1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年十一月六日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
十月三十日
辞任 補欠選任
朝日 俊弘君 今井 澄君
十一月五日
辞任 補欠選任
渡辺 孝男君 牛嶋 正君
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出席者は左のとおり。
委員長 山本 正和君
理 事
上野 公成君
南野知惠子君
浜四津敏子君
委 員
石井 道子君
尾辻 秀久君
田浦 直君
中島 眞人君
中原 爽君
長峯 基君
宮崎 秀樹君
牛嶋 正君
木暮 山人君
水島 裕君
山本 保君
今井 澄君
西山登紀子君
釘宮 磐君
国務大臣
厚 生 大 臣 小泉純一郎君
政府委員
厚生大臣官房総
務審議官 田中 泰弘君
厚生大臣官房審
議官 江利川 毅君
厚生省健康政策
局長 谷 修一君
厚生省保健医療
局長 小林 秀資君
厚生省老人保健
福祉局長 羽毛田信吾君
厚生省保険局長 高木 俊明君
事務局側
常任委員会専門
員 大貫 延朗君
説明員
文部省高等教育
局医学教育課長 木谷 雅人君
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本日の会議に付した案件
○介護保険法案(第百三十九回国会内閣提出、第
百四十回国会衆議院送付)(継続案件)
○介護保険法施行法案(第百三十九回国会内閣提
出、第百四十回国会衆議院送付)(継続案件)
○医療法の一部を改正する法律案(第百三十九回
国会内閣提出、第百四十回国会衆議院送付)(
継続案件)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/0
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001・山本正和
○委員長(山本正和君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る十月三十日、朝日俊弘君が委員を辞任され、その補欠として今井澄君が選任されました。
また、昨五日、渡辺孝男君が委員を辞任され、その補欠として牛嶋正君が選任されました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/1
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002・山本正和
○委員長(山本正和君) 介護保険法案、介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/2
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003・水島裕
○水島裕君 平成会の水島でございます。
介護保険については随分いろいろディスカッションがございましたので、私はきょうは介護三法のうちの医療法一部改正ということを中心に質疑をしていきたいと思います。それから、こういう福祉と医療というものは中長期展望がないといけないわけでございますので、厚生省でも二十一世紀国民医療総合政策会議をなさっておりますけれども、そういう長期展望についてもお伺いしていきたいと思います。
その前に、介護保険法の本体について私の経験から一つだけ申し上げておきたいのでございますけれども、介護保険、重要なことがいろいろございますけれども、その一つが介護認定審査会あるいは不服申し立ての後行われます介護保険審査会などでございまして、これがうまくいくだろうか、早く正確にそれから余り費用もかからずいくだろうかということで、私は難病の認定とかあるいは研究費の論文審査とかを随分やってまいりまして、その印象でございますけれども、うまくやれば決してこういうものは困難なことではなくて正確にいくわけでございます。とにかく専門家で常識的な人を各方面から集める、一つのところから集めるとどうしてもうまくいかないので各方面から集めて、それでオープンでしかもその場でもう決めてしまうというようになさると、意外と点数とかいろいろなものというのは一致するわけでございまして、六段階ぐらいですと恐らくぴしゃり合うのではないかというふうに思います。もちろん細かいことについていろいろ意見はございますけれども、時間の関係で省略したいと思います。
私個人、例えば厚生省の研究班ではベーチェット病とかリューマチの研究班、あるいは中央薬事審議会もやらせていただきましたけれども、中央薬審の場合は本当に専門家をいろんなところから集めてその場で決める、かなり正確なのでございます。ですから、エイズのときもああいうところに問題が回ってくれば私は正しい判断ができたんじゃないかと思います。一方、エイズの班会議でありますように何か一つの専門の集団が集まってやりますと、どうしてもボスの意向とか心配りとかいろんなことが働いてしまってうまくいかないので、ひとつその点を十分配慮してやっていただきたいと思います。
もし何かございましたらお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/3
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004・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 大変心強い貴重な御示唆だと思います。心して当たっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/4
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005・水島裕
○水島裕君 それでは、医療法改定の方でいろいろございますけれども、まず地域医療支援病院ということから入っていきたいと思います。
これからの医療ではかかりつけ医と大きな病院、これがうまく連携する、従来は病診連携と申しましたけれども、これからは地域医療支援ということが大変重要なことだと思います。私の関係している大学病院、その他幾つか聞いてみたら、これが意外とうまくいっているのでございますね。例えば先端技術の機器を開放する、あるいは共有するというようなことも、かかりつけ医の方から申し込みを書けば、患者さんが一回大病院に行って、支援病院に行ってまた外来やらなくてもちゃんと検査できるシステムが、これは全部じゃありませんけれども幾つかの病院ではもう既にでき上がっているわけでございます。ですから、私はこの地域医療支援病院というのがちゃんと創設いたしましたら、そういうふうにうまくいっている病院をモデルとして厚生省が示してそれをやっていけば非常にうまくいくのではないかというふうに思っております。
実際、そういうところへおいでになっていろいろ検討されるとわかると思うんですけれども、機械を共有するというより、やはり今のように検査でしたら依頼してスムーズに結果が出るようなシステムというのをつくれば大丈夫ですし、ほかの分野でも同じようにいくと思いますので、これから創設後モデル事業を始められてもいいし、あるいはそういうものを示してそういう例にならってやっていただければこれもうまくいくのではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/5
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006・谷修一
○政府委員(谷修一君) 地域医療支援病院につきましては、今、先生お触れになりましたように、かかりつけ医を支援するということを目的としたものと考えております。
今の御質問はモデル的な病院を示せというお話だったかと思います。確かにそういったように、地域医療支援病院というもちろん名前は名乗っていないにしても、その地域の中で関係機関と連携をして地域医療を支えている病院があるということは承知しております。
私どもとしては、モデル的な病院を提示するという形ではございませんけれども、平成十年度の概算要求で従来やっておりました病院と診療所の連携事業を支援するというのを拡充しまして、地域医療支援病院が行う病院と診療所の連携というものを支援していくという事業を考えております。
また、今後具体的な事業を進めるに当たって、そういったようなモデル的なあるいは非常によくやっている病院の例も参考にしながらこの支援事業というものをやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/6
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007・水島裕
○水島裕君 幾つかの病院を調べてみましたら、例えば、それぞれのかかりつけ医の持っている症例をいろいろデータとともに大きな病院、中病院に持っていって、そこで一緒にカンファレンスをしてやっているということもありますので、私はこういう方向に進めば大変よろしいし、またそういうことがなぜうまくいっているかということを聞いてみましたら、かかりつけ医が検査をすると結構保険の点数もつくそうですね。ですから、そういうことでいろいろ配慮がうまくいっているところはうまくいっているんじゃないかと思いますので、ひとつこれを推し進めていただければいいのではないかと思います。
ただ、一つ問題は、後で触れますけれども、今では病診連携、これから地域医療支援病院とかかりつけ医、何が一番うまくいっていないか、今後もうまくいきそうもないかといいますと、大病院への患者の集中、かかりつけ医に行くべき人が大病院に行っているというのがどうも最大の問題でございます。後で触れたいと思います。
それから、次は地域医療支援病院、これは全国で今第二次医療圏が三百四十八で、そこに複数以上の病院を指定するということになりますと最低でも六百九十六になるわけでございます。例えばこの間NHKでがん治療を取り上げられておりましたし、またMRSA、抗生物質の使い方などもしょっちゅう取り上げられているのでございますけれども、そういうところでそういうことができるお医者さんというのはもう非常に数が限られていて、これからそういうお医者さんをふやしていかなくてはならないんですけれども、差し当たりはそういうお医者さんの知識をうまく使わなくてはいけないということだと思います。
〔委員長退席、理事上野公成君着席〕
そうしますと、ほかの分野もみんな、我々がやっている難病もそうなんですけれども、全国に六百九十六人の専門家なんというのはもう絶対いないんですね。もうどんなことがあってもいない分野が多いんです。ですから、その地域医療支援病院も十分かかりつけ医の要求、ニードというのにこたえられないと思うのであります。ですから、もう一つこの地域医療支援病院と大学病院あるいは国立のナショナルセンター、そういう間も連携を密にしてやっていくのが必要ではないかと思いますけれども、この辺御意見ございましたらお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/7
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008・谷修一
○政府委員(谷修一君) 私どもの考え方としては、地域医療支援病院は二次医療圏に、できれば複数以上というような形で考えておりますが、そういう意味では今お触れになりましたように二次医療圏の数が現在三百四十八でございますから、六百幾つになるということでございます。
〔理事上野公成君退席、委員長着席〕
ただ、このこと自体は基本的には最終的には都道府県においてそれぞれの県が定める医療計画に基づいて地域ごとにどうするかということでございますので、数そのものがどうなるかということはこれは今後のことだろうと思います。
ただ、今具体的にお触れになりましたがんというような問題について、すべての医療施設が国立の例えばがんセンター並みの機能なり体制というものをとっているとは、これは現実にそうではないわけでございますから、そういう意味では、地域の支援病院がやはり専門の医療機関であります国立のセンターですとかあるいは大学の病院ですとか、そういうところと、また一方専門的な分野で連携をしていくということは必要だというふうに思っております。
そういう意味におきましては、医療計画の中におきまして、地域医療支援病院と他の医療施設との連携ということも含めて医療計画を作成する際に決めていただくということをそれぞれの都道府県単位でやっていただきたいというふうに思いますし、そういうことをまた医療計画の作成の指針といいますかガイドラインといいますか、そういうものの中に盛り込んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/8
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009・水島裕
○水島裕君 次の質問も簡単にしたいと思います。
医療法の一部見直しの方でも医療計画の見直しということで僻地医療なども取り上げていらっしゃいますが、そういうことも含めて今の支援病院と大病院との連携というのにネットワーク、コンピューターを使ってやるととてもうまくいくと思います。現在は主としてファクスで心電図を送るとか、そういうことでやっていると思いますけれども、そういうネットワーク化もぜひ進めていただきたい。これは進めていらっしゃると思いますので、よろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/9
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010・谷修一
○政府委員(谷修一君) 僻地医療という観点から、それだけじゃないと思いますが、ネットワーク化ということは必要だと思っておりますし、また特に最近では遠隔医療あるいは遠隔診断ということの必要性が言われておりますので、そういう趣旨も含めて体制の整備を図っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/10
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011・水島裕
○水島裕君 次からは多少問題がありますので、ぜひ質疑させていただきたいと思います。
そういうふうにやっていきますと、やはり今専門病院あるいは専門的な系列というのが不十分と言わなくてはいけないところがどうしてもあるわけでございます。これは、国立病院の報告書を見ましても、多分もう二年ぐらい前だと思いますけれども、今あるがん、循環器、それから成人病、精神病、そういうナショナルセンターの次に来るものとして、免疫疾患、代謝性疾患、それから感覚器ということを予算があればナショナルセンターあるいは準ナショナルセンターをつくるという方向づけはできているのでございますけれども、一向にその後進んでいない状況だと思うので、これは医学界として大変憂慮している、あるいは早くできないかと希望しているところでございます。
それで、せっかく今のようなシステムができましたら、国立てンターあるいは準ナショナルセンターというものの機能、義務は何かと申しますと、診療と研究、それから研修と情報交換だと思うんです。ですから、なかなか予算の関係で国民のためにも早くつくらなくてはいけないナショナルセンターに準じたものができないんでしたら、今までの既存のものを利用して、それに今申し上げた情報とか研修機能とかそういうものを加えて、少なくとも形だけ、センターとある以上一応立派なものじゃないとぐあいが悪いわけですけれども、予算も余り使わないでそういう機能だけでも日本としてつくらないと、これはやはりある分野の医療、研究のおくれとも関係してくると思いますので、その辺小林局長いかがでございましょうか、何か御計画がおありでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/11
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012・小林秀資
○政府委員(小林秀資君) 今、先生お話しいただきましたように、国立病院・療養所というのは昭和六十年三月に策定しました基本指針によって再編成を進めておりまして、それもその後の状況の変化で平成八年の十一月に改定をいたしました。その中で、先生がおっしゃられましたように免疫異常だとかその他のもの、政策医療を何にすればいいかということについては細かく疾患名を挙げているわけではございませんけれども、実は七つの項目をこの基本指針の中に挙げておりまして、先生が今御指摘されたようなものも政策医療の項目の中に私は含まれていると解釈をいたしております。
問題は、方針はできたけれども実施体制の方がなかなか進まないのではないかという御指摘でございますけれども、この再編成、リストラというのは、一方でいわゆる統廃合をしていくとかそれから移譲をするとかということと、それから強化をしていくというところ、両方あるわけでありまして、片方だけの強化というのは、それは国家財政の面から見ても片方だけを推進というわけにはなかなか実際にはいかない。
ただ、方向としては先生がおっしゃられるような方向を向いて、いわゆるこの医療法でも出てまいります地域医療支援病院をやっぱりサポートしていく必要があるということは先生の御意見のとおりだと私どもも思っておりますので、今後は先生が言われましたナショナルセンターとか準ナショナルとかということで、問題は国としてやるべき機能、先生は多分一番重要なのは情報発信なんかではないかとおっしゃられると思うのでありますけれども、そういう御意見を十分体して、今後とも財源に限りがありますのでその中でよりいいものを、政策のどの機能を一番重要視するかということをよく検討して、地域医療支援のために今後努力してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/12
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013・水島裕
○水島裕君 この辺の組織の設立というのは極めて大切だと思うんですね。
それで、まだどこどこと決まっているわけではないわけですけれども、例えば代謝病でしたら京都で多少進んでいる、それから感覚器ですと東京で多少進んでいる、それから免疫病でしたら神奈川県で多少進んでいるというのは、御存じというよりか国立病院でなさっていることでございますけれども、それもやはりなかなかうまくいかないんですね。
例えば免疫病の神奈川を例にとりますと、譲渡予定の国立病院が一つなくなればこれはうまくいくのではないかということで、小泉大臣のおひざ元の国立横須賀病院も、もうあそこは病院がたくさんあって国立横須賀病院は要らない、要らないなんて言ってはあれかもしれません。ですから譲渡予定にもなっているわけですけれども、大臣がいらしてもなかなかうまくいかない。
もちろん、それを推し進めるのも一方ですけれども、なかなかうまくいかない可能性もあるので、それまでの間というよりかは、譲渡とかがうまくいかなくても、予算がつかなくても既設で結構センターに移行してもいいというようなところはあるわけでございます。それに、情報と研修あるいは必ずしも診療、研究は同じところじゃなくて、ヘッドクオーターになるところはそんなになくても、それぞれそういう機能のあるすぐれた病院とか研究所もあるわけですから、その辺をひとつぜひ早急にお考えいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/13
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014・小林秀資
○政府委員(小林秀資君) 再編成、リストラというのは、実際にはその医療機関で医療を受けていらっしゃる人々もいらっしゃることですし、それで統廃合についても移譲についても大変地域住民の方は心配をされているわけでございます。これはどこの病院がうまくいかないから、じゃ担当者がきちっとやっていないのかということではなくて、それぞれ皆さん御努力をされていることでございますので、私どもはこの指針に沿って一生懸命やってまいりたいと思うのであります。
ですから、あと問題はどの機能をより充実するかという選択があろうかと思いますので、そういう点については先生の御意見を十分参考にさせていただいて今後検討を進めようと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/14
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015・水島裕
○水島裕君 よろしくお願いいたします。
それから、次も重要なテーマですのでこれは大臣にもお考えをぜひお聞きしたいと思っているわけですけれども、これからの地域医療病院、かかりつけ医と大きな病院との関係というのでうまくいかないのは、あるいは、今、物すごくうまくいっていないのは、大病院へ行かなくてもいい、行かなくてもいいと言うのはちょっと言葉が悪いかもしれませんけれども、そういう人が大病院に行ってしまう、かかりつけ医に行った方がその患者さんのためにも本当はいい人が大病院に行ってたくさん待ったりなんかしているということなのであります。いろんな考えとかあるいは条件とかをつけてやっているんですけれども、一つもうまくいっていないわけです。相変わらず慶応病院には一日五千人も風邪引きも高血圧もいろんなものも含めてみんな行っておりますし、私の関係しているところでも二千人来て、これではなかなかきちっとしたほかの医療とかあるいは臨床研究などはできないわけでございます。
それですので、いろんな方法はあるけれども、私はやはり気分の問題が非常に多いと思います。この間厚生省では、大病院へ紹介もなくて、それからそこに来る必要も乏しいような人は自己負担を上げるということで、与野党の反対でちょっと引っ込めている形でございますけれども、私は、上げろとは言いませんけれども、上げてもいいかと思います。とにかく差をつけた方がいいと思います。
誤解がないように申しますと、大病院に行く人の中で、紹介状を持っていない人、あるいは大病院で受診する必要性の乏しい患者さんは、かかりつけ医に行けば自己負担は少しで済むけれども大病院に行くとふえるというふうにでもしないと、ほかのいろいろなことを考えてもその辺が一番。我々の病気だったらかかりつけ医に行った方がちゃんと診てくれるし、それから負担も安くて済むというのが患者さんにとっては最もわかりやすいんじゃないかと思います。
あと、大病院にそういう風邪引きの人とか高血圧で後ずっと維持療法をしている人とかいろんな人が来たときに、なかなか来るなとも言えませんし、窓口であなたはここじゃ診ませんと断るわけにもいかないし、じゃそういう人たちは待たせるという意地悪をするのもどうかとも思いますので、やはり自己負担あたりに差をつけるのが一つのいい方法ではないかと思いますが、大臣の御意見はございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/15
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016・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 現在の制度では患者が病院、お医者さんを選ぶことができる、この基本的な制度は私は維持した方がいいと思うんです。
その場合に、今の大病院集中傾向をどうやって変えていくかというと、紹介制だけで果たして可能かなと。むしろ、患者は病院を選ぶことができるけれども紹介があった方が安く済む、大病院へ行けるけれども直接行った場合は紹介よりも高くかかるという方法も考えられるのではないかと。全部紹介制にするというのは、今のこの日本の病院を選ぶことができるという制度になれた国民にとってはかえって不自由に感ずる面があるんじゃないかという点もありますので、この点はよく今後国民的議論の動向を見ながら考えていきたい。
両方行けるけれども、ある程度紹介と直接行くのと料金に差を設けるというのは一つのいい考えだと私も思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/16
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017・水島裕
○水島裕君 おっしゃるとおりだと思います。
我々も実際に紹介を書くというのがもう大変なときもございますし、それから紹介状がなくてももうこれは大病院に間違いなく行った方がいいというのは、このごろ一般の人の医学の知識も上がってきましたので、それもわかる例が多いわけですね。ですから余り紹介にこだわることはないと思いますけれども、その辺よく厚生省の中でもお考えいただいて、与野党から少し反対が出たからといってあれするんじゃなくて、与野党ともよく説得していただいて、現場できちんと機能が果たせるようにぜひ勇断を持ってやっていただきたいというふうに思います。
それの続きなんですけれども、そうなりますと大病院にはその分だけ患者さんが来なくなるというと、単純に経営からいきますと経営難になるわけなんです。
それからもう一つ、大病院、大学病院というのは、診療ばかりでなくて教育とか研修、特に臨床研究というのは今後の日本の自然科学の発展ということを考えますと非常に大切なのでございますけれども、そういうのが現実に今うまく行われていないわけでございますね。
委員長に許可をいただいて、今、一枚のグラフを大臣のところと健政局長のところにお渡ししていると思いますけれども、これは一つの臨床研究の例でございます。二、三年前は一つの研究をやるのに二百人以上の患者さんに一年間協力してもらわないと、これは実際は治験の例でございますけれども、治験ばかりではなくてほかの臨床研究も同じでございます。一つの研究に二百人以上の患者さんに集まっていただかないと、それに入っていただかないとぐあいが悪いという研究が一般的なのでございます。従来は、この上のグラフで書いてありますように、一年ぐらいで大体集まっていたわけでございます。ところが、いろんな最近の理由でもって現在はほとんど症例が集まらない、下のカーブでございます。と申しますと、これだけの一つの研究をするのにこのままいきますと五年ぐらいかかってしまって、こういうことに五年かかるようでは全くできないのと同じなわけでございます。
今、科学技術基本法が通りまして、五年で十七兆ですか、一年四兆円ぐらいの科学技術の研究費が出ているわけでございます。もちろんその最終目的が医療だけとは言いませんけれども、医療はやはり一つの最終目標の非常に大きなところなのであります。ですから、幾ら研究費をつぎ込んだりなんかしても、最後の臨床研究、これは最後はどうしても臨床研究が必要なわけでございますけれども、それが日本ではほとんどできないような状態ということでは何のために研究しているのかということにもなって、今皆さんどうやっているかというと、日本ではだめなので、最後の方は外国へ行って外国人で研究しているというところが非常に多くなってきているわけでございます。こういうことも日本できちっとできるようにするためには、やはり大学病院とか幾つかの病院がきちっとこういう研究ができるようにシステムをつくって行うという以外にはないわけであります。
ところが、先はどのように、軽い患者さんは診るな、こういう研究はちゃんとやれと言っているのではなかなか大学病院の経営がうまくいかないわけでございます。私は、一定の条件、例えば国にためになること、国際貢献のためになる研究はきちっとやること、それから難しい病気はちゃんと診てちゃんと治療方針をつけること、それから学生ばかりではなくて周りの人をちゃんと教育すること、そういう要件を満たす病院を何か特定の病院にしまして、そういうところは、保険の点数でいえば例えばの話でございますけれども一点十一円にするとか、そういうふうにして機能分担をしていかないと、もう今後の日本は、このグラフをもうちょっと説明するともっとわかっていただけると思いますけれども、本当に日本はこういう分野でもうだめになってしまうという可能性が非常に強いわけでございますので、その点ひとつ今後よく検討していただきたい。
大臣、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/17
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018・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 大病院集中の流れを変えようとして、仮にそういう方法を講じたとする、あるいは紹介制と直接行った場合にも料金に差をつけるような形で今の外来患者が大病院から減ったとすると、大病院の経営にも大きく影響してくる。今、当然、外来の患者が来ることによって経営が成り立っている大病院も、そういう外来患者が直接大病院に来ないような機能分担が成功したとすると、今までのやり方では経営として成り立たないという場合も出てくると思います。となれば、大学病院本来の役割は何かということを考えますと、外来患者が直接来ない場合でもちゃんと成り立っていくような診療報酬の評価が私は必要だと思います。
この点については、医療保険福祉審議会等でよく御審議いただいて、その結論を踏まえて取り組んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/18
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019・水島裕
○水島裕君 よくわかっていただいてありがたいと思いますけれども、それと同時に、やはり後半で申しましたきちんとした臨床研究、基礎研究もそうでしょうけれども、ができるというのも一つの条件にして、それでもって何かそこに経営が成り立つようなことを考えていただくということをぜひよろしくお願いいたします。
それから次は、広告事項の追加ということがございます。今回は、主として福祉事業の追加ということを広告してもいいとか、その他が中心だと思いますけれども、やはり医療機関の広告として一番大切なのは、国民側から見て、医療に関する情報、ここにはこういう専門家がいてこのぐらいの治療成績を上げてとかいうことであります。その意味では、昨年九月に追加していただきました標榜科、アレルギー、リューマチ、心療内科、リハビリテーションでしたけれども、それもそれなりに非常に役に立っているわけでございます。
ところが、国民からすれば、では糖尿病はどうだろうか、肝臓病はどうだろうか、腎臓はどうだろうかということになりまして、そういうものの標榜をするのも一つだと思いますけれども、それにかわるものとしては各学会で定めている認定医がございますので、その認定医がいるということを広告に出せればいいわけでございます。
これは、私も学会の方に依然として身を置く者としまして私どもの恥かもしれませんけれども、学会間で認定医の共通の土俵をつくる、こっちの学会は認定医の評価がすごく甘い、こっちは厳しいとかというのでは国民に対する情報としてぐあい悪いわけでございますので、それを調整しているわけでございまして、それを認定医制協議会というところでやっているところでございます。ところが、どうもそこは学会のエゴとかそういうことも入ってもう一つうまくいかないのでございます。
ですから、きょうの質問あるいは提案は、アメリカではこれはナショナルボードということで国がある程度関与してやっているみたいでございますけれども、また余り国が入るとということもありますので、何かしらの第三者機関のボードをつくりまして、そこで国民の意見、国会の意見あるいは厚生省の意見、それから患者団体の意見も入れて早急にそういう共通の土俵で判断できる認定医をつくったらいかがかと思いますけれども、これは厚生省の方ではいかがお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/19
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020・谷修一
○政府委員(谷修一君) 医療機関の広告事項ということにつきましては、客観性、正確性が確保され、患者さんによります医療機関の選択に役立つというものについてはできるだけ広告事項として認めていくという方向で検討しております。
今、お触れになりました具体的な医師の専門分野ということについては、一般の市民に対するアンケート調査の中でも、そういうことをぜひ知りたいという要望が非常に高い項目でございます。この夏に示しました厚生省案あるいは与党医療保険制度改革協議会の改革の報告の中でも、専門医あるいは認定医の問題について広告を認める、そういう方向で、今先生お触れになりました各学会の中で基準が必ずしも統一をされていない、それを統一した上でそういうことをするということで意見がまとめられております。
私どもとしては、既に認定医協議会の方にそういうことを前提にしてできるだけ早く認定基準の統一ということをやっていただきたいと、すべてが同じというわけにはこれはいかないと思いますが、ある程度基本的なところは統一をして、その上でそれぞれの学会が認定されるなりなんなりということをしていただきたいということでお願いをしております。
ただ、それが今進んでいないということのお話で、第三者機関ということでございますが、この認定医協議会の中でも先生御承知のように第三者機関というものを設置したらどうかということが一方ことしの二月の総会で議論をされ、これも検討事項の一つとなっております。私どもは、第三者機関であろうと現在の認定医協議会であろうとそれはどこでもいいといいますか、統一をしていただければそれでいいんじゃないかというのが基本でございます。したがって、第三者機関でやられるのももちろん構わないと思います。
ただ、この問題については、こういったような各学会の認定医なり専門医制度をスタートさせるというそのスタートの時期に、役所側というのか行政側は余り介入をしないという前提でこの問題がそもそもスタートしているというような経緯もありますし、また私はこういう問題は専門家の集まりである学会がみずから決めていくというのがやはり基本じゃないかというようにも思っておりますので、そういう意味で、現在直ちに第三者機関について私どもが何かするという問題じゃなくて、学会の認定医協議会の中でもこの第三者機関の問題が取り上げられておりますので、そういうことの中でぜひむしろ検討を早めていただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/20
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021・水島裕
○水島裕君 よくわかりました。
また、第三者機関、患者さんとかいろんな方を入れてつくるようにしていきたいと思いますけれども、そのときはまた厚生省の方もいろいろよろしくお願いいたします。
時間が少しなくなってきましたので、まことに済みません、今後の質疑は簡単にお答えいただき
たいと思います。
高木局長、先ほどの病院の経営ということもありますし、ベッドの回転、社会的入院を減らす、少しでもゆとりのある病院生活がいいということで、非常に療養環境がいいところは、例えば大病院でも一部でよろしいんですけれども、差額ベッドをまた認める、そういうような方針は今のところございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/21
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022・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 現行制度の中でもいわゆる特定療養費制度というような形がございます。それで、今、先生御指摘の点は、社会保険としての医療保険制度をどう考えるかという問題とも密接に関係するわけでありますけれども、現在ある程度特定療養費制度というような形で差額徴収のような形を認めているわけでありますが、全体的にこの辺のところをどう考えるのか。統制経済としての医療保険制度というものについて、それがなし崩し的なものということじゃなくて、やはりきちっとした議論なりあるいは合理的な判断ができるものについてある程度その辺のところを緩和していくという方向がいいのか、あるいはまたいやいやそれは皆保険制度の形骸化につながるのではないか、そういうような心配があるからこれは慎重にやるべきである、あるいはまたそうやるべきではない、いろんな議論があるわけでございます。
先般、発表されました与党協の抜本改革案あるいは厚生省の抜本改革案の中でもその辺について触れておりますけれども、これは抜本改革の議論の中で私どもとしてはきちんとした御議論をお願いしたい、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/22
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023・水島裕
○水島裕君 では、いろいろ御検討いただきたいと思います。私個人は混合診療の禁止を少しでも緩和していく方がよろしいんじゃないかとは思い
では、谷局長も簡単に、申しわけございませんけれども。
インフォームド・コンセントとか末期医療、いろいろ厚生省でも検討なさっていらっしゃいますけれども、こういうものが出てきますと、どうしても尊厳死とか、きょうの新聞にもありましたけれども、まだ日本では早いかと思いますけれども、安楽死のこととか、そういうことが出てくると思うんです。厚生省の方としては、こういうものの検討会、そういうものをあるいはやっていらっしゃるか、今後おやりになるおつもりはございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/23
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024・谷修一
○政府委員(谷修一君) 末期医療に尊厳死、安楽死ということも含まれるのかどうか、そこは必ずしもはっきりしておりませんが、末期医療に対する国民の意識、特に医療従事者、医師、看護婦の意識はどうなのかということについて調査を行うということで、実は昨日、その調査の委員会もございまして一応その調査をする内容も固まりましたので、ことしてきるだけ早く調査を実施した上で、どういう方向にあるのか、これは前回の調査との比較もできますので、その結果を踏まえて今後の方向というものを考えていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/24
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025・水島裕
○水島裕君 脳死移植で国民も死について非常に真剣に考えておりますので、今がいい機会ではないかと思います。
それでは最後に、文部省に来ていただいておりますので、文部省の方からお願いいたします。
この二十一世紀ビジョンでもそうですけれども医師数の削減というのがありますので、それに関連しての質問でございます。本当に私の同僚たちが一生懸命やっているのでちょっと質問しにくいところもありますけれども、特殊な名前のついている医科大学というのが大分その機能も果たしたので、むしろ今後は、例えば大学院大学とか、海外の、アジアの人たちの医学教育とか、日本の医師をつくらないけれども医師を教育する場にもそういうことを少しずつ発展していったらどうかという考えがあるのではないかと思います。
というのは、私、厚生省の方ももっと臨床医学など勉強していただきたい方がいますけれども、これはロンドンに行きましてもアメリカに行きましても、医師になるためじゃなくて、臨床医学も含めて医学を教えてくれる大学というのは結構あるのでございます。日本からも行って勉強している。そういうのが日本にこれからできてこないと、製薬会社の方でも一向に医学がわかる人が出てこないというのでは困るわけでございます。そういう観点も含めて、時間の関係でついでにもう一つの質問もさせていただきます。
学問というのは、あるいは診療もそうだと思いますけれども、自由度が高い方がいいわけでございます。そうしますと、むしろアメリカと同様私学をさらに育成して、今何となく私学はちょっと悪いとか、実際に悪いところもあるんですけれども、というのではなくて、やっぱりそういう方向が一ついいのじゃないか。
あるいは、もし国立を相変わらず期待なさるのでしたら、国立の研究その他の自由度を高める。今は、大部分の研究は三月まで終わらないとそこでやめなくちゃいけない、次に持ち越せないんですね。研究は道路工事とかそんなのと違って、いつまでやめろといってそこでできるわけないので、そうしたらもう三月が終わったからやめというのはいかにも非能率的だし、非現実的、非科学的でございますので、その点、全部含めてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/25
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026・木谷雅人
○説明員(木谷雅人君) まず、医師の需給に関連した大学医学部の入学定員のあり方につきましては、現在、文部省において有識者から成る二十一世紀医学・医療懇談会にお願いをいたしまして、将来における国民の医療サービスに対するニーズや適切な教育条件の確保等を総合的に勘案して医学教育あり方全体の中で検討をいただいているところでございます。
その具体的な検討に当たりましては、国際医療協力の推進のための、先生の御指摘のございましたような外国人留学生の積極的な受け入れ、あるいは製薬、福祉など今後医学的知識を有する人材の一層の需要が見込まれる分野に関する人材育成のあり方などに十分留意の上検討を行いまして、必要な医学教育、研究体制の整備充実が図られるように努めてまいりたいと思います。
次に、私立大学の果たしている役割につきましてでございますが、我が国の医師の養成においてそれぞれ建学の精神に基づく特色ある教育を行い大きな役割を果たしているものと認識しておりまして、文部省としても、御案内のとおり私学助成の充実等に努めているところでございます。文部省としては、今後、国公私立を通じて各大学の医学部がそれぞれの役割、目的に応じた特色を生かしつつ、全体として多様な発展を遂げていきますように支援をしてまいりたいと思っております。
国立大学の特に予算面の制約というふうなことについての御指摘がございました。先生御指摘のように、大学の組織運営については、大学の教育研究の質的向上を図るためにそれぞれの大学の自主性と自由度を高め、自律的な運営が行えるように改革を進めていくことが重要でございます。
このため、文部省におきましても、去る十月三十一日に大学審議会に対しまして二十一世紀の大学像と今後の改革方策について諮問を行いました。その中で、大学の組織運営システムの改革も検討事項の一つとしておりまして、具体的には大学の教育研究の機動的な対応を可能とするための措置として、例えば特定プロジェクトの年度を超えた執行など、予算執行上の弾力性の確保等についても検討をいただくこととしております。
今後、文部省といたしましても、大学審議会の議論を踏まえ適切に対応してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/26
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027・水島裕
○水島裕君 私、国立も私立も勤めてきましたので全く中立な立場ですけれども、いろんな格好いい言葉を言うよりも、三月が終わっても研究費は次に持ち越せるということを一言言っていただくだけの方がよほど大学で働いている者は助かるわけでございますので、早急にそういう結論をひとつ出していただきたいと思います。
それでは時間でございますので、ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/27
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028・牛嶋正
○牛嶋正君 平成会の牛嶋正でございます。
きょうは、一九九五年四月に導入されまして、それから二年半経過しようとしておりますドイツの介護保険制度に対する評価から議論を始めさせていただきたいと思います。
このドイツの介護保険制度も、導入当初は事務処理の遅滞や現金給付を受ける要介護者が予想以上に多くて若干の混乱はあったように思いますが、ようやくこの種の混乱もおさまりまして、現在ではおおむね順調に推移しているというふうに見受けられます。
その意味では、ドイツの介護保険制度はある程度の評価が与えられていいのではないかと思っておりますが、厚生大臣はこのドイツの介護保険制度の導入についてどのように評価されておられるのか、まずこの点からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/28
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029・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) ドイツの介護保険制度については問題点があるということは承知をしておりますが、全体として定着してきている、また評価も、むしろ積極的に受け入れている人が多い、整備も順調に進んでいるということを聞いています。
主な点、三つあると言われています。一つが、制度導入後、日帰り介護や短期入所の生活介護などの在宅サービス基盤の整備が顕著に進んでいるということ。二つ目に、在宅介護者に対するアンケート調査でも、介護の状況が改善されたとの評価が高いことや、要介護判定の手続や結果についての信頼性も高まってきていること。三つ目に、要介護者の多くが社会扶助、これは生活保護ですけれども、この社会扶助を受給しなくなってきていること等の状況を聞いておりまして、全体的に見ればこの制度をさらに改善していこうという意欲が高いのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/29
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030・牛嶋正
○牛嶋正君 私は、山本委員長と御一緒いたしまして、昨年の夏、議員派遣でドイツをお訪ねいたしました。幾つかの施設を見学させていただき、ドイツの関係者から事情も聴取する機会を得ました。そのときの印象は大体今、厚生大臣がおっしゃったと同じような印象を私も受けておりまして、制度の出発はまずまずの出発であったというふうに思っているわけです。
なぜ比較的うまくいったのかということを私なりに考えてみました。
四つほど理由を挙げることができるのではないかと思っております。
その一つは、介護サービスの供給体制が長い時間をかけ、宗教団体を初めとする非営利団体等の努力によりましてはぼ確立していた、そういった状態にあったということであります。ですから、初めから保険あって介護なしの心配は全くなかったという点、これが一つ挙げられるのではないかと思います。
いま一つは、介護保険制度の導入までは、要介護状態になった場合の経済的負担は基本的にはその者自身、または家族の個人的問題として考えられてきた。いわば原則といたしまして利用者負担という形をとっていたということであります。
三番目は、幾つかのホームをお訪ねして高齢者の生活を見させていただいたんですけれども、その生活態度に非常に自立性が確立しているというふうに私は見受けました。
それから四番目は、今申しましたように原則的には被用者負担でございましたので、その負担ができない人に対しましては連邦社会扶助によりまして介護扶助を行っていたわけですが、この受給者が一九八五年ごろから急速に増大をして、四十万を超えてどんどんふえていったわけです。大体そのころからドイツでは介護保険についての検討が始まっております。ですから、十年以上にわたって議論されてきた、こういう経緯があったというふうに思います。
ですから、ドイツにおいて介護保険制度が定着しつつあるからといって、我が国においても介護保険制度がうまくいくだろうということにはならないんじゃないか。そのためには、今私が申し上げました四つの理由について我が国の状況を改めて検討しておかなければならないと思うわけです。先ほど大臣の評価をお聞きいたしましたけれども、比較的順調に推移しているこの介護保険制度の理由といいますか背景、そういったものを政府の方はどういうふうにお考えになっているのかお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/30
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031・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 先生から四点御指摘があったわけでございます。
確かに、ドイツにおきましては多様な介護サービスの供給主体があるということではありますが、介護施設の利用費は基本的に全額自己負担。自分で払えなくなりますといわゆる社会扶助でそれを見てもらうというようなこともありまして、介護保険制度ができる前の段階においては、施設サービスあるいは在宅サービスも水準として十分だということでは必ずしもないんではないかという識者の意見もあるところでございます。これが、介護保険制度が導入されることによっていろんな基盤整備が進んでいるということも一つには見られております。
それから、こうした基盤整備が進んでいることによりまして、ドイツの介護保険制度は在宅重視ということでやっておりますので、施設から退所して在宅に行く人というのも出てきている。そういう在宅でのサービスの改善あるいは在宅介護というものが制度ができることによって定着をしてきている。
それから、先ほど大臣からもお話がありましたが、ドイツのハンブルク大学が行いましたアンケート調査を見ていきますと、やっぱり全体的に介護制度についての評価というのが高まってきている。その高まってきておりますのはサービスの改善や要介護の認定等に信頼が置けるという評価をしている、こういうことによるものだと思います。
それからさらに先ほど申し上げましたように、自分の資産がなくなりますと社会扶助、日本では生活保護に相当するようなものでございますが、こういうものの給付を受けたわけでありますけれども、こういうものを受けずに済むようになってきている、こういうようなことから定着してきているのではないか。
ドイツにおきまして介護保険制度を創設するに当たり十年以上にわたる議論がありましたと、確かにそうなんでありますが、これは何年か前にドイツの事務次官が日本に来ましたときに、長い期間をかけてやることが決して議論の中身にプラスだったとは必ずしも言えないと、最後の段階における議論が一番充実していたんだというようなことを言っておられまして、十年という期間そのものが本当に長かったかどうかということでございます。
それから、一方、日本におきましては、介護保険制度ではございませんが、平成二年にゴールドプランをつくりましたころから介護基盤の整備、介護問題ということを一つの大きな施策として取り上げてきておりまして、何年か前からいろんな形で介護の基盤整備のあり方として、いわゆる介護制度の運営の仕方として介護保険というものもあるのではないか、こういう議論も行われてきたところでございまして、日本でも五、六年かけてかなりそういう議論は行われておりますので、そういう意味でドイツの最後の部分と相当するぐらいの熱い議論は十分行われてきているのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/31
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032・牛嶋正
○牛嶋正君 今の御答弁を聞いておりますと、大体私が挙げました四つの条件というふうなものをお考えになっているような気がいたします。
例えば、先ほど三番目に挙げましたドイツの高齢者の自立性あるいは自立心、こういったものが恐らく社会扶助を受けるよりもリスクをヘッジするための保険料を前から負担するというふうな方向に向かわせたのではないかというふうな気もするわけであります。
しかし、今も御指摘のありましたように、我が国におきまして保険あってサービスなしの心配、これを払拭するためには、ともかく今新ゴールドプランに沿って施設の整備やら人材の確保に努めているわけでありますから、したがって二〇〇〇年の制度出発のときに新ゴールドプランの目標の実現が、私は保険あってサービスなしの心配を取り除く決め手になるというふうに思うわけであります。
そこで、政府は新ゴールドプランの目標実現にどのような見通しを立てておられるのか、まずこの点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/32
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033・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。
先生今御指摘のとおり、この介護保険を実あるものとしてスタートをさせるために基盤整備、その基盤整備のための新ゴールドプランの目標実現ということが大変大事であるという点は私どもそのように考えております。そして、現在の進捗でございますけれども、全体的な目標というものにつきましては、大どころの部分についてはかなり順調に進んできていると言ってよろしいと思いますけれども、二つ大きな問題がございまして、一つはサービスの種類によってやっぱり進捗の非常によろしくないものがあります。
それともう一つ、さらに大きな問題としていえば地域差が非常にございます。そういった地域差によりまして介護サービスの整備が進んでいない、あるいは種類によってサービスの整備が進んでいないというところの部分をどうしていくかということが、これから残された期間に向けての私どもの努力を集中的にしていかなければならない部分だろうというふうに思っております。
そういった観点から、整備のおくれています地区につきましては老人保健福祉計画、それぞれの市町村あるいは各自治体がいわばみずから主体的に取り組みをいただく事柄として計画をおつくりいただいているわけでございます。そういった自治体に対しましても、もう一回そういったおくれている理由なりのそれぞれの地域での分析、あるいはそれに応じたきめ細かな対策というものをどういうふうに打っていくかという点についての考え方をさらにきちっと整備をしていただく。そういうことをお願いしますと同時に、私どもとしましても、そういった各自治体がそれぞれの地域の実情に応じた施策を打っていきやすいように、各種の施策につきましても規制の緩和あるいは民間活力の導入、あるいはその事業の整備等を進めるに当たっての規制といったものの弾力化をしていくというようなことで、地域の実情に応じました介護サービスの整備ということができますような工夫というようなことをやってきておるわけであります。
そうした中で、例えば公民館だとかあるいは公衆浴場等の既存の施設を活用するような日帰り介護事業の実施など、いろいろ多様な手段を活用する道を多様に開くというようなことをきめ細かくやることによりまして、目標達成に向けまして引き続き努力をしてまいりたいというふうに思っております。
そして、先ほどのドイツの例にもございましたように、ドイツも当然介護保険をスタートさせるに当たって基盤整備に努力をされてこられたわけでありますし、介護保険導入後におきましてもさらにその努力をされることによって、先ほども御披露申し上げましたように、サービス水準がまた上がってきたという側面もございますから、介護保険導入後におきましても、さらに引き続いての介護基盤計画というものをつくりまして地域の実情に応じた対応をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/33
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034・牛嶋正
○牛嶋正君 この保険あって介護なしの問題に関連いたしまして、今二つの問題点を指摘されましたが、私はそれに加えてもう二つほど心配な点がございます。そういう意味で、私は三つほど今解決しなければならない問題があるのかなと思っているんですが、その一つは、先ほど御指摘のありました進捗状況における地域間格差の問題です。
私もこの夏幾つかの市町村を訪ねまして実情を見てまいりましたけれども、行くということになりますと、非常に財政力の豊かなところとそうでないところ、人口もいろいろと区別して行ったんですけれども、やはり格差は残念ながら歴然としております。また、ことし九月に発表されました福祉マップでも地域格差の拡大が指摘されております。
したがって、このまま格差が拡大していきますと、二〇〇〇年の目標年次に全体としてかなりの進捗状況、進捗率に達したといたしましても、多くの市町村において低い水準にとどまるということが予想されます。そうしますと、かなりの地域で全体的に見ると、進捗状況がかなり高くてもそれぞれの地域におきまして保険あって介護なしの状況が生まれてくるおそれが私はあると思います。
そうなりますと、全体的にうまくいったというふうに評価されるよりも、その前にそういった保険あって介護なしの地域が非常に取り上げられて、我が国の介護保険制度に対する評価は非常に厳しいものになるんじゃないかというふうに私は心配しているわけですが、この点について政府はどんなふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/34
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035・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 地域差につきましての御指摘でございます。
現状につきまして、私どもも問題意識を同じゅうしているところは先ほど申し上げたとおりでございます。介護保険導入ということをにらんで今後の介護サービスの展開ということを考えれば、ある程度の水準に達しての後のこととして言えば、それぞれの自治体間におけるいわばサービス競争、あるいは介護、その地域におけるそういった介護についての福祉にどのように力を入れていくかということについてそれぞれの地域が特色を発揮してやっていただくというのは一つの方向ではあろうと思いますけれども、やはり介護保険を導入するに当たって、一つの基盤的な部分において欠けるところがあるということについてはやっぱりこれはぐあいが悪いということは、私どももそのように考えております。
したがって、そこを解消する努力というのは非常に優先的にしなければならない。そのために、まず今の地域のお取り組みについて、それぞれのもう一度そういったおくれていることの分析から始まっての努力をしていただかなきゃならないわけですけれども、それに向かっての国の支援という意味でも、予算の重点的な配分という意味でおくれたところに重点的に配分をしていくということは当然でございます。
そのほかに、先ほど申し上げましたような例えば既存施設の活用だとか、さらに、先ほど省略させていただきましたけれども、特に過疎地域あるいは大都市地域における事業展開が非常に難しいという問題がございますから、例えば過疎地域におきましてでございますと、その過疎地域におけるそういった特に在宅サービスの展開を容易にするためのモデル事業等をやりまして、そこで民間事業者等がどういうふうに入っていけるか。また、その民間事業者という中でも農協なんかが相当力を入れていただいておりますから、農協組織や何かがどのように展開をしていただくか。また、農協組織にもそういったお願いもしながらやっているというような点でありますとか、あるいは箱をつくるというところになりますとなかなかその事業もおいそれとはいかないというようなところもございますから、そういった場合には学校の空き教室を利用した日帰り介護施設をやるとか、そういったさまざまな弾力的な運用を含めました対応をして、何とかこの大きな格差というものを埋める形で十二年度に向けてその格差を是正する方向でやってまいりたいというふうに思っております。
そういった形で全体の底上げを図りながら、さらに介護保険施行後もそういう手を緩めることなく新しい事業計画というものにつなげていくということで努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/35
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036・牛嶋正
○牛嶋正君 私が懸念します第二番目の問題ですけれども、ことし一月公表されました国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口に関連した問題でございます。
前回の平成四年九月の推計から五年経過しておりますが、この間に我が国の少子・高齢化が一段と加速しております。二〇二五年の高齢化率で申しますと、前回が二五・八%に対しまして、今回は二七・四%まで上昇しておりまして、二%のアップということであります。二〇二五年と申しますと今から二十七、八年でありますから、その長さからいいますと、二%のアップというのはその数字自体はそれほど大きな影響はないというふうに思われますけれども、問題は高齢化の進展の加速にも地域格差が見られるということでございます。
すなわち、高齢化率が既に高い水準に達しております中山間地域ではそれほど加速しておりません。もう行くところまで行ったという感じでございます。問題は大都市圏の中小都市、ここでは御承知のように人口構成が団塊の世代をはっきり持っているわけですから、したがって高齢化の加速も非常に大きいわけであります。そのため、新ゴールドプランのベースになっております老人保健福祉計画の高齢化率を既にもう上回っている都市が多く出てきております。
だといたしますと、新ゴールドプランの目標値が実現したとしても、そういうところでは保険あって介護なしの状態が懸念されるわけでございますけれども、この点についてどのようにお考えなのかちょっとお聞かせ願いたいと思います。特に、大都市圏での介護サービスの供給体制の整備というのは案外おくれているようにも思いますので、それも含めましてちょっとお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/36
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037・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) まず、先生御指摘になりました地域間における高齢化の加速と申しますか、その違い、格差の状況ということでございます。
これは、確かに全体の高齢化が加速する中で、さらに地域間においてもその差があるというのは、そういう実態があろうと思いますけれども、事今回の老人保健福祉計画なり新ゴールドプランという側面から見てまいりますというと、新ゴールドプランのもとになります保健福祉計画を立てました時点で、平成十一年度末に、つまり達成時にどのぐらいの高齢化率になるであろうということを見込んで計画をそれぞれ立てていただいたわけです。
そのこととの乖離という意味で、例えば今最新のところでいきますと、平成七年度末あたりで既にその目標あるいは織り込み済みの高齢化率を超えているというような地域がどのぐらいあるかということを、先生の御指摘もありましたので市について調べてまいりましたけれども、平成七年度末というところで見ますというと、全体ではまだ二十市ぐらい、ウエートでいえば市の中では二・九%ぐらいでございます。しかし、七年度から十一年度というところもございますから、まだそういうところが出てくる。それから、多い少ないにかかわらず、そういうところでの問題というのは確かに捨象して考えてはいかぬであろうと。そういう意味では、先ほど申し上げました重点的な整備というときに、そういったことも頭に入れながらやっていかなければならない要素だとは思います。
ただ、これもなかなか難しいところが一つございまして、確かに高齢化率は上がっておるんですけれども、それじゃそういったところで利用状況はどうかというふうに見ますと、例えばホームヘルパーの方々ならホームヘルパーの方々を整備して、その活用のされぐあいというようなところを見ますというと、必ずしもそのことと、非常に逼迫をした、つまり非常に活用してなおかつ足らないというような形に少なくともマップの上で見るとなっていないというところが実はございます。そういった利用の動向がどうかというようなところも、先ほどそれぞれにその原因分析をしてもらってということを申し上げましたが、そういったきめ細かな分析もそれぞれのところでやっていくということが一面必要なんじゃないかなということを思いつつ、しかしいずれにしても、全体的に整備を進めていくときに格差というものは対応していかなければならない。
そのときに、先ほど過疎のお話を申し上げましたが、特に大都市について、例えば施設整備なんかでなかなか土地が得られないということで進みにくいというようなこともございますから、そういったときには合併して、併設の施設とか複合施設形態でやるような形を大いに導入していく。あるいは規模につきましてもある程度弾力的な取り扱いをしていく等のことを含めまして進めていきたいというふうに思っております。
特養等につきましては、最近かなり東京都あたりはそういったことで当初の初動部分に比べましたら急速にここのところ整備が進んできているという実態もございます。しかし、それで楽観視をするというわけではございません。一生懸命そういったところについての役割あるいは細かな工夫というようなことを含めてやっていかなければならないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/37
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038・牛嶋正
○牛嶋正君 保険あって介護なしの問題に関連いたしまして私が懸念します第三の問題は、財政構造改革法案との関係でございます。
この改革法案では、社会保障関係費につきましては二つのキャップがはめられております。一つは、平成十年度の当初予算における社会保障関係費の額が平成九年度の当初予算における額に三千億円を加算した額を下回ることというキャップであります。もう一つのキャップは、平成十一年度及び平成十二年度の当初予算における社会保障関係費の額は、各年度の前年度における額におおむね百分の百二を乗じた額とすると。
この平成十年度の当初予算の三千億円のプラスでありますが、これは率で申しますと、平成九年度の当初予算が十四兆一千二百億円でございましたから二・一%ということになります。要するところ、この期間というのは財政赤字を削減する集中期間でありますので、その間大体二%ぐらいの伸びということになるかと思います。ですから、公共事業等はマイナスになっているのに対しましてプラスの伸びになっているわけです。しかし、これまでの平成二年以降の各年度の当初予算に対する伸び率を平均いたしますと大体四%ぐらいでございますので、二分の一に抑えられるということになります。平成十年度の当初予算で、もし義務的経費の自然増というふうなものを積み上げていきますと八千億円と聞いておりますけれども、これを五千億円抑えるわけでありますから、これは社会保障関係費の中で新ゴールドプランについての介護サービスの供給体制の整備に少なからず影響を与えるのではないかと、こういうふうに私は懸念しているわけであります。
財政再建が優先するのかという議論がありますけれども、財政が果たさなければならない役割から考えますと、こういうことで財政再建の方が赤字幅が減るというふうなことで若干進んだといたしましても、介護制度におきまして保険あって介護なしの状況が仮に生まれたといたしますと、我が国の財政運営というのは必ずしも健全な方向に向かっているとは言えないのではないかと、私はこんなふうに思うわけでございます。
この点につきましては、非常に重要な問題でございますので厚生大臣にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/38
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039・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 財政構造改革と介護基盤の整備との問題ですが、今回の財政再建、財政構造改革の方針における厳しい枠、この中でいかに介護基盤を充実させていこうかということは私は両立できると思っております。
三千億円の枠が設定されましたけれども、その中で、十年度予算の概算要求においても、新ゴールドプラン関係経費としては水準を落とすことなく前年度よりも増額を要求しておりますし、この整備費の中で当初のゴールドプランの目的が達成できるように最善の努力をしていく。来年度もそうでありますし、十一年度、十二年度もそのとおり進めていって当初の目的を達成したい、整備に全力を尽くしていきたいと、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/39
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040・牛嶋正
○牛嶋正君 それでは次に、先ほどドイツの介護保障制度が定着しつつあるという理由を四つ挙げましたけれども、そのうちの二番目の理由と三番目の理由を取り上げまして、我が国での介護保障制度の運営についてちょっと検討させていただきたいと思います。
今、改めて、ドイツが保険制度を導入する前提、原則としておりました利用者負担、それと、今我が国で導入されようとしております公的保険、そしてもう一つ税方式、公費でありますけれども、それについて少し比較検討してみたいと思います。
税と公的保険につきましては、どちらも強制性を伴うということで共通しているのではないかと思います。それに対しまして公的保険と利用者負担とは、要介護サービスの受給者が何らかの負担を負うということで共通性を持っているというふうに考えることができます。公的保険はリスクをヘッジするための部分負担でありますけれども負担しているわけであります。そして、利用者負担の方はほとんど全部負担ということになろうかと思います。
したがって、介護サービスの受給者がそのサービスにかかる費用をどれだけ負担するかということで、今申しました三つの方式を比較いたしますと、一番左に利用者負担が置かれ、真ん中に公的負担、そして一番右に税というふうな並びになるのではないか、こういうふうに思うわけであります。したがって、公的保険というのは部分負担でございますので、ちょうど中間に位置します。その中間の位置が右寄りなのか左寄りなのかというのはそれぞれの国の保険制度によるわけですけれども、そういう位置づけができると思います。
ですから、ドイツの場合のように利用者負担から公的負担への移行というのは、介護サービスを福祉サービスと考えて、原則公費というふうに考えますと自然な流れであると。全部負担から部分負担の方へ移行して、そしてそのもう一つ向こうに税があるわけですから、私は自然な流れであったのではないかというふうに思いまして、先ほど申しましたように、導入がうまくいった一つの理由に挙げさせていただいたわけであります。
それに対して、我が国の場合でありますけれども、むしろ逆の方向に向かうわけです、今まで税であった、公費負担であったのが公的保険で部分負担になるわけでありますから。そういう流れから申しますと、やはり高齢者の考え方からいたしますと少し抵抗がそこに生まれてくるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。
この点について、あえてドイツの方向と反対方向の形で公的保険を採用されようとしているわけですけれども、私は、そのためには相当な理由づけをしていかなければならないと思います。この点についてどのようなお考えを持っておられるか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/40
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041・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護に関する制度、どういうものができるかということは、各国の介護を取り巻くいろんな考え方あるいはそれまでの施策との連続性、そういうものがあるんだと思います。先生のおっしゃるのも、そういう意味で、ドイツは全額自己負担だった、それから保険というのであれば部分的に自己負担が残る形であり、連続性があるのではないかということで、そういうお話をされたんだと思います。
我が国の介護の場合も、先生御案内のとおりでございますが、現在の制度では社会福祉、措置の仕組みでやっている部分と、それから医療、老人医療が中心でございますが、そういうものでやっている部分とあるわけでございます。
この制度は、社会福祉でやっているところは税が財源でありますが、全額税で出しているのではなくて、所得に応じて費用徴収をしているということで、自己負担が全くゼロで全部公費で見ているという仕組みではないわけでございます。所得に応じて、場合によっては所得が高い人にはかなりたくさんの費用負担をしていただいているということであります。また、老人医療を医療費で見ているところにつきましても一部自己負担があるわけでございまして、これは基本的には保険的な形でやっておりますので、当然一部自己負担があるわけでございます。
ですから、我が国の場合、例えば先生のおっしゃいましたように、全額利用者負担、それから一方の極に全部税負担で利用者負担なし、そしてその真ん中に介護保険がある、そういう図式にはなっていないんだと思うんです。そういう仕組みの中で、介護保険を一体どうつくったらいいかということだと思います。特に二つの、福祉の仕組みと医療の仕組みで分立していることによって生ずる負担の不公平であるとか全体としての制度の非効率であるとかそういう問題が、特に社会的入院の問題などが指摘されていたわけでございまして、これをどう解決するかということになるわけでございます。
介護保険を導入するのであれば、介護保険を導入する積極的な理由というのもそこにあるべきではないかというお話がございました。
厚生省の審議会ですと、厚生省の息がかかっているという感じがするのではないかと思いますが、実は、平成七年七月に社会保障制度審議会、総理の諮問機関でございますが、ここが戦後五十年たったということを契機に、社会保障のあり方について勧告を行っているわけであります。この中におきましても、これからの社会保障の大きな課題の一つとして介護不安を解消するための対策が必要であるということを言っているわけでございます。
この勧告を読んでいきますと、こういう指摘があるわけでございます。
一つは、「今後増大する介護サービスのニーズに対し安定的に適切な介護サービスを供給していくためには、基盤整備は一般財源に依存するにしても、制度の運用に要する財源は主として保険料に依存する公的介護保険を基盤にすべきである。」、こういう提言をしております。
その理由としまして、一つは、長寿社会になるとだれでもそういう介護リスクというのに直面している、要介護状態になるおそれというのはだれでも持っている、あるいは自分の親というものを含めれば、それを今度は逆に介護する側、そういう立場に自分が置かれる、そういうことで、介護問題に直面するおそれというものが普遍的というか一般的なおそれになっている。ですから、保険でカバーするのになじむのであるということを言っているわけであります。
さらに、保険制度のメリットとしまして、給付を権利として受けることができるようになるということであるとか、あるいは負担と給付との対応関係が比較的わかりやすいことから、ニーズの増大に対してサービスの量的拡大や質的向上を図っていくことに国民の合意が得られやすいということであるとか、あるいはまた民間事業者等の費用も介護保険で負担するということになりますと、利用者にとってサービスの選択が可能になって、供給者間の競争を強めてサービスの量的拡大と質的向上が期待できるとか、こういうようなことを言っているわけでございまして、積極的にこの問題は介護保険という保険の仕組みがいいのではないかというふうに言っているわけでございます。
さらに、私なりにあれでございますが、仮に介護保険制度を、例えば保険ではなくて税でやるというふうに考えますと、税でやれば、やはり負担というのは所得に応じて費用徴収するのが原則ではないだろうか。いわゆる税でやって費用徴収はしません、全部出しますということでありますと、例えば現下の、国と地方と合わせて四百兆円を超える借金というものを抱えているわけでありますし、財政再建が大きなテーマになっているわけでありますが、こういう中で、十分負担能力のある金持ちの人も負担なしに税で全額見ていくのが本当に正しいのだろうか、そういう議論はあり得るのではないかと思います。
それからまた、そういう費用徴収をするということになりますと、その費用徴収の大きさによって、税の施策でサービスを受けて非常に大きな費用徴収をされるという場合には、費用負担の問題から、病院に入院した方が自己負担が小さくてその方が安上がりだという選択が行われてしまうおそれがある。サービスとしては福祉・介護施設サービスの方がその人に適したサービスが行われ得るにもかかわらず、負担の関係で的確な選択が行われないおそれもあるわけでございます。
現在の一人当たりにかかっている費用を見ますと、入院する方が全体的にコスト高になっておりますから、これは社会保障全体の効率性を介護保険を通じて実現しようという目的が達成できなくなってしまう、そういうふうな問題もありまして、積極的に保険制度でやるべきだという考え方もある上に、さらに加えて、税でやったときの問題点もある。逆の、税でやったプラスの面もあるわけでございますが、大きな制度全体で見たときのねらいという意味ではそういうことがありまして、そういう観点から、老人の介護の問題につきまして介護保険制度で対応することが適当ではないか、そういうふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/41
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042・牛嶋正
○牛嶋正君 これまでの厚生省が出しておられるパンフレットなんかを読みまして、今御答弁いただいたような幾つかの保険方式が持っているメリットというふうなものを私も理解をしております。
私なりに整理をさせていただきますと、利用者の選択が今の制度の場合には全く認められていないという、選択性に関する問題が一つあると思います。
それからもう一つは、給付と負担の対応関係が不明確である、今それは御指摘になりました。これは私は権利性に関する問題というふうに呼ばせていただきたいと思います。
それからいま一つは、行政主体が直接にしろ委託にしろ介護サービスを社会サービスとして供給する場合には高コストになるということで、効率性に関する問題というふうに呼ばせていただきたいと思います。
それから四番目の問題といたしましては、今も御指摘のありました介護と医療の一体性の問題。これを考えると、一方が保険で他方が税というのは制度上整合性を欠くという御指摘だろうと思います。これは一体性に関する問題というふうに呼んでおります。
今までの政府のそういった御見解を聞いておりますと、どうもこういう現行制度が持っている問題点は保険方式を導入すれば全部うまくいくんだというふうな御説明なんです。私は、やはりもう少し積極的な説明を国民に対して行い、そして国民の理解を得るためには、税方式についてどういう税で財源を調達するかということをきちっと想定した上で、税方式とそれから保険方式の、これらの四つの問題に対する問題点というものをどのようにクリアするかというふうなことで十分に比較検討して総合的な判断をしていかなければ、せっかく介護保障制度ができてもうまく定着もしないでしょうし運営もうまくいかないのではないか、こういうふうに私は思っております。
実は、私はこの四つの問題についてこれから順次税方式と保険方式の比較を行っていきたいと思っておりますけれども、きょうはもう時間がございませんので、一番最後の介護と医療の一体性の問題についてだけちょっと私の考えを述べさせていただきまして、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
政府案は、この一体性を考えるに当たりまして、むしろ介護保障制度の方を医療に合わせて保険方式を導入するという方向を考えておられるわけですけれども、もう一つの方向としては、医療保険の方をむしろ介護に合わせて公費とするという方向もあるんではないかというふうに思います。
そして、そのことを考えますと、むしろ今政府が考えております保険方式の導入というのは、私はこういう問題が出てくるんじゃないかと思うんです。今の医療保険そのものがいろんな問題を抱えております、財政問題、それから世代間の負担配分の問題、そして地域保険と被用者保険の間の格差の問題。これはいずれをとってみましても原因が老人医療費の急激な膨張によっているわけです。だとしますと、ここでまた保険方式を介護の方に持ち込んだとすれば、そっくりその問題を介護制度に持ち込むことになるんではないか。そうなりますと、私は両方の制度とも行き詰まりを、ぶつかるんではないかというふうな懸念を持っております。
ちょっと時間がもうありませんので、この点について一言、大臣の御見解をお聞きして、この問題についてはまた次回に検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/42
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043・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 税でやるか保険でやるかというのはこれからいろんな問題が出てくると思います。保険料を上げるのは嫌だとなると、税をどのぐらい投入するのか、利用料、自己負担をどの程度にするのかという組み合わせですから。
私は、むしろ今回の介護保険の審議の中で野党側から税でやれという意見が出てきたことに対して大変実は注目しているんです。これは将来必ず消費税に行き着いていきます。私はそう見ています、年金にしても医療にしても介護にしても。ヨーロッパは一五%以上ですから、消費税。与党が税を嫌がっている。野党の方が税方式を導入しろという点は、今後社会保障制度を構築する上において必ずこの問題が出てくる。
ですから、今後どちらがいいのかというよりも、両方問題点があると思います。それをよく議論することが大事ではないか、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/43
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044・牛嶋正
○牛嶋正君 それじゃ、きょうはこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/44
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045・山本正和
○委員長(山本正和君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/45
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046・山本正和
○委員長(山本正和君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/46
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047・今井澄
○今井澄君 私は、十月二十三日の質疑で、医療と介護の関係について若干入り口の議論をさせていただきました。前回、宮崎委員の方からかなり詳しい議論があったというふうにお聞きしておりますが、私、たまたまそのときは差しかえでおりませんで、場合によってはちょっと重複することがあるかもしれませんけれども、その点を深めていきたいと思います。
まず、原点に戻りたいと思いますが、介護保険法の第一条、「この法律は、」というところに「医療」という言葉が出てくるわけですね。「入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、」云々、介護保険法第一条で言う「医療」というのは一体どういうものか、それをまずお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/47
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048・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険法第一条にありましては、目的規定に、要介護状態になった人に対しまして、介護あるいは機能訓練、看護、療養上の管理その他の医療という規定があるわけでございます。そして、介護保険の給付対象となる医療を指していると。具体的には、例示されております「看護及び療養上の管理その他の医療」ということでございますが、それ以外には、例えばリハビリテーションであるとか、介護保険施設で行われる投薬、検査等の医療サービスであるとか、そういうものが相当するものということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/48
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049・今井澄
○今井澄君 そこで、在宅の場合には、この前の質疑でもちょっとお尋ねいたしましたが、訪問看護とか、それからいわゆる在総診ということで、今医療保険の中で見られているもの等いろいろあるわけですが、投薬とか注射とかそういうものは純粋に医療でできるわけですね、往診とかあるいは通院によって。問題は、施設の場合がなかなか難しいことになると思います。この辺は、前回、宮崎議員の方で大分御質問されたようですが、私は費用の面からお尋ねをしていきたいと思います。
介護保険給付の対象となる三つの施設類型、特養、老健、療養型病床群、これについて、特養は月大体二十九万円、これが標準的な額、老健は月三十二万円、療養型病床群は四十三万円という基本的な給付額が今想定されているというふうにお聞きしております。
在宅の場合には、要介護度の分類がIからⅥまでになって、Iは虚弱ということになりますね。それが六万円から始まって六段階目の最重度が大体二十三万円から二十九万円、最高二十九万円ぐらいというふうにこれも想定されているわけでありますが、この中身は比較的わかりやすいんですね。例えば、ホームヘルパーが週二回でいいのか、毎日行かなければならないのか、あるいは一日一回じゃなくて夜も巡回型で派遣するとか、こういうことで、人件費なり実費なりいろいろ計算をするとこれは大体わかりやすい。
ところが、特養二十九万、老健三十二万、療養型病床群四十三万というのは、これはなかなか理解しがたいことなんですね。介護ということを主体として考えれば、そもそもこの三つの施設類型があるのだけれども、たまたまある人が特養がいっぱいで入れなかったものだから老人病院に入ったと、そこが療養型病床群だったと。そうすると、結果的に月四十何万、五十万近くかかっていたという、これが実態としてあるだけでありまして、逆にそのことが社会的入院あるいは老人医療費の不必要な高騰ということで問題になっているところから、実はこの介護保険の必要性も出されたと思います。つまり、社会的入院をなくす、あるいは、もっと言えば、三類型の施設もできれば一元化するというのがスタート時点であったと思うんですね。
ところが、現時点でこの三類型を残したままこういうふうに費用算定をするということが想定されているということ。特養では介護給付は二十九万が平均的な額だ、老健では三十二万になる、この差ですね、三万円。これは一体特養と老健とでどういう介護サービスの違いがあるのか。あるいはさらに、療養型病床群になると四十三万ですから、特養に比べると十四万も多いわけですね。これが一体どういう介護サービスの違いでこういう費用が算定されることになるのか。むしろ、これは医療というものを、これまでの医療部分にかかっている費用を実はそのままここに引き継いでいるだけではないのかという疑問を持つのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/49
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050・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 今、御指摘のありました二十九万あるいは老健三十二万、療養型病床群四十三万という金額でございますが、これは介護費用の将来推計をするに当たりまして単価をどう設定するかと。そのときに現行制度を基盤に、前提に置いて推計をしないと数字が決まりませんので、そのときに推計した数字でございます。特養の二十九万というのは、現実の特養の措置費が二十九万あるというのではなくて、現在では平均して二十七万ぐらいだと思いますが、特養の場合には現在の入所者と職員の比率は現在四対一ぐらいでございますが、これを三対一ぐらいに改善する、そうすると今よりも費用が高くなるだろう、こういうことを前提に特養二十九万ということで推計したものでございます。
この三つの施設の一元化につきましては、当面現行制度のままでいきますが、いわゆる、今後その一元化の問題というのは一つの課題ということの整理でございますが、施設につきましてはそれぞれ役割があるわけでございまして、特別養護老人ホームでありますと、常時介護が必要で在宅で生活が困難な寝たきり等の人が入る。老人保健施設であれば、入院治療を必要とするのではないけれども、リハビリとか看護、介護を必要とすると。ある程度リハビリや看護という医療のサービスも伴う施設であると。それから、療養型病床群でありますと、長期にわたり療養を必要とするということで、より医療サービスが多いものということになっているわけでございます。
現在こういう施設に、特養は先ほど申し上げたとおりでございますが、老健や療養型病床群は老人保健制度から給付費が出ているわけでございまして、費用推計に当たりましては平成七年度における実態ということで、その実態を踏まえて推計をしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/50
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051・今井澄
○今井澄君 やっぱりその辺ちょっと不明確だと思うんです。特養の二十七万の現行の費用を二十九万と見込んだというのは人員配置の問題で理解をいたしますが、例えば特養と老健の三万円の違いが、老健はリハや看護という医療的な内容があるというお話でしたが、これは特養も老健もリハは変わらないんですね。実態を見ていただければおわかりのように、特養と老健とでリハに違いがあるということはないんですよ。
それから、看護ということですけれども、じゃ看護が特養と老健はどう違うのか。特養は、例えば褥瘡のない人がほとんどだけれども、老健は褥瘡のある人が多いから毎日褥瘡の処置が必要になるのかとか、この看護の違いというのは一体何なんでしょうか。
それからもう一つ、一番あいまいなのが療養型病床群では療養が必要と。この療養の中身が特養との差で何で十四万になるんですか。その中身についてちょっと教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/51
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052・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 特養の場合には、例えばリハビリを行う職員につきましては必置ということではなくて雇い上げという形ができるということになっているわけでございますし、老人保健施設の場合には理学療法士とか作業療法士が必置になっているわけであります。それから、療養型病床群の場合には看護職員の配置基準というのは厚目になっていると。
これは、確かに現時点で申し上げますと、介護基盤整備が必ずしも十分でない、例えば特養施設が十分でないということで、その部分を医療施設で受けて、それがある意味で社会的入院という問題を起こしているではないかという指摘があるわけでありますが、これは確かに福祉施策の不十分さを医療でカバーしていく、これによって国民のニーズに対応してきた、これが現実だと思います。
ですから、現在の状況で見れば、例えば特養でいける人が医療関係の施設に入っていることもあるわけでございますが、これから基盤整備をしていく中ではできるだけこういう機能に即した施設利用が行われるように持っていきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/52
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053・今井澄
○今井澄君 そうしますと、実際の今の違いというのは、どちらかというと職員配置基準の違いというふうに今受け取ったわけですけれども、その他にももちろん施設基準も違いますよね。一人当たり面積も違うということもこの費用に反映するのかもしれませんが、現在の特養の実態を見ますと、確かに軽い人も入っていることもないわけではないんですが、実際には痴呆がかなり進んでいたり、それからいろいろ看護を必要とする人が多くて、例えば特養の場合には、看護婦さんが、規模によって違いますけれども、複数配置してもせいぜい二人とか三人ぐらい。そうすると、二十四時間体制で看護婦がいつもいることができない施設まで出てこざるを得ないんですね。そうすると、看護というのが非常に不足して、特養には医療がない、看護がないという批判もあるわけで、むしろそっちの方が一方では問題になるんだろうと思います。
もう一方では、しかし療養型病床群の場合に、先ほどあいまいな療養という名称でどういう看護が必要かの内容のお示しがなかったわけですけれども、看護婦が多いからあるいは医者の数が多いからということで月四十三万というのは、余りにもまたちょっと問題があるのではないだろうかと思うんですね。ですから、入っている人の違いというのは率直に言ってほとんどない、現状においては特養と老健と療養型病床群には入っている人の違いはほとんどない。何が違うかというと、費用がこういうふうに違うほかに、一番大きな違いは、特養は入ったら一生いるところ、老健は一応三カ月をめどということ、療養型病床群は、もちろん入っている期間に限度はないけれども、費用の点で三カ月あるいは六カ月ぐらいで出される、こういうふうな違いぐらいにしか現実にはなっていないんですね。
その辺についてもう少し、じゃ入る人の質で区別する方向でいくのか、人員配置あるいは施設基準の違いを設ける三類型でいくのか、それとも現状に照らすならば、入っている人の質や受けるべきサービスの内容にそう違いがないんだから、この三施設類型はいずれ統一する方向でひとつ方向を探っていくのか、そのどっちを基本的にお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/53
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054・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 三つの施設類型があるわけでございまして、ここで行われるサービスの中身はそれぞれ異なるという前提でございます。したがいまして、この施設特性に合わせたような人が入所していくようなことを目指して制度の運営を考えていきたいと。
ただ、施設体系につきましてはどういう一元化がいいのか、一元化というのも一つの課題になっておりますので、どういう一元化がいいのか。それは全くみんな純一、同じ施設という形で一元化なのか、そうではなくて、やっぱり入ってくる人にさまざまな需要があるわけですので、そういう需要に応じたある程度の多様性を持った形の中で全体としての整合性のとれる一元化ということを考えるのか、そういう議論もあるわけでございます。
この辺は漸進的に検討を進めるべきであるという審議会からの指摘も受けておりまして、制度の実施状況を見ながら具体的に検討を進めていきたいというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/54
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055・今井澄
○今井澄君 この問題は当初のねらいと現状での可能性との違いの乖離、なかなかお答えしにくいところがあると思うんです。
最後に、この問題については御指摘申し上げておきたいんですが、いわゆる要介護度分類IからⅥというのは基本的には在宅ということですが、これもこのうちの要介護度I、虚弱は施設入所の対象にならないわけですね。Ⅱ以降は施設入所の対象になるとすると、この分類が大体施設入所でも適用されるんじゃないかと思うんですが、その場合、要介護度Ⅱの軽度は、在宅で見る場合に月十四万から十六万で大体在宅サービスをする。それから、一番重い最重度、要介護度Ⅵが二十三万から二十九万ということになりますと、今の答弁をそのままこれとあれしますと、療養型病床群には最重度の人が主として入るんだ、そして特養の方には比較的軽い人が入るんだというふうに言わざるを得なくなってくるんですね。ここでもまた矛盾が出てくるんです、費用の点でも。
じゃ、施設に入ったことによって在宅よりはどれだけ厚いものが得られるのかということとか、この辺は引き続き少し御検討いただいて、日を改めてまた質問させていただきたいと思います。
そこでもう一つ、今度、医療と福祉、介護との関係ですけれども、前回、デイサービス、デイケアのことについて質問をいたしましたけれども、その質問の中で、時間がなかったこともあるんですが、御答弁いただけなかった点があるんですね。それは、デイケアとデイサービスについて報酬額はどうなっているのかということについてお答えをいただいていない。
デイケアについては一日一体幾らなのか、それからデイサービスについては一日一体幾らかかっているのか。デイサービスの場合には、基本的には公費でやって利用料というか費用徴収をしているわけですから、費用徴収の額じゃなくて、デイサービスに平均的にかかっている一人当たりの一日の額、これについてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/55
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056・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。
デイケアとデイサービスのそれぞれの報酬額と申しますか、いわばどのようなコスト計算になっているかということでございますが、まずデイケアでございます。
デイケアは、御案内のとおり、痴呆等の精神障害がある患者の方あるいは脳血管障害等に起因する運動障害を持っておられる方に対しましてリハビリ等をするという在宅医療サービスという位置づけでございます。医療保険から診療報酬の形で、つまり老人保健から診療報酬の形で支払いが行われておりまして、その診療報酬のいわば点数という形で申し上げますと、老人のデイケア料というのは、これも時間だとかありますので平均的なところで申し上げますと、四時間以上六時間未満というケースでございます。これの中に、また通院途上において機能訓練等をあわせて行う場合ということで、いわゆる送迎つきというふうに通常言っております。その点数でいきますと七百六十八点ということですから七千六百八十円ということになります。そうでないいわゆる送迎つきでない場合には五百二十点ということですから五千二百円という報酬になっております。
これに対しまして、日帰り介護、いわゆるデイサービスにつきましては、これは身体が虚弱あるいは寝たきり等のために日常生活を営むのに支障がある方に対する入浴ですとか食事の提供、あるいは機能訓練等の在宅福祉サービスという体系でやっているということでございます。この方でございますけれども、これは御案内のとおり、今の体系のもとですと運営費という形でいわば公費で出しております。したがって、それぞれかかっている人に着目して、一人当たり幾らという仕掛けにはなっていませんけれども、便宜、先ほどとの比較という意味である種の仮定計算を行いたいと思います。
施設種類ごとに定額の補助ということでございますから種類もあれですけれども、いわばこれも幾つかタイプを分けておりますけれども、詳しい御説明を省略させていただいて、比較的普通の場合、標準型、B型という体系がございます。この場合につきまして、運営費を出しますときの想定をしております標準的な利用人員で割って一人当たりを出すという手法で出してみますというと、一日につき約六千五百円ぐらいの額になってくるということが計算として出てくるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/56
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057・今井澄
○今井澄君 そこで、確かに福祉サービスであるデイサービスの方はA型からE型までありまして、いわゆる痴呆型とか重介護型とか、標準型でいきますと、運営費を標準的な人数で割ると六千五百円ぐらいになると。ところが、老人デイケアの方は、六時間以上ということでほぼ一日お預かりをする場合に、本人に来てもらう場合は七百八十点、七千八百円というお話ですね。ここにもかなりの違いがあるんですね。
実際に、やっていることにどういう違いがあるか。実は、私は老人デイケアを昭和五十九年に病院で実験的に始めまして、そのときには精神科デイケアはありましたけれども、老人デイケアに点数はありませんでした。それで、ボランティアの人たちに手伝ってもらいまして老人デイケアをやりまして、それを八ミリにも撮りまして、厚生省にお持ちをして、デイケアをやることによって家にいて暗い顔をしているお年寄りがこんなに明るくなる、そしてADLも向上するんだ、これはぜひ病院としてこういうものは認めてほしいということで、実際にそれにかかる人件費だとかいろんな費用も算定して持っていきまして、ぜひこれは点数をつけて奨励すべきではないかということで、老人デイケア料が診療報酬点数に載ったことについてはそういう意味で私も関与しているという自負を持っております。
それで、この点数自身はそれはそれでいいんだと思うんですが、それが福祉とでちょっと違いがあるんですね刀違いがあるということ、果たしてこれがいいのかどうか。今後、これは恐らく今医療機関でやっているデイケアは介護保険の方に入ってくると思うんですね。そうしますと、福祉で見ている六千五百円、これは正確な数字ではありませんので単純に比較できないんですが、それが六時間以上で本人が来る場合ということは,何とか家族が手伝えるか比較的元気、七千八百円、この違いというのはどうするのかをはっきりさせていかなければならないと思います。これは送迎がない場合ですね。送迎がないと、元気な人あるいは家族に十分手のある人しか来れない。
問題は、家族にも手がない、自分では来れない人を連れてきてデイケアすることが大事だから送迎が大事なんだということで、送迎をできる場合にはということで点数を余分につけたと思うんですね。これで、六時間以上で見ますと七百八十点と千二十八点ですから二百四十八点、約二千五百円違うんです。送迎をすると二千五百円プラスしますよと。実際に一人一人あるいは小さな車でせいぜい二人か三人を迎え入れるとそのぐらいの費用はかかるんですね。
ところが、この前ちょっと御紹介しました関西の方の、西の方の某県ではバスで集めて回ると。そして、ゲートボールをやっているお年寄りを選手がいなくなるぐらい集めていくのにこういう点数がついているのは非常に問題があると思うんですね。バスで集めていくと二千五百円プラスになるというままでいいのかどうか。この辺はぜひ大きな問題としてやらないと、またむだ遣いで問題が出てくるだろうと思います。
そこで、前回のときには、デイケアの対象者とならない元気な高齢者がデイケアに集められているという問題、ある市では六五%が実は対象者でないと。そのために医療費がその市だけで十何億でしたか余分にかかっているということがあって、局長の御答弁では十分承知をしておりませんがというふうな形だったと思うんですね。その後二週間たつわけですけれども、どんなことをお調べになられたのか、それに対して今申し上げたようなことも含めてどう対処するおつもりか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/57
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058・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 老人デイケアの運用のありよう、老人デイケアそのものは先ほど先生もお挙げいただきましたように有効な手だてだと思いますけれども、それが乱に流れて不必要な人にまでやられている、あるいはそのことによって非常に全体的に医療費等についてもそういう悪影響を及ぼしているというようなことについてはやはり問題であろうというふうに思っております。
それで、そういう問題意識に立って先回も御指摘をいただいて、その際に私ども十分承知をしていないという部分についてその後どうなったかというお尋ねでございます。
その間で全国を悉皆で調査をしたというようなところにまだいっているわけではございませんけれども、やはり私どもなりに聞いております範囲でいきましても、具体的に、例えばレセプトに一応疾患名を書かせてやらせるというようにしていますけれども、そのレセプトの中に準痴呆、痴呆に準ずるという意味での準痴呆というような記載で非常にあいまいといいますか、そもそもその対象になるかどうかが非常にあいまいな例でありますとか、あるいは具体的に、デイケアを行わない日にはゲートボールや農作業に従事するといったような人が来ているけれども、本当にデイケアの必要はあるのかどうかということを現実の話として私どもの方も伺っております。
それから、先ほどお挙げいただきました、この前の御質問のときにもありました某市につきましては沖縄県の市でございましたけれども、これにつきましては私どもも聞き取りをいたしまして、その聞き取り調査自体は市の職員の方々が現実に受けておられる方のところへ行かれてその人に直接聞かれた結果ということそのままのようでございますから、それにもう一回医学的な判断等をさらに加えてというところまでの詰めのものではないですけれども、その中で先生おっしゃったようなデイケアに該当しないのではないか、その段階でのあれからいくとそういうふうに思われるものが六〇%以上あったという実態は私どもの方も聞きましたし、そのほかの市からもそういうようなことが出ております。
したがって、この四月から、そういった実態をも踏まえて、やはりデイケアの対象というようなものを明確にしなきゃいかぬということで診療報酬上もそういう措置を行いましたし、さらにその後の状況というものを、今、先生おっしゃるようなことからいえばフォローする必要は十分私どもあると思いますので、さらにそういった実態把握ということに今後努めながら、そのことを踏まえて今の実態につきましてもう少し適正化と申しますか、きちっとした対応をしていくという必要があれば、そこはそういう方向にもっとよく検討しなければならないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/58
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059・今井澄
○今井澄君 沖縄の那覇等で発表されたそういうことは非常に残念なことでありまして、こういうことがあるとすぐいろいろな社会的な批判でたたかれるわけですし、厚生省も、実はこういうことはもう既に去年からお聞きになっていたから、ことしの四月、デイケアについて制限する方向で厳しい改定をされたんだと思うんです。しかし、先ほども申し上げましたように、デイケアというのは実は大変意義がありまして、例えば脳卒中で倒れて病院で療養してリハビリをやって家へ帰ってきたと。この人が家の中にじっといて、テレビの前にくぎづけになったり、こたつに入りっ放し、あるいは御飯を食べるとすぐ寝床に行くということをやっているから寝たきりになるので、外へ連れ出すということがぼけ防止の点でも機能維持の点でも非常に大事ですから、こういう不祥事的なことが起こったからといってデイケア、デイサービスが制限される、本来の目的のものが制限されることがあってはならないと思います。
先ほど牛嶋先生の御質問にもありました。私もデンマークやドイツを見てきて、生活態度の自立性という点では日本人は非常に劣っている点があると思うんですね。病気を持っていないときは物すごい元気で、それこそエコノミックアニマルだか何だか、とにかくやたら元気で頑張るくせに、一たん病気になったり障害を持ってしまうともう途端に弱くなって、閉じこもり、寝たきりになり、ぼけになっていく。ここのところを考えないと、幾ら制度だけ仕組んでもしようがないと思います。
そういう意味でも、このデイケア、デイサービス、外へ連れ出すということが非常に大事なので、これをうまく育てていかなければならない。そういう意味では、これを悪用する人に対しては私は逆に非常に激しい怒りを覚えざるを得ないわけですが、そういう点で、デイサービスの方は今、措置制度だということからこういうことは起こっていないんですが、医療の方は保険制度の中できちっと認定を経ないで行われている点でこういうことが起こってきていると思うんですね。
そこで、さっきの三類型の施設で費用が大変異なるということや、今のデイケアとデイサービスの問題も含めて、この医療と介護の問題について、前回も厚生大臣にお伺いしたんですが、区分よりは連携の方が大事だと、私も確かにそうだと思うんですね。いたずらに分けることだけが問題ではないんですが、ただやっぱりここにどういう医療を介護の方で見ていくのか、持ち込むのか、なかなか難しい問題があると思いますけれども、大臣に、今の質疑をお聞きになっての御感想をお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/59
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060・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 今のデイケアとデイサービスの問題ですが、確かに制度としてはいい効果を発揮するであろうと思われたこの制度が悪用されているということなんですが、これも今後改善する点があるとすれば、デイケアなりデイサービスなり、いい給付が受けられる、あるいはいいサービスが受けられるということになると、ある程度自分も負担しなきゃならないという点が出てくると思いますね。
どの程度負担するべきなのか。負担が全然ないとすると、地域的な特色もあると思いますが、隣近所から誘われれば行くかと、あるいはつき合いがあるから行くかというのも出てこないとも限らない。しかし、家に閉じこもるよりは外に出て元気になる、それから家族も世話をしないで済むという点があれば出てくださいというような環境になっていく。しかし、それで結果的に元気になり明るくなれば両者にとっていいわけですから、この制度は、本来の趣旨が生かされるような形でどういう改善点があるかという観点から私はいろいろ調査し、見直す必要があると思います。
また、介護保険が導入された場合に、医療と介護の給付の問題ですが、在宅であれ、あるいは施設に入っていても、介護サービスを受けている人も、当然ある状況においては治療を受けなきゃならない事態が発生すると思います。その際に、在宅であればお医者さんが家に来てくれる場合もあるでしょうし、あるいは家族がお医者さんに連れていく場合もあるでしょう。施設に入っている場合にも、むしろ施設側がお医者さんを呼ぶ場合の方が多いと思いますけれども、そういう際に、私は介護保険から給付される部分と医療保険から給付される部分は当然出てくると思います。その専門的な違い、これはなかなか専門家でなきゃわからないと思いますが、ある部分はかなり医療の部分においても介護保険から出る場合もあると思います。その境ですね、この境は今私からどういう具体例を出せといっても、私は専門的知識がありませんからそれを言えませんが、当然、連携して介護給付も受けられる、医療給付も受けられるという形で整備は進められていかなきゃいかぬというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/60
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061・西山登紀子
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。きょうは要介護の認定の問題についてお聞きをしたいと思います。
要介護の認定がすべての介護を必要とする人に適切に、かつ迅速に行われるかどうかということが介護保険のかぎを握っているのではないかというふうに思うわけです。
私はことしの一月に当院から正式の視察団としてドイツを訪問させていただいたわけですけれども、ドイツの社会労働省のハウシルド介護保険部長にも公式の代表として会っていただきましたが、そのときに、申請者のうち認定がゼロになる人が二五%あるということを伺いました。
さらに、MDK、ドイツの介護段階認定機関、ここにも訪問させていただきまして、ドクター・ロルフ、介護保険の責任者とも長時間お話をさせていただいたわけですけれども、そこでいろいろ大変興味深いお話を伺いました。大変誇りを持っていらっしゃって、先ほど二十年間のお話がありましたけれども、ドイツは介護保険について二十年間議論をしてきた、国民が期待をしていた、それでたくさん申請があったんだというふうなこともロルフさんの方から直接お聞きをいたしました。
確かに、いろんな問題を持ちながら解消されているわけですけれども、例えば州によっていろいろ認定の差があると、これはよく言われていることであります。高いところでは四七・三%が該当せずというような結果を出したベルリンの州もあれば、該当せずが二五・二%と少ないバーゲン・ビュルテンベルク州というふうな州があって、州の格差がこんなにあるというふうなことだとか、該当せずだけでなくて、介護度Ⅲに認定したところが高いところ、その該当せずを出したバーゲン州では一六・一%なんだけれども、ベルリンは介護度Ⅲが四・一%というような、州によっても認定に非常に大きな差がある、こういうことについても直接いろいろ伺ってまいりました。申請された方の中で認定されない人がたくさん出るということについて、国民の中に介護保険に対する不満の非常に大きな要因になっているということも事実として伺ってまいりました。
この点で、保険あって介護なしと、つまり保険を掛けたけれども給付の対象にならなかった、あるいは低く認定がされてしまったということにならないようにする必要があると思うんですが、この認定の重要性について大臣の基本的なお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/61
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062・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 介護保険が導入された場合に、認定の問題は最も重要な点の一つになると思っています。
当然、認定されようと申請する方は採択されて必要な介護サービスが受けられると思っていますから、それに対して、客観的に公平に見てそうじゃないと判定された場合、これは不満が出てきます、不平が出てきます。あるいは認定されたとしても、もっと密度の濃いサービスが受けられると思ったのにそうでないという不満も出てくると思います。しかし、それはある程度は試行的段階が、認定作業も経験が必要だと思います。客観的な判断を下すにおいてもある程度の量の実際の判定が行われないと、どれが適切か、どれが不満が多いかという調査も出てきませんし、不満度も人によって違いますからそれは仕方ないにしても、私は今の時点でこの介護認定に全く問題ないとは言いません、当然出てくると思います。しかし、それはやっていくうちに、施行していく中に改善点を見出していくべきではないかなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/62
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063・西山登紀子
○西山登紀子君 どうしても大臣は早く成立させてと、そして並行してというふうにいつも言われるんですけれども、しかし国民がこの現行法案を是とするかどうかということについては、やはり自分が保険を掛けて、そしてどんな給付が受けられるか、うまく認定がされるのかという、そこの妥当性、信頼性がなければ、この現行法案を是とするかどうかということもやはり判断ができないと思うわけです。
それで、これは衆議院段階では議論ができなかった、つまり八年度のモデル事業の結論がまとめられているわけですね。それを私は大変注目して見せていただきました。八年度の要介護認定のモデル事業というのが全国でやられて、その結果がまとまっているわけです。一次判定はマークシートによるコンピューター処理で行って、あと認定審査会でかかりつけ医などの意見を聞いて二次判定を行うという、こういうシステムで全国でやられたわけです。
そこでいろんな意見が出ているわけですね。この意見は非常に実践的ですから貴重な意見じゃないかと思います。調査方法についても一回の調査では高齢者の状況は十分把握できないというふうなことだとか、介護認定調査員について調査員の資質の向上が必要であるとか、あるいは調査員の参加によって認定審査会を行うべきであるとか、それから調査項目についてもいろんな意見が出ておりまして、社会的な能力をもっと重視すべきだとか、いろいろあります。
そこで、判定基準についてですけれども、判定基準については要介護状態区分ごとの説明を改善し、判定基準を明確化すべきであるというような意見があります。また、痴呆が軽視されている、こういう意見もあります。一次判定の考え方が不明確である、在宅と施設で同じ調査項目を用いた判定でよいのか、区分の数が多い、あるいは境界がわかりにくい、こういうふうな意見が、率直な御意見だと思いますけれども、出ているわけですね。
ですから、今準備されております九年度のモデル事業は当然そういう点が改善されて行われるというふうに思うわけですけれども、果たして十分そういう改善点が盛り込まれるかということで質問をしたいと思います。
一次判定がコンピューターで処理されるという点では八年度も九年度のモデル事業もこれは同じなんですね。少し項目が変わるかもしれませんけれども、コンピューター処理で一次判定を行うという、そういうシステムは変わりがありません。コンピューターで介護度を評価する、こういうことについて、その科学性とか妥当性ということについて果たして証明がされているのか、問題が指摘をされている点であります。
コンピューター処理の調査票のシートについては、専ら身体動作、身体機能の項目が多い。主に日常生活動作から介護の必要性を判断するので、この基準だけでは要介護者に痴呆状態あるいは内部疾患の問題、あるいは例えば老老介護のような生活環境の問題、あるいは離島だとか交通が大変不便なところに住んでいらっしゃるというふうな社会的な条件が十分加えられない、評価されないというふうな意見が出ているわけですけれども、このコンピューター処理のシステムはそういうふうな問題を持っているのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/63
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064・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護判定といいますのは、その人の見かけの状態というよりはその人がどのくらい介護量を要するかということでランクをつけるのが適当である。そういう考え方に立ちまして、いわゆるタイムスタディーというんでしょうか、こういう状態であればこういうサービスが要る、どれだけ要る、こういう状態とサービスとの関連を三百何十項目ということを調べまして、その中の相関の強いものから順次選んで七十数項目というふうに絞り込んでいるわけでございます。これをフェースシートそのままで判定委員会に見ていただきますと、非常にいろんな項目が並んでいますのでこの解読というのは大変難しい。そこで、そういう調査をしたときの要介護状態とサービス量との相関全体をシステム化して、その項目を置いていくことによって評価をする。これを介護認定審査会における一つの資料にしているわけであります。
ただ、介護状態といいますのは確かに日によって変わることもありますので、その部分につきましては今回の調査では、その人の概況部分あるいは調査員が文字で書く特記事項、そういうところに、ある時点における調査だけじゃなくて家族からの聞き取り等によってその人のある程度の幅の中における生活状態を把握できるような形にしたわけであります。また、かかりつけ医師の意見書につきましても、前回は非常に大きな項目について記入していただいたわけでありますが、そうしますとお医者さんによって大分書き方が違う。非常に詳細に書いていただける人もあれば非常に簡潔な書き方をしている人もある。それで、項目を整理してそれぞれについて書いてもらう。そういうような形で、調査した時点だけではなくてある程度の幅を持った情報も介護認定審査会に集めて判断をしていただくというふうにしたわけであります。
コンピューター処理はそういう生活状態を全体として眺めるための一つの分析でありまして、その分析と、日常生活の状況についての字で書いたいろいろな記入部分と、それからかかりつけ医師の意見の部分、それを総合的に判断して要介護認定をしていただくということになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/64
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065・西山登紀子
○西山登紀子君 今もお認めになったように、そのコンピューター処理というのはやはり認定の部分なんですね。それがすべてではないと。それはそうだと思います。やっぱり生きている人間ですから、そんなに機械的に断定的にはかれるということがそもそも問題だと思いますから、その点はそうだということです。
しかし、そうはいっても、その一次判定の中にたくさんの意見がありますように、痴呆状態とか取り巻く環境、社会的条件が反映されていない、そういう問題を持ったものが第一次判定でされているということについてはやはり確認をしておきたいと思うんです。
実際、一次と二次では判定にずれが起こっています。厚生省がまとめた平成八年度のモデル事業の概要によりますと、コンピューター処理の一次判定と二次判定にずれが起こっております。これは率にいたしますと全体の約三割が一次判定と異なっております。例えば、東京都が行った八年度のモデル事業でも、同じく二百ケースのうち一次と二次のずれは約四割、こういう結果が出ているわけです。
時間がありませんので先に移りますけれども、この判定のずれ、なぜそういうずれが起こったのかというその違いが非常に私は重要ではないかと思うわけです。
厚生省からいただきました八年度のモデル事業のまとめで、なぜ判定が違ったのかということの理由は、介護上の判断によるものが三七・九%ですね。それから、判定基準によるものが二二・二%、かかりつけ医の意見によるものが一六・三%、こんなふうに変わっております。また、勘案した要素を見ますと、痴呆、これが二一・二%、寝たきりの状態、勘案した要素として七・五%、こんなふうにやはり一次判定から二次判定に変更された内容というのはなかなか私は重みのある内容じゃないかど思います。
つまり、これは一次判定の結果を機械的に適用しないで、二次判定を十分に加味して慎重に行うということの重要性を示しているというふうに思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/65
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066・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 御質問は最後の部分かもしれませんが、お話の中にありました、例えば要介護申請者の周辺の環境等が加味されていない云々という御指摘がありました。
私どもは、要介護の判定は客観的に行うべきである、家族がいるからといって軽くなるとか重くなるとか、どういう環境だから軽くなる重くなるではなくて、要介護の判定は客観的に行って、ただその人にどういうサービスを提供するか、介護サービス計画をつくるときはそういう諸状況を踏まえ、本人の意見や家族の意見を踏まえ、その人に合ったサービスを提供していくべきだというふうに考えておりまして、要介護認定の判定はできるだけその人に即して客観的に行うべきだという考えに立っております。
それから、コンピューターの処理でございますが、御指摘のように、八年度のモデル事業を集計しますと、先生今御指摘のような状況でございまして……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/66
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067・西山登紀子
○西山登紀子君 今の質問にだけ答えてください。先に進めないので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/67
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068・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) これについては初めての調査でありますから、一つには、調査票自身にまだ改善すべき点がある、調査の項目が不明確で調査員がどう記入していいかわからない点がある、こういうことを改善する。あるいはまた、介護認定審査会の方の判断の仕方につきましても、初めてですので、これまた介護認定基準についての考え方についての浸透、そういうものが十分でなかった。そういうさまざまな要素があるわけでございまして、今回は調査票についてできるだけの改善を行い、そして判定についてもマニュアルをつくりまして、介護認定審査会の判定がより客観的に行われるような工夫をしているわけでございます。
私どもは、できるだけコンピューター処理はコンピューター処理でより正確なところに持っていきたい、ただそういうもので把握し切れない、かかりつけ医師の意見であるとか面接書でわかった情報とか、そういうことも加味して、それで二次判定で総合的に的確な判定をしてもらうようにしたい、そんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/68
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069・西山登紀子
○西山登紀子君 同じモデル事業の結果で、大変おもしろいんですけれども、二次判定の変更率が、全く変更されなかった地域では一〇〇%変更がされていない。ところが、強く変更された地域では四三%変更がされている。この変更率の格差、どうして起こったんでしょうか、説明をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/69
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070・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 一般的に考えますと、一〇〇%一致するというものを、行き過ぎと言うとおかしいんですが、そうなのかなという感じもしますし、しかし半分以上違っているというのも、果たしてそうなのかなという感じがするわけでございます。
この二次判定の変更率が地域によって異なりました理由でございますが、一つには、必ずしも介護の必要度とは関係しない、一致しない重症度、その人の状態、そういうものを加味して判断した地域があった。これは本来の要介護認定とはちょっと違うわけでございますが、そういうことがあったと。
それから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/70
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071・西山登紀子
○西山登紀子君 済みませんが、時間がないので、簡潔に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/71
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072・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) そういうような問題がありましたので、九年度におきましてはできるだけそういうものが小さくなるような記入要領あるいは審査会の運営要綱、こういうものを定めまして、このずれの幅が小さくなるような改善を行ったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/72
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073・西山登紀子
○西山登紀子君 このずれというのは非常に重要だと思います。
それで、二次判定と一次判定の結果がずれてくる、当然そのずれが起こるわけですけれども、そのずれが多くの場合に介護度が高くなる方向で変更がされている、つまり上向きに修正がされているということです。逆に言えば、一次判定というコンピューターの判定というのは、より低く判定されるような傾向にあるんじゃないか。東京都が調査をしたデータの中では、変更したのが四割、そのうちの七割は上向きに変更されているわけですね。コンピューターの一次判定というのは認定度が低くなるようなそういう傾向があるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/73
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074・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 全国集計の結果では、要介護度が高い方に修正されたものが大体六割、低い方に修正されたものが四割でございます。今回はそういう結果が出ましたが、基本的には、差といいますのもほとんどが一ランク上下の問題でございまして、大幅な乖離というのがあったわけではございません。
八年度のモデル事業をもとになお調査票等の改善をしているわけでございまして、今年度のモデル事業ではこれがより是正された形で出てくることを期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/74
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075・西山登紀子
○西山登紀子君 コンピューターが低く判定するという傾向が実際結果的にあるんですけれども、これは結局は痴呆の扱いが非常に軽視されているということが、いわゆるコンピューターの操作の中で結果として必要な人が必要な介護度に認定されないという、そういう結果が起こっているんじゃないかと思うわけです。この痴呆の扱いについて、判定に生かされていないという意見が八年度のモデル事業のときに随分出たわけですけれども、この意見というのは次の九年度のモデル事業にはどのように生かされるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/75
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076・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 検討過程かなり前の段階で、痴呆というのは第Ⅳランクに該当するのではないかということが考えられた時期がありました。実際、現在の要介護認定ではそういう考え方ではなくて、要介護状態において判断するということになっているわけであります。ただ、古い情報が頭にある人が痴呆というのはⅣランクかなと思って、それがしかし新しい基準でいけば本来Ⅴランクになるんだとか、そういうものがあったのではないか。
今回は、そういう痴呆状態をより正確に把握するという意味で、かかりつけ医師の意見書につきましても痴呆状態等についてわかるような記述の欄を設けて書いていただく、それから訪問調査をする調査員が家族等から聴取します事項としましても日ごろの状態を書いていただく、こういうことによりまして、その人の生活状態をできるだけ正確に把握する、そういうふうな形で調査票を改善したところでございます。これによってより正確に把握できるものというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/76
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077・西山登紀子
○西山登紀子君 この痴呆の問題というのは非常に介護にとっては重要な問題でありまして、呆け老人をかかえる家族の会という全国組織がございますが、そこからの要望書を見ますと、痴呆老人というのは軽い症状があっても二十四時間介護が必要だと。そういう点では、もう二十四時間心身とも休まらないという点では非常に介護度というのは高く見る必要があるし、また痴呆性老人はすべて要介護老人というふうに認めてほしいというような御要望が出ているわけですね。
厚生省なんかだと、痴呆性老人のうち要介護老人はその一五%だというふうなことで都道府県に計画をつくるときに指示を出してきたというようなことがあって、要望書の中では、すべて要介護老人というふうに認めてほしいという実際の家族の声としては出ているので、こういう点も非常に重視した認定の方法、改善を図っていかなければならないと思いますけれども、今おっしゃったように、かかりつけ医、お医者さんの十分な御意見もということで、二次判定というのは非常に重要なわけですね。
それで、八年度のモデル事業で、二次判定の審査時間というのはどれぐらいだったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/77
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078・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 八年度のモデル事業におきましては、自治体によりましていわゆる介護認定審査会にかけます資料を事前に審査員にお配りして見ていただく、そしてそれを検討してもらった上で会議に集まっていただく、こういう形でやっております。そういうものを含めまして、平均しますと大体一件当たり五分程度の検討時間で判断されているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/78
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079・西山登紀子
○西山登紀子君 今、五分ということで、私も資料を見たときに五分というこの審査時間に大変驚いたわけです。
私も児童相談所で判定員をやっていましたから、ケースコンファレンスという、一つのケースをいろいろ集団で検討するんですけれども、とても五分なんかで結論が出せるわけはありません。一つのケースにケースワーカーとかあるいは心理判定の部分だとか、いろいろな状況を突き合わせをいたしましていろんな点で検討するわけですから、この五分というのは、五分よりも少ないケースもあったということですからね、平均五分ということになりますと。これで果たして十分な認定ができるのかなというふうなことはとてもそういうふうには思えないわけです。
ところで、九年度のモデル事業というのはいつ実施されて、その結果はいつ公表されるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/79
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080・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 五分といいますのは、恐らく事前に資料を調べまして一次判定と一致しているものについては余り議論がないんだと思いますので、恐らく異なるものを中心に、全体の二七%ぐらいあったわけでありますが、そういうものを中心に多分議論されたのではないかと思います。そういうもの全体を平均して五分だということであります。それから、先生のおっしゃいますような介護サービス計画をつくるような会議のときには当然十分時間がかかると思いますが、ここは認定の審査でございますので、先生の御指摘のときとは場合が若干異なるのではないかというふうに思います。
今年度のモデル事業でございますが、十一月から十二月にかけて調査を実施しまして、そしてその取りまとめを来年一月末を目途に厚生省に報告してもらうということで各都道府県にお願いをしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/80
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081・西山登紀子
○西山登紀子君 いみじくも今御答弁なさったように、短いのは一次判定のコンピューター処理でもういいよというふうに処理したと、私はそこが非常に恐れているところなんですね。先ほど来議論してまいりましたように、一次判定のコンピューター処理と二次判定の処理には明らかにずれがあります。三〇%、四〇%のずれがある。これは真剣に二次判定でいろいろな点を加味してより上向きの介護度が必要なそういう方向に上向きに修正がされたという、これは事実であります。ですから、二次判定が非常に重要だというふうに私は思うわけなんですね。
時間が短くて五分ぐらいで、あるいはもっと五分よりも少ない、一、二分でけりをつけるということになれば、勢い一次判定のコンピューター処理に頼ってしまうんじゃないかと。そうなると、本当に必要な対象者に必要な適切な介護が受けられるような認定が十分にされるのか、非常に軽々に機械的な判定に流れていかないかという危険性があるし、また精神科医だとかお医者さんの十分な診断あるいは御意見なんかも加味して判定をしなければいけない痴呆の対象者の場合にはそういうことが十分なされないんじゃないかという、そういう懸念を持っているわけです。
最後に、大臣にお伺いしたいと思いますけれども、このモデル事業の認定、果たして今のような方法、基準、体制で十分かどうかということについて十分検討が必要だと思うわけですけれども、介護保険のこれはやっぱり大前提だと思いますね。この点での国民の信頼性が確立しなければ、やはり介護保険法案を早急に成立させるということはなかなか妥当なことではないというふうに私は思います。もっともっと十分な検討がされるべきであるし、本当に必要な人に必要な介護が給付される信頼性のある妥当な認定の方法、制度、体制、こういうものを確立すべきだというふうに思いますけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/81
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082・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 要介護認定はこの介護保険制度の核的な大変重要な問題だと私は思っています。一次判定、二次判定の問題ありますが、これはコンピューターの判定で振り落とすということじやありませんから、コンピューター判定の上にさらに二次判定をやると。今、五分では十分ではないと、十分なら十分と読めますけれども、この時間の問題はさておき、何分がいいかというのはこれは百人百様ですから時間の差は出てくると思います。私は、一次のコンピューター判定とかかりつけ医も含んだ公平な見識のある方の二次判定、両方やるわけでありますので、二次判定の重要性というのは十分認識して、この介護の信頼性を高めるという点からも認定については十分な理解を求める努力が今後も大切だというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/82
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083・釘宮磐
○釘宮磐君 質問に入ります前に、きょうの今井委員の質問の中に、実際にはデイケアの対象ではない人がかなり多く入っている、しかもバスで集めて回っている、そういう話がありました。
実は、私の関係する医療法人が実際に精神科デイケア、老人デイケアをやっています。今、マイクロバスで実際に老人を拾ってきているわけですけれども、その大半が痴呆性の老人で、家族は仕事に行っていて、かぎをあけたままだとどこかへ行ってしまうものですからかぎがあるところを教えてもらっていて、看護婦がかぎをわざわざあけてお年寄りをバスに乗せて連れていって、夕方また連れて帰るというようなことをやっているわけです。
先ほどのお話というのは、ごく一部の問題を例にとってそういうことが行われているということについては、私はこの場で現実のまじめにやっているところがこういったことによってゆがめられてデイケアそのものが後退をするということをぜひ避けていただきたいということをお願いしておきたいんです。
特に、そのままにしておけばこれはみんな施設に入るか病院に入っていくケースが多いんですね。先ほど車でと言いましたけれども、車で二、三人ずつ拾ってくるような、そんな人件費はとてもじゃないけれども出ないわけであります。予防的な意味で今井先生が現場におられたときに実際にそれをやられてきて、そのことの重要性というものを自分も認識し、この制度そのものをつくるのにいささかなりとも役立ったという自負があるというふうにおっしゃっていましたけれども、私は、先はどのような意見をこの厚生委員会の中で言われると、結果的にデイケアそのものが低下していくという認識にとられては困るということをぜひ一言申し上げておきたいと思います。
それで、施設サービスの整備についてまずお伺いをしたいと思います。
今回、保険あってサービスなしということが随分言われてまいりました。きょう午前中の牛嶋先生の議論の中にもありましたが、特に私は施設介護というのがスタートすれば非常にニーズが高くなってくるのではないのかなと。どちらかというと厚生省は在宅をできるだけ広げていきたいということでしょうけれども、私どもが実際にいろんな御相談を受けるのは、施設に入れたいんだけれども施設がいっぱいだと、そういう相談が非常に多いんですね。私はスタートすれば施設介護そのものを求める家族が非常に多くなるのではないのかなというふうに思っています。
したがって、厚生省としてこの施設サービスが二〇〇〇年時点でいよいよ始まったときに大体どの程度を考えておられるのか。特に特養、それから老健の二〇〇〇年時点での施設整備数、ベッド数、それからその後どういうふうな整備を念頭に入れているのか、その辺についてまず聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/83
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084・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 介護保険をスタートするに当たりましての介護基盤の整備についてのお尋ねでございます。
平成十二年度に向けまして現在進めております新高齢者保健福祉推進十カ年戦略に基づきます施設関係の目標でございますけれども、平成十二年度の初めまでに特別養護老人ホームにつきましては二十九万人分、老人保健施設につきましては二十八万人分ということで目標を定めております。また、療養型病床群については十九万人分を確保したいということを目標にいたしております。
そして、これに向かって当然この達成をまずやっていくということが目下の大課題でありますけれども、今、先生お話のございましたように、介護保険導入後における基盤整備をどう考えるんだということにつきましては、介護保険法の中におきまして介護保険事業計画という枠組みをつくっていただいております。その中におきましてそれぞれの地域のニーズをもう一回それぞれ市町村段階から需要を把握していただきまして、その上に立って新しい事業計画をつくって、それに即して充実を図っていく、整備を図っていくという考え方に立って進めたいと思っております。その際には当然、介護保険導入に伴います需要の顕在化ですとか、あるいは高齢化が進むに従いまして要介護の方々がふえてまいりますので、そういった要因は織り込みながら新しい事業計画をつくってやっていきたいというふうに思っております。
その際の試算という形では、その後のめども一応試算はつくっておりますけれども、具体的には今のような形で、もう一回市町村段階から積み上げる形で全体の整備を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/84
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085・釘宮磐
○釘宮磐君 特養が二十九万、老健が二十八万、療養型病床群が十九万ということなんですけれども、それぞれの達成率というのは平成九年度時点でどれぐらいになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/85
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086・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 実績という意味では今のところでは平成八年の十月一日現在が実績になってございますが、その後につきましては予算での整備ということになりますけれども、実績のところで平成八年十月で申し上げますと、特別養護老人ホームが二十九万に対しまして約二十三万六千人まで来ております。老人保健施設が二十八万に対して十三万二千人ということでございますから、率で申し上げますと特養が八一%、それから老人保健施設が四七%ということになっておりますが、なお老人保健施設につきましては、その後急速に伸びておりますので、平成九年度末ではかなり追いついてきているような状況になってございます。
なお、療養型病床群につきましては、今は基本的には転換をしていくということを基本に置いておりますから、現状で申し上げますと、療養型病床群という形でございますものが四万七千床、それから老人性痴呆疾患の療養病棟という形でございますものが約三千床、それから介護力強化病院、移行時におきましては介護保険施設として入れて、そして療養型病床群に一定期間内に移行していただくという形態のものが現状では十四万七千床ございます。
したがって、そういう意味からいきますと療養型病床群については現時点では、今のをただ単純に足しますとかなりもういいところまでといいますか、達成をしておりますけれども、先ほど申し上げましたように、介護力強化病院については施設整備あるいは面積等について療養型病床群への移行をしていただくということがございますから、その間における転換ということに伴う整備ということが当然必要になってくるであろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/86
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087・釘宮磐
○釘宮磐君 時間がありませんから答弁は簡潔にお願いしたいんです。
当初目標にしている数字、特に老健あたりは半分もいっていないわけですね。今はだんだんふえてきているという話ですけれども、これは二〇〇〇年の時点で厚生省として大体一〇〇%達成できるという見込みはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/87
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088・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 新ゴールドプランの達成自体、全体としての進捗度、大どころの特養等につきましては比較的順調に進んでおりますけれども、老人保健施設につきましてもその後の整備は順調でございます。
そういう意味におきまして、先生お挙げいただいた施設整備の関係については、新ゴールドプランについては全体としては、決して楽観はできませんけれども、大いに努力をしなければなりませんが、何とか持っていけるのではないかという気持ちでやっております。
ただ、地域的な格差の問題はやはりございますから、そういった点についての配慮がこの施設整備に関しましては非常に大事になってくるかなということで、今お挙げになりました三施設についてはそんな点が非常にこれから努力をしなければならない点であろうと思いますし、全体につきましても決してまだ、今の老健はしり上がりになっているとはいいながら、達成状況は完全になっているわけではありませんから、努力を要する数字であろうということはそのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/88
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089・釘宮磐
○釘宮磐君 局長、極力簡潔にお願いします。
私は、やはり希望的観測のような話では国民にこの介護保険の導入を求めるということは政治家として責任を負えないというふうに思います。
今、特養なんか相当待機者がおるわけですね。こういう人たちが介護度がⅡからⅥまでに該当すればかなり施設への入所というのを求めてくると思うんですが、その時点でまた入れないということになると介護保険そのものが国民の信頼をなくすということになりかねない。介護保険制度をスタートしたときに、少なくとも国民の皆さんがこの制度にやっぱり信頼感を持たなきゃいけないということ、このことについて特に指摘をさせていただいたわけです。
それから、この前西山委員から、先週の質問だったと思いますが、いわゆる平成十七年度から特養の職員配置基準を四対一から三対一にすることについてはどうかという話がありまして、江利川審議官からこのことについては厚生省の方針として考えているという話がありました。
きょうの今井議員の議論の延長線上にもなるかと思うんですが、施設そのものが介護度のそれぞれの分野の人を入所させる場合、Ⅱの人もあればⅥの人もある、そういう状況の中で入ってくるわけですね。ですから、療養型だから四十三万で特養だから二十九万だという議論というのは、現場ではそういう整理はなかなかつかないのではないかと先週も私は質問をさせていただいて、今井議員からもきょうそういう話がありました。
そこで、この三対一に改善するという場合に、特養は例えば五十人定員だとすれば大体介護度何度の人が何人ぐらい入ったときに二十九万、しかも三対一になるのか、そこのところをある程度厚生省としてマニュアルを示さないと、特養は今現実に施設を経営していて職員もおるわけですね。それが今、なべて二十七万の措置費でもって施設を運営しているわけですから、今自分のところにおる入所者が本当に三対一になるのかどうかという思いも不安感として持つわけで、目安がここで立たないというのは非常に困ると思うんです。
今、厚生省が平成十七年度に三対一に改善するという場合に、大体どのランクの人がどの比率で入ってきたことを想定しているのか、そこのところをちょっと教えてもらえませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/89
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090・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 具体的にはそれは介護報酬の設定の仕方と絡んできますので、きちんと明確な提示というのは介護報酬の設定とあわせて議論しないとできないのだと思います。
ただ、基本的にいろんな世論調査では介護を受けられるものなら在宅で受けたいという世論調査が結構多く出ております。それからまた、介護保険では在宅サービスを基本にするということをうたっておりますので、要介護度のIからⅤまでの人は、当然選択として施設にも入れるわけではありますけれども、軽い人は極力在宅サービスの支援のもとで在宅で生活する、それが選択されるのではないかと、いわゆる世論調査等では在宅でいたいという国民の声というのが大きく出ていますので、選択されるのではないかと。
そうしますと、施設では要介護度が基本的に重たい人が中心になるのだろうと。そして、そのときに療養型病床群と特養では、単に要介護度だけじゃなくて日常的な医療的なケアが必要な人は療養型病床群に入る、医療サービスが濃い部分に入るということになると思います。イメージはなかなかきちっとわきにくいんですが、要介護度Ⅴの人、Ⅳの人、Ⅲの一部の人、そのぐらいが入っていく中でそういう水準になっていくのではないかという感じがしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/90
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091・釘宮磐
○釘宮磐君 そうすると、先ほども今井委員の議論の中でもありましたけれども、特養というのは療養型よりも老健よりもさらに軽い人を想定しているのか。その辺のところはどうも、この前もその議論を随分したんですけれども、私は現実にはそういう整理というのはなかなかできていかないのではないのかと。というのは、いわゆる相対契約ですから、自分が行きたいというところに、いやあなたはそういう対象じゃないとは言えないわけですよね、その施設とすれば。そこのところがどうも見えてこない。だから、逆に言えばこれはもう一元化すべき時期が来るのではないかなということの方に私自身の認識としては持っております。この議論を始めればまた時間がなくなっちゃいますので、後に譲りたいと思います。
今度の介護保険の議論の中で、先ほど西山委員からいわゆるコンピューター処理と認定審査会で三〇%の誤差が出たという話もありました。私は厚生省がある意味では少し軽く見ているというのが痴呆性の問題ではないかと思うんですよ。私はこの痴呆性の問題をもう少し重きを置いて見ていかないと、すべての介護保険の中でその痴呆度というのが加味されていかないと現場は大変混乱するのではないのかなということを思うわけです。
そこで、老人性痴呆疾患療養病棟、これが介護保険がスタートすれば介護保険になるわけで、一方の治療病棟というものは医療保険の対象になるわけですね。
ここで私が質問をしたいのは、この療養病棟と治療病棟というのは本当に区別が可能なのかどうか。この人は治療が必要だ、この人は療養だというような形で実際に現場で区別が可能なのかどうかということを感じるわけですね。それとあわせて、現行の診療報酬制度では治療病棟の方が介護職員の配置が高いわけですね。これが本当に療養病棟の方が少なくていいという論拠というのは一体どこにあるのか、そのことを考えてもこの治療病棟と療養病棟の違いというものを厚生省としてはどういうふうに判断をしているのか、その辺をちょっとまず聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/91
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092・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 老人性痴呆疾患の療養病棟と治療病棟の性格の差なりそれについての処遇の差ということでございます。
老人性痴呆疾患療養病棟、これは本来、精神症状あるいは行動異常が著しい痴呆疾患の方々が言ってみれば入院をされて、長期にわたることが多いのでございますが、医療を行うための病棟として位置づけております。一方、治療病棟という範疇の病棟につきましては、そういった異常が特に著しい重度の痴呆疾患ということで集中的に手厚い入院治療をしなきゃならないという方々を一緒にしていこうという形で体制整備を図ったわけであります。やはり、痴呆の方々につきましても、その病態に応じまして手厚い介護あるいは異なるスタッフのかかわりというようなことは当然必要であるという観点から、両方のそういう病棟を整備いたしました。
このような観点から、考え方としては治療病棟は療養病棟とは対象の方々の呈しまする精神症状だとかあるいは問題行動の度合いというものは当然違ってくる、そういうことを踏まえまして、それに応じた体制という意味で、例えば徘徊をされることに付き添いましたり、あるいは話し相手になるといったような介護的な働きかけがいわば集中的治療という中で非常に大事になってくるということ等を考えまして治療病棟については介護職員について手厚く評価をするというようなことをいたしております。
実際の運用の中でそこがどうなっているかという問題は確かに一つあるかと思いますが、本来のありようとして言えばそういうことを考えて区分けをしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/92
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093・釘宮磐
○釘宮磐君 それは厚生省の答弁とすればそうなっちゃうんでしょうけれども、現場がそういうふうにしてあなたは療養病棟、あなたは治療病棟というような形で一方は介護保険だ、一方は医療保険だ、そういうふうな分け方というのは実際にできるのかということを私は問いたいわけですよ。ですから、そういう意味での問題点を私はあえてここで指摘をさせていただきたいと思います。
それから、今、精神病院が治療病棟と療養病棟を病床転換によってベッドを確保するというような状況が進められておるようでありますけれども、現実に精神病院のベッド数というのは全国で三十八万でしたか、この三十八万の中から病床転換でつくっていく。これが先ほどの答弁では三千床ですか、というような形で進んでいるわけですけれども、私は実際問題、そういうふうなスピードで、しかも精神病院の中におる患者さんがそこに移るという場合は当然あるんだろうけれども、外から新たに痴呆性の患者さんというのはどんどんふえてきているわけですから、これで十分対応できるのかなという思いがあるんですけれども、その点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/93
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094・田中泰弘
○政府委員(田中泰弘君) お答えいたします。
痴呆性老人の中で精神科治療が必要な患者さんが精神病院におきまして治療及び療養を行っておりますが、精神病院に入院中の老人性痴呆疾患患者数は平成八年六月末現在で三万六千人でございまして、この数字はここ数年一定をしております。新規も入れまして三万六千人でほぼ一定しているということでございます。
そして、こういう老人性の痴呆疾患患者については、今御指摘ございましたように、療養環境に配慮した老人性痴呆疾患治療病棟及び療養病棟での処遇が望ましいということから精神病床の転換を図っているところでございますが、現在この病棟に入られている方は合わせて八千人でございます。したがいまして、今後とも病床転換を図りましてこれらの病棟の整備を鋭意進めていく予定だということでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/94
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095・釘宮磐
○釘宮磐君 私は、病床転換だけで現実に痴呆性の親を持った家族のニーズにこたえられるのかということが非常に問題だと。現実に今私どもが地方で相談を受ける痴呆性の問題というのは非常に深刻なんです。これがどうも私は少し緩慢ではないのかということを指摘を申し上げたかったわけですね。精神病院の病床転換を進めていこうということだけで事足りるのかどうか、それと介護保険そのものの全体の中で痴呆に対する認識度がちょっと低いのではないかということをここであえて指摘させていただきたいと思います。
時間がなくなりましたので、最後に数点お聞きしたいんです。
私は、平成八年度のいわゆるモデル事業を実施した大分県のある町を先日訪問しました。この町は六千人の人口で高齢化率が大体三三%、非常にこの介護保険については期待もあり、不安もあるということだろうと思います。
そこで、まず開口一番に担当者が言ったのは、まだ決まっていない部分が多いので非常に不安であるということが一点ありました。それと、先ほどから指摘にありますいわゆるコンピューター判定と認定審査会での二次判定に非常に大きな差があるということも言っていました。特に、一次判定をコンピューター処理にしたということは恣意的な部分を排除しようという部分があったんですけれども、結果的にはこれだけ差が出ますと認定審査会での判定の方がかなり優位になっていくんだろうと思います。そこで、これだけの差があると恣意的な部分があって、あの人はⅤなのにうちの年寄りは何でⅢなのかというようなことが町に持ち込まれても困るというようなことも一つありました。できれば、いわゆる介護認定の調査と現実の問題とに差を、コンピューターの結果と二次審査との差をできるだけなくしていくようなマニュアルを再度検討してほしいというような話もありました。特に過疎地域ですから、審査会の委員を見つけることも非常に困難だということもございました。それから、かかりつけ医の意見書でかなり変わってくるという部分の中で、かかりつけ医の意見書の内容のばらつきによって随分またそれが変わってくるということもあるので、この辺についても十分かかりつけ医の研修をやるとか、何かそういうことも必要なのではないかというような意見もありました。
そこで、私が質問を申し上げたいのは、こういう問題点がいろいろ指摘されておりますが、厚生省として平成九年度、今からスタートするわけでしょうけれども、こういうことは当然調査の結果でわかっているわけですけれども、特にいわゆる地域格差という問題が先ほどから議論の中にもありました。これは、認定業務そのものも私は地域格差というのが非常に大きく今後問題点になってくるだろうと思いますけれども、その辺をトータルに考えて、今、厚生省として平成九年度、どういう点に留意をしてこれを実施しようとなさっておられるのか、その点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/95
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096・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) たくさん御指摘がございましたが、八年度のモデル事業を通じて寄せられた意見を踏まえまして、一つには調査票を改善したと。これは専門家の先生方の意見も聞きながら、寄せられた意見をもとに一つ一つ項目を整理して改善をしてきました。
それから、調査員がきちんと調査できるかというのも問題だということでございましたので、調査員の研修用のビデオをつくりまして、きちんと調査ができるように、そういう調査員の研修も行うということをやっております。
かかりつけ医師の意見につきましても、前回大分ばらつきがありましたので項目を整理して、項目ごとに書いていただけるような形でこのかかりつけ医師の意見書の内容のばらつきというのはかなり是正されるのではないかというふうに思います。
それから、小さな町村で介護認定審査会の専門家を確保するのは難しいという話がありましたが、今回モデル事業をやっていく中ではかなり広域対応、当初三百四十七の老人保健福祉圏域でやろうとしたんですが、上がってきましたのをトータルしますと四百を超える地域になりました。その中でかなりのところが一市町村ではなくて幾つかの市町村が連携してモデル事業をやろうと、そういう動きがございまして、そういう意味で広域的な対応でそういう問題をカバーしょうとする動きが今度のモデル事業を通じては出てきているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/96
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097・山本正和
○委員長(山本正和君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時二十分まで休憩いたします。
午後一時十五分休憩
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午後二時三十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/97
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098・山本正和
○委員長(山本正和君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、介護保険法案、介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/98
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099・中島眞人
○中島眞人君 自由民主党の中島でございます。
もう既に、我が党の各先生方が介護保険のまさに専門的分野の中での質問をさせていただいております。私は地方議会の出身でございます。地方は今介護保険はつくらなければならない、やっていただかなければならない、しかしそれには大変な問題がある、そしてどうしたらいいんだろうかということを苦しみながらも、介護保険実施に向けての大変強烈な取り組みをなさっていらっしゃるわけであります。私はそういう意味で、時間もございませんから端的に御質問を申し上げます。
まず、新ゴールドプランというのがございますね。この新ゴールドプランというのは、既に質問が出ておりますが、いろいろな場面場面によって到達度が違います。これは、平成十二年度実施に当たって到達できるのか。
同時に、これは在宅サービス、施設サービス等いろいろまちまちでございますけれども、各地方によってこの到達度のばらつきもたくさんあると思うんです。この地方別のいわゆる到達度というものをまず冒頭、私は厚生省に出していただくことをひとつお願い申し上げておきます。
次に、新ゴールドプランは十一年度で終わるんです。しかし、高齢化の進捗率は非常に高いわけであります。同時に、介護保険が実施されることによってこの介護保険に対する関心というものはふえているわけでありますけれども、新ゴールドプランが十一年で終わった後、当然厚生省は施設整備の計画はあるだろうと思うんです。ゴールドプラン、新ゴールドプランと言っているわけですから、スーパーゴールドプランと呼ばれるような計画をお示しいただくべきだ、そしてそれぞれの地方にやっぱりこういう実態というものを示していくべきだと思うんですけれども、この点についてまずお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/99
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100・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 三点お尋ねがございました。
まず、新ゴールドプランについて到達できるのかというお尋ねでございます。これにつきましては、新ゴールドプランの各サービスの中で、その大どころにつきましてはほぼ順調に整備が進んできております。そういう意味におきましては、その大どころについては、特別養護老人ホームでございますとかホームヘルパー等については、全体としては到達が可能ではないかと思っております。ただ、サービスによっては極めて厳しい、これからの努力が必要だという部分もございます。しかし、やはりこれは努力が大切でございますので、十一年度末に向けまして、その達成に向けて今まで以上の努力をしなければならない目標であるというふうに考えております。
それから、地域でのばらつきでございます。これはかなりございまして、実態を全部にわたってですと時間もあれでございましょうから、例えば一例を申し上げますと、ホームヘルプ、訪問介護あたりで見ますというと、整備の進んでおりますところとそうでないところとの間には、場合によりましては四倍近い差があるというような実態もございまして、サービスによっても違いますけれども、各都道府県単位で見ましてもそういったような差がございます。これをいかに縮めていくかということも非常に大きな課題でございます。
それから、三点目でございますけれども、十一年度末の新ゴールドプランが終わりました後の、つまり介護保険がスタートしてさらにその後の整備についての計画いかんという話でございます。これにつきましては、新ゴールドプラン、十一年度末で終わるわけでありますけれども、それに引き続きまして、当然介護保険の導入をにらみまして新しい介護保険の事業計画というものを立てるということで進めておりますので、新計画に基づきまして介護サービスの基盤整備を進めていく。その際には、当然今後における介護サービス需要の増加というものを織り込んでその整備を進めていくという方針ですし、またそれにつきましては今までと同様のいわゆる公費による助成ということをセットに考えていかなければならないと思っております。そういう意味で、国も支援をしていくという枠組みでやっていかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/100
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101・中島眞人
○中島眞人君 各県のばらつき、各県によっても各町村のばらつき、これは非常に深刻な問題になっております。厚生省としても十分熟知しながらやっているだろうと思いますけれども、これは実態をやっぱり明らかにして、そしてある面ではその低いところには最大の取り組みをしていかなければいけない、こういうことを含めて各県別のいわゆる実態を出していただきたい。私はかなりのばらつきが都道府県であるだろう、こんなふうに思いますので、これすぐお願いをいたします。
そこで、介護を行っていく場合の民間参入による介護サービスの体制整備に当たる問題であります。
これはもう再三出ておりますけれども、やはり民間参入を認めていく、民間参入がなければならないという形であるならば、事業の採算がとれるような適切な介護報酬を定めていかなければいけない。これはよく意見の中で出ておりますから、その後の考え方の中でこの問題についてもひとつ御見解をいただきたい。
そして、その中で、私は長野へ派遣されて行きました。やっぱり農村部においては、長野はすばらしいJA、農協が確たる農村をつくるんだという意気込みの中でこの部面に取り組んでおる、大変すばらしいことだと思うんです。農協等に対して、あの長野をモデルケースとしたような形でやっぱりお願いをし、そして協力要請をしていくべきだろう、こういうように思うんです。
その中で、農村部におけるJAの役割なんですけれども、社会福祉法人が行う老人福祉事業については法人税が非課税とされております。農業協同組合が行う在宅福祉事業については、法人税に関し、一般の税率よりは低いけれども、二七%という軽減税率が適用されるにとどまっています。こういうことに配慮をせずして、農協さんやってくださいやってくださいという形では、私はやっぱり農協さんに対しても失礼だと思いますし、また限界があろうかと思うのであります。
これは農水あるいは大蔵等に対していわゆる要求は行っておりますけれども、大臣、やっぱり日本の農村の福祉をある面で担ってもらうのはJAだと、こういう形の中で、この軽減税率の問題についてぜひひとつ強い姿勢で大臣に臨んでいただきたいと私は思うんですが、大臣の御所見をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/101
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102・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 大臣がお答えを申し上げます前に、現状、三点ございましたので答えさせていただきます。
まず、民間参入に当たりまして、その参入を進めるという観点をも踏まえた介護報酬の決定をすべきである、設定をすべきであるというお話でございます。
これにつきましては、サービス費用の実態を把握して、その結果を踏まえて、今後審議会等の意見を聞いて介護報酬の設定をするわけでありますけれども、その際には当然実情をきちんと把握して、そういった中で事業運営が成り立つというようなことを当然頭に置いた形での水準設定をいたしませんと、おっしゃるように民間参入も絵にかいたもちになりかねませんので、その点は十分配慮をしてやってまいりたいというふうに思います。
また、そうしたことを背景にして、特に農協等がこの部面で、恐らく農村地帯あるいは過疎地帯における事業展開という意味で非常に大事ではないかということで長野の例をお引きいただきました。そういう形で農協組織に対して協力を求めていき、またこれと相連携をしてこれを進めるべきではないかというお話でございます。
この点についても私どもそのとおり考えておりまして、既にJAにおきましては相当そういう部面での事業展開を図っておられます。ホームヘルプサービスもそうですし特養等につきましても刷法人の形ですけれどもやっていただいておりますので、今後とも特に手薄になりがちな農村・過疎地帯等々におきましての農協組織の役割、あるいはそこでの事業運営を通じての介護保険の基盤整備という部面での貢献というものは大変大きいものがあると思いますので、私ども今後とも農林水産省そしてJAと相携えながら進めてまいりたいと思っておりますし、このための話し合い等は頻回にわたってやっておるところでございます。
また、事業展開に当たりましても、極力農協等の組織が組み込まれるような形で、現在やっております過疎地域等の在宅保健・福祉サービスの推進モデル事業等々もそういった視点を踏まえて進めておりますし、今後もそういう方向で持っていきたいというふうに思っております。
そして、最後の税に関してでございます。先生お挙げになりましたとおり、現在は農協そのものについての法人税は非課税ではなくて、いわゆる軽減税率の扱いになっております。これは、必ずしも福祉の関係の仕事だけというよりは、農協組織自体がやっておられるいろんな仕事を総合的に判断した上での税制上の扱いでございますから、福祉の切り口からだけこれを申すというのはなかなか難しいところがございます。ただ、そういいましても、先ほど申し上げましたように、介護保険を進めていく上で非常に大きな役割を担っていただきたいという私どもの希望もございますので、そういった意味合いで、現在農協組織のうちで医療事業を行われます厚生農業協同組合連合会がございます。これは、実は医療事業につきましては公的医療機関という扱いになっていて、公益性を有するということで、御案内のとおり医療事業は非課税になっております。
ところが、現在は介護関係の業務は非課税扱いになっておりませんので、そういう意味から厚生連がここに乗り出されるというところについての実は大きな制約になっておりますし、そこに乗り出していただくと途端に非課税が崩れて軽減税率の方に行っちゃうという問題がありますものですから、ここは実は農林水産省とも協議を申し上げまして、現在その点については医療事業と同様、こういった介護業務等にあれされました場合につきましても公益法人等の扱いにしていただいて、非課税措置の対象になるようにということでの税務当局への要請、要望を今いたしております。このことをこの年末の税制改正に向けまして、私ども引き続き強く要請をしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/102
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103・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) この介護サービス事業に対して民間の参入を期待しているわけでありますが、農協もこの事業の一翼を担ってくれるものと私は期待しております。そして、公益事業に対する課税措置については、関係省庁と連携をとりながら、公益事業に対する課税というのはどうあるべきかという点も含めまして税務当局と折衝していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/103
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104・中島眞人
○中島眞人君 そういうふうな転機がJAの取り組んでいただけるはずみになっていくだろう、このように思います。
民間参入といっても、JAの場合ですと地域の農村の中を営農指導とかいろいろな形でやっている方、そういう中から出てくる職員ですとお年寄りにとっても気軽に迎えることができるという点で、農協と農村地域はそういう形で取り組む、大変理想的な姿が私は長野県だったというふうに思いますので、これができるようなそういうはずみをおつけいただきたい、心から御要望申し上げます。
さて、時間が実はございません。項目的に申し上げますから、答弁も簡略で結構です。
国保保険料の収納率が低下をしていくのではないかということを各自治体は大変懸念をしています。これは、これにセットされるわけですから、そうでなくても国保の収納率が低下傾向にあるという形の中で、これは低下をしていくのではないか。同時に、国保の電算システム、これは今まで国保料の徴収だけですけれども、介護保険もいくわけですから、これにかかる費用、これも自治体にとってみるとかなりの費用でございます。
次に、自治体は介護保険制度の導入及び導入の準備期間において多大な人員を要することになる。言うなれば、介護保険を導入していく過程で今までよりは過大な人員になるわけでありますが、これらの職員確保の問題と財政措置。これに対しては厚生省だけではできないと思うんですけれども、さっきの二点の問題と、これに関連する自治省、大蔵省に対する働きかけはどのように進んでいるのか、簡略にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/104
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105・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 国保の保険料の関係でございます。確かに国保の保険料の上に介護保険料が上乗せになります。私どもは、まず介護保険制度の趣旨をよく御理解いただくことによって保険料徴収の低下が生じないように努力をする、これがまず第一だというふうに思っております。ただ、多大の努力をしても徴収が下がる事態については何らかの支援、こういうことも考えなければならないというふうに思っております。
それから、電算処理の話でございます。介護保険をやりますと、被保険者の管理であるとか徴収であるとか、さまざまな事務処理を円滑に進めるために電算処理システムを導入したいということで検討しております。これにつきましては、市町村とかあるいはそれを共同処理する国民健康保険団体連合会、こういうところで電算処理システムを開発していただく必要がありまして、その標準的な仕様を現在検討しているところでございますし、またその開発費の一部を支援するという方向で来年度の予算要求を考えているところでございます。
それから、市町村の事務処理等についての支援の話でございます。介護保険制度が導入されますと、従前の事務処理が軽減される部分もあれば逆に新しい事務処理が入る部分もあります。どのような事務量になるかにつきましては、これは実態を調査する、そしてそれを踏まえてしかるべき対応を考えてもらうべく自治省を初め関係省庁と相談していく、こういうことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/105
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106・中島眞人
○中島眞人君 時間がありませんけれども、僕が山梨県の県と町村会からそれぞれ、介護保険はやらなければならない、けれども私どもが不安を持っている問題というのが約百項目あるんです。私はそういう点でこれを素直に、やるのは町村ですから、これに対して温かい配慮というものをしていかなきゃいかぬ。
そういう点で、私はこの間から、政省令が三百に及ぶと、これは国会の場の中でおかしいんじゃないかと言うけれども、逆に私はそういう声を政省令の中で出すことによって声が反映をしていくんだというふうに、言うなれば政省令は全く厚生省独自だけでいくんじゃなくて、そういう声の集積が、あるいは地方公聴会等もやった集積がそういうものの中に反映をされていくんだと、こういうふうに認識してよろしいかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/106
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107・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) この事業の実施主体、市町村を初めとして自治体でございます。そういう御意見をできるだけ組み入れながら、関係の政省令を設定するときには考えてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/107
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108・中島眞人
○中島眞人君 そうあるべきだと思いますし、そういうことになったら、政省令が多ければ多いほどそういうふうな意見が反映をされていくんだと、町村の皆さん方が、私たちの叫びもそういうものの中に組み入れられていくんだと、そういう期待、そういう流れの中でひとつ取り組んでいただきたいけれども、念を押してお願いを申し上げておきます。
さて、先ほど午前中、今井先生からお話がございました。まず、特養、老健あるいは療養型病床群、これは違うんじゃないか。二十九万、三十二万、四十三万と違う。これは現行の形でいきますと特別養護老人ホームというのは公費ですね。そして、老人保健施設、療養型病床群というのは医療費ですね。そして、例えば社会福祉法人の特別養護老人ホームの借入金の返還はこの措置費の中から一切出してはいけない、そうですね。しかし、老人保健施設の場合はこの中から一定の常識の範囲内ではあるけれども、返済金額は返してもいい。そのかわり公費負担は、こういう補助はありませんよと。
この一つの流れは現行ではわかるんですけれども、これが介護保険制度、私は率直に言って全体論を見ればそれだけではないと思いますよ。けさ、審議官が言ったようなこともあるだろうと思うけれども、大きく施設側にとってみれば特養はある面補助金で賄える、あとの自己負担分は善意のあれでできると。しかし、老人保健施設というのは率直に言って補助の限度額は一施設五千万ですね。あとはその施設、医療法人、社会福祉法人で経営する老健施設は借入金をしてくださいと。その借入金を返すことについては、これは常識の範囲内でいいですよという形でやっておる。この制度の中で老健の費用と特養の費用というのが今位置づけられているわけです。
これを見ますと、僕には現行の延長のように見えるんだ。そういう形になっていくと、じゃ特養の場合は公費でこれからも賄うんだ、新ゴールドプランあるいはスーパーゴールドプランになるか知らないけれども賄えるんだ、これは公費で施設整備をするんだ、公費でない老人保健施設はこうなんだという形になっていくと、例えばこっちは返済金はまかりならないよ、こっちは返してもいいよという制度は続くの、続かないの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/108
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109・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護報酬の設定の仕方と絡んでくるわけでございますが、当然施設整備に補助金が出ている、出ていないとかというのは介護報酬のあり方に絡んできますが、介護報酬は保険で入った収入でございますので、その使途を今の補助金のように制限することはできないんだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/109
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110・中島眞人
○中島眞人君 そうすると、特養は今から十二年以降も公費でつくっていくんでしょう。新ゴールドプランの延長でいくんでしょう。これは現行と同じですね。老人保健施設は今までと同じ形でいくんでしょう。医療保険の中から施設整備費を全額出すわけじゃないんでしょう。そうするとこの形は残る。
そうすると、保険の中に施設整備費負担という形が、この二十九万、三十二万、四十三万という金額の中にはそういうものが加味される、延長だというふうに私は思うし、思わざるを得ないんだ。この辺をはっきりしないと、保険料の中に知らない間に施設整備費が食い込んでいるという格好になるよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/110
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111・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護報酬を設定するときに施設整備がどういう形で行われているかということも当然配慮された形で設定されることになると思います。したがいまして、補助制度があればそれを踏まえた形で介護報酬のあり方も考えると。ただ、補助制度がありましても一部自己負担があって、その自己資金の返済も、借り入れれば返済もあるわけでございますので、そういう部分の評価も必要ではないかと思います。
ただ、むやみにまた介護報酬が変なふうに何というか、本来の介護サービスにきちんと適用されることも必要でございますので、こういう部分は施設運営の基準のような形で担保していくことも必要だというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/111
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112・中島眞人
○中島眞人君 その説明だけでは納得できない。これはいい、後でやるから。
しかし、今までのシステムが介護保険実施の中へ延長されていくと、保険の中で施設整備は公費で見るんですよ、公費で今から計画を立てていくんですよと。しかし、今のこのシステムでいくと、社会福祉法人でも老人保健施設をやっていますから、その施設整備に要した費用はこの中から支払っていいですよという格好になって、施設整備費をいわば介護保険の中で見ているということになるからね。わかるでしょう。だから、そのことについてははっきりけじめをつけておかないとおかしいよということになる。これは宿題にしておきますので、次にやります。
次に、施設運営です。
在宅サービスの中にIからⅥ、虚弱のケース六万円、最重度のケース二十九万円、この方たちは本人が希望すれば特別養護老人ホームへ入れますね、老人保健施設へ入れますね。ところが、現行では措置費並びに介護保険等から来るのは一律、例えば二十何万円、二十六、七万という形で来ている。
お聞きしますけれども、要介護度Ⅱ、軽度のケース十四万―十六万円の方が入所した。現行では老人保健施設三十二万円程度だと、そうするとこの人が入ったら、この人に対しては十六万円しか出ないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/112
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113・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 在宅のケースそれから施設に入りましたケースの介護報酬のあり方というのは、それぞれに即して考えなければならないと思っています。
したがいまして、例えば施設の場合には、施設の共通経費というのが軽い人でも重い人でもあるわけでございますので、その上に要介護度に応じて変わるサービスがあります。そういうものを加味して設定をしていくということになりまして、先ほどの在宅の場合の数字とは同じにはならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/113
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114・中島眞人
○中島眞人君 ならないと思うけれども、全部一律ではない。
とすると、福祉施設は経営上の大変な不安感を常に持ちながら、時によると、こういう低額な収入しか得られない方は困りますよと施設側が拒否する場面も起こってくる要素というのは、この介護保険の要綱の中では、施設とその関係者で成り立つわけでありますから、そういう問題が起こる懸念もありますね。これは施設経営者の切実な悩みなんです。これはやっぱり検討しておかないと、社会福祉法人それぞれ自分の私財を投じてやっている方々にとってみると、これは大変深刻な問題ですよ。だから、そういうことに対する一つの形というものもやっぱり検討しておいてもらいたい。
次に、私はもう一点だけ申しておきます。
例えば、保険外給付サービスの問題。老人医療の問題でもそうでしたね、七十歳という基準があったけれども、自治体の努力によって六十五歳で実施した町村もある。同じように、介護保険が導入をされてきた、ああすばらしいと喜ぶ地域もあるかもしれないけれども、進んだ地域によっては介護保険の六認定の中でやっていくと今までの福祉より下がってしまうというその不満、実態に陥る町村もあると思うんです。この場合、町村にしてみると、今までやってきたものを守りますよと言ったら、この差額は全部丸抱え、いわゆる本人負担、町村負担という形になると同時に、本人負担は今まで本人負担させなかったんだから自治体の負担になるよという格好になる。このことに対して、いわゆる国は血も涙もないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/114
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115・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 現在、自治体でやっている事業も介護保険の対象になりますから、そこはそれで一つの仕組みができるわけであります。それから、そういう仕組みになりますと、全国としては自治体でもいわゆる一般会計で負担する部分はかなり浮くだろう、浮き財源ができるだろうというふうに思っております。
市町村が手厚くやっている部分、恐らくこれは市町村の単独事業で行っている部分だと思いますが、つまり市町村の一般会計から出している部分であると。これが介護保険の給付とダブらない範囲の世界におきましては当然市町村の単独事業を認めていくわけでありますし、今まで市町村がみずから出していたお金であるわけでありますから、それは認められるわけであります。
また、先ほど申し上げましたように、介護保険ができることによって市町村の一般財源の浮く部分もあるわけでございますので、そういう中で工夫をしていただく話ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/115
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116・中島眞人
○中島眞人君 これはしゃくし論じゃなくて、それぞれ高齢化が進んでいく町村の中では少ない財源の中からも知恵を絞って、あの町村よりはうちの町村はより一歩進めたものをやろうやと言ってきた。これは、はっきり言って血のにじむ町村長の努力だったと私は思うんですよ。
ところが、介護保険で決められた、もっと端的に言えば介護保険前は例えば特別養護老人ホームとかホームヘルパーとかそういう対象者になっていた。ところが、介護保険の認定という問題を受けたら、今まで福祉のサービスの受け手になっていた方が対象外ですよとなったときに、町村長は残念ですねと一言じゃ済みませんね。やっぱりそこに思いを寄せるのが町村長の気持ちであり、あるいはまた福祉を自治体の中で取り組んでいる町村長の姿勢だろうと思うんです。こういう場面にぶつかったときに、介護保険ではこれだけですよ、民間の生命保険会社のように、おたくは保険に入るときにこれをしなかったからだめですねと、けんもほろろに切るというわけにはいかないわけですよ。
同時に、介護保険の基準より進んでいるところの町村、これは少なくとも介護保険が導入をされてもこれを守りますよ、住民のために守りますよと、このことに対して、これは少しおかしいよという問題はともかくとして、厚生省は担当の自治省等々とそういう問題について話し合いを進めているのかどうなのか。
そして、地方財政はこれからも大変厳しくなって、そういう問題がだんだん切迫してくる。聞くところによると東京都は、はっきり言って今まではらまいておったものをどんどんやめるなんというのが新聞に先日出ていました。実施することは簡単だけれども、しかし縮小することは自治体にとってみると大変苦しいことなんですよ。こういうことに対して、各自治体の町村長さん方が苦しんでいる姿を厚生省の皆さんは率直にどう受けとめておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/116
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117・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 各市町村長さん方はやはり地域における高齢者の方々の福祉という問題について行政として言えば一番心を砕かれるお立場にあり、現実にもそういう形の中で、心を砕いておられるであろうこと、そのことを十分配慮しながらやっていかなければならないという精神はそのとおりであろうと思います。
ただ、先生が今具体的な御提言としておっしゃいましたことについて言えば二つの側面があろうかと思います。
現在の特別養護老人ホームなりあるいはホームヘルパー等々の対象について、現在やられている人たちで今度要介護認定になったらばその対象にならなかった人が出てくるではないかという点につきましては、現在でもそういう意味におきましては、特別養護老人ホームに入る要件につきましてもあるいはホームヘルパー等の派遣をする要件につきましても、措置等でやられているものにつきましてはそれとしてのやはり要件がございます。当然その要件に合致した、具体的に要介護であるとかあるいは虚弱であるとかという形の中の方々が対象になるはずでございますけれども、そこの部分が実際運営が基準と違っておったりした場合に、今度は要介護認定ができてそこのはざまをどうするかという点については、やはりこれは基本的には制度を、これは保険料であれあるいは税であれきちっとしてやっていくためには、そこはきちっとした物差しでやっていかなければならないであろうと思います。
その上で、もう一つの問題として言えば、そういった要介護に至らない人たちをも含めて、市町村長としてその地域の老人保健福祉をどうしていくかという大きな視点での対策の打ち方という点については、これは市町村長もそういうことに心を砕いていただくことは大変大事なことですし、私どもの方も介護保険ですべてということではなくて、予防あるいは生きがいづくりというようなことも含めて国として支援できるところはしていく、そのことについては私どもも自治省等とも手を携えながらやっていく、そういう姿勢で臨まなければならないものであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/117
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118・中島眞人
○中島眞人君 私もそれ以上の言葉は出ないと思います。介護保険の審議をしている最中に保険給付外サービスについて何とかしろ、何とかしますなんと言ったら、これはしっちゃかめっちゃかで、政治家ができもしない公約をばらまくのと同じようなことですから。しかし、そういう実態が町村長の中にある、そしてそういうものに対してどうしようかといって日夜頭を痛めている方々に対して、そういう市町村長にやっぱり思いをはせたいろいろなこれからの、例えば十一年までの施設計画、そしてそれ以降の新しい策定をしていくということの中で、マクロで私はこの問題について考えていかなければいけないと強く指摘をしておきたいと思います。
さて、先ほどの市町村への財政支援の問題です。国は要介護認定に係る事務費等について必要な費用の二分の一を交付すると。先ほどの質問に答弁をすれば出るかと思ったけれども、二分の一の相当のという言葉だったから、私の方が調べてあるのは、相当というのは二分の一の額が交付されることになっているんです。しかし一番心配なのは、市町村の的確な介護保険運営が図られるよう十分な事務費の支給がされたい、二分の一の補助が出されると言うけれども、実態はこれはだめよ、あれはだめよと、市町村の要望にこたえられない支出がされているので、的確な費用のカバーをされたい、実態に応じたカバーをされたい、こう言っているんです。これについてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/118
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119・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険制度が導入されますと、その関係の事務費は基本的には一般財源で賄われる。現在一般財源でやっている事務の一部が移行するものはあるわけでございますが、私どもの推計では、介護保険制度が導入されますと事務費が全体で八百億円ぐらいかかるだろう、その中の、措置等の事務の移行する分が三百億円ぐらいありますので、新規に必要な分というのは五百億円ぐらいになるだろうと見込んでおるわけでございます。
ただし、これは見込みでございますので、市町村における事務の実態を把握した上でその経費について関係省庁と協議しながら固めてまいる、その上で要介護認定事務等につきましては必要な費用の二分の一に相当する額を国庫から交付するということにいたしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/119
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120・中島眞人
○中島眞人君 よく国が地方に対して支出をするときに、一生懸命各町村によってそれぞれのやり方があるわけです。ところが要綱を見ると、これはだめよ、あれはだめよと言うから、町村ではあれはだめよというからあれはいいよという方向に書類を組み直して出す。そうすると会計検査院が来ておかしいぞ、返還だと。ですから、そういうことのないように、少なくとも各町村がやっている実態に応じた形をやってほしいということをくれぐれも強く要望をいたしておきます。
さて次に、何といっても市町村間格差、先ほども質問をいたしました。市町村間格差とそれに伴う一つの対応として広域化という問題がございます。厚生省が取り組んでおりますが、今年度、私の知るところでは四百十カ所をモデル地区にしてやる、山梨県でも六十四市町村の中で八カ所がモデル地区として既に入っております。
この中で、広域に対する取り組みというのはどんなふうな計画が全国ベースでは進んでおるのか。それと関連をして、広域化が主たる目標で進めている内容は何か。それをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/120
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121・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 九年度に行いますのは要介護認定の関係のモデル事業でございますので、一部の地域ではさらに介護サービス計画を策定するところも入りますが、基本的には要介護認定事務のモデル事業でございます。
九年度におきますモデル事業におきましては、全部で四百十六地域において行われますが、そのうち複数の市町村から成る地域において実施する、これは百二十二地域、全体の約三〇%。それから市町村でいいますと、今度事業を実施します市町村の数は特別区も含めまして九百二ございますが、そのうち六百八市町村が共同で行うということになります。割合では約三分の二ぐらいになっております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/121
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122・中島眞人
○中島眞人君 最後にお願いをしておきます。答弁は要りません。
各委員の中からも出ておりましたけれども、町村長が一番頭を痛めているもの、これは端的に言って、生活保護ぎりぎりの、特にひとり暮らし老人に対する介護保険の実施の中で取り組んでいく行き方でございます。まさに低所得者であります。この生活保護対象者、生活保護制度の適切な措置から外れていくひとり暮らしの低所得者、ひとり暮らしのお年寄り、この方々に対する配慮というものは、町村長にとってみると生活がわかるだけに、実態がわかるだけに何とかならないのかといういわゆる人の情けみたいなものがある。
この問題に対しての取り扱いというものはこれからますます多くなってくるだろう。しかし、これらに対する配慮というものをぜひひとつ私は取り組んでいただきたい。答えは今のところわかっておりますので、しかしこれらの問題等について格段の配慮をしていくことこそ、まさに高齢化社会へ向けての一つのあり方だと、こんなふうに思います。
予定をした時間でございますので、ここで私から、同じように地方議会で御活躍をいただき、そして私以上に地方に精通しております長峯先生に残余の質問をしていただくことをお許しいただきます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/122
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123・長峯基
○長峯基君 それでは、今、中島先生からいろいろ地方の御質問がございましたけれども、その継続として少し御質問を申し上げてみたいと思います。
今回の介護保険法案、いろいろ議論がございまして、私も聞いておりまして、それぞれ御専門の方々からの御意見でありますからうなずいたり、勉強になったり、感心したりしているところでございます。これはすべて市町村にゆだねられていくということについては、今、中島議員からの質問もございましたように、市町村の事務処理体制といいますか、非常に心配をしておられる。週末に帰るたびに市町村長とお会いするとそこら辺の心配があるわけでございます。特に、過疎地町村というのはもう御案内のとおり高齢化率が非常に高い、しかし財政基盤は弱い、こういうことでどのようになるんだろうかという心配がございます。
そこで、確認でございますけれども、市町村の事務経費増は約五百億ということでしたが、よろしゅうございますか。それはどのような調査に基づいて出てきた数字か、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/123
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124・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険制度創設に伴います市町村の事務に要する経費でございますが、これはまだ現在制度が動いていないわけでございますので、そういう意味で正確に見込むというのは難しい問題ではございます。ただ、介護保険と同様に市町村が保険者となっておる国民健康保険の事務に係る経費、こういうものを参考にしながら推計をしていきますと、平成十二年度では平成七年度価格で約八百億円ぐらいかかるだろうというふうに見込んでおるところでございます。そのうち介護保険制度の導入に伴いまして例えば老人福祉の措置の事務が縮小するということが出てきます。一方でこういうような事務の軽減が見込まれる部分があるわけでございますが、その関係で約三百億円ぐらい減少するのではないかというふうに見込んでおります。そうしますと、差し引きしまして約五百億円程度新たに必要となる事務費増ということになります。
ただこれは、先ほども申し上げましたが、推計でございますので、今後市町村における事務の実態を把握した上でその経費について関係省庁とも協力しながら精査をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/124
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125・長峯基
○長峯基君 地方においては大幅な事務経費の増加、特に財政力の弱い町村にとっては大きな負担になると思われるのでありますけれども、先ほどもちょっとございましたが、具体的にどのような手当てを地方の町村の事務量増加についてお考えになっているか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/125
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126・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) もう御案内のとおりでございますが、介護保険制度は現在の老人福祉制度と老人保健制度を再編成して新しい制度を構築するものでございます。介護保険制度創設に伴いまして市町村の事務に要する経費が生ずるわけでございますが、そのすべてが新たに生ずるものではなくて、一部は現在一般財源で賄われている事務が移行するというものもあるわけでございます。
介護保険法案の中に規定を置きまして、国は市町村が行う要介護認定事務等について必要な費用の二分の一に相当する額を交付するということになっておりますが、この考え方は要介護認定事務、これは介護保険制度の非常に基本的な事務でございますので、この事務がばらつきのないように全国統一的な水準の確保を保つことが必要であるということ、それから介護保険関係の業務の中で特に要介護認定事務といいますのは全く新しい事務、介護認定審査会を設置して審査判定業務を行う、こういうことで市町村にとりましては全く新しい一定着していない新しい事務でございます。
さらにはまた、現行の市町村の事務費と比較した場合に、要介護認定事務の経費に相当する部分が大体新規に負担増になる部分である、経費的にも負担増になる部分に該当する、そういうふうに見込まれること。こういうことなどを勘案しまして要介護認定事務に係る経費について国による事務費の二分の一の補助ということを考えているわけでございます。
これにつきましては、事務量の実態把握や要介護認定のモデル事業の結果なども踏まえながら、市町村における介護保険に係る事務量をよく精査いたしまして、その経費について所要の措置が講ぜられますよう関係省庁とも協議を行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/126
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127・長峯基
○長峯基君 ぜひ積極的にお取り組みをいただきたいと思います。
それから、町村というのは、もう御案内のとおり、過疎地もありますし散在いたしておりますから、どうしても事務の共同化というか、そういうことが必要になってくると思うのであります。
先ほども広域化の話がちょっと出ておりましたけれども、要介護認定の体制づくりに不安がある町村について厚生省として何らかの支援を行う考えがあるのか、具体的にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/127
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128・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護認定の体制でございますが、これは原則として保険者であります市町村がその体制づくりを行う、市町村に介護認定審査会というものを置きまして仕事をしていただくということになるわけでございます。
規模の小さな市町村におきましてもこれが適切に行われるようにすることが必要でありまして、工夫としましては例えば市町村は共同で介護認定審査会を設置する、それをまた都道府県が支援する、そういう広域的に処理する方法が一つ。あるいは市町村で例えばしかるべき専門家がなかなか十分確保できない、特に町村部でみずから実施することが困難な場合があろうかと思いますが、そういう場合には都道府県が審査判定業務、介護認定審査会の部分の業務を市町村から受託する、そういうような形の仕組みが考えられているところでございます。
こういうやり方を活用いたしまして、小規模の町村におきましても要介護認定が適切にできるようにしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/128
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129・長峯基
○長峯基君 言葉ではわかるんですけれども、要介護認定の共同化とかあるいは保険運営の広域化、こういうものは大体都道府県に厚生省としては任せる、こういうことになると思うんですけれども、その末端まで厚生省がこの介護保険がうまくいくようにどのように具体的に指導されていくか。もちろん、財政面とそれから方法論があると思うんですけれども、そこら辺についてもう少し突っ込んでお答えいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/129
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130・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 特に共同化、広域化のお話でございまして、共同部な事務処理の仕方というのは地方自治法などの規定にもあるわけでございますが、一つは先ほど申し上げました介護認定審査というものを複数の市町村の共同設置で行う、そこでしかるべき専門家を集めて申請に対しまして対応していくということが一つでございます。
それから、地方自治法の仕組みの中に広域連合というのがございます。こういう仕組みを使って共同実施するというのも一つでございます。
それから、介護保険制度の中に市町村相互財政安定化事業という事業が規定されておりまして、これは介護保険制度独自の事業でございますが、これで市町村間の財政調整を行って財政運営を共同化する、こういうやり方でございます。
こういうやり方につきまして、より具体的にどういうことに留意しながらどう運営していったらいいか、これは都道府県等にも十分説明をしながら市町村のそういう動きを支援していただくように持ってまいりたいと思います。また、関係省庁がありますので、そういう関係省庁とも十分相談しながらそれをバックアップしてもらうようにお願いしていこうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/130
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131・長峯基
○長峯基君 やってみなきゃわからぬというところがありますけれども、基盤整備の違いによりまして保険給付について市町村間に格差が生じることが予想されるわけですね、できるだけ公平であるというか公正でありたいと思うのでありますけれども。
それで、市町村相互の財政安定の事業あるいは広域連合の活用、こういうものをどのようにお考えになっているか。特に財政的に市町村格差というものが出てくる可能性があるわけでございますが、その辺について御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/131
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132・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 確かに、先生御指摘になりましたような基盤整備の水準が市町村間で格差がある、こういう場合の共同化というのは大変難しい問題でございます。
基本的には、市町村がそれぞれ介護保険事業計画をつくり、そこで提供されるサービス水準をもとに保険料を設定していくわけでございますが、そのもととなる基盤整備が異なっているとこれは当然保険料の差異にはね返っていくわけでございますから、そういう中において財政運営を共同化していくとか、こういうのはなかなか難しい問題がございます。
ただ、サービスの提供主体、これは特に民活等を考えていきますと市町村の区域にとらわれずにもつと広域的に事業展開が行われるようになりますし、また介護保険事業計画、いわゆる基盤整備の計画につきまして広域的な対応を相談していく、広域的に全体を考えていく、こういうようなことも可能であるし、またできるのではないかというふうに思っているわけでございます。
こういうような取り組みにつきまして、都道府県が市町村間のいろんな意見の違いの調整にお骨折りをいただくと、国もできるだけそれをバックアップする、難しい問題はあるんですけれども、そういう形で一歩一歩進めてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/132
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133・長峯基
○長峯基君 大体理解できましたけれども、なかなか介護保険というのは、特に過疎地あるいは町村あたりは基盤整備も弱いし、人もいないということでなかなか大変な面があろうと思います。しかし、いろいろ議論しておりましても、国民が非常に期待している法律でありますから、早く通して、具体的にいろいろ矛盾点が出てきたら積極的にやっぱりそれを解決していくということで御努力をいただきたい。
でないと、なかなか厚生省から、私は宮崎でございますけれども、南九州のどこどこの村でどんなことが起こっているかといっても、それはなかなか聞く方も大変でございますし、お答えになる方も大変だろうと思います。要は、とにかくこの法律を具体化して、そしていろいろな矛盾点についてやっぱり謙虚に反省するところは反省して積極的に実行に移す。国民が非常に期待している法律でありますから、期待を裏切らないようにぜひお取り組みをいただきたいとお願いを申し上げておきたいと思います。
それから、医療法に関することで一点御質問を申し上げたいと思います。診療所とかあるいは調剤薬局等の時間外の手当といいますか時間外の取り扱いについて、今までどのような基本的なお考えを持ってこられたか、あるいは指導してこられたかについて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/133
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134・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 医療保険における時間外の取り扱いでありますけれども、まず時間外についてはこれは初診に加算がつくということになっておるわけであります。
そこで、その際の取り扱いでありますが、これは保険医療機関、それから保険薬局、それぞれ同じ扱いをしておりますけれども、この考え方を申し上げますと、いわゆる医療機関なりあるいは薬局が診療なりあるいは調剤の応需体制というものを閉じた後、患者さんが調剤なりあるいは診療を求めてこられた、そういった場合、再度また診療なり調剤の体制というものを準備しなければならない、こういった観点に着目してこれが設けられたということであります。
したがって、仮に表示されております時間外でありましても医療機関なりあるいは保険薬局なりが調剤なりあるいは診療の応需体制にある場合、この場合には表示時間外でありますけれども時間外の取り扱いはしない、このような取り扱いのもとで加算というものを認めてきた、こういうふうなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/134
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135・長峯基
○長峯基君 それでは、具体的に申し上げます。大臣もお聞きになっていていただきたいのでありますが、私も体験しているんです。
例えば、寒いときになりますと、冬になってまいりますと流感がはやります。そうすると、小児科のお医者さんというのは、例えば七時とか八時に赤ちゃんを抱いて診てくださいと来ますと、地方において病院とお医者さんが同居しておりますといることがわかっていますからどうしても出なきゃいけない。そしてその患者さんを診る。そうすると、ほかの高熱を出したとかいろいろな子供さんを連れて来られる。そうしますと、その患者さんが近くの薬局に来られるわけです。
調剤を主とする薬局というのは六時にはもう閉めます。もちろん、保健所の指導により、当薬局は朝八時から六時まで応対します、時間外のときはどこどこに電話してくださいと表示するような指導があるわけですね。その表示のところは大体薬剤師の自宅です。それで自宅にその患者さんから電話が来ますから、本当はほかの薬局に行けばいいわけですけれどもほかの薬局にはその薬品がないという。これは日本の医薬品の大変問題なところなんですけれども、お医者さんがもういい悪いは別として一流メーカーから三流までむちゃくちゃに使いますし、それだけの薬が出ているわけですからほかの薬局に持っていっても処方せんはなかなか解決できないということでどうしても、近くにある薬局はその薬をそろえておりますから、そこに持ってくる。
そうしますと、今までの厚生省の指導は、最初の一人目の患者はいい、二人目からは取るな、こういう指導をずっとしてこられたわけです。私は七、八年前に、自分で薬局をやっておりまして、そういう指導を受けました。そうなりますと、二人子供さんを連れて来ている、長男と次男とか長女と長男とか二人子供を連れてきておる人は、最初の子供は時間外を取り、二人目は取っちゃいけないという指導ですから同じ処方せんを持ってこられても値段が違うんですね。たしか一・五倍ぐらい時間外を取られる。
それで、私は県の保険課と物すごく討論したんですけれども、絶対だめだと、これは厚生省の指導ですと。なぜかというと、一人目の患者さんはいいと、それでシャッターを閉めてまた二人目が来ればいい、それでまたシャッターを閉めて三人目が来ればいいと。いや、現にこういう指導なんですよ、そうでしょう。それはお認めになると思いますけれども、いわゆる応需体制をとったときには時間外はいけないというわけです。応需体制をとるなということは閉めなさいと、こういう指導なんです。
そうしたら、そのお母さんから私は物すごく文句を言われました、同じ処方せんで上の方は高くて下は安いわけですから。それで、これは厚生省の指導ですと言ったら、厚生省は何という指導しているのかと。
今、全国の調剤薬局はそのように取り扱っております、厚生省の指導です。もちろん、それはいろいろ裏には理由があると思うんですね、時間外をたくさん取るとか。
しかし、現実に考えると地方では、東京でもそうかもしれませんが、流感がはやってまいりますと子供さんが物すごく八時とか九時とかに高熱を出す。そうすると、親としてどこか自分の行きつけの小児科の先生はあいていないかなということで行くんですね。小児科の先生は一般的に優しい先生が多いので夜も診ましょうと。そうしますと、あそこは行けば診てくれるよということになると二十人、三十人来るんですよ。
これに対しても厚生省は最初の患者はいい、しかし後は応需体制をとったんだから時間外を取っちゃいかぬというのが、多分診療所に対しても今まではそういう指導ですね。ですから、薬局も同じく最初の患者はいいけれども二人目からは応需体制ができているんだから時間外取っちゃいかぬという指導なんです。シャッターをあけたり閉めたりすればいい、こういう指導を現実にずっとしてきたんです。
私は、自分の薬局がやられたので国会議員になったらこれを変えようと思って出てきたんですけれども、今までの指導をどういうふうにお考えになっておるのか、間違いであったとお認めになるのかどうか、ちょっと御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/135
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136・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 私も先生のお話をお聞きして、実態的にはやっぱり非常に不自然だなというふうな印象をどなたも持たれると思います。これまで厚生省としての指導、取り扱いはそういう格好でお願いしてきたということも事実であります。
これはなぜこんなような形を時間外についてとっているのかということについては、先ほど冒頭に申し上げましたような応需体制の問題ということで説明がなされておるわけでありますけれども、もう一つ、時間外は加算になるわけですから、そういった中で保険財政の限られた財源というものをどういう形で適正に提供していくのがいいのかという観点がもう一つあるんだろうと思います。
そういった中で、この時間外というものが、これはむしろ患者さんの方の必要性によって受診あるいは調剤に来られるわけですけれども、受ける側としてもそういった中で余り安易に流れてしまうような格好になっても財政上の問題としてどうなのかなという問題もあるんじゃないかと思います。
そういったようなことから、常識的にそこだけとらえますと、最初の人はいいけれども後の人はシャッター閉めればいいんだというような格好というのは実態的には私は非常に常識的ではないような気がいたしますけれども、今のような全体的な中でこのような取り扱いというものが考えられてきたということもやむを得ない面があるのかなというふうにも思っております。
ただ、この辺のところは実態と、それから国民の目から見て余りにも不自然、おかしいということであるとすれば、やはりその辺のところは是正すべきものは是正する必要があると思います。いずれにしてもこれは金目も絡みますし、点数表自体の取り扱いをどうしていくかという全体の保険の財源配分の問題にも絡みますから、そういった意味で今後先生のそういった御指摘も踏まえながら私どもとしても関係者の方々とも御相談し、あるいは必要があれば関係の審議会とも御相談して、できるだけ不自然じゃないように、そしてまた実態に沿うような形のものになっていくということが望ましいというふうに思っておりますので、今後そのようなことで考えさせていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/136
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137・長峯基
○長峯基君 先ほどのデイケアの問題とやっぱり一緒だと思うんですね。やる人というか請求する人、携わる人が正しく認識をして悪用しなかったら多分この問題はこうならなかったと思うんです。夜、わざとというか意識的に診療するとかそういう人がおられるために、良心的に対応しているドクターとかあるいは薬局というものがそういう一律的な指導というか。
考えてみるとおかしいんですよね。例えば局長が、部下が五十人おられて残業されるときに、一人だけ残業手当を出してあとの四十九人におまえたちには出さないよと言ったら必ず苦情が来ると思うんですね。それが社会常識だと思うんです。残業したときは残業手当を取ると。時間外、ちゃんと表示してあるわけですから、時間外に来られたときに緊急に出ていって調剤をする、そうすると経営者としては、例えば自分がやっていなくて経営している場合はその薬剤師に残業手当を払わなければいけないということもあるわけですから、患者さんもそれはわかって来られるわけですから、時間外に診察をしたり、あるいは調剤をしたときに時間外手当を出すということは私は当然だと思うんです。
ですから、それを予算があるからとかなんとか言って出さない。今までそれをぐっと我慢してきた方も我慢してきた方だと思うんですけれども、私は今までが全くナンセンスな指導だというふうに考えているんですけれども、大臣、御所見を最後にいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/137
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138・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 今の委員のお話を伺っていますと、これは指導の本旨を理解していないなと。まさにしゃくし定規の解釈というのはこのことを言うのじゃないかと。常識の問題であり人間性の問題じゃないかと。そういうことがないようによく指導しなきゃいかぬと。やはり対応する際は常識を発揮しなさいということではないかと。この趣旨を理解して少しは融通をきかせるというようなことが必要ではないか、そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/138
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139・長峯基
○長峯基君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/139
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140・田浦直
○田浦直君 自由民主党の田浦直でございます。
私は、まず初めに医療と介護、あるいは医療保険と介護保険との関係についてお尋ねをしたいと思っております。
これは前回もいろいろお尋ねをしたわけですけれども、今回、私も地元に帰りましてお医者さん方とか患者さん方に介護保険の話をいろいろしてみたんです。おおむね介護保険に対しては賛成、協力的な意見があったわけでございますけれども、もう一歩私が突っ込んでお尋ねをしますと、余りよく理解していないんじゃないかという面が、お医者さん方にもそうだし患者さん方にもそういうところがあるんですね。
その一番のところは、医療保険と介護保険というのは全く別々のものであって、どちらも自由にその保険の適用が受けられるというふうな考えを持っておられるわけなんです。私が、いやそうではないんですよ、ある部分は制限されるんですよという話をしましてもなかなか信じないんです。そんなことはないと逆に言われるぐらいなことで、今の国民やあるいは当面するお医者さんでもそういう感覚でおるんじゃないか。そういうことで、私はひとつこの問題を少し整理しておかなければいかぬのじゃないかなというふうに思っておるわけです。
それで、素直に聞けば、そうおっしゃる方々の方がある意味では正しいわけなんです。医療保険は医療保険料を納めてちゃんとしている、介護保険も今度は介護保険料を納めるわけですから、当然その必要があるときにはどちらからも適用されてしかるべきだ、そういうふうに常識的に思っているわけなんです。
私はまず第一に質問したいのは、厚生省としてどういうふうにその辺を国民に対してPRできるのか、その辺のところを正確に伝えなければならぬと思うんですが、まずそれについてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/140
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141・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険制度を的確に運営するために佳この制度の内容を十分わかつていただくということは大変大事なことでございます。そういう大事なことの一つの例として、介護保険と医療保険の適用分担関係、これもあろうかと思います。
私どもの基本的な考えは、介護を要する人のサービス、これは介護保険で出てくる。ただ、介護を要する人についてのサービスの中には医療的なサービスもある。医療的なサービスでありますが、大きい広い意味での介護の中に入るような医療的サービスは、これは介護保険で見ていく。ただ、そういうものではなく急性期的な普通のいわゆる病気、そういうものについては医療保険で見ていく。これが基本だと思っております。
例えば、訪問看護のようなものは医療保険でも多分残ると思いますし、介護保険でも入ってきます。同じ理由で給付されるものについては介護保険の方を優先して適用していく、そうではない普通の病気にかかって例えば往診を受ける、治療を受けますとこれは当然医療保険で見ていく、基本的にはそういう考え方でございまして、それを十分わかってもらうように今後ともいろいろな機会を通じて説明をしていきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/141
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142・田浦直
○田浦直君 その一つは、介護保険の場合は認定を受けぬといかぬということです。この辺もしっかりPRしてほしいと思うんです。今までは長年、医療保険の場合だと保険証さえ持っていけばどこででも診察をしていただけるということになっているわけです。恐らくそれともうほとんど違わない制度だというふうに大多数の人は今思っていると思うんです。しかし、今度はそうじゃなくして、介護保険の場合は認定をまず受けなければならぬ。これは新しい仕組みになるわけなんですが、そこら辺が今、全然認識がないという感じがするんです。この辺をどういうふうにしてPRをすればいいのかということですけれども、その辺について何かお考えがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/142
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143・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 住民に対する広報ということになりますと、私どもももちろんそうでございますが、都道府県、保険者、実施主体であります市町村、こういうところの努力も大きいと思います。こういうところで市町村が市町村広報を持っていると住民、各家庭に配布をされます。そういうところに介護保険の制度の骨格をわかりやすくした資料などをお送りして、そういうものを通じて住民に説明していただくなり、いろんな工夫をしながらこの趣旨の説明の徹底が図られるよう努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/143
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144・田浦直
○田浦直君 先ほどからも市町村のことで議論が出ていましたけれども、私もこの前、県の福祉の担当の人を呼んで、どうやっているのか、今どういう段階なのかとお聞きしたら、今、県が市町村に説明をしている段階であるということでした。しかしながら、その説明をするのにも、先ほどからもちょっと論議が出ておりましたけれども、政令とか省令とか細かいところが一つもわかっておらないので、説明する方も何となくあやふやな説明をしている。聞く方も何となく漠然として聞いているものですから、一般の国民に話をしろと言われても、なかなか今の段階では難しいような印象を私は今受けているんです。
その一つは、やはり数字というものが具体的にきちんと出てこないものですから、あるいはその出どころがきちんと出ていないというところがありまして、市町村もその辺で何かまだもやもやしている段階で、そこら辺がまずしっかり介護保険に対する認識を持たなければ住民に対してのPRはできないんじゃないか。そのネックが、どうもやっぱり細部にわたるところがまだ決まっておらない。政令とか省令で決まるように、三百何項目もあるということですから、その辺がやっぱりネックになっているんじゃないかなという印象を私は持っておるわけなんです。
したがいまして、できるだけその辺についても具体的な数字で指導をするようにしていただきたいと私は思っているんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/144
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145・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 政省令で定める中身は多様なものがございまして、その中には、大変形式的な手続であるとか様式であるとか、そういうものを定めるものもあるわけでございます。それから、介護報酬のようなかなり骨格にわたるものは関係の審議会に諮って決めるということになっておりまして、これは関係の審議会でも審議が必要になってくるわけでございます。
ただ、そういうものが全部決まらないと十分周知ができないかというと、そうでもない部分もまたあるわけでございまして、わかる範囲の骨格できちんとできるだけ理解を求める、ある部分は、また時間がたって決める部分はそういうことを説明しながら理解を求める、こういう努力も必要かとは思います。工夫をしながら周知の努力をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/145
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146・田浦直
○田浦直君 市町村の問題はまた後ほど改めて絞ってお尋ねをしようかと思います。
初めの問題に戻りまして、医療保険と介護保険の問題ですが、今の制度を見ると、どちらかというと介護保険の方が優先されているような気がします。介護を受けていれば医療保険は制限されるというふうになっておるような感じがするんですが、それはそのとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/146
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147・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) まず在宅のケースで申し上げますと、要介護者につきましては、介護保険給付の中で医学的な管理などが受けられるようになっているわけでございます。あるいは訪問看護というのが受けられるようになっているわけでございます。そういうものというのは医療保険の中にもあるわけでございますが、同じ行為をダブって二つの保険で給付するということはないわけであります。ですから、その場合には、内容がダブるものについては介護保険の方でそれは適用すると。ただ、それは医療保険の適用を狭めることではなくて、治療が必要であればその部分は医療保険で適用するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/147
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148・田浦直
○田浦直君 そこなんですよね。だからそこで医療保険の方が抑えられている感じがする。
逆ならどうなんですか。医療保険でやっているから介護保険ではそれはやりませんと、そういうわけにはいかないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/148
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149・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 施行法の中で健康保険法の規定をこの関係で改正しているわけでありまして、その中で介護保険から給付される場合には医療保険の給付は行わないというふうになっています。つまり、同じ事由で出る場合に、どっちでもいいですよという選択ではなくて、一つのルールをつくる、そういう形で施行法の中で関係の規定を改正しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/149
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150・田浦直
○田浦直君 そこのルールですね、介護保険を優先したと。それはどういう理由なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/150
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151・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険制度をつくる一つのねらいといいますのは、福祉の制度、それから医療の制度でサービスが提供されていて、その中に負担の不整合とか非効率という問題があったわけでございまして、その一つとして、福祉分野の対応が十分でなかったために、例えば介護的な部分を医療で支えていただいてきたというのが過去の流れとしてあるわけでございます。この医療で支えていた介護の部分を医療保険から切り離して、ある意味で医療保険は医療に純化させていこう、医療保険で支えていた介護的な部分というのは介護保険できちんと見ていこう、こういう形で制度をつくったわけでございます。
そういう意味合いから、例えば介護サービスに対応するという意味合いでのその人の健康管理的な部分なりあるいは訪問看護サービス、こういうものにつきましては介護保険を優先しょうということにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/151
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152・田浦直
○田浦直君 この後、恐らく老人の医療保険というのも新しくできるんじゃないかと思うんですね。そうすると、やっぱり老人は医療保険も納めているわけだし介護保険も納めているわけですから、それぞれ保険を利用して、活用して健康を守るということであっていいんじゃないかと僕は思うんですよ。ただ財政的な意味からそういう使えない部分をつくるというふうにしているのか。ダブるからということならば、どちらからしてでもいいんじゃないかと僕は思うんですけれども、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/152
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153・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 例えば先ほどの訪問看護というのは、医療保険からの給付もあり得れば、これは介護保険制度ができた後どうするかという検討は当然あるとは思いますが、当然介護保険から給付されると。訪問看護というのを受けたときに、その請求を医療保険でやってもいい、介護保険でやってもいいというと請求事務が非常に便宜的に流れていくことになります。そして、訪問看護というのは大きな介護サービスの一つであるというふうに介護保険の中で位置づけているわけでございますので、同じサービスであればそれは介護保険でまず適用する。
先ほど申し上げましたように、介護保険制度というのは、従前医療保険でやっていたいわゆる介護部分を全部取り出して、介護というのは福祉の部分も含めまして包括的に、一体的にやっていこうということでございますので、そういう考え方で取り組んだわけでございます。そして、それはまた同時に事務処理の明確化にもつながっていくのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/153
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154・田浦直
○田浦直君 だから、ダブる場合は両方ともするのはむだですから、だけれども、それはどちらでしてもいいんじゃないかと僕は言っているんです。介護でしなければいかぬわけでしょう、ダブった場合、訪問看護だとか訪問リハビリテーションとかいうのは。そこはどちらでしてもいいんじゃないか、両方ともする必要はないけれども、医療保険でやってもいいんじゃないか、こういうことを言っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/154
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155・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 同じ話の繰り返しになって大変恐縮なんですが、要介護認定を受けて、要介護者になると、その人のサービスは基本的にまず介護保険が出ていくということでございます。
ただ、その人が例えば在宅でサービスを受けているときに、医療サービスも必要で、そういう適用の優先順位をつけることによって受けられるサービスが制限されるのかというと、これはないわけです。ちゃんとしかるべき医療サービスも含めて必要なものは受けられる。そのときに、医療の中からいわゆる介護部分を抜き出して、福祉の方とあわせて介護について一体的な、総合的な体系をつくって介護サービスをカバーしよう、そういう立法趣旨で介護保険をつくりましたので、介護保険の中で一体的にカバーできるものを介護保険でやる、これはその立法の趣旨から考えた一つのルールだというふうに御理解賜りたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/155
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156・田浦直
○田浦直君 そのことはわかるんですね。ただ、医療をする側からいえばやっぱり制限されるということになるわけですから、その辺は御検討をお願いしたいと思うんです。
それで、そういう問題が介護保険が本当に導入された場合にいろいろ起こってくるんじゃないかと私は思うんですね。そこら辺を少し整理しておきたい、医療と介護との関係を整理しておきたいなと僕は思っておるので、そういうことで質問をさせていただきたいと思うんです。
今おっしゃられた在宅介護の場合、医療は全くフリーで今までどおりできるということで理解しておってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/156
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157・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 在宅の要介護者につきましては、その人は通常ですと要介護認定を受けた後、介護サービス計画に基づいてサービスを受けるということになりますが、かかりつけ医師によります基礎的な医学的管理、あるいは主として介護需要に対応する訪問看護、日帰りのリハビリテーション、今のデイケアのようなもの、こういうものは介護保険制度からの給付が受けられることになるわけでございます。ですから、こういう部分は介護保険で一体的に給付をする、そして、病気にかかりましたときの医療費は当然医療保険で受けていただくということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/157
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158・田浦直
○田浦直君 そうしますと、在宅で介護の保険を受けておるという人からいえば、例えば訪問看護とか今おっしゃられた通所リハビリとか、こういったものは医療保険ではできませんよ、あとはほとんど全部いいですよということで、医療保険との関係はそういうふうに大体考えておってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/158
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159・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) もう一つ、医者の基礎的な管理というんですか、かかりつけ医師の基礎的な健康管理のようなものもありますが、基本的に先生のおっしゃるような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/159
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160・田浦直
○田浦直君 それから今度は、施設に入所している場合の医療。施設というのもいろいろありますから、療養型病床群、老健施設、特別養護老人ホーム、この三つで検討してみたいと思うんですね。
恐らくこういうケースが起こるんじゃないかなというのを僕なりに考えているので、そのケース以外のことももちろんたくさんあるでしょうけれども、そういう細かいことまでわかりませんから大体のところで言いますと、医療行為というのは、診察をする、あるいは投薬などの治療、それから検査、それからもう一つは往診をする、こんなものじゃないかなと思うんですね。
それぞれについてひとつお尋ねをしたいと思うんですが、療養型病床群で介護保険を受けている方は、今言った医療行為はすべて本人の自主性で医療保険を使うことができるかどうか、まずそれからお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/160
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161・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 療養型病床群の介護報酬、これをどんなふうに規定していくか、これは具体的にはこれから関係の審議会等で決めていく話になりますが、基本的には現在の制度を念頭に置きながら考えていくということになろうかと思います。
療養型病床群は医療施設でございますから、医療は当然その施設で受けてもらうということになります。ですから、他の医療機関に通院するというのは普通はないものというふうに考えるわけであります。
ただ、現在の定額払いが認められているような療養型病床群におきましては、そこの定額の中に基本的な医学的管理や看護や検査、投薬、注射、そういうものが含まれているということになっているわけでございます。また逆に、歯科などの専門外の治療につきましては、他の医療機関での受診が認められるというふうな取り扱いになっているわけでございます。
こういう現在の療養型病床群の取り扱いというものを念頭に置きながら、介護保険が適用されたときの療養型病床群の介護報酬のあり方というものを考えていくということになるわけでございます。そういう意味では、今申し上げました療養型病床群の定額的な部分に包括されるもの、あるいはそうでなくて歯科などの専門外の治療を受ける部分についての医療保険が適用されているもの、こういうような現在の取り扱いを踏まえまして検討していくことになるわけでございまして、そういう方向でまた具体的な取り扱いは関係審議会の意見を聞きながら決めていくということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/161
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162・田浦直
○田浦直君 説明がわかりにくいので、具体的に細かく聞きますからお答えをしていただきたいと思うんです。
療養型病床群に入って介護保険を受けている人について、例えば自分が今までかかっておった医院に行って診察を受ける、これはできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/162
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163・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 療養型病床群は医療機関でございますので、その医療機関に入院している方は、普通はその医療機関でそういう医療サービスは受けられるのではないか、他の医療機関に行くということは普通原則としてないのではないのかなというふうに思うわけであります。
先ほど申し上げましたが、現在のいわゆる定額払いが行われています療養型病床群、ここにおきまして多くの医療行為が包括的に入っているわけでございます、検査とか投薬とか入っている。ただ例外的に歯科などの専門外の治療というのは医療保険の適用を認めている、こういう実態があるわけでございまして、おっしゃいます他の医療機関で診察を受けるというのはそういうようなケースに該当するのかどうか、そういう議論が実際はあるのかなと。
ただ、介護保険法上どういう介護報酬を適用するかということにつきましては、今申し上げました現在の療養型病床群の取り扱い、これをひとつ念頭に置きながら、関係の審議会で議論していただいて具体的に決めていくという手順をとらせていただきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/163
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164・山本正和
○委員長(山本正和君) ちょっと委員長から申し上げますが、端的にお答え願いたいんです。今の質問に対して、一般論じゃなしに端的に、具体論ですから具体論としてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/164
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165・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 他の医療機関で診察を受けるという、その診察の中身によって変わると思います。通常の診察であれば療養型病床群で受けられるんだと思いますので、その報酬の中に入りますからそれは認められないんだろう。特殊なケースがあれば、あるいはそれは認められることがあるかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/165
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166・田浦直
○田浦直君 そうすると、今まで自分がかかっていた診療所にもかかるわけにいかないんですか。あるいは今おっしゃられた、これは専門外の病気であるからかかっていいという、それはだれが判定されるわけですか。そこの療養型病床群に勤めている医師の専門外ならいいというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/166
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167・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 療養型病床群は医療機関ですので、そこに入院していてどこかの医療機関で診察を受けなくちゃならないということは普通出てこないのではないか。療養型病床群の中の丸められた報酬の中には、通常の医学的な管理であるとか看護であるとか検査であるとか投薬であるとか、そういうものが入っているわけでございますので、それでサービスは十分受けられるはずではないかというふうに思うわけであります。
ただ、現在の療養型病床群でも例外があるわけでございまして、歯科とか専門外みたいな話ですね、そういうことであれば医療保険で受けられるようになっておりますので、そういう例外的なものはあるんだろうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/167
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168・田浦直
○田浦直君 その場合は、だれが例外的なものと認めるのかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/168
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169・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 厚生大臣が定めるということになっておりますので、今も療養型病床群においてそういう例外的なものを定めているわけでございます。同じような形で定めていくということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/169
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170・田浦直
○田浦直君 そうすると、そういう病気は恐らく非常に難病みたいな難しい病気じゃないかと思うんですけれども、普通の、例えばもうどうしても自分の状態が悪くなって、高血圧か糖尿病か知りませんけれども、今までかかっておったお医者さんのところへちょっと行って診てもらいたいといった場合に、それは医療保険は使われないということになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/170
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171・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 療養型病床群にもお医者さんがいて健康を診ているわけですので、そこで血圧がおかしいとかちゃんと診てもらえるのではないかと思うんです。ですから、そういうものについては介護保険の給付で対応するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/171
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172・田浦直
○田浦直君 いや、だから、そこのお医者さん以外には診察はできないわけですね、厚生大臣が認める病気以外は。そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/172
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173・山本正和
○委員長(山本正和君) 端的に答えてください。今の質問にそのものずばり。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/173
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174・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) やむを得ないケースを除いてそういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/174
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175・田浦直
○田浦直君 では、例えば治療、投薬、長年高血圧の薬を近くのお医者さんでもらっておった、それを引き続き飲みたいという場合もこれもだめですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/175
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176・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 療養型病床群では包括の中に投薬も入っておりますので、同じ薬を今度はその病院でいただいていく。ですから、だめということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/176
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177・田浦直
○田浦直君 それは理屈としてはわかるんですが、患者と医師の関係というのはそんなものではないと思うんです。何十年も自分を診てもらっているお医者さんというのがいれば、そこで診察を受けたりあるいは薬をもらうということは僕はあり得るんじゃないかなというふうに思うんです。
検査もだめですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/177
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178・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 検査も現在の療養型病床群では包括的な中に入っているわけでございます。
ただ、検査については、現在でも例えばコンピューターによる断層撮影とか核磁気共鳴コンピューター断層撮影、MRIとか、こういうものについては他の医療機関において算定できる、そういうふうに認めている例もありますので、いわゆる非常に高度な検査についてはまた別の考え方もあり得るわけでございますが、一般的な検査は包括されておりますので、他の医療機関で受けることはできないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/178
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179・田浦直
○田浦直君 わかりました。だから、介護保険で療養型病床群に施設入所をした場合には、ほとんど医療保険を使えないというふうなことになるような感じがします。
では、療養型病床群でなくして老健施設の場合はどうなんですか。老健施設で同じように介護で入所して認定を受けている人が、やはり自分の近くで診察を受けたい、投薬を受けたい、あるいは検査していただきたい、そういうふうに思っているとしたらそれはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/179
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180・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 先ほどの答弁にちょっと補足させていただきますと、介護保険の適用を受けるとあとはだめなのかというんじゃなくて、これは現在の医療保険の中でもそうなっているわけでございます。現在の医療保険の中で、療養型病床群に入れば他の医療機関の診察を受けられないというふうになっておるわけでございますが、同じような給付を考えていきますので、いわゆるサービス水準が低下するということではないということを御理解賜りたいと思います。
それから老人保健施設でございますが、老人保健施設の場合には、老人保健施設に入る方は病状が比較的安定している方ということで、医療サービスのレベルも療養型病床群に比べて水準が、厚みが薄いというんでしょうか、そういうものでございます。
したがいまして、複雑な措置とか画像診断あるいは手術など、こういうものにつきましては基本的に老人保健施設の中では提供できないだろうと、それは他の医療機関で受けていただいて、それは医療保険の適用になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/180
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181・田浦直
○田浦直君 先ほどの、今でも療養型病床群に入っている人は医療保険ができないというけれども、それは既にもう医療保険が使われているんですよ、その療養型病床群で。今度は介護保険ができて、介護保険でその療養型病床群の適用を受けた場合に医療保険はどうなるのかと、こういうことなんですね。今、既にもう医療保険でそれは診られているわけですから、それは当然医療保険を使えないということはあり得るかもしれないけれども、今度の場合は、介護保険が適用になった場合に医療保険はどうなのかということを先ほどは質問したわけです。
今度は老健施設、これも今ちょっとよくわからないのでまた一つずつお尋ねしますが、他の病院での診察はいいのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/181
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182・山本正和
○委員長(山本正和君) 保健施設から外へ行って治療や診療を受けられるかという質問なんだから、端的に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/182
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183・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 現在の老人保健施設におきましては、診察というのは他の病院に通院するということでしょうか。これは厚生大臣が定める場合を除いて可能だということになっております。その考え方を踏襲して、介護保険でも検討していくということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/183
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184・田浦直
○田浦直君 そうすると、この診察に関しては療養型病床群と全く同じですね、入所している場合と。厚生大臣の決めたもの以外はいいというわけでしまう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/184
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185・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 現行の定め方で言いますと、ポジとネガみたいな関係なんですが、療養型病床群については原則だめで、特殊なものについていいという形になっていると。それから老人保健施設の方は、現行は一部だめがありますが、基本的にオーケーと。いわゆるだめだけを厚生大臣が決める、基本的にはいい、そういう形になっておるわけです。現行の制度の説明でございますが、そうなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/185
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186・田浦直
○田浦直君 老健施設においてはだめなものだけ指定してあるというわけですね。それはどんなものがあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/186
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187・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 老人保健施設に入所している者に対する医療にかかる診療料ということでありますが、その老人保健施設に医療機関が併設されている場合とそうでない場合とに分けられております。
併設されている場合には、だめなものというのは基本診療料とか初診料とか再診料、そういうものとか、もう施設に入っていますから在宅医療はないと。それから、検査については厚生大臣が定めるものはだめですが、その他のものは結構と。画像診断はオーケーと。投薬もいいと。それからリハビリテーションについても、一部厚生大臣が定めるものはだめですが、他はリハビリテーションの請求もできる等々となっているわけでございます。
そしてそれは、今のは併設で申し上げましたが、併設していない場合にはさらにもう少し拡大されておりまして、基本診療料等も取れるとかですね。それから検査、画像診断については同じ考え方でございます。その基本診療料あたりの取り扱いがちょっと違うというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/187
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188・田浦直
○田浦直君 そうすると、ちょっと整理して、老健施設においては診察はどうなのか。それから検査はどうなのか。治療はどうなのか。それから往診ですね。ほかの先生が、例えば眼科の先生が、ぜひ患者さんが自分の白内障を診てほしいといった場合、これは先ほど療養型はちょっと言いませんでしたから、療養型もあわせて、可能なのか、老健施設でも可能なのか、そのときの支払いはどういうふうになるのか、それもひとつお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/188
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189・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 往診でございますが、老人保健施設に入所している場合に、老人保健施設に併設の医療機関がある場合とない場合で分かれていると先ほど申し上げましたが、併設の医療機関がある場合には、往診というのは医療保険の請求はできないとなっております。
ただ、他の医療機関から来ていただく、こういう場合には往診の請求ができて、これは医療保険で対応するということになります。
それから療養型病床群の関係でございますが、基本的には療養型病床群の場合は医療機関でございますから、その病院で診てもらうというのが原則でございます。ただ、現在の療養型病床群におきましてもやむを得ない場合に往診を受けることを認められているというのがありますので、こういう実態を踏まえて介護保険でも対応のあり方を考えるということにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/189
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190・田浦直
○田浦直君 支払いについてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/190
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191・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) いずれもその支払いは医療保険でということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/191
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192・田浦直
○田浦直君 その医療保険を往診した先生が請求するのか、その療養型病床群が請求するのか、そこはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/192
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193・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 往診につきましては、往診した先生の方が請求するということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/193
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194・田浦直
○田浦直君 両方ともですね。
それから次は、特別養護老人ホームですね、これはまあ医療機関ではないからほとんど適用できるんじゃないかなと僕は思っているんですけれども、特別養護老人ホームにおいては今言いました診察あるいは治療、検査、往診、それぞれどうなのかお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/194
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195・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 特別養護老人ホームにおきましては措置費で配置医師が置かれていることになっております。その配置医師の役割は健康管理とか療養指導ということでございます。
したがいまして、それ以外の医療に関しましては、他の医療機関から来ていただくわけでございますので、それは医療保険の対象になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/195
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196・田浦直
○田浦直君 これはもう全く在宅と一緒なんですね。在宅で介護を受けているのと大体同じだというふうに理解しておけばいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/196
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197・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 在宅も先ほど申し上げましたように、訪問看護とか一部介護保険でカバーして、あとの治療的な部分は医療保険でカバーすると申し上げました。特養も同じでございまして、一部配置医師を置いていますので、そこでカバーするものを除きまして、あとの医療は医療保険でカバーする、大体同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/197
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198・田浦直
○田浦直君 そうすると、その老人ホームにお医者さんが行って投薬をするとか往診をするわけですね。これはもう何の制限もなくできるんですか。そこに嘱託医というのがおると思うんですけれども、それとは別に、同じ専門であろうとなかろうとそれは可能なわけですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/198
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199・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 現在の特別養護老人ホームにおける取り扱いでございますが、配置医師につきましては初診料とか再診料、往診料、これは請求できないわけでございますが、それ以外のいわゆる措置とか薬剤等の費用につきましては医療保険で請求できる、配置医師はその病院に配置されているものでございますから、そういう扱いになっているわけでございます。
それから配置医師以外の場合につきましては、緊急の場合等に対象になるわけでございますが、診療情報提供料ほか若干算定できない項目がありますけれども、普通の措置とか薬剤費等の請求は医療保険で請求できることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/199
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200・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) ちょっと補足をさせていただきますが、現在の特別養護老人ホームにおきましては、今、審議官が御説明を申し上げたとおりでございますが、やはり配置医師というものが一応置かれておるわけでございますので、その医師によって期待をされているサービスというのは現在の措置費という中でいわば面倒が見られているわけでございます。
したがいまして、そういう面倒が見られている範囲のところをまた再度外から往診で診療報酬という形で別のお医者さんに払うということになれば、言ってみればサービスとしては二重に費用が払われるということになりますので、その点については、その配置医師が置かれているという趣旨をよくかんがみて、みだりに往診というような形にはならないようにという指導をいたしております。
ということは、審議官が御説明申し上げましたように、配置医師のやるべき健康管理でありますとか療養指導というような範疇の部分については、そういう範疇の部分のようなところについてまで外から往診をしてもらうというようなことは避けるようにという運用の指導をいたしておりますし、このことは今後の中でもそういうことになろうと思います。
先ほど来の全体を通じましても、結局それぞれの施設の中でどの程度医療の中身の濃いサービスができるか、そこの医療の濃いサービスができるところはそれに応じて外部にサービスを求める、これは医療保険でやろうと介護保険でやろうとそれぞれ公的保険でやっているわけですから、それを二重にやる必要はない。それを二重にばらばらにやるというのは公的保険のありようとして問題がございますから、そこのやっぱりサービスの濃さによって、療養型病床群は三つの中では一番濃うございますから、療養型病床群でなし得るサービスの部分については、いわば外からのサービスを医療の形で求める部分を薄くし、老人保健施設はその次、特別養護老人ホームはそういう意味では一番医療的な色彩が自前でございませんから、医療的な必要が出た場合には外へ求める度合いが一番多い。ちょっとアバウトな言い方ですけれども、そういう形のもとで先はどのような個別のところが出てまいることになるんだろうと思います。
ただし、先生おっしゃいますように、一つ一つで見ると、これから割り切りをつけていったり、周辺をきちっと仕分けしなきゃならない部分もございますから、ここは審議会の御議論もいただきながらきちっとしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/200
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201・田浦直
○田浦直君 配置医師というのは、僕らがよく嘱託医とかそういうふうに言っているそのことだろうと思うんですね。
そうしますと、原則としては一応その先生に入所している人は診ていただく、そしてその人は嘱託医ですから当然初診料とか再診料とかそういうものは取れませんよと。それで、特別な病気の場合ですね、例えば褥瘡が出たから皮膚科で診てほしいとか、白内障があるようですからちょっと診てくださいといった場合、これはもう全く普通の医療保険を普通のように使えるというふうなことだと。今のお話を総括すると私はそういうふうに感じたんですが、理解はそれで大体いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/201
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202・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/202
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203・田浦直
○田浦直君 医療保険と介護保険との関係では大体わかりました。
それで、できればその辺を、シェーマティッシュにというのも難しいかもしれぬけれども、在宅それから療養型あるいは老健施設、特別養護老人ホームと横に書いて、縦に診察、治療、検査、往診というぐらいに書いて、丸書きでもいいですが、何かそういうふうな少しわかりやすいのをひとつ出していただければと思うんですね。もう僕でもわからぬし、ほとんど一般の先生方はわかっておらないと思うんですね。また、患者さんの方もわかっておらないので頼みに来たりするんですね。
そういうときに、やはりきちんとその制度を話して答えをしてやらぬといかぬと思うんです。そういうふうなシェーマでできるかどうかはわかりませんが、少しわかりやすい何かそういうものをつくっていただけぬかなと思いますが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/203
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204・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 御希望に沿うように努力をして、わかりやすいものをつくりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/204
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205・田浦直
○田浦直君 では、そういうことでぜひお願いをしたいと思います。
それで、今度は介護について少しお尋ねをしたいと思うんです。介護制度ですね。
この介護制度というのは、第一号の被保険者、第二号の被保険者となっておるわけですけれども、この第二号について言うと、これは四十歳から六十五歳未満までになっているんですね。この人たちも当然保険料を払うわけですね。そうしますと、この人方が介護が必要になった場合、これはどういうふうになるのか。まず、総論的なものからお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/205
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206・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 第二号被保険者、四十歳から六十五歳未満の方につきましては、例えば脳卒中であるとか初老期痴呆であるとか、そういう老化に伴って生じた要介護状態あるいは虚弱な状態、それに対しまして介護保険から保険給付として介護サービスを提供するということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/206
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207・田浦直
○田浦直君 文章で言うと、初老期痴呆とかあるいは脳血管障害等に起因する疾患の場合は適用するということになるわけですね。その脳血管障害等というのが、これはこの前もデイケアのところで随分もめたわけですけれども、この「等」というのはどういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/207
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208・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 加齢に伴って生じる疾病というふうに大きくくくっているわけでございます。その例示として脳血管障害とか初老期痴呆と申し上げたわけでございますが、加齢に伴って生ずる疾病、これはどのような疾病があるか、その疾病を「等」の中で規定していく。これにつきましては、老人医療の専門家の検討委員会を設けておりまして、現在その「等」の範囲を検討していただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/208
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209・田浦直
○田浦直君 そうしますと、それ以外の人たちは、それ以外の病気の場合はどうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/209
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210・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) それ以外の場合には、要介護状態になりましても介護保険の対象ということにはなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/210
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211・田浦直
○田浦直君 それは介護保険じゃなくして、福祉の方から障害者プランに基づいて介護されるということになるんですね。私は、そこは少しおかしいんじゃないかなと思っているんですね。この四十歳から六十四歳の人たちも介護保険の保険料を払っているわけなんですよね。でも、六十五歳以上の人と比べるともう本当に限定されたものしか使えないというふうになるわけですね。そして、それは公費で見るんだと。その辺は、何で公費で見なければいけないのか、保険料を払っているわけですから当然保険で見るのが本当じゃないかなというふうになるんですね。
公費で若年の障害者の場合は見るというところが何か理屈としておかしいなという気がするんですが、その辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/211
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212・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 若年の障害者に対する介護サービスを介護保険制度で対応するかどうかというのは、審議会等でも議論になったところでございます。
これにつきましては、一つには障害者施策については公の責任で実施すべきではないかと、関係者の間でそういう認識が強いということが一つございます。それから、身体障害者以外の障害者施策が一元的に市町村ではまだ行われていないと。都道府県で行われているものもあるわけでございます。そういうような実態。さらには、障害者の介護サービス内容は高齢者に比べて多様であるわけでありまして、いろんな介護サービスがある、こういうことに対応したサービス類型を確立するにはまだ十分な検討が必要ではないかという意見。それからまた、現在の施策との調整の問題。
そういうようないろいろと検討すべき事項などがありまして、これは審議会だけでなくて与党の協議会においても大分御議論のあったところでございますが、関係者の認識は必ずしも一致していないということで当面このような形にいたしまして、そして若年者の問題につきましては、障害者プランの枠組み、二〇〇二年までの目標年次の計画でございますが、これに従ってその障害者施策の水準を引き上げて、介護保険で提供されるサービスと遜色のないサービスが提供されるようにしていこうと、こういうことで対応しようということになったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/212
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213・田浦直
○田浦直君 今、当面というお話もありましたから、それはそれで、確かにいろんな考え方がこの場合はあるだろうと思うんですね。だから、当面これでやってその間に検討していくということで、僕はそれはそれでいいと思うんですが、私が受ける感じとしては、六十五歳以上の人はその疾患も保険で適用を受けているわけですから、年齢で四十歳から六十四歳までは公費でやる、何かちぐはぐな感じがするので、そこら辺はまた時間をかけて御検討していただきたいというふうに思います。
先ほどもちょっと議論が出ておりましたけれども、この介護保険をやっていく中で、本当にサービスのためのお金と、それから、いわばランニングコストみたいなものがあると思うんですね。そのランニングコストというのが大体どのくらいになるのか。さっき八百億とかいう話がありましたが、大体その八百億の中で入っているものというのはどんなものなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/213
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214・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 八百億と申し上げていますのは介護保険制度を運営していくために必要な経費という考え方でございまして、大きな事務は要介護認定にかかる事務、職員が調査をしたり認定審査会を置いて議論してもらったりすると。それ以外に、保険料を徴収するとか適用状況を確認するとか、そういう実施に当たっての事務があるわけでございます。トータルとして八百億円ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/214
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215・田浦直
○田浦直君 人件費が主なのかなと思いますけれども、例えば介護を申請しますね、介護を申請して認定が出るまでの間に携わる人がいろいろおります。
例えば役場での窓口、ここにも人がいるでしょうし、あるいは介護支援の調査員、専門員という者もいると思いますね。あるいはかかりつけ医の意見書も要りますから、そういう経費も要ると思うんですね。それから、この介護の認定のための審査員という人もおると思うんです。それからまた、未納者の保険料を催促して回るようなそういう方々もいると思うんですね。
これを、どの人たちは公務員になり、どの人たちは介護保険で見る人なのか。あるいは嘱託で雇うとか、そういうケースもあると思うんですが、おおよそはどうなんですか。今私が幾つかの人たちを挙げましたけれども、それぞれどのあれに所属するのかなということをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/215
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216・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護申請の受付の窓口、これは市町村で行います。市町村の職員が受け付けると。
それから、申請を受け付けますと、その人の生活状態を調査しに行くということがあります。これは市町村の職員が行く場合もありますし、事業者の介護支援専門員に委託をして行ってもらうこともあります。すべてが市町村の職員ということではございません。
それから、申請が上がってきますとかかりつけ医師の意見書をもらいますが、これはまさに要介護者がふだんお世話になっているお医者さんということでございますので、これは通常の場合は公務員ということではないと思います。
それから、介護認定審査会を開きますが、市町村長が委員に委嘱をして委員会のような形でやるわけでございます。そういう意味で委嘱を受けた委員という形でございまして、いわゆる通常の公務員とは違う形になると思います。
あと、要介護認定が終わりました後、要介護者の介護サービス計画をつくる人がいますが、これも大体介護支援専門員でございますので、多くは民間の方ではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/216
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217・田浦直
○田浦直君 そうすると、今の中で言うと、公務員というか市町村が雇うような方々というのは、例えば窓口の受付とか調査員の一部、それから未納者の方から徴収して回るような方々、これは大体公務員ですね。地方公務員ということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/217
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218・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 保険料未納者に督促をするというようなこと、これは市町村のやる保険事務でございます。督促だけではなくて、保険料を徴収したり、あるいはその関係の、例えば転居等がありますと資格を常に管理するということが必要になってきます。そういうような保険者としての事務がございますが、これは市町村の職員がするということになります。それと、先ほど先生がおっしゃられたようなことが大体地方公務員が対応することになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/218
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219・田浦直
○田浦直君 その数ですけれども、今のところ何名とかなんとか出ないでしょうが、先ほどちょっと御答弁の中でありましたような、国民健康保険に携わる人ぐらいの数が要るんじゃないかというふうなことで大体人数は理解しておっていいですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/219
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220・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) どのぐらいの職員数が要るかについては事務量の実態調査をやりながら精査をしていきたいというふうに思っております。国民健康保険の場合には保険料の徴収と適用関係でございますが、介護保険の場合には、恐らくそういう保険料の徴収などにつきましては既存の例えば年金から天引きをしたりあるいは国保の保険料に上乗せをしたりということなんで、そういう関係の事務というのはそれほど大きくはならないんではないか。それよりは、介護認定審査会の事務局としていろんな準備も必要だと思いますし、そういう関係の事務の方が多いんではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/220
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221・田浦直
○田浦直君 市町村からいうとそういう職員をふやさぬといかぬということになりますね。そうしますと、これは厚生省としてはそういう人たちをふやしてくれと、こう言っていると思うんですが、自治省の方はなるべく定数はふやさないでほしい、これは定員条例にのっとって抑えてほしいということを言っているわけですね。
したがいまして、ここをふやすためにはどこかを減らさぬといかぬということがあるんじゃないかということを市町村の方々はよく心配されているんですが、その点についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/221
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222・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険制度が導入されますと市町村でどういう事務量がふえるか、これは先ほど申し上げましたように実態を調査しながらということでございます。
調査に当たりましては、関係省庁と相談しながら調査をして、またその結果に基づいて人の配置、人の手当ても含めまして関係省庁と相談をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/222
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223・田浦直
○田浦直君 それは、話は進めているんですか。
というのは、その辺を私が市町村で聞いてきますと、一方からはふやせと言ってくる、一方は抑えろと言ってくる。それぞれ縦の線でくるから困るんだということを言っているわけなんですよ。だから、それはもう大もとで話をしていただかないと解決できないと思うんです、末端の市町村では。その辺をひとつぜひ早く話し合っていただいて市町村に流していただきたいと思いますが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/223
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224・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 担当者ベースでありますが、自治省と何度も打ち合わせをやっておりまして、この自治省との関係は結構幅広くあるものですから、いろんな関係部局と打ち合わせをしておりまして、急ぐものから順次協議を詰めて実施していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/224
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225・田浦直
○田浦直君 一つ、かかりつけ医が書く意見書というのがありますね。この意見書の意義というのはどんなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/225
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226・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険制度の的確な運用に当たりましては要介護認定というのが大変重要でございます。大変重要な要介護認定でございまして、その要介護認定をやる介護認定審査会に二つのデータが出る。一つは市町村の職員が調査した調査票、もう一つはかかりつけ医師の意見でございまして、かかりつけ医師の意見は、かかりつけ医で診ていますからある程度長期的なその人の様子もわかった形で出てきますので、要介護認定に当たりまして大変重要な位置を占める資料だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/226
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227・田浦直
○田浦直君 この意見書は平成八年度と平成九年度では様式が異なっているわけですけれども、その辺はどうしてそういうふうになったのかお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/227
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228・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 平成八年度に六十地域でモデル事業を行ったわけでありますが、その際に、かかりつけ医師の意見書といいますのは非常に大くくりな様式でございまして、医者によって非常に丁寧に書いていただけるものもあれば、極端なケースでは症状固定ぐらいしか書いてないというようなものもあったりしまして、それでは十分な情報が伝わらないということがモデル事業の反省点として出たわけでございます。
これを改善するために、今回は項目をかなり細かく区切って、あるいは特に痴呆についての判断なども十分入れるべきだという話もありまして、そういう部分の様式を入れて、少し丁寧な様式にしてつくったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/228
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229・田浦直
○田浦直君 私はそれは非常によかったんじゃないかなと思っているんですね。対象者の身体機能とか精神状態とか医療の内容をケアプランをつくるときの指示を含めた充実したものにするためには、そういう意味で非常によかったんじゃないかなというふうに思います。
また、調査員の基本調査の項目にあります、四肢の麻痺とか、拘縮、皮膚疾患、痴呆等の検証、これについても意見書に書き入れるようになっておりますから、そういう意味では非常によかったと評価しているんです。
ただ、今度は医師の方からいうと、これはもう非常に複雑になっているんです。私もここにこの意見書を持っていますけれども、平成八年度のは二枚です。今度は四枚になっている。しかも、今言いましたように非常に難しいことを書かなければいけない。そして、書くと同時に今度は責任をとらぬといかぬわけです、書いたことについては。
例えば、現在使っている薬剤の種類についてすべてを記入しなさいと書いてありますね。これ一つでも大変だと思うんです、いろんなところから調べないといけないわけですから。あるいは、いろんな検査をしておりますけれども、その検査についての所見を書きなさいというのがあります。あるいは、意識水準とか精神疾患、痴呆について何かがありますか、あるならそれについて具体的に書いてくださいという項目もできているんですね。それから、失語、失行あるいは失禁などについても具体的に書いてくださいというのがあります。それから、先ほど述べましたように、関節の拘縮だとか、あるいは欠損、麻痺、そういったものも図を書いて具体的に書けと、こういうようなのがあるんですよ。これは相当時間がかかる、一生懸命取り組めば。
これは、平成八年度のかかりつけ医の意見書の単価というのが三千円となっているんですよ。今、医療機関で書く診断料というのは三千円というのが大体最低なんです。それを九年度もこれだけふやして同じなのかなという疑問がありますけれども、それだと恐らくなかなかまじめに書かないし、書きたくないという医者ができるんじゃないかと思うんですが、その辺についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/229
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230・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 八年度、九年度とモデル事業を実施してきているわけでありますが、いずれもこれはモデル事業でございます。そして、八年度のモデル事業を通じて九年度の様式も改善をしていった、また九年度のモデル事業を通じて十年度に必要があればさらに改善を行う、こういうモデル事業でございます。そして、八年度はかかりつけ医師の意見書を書いていただくお医者さんには手数料三千円でお願いしたわけでございますが、今年度もそういう予算を組んでやっていただいているところでございます。
ただ、最終的に介護保険制度を実施してからどうするかというのは、これはまたいろんな意見書にかかわる実態などを踏まえて検討する必要があると思うんですが、現時点ではモデル事業でございますので、これで御理解を賜って協力をいただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/230
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231・田浦直
○田浦直君 お金のことだから余り言いませんけれども、ぜひ検討していただきたい。特に往診をするわけですよね、この場合。しかも検査をする。こういったのは医療保険からできるんですか。介護保険が導入されてもこれは半年に一遍書かないといけないということになっていますから、今はどうなのか。これは十一月ごろから始まるわけですね。だから、介護保険が導入されていないときはどうなのか。介護保険が導入されてからはそういったものはどの保険で面倒を見るのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/231
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232・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 現在、要介護認定のモデル事業で行っておりますのは、意見書の記入につきましては、高齢者が日ごろから診察してもらっているかかりつけ医師に診てもらうということでございますので、そういう意味で日ごろの診察を通じてその高齢者の状態がわかっている、そういう方にお願いしているわけでありまして、意見書を記入していただくに当たりまして改めて診察とか検査を行わなくても書ける人がこのモデル事業では書いていただいているということになります。
それから、モデル事業でございますので、かかりつけ医師がいないケースについては今回は対象にしないということでやっておりますので、かかりつけ医師がいるということでやっているわけでございます。
介護保険制度ができました後につきましては、かかりつけ医師がいれば今のような形でできるはずでございますが、いない場合には、法律上は市町村が指定する医師または市町村職員である医師によって診断を受けることとなるということになっておりまして、この際の費用の取り扱いにつきましては今後検討してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/232
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233・田浦直
○田浦直君 最後ですが、冒頭に戻りまして大臣に一言。私はこの介護保険を成功させるためには、一つはやはり情報公開を早くするということと、国民に対するPRを早くするということが必要だろうと思いますけれども、その点についてのお尋ねを最後にしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/233
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234・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) きょうは、お話を伺っていて、わかりにくい問題を実に整理していただいて、わかりやすく質問をしていただいてありがとうございました。今の一問一答を手際よく整理することによって、国民も、また医療関係者もこの介護保険の内容をより理解していただけるんじゃないかなと感じました。
今後、この介護保険制度の導入については、特に要介護認定というのは大変重要な点でありますので、この点について、いろいろな機会を利用して一般国民にも、そして医療関係者にも周知徹底、理解していただくよう努力をしていきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/234
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235・山本正和
○委員長(山本正和君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
午後四時五十二分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00619971106/235
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