1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年七月二十一日(水曜日)
午前十一時開議
出席委員
委員長 杉浦 正健君
理事 八代 英太君 理事 山本 幸三君
理事 山本 有二君 理事 坂上 富男君
理事 日野 市朗君 理事 上田 勇君
理事 達増 拓也君
加藤 卓二君 河村 建夫君
鯨岡 兵輔君 小杉 隆君
左藤 恵君 笹川 堯君
菅 義偉君 西田 司君
保岡 興治君 渡辺 喜美君
枝野 幸男君 福岡 宗也君
漆原 良夫君 谷口 隆義君
安倍 基雄君 木島日出夫君
保坂 展人君
出席国務大臣
法務大臣 陣内 孝雄君
出席政府委員
公正取引委員会
事務総局経済取
引局長 山田 昭雄君
公正取引委員会
事務総局審査局
長 平林 英勝君
警察庁長官官房
長 野田 健君
警察庁刑事局長 林 則清君
法務省民事局長 細川 清君
法務省刑事局長 松尾 邦弘君
大蔵大臣官房審
議官 福田 進君
大蔵省金融企画
局長 福田 誠君
中小企業庁次長 殿岡 茂樹君
委員外の出席者
通商産業大臣官
房審議官 林 洋和君
最高裁判所事務
総局人事局長 金築 誠志君
最高裁判所事務
総局民事局長
兼最高裁判所事
務総局行政局長 千葉 勝美君
最高裁判所事務
総局刑事局長 白木 勇君
法務委員会専門
員 井上 隆久君
委員の異動
七月二十一日
辞任 補欠選任
漆原 良夫君 谷口 隆義君
同日
辞任 補欠選任
谷口 隆義君 漆原 良夫君
七月十四日
治安維持法の犠牲者に対する国家賠償のための法制定に関する請願(第三六〇五号)は、「山花貞夫君紹介」を「伊藤忠治君紹介」に訂正された。
本日の会議に付した案件
商法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七六号)
午前十一時開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/0
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001・杉浦正健
○杉浦委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、商法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本幸三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/1
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002・山本幸三
○山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三です。
きょうは、商法改正の問題と、それから少し個別の話についてお伺いしたいと思っております。
商法を改正して株式の交換制度、株式移転をやりやすくする制度を導入する、これは基本的には結構なことじゃないかなというように思って評価しているわけでありますけれども、この点に関して、個人的に財界の意見等で少し疑問に感じるようなところもあったものですから、一、二お伺いしたいと思います。
まず、こういう株式交換制度、株式移転制度をこのように改正するということの経済的な意味はどういうことなのか、どういう経済効果があるからそういうことをやるというふうに考えておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/2
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003・細川清
○細川政府委員 商法改正で導入しようとしております株式交換、株式移転の経済的な意味についての御質問でございますが、この制度は、持ち株会社を創設することを円滑に行うことができるようにしようとするものでございます。持ち株会社を創設することによりまして、企業グループは、持ち株会社に企業グループ全体の経営戦略の企画立案、資金、人材の適正な配分等を担わせ、これによって子会社の管理機構のスリム化も図ることが可能となります。
また、企業結合の形態の一つとして、合併と異なり、各子会社の組織形態、企業文化等を生かしつつ経営戦略面での一体化を確保することにより、経営の効率化を図り、組織面や人事面での摩擦を回避しながら、事業部門に相当する各子会社の活性化、ひいては生産性の向上が図られる、このように認識しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/3
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004・山本幸三
○山本(幸)委員 おっしゃったことがそのとおりいけば大変結構なことなんですが、実はちょっと気になることがあったのは、総理のもとの産業競争力会議というのがありますが、そこで、六月の初めに経済界の方から、この持ち株会社の成立、企業買収をしやすくする株式交換制度を可能とするような商法改正案について、早く成立しないと株が暴落するという発言があったという報道がありました。ソニーの出井社長さんがそういう発言をされたということであります。
私どもはこれを聞いて、どういうことなのか、それまでは経済界の方から、この商法改正について、大変重要な問題であるからよろしくお願いしますというような話も一切聞いていなかったわけでありますが、突然、この法案が通らないと株が暴落するという発言で総理のしりをたたいたということであります。私は、この発言を聞いて、何をばかなという印象を持ったんですね。株価がそんなことで本当に左右されるとこの経営者は思っているんだろうか、そういうふうに思ったんですけれども、この法案が成立すれば今おっしゃったようなことで株価が上がる、逆に、これが通らないと株価が暴落するというように思われるのか、その辺どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/4
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005・細川清
○細川政府委員 株価というものはさまざまな要素で影響されるものと考えておりますが、その中にはムード的なものも含まれているんではないかと思われます。したがいまして、商法改正がこれに何らかの影響がないとは申し上げられませんけれども、直接的に大きな影響があるかどうかというのは、私どもとしては判断できかねる問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/5
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006・山本幸三
○山本(幸)委員 おっしゃったように、株価というのはまさにいろいろな要素で決まるんですね。何もこの法案が通らないから株価が暴落するなんということを、勝手なことを言ってもらっちゃ困る。私は、株価というのはその企業の将来の収益が向上すれば上がる、これが基本的な考え方だろうと思うんですね。そうであれば、国会がどうなっている云々を議論する前に、自分の企業の収益力が上がるように経営者が努力すりゃいいじゃないか、そういう努力をちゃんとやるのが株価を上げる本来の筋であって、それを、いかにも何か国会がサボっているからだというようなことを日本のトップの経営者が言うのは甚だ問題がある、私はそう思っています。
私どもは何も財界の下請機関じゃない、そんなことで左右されようと思っていない。そんなことよりも、国家国民のためにどうかという観点で問題を考えておるわけで、そういう意味では、そういう少しおかしな発言については、この法案の成立とは別ですよ、大変問題があると思っています。
というのは、実はきのうの日本経済新聞の朝刊におもしろいことが出ていまして、これ、質問予告したものの後に出たものですから、ちょっと感想だけお聞きしたいんです。きのうの日本経済新聞の「企業新世紀」というコラムに、野村総研の渡辺企業経営研究室長は、もう今やグループとして経営を考えるというのは時代おくれなんだ、つまり、分社化とか子会社をつくってやるというのが必ずしもその企業の収益率を上げるというようには決まっていないんですよ、むしろもうそんなものはやめて離しちゃった方がいいんだという意見を言っているんですね。彼の発言をそのまま引用しますと、「親が子に付加価値を付ける能力を失えば、組織は分割に向かうのが自然。日本の持ち株会社ブームは逆行している」、首をかしげているという記事が載っていまして、なるほどなという気もしたわけであります。
持ち株会社化、分社化というのはもう時代おくれだ、そういう感想もあるようでありますけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/6
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007・細川清
○細川政府委員 商法は企業の組織に関する制度を定めているわけでございまして、これは一種の道具、ツールでございます。したがいまして、これを利用してどのような経営を行うかは、具体的には経営者なり株主に判断がゆだねられているわけでございます。それぞれの企業によって状況が異なりましょうから、それを勘案した上で、持ち株会社化あるいは分社化が必要だと考えるところはそうすればよろしいわけでして、その点は商法は、どちらがよいとか、そういうふうに言っているわけではございません。最終的には経営者と株主の判断によるべきものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/7
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008・山本幸三
○山本(幸)委員 おっしゃるとおりだと思いますね。まさに商法の体系というのは、使いやすくする、そういう基盤を整備するという意味で大変重要なことだと思うし、その意味で、私は、こういうように、やりたければ子会社化あるいは株式移転というのがスムーズにできるように整備するというのは大変重要なことだと思います。
しかし、それをやったからといって、すぐに企業の株が暴騰するとかそんなことはあり得ない。それはやはり経営者が、しっかりと企業経営を必死の努力でやってもらうということがなければ、そんなことはあり得ないんですね。だから、私は、そこは日本の経営者に、我々は基盤整備はちゃんとやるけれどもそれだけに頼っちゃだめですよ、もっとしっかり企業経営というのはやってもらいたいということをぜひ言っておきたいなという気がしておるわけです。
そういうことだけ確認させていただいて、私は、この商法改正というのは、しかしいろいろな選択肢を与える、あるいは使いやすくするという意味では大変意義のあることだと評価していきたいというように思っております。
そこで、ちょっと話を変えますが、この持ち株会社制度というのは、ある意味で戦後の日本の会社制度、企業制度を大きく転換した一環にあるわけですね。つまり、独禁法との関係で大きな転換をした、その中身を充実させるというところにあるわけですが、このように持ち株会社がある意味で容易にできるようになるということについて、公正取引委員会としては独禁法との関係でどのように考えておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/8
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009・山田昭雄
○山田政府委員 お答えいたします。
先生御承知のとおり、平成九年の独占禁止法改正によりまして、事業支配力の過度集中にならない持ち株会社ということは認められるということになったわけでございます。改正法によりまして、この持ち株会社が設立あるいは転化された場合につきましては、事業報告ということで届け出がなされることになっておりまして、平成十年度に二件の報告があったわけでございます。
御質問の、どのように評価しているかという点につきましては、今御審議いただいております株式交換、株式移転制度など、持ち株会社の活用を容易にするための施策が検討されておりまして、これらの諸制度の整備とともに、今後、持ち株会社を活用する企業もふえてくるのではないか、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/9
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010・山本幸三
○山本(幸)委員 そういうふうにふえてくるのは結構ですが、私は、公正取引委員会はやはりこれから自由化あるいは規制緩和というのが進みますと、むしろその役割はさらに大きくなる。特に、自由な競争あるいは公正な取引ということが確保されることは、ある意味でいうと、このような商法の改正によっていろいろな柔軟性が増す、あるいは、規制緩和が行われるということを最終的に担保する意味での重要性が増すというように考えているんですね。その意味では、公正取引委員会には、そういうことを踏まえた上で、日本の産業の公正な競争、公正な取引というものがしっかり行われるように監視してもらいたい、この点は非常に重要な点でありますので、よろしくお願いしたいと思っています。
そこで、ちょっと個別の話になりますが、不公正取引という観点で、実は最近大変気になる、問題となるケースが新聞報道されました。
これは、六月十日の日経の夕刊に大きく出たんですが、大阪の大東市の薬のアンプルをつくっているナイガイという会社があるんです。薬のアンプルというのは特殊なガラスでして、硼珪酸ガラスという特殊ガラスです。したがって、これを供給するガラスメーカーというのは日本でただ一つしかない。日本電気硝子というNECの子会社、ここが原材料を供給している日本で唯一の会社であります。
この日本電気硝子という原材料のメーカーが日本国内に代理店を二つ持っていまして、東日本と西日本に一つずつ代理店を持って、それぞれに独占的な代理店契約を結んで特殊ガラスの原材料を卸している。その日本電気硝子の西日本の代理店であるニッショーという会社があるんですが、この会社が日本電気硝子から特殊ガラスの原材料を供給してもらって、それを代理店として他のアンプルメーカーに流すという形態になっているわけですね。
そのアンプルメーカーの一つがナイガイという会社でありますけれども、このナイガイがニッショーを通じて日本電気硝子から原材料を仕入れて、そして、ナイガイのグループ会社でつくって製薬会社に薬のアンプルとして供給する。薬のアンプルの市場というのは全国で七十億円ぐらいらしいんですけれども、ナイガイというのはその最大手ですね。
ところが、ナイガイは、九三年から九四年にかけて海外から原材料を輸入しようということを始めました。一つだけしか原材料の供給先がないということは、阪神大震災のときにも若干影響が出たようでありますけれども、そういうことを考えると、やはり薬という人の生命に直結するようなものをつくるわけですから、これは危機管理という面からもできるだけ多様化した供給体制をつくった方がいいということで、海外からの輸入を始めたわけですね。試験的に始めた。
ところが、途端に日本電気硝子とニッショーは、その試みに対して、とんでもない、輸入をやめろ、やめなければいろいろ妨害をしますよということを言って、いろいろやりとりがあったんですが、結局ナイガイは、そういう輸入阻止の提案について、九四年に最終的に拒否した。
そうすると、阪神大震災が起こった九五年の、その阪神大震災の直後、代理店のニッショーは、突然価格を大幅に引き上げた。ナイガイに対してだけ価格を引き上げて、現金決済じゃないとだめですよというような懲罰的な内容の取引を通告してきた。これはとても大変だということで、ナイガイは弁護士さんと相談していろいろ仲介もやってもらったりしたようでありますが、どうしても日本電気硝子、ニッショーは、とにかく輸入をやめなければそれはやめない、そういうことで懲罰的な取引を強要してきた。
そこで、ナイガイは、その超過価格分については債務不存在の提訴をやりまして、これはことしの三月の末に勝訴するわけであります。しかし、同時にニッショーは、それでも細々とその生地管を納入していたのですけれども、三月の末から一切ナイガイに対する生地管の出荷を停止した。そこで、仮処分の執行を申し立てて、それも認められて、生地管をとりに行くのですが、予定していた一割ぐらいしかない。当初は、とりに行ったときに電気を消してなかなか協力的でなかったというようなこともありますが、それでも何とか裁判所の協力を得て、十分の一程度は生地管を手に入れているのです。しかし、九百トンのうち百トンぐらいが手に入ったのですが、八百トンは依然として手に入らない。その結果、じりじりと追い詰められているわけですね。
私は、こういうことを見て、これは一体何だと。私たちは、規制緩和とか市場開放とかいろいろな努力をしてきたつもりであります。そして私は、毎年アメリカに行って、委員長も一緒に行かれるのですけれども、これは超党派で、アメリカの議員さん方と日米国会議員会議というのがあって、そこで日米間のいろいろな問題あるいは世界全体の問題について議論するのですが、常にアメリカから日本の市場は閉鎖的でけしからぬという批判を受けて、私なんかはそれに対して最も先鋭的に、そんなことはない、日本は最もオープンな市場である、誤解が多いというようなことを主張してやり返してきたのであります。ところが、これを見ると愕然としてしまう。今まで自信を持って、日本の市場はオープンだ、日本の企業競争はしっかりと公取も目を光らせて、ちゃんとやっていると言ってきたんだけれども、とてもそんなことじゃないじゃないか。
輸入を決して許さない、輸入をすれば、あなたのところに対しては一切原料を供給しませんよと。当初は価格をつり上げて、それから今度は実際にやめて、裁判所の命令に対してもいろいろな口実を使ってそれを逃げようとしている。そして、今や各製薬会社なんかに、もうナイガイはつぶれるからよそにかえた方がいいですよというような話までして回っている。まさに日本の閉鎖的な村社会のおきてに従わなければすべて締め出す、そういうケースが実際に起こっている。
私は、これは単にこの一事件だけじゃなくて、こういうことがまかり通ってナイガイが万一倒産するというようなことになれば、恐らくほかの企業はとても怖くて輸入なんてしようと——ほかの企業で輸入しているところはないのですから、つまり日本の市場は完全に閉められてしまう、そういうことが現実のものになる。
これは大変懸念すべき事態であり、我々が幾ら商法改正をやり、あるいは公正取引委員会にしっかり頑張ってくれと言っても、とてもその実が上がらないという気がするのですが、この点について公取としてはどういう取り組みで考えておられるのか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/10
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011・平林英勝
○平林政府委員 お答えいたします。
御質問のございました医療用アンプル用生地管の件につきましては、先ほど先生から御紹介がありましたように、既に新聞等におきまして報道されているところでございますが、本年六月、アンプル用生地管販売代理店等に対しまして立入検査を行ったところでございますし、その後、関係者から事情聴取をするなど鋭意審査を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/11
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012・山本幸三
○山本(幸)委員 この点はぜひフォローしていきたいと思いますので、しっかりやっていただきたい、そのことをお願いして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/12
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013・杉浦正健
○杉浦委員長 次に、達増拓也君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/13
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014・達増拓也
○達増委員 きょうも商法改正、持ち株会社をつくりやすくするための株式交換制度等の法改正がテーマなわけでありますけれども、主要な論点についての質問は前回させていただきましたので、今回は広く会社法全体の、現在会社のあり方が国際的な大競争時代の中でいろいろ変化しているときに、それに対応した商法の改革という観点から質問をさせていただきたいと思います。
思えば今国会、法務委員会は、司法制度改革というのが一つ大きいテーマになりまして、時間をかけて審議会をつくるための法案を成立させたわけでありますけれども、今回の商法改正も、いわば企業経営の近代化といいますか現代化といいますか、時代に合わせた企業経営、それをさらに円滑に進めるための商法の特に会社法部分の制度改革、そういう意義を有しているのだと思います。
企業を取り巻くさまざまな最近の大きな変化、特に金融ビッグバンによりまして、金融市場、これは証券市場も含めまして、非常に国際的に大きい変化が生じている。そういう中で、大競争時代に勝ち残っていくために、制度面においてもさまざまな改革をしていかなければならない。それで、証券取引法の分野においてはいわゆるグローバルスタンダードに合わせたような証券市場のあり方、また企業会計のあり方、かなりそうした制度改革が進んでいるわけであります。
そうしますと、そういう会社の株式のあり方や会社のあり方等に関する商法と証券取引法、また、きょうは突っ込んで取り扱いませんが、税法、それぞれにおける規定の間にだんだんそごが出てきて、いろいろ不都合が出てくるという問題があると思います。
商法は、その体裁からして片仮名、文語調で書かれておりまして、たび重なる改正で中身はどんどん新しくはなっているのですけれども、さらに時代に合わせて改正、改革を進めていかなければならないわけであります。
さて、今回、親子会社のあり方についての制度改革でありますが、証券取引法の方で子会社について支配力基準を導入したことによりまして、株式保有が過半数に達していなくても、一定の要件を備えていれば、証券取引法上、親会社と子会社の関係になるということになったわけでありますけれども、商法の方は二百十一条ノ二で、「発行済株式ノ総数ノ過半数ニ当ル株式又ハ他ノ有限会社ノ資本ノ過半ニ当ル出資口数」という形式的な定義を子会社についてしているわけでありますけれども、この点、矛盾は生じないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/14
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015・細川清
○細川政府委員 御指摘のとおり、商法は、子会社の範囲について持ち株基準を採用しておりますが、他方、証券取引法に基づく財務諸表規則が昨年の十一月二十四日に改正されまして、支配力基準が採用されました。したがいまして、証券取引法上は子会社であるけれども商法上は子会社じゃないというものが生ずるというのは御指摘のとおりでございます。
ただ、証券取引法は、公開会社を対象として、投資家に投資情報を提供することを目的としている。そういうことから、ディスクロージャーの透明性が高められるように、親子会社の範囲について支配力基準を採用したものと理解しております。
一方、商法は、公開会社のみならず非公開会社を含むすべての会社を対象として、自己株式取得の弊害防止の趣旨から先ほど御指摘があった条文ができておりますし、これに対する違反については百万円以下の過料に処するということになっております。さらに、株式の持ち合いの弊害を防止する観点から、子会社が他の会社の株式の四分の一以上を有するときは、他の会社が有する親会社の株式の議決権の行使をすることはできないという規制もしているわけでございまして、商法におきましては、このように非常に大きな法律的効果があるわけでございます。
そうしますと、その適用の範囲を明確にするというためにはやはり客観的基準がなければならないということでございまして、やはりこの持ち株基準というものを維持しなければならないだろうと現在のところは考えているわけでございます。
そういうわけで、商法と証券取引法はそれぞれ目的が異なりますので、こういうところに差異があることもこれは必ずしも問題であるとは考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/15
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016・達増拓也
○達増委員 そうしますと、確認いたしたいのですけれども、商法二百十一条ノ二では子会社による親会社の株式保有の禁止、また二百四十一条の三項では議決権の制限等々子会社について決めているわけでありますけれども、これは、証券取引法上の実質子会社といいますか、そういう、親会社の株式保有が過半数に達していないような子会社には適用されないということでよろしいんでしょうか。
〔委員長退席、山本(幸)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/16
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017・細川清
○細川政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/17
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018・達増拓也
○達増委員 勉強すればわかるのでありますけれども、同じ子会社という言葉で、違う法律で違う扱いになっている、何とかうまい工夫はないのかなと思うわけであります。
実際に企業会計の実務などを担当している人たちから聞いている話なのでありますけれども、証券取引法上、有価証券報告書のディスクロージャーが今連結決算中心となってきているわけですね。企業会計について、特に責任ある大きい企業についてディスクロージャーが求められているわけでありますけれども、親子会社関係等のつながりがある場合に連結決算中心のディスクロージャーが求められている。一方で、商法は個別決算が中心でありまして、そういう連結決算の発想がないわけであります。
今回の改正案でも、親会社の株主に対して子会社の業務内容を開示するという規定があるわけでありますけれども、連結情報についても、計算書類の中でより充実した開示ということが必要なのではないかと思うわけでありますが、この点、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/18
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019・細川清
○細川政府委員 御指摘のとおり、今回の改正案では、親会社の株主につきましても、子会社の株主が得ることができる情報と同じ範囲の情報を得ることができるような内容となっておるわけでございます。
証券取引法に基づく有価証券報告書による企業情報の開示は、先ほども申し上げましたが、投資家が適切な投資を判断するための情報を提供するということで、ディスクロージャーのためのものでございます。したがいまして、そういう面からは、連結ベースの情報公開というものは非常に有用になるわけでございます。
これに対して、会社の計算に関する商法の規定は、株式会社が有限責任である株主のみから成るいわゆる物的会社でございますことから、債権者保護のために利益配当を制限するということを主たる目的としているわけでございます。そうなりますと、当然のことながら個別決算を中心とするということになりますが、なお、情報開示の重要性から、商法では、付随的に、営業報告書において、親会社との関係、重要な子会社の状況その他重要な企業結合の状況を開示することとしているわけでございます。これは計算書類規則で定めているものでございます。
ただ、今後企業集団を形成して活動することがふえることが予想されますので、各界の意見を聞きながら、商法の上でも開示のあり方について検討してまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/19
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020・達増拓也
○達増委員 今回の改正によってできる新しい制度の中でも、親会社の株主が議決権行使に当たって子会社の業務内容の開示を裁判所に求められるようになるわけでありますけれども、特に、子会社が多数ある場合に、その一つ一つの子会社、業務内容の開示をどれについてどうやっていけばいいのか、かなり煩雑になるんじゃないかという懸念があります。
実際に株主の便を考えれば、連結決算中心の情報開示制度というのを商法上ももっと取り入れるべきではないかというふうにも思うのでありますけれども、この点、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/20
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021・細川清
○細川政府委員 今回の改正案で、親会社の株主が子会社の業務内容の開示を求める場合には裁判所の許可を得ることとしておりますが、その理由は、やはり親会社と子会社は別法人であって、親会社の株主は当然ながら子会社の出資者ではないということから、無条件で閲覧権等を与えるのは妥当ではないということから、親会社の株主が権利行使のために子会社の情報を閲覧することの必要性の有無とか、あるいは親会社の株主であることの判断を裁判所にしていただく、そういうことにしたわけでございます。
連結決算は、先ほど御説明申し上げたとおり、ディスクロージャーのためとしては非常に有効なものでございますし、また、商法上も、先ほど御説明したようにその方向を目指しているわけでございます。連結ベースの情報の開示ということも、商法上も今後十分検討しなければならない問題だというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/21
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022・達増拓也
○達増委員 前向きな答弁をいただいたと思います。
次に、これは親子会社関係とはちょっと別なんですけれども、やはり証券取引法と商法とのそごで一つ重要なポイントだと思うところなんですが、研究開発費の問題であります。
企業における研究開発の重要性、特にこういう技術開発、高度情報通信社会に入っていく中、またバイオですとか新産業、ニュービジネス、そういったところでの競争が非常に重要になっていく中で、各企業の研究開発費というのは非常に重要だと思うわけでありますけれども、証券取引法の方ではこれが全額費用処理されるとなっている一方で、商法では、二百八十六条ノ三で、資産の部に計上できるということになっているわけでありますけれども、この点、矛盾はしないんでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/22
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023・細川清
○細川政府委員 御指摘のとおり、商法では、研究開発費につきましては、その発生時に全額を費用として処理することも認められておりますが、その支出の効果が次期以降に及ぶことも予想される場合には、それを次期以降の収益に対応させるというために、繰り延べ資産の一つである試験研究費、開発費として貸借対照表の資産の部に任意的に計上することができることとされております。すなわち、商法は、計上するかどうかは任意的、選択的であるということになっているわけでございます。
これに対して、証券取引法に基づく財務諸表規則では、従来は商法と同様に試験研究費を繰り延べ資産として貸借対照表の資産の部に計上することを認めておりましたが、昨年の改正によりまして、研究開発費は発生時に全額費用として処理しなければならないこととされたわけでございます。
その理由でございますが、証券取引法における会計は、公開会社を対象として投資家に投資情報を提供することを主な目的としているものと理解しておりますが、そういたしますと、研究開発費は企業の将来の収益性を左右する重要な要素で、これに関する情報は重要な投資情報であることから、その資産計上を任意的とする会計処理は企業間の比較可能性が困難になるということから、企業会計審議会の答申がありまして、このために、従来繰り延べ資産として計上することができたものが、一律に費用として処理するということにされたわけでございます。
これに対して、商法における会計は、公開会社のみならず、すべての会社を対象として、債権者と株主のために適正な利益配当をすることを主な目的としておりますので、証取法とはその対象、目的が異なります。
したがいまして、御指摘の研究開発費に関する商法と証券取引法の規定は、表面的には異なりますが、必ずしも矛盾するものではないというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/23
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024・達増拓也
○達増委員 激変する証券市場や企業会計のあり方、そういう状況の中で、法務省が大蔵省とともに商法と企業会計の調整に関する研究会というものをつくっているということなんですけれども、この進捗状況について聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/24
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025・細川清
○細川政府委員 御指摘の研究会でございますが、まず設けられた経緯を御説明申し上げますと、平成九年六月に企業会計審議会から公表された金融商品に係る会計処理基準に関する論点整理では、経済社会環境の変化等に応じ、金融商品の時価評価の導入といった現行の会計基準の大幅な見直しが提言されました。その中で、時価評価の導入と税効果会計の採用について、商法との調整を行う必要があるというふうに提言されていたわけです。これを踏まえまして、法務省と大蔵省の事務当局が共同で、商法学者、会計学者、実務家の参加を求めまして、先ほど御指摘の研究会を開催したものでございます。
この研究会は、平成九年七月から七回ほど会合いたしまして、平成十年六月に、先ほど御指摘申し上げました問題についての報告書を取りまとめて公表したわけでございます。
この報告書の内容を踏まえて、昨年の十二月二十一日には、税効果会計の採用に係る計算書類規則の改正を行ったところであり、それから、時価会計の導入については、今回の商法改正について御審議いただいているところですが、これもこの報告書を踏まえたものでございます。
このようなことでございますので、商法と企業会計の調整に関する研究会はひとまずその目的を達したわけでございますが、今後商法と企業会計原則の調整を図る必要がある問題が生じた場合には再度そのような研究会を設けるということも一つの考え方でございますし、そういう方法により私たちとしても調整してまいりたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/25
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026・達増拓也
○達増委員 これは、自由党といたしましても、改革の自由党、経済の自由党でございますから、経済社会の実態に応じた制度改革、この会社法の分野についても積極的に取り組んでいきたいと思っておりますし、実際、与党・自民党さんとの間でさまざまな勉強会もやっておりますので、頑張っていきたいと思います。
さて、まだちょっと時間がありますが、この残った時間を利用いたしまして、コンピューター二〇〇〇年問題に関する法務問題について質問をさせていただきたいと思います。
コンピューターが二けたで年号を処理する際に、下二けた、〇〇年というのを一九〇〇年と二〇〇〇年と区別がつかなくなってさまざまなトラブルを引き起こすのではないかといういわゆる二〇〇〇年問題であります。今アメリカでは、そのトラブルによって起こり得る債務不履行ですとか不法行為ですとか、そうしたことの損害賠償責任を、黙っていると物すごい賠償を払わされることになり、企業活動がめちゃくちゃになってしまうんじゃないかという懸念を踏まえて、そういう損害賠償責任を制限するための法整備、これが議会で進んでいるわけであります。いわば民法に例外を設けるような話だと思うのですけれども、まずは、米国におけるそうした動向について、政府の方で把握されている点があれば伺いたいと思うのです。
〔山本(幸)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/26
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027・細川清
○細川政府委員 御質問の点に関しまして、私どもの把握している情報について御説明を申し上げます。
御指摘のいわゆる濫訴防止法案は、アメリカではいわゆるY2Kアクトと言われているものだと理解しておりますが、その法案は、本年七月一日にアメリカの連邦議会において可決成立し、現在、大統領の署名手続のために、大統領のために提出されている状態であるというふうに理解しております。
この内容でございますが、私どもの理解するところでは、まず、正式な訴えの提起の前に、原告の被告に対する通知から最長九十日間の猶予期間を置く、その猶予期間が過ぎなければ訴えを提起することができないということが第一点でございます。
それから、従業員五十人以下の中小企業及び資産五十万ドル以下の個人に対する懲罰的損害賠償責任、いわゆるピューニティブ・ダメージズですが、これを二十五万ドル以下または実損の三倍のいずれか少ない方に制限するということが第二点目です。
第三点目として、地方自治体及び政府を懲罰的損害賠償の例外とすることなど、こういったことを内容としているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/27
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028・達増拓也
○達増委員 我が国政府においては、同様の法律、何か検討はされているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/28
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029・細川清
○細川政府委員 米国における先ほどの法律は、懲罰的損害賠償あるいはクラスアクションといった米国特有の法制度により、事業者に巨額の損害賠償義務が課せられる結果となるのではないかという懸念がその制定の背景になっているものと私どもは理解しているものでございます。他方、我が国においては、そのような制度はございません。
いわゆるコンピューター二〇〇〇年問題に関して、法的状況が非常に異なるというふうに考えられますので、現在、政府部内で、通産省を中心として二〇〇〇年問題の検討会は開かれておりますが、特に新たな法律の制定の動きはないものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/29
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030・達増拓也
○達増委員 確かに、我が国の場合、コンピューター、ソフトウエア等、提供する側とそれを利用する側、いざというとき訴訟合戦になるというよりは、早く来て直してくれとか、かわりのものを入れてくれとか、そういう展開になるであろうと予想されておりますし、また、弁護士さんの意見を何人か聞いてみると、被害者保護という観点からそうそう損害賠償責任を制限していいものかという、そういう面かなり抵抗感が強いということを聞いております。
ただ、二つだけ気になる点がありまして、一つは、アメリカでこういう法律ができてしまった場合、それで日本にはない場合、アメリカの企業がアメリカの法律で損害賠償責任から守られる。一方で、日本の企業が守られない状態になって、アメリカの会社から日本の企業がどんどん懲罰的な損害賠償を訴えられる、そういう国際間の訴訟合戦にもしなるとしたら、日本もある程度対抗手段を考えておかなきゃならないのかなという点が一つ。これは、もう少し米国における動きを見守りながら、アメリカでも、大統領府は若干、企業ばかり守ることでいいのかという点に懸念があるそうなので、そこを見守らなきゃならないと思います。
もう一つの懸念は、企業間の訴訟のほかに、トラブルが発生して大損したような企業の株主代表訴訟でかなりやられるんじゃないかという懸念が今ありまして、特に日本の場合、株主代表訴訟の濫訴の懸念があって、コーポレートガバナンスという観点からこれを制限すべきというような意見もあって、いろいろな議論もあるわけですけれども、二〇〇〇年問題を離れて、今の我が国での株主代表訴訟の問題についてどのように考えるか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/30
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031・細川清
○細川政府委員 株主代表訴訟は、会社の業務執行の適正を確保するための重要な手段であるというふうに私どもは認識しておりまして、そのあり方については、御指摘のようにさまざまな御議論があることは承知しておりますが、これに対して一般論として申し上げれば、株主代表訴訟を制限することにより会社の業務執行の適正を確保する機能が不当に制限されるようなことがあってはならないというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/31
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032・達増拓也
○達増委員 二〇〇〇年問題、これも自自与党両党でプロジェクトチームをつくって法的問題についても勉強しているところであります。期限のある問題でもありますので、これも油断せず政府の方でも取り組んでいただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/32
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033・杉浦正健
○杉浦委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十分休憩
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午後一時開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/33
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034・杉浦正健
○杉浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
本日、最高裁判所金築人事局長、千葉民事局長、白木刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/34
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035・杉浦正健
○杉浦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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036・杉浦正健
○杉浦委員長 質疑を続行いたします。谷口隆義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/36
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037・谷口隆義
○谷口委員 公明党・改革クラブの谷口隆義でございます。
本日は、初めに本法案についての質問をさせていただいた後に、企業法制のトライアングル体制と言われるようなところについて御質問をさせていただきたいというように考えております。
今回のこの法案でございますが、企業を取り巻く国際的な状況また国内的な状況が大きく変化して、独占禁止法において純粋持ち株会社が認められるようになった、そういう状況の中で、具体的に純粋持ち株会社の形態をどのようにして構築していくべきかというような観点での法案であると認識しておるところでございます。
私は、これは個人的には大賛成でございまして、もっと言うなら、大胆にやるべきではないかというように思っておるわけでございます。企業を取り巻く環境というものは、従来に比べますと大変厳しくなっておるわけでございますので、組織形態も弾力的な対応といいますか、硬直的組織ではなかなか動きがとれないわけでありますので、弾力的な組織形態をとっていけるような体制をつくっていくべきだし、それを支援していくといいますかサポートしていくような法制度も構築していかなきゃいかぬ、つくっていかなければいけないというような観点に立っておるわけでございます。そういう意味において、先ほど申し上げましたように、本法案についてはぜひ早急に、株式交換制度というのは極めて有効でございますので、やっていただきたいというように思うわけでございます。
それで、今回のこの法案について初めに何点か質問をさせていただきたいわけでございますが、市場性ある金銭債権、社債、株式等につき時価で評価ができるというようなことになっておるわけでございますが、これはある意味では大変画期的なことでございます。
御存じのとおり、我が国の企業は戦後大変大きな経済的な発展をしたわけでございますが、一方で、我が国独特の制度等々があったわけでございます。その一つが、いわゆる株式の持ち合いというようなことがあったと言われております。ですから、一方において、配当率が諸外国に比べまして大変低いとか株主総会が形骸化されておるとかいうような、いわばデメリットがあるわけでございますが、一方では、安定株主を求めるという意味においてこの持ち合い制度というのは意味があるものであったわけでございますが、今回、こういう状況の中で、一部でございますが、時価会計を入れようというような法案になったわけでございます。
一般的に、企業の持ち合いの株というのは、持っておる時期が古いと申しますか、かなり以前の取得年度で持ち合いをしているというようなこともございまして、今の株式相場が一時に比べますと大変下落したとはいえ、いまだかなりの含み益があるというように言われておるところでございます。
それと、一方では、どんどん今企業も国際化をいたしております。そういう状況の中で、企業の尺度をどのようなところではかるのかというようなことになるわけでございますが、企業の尺度と申しますか、どの程度成長性があるんだとか収益性があるんだとかいうような観点で、一つの指標になるのがROE、株主資本利益率というのがございますね。これは、株主資本に対する利益がどの程度か、これをはかる指標でございます。これが国際的な一つの企業尺度になっておるわけでございまして、この指標を一つ目安にして国内また海外の投資家が投資を行うというようなことも言われておるわけでございます。ですから、企業におきますと、ROEが低下するというのはやはり大きな問題になるわけでございまして、株価にも影響がございますでしょうし、企業に対して大きな影響があるということでございます。
そういうことで、ROEを低下させることについては大きな抵抗があるわけでございますが、今回の法案で、一部でございますが、時価会計が導入されますと総体的にROEが低下する、このように言われておるわけでございます。そういうことになってまいりますと、持ち合いの株を企業は売却していくというような企業行動になるんじゃないかというようなことも言われておりまして、中長期的に見ますとそのような持ち合いの株が解消されることは私は大変好ましいことではあるというように思うわけでございますが、短期的に急激にこれが市場に出ますと株価形成にも大きな影響が出てくるというようなことがあるわけでございまして、このような観点で、時価で評価できるという今回のこの法案についてどのようにお考えなのか、まず初めにお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/37
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038・細川清
○細川政府委員 今回の商法の改正案は、金融資産について時価で評価することができるという旨の規定でございます。採用するかどうかは商法上は任意ということになっております。そしてまた、商法はこういった企業制度一般に対するいわゆるインフラストラクチャーでございますので、時価評価を可能とすることによってそれがどういう効果があるか、あるいはROEに対してどういう影響があるかということについては、必ずしもそれは商法上これを考慮しなければならない問題であるとは考えていないわけでございまして、これは、要するに一つの手段として、国際的な動向に対応できるように時価評価をすることを可能にするという意味の改正だ、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/38
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039・谷口隆義
○谷口委員 法律の立場ではそのようにお考えなんだろうと思いますが、法律が施行された折に実体経済に与える影響等を勘案をいたしますと、仮に例えば大きな影響が出るというようなことになりますと、それはそれなりの対応をまた講じなければいけないわけでございますので、この法案を審議されておられる状態の中で、私が申し上げたようなことも含めて議論になったのかどうか、また、それに対して現実的にどのように対応されようとしたのか、そのことをお聞きいたしたわけでございまして、もう一度御答弁をお願いしたいというように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/39
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040・細川清
○細川政府委員 これは企業会計原則と商法との調整を図ったものでございます。企業会計原則では、この改正が成立いたしますと、現実に企業会計原則として時価評価を強制するかどうかというのは次の問題になるわけでございまして、これは主として上場企業についての問題でございますから、私どもが考えることというよりか、むしろ証券取引法の所管のところに御意見を伺っていただいた方がよろしいんではないかというふうに思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/40
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041・谷口隆義
○谷口委員 それでは、きょう、大蔵省の方から福田金融企画局長来ていただいておりますので、大蔵省の立場から、私が今申し上げたことについての御見解をおっしゃっていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/41
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042・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
御指摘のとおり、今後、持ち合い株式の時価評価が行われますと、その時価の変動が資本の部に反映されることになるわけでございまして、御指摘のROEそのものを変動させる要因となることも考えられるわけでございます。
ただ、時価評価の導入が持ち合いそのものにどのような影響を与えるかにつきましては、ROE等の指標が企業評価にどの程度反映されていくか、あるいは、従来の取引先との関係をどう考えるか等々さまざまな観点がございまして、それぞれの企業が判断していくものと考えております。
いずれにしましても、持ち合いの問題を私どもが所管しております証券市場という観点からとらえた場合には、重要なことは、その持ち合いが、市場原理を通じた資源の最適配分とか、あるいは資本の効率的な利用という面で阻害するようなことがないかということでございまして、その意味では、仰せのとおり、持ち合いによる保有といえども、株主として資本のリターンを常に検討し、経営に対するチェック機能を有効に働かせることが要請されるようになるんだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/42
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043・谷口隆義
○谷口委員 これは、実態的に、施行されて動く場合にそういうようなこともあるということを申し上げたわけでございまして、仮に大きな動きが出てくるといたしますと、市場の株価形成において問題がある事態も想定されるということでお話を申し上げたところでございます。
それともう一つ、資産評価のところで利益配当の制限ということを盛り込まれておるわけで、要するに、時価で評価益は上げるようになるが、配当可能利益の限度額の計算上、これは除外するんだというようなことでございます。この配当可能利益というのは、現行商法の一番根本的な骨格のところの債権者保護に立って、会社と債権者の間の利益の調整というか損益の調整と申しますか、そのあたりがこの利益配当限度額というところになるんではないかというふうに思うわけでございます。
それで、これはよくよく考えてみますと、今現在、含み損については、含み損と申しますか評価損については、未実現の評価損というのは含み損のことですね、含み損の計上は強制されておらないわけでございますが、これを強制されないということは、現実に含み損があるにもかかわらず実態として出てこない、こういうことでございます。
今回の含み益については、含み益があるならばこれを計上するということになるわけでございますが、含み益の場合に、配当可能利益の限度額を計算する上でこれを除外すると言いながら、一方で、含み損の場合に計上を強制していないということで、実態的に含み損がありながら表に出ておらないということは、債権者保護の立場に立ったときに、どうも首尾一貫性の観点から見るとどうなのかなというように思うわけでありますが、このあたりの御見解はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/43
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044・細川清
○細川政府委員 まず、現行商法におきましては、強制低価主義を適用する場合と、任意低価法が適用される場合とあるわけでございます。株式等が取得原価よりも著しく時価が低くて回復が見込まれないという場合には時価による評価が強制されているわけでございまして、こういうことは、すなわち債権者保護のために保守主義を採用していると考えられます。
今回の改正案で時価評価を可能といたしましたのは、国際的な動向や企業会計原則とを調和させるためでございますが、現行の商法は取得原価主義を原則としておりまして、資産を実際に処分した時点において利益を認識することになりますので、このような処分利益は実際にその金額に相当する現金、債券等を会社が取得するので配当財源として確実であるという考え方でございます。
これに対して、時価評価により生ずる評価益は、決算期においてそのような評価益が計算上存在しているということを意味するにすぎないわけでありまして、現実の処分がございませんので、その金額に相当する現金または債券を会社が取得しているということではございません。そういうことで利益としては不確実であるということから、これを配当財源から除外することといたしているわけでございまして、両者とも、債権者保護の観点から保守的に判断する、安全的に判断する、こういう考え方によるものであると理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/44
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045・谷口隆義
○谷口委員 要するに、含み益というか、時価による評価益については、これを配当可能限度額の計算上排除する。しかし一方、私の申し上げたのは、含み損は強制計上になっておりませんから、任意で計上するようになっておりますね。これについては、商法の大きな流れといいますかバックボーンと申しますか、債権者保護の立場に立ったときに、ある意味では、本来、その時点でそれだけの評価になっておらないところを、評価損を出しておらないということは、その分だけ過大に一方で計上されているというようにとれるわけで、保守主義の観点から見まして、債権者保護の立場に立ってそういう観点で見たときに、評価益と評価損の扱いが首尾一貫しておらないのではないですか、こういう質問でございます。
それについて、ちょっと今私、御答弁がはっきりわからなかったのですが、要するに、含み益の方は、これは実現しておらないから、売却した段階で実現するので排除するんだと。だけれども、一方で、その分の含み損というのは現在あるわけですね。今、保守主義の原則なんておっしゃいましたが、保守主義の原則、債権者保護の立場に立ったときには、現実にそれだけの換金価格がないわけでありますから、そういう意味では、含み益と含み損が一貫しておらないというように考えられても、これは当然じゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/45
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046・細川清
○細川政府委員 私がただいま御説明申し上げましたのは、これは両者とも債権者保護のために資産を確実に評価する、安全に評価する、こういう意味で考え方が一貫しているということでございます。
評価益については、未実現の利益でございますし、将来時価が下がることも考えられますから、これは配当の対象としない。一方、評価損につきましては、評価損が固定しておって将来回復する見込みがない場合には、商法上も低い時価で評価することが強制されております。そういう点において考え方は一貫しているというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/46
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047・谷口隆義
○谷口委員 ですから、今おっしゃったのは要するに、債権者保護という立場は間違いないわけですね。債権者保護の立場に立ちますと、まさにおっしゃったように保守主義の原則というか、なるべく配当可能利益を確実にという観点でございますから、現実に、金融資産なり時価評価をする対象資産が例えば本来含み損を抱えておるというような状態であれば、その段階でこれを換価した場合にそれほどの価値が見出せないわけでありますので、そういう意味においては、これは、首尾一貫させようとすると、今までの含み損の取り扱いと含み益の取り扱いが若干アンバランスになっておらないですか、こういうことを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/47
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048・細川清
○細川政府委員 私どもの考え方は、先ほど申し上げたとおり、評価損が生じた場合には、それが取得原価まで回復する見込みがないときは強制的に時価に評価するべきものとされておりまして、それは貸借対照表上も低い価額であらわされるわけでございますので、考え方としては一貫しているというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/48
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049・谷口隆義
○谷口委員 もうやりとりしておっても仕方がないのですが、一般的に市中においてそういう意見があるということを申し上げたいと思います。
ですから、私が申し上げているのは、何回も繰り返して申しわけないのですが、どうも首尾一貫という観点からしますとバランスがとれておらないというように思うわけでございます。首をかしげていらっしゃるので、この問題ばかり長くやりとりしておっても、私もほかのあれがあるのですが、何だったらまた後日でもいろいろなお話をさせていただきたいというふうに思っておりますが、これは私は若干問題があるのではないかな、首尾一貫性の観点から見て問題があるのではないかなというように思うわけでございます。
次に、先ほども申し上げましたように、企業法制を取り巻くトライアングル体制ということについてお伺いをいたしたいわけでございますが、御存じのとおり、企業法制と申しますのは、商法また証券取引法、税法、この間の調整をずっとしていらっしゃるわけでございます。これはいろいろな原因があるわけでございますが、基本的には、例えば商法と企業会計の調整等々も見ておりますと、先ほども午前中の審議でございましたが、協議をする機関を設けられてやっていらっしゃったように聞いておりますが、本来、商法のルーツと申しますか、これは、ドイツ法に見られる大陸法的な成文法志向に基づくものである。一方、証券取引法というのは、アメリカの土壌で、コモンロー思想、こういう考え方の違いによって、目的も全く違うわけでございます。本来、商法というのは、債権者保護の立場に立った法律、一方、証券取引法と申しますのは、投資家、投資者保護の立場に立った法律ということで、その成り立ちも目的も全く違う状況の中で、過去においていろいろ調整をされ、また、今現在も調整をしなければいけない問題が多々出てきておるわけでございます。
そういう状況の中で、またこれは私、後で申し上げたいというように思いますが、ここに来て企業を取り巻く状況が大きく変わってきた。特に会計を取り巻く状況というのが、本年、来年また再来年、この三年ぐらいが歴史的な転換点、このように言われるような状況になっておるわけでございます。これは一つは、ビッグバン等々により、我が国の経済が、金融業界を中心にして大きく国際化の波を受けているというようなこと等がありまして、そういう状況の中で、果たしてどのように企業行動をとっていけばいいのか。
先ほど、本法案の問題でもお話をいたしましたように、企業の組織形態もやはり大きく変わっていかなければ、弾力的に対応できるような組織にしていかなければいかぬだろうということであるとか、また一方で、企業会計を中心にして考えますと、企業を取り巻く企業会計の流れも大きく変わってまいった。一つは、国際会計または米国会計というような、いわばグローバルスタンダードと言われるところに我が国の会計を合わせていかなければいけない状況になってまいったというようなことがあるんだろうと思いますが、そこで、何点かの大きな課題が出てまいったわけでございますね。
例えば、金融業界あたりはこの三月期決算で実施されておるわけでございますが、連結財務諸表をつくった。民間の企業においては来年の三月から初めて適用されることになっておりますが、このような問題であるとか、また、それにも若干関係がございますが、税効果会計を導入することになったとか、また時価会計を導入することになるとか、こういうような企業会計が歴史的な大きな転換をこれから迎えるわけでございます。
政府は、また並びに行政当局は、そのような企業を取り巻く状況の大きな変化を十分認識しながら、その企業行動をある意味ではサポートするという立場で、法律を合わせていくというか、改正をしていく必要があるのではないか。まず法律ありきではありませんから、経済実態があって、それに対して法体系としてどのように対応していくのかということになるのが順序だろうというように思うわけで、そういう観点で今考えていかなければいけないのではないか、このように思うわけでございます。
それで、先ほど申し上げましたように、国際会計基準というのがございます。国際会計基準は必ずしも米国基準とは一致しておりませんが、いずれにしても、このようなグローバルスタンダードに合わせていかなければ企業として対応できなくなってくるというような観点があって、先ほど申し上げましたような連結決算の問題があり、また、含み損益、今回また一部時価会計が導入されるということで、含み益について表現されるということになるわけでございます。このような含み損益のいわばオンバランス化、また、もっと言うと財務諸表の比較可能性というのは極めて重要な問題で、財務諸表というのは唯一絶対的な真理ということはありませんので、これは過年度からの比較の中で、利益が前年よりふえたとか減ったとかいうような形で、比較可能性というのは極めて重要な問題でございます。
そういう意味において、例えばこの税効果会計であるとか試験研究費であるとか、このようなことが今企業会計の世界ではいろいろ議論になっておるわけでございますが、このような大きな課題があるというように思われるわけでございます。
それで、先ほど申し上げました、商法の本来一番骨格のところが債権者保護の目的、また一方で、企業会計が投資家保護の目的というように、全く違う中で、従来から、例えば繰り延べ資産の範囲の問題であるとか、また引当金規定の相互に異なる見解の違いであるとか、また継続性の位置づけの違いであるとか、また会計方針の規定の違いであるとかいうような両者の間の食い違いをそれぞれ調整をされてまいったわけでございます。
しかし、いずれにいたしましても、先ほど私が申し上げましたように、これは必ずしも一致できる問題ではない。というのは、基本的にベースが異なるわけでございますので、そういう観点が必要だろうというように申し上げたいわけでございます。
そこで、調整の問題として、何点かのやり方があるんだろう。今までやってこられた方法も勘案しまして、この調整の仕方については、一つは、法改正が必要だろうということと、もう一つは、政省令で対応するということも対応のしぶりだろう。もう一つは、公正なる会計慣行のしんしゃく規定、三十二条二項ですか、このような調整のしぶりがあるんだろうというように思っておりますが、私は、ここへ来て、余りに会計をめぐる企業法制の激動の中で、果たしてその調整が今のベースでできるのかなというように、一つ大きな疑問を持っておるわけでございます。詳細な質問は後で入りたいと思いますが、まず初めにそういう、大ざっぱな質問で申しわけございませんが、それについての御見解をお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/49
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050・細川清
○細川政府委員 商法の計算規定と企業会計との問題でございますが、先生御指摘のとおり、商法の計算規定の趣旨は債権者保護、物的な会社である株式会社において唯一の債務の引き当てになっているのが会社の資産でございますから、その債権者を保護するということが最も重要な目的でございます。これに対して、証券取引法は、御指摘のとおり、要するに公開会社についての投資家への情報開示ということが目的でございます。さらに商法につきましては、いわゆる公開会社だけではなくて、百二十万にも上るすべての中小企業を含めた株式会社に適用がある、そういう差異があるわけでございます。商法におきましても情報の公開ということが重要であることは当然でございますけれども、基本的な目的が違いますので、両者の間に差異が生ずることはやむを得ないことだと思っております。
もっとも、計算に関して基本的原則が全く異なっているということでは非常に問題が生じますので、従来から大蔵省と私どもとで企業会計についての研究会を設けるなどして、今回の時価評価の導入の問題とか、あるいは税効果会計の導入の問題について研究してまいりましたが、今後ともそういう方向で調整していくということで、私どもとしては問題が生じないようにいたしたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/50
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051・谷口隆義
○谷口委員 さっき、調整をするには三つの方法があるというように私申し上げましたが、一般的には公正なる会計慣行のしんしゃく規定というか、これがよく使われる場合があって、本来、商法は債権者保護の立場に立って、必ずしも企業会計の方向とは違うんだが、現在行われておる公正なる会計慣行をしんしゃくして、それを認めてやろうというような形になっておるんだろうというように思うのですが、冒頭私が申し上げましたように、企業を取り巻く状況というのは従来に比べますと大きく変わってきた。今までもそのように大きく変わってまいったわけでございますが、これからは、歴史的転換点にあるというように言われておるわけでございまして、そういう状況の中で、公正なる会計慣行のしんしゃく規定で果たして調整ができ得るのかどうかということがあるんだろうと思うのですね。
まず初めに、きょう大蔵省から来ていただいています福田金融企画局長にお尋ねしたいのですが、現在、企業会計と商法との調整の中で、企業会計側からして現在の調整過程についてどのようにお考えなのか、これについて御答弁をお願い申し上げたいというように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/51
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052・福田誠
○福田(誠)政府委員 今法務省の局長からも御答弁がありましたように、今回の商法の改正案につきましても両省で専門家も集めて研究会をいたしておりまして、御指摘のように、基本原則は、企業会計原則も商法においてしんしゃくすべき公正な会計慣行と位置づけられておりますので、今回そういう場で、大きな問題については協調させていただきました。今後につきましても、仰せのとおり、商法と証券取引法とは要求される情報に差異があるとしても、財産計算及び利益計算は基本的に一致するように調整が図られてきた経緯がございまして、今後ともそのような方向で努力をさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/52
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053・谷口隆義
○谷口委員 私の問題意識として、それは限度があると思っておりまして、また後ほど詰めた議論をしたいわけでございますが、例えばさっき申し上げた連結決算。連結決算というのは、今まで、企業会計においては個別決算がメーンになっておって、連結をやってもその補足的な情報としてやっておったのですが、御存じのとおり、今回、連結が基本になってやっていくわけでございますね、今回の法制もそうでございますが。
今まで、一つの会社があって、その会社に各事業部があって、事業部をどんどん切り離して子会社にした。経営の意思決定をするところが持ち株会社になって、そこは経営を行いますが、それ以外の事業はいわば子会社で行うというような形を想定した場合に、グループとしては全く従来と変わっておらない、極端な例ですよ。極端な例で、個別企業と変わっておらないのだけれども、組織上は変わってしまったというような場合に、現行商法はあくまでも個別企業を前提にした法体系になっておりますから、連結グループをベースにした法体系になった場合に果たしてどのように対応されるのか。
例えば債権者においても、一つの企業を分社化して、親のところの持ち株会社とその傘下にそれぞれの事業部を分社化して会社にした、だから実態は一つの会社に変わりはないのだけれども、しかし、それを取り巻く債権者のあり方の問題等々、これは大きく状況が変わってまいるのではないかというように思うわけでございます。これも先ほど大蔵省の福田金融企画局長がおっしゃったように、従来と同じ路線で調整をしながら、これが調整を行い得る問題としていけるのかどうかということが私ちょっと疑問でございます。それについて御見解をお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/53
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054・細川清
○細川政府委員 株式会社の計算に関する商法の規定は、株式会社が有限責任である株主のみから成る会社であることから、債権者保護のために利益配当額を制限するということを主たる目的としているため、個別決算を中心とせざるを得ないわけでございます。その上で付随的に、現在でも営業報告書において親会社との関係、重要な子会社の状況その他重要な企業結合の状況を開示することとしているものでございます。
これに対して、証券取引法に基づく有価証券報告書におきましては、これは投資家に対する情報の提供ということでございますから、連結ベースで開示するということは非常に意味あることだというふうに考えているわけでございます。
したがいまして、再三申し上げておりますが、両者の目的が異なりますことから差異があることはやむを得ないわけですが、今後とも問題が生じないように調整していくという方針でまいりたいと思っておりまして、御指摘の、連結の情報の開示という問題につきましては、今後とも関係各界の意見を聞きながら、商法上の問題としても検討を続けていく必要があるというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/54
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055・谷口隆義
○谷口委員 今御答弁されたのは現行の、調整を行っているそのプロセスを、今後も引き続きそういう調整の中で対応していこうというお話のように思ったわけであります。しかし、一方において、今の企業グループといいますか、会計は連結で一つの集団としての見方を行うようになる。要するに、グループ全体を一つの企業体として対応を行う。一方で、商法はそういう連結の概念というのはないわけでありますから、それぞれの各企業の、単体の企業をベースにして相も変わらず行うようになる。これについて、私はこれからまだいろいろな事例が出てくるのだろうと思いますが、調整には限度があるのではないかなというように思うわけでございます。
本年で商法が制定されてちょうど百年目になるというようなお話でございますが、ひとつ、きっかけというのはおかしいですが、大改正と申しますか、例えば今、企業会計また商法会計と税法会計というような三つの会計を拘束しておるものがあるわけでございますね。それがトライアングル体制、このように言われるわけでございますが、会計は税制に束縛され、また会計は商法に束縛されておる。私自身も公認会計士を二十数年やっておりましたが、そのような調整をやった結果、現場では大変戸惑いもあるということも、これは間違いのない話でございます。
そういう状況の中で抜本的な、数年しますとと申しますか、本年からもう始まっておるわけですが、そういう歴史的な会計の転換点にある現在、日本の中で、企業形態もどんどん変わっておるわけですね。企業形態が変わるように、法律がサポートし、また会計原則、また税制がサポートしようというようにやっておるわけでございまして、商法は商法だけ、また会計は会計だけ、税制は税制だけということではなくて、大きな立場で、さっき申し上げたように、法律が初めにありきではありませんから、これから国際的な企業行動の中で、法体系として、また会計として、税制としてどのようなことをサポートし得るのかというのも大きな観点の一つではないかというように思っておるわけでございます。
法務大臣、大きな問題でございますので御見解をお聞きしたいわけでございますが、私の申し上げているのは、ぜひ、全体の中で協議をする場をつくる、これはそんなに時間的余裕はございませんから、つくる必要があるのではないかというように思うわけでございますが、御見解をお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/55
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056・陣内孝雄
○陣内国務大臣 今委員の御指摘をいろいろとお聞きしておりました。商法の計算規定の企業会計との調整の問題、これは大変重大な問題であると私も今認識したところでございます。
今後とも、企業実態等に合わせて企業会計との調整を図るため、商法の計算規定について検討を続けてまいる必要があるんじゃなかろうかというふうに感じたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/56
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057・谷口隆義
○谷口委員 前向きにもうちょっと……。
本当に法務大臣、今私が申し上げているのは、これから多分、企業実態として法律が大きく足かせになる可能性がある。ですから、そういう状況も十分勘案しながらやっていかなきゃいかぬ。会計の分野はアメリカを中心に、またヨーロッパを中心にして大きく変わってきている。会計が変わると企業行動が変わり、経済が変わると言われています。現実に今、連結が入ったり時価会計が入ったり、また税効果会計が入ったりということで企業の戦略が変わってくるわけですね。
今回の法案もそうでございますが、持ち株会社ができるというような状況になってまいりますと、企業のあり方が変わってくる、また経済が変わってくるというようなことになるわけでございますので、むしろ自由な企業行動を法律の方がサポートしてやるというような観点も必要ではないかというように思っておるわけでございます。
今までのような、商法は商法だけ、まあ商法と企業会計の調整をされるような研究会もやっていらっしゃるようでございますが、そこに例えば税制も加えた形で、私も拝見をさせていただきましたが、現状を是認した上で今後もこの方式でやっていこうということになっておるわけでございますので、ここは私は抜本的に対応を変えていくべきではないか、このように思っております。ぜひそういう観点でやっていただきたい。必ずそういうことが企業行動に対する縛りを解放し、伸び伸びとした企業行動ができるようになるわけでございますので、ぜひそのようにお願い申し上げたいと思います。
それで、今連結財務諸表のことを申し上げたわけでありますが、今連結財務諸表と、きょう主税局から来ていただいておりますが、連結納税というのがあって、これは大蔵省の問題になるわけでございますが、これもまた一つ大きな問題がございます。
連結納税を導入してやらないと、連結決算をしたことの意味がまたなくなってしまう。そうすると、いわゆるグループ経営という観点が、どうもメリットがなくなるといいますか、そういうことも十分考えられるわけで、これはぜひ連結納税を導入していくべきだし、また一方で、先ほど私申し上げました税効果会計ですね。税効果会計が導入されるということになりますと、税制と企業会計との間が切断されると申しますか、税制に影響されないような企業会計ができ得ると申しますか、そういうようになると言われておるわけでございます。
連結納税の問題と、あと税効果会計の問題について、大蔵省からきょう来ていただいています主税局審議官の福田さんに御見解をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/57
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058・福田進
○福田(進)政府委員 お答え申し上げます。
連結納税につきましては、連結の対象となる関係会社の範囲をどのようにするのか、それから連結の対象となる取引をどういうふうにするのか、そういった点から始めまして、ちょうど先週七月十三日でございますが、政府税制調査会に法人課税小委員会が立ち上がりまして、そこで検討を始めることにしているところでございます。
何せ検討する対象が非常に広いものですから、と同時に、二十一世紀を迎えて立派なものをつくりたいというのが小委員長の御感想でございまして、いずれにしても検討がスタートしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/58
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059・谷口隆義
○谷口委員 また先ほどの話を繰り返して申しわけないんですが、連結グループ企業に対して商法はどのように対応すべきかということで、現行、企業結合法が我が国ではないということで、これは各国から比べますと時代おくれ、果たしてついていけるのかどうかというような考えもあるわけでございますが、これについてはどのようにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/59
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060・細川清
○細川政府委員 企業結合法制は、国によってさまざまなものがあるというふうに理解しておりますが、商法の分野におきましても、前回の改正においては会社の合併法制についての合理化を図り、今回は株式交換、株式移転という形の企業結合というものの制度を導入し、さらには、今後は会社の分割あるいは分社化の問題についても商法について検討しようとしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/60
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061・谷口隆義
○谷口委員 一つは、私が言っているように、トライアングル体制というか、税法と証取法と商法との間の調整の問題というのは極めて重要な問題で、私は、抜本的に法体系そのものをここで変えていかなきゃいかぬのではないか、こういうような問題意識を持ってずっとさっきからお話をいたしておるわけでございます。
一方、現行の法体系が果たして、さっき申し上げたように本年で百周年ということでございますが、それなりの体系を保ちながら来ておるのかどうかということになりますと、やはりここでも若干問題点があるんじゃないかというように思っております。
例えば、土地再評価をやりましたね、去年ですか。あれは、自己資本比率を上げなきゃいかぬ、大変な事態でございましたから、自己資本比率を上げるのに土地の再評価を認めたわけですね。再評価差額を本来資本に入れるべきというように私は当時言っておったんですが、当初はこれを資本に入れなかった。それで、本年になって、これを資本に入れて、自己株式の買い取りの原資ということで今回このように変わったわけですね。
このあたりも、一つは、これは議員立法でされたわけでございますが、なぜ議員立法かと申しますと、それだけの時間的余裕がないということで議員立法になったわけですよ。法制審議会で今までやっておる、なかなか時間がかかるということで議員立法で行われたというように聞いておりますが、一方で、今はやりの議員立法が行われておるということで私が一つ危惧しておるのは、商法体系が本当に崩れはしないのか、逆に言うと。
今の商法体系を是認するわけじゃありませんが、一方で、例えば今コーポレートガバナンスもやっております、私も入ってやっております。そのときの議論の中でも、確かに今緊急事態だから、緊急事態というのは、さっき申し上げたように、環境が激変している中で、我が国の企業行動を取り巻く状況を一刻も早くそれにふさわしい状況に持っていってあげなきゃいかぬという観点からやっておるわけでございますが、今こういう議員立法が行われておるというような状況は、一方では、商法の全体的な整合性に対する問題が起こっておるのではないかというようなことがございます。
何を言いたいかといいますと、ずっとおっしゃっておることが、今基盤が大きく変わってきたのにもかかわらずこれをずっと死守したいというような論理構成で来られますと、周りの状況がどんどん変わっている、それに対して緊急事態ということで、例えば議員立法が行われる、法改正が行われる、一方で、当初の商法の精神的バックボーンであると言われるような債権者保護であるとかいうようなことについて、問題があるというような状況になっておらないかということを言っておるわけであります。これについてどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/61
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062・細川清
○細川政府委員 商法につきましては、昭和五十年六月に私どもの局から「会社法改正に関する問題点」で公表しまして、以来、全面的な見直し作業を行ってきたところでございます。その後、昭和五十六年、平成二年、平成五年、平成六年、平成九年にそれぞれ商法が改正されておるわけでございます。私どもといたしましては、広く意見を聞きながら、商法の改正を時代に合わせて行うように努めてきたつもりでございますし、今後ともそのようにいたしたいというふうに考えているわけでございます。
議員立法についての御質問でございますが、これは、国の唯一の立法機関は国会でございますので、そこで御議論の上、一定の法律が必要であるというふうにお決めになることについて、私どもがとやかく申し上げる筋合いのものではないというふうに考えているところでございますが、必要に応じて、求められれば私どもが意見を申し上げるということはいたしたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/62
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063・谷口隆義
○谷口委員 それならば一つお聞きしたいのですが、現行の商法の体系、やはり商法には商法なりの整然とした法体系があるわけでございますから、この法体系がいわばどんどん、例えばつけ加えつけ加えで、当初の法体系からすると若干整合性がないなというような状態になっても仕方ないということをお考えなのか。さっき御答弁の中では、政治の中でそういう要望があるから仕方ないんだというような御答弁でありましたが、これはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/63
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064・細川清
○細川政府委員 私どもが法律を改正する場合には、その時代に即応するように、時代の状況をよく分析して行って、また広く各界の意見を聞きながら、法制審議会で御意見も聞きながら改正を行っているわけで、全体として整合性がとれなくなることがないようにということを常に留意しているわけでございます。
先ほども申し上げましたように、議員立法につきましてお考えがある場合には、私たちも全体的な整合性の観点から必要なことは従来からも意見を申し上げておりますし、今後とも必要のある場合には申し上げたいというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/64
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065・谷口隆義
○谷口委員 要するに、商法の法体系としての整合性を法務省当局はどのようにお考えで、例えば整合性が欠けるというような事態に仮になった場合に、それについて何らかの御意見、御見解はないのですかということをお聞きしたわけで、もう一度その観点から御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/65
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066・細川清
○細川政府委員 私どもは、現在の商法が法体系として整合性が欠けているというふうには考えておりませんし、今後ともそうあってはならないと思っているわけでございます。ですから、そういうことにならないように今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/66
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067・谷口隆義
○谷口委員 それはちょっと私と見解の異なるところでして、それはなぜかといいますと、さっきから申し上げておるように、商法はいわば後追いの形で、企業実態がどんどん環境が変わってくる、それに対して、企業を取り巻く企業法制、証取法並びに企業会計原則であるとか税法であるとか、これはどんどんやはり変わってきておるわけですね。それに合わせなきゃいかぬ、従来の商法の法体系を維持しなきゃいかぬというのは、これは大前提でしょう、おっしゃったように。
これは、どうぞそんなの欠いてもいいんだ、整合性がばらばらになってもいいんだということは当然考えていらっしゃらないはずなんで、しかし一方で調整をしなきゃいかぬわけですから、その調整の過程で、一つは調整のやり方、さっき申し上げましたね、法改正をやらなきゃいかぬとか、また政省令で済ますとか、また三十二条二項の公正なる会計慣行のしんしゃく規定を使うとかいうことでまあまあ当座をしのいできたというような感が私は否めない。
そうならば、基本的に、どうも調整をすることが余りにも大きくなっておるような経済実態、企業行動ということを十分念頭に入れた法体系を新たに構築すべきではないか、このように言っておるわけです。
もう一度御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/67
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068・細川清
○細川政府委員 商法は、株式会社という形の企業活動の基本法でございます。したがいまして、これは経済実態を常に見ていかなければならないわけですが、時々の必要だけで変えていいものとは思っていないわけでございまして、大きな制度として改正すべき状態であるというふうに社会実態が確定いたした場合には、それに合わせていくことが必要であるというふうに考えているわけでございまして、今回の金融資産についての時価評価の導入につきましても、これと同じ考えで行っているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/68
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069・谷口隆義
○谷口委員 私の申し上げているのは、今回の金融資産の時価評価だけの問題ではないんですね。過去からの状況も踏まえて、また先ほども申し上げましたように、今や会計の分野は歴史的転換点と言われるようなことを迎えているわけですね、本年、来年、再来年と。
こういう状況の中で、商法としてどういうような対応をとるべきなのかということを私は申し上げたところでありまして、私の申し上げているところの本意を十分御理解いただいて、先ほど法務大臣に申し上げましたように、ぜひ商法だけではなくて、当然今もやっていらっしゃるんですが、商法と企業会計原則、また関係部局を全部合わせた形で、今の法体系そのものが現行の経済の状況に果たしてマッチしておるのかどうかという観点で、ぜひ新たな、また現在の時代にマッチした商法の法体系ができるように期待し、希望したいというように思うわけでございます。
私、時間が参りましたのでこれで終わらせていただきますが、この法案についてはぜひやっていただきたい。ですから、商法全体のことを今いろいろ申し上げたわけで、ぜひそういう観点で御理解を賜って、新しい二十一世紀の日本の企業行動がどうあるべきかという観点での法体系の整備をぜひお願い申し上げたいというように思う次第でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/69
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070・杉浦正健
○杉浦委員長 次に、日野市朗君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/70
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071・日野市朗
○日野委員 私、商法についていろいろただしたい点はあまたあるのでありますが、何かここ数日、これはちょっと日本の検察、警察の信用、信頼性というものを問われかねないのではないかと危惧することがありましたので、ちょっとその点について時間をとって、法務省の見解をただしておきたいというふうに思います。
事は、一つは保坂展人君の告訴事件です。それともう一つは、何かミッチー、サッチーという騒ぎがございまして、熟女の争いという表現も何かかいま聞いたような感じはするわけでありますが、私、この問題についてとやかく言おうと思いません、この熟女の争いについては。一言感想を言えば、よくまあいつまでも裏窓趣味みたいなことを続けているなという思いがあります。品性の高い人はこういうことに余り首を突っ込まないものなのだがなというふうにも思いますし、また、テレビなんかのワイドショーもずっと延々とやっておりますが、公共の電波なんだからもっと有用な使い方をしてもらいたいものだというような思いもありますが、それは私の感想としてとっておきます。
実は、ミッチーさんというのですか、浅香光代さんですか、あの人が検察庁に告発をされた。どうもその取り扱いが、私も聞いておりまして、なかなかすっきりと胸に落ちないところがございます。こういうことかなと思うんですね。一たん告訴状を出したけれども、告訴をしたけれども、検察官が説得をして、それを取り下げさせた。それから保坂展人議員については、一たんは出して、それを返されたけれども、何かコピーだけ置いてきた。そのコピーで告訴の受理ということになったんですか。この保坂議員の件と、それから、サッチー事件とでも言っておきますか、サッチー事件の告訴、これの取り扱いは実際どうなったのか、ひとつ御説明ください。
それから、私も経験上知っていることですが、告訴状を持っていっても、るる説得をされてまた持ち帰る、受け付けてもらえなかった。それは検察庁にしても警察にしても、説得をして持ち帰ってもらったんだという説明をなさるんでしょうけれども、一般国民は、はねつけられたと受け取るわけですよ。ですから、そういう場合、その措置をとるときの基準のようなものがあったら、ここはひとつはっきり言うべきだ。検察庁というのはこういうふうに扱うんですよ、警察はこう扱うんですよということをはっきり言わないといけません。
何しろ、告訴、告発というのは、刑事司法を国民の側から促すということでありますから、あだやおろそかにこれを扱ってはいけないんだと私は思っています。私の経験上も、突き返されたものねと言って帰ってくる人たちが非常に多いということを私は経験上知っていますから、私のそういった経験なんかにも言及されて結構です、どうぞ、これは法務省それから警察庁、両方からお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/71
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072・松尾邦弘
○松尾政府委員 三点に分けてお答えいたしますが、第一点は、告訴、告発受理の場合の段取りと基準といいますか、そんなものについて、一般論として申し上げます。それから、個別の問題は、これまで余り言及したことはないんですが、浅香光代さんの告発に係る件について二番目に申し上げて、あと保坂議員のを三番目にということになるわけです。
まず、検察庁への告訴、告発の問題でございますが、告訴、告発と言えるためには、犯罪事実が特定しているかどうかというのがまず一つございます。それから、告訴、告発をなさった方の犯人の処罰を求める意思表示、そこらあたりがはっきりしているかどうかという点、大きく分けますとこういった二つがありますが、検察官の場合は、そのような要件を備えているか否かという点を、主にその二点について検討いたしまして、要件を備えている場合にはこれを受理するということになります。受理した後は、検察官において必要な捜査を遂げた上で適正に処分するということになります。
また、これも一般論として申し上げますと、告訴、告発状を持参された場合に、その記載内容、あるいはその持参された方あるいはその関係人の手持ちの証拠の有無、あるいはどの程度の証拠をお持ちかということ、あるいは今後の捜査の見通し等につきまして、検察官との間でさまざまな質疑応答がある場合が多いわけでございます。それを踏まえまして、その方におかれて最終的に告訴、告発を行うか否かを判断していただくということで、もう一度再考いただく期間を置くということもあるわけでございます。
一般的にはこんなことで御理解いただきたいと思います。
次に、浅香光代さんの告発の件でございますが、まず、今月の十二日に検察庁においでになった際に、やはり、検察官との間でいろいろな質疑応答があったという報告は受けております。その際に、説得して持って帰っていただいたというのはちょっとどうも事実と違うようでございまして、時効の問題等についても議論があったようでございます。
その時効といいますのも、被告発人と目されておる方が外国に行っていた期間は時効が停止するというのが一般的な考え方としてありますが、実は、この点もいろいろ議論が実際には分かれているんです。
これも、テレビでいろいろ拝見していますと、いや、これは外国へ行っていた期間は無条件に時効はその間停止するんだ、こうおっしゃる方もおられまして、ちょっと今の論議の、実際にいろいろな学説のことを余り御存じないのかなという感じがいたしますが、外国へ行っていた期間時効が停止するか否かというのは両説ございまして、短期間、数日外国へ行っていたとか、日本における住所、居所が明確である、例えば書類等の送達もできるというような状況の中では時効の停止はないんだというような法文の理解もまたあるところでございまして、短期間でありますと、それを時効に算入するのかしないのかという点は、積極、消極、両説あります。
そんなような議論がどうもあったようでございまして、告発をしてから二カ月半ないし三カ月弱で時効の期間が来ますということを申し上げたようでございます。そうしたいろいろな議論があった上で、告発人サイドで、弁護士さんもおられたようなことだと思いますが、弁護士さんと御相談されたかなにしたか、とにかく、じゃもう一回考えてみますということで、浅香さん本人が一度その告発状を持ってお帰りになったというのが実際のところの経緯のようでございます。
それで、その後十五日にもう一度いらっしゃいました。そのときも、例えば、結論として検察庁が不起訴にした場合にはどういうことになるのかというような論議もいろいろあったようでございまして、そうしたことについて若干の期間まだ考える期間を置きたいというようなことも、告発人サイドでどうも明確におっしゃったように我々は報告を受けているところでございます。
そうした経緯の中で、どうも検察庁が突き返したのではないかとか、説得して持って帰らせたのではないか、なぜだというような議論がいろいろあって、非常に面倒な事件なのでやりたくなかったのではないかとか、あるいはこれは予算委員会でもつい申し上げてしまったのですが、報道の中には、いろいろいわゆるバトルがあって、そうしたことに参入したくないのではないかというような、いろいろなことがあって、とんでもないというおしかりを非常にいろいろな方からテレビの上では受けているという状況でございました。そんなこともありますので、誤解の部分は解く必要があろうかと思いまして、私が今申し上げたような説明を予算委員会でも申し上げております。
それで、その後、報道等で御存じのとおり、もう一度告発状が提出されまして、既に受理をしたということでございます。
経緯は以上でございまして、若干報道は間違った前提でいろいろ議論をされて、また検察庁に対してそういう前提でいろいろ批判をしているということもありますので、そういった経緯をぜひ御理解いただきたいと思います。
保坂議員の件は、告発状をお持ちいただいて、先ほど申し上げたような一般的な考え方等について検討した上で、翌日には受理をしているという経緯でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/72
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073・林則清
○林(則)政府委員 警察における告訴の取り扱いについてお尋ねでございますが、ただいま松尾法務省刑事局長が特に前半お答えになったとおりでございます。
ただ、若干つけ加えますと、ほとんどがそうではありませんけれども、中には、大変複雑な入り組んだ事案を、その一部を切り出して、犯罪事実として何とか警察動いてくれという事案がありましたり、あるいは本当に処罰意思があるのか、本音を言えば、今民事で争っておるところなので何とか警察へ呼び出して相手を一回調べてもらえば済むのだとか、中には、先ほど法務省の刑事局長の言われたような要件のほかにそういったいろいろな問題がある。
あるいは、一般に告訴の、今言いましたようなそういう意図はないにしても、告訴を受理した以上はしっかり捜査を遂げなければいかぬわけでありますが、その際どうしても御協力が、いろいろな資料なりなんなりを出していただくとか御協力いただくのですが、中には先生の御指摘と今度は逆に、警察へ告訴状を一本ぽんとほうり込んで、後全然御協力をいただけないというケースもあります。
そういう意味で、先ほど松尾局長からもありましたように、やはり告訴を一たん受理するからには、非常に限られた捜査力を、先生の御指摘のように、国民が最後のよりどころとして捜査権の発動を求めてくる本当に唯一の窓口でありますから、これは一たん受理した以上は迅速に的確に捜査をしなければいかぬ。そのためには、事前に、そういった資料がどの程度そろっておるのか、本当の意図はどんなところにあるのか、その他もろもろの点をやはりお伺いしなければいかぬ。その上で正式受理といいますか、そういうふうになるというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/73
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074・日野市朗
○日野委員 テレビというのは非常に大きな影響力を持っておりまして、告訴、告発とはどういうものかというようなタイトルでテレビで放映したってだれも見ませんよ、そんなのは。
ただ、サッチー・ミッチーの争いとなるとわあっと見まして、そこで語られたことがあたかも事実であるように伝えられることがあるし、かなりの部分は事実なのだろうと思うのですね。
それで、検察庁にしても警察にしても、これは向こうが間違っているんだがなと思ったら、ちゃんとその部分は解明しなければいかぬです。検察のOBなんかも出ていっていろいろなことを言っておられるようでありますが、そうすると、検察は一体何やっているんだ、警察は何やっているんだという国民の声というものはますます強まるだろうと思います。もっとも、そういうことが常にあって、検察庁にしても警察庁にしても、そういう声を受けながらおのれを正していくということも必要なんだ、私はこう思っています。
それで、今大体お話を伺ったのですが、ただ、何万件もの電話が検察庁に行って、それで、では受理するということになるかとか、これはサッチー・ミッチー事件の方ですよ。それから、一般の人たちから非常に大きな反応があるので受理せざるを得なくなったのではないかという、これは保坂さんの事件です。
こういうふうに、外からのいろいろな主張が警察や検察庁に向けられることによって、そういうことによって受理をする。それから、これはおやめになった方がいいんじゃないですかというような説得をする。ここらの違いが出てくるのだろうと私は思うし、私はそれはあってもいいのだろうと思うのです。
ところで、今度問題になっているのは、一万件とかなんとかいった電話があったので、これは検察庁も受理せざるを得なくなったのではないかというようなことも言われているわけですね。この点についてだけ、釈明でもあったらひとつ聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/74
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075・松尾邦弘
○松尾政府委員 一般論でございますが、国会におけるこうした論議あるいはマスコミ報道等、これは検察庁におきましても注意を払っていることは間違いございません。
ただ、今回の件で言いますと、既に十九日の段階で、三度目といいますか、受理をしているのですが、一部でまだ預かりのような報道がなされて、さらにそれがおかしいというような議論があったりしました。そんな経過の中で、検察庁に相当多数の抗議の電話、あるいはどうなっているのかという問い合わせの電話等があったこともまた事実でございますし、相当程度法務省にもそうした電話が入ったということは間違いございません。
そうした事実がございますが、今回の受理に至った経緯は、先ほど申し上げたような一般論の範囲内で扱われておりまして、本来受理をしなかったのが、そうした多数の声に押されて受理をしたという経過ではございません。それは、先ほど冒頭で御説明申し上げた経緯で御理解いただけると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/75
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076・日野市朗
○日野委員 では、告訴、告発の件についてはこの程度にいたします。でありますから、松尾さん、それから林さん、お引き取りいただいて結構でございます。
では、今度は商法の方に移らせていただきます。
今度、商法の改正がありました。これは会社法の改正としてはかなり大きな改正になります。ツールとしてという言葉をよく民事局長もお使いになっておられますが、私も、ツールとしてこういうものがあってもよかろうと思うのですが、実質上、経済に対する影響、経済に及ぼす影響というものはかなり大きいものがあって、これはもろ刃の剣になり得るなという感じを私は実はいたしております。
それで、このような法律の改正を促すような経済的な事由というもの、それについて伺いたいと思います。きょうは通産省に、こういうことをやりたい、やった方がいいというふうに思われるような経済的な事象といいますか、経済の流れといいますか、それについて説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/76
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077・林洋和
○林説明員 お答え申し上げます。
一九八〇年代の中盤から後半以降、欧州あるいは米国におきまして、世界的な大競争時代を背景として、いわゆる選択と集中ということが起きました。電子、電機メーカーあるいは化学メーカーなどを中心に、ちょっと言葉は適切でないかもしれませんけれども、横並び的なデパート的生産方式ではなくて、自分の得意な分野を伸ばしていく、こういう形でございます。そういう中で、事業のポートフォリオの組みかえをいかに迅速かつ円滑にしていくかということが大切になるわけでございまして、そういう意味で、企業の組織の改革をスピーディーに、かつ円滑に進めていくということが大切だろうと思っております。そういう意味で、今回の株式交換あるいは株式移転制度はそれに資するものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/77
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078・日野市朗
○日野委員 それはよくわかるんですね。本当に、メガコンペティションなんという言葉がささやかれて、それぞれの企業が自分たちを強化していく、そして競争力を高めていく、こういう努力は、それはあってしかるべしというふうに私思っております。
ただ、私考えるんですが、来年からですか、会計基準が今度変わりますね。それから、今度は連結決算ということになっちゃいますね。これは、親会社、子会社、これが一〇〇%の親会社、一〇〇%の子会社でなくたって、実際上支配を及ぼしているところは皆そうなっちゃうわけですよ。そうすると、私は、一〇〇%という純粋な持ち株会社それから子会社というような形態、これの必然性は果たしてあるのかな、非常に圧倒的な株式を保有しておけば済むことではなかろうかというふうにも思うんですね。
そして、企業の経営というのは、よくアメリカのCEOなんかもてはやされて、そこでどんどんリストラをやって企業経営をやっていく、そして膨大な利益をCEOが受け取る、このような形がもてはやされているような風潮があります。私は、必ずしもそういうものではなかろうというふうに思うんですね。
企業経営の中における少数意見というものは、私はあった方が企業としては健全性が保てると思うんですね。これは、株主からそういう意見が出てくることもありましょう。それから、そこの労働組合、労働者の側から出てくることもあるでしょう。そういうふうに思っているんですが、これが一〇〇%の親会社であり子会社である、持ち株会社、そしてその業務執行の会社、こういう形態である必然性というのはあるのでしょうか。どうでしょう。まず、通産の方から。
〔委員長退席、山本(幸)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/78
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079・林洋和
○林説明員 お答え申し上げます。
親会社の側から見ますれば、一〇〇%子会社は自分の会社の一営業部門のように機動的に管理し、運営することができる。他方、完全子会社の側から見れば、親会社が唯一の株主となるわけでございますので、この株主を株主として扱えば足りるということで、例えば招集通知の期間の短縮等々、機動的な運営を行い得るという利点があるものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/79
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080・日野市朗
○日野委員 民事局長さん、いいです、当然同じようなお答えになると思いますから。
ただ、私言いましたように、一〇〇%であるよりは、むしろ、少数の株主がいてきちんと物を言っていく、それから労働組合なんかもきちんと物を言っていく、その方が会社の経営にとっては健全なのではないかというふうに、私その思いは消えないわけであります。
ついでにと言っては恐縮ですが、通産省に伺っておきますが、産業活力再生特別措置法案、恐らくきょう閣議決定だったろうと思いますから、もうある程度のことはおっしゃってもいいんだろうというふうに思いますが、これには、株式交換とか株式移転に伴う企業の動き、これは織り込んでありますか、ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/80
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081・林洋和
○林説明員 お答え申し上げます。
会社組織の変更ということで、合併、営業の譲り受け、他の会社の株式の取得、会社の設立等というものが書かれてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/81
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082・日野市朗
○日野委員 そうすると、この間まで通産省の方では、まだこの商法の改正が実現していないので、株式の移転だとか交換だとかということについては産業活力再生特別措置法案の対象にはしにくい、こういうふうに言っておられましたが、これに基づいて会社の合併だとか株式の譲渡等が行われていった場合、この産業活力再生特別措置法案の持つメリットは受けられるというふうに解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/82
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083・林洋和
○林説明員 お答え申し上げます。
先ほど申し上げました合併、営業の譲り受け、他の会社の株式の取得、会社の設立、こういった組織の変更が産業活力再生特別措置法上で言う中核的事業の強化に資するものであれば、それらを行う企業は支援措置を受けることができるということになってございます。
したがいまして、株式交換あるいは株式移転による企業組織の変更についても、これは具体的ケースに応じますけれども、今申し上げましたような中核的事業の強化に資するものであれば支援対象になるものと理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/83
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084・日野市朗
○日野委員 この点については、後は商工委員会でこの法案を審議することになるのでありましょうが、今の答弁と変わらないようにしてくださいよ、そっちでの審議中。
それで、完全親子会社ということになると、株式移転にせよ交換にせよ、完全子会社の方は完全に親会社の指示に従うということになっちゃうわけですね。それは、親会社の方が役員やなんかを子会社の方に派遣をして、そして事業の執行は子会社の方で行っていく、そういう形になりますね、いかがでしょう、細川さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/84
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085・細川清
○細川政府委員 完全親会社の場合には、親会社は株主として取締役等を選任する権限があるわけですから、選任については当然だ、そのようになると思いますが、他方、すべての面において親会社の指示に従うというような経営をしていては、これは子会社にする意味がないわけでございますから、具体的な経営判断につきましては、多くの場合には、その子会社自身の判断で行うということが原則になろうかと思います。大きな企業戦略については持ち株会社の統一方針に従いながら、具体的な日々の営業活動等につきましては子会社みずからの判断で行うということが一般的になるのではないかと予測しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/85
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086・日野市朗
○日野委員 現在の会社の形を考えてみましても、本社があって、事業部があって、支社があり、支店があり、こういう形をとっているんですが、そういうものと本質的には変わらないことになっていくのではないか、こう私は思うんですね。
そこで、ちょっとお伺いしたいんですが、子会社の方が不法行為、例えば公害を垂れ流すというようなことでもいいでしょうし、それから、欠陥車をつくる、欠陥商品をつくる、そしてそれが問題になるという場合であってもいいでしょう。それから、いろいろな債務についても、不履行の責任が問われる場合が出てくるでありましょう。このような場合、うちは子会社でございます、法人は別なんでございます、親会社とは別の法人でございますからその責任は負いませんよというようなことが起きてきたら、これは問題だと思うんです。やはり親会社の責任というものはきちんと追及されなければならないと私は思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/86
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087・細川清
○細川政府委員 現行法のもとにおきましても、御指摘のような問題が生じた場合、つまり、親会社の判断が違法なものであって、その結果第三者に損害が生じたという場合には、例えば民法七百九条の不法行為責任あるいは法人の不法行為責任、あるいは商法二百六十六条ノ三の取締役の第三者に対する責任の規定等によって、子会社の関係者が親会社または親会社の取締役等に損害賠償を請求することが可能だと思いますし、また、法人格が形骸化しているような場合には、いわゆる法人格否認の法理を使える場合があろうかとも思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/87
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088・日野市朗
○日野委員 今、法人格が形骸化しているような場合、こうおっしゃったんだが、形骸化していなくとも責任を追及される場というのはかなり多い、私はこう思うんですね。実際上、親会社が子会社の経営を支配しているわけですから、そこにおいて行われた不法行為責任、それから債務不履行の責任、そういったものについては親会社が責任を負うというのは、現在は不法行為法とか債権法の範囲で問題を解決しているわけですが、それが追及できなくなるわけではない、私はそう思いますね。特に、使用者責任なんというのはどんどん適用の範囲を拡大していっているわけでありますから、私は、親会社としてはきちんとした責任を負うべきだ、こう一つ思います。それについてお答えをいただきたい。
それから、このような一〇〇%の親会社、子会社というようなことになってまいりますと、親会社の取締役、特にCEOなんというのはその責任は非常に大きなものになってくる。そこをきちんと追及しないといけない。私は、そこを追及していくための何かシステムをつくっておく必要があるのではないかと思いますね。
こんなことを言いますのは、コーポレートガバナンスなんという議論が今やられておりますけれども、そこでは取締役の責任を縮小しようという方向に議論が行っているように私は思うんですね。ところが私は、とんでもない話だな、これは逆じゃないか、こう思っているんです。アメリカあたりにおける膨大なCEOたちの所得なんというのは、これはやはりその裏返しになっているんだろう、私はこう思うんであります。この点についてのお考えはいかがでしょうか。二つ質問しましたよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/88
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089・細川清
○細川政府委員 まず、完全親子会社の関係でありましても、親会社と子会社は法律上別人格、別法人でございますから、一方が他方の債務の責任を負わないというのは、これは法律上の原則でございます。したがいまして、これを乗り越えるためには、先ほど申し上げましたように、具体的な違法行為について共同の加功があったというような要件が必要になってくるだろうと思っているわけでございます。
その例外として、一般的に親会社が子会社の債務の責任を負うという法制をつくるかどうかという問題については、やはりその必要性や合理性、要件、その他一般の債権者の平等、さらには親会社の債権者とのあるいは株主との利害関係というような問題も考えなければならないというふうに思っているわけでございます。そういった問題につきましても、今後、商法の新しい改正法が成立した場合には、その運用を見守って、問題がないかどうか注意してまいりたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/89
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090・日野市朗
○日野委員 どうも、もう少しここのところは詰めた議論が必要なように私も思うんですが、私としては、やはり、親会社の責任、親会社の取締役の責任、これはきちんと追及できるような形、これが必要だと思いますね。というのは、株式交換にしても株式移転にしても、中小の企業もやれないことはないような形に法文上はなっています。しかし、実際上、これを使えるのはかなり大きな規模の会社になるだろうというふうに思っているわけですね。
それで、通産省にお聞きしますが、今どんな企業がこれを使いたいと言っていますか。そういったニーズはどの程度あるものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/90
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091・林洋和
○林説明員 お答え申し上げます。
この制度を使いたいということで、既に正式に発表している企業が二つございます。一つはソニーでございます。ソニーは、上場子会社三社を一〇〇%子会社化することによって親会社との協力関係を深めたい、こういう趣旨だと思います。それから、もう一社はエスアールエルという東証二部の臨床検査の受託事業の最大手でございますが、この会社が住友金属バイオサイエンスを一〇〇%子会社化したいということで発表しております。
なお、非公式あるいはまだ意思決定をしておりませんけれども、何社かが持ち株会社化あるいはMアンドAに当たってこの制度を利用できないかということは検討をしていると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/91
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092・日野市朗
○日野委員 私は、この制度は中小も使える、そして特にベンチャー企業なんかにはかなり有効なツールになるんじゃないかなというような感じを持っているんですが、通産省としても、そういったベンチャー企業なんかにも、こういうものがありますよ、そしてこういうものを使うと得ですよというようないろいろなアドバイスをしたらいいんじゃないかなと思うんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/92
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093・林洋和
○林説明員 私どもとしても、この制度を大企業のみならず中小企業、なかんずくベンチャー企業に対して広くPRをしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/93
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094・日野市朗
○日野委員 もう一つ伺っておきますが、特に日本で登記をしてある外国の資本、外国の企業であってもこれは使えるツールになるわけでありますね。私がちょっと気になるのは、特に銀行だとか証券だとか保険だとか、そういういわゆる金融資本と言われるもの、これについては、これがこのツールを使って日本の企業を支配していく、ということは、日本の金融資本がどんどん外国に流出をするという事態も考えられまして、私はこの点について若干の危惧を持っておりますが、通産省としてはお考えはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/94
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095・林洋和
○林説明員 お答え申し上げます。
金融そのものについては、私は御答弁申し上げる立場ではございませんけれども、翻って、一九八〇年代初めから今までの流れの中で、対米あるいは対ヨーロッパ貿易摩擦というものが問題になってまいりました。その流れの中で、私どもは、日本は対外投資は多いけれども対内直投が非常に少ない、一対十幾つだとか一対三十幾つだということで、どうやって外国系資本に日本に投資をしてもらうかというのを一生懸命やってまいりました。そういう意味では、外資が日本に入ってくるというのは、雇用の面、あるいは一部救済型のものもございますが、そういったものも含めまして、日本経済に活性化をもたらすもので、基本としてはポジティブに考えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/95
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096・日野市朗
○日野委員 今度はまた法務省に伺いますが、株式の移転、これは株式会社の設立の一つの新しい方法とも言えるだろうと思うのですね。それで、はっきり言って、株式の移転というのは、これは言うなれば現物出資でございますね。そこで、今まで現物出資というのは、裁判所の厳重な、検査役を選んでの、そして検査役の検査によって、その資本を危うくしないかどうかということはきちんと調べていたわけだ。今度はそういう担保が果たしてあるのかなというふうに思います。
そこで、裁判所に伺いたいのですが、今まで、現物出資なんかをするときの出資財産の評価、これはどんなふうにして行っていたのか。簡単にひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/96
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097・千葉勝美
○千葉最高裁判所長官代理者 現物出資をするときの財産の評価、これは検査役を選任してということが商法に規定してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/97
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098・日野市朗
○日野委員 いや、検査役を選任してはわかるのですが、具体的に検査役はどんなふうにやっていたかということを知りたいわけですね。というのは、今度は三カ月ぐらいで、なにそんな検査は大丈夫だ、こう言っている人もいるわけですね。特に株の評価なんというのは簡単にできるよと言わんばかりの、通産サイドではそういうふうに言っているのです。私は、ここのところは余り手軽に扱ってはいかぬのだな、こう思っているのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/98
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099・千葉勝美
○千葉最高裁判所長官代理者 現物出資というのは、つまり株価の算定の問題になろうかと思います。この株価の算定の点につきまして、裁判所としてどういうやり方をしているかという御質問であろうかと思いますが、手続は、御承知のとおり非訟事件手続法で規定いたしますので、かなり柔軟な手続と申しますか、当事者を適宜呼び出して、必要な資料を提出させて、迅速に処理をする。ほとんどが和解でといいますか、当事者の合意でこの株価が決まるということが多いようでございます。裁判所が案を出したものを、当事者がそれでいいということで処理をする。
裁判所の方といたしましては、その場合に、株価の算定基準につきましてはいろいろな、会社の資産状況、収益力、それから配当額等々、諸事情を考慮して決めるということでございますが、この株価の算定方式につきましては、配当還元方式とか収益還元方式とか純資産方式、いろいろございますが、確立したやり方というのはございません。
強いて申し上げますと、実務の運用を大ざっぱに申し上げますと、少数株主の株式の評価という点につきましては、一般の投資株主にとっては配当額が重要なポイントになりますので、配当還元方式というのが妥当性が高まってくる。それ以外の支配株主の株式評価ということになりますと、この支配株主は、会社を解体して残余財産を分配することもできますし、会社を存続させて資本の増強を図るということもできますので、収益還元方式とかあるいは純資産方式の妥当性が高まる。これらはそれぞれの事案によりけりでございまして、いろいろな評価基準を使い分けているというのが実情でございます。検査役が行う評価というのも、これと同じようなやり方をしているのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/99
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100・日野市朗
○日野委員 どうも時間もだんだんなくなってきてしまったわけですが、どうでしょう、法務省の方として、今お聞きになったような評価を株式の価格についても、それから一般の財産についても裁判所がやっているということなんですが、これでやはりこの株式の移転それから株式の交換についても対応していくというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/100
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101・細川清
○細川政府委員 御指摘のとおり、現物の出資の場合には裁判所が選任した検査役がその検査をするということになっているわけでございます。
今回の株式移転による新会社の設立は、合併等の対比をして考えてみますと、最も似ているのは新設合併と同じ形になるわけでございます。それで、今回には新設合併と同様の対応をしているわけでございまして、検査役の調査は特に必要ないということになっております。
その理由でございますが、まず、株式移転は合併と同様会社の組織法的な行為であって、現物出資等これに対する新株の発行ではないということになっております。それから二番目として、合併におきましては、新設会社が消滅会社から承継する財産の額を基準に新設会社の資本の限度額を規制するという方法がとられておりますので、株式移転におきましても、株式移転の日において完全子会社となる会社に現存する純資産額が完全子会社となる会社の価値を表章するものとして完全親会社に移転することから、これを基準に資本の限度額を規制することとしておりまして、この規制を設けることによって、合併の場合と同様に資本充実の原則は達成することができるというふうに考えているところでございます。
〔山本(幸)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/101
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102・日野市朗
○日野委員 時間が来てしまいましたので、これ以上の質問は控えざるを得ないわけですが、交換をする場合の株式の買い取り請求にしても、それから株式の移転をするにしても、その価格をどうするかということは大問題になってまいりますので、どうもきちんとしたそこらの評価をやってもらわないと困るというふうに思っております。そこのところは私の方から注文をしておいて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/102
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103・杉浦正健
○杉浦委員長 次に、枝野幸男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/103
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104・枝野幸男
○枝野委員 私は、ちょっと法案とは離れたところから御質問をさせていただきたいと思っておりますが、ことしの四月二十三日の週刊フライデーに、「これが警視庁“裏ガネ作り”の手口だ!」という記事が掲載をされまして、以来九回にわたって連続して、警察の中で裏金づくりがなされているのではないかというような報道がなされております。万が一事実であるとすれば、背任、横領あるいは文書偽造等に該当するような重大な案件であります。
私は、四月二十八日にこの件について質問主意書を提出いたしまして、五月二十一日付で回答をいただいておりますが、この回答には質問にきちんとお答えをいただいていない側面が多々あるというふうに理解をいたしておりますので、その点をこの場をかりてお尋ねをさせていただきたいと思っています。
まず、私、第一問目といたしまして、この週刊フライデー四月二十三日号の八ページ掲載の国費捜査費・現金出納簿の一部とされる書類の写真は、警視庁内保管の該当文書の写真かとの私の事務所からの問い合わせに対して、警察庁長官官房会計課監査室長は、当該書類と写真を照合したところ、同一のものではない旨回答しているが、内閣の見解はどうかというお尋ねを質問主意書の第一問としてお尋ねをいたしましたら、回答は、警察庁長官官房会計課監査室長は云々かんぬんの旨説明したものと承知しているというお答えでありました。
これは、私の問いが、旨回答しているが、内閣は承知をしているかというお尋ねであれば、こういう回答で質問に答えていることになると思っていますが、「内閣の見解はどうか。」と聞いておりますので、内閣としては、この回答のとおりの同じ見解であるとお答えをいただくのか、そうではないという見解であるのかということをお答えいただかなければならないわけでありますが、これはそもそも、この答えを内閣の見解としても私の問いの中に示しました回答のとおりであるというふうな回答をなさったということなのか、それとも答弁漏れであるのか、どちらでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/104
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105・野田健
○野田(健)政府委員 質問主意書の中に、警察庁長官官房会計課監査室長の答えとして「当該書類と写真を照合したところ、同一のものではない。」という記述があります。
それで、これに対して当時の警察庁長官官房会計課監査室長は、御指摘の写真を含むフライデー四月二十三日号及び四月三十日号に掲載された現金出納簿及び捜査費証拠書類とされるものの写真の全体について、その映像は、警視庁が保管している真正な書類に類似しているが、あくまで写真の映像であり、真正な書類の映像であるか否かは確認できない旨及び当該映像には、真正な書類と内容が一致しない部分が存在する旨を説明したものでありまして、質問主意書に対する答弁書でそれを明らかにし、内閣としてもその旨答弁申し上げたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/105
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106・枝野幸男
○枝野委員 わかりにくいのですが、旨より上に書いてある部分は、内閣の見解でもあるという回答であるということでよろしいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/106
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107・野田健
○野田(健)政府委員 問いの中にありました、「当該書類と写真を照合したところ、同一のものではない。」ということだけではなくて、今申し上げたようなことを監査室長が回答し、そしてそれが主意書に対する答弁書で、内閣としての答弁であるということを明らかにしたと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/107
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108・枝野幸男
○枝野委員 日本語がわかりにくいのですけれども、その答弁の旨以上のところは、監査室長が回答をした中身であるということまではわかっています。それと同時に、それは監査室長個人の見解ではなくて、その回答の方の旨より上に書いてある部分、旨としてまとめられている部分というのは内閣の見解なんです、内閣としてこう思っているということでいいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/108
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109・野田健
○野田(健)政府委員 質問主意書に対する答弁書ということで、内閣としてその旨答弁したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/109
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110・枝野幸男
○枝野委員 今の、その旨というのは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/110
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111・野田健
○野田(健)政府委員 それは、監査室長が御説明した内容でありまして、フライデーに掲載された現金出納簿及び捜査費証拠書類とされるものの写真の全体について、その映像は、警視庁が保管する真正な書類に類似しているが、あくまで写真の映像であり、真正な書類の映像であるか否かは確認できない、そして、当該映像には、真正な書類と内容が一致しない部分が存在するということを答弁したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/111
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112・枝野幸男
○枝野委員 日本語がわからないな。
では、改めてこう聞きます。
このフライデーの四月二十三日号八ページ掲載の書類の写真は、警視庁内保管の当該書類の写真であるかどうか。内閣としての見解をお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/112
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113・野田健
○野田(健)政府委員 フライデーで掲載されている写真を見ますと、その映像は、警視庁が保管している真正な書類に類似しているということはございます。ただし、あくまで写真の映像であって、真正な書類の映像であるかどうか確認できないということでございます。また、この映像に写っている書類は、真正な書類と内容が一致しない部分があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/113
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114・枝野幸男
○枝野委員 では、この質問主意書の中でも尋ねているんですが、真正な書類と一致しない部分というのはどのような部分なんですか。答えられる範囲で、できる限り具体的に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/114
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115・野田健
○野田(健)政府委員 ここに書いてあります書類といいますのは、捜査活動をいろいろな意味で、経費の関係から説明したものということになります。したがって、具体的にここはこうだということを説明することについては差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/115
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116・枝野幸男
○枝野委員 どうして差し控えなければならないのですか。私は、全部細かく公開しなさいと言っていませんよ。一つ一つ、どこが違っているのか、具体的に何のだれべえと何のだれべえで違うかと答えてくれだなんて言っていませんよ。どこが違っているとか、可能な限り具体的に答えてくださいであって、もうちょっと突っ込んでもらわなければ困りますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/116
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117・野田健
○野田(健)政府委員 具体的に捜査活動をしまして、その結果、捜査費を、犯罪の検挙に資するべく協力してくれた方に謝礼を配るということがございます。それで、そういった内容でございますので、具体的なことについてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/117
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118・枝野幸男
○枝野委員 答えになってないよ、答えになってない。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/118
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119・杉浦正健
○杉浦委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/119
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120・杉浦正健
○杉浦委員長 速記を起こしてください。
暫時休憩いたします。
午後二時五十六分休憩
————◇—————
午後三時五十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/120
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121・杉浦正健
○杉浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
理事会協議の結果、本日は、これにて散会いたします。
午後四時散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505206X02319990721/121
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