1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年六月三日(木曜日)
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議事日程 第二十六号
平成十一年六月三日
午後一時開議
第一 食料・農業・農村基本法案(内閣提出)
第二 軽水炉プロジェクトの実施のための資金供与に関する日本国政府と朝鮮半島エネルギー開発機構との間の協定の締結について承認を求めるの件
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○本日の会議に付した案件
土地鑑定委員会委員任命につき同意を求めるの件
中央更生保護審査会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件
中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を求めるの件
労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
日程第一 食料・農業・農村基本法案(内閣提出)
日程第二 軽水炉プロジェクトの実施のための資金供与に関する日本国政府と朝鮮半島エネルギー開発機構との間の協定の締結について承認を求めるの件
男女共同参画社会基本法案(内閣提出、参議院送付)の趣旨説明及び質疑
午後一時二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/0
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001・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
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土地鑑定委員会委員任命につき同意を求めるの件
中央更生保護審査会委員長及び同委員任命につき同意を求めるの件
中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を求めるの件
労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/1
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002・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) お諮りいたします。
内閣から、
土地鑑定委員会委員
中央更生保護審査会委員長及び同委員
中央社会保険医療協議会委員
及び
労働保険審査会委員に
次の諸君を任命することについて、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。
内閣からの申し出中、
まず、
土地鑑定委員会委員に安藝哲郎君、黒川弘君及び佐藤實君を
任命することについて、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/2
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003・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
次に、
土地鑑定委員会委員に清水幹雄君、瀬古美喜君、高山朋子君及び平井宜雄君を、
中央更生保護審査会委員長に増井清彦君を、
同委員に櫻井文夫君を、
中央社会保険医療協議会委員に村田幸子君を、
労働保険審査会委員に松本康子君を
任命することについて、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/3
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004・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
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日程第一 食料・農業・農村基本法案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/4
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005・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、食料・農業・農村基本法案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。農林水産委員長穂積良行君。
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食料・農業・農村基本法案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔穂積良行君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/5
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006・穂積良行
○穂積良行君 ただいま議題となりました食料・農業・農村基本法案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、近年の我が国における食料自給率の低下、農業構造の変化等、食料、農業及び農村をめぐる諸情勢の現況にかんがみ、食料、農業及び農村に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、昭和三十六年に制定された現行の農業基本法にかわる新たな基本法を制定しようとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。
第一に、食料、農業及び農村に関する施策について、食料の安定供給の確保、農業、農村の有する多面的機能の発揮、農業の持続的な発展及び農村の振興という四つの基本理念と、国及び地方公共団体の責務等を定めるものとしております。
第二に、政府は、食料、農業及び農村に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、施策についての基本的な方針、食料自給率の目標等の事項を内容とする食料・農業・農村基本計画を定め、これを公表しなければならないものとしております。
第三に、食料の安定供給の確保、農業の持続的な発展及び農村の振興に関して講ずべき基本的な施策を定めております。
本案は、五月七日本会議において政府の趣旨説明とこれに対する質疑が行われ、本委員会に付託されました。
委員会におきましては、五月十一日中川農林水産大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、内閣総理大臣への質疑を含め、七回にわたり政府に対する質疑を行ったほか、二十四日にはいわゆる地方公聴会、また二十六日には公聴会を開催するなど、慎重かつ熱心に審査を行いました。
六月二日質疑を終了しましたところ、本案に対し、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合の五会派共同提案に係る修正案が、また日本共産党提案に係る修正案が提出され、それぞれ趣旨説明を聴取いたしました。
次いで、討論を行い、採決の結果、日本共産党提出の修正案は賛成少数をもって否決され、本案は五会派共同提案に係る修正案のとおり賛成多数をもって修正議決すべきものと議決した次第であります。
なお、本修正案の内容は、
第一に、国民に対する食料の安定的な供給については、国内の農業生産の増大を図ることを基本として行われなければならないものとすること、
第二に、食料・農業・農村基本計画に定める食料自給率の目標は、その向上を図ることを旨として定めるものとすること、
第三に、政府は、食料・農業・農村基本計画を定めたときは、遅滞なくこれを国会に報告しなければならないものとすること
であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/6
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007・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 討論の通告があります。これを許します。中林よし子君。
〔中林よし子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/7
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008・中林よし子
○中林よし子君 私は、日本共産党を代表して、食料・農業・農村基本法案、新農業基本法案に反対の討論を行います。
反対の理由の第一は、本法案が食料自給率の引き上げを農政の中心課題としていないということです。食料自給率は今や四一%に低下し、世界でも最低水準です。食料自給率の引き上げは国民の生存に不可欠の課題です。それは、国内農業の崩壊を食いとめると同時に、世界的食料危機を回避するための我が国の国際的責務でもあります。
しかし、本法案の基本理念には、食料自給率の引き上げがうたわれていません。政府は、食料自給率の目標を定めるとしています。また、食料自給率の向上を図ることを旨としという修正もされましたが、その位置づけは、農業者や消費者の単なる指針にすぎず、全く実効性はありません。
本法案の最大の特徴は、食料供給における輸入依存の明記です。基本理念では、食料の安定供給の確保を、国内農業生産とともに輸入と備蓄を適切に組み合わせて行うことを掲げ、国は安定的な輸入を確保するため必要な施策を講ずるとまで明記しています。この規定は現行農業基本法にはないものです。本法案は、米の関税化とも相まって、農産物輸入の自由化というWTO体制に、日本農政を全面的に組み込むことにほかなりません。
第二の理由は、生産費に基づく農産物価格支持制度の解体を打ち出し、第三十条で農産物価格を市場原理に任せる原則を掲げていることです。これは、現行農基法が、政策目標として、農業従事者が所得を増大して他産業従事者と均衡する生活を営むことを掲げ、農産物価格について農業所得の確保を明記していることと比べて、決定的な後退です。
第三の理由は、農業の担い手について、家族経営を基本に位置づけず、効率的、安定的な経営体、すなわち、稲作で十ないし二十ヘクタールという大規模農家を育成し、九割以上の農家を切り捨てる新政策の方向を農政の中心に据えていることです。
また、本法案では、農業経営の法人化を推進するとして、企業形態の農業経営の推進もうたっています。これは、株式会社による農地所有という、農地制度の改悪にもつながるものです。現行農基法が、農業構造改善を施策の柱としつつも、その担い手としては、法文上も、家族農業経営の発展と自立経営の育成を明記し、家族労働主体の経営を目指していることと比べても、重大な後退と言わなければなりません。
このように、新農基法は、これまでの農政とは質的にも区別される、本格的な農民選別であり、国内農業の全面縮小に道を開くものです。これでは、食料自給率の一層の低下と日本農業の崩壊に拍車をかけることは必至です。政府原案に若干の修正が施されましたが、さきにも指摘したように、これは、本法案の重大な問題点を改善するものとは到底言えません。
日本共産党は、本法案の重大な問題点を是正し、食料自給率の向上に向けた農政の転換を図るための抜本的修正案を提起しましたが、今後も、その実現を求め、日本農業の再建を目指して力を尽くしていくことを表明し、反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/8
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009・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/9
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010・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/10
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011・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。(拍手)
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日程第二 軽水炉プロジェクトの実施のための資金供与に関する日本国政府と朝鮮半島エネルギー開発機構との間の協定の締結について承認を求めるの件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/11
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012・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第二、軽水炉プロジェクトの実施のための資金供与に関する日本国政府と朝鮮半島エネルギー開発機構との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
委員長の報告を求めます。外務委員長中馬弘毅君。
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軽水炉プロジェクトの実施のための資金供与に関する日本国政府と朝鮮半島エネルギー開発機構との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔中馬弘毅君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/12
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013・中馬弘毅
○中馬弘毅君 ただいま議題となりました朝鮮半島エネルギー開発機構、いわゆる略称KEDOとの資金拠出協定につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
北朝鮮の核兵器開発問題を解決するため、平成六年十月、米国と北朝鮮との間で作成された合意された枠組みは、北朝鮮が既存及び開発中の核施設を凍結、解体するかわりに、出力合計二千メガワットの二基の軽水炉が北朝鮮に供与される旨定めております。日米韓三カ国は、平成七年三月、この合意された枠組みを実施するため、朝鮮半島エネルギー開発機構設立協定を締結し、KEDOを設立いたしました。
平成十年十月、KEDO理事会は、KEDOが北朝鮮に供与する軽水炉の総経費見積もりを四十六億ドルとし、韓国がその七〇%の資金供与を行い、我が国がその時点における十億ドル相当円の資金供与を行う旨の理事会決議を採択し、これを受け、我が国政府は、KEDOとの間で本協定の交渉を行いました結果、合意に至ったので、平成十一年五月三日ニューヨークにおいて、本協定の署名が行われました。
本協定は、我が国が直面する安全保障上の重大な懸念である北朝鮮の核兵器開発問題に対応するため、我が国からKEDOへの軽水炉プロジェクト実施のための資金供与の枠組みを確立し、同プロジェクトを推進することを目的とするものであり、その主な内容は、
千百六十五億円までの円貨による貸し付けが日本輸出入銀行または同銀行を承継する国際協力銀行からKEDOに対して行われること、
貸し付けは銀行とKEDOとの間で締結される貸付契約に基づき行われること、
我が国政府はKEDOに対しKEDOが支払う利子の総額に相当する額の贈与を行うこと
等であります。
本件は、去る五月十四日本院に提出され、五月二十八日本会議において趣旨の説明及びこれに対する質疑が行われた後、同日外務委員会に付託されたものであります。
外務委員会におきましては、六月二日高村外務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/13
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014・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/14
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015・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。
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男女共同参画社会基本法案(内閣提出、参議院送付)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/15
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016・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、参議院送付、男女共同参画社会基本法案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣野中広務君。
〔国務大臣野中広務君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/16
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017・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 男女共同参画社会基本法案について、その趣旨を御説明申し上げます。
我が国においては、日本国憲法に個人の尊重、法のもとの平等がうたわれており、男女平等の実現に向けてさまざまな取り組みが、国際連合など国際社会における取り組みとも連動しつつ、着実に進められてきたところであります。その間には、女子差別撤廃条約も批准されました。しかしながら、現実の社会においては、男女間の不平等を感じる人も多く、男女平等の実現に向けて、なお一層、努力していかなければなりません。
また、少子高齢化など社会経済情勢の急速な変化に対応していく上でも、女性と男性が、互いにその人権を尊重し、喜びも責任も分かち合いつつ、性別にとらわれることなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、一層、緊急の課題とされているところであります。
このような状況において、男女共同参画社会の実現は、政府の最重要課題であると考えております。そのためには、さまざまな分野において、男女共同参画社会の形成を促進するための施策を推進することが重要であります。また、人々の意識の中に形成された、性別による固定的役割分担意識等が男女共同参画社会の実現を妨げていることを考えますと、国民一人一人のこの問題についての理解を深め、各自の取り組みを促していかなければなりません。
この法案は、男女共同参画社会の形成に関する基本的理念と、これに基づく基本的な施策の枠組みを国民的合意のもとに定めることにより、社会のあらゆる分野において、国、地方公共団体及び国民の取り組みが総合的に推進されることを目的としています。
この法律案は、男女の人権が尊重され、豊かで活力ある社会を実現し、女性も男性も、みずからの個性を発揮しながら、生き生きと充実した生活を送ることができることを目指すものであり、二十一世紀の日本社会を決定する大きなかぎとなる意義を持つものと考えます。
次に、本法案の内容の概要を御説明申し上げます。
第一に、男女共同参画社会の形成に関する基本理念として、男女が性別による差別的取り扱いを受けないこと等の男女の人権の尊重、社会における制度または慣行についての配慮、政策等の立案及び決定への共同参画、家庭生活における活動とその他の活動の両立、国際的協調という五つの理念を定めるとともに、国、地方公共団体及び国民の男女共同参画社会の形成に係る責務を明らかにしております。
第二に、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に関し、政府等は基本的な計画を定めて施策の大綱を国民の前に示すこととするとともに、施策の策定等に当たっての配慮、国民の理解を深めるための措置、苦情の処理等、調査研究、国際的協調のための措置、地方公共団体及び民間団体に対する支援など、基本的な施策について規定しております。
第三に、現在、男女共同参画審議会設置法に基づいて設置されている男女共同参画審議会について、この基本法にその設置根拠を移すことにより、男女共同参画社会の実現に向けた推進体制として明確に位置づけております。
政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、参議院におきまして、男女共同参画社会基本法案に対して、その趣旨をより明確にするため、前文を加える修正が行われております。
以上が、この法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
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男女共同参画社会基本法案(内閣提出、参議院送付)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/17
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018・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。松本惟子君。
〔松本惟子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/18
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019・松本惟子
○松本惟子君 私は、民主党を代表して、ただいま議題となりました男女共同参画社会基本法案につきまして、内閣総理大臣及び関係大臣に質問をいたします。
本法案の内容に入る前に、まず、男女共同参画社会に対する基本的な考え方並びに基本法の意義について、小渕総理に伺っておきたいと思います。
我が国において、男女平等は、法のもとの平等として憲法にうたわれ、各種の法律や制度の中にも位置づけられていますが、これを社会に深く根づかせ、事実上の平等を達成するにはいまだ至っていません。依然として、社会制度や慣行の中に、性別による偏りにつながるものが多く残されています。また、職場、地域、家庭における男女の参画には大きな格差があります。
加えて、今日、我が国の経済社会は、少子高齢化、経済活動の成熟化と国際化、企業や国民生活の情報化等の加速的な展開により、大きな変革期を迎えています。これらの変化に対応し、真の男女平等社会を築くことは、二十一世紀の我が国のあり方を決める重要な課題となっています。
ところで、男女共同参画という言葉が初めて定義づけられましたのは、男女共同参画審議会の答申である男女共同参画ビジョンにおいてであります。その中では、男女共同参画は、人権尊重の理念を社会に深く根づかせ、真の男女平等の達成を目指すものであるとされ、それは国際的な流れである、法律上の平等から事実上の平等の実現を目指したものでもありました。
我が国が半世紀にわたって取り組んできた個人の尊重と男女平等という課題は、男女共同参画という新しい概念のもとに、二十一世紀に向けて我が国が取り組まなければならない最重要課題として提起されたものと言えましょう。
そこで、男女共同参画推進本部長でもある総理にお尋ねをいたします。
男女共同参画に対する基本的な考え方について、とりわけ憲法に規定されている男女平等とのかかわりをどのように解釈されているのか、御見解を伺いたいと思います。
国連憲章と理念をともにする我が国の憲法は、二十一世紀にも引き継がれていく普遍的価値を持つものです。それを前提として、激動する社会の変化の中で新たに加えられるべき課題については、憲法に準じた基本法として制定されてきました。今回提出されている男女共同参画基本法案も同様の意義を持つものと考えます。いわば憲法と個別法の間をつなぐものであり、実質的にはその対象分野について他の法律に優位する性格を持ち、他の法律がこれに誘導されるという関係にあるものと考えていますが、基本法の意義とその効果について、総理にお尋ねいたします。
次に、女子差別撤廃条約選択議定書について、外務大臣にお尋ねをいたします。
本年三月に開かれた国連婦人の地位委員会において、女子差別撤廃条約の選択議定書のコンセンサス採択が行われました。同議定書については、一九九三年の世界人権会議の勧告を踏まえて提案されたもので、今秋の国連総会で採択が予定されていると聞いております。選択議定書は、女子差別撤廃条約に違反する行為がある場合、国内での救済措置を尽くした後に、個人でも国連の女性差別撤廃委員会に申し立てができるという制度で、条約をより実効あらしめるものとなっています。
我が国においては、従来から、類似の人権規約の選択議定書について、司法権の独立を侵すおそれがあるとして、国際組織に個人が申し立てをすることは認めるべきではないという議論が根強くあります。しかし、個人通報制度は、国内手続を尽くした上で行われる制度であり、司法権の独立と抵触するものではないと思いますし、また国際社会においては、多くの国がその必要性を認めて批准している中で、前向きに検討されるべきであると考えます。
人権は日本外交の重要な柱です。人権問題にかかわる我が国の姿勢を示す意味からも、女子差別撤廃条約選択議定書の国連総会での採択と早期批准に積極的に取り組むべきであると考えますが、外務大臣の御見解を伺いたいと思います。(拍手)
以下、本法案の内容につき、焦点となっている事項について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
その一つは、法律の目的、理念についてであります。
男女共同参画ビジョンにおいては、男女共同参画社会の基本的な考え方として、社会的、文化的に形成された性別、いわゆるジェンダーに縛られず、各人の個性に基づいて共同参画する社会を実現しなければならないと明記されています。ジェンダーという言葉が政府の文書に書かれたのは初めてであり、また、ジェンダーそのものの解消が目的として掲げられたことは、画期的な意義を持つものであると思います。
男女共同参画は、公式にはジェンダーイコーリティーと英訳をされているように、男女共同参画社会基本法のかなめとなる理念です。したがって、ジェンダーに縛られない社会の実現については、男女の人権尊重とあわせて、法目的に明記されるべきであると考えますが、官房長官の御見解を伺いたいと思います。
また、基本法の理念として、女性と男性の固定的な役割分担を前提とした制度や慣行について、男女共同参画の視点に立って見直し、可能な限り中立なものとすることが掲げられています。本法案は基本法でありますから、具体的な課題は個別法にゆだねられるとしても、この理念に照らした場合、少なくとも選択的夫婦別姓など民法改正や、配偶者に係る税制、年金・健康保険等の社会保障制度などの見直しは、当然行われてしかるべきではないでしょうか。(拍手)
既に、社会保障制度審議会の九五年勧告においても、家庭責任と就業との組み合わせについて社会保障制度や税制が中立的になるように見直しをすることが必要と指摘されており、九七年の国民生活白書でも同様の指摘が行われてきたことは、御承知のとおりでございます。基本法には個別法を誘導する役割があると私は理解しておりますが、その意味からも、これらの課題に対し、どのように見直し、是正されようとしているのか、厚生大臣並びに官房長官の御見解を伺いたいと存じます。
第二は、積極的改善措置、いわゆるポジティブアクションについてであります。
ポジティブアクションは差別とみなさないとするのが、国際的な常識となっています。その意味で、本法案にポジティブアクションに関する規定が盛り込まれたことについて、評価するものであります。
問題は、具体的に何をどのように取り組むかということです。男女共同参画二〇〇〇年プランにおいて、女性国家公務員の採用、登用の促進についてポジティブアクションの取り組みが提起され、この三月公表された公務員制度調査会答申においても、積極的な採用に向けて努力目標を設定することが明記されていますが、これらを具体的に進めるためには、数値目標を入れた中長期的な計画を作成して、実施する必要があるのではないでしょうか。
ポジティブアクションが絵にかいたもちに終わることなく、民間のモデルとなるようにするためにも、目に見える形で具体的に取り組まれるべきであろうと思いますが、官房長官の御見解を伺いたいと思います。
第三は、苦情処理の措置についてであります。
本法案においては、苦情の処理のために必要な措置、及び人権が侵害された場合における被害者の救済を図るために必要な措置を講ずると規定されていますが、講じられる措置の具体的な内容は不明瞭でございます。
男女共同参画審議会答申では、男女共同参画社会の形成の促進のためには、オンブズパーソン的機能の活用を含めた苦情等の処理が重要として、行政相談員や人権擁護委員など既存の制度を活用するとともに、必要に応じ個別法で対処していくべきであるとしています。
しかし、現在の人権委員会制度は、規約人権委員会において、国内人権救済機関として不適当とされています。また、国家機関の地位に関する原則、いわゆるパリ原則には、国内人権保障機構としては、広範な権限と責任を有し、構成において独立を保障されており、かつ準司法的権限を持つ委員会を有することが必要とされています。少なくとも広範な権限と責任を有し、独立を保障されている機構としての位置づけが必要であると考えますが、官房長官の御所見、いかがでございましょうか。
最後に、推進体制についてお尋ねいたします。
二〇〇一年の中央省庁の再編に当たっては、内閣府に男女共同参画会議が設置され、事務局体制としては男女共同参画局が設置されることが予定されておりますが、本基本法をより実効あるものとするためにも、専任で担当する大臣を置き、十分な予算と人員の措置など体制の拡充整備が必要です。また、NGOなどの民間団体の活動を促進して、その連携に積極的に取り組み、施策の充実を図る必要があると思いますが、総理の御見解、決意をお伺いしたいと思います。
来年の二〇〇〇年世界女性会議を目前にして、小渕内閣が本法案を国会に提出されたことは、男女共同参画社会実現に向けて、大きな一歩を踏み出したものとして評価するものでございます。
民主党は、かねてより、実効ある男女共同参画基本法の制定を目指して取り組んでまいりましたが、本院においても、審議を深め、よりよい基本法が実現できるよう努力してまいりますことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/19
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020・小渕恵三
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 松本惟子議員にお答え申し上げます。
男女共同参画に対する基本的考え方について、まずお尋ねがありました。
本法案におきましては、男女共同参画社会とは、男女が社会の対等な構成員として活動に参画する機会が確保される社会であると規定されており、また、男女共同参画社会の形成は、男女の人権が尊重されることを旨として行われなければならないことから、憲法が規定する法のもとの平等は、男女共同参画社会の考え方の基本にあるものと考えております。
基本法の意義及び効果についてお尋ねでありました。
本基本法によりまして、法制上の措置を含む幅広い分野にわたる施策が総合的かつ計画的に推進されることが期待されるとともに、男女共同参画社会の形成についての基本理念に関する国民の理解が深まり、そうした社会の形成のための基盤が整備されることとなると考えます。
推進体制についてお尋ねでありましたが、中央省庁等改革におきましては、内閣府に男女共同参画会議を置くとともに、新たに男女共同参画を担当する局を設けることといたしております。なお、担当大臣につきましては、この問題の重要性にかんがみ、現在、内閣のかなめである官房長官を担当大臣に指名しており、今後とも、同長官のもと、男女共同参画社会の実現を強力に推進してまいります。
また、男女共同参画社会の実現に向けた施策の推進に当たりましては、議員御指摘のとおり、民間団体との連携を図りながら進めていくことが重要であると考え、本法案第二十条に基づき、情報の提供等必要な措置を講ずるように努めることといたしております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣野中広務君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/20
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021・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 松本惟子議員の私に対する質問についてお答えをいたします。
まず、ジェンダーについてのお尋ねでございますが、ジェンダー、すなわち社会的、文化的に形成された性別とでも訳すと存ずるわけでございますが、この言葉は一般的には大変理解しにくいということでございますので、この基本法案におきましてはこの言葉は直接用いておりませんが、議員が御指摘のジェンダーについては、第四条の性別による固定的な役割分担等という言葉にあらわされていると考えております。
次に、議員御指摘の、男女の活動の選択に大きな影響を与える諸制度につきましては、女性の社会進出や家族・就労形態の多様化なども踏まえながら、男女共同参画社会の形成という観点からも、必要な検討が行われなければならないと考えておるところでございます。
次に、女性国家公務員採用、登用等についてでございますが、議員が、御指摘がございましたように、先般、公務員制度調査会から、国家公務員法の定める平等取り扱いと成績主義の原則に基づき、男女共同参画の推進に向けて各種のポジティブアクションを推進する必要がある旨の答申が出ています。政府といたしましては、引き続き、女性国家公務員の採用、登用等の促進について、着実に努めてまいりたいと考えております。
次に、苦情の処理等についてのお尋ねでございますが、男女共同参画社会の形成の促進のためには重要な課題であることから、国は、政府の施策についての苦情の処理等のために必要な措置等を講じなければならない旨規定をしておるところでございます。具体的にいかなる措置を講じるかにつきましては、一方におきまして行政改革が求められておるときでございますので、その効率性をも十分踏まえながら、まず既存の制度の活用を図ることになると考えております。(拍手)
〔国務大臣高村正彦君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/21
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022・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 女子差別撤廃条約選択議定書についてのお尋ねでありますが、我が国は、女子差別撤廃条約の締約国として、国連等において、女性の人権及び地位向上に関する議論に積極的に参加してきております。
現在作成作業が行われている女子差別撤廃条約選択議定書案は、個人通報制度を定めたものでありますが、本年三月の国連婦人の地位委員会において採択され、本年の国連総会において採択される見込みでございます。本選択議定書案の締結については、最終的にいかなる案文にて採択されることになるかを見きわめた上で、検討してまいりたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣宮下創平君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/22
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023・宮下創平
○国務大臣(宮下創平君) 松本議員にお答え申し上げます。
社会保障制度の見直しに関するお尋ねでございますが、女性の社会進出や、家族・就労形態の多様化を踏まえまして、社会保障制度においてもその検討が必要になってきていることは認識しております。
しかしながら、具体的な検討を行う際には、就労状況、賃金水準といった、実際に女性が置かれている社会実態を踏まえながら、民事法制、税制等との整合性に留意し、幅広い検討を行うことが必要であると考えております。なお、女性の年金の問題につきましては、今後、民事法制、税制、社会保障、年金数理などの専門家から成る新たな検討の場を設けまして、早急に検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。(拍手)
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〔議長退席、副議長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/23
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024・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) 大野由利子君。
〔大野由利子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/24
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025・大野由利子
○大野由利子君 私は、公明党・改革クラブを代表して、ただいま議題となりました男女共同参画社会基本法案について、小渕総理並びに関係大臣に質問いたします。
まず初めに、著名な詩人である新川和江さんの「わたしを束ねないで」という詩の一節を御紹介いたします。
わたしを束ねないで
あらせいとうの花のように
白い葱のように
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色の稲穂
わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
坐りきりにさせないでください
この詩は新川和江さんの代表作の一つですが、私は、幼い子供を抱えて悪戦苦闘していたころ、大変感銘を受け、共感を覚えたことを記憶しています。
しかし、女子差別撤廃条約が批准され、国連が主催する地球規模の四つの世界女性会議を節目としながら、我が国も大きく変わってまいりました。今では、女性の宇宙飛行士やダンプカーの運転手、パイロットなども誕生し、一方で、男性の看護士、保育士等も生まれ、ことし四月からは男女の性別による求人募集が禁止されるに至りました。
しかし、男女共同参画社会の現実はまだまだ女性の描く理想とはほど遠く、女性の働きやすさで比較した場合も、我が国は、一九八〇年にはOECD二十三カ国中十六位と下位の方にランクされていましたが、一九九五年になると十九位とさらにランクが下がっています。この十五年間、他国に比べ我が国がいかに変革のための努力を怠ってきたかを物語っています。日本が、女性の社会参加を推進するような環境づくりに、本腰を入れて取り組まざるを得ない状況まで来ていることを示しています。
いよいよ衆議院で待望の審議が始まりますが、衆議院には現在、女性議員が二十四名で、全体の四・八%を占めているにすぎません。列国議会同盟、IPUによると、世界百六十八カ国の第一院の中で百二十四位というありさまです。諸外国と比べて格段に女性議員の数が少ない我が国の衆議院ですが、十分に審議を深めた上で、一刻も早い成立を願っております。
男女共同参画社会の基本は、まず、政策方針決定の場に男女が共同で参画することです。四月の後半の統一地方選挙では、女性の当選者が全国の市議選で過去最多の千四十八人となり、初めて一割を超えました。我が党の女性議員も一挙に四年前の二倍となりました。男女共同参画社会が時代の要請となってきていることのあかしであると確信いたします。
そこで、自民党総裁でもある総理にお伺いいたします。
与党の第一党である自民党が、国政においても地方政治においても、女性議員の割合が四%未満と極端に低いことをどのように認識しておられますか。また、隗より始めよということわざがありますが、今後どのように改善していこうと思われますか。御所見をお聞かせください。
さて、歌手の安室奈美恵さんの夫サムさんが子供の温大君を抱いている厚生省のポスターが大きな話題を呼びました。「育児をしない男を、父とは呼ばない。」刺激的なこのポスターのキャッチコピーに、感情を害す男性もいたと聞いています。育児をしたくても時間がないとの抗議が寄せられたりするそうです。確かに、早朝から深夜まで働かざるを得ない企業戦士に、この上子育てを要求するのは酷かもしれません。日本の長時間労働の見直しが必要です。さらに、男は仕事、女は家庭という、根強い性別役割分担意識を変えていかなければなりません。
このような性別役割分担意識は、女性の社会進出を阻むばかりでなく、男性を仕事人間に縛りつけているのも事実です。仕事が終わり、家に帰りたくても、会社の同僚や上司に飲みに誘われれば、つき合いで断れない。育児休暇も、男性がとれば奇異な目で見られる風潮等があります。
男女共同参画社会は、単に女性にプラスになるだけではありません。ひたすら会社人間として生き、定年後は家庭からも地域からも疎外され、ぬれ落ち葉などというレッテルを張られ、深刻な老後が待っているかもしれない男性にとっても、明るく豊かな生活への道しるべとなります。総理は、二十一世紀における男性の老後の暮らしについて、また御自身の老後についてどのようにお考えか、お尋ねします。(拍手)
今回の法案が社会の慣行等についても言及していることは画期的ではあります。法案の第四条において、社会における制度のみならず慣行が男女共同参画社会の形成を阻害する要因となることから及ぼす影響を中立的にするように配慮されなければならないとあります。しかし、見直しという表現ではなく配慮にとどめたのは、どのような意図があるのか、お聞かせいただきたい。また、配慮という言葉で、果たしてこの法案に実効性はあるのでしょうか。官房長官の御所見と担当大臣としての御決意をお伺いします。
法案十七条に苦情の処理等の規定があります。国は、苦情の処理のため及び被害者の救済を図るため必要な措置を講じなければならないとあります。具体的にはどのような措置を講じることを考えておられるのでしょうか。行政の相談窓口を明確にすること及び第三者機関のオンブズパーソンを確立すべきと思いますが、官房長官の御所見をお伺いします。
また、女性も男性も、職場や家庭や地域で個性と能力を発揮し、生き生きと自己実現できる社会にするには、育児や介護を社会で支えるシステムの充実が不可欠です。今現在、全国では、保育所に預けたくても入れない子供たちが四万人もいる実態があります。早急に保育待機児童をゼロにし、夜間保育や延長保育の拡充などが必要だと思いますが、その具体策について、厚生大臣にお伺いします。
さて、女性と暴力についてであります。
女性に対する暴力は、性犯罪、夫、パートナー等からの暴力、セクシュアルハラスメントなど、さまざまな形態がありますが、どのような形であれ許されるものではありません。女性の人権が尊重されていない社会は、女性に対する暴力を生み出しやすい構造になっていると指摘せざるを得ません。そこで、まず、夫などの暴力から女性を保護するための駆け込み寺のような施設、女性人権センターのようなものを創設すべきではないかと提案しますが、総理の御見解を求めます。
また、社会からあらゆる暴力を根絶するために、弱者や女性に対する暴力の加害者予備軍をつくらないためにも、これ以上子供たちを暴力的環境にさらしてはならないと私は強く訴えるものであります。
芸術、文化や表現の自由は大切な問題ですが、それ以上に、人権が最優先の課題です。女性の性の商品化や暴力表現など、営利のみを目的とした有害なものには何らかの規制が必要であります。特に、テレビの影響が大きいため、暴力や性的シーンのあるものを子供たちに見せないように、子供に有害な番組をブロックする仕組みとして、親が選択できるVチップの導入を急ぐべきだと考えますが、いかがでしょうか。
そのために、行政が介入するのではなく、放送事業者と視聴者、有識者等を構成員とする第三者機関を設立し、メディア業界が積極的かつ自発的にチェックするシステムをつくるべきだと考えますが、郵政大臣の御所見をお伺いいたします。また、政府は業界に対し自主的取り組みへの協力を求める考えはないか、あわせてお伺いします。
本法案が成立後、必要な個別法や体制の整備等を行い、本法に魂を入れるとともに、二十一世紀を輝かしい活力のある世紀にできることを心より願いつつ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/25
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026・小渕恵三
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 大野由利子議員にお答え申し上げます。
国政及び地方政治の場への男女の共同参画についてお尋ねがありました。
まず、議員御指摘の自民党の女性議員の比率等につきましては、党といたしましても真剣に考えていかなければならない問題と考えております。
いずれにいたしましても、男女共同参画社会の形成に当たりましては、政策方針決定過程への共同参画の推進は重要な課題であると認識をいたしており、議員御指摘のとおり、国政におきましても、また地方政治におきましても、女性の参画は重要であり、さきの地方選挙におきましても、全体として、女性の当選者が大幅にふえたところであります。二十一世紀に向けまして、政策方針決定過程を初めとして、社会のあらゆる分野に女性の参画を進めるため、努力していきたいと考えております。
男女共同参画社会と二十一世紀における高齢期の男性の暮らしについてのお尋ねがありました。
男女共同参画社会の実現は、議員御指摘のとおり、男性にとっても大切であります。男女共同参画社会とは、男女を問わず、家庭や地域とのつながりも大切にしながら、個人がその能力と個性を十分に発揮することができる社会であります。このような社会の実現を図るとともに、高齢期になっても、健康で、自立し、社会参加のできる環境整備を図ることによりまして、二十一世紀の高齢者は生きがいを持って充実した生活を送ることができるものと考えております。
また、私自身につきましても、そうした社会の一員として、充実した生活を送れるよう、自分なりの努力を払っていきたいと思っております。
女性に対する暴力についてのお尋ねですが、議員御指摘のとおり、女性に対する暴力は許されるべきものでなく、緊急やむを得ない場合の一時保護等も極めて重要であります。政府の行動計画である男女共同参画二〇〇〇年プランや先月二十七日にいただいた男女共同参画審議会の答申「女性に対する暴力のない社会を目指して」の趣旨を踏まえまして、政府といたしましては、各種施策の推進に積極的に取り組む所存でございます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣野中広務君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/26
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027・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 大野由利子議員の私に対する御質問にお答えを申し上げます。
お尋ねの第四条につきましては、直接的に男女共同参画社会の形成とは関係がないような制度、慣行でありましても、男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼすことがありますために、男女共同参画社会の形成の観点からも配慮されなければならない旨を規定しておるところであります。男女の活動の選択に大きな影響を及ぼす制度につきましては、女性の社会進出や家族・就労形態の多様化なども踏まえつつ、男女共同参画社会の形成という観点からも必要な検討を行ってまいる所存であります。
苦情の処理等についてのお尋ねでございますが、男女共同参画社会の形成の促進のためには重要な課題でありますことから、国は、政府の施策についての苦情の処理等のために必要な措置等を講じなければならない旨を規定しておるところでございます。
具体的にいかなる措置を講ずるかにつきましては、先ほども御答弁申し上げたところでございますが、現在、一方におきまして行政改革が求められておる中での効率性も踏まえまして、まず、既存の制度であります人権擁護委員、行政相談委員、国政審査権等の諸制度の活用を図ることとなると考えております。(拍手)
〔国務大臣宮下創平君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/27
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028・宮下創平
○国務大臣(宮下創平君) 大野議員にお答え申し上げます。
保育所に関するお尋ねでございますが、入所待機児童の解消と多様な保育サービスの充実は、極めて重大な課題であると考えております。このために、待機児童の解消という観点から、緊急保育対策等五カ年事業によります低年齢児受け入れ枠の拡大などの施策を推進すること、また夜間保育、延長保育等を実施しやすくするために施策を改善し、その推進を図ることなどの取り組みをいたしておるところでございます。
今後とも、こうした多様な保育需要に対しまして、良質で効率的な保育サービスが提供できるようなお一層努力してまいります。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣野田聖子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/28
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029・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) Vチップの導入を急ぐべきとのお尋ねですが、郵政省としましては、視聴者代表、学識経験者、放送事業者等を含めた会合により検討を行ってきたところでありますが、現時点においては、番組選択支援を行うVチップは、継続検討していくこととしております。
次に、第三者機関の設置と、業界に対する協力要請についてのお尋ねでございますが、放送法において、放送事業者は、放送番組の適正を図るため、番組審議機関を設置し、その意見を尊重して必要な措置をしなければならないこととされています。また、日本放送協会及び日本民間放送連盟が、共同で、自主的に放送番組向上協議会を設け、そこで審議される放送番組のあり方などの意見を取り入れております。
郵政省としましては、これらのシステムを通じて、放送事業者において放送番組の適正を図るための努力が行われるものと考えていますが、今後、放送事業者に対して、必要に応じて働きかけをしてまいりたいと考えております。
いずれにしましても、放送は、法の理念を申し上げるまでもなく、表現の自由の確保と公共の福祉の適合を原則としておりまして、行政としても、この理念に基づき対処してまいります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/29
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030・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) 瀬古由起子君。
〔瀬古由起子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/30
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031・瀬古由起子
○瀬古由起子君 私は、日本共産党を代表して、男女共同参画社会基本法案について質問をいたします。
ことしは、憲法施行五十二年、国連で女子差別撤廃条約が採択されて二十年です。女性が、政治的、社会的にその役割の発揮を自覚し、その地位向上の運動も着実に前進しています。
しかし、我が国の女性の地位の現状は、国際的な到達点から見て、極めて不十分です。女性は、職場、自営業、農業、社会のあらゆる分野で大きな役割を担っているにもかかわらず、正当に評価されておりません。世界で最大の賃金格差、家事、育児などの家族的責任の女性への押しつけの解決など、課題は多く残され、法律や制度の整備充実が一層求められているところです。
以下、具体的に質問をいたします。
第一に、総理は参議院本会議で、男女共同参画社会は、男女平等を当然の前提とした上で、さらに、男女が各人の個性に基づいて能力を十分発揮できる機会を保障することも重要な基本理念にしていると答弁されております。それなら、なぜ、日本国憲法や女子差別撤廃条約を初めILO条約等の国際条約にある男女平等理念を本法案に明記しないのでしょうか。男女平等をこの法律にしっかり掲げることこそ、女性差別是正を求めて日々苦労している多くの女性たちの期待と願いにこたえることではないでしょうか。答弁を求めます。(拍手)
第二は、企業責任を明記すべきだということです。
賃金格差など女性への差別が最も強く残っているのが雇用の現場です。これを放置したままでは男女共同参画はあり得ません。雇用の機会の確保、労働時間の短縮、家族的責任との両立など、企業の責任を明確にすることが求められております。
女子差別撤廃条約第二条では、個人、団体または企業による女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとることとしております。ところが、この法案には、社会的存在としての企業は出てこず、また、雇用者としての事業主も全く姿をあらわしません。一九九六年に策定された政府の男女共同参画二〇〇〇年プランでも、企業による積極的な取り組みを明記しております。女性の地位向上を進める上で企業が果たすべき特別に重要な責任を、総理はどのように理解されているのでしょうか。
本法案は、その基本理念に、家庭生活における活動と他の活動との両立を掲げていますが、今我が国で最も問題になっている長時間労働の解決一つとってみても、企業の責務を抜きにして一歩も前進いたしません。
また、少子化が問題になっていますが、働く女性の中には、健康への不安が大きく、子供を産む自信がないという声が多くあります。女性の就業率が高く、男女の賃金格差の小さい国の方が出産率が高くなっていると言われております。働きながら子供を産み育てられる社会、男女が平等に生きられる社会こそ求められております。
ILO第百五十六号条約の第三条では、差別待遇を受けることなく、また、できる限り就業に係る責任と家族的責任とが相反することなく就業する権利を行使することができるようにすることを国の施策の目的とすると規定しております。ところが、企業の責務を初めから落としてしまったのでは、条約が求めている国の責任さえ放棄することにならないでしょうか。企業責任を明記することについて答弁を求めます。(拍手)
第三に、母性保護について質問をいたします。
一九九七年に全国労働組合総連合女性部が三千五百人を対象にして実施した調査の中の、妊娠・出産状況のアンケート結果によれば、八百四十人の対象者のうち約三割の二百四十二人が異常出産という深刻な事態が明らかにされております。また、妊娠について見ますと、八百四十人の回答者のうち、順調だったと答えたのは三五%しかなく、異常があった人のうち、切迫流産だったと答えた人が百九十人にも達し、実に全体の二二・六%に及んでいます。
母性は社会的機能であり、その保護は人間社会の存続にとって欠かすことのできない基本的条件であり権利であることは、何人も否定できないのではないでしょうか。女子差別撤廃条約の前文では、母性の社会的重要性を強調し、出産における女子の役割が差別の根拠となるべきではないことを明記しております。
しかし、実際には、子供を産むと給与のランクが二つ下がるとか、産休、育休をとるとボーナス査定や昇格まで悪影響を及ぼすとか、育児休暇明けで配転、退職勧奨されたなど、母性保護を理由にした差別が広く存在しています。母性保護は単に妊娠出産時だけの問題ではありません。母性の社会的重要性を総理はどうお考えでしょうか。本法案に母性保護を明記することが必要だと考えますが、答弁を願います。
最後に、男女平等、女性差別をめぐっては、性別を表向きの理由にしない、事実上の差別や、労働時間などの男女共通規制の問題、差別被害を救済するための独立した機関の必要性など、重要な問題が幾つもあることを指摘しておきます。
日本共産党は、創立以来、男女平等を掲げてきた党です。今後とも女性の地位向上のために全力を尽くす決意を述べ、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/31
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032・小渕恵三
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 瀬古由起子議員にお答え申し上げます。
男女平等についてお尋ねがありました。
本法案は、男女共同参画社会が、男女が社会の対等な構成員として活動に参画する機会が確保される社会である旨を規定するとともに、基本理念として、男女が性別による差別的取り扱いを受けないこと等の男女の人権の尊重を掲げておりまして、男女平等の理念を十分に踏まえたものとなっております。
お尋ねの企業の責任については、企業におきましては、男女共同参画のために積極的に取り組んでいくことが重要であると認識をいたしており、本法案の第十条におきまして、国民の責務として、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成に寄与するように努めなければならない旨規定いたしておるところであります。
母性の社会的重要性についてお尋ねでありました。
本法案の中には、基本理念として、男女の人権の尊重を盛り込んでおりまして、その基本理念に照らしましても、議員御指摘のとおり、母性保護の問題は重要であると認識をいたしておるところでございます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
〔国務大臣野中広務君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/32
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033・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 瀬古由起子議員の私に対する質問にお答えをいたします。
企業の責任についての問題でございますが、ただいま総理からもお答えがございましたように、男女共同参画社会の形成に当たりましては、御指摘の、職場だけでなく、あらゆる分野において取り組みを行うことが求められておるわけでございまして、企業の責任を特記するだけでなく、国民の責任として、職域、学校、地域、家庭等、あらゆる分野におきまして、男女共同参画社会の形成に寄与するよう努めなければならない旨を規定しておるところでございます。
また、母性の社会的重要性についてのお尋ねにつきましても、ただいま総理から御答弁がございましたように、この法案の基本理念である男女の人権の尊重に照らして、母性保護の問題も重要であると認識をしておるところでございまして、男女共同参画二〇〇〇年プランにおきましても取り上げられておるところでございます。この問題につきましては、今後とも政府全体として取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/33
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034・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) 横光克彦君。
〔横光克彦君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/34
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035・横光克彦
○横光克彦君 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、男女共同参画社会基本法案につきまして、小渕総理大臣並びに野中官房長官に質問をいたします。
今、二十一世紀を目前にして、新しい社会が真の男女平等社会となるよう、あらゆる取り組みが求められております。我が国では、日本国憲法において、個人の尊重、男女平等の理念がうたわれ、以来、各種の法律や制度の整備が図られてきたところであります。
しかし、いまだ社会制度及び慣行が個人の人権を尊重するには不十分であること、性別役割分業が制度的、社会的に撤廃されていないこと、社会における意思決定過程への参画の不平等、雇用の不平等、女性に対する暴力、女性の生涯を通じた性と生殖に関する権利の未保障、家族的責任が多くの場合女性に課されているなどなどの性差別が厳存いたしております。
私は、このように、我が国ではいまだ多くの課題が山積していることを踏まえ、女性差別撤廃条約を初め、家族的責任に関するILO百五十六号条約、北京女性会議行動綱領など、国際的水準に合致した男女平等社会実現のために最大限の努力を払うことは、今や国民的課題であると認識するものであります。
そこで、まず総理にお伺いいたします。
今回提出された法案の名称は、男女共同参画社会基本法とされております。男女共同参画社会が男女平等を当然の前提としていることは言うまでもないでしょう。しかし、今問題なのは、その前提、すなわち女性の人権が確立していないということではありますまいか。総理、男女共同参画社会の前提たる男女平等が、現状において確立しているのか否か、明確な御答弁をお願いいたします。
続いて、法案の内容について官房長官にお伺いいたします。
第一は、法制上の措置についてであります。
私は、基本法を本当に意義あるものとするためには、基本法制定を契機に現行法、制度を男女平等実現の観点から改めて検討し、現行法の必要な改正、既存の施策の拡充はもちろん、新たなる立法措置、財政上の措置を講ずることが必要であると考えております。法案第十一条は、今私が申し上げた趣旨であると理解してもよろしいでしょうか。御意見をお聞かせください。
さらに、男女平等社会の実現を図る観点から、現在、例えば雇用における男女平等をどう実現するか、男女がともに家庭生活、職業生活を両立していく権利をどう保障するか、慣習的な性別役割分業をどう撤廃していくかなどといった課題が提起されているところでございます。
私は、基本法制定後、こうした課題について可及的速やかに検討を行うべきだと考えておりますが、官房長官におかれましては、今私が申し上げました課題を含めて、官房長官が御承知されている課題を具体的にお示しいただきたく存じます。よろしく御答弁賜りますようお願いいたします。
第二は、苦情の処理及び人権が侵害された場合の被害者救済の措置に関してであります。
言うまでもなく、人権が侵害された場合、実効力ある制度が必要でありますが、仮に既存の制度を活用した場合、実効性の面で十分ではないと考えますが、いかがお考えでしょうか。法案では、国は政府の施策についての苦情処理や人権侵害の被害救済のため必要な措置を講ずるとされておりますが、この点につきましては、当然ながら、新たな措置を講ずるとの内容が含まれていると理解いたしますが、御見解をお伺いいたします。
さらに、新たな措置については、早急に検討を行い、その結論を得るべきであり、その際、行政からの独立性が確保され、強力な権限を持つ第三者機関の設置が必要であると考えますが、御見解をお伺いいたします。
第三は、施策の推進に関して質問いたします。
私は、今後、施策の策定及び推進に当たっては、NGOなど民間団体の参加のもと、連携を深めながら進めていくことが重要であり、これら取り組みに対する政府、地方公共団体による支援についても必要であると考えますが、御見解をお伺いします。
また、施策を進めるには、学校教育はもちろん、社会のあらゆる場における男女平等に関する教育、啓発が不可欠であり、その推進のためには、新たな法的あるいは財政的措置を含めて検討することが必要であると考えますが、御見解をお伺いいたします。
私は、個人の人権尊重と性差別の撤廃の視点が明確に打ち出された基本法の制定とともに、国際的な基本原則を踏まえた現行法、制度の抜本的見直しがなされ、男女平等社会の実現が図られることを強く期待するものであります。そこで、最後に、男女平等社会の実現に向けた総理の御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/35
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036・小渕恵三
○内閣総理大臣(小渕恵三君) 横光克彦議員にお答え申し上げます。
男女平等など、人権尊重についてお尋ねがありますが、男女平等の実現に向けては、なお一層の努力が必要であると認識をいたしております。でありますので、本法案におきましても、男女の人権の尊重を基本理念として、性別による差別的取り扱いを受けないことを明確に規定いたしておるところでございます。
お尋ねの、男女平等の実現については、男女共同参画社会の前提であると考えております。性別による差別的取り扱いを受けないこと等の男女の人権の尊重などを基本理念といたしまして、男女が社会の対等な構成員として、能力と個性を発揮しながら、充実した生活を送ることのできる男女共同参画社会の形成に尽力をいたしてまいる所存でございます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
〔国務大臣野中広務君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/36
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037・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 横光克彦議員の私に対する御質問にお答えをいたしたいと存じます。
まず、法案第十一条についてでありますが、議員が御指摘のとおり、十一条は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を実施するため必要な法制上または財政上の措置その他の措置を講ずることが重要であることを規定したものでございます。個別具体的な課題につきましては、今後、本法案を踏まえまして、個々にその必要性を検討した上で、議員の御指摘等を踏まえ、適切な対応を図ってまいりたいと存じております。
次に、苦情の処理等についてのお尋ねでございますが、先ほど来お答えを申しておりますとおり、男女共同参画社会の形成の促進のためには重要な課題でありますことから、国は政府の施策についての苦情の処理等のために必要な措置を講じなければならない旨を規定しておるところでございます。
具体的にどのような措置を講ずるかにつきましては、行政改革が求められておる中におきます効率性等も踏まえまして、まず、既存の制度を活用することから始めてまいりたいと考えておるところでございます。
次に、民間団体との連携及びさまざまな取り組みに対する支援についてのお尋ねでございますが、議員御指摘のとおり、男女共同参画社会の実現に向けた施策の推進に当たりましては、民間団体との連携を図りながら進めていくことが重要であると考えております。また、国は、本法案二十条に基づき、情報の提供等必要な措置を講ずるように努めることといたしておるところでございます。
最後に、男女平等に関する教育、啓発のための法的あるいは財政的措置についてのお尋ねでございますが、議員御指摘のとおり、国民の理解を深める措置を講ずることが必要でありますことから、本法第十六条にその旨を、また第十一条に、政府は男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を実施するため必要な法制上または財政上の措置等を講じなければならない旨を規定しておるところでございます。以上を踏まえて、政府といたしましても真剣に取り組んでまいりたいと存じております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/37
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038・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
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039・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時二十六分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 小渕 恵三君
法務大臣 陣内 孝雄君
外務大臣 高村 正彦君
厚生大臣 宮下 創平君
農林水産大臣 中川 昭一君
郵政大臣 野田 聖子君
労働大臣 甘利 明君
国務大臣 関谷 勝嗣君
国務大臣 野中 広務君
出席政府委員
内閣総理大臣官房審議官 佐藤 正紀君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114505254X03519990603/39
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