1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年十一月二十五日(火曜日)
午後一時一分開会
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委員の異動
十一月二十一日
辞任 補欠選任
長峯 基君 井上 吉夫君
水島 裕君 牛嶋 正君
十一月二十五日
辞任 補欠選任
井上 吉夫君 長峯 基君
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出席者は左のとおり。
委員長 山本 正和君
理 事
上野 公成君
南野知惠子君
浜四津敏子君
清水 澄子君
委 員
石井 道子君
尾辻 秀久君
田浦 直君
中原 爽君
長峯 基君
宮崎 秀樹君
牛嶋 正君
木暮 山人君
山本 保君
渡辺 孝男君
今井 澄君
西山登紀子君
釘宮 磐君
国務大臣
厚 生 大 臣 小泉純一郎君
政府委員
厚生大臣官房審
議官 江利川 毅君
厚生省健康政策
局長 谷 修一君
厚生省社会・援
護局長 炭谷 茂君
厚生省老人保健
福祉局長 羽毛田信吾君
厚生省保険局長 高木 俊明君
事務局側
常任委員会専門
員 大貫 延朗君
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本日の会議に付した案件
○派遣委員の報告
○介護保険法案(第百三十九回国会内閣提出、第百四十回国会衆議院送付)(継続案件)
○介護保険法施行法案(第百三十九回国会内閣提出、第百四十回国会衆議院送付)(継続案件)
○医療法の一部を改正する法律案(第百三十九回国会内閣提出、第百四十回国会衆議院送付)(継続案件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/0
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001・山本正和
○委員長(山本正和君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る二十一日、水島裕君が委員を辞任され、その補欠として牛嶋正君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/1
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002・山本正和
○委員長(山本正和君) 介護保険法案、介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
去る二十日、当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。
まず、名古屋班の報告をお願いいたします。南野知惠子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/2
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003・南野知惠子
○南野知惠子君 名古屋班の委員派遣報告を申し上げます。第一班でございます。
派遣委員は、山本委員長、石井委員、長峯委員、宮崎委員、木暮委員、山本委員、今井委員、西山委員及び私、南野の九名で、去る二十日、名古屋市におきまして地方公聴会を開会し、八名の公述人から意見を聴取しました後、委員から質疑が行われました。
まず、公述の要旨につきまして御報告申し上げます。
最初に、愛知県医師会副会長・大輪次郎さんからは、要介護認定について精神症状のとらえ方など認定基準に問題が多いこと、介護保険と医療保険の整合性確保について検討が必要であること、今後の政省令の整備に当たっては医師会初め関係団体の意見を取り入れていくべきであること、地域支援病院に該当する病院は公的大病院が多く、かかりつけ医支援の役割を果たしてくれるのか疑問であることなどの意見が述べられました。
次に、名城大学都市情報学部教授・平野隆之さんからは、多様な介護サービス供給組織の経営を安定させるような介護報酬を設定すべきであること、介護する親族などの生活の質の向上が介護保険の目的として明記されるべきであること、サービスへの苦情処理手続を充実させるべきであることなどの意見が述べられました。
次に、愛知県理学療法士会会長・勝田治己さんからは、虚弱高齢者を要支援者として保険給付対象としたことは寝たきり予防の観点から評価できること、リハビリテーションにおいて急性期から維持期まで一貫して対応できるような体制づくりが必要であること、制度見直しの際には四十歳以上の要介護者は疾病の区別なく保険給付対象とすべきであることなどの意見が述べられました。
次に、特別養護老人ホームむらさき野苑施設長・常滑市デイサービスセンター所長・磯部栄さんからは、施設介護コストに相当の地域差がある現状で介護保険を導入した場合、安定した施設運営が可能かということ、要介護認定されなかった特養入居者が経過措置期間後に退所を拒んだ場合の対応が心配であること、従来の措置制度における問題点を福祉関係者も反省すべきときであることなどの意見が述べられました。
次に、南医療生活協同組合みなみ訪問看護ステーション所長・石川まち子さんからは、高齢者、低所得者からは保険料を徴収せず、利用料も無料とすべきであること、要介護認定基準を緩和するとともに年齢制限、疾病制限をなくし、サービスを受けやすくする必要があること、国及び自治体の負担をふやして新ゴールドプラン目標値を早急に達成すべきであることなどの意見が述べられました。
次に、豊橋生活リハビリクラブ代表・朝倉義子さんからは、高齢者を家の中に閉じこもらせないという観点からもデイサービス事業が重要であること、現在実施されている公的なデイサービスは各種の制約が多いが、要介護度の高い高齢者でも気軽に利用できるようなものにすべきであること、住民主体の小規模な介護サービス提供グループにも介護保険を適用することによって利用者の選択の幅を広げてほしいことなどの意見が述べられました。
次に、常滑市長・石橋誠晃さんからは、介護保険制度導入に伴い生じる新規事務に要する経費につき国の財政支援を求めたいこと、市町村が広域事業を行う場合の適正規模について指導してほしいこと、保険料の普通徴収事務における市町村の負担軽減を求めたいことなどの意見が述べられました。
最後に、有限会社中日看護センター代表取締役・村上ルリ子さんからは、高齢者のライフクオリティーの尊重が重要であること、介護保険の対象に看護サービス提供事業会社も含めてほしいこと、高齢者による高齢者のためのシルバーボランティア活動を支援して高齢者の持てる力を社会に還元させるとともに、将来、当人が介護保険から給付を受ける際に給付額に上乗せを図ることも考えてよいのではないかということなどの意見が述べられました。
公述人の意見に対し委員より、要介護認定のあり方、家族手当の必要性、介護保険の導入による施設運営上の問題点、施設介護における介護保険と医療保険の線引き、医療と介護の適切な連携確保のための方策、介護の現場から見た介護保険法案の問題点、要介護状態の改善努力を介護報酬で評価する方策、介護報酬の設定のあり方、小規模民間事業者の活用、介護保険導入に伴う利用料負担増によるサービス利用抑制の懸念など、多岐にわたる質疑が行われました。
会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。
以上で第一班の報告を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/3
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004・山本正和
○委員長(山本正和君) 次に、大分班の報告をお願いいたします。清水澄子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/4
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005・清水澄子
○清水澄子君 第二班につきまして御報告申し上げます。
派遣委員は、上野理事、浜四津理事、尾辻委員、田浦委員、中原委員、渡辺委員、釘宮委員及び私、清水の八名で、去る二十日、大分県日出町において地方公聴会を開会し、八名の公述人から意見を聴取した後、委員から質疑が行われました。
まず、公述の要旨について御報告申し上げます。
最初に、大分県看護協会看護婦職能理事・高橋多佳子さんからは、保健、医療、福祉が総合的に支援できる体制が必要であること、介護認定審査会への看護職の参画及び公平、円滑な認定審査の実施を希望すること、介護サービスに地域格差を生じないような体制が必要であること、一般住民に対し十分な情報提供、啓蒙が必要であること、在宅の要介護者にもインフォームド・コンセントが重要であること等の意見が述べられました。
次に、特別養護老人ホームデイサービスセンター看護婦・佐藤済江さんからは、弱者からの保険料徴収、一割の利用者負担は困難であること、施設整備がおくれていること、介護マンパワーが不足していること、介護に当たる者の待遇に問題があること、在宅介護への配慮が不十分であること、施設や家庭で介護に従事する者の声を真剣に受けとめるべきであることなどの意見が述べられました。
次に、大分県緒方町町長・山中博さんからは、サービス供給体制の充実が必要であること、市町村は地域の特性を生かした介護を提供すべきであること、要介護認定には地域的、社会的条件等を考慮に入れるべきであること、保険者である市町村の意見を聞く条項があってもよいこと、市町村の財政力に関係なく一定のサービスが受けられる財政的な基盤が保障されるべきであること等の意見が述べられました。
次に、宇佐市高齢者総合福祉ケアセンター宇水園事務長・瀬戸正行さんからは、要介護認定手続の迅速化のために人材確保が急務であること、保険給付の対象にならない要介護度が軽度の高齢者のデイサービスに公費での対応が必要であること、ケアプランの作成によりサービス項目が限定され現在よりも利用しにくくなるおそれがあること、介護認定審査会に医療関係者が多く福祉関係者からは不公平感があること等の意見が述べられました。
次に、大分県医療生活協同組合副理事長・大伴満男さんからは、現在の施設、ホームヘルパーの整備状況では要介護者への対応に問題があること、介護保険は保険料、利用者負担とも高齢者にとって極めて大きな負担を強いるものであること、要介護認定について客観性等に問題があること、六十五歳以下の要介護者への給付について加齢疾病要件があるなど、さまざまな制約があること等の意見が述べられました。
次に、大分県老人福祉施設協議会介護保険対策委員会委員長・特別養護老人ホーム久住荘施設長・宇戸田実男さんからは、特別養護老人ホーム等の施設整備に減価償却制度を導入し、相当額を介護報酬に算定すること等を希望すること、民間事業者の参入により社会福祉の理念が失われないようにすること、施設の努力による要介護度の改善を介護報酬へ反映するシステムを創設すること等の意見が述べられました。
次に、大分県国見町長・金山尚學さんからは、低所得高齢者の保険料滞納による保険財政の赤字は市町村にとって大きな負担になるおそれがあること、滞納対策等制度の運用に当たっては高齢者間の公平を期すこと、小規模市町村においては要介護認定等の介護保険関連の事務について、広域連合の活用などによる共同実施が適当であり、これに対する国の支援が望まれることなどの意見が述べられました。
最後に、大分県医師会常任理事・半澤一邦さんからは、高齢者介護では医療的側面が大きいにもかかわらず介護保険では医学的視点が余り反映されていないこと、要介護者の選択に任せることが適切な介護の提供につながるか疑問であること、口腔ケアの重要性から認定審査やケアカンファレンスへの歯科医師の積極的な参加が必要であること、高齢者介護における医療の位置づけを議論することが重要であること等の意見が述べられました。
公述人の意見に対し委員より、介護保険導入による事務量の増加の見込み、保険方式と税方式の比較、介護保険導入による福祉後退の不安、医療保険と介護保険の関係のあり方、在宅の痴呆性高齢者等へのインフォームド・コンセント、施設入所者の口腔ケアへの対応、平成十二年度施行への不安の有無、現金給付についての考え方、ホームヘルパーの身分保障、介護基盤整備の継続、デイサービス対象者の範囲、配食・移送サービスの取り扱いなど、多岐にわたる質疑が行われました。
会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。
以上で第二班の報告を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/5
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006・山本正和
○委員長(山本正和君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/6
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007・山本正和
○委員長(山本正和君) 次に、介護保険法案、介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案につきまして、前回に引き続き質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/7
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008・田浦直
○田浦直君 自由民主党の田浦直でございます。
私は、この介護保険法案について幾つかお尋ねをしたいと思っております。前回、国民に対する厚生省の介護保険に関してのPRが足らないのじゃないかということを申し上げましたけれども、それと同時に、もう一つ不可欠なのは市町村の協力だというふうに思うわけです。
市町村長さん方にお会いしますと、賛成する人もおられるし反対される方もおられる。しかし、大多数がまだはっきりつかめないでおるというような感じがするわけです。そのつかめないというのが、一つはやはり数字が出てこない。本当に自分の町でこれがやれるのだろうかという根拠がないということです。これは政省令で決められるという部分がたくさんあるので今のところでは判断の下しようがないというのが大方の考えではないかなと思うわけです。
厚生省からいえば、法案が通ってからきちんとした数字を出したいというお考えかもしれませんけれども、市町村からいえば、法案が決まる前に、自分の町で本当にやれるのか、自分の市でやれるのかという判断をして協力するというふうに行いたいのじゃないかなと思うわけです。
そういった意味でもやはり情報を早く公開する、開示する、そういうことは厚生省としては一番の大事な務めではないかなというふうに私は思うわけでございますが、これについて厚生大臣の御意見をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/8
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009・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 具体的なことについては政府委員から答弁いたしますが、基本的な今のお話でありますが、確かにまだ具体的な事項は決まっていない部分が多いものですから御指摘のような心配は多いと思います。この点につきましては、法案成立前の説明と成立後の説明とではより受けとめ方が違ってくると思います。
本法案審議の中でもいろいろ指摘されております不安、心配面については、今後もよく厚生省として勉強させていただき、その不安がないような啓発活動をどうやって行うかというのは大変重要なことでありますので、今後、ただいまの御指摘を踏まえまして、できるだけ関係市町村等につきましても趣旨が徹底され、市町村自身にも自信を持ってこの制度を導入してもらうような体制をとるよういろいろな情報開示等積極的に行っていきたいと思いますので、よろしく御指導をまたお願いしたいと思います。
より具体的な点については、政府委員から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/9
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010・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険の円滑な運営のために市町村の協力が必要だと、全くおっしゃるとおりだと思います。市町村に対しまして情報をできるだけ速やかに多く提供する必要があるということも御指摘のとおりだと思っております。
私どもは、法案成立前ではありますが、全国担当課長会議を開いたり、それから市町村の質問を受けてまたその質問に対する回答を行ったりしてまいりましたが、今後ともそういう行政ベースでの説明を重ねていきまして、より具体的な説明をしてまいりたいと思います。
また、この運営に関しましては審議会にかけていろいろと議論することになってまいりますが、審議会に係る事項についてはこれを公開して、審議している状況がまた都道府県、市町村にとりましてわかりますような形で情報を公開し、できるだけ多くの情報を市町村にお届けするように努力をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/10
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011・田浦直
○田浦直君 できるだけ早急に、しかも詳しく説明をしてやってほしいなというふうに思います。
市町村や施設の経営者あるいは在宅事業者、これらの方々が財政的あるいは経営的に現実に果たしてできるのかという不安はあるわけです。こういったものを開示をする一つの手だてとしては、今言ったような数字を早く出していただきたいと言うんですが、その中でも介護報酬の見込み数値、あるいは財政や経営のメルクマールとなるような数値、こういったものを早く提示してほしいという希望が多いんですけれども、この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/11
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012・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 介護保険が導入されまして介護報酬がどうなるかということでございますが、これは、法律上はサービスの種類ごと、要介護度ごと、それから施設や事業者の所在所ごとに平均的な費用を勘案して設定することになっております。
具体的にその設定でございますけれども、各サービスの費用の実態を把握すると、これは来年度の予算要求の中でございますが、そういう調査をするということにしております。そして、関係審議会の意見を踏まえながら検討していくということでございますが、恐らく具体的な最終のものが出てくるまでいろんな議論があるかと思いますけれども、節目節目の考え方の整理というのは途中で行われると思います。そういうものをできるだけ明らかにしながら、この介護報酬がどういう考え方、どういう数字で固まっていくのか、これを見込めるような運営上の努力はしたいというふうに思うわけでございます。
ただ、最終的な介護報酬決定、報酬設定そのものは、介護保険制度の費用の半分がいわゆる公費で補われる、その半分が国費で補われるということでございますので、最終的に数字が確定するのは十二年度の予算編成と絡むわけでございます。ただ、予算編成まで一切何もわからないというのでは、これまた準備ができないということも御指摘のとおりだと思いますので、今申し上げましたように、実態を調査し、審議会で議論をし、節目節目でできるだけその時点で明らかになったことを説明しながら、おおむねどういう方向で整理していくかわかるような、そういう努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/12
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013・田浦直
○田浦直君 説明は僕もよくわかるんです。しかし、平成十二年からもう実際にやるわけですから、町村の方もそれなりのやはり見込みと体制を整えなければならぬということになります。そういった意味では、大体いつぐらいまでが限度なのかということ、その辺をひとつ判断をしていただきたいと思うんですが、厚生省側から言うといつごろまでぐらいに出せる、あるいは市町村側から言うとこのくらいまでには出してもらわなければ困るという、そういう時期があると思うんですが、その辺はいつごろだと思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/13
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014・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 内容によってさまざまになってこようかと思います。例えば、市町村の職員であるとか、その体制にどういうものが要るかということはできるだけ早くやる必要があると思っています。この実態も来年度予算要求の中で、いわゆる市町村の事務処理体制、どう要るかということを調べることにしておりまして、そういうものをもとに市町村の事務費がどのぐらいかかるか、体制がどう要るかということを調べて、定数条例で上限にぶつかる市町村におきましては条例改正等も必要になってきますし、その間で自治省との相談も必要になってこようかと思います。そういうことに対応できるように早目早目にその辺は詰めていきたいというふうに思っております。
一方、介護報酬につきましては、まず実態調査をやってからということになってきますので、これはかなり審議に時間がかかるんではないかと、そういう感じでございまして、具体的な最終版の数字が固まるのはぎりぎりになろうかと思います。一方、今までその施設が例えば措置費という予算でこう運営してきたと、あるいは療養型病床群について医療保険でこういうふうな点数がついてきていると、そういう今までの実態もあるわけでございまして、そういう実態との連続性も考えなきゃいけません。そういうことを踏まえながら、最終数字はなかなか申し上げにくいんですが、できるだけ方向を明らかにしながら得心が得られるものをできるだけ早く提示していくと、そういう努力をしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/14
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015・田浦直
○田浦直君 審議官のおっしゃるのはよくわかるんですが、やっぱりクリアカットじゃない感じがするんですね。今の説明で納得しろと言われても納得できないんじゃないかなというふうに思うんです。
僕は、やはり市町村でこの介護法案が成功するためには、市町村長初め市町村の職員の協力が必要だと思うんですね。それには、もう一生懸命やっている、努力しているという姿を厚生省も出していただきたい、それが一つのやはりこの数字だと思うんです。なかなか難しい問題だけれども、自分たちはここで何とかここまでは頑張ってやりましょうというふうな姿がにじみ出てこないかなと僕は思っているんですね。
そういう意味でも、ぜひ早い段階に、大体これくらいの時期にはこういうふうに出てくるだろうと、あるいはそれを出すまでにはこういう過程を経てこういうふうになるんですよという具体的なものを示していただきたいなと思うんです。そうすれば、それなりに幾らかは安心できるんじゃないかと思うんですが、その点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/15
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016・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 市町村の体制につきましては、来年度予算でありますが、できるだけ速やかに、できるだけ早い時期にやりまして、これは自治省との協議とか市町村の準備もありますので、年度の早い時期に調査をし、できるだけ早い時期に、こういう体制が要ると、そのために市町村はこういう準備をしてくれということを明らかにするように努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/16
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017・田浦直
○田浦直君 それから、今お話しになりましたけれども、市町村における職員、この介護保険法が成立しますと、市町村においては介護サービス体制整備支援事業の実施あるいは介護保険事業計画の策定など種々の実務作業がメジロ押しで、事務量も莫大なものになるというふうに思われるわけで、この市町村においては限られた今の総定数の中で必要職員の捻出をしなければならぬというふうなことも生じてくるわけです。私は、これに対して厚生省はやはり増員でもってやってほしいという考えを持っておられると思いますが、総定員法、条例からいいますと、これはなるべくふやすなということになっておるわけですね。だから、関係省庁とよく話し合いをしてから早くその回答をしたいというようなことを述べておられるような気がするんですけれども、これもできるだけ早く具体的に回答してやってほしいと思うんですが、その点についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/17
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018・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 市町村におきます事務処理は、介護保険制度ができますことによって新たに生ずる事務がいろいろとございます。一方で、従前の特別養護老人ホームへの措置の仕組みとかなくなる業務もあるわけでございます。そういう実態を年度当初できるだけ早く調査に入りまして、そしてそこを調べまして、それでどういう体制を組んだらいいか、これをできるだけ早く明らかにしたいと思います。当然、事務量がわかってきますと、それに応じた職員の確保という問題もありますし、これに応じて例えば地方交付税でどう財政措置をしていくかという問題もかかってきます。こういうものにきちんと対応できるように年度早くにできるだけ実態をつかみ、関係省庁等とも協議をしながら、その方向、内容、結論を得るように努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/18
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019・田浦直
○田浦直君 これは前回もお尋ねしましたけれども、やはり自治省と厚生省との話し合いというのがなされぬとなかなか難しい点があるんだろうと思うんですね。一方の方はふやしたい、一方の方は減らしたいということですから、その辺の調整の進みぐあいというのは今はどんなですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/19
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020・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 事務量を調査するための調査票をつくる必要がございます。調査票の検討をしたい、これはそういうお話を担当者レベルでしているところでございます。
一方、人数についてどう要るかと、これは調査をしないとわからないわけではありますけれども、今後の準備、こういう事務がありますとか、まだ量的じゃなくて定性的な話ではありますが、自治省の担当部局の方に説明をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/20
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021・田浦直
○田浦直君 この件も早急に明示をしてほしいと思うわけです。
それからもう一つ、長崎というのは離島も非常に多い、過疎地が多いところですけれども、過疎地ということで、これは介護だけじゃなくして、医療も教育も、いろんな方面にわたってハンディキャップを負っているわけです。介護を実際にやる段階でもいろんなハンディが生じてくるんじゃないかと思っておるんです。
離島における例えば特別養護老人ホームというのが、今大体三十べッドでやっているんです。本来は五十ベッドなんですが、過疎地あるいは離島だからということで三十でいいだろうというふうなことでやっているんですが、これがもう早くから満床になっているわけです。これも本土並みに五十床にしてくれという陳情が各離島から全部上がってきているわけです。町によりますけれども、大体百人ぐらいは待っていて、それを消化するのに二年ぐらい今でもかかるだろうと言われているわけです。
だから、とりあえずは三十を五十にふやすということも必要なんですけれども、そういう意味で、この基盤整備というのが本当に施設に関してできるのかなというのがやっぱり離島の町長さん方の不安なんです。公共事業を抑えろということに今なっているわけですから、ゴールドプランあるいは新ゴールドプランでいろんな基盤整備をやっていかれるとは思いますけれども、この二年間で時間的に間に合わないんじゃないかという心配が非常にあるわけです。
そういった過疎地について何らかの特別の配慮ができないものかという気を持っているわけです。そういったことについて何か御意見を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/21
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022・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 基盤整備の計画でございます。
特に、特別養護老人ホームについてお挙げをいただきましたけれども、私ども、先生お挙げになりましたように、介護保険のスタートに当たりまして介護基盤の整備が大変重要であること、またそういった観点から、特に過疎地域等における基盤整備がまだ道半ばというところが随分あるということ、それは私どもそのとおりだろうと思っておりまして、そういったところに重点的に予算の配賦をする。
また、先ほど先生、過疎地域、離島で三十というのがむしろ五十の方がいいというお話がございましたけれども、これは経過からいきますと実は逆になっておりまして、過疎地域等ですと五十床というとかなり大きいものになってしまうので、それでは建てにくいから三十床に落としても弾力的にやってほしいと。つまり、ある程度以下ですと経営的にはちょっと厳しいんですけれども、そういった弾力的な扱いをしてほしいということで、三十でもいいですよということで実はやっておる措置でございます。
したがいまして、そこの地域の需要に応じましての五十床というのは当然あるわけでありますけれども、それにしましても、まずは新ゴールドプランの整備を進めてまいらなければなりません。そういった意味で新ゴールドプランを達成していく。それから、十一年度末の計画でございますから、十一年度末が終わりましたら、直ちに今度は介護保険に基づく介護保険事業計画という形で新しい整備計画をスタートさせていく。そのための需要というものにつきましては、もう現段階から準備的にその実態把握に努めなきゃなりませんので、地域の要介護の方々についての台帳等の整備についてはかかってくれということは既に指示をいたしておりますが、介護保険法が通りましたら、直ちに介護保険計画の前提となります指針等を制定いたしまして、十年度かけて計画の基礎から積み上げていただく形で計画策定をしていただくように今準備を進めたいというふうに思っております。
その際には、今、先生から入所待機者のお話が出ましたけれども、やはりもう一回、入所待機者という方々が、今後在宅サービスを整える中で、特別養護老人ホームにおける二十四時間の専門的な介護を必要とする人かどうか、そういったことについての精査、あるいは在宅介護サービスを整えることによって在宅でむしろやっていけるということにならないのかどうか、そういった点ももう一回きちっと整理させていただくということがやはり必要だなと。
特に、今年度の整備計画を進めますに当たりまして、既に入所待機者が非常に多いということで特例的な扱いをという話がいろいろ出ました中で、私ども詰めてまいりますというと、調査をした中でもそういった入所待機者という中に、必ずしもそういった本当の需要という意味ではもう少し精査を必要とするものも相当出てまいりましたから、そこらあたりからやっぱり詰めていかなければならないなというふうには思います。
そういった真の需要に対応できるように、新ゴールドプランそしてその次の介護保険事業計画とつないでやはり整備をしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/22
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023・田浦直
○田浦直君 確かに、三十名の特別養護老人ホームというのは町の方からそういう希望が出て、五十を三十で一時的にやるということになったと思うんです。それがやはり今になってみれば見込み違いであった、あるいは高齢化が予想以上に進んだということで、今は五十にしてほしいということですので、ぜひ五十にしてやってほしいと思っております。
待機している人が認定の結果みんな施設に入所するということには恐らくならないだろうと思いますし、また在宅でできる部分もたくさんあると思うんです。ただ、それでもやはり僕は足らないんじゃないかなという気がするわけです。これがやっぱり市町村長さんというんですか、責任者になりますと、何とか解決をしなければいかぬわけです。保険料ももらっている、認定もそういう結果が出る、そういうことになりますと、何とかしなければならぬということになるわけです。
だから、基盤づくりというのにぜひ精力的に力を入れて進めていただきたい。何か今は在宅で何とかやれぬだろうかという方向が強いような気がするんですが、やはり施設は施設でないといかぬという人が必ずたくさんおるんですよ。なかなか在宅で現実にやってみてできないんですよ。そういった人たちを救うのは施設しかないわけですから、その施設を厚生省としてはできるだけ全力を挙げてやってほしいなというふうに思いますけれども、もう一度御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/23
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024・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) やはり特別養護老人ホームにおきまして二十四時間専門的な介護が必要な方、それは当然ございます。したがって、そういった方々に対する備えとして介護基盤の整備の中で施設整備を進めることは大変大事だと思いますので、そういう意味では、特別養護老人ホームも、新ゴールドプランそしてその次の介護保険事業計画の中におきましても重要な柱でやってまいらなければならないと思います。
ただ、在宅サービスでやっていける方、また在宅でできるだけ生活をしたいという方々が、在宅サービスが十分でないがゆえに在宅でなかなか生活ができないというような実態については、できるだけ在宅サービスを伸ばすという方向が今後の方向としては私どもも望ましい方向じゃないかと考えております。そういった施設偏重という形にはならないように、在宅サービスで運営することによって、地域で生活できる方々についてはできるだけそういう方向を目指すという方向は堅持していきたいなというふうに考えておりますし、そういう方向が本当の意味での高齢者の方々のニーズに合ったということになるのではないかなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/24
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025・田浦直
○田浦直君 在宅、これは例えば今、私は過疎地のことを言っているんですが、過疎地では在宅の介護が必要な方が点在しているんです。散在しているんです。したがって、交通に対しても大変時間がかかる。単価からいっても非常に負担が大きいというふうに思うんです。そういった意味では、やはり市町村が単価増というんですか、負担増になる可能性があるなというふうに思うんです。
例えば、私の出身の島、小値賀という小さな島がある、五、六千人の人口のところですが、その島にまた七つ離島がくっついているんです。一つの島に渡るのに、いろいろありますが二、三十分はかかる。そういったところに住んでおられる方々もやはり被保険者になるんですよね。一番小さな島は十二人しかおらないんですね、そのうちの七名は高齢者。そういった島もありますが、そういった方々も当然被保険者ですから、必要が生じたら介護しなければならぬ。
そういうのを見ますと、本当に単価というのがこういったところでは普通の都会よりはもう随分高くなるんじゃないかなというふうに思うんですが、そういったものについて何か配慮がないかという気がするんですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/25
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026・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 離島の場合の介護報酬の設定の仕方という御質問でございます。介護報酬につきましては、その地域における平均的な費用を勘案するということになっておりますので、そういう意味で、地域差の一つに例えば離島等の過疎地域で特に移動に時間がかかると、こういうようなことも当然検討課題の一つになるだろうというふうに思っております。介護報酬は、いわゆるそういう実態を踏まえて審議会で検討していただくことになっておりますが、そのときに論点の一つということでそういうことは当然議論にされるのではないかというふうに思います。
それから、報酬だけではなくて、介護サービスの提供の仕方なんですけれども、この法律上は離島、過疎地域のような著しくサービスの確保が困難なような場合、そういう場合には、本来ですと都道府県知事が指定した法人格を持った事業者がサービスを提供すると、これが基本でございます。市町村におきまして、特例給付というようなことで、法人格を持っていなくても大体似たような給付があれば認めるというのが一般論としてあるわけでございます。さらに、離島等の地域で非常にサービスの確保が難しいというような場合には、そういういわゆる基準該当サービスという、市町村が認めるサービスと相当するようなサービス、もう少し要件を緩和したようなサービスを、特に離島等の場合には市町村の判断で必要だという場合には、サービスとして認めようというような仕組みになっておりまして、そういう形でサービスの供給体制がその地域の特性を生かしながらできるような工夫を法律上認めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/26
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027・田浦直
○田浦直君 ぜひ過疎地が取り残されるような介護にならないようにお願いを申し上げたいと思っております。
それから、この認定をする場合、どうしても共同でやるかあるいは広域でやるか、そういうことをしなければできないだろうと思うんですね。その認定をする場合の広域というか、共同の目安として一つはやはりその認定の事務量で決めるという方法もあるんじゃないかと思うんですね。大体それをどのくらいのメルクマールで考えていけばいいのか、その辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/27
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028・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 特に町村部におきまして要介護認定を行う場合の専門家を十分確保できるかどうかという問題もあるわけでございます。そういうことで、広域的な対応が必要ではないかと。現にそういうことで町村部を中心に少し広域的な対応をやろうということで、九年度行いますモデル事業におきましてもそういう動きがあるところでございます。
これが具体的にどういう規模で行われるかといいますのは、単に案件だけじゃなくて、区域の広さとかそれから普段における行政のつながりであるとか、それからサービス事業者のいわゆる一つの経済圏みたいな、そういう事業展開の実態というのはあると思いますので、これは実態に応じて周辺の市町村が話し合いながら決めていただく話になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/28
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029・田浦直
○田浦直君 今、そのモデル地区でいろんなことをやっておられるわけですが、大体例えば百ぐらいが事務量としていいんじゃないかとか、何かそういうふうな数字では出てきませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/29
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030・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) モデル事業を通じてあるいはいろんな分析ができるかとは思いますけれども、今の時点ではこのぐらいでという話にはなっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/30
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031・田浦直
○田浦直君 そういうふうな過疎地においては、やはり広域とか共同化でやらぬといかぬということが必ず生じてくるので、一つそういう目安をつくっていただきたいと思います。こういったいろんな市町村の声というもの、現場の声というものをぜひ聞き届けていただきたい。
と申しますのは、一昨日、福祉自治体ユニットというのが東京で開かれたと載っています。長崎の人も何人か参加しているんですよね。私も非常にこれは関心を持って見ているんですけれども、やっぱり現場の声というものは非常に有意義な声があるんじゃないか、そういったところからいろんな提案も出てくるんじゃないかと思うんですね。私は、それよりももっと積極的に厚生省の方がそれに参加して御意見を聞くなり意見を交換するなり、そういったことをされるべきではないかなというふうに思いますけれども、そういったことについてのお考えをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/31
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032・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 十一月二十三日に福祉自治体ユニットの設立総会があったということでございます。ここにおきます打合会、あるいはそこでの勉強、資料提供、そういうことが求められたら私どもやっているところでございます。それからこの十一月二十三日の設立総会のときには記念のシンポジウムがありまして、これはシンポジストの一人として厚生省の官房政策課長がそこに招かれて出席しているはずでございます。
この福祉自治体ユニット、いわゆる福祉に熱心な市町村長、特に今までの自治体のリーダーシップというのは大きな市がとっていたという感じがするんですが、この福祉自治体ユニットはどっちかというと県庁所在地の市というよりは中堅の市とか町村長が中心になってやっておりまして、そういう意味では非常に目をみはる動きがあるんではないかというふうに思っております。ここでの活動も恐らくこの設立総会を機に輪が広がるというふうに期待をしておりますが、私どもも一緒になって、福祉行政の基盤は地方自治体、市町村が中心でございますので、手を携えてこういう動きが充実していくように、できる応援はやってまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/32
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033・田浦直
○田浦直君 それからもう一つは、全国に社会福祉協議会というのがございます。これが今まではほとんど福祉を一手に担って活躍してきたんじゃないかなと思うんです。私は、これからも恐らくこの社協が市町村においては柱になっていくんじゃないかなというふうに思うんですね。そういった意味で、まずこの社会福祉協議会についての厚生省のこれまでの活動のとらえ方、あるいはこれからどういうふうに指導されていかれるのか、そのことをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/33
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034・炭谷茂
○政府委員(炭谷茂君) 社会福祉協議会の役割でございますけれども、ただいま先生が御指摘なさいましたように、現在の社会福祉協議会は民間の力を結集してその地域の住民サービスの向上という面で大変大きな活動をしているんじゃないかという認識をいたしております。
社会福祉協議会の役割はその時代時代によって随分変わってきておりますけれども、現在は高齢化という状況をとらえまして、例えばひとり暮らしの老人に対しては声をかけるというような見守り運動とか、また配食サービスといったような法律にないようなサービスをボランティアなり住民の参加を得て実施しているというような形態もございます。
また一方、市町村の方も社協に対する期待というのは非常に高うございますので、市町村から社会福祉協議会に例えば訪問介護とか、また入浴サービスというような市町村事業を社会福祉協議会でやってもらうというような委託もやっております。現実に現在ある市町村社協の七割程度がこういう事業を受け持っておるというふうに認識しております。
このような非常に重要な役割を果たしている社会福祉協議会でございますので、介護保険法の導入後においても社会福祉協議会は非常に大きな役割を果たしてくれるというふうに私ども期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/34
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035・田浦直
○田浦直君 ぜひそういう御指導をしていただきたいと思うんです。
ただ、私が心配するのは、例えば今までホームヘルプ事業というのをやっていましたけれども、その中には身体介護、それから家事の援助、それからもう一つは相談業務、大体こういうのを三本柱でやっておられたと思うんです。今度、介護保険法が通りますと、ほとんど介護の方に集中するんじゃないかというふうに思うんですね。そうしますと、あとの家事の援助とかあるいは相談業務というのがだんだん薄れてくるんじゃないか。認定をされた人たちはいいかもしれませんけれども、そのボーダーラインにおる方々とか非常に高齢の方々とか、そういったところに対するこれまでの援助というのがだんだん後退していくんじゃないかなという心配を私はするわけなんですね。
そういった意味で、これは後退させてはならぬわけですから、その辺をどうされるのかなということをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/35
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036・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 社協等が行っておられます訪問介護、いわゆるホームヘルプサービスの事業でございますけれども、基本的には派遣対象は現在でも身体上または精神上の障害がございまして日常生活を営むのに支障のある高齢者ということでございますから、そういう対象の考え方からいえば、介護保険におきましても同様の方は介護保険の対象になってくるはずでございます。
ただ、実際問題として新たに要介護認定ということが入ってきて、実態上いろいろその認定のそごというのが個別の事例ということで出てまいる可能性、それはございますけれども、まず考え方としては従来の派遣対象になり得るような方々でありますと、まず基本的には介護保険の対象になってくるであろうというふうに思います。そして、介護保険の対象になりました場合には、要介護あるいは要支援でございますれば、そのサービス内容は身体介護だけということではなくて、そこには家事援助を中心とするホームヘルプサービスも同様にやっていくという方針でいきたいと思っておりますし、法律上もそういうふうにサービスの定義はなっておりますので、基本的には引き続きサービスの利用は可能になるであろうと。
ただ、今お話し申し上げましたように、実際の実態というところでどういうふうになってくるかという問題は確かに残ると思います。そういった面で今後、一番典型的にいえば、介護を要するというよりは、介護保険の給付対象にはならないけれども、ひとり暮らしなどで不自由な生活をしておられるというようなところにいかにきめ細かくやっていくかという点につきましては、やはり介護保険だけではなくて、保健予防から生きがいなどを通じました地域の総合的な老人保健福祉の取り組みがやはり重要だろうと思います。
そうした中で、社会福祉協議会の果たします役割といいますものは、今後もいわゆる介護保険だけではなくて、そういう幅広いところで地域の老人保健福祉を支えるという役割は今後とも大事だと思います。
したがいまして、社会福祉協議会がある意味では介護保険の給付の事業主体として、ある側面ではもっと広い老人保健福祉全体にわたるいわば地域の支え手として、両面において地域のそういった需要を支えていただくということになってくるんであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/36
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037・田浦直
○田浦直君 今までは補助金とか助成金とか給付金とかそういったもので社会福祉協議会もやってきたんですが、今度はやはり民間業者との競争になるような気がするわけですね。そうしますと、どうしてもそういうふうな保険の対象にならないような人、今おっしゃったようなひとり暮らしの老人だとか後期高齢者だとか、そういった方々に対しての家事のお手伝いとか、あるいは相談を受ける、そういったことがだんだん後退していくんじゃないかな、保険の対象にならないと、保険が生まれたばかりにそういうものが外れていくという心配を私はしているわけで、そういったことがないようにぜひお願いを申し上げたいと思っております。
以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/37
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038・牛嶋正
○牛嶋正君 平成会の牛嶋正でございます。
十一月六日の本委員会で、私、現行介護制度の抱えております四つの問題を指摘いたしまして、議論させていただきましたが、きょうは、残された選択権に関する問題と効率性に関する問題を取り上げて、介護の分野に投下された資源が効率的に利用されるための条件整備について質問させていただきたいと思っております。
質問に入る前に、ちょっと一点確認したいことがございますので、通告しておりませんけれども、お尋ねさせていただきたいと思います。
それは、きょう議論をさせていただく質問の中で、医療サービスと介護保険の比較を行っておるわけですけれども、そのために私もう一度健康保険法をずっと読ませていただきました。そこで、今提出されております介護保険法施行法案の中にちょっと疑問点を見出したものですから、それを確認させていただきたいと思います。
それは、施行法の二十九条でございますが、その中に、「第四十四条第十二項中「第四十三条ノ二乃至第四十三条ノ十五(」を「第四十三条乃至第四十三条ノ十五(第四十三条第一項乃至第三項、」に改め、同条第十三項中「第四十三条ノ二」を「第四十三条第四項、第四十三条ノ二」に改める。」とありますが、今申し上げました「第四十四条第十二項中」というのは「第十三項中」ではないかと思います。そして、後半の方で、「同条第十三項中」とありますのは、「第十四項中」ではないかと思いますが、これを確認させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/38
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039・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 今、引用されました箇所でございますが、実は介護保険法を国会に提出しましたのは昨年の十一月でございます。そのときは、現在の健康保険法ではなくて、改正前の、さきの通常国会で通る前の健康保険法の条文を引用して、当時はまだ法案が国会に出ていませんので、臨時国会に出したわけであります。それで、その臨時国会に法案を出しました後、健康保険法の改正が国会に出されまして、そしてその国会に出されまして修正がありまして、項ずれ、当初の案の項がずれているというんでしょうか、新しい、その改正によりまして項が少しずれたわけでございます。
今、先生が御指摘になりましたところは、いわゆる順序で言いますと、まず介護保険法を出したと、その後健康保険法の改正を出して、その健康保険法の改正がさきの通常国会で先に成立をしてしまったと、そのために最初に介護保険法で引用した条文の項がずれてしまったわけでございます。
ですから、参議院でこの法案の採決になりましたときには、ここの修正を議院としてお願いをするということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/39
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040・牛嶋正
○牛嶋正君 ほかにもたくさんあるわけですね。そうしますと、後で修正されるとおっしゃいますけれども、我々はいわば間違った法律をこれまで議論してきたんじゃないかと思うんですね。
私は、そんな状況であれば、やっぱり修正は早く出すべきであって、我々はこれを信じて議論してきているわけですが、たまたま今御指摘いたしましたところは確認できましたけれども、私はこうなってくるとほかにも問題があるんじゃないかというふうに思います。そして、そのあたりをきちっとはっきりさせていただかなければ、私はきょうは質問できません。ちょっとお諮りいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/40
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041・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 先般の健保法の改正で修正された箇所でございまして、その修正は私どもわかっておりますので、もし委員長の、委員会の御承諾をいただければ、項がこう移りますという箇所をペーパーにしてお出ししたいと思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/41
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042・牛嶋正
○牛嶋正君 いや、しかしそれは一番最初にやるべきであって、それをやらずに今まで間違っていたいわば箇所をそのまま信じで議論してきたわけですよ。これはおかしいんじゃないでしょうか、委員長。ですから、そこのところをはっきりさせていただかなければ、きょうは私は質問できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/42
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043・江利川毅
○政府委員(江利川毅君) 政府としてこの国会に法案を出しましたときは健康保険法の修正が出る前でございましたので、その時点における正しい条文で書いて出したわけでございます。それから、その後、介護保険法案を出しました次の通常国会で健康保険法の改正があったわけでございますが、そのときはその新しい改正案を出したわけであります。ですから、既に内閣として法案を出しましたときは、その時点における正しい条文で出したと。そして、国会に出したわけでございますが、国会の審議の中で審議の順序が入れかわったと、変な言い方でございますが、健保法が先に成立を見たわけでございます。そのために、出した時点では正しい引用であったわけでありますが、通常国会が終わった時点におきまして、健保法が成立した時点におきまして項ずれが起こっていると。
そして、これはこの法律が初めてということではなくて、出した法案が途中で後から出た法案に追い抜かれる、これは過去にも例があるわけでございまして、政府としましては、出したときのそのときの状態での条文で出しているわけでございますので、従前の法案の提出の仕方に従って出したわけでございます。
そしてまた過去の例では、先に国会での議論で後から出した法案が成立しましたときは、その後国会での、例えば衆議院で議論をしましたときはまだ健康保険法が改正されていませんでしたから、参議院で審議中でしたので、衆議院で採決したときはまだ成立していないということでこのままで来ているわけでございます。参議院に来ました後、健康保険法が成立したわけでございますので、その段階でその後から出た法律が変わって少し条項が移ったということでございます。そして、こういうときは、今までの例ですと国会の方で御修正をしていただいているというのが今までの例ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/43
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044・牛嶋正
○牛嶋正君 いや、今の御説明といいますか、それはちょっと納得できませんね。やっぱり成立した段階で直ちに修正すべきところは修正して提出する、そしてきちっとした法律で我々は議論しなければ、いつもこういうふうに何か議論が終わってから後で修正するなんていうのは、これは私は、手続上おかしいのではないでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/44
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045・山本正和
○委員長(山本正和君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/45
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046・山本正和
○委員長(山本正和君) 速記を起こして。
暫時休憩いたします。
午後二時五分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕
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〔本号(その一)参照〕
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名古屋地方公聴会速記録
期日 平成九年十一月二十日(木曜日)
場所 名古屋市 名古屋都ホテル
派遣委員
団長 委員長 山本 正和君
理 事 南野知惠子君
石井 道子君
長峯 基君
宮崎 秀樹君
木暮 山人君
山本 保君
今井 澄君
西山登紀子君
事務局側
常任委員会専門
員 大貫 延朗君
公述人
愛知県医師会副
会長 大輪 次郎君
名城大学都市情
報学部教授 平野 隆之君
愛知県理学療法
士会会長 勝田 治己君
特別養護老人
ホームむらさき
野苑施設長・常
滑市デイサービ
スセンター所長 磯部 栄君
南医療生活協同
組合みなみ訪問
看護ステーショ
ン所長 石川まち子君
豊橋生活リハビ
リクラブ代表 朝倉 義子君
常滑市長(愛知
県市長会副会
長) 石橋 誠晃君
有限会社中日看
護センター代表
取締役 村上ルリ子君
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〔午後零時二十四分開会〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/46
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047・山本正和
○団長(山本正和君) ただいまから参議院厚生委員会名古屋地方公聴会を開会いたします。
私は、本日の会議を主宰いたします参議院厚生委員長の山本正和でございます。よろしくお願いいたします。
まず、私どもの委員を御紹介いたします。
自由民主党所属の南野知惠子理事でございます。
同じく自由民主党所属の石井道子委員でございます。
同じく自由民主党所属の宮崎秀樹委員でございます。
同じく自由民主党所属の長峯基委員でございます。
平成会所属の木暮山人委員でございます。
同じく平成会所属の山本保委員でございます。
民主党・新緑風会所属の今井澄委員でございます。
日本共産党所属の西山登紀子委員でございます。
以上の九名でございます。よろしくお願いいたします。
参議院厚生委員会におきましては、目下、介護保険法案、介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案、以上三案について審査を行っておりますが、本日は、三法案について関心の深い関係各界の皆様方から貴重な御意見を承るため、当地及び大分県において同時に地方公聴会を開会することにいたした次第でございます。何とぞ特段の御協力をお願い申し上げます。
次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。
愛知県医師会副会長の大輪次郎公述人でございます。
名城大学都市情報学部教授の平野隆之公述人でございます。
愛知県理学療法士会会長の勝田治己公述人でございます。
特別養護老人ホームむらさき野苑施設長・常滑市デイサービスセンター所長の磯部栄公述人でございます。
南医療生活協同組合みなみ訪問看護ステーション所長の石川まち子公述人でございます。
豊橋生活リハビリクラブ代表の朝倉義子公述人でございます。
常滑市長・愛知県市長会副会長の石橋誠晃公述人でございます。
有限会社中日看護センター代表取締役の村上ルリ子公述人でございます。
以上の八名の方々でございます。
この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
皆様には、御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。三法律案につきまして、皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の委員会審査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、お一人十分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べ願います。
まず、大輪公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/47
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048・大輪次郎
○公述人(大輪次郎君) 愛知県医師会副会長をしております大輪でございます。
介護保険法案及び施行法案につきましての私どもの意見を申し上げたいと思います。
まず、愛知県医師会、これは日本医師会も同様でございますが、介護保険制度創設に関する基本的なスタンスは、急速に進展する少子・高齢化社会におきまして、社会保障構造改革の一環として絶対必要な施策であると考えております。
しかし、介護保険法案並びにこの施行法案では、骨格のみが示されておりまして、細目については、今後三百を超えるあるいは四百にも及ぶ政省令等で規定されると聞いております。この規定のいかんによっては、この制度が発足しサービス提供が軌道に乗ったときに、果たして高齢者が現行制度下よりも幸せに暮らせるのか、国の経済優先策のみが中心となるのではないかという懸念を抱かざるを得ません。
以下、政省令で規定されるであろう事項も含めまして、愛知県医師会並びに中部医師会連合で検討した結果を申し上げたいと思います。
なお、十分間では法案のすべてに言及する時間はございませんので、私ども医療担当者にとって特に重要な問題を挙げたいと思います。
まず最初は、利用手続の問題でございます。
要介護及び支援認定につきまして、認定審査会委員はモデル事業ではおおむね五名ということで行われましたけれども、認定に際しまして痴呆などの精神症状のとらえ方にも問題があり、やはりこういった痴呆の認定のできる医師を含めて複数の医師が参加しなければいけないんじゃないかということ。
次に、いわゆるアセスメント項目、認定基準に非常に問題が多くございまして、日本医師会が策定しましたMDS—HCに基づく要介護分類案は医学的な所見も組み入れた非常にすぐれたものでございますので、これも取り入れるべきではないかと思います。また、調査員が客観性の高い調査ができるように調査員の質の向上を図る必要もあると思います。
三番目に、医学的管理の必要な対象者が大部分でございまして、かかりつけ医の意見の評価が非常に重要であると思っております。しかし、意見書様式に書きにくいというか、自由に書くということで逆にばらつきが出たりして非常に書きにくい部分がございますので、改善の必要があると思います。また時には、病院主治医あるいは専門医とかかりつけ医のいわゆる複数の意見書が必要な場合もあるのではないかというふうに思います。
さらに、実際に全面実施されますと、モデルでは百名前後でしたが、これが全面になりますと、委員であるドクターにとっては、日常の診療の上に行うものでございますので認定審査会の業務量が非常に過大となる可能性があるんじゃないかということでございます。それからもう一つ、要介護状態区分に医療処置の必要度が明記されておりません。これも改良の必要があると思います。
二番目に、介護計画策定の問題でございます。
介護支援専門員の養成につきまして、医師はいわゆる県の行う試験を受けないで講習を受けるのみで資格が取れるようにしてほしいという要望が強うございます。これはなぜかと申しますと、もちろん医師という特権を言うのではなくて、非常に多忙に過ごしていて試験を受けたりいろいろの暇がとりにくい。こういうときに試験をやるということになれば、介護支援専門員になろうとする医師が非常に少なくなるんじゃないか、こういうことを考えます。
それから二番目に、給付内容と費用の分担の問題でございます。
介護保険制度が発足すれば医療保険の費用は当然減少すると思われますが、この費用がどこへ行くのか。介護保険料の徴収と自己負担による新たな国民の負担増によりまして、国の医療費を削減しようとの策ではないかというふうな勘ぐりもできると思います。このようなことのないようにお願いしたいと思います。
次に、特別養護老人ホームは全額ほぼ公費で建てられております。また、老人保健施設も一部公費が入っております。ところが、療養型病床群の多くは民間、法人の費用でつくられます。したがって、このような状況で施設、サービスに優劣が生じて公平性が保てるかどうか、これも一つ疑問でございます。
また、在宅介護サービスの大部分が民間委託となると思われますので、その質の監視、チェック機構が必要ではないかというふうに考えます。
それから、介護保険適用型の療養型病床群では、もし対象者が病状悪化して医療を必要とするときは、一般病床または医療保険適用の療養型病床群に移らねばならない。また、在宅療養者の医療部分についても非常にわかりにくい、まだはっきりしない部分がたくさんございます。介護保険と医療保険の整合とその振り分けについてさらに細かい検討が必要ではないかというふうに思います。
三番目に、基盤整備の問題でございます。
介護の基盤整備、特にマンパワーの養成確保に地域格差が非常に著しくございます。果たして平成十二年から公正公平な給付が確保されるのかどうか。単に保険料を減額するとかといった小手先の措置では国民に不公平感が起こるんではないかというふうに考えます。また、施設では特別養護老人ホームあるいは老人保健施設、療養型病床群等が設置されていない地域もございます。このような地域の対象者は一体どうしたらいいのか、よその市町村が受け入れてくれるのかどうか、こういったことも不安材料じゃないかというふうに思います。
いずれにいたしましても、老後の最大の不安要因でございます介護を社会全体で支える仕組みを創設し、縦割りの制度を再編成し、多様な主体から保健医療サービス、福祉サービスが総合的に受けられる仕組みをつくるとうたっておりますが、医療、福祉の現場を知らない、失礼でございますが官僚の机上論としか思えない部分がかなりございます。今後、日本医師会を初め関連する諸団体、職種の意見を取り入れて、政省令によって現実に合わない部分を十分に補完し、二十一世紀の超高齢社会を乗り切れる制度をつくり上げてほしいと思っております。
もし方向を誤りますと、例えば、家族が一生懸命努力して手厚い介護を受けている高齢者ほど受ける給付が少ない、家族がいてもいいかげんに放置されているような高齢者が手厚い給付を受ける。これは日本古来の家族制度を崩壊させるようなことにもなりかねないんじゃないかと思います。
介護保険制度法案につきましては以上でございます。
なお、平成八年度モデル事業として愛知県豊田市で行われたその報告書を、これは医療担当者から見た報告書を資料として提出しております。若干、一分ぐらいいただきまして、第三次医療法改正の問題についても少し触れさせていただきます。
まず、施設機能の体系化の中で、診療所の療養型病床群への転換がうたわれておりますけれども、必要病床数へのカウント、施設基準、人員配置基準等不明の点が非常に多うございます。また、医療保険による一般医療と介護保険との振り分けも非常に不明な点が多いので、現在では転換しにくい状況がございます。経過措置、暫定措置等を含めまして、転換しやすい条件をそろえなければ進展しないのではないかというふうに考えます。
それから二番目に、地域医療支援病院については、基準に当てはまる病院は公的大病院が多く、しかも従来の状況から見てかかりつけ医支援の役割を果たしてくれるのかどうか、また紹介型病院として手を挙げてくれるのかどうか、こういった疑問がございます。また、地域差も病院分布の差も非常に著しくございますので、二次医療圏に一、二カ所などと規定しないで、支援病院を必要とし、適合する病院のある地域からゆっくりと進めるべきではないかと考えます。
医療法改正についても若干意見を述べさせていただきました。
私の発言はこれで終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/48
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049・山本正和
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
次に、平野公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/49
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050・平野隆之
○公述人(平野隆之君) それでは、意見を述べさせていただきます。
私、他の公述人の方々のようにある意味では現場というものを持っておりません。私個人のこれまでの調査研究の成果をもとに、二点にわたりまして意見を述べさせていただきます。
解決が期待されております介護問題のうち、費用問題と介護者の問題につきまして、介護保険法案がどのように対応してもらえるのかということにつきまして若干意見を述べてみたいと思います。
まず、一点目の費用問題のことですが、費用問題というのは、どちらかといいますと社会的な介護費用の財源をどのように確保するか、ややそちらに議論が介護保険の場合にはシフトしているのではないかと思われます。実際に介護を必要とする現場からいたしますと、そういった介護サービスを現場で供給する組織の経営問題というのが極めて大きな問題になってくるんではないかというふうに思われます。また、もう一つは介護されている世帯の家計の問題もやはり大きな費用問題として考える必要があろうかと思います。多岐にわたりますので、その中でも、供給組織の経営問題ついて幾つか懸念されることがこれまでの調査研究においてわかりましたので、少しその点を御紹介させていただきたいと思います。
まず、これまでの、どちらかといいますと予算補助という形と変わりまして、社会保険になりますと介護報酬という形で費用が補てんされることになろうかと思います。それは、ある意味では今回の法案の「目的」の中にも触れられていますように、被保険者がかなり多くの選択肢の中から自分に合ったものを選択する、そういうところをかなり重視する法案になっているわけです。しかし、供給組織の経営問題が十分解決されませんと、多様な事業者の経営というものが保障されないということになりまして、結果的には選択ができない、あるいは経営問題の悪化のために良質のサービスが確保されないというような問題が起こるのではないかと考えております。
例えば、サービスが多元的に供給される、利用者はその中から自分に合ったものを選択するということが考えられているわけですが、経営問題が悪化いたしますと、特定の経営主体が多角経営を行って、その中で利用者が選択せざるを得ない。それは事実上の選択になかなかなっていかないのではないかという問題が考えられますし、また、そこで重要な役割を果たす介護支援専門員がどこまで供給組織の経営問題から自由な判断を下せるかという問題も残ろうかと思います。
それから、介護サービスにつきましては、極めてやはり労働集約的な事業になろうかと思います。そういった労働集約的な事業経営体が、経営問題を回避するために仮に職員を非常勤化するというようなことで対応するとすれば、それは良質なサービスの提供をもたらすことがやや難しくなるのではないかというようなことも考えられます。
それから、これまで福祉というのは、介護の側面ではなくてもう少し広い側面で援助を行ってきたわけですけれども、サービスの内容がやや狭義の意味での介護に限定されて、例えばデイサービスセンターなどが行っていた余暇的な事業などが省略されてしまって、単なる入浴だけをやるとか極めて狭い意味での介護に限定されて効率化が図られるとすれば、やはりそれは要介護者やあるいは介護をする人の生活の質が損なわれる可能性があるのではないかというふうに考えております。
次に、二点目ですが、私は、やはり介護問題のうち介護者の問題というものが大変重要であろうと考えておりますが、今回の介護法案ではややその視点が欠けているのではないかというふうに考えております。ここに書きましたように、いわば介護者、この場合は専門的な介護者ではなくて「親族等」と書かせていただきましたが、介護者の生活の質の向上という目的が介護保険法案の中に明記されていないのではないかというふうに考えます。
確かに、最初の「目的」の中に要介護者の能力に応じた自立生活の保障ということを明確にうたっておりますので、その点では、つまり家族介護を前提にしないで要介護者の生活を保障しようという意図が全面に出ているわけです。その意味では、間接的なあるいは二次的な形で介護者が便益を受けるということになろうかと思いますが、私はその間に、後でも触れますが、やや要求が違ってきたような場合に、ややもすると介護者の生活の質が犠牲にされてしまうということを引き起こすのではないかというふうに考えております。
唯一この法案の中で介護者という言葉が百七十五条に出てまいります。ここに書かせていただきましたように、「市町村は、要介護被保険者を現に介護する者」と、送られてきた資料から慌てて探しましたところ、ここだけではないかというふうな感じがいたします。
そこで介護方法の指導等の事業を市町村は行うことができるということになっているわけですけれども、介護問題と言われている問題が、次に書きましたように医療とは異なりまして、介護者と要介護者の関係の上に成り立っている問題であるというところに着目いたしますと、やはり介護者を支援するということがこの法案の中にもう少し目的として明記される必要があるのではないかというふうに考えております。その意味では、介護者あるいは介護労働の社会的な評価という問題が極めて大事だろうというふうに考えます。
なぜそのようなことを申すかといいますと、具体的に介護サービスを使っておられる利用者の意見などを伺いますと、そのサービスを使わない最大の理由は、要介護者が拒否をするからだという問題が出てくるわけであります。例えば、典型的なショートステイの利用などにはそのような傾向が見られるわけですけれども、そういった問題に対してもう少し介護者の支援、介護休養という問題を事業の目的として明確に打ち出す必要があるのではないか。これは確かに社会保険という原理を使っていて、被保険者の要介護状態ということを保険事故とする限りかなり難しいテクニックかとは思いますが、その点ぜひ御配慮のほどをお願いしたいというふうに思っております。
最後に、幾つかの点で、これは介護保険そのものの課題になるのか、あるいは介護保険を超えてもう少し別の仕組みとして、むしろ介護者の支援というものが必要になる面があるのかもしれませんが、五点ほど介護者の支援課題を述べて終わりたいと思います。
一点目は、今回の介護保険はいわば介護サービスを申請するということから厳密に言うと事故が始まるわけです。要介護状態になるということで事故はスタートするわけですけれども、実際には申請してということになります。そういう点では、要介護そのものが一つのリスクとしてなるためには介護者への情報提供ということが相当精力を持って取り組まれないと、申請がリスクになってしまいかねないということが一点あります。
それからもう一つは、やはりサービスの苦情処理の手続について充実を図っていただきたいというふうに思います。これは、事実上利用者というのは介護者であるという場合が極めて多いわけですので、そういう観点からもこの点は御要望したい。
それから、介護のためにいわば仕事をやめてという問題に対して、どのようにそのことを補てんしていくかということもやはり考えていただく必要があるのではないか。
それから、ある意味では介護者が地域社会から支援されるあるいは支持されるような仕組み、そういった事業が展開しやすい条件整備が必要であろうし、最後に、消費者として被保険者が強化されるという側面はあるんでしょうけれども、やはり一人一人の被保険者は大変弱いと思います。そういう点では、介護者がグループをつくっていろいろな意見表明ができるようなことを支援する仕組みも極めて大事なんではないかと考えています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/50
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051・山本正和
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
次に、勝田公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/51
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052・勝田治己
○公述人(勝田治己君) 公的介護保険の給付対象者の中には、リハビリテーション医療を必要とする人が相当数いるというふうに思われます。
本日は、リハビリテーション医療の一端を担う医療専門職、理学療法士としての立場から意見を述べさせていただきます。
私たち理学療法士の業務の内容は、そこに示してありますとおり、身体に機能障害を受けた人たちに対して機能回復訓練を行います。そして、回復訓練によって獲得した機能を場合によっては維持するための機能維持訓練も行います。さらには、障害の発生が予測される場合、例えば褥瘡、関節拘縮、筋力低下などに対しては、本人や家族、看護及び介護職員に対する指導も含め、私たち自身がその予防に当たっております。
私たち理学療法士の数の点について少し申しますと、日本理学療法士協会という組織がございますが、そこの調べでは、本年九月現在一万六千四百十二名の会員がおります。これから毎年二千名余りの新入会員の増加が見込まれ、介護保険開始が予定されております西暦二〇〇〇年においてはおよそ二万三千名が見込まれております。
次に、私たち理学療法士と介護保険のかかわりについて述べたいと思います。
私たち理学療法士は、障害者や高齢者の自立に視点を置き、QOL、生活の質の向上にも配慮しながら、要介護認定等の調査員や介護支援専門員、ケアマネジャーとして理学療法士の知識と技術を生かしたいというふうに望んでおります。また、サービス担当者会議、ケアカンファレンス等の会たときにびっくりしたのが、とにかくすべでにおいて、衣類の着脱、肌の手入れ、ベッドからの移動、すべてに点数がつけられていまして、介護保険というのは医療保険の介護版なんだなということを感じたわけです。
次に、施設関係の人から説明を受けたときに、ちょうど七月からドイツの施設で始まるということで、聞いておっておもしろかったことは、とにかく当初文面は理想に満ちあふれていたと。けれ議にも参加することで、要介護高齢者の自立支援に向けて積極的に介護保険にかかわっていきたいというふうに思っております。
公的介護保険の成立への期待について述べたいと思います。
介護の社会化による高齢者の自立支援について。
日本の高齢者に対する社会保障は、年金や医療面では世界に誇れるレベルにあると思います。医療の急速な進歩は、以前では亡くなられておられた脳卒中の方々でも早期、急性期から機能回復訓練を実施することによってある程度自力で生活できるまでに回復できるようになりました。
しかし、その一方で、身体に障害を抱えながら地域で生活される高齢者や障害者の方々がふえてきた現実もあります。我が国の高齢者福祉、特に介護の問題では、これまで一部の人々の問題、家族の問題という認識が強く、行政も正面から取り組んできませんでした。その結果、医療機関等で福祉サービスの肩がわりをするいわゆる社会的入院という状況が生まれました。
今回の介護保険では、おくれた高齢者の介護サービス等が飛躍的にふえることは喜ばしいことです。しかし、十分なものとは言えませんので、小さく産んで大きく育てるということが重要であると考えております。
次に、要介護度の分類に要支援者、虚弱高齢者が含まれたことへの評価について述べます。
従来までの国の施策は、寝たきりになった高齢者等への施策が中心でありました。すなわち、寝たきりにさせない、寝たきりをつくらないという予防的視点からの対応はほとんどなく、寝たきりになってからの対応ばかりで後手に回ることが多かったように思います。しかし、今回の介護保険では、予防の観点から虚弱高齢者を要支援者と位置づけ、保険給付の対象に加えたことは評価に値するものと考えております。
これにより、虚弱高齢者等の寝たきり予備軍に対する対応が一層進むことを期待するとともに、理学療法士等の専門知識と技術を生かすことで予防とリハビリテーションの推進に微力ながら寄与することができるのではないかと思っております。
次に、ケアマネジメントによる効率のよいサービスの提供について述べたいと思います。
今回の介護保険において重要な部分を占めるケアマネジメントについては、効率のよいサービスを提供する上で欠かせないシステムであると考えております。その際に、サービス供給量を決定する要介護度の判定において、特に要介護高齢者の障害状況等を含めた身体的能力を診る点ではリハビリテーションに携わる理学療法士や作業療法士等の専門職種が十分に役割を果たし得るものと思っております。
また、ケアマネジメントの分野においても介護支援専門員、ケアマネジャーとしてかかわることやケアカンファレンス等の会議に参加することで、要介護高齢者に対する自立支援を目指した介護サービス計画、ケアプランの作成に十分能力を発揮できるものと考えております。
最後に、検討並びに要望事項。
医療から福祉へ。高齢者の自立支援、予防とリハビリテーションについて。
今回の介護保険による各種サービスのメニューは、要介護高齢者が地域で生活する上で十分なものとは言えません。また、要介護の状態が軽くなると利用できるサービスの枠にも制限が出てくるおそれがあります。本来、要介護高齢者に対する各種サービスは、その状態を維持し自立を支援するためにも継続してサービスが利用できることが重要であると考えております。
介護保険創設の基本理念にもありますように、高齢者の自立支援や予防とリハビリテーションの重視を積極的に進めるためには、医療から福祉への流れ、橋渡しをより円滑に行っていく必要があります。それには、急性期から回復期、維持期へのリハビリテーションの流れを早期に確立していくことが求められます。
介護保険の中では、訪問看護ステーション、訪問・通所リハビリテーション等が給付項目となっていますが、介護保険の構想にあるように、地域リハビリテーションセンター(仮称)や訪問リハビリテーション提供機関のような急性期から維持期までのリハビリテーションを一貫して供給できるような体制づくりの具体的な検討を早急に進めていただく必要があると思います。
保険給付の対象枠の拡大を。
我々理学療法士が障害児や障害者、高齢者までの幅広い対象者と日々接している中で感じることは、保険給付において疾病による差別があってはならないということです。今回の介護保険では、四十歳から六十四歳までの第一号被保険者のうち保険給付対象者となるのは加齢等の疾病による特定疾患に限られるとのことですが、西暦二〇〇五年の見直しの際には、ぜひとも四十歳以上の被保険者はすべての疾病に対して保険が給付されるよう希望します。
以上、リハビリテーション医療に携わる理学療法士の立場から意見を述べさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/52
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053・山本正和
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
次に、磯部公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/53
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054・磯部栄
○公述人(磯部栄君) 愛知県の常滑で特別養護老人ホームむらさき野苑という施設を経営しております磯部と申します。よろしくお願いしたいと思います。
私は、この道もう二十年たつわけなんですけれども、実は父が戦後に戦災孤児、浮浪児の子供たちを集めまして自給自足ということで始めて、私も生まれたときから施設で育ちました。そんなことで、今までずっと感じていたことは何かといいますと、施設の中で人が生きるというのは、やはりゆとりとむだという部分が本当に必要じゃないかというふうに思ってきたわけなんです。
ところが、やっぱりずっと見てまして人手不足なんです。どうしても人手が要ると、そんな状況でずっとやってきました。今回介護保険ということになったときに、今私どもの施設では競争競争と、とにかく施設間もさることながらいろんな民間の企業も入ってくるということで、競争ということが非常に言われているわけなんですけれども、どうも自分自身納得いかないところがあったものですから、だったら今実際に行っているドイツに行ってみようということで、二回ほどドイツに行ってきました。そのときの感想を述べたいと思うわけなんです。
昨年六月に、実は租税方式で行っているスウェーデン、デンマーク、また社会保険方式で行っているドイツを研修してきたんです。やはり余りにも北欧の方がすばらしくて、ドイツがちょっと見劣りをしてしまったところがあったんですけれども、とにかく何がといったら人手が多いんです。その辺のところがやっぱり福祉の原点だなと、そんな気がしているんです。
ドイツに渡りまして、まず在宅の人の話を聞いたときにびっくりしたのが、とにかくすべでにおいて、衣類の着脱、肌の手入れ、ベッドからの移動、すべてに点数がつけられていまして、介護保険というのは医療保険の介護版なんだなということを感じたわけです。
次に、施設関係の人から説明を受けたときに、ちょうど七月からドイツの施設で始まるということで、聞いておっておもしろかったことは、とにかく当初文面は理想に満ちあふれていたと。けれども、来月から始まる介護保険にもう皆さん方は介護ホームの危機だと嘆き、あとやはり収入減。また、すぐ隣の土地に新しい施設ができた、こんなはずではなかったと。またおもしろかったのは、日本の皆さんまねしない方がいいですよという言葉も出まして、それを聞いたときに、これは施設のリストラなんだということを感じたわけです。
そして、実は九月後半からまたドイツに行きまして、今回はベルリンの壁が崩壊して七年たつものですから、旧西ドイツと東ドイツを比較しながら現地の状況を見てきたわけなんです。何せ大変な不景気ということでしたが、施設の方はやっぱりなれたのでしょうか、混乱はなかったということなんです。定員割れもなく減収もないということで皆さん方落ちついていたということで一安心したわけなんです。印象深かったことは、やはり介護金庫、MDKですか、あと地方自治体の黒字という部分を非常に自慢していたことが印象に残りました。
日本の場合、社会保険は実際には保険料と公費半々で運営されるんですけれども、ドイツは全額保険料で賄っているのに、なおかつ運営が黒字ということです。原因としては、やっぱり八〇%現金給付、現金給付イコール半額で済むというところに大きな理由があるんじゃないかと思うんです。
そこで感じることは、これは財政を救うための保険であって、果たして高齢者を救うためのものかなということを感じたわけです。
向こうの介護のパンフレットに、「老いた木を植え替えてはならない」ということが載っておりました。やはり住みなれた土地の方がいいということで、これは在宅支援が目的なんだなということをドイツへ行きまして肌で感じてきたわけなんです。そこが日本はまだ実は明らかになっていない、本当の骨格の部分だけ、肉づけをされていないわけです。そこのところで運用上の疑問が私ら施設では非常にわいてきております。
まず一つとして、今この介護保険というのは、実はドイツの社会保険方式と、あとイギリスとかカナダ、これはケアマネジメントが非常に進んでいるんです、さらにアメリカのアセスメントと、世界のいいところを全部とっちゃってこれから運営しようとする。これは非常にいいことなんですけれども、施設としては非常に混乱が起きているということになっております。だから、介護保険イコールケアマネジメント、またその養成等々、いろいろ今ひっちゃかめっちゃかでして、その辺が何かはっきり整理されていないという方が非常に多いということを感じております。
次に、現在全国でやられておるわけですけれども、措置費収入です。低いところは年間で一人三百万、月二十五万円、高いところは年間六百万、月五十万ぐらいになるわけですけれども、お年寄りにかかる費用がこんなに実は全国で差があるということにびっくりしております。やはり丙地域というか田舎で大規模な施設が一番安い。また、特甲の大都市地域の定員の小さな施設がやはり金額が高くなっておるというところで、今全国を統一してコンピューターを利用して介護報酬を決めるというときに、果たして全国これで安定した運営ができるんだろうか。
そんな中からたまたま愛知県で調査したときに、介護保険になったらどれぐらいの費用になるかといったとき、実は公立施設や単独で補助金をもらっておる施設というのはみんな赤字になっておりました。その補てんはだれがするんだろうか。同時に、実は黒字になるというところもありまして、赤字は約五千万ぐらい、黒字は六千万。これはあくまでアンケートですからしっかりしたあれじゃないんですけれども、約六千万近くの黒字になったところもある。
今、現実に寄附償還ということが原則だと言われていまして、この余ったお金も実際にはどうしようもないということで、私どもとしては、一生懸命経営努力したんだったら利益償還を認めてもらいたいというところもあるわけでございます。そういう一つの運営上の問題があります。
次に、入居者、家族なんですけれども、現在の措置制度で言いますと入院して三カ月は籍があります。ところが、介護保険が導入されますと、入院したとたんに実は籍がなくなってしまうということで、中に入っている人もこれではおちおち病気にもなれないと。当然、運営上の問題があるものですから、入院したらすぐ籍を入れざるを得ない、その辺の問題をどう考えておられるのかということがお聞きしたいところです。
次に、今特別養護老人ホームの施設の中に元気なお年寄りが結構いるんです。それがいい悪いはともかくとして、二〇〇〇年からスタートして二〇〇五年まではその状況でいくということは聞いておりますけれども、それ以後、多分まだ元気な人がいるだろうという予測をしたときに、私ら絶対にこの施設から出ていきませんと、そういうお年寄りもいたりしまして、これもちょっと大きな問題になりそうだなというふうに感じております。
それから、今これから介護保険というと財源を、特に六十五歳以上のお年寄りは年金を財源として支払いを行っていこうとした場合、どうしても所得の低い人ほど収入に占める費用負担が高まるということで、やはり年金生活者にしてみるとちょっと不安なところがあるということが言われております。
次に、職員の方のことなんです。今回、医療関係は非常にいろんな形で参加があるんですけれども、何か福祉関係者はよそに追いやられているような気がしておりまして、もっと今までの歴史も踏まえた形で施設関係者も参加できるような体制にしてほしいなということを思っております。特に、介護認定審査会に施設長というのが入っておりませんものですから、ぜひお医者さんばかりじゃなくて施設長も入れてほしい、そんな気がしております。
それから、介護支援専門員、ケアマネジャーの試験なんですけれども、これまだ受験資格がはっきりしておりません。もうじき始まろうとしておるわけなんですけれども、この介護保険スタート時に全国で四万から五万人つくらにゃいかぬということを言われておるわけなんです。私どもそれ以外の、とにかく社会福祉士、介護福祉士、また社会福祉主事というところも入れてほしいということと同時に、歯科衛生士、特に施設でやっていまして、やっぱり入れ歯という部分がありまして、結構やはり人間は口から食べるから元気になるんだというところの基本、そう思いますと歯科衛生士も非常に関係しております。それと同時に、栄養士は、今地域で言われているんですけれども、結構栄養失調の方が多いということで、そういう方も受験資格に入れていただければうれしい、そんなふうに思っております。
それと、これから経営していくとなると、当然ながらその中で収入減ということも大いに言われております。経営者にしてみると、今人件費が七〇%、八〇%を占めておる。そんな状況の中で、これからどうしても人件費を締めていかにゃいかぬという状況になったときにも、実はやはり施設と職員の中で多分労働争議が起きてくるんじゃないか、その辺も問題じゃないかと思っております。
そんなことで、私ども施設措置費にあぐらをかいている時代は過ぎたなと思っておりますので、とにかくそういうものに対して、福祉関係者も反省しながら、ぜひこの保険、いいものにしていきたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/54
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055・山本正和
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
次に、石川公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/55
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056・石川まち子
○公述人(石川まち子君) 南医療生活共同組合みなみ訪問看護ステーションの石川でございます。
私は、二十五年間看護婦を経験してきまして、訪問看護の仕事に携わって五年になります。現在、六十五名の利用者の在宅療養生活を五名のスタッフでサポートしています。
利用者の概況について申し上げます。
年齢層は、五十一歳から九十八歳で、七十五歳以上の後期高齢者が七四%、八十五歳以上が三五%となっています。寝たきり状態の程度は、厚生省の日常生活自立度判定基準に沿って区分しますと、寝たきりの要介護状態が七四%となっており、そのうちのCランクの最重度状態が四二%を占めています。疾患別では、脳血管障害が五一%ですが、筋萎縮性側索硬化症などの難病や脊髄損傷、がん、呼吸器疾患など多様で、在宅で人工呼吸器を装着されている方も見えます。
福祉サービスの利用状況は、ホームヘルプサービスが二六%、デイサービスが二三%、ショートステイが一二%、巡回型入浴サービスが五〇%となっており、利用率は低く、介護問題は深刻な状態となっています。
今回の介護保険法案がこのような方々の介護支援を改善できるでしょうか。私の考え方を以下申し述べます。
第一に、低所得者にとって費用負担が大きく、利用しづらいばかりか、結果的には利用制限につながる可能性があります。一つの事例を紹介します。
Eさんは、七十四歳のひとり暮らしの女性です。脳梗塞を二度発症し、室内はいざり移動か手押し車による歩行ですが、バランスが悪く時々転倒されています。現在週二回のホームヘルプサービスと週一回のデイサービス、週二回の訪問看護を利用されています。ホームヘルプサービスは住民税非課税で無料です。訪問看護は月二千円、デイサービスは二千九百二十円で一カ月四千九百二十円の費用負担となっています。収入は国民年金で、月額三万三千五百円で生活されています。
Eさんの場合、法案が導入されますと、一割の定率負担で約一万三千円、それに介護保険料を加えると一万五千五百円となります。約三・六倍の負担増が生じ、生活費の半分が介護費用に占められてしまいます。年金生活のEさんは、これ以上お金は出せない、ヘルパーさんにお金がかかったら断るしかない、ころっと早く死にたいとおっしゃっています。このように、介護保険料と利用料の負担は、低年金の高齢者の生活実態を無視していると言わざるを得ません。
第二に、現在、訪問看護やホームヘルプサービスを利用していても、要介護認定に当てはまらず除外されてしまう高齢者がいることです。一つの事例を紹介します。
Kさんは八十八歳の女性です。六十五歳の長男と三十二歳の孫の三人暮らしです。長男は精神疾患にて寝たり起きたりの生活、孫は消防署の交代勤務で不規則な生活。Kさんは日常生活は自立していますが、心臓疾患があるため、掃除や買い物、洗濯などは主治医の指示で制限されており、週一回のホームヘルプサービスと週二回の訪問看護を利用しています。厚生省の要介護認定基準に当てはめてみると、認定から除外され実施しているサービスが中止される事態となります。このように、機能障害がなくても疾病のため生活支援が必要な高齢者がこの法案から漏れてしまうのではないかと不安に思います。
第三に、家族に介護手当を支給しないことです。
一昨年、私どもは介護者の実態調査を行いました。資料が添付してあります。介護者に二十四時間密着しタイムスタディーをとり、どのくらいの時間を介護に費やしているかという調査です。寝たきり度B、Cランクの方を介護されている介護者八名を対象に行いました。平均介護時間が三百三十六・九分で、一番多い方が五百十分、八時間半という結果が出ました。まさに一日の労働時間に匹敵します。
平成八年度の名古屋市の高齢者保健福祉計画の進捗状況は、ホームヘルプサービスが二七・六%、デイサービスが二八・六%、ショートステイが四〇・九%、特別養護老人ホームが八六・四%となっており、入所待機者は二千六百十名で毎年増加しています。デイサービスを申し込むと三カ月待ち、特別養護老人ホームに入所するには三年待ちというのが実態です。最重度でチューブ類がついている方はショートステイもデイサービスも利用困難となっています。介護手当は県と市からそれぞれ七千二百円支給されています。ある家族は介護手当を数カ月分ためてショートステイの利用料に充てています。
介護負担が一向に軽減されていない実情において、介護供給の基盤整備が不十分なまま法案が施行され、介護手当も支給されなければ、介護者並びに家族の負担は一層増してしまいます。
私は以前、介護者の自殺を二例体験しています。一例は、全面介助の夫を一生懸命介護された妻の例で、たった一人で介護されていました。訪問看護の利用も遠慮がちで、福祉サービスは何も利用されていませんでした。夫を在宅でみとった後、自殺されました。もう一例は、痴呆で徘回行動のある妻を介護された夫で、四六時中妻のそばから離れることができず、大変な介護をされていました。妻をみとった後、自殺されました。このような悲惨な事態を二度と引き起こさないような、役に立つ法案でないと困ります。
当ステーションのある南区には、百四歳の双子のきんさん、ぎんさんが住んでおられますが、特定の人だけが祝福されるのではなく、だれもが年をとっても生きていてよかったというような社会にしていかなければなりません。長寿が恨まれ、長命が悲しみとならないような社会にする必要があります。今回の法案は国民の期待を裏切る内容であり、再検討を要請します。
なお、訪問看護婦として以下のよう法案の改善を要望します。
一つは、高齢者、低所得者から保険料を徴収せず、利用料も無料にしてください。第二に、介護や生活支援の必要な人に必要なサービスが保障されるよう認定基準を緩和し、疾病制限、年齢制限をなくしてください。第三に、国と自治体の負担をふやし、介護供給基盤の整備を行い、新ゴールドプランの目標値の達成を早急に行ってください。第四に、保険料滞納者への罰則、ペナルティーを廃止してください。
以上、障害を持っていても高齢になっても、だれもが人間としての尊厳が損なわれず、必要な介護と生活支援が受けられるような介護保険制度となることを期待して、私の発言を終わります。
御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/56
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057・山本正和
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
次に、朝倉公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/57
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058・朝倉義子
○公述人(朝倉義子君) 私は、豊橋生活リハビリクラブの朝倉義子でございます。いわゆる行政側から言うと、無認可の施設で今障害者であるとかお年寄りの方がいらっしゃっているデイサービスをやっております。
今、私たちはかつて人類が体験したことがないことを体験しております。過去の歴史の中でこれだけ多くの老人たちとともに暮らした経験を持っておりません。したがって、社会全体で戸惑って当たり前なのです。みんなで考えるときだと思います。
いわゆるこの高齢化社会の中で問題となっているのは実は二つだけなんです。一つは寝たきりと、もう一つはぼけ、痴呆です。第一章の総則にあるように、狭い意味での「疾病等」があることがこの原因ではありません。実は原因となっているのは閉じこもり症候群と言われるものです。つまり、社会の中から閉じこもる、家庭の中で閉じこもる、自分の中に閉じこもる、そういったことが原因ですべてのいろんな問題が発生しているんです。見たいと思うことがない、聞きたいと思うことがもうなくなってしまう社会、心を動かされるようなことがもうなくなってしまった社会、そういった社会が老人を寝たきりにさせ、ぼけになると社会から追いやられてしまうということが問題行動となって起きてきているんです。
それを解決するにはただ一つ、外にお連れすることなんです。外に仲間をつくることです。厚生省が在宅福祉三本柱と言っているホームヘルプ事業、ショートステイ事業、デイサービス事業のうち、このデイサービス事業なんです。
しかし、今、公的資金が導入されている、それで行っているデイサービスというのは各種の制限が設けられております。年齢制限ですとか六十五歳以上しか使えないとか、障害の種類や程度、重い方はお断り、おむつをはめている方はお断りなんというところがあります。あと、回数制限、一回から二回しかデイサービスには行かれないというのが実情です。時間、これは職員が九時から五時まで勤務するためにお迎えの時間が十時から四時ぐらいとか三時半とか、それでは介護している者が仕事に出ることもできません。このような制限があり、地域で生活していく者のためになってはおりません。デイサービスを中心に置くこと、これが必要だと思います。
でも、デイサービスと今言っても、デイサービスって何だ。実際に御利用になったことがない方にちょっと御説明をさせていただければと思います。利用者の立場に立って考えていただきたいと思うんですけれども、まず今公的資金の導入されているデイサービスというものは十五人以上のものがほとんどです。十五人以上、二十人、五十人なんというデイサービスがございます。ここに御参加いただいている皆様の職場で言ったら、二十人、三十人、五十人、実はそのぐらいのたくさんの集団というのは二百人も五百人も同じです。その大きなデイサービス、つまり皆様の職場である国会というところが大きなデイサービスだとお考えになってください。そこに公的資金は今導入されております。でも、その中で一人一人の顔を見て、何を求めているのか、どういう生き方をしたいのか、どのような発言を求められているのかということを把握するのは無理だと思います。たまには大きな声を出しますし、どなりつけたりもします。だけれども、本当に心をわかってもらうというのは無理なことです。
例えば小さなデイサービス、私どものような七、八人ですとか、まあせいぜい十五人以下と言われるようなデイサービス、皆様の職場で言う例えば党ですとか会派ですとか、そういうことが小さなデイサービスだと思うんです。そのようなデイサービスは心を通わせることができ、仲間づくりができて、私がここでこんな発言をしても大丈夫だぞ、そんなことを言えるデイサービスだと思うんです。
今、厚生省の方からは、この大きな国会であるようなデイサービスに対してお金を出すぞ、保険の適用をするぞ、でもこの小さな党、小さな会派、ここにはお金を入れないぞ、出さないぞと言っているんです。本当にこれが必要じゃないことなんでしょうか。小さなデイサービス、つまり党ですとか会派ですとか、フットワークがいいと思うんです。小さなことをいろいろと考えていくこともできます。一人一人の方がどんな生き方をしたいかということを見ていけると思うんです。その小さなデイサービスにも保険の適用を私たちは希望しております。そのような気軽に利用できて重度の人ほど毎日来れる、毎日昼生き生きと生活をして夜ぐっすりと休む、そんな普通の生活をすることが生活者の間では求められているんです。建物も既存のもので十分です。
私たちのような住民主体で始まったデイサービスが全国で今百四十カ所以上にもなっております。愛知県では十五カ所以上できております。しかも、ここには重度の人が来ます。呼吸器をつけているだの酸素吸入をしている。ほかのデイサービスヘ行かれないからです。その方たちが毎日来ます。一日に三千円以上、時間外も入れると五千円ぐらいお支払いになって来ております。ほかの一般的なデイサービスには一週間に一回か二回ぐらいしか行かれないからです。実費を支払っても利用されます。
私が申し上げたいのは、毎日デイサービスに来れるようにしていただきたい。国会のような大きなデイサービス、小さな党、小さな会派のようなそういうところにも毎日来れるようにしていただきたいと思うんです。全体のデイサービスの単価を下げて事業認定の幅を広げていただきたいと思います。国が今何をしてくれるのか、それを私たちは聞いているんじゃないんです。私たち国民が、住民が自主的にここまでやりましたよ、そこに少しお金を出してください、そのように申し上げているんです。
私たちのような住民主体で始まったグループにも介護保険が適用されて利用者が選択できる。私は、大きなデイサービス、国会のような大きなデイサービスにも行くぞ、そこにはそこのおもしろさがあると思うんです。みんなでやるから楽しいというおもしろさがあると思います。でも、こちらの小さな党、小さな会派のような小さなデイサービスにも毎日行きたい、しかも土日も利用できて夜間も利用できる、そんなデイサービスを基本に置けばそれほど問題はないと思います。
デイサービスの単価は低くて大丈夫です。私たちはこれで今やってきておりますが、でも経済的には大変苦しいです。ボランティアグループとしてしか認められておりません。六百五十円以上の時給を支払うことができません。でも、毎日生き生きとしているお年寄りの顔を見て、障害者の方が、年齢制限もない中で若い二十代、三十代、四十代、五十代の方も見えます。そういう中で私たちは暮らしております。そういう方たちが困らないようにするためには、昼間生き生きとして夜ぐっすり休む、この普通の生活を続けていけるということが実は介護にとって一様に重要なポイントだと思います。ここのところをもう一度考えていただきたいと思います。
資料におつけしましたものですが、私どもの日々の暮らしが出ております。写真で載っております。私どものデイサービス、六十五歳以上の方も非常に多いです。社会的地位の高かった方も多いです。先生とお呼びしなければ答えてもいただけないという方が多うございます。
国会と会派、このことを例にとりまして、よろしくお願いいたします。以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/58
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059・山本正和
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
次に、石橋公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/59
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060・石橋誠晃
○公述人(石橋誠晃君) 常滑市長の石橋でございます。
私ども常滑市は名古屋南に隣接します知多半島の西海岸中央部にございまして、人口は五万二千、自然に恵まれておりまして、この点では高齢者が住みやすいというふうに思っております。
市の高齢化率は十月一日現在で一七・八%、県内都市の中でも率の高い高齢社会でございます。要援護老人は、寝たきり老人、ひとり暮らし老人、痴呆性老人合わせまして約千人ということになっております。当然増加の傾向にあります。また、特別養護老人ホームにつきましては、先ほどむらさき野苑の磯部さんがおっしゃいましたけれども、一カ所ございまして、入所待機者がこの老人ホームの定員よりも多い約百人という状況でございます。
このため、私どもはデイサービスあるいはショートステイの利用によりまして介護者の負担の軽減を少しでもということで努力をいたしておりますが、近年、要介護高齢者を抱える家族の心身の負担は当然のことながら非常に多く重くなってきております。このためますます特別養護老人ホームの増床等充実の要望が非常に高くなっております。そういった現状でございます。
さて、審議されております介護保険に関しましては、地方の自治体の長としての立場から意見を述べさせていただきます。
この法案制定につきましては皆さん御承知でございますので申し上げるまでもございませんが、介護は家族だけでなくて社会全体で支え合う、こういう意識からも心から評価をいたすとともに導入に賛成するものでございますが、導入に当たりまして数点お願いしたいことがございます。
まず国の財政支援についてでございますが、保険制度を新設することによりまして、保険証の発行だとか資格喪失等の管理だとか、あるいは保険料の賦課徴収、支払い、納付状況の管理や督促、滞納処分、それを実施するための新たな電算システムの開発だとか、介護認定審査会事務局としての事務、あるいはそのほか新たな膨大な事務が発生するわけでございます。
さらに、国民健康保険料に介護保険料を上乗せして徴収することになるために国民健康保険システムの変更、あるいは財務会計システムの変更、特別会計の設置など既存のシステムも大幅な変更が必要ということになるかと思います。
こうした経費は、現行の国民健康保険の経費以上にかかるというふうに言われておりますし、要介護認定などにかかる事務経費の二分の一は国から出されるということを聞いておりますが、その基準額や対象経費など詳細なことはまだ不明でございますし、既存システムの変更に要する経費の助成は考えられていないようであります。
保険制度導入に伴うこれらの新規事務などに要する経費につきまして本市は試算しておりませんけれども、人口十万前後の市で毎年二億円、システム変更に数億円と推計がされております。このような多額な経費は、大変今厳しい状況の中で行財政改革にも取り組んでおります私ども市町村にとりまして非常な負担を強いるものになるというふうに思います。ぜひ国におかれましても強力な財政支援策をお願いしたいと思います。
介護保険制度が円滑に導入されるかどうか、まさに私ども一生懸命取りかからなければなりませんが、市町村の体制がうまくいくかどうか、こういうことにもかかってくると思っております。
市町村の事務局体制につきまして、広域化のさまざまな方策があるというふうな説明もされておりますが、どの規模が適正であるかというような指導は行われておりませんで、そういうことにつきましてもひとつ早急に明確化して指導をいただきたいという要望もあわせてお願いを申し上げます。
事務量、事務体制につきましては、法案が成立すれば十年度に実態調査、必要な事務量等を示されると言われております。これも早急にお示しをいただきたいと思います。それにも増して、導入事務につきましても人員が必要であります。その事務量についても早急にお示しをいただきたいと思います。特に人員につきましては、行財政改革の一環として定数増は非常に私ども自治体におきまして厳しい状況であります。この程度は必要であるというようなことを明確にお示しいただきたいと思います。
次に、介護サービス基盤整備についてでございます。
さきに総務庁が発表されました高齢者の健康に関する意識調査によりますと、要介護状態になった場合、介護を受けたい場所は自宅、親族の家でと希望しておられる方が五四・七%という数字が出ておりますが、これは私どもも平成四年に六十五歳以上の全高齢者を対象に調査させていただきました。私どもの市におきましては、在住の高齢者の八〇%が何らかの形で家族にお願いしながら在宅介護でお願いしたいんだ、希望するんだ、こういう意向でございますし、また公的な介護サービスを受けてでも在宅でお願いしたいというのがさらに一〇%ありまして、九〇%ほどは高齢者本人は自宅で在宅介護をお願いしたい、こういう意見でございます。
いろいろなエゴ的な意見もあることは承知しておりますけれども、在宅サービス基盤整備につきましては、その整備に努めるとしても、介護保険制度が導入されますと介護サービスメニューは要介護者や家族の選択となるものでございますから、在宅サービスに仕向けるための何らかの方策が必要になると考えます。これを明らかにしていただきたいというふうにお願いするものでございます。
もちろん、施設、在宅サービス基盤が完全に整備充実してきた時点ではこのようなことは必要なくなるというふうには思いますけれども、施設、特に特別養護老人ホームの数が足りない現在ではどうしても必要でございます。もしそれが明確化できないというのであれば、特別養護老人ホームの整備枠の拡充を認めていただくことを強くお願いしたいと思います。先ほど高齢者の意識の中に自宅介護でと、こういうことでございますけれども、冒頭申し上げましたように多くの高齢者の要介護の皆さんが特別養護老人ホーム入所を希望しておられるという現実もあるわけでございます。どうかそういうことをお願いしたいわけでございます。
このほか、私ども市長の間におきまして、重要な問題でもございますこの介護保険のことにつきましては今論議の中で特に中心となっておりまして、介護認定により特別養護老人ホームの退去が余儀なくされるその受け皿となる施設整備が必要となる、あるいは要介護のランク以上のサービスが必要となった場合に、市町村の超過負担が生じないようにきちっとしてほしい。保険料の年金からの特別徴収の範囲が一定の所得者に限定され、それ以下の所得者については市町村の普通徴収となっておって、この難しいのを市町村でやれと、こういうことになるわけでございます。
このことは非常に難しい問題でございますので、法改正時にあわせて再検討をお願いしたいと、こうしたことも強く要望しておるわけでございまして、このことを申し添えまして、市町村の立場で御意見を申し上げたわけでございます。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/60
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061・山本正和
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
次に、村上公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/61
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062・村上ルリ子
○公述人(村上ルリ子君) 有限会社中日看護センターの村上でございます。
介護保険法案は遅過ぎた感があります。それは平成元年からサービス提供を続けている私たちが叫んできたことでした。
ここで、当センターで行われているサービス内容を述べ、介護保険法案、その施行法案への私の意見を述べさせていただきます。
当センターの受け付けは、本人から、家族から、病院の婦長さんを通じて担当ナースから、ケースワーカーから、ごくまれにドクターとか会社の庶務課の方から、保健婦からと、多くは電話で申し込まれます。在宅の場合も病院に入院の場合も、申し込みと同時に、私を含む当方のリーダー看護婦が訪問し、対象者を観察に伺います。退院の前にケアカンファレンスを家族、ナース、メディカルソーシャルワーカー、時には主治医も加わって行われます。アセスメントです。
これは、退院と同時に当センターのナースたちだけのかかわりでよいのか、ナースとヘルパーととのミックスがいいのか、家族や親戚がどこまでできるか、さらに本人はどう思っているのか、本人の病状をどう理解しているのか、それから本人のQOL、クオリティーはどのようなものなのか、性格や癖、どんな位置づけで生活しているのか、対象者自身の可能な動きの分野を模索しながら本人や家族の負担を考える。それと同時に、当センターの限られた人員を効率よく使うことも考慮し、長続きさせていくためには最も重要なことなんです。ニーズに応じたサービス提供と安価に継続の確保です。
二として、介護保険法施行法案のケアマネジャーとは、当センターの私を含むリーダーナースが行っていることと解釈しています。県下のゼロ歳から九十六歳の会員に、その健康状態から、残存能力と予測でき得る症状と家庭状況、住宅環境を踏まえ、会員のニーズに対して当センターのサービスと社会資源のサービスとをどう結びつけていくかを常に考えて行動しています。必要な人に必要な時と必要な種類のケアを九〇%ぐらいの必要度だけ提供することをモットーにし、必要以上、一〇〇%はすべきではないと考えながら提供しています。それは、すべてを提供するとやる気はなくなって、やる気を起こさせるには、それが不満から生まれると実感しているからです。
三、しかし、この一連の行為は年会費三万円の中で行われます。実際にナースやヘルパーがかかわって初めて料金の対象になります。ちなみに会員になる方には、安心代といってあらかじめ入っている方と面接したとき入会という方と二通りあります。
介護保険法施行に非営利の看護、介護サービス提供所は会社、有限とか株式は含まれていないようですが、私は社会は省令や政令、制度で保護し、個人は責任、税金とか保険料を納めるなどで社会にこたえ、自由競争で活性化させることが真の自由で社会民主主義的な考え方であろうと思っています。
四、ところが、長期化すると本人や家族の経済的負担が大きくなり、さらに最初は参加していた家族や親戚、兄弟も経済的なことでかかわれなくなったりで在宅を続けていけなくなるケースが年々多くなっています。会員はふえているんですけれども、途中で再入院、社会的入院もふえました。病院以外の施設入所適用者も多いのです。施設入所をさせるべく援助もしました。厚生省は一五%ぐらいと報告しておりますが、私たちが調べた範囲では、施設入所者の三〇%ぐらいは社会的援助さえあれば在宅でも生活可能だと思っています。
五、当センターは二十四時間対応型です。今の季節には夜中にぜんそくの発作があったり心臓発作があったり、熱がないのに震えがとまらないとか、昼にお医者さんに行ってきたのに苦しがっているとかで要望があり、電話指導で家族や本人の協力で解決しない場合は会員のところへ走っていきます。そして観察し、必要があれば開業医の先生と連絡をとって、指示を受け、とん服や注射をいただきに走り、処置することも多いのでした。当センターの非会員でも困っておられる方は少なくないと思っています。そのために、看護リーダーは自動車と運転免許証の取得は必須なのです。
料金は下に書いておりますが、十年間、開設当時から料金に変更はありません。年会費のみ一万円アップしています。
六、当センターは後払い方式です。三人家族で六十六歳の母親と三十一歳の息子と六歳の小学校前の女の子がおられ、母親がリューマチで在宅治療をしながら孫の面倒と調子のよいときは家事の一部を担い、買い物や洗濯、掃除は息子さんが行い、会社勤めをしていました。夜間の介護と家事の負担などからか、風邪をこじらせ休んでいるうちに会社が倒産して失業してしまいました。一時的に生活保護をもらいたいと相談に行きましたら、二百万円弱の貯金でも貯金があるからと断られ、会員になり、とりあえず週三回、同日午前と午後に分かれて一時間ずつ年金内でのサービスを要望され、それを開始しました。
かかわって十カ月目、その間、息子さんはまだ失業中で、時々アルバイトをしていたけれども、精神的に大分参っているようだということを報告はされていたんですが、息子さんのケアまでは手が届かないで放置していたところ、母親が救急車で入院になり、三日目にお亡くなりになり、お葬式の手配の手伝いもし、子供の世話も少しながらし、五日過ぎて前の月の請求書を持参しましたところ、引っ越しておりませんでした。それで、いろいろ捜したけれどもともかくだめで、あきらめていたところ、半年ほど過ぎてから支払いに来まして、息子さんの苦情を聞きながら、そのときほど医療保険のような在宅介護保険の必要性を痛感したことはないのです。
七、四十年前の日本では九〇%の人が在宅で死亡していた。その後二〇%になり、現在では四〇%になりつつあります。その意識の変化にも介護保険の必要性を感じます。
八、当センターの入浴サービスは会員宅にある浴槽を使用しています。家族に手伝っていただくか、センターのナースかヘルパー同士の交代時間帯にお互い協力し合って行っています。介護保険法案では対象になっていませんが、当センターで入浴を希望する会員は九六%です。やっぱり自分のおふろがいい、自分の家がいい、年をとると楽しみはおふろとおしゃべりと言います。残りの四%は、自宅の浴槽が小さ過ぎたり、業者に頼んだ後だったり、同じ浴槽に入るのが嫌だという複雑な心情で家族の理解が得られなかったからです。料金は一回四千円です。希望にもよりますが最多は週二回です。二十四時間当センターのナースやヘルパーで看護、介護しているケースは入浴は無料です。
九、介護保険法案では対象になっていませんが、当センターでは骨折術後の三十四歳以下の会員や障害児、若年性筋無力症などの十七例の短期間でのサービス提供の経験があります。
十、平均して一日に一回は話し相手が欲しいと電話がかかってきます。毎回違う人からかかってくるので困っています。会員のときもあり非会員のときもありますが、施設に入所しているのに自宅に帰りたい。最初はよかったが、入っているのはおかしな人ばっかりで会話ができない。会話を楽しめるのは職員の人たちだが、あの人たちはいつも忙しい忙しいと言って話し相手になってくれない。また、なってもらっても申しわけない。
また、もう一人は、息子夫婦と敷地内住宅で別棟に住んでいるんだけれども、一週間に一回顔を見るだけでほとんど話もしてくれない。嫁は物を置くか取りに来るだけでほとんど話はしない。孫は勉強が忙しくてずっと顔も見ていない。友達もみんな年をとって耳が遠くなったり足が悪い人ばっかりでつまらない。
気が遠くなるぐらいのゆっくりさと、繰り返し繰り返し言うことを聞くのにはコツと忍耐が必要です。それを聞いている私は看護短大出身で、訪問看護を四週間、実務と理論、それから心理、精神看護四十八時間、卒後、老人看護・保健を三年間勉強した私でもやや苦痛になります。知的障害はないが、このまま放置させない処置が必要です。これは痴呆の予備軍だと思っています。
電話をかけてくるその中でも、きょう運転免許証の更新をしてきたと喜んで報告してくれた七十四歳のおばあさん、一人で生活していれば寂しいと思うときもあるけれども自分に合ったリズムでだれに遠慮することなく好きなことができてうれしい、九十二歳のおばあさんを見舞ってきたと笑いながら言う八十五歳のおじいさんの話を聞くと、人の幸せは社会制度いかんで決まるのではなく、個人の生き方次第で決まるように思えてきます。
ライフクオリティーを尊重するということは、自分の人生は自分で決定できることということと、国民の権利を尊重し、自立した個人が共同社会生活の中で個人の責任を果たすということは、二重三重の苦しみを分かち合い、個人と社会が互いに影響し合って日本人として新たなる基礎固めができ上がるのだと思います。
高齢化することのマイナス思考をプラス思考にするには、心身ともに若返り、活性化する援助を考え、無理なく受け入れていただき、実行していただくことこそが大事と思いました。自由な時間ばかりでは、あり余る時間を使い切れず、人間としての感性が鈍くなる、ぼけやすくなると言って、せっせとシルバーボランティア活動を実行している人たちがいます。私も自分の庭木の剪定や害虫駆除の薬かけや草取りなどを頼みましたけれども、することがあるのがうれしいと言いながら、とても丁寧にやっていただきました。
この積極的にボランティア活動をしている人たちに、本人の選択に任せるのを基本としながらも、訪問看護婦グループがイニシアチブをとって助け合い会のネットワークをつくり、現在も真心サービスネットワークづくりも盛んに行われていますが、既存のボランティアを活用してもいい、ともかくそういう高齢者のための高齢者によるボランティア組織があってもよいと思いました。参考資料一です。
仮に点数を上げ、例えば点数預託通帳に一時間一点として貯蓄して、要介護時に点数分を規定の介護保険の査定に上乗せして施行することは生きがいと自由競争の理念の確立によく、しかも高齢者の持つ力が社会に還元されてこそ初めて社会全体のレベルが向上し、老いてもますます元気、これが結果的には介護保険の財源を守ることにつながり、国民の利益になると思っております。
御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/62
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063・山本正和
○団長(山本正和君) ありがとうございました。
以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりまた。
速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/63
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064・山本正和
○団長(山本正和君) 速記を起こしてください。
それでは、これより公述人に対する質疑を行います。
なお、委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。
また、御発言は、私の指名を待ってからお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/64
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065・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 本日は、大変お忙しい中、公述人の皆様方には大変貴重な御意見をお聞かせいただきましてありがとうございました。それでは、時間も限られておりますので、端的に御質問を申し上げたいと思います。
私は、介護認定に関することを御質問したいと思います。
この法案は、御承知のように、まず要介護状態になった方が介護保険証をいただくわけであります。これは医療保険と違いまして、医療保険の場合は保険証を持って医療機関に行けば直ちに医療の給付が開始されます。また、悪いときは、在宅で往診をお願いしますと直ちに医療機関から医師と看護婦さんが来て、そこで給付が受けられるわけでありますが、この保険はまず市町村の役場、ここへ申請をするわけであります。それから、初めてそこから調査員なる方が来られまして、七十項目に及ぶ状況をチェックして、それをまたお持ち帰りいただいてコンピューターに入れる。それで、コンピューターから出たデータと、かかりつけ医もしくは主治医のいる方は意見書をそれに添えて、今度は認定審査会でこれを議論して、そしてグレードを決める。そのグレードも今の厚生省の案では六段階で、一番下の段階はこれはもう支援の対象としない、適用にならないわけであります。そのほかは五段階になっております。これは金額でいうと四万円刻みであります。それで、初めてそこで今度はケアプランをつくるわけであります。そこで初めてケアプランができたところでこれを民間の委託業者にお願いするか、市町村独自の人が現場の要介護者のところに行ってやる。大体法律では三十日以内と、こうなっております。
そうしますと、要介護をお願いした時点と日にちがずれますと、余り細かいとこの認定のときと状況はもう変わっておるわけです。こういうことに対して、私はこれはちょっと問題があるんじゃないかというふうにとらえているんですが、この辺に関して、大輪公述人それから平野公述人、石橋公述人、村上公述人。
それで、大輪公述人には、このグレードの問題等を含めてひとつお話し願いたいと思います。
それから、平野公述人に対しましては、これは御本人はひどいと動けないわけですね、要介護者は。そうすると、現在家族介護をやっている介護者が手続をやるわけです。ところが、介護を現在やっている人が現場から離れられないわけですね、これは。そういう点に関してはどういうふうにお考えになっているかということ。
それから、石橋公述人に対しましては、行政としてこの煩雑なことを、もちろん経費のことは当然わかっておりますけれども、果たしてそういうことがスムーズにいくようなシステムができるかどうか。
それから、村上公述人に対しましては、今現在行っていらっしゃる即対応できるという体制、これが今度介護保険が導入されますととてつもなく面倒くさいことになるわけでありまして、その辺のことを含めてひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/65
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066・大輪次郎
○公述人(大輪次郎君) 宮崎先生の御意見、まことにもっともでございまして、簡単に申し上げますとグレードの問題、これは今現在六段階、実際に費用が出るのは五段階ということでございますが、日本医師会としてはこの段階割りは細か過ぎる、三段階でいいんじゃないかと。なぜかと申しますと、段階を細かくするほど認定に際しまして日にちとそれから議論が起こるわけでございまして、大きな幅を持たせる方が運用が非常にスムーズにいくのじゃないか。これは後段の三十日かかるのはというお話にもつながる問題であろうと思います。
例えば、認定審査会でもし一週間で決めていくという話になりますと、毎週審査会を開かなきゃいけなくなります。そうしますと、一人一人の対象者の方を細かくいろいろ議論をしたら、これはもうとてもできることではなくなります。そういう意味で、患者さん、対象者は非常に短い時間でサービスが受けられることを希望しておられるわけですから、できる限り短くするという意味ではグレードの問題も一つ大きな理由になると思います。
また、受け付けから認定審査までの事務手続をできるだけ簡単に早く済ませるような方策、システムを市町村でつくっていただいて、それから認定審査会で、先ほど私は複数の医師と申し上げましたが、これは複数の医師の方がかえって早く判定ができるんじゃないかと私は思います。
お答えになりましたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/66
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067・平野隆之
○公述人(平野隆之君) 一つ目は、ケアマネジメントといいますか、ケアマネジャーという新しい職種がこの法案で誕生することになろうかと思いますけれども、一つはそういうケアマネジメントという考え方が介護保険制度の中に入ってしまうというのはよくないのではないかというふうに考えています。ケアマネジメントというのは、介護保険のあるなしにかかわらず、もうちょっと制度を超えた一つの機能だというふうに基本的に考えるべきであろう。そういう点では必ずしもサービスの申請、先ほどサービスの申請リスクというふうに私は表現いたしましたけれども、それを待つまでもなく、それが法案で言われているケアマネジャーが行うかどうかは別にいたしまして、かなり早い段階からかかわるというような情報収集の方法がいろいろな手続を進めることになるのではないかと思われるのが一点です。
それからもう一点は、先ほど私が家族支援のことを、介護者支援のことを申したのでそういう御質問をされたかと思いますけれども、そういう点では、今の在宅介護支援センターが、ややそこの、附置されている機関のサービスの利用を申請する、そういうことを経て在宅介護支援センターがそこを支援するという形になっている。先ほど申しました、申請があった後を支援するという形になっておりますけれども、もう少しやはり早い段階から在宅介護支援センターというものが機能するような仕組みを、介護保険とはまた別な形でそういう機能をそこに与えていくということも一つではないか。ある意味では、私は、介護者支援センターみたいな、そういう発想も欲しいなというふうに考えているところです。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/67
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068・石橋誠晃
○公述人(石橋誠晃君) 行政の立場としては、それは認定申請があれば、先生方あるいは審査会にお願いして、認定はどういうふうであれこれは早くやっていただくような体制はそれぞれ行政でできるんですけれども、私どもが心配しておるのは、このままでいきますと、行政に、それぞれの地方自治体に、相当数の苦情だらけになってしまうというふうに思うわけでして、特にその内容において、段階を幾つにするかという問題ではなしに、そういう正確性のある、公平性のある区分をしていただけばそれでいいんではないか。
それともう一つ、苦情は当然あってしかるべきだというふうに思いますが、そういったことの対応を法制等制定していく中できちっとしておかないと、私ども先端の自治体としてはたまったものではないなという感じを強く持っておりますので、その点お願い申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/68
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069・村上ルリ子
○公述人(村上ルリ子君) 質問の趣旨は、私たちが今行っている、タイムリーに働けないんじゃないか、働いたときにはどうするんだ、その差だと思いますけれども、まずケアマネジャーに対して、一定の枠内での、一定の予算内であれば即査定できるという枠を設けたらいいと思います。
そのためには、もちろん一度与えたものを削減することは非常に不満を招くもとになりますので、生活支援部分、あるいは最低ラインの妥当線というのを導入して、そしてアメリカのMDS—HC—CAPSシステムというのが今ありますね、ミニマム・データ・センター・ホーム・ケア・クライアント・アセスメント・プロトコールというんですか、そういうものを活用して、日本版のそれを早急につくって、それに合わせてケアマネジャーの身分をきちんと保証した上で一定以内の予算を任せるというふうにすれば、即できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/69
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070・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 ちょっと私の質問とずれているんですが、これはこれでいいです。
それでは、時間がありませんから、一言ずつ全員の皆さんに。今度の介護法案は家族支援に対しては手当てがないんですね。現金給付はドイツと違ってやりません。家族が今介護している、これに対して何か手当てをすべきじゃないか、その必要はないか。すべきだ、そうでないという、これだけで結構ですから一言ずつひとつお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/70
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071・大輪次郎
○公述人(大輪次郎君) 在宅介護に携わる家族の人に何らかの補償といいますか、必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/71
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072・平野隆之
○公述人(平野隆之君) 私も必要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/72
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073・勝田治己
○公述人(勝田治己君) 何らかの対策は必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/73
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074・磯部栄
○公述人(磯部栄君) ドイツの場合ですと、介護して腰痛になると例えば労災が適用されるとか、あと年金の対象になるとか、四週間の長期休暇が得られるとか、非常にドイツは画期的なあれをしていまして、これは本当に日本でもぜひ取り入れた方が、そういう意味ではいいなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/74
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075・石川まち子
○公述人(石川まち子君) 介護手当というよりは、介護補償として絶対に必要だというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/75
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076・朝倉義子
○公述人(朝倉義子君) 家族支援に対しても、やはりあった方がいいと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/76
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077・石橋誠晃
○公述人(石橋誠晃君) あった方がいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/77
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078・村上ルリ子
○公述人(村上ルリ子君) あった方がいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/78
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079・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/79
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080・石井道子
○石井道子君 自由民主党の石井道子でございます。
きょうは、医療また福祉、介護に携わっていらっしゃいます皆様方に貴重なお話を伺わせていただきまして大変ありがとうございました。何人かの方に質問させていただきたいと思います。
まず、石橋公述人でございますけれども、今度の介護保険法につきましては、第二の国保になっては困るということで、保険者が市町村であるということがありまして大変御心配をされていらっしゃるわけでございまして、先ほどもその面のお話もございました。そして、そのような点で愛知県は割合と市の数が多いというふうに受けとめておりますけれども、県によっては山間僻地も大変多いということで、町村などに関しましてはなかなか十分なサービス提供ができなかったり、あるいはマンパワーの問題で問題があるのではないかというふうなことも心配をされているわけでございまして、そういう面ではある程度の広域行政とかあるいは市町村合併とかで対応する必要があるのではないかと思いますが、その点について御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/80
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081・石橋誠晃
○公述人(石橋誠晃君) 先ほども公述の中で少し触れましたが、やはり広域性を考えていくべき問題であるけれども、その広域をどの程度にどうしていくのかということがわからないと、私どもは何とも、区割りの仕方によってこれは変わってくるから、そういうことについて、ひとつそれまでのプロセスをしっかりしてやっていただきたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/81
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082・石井道子
○石井道子君 人口がどれくらいの規模が適切と思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/82
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083・石橋誠晃
○公述人(石橋誠晃君) 人口規模でなしに、やはり地域的な面も十分考慮して、人口的にいえば十万前後、あるいは大きな市もありますから、その中へ周辺の町村は入ってもそれはそれでいいではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/83
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084・石井道子
○石井道子君 それから、保険料の問題なんですけれども、石橋公述人と平野公述人にお伺いしたいと思いますが、この保険料の算定のルールが被保険者一号、二号の方で違うわけでございます。そういう点での御意見を伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/84
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085・石橋誠晃
○公述人(石橋誠晃君) これからのことでございますので、それともう一つは、市民の皆さんからもはっきりした説明になっていないものですから意見を聞いておりませんけれども、私としては、非常に徴収といいますか保険料をいただきにくい部分が市町村に回ってくる。そのことについても法制度の中できちっとしていかないと、また今国保につきましても保険料を払わない人が非常にふえてくる、どんどんふえていきます。さりとて、保険料を払わないからということで現時点では切るわけにはいかないというふうに私は申し上げながらやっておるわけでございますけれども、そういうことをきちっとしておかないと、どんどんそういう事態になっていくんではないか。その辺のところもしっかりと法制度の中でとらえていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/85
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086・平野隆之
○公述人(平野隆之君) 一つは、過疎地域の方がある意味では介護需要が高いという観点からいたしますと、そのままいわば保険料を一本化して、それを市町村の財源に充てるというか保険者の財源に充てるということでは基本的に成り立たないというのが、こういうふうに二本に分かれている理由であろうというふうに考えます。そういう点では、個人的にはこの方法、保険制度としてはこういう二本立てでやらざるを得ないだろう。
ただ、先ほど私、介護者支援のところで若干申しましたけれども、最初の介護給付のものは両方の財源が使えますけれども、幾つかの、特定だとか、それから先ほどの介護者支援事業等を市町村がやろうと思えば、第一号の保険料だけしかそこに充当できないというような限界がありますので、それはむしろ介護者支援という私の持論からすればこの方式でそれが実現するとはちょっと思えない。つまり、六十五歳以上の保険料をかなり高く設定しないとその財源が確保されないという別の問題を含んでいるという点は問題点だというふうに認識しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/86
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087・石井道子
○石井道子君 ありがとうございます。
それから、磯部公述人にお伺いいたしますが、先ほど先進ヨーロッパの国々を視察されていろいろと研究をされていらっしゃったお話も伺いました。老人ホームなどの運営についてはかなり厳しい悲観的なお話を伺ったのでございますが、介護保険制度が導入されたときに、老人ホームに入っていらっしゃる入所者のやはりいろんな条件も変わってくるかもしれないというふうにも思いますし、また職員の対応も変化せざるを得ないのではないかと思いますが、その点これからの新しい介護保険制度との連携の中でどのような仕組みでホームを運営していけばよいと考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/87
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088・磯部栄
○公述人(磯部栄君) 連携といっても、本当に先ほど言ったように何かイメージ的に競争というところがありまして、逆にそういう競争で今まで私どもでやってきた、ある意味では欠点みたいなものがやはりたくさんあると思います、措置制度に対してのいろんな欠点も。そういうものを本当にいい機会なものですから見直すという意味で私どもは考えていかなきゃいけないなと、そんなふうに思っているわけなんです。
それこそ施設というところで、ただ施設だけのものじゃなくて、本当に今いい病院関係からそういう企業関係、いろんなところでそういうところの連携みたいなものも逆に必要じゃないかなと思っています。やはり限界があるものですから、いろんなところとの調整をしながら施設運営もしていく時代が来たなと、そんなふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/88
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089・石井道子
○石井道子君 ありがとうございます。
それから、大輪公述人にお伺いいたしますが、先ほど平成八年度のモデル事業を豊田市でなさった御報告がございました。そこでいろいろと貴重な経験もされまして、医師会としても御検討されたわけでございますが、この介護認定審査員、このメンバーは厚生省から多分五名というふうな御指示があったのではないかと思うんですが、それをあえて医師、歯科医師、薬剤師、看護婦、相談員の方を入れまして七名の方で審査を行ったということでございまして、ほかの市町村を見ますと五人でやっているところが多いんですが、その場合にはなかなかそれだけのメンバーをそろえることができないというふうに受けとめております。
この認定審査の方法が非常に介護保険の適用の点では難しい、重要な点であると思いますが、その点で公正でそして適正で迅速に認定が行われなければなりませんので、そういう点で審査員のメンバーについてどのようにお考えでございましょうか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/89
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090・大輪次郎
○公述人(大輪次郎君) 審査員五名前後というふうには聞いておりますが、この豊田市のモデル事業では、豊田市当局とそれから関連の団体が話し合った結果やはりこういうメンバーが出てきたわけでございます。この豊田では医師が二名入りまして八名でございます。
それで、どういうメンバーが適当であるかどうかという話になりますと、もしスピードといいますか、早く認定しようと思えば少ない方がいい。ただ、厳密に正確に公平に認定しようと思うと、それぞれの立場の、例えば看護婦さん、それからソーシャルワーカー、あるいは行政の方、それから医師、歯科医師、場合によって薬剤師の方も、そういった方が入った方が正確で公正な認定ができると思います。
どちらを目標に置いたらいいのか、これが今モデル事業で試されているんじゃないかというふうに考えます。中部医師会連合と申しまして、中部七県の医師会でそれぞれモデル事業の報告がございましたが、この中でも医師は複数の方がいいという意見と、それから数が五名ではやはり少ないという意見の方がやや多かったように思います。
しかし一方で、早く議論を終結させようと思えば余りに大勢の審査員は大変だと思いますので、まだまだこれからこれはモデル事業の段階でいろいろ検討されていくべきじゃないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/90
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091・石井道子
○石井道子君 ありがとうございました。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/91
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092・長峯基
○長峯基君 自民党の長峯基でございます。
きょうは皆様方のいろいろすばらしいお話をお聞きして感動いたしました。日ごろの御苦労に心から感謝を申し上げたいと思います。
まず、大輪先生にお伺いしたいと思いますが、先ほどもちょっとお話がございましたけれども、特老、老健、それから療養型病床群、こういう区分けがされているわけですけれども、この介護保険と医療保険の線引きというか、整合性というか、非常に難しい。委員会でも非常に議論になっているわけでございますけれども、実際、両保険をお使いになる立場からして何か問題点があったら御意見をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/92
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093・大輪次郎
○公述人(大輪次郎君) 医師会としても、この介護と医療の線引きと今言われましたけれども、線を引くとは考えていないわけです。振り分けてその境目をどうやっていくかということが一番問題であろうと思います。
それで、特別養護老人ホームあるいは老人保健施設は現状でも医療についてはほとんど医療としてはやっていない。病気が起これば医療機関にかかるということになっております。したがって、余り混乱はないだろうと思いますが、最も問題なのは療養型病床群でございます。療養型病床群はいわゆる医療型と介護型の二つに分けられるんだろうと思いますが、これが例えば一つの病院の中で介護型に入っている方が病気が悪化しまして高度の医療が必要になるという場合には患者さんを移さなきゃいけない。つまり、そこの病床で実際やれるものをなぜ移さなきゃいけないのか、この辺一つ問題点だろうと思います。
それから、この医療法の改正によって有床診療所が療養型病床群の設置が認められるようにもしなったといたしますと、有床診療所というのはもともと地域医療の一つの担い手でございまして、一般医療を中心にやっているところでございます。その一部が介護型、療養型病床群ということになりますと、そこだけが改造を求められる、人員配置を求められる、あるいはいろいろな施設基準、そういったものが求められますと、逆に療養型病床群に入っている患者さんがもし病状が悪化して一般医療が必要になったときには、自分のところの診療所の病室の、逆に言いますと改造されていない悪い方の病室へ移さなきゃ治療ができない。患者さんは病気が悪くなったのになぜ悪い病室へ、今まで二人部屋でおったのが四人部屋へなぜ移されると、こういう問題も出てきます。あるいは場合によっては全部を療養型病床としてしまうといたしますと、その先生が治療をする能力がありながらよその病院へ移さなければ治療ができないということになってしまいます。この辺非常に不合理なことが起こるんじゃないかというふうに考えております。
この辺の、線引きじゃなくて振り分けと整合ということについて私どももいろいろ検討しておりますけれども、モデル事業その他いろいろな、また参議院議員、衆議院議員の先生方の御見解によりましてうまい方法を、しかもこれは日本医師会なりあるいは関連団体の意見を取り入れてお決めいただきたいというふうに、逆に私の方から希望を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/93
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094・長峯基
○長峯基君 ありがとうございました。
それじゃ、石橋市長さんにお伺いしたいと思います。
県によりましては医療関係の部とそれから福祉関係の部が違うところがあるわけですね。そういう意味で、例えば特老は福祉関係、老健は医療関係ということになってまいりまして、来年度から組織の一元化といいますか、今、市の行政がどういうふうになっているかちょっとわかりませんけれども、試験的にももう新年度からそういう問題にお取り組みいただかなきゃならぬという状態が来ると思うんですが、何といいましてもこの介護保険は市町村が一番大事な役割を果たすわけでございますから、そういう意味での組織の一元化といいますか、そういうことはどのように今お考えになっておられるか、あるいは考えようとしておられるか、ちょっとお話しいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/94
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095・石橋誠晃
○公述人(石橋誠晃君) 長峯先生からお話のありました医療と福祉の問題というのは、本当に地方自治体にとりましても大変ふくそうしておって難しい問題でございます。
私ども市内におきましても、特養あり、中間施設あり、保健センターもあり、市民病院もある。非常にありがたいわけで、そうした中で介護支援センターを中間施設の中へつくり、訪問看護ステーションは保健センターの中につくり、こういうことで来ておるんですけれども、そういった横の連絡というものが非常に難しい。もう私どもも地元でしっかり横の連絡をとりながら市長はやってほしい、こういう要望を受けるんですけれども、別々にありますと今おっしゃられたように福祉と医療が違っておると。福祉と医療と別々でもいいんですけれども、少なくとも内容においては一元化してほしい、そういうことを強く申し上げまして意見とさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/95
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096・長峯基
○長峯基君 ありがとうございます。
今後の課題として国会の方でも取り上げていきたいと思っておりますから、よろしくお願いします。
それから、勝田さんにPTについて伺いたいと思います。
このデータによりますと、平成十一年に二万人、それから平成十五年に三万人を超しまして、平成十八年、十九年には四万人に達しようとしているわけでございますけれども、介護保険、特に高齢化社会ではPTの役割というのは非常に私は大事になってくるんじゃないかと思っております。それで、各地でやっぱりPTの不足というものが言われているわけでございますが、この需給関係は今後どのような見通しを持っておられるか、わかりましたらお教えいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/96
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097・勝田治己
○公述人(勝田治己君) 現在は、一万六千人余りの会員のうち既存の医療施設に勤務をしている理学療法士が八五%以上と言われております。
それで、今後福祉系といいますか、公的介護保険絡みの需要がふえていくものと思っております。新ゴールドプランでは平成十一年までに一万五千人が必要だというふうな算定がされておりますが、理学療法士の会員がふえただけでは公的介護保険の関係の供給が自然に流れていくというふうには考えられませんので、今後は何らかの施策が必要というふうに考えております。
例えば、現在は老人保健施設の百人の定員に対しまして理学療法士または作業療法士を一名置くことが決められておりますが、この部分につきましても利用者五十人に対し理学療法士一名以上という要求を私たちの協会でも出しておりますし、そのほか公的介護保険に関連する施設につきまして何らかの定員化をしていく必要があるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/97
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098・長峯基
○長峯基君 ありがとうございました。
特老の待機者が非常に多いというのはどこでも聞かれるのでありますが、退所者ですね、普通は特老は申請しましても大体入れるときは亡くなられたから入れるんだと、こういうことが今まで言われてきたわけでありますけれども、きょうくしくも磯部さんとそれから石橋市長さんからその話がちょっと出ました。それで、退所、これはもうすばらしいことだと思います、生きて退所できるということは大変すばらしいことだと思いますので、その方向に今から介護保険を通じて努力をしていただきたいと思うのでありますけれども、その問題点というか、退所するケースがあるか、現実にはどうかということをお話をお聞かせいただければと、お二人から。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/98
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099・磯部栄
○公述人(磯部栄君) 現実には退所者というのはほとんどありません。過去に確かに最期をみとりたいということで家庭に引き取って最期をみとったという家族はいましたけれども、元気になってというよりも逆でして、実はやはり一度楽さと言ってはおかしいですけれども、やっぱり家族の人もずっと在宅で頑張ってきたんですけれども、やっと施設が利用できたということで安心してしまって、逆に施設というのが最後までおれるんだというところが一番メリットのような形で家族が考えておる部分がたくさんあるものですから、非常に今私どもの施設ではターミナルを逆に重視して、最期はもう病院よりも、家庭でやるよりも、施設で最期を迎えていただくというところに力を入れておると、そういう状況があります。
と同時に、やはり今介護認定で軽くなることによって逆に金銭的な収入が低くなってしまうという、そういうものがありまして、それをどう解決するかというところも施設で今非常に論議されておるところです。だから非常に難しいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/99
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100・石橋誠晃
○公述人(石橋誠晃君) 私としても退所者は聞いておりません。
今、磯部さんから話がありましたが、元気な人がふえてもう特養の老人ホームはいいんだというお話、この点については磯部さん方、ホームの所長さん初め皆さんがしっかりやっておっていただけるなら感謝するんですけれども、反面非常にそれをもうくたびれちゃうくらい一生懸命になって待ってみえる方が非常に多い。入所されておる数よりも多いと先ほど申し上げましたけれども、そうしたことでやはりこの解決にはもっと特養が欲しい、これを強くお願いしたいと思います。常滑市にある特養は常滑市の人だけというわけではないわけですから、それこそ愛知県じゅう全部来られるので、そうした対応をしていかないといけないんじゃないか。
それで、本人の希望はといいますと、高齢者の方は自宅がいいんだと、そういうことなんですけれども、現実にはそうはいかない。介護者という非常に重要な方がいなきゃならない。そういう点から、やはりそういう話し合いを家族でされながら、とどのつまりは特養でお願いをしたいと、こういう強い要望が多いわけでございますので、ぜひともそういう対応を今後ともお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/100
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101・長峯基
○長峯基君 北欧型のいわゆるグループホームですね、厚生省もようやく具体的に動き始めようとしているところでございますけれども、何かグループホームの実施例でもしどなたかいらしたらちょっとお聞かせいただくとありがたいんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/101
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102・磯部栄
○公述人(磯部栄君) グループホーム、実はスウェーデン、デンマークが非常に進んでおりまして、私も二回ほどあちらの方に行って勉強してきました。
それで、向こうの方も、それこそ最近は前頭葉に障害がある人用の、暴力性のあるお年寄りのそういうグループホームもできていて、要は大きな集団じゃなくて小さな集団でお世話することによってかなり効果が得られるということなんですけれども、ただ費用的に若干かかるものですから、そこが一つの課題じゃないかなと。自己負担の部分で今どれぐらいに抑えられるかというところが問題なんです。これからは田舎に大きな施設を建てて大量に寝たきり、痴呆をつくるよりも、都会に小さな施設をつくっていくということが一番大切な方向じゃないかなと私自身思っております。
いずれにしても、痴呆ばかりじゃなくて普通の寝たきりのお年寄りにもそういうグループホームというのを広めていくことがいいんじゃないか、そんなふうに思っておるところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/102
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103・長峯基
○長峯基君 ありがとうございました。
最後に、実は私は本職は薬剤師なんですけれども、日本人というか私どもは医薬品に対して非常に軽く扱い過ぎているんじゃないかなということを最近特に感じております。
それで、最近の新聞報道によりますと、施設の中で睡眠薬を使ったとか、あるいはデンマークあたりでは安楽死に看護婦さんが薬品を使ったとか、こういうこともマスコミから報道されているわけでございますが、老健施設は今のところ三百床以上に薬剤師を一人、こういう基準ができておりますし、特老の場合は基準がないと思います。
それで、実は私が大変懇意にしている老健のお医者さんが、老健施設というのは、特老もそうでしょうが、それぞれの開業医の先生、いろいろなドクターに診察を受けておられて老健に来られる。そうしますと、医薬品の数というのは、今いろいろ問題になっておるように、ゾロ新からもうあらゆる薬品がありまして、これは何の薬かわからないとおっしゃるんですね。特老でも老健でもほとんどの患者さんが薬は飲んでおられる。しかし、その医薬品が何であるか、降圧剤にしても何十種類とありますので、どこのメーカーかどういう薬かわからない。
そういうことで、薬剤師の関与というものが私は非常に大事になってくるんじゃないか。エイズ問題をスタートとして薬害の問題が非常に取り上げられてまいりました。特に、痴呆性の老人になりますと、薬を置いておきますと三日分でも一緒に飲むということもございまして、投薬のあり方というものも、今ほとんど看護婦さんに任せているという現状もあるわけですけれども、もう少しここら辺は真剣に考えるべきときに来たんじゃないか、こういうふうに思っているところです。
できましたら大輪先生とそれから磯部公述人に、経営しておられる立場で結構でございますから、少し医薬品について御意見を拝聴できればありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/103
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104・大輪次郎
○公述人(大輪次郎君) まず、特別養護老人ホームでは医療は原則として行われていないわけで、ホームでの投薬ということはこれは嘱託医が行ったときに風邪薬程度を出すぐらいのことしかできないことになっております。もし何かの疾病で治療が必要になればこれは医療機関へ移すということになっております。だから、現実には特老の入所者はそう薬を持っているはずがないわけでございますけれども、その辺については私特老に詳しくございませんので、磯部先生からお聞き願いたいと思います。
また、老人保健施設におきましても原則として医療は行わない。その辺は特別養護老人ホームともほぼ一緒でございますが、管理者が医師ですから、日常の生活上の簡単な薬は投薬しているのもあるようですけれども、やはり重い疾病になれば当然医療機関にかかるということになっております。
しかし、老人保健施設では、一応の薬剤の投与があり得るわけですから、薬剤師の方はやはり必要であろうと思いますが、特別養護老人ホームの場合、薬剤師の方を置くべきか、置けばむしろ薬剤の投与を認めたという話になるわけで、これまたちょっと問題点であろうと思います。
それから、むしろ在宅療養の方の薬剤管理の方が薬剤師さんの関与していただく部分が非常に多いんだろうと思います。実際には在宅療養の方の投薬というものは、ドクターにかかってドクターからもらっている。もらっているけれども、いいかげんになっている場合も結構あります。そういうときは、いわゆる管理していただく薬剤師さんが一緒に仕事をしていただければいいだろうというふうに思いますし、また最近では、医療機関が出す投薬につきましては、薬の名前、投薬量それから効能、効果、副作用等の情報を患者さんに直接わかるように提示することになってきておりますので、ただいま長峯委員が言われたようなことはかなり改善されてくるんじゃないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/104
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105・磯部栄
○公述人(磯部栄君) 施設を経営しておる人たちの中に、私どもは社会福祉から特別養護老人ホームをつくったわけなんですけれども、中にはお医者さんが特別養護老人ホームをつくっておる施設がたくさんあるものですから一概には言えないと思うんですけれども、やっぱり二、三万は一人にかかっている。かなり大きな収入ではないかなと思うわけなんですけれども、そういう中で、やはり薬がかなり、私どもの施設としては本当に緊急時以外はなるべく飲ませたくないというところで、今逆に現場の中からそういう言葉をもらって、看護婦が調整しながら逆に嘱託の先生にお願いをしているという、そんな状況があります。
だから、とにかくこれは必要だということはわかるんですけれども、そういうところに、やはり日々刻々状況が変わるものですから、それに応じて相談をしながら一緒に投薬というか与薬もしながら今行っているのが特別養護老人ホームの現状じゃないか、そんなふうに思っておるところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/105
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106・長峯基
○長峯基君 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/106
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107・南野知惠子
○南野知惠子君 本当に本日はありがとうございました。いろいろな先生方からいろいろな御意見をいただき、大変参考にさせていただきました。
このたびの介護保険法のねらいといいますものが大きく三つございます。それはもう既に御存じだろうと思いますが、一つは老後の最大の不安要因となっている介護を社会全体で支えていこう、そういう仕組みをつくろうというのが一つのねらいであります。もう一つのねらいは、現在の福祉と医療が縦割りで使いにくい、そういう制度を再編成して、利用者自身が多様なサービスを選択し、保健、医療、福祉にわたる総合的なサービスが受けられる利用者本位、利用者主体というものの仕組みをつくっていこうということ。さらには、介護を医療から切り離して、社会的入院解消の条件整備を図っていこう。医療につきましては、治療目的にふさわしい総合的、抜本的な改革を進める前提をつくるなど社会保障改良の第一歩となるようにというねらいでこの介護保険法というものをつくっていこうとしているところでございますけれども、まず大輪公述人にお伺いしたいんですが、医療と介護とのかかわりの中で、適切な連携の保持というのはどのようにしたらよろしいんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/107
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108・大輪次郎
○公述人(大輪次郎君) 実は私、名古屋市の在宅療養支援事業というのを通じまして、これは名古屋市で昭和六十一年からモデル事業を開始しまして、市の正式事業として平成元年からもう既に行っておりますが、ここで一番ポイントになるのは医療担当者、つまりかかりつけ医と、それから保健担当者、保健婦さん、それから福祉担当者、いわゆる福祉事務所のソーシャルワーカー、この三人がそれぞれの対象者について担当者会議というのを随時持ちまして、その患者さんに対してどう対応したらいいかということ。それから最初に対象者に認定するために、これは実務者会議というのがございまして、その一段階上でこの患者さんがこういうことでこういうサービスが必要であるということを認定、ちょうど今の介護認定と同じことをもう既に平成元年から実施しております。
それで、一番感じたことは、やはりいろんな制度その他非常に大事ではございますが、担当者が一堂に会して、同じ机で同じレベルでそれぞれの専門分野について話し合う、これが最大の連携になると思います。それを支えるために制度をつくっていただきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/108
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109・南野知惠子
○南野知惠子君 ありがとうございました。
本当に大変難しい問題でございます。例えば要介護認定をどうするかということも難しい問題でございますので、それぞれの人のアビリティーを活用していただきたいというふうにお願いするところでございます。
続きまして平野公述人にお伺いしたいんですけれども、家族介護ということについてどのようにお考えなのか。または、お話の中で良質の介護、良質のサービスというふうにお話しになられましたので、どういうものを良質とおっしゃっておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/109
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110・平野隆之
○公述人(平野隆之君) 大変難しい御質問で、一つは先ほど先生がおっしゃいました利用者本位というものを今回の介護保険でやっていくんだという御趣旨、少しその点を最初にまずコメントしておきたいんですが、今の介護報酬の補てん方式でありますと、その供給者に第三者機関からいわば報酬が提供されるという形で、いわば利用者あるいは介護者の方が何ら相手の供給者に対して切るものがない、ないというか、そういうことが一つ問題点としてはやはりあるんではないか。確かに、現に医療保険がそういう形をとっているわけで、もちろん医療保険が患者本位ではないということを言っているわけでは決してないんですけれども、そのサービスの供給の補てんが利用者を経由しないところで補てんされていくということは、一つ問題点としてはやはり指摘され得るんではないかというふうに思っております。
それから、良質な介護というのは、先ほど私が申しました幾つかの例がありますけれども、きょうも生活リハビリクラブの朝倉さんが幾つかの質の側面をおっしゃったように思うんです。やはり小さい、あるいは逆に言うと地域社会のメンバーがその事業にかかわることによって、そこに通ってきた人が地域社会のメンバーの一員になれるというか、私は介護というのは、例えば介護をして入浴するとかというある局面だけでとらえるんではなくて、やはりその地域の中で介護を実現するという点では、相変わらずその利用者が地域の何らかの社会関係を結べるようなサービスのあり方、それが大変、今求められているのは小さい規模で行われるという形が良質なものではないかというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/110
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111・南野知惠子
○南野知惠子君 ありがとうございました。
そういう意味からは、本当に介護は高齢者自身と、それからそれをお世話する介護人、家庭における介護をする方、その人たちの両サイドの意見というものがミックスされて一つの方針を出していかねばならないという大変難しい選択がこの介護保険法の中にあるだろうと思いますので、我々もそこら辺を十分皆様方の御意見を聞きながら考えていってみたいというふうに思っているところでございます。
次に、磯部公述人にお伺いしたいのでございますが、ドイツ、イギリス、デンマーク、スウェーデン、いろいろなところで介護をごらんになっていただきました。日本でもまた介護保険をこのようなスタイルでやっていこうと試み、今スタートしようとしているわけですが、どこの国の介護保険をお受けになりたいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/111
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112・磯部栄
○公述人(磯部栄君) やはり日本の介護保険を受けたいと思います。ということは、いいものをつくっていきたいということですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/112
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113・南野知惠子
○南野知惠子君 ありがとうございます。
といいますと、税制ではなく保険制度でやっていきたいというところだろうというふうに思いますが、やはり皆様方の心を体しながら我々もやっていきたいというふうに思っております。
それから、朝倉さんの方にちょっとお尋ねしたいのでございますが、利用者が選択できる幅広い選択肢があった方がいいというようなところをお伺いいたしましたけれども、今私たちのつくっていこうとしているシステムの中でも幾つかの選択肢があります。さらにつけ加えたい選択肢というのはどういうものがございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/113
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114・朝倉義子
○公述人(朝倉義子君) 今確かにあるんですけれども、数の点で本当に少ないと思うんです。縦割りで切り売った福祉ばかりがあるだけで、一人の方が生活をしていく中では数としては大変少ないと思います。
例えば、入浴を希望している方が本当に入浴だけを希望しているのかといったら、生き生きと生活をすることを希望していたりするんですね。そこの上で入浴だけを提供しているものだから足りなくなってくる。
どういうものをといいますと、先ほどのように小さい規模でフットワークよくできる、小さな規模のところではサービス提供がいろんなことができる、顔を知った上でサービス提供をするものですから、訪問活動から送迎活動からデイサービスからミニショートまで行う。非常に家族的な雰囲気の中で地域社会が担っていける。そういうところにも適用をお願いできればもっと幅が広がるし、選択していく上で、デイサービスとか入浴サービスとか、そういうことだけを選択するのではなくて、地域社会の中にあるすぐ隣のこんなミニデイのところにも行きたい、そんな選択ができるようになれば幅が広がると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/114
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115・南野知惠子
○南野知惠子君 ありがとうございました。
まだまだお聞きしたいんですが、次は市長さんの方にちょっとお尋ねしたいんですけれども、常滑市におけるいわゆる新ゴールドプランの進捗状況、これが追いかけてきますのでそれに対する準備状況といいますか完成度といいますか、そういうものはどのように整備されつつあるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/115
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116・石橋誠晃
○公述人(石橋誠晃君) 一生懸命やっておりますけれども、一番困っておるのは、やはりヘルパーを確保するということにもう困っています。なかなかそうはいかない。数字の上で人数だけは確保するぞということで目標は立てて、お願いもしながら、頭を下げながらやっておりますけれども、やはりそれが一番難しい。
それともう一つは、先ほどからお願いしておりますが、財政面で地方自治体は非常に厳しい。国もそういうことで厳しい中でございますが、これは国全体で社会全体でやるんだということならば、相当国の方も力を入れてやっていただかないとうまくいかない。
そこへ持っていくまでの細かいプロセスについては、これも大事なことで、きょうもこうして公聴会をやっていただいておりまして、非常にいいことだしありがたいことだと思っておりますが、そういうプロセスをしっかりして、いい制度をつくっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/116
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117・南野知惠子
○南野知惠子君 制度は皆様と御一緒につくらせていただくということでございますので、我々だけがつくっていくものでもないだろうと思います。ぜひいろいろな面での御配慮を幅広くお願いしたいところだというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/117
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118・石橋誠晃
○公述人(石橋誠晃君) ですから、そのプロセスをひとつお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/118
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119・南野知惠子
○南野知惠子君 それと、本日はナースの方がお二人お見えでございますが、村上公述人にお尋ねしたいんですけれども、本日いろいろと具体例をお聞きしました。特に、我々に配付されたナンバー四のところにおきます九十二歳のおばあさんをお見舞いされた八十五歳のおじいさんのお話、これは大変深く感銘を受けました。
例えば、自分の人生は自分で決定するというそういった自立した気持ち、または国民の権利を尊重し自立した個人が共同社会生活の中で個人の責任を果たす、これは本当に義務と責任というはざまの中で我々は生活しているわけでございますから、そういう日本人らしさというものをどのように生活の中に愛着心を持って生きていくかというところが大切であるというふうに思います。
そういういろいろな症例に対してお世話してこられたんですけれども、お世話するプロセスの中で今一番何に困っておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/119
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120・村上ルリ子
○公述人(村上ルリ子君) お答えします。
一番困ることは、この介護保険法案が導入されたら、私ども会社はやっていけないなと思っております。それが一番困ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/120
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121・南野知惠子
○南野知惠子君 それは、私たち国でするといっても、やはり民間事業というものの御協力をいただかないとできないことだろうというふうには思いますけれども、ではどうやったらいいと思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/121
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122・村上ルリ子
○公述人(村上ルリ子君) 実は、うちは有限会社でございますので、営利を目的ということに一応はなっておりますので、その辺を私どもは危惧しております。実際はそんなにもうかっておりません。我々の熱意だけで行っているとうちの七十名ほどの看護婦が申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/122
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123・南野知惠子
○南野知惠子君 まだまだお聞きしたいことはあったんでございますが、時間になりました。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/123
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124・木暮山人
○木暮山人君 本日は、公述人の皆様、貴重な時間を割いていただきまして御参加くださいましたことを心から厚く御礼申し上げます。
まず、日本の医療体系を考えますと、敗戦後のすぐ、二十二、三年からいわゆる第一次医療体系の策定がありました。これは足りないお医者さんを、そして足りない機関を充足しよう、ぐずぐず言わずにまず手の届くところにお医者さんがいてもらいたいと。何も言わず第一次医療体系というものがどんどん進捗されてきたわけです。中には学校が足りない、学校をつくるということもやってきたわけであります。
そして、いわゆる第二次の医療体系の改革、これはいわゆる充足したお医者さん、施設等を整備する制度を整備してきたわけであります。その時代、日本人の心の中には何があったかといいますと、いわゆる長寿、世界で一番長寿なんだと、この誇り。国が医療制度を充実してこれだけやってくれたんだと、いわゆる信頼感だと思うんですね。そういうものがありましたから、ある程度国が定めた方向にはみんなで協力してきたわけであります。
しかし、それをある時代、そう言うと失礼なんでありますが、担当している人たちの業績が上がらない部分も出てまいりまして、その点非常に批判も買う時代になってきたのであります。それがちょうど今から十二、三年前、第三次医療体系を策定しようとしたとき目の前に出てきた問題がこの高齢化社会をどうやって乗り切っていくのかという問題だと思います。しかし、国民全体の腹の中にはある程度の、何と申しますか、まともにとりたくない、そしてまたできれば信用したくないというのが一部入ってまいりまして、なかなかそこら辺がうまく政策として進んでいかない、また現場にいる皆さんも何かそこら辺でぎくしゃくして、第三次医療体系、いわゆる高齢化社会に入ってきたわけであります。
しかし、高齢化社会といいましても、第一次の医療体系のように馬が水を飲みたいときの医療体系ですとこれが難なくいくわけでありますが、もう腹肥え、いろいろ知恵も出、外国も見、そしていろいろ考えて最もいい法律をここで策定してもらわなければ困るんだという御意見がいろんな角度から出ておいでになりまして、また、きょうの公述人の皆様以外にもっと切実な考えをお持ちの方もおいでになると思います。
しかし、現在ある程度社会が皆様の功績を認めている代表といたしまして、きょう法律に対するところの公述、経験をお話し願うというチャンスに我々は恵まれまして、まことにありがたいと思います。我々すべてをマスターしているわけじゃございませんですから、皆様の御意見を十分聞いてそれを新しい時代の法律の一部に繰り入れていきたい。しかし、最初の第一次医療体系のような時代は二度と参りません。
それともう一つは、第一次はまだ努力すれば社会復帰できるんだ、それで社会、国家のために尽くせるんだと、やる方もやられる方も一つの希望を持ちながら私は来たと思います。
今はなかなかその段階じゃございませんで、自分の身の回り、そしてまた社会の構造上、皆さんも大変な現状に遭遇されていることもあると思います。しかし、この高齢化社会に突入いたしましたとき、先段申し上げましたように国が、国民が全部で長寿を謳歌する時代だったのでありますが、今はもうそんなことを言っている時代ではないのであります。そして、今から七、八年ぐらい前に、気がついた政府は外国のそういうシステムをいろいろ研究してきていると思うのであります。
それで、きょうは大輪公述人と、またそれに加えまして勝田公述人と磯部公述人のと皆様にひとつ御意見として取り上げていただいて、おれはそれは悪いんだ、もう少しこうした方がいいよというような御意見を私は端的にお伺いしたいと思うのであります。
そこで第一に考えられますことは、医師会の皆様もおっしゃっているように、MDS、アメリカのこのシステムのひな形を日本でテストしております。しかし、私はこのテストが大体今ぎくしゃくさせてしまった原因じゃないかと思います。なぜならば、このMDSというのはプアハウス、要するに貧民を救済するところ、これのいわゆる査定方法を出しまして、そしてそれをいろんな角度から研究し実際やってみて、それで全然関係のない人の意見も聞きながら今ようやっとアメリカはこれを動かしているわけです。しかし、まだまだ日本の保険のように、三十四年に保険法が成立して約四十年の間、理想的な保険の体系というものを確立することができずに今の保険法に移らなきゃならない悲痛の状態に追いやられてきたわけであります。
いずれにしましても、百点ということは私は絶対ないんじゃないか。そうしますと、皆さんを平均して、これをできたら七十五点ぐらいからスタートしていって百点に近づけていく。しかし、それにはピークが二〇二一年でございますから、何か余りもたもたしているともうピークが過ぎてこの制度が機能しなくてもいいようなことになったんではこれ困るのでありまして、その間いわゆる話し合いで進むんじゃなくて現実の上で早く患者さん、いわゆる要介護者、これに安心を与え、そしてまた宗教の言葉を使うと申しわけないのでございますが、安心立命するような時代を構成してあげた方がいいんじゃないか。
しかし、それにはそれぞれの皆さんが、いやそんなものじゃだめなんだ、おれはこう主張したんだけれどもそれは通らなかった、ここはこういうぐあいになってやっと回転できるんだ、それにみんなで協力しようじゃないかとか、また村上公述人のように、いやうちの法人は迷惑千万ながらつぶれるよ、今までの自分の善意というのをどうしてくれるんだという感じじゃなくて、それをまたみんなで補って転進するか、またはどうにかするような、迷惑のかからない方法でこの保険法というものを私は早急に実行するために皆さんの努力がまず第一に必要だと思うのであります。
これを我々がみんなで今反対していたり賛成した中には、もう極論からいいますとどうしてもこれは要介護者にプラスになってもらわなきゃだめだ、それには一番必要なことは細々した条件やいろんな問題じゃない、お金なんだ、そのお金をどこからどうやって持ってくるか。しかし、これはよその国の話をしているわけじゃないですから、政治的に一番動かしやすいお金を動かしていいんですよというような国民全体の理解というものが私は必要なんじゃないかと思うんです。国民が全部でこれはだめだよ、いやおれは現金がいいんだ、公費がいいんだといっても、考えてみても全部自分の懐から出たお金でやってもらうことになっているわけです、公費助成から何から最後に負担金出すところまで計算しましたら。他人には何にも出してもらわずに何とかかんとかもらった例えば生活保護のお金を出すにしましても、一たんもらったものだから自分のものを出すのであります。
そういうことになりますと、余り深めて考えることもないと思うのでございますが、今いろいろな現状に立たされている皆さんのお立場で、私は、いや我々はこの分は今のスタート時点ではちょっと理想に近づいていきたいという感じが強過ぎるんだ、いや我々のところはもたもたしていると置いていかれるから要介護も何もあったものじゃない、何はともあれこうするのだと。いろんなことがありますけれども、そこを同じ日本の将来のために、一言ずつで結構でございますからできれば私はお言葉をちょうだいしたい、こんなふうに思うのでございますけれども、皆さんひとつよろしくお願いします。
大輪公述人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/124
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125・大輪次郎
○公述人(大輪次郎君) ただいまの木暮先生のお話、いろいろ私どももごもっともだと思う点もございますが、またちょっと反論したいところもございます。
例えば、日本医師会からMDS—HC、これは貧民査定方法だという御指摘がございましたけれども、MDS—HCを使えと言っているんじゃなくて、現在のいわゆる七十項目の中にはADLについての所見は非常に出ておりますけれども、医学的所見が欠けておるわけです。欠けている部分をかかりつけ医の意見書だけで判断するようにしようと。ところが、かかりつけ医、まだこの保険に習熟していない町のお医者さんは、その所見がいろんな意味で偏った形で書かれているのもございます。あるいはかかりつけ医は耳鼻科の先生だからというのでその先生に書いてもらうというようなものもございます。こうなりますと、最初のいわゆるアセスメントのときにおいて、医学的な所見もある程度客観的に判断できるようなということでこのMDS—HCの中で役に立つ部分を入れて日本医師会が案をつくったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/125
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126・木暮山人
○木暮山人君 わかりました。
それで、私ちょっと舌足らずなところがございまして、ドイツの公費助成の問題も全部見た上で日本医師会の意向でつくられたものであって、そこのところを説明するのが欠けたことをちょっとおわびをさせていただきます。
貧民のもの、これも必要だと思うんです。しかし、私は貧民院のこの方法、この中でそれをまた削除して取り入れるということは、私は非常に不可解だと思うんです。日本がこれほど今経済的に伸びておりますのにアメリカの貧民のシステムをその中からとってきてつくるというのはいいことじゃないと私は思っているんです。
しかし、そこにドイツのやり方とかスウェーデンとか、いろいろ今加えましてようやっと経験のない日本に政府としてこういうようなことをつくったことについて、私はまだこの先どんどん改善は必要であるけれども、特に考えなきゃだめなのは、これは後で皆さんの声として出るんじゃないかと思うんです。今の現状にそぐわない点というのが、今の現状の移行じゃなくて違う角度から大きく政府が何か肩がわりのように出てくる、そういう意味ではだんだんこんがらがっていきますから、そこら辺をひとつなるべく、私はみんなで痛い思いをしながら次の時代に立派なそういうものを引き継いであげたいと、こんなふうに思ったんだけれども、ちょっと舌足らずで、もう大輪公述人のあれは全部理解しておりますから、では次に平野公述人にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/126
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127・平野隆之
○公述人(平野隆之君) 先ほどの最初の審査の話で一点だけ述べておきたいんですけれども、そこである意味での要介護状態を解決するための審査をするわけでは決してないんで、私はそこはできるだけ簡素な、かつ私もこのモデル事業にかかわりましたけれども、やはり医学的な調査項目が多過ぎますとかえって要介護状態が見えなくなってしまう側面があるんではないか、もう少し福祉的な要素を取り入れていただく必要があるんじゃないかというふうに思っております。
それからもう一つは、介護保険全般のことで一言だけ繰り返しになりますけれども申しておきたいのは、ようやく出そろった、特に今は社会福祉法人が頑張って在宅福祉サービスを提供しているわけですけれども、やはりそこの経営問題を回避しないと、長期的にはその供給量を総量として高めていく必要があるものですから、もちろん競争による質の向上というのはあるわけですし、そのことは決して否定するものではございませんけれども、先ほどの短期、長期というようなお話から申しますと、やはり供給量が加速するような方向の経営問題の解決ということを希望したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/127
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128・勝田治己
○公述人(勝田治己君) 私は、これは名称は介護保険というふうになっておりますが、介護が単なる介護で終わらないように、必ずそこには高齢者の自立への視点を持って臨みたいというふうに思います。ですから、少しでも自立へのチャンスが、可能性がある対象者を見逃さないように介護認定の段階からケアプランの段階、それから実践リハビリテーション医療を提供する段階まで、理学療法士が参加することによって少しでも対象者が自立へ向かうことを実現したいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/128
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129・木暮山人
○木暮山人君 どうもありがとうございました。
ちょっと追加の質問をさせていただきます。
今、日本全国で一万六千人なり二万人の方が仕事にタッチしておりまして、実際に予防といいますか、ある程度寝たきりになった方とかある程度意識が痴呆に近づいているような方、こういう方の活力というものが何か理学療法で出てきたよというようなお話をする機会というのはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/129
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130・勝田治己
○公述人(勝田治己君) 寝たきりになりそうな人を予防するような対策について話をする機会ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/130
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131・木暮山人
○木暮山人君 はい、そうです。軽く寝たきりになった人、それをだんだん重くしないで普通の、いわゆる自助の力で、人のことはできないけれども自分の日常のことをやっていけるというようなことをお聞きになったことはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/131
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132・勝田治己
○公述人(勝田治己君) それは、もちろん同じ職種の人たちから聞いたこともありますし、自身の経験でもあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/132
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133・木暮山人
○木暮山人君 それはざっと何%ぐらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/133
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134・勝田治己
○公述人(勝田治己君) それはパーセンテージとしてはちょっと正確にはつかみかねます。ここでの発表を差し控えたいと思いますが、あることは事実であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/134
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135・木暮山人
○木暮山人君 そうですか、わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/135
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136・磯部栄
○公述人(磯部栄君) 二〇〇〇年から介護保険がスタートすると、こう言われておるわけなんですけれども、やはり厚生省としても何とか今のうちにとにかくスタートしたいんだというところで、いろんな意味で不都合な点が出ておると思うんです。そのためか、もう既に二〇〇五年からの話が結構うわさとして出ております。
例えば、現金給付を二〇〇五年からするかとか、それから四十歳を二十歳にするとか、また入っているお年寄りは一緒なんだから老人病院も老人保健施設も特別養護老人ホームも一緒にするだとか、あと公的な保険と民間の保険をミックスさせたものだとか、いろいろ出ておるんですけれども、これは二〇〇五年の時点の話をするんじゃなくて、できたら今の時点でそういう話をもっともっと盛り込んでいただきたいなと、そんなふうに思っているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/136
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137・石川まち子
○公述人(石川まち子君) 理想的な介護保険を待つんじゃなくて、七十五点ぐらいからスタートせざるを得ないというようなことを言われたと思うんですけれども、私はとても七十五点は残念ながら出すわけにはいかないわけです。
お金をどうやって持ってくるかということを言われましたけれども、実際に利用者はお金をどう払うかということで今すごく悩んでいるわけです。九月一日から医療法が変わりまして、老人の負担が少し増しています。今、在宅で療養されている方たちの介護者はほとんど高齢者が多いわけです。だから、一方では九月一日から医療保険で負担がかかり、さらにまた介護保険を払うということではもう二重三重の負担になってしまう。それで、私はやはり新ゴールドプランの基盤整備をどうするかということがとても大事だと思います。
特に、名古屋市の場合は都道府県、政令指定都市の中でびりから二番目か三番目をいつもずっと保ち続けているんです。この保ち続ける努力というのはすごいなというふうに思うんですけれども、今ヘルパーを利用している世帯の八〇%が住民税の非課税世帯なんです。その人たちが本当に今の介護保険で実際に要介護度を認定されたとしても払えるかどうかというのはとても私は問題だと思いますし、少なくとも私どもが今かかわっている六十五名の方に私は聞きました。皆さん、これ以上お金がかかる法案ならば反対する、今まで我慢してやってきたんだから、もう少しいいものになるんだったら我慢してもいいよというふうなことを言われていました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/137
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138・木暮山人
○木暮山人君 どうも済みません。ちょっと時間がなくてここで終わりになると思いますけれども、これは決まったわけじゃないけれども、私見の極論からいきますと、そういう方はやはり国の大事ないわゆる今までの戦力になってきた方ですから、何も心配なく生活ができるようなシステムを最後に構築しなければいけない。それにはどうしたらいいんだろう。これは皆様のいろいろなお知恵と、それから自治体の皆様の考え方と、倹約するところは倹約していくというようなやり方等を踏まえまして私はやっていくべきで、皆様の御意見と力が非常に大切なものだと思っております。
きょうはちょうど時間が切れましたもので、ここで失礼させていただきます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/138
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139・山本保
○山本保君 平成会、新進党、公明でつくっております参議院の会派でございますが、山本保です。
私は名古屋、愛知県でございますので、きょうも日ごろからお世話になっておる先生方たくさんおられまして、本来ですと全員の方にお聞きしなくてはと思いますけれども、時間が限られておりますので、もし時間がない場合はお許しいただきたいと、また別の機会にぜひお聞きしたいと思っております。
それで、最初に私どもの考え方といいますか、混乱するといけませんので申し上げますが、私どもとしましては、やはり介護保険、今の介護が社会的にみんなで支援していかなくてはならない、そしてさらに言えば今までの措置制度というのはまずいと、これはもう全く我々もそう考えているわけです。しかし、残念なことに、何か介護保険ができてしまえばオールマイティーでこれで全部よくなるんだと、こういうことを最初に意図したのかせざるなのかそれはわかりませんけれども、出てきた。その結果、今お話を伺っていても、また実は与党側からもいろいろ問題点が指摘されておりますように、いっぱいあるわけなんです。骨格にしかすぎないという法案です、本当に。こういう法案は非常に珍しい法案でして、今お話もありましたように、それは小さくまたは悪くともつくって、直していければよろしいんです。
しかし、もしそうでなければどうなんだろうか。私どもはそれであるならば、今までの税金をもとにした措置制度というものの問題点をもっとしっかり洗い直して、それを一つ一つ直していく。具体的に言えば、専門家の介入はどういうふうにもっとしていったらいいのだろうかとか、またもっと自由な選択はどのように保障されるのか、またさまざまな業者といいますかサービス提供者が今までのように全く限定されるというよりも、非常にあるところだけに絞られるようなものではなくして、もっとたくさんの方が入ってきて、そしてその中身が質的に向上していくというような方法をとるにはどうしたらいいのか。実は、それを法案として出したいという意向はあったんですけれども、なかなか野党の悲しさといいますか、時間内に残念ながらできなかったということであります。
ただ、私どもとしては、今申し上げたような施策というのは何もことしじゅうにつくらなくても、もし仮にこの保険制度の保険法案が通ったとしてもあとまだ三年ありますので、その間何回も選挙もあるでしょう。そして、この実態がはっきりしていけばいくほど問題点に対する指摘はもっと大きくなってくるんじゃないかと、こういうふうに思っておりますので、あきらめずに頑張っていきたいと思っておるわけであります、まだ負けたわけではありませんけれども。今それが私どもの基本的な立場だということで、混乱があるといけませんので先に平成会の基本的な立場をお話し申し上げます。
ただ、きょうは演説会じゃありませんので、ぜひ現場の先生からいろいろお聞きしたいと思っておりますが、最初に平野先生にお聞きいたします。
先生はいろいろなところにこれまで、私も読ませていただきましたけれども、きょうおっしゃったように、まさに今回の法案が財政面だけの法案であって、具体的な介護実践をされている現場からの積み上げではないんだということを非常に細かな調査研究をもとに報告されておられると思います。きょうは時間がなかったのでそれについてはほとんど触れられなかったと思いますけれども、最初にそのことについて少し補足的に御説明をいただきたいと思っているわけでありますけれども、今回の財政中心でつくられたというものに対して、これでは心配であるというところについてもう少し補足的に御所見をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/139
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140・平野隆之
○公述人(平野隆之君) 先ほどから繰り返し言っていることになろうかと思いますけれども、一つは、我々がいろいろ調査研究をしてみたときに、やはりサービスの供給組織の方がいわば介護報酬という、これはどのぐらいの報酬基準になるかというその問題はもちろん残ろうかと思いますけれども、これまでのように例えば一年間これだけの事業予算でデイサービスをやってもらうという形では決してなくなるわけです。あるいはホームヘルプ事業もそうなっていくわけです。そういった事業が一つの介護報酬という形の点数に単位ごとに支給される形で果たして事業運営ができるのかどうかという問題をもう少し真剣に議論していただく必要があるんではないか。そこが経営が揺らぎますと、先ほどから申しているようにサービスの質の悪化の方にいろんな形でしわ寄せが行ってしまうんではないかという問題を非常に危惧しているという点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/140
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141・山本保
○山本保君 ありがとうございます。
では、もう少しそれについて具体的に、きょうもうお話の出たところもありますけれども、繰り返しになるかもしれませんがあえてお聞きいたします。
きょう、現場の方、特に朝倉公述人、村上公述人の方から生々しい声が出てまいりまして、私が感じましたのは、まさに介護といいますかお年寄りのお世話というのは本当に心の問題であって、愛情、それは個人的な愛情もあり、そしてその地域の人がそれを支えていく愛情というものが大事なんだと。それが非常に効果も与えているという資料もきょうあったわけでございますが、こういうものがまさに介護、今家族介護という形でなされているものの主体、いろんな問題があるにしても、それが日本の介護を支えてきたと思うわけです。
こういうものが今回の介護保険法の中にどういう形で評価されているのか、評価されるものであるのかどうかとか、なかなか厳しいと思うわけですけれども、先生は何か家族に対する手当というふうな形でお考えではないかと思うんですけれども、この辺について平野公述人にお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/141
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142・平野隆之
○公述人(平野隆之君) 直接政策の話に入る前に、我々が全国の実際に介護されている方に家計調査を行いまして、どれぐらいの介護負担が行われているかということを調査した経験がございます。
想定されていたよりも非常に低い介護費用しか出てこなかった。その最大の理由は、あるいは逆に言うと、高く介護費用が出たケースはどういう状況だったのかといいますと、それは社会サービスを使ったケースに介護費用が高くあらわれていたということになるわけです。つまり、家族の大変な重い負担がなぜ社会サービスへ転換が起こらないのか、なぜそこが進んでいかないのかという問題としてその現象をとらえたわけです。
予想以上にそれが進んでいるんであればそれをどう補てんするかという問題だけで簡単に進むんですけれども、いわば大変な家族介護負担があるにもかかわらずそれが社会サービスの利用に転化していかないという、もちろんこれはサービスの供給量の絶対的な不足という問題があろうかと思いますけれども、もう幾つかの点を指摘しておきたいんです。
一つは、その地域に社会的なサービスを使って介護するという、そういういわば介護の標準化といいますか、社会的なサービスを使ってやっていくんだというものの標準化が地域社会の中につくられていないという問題があるわけです。例えば、町村部に行きますと非常にサービスの利用率が低いという問題があるのはそういうことだろうというふうに思うわけです。
ですから、逆に言いますと、先ほど南医療生協の石川さんでしたでしょうか、幾つかのケースの御発表があって、その中でサービスの利用が少ないとおっしゃっておりましたけれども、私から見れば、例えば医療生協の取り組みがある程度その人たちに浸透していて、その人たちの間に一定の、相対的に十分とは言えませんけれども、まあまあサービスの利用が進んでいるというような現象として私などは聞けたわけでございます。そういう点では、地域での、このあたりまで社会サービスを使うのが一つの介護様式なんだというものが浸透していくような、そういうものが大事になっているんではないかというふうに思うわけです。
もう一点、進まなかった最大の理由は、我々は貯蓄や税金などを所得から引きまして自由に使えるお金を可処分所得というふうに呼んでいるわけですけれども、介護に使えるその可処分所得がどれぐらいあるか、それは介護用可処分所得などと名前をつけて我々も考えていたわけですけれども、そういう介護用の可処分所得がかなり小さいのではないかというような結論でございます。そういう点からも手当の方法というのは一つの意味があるんではないか。つまり、介護用可処分所得を引き上げる。
逆に言いますと、比較的支出が見られたのは、例えば自営業者などでは介護しながらでも自分が自営業の中で働けるというような環境がありますので、比較的自営業層はその高い介護費用を払ってでも代替してもらっていたという結果が出ました。その介護用可処分所得が、例えば三世代で子供の教育などにもお金が取られている、あるいは住宅ローンなどにも取られているというような問題であれば小さくなりますし、あるいは逆に要介護状態にある人が一定の資産を持っているというようなものであれば取り崩して可処分所得がふえていくというような形が現状ではないか。そういう調査研究の結果をちょっと披露させていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/142
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143・山本保
○山本保君 どうもありがとうございます。
要するに、これまでの制度ですと、悪いところもありますけれども、まあ言うならどんぶり勘定的なところもあり、あるサービス主体にぼんとまとまった費用というものが行ったりしますが、その中で逆に言えば今のような愛情であるとかやる気というものも余りいい制度ではないかもしれませんがあり得たと。
しかし、今度おっしゃいますように介護保険というようなことで細かな、きょう磯部公述人からもありましたけれども、いろんな形で個々のサービスが限定されますとそういうのが入り込んでくる余地がないんではないか。まさに介護保険は、政府の説明では保険とそして公的な負担のいい方を両方とっているんだと言うけれども、どうも悪い方を両方合わせているんじゃないか。お金を出さなければ見てあげないよというような、その辺が非常に心配だなというふうに思っております。
それで、また後で時間がありましたらもう一度お聞きするといたしまして、次に大輪先生にお聞きしたいんですけれども、きょう何度も出てきたことでございます。
まさに障害者などについては、もうよく御存じのようにWHOのいろんな有名な見方がありまして、いわば体の中の機能的な損傷というもの、それから実際に身体的な無能力というもの、そして三番目に社会的、環境的な支援の問題と、こう三つあるわけでございます。今回のこの認定というのは、まさにその真ん中の無能力、身体的な能力度ということだけを調べている。これはある面では客観的に評価できると思いますけれども、例えばおばあちゃんに、何でもいいから絶対手が上がらないと言えよとか、そんなことが幾らでも起こるかもしれない。それが起こらないようにするためには、まさに大輪先生おっしゃるようにお医者さんが診ればよろしいわけで、まさに何らかの意味の原因があるわけです。
今回でも、六十五歳までの方ですと、その原因を問うて、非常にうるさくそれが加齢によるものかどうかということをやっておるのにかかわらず、六十五歳を超えればそれはもう何かいいようなことになって、まさにそれが先生のおっしゃるように判定のときに医者の介入といいますか医者の関与が非常に軽く見られているんではないかという気がするわけです。
大輪先生、この辺については、個々の判定のやり方の一つの基準ということよりも、もう一つ大きな見方の問題があるんじゃないかと私は思うんですけれども、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/143
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144・大輪次郎
○公述人(大輪次郎君) 医者が一番よくわかるんじゃないかと言われますけれども、本当は一番よくわかっているのは家族の方だと思うんです。それで、医者はその中でどういう役目をするかというと、その起こっている現象がどういった病気の結果であるか、あるいは身体的な病気じゃなくて心理的な問題であるのかというような部分についてある程度助言ができる、そういう立場であろうと思います。
したがいまして、先ほども申し上げましたけれども、一方では家族の方が早く認定してほしいということを言っておるとすれば、現在の身体障害者の等級認定のように、まず問題のない、大体上がってきた資料で判定できるものについては数名の、例えば医師と看護婦それからソーシャルワーカーの三人ぐらいでいいですからどんどん判定をしていく。その中で問題がある、何かこれはちょっとというものがあるものだけが認定審査委員会へ上がってきて、それぞれの専門の立場の医師もそれからケースワーカーも、いろいろな人が判定する、それが一番理想的ではないか、これは私見でございます。
しかし、いずれにいたしましてもこの法案が骨格だけで、まだこれから政省令でいろんな肉づけがされるときにお願いしたいことは、従来、どうしても医療と介護は連携が非常に難しかった。医療の方で近寄ろうとしても介護の方が来ない。逆に、介護の方が近寄ろうとすると医療の方が来ない。こういう状態が非常に続いております。それが連携できる一つの大きなチャンスであるというふうに考えております。そういう意味でも、医師が積極的に参加していくということが絶対必要であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/144
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145・山本保
○山本保君 ありがとうございます。
実は、私どもの委員会でも宮崎先生が本当に同じ趣旨で厳しい質問をされておりますので御紹介を、御本人は先ほどおっしゃいませんでしたのでちょっと申し上げますけれども、私も全く同感でございます。
それでは次に、磯部公述人にお願いしたいんですけれども、先ほど、これも実は委員会の中でもよく出ることなんですが、いわゆる介護状態を改善していくことについてのインセンティブが全然出てこないんじゃないかということではないかと、先ほどもあったと思うんです。
それで、今の措置制度というのも全然だめだと思うんです。というのは、定員制ですからどれだけ入れかわろうが全然だめだ。しかし、今度の制度にしても、多分入ってくるときに一番最初にいろいろ手間がかかると思うわけですから、一生懸命よくして一生懸命地域に還元というか戻してまたたくさん入ってくるような施設の方が本当はしっかり仕事ができるように、お金が当然要るんですから来なくちゃいけないと思うんですけれども、そのためにこの制度というのはうまく動くんであろうか。
何かこれについての御所見といいますか、またアドバイスとかアイデアとかがございましたらお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/145
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146・磯部栄
○公述人(磯部栄君) もともと介護保険の考え方が介護の量に応じて介護度を決めるシステムではないかなと思っております。だから、当然ながら最重度にしてしまって寝たきりにすると介護度が減るわけです。
今までの考えだと、最重度で寝たきりにしておけばとにかくいっぱいお金がもらえるよということから、これから介護する量ということは、例えば痴呆の方で徘回があればどんどんそこらじゅうに行ってしまって非常に介護量が多くなるという考えで持っていけば、これは必然的に一生懸命その人を起こしてよくしようとするところには介護量がかかるわけです。
だから、そういうところにひとつ予算が、予算というよりも報酬をつければこれは解決できる問題じゃないかなと思っているものですから、一概に私どもの施設でとにかく何もせぬで寝かしておけというふうではなくて、あくまで一生懸命起こして自立支援に向けたそういう手だてをしていくことじゃないかなと思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/146
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147・山本保
○山本保君 ありがとうございます。
まさに報酬については全くまだ発表されていないわけでして、その辺はきちんとこれからも我々もよく押さえて、本当に努力されていること、そして喜ばれたこと、そういうものがきちんとその方にお金が行くような形を、これは理想ですけれども、しかしそれに少しでも近づくような制度にしなくてはいけないということだと思います。
もう一つ磯部先生にお聞きしたいんですけれども、つまり今のお話とも関係するんですけれども、今のお話は個々の処遇なんですが、施設で言いますと、まさにそれが今の施設、三種類ありますけれども、これが本当にどういう仕事をしたかというのではなくして、その施設というものでお金のランクが決まっておる、ここが問題じゃないかと思うんです。
先生のところでもリハビリをやったり、またお医者さんがいてやれば当然それに加算されるという形、つまり同じのっぺらぼうの同じ施設を一つにしろというんじゃなくて、本当に機能で、どういう機能があるかによってお金が行くような、算定されるような体制を、これは先ほども話が出たと思うんですが、保険をつくる前にも早くやらなければならないんじゃないか。何で保険というか、今回で言えば保険をつくっても五年間はやらなくてもいいようですから、この辺は非常に問題だと思うんですけれども、施設論についてはどうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/147
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148・磯部栄
○公述人(磯部栄君) 施設においてはいろいろあるわけなんですけれども、確かに役割というところでそれぞれ療養型病床群の役割もあるだろうし、また老人保健施設の役割もあると思います。と同時に、特別養護老人ホームの役割、これは先ほど言っていましたように在宅復帰というところの部分というところで、やはりこれもどしどし本来はしていくことではないかなと思うんですけれども、家族の要望からすれば、できたら最後までとにかく置いてほしいというのがかなりあるものですから、その辺のところの要望にこたえるという形に今現在なっているのが状況じゃないかなと思うわけなんです。
そういう中で、今ですとそれをどちらかというと一緒にしてしまおうという発想が非常に出ております。僕自身としては、もう少しそこの中で逆にもっともっと役割分担みたいなものをしっかり設けていった方がいいんじゃないかなという考えでおるわけです。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/148
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149・山本保
○山本保君 ありがとうございます。
私もそれは同感でございます。そういう意味では、ベースというところは同じでもいろんな機能はもっと多様に、三つどころじゃないわけですね、その組み合わせとなればもっと多いわけですから、もっと多様な対応がされなくてはならないんじゃないかなと思っております。
それでは、村上公述人に、先ほど中途半端で終わったようでございまして、ぜひお話をされたいんだろうと思うんですが、私は実は小泉厚生大臣に最近の委員会で、今の社会福祉法人が厳し過ぎるんだ、なぜ一億円も積まなければできないんだ、在宅介護であるとか通所型の訓練施設などにどうしてこんなお金が必要なんだということを申し上げましたら、厚生大臣はああいう方ですから非常に何か気に入ったようでして、大至急検討しましょうと、こう言っておるわけです。
有限会社ですと寄附もいただけませんし、実際利益は出ないわけですから社会福祉法人であった方がいいんじゃないかと私は思いますが、先生はいかがでございますか。そういうことについて、またそれに関連してどうぞお話しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/149
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150・村上ルリ子
○公述人(村上ルリ子君) 社会福祉法人をつくるには形態がありまして、今有限会社だと私、看護婦個人でつくれるわけですね。ところが、いわゆる附帯のものを私たちが思ったようにできないわけなんです。
例えば、お医者さんと組んでやればいいじゃないかという意見があったとします。これはどうしてもお医者さんと組みますと我々のナースの考え方が制限される。それは経済的にも制限されます。動きにも制限されます。こういうところをやったらこれだけのお金をいただけるのに、そしてそれはお話し合いしていただけるのにということをざあっと並べても非常に理解が得られにくい。なぜならば、そんなものでもらえるのか、そういうもので本当に払ってくれるのかという懸念が先に立ってしまうわけなんです。
私たちはもう無謀というか、ある程度ボランティア精神が非常に旺盛、看護婦はどっちかというと旺盛なものですから、ともかくやってみて、それから考えてもいいじゃないというのが大きいわけなんですけれども、そうしてやってみたところがほんの少しだけれども利益も上がる。それで十年間そのままでもやれる。実は政府の方では一時間やると九千三百円ですか、九千六百円という報告が出ておりますが、こんなにもらえるんだったら私はもう本当にやりたいというくらいなんですね。
でも、そういうこともある程度見直しをして、そして有限会社でも参画できるような方向をつくってくれれば自由にやる、そういうかせというんですか、足かせです、私たちから見ると。そういうのを取り除いたらいいじゃないかと思っておりますけれども、そんなものでお答えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/150
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151・山本保
○山本保君 はい、どうもありがとうございます。
多分、有限会社でもいいんではないかなと、今度の法案は。そういう点では民間の営利法人も認めるだろうと思います。
ただ問題は、そのときにまだ全く明らかになっていない運営基準とそれからそのもとの施設の基準が必要と法律には書かれているんですが、しかしその中身は全く発表になっておりませんので非常に心配なところはあるなと思いますし、私は逆に社会福祉法人というのが今全部一並べで同じように非常に厳しい、さっきのようなこともあるし、もっと露骨に言えば、市のOBを入れればすぐつくらせてやるとか、そんな話さえある。こういうところをやっぱり直していって、今のイメージの法人ではない、もっと市民がそれを支えていけるような法人というものをつくらなくちゃいかぬなというふうにも思っておりますので、そのことはまた一度話を伺いたいと思っております。
それでは、朝倉公述人にお伺いいたしますが、朝倉先生がお書きになった本も、こういう「地域ケアに関する七つの発言」ですか、読ませていただきまして、大変苦労されながら、でも効果の高い実践をされているなと思うわけですけれども、まずこういう小さなサービスに公的な補助が全くない、これについてもっと、きょうは皆さん専門の議員ですので訴えたいと思われますので、どうぞお話しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/151
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152・朝倉義子
○公述人(朝倉義子君) 小さなサービスに公的補助がないということで、実は二日前ほどに厚生省の方とお会いしてきました。私どものようなこういう小さなグループ、小さなデイサービスを始めている者に対して何らかの形での補助なり保険の中に入っていけるような形のものができないだろうか。基準というかガイドラインが一月ごろに出るというお話を聞いたものですから、ちらっと気持ちだけでもお聞かせくださいというふうに言ったんです。そうしましたら、小さな弾力化したデイサービス、グループホームですとかそういうものに対しては、もう市町村の方にお任せしてあるから厚生省の方では全く関係ありませんというふうに言われました。
ちなみに、では市町村の方におりている、例えば今老人デイサービスのD型、E型というようなそういうものが市町村でどのぐらい行われているだろうか、各県においてどのぐらい行われているだろうかという調査をしてあるのか、または、していないとしたら御存じなのかということをお聞きしたんです。そうしたら、私たちはもう一たんおろしたことに対しては知りませんというふうにおっしゃいました。私たちの責任範囲ではないと言われました。
たまたまある県の方が、隣の県は何をしているんだろうということで、自分の県が独自にではなくよその県を見てうちもやろう、そういうことでアンケート調査をしました。そうしましたら、全部の都道府県にアンケートをした結果、それぞれの県において独自の予算を組んで弾力化したこのデイサービスについて、例えば社会福祉法人にも可というのはほとんどの県でなされているんですが、ボランティアグループにも可、老人クラブのようなところにも可、そのように可というふうにうたって予算を組んでお金を出しているというところは七つの県しかございませんでした。そのアンケート調査も、公表してはいけないかもしれないけれどもお見せをしましょうということでちらっとお見せをしたところ、私たちには関係ありませんというふうにおっしゃいました。
では、今度の公的介護保険にしても、今後の厚生省なり、私たち日本で生きていくために、これから年をとって生きていくときに何を頼りにして、私たちがどういう保障が受けられるのかということが明確になっていないんじゃないか。私は日本で生まれて、ちなみに私は一九六〇年生まれ、二〇二五年のピークを迎えるというときに六十五歳になる者です。ですので、六十五になった二〇二五年、大変不安です。私よりも年下の人たちはもう少子化といってほとんど半分ぐらいしかいないかもしれません。お金を納めてくれなくて、私たち老人たちはたくさんいて、そんな中でこれからの日本で私は生きていく自信がありません。かといって、私は日本に生まれ育ちました。ドイツの介護保険、スウェーデンの暮らしをしたくて日本に住んでいるんじゃありません。私の町、私のこの住んでいる豊橋という町で、南旭町という町でこんな暮らしがしたいということがかなえられるような、そんなものになってほしいなと。
今回の公的介護保険も、行政ですとかいろんなところでどういうふうにお金を出そうかということは言われるんですけれども、本来私たちがどう暮らしていきたいかということに対してどう保障していこうかということをかなえるための保険じゃなかったのか、そのためにこういうふうに話し合いをずっとされてきたんじゃないのかというふうに思っているんです。二〇二五年の私が六十五歳になるときには、ぜひ私がまだ日本人でいたいと思うような日本でいてほしいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/152
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153・山本保
○山本保君 ありがとうございます。
まだ少し時間がありますので、今の問題というのは、本当に介護保険というものが最初に申し上げたようにオールマイティーであるならばそういうものをもっと入れなくちゃいけないと思うんですけれども、全然今そういう中身がわかっておりませんので、きょう厚生省の人もいるようですから今のことはよく聞かれたと思います。
我々もぜひ、決して私どもけちをつけてだから悪いんだというんじゃなくて、もしそうだとしたら、その中でもぎりぎりよくなるように応援していかなくちゃいけないと思っているわけでして、当然のことでございます。国民が悪くなることをそれ見ろと言って喜ぶわけではございませんで、そうならずにいくためにやっていくのが政治家だと思っておりますから、その辺はまた皆さんこれは全員同じだと思います。今のお話はまた委員会でも取り上げていきたいと思っております。
最後にちょっとだけ石橋公述人にお願いしたいんですけれども、さっきヘルパーのことが大変だと言われましたね。ヘルパーは、例えばゴールドプランで何人というものが、多分市でも目標値というのがあるんじゃないかと思うんです。ただ、数字はよろしいんですけれども、その場合、そのヘルパーさんというのは常勤八時間労働というふうに考えているのか、ただ単に登録されていて、いわば一時間ぐらい動けるよという人なのか。一体その辺は、最初からどういうことでヘルパーというふうに、そして今いなくて大変だとおっしゃっていたけれども、それはつまりもともとの人数の設定の仕方がおかしかったんじゃないかという気もするんですが、その辺はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/153
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154・石橋誠晃
○公述人(石橋誠晃君) 市長の私としては時間的なものは余り制限をしないという考えです。もちろん長くやっていただく人もそれはありがたいし、おっていただきたいと思いますが、一時間なりあるいは二時間なりでも参加していただくということで考えております。当面、早急に五十名に持っていきたいということで頑張っておるんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/154
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155・山本保
○山本保君 ちょっと、それではもう一つそのことに加えて。
そうしますと、ただ介護量、いろんな具体的にはわかりませんけれどもモデルを考えたとき、何人かの方に毎日もしくは二十四時間、またはそれが無理ならこうと、こういうふうにしますと当然その必要量が出てまいりますね。そのときに、おっしゃるように一日に二時間とか一時間しかできない方であればもっといっぱい人数が要りますね。それから、二十四時間体制となれば、これは三倍以上、四倍か五倍の人が要ることになりますけれども、その辺はどうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/155
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156・石橋誠晃
○公述人(石橋誠晃君) うちらは人口五万二千ですから、そういう点である程度要介護の人の把握もしておりますから、そういう人の介護の時間帯を計算してもとりあえずは五十名でそこまでいける、将来はもっともっとふやさなきゃいけませんが、そういう考え方で今進めておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/156
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157・今井澄
○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。
大変貴重な御意見を幾つかいただきましてありがとうございました。順次お尋ねしていきたいと思いますが、山本先生も基本的な態度を言われましたので、私も基本的な態度をまず申し上げた上で質疑をさせていただきたいと思います。
何か介護保険は厚生省がつくったようなお話で進められているのは非常に心外でございまして、これは宮崎先生も含めて、私どもかつて与党の時代に一年余りかけてつくってきたもので、もちろんだから満足しているわけでもこれが完全だと思っているわけでもないんです。
一つは、高齢者介護体制の整備が急がれる、そのためには財源を何とかしなければならないということで、税でできればいいけれどもなかなかできないという現状の中で保険に財源を求めるという、いずれにしても国民の負担を求めるわけですが、その方式の一つとして保険方式を考えたということ。もう一つは、今までの公的にサービスを供給するシステムは、サービスのレベルからいっても量からいっても質からいっても要介護者の満足度からいってもだめだということで、民間活力を活用しようという点から、保険方式の持っている民間活力の活用、機能というものを認めるというこの二点から、保険方式でとりあえずスタートする、将来はそれは税方式になるのかあるいは医療保険とどういう形でドッキングするのか、これはまた検討していこう、こういう形で考えております。
それから、少なくとも私ども政治家は、国民の御意見をお聞きして、制度が一たんスタートしても悪ければ変える、こういう覚悟でなければいけないので、制度ができたらおしまいだから反対するという態度はとっておりません。
そんな点で順次質問したいんですが、今の山本保委員の質疑にちょっと関連して、私もどうしても石橋公述人にお伺いしたいと思ったんですが、先ほどホームヘルパーがなかなか採用できないというお話があった。それから国の財政措置が必要なんだ、これがないと新ゴールドプランが達成できないというふうな趣旨のお話があったんです。これは率直にお聞きしたいんですが、今までそういうふうに言われる自治体の方々の御意見で、私が質問しても明快なお答えを一度もいただいていないので、きょうはぜひ明快にお答えいただきたいんです。
例えばホームヘルパーについては、福祉マップを見ましても、先ほどもお話がありましたように愛知県、特に名古屋市は非常に利用率が低いんです。整備率も低い。ホームヘルパー、在宅が特に低いということで、もちろんこれは愛知県だけではなくて、東海地方それから首都圏は割合低いわけなんです。
それで、ホームヘルパーは、地方に行っても都会に行っても十人募集すれば、例えば地方へ行けば六、七十人は応募がある、都会でも二、三倍の応募はあると聞いているんです。常滑市の場合には、応募者が少なくて整備できないのか、それとも例えば十人募集したいんだけれども五人分しか募集する予算がないという意味なのか、その点をまずお聞きしたい。
それから二点目、国の財政措置が足りないというのはどういう意味なのかということをお尋ねしたいんです。一つは、一応それぞれの事業によって違いますが、例えば国が二分の一、都道府県が四分の一、残りの四分の一を市町村なり事業者というふうな今の負担区分になっていますね。そもそもその四分の一が重過ぎるんだ、これは国で持てという意味なのか。あるいはホームヘルパーにしても、国の基準は低過ぎる、国がこれで十人雇えというお金で五人しか雇えませんよという意味で国の財政措置が足りないと言われるのか。それとも、もっと一般的に、地方は苦しいんだ、苦しい中でそんなに福祉のことに力を入れられないという意味なのか。その辺をちょっとお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/157
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158・石橋誠晃
○公述人(石橋誠晃君) まず、ホームヘルパーの募集あるいは応募の件ですけれども、これは両方に問題があります。
募集してもそれは集まりません。それは裏づけがないとだめだと思いまずけれども、今十分な裏づけが出せない状況です。一時間九千六百円ぐらい払えればいいかもしれませんが、なかなかそんなわけにはいかない。そういう面と、もう一つは、もう一気に人件費をつぎ込んで見ていくということはこれは無理がたたりますから、これもできないということで計画的にふやしていこう。先ほども申し上げましたように五十人目標で現在十八人ですけれども、したがって三十二人が不足しておる。これからさらにそういう点を見ながら積極的に対応していきたいというふうに考えております。
それから、先ほどの国費を使ってという件でございますけれども、国費をお願いしておるんですけれども、四分の一ということになっております。その点についてははっきりしておる。これについては一番最初に私が公述しましたように、それ以外の面でもっともっと要るんですよ、それ以外の面は見ませんよということですと、これは四分の一どころの騒ぎではない、国より多くなっちゃうことだってある、半分以上になっちゃうことだってある。これでは困りますよ、もっと早くそういった点をきちっとしてください、内容を示してくださいと、こういうふうに申し上げておるわけでございます。地方自治体もある程度は持って一緒になってやっていく、こういうことが大事だろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/158
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159・今井澄
○今井澄君 余りこのことだけでやりたくないんですが、私も実はかつて自治体病院の院長でして、そういう意味では国の基準やなんかについて随分いろいろ国にも陳情したり文句を言ったこともあったんです。
今の点をもうちょっと明確に。それ以外にもいろいろあるんですよと言われるんですが、例えばホームヘルパーだと常勤換算では今一人当たり国は三百六十万ぐらいで算定しています。だから、年俸三百六十万円のホームヘルパーさんを雇うとその半額は国から来るわけです、四分の一は都道府県から来るわけです。だから、市町村が四分の一持てばいいんです。ところが、東京とか横浜のあたりは三百六十万じゃ雇えないと言うわけです。だから超過負担が要る。ところが、私のいる長野県では、まことに残念ながら三百万でも雇えるんです。そうすると、国の補助で十分計画どおりのヘルパーが雇えるんです。
常滑市さんの場合には、どちらに入るんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/159
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160・石橋誠晃
○公述人(石橋誠晃君) その両方ですね。雇える場合もあるから雇えておる、それ以上については無理だ。
病院の話をおっしゃったんですが、病院もすごいですよ、今。もう既に累積赤字も三十億を超えまして、私ども五万二千の人口で市民病院三百床を持っておるんですが、これも大変なんです。そういういろんなところに金が要る中で、一般会計から持っていっておるんですけれども、一番ひどいときは十億も持っていきました。五万二千都市で年間十億円病院につぎ込むというのは大変なことです。しかし、大事なことだから、いろんなことで我慢をして持っていこうということでやっておるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/160
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161・今井澄
○今井澄君 常滑市民病院は病歴管理で有名ですから見に行ったこともありますし、私も自治体病院の運営をやっていましたから大変なのはよくわかるんですけれども、一般的に大変ということじゃなくて、今介護の場合になぜかというと、私も福祉マップを見まして、どうして名古屋市さんや愛知県さんは全国平均よりずっと低いのかなということを来る列車の中でも疑問を持っておりましたので、具体的に特に問題があればということでお聞きしたかったわけですが、まあよろしいと思います。
さてそこで、平野公述人にお尋ねをしたいんですが、大変おもしろい問題提起があったと思ったんです。特に介護サービスの方で、このレジュメにもあります1の(2)の2で、「介護支援専門員は、どこまで供給組織の経営問題から自由でありうるか。」。実はこれはケアマネジメントという意味ではイギリスが一番世界で発達をしているわけですけれども、そこで問題になっているのは、ケアマネジメントや認定にかかわる人々が供給体制の方にまで深くかかわっておるために、どんどんサービスをふやしてしまう。その結果、イギリスの経済にも国家予算にも大分影響を与えて見直しをせざるを得ないということがあるんですね。その辺のことと関係があるんでしょうか、ちょっとお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/161
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162・平野隆之
○公述人(平野隆之君) 基本的にそういう意見です。ですから、ある法人あるいは多角的なサービスをやっている法人が、この介護支援専門員を持ってその人がケアプランを立てるときに利益誘導型になってしまう、そういうことはやっぱり起こるのではないかという意味で書かせていただきました。
しかし、では公務員だけをそれに持っていけばいいのかという問題でもないような気がするわけです。ですから、非常にそこは難しいので、そういうような利益誘導型にならない仕組みをぜひ考えていただきたいという意図で書かせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/162
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163・今井澄
○今井澄君 大変ありがとうございました。
これは今後の国会審議の中でも生かしていきたいと思うんですけれども、今まで問題提起されているのは、どうも認定を要求してもはねられるんじゃないかとか、低い段階に認定されるんじゃないか、そっちの心配ばかりが出まして、もう一方で私たちは、この財源は税金にしろ大事な国民の資源というか国民が結局負担するわけですから、こういうものを有効に使う意味で、今のケアマネジメントあるいは認定、そういうことについて大変貴重な御示唆をいただいたと思っております。
さて、ところでそれに関係するんですが、介護報酬がどう設定されるかということです。今一応要支援を含めて六段階、それは先ほどお話もありましたが、最低六万円から大体三十万円ぐらいまでの各段階に分けられる。そうすると、その範囲でサービスが行われるわけですが、また一方で介護報酬というのが設定される。
そこで、村上公述人にお尋ねをしたいと思うんですが、さっきせっかく十年間努力してこられたけれども、介護保険が出るとつぶれると。一つの問題は、営利を目的としていないんだけれども形の上では営利法人だから排除されるんじゃないか。それは山本委員が言われたように、そういうことはまず一〇〇%ないように私ども頑張っていきたいと思っていますので、それは大丈夫だと思うんです。
介護報酬の点で、どうでしょうか。例えば今だったらサービスがないところで自費でも利用者がいる。ところが、介護保険になるとみんなそっちへ行っちゃうから自費で利用してくれる人がいなくて低い介護報酬で仕事をやらされるんじゃないだろうかという不安、あるいは介護報酬をどういうふうに設定してほしいという御希望をお持ちか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/163
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164・村上ルリ子
○公述人(村上ルリ子君) 私は愛知県下を担っているわけなんですが、町とか市、名古屋市、例えば常滑と今おっしゃいましたが、常滑も一件ありまして、それを比べますと皆さんお金持ちです。現在のお年寄りは非常にお金持ちですと言わざるを得ないんです。ところが、我々がもし六十五歳以上になりましたら、まず人はいないわ金はないわという結果がもう目に見えているということは痛切に感じているものですから、私は昭和四十八年ごろからそれが必要だと。私個人の意見よりもそちらの方が必要だということで、この介護保険法案というのは大賛成なんです。
今の御質問のあれでいきますと、つぶれるということがあるかないかはふたをあけてみなければわからないというのが現実でございます。なぜならば、名古屋の地方は非常に保守的というか、人様に、保健婦さんに入ってきてもらったら何か威張っちゃって指導ばかりしちゃってという、申しわけないんですけれどもそういう評価の方が高いわけなんです。ですので、民間のよさというのでもって売り込んでいるものですから、先ほど言うように入院のときから退院と同時にタイムリーに動くということが無償でやっていることの裏づけなんですね。少しでもそういうものを評価して、介護認定するというか評価する、アセスメントするその機能に対して幾らと。
単なる人が行けばいいか。例えばこういうことがあるんです。うちに八人のリーダーがいますけれども、私は同じ一本の道を真っすぐに真ん中を歩きたい、でも一人の人はジグザグで行く、一人の人は右寄りで行く、一人の人は左寄りでと、もう本当に八人が意見を合わせるのが大変でございます。それなのにいろんな職種の方たちが今度やっていくわけです。どうなるんだろう。それにはやはりきちんとしたものを設けないと、その都度話をしていったって五時間やったって十時間やったって一つの線は出てこないだろう。
だから、機能別にお金が出るようにしてくだされば、民間でも参入させたら同じこういう機能に入った場合はこれのお金を出しますよというふうにしてくださるとこれは非常にいいのではないかなと。介護保険は絶対必要だと思っているから、そのことが出て、計算しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/164
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165・今井澄
○今井澄君 それで、介護報酬に関して磯部公述人と朝倉公述人にお尋ねしたいんですが、まず今のこととの関係で、朝倉公述人どうでしょうか、皆さん方はボランティア活動というか、もちろん非営利ということで本来やっているわけですが、介護報酬について何か御希望がありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/165
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166・朝倉義子
○公述人(朝倉義子君) 介護報酬で今私どもでは一日三千円、本来でしたら一万五千円でも二万でも三万でも少ないなと思うぐらいのことをやっていると思います。でも、お年寄りの方からは、毎日来ていただくと三千円でも六万、七万、十万にもなってしまうんですね。それではお金持ちのお年寄りしか来られなくなってしまう。でも、私どものところにいらっしゃる方はお金持ちのお年寄りではなく、本当にごく普通の生活をしていて、年金だけで暮らしていらっしゃる方もいらっしゃいます。その方たちからいただく限界の金額ではないか、私たちがずっとやっていくためにぎりぎりの金額ではないかというところで、利用料という形でいただいているんです。
介護報酬というところで、先ほどのところで申し上げたんですけれども、デイサービス、特に毎日行くということを基本に考えていただきたいと思います。デイサービスというのは週一回週二回利用して、ウイークリーサービスだけをやっても全く意味はありません。たまに出ていって元気になっちゃったために、その日だけが興奮状態になって帰ってきます。毎日行くからこそ、毎日昼起きて夜寝るからこそ元気になっていくんです。寝たきりも起きてくるんです。だから毎日行けるような点数にしていただきたいと思います。
今私どものところで三千円でやっておりますので、もし私たちのところを基本に考えていただくならば、倍の六千円で十分です。もうちょっと加算していただいて、私どもは送迎サービスで寝たきりの方をベッドから起こしてお連れします。もう二階だろうが三階だろうがそういう技術でやっております。ですので、送迎サービスに加算していただくとか、それとか入浴、こんな寝たきりの方が入れるかという方をごく普通の家庭風呂でお入れしております。そうすることによって非常にお元気になっておりますので、だんだん動いてくるようになるんです。そういうふうな入浴に対して加算。
あと食事の方、食事も外注のものではなくて、私たちが一方的に提供するものではなくて一緒につくる。いわゆる痴呆と言われて台所にも立たせてもらえなくなったおばあちゃんたちとかお年寄りの方が一緒に台所でお食事をつくる。そういうふうな行為そのもので元気になってきますし、あとみんなで一緒に家庭的な食事を食べるからお元気になるんですね。だから、栄養チューブが入っている方まで抜けてくるということもありました。ですので、そういうところに加算をしていく。
だから、デイサービスとあと入浴、送迎、食事、それぞれに介護をしたら加算していく。そういうところで例えば六千円をベースにしてちょっと加算していただく。そのぐらいで十分です。一万円以上も要りません、デイサービスには。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/166
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167・今井澄
○今井澄君 磯部公述人にお尋ねしたいんですが、今のことなんですが、さっきのドイツの例をお話しになって、確かに体の部分部分にバーコードをつけるようなそういう本当に細かい個々の積み上げ、これは医療保険と同じじゃないかと。しかも、お金がないからきょうはあれは要らないよとかという話になったり、非常にこれは問題だと言われているわけです。できるだけ包括的な点数、介護報酬にしたらどうかという案が今出ているわけですが、その辺もうちょっと何か御提案があればお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/167
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168・磯部栄
○公述人(磯部栄君) 確かに、ドイツへ行きますと、そういう細かいところで点数をつけている制度と、あとセットメニューでつけている二種類あるわけです。日本で言うと多分セットメニューになるんじゃないかなと言われているわけなんです。とにかく私どもの福祉においてはその辺のところがすべてなじまないというか、今まで生活の場というところでどうしても行ってきたものですから、やはりそういう医療版というところがなじめないために、今施設関係では介護報酬というところに皆さんの関心が一番集中しておるということです。ある意味では、今まで補助金をたくさんもらっているところは苦しくなって、一生懸命努力しているところは逆に黒字になるというおもしろい現象になってきているんです。
そういう中で、やはりこれはもう明らかに措置制度のある意味ではいろんな問題点みたいなものが出ておると思うものですから、それは素直にこちらも認めて受け入れをしていかにゃいかぬという心づもりはあるわけです。とにかく私ども施設というところにこれから受け入れればいいんだけれども、ある程度の安定的な収入も欲しいものですから、経営できないようでは、それこそ冒頭に言ったようにやはり福祉は人なものですから、人がなければ絶対にいい介護はできないということで、そういう意味での保障みたいなものをしっかり見ていただくというところも含めて、ただ悪いところはとにかく直していくというふうに思っているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/168
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169・今井澄
○今井澄君 介護報酬との関係で言えば、そもそも最初の要支援を含めた六段階に分類したところから大体お金の総額が決まるわけですね。そこで、さっき、よくすれば、軽くすればかえって安くなってしまうということをどうしたらいいかということで、磯部公述人の方からは、むしろ寝たきりが重いというふうな考え方よりも本当に介護の必要な介護度に応じてやれば、いいんじゃないかというお話もあったんです。
勝田公述人にお尋ねしたいんですけれども、特に先ほどのお話でも、いかに寝たきりにしないか、あるいは障害度を軽くするか、リハビリとかそういう観点からやっておられるわけですが、そういう点で要介護度が軽くなっていくと安くなっていくというのが今の仕組みなんですね。それについて、より軽くすることでより自立に向けることが経済的にもメリットになるようなことで何か御提案がありましたら、いただければありがたいと思うんですけれども、ちょっと突然無理な御質問かもしれませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/169
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170・勝田治己
○公述人(勝田治己君) そのことについてしばらく前から考えてはいたんですが、現金を直接家族の方に給付するということではやはり何か問題があるように思います。
ですから、そのほかに何かいい方法がないだろうかというふうに考えているわけですけれども、今のところ、こういうふうにしたらといういい案は思いつかないんですが、先ほど公述の中で発言させていただきましたけれども、機能がよくなってきた人に対してもその機能を維持するためにサービスを継続して供給するという形で、それを維持するといいますか、そういうところまでしか今のところ考え切れないんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/170
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171・今井澄
○今井澄君 どうもありがとうございました。
もう一つ、先ほど朝倉公述人がいろいろ御心配をされていたそういう小規模の、しかも法人格も持たない、社会福祉法人でも営利法人でもない、そういう活動なんですが、これは既にお聞きになっていると思いますが、今臨時国会にもいわゆるNPO法案、市民活動促進法案というのが出ておりまして、私どもは介護保険制度を成立させる上では、小規模のいわゆるボランティアあるいは助け合いグループを何らかの法人格として認める、簡易な手続で法人格として認めることによってサービスの供給主体になっていただきたいという気持ちが非常に強いわけなんです。ただ、この法案が成立するかしないか、ちょっと予断を許さないわけですけれども、いずれにしても、確かにさっきおっしゃったように厚生省の方針としては法人格を持たない団体にも事業を引き受けていただいて、介護保険から支払いをするかどうかは市町村に任せるということで逃げているわけです。
それからもう一つ、小規模のものについては恐らく厚生省レベルで言うと、ある程度の規模がないと質が担保されないということと、経営がうまくいかないということ。経営がうまくいかないと補助金を出すのもうまくいかないということから、目をつぶって、小規模のものから逃げて、それも市町村にお任せしたいというふうに言っているんではないんだろうかなと思います。そこのところは何とか小規模のもの、それから非営利法人も何か認めていく方向でいきたいんですが、それは市町村に任せるというふうに言われているんです。
石橋公述人としては、その辺はやっぱり国がもうちょっと方針を出すべきだと考えるのか、そこは市町村に任せてほしいとお考えになるか、その辺、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/171
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172・石橋誠晃
○公述人(石橋誠晃君) 市町村に任せるという意味合いでは困ると思うんですね。だから、もっとはっきり、これはこうこうこういうふうな部分については任せるよ、そうでない部分はある程度何らかの方策を持ちなさい、こういうことでやってもらわないと、何でもかんでも任せるだけの話では困ると思うんです。
私ども市長としましても、自治体に任されれば、そういった小さな自主的なグループでも手伝っていただければありがたいので、それで私どもは市民の税金でいろいろな仕事からすべて賄っていますので、やはり効率よく、安くやらなきゃいけないという一つの枠がありますから、幾ら払ってでもやってもらうというなら楽な話ですけれども、そんなわけにもいきませんから、その辺でそういう必要があるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/172
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173・今井澄
○今井澄君 今の問題ですが、再度お聞きするのもなんですけれども、例えば国で認めるなら十五人以上のものしか国としては認定しないけれども、十五人未満でも市町村の裁量で介護保険で払ってもいいかどうか市町村長にお任せしたい。
それから、例えば施設は社会福祉法人にしか認めない、それで在宅サービスは営利法人でも認めます、ただ法人格を持っていない者がやるデイサービスやホームヘルプ事業についても市町村長がいいと言ったら介護保険から払っていいですよ、国は関与しませんよと、こういうふうなことについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/173
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174・石橋誠晃
○公述人(石橋誠晃君) それは困りますね。やはりきちっと平等にやってほしい、小さくても大きくても。
それと、先ほど申し上げました十五人までならいいよとか、だったら十四人じゃだめなのか、十五人と十四人はどう違うのかという、そういう問題が全部市町村に来てしまっては困るので、ひとつそういうことも、先ほどもいろんなことを言っていますが、もう少し厚生省におかれましても内容をしっかり検討して、こういう内容のものはいいよという内容でやって、内容の同一のものは公平に同一に扱っていただきたい、長としてはそのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/174
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175・今井澄
○今井澄君 ほかにお尋ねしていない公述人もいて失礼をしましたが、時間も来ましたので、ここでやめさせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/175
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176・西山登紀子
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
きょうは公述人の皆さん、本当に貴重な御意見をたくさんいただきまして、勉強させていただいております。
私の方からも、日本共産党の介護保険法案についての基本的な態度について最初に述べさせていただきたいと思うわけですが、私たちは今公的介護の立ちおくれというものが非常に解決しなければならない国民的な課題だというふうに思っております。その点はそうなんですけれども、現行の介護保険法案というのは、そういう国民の皆さんの切実な御要望に果たして本当にこたえられるものなのかということなんですけれども、審議を通じまして非常に問題が明らかになってまいりました。
つまり、将来の介護の不安に対して保険を払って、将来は介護保障を期待するわけですけれども、現在のこの法案というのは、実は保険を払っていくという、保険は取られるんだけれども、しかし介護は十分保障されない。つまり、最も危惧される保険あって介護なし、こういう状況がますます拡大するんじゃないかというふうに私たちは思いまして、先般、記者会見をさせていただいて、社会保険方式は私たちは何も反対をしておりません、必要な方式だというふうに思っているんですけれども、現行の法案については余りにも問題が多過ぎるので、つくり直して、抜本的にもう一度再提出をしていただきたい、こういうふうな態度を決めているわけでございます。
そこで、きょうは時間の関係で皆さんにお話が伺えるかどうかちょっとわかりませんけれども、お聞きをしていきたいと思います。
まず、訪問看護ステーションの石川さんにお伺いしたいわけですけれども、非常に貴重なケースの御紹介もいただきました。まず最初に、私たちが最も危惧しております保険あって介護なしという点で、この利用料金の問題でございます。
これは、先ほど石川さんのお話を聞いておりますと、現在六十五名のお世話していらっしゃる方々の八〇%が非課税世帯、非常に低所得のお年寄りだということですね。そして、この利用料が、介護保険が導入されますと一割の定率の負担が入ってくるということによって、例えばEさんの場合は一万三千円に介護保険料金を加えると一万五千五百円ですか、何か膨れ上がってしまうということなんですが、この点私たちも大変危惧をしております。利用料は基本的に私たちは無料にすべきだというふうに考えておりますけれども、例えば具体的に今訪問看護は一回二百五十円ですね。Eさんの場合には週二回訪問看護を利用されているわけですが、月二千円ということになります。この訪問看護料金一回二百五十円が介護保険の対象になりますと、利用料一割負担ということになって上がってまいります。
具体的に石川さんがお世話していらっしゃる方々の中で、訪問看護料、必要な回数もさまざまだとは思いますけれども、そういう受けたいと思っていらっしゃる訪問看護が果たして引き続き受けられるのか。あるいは途中で間引きというんでしょうか、回数を減らさざるを得なくなったり、あるいは全くもう断らなければならないような、そういう状況になったりするんじゃないか。せっかく介護保険をつくったにもかかわらず必要な方々が今受けていらっしゃる訪問看護というサービスが受けられなくなる。おっしゃったように利用料負担がふえたために利用を制限しなければならないような事態が起こるんではないかと、この点についてもう少し詳しくお話をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/176
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177・石川まち子
○公述人(石川まち子君) それでは、具体的にEさんの事例を挙げながら説明させていただきます。
現在、老人保健の方で、訪問看護の一部負担として一日二百五十円ということで、週二回利用すれば二百五十掛ける八ということで二千円なんですけれども、この方はレセプト請求、いわゆる診療報酬ですね、そのレセプト請求は七万三千二百五十円になるわけです。ですから、その一割負担として七千三百二十五円をEさんは負担せざるを得ないということになります。
それから、ヘルパーの料金ですけれども、現在住民税の非課税世帯ですので無料で行っているんですけれども、ホームヘルパーの、これは厚生省のある資料でなっているんですけれども、家事援助中心業務ですと大体一回一時間千四百円ぐらいかかるということで、Eさんは家事援助が中心ですので一時間千四百十円、それを一回三時間使います。それを月八日間利用しますので三万三千八百四十円ぐらいとなるわけです。その一割負担として三千三百八十四円という形になります。
それと、デイサービスですけれども、現在名古屋市のデイサービスは一日七百三十円の利用料負担があるわけです。それが月四日ですから二千九百二十円なんですけれども、大体一日六千円から七千円かかるだろうということで、それを月四回というふうになりますと二万四千二百四十円、その一割負担として二千四百円ぐらい、合わせて一万三千百三十三円が今のサービスの利用継続をする場合に一割負担としてなるわけです。
それに、月々の保険料が、恐らく介護保険が二千五百円になるとすると、大体一万五千円Eさんは月々払わざるを得ないというふうに私の方は試算しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/177
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178・西山登紀子
○西山登紀子君 介護保険のお話を利用者の方々ともなさっているということですけれども、利用料金がふえるということの中で、それなら訪問看護の回数を減らしたいとか、そういうふうな御意見は出ていませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/178
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179・石川まち子
○公述人(石川まち子君) 訪問看護を減らすというよりも、名古屋市は十月からホームヘルパーの時間単価の料金を上げたわけです。
このEさんの事例なんですけれども、Eさんはこの九月まで一時間六百五十円の利用料金を払っていました。そしたら、十月になりましたら一時間九百二十円に一気に上がりました。Eさんはもうヘルパーを断ろうと思っている。看護婦さんは一日二百五十円、大体私たちは一時間前後見させていただいているものですから、看護婦さんは二百五十円でヘルパーさんは一時間で九百二十円も取られるから、私はもうヘルパーを断って看護婦さんに二回か三回来てほしい。看護婦さん、買い物とか掃除をやってくれないかというようなことも言われました。これは残念ながらお断りせざるを得ないんですけれども。
一応今の診療報酬体系で言えば、訪問看護は週三回保険で認められています。ただし、難病の患者さんだとかがんの患者さんについては回数制限はないということで連日お伺いすることができるんですけれども、一般の高齢者の方は週三回ということになっています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/179
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180・西山登紀子
○西山登紀子君 それでは次に、やはり石川さんにお伺いしたいわけですけれども、例えば要介護認定の基準に当てはまらなくて、しかし疾病を持っている、介護は必要だというお年寄りの場合に、介護保険が導入されたときに、これはもう要介護の対象じゃないということになって、またこれは保険を払っているんだけれども介護はないというようなことになるんじゃないかという先ほど御心配の御陳述があったわけですけれども、この点についてもう少し触れていただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/180
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181・石川まち子
○公述人(石川まち子君) 例えば、身体機能障害だとかそれから日常生活の自立度のところで障害があれば調査員のところでチェックされまして、要介護区分の中に入るかもわかりませんけれども、そういう見た目自立している方、特にKさんみたいな方が、かかりつけ医が要介護、生活支援と病気とのかかわりをどう判断するかというところがすごくポイントになるんじゃないかなというふうに思います。特に、虚弱だとか要支援のレベルのところにかかりつけ医の意見書が影響を及ぼしてくるんじゃないかなというふうに思います。
例えばKさんの例を挙げますと、最初外来の方に通院されていた患者さんですけれども、たびたび入院されるんですね。医者は、心臓疾患がありますので心臓に負担がかかるようなことはしないようにというふうな指示をしているんですけれども、よく心臓の障害で入院されてきているわけです。病棟の看護婦の方が、どうもたびたび入院し過ぎるから一度訪問看護の方でちょっと生活を見てもらえないかということで私が訪問させてもらったわけです。そうしたら、自宅の中で非常に段差が多くて上がりおりの動作が非常に多いわけです。それと自分の寝室からトイレまで非常に長くて、庭に面した廊下を通っていかなきゃいけないようなそういう構造だったわけです。それと長男さんとお孫さんともに男性ですので、この八十八歳のKさんが主婦のかわりに家事労働をせざるを得なかったわけです。それと押し車で通院をされていたわけです。訪問看護をする中でそういう負荷のかかる状況が把握できたわけです。これは通院している診療の場面ではなかなか医者が見えない部分があります。
そこで、私は、医者に往診に切りかえて、要するに生活の現場を見て、この人の心臓に負担がかからないようなことで何が必要なのかということを一緒に考えてほしいということで往診に切りかえたわけです。そうしたら、その先生も生活の場面を見まして、これは負荷がかかり過ぎている、やっぱりヘルパーを入れて家事援助してもらわないと何回も入退院を繰り返すだろうということで、やっとこの問題が把握できたわけです。それで、いろいろ福祉の方と主治医を含めまして、ヘルパーの派遣を何とかしてほしいということでヘルパーの活用ができたというわけです。
ですから、かかりつけ医の意見書というところでは、必ずしもかかりつけ医は訪問をして意見書を書かなくてもいいようになっているわけなんですけれども、やはり介護保険を積極的に活用して生活障害だとか機能低下を予防しようという、そういう観点がないとばらばらの意見書になってしまうんじゃないかなということを非常に危惧します。
やはり私たちから見てみますと、確かに家族が一番問題をわかっている部分もありますけれども、日常的にかかわっている訪問看護だとかケースワーカーだとか、そういうような情報がどう介護保険の認定のところに反映されるのかというところを今すごく問題として感じているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/181
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182・西山登紀子
○西山登紀子君 この要介護の認定の問題は、当厚生委員会でも繰り返し議論がされているわけです。私も質問いたしましたが、この第一次判定はコンピューターによって判定がされるということで三〇%、約三割のずれが起こっているんですけれども、私が特に問題にいたしましたのは、その第一次判定と第二次判定のずれが、むしろ第一次判定のコンピューターの方が軽く認定が出ているというところが問題でございまして、二次判定でいろいろなかかりつけ医の診断も含めて議論をしたところでは要介護度が重く出ているという傾向にあるわけですね。ですから、時間がないから、大量に処理しなければいけないから第一次のコンピューターの処理だけに頼るということでは、これは問題が多くなるんじゃないかなというふうに思っているわけです。
そこで、石川さんにもう一度お伺いしたいんですけれども、この二十四時間密着タイムスタディーによる実態調査というのは、これは私も初めてお伺いしたんですけれども、貴重な調査じゃないかと思いますが、先ほどお時間が少なくて余り触れていただけなかったので、この点をもう少し詳しくお話しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/182
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183・石川まち子
○公述人(石川まち子君) 他の公述人の方も言われたと思うんですけれども、最重度だからといって介護量が多いとは限らないということを言われたと思うんですけれども、私たちも訪問看護の現場を通じていまして、自分で寝返りも打てないような最重度の方の介護、やっぱりこれはすごく大変な介護だ、一番大変な介護じゃないかというふうに思っていたわけなんです。そういう仮説を立てまして、では実際に一回やってみようよということで、とにかく二十四時間御家庭に入らせていただいてタイムスタディー調査をしたわけです。そうしたら、私たちの仮説とは別な結果が出たわけです。
介護保険法案でも、要介護の重いケースほど支給額が多いようになっているんですけれども、資料を見ていただきたいんですけれども、「ADL別 介護時間構成」というのがありまして、BとCで区分してあるんです。Bランクの方は、これは要介護度で見ますと重度から最重度、Cランクの人は過酷な介護を強いられる、そういうレベルの方たちなんですけれども、むしろBの方が三百八十六・七分ということで、Cは三百七分です。Cよりも障害の軽いBの方が、介護者の方は介護時間が多くなっているわけなんです。ですから、要介護状態の重さと介護時間は必ずしも相関していないということがわかったわけです。
今持っている能力を維持して、寝たきりにならないための予防、リハビリテーションだとかケア援助はBの方の方がより必要になってくるわけです。今の介護保険法案はその点が配慮されていないんじゃないかというふうに思います。みんなコンピューターで処理されていく、その中で一人一人の患者さんの個別性がどう反映されるのか、この実態調査を行ってみて特に疑問を感じました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/183
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184・西山登紀子
○西山登紀子君 ありがとうございます。
それでは、ちょっと磯部公述人にお伺いしたいんですけれども、私も地元は京都なんですが、たくさんの特養ホームに行かせていただきました。一様におっしゃるのが、磯部さんが言われました五番と六番なんですね。入院して籍がなくなるんじゃないかという、その御心配はどの施設長さんもおっしゃられました。それから、五年間は今のままでいいよというこの条項なんですが、これも施設長さんは困ると。五年たったら出てくださいとはとても言えませんというお話も伺いました。
この五年条項というのは、五年間はいいんですよというふうにお年寄りに言うことは非常に不安を与えますね。それで、入るときは本当に家庭の状況をいろいろ整理しながら、ある人によってはついの住みかとして特養ホームを選ばれた。その方に、介護保険が導入されたから見直しますよということは、これは私は本当に言えるのかなという思いがありまして、むしろこれはなくすべきじゃないかというふうに思っているんです。
その二つ、五番と六番のことについて、どうしてほしいと思っていらっしゃるのかもう少しお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/184
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185・磯部栄
○公述人(磯部栄君) これはもう逆に私どもの施設に問題があるんじゃないかなというところもありまして、要は同じ金額が入ってくるんだったら軽い人の方が楽なんです、はっきり言って。そういう一つのシステムがある以上、やはり今までの措置制度では、どうしても重度の方よりも軽い方というところでの入所が先行しておったなと。それこそ悪口を言えば、今のうちになるべく軽い人を入れて何とか五年間もたそうというような発想まで出てしまっているのは、これは一つ問題だとは思うんですけれども、そういうことに一つ、要は見直しをかけるということで、いいことじゃないかなと思うわけなんです。
ただ、病院もそうなんですけれども、社会的入院の人たちがおって、それでバランスがある意味じゃとれておる部分があるし、こういう特養もそういう方がおってバランスがとれておるということもあるし、なかなか今の人員配置等々、収入も合わせて、そういう軽い人もおれば重度の人もおるというところの部分で、そこがやはりこれから重度ばっかりになったら今の状況じゃとても無理だよという危惧があるわけです。
その辺、これからどう対応したらいいかということが、ぼくら施設にとってみて非常に運営上問題になるなということになっています。とても今の人数ではやれない状況です。そういう意味で軽い人たちに、言葉は非常に難しいんですけれども、確かに今特養の中にはたくさんおって、そういうところでこの問題が出ておるんじゃないか。と同時に、入院というところも、要は本当にすぐ収入につながってくるものですから、それも今病院さんは当たり前のごとくやっておるんですけれども、施設は初日現在、籍があれば一カ月は見てくれるというような甘いところがあるものですから、そういう意味でこれも洗礼を受けなければいかぬかなという、そういうつもりで今は頭の切りかえを一生懸命行っているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/185
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186・西山登紀子
○西山登紀子君 それでは、平野先生にお伺いしたいわけですけれども、ホームヘルパーの問題、私も大変関心を持っているわけですけれども、今ヘルパーの非常勤がふえております。先生がおっしゃっていらっしゃる、非常勤化による対応ということによって良質のサービス提供をもたらすことを阻害することにならないかという御意見なんですけれども、もう少しその点を御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/186
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187・平野隆之
○公述人(平野隆之君) ホームヘルパーのあり方といいますか、つまり非常に難しい問題で、ホームヘルプ事業が、介護保険の部分とそうでないホームヘルプ事業というのがどうなっていくのかという問題を非常に私は不安に見ているんですけれども、つまり要支援にならないような人たちに対するホームヘルプ事業というのがこのまま税の事業として果たして残っていくんだろうかという不安がまず最初にあります。
それから、介護の部分で、介護にいろんな機関が参入していく際に、例えば社会福祉協議会がやっているようなホームヘルプ事業が、今まで常勤採用である程度やってきたものが、競争の中では、基本的にいろいろなそういう民間の部分とのコスト計算をしていくとやはりかなり厳しいというのがはっきりと数字で出ているわけです。そうしますと、そういった例えば社会福祉協議会に代表されるような組織は、恐らくそれをいわばパートで対応していかざるを得ないということに結果としてはなるんではないか。
そのことが私は、先ほど介護で、名古屋で非常に利用が進んでいないということがあらわしていますように、ホームヘルプ事業というのは家の中に入っていくわけですから大変難しい。一番ホームヘルパーを利用しない最大の理由は、他人が家に入ってくることだというのが最大の理由になっているわけです、必要があるにもかかわらず。そこではかなり高度な、家の中に入り、私が指摘していますように家族介護者と要介護者との関係にかかわるわけですから、大変経験が求められてくるわけです。
そういう意味では、安定した職業としてそれを成り立たせないと質の高いサービスが確保されないんではないかという意見であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/187
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188・西山登紀子
○西山登紀子君 どうもありがとうございました。
それでは、もう最後になってまいりましたので、公述人の皆さんに一言ずつお伺いしたいと思うんですけれども、この介護保険というのは、すべての国民を拘束するという非常に重要な法案でございます。その法案の審議について、最も望みたいことを一言ずつ、短い時間でお願いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/188
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189・大輪次郎
○公述人(大輪次郎君) この介護保険法案というのは、介護保険そのものは必要なものだと医師会として考えています。ただ、これから政省令で肉づけされるに当たりまして、一般の対象の人は、ちょうどきょう昼に出たような立派な破子弁当を期待しておられると思うんです。ところが、駅弁か握り飯しか出てこなかったというようなことのないように、ひとつよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/189
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190・平野隆之
○公述人(平野隆之君) 一番大事かどうかは別にいたしまして、ちょっと言わなかったことを一つ言っておきたいと思うんですが、つまり介護保険ですべての介護保障をやろうということ自体がちょっと問題である。それと、市町村主義をとってきた老人福祉が、やはり介護保険というのはかなり全国一律的な側面を持ってしまうので、分権に逆行しない介護保険制度であってほしいということ。
それをやる意味では、介護保険以外に、やはり地方市町村は老人介護事業というものを別建てで税でやる仕組みは残るんだ。つまり、保険者としての市町村と老人介護福祉を独自の税でやるんだという部分、あるいはそれが一部介護保険料が回されるということでも構わないわけですけれども、そこの責務を、余り保険者の市町村に成り下がるというのは変な表現なんですが、そこにとどまらない方がよろしいんじゃないかという意見です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/190
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191・勝田治己
○公述人(勝田治己君) いろいろと問題はありますが、これまでの制度にさらに多き問題を残したままですので、とりあえずは早期成立をお願いしたいと思います。そして、その後、いろいろな問題については後でまたいろいろ手を加えていけるのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/191
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192・磯部栄
○公述人(磯部栄君) アンケートで八割の方が賛成されている、しかし期待をしていない方が六割いるという、そういう実態があるそうですけれども、どんなよい制度ができても、やはりいつでもどこでもだれでもすぐに使える制度にしなくちゃいけないなと、そういうために努力したい、そんなふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/192
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193・石川まち子
○公述人(石川まち子君) 私は、もう少し市民レベル、国民レベルの審議、討議、話し合いをもっともっと時間をかけてやってほしいということと、基盤整備をやらずして介護保険だけやってもやっぱり全然問題にはなりません。特に名古屋市は三〇%以下ですから、これはもう話にもなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/193
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194・朝倉義子
○公述人(朝倉義子君) 一人の生活者、利用者としての、その人たちが使えるものとして考えていっていただきたいと思います。そうでなければ、私たちは火星にでも行って住まなければいけなくなってしまいますから、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/194
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195・石橋誠晃
○公述人(石橋誠晃君) 先ほど来、同じ公述人の方々からもいろいろ参考になる話を聞きましたが、私ども地方の市長といたしまして、いろんな意見を聞く中で、対応でもその人その人の高齢者によって全部違う場合があります。非常にニーズも多様化しておりますので、そうした対応についてひとつこうしたいろんな意見を生かしながらお願いしたいということと、地方は今本当に財政的にも困っておりますので、そういう点をきっちりと見ながら、私どもももちろん一生懸命やってまいりますけれども、そういった点の接点をきちっとしていただけばありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/195
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196・村上ルリ子
○公述人(村上ルリ子君) 早くやってほしい、それだけですね。それにもっと看護婦さんを使ってくださいと言いたい、ケアマネジャーとしても。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/196
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197・西山登紀子
○西山登紀子君 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/197
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198・山本正和
○団長(山本正和君) これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。
この際、公述人の方々に一言お礼を申し上げます。
皆様には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は、本委員会の調査に十分反映してまいりたいと存じます。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
これにて参議院厚生委員会名古屋地方公聴会を閉会いたします。
〔午後四時五十八分散会〕
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大分地方公聴会速記録
期日 平成九年十一月二十日(木曜日)
場所 速見郡日出町 別府湾ロイヤルホテル
派遣委員
団長 理 事 上野 公成君
理 事 浜四津敏子君
理 事 清水 澄子君
尾辻 秀久君
田浦 直君
中原 爽君
渡辺 孝男君
釘宮 磐君
公述人
大分県看護協会
看護婦職能理事 高橋多佳子君
特別養護老人
ホームデイサー
ビスセンター看
護婦 佐藤 済江君
緒方町町長 山中 博君
宇佐市高齢者総
合福祉ケアセン
ター宇水園事務
長 瀬戸 正行君
大分県医療生活
協同組合副理事
長 大伴 満男君
大分県老人福祉
施設協議会介護
保険対策委員会
委員長・特別養
護老人ホーム久
住荘施設長 宇戸田実男君
国見町長(大分
県町村会政務調
査会文教厚生部
会委員) 金山 尚學君
大分県医師会常
任理事 半澤 一邦君
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〔午後零時五十八分開会〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/198
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199・上野公成
○団長(上野公成君) ただいまから参議院厚生委員会大分地方公聴会を開会いたします。
私は、本日の会議を主宰いたします厚生委員会理事の上野公成でございます。よろしくお願いいたします。
まず、私どもの委員を御紹介いたします。
社会民主党・護憲連合所属の清水澄子理事でございます。
自由民主党所属の尾辻秀久委員でございます。
同じく自由民主党所属の田浦直委員でございます。
同じく自由民主党所属の中原爽委員でございます。
平成会所属の浜四津敏子理事でございます。
同じく平成会所属の渡辺孝男委員でございます。
太陽所属の釘宮磐委員でございます。
以上の八名でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
参議院厚生委員会におきましては、目下、介護保険法案、介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案、以上三案について審査を行っておりますが、本日は三法案について関心の深い関係各界の皆様方から貴重な御意見を承るため、当地及び名古屋市において同時に地方公聴会を開会することにいたした次第でございます。何とぞ特段の御協力をお願い申し上げます。
次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。
大分県看護協会看護婦職能理事の高橋多佳子公述人でございます。
特別養護老人ホームデイサービスセンター看護婦の佐藤済江公述人でございます。
緒方町町長の山中博公述人でございます。
宇佐市高齢者総合福祉ケアセンター宇水園事務長の瀬戸正行公述人でございます。
大分県医療生活協同組合副理事長の大伴満男公述人でございます。
大分県老人福祉施設協議会介護保険対策委員会委員長・特別養護老人ホーム久住荘施設長の宇戸田実男公述人でございます。
国見町長・大分県町村会政務調査会文教厚生部会委員の金山尚學公述人でございます。
大分県医師会常任理事の半澤一邦公述人でございます。
以上の八名の方々でございます。
この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
皆様には、御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。
三法律案につきまして、皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の委員会審査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、お一人十分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
なお、御発言は御着席のままで結構でございます。
それでは、これより公述人の方々から順次意見をお述べ願います。
まず、高橋公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/199
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200・高橋多佳子
○公述人(高橋多佳子君) ただいま御紹介をいただきました大分県看護協会職能理事の高橋でございます。
本日は会長が公務にて上京中でありますので、かわって発言をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず初めに、このたびの公的介護保険法案並びに社会保障の構造改革につきましては、賛成の意を表するとともに、大きな期待を寄せるものでございます。
お手元の資料にも示してございますが、早速、賛成理由及び要望について発言をさせていただきます。
まず第一に、住民が住みなれた地域で親しい人々に囲まれて安心して暮らせるように、介護を社会全体で支える体制づくりこそ町づくりの基本であると信じております。
第二に、女性の社会進出や少子化により家庭内の介護力が低下している中で、在宅支援のためのネットワークができ、保健、医療、福祉のサービスが総合的に受けられることは最も望ましい姿であると期待をしております。ちなみに、私ども看護協会では、看護の日や看護週間を通じて看護展や触れ合い看護体験などの行事をする中で、「看護の心をみんなの心に」を合い言葉として、地域の人々との触れ合いをしながら、お互いに支え合うようなサポートシステムを整える努力をしているところでございます。
次に、このたびの法案の大きなねらいであると思われます保健、医療、福祉の縦割り制度を再編成し、これらのサービスを総合的に受けられる仕組みの創設は最も関心を寄せるところであります。
私ごとになりますが、ことし三月末までさる自治体の町立病院で総婦長としてその任に当たってまいりました。その間、病院併設の健康管理センター、訪問看護ステーション、在宅介護支援センター等々の開設にかかわってまいりましたが、その都度、行政の各課との会合や折衝をするたびに、縦割り行政ゆえのセクト主義には大いに悩まされ苦労いたしました。縦割り行政の弊害としてのサービスの重複や偏りも多々あり、矛盾を感じておりました。今後はこの三者のサービスが一体的に受けられるようになれば、住民にとってはこの上なく喜ばしいことだと思います。
さて、介護保険制度の市町村での取り組みについて少し述べさせていただきますが、何事においても言えることではございますが、殊に福祉行政においては市町村のトップ、すなわち首長さんの理解と指導力によって大きく左右されるように思います。社会保障やサービスが自治体や地域によって格差を生じてはいけないと思います。制度が効率よく、そしてサービスが公平に行き届くようにするには、これからは質的にも量的にも人材の確保が重要になります。中でも、これからの福祉行政にはやる気のある有能な人材の起用に努めてほしいと願うものです。
次に、認定審査会については、市町村が設置する認定審査委員の中にぜひとも看護職を参画させてくださることを強く願うものです。そして、言うまでもなく認定はあくまで公平公正であることを望みます。なお、認定に要する期間は最短にして円滑に対応してほしいものです。老人には待つ時間がないのです。
次に、ケアマネジャーにつきましては、当看護協会としましては既に能力開発研修会を開催中でありまして、適切なケアプランができるように、そしてここで看護職の力量を十分発揮できるようにと目下努力をしているところであります。
なお、介護保険に関する情報の提供につきましては、一般の国民に対してもっと具体的に情報を提供し、成立までには十分な啓蒙を行って理解を求めることが必要かと思います。
最後に、医療法の一部を改正する法律案につきましては、インフォームド・コンセントは今後医療現場のみに限らず在宅においても重要であると考えます。患者はもちろん、家族にも十分理解をしてもらった上で、納得、同意のもとに患者が主体的に療養できるようにかかわることが大切かと思います。
終わりに、私ども看護協会では、常に時流や医療の進展に合わせて看護職の資質の向上を図るべく、教育や研修を年間計画のもとに実施しております。とは申しましても、大部分が会員対象でありますので、地域の医療現場で働く未入会の方々の研修制度をぜひ実施してくださることを希望いたします。
看護協会としましては、この公的介護保険を利用者本位でしかも住民のニーズに十分こたえ得る制度につくり上げていくために、看護職能団体として社会的に貢献をしたいと考えております。
以上で、私の発言を終わります。御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/200
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201・上野公成
○団長(上野公成君) ありがとうございました。
次に、佐藤公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/201
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202・佐藤済江
○公述人(佐藤済江君) 本日は、介護保険法案に基づき、意見を申し述べる機会をいただき、まことにありがとうございます。
私は現在、特養ホーム内の痴呆老人デイサービスセンターで看護婦として、介護の現場で従事する者の一人です。
初めに、私が従事する痴呆老人の介護に当たり、思うところを述べさせていただきます。
人はだれも老いていきます。誕生、発達、自立、衰退、死への経過は免れようもない事実ですが、これまでの人生とは異なり、老いはだれにとっても想像の世界です。ある意味では老化現象ともいうべき痴呆の世界は私たちにとって未知の世界であり、それはいつか自分自身にも訪れるかもしれないと自覚するか否かで介護に対する考え方に違いが生じてきます。
例えば、健康維持のために入浴することは必要なことですが、お風呂そのもののイメージを失っている痴呆の方々については、入浴行為そのものよりも入浴に至るまでの言葉かけなどの誘導が介護の本質のような気がしてなりません。きょうは汚いからお風呂に入りなさいと言うかわりに、きょうはお風呂いかがでしょうかと語りかけることから始まる介護にお年寄りは安心されるのです。
相手がどのような介護を欲しているかは、提供する側の経験や推測の域を脱していないと自覚する謙虚さこそ介護を論ずる大切なポイントです。自分がだれで今どこにいるかさえ理解できない痴呆老人の異常行動は、その方の心の不安のあらわれだと感じます。介護は、その異常行動を規制することではなく、その心に思いをいたすことから始まります。
現場で取り組む私にとって、今回の介護法案は他の法律とは異なり人の死に直面する法案と言えるだけに、介護の基本を理解する繊細な判断が必要で、それだけに介護の現場の声をぜひとも十二分に取り入れていただきたいと考えます。
さて私は、今回の介護保険法案につき、昨年八月、神戸市でのデイサービスセンター研修会にて厚生省の方の説明を聞きました。現在の公的介護保険法案は制度として至らぬ部分はあるかもしれないが将来のために今こそ介護保障制度が必要である、将来不備な部分は改正を行うがまずは介護保険の導入こそ大切との話は、現場で従事する私にとって、もっともな話だと一応納得し、期待を持ちながら研修会場を後にしたのです。それは、待遇や社会的立場に日の当たらない寮母や看護婦、家庭の主婦などにより支えられている介護の現実が、少なからず改善され、国民全体の問題としてとらえられれば、福祉の現場にいる者にとって大変に望ましいことであると、これまでの国会審議を関心を持って見守ってきたのです。しかし、今は大きな失望感を持ってこの場に望んでいます。その失望の理由の何点かについて申し述べます。
最初に、保険料の弱者からの徴収です。
現在私が勤務するセンターのお年寄りの大多数は、肉体、精神、経済の面においても生活弱者であり、保険料の徴収は余りに切ないことです。わずかな年金で暮らすお年寄りは、二カ月に一回の年金支給日が何よりも心待ちであり、きょうは何だかうれしそうねと声をかけると、きょうは年金の入る日じゃからなと答えることもしばしばです。そのわずかな年金からお孫さんにお小遣いを、お買物をと、少ない額でもお年寄り自身が社会の一員としての立場を確認することのできる日なのです。昨今の低金利がわずかな蓄えさえ圧迫している上に、さらに介護保険料の支出を求める法案に介護の精神を見ることはできません。消費税の値上げや医療費の負担が増大している上にさらなる負担は、取れるところから取ればよいという安易な感じさえ受けるのです。
二点目として、介護サービスを受ける側から一割の負担を徴収することも大きな疑問です。
前述のように、介護の必要な方のほとんどは財政的にも大変に厳しく、年金のほかに確たる収入源を持ちません。利用者負担は大変に困難で、介護サービスを遠慮するか、もしくは利用負担の未払いしか選択の余地はないというのが率直な感想です。
三点目として、施設整備の不足という現実です。
一九九九年までに新ゴールドプランによって介護基盤整備を整えるとされていますが、実際には無理だというのが現場で働く私の実感です。ここ大分県の特養ホームのほとんどは入所待機者が一施設につき約百人前後と言われ、私も知人から何とか早く入所できないかと相談されることもあります。このように、介護サービスを提供する施設の整備がおくれている中で、介護保険が導入された後、今以上に介護サービスがすぐに提供されるかは疑問で、保険料を収めても十分なサービスは受けられないのではないかと危惧します。また、既に設置された施設も満足のいくものではありません。
デイサービス施設で言えば、基本施設はお風呂とホールとトイレで、これでは痴呆の異常行動の対処がやっとで介護どころではありません。せめて庭が欲しいと思います。昨今話題となっている音楽療法やアニマルセラピーなどが行える施設やお年寄り専用のテレビ番組等も欲しいのですが、管理者の側にも年間予算に限りがあり、現状を維持するのがやっとのようです。
整備の不足を勤務する私どもの創意と工夫と体力で補っていかねばならないのです。基盤整備を早急にかつ順次に進めるという言葉をお年寄りは待ってくれません。現実に目の前で介護を要求されているのが私どもの日常なのです。介護の現場は、介護側のあせりと真心が錯綜する毎日です。特養ホームも過疎の急激に進む地域こそ不足し、デイサービスセンターなど在宅介護の拠点も同様で、介護問題を今日まで放置していたとも言える現状の反省に立って法案審議を進めていただきたいのです。施設整備のおくれを私ども現場で従事する者のボランティア精神でカバーするようなことがあっていいのか、甚だ疑問です。
また、介護を提供する側のマンパワーの不足も深刻です。この件についても、これまでの審議の中で具体的な取り組みは示されていないと思います。人を相手に人の手によって行われる福祉サービスは、提供する側の能力が何より大切です。一般の介護施設における有資格者数は全体の三分の一にとどまり、介護を提供できる人材が不足しているのです。介護は専門職であり技術職です。当然一定の資格を持つ者とそうでない者との介護のあり方はその成果に大きな違いを生みます。福祉の基礎を学び、介護の専門教育を提供する制度やそのカリキュラムづくりに最大限に取り組んでいただきたいのです。
さらに、介護に当たる者の待遇についても問題があります。デイサービスに勤務する看護婦は非常勤でいいとされ、およそその賃金は、准看の場合一時間当たり八百五十円から九百円と、お年寄りの体を支え、痴呆老人の異常行動に接するという肉体的、精神的な重労働への対価としては余りにも低いのが実情です。これでは、マンパワーの拡充と幾ら叫んでみたところで多くの人材が集えないことに文句は言えません。
介護はやらされるのではなく、自発的に軽やかに臨む姿勢が介護の成果を向上させると実感します。お給料じゃなく、大切なのは私たちの心よとは同僚や後輩を励ますときの言葉です。その言葉で私たちは疲れた体に鞭打ちながら疲れた後輩たちを励ますのです。そこにあるものは、自分たちしかこのお年寄りを守る者はいないという決意だけなのです。
男女平等社会は、こと介護の現場では成立していません。また、在宅介護を支えるヘルパーさんも大幅に不足し、また新卒の介護福祉士の方は就職先を見つけるのに一苦労しているのが現実です。従来から問題とされる看護婦の過重勤務の現実ともども、介護法案を検討するに際し、待遇の改善に光を当てていただくことを切に望むところです。また私どもの間では、介護施設に対し補助金が拠出され、その施設に出入りする業者による献金や寄付という問題も解決されていないことも疑問だという声に接することもたびたびなのです。
次に四点目として、今回の法案では在宅介護に対する心配りが不十分なことです。
人生の最終章をどこでどんな形で迎えるか、選択肢はそう多くはありません。私の接する要介護者の方々を見てわかることは、御自分の家が大好きであるということです。昼食が済むと帰宅が気になり待ち焦がれている様子がうかがえます。バスに乗車されるときの足取りの軽やかさ、手を振り帰宅するときのあの笑顔は百万ドルに値します。制度上は在宅介護か施設介護を選択する自由が保証されているとはいえ、前述したような介護施設やマンパワーの不足という実態から、その選択の自由は実に狭いのです。在宅介護か施設介護かという選択を介護を受ける側が本当に自由に利用できるように保証していただきたいのです。これは、百二歳のしゅうとめを二十二年間介護した率直な私の願いでもあります。
寝たきりの紙おむつの助成にしても地方自治体では導入されていないところが圧倒的に多く、家庭の負担は増すばかり。また、介護するのも結局体力の劣る女性が自宅にて介護する場合がほとんどで、結果としては寝かせきりという現実を招くのです。一般家庭における介護能力の向上に対する施策のおくれは否めず、ケースワーカー等の不備が指摘されるところです。
いずれにせよ、日本における介護の哲学や理念の根底を見つめ直さなければ、介護費用はかさみ、結果的に国民負担は増大し、社会的に疲弊するという悪循環を繰り返すばかりです。お役人であれ、会社の重役であれ、議員の皆さんであれ、当然施設の管理者であれ、家庭の一員として介護問題は避けて通れない問題です。ぜひとも介護法案について、ビジネスライクにまたシステマチックに議論するのではなく、御自身のお父さまやお母さまの介護をされる身になってお考えいただきたいと思います。
率直な意見を申し述べさせていただきました。どうぞ、介護の現場にもお心配りをいただき、現場で働く私たちにも納得のいく公的介護保障制度にしていただきたいと思います。そのためにも、ぜひとも施設で働く現場の声、家庭で介護に従事する人たちの声を真剣に受けとめていただきたいのです。この介護法案を見ますときに、机上の空論のような感じをぬぐうことはできず、介護の現場とはまるでかけ離れている実感さえ持つに至ります。
深いしわ、うつろな目、落ちつきのないお年寄りの顔に一番似合うのは笑顔です。どうぞ、この笑顔を皆様でおつくりいただくよう、また消さないよう心よりお願い申し上げ、意見の陳述とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/202
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203・上野公成
○団長(上野公成君) ありがとうございました。
次に、山中公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/203
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204・山中博
○公述人(山中博君) 大分県の緒方町の山中です。よろしくお願いをいたします。
さて、私の町でありますが、本年四月一日の人口は七千二百五十一人でしたが、高齢化率は三五・一%と県下第二位の高さであり、現状の人口推移では二〇〇二年の予測高齢化率は四四・四%と予想されており、このために平成六年に策定した緒方町高齢者保健福祉計画、これは私ども悠々プランと呼んでおりますけれども、この計画はこれらの事態を想定したものであり、町民の健康と福祉が守られ安心して住める町づくりを主要な施策としてとらえ、この計画に盛り込まれた施設整備は計画年度の十一年度までにほぼ完了する見込みです。
高齢化率が高くなれば当然に要援護者もふえ、特に過疎化の著しい地域では本来地域が地縁社会として持っていた扶養能力も低下するため、その分公的援助がふえるわけで、かつて医療保険が目指していたいつでもどこでもだれでも必要なときに必要な医療が受けられると同様な介護保険が創設されれば、地域住民も安心して暮らせるようになり、私どももその分責任を持ったサービス供給体制を整備しなければならなくなり、地域の扶養能力の向上につながります。これがゆえに、私は制度の創設には賛成するものであり、この制度が四四・四%と異常に高い高齢化率を解決する有効な手段であってほしいと願うものであります。
しかしながら、保険者とされる市町村にとってより有効な手段となるために、次の点について私の立場から意見を申し上げたいと思います。
緒方町は、町の規模には不相応な百六十八床という総合病院を持っております。その歴史も、昭和十四年に創立以来、六十年にならんとしております。このため、保健事業の取り組みも早く、昭和五十六年には保健センターを設置し、四十歳以上七十歳までの全町民に四十歳から五年置きに住民検診を行い健康管理を徹底させてきました。また、福祉施設も公立で養護老人ホームを昭和三十年代に設置し、五十年代には民間の特養並びに身体障害者療護施設を誘致し、施設整備も他の町村よりも先んじて行ってきております。また、社会福祉協議会も法人化の取り組みと同時に事業型社協への移行も始め、現在ではデイサービスセンターD型、二十四時間ホームヘルプサービス、毎日型配食サービス、訪問入浴サービスなど、職員三十名余りを抱える事業体となっております。
町にとっては非常に恵まれた条件でありますが、私どもの周りの町村を見てもこのように条件の整備されたところはなく、私はただ、時間をかけてこれらの諸条件や施設を整備してきた我が町の先人にありがたく感謝をしているわけですが、このような町の培ってきた介護事業に有効な資産が多いために介護保険の導入がより容易であるわけです。
多くの市町村は制度に戸惑いと不安を持っているのが実態と推測されます。私は、制度が始まるまでに、各市町村のサービスの供給体制をいかに整備するのかという議論が今以上に必要だと思っております。
第二点目でありますが、市町村は市町村の環境に合うような地域の特性を生かした介護を提供すべきであり、全国一律の基準を各市町村に適用するには疑問を感じております。また、介護を提供するには、身体的条件に社会的条件やその人の置かれた環境を加味することが必要不可欠であり、九年度高齢者介護サービス体制整備支援事業に使用されている介護サービス調査票を見ても、家族の扶養状況さえ正確につかめず、これを使うことはやはり疑問であります。
私どもは、ヘルパーの二十四時間体制などのもろもろの要件が完備され、常時在宅介護支援ができる体制を目指しておりますが、この制度ができても施設入所と全く同じ状態になるとは考えておりません。やはり、家族の負担や隣近所の理解と応援、さらに地域の協力がなければ要介護者を地域の中に置くことはできないと考えております。この点を考え、社会福祉協議会の中で、独居老人、要介護者を支える地域のネットワークづくり、ボランティアの育成など、理解と協力を求める事業を行ってきました。
介護保険制度が導入され、保険料を徴収すれば市町村の義務として介護サービスを提供しなければなりませんが、仮にこの制度が始まっても家族の責任や負担をすべて行政が肩がわりできるものでもありません。幾ら行政がサービスの限りを尽くしても、それには限界があり、幸いにも町内のほとんどの地域にネットワーク組織やボランティア団体が成長してくれたのを私は頼もしく思っております。
保健、福祉、医療の分野は人間が人間を扱うものですから、どのように立派な施設をつくっても、また莫大な費用を投じても、最終的にはそれを扱う人間の考え方や質によって効果は違ってきます。私どもは行政サービスの中に質の高い人材を育てていかなければなりませんが、町の中には、ほのぼのとした隣近所のつき合いや、地域は地域で守るという意識がまだまだ薄れておりません。このような地縁社会も大切にしながら、行政が行えるサービスをその中に提供していくことが私どもの目指す福祉の町づくりだと言えます。このような地域の特性や行政の工夫が加味され反映された介護保険が望ましいと考えます。
第三点目でありますが、介護保険法の二百十五条ある法案の中には、政令、省令に委任している事項が二百九十六カ所あり、要介護状態区分や給付内容など制度の根幹は国が決めることになっており、市町村が条例で定めるべき事項は二十数項目しかなく、しかも政令で定める基準に従い条例で定めるなどとなっているところもあり、保険者である市町村には実質的な権限が与えられていないという指摘があります。
私もこの数字を確認したわけではありませんので、数字の正確さの根拠は欠くとしても、保険者が市町村となった理由、これは自治省の見解で多少長くなりますが、保険者については、これまでも老人福祉事業や老人保健事業が市町村単位で実施されてきた実績があること、各地域ごとの高齢化の進行状況や施設の整備状況などの地域の実情に合わせたきめ細かなサービス提供を可能にするためには、国民に最も身近な行政単位の市町村を保険者とするのが地方分権の観点からも適当であることなどの理由で、市町村を介護保険制度の保険者としているとなっております。このような見解の割には市町村の意見を反映できる制度になっているようには見えず、これは地方分権推進委員会において原則廃止の言われた機関委任事務を新たに創設することにもなり、地方分権の流れに反することになります。
例えば、法律案第七十条へ七十九条には、指定居宅サービス事業者、指定居宅介護支援事業者は法人格を有し、従事者の知識、技能、人員が厚生省令で定める基準を満たしている場合に都道府県が指定するとなっていますが、保険者としての市町村はサービス提供機関の指定に何の権限も持たないことになり、地方独自のサービスの組み立てもできないことになってしまいます。また、第百十八条には都道府県介護保険事業支援計画がうたわれておりますが、この中に市町村の意見を聞くべきという項はなく、かえって百十七条の市町村介護保険事業計画の中に都道府県の意見を聞くべきとうたわれております。
衆議院通過に当たって修正、挿入されました「市町村は、市町村介護保険事業計画を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、被保険者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。」という項が生かされるためには、都道府県も保険者である市町村の意見を義務として聞くべき定めもあってしかるべきではないかと考えております。
以上、三点ほど申し上げましたが、制度の創設に当たり、多くの市町村で財政と要員について漠とした不安も持っております。私どもも例外でなく、かつて国民健康保険の中でも国庫補助が打ち切られ、事務費負担金も一般財源より支出するということもあり、突然の支援打ち切りは一番恐れるところです。
介護保険での給付の内容となっているサービスは、主要なサービスを網羅しているとはいえ、これだけでは住民生活を全面的に支える内容ではなく、生活を支える面で必要なサービスが除かれておりますし、これらは市町村独自で制度化する必要もあります。制度の中では自治体の負担割合は現行の四分の一から八分の一へと軽減しますが、一年間に一億円以上の伸びを見て繰り出し金がふえる一方、わずか千百七十二名で十四億九千七百九十五万五千円の会計を持つ老人保健会計のようなことになってはならないと感じております。
市町村の財政力に関係なく、一定水準の介護サービスが受けられる財政的基盤が保障されるような介護保険の制度を強く要望いたしまして、私の公述とさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/204
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205・上野公成
○団長(上野公成君) ありがとうございました。
次に瀬戸公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/205
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206・瀬戸正行
○公述人(瀬戸正行君) 本日はこのような陳述の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
初めに、資料にもございますが、私どもの施設の概要を少し説明させていただきます。
設置主体は社会福祉法人宇水会と申します。開設は昭和五十七年四月一日、当初特別養護老人ホームを五十床で開設しまして、平成四年度に三十床を増設、現在八十床で運営しております。併設事業としましては、老人短期入所事業、ショートステイ専用八床、それからデイサービスセンターB型、現在登録者が二百五十六名、訪問入浴サービス、登録者が六十四名、ホームヘルプサービス、登録者百二十六名、それから在宅介護支援センターもあわせて七年度より設置いたしております。
本題に入らさせていただきますが、厚生省が八年度事業として各都道府県から選定した六十カ所において介護認定のモデル事業を実施されましたが、私どもでもサービスを行っています全高齢者の介護度を把握するために同じ調査票を使いまして調査をさせていただきました。この結果はお手元に別の資料でカラーのグラフでお回しいただいているものと思いますが、これをごらんいただきたいと思います。
調査件数は特養の入所者八十名、それから訪問入浴サービス三十九名、ホームヘルプサービス八十八名、デイサービス二百三十八名の計四百四十五名について検証させてもらいました。これらの結果からサービス形態別の予測介護度を出したものがお手元の資料の棒グラフでございます。
特養入所者それから訪問入浴、赤とグリーンの介護度Vのいわゆる最重度に位置する方の割合が際立っていることがよくわかるんじゃないかと思います。
それから、特養入所者の中に要支援の方が一名、たまたま出ましたが、これは入所された後のケアによる自立度の変化だと思っております。
それから、ホームヘルプサービスにつきましては各レベルごとに割と平均して分布しておりますが、現状では重度の方がふえており、身体介護の度合いがかなり高くなっております。
デイサービスにつきましては、要支援の利用者が突出しておりますが、百四十一名と全利用者の約六割を占めており、介護保険制度のもとではサービスの給付ランクがかなり低く査定されることになることから、今後これらの利用者に対しての支援対策を考えていく必要があると考えております。
今回の調査は、国のモデル事業を踏まえての調査でしたが、国のモデル事業においては一次判定の調査員である要介護認定調査員の大半が医療関係者、保健婦、看護婦、医師で占められ、二次判定に至りましてはさらに医師が大部分を占めており、判定にかなり偏りがあったことは明確ではないでしょうか。
逆に、宇水園の今回の調査においては、ほとんどが施設の職員であったので、その点では施設側への偏りがあったことも事実ですし、調査票の記入の仕方にも短時間で多くの職員がかかわったためにかなり現実とずれた点も出ております。
現在、第二回目の要介護認定モデル調査事業が実施されておりまして、私どもの施設それから在宅の利用者も何名かが対象となっておりまして、在宅介護支援センターの職員が調査員に任命されましたので、今回の調査結果と照らし合わせて今後の施設運営に活用していきたいと考えております。
次に、介護保険導入後のケアプラン、介護サービス計画の課題ですが、介護保険の受給につきましては、御承知のようにまず市町村への申請、それから要介護認定、ケアプラン作成、実際のサービスという段階を踏まなければならないとなっておりますので、正式に給付サービスが受けられるのは申請後二カ月から三カ月後の可能性もあり、現在の在宅サービスに比べて時間もかかり、手続も複雑で利用しにくいのではないかと思っております。このため、利用者の希望するケアプランをいかに手早く正確にマネジメントできるかが要求され、そのための人材確保が急務となってきております。
それから、アセスメントの手法についても、高齢者の精神、身体活動、食事、排せつ、医療面からの高齢者タイプも新たに取り入れ、多方面から高齢者の状態を観察することで、高齢者自身のケアプランほか、個々の介護のレベルに応じたケアの予測時間を算出し、ケアにかかわる職員数を割り出し、今後の施設運営に役立てればと独自に取り組みを行っているところです。とにかく、施設サービス、在宅サービスを受けている方のみならず、今後要介護状態になり得るだろう高齢者も含め、常に対象者のデータ収集と科学的な分析を行うとともに、ハード面においても介護保険の給付対象となり得る施設の整備を行う必要があるでしょう。
特にデイサービスにおきましては、既存の介護度別のA型からE型の区分はなくなるわけで、先ほどの調査での要支援それから介護度Iの方々の支援も含め、いかに利用者を確保していくかが命題となるわけで、対象者本人の身体面、精神面のアセスメントはもちろん住環境等まで考慮に入れたサービス提供ができるよう支援していく必要があります。
ただし、現在のデイサービス事業は虚弱な高齢者のうち軽度に属する人も利用対象とされています。そのサービスは要介護状態に至るまでの速度を緩やかにするという点で大きな効果を持っていますし、利用者、特に高齢者世帯及び独居老人が楽しみながら参加し他の利用者と交わり生活全体を生き生きするための活動は、これまでデイサービスが果たしてきた役割として大変意義のあるものであり、引き続き充実していかなければならないものであると考えます。今回の見直しで介護保険の対象にならないというのでありますなら、別の公費での対応をぜひお考えいただきたいと思っております。
最後に、介護保険の導入は今までの措置による運営と違い、特に在宅福祉サービスにおきましては出来高的な要素を含んでおり、利用者確保のため職種を問わず施設の経営基盤の強化とソフト面での支援体制の確立を目指し取り組みをしなければと考えております。また、介護保険導入後はそれぞれの地域で同種のサービス供給体同士の競合が生じることになりますし、官民を問わず公立の施設、在宅サービスとの競合も生じます。今後は福祉事業も企業であるという認識を持って、民間の柔軟な発想力と知恵と即応性を最大限に発揮して、行政機関ではなし得ないきめ細かな住民への福祉サービスを提供していくことが要求されます。また、いわゆる利用者の顧客化を図ることが大事であり、医療で言うかかりつけ医に対し、あの施設に行けば自分の老後は安心だというかかりつけ施設を目指すことも必要です。そのためには一村一品並みに施設の独自性を持った特徴づくりを進める必要があると思います。
以上の結果と今まで介護保険制度で論議されてきている問題点から、施設側から見る問題点を幾つか取り上げました。
初めに療養費について、保険請求から給付までに二カ月ぐらいかかることが予想されるので、その間の運営費を準備する必要があるため、借り入れ等で法人に負担を強いることになるのではないでしょうか。法人に資金力があれば問題はないと思います。
二点目です。ケアプランの作成は建前は任意ですが、現実には半強制的であり、利用者がケアプラン作成を依頼しないで直接サービスを利用した場合にはまず利用者が費用の全額を支払い、後から払い戻しを受けられるが、二、三カ月はかかると思われ、その間利用者へかなりの負担増を強いることになるのではないでしょうか。
三点目です。また、現在のサービスに比べ、ケアプラン作成によりサービスの項目が限定され、かえって利用しにくいのではないでしょうか。例えば在宅サービスの場合、介護レベルによってデイサービスが週二回、訪問入浴が週一回、ヘルパー派遣が週五時間などと決められてくるのではないでしょうか。
四点目です。最終的に要介護認定を行う介護認定審査会の委員は、保健、医療、福祉の学識経験者となっているが、第一回目のモデル調査及び今回のモデル調査を見ても大半を医療関係者が占めており、福祉の側からしますと不公平の感はぬぐえないと思っております。福祉施設の施設長も委員として認めていただけるということなのですが、現状は認められてないようです。いかがなものでしょうか。
最後に、施設サービスについては、具体的に介護報酬が出ていませんが、認定基準から特養の場合、要介護度Iから要介護度Vまでの五段階の単価が二十九万円を中心に上下に段階状に設定されるということですが、冒頭で示しました要介護度分布による現在の入居者の状況からすると、平均額は現行の措置費平均単価二十七万円をかなり下回ると思われますし、また、入所後にリハビリ等により要介護度が低くなった場合には介護報酬も下がりますが、それに対する成功報酬的な加算の設定がされているのかどうか。その辺がはっきりしないと、特養の職員配置基準を現行の四対一から三対一に見直すと言われておりますが、職員をふやしても収入が減ったということでは運営はかなり厳しくなるのではないかと考えております。いかがでしょうか。
基本的には介護保険には賛成するわけですが、我々が開設から十五年かけて培ってきた地域施設福祉サービスが、さらにこの制度によりまして躍進していきますように、よろしく御審議方お願いいたしまして、私のつたない意見を終わらせていただきます。
どうも御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/206
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207・上野公成
○団長(上野公成君) ありがとうございました。
次に、大伴公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/207
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208・大伴満男
○公述人(大伴満男君) 御紹介をいただきました大伴でございます。
私は現在、医療生活協同組合の事業にかかわるとともに、大分市の民生児童委員をいたしております。医療を通して高齢者問題にかかわってきた者といたしまして、介護保険法案についての概括的な意見を述べさせていただきます。
介護問題は社会的な問題でありますし、介護される者も家族も安心して介護を受けることができる制度を切望いたしております。しかし、サービスを利用する立場から見ますと、現在審議をされております介護保険法案にはさまざまな問題点があることを指摘せざるを得ないわけでございます。
四つの視点で問題を述べてみたいと思いますが、第一に、現在の諸施設の整備とホームヘルパーなどの人的な達成状況から見まして、要介護者に対応できるかどうかの問題であります。
大分県では、平成十一年には要介護高齢者は五千八百八人、虚弱高齢者数は二万二千四百八十一人、合計二万八千二百八十九人になると推定をされております。ところが、新ゴールドプランの整備計画では、特別養護老人ホームのベッド数が三千九百九十床、老人保健施設は三千三百七十一床、合計七千三百六十一床となっております。ホームヘルパーの計画は二千四十一人となっておるわけでございますけれども、そのうち常勤は五百四十四人、一日パートが二百五十八人、時間パートが千二百三十九人となっております。半数以上が時間パートです。しかも、これは各市町村の計画を集約したもののようでございますけれども、自治体の関係者にお聞きをしますと、財政上の理由でこれらの計画の達成は困難だという自治体が私がお聞きした範囲では七割近くにも上っているという状況であります。
大分市の場合、特別養護老人ホームの建設は今年度の建設で計画を達成するので今後の建設は認めないということになっております。ところが待機者は、ゴールドプラン作成時は百七十名だったのが平成八年には三百六十九人となり、現在では四百三十名を超えるなどふえ続けておりまして、一年半から二年待ちというのが現状になっておるところでございます。
こうした現状を見るならば、介護保険ができても給付対象者に全く対応できる状況にないことは明らかだと言わざるを得ません。介護給付の基盤整備こそが先行してやられるべきだということを主張したいと思います。
第二の問題は、高齢者にとって極めて大きな負担を強いるものだという点でございます。
現在試算されている保険料は、市町村によって異なるわけでございますけれども、平均二千五百円ぐらいと言われており、将来は保険料の引き上げが確実になっております。さらに、サービスを利用する場合には利用料の一割負担、こういう内容になっておるわけであります。
私が知っておりますある例では、六十八歳の寝たきりの夫を五十八歳の妻が在宅で介護をしておりまして、妻の負担が大きく、これ以上在宅での介護は無理だと判断した看護婦が特別老人ホームへの入所手続をとるように再三勧めたわけですけれども、どうしても納得してくれませんでした。やっとのことでその理由を聞き出したわけですが、特別養護老人ホームに夫が入った場合は、今は夫の年金だけで生活しているためにその費用を払えば妻が自分の生活ができなくなる、そういう深刻な生活状況にあったわけでございます。このケースの場合、現行では一回の訪問看護料は二百五十円ですが、介護保険になりますと、一割の利用料だと今のケースで八百二十円の負担となります。それに毎月保険料を二千五百円払わなければならないわけですから、これは大変な負担になるわけです。この例は特殊な事例ではありません。普遍的な状態にあると言わなければならないわけであります。
県内の国民年金受給者数は十八万九千人余りですが、そのうち約四万人が厚生年金などとの二重加入になっているんですが、その平均受給額は四万円でございます。厚生年金受給者も含めた年金受給者三十二万人余りの平均月額が六万五千円余りとなっております。これが大分県の年金受給者の実態でございます。
九月一日から御承知のように健康保険法等の改正によりまして高齢者の医療費負担が二・五倍以上に上がりました。お医者に対して薬はもう制限をしてくれとかあるいは要らないとか、また処方せんを出しても調剤薬局でもらわないで帰る、こういう事例がかなり出てきている、そういう実態であります。これでは高齢者は介護保険料の負担もできず、介護料を払えない人が続出することになるのは明らかです。お金のない人は介護サービスから排除されてしまうという重大な問題をはらんでいることを指摘せざるを得ないわけでございます。
三つ目の問題ですけれども、要介護認定の問題です。
厚生省が実施いたしました平成八年度要介護認定モデル事業で県内から直入郡の三町が選ばれ実施をされましたが、この中で、介護認定審査会の設置の困難性、厚生省のコンピューターによる判定と審査会での二次判定とではかなりの違いが出る問題とか、在宅と施設とでは心身の状態は同じでも介護の仕方が違うので認定が違った、あるいは介護認定調査で調査員に差が出たなど、さまざまな問題点が指摘をされております。認定手続も煩雑でありまして、申請から調査、結果が出て介護メニューが決まりサービスが開始するまで一カ月以上もかかる、これも非常に大きな問題だと言わざるを得ません。
四番目の問題は、介護保険からの給付を受けるのにさまざまな制約があることです。
法案では、四十歳以上が被保険者、六十五歳以下は第二号被保険者ということになっておりますけれども、この六十五歳以下の被保険者に対しては老化による要介護のみに給付する、こういうことになっております。これでは六十五歳以下の被保険者は極めて少数の人しか対象にはなりません。私ども生協の組合員の多くが、これでは保険料が徴収されるだけではないか、こういう疑問と強い不満を述べております。
また、幾つかの罰則規定が設けられております。保険料の未納があったり、あるいはまた医療保険各法の規定による保険料等に未納がある場合には、給付水準の切り下げや保険給付を一時差しとめることになっております。これは人道的に許されないのではないでしょうか。大分市の国保税の滞納率は一〇%に近いと言われております。しかも来年四月からは平均三・五%アップすることを計画しております。この改定は、一九九五年の国民健康保険法の改正によりまして応益応能割を五対五にする、こういうものに基づいての改定だと思われるわけですが、この改定によりまして低所得者層の負担がアップするのが特徴になっております。いよいよ国保税を払えない人も増加することが予想されるわけであります。これらの人々も介護保険の給付を制限される、こういう事態が生じるわけであります。
以上、四点に絞って述べさせていただきましたが、だれでも安心して老後を送ることができるように、ああ介護保険があってよかったなと言われるようなものに十分内容を改めていただきたい。そのために以下の提案をさせていただきます。
一つは、国庫負担をふやして公費により早急に新ゴールドプランを完全実施、私はこれでは不十分だと思います。さらに、見直しをするようにしてください。介護保険導入に当たっては基盤整備こそが急がれるわけであります。そしてホームヘルパーにつきましても常勤者をふやし、そしてヘルパーの身分と生活保障、これを考えることが必要だと思います。
二番目に、高齢者、低所得者からは保険料を徴収しないでください。さらに、利用料も原則無料にすべきだと思います。
三つ目に、年齢に関係なく要介護者すべてを給付の対象とすべきです。そして罰則規定は、これは介護保険法案にそぐわないので削除をお願いしたいと思います。
また、介護手当を設けることもぜひ必要ではないかと考える次第であります。
だれでも安心して介護が受けられるように、抜本的修正をして、国民の納得できるものにしていただくことを強く切望して、発言を終わります。
御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/208
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209・上野公成
○団長(上野公成君) ありがとうございました。
次に、宇戸田公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/209
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210・宇戸田実男
○公述人(宇戸田実男君) 初めに、介護保険法案の審議が行われております当参議院厚生委員会介護保険関連三法案に関する地方公聴会にお招きいただき、貴重な時間を割いて意見をお聞きいただきますことに心からお礼申し上げます。
私は、特別養護老人ホームとデイサービスセンターB型、E型、サテライト型ミニデイサービス、在宅介護支援センター、ホームヘルプ事業を運営しております宇戸田実男と申します。
今回審議が行われております介護保険法については、これからの高齢社会をより豊かなものとするためにつくられた制度であり、二十一世紀の介護を社会全体で支える仕組みとなることから、この法制度の導入に賛成するものであります。この制度の導入に私たちが安心して移行するために、次の点について特段の配慮をいただきますようお願い申し上げます。
第一点は、特別養護老人ホーム等の福祉施設の整備についてであります。現在、施設整備に伴う四分の一の設置者自己負担分の確保について、非常に苦慮しているのが実態であります。今日、施設整備に伴う諸問題に指摘される根幹はここにあります。この設置者負担については、減価償却制度を導入し、その相当額を介護報酬に算入すべきと考えております。
第二点は、介護保険制度をスムーズに特別養護老人ホーム等福祉施設に導入するための十分な経過措置が必要であると考えております。特に私たちは、これまでの長い間、国そして地方自治体からいろいろな面で助成等の配慮をいただいてきました。御承知のとおり、福祉施設の経営基盤は非常に弱い実態でありますので、介護保険制度導入後においても当分の間これらの地方自治体等からの助成措置は続けていただくようお願いいたします。
第三点は、介護保険制度はみずからの意思により利用するサービスを選択し決定する等新しい理念を取り入れた高齢社会にふさわしい制度であると確信しております。しかしながら、判断能力の不十分な痴呆性高齢者や虐待を受けている高齢者の増加を考えますと、これらの理念が十分生かされるかどうかについて疑問を抱くものであります。判断能力の不十分な高齢者については、現行法上は民法による禁治産、準禁治産制度及びこれを前提とする後見、保佐、補助制度が設けられようとしておりますが、数々の不備な点が見受けられます。したがいまして、介護保険制度につきましては、こうした高齢者を十分視野に入れた支援体制の確立をお願いいたします。
第四点は、介護保険法では当分の間保険者である市町村が独自に介護サービスの給付水準を決定することとなっており、各市町村間に格差が生じることになりますが、その格差が著しい格差にならないよう国、県の御指導をお願いいたします。
第五点は、介護保険制度では民間活力の活用による多様な事業者、施設によるサービスの提供を目指していますが、そのことにより社会福祉が企業化され社会福祉の理念が失われることがないよう十分配慮をお願いいたします。
第六点は、介護保険制度は要介護度により介護報酬が決められます。入所後、施設側の努力により介護度に向上が見られた場合、介護報酬に反映できるようなシステムの創設をお願いいたします。
第七点は、これまでの福祉施設のサービス水準を低下させないため、定員別単価、級地区分別単価及び各種加算制度、例えば民間施設給与等改善費などについては現行制度の保障をしていただくようお願いいたします。あわせて、福祉施設職員の処遇向上を図るため、現在社会福祉・医療事業団で実施している退職共済制度や施設職員の処遇にかかわる制度については、現行の制度を保障していただくようお願いいたします。特にこのことは優秀な人材を確保するためには不可欠であると考えています。
国会議員の先生方におかれましては、本国会における介護保険法案の早期成立とあわせてこれらのお願いについても御配慮をいただきますようお願い申し上げます。
以上で、私の発言を終わらせていただきます。貴重な時間をいただき、まことにありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/210
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211・上野公成
○団長(上野公成君) ありがとうございました。
次に、金山公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/211
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212・金山尚學
○公述人(金山尚學君) 大分県町村会政務調査会文教厚生部会委員の東国東郡国見町長の金山でございます。
本日は、先生方御遠路御来県いただき、参議院厚生委員会大分地方公聴会をこうして開催していただきまして、私ども町村会の意見を申し上げる機会を得ましたことを厚く御礼申し上げます。
さて、急速に高齢化が進む我が国におきまして、今後健全な地域社会を維持するためには、高齢者の介護は極めて重要な課題になることは十分認識をしているところであります。特に、大分県の町村部におきましては、総人口に占める六十五歳以上の人口割合、すなわち高齢化率が二六・四%、私の町国見町におきましては三三・八%に達しております。三人に一人が高齢者という状況が現実のものとなっており、また高齢者が高齢者を介護しているという状況を見ますと、家族介護には限界があり、社会的介護を充実させていかなければならないと認識しているところでもございます。ただ、介護保険制度の創設に当たりましては、負担する者も実施する者もともに喜ばれる制度であってほしいと考えているところであります。
現在示されている介護保険法案においては、先生方のお力添えでかなりの部分で自治体の意見が反映されておりますが、まだ懸念される問題点や課題があると思いますので、今日改めて私どもの意見を二つにまとめまして、一つは保険料について、いま一つは介護保険の広域的対応について申し上げさせていただきたいと思います。
まず最初に保険料でございますけれども、介護保険法案におきましては費用の半分が保険料によって賄われることになっており、保険料のうち年金額の低い高齢者の保険料は市町村において徴収することとされております。こうした高齢者の保険料の滞納が生じ、介護保険が大きな赤字を抱え込むことになった場合、自力の財政力が弱く、財政の収入面の八〇%を他に依存している市町村にとって大きな負担になるのではと懸念をしているところでございます。
もとより、介護保険法案におきましても一定の滞納対策のための制度が設けられていることは承知をいたしております。しかしながら、町村という地域社会の現場におきましては、滞納対策に関する権限を行使することができるとされても個々の町村の判断でそれを積極的に活用することはなかなか難しいのではないかと思われます。また、滞納対策の活用に積極的な自治体と消極的な自治体が出てくることは、高齢者間の公平という点で問題があると思われます。
この点の実情を御理解いただき、介護保険の保険者が市町村という法案の内容の変更ができない場合には、保険制度の運用につきましては国において責任を持って具体的に指導いただき、介護保険の健全な運営と高齢者間の公平のため万全を期していただくようお願いを申し上げます。
第二に、介護保険への広域的対応についてでございます。
介護保険につきましては、小規模な町村が単独で実施するより共同で実施した方が適当であったり効率的である事務があろうかと思います。
例えば要介護認定は、市町村長が保健、医療、福祉に関する学識経験者から五名を任命することになっておりますが、小規模な町村では五名の学識経験者が確保できないといったところも数多くあります。また、介護認定審査会の審査の公平性を確保するための工夫を国においても今後検討されるものと思いますが、仮に介護保険法が施行されれば、申請はしたものの要介護認定がなされなかった方や、要介護認定はされたものの適当な措置でないと感じられた方から多くの批判が市町村に寄せられることは避けられないと思います。この点、介護認定審査会委員の選任など、要介護認定に関する事務を複数市町村が共同で行えば、単独市町村で行うよりも介護認定審査会の審査の公平性に対する信頼感は得られやすくなるのではないかと考えられます。
大分県におきましては、本年度、要介護認定の試行事業にすべての市町村が参加し、十の地域ごとに協力して取り組んでいるところであります。国見町においても、他の三町一村とともに要介護認定について共同して試行を実施しているところでございます。また、東国東郡におきましては既に広域連合が本年七月に設置をされております。介護保険の事務についても、例えばこうした広域連合の活用など、事務の共同実施について検討することは有益であろうと考えております。
もとより介護保険関係の事務は、要介護認定、保険、会計事務、介護基盤整備の事務など多岐にわたっております。それぞれの事情ごとに、共同で行うメリット、デメリットを介護保険を担うことになる自治体が主体的かつ十分に検討していかなければならないと考えております。国におきましても、自治体がこうした努力、取り組みをしていることについて十分に御認識をいただき、御支援、御協力いただきますようお願い申し上げます。
以上、私どもが考えていることについて申し述べさせていただきましたが、介護保険法案の施行時期が平成十二年度とすると、町村の準備期間は既に二年足らずとなっております。法案の成否が現時点においても明らかでないため、準備体制の整備、検討に当たり町村としても苦慮しているところでございます。
二十一世紀の高齢化社会にふさわしい介護保険制度の創設を先生方にお願い申し上げまして、私の発言を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/212
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213・上野公成
○団長(上野公成君) ありがとうございました。
次に、半澤公述人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/213
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214・半澤一邦
○公述人(半澤一邦君) 御紹介をいただきました私は大分県の医師会の地域医療の担当をしております半澤でございます。
本日は、参議院厚生委員会大分地方公聴会の公述人として介護保険法案に対する意見を述べさせていただくことに感謝を申し上げます。
大分県の医師会でもただいままでに介護支援専門員の指導者研修会を既に二回開いておりまして、この介護法案の実施に向けて既に取り組みを始めて準備をしているところでございます。私は、その立場上、主に本法案に対し、医療的側面から意見を述べさせていただきます。
本法案も一部修正の上、衆議院を通過し、今年の初め認定に関するモデル事業も行われ、一昨年本地におきまして与党三党の地方公聴会がございましたけれども、私はそこでも意見を述べさせていただきましたが、その時点に比べますと、制度の全容も見えてきたし、あるいはまた認定の経時的な変化を見るというような改善も確かに行われました。しかし現実的な不備もまたその後も指摘をされております。さらに、サービスの提供現場、我々の現場におきましては、運用の各論に関して現在でも余りにも情報が少なく議論をしにくいということも実感でございます。
本来介護とは、食事や排せつ、入浴、清拭等の身体介護と、洗濯や掃除、買い物等の生活介護、つまり日常の生活のお世話をすることであって、看護も含まれる医療と同一視されるものではないと思います。しかし、事高齢者においては、介護を必要とする状態はその大部分が老化のみによるものではなく、何らかの疾病を有していることはよく知られていることでございまして、生活上のお世話と同時に、並行して医療上の管理が必要でございます。この宿命的な背景と福祉行政の貧困が、今日まで日本の医療行政の中で本来の医療でない生活支援サービスを医療機関が担っていくことを余儀なくしてきた一面もございます。
やがてそのことは、老人保健法の成立と老人病院制度によって、医療の中に介護が給付として組み込まれて老人医療費を押し上げた一因となったことも事実です。つまり、病人とは言えなくなった障害を持つ高齢者の生活を支えるための包括的なサービスを提供する制度と体系がなかったために、言いかえれば、福祉サービス、介護サービスが地域に不足していたことが医療と介護のかかわりを今日のように非常に変化させたと言うことができるのじゃないかと思います。
お手元の資料は老人医療の診療報酬体系の一部でございます。ごらんになっていただきますと、その項目の多さと要件の複雑さには驚くばかりでございますが、本来、医療はその目的と性格から、よりシンプルに取り扱われるものと考えられます。この中で入院の項をごらんになっていただきますと、療養型病床群、療養環境、寝たきり老人、痴呆老人という項目や、通院の方では生活指導、在宅療養指導、訪問指導などという項目が大変多く見受けられることがおわかりになると思います。私ども、日常診療に携わっている者が自分が行う医療行為がこのどれに当てはまるのか、その項目を思い出せないほどでございます。
しかし、私がここで申し上げたいことはこのことではなく、これら前述の項目は長期的なケアを前提として医療が介護の部分にいや応なくかかわっていることを給付という形で評価しているものと言うことができるのじゃないかと思うわけです。
本介護法案の最大の目的の一つに、医療の中のこれらの介護の部分を医療保険から介護保険へシフトさせ、医療保険の財政危機を立て直すことが挙げられています。したがって、本法案でも明らかなように、療養型病床群、老人保健施設、訪問看護等々は介護保険の適用とされております。したがって、今までの看護の概念と異なり、本制度の介護では医療がそのサービスの中に大きく取り入れられている点がございます。このように、老人の介護では医療的な側面が大きく関与している事実にもかかわらず、本介護保険制度では医学的視点が余り反映されていないことは大変に不思議なことでございます。
具体的に申し上げますと、要介護認定においてはADLを中心とした判定がその基準であり、これで本当に平等、公正が担保されるのか、大変に疑問です。要介護状態の大部分は疾病がその基礎にあることから、医療サイドからの判断が非常に重要であることは当然であります。本制度の要介護認定に当たり、かかりつけ医の意見書を提出することになっておりますが、この意見書の内容を具体的にどのように判定に反映させるのか明確ではありません。
今年初めに行われた本県直入郡三町における認定モデル事業でも、ほとんどの要介護認定に際し医学的判断が重要な要素であったことを認定委員からもお伺いをしております。その医学的意見は、内科医のみならず、整形外科医あるいはまた精神科医、泌尿器科医、耳鼻科医、歯科医等専門科医の判断が必要であったことも事実のようであります。このことは、人間の行動は短時間の動作を見ているだけでは判定に正確さを欠き、医学的見地が客観的な正確さを裏づけることを示しているものと考えられます。
また、慢性の呼吸器疾患や心疾患を有しており、労作により呼吸困難に陥りやすい高齢者や、そのために日常生活活動の制限を伴う者は介護の必要な状態でありながら、今回のアセスメントからは本法の認定では要介護と判定されにくく、医師の意見書が一次判定から反映されるプログラミングになっていることが必要だと考えます。
また、サービス給付においても、医療ニーズの高い療養型病床群並びに老人保健施設と生活ニーズの要素が強い特別養護老人ホームとではその適用においては要介護者の選択に任されることになっておりますが、施設の医学的管理の内容と人員において大きく異なることから、選択に任せることが本当に介護提供となるのか、大変にこれもまた疑問でございます。このことについては、ある程度適用基準に基づくケアマネジメントが望ましいものとも考えられます。
さらに、これらの施設介護について申し上げますと、特養の本制度施行後五年間の移行措置は、その根拠は何であるのか理解しがたく、同一条件での給付の開始が当然と考えられます。
それとともに、診療所の療養型病床群への転換も本法案に盛り込まれておりますが、具体的にいわゆる地域医療計画で病床過剰地域ではどのような形で可能になるのか、一日も早く具体的な意見をお聞かせ願いたいと思います。
また、在宅サービスの中に医師等による療養管理指導が盛り込まれておりますが、本制度のサービスは時間等を単位とする定量的な評価が多い中、定性的なこのサービスは一体何であるのか、その範疇はどこまでなのか、現行の特養の嘱託医と同様、要介護者の健康状態あるいはまた病状の把握とそれによる療養上の指示だけで終わっていいのか、治療や処置の行為は当然医学的管理に含まれず、医療として医療保険の適用に残されるのかも明確ではありません。
要するに、この介護保険に含まれる医療とはどこまでであるのか。アバウトではない医療と介護の線引きを明確にしていくことが現状の医療保険での医療と介護の混在を繰り返さない重要な条件と思われます。
その上で、対象が高齢者であるがゆえに、状態がいつ悪化したり急性化するかわからない一面がございます。その際には医師の判断が尊重され、介護サービスから医療サービスへの転換、つまり医療へのアクセスが容易に確保されていることが最も重要な課題と思われます。
また、要介護者の全身管理において、現状では口腔内は放置をされていると言っても過言ではございません。それゆえに、口腔内は全身で最も不潔な部分になってしまっております。口腔は消化管の重要な器官であります。ADL、QOLにつながっていくことは現在では広く認識をされております。口腔ケアの重要性から、パイロットスタディーの段階から認定審査やケアカンファレンスへの歯科医師の積極的な参加も重要なことと考えられます。
最後に、この制度の構築の過程から今日までを見てみますと、サービス給付については、老人医療を介護に組み入れようとしている反面、認定作業やケアマネジメントでは医療の影響を過度に意識して独自の専門性の確立が図られていることが感じられる面もございます。
高齢者という特殊な介護を主眼としたこの制度の中で医療をどのように位置づけていくのか、特にその細則や施行規則については早い時期からオープンに論議をしていただくことこそ、要介護者が真に安心して、しかも効率的に介護を受けられる制度になるためにも最も重要なものと考えます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/214
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215・上野公成
○団長(上野公成君) ありがとうございました。
以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。
速記をとめてください。
〔午後二時二十一分速記中止〕
〔午後二時三十一分速記開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/215
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216・上野公成
○団長(上野公成君) 速記を起こしてください。
それでは、これより公述人に対する質疑を行います。
なお、委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔に願います。
また、御発言は私の指名を待ってからお願いいたします。
それでは、質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/216
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217・尾辻秀久
○尾辻秀久君 自民党の尾辻でございます。
きょうは貴重な御意見をお聞かせいただきましてありがとうございます。
一問ずつお尋ねをいたしたいと思いますので、まず先にそれぞれの公述人の皆さんに質問を申し上げますから、後で順次お答えいただければと存じます。
まず、高橋公述人にお尋ねをいたします。
最後のところでインフォームド・コンセントについてお触れになりました。私も、日本の医療の今日最大の課題だと考えております。そこで、さらに御意見をお聞かせいただければと思います。そのことをお尋ねいたします。
それから次に、佐藤公述人にお尋ねをいたします。
最後のあたりで、日本における介護の哲学や理念を根底から見詰め直さなければ介護費用はかさみ結果的に国民負担は増大する、こういうふうにお述べになりましたので、ここのところをもう少しお考えの向きをお聞かせいただきたいと思います。
その次に、山中公述人にお尋ねをいたします。
率直にいろいろ不安があることをお述べになりました。そのとおりだろうと思います。そして、最後のところで財政的な御心配もお述べになったんですが、もしそういう数字をお出しになっておれば、この介護保険が始まったとして、町におけるその事務量、事務量といっても漠然とした言い方ですが、何かそういうものを数字でお出しになっておられればお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
それから瀬戸公述人には、この要介護認定について独自で調査をなさったというお話でございました。そして、調査員についての御意見は伺いましたけれども、この調査の仕方と言うのでしょうか、例えば調査票、項目が多過ぎるとかいろいろ御意見もあるんですが、それからまた、最後の半澤公述人でしたか、かかりつけ医の意見についての御意見などもございましたけれども、そうした部分について何か独自に調査をなさってお感じのことがあったらお聞かせください。
それから、大伴公述人にお尋ねをいたします。
御意見ずっと聞いておりまして、最後の方では、一応御意見としては介護保険があってよかったと言われるためにという御提言をいただいたんですが、私がお聞きいたしておりまして率直に申し上げると、御主張どおりにするともう保険よりもこれはやっぱり税でやる方式しかないのかなと思いながら聞いておりました。まさに一番基本の問題なんですが、保険か税かということで御意見があればお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
それから宇戸田公述人には、第三点としてお述べになりましたうちの後半の部分なんですが、判定能力の不十分な高齢者についてはというところがございます。ここのところのもっと具体的な御提言があればというふうに思います。きっとお持ちじゃないかと思いながらお聞きしましたので、お聞かせいただければというふうに思います。
それから金山公述人には、介護保険への広域的な対応というふうに言われました。これはもうまさにそのとおりだろうと思っています。
それで、私はずばりこう思うんです。恐らくこの介護保険が始まればかなりの市町村の合併というのが出てくるのではないかなというふうに思います。まさに公述人お述べになったとおりで、その行き着く先がもう合併まで行ってしまうんじゃないかなという気がしてならないものですから、その辺について何かお感じになっておられることや将来の見通しなどお持ちでありましたらお聞かせいただきたいと思います。
それから最後に、半澤公述人にお尋ねをいたします。
全体の御意見は、もう専門的なお立場からお述べになりまして、全くそのとおりだろうと思いながらお聞きいたしております。その中で老人医療の診療報酬体系についてお述べになって、資料もお出しいただきました。改めて煩雑なものだなと思いました。
ただ、やっぱり出来高払い制を取り入れるとこうした診療報酬体系というのは私はある意味では宿命なんじゃないかなとも思いながら実はこの資料を見せていただきました。そして、老人医療といいますか慢性期医療が大半になりますから、やっぱり私は個人的な意見としては定額払いを相当導入しなきゃいけないんじゃないかなという意見を持っているものですから、ちょっと本日の御意見の趣旨とは違いますけれども、この際ですから、その辺についての御意見をお聞かせいただければと思いますので、お尋ねいたします。
以上、お尋ねいたしましたから、後、順次お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/217
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218・高橋多佳子
○公述人(高橋多佳子君) お答え申します。
皆様御存じのように、昨今の医療現場に対する患者さん並びに家族の方々の大変な関心とそれから知識を持ち合わせておられますので、いろいろな訴訟問題が持ち上がっていることは御存じのことと思います。
私も現場に三十数年おりまして、幸いにも訴訟問題に至るような事例はありませんでしたけれども、昨今大変患者さんの家族からいろいろなことで治療上のことについて苦情が出てまいりました。その最も多い苦情がいわゆる医療処置に対する説明が不十分であるということ、これはドクターサイドなどでしょうけれども、結局処置をする前の説明が不十分であった、検査前の説明が不十分であった、そういうことは聞いてなかったという苦情が大変後で出てまいります。
訴訟に至っているのを見聞しますと、ほとんどは最初にきちんと説明、そして納得した上で同意を得てやっておれば後々問題は起こらないんだと思います。例えば、最近あった事例なんですけれども、胃瘻の造設手術をするのに、一応そういう処置をするときは必ず家族の同意書をとることになっていましたので同意書はとってありましたが、その同意書を書くに至る経過の上で強制的に医師に、これはもうどうしても必要だからしなきゃいけないんだと、半ば強制的に同意書をとられたというような苦情が後々出てまいりました。これも要するに最初の説明が不十分であった、そして納得をしないうちにもう胃瘻手術をした結果ではないかと考えております。
かように、これからの医療や看護の現場においては、患者はもちろんのこと、家族の方々にも十分納得のいく説明をして、そして同意の上で両方がやはり自分の病気はお互いに協力しながら治していくのだというところに持っていかないとうまく信頼関係が得られないのではないかと感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/218
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219・佐藤済江
○公述人(佐藤済江君) お答えいたします。
私が痴呆の方と、私のしゅうとめとかかわり始めましたのがしゅうとめが八十歳のときでした。百二歳までという二十二年間ですけれども、穏やかな痴呆に対しては介護力が要らないということですね。
私も、子供を育てながら、思春期を迎える子供とその教育のありよう、現場の教育のありよう、それとおばあちゃんが静かに余生を送る、その違和感といいますか、片方ではおばあちゃんを認めたいけれども自分の現実の子供の教育に一生懸命ついていくときに、穏やかな痴呆を迎えるにはどうしたらいいか、そして一人一人がいろんなお年寄りに接するときに穏やかではない非常に錯乱した状態のその人の違いというのはどういうものだろうかということを内と外と経験しまして、近ごろ思うことは、やはり知性ではなくて感性体験というか、感性を一生懸命するような教育というものと結びつけて考えた結果、こういう表現にいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/219
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220・山中博
○公述人(山中博君) お尋ねの介護保険の事務量でありますが、まだ正確な数値は出しておりません。と申しますのは、大体法案の概要が示されてまだ期間が短いということと、それから法律の全容がわかり始めた期間が非常に短いということだろうというふうに思います。それと、私どもは専任の担当者を一名置く準備を今始めておる段階であるということだけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/220
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221・瀬戸正行
○公述人(瀬戸正行君) お尋ねの調査の項目数等につきましてですが、前回国のモデルでやられましたのが七十一項目、今年度は今入っておりますのが七十三項目、二項目ほどふえているということでございまして、項目につきましては今回のモデル調査も前回にあわせまして在宅向きにかなり項目が偏っている部分がございますので、施設で使う部分に関しましては、かなりちょっと無理があったかなというところがございますけれども、私どもなりにやったわけでございます。説明の中にもありましたように、経験の浅い者からかなりベテランの職員、それから資格を持った介護福祉士とか看護婦等がすべてかかわりましたので、その辺でつけ方にかなり無理があった部分はございますけれども、おおよその概略的なところは出ておるんじゃないかと思いまして、かなりいい資料にはでき上がっていると思います。今やっております第二回目がどういった形で出てくるのか、それを見据えてまた新たな調査を進めていきたいと思います。
現在やっている第二回目のモデル調査の中で、今回はかかりつけ医の先生の御意見もいただくようになっておりますが、私どもの調査員の話からしまして、かかりつけ医の先生方への説明不足がかなりあるみたいで、調査に行きまして資料をお願いしましてもなかなか納得していただけない部分もありますし、先生が対象者といいますか利用者の方と何カ月か離れている部分が出てきますとちょっと意見書を書けないというふうな部分もございまして、なかなか今苦慮しているところでございます。
それと、項目につきましては、コンピューターでこれも厚生省の方で統一した線が出されるということで、私どもだけでは不十分でございますので、リハビリのPTの先生なんかをお願いいたしまして御協力を得まして今回のこうした数値を出させていただいたわけです。
これからはそういったことで調査するケアマネジャー、調査員の養成がされていくということで、何か当初の話でしたら十月、十一月ぐらいに試験がされまして今年中にはということだったんですが、それが国会の御審議の関係でおくれているということで、その辺のところも養成が余り短期間にされても不十分でないかなと。それと、人員的にもすぐに必要数の調査員ができるのもなかなか難しいんじゃないかと思います。この辺のところは慎重に御審議願いまして、研修会、勉強会をかなり重ねていただきまして、本当に公平な調査ができるような形での調査員を任命していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/221
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222・大伴満男
○公述人(大伴満男君) ポイントをついた御質問を受けました。
北欧が税方式でやられておりますが、私は、基本的にはやはり福祉の問題というのはこうあるべきではなかろうかというふうに意見を持っておりますけれども、今日の日本の現状でこれが即できるかということになるとなかなか難しい問題がありますので、そういう意味では保険方式でいくのもやむを得ないんではないかというふうに思っております。しかしその場合でも、いわゆる現状では公費が半分、そして保険料と利用料で半分、こういう公費負担の割合をふやしていただくということで、底辺の方々が介護保険できちっと介護を受けられるというシステムにしていただくのがベターではないかなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/222
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223・宇戸田実男
○公述人(宇戸田実男君) 尾辻先生の質問にお答えします。
判断能力の不十分な方、痴呆性老人等の介護苦殺人事件とかいろいろなことが叫ばれております。また、新聞紙上では障害者の虐待とか児童の虐待等がよく出ております。その人たちの生活を守るという観点から、今法務省の方で法制審議会民法部会において社会福祉関係を含めた成年後見小委員会というのが開かれております。それに、やはり生活ということですから、厚生省がリンクしてこれらの問題を解決していただければ早期な発見、早期な保護ができるんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/223
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224・金山尚學
○公述人(金山尚學君) 広域的対応、私どもは広域連合で対応したらという提案をいたしましたけれども、これが町村合併につながるんではないかという御質問でございます。
確かに現在、全国で三千三百ある自治体の中で約七割が過疎、高齢化等々の課題を抱えている、そうした中で効率的行政を進めるに当たっては合併がいいのではないかと国の方においても推進されているということについては賜っております。確かに人や物の交流が広域化する中で今後の自治体のあり方というものは大きな課題であろうというふうにとらえておりますけれども、昭和三十年あるいは昭和三十五年ころに町村合併を推進して今の町村が生まれているというふうに思いますけれども、その中には地域感情とか住民感情とかがいまだにそれぞれの町村に残っているというふうに思っております。と同時に、合併をいたしまして中心地となる地域はいいけれども、周辺地域における活性化は非常に失われていくんではないかというふうにも思います。
そういったことから、私は今の自治体の特性あるやり方、すべてとは言いませんけれども、それを生かしながら広域的に対応するべき事務というものもまたあろうかと思います。そういったものを区別しながら今後推進していきたいわけです。そういう中で私は、広域連合イコール合併というふうな考え方は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/224
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225・半澤一邦
○公述人(半澤一邦君) 出来高払いと定額制についてのお尋ねでございましたけれども、もともと医療行為というものはその報酬によって決定されるものではないわけでございまして、万人がその病態によって本当に公平に受けられるものということになることは当然でございます。しかしながら、医療保険という統制経済の中で皆さんが平等に受けられるという観点からしますと、病態が非常に安定して、そう大差ない状態において一定額の中で療養管理ができるんでないかというような部分については当然そういう定額制といいますか、それでもいいんじゃないかと思うわけです。しかし、急性変化をしたときに、いわゆる急性期の医療として一定枠の中で医療を完結することはこれはどうしても経済的に無理がございますので、その場合にはすぐそういう出来高払いといいますか、そういう急性期医療の方へちゃんとシフトができるようなことが必ずやはり根底にしっかりあるべきだというふうに考えます。
今、その急性期医療と慢性期医療の線引きをどうするのかというようなことも、この介護保険が導入されますとその議論が非常に活発になってくることはもう十分に予測されます。しかし、この急性期医療と慢性期医療の基準の線をちゃんと引くなんということはこれはもうどういうふうに考えても不可能でございまして、その中間もあるわけでございますから、その辺を考えながら、制度をつくる場合には、これは非常に難しい問題でございますので、私どもも意見を述べたいと思いますけれども、厚生省あるいはまた先生方もそういう意味ではお知恵をおかしいただいて、そっちの方向には検討を加えたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/225
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226・田浦直
○田浦直君 自由民主党の田浦直でございます。
きょうは、皆様には本当にいろいろ御意見をお伺いさせていただきましてありがとうございました。
初めに、山中公述人にちょっとお尋ねしたいと思うんですが、先生の町では非常に高齢化が進んでおり、町長さんが非常に熱心に福祉をやられている福祉先進町じゃないかなというふうに理解しているんですが、この介護保険が導入された場合に福祉が後退すると、介護保険で福祉を行うようになると後退する面がないのかどうか、そういうことをまずお尋ねしたいと思います。
それから金山公述人には、東国東広域連合というのをつくられているというお話をお聞きしましたが、この広域連合、お話のようにメリットもデメリットもいろいろあると思うんですね。ただ、その広域連合をつくる根拠、基礎ですね、例えばどのくらいの人口でやるとか、あるいはどのくらいの審査事務量でやるとか、あるいは行政で選ぶのか、そういった広域を行う場合の根拠になるものにはどういったものが一番大事なのかなということをお尋ねしたいと思います。
それから半澤公述人にお願いをしたいと思うんですが、医療と介護というのが非常に込み入ってくるということを述べられているんで、私も全く同感なんですね。例えば、療養型病床群というところに介護保険が適用されて入所するということになりますと、これは医療保険はもうほとんどその方は利用できないということになるんですね。そういった医療と介護、あるいは医療保険と介護保険でもいいですが、その辺をどうお考えなのか。
それからもう一つは、かかりつけ医の意見書、これは非常に大事な意見書だということで、これによって判定が覆ったというのも幾つかあったということをモデル地区の方からお聞きしたんですけれども、このかかりつけ医の意見書というのが先生の御意見ではどう取り扱われるのか不明であるということをお書きになっておられるんですが、どういうふうに位置づけしたらそれがいいのかなというのを私も考えておるのですが、その辺について何か御意見がございましたらお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/226
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227・山中博
○公述人(山中博君) お答えをいたします。
介護保険が導入されれば福祉が後退をしないかというお尋ねかと思いますが、私は、例えば隣の町と比べてという競争意識が芽生えれば後退はしないというふうに考えておりますし、現状では例えば市町村の持つ社会福祉協議会の高コスト低レベルの福祉なんというのがあるわけですけれども、これも民間の施設と競合させることによってやっぱり質のレベルは私どもねらっていかなきゃいけないというふうに思っております。
ただ、福祉の後退の場面が考えられるとすれば、例えば療養型病床群、これが医療保険と介護保険の同時なサービス内容になっておりますけれども、チェックのある介護保険とチェックのない医療保険の中ではどちらを皆さん利用するかということになれば、あるいはデイサービスとデイケアですね、これも介護保険と医療保険のデイケアになれば、やっぱり皆さん使う方はチェックのないものに殺到するということもあるかもしれません。そういう面では部分的に福祉は後退をし医療が伸びていく、そういう場面があるやもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/227
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228・金山尚學
○公述人(金山尚學君) 広域連合を組織するに当たってのその圏域であるとか人口であるとかあるいは事務量であるとか、そういうことにつきましては、私ども、組織するに当たってこれが適当な大きさであるということを考えて組織したわけではございません。この根底にあるものは、これまで私ども東国東郡五カ町村の中で広域圏事務組合の事業として、広域病院あるいはし尿処理、ごみ処理、それから広域消防等々の十二事務くらいをこれまで事務組合で実施してまいりました。これから先を考えるときに、このような介護保険制度であるとか、あるいは国、県からの権限移譲を受けるに当たっては、広域連合組織であるならばその都度対応できるというような考えの中から広域連合を郡内で組織したわけでございます。
ですから、適当な範囲がどうなのかということにつきましては、広域連合とするならば地域振興等々を考える場合には国東半島全体を一つの広域連合としてとらえてもいいのではないかというふうに考える面もありますけれども、現在前からの流れの中で五つでしたわけでありまして、定義としてどれくらいが適当であろうということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/228
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229・半澤一邦
○公述人(半澤一邦君) お二つのお尋ねでございます。
医療保険と介護保険の問題でございますけれども、この介護保険におきましては、療養型病床群に、いわゆるこれは慢性になるわけですけれども、介護保険の方で入っている場合に、急性変化をしたときに、ほかの、と申しますのは、この介護保険では施設が介護保険の適用になるかあるいはまた慢性型の医療を診療するものとして認められているかという施設単位になってございます。あるいはまた病棟単位ということでございまして、そういう意味からいいますと、急性期変化をしたときにその施設では原則的には急性期医療はできないということになりまして、急性期医療ができる医療機関へ移さなければいけない。それでは余りにも不可能な場合が多いので、この療養型病床群の中にも急性期医療をやってもいいというベッドをつくったらどうかということも現在言われておるわけでございます。
しかし、そもそも要介護者のそれぞれの病態、時々刻々変化するわけですけれども、その病態によってやっぱり的確な判断、誤らない判断をする能力は医者には僕はあると思うんですね。やはりその判断能力をちゃんと認めた上で、施設だけでそういう枠、たがをはめない。ある部分には全体的にははめられてもいいんじゃないかと思いますが、そういう変化についてはある程度急性期医療をその施設でも認める制度といいますかシステムをちゃんと構築していただくということが大変に大事だと思います。それは我々にとって大事じゃなくて、要介護者にとって非常に大事なことだと思っております。
それからまた、かかりつけ医の意見書のお尋ねでございましたけれども、かかりつけ医の意見書によって要介護の度合いが変更になったものがさきのモデル事業では大体一六%強ございます。一六%というのは非常に大きな数字だと私は思っているんですけれども、そういう場合にこの意見書を今どういうふうに反映させているのかというのが私どもが最も知りたいところでございます。恐らく一次判定のコンピューターの中にはそのプログラムはないのだと思うんです。ですから、やはりその一六%のむだな作業といいますか、そういう調査というのは膨大な時間と人と書類が必要なわけでございますから、そういうことを繰り返さないためにも一次判定の中にこの意見書を何らかの形で入れるということがぜひ必要ではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/229
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230・田浦直
○田浦直君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/230
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231・中原爽
○中原爽君 自民党の中原でございます。
まず、高橋公述人にお尋ねをしたいと思います。
お出しをいただいております資料の一番最後のページであります。先ほどもお話が出ておりますけれども、医療法の一部改正にかかわりましてインフォームド・コンセントの問題であります。インフォームド・コンセントについて御説明の内容は十分承知いたしておりますけれども、特に御説明の中では、文章にはありませんけれども、在宅、居宅でのインフォームド・コンセントの重要性も触れておられます。
今度の改正法の内容は、医療について、医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他の医療の担い手が医療を提供するに当たって、十分な説明を行って医療を受ける者の理解を得るように努めろ、こういう条文になるわけであります。それはそれでよろしいわけでありますけれども、実態として高齢者のかかわりになりますとどうしても痴呆症の方が多くなってくる。こちらが説明しても御理解できない、判断能力がないというのが居宅での現場になろうかと思います。
こういった面について、先ほど同意書とかそういう御意見もございましたけれども、これからふえていくであろう居宅の痴呆の方々、身寄りもない、独身だという場合の対応について御意見がございましたら、まずお願い申し上げたいと思います。
それから次は、山中公述人にお尋ねをしたいんですが、本来であれば県にお尋ねをするべきことであろうかと思いますが、資料をお出しいただいております中で大変ホームヘルパーの関係の資料もまとめていただいておりまして、ホームヘルパーの達成率、ホームヘルプサービスの達成率も大変いい状況のようでございます。特に、家事にかかわりますものと介護にかかわりますヘルパーの関係のものを数字的に分けていただいていると思いますけれども、こういう説明の仕方は大変よろしいと思っております。
町といたしまして、県とのかかわりでこのホームヘルパーの研修、養成をどういうふうな形で今後進められるのか、伺っておきたいと思います。もちろん、県が主体でやる事業もあるわけでありますけれども、そのほか関係の養護施設あるいは医療法人、学校法人あるいは農協といったところへ委託するというシステムでホームヘルパーの研修制度が行われるわけでありますが、そういったことについて今後町としての考え方をお話しいただければと思います。
それから、大伴公述人につきまして、先ほど保険料の未納者の問題で、この点税金方式でやれば全部このところは解決されるというふうに考えてよろしいかどうか、そのお答えをいただければと思います。
それから、宇戸田公述人につきましては、やはり成年後見制度のことをおっしゃっておられると思います。法務省なり厚生省なりでこういう成年後見制度をこれから法律としてつくっていくということでありますけれども、施設周辺の実態として、これはただ法律ができたからそれでいいというわけではなくて、先ほど申し上げたように医療にかかわる問題もありますし、それから入居者の財産管理とかそういった問題もあるというふうに思いますので、この辺をもう少し各論的にお立場の上からお考えがあればというふうに思います。
それから、金山公述人にお願いいたします。
やはり未納の問題で、これは市町村としてはどうも扱いかねると、これをもう少し上部の組織で扱ってもらえばというような御意見であったかというふうに思いますが、それだけで済むのかどうか、その点のことをもう少しお聞かせいただけたらと思います。
それから、半澤公述人につきましては、医療と介護の問題。一番最後のところに口腔関係のことが出ておりました。こういう御意見を初めていただきましたが、私も口腔ケアの関係にかかわりがありますので、例えば療養型病床群の中に歯科診療施設があれば問題はないと思うんですけれども、もしないというような場合に施設に入っておられる患者さんの歯科診療ということについてどういう形で実態として進めたらいいのか、この辺のところのお話を伺いたいと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/231
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232・高橋多佳子
○公述人(高橋多佳子君) お答えいたします。
医療現場でのインフォームド・コンセントは最近かなり改善されたと申しますか、確立されてきておりますが、これから問題になりますのは在宅での看護場面、いわゆる訪問看護の看護婦が訪問した場合のインフォームド・コンセント、これが大変重要になってくるのではないかと考えております。
御指摘のように、痴呆の方とか、また日中要介護人だけが在宅で家族がいないというケースもかなりございますので、私どものステーションで実施していることから申しますと、訪問する場合には必ず御近所の方かどなたかに立ち会いをしていただいているような現状があります。そういう方のいるところで何かするときには必ず説明をさせていただいたり、また家族の方にどうしても伝えたいこと、理解をしていただきたいことがありましたら、連絡ノートなどを利用しながらきちんとコンタクトをとりながらいろいろな処置をしております。やはり確認をしないことには、知らないうちにこちらがやっているということで、結果がよければよろしいんですけれども、もし結果が悪くなったときには説明はなかったというように言われますので、必ず何らかの形で確認をしながら、理解を求めながら介護、看護をしていっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/232
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233・山中博
○公述人(山中博君) ヘルパーの研修、育て方のお尋ねでありますが、ヘルパーというのは高齢者保健福祉計画の中で年次を経て整備するということになっておりましたので非常に経験年数が浅い職員が多いわけでありまして、そのレベルの統一といいますか、そういう意味ではいささか苦慮しておるところであります。
特に、二十四時間派遣に今移行をしておりますけれども、複数の人間が一人の人を当たるということになりますので皆さん同じようなレベルを持たなきゃいけないということで、技術の習得はもとよりカウンセリングとか人の対処術、それから人格的な形成もあわせてやることが望ましいというふうに思っております。
そのための研修なりを内部でも持っておりますけれども、技術的にはやはり特養等に派遣をして、長期間の派遣、一日、二日じゃこれは物になりませんので、一月、二月というような形で研修をしていくのが望ましいかなというふうに思っております。特養等へのヘルパー派遣事業を行っておるところに聞きますと、一番ベテランがやっぱりヘルパーに回っておるわけで、一人で出しても安心できるレベルを保持するというのは非常に難しいものがあるような気がいたします。大分県は県の介護研修センターができておりますので、そちらへの研修も出しておるところであります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/233
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234・大伴満男
○公述人(大伴満男君) お答えをいたします。
先生も御承知のように、国保に入っている人というと主として自営業者と高齢者ということで、どっちかといいますとやっぱり所得の低い方々が多いわけですね。そういう意味で、国民健康保険法ができましたときにも、これはやっぱり他の保険と違いまして社会保障の一環というものが条項の一条に入っておるわけでございます。国保税が払えなくなってきているという人の中に悪質だと言われる人はもうほとんどないんです。全くないとは言えません、確かにあるでしょう。
しかし問題は、国庫補助が四五%から三八・五%へカットされまして、やっぱり国の補助が少なくなってきたというこれが国保税を引き上げる一つの大きな要因になっているわけです。ですから、四割、六割の法定減免ございますけれども、実際はなかなか難しい状況があります。ですから国保の問題は、他のサラリーマンの保険のようにいわゆる企業側が半分持つようなことはございませんので、全部が自分の負担だということになりますから、そういう意味ではやはり国庫補助をもとに戻していただくというようなことでやらないと、これからまた国保税が一九九五年の国民健康保険法の改正によりまして五対五という応益応能割になりますと、いよいよ低所得者層のあれが上がってくるという問題もあります。
そういう意味では、やはり国庫補助をもとへ戻していただくということによって、これ以上国保税の引き上げを抑えていくということをぜひやっていただきたいなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/234
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235・宇戸田実男
○公述人(宇戸田実男君) 各論とかかわりということですが、今、痴呆性老人は毎日十名ぐらいの方が来ておるんです。その方たちの生活面のサポートは現在やっておるわけです。
しかし、地域に人権擁護委員会とかございますが、相談事はもうそちらだけ、こちらはサポート面だけ。それよりも、地域にある人権擁護委員会と福祉施設がタイアップしてその人の生活面までも相談、そういう業務ができたらいいなと思いますし、またそこの家庭も助かるんではなかろうかなということから私は発言したわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/235
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236・金山尚學
○公述人(金山尚學君) 未納者に対する対応でございますけれども、現在国保税につきましても、私ども田舎の町村でありますが、一〇〇%ではございません。どうしても滞納者があるわけでございまして、こういった方々への督促等につきましては力を入れながら公平性を図っております。しかしながら、滞納しているからといって保険証を渡さないというわけにはいかない状況でございまして、その辺もございます。
そこで、介護保険料の徴収に当たりましては、それぞれの保険税に上乗せする、あるいはある一定の額の方につきましては年金天引き、それ以外については町村で徴収というような形がとられるわけでございますが、国保税を滞納している人については入ってくる要素というのは全く考えられないわけでございますので、その辺の問題。それから年金につきましても、やっぱり少額の中からこの金額を差し引かれる、また低い人についてはその分だけ余分にもらわなきゃならない、かなり厳しさというのがあるのではないかと思っております。それで、払わないからといって、じゃ福祉の手を差し伸べなくていいというようなことにはならないのではないか、その辺が私ども一番町村として厳しく思っておるところでございます。
ですから、これらの方策というものがもう少しいろんな角度から見られるならばありがたいなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/236
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237・半澤一邦
○公述人(半澤一邦君) 口腔の管理の問題については、重度の要介護者ほどアプローチが難しい、それからまたその作業も難しいというようなことがございます。それが特徴でございまして、介護する側にとっては十分に認識はできているんですけれども、その辺のやはり難しさがございます。
今は、療養型病床群あるいはまた老健施設なんかでも一応歯科用のスペースを持っているところが結構ございます。しかし、それが持てなくても、ただいま九州では福岡にネットワークのキーステーションがあるグループ活動がございまして、大分にもその一つがございます。医療機関の巡回訪問歯科診療というのをやっていただいておりますので、そういうことがちゃんと制度上つくられれば、別に収容機関に歯科診療室というのは要らないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/237
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238・中原爽
○中原爽君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/238
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239・浜四津敏子
○浜四津敏子君 平成会の浜四津でございます。
本日は公述人の皆様、大変貴重な御意見を伺わせていただきましてありがとうございました。
まず、佐藤公述人にお伺いいたします。
介護の現場で日々高齢者の方々の介護に当たっておられて、さまざまな現場での問題点あるいは疑問、そして本来のあるべき介護の姿など身をもって受けとめておられるお立場での貴重な御意見、御提言をいただきました。大変ありがとうございました。
御指摘がありましたように、ともすると机上の議論に終わりがちなこの介護法案審議のあり方を反省いたした次第でございます。ぜひとも現場の方々の御意見あるいは御提言をしっかり受けとめてまたこれからも審議してまいりたいと思います。
もう少し介護の現場の状況及び御意見を伺わせていただきたいと思います。
まず、痴呆症の高齢者の方々の介護をされていて最も介護する方にとって大変だと思われること、あるいは手がかかること、あるいは大事なこと、あるいはまたちょっと角度を変えて言いますと、介護する方にとって心していること、佐藤公述人が心していることなどがおありでしたらお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/239
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240・佐藤済江
○公述人(佐藤済江君) きょうの公述のほとんどが今のお答えですけれども、現場におりまして一番私が思っていることは、やはり介護者の人格の高揚といいますか、それで相手が非常に混乱するかしないかという、それはいろんな研修会等で現実に高揚はされておりますけれども、実際そこに行ける寮母とか職員が少ないということですね。それを特に今私は強く望んでおります。
介護保険制度がどのような形に、いい法案とは思いますけれども、現場が非常に立ちおくれているという現実をかいま見ますときに、人的な教育を予算の上に置いてしっかりやっていただけるといいなということをここで申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/240
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241・浜四津敏子
○浜四津敏子君 現在、一人で何人の高齢者の方々の面倒を見ておられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/241
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242・佐藤済江
○公述人(佐藤済江君) 十人です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/242
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243・浜四津敏子
○浜四津敏子君 十分に適切な介護をしてさしあげるためにはどういう介護体制といいますか、勤務体制が適当とお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/243
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244・佐藤済江
○公述人(佐藤済江君) お答えします。
私は、今非常勤という形で介護しておりますが、先ほどいろんな公述の先生方もおっしゃいましたように、医療の介入というのは不可欠であります。それはなぜかといいますと、やはり客観的な立場で、精神論ばかりではなくて客観的な見る目ということが非常に介護をスムーズにやっていくときに大切というふうに思っております。
それで、私は四時間の非常勤で雇われておりますけれども、入院をなさったら、家庭と施設で、いつ復帰してくるかとか、そういう状況を小まめに連絡をとっておかないと、今度は復帰されたときスムーズな介護ができません。そういう面で、私は勤務は四時間ですけれども、ほとんど一日使うということが現実であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/244
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245・浜四津敏子
○浜四津敏子君 現在、施設介護を担当しておられるほとんどの方が、過重労働の上に大変お給料が安いという声をよく伺います。現場にいらして、この指摘は正しいとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/245
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246・佐藤済江
○公述人(佐藤済江君) 正しいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/246
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247・浜四津敏子
○浜四津敏子君 先ほど、今回の法案は弱者への配慮に欠ける旨の御指摘がありました。今回の法案では、高齢者の方々も保険料を払うことになります。また、利用料の一割を自己負担しなくてはいけない、こういうことになっております。また、施設入所者の方々は、身の回りのさまざまないわゆる日常生活費、これも御自分で負担する、こういうことになっております。現在公述人が介護しておられる高齢者の方々にとって、こうした負担というのは大変重くなるとお考えでしょうか。それとも、この程度のことは大半の方は大丈夫だと、こうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/247
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248・佐藤済江
○公述人(佐藤済江君) 私のところの施設では、やはり低所得者の方が多いので、それは今、浜四津議員がおっしゃったように、非常な負担になるということは言うまでもないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/248
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249・浜四津敏子
○浜四津敏子君 ありがとうございました。
それでは次に、お二人の町長さんにお伺いいたします。
山中公述人と金山公述人にお伺いいたします。
まず四点、先に質問をまとめて述べさせていただきます。
第一点は、保険料徴収事務あるいは認定作業など、市町村が行うこととなる事務の内容について、具体的に詳細な説明がなされているとお考えでしょうか。公述人の町の担当者の方々は、これらの点について十分に理解しておられますでしょうか。それが一点でございます。
二点目は、自治体において、この介護保険制度が導入されることになりますと、どのような体制を整備しなければならないか。例えば制度導入に伴う事務量がどのぐらいなのか。人的配置あるいは適正な職員数、予算規模、十分にこれらの点について明らかになっているとお考えでしょうか。また、理解しておられるでしょうか。
三点目は、保険料率や看護単価など、具体的に明示されていない段階ですけれども、この段階で町としての、特に会計の計画は見込みが立つとお考えでしょうか。
これらの点を含めまして、町にとってどういう点についての詳細を情報公開あるいは説明していただきたいとお考えでしょうか。
この四点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/249
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250・山中博
○公述人(山中博君) お尋ねの一点目でありますが、保険料徴収事務等について具体的な説明を受けたかどうかということでありますが、これは担当者の会議が、法案が衆議院通過後何度かやられているようであります。それは復命という形で私どもの方に回ってきますけれども、本来からいえば私どもが一番末端の事務をやらなきゃなりませんので、これはいや応なく法案が通過をすればその責任は与えられるわけでありますので、これを知らないとか知っているとかという場合ではないと私は理解しております。ですから、担当者にはいち早く情報だけは得るように、さらに今モデル事業を取り入れておりますので、この中でも対応できるところであります。
ほかの町村については、私もちょっとよくわかりません。
さらに二点目でありますが、自治体においてどのような体制を整備しなければならないかということでありますが、私が差し上げました資料の二ページをお開きください。この中にすこやか福祉センターというのがございます。これは今、保健、福祉、医療というものが非常に接近をしております。ですから受ける側も、これは医療のサービスだ、これは保健のサービスだ、これは福祉のサービスだという区別がつかなくなっておりますので、出す方の立場、行政も一本化をしなきゃいけないということで、三年前にこのすこやか福祉センター、行政の部門すべてを統合いたしまして、保健、福祉にかかわる部門も統合したわけであります。これに訪問看護ステーションを加えておりますし、代替介護支援センターも加えておりますので、ここが情報を管理といいますか、皆さん方から得る情報を管理して、それを即サービスにつなげていくという体制をここ二、三年の間にとってきたわけであります。
ですから私どもは、先ほど申し上げましたように、いろんな整備、機能が既にありましたので、それを再編、集めるだけでいいというところがあります。これは非常に恵まれた状況でありまして、私どもといたしましては、この中に介護保険の担当者を配置し、また国民健康保険とセットして配置をすれば事務の合理化にもつながるというふうに思っておりますし、十分対応できるというふうに考えております。
それから、会計の見込みということでありますけれども、私どもいろんな資料をいただいておりますし、今この法案に関する資料等は私どもが望めばあちらこちら、県の方でも準備をしてくれますし、それなりの対応はしてくれておると思います。
これは避けて通れないと私は思っておりますので、町村の方から積極的に情報を得るような努力は必要であるというふうに思っておりますし、情報がなかったからできなかったということは後で言えませんので、そのための対応をやはり町村が責任を持って、これはもう保険者ということでありますので、先ほど何度も申し上げましたが、保険者にすべて被保険者の苦情や不満はぶつけられますので、それをいかに低くしていくか、低減していくかというのは私どもの務めだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/250
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251・金山尚學
○公述人(金山尚學君) ただいま山中町長さんが申されたこととほとんど同じでありますけれども、この制度についての説明がいかにあるかということでございますが、これまで厚生省におきまして、介護保険のポイントであるとか、いろいろなこれに関するアウトラインであろうと思いますが、こういった資料はいただいておりますし、県におきましてもそれぞれの時点において説明は受けてはおります。しかし、これは法案が通りました後においてその形がどうなっているのか、今までの説明のとおりではないというふうには思っておりますが、私ども町村会におきましても、文教厚生委員会の中でも特にこのことについて研修と申しますか、議論はしてきたところでございます。
体制の整備といたしまして、事務量等につきまして、私どもは広域的にやった方が効率的ではないかというとらえ方をいたしておりますが、窓口はやはりそれぞれの町村になけりゃならぬというふうに思っております。認定そのものは広域的にやらなければならない面もあろうと思います。
また一つは、施設、ハード面の整備が果たして現状でいいのか、十二年開始に当たってどのような形をとらなければならないのか、これは今後の課題であろうというふうに思っております。
また、保険料等に対する面でございますが、保険料の八分の一を現行では町村で負担をしていくという面もございます。また、事務費につきましても二分の一は町村で負担をしていかなければならない、こういったときに、非常に今地方財政が逼迫している中でこういう事務をしていくことは財政そのものにかなりのしわ寄せが来るなというふうに思っております。こういったものをそれぞれ交付税等において見ていただけるのかどうなのか、ぜひその点については御配慮いただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/251
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252・浜四津敏子
○浜四津敏子君 それでは、同じく山中公述人と金山公述人に引き続き質問させていただきます。
この法案は平成十二年施行ということになっておりますが、町として十分準備が間に合って施行には不安がない、こうお考えでしょうか。今まで伺ったお話によれば、二つの町とも積極的にこれまで取り組んでこられて大変進んでいるという印象を受けましたが、そういう町にとって平成十二年の施行については何の不安もないかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/252
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253・山中博
○公述人(山中博君) お答えをいたします。
平成十二年の施行でありますけれども、これは私どもの町とて初めてのことでありますので、この十二年が完全に実施できるかどうかというのは難しいというふうに思っております。行政の方でもかなりな要員を必要としますし、また必要な技術等の取得もありますので、十二年を努力はいたしますけれども、いささか遅れる可能性もなきにしもあらずというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/253
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254・金山尚學
○公述人(金山尚學君) 今の体制でどうだろうかということでありますが、不安がないと言ったらうそになろうというふうに思います。現に、特別養護老人ホームにおきましても入所を待っている人がいる現状でございますし、老人保健施設はそれぞれ現在医療法人等におきまして建設をされている面もございますけれども、広域的にそこに住む人たちが公平な福祉を受けられるかどうかということになりますと、まだまだ不安な面は多いのではないかと感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/254
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255・浜四津敏子
○浜四津敏子君 それでは、山中公述人にお伺いいたします。
先ほど、今回の法案には要介護者にとって必要とされる生活サービスが対象となっていないと、こういう指摘がなされました。それは具体的に例えばどのようなサービスを言っておられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/255
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256・山中博
○公述人(山中博君) 生活サービスと申し上げたのは、直接的な身体介護というよりもその人の生活を支えるための側面的なサービスといいますか、例えば配食、今現実にやっております給食の配食サービスでありますとか、私はいささか疑問がありますが移送のサービスでありますとか、そういうものがあろうかと思います。その人を取り巻く環境づくりのための要件、そういうものが考えられるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/256
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257・浜四津敏子
○浜四津敏子君 それでは次に、お二人の施設長の方にお伺いいたします。瀬戸公述人と宇戸田公述人にお伺いいたします。
現在、公述人の関係される施設に入所されておられる高齢者の方々の中で、どうもこの法案による要介護認定を受けられないのではないか、サービスの対象から外れるのではないかと思われる入所者はおられるでしょうか。おられるとすればどれぐらいの割合になるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/257
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258・瀬戸正行
○公述人(瀬戸正行君) 今度の保険制度では、特に施設のサービスにつきましては、介護度IIIからVまでぐらいのところと聞いております。私どもがこの前と今回調査しました限りでは、机上の計算では何人か出てくるとは考えますが、その辺は調査の仕方にもよりますけれども、今現在入所されている方々につきましては、私どもの介護サービスの中で、介護保険制度になりましても保険の対象になり得る方たちすべて対象だと思っております。ランク分けはされてくるんですが、対象者として考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/258
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259・宇戸田実男
○公述人(宇戸田実男君) 昨年度、認定モデルをやっております。その中で一番軽い人を認定に出しましたところIIIで、ゼロという人はおりませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/259
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260・浜四津敏子
○浜四津敏子君 ありがとうございました。
それでは同じく、入所者の中でいわゆる一般的に低所得層と言われる方々は多くいらっしゃるんでしょうか。入所者の中でそういう低所得の方々の数は割合としてどの程度を占めているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/260
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261・瀬戸正行
○公述人(瀬戸正行君) ちょっときょう具体的な数字は持っておりませんが、特に全然収入のない方、無年金者は現在一名おりますけれども、今いわゆる措置費の中で負担金を行政の方でいただいておりますが、大体平均しますと、二万から三万円の範囲ということであります。
今回介護保険制度になりますと、一割負担それから給食費の負担ということになりますと、四万幾らかになります。多分そうなってきますと、半数以上の方、福祉年金等受給者につきましては、それだけでいわゆる自分の収入というものが消費されてしまうんじゃないかという懸念はあります。低所得者につきましてはいわゆる軽減措置等も考えておられるということなので、その辺、ではどういった形で出てくるのか、具体的な数字、額等が出ておりませんのではっきりしたことはわかりませんけれども、やはり一割負担、給食費負担ということになりますと、約半数近くの方にとりましては負担増にはなってくると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/261
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262・宇戸田実男
○公述人(宇戸田実男君) 生活保護の方は今のところいません。農村部ですから、低所得者の方はやはり二〇%ぐらいはいるかなという感じです。データがありませんので、感覚的なものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/262
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263・浜四津敏子
○浜四津敏子君 ありがとうございました。
それでは同じく、最後に一点お伺いいたします。
この利用料一割負担また日常生活費の徴収は施設が行うことになると考えられますが、その点について御不安はお持ちでないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/263
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264・瀬戸正行
○公述人(瀬戸正行君) 今の措置制度の中で、いわゆる負担金の徴収事務、これは市町村にかわって大半をほとんどの施設がやっていると思いますが、それ以上に煩雑な事務にはなってくるという懸念はございます。事務的にはかなり今よりも煩雑といいますか、大変な作業は出てくるとは考えておりますが、施設の方でということになればやらざるを得ないし、そのための勉強会は進んでやっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/264
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265・宇戸田実男
○公述人(宇戸田実男君) 利用者の方には介護保険がどうなるということはまだ話したことはございません。今さっき出ておりましたインフォームド・コンセント、それはまだとっていませんが、確実に五年間の経過措置の前に説明と同意を得なければならないのではないのかなということは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/265
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266・浜四津敏子
○浜四津敏子君 ありがとうございました。
以上で終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/266
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267・渡辺孝男
○渡辺孝男君 先ほど佐藤済江公述人の方からいろいろお話を聞きまして、本当に現場で働いていらっしゃる方の温かい気持ちがよく伝わってきたわけなんですが、お話の中で、音楽療法とかアニマルセラピーというような新しい最先端の治療といいますか介護もしてみたいというようなお話がありました。
医療の中でも高度先進医療というのがございまして、それはある程度の施設では医療保険で認められるということになっております。そういうのが介護保険の中で認められるようになるのかどうかまだわかりませんけれども、そういう介護の新しい取り組みというものを生かしてほしいなという気持ちがあったわけですが、高橋多佳子様の方も、看護の方でいろいろ現場でお働きになっているので、そういうことが可能であるか、可能であれば実現したいというふうにお考えなのかどうか、そのことをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/267
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268・高橋多佳子
○公述人(高橋多佳子君) お答えします。
医療現場ではやはりどうしても製薬治療中心になりますので、そういう老人向けの音楽療法とかというのは特殊な病院であれば取り入れられると思いますけれども、いわゆる一般病院ではなかなかそこまではやれていないのが現状だと思います。
私自身、ちょっと私的なことになりますが、身内に痴呆性の老人を抱えておりますので、今デイサービスの方に週二回通わせておりまして、時々そのデイサービスの模様を見せてもらったりしているんですけれども、確かに痴呆傾向にある方は歌に大変興味を示しますし、効果があるのではないかと私自身は考えております。
将来、そういう音楽療法などは大いに取り入れていただきたいし、とにかく刺激を与えることが大事だということはもうわかっておりますので、けさのニュースでもございましたように、廃校になった教室を利用しての子供たちとの接触とか、そういういろいろな面でやはり刺激を与えることが大切ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/268
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269・渡辺孝男
○渡辺孝男君 次に、山中町長さん、それから金山町長さんにお伺いします。
まだちょっとここでは話題になっておりませんでしたけれども、介護サービスの体制が二〇〇〇年時点で不備な場合には経過措置というのが設けられておりますけれども、現場の市町村の状況によっては現金給付をしてもいいんじゃないかというような声もまだ完全になくなってはいないと思うんです。その市町村の介護サービスの提供の状況によってはやはりある程度経過措置の期間は認めてもいいのではないか、そのような意見もあると思うんですが、それに対しましてのお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/269
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270・山中博
○公述人(山中博君) 現金給付ということでありますが、ドイツの例を見れば現金給付の希望が非常に多かったというふうなことのようでありますが、これを一度始めるとやめるわけにはいかなくなるというふうに思いますので、私は、制度としては現金の給付は行わないということの方が望ましいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/270
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271・金山尚學
○公述人(金山尚學君) 非常に難しい判断だと思います。と申しますのは、同じ判定をされても、施設に収容できた人と、施設等がいっぱいになっていて家庭で見なければならない状況等が生まれた場合にそれにどう対応するのかということもあろうかと思います。常に施設が受け入れる状態にあるならばそれは問題ないと思いますけれども、この経過措置等が始まったばかりのときに、受け入れる体制が十分でない場合の対応として現金給付がいいのかどうなのかということについては、ちょっとここでどちらと言うことは難しいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/271
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272・渡辺孝男
○渡辺孝男君 同じく山中町長様、それから金山町長様にお伺いしたいんですけれども、この介護保険導入時には、在宅で介護サービスを受けるのは大体四〇%ぐらいではないかという試算のもとで、介護保険料が二千五百円前後になるんじゃないかというふうに試算されているわけでありますけれども、現場的には、やはり介護保険が導入された場合に介護保険を利用して在宅でサービスを受けよう、そういう希望を持たれている方というのは四〇%程度のものなんでしょうか、それともかなりもっと多い希望があるのでしょうか。そのことをちょっとお伺いしたいと思います、現場の声としまして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/272
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273・山中博
○公述人(山中博君) お答えをいたします。
福祉サービスというのは供給が需要を生むという現象があるというふうに思っております。なければそれで済むのですが、そういう制度が始まりますと、これがだんだん普及をしていけばいくほどふえていくということがありますので、その四〇%とかという数値については私はちょっと疑問だろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/273
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274・渡辺孝男
○渡辺孝男君 もう少し多いということでしょうか、それとも少ないということでしょうか。四〇%以上の方が希望されるというように感触的にお考えなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/274
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275・山中博
○公述人(山中博君) やり方によってはその数値を超すこともできますし、非常に、何といいますか、それは行政の担当者でかげんができるようなところがありますので、そういう意味で、先ほど言われたように、我々も誠意を持ってこういう施策があるという情報公開といいますか、そういうことは必要であるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/275
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276・金山尚學
○公述人(金山尚學君) 現時点で果たして何%かということは推測の中で出されている数字だというふうに思いますけれども、地域性というものもかなり大きく左右するのではないかというふうにも思っております。
今、私の町を見ましたときに、いろんなこの介護保険制度の対象となるであろうという人たちの数字を見たときにはそう高くはないわけでありますから、今後の高齢化の率の変動とかというものを見たときにこの数がどのように変わっていくかということは、ちょっとまだ推測できない面があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/276
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277・渡辺孝男
○渡辺孝男君 この介護保険が導入されますと、市町村の中で保険料の収納率に差が出てくるということがありますが、財政安定化基金からの調整金というのが保険料徴収が十分でないところには交付されるということになるわけでありますけれども、余り徴収率が悪いと交付金の減額というようなペナルティー的な措置もされるということであります。
町長さんのお考えとしましては、そういう満額交付金を受けられる収納率の程度というのをどの程度であれば望ましいというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/277
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278・山中博
○公述人(山中博君) お答えをいたします。
私の町は、国民健康保険の例をとってみますけれども、収納率が一〇〇%なんです。これは非常に特異な例だというふうに思っております。一昨年でありますか、九七%ぐらいまで、わずか何万ぐらい落ちたことがあります。そのときに、収納率が低減をしたということで調整交付金を二千万円ほど削られまして、これは非常に不合理だというふうに私は思ったんですけれども、それ以降一〇〇%を維持しております。私どもの町はそういうふうになっておりますので、収納率ということについては特に懸念を持っていないところであります。ただ、交付金がそういうペナルティーといいますか、国保と同じような形でやられると非常に困るというところはあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/278
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279・金山尚學
○公述人(金山尚學君) 私の町におきまして、今、国保税の収納率は九八%くらいでございます。そうしますと、どうしても二%というものがひっかかってくるわけでございますが、二%くらいでこの対応がどうなるのかということにつきましては、そう大きな作用はしないと思いますけれども、やはり公平性を保つ上では一〇〇%収納といいますか徴収が一番望ましいわけでございます。
いま一つは、高齢者の低所得の方々の徴収をいかにしていくのか、これがまた大きな課題であろうというふうに思います。
それと、四十歳以上の方々から保険税に上乗せして取るわけですけれども、今行っておる例えば国保の場合、取りますときに、国保税を納めていない方はどうしてもこれを納めてくれと、先ほども言いましたけれども、そういった状況が生まれてきて、ほかに波及するというんですか、金額が大きくなるから国保税も納まらないような状況が生まれるとまた困ることだなというふうに思っています。
いま一つは、今の国民の皆さんたちの、これはすべてじゃないと思いますけれども、権利と義務意識というものがかなり変わってきているというんですか、権利は主張するけれども、義務の履行ということがなかなか難しくなってきている時代ではないかな、その中でこういった新たに行っていくことに対して理解を求めるのはかなり難しいし、力を入れて皆さん方に理解していただかなきゃならない面だろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/279
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280・渡辺孝男
○渡辺孝男君 先ほど佐藤さんの方から、入居されている高齢者の方が年金が入ってくると非常にうれしそうな顔をされるというふうなお話がありまして、確かにそうだと思うんですね。
介護保険の保険料というのが将来どのようになっていくのか、厚生省が試算したときの価格のベースでは、最初が二千五百円前後、十年後が大体三千五百円前後になるんじゃないかというような数値が出ておりますけれども、実際介護報酬の単価が人件費とかそういうものを含めまして三%ぐらいずつ上がっていけば、二〇一〇年には五千円近くになるんじゃないかというような試算もされているわけであります。
これはなかなか難しいと思うんですが、どの程度までの介護保険の保険料だったらば払うかという世論調査がありまして、それはサービスが受けられるなら五千円前後だったらやむを得ないなというようなお話がありましたけれども、そういう保険料の上限といいますか、どんどん上がっていくのでは困る、ある程度このぐらいまでだったらいいというような目安というようなものをちょっとお聞きしたいと思うんです。山中町長さんあるいは金山町長さん、その辺現場の声としてはどのぐらいまでだと住民の方は受け入れられるかという、感覚的にどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/280
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281・山中博
○公述人(山中博君) それは保険料ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/281
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282・渡辺孝男
○渡辺孝男君 保険料です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/282
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283・山中博
○公述人(山中博君) これはやっぱりその人によっていろいろな考え方がありますので、一概に高いとか安いとかということは私どももなかなか判断がつきかねるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/283
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284・金山尚學
○公述人(金山尚學君) 保険料の額はどれくらいまで受け入れられるかということですけれども、これはその生活しているレベルなり所得によって私はかなり違ってくるのではないか、安いにこしたことはないがというふうに思います。ですから、町民の方々にどれくらいまでと聞いておりませんので、何とも言えません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/284
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285・渡辺孝男
○渡辺孝男君 痴呆症の対策について、ちょっと先ほどの論議の続きで、半澤公述人と高橋公述人にお伺いします。
痴呆症ですと、急に変化して非常に徘回、せん妄がひどくなるということが往々にしてあるわけですけれども、そういう施設とか在宅で急変されてとても見られない、在宅でも施設でもちょっと困るというような症例というのはやはり出てくるんじゃないかと思うんです。そういう場合に医療体制としては、受け入れ態勢というのは整っておるんでしょうか、そのことをちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/285
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286・半澤一邦
○公述人(半澤一邦君) 現行の医療保険の適用の中で、そういう痴呆の急性増悪といいますか、急にひどくなったという場合の医療機関としては、これは大分県に限ってですが、ほとんど都市部では精神科を中心にそう問題なく対応をしていただいている、それから痴呆専用の特養、老健がございますから大体対応していただいているということで、大変に困ったというケースは、郡部に行けばあるかもしれませんが、都市部では余りないんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/286
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287・高橋多佳子
○公述人(高橋多佳子君) 現実にそういうケースに何例か出会いましたけれども、私の勤めておりました病院は精神科がございませんで一般病院でしたので、そういうケースは、必ず関連病院を二カ所ぐらいは持っておりましたので、精神科の病院、痴呆性を扱う施設、そういうところに必ず連絡調整していただくようにしておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/287
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288・渡辺孝男
○渡辺孝男君 ありがとうございます。
続きまして、また同じく半澤公述人、高橋公述人にお伺いしたいんですけれども、介護認定に関しまして、ドクターの場合はかかりつけ医の意見ということで認定にかかわってくる。それから高橋公述人のお話では、看護部門としても介護認定に参加していきたいというようなお話がありました。実際参加されるのではないかというふうに思うわけですけれども、その場合に、最初の特に介護保険が導入される場合には不服申請というのがやはり多く出てくると思うんですけれども、医師側あるいは看護側で不服申請があった場合にどのように対応されていくのか、そういうのは医師会あるいは看護部会の中で十分討議はされておられるのでしょうか。その点に関しましてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/288
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289・半澤一邦
○公述人(半澤一邦君) 再審査については、まだ今のところ医師会の中で現実に対応を協議したことはございません。今から先、そのかかわりが一番大きい部分が本当に医療面で再審査に対する影響が大きいのかどうかということを検討する必要はあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/289
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290・高橋多佳子
○公述人(高橋多佳子君) この認定委員の中にぜひ看護職を加えてほしいというのはこれは強い要望でして、と申しますのは、やはり看護職は対象の要介護の方々の観察をすることにも熟練しておりますし、やはりアセスメント能力というのが大変必要になってまいりますので、その点では私どもは日ごろからそういう教育を受けておりますので、できると思っております。
それから、不服に対してのことはまだ今のところ具体的に検討はしておりませんけれども、やはり観察をよくして、それに必要なサービス、必要なケアプランを立てれば、さほどずれは出ないのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/290
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291・渡辺孝男
○渡辺孝男君 続きまして、山中町長さんと、それから金山町長さんにお伺いしたいんですけれども、実際に介護保険が導入されますと、訪問調査員、それからケアマネジャー、なかなか人材確保は大変だというお声も聞きます。実際、訪問調査員というのは、町でありますと、町の職員の方が当たられるのか、それとも民間の方に委嘱して実際は行われるようになるのか。町の職員が当たるとなると、なかなかまた人件費とかさまざま大変なことになるのではないかというふうに思うわけですが、その点に関しましてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/291
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292・山中博
○公述人(山中博君) お答えいたします。
まだそこまで詳細に詰めておりませんが、固定的な人件費の増は私どもとしては避けたいわけでありますので、当然に外部の人に委託あるいは委嘱を申し上げるという方向になるのではないかなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/292
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293・金山尚學
○公述人(金山尚學君) 私の町の場合、六十五歳以上の方々は約二千名でございます。そうした場合に、こういった方々に対する訪問であるとかケアの関係はどのような形かということについてまだ決定はいたしておりませんが、現在、在宅介護支援センターを町が設置し、町の職員が二人それについて実施しておるわけですけれども、こういった今の対応と介護保険制度ができた場合の対応というものをどのような形で結びつけてできるのかというようなことは、今後実施されるに当たって検討していかなければならない課題であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/293
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294・渡辺孝男
○渡辺孝男君 次に、最後の質問になるんですけれども、高橋多佳子様、それから半澤様にお伺いします。
これからあと二年ちょっとで実際そういう介護保険が導入されると、認定作業というのも、その前に認定基準といいますか、そういうものをきちんとしておかなければならない。それから試行期間というのも、やはりやってみて不備があるのかどうかをチェックしなければならないということで、日本医師会におきましても何かもう一度介護認定の基準というものを検討されているというようなお話も聞いておりますけれども、そういう新しい認定基準あるいは何らかの修正を加えた認定基準というのができて、実際現場で試行するような期間としまして二〇〇〇年までで十分なのかという不安があるわけですが、その点に関しましてお二人の御意見をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/294
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295・高橋多佳子
○公述人(高橋多佳子君) 先ほども申しましたように、私どもとしましては、日本看護協会それから都道府県の看護協会が協力しながら、もう既に介護保険創設に向けて看護協会独自の取り組みを始めております。それで、私、ここにも簡単な資料を持っていますが、能力開発研修プログラムとして十月十六日から既にもう研修を始めております。そういうことで、私どもとしては間に合うのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/295
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296・半澤一邦
○公述人(半澤一邦君) 県の医師会としましても介護保険への取り組みということで、私、公述のときにも申し上げましたように、支援専門員の指導者研修会というのも既に二回行っておりまして、二年後までにはすべての対応ができるようにということで今やっているところでございますから、恐らく可能だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/296
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297・渡辺孝男
○渡辺孝男君 ありがとうございました。以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/297
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298・清水澄子
○清水澄子君 公述人の皆さんには本当にたくさんいろいろな現場からの御意見、ありがとうございました。それは本当に国会の中に反映させていきたいと思っておりますし、私どもが日常議会で質問している問題と、皆さんの危惧といいますか希望といいますか、それが非常に重なっているということを痛切に実感しながらお伺いしておりました。
そこで、まず最初に高橋公述人にお伺いいたしますのは、この認定審査会についてのところで、認定に要する期間を短く円滑に対応できる体制にしてほしいとおっしゃったんですが、その期間というのはどの程度短くとおっしゃっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/298
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299・高橋多佳子
○公述人(高橋多佳子君) 時間的にどれくらいということはちょっと私も申し上げられませんけれども、要するに、要介護人は高齢であり、それからほとんどの方が病気持ちでございますので、やはり日々状態は変わっていきますし、本当に一刻を争うような事態がいつ発生するかわからないという方もおりますので、なるべく早急にというのが希望でございます。できる限り早急に認定していただきたいということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/299
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300・清水澄子
○清水澄子君 瀬戸公述人にお尋ねいたします。
国のモデル事業を踏まえていろいろ調査されたそうでございますけれども、さっきのお話の中で、第一次判定の中では保健婦、看護婦、医師など医療関係者が多かった、そして二次調査でも医師がほとんどを占めていた、そのために判定に偏りが生じたという御説明がありました。同時に、今度は反対に施設の職員が調査に当たったらまた一つの偏りがあったと。それはお互いにどのような偏りがあったのでしょうか。
それから、それとあわせて、要介護認定に当たっては、どのような審査委員といいますか審査会を設置したら最も現場に即した、認定を受ける本人の納得のいく介護認定ができるとお考えでしょうか。
これは瀬戸公述人もそれから大伴公述人もこの中で、介護認定審査会の設置の困難というのがあるんですけれども、そういう点でどういうふうにしたら最もふさわしいものにできるか、まずこのことを先にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/300
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301・瀬戸正行
○公述人(瀬戸正行君) 私ども、実際第一次モデル事業の場合はかかわっておりませんけれども、一応結果票等を見せていただいた段階で、審査に当たった方、さっきの公述の中にありましたように、医療関係者の方が多い。今回の保険制度につきましては、介護という名前がつきますのでどうしても介護というところを、私どももう実際介護をしておりますけれども、そういった認識が強いものですから、人員そのもの、いわゆる資格者につきましては、どうしても医療関係者の方がパーセントからいきますと多いものですから、いわゆる福祉の関係からしますと社会福祉士、介護福祉士等になっていきますけれども、人数的にはやはりパーセントが少ない。
そういった面からしますと、やはり介護と看護という観点、医療と介護とはかなり違う部分がございますので、その点では実際に判定をした段階で、いざ介護に回った場合にかなりのずれが出てくる。実際に私どもがサービスを行っている段階でも、病院から来た場合の方とか在宅から来た場合の方をとってみましても、意見書なり書類と、実際に介護してみてずれがかなり出てくるということでそういった感想を持ったところです。
ですから、審査委員の方につきましては、今、認定審査会五名ないし六名という形で案が出されておりますけれども、そういった形で人数的に医療関係者の方がどうしても多くはなるんですけれども、その辺のところに各施設の施設長さんあたり、特にベテランの施設長さんあたりとか資格を持った方あたりをぜひとも入れていただきまして、施設側の介護面からの意見を十分に取り入れていただかないと、実際、介護施設に入った場合に戸惑いがかなり出てきますし、ケアプランを立てる上でも問題はかなり出てくると感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/301
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302・大伴満男
○公述人(大伴満男君) お答えいたします。
私も、都市部と農村部ではかなり違ってくると思うんです。専門の認定員を養成するのはなかなか、都市部の場合はすぐできると思いますけれども、農村部の場合、やっぱり町村単位でやるというのは非常に厳しいのではないかというふうに思っております。
そういう点では、看護協会の方は看護婦さん、保健婦さんの問題をおっしゃる。それから、今出されておりました福祉関係者ですね。それから同時に、住民代表として社会福祉協議会の関係でいろいろやられている例えば民生委員だとか、そういう人たちもおりますから、そういう人までちょっと幅を広げて構成できるようなシステムを考えてもいいのではないかなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/302
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303・清水澄子
○清水澄子君 それでは、引き続いてやはり施設関係で、瀬戸公述人、それから宇戸田公述人にあわせてお伺いいたします。
この介護報酬の給付額、まだ決まっていないんですが、それによって施設運営費が減額されるのではないか、経営が難しくなるのではないかということをよく施設関係者から訴えられるわけですけれども、この点の懸念というのをお二人からお伺いしたいと思うんです。
それと関連して、この介護保険導入後、施設の経営基盤に不安を感じておられるんですが、これについてどのような対応策を希望しておられるのかということ。
もう一点は、介護保険法というのは施設の運営面についての配慮がありません。それで、保険請求から給付まで二カ月ぐらいかかると、その間法人が負担を強いられるという御指摘がありました。そういう意味で、この介護保険導入に伴って社会福祉法人への融資制度か何か、どういう具体的なことを考えていらっしゃるか、こういうことをやってもらえればということがあれば、どうぞお二人からお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/303
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304・瀬戸正行
○公述人(瀬戸正行君) 実際のところ、介護報酬額の具体的な数字が出ておりませんので、今の措置制度でございましたら、八十人おれば八十人に二十七万掛けたものが予算的に入ってきますのでそれで賄えますが、今後、介護保険制度になりますと介護度別にランクづけされまして、それで多少なりとも金額が変わってまいります。今の調査いたした段階で約半数が最重度、残りは介護度IV、IIIと少し下がってきますので、当然運営費そのもの、保険料そのものといいますか、下がってきますので、現状の職員配置とかいう形から考えますとかなり厳しいものが出てくると危惧しておりまして、そのために今こういった調査をあらかじめやりながら研究しているわけでございます。
それから、経営面につきましても、要するに今社会福祉法人でありますので、いわゆる法人そのものの資金というのを理事長もしくは理事の方の寄附に頼っているところでございますから、当然それも微々たる償還財源ぐらいといいますか、本当に施設整備に充てるようなお金はほとんどありません。
その辺のところで、一番最後の融資という問題がございましたけれども、なおさら保険料が入るまでの低利な融資といいますか、特に在宅関係、私どもがやっていますデイサービスとかショートステイ、そういったあたりの補助金がなくなるということも聞いておりますので、そういった場合に、運営費が、現在でしたら在宅関係の会計につきましては補助金ですから、即ゼロ精算、繰り越しが認められておりませんので、始まりますとこれはもう即ゼロからスタートということで、二カ月なり三カ月は運営費を何百万か何千万か早速用意をしなければいけない。
そういった場合に一番簡単なのは銀行等でしょうけれども、かなりの高利になってきますので、そういった運営資金につきましては事業団等なり低利な融資をお願いできるものであるのかどうか、その辺はまだはっきり見えておりませんので、かなり危惧はしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/304
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305・宇戸田実男
○公述人(宇戸田実男君) 最初の質問なんですが、やはり不明、わからないということに対する不安、それが一番大きいんじゃないかなと思います。どれぐらいになるのかわからないということに一番不安を感じます。
経営基盤、これは私の方からもお願いしてありますように、経営基盤というのは物すごく弱い。それはなぜなのかといったら、寄附金のみで賄っている。今のこの景気の中で、寄附してくれる人はほとんどいない。
また、三番目の、請求から二カ月ということですが、私の法人のことを言って申しわけありませんけれども、現在のところ五十万あるかないかという現状なんです。もし請求から二カ月はかかるとすれば、社会福祉協議会等からの借り入れを予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/305
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306・清水澄子
○清水澄子君 それでは、瀬戸さんにお尋ねしたいんですが、いわゆる入所をした要介護者にいいリハビリして要介護度が低くなればなるほど介護報酬が下がると、それに対する成功報酬的な加算の設定がされるのかとおっしゃっているんですが、これもよくお聞きすることなんですけれども、その矛盾、確かにそれは本当に考えなきゃならないことがありますね。ほっておいた方が介護の手当が来るというのはおかしいんですけれども、例えば加算するときはどういう方法があるでしょうか。何かイメージされていることがあるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/306
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307・瀬戸正行
○公述人(瀬戸正行君) これはただ情報だけを見て単純に考えれば、介護度が下がれば報酬額が下がるということになりますので、リハビリに限らず私どもが施設の中でやっている介護の度合いによりまして、極端に言って、寝たきりの方が歩けるようになったとか、リハビリをして片麻痺の方が車いすを使えるようになったとかいう形の場合に、介護度がVからIIIになった、IIになった、じゃ五万下がりました、十万下がりましたと。それでは仮にそういった形で職員を配置している場合に、常勤職員をパートに移すとか非常勤に移すとかいった形で運用していかなければ施設運営が難しくなるんじゃないかということを考えております。
その辺のところで、そういった介護報酬、成功報酬といいますか、こういったケアプラン、当然施設の中でもケアプランを立てていきますので、三カ月ないし六カ月たった時点でのこういった形のケアプランを立てていますということで、そのプラン立てに対するいわゆる報酬額というか、そういったもので段階を追って幾らずつという形でそれを補っていくような制度であれば、一番私どももやりやすいんじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/307
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308・清水澄子
○清水澄子君 それでは、大伴公述人にお伺いいたします。
ホームヘルパーの身分保障をしてもっと定着させなきゃいけないとおっしゃったんですが、私も同感なんですけれども、介護保険法の制定の中でどういう方法がベターとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/308
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309・大伴満男
○公述人(大伴満男君) 私はホームヘルパーが来ているところに何回も出会うんですけれども、その方々が言うのは現在みんな非常にばらばらですね。それぞれの福祉法人によっても違いますし、それから時間給で行くし、自分が行くのがなくなると、そこはもうホームヘルパーの派遣がなくなっちゃう、今度は行くところがないという状況で、非常に皆さん不安を感じているということを言われておったんです。
そういう意味では、時間給のホームヘルパーだというようなことでは介護保険ができても対応というのは到底できないんじゃないか。やっぱり常勤のホームヘルパーをきちっと確保する。だから、人的な面、いわゆる給与面の保障を、常勤の介護ヘルパーで、しかも一定の生活ができてそれに集中できるだけの人件費の保障を介護保険が施行される中では用意されるということをしないと、なかなかホームヘルパーは定着しないし、また保険ができても十分要介護者に対応するだけのサービスがやれない、そういう状況が出るんじゃないかというふうに私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/309
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310・清水澄子
○清水澄子君 今度は、山中公述人と金山公述人にお伺いいたします。
山中公述人の、保険者である市町村の意見を聞くべき条項があってよいというのは、本当にそう思います。それから、特に市町村の場合、保険者になるということはやはり財政の面で非常に心配されていると思うんですが、その点の問題、特に財政の面ではどういう御不安があるのかということと、それから市町村によって地域の特性で行政の工夫された介護を提供すべきだ、まさにそうだろうと思います。
そこで、全国一律の基準で各市町村を見ているのは疑問だとおっしゃっておりますが、例えばそういう場合にどういうふうに地域の特性を生かしていくシステムといいますか、認定のやり方もそうなんでしょうけれども、介護保険のマニュアルもそうかもしれませんし、いろんなものにその問題は波及すると思いますが、まず当面こうしたらいいんじゃないかというお考えがもしあればお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/310
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311・山中博
○公述人(山中博君) お答えをいたします。
財政の面の心配ということでありますが、これは先ほど申し上げましたように、供給が需要を生めば非常に莫大なものになるということもありますので、慎重に今から私どもも財政が破綻しないような年次計画を立ててはいきますけれども、それに当たりまして、やはり財政的裏づけはきちんと欲しいというところであります。
それから、全国一律の認定ということでありますが、これは給付のサービスの中で特に地域の特性を生かしたものを設けるということも必要じゃないかと思います。ちょっと今資料を持っておりませんが、特別給付ですか、そういう形で単独でも行える、そういう裁量権は私どもの中にもあってもいいのではないかというふうに思っております。
それから、私が先ほど申し上げました認定業務に行われるであろうと予測される様式がモデル事業の中で示されております。その中には、身体的な疾患のみがプラス医師の診断書というふうになっておりますが、これは例えば介護をするということは、その人の置かれている環境、特に子供がいるか、親がいるか、あるいは隣近所があるか、どのくらいの距離があるのかとか、そういうことでその人の条件が非常に違ってきます。例えば千人いれば千の環境が考えられると思いますし、そういうものをある程度加味された認定作業が行われることの方が望ましいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/311
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312・金山尚學
○公述人(金山尚學君) 介護保険導入に伴う市町村の財政の関係でございますけれども、これは市町村の一般会計繰り入れというものが保険料に対しましては八分の一あるいは事務費につきましても二分の一ということがかかってきますので、これが人的とか、額的に総額がどうなってどうなのかということはなかなか計算が今のところできないわけでありますけれども、かなり地方財政を圧迫するといいますか、左右される面は大きいと思います。そういったことから、先ほど申しましたように、今後の交付税措置であるとかそういった面の対応がなされていくようにしていただければありがたいなというふうにも思うわけでございます。
また、福祉におきまして、地方の特性といいますか、今まではそれぞれの市町村におきまして独自性を出しながら、福祉の町づくりとかいろいろな方向があったと思いますけれども、このように一律化された介護保険制度というものができましたときには、なかなかその特性というものをどのような形で出していくのかというのは難しい面もあるように思います。
地方の時代と言われて久しいわけでありますけれども、まさに地方の時代というよりも地方競争の時代であり、福祉の町づくりも一つの競争の面があったというふうに思います。ですから、今後のあり方としては、この認定等が一律化していく中でその地域特性を生かした福祉の町づくり、それは環境であるとかいろんな対応もあろうかと思いますが、その辺はまた今後知恵を出しながらやっていかないと、地方のあり方、特性というものは生かせないのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/312
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313・清水澄子
○清水澄子君 それでは、皆さん全員に一言ずつお聞きしたいんですが、新ゴールドプランは平成十一年で終わりなんですね。それで、この介護保険がスタートしていくのはその翌年、平成十二年になるんですが、この介護基盤は本当に住民が望むケアを受けられると思われますか。介護基盤はまだまだ基盤整備をもっと続けるべきだと私は思いますが、皆さんたちはもう十一年で切れてそれで十分とお思いでしょうか。さらにその基盤整備を強化していくべきだというふうにお考えなのかどうか。その点を一言ずつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/313
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314・高橋多佳子
○公述人(高橋多佳子君) 基盤整備は私も要旨の中に入れたかったんですけれども、漏れましたが、これはやはりハード面、ソフト面、まだまだだと私は感じております。特にこれからは人材を育成することに力を入れていかないと、やはり人がつくることですから、有能な人がいないことにはなかなか組織ができないのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/314
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315・佐藤済江
○公述人(佐藤済江君) 私も時間が少ないと思っております。
そして、私は今、医療の現場で働いていまして福祉のところに来ましたけれども、いわゆる医療主導型ではいけないということを強く感じております。先ほど認定委員の問題が少々出ておりましたけれども、やはり国は、専門職は必要なときに必要な量だけ出すという、それぞれの立場というか、そういうことを地方に対して襟を正すという認識が大事なことじゃないかと思います。その基盤整備のためのいろんな教育だとか施策ということに対しては、介護保険そのものは福祉の中身を変えていく非常に大きく躍動するものとは思いますけれども、そこが大切なだけに慎重にやってほしいということを申し述べて終わりにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/315
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316・山中博
○公述人(山中博君) 私は、福祉サービスの提供とか、皆さん方が受ける感覚というのは、これはその人の環境によっても違いますし、生活の程度によっても違うわけでありますので、これは果てしのない道であろうというふうに思っております。ですから、どこかで線を引いてそういう制度をつくるということは必要ではないかなと思いますし、そのために、いささかも間に合わないとかおくれたとかいうことがないように私どもは努力をしなきゃいけないなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/316
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317・瀬戸正行
○公述人(瀬戸正行君) 施設整備だけで考えますと、特に私ども、市だけで考えるとある程度は充足されているのかなと思いますが、これが広域等というお話も出ていますので、市以外のところ、郡部関係とかになった場合には、施設、ベッド数等、特養それから老健等まだまだ足りないとは思いますし、特に介護保険につきましては在宅重視という部分がございますので、その点からしますと、ホームヘルパーにつきましてはまだまだこれは十分ではありません。それに対する人材がおるかどうかというところは懸念がありますけれども、その辺につきましては、まだゴールドプランそのものも不十分でございますし、まだまだ基盤整備は進めていくべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/317
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318・大伴満男
○公述人(大伴満男君) 清水先生のおっしゃるとおり、やはり今のままでは保険あって介護なしという大変な事態を招くおそれが多分に強いわけでございまして、基盤整備は先行して進めるべきだというふうに私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/318
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319・宇戸田実男
○公述人(宇戸田実男君) ハード面で二つあると思います。施設と在宅関係、十分なところと必要のないところがあると思います。ソフト面ではぜひ必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/319
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320・金山尚學
○公述人(金山尚學君) 国のゴールドプランを受けまして各自治体がプランをつくっておりますが、私の町におきましてはシルバープランというような形で策定をいたしております。その内容を見ますときに、現在の対応は、私のところのプランのマンパワー等を見ますときに、その数に達しなくても何とか充足を図れている面があるわけでございますが、今後の流れというものは、もっともっとそういった必要性が生まれてこようというふうに思います。
一つは、施設、ハード面については、これはもっと広域等で考える場合にはまだまだ不足している面があるし、果たして二カ年でこれが整備できるかという不安は持っております。
あと、マンパワー的なことは、それぞれこれから先を見越した中で養成等を図っていくならば充足できる面もあるのではないか。ただ、資金的な面といいますか、財政的な面というものも一つ加えて考えなきゃならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/320
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321・半澤一邦
○公述人(半澤一邦君) 新ゴールドプランの達成率からいっても、この二年間でそれを達成して、しかもその先までという問題になると思うんですが、私はハードの部分については新ゴールドプランまでのことは十分にやるべきだと思うんですけれども、それから先についてはやはり再考を要すると思います。
なぜかと申しますと、医療で全く同じようなケースがあるのですが、国民皆保険が導入されて、とにかく医療の量だけを整備しようということで自由開業医制というのが導入されました。今ではそれがむしろ国民医療費を押し上げていますし、各県一医科大学という制度もつくられましたけれども、今はこれが医師を過剰に生んでいるという元凶で、その生まれた過剰な医師がそれぞれ開業するというようなことで、非常に経済的なことを考えるとむだなことを将来にわたってはすることになる可能性もあります。
それからまた、二〇五〇年をピークに老人人口というのは当然減ってくるわけですから、そのときにどうするのかということも考えに入れなければいけないんじゃないか。単純に今足りないから新ゴールドプラン達成後も足りない、整備をしろというのはどうかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/321
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322・釘宮磐
○釘宮磐君 きょうは、皆さん大変長時間にわたって御苦労さまでございます。私は最後でございますので、あと二十五分ほどおつき合いをいただきたいと思います。
きょう皆さん方からいただきました公述、地方公聴会がきょう大分で四カ所目ですか、全く皆さん方のおっしゃる議論といいますか、これは私どもが委員会審議をやってきている中でも問題になってきた部分が多くて、これらの問題、きょうは厚生省の江利川審議官もお見えになっておりますし、これから三百を超す政省令でこの介護保険、最後仕上げていくことになるわけですけれども、皆さん方の貴重な御意見をぜひ積み上げて、いいものをつくり上げていかなければならない、このように思っておるところであります。
そこで、少し具体的な話を私は質問させていただきたいと思うんですが、まず半澤公述人と宇戸田公述人と瀬戸公述人にお伺いします。
施設サービスは、これからいわゆる特養そして老健、療養型というような三つの施設ができていくわけでありますが、よく言われるのは、そうなった場合には医者のいる老健や療養型に患者さんが流れてしまうんではないかというようなことをよく福祉関係者から聞くわけでありますけれども、実際に半澤公述人はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/322
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323・半澤一邦
○公述人(半澤一邦君) 私は、一概にそういうことは起こらないと。なぜかと申しますと、やはりこれはそれぞれ自己負担金もあるわけですし、それから要介護度に応じての給付があるわけですから、それぞれの施設によって金額に差がございますので、一概にそういうことでは行かない。やはり経済的なものを加味したところで行くんじゃないか。
私がむしろ心配しているのは、特養とかいわゆる福祉ニーズの強いところについては軽症者といいますか軽い方が行って、老健だとか療養型病床群には重症者ばかり集まるというような傾向になるんじゃないか、むしろそれの方を心配しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/323
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324・釘宮磐
○釘宮磐君 宇戸田公述人と瀬戸公述人にも同じ質問です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/324
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325・宇戸田実男
○公述人(宇戸田実男君) 一元化になった場合に、老健それから病床群に流れるのじゃないかということですが、介護力において私たちはかなりな自信を持っております。生活の場としての施設、それでいけばいいんじゃなかろうかなという自信は持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/325
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326・瀬戸正行
○公述人(瀬戸正行君) いろんな情報が出ておりますので、介護強化病院が療養型に移行してかなりの数が移るのじゃないか。そうなると、特養、病院、老人病院等からそちらに移るし、逆に私どもの方は最重度が残って、中間的なところが老健もしくは療養型に移るのじゃないかという懸念を持っております。
特に、今の特養につきましては、常勤医師がいない、嘱託医師ということで、やはりお年寄りにとりましては、そこに嘱託医でも結構です、お医者さんがいるだけでも安心するという部分がございますので、その辺からしますと、一本化になってきた場合、その辺のところ、常勤医師の配置というようなところも何らかの形で考えていかないと、やはり療養型、老健等につきましては、私どもはちょっと弱い立場になるのじゃないかという懸念を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/326
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327・釘宮磐
○釘宮磐君 私がなぜこういう質問を申し上げたかといいますと、半澤公述人も先ほどの意見の中に、要介護者の選択に任せてしまうと、いわば医学的な管理の内容と人員というようなことでかなりそれぞれの施設は特性があるのですけれども、自己で判断をして施設を選ぶということになったときには、私はかなり偏在性が出てくるのではないのか、それぐらい施設が多くあればいいのだけれども、希望するところに入れないのではないかなというような感じがするわけです。
そこで、半澤公述人にお伺いをしたいのですが、半澤公述人はケアマネジャーというのが非常に重要な役割を果たしてくるだろうというようなことをよくお話をされております。このケアマネジャーを来年国家資格を取らせるというわけですが、これがいろんなところにできてくる場合に、自分のところにとにかくお客さんをとろうというようなところでとり合いになるのではないか。そういう意味では、ケアマネジャーを置くところというのは、例えば中学校区に一人とか、そういうふうなことをこの前申されておりましたけれども、それについてちょっと御意見を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/327
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328・半澤一邦
○公述人(半澤一邦君) 現行のいわゆる在宅介護支援センターの相談件数、あるいはまたそれに対する対応のデータを見れば一番よくわかると思うのですが、非常に公正公平を保たなければいけないところが保てていない。併設をする施設だとかそういうところにどうしても流れる傾向にあるというのは、これはもうデータではっきり出ております。それと全く同じことが、やはりこれは人間がすることですから起こる可能性が非常に強い。
そういうことを考えますと、ケアマネジャーの所在をしっかり地域的な割り振りでやっておく必要があるんじゃないか。と申しますのは、現行の支援センターというのは、ある地域では中学校区に一つ、しかしある地域ではテリトリーは全く関係ないというようなこともちゃんと現実にあるわけでございますから、その辺をもう一度しっかり組み立てをしていただきたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/328
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329・釘宮磐
○釘宮磐君 半澤公述人に最後の質問をさせていただきたいと思います。
これは私も実は委員会の中で随分厚生省とやりとりをしてきたところなんですが、今、厚生省の介護保険スタート時の推定の支払い保険料というのが特養で二十九万、老健で三十三万、それから療養型で四十三万ですか、推計ですけれども、そういうところで大体設定をされているようであります。どうしてこれだけ金額が違うのかという私の質問に対して、厚生省はあくまで人員配置というようなことで違うんだという答弁なんですけれども、私は必ずしもそうではないと思うんです。
半澤公述人の言われているように、要するに医療がどれだけ加味されているかということがこの違いの中に相当入っているんだろうと思うんですが、ここに半澤公述人が介護保険に含まれる医療とはどこまでであるのかということを言われていますね。この点は私も非常に大事な点だと思うんですけれども、この指摘した部分を少し説明していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/329
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330・半澤一邦
○公述人(半澤一邦君) そもそも、一番最初に申し上げましたように、介護の部分に医療がどうかかわるのか。本来の純粋な姿であれば全くかかわらない、医療は医療で別、介護は介護だけという姿がひょっとしたら純粋なものかもしれません。しかし、これは若い人たちの介護であればそういうことも可能かもしれませんが、いわゆる高齢者、常に病気を持っているというところから考えるとこれは不可能なわけですね。
それでは、医療のかかわりをどこまで持たせるのか、やっぱりその線をはっきりと出していただく。かかわらなくてはやっていけない、我々もそのことに対してやぶさかではありませんし、介護を受ける人たち、あるいはまた介護施設、介護サービスをするところもそれについてはやむを得ないというふうに認めておられると思うんですね。
では、医療保険でやる部分はどこまでなのか、介護保険でやる部分はどこまでなのか、その線がいつまで待っても出てこないし、論議をされるということが今までは余りないと思うんです。ないというのはどういうことかというと、私は、これも書いてございますけれども、どこかで決めてしまうんじゃなくて、これは公の場で、そういうことについてはやはり国民的に情報を開示していただいて、みんなで協議した線がここだよというものが出てくることが一番介護と医療のかかわりを決めるには正しい方法じゃないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/330
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331・釘宮磐
○釘宮磐君 それでは、お二人の町長さんにお伺いをしたいと思います。
これは瀬戸公述人の意見の中にもあるんですが、いわゆる現在行われているデイサービス事業は虚弱な高齢者、とりわけ軽度な人も対象になっておるために、介護保険がいよいよ施行された場合にこれらの人が介護保険の対象から外れるということがあり得ると思うんですね。そうなった場合に、両町長さんの町で今実施されているデイサービスは、介護保険の対象にならない人に、あしたからもうあなたはだめですよとはなかなか言えないだろうと。そうなると、町の持ち出しでやらなきゃならないというようなことが起こってくるという問題が出てくるんじゃないかと私は思いますが、その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/331
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332・山中博
○公述人(山中博君) 確かに、今デイサービスを利用しているうちの約三割はオミットされるというふうに私ども理解しております。これらの人を、あしたからだめですよと言うわけにはなかなかいかないのが実情であろうというふうに思いますし、今からそういう方々の対応は考えていかなきゃいけない。それと、今の収入は当然落ちるわけですから、職員の人件費等の持ち出しは当然にふえていくだろうというふうに思っております。
今、私どもも最終年度、十一年度にデイサービスセンターを一カ所整備するわけでありますけれども、その整備も今そのような状況で、当初の十年度から最終年度に回したという経緯もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/332
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333・金山尚學
○公述人(金山尚學君) デイサービスに対する認定でございますけれども、ただいま私どもの町におきましても、その地域におきます民生委員さん等の方から認定されまして上がってきておりますが、地域によって若干の格差があることは事実でございます。
そういった中で、今後の認定に当たりましては、やはりその認定基準というものをきちんと踏まえた、認定に当たっての様式等はかなり精密なものをつくっていかなきゃならないだろうというふうに思っております。これから実施されるに当たって、二カ年の間にこういった認定そのものが多くの目から見てある程度公平だなと言えるような体制づくりということが大きな課題ではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/333
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334・釘宮磐
○釘宮磐君 この問題は、介護保険法が施行されると福祉のレベルが下がるということにつながるんではないかなということを私は非常に危惧しております。
特に予防面からいえば、今デイサービスに通っているということが人間関係をよりきっちりつくっていき、そのことが病院に通うことをある意味では抑止している部分もあると思いますし、それがそのまま町村の負担でやらなきゃならないということについては若干の——そういう意見がいただきたかったんですが、それはそれでいいです。
それからもう一点、お二人の町長さんにお伺いしたいと思うんですが、今回の介護保険の受給サービスの中にいわゆる給食サービスとそれから移送サービスというのが入っておりません。とりわけ両町は過疎地域でありますし、そういう意味では足代というのが大変な部分かかるんではないか、そういう中で移送サービスや給食サービスというようなものもやっぱりあった方がいいんではないかというような思いがあるんですけれども、その点についてはいかがですか。もう時間がありませんので、簡単にお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/334
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335・山中博
○公述人(山中博君) これは現状も行っておりますので、やはり私どもとしては残すべきだろうというふうに思います。それは当然にこの制度として残していただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/335
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336・金山尚學
○公述人(金山尚學君) 私も同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/336
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337・釘宮磐
○釘宮磐君 次に、もう一度両町長さんにお伺いしたいんですが、従来、日本の介護というのは家族が支えてきたということが非常に大きかったと思うんですが、今回介護保険制度が導入されれば、今まではいっぱいだったらあきらめていたけれども、保険を払った以上はこれは使わなきゃ損だというようなことで、かえって介護ニーズが増大してくるんではないか、新たに発掘するようなことになるんではないか。その一方では、町村にしてみればそうなれば保険料が上がるわけですから、今度はそれを抑えにかかるというような、何かそういう相反することが町民と行政の間に起こってくるんではないかというような危惧を持つんですけれども、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/337
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338・山中博
○公述人(山中博君) 確かに言われるとおりだろうと思います。あるものを使わない、これはなかなかそういう人は今おりません。ある制度はどんどん使おうという意識の人が多いものですから、そういう状況は多分に生まれるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/338
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339・金山尚學
○公述人(金山尚學君) 私も確かにそういった制度、自分たちが保険料を掛けるわけですから、何かとして還元しようという意識というのは生まれてこようというふうに思いますが、その辺の形をいかに抑えていくか。しかし、掛けても福祉はよくならないというような感覚になられると、これは意味のないことでありますから、あくまでも認定基準というものをいかにきちんとするかにあろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/339
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340・釘宮磐
○釘宮磐君 それでは、宇戸田公述人と瀬戸公述人にお伺いをしたいと思います。
これは御両名の方がひとしく言われていることで、先ほど清水委員からも指摘のあったことでありますが、要するに、入所をしてその後リハビリ等で介護度が低くなった、これはいわばその施設なりサービスが効果があったということであります。それに対して成功報酬的な加算があるべきではないか。そうしないと、それならもう寝たきりにさせておいた方がよりいいではないか。これはちょっと言い過ぎかもわかりませんけれども、そういうことが働くんではないかというようなことが言われております。
それについて、先ほどどういうふうな制度がいいのかというようなことが清水委員の方から話がありましたが、私は、これはやっぱり評価をきっちりとしてそれを公表すべきだというように思うんですが、例えば加算とかいうようなことも含めて率直な意見を聞かせていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/340
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341・宇戸田実男
○公述人(宇戸田実男君) ランクVの方が二十九万とします。ランクIIになって十八万になると仮定したときに十一万の開きが出てきます。施設もそんな何かの加算があればやはり努力目標として頑張れるんじゃないかなと。実際にうちの施設でも一名の方が退所した、寝たきりだったんですけれども、三年目に退所したという事実がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/341
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342・瀬戸正行
○公述人(瀬戸正行君) 宇戸田さんと大体同じ意見なんですが、一つは、療養型それから老健あたりと一元化になってきた場合に、老健に行けばPT、OTがおる、特養にはそういったリハビリ専門員がいないというのが今の現状ですから、そういったことも考えあわせて、リハビリ等のことも考えればPT、OTあたりも置くような状況になってくるんじゃないかと思いますので、その点からも報酬額の問題は考えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/342
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343・釘宮磐
○釘宮磐君 続いて質問させていただきたいんですが、社会福祉法人の場合、施設整備は四分の三の公的補助、それに税制面での優遇、こういうようなものがあります。これは措置費制度ですから、当然いろんな意味での規制が特養等にはあるわけであります。
しかし、これからいよいよ介護保険制度がスタートしますと、医療法人とも、またさらに在宅サービス部門では民間の企業とも競争しなきゃならぬ。その割に社会福祉法人にはいろんな規制があるわけで、そのことが結果的に、いわゆる競争の中でその規制がかえって民間の活力をそぐというようなことが危惧をされるんではないかと思うんですけれども、その点について瀬戸公述人に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/343
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344・瀬戸正行
○公述人(瀬戸正行君) 今現在が措置制度、社会福祉法人であるということで補助金をいただいておるわけで、これがほかの老健それから病院等にかんがみますと、それから企業あたりですか、そういった補助金はないということを考えれば、私どもは優遇されているのかなという部分はありますが、ただし四分の一の自己資金につきましては、またそのほかのことに関しましてもそうでございますけれども、減価償却がない。ほかの一般企業、民間病院等につきましては減価償却を認められておるというようなことになってきますと、私ども四分の一の償還が済んだ段階で、減価償却がございませんから、さらにまた整備する場合には同じように四分の一の自己資金、同じ金額が要るという形を今とらされているわけです。その辺の改正といいますか、減価償却制度はぜひとも取り入れていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/344
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345・釘宮磐
○釘宮磐君 それでは、時間がもうあと二分しかありませんので、御意見をお聞きできなかった高橋公述人、佐藤公述人、そして大伴公述人にお尋ねをしたいんですが、今回の介護保険法というのは非常に不安な部分も皆さん多々あろうと思います。一言ずつ、これだけは言っておきたい、これが私どもとしてはぜひ聞き入れていただきたいというようなことをお三人にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/345
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346・大伴満男
○公述人(大伴満男君) 実は、介護保険の中身が一般の国民にはほとんど知らされていない、情報が提供されていないんです。だから、本日の公述人の方々もほとんどは施設やそういう関係で、こういう方はもう勉強されている方が多いんですけれども、一般のいわゆる県民の場合はほとんど知られておりません、これがどういうふうになるのかもです。私も学習会の講師でずっと出ていって説明して、初めて皆さんが何だそういうことになるのかということになっておりますので、もっと情報を国民に公開して、広い議論をさせていただければありがたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/346
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347・佐藤済江
○公述人(佐藤済江君) 私は、もうほとんど先ほどの公述で十分だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/347
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348・高橋多佳子
○公述人(高橋多佳子君) 先ほどの情報公開も私も強く望みたいところです。
それと私は、やはり常に人間相手に仕事をしております看護職は、このケアプランには大変皆さん意欲を持って臨んでおりますので、ぜひ認定委員の中に入れていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/348
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349・上野公成
○団長(上野公成君) これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。
この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げます。
皆様には長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は、本委員会の審査に十分反映してまいりたいと存じます。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。
これにて参議院厚生委員会大分地方公聴会を閉会いたします。
〔午後四時五十九分散会〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114237X00919971125/349
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