1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十年九月四日(金曜日)
午前十時一分開議
出席委員
委員長 相沢 英之君
理事 石原 伸晃君 理事 藤井 孝男君
理事 村田 吉隆君 理事 保岡 興治君
理事 山本 有二君 理事 池田 元久君
理事 中野 寛成君 理事 坂口 力君
理事 谷口 隆義君
愛知 和男君 伊藤 達也君
伊吹 文明君 飯島 忠義君
江渡 聡徳君 大野 松茂君
大野 功統君 金田 英行君
岸田 文雄君 倉成 正和君
佐田玄一郎君 佐藤 勉君
砂田 圭佑君 滝 実君
津島 雄二君 中谷 元君
能勢 和子君 萩野 浩基君
蓮実 進君 望月 義夫君
山本 幸三君 吉田六左エ門君
渡辺 喜美君 上田 清司君
枝野 幸男君 岡田 克也君
海江田万里君 北村 哲男君
仙谷 由人君 古川 元久君
石井 啓一君 上田 勇君
大口 善徳君 中野 清君
鈴木 淑夫君 西川太一郎君
西田 猛君 木島日出夫君
佐々木憲昭君 春名 直章君
濱田 健一君 笹木 竜三君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君
国 務 大 臣 野中 広務君
国 務 大 臣 柳沢 伯夫君
出席政府委員
内閣審議官 白須 光美君
経済企画庁調整
局長 河出 英治君
国土庁防災局長 林 桂一君
金融監督庁長官 日野 正晴君
金融監督庁検査
部長 五味 廣文君
金融監督庁監督
部長 乾 文男君
大蔵大臣官房総
務審議官 武藤 敏郎君
大蔵省金融企画
局長 伏屋 和彦君
農林水産省経済
局長 竹中 美晴君
委員外の出席者
議 員 池田 元久君
議 員 枝野 幸男君
議 員 古川 元久君
議 員 石井 啓一君
議 員 鈴 木淑夫君
議 員 谷口 隆義君
衆議院法制局第
二部長 窪田 勝弘君
参 考 人
(預金保険機構
理事長) 松田 昇君
参 考 人 速水 優君
衆議院調査局金
融安定化に関す
る特別調査室長 藤井 保憲君
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委員の異動
九月四日
辞任 補欠選任
河村 建夫君 能勢 和子君
砂田 圭佑君 飯島 忠義君
宮本 一三君 佐藤 勉君
山本 公一君 望月 義夫君
西川 知雄君 中野 清君
同日
辞任 補欠選任
飯島 忠義君 砂田 圭佑君
佐藤 勉君 萩野 浩基君
能勢 和子君 河村 建夫君
望月 義夫君 岸田 文雄君
中野 清君 西川 知雄君
同日
辞任 補欠選任
岸田 文雄君 山本 公一君
萩野 浩基君 宮本 一三君
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九月四日
金融機能の再生のための緊急措置に関する法律
案(菅直人君外十二名提出、衆法第五号)
金融再生委員会設置法案(菅直人君外十二名提
出、衆法第六号)
預金保険法の一部を改正する法律案(菅直人君
外十二名提出、衆法第七号)
金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の
整備に関する法律案(菅直人君外十二名提出、
衆法第八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措
置法案(内閣提出第一号)
金融機能の安定化のための緊急措置に関する法
律及び預金保険法の一部を改正する法律案(内
閣提出第二号)
債権管理回収業に関する特別措置法案(保岡興
治君外三名提出、衆法第一号)
金融機関等が有する根抵当権により担保される
債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する
法律案(保岡興治君外三名提出、衆法第二号)
競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整
備に関する法律案(保岡興治君外四名提出、衆
法第三号)
特定競売手続における現況調査及び評価等の特
例に関する臨時措置法案(保岡興治君外四名提
出、衆法第四号)
金融機能の再生のための緊急措置に関する法律
案(菅直人君外十二名提出、衆法第五号)
金融再生委員会設置法案(菅直人君外十二名提
出、衆法第六号)
預金保険法の一部を改正する法律案(菅直人君
外十二名提出、衆法第七号)
金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の
整備に関する法律案(菅直人君外十二名提出、
衆法第八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/0
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001・相沢英之
○相沢委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措置法案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律及び預金保険法の一部を改正する法律案並びに保岡興治君外三名提出、債権管理回収業に関する特別措置法案及び金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案並びに保岡興治君外四名提出、競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案及び特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案の各案を一括して議題といたします。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
各案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君及び預金保険機構理事長松田昇君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/1
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002・相沢英之
○相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/2
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003・相沢英之
○相沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺喜美君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/3
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004・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員 今、金融の世界では激甚災害とも言える状況が続いております。時代の変わり目には天変地異が続発をすると言われておりますけれども、昨日も岩手で震度六を超える大地震がございました。被災をされた皆様には心からお見舞いを申し上げます。
私の地元も、一週間前でありますけれども、想像を絶する大雨が降りました。たった三日間で一年間に降る雨の三分の二ぐらいが降っちゃった。私は、子供のころから、川というものは何万年もかかってできるんだろうと思っていたんですね。しかし、川というものはたった一晩でできるものだということがわかったんです。
私は、この委員会を休ませていただきまして、つぶさに現地を見てまいりました。私にとって救いだったことは、被災をされた皆様の中に、本当にショックで茫然自失をしておられる方々もいるし、子供さんもいらっしゃったのでございますが、不思議に明るさがあったなという気がいたしました。
一つには、大災害の中で九死に一生を取りとめた、激流に流されそうになったけれども何とか竹やぶにっかまって生き延びたとか、あるいは救助のヘリが来てくれて救われた、そういう方々に何人もお会いをしました。本当に命が助かってよかったな、そういう思いが一つだったと思います。
それから、被災をした後、まずは自分の力で泥だらけになった家や田畑をとにかくもとどおりにしよう、そういう自助の精神がありました。しかし、それだけではどうにもなりませんので、隣組の人やあるいはボランティアの人たちが助けに来てくれた、そういう思いもあったと思います。
そして、何よりも、自分の力や町の力ではどうにもならない、しかしいち早く総理大臣初めこの日本国政府が動いてくれた、そういう安心感だったろうと思います。
総理にも、雨が降っているその途中から、この国会、この委員会の席上、政府としてできることは何でもやりますというお言葉をいただきました。総理にも本当に生々しい現場を視察をしてもらいました。牛の死体がごろんと転がっているような、総理にとっては本当に悪夢のような現場も見てもらいました。柳沢長官にも見ていただきました。
長官、どうですか、こういう非常事態にあって、例えば激甚災害制度というものを適用できるものなのかどうか、長官の政治家としてのお考えをお聞きさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/4
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005・柳沢伯夫
○柳沢国務大臣 先生の地元を含む栃木、福島、それからその前の新潟、今回の異常気象を起因と考えていいと思うんですけれども、全く予想を超えるような豪雨の災害に見舞われまして、多数の犠牲者の方も出てしまったということで、心からお悔やみを申し、また、現在なお行方不明の方もいらっしゃいますので、その方々の御生存を心からお祈りしたい、また、被災を受けられた方々全体に対して心からお見舞いをまず冒頭申し上げておきます。
そこで、御指摘の激甚災害の指定の問題でございますけれども、これはもう先生御承知のとおり、公共施設等については、被災額とそれぞれの財政力、それを賄うというか、そこに充てる財政の力がどのくらいあるかということで、なお一層の補助が必要というときに激甚災害の指定をするということであり、また、農地と農業施設については、これは農業所得との比較においてその要否を決めていく、こういう制度になっておるわけであります。
そこで、今回の豪雨が大変大規模というか非常に強いものでございましたものですから、関係の役所で鋭意検討をいたしておりますけれども、公共土木施設については、今先生おっしゃったようにまさに被害の程度というのは非常にひどいんですが、局地的に限定されて災害が発生したということがございまして、いわゆる専門家の言葉で言うと本激と申しますか、本来の伊勢湾台風のごとき激甚災ということにはなかなか当てはまってこないけれども、それぞれの市町村単位で考える局地激甚災害の指定ということについては、市町村によってはもうこれはほぼ当てはまるではないかというような展望が現在見えてきておるということでございます。これについては、早急にという地元の被災者の方々、また関係地方公共団体の方々の御要望もございますので、十二月くらいをめどに何とかこの指定ということの判定をいたしてまいりたいというふうに考えております。
他方、農地及び農業施設につきましては、これは農業所得との関係ということでございますので、これは橋が流されたとかそういうことではありませんで、農地あるいは農業施設はかなり広範囲に傷んでおる、傷められたというようなこともありまして、いわゆる本激の指定の可能性もなきにしもあらずという展望でございますが、少なくとも局地激甚災害の指定というものはいたさなければならないのではないか。この方は十一年の一月をめどにそういう手続が進められるのではないか、このような展望を持っております。
いずれにしても、政府はできるだけ早急にこの指定が可能なところについては指定をしてまいりたい、このように考えていることをお答え申し上げでおきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/5
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006・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員 ありがとうございます。
こういった危機対応の一つの要請はスピードでございます。どうぞスピードを持って政治家としての御判断をしていただきますよう改めてお願いを申し上げます。その際は、大蔵大臣、お金が必要でございますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。
金融や経済の世界でも今グローバルな形で激甚災害が起こっている、私はそう認識をいたしております。きのうですか、ルーブルが何と四割以上も下がってしまった。結局、三年ほど前から始まったドル高政策といったことに限界が来ているのではないか、そういう思いがいたします。
大蔵大臣は、今週末サンフランシスコに行かれて、そういったことを率直にルービン長官とお話をされることと思いますが、本当に大破局を招きかねないような、その入り口に差しかかってしまっているんだという危惧を私は抱いているのでございます。また、世界的な景気も後退をしているという状況にございます。
最近、本屋さんに行きますと、こういう「大恐慌型不況」という本が横積みになって並んでおります。侘美光彦さんですか、マル経の先生かもしれませんけれども、大変おもしろい本でございます。
昨年の十一月から、日本の経済も金融のパニックに伴っていよいよ生産縮小が起こってきた、とんでもない事態に入りつつあるなという気がいたします。そういたしますと、どんなにうまく政府が景気対策をやったとしても、一年後には失業者は五百万人ぐらいになっているかもしれない。そして、こういう大恐慌型のシナリオに突入をしていくと、恐らく失業者の数は四人に一人、つまり一千七百万人とか、そういうレベルに達するかもしれない、そんな状況であろうかと思います。
冷戦崩壊後、世界が市場主義、フリー、フェア、グローバル、こういった形で進んできているのでありますけれども、市場というのは、釈迦に説法でありますが、時に不安心理に駆られたり、あるいはある種の欲望が肥大化をして、機能不全に陥ることがあります。そういうときには、では一体市場にすべてを任せていいのかというと、これは危機管理の世界でありますから、まさに政府がきちんとこの危機対応をやらなければいけない、そういうことなんだろうと思うのですね。
残念ながら、日本では、この金融の危機管理に当たるべき金融当局が、行政改革やあるいはさまざまなスキャンダルに見舞われて機能不全になってしまった。マーケットが機能不全である上に政府も機能不全になってしまったら、これはもう話にならぬ。そういう状況が、ついこの間まで続いておったのではないでしょうか。
ですから、せっかく平成の高橋是清という形で宮沢総理が再登板をされたわけでありますから、ぜひ危機回避策、何とか大恐慌を回避する方策をとっていただきたいのであります。もう一回金融のパニック、心筋梗塞が起こると、これはもういよいよ本格的な産業恐慌、これに突入してもおかしくはない、まさにそういう状況であろうと思います。
私は、皆さんのお手元に一つの頭ごなし、ブレーンストーミングでありますけれども、アメリカにおける銀行破綻処理の流れという紙をお配りをしておきました。
御案内のように、アメリカの破綻処理の大原則というのは、いかに納税者のコストを下げるか、そして、それ以外にほかにとり得る手段がない、そういったことが原則になっております。
二通りのやり方がありまして、一つは、銀行を閉鎖する、破綻後処理というやつですね。シャッターを閉めて銀行の破綻処理をやっていく。そういう中にいろいろな試みがあるのでありますけれども、例えばペイオフあるいは預金の全額保護、あるいはほかの銀行に預金保険のくっついている預金を移転をするやり方、あるいは丸ごと受け皿銀行に資産と負債を継承するやり方、そして一番最後にブリッジバンク、こういうクローズドバンクの方式があるわけですね。それで、この中で恐らく納税者のコストが低いであろうと思われるのは、ブリッジバンク方式かもしれません。
一方、そういうクローズドバンク方式とは違う、銀行のシャッターを閉めないやり方、最近の日本のマスコミの言葉でいえば破綻前処理というやり方がございます。これは、コンチネンタル・イリノイ銀行のあのときの失敗の教訓に学んで、システミックリスク原則という原則をアメリカでは打ち立てました。つまり、例外的に、システミックリスクが発生をしそうなときには、国家が危機管理として何でもできる、早い話がそういうことですよ。
ですから、アメリカでは、このシステミックリスク原則はまだ発動されたことはありませんけれども、我が国においては去年の十一月から、まさにこのシステミックリスク原則を発動せざるを得ないような状況がずっと続いてきてしまった、そういうことであろうと思います。
そこで、我々は去年の十二月、金融危機管理勘定の十三兆円、こういうものを党でこしらえて、政府提案の法律として通常国会を通していただきました。それに基づいてこの三月に資本注入をやったのでありますけれども、これが非常にピンぼけであった。なぜピンぼけになってしまったんだ、その反省を我々はしておかなければいけないと思います。
その一つは、原価法を採用する、要するに、株の含み損を表に出さなくていいですよと。日本の銀行は、これは株の持ち合いの中心になっておりますから、株価に左右されることのないような、そういう会計制度がいいんだろうという一種の苦肉の策だったのでありますけれども、結局原価法を採用して強い自己資本、ティア1の方を守り、そうするとティア2、弱い自己資本の方がぼこんとへっこむわけですから、そこを劣後債で穴埋めをする、そういう資本注入がやられてしまったのではないか。
どうですか、大臣、大蔵大臣だけで結構でありますけれども、原価法適用というのは、今さら変えようがありませんけれども、正しかったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/6
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007・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 現在動いておりますシステムにつきましては、渡辺議員が自民党におきましてその案づくりに大変な御貢献をいただきましたのでよく御存じのことでございますが、今の原価法の問題、あの段階において、非常に貸し渋りがきつくなっております中で株式価格が下降傾向にございましたので、金融機関は自分の持っております株を売って益出しをする、益出しをすることによって買い戻しますと簿価が非常に高くなる、そういうことの循環を実はやっておりまして、いわば自分の首を絞めるようなことをやっておりましたので、正直を言って、苦肉の策とおっしゃいましたが、そういう言葉が恐らく該当いたしますでしょう、このお互いが首を絞めるような状況を見ておりまして、行政としては原価法ということを、商法のこともございますので、それと低価法との選択を与えた、こういう経緯であったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/7
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008・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員 そういう非常に不幸なスタートがあったのではないかと私は思うのでございます。
また、実務上も、この優先株という制度が非常に新しい制度でありますから、例えば普通株と優先株主とのいわばギャップですね、これがどの程度だったら認められるかという実務上の問題点などもあったりして、横並び劣後債の注入というピンぼけなところに行ってしまった結果、貸し渋り対策にもならないし、不良債権の処理を加速することにもならなかったということがあったのではなかろうかと思うのです。
そして、この資本注入の審査をする危機管理審査会、これを、新しい日銀法と同様、日銀の政策委員会と同じように多数決でいいんじゃないかと我々は考えたわけです。というのは、これはいずれ議事録が公開をされて、歴史の批判にさらされることになるわけでありますから、別に反対をされる方がいてもいいんじゃないか、我々はそう考えたのでございます。
ところが、ある独禁法に詳しい大御所がおられて、この方が、公正取引委員会と同じように全会一致制にしたらどうか、そういう御意見を御開陳されて、そのとおりに決まった経緯もあるのでありますけれども、全会一致ということになりますと、これはなかなか反対しにくいのですね。
きょうも、佐々波先生、扁桃腺はらしてお休みでございますけれども、そのあたりはどうなんでしょうか、大臣。全会一致制が正しいのか、あるいは反対する人がいてもいいじゃないか、そのあたり、お考え、お聞かせいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/8
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009・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 今渡辺委員の御指摘になりました、この全会一致になりました自民党内の議論の経緯は、私も存じております。
この危機管理審査委員会の問題につきましては、一つは国会承認大事にするということが加わり、またもう一つは全会一致ということが加わりまして、当初の案とはその二点がつけ加わったわけであります。これは自民党内にも、あるいは各党ももちろんでしたが、与党と言われる方々ももちろんでしたが、いかにもこれは重大なことであるので、普通の多数決というようなことではどうであろうか、そこは重くした方がいい、そういうふうに考えられたようなのですが、国会承認大事にせよというのも、そのような御意向でありました。
したがって、この議決事項のうち、優先株等の引き受けあるいは審査基準の作成等々、重要事項につきまして全会一致といたしまして、そうでないものは出席委員の過半数、こういうことに決められておりまして、立法者の意思は、むしろ非常に大事な出来事であるので手続を重くすべきだ、こういうお考えのようでございます。
渡辺委員の言われますのは、いや、むしろ記録が残るのであるから、これは反対の人は反対を表明された方がいい、全会一致にするとかえってそういうチャンスがなくなるんだと。これも一つのお考えと私は思いますが、当時、立法の経緯は、この決定を非常に重いものにしておこう、こういう経緯であったように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/9
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010・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員 とにかく、この十三兆の危機管理勘定というのはまさに危機対応なんですね。危機が目前にあるときにこれが使えないということほど愚かしいことはないと私は思うのであります。ですから、正しい資本注入のやり方、これを我々はもう一度考え直すべきではなかろうか、こう思うのであります。
要するに、危機管理勘定をつくるときに、健全行でないと使えないんだ、そういうレトリックを使ってしまったのですよ。それは貸し渋り対策ということが念頭にあったものですからね。要するに、健全行から手を挙げてもらわないと、だめ銀行が手を挙げると取りつけが起こってしまうじゃないか、そういう心配があって、健全行から、こういう話だったのが、いつの間にか健全行でないと使えないんだ、そういうレトリックにすりかわってしまった、非常に不幸な経緯があるのです。
ですから、こういうあほみたいなレトリックはもう使う必要はないんじゃないか、そう私は思うのでございます。経営が著しく悪化していない銀行なんというレトリックは、どうですか、こんなの取っ払っちゃったらいいんじゃないですか。大蔵大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/10
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011・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 審査基準の基本は法律に書いてございますし、なお、その法律に基づいて審査委員会が基準をつくられたわけであります。
今渡辺委員のおっしゃいましたような経緯も確かにないわけではございませんでした。それは、私もそういう見方はわからないでもございませんが、まあ恐らくこの審査基準が非常に適当でないということになりますと、もとは法律の問題になりますが、いや、法律の枠内でもなお改められるところがあり、改めるべきだとお考えになりましたら、金融危機管理審査委員会がひとつそれをお考えになることになるのではないかと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/11
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012・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員 とにかく、我々は歴史の教訓というものをよくもう一回振り返ってみる必要があると思うのですね。野党の皆さんも大変立派な御提案をされたわけでございます。ですから、これは何とかこの国会で与野党の一致点を見つけ出さなければならない。歴史が再び繰り返すことがあってはならないと私は強く思うのでございます。
そういうときに、野党の皆さんの中からも大変いい御提案が出ております。
例えば、平和・改革の平田米男議員からは、「金融システム崩壊回避の方策」として、非常に具体的な提案がございます。まず、金融監督庁の基準に従って、分類債権を適正に引き当てをする。そうした上で、八%以下の銀行はみずからの判断で増資をするかあるいは四%銀行になるか、二%以下の銀行はみずからの判断で合併先を見つけるかあるいは破綻処理手続に入るかを決定する。そして、きちんと自己資本を総動員して不良債権処理を、引き当てをした上で、必要な自己資本は資本注入、これは普通株ということになっておりますが、普通株だと経営権を国家が取得する、要するに、経営に失敗した銀行をどんどん国有化しちゃえ、こういう話であって、これは私は非常に合理的な話だと思うのですね。
要するに、市場で経営に失敗をしたわけでありますから、それを国有化するのは、ある意味では危機回避の策としては当たり前のことなんですね。ですから、こういう提案は、我々もこれを真剣に考えていく必要があると思いますが、大蔵大臣、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/12
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013・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 その御提案は私も拝読をいたしまして、確かに非常に示唆に富んだ御提案であるというふうに考えております。
もともと、何度も申し上げておりますとおり、今、いわゆる全体のトータルプランにおきましては、政府も御提案を申し上げておりますし、また今までやってまいったこともいろいろございますが、各党で御協議の上、このようなベターな方策があるというふうな結論を出していただきますれば、政府としては喜んでそれに従いたい。決して、私どもの御提案、私どものやってまいったこと全部がベストであるというふうには思っておりませんので、いろいろなサジェスチョンに対しましては十分柔軟に対応させていただくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/13
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014・渡辺喜美
○渡辺(喜)委員 とにかく、この目前に迫った危機を、我々政治家は、それぞれの政治的立場、政治的思惑を超えて危機回避をやっていくことが必要であろうと思います。
どうぞ金融当局におかれましては、早期是正措置というこの道具があるわけですから、金融監督庁がきちっと検査をやって、適正に引き当てをやってもらい、へこんだ自己資本がある銀行が出てきたら、これはもう早期是正の発動をやって、増資の命令を出す、それくらいやらないと、余りにもピンぼけ銀行経営者が多い中では、私は非常に、心配なんです。どうぞよろしくお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/14
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015・相沢英之
○相沢委員長 これにて渡辺君の質疑は終了いたしました。
次に、上田清司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/15
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016・上田清司
○上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。
今、最後の渡辺議員のくだりは私も最も賛成するところであります。どうぞ監督庁長官は大いなる決断のもとにきちっとした対応をしていただきたいというふうに冒頭から申し上げます。
まず、佐々波委員長を参考人として要請をしておりましたが、先ほど委員部の方からお聞きしましたら病気だということでございますが、健康のことはこちらから申し上げるわけにいきませんが、この委員会の重要性、また佐々波委員長の置かれた重要な立場、そういうことを考えれば、医師の診断書を提出してきちんとお休みになることがしかるべきだというふうに私は思いますので、委員長、これはやはり佐々波委員長の見識を問われますので、ぜひ委員長からそうした旨の申し入れがあったということをお伝えしていただきたいということをまず冒頭にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/16
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017・相沢英之
○相沢委員長 はい、わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/17
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018・上田清司
○上田(清)委員 そこでお伺いしますが、松田理事長、委員長代理というのはおられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/18
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019・松田昇
○松田参考人 お答えいたします。
三名の審議委員が構成メンバーになっております、民間から来られた方。それで、三名の審議委員の中から委員長を選ぶという法律の決まりになっておりまして、佐々波委員長が選出されておりますけれども、委員長に事故あるときというか、何か支障がある場合には委員長を代理するということで、小堀先生がその役と決まっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/19
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020・上田清司
○上田(清)委員 そういうことであれば、代理の方が御出席するのが筋かなというふうにまず申し上げたいと思います。
それでは、大蔵大臣、連日お疲れさまでございます。
私、ずっと本会議、予算委員会の質疑録をつぶさに検討させていただきましたところ、八月十日の本会議で、神崎平和・改革代表の代表質問の中で、大蔵大臣は「これまでと同様、破綻した金融機関の経営者の退任及び法律に基づく民事、刑事上の責任を厳格に追及する方針」ですと。これまでと同様と。
一昨日、おとといですね、上田勇議員から法務大臣に、責任追及についてどのようになっているかという詳しい御質疑がございました。私も過日の予算委員会で大臣に御存じですかと言ったら、詳細は聞いておりません、知りませんと言っておられましたが、しかし、八月十日の本会議では、これまでと同様、法律に基づく民事、刑事上の責任を厳格に追及する方針ですということを言っておられるところを見ると、承知しておられるのかなというふうに意地悪な質問をしておりますが、これまでと同様というふうに言っておられる以上、これは八月十日の衆議院本会議の質疑録でございます、余り私は質問通告しておりませんので、申しわけありません、大臣、出てないかもしれません。数字として必要な部分は申し上げておりますが、議論として必要なところでは余り通告をしないことにしておりますので、お許しをいただきたいと思いますが。
それで、これまで同様というふうに大臣は本会議でも述べておられます。責任追及に関しては厳格に追及していく、これまでと。私は余りこれまでやってないのじゃないかというふうに思っているのですが、大臣は、これまでというのはどれまでやってこられたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/20
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021・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 せんだってこの委員会でも、これは政府委員から御報告があったところでございますけれども、刑事責任の追及につきましては、平成三年以来この平成十年五月まで、五月の起訴までで、十一件でございますか、ございまして、そのうち四件は判決が確定いたしております。これはほぼ背任、詐欺等々でございますが、その余は公判中でございます。
民事訴訟につきまして九件、これは主として損害賠償請求事案でございますが、二件終結をいたしております。一件和解。残りは係争中でございますので、無論、これは起訴になりましたものについてのことでございますので、それ以外の事態の追及は検察当局においていろいろになされておることはもちろんと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/21
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022・上田清司
○上田(清)委員 私はその事実については確認しておりますし、さきの予算委員会で申し上げましたように、一番の問題なのは、大蔵省管轄の銀行でそういう責任追及がなされてないというところなんです。それについてはどう思われますか。
大蔵省監督の、今申し上げられました責任追及の部分は全部信組関係なんです、つまり、県や都や大阪府が、あるいは整理回収銀行が責任追及をしておりますが、肝心の大手の破綻でありました、例えば兵庫銀行、銀行検査のときの二十四倍にも不良債権が三カ月でふえた、そういう兵庫銀行は何もないですよ。徳陽シティもない、拓銀もない、京都共栄銀行もない。こういう問題についてどういう認識でおられるかということを実は過日の予算委員会で私は申し上げたのですが、実情を私は知らないと言っておられましたが、しかし、本会議の十日の方は、これまでと同様ということを言っておられる以上は知っておられるのかなと思ったら、やはり知っておられないというふうに私は思わざるを得ないのですが。
一番問題なのは、銀行が本当に責任をとろうとしているのかどうか、あるいはまた、その銀行に対して、もうずっと、さまざまな法案のたびに、とことん地の果てまで責任は追及するとか言われながらも、肝心の銀行、大蔵省監督の銀行にはなぜ追及がないのか。それはOBが頭取や関係者でいるからじゃないかという疑念があるのですよ、一般国民からすると。
そこの点について、大臣のしかとした方針なり見解なりを私は伺っておきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/22
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023・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 大蔵省管轄のものであるから、何かOBがいて責任追及が行われないというようなことは、今の検察の体制、判断から考えますと、あり得ないことと思います。例えば阪和銀行は昨年十一月に頭取等が起訴を受けておりますし、したがいまして、はっきりそこを言えとおっしゃれば、まことにはっきり申し上げなければなりませんが、大蔵省の人間が関与していたから、起訴をするあるいは追及をする、それに緩やかではないかということは、私はあり得ないことというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/23
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024・上田清司
○上田(清)委員 阪和銀行は和歌山地検が起訴をしておりますが、実は、兵庫銀行に見られますように、大蔵省の銀行検査後三カ月後に破綻したわけですが、不良債権の額が二十四倍になっております。ほとんどの銀行は三倍から四倍です、破綻後の不良債権の増額の部分は。兵庫銀行二十四倍ということは、銀行検査がでたらめであったか粉飾決算があったか二つに一つですから、行政当局で告発ができるはずなんですということを私は申し上げておきます。ここで時間を使いたくありません。
それでは、日銀総裁、御足労ありがとうございます。六月の日銀考査で大手十九行に関して債務超過はなかったと聞いておりますが、これは間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/24
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025・速水優
○速水参考人 十九行の査定の結果につきましては私もまだ聞いておりませんけれども、お尋ねの、問題になっております日本長期信用銀行につきましては、私どもの計算では債務超過ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/25
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026・上田清司
○上田(清)委員 今総裁、異なことを申し上げられました。私は長銀のことを聞いているのではなくて十九行について聞いたのですが、十九行について日銀考査をやりながら、その結果についての報告は聞いていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/26
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027・速水優
○速水参考人 十九行の検査及び考査、これは金融監督庁とそれぞれ分担してやっておるわけでございまして、まだ全部が終わったというところまでいっていないと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/27
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028・上田清司
○上田(清)委員 わかりました。後で、どことどこが終わったか資料をいただきたいというふうに思います。
それでは、長銀について今申し上げられましたが、日銀考査と三月の長銀が出した自己査定というのは大体、おおむねで結構でございますが、イコールなものなんでしょうか。それとも、相当異なるものがあるのでしょうか。異なるものがあったら、どういうところが異なるのか、お考え方についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/28
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029・速水優
○速水参考人 第二分類、第三分類、第四分類、自己査定の数字をお聞きいたしました。これは、私どもの考査、三月末現在でやりました考査の結果と比べましてそれほど大きく違っているものではないというふうに理解しておりますが、私どもの、考査の結果につきましては公表できないことになっておりますので、その点だけは御容赦いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/29
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030・上田清司
○上田(清)委員 おおむねイコールだというような認識に立っておられるというふうに私は受けとめましたが、総裁は八月十三日の記者会見で、金融機関は第二分類を開示せよということを言っておられまして、すぐリアクションがありまして、金融業界からは反論が出ておりましたが、なぜ第二分類を開示せよと言われたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/30
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031・速水優
○速水参考人 特に第二分類について開示せよと申したわけではございませんで、自己査定、自己開示をこれからの金融機関の不良債権整理の手順として、一つの選択肢としてぜひ考えてほしいということを申したわけでございます。その結果、多少の反駁もあったと思いますけれども、地方銀行等では三十数行がそういうことをやっておりますし、特に第二分類についてというふうに申しておるわけではございません。先般、東京三菱銀行が新しい方式を発表して報告を受けましたけれども、これなども第二分類を二つに分けたりいたしておられるようでございますので、そういう点も少しずつ前に進んできているなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/31
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032・上田清司
○上田(清)委員 なぜ開示せよと言われたのかという質問については十分お答えになっていないような気がいたしますが、先を急ぎます。
その時期に、大手銀行の突然の破綻は回避すべきだということも述べておられますが、何かこれは際どい金融機関なりなんなりあるというふうに思っておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/32
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033・速水優
○速水参考人 ちょっと御質問の意味がよくわからなかったのですが、私がいっどこで、申した言葉なのかもしれませんが、特に今、際どい銀行がここにあるというふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/33
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034・上田清司
○上田(清)委員 また同時に、八月十七日の予算委員会で総裁は、ブリッジバンクは必ずしも使わなくてもいいという御議論をされておりますが、この考え方は現在もそうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/34
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035・速水優
○速水参考人 大手銀行といいますか、特にマネーセンターバンクの場合、多方面、特にグローバルな活躍をしておられるわけでございますし、もちろんこれはブリッジバンクの対象になっておるわけで、法案の対象にはなっておることは当然でございますが、その前にできることならば、民間ベースで話し合いができて、救済合併という格好になるのかもしれませんけれども、デフォルトでなくて、破綻してしまったらそれはもう非常に大きなショックになるのですね。特に海外においてはそういうことでございますから、それによってどれだけ日本の銀行が信用を失墜するか。特にデリバティブの市場の話などあのときしたと思いますけれども、その銀行だけでなくてほかの日本の銀行もシャットアウトされてしまう可能性がある。できることならば、デフォルトを避けて、何とか強い銀行、あるいはより強い銀行と一緒になっていくということが望ましいということを申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/35
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036・上田清司
○上田(清)委員 大蔵大臣は、ブリッジバンクはやはり必要だというふうに思っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/36
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037・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 たびたび申し上げておりますけれども、破綻が生まれましたときに、預金者はもとよりでございますが、善良なお客さんを何とか困らないようにしてさしあげたいということ、及び二年間という時間がございますと不良債権は債権回収銀行に売られるというようなこともございまして、かなり銀行の中はよくなっていくはずでございますから、したがって、これを合併する、買いに来るというようなチャンスがかなり大きくなる、そういうチャンスをやはりつくるという意味でもこの制度は大切だというふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/37
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038・上田清司
○上田(清)委員 ありがとうございます。
ちょっと観点を変えまして、各分類についての引き当てについて質問通告しておりますが、監督庁長官、三月十九日の自己査定についてのそれぞれの引き当ての平均値というのは出せますか。事務的でも結構ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/38
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039・乾文男
○乾政府委員 お答えいたします。
御案内のように、公認会計士協会の実務指針によりまして、破綻懸念先債権あるいは要注意先債権につきまして適切な償却、引き当てがその金融機関において行われ、それに基づいて監査を受けて自己査定が出されてきているということでございますけれども、今御質問の債権の引き当て額と申しますものは、これまでの決算期に引き当てました金額が累積されたものでございますので、分類ごとの引き当て率を把握するということは困難であるということを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/39
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040・上田清司
○上田(清)委員 それはできると私は思いますので、ここでそのできるできないの議論をしていても時間がもったいありませんので後で詰めさせてもらいたいと思います。
それでは、兵庫銀行、太平洋銀行、阪和銀行、京都共栄銀行、北海道拓殖銀行、徳陽シティ銀行、みどり銀行の破綻時における、まだ一部、さまざまな回収も含めた部分とかで十分終わっていないかもしれませんけれども、平均の引き当てはどんなものだったか、不良債権の部分に関して。一応質問通告しておりますけれども、出ないんだったら出ない、答えを出しているんだったら出してください。どの程度で破綻するのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/40
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041・乾文男
○乾政府委員 囲えば兵庫銀行でございますと、破綻時の分類債権額というのは公表いたしておりますけれども、それに対します、そのそれぞれに見合います引き当て額というのは、ただいま申し上げました理由によって算出ができませんので、したがって、引き当て率というものが出ないことを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/41
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042・上田清司
○上田(清)委員 なぜこういうことをお聞きしているかというと、破綻の認定とか、それから今後さまざまな処理をする上でそういうものが参考にないと線引きができなくなると思うんですね。今非常に良識的な議論も出てきているのです、与野党間で。そういうものをあなた方がきちっと出していかないと、今後の処理に非常に重大な影響を与えていく、むしろそういうことがないために国民の不信によって場合によっては金融システムが崩壊するという原因すらもあなた方がつくりかねないというふうに私はちょっと申し上げたい、こんなふうに思うわけです。後で少し詰めさせていただきたいと思います。
それから、監督庁長官、八月十七日の予算委員会でちょっと気になる発言がございました。各行の自己査定と金融監督庁の検査が違う場合、早期是正措置を初め金融監督庁の行政措置というものは場合によっては違う。その違うとき、金融監督庁の指導の中できちっとした早期是正措置とかそういうことをある意味ではやらないようなことを言っておられますよ。
文言を詳しく読み上げれば、こんなふうに言っておられますね。「ただ、当該金融機関は、これは評価の問題でございますので、私どもが評価したその評価と、当該金融機関の公認会計士等監査法人との協議によってでき上がった自己査定とは必ずしも一致しませんし、あるいはまた金融監督庁のその検査結果に対しては、必ずしもそれを是としない可能性も十分にあるわけでございます。」と。ということは、監督庁長官としての職務をちゃんとやりませんよというようなことを言っているに近いというふうに私は受けとめているのですが、これらのことについて、長官はどんなふうに思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/42
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043・日野正晴
○日野政府委員 お答えいたします。
いろいろなケースが考えられますが、今御指摘になりました点につきましては、恐らく金融機関の引き当てが少ないということを当庁が考えた際のことだろうと思います。そういたしますと、当庁が考えている引き当ては、これはこうだということを検査結果で通知することに相なります。そういたしますと、それをその金融機関は見直しをしなければならないわけですが、金融機関といたしましては既にその監査法人の監査を受けておりますので、改めてその監査法人と協議を行うことになろうかと思います。
その結果、やはり金融監督庁の言っていることがもっともだということになれば金融監督庁の、こちらの検査結果の通知に従うと思いますが、もっともでないと考えられる場合はどうするかということになろうかと思うのですね。ただ、その差はそんなに幅が大きいものではないんじゃないだろうか。
それで、私どもとしましては、結果を通知いたしまして協議がされますが、その後報告を求めます。その報告を求める際には、例えば二十五ということをこちらが言っている場合に、向こうが仮に二十と言っているとしまして、二十五はちょっと無理だけれども例えば二十三ならお受けいたしますといいますか、そんな感じで報告を徴しますので、そうすると、その場合に自己資本比率が下がることがわかるわけですね、その銀行、金融機関といたしましても。そうすると、自分の方で二十三に上げた結果自己資本比率が下がるなということになれば、今度は自分たちがどういう早期是正措置を発動されるかということを前もって、大体その区分が決まっておりますので察知することになるのかなという手順になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/43
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044・上田清司
○上田(清)委員 非常に親切だなというふうに思いますが、それで長官、かねてから長銀に関していろいろな議論が出ておりまして、一般的に言われますと債務超過ではない、しかし何か大変だという議論がしばしば出ている。どうもすっきりしないのですが、長官は、長銀に関して債務超過じゃないという判断ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/44
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045・日野正晴
○日野政府委員 これはたびたびお答えいたしていることでございますが、まず、本年三月期の長銀の自己査定、これは既に当委員会に御提出しているところでございます。それによる資料。それからさらに、先ほど日銀の総裁が御答弁になりましたが、日銀がことしの六月までかけて行いましたその考査の結果というものは、私どもの方は、日銀法に基づきまして教えていただいております。それを私の口からここで申し上げることはできませんけれども、その日銀の考査と自己査定、先ほど日銀総裁は余り違いはないとおっしゃいました、それはある意味では非常に定住的な御表現ではなかったかと思いますが、私どもは具体的な数字を聞かせていただいておりますので、その二つに基づきまして、今、私どもの方としては、一方で検査は進めておりますが、その点からして、債務超過であるというような情報は持ち合わせていないということをたびたび御答弁させていただいているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/45
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046・上田清司
○上田(清)委員 監督庁として検査が終わっていないのに、なぜ債務超過でないということをおっしゃるのですか。日銀が言えばそれでオーケーということですか。じゃ、何のために検査しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/46
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047・日野正晴
○日野政府委員 その検査が、何といいますか、十九行に対する検査の一環として行っているわけでございます。現在鋭意やっている最中でございまして、御質問が、金融監督庁の長官としてどうかというふうにお尋ねでございますので、現在私どもが知り得ている範囲というのは、先ほど申し上げましたように、三月の自己査定の結果、それから私どもが日銀法に基づきまして得た情報、この二つを総合的に勘案いたしまして、債務超過という、そういう資料は今のところ持ち合わせていないということを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/47
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048・上田清司
○上田(清)委員 ずっと委員会の議論を聞いていると、何か起きたら大変なことになる、何かを想定しているような感じがいたします。長銀についていろいろ議論が出ていますので詳しく中身を開示しなさいと言うと、答弁は差し控える、政府は、問題はない、しかし破綻前の処理をしなければならないという議論はどんどん出てくる。合併の相手先と言われる住信は、正常債権しか引き取らない。これは、要するに破綻を前提にしているということですね。それで、長銀は債務超過でない。一方では不良債権処理を七千五百億して、五カ月前の三月には、健全度八五%を誇る自己査定をしている。これは、だれが見ても何が何だかわからないじゃないですか。
ぜひこれは大蔵大臣、政府として長銀の問題をどのように考えるのかということをきちっと政府見解として出していただきたいということを申し上げたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/48
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049・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 この委員会を通じまして、私は、実は何度もそのことを申し上げたつもりでございますが、なお、どの点を申し上げなければならないのか、お尋ねがございますれば、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/49
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050・上田清司
○上田(清)委員 長銀についての政府の基本的な見解を文書で出していただけると大変ありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/50
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051・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 前回も申し上げましたし、また総理自身が言われましたが、政府の態度は、立場は、総理大臣が公邸に関係者を、住友信託の社長を招致せられて言われましたように、この合併の両者の合意並びに長銀が提示されたリストラ計画、これは非常に厳しいものでございますが、等々を御自分でごらんになって、そして、この合併がもしできないときには内外に非常に大きなインパクトを与える。このことは、もう、かつて経験したことのないような影響を及ぼすと自分としては考えるので、もしこの合併の話が進んでいくならば、政府としてはこれを支援いたしたい。その場合、もし公的資金の導入についての要請があるならば、金融危機管理審査委員会において、これを当然のことながら審理をしてもらうつもりである。政府としてはこの合併を、したがって、支援をしたい、こう総理大臣は述べられたのでありまして、それが今日の政府の立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/51
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052・上田清司
○上田(清)委員 少し押し問答をしてもしようがない部分がありますが、公邸に一民間の銀行の頭取を呼ばれるということも異常でありますし、そういう異常な状態のことがずっと議論されているのです。それで、国民の目から見れば何が何だかわからないですね。債務超過じゃない、しかし、何か大変なことだ。債務超過でないんだったら健全だということでしょう。健全だったら民間ベースで任せておけばいいじゃないですか。政府が何で夜中に呼ばなくちゃいけないんですか。そういうことだというふうに思います。
これは、東洋経済の八月二十九日号で、我が党の古川議員と自民党の石原議員の緊急座談会が出ておりますが、大変石原伸晃議員は良識的な方でございまして、私もひそかに尊敬する方でございますが、自民党金融再生トータルプラン推進特別調査会事務局長をやっておられますが、三月の資本注入にはうそがあった、悪い銀行には投入しないといったうそがあったというふうに佐々波委員会の批判が出されております。護送船団方式でよくなかったのではないか、こういうお話でございますし、また後段の部分では、私が大蔵大臣だったら間違いを認めようと思うんだけどね、それが言えないようなシステムなんです、昔の陸軍と同じだ、日本の官僚制度は責任をとらない、官僚の上にいる大臣が責任をとらない、さらに大臣を任命した総理大臣も責任をとらないところが問題だ、こんなことも言ったりしておられまして、非常に正直に言っておられます。
私は、やはり一千億の横並びの、もちろん金利に差をつけ、配当に差をつけ、さまざまな形でやっておりますが、先般のこの委員会における質疑の中でも、例えば仙谷議員が質疑したときに、各銀行の詳細については知らないと言っておられましたし、そして次の日の岡田議員の質問のときに訂正発言があって、個別の貸付先について見ていなかったんだということを言っておられまして、きょうは隔離されてお休みになっておられる。いかにもこの佐々波委員会の信頼性というものを損なうようなことが起きておりますが、代理の方も出てこられない。
そこで理事長、預金保険機構の人事の中で、役員の中の監事はどなたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/52
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053・松田昇
○松田参考人 お答えいたします。
預金保険機構の、どちらかというと十七兆の方の世界でございますけれども、監事は今、日本興業銀行の頭取がなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/53
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054・上田清司
○上田(清)委員 預金保険機構の理事長、理事三人、監事一人の、大野木さんはどうなっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/54
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055・松田昇
○松田参考人 監事を務めていただいておりましたけれども、ことしの六月ごろにかわられたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/55
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056・上田清司
○上田(清)委員 ことしの六月ごろかわられた。何の理由でですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/56
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057・松田昇
○松田参考人 ちょっと、詳細と申しますか、規則の根拠はちょっとあれでございますけれども、任期が来たのでかわった、そういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/57
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058・上田清司
○上田(清)委員 この預金保険機構の人事体制に非常に問題があるなということであります。
御承知のとおり、この特別業務の中に佐々波委員会があります。そして、通常の執行部と言われる理事長、理事三人、監事一人の中に大野木さんがおられた。そしてまた、日本興業銀行の頭取が今度はかわられた。いかにも自分たちのことを自分たちで決めるような話になりかねない議論ではなかろうかと思いますし、この預金保険機構の運営をする運営委員の中の委員の大半がバンカー、各銀行の頭取であります。これは、この預金保険の、銀行の料率なんかも、保険の料率なんかもここで決めます。しかし、これは引き上げとかそういうことに関して困る人たちばかりがここで決定をするという仕組みになっております。あるいは資本注入の事務局的な部分も、ある意味ではここにあります。これはいかにもおかしいというふうに私は思っておりますが、大蔵大臣はどのように思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/58
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059・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 詳細なことを実は存じませんので、どのような事情でそうなっておりますか、ちょっと私、お答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/59
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060・松田昇
○松田参考人 お答えをいたします。
当機構は、今二つの審議委員会を持っておりまして、一つは、十三兆をお預かりしている管理の勘定です。これは佐々波先生が委員長をやっておられるところでございます。そこでこれに関する定款とか予算とか、すべて議決をいたしております。
それからもう一つは、御指摘のあった運営委員会の方でございまして、これは、本業であります破綻処理の関係、そういうことを行っております機構に監事が一人ついているということでございます。監事は、会計検査をしたときだけ運営委員会に出席しまして、適正であったかどうかという意見を述べられますが、普通の議決には入っておられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/60
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061・上田清司
○上田(清)委員 しかしながら、この運営委員会の中には、預金と債権の買い取りに係る概算払い率等の決定、資金援助の決定、一般保険料率の変更、予算、決算などと。少なくとも資金援助の決定や一般保険料率の変更、こういったものも、利害関係者じゃありませんか。そういう人たちがたくさんいらっしゃるという。たくさんいらっしゃるのじゃなくて、ほとんどそうだということであります、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/61
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062・相沢英之
○相沢委員長 申し合わせの時間が終了しておりますので、御協力願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/62
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063・上田清司
○上田(清)委員 この中にも重大な欠陥があるということを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/63
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064・相沢英之
○相沢委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。
次に、佐々木憲昭君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/64
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065・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 佐々木憲昭でございます。
宮沢大蔵大臣は、当委員会のこれまでの答弁の中で、長銀に公的資金を入れ、合併を支援しなければシステミックリスクを招くという趣旨の答弁を繰り返されておりますが、私は、これは大変大げさだと思うのです。
そこで、きょうは、公的資金を入れなければ本当にシステミックリスクを招いてしまうのだろうか、この点について吟味をしてみたいと思うのです。
まず前提としまして、システミックリスクというのは何か、それはどんな場合に発生するかという点を確認をしたいと思うのですけれども、日銀が出しております日銀月報その他いろいろありますが、その中にこの問題についての解説がありまして、それを拝見しますと、例えば、金融機関相互間の網の目状の与信・受信関係を通じて、一金融機関の債務不履行が次々と連鎖的に他の金融機関の債務不履行を誘発し、金融システムが混乱に陥るリスク、こういうふうに説明をされているわけですね。
そこで、日銀総裁にお聞きをしますけれども、金融システムの危機というのは、システムの中でどこかで債務不履行が起きてそれが連鎖的に広がっていく、簡単に言えばそのように理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/65
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066・速水優
○速水参考人 いろいろ説明の仕方はあろうかと思いますけれども、システミックリスクというのを一般的に定義いたしますと、ある金融機関の支払いふぐあい、信認の低下というものがさまざまな取引ルートや連想を通じて他の金融機関における流動性不足あるいは資金の流出に幅広く波及していく、あるいは市場流動性の著しい低下を引き起こしてしまう、こういうことによって金融システム全体が混乱して、ひいては実体経済にも重大な悪影響を及ぼす危険を指しているということと、もう一つ、金融機関は資金決済機能を担っておりますので、決済ネットワークを通じて網の目のように資金のやりとりを行っておるわけでございます。ですから、一つの金融機関における支払い停止の影響というものは広範に及びやすいという事情があることを申し添えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/66
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067・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 そこで、一つの金融機関の債務不履行、このことが連鎖的に広がっていく。じゃ、その場合の一つの金融機関の債務不履行というのはなぜ発生するのか、その発生原因でありますけれども、日銀にいろいろお伺いしますと、三つのケースがあると。
一つは、銀行が債務超過に陥った場合。それから二つ目は、当該銀行の信認が低下し、資金ショートが起こった場合。それから三つ目は、これは技術的なことですけれども、コンピューターダウンですとかそういう場合に起こると。大体要因としてはこの三つが挙げられると思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/67
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068・速水優
○速水参考人 大体おっしゃるとおりだと思います。例えばということで申しますれば、今おっしゃるような三つのことでよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/68
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069・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 そうしますと、債務超過に陥っていない金融機関、これは最終的には債務不履行に陥ることはあり得ないと思いますけれども、そのとおりですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/69
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070・速水優
○速水参考人 そのとおりでよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/70
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071・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 そうしますと、債務超過に陥っていない金融機関、これはそこから債務不履行に発展する可能性はないというふうに理解してよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/71
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072・速水優
○速水参考人 それはそういうふうには簡単に割り切れないというふうに思います。市場における信認が著しく低下していくということは、ほかの金融機関にも波及していくというふうに考えるべきではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/72
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073・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 結局二つのことを言われたわけですね。一つは、債務超過でない銀行の場合には、財務内容、債権債務関係を通じて、そこから債務不履行が起こるということはない。しかし二つ目に、それでも例外的に信認の低下がある、そういう場合には資金ショートが発生する可能性がある、こういうことでございます。
そこで、金融監督庁長官にお聞きしますけれども、長銀は債務超過になっているかいないか、もう一度お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/73
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074・日野正晴
○日野政府委員 たびたびお尋ねでお答え申し上げているわけですが、今は第一番目のソルベンシーの観点からのお尋ねだと思いますが、先ほどから申し上げておりますように、本年三月期の長銀の自己査定結果、これは当委員会に御提出させていただいているところでございます。それから日銀の考査、これは本年五月から七月まで実施されております。これによりまして私たちが判断させていただいておるところでは債務超過ではないと承知しております。
またさらに、長銀のリストラ案が今回提出されておりますが、資本勘定は、長銀がみずから不良債権を償却した後でも依然として千五百億円残っておりますので債務超過にはなっていない、過少資本ではございますが。しかし、現在検査を行っておりまして、同行の資産内容については鋭意実態把握を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/74
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075・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 現状では今の答弁のように債務超過の状況ではないと。それなら、財務面から債務不履行というのは起こり得ないわけですね。しかし、債務超過ではない場合でも、日銀総裁の先ほどの御答弁にありましたように、幾つかの予測されない事態が生じて信認が低下する、そういうことによって資金ショートというのはあり得る、こういうことになるわけであります。
そこで問題は、債務超過でない銀行が、仮に一時的な資金ショートがあった場合それを防ぐことができるのか。それとも、もうそれは必然的に金融システム全体に波及する、必ず波及する、どちらでしょうか。日銀総裁にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/75
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076・速水優
○速水参考人 資金不足が生じて破綻の危険があるという場合には、いろいろそれを支援する方法は、必ずしも政府の資金でなくても、例えば日銀特融という形で一時的な資金補給をすることはできます。
ただし、その場合も、私ども四原則というのを守っておりますが、一つは、システミックリスクがこのままほっておけば波及して顕現化する可能性があるということ、二つ目は、日本銀行の関与が必要不可欠である、日銀以外に出るところがないということですね。それから三つ目は、モラルハザードの防止の観点から、関係者の責任が十分追及されているかどうかということを確認する、四つ目は、日本銀行自身の財務の健全性維持に十分配慮する、そういう四つの原則を満たしておる場合に、政策委員会が必要と判断しましたときは日銀特融を出すことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/76
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077・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 今大変重要なことをおっしゃったのですね。政府の資金がなくても、資金ショートが起こった場合には、四つの条件を満たした場合には日銀特融によってそれを全体に波及することを防ぐことができる、このようにおっしゃったわけでございます。
結局、そうすると、宮沢大蔵大臣、長銀の現状から見てこれは債務超過ではない、したがって財務面からはシステミックリスクは起こり得ないですね。仮に一時的な資金ショートが起こっても、それは日銀特融で十分に防ぐことができる、こういうことになりますね。それでも、公的資金、合併しなければシステミックリスクが起こるのでしょうか、必ず起こるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/77
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078・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 というふうに長銀当局は考えてリストラ案をつくったわけでございますけれども、想像いたしますのに、日銀特融というものがそういつまでも続いて受けられるものではございませんし、また日銀の側においても、日銀御自身の事情もございますから、そういう状態の銀行というのは世間から見ていつまでもやっていけるものじゃないという常識の方がやはり勝つでございましょうね。そうしますと、その他のオーバーナイトの金なんかは全然来ないことになりますから、そうでございますね、そして恐らく金融債の新しい発行は極めて難しくなりましょうし、既発行のものは期限前の償還でも起こってきますから……(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/78
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079・相沢英之
○相沢委員長 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/79
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080・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 つまり、日銀特融を受けているという状態は、それ自身がもうそう長く続く状態ではないというのが常識ではございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/80
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081・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 私は、今、そういうことを聞いているのではないのですね。システミックリスクにつながることを瞬時にしてそこで抑えることができる、これが日銀総裁の答弁でございます。そういう形で波及をまず抑える、その点は可能だということなのです。
そうしますと、問題は、その後破綻しようがどうなろうが、それはその後の処理の問題であります。これで破綻はもうやむを得ない、こうなりますと、それは破綻後の処理の問題になるわけです、清算になるのかどうなるのか。そうなりますね。日銀特融でずっと生かしていくということを我々言っているのじゃないのです。資金ショートが起こった場合の、それを瞬時にして抑えるということが日銀特融の役割ですから、最後の貸し手としての日銀の役割なのですから、それを発動し、その発動によってシステム全体への波及を抑え、その上でどのように処理をしていくかということになるわけですね。
ですから、例えば破綻した北海道拓殖銀行、山一、あの場合でも、あれは最終的に債務超過でありますが、システミックリスクにはなりません。ですから、今回のこの長銀の場合も、何か公的資金を入れなければシステミックリスクに全部つながって大変なことになる、そんなことないじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/81
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082・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 そこはきちんと申し上げなければならないと思うのですが、仮に今拓殖銀行のことをおっしゃいましたが、これは北洋銀行が受け皿になりましたから、そういうことは起こりませんでした。
それから、今のお話は、結局資金ショートが起きた、それで日銀が特融をしてくれる、それで資金ショートは一遍おさまる、そこまではよろしゅうございます。しかし、いつまでも特融を受けているわけにいかないのでございますから、そういう銀行は、外から見て、これはもういかぬなと思うのが普通でございますから、そうすればやはり破綻をすることになる。いっときシステミックリスクが起こらずに済みましても、破綻すれば起こるわけでございますから、要するに、特融というのはその時期をどれだけ延ばせるかという意味だと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/82
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083・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 それは違うと思うのですね。受け皿を、拓銀の場合には北洋銀行があった。それはそうでしょう。ありましたが、受け皿がない場合も、例えば山一の場合、これは破綻して清算という形になりますよね。システミックリスクにはなっておりません。そうでしょう。ですから、破綻すれば必ずシステミックリスクにつながるということはないのです。全体の信認はもちろん低下するかもしれない。しかし、それは経済政策全般の問題でありまして、長銀そのものから波及していく、システミックリスク全体につながるということにはならないわけです。ですから、何か公的資金を入れなければ全然これを抑えることができないというのは、全くこれは虚構の論理であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/83
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084・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 山一は証券会社でございます。今議論しているのは銀行のことを議論しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/84
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085・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 銀行であろうが証券会社であろうが同じことでございます。銀行の場合、例えば破綻をした、預金者は現在の預金保険で全部守られる。そうでしょう。取りつけ騒ぎというのはあり得ません。したがって、銀行が破綻してもシステミックリスクにはつながっていかないのです。それは、日銀特融が瞬時にして一定の時期システム全体に波及するのを抑えるということをやるのが日銀の役割ですから、それがきちっと役割を果たせばシステミックリスクにはつながらないのです。今までの破綻の事例を見ても全部そうでしょう。
ですから、公的資金を入れ、合併をしなければならない、そうしなければシステミックリスクに陥るというのは、全くこれは成り立たない論拠だということを言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/85
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086・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 まず、山一証券のことを例にお引きになりますと、私はそれは適切な例ではないということを申し上げておきます。
その次におっしゃっていることは、特融を受けているうちに急に体力が回復してまた元気になった、こうでもおっしゃらない限り、それは同じことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/86
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087・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 それも全然理屈にならないのですが、山一の場合、例えば、日銀が中央銀行として内外の決済などに必要な資金を提供するということをやりました。これは日銀の総裁の談話、昨年十一月二十四日でございますが、「臨時異例の措置に加え、市場流動性の低下等不測の事態が生じる慣れがある場合には、市場に対して潤沢に流動性供給を行うなど必要な措置を躊躇なく講じていく所存である。」こういう談話を発表しまして、波及することに対してそれを遮断するという措置をとったのです。そのことによってシステム全体に波及することを抑えたわけですね。
銀行の場合にはどうかといいますと、預金保険機構があって預金者はすべて守られる、預金者だけじゃなくて、この長銀の場合には、金融債などの債券の保有者も守られる、こういうことになっていますよね。ですから、そういう点からの債務の不履行というのは起こり得ないわけですね。ですから問題は、長銀がたとえ破綻しても、そういうセーフティーネットがあり、かつ日銀特融というのがそこで波及を抑えるということが行われれば、破綻後であっても波及しないのです。
ですから、宮沢大蔵大臣の今までの論拠というのは完全に虚構のものであり、国民をおどすだけのものだということがこの議論を通じて私ははっきりしたということを申し上げて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/87
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088・相沢英之
○相沢委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。
次に、浜田健一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/88
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089・濱田健一
○濱田(健)委員 午後の本会議で野党三党の法案も提出をされるという状況で、いよいよ役者がそろったなという感じがいたします。
私は、今度のこの問題についていろいろと論議をお聞きしながら、やはり情報開示、そしてさまざまな機関の機能等がうまく働いていない、そのことが破綻した銀行をどういうふうにしていくかという今度の法案ですね、中身にも大きな影響を与えるだろうというふうに思っておりますので、基本的なことを四点ぐらい、短い時間ですのでお尋ねをしたいと思います。
政府・自民党のブリッジバンク方式、機能論として一つの方法だというふうに理解をいたします。それで、法案によると、公的ブリッジバンクの存続期間、これは二年間というふうに一応なっておりますね。私は、仮にこれが適用されるとしたときに、安易な先送りを、年月的な操り延べをしたらいけないと思うのです。それはいわゆる不良債権処理の先送りや公的資金の投入の水膨れを防ぐという意味でも、この二年間というものをきちっと守る必要があるというふうに思います。
もう一点は、公的管理に移った後は、やはり責任者の追及はもちろんのこと、私財の提供等を含む仕組みというものもつくっていかなければならないというふうに思うのですが、大蔵大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/89
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090・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 まず最初の、二年のお話でございますけれども、私どもは、民間から引き受け手が出てくる、そういうお話というものがすっといくこともありますが、なかなか紆余曲折があるときもある、また二つ以上のお話があったりすることもございますから、そういう可能性に備えて、原則は二年であるけれども延ばすことができることにした方がいいのではないか、現実にそういう必要が起こりはしないかと思いながら、しかし、このブリッジバンクというものは仮のものでございますから、長くあっていいものではない、そういうふうに考えておりますので、ここのところは、確かにそういう利便と、あるいは弊害と、いろいろな考え方があると思いますので、見方によって意見の分かれるところかもしれないというふうに思います。
それから、私財の問題はさようでございますが、当然の責任があってそういうことになる場合は別といたしまして、いわば、何と申しますか、無過失責任とでも申しますか、そういったようなことについて、私財の提供を法で強制するということになりますと、それは憲法の問題を惹起するかもしれない。まだ深く考えておりませんけれども、そういうこともあるかもしれないので、どのようにそこをするかという工夫は必要ではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/90
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091・濱田健一
○濱田(健)委員 大臣が二年ということを基本に考えているけれども延ばす場合もあるとおっしゃいましたが、その延ばす場合の基準というのはもう既に明確になっているわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/91
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092・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それは書くといたしますと、一つの話が進行していて、やむを得ない事情によって、なおもうちょっと延ばしておけばできる可能性が高い、例えばそのような場合に恐らく適用されるであろうと。明確な文言を考えておるとは思いませんが、ケースとしてはそういうふうに書くケースであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/92
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093・濱田健一
○濱田(健)委員 ですから、書くケースというものの判断はどういうところがどういうふうな形でやるのかということが、今構想がおありかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/93
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094・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 今申し上げましたような、じんぜんとして何の展望もないのに延ばすということはあり得ないことでございますから、ある程度話が進行していて、延ばすならばそれが完結する可能性が高いといったようなときに延ばすということが考えられるのではないか、そんなふうな考え方……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/94
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095・濱田健一
○濱田(健)委員 その仕組みについてももう少し論議をしなければならないと思いますが、時間がございませんので次に行きます。ただ、経営責任は当然のことでございますけれども、法的に問題があるとおっしゃった私財の提出というようなものなんかも、やはり国民が今のこの論議を聞いていて、なぜこんな問題が起きているのにぬくぬくとしているのかというような、もう本当に人間の根底的な憤りといいますか、そういうものをベースにして考えていかなければならないと私は申し上げておきたいというふうに思います。
金融危機管理審査委員会の件について松田さんにお尋ねしたいと思います。
いわゆる破綻した銀行の処理をどうするかの以前に、これも随分論議したわけでございますけれども、いわゆる今の長銀問題を含めて、審査委員会が全員の合意というパターンをきちっととっていることはわかっているわけでございますが、目的とした貸し渋りの解決、預金者保護等々に危機管理勘定十三兆円が実際にそのとおりに使われているかどうかということの疑問を国民の皆さん方は持っている。それを発動する、許す委員会としての機能が本当に充実しているのかという疑義も今出されているところでございまして、抽象的ですが、こういう事態、一兆八千億お金を入れた、長銀には一千七百六十六億以上お金を入れた、今はこういう状況になっているということについてどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/95
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096・松田昇
○松田参考人 お答えをいたします。
金融危機管理審査委員会は、公的資金を優先株等の購入の際の議決をするということで、国会同意を得られた民間の審議委員三人を加えて七名で構成をして、それで三月のときは私どもは私どもなりに精いっぱい誠実に審査をして資本の注入を決めたと思っております。
ただ、先生御指摘のように、その効果として、第一の効果はシステムの安定でございましたけれども、副次的と申しますか二次的な期待される効果としての貸し渋りの効果が、例えば対前年比で、貸出残額の推移等を見ますと、それは顕著な形であらわれていません。ただ、それが本当に貸し渋りだけの問題なのかどうか。
と申しますのは、それぞれ各行が私どもに三月の申請のときに貸し渋り対策についてかなり具体的に書いたところもございます。ただ、スパンが長うございまして、三年間でどのくらいの貸し渋り解消に努力するというようなこともございますけれども、なお引き続き私どもとしてはフォローを続けて、その実績を見守って、それを公開することによって、あのとき資本注入を受けた各行の経営者の良心といいますか廉恥心といいますか、そういうものに訴えて、それで、そういうことの努力を続けてもらうように見守り、促進をしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/96
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097・濱田健一
○濱田(健)委員 私たちは、この審査委員会の機能が審査基準を含めて問題があるのではないか一あると私は思っております。であれば、この機構を何らかの手当てをして審査基準のハードルを高くしたり、または構成を変えるなり、機構としての新しいものをつくるなりしなければならないということを思っているわけでございます。
それは一律投入ではないと言われているのだけれども、現実として、申請のあったところはすべて認めて投入をしているという実態が、国民の側から見るとなぜなのというふうになっているわけですね。
時間がありませんので、これだけ聞きたいと思うのですが、いわゆる審査基準をクリアすればいいんだと。では、審査基準をクリアするためのペースになる内容といいますか、そこのあたりも全員で深く協議をされたということの裏づけを見せていただきたい、情報公開していただきたいというのが国民の強い願いだと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/97
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098・松田昇
○松田参考人 御指摘の点でございますが、前にも御答弁申し上げましたけれども、議事録の公開問題が一つございます。それは法令に、相当期間経過後に公表するということになっておりまして、審査委員会の方として、今その相当期間をどうするか検討中のところでございます。
ただ、そのほかにも、我々としても、いろいろ御指摘も受けておりますし、いろいろな面で可能な限りの、議事録にかわるようなものもできないものかなという検討を今いたしておりますので、その努力はさらに続けていきたいな、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/98
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099・濱田健一
○濱田(健)委員 相当期間経過後というこのあやふやな言葉が、国民の皆さん方には、それは一年たった後なのか、十年たった後なのかという疑義が残るわけです。これをつくったときの論議を私も覚えておりますが、やはりこういう問題が起きていれば起きるほど、こういうふうにきちんと審議をしたのだ、審査基準もクリアしたのだということを即座に開示することが国民の皆さん方の信頼を失わない中身につながるというふうに思っておりまして、一刻も早い開示を求めるということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/99
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100・相沢英之
○相沢委員長 これにて浜田君の質疑は終了いたしました。
次に、笹木竜三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/100
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101・笹木竜三
○笹木委員 無所属の会の笹木竜三です。
質問を始めます。
何回か質問をさせていただいて、金融再生あるいは日本経済再生に向けて全体が活性化するための全体的な手を打つ、あるいはそのために、前提として検査体制も含めて全体像を把握する、そういったことを何度か質問してきたわけですけれども、きょうもその関連で質問をしたいと思います。
まず最初に、昨日大蔵大臣が、日本の銀行はなかなか世界の銀行に対して伍していけないのだ、そういったコメントをおっしゃられました。そのことについて質問をしたいわけです。
外国の銀行の中でも、九〇年ごろまでは手数料だけで食っているような田舎銀行というか、そういった銀行が、この七、八年で、人材の蓄積ですとかノウハウの蓄積、さらに得意分野に特化してどんどん急成長して、今例えばUBSの例では、この七、八年で世界水準に追いついて、五強と言われる、その一角を占めるような、そういう状態に変わってきた、そういう例もあります。
ぜひここでお聞きをしたいわけですけれども、日本の銀行、これはすべてが世界に伍して、五強とか六強とかそういったものに入っていく、こんなことは不可能だし、目指すべきでもないと思うわけですけれども、外国の金融機関の方が言うわけですけれども、長銀と住友信託の合併で、これは一体どういう見通しがあるのかな、どういうことで強い、どういう分野で強い、どういつだ特徴を持った銀行が生まれてくるのだろうなと、これはむしろ否定的に、冷笑的に、私にもいろいろ質問をしてきます。
大蔵大臣にぜひお伺いしたいわけです。今、政府としててこ入れをしようということで議論をしているわけですけれども、日本の銀行の将来に対する見通しというか、あるいは今回のこの合併によって、合併後の銀行がどういつだ銀行になっていくのか、これはもちろん政府が決めることじゃないわけですけれども、てこ入れする側としてどういう見通しを持っているのか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/101
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102・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 銀行行政の問題としてでなく、見ておりますことを申し上げるわけですが。
私は、しばらく前、何年か前は、ビッグバンというものが生まれたときに、日本の銀行の中であそことあそこ、証券会社ならこことここぐらいが世界とやり合ってもまず対等にやれるだろうという自分の見方を実はいたしておりましたが、そのほとんどにいろいろな事件がございましたし、また、全体がこういう暗い、日本の銀行そのものが全体に高いプレミアムを、ジャパン・プレミアムをとられるようなことになってしまいまして、当面ちょっと、まず自力を蓄えないと打って出るわけにはいかないな、こういうことをせんだって申しました。
ただ、私は、日本にこれだけの国民貯蓄がございますので、これを背景にすれば、二十一世紀において、日本の銀行は国際的に非常に強いものになるのではないかという希望は持っております。
ただいま、とりわけ日本の銀行が弱いのはインベストメントバンクの点ではないか。つまり、国際的な大きな企業の合併であるとかあるいは開発であるとか、いろいろなものにノウハウを持ってそれに向かって国際的な役割を果たすというノウハウは、残念ながらまだ日本の銀行は十分に持っていない。合併によって取得をしようとしているところもございます。
ですから、今まで強かったのは、個人の顧客との相対の、そういう部分が強かった。これは今後もそうであろうと思いますが、なかなか国際的に一つのノウハウを持って急に出ていけるような感じではない。ただ、私は、将来は比較的有望だ、この時期を乗り切りまして体力をつければ、有望だとは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/102
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103・笹木竜三
○笹木委員 すべてが海外に打って出ていわゆるビッグバンクになる必要はないわけで、そういうような可能性のある銀行と、あるいはそうでない銀行についてはどういつだ得意分野に特化して伸びていくのかということで、ぜひしっかりした見通しについてさらに議論を深めていただきたい、そう思います。
それともう一点は、全体像に対する把握ということで、検査体制について次にお伺いをしたいわけです。
まず、前回も、民間の銀行とかに対する検査体制も非常にお粗末だ、例えば、銀行で審査とか融資をやっていた、そういう民間の方も活用して検査を充実してほしい、するべきだ、そういった話をしたわけですけれども、農協に対する審査はどうなっているのか、そのことについてお聞きをしたいわけです。
住専のときもそうでした。今回も、リッチョーですか、そういったことで農協がかなり買っているという話もあります。常にこの不良債権の問題、農協との関係も非常に密接な関係を持って議論されているわけですけれども、今回の政府の「金融機関等」の「等」という中には農協も入っているわけです。農協に対する検査体制が現状ではどうなっているのか、まず、事務方の方でいいですけれども、確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/103
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104・竹中美晴
○竹中(美)政府委員 お答えを申し上げます。
農協につきましては、御承知のとおりでございますが、信用事業のほか販売購買事業あるいは営農指導事業、そういったことを一体的に行っております総合事業体でございまして、現在都道府県が検査に当たっていただいているところでございます。その体制でございますが、都道府県の職員四百五十人強、全国の数字でございますが、そういう検査職員によって当たっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/104
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105・笹木竜三
○笹木委員 市町村レベルの農協は都道府県の職員が検査をしている。これが今お話しになった四百五十人強、全国でやっている。都道府県の職員がやっている。あるいは県レベルの信用農業協同組合連合会に対しては農水省の職員が七十六名でやっているということです。
これで、政府案の「金融機関等」というのは農協も含まれているわけですけれども、金融監督庁として、都道府県任せあるいは農水省任せではなくて、もう少ししっかりした質の高い検査に向けて、この検査体制を変えていくというつもりはないのかどうか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/105
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106・日野正晴
○日野政府委員 お答えいたします。
金融監督庁の設立に当たりましては、この単位農協の信用事業については内閣総理大臣が検査監督を所掌することということになっておりまして、金融監督庁にはおりてきていないのですが、他方、都道府県を超える農協につきましては、内閣総理大臣から委任を受けた金融監督庁が農林大臣と一緒になって相互に密接な連携を図りつつ検査監督を実施していくということになっておりまして、これをこれから一つの重要な検査監督として実施していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/106
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107・笹木竜三
○笹木委員 確かに店舗数が市町村レベルで二千四百、非常に多いわけですけれども、総預金量六十八兆円、常に各都市銀行との関係も非常に深いわけで、不良債権の全体像を把握していくためには、検査体制も金融監督庁がもっとしっかりと入っていく必要がある。
さらに、今言った都道府県の職員と農水省の職員だけでやっているのではどうかという気がします。前回、都市銀行に対する検査体制でもお話をしたわけですけれども、検査の日がわかっていて、資料も事前にどこかに移しておいて、大体二、三十分で十件ぐらい聞き取りで調べていく。ほとんどが実態がわからない。
これも変えていかないといけないわけですけれども、この農協に対する検査体制、民間の方を、例えば銀行の融資をやっていた方、検査をやっていた方、あるいは公認会計士、今現在では民間の方はわずか五人しかいないわけですけれども、これをもっと増員して農協の検査にも当たる。そのことをぜひやるべきだ。それをしないと、この不良債権の全体像はやはりわかってこないのだろうという気がします。やるべきだと思うわけですけれども、官房長官の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/107
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108・野中広務
○野中国務大臣 お答えいたします。
先ほど政府委員がお答えをいたしましたように、それぞれ単位農業協同組合につきましては、その事業が信用事業だけでなく、幅広い農協全体の事業をやっておりますので、都道府県が検査監督をいたしておるのは答弁を申し上げたとおりであります。都道府県及び農林中央金庫等、これを超えるものにつきましては、さらに農水省が検査監督をやっております。
金融監督庁の組織及び要員の拡充につきましては、先般委員の御質問にも答えましたように、明年度、平成十一年度の予算概算要求におきましても定数二百五名の要求をいたしておりまして、お説のように、民間人の登用あるいは民間人の非常勤を含めた活用、こういうものを積極的にやることによりまして、金融監督庁の体制強化に努めて、それが検査の機能の充実になるように努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/108
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109・笹木竜三
○笹木委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、総理大臣がいつも言っているように、スピーディーにと言っているわけですけれども、この答弁をいつも聞いておりまして、どうも金融の全体の把握のために検査体制あるいは手を打っていくことに対してもスピーディーに変わっていくという印象を私も受けません。これでは、外国もマーケットもスピーディーに変わっていくとはとても評価ができない、そういう感想を持ちます。ぜひスピーディーに変えていっていただきたい、そう思います。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/109
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110・相沢英之
○相沢委員長 これにて笹木君の質疑は終了いたしました。
この際、休憩いたします。
午前十一時五十四分休憩
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午後二時三十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/110
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111・相沢英之
○相沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
本日付託になりました菅直人君外十二名提出、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案、金融再生委員会設置法案、預金保険法の一部を改正する法律案及び金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。池田元久君
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金融機能の再生のための緊急措置に関する法律
案
金融再生委員会設置法案
預金保険法の一部を改正する法律案
金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の
整備に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/111
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112・池田元久
○池田(元)議員 ただいま議題となりました金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案、預金保険法の一部を改正する法律案、金融再生委員会設置法案及び金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
場当たり、その場しのぎという言葉に代表されます政府・自民党の不良債権問題への取り組みは、もはや完全に破綻状態にあります。
政府は、ことし三月、大手銀行に対して一兆八千億円もの公的資金を投入いたしました。しかし、現在深刻な経営危機に陥っております日本長期信用銀行を見ればわかるとおり、この無原則、護送船団行政そのものの資本注入は、効果を上げるどころか、早くも巨額の評価損、損失を出すなど、国民にとって有害無益であることが証明されました。また、政府・与党がここへ来て破綻前処理というあいまいな言葉を使い出したのは、この資本注入の誤りを無理やり正当化するところにねらいがあることは明らかであります。このような場当たり、その場しのぎの政策を続ける限り、我が国の金融システムに対する内外金融市場の信頼は永久に取り戻すことはできません。
こうした状況を踏まえて、私たちは、金融の機能の安定及びその再生を図るため、金融再生法案を提出をいたしたものです。
まず、金融機能の再生のための緊急措置法案について、その大要を説明申し上げます。
第一に、我が国の金融の機能の安定及びその再生を図るため、新たに設置される金融再生委員会が主体となって、金融機関の破綻処理を二〇〇一年三月末までに集中的に実施することとしております。その際、破綻処理の原則として、不良債権等の財務内容を開示することや、経営内容が不健全な金融機関を存続させないこと、株主、経営者等の責任を明確にすること、預金者を保護すること、金融仲介機能を維持すること、破綻処理に係る費用を最小化することという六つの原則を掲げております。
第二に、金融機関の財務内容の透明性を確保するため、金融機関に対して定期的に資産の査定と公表を義務づけることとしております。
第三に、金融機関が破綻した場合に、信用秩序の維持及び預金者等の保護を図るため、金融再生委員会が裁判所の認可を受けて金融整理管財人を選任し、原則として一年間、当該破綻金融機関の業務及び財産の管理を命じることとしております。その際、金融整理管財人は、被管理金融機関をほかの金融機関に営業譲渡する等のために、資金の貸し付けその他の業務の暫定的な維持継続や業務の整理及び合理化に関する方針等に関する計画を作成し、計画の実行に関し必要な措置を講じることとしているほか、被管理金駐機関の経営者等の責任を明確にするための措置をとらなければならないこととしております。
第四に、銀行が破綻した場合に、他の金融機関等の連鎖的な破綻を発生させるおそれがある場合、または当該破綻銀行が業務を行っている地域または分野における経済活動に極めて重大な障害が生じるおそれがある場合は、金融再生委員会は、裁判所の認可を受けて当該破綻銀行の特別公的管理を開始することができることとしております。その際、特別公的管理銀行は、金融再生委員会の承認を得て資金の貸し付けその他の業務を行うとともに、経営合理化計画を作成し、二〇〇一年三月末までに営業譲渡や株式の譲渡等によって特別管理を終えることとしております。
第五に、国民に対する背信行為とも言える公的資金による資本注入を認める金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律は、直ちに廃止することとしております。
次に、預金保険法の一部を改正する法律案について御説明を申し上げます。
本法律案は、金融機関の破綻の責任を明確にしつつ、破綻の処理を円滑かつ効果的に行うことにより信用秩序の維持に資するため、整理回収機構を設立するなどの所要の規定の整備を行うものであります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、整理回収機構は、破綻金融機関からその営業を譲り受け、その整理を行うことや、破綻金融機関からその資産を買い取り、その管理、処分を行うこととしております。
第二に、整理回収機構の職員は、必要な場合は債務者等が所有する不動産に立ち入ることができる等の立入調査権を有することとしております。
第三に、整理回収機構は、整理回収銀行及び住宅金融債権管理機構の営業の全部を引き継ぎ、その業務を行うことができることとしております。
次に、金融再生委員会設置法案について御説明申し上げます。
本法律案は、我が国の金融の機能の安定及びその再生を図るため、金融機関の破綻に対し必要な措置を講ずるとともに、銀行業、保険業、証券業、その他金融業を営む民間事業者等について検査その他の監督をすること等を主たる任務とする金融再生委員会を設置するものであります。
大蔵省や金融監督庁に対する国民や金融市場の信頼が雲散霧消した今、彼らに不良債権問題の解決を託すことはできません。金融再生委員会は、隠ぺい、先送り、国民への負担押しつけを繰り返してきた大蔵省による護送船団行政と決別し、不良債権問題の抜本的解決を図るための施策を講じる主体となるものであります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、国家行政組織法第三条第二項の規定に基づいて、総理府の外局として金融再生委員会を設置することとしております。
第二に、金融再生委員会の所掌事務及び権限を、金融制度の調査、企画及び立案をすること、破綻した金融機関の金融整理管財人による管理、破綻した銀行の特別公的管理に関すること、銀行業を営む者の検査その他の監督に関すること等と定めることとしております。
第三に、金融再生委員会の委員長は、国務大臣をもって充てることとしております。
第四に、国家行政組織法第三条第三項ただし書きの規定に基づいて、金融再生委員会に金融監督庁を置くこととしております。
第五に、金融再生委員会に、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の規定に基づき預金保険機構が取得する特別公的管理銀行の株式の対価を決定するため、株価算定委員会を置くこととしております。
次に、金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について御説明申し上げます。
本法律案は、金融再生委員会設置法の施行に伴い必要となる関係法律の整備を行うものであります。
以上が、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案、預金保険法の一部を改正する法律案、金融再生委員会設置法案及び金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の趣旨であります。
最後に、私たち野党三会派は、影響の大きい銀行の危機に対応できない政府・自民党案では、どんなに修正しても完全な金融再生の道筋は描けないと考えております。危機に広く迅速に対応できる野党三会派案の早期成立こそが唯一の金融再生、経済再生の道であると確信しております。自民党が、大きな欠陥のある政府提出法案を取り下げて、三会派案について協議をするというのであれば、積極的に対応していきたいと考えております。
この国会で金融再生の道筋をつけることは、与野党を超えた国民に対する政治家の責務であると考えております。各党、特に自民党の皆さん、この危機に当たって、従来の行きがかりを捨てて虚心に我々の提案に耳を傾け、賛同されるようお願い申し上げます。
以上、提案理由の説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/112
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113・相沢英之
○相沢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る七日月曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時四十二分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00919980904/113
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