1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年二月十九日(金曜日)
午前十一時十分開議
出席委員
委員長 村井 仁君
理事 井奥 貞雄君 理事 衛藤征士郎君
理事 鴨下 一郎君 理事 柳本 卓治君
理事 上田 清司君 理事 日野 市朗君
理事 石井 啓一君 理事 小池百合子君
安倍 晋三君 大石 秀政君
大島 理森君 河井 克行君
倉成 正和君 栗本慎一郎君
河野 太郎君 桜井 新君
桜田 義孝君 下村 博文君
砂田 圭佑君 中野 正志君
村上誠一郎君 渡辺 具能君
渡辺 博道君 綿貫 民輔君
海江田万里君 末松 義規君
仙谷 由人君 玉置 一弥君
中川 正春君 山本 孝史君
大口 善徳君 谷口 隆義君
並木 正芳君 若松 謙維君
鈴木 淑夫君 西田 猛君
佐々木憲昭君 矢島 恒夫君
横光 克彦君
出席国務大臣
大蔵大臣 宮澤 喜一君
出席政府委員
大蔵政務次官 谷垣 禎一君
大蔵省主計局次
長 藤井 秀人君
大蔵省主税局長 尾原 榮夫君
委員外の出席者
大蔵委員会専門
員 藤井 保憲君
委員の異動
二月十九日
辞任 補欠選任
平沼 赳夫君 安倍 晋三君
渡辺 喜美君 倉成 正和君
同日
辞任 補欠選任
安倍 晋三君 平沼 赳夫君
倉成 正和君 渡辺 喜美君
二月十九日
消費税率を三%に戻すことに関する請願(中林よし子君紹介)(第六二三号)
同(松本善明君紹介)(第六二四号)
同(濱田健一君紹介)(第六四五号)
同(穀田恵二君紹介)(第六五四号)
同(寺前巖君紹介)(第六五五号)
同(濱田健一君紹介)(第六五六号)
同(春名直章君紹介)(第六五七号)
同(平賀高成君紹介)(第六五八号)
同(古堅実吉君紹介)(第六五九号)
同(吉井英勝君紹介)(第六六〇号)
同(川内博史君紹介)(第七〇三号)
同(中林よし子君紹介)(第七〇四号)
同(濱田健一君紹介)(第七〇五号)
同(石井郁子君紹介)(第七二五号)
同(金子満広君紹介)(第七二六号)
同(川内博史君紹介)(第七二七号)
同(木島日出夫君紹介)(第七二八号)
同(児玉健次君紹介)(第七二九号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第七三〇号)
同(志位和夫君紹介)(第七三一号)
同(中林よし子君紹介)(第七三二号)
同(春名直章君紹介)(第七三三号)
同(不破哲三君紹介)(第七三四号)
同(松本善明君紹介)(第七三五号)
同(吉井英勝君紹介)(第七三六号)
配偶者特別控除の廃止に関する請願(平田米男君紹介)(第六四四号)
年金生活者に対する課税最低限度額引き上げに関する請願(笹木竜三君紹介)(第六六一号)
所得税の基礎控除引き上げ、課税最低限度額の抜本的改正に関する請願(石井郁子君紹介)(第六七二号)
同(大森猛君紹介)(第六七三号)
同(金子満広君紹介)(第六七四号)
同(木島日出夫君紹介)(第六七五号)
同(児玉健次君紹介)(第六七六号)
同(穀田恵二君紹介)(第六七七号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第六七八号)
同(佐々木陸海君紹介)(第六七九号)
同(志位和夫君紹介)(第六八〇号)
同(瀬古由起子君紹介)(第六八一号)
同(辻第一君紹介)(第六八二号)
同(寺前巖君紹介)(第六八三号)
同(中路雅弘君紹介)(第六八四号)
同(中島武敏君紹介)(第六八五号)
同(中林よし子君紹介)(第六八六号)
同(春名直章君紹介)(第六八七号)
同(東中光雄君紹介)(第六八八号)
同(平賀高成君紹介)(第六八九号)
同(不破哲三君紹介)(第六九〇号)
同(藤木洋子君紹介)(第六九一号)
同(藤田スミ君紹介)(第六九二号)
同(古堅実吉君紹介)(第六九三号)
同(松本善明君紹介)(第六九四号)
同(矢島恒夫君紹介)(第六九五号)
同(山原健二郎君紹介)(第六九六号)
同(吉井英勝君紹介)(第六九七号)
国民の暮らしを守るため、消費税率の三%引き下げに関する請願(金子満広君紹介)(第六九八号)
消費税率引き下げに関する請願(古堅実吉君紹介)(第六九九号)
不況打開、消費税率三%引き下げに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第七〇〇号)
同(中林よし子君紹介)(第七〇一号)
同(矢島恒夫君紹介)(第七〇二号)
大型所得減税、消費税減税に関する請願(田中慶秋君紹介)(第七〇六号)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出第一号)
経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案(内閣提出第四号)
租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)
有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法律案(内閣提出第六号)
午前十一時十分開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/0
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001・村井仁
○村井委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律案、経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案、租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案及び有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法律案の各案を議題といたします。
平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律案に対する質疑は、去る九日、既に終局いたしております。
経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案、租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案及び有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法律案の各案に対する質疑は、去る十七日、既に終局いたしております。
この際、平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律案に対し、上田清司君外一名から、民主党提案による修正案が、また、租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案に対し、佐々木憲昭君外一名から、日本共産党提案による修正案が提出されております。
両修正案について、提出者からそれぞれ趣旨の説明を聴取いたします。上田清司君。
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平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/1
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002・上田清司
○上田(清)委員 民主党の上田清司でございます。
平成十一年度における公債発行の特例に関する法律案に対する修正案の提案理由を説明いたします。
ただいま議題になりました平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律案に対する修正案につきまして、その提案理由及び概要を御説明いたします。
歴代自民党政権の経済失政により、我が国経済は戦後最悪ともいえる危機にあります。バブル経済崩壊後、政府は累計で百兆円を超える経済対策を講じてきました。そして、小渕内閣はついに、公債依存度約四割という財政規律無視の予算を組むに至りました。
この予算で景気が回復するのであれば、それもやむを得ないのかもしれません。しかし、小渕内閣が絶対の自信を持って提出された予算は、相変わらず土木工事中心の適正を欠く予算であり、景気回復に何ら効果がないのは目に見えております。
景気回復に効果のない、適正を欠く予算は、国及び地方の借金を際限なく膨張させ、国民の将来に対する不安を著しく増幅します。平成十一年度末には、国及び地方の借金は六百兆円にまで膨張する見込みですが、これはGDPをはるかに超える金額であり、主要先進国の中では最悪です。このような危機的な財政状況に国民の不安が高まり、景気がますます冷え込んでいるのであります。まさに悪循環のきわみであります。
そこで、我々民主党は、予算の組み替えによって景気回復を確実にするとともに、財政規律を取り戻して国民の将来に対する不安を取り除くため、本法律案に対する修正案を提出するものであります。
次に、修正案の概要について御説明いたします。
まず第一に、政府は、平成十一年度に発行する特例公債については、その発行額をできる限り抑制することとします。
第二に、政府は、本法律の施行後一年以内に、公債の発行残高を減少させるための方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることといたします。
以上が、修正案の概要であります。
政府提出の原案は、財政規律という重要な要素が欠けており、財政再建へのビジョンも何もない無責任なものであります。国民の将来に対する不安を取り除くためには、今申し上げたような修正を加えることが不可欠であります。
何とぞ、国の将来を憂う議員の皆様の御賛同をお願いいたします。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/2
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003・村井仁
○村井委員長 次に、佐々木憲昭君。
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租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/3
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004・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、租税特別措置法等の一部を改正する法律案の修正案について、提案理由を説明します。
戦後最悪の消費不況に陥っている今、内需の中心的柱である個人消費をいかにふやし、日本経済の立て直しを図るか、これが急務となっております。ところが、政府がとってきた対策は、ゼネコンと大銀行への支援が中心で、肝心の国民の消費拡大のための対策は何らとられておりません。
今回、過去最大規模の減税を行うとして政府が提出した恒久的減税法案は、その恩恵を受けるのは大企業と高額所得者ばかりで、七、八割の国民は九八年より増税となります。これでは、国民の消費拡大につながらないことは明白であります。
国民の消費をふやすため最も有効な対策は、消費税の税率を増税前の三%に引き下げることであります。これは、直接国民の消費拡大につながるという点でも、消費税を転嫁し切れず自己負担を余儀なくされている中小零細企業を助けるという点でも、大きな効果があります。消費税減税を行い、これと庶民に手厚い所得減税を組み合わせることによってこそ、国民すべての階層が昨年より減税となるのであります。
最近の日銀調査でも五七%が消費税の減税を求めており、今やどの世論調査でも景気対策のトップが消費税減税です。今こそ、この声に政治がこたえるべきであります。
日本共産党が提案する修正案は、国民の要求にこたえ、消費税率を当面直ちに三%に引き下げようとするものであります。現在、国税四%、地方消費税一%、合わせて五%となっている消費税率を、我が党の修正案では、今年四月一日から当分の間三%に引き下げ、その際、地方財政に配慮して、二%の減税はすべて国税分とし、地方消費税一%は現行のまま確保するものとしています。また、消費税減税による地方交付税の減少を補うための措置は別途講ずることとし、地方財政に支障を来さないように配慮しております。
消費税が必要という立場に立つ政党も、将来の税制のあり方についての見解の違う政党も、戦後最悪の消費大不況を乗り切るための当面の景気対策として、緊急に消費税の減税を行うという一点で共同が可能であると私たちは確信しております。
御審議の上、御賛同くださるようお願いして、私の提案理由の説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/4
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005・村井仁
○村井委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。
この際、租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する佐々木憲昭君外一名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があればお述べ願いたいと存じます。大蔵大臣宮澤喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/5
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006・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 消費税率の引き上げを含む平成六年秋の税制改革は、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応するものであり、我が国の将来にとって極めて重要な改革であったと考えております。したがいまして、本修正案につきましては、政府としては反対でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/6
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007・村井仁
○村井委員長 これより各案及び両修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。小池百合子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/7
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008・小池百合子
○小池委員 私は、自由民主党、自由党を代表して、ただいま議題となっております内閣提出の公債発行特例法案を初めとする四法案に賛成し、民主党提出の修正案及び共産党提出の修正案に反対する討論を行います。
昨年の自民、自由両党の党首合意に基づき、両党が協力して平成十一年度税制改正作業を行いました。十二月に入ってからの税制改正への参加ではありましたが、我が党の主張も数多く取り入れられた税制改正案であります。
以下、政府提出の四法案に賛成する主な理由を申し上げます。
大胆な住宅減税、設備投資促進税制の時限的創設が盛り込まれており、景気回復を加速するものであります。加えて、自由党のかねてよりの主張であります法人課税の実効税率四〇%への引き下げ、少子化対策税制の拡充、並びに有価証券取引税、取引所税の廃止が盛り込まれ、最高限界税率の五〇%への引き下げを含む所得課税の恒久的減税とあわせて、これらの減税の規模も、自民、自由両党党首合意どおり十兆円に迫るものとなっております。
なお、平成十一年度特例公債法案については、景気回復最優先予算に必要不可欠なものであります。
以上が、政府提出四法案に賛成する主な理由であります。
なお、民主党提出の修正案、共産党提出の修正案につきましては、見解を異にするものであり、反対をいたします。
最後に申し上げます。
来年度の税制改正は、最高税率を引き下げること、中堅所得者層へ配慮すること、景気に配慮をするため減税規模を確保すること、昨年大幅な定額減税を行ったこと、一年限りではないことなど、さまざまな制約、要請の中で苦心、工夫をしてつくられた案であると理解をしております。
しかしながら、直面する危機を脱するための施策とは別に、我が国の構造問題に対する改革がいささかもおろそかになることがあってはなりません。経済社会の構造改革を進めるとともに、社会保障制度の基盤を強化するための税制等の抜本改革をさらに改めて検討を行っていく必要があることを申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/8
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009・村井仁
○村井委員長 次に、中川正春君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/9
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010・中川正春
○中川(正)委員 私は、民主党を代表して、政府提出の平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律案に反対するとともに、同案に対する民主党修正案に賛成し、政府提出の経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案に反対し、政府提出の租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案に賛成するとともに、同案に対する共産党修正案に反対し、有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法律案に賛成する立場から討論を行います。
政府提出の平成十一年度公債特例法案は、膨張する公債残高について何ら手だてを講じることもなく、財政規律の精神が全く欠けております。したがって、民主党は、未来への責任を果たす者として、このような無責任な政府案には到底賛成ができません。
これに対し、民主党は、特例公債の発行額をできる限り抑制するとともに、公債発行残高を減少させるために必要な措置を講ずることを政府に義務づけるという内容の修正案を提出いたしました。ここはぜひ、財政危機を憂う議員皆様の御賛同をお願いいたしたいと存じます。
政府提出の所得税、法人税負担軽減措置法案につきましては、所得税の最高税率のみの引き下げと定率減税、課税最低限の引き上げ等の愚策を継ぎはぎしたものにすぎず、将来を展望した抜本的税制改革につながる内容とは到底言えないだけでなく、減税の恩恵が高額所得者層のみにもたらされ、大半のサラリーマン世帯では昨年の特別減税後と比較して負担増になることから、景気対策としての効果もほとんどないと考えます。したがって、政府案には賛成できません。
これに対して、民主党としては、所得税の五段階の税率を一律に二割引き下げるとともに、サラリーマンのみが割を食っている現在の所得課税のあり方を改めるため、所得税法改正案、また中低所得者層の負担軽減を図る観点から、児童手当の抜本的拡充と所得税の扶養控除の見直しをあわせて盛り込んだ児童手当法及び所得税法改正案の二法案を提出し、堂々と論戦を繰り広げてまいりました。
民主党としては、この二法案に各会派の御賛同を求めてまいりましたが、まことに残念なことに、村井委員長の不見識な対応によって本日の採決に付されないという扱いになってしまいました。
租税特別措置法等改正案は、住宅減税、投資促進税制、金融関連税制部分についておおむね民主党の主張してきた内容に沿うものであること、阪神・淡路大震災関係の特例措置については被災地の復興や生活再建に資する内容であると判断し、賛成することといたしました。
なお、共産党提出の修正案につきましては、一部見解を異にするものであるため、反対することといたしました。
有価証券取引税法等の廃止法案についても、民主党がかねてから主張してきた当然の内容であると判断し、賛成することといたしました。
以上が、民主党としての各案に対する賛否の理由及び意見であります。各会派の皆様の御理解と御賛同を強く求め、私の討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/10
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011・村井仁
○村井委員長 次に、矢島恒夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/11
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012・矢島恒夫
○矢島委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出、特例公債発行法案、国税関連三法案、並びに民主党提出、特例公債発行法案に対する修正案に反対し、日本共産党提出、租税特別措置法等一部改正案に対する修正案に賛成する討論を行います。
現在、日本経済は、消費不況の激化と財政危機という二重の危機に直面しています。今、その打開に向けた方策が求められていますが、政府提出の四法案は全く逆の方向を向いたものであります。
特例公債発行法案は、九九年度予算案の歳入不足対策として二十一兆七千百億円もの赤字国債を発行するためのものであり、赤字国債発行額としては、当初予算で過去最高だった九六年度の約二倍という巨額のものであります。これは、景気対策の名のもとにゼネコン型公共事業を拡大するなど、財政の浪費を拡大した結果であります。我が国の財政を未曾有の危機に陥れる、かかる法案には反対であります。
今必要なことは、財政の浪費的支出を徹底して削って財政破綻を回避し、消費不況打開に必要な分野へ思い切った財政出動を行うことであります。政府は、財政再建は景気が回復軌道に乗ったら考えるという無責任な態度をとっていますが、政府の景気対策は、財政危機と消費不況の両方を悪化させるものだと言わざるを得ません。
政府が景気対策として提出した所得税、法人税の恒久的減税法案は、減税とは名ばかりで、九八年特別減税の打ち切りのもとで大多数の国民に一兆円もの増税を強いるものです。これでは、消費不況の打開に何の役にも立たないことは明白であります。
一方、所得税の最高税率引き下げと定率減税の実施、法人税率の引き下げによって、大企業、高額所得者には大減税をもたらします。所得税の最高税率の引き下げは、税の応能負担原則に逆らい、財政の所得再配分機能を弱めるものです。法人税率の引き下げは、課税ベースの拡大もなしに行われ、欧米と比較して最低の課税水準に引き下げるというものであり、何の道理もありません。
租税特別措置法等一部改正案では、企業関係税制のほとんどが延長されており、是正が必要な大企業優遇税制を温存しています。それどころか、不況対策を理由に、情報通信、自動車産業のために新たに数千億円規模の租税特別措置の拡充を行っています。
加えて、有価証券取引税法等廃止法案により、株取引を行う大資産家や法人企業、自己売買取引を行う証券会社の負担を軽減しようとしています。
このような高額所得者減税、大企業減税は、税の公平性に逆行するばかりか、税収の空洞化を進め、財政の基盤を脆弱化させるものであります。
国税関連三法案は、中小法人の軽減税率の引き下げや、住宅ローン減税の大幅拡充、阪神・淡路大震災にかかわる特例措置の延長を初め、幾つかの肯定できる内容を含んでいますが、以上述べたように、大企業、高額所得者減税が中心であり、消費不況打開に役立たないものであって、全体として反対であります。
今日の深刻な消費不況の打開には、個人消費を直接温める消費税減税が最も効果的であり、国民多数が求めているものであります。我が党提出の租税特別措置法等改正案への修正案の可決こそが、国民の声にこたえるものであると確信するものです。
なお、民主党提出の公債発行特例法案に対する修正案については、赤字国債発行を少なくする努力規定を設けても、発行額を減少させる保証にならないと考えるため、反対いたします。
以上で、日本共産党を代表しての討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/12
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013・村井仁
○村井委員長 これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/13
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014・村井仁
○村井委員長 これより採決に入ります。
まず、平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律案について採決いたします。
まず、上田清司君外一名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/14
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015・村井仁
○村井委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。
次に、原案について採決いたします。
原案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/15
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016・村井仁
○村井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/16
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017・村井仁
○村井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
まず、佐々木憲昭君外一名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/17
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018・村井仁
○村井委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。
次に、原案について採決いたします。
原案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/18
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019・村井仁
○村井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/19
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020・村井仁
○村井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/20
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021・村井仁
○村井委員長 ただいま議決いたしました租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案及び有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法律案に対し、井奥貞雄君外四名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。井奥貞雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/21
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022・井奥貞雄
○井奥委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
「租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案」及び「有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法律案」に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
一 中長期的な財政構造健全化の必要性にかんがみ、今後の経済動向にも留意しつつ、一層の歳出の重点化・選別化に努めるとともに、歳入の根幹をなす税制については、国民の理解と信頼を確保する観点から、個人及び法人の所得課税のあり方についての抜本的見直し等を含め、社会経済構造の変化に対応した税制の確立に努めること。
一 利子・株式等譲渡益に対する課税のあり方については、総合課税化の問題を十分勘案しつつ、課税の公平・適正の観点から引き続き検討すること。
一 租税特別措置については、政策目的、政策効果、利用状況等を勘案しつつ、今後とも一層の整理・合理化を推進すること。
一 国及び地方の財政が極めて厳しい状況になっていることに配意し、国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、中長期的に、国と地方の税源配分のあり方について引き続き検討すること。
一 変動する納税環境、業務の一層の複雑化・国際化・情報化、更には滞納整理等に伴う事務量の増大にかんがみ、複雑・困難であり、かつ、高度の専門知識を要する職務に従事する国税職員について、税務執行面における負担の公平確保の見地から、職員の年齢構成の特殊性等従来の経緯等に配慮し、今後とも処遇の改善、定員の確保及び機構・職場環境の充実に特段の努力を行うこと。
一 高度情報化社会の急速な進展により、経済取引の広域化・複雑化及び電子商取引等の拡大が進む状況下で、従来にも増した税務執行体制の整備と、事務の一層の機械化促進に特段の努力を行うこと。
以上であります。
何とぞ御賛成賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/22
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023・村井仁
○村井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/23
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024・村井仁
○村井委員長 起立多数。よって、両案に対し附帯決議を付すことに決しました。
本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。大蔵大臣宮澤喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/24
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025・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配慮してまいりたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/25
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026・村井仁
○村井委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/26
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027・村井仁
○村井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/27
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028・村井仁
○村井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504629X00719990219/28
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