1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十年十月十二日(月曜日)
午後零時一分開議
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○議事日程 第十六号
平成十年十月十二日
正午開議
第一 債権管理回収業に関する特別措置法案(
衆議院提出)
第二 金融機関等が有する根抵当権により担保
される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置
に関する法律案(衆議院提出)
第三 競売手続の円滑化等を図るための関係法
律の整備に関する法律案(衆議院提出)
第四 特定競売手続における現況調査及び評価
等の特例に関する臨時措置法案(衆議院提出
)
第五 金融機能の再生のための緊急措置に関す
る法律案(衆議院提出)
第六 金融再生委員会設置法案(衆議院提出)
第七 預金保険法の一部を改正する法律案(衆
議院提出)
第八 金融再生委員会設置法の施行に伴う関係
法律の整備に関する法律案(衆議院提出)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/0
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001・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
日程第一 債権管理回収業に関する特別措置法案
日程第二 金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案
日程第三 競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案
日程第四 特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案
日程第五 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案
日程第六 金融再生委員会設置法案
日程第七 預金保険法の一部を改正する法律案
日程第八 金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案
(いずれも衆議院提出)
以上八案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。金融問題及び経済活性化に関する特別委員長坂野重信君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔坂野重信君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/1
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002・坂野重信
○坂野重信君 ただいま議題となりました八法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、債権管理回収業に関する特別措置法案は、金融機関等が有する不良債権の実質的処理の促進等を図ることが喫緊の課題となっている状況にかんがみ、弁護士法の特例として、一定の要件を満たす民間業者が業として債権の管理及び回収を行う制度を新たに設けるとともに、必要な規制を行うことにより、債権管理回収業の適正な運営を確保しようとするものであります。
次に、金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案は、金融機関等が有する不良債権であって不動産を担保とするものの処理が喫緊の課題となっている状況にかんがみ、金融機関等が特定債権回収機関に対し、その有する根抵当権により担保される債権を円滑に譲渡することができるようにするための臨時の措置を講じようとするものであります。
次に、競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案は、不動産競売手続において、不当な執行妨害行為により手続の遅延が生じている等の現状にかんがみ、手続のより円滑かつ適正な遂行を図る等のため、民事執行法等の一部を改正しようとするものであります。
次に、特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案は、預金保険機構、整理回収銀行及び住宅金融債権管理機構の申し立てに係る競売手続について、その円滑な実施に資するため、現況調査及び評価等に関し、民事執行法の特例を定めようとするものであります。
次に、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案は、金融機関の破綻が相次いで発生し、我が国の金融の機能が大きく低下するとともに、我が国の金融システムに対する内外の信頼が失われつつあることにかんがみ、我が国の金融の機能の安定及びその再生を図るため、金融機関の破綻の処理の原則を定めるとともに、金融機関の金融整理管財人による管理及び破綻した金融機関の業務承継、銀行の特別公的管理並びに金融機関等の資産の買い取りに関する緊急措置等を講じようとするものであります。
次に、金融再生委員会設置法案は、金融破綻処理制度及び金融危機管理に関する調査、企画及び立案をするほか、我が国の金融の機能の安定及びその再生を図るため、金融機関の破綻に対し必要な施策を講ずるとともに、銀行業、保険業、証券業その他の金融業を営む民間事業者等について、免許及び検査その他の監督をし、並びに証券取引等の監視に関する事務を行うため、総理府の外局として金融再生委員会を設置するものであります。
次に、預金保険法の一部を改正する法律案は、破綻金融機関から営業を譲り受け、その整理を行うこと等を目的とする整理回収機構、いわゆる日本版RTCを設立し、債権の回収等の業務のほか、整理回収銀行及び住宅金融債権管理機構から引き継いだ業務を行わせるとともに、預金保険機構の業務の円滑化に係る事項等の改正を行おうとするものであります。
最後に、金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案は、金融再生委員会設置法の施行に伴い、総理府設置法その他の行政機関に関する法律及び銀行法、保険業法、証券取引法その他の関係法律について、所要の規定の整備を図ろうとするものであります。
委員会におきましては、以上八法律案のほか、金融機能の正常化に関する特別措置法案外三法律案を加え、一括して議題といたしました。
まず、債権管理回収業に関する特別措置法案外三法律案について、発議者を代表して衆議院議員保岡興治君より、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案外三法律案について、発議者を代表して衆議院議員池田元久君より、金融機能の正常化に関する特別措置法案外三法律案について、発議者を代表して参議院議員筆坂秀世君より、それぞれ趣旨説明を聴取した後、債権管理回収業に関する特別措置法案及び金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案の両法律案について、修正案提出者衆議院議員保岡興治君より、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案外三法律案について、修正案提出者衆議院議員池田元久君より、それぞれ衆議院における修正部分の説明を聴取いたしました。
また、内閣総理大臣を初め関係閣僚の出席を求めるとともに、数名の参考人からの意見聴取を行いました。
質疑におきましては、金融再生関連法案の与野党合意に至る経過と成果、金融機関の徹底した情報開示の必要性、日本長期信用銀行の処理問題、不動産の流動化策、早期健全化スキームの考え方、早期是正措置の運用方針、金融監督庁の検査結果及び金融危機管理審査委員会の議事録の公表、日本版RTCによる不良債権処理策、中小企業に対する貸し渋り対策、財政と金融の分離問題、債権回収会社の取扱債権の範囲の見直し等各般にわたり、連日、参議院らしい熱心な論議が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
債権管理回収業に関する特別措置法案外七法律案について質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して緒方靖夫委員より八法律案に反対、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明を代表して峰崎直樹委員より八法律案に賛成、自由党を代表して入澤肇委員より金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案に反対し、七法律案に賛成する旨の意見がそれぞれ述べられました。
討論を終了し、順次採決を行った結果、債権管理回収業に関する特別措置法案外七法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/2
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003・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 八案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。笠井亮君。
〔笠井亮君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/3
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004・笠井亮
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました金融関連八法案に対する反対討論を行います。
今日、史上最悪の失業率、中小企業倒産の激増など、不況がますます深刻になるもとで、多くの国民は、大銀行への税金投入をやめ、不況に苦しむ国民、中小企業こそ救えと怒りの声を上げています。今、問題の金融再生法案は、衆議院での自民、民主、平和・改革三党修正によって、それまでの政府・自民党の原案とも、野党三会派の原案とも違う、事実上全く新しい法案となり、しかも、それが何十兆円という野方図な公的資金投入になる銀行応援法であることが、本院でのわずか五日余りの審議でさえ鮮明になりました。ところが、世論調査に示されるように、国民の理解も得ず、審議も十分尽くさないまま本日採決を強行することは、議会制民主主義を踏みにじり、熟慮の府と言われる参議院にあるまじきことであり、強く抗議するものであります。
法案に反対する第一の理由は、今回修正によって、破綻前の金融機関に対しても特別公的管理、すなわち、一時国有化を行うことができる枠組みがつくられたことであります。これによって、株式の取得から運転資金や営業損失などの穴埋め、国の負担と責任による不良債権処理、受け皿銀行への資本注入まで、さまざまな形で公的資金を投入することになり、長銀問題でも数兆円規模の公的資金投入の道が開かれたのであります。
金融機関が債務超過でなく、破綻していないのなら、預金者保護も善良な借り手保護も当然自力でできるはずであります。にもかかわらず、こういう形で公的資金を投入し国民に負担を負わせるなど、何の道理もありません。どんなに乱脈の限りを尽くして経営が困難になっても、最後は国が面倒を見てくれるということになり、金融機関に一層の倫理観の欠如、モラルハザードを招くだけであります。まさしく言語道断と言うほかありません。
反対の第二の理由は、いわゆる日本版RTC、整理回収機構を通じて、健全な銀行も含め、すべての金融機関から公的資金で不良債権の買い取りができるようにしたことであります。法案の修正によって、金融機関等の資産の買い取りに関する業務として、被管理金融機関、協定承継銀行、特別公的管理銀行の三つのほかに、それ以外の金融機関等が加えられ、このことで従来の預金者保護という名分は完全に投げ捨てられました。総額八十兆円とも百兆円とも言われる金融機関の不良債権処理をこのようにして迅速に進めれば、投入される税金の額が空前の規模になることは明らかであります。
しかも、一般金融機関からの不良債権買い取りによって、銀行による中小企業切り捨てがさらに進みかねません。今でさえ、資本金一億円以下の中小企業の七割以上が赤字で、金融機関の身勝手な貸し渋り、資金回収によって苦況に立たされています。宮澤大蔵大臣も、私の質問に対して、その点はやはり心配と答弁したように、これらの中小企業が整理回収機構に送られるとなれば、銀行から善良な借り手ではないという烙印を押され、命脈を絶たれるおそれが大であります。国民の税金で不良債権処理を行い銀行を身軽にしてやる一方で、中小企業の大規模な切り捨てにつながる仕組みづくりを断じて許すわけにはいきません。
第三の反対理由は、形の上では現行の十三兆円の銀行への資本注入の枠組みは一たん廃止されるものの、既に衆議院に早期健全化法案が提出、審議されているとおり、これまでのような健全銀行だけでなく、新たに過少資本の銀行をも資本注入の対象にしようとしていることであります。これは、十三兆円の枠組みの廃止とは名ばかりで、実は、金融ビッグバンのもとで国際競争力に勝ち抜ける金融機関の体力づくりと再編を後押しするため、公的資金投入の枠組みをはるかに強化し、一層使い勝手よく早期に投入できるようにするだけであります。
法案審議をめぐるもともとの出発点は、政府・自民党案に対して野党がこぞって主張していたように、長銀に税金を投入しない、十三兆円の資本注入の枠組みを廃止する、こうしていかに国民負担をかけないようにするかが焦点だったはずであります。ところが、いわゆる三党合意によって破綻前への対応へと分水嶺を越えた結果、今度はいかに多様な道筋からいかに多額の公的資金を準備するかという、政府・自民党原案以上に際限のない税金投入の仕組みがつくられようとしているのであります。
論より証拠、今回必要となる公的資金の規模について、質疑では、金融監督庁が正確な検査結果を開示していないし、不良債権の実態も明らかでないのでわからないと繰り返して答弁してきたのに、法案成立の日程が確定した途端、六十七兆円と言い出したではありませんか。国民一人当たり五十五万円という莫大な規模の資金投入の枠組みを、まともな根拠も示さず押し通すなど、無責任きわまるものであります。
この二カ月、経済再生内閣を看板に登場した小渕内閣が、消費税減税など多くの国民が望む不況対策には何一つ手をつけようとせず、ひたすら銀行支援策に熱中してきた責任はとりわけ重大であります。国民には青天井で負担増を求めながら、銀行や金融業界にはただの一円も負担増を求めない、こうしたやり方は到底国民の納得を得られません。
今、金融再生のためにやるべきことは、断じて銀行応援のための野方図な税金投入ではありません。我が党の金融機能正常化特別措置法など四法案が提起したように、金融機関の破綻や不良債権処理は、税金を使わず、銀行業界の自己責任、自己負担の原則で行うべきであります。そうしてこそ、銀行業界に健全な自己規律が確立し、我が国の金融システムに対する内外の信頼を回復できるのであります。
バブルで乱脈経営や投機に走った銀行みずからに責任をとらせることこそ資本主義の当然のルールであり、罪なき国民にそのツケを負わせるようなことが絶対にあってはなりません。莫大な公的資金投入で、まさに銀行栄えて民滅ぶでは、日本の未来はないではありませんか。最後に私は、このことを強く主張して、反対討論を終わるものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/4
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005・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 直嶋正行君。
〔直嶋正行君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/5
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006・直嶋正行
○直嶋正行君 私は、自由民主党、民主党・新緑風会、公明及び社会民主党・護憲連合の四党を代表して、ただいま議題となりました金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案に対する修正案外の法律案に対し、賛成の立場から討論を行います。
今回、民主党、平和・改革及び自由党の衆議院野党三会派が金融再生法案を共同提出し、自由民主党、民主党及び平和・改革の衆議院与野党三会派が修正案を共同提出したことは、さまざまな点で画期的なことだと評価しております。とりわけ、与野党の議員が、官僚に頼ることなく、非常に緻密で実効性のある法律をつくり上げたことは、これからの我が国の政治のあるべき姿に一つの道を示したとも言えるものであります。
確かに時間はかかりましたが、本来、民主主義とはさまざまな立場の人間が議論を深めていく中で一つの方向性を見出していくものであり、ある程度時間がかかるのはやむを得ないと思います。むしろ、私は、多少時間がかかったことよりも、与野党双方の議員の昼夜を分かたぬ努力を高く評価したいと思います。
さて、我が国の金融業界を取り巻く環境は、言うまでもなく非常に厳しいものであります。その事実を象徴するかのように、十月九日の平均株価はバブル崩壊後最安値を更新しました。しかも、これは我が国だけの問題にとどまらず、今や世界的な問題であります。金融システムの回復は我が国に課せられた最重要課題であり、早急に問題解決のための枠組みを整備することが必要です。金融再生法案は、金融機関が破綻した場合のセーフティーネットとも言うべきものであり、本法律案の成立が金融不良債権問題解決の第一歩となるものと確信しております。
以下、順次本法律案に賛成する理由を申し述べます。
第一に、金融再生法案は、六つの明確な原則により、不良債権問題を先送りせず、二〇〇一年三月までに金融機関の破綻に対する施策を集中的に実施する旨宣言していることです。六つの明確な原則とは、破綻した金融機関の不良債権等の財務内容その他の経営の状況を開示すること、経営の健全性の確保が困難な金融機関を存続させないものとすること、破綻した金融機関の株主及び経営者等の責任を明確にするものとすること、預金者等を保護するものとすること、金融機関の金融仲介機能を維持するものとすること、金融機関の破綻処理に係る費用が最小となるようにすることです。
これらの原則は、情報開示の徹底、市場原理の尊重、モラルハザードの回避、セーフティーネットの構築、国民負担の最小化という、いずれも重要な要素から成り立っており、我が国金融システムに対する内外の信頼を取り戻すためにもどれ一つとして欠くことができないものです。
第二に、金融機関の破綻が金融システムに与える影響を可能な限り小さくするため、金融機関の破綻処理スキームとして三種類の枠組みを用意していることです。三種類の枠組みとは、金融整理管財人による管理、公的ブリッジバンク及び特別公的管理のことですが、これらはまさに多様な危機に応じ得る選択肢を用意したものであり、大手銀行の連鎖破綻に対しても特別公的管理によって十分対応できるものと確信いたします。
これらの破綻処理スキームはいずれも存続不可能な金融機関の延命、救済には使われず、その上でモラルハザードを防ぎつつ、預金者や健全な債務者、金融システムを守ることができます。また、金融機関の規模やその営業地域・分野における重要度に応じて三種類の破綻処理スキームの中から最適なスキームを選択することにより、国民負担を最小化することが可能となるのであります。
第三に、国家行政組織法第三条の規定に基づく金融再生委員会を設置し、金融破綻処理制度及び金融危機管理に関する調査、企画及び立案を所掌することにより、金融機関の破綻に対する施策を金融再生委員会が一元的に実施するのみならず、かねてから懸案となっていた財政と金融の完全分離に向けて踏み出した点であります。
なお、金融再生法案に対する修正案とともに提出されている関係法案についても、不良債権処理を促進するに当たって非常に重要な意義を有するものであり、あわせて賛成の意を表明するものであります。
金融再生法案の成立により、金融機関が破綻した場合のセーフティーネットができ上がることになります。しかし、破綻ではないが過少資本の状態にある金融機関をどうするかという問題がまだ残っているのも確かです。自由主義経済の原則からいえば、過少資本の金融機関はみずからの努力により資本の増強を行うのが当然でありますが、現在の経済情勢ではそれも容易ではありません。金融システムが公共の財産であることは紛れもない事実であり、我が国はこの問題を早急に解決しなければなりません。
金融機関の経営の実態を明らかにし、国民に対して十分説明した上で公的資金の投入を行うことも必要であります。むしろ、この難局を乗り切るためには思い切った措置をとるべきだと考えております。真実の隠ぺい、問題の先送りはもはや一切すべきではありません。
我が国金融の危機的状況から一刻も早く脱却がなされるよう、早期健全化について関係者の一層の努力を期待して、討論を終わらせていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/6
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007・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 入澤肇君。
〔入澤肇君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/7
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008・入澤肇
○入澤肇君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました八法案のうち、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案に反対し、他の七法案について賛成する立場から討論いたします。
去る十月九日発表された月例経済報告では、「景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある」と総括されておりますが、企業へのデフレ圧力が一段と強まり、内外需の冷え込みによる業績悪化と金融機関の信用収縮という二つの要因が、さらに今後の実体経済の悪化を加速するおそれがあると指摘されております。事実、株価も為替レートも日々、乱高下を続けております。
このような状況下で我々がなすべきことは、金融不安を未然に防止するとともに、税制の抜本的改革を初め、我が国経済の構造改革を強力に推進し、安定した社会経済システムの構築を実現することであります。
自由党は、早くから我が国経済を護送船団方式、官僚主導による裁量行政を改め、フリー、フェア、オープンという市場のルールに則した方向で構造改革を進めるべきであると一貫して強力に主張してまいりました。
今般、問題となっている金融システムにつきましても、整理、清算する金融機関については、整然とした明白な基準のもとに破綻処理を進め、さらに金融システム安定化のための方策を一刻も早く創設し、強力かつ安定的な金融秩序のもとで、国民及び産業界に不安を与えないようにすることが最も大切であると早くから主張してきた唯一の政党であります。
しかるに、政府は長銀の救済を金融システム安定化策として行うことにこだわり続け、無用の混乱を生じさせてしまいました。
現在、預金者は預金保険によりその預金は全額保護されております。また、決済システムの維持には、国や日本銀行が責任を負ってデフォルトを起こさないようにするということは当然であります。借り手に対しては、中小企業信用保険公庫など、信用保証制度を改革することによって支援することが十分可能であります。
したがって、政府は、破綻金融機関はもとより清算すべきであり、金融機関が破綻しても対応は万全でありますということを明言すべきであり、金融機関が破綻すれば大変なことになるなどといたずらに不安をあおるべきではないと考えます。
野党三党は、三党首の合意結果に基づき、破綻金融機関を整理、清算するための法律案を提出いたしました。しかし、衆議院で可決し、参議院に送られてきた金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案は、当初の野党三党案から基本的にかけ離れているものであります。
以下、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案に反対する理由を申し述べます。
まず第一に、当初の野党三党案は、破綻金融機関の清算、整理のための法律案であるにもかかわらず、この法律案では、破綻であることを認めないままに、特別公的管理に入ることができるとしていることであります。
第二に、当初の野党三党案では、特別公的管理下にある金融機関に対し、金融再生勘定からその業務の実施により生じた損失の補てんを行うことができるとしていたのに加えて、預金保険法上の資金援助をも認めていることであります。
第三に、破綻金融機関の処理ではないにもかかわらず、営業の譲り受け、または株式の譲り受けを行う金融機関に対し、株式引き受け等の資金援助を行えるとしている点であります。
これらの諸点は、今回廃止されることとなりました金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律によっては事実上救済できない長銀について、いわば生きたまま特別公的管理下に置き、資金を贈与した上で、生きたまま他の金融機関に全株式売却することを可能とすることを念頭に置いたものではないかとの懸念をぬぐい去ることはできません。
破綻金融機関を整理、清算し、我が国金融業界の抜本的な構造改革を進め、安定した強力な金融秩序を形成しようという、野党三党の当初案の原則から逸脱するものであります。
以上、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案については反対し、他のすべての法律案については賛成する理由を申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/8
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009・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/9
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010・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
まず、債権管理回収業に関する特別措置法案の採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/10
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011・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/11
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012・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十六
賛成 二百十
反対 二十六
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/12
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013・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 次に、金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案、競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案、特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案、金融再生委員会設置法案、預金保険法の一部を改正する法律案及び金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を一括して採決いたします。
六案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/13
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014・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/14
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015・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十七
賛成 二百十三
反対 二十四
よって、六案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/15
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016・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 次に、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案の採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/16
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017・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/17
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018・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十七
賛成 百九十八
反対 三十九
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/18
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019・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十一分散会
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01619981012/19
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