1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十年十月十四日(水曜日)
午後三時十五分開会
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委員の異動
十月十二日
辞任 補欠選任
阿南 一成君 松谷蒼一郎君
阿部 幸代君 池田 幹幸君
岩瀬 良三君 菅川 健二君
十月十三日
辞任 補欠選任
小川 敏夫君 福山 哲郎君
峰崎 直樹君 内藤 正光君
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出席者は左のとおり。
委員長 坂野 重信君
理 事
石川 弘君
岩井 國臣君
岡 利定君
塩崎 恭久君
江田 五月君
齋藤 勁君
森本 晃司君
笠井 亮君
山本 正和君
委 員
岩城 光英君
加納 時男君
景山俊太郎君
金田 勝年君
木村 仁君
佐々木知子君
田中 直紀君
林 芳正君
日出 英輔君
平田 耕一君
松谷蒼一郎君
三浦 一水君
山本 一太君
浅尾慶一郎君
木俣 佳丈君
小宮山洋子君
角田 義一君
内藤 正光君
直嶋 正行君
簗瀬 進君
海野 義孝君
浜田卓二郎君
益田 洋介君
池田 幹幸君
緒方 靖夫君
小池 晃君
大渕 絹子君
入澤 肇君
渡辺 秀央君
佐藤 道夫君
水野 誠一君
菅川 健二君
委員以外の議員
発 議 者 峰崎 直樹君
発 議 者 小川 敏夫君
衆議院議員
発 議 者 保岡 興治君
発 議 者 大野 功統君
発 議 者 村田 吉隆君
発 議 者 山本 幸三君
修正案提出者 保岡 興治君
修正案提出者 大野 功統君
修正案提出者 村田 吉隆君
修正案提出者 山本 幸三君
修正案提出者 坂口 力君
修正案提出者 藤井 裕久君
事務局側
常任委員会専門
員 小林 正二君
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本日の会議に付した案件
○金融機能の早期健全化のための緊急措置に関す
る法律案(衆議院提出)
○金融機能の早期健全化のための緊急措置に関す
る法律案(本岡昭次君外二名発議)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114314057X00919981014/0
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001・坂野重信
○委員長(坂野重信君) ただいまから金融問題及び経済活性化に関する特別委員会を開会いたします。
金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案(衆議院提出)及び金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案(本岡昭次君外二名発議)を一括して議題といたします。
まず、衆議院提出の金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案について、趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明を衆議院議員保岡興治君から聴取いたします。保岡興治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114314057X00919981014/1
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002・保岡興治
○衆議院議員(保岡興治君) 私は、発議者を代表して、ただいま議題となりました金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
金融機関が破綻した場合に対応していくためのものとして先般成立いたしました金融再生関連法がありますが、現在、市場の圧力にさらされ、しかも国民生活に最も影響を与えているのは、我々の身近に多数存在する破綻していない金融機関であり、これらの金融機関が不良債権を速やかに処理するとともに、体質強化を行うことによって金融機能を正常化することが必要であります。したがって、機を失せずに、市場が待ち望んでいるような思い切った対策を打ち出し、我が国の金融システムに対する内外の信認を回復することが現下の緊急の課題となっております。
このような状況を踏まえ、金融システムの早期健全化対策として新たな資本増強の制度を設け、これにより現下の深刻な状況に迅速かつ有効に対応し、金融システムの再構築と我が国経済の再活性化に資することを目的として本法律案を提出することとした次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、金融再生委員会が我が国の金融機能の早期健全化のために講ずる施策の原則、すなわち金融機能の障害の未然防止、金融機関等の経営責任及び株主責任の明確化、金融機関等の再編促進による金融システムの効率化、社会経済的な費用の最小化、早期是正措置との効果的連携並びに情報等の適切かつ十分な開示といった六項目の原則を定めております。
第二に、預金保険機構に金融機能早期健全化勘定を設け、二〇〇一年三月末までの時限措置として資本増強制度を創設することとしております。
具体的には、協定銀行が預金保険機構から資金の貸し付け等を受けて金融機関等の優先株式等の引き受けを行うこととしております。また、著しい過少資本行の場合には、他に手段がなければ普通株式の引き受けを通じて協定銀行が経営管理を行うことにより早期健全化を図る道も設けております。さらに、破綻金融機関の受け皿となる金融機関及びこれに準ずるものについても優先株式等の引き受け対象としております。
第三に、株式等の引き受けの承認については、金融再生委員会が経営の合理化、経営責任、株主責任及び信用供与の円滑化の取り扱いを明確かつ厳格に定め、公表した承認基準により行うこととしております。
なお、承認に当たっては、申請金融機関等に対し、経営健全化計画の提出及び履行を求め、これを公表するなどの情報開示を行うこととしております。
第四に、取得した株式等は早期に処分するものとし、特に普通株式を五〇%超引き受けて子会社化した場合は、原則として一年以内に持ち株比率を五〇%以下に低下させることとしております。
第五に、株主責任の明確化の環境整備として資本の減少を行う場合の商法の特例を措置することとしております。
その他、預金保険機構は、金融機能の早期健全化のための業務のため日本銀行等からの資金の借り入れ等を行うことができるとともに、政府はその借り入れ等に係る債務の保証をすることができることとする等所要の措置を講ずることとしております。
以上がこの法律案の提案の理由及びその内容であります。
引き続いて、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案に対する修正案の概要を御説明申し上げる次第でございます。
第一に、目的規定に不良債権の処理を速やかに進めることを追加するとともに、この法律案に基づく早期健全化のための施策を講ずる前提として、金融機関が適切に資産の査定、引き当て及び有価証券の評価等を行うことを法律に明示すること。
第二に、金融機能の早期健全化のために講ずる施策の原則を「情報等の適切かつ十分な開示を行うこと。」に改めるとともに、金融再生委員会による経営健全化計画の履行状況の公表を義務化すること。
第三に、経営健全化計画における虚偽記載に対して罰則等を強化すること。
第四に、経営の合理化、経営責任、株主責任の明確化等に関する資本増強の要件を自己資本比率の各区分に応じて明確かつ具体的に規定すること。
第五に、健全行の優先株式等の引き受けは、原則として、破綻金融機関の受け皿となる金融機関及びそれに準ずるもの、急激かつ大幅な信用収縮の回避のために不可欠なもの、及び合併等金融再編の視点から資本増強を行うことが不可欠のものを対象にすること。
第六に、特に著しい過少資本行については、金融再生委員会は自己資本の充実、大幅な業務の縮小、合併または銀行業の廃止等の措置のいずれかを選択させた上実施するよう命ずるとともに、資本増強を行うことができるのは、地域経済にとって必要不可欠等の場合に限定すること。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114314057X00919981014/2
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003・坂野重信
○委員長(坂野重信君) 次に、本岡昭次君外二名発議の金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案について、参議院議員峰崎直樹君から趣旨説明を聴取いたします。峰崎直樹君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114314057X00919981014/3
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004・峰崎直樹
○委員以外の議員(峰崎直樹君) 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
バブル崩壊後の金融機関の経営破綻劇は、昨年の今ごろ、前半のクライマックスを迎えようとしていました。北海道拓殖銀行が都市銀行として初めて破綻し、大手証券会社である山一証券も後を追うようにして破綻をした、あの大型金融破綻劇であります。あれから早くも一年近い時間が経過しようとしています。この間、政府の対応は場当たり、その場しのぎのびほう策に終始し、我が国の金融システムに対する内外の信頼は大きく損なわれました。多くの金融機関は今危機的とも言っていい経営状況にあります。
こうした状況を踏まえれば、我が国の金融システムに対する内外の信頼を回復するため、金融機能の早期健全化のための緊急措置の制度を設けることが必要であることから、この法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、この法律案は、我が国の金融システムに対する内外の信頼を回復することが現下の喫緊の課題であることにかんがみ、適正な資産の査定及び会計処理による金融機関等の経営の健全化を促進し、かつ、金融機関等の再編に資するための金融機関等の資本の増強等に関する緊急措置の制度を設けること等により我が国の金融機能の早期健全化を図り、もって我が国の金融システムの再構築と我が国の経済の活性化に資することを目的とするものであります
第二に、金融再生委員会がこの法律に基づいて講ずる施策は、次の七つの原則によるものとしております。
一つ、我が国の金融機能に著しい障害が生ずる事態を未然に防止すること。
二つ、金融機関に対し、経営の状況を改善するよう自主的な努力を促すことにより、経営の合理化を図ること。
三つ、金融機関等の経営責任及び株主責任の明確化を図ること。
四つ、金融機関等の再編を促進すること等により金融システムの効率化を図ること。
五つ、この法律の目的を達成するための費用が最小となるようにすること。
六つ、早期是正措置と効果的な連携を確保すること。
七つ、金融機関等に資産の査定及び会計処理の基準を遵守させるとともに、経営情報等の適切かつ十分な開示を行うこと。
第三に、預金保険機構は、金融機関等の発行する株式等の引き受け等を協定銀行に委託できることとしております。
第四に、発行金融機関等は、金融再生委員会に対し、経営の合理化のための方策を初めとする七項目の方策を定めた経営健全化のための計画を提出しなければならないこととするとともに、当該計画及びその履行状況を公表しなければならないこととしております。
第五に、発行金融機関等からの株式等の引き受け等を、過少資本の金融機関等(国際統一基準自己資本比率二%以上八%未満、国内基準自己資本比率一%以上四%未満)であって、厳格な経営責任及び株主責任の明確化と経営の合理化を行う等の要件のすべてに該当する場合に限って、行うことができることとしております。
第六に、合併等を行う金融機関に係る株式等の引き受け等を、当該合併等により当該金融機関の自己資本の充実の状況が悪化した等の要件のすべてに該当する場合に限って、行うことができることとしております。
第七に、預金保険機構は、金融機能早期健全化業務に係る経理については、金融機能早期健全化勘定を設けて整理しなければならないこととしております。
第八に、発行金融機関等の自己資本比率の算定においては、その保有する有価証券の評価は、低価法により行うものとしております。
第九に、金融再生委員会は、著しい過少資本の金融機関等(国際統一基準自己資本比率〇%以上二%未満、国内基準自己資本比率〇%以上一%未満)である銀行については、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分または特別公的管理の開始の決定をすることができることとしております。
第十に、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律の一部を改正し、金融機関等の資産の査定の基準及び適正な引き当ての割合の基準を定めることとしております。
以上が本法律案の主要な内容であります。
なお、衆議院自由民主党、平和・改革及び自由党の与野党三会派も金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案を提出しておりますが、行政による裁量の余地が大きく、資本増強の要件が不明確、銀行の真の経営実態を明らかにすることもなく、国民に対する説明責任は全く無視、その上自己申告させる銀行の自己資本比率が信用できない現状のもとで存続不可能な銀行や健全な銀行についても公的資金による資本増強を可能とする、極めて問題の多い法案であります。このように多くの問題を抱えた法案では、一時的に危機を乗り切ったように見せかけることはできても、いずれ問題の先送りであったことが明らかになることは必至であります。今日の危機的な我が国経済を、銀行と心中させることはできないのであります。
これに対し、民主党・新緑風会の金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律案は、それらの問題点をすべてクリアした、真に抜本的な解決方法であります。
何とぞ、御慎重に御審議の上、速やかに可決いただきますようお願いを申し上げます。
以上です。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114314057X00919981014/4
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005・坂野重信
○委員長(坂野重信君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十九分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114314057X00919981014/5
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