1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
平成十一年三月二十四日(水曜日)
午前十時一分開議
━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第十号
平成十一年三月二十四日
午前十時開議
第一 在外公館の名称及び位置並びに在外公館
に勤務する外務公務員の給与に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
第二 経済社会の変化等に対応して早急に講ず
べき所得税及び法人税の負担軽減措置に関す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
第三 租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の
被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
第四 有価証券取引税法及び取引所税法を廃止
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第五 関税定率法等の一部を改正する法律案(
内閣提出、衆議院送付)
第六 国際開発協会への加盟に伴う措置に関す
る法律及び多数国間投資保証機関への加盟に
伴う措置に関する法律の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
第七 電子情報処理組織による税関手続の特例
等に関する法律の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
第八 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原
諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
第九 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第一〇 地方税法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
第一一 地方交付税法等の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
第一二 地方特例交付金等の地方財政の特別措
置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第一三 放送法第三十七条第二項の規定に基づ
き、承認を求めるの件(衆議院送付)
第一四 雇用・能力開発機構法案(内閣提出、
衆議院送付)
第一五 恩給法等の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
第一六 中小企業経営革新支援法案(内閣提出
、衆議院送付)
第一七 中小企業総合事業団法案(内閣提出、
衆議院送付)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
一、北海道開発審議会委員の選挙
一、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法
律等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
一、不正競争防止法の一部を改正する法律案及
び訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の
一部を改正する法律案(趣旨説明)
一、国民年金法等の一部を改正する法律の一部
を改正する法律案(趣旨説明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/0
-
001・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
この際、来る四月七日に任期満了となる北海道開発審議会委員二名の選挙を行います。
つきましては、北海道開発審議会委員の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/1
-
002・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
よって、議長は、北海道開発審議会委員に中川義雄君及び小川勝也君を指名いたします。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/2
-
003・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/3
-
004・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。中川農林水産大臣。
〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/4
-
005・中川昭一
○国務大臣(中川昭一君) 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案につき、その趣旨を御説明申し上げます。
米穀は、国民の主食としての役割を果たすとともに、我が国の農業生産において基幹的地位を占める重要な作物であり、ウルグアイ・ラウンド農業合意におきましては、関税化の特例措置を適用することとしたところであります。
関税化の特例措置の実施状況について見ますと、ウルグアイ・ラウンド農業合意を受けてミニマムアクセス米の輸入を開始して以来三年余り経過した中で、一部低価格米に対する需要が見られる一方で在庫が増加している等外国産米に対する需要実態がある程度明らかになってきたこと、ミニマムアクセス米の輸入数量が年々増大し、このままの量的拡大が見過ごせない状況となってきていること等の事情にあります。
このような特例措置の実施状況、国内の米穀の需給状況等を総合的に勘案し、また、次期農業交渉の開始を一年後に控え、関係者間で行われた真剣な議論の結果も踏まえて、我が国の国益にとって最善の選択として、平成十一年四月から関税措置への切りかえを行うこととしたところであります。
これに関連する国内法律の改正につきましては、関税措置への切りかえに伴う制度改正の全体像を明らかにする観点から、これらを一括法として整理することとし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の改正であります。
米穀の輸出入の許可制を廃止し、これに伴い許可を受けて輸入された米穀の政府への売り渡し義務を廃止するとともに、米穀等を輸入しようとする者から納付金を徴収することができるようにするほか、米穀の輸出入について届け出制を導入することとしております。
第二に、関税定率法の改正であります。
米穀等につき、基本税率を設定することとしております。
第三に、関税暫定措置法の改正であります。
米穀等について、暫定税率を設定するとともに、特別緊急関税制度の対象とすることとしております。
以上、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案につき、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/5
-
006・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。郡司彰君。
〔郡司彰君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/6
-
007・郡司彰
○郡司彰君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となりました主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
質問に先立ちまして、昨日、日本海において不審船二隻が日本領海を侵犯する事態が発生し、海上保安庁の巡視船が威嚇射撃を行うとともに、海上自衛隊の護衛艦が警告射撃等を行ったとの報道がありましたが、現時点までの経過を報告していただきたい。
さらに、この事態について超法規的措置がとられたかどうか。今回は海上保安庁と海上自衛隊の連携は緊密にとられていたようですが、以前にこのような事態が生じた場合も、今回同様に海上保安庁と海上自衛隊の連携は緊密にとられていましたか。さらに、今後このような事態が生じた場合の今後の法整備上の問題があるのか、政府の方針を総理及び防衛庁長官より明確に回答していただきたい。
本論に戻ります。
本法律案は、昨年十二月十八日の決定に至るまで、九月以降、与党、農林水産省、農業団体の間で協議されてきたと言われています。問題なのは、ウルグアイ・ラウンドのときも、これまでもそうであったように、広く国民の間にすべからく情報公開しない体質にあり、しかも最後の段階でこれ以外の方法はない、これが最善だという手法がとられていることであります。
もとより、農業予算や食糧に関して、都市と農村、消費者と生産者の間では以前から相反する意見が多いと言われてきましたが、本来、食糧は国民全体の問題であり、今日の現状は農政の軸を示さずに来た不幸な結果ではないでしょうか。
先般出された基本問題調査会答申の中では、これからは政策決定過程の透明性を確保しなければならないと述べていますが、総理並びに農林水産大臣のお考えを伺います。
次に、一九九三年十二月のUR農業合意についてであります。
十五の交渉分野のうち、特に農業に関しては最後まで調整に手間取るなど、各国の利害が真正面から衝突するものでありました。そのような中、日本におきましても三度の国会決議をもほごにし、歴史的にも文化的にも関係の深い主食である米の輸入問題について、最後には苦渋の選択を決断しました。そこでまず、UR農業合意を現在の政府の責任者としてどのように評価しているのか、総理に伺います。
さらに、農林水産大臣に伺いますが、その後の対策として、我が国農業の体質強化を図る目的で六兆百億円の特別対策費を講ずるとされましたが、予算は専ら既存の公共事業の上乗せに振り向けられ、優良の農地保全や担い手・後継者確保、農家負債対策等の緊急措置に対する重点配分がなされていないため、目立った効果も上げられず今日に至っています。
農家の方々は農林水産大臣に、この間の農政の見通しの甘かったこと、施策が思うような効果を上げていないこと、今回の関税化への転換は拙速であったことについて率直に申しわけないと言ってほしいと思っています。つまり、これまでの農政に対する総括が一度もされていないことが農政に対する信頼回復や自信がわいてこないことにつながっていると思いますが、どうでしょうか。
次に、法案の内容について伺います。
政府は、関税化に当たり、九九年度の二次税率を三百五十一円に設定しようとしていますが、既にアメリカはあからさまな不満を表明しており、現在WTOに対し異議申し立てなどで承認を留保したのは、オーストラリア、ウルグアイ、アルゼンチン、EUの四カ国・地域であります。もとよりアメリカは、二百九十二円のマークアップ分についてもダーティータリフィケーションと言ってきたわけであります。いわば、一連の流れを改革過程の継続だと見ているわけでありますが、農林水産大臣は今回の異議申し立てと見通しについてどうお考えでしょうか。
高関税率の維持についても、かつての牛肉自由化とその後の経過を見るならば、大いに疑問であります。九一年四月に牛肉が自由化されたとき、当初、関税率は七〇%でした。翌九二年には六〇%、九三年には五〇%と、猛烈な勢いで引き下げられました。その結果、八五年当時七二%という高い自給率だった我が国の牛肉生産は、現在三六%にまで落ち込んでいるのであります。関税化に移行した品目の国内生産が破綻した典型的な例がここに示されています。このような例を見るならば、政府の見通しは余りにも楽観的に過ぎるのではないでしょうか。
関税化に移行した場合のMAの継続も大きな問題です。今回、政府が関税化に踏み切ろうとしている主な理由がMA米の過剰にあることは、これまでの説明でも明白であります。MAがなくなるか段階的に削減されるならばまだしも、関税化受け入れ後もMA米の輸入量は二〇〇〇年まで増加し続けることが確定している上に、その後も消費量の七・二%で固定化されるのであれば、我が国農業に与える影響は極めて深刻であります。
本来、MAはアクセス機会の提供であり、輸入義務を課しているわけではありません。MA制度の見直しについてどのような展望をお持ちでしょうか。農林水産大臣の答弁をお願いいたします。
次に、関税化の議論と並行して生産調整、いわゆる減反政策のあり方が問われています。
いざというときの食糧供給体制は農政の基本であります。そのためには、生産を食糧農産物にシフトさせることが重要であり、ふだんから優良農地を確保していくことが重要であります。農地の中でも、大切な役割が水田にあります。つまり、栄養バランスにすぐれた米で、少なくとも一定のカロリーを確保するということであります。当然、現在の一千万トン体制から三、四割くらいは増産可能な農地を確保しなければなりません。生産調整は食糧安保の観点から国民のための施策であるとの認識に立ち、農家のためだけではないことを明言すべきと思いますが、農林水産大臣の明確な考えをお示しいただきたい。
次に、次期WTO農業交渉に臨む政府の態度についてお伺いいたします。
次期農業交渉では、米国等の輸出国は、我が国に対して国家貿易の廃止や高関税率の引き下げなど、強く迫ってくるものと思われます。一方、我が国は、総理の諮問機関である基本問題調査会の答申においても、「国際的なルールの形成に当たっては、我が国の立場や主張を最大限反映させる」と述べるにとどまり、何ら方針を示していません。
今国会では新たな農業基本法案の審議が予定されていますが、我が国の態度を明らかにするためには、法律の前文に、食糧自給政策の確立は主権国家としての当然の権利であることを明記すべきであり、あわせて交渉に臨む我が国の姿勢や農産物貿易に対するルールのあり方についてもこの際徹底的に議論すべきと考えますが、総理並びに農林水産大臣はいかがお考えでしょうか。
次に、農業に対する国民的な合意形成についてお伺いいたします。
今回の新農業基本法の中には、中山間地に対する直接所得補償など、国民合意が必要となる政策が見られます。日本では、他の先進諸国に比べて農業や農業従事者に対する国民の意識がかなり違ったものとなっております。行政としても、日本型食生活のよさや、本当に必要な食べ物は何かということを啓発してこなかった。つまり、消費者と生産者を結びつける政策が縦割り行政の中でうまく機能してこなかったのではないでしょうか。
例えば、食生活が子供の成長過程でどのような影響を及ぼすのか、昭和六十年に厚生省が作成した健康づくりのための食生活指針に書かれていることが現在の行政の中にどう活用されているのでしょうか。
また、今年度の農林水産省予算の中で、食生活の啓発に関する予算はわずかに三千五百万円であります。食生活が社会的な諸問題の底にあるとはよく言われていることであります。厚生大臣並びに農林水産大臣はどうお考えか、お聞かせ願います。
次に、環境保全型農業についてお伺いします。
一方では、市場原理、効率的な農業をうたいながら、もう一方では、環境保全型農業への転換を目指すとしていますが、環境保全型は、自然循環を重視した生産方法をとれば、当然生産コストがかかって高い農産物にならざるを得ません。そのときにどうするかを、UR農業合意では、生産者の所得安定は消費者負担ではなく財政負担で行うべきとしています。我が国においても、この考えを政府が生産者と消費者に明らかにすることなしに環境保全型農業は育たないと思いますが、農林水産大臣の考えをお伺いいたします。
次に、遺伝子組みかえ食品についてお伺いします。
現在、輸入が認められている品目についてはせめて義務表示をすべきとの声が出ていますが、厚生大臣の考えをお伺いいたします。
最後に、農業と環境及び生態系とのかかわりについてお伺いいたします。
先日の新聞報道では、メダカが絶滅のおそれのある生物に指定されたということであります。河川が農薬、工場排水、生活排水等で汚染され、ふるさとの小川もコンクリートで固められ、山村の水田は過疎化や減反で荒廃してしまい、メダカに限らず、多くの生物が生きる場所を追われつつあります。本来、農業は生産、消費、廃棄が無理なく循環をしていました。今、米の関税措置への切りかえでますます稲作が後退し、水田が姿を消すことになると、環境の連環の輪が断ち切られることになります。
日本は経済大国に成長しましたが、その裏で失ったものも非常に多いと感じているのは私だけではないでしょう。真の豊かさとは、自然と常に接する機会を持ち、健康で、精神的にもゆとりのある生活を送ることであると考えます。そのために、失われていく生態系を守る決意をすべきと思いますが、総理はいかがお考えでしょうか。
二十一世紀を迎えて、農林水産省の果たす役割は一層重要となります。大臣の決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/7
-
008・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 郡司彰議員にお答え申し上げます。
まず最初に、能登半島沖の不審船事案についてお尋ねがございました。
本事案につきましては、海上保安庁の能力では対応できない事態に至りましたため、私として安全保障会議及び閣議を開催いたしまして、今朝零時四十五分に、防衛庁長官が自衛隊の部隊に対し、海上における警備行動を命ずることを承認いたしました。これを受けまして、防衛庁長官より、零時五十分、同行動を命じたところであります。
不審船発見以来、海上保安庁の航空機及び巡視船艇によりこれを追跡し、まず現場に到着した航空機より停船命令を実施するとともに、さらに、追尾した巡視船艇からも再度停船命令を実施いたしましたが、これに応じなかったことから、巡視船艇による威嚇射撃を実施する等、必要な措置を講じたものでありますが、速度を上げたため、海上保安庁の巡視船艇等による追尾が困難となりました。
これを受けまして、政府におきまして検討を行った結果、海上における人命もしくは財産の保護または治安の維持のため、特別の必要があると判断いたしまして、自衛隊法第八十二条に基づき、海上における警備行動をもって対処することといたしたものであります。
その後の経過につきましては、今朝までの詳細の経過について防衛庁長官から御報告をさせたいと思います。
それから、先ほどお尋ねいただきました点で、この事態に対して超法規的措置がとられたかというお尋ねでありましたが、そのような措置はとっておりません。いずれも法に基づいて対処いたしたところであります。
次に、海上保安庁と海上自衛隊との連携についてお尋ねがございましたが、平素から緊密な連携を図っておりまして、今回も一体的な対応を行ったと承知いたしております。
第三点は、今後の法整備上の問題についてお尋ねがございましたが、今回の対応も踏まえまして、必要がありますれば検討いたしてまいりたいと考えております。
さて、本案につきましてのお尋ねでございましたが、昨年、関係閣僚会議で本法案を決定するに至る間、与党、農水省、農業団体、三者の協議をされたこと、また、その後の政策決定について、関税措置への切りかえという点についてのお尋ねがございました。
米の関税措置への切りかえにつきましては、農業団体のみならず各方面における議論を踏まえまして判断したところでございまして、政府といたしましては、今後とも一丸となって国民合意の形成に向けて最大限の努力を行ってまいりたいと思っております。
ウルグアイ・ラウンドの農業合意の評価についてのお尋ねでありました。
我が国では、米の関税化に強い拒否感があった中、交渉の最終段階で提示された関税化の特例措置をぎりぎりの決断として受け入れたものであります。
ただ、関税化した場合と比べ毎年のミニマムアクセスの増加幅が二倍に加重されたこと等から、我が国にとって大きな負担となっていると認識をいたしております
食糧自給政策の確立についてのお尋ねがありました。
食料・農業・農村基本法案におきまして、基本理念として、国民に対する食料の安定供給につきましては、国内の農業生産を基本とする旨を明確に規定いたしておるところであります。
次に、次期WTO農業交渉に向けた議論に関するお尋ねでありました。
政府といたしましては、次期農業交渉に臨むに当たり、国会での御議論を十分踏まえることはもちろん、関係者が一体となって協議検討を進め、農業関係者のみならず、消費者団体、経済団体を初め、幅広く理解を得ながら、国民合意のもとで交渉方針を構築してまいりたいと考えております。
次に、米の関税措置への切りかえと水田生態系との関連についてお尋ねがありました。
今回の関税措置への切りかえによりまして、稲作に悪影響を及ぼすことはないものと考えておりますが、今後の農政の推進に当たりましては、自然循環機能の維持増進に留意した農業生産活動を通じまして、自然環境の保全等の多面的機能が適切かつ十分に発揮されるよう努めてまいる所存でございます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/8
-
009・中川昭一
○国務大臣(中川昭一君) 関税措置への切りかえに関する政策決定過程についてのお尋ねですが、次期WTO交渉の開始を控え、与党、農協系統組織を初め、各方面で現行農業協定の分析、検証が行われ、農林水産省におきましても、中央、地方も含め、さまざまな機会を通じ、農業協定の内容等について説明を行ってきたところであります。
このような議論を経て、農林水産省、与党、農業団体は、認識が一致するに至り、これを踏まえ、政府としての意思決定を行ったところであります。その後も、全国消費者団体連絡会において、私から関税措置への切りかえに関して説明を行う等、広く情報を公開し、御理解を得るべく努力をしているところでございます。
次に、これまでの農政に対する総括についてのお尋ねがありました。
我が国の急速な経済成長、国際化の著しい進展等による変化の中で、現行基本法に基づく農政では、国民からの期待にこたえていくことが困難になっているとの総括の上に立ち、農政全体の見直しを行い、再構築をした結果であります。
新たな基本法では、従来の基本法には位置づけられていなかった国内農業生産を基本とした食料の安定供給の確保、農業農村が有する多面的な機能の十分な発揮、その基盤となる我が国農業の持続的発展、さらには農村の振興を政策推進の基本理念としております。これまでの農政の総括を踏まえ、新たな政策体系のもとで、農業者は将来に自信と誇りを持って農業経営に取り組めるようになるものと考えております。
なお、ウルグアイ・ラウンド合意関連対策については、農業生産基盤や生産高度化施設の整備、農家負担軽減対策等を通じ、農業の体質強化の推進等着実な成果が上がっていると考えております。
次に、関税措置への切りかえに対する異議申し立てについてのお尋ねでありますが、今回の米の関税措置への切りかえは、二次税率の設定方法も含めて農業協定の規定に忠実に従って、加盟国の権利として実施するものであります。このことは、関係国に対し繰り返し説明してきたところであり、大部分の国からは理解が得られている一方、一部の国、地域から異議が申し立てられたことは極めて遺憾と言わざるを得ません。
今後、各国の申し立ての内容や根拠について確認した上で対応していくこととなりますが、今回の米の関税措置への切りかえは、農業協定の規定に忠実に従ったものであることを再度説明し、申し立てが撤回されるよう努力してまいります。
次に、関税率及びミニマムアクセス制度についてのお尋ねですが、次期農業交渉は改革過程の継続のための交渉と位置づけられており、輸出国は関税率の大幅引き下げ、アクセス機会の拡大等を主張することも予想されます。継続のための交渉においては、農業の多面的機能や食糧安全保障等の非貿易的関心事項についても考慮に入れて交渉を行うことが合意されています。
我が国としては、我が国における米及び稲作の重要性等にかんがみ、将来にわたり安定的に営まれ、国民の主食である米の需給と価格の安定が図られるよう、農業の多面的機能や食糧安全保障等の非貿易的関心事項等が十分反映された内容の合意が得られますよう、次期交渉に当たってまいります。
なお、米のミニマムアクセス機会の法的性格については、平成六年五月二十七日の衆議院予算委員会において出された政府統一見解のとおりであり、今回の関税措置への切りかえ後もその法的性格は変わらないものと考えております。
次に、米の生産調整につきましては、国民の必要とする食糧の安定供給の確保は農政の最も重要な課題であります。
米の生産調整は、大幅な需給ギャップが存在する中で、需要に見合った生産誘導することにより、米の需給、価格の安定を図り、生産者の経営の安定と消費者の生活の安定に貢献してきたと評価しております。同時に、自給率の低い麦、大豆、野菜などの他作物の生産への転換を誘導することにしており、国民の必要とする食糧の安定供給に寄与してきたと考えております。
今後とも国民の需要に応じた食糧の安定供給の確保のため、稲作を中心とする我が国の土地利用型農業の発展に努めてまいります。
次に、食糧自給政策の確立についてのお尋ねでありますが、食料・農業・農村基本法案においては、第二条に食料の安定供給の確保についての基本理念を規定しており、その第二項におきまして国民に対する食料の安定的な供給については国内の農業生産を基本として行われなければならない旨を明確に規定しているところであります。したがいまして、改めて前文を設け、こうした考えについて重ねて明らかにする必要はないと考えております。
次に、WTO農業交渉に向けた議論に関するお尋ねですが、次期農業交渉において、我が国の立場を強力に展開し、我が国の考え方が十分反映された交渉結果を獲得するためには、広く国民的合意を形成することが重要であります。
このため、次期農業交渉に臨むに当たっては、先ほど総理からもお答えしたとおり、国会での御議論を十分踏まえることはもちろん、関係者が一体となって協議検討を進め、農業関係者のみならず消費者団体、経済団体等幅広く理解を得ながら、国民合意のもとでの交渉方針を構築していきたいと考えております。
次に、食生活についてのお尋ねですが、国民生活の食生活の状況を見ますと、脂質の摂取割合が適正範囲を上回る世代が見られることや、食べ残し、食品の廃棄などの諸問題が顕在しています。
農林水産省におきましては、これまでも消費者に対し食に関する情報の提供に努めてきたところでありますが、食生活の状況を踏まえ、食料・農業・農村基本法案において、食料消費の改善及び農業資源の有効利用に資する観点から、健全な食生活に関する指針の策定、食料の消費に関する知識の普及や情報提供等を推進することとしております。
今後、食糧を生産する場である農業農村への理解の促進を図りつつ、関係省庁及び食にかかわる関係者とも連携し、食生活を見直す国民的な運動の展開などにより健全な食生活の実現を図りたいと考えております。
次に、環境保全型農業についてのお尋ねでありますが、環境保全型農業につきましては、これまで積極的にその普及、定着に努めてきたところであります。しかし、化学肥料、農薬を節減するための奨励すべき生産方式が明確にされていなかったこと、農業者に減収、労働過重等の経営上の問題が生じるとの懸念があること等から、その取り組みは不十分な状況にあります。
このため、農業改良資金助成法の特例、租税特別措置法による所得税、法人税の特例による支援等を内容とする持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律案を本国会に提出するとともに、予算措置を通じて有機物供給施設等の整備等を積極的に図ってまいります。
最後に、米の関税化への切りかえと水田の生態系を守るための決意についてのお尋ねですが、今回の関税措置への切りかえについては、ミニマムアクセス数量の当面の増加を抑えるという利点があることに加え、ミニマムアクセス数量を超える部分については、農業協定に基づき適切な二次税率を設定することとしており、米の輸入増は見込みがたいことから、この関税措置への切りかえにより、我が国の稲作に影響が及ぶものとは考えておりません。
他方、今後の農政の展開においては、食糧の安定供給のほか、国土の保全、水源の涵養、生態系の保全を含めた自然環境の保全等の多面的機能の十分な発揮を確保していくことが極めて重要な課題であります。そのためには、その基盤として農業の持続的な発展と農村の振興を図ることが肝要であり、今後ともその施策の充実を図ってまいる所存でございます。(拍手)
〔国務大臣野呂田芳成君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/9
-
010・野呂田芳成
○国務大臣(野呂田芳成君) 能登半島沖の不審船舶に対する防衛庁の対応、その経過等についてのお尋ねでございますが、昨日、警戒監視活動実施中の海上自衛隊の航空機P3Cが二そうの不審船舶を発見いたしました。このため、訓練に向かっていた護衛艦を現場に向かわせ、不審船舶を確認し、海上保安庁に通報した概要は以下のとおりであります。
まず、海上自衛隊の航空機P3Cが午前九時二十五分ごろ、能登半島東方約二十五海里の領海内において漁船二そう、これは第二十八信盛丸、第二大和丸でございますが、これを発見、以後、現場に進出した護衛艦「はるな」が午前十一時ごろ船名を確認、直ちに海上保安庁に連絡したところであります。
海上自衛隊の航空機P3Cがさらに午前六時四十二分ごろ、佐渡島西方約十海里の領海内において漁船一そう、これは第一大西丸でございますが、これを発見、以後、現場に進出した護衛艦「はるな」が十二時十分ごろ船名を確認、十三時ごろ海上保安庁に連絡をしたところであります。
九時二十五分から飛行機で確認し不審に思ったんですが、さらに艦艇を使って、「はるな」が接触をし船名を確認したところであります。
また、第一大西丸につきましては、午前六時四十二分ごろ、かなりの船舶の中に不審船らしいものを発見しましたが、これを確認するために「はるな」が接近しまして、十二時十分ごろ、船名を確認したところであります。
その結果判明したことは、第二十八信盛丸は、現に我が国で実在する船であるということが判明いたしました。しかしながら、第二大和丸につきましては、実在の船が別にありまして、この不審漁船は名前を詐称しているという事実が判明いたしました。それから第一大西丸は、既に平成六年に廃船をしておりまして、我が国にさような船は存在しないということが判明した次第であります。
私どもは何でこのような船が不審船と考えたかということでありますが、第一は、大変漁船にふさわしくないアンテナなど、高度の情報収集の機能を備えていることが判明したということが一つであります。
それからもう一つは、漁船の格好をしながら漁具、漁網というものを一切持っていないということが不審の原因であります。
そしてまた、漁船は通常十ノット程度のスピードしか有しないのでありますが、これは最大三十五ノットの大変な機能のいい高速機能を持っているということであります。
それからもう一つは、私どもが常習的に行っている監視によりまして類似の不審船が何度か確認できているということであります。
こういうことで、私どもは、第一義の責任者である海上保安庁に不審の情報を詳細に送ったわけであります。
さらに、お尋ねは、超法規的措置がとられたかとか、あるいは今後の法整備の問題についてお尋ねでございましたが、私どもは自衛隊法の八十二条を適用いたしまして、「長官は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。」という規定を適用した次第であります。
まず、本日の零時三十分ごろ、運輸大臣から、海上保安庁ではなかなか対応が難しい状況にあるから海上自衛隊の方に出動をお願いしたいという要請を正式に受け取りました。零時四十五分に、安全保障会議や閣議決定がなされました。そして零時五十分には、海上警備行動の命令を発信したところであります。
第二大和丸につきましては、私どもも必死に追跡し、停船命令あるいは警告射撃もしたわけでありますが、それにもかかわらず防空識別圏を越えまして北朝鮮方向に逃走した次第であります。
これ以上の追跡は相手国を刺激し、事態の拡大を招くおそれがあると判断したので、午前三時二十分、追尾を中止したところであります。
その際、第二大和丸に対し海上自衛隊の護衛艦「みょうこう」は五インチ砲による警告射撃を十三回、それから百五十キロ爆弾四発をもって警告を発したわけであります。
また、第一大西丸に対しては、我が国の護衛艦「はるな」が追跡、停船命令あるいは五インチ砲を六回にわたって警告射撃を行ったところであります。
その後、第二大和丸を追尾していた「みょうこう」を「はるな」、「あぶくま」とともに第一大西丸の追尾に当たらせ、全力を挙げて停船の実施に夜を徹して当たらせましたが、その際、合計十二回二十二発を発射する警告射撃を行い、百五十キロ爆弾を二回計八発を投下し、全力を尽くして停船を求めましたが、第一大西丸はこれを無視し、午前六時六分、我が国の防空識別圏を越えて北朝鮮方向に逃走しました。
これ以上の追跡は、第二大和丸の場合と同じ観点から、追尾を中止するのやむなきに至ったところであります。
昭和二十九年に自衛隊が発足後、四十五年を経過しましたが、今回初めて自衛隊法八十二条の海上における警備行動を発動したところであり、結果は十分に武器の使用ができない等の法律上の制約が厳然としてありますので不審船の逃走を許したが、この種の事案に対し、海上保安庁の対応だけでは不十分な場合には自衛隊がこれに当たるという断固たる我が国の決意を内外に示したことは、今後、この種の事案の発生に対する極めて大きな抑止力になるものと確信しております。
最後に、海上保安庁と海上自衛隊の連携の緊密化の問題についてでありますが、私どもは平素からその緊密化を図っているところでありますが、この第一義の所管官庁である海上保安庁と防衛庁の緊密な連携のあり方等については、今後さらに、今回の経験を踏まえ、遺漏のなきよう万全を期してまいりたいと思っているところであります。(拍手)
〔国務大臣宮下創平君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/10
-
011・宮下創平
○国務大臣(宮下創平君) 食生活についてのお尋ねでありますが、肥満や高脂血症、高血圧症等の生活習慣病を予防するためにも、幼少期から正しい食習慣を身につけることが重要であると認識しております。
このため、厚生省におきましては、昭和六十年に国民一人一人が食生活改善に対する自覚を持ち、実践できるように、健康づくりのための食生活指針を策定、公表したところであります。また、平成二年には、さらに成長期の子供、女性、高齢者などにきめ細かく焦点を合わせた食生活指針を策定しております。これらの指針は、関係省庁の協力を得て、地域における栄養指導や学校、職場における栄養教育等に活用されているところであります。
また、現在、厚生省におきましては二十一世紀における国民健康づくり運動、いわゆる健康日本21の策定作業を進めており、平成十二年度の実施を目指しておりますが、この中でも食生活の改善を重要な柱として位置づけ、国民の皆様にわかりやすい形で食生活指針の普及を図ってまいりたいと考えております。
次に、遺伝子組みかえ食品の安全性の評価についてでございますが、これにつきましては、世界保健機関、WHOや経済協力開発機構、OECD等において科学的知見に基づいてその評価の考え方が取りまとめられており、我が国におきましても、それらを踏まえ、安全性評価指針を策定しております。
この指針におきましては、遺伝子組みかえ食品について既存の食品とその成分を比較し、たんぱく質等の食品成分の割合が同程度であることや、組みかえにより新たなアレルゲンや有害物質が生み出されていないことなどを確認しております。また、遺伝子が組みかわるという点におきましては、従来の品種改良品と同様であることから、現行の食品衛生法において、公衆衛生上、他の食品と区別して表示を義務づけることは難しいと考えております。
しかしながら、食品の表示をめぐりましてはさまざまな御意見もありますことから、現在、食品衛生調査会の表示特別部会におきまして、遺伝子組みかえ食品を含め、食品の表示制度全般について検討を行っておるところでございます。
以上でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/11
-
012・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 木庭健太郎君。
〔木庭健太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/12
-
013・木庭健太郎
○木庭健太郎君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました主要食糧需給安定法改正案につきまして、総理大臣及び関係大臣に質問いたします。
質問に先立ち、二点伺います。
本日、日本海で、不審船に対して自衛隊が初めて海上警備行動を行いました。その経過につきましては、ただいま総理及び防衛庁長官から御報告をいただきましたので、私は、総理として今回の対応にどういう認識を持っているのか、その見解だけを伺っておきたいと思います。
また、緊迫するコソボ問題に対して、NATOがけさ武力行使を決定いたしました。日本政府としてこの決定にどう対応するか、この点も総理の見解を伺っておきたいと思います。
さて、本法律案につきまして、私は、まず関税措置への切りかえを決定した経過について、一言申し上げておきたいと存じます。
国民の主食であり、我が国農業の根幹であります米の輸入問題につきましては、国会における三度の決議に象徴されますように、国論を二分する議論の上に、苦渋の選択の結果として関税化の特例措置を受け入れました。
この経過を顧みますとき、政府、与党、農業団体という直接の関係者だけで、しかも六カ月に満たない拙速な議論で唐突に関税措置への切りかえを決定したことは、多くの国民の思いを無視し、国会を軽視するもので、極めて遺憾であります。
総理は、過般の衆議院本会議において、衆参両院の農林水産委員会における議論の機会を提供しており、立法府を無視したわけではないと答弁されておられますが、それは三者合意が成立した翌日であり、政府決定が行われた十二月十八日に、しかも野党の強い要求によって衆参半日ずつの質疑がようやく確保されたにすぎません。
この問題が強く指摘されているにもかかわらず、WTO次期農業交渉に対する対応を依然として三者協議で進めようとしていることは、国民的視点に立って農政を展開しようとする姿勢と相入れないことはもとより、民主主義の原点を無視したものと言わざるを得ません。
私は、まず、この点について、総理及び農林水産大臣の反省を求めるとともに、公明正大な今後の対応について所信を伺いたいと存じます。
次に、法律案とそれに関連する具体的な問題について伺います。
第一は、関税措置への切りかえに伴う稲作に対する農家の不安にどうこたえるかという問題であります。
農水大臣は、今回の関税措置への切りかえは、当面現行農業協定のもとでとり得る最善の選択と述べておられます。自画自賛されるのは結構ですが、多くの稲作農家は、関税化への移行は今後我が国がとめどもない関税率の引き下げを迫られることを意味し、いずれ我が国の稲作も終えんを迎えるのではないかという深刻な思いでこの決定を見詰めているのであります。
常識的に考えて、今回設定された二次関税率は、六年間に一五%引き下げるという最低基準が次期ラウンドでも継続されたとしても、今回のマークアップ金額程度のレベルにダウンするのに十年とかからないのであります。政府は、仮定の話には答えられないと言われるでしょうが、これは容易に予測されることでありますので、稲作農家の不安にこたえる意味から、このような事態は引き起こさないという明快な答弁をいただきたいと思います。
第二は、去る十二月二十一日のWTOへの通告から三カ月が過ぎましたが、WTO加盟国のオーストラリア、EUなど四カ国から異議等の申し立てが先週提出された中で、四月一日からの関税化が予定どおり実施できるのかどうか、総理にお聞きしたいと思います。
また、政府は、これまでの論議において、たとえ異議申し立てがあったとしても、関税措置への切りかえは、WTO農業協定の定めるところに従って進めてきているので、国内法を整備すれば関税化へ移行できると答弁してこられました。
しかし、ケアンズ・グループの議長国であるオーストラリアが正式に異議を申し立て、EU、アルゼンチン、ウルグアイが承認を保留している状況の中で、それを無視して譲許表の改正が行えるのかどうか。そして外務省は、譲許表を改正するための承認案件を提出する予定と伺っておりますが、四月一日までに譲許表の改正が行えなくても関税措置への切りかえは実施可能なのかどうか、外務大臣の所見を伺いたいと思います。
第三にお聞きしたいのは、関税化に移行した後のミニマムアクセス米の取り扱いについてであります。
関税化へ移行したからといって、このラウンドの継続中、ミニマムアクセス米の輸入を行わざるを得ないことは協定の定めるところであり、容認せざるを得ませんが、二〇〇〇年から始まる交渉が三年間で妥結し、二〇〇三年以降の次期ラウンドにおいても八十万トンを上回るようなミニマムアクセス米の輸入が行われるのであれば、何のための関税化であったかわかりませんし、我が国の農業にとって依然として厳しい状況が続くことに変わりがありません。この点についてどのように対応していかれるつもりか、農水大臣の見解を伺いたいと思います。
第四に、政府は、次期WTO農業交渉において、農業の多面的機能や食糧安全保障などの非貿易的関心事項について、我が国のかねてからの主張を強力に展開するという姿勢を明らかにしています。私もこの政府の方針を評価したいと思いますが、次期農業協定に食糧の安全保障や農業の多面的機能に配慮する程度の文章が抽象的な配慮事項として挿入されたところで何の意味があるのか、お考えいただきたいと思います。
すなわち、我が国の水田が緑のダムとして土砂崩れの防止や洪水調節、気候の緩和、生態系の維持等の機能を発揮するためには、国内で稲作が営まれていることが必要であり、稲作経営を崩壊させるような米の輸入が行われてはならないのでありまして、農業の多面的機能の重要性が協定文に書かれているだけでは意味がなく、実際の米の貿易ルールで裏打ちされたものでなければならないということであります。この点について、農水大臣の所見を伺いたいと存じます。
WTO農業協定が強大な輸出国の利益を代表する仕組みになっていることは、多くの識者が指摘するところであり、その端的な例が、輸出国は、関係国への通達や協議のみの手続で自国の都合により輸出を制限ないしストップできる反面、輸入国は、原則として厳しいセーフガード協定をクリアしなければならない点であります。このような不平等な扱いを改めることも次期交渉の大きな課題でなければならないと考えますが、我が国政府の対応方針について、総理の御見解を伺いたいと存じます。
次は、関税化に伴う生産調整への影響であります。
平成十一年産米は、昨年に引き続き史上最高の九十六万三千ヘクタールの生産調整が実施されますが、昨年の段階で既に十四の目標未達成県が出ており、関税化への移行という事態を背景に、この傾向は加速すると私は見ております。
昭和四十六年以降続いている米の生産調整は、政府自身が稲作経営の将来像として描いている大規模経営農家の生産性向上を著しく阻害する結果を生んでいます。農水省は、新しい基本法案においても、効率的かつ安定的な農業経営の育成をうたっていますが、その足かせとなっている生産調整を続けていかなければならないこの農政の矛盾をどのように解決されるのか、お答えいただきたいと思います。
二十世紀は戦争の世紀と言われてまいりましたが、恐らく二十一世紀は食糧の世紀になると私は確信しております。ワールドウオッチ研究所の見通しがやや過激であるとしても、農水省が独自に開発した世界食糧需給モデルの生産制約シナリオからもそれはうかがえるのであります。
このような中で、今私たちが考えなければならないことは、九六年の世界食糧サミットにおけるローマ宣言において、現在及び将来世代の食糧安全保障を達成する責任は各国政府にあるとうたわれておりますし、我が国も持てる能力を最大限に発揮して、この課題の達成のために努力しなければならないということであります。
政府は、世界の食糧安全保障と人類生存の基盤である農業が環境と調和する中で多面的機能を遺憾なく発揮し続けることができるよう、食糧輸出大国とその背後に存在する穀物メジャーの覇権を確実なものとさせるようなWTO農業協定を、良識ある多くの国々と力を合わせ、改める努力をすべきであり、その決意を総理に伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/13
-
014・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 木庭健太郎議員にお答え申し上げます。
まず最初に、能登半島沖の不審船事案についてでございますが、先ほど私並びに防衛庁長官から御答弁申し上げたことでございますので、この点については御理解をいただきたいと思います。
つきましては、本件についての見解について申し述べろということでございますが、昨日の不審船舶の発見以来、政府といたしましては、海上保安庁及び防衛庁、自衛隊を中心に関係省庁が協力してあらゆる措置をとることによりまして不審船への対処につきましては万全を尽くしてきたところであります。
今回の事案にかんがみまして、海上保安庁による警告措置を含む対応や海上における警備行動の発令を行ったところでありますが、残念ながら不審船に対する停船命令の実施や立入検査に至らなかったところでございまして、このような措置は、我が国としての安全の確保に対する意思を明示するものとして重要なものと考えております。
なお、この間、政府として関係省庁からそれぞれの関係国にも通報するなど、措置の実施に当たりましては十分理解が得られるよう配意いたしたところでございます。
いずれにいたしましても、この種の事案はいつ再発するかもしれず、これに対して政府が一丸となって対応することが重要であると考えております。今回の教訓を謙虚に整理しつつ、今後の我が国の安全の確保及び危機管理に万全を期するよう努力をいたしてまいりたいと考えております。
次に、主要食糧安定法についてのお尋ねにつきましてお答えをいたします。
まず、WTO次期農業交渉への対応についてお尋ねがありました。
次期農業交渉につきましては、国会でのこれまでの御議論を十分踏まえることはもちろんでございますが、関係者が一体となって協議検討を進めまして、農業関係者のみならず消費者団体、経済団体を初め、幅広く理解を得ながら国民合意のもとで交渉方針を構築していきたいと考えております。
米の関税措置への切りかえについてのお尋ねでありました。
関税措置への切りかえにつきましては、二次税率の設定方法も含めまして農業協定の規定に忠実に従ったものであり、農業協定の基本原則にかなうものであることから、国内法の改正によって四月一日から実施できます。
なお、豪州、EUなど四カ国に対しまして、申し立てが撤回されるよう最大限の努力もいたしてまいりたいと考えます。
次に、次期農業交渉に向けた我が国の対応方針についてお尋ねでありますが、食糧安定供給と農業農村の持続的発展を図り、二十一世紀に向け農業者が明るい展望を持って農業に取り組めるよう、次期交渉では、農業の多面的機能や食糧安全保障、輸出入国間の貿易関連措置の状況等を踏まえた貿易ルールの確立を積極的に主張してまいりたいと考えております。
次に、食糧安全保障や多面的機能の観点からの農業協定改定に関するお尋ねですが、国民への食糧の安定供給、農業の多面的機能の重要性等につきましては、政府としても十分認識し、これらに対する国際的理解が深まるよう努力してきたところであり、次期農業交渉におきましても適切に対応していく考えであります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/14
-
015・中川昭一
○国務大臣(中川昭一君) お答え申し上げます。
最初に、次期農業交渉への今後の対応についてでありますが、我が国の主張を強力に展開し、我が国の考え方が十分反映された交渉結果を獲得するためには、広く国民的な合意を形成することが重要であります。この考えのもとで、次期農業交渉に臨むに当たりましては、国会での十分な御議論を踏まえることはもちろん、関係者が一体となって協議検討を進め、消費者団体、経済団体を初め、幅広く国民各界の御理解を得ながら、国民的な共通認識に基づいた交渉方針を築いてまいる所存でございます。
次に、関税化の切りかえの影響、あるいは次期WTO農業交渉におけるMA米の扱い並びに非貿易的関心事項等の御質問がございました。
関税率及びミニマムアクセス米の取り扱いについてのお尋ねですが、次期農業交渉は改革過程の継続という位置づけにありますので、その観点から輸出国もさまざまな主張をすることも予想されます。一方、その継続のための交渉においては、農業の多面的機能や食糧安全保障等の非貿易的関心事項についても考慮に入れて交渉を行うことが合意されております。その場合には、国土の保全、自然環境の保全、地域社会の維持、活性化といった多面的機能や食糧安全保障等の非貿易的関心事項が適切に反映され、また、輸出国と輸入国との権利義務のバランスがとられるように、例えば輸出規制あるいは輸出補助金に対しても適切な規律を課すこと等が必要であるというふうに考えております。
非貿易的関心事項の反映につきましては、緑の政策の範囲等国内助成のあり方、関税に対する規律のあり方について、国内農業生産に支障が出ないよう十分配慮することが必要であります。
我が国といたしましては、我が国における米及び稲作の重要性等にかんがみ、将来にわたり稲作農業が安定的に営まれ、国民の主食である米の需給と価格の安定が図られるよう、多面的機能や食糧安全保障等、非貿易的関心事項が十分反映された内容の合意を目指し、次期交渉に当たってまいる考えであります。
最後に、米の生産調整についてのお尋ねでありますが、米の生産調整は、大幅な需給ギャップが存在している状況のもとで避けて通ることのできない課題であり、農業経営の安定を図る上でのいわば前提条件と認識をしております。生産調整の推進に当たっては、米だけでなく土地利用型農業全体を展望して、需給動向に即した良質米の生産、生産性の高い営農を推進するとともに、麦、大豆等の作物について効率的な生産体制の整備等の各種対策を講じているところであります。
今後とも、稲作を中心とする我が国の土地利用型農業の発展が図られるよう努めてまいる所存でございます。(拍手)
〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/15
-
016・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) 譲許表の修正についてのお尋ねでありますが、農業協定附属書は、加盟国は実施期間中のいずれの年の開始時においても特例措置の適用を終了させることができる旨定めているわけであります。譲許表の修正については、他国からの異議が撤回されるまでは確定いたしませんが、農業協定上、四月一日までに譲許表の修正手続を終了しなければならないとの規定はありません。
したがいまして、四月一日までに譲許表修正手続が終了しない場合でも、加盟国による特例措置の適用の終了は関税化という農業協定上の基本原則にかなうものであり、国内法令により関税措置への切りかえを実施することができるわけでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/16
-
017・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 答弁の補足があります。小渕内閣総理大臣。
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/17
-
018・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 失礼をいたしました。
木庭議員のお尋ねの中で、コソボの武力行使の決定をNATOがいたしたが、これに対する日本政府の見解を問う、こういうことでございました。
欧米諸国の粘り強い努力にもかかわりませず、ユーゴ政府のかたくなな態度によりまして政治解決の道が断たれつつあることは極めて残念でございます。最悪の事態を回避すべく、ユーゴ政府が和平合意案を直ちに受け入れることを強く日本政府としては求めてまいりたいと思っております。
以上でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/18
-
019・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 須藤美也子君。
〔須藤美也子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/19
-
020・須藤美也子
○須藤美也子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題になりました主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部改正案に対して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
本法案は、国民の主食である米を関税化、つまり輸入自由化する法案であります。言うまでもなく、米の輸入自由化問題は、日本の食糧と農業の将来にとって重大な影響を与える問題です。だからこそ、この参議院でも三度にわたって反対決議が行われたのです。
ところが、それほど重要な関税化への移行を政府は四月一日から実施するとして、あとわずか一週間余りしかない日程の中で強行しようとしています。政府自身、九四年の国会で、六年間の特例措置の扱いについては、終了の時点で慎重に検討していくと述べていたではありませんか。
また、直接影響を受ける生産者に関税化を決める意見集約を求めた期間は、年末のわずか十八日間であります。こうした中で、どうして生産者はおろか、国民の声を集約することができたでしょうか。一たん関税化を決めてから、国民合意に努めるといっても、国民の不信感が募るばかりではありませんか。
総理、余りにも唐突、拙速という国民や各党の批判を真剣に受けとめるべきではありませんか。なぜ、十分な国会会期があるのに、無理に日切れ扱いにして関税化をあくまで強行するのですか。先に三月末の期限ありきではなく、徹底的な審議を行うべきであります。まず、総理の見解を求めるものであります。
政府は、関税化の移行が次期交渉に有利と言いますが、果たしてそうでしょうか。
第一に、今般、オーストラリア、EUなど諸外国からWTOに対して、日本政府の関税化措置に対して異議申し立てが行われました。それは、高関税という政府の案すら認めず、関税率を引き下げ、一層輸出国に有利にすることをねらったものです。政府は、高関税で米は守れると生産者や国民に幻想を与えてきましたが、もう始める前から早くもつまずいているではありませんか。総理、どうですか。この新しい事態のもとでも関税化措置が次期交渉に有利と言えるのですか。お答えください。
第二に、そもそもWTO協定前文は、「関税その他の貿易障害を実質的に軽減し」と関税を引き下げていくことを明記しています。政府自身、審議の中で、二〇〇一年以降の関税水準については何らかの見通しを申し上げることは困難と、高関税を維持することは難しいと認めているではありませんか。これでは、農業団体が求める稲作の将来を展望する関税水準の確保と継続が保障されないことは明らかではないでしょうか。農水大臣の見解を求めます。
牛肉、オレンジも、輸入自由化後ほぼ十年がたちました。牛肉について見ると、関税率の相次ぐ引き下げで、肉牛農家は九〇年の二十三万二千戸から九八年の十三万三千戸へと九万九千戸が減少、離農に追い込まれています。
米の場合、輸入自由化されると、今でも米価暴落、輸入米による減反で苦しむ米作農家の生産意欲と展望をますます失わせ、牛肉以上のはかり知れない影響を与えることは明らかです。それでも、米の生産、需給に影響を与えるとは考えておりませんなどと言えますか。農家や国民が安心できる見通しなど全くないではありませんか。農水大臣、はっきりとお答えください。
また、政府自身国会答弁で、例外なき関税化という農業協定の枠組みを変えることは困難としているもとでは、次期交渉での我が国の選択肢は関税率の引き下げしかないではありませんか。それでどうして農業の多面的機能や食糧安全保障の立場で努力するなどと言えるでしょうか。総理の見解を求めるものです。
政府は、本当に真剣に国民の食糧、農業再建に取り組んでいるのでしょうか。例えば、農家に非常な苦難を与えているミニマムアクセス米について、政府は全量輸入が義務だと言って、需要がないのに無理やり輸入しているではありませんか。WTO農業協定のどの条文に書かれているのか、外務大臣、その根拠を示してください。答弁を求めます。
そして、政府は、必要としないミニマムアクセス米の押しつけをやめるべきではありませんか。農水大臣、はっきりとお答えください。
ウルグアイ・ラウンド合意以降、世界の食糧問題は深刻化しています。世界食糧サミットでは、二〇一五年までに飢餓人口を半減することを世界共通の課題として宣言しました。しかし、FAOの報告によれば、食糧援助を必要とする国は世界全体の二割、三十七カ国に及び、栄養不足人口は八億二千八百万人に増加しています。しかも、このうちアジアが六二%を占めています。
日本は世界でも最高水準の生産力を持ちながら、水田の四割近くが減反を強制され、世界六位の米輸入国となり、食糧自給率は低下する一方であります。総理、米関税化はこうした世界の食糧問題の解決に逆行するものではありませんか。見解をお聞きします。
そして、今在庫がふえる一方のミニマムアクセス米は、世界の食糧難に役立つよう食糧援助に回すようにすべきと思いますが、外務大臣の答弁をお願いいたします。
次に、次期交渉の問題について質問いたします。
今求められているのは、米、農業を守るための改正交渉であります。もともとWTO農業協定は、輸出国や巨大穀物メジャー、多国籍企業の利益を優先させ、気候や地理的条件の制約を強く受ける農産物の特性を無視して、一律に貿易自由化を押しつけたものです。
日本は食糧自給率が四一%、穀物自給率は二八%と世界最低の水準であり、これでは食糧安全保障など成り立たないことは明らかです。唯一自給できる米は食糧自給の根幹をなすものです。総理、日本の食糧安全保障にかかわる根本的課題として、我が国は今こそ米は自由化の対象から外すなど、実効ある輸入規制が行われるよう断固として要求すべきと思いますが、いかがですか。
また、WTO農業協定は、前文で環境保護に配慮すると規定しています。日本、韓国を初めアジア・モンスーン地帯では、手間をかけて水田を維持し、農業生産を続けることが環境と国土の保全に大きな役割を果たしています。WTOでも認める環境のための施策に、水田とそこでの農業生産の維持を加えるように改めさせるべきです。
さらに、農業協定は、アメリカなどの輸出補助金を残す一方で、各国に一律に価格政策など生産に対する助成、農業保護の削減を義務づけています。これでは自給率の向上はできません。このような条項を削除すべきと思います。この二点についても総理の見解を求めます。
最後に、私は、国民に安全な食糧を安定して供給し、国土・環境を保全し、さらに、世界の食糧問題を打開していく立場から、本法案を徹底して審議をし、廃案すべきものと強く主張して、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/20
-
021・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 須藤美也子議員にお答え申し上げます。
まず、米の関税措置への切りかえ期限についてお尋ねでありました。
関税措置への切りかえにつきましては、できるだけ早く行った方がミニマムアクセス数量の増加がより少なくなるメリットがあること、また、農業協定上、各年度の開始時においてのみ行うことができるとされておること等を考慮いただき、何とぞ御審議の上、本法案に速やかな御賛同をいただきますようお願いいたします。
次に、米の関税措置への切りかえについてお尋ねですが、今回の切りかえに当たりましては、農業協定に基づき適切な二次税率を設定いたしておりまして、稲作の重要性を十分認識した上で、国益にとって最善の選択として決定いたしました。このことは大部分の国からは理解を得ていると考えておりますが、豪州等の国に対しては異議等の申し立てが撤回されるよう努力してまいります。
次に、次期交渉での米の関税率に関する対応についてお尋ねですが、二〇〇一年四月一日以降の関税率につきましては、次期農業交渉の結果によることとなります。
政府といたしましては、将来とも稲作農業が安定的に営まれ、米の需給と価格の安定が図られるよう、農業の多面的機能や食糧安全保障等の非貿易的関心事項等が十分反映された内容の合意が得られるよう、次期交渉に当たってそのように努力をいたしてまいります。
次に、世界の食糧問題への影響についてお尋ねでありました。
今回の米の関税措置への切りかえに際して設定をいたしました二次税率のもとで、米の輸入増によりまして国産米の需給や自給率に影響が出るとは考えておりません。したがいまして、世界の食糧情勢に悪影響を与えるものではないと考えております。
WTOの農業協定の改定についてお尋ねですが、重要なことは、まず初めに協定の改定ありきということではなく、関係者が一体となりまして、国民的理解を得ながら揺るぎなき交渉方針を築いた上で、二十一世紀に向け農業者が明るい展望を持って農業に取り組むことができるような交渉結果を獲得するよう努めることであると考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/21
-
022・中川昭一
○国務大臣(中川昭一君) まず、関税につきましては、今回の米の関税措置への切りかえに当たりましては、農業協定の規定に忠実に基づき、基準期間における実際の内外価格差を用いて適切な二次税率を設定することとしております。
現行農業協定実施期間終了後の二次税率の水準につきましては、次期農業交渉の結果によることとなりますが、次期農業交渉は、改革過程の継続のための交渉と位置づけられていると同時に、農業の多面的機能や食糧安全保障等の非貿易的関心事項についても考慮に入れて交渉を行うことが合意されております。
我が国としては、我が国における米及び稲作の重要性等にかんがみ、将来にわたり稲作農業が安定的に営まれ、国民の主食である米の需給と価格の安定が図られるよう、農業の多面的機能や食糧安全保障等の非貿易的関心事項が十分反映された内容の合意を目指し、次期交渉に当たっていく考えであります。
次に、ミニマムアクセス機会の法的性格と我が国農業への影響のお尋ねですが、米のミニマムアクセス機会の法的性格については、平成六年五月二十七日の政府統一見解のとおりであります。今回の関税措置への切りかえ後も、その法的性格は変わりません。国家貿易制度をとる我が国においては、通常の場合にはミニマムアクセス数量の輸入を行うべきものと考えています。
また、ミニマムアクセス米の取り扱いにつきましては、引き続き、平成五年十二月十七日の閣議了解におけるミニマムアクセス導入に伴う転作の強化は行わないとの趣旨を踏まえて対応することとし、従来どおり食糧庁における国家貿易制度のもとで、国内産米の需給にできるだけ影響を与えないよう、国内産米で対応しがたい加工用等の需要を中心に供給することとしております。(拍手)
〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/22
-
023・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) ミニマムアクセス米の輸入義務についてのお尋ねでありますが、平成六年五月二十七日のウルグアイ・ラウンド農業協定における米のミニマムアクセス機会の法的性格に関する政府統一見解のとおり、米について、農業協定附属書五に基づきミニマムアクセス機会を設定する場合、我が国が負う法的義務の内容は、米の国内消費量の一定割合の数量について輸入機会を提供することであります。
その際、米は国家貿易品目として国が輸入を行う立場にあることから、ミニマムアクセス機会を設定すれば、通常の場合には当該数量の輸入を行うべきものと考えております。
ミニマムアクセス米を食糧援助に回すべきとの御意見でありますが、我が国は従来より食糧援助にミニマムアクセス米を含む政府保有米を活用してきております。さらに、政府保有米を貸し付ける仕組みを昨年創設し、そのもとでもミニマムアクセス米を用いております。
なお、ミニマムアクセス米を食糧援助に活用するに際しては、WTO協定を初めとする国際ルールを遵守しつつ行う必要があります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/23
-
024・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 谷本巍君。
〔谷本巍君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/24
-
025・谷本巍
○谷本巍君 社会民主党・護憲連合を代表し、食糧法等の一部改正案について、総理と関係大臣に質問いたします。
私たち社民党は、昨年秋、突然政府が示した米の関税化移行に対し、一年間、国民的論議を行った上、結論を出すよう提案いたしました。
政府はこれまで食糧安全保障にかなう新たな国境措置を強調してまいりました。米関税化移行は、これとは全く異なる自由化への領域に踏み込むわけでありますから、論理的にも実際的にも逆行的矛盾が生じてまいります。
また、政府は高率関税を課すことができると言ってきました。確かに当面はそれで稲作を守ることはできます。しかし、その先は日本政府と米国などの意向次第でありまして、例えば関税額算定の基準年や関税引き下げ率のとり方等で、関税化は稲作農業つぶしと化してまいります。
日本の関税化移行に対し、早速オーストラリアなどが異議の申し立てを行いました。この先WTO提訴ともなれば、米関係国の協議となるでありましょう。
総理も御存じのように、かつて日本列島の平野部の多くは人の住めないところでありました。急峻な山が多く、雨が季節的に集中することから、平場が常襲災害地であったためであります。平野部に多くの人が住めるようになったのは、私たちの先祖が、米をつくる水を確保するため、営々と山に木を植え、川を整え、そして水田農業を維持するための水の共同管理等々を通じ、相互扶助的地域社会を形成してきたことにあります。この国土が生んだ木を使い、米を主食とすることが国土と環境を守る基礎であり、日本の文化が米と木の文化と言われるようになったのも実にそのためであります。
関税化移行が本当に稲作と国民を守るためのものなら、政府はまず国民の意見を聞き、それに即した方針と体制を固めることで、強い外交交渉の展開と、政府がかわっても方針は一貫して貫き得る体制を築くべきであります。
まず初めに、総理に伺いたいのは、今冒頭に指摘した関税化移行の問題点と、高額関税維持の可能性と総理の決意、また、今回のオーストラリアなどの異議申し立て等への対処、そして稲作を守ることの重さについての認識と、なぜ拙速に決めようとするかについてお考えを示していただきたいのであります。
次に伺いたいのは、次期WTO交渉に臨む基本姿勢についてであります。
次期交渉は、農業協定第二十条により、改革過程の継続という性格を持つとされております。この点が貫かれるなら、日本のみか多くの輸入国の農業の存立が危うくなってまいります。
ウルグアイ・ラウンドの場合は、食糧生産が大過剰と言われた時代でありました。次期交渉は世界的食糧不足、それも構造的不足の時代を迎えるに当たっての交渉となります。それからすれば、次期交渉は、ウルグアイ・ラウンドの継続ではなく、一変しつつある世界の食糧事情に見合う新しいルールづくりの機会にされなければなりません。
一昨年の国連食糧農業機関による食糧サミットを初め、多くの国際機関が二十一世紀の食糧不足への早期対策を訴えております。また、米国を含む家族農家の団体や消費者、環境団体から自然保護団体なども立ち上がっております。世界的気象変動や水飢饉が進み始めた中で、世界の食糧をアグリビジネスなど国際的巨大資本の手にゆだねる自由化に反対して、地球環境と農村社会を守る運動と結合的に取り組みつつあるのであります。
ウルグアイ・ラウンドで主導的であったのは米国とEUですが、次期交渉で輸入国でもあるEUと環境問題の視点からの連携も含め、輸入国農業も存立し得る新ルールづくりの道を開くことは、世界の食糧問題解決にとって不可欠であります。世界最大の食糧輸入国であり経済大国でもある日本が、その先頭に立たずしてだれが立つのでありましょうか。世界の食糧事情の変化に見合うルールづくりについてどう考えるか、総理と通産大臣、農水大臣の所見を承りたいのであります。
続いて、総理並びに農水大臣にWTOのルール改革と国内農政について伺います。
新基本法づくりと関連し、政府が進めてきた農政改革に多くの農家が強い不安を抱いております。それは、WTOの貿易ルールを変えるのではなくて、WTOの体制のもとに農政のあり方を組みかえていくのではないかと見られるからであります。今政府に求められるのは、貿易ルール改定への構想を大胆に示しながら、主権国家としての主体性を発揮した農政のあり方を示すことであります。
また、政府は、食糧安全保障や農業の持つ多面的役割を次期交渉で強力に主張すると言っておりますが、それによってどうWTOのルールを変えるのかが示されておりません。例えば、緑のボックスに水田農業を入れるとか、新たに食糧安全保障ボックスを設けるなど、創意ある提案を具体的に行っていくべきであります。同時に、輸入国が輸出国と同等の農業助成金を削減させられる不公正さの是正を初め、これまで政府も指摘してきた輸出補助金や輸出規制の廃止なども含め、改革への実践的展望を示すことです。総理、農水大臣、いかがでしょうか。
また、それとあわせ、国内農政を充実していくことであります。新たな基本法の中に、稲作を中心に麦、大豆、飼料作物など土地利用型農業の位置づけを図るとともに、農家が切望してやまない価格支持政策にかわる直接所得政策にしても、中山間地域だけに限定することなく、平場であっても環境保全にかなうものなら対象とするなど、その充実を期すべきであります。農水大臣のお考えをお聞かせいただきたいのであります。
次に、外交交渉のあり方について、総理並びに外務大臣の御所見を伺います。
ウルグアイ・ラウンドでの外交交渉は、その経過の事実さえ知ることのできない極端な秘密に閉ざされたものでありました。既に、西欧などで見るなら、環境問題等々の国際会議に臨む代表団が政府とNGOによって構成される例も珍しくありません。今回の米の関税化移行は、野党との事前協議もなければ、自治体や消費者、市民団体等もすべて事後扱いでありました。
外交は、国民の合意に支えられてこそ大きな力を発揮するものであります。そのため、合意形成を可能とするWTO改革への構想づくりとともに、情報公開はもとより、透明性のある外交を心がけるべきであります。総理、外務大臣、いかがお考えでしょうか。
最後に、昨日の不審船の件について伺います。
今回のような事態に備えるため、海上保安庁による沿岸警備は体制をさらに充実すべきであろうと思います。この点についての総理の見解を伺います。
また、今回の事案に対して、国民各層への十分なる説明を行うことを要望し、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/25
-
026・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 谷本巍議員にお答え申し上げます。
まず、関税措置への切りかえと今後の関税率についてお尋ねがありました。
今回の切りかえに際しまして設定いたしました二次税率のもとで、米の輸入増によりまして国産米の需給や自給率に影響が出るとは考えておりません。今後とも、我が国の米及び稲作の重要性にかんがみ、非貿易的関心事項等が十分に反映された内容の合意が得られますよう、次期交渉に当たってまいる所存でございます。
関税措置への移行に対する異議申し立てとそれへの対処等についてのお尋ねでありました。
今回の切りかえは、農業協定の規定に忠実に従っているにもかかわらず、一部の国から異議申し立てが行われたことは極めて遺憾であります。今後とも、我が国の今回の措置が農業協定に従っている旨を説明し、異議等の申し立てが撤回されるよう努力する考えであります。
稲作の重要性の認識と決定過程についてお尋ねですが、今回の切りかえは、農業団体のみならず、各方面における議論を踏まえまして、稲作の重要性を十分認識した上で国益にとって最善の選択として決定をいたしました。なお、米は国民の主食であり、稲作は我が国農業の基幹であることは何ら変わりないところでございます。
次期WTO交渉での新たなルールづくりについてのお尋ねでありました。
食糧安定供給と農業農村の持続的発展を図り、二十一世紀に向け農業者が明るい展望を持って農業に取り組めるよう、次期交渉では各国の農業の実情、農業の多面的機能や食糧安全保障、輸出入国間の貿易関連措置の状況を踏まえた貿易ルールの確立を積極的に主張していきたいと考えております。
次に、次期WTO交渉において主体性のある農政を示すべきとのお尋ねでございますが、新しい基本法案におきまして基本理念として掲げた食糧の安定供給の確保や農業の多面的機能の十分な発揮という考え方、並びにこれに基づく施策が国際ルールの中で正当に位置づけられるよう、積極的に主張してまいりたいと考えております。
WTOの改革についてのお尋ねでありました。
二〇〇〇年からのWTO次期交渉の一環といたしまして、WTOの活動の透明性の向上についても議論の対象となっております。政府といたしましては、国民各界各層からの意見を参考にしつつ、また、各国との調整を図りながら、この問題を含め、次期交渉へ向けて引き続き主導的な役割を果たしてまいりたいと思っております。
次に、外交における情報公開及び透明性についてお尋ねでありましたが、私は、外交には究極のところ国民の皆様の理解が必要不可欠であると考え、国民とともに歩む外交の推進を提唱してまいっております。昭和五十一年に始まった外交記録公開及び既に経済や環境分野の交渉で実施している民間の意見の聴取に加え、新たな情報公開法のもとでの努力を払うよう、引き続き外務省を指導する考えであります。
なお、本案に対する残余の質問については関係大臣から答弁いたさせますが、最後に今般の能登半島の不審船事案に関してお尋ねがございました。海上保安庁による沿岸警備の体制についてお尋ねでありました。
今回の事案に対応しての政府の対処につきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますが、今回の事案を踏まえまして、必要がありますれば、その体制のさらに充実強化につきまして検討いたしてまいりたいと思います。
なお、本件につきまして、国民各界各層に対する説明を十分行うようにという谷本議員の御指摘につきましては、十分心得て対処いたしてまいりたいと思っております。
以上、御答弁とさせていただきます。(拍手)
〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/26
-
027・中川昭一
○国務大臣(中川昭一君) お答え申し上げます。
まず、次期WTO交渉における新たなルールづくりにつきましてのお尋ねですが、先ほど総理よりお答えした基本的な認識のもと、次期交渉では次のような論点を強力に主張し、最終合意内容に我が国の考え方を十分反映させてまいりたいと考えております。
第一に、農業の多面的機能、食糧安全保障の重要性、さらに、国内の農業政策の円滑な実施や農業生産の文化への十分な配慮がなされること、第二に、真に公正な農産物貿易ルールを確立するため、輸出入国間の権利義務のバランスを確保すること、第三に、各国の農業が共存できるような国際規律とすることであります。
私といたしましては、このような基本的な姿勢のもと、関係者一体となって国民的共通認識を得ながら、揺るぎない交渉方針を築き、後世に悔いのない交渉結果を獲得すべく全力を挙げて取り組んでまいる決意でございます。
次に、WTO交渉において主体性のある農政を示すべきだとのお尋ねですが、二十一世紀に向け農業者が明るい展望を持って農業に取り組むことができるような交渉結果を得るためには、食料・農業・農村基本法案に掲げられた考え方や、これに基づく施策が国際規律の中で正当に位置づけられることが必要と考えております。
このような観点から、次期交渉においては、新たな基本法案の基本理念である国内農業を基本とした食糧の安定供給の確保、農業農村の有する多面的機能の発揮等が十分反映された内容の合意が得られるよう、我が国の立場、考え方を積極的に主張していきたいと考えております。
次に、次期農業交渉で具体的な提案を行うべきとのお尋ねでありますが、次期交渉においては、二十一世紀に向け農業者が明るい展望を持って農業に取り組めるような交渉結果を獲得することが必要であると考えております。
このためには、先ほど申し上げた次期交渉に向けての基本的考え方のもと、国民的な共通認識を得ながら、早急に交渉方針を構築した上で、関係国とも連携をとりながら、それを強力に主張していくことが必要であると考えており、これを通じて最終合意に我が国の考え方が反映されるものであると考えております。
次に、土地利用型農業の位置づけについてのお尋ねでありますが、稲作を中心とした土地利用型農業につきましては、食料・農業・農村基本法案におきましても個別作目について特記はしておりませんが、安定的な食糧供給と我が国農業の持続的発展の上から、重要な部門として位置づけられるものであることは言うまでもありません。このため、土地利用型農業の振興を念頭に置いて、食糧自給率目標の設定、農地の確保及び有効利用、農業生産基盤の整備、人づくり、技術開発等、基本的施策として明示しているところであります。
最後に、直接支払いについてのお尋ねでありますが、直接支払いについては、我が国農政史上初めてのことであり、その制度内容は国民の理解を得られるものであることが必要であります。このため、WTO協定上削減対象外の緑の政策として導入することを前提に、公益的機能の確保を特に図る必要がある中山間地域等に対する直接支払いの具体化について検討を進め、これにより国民の理解を得ていくことが最重要課題であると考えております。
なお、平場における直接支払いについては、環境に着目した制度とするとしても、汚染者負担原則との関係あるいは環境に対する負荷軽減義務の取り扱いをどうするか、さらには直接支払いを広範囲に適用することには、農業構造の改善をおくらせる面があるのではないか等の懸念があります。このため、今後十分な時間をかけて検討していく必要があると考えております。(拍手)
〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/27
-
028・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 谷本議員にお答え申し上げます。
御質問は、世界の食糧事情の変化に見合うルールづくりについてどう考えるか、こういう御質問でございました。
次期WTO交渉について、我が国としては、既に交渉を開始することが決まっております農業、サービス分野といった既存の交渉分野に加えまして、鉱工業品関税や投資ルール等の幅広い項目を対象とした包括的交渉とすることを提唱しているところであります。
農業分野については、これまでAPEC閣僚会議や先般の訪豪の際にも関係国から高い関心が表明され、私自身も農業問題は交渉全体にとって重要なものと承知をしております。農業分野に関する次期交渉においては、農業の多面的機能への配慮等、我が国の立場を十分に反映させたものとすべく、政府一体となって対処してまいる考えであります。(拍手)
〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/28
-
029・高村正彦
○国務大臣(高村正彦君) WTO改革及び情報公開、透明性のある外交についてのお尋ねでありますが、二〇〇〇年からのWTO次期交渉の一環として、WTOの活動の透明性の向上についても議論の対象となっております。
政府といたしましては、国民各界各層からの意見を参考にしつつ、また、各国と調整を図りながら、この問題を含め、次期交渉へ向け引き続き主導的な役割を果たしてまいります。
なお、WTO次期交渉に向けて、外務省では、NGOへの説明やインターネットを通じた情報提供及び意見受け付けを行っているところであります。
さらに、WTO以外でも、主として経済や環境の分野での交渉の際に、必要に応じ行っている民間意見の聴取や、昭和五十一年に始まった外交記録公開に加え、新たな情報公開法のもとでの努力を払ってまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/29
-
030・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/30
-
031・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
不正競争防止法の一部を改正する法律案及び訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/31
-
032・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。与謝野通商産業大臣。
〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/32
-
033・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 不正競争防止法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
近年、音楽、映像、ゲームソフト等をデジタル化し、インターネットやDVDなどを用いてさまざまな形態で販売する事業、いわゆるコンテンツ提供事業が著しく発展しております。このようなコンテンツ提供事業は、消費者の多様なニーズに対応するものであり、将来の成長産業としても極めて有望であります。
通常、コンテンツの提供に当たっては、無断視聴や無断コピーを制限するための技術的制限手段が施されております。この技術的制限手段を妨害する装置やプログラムが広く販売されることとなりますと、正当な事業収益を得られないなど、事業としての存立基盤が危うくなる懸念があります。現在、技術的制限手段を妨害する装置やプログラムの販売行為が半ば公然と行われている状況に対応し、コンテンツ提供事業における公正な競争を確保するため、こうした装置やプログラムの譲渡などの行為を不正競争とし、差しとめ請求などの対象とすることが必要であります。
このような要請に対応するため、今般、本法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、コンテンツ提供事業における公正な競争を確保するため、料金徴収などのため営業上用いられる技術的制限手段により制限されている影像や音の視聴あるいは記録を可能としてしまう装置あるいはプログラムの譲渡などの行為を本法における不正競争行為と位置づけ、差しとめ請求などの対象といたします。
第二に、技術的制限手段に関する研究開発を抑制しないため、技術的制限手段の試験または研究のために用いられる影像や音の視聴あるいは記録を可能としてしまう装置あるいはプログラムの譲渡などの行為については、本法の規定を適用しないこととしております。
以上がこの法律案の趣旨であります。
次に、訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
消費者取引をめぐるトラブルにつきましては、近年、エステティックサロンや外国語会話教室を初めとするいわゆる継続的役務に係るトラブルが急増しており、これらの契約の解除等に関する苦情相談が多数寄せられている状況にあります。
また、訪問販売等に係る取引により購入者等に被害が多数発生している等、取引の適正化が十分図られていない状況にあります。
政府といたしましては、こうした現状にかんがみ、これらの取引の公正及び購入者等の利益の保護をさらに図るため、本法律案を提案することとした次第であります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、訪問販売等に関する法律の一部改正であります。この一部改正におきましては、特定継続的役務提供について、契約締結時における書面交付の役務提供事業者等に対する義務づけ、役務の提供を受ける者等による契約の解除、契約解除時の損害賠償等の額の制限等の措置を講ずるとともに、同法の対象取引全般について、罰金額の引き上げ等の措置を講ずることとしております。
第二に、割賦販売法の一部改正であります。この一部改正におきましては、特定継続的役務を中心に割賦販売等の利用が増加していること等から、役務等について同法の対象に追加し、契約解除時の損害賠償等の額の制限、割賦購入あっせんに係る抗弁権の接続の措置等を講ずることとしております。
以上が本法律案の趣旨であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/33
-
034・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。福山哲郎君。
〔福山哲郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/34
-
035・福山哲郎
○福山哲郎君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案並びに不正競争防止法の一部を改正する法律案につきまして、総理及び関係大臣に質問を行います。
まず初めに、訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案についてお尋ねいたします。
さまざまな商品やサービスが出回り、クレジットカードやローン利用による買い物が一般的になったことを受けて消費者トラブルが急増しています。
例えば、消費生活センター等の消費者相談窓口に寄せられた苦情件数について見ると、一九九七年には四十二万九千八百六十六件に及び、五年前の二十七万八千八百四十二件と比較すると五割を超える増加となっています。また、トラブル一件当たりの契約金額も大型化しており、一九九七年度は一件当たり約百五十三万円と十年前の約八十五万円に比べて二倍近くにも達しています。これらの苦情のうち、契約、解約関係については、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、マルチ商法等、本改正案の対象となっているものが七割近くも占めるという実態です。
平成五年当時、国会において今回と同様の継続的役務提供契約の適正化等に関する法案を検討したところ、通産省は業界の自主的ルール、自主ガイドラインの策定という指導等で対応するという措置を講ぜられました。しかし、結果としてこのトラブルの増加をもたらしています。いわゆる継続的役務提供に関してもっと早く法制化をすべきではなかったのか、総理の明確な見解を求めます。
さて、本改正案では、エステ、外国語会話教室、学習塾、家庭教師派遣など継続的なサービスを提供する四つの業種を対象に加え、罰則も強化する方向となっています。一定の評価はできるものの、とはいえ、現実には結婚相談所やパソコン教室業にも被害は広がっています。
本改正案の四業種以外の追加指定は一体どのようにされるのでしょうか。これほど業種が多様化している状況で追加指定がおくれれば他の業種での被害が増加し、まさにイタチごっこです。またもや後手後手に回る可能性はないでしょうか。通産大臣、お答えください。
また、長引く不況と失業の増大を反映してのことか、現在、マルチ・マルチまがい商法をめぐるトラブルも九七年には一万件を超え、九五年の二・二倍と激増しています。特筆すべきは、ここ数年、若年層にその被害が及んでいることです。楽してもうけようと安易に飛びつき、人生を狂わせるケースも多々見受けられます。国民一人一人の自己責任が問われることはもちろんですが、現状をかんがみ、消費者教育の充実、消費者トラブルに係る情報提供の充実に努めるべきではないでしょうか。総理、御答弁ください。
また、法改正内容の周知徹底とともに、継続的役務提供という言葉それ自体が何のことかさっぱりわからぬいわゆるお役所言葉であり、国民にとって法律の内容がわかりにくくなっています。法改正にあわせて、この言葉を若年層も含めて消費者にもっとわかりやすいものに置きかえることが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
一方、ここ数年間、家庭における情報化の発展により、インターネットや電子メールの普及は目覚ましく、インターネット通販など電子商取引市場の急速な拡大が見られます。電子商取引における消費者トラブルはどのような現状なのか、そしてどのような対策を講じようとしているのか、通産大臣の所見を伺います。
本改正案に見られる個別業種を対象とした法制度の見直しと並行して、あらゆる商品やサービスを包括する消費者契約法の制定が各方面から強く求められております。しかし、経済企画庁での取りまとめがおくれ、いまだ法案が提出されていないことは極めて残念であります。販売活動などの制約を懸念する関係業界の抵抗もあって法制化のめどがついていないと報じられていますが、政治のリーダーシップが欠如していると批判せざるを得ません。政府は今国会中に消費者契約法案を提出すべきではありませんか。総理及び経済企画庁長官の答弁を求めます。
次に、不正競争防止法についてお尋ねします。
政府は、音楽、映画、ゲームソフトなどを販売する事業、いわゆるコンテンツ提供事業について、将来の成長産業、雇用創出産業として極めて有望なものと位置づけています。ここで見逃してならないのは、こうした産業は産業全体としての成長性は高いものの、一社一社の個別の企業にしてみると大変なビジネスリスクを負っているということであります。
例えば、近年成長著しいゲームソフト産業を例に挙げれば、たった一本のゲームソフトに三十億円にも及ぶ開発費用が投下されたりしています。このようなソフトは、必ず投資額を回収できるほどヒットするとは限らず、失敗した場合には会社の存続にも影響するものと考えられます。
このようなコンテンツ産業の状況を踏まえるならば、現在のようにデジタルコンテンツをただ見、ただ聞き、ただ利用させるような不正な機器が一流の新聞紙面やインターネット上で公然と広告され、市場に蔓延している事態を目の当たりにするにつけ、一方では、コンテンツ提供事業を極めて有望な成長産業と位置づけている政府としては、怠慢のそしりを逃れ得ないものと考えられます。総理の見解を求めます。
ところで、こうした事業者は、みずからの商品であるコンテンツの提供に伴う対価の徴収を確実にするため、防御手段として暗号技術の向上などに不断の努力を行っております。そもそもみずからのビジネスは、まずは自助努力で守るというのが大原則であります。仮に必要以上に強過ぎる規制を導入することになれば、不十分なレベルの技術であっても法によって守られることになり、技術の改善向上努力の意欲をそぐことにもなりかねません。あるいは規制の仕方いかんによっては、今後の情報化、特に電子商取引の中心技術であるべき暗号技術の開発などを萎縮させることにもなりかねません。
したがって、本改正案のように規制の導入は急ぐべきであり、むしろ政府の対応は遅きに失したものと私は考えますが、他方、導入する規制は、民間の技術開発努力を可能な限り妨げないよう配慮し、必要最小限の措置とすべきと考えますが、今回の改正がこうした観点から必要最小限の措置となっているのか否か、通産大臣の見解を伺います。
また、我が国のコンピューター社会は極めて脆弱で、ハッカーが銀行の現金自動預け払い機に侵入し預金残高を改ざんしたり、政府機関のシステムを混乱させることは朝飯前だと言われています。我が国で昨年摘発されたいわゆるハイテク犯罪は四百十五件あります。過去五年間でおよそ十三倍の増加であります。日本は先進国の中で不正アクセスを罰する規定を唯一持たない国と伺っていますが、そうであれば我が国の法体系や捜査体制は余りにも立ちおくれていると言わざるを得ません。
金融、インターネットはもちろんのこと、経済が国境を越えて動いている現在、日本政府の対応の不手際で世界にパニックをもたらすことは絶対に避けなければなりません。不正競争防止法案に加え、国際的な動向を十分に踏まえた上で不正アクセス取締法案を早急に提出すべきではありませんか。日本政府はネットワーク犯罪に対して手をこまねいて傍観するだけなのでしょうか。
以上、総理の御決意を求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/35
-
036・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 福山哲郎議員にお答え申し上げます。
継続的役務に関する法制化がおくれたのではないかと御指摘でございました。
これらの業種につきましては、従来から取引適正化のための自主ルールの策定を指導してきたところでございます。しかしながら、近年、苦情相談件数が御指摘のように増加傾向にありますので、関係審議会での御議論も踏まえまして今回の改正案を提出した次第でございます。
消費者教育、情報提供の充実についてのお尋ねがありました。
近年、消費者トラブルの増加にかんがみ、昨年十二月、私が会長をいたして開催した消費者保護会議におきまして、消費者にも自己責任に基づいた行動が求められていることから、消費者教育、情報提供の体制整備が不可欠であるとして、各般の施策を決定いたしております。これに基づきまして適切な消費者教育、情報提供に努めてまいりたいと考えます。
お尋ねの消費者契約法につきましては、先般、国民生活審議会で報告が取りまとめられました。そこでは、消費者契約をめぐる紛争の円滑な解決に資するため、同法をできる限り速やかに制定すべきといたしております。同時に、業種の特性等を踏まえまして、今後さらに詰めるべき論点が指摘されております。政府といたしましては、本報告を踏まえ、これらの課題に鋭意取り組み、適切に対応してまいります。
今回の不正競争防止法改正の時期、タイミングについてお尋ねがありました。
情報の無断視聴や無断コピーなどを制限する技術に対する保護措置につきましては、欧米におきましても昨年末に順次法的整備がなされたところであり、我が国としても早期の成立を期すべく、立案作業に最大限の努力を行っておるところでございます。
不正アクセスの規制等に関する法律案につきましてお尋ねでありますが、御指摘のように、いわゆるハイテク犯罪の防止と電気通信の安全、信頼性の確保を図るために、不正アクセスを禁止、処罰する法制度の整備が急務であることは御指摘のとおりであります。
現在、政府におきましても、不正アクセスから防御するための援助措置等も規定した効果的な法律案とすべく鋭意検討を進めているところであり、できるだけ早く法案を国会に提出して御審議をいただけるようにいたしたいと考えます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/36
-
037・与謝野馨
○国務大臣(与謝野馨君) 福山議員にお答え申し上げます。
本改正法案で対象とする四業種以外の追加指定についてのお尋ねでありますが、今後生じ得る新たな役務の指定に際しましては、苦情相談の実態等の総合的観点から検討を行い、機動的に対応するよう努めてまいります。
今回の法改正内容のわかりやすい周知徹底についての御指摘でありますが、各種の広報手段の活用等により、若年層を含めた国民各層にわかりやすい形で改正法の趣旨及び内容の周知徹底を図り、本改正法に盛り込まれた措置が十分に理解され、活用されるように努めてまいりたいと考えております。
次に、電子商取引における消費者トラブルの現状と対策についてのお尋ねでありますが、苦情相談件数については、比較的少数ですが、近年急増傾向にあります。
これを踏まえまして、通産省としては、インターネット通販事業者について、訪問販売法上の表示義務の遵守状況を調査の上、遵守の呼びかけを行ったところであります。今後とも、情報化の進展に伴う新たな取引の実態に注視しつつ、積極的な対応に努めてまいります。
次に、不正競争防止法の改正における規制内容についての御質問でありますが、本法律案は、成長産業における取引秩序の確立を図るため、必要最小限の民事上のルールを設けるものであります。
なお、法案では、試験研究のための装置に適用除外規定を置くなど、技術開発等の努力を萎縮させることのないよう配慮をしております。
以上です。(拍手)
〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/37
-
038・堺屋太一
○国務大臣(堺屋太一君) 消費者契約法についてお尋ねがございました。
選択の自由が広い市場経済では、公正な競争と事業者の情報公開が欠かせぬ一方、選ぶ者の自己責任も重くなることから、消費者と事業者との間の契約に広く適用できるような消費者契約法の制定は重要であると認識しております。また、産業界におきましても、この点については一定の理解が得られたものと考えております。
本年一月の国民生活審議会の報告においては、消費者契約法をでき得る限り速やかに制定すべきことが指摘されております。同時に、同法は、広範な業種、業態を対象とすることから、対象業種の範囲、それぞれの業種における特性あるいはトラブルの実態等を踏まえて、将来発生いたします業種をも含め、今後さらに詰めるべき論点が残されていることも指摘されております。
したがいまして、経済企画庁といたしましては、これらの論点について鋭意検討を進め、でき得る限り速やかな法制化を目指し、最大限の努力をする所存でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/38
-
039・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/39
-
040・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/40
-
041・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。宮下厚生大臣。
〔国務大臣宮下創平君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/41
-
042・宮下創平
○国務大臣(宮下創平君) 国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
国民年金の保険料の額につきましては、平成六年の国民年金法等の一部を改正する法律におきまして、毎年度、平成六年度価格で月額五百円ずつ引き上げるとともに、保険料の額について物価スライドを実施することとなっております。
この結果、平成十年度における保険料の額は月額一万三千三百円となっており、平成十一年度におきましては月額一万四千円となることとなっておりますが、現下の社会経済情勢にかんがみ、平成十一年度以後の保険料の額を平成十年度と同額とすることとし、この法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
平成十一年度以後の国民年金の保険料の額を平成十年度の保険料の額と同額の月額一万三千三百円とすることとしております。
また、既に平成十一年度中の保険料を前納していた者に対しては、この法律による改正前後の保険料の額の差額を基準として政令で定める額を平成十一年四月一日以後、還付することとしております。
なお、この法律の施行期日は公布の日からといたしております。
以上が国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/42
-
043・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。直嶋正行君。
〔直嶋正行君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/43
-
044・直嶋正行
○直嶋正行君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました年金改正案に対し質問いたします。
現在、日本経済はかつてない長期不況に陥っていますが、こうした状況をつくり出したのは政府の経済政策の失敗にほかなりません。さらに、年金や医療制度の抜本改革先送りが国民の不信、不安を増大させ、その結果、不況をさらに悪化させるという悪循環になっていると考えます。
先月発表された経済企画庁の国民生活選好度調査では、四十歳以上の国民の八割近くが老後生活に不安を感じると述べています。また、二十代の若者でさえ五四%が同様のことを述べています。二十代の若者の過半が老後生活に不安を持つなどということは私には全く信じられないことであり、まさに今の日本は病んでいると言わざるを得ません。総理は、この数字をどのように受けとめておられるのでしょうか。また、このような国民意識に対して政治の責任と役割をどのように認識されているのでしょうか、お伺いいたします。
近年、日本の社会は構造的な変貌を遂げつつあります。例えば、これまでの家族単位や夫婦単位から個人単位で自立する社会に向かいつつありますが、こうした個の自立は自由をもたらしてくれる反面、人々の孤独や不安感を増大させます。また、土地神話の崩壊、大企業の倒産、終身雇用制の崩壊など、これまで信じられてきた安心の二文字はことごとく崩れ、すべてがリスクに変わっていく不安感があるのではないでしょうか。米国流の競争社会への傾斜は、我々に成功への可能性と同時に、生き残っていけるかという不安とストレスとを抱え込ませたのではないでしょうか。
〔議長退席、副議長着席〕
そして、今日まで日本の経済成長を支えてきた、いわゆる団塊の世代を中心とする中高年齢層の多くがこうした変化にさらされ、みずからの将来も含めて最も厳しい状況に置かれているのではないでしょうか。やや極端な言い方ですが、私は、年金問題は団塊世代問題だと思っています。彼らがみずからの老後を安心できるよう国家の所得保障制度として向こう二、三十年安定した年金制度を提供することが何よりも肝要と考えます。
また、団塊ジュニアの人々も既に学業を終え、社会に参加しつつあります。彼らの親の老後問題への対応は当然若者たちの年金制度、ひいては社会への信頼感を高めると思います。
今、一連申し上げた考え方についての総理の御見解を求めます。
こうした立場から今回の国民年金保険料凍結法案を見ますと、政府・与党内で議論が混乱した結果、結論を先送りしたつなぎの法案であって、年金制度改革としては何の意味も持たないと言わざるを得ません。むしろ、逆に制度改革を複雑でより難しくしてしまったと言えます。厚生大臣のコメントがあればお伺いいたします。
さらには、年金問題について厚生省、経済企画庁、経済戦略会議、また、連立政権の相手方である自由党も含め、政府・与党の中でも意見が全く異なり、何ら方向性さえ示せず大混乱を続けているのが実態であります。小渕総理も、重要な問題であり、検討するとしかおっしゃっていません。私は、若い世代の多くが日本の年金制度は早晩つぶれてしまうと本気で信じているのではないかと危惧していますが、こうした政府内の混乱が国民の不信と不安をさらに増幅させていることは間違いないと思います。総理は、こうした事態をどう認識し、具体的にどのように対策されるおつもりですか。明確な方針をお示しください。
次に、年金制度の安定性について伺います。
年金に対する国民の不安を解消する際、最も重要な視点は制度の安定性であります。しかし、政府は制度の安定性を財政上の均衡としか考えておられません。そのため、負担と給付の数合わせ、つじつま合わせだけの議論に陥っていると言えます。
政府は、財政再計算の都度、年金制度の基本部分を変更してきました。これらは国民の生涯生活設計の与件となっており、本来軽々に動かせないものであります。それをわずか五年ごとに動かすことが、国民の不安と制度に対する信頼感の欠如を生み、年金制度の安定性を損なっています。財政上の安定は、必要条件であっても制度目的ではありません。それは制度を運営する側の立場であって、国民の立場に立った安定には必ずしもつながりません。
総理は、国民の立場に立ったとき、制度の安定に何が最も重要で、そのために制度をどう変えていくべきとお考えですか。明確にお答えいただきたい。
次に、今回の法案の年金改革における位置づけについて伺います。
今回の法案は、我が国経済の状況にかんがみ緊急避難的な措置として講じられたものであるとのことですが、それではこの法案は、政府の年金改革の一環というより、経済対策と理解すればよいのでしょうか。
衆議院に提出した民主党の対案は、国庫負担を引き上げ、その見合いで保険料を引き下げることで、将来の基礎年金を社会保険方式から税方式に移行させる年金改革の第一歩として位置づけました。政府の法案は、こうした年金制度改革との関係は全くないのでしょうか。厚生大臣に伺います。
また、今回の政府の年金改正案大綱も肝心なところは不確定なままであります。保険料凍結解除と国庫負担の二分の一への引き上げは同時期とされていますが、具体的にはいつどのような条件で行われるのでしょうか。また、国庫負担二分の一への引き上げと安定した財源確保は一体とのことですが、安定した財源とは具体的には何を指すのでしょうか。厚生大臣は、二〇〇四年までに政府の政策目標である経済回復が実現することに期待されているようですが、経済情勢に左右されるとしたら、それは安定した財源と言えるのでしょうか。厚生大臣に伺います。
総理は、財源確保の具体的な方策は国民的な議論によって真剣に検討されるべき課題と、これから議論するかのように言われております。しかし、この財源問題は、前回九四年改正時に同様の議論があり、その結果、法律の附則に検討条項が盛り込まれております。政府は、この五年間一体何を検討されてきたのでしょうか。結局、今回も財源を詰められずに先送りになってしまうのでしょうか。
政府部内の調整や与党内の調整がつかないことを理由に改革が進まないというならば、総理が思い切った政治決断とリーダーシップを発揮されるべきであります。早急にという抽象的な言葉はもう要りません。いつまでにどうすると、具体的に総理のお考えをお聞かせください。
さて、政府は年金問題を議論する過程で関係審議会に諮問し、答申を得ることになっています。しかし、この手続がどうも正常に行われなかったように思われてなりません。
問題の一つは、与党内で決着が図られていない課題、具体的には基礎年金の税方式化の問題を残しながら、政府が審議会に諮問、答申を求めたこと。いま一つは、年金審議会の重要なメンバーである労働側委員三名が、審議会の運営や諮問を了解する内容に抗議し、審議会を退席したにもかかわらず、その後答申を確認したことであります。審議会は実質的に厚生省が運営しており、諮問、答申の手続について疑問が残ります。この点、政府の見解と今後の方針について、厚生大臣に伺います。
我が国の年金制度は国民皆年金と言われ、老後の所得保障の制度としてこの考え方は今後も守っていかなくてはなりません。しかし、若年層を中心に未加入・未納問題が言われ、国民皆年金は既にほころびを見せており、さらに拡大するおそれがあります。
その原因は、年金制度への不信感であると考えられます。従来の発想を超えてどうすべきかを真剣に議論していかない限り、今の日本に充満するあらゆる不安は解消しないことを強調して、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/44
-
045・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 直嶋正行議員にお答え申し上げます。
まず、老後生活に関する国民意識についてのお尋ねがありました。
最近、発表されました国民生活選好度調査では、老後生活に不安を感じることがあるとの回答が増加しており、不安の内容といたしまして、主に経済、健康、介護などが挙げられておりますが、これは近年の経済の低迷や急速な少子高齢化の進展が背景となっているものと考えております。
老後の不安に対しましては、私も施政方針演説におきまして、安心へのかけ橋の整備の必要性を述べたところであり、年金、医療等につきまして制度改革に取り組むなど、安心して人生設計ができる社会保障制度の構築がより重要と考えて、努力をいたしてまいりたいと思います。
団塊の世代を中心とする中高年齢層の年金制度についてお尋ねですが、今後、少子高齢化が急速に進展する中にありまして、人口規模の大きいこれらの世代が将来とも安心して年金が受給できるようにするため、今回の改正において給付と負担の均衡を確保し、将来世代の負担を過重なものとしないための制度改革を行い、安定した制度を確立してまいりたいと考えております。
年金に関しての政府・与党内の対応について御指摘をいただきました。
年金制度のあり方につきましては、さまざまな立場から多様な意見のあることを承知いたしております。年金は国民生活にかかわる重要な制度でございまして、だからこそ将来を見据えてしっかりとした検討を行い、信頼のできる安定した制度を確立していくことが必要であると考えております。
年金制度の安定に今何が重要かとのお尋ねでありますが、今後、少子高齢化が急速に進展する中で、将来とも安心して年金が受給できる安定した制度とするために、将来世代の負担を過重なものとしないこと、必要な給付を確保していくこと、この双方が重要であると考えます。このため、給付設計の見直しを行って給付総額の伸びを抑制するとともに、適正な負担をお願いしていくことが必要であると考えております。
基礎年金の国庫負担割合の引き上げについてのお尋ねがありましたが、国庫負担割合の引き上げにつきましては、莫大な財源を必要とすることから、現下の厳しい財政状況等にかんがみ、今回の年金改正で実施することは困難であると考えております。
先ごろ公表いたしました年金制度改正案大綱におきまして、平成十六年までの間に安定した財源を確保し、別に法律で定めるところにより、国庫負担割合の二分の一への引き上げを図ることといたしておるところであり、国庫負担割合の引き上げにつきましては、安定した財源確保のための具体的な方法と一体として検討しなければならないと考えております。また、財源確保の具体的な方策につきましては、十分な国民的議論を踏まえまして検討すべき課題であると考えます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣宮下創平君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/45
-
046・宮下創平
○国務大臣(宮下創平君) 直嶋議員にお答え申し上げます。
まず、国民年金保険料の凍結についてのお尋ねでございますが、年金保険料につきましては、本年秋から引き上げを予定しておりました厚生年金保険料につきまして、我が国経済の状況にかんがみ、その保険料負担の可処分所得への影響に配慮して引き上げを凍結するとともに、国民年金保険料につきましても、全体の方針の中で凍結することとしたものであります。この国民年金保険料は、既に本年四月からの引き上げが法定されておりましたので、その凍結措置のための法案を先行して提出する必要があったところでございます。
次に、凍結法案の年金改革における位置づけについてのお尋ねでございますが、国民年金保険料につきましては、我が国の経済社会等の情勢にかんがみ、景気回復のために行われる諸施策との整合性を確保するために、厚生年金保険料の凍結と一体として処理する必要があるため、今回の凍結法案において国民年金の保険料を一万三千三百円に据え置くこととしているものであります。
なお、平成十一年財政再計算に基づく厚生年金、国民年金の制度改正案につきましては、先般公表いたしました年金制度改正案大綱に基づいて法律案を作成し、速やかに国会に提出したいと考えております。
次に、今回公表いたしました年金制度改正案大綱におきましては、平成十六年、二〇〇四年までの間に安定した財源を確保し、国庫負担割合の二分の一への引き上げを図ることとして、保険料の凍結解除も国庫負担割合の二分の一への引き上げ及びそのための財源確保と基本的に同時期に判断するという考え方が示されております。その時期につきましては、今後の景気回復の状況や安定した財源の確保など、総合的な事情を勘案しながら検討すべきものと考えております。
また、国庫負担割合引き上げのための財源の確保につきましては、国の厳しい財政状況を踏まえながら検討する必要があると考えておりますが、その具体的な方策につきましては、今後の国民的な議論によって検討されるべき課題であると考えております。
次に、審議会の手続についてでございますが、年金制度改正案要綱につきましては、去る三月十二日に年金審議会に諮問し、三月十五日に答申をいただいたところであります。これは、昨年来の自民党、自由党の協議において改正の基本的な方向につきましておおむね合意されておりましたことから、この合意に沿った案を審議会に諮問させていただいたものであります。
また、労働側委員が審議会を途中で退席されたことにつきましては残念に思っておりますが、しかしながら、今回の改正につきましては、年金審議会では一昨年の五月以来、今回の諮問、答申を含めますと三十四回にもわたり御審議をいただいております。また、昨年十月には意見書を取りまとめていただきましたが、そこでは労働側委員の意見を含め、多岐にわたる論点について整理されておりまして、今回の諮問案もこの意見書を十分に勘案して策定したものであります。さらに、諮問、答申を行った二日間の審議会におきましても、労働側委員からの書面による詳細な意見提示を含めて、すべての委員から意見表明がなされ、これを踏まえて答申がまとめられております。
こうしたことにかんがみますれば、今回の年金制度改正案要綱につきましては、年金審議会として十分に審議が尽くされたものと考えており、手続上も問題がなかったと考えております。
以上でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/46
-
047・菅野久光
○副議長(菅野久光君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/47
-
048・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 日程第一 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。外交・防衛委員長河本英典君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔河本英典君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/48
-
049・河本英典
○河本英典君 ただいま議題となりました在外公館の名称、位置、給与法の一部を改正する法律案につきまして、外交・防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、ドイツの首都機能の移転に伴い、在ドイツ日本国大使館をボンからベルリンに移転するとともに、在ベルリン及び在ボンの各日本国総領事館を廃止すること、アメリカ領グアム島の在アガナ日本国総領事館の名称を変更すること等を内容とするものであります。
委員会における質疑の詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終え、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/49
-
050・菅野久光
○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/50
-
051・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/51
-
052・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十四
賛成 二百三十四
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/52
-
053・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 日程第二 経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案
日程第三 租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案
日程第四 有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法律案
日程第五 関税定率法等の一部を改正する法律案
日程第六 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律及び多数国間投資保証機関への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案
日程第七 電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上六案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。財政・金融委員長勝木健司君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔勝木健司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/53
-
054・勝木健司
○勝木健司君 ただいま議題となりました六法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案は、現下の著しく停滞した経済活動の回復に資するよう、個人及び法人の所得課税のあり方について、今後の我が国経済の状況等を見きわめつつ将来抜本的な見直しを行うまでの間、早急に実施すべき所得税及び法人税の負担軽減措置を講ずるものであります。
次に、租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案は、現下の厳しい経済情勢等を踏まえつつ、経済・金融情勢の変化等に対応するため、住宅・土地税制、投資促進税制、金融関係税制等について適切な措置を講ずるものであります。
次に、有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法律案は、最近における経済・金融情勢の変化等に対応するため、有価証券取引税法及び取引所税法を平成十一年三月三十一日をもって廃止するものであります。
委員会におきましては、政府提出の三法律案に加え、民主党・新緑風会提出の所得税法の一部を改正する法律案及び児童手当法及び所得税法の一部を改正する法律案の二法律案とあわせ五法律案を一括して議題とし、将来における税制の抜本的見直しの内容、所得税の最高税率引き下げの妥当性、所得税の課税最低限の考え方、法人税減税の経済効果、国と地方の税源配分のあり方等各般にわたり熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
政府提出の三法律案につきまして質疑を終了し、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して峰崎直樹委員より恒久的減税法案に反対、租税特別措置法案及び有取税・取引所税廃止法案に賛成、自由民主党及び自由党を代表して金田勝年理事より三案に賛成、日本共産党を代表して笠井亮委員より三案に反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
討論を終了し、採決の結果、三法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、租税特別措置法案及び有取税・取引所税廃止法案に対し、附帯決議が付されております。
次に、関税定率法等の一部を改正する法律案は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、ニオブ・チタン合金、絹紡糸等の関税率の引き下げを行うほか、延滞税の軽減等所要の措置を講じようとするものであります。
次に、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律及び多数国間投資保証機関への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案は、国際開発協会及び多数国間投資保証機関に対する出資の額が増額されることとなるのに伴い、当該出資の額の増額に応ずるための措置を講じようとするものであります。
次に、電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案は、海上運送貨物に係る税関手続のより一層の迅速かつ的確な処理を図るため、とん税及び特別とん税に係る手続についても電子情報処理組織を使用して処理することができるようにするなど所要の改正を行うものであります。
委員会におきましては、三法律案を一括して議題とし、今後の関税政策のあり方、IDAと世界銀行との役割分担、世界銀行グループ機関の出資シェアの考え方、通関手続の迅速化への取り組み状況等各般にわたる質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表し池田幹幸理事より関税定率法等改正案及び国際開発協会及び多数国間投資保証機関加盟措置法改正案に反対、税関手続特例法改正案に賛成する旨の意見が述べられました。
討論を終了し、順次採決の結果、関税定率法等改正案及び国際開発協会及び多数国間投資保証機関加盟措置法改正案は多数をもって、税関手続特例法改正案は全会一致をもって、それぞれ原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、関税定率法等改正案に対し、附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/54
-
055・菅野久光
○副議長(菅野久光君) ただいま委員長報告がありました議案のうち、経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。広中和歌子君。
〔広中和歌子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/55
-
056・広中和歌子
○広中和歌子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、政府提出の所得税等負担軽減措置法案に対し、同案に対する民主党・新緑風会提出の対案と対比しつつ、政府案に反対する立場から討論を行います。
間もなく二十一世紀がやってきます。二十一世紀の日本には、高齢化、少子化、環境問題など、多くの課題が山積しております。今私どもが生きている日本、この地球は、私どもだけのものではありません。子や孫たちすべてのものなのです。私ども政治家は未来への責任を負っております。二十世紀と二十一世紀の橋渡しという重要なこの時期に政権を担われた小渕内閣は、二十一世紀の日本をどのような国に導きたいとお考えなのでしょうか。税制という政治の根幹にかかわる問題一つをとりましても、今回政府が提出された法案を見る限り、残念ながら私にはいまだにそれが見えてまいりません。
以下、政府案に反対する理由及び意見を申し上げます。
政府提出の所得税・法人税負担軽減措置法案は、審議の過程でも明らかになったとおり、所得税の最高税率のみの引き下げと定率減税、課税最低限の引き上げなどを理念もなく場当たり的に継ぎはぎしたものにすぎず、将来を展望した抜本的税制改革につながる内容とは到底言えません。さらに、減税の恩恵が高額所得者層のみにもたらされ、大半のサラリーマン世帯では昨年の特別減税後と比較して負担増となることから、景気対策としての効果もほとんどないと考えます。
法人税率の引き下げについては、民主党が昨年一月の民友連当時に提案した内容を、一年もおくれてようやく丸写ししたものにすぎません。
これに対して、民主党・新緑風会としては、所得税の五段階の税率を一律二割引き下げるとともに、分離・定率課税となっている利子配当、株式譲渡益等の総合課税化と納税者番号制度導入のための法制の整備を三年以内に整備することを盛り込んだ所得税法改正案、また、児童手当の抜本的拡充と所得税の扶養控除の見直しをあわせて盛り込んだ児童手当法及び所得税法改正案の二法案を提出し、堂々と論戦を繰り広げてまいりました。
民主党・新緑風会案は、政府のような一時的な減税措置法案ではなく、所得税法の本法改正案として提出しており、将来の抜本的税制改革の方向をできるだけ前倒しで実施するという考え方に立っております。また、地方財政が危機的状況に陥っていることにかんがみ、住民税減税は行わず、所得減税をすべて国税である所得税で行おうとしていることも政府案と大きな相違点です。
昨年、橋本内閣が二度にわたって実施した定額減税は、課税最低限を大幅に引き上げ、税制を著しくゆがめるものであり、当時から私どもはこれを厳しく批判してまいりました。さらに、大半のサラリーマン世帯での負担増問題は、挙げて自民党政権に責任があります。とはいえ、景気対策という観点からは、このような負担増をできるだけ回避する方策を講じる必要があり、私どもは、所得税率の引き下げに加え、児童手当の抜本的拡充によってこれをカバーする考えです。
現在の所得税における扶養控除の人的控除は大きく分けて二つの問題点があります。一つは、税制を複雑にし、課税最低限を諸外国に比べて著しく引き上げていること。もう一つは、これが所得控除であるために、高い限界税率が適用される者ほど結果的に大きな恩恵を受けるという逆進的性格を持っていることです。
本来、子供などの家族の扶養に要する経済的負担は、租税ではなく社会保障制度によって考慮されるべきものです。ところが、日本では、社会保障の立ちおくれを長年にわたって税制上でカバーするというゆがんだ制度が続き、一九七一年にせっかく導入された児童手当も、財政上の理由から子供の年齢要件が大幅に引き下げられ、三歳未満の子供一人についてわずか五千円というものになってしまっております。
民主党・新緑風会案は、これらをヨーロッパ諸国に見られるような児童手当本来の姿に改めることにより、子育て家庭の負担を軽減し、安心して子供を産み育てられる環境を整備しようというものでございます。
私どもの改正案では、サラリーマン夫婦子供二人の標準世帯の場合、いずれの所得階層においても九八年の定額減税後と比較して負担増にはならず、とりわけ中低所得階層の負担減を実現し得るものとなっております。例えば、給与年収五百万円の世帯の場合、政府案では九八年と比較して約九万三千円の負担増となりますが、私どもの案では逆に約四万七千円の負担減になります。
民主党・新緑風会としては、将来の税制改革に対するビジョンもなく、高額所得者のみの減税に終始している政府案には断固反対であることを申し上げます。
私は、常々、医職住の大切さを訴えております。医は医療の医で健康と安全、職は職業の職で雇用と生きがい、住は住環境の住で緑とゆとりをあらわします。今、私どものこの日本は、ダイオキシンや環境ホルモンによって健康や安全が脅かされ、戦後最悪の経済危機によって雇用と生きがいが失われ、意味のない公共事業の乱発によって住環境が破壊されております。
これまでの日本は、世界一優秀と言われる霞が関の官僚が政策をつくり、政官業のあうんの呼吸が、驚異的とも言われる経済発展をリードしてまいりました。しかし、このような仕組みは、もはや歴史的使命を終えました。官から民へ、今こそ政治家が政治のあり方を変えなければなりません。
私ども民主党・新緑風会は、その責任を果たすため、堂々と正論を述べ、引き続き正しい政策を提示していく決意を表明して、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/56
-
057・菅野久光
○副議長(菅野久光君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/57
-
058・菅野久光
○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。
まず、経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案の採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/58
-
059・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/59
-
060・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十四
賛成 百三十七
反対 九十七
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/60
-
061・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 次に、租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案、有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律及び多数国間投資保証機関への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。
四案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/61
-
062・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/62
-
063・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十四
賛成 二百十一
反対 二十三
よって、四案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/63
-
064・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 次に、電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/64
-
065・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/65
-
066・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十五
賛成 二百三十五
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/66
-
067・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 日程第八 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。国土・環境委員長松谷蒼一郎君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔松谷蒼一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/67
-
068・松谷蒼一郎
○松谷蒼一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土・環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、奄美群島及び小笠原諸島の特殊事情並びに最近における両地域の社会経済情勢にかんがみ、引き続きこれらの地域の振興開発を図るため、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の有効期限の延長、奄美群島振興開発計画の改定、新たな小笠原諸島振興開発計画の策定等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、これまでの実績を踏まえた今後の奄美群島振興開発の方策、小笠原空港建設問題、奄美群島と沖縄との連携等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/68
-
069・菅野久光
○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/69
-
070・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/70
-
071・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十二
賛成 二百三十二
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/71
-
072・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 日程第九 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。国民福祉委員長尾辻秀久君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔尾辻秀久君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/72
-
073・尾辻秀久
○尾辻秀久君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国民福祉委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、戦傷病者、戦没者遺族等の処遇の改善を図るため、障害年金、遺族年金等の額を引き上げるとともに、平成七年四月から平成十一年三月までの間に、公務扶助料、遺族年金等の支給を受ける者がいなくなった戦没者等の遺族に特別弔慰金を支給しようとするものであります。
委員会におきましては、年金等の支給に係る国籍要件を撤廃する必要性、戦没者遺骨収集事業の取り組み方等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/73
-
074・菅野久光
○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/74
-
075・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/75
-
076・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十二
賛成 二百三十二
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/76
-
077・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 日程第一〇 地方税法の一部を改正する法律案
日程第一一 地方交付税法等の一部を改正する法律案
日程第一二 地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上三案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政・警察委員長小山峰男君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔小山峰男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/77
-
078・小山峰男
○小山峰男君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、地方行政・警察委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、地方税法の一部を改正する法律案は、個人住民税の最高税率の引き下げ及び定率減税の実施、法人事業税の税率の引き下げ、不動産取得税の課税標準等の特例措置の要件緩和、低燃費自動車に係る自動車取得税の特例措置の創設などを行うほか、固定資産税の価格等に係る審査申し出制度の見直し等を行おうとするものであります。
次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案は、地方財政収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等にかんがみ、当分の間、法人税に係る地方交付税率を引き上げるとともに、平成十一年度分地方交付税の総額の特例措置を講ずるほか、後年度法定加算額の特例の改正、交付税特別会計借入金の償還方法の変更等を行おうとするものであります。
最後に、地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律案は、個人住民税及び法人事業税の収入の減少に伴う地方公共団体の財政状況にかんがみ、当分の間の措置として、毎年度、地方公共団体に対して地方特例交付金を交付するとともに、地方債の特例措置等を講じようとするものであります。
委員会におきましては、三法律案を一括して議題とし、巨額の借入金残高を抱える地方財政の今後の展望、景気対策のための公共事業のあり方、国から地方への財源移譲の必要性、恒久的な減税による景気回復効果、都市部財政の悪化と地方交付税のあり方、事業税への外形標準課税導入問題、政府資金の繰り上げ償還拡充の必要性、地方分権の進展と地方債の格付、統合補助金に関する今後の取り組み等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、三法律案に対し、民主党・新緑風会を代表して山下八洲夫理事より反対、自由民主党及び自由党を代表して松村龍二理事より賛成、日本共産党を代表して富樫練三理事より反対、社会民主党・護憲連合を代表して照屋寛徳委員より反対の意見がそれぞれ述べられました。
討論を終わり、採決の結果、三法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、地方税法の一部を改正する法律案に対して附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/78
-
079・菅野久光
○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。
まず、地方税法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/79
-
080・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/80
-
081・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十二
賛成 百三十五
反対 九十七
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/81
-
082・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案及び地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律案を一括して採決いたします。
両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/82
-
083・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/83
-
084・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十三
賛成 百四十
反対 九十三
よって、両案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/84
-
085・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 日程第一三 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。交通・情報通信委員長小林元君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔小林元君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/85
-
086・小林元
○小林元君 ただいま議題となりました承認案件につきまして、交通・情報通信委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
本件は、日本放送協会の平成十一年度収支予算、事業計画及び資金計画について、国会の承認を求めるものであります。
その概要は、まず、一般勘定事業収支におきまして、収入六千三百五十四億円、支出が六千二百五十九億円となっており、この結果、九十四億円の事業収支差金が生じております。この収支差金は、全額を債務償還のために使用することといたしております。
また、事業計画の主なるものは、公正な報道と多様で質の高い放送番組の提供、衛星デジタル放送開始に向けた設備の整備、新しい放送技術の研究開発への積極的取り組み、一層効率的な業務運営の徹底、受信契約の増加と受信料の確実な収納の確保などとしております。
なお、本件には、経費の増加の圧縮に努めつつ、必要な施策を計画しており、適当なものと認める旨の郵政大臣の意見が付されております。
委員会におきましては、地上放送のデジタル化に向けた取り組み、映像国際放送のさらなる充実と国の支援のあり方、高齢社会にふさわしい新ラジオ体操の創設、字幕放送の充実強化策等、多岐にわたる質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
なお、本件に対し、八項目から成る附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/86
-
087・菅野久光
○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。
本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/87
-
088・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/88
-
089・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十三
賛成 二百三十二
反対 一
よって、本件は承認することに決しました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/89
-
090・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 日程第一四 雇用・能力開発機構法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。労働・社会政策委員長吉岡吉典君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔吉岡吉典君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/90
-
091・吉岡吉典
○吉岡吉典君 ただいま議題となりました法律案につきまして、労働・社会政策委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、特殊法人の整理合理化を推進し、あわせて労働者の雇用の安定、その他福祉の増進を図るため、雇用促進事業団を解散し新たに雇用・能力開発機構を設立するとともに、事業団の業務のうち、雇用開発、能力開発等の業務について機構へ移管しようとするものであります。
委員会におきましては、雇用促進事業団の果たしてきた役割、新たに雇用・能力開発機構を設立することの意義、移転就職者用宿舎等の譲渡方針、職業能力開発における省庁間並びに民間との連携のあり方、雇用開発、能力開発に係る助成金等の周知徹底の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し、五項目にわたる附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/91
-
092・菅野久光
○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/92
-
093・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/93
-
094・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十一
賛成 二百三十一
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/94
-
095・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 日程第一五 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。総務委員長竹村泰子君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔竹村泰子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/95
-
096・竹村泰子
○竹村泰子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、最近の経済情勢等にかんがみ、本年四月分から恩給年額を〇・七%引き上げるとともに、傷病者遺族特別年金及び実在職年六年未満の者に係る普通扶助料の最低保障額の上積み、遺族加算、寡婦加算及び妻に係る扶養加給の年額の増額、短期在職の旧軍人等の仮定俸給の改善を行うことにより、恩給受給者に対する処遇の改善を図ろうとするものであります。
委員会におきましては、今後の恩給行政の課題、恩給受給者の生活実態と支給改善措置、国籍条項と旧日本軍人軍属への対応等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告いたします。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/96
-
097・菅野久光
○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/97
-
098・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/98
-
099・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十一
賛成 二百三十一
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/99
-
100・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 日程第一六 中小企業経営革新支援法案
日程第一七 中小企業総合事業団法案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。経済・産業委員長須藤良太郎君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に
掲載〕
─────────────
〔須藤良太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/100
-
101・須藤良太郎
○須藤良太郎君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、経済・産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、中小企業経営革新支援法案は、中小企業近代化促進法と中小企業新分野進出等円滑化法を発展的に統合し、幅広い中小企業の創意工夫を生かした新たな事業活動による経営の向上等への支援を強化するため、中小企業近代化資金の貸し付けの特例等の措置を講じようとするものであります。
次に、中小企業総合事業団法案は、特殊法人等の整理合理化を推進するため、中小企業信用保険公庫、中小企業事業団及び繊維産業構造改善事業協会を統合し、新たに中小企業総合事業団を設立しようとするものであります。
委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、中小企業支援策のあり方、三法人統合による業務合理化の効果、繊維産業の活性化策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して西山委員より中小企業総合事業団法案に反対する旨の意見が述べられました。
次いで採決に入り、まず、中小企業経営革新支援法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法案に対して、四項目の附帯決議を行いました。
次に、中小企業総合事業団法案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して、三項目の附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/101
-
102・菅野久光
○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。
まず、中小企業経営革新支援法案の採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/102
-
103・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/103
-
104・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十一
賛成 二百三十一
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/104
-
105・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 次に、中小企業総合事業団法案の採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/105
-
106・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/106
-
107・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十一
賛成 二百九
反対 二十二
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/107
-
108・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 本日はこれにて散会いたします。
午後一時二十一分散会
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114515254X01019990324/108
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。