・西山登紀子
○西山登紀子君 私も各地の特養ホームをずっと回ってみました。集中的に回ってみました。府下七十三ある施設のうち三十七カ所を訪問いたしましたが、その中で一番多く出された意見というのは、施設の運営がこれからどうなるんだろうか、五里霧中だというようなことをおっしゃる施設長さんもいらっしゃったわけです。職員の給料が払えるんだろうか、自分の給料はもらえるんだろうか、こんな意見を言われた方もいらっしゃるぐらいなんですけれども、その点が非常にまだまだ霧の中という状態なんですね。この点がこの法案の重大な欠陥であるというふうに思います。
そこで、皆さんは心配されて、「現場から公的介護保障を考える会」というような民間団体の方が試算をしていらっしゃるんです、こういう場合にはどうだろうかということであくまでもこれは試算ですけれども、その中で非常に重要なことが見えてきたわけですね。例えば五十床の民設民営の施設で、定員五十名なんですけれども、今入っていらっしゃる方を在宅の介護サービスの介護度と介護サービス費用、これによって試算をしたわけですけれども、そうしますと今の措置費と介護保険を導入した場合の試算は一人当たり一カ月で十一万六千八百八十円減額するという試算になっております。それから、百人の公設民営の施設を試算していらっしゃるわけですが、ここも措置費と介護保険費用を試算してみますと一人当たり一万二千八百三十二円減額になると。百六十床、こういうふうに規模が大きくなっていきますと減額は六千八百八十一円ということになっているわけです。ですから、五十人とか百人、百六十人という規模の数でももちろんその差は違っできますし、中に入っていらっしゃる方々の介護度によっても、重度の方が入っていらっしゃるとかそういうことによってももちろん違ってくるわけですけれども、全体として言えることは減少するということであります。
こういうふうに試算の上で大変不安を持っていらっしゃる施設側のこういう不安というのは、私は当たっているんじゃないかと思うんですね。このように試算をした場合、大幅な収入の減少、これが起こるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/99
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100・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 特別養護老人ホームの介護報酬がどういう水準になるかといいますのはこれから実態調査を経て審議会に諮って決まる話ではありますが、今の試算は在宅の単価を掛けたものではないかと思うんです。在宅の場合の要介護度、虚弱の要介護度Iあるいは要介護度がVとありますが、一応その予算上の単価をもとに費用推計したときの試算上の単価を公表しておりますが、それに基づいてやったんだと思うわけであります。
ただ、施設に入りましたときの要介護度に応じた介護報酬というのは在宅の場合の介護報酬と同じではありませんので、先ほどもほかの先生の御質問でもありましたが、施設の場合には、そこに入りますと軽い人でも重い人でも当然共通にかかる経費もあるわけであります。ですから、そういうものは一人当たり幾らということで考えなきゃいけないと思いますし、要介護度に応じてまたサービスの変わる部分もあります。それを組み合わせてやりますので、そういうことにはならないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/100
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101・西山登紀子
○西山登紀子君 この介護保障を考える会というのはかなり専門的にきちっと分析をされていますよね。非常に綿密に分析をされています。在宅の例を試算に適用したというのは、今施設の側の介護報酬というものが一体幾らになるかというのが明らかになっていないから、仕方がないからこういうものを使って試算をしているわけですよね。
これをこういうふうに試算をすれば減少になるということはお認めになりますか。経営が成り立たなくなるということはお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/101
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102・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 私どもが介護費用を将来推計しましたときには、特別養護老人ホームにおきましては一人当たり二十九万円ぐらいという単価で計算をしております。それで費用を払っておりますので、全く在宅の水準とは違う数字でやっているわけでございますので、前提の違う数字で計算したものについて私どもでコメントをさせていただければ、そういうような介護報酬にはならないということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/102
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103・西山登紀子
○西山登紀子君 時間が参りましたので、この後ちょっと準備をさせてもらったことを質問できませんけれども、後日、施設の場合の介護報酬はどうなるか、運営はどうなるかということについて続いて質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/103
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104・清水澄子
○清水澄子君 介護保険法につきましては、高齢者団体や市民団体あるいは地方自治体からさまざまな意見が寄せられております。中でも、被保険者が保険金を払ってもどれだけの介護サービスを受けられるのか、こういう疑問を持つ人々が非常に多くなってきているのが現状でございます。つまり、保険あって介護なしと、こういうことがやはり非常に多くの皆さんの不安になっていることは事実でございます。
その原因の一つは、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、施設介護にしろ在宅介護サービスにしても、介護保険が導入される平成十二年度に、現状から見て果たして要介護者の希望を受け入れられるようなそういう基盤整備が進んでいるのかどうか。ほとんどの人は、現状のままでは進んでいないという見方があるわけです。ですから、それが私はこの不安につながっていると思います。
そこで、お尋ねしたいわけですけれども、新ゴールドプランは平成十一年に終了いたしますが、その時点では、厚生省の発表ですけれども、在宅介護サービスの整備率は限度額の四〇%だと言われています。この点がよく私たちでもわからないんですが、結局その限度額というのは、要介護者について月額、軽度なら十四万円から重度で三十万円までの支給限度額の四〇%ぐらいが可能であろうということらしいんですが、普通はこの要介護者、平成十二年度では大体二百八十万人が寝たきりというそういう数字すら発表されている中で、一体この平成十二年度にはどの程度の要介護者の期待に沿えるような実態ができるんだろうか。そしてさらに、今その四〇%程度だろうという数字は現時点のものであって、介護保険が導入された時点では、さらにもっとサービスを受けたいという希望を持つ人はふえてくると思うわけです。
ですから、そういう点で厚生省は、その時点ではどれだけのニーズがふえると予測をされて計画されているか、そしてまたそのときにはどれだけの介護サービスに対応できるという認識のもとで計画されているのか、その点をお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/104
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105・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 新ゴールドプランの達成時におけるということは介護保険導入時における在宅サービスの整備率でございますけれども、幾度か御質問出ましたけれども、私ども四〇%の整備率というふうに申し上げておりますのは、これはいわゆる老人保健福祉計画を立てます際に、在宅サービスに関しまして各地方自治体が実施をいたしました調査をもとにいたしまして、平成十一年度末においてすべての要介護者に対して一定の、先ほどおっしゃいました限度額ということになりましょうか、一定の在宅介護サービスを提供するという想定をした場合のいわば一〇〇%の見込み量に対して、十一年度末で恐らく希望してくるであろう、顕在化をするであろう在宅サービスの量、どのくらいが希望してこられるだろうかということを予測しまして四〇%程度と置いてやったものでございます。これはそれぞれで調査をいただいて、意向調査等もやっていただいた結果としてそのような形に置いてございます。
したがいまして、これは希望する人が四〇%しか希望がかなえられないというよりは、顕在化をしてくるのがそのくらいというふうに見込んでおるということでございます。
しかし、今、先生御指摘のございましたように、介護保険というものができてくれば、当然今まで潜在化しておりました需要、例えばホームヘルパーは家庭に入ってもらうのは余りありがたくないからいいとおっしゃっていた方も当然あれしてくるでしょうし、介護サービスそのものが逆に使いでが出てくればもっと使おうということにもなってくると思いますので、そういった意味での、いわば介護保険導入による、あるいは基盤整備が進むことによる一つの循環として需要が高まってくるということは当然織り込んだ上で、今後の介護保険導入後における介護事業計画はつくっていかなければならないであろうというふうに思っております。
それについては介護事業計画で改めてきちっとお示しをしなければならないんですけれども、私ども検討いたしました過程で、ある種の試算を将来の介護費用についてしております。それにつきましては、年を追いまして、先ほど四〇%と申し上げておりましたのが最終的には八〇%ぐらいのいわば整備率に上がるであろうということを織り込んで介護費用の試算等をいたしております。それは直ちにではございませんで、十年かけてそのぐらいに上がっていくであろうといういわばカーブを描いて、需要曲線みたいな形を描いて、その間の費用の試算をいたしておるわけでございます。
そういった考え方を、今後の介護保険事業計画をつくります際のいわば国で示します方針の中に盛り込んで、需要を把握していくことになるであろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/105
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106・清水澄子
○清水澄子君 それでは、平成十二年には、この介護保険法第七条で言います要介護者への居宅サービス、これは大体五段階ぐらいに分けてあるわけですけれども、その五段階のそれぞれのランクごとに限度額の何%ぐらいが供給可能になるという積算をされていらっしゃるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/106
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107・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 二〇〇〇年の費用推計を行います前提として見込んでおります二〇〇〇年時点における在宅の要介護度別の人数でございますが、要介護度Iの者が三万七千人、Ⅱの者が四万三千人、Ⅲの者が十三万人、Ⅳの者が二十一万人、Ⅴの者が三十一万九千人というように見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/107
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108・清水澄子
○清水澄子君 これはまた次にいろいろ伺う材料になると思うんですけれども、非常に少ない供給の数ですね。予想されているのが、十二年にどれだけの要介護者がいるかということに対しては非常に今の数字は少ないと思いますが、それはまたいずれ質問させていただきます。今、私が伺ったのは供給可能な数字なんですよ。ですから、また今後伺います。
次に、仮に在宅介護サービスが予定している支給限度額の五〇%を割るということになれば、これは保険としての役割を本当に果たすものなのかどうかというのは大変疑問になると思います。一定の経過措置は認められるとしましても、今、十年ぐらい先にようやく八〇%ということをおっしゃったんですけれども、被保険者の立場からしますと、介護保険法に掲げている介護サービスの内容がいつの時点で自分は受けられるのか、それはもちろん市町村によるんだというお答えが出そうなんですが、やはり国が今この問題を提起しているわけですから、何年には何%までは介護サービスを供給するんだ、できるんだ、そして一〇〇%に達するのは国は何年までとしたいという目標が明確でないと、やはりこの点は非常にこの法案を提案している国の責任という点でも問題が残ってくると私は思います。
これは先ほどからの御答弁でも、それは保険者は自治体だから自治体の取り組みいかんであると。やはり目標というものは、これは厚生大臣、しっかり何年までにこうやっていきたいと、私はそういう責任ある御答弁をいただきたいんですが、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/108
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109・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 先ほど申し上げましたところであるいは若干言葉足らずだったかもしれませんが、私が申し上げましたのは、新ゴールドプランが終わる時点、つまり介護保険立ち上がりの時点では、顕在化するニーズ、今例えばホームヘルパーというものがありましても、要介護者という形で認定された方の全員がそれを希望されるという状態には現実としてございませんので、そういった需要の動向というものを、それぞれの地方団体が老人保健福祉計画をつくっていただきます際に織り込んでいただいてつくったいわば結果が、全体としてフルに要介護老人の方の全員に同じサービスをやったという状態から見れば、整備率という意味では四〇%ということになっているということを申し上げたわけです。
それを、さらに今、先生がお話しのように、そのままでいいわけはございませんので、将来に向かってその需要の顕在化、それによる需要の高まり、希望率の高まりというものを織り込んで次の介護保険事業計画はつくっていかなければならない、そのように思っております。
そのことの一つの考え方として、今の費用の試算においても十年後には八〇%まで上がるであろうということを織り込んでカーブを描いてやっておりますので、そういった考え方の延長線上で介護保険における事業計画も考えていくということになります。なお、それを一〇〇%にするかどうかについては、現実にそういった場合にでも、いわばフル活動になった場合にも全員の方が希望されるかどうかという点についてはやはりもう一回よくその実情を把握する必要があるだろうと思います。
いずれにしても、そういった需要が上がっていくということは織り込まなければいけないということで今のような考え方を説明させていただいたわけでございますし、そういう方針でやっていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/109
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110・清水澄子
○清水澄子君 高齢者全員が介護を要求するということはないと思います、元気な人もいますし。そういう意味じゃなくて、介護を希望する人のニーズに一〇〇%沿うようにしていかないと介護保険法をつくる意味がないと思います。
ですから、厚生省が出していらっしゃるパンフレットの中の「介護保険の目指すもの」というところだけを読んでいると、本当にみんなこれでイメージすると思いますね。介護に関する国民の不安に対応するために、利用しやすくて、公平で、効率的な社会的支援システムを構築するんですと、そして利用者が自由にサービスを選択して利用できる仕組みをつくりますと、これが本当でしょうね。そうしなきゃいけないんだろうと思います。
ですから、これを私たちは目指すわけですけれども、その場合に、それが市町村によって異なつてくるわけですから、この法律によりますと。しかも、それがいつ達成できるかというのがわかりにくい。特に、この介護保険法施行法案の方を見ますと、サービスのメニューが少ないときはそれだけ保険料も少なくして内容を限定しますよということでしょうけれども、限定給付という経過措置があるんですが、その経過措置を撤廃するのは二〇〇五年度以降のサービスを行うことができる日というので、一体いつできるのかわからないわけですね。二〇〇〇年に介護保険法の施行と言いながら、国民の権利としてのサービスがいつから受けられるのかということは非常にこの法律では不明確なんです。
ですから、その点では一〇〇%と言い切れないのは離島やらいろんなこともありますから、それでも限定給付の経過措置はいつごろにはやめますという目標は出していかないと、国民に対して不親切どころか非常にこれは不信を買う内容になると思いますので、この点はぜひ私は真剣に考え直していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/110
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111・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険法施行法の一条の規定の関係でございます。
サービス水準に関する経過措置は、保険者として住民に対して直接責任を有する市町村が、地域における介護サービス基盤の整備状況を踏まえてサービス水準を段階的に引き上げる、そういうことで制度施行後の過渡期において円滑に実施すると、そういう意味で設けられているのがこの経過措置の趣旨でございます。
これにつきまして、先生御指摘のように、法律施行から五年を経過した日以降「政令で定める日」という書き方になっております。これをできるだけ明確にということでございますが、この介護保険という新しい保険制度でこういう介護サービスを提供していく新しい仕組みができるわけでありまして、これに伴って利用がどんなふうに変化していくのか、今予測しても、また動かしてみると新たにわかることもあるわけでございます。そういうことで、まだ動いていない段階で、今後の整備なり利用状況はどう動いていくか見えないうちに終期、このときまでに必ずできますという、そういうことを申し上げるのはなかなか難しいわけでございます。
ただ、できるだけ早くそういうしかるべき水準にサービス水準を高めていくということは当然でございまして、そういう意味で、こういう経過措置の対象となる市町村、そういうところにおけるサービス基盤の整備につきましては国、都道府県を挙げまして全面的にこれを応援して、その整備水準の向上に協力、支援をしていくということにしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/111
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112・清水澄子
○清水澄子君 やはり、国民に明確にわかるような内容にするべきだと思いますので、ぜひその点もさらに検討していただきたいと思います。
次に、これはせんだっても同僚議員の質問がありましたけれども、介護保険法の第七条の居宅サービスの中で配食サービスがないという問題は、私は非常に介護というものについての理念にかかわる問題だと思います。要介護者の生活の最も基本になるのは、やはり排せつとか食事というのはもう欠かせない問題だと思います。
そこで、お尋ねしたいわけですけれども、これはぜひこの法律の中にやはり検討して入れるべきだと思いますが、まず当面、現在この老人保健福祉計画のもとで既に市町村なり施設で配食サービスを行っているところがありますけれども、そういうところが、この介護保険が導入されることによって、その分はここのサービス内容に入っていない、メニューの中にないということで、それが本人の自己負担に変わったり、または市町村に上乗せするという形で、むしろ介護保険が導入されることによってこれまでの高齢者福祉の行政が後退をするということが起きないのかどうか。
それは絶対起きないということ、また起こさないためにこういうことをやるんだということをぜひ私はお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/112
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113・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 介護保険が施行されました後におきましても、要介護状態ということになります前の状態、つまりそういった段階での予防あるいは保健、それから健康づくりというような活動、あるいはさらには生きがい対策といったようなことが非常に大事でございます。そういう意味では、介護保険とそれを取り巻く大きな老人保健福祉政策がやっぱり今後も必要であるというふうに大きな枠組みとしては考えております。
そうした中で、今の配食サービス等の問題につきましては、介護を要する方だけではなくて、独居老人と言われたひとり暮らしのお年寄りやなんかも含めましたもう少し幅広い対象のこととして、こういう事業が地域における総合的な展開という中で図られていくという姿がいいのではないかなというふうに思います。
そういったことに対して、国としてこれを支援していくということについては、現在も実は在宅高齢者等日常生活支援事業というものの一環として国庫補助対象にしているわけでありますけれども、今後介護保険導入後におきましても、私どもとしては、これらの事業につきましてはさらに市町村における自主的な取り組みあるいは創意工夫というようなものが生かされるような方向の工夫をも凝らしながら、国としての支援ということについては引き続きやり方等をさらに工夫する中で続けていきたいというふうに考えております。
もちろん、そうした上で、市町村独自の御判断で、いわば市町村の独自給付としてそういうものを介護保険でやろうというあれがあってもそれはそれでいいわけですし、それは尊重するように介護保険の中でも評価をしていくという方向でいきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/113
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114・清水澄子
○清水澄子君 ぜひ後退のないそういう配慮をやっていただきたいと思います。
そして、この配食サービスについてはやはり介護の基本なんですよね。だから、社会的入院というのは病院で治療を受けることで、要介護者というのはもっと生活の場での支援だということで、介護という問題が大きな福祉という形の政策に出てきているわけです。生活支援という中では配食というのはとても大事なことですから、ぜひこの点はもう一度検討をしていただきたい。よろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/114
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115・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 配食サービスというものの性格、あるいは今申し上げました配食サービスが、要介護のお年寄りのみならず、ひとり暮らしのお年寄りをも対象とした事業としての重要性というようなことをも考えた対応ということでお答えを申し上げたわけでありますけれども、さらに加えて言えば、そういう意味で介護を要するお年寄りの方々にとっても、それは確かにあれば非常に助かると申しますか、いいではないかという御議論はやはりあると思います。
したがいまして、今後における法施行後の検討という中では、こういったことも踏まえながら、いわゆる検討規定、法施行後五年をめどとして行う制度検討ということがございますから、そうした中では関係者の意見も聞きながら取り上げて検討をするということにしたいというふうには思っております。
ただその際には、今申し上げましたような観点とあわせまして、やはり介護保険ということになれば今どういう形で、実は食べるということですから、全部の体制をとなると、これはやはりなかなか体制づくりということについても全国で体制が組めるかどうかというようなことについても慎重な検討が要るだろうと思いますので、そういったことも含めながら、当面は先ほど申し上げましたようないわばバックアップ体制をやりながら検討を進めていきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/115
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116・清水澄子
○清水澄子君 これはぜひ検討が必要だと。食べるというのが生活の一番の基本ですから、そこはぜひ、この法律は五年後の見直しというのもあるわけですし、必ず検討の課題にしていっていただきたいと思います。
次に、先日、平成八年度の老人保健福祉マップというのが報告されています。この老人保健福祉マップというのを見ますと、本当に地域間の格差というのがどんなに大きいかということがこの調査の結果であらわれていると思います。
このマップは、六十五歳以上の人の中の百人当たりの人ですが、在宅福祉サービスを年間どれだけ利用したかという回数が実によく統計がとれていると思います。しかもその中で、よくできているという十位の市とか区とか町村の数字が出ているわけです。その十位の中でも一番高位の、例えば鹿児島県の名瀬市というのが一番になっていますけれども、そこは年間九百九十七・三回のホームヘルプサービスを利用していると。例えば、十番目へ行きますと、福岡県田川市では二百三十一回になってしまう。そうすると、全国で十位の市町村の統計で一位から十位の間は三分の一以下ですよね。このくらいの大きな差があるわけですから、十位から下の方はもっと差があるということになります。
ですから、このまま地域格差が開いたままで介護保険の施行になると、全国で、やはり自分は保険料を納めて本当にそこの介護サービスを受けたいという人たち、それは市町村によるんだということだけではこれは済まされないと思います。そこには保険としての性格も余りにも差があり過ぎると、何年か後でないとその地域の人は受けられないというのもこれは非常に大きな問題ですので、保険としてはやはりそこに整合性がないと思います。
ですから、こういう地域格差、これだけの統計が出ているわけですから、これについて厚生省はこの地域格差をどのように是正していかれるのか。ここでは本当に全国でみんなが標準的なサービスを受けられる、それから実施していく、こういうことにおいて厚生省がどの程度の決意で、そして具体的に格差をなくそうとされているのか、その点についてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/116
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117・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 先生今御指摘のとおり、介護サービスの基盤整備というところの一つの問題は地域格差でございます。これはやはり相当大きいものがございまして、これを解消していく努力をしていかなければならない。もちろん、そうした上でのそれぞれの市町村の、先ほど今井先生もおっしゃいました、いわばサービス競争というのはあっていいと思いますけれども、一方において欠けるところがうんと出てくるということでは困るわけでございますので、そういったものの底上げを図っていくということは大変大事だというふうに思います。
そのときにやはり目標とすべきは、私どもとして言えば新ゴールドプランであり、新ゴールドプランのもとになっておる都道府県あるいは市町村の老人保健福祉計画に照らして整備がどうなっているかということをまず一つの大きな目標にしながら整備を進めていくということになろうと思います。その際に、それぞれのところで何ゆえにそういう整備が進まないかというところはそれぞれの自治体におきましても分析をしていただく。そして、私どもとしてもそのことを踏まえながらできるだけその整備が進めやすいように、例えば先ほども申し上げましたけれども、デイサービスというようなサービスについても既存の公民館だとか学校だとか、そういったところをも利用してできるような形態をも認めていく、あるいは小規模な施設も認めていく。
それから、先ほどのマップの関係で申し上げれば、ホームヘルパー等につきましても人数の整備はかなり進んでいますが、利用が比較的進んでいませんというようなところも実はございますので、そういったところにつきましてはむしろその利用の仕方、ホームヘルパーさんの活用の仕方というようなところをも考えなければならないだろうというふうに思います。そういった点をいわば地方公共団体ともども私どもの方も知恵を出して、それから予算の面でも重点配分をするという中で対応していくということをいたしていかなければならないであろうというふうに思います。
先ほどお挙げいただきました老人保健福祉マップも、言ってみればそういったそれぞれの地方自治体が自分のところがどういう位置にあるかということをよく自覚していただいて、いわば奮起をしていただくというための一つのよすがにもするということでつくっておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/117
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118・清水澄子
○清水澄子君 その基盤強化の中で、マンパワー対策というのは基盤整備の最も重要なテーマなんですけれども、平成七年八月の総務庁の行政監察の結果では、保健、医療、福祉にかかわって全般にマンパワー対策がおくれているということで勧告を発表しておりますね。この勧告に対してどのように対応されてきたか。
そして、その中でもホームヘルパーについてなんですけれども、やはり在宅介護サービスの担い手の中心はホームヘルパーの量と質の両面から私はこれを重視しなきゃならないと思います。しかし、現時点でホームヘルパーの七割が非常勤なんですね。非常勤でパートで、常勤はたった三割にしかすぎないわけです。せめてこの割合を逆にすべきじゃないのでしょうか。だから、そういう目標の確保に努めておられるのかどうか。
そしてまた、さきの行政監察では就労条件が非常に悪いということを勧告しております。この勧告に対してどのような改善策をなされたか。
そして、三つ目に、この勧告の中で、ホームヘルパーの養成では身体介護の技術を有するホームヘルパー、いわゆる技術的な訓練を受けたヘルパーが少ないという勧告をしているわけですけれども、そういう意味でも身体介護の技術を有するホームヘルパーの養成実績というのはどの程度進んでいて、これからどのようにその養成をなさろうとされているのか、具体的にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/118
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119・谷修一
○政府委員(谷修一君) まず、前段の方の平成七年八月の総務庁の勧告を受けてどのように対応したかということでございますが、一つは、看護職員につきましては、ナースセンターから公共職業安定所に対します情報提供、あるいは相互の連絡等をしっかり行うようにということで都道府県を指導いたしました。また、特にこの看護婦の問題につきましては、院内保育についての保育時間の延長を促進するというようなことで、看護婦の要望に応じた保育施設の普及を図るということも含めまして、就業促進対策の充実を初めとする改善措置を講じました。
また、この勧告の中では、福祉サービスに係る人材ということで同様の勧告がなされておりますが、福祉人材センターにつきましても公共職業安定所に対する情報提供、またこれについて都道府県に指導いたしました。また、療養型病床群におきます看護補助者の介護等の業務経験を介護福祉士試験の受験資格として追加するといったようなことをいたしました。
また、ホームヘルパー、訪問介護員養成研修事業の中で、特に専門性の高い身体介護能力の獲得等の観点からのカリキュラムの見直しを行いまして、平成八年度から全面的な実施に移ったところでございます。
なお、後段のホームヘルパーの就労条件等につきましては羽毛田局長の方から答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/119
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120・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) ホームヘルパーに関しまして三点お尋ねがあったと思いますむ
一点目は、やはり常勤を基本に、あるいは常勤のウエートをもっと高くするような方向でいくべきではないかというお話でございました。
私ども、介護を要するお年寄りの在宅の生活を支えていくという場合に、やはり早朝からあるいは夜間といったさまざまな形でのホームヘルパーの多様ないわば需要がございます。したがって、そういったいろんな形でのサービスの提供に対応できるという形が必要であろうというふうに考えますと、やはり地域の実情等に応じまして、非常勤ヘルパー等の弾力的な勤務形態というものを活用するということは、やはりこれはこれで必要であろうというふうに思います。したがって、そういった要介護老人の多様な需要に的確に対応するという観点から供給体制を整備するということが大事ではなかろうかということで、そういった実質で進めていきたいというふうに思っておりますし、そのことのいわば補助金あるいは予算補助上のあらわれといたしまして、形式上の勤務形態にとらわれずに実際の事業実績に応じて補助を行う方式という、いわゆる事業費補助を導入したというのもそこらにあるわけでございます。
これと関連をいたしまして二点目で、しかしながらやはり常勤といい非常勤といい、その勤務形態が非常に不安定で、ホームヘルパーさんが非常に不安定な形で就労をするということについての問題点、これはあの勧告にもございましたようなことでございますけれども、これにつきましては私ども、やはり就労条件の確保等に当たりまして留意すべき事項というようなことをきちっと示す、あるいは市町村が委託先団体に所属をしますホームヘルパーさんの就労条件というものを市町村段階できちっと確保するというようなことで、就労の実態に応じました就労環境の整備を図っていくということにつきまして、各都道府県市を通じまして市町村等の指導をいたしたところでございます。
それから三点目の、いわば訪問介護員、ホームヘルパーの質の向上という意味でございますけれども、これは先ほど谷局長が御答弁申し上げましたように、カリキュラムを変更いたしまして、身体介護等についてより良質な養成ができるように平成八年からスタートをさせていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/120
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121・清水澄子
○清水澄子君 それでは、時間がもうありませんので、最後に小泉大臣にお尋ねいたします。
これまで幾つか質問いたしましたように、介護サービスの基盤整備はやっぱり実際に大変立ちおくれていると思います。ですから、介護保険法が成立をしても、基盤整備は引き続き強化していかなければ介護保険のこのサービスの需要に追いつかないと思うわけです。ところが、平成十一年に終わるこの新ゴールドプラン以降の基盤整備についての計画とか財政的な裏づけがされておりません。
さっき、やはり同僚議員が伺っておりましたけれども、平成十二年にこの介護保険法が導入されますと、これまでの高齢者福祉行政費として使われてきた国庫負担の費用が、これは私どもも五千億円というのを昨年の厚生省の資料で見ていたんですが、現在三千七百億円と修正されておりますから、その三千七百億円はある意味では浮く財源なんですね。今までこの高齢者行政に使ってきたお金としては浮く財源になります。この浮き財源をぜひ大臣の強い決意で、意思で、この分を他のところに、一般的なところに使用してしまうんじゃなくて、やはり介護保険制度の基盤を強化するというそちらの方にこういう財源を使っていく、動かしていくということをぜひ私は国民の前にわかるような方向を出していただきたい。そのことが介護保険制度への国民の信頼を高めるまず私は第一歩だと思いますので、このことについて小泉厚生大臣の御決意を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/121
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122・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) この制度が施行された後、いろいろ今までの議論でも御指摘いただきましたように、保険あってサービスなしという事態を避けるために介護基盤の整備というのがこの保険制度導入の成否のかぎを握っていると言っても過言ではないと思います。
そういう意味におきまして、今後この介護保険制度が円滑に施行されるような基盤整備に全力を尽くしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/122
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123・山本正和
○委員長(山本正和君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、暫時休憩いたします。
午後一時十二分休憩
―――――・―――――
午後二時十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/123
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124・山本正和
○委員長(山本正和君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、山本保君が委員を辞任され、その補欠として但馬久美君が選任されました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/124
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125・山本正和
○委員長(山本正和君) 休憩前に引き続き、介護保険法案、介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/125
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126・南野知惠子
○南野知惠子君 自由民主党の南野知惠子でございます。
私は、この臨時国会におきまして介護保険法案の成立をぜひ望むものでございますが、介護サービスの質と量の両面で国民の選択にたえられる介護保険制度にする必要があると思っております。
このような立場から御質問申し上げますが、厚生省の試算では、施行当初必要とされる在宅サービスの四割程度のサービスしか確保されていないということが前提とされているようでございます。しかし、保険料の負担を求める以上、必ずしも四割にとどまるとは考えられないと思います。介護保険の試算につきましては、介護サービスの給付を必要とする人が全員申請するとの前提で議論に供すべきではないでしょうか。厚生省の試算が甘いと言われるゆえんではないかと思っておりますので、お尋ねを申し上げます。
特に、制度発足当初、平均月二千五百円と説明されております介護保険の保険料についてですが、国民に新たな負担をお願いすることになるのですから、これが見込み違いがあるということでは許されないと思っておりますので、本当に二千五百円で足りるのかどうか、再度厚生省の見通しについて御説明をお伺いしたいと思っております。
また、マンパワーを初めとする基盤整備の目標につきましても、実際の要介護者の数よりも相当少なく見積もっておられるのではないかと不安を抱いておりますが、いかがでございましょうか。大臣、お尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/126
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127・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) まず、介護保険に係る費用の推計の話でございますが、費用推計につきましては、要介護者の数を年齢別の発生率に基づいて計算すると。二〇〇〇年におきまして、六十五から七十、七十から七十五、七十五から八十と、そういう五歳刻みの年齢階級ごとの要介護の発生率がありますので、それに人数を掛けて要介護者の数を把握すると。それからまた、サービスの中身につきましては、在宅サービスあるいは施設サービスにつきまして、現在の予算等から推計した平均的な費用を前提にしまして、それをもとに計算しているところでございます。そういう計算をいたしまして、二〇〇〇年における制度発足時における介護費用は一部自己負担等も含めまして四・二兆円ぐらいかかると推計しているところであります。
その四・二兆円のうち、一部自己負担、一割の自己負担と食費の自己負担がありますので、それを除きますと三・七兆円ぐらいが介護保険制度から給付されるお金になります。給付されるお金の半分が公費、半分が保険料ということでございまして、その半分の約一兆八千五百億を、その二〇〇〇年で見込まれる四十歳以上の方の人数六千五百万人ぐらい、これで割りますと、一人当たり二千四百円という数字が出てまいります。
介護保険の保険料は三年に一回ずつ見直していくという前提で考えておりますので、二〇〇一年、二〇〇二年の費用もあわせて同じように推計し、三年間における平均的な保険料ということで、平成七年度価格でございますが、二千五百円と推計しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/127
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128・南野知惠子
○南野知惠子君 よくわかりましたが、国民の不信を買わないようにぜひよろしくお願いしたいと思っております。
介護保険制度を創設するに当たりまして重要なのは、医療と看護、介護が一体的にできる仕組みをつくり、運営されることであると思っております。
そこで、第一に要介護認定についてお伺いいたしますが、介護を要する人やその御家族が介護保険の申請をしても要介護認定に時間がかかる。その判定結果に疑問を抱かれるようではせっかくの介護保険制度も国民の信頼を失うことになりかねない。もうたびたびの御質問がございますが、厚生省は介護認定の迅速性や公平性、透明性の確保をどのように担保されようとしておられるのか、お尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/128
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129・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護認定は介護保険制度におきまして保険給付を行うかどうかを決める大変重要な手続でございます。そのために、要介護認定につきましては二つのデータをもとに判定する。一つは高齢者の心身の状況に関する調査結果、それからもう一つは主治医の意見、この二つのデータに基づきまして、市町村に設置されます介護認定審査会、この審査会の委員には保健、医療、福祉の専門家にそのメンバーになっていただく。単に知識を持っているというだけではなくて、介護について実際上の経験を持っているそういう方が委員になるのが望ましいというふうに思いますが、そういう方の合議によりまして、要介護状態にあるか否か、あるいは要介護状態のレベルがどのぐらいか、これを審査、判定していただくということになっているわけでございます。
原則として要介護認定の申請から三十日以内に認定を行うということになっておりますが、これをできるだけ迅速に行えるように、今モデル事業を通じていろいろ経験を積んでおりますが、こういうものを踏まえて改善をしながら、迅速に行えるようにしていきたいというふうに思っております。
また、モデル事業を通じて、今年度も約四百の地域で要介護認定であるとか、あるいは介護サービス計画の策定であるとか、モデル事業を通じて事業を行うわけでありますが、こういう事業を通じて得られましたいろいろな問題点、要改善点、これはその後も今のモデル事業の中に組み込み、改善をしていきまして、できるだけ適切、効率的に審査判定が行われるように努めてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/129
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130・南野知惠子
○南野知惠子君 要介護認定につきましては、昨年度モデル事業を行われたとおっしゃっておられますが、それらを踏まえまして今年度の事業ではそれをどのように改善しょうとしておられるのか。
一つ具体例もお尋ねしたいと思うんですが、二千五百円は、皆保険ですからみんながお支払いします。お支払いしながら、在宅の人たちは例えばおむつの買い求めば自分でする、だけれども施設に入った方は、同じく二千五百円払って施設に入っておられるわけですが、その方は施設から支給される。施設から支給される方と在宅で支給されない人と、そこら辺のそごが出てくるというようなところが一般の人たちには比較的気になるところだと思います。
そういうものも、私たちこの前視察に参りましたときに、長野県と秋田県、その両サイドでまた意見が違ったわけでございます。片方の県は現物、現金の支給が必要だと言われる、片方の県はそれは必要でないというふうなことも言われましたが、今モデル事業をされた中でそのような声があったかどうかもお含みになってお答えいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/130
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131・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) モデル事業を昨年は全国六十カ所の地域で行いました。
そのモデル事業を通じまして、例えば市町村の職員が要介護者の心身の状況を調べる調査票でありますが、その調査票の記入の仕方あるいはそこに書いてある選択肢の表現の適切性、そういうものについていろいろと意見が出されました。こういうものは、改善すべきものを改善してできるだけ調査内容の明確化を図るようにいたしました。
それから、かかりつけ医の意見書でございますが、これについて平成八年度段階では特段細かな様式というのはつくらなかったわけでございますが、そうしますと、非常に丁寧に意見書を書いてくれた先生と非常に簡単に書いてくれた先生とあるわけでございます。そこで、特に痴呆の状況などは、やっぱりかかりつけ医師がずっと診ていてその上で判断して書いていただくというのは大変重要でございますので、今回は、その寄せられた意見をもとにかかりつけ医の意見書につきましていろいろと項目をつくりまして、その項目ごとに記述をしていただくというように改善をしたわけでございます。
それから、要介護度、IからVまで分類をしてそれぞれ説明をしているわけでありますが、できるだけ実態をつかみやすいようなものにしてほしいという話がございまして、平成八年度のモデル事業におきます実例をもとに、要介護度Iというのは大体実例的に言えばこういう人がなっている、そういう典型例をあわせて示しまして要介護度の判定のしやすいような工夫を行ったわけでございます。ことしはそういう工夫を行ったもので、先ほど申し上げましたように全国約四百の地域でモデル事業を行うということになっております。
先生からお話のありましたいわゆるおむつの問題ですが、在宅のおむつとあるいは施設のおむつという話でありますが、モデル事業そのものは要介護認定までの中身でございましてサービス内容までいっておりませんから、このモデル事業を通じてはおむつについてどうだこうだという意見は出されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/131
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132・南野知惠子
○南野知惠子君 またそのような声が出てくるようでございましたら御検討の中身に入れていただきたいというふうにも思っております。
要介護認定がされるまでには三十日を要するというようなお話も先ほどございましたけれども、その間給付が受けられないというような意見も出ておりました。法案に基づきましてどのような制度になっているのかということを正確にお示しいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/132
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133・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護状態にあると思われる人は市町村に対して要介護認定の申請を行うことになります。そして、市町村は手続的には、先ほどとちょっとダブりますが、その人の心身の状況を調べる、そういう調査をやり、一方でかかりつけ医師の意見をいただき、それを介護認定審査会でよく調査していただいて判定をするということになるわけでございます。
この判定をしました効果は、法律の第二十七条十一項によりまして、「要介護認定は、その申請のあった日にさかのぼってその効力を生ずる。」というふうになっております。つまり、申請をして一カ月以内に介護認定を行うわけでありますが、その効果は申請の日にさかのぼるというふうに書いてあるわけでありまして、申請のときから介護保険の適用が受けられるということになるわけでございます。
この場合におきまして、きちっとした介護サービス計画をつくるのに時間がかかるかもしれませんので、例えば暫定的な介護サービス計画をつくって、専門家が見れば、この人は要介護状態にないだろうとか、要介護状態にあるけれども要介護度のレベルはⅡかⅢかとかあるいはⅢかⅣかとか、若干の幅でおおむね、多分専門家はわかるんではないかと思うんですね。そういう状態を見て、その人の状態に合わせて暫定的な介護サービス計画をつくって介護サービスを利用していただく。そうしますと、それが要介護度の限度額の範囲内であれば介護保険から給付の対象になるわけでありまして、最終的には自己負担一割でそのサービスが利用できるということになるわけでございます。
また、何らかのやむを得ない理由でまだ介護認定の申請をしていないんだけれども、そのしてない前から要介護状態にあって何かサービスが緊急に必要だ、そういうようなケースもあり得ると思うわけでございまして、こういう場合につきましては、その人が要介護状態にあると認定された場合には市町村が償還払いの形で保険給付の対象にすることができるというようにもなっております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/133
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134・南野知惠子
○南野知惠子君 次は、ケアマネジャーとケアプラン、それの質の確保ということでお伺いいたします。
自立支援を行いますのには、介護サービスを必要とする人、その健康状態をトータルにアセスメントして、生活する上での要介護状態の改善もしくは悪化の防止を目指した効果的な介護サービスの提供が求められているわけでございますが、保健、医療、看護職の予防的または予測的視点が効果的にケアプランに反映されることが重要であるというふうに思っております。
また、ケアマネジャーが特定の職種に偏ることなく、ケアプランの質を予防的、予測的視点から確保する施策につきまして、厚生省はどのように考えておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/134
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135・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護状態の改善とか予防的観点から介護サービスの質の向上、これは、介護支援専門員による適切な介護サービス計画をつくり、そしてそれの適切な実施状況を把握する、そういうことを通じて担保されていくというふうに思うわけであります。そのために質の高い介護支援専門員を相当数、私どもは制度実施までに四万人程度は必要だろうと思っておりますが、その介護支援専門員を養成する必要があるというふうに考えております。
介護支援専門員の養成につきましては、保健、医療、福祉の分野の専門家であって、介護についての経験を持っているような方、こういう方が研修を受けて、その研修を修了した人が介護支援専門員になる、そういう仕組みになっているわけでございまして、現在、介護支援専門員を指導する指導者研修を国において行っているところでございます。この養成が進んでいきますと、その介護支援専門員の指導者が各都道府県におきまして介護支援専門員になる方々を指導、研修するということになります。
現在、私どもの作業では、介護支援専門員になる方に必要な知識、技術、あるいは少し幅広い知見、そういうものをまとめた資料をつくっているところでございまして、まだ作成過程でありますが、できましたらそれを勉強していただいて、それをもとに勉強した成果を生かして、先ほどの介護支援専門員指導者の研修を受けて、それで介護支援専門員になっていただくというような手順を踏むことになります。
まだこれから実施するものでありますが、これも実施しながら、いろんな意見が寄せられればできるだけ中身を改善して質の高い介護支援専門員の養成につながるように努力してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/135
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136・南野知惠子
○南野知惠子君 スムーズに介護支援専門員が育ちますことを御期待いたしております。
要介護認定の次は、不服の申し立てまたは苦情処理体制の整備、ひいては介護サービスの質をどのように確保されようとしておられるのか。特に第三者機関による介護サービスの質の評価、そういったものが必要であると思いますが、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/136
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137・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護認定処分に関します不服申し立てでございますが、これにつきましては、いわゆる公正な第三者的立場に立つ裁決機関ということで介護保険審査会を都道府県に置くということになっております。
それから、苦情処理につきましては、各都道府県の国民健康保険団体連合会にそれを担当してもらうということにしておりまして、ただ各県に一つの連合会でございますので、その連合会には、市町村であるとかあるいは介護支援専門員であるとかそういう要介護者の身近な人が窓口になってその苦情を国保連につないでもらう。そういうような工夫をしながら国保連の苦情処理業務が適切に行われるようにしてまいりたいというふうに思っております。
サービスの質の確保という観点では、まず指定する業者につきまして、介護保険施設であるとかサービス事業者につきまして一定の人員上の基準であるとか運営上の基準というものを設けまして、これできちっとやっていただくというのが基本でございます。それに、きちっとやっているかどうか必要があれば監査を行う、あるいは違反があれば一定の手順を踏んで、必要があれば指定の取り消しを行う、こういうような形で介護サービス事業者にきちっとサービスをしてもらう。
そういう仕組みにしておりますとともに、先ほど申し上げました国保連合会で苦情処理を受けるわけでありますが、寄せられました苦情処理のうち、利用者の声をサービスの質の改善に結びつけるという意味で、事業者に伝達すべきものはきちんと伝達してもらって、これも介護サービスの質の向上に結びつけてもらおうというふうに考えております。
また、介護保険制度における要介護者は自分の利用する介護サービスを選択することができるということになっているわけでありますが、選択するためには、どういう事業者がどういう特徴のあるサービスを行っているか、その中身がわからないと難しいわけでありまして、そういう意味で要介護者等に対します情報提供が重要でございます。事業者みずからあるいは事業者を指定する都道府県あるいはまた保険の実施主体である市町村、そういうところがそれぞれの立場で幅広く情報を提供して要介護者が適切な選択をできるようにしていく、またこれを通じて事業者の質の改善が図られていくんではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/137
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138・南野知惠子
○南野知惠子君 人情の厚い大臣にお尋ねしたいと思っておりますが、介護保険の申請をしましても要介護認定者と認定されなかった人に対してどのような支援体制をおとりになられる御計画でしょうか、お知らせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/138
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139・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 介護保険給付というのは高齢者が対象なんですが、高齢者すべてということでなくて、いわゆる保険ですから、事故と言っては変ですけれども、要介護状態になった人の認定がまず第一で、その認定からはみ出した、認定を受けられなかったということに対してのサービスはどうかという御質問だと思うんですけれども、これから市町村の役割というのは住民サービス、住民サービスに一番何を要求するかというとやっぱり保健とか医療とか福祉問題だと思うのであります。
今後、健康長寿の町づくりとかあるいは日ごろの保健活動、こういう点に当然地方団体は力を入れていきますから、そのような介護保険給付の対象とならない人に対しても日ごろからどういうサービス活動を実施していくか、これは厚生省としても市町村と連絡をとりながらその支援体制をとっていかなきゃいけないと思います。それがひいては医療保険やらあるいは健康づくりに資するものだと思っておりますので、この介護保険導入が単なる介護保険の制度普及ということにとどまらず、医療の方にもいい影響を与える、そして全体の福祉の町づくりにもいい影響を与えるという形で、それぞれ厚生省と関係市町村が連携をとりながら取り組んでいく必要があると思っております。そういうことによって、この保険給付の対象とならない人にとっても行き届いたいろいろなサービス事業が提供できるんではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/139
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140・南野知惠子
○南野知惠子君 やはり心ある介護保険が展開されることを望んでおります。
さらに、介護保険法案の衆議院の修正によりまして、施行後五年を目途として介護保険制度全般にわたる検討が行われるということがうたわれておりますが、不服申し立てや苦情処理、その際に制度改正に反映される仕組みがなければならないというふうに思っておりますが、その仕組みはできているのでしょうか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/140
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141・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 先生の御指摘にありましたように、制度施行後の検討規定、政府提案にもあったわけでありますが、衆議院の議論の中で「施行後五年を目途として」というような検討の期限というものが付されたわけでございます。
その検討におきましては、介護サービスを提供する体制の状況であるとかあるいは市町村が行う介護保険事業の円滑な実施の状況であるとか、そういうものを踏まえながら検討していくということになるわけでございます。法律の中には、この検討に当たって、地方公共団体その他関係者からの意見を十分考慮しなければならないというふうに定められているわけであります。
先生御指摘のありました例えば不服申し立て、苦情処理の結果、これも内容によるとは思うんです、非常にサービスの個々具体的な質や内容についての苦情処理とかそういうものもあろうかと思いますし、制度のあり方についての苦情処理とか不服というものがあろうかと思います。制度見直しの上で参考とすべきもの、これは、苦情処理は国保連で受け付ける、それからまた不服申し立てば都道府県で受け付けることになりますが、そういう中で制度の見直しにかかわるような意見はできるだけ厚生省の方で吸収するようにして、そういう内容も今後の施行後の検討の際には十分に参考にして対応していかなければならないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/141
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142・南野知惠子
○南野知惠子君 いいアイデアがありましたら、それはもうフレキシブルに取り入れて、ぜひいい方向で充実させていっていただきたいと願っております。
十月二十一日の当委員会の参考人の陳述におきまして、看護協会の山崎参考人から、老人医療と介護のシームレスケアの必要性ということが強く述べられたんですが、この点につきまして、厚生省、御意見いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/142
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143・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 老人医療と介護の継ぎ目のない連携というんですかシームレスケアと、そういう必要性についてでございます。
介護保険法案におきましては、必要な保健・医療サービスとそれから福祉サービス、そういうものが総合的に提供されるようにといった趣旨、あるいはまた急性期医療と連携を図って行っていくべきだと、そういうようなことが目的や基本理念に明確に規定されているところでございます。そういう意味で、先生の御指摘の老人医療と介護、そういう間に縦割りでないと申しますか、連携のとれた形でサービスが行われると、これは大変重要なことだと思います。
具体的には、病院において病状がほぼ安定して必要な急性期の入院治療が終わってくる、そして日常的な医学管理の継続のもとで、どちらかというと看護とか介護とかそういう日常生活上の世話が重要となった状態、こういう段階では主治医の判断に基づいて要介護認定の申請をしていただいて、円滑に介護施設とかあるいは在宅のサービスとかそういうものを利用できるようにしていくと、こういうことが必要だろうというふうに思います。
また、逆に介護保険による介護サービスを受けている要介護者が今度は医療を必要とするようになってくる、こういう場合にも老人医療から必要な給付が受けられるようにすると、こういうことも必要だと思います。
こういうような制度の運営につきまして、こういう各サービス主体間の連携というふうなことに十分留意をしながらその運用のあり方について適切な運用ができるようにいろいろと努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/143
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144・南野知惠子
○南野知惠子君 その垣根のないシームレスケアをよろしくお願いしたいと思っております。
介護保険制度が成功するためにはやはり介護サービスの基盤整備、そこに力を入れる必要があると思っております。特に新ゴールドプランの完全実施と、それから介護保険によって市町村が策定することになっております介護保険事業計画の立案に際しまして保健・医療職種の積極的な参加を求めていくと、現行の老人福祉計画と一体的に推進していく必要があるというふうに思っております。
そこで、まず在宅介護の受け皿として二十四時間ケアを積極的に推進するためには訪問看護と二十四時間ホームヘルパーとの連携を図る必要があるというふうに思われますが、ホームヘルパーが要介護者の日常生活を支えていればこそ訪問看護が有効に機能するというふうにも思っております。したがいまして、訪問看護ステーションでホームヘルパーと協働できる仕組み、そういったものが必要と思っておりますけれども、厚生省の対応をお尋ねしたい。
さらに、在宅介護のニーズに柔軟に対応するためには訪問看護の提供システムを整備しなければならないと思いますが、この点につきましてのお考えをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/144
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145・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。
先生仰せのとおり、介護保険の導入に向けまして、高齢者の方々のニーズに適切にこたえるという観点からしまして、また今後における在宅介護のあり方ということを考えます上で、いろいろな意味での連係プレーは大変大事なのでございますけれども、わけても訪問看護と訪問介護の連携、一体的な展開ということは、二十四時間でそういった体制を組むということは非常に大事だというふうに私ども思っております。
そういった観点から、これはある意味からいうと先駆的な取り組みになります。したがいまして、本年度から在宅介護支援センター、そして訪問介護事業所、ホームヘルパーステーションでございますね、それから訪問看護ステーション、訪問看護事業所、こういった三者が連携を図りまして、そういう連携のもとで介護を要する在宅の高齢者の方々のところにいわゆるチームプレーで二十四時間の介護なりあるいは看護なりというものをバックアップしていこうということで、在宅保健福祉サービス総合化モデル事業を実施いたしております。この成果を普及するという形の中で、先生仰せのような方向を目指していきたいというふうに思います。
それとあわせまして、今お話のございました訪問看護事業、そのための基地となる訪問看護ステーション、これまで場所的にも、先ほどの新ゴールドプランのところでもお話が出ましたように、普及がややおくれているサービスでございますから、普及に力を入れていきますと同時に、このあり方につきましても、看護サービスを提供するところでございますけれども、介護職員の配置というようなことについても、モデル事業の成果等を踏まえまして高齢者のニーズに適切に対応し得る仕組みに質的にも変えていくということを今後検討してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/145
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146・南野知惠子
○南野知惠子君 いろいろなシステムをネットワーキングさせていくということが一番大切なことだろうというふうに思っております。
医療依存度が高い利用者に対する訪問看護など、医療的分野での介護保険給付についてでございますけれども、介護度が高ければ医療のニーズも高まると考えられるわけでございます。つまり、介護保険におきましては看護・介護サービスと医療は車の両輪であろうかと思っておりますが、二十一日の参考人質疑では、これも山崎参考人からでございますけれども、長期社会的入院患者の多くが十分な訪問看護サービスが受けられれば在宅で療養することが可能になるとの話をしておりました。
そこで、介護保険におきましては医療的給付に対する報酬上の評価についても十分な御配慮をお願いしたいと思っているんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/146
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147・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) この間の参考人の御意見で、確かに訪問看護あるいは訪問介護、そういう在宅での受け皿がよければ現在入院している人でもかなり在宅で受けとめられるのではないかというお話がありまして、介護保険制度を進める上で大変心強いというか、こうなくちゃいかぬなという気持ちを持ったわけでございます。
介護報酬でございますが、これも別の先生の御質問にお答えしたとおりでありますけれども、これは介護サービスの種類ごとにその実際の実勢価格というものを調べて、その上で審議会にかけて介護報酬を決めていく、そういう手続、手順を踏んでいくことになるわけでございまして、今の段階で介護報酬がどうなるということは申し上げられないわけでございます。
しかし、訪問看護を含めました医療給付に対する介護報酬につきましても、基本的にはそういう実勢価格を調べる、実勢価格を調べて平均的な費用というものを勘案するということになっているわけでありますが、それはサービス提供機関の運営が当然適切に行われるというようなものでなければならないわけでございますので、そういうことも十分踏まえながら介護費用の実態を把握して、関係審議会の意見を踏まえて、適切な内容になるように審議会に御検討いただくことではありますが、十分そういう視点というのを審議会に提供しながら御検討いただくことにしたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/147
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148・南野知惠子
○南野知惠子君 次は、在宅介護というものを充実させるためには、病院での療養から在宅への医療というものが必要になってくるだろうと思っております。地域における看護職種や医療職種の人材をいかに確保するかが今後の課題であろうというふうに思っておりますが、そのための環境整備についてはいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/148
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149・谷修一
○政府委員(谷修一君) 今お話ございました看護職員あるいはその他の医療職種の人材をいかに確保するかということでございますが、看護職員の確保につきましては、平成四年に制定をされました看護婦等の人材確保の促進に関する法律に基づきまして、離職の防止あるいは養成力の確保等の総合的な対策を行ってきております。
その際、作成いたしました需給計画というものがございますけれども、今後、介護保険制度の導入というようなことに伴って予想されますこの訪問看護に必要な需要ということを見込んでも、ある程度ほぼ看護職員の確保というものは順調に進んでいるというふうに考えております。
また、この質の向上ということに関連いたしまして、特に訪問看護ということに対応できるような資質の高い看護婦さんを養成するということの一環といたしまして、養成所のカリキュラムの中に在宅看護論というものの内容を盛り込みましたし、また訪問看護婦の養成講習会というものも充実をさせてきたところでございます。
また、看護婦以外で特に介護との関係では、やはり理学療法士、作業療法士といったようなリハビリ関係の職種が大切だというふうに思っておりますけれども、理学療法士、作業療法士につきましても、既に作成をされておりますこの需給計画に沿って、一応ややそれを上回る形で現在養成力の確保が行われてきているというふうに考えております。
そういうようなことで、必要な職員の確保ということについて引き続き努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/149
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150・南野知惠子
○南野知惠子君 看護婦の資質につきましては、我々大きな准看護婦養成停止というものを抱えておりますので、その件につきましては今回は御質問いたしませんけれども、我々常に感じておりますのでよろしくお願いしたいと思っております。
さらに、労働省の方、きょうお見えだろうと思っておりますのでお尋ね申し上げます。
介護保険法案の第一条の目的の規定には、「必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、」介護保険制度を設けることとしておられるということですが、その給付は、訪問介護それから訪問入浴介護などの介護サービスを受け、その費用を支払った方が対象となるわけでございますが、具体的に介護サービスを受けなければ介護保険制度が機能しないということになるだろうと思っております。
その意味で、介護保険制度を円滑に実施していくためには介護サービスの供給が前提条件となるのは当然でございますが、介護サービスはそれを実施する人がいて初めて成立するものである、介護サービスを担うマンパワーの確保あるいは養成は介護保険制度を運営していく上での絶対的な条件であるとも思っております。
そこで私は、介護保険制度を支えるマンパワーの確保、育成に関しまして労働政策という観点、視点が必要なのではないかなと考えておりますが、労働省からそれをお伺いしたいと思っております。
さらに、労働省は、平成四年に制定されました介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律、略しますと、介護雇用管理改善法というものに基づきまして介護労働力の確保対策を推進していると聞いております。そのことについて概要を御説明いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/150
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151・吉免光顯
○説明員(吉免光顯君) 介護雇用管理改善法、先生御指摘のように平成四年に制定されたわけでございますが、ただいまお話しございましたように介護労働力の需要が大きく伸びていく、あるいは重要であるということで、介護労働者につきましての雇用管理の改善でありますとか能力の開発あるいは向上、そういったことを行いまして介護労働力の確保に役立てていこう、こういう趣旨、目的の法律でございます。
法律の内容としましては、労働大臣が、こういった雇用管理の改善あるいは能力の開発、向上、こういうことについての計画をつくっていく。それから、事業主が雇っております介護労働者につきまして、介護労働者の福祉の増進を図るような手だてをいたしまして、そういう計画をつくり、都道府県知事の認定を受けました際にいろいろな形で助成、援助を私どもとしてやっていこう、こういったようなことでありますとか、それから、この介護労働者の福祉の増進を総合的に進めていく総合的な支援機関として介護労働安定センターというようなものを指定いたしまして、労働大臣が福祉の増進を図っていく。こういった内容を主なものにいたしておりまして、労働省としましても介護労働力の確保に役立てていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/151
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152・南野知惠子
○南野知惠子君 介護労働力の確保のためには、雇用管理の改善など介護業務に従事する方々の福祉の増進というものを図っていく必要があると思われます。そのために労働省では、介護雇用管理改善法に基づきまして介護労働者の福祉の増進を支援する機関として介護労働安定センターというものを指定しておられますけれども、このセンターは具体的にどのような活動を行っておられるのでしょうか。
また、このセンターの事業の実施状況につきましては行政監察の勧告が出されたと聞いておりますが、それらのセンターの目的とするところは、まさに今日の重要な課題である少子・高齢社会への対応というような点でも重要であると思っております。このセンターをより積極的に活用していく必要があるのではないかと思いますが、この点につきまして労働省の見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/152
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153・吉免光顯
○説明員(吉免光顯君) 介護労働者の雇用管理の改善、先生御指摘のように大変重要なことだと思っております。そういう人たちのために雇用管理の改善のための相談、援助をいたしましたり、あるいはセミナーをいたしましたり、それから研修を実施しましたり、それからこういった講習をいろいろな形で受けた際の助成金を支給したり、そういったこともやっておるわけでございます。御指摘のございました介護労働安定センターにつきましては、まさにそういったものを総合的に実施するということで施策を展開いたしているわけでございます。
特に、介護についての研修につきましては、介護労働者を育てていく上で非常に重要だというふうに考えておりまして、平成六年から、これは厚生省とも御相談をさせていただいてということでございますが、ホームヘルパー養成研修の二級課程、それから三級課程の指定も受けまして介護センターの方で業務を進めさせていただいております。
このセンターにつきましていろいろ行政監察等の指摘も受けているわけでございますけれども、私どもとしてはそういった指摘を十分受けとめまして、非常に重要な介護労働力の確保あるいは福祉増進にさらに改善をしながら努めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/153
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154・南野知惠子
○南野知惠子君 介護労働者を確保するためにはやはりハローワーク、すなわち公共職業安定所による職業紹介が重要な役割を果たしているとも考えております。都道府県ごとに福祉重点ハローワークを指定するなどしてその業務に工夫を凝らしておるとお聞きしておりますけれども、その実績はどのように上がっているのでしょうか。
特に、今後若い労働者が減少していく、そういったことを考慮しますと、仕事をしていない方や他の職種、または他の業種から転職者を期待せざるを得ないということも言えるのではないかと思います。そのためにはハローワークを今後より活用していくべきと考えておりますけれども、その方針はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/154
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155・吉免光顯
○説明員(吉免光顯君) 御指摘のハローワーク、公共職業安定所におきまして、これも平成四年からでございますけれども、介護労働力の確保ということの一つの拠点として考えまして各都道府県ごとに一カ所指定をして、御指摘もございましたように、まだ就業していない看護婦さん、あるいは福祉分野の仕事に関心あるいは経験を持っている、これからそういう分野に入って仕事をしてみたい、そういった人たちもたくさんいらっしゃるわけで、そういう層に対します情報提供でありますとか相談あるいは職業紹介をいたしております。
実績としまして、このハローワーク、福祉重点ハローワークと呼ばせていただいているわけでございますけれども、平成三年、指定以前でございますが、介護、看護の分野で就職した方は二万二千人でございました。その後、こういった形で仕事をさせていただきまして、平成八年には就職した人の数が三万二千人にまで達しまして、かなり増加をしてきているわけでございます。現在は四十三都道府県までいっておりますけれども、全県に指定を広げて御指摘のような形で仕事をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/155
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156・南野知惠子
○南野知惠子君 介護労働力の確保という一つの観点からしますと、さらに忘れてはならないものがあると思いますが、それは民間の有料職業紹介所ではないかなと思います。
これらの紹介所のうち、家政婦さんや病院の付き添いの方々の紹介を業務として相当部分を占めていたところでは介護労働者の紹介に力を注いでいるのではないかなと思っておりますが、介護を求めている家庭や介護関係の施設の求人ニーズに幅広くこたえていくために、民間の有料職業紹介所に一定の役割を持っていただくということも期待されるのではないかなと思っております。
労働省は民間の職業紹介所の役割について、介護労働力の確保の観点でどのようにお考えになっておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/156
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157・吉免光顯
○説明員(吉免光顯君) 先生御指摘の民間の職業紹介機関でございますが、御指摘のように非常に重要な役割を担っているというふうに思っております。
労働力の需給調整機能を有料職業紹介所でありますとか家政婦の方々に社会的に活用して活躍していただく、そして介護労働力の確保に役立てていただく、これは非常に重要でありますし、これから先も一層私どもも役割として期待をしているところでございまして、そういった観点で私どもの方もいろいろな形で支援をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/157
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158・南野知惠子
○南野知惠子君 労働政策といたしましては、労働力の確保だけではなく公共職業訓練、そういったものの実施など人材育成という面でさまざまな取り組みを行っておられると思います。介護分野におきましても積極的に取り組まれているものと思いますけれども、ホームヘルパーなどの介護サービスを担うマンパワーの育成のために介護関係の公共職業訓練というものはどのようになっているのか、現状をお聞きいたします。
さらに、具体的にはどのくらいの施設で、または何科の介護関係の訓練を行っておられるのか、またその定員、何人ぐらいなのか、または訓練修了後に得られる資格というものはどういうものがあるのでしょうか、そこら辺の御説明をいただきたいと思います。
さらに、高齢社会に対応しまして介護保険制度を維持していく上でも介護サービスに必要な人材の育成というのは公共職業訓練所としても積極的に充実していくべきものというふうに思いますが、労働省としてはどのような方針で取り組まれるのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/158
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159・岩崎伸夫
○説明員(岩崎伸夫君) お答えいたします。
介護関係のマンパワーの育成のための公共職業訓練施設の実施状況でございますけれども、介護雇用管理改善法に基づきます介護雇用管理改善等計画に従いまして、平成九年度までに職業能力開発施設、二十七施設におきまして介護関連の訓練科、二十七科を設置、運営いたしております。
定員につきましては千五百二十人という規模で実施いたしておりまして、介護労働者に対します人材需要に対応した育成対策の充実を図ってまいっておるところでございます。
修了後に取得できます資格といたしましては、修了した訓練科により異なるわけでございますが、介護福祉士またはホームヘルパーの資格の取得が可能となっているところでございます。
また、介護保険制度の導入に当たりまして、高齢者介護サービスの基盤整備としての人材の育成につきましては、厚生省ともこれまで以上に連携を密にいたしまして、地域の訓練ニーズに対応しました公共職業訓練の充実に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/159
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160・南野知惠子
○南野知惠子君 今お話のございました介護福祉士、これは介護には欠かせない人材というふうに今育ってきているわけでございますが、高齢化の進展というものに伴って、いわゆる痴呆老人や寝たきり老人の介護、または介護者への知識、技術の助言、指導、そういうものを行う専門家として、これは六十三年に新設された国家試験であるというふうになっておりますが、介護という仕事の専門性、または介護業務に従事する労働者の増加、そういったものを考えますと重要な役割となってくるだろうというふうに思っております。
介護福祉士の資格というのは、介護福祉士試験を合格した者のほかに、指定された学校などで必要な知識、技能を修得した者に与えられるというふうになっておりますけれども、公共職業訓練を実施している公共職業能力開発施設でも厚生、労働両大臣のもとに指定を受けたところで訓練を受ければ与えられるということになっているのが現在でございます。
公共職業能力開発施設における介護福祉士の養成の状況、またはそれらの実績についてお伺いしますとともに、さらに施設をふやしてマンパワーを増加していくという御計画はあるのでしょうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/160
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161・岩崎伸夫
○説明員(岩崎伸夫君) お答えいたします。
介護福祉士の養成の関係でございますが、公共職業訓練施設におきまして現在指定されております公共職業訓練施設は兵庫県立の女子高等技術専門学院でございます。この兵庫県の専門学院におきましては、平成三年度に介護福祉科を設けまして、これまでにおよそ二百人の介護福祉士の養成を行っておるところでございます。
今後とも、高齢者介護サービスの基盤整備としての人材育成につきましては、介護福祉士の養成の充実に引き続き努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/161
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162・南野知惠子
○南野知惠子君 介護という仕事は本当に精神的にも身体的にも相当に負担の多いものと思っております、我々も経験いたしておりますが。そういった介護のためにサービスを担う人を確保していく観点から、事業主による雇用管理面での配慮というものが欠かせないというふうに思っておりますが、労働省では介護労働者の雇用管理の改善のためにさまざまな施策に取り組んでいるというふうに仄聞いたしておりますが、具体的にどのような施策に取り組み、どのような実績を挙げておられるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/162
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163・吉免光顯
○説明員(吉免光顯君) 介護労働者の雇用管理の改善につきまして、具体的には相談援助で、例えば平成八年度ですと五万五千件ぐらいの相談がございました。それから、雇用管理に関してセミナーもやっておりますが、こちらの方も八年度実績で六十回近くを開催いたしましたり研修を実施いたしておりますけれども、約一万人近いところでの実施と、こういったことをやっているわけでございます。
そのほか、雇用管理の講習を受けます際に助成金を支給するような、そういった助成金制度も持っております。そういったものの実績で、例えば今申し上げました講習を受けました際の実績としまして、平成八年度で約五百件近いところでこういう助成金も支給することができたりいたしております。
そのほか、施設整備の改善でありますとかいろんな形で雇い入れをする場合の御援助について、ことしから新しい助成金をつくったりいたしておりまして、そういったものを逐次進めながら、あるいは改善をしながらこれから先も進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/163
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164・南野知惠子
○南野知惠子君 介護雇用管理改善法というものに基づきまして介護労働者の雇用管理の改善または能力の開発向上などに関しまして介護雇用管理改善等計画などを策定して、それに基づいて必要な施策を展開しているということでございますけれども、この計画が本年四月に五年ぶりに改正されたと聞いております。
介護労働者の確保に関しまして労働行政としてどのように現状を把握しておられるのか、あるいは将来を見込んでおられるのか、またどのような方向で施策を進めていこうとしておられるのか、その計画に盛り込まれていると思いますけれども、その計画の内容及び改正のポイントなどについて御説明いただきたいと思います。特に、介護労働者の需給及びそれらの見通しについて御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/164
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165・吉免光顯
○説明員(吉免光顯君) 介護雇用管理改善法に基づきまして介護雇用管理改善等計画というのを御指摘のようにつくっております。平成四年につくりましたけれども、先生御指摘のようにことし四月に改定をしまして告示したところでございます。
改正に至った経緯でございますけれども、まず要介護老人の推計値が制定当初よりもさらに大きくなったこと、そういうことから見ますと労働力確保がますます重要になっている。それから、政府としていわゆるゴールドプランを改定して新ゴールドプランに移行し、高齢者の保健、福祉の分野で公共サービスの基盤整備を進めている、そういったようなところの変化等も踏まえまして、私どもの方の計画も改正をいたしたわけでございます。
この内容のポイントとしましては、まず今後若年者といいますか、若い人を中心にして労働力人口が減少していくということが見込まれているわけでございまして、基幹的な介護労働者の確保がますます重要になってくる、あるいは必要になってくるわけでございます。若年者以外でまだ就業していない層でこういった介護分野で働くということに関心を持っていただいたり、あるいはそういう意欲が出てくることも期待をし、いろんな形で介護分野で働いていただく、そういう人たちを確保していきたいというようなこと、それから、これから急速に高齢者がふえてまいります中で比較的壮健な方を介護労働力として確保する、そういった視点も含めて実は計画を直しているわけでございます。
介護労働力の需給等につきまして、厚生省さんともいろんな形で相談、御教授もいただきまして仕事を進めているわけでございまして、正確に需給の見通しというのを、必ずしも介護すべてが外部のサービス機関に依存するということでもございませんので、推計しにくいところはございますけれども、これから先も介護労働力について不足があるいは起きがちになりますので、今後とも厚生省ともよく相談をしながら、我々ができることは極力進めてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/165
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166・南野知惠子
○南野知惠子君 若年者のことについてもそうでございますけれども、介護サービスを担うマンパワーとしまして、私はやはり元気なお年寄りといいますか、元気な高齢者の方を活用してもいいのではないかなというふうにも考えております。少子・高齢社会というと要介護老人の増加などマイナス面にずっと思いをはせてしまいがちでございますけれども、医療技術の進歩だとか、または高齢者自身の意識の変化、そういったものによって、社会参加を求める高齢者もおられるのではないか、逆に増加しているのではないかというふうにも思っております。
高齢者の長い人生経験を生かしたそういった活動の一つとして看護関係の方面にも十分にその役割を担っていただけるものと思っているのでございますけれども、労働行政ではシルバー人材センターというような高齢者の活力を生かした施策を実施しているということも伺っておりますが、高齢者をもっと介護マンパワーとしての活用、そのような観点についてはいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/166
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167・吉免光顯
○説明員(吉免光顯君) 高齢化は、御指摘のように非常に日本はほかの国に見ないようなスピードで進んでいるわけで、高齢者の方が本当に意欲と能力に応じて働いていくということは非常に重要なことだというふうに思っております。
御指摘のとおり、介護サービスにつきましても、高齢者の方に活躍をしていただくというのは非常に重要だというふうに考えておりますし、高齢化が進展するという中では、高齢者の雇用の場を確保するという観点から見ましても大変重要なことではないかというふうに思っております。
御指摘ございましたように、今年度からシルバー人材センター、全国で今約七百五十カ所ぐらい持っておりますけれども、そこで介護支援のいろいろな事業を進めることを始めさせていただいたところでございます。高齢者の方にもこういった分野で活躍をしていただくということを大事にしてまいりたいと思っておりまして、先生御指摘のとおりではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/167
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168・南野知惠子
○南野知惠子君 あらゆる元気な方があらゆる職業に挑戦するということもまたいいことでありますし、またそれをボランティアとして生かすことも大変いいことだというふうに思いますが、介護マンパワーがやはり厚生省のジャンルの中におられる方、労働省のジャンルにおられる方ともども私たちは大きく育成し、またそれを活用していかなければならないと思っておりますので、両サイドでお仕事をされる方々がいい形で養成されますことを両サイドで御検討いただきたい、両省あわせて御検討いただきたいというふうに思っているところでございます。
最後に、厚生大臣にお尋ねいたしたいと思っております。今るる労働省にお尋ねいたしました。労働行政では介護にかかわる人材の確保または育成について各種施策を行っているということの御披露がございましたが、このような取り組みは介護保険制度を支える人材の確保、育成の観点からも非常に重要なものであると考えられます。
恐らく、従来からも必要な連携は行われていたというふうに思いますが、このたび行財政改革その他政府の提案の中で雇用福祉省といったような構想が論議されているところでございますが、そのような中でも、この介護保険制度を円滑に実施していくためにも、厚生省とまた労働省と密接な連携をとる必要があるのではないかなと思っております。
大臣の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/168
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169・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 介護問題について今お話しの人材の確保とその人材の養成あるいは資質の向上、これは大変大事な点だと思います。
今お話しのように、労働省でもこの人材の確保で鋭意努力されている。幸いにして今度省庁再編において労働省と厚生省が一緒になってやると言っていますから、前よりもより連携をとってできるのではないかと思います。一生懸命やっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/169
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170・南野知惠子
○南野知惠子君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/170
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171・田浦直
○田浦直君 自由民主党の田浦直でございます。
今回のこの介護保険法案に関連して医療法の一部改正も出ているわけでございますけれども、この介護保険法案と医療法の改正とどんな関係があるのか、まず大臣にお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/171
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172・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 医療法の改正案は医療提供に当たっての患者への説明の努力規定やかかりつけ医の支援等を行う地域医療支援病院の創設、広告規制の緩和等により医療提供体制の整備を図るものであります。
今回の介護保険法案との関係については、同法案は有床診療所にも療養型病床群を設置できることとすること、医療計画を見直し療養型病床群の整備目標を明記することなどの改正を行うことによりまして、介護保険制度の基盤整備の一環をなすものであることによるものでありまして、この御趣旨を御理解の上御協力をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/172
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173・田浦直
○田浦直君 今、大臣が言われましたこの療養型病床群というのが最近は非常に注目を浴びてきているというふうに思うんですが、この療養型病床群の病床数の推移はどうなっているか、おわかりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/173
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174・谷修一
○政府委員(谷修一君) 療養型病床群の病床数についてのお尋ねでございます。この療養型病床群が制度化をされましたのは平成五年度以降でございますが、当初、最初の平成六年の三月現在が約五千七百床でございました。ちなみに施設数で申しますと八十七施設でございましたが、その後年々ふえてまいりまして、一年後の平成七年一月には一万五千床、そして八年一月には二万六千八百床、それから平成九年一月現在で四万七千三百床でございまして、直近の数字といたしましては、ことしの六月末現在で約五万床、施設数として六百三十六施設というふうになっておりまして、今申し上げましたように、施設の数あるいは病床数としてはふえ続けているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/174
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175・田浦直
○田浦直君 およそ五年間ぐらいで五千床から五万床と十倍ぐらいに伸びておるということで、これがやはり介護の入所にとっては将来は一番大きな武器になるんじゃないかなと私も思っているわけでございます。今の大臣からの御説明のように、それをさらに今度は有床診療所にも適用したらどうかということで、私もそれは最もいい考えではないかなというふうに思っておるわけです。
有床診療所というのは、十九床未満のベッドを有する診療所ですけれども、これは戦後、大体日本の地域の医療を支えてきた功労者みたいなものなんですけれども、最近は患者さんの大病院志向だとか、あるいは非常に高価な医療器械を入れるというようなことで、だんだん今減ってきておるところでございます。
しかしながら、この有床診療所というのはその地域にとっては非常になじみの深いもので、大臣も御存じのように、ちょうど郵便局と同じように有床診療所というのも地域とは大変密着したものでございますから、私はこれを活用するということは非常にいいことではないかなと思っておるわけです。それが今だんだん活力を失いつつあるときに、こういう姿で医療法を一部改正して療養型病床群に持っていける、これは大変いいことだと思うんです。
今、老人の入所の施設というのは非常に立派な建物がありますけれども、おおよそ地域から離れたところで、人里離れたと言ったら悪いですが、そういったところに建っておりまして、私どももよく相談を受けるんですが、どこかへ入れてください、やはり近くのところがいいんですと、おおよそ患者さんはそうおっしゃられる。しかしそういうところがなくて、そういうふうな立派な施設に送るんですけれども、本当は患者さんというのはその地域で生活してきたわけですから、やっぱりその地域で老後も過ごしたい、あるいは病気してもそこで過ごしたいという考えがあると思うんです。
そういった意味では、ハード面よりも心の面からいうと、患者にとっては有床診療所というのは非常に役に立つのではないかなと私は考えておるわけでございます。しかも、もう建物が建っているわけですから、それを一部改造すれば療養型病床群として使えるわけですから、経済的にも医療費の面でいっても節約になるんじゃないかと、こう考えるわけでございます。
それについて、厚生省は有床診療所の療養型病床群についてはどういうとらえ方をされておられるのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/175
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176・谷修一
○政府委員(谷修一君) 有床診療所に療養型病床群を設置して介護保険の対象施設としていこうという考え方は、もう既に今、先生がお触れになりましたように、身近なところでの介護サービスの基盤整備をしていくという観点かち、従来、病院にのみ設置を認めておりました、制度としてはそういうふうになっておりました療養型病床群を有床診療所にも拡大をしていこうと、しかも、できれば地域医療の中心的なことをやっておられた有床診療所を介護という面でも活用をし、活躍していただこうと、そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/176
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177・田浦直
○田浦直君 私の知っている有床診療所の院長先生はこの前おっしゃられたですね。その地域で子供のときから育ってきておったわけですから、そこに入院させると近所の人が見舞いに来たり、家族の人が弁当を持ってきたりしながら、そういうふうな家庭的な雰囲気の中で療養ができる。確かにハードとしては立派なものができても、やっぱりお年寄りにとっては自分が生まれて育った地域で生活したい、こっちの方が大事じゃないかなと思うわけですね。そういう意味で、ひとつこの療養型病床群の有床診療所をぜひ進めていただきたいというふうに思っているわけです。
その隘路があるんですね。それは、この地域医療計画の中でこの療養型病床群、有床診療所のこれをカウントするということになっておりますね。これをカウントすると、恐らく全国でどのくらいか、もう大多数の地区でこれができないんじゃないかと私は思っているわけです。そういう意味で、このカウントするかしないかということは大変大事なことですので、局長にお尋ねしたいと思うんですが、療養型病床群を有床診療所につくる場合、今の必要病床数のままでいくのかどうか、まずこれについてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/177
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178・谷修一
○政府委員(谷修一君) まず、私どもの基本的な考え方といいますか、この有床診療所に療養型病床群を設置していくということに際しまして、病床規制全体の面でいきますと、療養型病床群を含めました一般病床全体の病床数が全体としては増加することがないようにするということが、この法案についていろいろ御議論をいただきました医療審議会の中でも意見として出されております。そういう意味では、何らかの形で現在の医療計画上の規制の対象にするということであろうかと思っております。
ただ、病床数の算定の方式そのものをどうするかということにつきましては、この介護保険法とは若干離れますけれども、先般来、医療保険制度との関係も含めて与党の中でも議論はございました。また厚生省の中でも議論をいたしまして、医療提供体制についての抜本的な改革の方向ということで一つの案を示させていただいておりますが、現在の必要病床数の算定方式を急性期の病床と慢性期の病床に分けて算定をするという考え方、それによって医療計画上の必要病床数を算定するという案を提案させていただいております。また、与党協の八月の末にまとまりました報告書の中では、趣旨は同じでございますが、急性期病床と慢性期病床(療養型病床群)とに分けてそれぞれ必要病床数を算定するというふうに意見が提案をされております。
そういう意味で、必要病床数全体についてはそういったような考え方で、現在、具体的にじゃそれを分けるというのはどういうふうに分けてどういうふうにやるのかと、どういうふうな算定をするのかということは、専門の委員会をこの夏に設けまして議論を始めているところでございます。
一方、先生の御趣旨は、そのことよりも、要するに有床診療所を現在の医療計画の中で過剰地域の中でどうするかということだろうと思っております。
やや答弁が長くなって恐縮ですが、一番最初の考え方としては、全体の必要病床数の中で考えていくということでありますけれども、一方、この有床診療所に療養型病床群を設置し、また介護施設としていくという趣旨は、先ほど来申し上げておりますように、身近なところで介護サービスが受けられる、そのための基盤整備をするということでございますから、具体的にこの療養型病床群の設置についての特例措置を設けるかどうかということにつきましては、同じ介護保険施設でございます特別養護老人ホームあるいは老人保健施設、それからこの療養型病床群、これの整備の進捗状況、あるいは先ほど一番最初に御説明しましたように、療養型病床群というのは大部分が既存病床からの転換でございますので、そういったようなそれぞれの地域の実情を見ながら判断をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/178
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179・田浦直
○田浦直君 これまで療養型病床群ができているのは、これは病院の療養型病床群への転換なんです。これから有床診療所が療養型病床群に転換するというときに、もう既にベッドは埋まってしまっておりますということでは恐らくこれはちょっとバランスに欠けているのじゃないかなというふうに思うわけです。
したがいまして、今、局長の御説明で急性病床、慢性病床あるいは療養型病床、このように分けておおよそまた必要病床数を算定するというふうなお話だと私は今お聞きしたわけですけれども、そういう理解でよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/179
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180・谷修一
○政府委員(谷修一君) 病床数については、現在の一般病床の一本の算定ではなくて急性期の病床と慢性期の病床、慢性期の病床は私たちの現在の理解は療養型病床群ということでございますが、分けた算定というものを今後検討していくと。それで具体的にその作業はやっております。
有床診療所からの転換をする療養型病床群ということについては、地域医療計画との関係で申しますと全体としての枠はかぶさざるを得ませんけれども、個別の地域の実情というものを勘案して具体的な問題は検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/180
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181・田浦直
○田浦直君 慢性病床の中には病院の慢性病棟それから老健施設も入るわけですね。それから老人ホームはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/181
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182・谷修一
○政府委員(谷修一君) 先生御承知かと思いますが、この老人保健施設の医療計画上の取り扱いということにつきましては、昭和六十三年、この老人保健施設が動き出しました当時、医療計画との関係では〇・五という係数を使って算定するということを当初はいたしておりました。ただ、その後、ゴールドプランに沿って老人保健施設の整備促進を図るというようなことから、老人保健施設の収容定員数については当分の間既存の病床としては算定をしないという扱いを平成三年にいたして現在に至っております。
したがって、現在はこの老人保健施設については医療法の上での地域医療計画の中での病床数の算定の対象にはしていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/182
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183・田浦直
○田浦直君 その話はよくわかるんです。
それで、前は〇・五で計算するということで計画されておったけれども実際にはやっていない。しかし、今度、急性、慢性という病床に分けた場合、この老健施設はカウントに入れてくるのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/183
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184・谷修一
○政府委員(谷修一君) 先ほど申しました平成三年当時、平成三年六月以降に開設をされた、許可を受けた老人保健施設については、当分の間算定をしないという決めをいたしましたので、今後これをどうするかということについては、もちろん新たな事情が起きればあれでございますが、今の段階ではこれを変更するということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/184
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185・田浦直
○田浦直君 これは念を押すわけですけれども、特養の病床はこれはもう当然またその計算には入らないということでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/185
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186・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 特別養護老人ホームのベッドの性格上、いわゆる医療計画の病床としてのカウントはないものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/186
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187・田浦直
○田浦直君 先ほど述べましたように、療養型病床群については非常な関心があると思います。これは将来とも今のように伸びていく可能性があると思うんですね。その目標というものがどの辺にあるのか、もしそういうものがあるようでしたらお知らせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/187
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188・谷修一
○政府委員(谷修一君) ちょっとその前に、今私申し上げましたことを再度申し上げさせていただきますが、老人保健施設を算定しないということを定めました省令の中で、当面の措置として行ったものであり、この取り扱いについては今後老人保健施設の整備状況、老人保健福祉計画の作成、進捗状況等を勘案して検討するというようなことがその際の省令の中で述べられておりますので、趣旨は先ほども申したとおりでございます。
それから、療養型病床群の整備の目標ということにつきましては、現状は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、特に有床診療所と病院、有床診療所からの転換とそれから病院からの転換ということを分けて算定しているわけではございませんが、一応、介護保険制度の対象となる療養型病床群については、介護力強化病院等も含めて平成十二年までに約十九万床を整備するということを目標にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/188
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189・田浦直
○田浦直君 わかりました。
せっかく医療法の一部改正を行って有床診療所の療養型病床群転換を認めておるわけですから、そのようなカウントの面で規制をされて実際にはできないということがないようにひとつ配慮をしていただきたいというふうに思っております。
それから、先ほどちょっと述べましたけれども、この診療所を療養型病床群に変える場合、いろんな規制がございまして、例えば、廊下の幅を一・八メーターにしなさいとか、患者一人当たりのスペースを六・四平米ですか、あるいは食堂とか浴室とかつくりなさいというようなのが入っていると思うんですね。今の有床診療所の多くはそれに沿わない、合致しないところが多いと思うんです。これについては、先ほど述べましたように、それを改良すればいいわけですから、新しくつくるのに比べるとそんなに医療費の面からいうとお金はかからないというふうに思うんですね。
そういう意味で、この有床診療所を療養型病床群に変えるのに、そのときに何かやはり融資制度なり、あるいは転換するまでの過渡期を設けてやるとか、何かしてあげると非常にそれが進むんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、その辺についてのお考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/189
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190・谷修一
○政府委員(谷修一君) 今の先生の御質問は二つあると思います。一つは、有床診療所の療養型病床群への転換を促進するというための経済的な措置といいますか、そういうことと、それから経過措置と申されましたのは、恐らく現在の病院からの転換にもありますいろんな構造設備等に対する経過措置ということだろうと思います。
現在、病院の療養型病床群を整備するということにつきましては、国庫補助でございます医療施設の近代化施設整備事業の国庫補助金、それから老人保健拠出金事業によります助成金、その他融資あるいは診療報酬によります加算等がございます。
診療所の療養型病床群についてこれからどうするかということでございますが、今回、医療法の改正案ということで御審議をいただいておりますが、この法案を成立させていただければ、その施行までに具体的に病院の転換策等も参考にしながら促進策を検討してまいりたいというふうに考えております。
また一方、経過措置ということでございますが、ただ有床診療所の療養型病床群とはいえ、やはり一定の人員配置、それから構造設備は必要だろうと、それがまた、介護保険制度の他の施設との並びといいますか整合性ということもありますので、全くなくてよいということにはいかないだろうというふうに思っています。
そういう意味では、病院に定められておりますような人員配置あるいは構造設備を勘案しながら有床診療所に転換をする療養型病床群にふさわしい人員配置基準、それから構造設備基準を考えていきたいと思っています。
ただ、具体的な基準につきましては、国会での御審議、それから関係方面の意見をいろいろ聞きながらやっていかなきゃいけないと思いますが、例えば廊下の幅などについてはこれを動かすと建物全体が成り立たなくなるというようなこともございますので、既存の建物からの特例というものは認めていくべきだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/190
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191・田浦直
○田浦直君 今、局長がおっしゃられたように、おふろとか食堂とか患者面談室とか、そういったものはやり直せばできるんですね。ただ、廊下の幅の場合、非常に難しいところがあるんですね。一・八メーター、両側が病室だと二・七メーターに広げなさいというのがあるわけです。そこが転換のときの一番ネックになるんじゃないかなというふうに思っておりますので、この辺のところを配慮していただいて転換が進みやすいように御協力をお願い申し上げたいと思っております。
この療養型病床群に入っている人が介護保険法が施行される時期にどういうふうに引き継がれるのかなというのが僕はまだわからないんです。やはり療養型病床群で、これは医療保険で入っているわけですから、この人が介護が必要であるということは、介護認定調査員によって調査を受けて審査会で認定をしてもらわなければならないんじゃないかなと思うわけです。
そうしますと、例えば平成十二年の四月一日からそうしますと言われた場合に、これはやはり過渡期的なものがあるんじゃないかと思うので、例えば老人ホームの場合だと五年間の過渡期的な措置をとるということになっておりますけれども、この療養型病床群の場合は同じような経過措置をとるものかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/191
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192・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険法が成立し、施行される、そうなったときの療養型病床群に入っている方がどうなるかというお話でございます。
当然、療養型病床群の場合には、法律にも規定がございますが、介護保険の適用の対象となる部分と、それからそれ以外の医療保険の適用の対象となる部分と両方あるわけでございます。そして、要介護者であるという人は要介護認定を受けるわけでありますが、要介護認定を受けました要介護者は当然介護保険の適用の部分において介護サービスを受けて、そのサービスについては介護保険の支給対象になるわけでございます。そして、要介護の認定を受けない人は、これは従前どおりいわゆる医療保険の適用を受ける人ということになりますから、療養型病床群の医療保険の適用を受ける部分において従前どおりの適用を受けるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/192
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193・田浦直
○田浦直君 わかりました。
では、療養型病床群の中においてでも介護保険とそれから医療保険と両方を分けて適用ができるということになるんですね。ちょっとよろしゅうございますか、それで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/193
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194・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 療養型病床群の中の一部を介護保険施設とすることができますので、そういう形になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/194
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195・田浦直
○田浦直君 わかりました。
では次に、老人デイケアというのが今盛んに全国で行われております。これは一言で言えば日帰りのリハビリテーションということになるかと思うんですが、それは私は介護にとっては非常に前向きのいい制度ではないかというふうに思っておるわけでございます。在宅でリハビリテーションをやるということをこの際厚生省として推し進めていこうということだろうと思いますから、これはぜひどんどん進めていただきたいというふうに私は思っておるわけでございます。
ただ、今少しいろいろ問題が出ているのは、この対象の患者がいろいろ解釈でまちまちになっているというところがあるわけですね。対象としては痴呆等の精神障害を有する患者と、それから脳血管障害等の運動機能障害を有する患者、これが対象になっているわけですね。この中の「等」をめぐっていろいろ解釈が違ってきているような気がするんです。まず初めの痴呆等の精神障害を有する患者については、この「等」の解釈はどうなっているのか、それから脳血管障害等のこの「等」についてどういうふうに解釈をしておられるのか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/195
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196・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 老人のデイケアのいわゆる日帰りリハビリテーションの対象となる疾患の範囲についてのお尋ねでございます。老人デイケアと申しますのは、心身の機能の回復あるいは維持を目的といたしました機能訓練、いわゆるリハビリテーションを行うものでありますけれども、対象となる疾病につきましては、こういった訓練等が必要だというふうに考えられる精神障害あるいは運動障害ということでの疾患ということを趣旨にしているわけでございます。
具体的に「等」という形でそれぞれついているわけでありますけれども、そこに明示的に挙がっております痴呆あるいは脳卒中といったようなもののほかに、例えばで申し上げますと、高齢者において運動障害を来すことが多い慢性関節リューマチでありますとか、あるいは大腿骨骨頭部骨折という、何か大腿骨の上の方のようでありますが、こういったものなどが、これもなどがまたつくわけでありますけれども、といったようなものがございますものですから、そこにぱちっと書き切らないで「等」という形で、趣旨として言えば、リハビリテーションをして、そういう訓練をするのにふさわしいような精神障害または運動障害という形で運用をいたしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/196
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197・田浦直
○田浦直君 それで、私は、例えば痴呆等の精神障害を有する患者のこの「等」については、厚生省の見解としては、具体的に病名でいうと血管性痴呆、動脈硬化性痴呆、多発性閉塞性痴呆、初老期痴呆、老齢期痴呆、老人性痴呆、こういうのを挙げておられるんです。これはみんな痴呆ですから、この解釈で僕は悪くないと思うんです。
もう一方の脳血管疾病等に起因する運動障害を有する患者、この場合に、この「等」は脳血管障害等に起因するとなっておるわけですから、今の局長がおっしゃられた、もう骨折でもひざ関節症でも変形性脊髄症でも何でもいいんだというのは、少しはみ出ているんじゃないかなという気がするんです。国語的に読めば、脳血管障害等に起因するということで書いてある以上は、そんなのまで入れられるのかなと。
もしそういうのを入れるということであれば、もう一つ枠をつくって、外傷性の疾病による運動機能障害とか、そういうふうにした方が僕はいいんじゃないかなと思うんです。ちょっとこれは少し無理な解釈ではないかな。その辺が混乱を今起こしているわけですね。局長の方ではどうですか、僕が言った意見はおかしいと思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/197
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198・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 専門家であらせられる田浦先生におかしいかと言われますと非常につらいのでございますけれども、趣旨といたしましては、私どもはそこに例示として脳血管障害を挙げましたけれども、確かに脳血管障害、類似の病気だというだけで裸の話としていえば、先生おっしゃるように少し広がるではないかということでございますけれども、デイケアのいわば趣旨というものは、高齢者の方々のこっちの方の系列は、言ってみれば運動障害が起こって、それをデイケアという形でのリハビリを施せばそれが改善をして、より症状の改善につながるというようなものをするというのが趣旨でございますので、そういったことでやらせているということでございます。やらせているけれども、そういうふうな限定では限定をつけたことにならぬではないかというのがおっしゃる御趣旨だろうと思います。
そういう意味で、先生御案内のとおり、これについては少しルーズになっているではないかということで、またこういうことがあるがゆえに私どもの方のあれしたところでもやや首をかしげるような傷病名がついたのも実はありました。そういうようなこともございまして、先般の改正の際には、もう一つそれに今言ったように運動障害があるということを一つの共通の基準だということを考えますと、いわゆるADLの要素を入れるという形での明確化というようなことを入れましたのも、言ってみれば共通項としてのそういった運動障害があって、それがリハビリをすることによって改善するというようなことになるものという趣旨を、もう一つ傷病名以外にそういう運動機能の部分を入れることによって明確にしようという意図を一歩踏み出したのでございます。
今のお話ですと、さらにそれをどうするかという点を御指摘でございましたけれども、今私ども、そういう形で始めましたので、そういう形でやることによる効果というものについてもちょっと見てみたいなというのが正直な気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/198
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199・田浦直
○田浦直君 これは私が医者だからということじゃなくして、国語的に言って、やっぱりこれは脳血管障害と関連のある病名だというふうに読むのが正しいんじゃないかと思うんです。僕は、一番初めつくられたときには恐らくそういう趣旨でこの文章はつくられたはずだと思うので、それを後になって拡大解釈をしているという気がしてならない。
もしそういうものが必要であれば、私はもう一項目つくってもひとつも問題がないんじゃないかと思うんです。運動機能障害があって、確かに自分の家で自立できないという患者さんはたくさんおられるわけですから、そういった人も加える、それは一項目ちゃんとつくられた方が問題を起こさないんじゃないかと思うんです。
今問題が起こっているのは、この脳血管障害等というものを厳密に読んで、それをそのまま施行している県とか医療機関、それと今おっしゃられたように、いや、外傷性のものでも何でもいいんだというふうに解釈をしているところ、それが入りまじって統一できておらないような気がするんです。
そういう意味では、やはりきちんとした一つの適用を決められた方がデイケアにとってもありがたいんだと。私は、デイケアは将来ともやっていかなければならぬというふうに思っておるわけですから、そういう混乱を起こすことがないようにひとつ考えていただきたい、こういうふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/199
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200・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) これは両面のあるお話だと思います。
一面、やはり運動障害でありますとかあるいは精神障害を来す疾患というのはいろいろ多種多様でございます。そういう人たちにはやはりこういう老人デイケアで想定をしておりますようなリハビリテーションというのは有効な手だてだという場合が相当あると思いますので、そこをいたずらに狭めるようなことになってはいかぬ。しかし、一方において先生おっしゃるように、それが非常に乱に流れて際限のないような話になってもいかぬと。
そこをどうしていくかということでございますけれども、正直申し上げまして、今日までのところでは、疾病名を全部挙げ切って、今申し上げた運動障害なり精神障害を来す疾患について書き切るというのは大変難しい。したがって「等」という形でやっているわけでありますけれども、そのことが逆に非常に不明確にし、乱に流れているという御指摘もございましたので、どういう方法によって表現を明確化できるか、私どもとしてももう少し専門家の御意見も聞きながら検討してみたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/200
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201・田浦直
○田浦直君 それから、デイケアでもう一つ問題になっているのは利用回数なんです。今の解釈では、一カ月毎日でもいいというふうな見解を出されておると思うんです。
これがまた一つの混乱を起こしていると思うのです。やはりそれには医学的に言って適当な回数というものがあると思うんです。そういったものを指示するといいますか、見解を出していただいた方がいいんじゃないかと思うんです。何回でも結構ですよ、毎日でも結構ですよということになりますと、一月の間三十一日、毎日でもということになるわけです。医療機関の方もそれがありがたいわけです、毎日たくさん来ればたくさん収入があるわけですから。その辺で少しねじれてきたところもあるんじゃないかなという気が僕はするわけです。
そういう意味で、利用回数についてどういうふうに今お考えなのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/201
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202・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) デイケアの利用回数について、明示的に確かに制限をしておるものはございません。その趣旨は、やはりそれぞれの状態、状況に応じまして医学的に必要な回数というものの判断をできるだけ尊重したいという、いわば行政としていえばある種の善意に出た措置としてそういうことでやっているわけであります。
したがって、当然のことながら患者の病状に見合いました適切なデイケアの回数というようにしていただくという前提になっているのでありますけれども、そういった、言ってみれば善意が必ずしもそのとおりにいっていなくてそれが乱に流れているということになりますれば、そこらのところをどういうふうに適切なデイケアの回数になるように指導していくか、今後の指導の問題としてはそこらのところは宿題として残るところであろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/202
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203・田浦直
○田浦直君 私は、何も制限を強制しているわけでも何でもないので、医学的に必要な回数、そして適正な回数というものは考えなければいかぬのじゃないかなということを申し上げておるつもりですので、ぜひひとつ御検討をお願いしたいと思います。
それから、今話しましたように、これを審査するというのが今度は大変なんですね。病名は何でもいい、日数は何日でもいい、審査のしようがないわけなんです。その辺で審査会からいろいろなことを私のところにも言ってきています。どうしようもないんだというふうなことなんですね。やはりその辺はそういうふうな病名も回数も制限がないところから起こってきているんだというふうに思うんです。だから、審査委員の皆さんも今のところはお手上げという状況になっておるわけなんですね。
この辺もこれまでもいろんな問題が出ています。マスコミなんかをにぎわした、過剰診療がどうだとか不正請求がどうだとかということが出ているんですけれども、何もそういうことをやろうと思っていないんですよ、医療機関は。今、やっているのがそういうものになると言われるとこれは困るわけですから、そういったものをきちんと基準なり判断なりを出していただかなければまた批判を受けるということになりかねませんので、その辺をぜひ検討していただきたいというふうに思うんですけれども、それについてお考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/203
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204・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 先生の今お話しになった趣旨、よく私どもも理解ができます。そういう意味で、ことしの四月の診療報酬改定におきましてもひとつ日常生活の自立度判定基準、いわゆるADLの基準に基づきまして、対象者の範囲を明確化するということをしますと同時に、いわゆる寝たきり度といったようなことを診療報酬請求明細書にも書いていただくということで審査に資するということの配慮をしたわけであります。
しかし、それでもなお今おっしゃったようなところでしり抜けになっていくのではないかということでございますので、そこらの状況によりましてさらにこれを明確化あるいは適正化ということの手段が必要かどうか検討してまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/204
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205・田浦直
○田浦直君 これはこの前新聞に載っておったんですけれども、沖縄の那覇市がデイケアの利用者を調べたところ、六五%は非該当者であるというのがあります。それから、糸満市で調べたところでも七二%が非該当者であったということが報道されているんです。私は、この那覇市や糸満市の調査の結果が正しいとは思っていない。非該当者であったとは思っていないんですけれども、それは結局該当するかしないかという、そこが漫然としておるものですから、一方から見れば該当しない一方から見れば該当する、こういうふうになるわけなんです。したがいまして、この辺はぜひきちんとしていただかなければ、デイケアそのものが何か妙な目で見られて、結局うやむやの中にまたなくなったりする可能性がある。
私は、デイケアの趣旨自身は非常にいいと思っているんです。日帰りで、そしてリハビリをやって自立するようにやろうと、これは厚生省がそういうお考えを持ってつくられた案ですから、それはぜひ進めていただきたいと思っているんですが、そのようなところからいろんな問題が出てくる。国保を圧迫してとてもこれはやり切れないというふうな声が出てくる。実際にも入院外の医療費の三割以上がこのデイケアでとられているというんです。そういうところがどんどんこれからまた出てくる。
そういうことを考えたときに、私はデイケアの将来がどうなるのかなという心配があるわけですので、ぜひきちんと整理をしていただきたいというふうに思っておるわけです。何か御意見をひとつお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/205
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206・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 先生お話しの御趣旨については、私どもも問題意識としては十分持っております。
デイケアが非常に今後とも大事であるがゆえに、それが本来の趣旨を逸脱して運用されているというようなことになりますれば、先生おっしゃったように本来の趣旨そのものも没却をされるということにもなりますので、それをいかに今、先生のおっしゃった明確化なり、あるいはそういう意味での乱に流れるようないわば誘因と申しますか、そういったものが現在の老人デイケアの支払い方なりあるいは組みし方なりの中に入っていやしないかというような点をも含めまして、関係機関にも諮りまして検討したいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/206
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207・田浦直
○田浦直君 きょうは保険局は来られていないかもしれませんけれども、大臣を初め保険局の方は医療費をいかに制度があるもので抑制していくかということで頑張っておられるんですが、その辺の整合性はあるんですか。保険局と老人保健福祉局とはデイケアについても話し合いながら進めておられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/207
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208・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 当然話し合いながら進めております。
この老人デイケアに限らず、御案内のとおり老人医療費が日本の医療費のうちの大きなウエートを占めておりますし、その増加という意味では一番大きな増加要因になっております。しかも、それは各医療保険制度が出し合う形での老人保健ということになっておりますから、そういう意味での老人医療費をどうしていくかということは、とりもなおさず医療保険の将来をどうしていくかということにもなりますので、そういう意味では一体になってやっております。
その中の一環として申し上げれば、老人デイケアについては保険局も私どもも共通の問題意識に立ちまして、非常にいい制度であるということでありますので、これをちゃんとしていくと同時に、その趣旨を没却するような、乱に流れるなどというふうなことは医療費の側面からもあってはならないことだということで打てる手は打つということで、実は今回の四月からの診療報酬も保険局との連携のもとに打ち出したものでございます。
ということですから、今後の取り扱いについてもよく相談をしながらやってまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/208
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209・田浦直
○田浦直君 介護保険法が施行された段階では、このデイケアも当然介護保険の方から出るというふうになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/209
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210・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 介護保険法が施行されますならば、老人デイケアは寝たきり等の状態にございます老人に対しまするサービスということでございますから、介護保険法施行後におきまして基本的には介護保険の対象という形になってまいるというふうに考えます。
その段階において、なお医療保険においても医療保険独自のそういったデイケア的な、いわば疾病という側面からのデイケアというものが残るかどうか、ここらはもう少し今後検討していきたいと思っておりますが、基本的な対応として言えば介護保険に行くということになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/210
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211・田浦直
○田浦直君 その場合、これも先ほど有床診療所の療養型病床群のときでもお話ししましたが、やはり同じ問題が起こる。医療保険から介護保険に当然変わるものもたくさんあるわけですから、それについては経過措置とかいうものはないわけですか。あるいは医療保険でやるデイケアと介護保険でやるデイケアというのはどんな違いがあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/211
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212・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 今、お答えを申し上げましたように、現在老人保健の中でやっておりますデイケアというのは介護保険に基本的には移っていくという前提になっております。
そうしたことでいえば、先ほど来の先生の御論議に即していえば、現在の老人デイケアも、それは先はどのようなことでいえばある種の介護、運動機能障害、精神障害等のある方々に対する要件というものを付してやっているわけでございますから、当然、今度の介護保険におきましても要介護認定なりなんなりという形の中で受けとめられるはずのものでございます。もし、それが今御指摘のように、非常に今ルーズになっていて、言ってみれば、そういうことの対象にならないような人まで抱えているとすると、まさにその切りかえのときに結果的に対象にならない人が出てくるという大きな問題が大幅に出てくるという問題が起こりますから、そういう意味からも現在のデイケアの対象なりなんなりを適正化してきちっとしておくということは大事なことであろうというふうに思います。そういうことがなされるならば、移り変わりによって、本当に必要だけれどもデイケアが受けられないという人はないような形になっていくんであろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/212
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213・田浦直
○田浦直君 介護保険の適用を申請しなければ医療保険でやれるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/213
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214・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 本質的に申し上げれば、要介護状態にある方は介護保険の給付の対象になるということでございますから、本来要介護認定を受けていただいて、そのお受けになる方でしたら介護保険でやっていただくというのが本筋だと思います。
ただ、強制はできませんので、事実上医療保険に行かれれば医療保険で、そこで最終的にそういうまだ制度を残すかどうかのところは、先ほど申し上げましたように基本的には介護に移りますけれども、医療サイドでのデイケアというものがまだ要るかどうかのところについては関係審議会等の議論も踏まえながら検討したいと申し上げましたので、もしそういう形で医療保険に老人デイケアの部分を残せば、そこでのいわば医療的に対応することの必要なものということで残ればそちらにまだ出る余地が残るということでございますので、老人デイケアを介護保険に移す際に、医療保険の中にも医療保険としての対象になるデイケアというものを残すかどうかというところの検討にかかってこようかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/214
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215・田浦直
○田浦直君 僕がしつこくそれを言っているのは、介護保険ができた場合、医療保険との境界というのが非常に難しくなる。ほとんどの方は介護であって医療が必要だし、医療であって介護が必要な人ばかりだと思うんです。ところが、この介護保険ができると医療保険、介護保険というものができ上がるわけですから、そこを整理しなければならないという問題ができてくるわけです。その場合に、医療保険を受けておれば介護保険はだめだとか、介護保険を受けていれば医療保険はできないとか、原則的に今そういうふうになっているんじゃないかなというふうな気がするんです。
そういうことは患者さんから見ると非常に不幸なことだと私は思うんです。それをすべてオーバーラップするということはまたできないかもしれませんけれども、その辺は非常に大事なところではないかなというふうに思うわけです。医療保険あって介護保険なし、介護保険あって医療保険なしというふうな、そのような考えは私は余りよくない、患者さんにとってはよくないというふうに思っておるわけです。
それで、介護保険ができた段階で医療と介護というものは一体どうなるんだろうかということを私よく考えるんですけれども、最後に小泉大臣、その辺、医療と介護の境目といいますか、介護保険ができた場合にはどう取り組んでいけばいいのかなということを私は考えるんですが、その点についてお考えがあればお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/215
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216・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 大臣がお答えになります前に一言事実関係として述べさせていただきたいと思います。
制度の体系としていえば、今度の制度ができますれば、介護保険と医療保険との関係でいえば、介護保険で給付がされます場合には医療保険の給付は出ないという仕掛けになっております。しかし、それにしても介護保険と医療保険の本来の守備範囲をどうするかというところで、限界のところは確かに介護から医療までというようなある種の一つながりのところに線を引いてつくりますから、そういう意味での割り切りなりをきちっとつけていかなきゃならないということは残ろうかと思います。そういう問題の一つであることはあると思います。しかし、制度として介護保険から出るという仕掛けにすれば、介護保険の給付がまず優先をするというのはそういう仕組みになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/216
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217・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 専門家の先生からいろいろ聞かれて、素人の私が答えるのもおかしいんですけれども、お話を聞いていると、確かに両方受ける可能性が結構多いと思いますね。というのは、在宅サービスを受けている、それは病気になればお医者さんも来る、だから両方受けるわけでしょう。そういう場合はたくさん出てくると思います。ホームヘルパーを受けている、介護だと。しかし、病気になった場合、血圧が上がった、おかしい、お医者さんに来てもらう、往診に来てもらう、これは両方受けるわけでしょう。そういう場合が随分起こってくると思いますよ。
だから、それは両方受ける、介護を受けたら医療保険は受けられないというんじゃなくて、その人によって随分違ってくるんじゃないでしょうか。切り離さなきゃならない面もあるけれども、一緒になる場合がある。これは今後よく勉強し、検討する必要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/217
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218・田浦直
○田浦直君 どうもありがとうございました。
実は、それを私は秋田県で公聴会が開かれたときに、ちょうど医師会の会長さんが来られておったのでお尋ねをしたんです。そうしたら、とんでもない、そういうものを分けるのが無理なんだ、分ける必要も全くないという御返事をいただいたわけなんです。私もそのとおりだと思うんです。
ただ、この介護保険法案ができ上がって施行される段階ではそうはいかないんじゃないかという気がするんです。今の医療法だけのときなら、それはそれで一つでもう今実際に医療もやる、介護もやる、看護もやっているわけなんですけれども、新しく介護は介護というふうになった場合に、そこら辺を整理しなければやはり何か混乱を招くんじゃないか、あるいは患者さんが不幸になるんじゃないかという気がしてならないわけなんです。
そういうことで今お尋ねをしたわけなんですけれども、谷局長はどうですか、今度は医療の方、医者の方からひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/218
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219・谷修一
○政府委員(谷修一君) 現実の場面を考えれば先ほど小泉大臣が言われたようなことというのは起こり得るだろうと思います。ただ、その前に羽毛田局長が言われたことも一つの事実でありまして、同じものを介護保険と医療保険から給付することはないということであります。
ただ、同じものというのが、先ほど来お話しになっているデイケアとほかの訪問看護とかいうものとかなり類似する部分があるわけでございます。そういうものをどう整理するかというのは、これからまだ残された課題なんじゃないかというような印象を持ちました、先生のお話を聞いて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/219
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220・田浦直
○田浦直君 先ほど最後の質問ということで大臣にお尋ねしたわけですから、もう終わりにしたいと思うんですけれども、例えば介護を受けている人でもたくさん薬を飲むということがありますよね、飲まなければならない。これは医療保険から実際出るわけなんでしょう。あるいは、今度は医療を受けている人でも倒れて介護を受けなければならない、しかも医療も受けなければならない、こういうケースはもうたくさんあると思うんですよ。そういったケースはどうなるのかということを具体的に言うとお尋ねをしているわけなんです。
その点について、もし今御答弁できるなら御答弁をしていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/220
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221・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 私が先ほど話したのもそこなんです。それは介護サービスと医療サービス、両方受ける場合が随分出てくると思いますよ。片一方は介護保険で給付を受ける、片一方は医療保険で給付を受ける、これは例外じゃなくてかなり多く起こってくるんじゃないですかね、現に私のおふくろもそうですから。在宅サービスを受けている。血圧が上がった、お医者さん呼ぶ、介護サービスと医療サービス両方受ける場合がありますから、それは一般の方も随分出てくると思います。その場合は、介護の問題は介護給付を受ける、医療の問題は医療給付を受けるという形になっていくと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/221
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222・田浦直
○田浦直君 どうもありがとうございました。
今の大臣のお言葉を聞いて、私は安心をしました。ぜひそのようにお願いを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/222
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223・山本正和
○委員長(山本正和君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
午後四時二十一分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00419971028/223
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