1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年五月十八日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月十三日
辞任 補欠選任
木庭健太郎君 益田 洋介君
三重野栄子君 村沢 牧君
五月十四日
辞任 補欠選任
高橋紀世子君 菅川 健二君
五月十七日
辞任 補欠選任
村沢 牧君 三重野栄子君
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出席者は左のとおり。
委員長 勝木 健司君
理 事
石渡 清元君
金田 勝年君
広中和歌子君
浜田卓二郎君
池田 幹幸君
委 員
石川 弘君
岩井 國臣君
片山虎之助君
西田 吉宏君
林 芳正君
日出 英輔君
平田 耕一君
浅尾慶一郎君
伊藤 基隆君
峰崎 直樹君
益田 洋介君
笠井 亮君
三重野栄子君
星野 朋市君
菅川 健二君
国務大臣
大蔵大臣 宮澤 喜一君
国務大臣
(金融再生委員
会委員長) 柳沢 伯夫君
政府委員
金融再生委員会
事務局長 森 昭治君
金融監督庁検査
部長 五味 廣文君
金融監督庁監督
部長 乾 文男君
大蔵政務次官 中島 眞人君
大蔵大臣官房長 溝口善兵衛君
大蔵省理財局長 中川 雅治君
大蔵省金融企画
局長 伏屋 和彦君
厚生省生活衛生
局長 小野 昭雄君
中小企業庁次長 殿岡 茂樹君
郵政省貯金局長 松井 浩君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田 成宣君
参考人
国民金融公庫総
裁 尾崎 護君
国民金融公庫理
事 加藤 靖昌君
環境衛生金融公
庫理事長 坂本 龍彦君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/0
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001・勝木健司
○委員長(勝木健司君) ただいまから財政・金融委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る十三日、木庭健太郎君が委員を辞任され、その補欠として益田洋介君が選任されました。
また、去る十四日、高橋紀世子君が委員を辞任され、その補欠として菅川健二君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/1
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002・勝木健司
○委員長(勝木健司君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
国民金融公庫法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として国民金融公庫総裁尾崎護君、同理事加藤靖昌君及び環境衛生金融公庫理事長坂本龍彦君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/2
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003・勝木健司
○委員長(勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/3
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004・勝木健司
○委員長(勝木健司君) 国民金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/4
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005・金田勝年
○金田勝年君 自由民主党の金田でございます。
本日は、国民金融公庫と環境衛生金融公庫の統合法案につきまして、極めて限られた時間ではありますけれども、質問をさせていただきたいと思うわけであります。
まず、法案の中身に入ります前に、景気情勢が非常に悪化してまいりました平成九年の秋以降でございますが、御承知のように北海道拓殖銀行あるいは山一証券といった金融機関の破綻があって、全国的に民間金融機関による貸し渋りによりまして、中小零細企業者にとってもその取り巻く環境というものは非常に厳しいものがありました。
こういう状況の中で、政府といたしましては、平成九年十一月に二十一世紀を切りひらく緊急経済対策、平成十年四月には総合経済対策、そして平成十年八月には中小企業等貸し渋り対策大綱に基づきます特別保証制度を十月から開始する、また十一月には緊急経済対策もやって政府系の融資が及びにくい中堅企業対策も行ったわけであります。
そういうふうな累次の対策を講じてまいります中で、国民金融公庫あるいは環衛公庫の関係します融資制度につきましてもさまざまな措置をとってきた、こういう実態にあるわけであります。例えば金融環境変化対応特別貸付制度を九年十二月から通常の融資とは別枠で創設する、あるいは運転資金円滑化特別貸付制度を十年六月から創設する、あるいは金利減免措置を実施する等々、極めて多岐にわたった措置を両公庫は関係する融資制度の上で努力してきている、こういう状況にあるわけです。
こういうこともあって、これまでの報道では、政府系金融機関の貸し出しの急増、二けたの伸びを示しているといったような記事が去年からことしにかけてたくさん見られたわけです。
そこで、まず直近の数字で教えていただきたいというふうに思うんですが、十年度の年度末を迎えました十一年三月までの融資実績につきまして前年比でどういう状況になっておるか、経済対策実施直後と比較いたしまして十一年三月の実績でどうなっておるか、両公庫から御説明いただきたい。また、直接事業者の方と接しており、現場の景況感といいますか、調査もされているお立場から、中小零細企業の直近の景況感についてもできればお話をいただきたいというふうに思うわけでございます。国民金融公庫総裁、それから環衛公庫理事長から簡単にお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/5
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006・尾崎護
○参考人(尾崎護君) お答え申し上げます。
先生の御指摘にございましたように、九年秋の経済対策以降、中小企業特別相談窓口の設置に始まりまして、いろいろと私ども努力をしてまいりました。その結果といたしまして、平成十年度の貸出実績でございますが、四十八万八千件、金額で三兆四千億円と、前年を一万一千件、二千三百億円上回るという結果になっております。
なお、経済対策実施以降という御指摘もございましたので、平成九年十二月以降ことしの四月までの累計を申し上げますと、約七十万件の貸し出し、金額で四兆八千億円ということになっております。金額で大体一割ぐらい増加している状況にございます。経済対策実施以前は貸し出しは大体横ばいという状況でございまして、それと比べますと非常に進捗いたしております。
中小企業の経済に対する景況判断でございますが、私どもは全国小企業動向調査というのを四半期ごとに行っておりまして、これは平成十年の十—十二月期、平成十一年の一—三月期と二期続きましてかま首をもたげてきているようになっております。ただし、ディフュージョンインデックスでありまして、よいと答えた人、悪いと答えた人、それの引き算をいたしますが、そういうところで見ますと、悪いと答えている方が圧倒的に多いわけでございますけれども、その悪い中で底を打って少し頭をもたげてきたかなという状況にあろうかと思います。実体経済は別といたしまして、中小企業者のマインドは少しよくなってきているのではないかという印象を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/6
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007・坂本龍彦
○参考人(坂本龍彦君) 環境衛生金融公庫関係について申し上げます。
当公庫の平成十年度の貸付実績と十年度末の貸付残高でございますが、まず十年度における年度間の貸付件数は三万七千八百七十件で、これは前年度比で三%の増になっております。また、貸付金額は二千二百七十一億九千六百万円でございまして、これは前年度比で四・三%増となっております。
次に、平成十年度末の貸付残高でございます。件数では二十二万二千八百八件、前年度比〇・八%増でございます。金額は一兆一千百十二億六千三百万円で、前年度比一・八%増となっております。
私どもの融資の特色と申しましょうか、これは大部分が設備資金でございますので、最近の運転資金を中心といたします貸し渋り問題の影響というのは、若干ほかの金融機関とは様相を異にしている面もございますが、いずれにいたしましても最近できるだけ資金需要にこたえるように努力をいたしておるところでございます。
それから次に、環境衛生関係の営業に係る業況の問題でございます。
私どもは毎年四半期ごとに生活関連企業景気動向等調査というのを行っておるわけでございまして、ここで私どももディフュージョンインデックスの割合、好転、増加という割合から減少、悪化の割合を差し引いた数字を出しておりますが、例えば平成十一年の一月から三月期について見ますと、この差がマイナス六〇・八%で、これは前期よりもさらに九・五ポイント悪化しておりまして、過去最低の水準まで落ち込んでおります。
これからの見通しといたしまして、四月から六月の三カ月間についての状況も調査しております。これではマイナス四七・三%と若干改善の見通しということにはなっておりますが、依然として厳しい状況が続いておるという見通しを持っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/7
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008・金田勝年
○金田勝年君 駆け込み寺とかあるいはラストリゾートという形で政府系の金融機関が言われておる、そういう状況というのもあるわけでありまして、民間金融機関が貸し渋るその厳しいときに政府系金融として非常に大きな役割を果たしてきた、この件に関しては非常に評価をして、その重要性というものを国民が再認識しているという面があるんだろうと思うわけであります。マインドも少しよくなってきているというお話もあったわけですが、なお確かな景気あるいは小規模企業者を中心とする中小の業況のしっかりとした足取りがつかめるまでは引き続き対策も必要なのかなという感じがするわけでございます。
そこで、大蔵大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、たしか昨年の九月三十日であったかと思うんですが、大蔵大臣は国民金融公庫の尾崎総裁とお会いになったように思うわけであります。会談されておったと思うんですが、その九月三十日の平均株価というのはバブル崩壊後最安値を更新した日でありました。その日に、民間金融機関が貸し渋りを強める懸念が出ているということで、大蔵大臣が尾崎総裁に政府系金融機関に十分な融資を行ってほしい、こういう要請をされたというように記憶しておるのでございますが、そういう努力もこういう形で行われているのかなというふうに思うわけでございます。
今、国民公庫の総裁と環衛公庫の理事長から御説明いただいたようなこうした取り組みについての大蔵大臣としての評価、そしてまた今の景気情勢に照らしまして、公庫を含めます政府系の金融機関、特に中小を対象とします政府系金融機関の融資のあり方の今後の見通しについてどのようにお考えなのか、所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/8
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009・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの我が国の何年間かの不況の中で、いわゆる中小企業に対する貸し渋りというものが起こりました直接のきっかけは、回想してみますと、昨年の四月には大蔵省が早期是正措置をやるということがございまして、それに備えて中小金融機関が何とかいい成績をとらなければならぬということで、平成九年の夏ごろからだんだんにそういう動きが起こっておったらしい。しかし、それは実はだれも正確にはつかみ得ませんで、少しずつ少しずつそういういわばバランスシートをよくするための競争みたいなものが中小金融機関の中で起こっていたようであります。そのことを政治が知るようになりましたのは、かなり遅くなって、十一月ごろになってからであったように思いますが、そのときはちょうど先ほど金田委員が言われました金融機関の破綻等があったころでございます。
それで、中小の金融機関については、つまり海外活動に関係のないものは早期是正措置を事実上一年延ばすというようなことがございましたけれども、バランスシート改善のための貸し渋り、融資引き揚げという勢いは少しもおさまりませんで、それに加えて今度は大銀行が自分自身の三月末の、これは昨年の三月末ですが、公的資金導入もございまして、ここでまた貸し渋りがさらにひどくなっておったように思います。
そういう背景の中で七月に小渕内閣が誕生をいたしたわけですが、ますます貸し渋りはひどくなっているし、御説のように株式市況の状況も悪くなっておりました。こういう際に一番頼りになるのは国民金融公庫であるとか、環衛公庫は先ほど理事長が言われましたように設備投資の関係がございますから同日には論じられないかもしれませんが、国民金融公庫であるとか中小企業金融公庫であるとか、ここはいわば直接に政府の影響が及ぶところでございます、商工中金等もございますけれども。それで、尾崎総裁には、ひとつぜひよろしくお願いをしたいと。また、尾崎総裁には陣頭に立って非常に大変な努力をしていただきまして、そして代理店についても、従来千店舗ぐらいであったものを一万何千というふうにふやしていただいて、本当に各支店が陣頭に立って親切な指導をしてもらったように思っております。
しかし、やはり市場経済の国でございますので、このような努力にもかかわらず、それが国民経済、中小企業をカバーするカバレッジというものはおのずから限りがある。そこで、さらに一歩を進めまして、信用補完制度を拡充することによって、いわゆる保証をつけることによってその他の民間の金融機関からの貸し渋りを防止しようということで、昨年の秋になりましてそういう制度をつくらせていただきました。拡充させていただきました。これは年末にかけてかなり効果があったように思われます。とにかく年は越せましたというような感じでことしの正月を迎えられた中小企業が多かったようでございます。
そこで、クランチというような危機は一遍回避したごとくでございますけれども、借りたものは返さなければなりません。そういう時期が必ず来るわけでございますし、業況の好転がございませんから借りた金も使い果たしてしまうというようなところに今来かかっているんではないかというふうに私は心配をいたしております。金をもらったならありがたいが、金が借りられてありがたいなんというのは情けない話でございますけれども、実際そうであったわけでございます。それを返すという問題になってきているんではないか。
さあそこで、新しい施策がさらに必要なのか、どうしようかという問題は、まだ現実にはなっていませんけれども、考えておかなきゃならないのかなと思っております。
いずれにいたしましても、政府系金融機関のいわば一番末端にいます国民金融公庫がこの危機に際していち早く、これはやはり国民と接する行員の気持ちの問題でございますから、そういう意味で大変に貢献をしてくれておるということは、先ほど総裁のお話にもございましたけれども、評価をいたしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/9
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010・金田勝年
○金田勝年君 今、大臣からお話がありましたように、貸し渋り対策として、あるいは景気対策としていち早く対応した、そういう非常に評価してよい公庫の役割というものが出てきたわけですけれども、今回の統合法案というのはまさに平成九年九月二十四日に閣議決定をされました特殊法人等の整理合理化に基づいて出されたわけでありまして、流れとしては官から民へという流れもあり、そういう中でまさにただいま両公庫の総裁、理事長、そして大臣からもお話のあった非常に評価してよい公庫の役割というものが同じ時期にまた出てきておった、こういう状況があると思うんです。
そこで、法案の中身に入っていきたいと思うわけでございます。
今回の改正の趣旨もあるわけですけれども、時間の関係で、行革の流れの中で特殊法人の整理合理化という観点から見て組織的にどういうふうになるのか。そしてまた、名称が国民生活金融公庫となるわけです。これは目的規定にもはっきりとそういう趣旨が書いてあるわけですが、名は体をあらわすと言われるわけですけれども、生活という文言を名称に入れたことの意味というものをどのようにお考えなのか。
そしてまた、組織については、役員について合計十五名のところを三分の二、十名というふうにしている。一方で、職員数は合計いたしまして四千八百五十三名中八名しか減らないというふうな状態なんですけれども、これは確認をしたいわけですが、こういうふうなことに関しまして、今後の業務の実態から見て貸し渋り対策の実施関連業務というものも考慮してのことなのか。
今後、業務の実態から見て適切な見直しも行われていくんだろうとは思いますが、まず今回のそういう組織的なこと、あるいは生活という文言を入れた意味というものに対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/10
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011・溝口善兵衛
○政府委員(溝口善兵衛君) 今回の両公庫の統合は平成九年九月の閣議決定に基づいて実施をするわけでございますが、全体としては委員御指摘のように政府全体の役割の見直し、行政の簡素化、こういう大きい流れの中で実施されるものでございます。
それで、なぜ両公庫の統合かと申しますと、両公庫とも小規模の企業に対する資金供給を行ってきた政策金融機関でございまして、業務の範囲、内容におきまして共通性があるわけでございます。これを統合することによりまして、小規模の企業等に対する資金供給の機関を減量化し、スリム化し、重点化するということでございます。
国民公庫は、貸付件数で見ますと、個人が約半分、それから従業員数は二十人未満のものが九五%を占めておりまして、一件当たりの平均貸付額も七百万円程度と小規模でございます。それから、環衛公庫につきましては、個人が約八割でございますし、従業員二十人未満のものが九八%を占めております。平均貸付額も六百三十万円程度でございまして、小口で多くの方々に貸し付けを行っているということでございます。
現在の状況でございますと、環衛貸し付けにつきましては、国民公庫に環衛公庫の方から業務を委託しておりますけれども、一定額を超えるものにつきましては本部で審査をするというようなことになっておりまして、やや利用者にも不便があるわけでございます。これを統合することによりまして、国民公庫の支店が百五十二ございますが、そこですべて環衛貸し付けについても審査ができるというような利便が生まれるわけでございますし、総務部門あるいは経理部門といったような管理部門を統合することによって事務が合理化されまして、人員の有効な活用も可能になるわけでございます。
それから、人員の御指摘がございましたが、現在、両公庫の役員数は十五名でございますけれども、これを新公庫では十名に削減することになっておりますし、常勤役員は両公庫合わせて十二名でございますが、これを八名に削減することになっております。
ただ、職員につきましては、両公庫合わせまして現在四千八百五十三名のところを八名削減しまして四千八百四十五名としておりまして、やや削減の数が少ないようにも思われますが、これは先ほど来委員御指摘のとおり、貸し渋り対策ということで両公庫とも民間金融機関で対応できない零細企業等を中心に非常に大きな活動をしているわけでございまして、こういう活動のためにも人員の一定の確保が必要であるわけでございます。
今後、官民の金融における役割分担の見直し、時代の状況の推移を常に注視いたしまして、新公庫の業務の合理化、スリム化に努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/11
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012・金田勝年
○金田勝年君 両公庫の政策的使命というのは引き続き重要なわけですから、そういう意味ではしっかりと今後とも組織のあり方については業務の実態から見て適切な見直しを当然していく必要があると思いますが、特に業務の内容について次に質問申し上げたいと思うんです。
新しい公庫の業務の三本柱は、小口の事業資金の貸し付け、あるいは教育に関する小口の貸付資金、それから三つ目なんですが、これが環衛公庫から移るわけでございますけれども、環境衛生関係営業者に対する設備の設置等のための資金の貸し付けで、この三つ目が今回非常に大事な部分だと私は思っておるんです。
環境衛生関係営業というのは、飲食店、喫茶店、理容、美容、旅館、クリーニングなど我々の日常生活にとりまして非常に密接な関係のある大事な分野なわけであります。食品衛生法などの関係法令によりまして強い遵守規定がありながら、零細、専業的な経営形態の多い分野でもあるわけです。私も非常にお世話になっておりますし、これは我が国経済の基盤を形成してきた大事な分野だというふうに思っておるわけです。
この環衛業界の秩序の安定や維持、それから衛生面の行政指導といったような近代化、合理化のための必要な資金面の裏づけということで環衛公庫が昭和四十二年に設立されたと聞いておるわけでありまして、長期、低利、固定という借り手の立場として非常にいい制度であるわけでございます。
これに関しまして厚生省に三点ほど伺います。
融資制度の面あるいは融資枠の面、そして環衛業者の使い勝手の面で利用者が困ったりすることが決してないようにする必要があると思うわけでありますが、その点についてどのように配慮されておるのか。そしてまた、業務のあり方なんですけれども、新公庫におきましても環衛融資部門の存在が非常に重要だと思うわけですが、体制についてどういうふうになっているのか。部が新しく設置されると聞いておりますが、簡単にその辺もお答えいただきたいんです。
そしてまた、国民の衛生水準の向上という大目的、そして環境衛生関係営業の振興という観点からまいりますと、法案の中には主務大臣として厚生大臣が関与するということになっておりますけれども、政策として専門的な知識を持つ厚生省の関与というものも重要な面であろうというふうに感じますので、その辺の心構えも含めて簡単にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/12
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013・小野昭雄
○政府委員(小野昭雄君) 先生御指摘のように、環衛業は非常に国民生活に密着をしております。先生がお挙げになりました各法によりまして衛生水準の規制がなされているわけでございますし、あるいは環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律というのがございますが、これによりまして業者の育成、指導というようなことも行っているわけでございますが、先ほど来御指摘がございますように、非常に零細企業者が多いわけでございます。そういった意味では、衛生水準の維持向上を図りますためには低利融資による資金面での支援が必要でございまして、新公庫におきましても、これらの目的を達成いたしますための制度の基本的な枠組みを維持しながら、社会経済情勢の変化に対応いたしまして制度の改善に努めてまいりたいと考えております。
融資枠の御質問がございました。
環衛貸し付けの融資枠につきましては、年間予算の事業計画及び資金計画で設定することとしておりますし、また環衛資金につきましては、新公庫におきまして四半期ごとに貸付予定額が明らかになりますように事業計画及び資金計画を作成いたしまして主務大臣の認可を得るというふうになっております。
また、組織についてでございますが、新公庫におきましては、環衛資金貸し付けの企画立案等を担当いたします環衛企画部及び環衛融資の審査を担当いたします環衛融資部の二部を設置いたしまして、適切な制度の企画立案や融資業務がこれまでと同様に円滑に行えるような体制としているところでございます。
今後の方向でございますけれども、先ほど来御指摘がございますように、施設設備の整備の必要性、いわゆる衛生水準の確保のためにそういったものが必要でございますし、また業種ごとにいろんな特殊な事情等もございます。そういったことも十分踏まえまして、適切な融資が担保されますように厚生省といたしましてもこれらの融資業務等につきまして改善を図る方向で努力をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/13
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014・金田勝年
○金田勝年君 ぜひしっかり対応していただきたいと思うわけであります。
いずれにしましても、国民公庫そして環衛公庫、両公庫の取引先の大部分が従業員二十人以下の小規模企業または事業者である。そういった中小あるいは零細の企業は経済環境の悪化の影響をもろに受けやすいわけであります。これらの小規模事業者、企業者が経済の基礎的な部分で広範に我が国の経済を支えてきたということをしっかりと踏まえて対応していただきたいものだ、こういうふうに思うわけであります。
最近、もう一つ憂うべき状況の一つとして廃業率というものがあるわけですけれども、これが開業率を上回っている状況にあると言われております。アメリカの経験で申しますと、失業率の上昇はかつてアメリカにおいても悲惨なものであった、そして解雇も当然のごとく行われておったわけですけれども、そういう不況から立ち上がったアメリカの経験を考えてみますと、その原動力として多くのベンチャー企業とか新規開業があった例というものを思い起こすわけであります。
そういうことを申し上げるまでもなく、なかなか民間では融資のベースに乗りにくいような、そういう支援の手が出ない新規開業者への貸し付けというものも政策的に非常に重要なところであって、新しい公庫にとりましても非常に重要な役割だというふうに思うわけでありまして、どうかそういう面でもしっかりとやっていっていただきたいと思うわけであります。
いろいろと質問申し上げたいのですが、時間の関係で大臣から一言所見をお伺いしたいと思うのでございます。
もちろん行革の流れの中で組織の整理合理化は怠りがあってはいけないとは思うわけでございますけれども、今申し述べましたような新規開業支援とか小規模企業者、事業者への支援という本来の政策的使命を持った新公庫につきまして、その重要な役割というものは申し上げるまでもないわけでございまして、今後なおしっかりとその機能を果たしていただきたいと思うわけでございます。
本当は総裁、理事長、大臣から一言ずつ承りたいのでございますが、大臣から一言だけ承って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/14
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015・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 今の貸し渋りという状況は全く異常なことでございますから、政府、民間機関ともどもに極力改善をしなければならないところでありますが、その間に国民金融公庫、新公庫に対する期待は非常に大きいものがございます。殊に、ただいま金田委員の言われましたように、起業家精神というのはやはり市場経済の本当の起爆力でございますから、これが衰えないように、大きいところはよろしいが小さいところは本当に国民金融公庫あたりに助けてもらわなきゃなりませんので、その点も大切なことだと思っております。
また、先ほどお話のありました環衛金融公庫関係を部門あるいは予算等々で別除するということは、もともと環衛公庫は理由があってつくられたものでございますから、特殊法人の整理ということはそれとして、その理由がなくなったわけではございません。したがって、そういうことに対する配慮というものは新しい公庫になりましても十分いろんな方法によってやっていかなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/15
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016・金田勝年
○金田勝年君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/16
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017・伊藤基隆
○伊藤基隆君 民主党・新緑風会の伊藤でございます。
新ガイドライン関連の特別委員会の委員でもありまして、私の財金における質問時間は短時分でありますので、きょうはかけ持ちみたいなことで御勘弁いただいておりますけれども、よろしくお願いします。
さて、国民金融公庫と環衛金融公庫の合併が行われる。このことについては政治のスケジュールの中で取り決められてきたことでありますが、ただいまの大蔵大臣の答弁の中にもありましたとおり、役割がなくなったわけではない。役割がなくなったどころか、昨今ますますその役割が重要視され高まってきた。それは民間の金融機関の状況から相対的に高まった感がなくはありませんけれども、社会全体の中に公的セクターたる金融機関が果たす役割というのは依然として存在し続けているということを昨今の状況は示しているんではないかというふうに私は思います。
私は、民間の金融機関が再生され健全化されて十分な社会的な役割を果たすように一日も早くなってもらいたい。そのための質問を後ほど申し上げますけれども、それと同時に、公的セクターの金融機関の果たす役割というのは社会の状況からして残る、あり続けるわけでありますから、それらをどう整合性を持たせて共存を図っていくか。官業は民業の補完といいながらも、十分にその補完の役割を果たしていき続けることができるかというところに社会政策の基本がなきゃならないというふうに常日ごろから思って、この財政・金融委員会でもその私の考え方で一貫した質問をさせていただいているわけでございます。
昨年、九州地方に財政・金融委員会が視察に参りまして、福岡で銀行界、地方銀行、第二地銀の皆さんと私どもがさまざま意見交換をする場面がございました。その中で、福岡の地場金融状況の説明がございましたが、都市銀行、マネーセンターバンクが昨今の状況の中で福岡の地場産業に対する融資から撤退を図っていってしまった、それに対して地銀、第二地銀が十分に役割を果たして、その穴埋め以上の役割を果たしたという御報告がなされました。それは融資を受けた方と融資をした方の両方の話でありまして、統計数字にもそれが出ておるわけであります。
私はそこで公的金融セクターがどういう役割を果たしたかということにも触れまして、今後グローバル化する金融事情の中で、地場産業、中小企業ないしは自治体の資金の面について守る、そういうシステムをつくる必要があるのではないか。それは地銀や第二地銀ないしは公的セクターに対する資金のルートをどういうふうにするかということも含めて、それぞれの役割分担を共同で行うシステムをつくらないと、金融戦争みたいなグローバル化の中で地域経済、地場産業、地方自治体というものの存立が危うくなる危険性がある、それは日本の基本となっている地域社会の、崩壊とまで言わなくても、弱体化を招くのではないかという立場から、そういうことを呼びかけました。
地銀の皆さんの中から、公的セクター、特に郵便貯金とのイコールフッティングが問題だというようなことが話されまして私は失望したのでありますが、イコールフッティングの問題は存在すると思うし、その議論をしてもいいんだけれども、議論する相手はそういうレベルではなくて、どのように日本の地域社会を金融が公的セクターまたは私企業含めて守るかというところにあるので、ぜひともそういうことに考えを広げていただきたい、伝統的な公的金融憎し、郵便貯金に対する縮小・廃止論のようなものからの脱皮を図るべきではないかという問題提起を行ってきたところであります。
一昨年の状況から見れば、財投は悪の権化みたいに言われて、財投縮小といいますか、中には廃止のようなことがまかり通りました。その後の経済動向の中でそういう声が消えていく、実態がその声を打ち消したわけでありますが、私はこの委員会でも財投廃止を唱えた人にもう一度ここへ来てもらって、同じ考えをまだ持っているのなら言ってもらいたいということも言いましたけれども、経済の実態から黙ってしまうということが起こっております。
私は、政策を論ずるときに、政策だけで物事を突き詰めていくと政策の純粋性ばかりが追求されて、ついには財投廃止論みたいなところに至る、銀行協会がやってきた郵貯縮小・廃止論のようなところに結論が至るということについては大変問題だろうというふうに思います。政治というのはそういうものではなくて、社会全体の整合性を考えた上で議論されるべきではないかというふうに常日ごろから思っておりまして、白なら白、黒なら黒ということは本来成り立たないわけでございますが、しかし政策オンリーで突き詰めるとそういうことに結論が至るという端的な例を示したのではないかというふうに思っております。
そういうことで、私は、国民金融公庫、環境衛生金融公庫の果たしてきた役割を評価しながら、それが統一されることについては、役割が引き継がれるわけでありますから、そのことについては賛成でございますけれども、幾つかの問題についてまずは国民金融公庫の総裁にお尋ねしたいというふうに思います。
ただいまも申し上げたとおり、昨今の我が国の金融機関をめぐる環境の激変と言われるほどの変化がありますが、あるときには取引先金融機関の不都合を招いたり、あるいはいわゆる貸し渋りと呼ばれるような状況を招いたり、中小企業の経営にも大きな影響を及ぼしております。国民金融公庫においてもこうした事態に対応する貸付制度の工夫を行うなど努力をしていることについては承知をしておりますけれども、中小企業の経営維持にどれほど役に立っているのか、みずからの業務に照らして数字で示していただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/17
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018・尾崎護
○参考人(尾崎護君) 先ほどもお答えしたことでありますけれども、平成九年秋の経済対策以降、中小企業特別相談窓口の設置に始まりまして、融資制度の新設、拡充、それから代理店が約九百ぐらいでございましたのを一万四千店舗に拡充するというようなこともいたしました。年末には休日におきましても特別相談窓口を開いてお客様の相談に応ずるというようなこともやってまいりまして、貸し渋り対策にお役に立ちたいということで努力をしてまいったわけでございます。
数字でということでございますが、平成十年度の貸出実績が四十八万八千件、金額で三兆四千億円でございました。これは前年を一万一千件、金額で二千三百億円上回る、そういう結果を上げております。
それから、貸し渋り対策実施後の九年十二月からこの四月までの累計で見ますと、件数は約七十万件という多数の貸し出しを行っております。金額で申し上げましても四兆八千億円でございまして、前年の同じ時期と比べまして約一割の増加ということになっております。
貸し渋り問題が非常に深刻でございました時期に私どもこのような資金供給をすることができましたことは、小規模企業の皆さんのお役に立てたのではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/18
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019・伊藤基隆
○伊藤基隆君 私は開銀法の改正のときも申し上げたのですが、公的セクターが役割を果たしているのは評価されても、みずからの不祥事は起こらないにしても、経営の失敗から危機を招くようなことがありますと社会的責任は非常に大きいわけでありまして、そのことには十分な注意を払って経営に当たっていただきたいというふうに思っております。
引き続き、国民金融公庫の総裁にお尋ねいたします。
現在のような経済金融情勢のもとで、とりわけ中小企業を支援するための貸付業務を行うことは金融機関としてみるとリスク管理が難しいと考えられます。法案にも記されておりますが、「独立して継続が可能な事業について当該事業の経営の安定を図るための資金」を供給するわけでございまして、貸付審査をどのように行うかがポイントとなるというふうに思います。すなわち、厳格過ぎれば中小企業の助けになりがたいというふうに思われますし、ルーズに行えば公庫の不良債権がふえてしまいかねないというふうに思います。
現在の貸付スタンスはどのような事情にあるのか、金融機関としてのリスク管理を厳格に行っていくことに徹するのか、あるいは多少の財政的な負担は覚悟の上で中小企業の経営を助けていくことを旨とするのか、その辺の経営のポイントについてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/19
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020・尾崎護
○参考人(尾崎護君) 私どもも日々非常に悩ましい問題でございます。ただ、貸し渋り対策が国の重要な政策とされているときでございますし、実際、小規模企業の方々は大変苦しい経営をなさっている時期でございますので、貸し出しに当たりましてはできるだけお客様の長所を見出して対応するようにということを日々心がけております。私どもは親身、丁寧、迅速というのを一つのモットーに仕事をしているわけでございますが、そのモットーをこの時期一番生かすべきときではないかというように考えております。
私どものお客様は中小企業の中でも信用力に乏しく経営基盤が脆弱なところが多いわけでございますし、また新規開業の企業、あるいは業歴が非常に浅い企業がお客様に多いわけでございます。このようなところには民間金融機関の融資が流れにくいところでございます。そのようなところには特に積極的に資金需要に応じていきたいというように考えております。
平成十年度の新規開業の企業への融資実績を申し上げますと、環衛公庫から委託を受けておりますものも含めますと、件数で二万五千件を超えております。金額でも過去最高の千九百億円ということになっております。
現在、雇用問題が非常に重要なときでございますが、新しく開業いたします企業が仮に平均四人雇用をふやしてくれますと、二万五千件といいますと十万人の雇用になるわけでございます。そのようなことも考えながら努力をしてまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/20
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021・伊藤基隆
○伊藤基隆君 続いて、通産省にお尋ねいたします。
戦後日本の経済成長を支えてきた大きな柱は中小企業の努力にあったろうというふうに思います。しかし、現在、中小企業をめぐる経営環境は構造的に変化しつつあります。自由主義経済であるから優勝劣敗が原則であって、中小企業もその例外ではないのだろうけれども、中小企業は同時に新時代の成長企業や革新的な起業家を輩出する大切な集団でもあります。グローバル化の中で、従来以上の効率性が求められる事情は認めつつも、安易に中小企業群を切り捨てるような経済運営はとるべきではないというふうに思います。
今後の我が国経済運営における中小企業の位置づけについて基本的な考え方をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/21
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022・殿岡茂樹
○政府委員(殿岡茂樹君) 中小企業についてのお尋ねでございますけれども、御承知のように、中小企業は全企業数の中で九九%を占め、さらに従業員数におきましても六割以上を占めるということで、我が国の経済社会におきまして大変重要な地位を占めているわけでございます。また、新しい事業展開あるいは技術開発の主体としましても、さらに雇用を支える主体としましても、また地域経済の観点から見ましても極めて重要な役割を果たしているというふうに考えているところでございます。
現在、景気低迷が長引いている中でございますけれども、今後の中長期的な経済発展ということを考えますと、経済構造改革が進められる中での中小企業の役割というのは引き続き非常に重要だと考えております。中小企業が機動性とか柔軟性あるいは創造性を発揮して経済のダイナミズムというものを生み出していくという役割が期待されているところでございまして、私どもとしましては、中小企業の今後の活動をどう活性化するかということが大変重要な課題というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/22
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023・伊藤基隆
○伊藤基隆君 引き続いてお尋ねいたしますが、グローバルかつ長期的な展望をすれば、日本の中小企業群はダウンサイジングを免れないのだろうというふうに思われます。二十一世紀に活躍する新生企業を生み出しつつ、日本経済に占める中小企業全体の規模は小さくなっていくのだろうというふうに見込まれます。今後の日本の中小企業の将来を単にグローバルな市場の展開や大企業の経営戦略にゆだね、成り行き任せとしてはならないというふうに考えます。
どのようになさるつもりか。ハードランディングはやむなしとするのか、ソフトランディングを図るのか、ソフトランディングを選択するのであれば具体策は何か、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/23
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024・殿岡茂樹
○政府委員(殿岡茂樹君) 現在、二十一世紀に向けました発展基盤を整備するために経済構造改革というのが進められているわけですけれども、今申し上げましたように、その中で中小企業というのが経済のダイナミズムの源泉として積極的な役割を果たしていくことが期待されるわけでございます。このために、消費者ニーズの変化とかあるいは企業間関係の変化など中小企業を取り巻く環境の変化というものを踏まえまして、多様で活力のある中小企業の育成発展を図ることが必要だという認識でございます。
先生のお言葉をおかりしましてソフトランディングかハードランディングかということで申し上げるとしますと、大変な環境の激変に立ち向かって経営の努力をしようというところにどれだけの支援を集められるかというのが大変重要なことでございまして、これを通じていわばソフトランディングを図っていくというような状況にあるのではないかというふうに思っております。
こうした観点から、中小企業の資金、技術あるいは情報の確保を円滑化するような競争条件の整備、それから第二に創業や経営革新に向けての自助努力の支援、それから第三として環境の激変緩和あるいは再挑戦の機会の提供のためのセーフティーネットの整備、こういった三項目を中心にして施策を練り直すということが必要であろうということで、現在、関係諸方面の意見を伺いながら検討しているところでございます。
具体的には、昨年七月から中小企業庁におきまして中小企業政策研究会というものを設けましてこうした方向について検討を行ってまいりまして、先日この最終報告がなされたところでございます。今後につきましては、六月から中小企業政策審議会という正式の場に移しまして具体的な検討を進めて、できるだけ早くその取りまとめをお願いするというような状況にあるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/24
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025・伊藤基隆
○伊藤基隆君 中小企業に対する産業政策、通産省からのアプローチというのはまさに公的金融セクターとの連係プレーによって成り立つということを肝に銘じていただきたいというふうに思います。
さて、大蔵大臣にお聞きいたします。
いわゆる中小企業金融を行う公的な金融機関として、従来、国民金融公庫、中小企業金融公庫及び環境衛生金融公庫が挙げられておりましたが、今般、国民金融公庫と環境衛生金融公庫の二機関を一体化させて国民生活金融公庫として発足させるという段階を迎えました。中小企業金融公庫とは一緒にならないのか、ばらばらに業務を行って非効率となることはないのか、あるいは国として不統一あるいは不公平な業務を遂行するということにならないのか、これらの疑問がございます。
今後の中小企業金融機関の体制をどのように考えているか、大蔵大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/25
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026・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 環衛公庫のことにつきましては、先ほども金田委員に申し上げましたように、これは十分存在意義があって存在していたものでございますから、それが没却されませんように、制度の上におきましてもまた勘定の上におきましてもきちんと別にいたしまして、その従来の任務を果たしてもらうようにいたしたいと考えておりますし、このたびのこの二つの機関の合併は私は時宜を得たものではないかというふうに考えております。
そこで、中小企業金融公庫のことでございますが、私はこの両公庫発足以来の発展をきょうまで見てまいりまして、かなりはっきり担当している分野が分かれてきておると申しますか、重複していないように考えております。申し上げますとおり、国民金融公庫は一番国民のなじみやすいといいますか、そういう層との接触の多い、また仕事の内容もそうでございますし、貸し出しの内容もまたそうでございますが、中小企業金融公庫となりますと、一種の企業性と申しますか、そういうものの高い貸付層をカバーしているように思われます。
先ほどもお話がございましたが、国民金融公庫の貸し出しの対象の九〇%余りは従業員二十人未満でございますから、そこが、二十人というところが恐らく分かれでありまして、そこで片方はかなり企業性の強いもの、片方は生業的と申しますか、古い日本語で申しましたら、なりわいのようなと申しますか、そういうところが強うございますので、そこははっきり対象が違っているし、また違うことによっておのおのがそれにふさわしい審査なり貸し出しなりを受けておるというふうに考えております。
したがいまして、もしこれを一緒にいたしますと、恐らく仕事をごっちゃにすることはできませんで、仕事そのものをもうはっきり審査から何から別々にしなければ有効な機能を果たし得ないのではないか。しかも、それは非常に大きな機関になると思われますので、そういう実情の中でこの二つの公庫が一緒になるということは、大変に非生産的なと申しますか、プロダクティブでない結果になるというふうに考えております。
また、実際、両公庫とも発足以来この数十年の間におのおのそういうはっきりした分野を分けて持つようになりましたことは成功であったと思っておりますから、これを一緒にするということにつきましては私自身は適当なことではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/26
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027・伊藤基隆
○伊藤基隆君 大蔵大臣から現段階においてしっかりとした方針をお伺いしまして、大変よかったというふうに思っています。
金融再生委員長にお伺いします。
実はシリーズ的に幾つかの質問を用意したのでありますが、都合によりまして一問になってしまいました。また次のチャンスにお聞かせいただきたいと思います。
欧州単一通貨のユーロが発足しまして、GDP世界第二位、経常収支第二位、そういう力を背景に巨大な金融領域を形成することになりました。ここ一、二年でユーロ域内に続々と巨大総資産を擁する大銀行が誕生するということも必然だというふうに思っております。ユーロ地域内の指導的大銀行が向けている視線の先には、ドイツ銀行がバンカース・トラストを買収したように、米銀やアメリカ各種金融機関との合同提携があって、いずれ次々とそれは実現されていくのではないかというふうに思います。
今後、日本の銀行群が国際金融・資本市場で戦う相手はそれぞれ巨大な米国銀行とユーロ銀行群であります。一方、日本の銀行界の現状はまだ二、三年は縮小均衡化という逆の体制にとどまらざるを得ません。自由化を終了した米銀、狭隘な自国通貨という制約を取り払った欧州大陸銀行群との全面対決どころか逆に全面撤退中であって、現行布陣の維持が精いっぱいではなかろうかというふうに思います。
できるだけ早く金融再編を収束して足腰の強い銀行群の再生を図らなければならないと考えますが、国としての戦略、銀行業界の準備あるいは個々の銀行の対応はどうなっているのか、その点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/27
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028・柳沢伯夫
○国務大臣(柳沢伯夫君) もともとアメリカは自国通貨が世界の基軸通貨であるというようなことで大きな力を発揮しておりました。そこへEUが統一通貨を持つに至ったわけであります。
先般、私は、イタリアの小さな、しかしなかなか優秀な企業が、ドイツでしたかの銀行の世話で資金調達を図る、そういう姿を目の当たりにする報道に接しました。そのイタリアの中小企業主は、ああ、EUになってよかった、自分の国のイタリアのリラでこういうボンド発行なんということをやろうとしても、それは随分底の浅いものであったから、そのボンドの条件というのは非常に厳しいもので、あるいは自分のようなところはそういうお世話をしてもらえなかったかもしれない。それがEUになったことによって、自分の発行する債券がもうヨーロッパのあらゆるところに売られていく。市場の厚み、市場の広さ、こういったもののおかげで自分の資金調達が円滑にいくようになった、EU統合の、通貨統合の余慶を具体的に自分もあずかったというような話を見ておりまして、これは我が国もとても横目でのんきに見ているわけにはいかない動向だなという感じを強くいたしたわけであります。
そこで、私どもももちろんこのことに手をこまねいているわけではないわけであります。私は今回この金融二法を担当するようになりましたけれども、アメリカの例を見るまでもなく、やはり金融業というものをサービス産業の中の非常に大きな部分、つまり戦略的な部分というように位置づけて、これを産業としても伸ばしていくというような政策スタンスが根底になければならない、このように考えて臨んでいるわけでございます。
そういうようなことで、何よりも日本は例えば地理的にも二十四時間地球に与えられている時間のちょうど三分の一を担当するという立地条件にあること、さらには幸いにして国民の貯蓄、いわゆる家計の個人金融資産というものが千二百兆円になんなんとするような大きな塊として私どもは与えられていること、こういうものを使って金融業の戦略産業としての発展を期してまいらなければならない、このように考えておるわけでございます。
世界の動向を見ましても、一つは情報関連に対する投資能力、これは相当の規模でありますから大きな収益力がなければならない、これはもう自明でございます。さらに、先ほどちょっと例を申し上げたように、信用を背景としたいろんな金融的なお世話をするに当たっても、信用力、資本力が大きければ大きいほど大きな仕事ができるというような傾向があって、大きな合併も行われているというように見受けておるわけでございます。
そのようなことから、私どもは今回の資本増強ということを機縁にしまして、資本増強をしてゆとりができたんだから、そのゆとりある頭脳でもって少し戦略的な構想をそれぞれの銀行に描いてもらいたいと私は強くお願いをしております。いたずらに、健全化計画で出してあるから、あのとおりやればいいなどというようなことに甘んじられたのでは困る、私はそのように思っております。
そういうようなことで、健全化計画を上回るように、また場合によってこの健全化計画に至らないようなところが競争の中で出てきた場合には、早速いわば再編の一つの要因としてこれを活用していきたい、こんなふうにも考えておりまして、そのようなことを常に個別の銀行、日本の金融界を構成する個別の金融機関に呼びかけているところであるし、今後もそのようにしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/28
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029・伊藤基隆
○伊藤基隆君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/29
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030・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 同僚の伊藤委員の質問に関連して質問をさせていただきます。
きょうは時間も余りありませんので、先般来、当委員会において金融再生委員会の皆様方にお願いをいたしております長銀とゴールドマン・サックスとのアドバイザリー契約の開示の点についてだけお聞きをさせていただきたい、このように思っております。
まず、その質問に入らせていただくに当たりまして、ただいま柳沢国務大臣の方からお話がありましたけれども、日本の金融機関に何とか立ち直ってもらいたいという熱意は私も全くそのとおりだというふうに思っておりますし、また今までの護送船団方式を変えて透明なルールに基づいて行政を行っておるということだと理解をいたしております。
そういう中で、なぜゴールドマン・サックスと長銀とのアドバイザリー契約の開示を要求させていただいておるのかということをもう一度この場で述べさせていただいて、またきょうは金融機能再生緊急措置法、この法律に基づいて少し御議論もさせていただきたいと思いますので、委員長の御許可をいただきまして、一部その該当する箇所のコピーを配付させていただきたいと思います。
〔資料配付〕
さて、質問の方ですが、なぜ長銀のアドバイザリー契約を開示していただきたいかということなんですが、申すまでもありませんけれども、この契約は原資が税金から出ておるということだと思います。債務超過にある、破綻してしまった金融機関でございますので、当然そのお金を自費で払えるわけがございません。そうすると、一説には数億円とも数十億円とも言われておりますそのアドバイザリー契約が本当に必要なのかどうか、その点についてぜひとも国会の場において検証していくことが必要なのではないか、そういう観点から先般来質問、また資料請求をさせていただいておるわけでございます。
さて、今申し上げましたけれども、この金融機能再生緊急措置法、ちょっと長いので金融再生法と申し上げさせていただきますが、この第三条には「金融機関の破綻処理の原則」というものが定められております。金融機関の破綻処理の原則は一から六まであるわけでございます。該当するところのみ読み上げさせていただきますけれども、一の「破綻した金融機関の不良債権等の財務内容その他の経営の状況を開示すること。」、これはしたがってゴールドマン・サックスとアドバイザリー契約を結ばれたということであれば、その内容も含めて開示していただきたいんですけれども、さらに加えて、私は六の方が大事だと思いますが、「金融機関の破綻処理に係る費用が最小となるようにすること。」としっかりと原則の中で定められております。
そうすると、もともとの金融再生法の議論の中で、特別公的管理に入った銀行の処理、それは第五十二条で書いてあるわけでございますけれども、アドバイザーを雇うということは、先般御答弁いただいたと思いますが、もともとは想定をしておられなかったということでございます。いろいろなことを勘案して雇われた、私はその雇ったということがそもそも悪いということを申し上げておるわけではございませんけれども、ここに書いてありますように、「金融機関の破綻処理に係る費用が最小となるようにすること。」となっておりますので、果たして本当にそれによって最小になったかどうか、その検証が必要なのではないかな、こういうことを申し上げさせていただいております。その検証をするためには、契約の中身を見せていただかないことには検証をすることができないのではないか、こういうことで先般来、資料請求をさせていただいております。
ここで、まず第一の質問に入らせていただきますが、ではこの契約を開示しない場合に、再生委員会としてはアドバイザーを雇ったことが費用が最小になるんだよということを国会に対してどうやって証明されるつもりなのか、その点についてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/30
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031・森昭治
○政府委員(森昭治君) お答え申し上げます。
金融再生委員会が昨年十二月十五日に立ち上がったわけでございますけれども、そこから種々資産判定等をやっておるわけでございます。
特別公的管理銀行についての一番の目標は何といっても早期処理、受け皿銀行を一刻も早く見つけて引き継ぐ、それが最大の目標であり、それが先生御指摘の三条六号にございます費用の最小化につながるものと、このように再生委員会は考えて、その際、グローバルな観点から見ると、現在MアンドAということで受け皿を探すにはやはりフィナンシャルアドバイザーというものを雇うことが世界の慣行となっておるということも考えまして、FA制度を活用して早期に特別公的管理銀行の受け皿を探すということを金融再生委員会としては判断したわけでございます。
現在、長期信用銀行につきましてはその最終段階にあるわけでございますけれども、我々としては、こういう世界のプラクティスにのっとったFAの活用というものが国民負担の最小化につながるものと確信している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/31
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032・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 私は、どうやって証明するのかということで、FAを雇ったことを否定しているわけではありません。再度答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/32
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033・柳沢伯夫
○国務大臣(柳沢伯夫君) 先生に対する資料要求のお答えにつきましては、結論的に言いますと、私どもは今回もお断りをさせていただきたいということでございます。
それはどういうことかと申しますと、一つには、まだこの制度のもとでFAをほかに雇うようなケースもあるかもしれないと。私どもは、そういうような契約についてもまた費用最小の原則で、前がこうだったから今度はこのくらいでいいだろうというようなことのないようにしていきたいということを考えていること、それからまた商売の問題として、守秘義務というか、守秘を望んでおるという相手方の事情にも一定の配慮をすることによって、この段階でもなお先生の御要望には応じかねるということをぜひ御理解いただきたい、このように考えているわけでございます。
費用が最小のことをどうやって証明するんだということでございますが、これは私どもはFAを雇うに当たって世界に向けてその候補者を募集したということ、そしてそれを第一次的には書面審査でもって主として能力的な観点あるいはいろいろな知名度の観点から選別して七社に絞ったということ、それから今度はその七社からいろいろな費用の面等のことを具体的に御提案いただいて、その中で最も私どもに納得的であり、またその中身と費用との関係で最も安いところに落札をして決定させていただいたと、こういうような経過をたどっているところでございまして、この経過によって、FAを雇うとすれば一番最小の費用ということに結びついたということは先生方にも御理解いただけるところではないか、このように考えます。
なお、先生はここのところを、そこまで費用は最小であるべきだということでございますけれども、私どもこの条文を見るときには、もちろんこのような個々の具体的なケースにおいても費用をできるだけ節約する、最小にするということを私どもも法律によって命じられているという受けとめ方をしておりますが、なかんずくここで我々が受けとめているところは、社会的な費用の最小のところをむしろこの再生法においては健全化法と違って配慮しているということを最も強いメッセージとして受けとめている、このことを付け加えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/33
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034・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 今の御答弁ですと、契約を開示すると次の契約が高くなってしまうというふうに聞けたんですが、一方で入札をしているんだから一番安いと。多分そこに少し矛盾があるんではないかなというふうに思います。
それから、同再生法の第五条に、「政府は、おおむね六月に一回、又はその求めがあったときは直ちに、破綻した金融機関の処理のために講じた措置の内容その他金融機関の破綻の処理の状況を国会に報告しなければならない。」となっております。長銀が特別公的管理になりましたのは昨年の十月二十三日というふうに聞いておりまして、もう既に六カ月経過をいたしております。七カ月近くたっておるということでございますし、またその求めがあったということで、この第五条に基づいてもぜひ再度当委員会に資料請求を委員長にさせていただきたいというふうに思います。
時間の関係で最後にさせていただきますけれども、大変透明な行政が求められているということは明らかでございますし、また先般、長銀の安斎頭取がすべて終わったときには少なくとも公表するというふうに発言をしておるわけでございます。そして、先ほど、もうすぐ長銀の売却ができるということだったかもしれませんので、もし近々できるということであったら、終わってからでも結構でございますから、その歴史の検証ということも必要なのではないかなというふうに思いますので、ぜひ契約書の開示を要求したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/34
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035・柳沢伯夫
○国務大臣(柳沢伯夫君) この第五条でございますか、国会ができるだけ情報を共有する形でこの手続が進むようにというような趣旨から出た規定がなされておりますが、私どもは、そうかといって、六カ月たったら何か決算書のようにそこで締めてというふうには考えておりません。このおおむねというところは、半年に一回ぐらい一つのまとまりとして仕事が終わるんじゃないか、節目ができるんじゃないか、こういうように受けとめさせていただいておりまして、私どもは長銀の売却が済んだ段階でその経過等、たまたまこれが初めてのケースでもございますので、再生法の運用を我々再生委員会がどのように行ってきたかということを含めてこの際国会報告をいたしたい、そういうふうに考えて段取りをしておるところでございます。これはまたそういう段階になりましたらぜひ先生方に御報告させていただきます。
なお、長銀の安斎頭取が申したことは、安斎さんは御自身のことだけ考えておって、これが終われば自分としてはオープンにしていいんですよというようなことを申したわけでありますが、私どもは全体の流れというものを考えておりますので、その時期については、今言ったような諸般のことを考慮に入れてこの契約の開示──契約の開示をいたさないとは私も一度も申したことはないのでございます。ただ、そのタイミングを考えさせていただきたい、この点については理解をいただきたいということを申しているだけでありまして、安斎頭取のこの発言の趣旨も同様と思いますが、私どもは安斎頭取のように一行のことだけを考えるのではなくて、この制度全体の運用の流れを考えてしかるべきときに開示をさせていただきたい、このように御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/35
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036・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/36
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037・勝木健司
○委員長(勝木健司君) ただいまの浅尾君要求の資料、新たな資料要求という形であれば理事会において協議をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/37
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038・浜田卓二郎
○浜田卓二郎君 公明党の会派を代表いたしまして質問いたします。
政策金融というのはマーケットにゆだね切れない分野について政策的な配慮を加えていく、端的に言えばそういうことだろうと思います。
実は環衛公庫は以前はなかったわけで、国民金融公庫の中から環衛部門を分離独立させたという経過がございます。分離独立させて、その後、きょうは坂本理事長もお見えでありますけれども、環衛公庫は主管が厚生省ということでやってきたわけであります。
分離させるときの議論を全部承知しているわけではありませんけれども、多分、社会福祉とはあえて言わないまでも、社会政策的な配慮が必要な分野があると。もちろん国民金融公庫そのものも、通常の市中の金融機関にゆだね切れない中小零細企業を中心としたそういう産業政策的な配慮が必要だから国民金融公庫という形で政策金融を始められたんだろうと思いますが、その中からさらに抜き出して環衛で特別に見ようというのが少なくとも分離したときの経過だったと思います。
評判が余りよくない環衛族というのも自民党の中にはあるわけでありまして、私もかつてはその一員であったわけでありますが、厚生省に対して社会政策的な配慮を求めるという見地から、枠の確保とか融資条件の改定とかいうことを絶えず政治的に要請されてきた分野でもあるわけです。例えば公衆浴場、これはなかなか経営が大変でありまして、では、町の中からお風呂屋さんが一軒もなくなってしまっていいのかという議論が大分ございました。ですから、例えば公衆浴場に対する特別の融資条件なるものも環衛公庫の中でいろいろ協議されて決められてきた経過もあったわけであります。
今回、そういう配慮が要らなくなった、だからまたもとに戻して国民金融公庫というもう一つ大きな枠の中で処理すればいいというお考えなのか、あるいは一緒にしても今申し上げたような社会政策的な配慮は引き続き確保していけるという判断であるのか、その辺について、環衛公庫サイドのお考え、厚生省サイドのお考えを聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/38
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039・小野昭雄
○政府委員(小野昭雄君) 先生もよく御存じの話でございますけれども、環境衛生金融公庫の環衛貸し付けについてでございますが、環境衛生関係の営業につきましてはいわゆる公衆衛生上の見地から衛生水準を高めるということが必要でございます。また、非常に零細企業が多いというふうなことも考えますと、近代化を促進いたしまして、こういう分野の公衆衛生の向上を図るということもまた重要でございます。そういった意味で、融資制度につきましては、環衛業はいろいろ業態が異なっておりますので、それぞれの業種の実情を踏まえながらきめ細かな融資条件を設定しているところでございます。
一例を挙げますと、一般貸し付けについてでございますけれども、貸付限度額は飲食店営業で七千二百万円、旅館営業で三億円といったように業態ごとに設定をされております。貸付期間は十三年というふうに長期になっております。また、衛生設備等に関します特別の利率も設けられております。
また、このほかに環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律というのがございますが、これに基づきまして、環境衛生同業組合が組合員の営業の振興を推進いたしますために振興計画というのを策定いたしまして厚生大臣の認定を受けるわけでございますけれども、その場合に、振興事業につきましては、貸付限度額につきましては飲食店営業は一億五千万円、旅館営業は七億二千万円などと引き上げられるわけでございますし、貸付期間も十八年とさらに長期になります。また、利率も特別の利率が適用されるわけでございます。
ただいま先生御指摘の今回の統合に当たりましてこのようなものがどうなるかということでございますが、環衛貸し付けにつきましては特別の融資枠を設定いたしますとともに、専門の担当部門を設置いたしまして、今申し上げましたような環衛貸し付けの特性に十分配慮した制度運用をこれまでと同様図っていくことといたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/39
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040・坂本龍彦
○参考人(坂本龍彦君) 私どもは政府がお決めになりました政策融資の制度に従いましてこれを確実に実行していくという立場でございます。
ただいまの生活衛生局長からの御答弁の趣旨を踏まえまして、これまでも環衛業の振興、国民生活の充実のために融資を実施してまいりましたが、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/40
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041・浜田卓二郎
○浜田卓二郎君 一緒にしても従来の環衛公庫が追求してきた政策目的はいささかも支障を来さない、そういう御答弁の趣旨だと思います。
それでは、支障がないことはわかったという前提で、ではこれを統合する積極的な意味というのはあるんですか。
先ほど来、例えば役員の数が少し減るとか職員の数が少し減るとかありましたが、形の上ではほとんど変わらないというふうに思います。私自身は、橋本首相のもとで進められてきた行革に対して、かなりの部分は数合わせであって、大騒ぎする意味があるのかという批判をしてきた一人でもありますので、これは国民公庫の尾崎総裁がいいのかどうかですが、統合のメリットといいますか、行政改革のなるほどというような積極的評価というのはできるのかどうか、ちょっと御感想でもお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/41
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042・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 特殊法人の整理合理化ということを内閣が掲げてまいりまして、これはその一つの例になるわけであります。
特殊法人の整理合理化そのもののメリットというのはいろいろに議論されると思いますけれども、いわゆる市場経済といいますか、政府、政府関係の機能、機構というものはなるべく小さくして、国民がもっと大きなエネルギーを持つようにという基本的な理念の問題としては一つメリットがあるであろうと。結果として、両方合わせたら人間は幾らも減っていないとか、総裁の数が一人減るだけだとかいう御議論は確かにございますけれども、政府、官というものの機能、機構をなるべく小さくして民に移していこうというもとの思想はそれなりのメリットがあるだろうというふうに私は思っております。
ただ、浜田委員のおっしゃいますように、現実にやってみるとどうも数を合わせただけではないかと。木に竹を接いだとまでは申しませんが、どうもそういったような統合もあるようであって、メリットなのかデメリットなのかわからぬという御批判があることは承知をいたしております。その中で、この国民生活金融公庫の設立というのは、こういう統合そのものは私はかなりふさわしいものであると。確かに統合にもいろいろございます。大変いいもの、少しいいものとでも申しておきますか、いろいろございますが、これなどは大変に自然な統合ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/42
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043・浜田卓二郎
○浜田卓二郎君 あえてここで大議論をするほどのことはないなとは思っておりますが、ただ特殊法人の整理、統合、見直しというのはみんな言うんですね。
何のためにやるのか。それは結局その政策目的が今の時代に本当にその必要性が変わっていないのかとか、あるいは本当にスリム化するおつもりであれば、補給金とか出資金とかいうものまで出して金利を薄めて、そして特別の金融としてやる意義があるのかと。あるいはまた、金融機関だけではなくて、あえて固有名詞は出しませんけれども、もう十分民間でやっていけるじゃないか、何で能率の悪いパブリックセクターがあえてやらなきゃいけないのか、そういうものをきちんと吟味していくことが見直しであって、ですから先ほど伺ったわけで、マーケットに任せ切れないから国民金融公庫でやりました、さらにもっと社会政策的な配慮が必要だという、本当に必要かどうか一つ一つ見ていかなきゃいけませんけれども、そういう配慮があって環衛公庫ができたと思うんです。
だから、そこのところの議論を本当にするのが行革であり、統廃合のあるべき姿であって、もとは一緒だったんだからくっつけてしまえば一つ減って成果が一つ上がったよというぐらいだったら、では今までの政策的配慮は何だったのかということにもなりかねないわけでありまして、今の大蔵大臣の御答弁、ひとつどうかこれからの行革、統合の進め方の中で何がポイントかというのを、もう釈迦に説法でありますけれども、考えていくべきだろうというふうに思いますのであえて申し上げたわけであります。
それで、尾崎総裁、国民生活金融公庫ということで、今後、大所帯でやっていかれるわけでありますが、財投について、郵便貯金が将来、時点はまだ法律的といいますか、基本方針としても明定されておりませんけれども、日遠からずして郵貯を切り離していく、そういう基本方向はどうやら決まっているようであります。そして、新公庫の資金調達の手段として、将来を考えれば郵便貯金から離れて、独自の債券発行、それから短期借り入れということになっていくわけでありますけれども、どうでしょうか、これだけ巨大化している公庫の資金調達の手段として将来不安がないのか、あるいは確たる見通しが持てておられるのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/43
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044・尾崎護
○参考人(尾崎護君) 国民生活金融公庫のあり方につきまして私が発言いたしますのは少し出過ぎたことなのでございますが、せっかくのお尋ねでございますので、国民公庫、私は大体五年になりますが、その経験からの感想ということでお聞きいただきたいと思います。
国民金融公庫は経営基盤の脆弱な小規模企業に安定的かつ低利な資金を供給するということが目的でございまして、それは国民生活金融公庫にも引き継がれることになっております。そういたしますと、とにかく資金調達が円滑かつ低利で行われませんと仕事がうまくいかない、そこが基本であろうかと思います。
従来、国民金融公庫は資金調達の面ではすべて財投資金依存ということでやってまいりました。国民生活金融公庫は、加えまして、債券発行が認められる、それから短期の資金繰り資金は民間の金融機関等から借り入れることができるという新しい権能が与えられることになっているわけでございます。
しかし、実は国民金融公庫は債券発行のノウハウがございません。今までしたことがありません。環衛公庫も同じことでございます。したがいまして、これを円滑に行っていくためには相当の時間が要るのではないかと思います。その間はやはり財投資金のお世話にならないと私どもに期待されております仕事は円滑に進まないということになろうかと思います。
短期の借り入れでございますが、これは実は既に貸し付けました資金の回収と新しい貸し付けの間にちょっと時間的なギャップがございます。大体月の初めに回収が入ってまいりまして、月の終わりに貸し付けがどっと出ていく。その間の資金繰りをわずかな期間の借り入れで賄っていくために短期の借り入れができるということは業務の上で大変便利になるのではないかというように思いますが、これはあくまで内部の資金繰りの話でございまして、お客様にお貸しする資金の原資になるというものではないわけであります。
どのぐらいの時期になるかちょっと見当つきませんが、仮に自分で債券を発行していくというような状況になりましたときに、一つ考えられるのは、政府保証をいただけるかどうかということではないかというように思います。先ほど申しましたように、長期、安定的かつ低利の資金を中小企業者のために提供していくという点から申しますと調達金利はできるだけ低い方がいい。そういう意味で、その場合には政府保証というものをぜひ御配慮いただくようにしてほしい、そう考える次第でございます。
ちょっと出過ぎたことでございますが、御質問でございましたのでお答えさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/44
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045・浜田卓二郎
○浜田卓二郎君 どうもありがとうございました。
実は矛盾に満ちてくるわけです。政策目的の必要性が高まれば高まるほどマーケットにおける裸の評価というのはそう高くなるはずがないわけです。つまり、回収の可能性とかそういうプロフィタビリティーみたいなものからすれば、政策目的が必要な分野であればあるほどそんなに高くならないはずですから、おっしゃるように、多分、政府保証でもつけなければ債券を発行したってそう簡単に、しかも低利で買ってもらえるという保証はないんだろうと思うんです。
後の議論になりますけれども、今まで財投機関と言ってきましたが、これからどうなるのか、その将来像というのをもっと具体的に議論していかなきゃいけない時期に来ていると思うんです。ですから、総裁の言われるように、では国民生活金融公庫が債券発行に習熟してマーケットから巨額の資金調達が容易にできるようになる、もう財投のお世話になりませんというのにいつからなれるのかという問題も、これは今お答えいただくということではありませんけれども、考えて、そして将来像を考えていかなきゃいけないと思うんです。
いずれにせよ、政策金融の政策目的が必要だということになれば、つまり国として政策的に金融をやらなければならないと考える、これを肯定するのであれば、この財源というのは、日本の広い意味の金融マーケットで考えた場合に、郵便貯金があります、民間預金があります、それから債券市場があります、公債・国債市場がありますが、その中で、政策金融が必要だということになれば、一番自然なのはやっぱり郵便貯金がそのためにあるんじゃないかというふうに考えてしまうんですけれども、大蔵大臣、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/45
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046・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの御指摘並びにその背景についての御理解はよくわかっておりますし、総裁もそれをわかってお答えになっておられたように思います。つまり、先ほども財投の問題についてはちょっと御議論がございましたが、そういうことにも幾らか浜田委員も触れておられるように思います。
しかし、とにかくこの財投預託というものはやめるんだという前提のもとに考えることが入り用なんだろうと思いますが、そうしますと、資金を出す方だけから考えましたら、それは財投機関がおのおの債券を出すとか、そのときに政府保証をつけるつけない、あるいは財投債なんというものもあるのかもしれません。しかし、これは言ってみれば国債でございますので何のことはないわけですけれども、そういうもので賄っていくということもあるかもしれません。あるいは、その財投債をまた郵便貯金や年金が買ってくれるかもしれないといったような、そういうぐるぐる回った感じになってまいるのかもしれませんが、そこはもう少し展開をいたしてみないとわかりません。
しかし、いずれにしても浜田委員の言っておられることはごもっともだと思うのは、国民生活金融公庫なんというものは、先ほども申しましたように、国民の一番生業的な部分あるいは本当に家計における入り用な部分まで触れようとするぐらい国民に近い部分でございますから、ここがそんなにもうかったり債券が大変売れたりするはずはないのでありまして、そういう機能あるいは使命を持っている金融機関であれば、ここは何とかそれに必要な資金というものは最終的には国が確保することを考えなければならないと思います。
その方法はおっしゃいますようにいろいろあろうと思いますけれども、そこのところは国民生活金融公庫が大事であれば、またその機能を果たすために国民から高い利子を取ったりなんかできないはずでございますから、そうすればそれは国が直接にファイナンスを考えなければならない、そういうことには間違いないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/46
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047・浜田卓二郎
○浜田卓二郎君 私は今まで議論が非常に粗雑だったような気がしてならないんです。つまり、いきなり財投の廃止論でなくて、財投というのは今の時代でどう見直したら何が残るか、あるいは何が要らないかという、そのいわゆる政策目的、あえて税金まで使って金利を薄めながら政府保証もしながらやる金融といいますか、政策金融のあり方というものを個々に吟味しなきゃならない、その議論が今までほとんどできていないんじゃないかという気がするわけです。
せっかく郵政省に来ていただいているので、同じことで一言伺います。
いつになるかわかりませんけれども、郵便貯金は全部自主運用ですよと。そのとき郵政省になるんですか何省になるんですか、新しい官庁が自主運用を全部するんですよというふうになったと仮定します。そうすると、こういうことが起きるわけです。郵便局長さんのおしりをたたいて零細貯金を、皆さん熱心なまじめな人たちですから一生懸命集める。何のために貯金を集めさせるんですか。この集まった今で言うと二百五十兆、これを損しないように運用するためにそれだけの資金を政策的に集めます、そういう国の仕組みというのが私は本当にあり得るんだろうか。何のために無理して資金を公的に集めるのか。それは自主運用をするためでございますという答弁では、私はそんな国の制度というのはあり得ないんじゃないかと思うんです。
簡保はまだわかります。公的に小口といいますか便利な手段である程度自己で予定利回りを実現しようというのはまだわかります。だけれども、この巨額な資金を集めて損しないように運用します、損しないように運用するために巨額の資金を集めますという制度が本当に許されるのか。私はそうじゃないと思うんです。もう時間が来ましたから、ひとつ御答弁いただきたい。
もう一つは、これは大蔵省のどなたでも結構ですが、将来の財投の姿というのをきちんと早く決めなきゃだめです。財投機関だけこうやって統廃合していったりしながら、将来はまだわかりませんと。尾崎さんのところで債券発行に習熟しなかったら一体どうするんですか。それもこの法案を出す前提としてきちんと議論していく必要があると思うんです。
粗雑だとあえて失礼を省みず申し上げましたけれども、郵便貯金制度、政策金融制度を含めた財政投融資制度、同じ財投の中でも政策金融で是認できるものともう今の時代にはというものが混在しているわけですから、そこのところをきちんと区別した議論をしていただきたいということで、郵便貯金の将来像と財投の将来像を一言だけ、一言で答えられるかどうかわかりませんが、伺って私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/47
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048・松井浩
○政府委員(松井浩君) 御案内かと思いますが、郵便貯金事業の目的は郵便貯金法の第一条に規定されているわけでございます。「郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによつて、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」となっています。つまり、国策として民間資金を集めることそのものが行政目的ではないということでございます。
これは全額自主運用になりましても変わることがないと思っておりまして、特に金融ビッグバンが進展する中で、一種のシビルミニマムとしての小口の個人を対象に貯金とか送金決済などの日常生活に不可欠な基礎的な金融サービスをあまねく公平に提供することはますます重要になるものと考えております。
アメリカやイギリスでも、どんどんと競争が進むごとに地域間格差の問題とか顧客間格差、お金持ちとそうでない人との差というのがいろいろ言われております。そういう中で、こうした使命というものはこれからもなくなることはない、むしろ逆に別の面で注目されていくのではないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/48
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049・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 財投預託が廃止されるということでありますと、その影響は極めて大きゅうございますから、将来に向かっての見通しを十分はっきりすべきであるという御指摘はそのとおりと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/49
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050・浜田卓二郎
○浜田卓二郎君 もう一言だけ郵政省に。
今の御答弁はお立場上当然だと思うんですけれども、出口のない入り口というのは余り意味がないんです。何のために入り口をつくるか。これは出口を考えてつくらなきゃならないと私は思いますから、そこは今後の郵便貯金のあり方を本当にどうするのか、検討していっていただきたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/50
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051・池田幹幸
○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。
一九六七年に国民金融公庫から環衛公庫が分離して、それ以来三十年になるわけですけれども、分離の際の新聞報道等を見てみますと、先ほど浜田委員が言われたように、評判の悪い環衛族が動いてこれをやったんだということが書いてあります。当時の新聞、ちょっと見出しだけを見ても大変なものです。ともかく、国民金融公庫で十分目的が達成できるじゃないかとか、国費のむだ遣いだとか、天下り役員のために新設されたものとか、さんざんな評価が下されております。そういう点で、私はこれらの批判はいずれも当たっていたというふうに思うんです。
三十年たった現在これが正されるという意味で私は今度の統合については賛成するものなんですが、衆議院での論議を見ていますと、宮澤大蔵大臣は、いや、これは歴史をもとに戻すんじゃなくて進歩としてとらえるんだというふうに答弁しておられました。そうであるならば非常に結構なことなので、単に戻すだけじゃないんだ、環衛公庫の際に問題となったいろいろな問題もあるし、そういう点では政府系金融機関として国金の役割をもっと発揮させるんだと、それは賛成です。
それならば、分離の際に問題になったもろもろの問題、そういったことが解決されておればいいんだけれども、いまだに引きずっている問題、こういったことについてはこの時点ですっきりさせる、再出発に当たってすっきりさせるということが大事じゃないかと思うんです。
例えば当時問題になった同業者組合の推薦の問題、これはもう金融機関として異常です。金を借りるのになぜ同業者組合の推薦が要るのか。こういった問題がそのまままた引き継がれていくとかあります。
それからまた、この設立に当たっては、その当時、労働組合が、同業者組合の問題とか、あるいは要するに分離することに反対だということで反対した、そのことをとらえて賃金差別とか昇給差別をやったということが自来ずっと続いてきて、四年前に東京都地方労働委員会で不当労働行為だということで救済命令が出たけれども、しかしそれも解決されないままでまだぐずぐずしております。
こういった不正常な状態、誤った問題、過ちはこの際ひとつすっきりと清算して、まさに大蔵大臣が言われる進歩の方向、国金を本当にもっと国民に役立つもの、中小企業にとって役立つものにしていくという方向での再出発にしたらどうかということを考えておるんですが、まず大蔵大臣の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/51
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052・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう話は私も聞いておりますけれども、仮に融資の貸し付けについて環境衛生同業組合を経由するというようなこと、それから都道府県知事に行くのでございましょうが、直接都道府県知事に依頼することも差し支えないんだというようなことも聞いております。その辺のことは恐らく環衛組合というものの存在をきちんとしたいということからいろんなことがあったのでございましょう。そういうことは聞いていることがございます。
しかし、それはだんだんに関係者の間で解決されるべき問題でありますし、労使問題も耳にいたしますが、これは雇用関係の問題ですから、当該公庫、法人において解決してもらいたい、政治が何か申すことではないだろうと思っています。
いずれにしましても、こういうことで一緒にやっていくということで、その辺のことは関係者の皆さんにわかってもらって、新しい公庫の発足がうまくいきますように、総裁以下役員にも御配慮を願いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/52
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053・池田幹幸
○池田幹幸君 そういう点で、国金の総裁、尾崎さんの方でもこれは十分考えていただきたい問題なんです。私たちもこれから国金をどうやって発展させていくかということできょうも質問させていただくわけで、過去の過ちについてはきちっと清算するということで新しい出発をするべきだろうということを申し上げておきたいと思います。
さて、国金の問題をやる前に、私はまず今の銀行の貸し渋りの問題を少し伺いたいと思うんです。
日銀の貸出・資金吸収動向、これは十四日の発表なんですが、それを見ますと依然として大変な状況です。金融機関五業態の貸出平均残高が前年同月比五・二%減で最大の落ち込み、前年割れは十六カ月連続。都市銀行、長期信用銀行、信託銀行の大手銀行では八・二%減ということで、大幅に減少したというふうに出ております。
私は、このことは貸し渋りとか貸しはがし、こういったことを批判された大手銀行の融資態度が七兆四千五百九十二億円という公的資金投入にもかかわらず依然として改善されていないということを示しているんだろうと思うんです。
中小企業庁からいただいた資料によりますと、中小企業金融安定化特別保証制度、いわゆる貸し渋り対策なんですけれども、これの二十兆円の枠組みで三月末までに利用されたのが全体で十四兆四千二百二十三億となっております。そのうち銀行五業態の貸し出しは九兆二千九百億なんです。
そうしますと、これだけの貸し出し、二十兆の枠をつくって保証協会の保証つきで貸し出した。十四兆も出ておる、五業態だけでも九兆数千億出ておる、だからそれだけの効果があったんだろう、それまでよりも中小企業への融資は当然ふえていいはずだと。しかし、ふえていない。ここが一つ大きな問題だと思うんです。
そこで、五業態の貸出平均残高は四百八十八兆六千八百億、先ほど言いました五・二%減なんですが、特別保証制度で貸し出した五業態の九兆二千九百億、これだけあるにもかかわらず減少しているわけです。そうすると、結局は政府が中小企業支援のためにつくった制度を悪用して大手銀行が資金を回収した、そういったことを示しておるわけで、このことが本当に明確に今の時点で数字になってあらわれてきたということを示しておると思うんです。
何度も問題になってきましたけれども、このことを今の時点で大蔵大臣はどう見ておられるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/53
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054・乾文男
○政府委員(乾文男君) 今、先生がお示しになりました日本銀行の統計でございますけれども、確かに四月はマイナス五・二%ということになってございますが、日本銀行がその同じ発表の中で述べておりますように、この計数の中には貸出債権の流動化したものでございますとか、貸出債権は現在不良債権の償却を進めておりますけれども、そうした償却を進めていることによる減少分がございまして、そうした特殊要因を調整した後での数字というのも日本銀行は同時に発表しているわけでございます。
その発表した数字は、四月で見ますとマイナス〇・八%ということで、やはりマイナスでございますけれども、二月のマイナス一・三%、三月のマイナス一・一%ということからしますと、マイナスの幅というのは減少になっているのかなというふうに考えているわけでございます。
これは中小企業庁の方で調査されたものでございますけれども、アンケート等によりますと、中小企業者が貸し渋りを受けている感じというものは国会の御議論がよくございました昨年の秋の時点から比べますと相当程度緩和されてきているのかなというふうに思うわけでございます。
金融監督庁といたしましては、ただいま御指摘がございましたように、金融機関の融資動向につきましては、金融機関が融資態度を必要以上に萎縮させまして健全な中小企業の方々に対する資金供給が滞ることのないように、これからも十分注意を払っていきたいと思っております。そうした中で、ことしの三月に早期健全化法に盛られました中小企業に対する融資の総額というものも十分に注視していきたいというふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/54
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055・池田幹幸
○池田幹幸君 私は調整した数字も十分承知の上でお聞きしているので、余り余計なことを言っていただきたくないんですよ、私も言いたくなかったけれども。
具体的な実態というのは予算委員会のときにもずっと私どもは指摘してきました。これは衆議院の予算委員会の中で使った資料ですけれども、我が党の佐々木憲昭議員が示したように、当時、第一勧銀とかさくら銀行では特別保証制度を使って自己の資金の回収に回ったということがはっきりしていたわけですね。明確に内部文書で出ておるんだけれども、要するに「不動産担保や有価証券担保は、価値の変動や担保処分期間の長期化といった回避できないリスクを孕んだ保全措置である一方、マル保付貸出金は、万一、当該貸出金が不良債権化した場合でも早期且つ確実に一〇〇%回収することが可能である有効な保全強化措置といえる。」ということで、「当行プロパー貸出金からマル保付貸出金へのシフトにより一層の保全強化を図ることが可能となる。ついては、他行に先駆けた対象先への情報連絡・予約セールスを確実に実施されたい。」と、こういうことを第一勧銀はやったし、さくら銀行では、同じように、アセット運営、要するに資産入れかえによる効率的アセットをやれということで、マル保の積極活用ということを文書で社内にずっと流してきた。そういうことがやられておったのが結果としてあらわれているんだということを私は指摘したので、いろいろとやっておりますよと言ったところで意味のないものだろう、事実は明確だということをまず御指摘しておきたいと思うんです。
それから、今の時点でさらに問題になってきますのは、この貸し付けの返済がいよいよ始まっているわけです。翌月から返済するのもありますが、大部分が一応半年ぐらい猶予期間を置いての返済ということで、今始まったのが多いというふうに聞いておるんです。そうしますと、これがまた返済できないという問題が今の経済情勢の中で出てきます。これが非常に大きな問題になってくるわけですね。
要するに、それまで銀行から借りておった金を、債権のつけかえがやられたと。ともかく一時期助かったけれども、さあ、それじゃ返済の時期になると何をやるかというと、銀行は一カ月でも返済がおくれるとそれをすぐ代位弁済という方向に持っていくということがあらわれているんです。私のところにももう既に強引に返済を迫られているという相談も来始めておるわけなんですが、この事態は今の時点で何としても解決していかなければならないだろうと思うんです。
要するに、保証制度は早期かつ確実に一〇〇%回収できる制度なんだということでつけかえて、それでこの「早期且つ」というのは今確かに意味が出てきたわけです。代位弁済に回せば一〇〇%弁済されるわけですから。これを事故報告で、改善の努力中という形で報告をすればそううまくいかないということもあって、全部代位弁済に回し始めているということなんですね。こういうことをやっていったらどういうことになるのかということでいろいろ聞いたんですけれども、もう一つはっきりしない。
そこで、私は中小企業庁に伺いたいんですけれども、こういったことが起こらないように、返済の繰り延べをやるようにという指導は当然やるべきじゃないのかと考えておるんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/55
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056・殿岡茂樹
○政府委員(殿岡茂樹君) 特別保証制度を利用されている中小企業の方々はみずからの経営の内容ですとか財務内容を踏まえた返済可能性を考慮した上で保証を受けておられるわけでございます。しかしながら、経営環境の動向次第でさまざまな事情変更も生じ得るというふうに考えておるところでございます。
したがいまして、先生の御指摘のように、従来から信用保証協会に対しまして個々の中小企業者の事情に応じた返済猶予の弾力化などの措置をとるように繰り返し指示しているところでございまして、こうしたことを通じまして中小企業者の立場に立ったきめ細かな対応を図っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/56
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057・池田幹幸
○池田幹幸君 時間の関係上、金融監督庁には要望だけしておきますが、中小企業庁ではそういう指導をしておるようなんですね。しかし、中小企業庁の場合は、保証協会にそれを指導したとしても、銀行にはできないわけですね。保証協会はいつでも条件に応じて保証の条件変更をするよという立場にあっても、銀行の方がもう早く回収したいんだということでやれば全然うまくいかない。こういう点は監督庁の方で本来の保証制度の意味を考えて、きちんとした形でジャンプにも応じるように指導すべきじゃないか、そうすべきだということを要望しておきたいと思うんです。
国金の問題について質問いたします。
保証承諾実績を伺いたいと思ったんですが、私の方から申し上げます。今、国民金融公庫の安定化特別保証制度による保証承諾実績は九百九十四件で百三十一億八千八百万というふうに伺いました。これについては、制度の三月末の累計、全体では七十五万件で十四兆四千二百二十三億円あります。ですから、ほとんどないに等しいんですね。シェア一%にも満ちておりません。
これはちょっと余りにもお粗末じゃないか。何もしていないに等しいと言うのは言い過ぎかもわかりませんが、国金がこれについては消極的な扱いをしているんじゃないか、積極的に扱うことをやっていないんじゃないかと思うんですが、いかがですか、総裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/57
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058・尾崎護
○参考人(尾崎護君) 従来、政府系の金融機関が保証協会の保証を利用することは安易に行うべきではないというように考えられてまいりました。財政資金の適切な利用という点からいいましても、公的資金の二重利用になるものですから、それは好ましくないというふうに考えられてまいりました。しかし、最近の中小企業の情勢は御承知のとおりでございまして、異常な状況にございます。
そこで、金融環境変化対応特別貸付でありますとか中小企業運転資金円滑化特別貸付でありますとか、そのようなものが新設され拡充されまして、今私どもはその貸し出しに大わらわなのでございますが、それらのものについては必要に応じて金融安定化特別保証をとらせていただいていいというようになっております。
ですから、従来は千分の一ぐらい、ごくごく例外的に、お客様が希望するような場合にのみ保証協会の保証をいただいていたわけでございますけれども、現在は少しふえてまいりまして、先生御指摘のとおり一%にはなっておりませんが、〇・六%とかその程度のところまでその率が上がってきているわけでございます。
これは公的資金をダブルに利用するということは問題ではないかという考え方もございますし、せっかくの保証であるから利用したらどうかという考え方もあると思いますけれども、現在までのところ、先ほど申しました二つの特別貸付を中心に、お客様の御希望があればそれを利用させていただいている、そういう実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/58
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059・池田幹幸
○池田幹幸君 中小企業庁に伺いますと、そういった過去の考え方、これはもう今やめているんだ、中小企業三機関でもそういった形で保証枠、保証制度を利用してもらうようにきちんとやっているということを伺いました。保証協会には、国金から来たものに対しても民間からのそれと同じようにきちんと応じろというふうに指導しているということを伺ったんです。
その点で、最近発行された国金のパンフレットをずっと私は見せていただいたんですが、これには総裁が今おっしゃったようなことは書いてないですよ。特別保証制度を国金でもちゃんと扱いますよということは書いてないです。片一方で業務推進ということで、業推というような言葉で言われているそうですけれども、目標を持って職員に広報、周知活動を行っているというふうに盛んに言っておりますが、このことに関しては何も言われていない、積極的な宣伝というのは全くなされていないということを私は指摘したいと思うんです。
しかも、それをやったとしても、特別保証制度で保証協会がやっておる審査の基準といいますか、そういったものに比べて国金の場合は非常に厳しいんです。このことについては盛んに言われておりますし、この制度が始まった時点でも、雑誌の「実業界」という中で総裁自身がインタビューに答えて、審査が厳しいということについて総裁は反論もしているんです。しかし、審査が厳しいということは一般に言われておることですし、総裁は厳しいという批判はごく少数の批判の声だと、これは雑誌などに報道されておるからそういう印象を与えているんだということで反論していますけれども、これではだめだと思います。実際に厳しいことは事実なんです。
それで、私はやり方を調べてみたんですが、国金の中に審査事務マニュアルというのがあります、こんな分厚いものだそうですけれども。それの一部を、審査のところだけを見せていただいたんですが、申し込みを受けてから実際に金を出すまでに緊急の事態でも二週間から三週間かかっているんですね。
では、もう少し簡便な審査、やり方はないのかというと、あるんです。ずっと見てみますと、特例審査というのが書いてあって、大量の審査を処理するための簡易審査とか云々かんぬんいろいろある。これは全然適用していない。だから、本当に今言われたような形で努力しているかというと、そうじゃないということを私は指摘したいと思うんです。
特に、慎重審査というのがありまして、それを見ますと全くハードルが高いんです。この不況下で純利益が一期マイナスになる、どこだってありますよ。一期マイナスになったらもうだめ、こんなのはできっこないじゃないですか。
片や、保証協会の保証のいわゆるネガティブリストというふうに言われておりますけれども、それを見ますと、基準というのはまさに実情に合った形でできています。これがあるから大変な勢いで貸し出しもできたわけです。業績についても、極端に悪化して大幅な債務超過の状態に陥っているといった場合にはちょっとだめだよということですけれども、一期マイナスになった程度とか、高利貸しから金を借りている、それが多重債務者になっていれば別ですけれども、そうでないものについては、それだけでだめよと言ってはいけませんよというふうになっているんです。
こういう態度にならなければ今の情勢に合った貸付融資制度とは言えないんじゃないか。政府系金融機関、特に超零細企業向けの融資ということになりますと当然それは必要ではないかというふうに私は考えます。時間がないので一方的に言いましたが、そのことについてひとつ総裁にお答えいただきたい。
もう一つは、大蔵大臣にお答えいただきたいんですけれども、先ほどの浜田委員とのやりとりの中にもあったんですが、国金の貸付金が有償資金を中心としてやっておる、財投ですね。しかも、資本金が非常に小さい。特に政府系金融機関の中でも開銀とか輸銀に比べますと雲泥の差、全然比べ物になりません。しかも、その資本を私は比べてみたんですけれども、いわゆる貸出残に占める財投資金の借入残高、これを見ますと、国金の場合は九四・一%なんです。開銀が八五・八%、輸銀が七二・六%なんです。要するに、大企業が使うようなところについては無償の資金を入れる、本当に国民が使う国民生活分野向けには有償という形でして、出資金の段階でこれだけの差がついておれば、どうしたって大企業向けの政治だなというふうに感じざるを得ないわけです。
こういった点を克服して、もっと政府出資を今の時点で国金に大いにふやしていくということを考えなければいけないんじゃないかと思うんですが、この点について大蔵大臣に伺いたい。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/59
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060・尾崎護
○参考人(尾崎護君) まず、国民金融公庫の保証制度の利用についてでございますが、中小企業庁の方から利用してよろしいというお話をいただいておりますのは、先ほど申し上げましたとおり特別保証でございます。それについては現在利用させていただいております。
それから、パンフレットには特別保証について信用保証協会の保証が利用できますということは記載してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/60
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061・池田幹幸
○池田幹幸君 いやいや、保証制度ですよ。特別保証制度についてやっていると書いてないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/61
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062・尾崎護
○参考人(尾崎護君) 特別保証制度の利用ができますということを記載してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/62
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063・池田幹幸
○池田幹幸君 いや、違いますよ。それは特別保証じゃなしに金融ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/63
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064・尾崎護
○参考人(尾崎護君) それから、三番目のガイドラインの話でございますが、慎重審査というようなことが確かにあるわけでございますが、これは先生が例に挙げられました保証協会のネガティブリストのような融資基準ではございませんで、言ってみますと調査のポイントを述べたものでございます。
赤字企業や債務超過企業等については、企業の継続性という点で問題がないかどうか、そこはよく調査するようにということは書いてございますが、それは赤字企業あるいは債務超過企業であったら金を貸さないということではございません。私どもは大変多くの赤字企業に融資をいたしております。それは調査をするに当たってのポイントということで例示されております。
したがいまして、非常に優良な状況にある、また過去の借り入れについて一度も延滞がないというようなところは調査を簡略にして、できるだけ早く融資を実施するようにというふうにもまた書かれております。そういう調査のやり方でありまして、保証協会のいわゆるネガティブリストのような融資に当たっての基準というものではないわけでございます。その点をぜひ御理解いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/64
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065・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 国民金融公庫ができましたときは十三兆円の資本であったそうでございますけれども、現在は二千四百十九億円だそうでございますので、かなりの増資はしてきたと申し上げることができると思います、十分でないという御指摘はあろうかと思いますけれども。
なお、ただいま開銀や輸銀との比較にお触れになりましたが、開銀、輸銀は自分で準備金を持っております。国民金融公庫は利益が出れば国庫に納付してもらう、また損失が出ましたら補給金を出すということにしております。例えば、開銀なんかは資本金のほかにその倍以上の随分大きな準備金を持っておりますから、そういうことで申しますと、今の点の比較はちょっとそのままではできないのではないかというふうに考えております。
失礼しました。十三兆円と申し上げたそうでございますが、十三億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/65
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066・池田幹幸
○池田幹幸君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/66
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067・三重野栄子
○三重野栄子君 社会民主党の三重野栄子でございます。
国民金融公庫法の一部改正法案並びに関連につきまして数点質問をいたします。
今回提案されております国民金融公庫と環境衛生金融公庫の統合法案は、平成九年九月二十四日の閣議決定に基づいて特殊法人の整理合理化を推進するためとの提案理由説明を先日、大蔵大臣より伺いました。この閣議決定においては、「政策金融機関は、官民の役割分担を踏まえ、民間金融の補完に徹し、業務の減量化・重点化に努めるとともに、将来にわたる財政負担を含め、財政依存の抑制に努める」との政府方針を打ち出しております。
そこでお伺いするのですが、現在の経済情勢における緊急課題として公庫融資による貸し渋り対策が注目されておりますが、一方では新規貸し付けのほとんどない特別貸付制度もあります。
財政投融資の対象としての中小企業金融は民業補完に徹し、業務の減量化、重点化が必要と考えられますが、この閣議決定による政府方針に基づいて公庫ではどのように業務の減量化、重点化を行っておられるのか、国民金融公庫総裁にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/67
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068・尾崎護
○参考人(尾崎護君) 私どもの業務は民業補完ということで行っておりまして御指摘のとおりでございますが、まさに民業補完としての役割を果たすためには今大いに貸し出しをしていかなくてはいけない、それが中小企業者のためである、そういう時期ではないかというように思っております。しかし、今はちょっと特異な状況下にございます。将来にわたりましては、事業の減量化、重点化、これは常に考えていかなくてはいけないことだと思います。
ただ、私どもの特色といたしまして、お客様の大部分が従業員二十人以下の小さな企業でございますし、それから一件当たりの融資金額が平均して七百万、したがいましてお客様の数が多くてしかも一件当たりの貸出額が小さい、非常に手間暇がかかるということになっておりまして、支店の職員にも大変努力、苦労をしてもらっているところでございます。
また、私どもでは九割が無担保という状況でございまして、担保に頼ってお金を貸すというやり方はいたしておりませんし、また新規開業あるいは業歴の浅い企業などは民間の金融機関からなかなかお金が流れないものですから、そのようなところに重点的にお金を貸そうというように考えております。そういうところは初めてのことでございますからどうしても調査に手間がかかるということがあるわけでございます。
そういう状況下に置かれておりますが、事業の減量化ということは政府関係機関全体の流れでもありますし、常に頭に置いて仕事をしていきたいというように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/68
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069・三重野栄子
○三重野栄子君 大変詳しくありがとうございました。
次に、平成九年度の両公庫に対する国庫補助金、補給金は、国民金融公庫が約七百十一億円、環境衛生金融公庫が約五十九億円となっておりますが、この三月末までの平成十年度決算ではそれぞれ何億円と見込まれているのでしょうか。
また、従来、環境衛生金融公庫に交付されていた補給金は平成十一年度の予算で約二十六億円に減額されておりますが、その理由につきまして厚生省からお答えいただければと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/69
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070・小野昭雄
○政府委員(小野昭雄君) 平成十年度の環境衛生金融公庫に対します補給金額については約五十億円というふうになっております。
次に、先生お尋ねの十一年度予算におきます減額の理由でございますけれども、平成十一年度予算におきます環境衛生金融公庫に対します補給金が平成十年度と比べて減少いたしておりますのは、平成九年度以降の貸付金利と借入金利、これは財投金利でございますが、この金利差が拡大したことによりまして貸付利回りと借入利回りの利ざやが拡大をするなど、収支の好転が見込まれたために減額というふうにいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/70
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071・三重野栄子
○三重野栄子君 そこで、不良債権の問題について伺いたいんですけれども、現在、公庫では、貸付金の貸し倒れによる損失に備えるため、公庫の国庫納付金に関する政令に基づいて貸付金残高の千分の六の範囲内で任意に貸倒引当金を計上しておられます。一方、環境衛生金融公庫の不良債権比率は平成七年度から八年度にかけまして一・九%から二・一四%に増加しておりますが、引当率は逆に千分の三・二から二・六に下がっております。
平成九年度末の不良債権比率は両公庫とも二・八七%で、引当率は国民公庫が千分の二・五、環衛公庫が千分の三・六となっておりますが、両公庫の平成十年度末見込みの不良債権比率及び引当率をそれぞれ両公庫からお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/71
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072・尾崎護
○参考人(尾崎護君) 九年度末は先生が先ほどおっしゃったとおりでございますが、十年度末はまだ確定しておりませんので、申しわけございませんが今お答えすることができません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/72
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073・坂本龍彦
○参考人(坂本龍彦君) 私どもも、九年度末の数字は先ほどお示しいただいたとおりでございますが、十年度末はまだ確定いたしておりません。
ただ、一言申し上げますと、国民金融公庫と環境衛生金融公庫で引当金の繰り入れの状況が違うではないかという御指摘のようでございますけれども、それぞれ年度間の収支状況を勘案しながら政令で決められました千分の六という範囲の中で具体的な状況に応じて処理しておりますので、両公庫の業態におけるいろいろな状況の差があらわれるということはあろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/73
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074・三重野栄子
○三重野栄子君 それでは、後日で結構でございますから、結果が出ましてからお知らせ願いたいと思います。よろしくお願いいたします。
また、五月九日の日経新聞に整理回収機構が公庫などの不良債権の回収も行うとの報道がございました。これは公庫において不良債権の回収が十分行われていない現状を反映していると考えております。
財政投融資については、平成九年十一月に政府及び与党から相次いで改革の方針が示されたところでございます。公庫など財投機関の財務内容に関するディスクロージャーの推進及び政策の実施コストを分析する手法の導入については特に緊急の課題となっております。
平成九年の資金運用審議会懇談会とりまとめにおいても、「コスト分析手法の導入などにより、財政投融資に伴う将来の財政負担については、政策決定の際に国民に対してディスクローズされるように改めていく必要がある。」との指摘がございますが、この点に関しまして大蔵大臣のお取り組みをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/74
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075・中川雅治
○政府委員(中川雅治君) 財政投融資対象事業に関する政策コスト分析につきましては、平成九年十一月の資金運用審議会懇談会とりまとめにおきまして、「今後の財政投融資の運営に際して、国民負担に関する情報のディスクロージャーや財政の健全性を確保する観点から、諸外国における試みを参考としつつ、科学的、客観的な不断の検証として、コストの定量的な把握、公表を行うことにより、適切な審査、政策判断を行っていく必要がある。」と指摘されているところでございます。
この指摘を踏まえ、政策コスト分析の導入に向け現在さまざまな検討を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/75
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076・三重野栄子
○三重野栄子君 検討中で伺えないのは大変残念でございますが、成果のよりよい方向を期待いたします。
最後に、役員の登用について大蔵大臣にお伺いいたします。
特殊法人の役員については、平成九年の閣議決定で、省庁からの天下りを役員の半数以内にとどめる、民間人の起用を促進するとの方針が決定されております。
ところで、環衛公庫の役員は五人のうち三人が厚生省出身、残りが大蔵省、警察庁の出身で、この閣議決定の趣旨に反していると考えられるのでございます。特に五人中三人は平成九年の閣議決定以降に新任または再任されておりますから、見直しの機会は十分あったと思うのでございます。
新しい国民生活金融公庫の発足に当たる今日におきまして、総裁、監事の任命、副総裁、理事の任命の認可の権限をお持ちである大蔵大臣が民間人の起用を促進するさきの閣議決定の趣旨を遵守して役員を登用されることを期待するわけでございます。
加えまして、ここに改めて従来以上の内部登用を重視され、あわせて統合に当たりまして、先ほど公庫の総裁もおっしゃいましたけれども、職員の皆さんが大変努力をなさっていることも伺いました。今後とも職員の雇用が確実に継続され、労働条件についても低下を来さないように要請するところでございますが、それらに関しまして大蔵大臣の所見を伺って、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/76
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077・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、平成九年十二月に閣議決定がございまして、「省庁ごとに主管の特殊法人全体を通じ、その主管省庁からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめるものとする。また、民間人の起用を促進する。」とございます。ただいまおっしゃいましたようなことで何か例外があるかと存じますが、原則としてこの閣議決定を守ってまいらなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/77
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078・三重野栄子
○三重野栄子君 もうちょっと申しますが、職員の雇用を減らすという方向ではありますけれども、やはり事業が拡大されていくということでございますから、雇用の問題だとか労働条件を低下させていかないという努力についてはいかがでございますか。大臣、もう一言お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/78
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079・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 最後の御指摘は、雇用の関係からいえば極端な職員削減とか経費削減をすることはよく考えながらやれと、こうおっしゃった。わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/79
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080・三重野栄子
○三重野栄子君 ありがとうございました。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/80
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081・星野朋市
○星野朋市君 時間の関係で一問だけ質問をいたしますので、お答えをいただきたい。
私は先月の十五日、この委員会で問題の都市型第二地銀について問題点を指摘いたしました。これはもう一回やると言っておきましたが、その間に幸福銀行と東京相和という二つの銀行が問題を起こしております。当局はこの両行に対するいわゆる是正措置をどういうふうになさろうとしているのか。問題は両方あります。
それから、この二行は先日破綻した国民銀行を含めて九八年の三月期にそれぞれ四%以上の自己資本のマイナスという三行であったわけですけれども、私の調べたところでは、九八年三月期には第二地銀において自己資本のマイナス行が約二十八行あるというふうに聞いております。
こういう問題が後から後から次々にばらばら出てくるというのが実は問題でありまして、早期に処理、是正をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。お答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/81
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082・乾文男
○政府委員(乾文男君) まず、国民銀行の問題でございますけれども、これは御案内のように四月十一日に金融再生法第八条に基づきましていわゆる管理を命ずる処分というものが金融再生委員会において決定されました。それに基づきまして金融整理管財人が命ぜられて同行に派遣をされているところでございまして、現在この金融整理管財人のもとでいわゆる破綻処理と申しますか、いろいろな資産の判定等の事務を行っているところでございます。
これは言うまでもなくオープンバンク方式でございますから、銀行の機能は継続しておりまして……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/82
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083・星野朋市
○星野朋市君 国民銀行のことは聞いていないんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/83
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084・乾文男
○政府委員(乾文男君) そうでございますか。
それから、その他の地銀、第二地銀の問題につきましては、現在、金融システム改革等が進展する中で、これから再編でございますとかいろいろな問題が起きてこようかと思います。あくまでも各金融機関の経営判断の問題でございますけれども、そうした中で地銀、第二地銀の体質強化というものが図られるように監督庁といたしましても注意を払っていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/84
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085・星野朋市
○星野朋市君 非常に不満な答弁で、やりたいのですけれども、時間がありませんので、これは次の宿題としておきますから、よく私の質問をもう一回聞き直して、調べて、それでお答えを用意しておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/85
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086・菅川健二
○菅川健二君 今、星野委員からお話がありましたけれども、法案に先立ちまして、第二地銀の幸福銀行に対しまして金融監督庁が早期是正措置を発動いたしたわけでございますが、これを受けて銀行サイドとしては六百億円程度の公的資本の導入を申請したい旨の意向を表明しておるわけでございます。仮に幸福銀行というものがこういった形で公的資本の申請をするということになりますと、第二地銀としては初めての申請でございますし、かつまた自己資本比率が〇・五%程度という著しく過少資本の状況にあるということでございます。そういった面で、公的資本を導入するということについては厳格に審査していただくという必要があろうかと思うわけでございます。
その場合に、今の法律では、当該銀行の存続は地域経済にとって必要不可欠であるかどうか、あるいは注入した公的資本というものが償還される可能性があるのかどうか、毀損されるおそれはないのかどうか、こういった点につきまして法律よりもより具体的なあるいは客観的な運用基準というものを定める必要があるのじゃないかと思うわけでございますが、これからの具体的な基準づくりについて再生委員会の委員長としてどのような取り組みをされるのか、お聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/86
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087・森昭治
○政府委員(森昭治君) お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、地銀等の地域金融機関に対しましても早期健全化法に基づく資本増強制度の利用が法律上可能でございます。検査結果等を踏まえまして、まずは各地銀みずからが民間からの資本の調達に努力すべきだと考えておりますが、それでも必要があれば公的資金による資本増強というものが検討され、具体的な申請があれば当委員会におきまして厳正に審査していくことになると存じます。
そこで、地銀についてのいろいろな要件あるいは基準という御質問かと思うのでございますけれども、基本的には申請銀行の自己資本比率に応じて法律上の要件がそれぞれ異なっております。国内基準行でございますと、四%から二%の間、二%から一%の間、一%から〇%、もちろん四%以上は健全行ということで、四つのカテゴリーに分かれておりまして、それぞれの要件が法律上決まっておりますので、その要件に従って審査していくことになると思います。
なお、先生がおっしゃいました地域経済に必要不可欠等の要件をどのように考えるかにつきましては、今後、金融再生委員会において具体的な検討に入っていきたいと予定しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/87
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088・菅川健二
○菅川健二君 今の点につきましては、特に一%未満の銀行にはより厳しい審査というのが要請されるのではないかと思うわけでございます。
せっかく再生委員会の委員長においでいただいておりますので、その辺の今後の基本的な姿勢につきましてお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/88
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089・柳沢伯夫
○国務大臣(柳沢伯夫君) 地域の経済に責任を持つ地方銀行あるいは第二地方銀行というようなものに申請があって公的資本の投入を考える場合の要件、これは基本的には大手行のときに考えた基準と同じものを適用するということであろうと思います。
ただ、全国的な規模、あるいは場合によっては国際的な関係の業務を展開している大手行の場合と、地域の経済に責任を持つ地域銀行の場合に、何かもう一つブレークダウンしておいた方がいい基準というものがあり得るのかどうか、こういったようなものも含めて今後検討をいたしたい、こういうふうに思っているわけでございます。
ただ、その中で、非常に著しく過少な資本の金融機関については、先生今御指摘のような地域の経済にとって不可欠ということが別途に規定をされておりまして、これについては改めてその中身をもう少しブレークダウンしたところでルール化するということが避けられないかなと、このように思っております。
その際、方針いかにという御質問でございますけれども、国会の論議では、過少資本行というのを一つのくくりに原案がしてありましたが、それがさらに過少資本行と著しい過少資本行というものに分けられまして、そして著しい過少資本行というのはもう本当に水面すれすれではないか、逆に言うと毀損のおそれが強いのではないか、そういうようなものに公的資金を注入するという場合には、これはよっぽどそういうものを認める条件がなければいけないのではないか、こういうような論議の中から、その銀行の存在というものが地域経済にとっても不可欠な存在なんだという場合には、そこまで行った銀行についてもあえて公的資金の投入によって地域経済に対する責任を果たさせていくのがよろしかろう、こういうようなことになったといういきさつがあるようでございます。
したがって、我々は、国会論議でそういうように二手に区分が分かれたこと、それから特に著しい過少資本行に対しては今申したような付加的な、あえて言うと例外を認めるぎりぎりの条件というようなものが設定されておる、こういったことを念頭に置いて、さらにそれをブレークダウンしたところでどういうルール化ができるかということをこれから早急に探求してまいりたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/89
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090・菅川健二
○菅川健二君 ひとつ公的資金というものが毀損されないように厳格なる対応をお願いいたしたいと思います。
それでは、本題の国金と環衛公庫等の問題につきまして若干御質問いたしたいと思います。
先ほど三重野委員からも質問がございましたけれども、国金とか環衛公庫を初めといたしまして政府系金融機関の不良債権の現状を見ますと、平成六年度末に大体七千億程度でございましたのが平成九年度末には一兆円を超えておるわけでございます。恐らく十年度末、それから十一年度は始まったばかりでございますが、不良債権の額が非常に増嵩しておる傾向にあるんではないかと思うわけでございます。
もとより政策金融を実行する面におきましては若干の増嵩というのはやむを得ないわけでございますが、いずれにしても野方図に不良債権をふやすということについては問題があるわけでございまして、これらについての歯どめとして現状をどのように認識しておられるか、あるいはこの処理策についてどのようにお考えになっておるのか、大蔵省の方にお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/90
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091・溝口善兵衛
○政府委員(溝口善兵衛君) 御指摘のように、政府系金融機関全体の延滞債権の状況は近年若干ふえているわけでございますけれども、この対応といたしましては、やはり貸し渋りがございますけれども、融資の審査に当たりまして、関係の金融機関の支援のぐあいでありますとかその企業の見通しでありますとか、そういう点について審査を的確に行っていくということが業務の上でございますし、融資をした後もモニターをきちっとやる、その企業との連絡等をやっていくということもございます。
それから、政府関係機関全体としまして不良債権のディスクロージャーにつきましてなお改善をいたしまして、そういう面からも的確な状況の把握に努めていくということが大事かと思っておりまして、そういうことで私どもとしても両公庫の指導に当たってまいりたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/91
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092・菅川健二
○菅川健二君 新聞報道によりますと、国金等の不良債権等につきまして、整理回収機構というものが一括受託をしてその処理に当たろうではないか、当たったらどうかというような意見も出ておるわけでございますが、これについて国金の方で具体的に何か接触なり考え方というのは持っておられるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/92
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093・尾崎護
○参考人(尾崎護君) 私どもも新聞記事を拝見しましたときはちょっとびっくりしたのでございますが、その段階では何のお話もございませんでした。あの記事が出てから非公式に実は私どもの方にも接触がございましたが、ただ具体的にどういうことをお考えになっているのかまだ御説明がいただけない状況でございますので、いずれ詳しくお話をお伺いして、私どもの対応を考えていきたいというように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/93
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094・菅川健二
○菅川健二君 最後に、大蔵大臣にこの問題につきましてちょっとお聞きいたしたいのでございますけれども、今の政府系金融機関の不良債権がかなり急激にふえておるという状況、それから信用保証協会が昨年十月から始めました信用保証枠の拡大、これにつきましては一般的には大変喜ばれておるわけでございますが、中には実際無理やり借りてもらうというような現象もあるやに聞いておるわけでございまして、いずれにしても信用保証協会そのものもかなり不良債権という焦げつき債権がふえてきつつあるという状況にあるようでございます。
そういったものに対して、どの程度の歯どめといいますか、どういう見通しで今後それらに対応していかれるのか、基本的な対応につきましてお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/94
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095・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) これは中小企業庁あるいは通産大臣がいろいろ御判断をなされることだと思っておりますけれども、経済全体が非常に好転をしてきているという背景の変化は残念ながらございません。したがいまして、そういう貸し渋り対策そのものが功を奏して、それで事態は終了したというふうには私は考えておりませんので、また通産大臣の御判断等も伺いながら、しなければならないことがあればこれはやぶさかではない、そういう気持ちでおります。
ただ、ただいま通産大臣からそういうことについての最終的な御判断は承っておりませんので、もし万一そういうことがございますれば、それについて考えなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/95
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096・菅川健二
○菅川健二君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/96
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097・勝木健司
○委員長(勝木健司君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
国民金融公庫法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/97
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098・勝木健司
○委員長(勝木健司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、広中君から発言を求められておりますので、これを許します。広中和歌子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/98
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099・広中和歌子
○広中和歌子君 私は、ただいま可決されました国民金融公庫法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
国民金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
一 国民生活金融公庫の業務実施に当たっては、民業補完の原則を踏まえつつ、今後の業務の実態に即して、管理運営体制等について適切な見直しを行い、効率的かつ効果的な運営に努めること。
一 国民生活金融公庫に関するリスク管理債権等の情報開示を充実するとともに、政策遂行による効果と費用について、より分かりやすい情報の提供に努めること。
一 国民生活金融公庫の設立後三年を経過した時期に、運営状況を勘案し、融資制度の改善・見直しをはじめ公庫の業務について検討を加え、その結果に基づいて適切な措置を講ずること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/99
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100・勝木健司
○委員長(勝木健司君) ただいま広中君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/100
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101・勝木健司
○委員長(勝木健司君) 全会一致と認めます。よって、広中君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、宮澤大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。宮澤大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/101
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102・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえ配慮いたしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/102
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103・勝木健司
○委員長(勝木健司君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/103
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104・勝木健司
○委員長(勝木健司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114514361X01419990518/104
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