1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
平成十年四月十七日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 村上誠一郎君
理事 井奥 貞雄君 理事 衛藤征士郎君
理事 坂井 隆憲君 理事 浜田 靖一君
理事 池田 元久君 理事 北橋 健治君
理事 石井 啓一君 理事 谷口 隆義君
石崎 岳君 今村 雅弘君
岩永 峯一君 大石 秀政君
鴨下 一郎君 河井 克行君
桜田 義孝君 杉浦 正健君
砂田 圭佑君 根本 匠君
宮路 和明君 村井 仁君
吉田六左エ門君 渡辺 具能君
渡辺 博道君 渡辺 喜美君
上田 清司君 北脇 保之君
末松 義規君 中川 正春君
日野 市朗君 藤田 幸久君
赤松 正雄君 河合 正智君
並木 正芳君 小池百合子君
鈴木 淑夫君 西 博義君
西田 猛君 三沢 淳君
佐々木憲昭君 佐々木陸海君
濱田 健一君
委員外の出席者
参 考 人
(日本証券業協
会会長代行・副
会長) 加藤 精一君
(岡三証券会長)
参 考 人
(全国銀行協会
連合会会長) 岸 曉君
参 考 人
(日本経営者団
体連盟常任理
事)
(株式会社ベン
カン代表取締役
社長) 中西 真彦君
参 考 人
(社団法人生命
保険協会会長) 藤田 讓君
大蔵委員会専門
員 藤井 保憲君
—————————————
委員の異動
四月十七日
辞任 補欠選任
中野 正志君 石崎 岳君
小池百合子君 西 博義君
同日
辞任 補欠選任
石崎 岳君 中野 正志君
西 博義君 三沢 淳君
同日
辞任 補欠選任
三沢 淳君 小池百合子君
—————————————
四月十六日
所得税減税、中小業者への国民金融公庫の返済
条件緩和に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(
第一四七〇号)
同(佐々木陸海君紹介)(第一四七一号)
同(中林よし子君紹介)(第一四七二号)
同(春名直章君紹介)(第一四七三号)
同(東中光雄君紹介)(第一四七四号)
同(平賀高成君紹介)(第一四七五号)
同(藤木洋子君紹介)(第一四七六号)
同(藤田スミ君紹介)(第一四七七号)
同(古堅実吉君紹介)(第一四七八号)
同(矢島恒夫君紹介)(第一四七九号)
同(山原健二郎君紹介)(第一四八〇号)
同(志位和夫君紹介)(第一五五一号)
消費税の減税に関する請願(佐々木憲昭君紹介
)(第一四八一号)
同(石井郁子君紹介)(第一五五二号)
同(大森猛君紹介)(第一五五三号)
同(金子満広君紹介)(第一五五四号)
同(木島日出夫君紹介)(第一五五五号)
同(穀田恵二君紹介)(第一五五六号)
同(児玉健次君紹介)(第一五五七号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第一五五八号)
同(佐々木陸海君紹介)(第一五五九号)
同(志位和夫君紹介)(第一五六〇号)
同(瀬古由起子君紹介)(第一五六一号)
同(辻第一君紹介)(第一五六二号)
同(寺前巖君紹介)(第一五六三号)
同(中林よし子君紹介)(第一五六四号)
同(春名直章君紹介)(第一五六五号)
同(東中光雄君紹介)(第一五六六号)
同(平賀高成君紹介)(第一五六七号)
同(藤木洋子君紹介)(第一五六八号)
同(藤田スミ君紹介)(第一五六九号)
同(古堅実吉君紹介)(第一五七〇号)
同(不破哲三君紹介)(第一五七一号)
同(松本善明君紹介)(第一五七二号)
同(矢島恒夫君紹介)(第一五七三号)
同(山原健二郎君紹介)(第一五七四号)
同(吉井英勝君紹介)(第一五七五号)
たばこ特別税の創設反対に関する請願(北橋健
治君紹介)(第一四八二号)
同(北村哲男君紹介)(第一四八三号)
同(末松義規君紹介)(第一四八四号)
同(家西悟君紹介)(第一五二四号)
同(葉山峻君紹介)(第一五二五号)
同(細川律夫君紹介)(第一五二六号)
同(池田元久君紹介)(第一五七七号)
同(小沢鋭仁君紹介)(第一五七八号)
同(前原誠司君紹介)(第一五七九号)
同(松本惟子君紹介)(第一五八〇号)
食料品の消費税非課税即時実施、消費税廃止に
関する請願(中路雅弘君紹介)(第一五四九号
)
同(中島武敏君紹介)(第一五五〇号)
消費税廃止、国民金融公庫の中小業者への融資
拡充に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一
五七六号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
金融システム改革のための関係法律の整備等に
関する法律案(内閣提出第八六号)
特定目的会社による特定資産の流動化に関する
法律案(内閣提出第八七号)
特定目的会社による特定資産の流動化に関する
法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法
律案(内閣提出第八八号)
金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関
する法律案(内閣提出第八九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/0
-
001・村上誠一郎
○村上委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律案の各案を議題といたします。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
各案審査のため、本日、参考人として日本証券業協会会長代行・副会長加藤精一君、全国銀行協会連合会会長岸曉君、日本経営者団体連盟常任理事中西真彦君及び社団法人生命保険協会会長藤田譲君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/1
-
002・村上誠一郎
○村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/2
-
003・村上誠一郎
○村上委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、加藤参考人、岸参考人、中西参考人、藤田参考人の順序で、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと思います。
なお、御発言は着席のままお願いいたします。
それでは、まず加藤参考人からお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/3
-
004・加藤精一
○加藤参考人 日本証券業協会の会長代行を務めております岡三証券の加藤でございます。よろしくお願いします。
大蔵委員会の諸先生方には、日ごろから、証券市場、証券界に対して御理解、御支援をいただいておりまして、厚く御礼を申し上げます。特に、長年の懸案でございました有価証券取引税及び取引所税の半減を盛り込んだ租税特別措置法等の一部を改正する法律案が今国会で成立をいたしまして、今月から施行されておりますことを深く感謝申し上げる次第でございます。
また、最近の一部の証券会社の不祥事や経営破綻の問題に関し、先生方を初め各方面に御迷惑、御心配をおかけしている点につきまして、この場をかりまして、心からおわびを申し上げます。
本日は、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案の審議に当たりまして、意見を申し述べる機会を与えていただきましたことを大変ありがたく存じております。
私からは、今回の金融システム改革のうち、特に証券市場改革につきまして意見を申し述べたいと存じますが、その前に、若干、最近の証券市場の状況につきまして触れさせていただきたいと思っております。
ことしに入ってからの我が国株式市場の動きにつきましては、年初から急反落をいたしておりまして、一月半ばには、日経平均が一万四千円台とバブル崩壊後の三番底をつける場面もありました。この背景といたしましては、アジアの通貨、株価の下落に歯どめがかからず、我が国経済への悪影響が懸念をされ、需給面でも外国人の売り越し基調が続いたことが響いていると見ております。
この流れを変えましたのは、土地再評価や自社株取得規制の緩和などを含めた金融システム安定化策及び景気対策であり、三月二日には、年初来の高値である一万七千二百六十四円まで戻しました。しかし、その後は、企業業績予想の下方修正もありましたけれども、追加的な総合経済対策にもかかわらず、方向感がつかめないままで、日経平均は、昨日再び一万六千円を割り込む展開となっております。円安、株安といういわば日本売りの様相を示しておりまして、市場のセンチメントは弱気に傾いていると言わざるを得ないと思います。
一方、公社債市場はおおむね堅調に推移しておりまして、国債指標銘柄である百八十二回国債の利回りは、一月に記録した過去最低の一・五六五%を三月に入るとさらに下回りまして、一・四七%をつけました。これは、記録的な発行水準が続いているにもかかわらず、普通社債の募集が順調に推移したこと、また、様子見気分の中で機関投資家の小口の買いが相場を押し上げたと見ております。
投資信託市場につきましては、今月十三日に発表されました三月末の投資信託の純資産残高を見ますと、二月末に比べまして二兆三千百億円、約六%でございますが、減少いたしておりまして、三十八兆四千七百億円とバブル崩壊後の最低となっております。これは、株式投信の長期低迷に加えて、国内法人による公社債投信の大量解約が大きく響いているものと思われます。
アメリカの投資信託の純資産残高が現在約五兆ドル、約六百五十兆円でございまして、この我が国の投資信託市場の低迷とは対照的でございます。投資信託は、ビッグバンの有望商品とされておりますけれども、依然として、現状は、投資家の投資信託離れは続いているように思われるわけであります。
以上、最近の証券市場の動向につきまして簡単に御報告させていただきましたけれども、これらの状況を踏まえ、金融システム改革法案に関する意見を申し述べさせていただきたいと思います。
日本版ビッグバンの背景には、ニューヨーク、ロンドンなど、世界的な市場間競争に対する危機感もあろうと思います。しかし、それ以上に、経済の成熟化、社会の高齢化に伴いまして、資産運用面では、千二百兆円に達する個人金融資産のより効率的な運用手段の提供、資金調達面では、これからの日本経済をリードするベンチャー企業などへの資金供給の円滑化が必要となっております。金融・証券市場の総合的改革が時代の要請になっているのだと認識している次第でございます。
次に、今回提案されております金融システム改革法案につきましては、特に重要なポイントとして、次の四点について申し述べさせていただきたいと思います。
第一に、改正案では、資産運用手段の充実を図ることに非常にアクセントが置かれていることであります。
証券投資信託の制度について全般的な見直しが行われ、従来からの感案であった会社型投信が導入をされました。また、私募投信も盛り込まれておるわけであります。また、投資信託につきましては、商品設定の自由化だけではなくて、その販売チャンネルを広げるべく金融機関にも販売が解禁されることになっております。
さらに、有価証券店頭デリバティブも全面的に解禁されることになっておりまして、これらの措置によりまして、ますます多様化していく投資家のニーズにこたえ、投資家がより有利な資産運用を選択できるようになるものと存じております。
第二に、仲介機能の向上等の観点から、証券会社の参入について、従来の免許制を改め、登録制に移行することとされているところでございます。
また、銀行の証券子会社につきましては、現在業務範囲が制限されておりますが、一九九九年度下期中には完全撤廃されることになっており、証券業務における競争は一層激しくなると思っておるわけであります。証券会社の業務範囲につきましても、市場の利便性、質の高いサービスを提供する観点から、思い切った多角化が図られることになっております。
我が国の証券会社は、これまで証券業に専念しなければならないことになっておりましたが、この専業義務が撤廃をされて、広範な業務に進出することが可能とされております。特に、証券会社の資産運用サービスを充実させるため、投資顧問業の兼業を認めることとし、また、アメリカなどで行われておりますラップ口座の導入も可能とされております。また、資産運用能力を強化するため、投資信託委託会社や投資顧問会社が、みずからの運用のほか、より専門的な運用を外部に委託することも認められていると伺っております。
このような措置は、各証券会社が自社の顧客ニーズに合った個性的な経営を進めていく上でぜひとも必要なものであると存じております。証券界といたしましては、選択の幅が拡大した中で、個々の証券会社の経営にそれをどう結びつけていくかが重要な課題であると思っております。
第三に、証券市場の取引システムの多様化についての措置が盛り込まれていることでございます。
我が国の証券市場は、従来、証券取引所への市場集中義務が厳格に適用されておりましたけれども、今回、アメリカ、イギリスなど欧米諸国と同様に上場株式の市場外取引を認めることとされております。また、アメリカで定着しておりますいわゆるPTS、私設取引システムにつきましても証券業務として認知され、その開設や運営を認可制とするという考え方がとられております。
さらに、日本証券業協会が運営しております店頭登録市場につきましては、従来の取引所市場を補完する市場という立場から、取引所市場と並列する市場としての位置づけをされることとなっておりまして、本協会といたしましても、金融システム改革法案の趣旨を踏まえ、店頭登録市場がマーケットメーク機能を中心とした市場として発展していくよう努力してまいる所存でございます。
第四に、証券会社の健全性、投資家保護に関する措置についてであります。
今回の法案が成立いたしますと、証券会社の業務の多角化が認められることになるわけでございますが、これにあわせて、投資家がどの証券会社を選ぶかの判断材料にされるという考え方に基づきまして、証券会社の業務や財務状況の開示がこれまで以上に重視されるのではないかと思っております。また、万一、証券会社に経営破綻が発生した場合に備えて、証券会社に対する分別管理の強化や投資者保護を拡充するため、投資者保護基金の設立が盛り込まれております。
私といたしましては、このような措置が法的に確立されることにより、金融・証券市場への信頼確保が一層進むものと存じております。
ただいま申し上げました項目以外にも、今回の金融システム改革法案には、私ども証券会社が日本版ビッグバンに対応していく上で欠くことのできない措置が多数盛り込まれております。
私は、この日本版ビッグバンは、これから始まるのではなく、既にスタートしてどんどん走り出していると認識しております。例えば、抜本的に改正されました外国為替管理法は本年四月から施行され、グローバルな資金移動、国際的な資金調達、外貨の国内における活用が可能となっております。
また、株式委託手数料につきましては、一九九九年末までに完全自由化を実施することが決定されておりますが、取引金額五千万円超に係る部分の自由化はこの四月から既に実施をされておりますし、店頭登録株式に係る株式売買委託手数料もこの四月から完全に自由化されているわけであります。
このような中で、我が国の証券市場を取り巻く環境は長期にわたり極めて厳しいものになっております。証券会社のこの三月期決算も、多くの国内証券会社が赤字決算となるものと見られ、日本版ビッグバンを遂行するに当たりまして、まさにアデンストの風が吹いている状況であります。
しかし、このたびの改革は、二十一世紀の金融・証券市場の構築に向け避けて通ることはできないものであります。証券市場が真に国民共有の財産として、効率的に、かつ健全に機能するようにすることは、証券界だけの問題ではなく、今後の経済運営における喫緊の課題であると存じております。
ところで、グローバルに通用する証券市場を育て上げてこの改革を成功させるには、その基盤になります個人投資家のすそ野を広げることも非常に重要だと思っております。このためには、グローバルな視点と同時に、むしろリージョナルな観点が重要になってくるのだと申し上げたいと思っております。
証券市場が世界の中で競争力のある市場になり、一部のグローバルに展開する大手企業が世界の中でやはり大きな競争力を持つことは大変重要なことでありますが、しかし、個人投資家を市場に呼び込むのは、むしろ草の根的であり、地域に密着した証券営業が求められていると考えております。そのためにも、従来にも増して細やかな証券会社の活動が必要であり、皆様にもそうした視点からの御配慮をより一層お願いしたいと考えておるわけであります。
私ども証券界にとりまして、今回の金融システム改革を乗り切ることは決してたやすいものではございませんけれども、今後とも、経営の健全性の確保、効率性の向上に一層配慮いたしまして、証券市場の仲介者として、投資者の信頼を高めるよう努力をしてまいる所存でございます。
諸先生方におかれましても、証券市場の今後の発展のため、一層の御支援を賜りたいと存じます。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/4
-
005・村上誠一郎
○村上委員長 どうもありがとうございました。
次に、岸参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/5
-
006・岸曉
○岸参考人 ただいま委員長から御指名をちょうだいいたしました岸でございます。
本日は、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案など金融システム改革関連四法案の御審議に際しまして、私どもの意見を述べさせていただく機会をいただき、心より感謝を申し上げます。諸先生方の御期待にどの程度おこたえできるか甚だ心もとないところでございますが、よろしく御指導くださいますようお願いを申し上げます。
さて、この金融システム改革関連四法案は、これまでに金融制度調査会や証券取引審議会といった各審議会が、我が国金融市場の抜本的改革の方向性につきましてさまざまな角度から御議論をいただいた結果を具体化する内容となっております。
銀行法の改正を例にとって申し上げますと、金融制度調査会の金融機能活性化委員会におきまして、平成七年八月の委員会設置から平成九年六月の答申取りまとめまでのほぼ二年間の間に合計二十四回にわたって議論が行われました。さらに、その議論は都度、金融制度調査会の総会に報告され、その場でも御審議をいただきました。
そうした長期にわたる議論を経て昨年六月に発表された審議会の答申には、学者、評論家の先生方はもちろん、経済界、労働界、主婦、マスコミなど、各界を代表された委員の先生方の御意見が集約されております。その答申の中で、「利用者の選好が的確に反映される、公正で、効率的、かつ国際的な標準に整合的な市場が形成されること」が重要であるという形で、我が国金融市場の改革の姿を描いているのであります。
金融機関の利用者の皆様には、一つの金融機関に行けば金融に関する用事をすべて満たすことができるというワンストップ、バンキングに対するニーズが非常に強いように感じております。この点に関しましては、御審議いただいております四法案のうち、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案、いわゆる金融システム改革法案を成立させていただきますと、銀行の窓口で投資信託という形で証券運用商品を購入していただけるなど、預金以外の商品をお選びいただくことができるようになり、利用者の皆様の御要望にかなりの程度おこたえできるものと考えております。
もちろん、銀行の窓口で元本保証のない預金以外の商品を販売することに関しましては、利用者保護の観点からさまざまな御指摘があることは承知をいたしております。しかし、銀行は既に外貨預金や商品ファンドなどのように元本割れの可能性がある商品を取り扱っておりまして、そうした商品を提供する際にはお客様が誤解されないよう説明するなどの経験を積んでおりますので、利用者保護に関しましては必要な対応を講じることができるものと考えております。
また、今回の金融システム改革法案には、さまざまな規制緩和措置と同時に、非預金商品に関する説明義務のほかディスクロージャーの充実、銀行経営の健全性確保に関する規制など、利用者の皆様に安心して金融取引を行っていただくための規定も手当てされております。
例えば、銀行のディスクロージャーにつきましては、現行の銀行法では罰則のない訓示規定となっておりますが、改正法案では罰則が設けられております。また、独占禁止法を改正していただき、さらに持ち株会社の設立解禁に伴う金融関係法律整備法を制定していただいたことなどから、グループ形態による業務展開を予想して、グループ経営の視点から銀行の健全性を確保する規定も盛り込まれております。
なお、このような規制の遵守方法は、従来のような監督当局の事前指導ではなく事後的なチェックによって行うという制度になりました。
このように今回の金融システム改革法案は、これまでどちらかといえば金融機関の立場からつくられていた金融制度に関する法律の枠組みを、利用者の立場に立ってつくりかえようというものであります。すなわち、制度改革の趣旨は、利用者の皆様と金融機関との関係の公平性を担保するとともに、金融機関に対して経営の透明性を高めることを求めるというものであります。
なお、この金融システム改革法案を成立させていただくことによって我が国の金融制度改革が終了するというわけではありません。利用者の方々の利便性をさらに高めるためには、例えば、証券子会社の健全性や公正競争の確保を目的としたもの以外のファイアウォール規制を撤廃するといった措置を講じていただく必要があると考えます。
米国では、一昨年の十月に続いて昨年の十月にもFRBがファイアウォール規制の緩和を実施し、証券子会社の健全性やアームズ・レングス・ルールが確保されれば十分であるという考え方に立って、大半の規制を廃止ないし緩和いたしました。
我が国では、現在、親銀行が証券子会社に代行して有価証券の募集、売り出し、売買の媒介といった行為をすること、すなわちクロスマーケティングが禁止されておりますが、この規制は利用者の皆様の利便性を損なっているとも考えられます。その他のファイアウォール規制につきましても、利便性向上の観点から見直していただきたいと存じます。
次に、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律案並びに特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律の施行に伴う関係法律案、いわゆるSPC関連法案に関して申し上げます。
企業の資金調達の多様化、投資家への魅力ある投資商品の提供といった観点から債権流動化を進めていく必要がありますことは、金融制度調査会が平成七年五月の答申で指摘をしております。SPC関連法案は、債権流動化の手法の一つであります特定目的会社を利用した方式の使い勝手を高め、投資家の皆様による投資を容易にすることによりまして、債権流動化市場の育成を図るものと理解しております。
国際的に活躍している金融機関は、既にケイマンなどの海外の特別目的会社を利用してSPC方式による債権流動化を手がけております。ちなみに、私ども東京三菱銀行は、こうした方式を利用したグローバルベースのアセットバックトCPの発行残高で、シティバンクに次いで第二位グループにあります。
これまでは制度上の制約から海外の特別目的会社を利用せざるを得なかったわけでありますが、我が国金融機関にはSPC方式を利用して国内における債権流動化市場を育成していく力が既に備わっているように思います。本法を成立させていただくことによって債権流動化がこれまで以上に活発になりますと、金融機関にとりましては、リスクアセットを削減することができ、融資対応力を高めることができると存じます。
欧米の金融機関の自己資本比率が高い一因といたしましては、債権流動化の活用によってリスクアセットをコントロールしているということがありますが、SPC関連法案を成立させていただきますと、我が国金融機関にもそうした選択肢が与えられることになるわけであります。
ところで、欧米では、御高承のとおり大型合併が相次いでおります。昨年末にはスイス・ユニオン銀行とスイス銀行の合併発表がありました。世界最大の資産運用会社の誕生ということで、私ども金融界に身を置く者といたしましては、大変なビッグニュースであったわけであります。ところが、先週初めからわずか二週間の間に、米国でシティコープとトラベラーズ、ネーションズバンクとバンカメリカ、バンク・ワンとファース十・シカゴの合併が相次いで発表され、昨年末以上の驚きを感じることとなりました。このうち、シティコープとトラベラーズの合併は、銀行、証券、保険のサービスを幅広く提供する金融コングロマリットが形成されることになります。また、その他二件の合併は、個人の運用資産の獲得のために規模の利益を追求するものと報道されております。
欧米金融機関のこのようなダイナミックな動きは、遠からず我が国の金融資産の取り込みを目指してくることになるのではないかと予想されますので、我が国の金融機関にとりましては大変な脅威であります。今月一日に改正外為法が施行され内外資本移動が自由化されたことによりまして、国内で魅力的な金融商品を提供することができなければ、我が国の個人貯蓄がそうした欧米の金融機関に流出してしまうことが懸念されます。
格付機関のムーディーズは、今月一日に、我が国の外貨建て長期債務のカントリーシーリングを安定的からネガティブに変更いたしました。その際の発表資料を見ますと、見通し変更の理由の一つとして、経済成長と財政収支に関する問題などと並んで指摘されておりますのは、ビッグバンによる金融自由化が始まったことで、ポートフォリオの外貨へのシフトもあり得ることであります。
今回のムーディーズの発表は格付見通しの変更であり、最上級のAaaという我が国の格付自体が引き下げられるものではありません。しかし、我が国の市場に魅力がないということで、外為自由化に伴う資産の海外流出が進み、万一我が国の金融市場が空洞化する事態に陥るようであれば、我が国の格付に実際に影響を与えかねない状況にあります。
こうした事態を避けるためには、我が国金融市場を利用者の視点に立って抜本的に改革し、欧米の国際金融市場と競争できる市場としていただくことが不可欠であります。その場合、欧米の一流金融機関が我が国に本格的に進出することとなりましょうが、それらと我が国金融機関が切磋琢磨して新しい商品やサービスの提供に創意工夫を発揮することによって、利用者の皆様に御満足いただけるとともに、我が国金融市場の活性化も達成することが可能であると存じます。
金融システムが不安定な状態にあるということを理由として金融ビッグバンの実施スケジュールを延期すべきではないかという御意見も耳にいたします。しかし、改革のペースを緩めることは、先ほども申し上げましたように、我が国金融市場の空洞化を招くことになりかねず、国民経済にかえってマイナスの影響を与えかねないと存じます。
いわゆる金融二法を二月に成立させていただきましたことによりまして、金融システムの安定性を維持するための手当ては御用意いただいております。改正外為法の施行によって金融システム改革の扉が既に開いたわけでありますから、国民の皆様の金融資産が海外に流出して我が国金融市場が空洞化することを回避するために金融システム改革関連四法案を早期に成立させ、我が国金融制度の抜本的な改革をぜひ実現していただきたいと考えております。
最後になりますが、重要な法案が数多くある中で金融システム改革関連四法案を御審議いただいておりますことにつきまして、金融界に身を置く者といたしまして心よりお礼を申し上げます。
以上で私の意見陳述とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/6
-
007・村上誠一郎
○村上委員長 どうもありがとうございました。
次に、中西参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/7
-
008・中西真彦
○中西参考人 日経連常任理事をやっておりますベンカン社長の中西でございます。よろしくお願いいたします。
まず冒頭に、村上委員長を初めきょう御出席の委員各位が、我が国金融システムの改革に向けて大変な御努力をされておられることに対しまして、深い敬意を表したいと思います。
この金融システムの改革の課題、いわゆる日本版ビッグバンの遂行は、言うまでもなく、我が国金融・資本市場が国際金融市場での孤立を避けて、日本国民と産業界により魅力的な、一つは資産運用と、一つは資金調達の機会を提供する上で、私は、この問題は避けて通れない課題だときつく認識しております。現にきのう終了しましたG7の共同声明でも、日本が直面する課題はここ数カ月で深刻化しておる、効果的な財政措置と構造改革プログラムの迅速な実施が必要であるということを言っておりますが、我が国の金融システムの改革は、今や先進諸国からも強く促される喫緊性を帯びている課題になってきておると認識しております。
私は、実は昨年末まで三年間、行政改革委員会の参与といたしまして、主として規制緩和小委員会のメンバーとして、十六人いたのですが、いろいろ規制緩和に取り組んでまいったのですが、その集大成は、昨年の十二月十二日に最終意見としてまとめて総理大臣にお出ししたわけでございます。
その委員会の基本的な考え方というのは、これは当然のことですが、申し上げますと、日本の金融システムを効率化し活性化するために、競争制限的規制はすべて撤廃して競争を促進する必要があるということを申しております。また、金融機関の経営行動に直接介入するのではなくて、預金保険制度とか寄託証券補償基金制度、あるいは支払い保証制度など金融機関の経営破綻を円滑に処理する仕組みと、自己資本比率規制などの健全経営規制とを適切に組み合わせることによって、市場監視機能を充実強化すべきであるというようなことを言っておるわけですが、基本的には、先行しました外為法の改革を含めまして、我々行政改革委員会が指摘した考え方に沿うものとして、今回の法改正の出されておる内容は、私は高く評価いたしたいと思います。
それから、内容も、我が委員会の個別指摘事項を一々実現するものにつながっておりまして、ぜひひとつこの速やかな成立、施行を先生方にお願いいたしたいと思います。
さて、この後ですが、皆様、新聞、テレビで報道されておりますように、今、四百万社ある中堅中小企業が大変な倒産を伴う悪戦苦闘の状況にございまして、私もその一中小企業経営者、中堅企業経営者として、今大変ないわゆる貸し渋りの中で苦闘しておる一人でございます。隣におられます岸頭取のところがらは別にそういうものは受けておらない、大変な御支援をいただいておるわけですが、私の取引しておる、名前は申し上げられませんけれども、基金融機関からは、取り立てですね、貸した金を回収しようと。あるいは私どものグループ、十数社ございますが、その子会社はやはり強烈な取り立てに遭っていますね。親会社としては当然これをカバーしなければならないということでございまして、そういった視点に立ちまして、きょうは皆様方にぜひお願いしたい点がございますので、その点を今後ちょっと時間をおとりして申し上げたいと思うのです。
一つは、今度のこの金融改革、ビッグバンは、さっきも申し上げたように、当然やるべきものではありますが、いかにも時期が悪いですね。これは大蔵省に申し上げたいことですが、本当はなぜもう少し早くやらなかったかということです。わかりやすく言ったら、四十度の高熱を出しておる重病人から、取り立てというのは、文字どおり布団を取り立てていくというか、布団をはいでいくというか、そういう状況に重なっておるわけでございまして、その辺の事実認識を、商工会議所で生々しいアンケートをとった例を二、三後で御紹介したいと思います。
それからもう一つは、この金融システム改革の方向性に沿った緊急かつ新しい中小企業金融政策をここで出す必要がある。在来のレジーム、いわゆる政府系金融機関、中小企業金融公庫とか国民金融公庫を通じて貸し出しを財投の金を使ってやるということは、これはこれでやらぬよりやった方がいいと思いますが、私は、一言で評価すれば、太平洋に目薬を差す程度ではないかな。財投の金をああいうふうに使ってやるということは、どうも二つの意味でこれはよろしくない。
一つは、財政構造改革は、釈迦に説法で失礼ですが、やはり財投制度の改革なくしてはあり得ないですね。これは後藤田さんなんかもおっしゃっている。私は、財投制度改革の専門委員として総理から任命されまして、例の資金運用審議会のメンバーとしてこの意見を申し上げたのですが、やはり財投は縮小していくべきでありまして、財投の金を使ってどんどん中小企業の金融の救済をやっていくというのは、これはどうも財政構造改革に基本的に矛盾をするということですね。そういう点を一つ。
じゃ、おまえはどういう案があるんだということでございますが、その現実的な提案をさせていただきたいのでございます。
金融機関にこの間公的資金が導入されました。これはなるほど、非常にそれなりの意味があったわけでございまして、自己資本比率を上げることによって貸し出しを促進しよう、要するにクレジットクランチを幾らかでも和らげようというねらいでやられたのでございますが、どうも実態はそうではないようなことでございます。
日銀の、この四月十五日に出ました最近の企業金融、それも主として中小企業のDI、特に資金繰りDIを申し上げますと、平成九年、昨年の九月、十二月の段階ではマイナス九、一二程度だったのです。これが本年の三月ではマイナス二〇に一気に悪化しています。それから、六月までの予測は、何とこれがマイナス三二という大変な悪い見通しを経営者は持っています。
それから、金融機関の貸し出し態度が緩いか厳しいかというDIですが、これも昨年の九月、十二月はプラス九、マイナス一程度だったのです。それがこの三月は一気にマイナス一九、それから六月の予測は、何とこれがマイナス二九という大変な厳しい見方を企業者はしておる。
かつ金利も、これは上昇から低下を引いた金利水準ですが、昨年の九月はせいぜい、逆に金利はまだよかったのです、下がっていたのですね、マイナス八、十二月はマイナス七。ところが、ことしの三月は一気にプラス一一に上昇、六月までの予測は、多分二二ぐらいに上昇するだろうと。これは、貸し手、借り手の力関係が逆転しまして、いかに厳しい金利の上積みを要請されておるかということの実態でございます。これは私が申し上げておるわけではなく、公表されている最新の日銀のデータでございます。
それと、中小企業の生の声をちょっと言いますが、もう何千社にアンケートをとりまして、数百社から返ってきておりますが、全部言いませんで三つ四つ申し上げたいのですが、一つは、「融資の拒絶・減額」の例です。読み上げます。
新製品拡販用の必要資金二千万円の調達のため、二月に信用保証協会に保証を申し込み五百万円分が認められ、信用保証協会から区内の大手都市銀行に融資を斡旋して貰い待っていたが、三月になって銀行が断ってきた。結局、その保証枠を使い他の金融機関から借り入れられることになったから良いものの、銀行が公的資金の援助を受けながら役割を果たさないことに、怒りを感じる。ということであります。これは建設関連サービス業。
それから、「昨年十二月以降、一部都銀では企業の業績・財務内容に関わらず新規貸出をストップしている。」模様である、これはそう感じられているのでしょうね。それから、「十一月以降、どの金融機関も新規融資には否定的であった。」これはエンジニアリング業。それから、「政府系金融機関の担当者から、政府系であっても、このよ
うな景気下では従前の貸出しは難しいと言われた。」それから、これは都銀、長信銀に対してですが、「昨年五月頃に借入予定の内諾を得ていたにもかかわらず減額され、金利の引上げ等の条件変更を要請された。また、担保の提供を要求された。」以上でございます。
それから「金利の引き上げ」、これは二つほど申し上げます。ことし一月、大幅な金利の引き上げを要請された、昨年十一月に比べ、何と三倍以上になったと言っています。それから、ことし一月、他の金融機関が貸し渋りを始めた途端、レートの引き上げ及び貸し渋りを政府系金融機関も始めた。次、レートが高いと銀行に言うと、他の金融機関で借りたらどうかと一喝され、態度が一変した。こういうことです。
私は、今そういった厳しい状況にあることを先生方によく御認識いただきたいと思います。
それから、ビッグバンの目的は、本来、強い金融機関が日本の産業界へ良質な資金を供給することが、産業の国際的な競争力を確保して、二十一世紀に向けた日本の経済活力を高めることにあるはずでありますが、それがどうやら今の実態は、逆に銀行などの金融機関の生き残りのために日本の経済活力の源である中小企業やベンチャー企業を切り捨てるということになっておって、これでは一体何のためのビッグバンなんだ、本末転倒ではなかろうかという声が大多数の意見でございます。
したがって、私は今後、ビッグバンに向けた具体的な政策の推進に当たっては、金融機関同士の競争の問題にのみ目をとられないで、預金者保護という視点と並んで、金融機関の本来の役目である産業界、企業への資金供給という機能を十分に果たしていくような、まさに金融機関の公的責任というか、社会的責任の自覚を促すことを、国としてぜひその観点から具体的な行政をお進めいただきたいということを御来席の先生方に強くお願い申し上げたいと思います。
あと、私の対策案があるのでございますが、お手元に資料をお配りしてありまして、これについては、あと二時間ほど質疑応答がございますので、もうこのプレゼンテーションの時間もあと二分ほどでございますから、それは後の方に回して、御質問にお答えしたいと思っております。
私は、ざっと言いますと、御案内のように、金融に直接金融と間接金融がございますね。日本は間接金融、いわゆる銀行からの借り入れがもう九十数%ということで、アメリカは直接金融市場が非常に発達しておりまして、日本はその点おくれていますね。
だから私は、中長期的というか、超長期的には、日本もやはり直接金融市場がもう少し、今般のような法改正が行われて、そして税制も、これは税制が大事ですね。税制も大きく改革されて、それがそっちの方に向かっていくことには何ら異議はございませんし大賛成ですが、当面の、これだけ難しい局面に置かれておる——日本の中堅中小企業といいますと、企業数で、もうこれは皆さん御案内でしょうが、九十数%がそうですし、雇用でも八十数%が中堅中小企業なんですね。だから、これが倒れていくということは、たちどころに雇用問題が浮上してきまずから、ここを当面救うには、私は、金融システムの面から一言で言えば、大きな物の考え方としては、当面はやはり間接金融を優先させるのが非常に即効性があって、かつ広がりを持った対応ができるのではなかろうか、こう思っております。
この意見に対しては後ほど必ずいろいろな反間と御意見が出るやに思っておりますが、例えば中小企業に社債を発行させる、当然これは私募債になるのでしょうが、そういったものがあっていいのではないかという御意見もあると思います。私は、悪いとは言いませんし、それはそれで非常にいいと思いますが、これはなかなか広い範囲に即効性を持って効くという、患部が病んでおる今の大変な状況にどうか。私は、今、ここは間接金融に対して何らかの思い切った手を打つべきだ。
それは、さっき冒頭に申し上げたように、在来の政府系金融機関、例えば中小企業金融公庫あたりに財投の金の枠を少々ふやして出すのではなくて、一言で言いますと、民間金融機関に金はある意味ではあり余っているのですね。俗に、千三百兆あると言われていますね、二百兆が三百兆になったわけですが。この金をいかに困っておる中小企業に引っ張り出してくるか、誘導するかという仕組みをやるのが政府の仕事じゃないか。この千二百兆、三百兆の金を中小企業に、貸し渋りをしないで、それが出ていくような、仕組みを考える。
一方で、早期是正措置、自己資本比率の是正というのは、金が出ていかないようにする仕組みですね、ずばり言えば。だけれども、逆に今、出ていくような仕組みを一方で考えないと、これは産業を全部殺してしまう。将来の日本の、十年後のソニーやホンダになるであろう、今無担保の、財務力の非常に弱い中小企業のベンチャーを皆殺してしまうということになると思いますね。ですからこれは、我が国産業界の長期的視点からはぜひとも手を打たなければならぬ問題でございまして、その点はぜひひとつやっていただきたい。
それには、その間接金融を強化するのはどういうことか。一言で言えば、中小企業に貸し出しをする。都銀でも地銀でも信組でも何でもいいのですが、民間金融機関に対して政府が元本保証一〇〇%の信用保証枠をつけるということを私はお願いしたい。これは緊急用ですから、本来はモラルハザードが起きますから、私は七〇ぐらいでいいと思うのですが、やはり今は緊急ですから。
そうすると、どういうことになるかといいますと、各銀行は、この早期是正措置による自己資本比率、BIS基準をにらんで自分のところのリスクアセットを縮小しようとしているのですね。ところが、普通、民間金融機関が一般企業に貸せば、これはリスクウェートが一気に一〇〇%に高まるのです。だけれども、政府保証が一〇〇%ついたものは、リスクウェートは一〇%しかかかりません。そうすると、コール市場に出すのが二〇かかるわけですから、それよりもかからぬわけですから、これは当然民間金融機関は中小企業に金を出すことになるであろう。だから、その水を誘導する仕組みとしては一私は、信用保証協会を通じて政府が十兆ぐらいの金を用意して民間金融機関に信用保証をつけるということが一番の即効性のある道であろう、このように思います。
また細かい点は、後で御質問に対してお答えしたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/8
-
009・村上誠一郎
○村上委員長 どうもありがとうございました。
次に、藤田参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/9
-
010・藤田讓
○藤田参考人 生命保険協会会長の藤田でございます。
最初に、昨年の生命保険会社の破綻等の業界諸対応につきまして賜りました先生方の御心配、御尽力に深く感謝を申し上げたいと思います。この場をおかりして厚く御礼を申し上げます。
本日は、金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律案の御審議に当たり、意見を申し述べる機会をちょうだいいたしまして、心より感謝申し上げます。
初めに、生命保険事業の役割について簡単に申し上げますが、これまで私ども生命保険会社は、遺族の生活保障を初め、老後保障、医療保障、介護保障など多様な生活保障手段というものを提供してきており、これは国民生活の安定と向上に少なからず寄与してきたものと考えております。
一例を申し上げますと、生命保険業界が平成八年度において、死亡、満期等の保険金としてお支払いした金額は九兆六千億円に達し、入院、手術、障害給付金は七千億円に上っております。また、個人年金保険の契約件数は一千四百万件、団体年金保険の受託金額は五十一兆円に達しており、生命保険、年金保険は、生活保障の手段として、国民生活に欠かせないものとなっております。
また、我が国では、急速に到来する少子・高齢化社会に向けて、給付と負担の均衡のとれた社会保障制度の構築が不可欠となっていることから、今後、国民の生活保障に対する自助努力の必要性が高まるとともに、自助努力の中心的手段である生命保険、年金保険の果たすべき役割がますます大きくなるものと認識をしております。
私ども生命保険会社は、今後、従来以上に、利用者ニーズに対応する商品・サービスを開発提供することにより、さらなる役割発揮に努めてまいる所存でございます。
続きまして、生命保険業界の現状について申し上げますと、大きな課題は二つございまして、一つは、生命保険事業の社会的信頼の維持向上であり、もう一つは、新保険業法のもとでの事業運営の定着、推進でございます。
まず、一点目の生命保険事業の社会的信頼の維持向上についてですが、昨今の生命保険業界を取り巻く環境は、景気の停滞、超低金利の継続、株価の低迷など、保険営業、資産運用両面において厳しい状況が続いております。また、昨年四月には、特異なケースであるとは申せ、戦後初めて生命保険会社に対する業務停止命令が発出される事態が生じ、生命保険事業の安定性確保が強く要請されているところであります。
生命保険事業の根本は、御契約者から負託された保険料を安全、有利に運用し、さまざまな生活上のリスクに対する保障を確実に提供することにあり、生命保険事業に対する社会的信頼の維持向上を図るためには、この点をより確かなものとすることが不可欠であります。
そのためには、事業運営の効率化や資産内容の充実を図り強固な経営体質を構築していくとともに、自己資本の充実を図り支払い余力を高めることにより、事業経営の財産的基礎をより一層拡充することが、現在の私ども生命保険会社に強く求められているものと認識しております。同時に、生命保険商品や資産運用方法が多様化、複雑化する中で、リスク管理体制や内部管理体制の一層の充実を図るなど、より適正で透明性の高い事業運営にも努める必要がございます。
生命保険各社は、現在こうした課題に真摯に取り組んでいるところでございまして、こうした地道な取り組みを継続することが生命保険事業全体に対する信頼性の維持向上につながるものと考えております。
二点目の新保険業法のもとでの事業運営の定着、推進についてですが、御承知のとおり、平成八年四月に約半世紀ぶりに保険制度の抜本的な改革を盛り込んだ新保険業法が施行され、将来にわたって揺るぎない生命保険事業を構築していくために、新しい制度のもとでの業務運営がスタートをいたしました。新保険業法は、規制緩和を通じて保険分野の競争促進を目指すものでございまして、早速平成八年十月には、生損保の相互参入等により新たに十三の会社が生命保険事業に参入いたしております。
私ども生命保険会社は、みずからの事業運営にこの新たな制度をしっかりと定着させ、フェアな競争を通じてお互いに切磋琢磨し、創意工夫を凝らして、ますます多様化、高度化するお客様のニーズにおこたえする高品質な商品やサービスの提供、募集チャネルの高度化に努め、また安全かつ効率的な資産運用を行うことなどにより、利用者利益の向上に向けて一層の経営努力をいたしてまいる所存でございます。
また、こうした過程におきまして、生命保険各社独自の経営戦略、経営判断により、いわゆる経営の個別化が従来以上に進むものと考えております。
では、こうした生命保険業界の現状を踏まえまして、今回の金融システム改革のための法整備における保険関係の規定について意見を申し述べさせていただきます。
今回の保険業法改正の中で最も注目されるものは、保険契約者保護機構に関する規定でございます。
先ほども申し上げましたが、昨年四月に生命保険業界において戦後初めて業務停止命令を受ける会社が発生し、御承知のとおり、生命保険協会が保険管理人に選任されることとなりました。
生命保険協会では、現在の保険業法に規定のございます保険契約者保護基金、以下、基金と申し上げさせていただきますが、これは大蔵大臣の指定を受けて生命保険協会が運営しておりまして、この基金による二千億円の資金援助と、破綻保険会社の契約移転を受け入れる新会社の設立を中心とする保険契約の移転計画というものを策定いたしまして、御契約者の意思確認を経て、昨年の十月一日に契約移転を実施いたしました。この移転計画の実施により、破綻保険会社の御契約の継続は確保されたわけでございまして、基金は、導入の目的どおり、保険契約者保護に大いに貢献した次第でございます。
しかし、一方で、基金が救済会社が出現しなければ機能せず、また、基金のもとでは御契約者保護の範囲が明確でなかったことから、移転計画の策定が難航したこともまた事実でございます。
そこで、今回、以前から保険審議会等で御議論をいただいておりました支払い保証制度、法案では保険契約者保護機構という名称になっておりますので、以下、機構と申し上げますが、この機構に係る規定におきましては、こうした基金の制度上の限界が補われたものと理解しております。
具体的には、機構のもとでの契約者保護のための基本スキームは、基金の場合と同様に、救済会社に対する資金援助による円滑な契約移転の確保でございますが、救済会社が出現しない場合には機構みずからが破綻保険会社の契約移転を受け入れ、保険契約の継続を確保することとなります。また、機構による補償対象となる保険契約や補償の範囲は、法令において明示されるということになります。
また、機構のもとでの支払い保証制度においては、随所に制度の信頼性、安定性確保のための措置が盛り込まれております。
まずは、すべての保険会社に対しまして機構への加入が義務づけられます。現行の基金も、これまで実態的には全社加入となっておりましたが、加入義務はなく、制度の趣旨にかんがみますと、制度上全社加入が担保されていることが制度の信頼性、安定性確保に資するものと考えられます。
続きまして、機構に対する負担金についてですが、これは、破綻会社の御契約者保護と制度の負担金を担う保険会社及びその御契約者の負担とのバランスを十分に考慮した水準に設定されるものと理解しております。もちろん、破綻会社の御契約者に対しまして手厚い保護がなされることが望ましいのは言うまでもありませんが、一方、そのために制度の負担金が過大となり、他の保険会社の健全性にまで影響を及ぼすようでは、制度の趣旨に反していると言わざるを得ません。したがいまして、負担金の設定に当たり、破綻会社の御契約者保護とその他の会社の御契約者負担とのバランスは重要でございます。
さらに、二〇〇一年三月までの措置でございますが、機構による援助資金の借り入れの際には、政府保証の付与、日銀借り入れといった公的支援が可能とされております。機構はいわゆる事前積み立ての制度でございますが、制度創設当初に保険会社の破綻が発生した場合、機構には資金援助を賄うのに十分な積立金が積み立てられていない可能性があり、資金調達が必要となります。もちろん、機構の借入金は、将来の負担金により確実に返済できる金額とすることが前提であろうと考えますが、円滑な資金調達を可能とするための措置として、資金調達に係る公的支援が設けられたことは、制度の信頼性、安定性確保に資するものと考えております。
以上申し述べてまいりましたとおり、当制度は、現行の基金の制度上の限界を補うものであり、かつ、制度の信頼性、安定性確保のための措置が随所に盛り込まれておりまして、機構の設立は、生命保険事業の安定性確保が強く要請される今日、生命保険事業の社会的信頼の維持向上に大きく資するものと考えます。
もとより、私どもは、さきにも申し述べましたとおり、事業運営の効率化、資産内容の充実を通じた強固な経営体質の構築、自己資本の充実等の地道な努力を継続することにより、生命保険事業の社会的信頼の維持向上に懸命に取り組んでまいる所存でございます。
さて、そのほか、今回の金融システム改革法におきましては、保険会社の子会社規定の整備が行われておりまして、保険会社が子会社として持ち株会社、いわゆる川下持ち株会社を保有できるようになるとともに、子会社及び持ち株会社方式による保険と金融他業態との相互参入が可能となります。持ち株会社の活用や金融他業態への進出はあくまでも保険会社各社の経営判断によるものですが、このような経営の選択肢が拡大すること自体望ましいことでございまして、さきにも申し述べましたような、いわゆる経営の個別化の動きがさらに促進されるものと考えております。
一方、こうした子会社、持ち株会社を通じた業務範囲拡大のもとでは、保険会社グループとしての健全性確保が必要となるわけでございまして、今回の法案は、あわせてそうした保険会社グループの健全性確保のための措置が講じられているという点におきまして、まことにバランスのとれたものであろうと考えております。
また、今回の法案では、保険会社単体及び保険会社グループに関するディスクロージャーの規定が整備されております。生保会社はこれまで、生命保険協会のディスクロージャーコード、いわゆる開示基準の見直しを通じて、業界全体でディスクロージャーの拡充に取り組んでおり、平成九年度決算からは、生保会社の健全性に対する関心の高まりを受けまして、ソルベンシーマージン比率を開示基準に加えることといたしましたが、今後とも、法律の規定にのっとることはもちろん、各社の自主的な判断により、さらなるディスクロージャー拡充を通じて、より公正で透明な事業運営に努めてまいる所存でございます。
最後になりますが、昨今、金融機関と監督当局との関係のあり方が問われております。私ども朝日生命におきましては、監督当局との関係について誤解が生じることのないよう社内に指示徹底をいたしましたが、今後とも、事業運営の公正性、透明性確保の観点から、襟を正してまいる所存でございます。
以上をもちまして、私の意見陳述とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/10
-
011・村上誠一郎
○村上委員長 どうもありがとうございました。
以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/11
-
012・村上誠一郎
○村上委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
質疑につきましては、理事会の協議によりまして、一回の発言時間が三分以内となっておりますので、委員各位の御協力をお願いいたします。
なお、質疑のある委員は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。また、発言の際は、着席のままで結構ですが、所属会派及び氏名並びに御意見をお伺いする参考人を御指名いただきたいと存じます。
原則として、この金融システム法案、SPC、一括清算並びにビッグバンの範囲でお願いします。
それでは、質疑のある委員からの挙手をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/12
-
013・杉浦正健
○杉浦委員 自由民主党の杉浦正健でございます。
きょうは、参考人の方々、大変お忙しいところお見えいただき、貴重な御意見をありがとうございました。
まず、岸参考人に三点ほどお伺いいたしたいと存じますが、質問する前に、中西さんがおっしゃいましたが、銀行の貸し渋りがひどい、しかも、大蔵省の三月の調査によりますと、大手都銀ほどひどいという結果が出ております。公的資金の資本注入を受けた後若干変わっておるようでありますが、この点は、特に全銀協として、いろいろ事情はあるのでありましょうが、貸し渋りに厳しく対応されるようにお願いを申し上げておきたいと思います。
質問は三点ございますが、第一点は、金融システム改革法の成立によりまして銀行のサービスがどう変わるかという点でございます。特に、利用者にとってどういうメリットと申しますか恩恵があるのか、お話を願いたいと思います。
第二点は、国際的な大競争が始まっておるわけでありますが、それに対しまして、本法案では、持ち株会社等のグループ形態による展開を認めておるわけであります。これによりまして金融機関のいろいろな連携も進むと思いますが、一面において、国際競争力のある巨大な金融機関だけしか残らないのじゃないかという指摘もあるわけであります。中小がどんどんつぶれていくのじゃないかとか、あるいは、国際大競争の中で日本の金融機関が脱落してしまって、ウィンブルドンみたいに日本の国旗がなくなっちゃうのじゃないかという心配もあるわけでありますが、この点についてお伺いしたいと存じます。
第三点は、証券業に参入されるところも少しずつ出ておりますが、メリットがおありになるのかどうか。手数料の自由化を初め、先ほど証券業協会副会長さんからありましたが、非常に競争が激しくなると思われますが、どんどん証券業に参加されていかれるのかどうか。そのメリットはどうお考えになっているのか。三点、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/13
-
014・岸曉
○岸参考人 まず、お答えに入ります前に、私ども全銀協といたしましても、再三にわたりまして、全銀協の理事会において、貸し渋りというような批判を受けないように、特に中堅中小企業の貸し出しについては細心の注意を持って推進をお願いしたいということを再三にわたり会員銀行に要望を申し上げておるわけでございますけれども、この三月末の数字を見ますと、いろいろな要因はございますけれども、数字そのものが余りいい数字が出ておりません。また一方で、先ほど中西社長が御指摘のように、貸し渋りの御批判が後を絶たないということにつきまして、金融機関として大変責任を痛感いたしております。今後も、この貸し渋りの問題については、息長く、粘り強くいろいろ対応していかなくちゃいけないというふうに思っております。
御質問に対するお答えでございますけれども、最初に、ビッグバンによりまして銀行が一体どのように変わるかということでありまずけれども、提供する商品が大幅に変わるというところが第一点であろうかと思います。
先ほどもお話がありましたように、投資信託の窓口販売というようなものも可能になりますことでございますし、あるいはABSの市場もこれから厚みを増していくであろうというふうに思います。お客様の声をいろいろ伺ってみますと、やはりワンストップショッピングに対する御要望というものが非常に強いわけでありまして、銀行へ行けば金融に関する用がすべて足りるというのをお望みだという調査が出ておりますものですから、まず、我々、預金以外の商品の充実というものを心がけていきたい、またそういう道が開かれるというふうに思っております。
また、資金の供給の方でございますけれども、従来の貸し出し中心の資金供給だけではなくて、証券、これは直ちにではありませんけれども、直接金融にも銀行がサービスができるということに相なります。
また、SPCなどを使いますと、例えば中小企業でも、資金を調達するその発行体の中小企業の格付、あるいは会社の規模というものが小さくても、その持っている資産が優良であれば高い格付が得られて、SPCを使うことによって安い金利で御調達ができるようになる、こういうことも可能になりますので、私ども、何とかそういうことで御利用者の利便を増していきたいというふうに考えておるところでございます。
それから、競争が激しくなって金融界はどうなるのだということでありますけれども、これは私見でありますけれども、私は、今までのように、同質な金融機関、同じような、似たような規模や業務内容を持った金融機関がそのまま全部存続していくということは、この競争の中ではないのではないかなというふうに思っております。
そうではなくて、フルラインでグローバルにサービスができるような金融機関と、特定のマーケットに特化して、あるいは地域に非常に密着して、そしてきめの細かいサービスを得意とする金融機関、そういう多様な特徴を持った金融機関に分かれていくのかな、これが影響ではないかなというふうに思っております。
それから、最後に、証券業に参入する銀行のメリットはどうかというお尋ねでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、私どもは、資金の運用のお手伝いをするだけではなくて、資金の調達のお手伝いもできるようになりたいということでありますので、証券業務に参入することによりまして資金調達の機動的なサービスが可能になるのではないか、そういう点にメリットを感じております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/14
-
015・中川正春
○中川(正)委員 民主党の中川でございます。きょうはどうも御苦労さまでございます。
先ほどの議論も含めまして、金融ビッグバンを論じるときには、投資家にとっていわゆる金融商品が広がる、あるいは業界にとっては、新しい競争の時代に入って相互乗り入れが始まってくる、こういう観点からの議論はあるのですけれども、もう一つ、先ほど中西参考人からも指摘がありましたが、資金調達という観点からはどうなるのか、こういうことだと思うのですね。私は、この議論というのがなかなか見えてこない。
例えば、国の方は借金を返すために国債を発行しますよ、あるいは郵貯や簡易保険は伸びていますよ、これで、国のサイドでは資金調達はしっかりしていますよね。それで、大手の会社にとっては、これは直接金融に変わってくる。その直接金融の分野が広がってくるわけですから、これができる能力があるというところにとってはメリットがあるのだろうと思うのです。
ところが、先ほど中西参考人が御指摘になったように、では、中小企業というのはこれから先どんなふうな生き方をしていけばいいのかということに対して、我々ははっきりとした答えを持っていない。逆に、中小企業にとっては非常に難しい状況が出てくるのではないかという懸念がされるわけです。そこのところの御指摘がさっきあったわけですが、それを中西参考人からもっと具体的にお聞きをしたい。
それに対して政府の方は、では、間接金融を伸ばすのであれば、政府系の金融機関をつくったらどうだ、貸し渋りに対しては政府系の金融機関があるじゃないか、こういう議論もあるわけですけれども、それが本当に生きているのかどうかということ、そういうところをもう少し掘り下げてお聞きをしたいということです。
それから、岸さんには、さっきの観点で、中小企業に対してどういう商品供給ができるのか、資金供給ができるのか。あるいは加藤参考人にも、その辺の工夫、これをぜひお聞きしたいというふうに思っております。
それからもう一つ、利益相反についてお聞きをしたいのですが、これは事前に通告というか、お話をしていなかったのでちょっと申しわけないのですが、この利益相反については、例えば相互乗り入れが始まるということになると、保険会社の商品を銀行が売りますよ、そのときに、私のところが資金を提供してどんどんやっていきましょうというので日産生命の破綻というのに結びついていったというような例があるように、これからどんどんそういう部分というのは出てくるだろうと思うのです。それに対しての議論というのがこの法的整備の中でもまだ十分でないという見識を私は持っているのですけれども、それについて、業界の中でどういう議論をしておられるかということ、これをそれぞれの参考人の皆さんからお聞きをしたいというふうに思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/15
-
016・村上誠一郎
○村上委員長 まず、中西参考人から手短にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/16
-
017・中西真彦
○中西参考人 今の中川委員の御質問ですが、この金融システム改革は、中堅中小企業にとって一体どういう影響があるのか、さらに言えば、直接金融への移行というものは中小企業にとってはどういう影響が出るのか、それに対して、さっき申し上げた私の方の対応策、それをもう少し具体的に申せ、こういうことでございますね。
私は、ずばり申し上げて、金融ビッグバンというものは、超長期的には、国際金融市場への日本のグローバリゼーションといいますか、ワールドスタンダードに合わせるということでこれはやらねばならぬと思うのですが、当面の金融システム改革、ビッグバンは、中堅中小企業にとっては、一言で言えば、これは恩恵は全くないと言うと言い過ぎですけれども、非常にマイナス面が前面に出てくると言わざるを得ないと思いますね。大企業は、調達手段も非常に多様化しまして、非常にプラス面が出てくる。こういったある種の二極乖離がやはり大きく出るのではなかろうか、こう私は思います。
そこで、私がさっきちょっと後半で触れたことは、日銀短観でも示しておりますように、六月末の見通しの中小企業者のほとんどの見方が、さらに悪化するというかなりきつい見方をしていますね。これはやはりそうだと思います。となると、私は間接金融を、やはり政府保証などかなり踏み込んだ、非常に広範な仕組みをここで考えないと、これはえらいことになるのではないか。雇用問題もう失業も二けたも起こり得るなと。現に今、失業が年十万を超えているのが三年続いているのですか、ことしは十数万になっていますね。ですから、これは思い切った手を打たなければいかぬと私は思います。
お手元の資料をちょっと見ていただいてお話を申し上げますと、さっき言ったように信用保証協会というのがあるのですが、これは既に枠を使っちゃっているのですね。二十九兆ぐらいあるその枠をほとんど使っちゃっている。ポイントは、私、これを強調したいのは、中小企業は弱者だから何でもかでも救え、この論理はもう通らぬと私は思う。これは古いと思う。こういう激動期ですから、やはり新陳代謝というのはあってしかるべきで、やはり自然でも、秋が来れば葉は落ちて、これは枯れて肥料になるのですね。だから、育てるべき中小企業と、ここでもう淘汰していい中小企業を弁別する仕組みが日本の金融界に果たしてあるやなしや、こういうことでございます。
岸さんのところのような一流の都銀上位行は立派な審査要員が、ある程度かなりの数がそろっておられるようですが、まあ実態は、地銀クラス以下になってくると、ほとんど審査、評価能力が欠落しておると言わざるを得ない。これは某都銀の頭取のいみじくも言われたことですが、日本のバンカーは不動産鑑定士に成り下がってきたといって自潮めいたことを言っておられます。
やはり土地本位制でずっと来ていますから、だから企業が、例えば無担保で、土地も何もない、学校を出たての——例えばアメリカは、スタンフォード大学を出て、すごい技術のシーズを持っているが担保は何もない、徒手空拳だ、これをエンゼルが育てるのですね。それをNASDAQへ上げていってうまいぐあいに回転しているのに、日本はその仕組みがない。第一、エンゼルが育ちようがないですね。オーストラリアやカナダは相続税はゼロですが、日本は世界最高、七〇持っていかれたら、都市型の中小企業、まあ大田区あたりになると町工場を売らぬ限り、七〇の相続税は払えないのですね。
なぜかというと、今の相続税の評価基準は御案内のように不動産の価値でやりますから、これはたまったものではないですね。八百屋であれ何であれ、仮に二、三十歩の土地があった、これを不動産価額で評価されて、七〇出せと言われたら、完全にその八百屋を売り払わぬ限り相続できないという仕組みになっている。だから、そこのところを税制まで踏み込んで変えていかないとやはりこれはできないということになるわけです。
結局、私は、信用保証の枠を思い切ってこの際十兆ぐらいつける。十兆の財政をするのは大変じゃないかという意見がありますが、これは実際に焦げつくのは数%なんですね。だから、十兆つけたって、私はそんなに財政の金は使わぬで済むじゃないかと思うのです。
そして、政府が元本保証を一〇〇してやれば、それは地銀であれ信組であれ、かつ審査、評価を、例えば東京三菱銀行さんのような一流の銀行に政府が委託すればいいと思うのですね、こことこことここはと指名して。審査要員をたくさん特っていますから。例えば中小企業金融公庫も持っていますね。審査要員をたくさんそろえているところに、特定のところを政府が指定して、これに審査をさせて、そしてそこに貸し付けをする地銀なり信組に対して政府が一〇〇%元本保証をつければ、これはもう全く問題ないわけです。BIS基準では、リスクウェートは一〇%しか受けませんし、コール市場に出すより安いですし、焦げつきの心配はないと政府が保証する、そこの審査、評価は政府の委託した銀行がやってくれる、これはどんどん金が出ていくと私は思うのです。これは短期的な対策。
中長期対策としては、私は、今どなたかがおっしゃいましたが、岸さんがおっしゃったと思うのですが、やはり財投の改革の精神からいけば、政府系金融機関は同質の民間金融機関と競争をしてやっていくというのはいかがなものかと思うのですね。私は、こういうことを言うと通産省などは御機嫌斜めになるかもわかりませんが、今ある例えば中小企業金融公庫は審査要員を千人を超えるほどの陣容に逆に強化充実して、そして政府系というか、独立行政法人の審査、評価、信用保証機関に衣がえをすればいいと思うのです。改組する。そして、そこがどんどん受けて審査をやる。
今、信用保証協会は全国にありますが、県ベースでいくと数人しかいないのですね。この数人の人が年間何百の審査をしているらしいですが、年間何百というのは審査をしていないに等しいのですよ。フランスあたりは、そこの工場に泊まり込んで、一緒にそこの中小企業のおやじと一カ月か二カ月寝泊まりをともにして、そして評価する。これが非常に楽しくて仕方がないという論文を私読んだことがありますが、結局、そういうふうにやらなければいかぬです。
だけれども、この間も私は加藤幹事長と対談したときにこの話を申し上げたら、それは中西さん、本来、審査は民間金融機関がやるべきものじゃないかとおっしゃったのだけれども、今その現実がないですから、レベルが低過ぎるから、私は、こういう仕組みを独立行政法人でつくって、そっちの方に啓蒙、誘導していくという措置が当面必要ではなかろうか、こういうふうに申し上げたいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/17
-
018・岸曉
○岸参考人 最初の、中小企業向けの資金調達にどういうことができるのか、こういうお話がございました。
二つあると思います。一つは、ビッグバン、開かれた競争の中で、自己責任で自由ないろいろな選択ができる、こういう世界になってまいりますと、先ほどもちょっと触れましたけれども、多分、同質の金融機関がずっと併存していくのではなくて、金融機関によりまして、グローバルでフルラインを目指すような金融機関と、それからニッチというのでしょうか、自分の得意分野に業務を絞り込んで対応していく金融機関と二つに分かれるのではなかろうかと思います。
我が国の経済界を支える非常に大きな部分というのは中小企業でございますから、当然のことながら、そういう中小企業のマーケットに自分の業務を特化いたしまして、従来以上に力を入れてやっていく。そして、そういうことに専念することによってノウハウなんかも、今もフランスのお話が出ましたけれども、審査能力なんかも独特のノウハウを非常に蓄える金融機関というようなものが育っていくのではないかなというふうに思いますので、金融界全体を見回してみても、中小企業が置いていかれるとか疎外されるとかいうことは決してないのではないかなというふうに思います。それが第一点。
それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、SPC法案、ただいま御審議をいただいているわけでございますけれども、このSPC法案が成立いたしますと、例えば中小企業が売り掛け債権を持っている。だけれども、自分のところは格付が高くない、格付がない、とってない。ところが、お取引先は非常によくて、売り掛け債権は非常に立派な債権があった。そうしますと、これは切り離しますから、その資産の信用力によって格付がとれる。格付がとれますとプライシングは安くなりますから、そういう売り掛け債権を自分で抱えたまま銀行から調達するよりも、SPCを使ってそれを流動化して、それで金を調達する、その方がより有利になるであろうと思います。
それは一例でございますけれども、やはり道がいろいろ多様化されるということが今度のビッグバンの非常な目玉なのではないかなというふうに思います。
それから、利益相反の問題でございますけれども、これは当然のことでございまして、こういうビッグバンみたいなことをやる場合には、やはりそれが利用者あるいは投資家保護に反するようなことがあってはなりませんので、例えばアームズ・レングス・ルールでありますとか、今度の金融システム改革法案の中にそういうことをきちんとやるということがうたわれております。
加藤さんがおられてちょっとお聞き苦しいかもしれないのですけれども、従来のファイアウォールというのは、どちらかというと、余り激しい競争になるなよという目的でいろいろなことが定められていた部分がございまして、これは必ずしも利用者の立場に立って考えられていなかった部分があるのですけれども、今後はやはり利用者の立場に立って、投資家の保護ということからこういう規制の中身を決めるべきなのではないかな。実際にこれで十分かどうかは別として、そういう方向に進んでいるのではないかというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/18
-
019・加藤精一
○加藤参考人 初めに中堅企業に対する資金調達の問題などの話ですけれども、基本的には、間接金融と直接金融とあって、今まで日本の社会は間接金融に大きくウエートをかけておる。その中でどうしても市場を育てて、直接金融をもっと豊かなものにしなければいけないという動きは従来から言われているけれども、結局、ビッグバンのここに来てまだできてないというか、その逆の方向に行っていたということは非常に残念に思うのです。しかし、ここでビッグバンを機会にその辺のところを直して、市場からの資金調達をもっと豊かなものにしなければいけないなというのが基本的にあります。
それとは別に、ベンチャー企業に対する資金調達ですけれども、これはまた違った意味で非常に大事ではないか。これからの日本は高齢化社会を迎えて、やはり一方にすごく活性化した部分がなければ大変なことになるということで、その活性化した部分を湧出させるベンチャー企業に対する配慮というのはすごく要るのじゃないかというふうに思っております。
そのために、我々としては、証券業協会の方では、店頭市場の問題を本当にこれから育てていかなければいかぬな。幸い今度のさまざまな改革の中に店頭市場をより基本的に改革をしていこうという動きがあるわけですから、それに乗って、店頭市場を従来のものとはまた違った、非常に資金調達機能を持ち、安定的にそこへ参加をすることによって投資家もそれから発行会社の方もプラスになるような形を持っていこうというようなことを考えております。このためには今整備をやっておりまして、順次この店頭市場の方の整備をやって、よりベンチャー企業がそこで資金調達がしやすいような形を取り出していきたいなというふうに思っております。
ただこれは、先ほど来中西さんの方からも各般の話がありましたけれども、やはりお国も挙げて一緒になってやっていかないと、官民挙げて協力してやっていかなければいけないのじゃないかなというふうに思います。
それから、もう一つの利益相反の方は、業務が多角化してくれば利益相反の問題は起こってくるのは当然のことであります。したがって、例えば銀行ですと、貸し付けとそれから引き受けの世界、これは利益相反が起こってきますし、証券の方ですと、グローバル業務と投信の運用というようなこともまた利益相反が起こってくる。さまざまなところでそういうことが起こってくるわけですから、やはりそういうさまざまな手当てをしていく必要があるのじゃないかなというふうに思います。
ただ、今、岸参考人の方からは、今まで激し過ぎたからというような話がありましたけれども、今度緩やかにし過ぎたらいいというものでもないので、非常に適当なところを見つけないと、やはりこれは崩れてしまう。何でも全部やるということが果たしていいことかどうかということになっても、やはりこれもまた問題があるわけでして、今までの厳しい制約というのは、ややセーフティーな方向で分けていただく。今度は、違う目的をとろうとすると、もっと緩やかにしなければいけないことは事実なんだけれども、そうだからといって、緩やかであればいいというものでもなくて、この辺のところは、今後、お互いにいろいろ知恵を出しながらいい形に持っていかなければいかぬなというふうには思っておりますけれども。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/19
-
020・村上誠一郎
○村上委員長 委員長からお願いがあります。
一人でも多くの方に質問をしていただきたいので、質問も答弁も簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/20
-
021・並木正芳
○並木委員 それでは、多くの質問の方がいらっしゃるというので、簡潔にお聞きしたいと思います。平和・改革の並木正芳と申します。
岸全銀協会長と加藤証券業協会会長代行に一点ずつお聞きしたいと思います。
まず、岸参考人にですが、グローバルコンペティション時代の到来の中で、金融システム改革が導入される、それがさらに今度は競争を激しくしていく、こういうことでございますけれども、当然、垣根を越えた金融界の合併というのは進むだろうということをおっしゃいました。
私は、ずばり、都銀は本来二十行体制、それが拓銀が、一角が崩れまして十九行ということですけれども、こうした体制をこの時代の中で維持していけると考えているのか。ヨーロッパ、アメリカ等では、恐らくは片手ぐらいのグローバルプレーヤーということにしかならないだろうというような見方もあると思いますけれども、その辺の見通しについてお聞きしたい。それが岸さんへの質問でございます。
加藤参考人には、株式売買手数料の問題なんですけれども、これが、ことしの四月からは五千万円を超える部分、九九年末には完全自由化ということですね。そしてまた、証券業の兼業が認められるという中で、アメリカで定着しておりまずけれどもラップ口座、こういったものが導入されていくだろう。
日本でもこういつたことは考えられますけれども、先ほど非常にアデンストだというような考え方をおっしゃっていたわけですけれども、こうした手数料を減収するデメリットといいますか、あるいはラップ口座等のメリット、このメリット、デメリットをどうお考えで、特に、メリットと考えている部分を、こういう苦しい時代ですから、明るさをむしろ語っていただければというところで、それを質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/21
-
022・岸曉
○岸参考人 お答え申し上げます。
先ほどとちょっとダブりますけれども、十九行が今現在の性格のままでそのままずうっと併存していくだろうということはないのではないかというふうに私は思います。先ほど申し上げましたように、いろいろなタイプの金融機関に分かれていくと思いますけれども、その過程で再編が行われる可能性というのは、私は、個人的にですけれども、かなり可能性としては高いのじゃないだろうかというふうに思います。
ただ、ビッグバン後の日本の金融界全体の姿、規模というようなものが、これは将来、ビッグバンの進行の仕方によってやはり非常に変わっていくであろうと思いますので、何行くらいが適当かということは、ちょっと私は今何とも申し上げられないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/22
-
023・加藤精一
○加藤参考人 お答えいたします。
まず、委託手数料の方でございますが、御承知のように、平成六年に十億円以上の委託手数料は自由化されているわけですけれども、その結果は、これは、従来の固定手数料率に比べて約二分の一ぐらいになっているわけなんです。それで、今月の一日から、五千万を超える取引部分についても手数料自由化になったわけですけれども、この結果、現在のところ、細かい数字はわかりませんが、相当程度下がっているわけでして、二分の一程度ぐらいは行っているのじゃないかというふうに思います。ここまでのところは五千万超までですけれども、これから手数料の完全自由化ということになりますと、これは相当大きな影響が出るのじゃないかというふうに思います。
ただ、手数料問題は、今、手数料問題だけを見ますと、非常にマイナス要因なんですけれども、本来、自由化というのは手数料が前面に出るわけではなくて、まず、サービスの自由化なんですね。いろいろなサービスが自由に行われるというところで、そこで本当は自由化によってサービス競争が行われて、その結果、その対価として手数料が生まれてくるというふうに考えないといけないのです。今のところ、やや手数料が先行しているところが非常に不幸であったというふうに思うわけでして、サービスの競争が十分行われて、その後で手数料が順次自由化していくと非常にいい形になったと思うのですけれども。
ただ、さはさりながら、これを機会に非常にサービスの多角化というのは起こってくるだろうと思いますし、もう一つは、非常にいいことですけれども、先ほどもお話ありましたが、さまざまな取引形態、さまざまな商品、特に投資信託なんかですといろいろな形の投資信託形態が考えられますし、取引形態もいろいろな形ができる。つまり、従来とは相当自由な取引形態ができてきまずから、そうなると、そこで新しいお客様のニーズにこたえられるということで、ここで新しい商売が生まれてくる。それを比べますと、手数料のマイナスというのも、自由化されることによって新しい商売が開発されたところ、それと手数料部分が下がるというのがうまく合っていけば、決してマイナスだけではなくて、前向きになっていくというふうに思っております。
それから、手数料も、自由化されますと常に下がるというものではなくて、サービスの対価として考えれば、いいサービスが行われれば手数料は下げなくてもいいということになると思います。これは、そういう形にアメリカもなっております。ですから、ディスカウントサービスをするところはどんどんコストを安くして下げていきまずけれども、本当に質の高いサービスをしている証券会社は、手数料はしっかりした手数料を取っているという、この差が出てくれば、自由化になっても、常に手数料は下がっていくという方向だけではないというふうには思いますけれども。十分その辺のところは、我々としては新しい挑戦をしなければいかぬなというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/23
-
024・谷口隆義
○谷口委員 自由党の谷口でございます。
岸参考人にお聞きいたしたいと思います。
本年の四月一日から改正外為法、また、新日銀法が施行されました。また、早期是正措置が本年四月から開始されるわけでございまして、金融機関をめぐる経営環境は大変厳しい状況になってまいりました。
それと、先ほどお話を聞いておりましたら、岸参考人の方から、トラベラーズ、シティコープの合併、巨大金融コングロマリットが誕生する、こういうような状況で、我が国の千二百兆円を超える金融資産をターゲットに絞っておるようだというような状況のようでございます。我が国が従来からとってまいりました金融鎖国とも言われるような状況から、今後はグローパリゼーション、グローバル化に向かうわけでございまして、そういう意味では、金融機関をめぐる状況は大変厳しい状況でございます。そういうグローバル化は、一方でディスクロージャーの充実ということが求められるところであります。
今回、金融機関の子会社の問題、御存じのとおり、従来は、経営情報の開示は単体ベースで行われておりました。これからは連結ベースのディスクロージャー、このようになるわけでございます。この連結ベースも、従来は形式基準がベースになっておったのですが、これからは実質支配力基準というようなところも十分考慮に入れて、実質的に、子会社のところは子会社として入れるというようになるようでございます。
そういう状況の中で、金融機関として、これから新たに子会社として入ってくるものはあるのか、これがふえてくるのかどうかということですね。東京三菱銀行さんはSEC基準でやっていらっしゃいますので、アメリカのディスクロージャーでは連結ベースで出していらっしゃるというように思うわけでございますが、我が国もこのような連結ベースになった場合に、子会社が、従来子会社と認定しておったところよりむしろふえてまいるのかどうかということがまず第一点。
もう一つは、自己資本比率の問題であります。
三十兆円の公的資金を入れて自己資本比率を改善しなければいけないということでやったわけでありますが、これは、個別財務諸表をベースにした自己資本比率でございました。今回、連結ベースの自己資本比率になるというような状況で、BIS基準も連結ベースの自己資本比率ということになってまいりますと、金融機関本体の経営状況はそんなに悪くなくても、仮に、大変業況の悪い子会社があって、これと連結を行うということになって、それが連結ベースの自己資本比率を低下させるということになりはしないのか、そういう危惧を感じるところでございますが、そのあたりの状況についてお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/24
-
025・岸曉
○岸参考人 ビッグバンになりまして、ディスクロージャーの必要性というものがまた一段と高まるということは、今先生の御指摘のとおりでございます。
そのディスクロージャーで何をねらうか。二つあると思います。一つは、取扱商品というものがどういう性格で、どういうリスクを持っており、どういうものであるかという、商品そのものの詳細かつ利用者を大事にする説明、それから、取り扱う銀行等が、取り扱う側がどういう状態になっているかということでのディスクロージャー、この二つとも重要なことであろうと思います。
御指摘の、主として取扱業者の方のディスクロージャーでございますけれども、当然のことながら、単体で公表するのでは、こういう時代、非常に業務が展開し多様化しておりますから不十分でございまして、連結ベースでいろいろディスクローズしなくてはいけない。それからまた、銀行の側も連結ベースでリスク管理をやったりしなくてはいけない。まさに、今度、銀行法の改正法案によりまして、連結ベースのディスクロージャー、リスク管理、あるいは大口信用規制、それから自己資本比率規制、こういうものが求められるわけでありまして、この法案はグローバル化時代にふさわしいものであろうと思います。
個別銀行として新しい子会社というものはできるのかということでございますけれども、多分、私どもで今関係をしております関係子会社のうちの数社は子会社になるのではないかなというふうな予感を持っております。法律の御審議にあわせて検討していくのでまだこれからの問題でございますけれども、多分、子会社としてはふえるんじゃなかろうかなというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/25
-
026・谷口隆義
○谷口委員 もう一つ。要するに、今までは個別の自己資本比率をとっておりましたが、連結ベースの自己資本比率になった場合に、従来、BIS基準の八%はクリアしておった、ところが、連結後は例えば八%を割り込むというような場合も考えられるわけで、そのような観点でどういうようにお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/26
-
027・岸曉
○岸参考人 現状で申しますと、やはり銀行本体の資産が非常に大きくて、子会社の方の資産というのはそれに比べますとかなり小ぶりでございますから、その子会社の業績なり資産状況によって、銀行グループとしての自己資本比率が大きく損なわれるというようなことはまず心配ないのではないかなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/27
-
028・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
藤田参考人と岸参考人にお伺いしたいと思います。
ビッグバンが推進されますと、内外の金融資本の競争が非常に激化する。その際に、銀行、証券、保険、それぞれ体力差があると思うんです。そのために、例えばイギリスのビッグバンの場合、昨年、私、海外調査で行きまして、ロンドンの日本の保険会社の支店のお話を聞きましたけれども、そこでは、銀行それから住宅金融組合が、顧客のデータベースと広範な支店網を武器にしてお客さんの囲い込みをやって新たな収益源として保険分野に大挙進出をした、そういうお話がありました。
その結果、銀行資本の保険におけるシェアが、一九九〇年に一〇%だったのが九四年に二三%というように、二〇%台に引き上がる。そういうことで、銀行の保険への進出が極めて大きなシェアを占めるようになった。同時に、保険業界の従業員は、二十五万人から二十一万人に減少した、こういう報告がありました。これは、日本の場合もそういう可能性はないのかどうか。生保業界としては、これをどのように見ていらっしゃるか。
それからもう一つは、損害保険でありますが、保険料の自由化ということになりますと、地域の格差あるいは年齢による格差、こういうものが生まれてまいります。そうなりますと、保険料を支払えないという方も生まれてくるわけでありまして、例えば自動車保険の場合、無保険車が走る、こういう事例もアメリカの例でありますけれども、日本の場合、その可能性はないのかどうかという点をお聞きしたいと思うんです。
それから、岸参考人には、先ほど中西参考人の御意見として、公的資金が貸し出しに生かされていないというお話がございました。そうしますと、主として公的資金は何に使われたのかということが問題になるわけでございまして、この点について、使途についてお聞きをしたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/28
-
029・藤田讓
○藤田参考人 銀行が他の金融機関に比べて優越的な地位とか、影響力が強いということは現実だろうと思います。
そういった点を踏まえまして、昨年六月に取りまとめられました保険審議会報告では、保険と銀行との相互参入というものは「二〇〇一年までに実現を図ることが適当である。」ここに経過期間が設けられたというのが一つございます。それから、銀行の保険販売という点につきましても、「二〇〇一年を目処に、銀行等がその子会社又は兄弟会社である保険会社の商品を販売する場合に限定したうえで、」「住宅ローン関連の長期火災保険及び信用生命保険を認めることが適当である。」こういう意見が出されております。
そういった点は、おっしゃった、銀行の他の金融業態に比べた優越的な地位、影響力という点を考慮したものだと思います。
また、相互参入に当たりましては、先ほども別の方から御質問があったことなんですが、利用者保護あるいは保険会社の健全性確保という観点から、やはり実効性のある弊害防止措置というものがぜひとも必要であろうと思います。
そういう観点から、今回の法案でも、役員の兼任禁止であるとか、アームズ・レングス・ルールであるとか、保険募集に係る特別利益の提供の禁止とか、こういったようないわゆる弊害防止措置が盛り込まれております。
なお、本法案の後にも、政省令等でもう少しいろいろな点が担保されていくものだとも思います。
それから、損保の方は……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/29
-
030・村上誠一郎
○村上委員長 いいです。損保はいないので、済みません、結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/30
-
031・岸曉
○岸参考人 公的資金が何に使われたかという御質問でございますけれども、お金はやはり一体で運営されますから、ひもというのですか、このお金は何になったかというのは、ちょっとこれは申し上げられませんけれども、銀行の経営にとりましては、資本の補強になって、その資本の補強によってリスクアセットを持つ余力がふえたということは、これは間違いございません。ただ、今の窓口の状況というものがお客様の御期待というものと食い違っておるというところが問題なんだろうというふうに思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/31
-
032・中西真彦
○中西参考人 私は、安易に銀行を救済するべきではないというのは、今やこれは国民的コンセンサスと思うのですね、まあ、頭取がおられて悪いですが。
そこで、仮にも国民の税負担になる公的資金を銀行に資本投入する以上は、これは確実に、やはり本来貸し出し増加の原資として活用させる必要がある、こう考えます。BIS比率の八%を目指す銀行の場合には投資資金の十二・五倍、これは逆算すればそういうことになるのですね、それから、四%の銀行は二十五倍に相当する貸し出し増加を実行する義務が本来生じるわけですね。
ところが、先般の新聞の報道によりますと、三月末現在で、本来、貸し出しがふえた枠は、五千億程度の公的資金を導入をしたに見合う程度の貸し出し増加にしかつながっていないということでございまして、私は、今の御質問は、私もその辺は、まあ何に使われたかは、これはちょっとやはりお答えできないのが当然だと思います、企業守秘義務もございましょうし。
ただ、これはちょっとやはり貸し出し増加が少ないんじゃないか、国民の税金を投入したにもかかわらず、何でこれ、もう少しやらないのかなということ。どうもそこで銀行の健全経営という視点と、それから公的機関としての社会的責任というもの、その辺の綱引きでまことにデリケートな判断になると思いますが、若干その辺に問題があるのではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/32
-
033・河井克行
○河井委員 御指名いただきましてありがとうございます。自由民主党広島県第三選挙区選出の河井克行です。
端的に二つだけ質問をさせていただきたいと思います。簡にして明なお答えをいただきたいと思います。
今かかっておりますこの四つの金融システム改革関連法案、いずれも一昨年十一月の橋本総理の大号令、日本版のビッグバンをやろうということでスタートいたしまして、私たち自由民主党も全面的に賛成をし、一日でも早く成立をすべきであるというふうに考えております。
最初、岸参考人がおっしゃいましたように、世界の金融界の実態は、この法律の整備をもうはるかに追い越しているんじゃないかな。私たちは少しでも世界の流れに追いつこうということでこれをやっているのですけれども、やってもやっても、欧米の巨大資本と巨大資本が一緒になって超巨大資本ができ上がるというふうな事柄がありまして、どうもこの世界の流れになかなか追いつけないなというもどかしさも率直に言って感じております。
先ほどファイアウォールの撤廃というふうなこともおっしゃいましたけれども、岸参考人にお尋ねしたいのです。
今回のこの法の整備では私たちまだ十分じゃないというふうに考えております。具体的に、さらなる法の改正あるいは新たな法の整備、どういつだ点が必要かという点についてお答えをいただきたいのと同時に、加藤参考人、藤田参考人御両名は、余り今のこの超巨大金融資本の誕生ということにつきましては言及が少なかったかなというふうに思っておりますけれども、二つの業界はこれ以上、この自由化、規制の撤廃等には余り賛成ではないのかなというふうなことも思いながら拝聴させていただきました。そのあたりの感触を教えていただきたいと思います。
そして、二つ目は、ベンカンの中西社長さんが御指摘されました、金融機関の貸し渋りの対策を充実しなければいけない、全くもって本当に同感でございます。しかしながら、公的資金導入で余り効果がなかったというおっしゃり方をされましたけれども、少しの効果でもあればと、ありとあらゆる手段を総動員しなければいけないということで、政治主導という形でこの十三兆円、今回つくらせていただいたわけです。
私が問題だと思っていますのは、中小零細企業にとって日々のおつき合いが一番濃い地方銀行、第二地方銀行の具体的な金融機関がほとんど今回この公的資金の申請をしていないということなんです。地方銀行は三行だけです。全国でたった三つ、横浜、足利、北陸銀行だけ。第二地方銀行は全く申請をいたしておりません。
これは、申請しますと、地域社会でメンツがつぶれるとか、あそこは危ないんじゃないかと言われるとか、金融機関のリストラを迫られるのが嫌だとか、あるいは海外の拠点から撤退をすることによって、既にBIS基準の引き下げが実質ありますから、その辺で申請しなくていい等々、いろいろな理屈はあるのですけれども、これが申請されていないことによって、私は地方の中小零細企業への貸し渋りの解消の実が余り上がっていないというふうに大変危惧をいたしております。
その点についてのお考えがありましたら、同時に中西参考人からも教えていただきたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/33
-
034・岸曉
○岸参考人 ただいま、このシステム法案が成立した後でさらなる改善はどうかというお尋ねでございました。
たまたまファイアウォールの問題を御指摘になられましたので、例えばファイアウォールのことについて例をとって申しますと、現在いわゆるクロスマーケティング、銀行が証券子会社と一緒にお客さんにいろいろサービスをお勧めするということはできないことになっております。しかしながら、お目にとまったかと思いますが、先般、トラベラーズとシティコープの合併の際に、シティコープのトップは、証券と保険と銀行のクロスマーケティングをやるんだということをはっきり公言をしておられるわけであります。これは、また加藤さんを隣に置いて非常に申し上げにくいのでございますけれども、こういうものはやはり引き続き議論を続けていきたいというふうに思っております。
まあ、垣根を越えてお互いに参入して競争するわけでございますから、例えば、やはりその規制なら規制の整合性というものがとれていないといけないと思うのでございますけれども、現在までのところ業法中心でやってまいりましたから、これはやむを得ないことでございますけれども、いろいろな不整合が生じております。
そういうことから考えますと、やはりいずれは金融サービス法という、この金融界に携わる者はだれでも取引に関してこういう規制を受けるというような法律に進むのが適当なのではないかなというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/34
-
035・加藤精一
○加藤参考人 ビッグバンに伴う規制緩和についてさらなる規制が必要なのかどうかということですけれども、我々は、このビッグバンでグローバルスタンダードを達成するという方向については、そのとおりだというふうに思っているわけでして、やはりそこのところは達成しないと、日本の証券市場、証券業も大きくならないというふうに思っております。
ただ、それはそうなんですけれども、これは、まだどんどん行っていいのかどうかということになると非常に疑問があるわけでして、一つは、これはこのビッグバンの問題とやや離れた話ではありますけれども、日本の証券業者の状況というのは非常に悪い。長年の不況の中で本当に大変な状況になっておるわけでして、ここでグローバルスタンダードが完全に行われて、そして、さまざまな厳しい対応がされなければいけないときに、今の状況でもう一段進めてやられたら、これはもたなくなってしまうかもしれない。
だから、確かに新しい血は入れなければいけない、新しいパイプはつけなければいけない、しかし、そのために、じゃ、毛細管も何も全部壊れていいのかということになると、これはもうとんでもない話で、そういう配慮をしながら新しい方向に向かうべきだということを私は思っています。
それからもう一つは、今グローバルスタンダード、ビッグバンということで、これさえ達成すれば日本の証券業、日本の経済はいい形になるのだというふうに言われていますけれども、果たしてそうなのだろうかということも一つの視点としてあると思います。
それはどういうことかというと、確かに海外との競争、世界の中における日本という形で考えると、グローバルスタンダードを完全に達成する、そのことが大義であるというふうに考えられるのですけれども、一歩引き下がって、国内の証券業というふうに考えますと、今最も望まれるのは、やはり個人投資家をいかに共有するか、現在ある千二百兆円をいかに正しい形に持っていくかというのは非常に大きな問題です。この千二百兆をどういう形で持ってくるかということは、やはり末端の、日常の極めて地道な証券業務が支えているわけです。このことはグローバルスタンダード、ビッグバンと余り関係のないところで常に動いているわけでして、ここのところを余り急速にやると、そこの一番末端のところまで壊してしまうおそれもある。そうするとこれは大変なことになるわけです。
したがって、世界に対応するためのビッグバンをつくり上げていくためには本当に必死になってやらなければいけませんし、証券業界も、このためには今本当に懸命にこれへの対応をしょうと思って努力をしておりますが、一方、従来からある本当に地道な証券の活動というか、そこら辺のところも温存しながら、もしくは従来の姿にプラス規制緩和によって新しい商品を入れて、そして投資家に対して本当にいいサービスができるような形へ持っていく。ここのところを両方ともうまく両立させないと、結果としては非常に不幸なことになってしまうのじゃないかというふうに私としては思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/35
-
036・中西真彦
○中西参考人 簡潔に申し上げます。
今の河井委員の御質問は、公的資金の導入の是非という議論になると思います。私は、昨年の十二月にNHKの「日曜討論」で幹事長と対談したときに申し上げたのですが、基本的には、破綻金融機関の受け皿となった銀行が、自己資本不足のために譲渡された貸国債権を放棄しなくてはならないような事態に追い込まれる場合には公的資金を投入する必要があるだろう、だけれども、健全な都銀なんかには、岸さんには失礼ですが、健全な都銀に全部それを投入するというのはいかがなものかと、そのときから私は反対しているのですね。
むしろ、河井委員のおっしゃるように、中堅中小企業に密着しておる地銀とか第二地銀とか信組、そこにこそ本当は投入すべきだと思いますが、これは下手に手を挙げると、あそこはやばいというブラックマークがつけられるものだから、ここが非常にデリケートで難しいのだと思いますね。ですから私は、これはさっきから申し上げているように、実際にそういう困った中小企業を支援する地銀でも第二地銀でもいいのですが、そこに対して信用保証をつけるという方法で対応するというのがベストだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/36
-
037・吉田六左エ門
○吉田(六)委員 岸会長に一言お伺いしたいのですが、私は、自由民主党の吉田六左エ門でございます。
今、自民党の中で、金問調あるいは財政部会合同会議などで、そして土地・債権流動化促進特別調査会、流動化させたいというこの調査会は日に三度も行われ、毎日のように熱心な議論がなされているわけです。やはり皆さん、今のこの劣悪な状況から脱出するための一番の方法は、土地を動かすことだというところに何か照準が定まってきているような気がするのですね。私の思いもそうなんですね。そして、金融機関の貸し渋り、そしてまた売り渋りということもその中で大変な話題になるわけなんですね。
責任ある金融機関として協会を代表して来ていただいているわけですから、民主主義の、そして自由な時代ですから、私たちのビジネスだと言ってしまえばそれまでなんですけれども、今のこの日本の状況をかんがみますに、大事な日本の国の財産とも言われる不動産、担保をつけられたり、あるいは銀行によってある程度コントロールされているもの、不良債権と申し上げてもいいと思うのですけれども、これらが動き出すことが一番大切だと思うのです。
これは、だれもがそうしなさいよということは、命令もできませんし、言い切れないわけですね。自助努力していただかなければならない。これは財産ですから、宝ですから、金融機関がそれを押さえる権利があるとしても、ある考え方としては、余りこれらを執拗に利益を追求するという意味合いから押さえ込むことも、強い言い方をすれば犯罪にも近いような感じを私は持っています。
これらについては、今後まだ多くの委員の皆さんから話題にされると思いますから、私は質問とはしません。意見でありますけれども、よくこの辺をお考えいただきたいと思うのですね。
一つお伺いしたいのは、予算委員会のときに、岸会長も、そして九行の頭取の皆さんもお出ましになられて、たしかアジアに貸し出している金額が話題になりましたけれども、トータルしまして百三十円勘定で掛けましたところが、十四兆円というざっとした数字になったわけなんですね、皆さんの話を足して、それに一ドル百三十円を掛けましたら。こうしたものが今アジアに、日本の銀行、それもビッグナインから貸し出されている。
グローバルスタンダードという言葉がポピュラーになりましたけれども、そうした世界における金融、これはアメリカンスタンダードの押しつけであってはならないというような思いが私はしてならないのです。ECという賢い人たちは、自分たちのユーロというお金で流通する部分をしっかりと確保しましたね。
こんなことを思うとき、皆さんが今アジアに貸し出していられる十四兆円、僕のざっとした勘定なんですけれども、これを何かそうしたものに対する原資として使うとか、あるいは、そこで日本がリーダーシップをとるヤードといいますか商圏といいますか、こういったものに向けて銀行協会が前へ出てお考えを進めるというような辺はどんなふうに考えていられるか、ここをひとつ聞かせてもらいたいなと思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/37
-
038・岸曉
○岸参考人 最初の部分の論点にはお答えしなくてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/38
-
039・吉田六左エ門
○吉田(六)委員 それは結構です。まだまだ皆さんがたくさん聞かれますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/39
-
040・岸曉
○岸参考人 アジア向けの貸国債権についてどうかというお尋ねでございますけれども、アジア向けの債権と申しましても中身が非常にいろいろございまして、アジアの各国の公的な機関に対して貸し出しをしているもの、それから、その国の民間の会社に対して貸し出しをしているもの、それから、日系企業が海外に進出して、その日系企業に貸しているもの、それから、日系と現地企業との合弁会社に貸し出しをしているもの、その中でも、日系企業の保証がついているもの、いないもの、いろいろございまして、これらすべてが非常に問題債権になっているというわけではございませんので、その点は御安心をいただきたいと思います。
しかし、このアジア向けの債権というものがやはり適切に処理されてまいりませんと、日本の経済、金融、あるいは、ひいては世界の金融システムにダメージを与える懸念がございますので、これは適切に処理をしなくてはならない。そのために、ステアリングコミッティーでございますけれども、銀行団と各国、特に今現在インドネシアとの話し合いというのはほとんど毎日のように行われておりまして、そこでいろいろな案が議論をされております。我が国の金融機関も、欧米の金融機関にまじって、その幹事的な役割を担いながら、解決に努力をしているところでございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/40
-
041・日野市朗
○日野委員 民主党の日野市朗でございます。
きのう差し上げてあった質問の予定では中西さんも入っていたのですが、中西節をもうちょっと聞きたいところですが、きょうはちょっと時間の関係がありますから、岸参考人、加藤参考人、藤田参考人に伺うということにいたしたいと思います。そんなに面倒なことではありません。
それぞれの業界ですね、証券業協会、銀行協会、生保協会、これらは、戦時中の戦時経済をいかに構築するかというときに、そのオリジナルな形ができてずうっと来ているということは私も承知しているのですが、現在のこの協会が果たしている役割というのは非常に大きなものがあろうかというふうに思います。特に、政策決定にそれぞれの協会が与える影響というのは非常に強いというふうに私は見ております。この点について皆さんの御意見を伺いたい。
ビッグバンや何かでいろいろマーケットや何かが自由化されていくわけですけれども、そのバックグラウンドに横たわるそれぞれの業界の体質というものがビッグバンにとって一つの大きな影響力を持つのではないかというふうに私は思います。
特に外圧との関係を見てみますと、まず、外国も、日本の政治、政策決定の一つの流れというものはよく読んでおりまして、例えばアメリカで、マスコミに対して、日本の経済なり財政の問題についてこういう発表をするということになりますと、マスコミがぼおんと日本にそのニュースを持ってくるわけですね。そうすると、それに各協会、業界が反応をして、そこから政治に対する働きかけが行われて、そして政治が大きく動くというような現象が見られるわけですね。この非常に顕著な例としては、最近の財政改革についてこれが見られました。こういう一つの政策決定に対して協会というものはどういう態度で臨むのか、今度の特にビッグバンについてどういう態度で臨もうとしておられるのかということについて伺いたいと思います。
それから、あとは、特に岸参考人に伺いたいのですが、銀行というのは非常に横並び的な体質でございますよ。例えば、貸し渋りなんかが起きると、それがぱあっと広がってしまう。その貸し渋りなんというのは、先ほど中西参考人が言われた例なんというのは非常にこれは手ぬるい例でございまして、中には、今までの貸し金、これを全部返せば新しい貸し金を起こしますよ、新しい融資を起こしますよということを言われて、前のやつを返した。ところが、前のやつを返したにもかかわらず、今度、新しい融資を起こすという話はそれはないことにしてくれと言われて、貸さないという例があったと、これはNHKの番組で取り上げられた例でありまして、かなりよく知られた例だと思うのですが、私は、こんなものはほとんど詐欺だと思うのですがね。こういう例が業界というものを媒介としてはあっと行われているのではないかというふうに思っております。
私は、こういう例を見ておりまして、岸参考人は、これからの金融業というのはいろいろのタイプに分かれるだろうというふうにおっしゃっておられる。今までの銀行の業務のシュアをベースにして考えていったら、これからのビッグバンに対応していくことは、日本の銀行は難しいのではないか、私はそんなふうな感じがいたしますね。
それから、加藤参考人にも、これは私、特に質問という形では構えませんが、例えば、飛ばしという用語、これは知らない業界人はいないわけですよ。こんな複雑な機構でいろいろやっている、その飛ばしという言葉、これがもうすっかり日本語になつちゃった。これはやはり、証券業界は証券業界でみんなやっているからそうなっているんだという、これも横並びの体質があるだろうというふうに思っているわけです。
そして、加藤参考人は、一般投資家の投資を起こすときに、末端でやっている機構を壊してしまったら日本の業界は大変だというようなことをさっきおっしゃっていましたが、私は、今度のビッグバンというのは、そんな生ぬるいことを言っていては対応できないぞというふうに思いますので、あえて、感想がおありでしたら、お聞かせください。
そして私、気になるのは、実は、外国の金融のトップの人たちと随分会う機会がありまして、いろいろお会いしてきたのです。みんな個性ある顔をしていますな。そして、皆さん愛想がよくて、客あしらいが上手で、少しでも多くのお客さんを集めようという態度が人相にあらわれているんだな。これは皆さんのことを言っているのじゃありません。外国の金融業者についての一般論を申し上げているわけですが、私は、ああいう、サービス精神にあふれ、お客さんをとろうと一生懸命になり、そして我々なんかと話をするときも実に懇切丁寧、そういう態度というのは日本の金融マンも早く身につけないといかぬだろうな、こう思うのですが、いかがでしょう、そこら。いや、こんなことを聞くのも失礼な話かもしれませんけれども、こういうことは案外と大事なんです、と思います。御意見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/41
-
042・岸曉
○岸参考人 申しわけありませんが、委員長の指示でございますので、簡潔にお答えさせていただきます。
まず、銀行協会の役割でございますけれども、大きく言って三つございまして、一つは、銀行全体の問題につきまして銀行の中の意見を集約し、これを外部に御提言する、あるいは外部からの御意見をちょうだいする、そういう窓口の機能でございます。それから二番目は、これが大きいのでございますけれども、銀行間の共同事業、特に決済システムの運営の問題がございます。それから三番目は、金融、経済に関する調査研究とか研修をやっております。
この二番目の共同事業でございますけれども、大きく言って五つぐらいございまして、まず手形交換所、それから二番目に全銀システム、これはコンピューターのシステムでございまして、皆様が、ほかの銀行に例えばお金が振り込める、その銀行に行かなくても資金の流通ができる、こういう制度です。それから外為円決済制度、それからBANCS等のキャッシュディスペンサーのセンターの役割、それから個人信用情報センター。我が国決済システムの中核的組織の運営に当たっておる、そういう決済システムの維持、運営、改善、こういうものを心がけております。重要なインフラだと思っております。
それから、貸し渋りの問題でございますけれども、そういういろいろ報じられているような事例というものはまことにぐあいの悪いことでありまして、こういうことは本当に我々が努力して、粘り強くそういうことがなくなるようにしていかなくてはいけないと思います。
同時に、先ほど中西社長がおっしゃられましたように、ビッグバンの中で全部を支えていくということはできないだろう、やはりそういう選別淘汰というものを通じて経済というものが強固になり活性化されていく、こういう方向というものもまた否定できないところだろうと思いますが、何とか血の流れる金融、銀行経営というものに今後ともしていきたいというふうに考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/42
-
043・藤田讓
○藤田参考人 生命保険協会の主な活動といたしましては、税制、簡保等に対する意見表明、それから広報活動、それから諸外国の制度の調査研究、それから業界の共通のインフラとなっております業界共通教育制度とか業界の生保共同システムの運営、こういつたことが基本的なところでありまして、経営の個別化というものはこれから相当進んでまいりますけれども、こういう協会活動の基本的な部分というのは今後とも必要であろうと思っております。ただ,実際の運営に当たりましては、相当新規参入会社もふえておりますので、今後柔軟な対応も必要だろうと思っております。
また、体質ということで申し上げますと、外資系の生保、また損保系の子会社等が参入してまいりまして、相当業界の雰囲気等は変わりつつあるというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/43
-
044・加藤精一
○加藤参考人 証券業協会の役割、それから政策決定に当たっての問題についてお話をしたいと思います。
証券業協会も三つの機能を持っているわけでして、一つは、基本的には業者団体としての機能、それから二番目が、自主規制機能というのがありまして、自分たちで正しく生きていくための自主規制機関としての機能であります。それからもう一つは、店頭市場を管理する機能というのがありまして、この三つを持っているわけですけれども、この三つの機能とも今度のビッグバンによって大きく変化をいたしました。
まず、業者団体としての機能ですけれども、これは構成員が全く変わりまして、今までですと、いわゆる兜町なら兜町、北浜なら北浜の人たちが集まったわけですけれども、今は銀行系子会社が非常に多くふえてくる、それから外資系の証券会社がたくさんふえる、もう二〇%ぐらいになっています。したがって、証券業の構成そのものが変わりましたから、政策を出す場合にも非常にいろいろな問題が出てきております。
それで、これは自主規制のところにも影響するわけですけれども、そういうふうな構成その他が変わりましたので、従来と違って政策決定につきましても業者擁護的な共通の意見というのは非常に出しにくくなるというか、出せなくなる。結局そこのところで共通意見として出せるものは、今度のビッグバンにどう対応したらいいのか、日本の市場をどうずれば結局活性化できるか、そういう本当に日本経済と直結したところでの政策というのに直接加わるような意見の出し方をしていかなければいけない、これは非常に大きく変わったところだと思います。
それから、自主規制の方も、従来から十分にやっておるつもりでございますけれども、今度のビッグバンで特に自主規制、規制の問題というのは非常に大きく取り上げておりますので、これも新しくより違った形でくみ上げていかなければいけないなと思っております。
それからもう一つの、店頭市場については、これも今までの市場は取引所集中義務がありましたから全部取引所に集中されておったわけですけれども、今度は集中義務がなくなって市場外取引が可能になってきましたから、そうなりますと、店頭におけるというか、市場外取引を協会が受けてやっていくことになりますので、これにも大きな役割がふえてきたということで、非常にこのビッグバンにおいては協会の役割はふえてきているな、政策決定も重くなってきたなというふうに思っております。
それから、先生の方から飛ばしの話が出ておりますけれども、飛ばしは全証券会社がやっているとおっしゃいましたけれども、やっておりません。これは一部の証券会社がやっているということでございまして、全証券会社がやっているということではございません。ただ、反省すべき点は大いに反省しなければいけないと思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/44
-
045・石井啓一
○石井(啓)委員 平和・改革の石井啓一でございます。
私は、加藤参考人、岸参考人、藤田参考へそれぞれ業界を代表されて来ていただいていますので、二間ずつ質問をいたします。
まず一問目は、業界の体質強化ということでございますけれども、ビッグバンが進展していきますと、当然のことながら海外の金融機関、あるいは業界間も今回参入規制が少なくなりましたから、業界間の競争、また業界内の競争ということで、いわば大競争時代を迎えるということになるわけでございますが、そういった中で体質強化というものをそれぞれどういうふうにお考えになっているのかというのが一点でございます。
二点目は、相互参入についてでございますが、今のビッグバンのスケジュールの中でも銀行、証券、保険、各業界の相互参入が相当進むことになりますが、将来的にこれがどこまで進むあるいは進めるべきというふうにお考えになっているのか、この点についてお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/45
-
046・岸曉
○岸参考人 体質強化でございますけれども、簡単に申し上げます。三つぐらいあるだろうと思います。
一つは、不良債権の処理をやはり早く片づけて、金融機関の強固な体質を取り戻すということが一つです。
それから第二は、コストダウンです。これからの競争、激しくなるわけですから、各企業が自己責任において自分の銀行のコストをできるだけ引き下げて、強固な収益体質をつくるということであろうと思います。
それからもう一つは、情報システムの問題があろうと思います。今後、営業地域もグローバルにますます広がってまいりますし、取扱商品もふえます。リスクもふえます。こういうものをきちんと管理するには、どうしてもすぐれた情報システムを開発いたしませんとやっていかれなくなるわけです。外国の金融機関、一流の金融機関は、その点につきましても非常にいいものを持っており、ますので、我々もそれに負けないように情報システムに力を入れていきたい、かように思います。
それから一相互参入でどこまで行くのだという話でございますけれども、オランダの銀行でINGという有名な、合併で大きくなった銀行でございますが、この銀行が日本の中に支店を持っておりまして、これは今現在既にあるわけです。銀行と証券と保険、それぞれの出先を日本の中に持っております。それは一つの銀行でございます。もう既にそこまで相互参入というのは来てしまっているのだと思います。シティコープも、日本でいずれやるよ、こういうことを言っておりますので、海外の方からそういうふうな波が押し寄せてきているということだけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/46
-
047・加藤精一
○加藤参考人 では、証券業の方の体質強化についてお話をしたいと思いますけれども、基本的には非常に苦しい状況にありますので、今経営合理化というのを物すごくやっております。また、コストダウンということにも非常に厳しい状況で取り組んでおります。
ただ、今度のビッグバンということで、前向きにはやはりさまざまな試みというか、方向を考えているわけでして、従来の証券業というのは、高度成長期においては、四社志向といいますか、総合証券会社志向といいますか、本当に一つの方向に向かってみんな走っていって結局だめになったということでありますので、一つは、いろいろ特色のある証券会社づくりというのをやっていこうということで、これも既に具体化していろいろな試みを講じてやっております。これは、やがて完成時には、従来と違って、さまざまな証券会社がそれぞれの特色を生かしながら存在するということでいいことになるのじゃないかというふうに思います。
今度のビッグバンで最も証券会社としてありがたかったなと思うのは、新しい商品がたくさん生まれたことでございまして、特に投資信託についてはさまざまな商品計画ができる。これで新しい魅力のある商品開発ができれば、また、世界からのそういう商品の導入ができれば、いわば千二百兆円の取り組みも可能ではないかというふうに思っておりますので、そこら辺のところをめどにやりたいというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/47
-
048・藤田讓
○藤田参考人 体質強化ということで申し上げますと、まず、何よりもお客様のニーズに的確に対応する、そのために、高品質な商品の開発、それからサービスの提供を通じてお客様のニーズに対応していく、さらに加えまして、資産運用力をさらに高める、それから、事業の再構築などによった経営の効率化、それから、生保経営の健全性ということに対して非常にお客様の関心が高まっておりますから、自己資本のさらなる充実を図っていく、こういつたことで体質強化を進めていきたいと思っております。
それから、相互参入がどこまで進むかということですけれども、実際に銀行業、証券業に生保も参入できるというスケジュールが示されておりまして、そういう意味では、経営の選択肢が広がったということで、非常に望ましいことであると考えております。
ただ、こういう広がる選択肢の中でも、実際に銀行、証券にどう参入していくのかというのはまさに各社の経営の判断でありまして、将来的にどこまで広がるのかということは、ちょっとお答えは御容赦させていただきたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/48
-
049・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 自由党の鈴木淑夫でございます。
藤田参考人に二問、岸参考人に一問、それぞれ別々の質問をさせていただきます。
私ども自由党は、新進党のころから、日本の金融自由化といいますか、規制緩和のスピードは欧米諸国に比べて遅過ぎる、特に業態間垣根の撤廃ないし緩和と金融新商品・サービスの開発規制の自由化がおくれておるので、こういう状態のままで外為法改正、為替管理撤廃、この四月から実施されましたが、それを行うと、まだ手かせ足かせが残った状態の日本の金融サービス業と欧米の金融サービス業の競争が国内で起きるので、逆に日本の金融空洞化をさらに促進してしまうおそれがあるではないか、したがって、外為法改正は結構であるが、これがフロントランナーであるという当時の三塚大蔵大臣の御発言に対して、いやいや、これはフロントランナーじゃだめなんだ、ミドルランナーぐらいがいい、つまり、金融ビッグバンのスピードをもっと速くしないと危険ですぞということを主張し続けておりまして、今もその考えに変わりはありません。
したがって、ここへ出てきました金融システム改革関係の四法案を見まして、やはりまだちょっと規制緩和が不徹底だな、あるいは遅過ぎるなという感を深くしております。
その視点からお二方に質問をいたしますので、そのようにお心得いただいて、お返事をちょうだいしたいと思います。
まず、藤田参考人に対しては、保険業に関する規制緩和がちょっと他業態に比べて不徹底じゃないか、あるいは遅過ぎやせぬかという点でございます。
御承知のように、この法案では、銀行が保険会社を子会社あるいは兄弟会社とする場合の時期を平成十二年度末までの政令で定める日としておりますね。ところが、他業態相互、あるいは保険会社さん自身が銀行業など他業態へ入っていく、この他業態相互の垣根撤廃は、御承知のように、平成十一年度末までというふうになって、そこに違いがあるわけですね。
さらに、私は問題だなと思いますのは、銀行の窓口で販売し得る保険商品に大変な制約がかかっている。子会社または兄弟会社が引き受けたもので、しかも銀行さんが住宅ローンの担保として設定しているような長期火災保険とか信用生命保険、これは扱ってもいいけれども、それだけよという制限がかかっております。
御承知のように、ヨーロッパではバンカシュアランス、バンクとアシュアランスをくっつけてバンカシュアランスという言葉があるぐらいもう銀行と保険というのは完全に融合しちゃっているわけですね。近くは、先ほど岸参考人からもほかの参考人からも例として出ていましたが、トラベラーズとシティの合併、これはもう完全に銀行、証券、保険を一体とした一大金融コングロマリットができるという、そういう時代に入っているときに、こんなのんきな、平成十二年度末までというような遅いスピードで自由化していって日本の金融サービス業は大丈夫なのかという点でございます。
藤田参考人、私は、もちろん保険業界についての事情は全部知っておりますよ。非常に大蔵省の介入型の行政指導が強かった、その言うことを聞いてやってきたら、途端に今度は業態の垣根を取っ払うというのでは、それはないでしょうというお気持ちはわかるが、しかし日本の金融サービス産業全体という立場から考えますと、外国はもう保険との間の垣根を撤廃して攻め込んでくる、もう四月から攻め込んでくるというときに、これはちょっとどんなものかなというふうに思います。その点、どうお考えかというのが一問。
もう一問は、ソルベンシーマージンなんですね。
この法案が成立しますと、ソルベンシーマージン基準でさまざまの調整が行われるわけで、業態としては、この法案ができる前に先取りして、自主的にこの三月決算からソルベンシーマージンを公表する、大変結構だと思っておりますが、率直に言って、保険会社さんは株式会社さんではないので、いわゆるコーポレートガバナンスがきかない。何かきちんとした工夫をされませんと、自主的に公表されるソルベンシーマージン、この基礎となっている経理処理が実態を正確に反映しているのだろうかということについてやや不安を感じます。
もし、実態を正確に反映していないままのソルベンシーマージンを使って問題のある保険会社の処理を進めますと、銀行においても、実は、公開されていた、ないしは公開されない経理処理、ややゆがんだものをもとにして指導してきたものですから、いろいろな問題が起きて、結果的にはフォービアレンスポリシーになってしまったという苦い経験があります。
保険業についても、そういう銀行の二の舞を起こさないためには、私は、コーポレートガバナンスがきかない分、何か工夫が要るというふうに思います。例えば、自己査定をきちっとやる、厳しくやる、ルール化する、あるいは監査人による監査の義務づけをきちっとやる。つまり、コーポレートガバナンスならこういうことはきいてくるのですが、それがないだけに、そういうことを自主的にお決めになるということはお考えになっていないか。
以上、二問でございます。
それから、岸参考人に対しての質問は……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/49
-
050・村上誠一郎
○村上委員長 済みません。ちょっと短くお願いします。超えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/50
-
051・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 わかりました。
金融業と一般事業ですね。法律用語では商業となっているわけですが、この間に、この法案は非対照的な扱い、公平な扱いになっていませんでしょう。つまり、銀行業が一般事業会社を子会社として持ち込むことに対しては制限がついている。しかし、逆に一般事業会社が銀行業等の金融サービス業を子会社として抱え込むことには制限がないですね。
私はこれについて、岸参考人、これでいいとお思いか。私はこれは非常に古い考えだと思いますよ。金融資本だけが何か一般産業に対して支配力があると思っていますが、今どき世界を見渡したら、マーケットで信用されている会社であれば、金融業でなくたって金融業以上の資金調達力を持って、どんどん金融業を傘下におさめていく力を持っているわけですね。これは大変時代おくれな非対照性だと思っておりますが、岸参考人はどうお考えでしょうか。これ一問でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/51
-
052・藤田讓
○藤田参考人 私どもとしましても、規制緩和ということに何ら反対をしているわけではありません。
今般、先ほど御指摘のありました等の点につきましては、先ほど申し上げたのですが、一つは我が国の銀行のやはり優位性といいますか、そういう点が外国とはやや違うのではないか。外国は、例えば株式といいますと持てませんし、そういった点も踏まえたことからいろいろ保険審議会等で御議論をいただきまして、いわゆる利便性という面と利用者利益という両方の面が満たされるのが非常に望ましいのでしょうが、利用者利益という観点の方からより議論がなされて現在のようなスケジュールになっているのだろうというふうに思います。
それから、ソルベンシーマージン比率ということにつきましては、一つは、早期是正措置というのが平成十年度中に実施されると聞いておりますが、破綻の未然防止とか行政監督の透明化とか、そういうものとあわせたものの早期是正措置の基準というものが幾ら以上であればというのが出てきまずから、その適正基準というものとの兼ね合いでソルベンシーマージン比率というものも公表されていきますので、その辺の理解は相当進んでいくのだろうというふうに思います。
それからコーポレートガ.ハナンスということでは、大半が相互会社組織をとっておりまずけれども、相互会社組織というのは、契約者いわゆる社員に剰余の大半を還元するというメリットがありますので、諸外国でも相互会社形態があるように、保険会社としてはこの相互会社形態はメリットを持っている、長所を持っているんだというふうに思っております。
ただ、株式会社の株主総会に当たります総代会制度につきましては、過去にもいろいろと改善を試みておりまして、例えば全社員による、契約者による信任投票制度の実施だとか傍聴制度の導入だとか、そういったことを通じて御契約者の意見ができるだけ経営に反映するように努めてきております。こういったディスクロージャーの拡充とか契約者の意見のより経営への反映ということについては、今後とも一層努めていくつもりでおります。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/52
-
053・岸曉
○岸参考人 先生の御指摘のとおり、今銀行と一般事業の相互参入に関しましては非常に不整合な形になっておりまして、銀行の方は一般事業会社へ進出ができないわけでございますけれども、一般事業会社の方は銀行の保有が認められております。金融制度調査会等の審議会でかなり激しい議論があったというふうに聞いておりますけれども、その場でこういうふうに決着されたということであります。
私としては、個人の立場でございますけれども、こういう枠組みは、制度としての整合性がとれておりませんし、金融システムの健全性確保という観点からも問題ではないかという念を今でも持っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/53
-
054・岩永峯一
○岩永委員 岸参考人にお尋ねしたいのですが、我々、大蔵委員会で岸参考人がお見えをいただいていることを見ておるのですが、なかなか自由民主党に質問が回ってまいりませんで、直接お聞きする機会というのがなかなかないので、きょうは二点だけお聞きしたいと思います。
一つは、護送船団方式で銀行と大蔵が一体になって日本の金融を支えてきた。しかしながら、バブルの崩壊、そして護送船団方式という世界に目を向けない状況の中で一金融自体が大変な弱体化を来してきたというようなことで今右往左往しているわけですが、その一つは、やはり大蔵省の官僚、それから日銀の天下り、こういう中で銀行と大蔵省とが余りにもその関係を深めてきたことが弱体になった大きな要因である。
加えて最近、大蔵省の内部でもいろいろと問題を呈してきておるというようなことで、野党からだけではなしに自民党の中でも、この天下りの問題については、銀行自身がもう自主独立してくださいというような声が大変高まっていっているわけですね。銀行協会としては、こういう問題について具体的な話をされているのかどうか。
そして、厳しい野党からの追及はあるけれども、うなうなうなうな逃げておられるわけですが、やはりそこらあたりのある部分の姿勢というものを、私は全部どうせいこうせいとは言いませんけれども、やはりこういう時代にはっきりと銀行協会も国民に向けての姿勢というものを出すべきだと私は思うのですが、そのことが第一点。
それから第二点は、金融ビッグバンを推進して金融市場の空洞化をしないようにという発言がありましたけれども、私は、先ほどの中西参考人の話を聞いていて、本当にそうだと。これはおとといの夕刊を見ても、銀行の貸し出しが一九九一年から減少が最大になってきたというようなことも言われているわけでございますし、貸し渋りの実態というのは大変厳しいものがあろう、私はこのように思うわけですね。
しかし、バブルのときから何から見ても、銀行だとか金融がマネーゲームをしていたような感じであって、実際、実体経済に対する銀行の役割、金融の役割というのをどう考えているのかという大きな不信を私は持っているわけですよ。だから、こういうベンチャービジネスなんかをどうして育てていこう、そして実体経済をどうして盛り上げていこうという部分に対する論点がやはりぼけてしまって、自分のところを守るだけでもう四苦八苦している。
だから、中西参考人がおっしゃっておられたように、今回の金融対策について、私は中西参考人のように何にもならないと思っていませんよ。しかしながら、これからのベンチャービジネスを育てていくための銀行としての大変大きな課題がある。それが置き忘れられてしまっているというような感じがするのですが、ここのところでひとつ、じゃ、具体的に政府が、どうしたらその貸し渋りがなくなるのか、さっきのように信用保証協会に対する保証をきっちりつけていって、そして、そういう部分を見ていったら中小零細企業が救われるのか、そこらあたり、銀行協会としてそういう議論をして、今こういう数字に出ている問題に対する銀行としての責任をどこに、政府に求めていきたいのかというようなことを一回お教えいただきたい。この二点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/54
-
055・岸曉
○岸参考人 最初の御質問でございますけれども、いわゆる天下りと言われている大蔵省、日銀等からの大事について、全銀協として何かやらぬかというお尋ねでございますけれども、全銀協の中に入っております金融機関、これは実に、規模も歴史も背景もこれからの展開もさまざまでございまして、場合によっては、例えば海外に出ていくんだけれども行内に経験者がいないとか、あるいは、リスク管理をもう少し強化しなければいけないんだけれどもどこから手をつけたらいいだろうかとか、さまざまな経営上のニーズというものが日々新しく出てまいります。
これに対する対応というのは、やはりもうとにかく適した人材を求めてこれに対応していくしかございませんので、そういうものは広く外部から求めていかなくてはいけない、何といってもお役所で経験とトレーニングを積んだ方は相当のノウハウをお持ちでありますから、こういう人材を外部に求めていくときに、やはりそういう方が多くなるのではないかと。ビッグバンというのは、やはりそういう人材交流とか、すべての制度、機構の流動化、自由化というのが一層推進されるのがグローバリゼーションではないかと思いますので、全銀協は統制的なことができる団体でもございませんけれども、今申し上げたような事情で、全銀協としてはちょっと対応を考えておりません。
それから、貸し渋りの問題でございますけれども、先ほど申し上げましたことはもう省かせていただきますけれども、例えばベンチャー企業なんかにつきましては、私どもの方も、実は余り目立ちませんけれども相当努力をしておりまして、審査部門の中に新産業チームというものをつくりまして、ここで見させております。これは、一般の成熟した企業と一緒に見させますと、どうしてもベンチャー企業は劣後してしまうのです。ですから、それはもうベンチャー企業だけしか見させないということにしませんと審査がうまくいきませんから、そういうチームを、もうこれは随分長年になりますけれども、設けてやっております。それから、関係子会社にベンチャーキャピタルの会社を持っておりまして、これは貸し出しだけではなくて資本も持つということで育成を心がけております。これは、もう二十五年ぐらいこの会社を経営をいたしておりまして、順調に業務をやっておりますが、我々の努力が足らない点は……(岩永委員「貸し渋りをしないために政府に何をしてほしいの。それを聞きたいの、ポイントは」と呼ぶ)やはり、先ほども中西社長からお話が出ましたけれども、信用補完をやっていただくということは、リスクの点でも、自己資本比率、リスクアセットの点でも大変助けになると思っております。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/55
-
056・藤田幸久
○藤田(幸)委員 時間が限られておりますので、質問だけ簡単に申し上げたいと思います。まず、同じ名前の藤田参考人に一問お伺いをしたいと思います。
この金融システム改革法が成立をすると、破綻会社の保険に加入していた例えばお年寄りですね、いわゆるファイナンシャルニーディーというのですか、いわゆる経済的に弱い人々をどう扱うかということが重要な課題になってくる。これはアメリカのケースでもそうだったようですが、その場合に、単なるばらまきではなくて、実際にどういうふうにプライオリティーをつけていくかということが重要だろうと思うのですが、それをどういうふうにされるおつもりかということが藤田参考人に対する質問でございます。
それから、証券業協会の加藤参考人に幾つか御質問をしたいと思います。
日本における有価証券のデリバティブ取引の現状がほかの国と比較してどう違うかということでございますけれども、今度全面解禁になるわけですが、市場がどういうふうに発展されるかという見通しが一点。それから、私設取引システムの導入に際して、取引の公正性というものをどういうふうに担保するか。三つ目といたしまして、証券もディスクロージャーを充実するということになっておるわけですが、きのうも随分出ておりましたけれども、山一証券に見られるようなこういう粉飾決算を防ぐためには、実際にどういつだ対策を各証券会社の方で講じていく、どうずればそういったことがないようにできるのかという点について御質問したいと思います。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/56
-
057・藤田讓
○藤田参考人 今回の法案で保険契約者保護機構の創設というのがございますが、これは、万一破綻保険会社が発生した場合に、まず契約の継続を確保するということ、そして、破綻保険会社の責任準備金の九割までを補償するということを通じて契約者の保護ということが図られることになっております。
さらに、二〇〇一年三月までのいわゆる経過措置としましては、死亡とか疾病とか障害とかのいわゆる偶発的な保険事故に対する保険金等については全額補償する、それから個人年金、財形保険等のいわゆる貯蓄性といいますか、こういう個人年金等についても、二〇〇一年三月まで責任準備金の全額補償をいたします、こういう経過措置が設けられて、これらの形で御契約者の保護に資する形になっていると思っております。
また、加えまして、破綻保険会社が生じた際に、一定の要件のもとで、必要に応じて保険契約者保護機構から契約者等への貸し付けを行うことが可能な手当てもなされておりまして、経済的に困窮されている契約者に対する手当てと対応というものも確保されているというふうに考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/57
-
058・加藤精一
○加藤参考人 お答えします。
現状のデリバティブ取引でございますけれども、このデリバティブ取引については、取引所においては行われておりますけれども店頭取引においては禁止されておりましたのと、それから、有価証券店頭デリバティブ取引は国内では存在しなかったというようなことで、海外等の比較をしますと、商品の数というか、そういうのはすごく限定的で現在来ておるわけでございます。
また、参加者の方も、欧米の場合ですと生保とか年金等の機関投資家が積極的に参加をしているという状況でございますけれども、我が国では運用規制がこれまた厳しかったというようなことがあって、こっちの方も参加者に広がりは出ていないというのが現状でございますけれども、今回の市場開放によって有価証券店頭デリバティブ取引が解禁をされまして、この辺のところがら新しいスタートになるのではないかというふうに思っております。
状態としましては、この金融証券取引が極めてグローバルな形で発展をしておりますので、資金が利便性の高い方向にどんどん流れていく。そうすると、海外にはそういう商品がある、国内ではそういう商品が開発されていないという状況ですとどんどん外に流れていくので、早急に我が国においてもデリバティブ取引の多様化を図っていかなければいかぬのではないかというふうに思っております。
現物の移転を伴わない取引でございますから、取引のコストが非常に安くつくわけです。したがって、この現物市場の取引とこのデリバティブ取引との両市場が育っていって、相乗的にうまくいくようになることを願っていくのがいいのではないかというふうに思っております。
今度いろいろな法改正がございまして店頭デリバティブも認められることになりましたので、いろいろ顧客のニーズに適合したといいますか、そういった商品提供が可能になるので、今後我々としても、仲介者として市場の発展のためにこの面は開発していきたいというふうに思っております。
それから最後の、山一証券にさまざまなことが起こりましたのでディスクロージャーの問題があるわけですけれども、今まででも上場企業、もちろん証券業に対する証取法初め法令諸規則によってさまざまな規制がなされているわけでして、さまざまな罰則もあるわけであります。
そういう器があっても、結果としては実行する企業自身にモラルの問題それから極めてフェアな意識というのが欠けていればこういう問題が起こってくるということでございますので、やはりもとのところ、つまり株式を公開している証券会社に対して、企業投資といいますかコーポレートガバナンスといいますか、そういった見直しをぜひひとつもう一度やってくれということで、協会としても非常にこの点については、各社で顧問弁護士であるとか会計監査人等の社外の専門家を積極的に活用したり、あるいは社外監査役制度を導入するということで今までと一味違った社内管理体制といいますか、一歩前進した社内管理体制をつくるように今指導しているというか、そちらの方向に持っていっているというところでございます。そんなところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/58
-
059・西田猛
○西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。
まず、岸参考人と加藤参考人にお聞きしたいのでありまずけれども、本日の冒頭、岸参考人が、例えばケイマン諸島などにおける御行の関連会社のアセット・バックト・セキュリティーズの発行などについて陳述されました。ということは、我が国においても証券関係諸税ないしはそのような証券に絡む所得に関する税金等がある意味で全廃ないし緩和されれば、我が国におけるそういうABS等の発行も促されるのではないかというふうな御意見だと承りましたけれども、やはりそういう意味で、我が国における証券関係諸税は廃止ないし大幅に緩和するべきであるという御意見かと思います。そのあたりについて、両参考人からお聞きしたいと思います。
次に、これは岸参考人と中西参考人にお聞きしたいのでありますけれども、いわゆるBIS基準をクリアせんがために金融機関の民間事業者等に対する貸し渋りなどが行われているという意見がございます。しかし、逆に考えますれば、我が国の銀行行政は大蔵省による鋭い業統制、業規制がございまして、たとえ国際的にBIS基準をクリアしていなくても銀行の経営には何ら支障がないという体制がしかれているとも思われます。逆に言えば、BIS基準をクリアしていても、かつての北拓のように危機に陥り、あるいは倒産してしまうような銀行もあるとも言えます。
ということは、我が国の銀行当局から世界に向けて発信してもらいたいのは、例えば、BIS基準をクリアしていなくても日本の銀行は大丈夫なんだということを言ってもらえれば、国内的な貸し渋りは行われないということにもなるのではないかなと思われるのですけれども、両参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/59
-
060・岸曉
○岸参考人 まず最初の問題でございます。
今度御審議いただいておりますSPC法でございますけれども、この特別目的会社を設立するときの登録免許税が三万円であるとか、所得の九〇%以上を配当すれば支払い配当は損金算入されて二重課税が課せられないとか、あるいは、不動産移転の登録免許税あるいは不動産取得税が二分の一であるとか、さまざまな税の優遇がなされておりますので、こういうSPCの設立、利用の道が開かれれば相当利用されるのではないかなと。さらなる税の優遇があればもちろんあれでございますけれども、これまでに比べまして相当大幅な優遇が与えられたというふうに思っております。
それから二番目のBIS規制の問題でございます。
これは御記憶だと思いますけれども、前に、例えばベアリングズの破綻というようなことがございまして、今金融マーケットは世界じゅうで非常に密接にいわば地下水脈でつながっておりますので、そういう中で何か問題が起きますと、世界じゅうの決済機能にダメージを与えて非常に大きな経済の混乱になる。こういうことから、国際業務に参入する銀行についての最低限の制限はどうするかということで、バーゼルの委員会が一年じゅう検討をして、改善しつつやっている、規制を決めているところでございまして、これは、グローバルにそのビジネスに参入する側としては、やはり守らなくてはいけない制限なのかなというふうに思っておるところでございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/60
-
061・加藤精一
○加藤参考人 証券税制についても、有収税を半減していただきまして、今非常にありがたく思っているわけですけれども、しかし、そのグローバルスタンダードという面からいうと、やはりこの辺はもう一段進んでいただかないといけないんじゃないかというふうに思っております。そういうことであれば、先ほどお話ありましたように、ABSなどの新しい商品も生まれてくるということで、やはり顧客にも大変プラスになるような動きになるんじゃないか。
加えて、グローバルスタンダードという観点からいえば、他の税制も、例えば法人税、所得税というようなものも、グローバルスタンダードで世界並みのレベルに合わせていくことがすごく大事なんじゃないかなというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/61
-
062・中西真彦
○中西参考人 今、西田委員がおっしゃいましたことは、私も半分は同感でございまして、単にBIS基準をクリアする、しないというふうなそういった金融システムへの直接的な対症療法ということだけでこの問題が解決されるものではないと思っておりまして、私はやはり大きな二つの対策が必要だと思う。一つは、有効な景気対策を思い切って政府がやることと、もう一つは、構造改革の大命題をこれは逡巡しないで推し進めていくという、この二つをやはりやらなければいかぬと思うのですね。
景気対策としては、これは私は持論ですが、やはり元気のある企業になお元気を出させて、景気活力のエンジンに点火するという意味で、やはり法人税を一気に四〇ぐらいまで下げるということをやるべきだろう。橋本総理は三年かけておやりだ、この間こうおっしゃいましたが、私は、政府税調あたりでことしあたり結論を出して、来年、国会を通して実施に持っていくというぐらいのことをやれば、これはかなりのインパクトを市況に与えるんじゃないか。
私、この間、山崎政調会長と「報道二〇〇」で対談して、やはりそのことを申し上げて、山崎さんが、やや認めるような認めないようなあれでしたが、肯定されたようなことだったんですね。新聞がそう書いた。その月曜の前場、一気に一万七千円まで戻したんですね。だから、やはり市場が求めているということなんですね、法人税の引き下げは。だから、所得税も下げれば当然消費もふえるでしょうから、これは必要でしょうが、優先順位は、私は、やはりそれをやることを市場が求めているんであろうということを申し上げておきます。
その他、不況の最大原因は、当然やはり不良債権問題もあると思いますね。不良債権問題の原因は、やはり資産デフレですね。資産デフレで土地が下がったからこれが全部不良債権化したわけですから、やはり資産デフレを直すには、例えば資産課税あたりを思い切って時限立法でもやって、資産課税全般は、関連税制は皆いっとき停止するというぐらいのことを思い切ってやったらどうか。そういうことをやれば資産デフレがとまって、不良債権の問題も解決してくるだろうし、もろもろの景気にも大きくプラスするのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/62
-
063・村上誠一郎
○村上委員長 それでは、まだ御質問があろうかと思いますが、予定の時間となりましたので、大変恐縮ですが、また名残惜しゅうございますが、これにて参考人に対する質疑を終了いたします。
参考人各位におかれましては、御多用中のところ御出席いただきまして、短時間でありましたが、大変濃密な議論をさせていただきまして、本当にありがとうございました。本当に貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114204629X02219980417/63
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。