1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年十一月十三日(木曜日)
午前十時一分開会
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委員の異動
十一月六日
辞任 補欠選任
牛嶋 正君 渡辺 孝男君
十一月十二日
辞任 補欠選任
渡辺 孝男君 牛嶋 正君
今井 澄君 朝日 俊弘君
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出席者は左のとおり。
委員長 山本 正和君
理 事
上野 公成君
南野知惠子君
浜四津敏子君
清水 澄子君
委 員
石井 道子君
尾辻 秀久君
田浦 直君
中島 眞人君
中原 爽君
長峯 基君
宮崎 秀樹君
牛嶋 正君
木暮 山人君
水島 裕君
山本 保君
朝日 俊弘君
西山登紀子君
釘宮 磐君
国務大臣
厚 生 大 臣 小泉純一郎君
政府委員
厚生大臣官房総
務審議官 田中 泰弘君
厚生大臣官房審
議官 江利川 毅君
厚生省健康政策
局長 谷 修一君
厚生省保健医療
局長 小林 秀資君
厚生省老人保健
福祉局長 羽毛田信吾君
厚生省保険局長 高木 俊明君
事務局側
常任委員会専門
員 大貫 延朗君
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本日の会議に付した案件
○派遣委員の報告
○介護保険法案(第百三十九回国会内閣提出、第百四十回国会衆議院送付)(継続案件)
○介護保険法施行法案(第百三十九回国会内閣提出、第百四十回国会衆議院送付)(継続案件)
○医療法の一部を改正する法律案(第百三十九回国会内閣提出、第百四十回国会衆議院送付)(継続案件)
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001・山本正和
○委員長(山本正和君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨十二日、今井澄君が委員を辞任され、その補欠として朝日俊弘君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/1
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002・山本正和
○委員長(山本正和君) 介護保険法案、介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
去る十一日、当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。
まず、高知班の報告をお願いいたします。浜四津敏子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/2
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003・浜四津敏子
○浜四津敏子君 第一班につきまして、御報告いたします。
派遣委員は、山本委員長、南野理事、石井委員、渡辺委員、西山委員、釘宮委員及び私、浜四津の七名で、去る十一日、高知市において地方公聴会を開会し、八名の公述人から意見を聴取した後、委員から質疑が行われました。
まず、公述の要旨について御報告申し上げます。
最初に、高知市長・高知県市長会会長・松尾徹人さんからは、新たな介護システムを整備することは緊急の課題であるが、国民健康保険の轍を踏まないように安定的で利用しやすい制度を確立すべきであること、超高齢社会における介護サービスはどこに住んでいても最低限保障されるべきナショナルミニマムとして確保されるべきであり、そのためには給付水準がどの市町村でも同レベルになるよう、制度発足までに基盤整備に必要な財政措置や人材確保措置を集中的に講ずるべきであること等の意見が述べられました。
次に、高知県医師会常任理事・山内昇さんからは、制度発足に際し一番心配されるのは介護基盤整備のおくれであり、保険あって介護なしの状態になると憂慮されること、厚生省の平成八年度モデル事業の調査票や要介護度分類については重大な問題があり抜本的な見直しが必要であること、療養型病床群は医療提供施設であるから病室や病棟単位での区分は必要ではなく、介護保険給付はあくまでも要介護者を対象として支払われるべきであること等の意見が述べられました。
次に、社団法人高知県看護協会理事・川添テル子さんからは、要介護度認定については迅速性、公平性、透明性の確保が必要であり、認定されなかったときの不服申し立てや苦情処理の体制整備と第三者機関によるサービスの質の評価を行うべきこと、ケアマネジャーの質の確保が重要であること、社会的入院の解消や予防のためのシステムとして二十四時間介護体制の整備を図るべきであり、医療、介護、福祉の一体化が図られるべきであること等の意見が述べられました。
次に、社会福祉法人土佐平成福祉会常務理事・水田武夫さんからは、介護に要する費用は保険ではなく公費、すなわち税金で賄い、最低限度の介護は国家責任で受けられるようにすべきであること、消費税を特定財源として公的介護保障制度を確立すべきであること、現在の保険制度による案では保険給付をめぐるトラブルの多発、不服審査の混乱は必至であること、介護サービスが必要なときは求めるサービスが素早く受けられるようにサービス供給体制の早期充実を図るべきこと等の意見が述べられました。
次に、老人保健施設あったかケアみずき施設長・和田節さんからは、介護の社会化に向けて制度の整備が緊急の課題であること、要介護認定の基準と方法については現時点主義の調査方法が独居生活者や痴呆症状に対する調査として適当であるかどうか問題であること、配食サービスなどの保険給付外のサービスに対する支援が必要であること等の意見が述べられました。
次に、高知県社会福祉協議会会長・中澤秀夫さんからは、法定保険給付基準額を下回る基準は公的介護保険の制度上疑問であり体制整備を急ぐことが肝要であること、山間僻地の要介護者の居宅介護サービス水準を確保する必要があり、コストに応じた介護報酬の設定が求められること、家族介護に対する介護報酬の支給を検討すべきこと等の意見が述べられました。
次に、高知医療生活協同組合訪問看護ステーションれいんぼー所長・小松桂子さんからは、要介護認定については認定手続が煩雑で時間がかかり過ぎること、介護手当を支給すべきこと、公費負担を増額して早急に新ゴールドプランを完全実施すること、認定基準を緩和し要支援の区分や六十五歳未満の疾病制限を撤廃すること、保険料滞納者に対するペナルティーを廃止し低所得者の保険料を免除すべきこと、利用料は原則として徴収すべきではないこと等の意見が述べられました。
最後に、豊寿園施設長・岡崎潔さんからは、特別養護老人ホーム等の福祉施設については引き続き国及び地方自治体の公費中心で整備すること、サービス水準を低下させないため介護保険制度導入後においても現行の措置基準等の水準を保障すべきであること、特別養護老人ホーム等の福祉施設に対する助成を存続させるなど十分な経過措置が必要であること、特別養護老人ホームはこれまでどおり社会福祉法人で運営されるべきこと等の意見が述べられました。
公述人の意見に対し委員より、保険でなく税でという考え方について、新ゴールドプランは達成可能か、要介護認定のモデル事業から得られた反省点や教訓、介護保険における家族介護の評価、高知市が実施している現行の福祉サービスは維持できるのか、介護保険の運営主体となる市町村の事務量及び財政負担増についての対策、高知市では要介護認定に係る苦情処理を行うことになるのか、未納者へのペナルティー実施について、介護保険制度の創設に伴う生活保護の受給や国民健康保険の滞納への影響、法案に不確定要素が多いことからくる関係者の不安の実情、一元化すべき特養ホーム、老健施設、療養型病床群のあり方など、多岐にわたる質疑が行われました。
会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。
以上で、第一班の報告を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/3
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004・山本正和
○委員長(山本正和君) 次に、甲府班の報告をお願いいたします。上野公成君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/4
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005・上野公成
○上野公成君 第二班につきまして、御報告いたします。
派遣委員は、清水理事、中島委員、中原委員、宮崎委員、木暮委員、水島委員、山本委員、今井委員及び私、上野の九名で、去る十一日、甲府市において地方公聴会を開会し、八名の公述人から意見を聴取した後、委員から質疑が行われました。
まず、公述の要旨について御報告申し上げます。
最初に、山梨県知事・全国知事会社会文教調査委員会委員長・天野建君からは、介護サービス基盤の整備のための財源確保について国の特段の配慮が必要であること、制度導入に伴う県の新たな事務の適切な遂行のため国の財政支援策が望まれること、市町村等の準備の円滑化のために公的介護保険制度の具体的な内容が早急に示される必要があること等の意見が述べられました。
次に、山梨医科大学神経内科教授・塩澤全司君からは、介護保険は高齢者のみならずすべての要介護者に適用されるべきであること、患者の要介護認定に当たっては状況の変化を踏まえ慎重に行う必要があること、医療と介護は表裏一体のものでいずれも病態の回復を願って行わなければならないこと等の意見が述べられました。
次に、医療法人高原会高原病院副院長・高原仁君からは、介護制度が福祉政策として受け入れられるためには受けるサービスに対する利用者の選択の自由をある程度保障しなければならないこと、負担の公平を実現させるためには社会保険料よりも税を財源とする方が望ましいこと、要介護認定に当たっては公平性の確保が不可欠であること等の意見が述べられました。
次に、自治労山梨県職員労働組合副中央執行委員長・樋川隆君からは、財政全体の配分を見直し税方式による公的介護保険制度の創設について検討すべきであること、福祉制度として介護保険制度を創設するのであればすべての要介護者を制度の対象とすべきであること、在宅介護を支えるヘルパーの供給量を増加させる必要があること、家族介護を適正に評価し現金給付を行うべきであること等の意見が述べられました。
次に、全国保険医団体連合会常任幹事・上所洋君からは、低所得者に対する利用料の廃止や保険料の減免措置が必要であること、給付範囲を要介護、要支援を問わずすべての入所を必要とする人に広げるべきであること、介護供給基盤の整備にまず取り組むべきであること、保険料滞納者等への制裁措置条項を削除すべきであること等の意見が述べられました。
次に、山梨県社会福祉協議会常務理事・酒井健吉君からは、ホームヘルプサービスや訪問看護などの給付の額の設定に当たり地域の特殊性に配慮すること、ケアプランを作成する介護支援専門員の資格要件を明確にして法的に位置づけること、高齢者の福祉サービスのための財政的な支援について考慮すること、特別養護老人ホーム等への入所者の範囲を明確にすべきであること等の意見が述べられました。
次に、社団法人山梨県医師会会長・溝部孝二君からは、要介護認定審査会は地域の開業医が委員長となり会務を総理、指導すべきであること、要介護認定に当たっては要介護者間で不満が出ないよう配慮すべきであること、介護保険制度の内容が明らかになるよう情報の開示を早く行うべきであること等の意見が述べられました。
最後に、社団法人山梨県看護協会会長・望月弘子君からは、県、市町村の福祉行政分野に看護職を登用すること、介護認定審査会の委員に看護職を登用すること、市町村介護保険事業策定委員会を設置すること、要介護認定への不服申し立てや苦情処理体制を整備しサービスの質を確保すること、医療依存度の高い利用者の訪問看護などについて医療的部分の給付に配慮すべきであること等の意見が述べられました。
公述人の意見に対し委員より、公的介護制度の必要性、山梨県老人保健福祉計画の費用とその達成見通し、公的介護保険制度導入に伴って増加する山梨県の事務量と費用の試算、山間部地域に対する支援のあり方、公的介護制度の財源問題における税方式と社会保険方式の比較、保険料負担の公平を維持しつつ低所得者に配慮するための方策、要介護認定に対する信頼性の確保とかかりつけ医の関与の必要性、我が国の実情に即した要介護認定審査項目の必要性、医療保険と介護保険の適用範囲、公的介護保険制度導入に伴い潜在的介護ニーズが顕在化する可能性、介護マンパワーの確保と民間参入、成年後見制度導入の必要性、地域病院の位置づけと公的病院の役割など、多岐にわたる質疑が行われました。
会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。
以上で第二班の報告を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/5
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006・山本正和
○委員長(山本正和君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
午後零時三十分まで休憩いたします。
午前十時十二分休憩
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午後零時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/6
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007・山本正和
○委員長(山本正和君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
介護保険法案、介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/7
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008・釘宮磐
○釘宮磐君 まず、質疑の順番について御配慮をいただきましたこと、お礼を申し上げたいと思います。
介護保険法の審議もかなり回数を重ねてまいりまして、一昨日は山梨、高知において地方公聴会も持たれました。私は、率直に、この地方公聴会に出席をして感じましたのは、皆さん非常に関心が高い、それとよく勉強なさっているという感じを持ちました。
とりわけ、この委員会の中でも議論がなされてまいりましたが、政省令にゆだねる部分が非常に今回の法案は多いわけでありまして、今後厚生省令で細部を埋めていくわけでありますけれども、その際にはぜひこうした地方の声、現場の声を十分に勘案をして、今後の実施に向けて、厚生省としての努力をお願い申し上げたいと思います。
まず、先般の地方公聴会の中で出てまいりました件で一点確認をさせていただきたいと思うんです。施設サービスはとりわけ特養、さらにはデイサービスというようなものは既にもういわゆる福祉という分野で始まっているわけでありまして、これが介護保険の導入によって大きく変わるんではないか。そのことに対する不安が非常に大きいということを私は過去の委員会でも再三再四申し上げ、その都度確認をしてまいったわけであります。一昨日の公聴会の際にも、高知の岡崎参考人とのやりとりの中で、いわゆるデイサービス事業について、平成十年度から現行の委託補助方式から介護保険の準備のために出来高払い方式に移行するというようなことが厚生省の方から県あたりに流されている旨のことが報告をされました。その件について、今まで委託補助で定額、デイサービスの場合は幾らだったですかね、金額はちょっと今定かではありませんけれども、いただいているものが来年から一度になくなるんではないかというような危惧を持たれているようであります。
まず、このデイサービス、平成十年度からどういうふうな形で移行をし、そして介護保険の施行につなげていくのか、その点についてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/8
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009・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 日帰り介護、いわゆるデイサービスについてのお尋ねでございますけれども、介護保険が導入をされますと、やはり当然のことながら、利用されます要介護老人の方々にとりまして適切にして効率的なサービス提供ができるような体制整備ということが大変大事になってまいります。
そういった観点に立ちまして、介護保険制度の導入を展望しながら、平成十年度から、これからでございますけれども、十年度から利用者の要介護度だとかあるいは利用実績に応じました補助というようなことをその中に入れていく事業費補助方式というものの導入を現在検討いたしております。そうすることによりまして、それぞれいいサービスをいかに効率的にやっていただくかという誘因と申しますか、こういったものが働くような仕組みということを心がけていかなければならないと思っております。
しかし、そのことによりまして、今の先生お話のありましたような御懸念で、そういう一生懸命やっておられるところの事業運営が適切に行われないというようなことになっては困りますので、そういった適切な事業運営が行われるようなところには当然現行の場合と遜色のない運営費が行くように、経営ができなくなるというようなことのないような、そういった方向での事業費の単価なりの設定ということは当然踏まえてやっていかなければならないと思っております。
そういったことを踏まえて、これから、十年度に向けてでございますけれども、検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/9
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010・釘宮磐
○釘宮磐君 そうすると、いわゆる事業費補助方式というものに移行する際に、ある意味では現行の委託補助方式との選択というようなことを考えておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/10
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011・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 介護保険導入後におきましては、当然今度はそれぞれサービスを受ける人のいわば要介護度に応じてその人のいわば持ち点といいますか限度額が決まってやってまいりますから、それに対応した姿に持っていく。一つはそこをいかに円滑に進めていくかという観点でございますから、先生の今のお尋ねに端的にお答えするとすれば、これからの検討でございますけれども、一挙にではなくてある種の選択でまずやっていくという段階は踏んでいくべきかなと。それが一つと、それから、事業費補助に切りかえました場合にも、その単価の設定ということについては、今度は経営のサイドとして、このぐらいの人が入ってこのくらいの稼働をすればこのくらいはちゃんとやれるはずだというところを踏まえながらやりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/11
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012・釘宮磐
○釘宮磐君 ソフトランディングをさせるという意味では、そういう経過措置はぜひ御配慮いただきたい。
皆さん、介護保険に移行するということについてはもう十分心の準備はできているわけですけれども、現実に今預かっている、デイケアに通ってきている方を、平成十年から変わったから、じゃ、あしたから来てはいけませんよというわけにはなかなかまいらない。だから、そういう意味では、入所の特養あたりで五年間の経過措置があるように、少なくともデイについては、十二年度のスタートまでのある程度の準備期間というものは、施設運営に支障を来さないような形の中でぜひお願いをしたいと思います。
それとあわせて、在宅介護支援センターがやはり同じような問題をはらんでおりまして、これは在宅介護支援センターの場合は人件費補助が主であります。したがって、これがいわゆる事業費補助というような形になれば、ある意味では今一千八十万ですか、定額補助ですが、これが半減ないしは三分の一ぐらいになるんではないか、そうなるとあしたからやっていけないんだというような疑問もありますが、それについても同じような考え方でよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/12
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013・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 在宅介護支援センターは、介護保険ができますというと、非常に大きな役割をむしろ担っていただかなければならないだろうというふうに思います。介護保険のいわば担い手としての側面と、同時に介護保険の給付の対象となりませんようなもっと幅広い老人保健福祉対策のいわば調整役、あるいは情報を流し、またそういったニーズ、実態の需要を把握をする、そういった役割を担っていただくという意味で非常に機能強化はこれからも一層大事だと思っております。
大きな業務として言えば、相談業務がございますし、それから、今のような情報を流す業務もございます。それから、サービスの連絡調整をして、その調整をするというような業務がございます。それと、地域の実態、ニーズをどう把握するかという業務がございます。
こういったことがむしろより十分に発揮をできるような体制にするにはどういう補助金の出し方をすればいいだろうかという観点から考えまして、そういった中で今の事業費補助というようなやり方を一部導入していったらどうだろうということで着目をしておりますのは、今の中でいえば、実態把握というようなところを一生懸命実態把握をやっていただけばその分だけちゃんと出てきますよと、そういう施策とニーズ等をつないでいくという点が今後やはり非常に大事になってくると思いますので、そういった部面を中心に、補助方式について、事業実績に基づく補助の一部導入ということを検討してはどうかということも、これも今検討いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/13
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014・釘宮磐
○釘宮磐君 どうぞよろしくお願いをしたいと思います。
それでは、きょうは介護保険にかかわる障害者の問題、それから介護保険の水準等についてお伺いをしてまいりたいと思います。
まず、介護保険における障害者、特に若年障害者の問題について質問させていただきたいと思います。この問題については今回までに既に論議が行われてきたところではございますが、まず、今回若年障害者を介護保険給付の対象外とした理由について改めて聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/14
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015・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険の適用対象者をどうするかと、これは関係審議会でも大分議論になったところでございます。
障害者につきましては障害者プランで施策を進めておると、これと介護保険の給付サービスとの関係をどうするかという議論でございます。これにつきましては、障害者プランに基づいてやるべきだという意見もあり、あるいは一方で介護保険でやるべきだという意見もある、まだ関係者の意見も分かれているという状況でございます。
障害者プランは二〇〇二年までございますので、そういうことも踏まえまして、今回は基本的に障害者は障害者プランでやると。しかし、四十歳から六十五歳までの人は被保険者になっていただきますので、その人たちの例えば初老期痴呆であるとか脳血管障害による障害であるとか、そういう高齢化に伴うような障害につきましては介護保険の適用対象にしようと、そういう整理をしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/15
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016・釘宮磐
○釘宮磐君 この点についてちょっと大臣にお伺いをしたいんですが、今回、若年障害者については、いわゆる障害者プランの完全達成ということをまず優先させて、介護保険のいわゆる給付対象から外そうということであります。このことについて私自身は、まず福祉施策の拡充を優先させるべきだという観点からある程度理解を示しているんですが、ここで私が懸念をしておりますのは、今、財政構造改革が参議院で審議されておりますが、この枠の中で今後この障害者プランの完全達成、拡充が非常に不安になってきているわけです。そこで、その点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/16
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017・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 障害者に対しては介護保険が導入されようがされまいが対策は講じていかなきゃならないということで、障害者プランの中で今までの計画を整備していく中で対応していこうということで、介護保険とは切り離しております。
今後、障害者プランに支障がないようにこの財政状況が厳しい中でも対処していかなきゃならぬということで、全体としては、厚生省予算、厳しい削減をしていきますが、障害者プランに対しましては必要な予算を確保するように伸び率等は重点的に対処していきたい、そしてこの障害者プランの達成に支障がないように最善の努力をしていきたい、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/17
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018・釘宮磐
○釘宮磐君 午前中の財政構造改革法案の審議を見ておりまして、八千五百億の自然増に対して三千億まで抑え込むというようなことで、この財源すら今のところ非常に厚生省としては苦慮しているというふうに私は認識をしているわけです。そういう中で、今、大臣から改めて障害者プランの完全達成についてはこれを最優先させるというような決意をお伺いしたので、私としてはその言葉を重く受けとめさせていただきたいと思いますが、ぜひその点についてはよろしくお願いを申し上げたいと思います。
同時に、今回、給付対象から外されたその若年障害者の問題の中で、いわゆるALSを初めとする難病患者の皆さんの切実な要望が出てきております。私はこのことはよく理解できるのでありまして、要するに難病患者に対する福祉施策が障害者プランのスタートに合わせてようやく日の目を見たような状況でありまして、そういう意味では難病患者に対する介護福祉サービスの整備拡充ということは極めて急務であるというふうに思います。この点について、厚生省としては今後どういうふうに進めていこうとなさっておられるのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/18
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019・小林秀資
○政府委員(小林秀資君) 難病患者さんの中にも、実は大変症状の重い方、またさほど重くないという方もいらっしゃいます。それは医学の進歩が背景にあったということだと思うのでありますけれども、そういうことで状況の変化を来しておりますので、実は公衆衛生審議会の中に専門委員会を設けまして、今後の難病対策のあり方ということを御審議いただきました。
その中で、難病の対策はもっと重症患者に重点を置いた施策の充実ということが大事だということを言われておりまして、それで制度の全般的な見直しを今行っているところでございます。具体的には、ALS等の重症患者に対しましては、重症難病拠点病院の確保だとか訪問看護等の充実、それから施設、在宅を通じた療養環境の整備というものを行いまして、患者、家族の負担の軽減を図ることにしたいと思っております。そのために必要な予算として、今回新たに約二十一億ほどの予算要求を今行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/19
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020・釘宮磐
○釘宮磐君 今回、難病患者の皆さん方から、特に介護保険のスタートに当たってこの給付対象に掲げるべきだという強い要望があったことは、いわゆるこういう方に対する福祉施策というのが非常におくれていたということだろうと思います。私は、そういう意味では、障害者プランの完全達成の中でこの難病患者に対する介護福祉サービスというのをぜひ力強く進めていただきたい、このことはお願い申し上げておきたいと思います。
次に、身体障害者やその他療護施設等に入所している方の取り扱いについてお伺いをしたいと思います。今回の介護保険法施行法では、当分の間、身体障害者福祉法の規定により、身体障害者療護施設に入所しているもの等、厚生省令で定めるものについては、介護保険の被保険者としないこととしております。その理由は何なのか、まずお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/20
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021・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 御指摘の規定を置きました理由でございますが、身体障害者療護施設等におきましては、特別養護老人ホームと同じような介護サービス水準が確保されているわけでございます。そして、その施設にはずっと入所して、将来的にも介護保険で対象となっている施設に移るということはないだろう、そういうことが想定されることにかんがみまして、介護保険の被保険者の適用除外としたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/21
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022・釘宮磐
○釘宮磐君 そうすると、この方たちは保険を払わなくていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/22
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023・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 保険料の負担はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/23
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024・釘宮磐
○釘宮磐君 それでは、さらにお伺いしますが、この療護施設に入所しているもの等という等の部分ですね。これは具体的にどういう人を対象として考えているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/24
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025・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 具体的な範囲につきましては今後検討してまいるところでございますが、例えば重症心身障害児施設のようなものが想定できるのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/25
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026・釘宮磐
○釘宮磐君 そうすると、現在の知的障害者、さらには精神障害者あたりについてはどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/26
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027・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 精神薄弱者更生施設や精神病院入院患者ということだと思います。
これらの施設につきまして、具体的な対象範囲になるかどうか、これは今後検討していくということでございまして、先ほど申し上げましたように、ずっと入所し続ける施設なのかどうか、そういうことがポイントだと思います。そういう観点から、施設の入退所の実態等を踏まえながら検討させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/27
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028・釘宮磐
○釘宮磐君 そうすると、これらの障害者施設に入所している人が、例えば在宅に戻ったりそれから高齢者の施設に入院入所した場合、この場合は介護保険からの給付はどうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/28
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029・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 先ほどの例にありました、例えば身体障害者療護施設に入っている方が何らかの理由で退所をするということになりますと、その段階で、高齢者ということが前提でございますが、介護保険の保険料を納めていただきますし、介護保険の適用になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/29
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030・釘宮磐
○釘宮磐君 それでは次に、介護保険のサービスの水準についてお伺いをしたいと思います。
老人保健福祉審議会の議論の経過を見てみましても、今回の介護保険の制度設計に当たっては、どのサービスを介護保険の対象にするかといったような各論から入っているように思えてなりません。制度設計そのものの中で、サービス水準のあり方や家族の位置づけ等の理念についての議論が少なかったように思われるわけであります。
こうした中で、老人保健福祉審議会の最終答申が、「一人暮らしや高齢者のみの世帯でも、できる限り在宅生活が可能になるよう二十四時間対応を視野に入れた支援体制の確立を目指す。」というふうにうたっておる、このことは私は評価をしたいというふうに思うわけです。しかし、現実の市町村における介護基盤の整備状況や月額二千五百円という保険料水準でこれを実現することが果たして可能なのかという疑問を私は持つわけであります。
そこで、改めて介護保険の給付水準について、厚生省としてはどのような目標を持っておられるのか、この点について聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/30
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031・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 先生が御指摘になりました審議会の答申にありますような形で、例えば高齢者夫婦世帯で、一方が寝たきりになっても在宅で自立した生活が送れるようなサービス水準を目指す、これが目標でございます。直ちにそこの目標に達していないということも十分あり得るわけでございますが、介護保険法ができましたら介護保険事業計画をつくりまして、そういう目標に向けて基盤整備を進めていきたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/31
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032・釘宮磐
○釘宮磐君 ちょっと今の答弁ではよく理解ができないんです。
要するに、二千五百円というその保険料水準、さらには市町村の今の状況というものを考えたときに、多分二〇〇〇年のスタート時点では厚生省が目指している保険水準というのは達成できないんだろう、だから大体どの程度の時点でどういう介護をこの介護保険では保障しようとしているのか、その点について聞きたかったんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/32
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033・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) どの時点というのを明確に申し上げるのは、基盤整備に従っていきませんと大変難しいわけでございますが、いわゆるサービス水準としましては、先ほど申し上げましたような、高齢者夫婦でありましてもどちらか寝たきりになっても家庭で生活できるように、いわゆる支えていけるような体制をつくると。
そして、全体としましては、二〇〇〇年段階では要介護、要支援者を含めて二百八十万人ぐらい対象者があり得るだろうというふうに見込んでいるわけでございまして、そのうちの寝たきりになる要介護者の半分ぐらいは施設、これが大体二百八十万の半分ぐらい、百四十万人ぐらいいるわけでございますが、その半分ぐらいは施設に収容できるように、施設で生活できるようにと、特養であるとか老健であるとか療養型病床群であるとか。あとにつきましては在宅サービスになりますが、この在宅サービスは、現在の新ゴールドプランを達成しましても皆さんがフルにサービスを利用するという水準と比較しますと四〇%程度のサービス量になっているだろうと。
これを私どもの介護費用の推計で申し上げますと、十年後を目標にしているわけでございますが、その十年後における寝たきり老人等の人数、二〇〇〇年においては施設と在宅が半分半分と考えておりましたけれども、施設を四割ぐらい、在宅重視という意味で在宅をふやしていく。そして、在宅のサービス量につきましては、全員がフルに利用するということを想定して八〇%ぐらいの水準を目指すと。そういうことになりますと、大体、いわゆる高齢者夫婦世帯におきまして片方が寝たきりになっても十分支援できる体制になるのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/33
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034・釘宮磐
○釘宮磐君 私は介護保険のサービス水準というものに何で固執するかといいますと、これから保険がスタートをして、国民の中には非常に大きな期待を持っている、ある意味では過大な期待を持っている人すらおるのではないか。それだけに、この水準そのものがある意味では期待外れに終わったときに、保険そのものを掛けるのをやめる人とか、そういう人が出てくるんじゃないか。そこのところを心配しておるものですから、その点について私としては、厚生省として大体こういうものだと、しかもそれは何年ぐらいにはできるんだというようなことを示すべきではないのかなということを感じておるわけであります。
大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/34
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035・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) その点は多くの方が心配しておられる点だと思います。保険あってサービスなしという点が何回も当委員会でも言われましたし、我々としてもこの制度を導入するからには、多くの方に、やっぱり保険に入ってよかったな、あるいは必要だなと思われるような、できるだけ低い保険料そして適切なサービスをどうやって提供していくかということが非常に重要だと考えまして、今後今言われたような心配がないように、事前の準備、そして導入されてからも各地方自治体関係者の意見をよく聞いて、この制度が定着するように、また多くの方から協力が得られるような体制を整備していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/35
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036・木暮山人
○木暮山人君 平成会の木暮でございます。介護保険法等三法案につきまして質問いたします。
法案については、既に同僚委員からさまざまな角度から質問されてきました。問題は山積しており、詰めるべき事項も多数あります。本日は、こうした諸課題の中から、歯科医療との関連に絞って質問いたしたいと思います。
改めて申し上げるまでもなく、寝たきりの高齢者にとってそしゃくしたり食べたりする機能を向上させることは、その全身状態を向上させ、同時にその生活の質を高める上で非常に重要な意味を持っております。しかし、現在審議されている介護保険法案においては、全般的にこうした口腔ケアの重要性に対する認識が薄いように思われます。
介護保険における口腔ケアの重要性及びその位置づけについて、まず厚生省の基本的な見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/36
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037・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護高齢者の生活を支援するために口腔の衛生管理も重要な要素だというふうに考えておりまして、口腔管理上必要がありましたら介護サービス計画を通じて、施設の場合でありましても在宅の場合でありましても、適切な口腔管理指導が行われるようになっているところでございます。
例えば、在宅におきましては居宅介護サービス計画に居宅療養管理指導を盛り込みまして、かかりつけの歯科医師等による高齢者の口腔衛生管理に携わっていただく、あるいは施設におきましては口腔衛生管理を含めた施設介護サービスで対応してもらう、こういうようなことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/37
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038・木暮山人
○木暮山人君 具体的にお伺いします。
現在の介護法案では要介護認定に当たってかかりつけ医師の意見書を求めておりますが、寝たきりのお年寄りが歯科診療を受けている場合にはかかりつけの歯科医の意見も求める必要があるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/38
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039・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護認定は、その人の全体的な介護サービスをどのぐらい必要とするか、そういう状況を把握するものでございます。そういう観点から介護認定審査会にかけるわけではございますが、調査員が訪問調査をして心身の状況を調べるほか、かかりつけ医師の意見書をいただくということになっているわけでございます。全体的な状況という意味ではかかりつけ医師の意見書をいただくということでよろしいのではないかというふうに思っているわけでございますが、今年度やりますモデル事業におきましては、そのかかりつけ医師の意見書の中に歯科を初めとして他科の、他の分野の医療を受けているかどうかというようなことも記入をしていただくということになっているわけでございます。
また、要介護認定に当たって必要がありましたら主治医の医師の意見を聞くことというふうにされておりますので、こういう必要がありましたときに、そういう歯科医療の分野だけに限らないわけでございますが、各分野の医学的な意見が必要と考えるときには医師からも意見を聞けるような形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/39
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040・木暮山人
○木暮山人君 しかし、今のお話であるならば、歯科の問題の記入欄というものがあってしかるべきだと思うのでございますが、この記入欄については今のところちょっと見当たらないのですが、それはどんな意味を持っているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/40
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041・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) かかりつけ医師の意見書の中の様式では、歯科を含めた他科の受診の有無についてのことだけでございます。それから調査項目につきましては、口腔清潔に関することが、これは調査員が調べることでございますが、そういう項目が含まれているということでございます。ですから、記入要領の中ではその二点ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/41
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042・木暮山人
○木暮山人君 もう一つ加えまして、口腔状態を記述する欄がないということと、在宅歯科医療の受療状態や歯科訪問診療、訪問歯科衛生指導等の必要について記述する欄もありません。こうした点は口腔管理の重要性から考えると極めて不十分であると考えますが、いかがなものでしょうか。
また、最低限、歯科医師や他科の専門医への紹介の必要性の有無についてもチェックする項目を設ける必要があると思いますが、御意見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/42
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043・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護認定の際には、その人の全身的な要介護状態を把握する、そういう意味でかかりつけ医師による総合的な評価をしていただきまして、それと調査員の意見書とで要介護認定をしていただくということになっておるわけでございます。
具体的にどういうサービスをその人に提供していくことが必要か、これは介護サービス計画をつくるときに重要になるんだと思います。そういうときにその人の口腔管理も必要であるということになりますと、その介護サービス計画の中にそれを書き入れて適切なサービスを提供する、そういうことを考えていくことになる、そういう仕組みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/43
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044・木暮山人
○木暮山人君 介護認定に当たって、認定審査会は必要があると認めるときは主治医とその他の関係者の意見を聞くことができるとしておりますが、その他の関係者に歯科医が含まれていることを明示すべきではないでしょうか。
また、仮にかかりつけ歯科医の意見書を求めていない場合には、審査及び判定に当たり歯科医師の意見を聞くことを必須の要件とすべきではないかと思いますが、御所見をお伺いします。
また加えて、認定審査会のメンバーに歯科医師、歯科衛生士等を口腔ケアの専門家として参画させていく必要があると思いますが、この点についてはいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/44
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045・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護認定におきます認定審査会は、高齢者の介護の必要度を審査、判定するところでございまして、保健、医療、福祉の学識経験者がメンバーになっているものでございます。
その委員につきましては、高齢者介護について専門的な学識経験を有する、その役割を十分果たせるという方を選定していただくわけではございますが、歯科医師とかにつきましてもそういう観点から委員として活躍できる方であれば認定審査会の委員の対象になり得るわけでございます。これは、市町村が介護認定審査会を設置するときに人選をするということになります。
また、介護認定審査会に歯科医師がいないような場合でありましても、必要な場合があれば歯科医師から意見を聴取することは可能となっているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/45
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046・木暮山人
○木暮山人君 認定審査会は、必要があると認めるときは被保険者の要介護状態の軽減や悪化の防止に必要な療養に関する事項について市町村に意見を述べることができるとされています。これは口腔管理指導に関する事項に当然含まれると理解しておりますが、この点を確認させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/46
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047・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護認定審査会が市町村に療養上の留意事項等を意見として述べることができるわけでございますが、先生の御指摘のような分野、例えば脳梗塞の後遺症で嚥下機能が低下している要介護者、要介護高齢者に対しまして、その軽減あるいは悪化防止、そういう観点から、居宅療養管理指導による管理が必要である旨、あるいは介護サービスを提供する上で留意すべき点として、食事摂取の介助の際に間違って飲み込むというようなことがないように注意するとか、そういう口腔領域につきましても必要な意見を付すことができるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/47
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048・木暮山人
○木暮山人君 ケアプランの作成に関してお伺いいたします。
まず、介護支援専門員の資格についてでありますが、介護支援専門員は、医師、歯科医師、薬剤師、保健婦、看護婦、OT、PT、社会福祉士、介護福祉士等の保健、医療、福祉の専門職であることが求められておりますが、ここで言う専門職には歯科衛生士は含まれていると理解してよろしいでしょうか、お伺いいたします。また、含まれるのであればこの点を明示すべきではないかと思いますが、いかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/48
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049・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 老人保健福祉審議会の最終報告におきまして、先生がただいまお話になりましたことが指摘されているところでございます。
これを受けまして、さらに専門家の方々から成る検討会を設けまして、制度の円滑な実施のためには一体どうしたらいいかと。相当数の介護支援専門員の養成が必要でございますので、そういう意味で、現在現場で活躍している方々で能力のある方につきましては幅広く養成の対象にしていくべきである、そういう提言を専門家の方々から成る検討委員会でいただいているところでございます。
具体的な対象者につきましては検討中でございますが、現在の介護の現場で活躍している者で能力がある者、そういう者につきましては幅広く対象とすると、そういう方向で検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/49
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050・木暮山人
○木暮山人君 そういたしますと、歯科衛生士、これは能力があるというだけの表現でいくわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/50
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051・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) いわゆる介護の現場で介護というものについて現に携わっておる、そして介護支援専門員としての勉強、研修をしておる、そういう方につきまして養成をしていくということでございます。したがいまして、介護支援専門員は、そういう方々に一定の知識があるかどうか試験を受けていただいて、それで一定の知識がある方に研修を積んでいただいてなっていただくということでございますので、そういう意味で対象者、候補者としましては幅広く考えていくことが適当だろうということでございます。
具体的には今後詰めまして、その対象者の範囲というものを明確にしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/51
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052・木暮山人
○木暮山人君 そういたしますと、現在歯科の衛生士の教科課程のカリキュラムの中にはこういうものを大きくうたっていないわけですね。そうしますと、やはり卒業しまして資格を取ってから経験を経て、それでその中から試験をして採っていくんだと、指定していくんだと。これを逆に、せっかくいる歯科衛生士でありますから、どこかカリキュラムの中に必要なことを盛り込むわけにはいかないものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/52
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053・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護支援専門員はいろいろな機能があるわけでございますが、例えば要介護者のためにいろいろな介護情報を提供したり、それから介護サービス計画をサービスを提供する人たちと相談しながらまとめていくと、そういう仕事をするわけでございます。
そういう意味では、それぞれの専門の勉強のほかに違った角度の知識が要りますし、また介護そのものにつきまして実務経験、こういうものを持っていることが必要なんだろうと思うわけでございます。そういう観点から、介護支援専門員の候補者に一定の試験を受けていただいて、その上で必要な研修を受けていただく、そういう形で介護支援専門員を養成したいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/53
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054・木暮山人
○木暮山人君 これに関しましての質問でもないみたいですけれども、せっかく今話が出たものですから、介護保険法そのものの中身、こういうのができますと、今のところはいろんな面でまだまだ欠陥がたくさんあるみたいでございます。しかし、私はこれは必要な法律だとは思います。
それについて、これを改善し、直していくのに審議会というものがいろいろ厚生省の中には今からできていくと思うんです。今、厚生省でお考えの審議会、これは幾つぐらい想定されているか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/54
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055・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険法を実施する関係でいろいろと諮る審議会は、今回新しくできました医療保険福祉審議会、その中に老人保健福祉部会というのがございますので、そういう部会にかけていくことが基本になると思います。
そのほか、この実施の関係で他の審議会でも絡んでの議論があり得るとは思いますが、中心になりますのは、今の医療保険福祉審議会でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/55
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056・木暮山人
○木暮山人君 次に、寝たきりの要介護高齢者が十分な口腔ケアを受けることができるかどうかは、ケアプランを策定する介護支援専門員の認識によるところが大きいと思います。しかし、現在の養成研修のカリキュラムではこの点が極めて弱いのではないかと思います。
介護支援専門員の試験及び研修課程において口腔ケアの必要性を十分認識させるような配慮が必要と考えますが、厚生省の御意見はいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/56
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057・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護支援専門員に必要な基礎的な知識につきましては、標準テキストというものをつくりまして、介護保険制度であるとか要介護認定でありますとか、介護サービス計画の内容あるいは広く保健・医療サービス、福祉サービス、そういうものを総合的に網羅したテキスト、これを今まとめているところでございます。
要介護者等に係る口腔ケアにつきましても、その重要性にかんがみまして、テキストの中でかかりつけ歯科医師による口腔管理や指導等につきまして位置づけるということにしているところでございます。そういうことで、テキストの中に位置づけて、それを介護支援専門員になる方に勉強していただくということになっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/57
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058・木暮山人
○木暮山人君 そのテキストそのものは教科課程の点から見ますと何単位、どれぐらいの時間なものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/58
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059・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 勉強という意味では、そこは何というんでしょうか、テキストをもとに自分で勉強していただくということでございます。つまり、介護支援専門員の養成は標準テキストをつくりまして、このテキストをきちんと理解すると大体関係の知識について勉強することができると。そういうことを勉強したというのを前提に都道府県の実施する試験を受けていただきまして、そして一定の知識を持っている方を研修をして養成していくということでございまして、テキストに基づく勉強自身は養成研修プログラムの中に入っているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/59
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060・木暮山人
○木暮山人君 一般に歯科の重要性についての認識が薄い現状で、実際のケアプランの策定に当たり歯科医師や歯科衛生士等口腔ケアの専門家の参画が必要であります。在宅のケアプラン策定機関の施設におけるケアカンファレンスに歯科医の専門家を参画させる仕組みをつくるべきであると考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/60
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061・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 在宅の要介護者に対します介護サービス計画をつくりますときには、実際にサービスを提供する方々に入っていただきまして介護サービスの担当者会議、こういうものを開きまして、そこで介護サービス計画を決めていただくということになるわけでございます。また、施設の場合におきましても、同じようにサービスを担当する方々におきます担当者会議において介護サービス計画をつくるということになるわけでございます。
この介護サービス担当者会議は、要介護者の必要な需要、解決すべき課題、こういうものを明らかにして、それに応じて必要な介護サービスを提供する、そういう提供できるような計画をつくるというものでございます。実際に、会議には当該要介護者のサービス提供に携わる方々がメンバーになりますので、その要介護者が歯科医師による口腔管理や指導が必要な場合には、当然歯科医師もそのメンバーになって介護サービス計画をつくっていただくということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/61
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062・木暮山人
○木暮山人君 例えば、訪問診療を行った場合に、歯を削る等の治療を行った場合、あるいは同じ内容の治療を改めて外来に来ていただいて行った場合等、治療処置にかかわる部分は介護保険の給付の対象になるのでしょうか、あるいは医療保険の給付の対象になるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/62
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063・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 訪問歯科診療の際に、介護保険に定められます居宅療養管理指導以外の歯科医療行為を行った、そういう場合につきましては医療保険で給付をするということになります。訪問診療によって行われた歯科医療でありましても、また外来診療によって行われた歯科医療でありましても、歯科医療の部分は医療保険によって給付をするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/63
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064・木暮山人
○木暮山人君 介護サービスの内容についてお伺いします。
介護保険では、歯科医師等による口腔管理についても居宅療養管理指導として位置づけられるようになりますが、具体的にはどのようなものがこれに含まれることになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/64
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065・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険におきます居宅療養管理指導の一つとしまして、歯科医師により行われる療養上の管理及び指導、こういうものがあるところでございます。かかりつけ医師、かかりつけの歯科医師による口腔管理指導のうち要介護者の自宅に赴いて行われる基本的な歯科医学的管理、こういうものが給付の対象になるのではないかというふうに考えております。その詳細につきましては、審議会で御検討いただきまして、それを踏まえて定めてまいるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/65
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066・木暮山人
○木暮山人君 では再度、介護保険では歯科医師等による口腔管理指導についても居宅療養管理指導として位置づけられることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/66
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067・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) ただいまお答えしたこととちょっと重なるかもしれませんが、介護保険におきます居宅療養管理指導の一つとしまして、歯科医師によって行われるものでございますが、それはかかりつけの歯科医師によります口腔管理指導、これは現在医療でも認められているところでございますが、そういうもののうち基本的な歯科医学管理部門、こういうものが介護保険で見ていく部分だろうと、それを超えた治療のような部分になりますとこれは医療保険で見ていただく、医療保険の対象で、医療保険として給付するということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/67
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068・木暮山人
○木暮山人君 条文では、居宅療養管理指導は「医師、歯科医師、薬剤師その他厚生省令で定める者により行われる」とされていますが、「その他厚生省令で定める者」とは具体的にだれを想定しているのでしょうか。歯科衛生士はこれに含まれているのでしょうか、そして訪問歯科衛生指導は介護保険の対象となると理解してよいのでしょうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/68
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069・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 居宅療養管理指導を行う人の範囲のお話でございます。歯科衛生士による訪問歯科衛生指導、こういうものが介護保険における居宅療養管理指導等に位置づけられるのかどうかということでございますが、口腔衛生管理の内容とか実態等も踏まえまして、これも関係の審議会などの意見も聞いた上で、居宅療養管理指導に訪問歯科衛生指導が位置づけられるかどうか検討させていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/69
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070・木暮山人
○木暮山人君 歯科医はこれまではともすれば診療所にいて、そこに来る患者さんを診るのに忙殺されております。しかし、これからは歯科医も積極的に地域に出ていく必要があると思います。しかしながら、以前、私が本委員会で問題提起をさせていただいたように、在宅の歯科医療には一定の限界があることも事実であります。厚生省は在宅の歯科医療の限界についてどのような認識でおられるのでしょうか。
また、訪問歯科の限界を踏まえて、寝たきりの患者さんを歯科診療所まで運ぶ搬送サービスについてその位置づけを明確にする必要があるのではないかと思いますが、御所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/70
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071・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 通院が困難な在宅の寝たきり老人の方に対します歯科治療につきましては、従来から老人診療報酬におきまして評価をしてきているところでございます。例えば在宅寝たきり老人に対する計画的な歯科医学管理を評価した寝たきり老人訪問口腔指導管理料、それから訪問診療時の歯冠修復または欠損補綴を行った場合の加算、切削器具及び周辺装置を訪問先に携行して必要な処置を行った場合の加算などがあるわけでございます。
介護保険におきます居宅療養管理指導におきましては、在宅の要介護者に対するかかりつけ歯科医師による口腔管理指導等のうち一定のものを評価していくということになるわけでございますが、また治療が必要な場合には医療保険からの給付も行われるということになるわけでございます。通院が困難な在宅の要介護者については、必要な歯科治療が在宅で受けられるように引き続き在宅歯科医療の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
また逆に、歯科治療のために通院を要するというようなことでございますが、医療保険における移送費は緊急的、一時的と認められる特殊な場合に支給対象となるものでございまして、歯科治療のための通院に要する費用は、一般的に言いまして移送費の支給対象にはならないんではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/71
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072・木暮山人
○木暮山人君 施設における歯科医療の位置づけについて明確にする必要があると思います。
施設に入所、入院しておられる要介護者の方にも十分な口腔管理を行うためには、療養型病床群における歯科の義務づけや老人保健施設や特別養護老人ホームにおける協力歯科医療機関及び協力歯科医師、衛生士の配置を義務づける必要があるのではないかと思いますが、御意見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/72
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073・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 現在、療養型病床群あるいは老人保健施設、それから特別養護老人ホーム、こういうところに入所している方につきまして歯科治療が必要となる場合でありますが、基本的にはそれは外部の歯科医療機関から往診等によって対応していただく、そしてその費用は医療保険の給付対象というふうになっているところでございます。
今申し上げました施設は、介護保険制度ができますと介護保険が適用される施設になるわけでございますが、その場合における歯科治療につきましては、現在の考え方を踏まえながら医療保険から給付するという方向で考えていくことになるのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/73
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074・木暮山人
○木暮山人君 この介護保険三法を見ますと、いろんな意味で寝たきり及び痴呆及びいろいろな老人病に対するところの対策、これにつきましてはいろいろ研究なさっておいでになるかもしれませんけれども、具体的に今どのような状況にあるか、ひとつお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/74
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075・谷修一
○政府委員(谷修一君) 今のお話は、介護を必要とされるような方に対する歯科医療との関係での研究というようなお話だったと理解をいたしますが、口腔の機能と全身の健康状態との関係ということで、前の国会でも先生から御質問をいただいたかと思います。そういうような観点での科学的な解明ということを図るために平成八年度から厚生省におきましては研究事業を始めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/75
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076・木暮山人
○木暮山人君 その中間報告が、厚生科学研究費で、国立予防研究所において咬合及び顎関節に関する報告がなされていると思いますけれども、その報告の方向性というものは、今どういう方向をたどっているか。
もう一つこれに加えまして、これは有意義なものか、それともこれはやってみてもだめなのか、そこら辺の御判断について厚生省の御意見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/76
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077・谷修一
○政府委員(谷修一君) 平成八年度の研究報告が既にまとめられております。その中では、咬合状態に起因する他臓器、全身の臓器の異常ということに関連いたしまして、かみ合わせが悪いということ、つまり咬合が歯以外の組織あるいは全身の器官に影響を及ぼすということが前々から報告をされているようでございますけれども、平成八年度の、初年度の研究ではこういったようなことの病因論というんでしょうか、原因の解明に迫る新しい幾つかの知見が報告をされたというふうに聞いております。
ただ、この咬合治療の結果、先ほどお触れになられました痴呆ですとか日常生活の動作が改善されたのかどうかということについてはまだ必ずしも平成八年度の研究では不十分であったというような評価がされておりまして、九年度におきましては、摂食機能と脳の老化についての研究を新たに始めるというようなことでございまして、この研究そのものは非常に有意義なものであるというふうに私どもは理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/77
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078・木暮山人
○木暮山人君 研究でございますから、これがいつ完成するか、それはちょっと推定はできないと思います。しかし、それについて現在いろんな予算をどんどんおつけになっているんではないかと想定しておりますけれども、大体の見通しといたしましてどんな見通しか、そこら辺をちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/78
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079・谷修一
○政府委員(谷修一君) 一般的に、こういったような研究につきましては当面三年間ぐらいの計画ということで毎年毎年評価をしながらやっていくということでございますので、私どもとしてはとりあえず三年間研究を継続するということで、平成八年度からのスタートでございますので十年度までは続けるという予定で現在考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/79
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080・木暮山人
○木暮山人君 現在のところ、この法案についてのハードの部分、これについては相当多方面からいろんないわゆる積み立て、構築をなされてきていると思います。しかし、これもやってみなければなかなか見当がつかないと。ということは、これは事、保険でございますから、生の身を取り扱う。長年見ましても、前の保険法を見ましても、昭和三十四年から四十年やってみましても結局は方向をどこか踏み違えまして非常に苦しい現況に入ってしまったと。これが事実だと思うんです。
今度は、この法案にかかわる患者さんというものはすべてがもうそれにすっかり、どっぷりつかってしまうわけですから、途中で法律が右往左往されたんでは患者さんが非常に不安定なうちに、また国民全体が信頼感を失うというような点から見ましても、やはりこれは二年に一度なり三年に一度、法律の見直しが必要なことと、早くソフトの面で何かこれに対応できる、いわゆる治療法とかまたは少しでも楽になる、軽減させる方法というものについて考えていかなきゃならないと思うのでございますが、厚生省の御意見としてはいかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/80
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081・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険の中身の制度の見直しということでございましょうか、この法律の附則に、施行後の要介護者等に係る保健・医療サービスあるいは福祉サービスを提供する体制の状況あるいは保険給付に要する費用の状況、国民負担の推移、社会経済の情勢等を勘案して、あるいはその他も書いてございますが、そういうもろもろを検討して、保険給付の内容であるとか水準であるとかあるいは保険料等のあり方であるとか、そういう負担を含めまして制度全般について検討が加えられて必要な見直し等の措置が講ぜられるべきだ、これを施行後五年を目途に行うべきだということになっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/81
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082・木暮山人
○木暮山人君 五年をめどにとおっしゃいますけれども、あと二十年もたてばピークになってしまうわけです。そうすると、ピークを過ぎてからいろいろなものが完成しても、これは何にもならないわけですね。ですから、二年なら二年、三年なら三年。それで今、介護保険に加入して入ってこようと思う方々は、これは厚生省を信じ切って、厚生省の方に乗れば何とかなるといってみんな信じて入ってくるわけです。しかし、逆に考えますと、それを疑っている部分も全国民が持っているわけでありますが、やはりそれを乗り越えてこの法案に協力しよう、こういうことでございますから、もう悪いところは即改善していくというようなことが必要なんじゃないか。また、それを言ってよく説明して聞かせなかったら、なかなか年とった人たちは理解しないんじゃないか。
この理解しないところにいろいろな問題が起きてくるんじゃないかと思います。やはりこの法律そのものがみんなに信頼されて施行されていくための方法としては五年ではちょっと長過ぎるんじゃないか、もう少し短く小まめに対応するような方法はないものか、こう私は思っているんですが、それに対してはいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/82
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083・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険制度は全く新しい制度でございますので、今でもいろいろな御議論がありますし、実施をしますとさらにまた新しい指摘も出てこようかと思います。
そういう御指摘にいかに対応していくかということでございますが、いろいろなレベルでの対応があるんだろうと。一つは法律を改正するというのもありますし、あるいは政令とか省令を手直しして直していくというのもあります。それから、運用の仕方などを直していくのもあります。要介護認定というのも今モデル事業でやっていますが、できるだけ改善をしていきますけれども、恐らくまた制度実施後もあるいはそういうことについてあるかもしれません。そういう年々の運用で直すべき話もあろうかと思います。
私が五年を目途にと申し上げましたのは、法律の条文を素直に読んだというんでしょうか、そういうことで申し上げたわけでございますが、実際の運用や政省令の改正も含めまして、必要なものにつきましてできるだけ弾力的に対応していくというのが基本だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/83
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084・木暮山人
○木暮山人君 最後に、ひとつ大臣に御所見をお伺いしたいと思います。
本日は歯科の問題に絞って質問をさせていただきましたが、具体的な内容になると、これからの検討課題という答弁がやはり考えられると同時に、納得のいく答弁とは思えません。
いずれにいたしましても、介護保険において口腔管理、指導の重要性をしっかりと認識され、これを位置づけていくことは、高齢者の自立支援と生活の質の向上という観点から、不可欠の課題であると考えます。
本日の議論をお聞きになりまして、この点について大臣の御所見をお伺いしたい、かように思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/84
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085・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 人間生きていく上において、食べるということ、これは最も重要な点でありますから、歯科の果たす役割というのは、介護の問題を考える場合においても私は大変重要な要素だと思っております。
特に要介護高齢者の生活の場合に、口腔管理等については今お話を聞いておりましてもそれぞれ問題点が多いということもわかります。今後、この歯科の持つ重要性というものをよく多くの方が認識して、適切な指導が必要ではないかというふうに感じました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/85
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086・木暮山人
○木暮山人君 これで質問を終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/86
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087・牛嶋正
○牛嶋正君 平成会の牛嶋正でございます。
前回に引き続きまして質問させていただきますが、よろしくお願いいたします。
私は、前回の質疑におきまして、介護保障制度を定着させ、今後とも安定かつ効率的に制度の運営を図っていくためには、まず制度の基本的枠組みを決める費用負担のあり方についてきちっとした議論をしておかなければならないということを申し上げ、現行の介護制度が抱えている四つの問題点を取り上げまして、これらの問題について、税方式と保険方式の優位性を比較検討することを提起させていただきました。
そして、前回の質疑では、このうち四番目に挙げました医療と保険の一体性の問題を取り上げて質問させていただきましたが、きょうは、給付と負担の対応関係という、より基本的な問題を取り上げて質問させていただきたいと思います。
六月十七日の当委員会におきまして、私は厚生大臣に対しまして、これまで公費方式で行われてきた介護に対して、なぜ今社会保険を導入されようとしているのかという御質問をさせていただきました。そのとき厚生大臣は、昭和二十五年度と平成七年度の社会保障制度審議会の勧告を取り上げて、この二つの勧告の間に四十年以上の時間の経過がありながら、似たような内容であり、いずれも増大する社会保障の財源として社会保険料負担が中心になるべきであると勧告しているということを申され、それだけに介護だけ税方式だという方が難しいのではないかというふうな御答弁をいただいたわけでございます。
きょうは、この厚生大臣の御答弁に対する質問からちょっと始めさせていただきたいと思います。
私は、この二つの勧告の内容を読ませていただきまして、内容は似たようなものでありますけれども、その意図するものは全く異なっていたというふうに思います。それを御説明するために、今私は、昭和三十三年度の社会保障関係費の予算案と、それから平成八年度の社会保障関係費の予算案を申し上げたいと思います。
昭和三十三年度の社会保障関係費は総額が千三百億でありました。まだまだ小さな予算額でございます。平成八年度は十四兆二千八百七十九億でありますから百十倍、いかに我が国の社会保障制度がこの間、もちろん高度成長があったとはいえ、非常に拡充し、そしてまた世界的な給付水準に達しているということは、この数字で証明できるかと思います。
ただ、その構成比をちょっと申し上げますと、三十三年で一番大きな構成比を示しているのが失業対策費でございまして、これが三一・七%。そして二番目が生活保護費で三〇・五%。社会保険費は一八・二%で、三番目にランクされております。
これに対して平成八年度の予算案を見ますと、一番が社会保険費でありまして、五九・四%、六〇%近い。二番目が社会福祉費でありまして、二六・六%。そして生活保護費は七・四%。失業対策費になりますと二・八%。戦後の日本経済と今の日本経済の置かれている状況がこういった数字でよく理解できるかと思います。
この予算案を比較して言えることは、昭和二十五年度の勧告では、社会保障制度の拡充、整備のためには社会保険制度をできるだけ早く確立し、国民皆保険の実現を目指すことを勧告したものというふうに私は解釈しております。
これに対して平成七年度の勧告は、既に我が国の社会保障制度が医療及び年金の両面におきまして国際的にも高い給付水準に達していることを明らかにしながら、この高い給付水準を維持していくためには、それに必要な財源を引き続き社会保険料負担を中心に行っていかなければならないことを勧告したものであるというふうに思うわけであります。
そうだといたしますと、この勧告二つを比較した場合に、大臣が言われるように、介護も保険方式でなければならないという必然性は私はこの二つの勧告から出てこないと思いますけれども、改めて大臣の意見をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/87
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088・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 私は保険方式でなければならないということではなくて、税と保険を組み合わせた方がいいのじゃないかと言っているわけです。
年金も医療も保険方式が基本でありますが、税も投入しております。同じように、介護も保険だけじゃありません、税半分、保険半分、利用者一割負担。給付と負担を考える場合に、年金も医療も保険と税を組み合わせている。介護も同じような方が理解を得られるのじゃないか。なおかつ、税でしろと言っても、どの税を増税するかというと、具体的なことは言っていただかない。
むしろ私は、そういうことを考えますと、保険というのはどちらかというと明確ですから、自分たちの保険というのは介護に使われるんだという目的も明確であるということから考えると、私は今どの税目を増税しろというよりも、税も投入しなきゃならないけれども、給付と負担ということを考えると、保険方式の方がより理解を得られやすいのではないかということを言っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/88
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089・牛嶋正
○牛嶋正君 今の御答弁と関連いたしまして、もう少しこれまでの我が国の社会保障制度の変遷を振り返ってみたいと思います。
社会保障制度というのは、結局国民生活を守るシステムを与えているものだというふうに解釈しなければならないと思いますけれども、その根底には所得の再分配の機能があるわけですね。社会保障制度でこれまで進めてまいりました所得の再分配というのは、二つの方向があったと、あるいは二つの方向に区分することができると思います。
一つは、公的扶助であります。これは所得階層間のいわば垂直的な再分配というふうに考えることができます。この方向での再分配につきましては、税方式で進められてきたわけでございます。
それに対しまして、もう一つの再分配の方向は相互扶助であります。これはほぼ同じ経済状態にある人々の間の水平的な再分配であります。この方向での再分配が今、大臣おっしゃいました保険方式、わかりやすい保険方式で進められてきたわけであります。
先ほどの予算の社会保障関係費の分類で申しますと、生活保護費と社会福祉費はこれまで税ないしは公費方式で行われてまいりました。それに対して社会保険費は社会保険方式で行われてきたことは明らかであります。そうだとしますと、戦後の我が国の社会保障制度の経緯をもう一度今申しました再分配の方式で振り返ってみますと、初めはやっぱり税方式が主流であったというふうに考えられます。税方式を主流にした税制であった。先ほど申しましたように、生活保護費が三〇・五%も占める、それから失業対策費も三一・七%も占めるということでありましたから、そういうようなことが言えるのではないかと。それが次第に保険方式の比重が高まってまいりまして、今では社会保険方式が我が国の社会保障の中核をなしている。これは勧告に言われているとおりであります。
こういうふうに、この再分配方式でもってもう一度我が国の社会保障制度を振り返ってみますと、ここに来て私は非常に大きな問題が出てきたと、それは所得の再分配の方式に関しまして新しい問題が出てきたということであります。それは何かと、これは高齢化の進展とともに、世代間の所得の再分配が重要な意味を持ち始めてきたということであります。その場合にまず考えねばならないことは、この世代間の再分配を税方式または保険方式、いずれの方式で進めるべきかということであります。
これまでは、医療と保険の分野が中心に世代間の再分配の問題が起こってきたために、保険方式が中心でありました。しかし、高齢化の進展と世代間の再分配の量的拡大が次第に非常に難しい問題をもたらしてきていることは確かであります。これについては、この前の質疑でも御指摘したとおりであります。
この点を考慮いたしますと、社会保障制度審議会が言うように、今後とも保険料負担が中心になることが当然と言えるのかということであります。やはり高齢化が進む、そして世代間の再分配の量的拡大が進んでいくと、今までと同じように保険方式の枠組みの中でそれを行っていくならば、今抱えている問題はますます拡大される形で出てくるのではないか。ですから、もう一度ここでやはり世代間の再分配については考える必要があるのではないかと思いますが、これにつきましてもちょっと大臣のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/89
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090・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 世代間の給付と負担の問題というのは、これから大変重要な問題になってくると思います。お互いいい給付を受けるために過重な負担をさせないような社会保障制度を構築していかなきゃならない場合に、当然年齢構造の問題が出てきます。給付と負担の均衡を図るということは、当然年金にしても医療にしてもあるいは介護にしても重要な課題でありますし、その際に、それでは税と保険と受益者負担という問題をどう考えるかということに私は帰してくると思います。税だけでやれということから社会保険方式でやるべきだと、そして税だけでやるという戦後の時代はどちらかというと救貧対策といいますか、困窮者対策が私は主だと思います、当時は。しかし、社会保障制度は単なる救貧法ではないと。国民全体の福祉の向上にどういう制度がいいかということから、年金にしても医療においても、あるいは今回の介護の問題においても出てきたわけでありますので、救貧対策、困窮者対策とは違った観点から考えれば、お互い支え合っていくんだというので、保険方式というのが出てきても私は当然じゃないか。
でありますから、私は一つというのはとりません。税がいいか、保険がいいかということはとりません。税と保険と受益者負担をいかに適切に組み合わせていくかというのが今後の大きな課題ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/90
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091・牛嶋正
○牛嶋正君 その場合、ちょっともう一度お尋ねしたいんですけれども、その組み合わせはそれぞれの制度、すなわち年金制度、それから医療制度、そしてまた今度考えております介護保障制度、それぞれの中でそういう適切な組み合わせがあるというふうにお考えなのでしょうか。それとも社会保障制度全体の中での組み合わせでお考えなのか。その点もう一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/91
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092・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 私は、個別と全体、関連があると思います。
しかし、当然年金の保険料、医療の保険料、介護の保険料、全体を組み合わせて、どの程度の負担が可能かということを考えないと、これは過重な負担になってしまうのじゃないか、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/92
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093・牛嶋正
○牛嶋正君 その場合ですね、介護保険制度あるいは介護保障制度、これは高齢者を今考えているわけでございますけれども、そうなりますと、世代間の再分配の問題がもろにここに入ってくるというふうに考えられるわけですね。そういたしますと、今、大臣がおっしゃいました介護制度における負担のあり方の組み合わせ、私はそれを考えた場合、やっぱり税がある程度中心になるべきではないかと、こういうふうに思っております。
今、税も、それから保険も、それから自己負担も入っているではないかというふうにおっしゃいましたけれども、要するところ、そこは組み合わせの問題であると思うんですね。そうしますと、五〇%、二分の一、保険で賄っていくというのは、やはり今までの保険方式というふうに私は解釈をしたいわけでありまして、むしろ私はこの介護に関しましては税方式を中心にすべきではないかと、こんな組み合わせを考えております。これにつきまして、大臣の御意見がありましたらお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/93
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094・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) この介護保険制度が導入された後では、そういう議論がまた出てくると思います。保険料に見合った給付が受けられないではないかと、あるいは今の給付状況では不満だという声が出てきた場合に、もう保険料を上げるのは嫌だ、何とか税でやってくれという国民の声が上がれば、当然税をもっと投入しろという議論が政治の場でも議論になってくる。それは、そのときの時点で政治家なり国民がどう判断するかではないかと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/94
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095・牛嶋正
○牛嶋正君 今のその点が非常に重要なんでありまして、制度を出発させてから問題が出てきたとき考えるのか。あるいは、やはり制度が出発する前に十分に議論しておくのかということは、私はこれからやっぱり社会保障制度を安定的に、医療制度にいたしましても年金制度についても、運営していくためには、やっぱり前にきちっと議論しておいた方がいいのではないかというふうなことで、きょうまた改めてこの問題を取り上げさせていただいたわけですが、もう少しちょっと議論を進めさせていただきたいと思います。
保険と税というふうに言っておりますが、保険とは何かということ、保険の本来の役割、機能みたいなものをもう一度整理させていただきたいと思います。
保険とは、本来日常生活における災害や疾病など不測の危険に共通にさらされている者が一定の掛金を掛け、資金を積み立て、たまたまその危険に遭遇した人に対して、その資金から一定額の保険金を支払う形で難を逃れた人々が援助を行う制度であるというふうに私は整理させていただきました。したがって、相互扶助の精神を最もよく実現する方式であるというふうに言えます。
また、給付と負担、保険料とが結びついていることから、保険料は極めて価格に近い性質を持っているのではないかと思います。いわば保険料というのは将来予測される危険、リスクに対する回避費用であるというふうにも解釈できるのではないかと思います。
そうなりますと、その意味からいいますと、本来保険の加入というのは、任意のものというふうに考えられ、強制すべきではないというふうに考えられますけれども、しかし保険制度は、共通のリスクを持つ者が多く加入すればするほど保険数理から申しましても保険料を引き下げることができることは確かですね。
私は、強制性を伴う社会保険の存在理由というのはそこにあるのではないかというふうに思っておりますけれども、これについてどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/95
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096・田中泰弘
○政府委員(田中泰弘君) 社会保険のお尋ねでございますが、現在の社会保険は社会保障の一環といたしまして、疾病、老齢、障害など、個人の自助努力のみでは対処できない普遍的なリスクに基づきまして、社会連帯の理念に基づきあまねく国民生活を守ろうということで制定されたものでございまして、そういった趣旨から全国民の参加が必要ではないかというふうに考えております。
また、仮に任意加入をした場合に、保険事故の発生率の高い者や、保険料負担が軽減されている低所得者、こういった方々に偏り、いわゆる逆選択の問題がございまして、財政的にも難しくなる面があるのではないかというふうに考えております。御指摘の点についても、強制加入により、安定した保険集団を確保するということから、結果として保険料の平均化、低額化が図られる面があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/96
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097・牛嶋正
○牛嶋正君 非常に難しい御説明をいただきましたけれども、先ほど私が申し上げたのと全く同じ御説明であったというふうに思っております。
要するところ、社会保険は加入、それから保険料負担に当たりましては強制性を伴うわけですね。そうすることによりまして、今も御説明のありましたように、社会全体でそのリスクに遭遇した人々を助けていくということになるわけであります。
しかし、この制度を安定的に運営させていくためには、やっぱり制度として幾つかの要件を整えておかなければならないというふうに私は思います。そうでないと、制度としてなかなか安定した運営はできないのではないかと思います。
その要件を三つ挙げたいわけです。
一つは、だれもが特定の事象、災害や疾病等に対してほぼ同じ程度のリスクにさらされているということですね。これは非常に重要な要件だと思います。
それから、二番目の要件は、強制性を伴います。保険料がかなり税に近くなります。ですから、負担の公平を確保するということが大切だと思います。この負担の公平に関しましては、後ほどまた改めて御議論したいと思います。
それから三つ目は、保険料の上限というのが私はあるんじゃないかと思うんですね。それは、リスクとそれから保険給付を勘案いたしまして、リスク回避のために負担してもよいと考える保険料ですね。そういうものがあるんではないかということでありまして、できれば保険料はその上限以下で設定すべきであるということであります。
私は、この三つの要件がきちっと整わなければ保険制度を導入いたしましても非常に安定した運営は難しいのではないか。先ほど厚生大臣がおっしゃいましたような問題が起こってくるのではないかということが懸念されるわけであります。
この三つの要件につきまして順次質問していきたいと思うのでありますけれども、六月十七日の当委員会でもこの問題について質問をしておりますので、ちょっと重複する部分がありますけれども、お許しをいただきまして順次御質問させていただきたいと思います。
まず第一の要件でございますけれども、政府案で問題となるのは、一つの保険制度の中に給付と負担の関係が全く異なる第一号と第二号の被保険者が含まれているということであります。これは要件一を満たしていないわけであります。この点についての政府側の答弁は、四十歳から六十五歳未満のグループは、確かに自分自身のリスクはその時点では小さいが、将来いつかはその人たちも七十を超え、八十を超えていくわけであると、また自分の親もそうなっていくわけであるので、そうした人々を社会連帯で支えるという世代間扶養的な意味合いを持って保険料を考えてほしいと、こういう御答弁をいただきました。
ここで世代間扶養という非常にいい言葉が使われているわけですけれども、私は、実際に保険料を負担する現役世代というのはもっと割り切った考え方をしているんじゃないかと思いますね。恐らく、高齢者の介護保険料というのは少しでも低く抑えるんだと、そのために自分たちは強制的に保険に加入させられるんだと、こういうふうな私は考えではないかと思います。いわばこれは世代間の所得再分配の一つの手段であるということですね。
そこで、私はちょっと計算をお願いしたいと思っておりますが、聞くところによりますと、今の保険制度で二〇〇〇年の出発のときに月額の保険料は二千五百円というふうに聞いております。今、仮に二号被保険者を外したら、その保険料は幾らになりましょうか。今度は逆に、三号被保険者を設ける、すなわち二十歳以上四十歳未満の被保険者を三号被保険者として入れた場合に、保険料は幾らになりますか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/97
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098・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険の被保険者を六十五歳以上だけの方にする、そういうふうになりますと、今見込んでいます四十から六十五までの中の給付の部分を外して負担を考えるということになるわけでございます。そうしますと、平成十二年度におきます保険料は、同じように七年度価格で申し上げまして約七千円ぐらい。
それから、今度は逆でございますが、二十歳以上の方を対象にするということであります。二十歳から四十歳未満の方は恐らくほとんど給付はふえないだろうということで、現在の給付額を人数で割ってみる、そういう計算でございますが、そうしますと平成七年度価格では約千六百円ぐらいになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/98
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099・牛嶋正
○牛嶋正君 この数字に対する解釈はいろいろあると思いますけれども、一応先ほど申しましたように、加入被保険者がふえればふえるほど保険料は安くつくという公的保険の持っている性質をちょっと知るために計算をしていただいたわけであります。
この第一の要件が必ずしも満たされていないということを感じるわけですけれども、それによって懸念される点が幾つかあります。私はその中で最も大きな懸念というのは、二十一世紀の少子・高齢社会を支えなければならない現役世代の人たちのインセンティブ、あるいは生活における前向きの姿勢がこのような負担増で抑えられてしまうのではないかという心配であります。
もし、介護保険制度の導入によりまして第二号被保険者に属する人々が少しでもやる気を失えば、我が国経済の活力はさらに後退し、社会保険制度の存立自体も危うくなるとも考えられます。この点について政府はどんなふうにお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/99
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100・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) すれ違いのような感じになるかもしれませんが、第二号被保険者に保険料負担を求めている趣旨は前にも御説明したとおりでございまして、四十歳以上になりますと、脳卒中等により要介護状態が生じてくると、給付を受ける可能性が高まってくるということが一つでございます。
それからもう一つは、自分たちの親が介護サービスを受ける、家族に介護を要する人がいますと、大変な家庭の負担、いろんな意味での負担がかかるわけでございます。そういうことで自分みずからの親が介護サービスを受ける、そういう立場で利益を受ける可能性もあるわけでございまして、そういう意味合いから世代間連帯によって介護費用を支え合うというふうにしているものでございます。
民間の金融機関系のシンクタンクの調査によりますと、例えばこれは企業管理職に対する調査をやったのを読んだことがあるわけでございますが、介護を要する人を家庭に抱えますと、仕事について例えば出張ができないとか、あるいは残業ができないとか、あるいはまた家庭の中が非常に不和になるというんでしょうか、家族内でのいさかいなどがふえてくるとか、そういうことで、いわゆる管理職というとちょうど四十から六十五の間に入るようなクラスだと思いますが、そういう方が介護によって大変家庭生活や仕事上の業務に支障を生ずる、そういうようなことも出ているわけでございます。
これが現在考えておりますような形で例えば月額一人平均二千五百円程度と、こういう負担をしていただきまして、その問題に直面すると大変な負担になるというものが回避できるのであれば、私はこの制度について御理解がいただけるのではないかというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/100
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101・牛嶋正
○牛嶋正君 自分が支払う保険料が重いか重くないかということは、これはその人の所得にも依存するでしょうし、その人が置かれている、今おっしゃいましたように自分の親をお世話しなければならない、介護しなければならないというふうな状況の人はそれは安いと感じますよ。我々は一人一人のそういう状況を勘案して議論しておりますと、これは議論になりませんよ、ここで新しい制度をつくるわけですからね。ですから、私は今の御説明ではなかなか第二号被保険者の人たちの負担感はぬぐえないんじゃないか、こんなふうに思いますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/101
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102・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) マスコミの世論調査で介護保険についていろいろと調べているものがございます。最近の新聞でもございまして、そういうものを読みますと、保険料負担につきまして三千円程度とか、あるいはウエートは少し減りますが五千円程度とか、その辺ぐらいまでの保険料負担というのはやむを得ないという方、そのあたりにアンケート調査をとってみるとピークがあるわけでございます。
そういう意味で、やっぱり要介護状態になりましたときのリスクの大きさを考えると、この点について、世論調査の数字ではございますが、理解をいただいているんではないかという感じがするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/102
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103・牛嶋正
○牛嶋正君 要件一と関連して、もう一つ懸念されるのは保険料未納の問題なんです。
それで、今取り上げております第二号被保険者の場合、被用者保険の場合は保険料が源泉徴収でございますから取りはぐれはないというふうに思いますけれども、問題は国民健康保険の場合ですね。今でも未納率がかなり高いわけであります。もし、介護保険をさらに導入いたしまして、両者が、今の国民健康保険と連動し合って、さらに納付率と申しますか、未納率と言ってもいいと思いますが、納付率を低下させる、そういう私は心配があるのではないかと思います。
もし、これが八〇%を切るようなことになりますと、私は社会保険としての体裁は整っていないというふうに見なきゃいけないと思うんですけれども、そのあたりの見通しをちょっとお伺いさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/103
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104・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 第二号の被保険者のうち、自営業等の方々は、先生御指摘の国民健康保険の保険料に上乗せして介護保険料をいただくということになるわけでございます。
ただ、介護保険ができますと、現在医療保険で見ております、例えば療養型病床群の費用であるとか老人保健施設の費用であるとか、あるいは在宅医療のうちの一部であるとか、こういうものが介護保険の方に移るわけでございます。そうしますと、国民健康保険として例えば老人医療に拠出する費用というものがその分減ってくるということになるわけでございます。私どもの試算では、国民健康保険全体としますと、そういう負担減の分と介護保険で新たに負担増になる部分が大体同じぐらいではないかということでございます。ただ、これは全体で見ていますので、それだけ言うと不正確でございますが、四十歳から六十五歳の方だけが介護保険料を負担しますから、その年齢では負担が少しふえるというような形にはなります。
ただ、この保険料負担につきましては、いわゆる介護保険制度についての理解を求めると、そしてこういう趣旨でこういう負担をしていただくということの理解を求められれば、この国民健康保険の保険料の収納率が低下することというのは余りないんではないかというふうに期待しているところでございます。
もう一つ申し上げますと、仮にそういかなくて保険料の納入が少し下がる、市町村の国保財政に影響があるというような事態がありましたような場合には、それに対して国費による助成を考えて国民健康保険の運営が的確にできるようにしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/104
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105・牛嶋正
○牛嶋正君 今、大変な計算をしていただきましたけれども、僕は、そうであればやはり医療保険の方の保険料は何%ぐらい下がりますよというふうなことをきちっと言うべきではないかと思うんですね。そのことが私は先ほどから言っておりますように世代間の再分配というものを非常に和らげるわけですから、やっぱりきちっと数字を出すべきであると思います。
それはそれとしておきまして、時間がだんだん迫ってまいりましたので、次の問題に移らせていただきたいと思います。
次は、要件二でございまして、これは保険料というのは価格の性格を持っているんだけれども、強制性を伴いますと税にだんだん近づいていくということになります。したがって、被保険者間の負担の公平というのは非常に重要になってくるわけです。それじゃ、その被保険者間の負担の公平というのはどういう基準で図るのかということですね。
今、税で考えてみますと、税でもいろいろな公平の基準がありますけれども、所得税で申しますと、できるだけ所得の分配状態に対してニュートラルであるということが一つの基準になってまいります。保険料につきましてもそれを考えるといたしますと、所得に対して定率の保険料ということが割合公平な保険料になるのではないかというふうに思うわけですが、ここでまた一つ所得の捕捉の問題が出てまいります。これがきちっと捕捉されれば、今私が申しましたような定率を掛けて保険料を決めるというのはいいのじゃないかと思いますけれども、そこのところに問題が残りますとやっぱり負担感というのは残ってしまうのではないか、こういうふうに思っております。
しかし、この保険制度をやはりきちっと安定した形で維持していくためには保険料の負担の公平というのは非常に重要だと思いますけれども、これについて今政府案ではどのような保険料率体系をお考えなのか。そして、その今考えている体系というのは被保険者の公平をある程度は確保できるとお考えなのか。この点、御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/105
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106・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 一号被保険者の保険料につきましては、所得段階別の定額保険料ということで、所得に応じて五段階でその段階ごとに定額の保険料を設定するという考え方でございます。これは確かに所得に対して定率というのもあるわけでございますが、平均して一人当たり二千五百円というのは他の社会保険制度の保険料に比べて決して高額ではない数字でございまして、これを定率でやって非常に細かく出すのが事務的に、実務的に的確にいくのかどうかと、実務負担の、事務処理負担の効率性ということも考えなければいけません。そういう考え方から所得段階、五段階でやったわけでございます。
具体的には、これは市町村における税収の把握、所得の把握をもとにしているわけでございまして、市町村における保険料賦課総額、これを一号被保険者全体で割ったものがまず基本になると、そしてこれが真ん中辺にあるわけでございます。そして、所得に応じて二五%増しあるいは五〇%増しという階層を上の方につけると、それから、逆に負担能力が低いと考えられる、これは世帯全員が市町村民税非課税である場合、これは二五%を軽減すると、そして老齢福祉年金を受給しているような場合にはさらにその基本額に対しまして五〇%軽減すると、こういう仕組みに考えているわけでございます。
こういう段階で一応私どもとしては負担の公平の要請は満たしているのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/106
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107・牛嶋正
○牛嶋正君 私も大体五段階で大ぐくりするのが、やっぱり先ほど申しましたように、所得に基準を求めてきちっと取るよりも、所得の捕捉性というもの、捕捉率なんか考えますと、それは非常にいいんではないかなというふうには思っております。しかしこれは保険料率体系だけの議論でございまして、全体としては私は税の方式を主張しておりますので、その点だけちょっとつけ加えさせていただきたいと思います。
最後に、上限の話であります。やっぱり、本質的には先ほども言いましたように保険料というのは将来のリスク回避のための費用というふうなことだろうと思います。ですから、そのリスクを背負ったときにどれぐらいの給付が得られるのか、そしてそのリスクに遭遇する確率、そういったものをいろいろと判断いたしまして、それぞれの被保険者というのは自分が支払う保険料に対してこれ以上は払えない、これ以下であればある程度負担してもいいというふうなものがあるように思うんですけれども、こういった保険料の上限が存在すると私は考えているわけですが、これについての政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/107
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108・田中泰弘
○政府委員(田中泰弘君) お答えします。
多少またすれ違いになるかもしれませんが、保険料の水準につきましてはそのときの財政、経済状況もあると思いますし、一つは将来の給付の水準との関係、それから負担される方、受給される方の所得状況の変化に対応した世代間も含めました負担の公平、こういった観点から国民的な選択という中で決まっていくべきものではないかというふうに思います。その際、受益と負担の関係を勘案しながらその時々の状況に応じて上限の設定や低所得者への配慮、こういったものをする必要がある場合が出てくるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/108
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109・牛嶋正
○牛嶋正君 私は上限があるんではないかということをお尋ねしているわけですけれども、ちょっと今もお答えがすれ違ったような感じがいたします。
この間、社会保険庁が国民年金の保険料について、八年度でございましたか、納付率を発表しておりました。国民年金の場合、八年度の納付率はたしか八二・四%であったかと思います。なぜそんなに低いのかということで、若い世代の人々にその理由を尋ねますと、その理由のかなりの部分がやっぱり高過ぎるということです。すなわち、恐らく自分たちが年金をもらうのはもう今から四十年先とか五十年先の話ですね。そのためのリスク回避ということ、恐らくリスクなんて考えていないんじゃないかと思います。だとすると、やっぱり今の保険料というのは高いというふうになると思うんです。そういう意味からいいますと、私はやっぱり上限というのはあるんではないかというふうな気がいたします。
さらに、政府案も、財源負担では一〇%の自己負担、それから残りの二分の一は公費負担、そしてさらには第二号被保険者を導入されております。これは私は保険料の上限の存在を一応認めた上での措置ではないかなというふうに思っております。先ほど計算をしていただきましたけれども、第二号被保険者を外しますと七千円になってしまう。こんな七千円ということになりますと、私はやっぱりこれはもう上限をはるかに超えているのではないかというふうに思います。
恐らく、今想定されております二千五百円の保険料、これも第二号被保険者はもちろんですけれども、私は高齢者もやっぱり高いというふうに、自分が思っているよりも高いというふうな感じで受けとめているんではないかと思いますけれども、この点についての政府の見解をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/109
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110・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 保険料の上限があるんではないかというお話でございましたが、介護保険制度の財源は、先ほど大臣のお答えの中にもありましたように、公費と保険料と自己負担の組み合わせでやっているわけでございます。
そして、保険料につきましては、先ほどもちょっと触れましたマスコミの行った世論調査によりますと、一切負担したくない七・一%、答えない四・二%、その他〇・六%というのを引いていきますと、八割を超えて三千円まで負担してもいいと。もっと五千円でもいいという人もいますし一万円でもいいという人もいますが、そういう人も当然三千円はいいということになりますから、足し合わせていきますと八割以上を占めることになるわけでございまして、そういう意味合いから二千五百円という保険料が過大なものというふうには思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/110
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111・牛嶋正
○牛嶋正君 時間が参りましたので、ちょっとその点についてまた次回、機会がありましたら御質問させていただきたいと思います。
きょうはこれで終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/111
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112・山本正和
○委員長(山本正和君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/112
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113・山本正和
○委員長(山本正和君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/113
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114・朝日俊弘
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。
先ほどは随分制度の基本にかかわるやりとりを聞かせていただきましたが、私は、この新しい介護保険制度の具体的な実施を想定しつつ、改めて確認しておきたい点を中心に幾つか質問させていただきたいと思います。
最初に、前回ちょっと時間切れで大臣にお尋ねできなかった点を先にお伺いしておきたいと思います。
今回の介護保険の中では、施設介護サービスの種類について三類型が想定されております。従来の医療及び福祉制度の中にそれぞれ位置づけられてきた三種類のサービス類型を、スタートするに当たってそのまま引き継いでいくことは現実的な対応として理解できないわけではないんです。ただ、振り返ってみますと、この介護保険制度をつくるに当たって幾つかの問題点が指摘されていたわけです。
その中の一つに、特別養護老人ホームがあり、老人保健施設があり、療養型病床群があって、しかし現実に、それぞれの施設、病院に入院しておられる高齢者の結構似通った状態の人が、ある人は特別養護老人ホームに、ある人は老人保健施設に、そして別のある人は病院の療養型病床群に入所したりあるいは入院していると。しかも、それぞれの施設あるいは病院に入って負担する費用はそれぞれに制度上異なっているわけですから、そういう現実が少々理解しにくいし、いささか非合理的であるのではないかと、こういう認識があったんじゃないかと思います。
そのことを振り返ってみますと、先ほども申し上げたように、とりあえずスタート時点で過渡期的に従来の三類型を認めざるを得ないとしても、将来的にはどういう施設サービス類型が望ましいのか、そしてそれぞれの施設要件が果たしてこれまでどおりでよいのかどうか、十分に検討していく余地があるというふうに私は思っています。
そこで、大臣にお伺いいたしたいと思いますが、私は、できる限り近い将来において介護保険法に基づく施設介護サービスに関しては、もちろんそれぞれ一定のバリエーションがあったり、それに適切に対応するためのフレキシビリティーが必要だと思いますが、基本的なレベルでは一元的に体系化を図るべきではないか、こんなふうに考えておりますが、この点に関する大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/114
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115・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 基本的に私も賛成です。
施設に入っている、あるいは施設に入る方にしてみれば、特養であろうが老健であろうが療養型病床群であろうが、いいサービスを提供してもらいたいということが第一主眼であって、これは介護保険で給付されますよ、これは医療保険で給付されますよということよりも、自分の体の状態に応じて、どういう施設に入るか、またどういうサービスが受けられるかというのに最大の関心があると思います。
そういう面において私は、将来この制度が一元化していくというのが当然出てきますし、制度導入後あるいは現在の施設の状況を見ながら一元化の方向で検討していくというのは望ましいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/115
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116・朝日俊弘
○朝日俊弘君 ありがとうございました。
それでは次に、新たな課題についてお伺いしたいと思います。
この介護保険制度の発足に当たって、法律の中では市町村は介護保険事業計画を、そして都道府県は介護保険事業支援計画を策定するというふうに定められております。これらの計画と、既にこれまでに市町村と都道府県で策定されてきた高齢者保健福祉計画、これとの関係についてお尋ねしたいと思うんです。この二つの計画、つまり新たにつくられようとしている介護保険事業計画と、それから従来からつくられてきた高齢者保健福祉計画、内容的にはほとんど同じような内容でもあり、しかし異なった性格を有しているようでもあって、どうもその両者の関係がよく理解できません。
そこで、まずそれぞれの計画の基本的な位置づけについて改めてお伺いするとともに、この両方の計画の相互関係といいますか、あるいはこれら二つの計画がそれぞれのレベル、つまり市町村のレベルと都道府県のレベルでどのように整合性を持って策定され実施されていくのか、こういう点について御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/116
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117・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) お答えを申し上げます。
まず、介護保険事業計画でございますけれども、今回の介護保険法案におきまして、市町村が策定をしていただきます市町村介護保険事業計画というものがまず基本的にあるわけでありますけれども、これにつきましては、一つには、今後の介護保険をいたします場合に、その介護保険の給付あるいは費用というものがそれぞれの市町村でどの程度になるかということが必要になるわけでありますが、そのベースになります要介護老人等の人数をどのように把握をし、それからその介護保険で給付対象となりますサービスがそれぞれ種類ごとにどのくらいの量が見込めるか、そういったことで介護保険運営のいわばもとになるベースをつくるという側面がございます。当然そのことの裏腹として、今度はそういった介護保険に必要な介護サービス基盤、つまり今で言う特別養護老人ホームであったり、あるいはホームヘルパーであったり、こういった介護保険事業になります基盤の整備をどう進めていくかという整備計画という側面も持っておるわけであります。
そうしますというと、こういった介護保険の対象になります介護サービスについては、従来の老人保健福祉計画というもの、これも市町村でつくることになっております。市町村の老人保健福祉計画というのは市町村における老人保健福祉全般にわたりますまさに基盤整備の計画でございます。そういう限りにおきましては、介護保険で対象にしておりますような介護保険事業の基盤整備の計画という側面と、老人保健福祉事業の基盤整備の計画というものは具体的にはダブってくる部分が極めて多くあります。それはもう事実でございます。
ところが、老人保健福祉計画はその介護事業で対象にいたします事業以外に、具体的に申し上げれば、例えば養護老人ホームをつくる、これは介護保険にはございません。あるいは趣を変えて申し上げればヘルス事業、老人保健計画を進めていく、こういった地域における老人介護事業も含む老人保健福祉計画全般にわたる計画という位置づけになってございます。
したがいまして、基盤整備という側面から見れば、大きな老人保健福祉計画という中で介護部分がいわば介護計画という形で別途つくられる。しかし、この介護計画についてはそういう基盤整備と同時に、その基盤整備の結果として、あるいは基盤整備とその地域における需要量の把握の結果として事業量がどのぐらいあるかということの把握を介護保険をつくるためにするという側面がございます。そういった関係に両者は立つわけであります。
しかし、今申し上げましたように、それぞれ整備をしていくものの面、あるいはその事業の面においては重なりますから、当然その間の連携というものをきちっとしていかないと、ちぐはぐになったら非常に困ったことになります。したがいまして、こういった介護保険事業計画と老人保健福祉計画ではその共通する事項も今申し上げましたように含んでおりますので、整合性を持って策定をするようにということで、法文上も調和が保たれるようにする旨の規定も置いております。現実にもそういったことで、例えば介護保険事業計画を見直していくというときには同時に老人保健福祉計画も見直していくという形で、平仄を合わせながらやっていくということが大事になってくると思いますし、そのような指導をいたしたいと思います。これは都道府県レベルにおける計画においても同様のことが言えるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/117
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118・朝日俊弘
○朝日俊弘君 なるほど、その二つの計画の相関性については少しわかってきたんですが、ところで次に、都道府県が策定してきた従来の高齢者保健福祉計画では、主として施設サービス提供体制の整備を図るための圏域として、市町村のレベルを超えて一定の広域圏、高齢者保健福祉圏という形でそういう新しい圏域を設定してきていると思います。
これまでの全国の計画の中でその高齢者保健福祉圏というエリアはどういう考え方に基づいて設定されてきたのか、そして現時点でその高齢者保健福祉圏は幾つの圏域数になっているのか、お尋ねしたいと思います。
さらに、先ほども質問しましたが、これから都道府県が策定することとなる新たな介護保険事業支援計画についても同様の圏域設定が必要となると思いますが、その際、これまでの高齢者保健福祉計画で設定されていた圏域はそのまま引き継がれることになるのかどうか、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/118
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119・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) まず、老人保健福祉計画の中におきます老人保健福祉圏域というものの考え方でございますけれども、老人保健福祉のいろんな事業、あるいはそのための施設を初めといたします施策の整備を図ってまいりますときには、必ずしも一市町村で完結的に整備をするというよりは、より広域で対応していくことが適当であるものがあると思います。例えば老人福祉の施設でありますとかあるいは老人保健施設といったようなものについては、そういった広域的な観点からやっていくという点が必要になってまいります。そういった観点から、老人保健福祉圏域という形で市町村を超えます一つの圏域を考え、その中でその地域のそういった、例えば老人福祉施設ですと老人福祉施設に対する需要を考え、提供体制を考えるということにいたしておるわけであります。
具体的にこの圏域の設定に当たりましては、老人保健福祉施策を進めます場合に保健あるいは医療、福祉といったことの連携を図るという観点から、もう一方でございますような都道府県の医療計画というような中でいわゆる二次医療圏というようなものもございますので、こういった二次医療圏といったようなことと基本的には合致をしながら定めていくことが今申し上げましたそれぞれの施策の連携という意味でも望ましいということで、そういったいわゆる二次医療圏と合致させる方向での基本的な指導をいたしております。
ただ、地域の事情によりまして、老人保健福祉計画上それではうまくいかないというようなところにつきましては、別途、広域市町村圏というようないろんな概念がございますけれども、そういったものも踏まえまして適切な圏域を設定してもいいですよと、こういうふうにいたしておりまして、その数でございますけれども、平成八年度末で申し上げますと三百四十八圏域が全国ベースでの圏域数でございます。
今度、介護保険事業支援計画の中における圏域設定がどうなるかというお尋ねがございました。
これにつきましては、先ほどお答えを申し上げました考え方に沿って申し上げれば、やはり老人保健福祉計画との整合性が非常に大事でございますから、これも基本的な考え方としていえば、できるだけ現在の老人保健福祉圏域を単位としてこの介護保険事業支援計画における圏域設定も行っていくという方向でやってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/119
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120・朝日俊弘
○朝日俊弘君 わかりました。
では、ちょうど今、局長のお話が出ましたので質問を一つ飛ばしまして、高齢者保健福祉圏と医療計画に基づく二次医療圏とできるだけ合致をさせてほしいと、こういうことでやっているというお話でございました。老人保健福祉圏の全国の数は三百四十八と。
それで改めてお伺いしますが、医療計画に基づく二次医療圏というのは現在数としてはどれだけになっていて、今、局長がおっしゃったようにどの程度合致しているのか。逆に言うと、どれくらい合致していないのか。合致していないとすればそれはどういう理由があってのことなのかをお聞かせいただきたいと思うんです。
といいますのは、概略合っているんですが、例えば北海道では二次医療圏が二十一であるのに対して高齢者保健福祉圏は十四です。もっと極端な例では、東京都では二次医療圏が十三であるのに対して高齢者保健福祉圏は一つです。つまり、東京都全県一区というふうに定めているわけです。
おっしゃったように、できるだけ合致させるようにという形で圏域設定をしてきたというお話ですが、一体どうしてここまで違ってくるのか合点がいかないわけであります。この点について現状をお聞かせいただきながら、なぜそうなってきているのかということをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/120
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121・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) まず、医療圏の方の第二次医療圏の圏域設定も、たまたまこれも三百四十八でありますけれども、いわゆる入り組んでおりまして、それが合致していての三百四十八ではなくて、実は一致しているのはその中の二百七十四が一致をいたしております。そのほかにつきましては、医療圏域の方が県単位で見ると大きいもの、逆に医療圏域の方が少ないもの、その両方が入り組んだ結果で、たまたま数としては三百四十八で合っておりますけれども、そういう状態になっておりますのが現状でございます。
その中には、一つの老人保健福祉圏域で複数の二次医療圏、例えば一つの老人保健福祉圏域の中に二つあるいは三つの医療圏域があるというようなもの、また逆のものというような相互に今包含される関係になっているものと、それからもう現実に圏域の境界がそもそも違っているというようなものと両方ございまして、そういった後者のものだけで申し上げれば十五でございます。そのほかが今申し上げました相互に包含し合っているタイプのものということになります。
合致していない理由でございます。これはそれぞれにいろいろございますけれども、今、先生お挙げになりました北海道の例、それから東京の例というのが一番全国で数字的に見れば大きくばらついているところでございます。
多少の推定というようなことも交えながらあれさせていただきますと、例えば北海道で申し上げますと、特別養護老人ホームの広域整備を行います場合に、やはり北海道庁としての御判断も一つあって、福祉事務所単位で物事を考えていきたいということがありまして、そういう意味で北海道は支庁といういわば福祉事務所の一つの単位をとっておりますので、支庁単位で老人福祉圏域を設定されたということで、そういう福祉事務所の所管単位で物事を考えていこうということでこのようになったと聞いております。
それから東京都の場合でございますが、これも特殊事情といえば非常に特殊事情になるわけでありますけれども、東京都の場合には二次医療圏域が十三で、ところが福祉圏域は一であるという先生がお挙げになったとおりになっております。これは結局特養が、端的に申し上げれば、山手線の内でありますとか区部でありますとかというところではなかなか土地が得られなくて、その範囲で圏域を設定して需要と供給がマッチするようにしようとするとかなり難しいということがあります。よく言われますように、いわば三多摩を含めたところで物事を考えていかないと特養の整備ということが思うに任せないというような事情もあって、より広域で対応しないと現実問題なかなか特別養護老人ホームを建てていけないというような御配慮のもとに、東京都全体で一つの老人保健圏域というふうに都の方も踏み切られたというのが、一番実際のところとして言えば、考え方、こう言っておられた理由だというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/121
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122・朝日俊弘
○朝日俊弘君 事情はわかりました。それが本当に御配慮なのかちょっと疑問がありますが、さらにお尋ねします。
そうすると、高齢者保健福祉圏と二次医療圏が合致していないところがある。ところで、特別養護老人ホームや老人保健施設は、高齢者保健福祉圏というエリアを一つの単位として整備を図っていく、一方、療養型病床群は、少なくとも現在のところは医療計画に基づく二次医療圏というエリアを一つの単位として整備目標を立てていく、こういう形になっていますよね。あるいは今度の改正でなりますよね。
そうすると、特養と老健、そして療養型病床群がそれぞれ違ったエリアを単位として整備計画、整備目標を立てていくというのは、これはかなりちぐはぐな点が出てくるのではないか、しかも、下手をすると同じ県内で、ある地域に施設が極端に偏在するということを許容してしまうのではないかというふうに思うんです。この点についてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/122
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123・谷修一
○政府委員(谷修一君) 先ほど来御議論がございますように、この圏域の設定というのは基本的にはできるだけ合致をさせていくという方向だと認識をしております。
先ほど羽毛田局長の答弁の中にもございましたように、数としては三百四十八ということで、これはたまたまの一致でございますけれども、その中に違っているものが約七十あると。ただその七十の内訳としては、結局いずれかがいずれかを包含しているということを除けば現在では十五だと考えるべきではないかというふうに思っております。
この圏域の一致ということにつきましては、私ども、医療圏の立場あるいは老人保健福祉圏の立場、それぞれの立場においてできるだけ一致をさせるという方向で従来から都道府県とも話をし、またそういう方向で指導をしてきたところでございます。
今回、新たにこの介護保険制度がスタートをするという前提の中で、先ほど来の繰り返しになりますが、できるだけ一致をさせていくということで、特に現在残されておりますこの十五の圏域、これを具体的にどういうふうに考えていくかということが一番今後の課題なのではないかと。
ただ、先ほどお話ありましたように、北海道の例はともかくとして東京都のような例をどうするかということは、恐らく東京都においても今後また引き続き検討されることだろうと思いますが、もし仮にいろんな事情で圏域が一致しないということがあった場合どうするかということが最後に残るわけでございます。これは、医療圏なり医療圏の設定と介護保険制度を踏まえた療養型病床群の整備、それから老健施設なり他の介護保険施設の整備全体の整備目標ということを念頭に置いた上で、なおかつ都道府県がそういう判断をするという場合があるのかどうか、私どもとしてはできるだけそういう全体を考えた上で圏域の一致ということに持っていく必要がある、またそういうふうに指導していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/123
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124・朝日俊弘
○朝日俊弘君 合致していないところをどう調整を図っていくかということは基本的には都道府県の責任になるわけですけれども、できるだけ先ほど私が指摘したようなことがないように十分当該都道府県とも相談をして進めてほしいなと、こんなふうに思います。
時間がなくなってきましたので先を急ぎます。質問を幾つかはしょります。
次の質問は、医療法の改正の中で提案されております地域医療支援病院について一点だけお伺いしておきたいと思います。
私の理解では、この地域医療支援病院という新しい病院は、その一定の地域の中にある医療機関、例えばかかりつけ医機能を持った診療所などと積極的に連携を図っていきながら全体として地域医療を支える、こういう機能を持った病院だというふうに理解をしております。そうなりますと、この地域医療支援病院というのは相当程度総合的な診療機能が求められることになるのではないかというふうに、また求めたいというふうに期待もしたいと思うんです。
そこで、その地域医療支援病院の承認要件といいますか、その中で診療機能としてはどの程度の診療機能を想定されているのか、あるいは求めていこうとされているのかお伺いしたいというふうに思います。
といいますのは、実は私は精神科医でもございますから特に精神科医療のことが気がかりになるんですが、一体この地域医療支援病院というのは一定程度の精神科診療機能を持つ病院になるのかどうかという点が大変気がかりなわけでございます。仮にそのすべての地域医療支援病院がそういう機能を担うことができなかったとしても、せめて二次医療圏内には精神科の救急医療とか、あるいは昨今問題になっております痴呆性脳疾患をきちっとアセスメントできる機能を持った病院がぜひともあってほしいというふうに思います。
そういう意味で、二次医療圏の中に幾つか地域医療支援病院というのをつくっていこうというお考えのようですが、その地域医療支援病院の診療機能についてどの程度にお考えなのかお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/124
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125・谷修一
○政府委員(谷修一君) 今、先生お触れになりましたように、私どもも、地域医療支援病院については、かかりつけ医あるいはかかりつけ歯科医を支援しまして地域の医療を全体として支えるということが基本だと考えております。そういう意味で、診療機能ということにつきましてどの程度のものかということは今後具体的に検討していかなければなりませんが、紹介患者への医療の提供あるいは施設の共同利用や開放、それから必要最低限の救急医療というようなものはやはり実施をしていく必要があるのではないかというふうに考えております。
ただ、それらはそういったような診療機能というのをすべて一つの病院で持たねばならぬとなると、これはまた非常に制約が多いことにもなるわけでございまして、そういう意味で、ある特定の診療科を有するとか有しないということを余り条件にするべきではないのではないかというふうに考えております。
一方、精神科の問題につきましては、特にこの痴呆性疾患に対する精神病床の整備ですとかあるいは精神科救急医療システムの整備ということを進めていくことが必要だというふうに指摘されております。具体的に地域における二次医療圏ごとの精神医療の機能をどういうふうに考えていくのか。現在、精神病床というものは、従来の考え方は三次圏単位というような感じでやってきたわけでございますが、今後精神医療が地域の中で果たしていく役割ということを考えますと、やはり二次医療圏単位での精神医療のあり方というものを改めて検討していく必要があるというふうに考えております。
それからもう一つは、地域医療支援病院というのは必ずしも一つの圏域に一つということではなくて複数以上、複数以上というのは一つではないという意味で申し上げているつもりでございます。したがって、地域医療支援病院をどういうものにするかというのは、最終的には国の方で判断をいたしますけれども、都道府県それぞれの地域の中で議論をして決めていただくということだと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/125
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126・朝日俊弘
○朝日俊弘君 ぜひ二次医療圏単位での精神医療のあり方について積極的な御検討をいただきたいと思います。
最後に大臣に一言お伺いして終わります。
先ほども同僚委員から御質問がありましたが、どんな人たちが介護支援専門員になっていくのか、こういうことでございます。先ほどの御説明では、一定の資格なりあるいは一定の実務経験に基づいて、できるだけ幅広くその対象を考えて試験をしてと、こういうお話でございました。私も、介護支援専門員の資格要件といいますか候補者といいますか、そういう方たちはできるだけ幅広く考えてほしいと思っています。現行のさまざまな社会福祉施設等における実務経験のみならず、最近では例えばワーカーズコレクティブなど住民参加型の活動で介護を実践されている方、そういう経験をお持ちの方もあるわけです。そういう方たちも含めて、ある意味では現場主義というか実力主義を徹底して考えていただきたい、こんなことを思っているんです。
この点に関して、大臣のお考えをお聞かせいただいて私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/126
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127・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) この介護保険制度が円滑に実施されるためにも相当数の介護支援専門員が必要とされると思います。今お話しのように、能力のある方、現場でいろいろ実務経験のある方を幅広く、この専門員になりたいという方が出ていただくということは大変好ましいことでありますので、そういう方にもなれるような道を開き、積極的にいい方々、資質に恵まれた方々がこの専門員になるように大いにこれから検討していきたい、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/127
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128・朝日俊弘
○朝日俊弘君 ありがとうございました。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/128
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129・西山登紀子
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
先日開かれました地方公聴会、高知と山梨で開かれたわけですが、私は高知の方に参りましたけれども、大変熱心な御意見をたくさんちょうだいいたしました。当日の地方公聴会を報道いたしましたある新聞が「弱者救済へ切実な声」という大きな見出しでこういう掲載をしているわけですが、きょうは保険料の問題について御質問をさせていただきたいと思います。
特に、国保の加入者にとって今度の介護保険法案が一体どういうふうになるのかということで大変不安が広がっているわけです。介護保険料の上乗せがお年寄りやあるいは低所得者にとって深刻な影響を与えるということは先日の参考人招致でもこの場所で陳述がございましたし、また高知、山梨の地方公聴会でも率直な御意見があったところです。特に四十歳から六十四歳の二号被保険者、こういう方々の中で、介護保険料がもし払えないというような事態になりますと医療保険が取り上げられる、こういうことになるんじゃないか、こういう不安が広がっているわけです。
この国保の加入者、今国民の三人に一人が国保の加入者でございます。国保の実態というのは当委員会でも幾度も議論がされてきたわけですけれども、低所得者の方々が加入者の中に大変多いわけです。年収二百万以下が六五%を占める、そして六十歳以上の方が約六割を占めるという、そういう国保の実態でございます。
そこでお伺いいたしますけれども、この国保のいわゆる払えない方々、滞納者と申し上げていいか未納者と申し上げていいか、国保の保険料が払えない世帯、その数を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/129
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130・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 平成八年六月一日の時点における状況を調べてみましたが、国保の保険料をいわゆる滞納している世帯数でありますけれども、約二百九十六万世帯ということでございまして、全体の中で一六・一%の割合ということでございます。
ただ、収納率という点で見ますと、国保の保険料の収納率は平成七年度で見ますと九三・三二%ということでございますから、世帯数から見ますと一六・一%の世帯が滞納世帯ということになりますが、金額ベースでありますが、いわゆる保険料が納められていない金額の割合というのは九三・三二%を引きますと約六%強、こういうような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/130
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131・西山登紀子
○西山登紀子君 二百九十六万世帯が国保料金を払っていない世帯であるという数をお出しになったわけですけれども、実は、この未納者の数が年々ふえているということが一つ問題だと思います。
これは私の方にいただいている厚生省の資料で被保険者資格証明書の件数というのがあるわけですけれども、この件数を見ますと、平成四年にこの人は払っていませんよという資格証明書が四万二百三十三でございますが、それが平成八年では五万七千四十四ということで、世帯数は約一・四倍にふえているわけです。さらに、短期被保険者証というものはどれぐらいふえているかというと、平成四年度で六万二千五百九十五世帯ですが、それが平成八年には十五万三千四百九十六世帯ということで、二・五倍に世帯数がふえているわけです。この両者を合わせますと、平成四年には十万二千八百二十八世帯だったのが平成八年には二十一万五百四十世帯ということで、これは倍の数にふえているわけでございます。つまり、保険料が払えなくて資格証明書だとか短期被保険者証が発行された世帯の数、これだけ見ましても倍にふえているわけです。
もう一つ材料を出してみたいと思うんですが、この資格証明書だとか短期被保険者証を出していない埼玉県の資料をいただいたわけですけれども、この埼玉県の資料を見ますと、やはりこの滞納世帯の数が非常にふえています。しかも近年加速しています。平成五年度、一九九三年度には十二万五千百四十二世帯であったんですけれども、これが平成六年度には四千二百九十六世帯滞納世帯がふえて、さらに平成七年度には八千五百十世帯ふえていますから、倍に滞納者が加速するというこういう状態が一つの都道府県、埼玉県ではありますけれども、数字として私の手元に入っております。
こういうことを総合いたしまして、滞納の状況というのは近年拡大の状況にあるということはお認めになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/131
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132・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 確かに世帯で比較いたしますと、バブル期等の状況、平成三、四年の状況が一四%程度の割合でありましたけれども、平成八年が先ほど申し上げましたような一六・一%ということでありますから、それと比較しますと滞納世帯数というのは数字的にはふえているという傾向が読み取れるわけであります。
この原因として、医療費が膨らんでいく中でやはり保険料というものもふえていかざるを得ないという状況の問題、もう一つはやはり経済状況の中で所得の低迷というふうな問題等々、それらがどういうような状況の中にあるかということは難しいわけでありますけれども、いずれにしましても、やはり現在の医療費というものの適正化というものを図っていく中で負担の方の合理化あるいは負担が過重にならないようなそういった制度につくっていくということが必要でありますし、そういった意味からも今着手しております医療保険制度の抜本的な改革ということが私どもは急がれるというふうに思っております。
今後、そういった意味では負担が過重にならないような制度というものをやはり早急に確立していきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/132
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133・西山登紀子
○西山登紀子君 局長もお認めになったわけですが、滞納者の世帯数というのはなかなか厚生省が数をお出しにならなかったので、今二百九十六万世帯というのがわかりましたので、この間に先ほど私が数で出しました資格証明書、短期被保険者証は約二倍にふえているわけです、五年間に。
この滞納者数、厚生省のつかんでいらっしゃる数でやはりこの五年間に倍ふえているということは言えるでしょうか、滞納者の世帯数。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/133
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134・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 滞納世帯数ということで見ますと、平成八年が先ほど申し上げましたように二百九十六万世帯ということであります。これはそんなに古い数字がございませんので、先ほど申し上げました例えば平成三年ということで見ますと二百四十六万世帯ということでございますから、倍というようなそういうような状況にはなっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/134
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135・西山登紀子
○西山登紀子君 わかりました。その数字は確認をさせていただきたいと思います。
さらに、全国的に滞納者の数がふえていっているということはおわかりいただけたわけですけれども、それではその滞納者がなぜふえるのか、滞納している人は悪い人なのかということでございます。
この点で、三月の二日にテレビ朝日「サンデープロジェクト」で、「病院に行けない・崩壊 国民皆保険」という特集が放映されまして、これが非常に大きく反響を呼んだわけでございます。既にごらんになった方もいらっしゃるかと思いますけれども、少し内容を御紹介したいと思うんです。非常に内容がリアルで、ショッキングな内容です。
大阪府の東大阪市なんですが、国民健康保険の保険証の取り上げの実態について実名も含めて細かく放映がされているわけです。こういう放映で実名を出すというのはかなりのことだと思います。
大工歴三十年の熊谷さんは、作業中に転落をして両腕を骨折して八カ月仕事がなくなった。収入はゼロです。休業補償というのが国保にありませんから、五人家族で月三万八千円の保険料を払えなくて、保険証が取り上げられた。財産を差し押さえると言われて役所に行ったら、御飯を食べなくても保険料を払えと催促された。子供が歯が痛い、おなかが痛いと言っても、ちょっとぐらいなら辛抱しと言わざるを得なかった。
その後の調査で、借金をして保険証を返してもらったんですけれども、ところが病院に行っていないんですね。なぜ病院に行かないんですかといいますと、理由は、借金をして保険者証を返してもらったので、その保険者証の借金を返す、そのために病院に行ったら払うお金がない、こういうことで病院に行っていないというわけです。ですから奥さんは、何のための保険証なのか、払いたいけれども払えないんです、こういう言葉をおっしゃっているわけです。
さらに、その方だけではありません。プレス工の大野さんという方は、四人家族年収二百八十万、保険料は三十五万六千円、年収の一三%にも当たる保険料を払わなければなりません。石垣さんという方は、十万円持ってこい、借金してでもつくれ、そうすれば保険証を出す、さっきの人と同じようなことを言われて、そして、死にたいなら勝手に死ねばいいと、こういうひどい暴言を、担当者の発言も録音されているわけで事実だと思いますけれども、そういう放映がされておりました。
また、服部さんという建設工の人は、働けなくなって保険証を取り上げられたんですが、腹痛で我慢できずに病院に行ったのが九カ月もたってのことで、大腸ポリープで即入院、手術というところまで悪化をしていたということでございます。
この東大阪市の国保料金というのは、そういうことで非常に払えないと、もう本当に高い保険料金でございます。ところが、道一つ隔てた城東区では保険料は同じような世帯の収入状況で二十一万でいい、東京二十三区は十一万でいいということで、東大阪市の国保料金がいかに高いかということはおわかりいただけると思います。そういう状況の中で払えない、保険者証を取り上げられたと、こういう状況になっているわけですね。
私はまた大変こういう状況を心配いたしますのは、これは単に東大阪市が極端におかしな悪政をやっていたということではありませんで、むしろ、九五年の三月にこの厚生委員会で国保法案の改正といいますか改悪といいますか、そういうようなのが行われまして、私は反対討論に立ちましたけれども、結局、その保険料を決めていくシステムの中で応益負担、応能負担というその割合を、応益三五、応能六五から五〇、五〇、つまり人頭割の方も半分にしなさいというこの法改正が行われて以降、よりこういう状態が全国的に加速をされたというふうに私は思うわけです。
ですから、国保の実態というのはこういうふうに払えない実態が非常に広がっている中で、質問は介護保険なんですけれども、介護保険のこの保険料がさらに加わるわけです。そうなりますと、国保の保険料も介護の保険料も払えなくなる未納者の世帯がふえるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/135
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136・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) まず一点が被保険者証の返還の件なのでありますけれども、厚生省としましてもこの取り扱いについて全国的な通知を出しておりまして、これはやはりこの実際の運用といいますか実務に当たっては、それぞれその実情、被保険者の方の実情というものを十分考えて運用してもらいたいということを通達いたしております。
その中で、被保険者証の返還を求めるというケースについての例を掲げてございますけれども、例えば納付相談とかあるいは納付の指導、そういったものを行おうとしても一向に応じようとしないというふうな場合、あるいはまた、こういった納付相談なり指導というものの結果、所得あるいは資産というものを勘案しますと十分な負担能力があるんではないかというふうに認められる場合、それからまた、納付相談なり指導……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/136
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137・西山登紀子
○西山登紀子君 済みません。ちょっと時間がないので、未納者がふえるかどうかというそのことについてだけお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/137
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138・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) わかりました。ただ、もうあと一、二ですから、申しわけありませんが。
その際に、一応こういう保険料というものを納付いただきたいということで納付方法等をお互いに取り決めたと。しかし、誠意を持って履行しようとしない、そういうような等々ございますが、そのようないわゆる悪質という言葉は適当かどうかわかりませんけれども、そういったケースについて保険証の返還というような措置をとるようにということを言っておりますので、事情のいかんにかかわらず保険証を取り上げるというようなことではないということは御理解をいただきたいと思います。
それから、この介護保険が導入されますと、国民健康保険の保険料にあわせて納付していただくわけでありますけれども、やはりこれは制度に対する理解といいますか、そういったものと非常に大きく結びついていると思いますし、そういった意味で、新しい介護保険制度ができましたら、やはりその介護保険の趣旨なりというものを十分御理解いただいて、そしてこの保険料というものもきちっと納めてもらうような、そういうような指導なりあるいはPRなりというものを十分していく必要があるだろうというふうに思っております。
したがって、こういう制度ができたからさらに滞納者がふえてくるということは一概には言えないのではないかと思いますし、またそういうことがあっては制度そのものが成り立ちませんから、私どもとしては、やはりその辺のところについて十分国民の御理解というものを求めていかなきゃならないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/138
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139・西山登紀子
○西山登紀子君 実際、担当される自治体の、日経新聞のアンケートがあるわけですけれども、このアンケートでも国民健康保険よりは未納率が高まるとアンケートに答えられている自治体の長の方は七五・三%に及んでいます。ですから、これは未納率が高まる、こういうふうに見ているということはお認めになった方がいいと思います。
それで、一昨日の地方公聴会で、高知の市長さんが陳述されたわけです。これは高知の市長会の会長さんとして陳述をされたわけですけれども、自己負担が非常に高いということを指摘された後で、特に介護保険料負担は想定されている所得階層区分が少ないこともあって、国民健康保険制度と比較しても相対的に低所得者負担が重くなっていると思います。高齢者の精神的な面も配慮され、低所得者の自己負担、保険料の負担軽減や減免措置をぜひお考えいただきたいと思います。こんなふうに陳述なさっているんですけれども、この意見は十分配慮される必要があるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/139
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140・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険の保険料につきましては、特に高齢者の保険料負担でございますが、市町村が条例で定める、そのときには五段階の区分で保険料を納めてもらうことになるわけでございます。介護保険制度の介護サービスを受ける確率の高い階層でございますし、制度の趣旨をよく御理解いただくことによって保険料負担をしてもらえるんではないかと。低いケースでは月額千二百五十円程度、平均的な考え方でございますが、千二百五十円程度ということになるわけでございますので、この程度の負担はしていただけるんではないかというふうに思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/140
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141・西山登紀子
○西山登紀子君 ところが、やはり厚生省も、未納者がふえるということを考えて、介護保険法施行法第三十六条で国民健康保険法の一部改正を行うということを提案していらっしゃるわけですね。国保の現行の規定では滞納者に対して被保険者証の返還を求めることができると。ところが、この規定を変えて、納付期限が一定期間を過ぎて滞納している場合は世帯主に対して被保険者証の返還を求める、こういうふうに変えようとしているわけです。つまり、介護保険の導入を機会といたしまして保険料が払えない世帯主に対するペナルティーを強化しようとしている、そういうことではないかと思うわけです。
先ほど高木局長は、実際の運用はいろいろだと、保険証の取り上げはそんなに機械的に強制的にやっているわけじゃないというような弁明がございましたけれども、今度この法案の改正が行われますと、これは一律に、「できる」じゃなくて「返還を求める」ということですから、これは強制的にペナルティーが強化されるということになるんじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/141
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142・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 今提案しております法律の中で、御指摘のとおり、国民健康保険法の改正をいたしまして、従来は「返還を求めることができる」という規定でございましたけれども、これを「返還を求めるものとする」という形に変えております。
これは、今回の制度が、介護保険制度が新たにできるというような中で、やはりこの辺のところについてもきちっとした法制的な制度として確立をしていくということでやっておりまして、しかしそういった中でも、先ほど申し上げましたような制度の運用ということについては、これは今の規定が「できる」という規定だからそういう運用をしているということではありませんで、やはり新たな法律の条文になりましても、実際の運用に当たりましては、これはやはり実情というものを十分勘案して、そしてそれぞれ被保険者の実態というものに合った形の、被保険者の実態というものを十分しんしゃくした上での運用というものをしていかなきゃならないというふうに考えておりますので、私は実態的にはそれほど変わらないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/142
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143・西山登紀子
○西山登紀子君 ちょっとおかしいと思うんですね。実態的に変わらないというのなら、この法改正、変えなきゃいいんですよ。私は変える必要はないというふうに思います。
次の質問に移りますけれども、そういうように法改正がされた場合に、今の自治体の裁量権、「できる」となっているこの裁量権が否定をされるということになるんじゃないかと思うんです。そこで、懸念されますのは、先ほど資格証明書の数、それから短期被保険者証の数を私紹介いたしましたけれども、それは資格証明書を出すというふうに決めていたり短期被保険者証を出すと決めている自治体は全国のまだ二割か三割の自治体なんですよ。ところが、今度法改正されて、これは返還を求めるというふうになりますと、今現在、そういう資格証明書や短期被保険者証を持つ世帯は約二十一万世帯、約四十万人になるわけですが、それが全国的に拡大されるということになれば、そういう人たちが、私の推定ですが、約八十万から百万世帯に拡大されるんじゃないか、そんな懸念を持つんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/143
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144・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) そんなに大幅に拡大されてしまうと、これは制度が成り立たないというふうに思います。私どもは、先ほど申し上げましたように、この被保険者証の返還という措置自体が先ほど御説明したようなケースについて対象とする、そういった中で慎重に対応していくということで考えております。やはり負担能力があるケース、それにもかかわらず納付をしていただけないというようなケースについては、これはやはり制度全体がいわゆる相扶共済といいますか、保険制度というのはお互いに助け合いの中でできているものでありますから、能力に応じた負担というものはしていただかなきゃならないということでありますので、これを厳正にやっていくということは、これは各市町村の努力のもとにお願いしているわけですが、大事なことであろうというふうに思っておるわけであります。
そういった意味で、私どもとしては、制度の趣旨というものを十分理解していただいて、そしてまた負担できる方については応分の負担ということをやはりお願いをしていくということではないかというふうに思います。
そういった意味では、そんなに大勢の滞納者、滞納世帯というものが出てくるというようなことはないと思っておりますが、またあってはならないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/144
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145・西山登紀子
○西山登紀子君 「国保が人を殺すとき」というふうな書物が出されたことがあるわけですけれども、介護保険が加わって医療保険の給付が制限される、つまり介護保険のために医療保険の給付が制限される、つまりお医者さんに行けなくなる、こういう深刻な事態が生まれる大変な心配があるわけです。特に、四十歳から六十四歳のいわゆる二号被保険者の場合には、これは世帯主ということになって家族を抱えております。子供もいれば親の面倒も見ているというその世帯が、介護保険が加わって払えなくなったら医療保険ももらえないということになる、これは非常に深刻だと思います。高知の市長さんもペナルティーはなくすべきだという陳述を先日もなさっているわけです。
最後に大臣にお伺いいたしますけれども、未納者というのは決して悪質な滞納者ではなくて、経済的な理由から納入困難な人だということはせんだっての参考人招致でも、この場でも生松参考人が述べられましたことでもありますけれども、新しい制度を発足させるときには、この保険料を払えないという人を最初から排除する、保険料のハードルを高くして越えられないようなものをつくって、そして払えないからあなたにはペナルティーだ、こういう制度ではおかしいんじゃないかなと思います。
十分に低所得者に配慮をし、ペナルティーをなくして過重にならない、そういう抜本的な再検討が必要だと思いますけれども、お考えをお伺いして終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/145
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146・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 保険制度というのは皆さんに参加していただかないと成り立たない制度でありますので、当然負担能力に応じた保険料を設定しなきゃならない、そして確実に納付していただくために、よく制度の趣旨を理解していただき協力を仰ぐ。特に、今お話しのように、低所得者に対しても無理のないような負担料を設定しないとこの制度は成り立ちません。最初からもう負担してもしなくても同じだということでありますとこの制度そのものが成り立ちませんので、できるだけ多くの方々に御協力いただけるような、理解と協力を求めるような啓発活動と、そして無理のない負担設定に十分な配慮をする必要があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/146
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147・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 自民党の宮崎でございます。
公聴会を拝聴していまして、やはりこの介護保険法、皆さん総論ではこの制度は必要であると言いながら各論部分になると大変いろいろな問題を指摘されているわけであります。それは、この介護保険法案というのはあくまでも骨格部分でしかない、そしてまた運営上の問題になりますと、これは将来この骨格に血となり肉となる部分でありますけれども、政省令が全体で三百項目以上であります。厚生大臣が定める基準が六十五項目、政令が九十二項目、省令が百六十項目でありますから、さらに運用規定なんかを含めると膨大な検討項目がまだはっきりしていない、ですから見えてこない。
そこら辺に問題があると思うので、私は具体的にきょうはちょっとお尋ねをして、こういう委員会の場で国民に情報を早く開示していくということがこの保険を進めるのに大いに役立つのではないか。同時にまた各種委員会で、各種と言ったけれども、今度新しく発足しましたいわゆる審議会、これは金平さんですか、東京都の前の副知事さんが会長をやっている審議会がありますけれども、その論点等を早く国民に開示していただいて、そしてこういう前向きな姿勢ではっきり姿が見えてくるということで安心感を持たせないとこれは大変なことになる、そういうことを頭に置いて質問をさせていただきます。
まず第一点目は、介護基盤整備との関連についてお尋ねしたいと思うんです。介護基盤整備が不十分であるということを前提にして、保険者、市町村ですが、経過措置として提供サービス量において保険料額を軽減することができるという制度になっております。この前の公聴会でも、地域格差、山間僻地の介護サービスというものは大変問題を指摘されている方が多く見られたわけであります。
そこで、在宅サービスについてはサービス量を軽減するということで対応できるんですけれども、施設サービスになりますとそうはいかないわけです。そうしますと、自分の近くにそういう介護施設がなければ遠い市町村へ行って入るしかない。そうすると、そこへ入ればそれでいいではないかと、こうおっしゃるけれども、例えば老健施設なんかに入るのは、まずそこへ入所させるのに要介護者を車で連れていく。それで入れてしまえば終わりというわけじゃないんです。家族が必ず一週間に一回行かなきゃいけない。それはなぜかというと、大体老健施設というところは洗濯はやらないんです。洗濯は家族が必ず来て、それを持って帰ってやるようなシステムになっているんです。そうしないと、家族が来なくなる。
ですから、これ現実の話ですから、家族と会う機会を十分つくるようなそういう非常にきめ細かい配慮までしているわけです。ですから、そうなると家族も通わなきゃならない。これは大変問題があるわけで、そういうときには一切保険料の軽減は見ませんよとか、そこら辺はそういうところにお住まいの方たちには何かの配慮をしてあげたらいいんじゃないかと私は思うんですが、現実的にはどういうふうにお考えになっているか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/147
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148・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 保険料の設定に当たりまして、先生おっしゃいますように在宅サービスの場合には、その基盤整備が不十分であれば経過措置としてそれに見合った形で保険料を下げるというのができるわけでございます。施設サービスにつきましては、基本的にその地域で受けられないということになりますと、他の市町村で受けていただくというようなこともあるわけでございますが、これはまた先生のおっしゃったような問題があるんだと思います。
そうしますと、施設に入れなければ在宅で例えば介護サービスと医療サービスを組み合わせながらサービスを受けていただく、そういうことで次善の策というんでしょうか、そういう形でやらざるを得ないのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/148
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149・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 そういうことを頭に置いて弾力的なことを考えていっていただかないと、何でもしゃくし定規に考えていただくと困るわけであります。
それでまた、要介護状態になって、それで施設に、これは希望して被保険者が選択できるというふうに法律ではなっているんです。ところが、本来なら特養でいいといっても特養がない。特養がなければ、療養型病床群しかなければそこへ入らざるを得なくなる。そうすると、その分の介護保険料というのは、担保できればいいですよ、しかし特養へ入ると今度は自己負担というのは変わってくるわけです。これがなければ、あるところへ仕方ないから入らざるを得ない。こういう事例も出てくるんです。そういうことも起きてくる。
と同時に、逆に三つの介護施設があって、本人は新しくできた老健施設へ入りたい、これは選べるんですから。ところが、あなたは特養だよ、あなたは療養型だよ、こう割り振りをだれかがやるような、これは介護認定審査会で割り振りをされてしまうのか。それから、この前の答弁を聞いていると、その介護度によって主に医学的な管理の面のある方はもう療養型、それからその次のグレードの人は老健、さらにその次の軽い人は特養と、こんな御返事がありましたけれども、それはだれかが指示してそういうふうに振り分けてしまうのか、それともあくまでいわゆる要介護者がどこでも選べるのか、法律では選べると書いてあるんですよね。そうすると、新しくできたから今こっちへ入っているけれどもそっちへ行きたいと、こういうことが起きてこないか。
この辺の整理はどういうふうになっているか、お考えがあったら教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/149
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150・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 確かに、施設整備がスタートの段階で十分ではないということが各地域で想定されるわけでございますので、施設の選択といいましても限られた条件の中でやらざるを得ないということになるんだと思います。
先生おっしゃいましたような、特養がなくて例えば療養型病床群に入るというのであれば、ある意味でサービス基盤も厚いわけで安心感があるんだと思うわけでございます。逆に、医療を要する人がそういう療養型病床群がなくてどうするんだという方がまた問題としては深刻なんだろうと思います。
施設の選択は基本的に本人ができるということでありますが、介護認定審査会でこの人は療養上のサービスが必要だというような場合にはその認定審査会で指定をすることができるということになっておりまして、その場合には、その指定された人は特養に入りたいと思っていても、その人の医療上の必要性で療養型病床群に入りなさいということであればそこに入らなければいけないということになります。
そういう指示がなければ選択ということになりますが、これも介護支援専門員とかあるいはかかりつけ医師とか、そういう方のアドバイスを踏まえて選択をしてもらうことになるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/150
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151・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 それでは、もう施設がなけりゃやむを得ぬから入ってもいいけれども、そういう多様な施設のあるところは介護認定審査会で指定をしたらそこへ行かざるを得ないと、こういうことでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/151
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152・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 療養上の管理が必要だという場合だけ療養型病床群の方に入れという指示がございますが、特養に入れというような指示は普通はないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/152
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153・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 そうすると、老健施設とそれから特養は選べるけれども、療養型については選べませんよと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/153
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154・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 今、介護認定審査会の指示の話をしましたが、それ以外に指示がないケースでありましても、例えばかかりつけ医師が施設に入るんであれば医療管理のある方がいいだろうというようなアドバイスがあって、それで自分で選択する、それは十分あることでございます。つまり、介護認定審査会で指示をするというのは非常に限られた、絶対これは必要だという特例的なケースに指示をするということでございまして、通常はその人の状態に応じて選んでいただくということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/154
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155・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 どうもそこがはっきりわからないんですよ。だから、具体的に医学的管理の必要度で、療養型病床群はこちらの方で指示するけれども、それ以外は本人に選ばせるだけの選択権は与えますよと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/155
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156・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 先生のおっしゃることに大体近いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/156
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157・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 大体というのが大体わからないんで、やっぱりこれはきちっとやってもらわないと困るわけです。そこら辺はこれからきちっと整理をして、国民にこうですということを示していただかないと、大体という話なんというのは大体困るんですよ、みんな迷っちゃうから。そこら辺は、これ以上追及してもお答えが出ないから、ひとつペンディングにしておきます。
それから、介護認定の問題でございます。
これは前々から、もう説明しなくてもわかっているように大変複雑なんですね。こんな複雑なことを時間をかけてやって、それでこの平成八年度のモデル事業では平均して二七%も一次審査と二次審査と誤差が出る。
この原因はやっぱり人を見ていないんですね。人を見ていないというのと環境を見ていないことが、この間、清水先生の方から御指摘がありましたけれども、まさに人間の住んでいる状況、そしてその人間の動作というものを本当に生きた目で見ていない。書類だけでチェックしていくわけですね。それも、痴呆性の方は御家族からマル・バツの聞き取りをやる、それをコンピューターに入れる、それからかかりつけ医、主治医のある方はその方の意見を求めて、そして認定審査会で認定をする。
それで、これは三十日以内と言っていますから、三十日かかったらこれははっきり言って死んじゃっているかもわからないですよ。実は、きょう電話があって私の診ている寝たきりの患者さんが亡くなったというんです。残念なことをしたなと、江利川さんにぜひ見せてあげたいと思ったんだけれども。
そういうことで、やはり一月たつと年寄りはわからないです、その状態が。それから、一日のうちですごく変わるんですよ、状態のいいときと悪いときと。我々だってそうでしょう、もう夜疲れているときと朝起きてすがすがしいときとは全然違うわけですよ。だから、やっぱりお年寄りは余計その格差がひどい。それをいつ聞き取っていくかという話が、これが一つあるわけですよ。
だから、本来医療保険は、保険証を持ってくるとそこでやはり問診をして、そして視診をする、目で診るわけですよね。それから、今の若い先生方は余りやらないですけれども打診、聴診、これは全部やることが鉄則なんです。我々の年代はそれはたたき込まれたけれども、今の人はすぐ検査をやっちゃって血液の結果を見てどうだこうだと検査に走るけれども、私はやっぱりそういうことをきちっとやれば、その場で専門家が三人なら三人の認定審査会で見れば即決できると思うんですよ、この人のグレードはこれだと。そうすると、そこでもうすぐ介護の指示ができるわけですよね、グレードがわかるから。むしろ、その方が簡素化であるしお金もかからないし、被保険者、要介護者も非常に喜ぶわけですよ。
ですから、これはひとつ簡素化を図っていただきたいと思うんですが、大臣、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/157
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158・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) お話のとおりだと思うんです。
名医にかかれば一人が一番いいと思います。もうそんなに多く要らないと思います。ところが、世の中そうじゃないということでこういうややこしい複雑な用法を用いなきゃならない。しかし、今お話しのとおり一月というのは確かに長過ぎると。できるだけ短く認定できるような体制をつくるよう努力しなきゃいかぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/158
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159・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 今、名医というお話がありましたけれども、だから今五人ということはさておいて三人ぐらいで見れば、三人の意見を聞けば大体まとまっていくと思うんですよ。
障害者の障害認定というのがあるんです。これは一級、二級、三級、これを決めるわけですね。一級なんかだと税金が免除されるわけです。そういう大きなバックグラウンドがあるやつも、はっきり言って医師一人で行って全部認定して書類を書いて、それでおかしなやつは二次審査会というのがこれはあります、確かに。
そこで、例えば脳出血なんかですぐ申請を出す人があるんですね。これは症状がそのとき診たときと変わってよくなる可能性がある、だから時期尚早といって返却するわけです。ところが、年齢を見てもう九十幾つで年齢的にもこれはもう無理だろうということになるとみんなで相談して第二次審査会でこれはすぐ一級おろせと、こういうようなことをやったり、それからある者によってはこれは再認定を要する、それは六カ月後だと、こういう指示を出すわけです。
現場で最初に出てくるのは、一人でやっているわけですよ、これはみんな。これは申告制でありますから、認定をとるのには申告して、そして市町村へ出して、それを認めてもらってその認定医というのが決まる。だから認定医以外には書けませんけれども、その書類は。
だから、今回もそうやって認定をして、そこでやはり動けない人はそこへ午後からでも行って、そして診てくる、そういうチームを幾つかつくると、こういうことをして簡便化しないとこれは大変なことになる。しかも、今度施設に入っている人も全部一人一人やるんでしょう。こんなことは私はできるのかなと今から心配しているんですけれども、その辺はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/159
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160・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護認定について求められる要素は三つあるんだろうと思います。
先生の御指摘のありました迅速性をどう確保するか。それからもう一つは、全国の制度でございますので、公平性というのでしょうか、全国の統一性というのでしょうか、そういうことも要請される。それから、認定の透明性、こういうことが要請されるのだろうと思うわけでございます。
そして、要介護者の数は、要支援者も含めますと制度スタート時に二百八十万人ぐらいいる。そして、一遍に二百八十万人ということではありませんが、この人たちを順次見ていって三カ月、ときには六カ月ぐらいの間でまた再認定をするということが起こるわけでございます。
こういう業務を公平性、透明性も確保しながらやるというのは大変なことでございまして、そこで一つの方法として、いろいろと長期間診ていただいている成果というものをかかりつけ医師の意見書で出していただく。それから、全国統一の様式で調査をして、それで判断をする。そういうことで要介護認定をやって公平性とか透明性を確保したい。
これはまた逆に、先生の御指摘になります迅速性に欠けるではないかという問題が起こるわけでございます。先ほど大臣からもお答えがありましたので、これをどうやったら迅速にできるか、これは一生懸命勉強させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/160
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161・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 一生懸命勉強してください。勉強してもらわないとこれは大変なことになるということだけ指摘をしておきます。
それから、今厚生省の案は五段階ですよね。それも四万刻みでなっていますね。それでは、一月のうち十三日間その対象になったというときは、これは日割り計算なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/161
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162・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護状態にあるというのは、ある程度の期間そういう状態にあるというのが見込まれる人でございますので、そういう意味ではその期間をまた厚生省令で定めるということになっておりまして、大体三カ月ないし六カ月というふうなイメージで考えておりますが、そういう期間ある人というふうな考え方でございますので、そういう意味では、認定されますと基本的に月単位というのでしょうか、あるいは場合によって、物によっては三カ月単位ぐらいで見た方がいいのかもしれませんが、ここら辺はちょっと検討事項でございます。そういう単位で見ていくものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/162
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163・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 痴呆性の方を三カ月なんて見たらだめですよ。三カ月で治る痴呆ならみんな痴呆にならないですよ。これからみんな厚生省令ですから、これが怖いんですよ、どうなっちゃうか。だから、そこら辺は本当ならもうここできちっと目安というのが出てこないとね。けれども、これはいたし方ないことですから、やっぱり現場をよく見て、そして間違えないひとつ対応をしてもらいたいと思うんです。
その関連で一つ今やりますけれども、老健施設という中間施設があるでしょう。中間施設、今三カ月で出すように一生懸命、羽毛田老人保健福祉局長さんは恐らくそういう指示を文書で出していると思うんですよ。皆さん私のところへ言ってくるのは、そんな痴呆性の人を三カ月で出すなんということになると、またたらい回し、一回出して、今度はほかのところの施設に入れて、また引き取る、こういうことをやって、キャッチボールをやっちゃうんですね。当事者としては、それでは困るわけですよね。だから、そういうことのないように考えて、この痴呆性の老人という方をどういうふうに今後やっていこうかと。
介護保険が発足したときに、今やっていることとはっきり整合していないです。それがきちっと将来整合するようにやってもらいたいんですが、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/163
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164・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 痴呆性老人の介護保険下における、特に老健施設における扱いという御質問でございます。
現在、先生が御指摘になりました老人保健施設につきましては、御案内のとおり老人保健施設といいますのは、言ってみれば高齢者の方々が家庭に復帰をしていただくことを支援するということを主な目的にしてできている施設であります。したがいまして、そこをついの住みかにされるということを想定しない、むしろリハビリテーションをして家庭に帰っていっていただくということを主な目的にした施設という形でお願いをいたしております。したがって、三カ月たちましたら機械的に出すというようなことはしておりませんけれども、三カ月ごとにやはり入所継続の要否というようなことの判定はしてくださいというような指導をしていることは事実でございます。
そうした中でございますけれども、今後介護保険ができましたときに、一つは、先ほども御議論出ましたけれども、三つの施設類型を長期的にどう一元化という方向で考えていくかという問題がございますけれども、まず当面の話といたしましても、おっしゃるように老人保健施設の場合に今かなりの部分、痴呆性老人の方々が入っておられるという実態がございます。
したがって、その痴呆性老人の方々の場合に、今家庭復帰ということを目的とする施設だというだけで割り切れるかという問題が当然あると思いますので、そういう点につきましては、今度の介護保険の導入に合わせまして、老人保健施設を今度の施設体系に合わせますときに、いわば痴呆性老人等の方々が長期入所にならざるを得ないという部分についての扱いをどういうふうにしていくか、施設のあり方として長期の検討と同時に当面の対応としても検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/164
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165・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 検討が非常に多いのですけれども、ひとつ検討してください。
次に移りますけれども、先ほど言ったように、五段階というと四万円刻みですから、細かければ細かいほどグレーゾーンですね。先ほど言ったように、朝診たときと夜診たときとそのグレーゾーンが両方にまたがっているということがあり得るわけです。しかも、一月たったら大分変わっちゃうと。いざ介護になったときにはもう全然行ったときと状態が変わったと。それで非常にまたわかりにくいのですね。
これは一番大事なのは、インフォームド・コンセントと医療でよく言いますけれども、要介護者の方に納得してもらわなきゃいけないわけですよ、あなたはここの範疇です、こうこうこうですよということを。これは痴呆性の方は無理ですけれども、そうじゃない方はきちっと、痴呆性でもわかる部分はありますから、これはやっぱり説明をしてあげるということは大切です。しかも理屈がきちっと合っていなきゃいけないわけですよ。ところが、厚生省のこれは余り細かくて、我々でも理解しにくいような、健常者でも理解しにくいのだから、これはなかなか難しいですよ。
先ほど私どもの資料をお手元に差し上げましたが、これは日本医師会が今一生懸命取り組んで、もう少し簡便でそして早くできて納得のいく方法をひとつ出そうじゃないかということを今研究して、全体の本文はこんなにあるんですけれども、最終的なことを実はここで表で見ていただきたいのです。
表二でありますが、「要介護度総合分類の分岐項目と基準」。これは実は三つの段階に分けてあるんです。
IADLというのは家事や金銭管理の能力ということなんですが、分類Iは、これに対しては問題があると。それから、これはVIまで全部あるわけであります。対象外はもう外してありますから問題ないわけであります。
それからADLにつきましては、これは数字であらわしています。例えばこのADLを説明すると、四から七なんという数字が出ていますけれども、これは非常に簡単でありまして、これの内訳が食事とそれから排せつ等そういうことを全部数字で記録をつくっております。
分類Iというのはベッドの上での可動性、自立ないし観察が要るというのが一点、それから部分的援助が要る、これは寝返り等を含んでいるんですが、これが三点、それから広範援助ないし全面依存、これが四点。それからトイレの使用、これは観察が要るというのが一点、部分的援助が三点、広範援助ないし全面援助が四点。それから移行ですね、移動に対して自立ないし観察をしなければいけないのが一点、それから部分的援助が三点、それから広範援助ないし全面依存で援助するのが四点。それから食事、これも観察しなきゃいけないのが一点、それから部分援助が二点、広範援助ないし全面依存が三点というので、この点数で実はこれをあらわしている。
それから痴呆状態、それから医学的管理があるかどうかというので大体この三つぐらいに分けておかないと、三つというと、金額でいうと八万円だと、八万円じゃ大きな差があるじゃないか、こういう議論もあるんですが、これは一つグレードが上がる下がるで確かにそれは問題あるけれども、前の四万円よりは、四万円だと小刻み過ぎてこれは非常にグレーゾーンがわかりづらい、これだと大体要介護者に納得のいく説明ができるわけです。あなたはこういうことだから総合でここなんだよという説明を、それはやはり簡単でなきゃ、簡便でなきゃ説明つきません、もう複雑怪奇なことでは。やっぱりわかりやすくした方が私はいいと思うんですが、これについてはどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/165
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166・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護認定の結果が要介護を申請する人にわかりやすいものであるということは本当に必要なことだと思います。
私どもも、八年度のモデル事業を踏まえて九年度のモデル事業は改善したわけでありますが、そしてまた、それぞれの要介護度状態の説明についての工夫などをしたわけでありますけれども、なお改善を要するのではないか、そういうことを専門家の検討会で言われております。医師会でやっております研究成果も、今日出されておりますのは中間報告ということでございまして、この先まださらにいろんな調査等を行いながら最終報告をまとめていくということでございます。
私どもも、また今モデル事業を実施しておりますが、この成果を踏まえてさらに改善を図るということになっております。これを検討する専門家の委員会には、この調査を担当している医師会の先生もメンバーになっておりまして、各方面の英知を集めてできるだけわかりやすいものにしていく、そういう努力はしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/166
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167・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 ぜひお願いしたいと思います。
それから、介護保険制度における療養型病床群と老人保健施設の問題についてお尋ねしたいんですが、御案内のように、今、療養型病床群、四万床台であります。これを将来十九万床にする、こう言っているんですが、この転換に対する経過措置が平成十四年で切れるんです。十二年から発足して二年しかないんです。とても私はこれは間に合わないんじゃないかと思うんです。だから、その経過措置をもうちょっと延ばしていただけないか、少なくとも五年ぐらいは最低延ばしてもらわないとこれは対応できないんじゃないかと思うんですが、そのあたりはどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/167
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168・谷修一
○政府委員(谷修一君) 療養型病床群の整備でございますが、今、先生お触れになりましたように、ことしの一月現在で四万七千床ということでございましたけれども、ことしの五月の段階で五万床、ことしの七月の段階で五万三千床という形でかなり整備が進んできております。このうちの約三分の二がいわゆる介護力強化病院も含めた既存病床からの転換という形でございます。
療養型病床群の整備ということにつきましては、全体としては医療施設の整備補助金によります一般病床からの転換に対する国庫補助の実施、それから老人保健拠出金事業による助成金の交付、それから社会福祉・医療事業団によります融資枠の確保、それと特に診療報酬によります療養環境加算あるいは移行計画加算というようなことによりましてできるだけ支援をしていく、整備促進を図っていくということを考えております。
先ほど冒頭に申しましたように、今から三年前は約五千床というような規模でございましたけれども、この三年の間に約十倍になってきたというようなことで、私どもとしては、今申し上げたような取り組みを通じて、引き続き、この介護力強化病院からの転換の促進ということを図っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/168
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169・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 この介護力強化病院というのだって、これ有限ですから、全部いったって、まだこれ五万というとあと十四万床ですから、これはもう種切れになるわけです。だから、そこら辺をやはり考えてもらわないといけないので、これはぜひともひとつ延長は考えておいていただきたい。できないときに、それじゃ延長しますよでは、もう今から準備しておかなきゃ間に合わないわけですから。その辺の見込みを間違うと、よく見込み間違いを厚生省おやりになるから、見込みを間違えないようにひとつやっていただきたい。これをお願いしたいんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/169
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170・谷修一
○政府委員(谷修一君) 法案上は、施行後三年を超えない日で政令で定める日という形になっていたと思いますが、先ほど来申し上げているように、かなり転換が進んできている、今からまだ五年あるわけでございますから、そういう意味で、この範囲の中で私どもとしては整備、転換を図っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/170
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171・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 それじゃ、そのときにできなかったらば、やはりこれは考え直して、これは変えてもらわなきゃいけないというふうに思っておりますので、ひとつそれは頭の中に置いておいていただきたいと思います。
それから、療養型病床群というのは、いわゆる介護保険適用の療養型病床群と医療保険適用の療養型病床群と、この二つがあるわけですが、施設基準だとか人員配置基準には差別がないんですね、差異が。ただ、ケアマネジャーの存在だけが差があるわけです。
それを見ると、非常に私は一つの例を挙げると考えさせられるんですが、例えば全身リューマチの人が入所したと、介護度がこれは非常に多いので、おまえは介護保険と。ところが、あの病気は痛がるとこれは大変です。鎮痛剤を朝昼晩やって、そしてステロイドをやって、注射も関節内へ入れたり、いろんなことをするような、私も一人患者さん持っているんですけれども、これは大変であります。そうすると、これは医療だからといって、今は病室ごとに変えたから、じゃ医療だからおまえこっちの病室にきょうは移れと、よくなってあしたは介護だからこっちに移れと。ケアマネジャーが移ればいいんです、健康なのが。それが、実際これではそういうばかな規定になっているわけです。
これは、人じゃなくて施設にお金をやろうという制度ですから、そこはやっぱり血の通ったことをやってもらわないと、これ大変困るんです。そこらあたり、大臣、聞いていてちょっとおかしいと思いませんか。——おかしいと思いますよね。大臣答えにくいからいいけれども、じゃ江利川さん、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/171
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172・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 施設に対する適用、人に対する適用、この問題はこの制度を考える過程で老人保健福祉審議会でも大分議論になった点でございます。
老人保健福祉審議会での議論の結果として、当面の考え方と先々の考え方と二つ出ているわけでございますが、当面の考え方として、療養型病院に入院している高齢者が要介護状態になったということで、そのまま介護保険を給付するとなると、社会的入院の追認になってしまうのではないか、あるいは介護保険制度というのは介護の質を向上させる、そういう意味で病院とは少し違う体制、長期的な介護にふさわしい体制を整えた、そういうような形に持っていくべきではないか、当面の話としてそういう指摘があったわけでございます。これを受けまして、介護支援専門員を置き、そして、その人に対して介護サービス計画を策定してサービスをする、そういう仕組みになっているわけでございます。
また、将来的には、同じく老人保健福祉審議会の答申でございますけれども、専門的介護機能とかリハビリ機能の強化とか、介護保険適用施設としてふさわしい施設のあり方をさらに考えるべきだということも言われているわけでございます。そういうこともありますので、そういうことも考えなくちゃいかぬ。
ただ、また先生がおっしゃいましたように、人を見てすぐ病室を行ったり来たりという、これまた非常に非人道的な扱いではないかというお話でございます。法律上は、現在の療養型病床群の考え方を念頭に置きながら療養型病床群の介護報酬の適用の仕方を考えていくわけでありますが、現在の療養型病床群は、もう先生御案内のとおりでありますが、看護とか投薬とか丸められている。食事を含めまして大体月三十万ちょっとぐらいだと思います。それに医療の出来高が入って、平均すると四十三万ぐらいの費用がかかっているというのが今の療養型病床群でございます。
ですから、そういうことで普通の治療はそういう形でできるんだろうと。ただ、先生が御指摘になりました非常に大変なケースもあるじゃないかと、そのときに病院を移って処置するのが適当なケースもあれば、必ずしもそうでないこともあり得るんではないかというお話がございました。法律上の規定では、原則として介護保険施設には介護保険法が適用されるわけでありますが、厚生大臣が定める療養については例外というのがございまして、これをどんなふうに考えていくか、今、先生の御指摘がありましたことも踏まえながら検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/172
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173・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 私は、今例外もあるという事例を出したんですが、例外はやっぱり認めてもらわなきゃ困る、こういうことですので、頭へ置いて、これも対応できるような運用というものをやってもらわないといけないというふうに思っております。
それから、療養型病床群へ入っていて、そこから他の医療機関へ行くということについてはいろいろ制限があるわけです。田浦議員からの質問に対してはっきりした答弁があったんですが、やはり放射線治療なんかできる療養型病床群はそうないわけです。例えば、子宮がんの患者さんが入った、これは大した症状じゃないけれども、やはり何回かほかへ行って照射をしてこなきゃいけない、しかもその方は脳血管障害があって今介護状態にある、こういう場合なんかもないことはない。私は例外的なことを言うんですが、しかしそういうのは割かしあるんです。そういうときに、お前はだめだ、介護保険だからそんなものだめだぞと頭からやられるととても困るわけでして、そういう場合には、やはり外へ行ったときにきちっと医療保険の適用ができるようなシステムを講じてもらわなきゃ困る。在宅の場合は両方からというお話なんです。ただ、入所した場合には、入院した場合にはという話になるとこれはいろいろ問題が出てくるので、その辺の整理をしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/173
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174・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 療養型病床群で必要とされます医療につきましては、原則的にはその施設において一体的に提供されるべきものということでございますが、特殊な検査であるとか特殊な治療であるとか、そういう取り扱いについては、確かに現在の医療保険でも療養型病床群について、一部について他の医療機関からの医療の提供を認めておりますので、そういう現在の医療保険での取り扱い、また新しい介護保険制度における介護報酬をどうつくっていくか、そういう中で先生の御指摘も踏まえながら具体的な取り扱いを検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/174
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175・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 それから、緊急な場合ですね。この緊急な場合の対応をやってもらわなければ困るわけですよ。施設に直接飛び込む。今はどこへ行っても対応してくれるけれども、介護保険になると、これは申請を市町村に出さなければいけないわけでしょう。そこで認可をもらわなきゃすぐ対応できないというのでは困るわけです。
〔委員長退席、理事上野公成君着席〕
要介護者が要介護状態になったといって施設に直接飛び込んだときに、この法令では療養費払いですか、何かそんな対応ができるという話があるんですけれども、ただそのときに介護度が違っているとおりる金が変わってくるわけです。そうすると、その分はあんた負担しろよと、こういう話になるので、私はある程度施設に認定の委託をして、その意見を聞いて決めるという道をあけておいてもらいたいんです。そうしないとやはり混乱が起きると思うんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/175
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176・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護認定そのものは、保険者の決定する機能ということでございます。被保険者が寝たきりや痴呆等の状態にあるかどうか、介護保険からの給付条件を満たすかどうか、これを全国共通の基準に基づいて認定する、そういうものでございまして、保険者である市町村が行う行為でございますので、これそのものを施設に委託してしまう、これは大変難しいことではないかと思います。
ただ、施設にいますと、施設には特養でも嘱託医がいるとか、あるいは老人保健施設や療養型病床群の場合には医師がいるわけでございまして、当然かかりつけ医師の意見はそこで決めていただくということになるわけでございます。また、施設にも介護支援専門員がおりまして、調査の委託などもできるわけでございます。そういう仕組みを活用しながら、できるだけ迅速な適用を考えたいと思いますが、権限そのものの委託は難しいのではないかというふうに思います。
〔理事上野公成君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/176
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177・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 だから、そこら辺の調整もやってもらわなきゃ困るわけです。
それで、介護支援専門員ですけれども、これは主に調整役、コーディネーター的な仕事をするんでしょう。これは施設には全部いなきゃいけないんですか、療養型病床群にはいなきゃいけないけれども。では、それ以外にはどういう身分でどこに配属をされるのか。資格を取ったら、その介護支援専門員の生活保障というのは一体どういうふうになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/177
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178・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護支援専門員は、仕事としまして、在宅で介護サービスを受ける人の介護サービス計画をつくるコーディネーターみたいな役割をすると。あるいはまた、施設におきましても、施設に入った人の介護サービス計画をつくる役割を果たすわけでございます。そういう意味で、施設は特別養護老人ホームでも老人保健施設でも療養型病床群でもそういう人を置くということになります。
それから、在宅の場合には、時として施設にいる人もそういうことをやることもあり得ますが、在宅介護支援センターであるとか、あるいはそういう事業者であるとか、そういうところに介護支援専門員が置かれます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/178
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179・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 これは専門で定着して置くんですか。パート的なものでいいんですか。そこら辺はどういうふうにお考えになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/179
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180・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 法律上は常勤であるとか非常勤であるとかは決まっておりません。事業の運営のあり方を決める中でどう定めるかということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/180
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181・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 そこら辺もあいまいで、その人たちがいなかったらこれまた困るわけです。だから、やっぱりそこら辺をきちっとフォローしておかないと困ると思うんです。
それから、そういう施設に入所した人たちが一生懸命リハビリをやって努力する、そうすると介護度がどんどん軽くなるんですね。軽くなると施設にはお金が入ってこないんです。一生懸命やるほど施設の経営が苦しくなる。これはインセンティブが逆なんです。そこもやはり重大問題なので考えてもらわないと、これはなかなか介護をやる身になると、今各施設が非常に不安になっているんですよ。この制度が入ったら、おれたちが一生懸命やればやるほど飯の食い上げになっちゃって、もう経営ができなくなるというようなことがあるので、そこら辺を何か補完する考えというのはあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/181
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182・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 要介護者がリハビリ等を通じて要介護度が軽くなる、これは本人も大変幸せだと思いますし、大事なことだと思います。ただ、これを妨げるような形の介護報酬であってはならないのではないかということでございまして、そういう改善度を増すようなインセンティブというんでしょうか、リハビリをやって成果が上がったらそれを評価する、そういう仕組みを介護報酬の中で考えられないかというふうに思っております。これは何とか検討してうまく仕組みたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/182
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183・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 介護の五段階の今の厚生省案だと金額が決まってしまっているわけですよね。そうすると、ほかにどこから財源が来るかと、これは財政構造改革の中で大変な問題だと思うんで、これは大臣、やっぱり大臣から答弁いただいて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/183
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184・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) もうお話を聞けば聞くほど難しい点が出てくるなという率直な印象です。
あいまいな点があって、どっちでも解釈できるというような点は、やっぱり人が大事じゃないですかね。お医者さんなり介護支援専門員なり、そこが人間性の重要な点だと思うんです。全部法律で規定する、箱物だけで規定するというんじゃなくて、その点でよくこの介護保険制度なりの理解を得る、その衝に当たる人たちに趣旨そのものを理解してもらうのが大事ではないか。そして人ですね、養成の点においても。常識を発揮して、人間を扱うのが基本なんですよという趣旨を徹底させるのが大事じゃないか。やっぱり人間を信頼して、その人間性を涵養していく中でこの制度が生かされるような人の配置、人の養成が大事だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/184
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185・清水澄子
○清水澄子君 本日は、私は介護保険法の中心とも言うべき在宅介護サービスを担うホームヘルパーの身分確立についてお尋ねをしたいと思います。
既にこれまでもいろいろお聞きをいたしましたが、現在のホームヘルパーはさまざまな問題を抱えております。その最も大きな問題は身分が非常に不安定であるということであります。非常に低賃金で労働条件が劣悪であってはヘルパーとしての職業の確立が非常に困難であるということです。
今、大臣は人という問題をおっしゃいました。福祉はやはり人だと思います。介護はなおさら人だと思います。ですから、質の高い福祉というのはその人がどれだけそれに心を持って要介護者に接していくか、ヘルプをするか、ケアをするか、そういう意味で人という問題は介護の中では特に重要だと思うわけです。現在の実態では、本当に介護保険の導入に伴ってそれだけ質の高い介護を提供できるかどうかというときに、このホームヘルパーの実態、そういう問題は非常に重要なテーマになると思うわけです。
昨年、自治体労働組合、自治労が政令都市と県の都市の調査をやっております。それを見ますと、自治体でホームヘルパーの正規の職員は六三%なんですね。そして、社会福祉協議会では正規の職員は二二・三%、そして福祉公社では四・五%で、平均しますと一〇%にすぎないわけですね。九〇%は登録、非常勤、パートで占められております。
厚生省は、介護保険実施の平成十二年には十七万人のホームヘルパーが必要だとしているし、それを目標としていると思います。平成二十二年には五十八万人のホームヘルパーの確保が必要だと見積もっておるわけですけれども、その場合に仮に一〇%しか正規職員のホームヘルパーが確保されないとすれば、介護保険が目指す在宅介護はマンパワーの面から本当に確保できるのかどうかという問題がここに私は示されていると思うわけです。
そこで、厚生省にお尋ねしたいわけですけれども、正規職員のホームヘルパーの比率が一〇%程度にすぎない現状の理由についてどのように認識しておられるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/185
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186・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) ホームヘルパーの方々の勤務形態に関しますお尋ねでございますけれども、今、自治労の調査の結果をお挙げいただきましたが、私ども、ちょっと古うございますけれども、平成三年のホームヘルプサービス実態調査ということで市町村等の社協等へ委託をされた実態によりますと、正規職員が三五・四%、そのほかが非常勤の形で二八・五%、登録ヘルパー三〇・三%ということでございます。ただ、先生今御指摘のありました全体の傾向という意味では同様の傾向を示しておると思います。
これは、今の実施主体、今、自治労でお挙げをいただきました数字をごらんいただきましても、市町村の場合には正規職員比率が高い、社協はその次で福祉公社は非常に低いということでございまして、やはり事業主体によりましてホームヘルパーの正規職員比率というものが大きく違っております。この理由というのはやはりいろいろあると思います。労働条件にかかわることももちろんあると思いますし、それからそのサービスに従事しておられる側、卑近なところで言えば例えば主婦等の方々がパートというような形でお勤めになる場合には勤務に都合がいい形態になるというようなサービス従事者の意向というようなこともあると思います。
サービス提供とサービス需要ということの関係で見ますというと、やはり正規職員でありますホームヘルパーの方々は通常の勤務時間でサービス提供を行われる、それから福祉公社等の民間事業者のホームヘルパーの方々が休日だとか夜間におけるサービス提供を行われるというようなことでサービス需要に応じた対応ということが事業主体ごとに行われている、そういったことの一つのあらわれとして今のような格差が出てきている。
そうすると、そういう格差の結果として比率に違いも出てきますし、その結果として今お挙げをいただいたような全体の正規職員の比率が比較的低いことになってきているというようなことではなかろうかなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/186
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187・清水澄子
○清水澄子君 非常に認識は違っております。
まず、これは労働省との関係もありますが、週の労働時間を十八時間以内に抑えた登録ヘルパーとして扱っている福祉公社が非常に多いわけですね。これは自治体がやっているところです。そういうのはさきの自治労の調査でも、臨時で八時間から三十五時間というのがあったり、登録で六時間から四十四時間という週の労働時間になっているわけですけれども、週十八時間に抑えると非常に得なんですね。何が得かといえば、今の法律では、いわゆるパート労働法なんですが、事業者は短時間労働被保険者の雇用保険を払わなくていいんですね。それから、健康保険も払わなくていい、そういうふうないろんな社会保障の権利を与えなくていいわけです。二十時間以上になるとそれを払わなきゃいけないわけですから、そこで十八時間にしてしまう、そういう傾向が現実にあると思います。
ですから、ほとんど三十時間未満で、本当はパートの労働というのは三十時間未満なんですが、十八時間を多くする。そして、年収九十万円以上とか雇用期間一年以上にこの調査を見てもなっているわけですが、全部そういう社会保険の適用外に置くことができるというこの十八時間に抑えるというやり方なんですね。そういう実態をもっと厚生省はつかむべきだと私は思うわけです。
というのは、これからのヘルパーというのは、こういう仕事にはやはり男性だってもっと入っていっていいと思うわけですね、この職業は。しかし、九州のある市で社協のヘルパーに男性をもっと雇用してほしいという要求をしましたら、その事業主は、ヘルパーの賃金は男性が生活していけるようなものではない、だからそれは女性の仕事であって、男性がそういう仕事をしても生きていけないぞということで採用を拒まれているという現実があります。事例がはっきり出てきております。ヘルパーというのはそういう仕事でいいんだ、そういうふうに女性の労働という扱いをして、これを職業として確立していく、専門性を持たせていくという、そういう面の認識が非常に足りないと思うんです。
厚生省は、この介護保険の導入に当たって、こういう介護を担うホームヘルパーの雇用実態を今後どのように変えていくのか。そういう意味で、やはりもっと指導性を持って、介護の質を高めるということは労働省の責任というだけでは私は逃れられないと思いますので、ぜひその点の建設的な御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/187
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188・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) ホームヘルパーの方々を初めとする介護保険のための人材確保ということが介護保険の死命を制する非常に大事なことであることにつきましては私どもの方もそのように考えておりますし、そのこととの関係において就労条件といったようなことをどういうふうにしていくかということが重要な要素であることは私どももそのように考えております。
先ほどお話のございました実態の方でございますけれども、今、非常勤の訪問介護職員、ホームヘルパーの平均勤務時間を見ますというと、これもちょっと古くて恐縮でございますが、平成三年の実態調査で週十四時間ということになっております。確かに先生言われる二十時間ということからいうと平均的には下回っておりますけれども、これもいろんな見方が確かにできると思います。先生の言われるような事業者の都合で労働時間を抑えているんじゃないかという見方もできると思いますけれども、先ほど申し上げましたように、就労を希望されている方々の意向というようなことが反映されている結果であるという側面もあると思います。
いずれにしましても、人を確保しまして、その人に十分に働いていただくということは大変大事だと思いますし、そのことが先ほどのように男性の職場としても十分あれするようなことにしなきゃいかぬというようなこととも、これは男性女性を問わずでございますけれども、ホームヘルパーとしてお雇いをした方々が十分働いていただけるような形に持っていかなきゃいかぬと。そういう意味で、今、事業費補助に切りかえたということもそういったことをねらっているわけであります。
そうしたことを前提にしまして、しかしそれでは勤務形態は全部正規の職員という形がいいかということになりますと、私どもはやはり、高齢者の方々の介護サービスに対する需要という側面から考えますと、非常に多様化をしますし、増大をする。夜間が必要であったり休日が必要であったり、それからずっと滞在していただくというよりは短時間巡回していただくことが必要であったり、そういう多様な需要が出ますので、こういったことを考えますというと、サービスの提供の形態も非常勤のヘルパーだとかあるいは福祉公社のいわゆる登録ヘルパーというような形も含めました多様な業務形態の組み合わせの中でやっていく、また市町村がそれぞれの自治体で一番需要に合った、実態に合ったやり方を考えていくということが基本ではなかろうかと。
そういったようなことを含めながら介護サービス基盤の整備に努めていくということが大事ではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/188
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189・清水澄子
○清水澄子君 厚生省は平成八年五月に老人福祉計画課長名で「非常勤ホームヘルパーの就労条件の確保について」という通達を出しておられます。その中では、やはりこういう状況をある意味では察知しておられてのことと思いますが、「適切なホームヘルプサービスが提供されるためには、」とあって、「ホームヘルパーは原則として所属先団体と雇用関係にあることが望ましい」、私はこれは当然のことだと思います。
こういうふうに考えておられるわけですが、なぜここで「原則として」ということが挿入されているわけですか。適切なホームヘルプサービスが提供されるためには、やはりそれは雇用関係にあることが必要だと思うという形に発展させなければ、先ほどのように、もちろん夜間に働く人もいるでしょう、短時間がいいという人もいるでしょう、そういう需要と供給の関係はありますけれども、これからマンパワーの確保という点ではこのホームヘルパーの雇用の安定というものが重要な課題だと私は思います。
そういう意味で、私はいま一度厚生省がこの面で労働省ときちんと話し合うとかそういうことにもっと積極的な姿勢を示していただきたいと思いますが、そういうことについての決意をひとつ述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/189
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190・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 決意を述べさせていただきます前に、「原則として」ということがございましたから、ちょっとだけそこを申し上げさせていただきます。
私どもも、先ほど申し上げましたように、ホームヘルパーの方々の就労条件は大変大事だと思っております。そうした観点に立ちまして、例えば事故等が発生しました場合の責任の所在が明確にならないとか、あるいは専門的なサービスが個別の援助計画に基づいてきちっと提供されるというような意味からも指揮命令系統をきちっとするというような、むしろいいサービスを確保するというためにも雇用関係を求めるというのが基本であろうと。それはそのとおりであろうというふうに思います。
ただ、先ほど来申し上げましたように、そういった雇用関係以外に登録ヘルパーというような形でサービスの利用の多様な需要に応じるという弾力的なサービスというものも組み合わせていくということは、やはりそれを利用する人の需要ということを考えれば大事なことだというふうに思いますので、そういう意味合いでそういったものも組み合わせながらということを念頭に置いて「原則として」ということでさせていただいたわけであります。
しかしながら、今後、一つにはそういった今後例えば民間活力を利用するという形で民間が、これからホームヘルプ事業がふえてくる、そこへ民間が参入をしてこられる、そうすると民間が参入してこられて需要に合ったサービスを提供しようとなさる、そのことによって民間の市場というものが確立をされてくれば労働という意味でもちゃんとペイをするような産業として位置づけていかれるという一つの側面はございます。そういったいわばホームヘルプを介護保険によってこういう形で民間にも開放し、介護保険による介護ニーズというものの増大というものも踏まえれば、そういったことによって民間市場が育つことによって先生の今御指摘になったようなこともやはりきちっとしていくという面が一つございます。
それともう一つ、おっしゃるように、そういった労働条件の面につきましては労働省と今後とも密接な連携をとってまいる、それは労働条件のみならず、そういったホームヘルパーの方々をいかに確保していくかという面でも労働行政とのかかわりは非常に大事だというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/190
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191・清水澄子
○清水澄子君 ぜひその点は労働省と本格的な協議をやっていただきたいと思います。賃金が安い上に雇用保険もない、労災の適用もない、有給休暇もない、そして一年ごとの更新というのが大体非常勤の皆さんたちの待遇なんですね。
そして、今、登録ヘルパーの活用というのは、もう言わなくてもみんな登録のみでいきたいというのがほとんどです、安上がりですから。ですから、それは言わなくてもヘルパーの登録は非常に多いんですね、各自治体でも。しかし、その人たちは本当にそれは職業では成り立たないということでみんなやめていって、とても多くの人が登録しても全部やめていきますよね。そういうので本当に五十八万人の、私はそれでも足りないかもしれないと思っているのに、マンパワーが確保できますかという点において、やはりそこに職業として定着できるような、そしてまたこれからの雇用政策としても非常に大事な部分なんですね。
ですから、その点はやはり厚生省としても、この辺の福祉関係に働く人たちの身分の安定とか、そういう面は真剣に考えていただきたいと思います。
そして、介護保険法の施行とともに、これまで委託事業として介護サービスを行っていた事業者が今度は被保険者に直接介護サービスを行うようになるわけです。こうなりますと、介護サービスは自治体直営のもの、社会福祉協議会のもの、福祉公社のもの、そして民間の事業者などがそれぞれの契約に基づいて行うということになるわけですね。そうすると、これまで以上にホームヘルパーの労働条件がそれぞれ異なってくるわけなんですが、それだけに私はやっぱりホームヘルパーには一定の労働条件の確保とか、そういう位置づけというのはとても重要になってくると思います。
ですから、厚生省は介護保険法のもとでホームヘルパーの労働条件について、介護サービス事業者に対してどのように具体的に指導をしていかれるおつもりか、その点について御見解を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/191
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192・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 今後におきますホームヘルパー等の体制につきましては、やはり基本は、労働条件をどう考えるか、あるいは正規の職員でどれだけ確保するかということがまずありきではなくて、やはり多様な介護を要する方々の需要にどうこたえていくか、またそれをこれから大きくやっていくときにどういうふうにやっていくかということが今まで以上に大事になってくると思います。
今までの措置制度は、ある意味からいえば配給で、公の方で準備したサービスを受けていただくという形でありましたけれども、ある意味からいうと今後は需要の方から供給を考えていくというふうになっていかなければならないという側面がございます。そういう意味からいえば、今の勤務形態等も含めてどういう形でサービス提供をしていったらいいかということにつきましては、介護を要する方々の需要ということを主体に考えていかなければいけないと。
そうしますと、先ほど来の繰り返しになりますけれども、やはり勤務形態も、今、登録ヘルパーという例をお出しいただきましたけれども、登録ヘルパー的なところ、あるいは地域によってはワーカーズコレクティブというお話もございましたが、そういう非営利の民間でやっておられる住民参加型のサービス、そういったいろんな形態の中でやっていくということになると思います。
そうした中で、しかし就労条件の確保ということは非常に大事でございますから、先般も雇用関係をきちっとすることを基本とするという通知を出しておりますように、そういった姿勢というものは一方において労働条件をきちっと確保していくということもかたがた私どもとしても忘れてならない姿勢であろうというふうに思いますし、そのことにつきまして労働省とも連携をとりながら進めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/192
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193・清水澄子
○清水澄子君 それは需要からの立場のみじゃなくて供給する立場から、厚生省はどちらかといえば供給する側を今いろいろやっているんでしょうから、その立場でやはり質の高いといいますか専門性を持ったヘルパーを提供していく、そういう人たちをつくり出していくという、その点で私は要求しておりますので、ぜひこの介護保険法実施の中でそれを具体化することを真剣に追求していただきたいと思います。
次に、介護報酬についてでございますが、昨日の地方公聴会でも、私は山梨県へ行きましたけれども、非常におくれた計画の中でこれは二〇〇〇年までに実行できるのかということを尋ねました。そうしたら、知事からはこの介護保険法の中身が何もわからないじゃないか、このことについて早く我々に示してもらわなければ自分たちの計画の立てようがないと。これはもうどこでも聞かされる問題であります。
厚生省の示した計画の中で介護報酬の決定は介護保険の始まる平成十二年四月の直前となっているわけですが、これでは各市町村は介護保険事業計画を具体化するのは非常に難しいんじゃないでしょうか。なぜこの一年前とか事前に介護報酬の決定を行わないのか。そして、私どもがこれはどうなるんだとどんなにお聞きしても、もう絶対に教えない、そういう秘密主義で私どもはここで一体何を議論したらよろしいんでしょうか。この質疑始まって以来、これはどういう考え方でどうなるかというのは一切教えてもらえないんですね。
どの程度のことを考えているのかということでこちらはイメージしたいわけですけれども、そういうことで全然理由を説明してもらえないんですが、ここでぜひ、なぜ一年前や事前に介護報酬の決定を行わないのか、理由を説明していただきたいと思います。各市町村が事前に介護保険の事業計画を立てていかなければ、幾ら経過措置があるとしても、それに安住していたのでは、やはり私はそれは非常に怠慢だと思います。そういう意味で、厚生省はそれを立てなくてもいい、直前でいいんだ、平成十二年四月でいいんだという理由というのは、一体そのためにはどういう措置をされるのか、その点についてぜひここではっきり私どもにわかるように御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/193
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194・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険法案では、介護報酬につきましてサービスの種類ごと、要介護度ごと、それから施設や事業者の所在地ごとに平均的な費用を勘案して設定するというふうになっているわけでございます。これは、今後介護保険の給付対象となります各サービスの費用に関しまして実態調査を行いまして、その上で関係審議会、医療保険福祉審議会になると思いますが、その中の老人保健福祉部会、ここが介護保険の基本を議論するところになると思いますが、そういう関係審議会における意見を踏まえながら検討していくことになるわけでございます。
そして、介護報酬の具体的な水準そのものは、十二年度から実施しますと十二年度予算に反映させるということになりますので、最終的な数字が決まるのは十二年度の予算案が固まるときになってしまうわけでございます。予算案が固まるというか、予算案で骨格というか大枠が固まりますと、それを踏まえて各論の整理ができるということになるんだと思います。
ただ、介護保険の介護報酬につきまして、私どもとしましては、これは単に実態調査をするだけで数字が決まるのではなくて、どういう考え方で介護報酬を決めていくか、まず考え方の整理が要ります。こういうことをできれば今年度中から審議に入りまして、審議会での議論は公開にしてその議論の詰まりぐあいをお示ししながら、また実態調査あるいはその検討の成果など、そういうことを踏まえて方向をできるだけ明示しながら、仮に最初の数字が十二年度の予算とのかかわりがあるにしても、その準備がそういう方向をもとにできるようにできるだけの努力をしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/194
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195・清水澄子
○清水澄子君 やっぱりよくわかりませんでした。
本当にこれだともう市町村は大変ですよ。幾ら介護報酬があるかによってどういう計画を立てようという計画の基本、介護報酬の中身、それはやはり一番の原点になると思うんです。だから、そういうものを示さないで市町村にあなた方もっと急ぐべきだと言っても、逆に私どもが一体国会議員は何をしているんだと言われるわけです。
それで、今、平成十二年の予算案で骨格を示しなんて、そんなのでいいんですかね、介護保険というのは。ですから、この辺はこの審議の中でもっと真剣に私たちにこういう形でいきたいということはぜひ提起をしていただきたいと思います。それを私は要求しておきます。
次に、診療報酬の場合は点数制で、それについては中医協ですか、そこで審査をして答申を出して決まるわけですけれども、介護報酬というのは今後どのような手続で出していけるのかという点、この点も具体的に実際の面になるといっぱい疑問が出てくるんです。
そこで、介護報酬の決定に当たっては客観的で公正な立場にある第三者機関を設けて、そこの審査を経て決めていく、そういう構造を考えたらいいんじゃないかと思いますが、これは私の意見です。
それで、厚生大臣、私が今申し上げたことは一遍検討する気はないかということと、もう一つ最後にお尋ねしたいのは、医療保険では高額医療費については被保険者の負担額は六万三千六百円の上限が設定されていると思いますが、高額介護サービス費の利用者の負担については上限を設定する考えはないのかどうか。ましてや低所得者に対する配慮というのは絶対に必要だと思いますが、その点について厚生大臣のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/195
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196・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 最初の段階の質問ですが、自治体の方がいろいろ計画を立てるのにわからない点が多過ぎるというようなお話ありました。
できるだけこれを早期に成立し、十二年度まで若干間がありますから、その間に計画の立てやすいような、わからない点をできるだけわかりやすく説明するような体制を整えていきたいと思っております。
それと、高額の介護サービスですが、これは上限を設けることとしております。ただ、どの程度がいいかというのはこれからの問題であって、医療保険にも上限が設定されおります。介護保険につきましても低所得者に配慮するための上限は設定したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/196
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197・清水澄子
○清水澄子君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/197
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198・山本正和
○委員長(山本正和君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
午後五時二分散会
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〔本号(その一)参照〕
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高知地方公聴会速記録
期日 平成九年十一月十一日(火曜日)
場所 高知市 高知新阪急ホテル
派遣委員
団長 委員長 山本 正和君
理 事 南野知惠子君
理 事 浜四津敏子君
石井 道子君
渡辺 孝男君
西山登紀子君
釘宮 磐君
事務局側
常任委員会専門
員 大貫 延朗君
公述人
高知市長(高知
県市長会会長) 松尾 徹人君
高知県医師会常
任理事 山内 昇君
社団法人高知県
看護協会理事 川添テル子君
社会福祉法人土
佐平成福祉会常
務理事 水田 武夫君
老人保健施設
あったかケアみ
ずき施設長 和田 節君
高知県社会福祉
協議会会長 中澤 秀夫君
高知医療生活協
同組合訪問看護
ステーションれ
いんぼー所長 小松 桂子君
豊寿園施設長 岡崎 潔君
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〔午後零時二十七分開会〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/198
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199・山本正和
○団長(山本正和君) ただいまから参議院厚生委員会高知地方公聴会を開会いたします。
私は、本日の会議を主宰いたします厚生委員長の山本正和でございます。よろしくお願いいたします。
まず、私どもの委員を御紹介いたします。
自由民主党所属の南野知惠子理事でございます。
同じく自由民主党所属の石井道子委員でございます。
平成会所属の浜四津敏子理事でございます。
同じく平成会所属の渡辺孝男委員でございます。
日本共産党所属の西山登紀子委員でございます。
太陽所属の釘宮磐委員でございます。
以上の七名でございます。
厚生委員会におきましては、目下、介護保険法案、介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案、以上三案について審査を行っておりますが、本日は、三法案について関心の深い関係各界の皆様方から貴重な御意見を承るため、当高知市及び甲府市において同時に地方公聴会を開会することにいたした次第でございます。何とぞ特段の御協力をお願い申し上げます。
次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。
高知市長の松尾徹人公述人でございます。
高知県医師会常任理事の山内昇公述人でございます。
社団法人高知県看護協会理事の川添テル子公述人でございます。
社会福祉法人土佐平成福祉会常務理事の水田武夫公述人でございます。
老人保健施設あったかケアみずき施設長の和田節公述人でございます。
高知県社会福祉協議会会長の中澤秀夫公述人でございます。
高知医療生活協同組合訪問看護ステーションれいんぼー所長の小松桂子公述人でございます。
豊寿園施設長の岡崎潔公述人でございます。
以上の八名の方々でございます。
この際、公述人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
皆様には、御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の法案審査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、お一人十分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
なお、御発言は御着席のままでお願いいたします。
それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べ願います。
まず、松尾公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/199
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200・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) それでは、着席のままで発言させていただきます。
高知県市長会長の高知市長の松尾でございます。
本日は、参議院厚生委員会におかれましては、介護保険関係三法案に関します高知地方公聴会を開催していただきまして、意見を述べる機会をいただきましたことを心より御礼を申し上げたいと存じます。
超高齢社会を迎えるに当たりまして、新たな介護システムの整備は緊急の課題でありまして、その解決策として公的介護保険制度はぜひ実現しなければならないものというふうに思っております。また、その中におきまして私たち都市自治体の役割も大きいものと認識をしておりまして、真剣にこの問題に取り組んでおりますことをまず申し上げておきたいと思います。
しかし、率直なところ、市町村はこれまで国保制度の運用で大変苦労してきた経験から、つくるならその轍を踏まない安定的で利用しやすい制度を確立してほしいというふうに切望いたしておるところであります。
今、県下市町村では介護保険に関します協議会を設置いたしまして、情報交換を行いながら議論を深めてまいっておりますが、市町村にとりましても高齢者にとりましても安心できる制度の確立を願いながら、協議会で出されました意見も交えまして、幾つかの意見、要望等を申し述べたいと存じます。
第一に、これからの超高齢社会におきましては、介護サービスは人間としてどこに住んでいても最低限保障されるべきナショナルミニマムとして確保されるべきというふうに考えます。その意味では、どの地域におきましても同一給付、同一負担が原則となるべきものと思います。したがいまして、市町村の財政力やあるいは住民の所得水準の差によって基本的なサービスや負担に地域間格差が生ずるようなことはあるべきではないというふうに思っております。制度全体としてそのような考え方に基づいて基本的な仕組みの構築あるいは運用を図っていただきたいというふうに要望いたしたいと思います。
そのため、まずは給付水準がどの市町村でも同レベルになるよう制度発足までに集中的に基盤整備に必要な財政措置や人材の確保措置がなされますことが前提となるべきというふうに思いますし、それらが確認できた上で実施されるべきが望ましいというふうに思っております。
第二に、法案には政令あるいは省令等にゆだねる事項が相当数に上っておるわけでありますけれども、特に介護報酬単価の設定とかあるいは具体的な介護認定基準の策定などに当たりましては、運営する市町村にとりましては保険運営やあるいは介護サービス体制に大きく影響するところでもありまして、市町村の意見が十分反映されますようにぜひお願いをいたしたいと思います。
また、地方分権が言われておる時代でもありますので、財源的なゆとりも含めまして、何もかも縛るというのではなくて市町村の判断にゆだねる部分、裁量の余地というものをできるだけふやしていただきたいということをぜひお願いいたしたいと思います。
第三に、一割の自己負担金でございますけれども、現行の老人福祉法に基づきますサービスは、例えばホームヘルプサービスの場合、本市では対象者に非課税世帯が多いということもありまして、利用者の八五%が無料という状況にあります。したがいまして、介護保険に移行することによってこういった方々に新たな負担が生ずるわけでありますし、また施設サービスにおきましても多くの入所者について現行以上に負担が生ずることが見込まれます。介護を受けながら保険料も自己負担金も払わなければならない。しかも、医療と違いまして介護は長期にわたりますので、負担能力がなく生活保護を受けるしかなくなるという方がふえてくるように懸念をいたしておるところであります。
特に、介護保険料負担は、想定されております所得階層区分が少ないこともございまして、国民健康保険制度と比較しましても相対的に低所得者負担が重くなっておるように感じます。高齢者の精神的な面もぜひ配慮をいただきまして、低所得者の自己負担、保険料の負担軽減や減免措置といったものもぜひお考えいただきたいというふうに思います。
第四に、要介護認定基準についてでありますけれども、本県では高知市を含め五地域で既にモデル事業として要介護認定を行っているところでありますけれども、厚生省方式によりますコンピューター判定と実際現場で行いました介護認定審査会での判定との差異は、平成八年度に実施いたしました結果では国全体でも二八%とお聞きいたしておりますが、高知市の場合、地域的特性もあろうかと思いますけれども、三八%の差異が出るという調査結果になっております。
特に、痴呆のように機械的な判定の困難なケースもあることもぜひ考慮されまして、要介護認定基準につきましてはある程度弾力性を持ってできる限り現場実態に近いものとなりますようお願いをいたしたいと思います。
第五に、制度そのものは基本的には在宅重視の考え方に立っているものというふうに考えておるところでございますが、在宅介護を促進する前提としてさまざまな条件整備が必要ではないかというふうに思います。特に、家屋内の段差をなくしたり手すりをつけたりといった住宅のバリアフリー化が常識化するように民間住宅、公営住宅も含め制度的に促進することでありますとか、あるいは同居推進のハード、ソフト両面の在宅誘導策を積極的に展開することが必要ではないかと考えます。
第六に、財政調整交付金等についてであります。
国と地方の国費負担の割合ですけれども、国と地方の負担区分でありますので、この割合につきましてはどの市町村につきましても二五%はぜひ保障していただき、財源面での市町村格差を是正するための措置としての財政調整交付金はその別枠での上乗せ措置としていただきたいというふうに思います。
また、交付金は要介護状態になりやすい後期高齢者比率や高齢者の所得能力で算定されるというふうに伺っておりますが、単に後期高齢者比率で算定されますと、要介護者の多い地域では交付額が実態を十分反映されたものにならないことも想定されますので、高齢者全体に占める要介護者の比率で算定するなど、できるだけ実態を考慮した算定方式にしていただきたいというふうに思います。
また、第一号保険料の未納によります赤字対策につきましては、財政安定化基金の交付、貸し付け基準についてですけれども、事業の安定化の観点から最低責任保険料収納率等において各自治体の実情に即した設定をお願いいたしたいと考えております。
第七に、市町村の一般会計の負担でありますけれども、国の試算では、制度導入後一般会計負担額はトータルでは減少するのではないかというふうに伺っておりますが、本市のように医療施設が全国平均の約三倍もあり、療養型病床群等が多い場合には、施設サービスの市費負担が現行の十二分の一から八分の一に引き上げられることによりまして、措置費や在宅サービスの公費負担が減少したとしましても、差し引き一般会計は負担増になるという試算もいたしておるところであります。
このように、制度導入後一般会計負担額が増加した場合には、介護保険事業の円滑な推進を図るためにも、地方交付税等によります確実な財政措置、補てん措置をお願いいたしたいと思います。
最後に、介護保険制度における医療サービスについてでございます。
現行老人医療費のかなりの部分が介護保険に移行することによりまして、老人医療費の多い本市のような市町村はこのままでは保険料水準が高くならざるを得ない可能性があります。一方、現在は市町村は福祉サービスのみ担当いたしておりますので、老人医療等の医療保険対象のサービスで、介護保険に移行する療養型病床群、老人保健施設、訪問看護等の医療情報については、居宅介護支援事業者や市町村は仕組みの上で把握ができない状況になっております。今後、介護保険の対象に医療サービスも入ってくる場合には、医療及び福祉の分野における総合的なケアプラン作成のために、市町村において介護サービスに関する医療及び福祉の情報把握とチェック、さらにサービス管理を可能にする権限も含めた仕組みをぜひ確立していただきたいというふうに考えます。
また、介護保険制度による医療サービスは自己負担増等によりまして抑制されることになろうかと思われますけれども、介護認定等で今までのサービスが受けられなくなった方や社会的入院者対策なども含めまして、介護保険制度を補完する何らかの救済措置により、現状より後退することのないよう対策を講じていただきたいというふうに思います。そして、こうした介護保険財政が将来にわたり健全に運営されるためにも、寝たきり、痴呆を未然に防止する若いころからの特に生活習慣病の予防を中心とする健康対策、あるいは元気な高齢者がいつまでも健やかに輝いて暮らせるための従来に増しての積極的な支援策が大変重要だというふうに思っておりますので、このことも申し添えておきたいと思います。
以上、問題点、課題等につきまして大小さまざまな意見を申し上げました。私どもの、特に現場からの意見をお酌み取りいただきまして、市町村の不安のない、だれもが安心して老後を迎えることができる介護保険制度の確立を希望いたしまして、意見陳述を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/200
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201・山本正和
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
次に、山内公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/201
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202・山内昇
○公述人(山内昇君) ただいま御紹介いただきました高知県医師会常任理事山内でございます。
昨年八月、与党介護保険制度の創設に関するワーキングチーム主催の公的介護保険制度に関する高知公聴会に公述人として出席させていただきましたが、今回また図らずも参議院厚生委員会の高知地方公聴会に公述する機会を与えられたことを感謝いたします。
本日は、保健、医療、福祉を担当する立場から、ただいま参議院で審議中の介護保険について問題とするところを申し述べさせていただきます。
少子・高齢化社会を迎え、介護保険そのものの必要性は申すまでもありません。高知県医師会は本制度の創設に賛成であります。法案は人間に例えるならばいわば骨格であります。血となり肉となるのは政省令、運用規定であります。この政省令、運用規定によって、制度が高齢者にとって優しいものになるか冷たいものになるかが決まると思います。どうか参議院での御審議を通じ厚生省に注文をつけていただいて、血の通った介護保険制度の創設に向けて御努力をお願いする次第であります。また、一日も早くただいま検討中の血となり肉となる部分の情報を開示していただいて、制度の内容が目に見える形にしていただきたいと願うものであります。
制度発足に際し一番心配されるのは、介護基盤整備のおくれであります。保険あって介護なしというのが一番心配される事態であります。高知県の基盤整備を見てみますと、現在、目標値に対して特別養護老人ホーム九四%、老人保健施設八六%、訪問看護ステーション七五・四%、ヘルパー常勤換算で四七%の整備率であります。ヘルパーを除いて一見整備が進んでいるように見えますが、いろいろ問題があります。特養については、約三千床の整備ベッドに対し待機者が千二百三十一人もいて、とても充足している状態とは言えません。老健施設は計画中も含めますとほぼ目標達成でありますが、訪問看護ステーションは高知市に偏在し、中山間地帯は過疎の状態であります。ヘルパーに至っては目標の半分しか充足されていないという整備のおくれが問題であります。
市町村が基盤整備のおくれを理由に経過措置に走り提供サービスの量を減らしますと、それこそ介護なしの状態になりはしないかと憂慮されます。特養の目標値の引き上げを含め、基盤整備の充実が急がれなければなりません。特に、本県のように小規模町村の多いところでは、市町村レベルでの整備状況の点検が必要かと考えられます。
次に、要介護認定審査の問題であります。
平成八年度厚生省のモデル事業の報告によりますと、一次判定と二次判定の間に地域によって〇%から五八%の相違があり、平均して約二七%の相違率であったとされております。これは給付金額が絡むだけに大変な問題であります。要介護認定調査は、だれがやっても同じ対象者については同じ結果が出るような仕組みでなければなりません。これは厚生省案の調査票、要介護度分類に重大な問題があることを示唆するもので、早急に抜本的なやり直しを行うべきであります。また、要介護度区分は、申請者に対して、あなたはこういう状態だからこの区分ですとはっきり説明でき、そして納得してもらえるものでなければなりません。その点、厚生省案の要介護度区分は相互の違いが明確でなく、果たして申請者の納得が得られるかどうか心配であります。
例えば、日本医師会案のように横断面だけの調査じゃなく、一週間あるいは二週間の間にどの程度の頻度で調査事項が見られたかを聞き取ること、また痴呆の有無並びに医学的処置の必要性が軽度か中等度以上であるかといった医学的側面を加味した要介護度分類にすること等、ほかのモデルも参考にして比較検証の上、よりよい要介護度分類案を採用すべきであります。厚生省案のように、日常生活機能、ADLの評価だけによる分類でありますと、幾らかかりつけ医意見書を書いても、それをどのように要介護度分類に反映させるか困難であります。
療養型病床群には介護保険適用型と医療保険適用型とが考えられています。両者に施設基準、人員配置等に差異があるわけではありません。ケアマネジャーがいるだけで介護保険適用型となるだけであります。もともと療養型病床群は医療提供施設として位置づけられており、両者間に線引きの必要はないと思われます。その方が老人の急性増悪に対してよりスムーズに対応できることになります。病室や病棟単位での区分は必要でなく、介護保険給付はあくまでも要介護者を対象として支払われるべきで、施設に対して支払われるべきではありません。
また、次回の医療法改正の眼目に、地域での適切な療養環境を確保するために、有床診療所への療養型病床群の整備が重要な目標となっていますが、厚生省はこれを病床規制の対象とすると言っています。そうしますと、高知県のような病床過剰県においてはせっかくのこの整備計画が絵にかいたもちとなってしまいます。ぜひ、病床過剰地域においても療養型病床群の整備が進むように御配慮を願いたいものであります。
その他検討すべき問題として、中間施設として位置づけられている老人保健施設に長期療養を必要とする痴呆老人が増加していることであります。この傾向は、今後も強まると考えられ、老健の位置づけを再検討する時期に来たのではないかと考えられます。
現在、病院、老健での老人デイケア、特養あるいは保健センターでのデイサービスは、やっていることが同じであるのに利用者の負担には差があります。病院は何回行っても食事つきで月二千円で頭打ち、老健は一回千二百円、デイサービスは一回六百円の負担と聞いております。介護保険の中でこのような矛盾をぜひ解消していただきたいと思う次第であります。
最後に、熱心に介護やリハビリテーションに努力して、要介護者の状態をよくした場合の成功報酬をどうするかという問題であります。これがありませんと、いつまでもだらだらと介護やリハビリテーションを続けて、介護保険の浪費につながりはしないかと恐れる次第であります。一考を要する問題ではないかと思います。
以上、高知県医師会を代表いたしまして、公的介護保険の内容について幾つかの問題点を指摘させていただきました。御賢察いただきまして、今後の審議に生かしてくださることをお願いする次第であります。
御清聴を感謝いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/202
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203・山本正和
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
次に、川添公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/203
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204・川添テル子
○公述人(川添テル子君) ただいま御紹介いただきました高知県看護協会理事の川添でございます。
本日、本委員会で発言の機会を与えられましたことを、まず委員の先生方に感謝申し上げます。
私は、看護職として意見を申し述べさせていただくわけでございますが、身近に高齢者が高齢者を介護していること、よくそういう状態を見ておりますので、介護保険利用者の立場も含めて発言させていただきたく存じます。本国会において法案が成立することを前提としての意見でございます。
基本的に、医療と介護が一体的に提供できる仕組みで運営されることが望ましいと考えます。また、福祉面と看護的面の協力体制も必要でございます。
御承知のように、高知県は高齢化率が全国第二位であり、看護協会といたしましても全員一丸となって関連の問題に取り組んでおります。
まず、この介護保険法により私どもが何を期待するか。それは、まさに利用者と要介護者を抱える家族の負担を軽減することにほかなりません。老人が老人を介護するという状態をそのままにしておきますと、悪循環でまた介護している者が病気になるということは必至でしょう。それから、病院に長い間いるという、社会的入院という言葉がよく使われますが、中間施設と病院とを行き来して在宅につながらない、そういうふうなことがないように、そういう点の整備をしての法の制定をお願いしたいとの思いで、まず第一にそれには要介護認定についてでございます。
認定に至るまでの申し込み、訪問調査、主治医の意見、認定、ケアプラン作成、サービス提供の開始という流れがいかに迅速かつ公平であるかが重要です。また、早急性がある場合、山間僻地、施設数の少ないところへの対応、さらに認定されなかった場合の不服申し立て、苦情処理など、介護認定における障壁はさまざまです。これらにつきましては、市長さんも述べられましたように、モデル事業において差が見られたということは周知のとおりです。それからさらに、サービスの質の確保の点で、施設における第三者的機関によるサービス機能の評価が必要かと存じます。
次に、ケアマネジャーの質の確保です。
ケアマネジャーの立てる介護計画、すなわちケアプランの中身いかんで介護サービスの質は決まると言っても過言ではないでしょう。自立支援の理念に基づき、個々人の生活と健康状態をトータルに評価し介護計画を立てる。私ども看護婦は今まで業務の中にこのことを実践してまいりましたので、効果的にケアプランも立てると自信を持っております。
次に、社会的入院を防ぐシステムづくりです。
多くのお年寄りが、家に帰りたい、家族といたいと思いながら、病気のためではなく社会的事情で退院できないでいます。被介護者の意思が全く無視されてしまいかねない現状なのです。それは、家の狭さという空間的原因のみならず、共稼ぎが多い高知県の場合、介護の人手がないということも要因となっています。この現象は特定機能病院においてすら起こっております。患者が退院できる状態になっても帰る場所がないため、在院日数が延び、医療費の高騰につながっていると言えましょう。この現象を防ぐためにも、二十四時間体制の整備が不可欠です。これには訪問看護ステーションとホームヘルパーの協働がなければ実現は難しいかもしれません。
我々、看護協会の訪問看護体験からいいますと、親しくなったお年寄りから買い物や掃除を頼まれることが少なくないのです。ところが、看護婦はそこまで深くかかわっていられません。そこで、訪問看護ステーションにヘルパーを雇用できる仕組みを希望いたします。
以上、要介護認定、ケアマネジャーの質確保、社会的入院を防ぐシステムづくりについて述べさせていただきましたが、なお新ゴールドプランの見直しも必要と存じます。
以上のことを踏まえまして、そのことの実現のためには、特に資料二をごらんください。この図をもとに説明いたします。
第一は、最も重要なことでありますが、介護保険制度の運営や活動の効率化、円滑化を図るための組織、機能の設置を明文化していただきたいということでございます。
小規模な民間のサービス提供施設をバックアップするため、太字の四角の中に示しました企画、運営に関する専門相談、さまざまな情報の提供、マンパワーの確保、研修、新しいサービスの開発や研究、地域ケアの推進組織づくりなどの機能を持つ専門支援センターの設置義務を明文化することでございます。また、サービス提供施設側だけでなく、これまで長年にわたって築いてきた市町村など行政における保健、医療、福祉の基盤を活用することにより行政と民間施設との役割・機能分担を図り、後追いにならない、しかも効率的な福祉施策を推進することに最も貢献すると確信しております。
第二には、ケアマネジメントにかかわる体制に関することですが、看護、医療的な教育背景を持つ職種と福祉的な教育背景を持つ職種が必ずペアになってアセスメントからケアプラン作成、実施、評価に至るプロセスに責任を持つことを明確にしていただきたく存じます。
要介護高齢者は健康レベルの変化が激しく、たとえADLレベルが良好に見えても重大な疾病が潜在していたり、また状態の悪化が予測されたり、急変するのが常であります。したがって、予防的な観点からも高齢者とその家族を支援するには、上に述べましたような看護、医療と福祉の専門職がペアになってケアマネジメントしていくような仕組みにしていただくことをお願いいたします。
第三には、大多数を占める小規模な民間のサービス施設の経営基盤を堅実なものにし、二十四時間体制を含む質の高いサービスが提供できるように、設置基準や訪問や介護報酬の基準を引き上げることについてでございます。
現在、全国の訪問看護ステーションのスタッフ数は三、四人が最も多く、非常勤換算でも六ないし七人で、それもほとんどの施設では看護職のみという状況であります。必要なヘルパーサービスを確保するためには、看護管理者が多大なエネルギーを費やして市町村その他に対して連絡調整をしますが、こうした調整や膨大なことに費やされる業務に対してはほとんど経済的な保障が得られない状況です。したがって、設置基準や訪問介護報酬の基準をぜひ引き上げていただきたいということを要望いたします。
そして、やがて成立するであろう介護保険法こそ利用者本位の居宅介護の実現が可能になるものであることを願いつつ、私の公述を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/204
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205・山本正和
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
次に、水田公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/205
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206・水田武夫
○公述人(水田武夫君) 社会福祉法人土佐平成福祉会常務理事の水田でございます。
本日は意見陳述の名誉を与えられたわけでございますけれども、私は民間の社会福祉の仕事一筋四十年間お手伝いをしてきたわけでございます。そういうことで、私ごときの者が、既に衆議院を通過しております介護保険法案につきまして意見を申し上げることは大変おこがましくさえ感ずるわけでございますけれども、四十年間の仕事に免じていただきまして、一つの愚痴程度のものでございますけれども、意見を述べさせていただきたいと思います。
一つは、介護保障制度の早期確立ということでございますけれども、このことは、介護を社会全体で支えるということについて国民的合意が得られておるのではないかという認識でございます。
今日の高齢化社会にあって、要介護者のますますの増加、それに伴って起きる家族の介護機能の低下とか家族の過重な介護負担、また自分自身が要介護状態になったときの介護への不安というものが非常に大きく、介護問題は国民最大の関心事であり、だれもが安心して老後を迎えることができる介護保障制度の早期成立が必要だと思います。
社会福祉にかかわっていながら、介護保険ということを聞いておりまして、非常に不勉強でございましたが、皆さん大体その程度であろうと思います。総理府の世論調査では国民の八割が介護保険の創設に賛成しているということでございますけれども、私は法案の本当の内容を十分知った上でのことではないのではないだろうかということを危惧します。
私は、介護保険法でなく介護保障法にできればしていただきたいというふうに考えます。介護は憲法二十五条で保障された健康で文化的な最低限度の生活保障の範疇に入るべきで、私はこれは福祉法の一つだと思います。したがって、介護にかかわる費用については保険でなくて公費で、税金で賄われるのが正しい姿ではないだろうかというふうに考えます。現在の国家財政の窮乏は理解できますけれども、できることなら消費税を特定財源として介護保障制度を確立していくということについては、必ずや国民的合意が得られるのではないかと考えます。
一番の問題は、現在日本は老後の生活保障としての年金制度が必ずしも成熟していない。福祉年金から国民年金、厚生年金、その他共済年金等いろいろ制度が複雑でありまして、しかもその給付の内容は大部分、国民年金までは非常に低い水準にあります。
そういう中で、しかも保険料の負担は所得の多い人も少ない人もほとんど同額の負担、それから保険給付の一割負担というのは非常に低所得者層にとっては大きな負担となるものであり、最近の医療保険における負担の増を見ておりますと、お年寄りが医療機関を敬遠せざるを得ない状況というものは本当に気の毒な状況にありまして、やはり少なくとも、一生懸命働いて、年をとって不幸にして介護を受けなければならなくなったときには国家責任で保障を受けるというふうにするのが一番正しいのではないか。しかも、今の日本は確かに力がないと言われておりますけれども、そういうことについては、やはり国民の責任として支え合っていくことについて理解は得られると私は確信をします。
特に、政府案の保険については、四十歳以上の中高齢者の受益者負担的な考え方が感じられ、強制的な保険、第二の税金なわけですけれども、その給付が聞くところによると十数%しか当初は保険の給付を受ける者がないような予測もされているようでございますけれども、果たしてそういうことでいいのかどうなのか。保険ということになれば、かけたものはやっぱりもらいたいというのが私どもの人情であり、そういう少ないことにはならないんじゃないだろうかと思います。また、その保険の給付をめぐっての不服というものは必ず大きく起きてくる。隣の人と比較をしてどうだろう、うちは少ないんじゃないかというような、そういう程度のことで非常に不服の申し立てが多くなって、いろいろ事務的な混乱も予想されるのではないかと私は思います。
現在、民間の保険会社の介護保険がありまして、それぞれそれに入って老後に備えている方もあるわけでございますけれども、最低限の介護の保障については公的な責任で行い、それ以上のサービスについては民間の保険会社の介護保険等の充実に期待をした方がよりよいではないだろうかと思うわけでございます。
この介護保険法案がたとえ成立して保険制度が実施されるといたしましても、社会的な弱者への視点というものを忘れることなく、特に保険の未納者等は必ず出てくると思います。生活保護法に介護扶助というのをつくっていただいたようでございますので、そういう意味では一つの、私どもが考えていた所得の低い方への最後の頼みというのはできたわけでございますけれども、ボーダーラインの低所得者がおりますし、世の中には本当に不幸だな、不運だなと思えるような方がたくさんおり、そういう方々がその保険の未納者層となることも予想ができます。そういう未納者が出ても、保険だからといって大きなペナルティーをかけるといったようなことがなく、温かい運用をしていただきたいなと思うわけでございます。
それから、サービスの供給体制の早期充実については、基本的には、どこに住んでいても必要なとき素早く、この素早くが問題でございますけれども、現在の法案でございますと、やはり実際は三十日以上かかるのではないかということでございます。
ただ、つい先日勉強させていただいた中では、やむを得ない緊急を要する場合は、後からでも認定いただくような救済の制度ができておりますので一カ月でも構わないと思うんですけれども、求めるサービスが受けられるようにサービスの供給体制を早急に充実していただきたいと思うわけでございます。
あと、時間が来ましたのであれですが、負担の問題をなくせばこの法案は内容的には非常によくできている、できていると言うのは悪いんですけれども、特に申し上げることもないくらいよく整った法案だと思います。よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/206
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207・山本正和
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
次に、和田公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/207
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208・和田節
○公述人(和田節君) 紹介いただきました老人保健施設の施設長をしております和田と申します。介護保険制度に関する意見陳述をさせていただきたいと思います。
まず、私の基本姿勢ですけれども、介護保険制度の成立に賛成の立場から、以下意見を述べさせていただきたいと思います。
その根拠といたしましては、もう何人かの公述人の方がお話しなさっておられますけれども、少子・高齢社会においてだれが介護を引き受けるのか。要介護者の急増に対して介護問題が表面化する中で、家庭における介護力は低下し、今や限界に達してきております。もしこの状況を先送りするならば事態はさらに深刻化するだろう。二〇〇〇年、二〇一〇年、二〇二五年に向かっての深刻化を考えるならば、介護保険に関するタイムスケジュールはもう余裕はないだろうというふうに考えます。介護における家庭の介護力の低下、限界に関しましてはもう皆様も十二分に御了解いただけている内容だと思いますし、介護の社会化に関しましてはだれもが異議のないことだろうというふうに考えます。
二つ目に、介護保険は私は新たな社会保障制度だというふうに受けとめております。
人間の一生の中には、疾病に罹患することもございます。障害に見舞われることもあります。要介護状態に陥ることもあります。そうした状況に遭遇したときに、果たして個人の力で、個人の経済的なストックでその状況に対処できるだろうかと考えますと、とてもそれは不可能だ。そういう意味から、介護保険は高齢社会に到達した結果生ずる新たな社会的リスクに備える社会保障制度だというふうに私は考えておりますので、社会保障制度であるならば、当然世代間の連帯と負担が必要になってくるだろうと思います。そこに市民の自覚と準備が今問われているのではないかと考えます。高齢社会に向けての制度整備は急務を要する緊急課題でございます。ぜひとも今国会で介護保険法案が成立されますようにお願いいたしたいと思います。
それでは、介護保険制度は何一つ問題がないかと申しますと、先ほどの数人の公述人の方からもお話がありましたけれども、さまざまな問題点を持っているのもこれは事実だろうと思います。
私は昨年、高知市におきますモデル事業の介護認定審査の方に入っておりまして、その立場から、重複することもございますけれども、介護認定における基準と方法について幾つか問題点を述べさせていただきたいと思います。
まず一つは、介護認定における調査のあり方ですけれども、現時点主義、その当日行った調査だけで果たして独居生活者、特に痴呆症状を有する方の状態がわかるであろうか。現時点主義の限界があろうかと思います。
それから、調査項目は行為を一つ一つ点検することになっております。行為の細分化で果たして生活全体がわかるのか。行為の細分化のチェックはもちろん必要だろうと考えますけれども、生活行動の評価及び日常生活維持能力の評価等を含めた総合判定がぜひとも必要であるというふうに考えます。
さらに、認定の尺度です。これは全国的に多くの問題になっておりましたけれども、痴呆の介護度と寝たきり度に対する介護度を同一尺度で見ることにおいては非常に問題がある。この介護度の設定に関しましては、あるところで伺いますと介護の量と時間でもって介護度をつくってきたというふうに言われておりましたけれども、寝たきり度の介護度に関しましては介護の量と時間設定というのは比較的うまくいくのであろうと考えますけれども、痴呆の介護に関しましては果たして量と時間というものがどういうふうな形で測定できるのか、そこにおきましては当然認定の尺度を別尺度で行うべきであろうというふうに考えます。そうでないと、痴呆の患者さんの介護度は非常に低いランクに認定されがちであるというふうに思いました。
もう一つ、介護保険法案、これは非常にすばらしい一項目がございまして、予防的活用を提唱されております。
予防的活用といいますと、支援に対する活用になってこようかと思いますけれども、前回の調査の中では、支援項目は非常に不十分であって、支援の必要とされるケースがほとんど見落とされてしまいがちであった。予防的活用を提唱する介護保険であるならば、また予防的な活用ができることによって要介護の状況を延期することができるならば、この支援の基準というものをきちんと持つべきであろうというふうに考えます。
それらをあわせまして、調査時点及び評価の状況ですけれども、本人の持つ個々の能力だけではなくて本人の置かれている状況、環境因子を含めた介護度判定を行っていくべきではないかと考えます。
それで、一次判定と二次判定のばらつき、先ほども報告がございましたけれども、全国平均でも約三〇%、高知の場合はそれを超えております。これが次に申します不服申請の件数にも重なってくるだろうと考えます。介護のサービスは迅速であらねばならない、またかつ公正であらなければならないと思いますけれども、このばらつきが結果的には不服申請の状況をあらわしているだろう。
また、いま一つ介護保険に関しましては、三カ月ないし六カ月の見直しというふうなことを言われております。果たしてその期間が適切であるのかどうかもお考えいただきたいと思います。介護の状況は三カ月程度で果たして好転する状況にあるのか否か。新たな介護状況が加わることはあるだろうと思いますけれども、三カ月単位で見直さなければいけない状況なのか。追加する介護項目がふえましたら、もちろんその都度介護状況に関しての申請は必要だろうと考えます。
と申し上げますのは、介護サービスに関しましては迅速なサービス提供が要求されているわけですけれども、不服申請の問題、短期間の見直しの問題、スタートいたしますと膨大な量の申請があろうかと思います。それらを含めますと、事務作業は非常にたくさんの作業量になってまいると思います。そういたしますと、公平さ、迅速さにおいて果たして介護サービスを受ける者に満足を与えるサービス提供になり得るのか否か、作業の簡素化をどのように進めていくのか、それもあわせて考えていかなければならない問題点ではないかというふうに感じました。
以上、問題点も含めて介護保険に関する私の要望ですけれども、早急に基盤整備の充実を図るべきであると考えます。
今なお、基盤が十分整備されていないから介護保険の導入は早過ぎるのではないかというふうな声も聞かれますけれども、それでは基盤充実が進んでいない市町村に住む住民の今後はどうなるんだろうかと考えますと、まさに基盤整備こそ各地方自治体の責任でもって積極的に進めていっていただきたい最優先課題ではないかというふうに考えます。
また、保険財源と給付内容に関しましては、住民参加によるサービスの整備をぜひとも検討していかなければならないのではないかというふうに考えます。
さらに、サービスにおきましては、基本サービスは当然保障されるべきだろうと考えますが、今介護保険で言われております中に保険給付外のサービスがございます。既に、現行サービスとしてスタートしております配食サービス等は給付外になっておりますけれども、配食サービスは既に在宅生活を支えるための一つのサービスとして定着しているわけです。これら定着している既存のサービスが介護保険給付外になったとして、どのような形で支援していくのか、それもぜひとも考えていただきたいと思います。
次に、重なりますけれども、調査、認定の公正化とサービスの適正化。
調査の時点でかなりの部分の介護度が決まってくると言っても過言ではないかと思います。調査員の資質によって、本人の持っている状況がどこまで把握できるのか。そういう意味におきまして、調査員の資質は非常に大事な要素を帯びてくると思いますので、ぜひとも調査員に対する教育と質の問題は考えていただきたい。これが、とりもなおさず一次判定と二次判定のばらつき、介護サービス、介護認定の公正化にもつながってくることではないかと考えます。
さらに、介護認定がおりてまいりますとケアプランを立てていくわけですけれども、ケアプランに関しましては総合的な判断力を持つケアマネジャーがぜひとも必要ではないかという意味におきまして、ケアマネジャーの養成も粗製乱造のケアマネジャー養成ではなくて大事な意味合いを持つケアマネジャーということを考えていただいての養成に取り組んでいただきたいと思います。
三番目に、成人後見法の成立による権利擁護。
高齢者になりまして痴呆症状が出てまいりますと、自分の意思を十分に表明することができなくなってまいります。特に、そうした状況に関しましては、介護保険の制度成立とあわせて成人後見法の成立をぜひともお願いいたしたいと思います。
その他、医療保険制度との整合性、上記問題点に対する取り組みを進めていただきながら介護保険の早期実現をお願いいたしたいと思います。
なお、本日、資料といたしまして高知市の地域支援システムの紹介を高知市の方からいただいて持ってまいっております。高知市の方は非常に積極的に地域支援システムの体制をつくっていただいていると思っております。このパンフレットを見ていただきますとその状況がおわかりかと思いますけれども、在宅における要介護者の状況調査も既にほぼできております。それから、高知市全域を支援センターが網羅した形での地域実態調査も行われておりますし、ケアプランも既にできております。こういうふうなことを参考にしていただきながら、各地方自治体での積極的な取り組みをぜひともお願いしたいと思います。
少々時間をオーバーいたしましたが、私の意見はこれで終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/208
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209・山本正和
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
次に、中澤公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/209
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210・中澤秀夫
○公述人(中澤秀夫君) 高知県社会福祉協議会の中澤でございます。高齢社会を互助制度で支えていこうという公的介護保険につきまして、賛成する立場から意見を申し上げたいと思います。
まず第一点は、段々に公述人から御意見もありましたけれども、介護保険の給付基準につきまして経過措置が設けられていることについて意見を申し上げたいと思います。
介護保険法施行法によりまして、介護保険の実施体制の準備状況を、サービスの量とか準備の状況を考慮して介護保険法で定められます基準を下回る基準で実施をしてもいいですよと。一定期間、これは政令で定める期間というふうに法律上書かれているわけですけれども、その期間は定かでありませんけれども、ある期間はそういう準備が整っていないところは下回る基準でもって実施できるような措置が講ぜられておるわけでございます。
そのことについての考え方ですけれども、仮にその低い水準の給付しか受けられない市町村につきまして保険料の負担も軽減をするというようなお考えのようでございますけれども、確かに保険料を下げることによって負担と給付のバランスはとれると思います。しかし、肝心の被保険者の立場からしますと、給付が低くていい、あるいはもっと高いのがほしいというのはこれは住んでいる町村でもって決められるわけですから、被保険者には全く選択権がないと言ってもいいのではないかというふうに思います。それだけではなくて、私は公的介護保険のこれは根幹にかかわる問題だというふうに認識をいたしております。制度上問題であるという認識でございます。
ただ、市町村の保険サービスの提供体制の準備状況を見てみますと、市町村間に大変格差がある現実は十分に理解をしておるつもりでございます。だからといってサービスの基準を下げるのではなくて、逆に法律で定めようとする基準を提供できる体制の準備を急ぐことが今求められておると思いますし、そのことが制度を整えていく上では肝要なことというふうに考えるものでございます。
二点目でございますが、山間僻地の要介護者に対する居宅サービスの確保と水準を維持していくということについて意見を申し上げたいと思います。
御承知のように、本県は大変に山間僻地と言われる地域が多うございます。その山間僻地に要介護者が点在して居住をされておるという実態がございます。そういう市町村にとりましては、保険者ですけれども、居宅サービスで居宅まで訪問いたします時間、あるいは要介護者の家から次の家へ移動する時間、これは大変時間を要する状況が出てまいります。ということは、いわば介護サービスのコストが高くなりますということだと思うんです。
ところが、ちょっと法律は不勉強なところがあるんですけれども、果たしてそのコストに見合う介護報酬が算定されるのかどうなのか、それを疑問に思っていますし、そのコストをだれが負担するのか。保険者が負担をするのか被保険者が負担をするのか、そこが不勉強で申しわけないんですけれども、法律を見る限りどうも明確になっていないなと、よう見つけ出しておりません。そのことが大変気になるところでございます。
少し話がそれますけれども、郵便事業を見てみますと、五十円のはがきあるいは八十円切手を張りますとどの地方でも必ず配達していただけます。ところが、配達のコストというのは地域によって違うわけですけれども、それは郵便事業全体の中でそのコストを吸収するというんですか、コストを見ているわけですから、山間僻地の多いそういう地理的条件というのも、この介護保険法案の中にあります調整交付金ですか、そういうものの中でやっぱり介護保険制度全体の中でそのコストをカバーしていく。そのことによって、山間僻地の介護サービスを維持し、水準を確保していくことができるのではなかろうか、そんなふうに考えておるものでございます。
それから最後、三点目でございますが、家族介護に対します介護報酬について意見を申し上げたいと思います。
今回の介護保険法案によりますと、一定の条件を満たします民間営利企業あるいはボランティア組織、そういうものも介護サービスに参入ができることになり、介護報酬が支給をされることになっております。ただ、家族介護につきましては、どうもそれが介護サービスの支給の対象に入っていないということでございます。家族介護の問題につきましても、それはいろいろ考え方はあろうと思いますけれども、少なくとも一定の要件を備えた家族の方、知識あるいは技能を持たれた方が家族の介護をする、これは最も好ましい状況じゃないか、介護される方もあるいは介護する方もお互いが一番好ましい状況ではなかろうかというふうに思うわけですけれども、それに対しては介護報酬は支給されない、こういうことになっております。
家族介護について社会的にどう評価をし、介護保険の中でどう位置づけていくのかということは改めて議論をしてよりよい方向を見出すべきではないか、そんなふうに考えておるものでございます。
以上、三点を申し上げまして私の意見陳述を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/210
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211・山本正和
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
次に、小松公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/211
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212・小松桂子
○公述人(小松桂子君) 小松です。よろしくお願いいたします。
現在、私は訪問看護の仕事に携わっております。在宅看護の経験は一年足らずですが、一般病院の看護婦として三十年仕事をしてきました。
私どものステーション利用者の平均年齢は八十二歳で、全国平均とほぼ同じです。八十五歳以上が一番多く四十名中十四名、三六%です。収入状態を見ますと、老齢福祉年金と国民年金受給者十七名で四四%を占めており、経済的には決して豊かとは言えません。
在宅で療養されている方々は、慢性期の病状が多いわけですが、疾病の種類も多岐に及んでおり、重複した疾患や障害を持っている場合も少なくありません。現在訪問させていただいている方々も種々の疾病を持ちながら、社会資源を活用したり、各種サービスを受けながら生活をされております。この方たちが安心して住みなれた地域や家庭で必要とするサービスを速やかに受けることができるだろうかと、今回の介護保険法案を見て大変不安を感じました。
まず、介護保険の制度の内容が知らされていません。保険証があれば自由に使用ができ、サービスの選択ができると考えられています。現在、試算されている保険料は市町村によって異なっています。平均二千五百円ぐらいと言われていましたが、将来的には保険料の引き上げも確実になっています。
この介護保険法案では、まず負担の増大が考えられます。
私が訪問させていただいているSさんは、介護保険料二千五百円を納めれば現行のサービスは維持でき、将来は安心して生活ができると考えていました。S氏、八十歳、女性、ひとり暮らし、痛みを伴うため外出ができません。
Sさんの介護度Iとして予想される負担額を見てみますと、収入は国民年金、月額四万九千九百円、現行サービスの内容は、訪問看護一週一回、基本利用料として二百五十円掛ける四で千円、その他の利用料百円掛ける四で四百円、ホームヘルプサービスは一週二回各二時間ずつの利用ですが、住民税非課税で無料です。現行では千四百円しか要りません。介護保険が導入されますと、まず保険料、これは現在言われていますが、二千五百円を大幅に上回ると予想されます。訪問看護四回、現行料金で三千八百四十五円、ホームヘルプサービスは自己負担となり、利用料は予測できません。
年金生活者のSさんは、とてもこんなに支払えない、しかしサービスを受けないと生活を維持することができません、法案が実施されれば、サービスの回数を減らす以前にサービスは受けられないと言っています。お金のない人は介護サービスから排除されてしまうという重大な問題ではないでしょうか。しかも、介護認定は六つに区分され、申請者の身体的機能中心に決まりますので、希望するサービスは望めません。Sさんを在宅で支えるには家事援助がどうしても必要ですが、この自立支援のためのサービスは適用になっていないからです。
現在、高知市内でヘルパーサービスを受けている八割強の方は利用料無料の方々です。この方々の生活基盤はどうなるでしょうか。健康状態の悪化を招く可能性も高く、寝たきり予備軍になっていくのではと考えられます。介護保険料は年金から差し引かれます。少額の年金しか受け取っていない人たちから天引きする方法は、高齢者の生活を無視したひどい内容と思われます。
次に、要介護認定について感じたことを述べさせていただきます。
平成八年度要介護認定のモデル事業は、高知市の江ノ口地区で対象者百名で行われました。その中で審査、査定の問題点が出されています。全国平均で約三割、高知市でも判定ずれは三七%と出ています。
I氏、七十七歳、女性、四人暮らし。Iさんはアルツハイマー病で常に目離しできません。食事、入浴など何とか自立できています。症状はよいときとそうでないときがあり、一定していません。このIさんは身体的状況から見て要介護度Iではないかと思われます。収入はIさんの国民年金で月額六千円、支援の要る夫は厚生年金六万円、長男給与で二十万、娘は介護のため無職です。長男は家族を支えるため独立できず、家賃その他で十万円必要とします。
現制度で、経済的事情が許されるなら、毎日のデイケア、ショートステイの利用も可能です。現状に応じて判断されますので、特に制限はありません。ただ、実際は経済的に困難なため、娘が仕事せず介護に当たっています。介護保険になってモデルサービスの内容を当てはめてみると、娘が仕事に行ける状況とはなりません。サービスの内容に家庭の介護状況がどのくらい反映されるでしょうか。介護疲れの娘さんからは、生活ができません、もう私たちに死ねということですねと言われました。娘さんの介護状況を考えれば、介護手当の支給も必要と思われます。また、認定手続が煩雑で、申請から調査し結果が出てメニューが決まり実施まで約一カ月以上かかります。Iさんが申請をするとすれば、経済面も考慮しながらぎりぎりの時期ではないかと思います。認定までの期間どうすればよいでしょうか。決定前の利用は償還払いですから全額自己負担、果たして利用できるでしょうか。困るのはIさんであり、介護者の娘さんです。
予想よりはるか高額な保険料を払えない人もふえてきます。この制度は保険料の未納、滞納があれば給付水準の切り下げ、給付の一時差しとめが発生します。これは人道的に許される行為ではありません。高知市の国保税の滞納者は約六・七%、払いたくとも払えない事情のある方より保険料も加えて支払うことは可能でしょうか。負担の増加は国保税の滞納者も増すと考えます。
介護保険の目的が老後を安心して暮らせ、生活を、自立を支えることができるものでないと意味をなしません。自分で決めた上で十分な介護が受けられ、生きていてよかったと、そんな言葉が聞けるためにも以下の点を提案させていただきたいと思います。
一、公費負担をふやして早急に新ゴールドプランの完全実施を行ってください。高知市のヘルパー充足率は四九・二%、特別養護老人ホームの待機者二百三名、基盤整備が十分とは言えません。サービスの提供体制が少なければ認定基準も厳しくならざるを得ないからです。
二、必要な人に必要な介護が保障されるよう認定基準を緩和し、要支援の区別や六十五歳以下の疾病制限をなくしてください。モデルサービスの内容も実情にそぐわないものもあり、再検討が必要と思います。
三、保険料滞納者への罰則、ペナルティーは廃止してください。支払い可能な保険料とし、低所得者の保険料は免除してください。
四、利用料は原則として徴収しないでください。少なくとも利用料のため介護が受けられないということがなくなるようにしてください。
以上を述べまして、在宅看護にかかわる者として、だれもが人間としての尊厳が全うできる介護保険制度を確立されることを期待し、私の発言を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/212
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213・山本正和
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
次に、岡崎公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/213
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214・岡崎潔
○公述人(岡崎潔君) 初めに、介護保険法案の審議が行われております当参議院厚生委員会の介護保険関連三法案に関する地方公聴会にお招きいただき、貴重な時間を割いて意見をお聞きいただきますことに心から御礼申し上げます。
私は、特別養護老人ホーム豊寿園とデイサービスセンターつどいの家などの現場を担当しております岡崎潔と申します。よろしくお願いいたします。
今回審議が行われております介護保険制度について、私が考えておりますこととお願いを申し上げます。
現在、高知県には五千人を超える寝たきりや痴呆など介護を必要とする高齢者が在宅しております。県全体で見ますと、要介護高齢者は増加傾向にあり、また介護期間の長期化、要介護状態の重度化、介護者の高齢化など介護の問題は年々深刻化してきております。このような状況の中で、高齢者の介護ニーズにこたえていくことは福祉の現場で働く私たちの使命であると強く認識しております。と同時に、介護サービスを安定的に、総合的に利用できるシステムをつくるため、現在国会で審議されております介護保険制度の導入については賛成であります。
しかし、介護保険制度の導入は、私たちにとりましてこれまでの措置制度から保険制度への移行という根本的な改革を伴うものでありますので、幾つかの不安があります。このため、私たちが安心して介護保険制度にスムーズに移行できますよう、特に次の点について特段の御配慮をいただきたくお願い申し上げます。
第一は、特別養護老人ホーム等の福祉施設の整備については、引き続き国及び地方自治体の公費中心で進めていただきたいと考えております。特に高知県の場合、五十人定員の、しかも中山間地に多くの施設が配置されておりまして、この経営は極めて厳しい状況にあります。現在、施設整備に伴う四分の一の設置者自己負担金の確保につきましても非常に苦慮しているのが実態でございます。
第二は、私たちはこれまで措置制度の中で高齢者や家族の立場に立った良質の介護サービスを提供してきております。例えば、私の施設では寝たきりで入所された高齢者が離床できるまでに改善した例など、その介護サービスは高く評価できる内容であると確信しております。このサービス水準を介護保険制度導入後においても低下させないため、定員別単価、級地区分別単価及び各種加算制度、例えば民間施設給与等改善費などについては現行制度を保障していただくようお願いいたします。
あわせて、福祉施設職員の処遇向上を図るため、現在、社会福祉・医療事業団で実施しております退職共済制度や施設職員の処遇にかかわる制度については、現行の制度を保障していただくようお願いいたします。特に、このことは優秀な人材を確保するためにも不可欠であると考えております。
第三は、介護保険制度をスムーズに特別養護老人ホーム等福祉施設に導入するための十分な経過措置が必要であると考えています。特に私たちは、これまでの長い間、国からそして地方自治体からいろいろな面で助成等の御配慮をいただいてまいりました。御承知のとおり、福祉施設の経営基盤は非常に弱い実態であります。介護保険導入後においても、当分の間はこれら地方自治体等からの助成措置は続けていただけますようお願いをしたいと思います。
最後になりますが、私たち特別養護老人ホーム等における介護は、高齢者の生活の場を保障するためのものであり、高齢者に不安を与えてはならず、何よりも介護サービスの安定が求められていると思います。このため、特別養護老人ホームは公益性、公共性を確保するためにも、これまでどおり社会福祉法人で運営されるべきものであると考えています。
あわせて、一般の高齢者にとって無理のない保険料を、そして低所得者が不利益をこうむることのない制度にしていただくよう十分御配慮をしていただきますようお願いいたします。
各国会議員の先生方におかれましては、本国会における介護保険法案の成立にあわせて、これらのお願いについても御配慮いただきますよう重ねてお願いを申し上げます。
以上で私の発言を終わらせていただきます。
私が現在担当しております施設の概要につきまして別に資料を添付させていただきました。お目通しいただければありがたいと思います。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/214
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215・山本正和
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
以上で公述人各位の御意見の陳述は終わりました。
速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/215
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216・山本正和
○団長(山本正和君) 速記を起こしてください。
それでは、これより公述人に対する質疑を行います。
なお、委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。また、御発言は私から指名をいたしますので、それを待ってお願いいたします。
それでは、質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/216
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217・石井道子
○石井道子君 きょうは、公聴会に当たりまして大勢の方々のおいでをいただきまして、お忙しい中をありがとうございます。貴重なお話を伺わせていただいて大変参考になったわけでございます。
高知県は、高齢化率が第二位である、そして医療費もやはり平均よりも三倍かかっているというふうなことも伺ったわけでございますが、まず最初に市長さんに伺いますが、このたびの介護保険制度を導入するに当たりましては、国保の轍を踏まないようにということを大変市町村が危惧をされていた経緯もございます。それで、今までの国保の運営についての赤字の状況はどんなふうなことでございましょうか。そして、この介護保険制度を導入することによって、社会的入院がある程度制約されるとか減っていくとか、何らかの形である程度医療費削減に対して効果があるかどうかというようなこともちょっと御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/217
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218・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 二点の御質問をいただきました。
まず国保財政の件でございますけれども、今、国の方の安定化支援事業によりまして、私たちの国保財政についてもおかげさまで一応黒字を維持いたしております。ただ、その支援事業は一定の期間というふうに伺っておりますので、この支援が切れますと途端に赤字になってしまうと、そういう将来に不安を残したような状態であるということを申し上げておきたいと思います。
それから医療費の抑制効果でございますが、今回の介護保険制度の導入によりまして、少なくとも介護対象者につきます医療サービスについては今の老人医療費の方からこちらの介護保険制度の中に入ってまいりますので、その分だけ医療費が減るということは確かでございます。それからまた自己負担というものがありますので、当然心理的な面での抑制といったことがあろうかと思います。
ただ、先ほど少し私の方から申し上げましたように、こういったふうに本来受けたいけれども経済的な理由で受けられなくなる、そんな面での医療費抑制というのは決して私はあるべきではないと思っておりますので、その意味での何らかの救済策が必要なのではないかということを申し上げたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/218
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219・石井道子
○石井道子君 国保が黒字であると伺ったんですが、これは一般会計から相当繰り入れた上でのことでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/219
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220・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 金額につきましては、正確ではございませんが、このところ毎年十億を超える金額を一般会計から繰り入れいたしておりますが、ただ、これは先ほど申し上げました支援事業の一環で行っている、一つのルールに基づいて行っているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/220
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221・石井道子
○石井道子君 それから、このたびの介護保険制度を行うに当たりまして、せんだってモデル事業もやっていただいているわけですね、高知市は。いろいろなことがお気づきになったと思いますけれども、この制度を導入した場合に保険料の徴収をするわけですが、その徴収の問題については、国保の保険料も未徴収があるということを伺いましたが、介護の保険料についてはどのようなことが予測されるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/221
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222・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 国保保険料につきましては私たちも大変徴収に苦労をいたしております。当然、国保の対象になられる方々はどちらかといいますと高齢者の方々、あるいは十分なお仕事を持っておられない方々が多うございますので、その意味でも大変苦労をいたしておりまして、大体毎年九割いくかいかないかといったような状況でございます。そして、この介護保険制度が導入されました際に、当然国保の方の徴収率も私たちは落ちていくのではないかというふうに見込んでおります。
例えば、国民年金の検認率等でいいますと大体八割程度でございますので、この介護保険制度について十分御理解をいただけない方々も中にはあるんじゃないかというふうに懸念をいたしております。そういうことからしますと、この国民年金の検認率程度ぐらいの収納率に落ちてしまうのではないかというふうに思っておりますし、先ほど私の意見の中で申し上げましたように、県の方で設置をいたします財政安定化基金から収納率等が落ちた場合に一定の補てんはいただけることになっておりますけれども、最低収納率というものが設定をされますとそれ以下のケースの場合は穴があくということになってしまいますので、この設定についてはそれぞれの団体の、精いっぱい頑張っておりますので、その実績というものを十分踏まえた上での設定をぜひお願いいたしたいというふうに思っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/222
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223・石井道子
○石井道子君 それから、いろいろとお話を伺っていますと、要介護の認定が非常に難しいという話も伺ってまいりました。せんだっても高知市の方でいろいろと経験をされたようでございますが、その結果いろいろの点が反省されたというふうにも聞いているわけでございますが、その点についてお気づきの点をちょっと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/223
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224・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 私も直接携わっておりませんので専門的なことはよく承知をいたしておりませんが、担当から聞いております限りでは、特に痴呆の判定について、かなり厚生省の基準によります判定と私どもが行いました審査会での判定と大きな食い違いが出てきておるということが言われようかと思います。やはり機械的な判定はなかなか痴呆の場合は難しいのではないかというふうに考えておるところであります。
また、先ほどほかの公述人の方もおっしゃっておられましたように、一回限りでの判定は非常に難しい状況があるわけでございますので、少し経過を見ながらという、そういったきめ細かさというものが必要ではないかと思っております。こういった基準は、もちろん全国一律であるのが一番望ましいとは思っておりますけれども、それぞれの地域の実情を踏まえながら、ある程度弾力的裁量に任せていただく部分も私はあっていいのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/224
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225・石井道子
○石井道子君 それから、この介護制度を行う場合にケアマネジャーの重要性ということも伺いました。それからまた、実際に介護を行うヘルパーの方々の養成も必要であろうと思いますが、その点についての計画と目標といいますか、その点を伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/225
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226・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) こういった人材養成といいますか人材確保の面につきましては、今、県の方で全体的に調整し、そしてまたその養成のための御努力をいただいておるというふうに承知いたしております。
なお、ヘルパーにつきましては、先ほど私どもの関係の資料が出されておりましたけれども、今の私どもの保健福祉計画の中では進捗率四八%程度になっておりますが、最初の目標設定そのものがほかのサービスが余りないという前提でのヘルパーの数値でございまして、要するに、ヘルパーの制度が先行したものですから勢いそちらの方を利用するであろうというふうに見込んだ数字でございましたが、実際にはほかのサービスが随分充足をされてまいりまして、現実のヘルパー需要には今のこの数値でほとんど十分賄っているという状況でございます。少し目標設定が高かったかなという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/226
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227・石井道子
○石井道子君 関連で和田公述人にお伺いしたいのですけれども、介護認定におけるいろいろ御経験を踏まえた上で大変貴重なお話も伺ったわけでございますが、認定の尺度をどうするかということが大変重要であるというふうにも伺いました。
この点についての具体的なことも幾つか伺ったのですけれども、公正で適切な認定、そしてそれを迅速に行うという点で非常にこの点も重要であるというふうに思います。それで、この点についてのケアマネジャーの養成について、どのような点に注意をすべきでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/227
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228・和田節
○公述人(和田節君) 介護認定の尺度に関しましては全国的にモデル事業を行われたわけです。ことしもまた第二回目が、高知市の場合は認定とケアプランの方で入っていくようになっています。第一回の調査の結果、調査項目、方法においてはかなりの手直しも、先日、調査項目を見てみますとなされてはおりますが、その結果の判定がどういう形で出てくるか。またコンピューターにかけて、あと審査会にかけて総合的な評価が全国的に出てくる中で新たになってくるだろうと思います。
私、考えますのは、やはり介護認定におきましては基準は必要であろうと思います。基準はどうしても必要であろうと思うのですけれども、そういうふうな認定基準の審査に加わった方たちの意見を出していって、どのような尺度をもってすればより現実の状況に近い介護認定サービスが入っていくのかということをこれから何度も何度もやっぱり国がやっていかなければならない作業ではないかというふうに感じます。
それから、迅速、スピーディーな介護認定という意味におきましては、コンピューター活用というのはこれはせざるを得ないことだろうと思うのですね。圧倒的な数、不服申請の問題、見直しの問題等を含めますと、膨大な事務量の中で手作業でそれをやっていくということはとても不可能だろう。
ただし、調査の段階と審査の段階でのばらつきが極力少なくなるような調査項目の設定の仕方とかそういうふうなことを今後考えていく。その期間があと二年、もしことし介護保険法案が通ってもあと二年少々ございますので、本当に英知を集中した形の中でそれをやっていくべき必要があるかなと思います。
ケアマネジャーの養成に関しましては、今全国的に、講習の後テストをやって、その後実地研修というふうになっているようですけれども、確かに期間的にもございませんので、そういうふうな形でやっていかざるを得ないんだろうと思うんです。職種に関しましても、さまざまな職種が今ケアマネジャーの試験を受ける資格を持っている、それも当然必要なことだろうと思います。
ただし、言いましたように、ケアが必要な人に本当に必要な総合的な判断を持ってケアプランが立てられるかといいますと、その後の、単にペーパーテストだけではなくて総合能力を持ったケアマネジャーがどうしても必要になってくるだろう。その養成をどういうふうにしていくのかということもまた考えていかないといけないと思います。
ケアマネジャーの前に、私は調査員の問題も非常に大きいかと思うんです。調査項目のチェックをいたしますのは調査員になりますので、そのチェック項目に従ってマークシートにかけられてまいりますから、その状況を踏まえた調査員の調査能力というものが非常に機械的になされますとイエス、ノーの状況だけで見てしまう。先ほど申し上げました能力評価とその人の置かれている状況の中での能力を総合的にどう見ていくのかというふうなことが調査員には問われてくることだろうと思いますので、ケアマネジャーとあわせて、その調査員の問題というのは非常に重要視していかなければならないんじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/228
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229・石井道子
○石井道子君 山内公述人にお伺いいたしますけれども、かかりつけ医という仕組みが入っているわけでございまして、このかかりつけ医という立場とか内容的なもの、これをどのように医師会として対処されるおつもりでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/229
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230・山内昇
○公述人(山内昇君) かかりつけ医というものにつきましては、これは法的にもあるいは制度的にもただいま全く規定がございません現状といたしましては、ただ言葉だけが先行しておる、そういうところでございます。
日本医師会といたしましても、かかりつけ医機能の制度化ということについては今のところそれほど乗り気でないように見受けております。かかりつけ医につきましてはそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/230
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231・石井道子
○石井道子君 最近は大きな病院にいろいろと患者さんが行くケースが多うございますので、かかりつけ医を持っているかいないかということも問題ではないか。ドクターの意識とそれから患者さんの意識とが果たしてぴったりしているかどうか、その点もちょっと問題になるかと思います。その点を今後どうするかということも今度の介護保険制度では重要なことではないかと思いますので、その点についていかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/231
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232・山内昇
○公述人(山内昇君) この制度の中でのかかりつけ医意見書ということですが、これは一体だれが書くかということが一番問題でございます。
現場におきましては、かかりつけ医に指定されたけれども、私はこの人のかかりつけ医ではないというふうな事態もございましたし、あるいは公的病院の先生がかかりつけ医の役割を果たしておるというふうなことも現実にはあろうかと思います。
したがって、この介護保険制度の中においてかかりつけ医意見書を書く人は、それはその患者さんを一番よく診ておる方が書く、そういうことでいいのではないかとただいまのところは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/232
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233・石井道子
○石井道子君 それから、今度の要介護認定の意見書を医師が書くことになっておりますが、この様式ですね、この点について御意見がありましたらお伺いさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/233
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234・山内昇
○公述人(山内昇君) せんだってのモデル事業は非常にそのかかりつけ医意見書が不備であったということで、今回はこのモデル事業の反省に立ちまして、いろんな要望、あれも足らぬこれも足らぬというのを全部取り入れております。したがって、かなり記載事項が多くなっております。したがって、これを書くのは大変時間がかかる仕事である、そういうふうに変わっておると思います。これをやりまして、これじゃとても作業量は多過ぎるということになりますと、この中から何を除き何を残すか、そういう見直しがまたこれから行われると思います。
それからもう一つ、先ほどケアマネジャーの養成について御質問が他の公述人にございましたけれども、これはただいま厚生省がやっておりますが、ケアマネジャーの指導者講習会というのがまだ終わっておりません。したがって、それが終わらないとケアマネジャー養成も進まないわけでございまして、まだ各県のケアマネジャー養成がスタートしていない状況ではないかと考えております。全国的に約四万人以上の養成の計画があるというふうに伺っております。単純に平均いたしますと各県千人、そういう数だというふうに伺っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/234
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235・石井道子
○石井道子君 それから、要介護の方々でお薬を飲んでいる方が大変多いと思いますが、ほとんどの方が飲んでいらっしゃるでしょうか。それは一般の在宅の方もそうですけれども、施設に入っていらっしゃいますケースでは、和田公述人とそれから岡崎公述人にちょっと服薬状況についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/235
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236・和田節
○公述人(和田節君) 御質問ですけれども、老人保健施設は医療行為も提供するということになっております。大半の老人が内服治療を受けております。場合によっては点滴等の治療ももちろん入りますし、なかなか治療に関しては内服量が減らないというのも現実でありまして、薬依存もありますけれども、医療行為は当然なされていますので、医療的に申しますとマルメ医療のような形で、医療費を持ちながら施設療養をあわせて行っているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/236
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237・岡崎潔
○公述人(岡崎潔君) 私のところでは常勤医が配置されておりますので、配置されております常勤医の指導をいただきながら看護婦二名で対応させていただいております。ほとんどの方の対応を看護婦で賄っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/237
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238・石井道子
○石井道子君 それから、岡崎公述人に伺いますけれども、今度老人ホームが措置制度から保険制度に変わるということでお話がありました。その場合に、今後の運営の問題についていろいろ御心配があるようにお見受けしておりますが、どのような点でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/238
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239・岡崎潔
○公述人(岡崎潔君) 一点は、現在入所者一人当たり幾らという負担価設定で措置費を支給いただいております。それを基礎にして運営しておるわけでございますが、介護保険になった場合、こういう今の制度は続けていただけるのであろうか、いわゆる民間の場合に、特に介護保険移行後、経営が成り立つかどうかというのが最大の心配でございます。その辺については、五年間はとりあえず平成十二年四月一日現在の入所者については保証するというようなお話もいただいておりますので、それらを土台にしながら御指導いただきたい、何とかいけるというお話をいただけるとありがたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/239
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240・石井道子
○石井道子君 それから、和田公述人にちょっとお伺いしたいんですが、いろいろ御要望の中で医療保険制度との整合性という項目がございました。具体的にありましたらちょっとお聞かせいただきたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/240
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241・和田節
○公述人(和田節君) 少し時間がオーバーしましたので説明の方を省かせていただきましたけれども、一つは、社会的入院の問題をどうしていくのかということだろうと思います。それからもう一つは、長期療養型病床群の中に診療所を開放するというふうな項目も出ております。
もちろん、そういうふうにしていかないと、介護保険に適用されるベッド数の患者さんの看病はできないのかとも思いますけれども、その際に、規制緩和の問題に関しては十二分に検討していただきたい。いわゆる社会的入院のケースを長期療養型病床群が介護保険の適用になったということだけで移行いたしますと、右から左にシフトしただけになってしまって、本来介護保険の持つべきアメニティーの問題とか快適な生活環境においての介護の適用ということになりますと、やはりそこに問題が残るのではないかというふうに考えます。
それから、まだこれ論議になっておりませんし、介護保険との関連では言うべきかどうかわかりませんけれども、高齢者医療保険という制度もあわせて考えられているようですが、まだその財源等含めて、七十歳以上の医療独立型にしていったときに、果たして医療保険の中で負担、給付の問題とそのバランスがとれてやっていけるのか。今、現状の中で、医療保険における健康保険の赤字の問題が出ております。健康保険組合、政管健保の方も赤字でとても老人医療に拠出金が出せない状況であるという中で、高齢者の独立保険ということが考えられているのだろうと思います。また、それは介護保険とあわせて考えていく、検討課題になっているようなんですけれども、その辺のところにつきましては、先ほど松尾市長さんの方からもお話がございましたが、基本的なサービスが受けられないという状況にはすべきではないのではないかというふうに考えます。
それと、重なってのお願いなんですけれども、規制緩和の中でともすれば守られないといけないものが削られてしまうということに関しては細心の注意が必要ではないかというふうに感じまして、医療保険制度、私の思うところを簡単に述べさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/241
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242・石井道子
○石井道子君 以上でございます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/242
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243・南野知惠子
○南野知惠子君 本日は、お忙しいところをいろいろとお話を聞かせていただきまして、本当にありがとうございました。
まず第一に気になったことは、モデル事業における第一次と第二次の判定の差が三八%もあったということでございますが、我々の今進めております保険は認定を要請してから返事が来るのが大体三十日ぐらいかかる。そういったことも含めまして、調査の段階、要介護認定の段階、そういったものを合わせまして、モデル事業を通して何かお考えになったことがおありかどうか、松尾公述人、山内公述人、川添公述人、お三人にお伺いしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/243
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244・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 先ほど申し上げました点もございますけれども、一次判定のデータがもう少しわかりやすいような認定基準の設定が必要なんではないかということもそれぞれの担当から聞いておるところでございます。
また、要支援あるいは要介護状態区分というのが必ずしも明確でなくて、判定がなかなかしにくいといったような問題も出されておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/244
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245・山内昇
○公述人(山内昇君) 先ほどの公述の中で要介護度分類の問題点を指摘いたしましたけれども、これが大体すべてでございます。
私自身は、直接モデル事業に携わったわけではなくて、高知県医師会の中の高齢者福祉担当としてこのモデル事業を推進した、そういう立場でございまして、実際は高知市医師会がおやりになったということでございます。
この点につきましては、先ほどの公述の中でも申しましたように、日本医師会が一つの対案をつくっておりまして、それをただいま検証中でございます。なかなかいいデータが出ておるというふうなことを申しております。
そして何よりも、厚生省案によりますと、先ほど松尾市長もおっしゃいましたように、その六分類、区分が非常にわかりにくい。あなたの区分はこれですよと言っても、なかなかぴんとその状態像が浮かばないというのが非常に問題であるということが言われております。
もう一つ、調査項目につきましても非常に表現があいまいであるというふうな問題があります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/245
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246・川添テル子
○公述人(川添テル子君) 実際、今手元に要介護認定モデル事業の審査項目を持っております。「はい」、「いいえ」で答える場合にも、家人の介護者のレベルによって「はい」、「いいえ」の項目が、本人がしたくなくてしないのか、知識のない者は寝たきり状態にしてしまうほど手を出し過ぎる、本人の最後に残った能力をどう生かそうかということをしないで何もかもしてやるということが起こりかねない返答の内容になっております。
それともう一つでございますが、寝たきりと痴呆を対象にしておりますけれども、この後ろにもう一つ老人虐待の問題がございます。
少し事例を挙げさせていただきますと、七十七歳の肺機能不全、日常生活は自立しております。病状が悪化したときに入院する程度で、病院にいるのが非常に嫌で娘夫婦と同居しているために、この場合、嫁と違って娘は虐待という項目では調査上一番数字が少ないわけでございますけれども、それでも、その娘さんが言うんですけれども、感情をコントロールするのが非常につらい、母親でありながら思わず言葉の上の暴力を使ってしまうことがある。そこら辺の調査で、介護者の虐待に対する意識、「ない」、「全くない」を合わせても五三・二%という数字が出ております。その調査はどこでやられたかと申しますと、埼玉、福岡、山形の三県の市町村、保健所の保健婦約千八百人を対象に、過去二年間にわたって虐待の調査をしたということでの事例でございます。
その点にも御配慮を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/246
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247・南野知惠子
○南野知惠子君 そうしましたら、いろいろと調査をされる方と要介護認定をされる方というのは別々な立場でございますね。そういったものを通してモデル事業では、私にしてみたら多少じれったさがそこにあるのではないかと。実際、調査に行った人からの情報ならもっと早く、この人はどの程度だと。また、家族とそれから調査をした人本人との間のそごが早くチェック、確実な段階で知り得るはずだと思うところが調査票には出てこない、そういった問題があるだろうと思います。
そういうことについて、川添公述人、もし何かございましたら教えていただきたいのと、和田公述人、何かありましたらその点について教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/247
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248・川添テル子
○公述人(川添テル子君) この点については、和田公述人も申しましたように、調査員の教育、きちんとした事項が調査されるということは私も同感でございます。
それと、資料にお渡ししてあります市町村の保健福祉活動、それが一番下にあります介護サービス提供機関というものに委託されるわけです。それで報告があって、これだけのお金を欲しいということ、その間に何か血の通ったものがないとこれは非常に大変でございます。そこらあたりで、行政とそういう介護サービスを提供する機関との関連、それからさっき強調いたしました、市長さんもおっしゃっていました専門支援センターを明文化していただくということが非常に大事かと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/248
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249・和田節
○公述人(和田節君) 調査における調査員の資質と資格の問題ですけれども、確かに、おっしゃられましたように、わかっている者が行けば情報は非常に早くつかむことができるだろう。ただし、わかっている者が行ったときに、その人の状況と本人が望むところのギャップを感情的にどういうふうにコントロールできるかという問題もまた新たな問題として出てくると思います。ただ、痴呆の患者さんとか独居老人の患者さんの場合には、全く知らない者が訪ねていって現時点主義で調査を行うということに関しましては、まるで詰問の様式になってしまって本当に実態が把握できるんだろうかということを感じます。
ことし、高知市の第二回ケアプランのモデル事業の調査員は、在宅介護支援センターが調査に当たるようになっていると伺っておりますが、そういたしますと、先ほど高知市の参考資料でお渡しいたしましたけれども、担当地域エリアを在宅介護支援センターは持っておりますので、そういう意味合いにおきましては、そのケースの状況を十二分に知った者が調査に入るということに関してはかなり正確な情報が入ってくるのではないだろうかという期待も持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/249
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250・南野知惠子
○南野知惠子君 それで、先ほど第一次調査、第二次調査の差がひどいと言われたのはどこに原因があったのだろうか。ただ調査資料だけなんだろうかというのがちょっと私の気になっているところでございます。和田公述人、もし何かありましたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/250
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251・和田節
○公述人(和田節君) 一つは調査項目の設定の仕方に問題があろうかと思います。私の公述のところで述べさせていただきましたけれども、支援の状況がまず見えてこないような、イエス、ノーだけの行為の細分化でチェックしていく様式が一つ問題であっただろうと思います。
それから、状況を判断した上での能力評価ということにはなっていなかったということも二つ目の問題だろうと思います。
それから、先ほど公述人の方がおっしゃいましたけれども、状況の中には環境因子ももちろんございます。それとあわせて、施設の状況の中でのチェック項目がこのたびの調査の様式では「していない」という項目を新たに設けてもらっていますけれども、できるかできないかという聞き取りだけでしたので、例えばある事例で申し上げますと、施設の中で全体の調査項目から見ますとかなり自立していると思われるにもかかわらず、内服とかその他のところに「できない」というふうになっておりまして、それを調査の審査の中で尋ねますと、施設の中に入っておりますと施設サービスとしてさせていないことが「できない」という項目になっているとか、そういった調査上の様式のテクニックとか組み合わせ方とか考え方の問題もばらつきの一つになってきたんではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/251
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252・南野知惠子
○南野知惠子君 そういたしますと、今我々の方でも一番ポイントになっているのが、申請してから三十日間と、調査それから要介護認定者。要介護認定者にはいろいろな職種の方がそれぞれのモデル事業の中に入っているわけですけれども、どのような方が要介護認定者にセッティングされたらいいのかということをもう一度お聞かせいただきたい。
では、その要介護認定者が調査をされたら三十日間も待たなくてもっと短縮できるのじゃないかという気持ちもあるんですが、それは現実に無理ですよとか、そういうアイデアがあれば和田公述人、川添公述人、山内公述人、お聞かせいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/252
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253・和田節
○公述人(和田節君) 一つの問題といたしましては、だれが調査に入るべきかということだろうと思うんですけれども、公正さということに関しましては、その人の所属するところをきちんとしないといけないんではないかというふうに考えます。そういう意味合いにおきましては、在宅介護支援センターの職員の教育という中でそれが一つの役割を果たすのかなというふうにも思っております。
それと、認定期日までの期間の問題ですけれども、私どももやはり迅速なサービスの導入が必要であろうかと思います。そのためには、何度も申し上げますけれども、一次判定と二次判定のばらつきを極力少なくするような調査項目のあり方、調査のあり方をしていって、ある程度どうしても機械に頼らざるを得ないと思うんです。圧倒的な数を受け付けていってそれを認定していく中では機械によってある程度見ていかないといけないと思うんですが、そのばらつきが極力ゼロに近づいていけば、そこにかかる時間の短縮というのは可能じゃないかというふうに考えますけれども、それはまだ何回かの繰り返し作業を行っていかなければならないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/253
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254・川添テル子
○公述人(川添テル子君) 全く和田公述人と同じ意見でございますが、私が意見の中で申しましたように、やはり医療的な面で看護の分野の職員がする行為はかなり今まで病院の中でケアマネジメントとしての役割を果たしてきています。それでどちらかというと、そういう点においては自分たちがプロであると自負しておりますが、いや、ほかの職種が力がないとかということは申しておりません、私たち協会としても極力勉強したいと。ケアマネジャー養成についての教育企画をいたし五十人募集しましたら三倍の百五十人が三日間のうちにもう電話電話電話で言ってきて、さあどうしよう、じゃ講師はどうしようかという段階で、できるだけ県の段階で行ってきた講師を有効にお使わせ願いたいということ。
それから、やはり看護教育において最低のレベルを上げるために教育の一本化ということをぜひ厚生省がお約束していただきましたら、二〇〇〇年の早期に高卒後最低三年、看護教育の一本化をお図り願いたいということ。
それからもう一つ、他職種とのペアで行うということ。福祉的な面の方は社会資源を利用することがなかなかお上手ですし、人との接触が上手で、もちろん看護婦もそれが仕事ですけれども、情報を得て調査をするということが非常にお上手でございます。ですから、看護と福祉、そういう職業の者がペアで行うということを私は望みたいと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/254
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255・山内昇
○公述人(山内昇君) 正確な調査ということになりますと、現時点調査というのはやっぱりだめでありまして、一週間ないし二週間の期間の出来事を調査する、もちろん聞き取り調査でいいと思いますけれども、そういうことが必要ではないかと思います。
それからもう一つ、調査員の資格でございますけれども、これもケアマネジャーのような法的資格を必要とするというふうなことにしますと、もうちょっと調査の質が上がるんではないか、そういうふうに考えられます。
それから、認定審査会の能率の問題でありますけれども、必ずしも三十日とはかからないんじゃないか。言うなればただいま練習中であるという期間でございますので、これは習熟いたしますともっとスピードアップする、一週間ないし二週間でできるんではないか、そういうふうに考えられます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/255
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256・南野知惠子
○南野知惠子君 それでは、中澤公述人にお尋ね申し上げたいんですが、このペーパーの三番目の家族介護という問題について少しお述べになっておられましたけれども、もう少し御追加いただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/256
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257・中澤秀夫
○公述人(中澤秀夫君) いろいろなところで家族介護につきましては介護保険の絡みで議論をされたというふうには承知しておりますけれども、本当に家族介護というのは、これはもちろん被保険者といいますか対象者とそれから家族双方の合意ということと、一定の資格要件を具備した家族の方が介護するという前提で考えているわけですけれども、そういう場合にボランティアの団体のやるものは介護報酬の対象にはなる、だけれども、家族がやりますとそれはだめですよということですね。そのかわり、短期入所のサービスの方へ振りかえといいますか、そういう利用はできますよということで、家族の方の時間といいますか、介護疲れを和らげる措置としてそういうことが考えられているわけですけれども、これなども基本的に私は被保険者が何を選択するかということを重視せぬといかぬと思うんです。
被保険者が家族の介護を望むのならば、そのことを家族も同意をして家族もそのことを望むのならば、そのことは介護保険の中でもきちんと介護保険の給付ですよという位置づけをすべきではなかろうかと。そうすると、被保険者がだれにどこからサービスを受けたいかという選択の幅が広がってくる。家族なのかボランティアの方なのか営利企業なのか、あるいは公的な保険者がやるサービスを受けたいのか、そういう選択の幅も広がってくるし、選択の幅が広がるということはお互いが介護の質についても一番ベターなところを選べる。そういう趣旨から家族介護をもう少し介護保険制度の中できちんと位置づけるべきではないかというのが私の考え方で申し上げたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/257
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258・南野知惠子
○南野知惠子君 前に我々が秋田県とそれから長野県に御訪問させていただきましたときに、長野県ではやはり現物・現金支給、これは要らないと。でも、秋田県では現物・現金支給を考えてほしいというようなアイデアが出されたことがございましたので、そういう意味では、この家族介護というものをどのようにお考えになっておられたのかということでちょっとお尋ね申し上げました。
引き続きまして、あと残りわずかでございますが、保険でなく税制でというようなお話をいただきました水田公述人にちょっとお尋ねしたいんですが、先ほどのお話の中で、掛けたものはもらいたい、これは保険のお金でございます。そして、税として出したのは、出しておられない方たちもおられるわけですが、税を出しておられる方からも同じようなことが言われるのではないだろうか。保険と税制というものが違うのかどうかというような観点ですね。もちろん、財源その他のあれは違うんですが、税制でする場合と保険でする場合の考え方というのはまるっきり違うものなんでしょうか。ちょっとお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/258
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259・水田武夫
○公述人(水田武夫君) 私も簡単に人情としてとらえたということで、理論的な、科学的な根拠はないわけでございます。
今までは保険というと、医療は保険ですけれども、一般的な保険というのはいろいろ民間の保険とか郵便の保険とか、毎月払ってその代償給付を求めるというふうに理解をしている中でのことが起きるんじゃないかと言われておる。特に私ども中山間地域に住んでおりますと、非常に低所得者の方がほとんどでございまして、そういう中にあって逆に保険のサービスを求める人は非常に多いわけですけれども、すぐもう隣の人がという比較をすることが多いわけで、そういう中からくると、案外、保険を掛けているんだからということで申請することが多いんじゃないか。
税金の場合は、保守的なといえばそうだと思うんですけれども、よほどでないとやはり生活扶助も申請しないような風土でございます。そういうことからいくと、今現在の制度でもなかなかそういう施設は利用しないとか、例えば老人ホームに入るのは肩身が狭いとか、そういうことが現在も生きているわけでございますので、いい悪いは別としてそういうことが考えられるんじゃないだろうかという単純なことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/259
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260・南野知惠子
○南野知惠子君 では、もう一つ続けてなんですが、税制でやっているところはデンマークがございます。それから同じ調査しましたら、ドイツ、オランダでは、やはりこれは消費税ということで日本の消費税と比べますと、我が国は五%ですが、ドイツでは一五%、それからオランダでは一七・五%、それは保険でやっていこうとしている国なのでございます。でも、税制でやっているデンマークでは二五%の消費税ということでございますので、じゃどのくらいの税制が必要だと思われますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/260
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261・水田武夫
○公述人(水田武夫君) 現在の五%のうち、一%とか二%とかを特定財源にしてやれば、よくわからないですけれども、今の推計でいけば保険でなくても何とかできるんじゃないだろうかと思います。私の本当の個人的なあれですけれども、私は一〇%くらいなら我慢できるんじゃないだろうか。
ただ、これは税金の方法の問題ですけれども、今のような外税ですか、例えばデパートに行って買い物をすると定価が書いてある。その定価かなと思っておったらお金を払う段階で五%税金が上積みされるとか、飲み屋さんに行って一杯飲んでいて、また税金分は別なところがあるんです。何でこういう、わずかと言ったら悪いんですけれども、三%、五%のことでそうするのか。内税というんでしょうか、五%、一〇%程度のあれでしたら、税金も含んで値段を請求されてそれを払うと、払う方としてそんな大きな負担はないわけです。私は学者でないし、よくわからない庶民の一人ですからあれですけれども、どうしてそういうことができないのかと思うんですね。そういう方法論の問題がちょっとあるんじゃないだろうか。
それから、みんなにわかってもらえば、この介護でもそうですし、とにかく一生懸命働いて、働けるうちは税金を払って、それで年をとって働けなくなったとき、しかも倒れて動けなくなって死ぬまでのしばらくの間、それは人によって長短はありますけれども、そのくらいやっぱり国で見るというんでしょうか、それは北欧型になるのかもしれません。税金が高いのは余りもうあれでしょうけれども、できるだけ節約する分は節約していただいたりすればそんな大きな問題ではないんじゃないかと私は個人的には思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/261
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262・南野知惠子
○南野知惠子君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/262
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263・浜四津敏子
○浜四津敏子君 平成会の浜四津でございます。
本日は、お忙しいところ、それぞれのお立場から貴重な御意見、御提言、大変ありがとうございます。
高知県は公的介護保障制度について大変関心が高いと伺ってまいりました。まず、高知市長にお伺いいたします。
現在、高知市で実施しておられる措置制度による介護サービスと今回の政府案での保険の対象とされている、サービスとの間に違いがありますでしょうか。まず、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/263
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264・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 違いと申しますのは、サービスをしておる種類で申し上げてみたいと思います。
まず、私どもの方は、もちろん法律で定められました一定の福祉サービスのほかに、今行っていますのはいわゆる配食サービス、それから高齢者保護ネットワーク事業ということで、これは緊急の事態が生じた場合の、お電話で受け付けてすぐそれに対応するという体制でございます。それから在宅介護手当についても五千円ほど出しております。それから、ヘルパーについてはもちろん二十四時間体制で行っておりますし、痴呆性老人についてもグループホームの事業をことしから行っておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/264
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265・浜四津敏子
○浜四津敏子君 今お述べいただきました配食サービスあるいは緊急通報装置、それから介護手当の支給、これは今回の政府案では保険の対象となっておりません。これを高知市として引き続き実施されるとすれば、高知市がみずからの負担で単独事業で実施することになります。いわば上乗せあるいは横出しサービスというのは自治体の単独事業でどうぞおやりください、こういう内容になっております。
高知市は、この介護保険制度導入によりまして現在のサービス水準が維持できるとお考えでしょうか。あるいは、単独事業として単独で財政負担したとしても今のサービス水準を維持しようというお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/265
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266・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 今申し上げましたうち、特に介護手当でございますが、これは先ほども地域によっていろいろな御意見があるというお話も伺いましたけれども、私どもも、今出しております介護手当は、今後介護保険制度が制定をされ施行をされますと取りやめたいという気持ちを持っております。
平成五年から始めた制度ではございますけれども、もちろん金銭的な援助があるということについては、それを受ける立場からすればそれにこしたことはないと思いますけれども、やはり全体的なサービスが拡充される中で本当に必要な人たちに本当に必要なサービスを提供するという形で支援するのが本当の筋ではないかというふうに私たちは考えておりまして、言ってみますと、一律ばらまき的な金銭給付という形は、これからの高齢化社会においてはむしろそれではなくて、今申し上げましたようなサービスの提供という形に変換していくべきではないかというふうに考えております。
なお、そのほかのサービスについては、配食サービスも含めまして特別給付という一つの余地も残されておりますので、そういったことを活用しながら従来どおり続けてまいりたいというふうに思っております。
あえて言わせていただきますと、この配食サービスにつきましては、きょうは先ほどの意見の中でも申し上げたかったことでございますけれども、やはり生活を維持するために本当に最低限必要なサービスでもございます。民間あるいはボランティアでということも言えるかもしれませんけれども、やはり本人の負担をできるだけ軽減し、かつまた栄養的にもそれぞれ配慮がされたような公的な配食サービスについては、できれば私は標準的なサービス項目の中に入れていただきたいという気持ちを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/266
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267・浜四津敏子
○浜四津敏子君 私も全く同意見でございまして、配食サービスにつきましては、特に高齢者の方々にとっては本当に基本的な問題であろうと思います。私たちも、ぜひ配食サービスはこの保険のサービスの対象に入れるべきである、こう考えております。
次に、この介護保険制度が導入されたとしますと、運営主体となります市町村の財政負担それから事務負担は大変膨大になるものと予想されております。これはある地域の自治体担当者による研究会が試算したものでございますが、二〇一〇年には市町村の財政負担は十倍にまでふえる、こういう試算が出ております。
この介護保険制度に係る事務量の増加について、高知市としては、職員をふやすとか、あるいは人的負担については十分に対応できるとお考えでしょうか。また、もう一つ財政的にも、これは今の政府案で市としての財政負担に何ら御心配はないとお考えでしょうか。この二点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/267
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268・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) いずれも大変心配をしておるところでございます。
事務負担の問題につきましては、今まで私どもがやっておる業務もございますし、そしてまた、今モデル事業でもいろいろ行っておりますので一定の対応のめどは立っておりますが、やはりその部門については人員の増員を図っていかなければいけないだろうというふうに思っております。
それから、財政負担の問題については、いろいろ試算をいたしておりますが、今後、療養型病床群等がどの程度ふえていくのかあるいは今の病床から転換をしていくのか予想がつかない面もあるわけでございます。一定の推計をしてまいりますと、先ほど申し上げましたけれども、まず一般会計負担がむしろ私どもの方はそういった療養型病床群等が大変ふえてくる可能性があるということで従来よりもふえるのではないかという懸念でありますとか、あるいは保険料につきましても、医療サービス関係のものが、老人医療で見ておるプラス部分が相当転換してまいる可能性がございますので、それが保険料の水準にしわ寄せが行くのではないかという試算もいたしております。その意味でも、先ほど申し上げました財政調整交付金の配分等につきましては、できるだけ実態に合った要介護者の比率ということをベースに置いた算定調整をぜひお願いしたいというふうに思っておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/268
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269・浜四津敏子
○浜四津敏子君 多少重なってまいりますが、市町村が徴収することになります保険料は、第一号被保険者のうち年金から徴収しない高齢者、市として大体月三万円以上の年金受給者については年金から天引きされるということを予定しているようですけれども、それ以下の高齢者、それから第二号被保険者のうちの国保加入者、これは市町村が個別に徴収する、こういうシステムになっております。この保険料徴収について、高知市としては不安はお持ちでしょうか。
これまでも、身近な医療保険であります国保でさえも滞納が多い。どこも滞納が多いわけですけれども、高知市もかなりの程度の滞納と伺っております。その現状を見ますと、介護保険においては滞納、未納が相当多くなることが予想されます。この滞納、未納により生ずる不足分の大半は、結局は一般会計からの持ち出しあるいは保険料の値上げに転嫁されることになるのではないかという危惧の声が上がっておりますが、いわゆる第二の国保の危険性について、高知市としては不安と危惧は払拭されておられるのでしょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/269
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270・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 第二の国保になるのではないかという不安は必ずしも払拭をされておりません。特に財政的な面では、徴収が確実になされるかどうかということは大変大きな不安を持っております。
介護保険制度そのものが大変複雑だということもございまして、必ずしも市民の方々にも十分この内容が周知されておらないという面もありまして、理解が十分得られるだろうかという不安は非常に持っております。
これからそういったPRにも努めてまいらなければいけないと思っておりますが、少なくとも先ほど申し上げましたように、現在取っております国保そのものについても徴収率が落ちてくるのではないかという心配をいたしております。それから、この介護保険の保険料について収納率が落ちた場合の補てん策として財政安定化基金からの交付があるわけでございますけれども、その交付について収納率の最低限度が設定をされました場合は、それを下回る場合には本当に持ち出しをしていかなければいけない、そういう状況になってまいりますので、大変危惧をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/270
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271・浜四津敏子
○浜四津敏子君 この未納・滞納者につきましてはペナルティーが定められております。
しかし、要介護になった高齢者が介護サービスを要求してきた場合に、あなたは保険料を払っていないからサービスを提供しませんと、こう自治体として言えるのかどうか。この介護保険制度におけるペナルティーの制度は実効性があるとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/271
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272・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) ペナルティーの問題につきましては、実際どういう運用がされるかということにもなるわけでございますが、保険給付ではなくて本人が負担をするという前提でサービスを提供するということになるのではないかと思うんです。本人にその時点で負担能力がないということになりますと現実問題サービスが提供できないということになるわけでございますので、現場としては、給付といいますかサービスを受ける方との間でトラブルが生ずる、あるいは人道的な面でもサービスが必要な状態であるのにサービスの提供ができないという大変問題な状態が起こるのではないかというふうに思っております。
できましたら、このペナルティーについて再考をお願いしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/272
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273・浜四津敏子
○浜四津敏子君 引き続いて、市長にお伺いいたしますが、高知市は新ゴールドプランの達成は可能なんでしょうか。達成困難なものがあるとすれば、それはどのようなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/273
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274・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 私どもの方は、今数字の面で見ますと、先ほど申し上げましたホームヘルパーについては充足率がかなり低うございますけれども、現実には、さっき申し上げましたけれども、ほかのサービスでかなり満足をされて、実際にはホームヘルパーの需要に対しまして現状はほぼ充足されておるという状況だと承知をいたしております。
あえてほかで申し上げますと、例えばケアハウス等、比較的元気な高齢者等についての対応施設がまだ十分ではないという状況がございますが、大体今の見込みではほぼ達成できるのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/274
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275・浜四津敏子
○浜四津敏子君 ありがとうございました。
それでは次に、特養ホームの運営に携わっておられる水田公述人と岡崎公述人にお伺いいたします。
この介護保険制度が導入されることになりますと、特養ホームに今おられる方がそのまま要介護認定を受けて、いることができるのかどうか、そういう危惧の声が上がっております。
これまでの老人福祉法は介護だけに焦点を当てた法律ではないわけです。ですから、現実に特養ホームに入っていらっしゃる方々は介護が必要だから入っておられる、そういう方ももちろんいらっしゃるわけですけれども、生活支援、つまり帰るところがないあるいは単身生活に非常に不安がある、行き場がない、こういう方々も特養ホームでは面倒を見てこられたんだろうと思います。こういう方々が、今回のこの制度ができることによって要介護認定で認定されない、要介護度からすると特養ホームには入れないあるいは保険サービスの対象にはならない、こういう方々が何人かは必ず出てくるんであろう、こう予測されております。
そうなりますと、こういう方々は自己負担でサービスを利用するかあるいは施設を出ていかざるを得なくなる、行き場がないのに出ていかざるを得なくなる、こういう結果が予測されているわけです。もちろん、この法案には五年間の経過措置がありますけれども、この五年の経過期間が過ぎた後はどちらかを選ばざるを得ない、こういうことになります。
施設を運営されておられる水田公述人そして岡崎公述人、この点についての危惧、こういう方々をどうするのか、お考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/275
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276・水田武夫
○公述人(水田武夫君) 現在、特別養護老人ホームに入所する場合は入所判定委員会という審査機関を通って入っておりますので、比較的適正にと言ったら悪いかもしれませんですが、適正入所が行われているんじゃないだろうかと思うわけでございます。この入所判定委員会の制度は十年ほど前にできたわけでございまして、それ以前にはそういうあれがなくて、福祉事務所長の入所措置の権限で入っていたわけでございます。
確かに、現実に今施設を見ますと、いわゆるぴんぴん老人というんでしょうか、そういう言葉が使われておりますけれども、非常に元気な、これが特別養護老人ホームに入る人だろうかと思う方が相当数入所されているのは事実でございます。
ただ、高知の場合は公立施設が多いので、この五年の間に決めればいいわけですけれども、民間の場合は、よくわからないんですけれども、介護給付のたくさんいただける重い方に入っていただかないと経営が成り立たないんじゃないかという問題もございます。そういう意味では、この五年間に介護報酬の少ない元気な方は出ていただかにゃいかぬと思うんですけれども、それが一つの課題だと思うんです。
ただ、受け皿として考えられるところがないわけでございますので、どこに出ていかれるのか。また在宅に戻って地域で生活できるような支援体制ができるのか、それは住宅政策とかそういうことでやっていただけるのか。あるいは養護老人ホームとかケアハウスのような元気なお年寄りに対する施設をもっと充実させていただけるのか。そういうことが確かに現実の課題としてはあると思いますので、施行後の対策として、現実に施設に入って暮らしておられる方々の行き先まで考えていただきたい。そうしないと不備であるというふうに私は思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/276
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277・岡崎潔
○公述人(岡崎潔君) 私どももやはり心配をしておる点でございます。
とりあえず五年間は保証しようというお話でございますけれども、施設の中では必ずといいますか、比較的お元気な方もおいでて運営が成り立っておるという状態でございます。その方々が五年後にさよならと言えるような従来の取り扱いではなかったわけで、今まではついの住みかとして生活の場を提供して運営してきたわけでございます。それが制度になったからさよならというのはちょっと酷じゃないか。ただ、私ども心配しておりますのは、重度の方だけが歓迎されるべき方々なのか、比較的軽い方も当然においでて、その中でやはり余生を送っていただく、それが当然考えられるべきじゃないかと思います。
要介護認定という問題がありますけれども、今後入られる皆さんに対して、あなたは十三万円しか入りませんからできるだけ遠慮してくださいとか、あなたは大歓迎ですというような施設の対応はおかしいんじゃないかと思います。それが先ほど申し上げました、施設でも安心して介護保険に移行できるような仕組みをぜひ御検討いただきたいという根拠でございます。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/277
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278・浜四津敏子
○浜四津敏子君 今伺いましたとおり、私も幾つか特養ホームを見させていただきましたけれども、この法案の要介護認定、要介護度のランクづけを見ますと、寝たきりになれば非常に介護報酬が大きい。つまり施設としてはお金が入ってくる。しかし、リハビリを一生懸命やって努力して、施設側が一生懸命努力してその要介護度が低くなれば、今度は入ってくるお金が少なくなる、こういう大変矛盾した制度になっております。つまり、一生懸命リハビリに励めば励むほどみずからの首を締めることになるというような矛盾があります。あるいは、重度の寝たきりの人の介護よりも、本当は徘回する方とかあるいは暴力的行為に出る方とか、そういう介護の方がむしろ現場では大変、こういう実情にある。それが評価されていない、こういう問題点もあろうかと思います。
これは質問しようと思いましたけれども、今お答えがありましたので、最後に、介護報酬の点数のつけ方ですけれども、これまでの国の単価の決め方は必ずしも実勢単価と合っておりません。今回の介護保険制度についても同様な算定がなされることになりますと、介護報酬だけではほとんどの特養ホームというのは経営が成り立たない、こういう危惧の声が上がっております。
介護報酬の点数がどうなるのかにつきましては、法律を見ただけではわかりません。骨格しかわかりませんで、後は全部政省令委任事項になっておりまして、具体的にどういう評価がされるのか、どれぐらいで本当に経営が成り立つのかというのが見えてまいりません。仮に、これまでのように実勢価格よりも単価が非常に低く設定される、こういうことになりますと、現在の特養ホームは恐らく利用者から保険外負担をいただかないと経営が成り立たない、倒産の恐れが非常に大きいのではないか、こう言われておりますが、この点についての御不安は何かお持ちでしょうか。水田公述人と岡崎公述人にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/278
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279・水田武夫
○公述人(水田武夫君) 私どももそのことを一番危惧しておりまして、たしか、どういう資料だったか見ましたら、一番重い方の介護報酬が特養の場合一人二十九万円という数字が出ていたと思うんですけれども、ただ現実には、価格という言葉はどうかと思うんですが、実勢価格でいくと、自治体立等の特別養護老人ホームは現在既に三十六万円の単価、費用がかかっている。民間の場合はたしか二十六、七万円じゃなかったかと思うんですが、そういう非常に差があるわけです。
確かに、二十九万円というのは中間的になっておりますので、私どもの現実のあれからいきますと大体二十八万円前後ですので、施設の規模とか場所によっていろいろ違うんですが、二十九万円なら現状に近いのでいいんですけれども、それは一番重い方ですので、介護度によって施設に払われる報酬が違うという形にされますと若干問題があるんじゃないか。それを施設サービスに限っては何とかいろんなものを加味して、従来のように単価を一本に設定していただければ、実際運営上は、事務的には楽だと思うんです。そういう問題を持っておると思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/279
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280・岡崎潔
○公述人(岡崎潔君) とりあえず五年間は保証しますという中で、単価設定が平均二十九万円と言われております。そういう単価でいきますよということのようでございますが、新しく入所される方の場合には、入所のときに要介護認定が実施されて、あなたの要介護度は何段階ですというようなことになると、いわゆる平均の二十九万円というのはなかなか確保が難しくなるんじゃないかという心配をしております。
私どもとしては、特養でお世話させていただく方は単価を一律でお願いしたい。その中に重度の方もおれば、いわゆる中程度の方もおいでる。重度という場合の理解の仕方なんですが、寝たきりというのは、状態としては重度ですけれども、お世話させていただく限りではそれほど手のかかる方ではない。痴呆の場合も同様でございます。やはり中程度という方が一番手のかかる方だと思います。それらについて、これからの要介護認定作業の中で詰めをされると思いますけれども、施設におけるそれは在宅の場合の要介護認定とは違う物差しで御検討いただけたらと、そんな希望を持っております。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/280
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281・浜四津敏子
○浜四津敏子君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/281
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282・渡辺孝男
○渡辺孝男君 続きまして、渡辺でございますけれども、また御意見をお聞きしたいと思います。
まず最初に、今回の厚生省の試算でありますと、公的介護保険が導入される二〇〇〇年の時点では、要介護者の方の大体四割ぐらいが最初の段階では介護保険を利用して給付を受けるんでないか。一応四割ぐらいを最初の段階で想定しているということでありますけれども、高知の場合は、いろいろお聞きしますと、やはり世帯の人数が二・幾らという形で、一世帯の同居の方が少ないとか、また一極集中型で高知市の方にかなり人口が集まっているというような状況もありまして、本当に利用度が四割ぐらいで済むのかという不安な面も感じたわけなんです。
そこで、予想としまして、そういう介護保険が導入された場合に、実際、介護保険を利用しようという住民の方が大体四割ぐらいであろうという予想というのは、おおよそそのようなものであるというふうに感じていらっしゃるかどうか、松尾市長さんと、それから実際に介護の調査をされた和田公述人にもお伺いしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/282
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283・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 介護保険制度が適用された場合に、いわゆる介護を要する方について、その介護サービスを利用する方の割合が大分落ちるだろうというお話を今伺ったんですが、必ずしも私どもそう思っておらないんです。要するに、要介護認定を受けられる方で要介護の対象になる方は、基本的にサービスを受けていただけるのではないかというふうに思っておるわけです。
現状といたしましては、大体市内に五万二千人の六十五歳以上の高齢者がおられますが、私どもが在宅支援センター等を通じまして把握しておりますのでは、在宅の要援護の高齢者は大体三千人ぐらいではないかというふうに把握をいたしております。これは大体六%ぐらいに当たるのではないかと思っておりますが、こういった方々については、できればそのサービスを受けていただくということがむしろ当然でございますので、そんなふうにお勧めもしていきたいと思っております。介護を要するのに受けられない事態が生ずるというのは大変問題な状態ではないかと思うんですが、ちょっと私の誤解でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/283
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284・渡辺孝男
○渡辺孝男君 家族で見ますので介護保険サービスを受けなくても結構です、ヘルパーさんとかが家庭に来てもらわなくても結構です、私のうちは自分たちで介護しますというような方もいらっしゃるということで、実際、介護保険になっても利用される方は四割ぐらいであろうというふうに一応厚生省の方では試算をされているということなんです。
私自身高知の状況はよくわかりませんけれども、入所される方も多いというお話も聞いておりまして、また、入所待ちの方もいらっしゃるということを聞きますと、四割ではきかないんでないか、もうちょっと多くの方が利用されるのではないか。そうしますと、それだけまた費用もかかるということになりまして、保険料も上がってくるのではないかというような不安、心配もあるわけなんです。
では、現場でそういう調査とかされていて、ニュアンスといいますか、感触的に四割の方ぐらいしか受けないのではないか、あるいはもっと多くの方がこの介護保険を利用してサービスを受けたいというふうに願っている状況なのかどうか、もし和田公述人にそういう印象がありましたらお聞かせいただきたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/284
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285・和田節
○公述人(和田節君) これは、むしろ行政の方がどれだけ実態を把握しているかということになろうかと思います。先ほどお配りしました地域支援システム、これは松尾市長さんのところの資料ですので、私がお答えするべきではないかと思うんですが、この十ページのところに要援護老人総数と在宅における要援護者数と長期入院者、老健入所者という数が入ってございますので、対象といたしましては、この長期入院の方たちが社会的入院ということで介護保険の対象の中に入ってくるだろうと思います。その数が四割なのか五割なのかということはまだ出してみないとわかりませんけれども、ただ、高齢化率の高いところにおいては当然それは高くなるだろうと思いますし、全国平均で四割ということだろうと思います。
それで、高齢化率が高いところでは当然そこにおけるサービスの財源負担も多くなるわけですので、そういう意味から、第二号被保険者を含めて全国的にそういうところに必要な経費をプールしていこうというのが介護保険の制度の一つだろうというふうに考えております。すべての問題をその都道府県単独でもって財源負担というのはとても高齢化率の高いところにおきましては不可能だろうと思います。
私、最初に申し上げましたけれども、社会保険というのは、高齢社会に到達した結果生じてくる一つの社会的なリスクに対する社会保障制度だろうというふうに考えておりますので、非常に負担度の高い県におきましては、全国的に資金のプールということを考えていただかないと、それはとても成り立たないことだろうと思います。
若干質問と答えが変わりましたけれども、お答えいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/285
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286・渡辺孝男
○渡辺孝男君 入所されている方は当然サービスを受けたい、受けるということで現在入所されているんでしょうけれども、在宅で要介護の方が、ある地域ではやはりいろんな体面があったり、ヘルパーさんが入ってくるのを嫌がったりする場合があって受けることを希望しない方もあるということで、一応要介護状態にあるけれども介護保険のサービスは受けないという意思表示をされる方も一応数値に入れて、全国的には四割程度が受けるんではないかと試算されているようなんですけれども、高知のちょっと実態をお聞きしたわけです。
次の質問になるんですけれども、この公的介護保険、国と国民が保険料を払って社会保険という形で介護サービスを提供していきましょうということになったわけです。そのなった背景にはやはり医療費の増大があります。このままでは医療保険の方がパンクしてしまう、そのうちの一部分、介護の部分をまた別建てで介護保険という形で、悪く言えば、国民からまた保険料を徴収しようという意図があるんでないかというような論評をされる方もいるわけであります。実際に問題となりますのは、やはり社会的入院をいかに解消できるか、この介護保険ができた場合に本当に解消できるのか、それができなければ医療保険の方の費用も削減されないんではないかというふうに考えるわけなんです。
先ほど医師会の山内先生の方では、これ高知県全体なんだと思うんですが、現在、待機者が千二百三十一人いらっしゃるということで、なかなか施設入所あるいは施設の目標値が一応達成されたとしても、まだまだ入所を希望される方が多いという実態ではないかと思うんです。医師会でいろんな患者さんを診ていて、そろそろ医療からケアの、介護の段階というふうに判断される方が多いとは思うんですが、待機者千二百三十一人というのは、この介護保険がスムーズに進みますと解消されるというような御認識をされているのかどうか、山内公述人にお伺いしたいんです。どうでしょうか、印象的には。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/286
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287・山内昇
○公述人(山内昇君) 最終的な受け皿といたしまして特養というものがあるかと思いますけれども、現在、この千二百三十一人の待機者の中で施設での待機者というのが九百三十六名、ほとんど施設での待機者である。在宅は二百九十五名、ほぼ三百人。在宅というよりもむしろ施設での待機者が多いというのが高知県での現状になっております。
その施設での待機者というのは、もう病院から出ていってくれと言われている人あるいは老健施設からも出ていってもらいたいと言われる人、いろいろあるかと思いますけれども、この数が千二百三十一人あるからといって特養をどんどんふやせというわけにもなかなかこれはいかないと思いますが、それにしても、現在の整備状況の約三分の一ですか、それくらいの待機者がおるということは、特養の需要が非常に多いということ、これでは足りぬということではないかと思います。そして、今後痴呆老人がますますふえるであろうし、あるいは行き場のない老人がふえるということからいたしますと、特養の需要というものあるいは特養の整備というものはもっと進めなければならないんではないかというふうに考えられます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/287
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288・渡辺孝男
○渡辺孝男君 現在、待機待ちの方が千二百三十一人いらっしゃるということですが、高知市の松尾市長さんとしては、この待機者に対しまして新ゴールドプランの達成だけではやはりまだまだ対処できないんではないかと考えますけれども、二〇〇〇年以降の新たな介護サービスをどうするかというような計画は市の方ではもう準備されておられるのか、検討されておられるのかどうか、その辺の事情をちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/288
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289・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 今現在の状況では、確かに私どもの方でも約二百人程度の特養の待機者があるように把握をいたしておりますけれども、今後、介護保険の制度が施行されてまいりますと、例えば病院でありますとか老健施設、そういったものも介護保険の対象になってくるわけでございますので、特別養護老人ホームに入所をする、希望する方も必ずしもそうふえてはこないんではないかというふうに感じておるところでございます。今後の動向を見なければわかりませんけれども、それらに対応しながら施設についても十分に見通しを立てていかなければいけないとは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/289
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290・渡辺孝男
○渡辺孝男君 次の質問なんですけれども、要介護認定をする場合に訪問調査員がございます。先ほども言いましたけれども、きちんとした要介護認定をするためには質の高いよく理解された訪問調査員の方が聞き取りをしないと介護認定のときに十分適切な認定ができないということであります。今、そういう訪問調査員をどのように市町村として確保していくのかということが問題になるとは思うんですけれども、民間業者が入っていらっしゃるところには委託して調査してもらうということも考えられますが、やはり当初は市町村の職員が当たるとか、そういう公的な役割を持った方が当たるということが現実かなというふうに感じるわけなんです。
そこで、高知の松尾市長さんに、その訪問調査員というのは、今後そういう市の職員が当たるのかあるいは民間の方に委託してやるのか、その辺の比率的なもの、将来の推測みたいなものがございましたらお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/290
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291・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 私どもの市では、在宅介護支援センターの拡充をこれまで図ってまいったところでございますが、私どものゴールドプランをほぼ達成できている状況でございます。私どもが先進的に進めておると思っております現在の要援護者の把握等につきましても、こういったところの御支援をいただきながら行っているわけですが、今後もその調査員については、特に在宅介護支援センターの皆さんにお願いをするという形が、実態も把握しておられますし経験もございますので一番望ましいのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/291
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292・渡辺孝男
○渡辺孝男君 高知市の場合は大きいので、そういう在宅介護支援センターとか十分整えられると思うのですけれども、規模が小さい町村ではそういう調査員を本当に養成できるのか、確保できるのか、なかなか難しいところもあるのではないかと思うんです。実際調査に当たられました和田公述人に、町村の小さい規模の自治体ではそういう調査員はどのように確保されるのか、その見込みがあるのかどうか。どうでしょう、印象的には。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/292
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293・和田節
○公述人(和田節君) 私自身も高知市に在住しておりますので、小さな市町村がどうなのかというのはわかりませんけれども、むしろ逆に、小さな市町村におきましては住民の動向はかなり情報としてわかるわけです。町村の行政を使ってやれば、既存の行政の中で十分把握し切れるのではないかと思います。
高知市は三十万人を超える中核都市になっておりますけれども、そういったある一定程度の人口を持つ都市においてほとんど実態が把握できていないというのがむしろ逆に問題ではないだろうかと思います。小さな市町村単位ですと、調査においては比較的スムーズに進むんじゃないか。
ただ、サービスの提供におきましてはさまざまな財源が必要になってまいりますので、広域市町村構想というふうな構想の中でサービス提供をつくっていかないといけないんじゃないかとは考えますけれども、調査の問題は、むしろ大都市になればなるほど調査の実態が非常にわかりにくい、つかみにくい、だから調査員そのものも養成しにくいということがあろうかと思います。調査員の資質の問題と立場の問題に関しましては、半ば公的な立場を調査員に持たすべきであろうというふうには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/293
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294・渡辺孝男
○渡辺孝男君 そうしますと、市町村なんかでは、調査に当たられる人は役所の職員しか調達できないようなこともあると思うんですが、そうじゃなくて、和田公述人の印象としては、何か民間のいろんな介護サービス産業みたいなものを利用しながらされるというような印象でしょうか。それとも、やはり市の職員に事務的な、人的な負担がかかるというような御認識でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/294
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295・和田節
○公述人(和田節君) 在宅介護支援センターというのは、市町村の方から委託を受けてやっております民間が大半なんですけれども、立場といたしましては、公的な立場を持ちながら民間の能力を活用しているというふうなことだろうと思います。
小さな市町村におきまして行政でやっていって業務量がどうなのか。それから、今後のさまざまなことを考えますと、民間の、能力がある質の高いサービスの提供できる、またそういう人材を持っているところは当然そこに参入してくるだろうと思いますし、それらをやはり活用していくということは当然必要なことだろうと思います。その場合にも、どういう基準でそれを指定していくかとか、それからその立場にある人たちに対しては、ある程度具体的な、各家庭に入って細かな調査に入るわけですのでプライバシーの問題もございますので、そういうことを網羅できるような立場という保証はやはり必要なことではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/295
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296・渡辺孝男
○渡辺孝男君 次の質問ですけれども、実際、要介護認定が始まりますと、やはり苦情処理ということが一番大変悩ましい問題になるんではないかと思います。現在のところ国保連合会の方でその苦情処理の方を担当していただくような方向にあるわけですけれども、市町村の窓口にも何とかしてください、この認定はおかしいんですよという形で苦情が実際は来てしまうのではないかというふうに私自身は心配しているわけであります。
高知市の松尾市長さんとしましては、市町村にもそういう苦情処理の窓口というものをつくるような方向で考えていらっしゃるのかどうか、ちょっとその辺をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/296
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297・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 介護保険制度を現場として私どもが運営することになるわけでございますので、制度の運用に当たりますいろんな苦情は、窓口があろうがあるまいがどうしてもやはり私たちが受けざるを得ないだろうというふうに思っております。その程度によりましては具体的な相談窓口というようなものが必要になってくる場合もあろうかと思いますけれども、私どもは、一応の苦情処理の担当の国保連が十分機能していただければそれが一番ありがたいわけでございますが、それで御し切れない面もあるわけでございますので、そのことについては受けとめをしていかざるを得ないだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/297
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298・渡辺孝男
○渡辺孝男君 どうもありがとうございました。時間ですのでこれで終わりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/298
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299・西山登紀子
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
きょうは、公述人の皆さんは大変お忙しいところ、熱心な御意見をいただきましてありがとうございます。
お聞きをしておりまして、高知の皆さんが大変高齢者介護の問題に熱心で、しかも、今審議をされております介護保険法案について高い関心を持っていらっしゃる、そして実態に即した御意見を持っていらっしゃるということを大変学ばせていただきました。
私たちは、社会保険方式を否定するものではございませんけれども、現在の介護保険法案そのものが本当に国民の皆さんのニーズに合ったものであるか、こういう点で十分な検討が必要だ、こういうふうな立場でございます。
そこで、訪問看護ステーションの小松さんから少し具体的なお話をお伺いしたいと思いますけれども、病院でも長い間看護婦さんとして勤務をされてこられて、今、在宅の訪問看護に携わっていらっしゃるということなんですけれども、実際、この訪問看護ステーションれいんぼーでは、一日に何件くらい、そしてどのような内容の看護、介護に近い看護かもしれませんが、その中身を少し御紹介していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/299
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300・小松桂子
○公述人(小松桂子君) お答えします。
現在、私一人で三、四名ぐらい訪問しております。職員は二・五人ですので平均八人弱でございます。対象は大体四十名ありまして、寝たきりの方が十名、要支援の方が九名、あとの方はその中間に属しております。
訪問看護婦ですが、これは必ず医師の訪問看護指示書に従って、その人にとって必要と思われる援助、悪化をしないように予防的視点を入れて行っております。医師との連携はきちっと定期的に行っております。
私たちが訪問してする具体的な仕事といいますと、まずは病状の状態観察、バイタルチェックから入るわけです。生活支援といたしまして日常的には、必要度に応じてですけれども、全身の清拭とか部分清拭とか入浴介助とか足浴とか手浴とか、場合によってはおむつ交換、寝衣の交換とか洗髪それから散髪、ひげそり、つめ切り、そういう細々とした身の回りのケアをしています。
それで、排せつですけれども、これはお年寄りにとって非常に大事なことなんです。排便コントロールは大事ですので、場合によったら浣腸をしたり摘便をしたり導尿したり腹部のマッサージをしたりしています。
処置的なことは、褥瘡の処置、それから膀胱洗浄をしたりタッピングをしたり褥瘡の予防処置をしたり、場合によってはIVHルートの交換、吸入とか吸引とか、それから人によったら軟こうをつけたり座薬を挿入したり、こういうような処置が入ります。
リハビリは、私たちは生活リハビリを中心に行いまして、患者さんをベッドから起こしてあげる座位保持とか体位を交換したり、起立訓練とか歩行介助、ポータブル移動とか車いす散歩、それからROM訓練、呼吸訓練とかそういうようなさまざまな日常生活に必要な援助をしております。
患者さん家族にとっての指導といたしましては、服薬指導とか社会資源の活用指導とか緊急時の対応をどうするのか。それから在宅酸素をされている方がいらっしゃいますので、そういう方たちの指導、褥瘡が起こらないような予防の仕方、家族の健康管理、それから患者さん及びその家族に対しての精神的援助なんかを含めて、こういうことを取りまぜて行っております。
こういうふうに内容は非常に多岐に及んでおりますし、本人への援助はもちろんですが、介護をされている家族、この方の健康が非常に大事ですので、この方への健康管理といいますかアドバイスは抜きにできません。
私たちが訪問することは、訪問がその利用者さんに満足された内容であるのか、また私たちは専門職として援助が適切であったかというようなことを自分に問いかけながら毎日の仕事をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/300
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301・西山登紀子
○西山登紀子君 平均すると八十五歳というか、対象のお年寄りの方々は大変高齢なわけですけれども、小松さんたちの訪問というものを大変心待ちにしていらっしゃるのではないかと思うんです。その点では看護を待っていらっしゃる方の生の声というか、そういうものがあれば聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/301
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302・小松桂子
○公述人(小松桂子君) 在宅でターミナルの患者さんがいらっしゃいます。この方は七十八歳でS字状結腸がんの術後の再発で、家族が最後を家で見てあげたいということで、自宅に連れて帰られているケースですが、医師の方からはもう二カ月ぐらいしかもたないだろうということで、ことしの五月ぐらいでもうだめじゃないかと言われておりましたけれども、家族が一生懸命食事とかいろいろ、愛情いっぱいで接しまして、現在元気でおられるわけです。この方に私たちが週三回訪問させていただいています。
特に、体を動かすことができませんので、生活援助を中心に食事の指導とか服薬の指導とか、それから腫瘍がありますからそこの傷の交換とかやっておりますけれども、特に患者さん家族の精神的な支え、非常に家族は場合によっては泣きたくなるような状況が出てくるわけです、一人で介護をする場合があるわけですので。そういうときに私たちが行って一緒にお世話し、一緒に悩みを聞いてあげることによって本当に頼りにしていますというふうに言われております。
私たちは、そういう患者さんを最後までその人らしく人間として尊厳を大切にして一緒に頑張っていきましょうということで、家族と今やっておる事例がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/302
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303・西山登紀子
○西山登紀子君 先ほどの小松さんの具体的な御提言の中に、四十歳から六十四歳の保険料を納めていらっしゃる方に対する給付の問題で、加齢に関する疾病の限定をなくしてほしいという御提案があったと思います。私もそのとおりだと思うわけですけれども、現在訪問していらっしゃる患者さんは、もちろん平均八十五歳ということですから高齢の方が多いわけですけれども、中には四十歳以上六十四歳以下の方もいらっしゃるのではないかと思うんですが、そういう方の例は、何かありましたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/303
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304・小松桂子
○公述人(小松桂子君) 私のかかわっている利用者さんでは、四十八歳の女性で、病名は進行性の筋ジストロフィーです。家族は夫と母親の三人暮らしですけれども、八十四歳の母親が家事一切を行っております。本人は食事を食べることと排せつが辛うじてできる程度なんです。進行性の疾患ですので、今後はやっぱり介護度はずっとアップしてくるというふうに予測されますが、この方は今回の介護保険の適用からは間違いなく外れるわけです。
ほかにも脳性麻痺とか事故で介護の必要な方もたくさんいらっしゃるわけです。障害による要介護者のだれもが原因を問わずに介護保険の給付を受けられる、これが基本となるように改めていただきたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/304
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305・西山登紀子
○西山登紀子君 現場で実際回っていらっしゃって看護している立場からすると、保険料を納めていらっしゃるのに、年齢によって、こちらの人は保険給付が受けられない、こちらの人は受けられるということの見きわめがなかなか難しいということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/305
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306・小松桂子
○公述人(小松桂子君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/306
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307・西山登紀子
○西山登紀子君 それでは、少し角度を変えまして、保険料とそれから利用料の問題で市長さんにお伺いをしたいと思うんです。
やはりこれは保険でございますので、基本的な問題だと思います。保険料がどれぐらいになるのか、だれから徴収するのか、それから利用料が一体どれぐらいになるのかということは、私は、保険である以上最も根幹にかかわる問題じゃないかと思っているわけですけれども、先ほど市長さんがおっしゃっていた第三の項目です。
高知市では、ホームヘルプサービスの利用者の八五%が無料だという状況にあるということ、それから、施設サービスにおいても多くの入所者について現行以上に負担が生じることが見込まれるということで、最後は負担能力がなくなると生活保護を受けるしかなくなる方がふえてくるように思うと、こういう御意見で、これはむしろ私は、市長さんとしては非常に率直に予想される事態について御意見を言われたなというふうに思うわけですけれども、高知市の実態としてはどうなんでしょうか、国保の未納者の実態、それはどのようになっているでしょうか、世帯数などもわかれば教えていただきたいと思います。世帯数がわからなければ、納付率でも構いませんけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/307
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308・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 国保の収納率は大体今九割程度でございますので、約一割の方が未納ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/308
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309・西山登紀子
○西山登紀子君 さらに詳しくわかりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/309
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310・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 滞納世帯が約八千世帯という状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/310
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311・西山登紀子
○西山登紀子君 それで、先ほどの市長さんの御意見の、特に介護保険料の負担が加わりますと非常に低所得者に負担が重くかかるということから、いろいろな低所得者への自己負担や保険料の軽減、減免などを市長さんが御意見として出していらっしゃるわけですけれども、もしそういうふうな措置がとられなければ、今のように、保険料は平均して二千五百円、それから利用料は一割というふうな負担が低所得者にかかっていった場合に、未納者というのは拡大するというふうに市長さんは思われるか。あるいは、その数はどれぐらいと推定し、今不安に思っていらっしゃるか。そこら辺のことをもしお考えになっていらっしゃったら出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/311
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312・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 先ほど第三の項目で御要望申し上げましたような状況がもしないとしますと、恐らく生活保護世帯がふえるでしょうし、それからまた、国保そのものについての未納者もふえてくるだろうというふうに思っております。
大体今の想定では、先ほどもちょっと申し上げましたが、国民年金の検認率は八割程度でございますが、その程度ぐらいまで落ちてしまうのではないかというふうに試算というか予測をいたしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/312
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313・西山登紀子
○西山登紀子君 今、国保の場合、保険料と介護保険料が一括して納入されるというシステムを考えられているわけですけれども、こういう介護保険の保険料と医療保険の保険料を一括して、込みにして納入をさせる。そして、それが納入されない場合には医療保険も給付はされなくなる。先ほどお話に出ましたように、給付を差しとめするというふうなことで、第六十八条なんですけれども、今まであった地方自治体の裁量権もなくしてしまう。強制的に給付ストップ、保険証を取り上げる、こういうことを盛り込もうとしているわけですけれども、その点については市長さんのお考えはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/313
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314・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 医療保険の制度とリンクさせるという形そのものは、むしろ私はそうあるべきだというふうに思っております。市町村が直にそれぞれ別に徴収するというのは大変なことでございます。国保は市町村がやるわけでございますけれども、そのほかの医療保険もあるわけでございますので、その意味ではぜひ一括してやっていただきたいというふうに思っております。
ただ、さっき申し上げましたように、未納者に対するペナルティーの問題については大変危惧をいたしております。できればペナルティーという措置はやめて、別の形をとっていただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/314
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315・西山登紀子
○西山登紀子君 それでは次に角度を変えまして、中澤さんにお伺いしたいと思います。
先ほども少し御意見が出ましたが、家族介護についての御意見をもう少し詳しくお伺いしたいと思うわけです。
実はこの家族介護、言葉は介護手当というふうに言われたりいろいろしているわけですけれども、私もこの介護手当はぜひ必要じゃないかというふうに思っております。
この介護手当についてなんですけれども、いろいろな角度からもちろん検討はされなければいけないと思うんですが、例えばドイツの、介護保険が始まりましてドイツには介護手当があるわけですけれども、最初に給付の要望の一番高かったのが介護手当です、八割ということで。あと現物給付などの普及が広がる中で八〇%の率は少しずつ落ちてはいっているわけですけれども、しかし、かなりの給付の要望があります。選択制になっているわけですけれども。
私は、ちょっと参議院から視察にいかせていただいたときに、実はドイツにも行きましたしオランダにも行かせてもらったんですが、オランダで非常にうがった意見といいますか、例えば、介護手当をいただいた本人は何がメリットかというと、自分がだれに介護してもらいたいかという選択ができるんだということをおっしゃったんです。自分の娘に介護してほしいか、自分のめいに介護してほしいか、あるいは御近所に介護してほしいかという、公のヘルパーだけじゃなくて選択ができる、その幅が広がるのでぜひこれは必要だということ、これはオランダで聞いた意見なんです。
そういう点で中澤さんに御意見をお伺いしたいんですが、特に高知市の場合、今、市長さんがおっしゃったように、要介護老人の約四〇%、三千人は在宅介護ですね。そういう在宅介護の実態から見て、家族介護手当といいますか、それをきちっと評価するということについて、もう少し御意見を加えていただけたらと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/315
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316・中澤秀夫
○公述人(中澤秀夫君) 私が先ほど家族介護について申し上げたのは、要するに、家族介護というものも今度の介護保険制度の中の介護報酬の中へ入れたらどうか、そうすることによって被保険者の選択権が広がってくる、そういうメリットがあるので、それはぜひ再考していただきたいということを申し上げたわけです。
今御質問のありました介護手当というのは、現在それぞれの市町村独自の施策として、そういう在宅介護を要する方を抱える家庭に対して手当を支給されておるわけですけれども、私は、必ずしも在宅介護手当と連動させた発想ではなくて、新しくつくろうとされる介護保険の中で家族介護に対する報酬を払うことについてお考えいただけないかという趣旨の発言をしたところですので、ちょっと質問と趣旨が違うかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/316
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317・西山登紀子
○西山登紀子君 少し私の言葉が足りなかったと思います。
今、地方自治体で行われている介護手当、そういうことではなくて、私も、おっしゃるように在宅の家族の介護を評価するということで、そしてそれを評価した上で介護保険の給付の対象にもしていくという現金給付、そういう意味で申し上げているわけです。
少し時間がなくなってきたんですが、先ほど市長さんのお話で、介護保険が導入されますと、それこそ今のお話と連動になるんですが、今までの介護手当はやめていきたいというお話があったんです。
そこでお伺いしたいんですけれども、高知の場合には女性の共働きが非常に多いということを今お聞きしたわけですが、実際に、年間八万人の女性が介護のために仕事をやめざるを得ないという状況が全国的にあるわけですが、働いていて、やはり家族の介護のために仕事をやめざるを得ないという女性は高知でもかなりいらっしゃるんじゃないかと思うんです。そういう女性の場合には、やはり年金にしましてもそれから健康保険の問題にしましても、生活上大変不安定な状況になってしまいます。まして、無収入ということになってしまうわけですけれども、そういう女性の立場に市長さんはどのような対策というか方策というか、あったらいいとお考えになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/317
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318・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 数字の上で高知市にそういう対象になる方がどの程度おられるかというのは私も把握はいたしておりませんが、生活の面でこういった介護者を抱えるというのは大変なことだというふうに私も実感として思っております。
これに対して、ただ現金給付という形ではなくて、私は、基本的にいろいろなサービスが提供できる体制ができるわけでありますので、そういったサービスの提供という形で御利用いただき、あるいは支援をするというのが本当は筋じゃないかというふうに思っております。
ただ、例えば介護控除とかそんな形での税制上のいろんな支援措置といいますか、そんなものは私はあってもいいかと思いますけれども、公費なり保険料の中で現金給付というのは、これからの介護サービス全体を考えますと、ちょっと私は賛成しかねるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/318
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319・西山登紀子
○西山登紀子君 それでは、最後の質問なんですが、ゴールドプランの達成ということがやはり制度を発足させていく上での大前提ということになるわけですけれども、なかなか進まないという状況があります。中でも、ホームヘルパーの進捗率というのが大変低いです。
この点について市長さんにお伺いしますけれども、何がネックになっているんでしょうか。また、何か国に対する御要望があれば、その点もお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/319
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320・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) さっきこの点も少し申し上げたんですが、私どもの進捗率の中でもホームヘルパーは九年度末見込みで四八・五%と、大変数字の上では低いんですけれども、これは最初の目標値を設定する際に、ほかのサービスが余りない状況の中でこのホームヘルパーのサービスの方にシフトするのではないかという前提の中で、かなり高い目標を結果的には設定したと思っております。
現実に、今ヘルパー要望がありますものに対しては現在のヘルパーの体制でほぼ十分対応できておるというふうに思っておりますので、その意味では現状が、ゴールドプランの目標値が高いがために数値が低うございますけれども、達成できていないというふうには思っておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/320
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321・西山登紀子
○西山登紀子君 ゴールドプランの目標は高く設定した、だから今進捗率は四八%だと、こういうことなんですか。需要には合っていると。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/321
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322・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 目標そのものが現実に少し過大であったということでございます。
そのほかのゴールドプランの項目の中で訪問看護ステーションというのがございますけれども、これについては目標値を一・六倍上回る進捗になっておりまして、こういった形で実質的には補完されておるという状況があるんだろうと思うんですが、現在のホームヘルパーの需要に対してはほぼ対応できておるというふうに把握しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/322
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323・西山登紀子
○西山登紀子君 高知市の実情についてよくわかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/323
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324・釘宮磐
○釘宮磐君 いよいよ最後でございますので、皆さん方が今まで質問をされました中で重複した部分もありますので、少し角度を変えて質問をさせていただきたいと思います。
本日は、皆さん大変御苦労さまでございました。特に、きょう私も大変感激をしておりますのは、私どもが国会の方で今審議をしておりますこの介護保険法、皆さん方の問題点の指摘といいますか、これがまさに今、国会の中で議論をされている中心的な課題になっているということだろうと思います。
そこで、まず皆さんに一言ずつお答えをいただきたいと思うんですが、今回の介護保険法案というのは三百を超す政省令事項にゆだねる部分というのがありまして、正直申し上げて不確定な要素が非常に多い。このことがある意味では非常に疑心暗鬼を生んでいる部分があるわけでありまして、とりわけ皆さん方、それぞれ現場または自治体、実施主体の皆さん方でございますので、今一番不安に感じていること、このことだけはきっちり議論をしていただきたいという部分を一言ずつお願いしたいと思うんです。
まず、松尾公述人から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/324
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325・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 先ほどいろいろ申し上げました中で、やはり私どもは市町村として現場でこの制度を運用する立場でありますので、第二の国保にならないように財政的な面できちっとサービスに対応できるかどうかということが一番不安な点でありまして、政省令にゆだねられていることがたくさんあり過ぎる点もありまして、非常に内容が不確定かつどんどん変わりつつあるといったようなこともありまして、その意味で大変不安を感じている面があるのは確かでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/325
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326・山内昇
○公述人(山内昇君) 一番心配なのはやっぱり医療でございます。介護保険にどれくらい医療が取り込まれるか。療養型病床群の配置の問題だとか、特に病床過剰県における療養型病床群の配置の問題、そして介護保険適用の老人の急性増悪のときに一体医療保険がどういうふうになるか、定額になりはしないか、出来高払いがどこまで主張できるか、それが一番の心配でございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/326
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327・川添テル子
○公述人(川添テル子君) 私は、社会的入院の受け皿がどうかということにも気になる点がございます。ですから、行政と福祉それから医療の分野、その連携を十分にとって、小さなことで言いましたら、民生委員さんに地域地域で小さなグループをつくって情報を提供して、一家一家の高齢者のひとり住まいの人に声かけ運動だとかそういう具体的な方策で、地域でその人をどう支えるか、生きてきた地域でその人がその人らしくうれしい気持ちで死んでいけるか、死ぬるという言葉はちょっと語弊があるかもわかりません、老後を過ごせるかということについて、行政と医療とか福祉を担当する分野の人の連携が最も必要かと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/327
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328・水田武夫
○公述人(水田武夫君) 私は、基本的な問題が財源の問題で、保険か公費かということが基本的に違うわけでございますけれども、あとは創設される法律としてはすばらしく整った法律ではないだろうかと思います。
ただ、一番心配なのは、社会的弱者に対する配慮というものをもうちょっと配慮していただきたいということだけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/328
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329・和田節
○公述人(和田節君) 私は、問題点も要望もいろいろ挙げておりますので重複しますから、それ以外のところでいきますと、年代的に団塊の世代に入っています。この世代がやはり高齢社会のすべての問題にさまざまな波及を及ぼしていく世代だろうとも考えます。
最初のところで申し上げましたけれども、本当にタイムスケジュールでやっていかないといけない。世代間連帯の問題を今市民の自覚と準備という形できちんとおろしていかなければ、現在受給している当事者の問題ではなくて、世代間の連帯をきちんと自覚のもとに準備していくということをやっていかないといけないんじゃないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/329
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330・中澤秀夫
○公述人(中澤秀夫君) 最初の意見陳述のときに申しましたように、私自身は高齢社会を互助制度で支えていこうという公的介護保険については賛成なんですけれども、今御質問のありました何か不安に感じておることをということですから率直に申し上げます。
まず、政省令にゆだねられる部分が非常に多い。これは松尾公述人も言われましたが、多い。そのために、公的介護保険とはいいながら幾ら負担をして、給付の内容はありますけれども、どの程度の給付があるのか、そういう保険の根幹にかかわる部分すら明確でない。したがって、この公的介護保険という制度の全体像が具体的に見えてこない。そのために、国民といいますか皆さんにどう理解をしてもらうか、具体的にわかりませんからなかなか理解を求めにくい。そのことが公的介護保険に対して国民がどう納得をするか、これが一番心配をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/330
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331・小松桂子
○公述人(小松桂子君) 私は、やはり現場の者といたしまして、低所得者の負担の増加です。保険料を払えない、しかも利用できない、そうすると切り捨てられる。こういう人たちを救うために措置制度というのを残して、やはりそれも充実していただく方向で改めていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/331
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332・岡崎潔
○公述人(岡崎潔君) 今までの制度を利用しておられる方の大部分は、明治、大正生まれの方々でして、非常にこらえ情がいいわけですね。中には福祉だけはお世話になりたくないという方も多数おいでまして、そういう方々の御理解も得ながら運営しておる。ところが、介護保険になりますと保険料を払うわけですから、当然の権利として、私の介護をどうしてくれるか、どういうサービスを提供してくれるかという要求が表面化すると思います。それに果たしてこたえられるだけのパワーを準備できるのかという心配をしております。それが最大です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/332
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333・釘宮磐
○釘宮磐君 ありがとうございました。
それでは、個別にお伺いをさせていただきたいと思います。まず松尾公述人にお伺いしたいと思うんですが、先ほどから議論になっております保険料未納者に対する措置、いわゆる罰則規定の問題であります。
この問題は、確かに私も地元の市町村長さんにお会いすると、特に小さな町あたりですと顔も知っているし家庭事情も全部わかる。だからそういう状況の中で、このペナルティーというのはとてもじゃないけれども我々そうなったら実行できないというようなお話がありました。
率直に市長さんからは、これはぜひ見直していただきたいというお話があったんですが、ただ、そうした場合に、今度これは悪用するケースが出てきますね。掛けない人が得をするということで、かえってそれが保険料の未納者をふやしていくというような、逆にそういうことが懸念をされるわけですけれども、その辺は市長さんとしてはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/333
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334・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) 今お話がございましたような悪用されるケースが出てくる、あるいは不公平感ということで、恐らく現在の法案の制度ができておるのではないかというふうに思うわけですけれども、過去、若いころ払ってこなかったことのツケが介護を要する状態になってきて介護サービスが受けられないという事態になるわけでございますが、過去の過ちは過ちとして、現実に介護を要する状態になった場合は、これはもう人道的な面でどうしてもやはり介護サービスというものは提供せざるを得ないのではないかと私は思っております。
ただ、介護を要する状態になる以前の段階で何らかの未納防止策といいますか、そういったものを考えていく必要があるのではないかというふうに思います。介護を要する状態になれば、これはもう人道的な観点からもやはりサービス提供はすべきだというふうに思います。それが何であるかというのはちょっと私も今すぐは思いつきませんけれども、払える状態のときにきちっと払ってもらう、それだけの制度的な担保というのは当然私たち保険財政を運営する側としても何か必要ではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/334
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335・釘宮磐
○釘宮磐君 もう一点お伺いをしたいんですが、現行のデイサービス事業を今は福祉という財源でやられているわけですけれども、介護保険の導入によって、このデイサービスの利用者そのものがデイサービス事業を受けられなくなる方がかなり出てくるのではないか。
と申しますのは、今デイサービスに通っている方というのはかなり軽い方が行かれているケースが多いんじゃないかというふうに言われているわけですが、そうなりますと、自治体としては、介護保険制度が導入されて対象外になったからあなたたちはあしたからだめですよというふうにはなかなか言えないんじゃないのか。そうなると、そういう人たちに対する受け皿を自治体が独自でやっていかなきゃならないんじゃないかという悩みを実際に首長さんが持っておられるというふうに私は思うんです。
特にデイサービスは小規模が多いですから、軽度の方ばかりを入れれば多分経営がやっていけなくなる。そうなるとデイサービスというのは、いずれはやっぱりかなり重い人も受け入れていかなきゃならなくなる。そうなるとますます軽い人は行く場所がなくなっていくというようなこともあるのではないかという危惧を持つんですけれども、自治体の行政に携わっている松尾公述人にその点についてちょっとお伺いしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/335
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336・松尾徹人
○公述人(松尾徹人君) まず、現在高知市が行っておりますデイサービスですが、このデイサービスの対象者につきましては、今後介護保険制度が導入されましても、その対象になるようなレベルの方を対象にしておりますので、基本的に軽いから漏れるということはないのではないかというふうに思っております。
ただ、自己負担が出てまいりますので、そういった意味で経済的な面で受けられなくなるといった方はあるかもしれませんが、その点は私たちも懸念をいたしておりますので、先ほど申し上げましたように、そういった低所得者対策ということはぜひ考えていただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/336
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337・釘宮磐
○釘宮磐君 高知市の場合は非常にデイサービスが正常に運用をされているんだろうと思いますけれども、そういう自治体がある、実態があるようなことを私自身はお伺いしたものですから、お伺いしたような次第です。
それでは、山内公述人と和田公述人にお伺いをしたいと思うんですが、これから施設サービスというのは特養と老健と療養型というふうに分けられるわけですけれども、今からサービスを受けようとする人は選択権があるわけですからどこにでも入れるわけです。特養は二十九万、老健三十二万、療養型四十三万というような形になっていますが、私はこれは、行く行くは一元化をしていかないと難しいのではないかという思いを持っておるんです。
とりわけ老健施設というのは、これから横並びでスタートしますと、いわゆる三カ月という入所の枠組みがあるわけで、そういう同じ土俵でやっていけるのかということを老健施設の施設長さんあたりからお聞きするケースもあるんですが、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/337
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338・山内昇
○公述人(山内昇君) 先ほども申しましたけれども、老健が中間施設として位置づけられているわけですけれども、ここに大分痴呆老人がたまってまいりました。そういうふうなことで、療養型病床群、それから老人保健施設、特別養護老人ホーム、この三本につきましてそれぞれある程度の、何といいますか、こういう人は療養型病床群に入れる、比較的医療の比重の重い方ですね。その次の程度の者は老健へ入れる。最後の受け皿として特養へ入れる。そういうふうな新しい役割の割り振りというようなものを考えまして、そこでもう一遍この施設サービスというものを再検討してみてはどうか、そういうふうに考える次第であります。
特に、老健というのは、最初の設立の目的が中間施設、移行施設と、そういう発想から出てきたものですから、厚生省はここにいつまでもいてもらっては困る、そういう考えであるかと思いますけれども、今やそういうことを言っていられないような現状になっておるんではないか、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/338
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339・和田節
○公述人(和田節君) 一つは施設入所費の一元化の問題ですけれども、あわせて、それぞれの三つの施設が機能・役割分担をし切れるのかどうかという問題と、施設の費用の一元化というのは当然出てくるだろうと思います。
療養型病床群の中でかなり医療密度の高いケアということになってくるのか、それとも特別養護老人ホーム、同じような施設の方に持っていきますと、私、老人保健施設ですけれども、やはり特別養護老人ホームは特に医療関係者の人員配置が非常に低いわけです。それで、医師の常勤化もうたわれておりません。一昨年はインフルエンザ禍の問題でかなり特別養護老人ホームでの問題が新聞紙上、マスコミをにぎわせましたけれども、そういうふうなことを考えますと、療養費の一元化とあわせて人員配置をきちんと見直していかないと、とても私、老健の立場から特別養護老人ホームを見ましても、あの人員配置ではなかなか十分なケアはし切れないんじゃないかと思います。
それとあわせて、老人保健施設におきます入所期間の問題ですけれども、これは今まで役割、機能として、特別養護老人ホーム、それから社会的入院が問題になりました老人病院、それと老健というところがありまして、在宅というふうな中間施設として位置づけられていたんですけれども、今後介護保険ができて、施設の役割、機能がどういうふうに位置づけられるかわかりませんけれども、そうなりますと、果たしてその当初の目的の施設、例えば介護度認定をいたしまして介護度のIVが引き続きもし続くとするならば、その利用者の方が老人保健施設を利用したいとするならば、それは当然三カ月で在宅へということにはなり得ないだろうと思います。もう一つ、先ほど公述人の方から言われましたけれども、やはり老健施設が中間施設とは言われながらなかなか在宅の準備ができないケースがございますので、どうしてもそれが長期滞在型になってしまって、特養の待機組というのが何割かを占めてまいります。
その場合に、定限制の導入というのは、片やもう時期が来たから出ていってくれというふうなことになってくるんだろうと思います。私どもの施設でも、確かにそういうふうな長期の方を受け持ちますと経営は非常に困難になってまいりますけれども、次の方向が決まらない状況のままに出ていってくれというふうなことはできませんので、結局それが何割かは入所者の中で長期、次の入所決定、例えば特別養護老人ホームに入所されるまでの期間はもう引き続き入所ということになってまいっています。
今度、介護保険導入になりました場合には、先ほども申し上げましたように、介護度認定が同じであるならば、その入所期間の老健における三カ月、六カ月の定限制というのは果たして有効なのか否かというのは考えていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/339
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340・釘宮磐
○釘宮磐君 それでは、もう時間が参りましたので、最後に岡崎公述人にお伺いをしたいんですが、岡崎公述人のところはいろんなサービスをやられております。とりわけデイサービス、また在宅介護支援センター等もやられておりますが、これは私も定かな情報を得ているわけではないんですが、今までデイサービス、在宅介護支援センターというのは一定の補助をいただいて運営をしていた。これが来年度からいわゆる介護保険導入のために出来高払い方式に切りかえていくというようなことをお聞きして非常に当惑をしているというふうにお伺いをしたんですけれども、その辺の実態について御意見をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/340
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341・岡崎潔
○公述人(岡崎潔君) デイサービス事業につきまして、平成十年度の厚生省の予算編成の中で出来高払いにしたいと、要介護度を三段階に分けまして、重度、中程度、軽度という三段階で単価設定をいたしまして来年度はやりたいという案が言われました。
我々全国のデイサービスの常任サイドで試算をしてみたんですが、常任の中で一部黒字が期待できる。あとは全部赤字で、しかも事業をやっておられるところなんかでは何千万も赤字が見込まれる、私のところでも四、五百万の赤字が見込まれるというような試算が出まして、その結果を高年福祉部の方でまとめたわけでございます。それをもって一応厚生省と会長の方で御相談してくれたんだと思いますが、来年は従来方式と出来高払いを選択でやるというふうになりつつあるとお伺いしまして、とりあえずはほっとしたわけでございます。
一応デイサービスなんかでも行政から委託をいだいて運営しております。だから、比較的お元気な方も手のかかる方も、勝手に施設が選択するわけではありません。ところが、来年から出来高払いにしますということになりますと、それがもろに出まして、非常に全国的に驚きと当惑が走ったわけですが、介護保険へ向けてはやはり介護保険対象になり得る方々を中心に利用いただくというのは筋だと思います。
ただ、現在利用しておられる比較的介護保険対象にならない方の処遇をどのようにしていくかということを先にぜん立てしていただかぬとトラブルが起こるんじゃないか、大変なことになるんじゃないかという心配をしております。ここの辺、厚生省でも御検討いただけると思いますが、一応在宅サービスの評価事業が始まっておりまして、県内でも市町村の在宅サービス実態をいろいろ調べておられますが、デイサービスにつきましては、今のような状態で介護保険に移行した場合は運営が成り立たなくなるよというような率直な御指導もいただいておるところもあるわけです。それについて、一応市町村によりましては、お元気な方は月に一遍くらいにして別途の利用を手だてしなきゃいかぬということを御検討いただいておるようでございます。そういったような問題点を感じながら不安を持っておるわけです。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/341
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342・山本正和
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。
この際、公述人の方々に一言お礼を申し上げます。
皆様には、長時間にわたり大変有益な御意見をいただきましてありがとうございました。本委員会としては十分審査に反映してまいりたいと存じます。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
これにて参議院厚生委員会高知地方公聴会を閉会いたします。
〔午後四時三十分散会〕
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甲府地方公聴会速記録
期日 平成九年十一月十一日(火曜日)
場所 甲府市 甲府富士屋ホテル
派遣委員
団長 理 事 上野 公成君
理 事 清水 澄子君
中島 眞人君
中原 爽君
宮崎 秀樹君
木暮 山人君
水島 裕君
山本 保君
今井 澄君
公述人
山梨県知事(全
国知事会社会文
教調査委員会委
員長) 天野 建君
山梨医科大学神
経内科教授 塩澤 全司君
医療法人高原会
高原病院副院長 高原 仁君
自治労山梨県職
員労働組合副中
央執行委員長 樋川 隆君
全国保険医団体
連合会常任幹事 上所 洋君
山梨県社会福祉
協議会常務理事 酒井 健吉君
社団法人山梨県
医師会会長 溝部 孝二君
社団法人山梨県
看護協会会長 望月 弘子君
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〔午後零時五十八分開会〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/342
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343・上野公成
○団長(上野公成君) ただいまから参議院厚生委員会甲府地方公聴会を開会いたします。
私は、本日の会議を主宰いたします厚生委員会理事の上野公成でございます。よろしくお願いいたします。
まず、私どもの委員を御紹介いたします。
社会民主党・護憲連合所属の清水澄子理事でございます。
自由民主党所属の宮崎秀樹委員でございます。
同じく自由民主党所属の中島眞人委員でございます。
同じく自由民主党所属の中原爽委員でございます。
平成会所属の木暮山人委員でございます。
同じく平成会所属の水島裕委員でございます。
同じく平成会所属の山本保委員でございます。
民主党・新緑風会所属の今井澄委員でございます。
以上の九名でございます。
厚生委員会におきましては、目下、介護保険法案、介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案、以上三案について審査を行っておりますが、本日は、三法案について関心の深い関係各界の皆様方から貴重な御意見を承るため、当甲府市及び高知市において同時に地方公聴会を開会することにいたした次第でございます。何とぞ特段の御協力をお願い申し上げます。
次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。
山梨県知事、全国知事会社会文教調査委員会委員長の天野建公述人でございます。
山梨医科大学神経内科教授の塩澤全司公述人でございます。
医療法人高原会高原病院副院長の高原仁公述人でございます。
自治労山梨県職員労働組合副中央執行委員長の樋川隆公述人でございます。
全国保険医団体連合会常任幹事の上所洋公述人でございます。
山梨県社会福祉協議会常務理事の酒井健吉公述人でございます。
社団法人山梨県医師会会長の溝部孝二公述人でございます。
社団法人山梨県看護協会会長の望月弘子公述人でございます。
以上の八名の方々でございます。
この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
皆様には、御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の法案審査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、お一人十分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、御発言は御着席のままで結構でございます。
それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べ願います。
まず、天野公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/343
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344・天野建
○公述人(天野建君) 山梨県知事の天野でございます。
各委員の皆様には、平素から厚生行政に対しまして特段の御指導、御尽力を賜っているところでありまして、この場をおかりいたしまして厚くお礼を申し上げたいと存じます。
また、公私ともにお忙しい中を、地方公聴会のため山梨県にお越しをいただきまして、地方の実情をつぶさに御賢察いただきますことに対しまして、衷心より敬意を表する次第であります。
本日は、このような機会をいただきましたので、私の立場から幾つかお話を申し上げたいと存じます。
まず、本県の高齢化の現状につきまして触れさせていただきます。
本県におきましては、毎年、高齢者に係る調査を実施しており、本年四月一日現在の六十五歳以上の高齢者数は十五万八千九百四十九人となっております。高齢化率は一七・八%となっておりまして、全国の高齢化率が本県の水準に達するのが平成十三年と見込まれておりますために、本県の高齢化は全国より四年ほど進んでいることになります。特に、本県におきましては、過疎・山間地域の高齢化率が高くなってきており、六十四市町村のうち高齢化率が二〇%を超えている市町村が三十六市町村あり、三〇%を超えているところも六町村あります。
このように高齢化が進行をし、要介護高齢者の増加が見込まれている中で、高齢期の最大の不安要因であります介護を社会全体で支え合う新たな高齢者介護システムとしての介護保険制度は、我が国の社会保障制度の一翼を担う極めて重要なものであります。
私も、全国知事会社会文教調査委員会委員長という立場から、これまでも国に対しまして、国と地方の役割分担と費用負担を明確にし、地方公共団体と合意形成を図った上で制度の導入を行うべきことなどを申し上げてきたところでありますが、本日は、特にお願いいたしたいと考えています幾つかの事項につきまして申し上げたいと思います。
まず、施設の整備や人材確保など介護サービス基盤の整備のための財源確保についてであります。
地域住民のニーズに応じた介護サービスを提供するためには、特別養護老人ホームやデイサービスセンターなどの施設整備やホームヘルパーの確保など、介護サービス基盤の整備を促進する必要があります。現在、国におきましては、高齢者の保健福祉サービスの分野における基盤を早急に整備するため、新ゴールドプランを推進されているところであります。本県におきましても、平成六年に策定いたしました老人保健福祉計画に基づきまして、いつでもどこでもだれでも必要とする在宅サービスや施設サービスを受けられるようその基盤整備を積極的に行い、平成十一年度までには計画目標を達成できるよう鋭意取り組んでいるところであります。
介護保険制度が導入となりますと、介護や支援を必要とする方々に対しましてより的確に介護サービスを提供することが必要となってまいりますため、介護サービス基盤の整備は一層重要になるものと考えられます。したがいまして、国におきましては、介護サービス基盤の整備のための財源の確保につきまして特段の御配慮を賜りたいと考えております。
次に、介護保険制度の運営にかかわる財政支援についてであります。
介護保険制度が安定して運営されるために、県といたしましても、介護給付費にかかわる費用負担や財政安定化基金への出捐など保険者となる市町村の支援を行うことになっておりますが、こうした県の財政負担に対しまして、明確な財政支援策を講じていただきたいと考えております。さらに、県におきましても、介護保険制度導入により新たな事務を行うこととなり、その事務量は多大なものになると見込まれております。
例えば、県が設置する財政安定化基金の運営についてであります。この基金から市町村の介護保険特別会計へ資金の貸し付けや交付を行う場合には、当該介護保険特別会計における財源不足額を算定する必要があり、このための事務は非常に複雑になるものと思われます。また、介護保険審査会の運営につきまして、ドイツにおける介護保険制度導入時に見られましたように、制度発足当初は多くの審査請求事案が予測され、県の事務量が膨大なものになることも考えられます。このように、県として新たに行うこととなる事務を適切に遂行するためにも、財政支援策が講じられますようお願いしたいと考えております。
次に、制度の内容についてであります。
県下の各市町村からは、制度の詳細がわからず、具体的な取り組みに困惑しているという声が多く聞かれます。特に、事務量がどの程度になるのか不明確な部分が多いため、来年度以降の事務執行体制などをどのように整えていったらよいかということ。また、介護サービスの費用、すなわち介護報酬が示されていないため、現在市町村が行っている、あるいは社会福祉協議会に委託して行っているホームヘルプサービス等をどのように運営していったらよいのかということ。さらには、介護保険事業計画につきましても、具体的な策定方策も示されていないために市町村が取り組むべき方向性を見出せないという状況にあります。
政令、省令で定めるものとされている事項もありますが、市町村等が準備を円滑に行うことができますように、制度の具体的な内容を早急にお示しいただけますよう要請するものであります。
次に、国民健康保険特別会計への影響についてであります。
県内市町村の国保財政は、近年の経済基調の変化などにより、保険者の努力にもかかわらず収納率が漸減傾向にあり大変厳しい状況にあります。こうした中で、国民健康保険の保険者でもある市町村におきましては、第二号被保険者にかかわる介護保険料を国民健康保険料に上乗せし一体的に徴収することとなり、さらに徴収率が低下するのではないかと心配をされているところであります。
したがいまして、このことが国保財政に影響を及ぼすことのないよう、国におきましては財政支援につきまして特段の御配意をお願いいたしたいと考えております。
以上、四点を申し上げまして、公述人としての意見陳述を終了させていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/344
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345・上野公成
○団長(上野公成君) ありがとうございました。
次に、塩澤公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/345
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346・塩澤全司
○公述人(塩澤全司君) 私は、山梨医科大学の神経内科の塩澤でございます。
大学病院において診療に従事している立場から、今回の介護保険制度について一言発言させていただきたいと思います。この機会を与えていただきましたことを非常に身に余る光栄と思っておる次第でございます。
高齢化社会を迎えて、高齢者の医療が医療保険で賄い切れないということが判明し、今回の介護保険制度が導入されることとなったわけでございますが、政府は独立採算性を基本原則としている以上、この介護保険制度は高齢化社会の到来に伴って出現したいわば必然性を持ったものと考えられているわけでございます。しかし、この制度の導入に当たってはさまざまな問題を抱えていると思うわけでございます。
一番としまして、この今回の介護保険の適応ということでございます。
高齢者の加齢に伴って起こる疾患としましては、アルツハイマー病、ピック病、クロイツフェルト・ヤコブ病などが従来から代表する痴呆疾患として知られてきました。このほかにも、脳血管障害に伴う痴呆、パーキンソン病に伴う痴呆、筋萎縮性側索硬化症に伴う痴呆、正常圧水頭症とかビンスワンガー病とか那須・ハカラ病など、さまざまな痴呆症候群が存在するわけでございます。
とりわけ、脳血管障害に伴う痴呆は、脳出血、脳梗塞、脳塞栓などの病態が進行し、寝たきり、痴呆状態となります。また、脳血管の先天奇形によるもの、それから脳血管のアミロイド沈着によるものなど、日々予期しないで出現する脳血管障害が多数存在します。
一方、骨粗鬆症は骨のカルシウム含量が低下して起こる疾患で、カルシウム剤やビタミンD3の投与が推奨されていますが、症状が進行すると寝たきりとなり、歩行ができなくなってくる疾患であります。
今回の介護保険制度の適応は、以上のような高齢者の長期ケアを必要とする患者さんに対して考えられた制度と言えるわけでございます。しかしながら、私どもがよく遭遇するものの中には、この疾患のほかになおさまざまな痴呆の患者さん、寝たきりの患者さん、下肢が不自由な患者さんたちがいます。いずれも寝たきり状態で、ただ介護をするとしか言いようのない患者さんです。これらの患者さんの介護は、従来医療保険で行われてきていますが、介護は十分でなく、新たな対応が望まれているところでございます。
私も、以前からこのような方々への介護を十分に保障する必要があると考えてきております。例えば、筋萎縮性側索硬化症の患者さんですが、上肢の脱力から始まり、下肢の脱力が起こり歩けなくなり、さらには嚥下障害、構語障害となりまして言語も不自由となります。大脳は正常で、人の言うことは理解できます。このような人に対して気管切開を行い人工呼吸器を装着しますと、五から十年ぐらいは生存できるわけです。現在、その方法が広がってきていますが、人工呼吸器を装着したがために全人的な介護が必要となります。私どものところでは、そういった患者さんに夜間ボランティアを含めた在宅介護を支援しているところでございます。そのような患者さんの介護は、極めて言葉に言い尽くしようのない労力が必要でございます。
介護保険というのは、この高齢者のみならずすべての要介護者に適応されるべきものと考えております。その意味で、今回の介護保険は高齢者の長期ケア保険という限定されたものになったことを残念に思っております。介護を必要とする人の経済は苦しく、一刻も早く援助の手を差し伸べる必要があると思います。
問題点の二は、リハビリテーションの必要性と認定の客観性についてでございます。
病気の回復過程にはリハビリテーションが必要です。すべての疾患に、寝たきりであっても痴呆状態であってもリハビリテーションが必要です。機能訓練を行うということをリハビリテーションと言うわけでございますが、これを行わないで患者を放置すると、患者は拘縮を起こし、病状は固定して最悪の状態となってしまいます。
私どもは、すべての患者さんに対して、回復の到達目標、ゴールというのを定めて早期にリハビリテーションを行い、ゴールに到達しても機能を維持するための維持リハビリテーションを続けている次第でございます。リハビリテーションを行うことと同時に、よい治療薬を投与します。こうすることによって、私どものところでは、今まで歩けなかった人が歩けるようになったり今までできなかったことができるように回復してくることがあります。回復する希望を持ってリハビリテーションに励むように指導するわけでございます。
このような患者の介護保険の認定を行う場合には、その認定の状況は常に変化するために慎重に行う必要があります。患者が介護保険を申請しますと、市町村は訪問聞き取り調査から要介護認定を行い、これを一次判定といいますが、さらにかかりつけ医の意見を伺い、これを二次判定というわけですが、審査委員会で要介護、要支援者の認定を行い、等級が定められるわけでございます。この認定の間には、ケアマネジャーの意見それからかかりつけ医の意見など専門家の間でも大きな意見の相違が起こります。多分起こるでありましょう。患者は、よいサービスを受けられなくなることや過剰サービスが与えられることなどが生じてくるわけでございます。このように、高齢者では病態の把握が極めて難しい点があるので、その状態の認定については非常にフレキシブルに考えなくてはいけないというふうに考えておる次第でございます。
問題の三点は、高齢者の特殊性でございます。
医療と介護ということでございますが、高齢者は外出可能でも閉じこもりがちになったり、不安と抑うつが強かったり、少しの臥床で大きな機能障害を起こしたりいたします。十分慎重に対応しなくてはなりません。また、将来を予見した病状の把握をしなくてはなりません。客観的な認定が困難であることが高齢者の臨床上注意すべきことなのです。さらに、医療もその間に並行して行う必要があり、単に介護だけするわけにはいきません。医療と介護は表裏一体のものであり、いずれも病態の回復を願って行わなければなりません。介護される患者さんは常に医療の面でも援助を差し上げなければ、治療をしなければならないわけでございます。
その四としまして、ケアサービスの格差でございます。
高齢者では、よいところでしっかりとしたケアサービスを受けたいという希望があります。大都会などでは要介護者なども多いにもかかわらず土地代が高いのでよいケア施設が少なく、むしろ広い土地を持つ近郊の方がよいケアが受けられます。さらに、人口の少ない村ではよいケアを受けられるはずはありません。市町村が経済的負担をしてケアシステムを行っている今回の介護保険で、このような状況を国が察知してしっかりとした財政的基盤をつくられることを希望いたします。
以上四点でございますが、まとめとしまして、医療保険が高齢化社会ゆえに破綻するとしましたら、今回の介護保険は必要であり、支援していかなければなりません。その確立に向けて問題点を整理する必要があります。常に患者の立場に立った介護保険制度がつくられることを希望してやみません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/346
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347・上野公成
○団長(上野公成君) ありがとうございました。
次に、高原公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/347
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348・高原仁
○公述人(高原仁君) 高原と申します。
私は、地域の診療に従事しており、何年か前から在宅患者の訪問診療、訪問看護を実施しております。現実に在宅介護にかかわってきたものの一人として、お手元にお配りした抄録に沿って発言させていただきます。
我が国は、世界じゅうのいかなる国も経験したことのない、人類史上初めてというスピードで高齢社会に突入している。高齢化が今以上に進展する二十一世紀を前に、医療と福祉の重要性がますます高まっている。また、高齢化と並行して進んでいく若年労働力の減少を考えると、経済構造あるいは社会構造そのものが大きく変化していくのであり、そういう中で医療と福祉の水準維持、そして向上を図っていかねばならない。
高齢者で自立している人の割合は、六十五歳から七十四歳で九〇%、七十五歳から八十四歳で七五%、八十五歳以上では五〇%以下と言われており、二〇一三年には七十五歳以上の後期高齢者が現在の七百万人から一千四百万人にふえ、高齢化社会において介護を必要とする高齢者は今後も増大していき、現在の百万人から四百万人に増加すると予測されています。
一方、我が国の国民医療費は、対国民所得比ではイギリスと並び主要先進国の中では最も低い国に属するものの、近年、老人医療費だけが突出して上昇を続けています。この一因として、無論当然の自然増は除くとしても、老人福祉や介護サービスの水準が低いということが挙げられます。
現在、高齢化した親の介護のための離職者が毎年八から九万人と言われていることや、連合が昨年一九九六年に行った五十五歳以上の家族介護者へのアンケート結果では、介護が必要な在宅の高齢者に対して食事を与えないなどを含めた虐待を経験したことがあるという家族が半数に上り、また他の調査では、殴る、閉じ込めて縛るなどの虐待の経験者が三九%もいたという驚くべき報告もあり、その主たる原因が心身ともにの介護疲れでありました。
以上述べましたような社会構造的、経済的あるいは精神的ひずみを是正していくためにも、新しい介護制度は可及的速やかに導入されるべきものと考えます。
そこで、今回の介護保険法案について私の意見を述べさせていただきます。
最も基本的なポイントは、介護制度が福祉政策として受け入れられるためには、利用者に受けるサービスに対しての選択の自由がある程度保障されねばならないという点であると考えます。つまり、在宅サービスを受けるのか、施設型のサービスを受けるのか、利用者に選ぶ自由がなくてはならないのですが、現状では、このプランが実行されても圧倒的に施設が不足するのが現実であります。要するに、ニーズにこたえられない、利用者に選択の余地がない押しつけ型の現在の措置制度に近い、高齢者にとって不満の残る介護制度となってしまうのです。
日本では、一九九五年で高齢者世帯が八百六十万、二〇一〇年には一千五百万世帯となり、また高齢単身者世帯は一九九五年で二百二十万世帯、二〇一〇年では四百六十万世帯に増加するとの統計もあり、この予測値は在宅介護の限界を示唆しているものでありますが、施設に入れないのでやむを得ず在宅介護を利用した場合においてもホームヘルパーの不足は明らかであります。
政府は、一九九九年までにホームヘルパーを十七万人にすると予定しておりますが、現在全国で十二万人しかおらず、しかもその六割以上はパートタイム勤務というのが実情です。政府が目指す二十四時間対応の在宅サービスを可能にするには、フルタイムのヘルパーが八十万人程度必要という試算もあります。結局、ヘルパーが少なければ一回に二時間程度のホームヘルプが週二回ほど行われるというふうなことになり、ためておけるニーズへの対応のみとなってしまうのです。すなわち、掃除、洗濯といったためておけるニーズです。こういった家事を中心にしたものになってしまいます。介護の中では、ためておけるニーズとしては入浴介助くらいしかないのですが、食事、排せつ、清潔といった人間らしい生活を保つためのニーズは二十四時間三百六十五日存在するわけで、全くニーズに合わない介護サービスになりかねないのです。
厚生省が介護保険法案を上程するに際して公表しているデータによれば、一九九三年の時点で在宅サービスに〇・二兆円、施設サービスに一・三兆円、家族介護費用に二兆円、合計で三・五兆円が費やされていました。ここで注目しておきたいのは、現実に金銭的な移転が行われているわけではない家族介護の費用が推計されている点であります。なお、ここでの家族介護は、介護時間を重介護について一日五・六二時間、その他の介護については一日三・三七時間を基礎とし、ホームヘルパーの費用を現行の補助基準単価、一時間当たり重介護については千三百八十円、家事援助については九百十円をベースに推計がされています。
その後厚生省は、介護保険法案を政府案として上程しようとし、介護保険料を徴収する一方で税からの投入を加え、二〇〇〇年に在宅サービス一・一兆円、施設サービスに三・四兆円が費やされることになるという案を示しました。なお、ここで家族介護分は三・二兆円になることが想定され、合計では七・七兆円になると予測しています。これでも見積もりが低過ぎると各方面から指摘されておりますが、二〇〇〇年に四・二兆円で予算を組んだということは、三・五兆円分は家族による介護ということになり、現在の一・五倍の家族の介護を当てにしていることになるわけで、家族の負担が今まで以上に増していく程度の保障ということになり、これではサービスに対して相当の不満が出てくると予想されるのであります。
以上述べました点も含めまして、今回の介護保険法案について問題点の幾つかを整理してみますと、一、要介護度によって定められた範囲内でのサービスについて介護される側の選択の自由が保障されていなければならない。これは、さきにも述べましたように非常に困難となるでしょう。そして、社会保険制度では利用者の反対給付の権利性が強化されるので、給付の要求が高まり、大きな社会問題となると思われます。
二、給付内容に大きな地域格差が生ずるであろうこと。現状では大変な不平等が生ずるのはほぼ間違いありません。例えば、東京都の一人当たりの所得と山梨県の一人当たりの所得を比べますと、東京都を一〇〇とすれば山梨は五〇ぐらいになりましょうか。さらに、地方税の一人当たりの金額になりますとさらに低い。東京都を一〇〇とすると沖縄あたりでは三〇ぐらいという数字になりますから、かなりの格差が出てくると思われます。
財源は、保険方式でよいのか、あるいは税の方がよいのか。
負担の公平を実現させるためには、社会保険料によるよりも、所得税や資産課税を中心とした税を財源とする方が望ましい。所得税は累進課税であるのに対し、社会保険料は所得比例であるからです。もちろん社会保険方式のメリットも多く認められます。いずれにしても、予算の見積もりが低過ぎたということが問題になるでしょう。
高齢者は貧富の差が大きいので、低所得者層への配慮が十分行われているか。富裕層には応分の負担増も望まなければならないかもしれません。
五、介護の認定をめぐるトラブルの発生はどうか。公平さの確保が不可欠ですが、これは非常に困難が予想されます。
不服審査委員会の構成と位置づけをどうするのか。相当数の不服申し立てが予想される。ドイツでは、かなり多くの不服申し立てがあり混乱をきわめたようです。
六、国保自体既に未納者が七%存在するのですが、当然さらにふえる未納者に対してのペナルティーをどのようにしていくかという問題がございます。
七、第二号被保険者についての加齢による病気という条項を今後どうしていくのか。これも検討の一つだと思われます。
申請から認定にかかる期間がどのくらいかかるのか。三カ月もかかってしまったのでは、これは実際のニーズに合いません。
九、医師を含めた専門職者の養成の必要性。
十年くらい前より、大学の医学部に老人科が設置されましたが、ほとんどが従来の内科的研究と同じ方法で、その視点を単に老化のメカニズムに向けただけの老人内科になってしまいました。障害を持つ高齢者を社会科学的視点を含めて、福祉、税、社会保障、相続、法規などを含めて、総合的に研究するいわゆる老年科の確立が早く望まれるところであります。そこで介護制度に従事するさまざまな人間が学ぶことができ、研修をすることが理想的と思われます。
十、介護制度発足後当分の間は、毎年制度の見直しをするという柔軟な姿勢が必要となるでしょう。
このほかにも、一九八〇年に七十万であった死亡が二〇一〇年には約百四十万と倍増します。現在の病院のキャパシティーを超えてしまう可能性と、高額なターミナル医療費を減少させるためにも、在宅ターミナルケアが必要となり、それが行えるだけの介護システムでなければならないことなど、まだまだ考えねばならないことはたくさんございますが、以上のような問題点を吟味し、整理した上で、早期に国民が納得できる介護制度をスタートさせるべきと考えます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/348
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349・上野公成
○団長(上野公成君) ありがとうございました。
次に、樋川公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/349
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350・樋川隆
○公述人(樋川隆君) 自治労山梨県職員労働組合副中央執行委員長の樋川でございます。
私は、介護保険法案について、勤労者、そして私自身が社会福祉専門職であるという立場から意見を申し上げたいと思います。
我が国の近代的な社会福祉は一九五〇年の社会保障制度審議会の勧告に基づき体系づけられ、九〇年の社会福祉関係八法の改正等により、社会福祉の普遍化、自助化、多元化、分権化、地域化等の変化をもたらしました。その延長上に九五年の勧告、「社会保障制度の再構築」があり、背景には他国に例のない急激な高齢化、少子化があると考えています。
高齢化は、介護問題が伴います。資料の図一、二に示しますように、我が国の六十五歳以上の高齢者と子供の同居率は低下傾向を示していますが、六〇%程度の率を示し、一方、老親扶養に対する考え方は、「子どもとして当たり前の義務」と、「施設・制度の不備ゆえ止むをえない」が同程度となっている。そういう現実を見ますと、介護の社会化は急務です。
本県の例を申し上げますと、資料図三に示したように、老年人口比率は一七・八%で、全国に比して約四年早く高齢化が進んでいます。高齢者の介護問題は、家族に多くを依存している現実があり、事態が深刻化している面も見受けられる現在、介護を社会全体の問題としてとらえ、制度として創設する基本的理念に賛成いたします。
次に、介護制度案について申し上げたいと思います。
法案は、介護制度を社会保険方式で創設しようとしています。その理由として、従来の措置制度に見られた受益者側のスティグマの払拭や自己決定権、選択権の確保など、権利としての社会保障の確立等が挙げられています。社会福祉に対する国民の意識は成熟してきており、福祉行政を執行する行政現場では、対象者の自己決定、選択権の確立、権利としての福祉の実施に努めており、措置制度でも対象者の権利は十分確保されると思います。逆に社会保険方式になれば、権利性が必ず確保されるとは言いがたい部分があります。保険料を負担できない方への介護保障を最終的に公的責任の福祉制度で保障していくならば、さきに述べましたスティグマの解消にはなりません。社会福祉は、本来公的責任で行うべきです。これは国全体の財政論と関係しますが、要するにどれだけの予算を社会福祉に投入できるかという問題です。現在の国民全体が置かれている状況から見たとき、財政全体の配分を大幅に見直し、税方式による介護制度の創設について積極的に検討し、措置制度をもっと充実させるべきです。
我が国がモデルとしているドイツは、介護制度を二十年間の検討の後、社会保険方式として創設し、二年目を迎えています。ドイツも当初税方式を検討したようですが、財政的問題とあわせ、従来から社会福祉制度が保険方式で行われていたという実績があるなど、我が国とは状況が違います。
次に、現行案の社会保険方式とした場合についての意見を申し上げます。
第一に、制度の対象者についてです。
法案では、第二号被保険者である四十から六十四歳の者は、法案第七条に示す「要介護状態」となっても、その原因が加齢による疾病でないと同条が示す「要介護者」とはならず、その部分は身体障害者福祉法の対象としています。介護は当事者の状態像が問題となります。保険料を納め、結果的に要介護状態になったとき、同じ状態像であるにもかかわらず保険給付が受けられない、これでは十分な合意が得にくいと思います。福祉制度として創設するのであれば、原因を問わずすべての要介護者をその対象とすべきです。その場合、被保険者は二十歳以上とすることが妥当であり、その方が九五年勧告にある高齢化を社会全体で支えるという趣旨に合致すると思います。
ドイツの介護保険は、すべての介護状態とすべての年齢層も対象としています。私は、七月にミュンヘンにあるMDKを訪問する機会がありました。その際に伺ったバイエルン州の九六年度実績は資料二枚目の下に表で示したとおりであります。
第二に、費用負担の問題について申し上げます。
六十五歳以上の第一号被保険者は、年金からの特別徴収または町村による国保料への上乗せによる保険料の徴収が行われ、さらに具体的に介護制度を利用した際には利用料として一割の定額負担がかかります。施設を利用する場合には、試算によりますと老人保健施設を除きいずれも現行よりも負担額が多くなっています。年金額が相対的に低下する将来予測もあり、制度発足時から負担感は大きくなるばかりではないかと思います。また、現にドイツでは施設を利用されている方で自己負担が困難となり、公的扶助を受けている方が増加しているとのことです。
第二号被保険者は、医療保険者ごとに徴収することになっていますが、原則労使折半、第一号被保険者の負担額と同水準との方針が示されているのみで、具体的な負担率が示されていないのが現状です。勤労者にとってこれは不安材料です。財源的な安定度を保つことを考慮した上で早急に負担率を示し、その上での議論があるべきです。
また、法案は実施主体を市町村としています。住民への直接福祉サービスは身近な自治体で実施することが適当であることはだれもが納得するところですが、本県のように八十万人口のうち、約二十万人が甲府市に集中し、九七年十月一日現在で六十四市町村のうち四十一町村が一万人を割り込む状況において、町村の財政的安定は制度の運用や後に述べますマンパワーの確保からも重要です。各自治体が現在国保料の徴収が大変なのは御存じのとおりです。国保による経験が各自治体にとっては、介護保険料徴収に対する不安となっています。それへの対応として各自治体への公費の導入が検討されているのですから、冒頭申し上げた公費・税負担による介護制度の創設があってよいと考えています。
第三は、供給する介護の量と質的問題です。
まず、量的問題は、現在老人保健福祉計画に基づいて人的、施設的整備が進められています。介護制度創設の根本は、介護の社会化により高齢者の住みなれた地域、家庭で十分な介護を受けながら生活を維持可能にするところにあると思います。現状の介護実態で在宅介護を可能にする具体的なマンパワーはホームヘルパーです。本県の九七年三月末までのヘルパーの確保状況は五六・三%の達成率となっています。
また、各町村の老年人口比率は、資料の図四に示したように、四二%台から九%台までと約五倍もの差があります。また、高率の町村は山間部であり、介護の対象となる高齢者が偏在していることを示しています。さらに、制度が確立するとそれまで家族内に潜在化していた要介護者が顕在化する、制度の趣旨からはよいことですけれども、いわゆるモラルハザード現象を起こすことを想定できます。一方、山間部、いわゆる田舎に行きますと近隣の相互扶助、連帯感が強くありますので、要介護者が逆に潜在化することも想定できます。それでは制度としての介護ではなくなってしまいます。したがって、在宅介護を支えるヘルパーの供給量は、地域人口とともに、偏在する要介護者に対応するための地理的条件を踏まえ、今後の基盤整備とあわせてさらに増加させる必要があると思います。
また、介護が要介護者の自己選択と自己決定に基づくことを前提にするならば、要介護者が家族による介護を選択する権利を確立し、家族が行っている介護を適正に評価し、現金給付を行うべきです。先例のドイツでは、介護保険受給者のうち六〇%が現金給付を希望し、現金とサービスを組み合わせて介護を受けています。
さらに、現行案ではサービスの供給量が月単位で設計されていますが、一日の中で何回、どれだけの介護サービスを提供するのかという、日単位の細かな制度設計にしないと、制度の目指す人間の尊厳を保った生活の維持は困難になってしまうおそれがあります。ドイツの介護保険では、資料に示したように、一日を単位にサービス提供量を設定しています。ぜひ細やかな制度設計にしていただきたいと思います。
次に、提供するサービスの質的な問題についてです。
老人保健福祉計画は、量的な確保が目的ですから、質の問題は余り議論がなされていません。しかし、現実的には老人保健福祉計画で確保した人、施設が要介護者への介護サービスを提供することとなります。介護サービスは、厚生省の試算でも制度発足時の二〇〇〇年度に四兆円、二〇一〇年度には七兆円近い市場になるとされています。単に市場原理に任せるだけではなく、公的な立場からの質の管理を徹底させる方策や介護認定審査会の透明性、公平性、指導性を強化する方法を具体化すべきと考えます。あわせて、介護の持つ意味合いを要介護者の全人格を守る観点から考えると、現在法制審議会で検討されている成年後見制をも視野に含めながら検討を進めていただきたいと思います。
最後になりますが、これからは社会福祉に多くの予算を配分しなければならない時代です。ぜひ、財政の構造改革が叫ばれている今その配分のあり方について国民が納得できるよう、今まで以上に意を注いでくださるようお願いします。また、高齢者の問題は同時に将来を生きる子供たちの問題でもありますので、あわせて配慮をお願いいたします。
以上、介護保険について思うところを述べさせていただきました。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/350
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351・上野公成
○団長(上野公成君) ありがとうございました。
次に、上所公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/351
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352・上所洋
○公述人(上所洋君) 上所と申します。本日は発言の機会を与えていただいてありがとうございます。
私は、全国保団連といいまして九万人の開業医で組織されている団体と、その周りで日常的に診療している患者さんや地域住民の方の声を代表して発言したいと思います。
まず初めに、介護保険法案とも関連があると思われますので、九月から実施された改定健康保険法による受診抑制の深刻な実態につき一言触れさせていただきます。
一枚目のB4の資料をごらんください。保団連のアンケート調査では七一%の医院で一割以上の患者減になっています。また、下段の表のとおり、高血圧や糖尿病の慢性疾患の治療中断も多く発生しています。そのため、脳卒中や心疾患で倒れて寝たきりになる患者がふえることが心配されます。介護保険を語る前に、医療改悪を中止し要介護者をふやさないようにする予防策が重要と考えます。
さて、本題の介護保険法案について述べます。
高齢社会の中で、要介護者の急増、家族への深刻な心身的、経済的負担増のため、介護保障制度の確立は国民の切実な要求となっています。一方、長引く不況と消費税率のアップ、特別減税の中止、医療費の増大で九兆円もの国民負担増のため国民生活は厳しさを増しています。特に、年金生活をしている高齢者世帯は大変です。このような現実の中で国民が望んでいる介護保障制度は、すべての人がいつでもどこでも必要な介護が十分受けられる公的介護保障制度です。しかし、介護保険法案はこの国民の求めるものとはかけ離れています。
以下にその問題点の一部を挙げ、私の意見を述べさせていただきます。
まず、保険料、利用料の負担の重さについて述べます。
国民の家計は大変厳しくなっています。次のページの資料一をごらんください。特に高齢者の所得は、表のとおり年収百五十万円以下の世帯が二七・八%を占め、決して多くはありません。この高齢者の家計に介護保険料、また医療抜本改革により導入が計画されている老人医療保険料が重くのしかかってきます。
ここで低所得者にとって介護保険法案がいかに酷なものかを示すため実例を挙げてみます。
資料二をごらんください。この例は私どもの病院に入院中の方ですが、八十八歳の女性で、車いす座位は辛うじて可能ですが、日常生活は全面介助を要する方です。入院前は障害を持つ娘さんとの二人暮らしでした。収入は老齢福祉年金の三万三千五百三十三円のみで、現在娘さんの身体障害者一級の認定手続をしていますが、これが認められれば二万六千四百円の特別障害手当が支給され、合計五万九千九百三十三円の収入になります。生活保護の申請もしましたが、古い自宅と売りに出しても買い手のない畑地があるということで却下されています。特別養護老人ホームに入所申請をして現在一年七カ月待機中です。
下のグラフは特養入所後の家計に占める介護費用を示したものですが、現行制度では二万三千三百円ですが、介護保険法が施行されると、利用料四万七千円と二人の介護保険料二千四百五十円、計四万九千四百五十円が介護のためにかかります。残りの一万四百八十三円で娘さんが一カ月生活を送ることになります。
次の資料三をごらんください。次の例は在宅介護サービスの例です。九十一歳の女性で、寝たきりで全面介助を要する方です。六十七歳の息子さんが介護に当たっていましたが、息子さんの腰痛が悪化し介護困難になり、特養入所申請をし待機中の在宅介護サービスを必要とする方です。現行の制度では、低所得のためホームヘルパーの派遣費用、ショートステイの費用は無料で、往診と訪問看護にかかる費用二千八百円のみが必要です。介護保険では三万円の利用料と二人分の保険料二千五百円が必要となります。
この二つのケースより、低所得者にとって利用料、保険料の負担は大変重く、支払い不能になる人が多数出ることが考えられます。山梨県の特養入所者千八百七十四人のうち千百四十八人、六一・三%の方は月収四万八千二百五十円に満たず、利用料、保険料が支払えなくなります。介護が必要になればいつでもどこでもだれでも安心して受けられる制度にするためには、利用料はなくすことが必要であります。また保険料も低所得者には減免措置が必要です。その分の費用は国庫補助の増額で賄っていただきたいと考えます。
次に、給付範囲について述べます。
百三十万人に達すると予測される要支援者と要介護度I、IIの要介護者は施設入所対象から外される可能性があります。入所を希望しても門前払いとなる人が出てきます。
資料四をごらんください。表は、平成八年に行われた山梨県のモデル介護認定審査の結果ですが、現在施設入所中の五十人中二十三人。この表の一番右端になります「施設サービス受給者数」というところをごらんください。四六%が要支援、要介護I、要介護IIに認定され、これらの人は五年の猶予期間が過ぎれば退所を迫られることになりかねません。ADLと痴呆を判定基準とした要介護、要支援の区別をやめ、すべての入所を必要とする人に門戸を広げる必要があると考えます。
次に、介護供給基盤の整備にまず取り組んでいただきたいと思います。特に、現在不足している特養の増設を緊急に行っていただきたい。先ほど述べたケース一の夫は特別養護老人ホーム入所申請から一年後入所もできずに死去、またケース一の本人は入所申請後一年七カ月たった現在も待機中です。ある町では入所申請に行っても三年待ちという事態です。九七年二月現在、山梨県では四百十二人の待機者がいて、日々増加中です。
資料五をごらんください。この待機者の増加にもかかわらず、県の平成十一年までの目標は二千百五十床で、現在よりも百四十二床がふやされるだけです。他の計画も表のとおり達成率で十分進んでいません。待機中に死亡する人や三年も待つ人が出ないように、特養の増設を緊急にお願いいたします。また、全国的にも九万八千人の特養待機者がいます。さらに毎年二万人ずつ増加しています。特養を初め介護の供給基盤の整備をまず急いで取り組んでいただきたいと思います。
最後に、保険料滞納者、国保税滞納者への制裁措置条項を法案から削除していただきたいと思います。
先ほどのケースで述べたとおり、保険料の負担は高齢者世帯には重く、生活苦のために滞納する例が多数発生することが予測されます。低所得者への減免範囲を広げるとともに、滞納者に対する給付制限条項は削っていただきたいと思います。さらに、国保税滞納者への給付制限は介護保険とは全く別の制度であり、電気代が未納なので水道もとめてしまうというようなもので、到底国民から納得が得られるものではありません。経済的理由で滞納せざるを得ない人が多く含まれています。貧富の差で介護給付制度から排除されることのないよう、制裁条項を削除し、すべての人が必要な介護を受けられるようにしていただきたいと思います。
以上、いつでもどこでもだれでも必要な介護が受けられる制度となるように、介護保険法案の十分な審議と修正をお願いして、私の陳述を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/352
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353・上野公成
○団長(上野公成君) ありがとうございました。
次に、酒井公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/353
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354・酒井健吉
○公述人(酒井健吉君) 県の社会福祉協議会の常務理事を務めております酒井と申します。
私は、県下六十四市町村社会福祉協議会や老人福祉施設などを会員とする社会福祉団体の立場から介護保険制度について一言意見、要望を述べさせていただきます。
人口の高齢化が著しく進行する中で、本県の高齢化もますます進行度を増しております。ちなみに、平成九年度における本県の高齢化率は一七・八%となっており、国の平均一五・六%を二・二ポイント上回っており、国に先行すること四年という高齢化先進県であります。また、ひとり暮らし高齢者も高齢者の八・六%を占め、在宅寝たきり高齢者は前年度に比べ一一・三%増加していることを考慮すれば、介護問題は今後相当深刻な問題となることが予測されます。
こうしたことから、今国会で審議中の公的介護保険制度が公平で効率的な社会支援システムとなり、利用者が介護サービスを自由に選択できる仕組みとなることを願い、お手元のレジュメに従いまして次の五点について意見を述べさせていただきます。
まず第一は、介護給付の額の設定に当たって地域の特殊性を配慮してほしいことでございます。
本県におけるホームヘルプサービス事業は、県下六十四市町村のうち五十八の市町村社会福祉協議会が町村から委託を受けてサービスを実施しております。また、デイサービス事業については、現在運営されている五十八施設中二十六施設において市町村社会福祉協議会が委託を受けて実施している状況にあります。
これらの大半が過疎・山間地域などを含む小規模な町村となっており、利用者の需要にこたえていくためには基本的な施設の維持管理費や人件費などは不可欠となっております。そうした意味から、これらの経費の縮減は極めて困難な状況にあります。
特に、ホームヘルプサービス事業においては、保険給付の対象となる訪問時間に比べ家庭に到着するまでの相当な移動時間が必要な状態となっており、これに要する経費も無視できないものとなっております。現在は、町村から定額の委託料により運営されておりますが、介護保険制度では利用実績に応じた介護報酬の仕組みとなっているため、小規模の町村では利用者数の大幅な増加も見込まれないことから、事業運営に要するコストがどうしても高くなることは否めません。また、過疎・山間地域などにおいては、民間事業者の積極的な参入も見込みがたい状況にあり、市町村社会福祉協議会がサービスの担い手とならざるを得ない実態にあります。
法案では、介護給付の額は、サービスの内容やサービスを行う事業所の所在する地域等を勘案して厚生大臣が定める基準により算定していくこととされておりますが、額の設定に当たりましては、こうした過疎地域等における特殊性に十分御配慮をいただけるようお願い申し上げます。
第二は、ケアプランを作成する介護支援専門員の資格要件を明確にして法的に位置づけることであります。
介護支援専門員は、要介護者等からの相談に応じ、その心身の状況に応じ適切なサービスを提供できるよう、市町村、居宅サービスを行う者及び介護保険施設等との連絡調整を行う者であって厚生省令で定める者とされております。具体的には、介護サービス計画の作成、市町村からの委託による要介護認定等に携わり、直接高齢者やその家族と接することになりますが、これらの業務は介護保険制度の根幹をなす極めて重要なものであります。
法案では、これらの業務に従事する者に対する罰則適用については、公務に従事する職員とみなすとされておりますが、業務内容の重要性、その公平性とを勘案し、介護支援専門員については資格要件を明確にし、社会福祉士、介護福祉士、看護婦、理学療法士、作業療法士等と同様な法定の資格とすることが適当と思われます。
第三は、介護認定で自立と判定された高齢者の福祉サービスであります。
もとより、介護保険制度は、高齢化に伴う身体的障害を持つ高齢者の介護を保険で賄う制度であります。しかし、この制度だけでは高齢者の生活福祉課題のすべてをカバーできないわけであります。介護認定で自立と判定された高齢者は、介護保険も医療保険と同様に自分が希望すればいつでも自由に介護サービスが受けられると思っており、当然、保険者との間にトラブルが生じることが予測されます。
そこで、介護保険の該当にはならないけれども、介護サービスを必要とするケース等への対応策を立てておくことが必要と思われます。具体的には、住民やボランティアが参画して行う給食・配食サービスや小地域でのネットワーク活動などと同様に、例えば週一回のホームヘルプサービスを行うとか、月一回のデイサービスなど予防活動を含めたさまざまな福祉保健事業の積極的な展開が必要であります。県社協といたしましては、市町村社協との連携を深め、県下すべての地域で行うこれらの事業を推進したいと考えております。
つきましては、これらの福祉保健事業に要する財政的支援を要望するものであります。
第四は、特別養護老人ホーム等への入所について利用者の範囲の明確化についてであります。
介護保険制度においては、現在の措置制度と異なり、施設への入所は要介護者と施設との契約によって行われることになっております。この場合、施設側が受け取る介護報酬の額は入所者の要介護度に応じて決定されることから、施設経営者側からすると、入所者について施設の経営上一定の判断をせざるを得ない状況も想定されるわけであります。この際、利用者側からは入所拒否という誤解を招くおそれもあり、施設に対する評価に影響を与えることも懸念されるわけであります。
このため、介護保険制度の基本理念であります被保険者の選択の自由を実現するためにも、施設サービス利用者の範囲について明確にされ周知されるよう要望するものであります。また、介護度の異なる施設利用者の入所、退所に伴い、施設経営に支障が生じないよう入所定員などで調整できるような措置も検討されるよう要望いたします。
第五は、低所得者に対する利用料等についてであります。
現行の措置制度と異なり、介護保険は医療保険と同じく社会保険として取り扱われることになっております。したがいまして、一般の高齢者にとっては、医療保険の保険料に加え介護保険の保険料、介護サービスの利用料は相当な負担になります。一号被保険者の多くは年金生活者であり、一定額以上の年金受給者からは天引きで保険料が徴収され、低額年金者で天引きしにくいところは地方自治体が徴収することとなっております。
低額年金者の中には、国民健康保険の国保税が払えない人もいると聞いております。これに介護保険料が上乗せになるとさらに未納者や滞納者がふえることが予測されます。また、介護サービスを受ける場合には、利用料の一〇%の自己負担があります。保険料の負担が厳しい高齢者にとって利用料の支払いはさらに困難と思われます。このため、制度に乗れない要介護者が出るおそれがあります。
そこで、低所得者には減免を含めた所要の措置を切望いたすものであります。
終わりに、介護保険制度は、介護を国民全体が支える制度であります。すばらしい制度となりますことを期待いたしまして、発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/354
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355・上野公成
○団長(上野公成君) ありがとうございました。
次に、溝部公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/355
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356・溝部孝二
○公述人(溝部孝二君) 山梨県医師会会長の溝部でございます。
私は医師会の立場から意見を述べさせていただきます。時間の関係がございますので、論点を整理いたしまして箇条書きに申し上げます。
一、医療保険で寝たきり老人の訪問看護、服薬指導、治療サービスを、現在かかりつけ医師が自院の看護婦、保健婦を同道して実施しておりますが、これは寝たきり老人在宅総合診療と言います。在宅の寝たきり老人の介護、看護については、公的な介護保険を利用した訪問看護の在宅サービスの提供をも重複して受けることができますか。医療保険の適応と介護保険の適応とが重複して利用されますので、医療費はかえって増大すると思いますが、この点、国民に理解されていないと思います。
二つ目といたしまして、要介護認定審査についての問題点を申し上げます。
平成八年度厚生省のモデル事業の報告書によりますと、一次判定と二次判定との相違率が平均二七%あったとされていますが、詳細を見ますと、地域ごとにばらつきが大きく、〇%から五八%の相違率になっております。
平成八年度の反省から、平成九年度のモデル事業では、一次判定の結果、調査表の特記事項、かかりつけ医の意見書を参考資料として総合評価を行い、二次判定を行うことになりましたが、一つ、厚生省案に示されております要介護区分、状態像基準が不明確のまま総合評価を行うことは非常に難しいことであります。二つ目、要介護度状態区分の判定結果を申請者に説明し理解してもらうことがまた困難であります。三つ目、要介護度状態区分に医療的処置の必要度が明記されていないため、訪問看護サービスや服薬指導などの必要度が評価できません。さらに、在宅か施設か、施設サービスにおいて医療的処置の必要度から選択される基準が示されておりません。
地域に設置される介護認定審査会の委員は、現在おおむね五名となっており、委員長は互選となっておるようでございますが、医療、保健の専門職であります地域の開業医師が委員長となり、専門的知識を駆使して会務を総理、指導すべきであると思います。
三、要介護度分類を見てみますと、要介護度の状態によって介護サービスの費用が六段階に分かれていますが、一度決定された高齢者の状態像の見直しは何カ月ごとに見直しすることになっておりますか、国民の理解が得られていないと思います。要介護者同士で分類による不平不満が出てこないように配慮すべきであります。
四、サービス提供者やサービス提供機関がサービスメニューに沿って介護報酬を受け取るようになっていますが、在宅要介護者の介護サービスを家族が行っているケースには現金給付をしないことに決められておりますが、かかりつけ医師の指導で在宅において家族介護あるいは看護をしている家庭もあります。保険料は支払っているのに不合理となると思いますが、いかがでしょうか。
要介護度は、I度は六万円、II度は十四万から十六万、III度は十七万から十八万、IV度は二十一万から二十七万、V度は二十三万、VI度は二十三万から二十九万と決められてあるようですが、何万から何万でなく、はっきりした分け方の方がトラブルは起こらないと思います。
五番、在宅サービスか施設サービスかの選択によってサービスにおける利害得失が生じてはなりません。かかりつけ医の往診による在宅サービスは寝たきり老人にとって軽視できないサービスであります。在宅サービスにおけるマンパワーの確保は十分でしょうか。マンパワーの不足により、サービス提供について今後自治体格差が出てくる懸念があります。人的不足は介護サービスの質の低下にもつながると思います。
六番、介護保険給付の問題点について申し上げます。
現在、二十四時間対応のホームヘルプサービスや訪問看護サービスが試行されておりますが、介護保険制度下では保険給付額に加え相当額の自己負担、場合によっては保険給付額以上が必要となる場合があります。在宅を希望するような要介護者は施設に入った方がよいという国の政策でしょうか。当初の介護保険制度の理念から相当後退しているように思われます。
七、政省令も三百項目以上になり、厚生大臣が定める基準六十五項目、政令九十二項目、省令百六十項目に達し、運用規程等を含めると膨大な検討項目になると伺っております。早急に結論を得て、介護保険制度の内容が明らかになるように情報の開示を早く行っていただきたいと思います。
八番目、介護基盤整備との関連で問題点があります。
介護基盤整備が不十分であることを前提に、保険者は提供サービス量に応じて保険料率を軽減することができる制度になっております。しかし、在宅サービスについては、提供サービス量を減少することで対応が可能であるが、施設サービスについてはどのように対応していくのですか。介護施設が市町村に整備されていなければ、介護施設を求めて他の市町村に転居するか、あるいは在宅サービスで我慢をしなければならないと思います。
要介護の状態が特養が施設として最適と判断されても、特養がなければひとまず老健施設や療養型病床群を選択することになります。介護費用額が担保するのであればその場合は代替も可能であると思いますが、療養型病床群が最適である要介護者が療養型がないために老健や特養を代替施設とすることは不可能であると思います。その場合をどう対応していくのか明示していただきたいと思います。
以上、意見を述べさせていただきました。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/356
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357・上野公成
○団長(上野公成君) ありがとうございました。
次に、望月公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/357
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358・望月弘子
○公述人(望月弘子君) 本日、このような機会をお与えくださいまして、ありがとうございました。私は看護職の立場から発言させていただきます。
まず、介護保険法案が一日も早く今国会で成立されますようにお願い申し上げたいと思います。
今、全国各地で在宅療養者を抱え、家族だけでの介護では限界がある人々の苦悩が目に見えます。在宅と施設ケアを相乗りしながら利用者が選択できるサービスの質と量の確保と供給システムが公的介護保険に期待されております。専門家と地域の人々に支えられてその人らしく生涯を終えることができる介護保険の仕組みが期待されております。こうした中で、看護職としての立場から申し上げたいと思います。
まず、介護保険創設期における基盤整備についてであります。
生活者のニーズに満遍なく対応するためには、保健、医療、福祉の連携をもとに専門性を総合的に生かす必要があります。そのような観点から、いわゆる県の本庁あるいは市町村の福祉行政部門に看護職の登用をお願いしたいと思います。
看護職は病院や保健所、市町村などに就業しておりますが、病人や家族、地域の住民と接触しております。特に看護職の登用についての理由について申し上げますと、病院の施設内における看護職は、入院時より長期目標を患者家族と共有して、患者家族のQOLを基盤に病院内の効率的な医療ケア促進と、病院と地域を結び継続看護ができるようコーディネートする実践者でもあります。また、地域にありましては、市町村の公的看護職として住民の生活と医学的側面から住民のニーズを直接とらえ、予防活動と連動させながら社会資源を有機的に結びつけ、住民参加型のサービスを総合化させて継続した活動を展開している実践者でもあります。
このような面からも、看護職の登用についてお願いをしたいと思います。
次は、マンパワーの確保でありますが、このような形で福祉部門への看護職の参入がございますときには、片手間として今までの業務を遂行することはできません。したがいまして、従来の業務を実施しながら、特に介護保険の創設期の基盤整備に備えて新しい福祉領域への看護職の確保をお願いしたいと思います。そうした中で、マンパワーの確保によりまして公的介護保険導入における役割を果たしていきたいと思います。
次に、三番目につきましては、介護認定審査会の委員に看護職を登用させていただきたいということです。
四番目には、市町村介護保険事業策定委員会の設置でありますが、市町村の介護保険事業計画は基本指針に基づいて策定することになっております。介護給付対象者へのサービス提供体制の確保や介護給付サービス対象の利用の意向を勘案して策定するとされておりますが、市町村介護保険策定委員会を設置して、地域の保健・福祉事情に精通している保健、福祉の担当者や住民の代表者を加え、必要に応じては広域的な視点から保健所職員の参画などを求め、事業の進行管理や苦情解決の場にしたらどうかということを提案したいと思います。
次に、介護保険の運営についてでございますが、ケアマネジャーとケアプランの質の担保ということでございます。
個々のニーズに合わせた介護サービスが効果的に提供できる仕組みを今回の介護保険制度では位置づけております。最後をみとる看護から自立支援をする看護へということで、個々の生活と健康状態をトータルにアセスメントし、しかも要介護状態の改善とか悪化防止を目指した効果的なサービスの提供が求められております。そのためには、保健とか医療とか看護職の予防的、予測的な視点が効果的にケアプランに反映されることが重要であると思います。
二つ目といたしましては、要介護認定への不服の申し立てや苦情処理体制の整備とサービスの質の確保であります。
不服の申し立てや苦情が制度改善へ反映される仕組み、認定されなかった人への支援体制、これらをどういうふうにしていくのか、どのような仕組みをつくり出していくのか。それから、第三者機関によるサービスの質の確保が必要でございます。
三番目は、在宅の受け皿整備で二十四時間ケアの体制を。
これは、訪問看護とホームヘルパーとの協働の促進ということが重視されております。特に今、訪問看護ステーションのモデル事業で挙げられておりますけれども、このモデル事業は在宅支援センターを核にヘルパーステーションと訪問看護ステーションが協働した形の中でニーズにこたえていくということでございますが、このシステムを促進していただきたいと思います。
特に、ホームヘルパーが要介護者の日常生活を支えていればこそ訪問看護が有効に機能し得るわけでございまして、訪問看護ステーションでホームヘルパーと協働できる仕組みが必須であります。つまり、同じところで同じ問題を共有しながら共同で仕事ができるような仕組み、これが必要だと思います。その上でニーズに柔軟に対応できる訪問看護の提供システムを整備していくということをお願いしたいと思います。
四番目には、医療依存度の高い利用者の訪問看護など医療的部分の給付上の配慮でございますが、今、訪問看護の対象者は、医療保険の改正などによりまして医療依存度の高い高齢者や末期のがん患者の利用者がふえております。それに伴いまして、毎日訪問とか、営業時間以外の深夜訪問とか、時間延長などの訪問が増加しております。医療依存度の高いケースの場合、基本療養費に含まれない業務が多くなります。現行の管理療養費では対応ができなくなってきております。訪問看護対象者の変化に伴い、訪問看護業務内容も大きく変わっておりますが、これに見合った療養費の改正が必要であると思います。
私ども山梨県看護協会におきましては、訪問看護ステーションを十一カ所予定して、それぞれの地域でのネットを張りながら、いつでもどこでもだれでもが必要なときにケアが受けられるような体制を組みたいということで頑張っております。
以上、介護保険創設期における基盤整備の問題と介護保険運営上の課題について発言させていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/358
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359・上野公成
○団長(上野公成君) ありがとうございました、
以上で公述人各位の御意見の陳述は終わりました。
速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/359
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360・上野公成
○団長(上野公成君) 速記を起こしてください。
それでは、これより公述人に対する質疑を行います。
なお、委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。また、御発言は私の指名を待ってからお願いいたします。
それでは、質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/360
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361・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 自由民主党の宮崎でございます。
本日は大変お忙しい中を公述人の皆様方には大変貴重な御意見を承りましてまことにありがとうございました。時間が限られておりますので、端的に御質問をさせていただきます。
まず最初に、天野公述人にお願いいたします。
天野公述人は、山梨県の知事さんとして、また全国知事会の社会文教調査委員会委員長さんとしてこちらの方面には御造詣が深いというふうに承っておりますが、特に山梨県におきましては既に県単でこの介護の問題につきましてモデル事業をおやりになっているということで、先ほど来高齢化率一七・八%の本県におきましてのいろいろな問題点を御指摘いただいたと思います。特に、山梨県におきましてモデル事業をなさっていらっしゃって、財政的ないわゆる財源問題、これが私は今後介護が現実的に行われるときに一番大きな運命を決めていくというふうに思っております。
そこで、介護保険制度が平成十二年から施行されますと、山梨県の実情を私拝見しまして、甲府市に二十万という人口が集中している、それで過疎の町村が非常に多い。そうしますと、これは県が相当カバーしないと運営できないというふうに思うんです。
そういうことで、試算されまして、人件費それから先ほどおっしゃったいわゆる特別会計を組んで、それにかかわる相当なまた負担がかかるであろうということで、大体のことで結構ですから、どのぐらいの財源をお考えいただいているか、お教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/361
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362・天野建
○公述人(天野建君) 今、モデル事業推進やらこれからの取り組みについていろいろと検討をしているわけでありますが、今後介護保険法が導入をされましてさまざまな対応を進めていきますと、現在山梨県で試算したものは約百億と言われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/362
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363・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 ありがとうございました。
基盤整備は平成十一年度に達成したい、これは御希望もあろうかと思いますが、大体実現できる見通しはございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/363
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364・天野建
○公述人(天野建君) 平成十一年度を目途にいたします保健福祉計画に基づきまして現在整備を進めているところでございます。これは前々から、平成六年ごろから計画を進めまして、段階的に進めておりますものですから、現状では平成十一年度には第一次の保健福祉計画は達成でき得るものと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/364
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365・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 ありがとうございました。
それでは、塩澤公述人と高原公述人、溝部公述人、お三方にお伺いしたいと思います。
介護認定の問題でございますけれども、それぞれ御意見をいただきました。この法案によりますと、介護認定は介護を必要とする方がいわゆる保険証を持って市町村へ行きまして申請をする。そうすると市町村から相談員なる方が来て、そして今のところ七十項目にわたる項目をチェックしていく。それを持ち帰ってコンピューターに入れる。それで、コンピューターからある程度の線を出して、そしてまた主治医、かかりつけ医がいらっしゃればその方の意見書を求めて、そしてそれを認定審査会にかける。そしてグレードをお決めいただく。そしてそれに基づいて今度はケアプランをつくる。こういう段取りになっております。
認定審査会でございますけれども、平成八年度の一次審査、それから二次審査の誤差が平均して二七%あった、こういうことでございますが、私は問題は、医療におきましては、保険証を持っていって医療機関において診察を受けて、そして患者さんを診ていろいろ診断、治療し、これは病気ではない、単なるあなたのいわゆる思い込みだという場合もありましょうし、いろいろあると思うんです。しかし、介護保険制度のこの法律は人を診ないんです、最初に。そして書類で決めていくというところに私は問題があろうかと思うんですが、お三人とも専門家であろうと思いますので、この辺はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、御意見をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/365
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366・塩澤全司
○公述人(塩澤全司君) 塩澤でございます。
患者さんが保険証を持って市町村に行って、市町村から訪問をして二時間くらいの聞き取り調査をして帰ってくる、そしてコンピューターにかけるということでございますけれども、やっぱり患者さんを診ないで聞き取り調査だけで診断をするということは非常に危険なことだと思うわけでございます。それは、例えばいろんな病気を持っていても実際反映できない非常にたくさんのことがあると思うものですから、一つはここに大きな問題があるというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/366
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367・高原仁
○公述人(高原仁君) このようなケースの場合、主治医がいる場合と主治医がいない場合とかなり事情が違うと思うんです。三年間、四年間その要介護者を診てきた主治医がいる場合には、現場に行ってその患者さんを診なくてもかなりの部分は把握できていると思います。
主治医がいない場合にだれがどういうふうに要介護の申請の後調べるかというのは、主治医でない場合には、初めての患者さんを診に行って一回その人を診察してこの人の状態がどうであろうかという認定をするのはかなり難しくて、もちろん日によってもかなり患者さんの状態に動揺がありますから、微妙なラインにいる人にとってみれば、介護度のII度からIII度、あるいはI度からII度という動揺は幾らでも起こり得ると思うんです。ですから、少なくとも三度ぐらい日を変えて診るぐらいの慎重さがないと不服がいろいろ生じてくるだろう、そのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/367
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368・溝部孝二
○公述人(溝部孝二君) 先ほど意見陳述の中で申し上げましたとおり、この介護区分につきましては、主治医がいない場合にはドクターを頼んで意見書を書いていただくようでございますけれども、この意見書を参考資料として総合評価を行うことは大変困難でありますので、申請者にあなたは何度であるということを説明するわけですけれども、大変難しい作業だと思っております。
しからば、どういう方法があるかということになりますと、今のところ厚生省で示されました方法にのっとって平成九年度に行いますので、その結果で評価がまた違ってくるだろうと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/368
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369・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 それでは、もう一度今のお三方にお尋ねしたいんですが、この法律の第七条の二十三項に書いてあるんですが、療養型病床群に収容された被介護者、この方たちが、療養型病床群は介護保険になるわけでありますが、医療保険と介護保険、これは同じ人間できょうから介護保険だ、きのうまでは医療保険、こういう例が出ないとも限らないわけであります。
そこで、この二十三項に、治療の必要の程度は「厚生省令で定める」、こう書いてあるわけです。この「厚生省令で定める」という、じゃその厚生省令は何だというと、まだできていないわけです。これが議論になるわけでありますが、ここら辺が私は非常に問題があるということを今指摘しているわけであります。
医療保険であれば傷病手当金の対象にもなっております。介護保険になると今度は生活保障部分の傷病手当金がその日から打ち切られる、こういうことがございますので、私は今の議論の中では、医療行為については医療保険で見なさい、介護の部分は介護保険で見なさいと、そういうことでやはり明確にこれはしておかなきゃいけないと思っているんです。今度の法律の介護保険というのはそこら辺がどうもまだあいまいなところがございますが、三公述人、この辺についてどういうふうにお考えかお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/369
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370・塩澤全司
○公述人(塩澤全司君) 私、具体的にちょっとお答えできにくいところがあるんですが、きょうから医療であすからは介護という、保険が分割されるといいますか日によって変わるということは、実際問題そういうことがあり得るでしょうけれども、患者さんにとってみれば、要するに愁訴が続いているわけでございまして、患者さんにとっては治してもらいたいわけだし、よくなりたいであろう。それが介護であるか医療であるかということはなかなか区別ができないんではないかと思うわけです。それを行政的にこれが介護だ、これが医療だ、こういうふうに言いますと、またそこで大きな問題が生じるんではないか、私はそんなようなことが一つ大きな不服の材料になるんではないかというような考えがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/370
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371・高原仁
○公述人(高原仁君) このようなケースの場合、一番問題になるのは費用負担の問題だと思います。
家族がこれまで医療保険で療養型病床群に入院していて家族ないし本人が幾ら負担していて、それから今度は介護保険に移動していったときに、その負担がかなり差があるということになると、これは当然相当の不満が出ると思います。
給付する側とそれを受け取る側の権利と義務の問題だと思いますが、その場合、受け取る側、給付される側が、多少お金がふえてもこれまでよりもさらに緻密なサービスが受けられているという実感が伴えばそれは余り問題になりませんが、ほとんど行われていることが同じであるのに急に一日を境にして費用に差が出てきたということになると大変な不満が出ると思いますので、まず、介護保険で入っていても医療保険で入っていても余り家族の負担に差がないということが望ましく、もし差がある場合には、それなりにサービスの質に変化を義務づけるような方法が必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/371
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372・溝部孝二
○公述人(溝部孝二君) 新たな症状、疾患が発生した場合、それから症状が悪化した場合等々につきましては医療保険を利用してもいいというようなことを伺っておりますけれども、介護保険から医療保険に保険の費用を変更する場合には、あくまでもその線引きは主治医の裁量に任せていただきたい、このように思っておりますので、法の整備をお願いいたしたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/372
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373・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 それでは皆さんに、これは一言で結構ですが、この介護保険制度は平成十二年導入と、こういうことで今国会で審議をやっております。私どもも責任を感じて今やっております。厚生省令が政令、省令三百ということで、これは大いにそこら辺は詰めて、国民にわかりやすく情報開示をしていくということでやってまいりますが、超高齢化社会を二十一世紀に迎えるに当たりまして、こういう制度が必要だ、いやそうでなくてもっと違う制度をつくってやるべきだ、それぞれ御意見が細かいことではいっぱいおありでしょうが、こういうものについて必要だという方は必要、またそういうことでなくて、端的にこうすればいい、今のままでは反対と、こういうことで一言ずつお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/373
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374・天野建
○公述人(天野建君) 高齢化社会を考えてまいりましたとき、こうした制度は確立されれば必要だと、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/374
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375・塩澤全司
○公述人(塩澤全司君) 同じような、同一の意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/375
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376・高原仁
○公述人(高原仁君) 必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/376
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377・樋川隆
○公述人(樋川隆君) 介護制度の設立は必要だと思います。ただ、その方法論において、社会保険方式、今の現行案も五〇%が公費を投入するという前提になっていますから、ということであれば、予算全体の枠組みを変更する中で税負担方式ということも考え得るだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/377
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378・上所洋
○公述人(上所洋君) 介護保険制度に限らず、公的な介護保障制度というのは本当に国民が望んでいるものだと思います。切実な問題です。ただし、先ほど述べましたように、措置制度で受けている介護保障制度がもう少し充実されればそれでも済むんじゃないかという考えもありますが、財政の問題とかいろいろあって、一部保険とまじることはやむを得ないというふうに考えています。少なくとも低所得者とか、こういう制度から排除される人のないようにお願いしたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/378
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379・酒井健吉
○公述人(酒井健吉君) 必要だと考えております。ただし、財源問題についてはもう少し検討していただくことがよろしいかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/379
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380・溝部孝二
○公述人(溝部孝二君) この介護保険制度は重要であるとは考えておりますけれども、制度の運用の方法にかかっているかと思いますので、まだ政省令もはっきり決まっておりませんので、その辺のところでひとつ運用の方法につきまして御検討をいただきたい、このように思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/380
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381・望月弘子
○公述人(望月弘子君) 必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/381
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382・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/382
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383・中島眞人
○中島眞人君 本日は、公述人の皆さん方には大変貴重な御意見をいただきまして心から御礼を申し上げたいと思います。
それぞれ皆さん方全員にお話をお聞きしたいわけでございますけれども、時間の限りもございますから、まず天野知事さんにお聞きをいたしたいと思います。
先ほど、平成十一年度までに目標値、施設整備はほぼ達成をされると。これは大変な御努力だろうというふうに思います。ただし、私どもしばしば国会の中でも指摘をしているのでありますけれども、平成十二年以降の整備計画というのは現在のところ出ていないわけですね。これは特に本県の場合は高齢化率が四年も進行している。同時に、介護保険導入が十二年でありますから、さらに関心がふえてくるだろうという形になってまいりますと、新たな、新ゴールドプランですから我が党はスーパーゴールドプランというふうな名称を述べているんですけれども、これに対する一つの地方自治体をお預かりしている知事さん、同時に全国知事会の責任者でもこの面ではございます天野公述人、どのような考え方をお持ちか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/383
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384・天野建
○公述人(天野建君) この問題につきましては、従来から保健福祉計画というものが策定をされまして、現在五カ年計画でこれが進められている、それが平成十一年度までの目標値ということでございます。
まず、我々はこの保健福祉計画に基づきまして福祉の充実を図っているということでございまして、この計画が達成をされたから介護保険法に対して完璧であるということではないわけであります。今後、さらにこの目標値を達成いたしました後に、次の保健福祉計画の策定を整えていきませんと十分これに対応する状況にはないと、このように判断をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/384
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385・中島眞人
○中島眞人君 この介護保険が世に問われ出しまして、市町村が保険者になる、その中で市町村長さん方が大変心配しているのはまず財政問題でありますけれども、財政問題については、先ほどから話が出ておりますように、財政安定化基金というのを都道府県に設けることになっております。これによって、市町村長さん方はそこに頼っていくという形になろうかと思うのでありますけれども、この財政安定化基金というものを県が役割を背負っていくということの中で起こってくるさまざまな思いと申しますか、そんなものを忌憚なくお教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/385
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386・天野建
○公述人(天野建君) この介護保険制度が導入をされてまいりますと、当然保険者であります地方自治体につきましてはさまざまな課題が提起をされてくるというふうに思います。とりわけこれらの制度を推進していくためには財政的な安定化を図らなければならないということは当然考えていかなければならない、このように思います。
御指摘のとおり、保険財政の安定化は保険者として市町村が最も関心を持っておりますことの一つである、このように思いますし、県におきましても、被保険者のいわゆる保険財政の安定化を図りながら予想外の支出に対応するために財政安定化基金を設置するということにしておりますが、各市町村のいわゆる介護保険特別会計に収支の不均衡が生じたときに一定の算定によりまして財政不足等を交付する、あるいは貸し付けをするということにいたしているわけであります。
したがいまして、この基金は各市町村の保険財政の安定化を図るためには大変重要な役割を果たすものと、このように考えております。この基金運営の事務を適切に遂行するためにも、財政支援を講じられることをこれはぜひともお願いをいたしたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/386
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387・中島眞人
○中島眞人君 保険者である市町村にとってみると、いざというときには県がという形になるわけですが、今度は県の財政的な問題というのは、知事さんお話しになるように大変な心配事があるので国へという御要望だろうと思います。
それともう一つ、保険者となっている市町村長さん方が大変心配し、不安がっている問題に介護認定の問題がございます。介護認定の問題はそれぞれ町村間の格差とかいろいろな問題があってこれは大変なことだと、こんなことはできないぞと。そういうことの中で、平成九年度、早速山梨県は高齢者介護サービス体制整備支援事業というのを行う中で、介護の認定の広域化というような問題に取り組んでおりますけれども、そのねらい、これ結果出てこないとわからないと思うんですけれども、ねらいというものと、将来こうあってほしいというふうな、そんな意図などがあっておやりになっているのか、その辺について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/387
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388・天野建
○公述人(天野建君) この問題は大変介護保険法にとりまして一つの大きな問題点であるというふうに思います。とりわけ小さな自治体におきまして介護認定制度を実施していく場合にさまざまな問題点が提起をされてくるであろう。そういうことを考えてまいりますと、町村の中でもこれらは広域的にいわゆる審査会を策定する必要があるのではないか、こういう意見もございます。あるいは県という機関に何か協力をお願いしてほしい、こういう意見も将来出てくると、この可能性はあるわけであります。
介護を受けるその基本となりますものが、この介護認定によることが出発点になるわけでございますから、地方自治体にとりましても非常に重要なものとしてとらえているというふうに思っております。市町村の介護認定審査会の共同設置につきましては市町村の意向を尊重する中で広域的な観点から検討して必要な調整、指導は今後していきたい、このように一つ考えております。
それから、市町村への説明会等を現在開催しておりまして、国におきまして全市町村での実施を予定しております平成十年度のモデル介護認定審査会が制度施行時の体制を見据えた上で設置できるように取り組みを現在進めているところであります。ですから、国が今実施を予定しております平成十年度のモデル介護認定審査会がこの制度の施行時までに体制ができるように見据えた上で設置できるよう県も取り組みをしていると、こういう状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/388
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389・中島眞人
○中島眞人君 知事さんに最後のまとめを御質問したいと思うんですけれども、先ほどから医療と介護が分離をされていく、あるいは医療と介護というのは密接不可分だというようなさまざまな御意見があるわけですけれども、制度的には医療と福祉の縦割りの制度であるということは従来の線だと思うんです。
そういう点で、国民のサイドからいいますと、利用手続や利用者負担の面で不均衡があった、またサービスを使いにくい面があったと指摘を受ける面が実はあると思うのでありますけれども、介護保険ではこのような問題、そういう指摘に対して総合的にそういう問題をカバーできるんだろうか。こんな点について、ちょっと抽象的になろうかと思いますけれども、従来の医療と介護の縦割りみたいなものの中で利用にいろいろな不便さがあったという問題が介護保険によってはどうなんだろうか、この辺についておまとめをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/389
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390・天野建
○公述人(天野建君) 縦割りの弊害と総合的な制度の必要性という問題になろうかと、このように思いますが、高齢期におきましては、介護を必要とする方は日常生活、活動、動作についての介助を必要とするだけではなくて、その機能回復を図ることも必要だというふうに考えられるわけです。また、加齢に伴います心身の衰えを原因として病気を有している場合も多く見られますことから、要介護者の心身の特性を踏まえながら医学的管理等も行っていくことが必要である、このように思います。
介護保険制度の導入によりまして、これまでのいわゆる老人医療とそれから老人福祉に分かれております高齢者の介護に関する制度を再編成しまして、利用しやすく公平で効率的な社会的支援システムが構築をされることは必要である、このように考えますし、必要な介護サービスは保健・医療サービスもそれから福祉サービスも総合的、一体的に受けられるようになることを私どもは期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/390
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391・中島眞人
○中島眞人君 ありがとうございました。
望月公述人にお聞きをいたします。
日ごろ看護という職にありまして大変御努力をいただいておりますことを心から敬意を表したいと思います。同時に、訪問看護ステーションを十一カ所目標値を置きながら整備をなさっているということです。
とはいいながらも、マンパワーの問題が先ほど出てまいりましたが、特に過疎地域におきますとマンパワー不足という問題が出てくる。これは保険者である市町村にとってみると大変な一つの難題のようですけれども、その場合、厚生省の案の中には民間参入が入っていますね。
専門職の立場として、民間参入が入ってくることによって懸念されるのは質の低いサービスといいますか専門性に欠ける面というのが指摘をされているんですけれども、そういう民間参入が導入をされてくる過程の中で、専門職でございます看護協会の会長さんとしてどういう一つの方策が必要なんだろうか、こんな御意見をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/391
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392・望月弘子
○公述人(望月弘子君) 民間参入の場合にもやはり質の確保ということが最も大切なことだと思いますが、質の確保といいますと、やはり研究とか研修の機会を十分に享受していくということが必要だと思います。
民間産業が参入をした場合、その方々と協働しながら学習の場を広めていくということでございますが、やはりその中では横の連携というふうなものが十分必要だと思いますので、そういう例えば協議体のような中に一緒に参入していただいて学ぶ機会を持つというようなことも必要でしょうし、また学ぶ中においてはケーススタディーだとかそういうふうな学び方の方法論なども考えるということが一つあると思います。
それから、行政的な中でも、やはり民間の参入につきましてもそういう視点をチェックしていただくような、チェックといいますか、そのような学習活動の中に参画するような、そしてまた質についての総合的な第三者的なチェック機能というようなものも必要ではないか、こんなふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/392
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393・中島眞人
○中島眞人君 どうもありがとうございました。
じゃ次に、医師会の立場で溝部公述人にお願いしたいと思うのでありますけれども、今回、介護保険法案として医療法の改正案も提出をされます。新たにこれまでの総合病院にかわり地域医療支援病院が提案されているわけです。今後かかりつけ医とか、一般病院、地域医療支援病院、特定機能病院等による地域の新しい医療提供体系を構築すべきだと思いますけれども、言うはやすしでなかなか難しいと思うんですけれども、このことに対する御所見をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/393
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394・溝部孝二
○公述人(溝部孝二君) 御指摘のとおりでございまして、新しい医療提供体系を構築すべきだと思います。外来は診療所、入院は病院、地域支援病院はあくまでも二次医療機関として位置づけていただき中核病院の役割を果たす、特定機能病院は三次医療に徹し外来紹介型として機能分担を図る中で、病診あるいは病病連携を強力に進めていくべきだと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/394
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395・中島眞人
○中島眞人君 では最後に、高原公述人と樋川公述人にちょっとお聞きしますけれども、介護制度というのは必要だ、しかし惜しむらくはいわゆる税負担、公費負担でいくべきであるという基本的なお考えが述べられました。
そこで、高原公述人や樋川公述人が申されているわけではございませんけれども、とかく税負担という形の中で起こってくる一つの問題として、例えば目的税を設置すべきだとか消費税をそれに充てていくべきだという考え方も一つの考え方としてありますけれども、公費負担という問題の中でそういう問題が出てきた場合、高原公述人、樋川公述人はどのようにお考えになっていますか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/395
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396・高原仁
○公述人(高原仁君) 誤解があるようですが、私は社会保険方式でも税負担方式でもどちらもメリットがあって決めかねるという立場ですが、負担の公平を実現させるという意味では税負担の方がいいだろうと。それは先ほども申しましたように、所得税は累進課税ですから、多く所得のある人たちから少し厚く取る、それから余り所得のない人たちからは取らない、それも比例方式ではなくてだんだん上へ行くと大きくなるという方式ですから公平であろう、そういう考えです。
しかし、今の日本の政治状況を考えますと、予算編成というのがありますから、目的税を設置したところでその税がどのように使われているかということを考えてみますと、あの予算編成のやりとりを見ていれば、目的税すらそのとおり使われないおそれが多分にある。
例えば、一九九四年に決まりました消費税のアップ、あれで消費税アップ分は五・二兆円ありました。あれは福祉に使うという約束でした。ところが、あの五・二兆円のうち福祉に純粋に振り分けられたのは四千億円。残りのお金は別の用途に使われているということになると、目的税を設置しても、今の日本の予算編成の仕方では必ずそこにそのお金が流れてくるという可能性はない。そこら辺のシステムが変わらない限りかなり難しいだろう。社会保険方式の方がそういう意味では財源がそのまま即全部そちらに使われますから、今の日本の実情では社会保険方式の方がいいだろうという考えです。
しかし、将来的には税を用いたシステムの方がよいだろう。それは、地方自治体が中心になって運営していくためにも税の方がやりやすいだろう、そういう考え方です。現時点では社会保険方式のメリットをたくさん感じています。反対給付という約束事が成立しておりますから、必ずその約束に対して住民の欲求が高まりますから、それは要するに制度を早く普及させる促進効果は十分あると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/396
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397・樋川隆
○公述人(樋川隆君) 社会福祉のあり方として、九〇年に関係八法が改正されたときに、例の社会福祉事業法の三条の改正がございました。その中で、従来いわゆる要援護者に対する福祉ということが福祉の必要な者という言葉に切りかわっております。もともと日本の社会福祉そのものが税負担方式でずっと流れてきているという経緯もございます。そういう観点から考えますと、日本の国民的な状況からいえば税負担方式の方が実情には合っているだろう、私はそういうふうに考えております。
ただ、現状の中で、先ほど高原先生もお話しございましたけれども、目的税を用いた場合に必ずそれに投入されるかということはかなり国民全体が疑問を持っている部分は心情的にはございます。そういう点を考えますと、先ほど来私申し上げておりますが、国家予算の全体の割り方を変えない限りは、要するに歳出のあり方を見直していかない限りはなかなか税負担方式というのは難しい部分もございますけれども、新しい制度をつくるわけでございますから、基本的にはそこのまず見直しをして、今後こういう福祉制度はますますふえてくると予測されますので、そのたびに負担がふえていくというのはなかなか国民的には受け入れがたい部分も出てまいります。そういう面でも、歳出の全体的な配分のあり方を変える中において、税負担方式が望ましいだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/397
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398・中原爽
○中原爽君 天野公述人にまずお尋ねをしたいと思います。
ただいま中島委員から、県と市町村のかかわりにつきまして、財政上の問題から安定化基金のお話がありました。また、認定制度の問題からは認定システムの広域化といいますか、本来この認定制度というものは今回の法律上は市町村が行うということでありますけれども、広域化という意味ではお互いに市町村が協力し合うという意味も含めてかと思います。
もう少し各論的なことでお尋ねをしようと思いますけれども、現在、当県においては市町村たしか六十四カ所というお話があったかと思います。この要介護の認定にかかわりまして、本来保険者である市町村が業務上この認定を行うわけでありますけれども、しかし、業務としてそれがなかなか実行が困難であるという場合には、制度上、県に委託ができると、こういうことになっております。このことについては、県と市町村両者が合意をした上で、またその地方の自治法にうたうという形になるわけでありますけれども、実態としては、訪問調査あるいは認定そのものは市町村がおやりになって、判定は県が行うと、こういうシステムであろうかと思います。
このことについて、現在六十四カ所市町村があるということでございますが、県と市町村との要介護の認定にかかわります今申し上げた業務を委託するしないという問題について、県行政の最高責任者の立場から、現在どういう形でこういうものを進めておられるかということを伺えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/398
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399・天野建
○公述人(天野建君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、この認定制度につきましては、私は大きな今後の課題であるというふうに認識をいたしております。
そこで、現在、モデル地区を八つに分けまして、それぞれモデル地区でこれらの問題について対応をしていっているところであります。
そこで問題は、それぞれの町村におきまして、被保険者ですから、介護の要求のあった場合には認定をして直ちにこれに対応するということが原則になるわけでありますが、なかなか公平にこれを判定をしていくということになりますと、どのような制度の中で、どのような人材で、どのような形でこれを判定をしていくのかということになりますと、さまざまな課題が出てくるというふうに思われます。
そこで、ある程度広域的な中でこれを認定するということになりますと、それだけの人材的な要素、そういうものは整ってくるわけですが、今度は逆にスピード感というような点についてはなかなか時間もかかるという問題も出てくるというふうに思います。
そこで、今、八地区に分けましてモデル町村をつくりまして、まずこの問題について対応をしていく。先ほど申し上げたように、将来にわたってはそれらを基盤にしてさらに自治体の理解も求めながら、意見を求めながら広域的に対応をして、制度対応に至るまでにこうした問題についてはどのような形でやることが望ましいかという方向を見出していきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/399
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400・中原爽
○中原爽君 ありがとうございました。
この問題は最終的に県に委託をするという形でありますので、市町村ではその判定の結果の裁量権がなくなるということも含めていろいろそういった面での、委託をした業務の中でのトラブルが起こるという心配もあろうかと思っております。
もう一点は、先ほど、看護協会の方からの御要望でしょうか、ホームヘルプの問題でありますけれども、訪問看護の立場というところで、ホームヘルパーとの連携を密にしたいということでございました。
この県のホームヘルパー関係の確保状況がたしか五六・三%というふうにどなたかおっしゃっておられましたが、これはやはり一級、二級、三級というこの養成は県の指導ということにかかっていると思いますけれども、今後こういった面での県としてのホームヘルパーの養成について、見通し等ございましたらお話しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/400
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401・天野建
○公述人(天野建君) 介護保険制度を運用していきますのはもう人材でございまして、この人材確保につきましてはさまざまな形で今後充足をしていかなければならない、このように思います。
現在、先ほど申し上げましたように、保健福祉計画の中で平成十一年度までにはある程度のヘルパーの数字を設定をいたしまして、これらの充足には今努力をいたしているところでありますが、今までの福祉計画の中では、公的機関で福祉という範疇でさまざまなサービス提供をしてきたわけであります。家庭サービス、入浴サービスとか給食サービスをやってきたわけでありますが、今後は、仮に介護保険制度というものが導入をされてまいりますと、保険料を払う立場、被保険者と保険者という立場に変わるわけであります。
そういうことを考えてまいりますと、今後の福祉サービス、公的介護サービスは、相当人的に充足をしませんと十分に満足をするという形にはなり得ない、こういうことになるというふうに思います。
そういう点で今後介護サービス提供をする場合に、どういう枠組みで、どのような形で、どのような人材を、こういうことがある程度明確になってまいりませんとなかなか難しさが出てくるであろう、このように思います。
そういう意味でも、今後介護サービスがいわゆるサービスを受ける被保険者に対して十分納得のいくサービス体制をつくるために一番必要なのは私は人材の確保だというふうに思います。例えばリハビリテーションの場合でも、専門的なPT、OTを要するのかという問題も出てまいりますし、保健婦が必要なのかという問題も出てまいりますし、それからホームヘルパー、どういうチームで介護するのかという問題も今後出てくる。このように思いますから、こうした方向性もある程度早く決められて指示を、方向を出していただく。それから、それに向けてやはり地方も人材確保のために努力をしていくということが今とらなければならない一番大切なことであろう、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/401
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402・中原爽
○中原爽君 ありがとうございました。
このホームヘルパーの総数と申しますか人数的な問題、確保というのももちろん一番大事なことでありますけれども、やはり一級、二級、三級とかそういう種別がある、あるいは養成が終わった段階で登録をどうする、その登録の中で介護施設あるいは在宅へどういう形で派遣が進むのかという全体のバランスが一番問題であろうかと思いますけれども、とりあえず現状では五六%の養成率だということでございますので、そのお話を伺ってみました。
それでは、塩澤公述人にお尋ねをしたいと思います。
先生のお立場では、痴呆症についてアルツハイマー、ニーマン・ピック、いろいろ病状に応じて、それなりの変化していく病状あるいはその疾病自体に対するいろいろな回復の到達目標を立てる、それが機能的にリハビリテーションにつながるんだと。ですから介護と医療は表裏一体である、こういうような御意見でございました。
これで一番問題になるのは、介護という状況の中で在宅の介護それから施設介護に、一括して痴呆症といいましてもその中の病気の疾病の種別が違っているわけでありますので、それに対するケアプランの中でサービス計画を立てて、先生がおっしゃっておられる介護と医療をどう区分けしていくかという問題が出てくると思うんです。
ここでお尋ねしたいのは、そういった病気の種別にかかわって介護サービスの中の在宅と施設というものについて、先生のお考えの疾病の種別ということで何か御意見がございましたらお願いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/402
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403・塩澤全司
○公述人(塩澤全司君) 在宅と施設でどのように違うかということでございますが、特にこういう痴呆の患者さんは、在宅で自分の生活を維持しながらやれる状況と、またそれができなくなって寝たきりになってくるような状況。そうなると家族の状況によっては施設に入れざるを得ない。できたら在宅の方がいいんでしょうけれども、家族の状況がそれを許さないということで、私のところへ入院した場合でも、その患者さんを家族に返したいんだけれども、家族は現在そのケアができないということでやむを得ず施設の方へ入れてしまうということで、そういう患者さんは、施設というのは三カ月ぐらいの限度がありますので、たらい回しに病院を移っていくというような状況が現在の状況なわけです。
ですから、そういうことで介護保険でそれがかなりカバーされますと、施設に入れないで在宅でもかなり援助がもらえて在宅でもケアができるんではないかというふうに思うわけです。そういうことがこの介護保険に希望するところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/403
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404・中原爽
○中原爽君 在宅の場合は在宅しかないと言えばそれまででありますけれども、施設介護の場合には療養型病床群、それから老人保健施設、それから特養の老人ホーム、こういった区分けがありまして、ある程度医療にかかわるかかわり方が少しずつ違うかというふうに思います。したがって、先生がおっしゃっておられるような、一括して痴呆症というのではなくてそれぞれの病状、疾患に応じたリハビリが必要であろうということが出てくると思うんです。そういう意味で在宅と施設の違いということをお尋ねしたつもりでございます。
それでは、高原公述人にお尋ねをしようと思います。
先ほど中島委員から地域支援病院の話がちょっと出ておりまして、高原先生は医療法人というお立場でございますので、そのことにかかわってもし御意見があればというふうに思います。
地域支援病院は、国、都道府県、それから市町村の病院ということが主体でありますので、どちらかといえばそれは公的な病院になります。民間病院という形で地域支援病院ということになりますと、今回出てまいります特別医療法人ということになると思うんですけれども、医療法人というお立場から特別医療法人ということについて何か御意見がございましたら伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/404
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405・高原仁
○公述人(高原仁君) 地域支援病院をある程度国あるいは都道府県、公的な病院に限るということと、特定医療法人がそれに追従する形になっている、これは恐らく医療法に基づくところの利益を追求してはいけないという思想背景があると思います。その利益を追求しない病院の最たるものが国公立病院と特定医療法人という考え方からこういう区分けになったのだと思いますが、現時点では、その法律自体、その思想自体かなり背景が揺らいでおりまして、医療機関も会社でありますからある程度の利益を追求しなければ存続できないわけでありまして、そのような分け方をする必要はなくて、むしろ機能的に地域支援病院にたえ得る機能を持った病院は積極的に地域支援病院とする、国公立病院よりもむしろ民間病院の方が小回りのきく住民に密着したサービスができやすいということもありますので、そのような分け方は私は余り意味がない、一定の基準を満たしていれば積極的にそういったものを取り込んでいく方が今後の医療は柔軟になっていくのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/405
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406・中原爽
○中原爽君 ありがとうございました。
おっしゃるように、公益性という問題でこの医療法人の制度を少し区分けするという形でありますけれども、全国的に二次医療圏を設定していく中で、その二次医療圏にこういった支援病院を設置していくということになりますと、どういう割合で設置するのかということになりますから、公的な病院だけでは数が足りないという場面も地方においては起こると思います。
したがって、民間病院の活用ということについては、ここで言っている公益性ということだけにとらわれますと、先生のおっしゃっておられるような民間のそれなりの機能を持った病院が参画できないということになるというふうに思ってはおるわけであります。
ありがとうございました。
それでは、樋川公述人にお願いを申し上げたいと思います。
レジュメをいただいておりまして、四ページ目のところに成年後見制をぜひ設置したいという御意見であろうかと思いますが、私もそう思っております。介護保険が出発すると同時にこの成年後見制度というものは同時出発すべきだというふうに考えておるわけでありますけれども、と申しますのは、やはり痴呆を伴った高齢者については御自分の財産管理もできないという状況でありましょうし、ましてその医療を受けることについて御理解ができないというような痴呆性を伴っているという状況が起こると思います。
こんなところでございますが、もう少しこの成年後見制について先生の御意見を御追加していただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/406
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407・樋川隆
○公述人(樋川隆君) 成年後見制自体、九五年の六月ぐらいから法制審議会の民法の関係でもう既に審議が始まっておりますし、今回の民法改正の中でかなり改正の方向に入ってくるんではないかというような中で動いております。
御承知のとおり、今いわゆる法律行為を制限している部分に禁治産あるいは準禁治産というところで制限している部分があるわけでございますけれども、要介護者がふえていく中において、もちろん本来的には身分的あるいは財産的な部分を保護する意味合いでのそういう宣告でございますけれども、この部分をいわゆる高齢者の方の介護、身体的な部分も含めるべきだろうというのが私の考え方であります。
そういう中において、成年後見制、既に諸外国においてスタートしているところもございます。そういう例も見ながら、この介護保険制度そのものがもともとは高齢者の人権を守るという発想の上に立って発想されている部分でございますから、そういう部分もあわせて考えていく必要があろうかと、このように考えております。同じように日本弁護士会の方でも九五年の十月にそういう部分を取り入れるべきだという決議もしているようでございますので、これについてはぜひ介護保険制度、介護保険といいますか介護制度を整える際にはこの部分を視野に入れていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/407
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408・中原爽
○中原爽君 ありがとうございました。私も同意見でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/408
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409・木暮山人
○木暮山人君 木暮でございます。
本日は、公述人の皆様に貴重な時間を割いていただきまして御出席いただきましたこと、心からありがたく感謝申し上げます。
私は、今ここで介護保険法というものが制度として法律的に成立していく過程におきまして、日本のいわゆる国家の制度としてできるだけ汚点のない制度をひとつ考えていかなければいけないんだと。今その制度の一部を公表され、約三百政省令のもとにこれを今からいろんな意味で是正したりまた改めていくということが行われます。
そこで、一番大切なことは、皆さんは現業に少なくともタッチなさっている方々でありまして、ここら辺の現業の見た目、そして常に感じているようなこと、これが非常に大きく影響していくのではないか、私はこんなふうに思っております。
それともう一つは、せっかくでありますから、今の公表されたいわゆる介護保険三法案、これに対するシミュレーションといいますか、試算をなされた団体の方は今お見えでございましょうか。そこをお聞きするのがまず第一でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/409
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410・上野公成
○団長(上野公成君) どなたかおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/410
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411・木暮山人
○木暮山人君 これはないとすればなくて結構なんですけれども、できればこれを早急に皆様のお立場お立場でひとつそれなりにやっていただきたい、試算していただきたい。これがたくさん集まってこそ初めていい方向に進んでいくと思うんです。
それと、バランスでございますけれども、いわゆる医療に対するところの薬剤、これはいろんな意味で薬剤を安価に引きおろす、それによって良質な医療が低下していく、こういうことが非常に今懸念しなければいけないところじゃないかと思います。しかし、逆にマンパワーの方のいわゆる経費、これをどんどん削減していく。これまた非常に矛盾した話でございますので、できましたら溝部公述人と望月公述人にそこら辺の御意見を簡単でよろしいんですけれどもお伺いできたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/411
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412・溝部孝二
○公述人(溝部孝二君) ただいま医療費の暴騰は薬剤が関係しているというように私は受け取りましたけれども、私ども医師はあくまでも良質な医療を国民に提供する立場でありますので、不必要な治療は行っていないと確信をいたしております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/412
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413・望月弘子
○公述人(望月弘子君) 介護保険法が創設されるときの基盤整備としては、やはり必要な人材が必要だと思います。したがいまして、その面におきましてはある特定な機関を定めてもよろしいわけですけれども、やはりそれなりのマンパワーの確保ということは必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/413
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414・木暮山人
○木暮山人君 次にお伺いしたい一つのポイントとしての問題点は、いわゆる介護認定を六項目に分けて行う、これにつきまして七十項目あるんだと。この七十項目に納得をしておいでになるかならないか。これは塩澤全司先生、高原先生、それと溝部先生にひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/414
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415・塩澤全司
○公述人(塩澤全司君) 七十項目について一応納得をして検討しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/415
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416・高原仁
○公述人(高原仁君) 私、七十項目詳細について今全部認識していませんのではっきりしたお答えができませんが、一読した限りでは、これからこの項目についても追加されるようなことが出てくるであろうというふうに感じまして、毎年こういった項目についての見直し作業というのは必要になってくるのではないかなというふうに感じました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/416
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417・溝部孝二
○公述人(溝部孝二君) 最も重要な訪問調査でございますけれども、これはモデル事業でいろいろな各層の方々が調査員でやっておるわけですが、医師以外の調査員が果たして医学的な判断ができるかどうかということが大変問題であります。また、運動障害等々あるいは痴呆の状態等の判断基準が難しいので、我々一般内科医においてもやはり精神科の医師との連携が大変必要ではないかとは思っております。
つきましては、かかりつけ医の意見書をもう少し詳しく書くような項目にしていただきまして、要介護者の状態は大変変化が多いものでございますので、再認定の審査方式等々も取り入れていただく、このような方法にしていただきたいなと、こう考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/417
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418・木暮山人
○木暮山人君 今アメリカでMDSといういわゆる介護関係の基本になるような書籍が出ております。これは二百から三百ぐらいの項目に小さく分けて、それでなおかついろんな角度の職種の人たちに判定を下してもらうというようなシステムになっております。
しかし、残念ながら、これがアメリカでは貧民といいますかプアハウスに入所させて介護とかそういうものをするいわゆる認定の基準なもので、日本が今これだけ経済的に栄えているところにそれを導入することはちょっと私は格好が悪いんじゃないかと。
そこで、急にドイツの公的介護を導入したわけですが、今の介護の状態はドイツの公的介護とアメリカのプアハウスの基準等々がミックスされているんじゃないかと思うんですけれども、やっぱり日本流の本当の意味の判定基準から介護方法というものを我々がここで考え出さなければ私はいい加減な方向に行ってしまうのではないか、こんなふうに思っておりますけれども、皆様いかがなものですか。天野公述人、塩澤公述人、高原公述人、溝部公述人、望月公述人の皆様にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/418
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419・天野建
○公述人(天野建君) 介護保険につきましては、さまざまな先進地の参考もなされると思いますが、日本は日本の介護保険法として確立されることを期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/419
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420・塩澤全司
○公述人(塩澤全司君) 今回の介護保険に関して、先進国の保険の内容について十分調査して日本的な日本流のものをつくりたいという考えが必要だと思います。
私、さっき七十項目は了解しているというふうに言いましたけれども、さらにこの項目以外に二百とか三百とかいろいろ項目を分けてやるという考え方もあるわけですが、項目を分ければ分けるほど診療する方の立場としては煩雑になることが非常に多いものですから、項目としては七十項目ぐらいでいいんではないかというふうに思っていたわけでございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/420
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421・高原仁
○公述人(高原仁君) 介護認定につきましては、判定基準をしっかりさせるということと、もう一つは判定する人間を均質化しなくちゃいけないという二つの問題がありまして、基準を幾ら厳しくつくっても、それぞれの市町村でみんな違う人間がそれを認定するわけですから、その人たちのレベルを統一するということは非常に難しいと思います。そういった人たちを一カ所に集めての研修だとかあるいは教育をかなりしないことには一定の認定が出てくるとはちょっと考えにくいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/421
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422・溝部孝二
○公述人(溝部孝二君) 昨年のモデル事業の反省によりまして、本年度もまた実施しておるわけでございますので、モデル事業の結果待ちで、欠点のものは改善していただきたい、このように思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/422
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423・望月弘子
○公述人(望月弘子君) MDSをベースにしながらの判定項目ということでございますが、それぞれの分野から見ますといろんな短所、長所がございます。したがいまして、生活を見ながらその人の病態に即した保健、医療、福祉をトータルした総合的な見方での検討がなされた七十項目というふうに承っておりますけれども、ただ、これも実際にモデル事業で検討いたしました結果の中で再構築する必要があるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/423
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424・木暮山人
○木暮山人君 次に、ずっとお話を聞いておりますと、この介護問題につきましての制度それからやり方等につきまして、非常に不安と不満が何かあるような感じがするのであります。
しかし、せっかく一つの制度をつくるのでありますから、先ほど塩澤先生がおっしゃったみたいに、この制度に患者さんを治癒させる、そしてまた患者さんをそういうような段階にならないように予防する、こういうことについて各お立場上、優秀な先生がお見えになると思うのでございますが、それぞれのお立場、それとまた介護にかかりまして気力というものが大切になってくると思うんです。いわゆる気力にプラスそういうような問題が加味されて、少なくとも一〇%でも二〇%でも予防をしてあげる、治らないまでも予防してあげるというような何かお考え、それと経験、実際やっているというようなお話があったらひとつお伺いしたいと思います。塩澤公述人、高原公述人、溝部公述人、望月公述人にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/424
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425・塩澤全司
○公述人(塩澤全司君) 現状といいますか、そういう介護保険が適用された後でもいいんでしょうけれども、やはりいいかかりつけ医に診ていただくということで、そのかかりつけ医が病態を把握して専門のところへ紹介をして、それでその意見を問うて正確な治療をしていただくということが非常に大事なことではないかと思います。紹介制の患者さんであれば大学といえどもちゃんと診るわけでございますから、そういう患者さんをよく診るような医者といいますか、そういうかかりつけ医が必要ではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/425
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426・高原仁
○公述人(高原仁君) 質問の内容がいま一つつかみ切れなかったんですが、機能を落とさないための予防ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/426
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427・木暮山人
○木暮山人君 結局、痴呆症ならばそれにかからないような予防、こんなことだと思うんです。できれば全体的に寝たきりも何とかならないものかと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/427
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428・高原仁
○公述人(高原仁君) その問題につきましては恐らく全国的にいろんな試みがなされているとは思います。現実に医療保険制度の中で行われていることといえば、デイケアへ通うようになる人が今までに比べればはるかにふえてきたとかデイサービスを受けるようになってきたとか、痴呆症を進ませないためにはどうしても家の中に一人でいるというのは最悪の状態を招きますので、その人たちが表へどんどん出ていくということが痴呆症を進ませない第一だと思います。
そのためには、先ほどから申しておりますように、社会全体の整備が整ってこないと難しい。車いすの人たちがどんどん表へ出ていくためには、アメリカだとか西洋型の住宅に比べますと玄関があれだけ高い今の日本の住宅構造ではほとんど不可能に近い。その第一歩としてバリアフリーの住宅がつくれていないというのが障害になっておりますが、そういったことからすべてを改善して、障害を持った人たちが積極的にあるいは今よりも楽に外へ出ていって社会の中に交わるというシステムづくりをしてあげるのが、身の回りの介護だけをするのが介護制度ではなくて、そういうものを整備してあげるのも介護制度の中の一環としてとらえて、ぜひこの制度をなるべく早くつくり上げていただきたいという思いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/428
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429・溝部孝二
○公述人(溝部孝二君) 成人病の予防といたしましては、現在厚生省でも唱えておりますように生活習慣病という形でとらえておりますので、私どもは小学校、中学校、高校の学生に対しましては健康教育を十分に行っております。
また、山梨県におきましては、健康づくり推進会議の中でも、地域住民に対しまして健康の推進、それから疾病予防等々につきまして教育をいたしておる、運動をしておりますけれども、一たん発病した場合にはやっぱり早期治療、後のリハビリ等々が必要ではなかろうか、このように思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/429
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430・望月弘子
○公述人(望月弘子君) 特にひとり暮らしの方が伏せった場合というのが寝たきりの中でも重要な問題だと思います。地域におきましてひとり暮らしのお年寄りが風邪を引いて七日以上休むというふうなことは、例えば本県の場合ですと愛育組織とか組織活動というものがよくなされておりまして、その方々が保健婦の方に伝えていく。保健婦とヘルパーが一緒に訪問して、そしてその方がひとりっきりでどうにもならないような場合には、もし食事サービスがその地域にあるのならば、そういう資源を活用しながら寝たきりを予防していく、そんなふうな方法もとられております。
したがいまして、予防、寝たきりにさせないために、いわゆる後追いにならないためにどのような細かい配慮が必要かというふうなことを関係者は心がけております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/430
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431・木暮山人
○木暮山人君 最後に一つ質問したいことは、この二月ぐらいに「クローズアップ現代」というNHKのテレビを見ましたら、スプリントという問題が出てきました。このスプリントというのは、いわゆる体力を増強する、活力をつける、そういう一つの方法らしいんです。これを私見まして、これは何かこれからの介護に必要になってくるんじゃないかと。それで痴呆症が二〇%ぐらい予防になるとかいろんなことを言っているんです。これはNHKのテレビで出ていますから、またどこか探すとあると、こんなふうに考えます。
私は、それも一つの問題だと思いまして厚生省の書籍を探してみましたら、厚生科学研究費で国立予防研究所においても咬合について報告されていました。それはまだ全部完治するというものじゃなくて、少しは何かの足しになるだろう、今から研究課題の一つであるというところでとまっているわけでありますが。
寝たきりが立ち上がって自分の用を足す、それから痴呆症にならないようになる、こんなことができるようなしゃばになれば、皆さんの努力も、制度だけにぶら下がっていくんじゃなくて、それを全部引っ張っていける大きな牽引力になるんじゃないかと思うんであります。そういう意味では、ぜひまたひとつそこら辺を御研究なさいまして御指導くださいますことをお願いして、私の質問はこれで終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/431
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432・水島裕
○水島裕君 皆様のお話をお聞きいたしておりますと、保険なので選択肢は保たれるかどうか、あるいは低所得者は大丈夫だろうかとか、あるいは介護認定は本当にうまくいくだろうかとか、それから医療と福祉の関係は大丈夫かと、随分共通したことをおっしゃっておりまして、またそれなりに大変勉強させていただきまして、どうもありがとうございました。
最初に簡単に私の意見を申し上げてからお聞きしようと思いますけれども、私は、これからの高齢者医療あるいは末期医療、介護医療ということを考えていきますと、今までと比較してですけれども、医療よりもケアの方が大切、ケアよりもサービスの方が必要というふうになってくると思いますので、それぞれの職種の方に頑張っていただかなくちゃいけないわけでございます。
ただし、医学でいう診断、あるいはこの場合は認定ということになりますけれども、そういうことに関しましては、やはりこれは医師、医師といってもある程度のレベル以上の医師がきちんとやらないとこれはなかなか無理だと思います。
それですから、先ほどから話に出ておりますように、介護認定、これは認定審査会は医師もいて、なれた方がきちんとやれば、我々も難病の認定とかそういうのですごい経験ございますけれども、これはほとんど同じような結果が出てくるわけでございまして、そこに出てくる資料さえきちんとしていればその後は私はきちんと判定はできると思います。
問題は、一次認定に入っているかどうかあれですけれども、そういう一次認定のところに医師の目が全然入らないで行われるということになりますと、これは幾ら勉強されても無理でございますので、やはりそういうところにはきちっと常識ある、しかもそれぞれの専門も関係した医師が入っていただくということで、後で時間があったら御質問したいと思います。
それでは、比較的話題に出なかったことからお聞きしていきたいと思います。
まず、低所得者の場合は保険料を安くするとか、それから本人が納入するとか、いろんなことが言われているわけでございます。一つには、低所得者は十分考えなくてはいけないので、もちろん安くするその他が必要だと思いますけれども、といって低所得者あるいは低年金者の間で不公平があってはいけないわけでございますので、そういうことも考えますと、どういうのが一番好ましいと思われているか、御発言のありました酒井公述人、それから高原公述人から御意見をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/432
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433・酒井健吉
○公述人(酒井健吉君) 六十五歳以上の高齢者につきましては、ほとんどの方が年金受給者でございます。年金から保険料等が天引きされる方たちはよろしいわけでございますけれども、例えば国民年金におきましても二十五年以上全額納めていなければ月額六万五千円ですか、というような額には達しないわけでございます。
といいますのは、それ以外のものがなければその年金の範囲で食べていく、あるいは生活保護を受けなければ生活していけないわけです。生保の対象になれば減免という問題もあるわけでございますが、そうしたボーダーラインの方たちが保険料を納め、先ほどどなたか申されましたように、そういう年配者だけの生活をされていますと、一人が施設へ入ってしまいますと、その生活の収入すらないというような非常に問題がある。
本県の場合、国保の収納率が漸減という格好で平成八年度は約九四・九一%、未納率が五%強というような状態でございまして、国保税すらそういう問題がありまして、それに上乗せするような格好で介護保険料の徴収等々を考えれば、介護……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/433
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434・水島裕
○水島裕君 今の未納者なんかについてどういう方法がいいかということをお聞きしているんです。実際のところはわかっておりますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/434
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435・酒井健吉
○公述人(酒井健吉君) これにつきましては、減免の方法をもう少し検討していただきたい。いわゆる具体なことについて私現在のところ持ち合わせてはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/435
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436・高原仁
○公述人(高原仁君) 所得金額に応じてラインを決めて減免するなり、一度徴収したものを再還付するような方法を何かとることはできないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/436
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437・水島裕
○水島裕君 とにかく一度差し上げてそれを納入すると。同じ苦しさでも、ある人はきちっと払うしある人は払わないということがあってはやはりこれは不公平さ、それからそれぞれの人間関係その他にも影響しますので、そういうところで何か御意見ございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/437
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438・高原仁
○公述人(高原仁君) 要するに福祉にはこれだけお金がかかるんだよということを認識してもらうという意味で、原則としては一度徴収して、その上で所得に応じてバックするというのが意識を高める上ではよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/438
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439・水島裕
○水島裕君 私もそれに賛成でございます。
それから、ついでに高原公述人にお伺いしますけれども、これからは在宅での死亡者が多くなるから在宅ターミナルケアが必要で、この介護保険もそういうことも考えてと。私も大変賛成でございます。そういうときに、どういう職種の人がそういうところで働けばいいというふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/439
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440・高原仁
○公述人(高原仁君) 在宅ターミナルケアの場合ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/440
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441・水島裕
○水島裕君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/441
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442・高原仁
○公述人(高原仁君) それは医者と看護婦とヘルパーと、それからできれば、理想的に言えば心理療法士みたいな患者さんの不安を取り除ける方がチームになってやっていくことが望ましいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/442
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443・水島裕
○水島裕君 それでは、関連した質問を望月公述人にお伺いしたいと思います。
私も医師ですし医師の立場を軽んじるところは全くないわけでございますけれども、やはりきちっと診断がついて治療方針がついた後はキュアじゃなくてケアということが大切で、それにおいてはナースの役割は非常に高いと思うんです。今の在宅ターミナルケアに限らず高いと思いますけれども、日本のナースの実情を見ますと、果たしてそれが十分できるかどうかということもやや懸念があるわけでございますので、やはりよく勉強、研さんされて、特に介護保険あるいはターミナルケアということに関してはナースにこれまで以上に頑張っていただきたいと私は思っておりますけれども、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/443
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444・望月弘子
○公述人(望月弘子君) そのとおりだと思います。
そこで今、特に早期退院、いわゆる看護の質が、早く退院ができるというようないろんなケースを持っておりますけれども、そういった面も含めて、そしてまた今の終末におけるところのケア、これらにつきましては非常に研修、研究、それは今盛んに行われております。本当に最後をみとるということの大切さ、そしてまた高い知識と技術とそれから実践というふうな中で今勉強しております。大変必要なことだと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/444
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445・水島裕
○水島裕君 頑張っていただきたいと思います。
次は、医療と介護の関係で、これは医師の方にお伺いした方がいいと思いますので溝部公述人にお伺いいたしますけれども、介護保険ができますと、介護と医療、どっちの保険を使うかとかいろんなことで混乱が起きるのではないかという話もありますが、私はそれほど心配していないわけでございます。常識的な線で、今でも、大病院に入って今までかかっていたのとやや別な医療を受けるといっても、通常はそこの病院で済むわけでございます。ですから、従来どおりの医療を受けるという考えで介護保険も使っていくということで特に問題はないと思いますけれども、何かこういう場合は非常に問題だということがおありになれば教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/445
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446・溝部孝二
○公述人(溝部孝二君) 施設に入所している要介護者については問題がないと思いますけれども、冒頭私が意見を申し上げましたとおり、現在厚生省の指導によりましてかかりつけ医師に在宅の往診診療というものを認めて推奨してきております。私どもは地域におきまして、看護婦、保健婦を同道して、あるいは医師が行けないときには一週間に一度ないし二度までは自院の保健婦なり看護婦が訪問看護・介護をしていいという法律が医療保険の中で適用になっておりますので、そういう方向で実施しております。
それに新たな介護保険が重複して適用になってくる場合、果たしてそれが認められるのかどうかということのはっきりした形が見えてこないということで、医院におります看護婦、保健婦の看護、介護が不十分で、看護協会とは申しませんけれども、他の介護保険によるところの保険者の介護・看護サービスの方がいいかということになってきますと、これはどちらがいい悪いということはあり得ないわけですから、重複してそういうことがもし行われるならば、かえって医療費は増大するんじゃなかろうか。その辺の線引きがはっきりしませんので、冒頭意見を述べさせていただいたわけです。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/446
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447・水島裕
○水島裕君 これだけの法律ですから、やってみますといろいろな問題点は出てくると思いますので、そのときまたいろいろ検討していけばよろしいと思いますが、これによって医療の質が下がるとかそういうことがあってはならないし、そういうことはないんだと思います。
ただ、今まで医療がやり過ぎていたところ、あるいは医師じゃなくても十分だったところをそういう福祉関係の人にやっていただくということでうまくいけばいいんじゃないかなと。これはいろいろやっていきますと問題点は起こりますけれども、やはり従来うまくいっていた医療がこの介護保険のおかげでそれがうまくいかないということはこれはみんなで協力してなくしていかなくちゃいけないというふうに思っております。
それではもう少し、まだ五分以上時間がございますので、一番最初の認定ということについて、これはもう一人のお医者さんであります塩澤先生の方にお聞きしたいと思います。
先ほど私の言ったことと同じことをもう一回繰り返しになりますけれども、これが身体のディスアビリティー、身体の障害ということだけでしたら、これはいろんな方が訓練、勉強すればある程度どういう介護が必要かということはわかると思いますけれども、やはり先ほどの痴呆もありますし、それから代謝病その他もいろいろありますと、医療に近い職種の方が勉強されてもなかなかこれはわからない。また逆に言いますと、ある程度以上の医師でしたら、本当の短時間でデータさえちゃんと教えていただければわかるわけでございますので、その辺、もし介護保険の評価、認定ということで大きな問題があるとすれば、御意見をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/447
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448・塩澤全司
○公述人(塩澤全司君) 先ほど先生がおっしゃられました一次認定のところで、市町村が訪問して聞き取り調査をしてそれでコンピューターにかけるといったところで、やっぱりしっかりした医者がしっかり診た方がいいんではないかということを先ほど言いましたけれども、その中に入れる項目なんかで異常なものがあった場合には、特にその専門に近い医師がもう一度診察するというようなダブルチェックをする必要があるんではないかと思うわけです。そういうことによってある程度防げるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/448
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449・水島裕
○水島裕君 それでは、多少介護から、介護も関係すると思いますけれども、もう一つの医療法一部改正の方にも関係するので、本当の私の勉強になるということでお尋ねしたいのですが、これは医療の代表の溝部公述人にお伺いしたいと思います。
一つは、先ほどから話になっております地域支援病院、私の関係したところは大学でございますけれども、大学が開業医、プライマリーケアをやっていらっしゃる方と直接例えば検査を共用したり、カンファレンスに出席していただいたりして非常にうまくいっているわけでございます。もうそういうときは三次医療なんというのは必要なくなると思いましてやっているわけでございますけれども、山梨県ではそういうふうにしてうまくいっているかどうかということが一つ。
それからもう一つは、九月から法律が変わりまして薬剤費の一部負担、これは聞いてみますと大変評判が悪いみたいでございますけれども、そのほか自己負担がふえたりしまして患者さんが減っていると。これが好ましい方向に減っているかどうかということで私も調査して私の意見もございますけれども、そういう診療状態が九月の改正後どう変わっているか。
その二点について、本当に私の勉強になりますのでお教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/449
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450・溝部孝二
○公述人(溝部孝二君) 先ほどの中核病院の位置づけでございますけれども、先ほど中島委員から御質問いただいたとおり、あくまでも外来はかかりつけ医で診療所が行い、病院は入院を主としていただきたいというのが私どもの最もの願いであります。
また、先生の大学病院というのは特定機能病院ということで位置づけられております。山梨県の医大がここへ開設されましたときにも、医大の使命というのは教育と研究であるというふうに私は申し上げたことがあります。外来患者さんを歓迎して地域の民間病院と競合するための大学ではないというようにあえて申し上げたことがありますけれども、これからは厚生省が申しているように、大病院は外来を紹介型にしなさいという方向が最も私はよかろうかと、こう思っております。
したがいまして、山梨県では、医療圏の中で一次医療、二次医療、特定機能病院は三次医療と、言葉が三次医療ということにはいろいろ含みがあるわけですが、に徹していただきまして、全県下的な医療圏の中で対応していただき、病診連携、あるいは診診連携、あるいは病病連携を推進していただきたいというのが私ども医師会の願いであります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/450
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451・水島裕
○水島裕君 九月からのあれはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/451
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452・溝部孝二
○公述人(溝部孝二君) 九月からの一部負担金、これは大変不評判でございます。医療機関の収入減があるので不評判ではないわけでございまして、御案内のとおり医療機関の窓口が非常に煩雑をする。殊に、私どもは患者さんが減るということを心配しているわけじゃありません、患者さんに対していかに親切に丁寧に医療を提供していくかということを心配しておるわけでございまして、先ほど上所先生が外来の患者さんが減って収入が落ちたというような報告をなされたやに聞いております。
私は、医薬分業というのはある意味では結構だと思いますが、一月の日本医師会雑誌にも理事として投稿してありますが、オウムで有名になりました上九一色にもかなりの患家があります。したがいまして、医薬分業をするということはそこの地方の特性に大変合っていないということで反対であるということを申し上げております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/452
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453・水島裕
○水島裕君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/453
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454・山本保
○山本保君 平成会の山本保です。
実は厚生委員会の先生方はお医者さんが非常に多くて、私は医師でもないですが、福祉の専門家として仕事をしてきましたのでその立場、特にきょうお伺いしまして樋川公述人が私と同じような感覚で、福祉はそんなに悪いのかというような、私もそう思っておるわけでございます。もちろん運用の仕方に問題があったにしても、そこを直せばよかったんじゃないか。
この介護問題の一番大きなといいますか最初のボタンのかけ違いといいますか、行政側の失策というのは、保険をつくればすべてよくなるというような幻想を与えたことであって、その前に、保険をつくればどのようによくなる、今の状況をこのように変更していけば、運用を直していけば、また法律を変えていけばこのような結果が出る、その利害得失、プラスマイナスというものを国民の前にはっきりさせて、どちらを選ばれますかと、こういうふうに出すべきであったものを、何か保険ができればすべてよくなるんだというところに間違いがあったのではないかなと思っているわけであります。
そこで、私ども平成会、これは新進党と公明でつくっておる会派でございますけれども、この案に対しましては、私どもは主に今の税方式を中心とした介護保障制度というもののプランを持っております。残念ながら、この国会中なかなか法文の形には出てまいりませんけれども、それもそのはずでありまして、私どもは現状にあるものをすぐにでも変えていこうという立場ですから、何か全く新しいものを全部つくり上げる必要はない、できるところから直していけばいいと考えているわけであります。
例えば、きょうも税の問題が出ましたけれども、譲与税というような形をとりまして、各県、各市町村に入る税の量とそれに応じたサービス量というものをはっきりさせていくような方法を考えたらどうだろうかとか、また、自立というふうに判定されてしまう人とか、または認定が出るまでの間とか、こういうところが非常に重要なわけですから、そのためにアドバイザーというような方を公費できちんと置いて、いろんなトラブルが起きないように、起きてから行政訴訟をするとかしないとかという問題の前に、本当に弱い立場にある方のための専門家がどのようにフォローしていくのかという体制をつくることであるとか、このような、もしくは家族への支援ということもきょうも出ました。
それも現金給付というのはなかなか難しいところもあるとすれば、例えば切符制、バウチャー制というようなものを、これは今の税制度でもできるわけですね。つまり個々のお年寄りもしくは家族の方にお金にかわる切符を交付して、それを使えば現金でいろんなサービスを買うのと同じようにできる。こういう形をとりませんと、もとは保険であれ税であれ、小さな村などで一つしかサービス供給者がないような独占状況でありましたら、もとが保険であったとしてもこのサービスを出す方と受ける方との関係というのは全く変わらないわけでありますから、この辺は変えようではないかと。
ただ、そうは言うものの、多数決の世界ですので、もしこの保険法が通ったとしましても、何とか今のような考え方が入れられるような、厚生委員会の先生方は非常にそういう点では専門家がそろっておりますので、なるべくそういうものを組み込んでいただけるような対応はしていただけないかというふうに思っているわけであります。
そんな立場からるるお聞きいたしますけれども、最初に税について高原公述人と樋川公述人に、先ほどお話しあったところではありますけれどももう一度お聞きしたいわけであります。
つまり、二つの点ですね、どちらからお答えいただいて構いませんけれども、譲与税という、これはいわばテクニックでございます、特別会計をつくるとかいろんなテクニックがありますけれども、一般的に言われている税の負担とサービスとのバランスがわからないのでなかなか税というのは難しいんだというのに対して、いや、そこをきちんと行うような対応をすればよろしいのではないかというふうに私は思いますけれども、それについてどうでしょうか。
また、もう一つは、もう少し今度は保険の長所というものを仮に認めるとしますと、きょうもお話に出ましたけれども、五〇%を公費でやる、税を入れる、五〇%は保険で皆さんが負担する、このことの論拠は余りないんじゃないか。みんなが負担をするのであれば四〇%でもいいんじゃないか、三〇%でもいいんじゃないか。この辺の議論がされていないわけなんですが、五〇%公費で五〇%保険でということについてどのようにお考えなのか。ほかのことでも結構でございますが、高原先生、樋川先生お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/454
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455・高原仁
○公述人(高原仁君) 先ほど申し上げたことは重複しますので申し上げませんが、今の措置制度では老人ホームに入ることは老人の権利としてはみなされておりません。公的機関に老人をホームに入れる義務があるために、それから派生する反射的利益であるという法的な解釈になっている。
これはどういうことかというと、日本のこれまでの税に対する考え方の基本でありまして、税をその人に税補助として与えるかという場合には、本当にこの人は税金を投下して救ってあげなければいけないんだというふうな厳しい審査がついて回ってしまう。これだと、介護される側の自由とかそういうものはかなり束縛されるであろう。この辺の考え方、枠組みが変われば私は税でいいと思っております。
ただ、それを今変えるのは現実には難しいので、かといって介護制度をこれ以上導入をおくらせることは現実的でありませんから、なるべく早く介護制度を根づかせていくためには保険制度の方が早いであろうと。財源の問題で、厚生省は当初もっと大きな予算を組んでいたはずですけれども、これが四億になってしまったというのは、それは政治の世界のやりとりがいろいろあったからだと思います。
保険制度のメリットというのは、やっぱり保険は約束事ですから、ずっとお金を払っていたら自分が必要なときに給付が受けられるんだという権利意識が支払い側に生じてきますから、その権利意識の高まりというのはどんどん制度を進めていく上では大変有効な方法だということ。
それから、私は最終的に民間が参入して介護制度をやっていかなきゃいけないと思っておりますから、民間が参入していくということにおいては税であるよりも保険である方が入り込みやすい、そういう考え方で、現実論としては今は保険だろう。いずれもう少し枠組みを考えるときが来たら、だんだん税の比率を上げていって税で賄うようにしてもいいのかもしれない。今民間を導入しなければ二〇〇〇年の時点で実際介護は十分やっていけませんから、そういう意味合いもあって今は介護保険でいいのだろうなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/455
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456・樋川隆
○公述人(樋川隆君) まず、税方式かどうかという問題でございますけれども、福祉制度の中で、例えば介護制度を保険制度にする、そのことによって権利性云々という言葉であるならば、ほかの、例えば障害者の部分については権利性はどうなるのかという部分が当然の疑問として出てまいります。保険制度であれば権利性が保てるのか、措置制度であれば権利性が保たれないのかということ。
確かに今までの社会福祉の、裁判上の問題もあって反射的権利ということがずっと定着していることは事実でございますけれども、私自身福祉事務所での経験を踏まえて考えますと、例えば老人施設に入所される希望者が上がってきた場合に、かなり具体的にその方と一緒に施設を直接何カ所か回って、その方の希望を聞き入れながらというような形の中で実際の行政の現場は進められております。そういう面から考えますと、措置制度であれば権利性が保たれないという発想は私自身は持っておりません。それと、先ほど申し上げた福祉制度全般との整合性のことを考えれば税負担でいいんじゃないかなと思っております。
それと、五〇%云々の問題でございますけれども、一割の定額利用料というのを前提にするのであれば、仮に保険料という格好で集めるのであれば、九割の部分を集めればいいんじゃないかという発想も一方で出てくるんじゃないかなと思うんです。今は一号被保険者と二号被保険者でそれぞれ五〇%、公費で五〇%、一〇〇%の財源を保とうという発想になっているわけでございますけれども、一割の定額負担をするという発想に立てば、それだったらその部分を九割負担でもいいんじゃないかということも考えられるんではないかなと思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/456
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457・山本保
○山本保君 それでは、時間が余りありませんので、ほかにもたくさん聞きたいことがあったんですが少し飛ばします。
今のお話は私も同じでして、それについてはいつも言っていることなんですが、この前児童福祉法を改正しまして、そこでは保育所へ入るのを措置ではないというふうに法律を変えました。法律を変えれば権利性というのはきちんと出てくるということであって、税だから権利がないというのは全く論理的に成り立たないことである。なぜならば、どういう方式をとってももとの金はやはり税ですから。それだけ申し上げます。
それでは、施設区分についてちょっと酒井先生と塩澤先生にお聞きしたいんです。
私は、この保険制度が出てきたときの最初の考え方は、まさに医療と福祉の並立というか、それがまずいんだ、これを一緒にしなくちゃいけないんだというはずだったのに、今度施設区分は残っているじゃないかと。それで、一体三つの施設にそんなに機能の違いがあるのか、まさに現状あるのを分けるだけだろう、こういうものは先に施設の統一をすべきではないかなと私は思うんですけれども、酒井先生、塩澤先生、お願いできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/457
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458・酒井健吉
○公述人(酒井健吉君) 私は、社会福祉協議会という立場で意見を述べさせていただいたわけでございまして、医療的な病床群、あるいは老健施設の件については詳しくはわかりませんけれども、少なくとも一番危惧しておりますのは、ゴールドプランにおきましては、知事から申し上げましたように平成十一年度には施設は十分足り得るという考え方でございますけれども、保険制度ですと権利意識が出て、施設入所という希望が出されますと、これは完全に数字的に足りなくなる必然性が出ております。
ですけれども、この介護保険は在宅福祉を主眼に置いた保険だというふうに私は考えておるわけでございますので、施設の量をふやすのかあるいは介護の認定度によっては、先ほど意見を述べさせていただきましたけれども、このケースにおいては在宅を推進していくのかというようなことをやはり基準に置いたところで認定していかなければならないなということでございます。施設におきましては、老健施設であれ特養施設であれ、考え方は同じでないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/458
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459・塩澤全司
○公述人(塩澤全司君) 施設の種類、認定の程度によってどこの施設に入るかということが問題になるわけですけれども、現在の老健、特養などの施設を一つの施設として認めるというわけにはどうもいかないんではないか。というのは、やっぱり病状によってその施設の必要性があるのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/459
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460・山本保
○山本保君 次に、審査について、判定の問題についてお伺いします。
溝部先生と酒井先生にお聞きしますが、原理的にお伺いしたいのは、今までの判定、特に一次判定七十項目ですか、これはつまり医療的な原因も問わない、それから、これは溝部先生にお聞きしたいわけですが、その方がある障害を実際持っていて介護が必要であるというそのもとについては医療的な原因というのはまず問わないような調査項目じゃないか、そういうふうにでき上がっているんじゃないかという気がするんですけれども、その辺について先生はどうお考えになるかということ。
今度は反対に、その方に社会的な介護体制なり応援体制がどのようにできているかどうかということについてもこれも問わない、それとは関係ない、まさにディスエーブルという時点だけでこの方たちの判定をする、こういう構造になっておると思うわけですが、これについて酒井先生はどのように福祉の側からお考えになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/460
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461・溝部孝二
○公述人(溝部孝二君) おっしゃるとおりだと思いますので、私はかかりつけ医の意見がかなり重要ではなかろうか、このように思っております。なおかつ、今度の平成九年度のモデル事業の結果を慎重に見きわめていきたいと思っております。どれくらいの判定の相違率、誤差率といいますかが出てくるかということを見守っていきたい、このように思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/461
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462・酒井健吉
○公述人(酒井健吉君) 今先生のお尋ねは、私なりに解釈すれば、認定されるかされないかの基準というふうに受けとめておるわけですが、私が陳述いたしました内容は、これは保険でございますので、医療保険のようにすべてというわけにはいかないということであれば、一定のボーダーラインは必要だということは考えております。
しかしながら、金額で申し上げましては失礼かもわかりませんが、この方は六万円程度ではないけれども三万円程度は必要だというようなものが出てきた場合、これは今市町村の社会福祉協議会が市町村から委託を受ける中でこういう方たちの介護、補助あるいは相談等を行っておるわけですけれども、いずれにしましても財源の問題が絡みますけれども、本人負担を少しいただく中で、何らかの財源的な助成をいただく中で第一線の市町村社会福祉協議会がこの辺をフォローしていければなというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/462
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463・山本保
○山本保君 ありがとうございます。
それでは、天野知事にちょっとお伺いしたいんです。
お話の中で、非常に事務量がふえるんではないかというおそれを御指摘があったわけです。その内容区分についてはおっしゃったわけですが、先ほど私どもの方からもお聞きしたことですけれども、額としてどれぐらいふえてくるのだというような見積もりはお持ちでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/463
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464・天野建
○公述人(天野建君) 平成九年度の県予算額では、老人福祉施設の整備におおむね二十億円、五年間分としたものでありますから、一つの目安として先ほど申し上げましたように基盤整備費には約百億円ということになっているわけですが、事務量につきましては、さまざまなケースがございますので、なかなかその額の算定については現在いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/464
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465・山本保
○山本保君 わかりました。
もう一つお聞きします。樋川先生、先ほどの中に、市場原理導入ということについて御批判というかちょっと厳しいことがあったと思うんです。
私も実は前回の厚生委員会で、会社を導入する前に、今一億円要ると言われている社会福祉法人のこの規制が全くナンセンスであって、もっと有為な方に社会福祉法人を例えば三百万円なりぐらいでどんどん認めてこの方たちにやっていただく、これを県がきちんと見ていく、こういうふうにすべきであると主張しているんですけれども、この私の意見について、突然で申しわけありませんが御意見をいただければ幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/465
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466・樋川隆
○公述人(樋川隆君) 法人の認可とかそういう部分が額で算定できるかどうかというのはちょっと私よくわかりませんが、ただ、福祉を提供する側に回るわけですから、先ほど来から出ている、例えば介護をとって考えてみても、スタンダードで数字で出せる部分と、実際のタッチで提供する質をどうやって確保するのかという部分がございますから、一概に資本の多寡で法人の規制云々というのは余り、もちろん安定性の問題はございますけれども、そこだけでというのはどうかなという感じを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/466
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467・山本保
○山本保君 導入についてはどうですか。法人をもっとふやすということについてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/467
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468・樋川隆
○公述人(樋川隆君) そこのところは、先ほど申し上げたように質の問題があります。タッチできるところがきちっと確保できるという部分であるならばふやす、またふやさないと現実的な問題としては間に合わないんじゃないかなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/468
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469・山本保
○山本保君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/469
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470・上野公成
○団長(上野公成君) 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/470
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471・上野公成
○団長(上野公成君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/471
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472・今井澄
○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。
本日はこちらへお世話になって御意見をお聞かせいただきましたけれども、大変参考になっております。特に、現場を踏まえて、例えば介護報酬は地域によって、特性を見て地域格差をつけるべきではないかという御意見とか、例えば上所公述人など低所得者についての具体的な資料を出していただきまして、どういうところに本当に困っておられる、配慮しなければならない人がいるかということについてもお述べいただきまして、大変参考になりました。私どもの審議に生かしていきたいと思います。
さて、私は、いろいろ公述人の皆さん方の御意見にもありますように、将来的にこの介護保障制度をどういうふうにしていくかというのは、税を中心とする方法等、私もそういうものがあると思うんですが、当面現実論の問題として保険制度でやっていく以外にないのではないかという立場からお聞きしたいんです。
まず、今介護保険制度についていろいろ問題点の指摘がありますが、特にマスコミなどではマイナス面ばかりいろいろ取り上げてやられていることもあるものですから、その辺も気になるところですが、いずれにしても新たに国民に負担を求めるわけですので、保険料をいただいた、なのに期待されるサービスが提供できないということになるとこれはもう大変問題だと思いますね。いわゆる保険あって介護なしということにだけはしたくない、私ども法案を審議し成立させようとしている立場からは責任としてもこのことを感じております。
そこで、まず最初に天野公述人にお伺いしたいんですが、まず保険あって介護なしにならない大前提、必要最小限の前提は、国にあっては新ゴールドプラン、都道府県、市町村にあっては保健福祉計画が目的を達成するということ、これは必要最小限の条件だと思います。
先ほどの質問に対して、天野公述人の方からは山梨県においては目的は多分達成できると思うという力強い御証言をいただきまして大変安心したわけですが、昨今のマスコミなどでも六割あるいは七割の市町村が保健福祉計画の達成ができないと言っている、こんなアンケート調査とか何か出ているんですね。私はこれはちょっと報道の仕方がおかしいのではないかと実は思っております。というのは、例えばケアハウスは恐らく達成できないでしょう。だけれども、特養はもうほぼ超過達成しそうな状況にある。項目ごとの中身を抜きにして報道されている点もあるだろうと思いますし、いろいろな点があるだろうと思います。
そもそもがこの保健福祉計画がとてつもない計画をつくったのならともかく、一応現場を踏まえてつくったのだとすれば達成できるだろうと思いますし、国の財政的な支援が足りないと言いますが、これは今のルールで国が二分の一、都道府県が四分の一、市町村あるいは設置者が四分の一ということで、確かに市町村財政が苦しいのはわかりますが、この程度はやるという約束でやっているわけですからできないことはないと思います。ただ、施設をつくろうと思っても土地が買えないとか、それからホームヘルパーなどを募集したけれども応募者がいないということになればこれは問題ですし、都市部ではホームヘルパーの単価が都市部の人件費に見合ってはちょっと安過ぎるという都市部の問題はあると思います。
ですが、山梨県では一応達成できるというお話をお聞きしましたが、マスコミで報道されているように、六割あるいは七割の市町村が達成できないのではないかというふうな報道について、今私見を述べましたが、天野公述人はその点についてどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/472
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473・天野建
○公述人(天野建君) お尋ねの件でございますが、先ほど私が申し上げました保健福祉計画というのは、介護保険制度の提唱される前の平成六年度から平成十一年度までの間におきまして保健福祉計画というものを各町村の計画を積み上げをいたしまして県の計画としてつくり上げているものでございます。
これによりまして、ホームヘルパーの数とかデイサービスセンターとかショートステイとか在宅介護支援センターとか訪問看護ステーションとか特別養護老人ホームとか、あるいは老人保健施設とかケアハウスとか、それから高齢者生活福祉センターの数値を出しまして、これを平成十一年度までに整備をしていくという考え方に立ちまして現在整備を進めているわけであります。
この第一次のいわゆる老人保健福祉計画におきましてはほぼ平成十一年度に達成できる見込みである、こういうことでございまして、その点は御理解をいただきたいというふうに思います。
今後、老人介護保険等の新しいシステムが出てまいりますし、また新ゴールドプランなどで……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/473
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474・今井澄
○今井澄君 いや、私がお聞きしたのはそれのことなんです。その後の問題ではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/474
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475・天野建
○公述人(天野建君) ですから、そういうことでございますので御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/475
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476・今井澄
○今井澄君 どなたでも結構なんですが、マスコミで盛んに新ゴールドプランの目的が達成できない市町村が六、七割あると報道されていることについて何かお考えのある方、おかしいとか、いや当然だろうと、何かお考えがある方がいたらどなたか。——それでは結構です。
それで、保険あって介護なしにならないための二番目の問題は、今天野公述人がお話しになろうとしたことを途中で遮ってしまいましたが、実は介護保険制度が導入された場合どうなるかというそれからの問題だと思うんです。
これについては高原公述人、樋川公述人、溝部公述人、望月公述人、四人の方にお尋ねしたいのですが、平成十二年度介護保険スタート時点、自己負担も含めて約四兆二千億円でスタートしたいというときの試算は、入所に関してはほぼ一〇〇%入所待ちがなくなるという見込みなんですね。これは特養だけではないところがみそなんですけれども、特養、老健、療養型病床群を含めて七十六万床が整備されるということですからそういうことになっています。これは後でお尋ねいたします。
一方、在宅の方は、客観的に見てこの人はホームヘルパーさんを入れた方がいいと思っても、必ずしも本人や家族が希望しないという現実を踏まえて、潜在的ニーズの四〇%が顕在化するだろうということで今試算をしているんです。ところが一方で、保険料を払ったからには今まではホームヘルパーを派遣してくれと言わなかったけれども今度は言うよと、権利意識が高揚してくるという意見があるんです。ですから、四〇%の見込みじゃもう途端に介護保険制度がスタートした時点でニーズが顕在化して足りなくなるだろうという意見がありますが、その点について、いやその程度のものだろう、あるいは、いやニーズが顕在化するだろう、そのどちらだとお考えか、簡潔に四人の公述人の方にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/476
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477・高原仁
○公述人(高原仁君) 一点目の、入所者が……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/477
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478・今井澄
○今井澄君 入所は関係ない、在宅だけです。今お尋ねしているのは在宅のニーズがふえるかふえないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/478
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479・高原仁
○公述人(高原仁君) 明らかにふえると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/479
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480・樋川隆
○公述人(樋川隆君) 私も、瞬間的にかもしれませんが、ふえると思っております。ただ、最初に申し上げたとおり、本県の場合地理的な条件がありますから、山間部に行くと逆に潜在化するということも想定できます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/480
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481・溝部孝二
○公述人(溝部孝二君) 在宅を希望する要介護者はふえるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/481
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482・望月弘子
○公述人(望月弘子君) ニーズはふえると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/482
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483・今井澄
○今井澄君 そうすると、やっぱり四〇%の計算ではホームヘルパーなどは途端に足りなくなるおそれがあるということを皆さん方の御意見としてお伺いしておきます。
三点目ですが、先ほどちょっと高原公述人の発言を遮って申しわけなかったんですが、入所の方なんですが、先ほど貴重な資料をいただきました。上所公述人の資料ですが、ここで高原公述人と上所公述人と酒井公述人にお尋ねしたいと思います。
先ほどの資料四を見ますと、今度のモデル事業でやった中で、施設サービス受給者数五十人のうち、要支援が四人、要介護Iが八人ということですね。要支援の四人というのは、今の基準で言えば週二回程度ホームヘルパーさんが来て、掃除、洗濯、入浴、買い物をやってくれれば、あとは自立して生活できる。自分で御飯もつくれるし、大体生活できるという人なんです。そうすると、こういう人が現に今施設に入っているわけですね。
こういう方がもし在宅の方に移行するとすれば、今単純に施設待ちというふうに言われている、例えば全国で九万人というお話もありましたが、その人たちが全部施設に本当に入らなければいけない、待っているというわけでもないだろう。また、その中には入院している人、あるいは老健にいる人もいるわけです。先ほど申し上げましたように三施設を合わせると七十六万床を整備するという目標で、これは恐らく達成できるだろうと思うんです。
そうすると、ここで、社会的入院という言葉がありますが、社会的入所というのも現実にはあるんではないだろうか。より在宅を重視するということを考えれば、この辺はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/483
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484・高原仁
○公述人(高原仁君) 一般の方々の要求は施設型のサービスを望んでいる方の方が多いです。それと、ここで要支援は四人ですね。数からいくと少ないですよ。
入所待機者が今どのぐらいいるか、現実の数は把握できませんが、実感としては七十六万床で足りるという数ではない。現時点で百万人とも言われている状況があり、一年に大体十万人ずつはふえていっているということを考えても、七十六万床ではとても平成十二年度には足りなくなる、そのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/484
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485・上所洋
○公述人(上所洋君) 要支援が四人今施設に入っておられるということなんですが、これはどうして施設に入っているかという原因はよくわからないんですけれども、やはり社会的な要素というのは当然あると思います、介護ができるかどうか。それからもう一つは、生活能力だけじゃなくて、内部疾患を持っていてなおかつ家庭環境がよくないというふうな方が含まれているんじゃないかと思うんです。
私たちの病院からなかなか退院できない方も、結局見る人がいない。それから、要支援ぐらいの程度であっても、病気の方、例えば腎不全の方とか心臓が悪いとかということで少し動くとすぐに症状が出てくるとか、これは医療の適用になるのかもわからないんですけれども、じっとしていれば余り問題がないような方もおられます。それから、あとは関節とかいろんな整形外科的な疾患でなかなか動けない方、これがここの認定で入ってくるかどうかというのはよくわからないんですけれども、その基準の問題と両方かかわってくるんじゃないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/485
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486・酒井健吉
○公述人(酒井健吉君) これには在宅福祉の推進の仕方にもかかわってくると思います。在宅福祉でも十分やっていけるというような、要介護者がそういう認識をすれば施設は間に合うと思います。
ただ、先ほど陳述の中で申し上げましたとおり、施設も経営が成り立たなければならないという問題になりますと、やはり介護度の高い人を優先というようなことになりかねない部分も出てくるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/486
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487・今井澄
○今井澄君 この辺に関しては、私も病院長をやっていたり福祉施設の嘱託医をやっていたりして思うんですけれども、基本的に、入れられている本人は家へ帰りたい人の方が圧倒的なんです。むしろ家族の都合で入れていることが多いというところに実は今の老人福祉や老人医療の問題点の一つがあるんではないだろうかということ。
もう一つは、本来介護保険は自立支援ということで導入をしようとしているわけですが、自立という面で欧米と日本とちょっと違っている面があるんじゃないかなと思います。在宅の方がきちっとすればかなり解決できるかなと思っているんですが、これは議論をしても切りのないことでありますので、次の問題に移ります。
いわゆる加齢疾病条項というのが非常に問題になっていると思います。
六十五歳以上は原因のいかんを問わず要介護者は介護保険でサービスを受けられるわけですね、認定されれば。ところが、四十歳から六十四歳まで、これも二十歳からという御意見も先ほどありましたが、第二号被保険者の場合には加齢に伴う疾病が原因で要介護状態になった者のみがサービスを受けられる、それ以外の障害による者は障害者プラン、公費によるサービスを受けるということで、谷間はつくらないということになっているわけです。
そこで、塩澤公述人と溝部公述人にお尋ねしたいのですが、この辺で加齢による疾病に伴って起こる要介護状態という場合に、具体的にどんな原因、疾病が考えられるのか。それは広く考えるべきか、それともかなり限定すべきか、その点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/487
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488・塩澤全司
○公述人(塩澤全司君) 四十歳から六十五歳までですね。
やっぱり介護保険の適用が痴呆または痴呆前状態、それから脳血管障害によるもの、もう一つは骨粗鬆症ですか、こういったものが必ずしも六十五歳以上の人に起こるわけではなくて、四十歳でも起こっていることは皆さんも認めるところだと思うんです。ただ、その頻度が比較的少ないということでそういうことが問題になってくるのかもしれません。ですから、それでも六十歳、五十歳代の脳血管障害発生率、それから寝たきりになる人たちというのはある程度存在するんではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/488
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489・溝部孝二
○公述人(溝部孝二君) サービス提供の対象となる要介護認定者は約一割と言われておりますけれども、あとの九割の人々は保険料を掛け捨てるというような形になろうかと思います。四十歳から保険料を掛けておっても、生涯にわたって保険制度の恩恵を受けることのできない人々もいるわけですから、四十から六十四歳までの第二号被保険者は、保険適用は加齢に伴う疾患、先ほど先生がおっしゃったとおりでございます。
ただ、これは塩澤先生が専門でございますけれども、若年者の中におきます筋萎縮性の側索硬化症等々の疾病で家族で介護している方々は大変な苦労をしておるという現状もありますので、その辺の問題をどのように扱っていくかというようなこともひとつ検討されてもよかろうと私は思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/489
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490・今井澄
○今井澄君 次に、認定の問題について簡単にお尋ねしたいと思います。
実は、介護保険でも認定がちゃんとできるのかとか外れたらどうするんだとか、そういうことで非常に介護保険制度は問題になって批判をされているんですが、そこで、まず最初に樋川公述人にお尋ねしたいんです。
樋川公述人がきょうお配りいただきました三ページ目の下から三分の一のところに、「いわゆるモラルハザード現象を起こすことも想定できます。」と。これは恐らく認定の必要性との関係で言われているんだろうと思いますが、その点をもう少し詳しくお話しいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/490
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491・樋川隆
○公述人(樋川隆君) 認定の部分もございますし、私がそこで一番言いたかったのは、今までなかったものが制度として立ち上がってくる、その際に、そこにも書きましたが、潜在化していたものが、先ほどから話に出ていますように権利性ということを前面に押し出していますから、であるならば受けたいということが当然想定をされてまいります。
そういう意味で、今まで比較的日本の福祉、全般的にそうだと思うんですが、家族内福祉みたいなのが日本型福祉とよく呼ばれますけれども、家族内に依存して成立してきた部分が多分にございますから、そういう部分がニーズとして起き上がってくるであろうと思っております。一つのいい例が、施設を建設しますと、種別を問わず入所者がすぐに満ち足りてくるというようなことが考えられると思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/491
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492・今井澄
○今井澄君 どうもありがとうございました。
一つは、認定の問題にまつわる問題として、重く認定した方が月当たり給付される額も多くなるわけですね、先ほど経営の問題も言われましたけれども。逆にいろいろリハビリをやったりして軽くなると、三カ月ないし六カ月に一度見直して軽くなると、今度は低いランクになって安くなっちゃうわけです。そうすると、あえてそんなことはだれもやりたがらないだろうということなんですが、この点について、一生懸命リハビリなり何なりして認定が再判定で軽い方にいった場合に、それにかかわった人にメリットになるような何か、メリット制ですね、そんなものを何か現場でお考えのことがあったらお尋ねしたいんです。酒井公述人あるいは樋川公述人、そんなことで認定が軽くなっていったらその分だけまた評価されるような支払い方法とか何かお考えになったことがありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/492
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493・酒井健吉
○公述人(酒井健吉君) 質問を想定していなかったものですからそこまで考えてなかったんですけれども、リハビリ効果というのは当然出てくると思うわけでございます。悪い方に解釈してはいけませんが、重くなることしか考えていなかったものですから。
当然、私ども社会福祉協議会につきましては、やはり自分の生まれ在所で介護していただくというのが恐らく人間だれしも持っていると思いますので、在宅福祉の充実ということをやはり中心に考えていく、この保険の趣旨もそうなんですけれども、その辺を中心に考えていく方がよろしいかなというふうに、お答えになったかどうかわかりませんが、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/493
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494・樋川隆
○公述人(樋川隆君) 再認定で障害レベルが軽くなったというのは、何よりも御本人が一番喜ぶことだと本来的には思います。基本的には、自立ということ、なかなか自立ということが根づいていない部分が実はあると思いますけれども、自分の力で生活がやっていけるという実感がつかめるようにすること、それが十分なメリットとして返ってくるんじゃないか。
ただ、そのための前提条件として、リハビリだけではなくて、先ほど高原先生おっしゃっていましたが、社会的なシステムとして、そういう方たちがリハビリによって障害認定度が軽くなったという判定になったときに、十分地域で生活できるようなシステムをどういうふうにつくっていくのかというところを整備すれば、それが十分当事者のメリットになるんではないかなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/494
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495・今井澄
○今井澄君 望月公述人、訪問看護の方も関係して、今の軽くした場合に月当たり安くなっちゃうわけですね、保険のあれとしては。そこを、訪問看護ステーションとして、認定で安くなればそれだけ何かメリットになるような方法などお考えになったことがありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/495
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496・望月弘子
○公述人(望月弘子君) 直接考えたことはございませんけれども、先生にそういう視点を与えていただいたというふうにとらえております。
ただ、先ほどのお話にありましたように、私はやっぱり自分の生きる力とか喜びとかというふうなものが、その人自身が軽くなったということによって自分がこれだけできるようになったと、そういう面での支えとか意欲をお持ちになるような形の支援というふうなことで、非常に精神的なものなんですけれども、でも何かそのメリットを何かに返していけるようなものが具体的にあったらいいなと、こんなふうに思いました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/496
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497・今井澄
○今井澄君 それでは最後に、上所公述人とそれから高原公述人にお尋ねしたいんです。
お二人とも低所得者対策ということを特に強調しておられたと思いますが、この低所得者という定義がなかなか難しいんです。本人だけの所得なのか、あるいはその所得も可処分所得で考えるのか世帯単位で考えるのか個人で考えるのか、また家族との同居形態をどう評価するのか、非常に難しいんです。今、医療費の方で低所得者というときの一つの基準は老齢福祉年金受給者、三万五千三百幾らでしたか、ということで、これはもうほとんど八十五歳以上の人しかもらっていないものですね。それから住民税非課税世帯という基準があります。
先ほど上所公述人の資料では、年間所得が百万から百五十万のところに一応一定の線が引いてあって、これだけ大勢いるんだというお話があるんですけれども、低所得者というときには、軽減なり何かする場合、どんなことを基準にお考えになっているのか御意見を伺えればありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/497
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498・上所洋
○公述人(上所洋君) これは生活実感とか本人の主観とかいろいろあってなかなか難しいとは思うんですが、基本的には地方税非課税の方が大体このあたりに当たるんじゃないかと思って線は一応引かせていただいたんです。医療保険の方とほぼ同じ、実際はもっと苦しい方がいっぱいおられるとは思うんですが、当面この辺は救済しないとすぐに大変になってしまうんじゃないかという意味で線を引かせていただきました。まあそんなところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/498
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499・高原仁
○公述人(高原仁君) どういう単位で考えるかということになりますと、医療保険の場合だと本人と扶養というのがありますが、その範囲内で扶養されている人であれば当然その方を扶養している方の所得になりますでしょうし、本人であればその方そのものの所得、一番近い表現をすれば世帯当たりの所得になりますか。それで、具体的な金額については、幾らが低所得者であるということはなかなか明記できない。今、私個人として、年収幾ら以内ということは言えません。
あともう一つは、富裕層がたくさんいるということですね、これに関連した問題としては。例えば年俸二千万以上の所得を上げている方というのは全国で三%ぐらいだそうです。その申告の中に一五%ぐらいは年金受給者がいるという報告がありますから、その方たちまで介護保険を利用した場合に同じような比率で負担していただくのではなくて、そういう方たちからは何らかの方法でもう少し負担をしていただくというふうなことも考えたらいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/499
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500・今井澄
○今井澄君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/500
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501・清水澄子
○清水澄子君 私が最後ですから、もうしばらく御辛抱ください。
きょうは皆様方のさまざまな立場からの御指摘や御提言は大変参考になりました。私どももそれぞれの政党の立場は違いますけれども、厚生委員会においてはきょう皆様方が御発言なさった問題点、また心配されておられる点について大方質問とか議論になっております。ですから、きょう皆様方のさらに具体的な、特に山梨県における実情を踏まえての問題提起につきましては、さらに今後の審議の中に生かしていきたいと思います。
私は社会民主党なんですが、当初はやはり税方式を考えておりました。しかし、結局現状の中でとにかく急がなきゃいけないという面等もありまして保険方式を選択したわけですが、これが将来的に最もよいものというのではなくて、よりよいものにしていきたいという、その希望を持っていることはここで私は報告をしておきたいと思います。ですから、現在提案されている保険方式の枠組みを前提にしていろいろお尋ねをしたいと思います。
まず、今低所得者のところは質問がありましたのでできるだけ重複しないようにしたいと思いますが、望月公述人にお伺いしたいと思います。
それは、要介護者の介護認定は、訪問の聞き取りによって七十三項目のマークシート方式でマル・バツをつけていくということになっておりますね。先ほどの御質問の中では、そこの要介護者の人を診ていないというのがありました。私はそこにもう一つ加えて、生活も見ていないということを問題に感ずるんですけれども、望月公述人としては、このマークシート方式による要介護認定のあり方、この点についてはどのようにお考えになるか。
私は一人ずつに幾つかお伺いしますので、もう一つは、マンパワーの確保、これは最も基礎的なことなんですが、介護報酬の問題との関係では望月公述人はどういうお考えをお持ちであるかということが二つ目です。
それから、要介護認定の不服審査についても問題を提起していらっしゃるんですが、それはどういう苦情処理体制を考えていらっしゃいますか。
そして同時に、サービスの質の確保ということで第三者機関によるサービスの質の確保というのを提起していらっしゃいますが、これについてももう少し御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/501
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502・望月弘子
○公述人(望月弘子君) まず第一に、要介護認定の問題でございますけれども、七十三項目についてのマークという問題ですが、この中で今先生御指摘の生活を見ていないという問題があります。これは実態調査をする段階におきまして、生活が十分見られながら、なおかつ病態的な問題をもとらえていけるというような対処をそういうふうな方が直接行うということで、多くは保健婦がこれにかかわっております、実態調査の中で。そしてまた、いわゆるソーシャルワーカーもその中にかかわっていますし、それぞれが持ってまいりました問題を通して総体的ないわゆる話し合いといいますかカンファレンスを行って補完し合っていくというような問題が今行われております。
その次に、マンパワーの確保の問題ですけれども、この中での介護を行うためのマンパワーということでしょうか。——その問題には、やはり訪問看護、例えば私の立場でしたならば訪問看護婦の確保という問題に入りますが、今行われておりますのは、無料で在宅におります看護有資格者の方々に対しての訪問看護の認定講習というのを行っております。三十日間でございますが、行っておりまして、その方々の認定講習を終えてから、なおかつ臨床部門におけるところの不足部分については基幹の医療機関などで補完していく、研修をしていくというような方法もとられております。そういうふうな中での、質と量のマンパワーの確保というのがありますが、質的にはそのような確保が必要でございます。
ただ、今のところ、医療の依存度の高い方々が在宅に帰ってまいりましたときの訪問看護というのは、やはり臨床の経験、しかもICUとかそのような幾つかの経験する部署というふうなものが大変必要になってまいりますので、そのあたりの力量を持たれた方々をなおかつ確保するという形の中で考えております。
次に、介護報酬の問題でございますけれども、これはやはり今のところ訪問看護ステーションにおきます介護報酬というのは、その報酬とそれからもう一つは管理料金というふうな二つの、基本料金と管理という中で取り組まれておりますけれども、この管理料というのが、医療の依存度の高いケースについて、特に訪問をしていきますと、十二回が一応境目でございまして、その後は大変必要な人たちに訪問しているんですけれども、管理料金が非常に少なくなってしまうあるいはつかないという形で、ボランティアという形になってしまいます。そのあたりについての検討が必要ではないか、検討していただきたいというふうに思っております。
それから、要介護認定の中で不服審査の考え方でございますが、これらにつきましては、その問題に対して対応するところの委員会というふうなものをつくられながらその問題を処理していく、あるいは認定不可になった場合には老人保健法のどのような適用をしていくのかということもきめ細かい視点で検討していく必要があるんじゃないか。また、それをお示しを早くしていただきたい、このように思います。
サービスの質の確保につきましては、これはもう絶対的に必要なことでございまして、これは特に患者といいますか病人から学んでいく、しかもそれに対して保健、医療、福祉というそれぞれの専門性を持った方々がそれぞれの立場から補完していけるような場をつくっていくという、いわゆる保健、医療、福祉の連携の中での専門性という問題、これらをとらえていくということが一点であります。
それから今大変医療の依存度の高いケースが多く在宅に来ております。したがいまして、それらにつきましても、本人とか家族とか含めながら、しかもドクターの指示に従った中でどのような形に看護判断をしながらそれができ得るかという、その面については具体的な研究、研修活動というものが今実際に行われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/502
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503・清水澄子
○清水澄子君 ありがとうございました。
それでは、樋川公述人、第二号被保険者の負担率が示されていないという点で勤労者にとって非常に不安材料だとの御意見がありました。それは私も同感なんですが、どのような心配が具体的に考えられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/503
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504・樋川隆
○公述人(樋川隆君) 今我々は実際毎月の給料の中からいろんな社会保険料等を引かれております。そういう中において、例えば我々は公務員でございますので、年金関係も長期の掛金という格好の長期共済の中で掛金を納めておりますし、医療関係も短期給付という格好の中で掛金を納めておりますけれども、例えば年金一つとってみても、これからの年金財源、五年ごとに財政の再計算をされていらっしゃいますけれども、そういう中において、年金の支給水準額を守るためには掛金率を引き上げていくというようなことも想定がされているわけであります。
そして、そういう中においていろんな社会保障制度をこれから構築していく中において、いろんな形での一人一人の勤労者の負担というのが個々の制度ごとに積み上がってくるということになりますと、実際に我々の可処分所得の問題が、これからの経済発展にもよるんでしょうけれども、非常に響いてくるということであります。
そういう点において、どのぐらいの負担率が想定をされ、この介護保険、保険制度が建前ということでございますから、ということで制度が成り立ち得るのかということが率として、数字としてあらわれてきませんと、我々が実感として年間一体どのぐらい負担するんだろうということがなかなか浮き上がってこないということであります。その辺を明確にしていただければもうちょっと議論が深まるのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/504
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505・清水澄子
○清水澄子君 それでは、山梨県の場合は非常に山間部が多いわけですね。そういう中で介護保険の基盤整備がより重要だということを主張していらっしゃるんですけれども、実際にこうした山間部の在宅介護サービスを十分に担えるようなホームヘルパーの確保というのは可能だとお考えでしょうか。そしてまた、そういう場合、過疎地ほどまだまだヘルパーを自分の家に要請することを嫌うというそういう慣習も非常に残っていると思いますが、特に自治体にいらっしゃいますので、そういう点も含めて、ヘルパーの確保とあわせて、今度はホームヘルパーの身分という点についてはどういう実態で、どういう問題があるとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/505
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506・樋川隆
○公述人(樋川隆君) まず先に二番目のことからお答えしたいと思っておりますが、先生おっしゃるように、別に過疎地というふうに限定しなくても、なかなか他人が家の中に入ってきて具体的に自分の家族に援助をしていくということについてまだまだ一般的になれていないということがまず一点あろうかと思っております。
そして、過疎地という言葉が出ましたが、先ほど私資料でお示ししたとおり、高齢化率の非常に高いところは山間僻地と呼ばれているところでございます。例えば高齢者のいらっしゃるところへ訪問しようと思っても、次のところに行くのにまた一たん戻って別の沢を入っていくというような地理的な要件もございます。そういうことを考えたときに、例えばそれが民間の企業としてヘルパーさんを派遣させるということになった場合に、そのかかる経費、いわゆるコスト論が当然企業からすれば出てまいります。そういう点をかんがみますと、なかなか山間部に行けば行くほど難しいのかなと。
では、その点をどこで担えばいいのかということになりますと、やはり常勤のヘルパーさんを自治体で抱えていくということが必要になってくるのかなと思っております。ただ、その際に自治体にかかる財政的な負担というものが当然ありますので、その点の公的な支援策というのが当然そこには裏づけとしてないとなかなかそれは実施されてこないだろう、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/506
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507・清水澄子
○清水澄子君 ヘルパーさんの身分は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/507
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508・樋川隆
○公述人(樋川隆君) 身分は、先ほどちょっと常勤というふうに申し上げましたが、当然本来的に地方自治体の職員、正規の職員として雇用するのが一番望ましいと思っております。しかしながら、全体的なバランスの問題もございますので全部の方をというふうにはまいらないかと思っておりますけれども、基本は自治体の職員として雇用すべきだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/508
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509・清水澄子
○清水澄子君 それで、介護制度における自治体の保健婦の役割をもっと明確にしなさいと主張されているんですが、これについてはどういうふうに位置づけたらいいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/509
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510・樋川隆
○公述人(樋川隆君) 先ほどどなたかおっしゃっていましたが、今この時点でそれぞれの自治体の中で高齢者の状況を一番把握されているのは恐らく各自治体の保健婦さんだろうと思っております。その保健婦さんたちが具体的に要介護者の方たちに対する介護計画をつくるときのやっぱりキーパーソンになるんだろうなというふうに考えておりますし、直接的に介護の技術的な部分についても支援をする中心的な存在になるべきだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/510
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511・清水澄子
○清水澄子君 今度は介護サービスの質の問題についてなんですが、法案審議の中ではどうしてもまだ量的な面の確保が不足していますからそれに重点が置かれているわけですけれども、公述人は福祉の専門職とのことですので、この介護サービスの質についてどのような内容のものが必要なのか、そして現在の介護保険では何が最も不足していると考えられるか、そのことについてちょっとお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/511
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512・樋川隆
○公述人(樋川隆君) 何が不足しているのかというのはちょっと明確にお答えできないと思っておりますけれども、ただ質の問題は、先ほどちょっと申し上げましたが、要介護者に対してどういうタッチをするのか、タッチという表現もちょっと抽象的で申しわけないんですが、要するにその方たちに対してどういうタッチができるのかというところが専門職として問われてくるところであろうかと思っております。
そういう意味で、量的な部分というよりも、いろんな職種の専門家がそこにタッチすべきだろうと思っていますし、何よりも要介護者が本来的な自立に向けて何ができるかというところがきちっと押さえられるような介護の中身、それを実施することによって質が高まってくるであろう、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/512
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513・清水澄子
○清水澄子君 樋川公述人は税方式がベターだとおっしゃっているんですが、現在私たちは社会保険方式でいきたいというそういう状態の中で、今の介護保険法の枠組みを前提とした場合に、被保険者の権利性の拡大、それをどのようにすれば確保されるというふうにお考えになりますか。例えば低所得者、後期高齢者、そういう人たちの保険料の免除枠を設けるとか、何か具体的な考え方がおありであればお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/513
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514・樋川隆
○公述人(樋川隆君) まず権利性の拡大ということに関しましては、今介護保険法案が話題になっている割には中身的な問題が一般に余り知られておりませんと私は思っております。そういう意味では、そこの中身の情報をいかに広く開示していくかということがまず一点あろうかと思っております。そういうことによって権利性というものが我々一般に認知されてくるのかどうなのかということが一つあろうかと思っております。
そしてもう一つ、後期高齢者、これから七十五歳以上の方が非常にふえてくるということは統計的な数字でございますから間違いないと思っておりますけれども、やはりその方たちあるいは低所得者の方たちが、私はこれが制度として立ち上がるのであれば、平等感というものがやはり全国民的にないと制度としては立ち上がっていかないだろうと思っております。そういう意味では、低所得あるいは後期高齢者の部分に関しての減免的な方式を取り入れることもその一つの方法だろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/514
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515・清水澄子
○清水澄子君 ありがとうございました。
じゃ最後に、天野公述人にお伺いいたします。
山梨県の高齢化率というのは全国よりも非常に高いということで、一七・七とか八とかおっしゃっておられたと思います。それは、全国的に言えば全国の都道府県と政令都市を含めた中では二十四番目ぐらいなんですね。そういう状態の中で、平成十一年には新ゴールドプランのそれを達成して、平成十二年の介護保険の成立のときにはある程度の介護サービスが満たされるというお話が先ほどあったんですけれども、最近、平成八年に老人保健福祉マップというのが発表されているわけです。
それを見ますと、山梨県の場合は高齢化率が非常に早く進んで、四年ぐらい早く進んでいるとかおっしゃったわけですが、このホームヘルプサービスの利用度というのは、百人当たりで年間に何回ホームヘルプサービスを利用したかとか、そういう利用度のマップなんですね。これを見ますと、いわゆるホームヘルパーそのものを利用したというのは年間百人の中で六十一回ぐらいなんです。全国で五十番目になっております。それからショートステイの利用度は年間百人の中で十八回というんですから、百人が一人一回もやっていないということです。やらない方がいいんですけれども、しかしそれは施設か制度が不足しているという意味で、これも五十番目なんです。特養ホームの数も五十二番目、そして老人保健施設も四十番目なんですが、こういう非常に高齢化が進んでいるという県の中で、これだけ制度がおくれている中で、本当に平成十二年のときに今審議している介護保険制度をスタートさせることができるのでしょうか、その点をお聞きしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/515
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516・天野建
○公述人(天野建君) 先ほども申し上げておりますように、現在私ども申し上げておりますのは、平成六年から国のゴールドプランによりまして保健福祉計画というものを策定して、平成十一年度までの福祉計画の策定をするということでございまして、この計画につきましては、それぞれ町村の需要の積み上げをいたしまして県の計画として策定をいたしているものでございます。
そこで、この計画が即十二年から実施される公的介護保険に適用できるかということになりますと、まだ介護保険法の内容が十分に熟知されていない状況でございますから何とも言い得ないわけでありますが、しかし、私どもが今第一の目標として考えておりますのが、平成六年度につくられて平成十一年度を目途に保健福祉計画の整備を進めているこの計画を達成すること、これがまず第一であろうと。そして、その中で、内容がもっと明らかになってまいりますと、これに対してどのようなものを加えていけばよりよい介護サービスができていけるのかという考え方になるというふうに思います。
そこで、先ほども申し上げておりますように、この第一次保健福祉計画の達成がまず介護保険制度導入への早道になる、こういう考え方で整備をしていく。その計画が、私どものこれから努力によるわけでありますが、今ほぼ達成できる見通しではないか、こう申し上げているわけであります。
御存じのように、山梨県は大変山間地域もございまして高齢者比率に大きな開きがあるわけでございます。もう既に三〇%を超えているところが六町村もございます。二五%から二九・九九%、これが約十町村ございます。それから二〇%から二五%以下が約二十町村、一〇%未満の町村というのは二%、こういう状況にあるわけであります。
そこで、今後私どもはこうした過疎地域の介護保険に対する対応というのは少し工夫をしなければならないであろう。仮に一自治体の人口の少ないところで介護保険が導入されてまいりますと、保険と同時に介護の費用というものがバランスがとれるのかということになりますと、なかなか難しさが出てくる。こういうこともあるわけでありますから、そうした問題については今後検討を加えていかなければならない課題であろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/516
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517・清水澄子
○清水澄子君 実はこの介護保険法は、二〇〇〇年になっても非常に地域格差が大きいですからすぐ実行できないだろうというので一応経過措置がついている法律なんですね。ですから、私がお聞きしたいのは、この経過措置は一応五年というのがあるんですけれども、山梨県では一体いつごろまでに、今、この介護保険では要介護者の重度にはどれだけのサービスとか幾らとか介護のメニューを出していますね。それらのメニューや介護サービスが本当に皆さんに公平にという意味では、これを望む人に行き渡るようにするにはやはり自治体、県とか市町村が非常にそれについて積極的な取り組みをしていただかないとなかなかこのスピードは早まりませんし、実効性が上がらないわけなんです。
それで、そういう意味では、山梨県ではいつごろまでにこのサービスの見込みといいますかを実行しようとされているか。それによって、これは市町村ごとにサービスの見込み量によって保険料率が違うという制度なんです。保険料もサービスのメニューがそろわないと低くできるんですよね。そうすると、いつまでも低いのではサービスは手に入りませんし、そういう意味で、自治体の皆さんたちが今度の介護保険法ではそういう点私は物すごくいろいろ疑問とか問題を感じていらっしゃるんじゃないかと思っているんです。
その点で、いつごろ大体、介護保険法が通っても五年後だとか八年かかるかもしれないとか、しかし今私たちは、山梨県はこういうように市町村の関係者を集めてこういう目的を持ってやっているんだということがあれば、ぜひそれをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/517
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518・天野建
○公述人(天野建君) 今、正直申し上げまして、先生のおっしゃるように、介護保険法が導入されまして満足なサービス提供をするということになりますと、この体制を整えることは地方自治体にとっては大変なことだというふうに思います。とりわけ、私先ほどもちょっと申し上げましたように、介護保険法が導入されるに当たってどのように展開をしていかなければならないのかということをあらかじめいま少し細かく地方に情報の提供がありませんと、現在はなかなかそれに対応し切れない、こういう状況がございます。そこで、私はこの介護保険法については、地方自治体のサービス体制というものはどういう形に大体整えるべきか、こういうことをある程度早く指示していただくということが必要だというふうに思います。
そして、当然それぞれの自治体によりましてこれらの整備については格差が出てくるというふうに思いますが、医療保険のような場合は、保険証を持って医療機関に参りまして保険証を提示しますとある程度の水準の医療サービスは受けることができる、こういうことになっているわけですが、介護保険の場合はなかなかそう統一的にはいかない問題がある、このように思います。
そういう意味で、介護保険法を導入する場合に、例えばサービスする場合に、今度は先ほど申し上げました被保険者それから保険者という形の中でこれを運用しなければならない、こういうことになってまいりますから、当然被保険者は自分の受けるべきサービスについてはある程度のサービスの内容というものを考えていかなきゃならない。例えば、今まで社会的な入院の人が今度は介護に回った場合に、医療と介護との格差という問題も当然出てくるわけでございます。こういう問題も私どもは考えていかないと今後大きな問題点が出てくるような気がいたしております。
ですから、介護保険法というのは、導入することによって、実際に自治体が対応する、その対応のあり方についてさまざまな想定できないような問題が提起されるという可能性が私はあるというふうに思っております。
いずれにしましても、今申し上げましたように、平成十二年度を目途に介護保険が導入されるとするならば、その段階までに我々としては今進めている保健福祉計画に基づくサービス体制を整備しておいて、それにどう付加することができるか。もう既に現時点では公的な立場でサービス的な介護、給食、それから社会復帰等のサービスはやっているわけでございます。ですから、それを今度は保険に変えていく、こういうことになりますから、保険に変えるならば、その点をどう付加すればいいかということによって差し当たっての対応が可能ではないか。
しかし、それはレベルのより高いものを求めていくということになりますと、ある程度の期間をかけて整備していく。それから自治体間のバランスをとっていくということについても、施設的にも相当お互いに研究し合い、連携し合わなければ本当の意味の介護保険制度というのは確立ができないだろう、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/518
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519・清水澄子
○清水澄子君 ありがとうございました。
特に過疎という地域には特別のやはり支援策が必要でしょうし、財政的な支援策というのが地方自治体に向けてもっと真剣に受けとめなければならないと思っておりますので、今後とも私どもも皆さんの御意見を反映するように努力してまいりたいと思います。
きょうはありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/519
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520・上野公成
○団長(上野公成君) これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。
この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げます。
皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は、本委員会の審査に十分反映してまいりたいと存じます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
これにて参議院厚生委員会甲府地方公聴会を閉会いたします。
〔午後五時三十一分散会〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00719971113/520
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