1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年十二月五日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第九号
平成九年十二月五日
午前十時開議
第一 国務大臣の報告に関する件(APEC非
公式首脳会議及び閣僚会議に関する報告につ
いて)
第二 工場立地法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
第三 持株会社の設立等の禁止の解除に伴う金
融関係法律の整備等に関する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
第四 銀行持株会社の創設のための銀行等に係
る合併手続の特例等に関する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一より日程第四まで
一、国会法の一部を改正する法律案(中曽根弘
文君外七名発議)(委員会審査省略要求事件
)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/0
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001・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
日程第一 国務大臣の報告に関する件(APEC非公式首脳会議及び閣僚会議に関する報告について)
村岡国務大臣から発言を求められております。
発言を許します。村岡国務大臣。
〔国務大臣村岡兼造君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/1
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002・村岡兼造
○国務大臣(村岡兼造君) 先般開催されたAPECバンクーバー会合について、外務大臣臨時代理として、私より報告いたします。
我が国よりは、非公式首脳会議に橋本総理大臣、閣僚会議に小渕外務大臣及び堀内通商産業大臣が出席しました。
首脳会議では、アジアにおける通貨・金融問題、気候変動問題、新規参加問題の三点が焦点となりました。
まず、アジア通貨・金融問題については、橋本総理より、最近のアジア諸国の通貨、株式市場の変動にもかかわらず、アジア経済の基礎的条件は基本的に良好で、依然高い潜在成長力を維持しており、健全なマクロ経済及び構造政策等は、この潜在的な成長力を実現するためのかぎであることを強調し、APEC首脳間で共通の理解を得ることができました。
また、APEC首脳として、さきにマニラで合意されました金融・通貨の安定に向けたアジア域内協力強化のための新たな枠組みに強い支持を表明するとともに、APECとしても、アジア通貨・金融問題について引き続き取り組んでいくことに合意いたしました。
さらに、現在のAPEC地域の経済情勢によって、貿易・投資の自由化、円滑化の勢いが損なわれてはならないことについても一致いたしました。
次に、橋本総理より、地球温暖化防止京都会議の成功に向けての協力を求めました。その結果、APEC首脳として、京都会議の成功に向けた強い政治的メッセージが出されるとともに、気候変動問題の解決に向けて先進国、途上国双方の協調的努力が必要であることで一致いたしました。
最後に、新規参加問題については、橋本総理から積極的に支持を表明したロシア、ベトナム、ペルーの三カ国が来年のマレーシア会合から新たに参加することで合意いたしました。
閣僚会議においては、まず、貿易・投資の自由化、円滑化の分野で、自由化行動計画の実施と改善のプロセスが軌道に乗り、さらに、これを補完するものとして、早期に自主的自由化に取り組むべき九つの最優先分野が特定されたことは重要な成果であります。
経済・技術協力については、特にインフラ整備及び環境の分野について目に見える成果が示されました。
以上、本年のAPECは、アジア通貨・金融問題、気候変動問題というAPEC地域にとって喫緊の課題について、APECとして域内外に力強いメッセージを送るとともに、自由化、円滑化や経済・技術協力については実行の年にふさわしい具体的成果を上げ、また、APECの将来に深く関係する新規参加問題にも決着を見ることができました。これらにかんがみ、APECバンクーバー会合は極めて建設的かつ有意義な会議であったと認識しております。
以上でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/2
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003・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。須藤良太郎君。
〔須藤良太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/3
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004・須藤良太郎
○須藤良太郎君 私は、自由民主党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけを代表いたしまして、カナダのバンクーバーで開かれましたAPECの非公式首脳会議と閣僚会議の成果並びに今後の課題を中心に、総理に質問いたします。
総理は、今秋以来、訪中を初めロシア、サウジアラビア等との積極的な対話外交を展開され、APECにおいては、アジアの通貨安定、ロシア等の加盟等にイニシアチブを発揮されてこられましたことにまずもって敬意を表したいと存じます。
本題に入ります前に、今開かれております温暖化防止京都会議について伺います。
この会議は、人類の歴史を変える十日間とも言われるほどに重要な会議でありますが、二酸化炭素などの削減目標をめぐり、各国の利害調整がまだ難航しているように思われます。我が国は議長国として、今まさに地球環境の保全、人類の将来の繁栄のため、総理に大きな役割が期待されておりますが、これに対する総理の御決意を伺いたいと存じます。
さて、APECについてでありますが、改めて申し上げるまでもなく、我が国はAPECをアジア太平洋地域における経済面での協力の中核として重視してきており、APECにおける協力に積極的に取り組んできているところであります。さらに申し上げれば、我が国にとってAPECは、我が国経済の長期的な発展を確保し、アジアとの信頼関係を一層強化し、域内の政治的安定への環境を醸成するものであります。それゆえ、APECにおける協力の推進は我が国の対アジア外交における重要な柱であると思うのでありますが、そこで、アジアの政治経済情勢が今大きく変化する中で、我が国にとってのAPECの意義、APECが果たしている役割等につきまして、総理の御認識をお伺いいたいしたいと思います。
今回の非公式首脳会議における焦点は、第一に最近のアジア諸国の通貨・金融問題、第二に京都での気候変動枠組み条約問題、第三にAPECへの新規参加問題の三点にあったと聞き及びます。そして会議の結果、これらの問題に関する議論の集約と、APEC本来の目的である貿易・投資の自由化、円滑化と経済・技術協力などをうたったAPEC首脳宣言が採択されたのであります。
第一の焦点である通貨・金融問題について、参加首脳は、APEC地域における金融市場情勢について徹底した議論を行い、その結果、首脳間でAPEC地域の経済は長期的な成長のための基礎的条件、すなわちファンダメンタルズは極めて力強いことを確認されました。特に、健全なマクロ経済政策と構造政策、人材養成戦略等の政策を行うことが問題解決のかぎであることで一致したのであります。
橋本総理も、記者会見でその点を強調されておりますが、アジア経済の信頼回復に向けて、この時期にAPEC首脳が一致してこのような決意を表明したことはまことに時宜にかなったことであります。しかも宣言は、金融市場の危機防止、国際システムの能力強化のため、迅速に行動することが決定的に重要であると指摘しております。さらに、来年五月に予定されているAPEC蔵相会議の早期前倒し開催を決め、またIMFの機能強化や補完的な融資メカニズムの創設、相互監視や金融システム改革等を実施することによって危機を未然に防ぐ強い決意を表明したのであります。
総理は、御自身も加わったこのAPEC首脳による決意表明をどのように評価しておられ、この実行にどう取り組んでいかれるのか、また、これによる市場の信頼回復をどう見通されているのか、あわせてお伺いいたします。次は、APECへの新規参加問題についてであります。当初の予定では、今回は参加基準の作成にとどめ、来年のクアラルンプール会議で参加国・地域を決めることになっていたわけでありますが、今回の会議で採択された基準を踏まえて、ロシア、ベトナム、ペルーの一年前倒し参加が決定されました。この決定に際しましては、総理がロシアの参加を強く主張し、これが三カ国の新規参加に道を開いたと伝えられております。
さきのクラスノヤルスク会談で橋本総理がエリツィン大統領に約束したロシアのAPEC参加実現に向けた努力を今回約束どおり実現したわけであります。このことは、ようやく動き始めた日本とロシアの関係にも必ずよい影響をもたらすと私は確信しておるところであります。なぜなら、来年の我が国の対ロシア外交は、北方領土問題の解決、日ロ平和条約の締結交渉などが焦点となると予想されるだけに、今回ロシアのAPEC参加を決定づけた橋本総理のイニシアチブは、今後の日ロ関係の進展に大きな意味を持つと思うからであります。私は強くそう期待するわけでありますが、日ロ関係の前進に向け、総理の御決意を承りたいと存じます。
ロシアのAPEC参加は、他方で、APECの変質をもたらすのではないかとの指摘もあります。これまで自主性を尊重した緩やかな経済組織として、経済問題を語る場として存続してまいりました。これがロシアの参加により、アジア太平洋地域における四大国、すなわち日本、アメリカ、中国、ロシア首脳が一堂に会する唯一の場となることによって、経済問題よりむしろ政治対話の機会がふえるのではないかと思われます。しかし、一方では、APECにおいて、これら四大国の影響によりASEAN諸国等の発言力の縮小につながりかねないのではないかといった懸念もあります。
こうした懸念を払拭し、これまでどおりAPECの着実な前進を図ることは、ロシアの参加を推進した我が国の責任でもあると思うのでありますが、総理の御見解を伺いたいと思います。
次に、APECにおける協力の大きな柱である貿易・投資の自由化、円滑化についてであります。
今回のバンクーバー会議で、この分野は着実に前進し、昨年のスービック首脳宣言に基づき、早期の自主的自由化分野として十五分野が取り上げられ、そのうち九分野が早急に自由化作業を開始する分野として特定されました。このことは、二〇一〇年、二〇二〇年までの自由で開かれた貿易と投資の実現というAPECの目標に向け、アジア経済の減速という状況の中で自由化の勢いを引き続き高めるものであります。
しかし、各国・地域の利害を反映して、その具体的な行動はあくまで自主性にゆだねることになったため、実効性に疑問が持たれ、我が国についても九分野に水産物や林産物など、国内事情から関税引き下げが困難なものが含まれていることが大きな課題であります。今後、この課題にどのように対処していくのか、お伺いいたします。
最後に、橋本内閣が進める財政構造改革との関係についてであります。
アジアを襲った通貨・金融不安が日本を初め世界経済の安定と発展を阻害しかねない状況の中で開かれたのが今回のAPECバンクーバー会議であります。APEC首脳がその不安解消に連帯して当たるという強い決意を表明したことで一応の成功が得られたと私は思います。
しかし、今回の会議の成果を真に達成するには、我が国としては、不安の一因ともなった我が国金融機関の相次ぐ破綻に対応するあらゆる手段を講じて、金融システムの安定を確保しなければならないのであります。
特に、APECの直前に山一証券の自主廃業のニュースが世界を駆けめぐり、総理は日本の金融の安定化努力の説明を参加国になされ、財政構造改革に矛盾しないぎりぎりの政策を考えるとの決意を述べておられます。この問題は、市場の信頼を回復するためにも、経済の動脈である金融システムの安定対策を公的資金の導入を含め早急に打ち出すことが重要であり、総理の大局を踏まえた決意のほどをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/4
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005・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 須藤議員にお答えを申し上げます。
まず、京都会議に向けた決意のお尋ねがございました。
地球温暖化は、今さら申し上げるまでもなく、人類あるいは自然の生態系に深刻な影響を与えるおそれのある重大な課題であり、この問題に対し、二〇〇〇年以降の温暖化対策の国際的な枠組みについて合意をする唯一の機会とも言える今回のCOP3は、人類の将来を左右する重要な会議であると考えておりまして、当然のことながら、議長国としてこの会議を成功させようと全力を尽くし、努力をしていくことは言うまでもありません。
私自身、デンバーのサミットにおきましても、また先般のAPECの場及び主要交渉国の関係者との会談でも、今日まで積極的な議論を続けてまいりました。京都におきましても、各国の意見を収れんさせ国際合意を形成していくよう最大限努力をしてまいります。
なお、京都会議におきましては、現在、代替フロンなどの温室効果ガスをどのような形で数値目標の対象に含めるか、森林などの温室効果ガスの吸収源をどう取り扱うか、また途上国に対し、将来的にどのような形で地球温暖化防止への取り組みを求めるべきか、また排出権取引や共同実施、EUバブルの取り扱い、こうした点につきまして公式、非公式のさまざまな議論が行われている状況であります。
次に、APECの意義、役割というものについてのお尋ねがございました。
APECがアジア太平洋地域の安定と繁栄を定着させる最も重要な枠組みの一つであることは申し上げるまでもありません。APECを通じての多角的貿易体制の推進は、貿易の拡大、雇用の創出、より豊かな生活の実現につながるものでありまして、この地域の持続的発展を可能にするとともに、メンバー間の信頼醸成にも資するものと考えております。
アジア経済の信頼回復についてもお尋ねがございました。
先般のAPEC会合におきまして、アジア経済の基礎的条件は基本的に良好で、なお高い潜在成長力を維持しているという共通認識が示され、同時に、金融・通貨の安定に向けたアジア地域協力強化のための新フレームワークへの支持が強く表明されましたことは、市場に対する時宜を得たメッセージであると考えております。
我が国としては、国際機関や各国と協調しながら、アジア経済の信頼回復に向け適切な政策運営を行ってまいる所存でありまして、昨日、韓国に対しての支援表明もこのフレームに沿ったものでございます。
また、ロシアのAPEC加盟に関連し、日ロの関係という御意見をいただきました。
私は、APECが今回ロシアの参加を認めましたこと、これはベトナム、ペルーという今までほぼ合意のできていた二カ国とあわせて加盟が認められたわけでありますけれども、ややもすると旧ソ連時代からヨーロッパに向かいがちでありましたロシアの姿勢というものを大きくアジア太平洋地域に向けるという上で、この加盟は大きな効果を持ったものと思います。そしてロシアがアジア太平洋地域の重要なプレーヤーとして建設的な役割を果たしていくことを期待いたしております。
同時に、これは日本にとりまして、まさにクラスノヤルスク合意の中で出てまいりました、最初にこの実現に向けての努力の成果という位置づけもあります。そして東京宣言に基づいた平和条約を結んでいくために努力をする上でも、一つのステップをつくったものと考えております。今後予定されておりますハイレベルでの交渉を通じて、APECの成果も踏まえながら、日ロ関係の一層の強化拡大を図ってまいりたいと考えております。
同時に、このAPECに日米中ロ四カ国が並ぶことによってASEAN諸国などの発言権が縮小するのではないか、そうした懸念を払拭する責任が日本にはあるのではないかという御指摘をいただきました。
私は、確かに、今回のロシアのAPECへの加盟によりまして日米中ロという四カ国の首脳が非常に自然な形でともに会する機会ができた、これは非常に大きいと考えております。
従来のサミットの形の中では日米、そして新たに今年からロシアが入るという対話の仕組みができました。従来のAPECでは日米中という顔合わせはできましたが、ロシアが欠けておりました。今回のAPECへの加盟によりまして、この四カ国の首脳が自然な形で一堂に会する機会ができました。しかし、それは私は決してASEAN諸国等が懸念を抱かれるような格好にしてはならないものだと思います。そしてこの対話というものがアジア太平洋地域の対話と協力の増進のために有益に働くようにしていかなければなりません。
同時に、ASEAN諸国は隔年で議長国を務める、こうした重要な役割を現在も果たしておられます。私は、ASEAN諸国等と協力をしながら、引き続きAPECの発展に尽くしていきたいと考えており、今月十五、十六日に開催されます日本・ASEAN首脳会議への出席を予定しておりますけれども、こうした場などを通じましてもASEANとの協力関係は一層増進していきたいと考えております。
次に、早期自主的分野別自由化についてのお尋ねがございました。
この作業は自主性の原則で行われるものと了解をいたしておりまして、明年六月の貿易担当大臣会合に向けて引き続き作業を行うこととしております。なお、水産物、林産物など、さらなる自由化が困難な分野につきましては、ウルグアイ・ラウンド合意を堅持しながら、円滑化、経済・技術協力措置など、どのような対応が可能か検討してまいりたいと考えております。
最後に、金融システム安定性確保の取り組みについてお尋ねがございました。
金融システムの安定性を確保し、内外のマーケットの信認を維持することは極めて重要なことであります。私としては、金融システムの安定については、預金者保護を目的として、公的支援を含め今後具体案を早急に得て、システムの安定性確保に全力を挙げて取り組んでまいります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/5
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006・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 大蔵大臣の出席を促しておりますから、このまましばらくお待ちください。
寺澤芳男君。
〔寺澤芳男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/6
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007・寺澤芳男
○寺澤芳男君 私は、平成会を代表いたしまして、ただいま報告のありましたバンクーバーでのアジア太平洋経済協力会議、APECについて質問を行います。
また、直前に開かれた日米首脳会談におきまして、我が国経済に対する強い懸念が米国から表明され、橋本内閣の経済運営に国際的な不信任案が出されましたが、この会談についてもあわせて質問いたします。
現在、かつて経験したことのない金融危機がアジアを襲っております。七月、タイに始まった通貨不安、株価の暴落は東南アジア全体に波及し、香港の株式の大暴落、さらには韓国の金融不安を発生させ、世界の通貨・株式市場は大きく混乱いたしました。この間、東南アジアにおいて失われた株価の市場価値は実に三千億ドルに達し、この地域のGDPの約半分に相当いたします。
この危機に際し、当初、我が国はASEAN諸国とともにアジア通貨基金、AMFの設立を構想いたしました。ところが、米国の強い反発に遭い、宙に浮いてしまったとも言われております。
そこで、AMF構想がとんざし、APECでの金融に関する地域内での新たな枠組みという妥協的な合意に至るまでの経緯と、今後我が国がアジアの通貨安定のためにどのようなリーダーシップを発揮するつもりなのか、橋本総理の御意見を賜りたいと思います。
そして、アジアの金融不安は、かつて優等生を誇った韓国において極めて深刻であります。世界第十一位の経済規模を持ち、OECD加盟国である韓国の通貨危機は、タイやインドネシアに比べ、世界経済に極めて大きな影響を与えることは間違いありません。
APECにあわせて開かれた日韓首脳会談において、韓国金泳三大統領は、橋本総理に対し我が国からの対韓直接支援を要請しました。ところが、総理はあくまでIMFを中心とする国際的支援の枠組みでと消極的な姿勢を示したと聞いております。そこで、この会談における要請の内容について、総理よりお聞かせ願います。先日、米国クリントン大統領は、韓国に対する二国間支援の実施を表明いたしましたが、大統領は同時に、韓国の支援は日本と協調して行うと述べております。一方、我が国は、隣国の経済危機に際し、IMFに先行するもっと迅速な措置をとる余地もあったのではないでしょうか。今後、我が国がIMF及び米国と協調しどのような支援策を実施するのか、総理にお伺いいたします。
さて、先ほどの政府報告は、アジアのファンダメンタルズは良好で力強いと強弁しておりました。しかし、世界じゅうの市場に広がったアジア売りを反転させ、市場の信頼を取り戻すために、そのような自画自賛は何の役にも立ちません。アジア各国は、構造改革、金融システム改革を必要とするに至った現在の苦しい状況について十分な説明を行い、その改革の手順を内外に公表しなければなりません。
この点で、実は、今回のAPEC閣僚・首脳会議とあわせ、APEC・CEOサミット、すなわちAPEC地域の首脳と、やはりAPEC地域内の民間企業経営者との意見交換の会合が開かれておりました。江沢民・中国国家主席、オルブライト米国国務長官を初めとする各国の首脳、閣僚が出席し、民間企業経営者に対して外交、経済政策を懇切丁寧に説明し、自国への投資を促しております。しかし、残念なことに、我が国からは総理を初めとして閣僚のどなたもこの会合に出席しませんでした。この欠席について、総理の御説明をお伺いいたします。
さて、バンクーバーではAPECに先立って、小渕外務大臣とオルブライト国務長官会談、橋本総理とクリントン大統領会談が行われましたが、その内容が非常に重いものであったことに改めて注意を喚起したいと思います。
オルブライト国務長官は、日本の貿易収支の黒字拡大が日米関係に悪い影響を与えかねないと発言し、さらにクリントン大統領は、景気回復のため、日本の内需拡大と規制緩和、金融システムの安定を強く要求したど伝えられております。その事実の確認、そうした内容の意思表明があったのかをまず総理よりお答え願います。
これまで米国は、橋本内閣の経済運営について、内心恐らく業を煮やしつつも静観を装ってきた観がございます。しかしながら、アジアと我が国経済が直面した状況の深刻さに米国はついにこらえ切れず、我が国に対して明快に内需拡大、規制緩和、金融システムの安定を求めてまいりました。このことの意味を橋本政権は真剣に考え、重大に受けとめるべきであると思います。大統領並びに国務長官の発言は、橋本政権の経済運営に対する明快な注文であり、不満、不信であり、さらに言えば否定であると言ってもよいと思います。
我が国経済は、橋本政権が九兆円にも及ぶ国民負担増を選択したことによって、個人消費が低迷し、輸出主導による運営を余儀なくされております。我が国の対米貿易黒字がますます増大する一方で、日本経済は思いどおりの回復基調に向かっていない。それどころか再びゼロ成長に陥ろうとしている。そういうことへの米国のいら立ちが、橋本内閣の財政再建一本やりで経済動向を無視した経済運営に対して重大な懸念を表明するに至ったと解釈せざるを得ないのであります。
アジアを襲った通貨・金融不安の防波堤となるべき日本は、相次ぐ金融機関の破綻と、それによる経済の失速に現在苦しんでおります。そのことが、アジア経済のみならず欧州、ひいては好調を持続している米国経済を冷え込ませ、世界経済全体に大きな混乱を招くのではないかという危機感を米国は強く持っております。日米首脳会談の中で総理は内需拡大や金融システムの安定化を確約したと伝えられておりますが、そのように理解してよいのでしょうか。
また、橋本総理は、財政構造改革に矛盾しないぎりぎりの政策を考えるという、非常に思い詰めた決意を表明されましたが、米国との公約を今後どのように果たしていくつもりなのか、あわせてお伺いいたします。
また、日本発の世界経済の混乱要因としてクリントン大統領が強く懸念していることの一つが、我が国の政府及び金融機関が保有する米国債の売却であろうと思います。フィナンシャル・タイムズは、東南アジアの成長の減速とは異なり、日本の金融システム不安は世界経済に大きな痛手となる、つまり日本が現在保有する外国株式、外国公債を売りに出せば世界経済は極めて危険な状態になると、世界的な金融危機の引き金を日本が引いてしまう可能性を報道しております。
外国公債のうち米国債について言えば、日本の政府及び金融機関は三千億ドル、五・六%を保有しております。
ことしの六月二十三日、訪米中の橋本総理が、この米国債について、売却する誘惑に駆られたことがあるとコロンビア大学での講演中に述べ、ニューヨーク株式市場はその一言で史上二位の大暴落をいたしました。このように、総理の発言は即座に世界じゅうの市場に影響をいたします。もちろん本院本会議における総理の御発言を世界は注目しております。どうか御答弁は、論理的な、英語にも翻訳できるよう明快にお願いいたします。
対談中、我が国の保有する米国債についてクリントン大統領がどのような発言をし、総理はどのように答えたのか、御答弁をお願いいたします。
次に、金融ビッグバンについてお聞きいたします。
総理並びに大蔵大臣は、これまでの護送船団方式の保護行政を改め、明快なルールに基づく監督行政へ転換すると本院におきましても再三答弁しておられます。しかし本当に、監督行政、すなわち審判に徹する行政への転換ができるのでしょうか。
山一証券の破綻について言えば、大蔵大臣は、巨額の簿外債務を知ったのは十一月十七日であると記者会見で言っていましたが、それならばなぜ直ちに山一証券株を売買停止にしなかったのでしょうか。自由経済とは、放任ではありません。これは、レフェリーとしての職務を放棄した行為ではないでしょうか。
官民一体の護送船団方式ということを具体的に指摘するならば、百十七行の銀行の役員総数二千五百七十五名のうち、実に百九十五名が大蔵省や日銀からの天下りという官主導の発展途上国のような慣習が依然として続いております。業者保護行政をやめ、投資家保護の観点から、今後は金融資本取引のレフェリー役に徹するべきであります。大蔵省や日銀から、その監督対象である金融機関への天下りが続くならば、金融ビッグバンによって本当にフェアな市場ができるとは到底思えません。大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
さらに、複雑化するデリバティブなど金融ハイテク取引による不正を見抜くためには、三千名の専門家を擁する米国SECのように、金融の検査監督の官庁には公認会計士、弁護士、研究者など民間の専門家を大量に登用する必要があると思いますが、大蔵大臣の御所見を承ります。
最後に、私は、一九七五年の米国のメーデー、一九八六年、英国のビッグバンにたまたま居合わせており、このような改革がもたらす衝撃の大きさ、恐ろしさを身をもって経験しております。過渡期の苦しみとはいえ、多くの証券会社が倒産し、失業者がウォールストリートやシティーにあふれたことは事実であります。
総理並びに大蔵大臣は、今後、我が国の金融システムを待ち受ける事態の深刻さをどのように認識し、さらには公的資金導入を含めた預金者保護、投資家保護のための一刻の猶予も許されない対策をいかに考えておられるのかを伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/7
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008・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 寺澤議員にお答えを申し上げます。
まず、アジアの通貨安定のための取り組みについてのお尋ねがございました。
これに関しましては、先月、マニラで新たなフレームワークが合意され、APEC非公式首脳宣言でも支持されたところでありますが、このフレームワークは、アジア諸国が協力して支援する枠組みを用意するとともに、域内サーベイランスの強化等を図ることとしており、いわゆるAMF構想の考え方と軌を一にするものであります。
我が国としても、このフレームワークに基づいて、諸外国と協調しながら、域内の金融・通貨の安定のために積極的に貢献してまいりたいと考え
ております。
次に、APECの際の日韓首脳会談についてのお尋ねがございました。
議員のお尋ねでございますけれども、金泳三大統領から直接支援の要請はございませんでした。韓国がIMFに資金協力要請を行ったと述べられた上、成功のためには我が国や関係諸国の支援が必要だという御発言であります。私から、日本としてもIMFを中心とする国際的な支援の枠組みの中で協力を鋭意検討すると申し上げた次第であります。
次に、韓国の経済危機への対応についてのお尋ねがございました。
十二月三日、IMFと韓国との間で経済調整プログラムが合意をされ、IMF、世銀、アジア開発銀行が韓国に対し総額三百五十億ドルの金融支援を行う旨が発表されております。
我が国としても、この合意を受け、先般のマニラにおける蔵相代理会合の合意に基づき、米国等の諸外国と協力もしながら、韓国に対し第二線準備として百億ドルの金融支援を行う旨表明し、これを中心とした話を、昨日金大統領との間、電話で私は交わしたばかりでございます。
今回の合意を受けまして、韓国に対する金融市場の信頼が回復されていくものと考えておりますが、今後とも事態を注視してまいります。
次に、CEOサミットについてのお尋ねをいただきました。
我が国からは、日程の調整がつかず出席できませんでした。他方、我が国は、非公式首脳会議、閣僚会議におけるAPECビジネス諮問委員会、ABACとの対話には参加し、私自身も参加をいたしましたが、同委員会の提言を中心に実質的な意見交換を行いました。今後とも、民間の意見をできるだけ考慮しながら、APECの協力作業を進めていくべきだと考えております。
次に、日米首脳会談等についてのお尋ねがございました。
クリントン大統領及び外相会談において、オルブライト長官から、我が国経済や貿易収支につき議員から御指摘のような意思表明がございました。これに対し、私から、金融システムの安定性確保に万全を期すこと、また経済構造改革、規制緩和などを通じて経済の活力を見出すことを考えている旨を説明し、特に規制緩和につきましては、バーミンガム・サミットまでに確認できる成果を上げるように協力していきたいことを説明いたしております。
次に、特に明確に答えろという前提をつけられまして、我が国が保有する米国債に関する日米首脳会談での発言についてのお尋ねがございました。クリントン大統領からも私からも米国債についての発言は一切ございません。
次に、金融システムの状況と預金者等の保護に関するお尋ねがございました。
金融システムの安定性を確保することは重要であります。私としては、預金者保護を目的として、公的支援を含め今後早急に具体策を得る、主た、投資家保護につきましても、寄託証券補償基金の法的整備を行うことといたしております。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/8
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009・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 寺澤議員の私に対する質問は四問であります。
まず、山一証券株の売買停止についてのお尋ねでございます。
大蔵省としては、十一月十七日に山一証券から巨額の簿外債務の存在について口頭で報告を受けたところであります。当局としては、詳細な事実を承知せず、また同社自身が簿外債務についての情報開示を行っていない段階で売買停止を行うことは、かえって市場に混乱を生じ、適当でないと判断いたしたところであり、同社が負担すべき簿外債務の額が報告される段階で売買停止を含めた必要な諸措置をとったところであります。
第二点、金融機関への天下りと金融システム改革についてのお尋ねであります。
大蔵省に在職した者が民間金融機関に再就職することによって金融行政がゆがめられてはならないということは当然であります。また、そのようなことは絶対ないものと確信をいたしております。いずれにいたしましても、金融システム改革を着実に推進することによりまして、公正、透明な市場の構築に努めてまいっておるところであります。
金融検査監督の充実強化に関しまして、民間の専門家を登用することについての御質問でございますが、御意見の存するところ、承知をいたしております。
しかしながら、外部の民間専門家を採用することにつきましては、現在の公務員制度における支給可能な給与水準の問題や官民人事交流のあり方など、優秀な人材の外部からの採用に当たっての問題があると考えているところであります。大蔵省といたしましては、これらの公務員制度上の問題についての基本的な対応の方向を踏まえながら適切に対処をいたしてまいりたいと存じます。
金融システムの状況と預金者等の保護に関するお尋ねであります。
金融システムの安定性確保とは、個別金融機関の破綻がシステム全体に波及しないようにすることでありまして、内外の信認を維持することであり、大蔵省としては、預金者保護の目的として公的支援を含め今後具体的案を早急に得、また投資家保護についても寄託証券補償基金の法的整備を行うことといたしております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/9
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010・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 角田義一君。
〔角田義一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/10
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011・角田義一
○角田義一君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、先般開催されましたアジア太平洋経済協力会議、APECバンクーバー会合について質問をいたします。
総理、今回の首脳会談は、昨今のアジアに広がる金融・通貨不安の中での開催となりました。これは、経済規模が世界の六割近くまで占めるようになったアジア太平洋諸国が直面する共通の試練であります。右肩上がりの成長の牽引役であったAPECがこの事態にいかに対応するか、その真価が問われる重要な課題であると私どもは認識いたしております。
一九八九年に緩やかな経済的協調の枠組みとして発足して以来、アジアにおける自由貿易体制の確立にAPECは取り組んでまいりました。メンバー間での信頼醸成が図られるなどの政治的な効能も含めて、私どもはAPECを高く評価してきたところであります。
しかし、このアジアでの金融連鎖危機の状況は、APECが重大な試練に直面していると言わざるを得ません。そして、APECの中での今後の日本は、非常に重要な役割を果たさなければならないと思いますが、まずこの点に関する総理の御認識はいかがなものでございましょうか。そして総理はそれにいかに対応されるか、お尋ねをいたします。
APECの中で日本自身が重大な役割を演じなければならないとするならば、まず自己の姿勢を正し、国際信用を確保することが何よりも重要であります。一連の金融不祥事の続発は、日本の金融システムの根幹に決定的な欠陥があることを図らずも露呈したのであります。責任をとるべき者がその責任をとらずに居直る、情報公開どころか平然と虚偽の報告をすることが放置されている状況で、どうして国際信用をかち取ることができましょうか。総理はこの事態を本当に深刻に感じておられるのか、御所見を承りたいと存じます。
次に、ロシア、ベトナム、ペルーの新規参加の決定について伺います。
ロシアの新規参加にはAPECメンバーの中で慎重論もあったと聞いております。それにもかかわらず、クラスノヤルスクでの日ロ会談後一カ月以内でロシアの参加が実現をいたしました。これは日本が、総理がAPECメンバーと協調しつつ、首脳会議と閣僚会議の議論を積極的にリードされたためと私どもは聞いておりまして、その労を私どもは高く評価いたしたいと思います。
ロシア政府も今回の決定及び日本が果たした役割を高く評価していると承知いたしておりますが、私としては、この決定が今後の日ロ関係を前向きに動かしていくための一つの契機となることを期待しているところでございます。同時に、APECにおいて日米中ロの四極が一層の協力を進め、この地域の安定と繁栄のための枠組みの整備強化に努めていくことが極めて大事であると考えております。
そこで、ロシアがAPECに新しく参加し、アジア太平洋地域においてどのような役割を果たしていくことを望まれておるのか、総理の御見解を伺います。さらに、日米中ロが中心となった地域の多国間安保体制の確立の必要性について総理の御所見と、その実現に向けてのステップをお示しいただきたいと思います。
一方、今回のAPEC会合におきまして向こう十年間の新規参加のモラトリアム、すなわち新規参加は認めない、凍結ということが決定されました。地域の成長と発展や経済的相互依存関係の進展などのAPEC発足の目的は、何よりも地域全体の平和と安定なくして達成できないことは当然であります。
今、朝鮮半島におきましては、四者による本会談の開催も決まって動いております。この動きを側面的にサポートしていくという観点からも、現時点では朝鮮民主主義人民共和国はAPECへの参加を望んではいないとはいえ、将来的にはその加盟をも視野に入れた対応が必要だと思います。十年間の加入の凍結はそのような情勢に対応できない事態が生じかねないと憂えるものでありますが、総理の御見解を承ります。
また、地域の不安定要因になりかねない問題に対しては、紛争を未然に防ぐという予防外交に努めることが極めて重要であると考えます。
クリントン大統領はインドネシアのスハルト大統領との会談の中で東ティモールの問題を取り上げたと言われております。人権外交は何もアメリカの専売特許ではございません。我が国はODA大綱でも人権問題を重視する立場をとっております。かような立場から、東ティモールの問題、ミャンマーの問題について総理もしくは外務大臣に、このバンクーバー会談の中でどのような役割を果たされたのかお尋ねをいたします。
最後に、地球温暖化防止京都会議について伺います。
このAPECの首脳会議において、総理は、地球温暖化防止京都会議の成功に向けたメンバーの協力をアピールされました。その結果、京都会議の成功に向けた支持が表明されるとともに、気候変動には先進国、途上国双方が協調的に努力することが不可欠であることが確認されたと承知しております。温室効果ガス排出削減に全力で取り組んでまいりました私ども会派といたしましては、このAPECでの気候変動問題に関する成果は京都会議の成功に弾みをつけるものと大変期待をいたしております。
我々は、将来の世代から成功だったと評価されるような京都会議にいたしたいと思っております。我々は、政府案には反対でございますけれども、会議を成功させるために総理に協力すべきは協力をいたしたいと思います。京都会議が始まっても各国の意見対立は厳しく、合意までの道のりは遠い状況であります。地球温暖化の影響を考えるとき、この会議の成否は人類の未来を決定すると言っても過言ではありません。
今現地で我が参議院出身の大木環境庁長官に大変な御苦労をいただいておる。総理は八日に演説をされると承っておりますが、結構なことだと思います。しかし、演説をするだけではなくて、調整が厳しい場合には総理みずからが調整を行い、京都会議を成功に導くための努力をする、そういう気概を持ってこの会議の成功をさせなきゃならぬ、そういう決断、勇気を持っておられると思いますが、総理の所信を承って私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/11
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012・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 角田議員にお答えを申し上げます。
まず、アジアの金融及びAPECにおける我が国の役割についてのお尋ねがございました。
今回の会合におきまして、こうした金融不安等の問題を抱えながら首脳レベルで議論をいたしましたものとして、アジア経済の基礎的条件は基本的に良好であること、そしてなお高い潜在成長力を維持していること、それには当然マクロの経済政策とか前提はございます。しかし、そうした共通認識が示され、金融・通貨の安定に向けたアジア域内協力強化のための新フレームワークが支持されました。
こうした成果を踏まえて、私どもはアジア太平洋地域の繁栄と安定を希求しながら、一層効果的にAPECを活用すべく一生懸命に努力をしていきたいと思います。
次に、金融不祥事の続発についてのお尋ねがございました。
銀行、主要証券会社による総会屋への利益供与あるいは損失補てん、特に山一証券における簿外債務の発覚など不祥事が続いたことは本当に残念でありますし、APECの場におきましても私からその状況の説明をするとともに、海外のお客様に対しても御迷惑をかけることのないよう措置しているという説明までいたす状況になりました。今後とも、不正があればこれに厳正に対処することが国際的な信用にこたえていくために重要であることを改めて確認してきた次第であります。
次に、ロシアがAPECに加盟して、そのアジア太平洋地域においてどのような役割を果たすのか。
これは先ほど来申し上げておりますことでありますが、私は本当にAPECにロシアを参加させることができたことを喜んでおります。なぜなら、アジアに大きな関係を有しアジア太平洋国家でもある旧ソ連時代から、ややもするとヨーロッパに向きがちであったロシアの視点というものをアジア太平洋地域に改めてきちんと位置づける、そして建設的なプレーヤーとして行動してくれることを求められる、これは私は、将来に向かって極めて大きなことであり、建設的な役割を果たしてくれることを心から願っております。
同時に、このような動きを通じまして、自然な形で日米中ロという、これらの国々が一堂に会する機会ができた、そして域内諸国との対話、協力が進展させられるそうした場ができた、私はこれは地域の平和と安定のために極めて大きな役割を果たすことになると考えております。
次に、APECの新規参加のメンバーを凍結したことについてお尋ねがございました。
ロシア、ベトナム、ペルーの参加を得まして、明年からAPECのメンバーは二十一となります。これらのメンバーが開かれた地域主義のもとで貿易と投資の自由化、円滑化等を一層推進しいくために一定の期間が内部固めに必要だということは首脳会談の前から論議はされておりました。そして非公式首脳会合の中で十年という期間を限定し、その間に内部固めをきちんと行うという意思を確認したわけであります。既にインドあるいはパキスタン等を初めとして参加を申請しておられる国・地域は相当数ございます。しかし、北朝鮮は現時点においてこれに含まれておりません。
また、東ティモール問題、ミャンマー問題についてお尋ねがありました。
今回のAPECに限定をいたします限り、東ティモールの問題はバンクーバーでは特段の議論はございませんでした。これまでさまざまな機会に、私自身を含め我が国の関心を伝達していることは当然であります。また、ミャンマーにつきましては、日米の外相会談において同国の事態の改善には政府とNLDとの対話が重要であるという点で一致したと報告を受けております。
最後に、地球温暖化防止京都会議における合意形成について全力を尽くせという御激励をいただきました。
現時点におきまして、本日も閣議終了直後、大木環境庁長官は京都に飛び帰っておられます。今後ともに大木長官と御連絡をとりながら、全力を尽くしてこの会議を成功に導くよう努力をいたしますので、委員の御協力をも心からお願いを申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/12
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013・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 吉川春子君。
〔吉川春子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/13
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014・吉川春子
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま御報告のありましたアジア太平洋経済協力会議、すなわちAPECについて質問いたします。
まず、アジア太平洋地域において我が国がとるべき外交姿勢について総理にお伺いします。
アジアでは、ASEAN諸国によって東南アジア非核地帯条約が締結され、非核地帯が拡大しています。また、かつて、米国のベトナム侵略戦争に基地を提供したタイやフィリピンなどからも米軍基地が撤去され、二十三のアジア諸国の中で日本、韓国、中国の三国を除くすべての国が非同盟運動に参加しています。
政府は、アジア諸国のこの流れに逆らい、日米安保再定義、ガイドラインなど日本をアメリカの戦争に自動参戦させる装置をつくり、危険な方向に導こうとしていますが、これはアジアの緊張を、高めこそすれ、平和と経済発展に何ら役立たないものです。マレーシアのマハティール首相も、日米安保条約について、同盟をつくればそれに対抗して準備する国が出て緊張を高めると、その危険性を指摘しているではありませんか。
総理、こうした情勢の中で、日本が日米安保条約をなくし、非核・非同盟中立の日本への転換を図ることこそがアメリカともアジア諸国とも真の友好関係を結び、世界平和に貢献する道ではありませんか。
経済関係でも、日本はアジア諸国の自主的な発展に貢献する経済協力の民主化を図ることが必要です。多国籍企業化した日本の大企業のアジアでの横暴をやめさせ、民主的規制を図り、大企業の経済進出の道具となっているODA政策のゆがみを正し、各国の経済主権を尊重した真の平等互恵の経済協力への転換を図ることが求められているのではありませんか。
ところで、会議は、米国が域内の主要国で唯一経済が好調という条件をフルに生かして、二十一世紀のアジア支配を展望しつつ、貿易と金融における経済覇権の確保を保障するメカニズムを着々と構築していったことが大きな特徴でした。日本はこれに同調したのではありませんか。
そもそもAPECは、一九八九年、発展しつつあったASEAN諸国が国民経済の発展を主にして、同時に先進国との経済・技術協力を推し進めていくための緩やかな協議体として発足し、議決方法も多数決ではなく全会一致方式で合意形成を行ってきました。
しかし、一九九三年、シアトル会議以降、アメリカの強力なイニシアチブで、多国籍企業の要求である貿易・投資の自由化を推進するための国際機構に変質させられてきました。例えば、九〇年と九五年の貿易量の変化が米国から東アジアへは二倍になっているのに対し、東アジアから米国へは一・六倍にすぎません。昨年のAPECマニラ会議で採択された経済枠組みに関する閣僚宣言も、先進国が貿易の自由化だけをAPECに求めるならば、それは新植民地主義だと指摘しております。
今アジア地域は、アメリカが押しつけた早期自由化のもたらす経済のゆがみに苦しんでいます。アジア諸国での発展の度合い、国情などを無視して半ば強制的に貿易・投資の自由化を迫り、押しつけた結果、多くの国が日本と同様、バブル崩壊、経済金融危機に直面しているのが実態ではないですか。総理、いかがお考えですか。
同時に、第一勧銀総合研究所によると、我が国の金融機関のアジア諸国に対する融資が急増しており、融資額はタイ、韓国などでは先進国中最大のシェアを占めています。これは日本国内より利ざやを稼げることをねらって融資競争を行ってきた結果です。このような放漫な海外融資がタイなどのバブルを引き起こした原因とまで言われています。こういう事態について政府はどう考えているのですか。
マレーシアは、通貨取引者の登録制、通貨売買情報の公表、通貨取引者への銀行貸し出しの上限設定などを提起していますが、我が国も為替投機について国際的に規制するなど、問題提起を行うべきではありませんか。
経済危機に陥った国に対する援助の方法として、ASEANは当初、アジア通貨基金構想を提唱していました。ところがアメリカは、アジア独自の通貨安定機関はIMF中心の国際金融秩序を揺るがしかねないとして反対、その結果、首脳宣言では、IMFの役割が依然中心的なものであるとして、アジアにおける金融問題はこれまでどおりアメリカ主導で、各国には補完的資金を拠出させる体制を確認しました。最初はアジア通貨基金構想に同調していた日本が、IMF主導のアジア新融資枠組みで合意した理由はなぜですか、明らかにしていただきたいと思います。
アジアの通貨危機に対して、アメリカが主導権を握るIMFの協調融資となると厳しい条件が求められ、それがアジア諸国の自主的な発展を損ない、当該国の国民生活の犠牲を強いることになるのではありませんか。
さらに、このAPECが日本の産業に与える深刻な影響について伺います。
日本はAPECの閣僚声明で、九分野について自由化の前倒しの約束をしました。特に、農林水産物、玩具などの国内産業は、不況の中、死活問題になるのは明白です。政府が拒否どころか自由化前倒しを約束したのはなぜですか。また、今後関係業界にどんな救済策を行うのか、明らかにしてください。
米政府は、規制緩和、競争政策に関する日米次官級会議で、日本に対して大規模小売店法の完全廃止を求めました。全国各商店街はシャッター通りなどと呼ばれるように次々と小売店がつぶされ、その結果、地域社会も崩壊の危機にさらされています。先日、大型店の影響で生存を脅かされている中小小売店で組織する十八の業界団体が、絶対反対の意思を明らかにいたしました。このような弱肉強食の規制緩和を総理はよもやアメリカの要求どおり受け入れるなどということはないとは思いますが、二国間会議でどのように御返事をされてきたのか、明確にお答えいただきたいと思います。
さらに、二国間協議でクリントン大統領に金融システム改善についてまで要請されたと報じられています。政府は金融システム維持のためと称して公的支援を行おうとしていますが、アメリカの要請によってビッグバンをしゃにむに進め、日本国民に塗炭の苦しみを与えることは断じて容認できません。最後にこのことを指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/14
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015・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 吉川議員にお答えを申し上げます。
まず第一点は、日本の非同盟化についてのお尋ねがございました。しかし、冷戦後の国際社会に依然不安定要因が存在する中で、日米安保体制は我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定にとって重要な役割を果たしており、我が国は今後とも日米安保体制の堅持、節度ある防衛力の整備、我が国を取り巻く国際環境の安定確保のための外交努力を安全保障政策の基本として堅持してまいります。
次に、大企業及びODAについて御論議がございました。
貿易・投資の自由化は、途上国における雇用の創出、より豊かな生活の実現につながり、アジア等への我が国企業の節度ある展開を政府が規制する立場にはないと考えます。また、我が国は途上国自身が主体性ある開発に取り組むことを重視しており、こうした自助努力に対する我が国の援助は援助を受けておられる国の官民から高い評価も得ております。
次に、先般のAPECに関する議論について、さまざまな角度から御論議がございました。
我が国は、貿易・投資の自由化、円滑化と金融・通貨の安定は、世界経済全体の持続的発展に資するのみならず、途上国の潜在成長力を実現するかぎであると考えております。また、APECにおける自由化、円滑化については、メンバーの異なる経済発展段階や多様な状況を考慮しながら進められるものと考えております。
早期自由化とアジア経済についても御意見をいただきました。
早期自由化作業は自主性の原則のもとで行われることと了解しておりまして、メンバー間の異なる経済発展段階や多様な状況を考慮しながら進められるものと考えます。
また、アジア諸国のバブル等の原因としては、高成長の続く中、海外からの大量の流入資本の一部が生産的でない用途に使われた国もあったことなどが挙げられております。
我が国金融機関のアジア向け融資とアジア経済についても御意見をいただきました。
日本とアジア経済の深いかかわり合いの中で、我が国金融機関のアジア向け与信残高は高くなっています。一方、アジア諸国のバブルは、高成長が続く中で、今申し上げましたように、海外からの大量の流入資本の一部が生産的でない用途に使われた国もあったことなどが挙げられます。
しかしながら、我が国金融機関のアジア向け債権については、各金融機関とも為替リスクや信用リスクに配慮した経営を行っているものと聞いておりますが、いずれにいたしましても、アジア各国の経済動向や為替相場の変動について今後とも注意深く注視してまいります。
通貨投機の規制についてのお尋ねがございました。
資本の自由な移動は世界経済の発展の基礎でありますし、また、通貨取引の実効性ある規制も容易ではないと思います。一方、私の方からは、資本移動に伴う為替リスクの状況を適切にモニターするメカニズムの検討が必要ではないか、そう考えており、APEC首脳会議におきましてもその旨を発言したところであります。
また、アジアの通貨安定のための取り組みについてもお尋ねをいただきました。
先月マニラで合意されました新たなフレームワークは、アジア諸国が協力してIMFの支援を補完する枠組みを用意するとともに、域内のサーベイランスの強化等を図っていくこととなっております。このように、このフレームはIMFの機能を補完、強化することであることを含めまして、いわゆるアジア通貨基金構想と軌を一にするものでありますし、これがアジアの持続的成長、ひいては世界経済に貢献することと確信をしております。
次に、IMFによる支援についてのお尋ねがございました。
IMFによる支援は、その支援を受ける国の健全なマクロ政策や構造改革等を通じた自主的な発展を促すものでありまして、被支援国の国民生活の向上につながるものと考えております。
次に、早期自主的分野別自由化についてお尋ねがございました。
これにつきましては、メンバーから高い支持が得られ、貿易や経済成長等に与える好ましい影響を考慮し、九つの分野を特定いたしました。明年六月の貿易担当大臣会合に向け引き続き具体的作業が行われることとなっておりますが、さらなる自由化が困難な分野については、ウルグアイ・ラウンド合意を堅持しながら、自主性の原則のもとで円滑化措置、経済・技術協力措置等、可能な対応を検討してまいります。
大規模小売店舗法についての御質問もございました。
この見直しにつきましては、現在、産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同会議で審議を行っております。米国だけではなく、国内、国外の幅広い意見を考慮しながら、政府としてはあくまでも消費者利便の最大化と我が国流通業の健全な発展が図られるよう検討していこうと考えております。
最後に、米国の要請によって公的支援を行うのかというお尋ねがございましたが、御指摘のような米国の意思表明につきましては、私からクリントン大統領に対し、我々の問題として取り組んでいる旨を伝えております。金融システムの安定に関しましては、預金者保護を目的として、公的支援を含め、今後具体案を早急に得て、強い決意を持って取り組んでまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/15
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016・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/16
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017・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第二 工場立地法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。商工委員長吉村剛太郎君。
—————————————
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔吉村剛太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/17
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018・吉村剛太郎
○吉村剛太郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、工場立地において周辺地域の生活環境との調和を促進するため、一定の規模以上の工場の新設届け出及び工場敷地に占める緑地面積の割合の設定等の権限を地方公共団体に移譲しょうとするものであります。
委員会におきましては、緑地面積率の下限を緩和する根拠、工業集合地の特例における費用負担のあり方、工場による環境汚染に対する対応状況等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して山下委員より反対する旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して五項目の附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/18
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019・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/19
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020・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/20
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021・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第三 持株会社の設立等の禁止の解除に伴う金融関係法律の整備等に関する法律案
日程第四 銀行持株会社の創設のための銀行等に係る合併手続の特例等に関する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長石川弘君。
—————————————
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔石川弘君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/21
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022・石川弘
○石川弘君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、持株会社の設立等の禁止の解除に伴う金融関係法律の整備等に関する法律案は、持ち株会社の設立等の禁止の解除に伴い、銀行業、保険業または証券業を営む者を子会社とする持ち株会社について、銀行等の経営の健全性の確保、投資者保護等の観点から必要となる監督上の措置を講ずる必要性があること等にかんがみ、銀行法、保険業法、証券取引法その他の関係法律について所要の規定の整備を図ろうとするものであります。
次に、銀行持株会社の創設のための銀行等に係る合併手続の特例等に関する法律案は、銀行持ち株会社が金融業務の効率的な運営に資するものであることにかんがみ、銀行等による銀行持ち株会社の創設を円滑にするための措置として、銀行等の合併手続の特例その他の所要の措置を講ずることにより、金融制度の安定及びその利用者の利便の向上を図ろうとするものであります。
委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、金融持ち株会社グループの連結ベースでのディスクロージャーの充実、金融持ち株会社設立時及び設立後の税負担のあり方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して笠井亮委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
討論を終了し、採決の結果、両法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、両法律案に対し、附帯決議が付されております。
以上、御報告いたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/22
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023・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/23
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024・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 過半数と認めます。
よって、両案は可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/24
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025・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) この際、お諮りいたします。
国会法の一部を改正する法律案(中曽根弘文君外七名発議)は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/25
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026・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
よって、本案を議題といたします。
まず、発議者の趣旨説明を求めます。中曽根弘文君。
—————————————
〔議案は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔中曽根弘文君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/26
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027・中曽根弘文
○中曽根弘文君 ただいま議題となりました国会法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
本法律案は、参議院の第一種常任委員会、すなわち内閣委員会から建設委員会までの十三の委員会を基本政策別の十二の委員会に再編するとともに、参議院に新たに行政監視委員会を設置しようとするものでございます。
本院におきましては、かねてから二院制下における参議院のあり方に関する諸問題とその改善策について検討を進めてまいりましたところ、昨年十二月、斎藤議長の諮問機関である参議院制度改革検討会から、委員会審査及び調査の充実外四件について報告がなされましたが、そのうち委員会再編の問題につきましては、さらに各会派代表者懇談会のもとに設けられた作業小委員会において検討が進められ、本年六月に答申がなされました。
また、同じく本年六月、時代の変化に対応した行政の監査のあり方について、約二年間にわたり調査を重ねてきた行財政機構及び行政監察に関する調査会から、行政監視等のための機関の設置についての提案を含む中間報告がなされました。
本法律案は、この両報告を踏まえ、協議の結果、成案を得、自由民主党、平成会、民主党・新緑風会、社会民主党・護憲連合の賛同のもとに提出いたしたものでございます。
以下、その内容を御説明申し上げます。
まず、第一種常任委員会の再編について申し上げます。
今日、国民のニーズは一層多様化し、国会は複数の省庁間を横断した政策要求、あるいは省庁間のすき間に存在する問題を国民の生活実態に即して取り上げ、広い視野から審議を行うことが強く求められております。
とりわけ参議院においては、衆議院とは切り口の異なる特色ある審議を行うため、審議の中心である委員会の組織を見直す必要があるとの認識から、事実上、衆議院とほぼ同様の編成となっている第一種常任委員会を、外交・防衛、文教・科学、国土・環境のような十二の基本政策別の委員会に再編するものでございます。
なお、新たに設置する常任委員会の所管には、現在常設的に設置されている特別委員会の目的の大部分を取り込むことといたしております。
次に、行政監視委員会の新設について申し上げます。
この委員会は、参議院に期待される行政監視機能を向上させるため、オンブズマン的機能を備えた行政監視のための委員会を、予算、決算、議院運営、懲罰の各委員会と並ぶ第二種常任委員会として参議院に設置するものでございます。
具体的には、委員会みずからが積極的に国政調査権を活用するとともに、調査に当たっては、総務庁が行う行政監察等をも活用することとしております。また、行政運営の不適切、怠慢などによって生じる苦情を内容とする請願を手がかりとして調査を行うとともに、これらの請願の有効な処理を行うことといたしております。
なお、附則において、本改正は次の常会の召集の日から施行することといたしております。
以上が本法律案の趣旨及びその内容でございます。
何とぞ御賛同くださるようお願い申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/27
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028・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/28
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029・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00919971205/29
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