1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年十一月十九日(金曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 江口 一雄君
理事 安倍 晋三君 理事 衛藤 晟一君
理事 木村 義雄君 理事 金田 誠一君
理事 山本 孝史君 理事 福島 豊君
理事 岡島 正之君
伊吹 文明君 石崎 岳君
遠藤 利明君 大村 秀章君
鴨下 一郎君 熊谷 市雄君
栗原 博久君 坂本 剛二君
鈴木 俊一君 砂田 圭佑君
田中 和徳君 田村 憲久君
戸井田 徹君 根本 匠君
桧田 仁君 堀之内久男君
松本 純君 宮島 大典君
望月 義夫君 山下 徳夫君
家西 悟君 石毛えい子君
五島 正規君 土肥 隆一君
中桐 伸五君 古川 元久君
青山 二三君 大野由利子君
久保 哲司君 吉田 幸弘君
児玉 健次君 瀬古由起子君
中川 智子君 笹木 竜三君
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厚生大臣 丹羽 雄哉君
厚生政務次官 大野由利子君
労働政務次官 長勢 甚遠君
政府参考人
(厚生大臣官房総務審議官
) 宮島 彰君
政府参考人
(厚生大臣官房障害保健福
祉部長) 今田 寛睦君
政府参考人
(厚生省年金局長) 矢野 朝水君
政府参考人
(社会保険庁運営部長) 小島比登志君
厚生委員会専門員 杉谷 正秀君
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委員の異動
十一月十九日
辞任 補欠選任
伊吹 文明君 栗原 博久君
遠藤 利明君 熊谷 市雄君
根本 匠君 坂本 剛二君
宮島 大典君 望月 義夫君
同日
辞任 補欠選任
熊谷 市雄君 遠藤 利明君
栗原 博久君 伊吹 文明君
坂本 剛二君 根本 匠君
望月 義夫君 宮島 大典君
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本日の会議に付した案件
公聴会開会承認要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百四十五回国会閣法第一一八号)
年金資金運用基金法案(内閣提出、第百四十五回国会閣法第一一九号)
年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案(内閣提出、第百四十五回国会閣法第一二〇号)
午前十時五十二分開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/0
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001・江口一雄
○江口委員長 これより会議を開きます。(発言する者、離席する者多し)
第百四十五回国会、内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
この際、公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。(発言する者、離席する者多し)
各案につきまして、議長に対し、公聴会開会の承認要求を行うこととし、公聴会は来る二十五日木曜日午前十時開会し、公述人の選定等は、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。——起立多数。よって、そのように決しました。(発言する者、離席する者多し)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/1
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002・江口一雄
○江口委員長 お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として厚生大臣官房総務審議官宮島彰君、厚生大臣官房障害保健福祉部長今田寛睦君、厚生省年金局長矢野朝水君及び社会保険庁運営部長小島比登志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。(発言する者、離席する者多し)
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/2
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003・江口一雄
○江口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。(発言する者多し)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/3
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004・江口一雄
○江口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸井田徹君。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/4
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005・戸井田徹
○戸井田委員 御静粛にお願いします。——血圧を上げないように。もう委員長が言っているじゃないですか。委員長が指名したんだから。(発言する者あり)だから、これから審議するんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/5
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006・江口一雄
○江口委員長 どうぞ、戸井田徹君。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/6
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007・戸井田徹
○戸井田委員 非常にやりにくいね、これは。
日本の……(発言する者あり)今日の日本の年金制度は、昭和三十六年に皆年金を達成しました。それ以来、加入者数が七千万人、受給者数が二千六百万人、年金総額三十四兆円という規模まで成長してきました。高齢者世帯の収入は六割が公的年金。公的年金のない老後生活は考えられないという状況にあります。
しかし、この年金制度の歴史というものを振り返ってみると、昭和三十六年に皆年金がスタートしたときには、当初この皆年金に入れなかった人たちがいた。そして、そういった人たちを何らかの形でもって年金制度の中に取り込んでいくためにも老齢福祉年金というものが考えられた。しかし、そういった人たちも、もう数少なくなってきたわけであります。そして、この三十六年に皆年金制度をスタートしたときに年金を納め始めた人たちが、二〇〇一年にはもう四十年を迎えるわけであります。
そういうことを考えてみますと、これからはどんどん年金が成熟していくことになっていくのではないだろうか。そうすると、その成熟した年金制度の中で、まだまだ先を見ながら考えていかなければならない問題というのは実はたくさんあるのではないかなということを私は感じるわけであります。
そして、これから納めていく人たちが考えるところによると、掛け始めから年金をもらうまでの間、今までは四十年でありましたけれども、これからは四十五年間、自分の納めているお金の顔も見られなければ、そのお金をさわることもできないという流れができてくるのではないかな。そういうものに対する不安感、不信感というものが、年金の掛金を納めない人が大変ふえてきたというような最近の状況になってきているのではないかな。厚生白書なんかをずっと見ておりますと、いろいろな意味で参考になる表があちこちに出てくるわけであります。
しかし、ここで一度確認しておきたいのですけれども、今、年金の掛金として入ってくるお金と年金として支払うお金は、一年間のうちにどういう金額になっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/7
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008・矢野朝水
○矢野政府参考人 まず、厚生年金で申し上げますと保険料収入というのが現在約二十兆でございます。それから、国民年金ですと二兆円でございます。それからさらに、共済年金が六兆円から七兆円ぐらいございまして、保険料収入で見ますと約三十兆弱というところでございます。
それから、給付額でございますけれども、これは国庫負担もございますので、こういった保険料収入、国庫負担、それから積立金の運用収入、こういったところから年金を支払っているわけでございまして、年金の支払い総額といたしましては約三十五兆円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/8
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009・戸井田徹
○戸井田委員 そうすると、もう既に逆ざやになっているということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/9
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010・矢野朝水
○矢野政府参考人 これは、各制度によりまして事情が異なります。
まず、厚生年金につきましては、実はこれまで、集めた保険料で年金をお支払いして、一兆円とか二兆円余っておりまして、これが新たな積立金になっておりましたけれども、平成十一年度から、集めた保険料では年金が支払えなくなりまして、一兆五千億ほど足りない、したがって運用収入の一部を年金給付に充てる、こういうことになってしまったわけです。これは、自営業者の方々のための国民年金ですと、まだそういうことはございません。
それからさらに、共済年金で見ますと、国家公務員共済とか農林共済につきましては、厚生年金と同じように財政状況が非常に厳しくなっておりまして、集めた保険料では年金を支払うことができない、積み立ての一部を活用いたしております。しかし、地方公務員共済とか私学共済につきましては、集めた保険料で年金を払ってまだ余裕がある、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/10
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011・戸井田徹
○戸井田委員 その共済年金絡みのことで一つお聞きしたいのですけれども、これから行革で国家公務員でも二五%減らすというような話が出てきているわけですけれども、そのほかの地方公務員、さらに農林年金、それからもう一つどこでしたか、共済年金の四団体ありますけれども、そういったところもこれから先はかなり厳しい状態になっていくんじゃないかなということが想像できるわけです。
平成八年の三月に、閣議決定で年金の一元化が決まっているわけなんですけれども、四共済を統合するということ、また、年金の一元化というものに対してどういうふうなスタンスをとっておられるのか。また、行革絡みのそういったことに関連したところでどういうふうなスタンスをとられているのか、その辺のことをちょっとお尋ねしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/11
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012・矢野朝水
○矢野政府参考人 年金の歴史を見ますと、かつて、職域ごとに年金制度をつくる、ある産業で年金制度をつくる、こういうことで年金制度が徐々に普及していったわけでございます。しかし、こういった産業ごとあるいは職域ごとに年金制度をつくるということになりますと、長い目で見ますと、産業構造とか就業構造の変化によりまして加入員が減ってしまったり、あるいは給付と負担に非常に不公平が制度間でできてくる。こういうことで、公的年金制度としては一元化を目指すべきだ、できるだけ加入員数を大きな集団にまとめていくべきだ、こういうことが言われておるわけでございます。
そして、今お話にございました平成八年の閣議決定におきましては、制度としてございますのは、今、厚生年金と、公務員グループが国家公務員、地方公務員の二つ、あと共済として農林共済、私学共済、こういったグループがあるわけです。
そういう中で、まず、国家公務員共済、それから地方公務員共済、この二つの公務員グループがございますけれども、これについては、公務員グループの中で財政安定化のための措置を検討しなさい、こういうことになっているわけです。
それから、農林共済につきましては、これはいわゆる農協のリストラによりまして非常に加入員が減ってまいっております、そういう中で、農協の組織整備というのが大きな課題になっておりますので、その進展が制度に与える影響を踏まえて今後目指すべき方向を検討する必要がある。
それから、私学につきましては、これは今非常に成熟度は低いわけですけれども、少子化に伴いまして児童生徒数が今後減少していくということで、今後の成熟化の進展を見ながら被用者年金制度全体の中における位置づけについて検討しなさい。
こういうことで、それぞれの制度ごとに今後目指すべき方向がこの閣議決定の中で決められたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/12
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013・戸井田徹
○戸井田委員 できるだけ早く統合して、将来に向けて安心した体制がとれるということが一番じゃないかな、私はそういうふうに思っております。
時間が大変短くなってしまったので、もっと申し上げたいことも実はあったわけですけれども、一つだけ最後に、多分時間がかかると思いますけれども。
今、少子化が一つの大きな問題になってきている。年金だけでなしに、いろいろな分野に関して、少子化の問題がこれからの社会保障について一番のネックになっている、私はそういうふうに思うわけであります。
合計特殊出生率が平成十年でもって一・三八人ということが言われております。ただ同時に、結婚した人たちがどのぐらい子供を産んでいるかというと、これは人口維持に必要な二・〇八人を上回る二・一六人を産んでいるということを聞くわけですね。そうすると、一・三八とこの二・一六のギャップというのはどこにあるのかというと、初婚の年齢が上がってきている、男も女もみんな二十七、八歳まで上がってきているということが言われている。どうもそこら辺に少子化の原因があるのかな。
また同時に、なぜそういうふうになっていくのかということを突き詰めて考えていきますと、やはり教育費にお金がかかるという部分がクローズアップされてくるわけですね。十一年版の厚生白書の四十六ページに非常にわかりやすい図表が出ているわけです。お金がなかったもので民主党がよくやる図版をつくることができなかったのですけれども、この四十六ページの表を見ていると、高齢者の給付というのは非常に多いわけですね。そして、これは決して悪いわけじゃないんですけれども、その前の四十代から五十代にかけてが負担が非常に多くなってきている。
同時に、もう一つよく考えなければならないのは、先ほど申し上げた義務教育、高等学校、そして大学ということを含めて考えていくと、特に大学というものが進学率が今三三%あるわけですね。短大も含めると四八%。二人に一人が高等教育を受けていく。さらに、高校を卒業して専門学校だ何だということまで含めていくと、七割、八割までが高校を卒業してまだ勉強する。そして、その状況の中で、この間、東京都がテレビで放送していたデータによりますと、高校を卒業して就職する人は一割だということが言われているんですね。
そういうことを考えると、その後の費用というものは、すべてが親とは言わないけれども、かなりの部分、親が負担をしているんじゃないか。そうすると、この四十六ページの表でいうと、高校時代、大学時代の負担をすべて三十の後半から四十、五十の前半までの世代が肩がわりしているんじゃないか。そういうことを考えてみると、この辺の負担をもうちょっと別のところに置きかえる必要があるんじゃないか。
同時に、子供自身が親にそういったものを負担してもらうのが当たり前みたいな社会的風潮がどうもできつつあるんじゃないか。それは、「21世紀の年金を「構築」する」という厚生省の小冊子の百八十八ページに、学生の保険料の負担ということを見ても、五一%が父母が負担したとなっているんですね。保険料を免除されたが三〇%。学生が自分の収入により支払ったというのは実に三・九%しかないわけですね。
こういうものを見ていくと、一生の中でもって自立する年齢というのは非常におくれているのが、今日本の社会の実態じゃないかなということを考えるわけであります。将来に向かって年金制度をしっかりと維持していこうと思ったら、この自立の年齢というのをはっきりと社会的にも認知できるような制度にしていかなければいけないんじゃないか。
そうすると、教育費というものを親が負担するのでなしに、特に高等教育の教育費というものを親が負担するのでなしに子供自身が負担できるような制度を年金を使いながらできるんじゃないかなと、私は仲間内でそういう勉強を実はしているわけなんです。
年金の積立金を運用する、そして今度は自主運用ということで年金制度が変わってくるわけであります。このチャンスをきっかけにして、ぜひ年金の積立金を使った自主運用の中でもって子供の奨学金に回すことができるような、そして子供が若干の利子をつけながらでも長期ローンでもって返していける、そういうふうな制度というものをつくっていくのは、少子化対策として一番重要なことなんじゃないかなというふうに思うわけですけれども、時間がなくてしっかりとした説明ができませんでした。また次の機会に譲るとして、ぜひその辺の御返事、感想でも結構ですし、厚生大臣の方からお聞かせいただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/13
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014・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 かねがね戸井田委員がそのような御主張をお持ちでいらっしゃることは私も承知いたしております。
ただ、年金制度のあり方という点から考えますと、年金制度というのはあくまでも老後の生活の社会的な保障、こういうものが年金制度のそもそもの問題でございます。そういう中において、いわゆる行政改革の中において、今までいろいろなことをやっていたけれども、例えば大型保養基地の問題、これはもう撤退するということが決まっております。それから住宅ローンであるとか教育ローンについてもさまざまな意見がございますけれども、いずれにいたしましても一定期間継続はしていくけれども、その後どうするかということがございまして、私は、その御意見は十分に戸井田委員の御意見として理解はできるんですが、果たしてこれが年金制度の中に仕組むべきものなのかどうかについては、いささか疑問に思うような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/14
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015・戸井田徹
○戸井田委員 もう終わりますけれども、またぜひ次の機会にこの辺のことを、周辺のことも含めて大臣に御議論をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/15
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016・江口一雄
○江口委員長 青山二三さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/16
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017・青山二三
○青山(二)委員 公明党・改革クラブの青山二三でございます。質問時間が大変短くなっておりますので、時間の範囲で質問をさせていただくことにいたします。
今回の改正案の中で注目されますことは、学生の納付特例の創設をしたこと、それから、育児休業中の事業主負担分の保険料の免除をしたこと、さらに、附則第二条に、平成十六年までに基礎年金について国庫負担の割合を二分の一へ引き上げることが明記されたわけでございまして、これは評価できると思っております。
しかし一方では、将来の給付水準の適正化、いわゆる引き下げでございます、また支給年齢の引き上げなどが盛り込まれておりまして、将来の年金受給者にとりましては厳しい内容も含まれております。
こうした改正は、少子・高齢化の進行や経済の低成長が続く中で、将来の現役世代の負担を過重なものにしないためにやむを得ないものと考えられますけれども、将来の国民の不安を取り除くためにはさらに財政方式の検討を含めた抜本改革を進めるべきであると思います。そして、いつの時代でも働く世代が保険料を積極的に喜んで払いたくなるような、そんな制度にしなければならないと考えております。
今回の改正は、長期的に安定した信頼される年金を維持していくということを目標とされておりますけれども、大臣は、国民に信頼される年金制度についてはどのように考えておられますでしょうか、御所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/17
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018・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 今、国民の間に老後に対する漠然とした不安があることも事実でございます。その中でも、特に年金に対する関心というのは大変強まっておるわけでございます。
それから、先生御指摘のように、若年世代が、自分たちが将来年金をもらえないのではないかというような、ちょっと誤ったような不安を持つ方もいらっしゃることも紛れもない事実でございます。その一方で、今や年金はお年寄りの老後の収入の基礎的な部分を担っておりまして、現に、老後の収入全額を年金や恩給に頼っていらっしゃるお年寄りは六割に達しておるわけでございます。国民の皆さん方の老後を支えるこの年金を、将来にわたって安心して信頼できるものにしていくということが最大の私どもの課題だ、このように考えております。
今回の改正でございますけれども、いわゆる高齢化のピークにおきましても保険料を年収の二割程度と無理のない負担に抑えたことでございます。と同時に、厚生年金の給付水準の見直し、基礎年金の国庫負担を、これまでは三分の一でございますが二分の一へ引き上げる、附則条項で安定した財源を確保した上でという前提が加わっておりますけれども、こういうことを明記させていただいたような次第でございます。
いずれにいたしましても、将来の少子・高齢化社会においても、また経済が低成長が今見込まれておるわけでございますが、そういう時代においても、将来世代の過重な負担を防ぐとともに、将来ともに現役世代の手取りの年収の六割程度の給付水準というものを確保する、こういうことを最大のねらいといたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/18
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019・青山二三
○青山(二)委員 そこで、基礎年金部分の国庫負担を二分の一に引き上げるということについてお伺いをしたいと思います。
多くの高齢者にとりまして、年金は生活の重要な部分でございまして、これが本当に基本的なものとなっております。中高年層は年金の支給率の目減りを大変懸念いたしておりますし、また、若年層は将来にわたる保険料の負担の重さに年金離れが進んでいる、このように見られるわけでございます。このような世代間の対立を解消いたしまして年金制度を安定させるためには、基礎年金の国庫負担率を引き上げ保険料の上昇を極力抑制する必要があるわけでございます。
今回の改正では、安定した財源を確保した上で国庫補助率を現在の三分の一から二分の一に引き上げるということで、ただいま大臣の御答弁もございましたが、その引き上げ時期を二〇〇四年までの間に実施する、こういうことになっております。公的年金への不安や不信を取り除くためにも、この実施目標を繰り上げて、できるだけ速やかに国庫負担を二分の一まで引き上げる必要があると思います。
先送りすればするほど保険料アップへのはね返りということが考えられるわけでございますので、早急な対応が望まれるわけでございますけれども、この点につきまして、大臣の御所見はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/19
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020・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 基礎年金の国庫負担の二分の一への引き上げでございます。
財政が大変厳しいという中で今直ちに実施するということは大変困難でございますけれども、私自身もかねてから、ただいま先生が御指摘ございましたような、若年世代の年金に対する不安を解消するという観点から、基礎年金の国庫負担は社会保険方式のぎりぎりでございます二分の一まで引き上げるべきだというような立場に立つものでございます。
今回の年金法の改正案におきまして、当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担割合の二分の一への引き上げを図るものという附則が設けられておりました。
できるだけ早くこの実現ができれば望ましいわけでございますけれども、何せ昨今のような経済情勢でございますし、現在国庫負担は三分の一で四・九兆円でございます。二分の一に引き上げますと二・二、三兆円かかるわけでございまして、この財源の手当てというものも十分に考えていかなければならない。
ですから、私どもがまず最初に考えなければならないことは、経済の状況というものがもっともっと好転しなければならない。これが何といっても大前提ではないか、このように考えているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/20
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021・青山二三
○青山(二)委員 大臣の御答弁ございましたけれども、本当に一刻も早く景気の回復をさせて、国庫負担率二分の一に早くなるように私も願っておりますので、どうか大臣、これからも御努力をお願い申し上げます。
それでは次に、たびたびこの委員会で問題提起されております無年金障害者について伺いたいと思います。
御承知のように、無年金障害者は事故や病気で障害になりましたときに国民年金に未加入であったために障害年金が支給されないということでございますが、厚生省の推計によりますと、この無年金障害者は全国で十万人を超すと言われております。重度の障害者にとって障害年金は収入源として不可欠のものでございますけれども、重い障害を抱えながら年金が支給されない、こういう二重苦を背負っているのでございまして、こうした状況は改めていかなければならないと私は考えております。
無年金障害者の現状をまず的確に掌握することから始めなければならないのではないかと思うわけでございますが、これまでに無年金障害者の人数とか無年金障害者が置かれております厳しい現状、実態については調査されているのでしょうか。また、どのようにそういう状況を認識されているのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/21
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022・矢野朝水
○矢野政府参考人 まず、無年金障害者の方の実態でございますけれども、実は無年金障害者の方だけに限った調査というのはなかなか難しいわけでございます。と申し上げますのも、障害者の方というのはわかるわけですけれども、その障害者の中で、本来なら障害年金の支給要件に合致しているかどうか、ここのところのチェックといいますか調査といいますか、これが非常に難しいわけでございまして、それで、これまでのいろいろな調査、例えば身体障害者の実態調査とかいろいろな調査がございます、そういった各種の調査から一定の前提を置いて推計をいたしますと、先ほど先生からおっしゃられました十万人強ぐらいの無年金障害者の方がいらっしゃる、こう私どもとしては受けとめております。
それからまた、無年金障害者の方の実態でございますけれども、当然のことながら障害年金を受給されておらないわけですから、経済的な面では非常に厳しい状況におられるということは、これは十分認識しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/22
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023・青山二三
○青山(二)委員 無年金障害者の実態を明らかにしなければならない、すべきだということは、以前から多くの専門家たちが指摘をしていることでございますけれども、ただいまの御答弁ではなかなか難しいというようなことでございますが、そのままほっておくわけにはいかないと思います。
そこで、その無年金障害者の数を正確に掌握する調査体制を整えるべきではないかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。そして、障害年金に関する情報とか受給者の動向についても公表すべきであると思いますけれども、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/23
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024・矢野朝水
○矢野政府参考人 ただいま申し上げましたように、無年金障害者の方だけに的を絞った調査というのがなかなか難しいわけでございますけれども、これまで障害者の方々の実態に関する調査といたしましては、身体障害者の実態調査あるいは知的障害児者の基礎調査、それから国民年金、厚生年金の障害年金受給者実態調査、こういったものがあるわけでございます。こういった調査をさらに工夫することによりまして障害者の実態の把握に努めてまいりたいと思っております。
それから、こういった障害者の方々の動向といいますか実態といいますか、こういう調査を通じて明らかになった実態を公開していくということは、これは当然だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/24
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025・青山二三
○青山(二)委員 では、今後ともしっかりと調査して、そういう公表をしていただきたいと思います。
それでは、もう時間がございませんので、最後に大臣にお伺いをいたしますけれども、無年金障害者は年金を払っていないのだから無年金は仕方がない、ずっとこのように厚生省は御答弁をしてきたわけでございます。これはそう言えばそうですけれども、こうした態様はさまざまなケースから生まれているのだということを正確に認識しなければならないと思います。
例えば、いわゆるサラリーマンの妻や学生は以前は任意加入であったわけでございますから、その制度自体も知らなかった、もしくは気にもとめていなかった、そういう人が多いわけでございます。その当時の学生の国民年金加入率がたった一%前後、こういう実態から見ても、まさしくこれは行政側の周知徹底が不十分であった、こういうことを言わざるを得ないと思います。
さらに、その当時、強制加入者ではないために保険料の免除制度もありませんでした。ですから、滞納か納付かどちらかだ、そういう現実の中で、当然のこととして、学生の無年金障害者が生まれてしまったわけでございます。
このような任意加入の時代に無年金障害者となりましたケースは、本人の責任というより制度上の不備も一因あったわけでございまして、行政側の責任も相当あると思うわけでございます。
このような経緯を考えますと、これらの人たちへの救済措置がぜひとも必要でございまして、大臣はこういうことに関しましてどのような御所見をお持ちになっているのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/25
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026・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 無年金障害者の問題につきましては、先般来御質問をお受けいたしております。
年金制度のもとにおいて何らかの給付を行うということは、要するに負担と給付の関係、こういう年金制度そのものの根幹にかかわる問題でございますので、率直に申し上げまして、現在の年金制度のもとの仕組みにおいては非常に難しい問題を抱えております。ただ、先生が御指摘になりましたようなことも事実でございますし、また、そのほかの委員の方々からも、この問題については、長い間にわたりまして何回となく繰り返し御質問がされていたことも紛れもない事実でございます。
当時なぜ加入せずに無年金障害になったのかとか、あるいは、いわゆる基礎年金制度が導入されましたのは御案内のように昭和六十一年でございますから、そういったさまざまな経緯、こういうことを含めて、年金審議会という場がございますので、一度そういう場において検討していただければ幸いだ、このように考えているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/26
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027・青山二三
○青山(二)委員 それでは、時間が終了いたしましたので、もう少し細かいことについてお聞きしたいこともございますので、これは次回に回させていただきます。大変にありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/27
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028・江口一雄
○江口委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時三十二分休憩
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午後一時三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/28
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029・木村義雄
○木村(義)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
ただいま江口委員長は公用にて、所用にて、間もなくお戻りでございますけれども、この委員会の終了間際に委員長からそれなりのごあいさつがあると思います。
それでは、質疑を続行いたします。山本孝史君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/29
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030・山本孝史
○山本(孝)委員 今、木村理事が委員長席にお座りになって、委員長は公用でおいでにならないけれども、お帰りになったらそれなりの御発言があると発言されましたけれども、これは陳謝をされるというふうに聞いておりますので、今後委員会運営にはきちんと委員長として公平を旨として運営に当たるという旨の御発言があるという前提を私は承っておりますので、その前提でもって御質問に入らせていただきたい、こういうふうに思います。
何回も繰り返しますように、今回の法案は、年金本体だけの話じゃなくて、年金福祉事業団の廃止の話も、それから、あの巨額な積立金をどう運用するのかという大変重要な法案もかかっておりますので、国民の将来の生活不安、とりわけ年金というものについて、老後生活の柱となるこの姿がどうなるのかということは、大変みんなが注目をしている。その問題について、強行で採決をして物事を決めていけばいいという話ではないとかねてから主張しておるのに、きょうは、公聴会を無理やりやる、地方公聴会もやらないというような御発言までされる。そういうことはだめですよと何回も申し上げているわけで、十分な審議を尽くさせていただきたいというふうに思います。厳重な抗議を改めて申し上げます。
早速質問に入らせていただきたいと思います。
大臣、連日の委員会審議で大変お疲れさまでございます。介護の問題と年金の問題が頭の中でごっちゃになってくるのではないかと大変御心配も申し上げますけれども、まず、申しわけありません、介護の問題で一問だけ、もう一度大臣の御認識をお伺いしておきたいというふうに思います。
十七日のこの厚生委員会で、介護保険の見直し案について、市町村長や関係者からの意見聴取や質疑を行いました。市町村長からの見直し案を撤回せよといったような強い意見も含めて、賛同の声は全くありませんでした。
この参考人からの意見陳述の内容については大臣のお耳に入っているというふうに私は認識をしますけれども、見直しは市町村からの強い要請に基づくものであったとおっしゃった大臣のこれまでの認識と参考人の御発言の内容とは、明らかに異なっております。大臣はよかれと思ってやっておられるのかもしれませんけれども、現場の受けとめ方は正反対でございます。
お尋ねをいたします。見直し案について、大臣は御認識を改められましたでしょうか、それとも、なお特別対策の関連予算を補正予算に盛り込むお考えなのでしょうか。この点について、まずお伺いをいたします。
〔木村(義)委員長代理退席、安倍(晋)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/30
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031・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 まず、特別対策については、以前から申し上げておりますとおり、介護保険構想の理念、基本的な枠組みを変更するものでございませんので、その認識は変更いたしておりません。
それから、市町村長さんをお呼びしてさまざまな御意見をお伺いしたということは私もお聞きをいたしております。私のところにも数多くの市町村長さんからいろいろ、電話があったり、ファクスがあったり、直接私のところにお訪ねいただく方々もいらっしゃるわけでございますけれども、やはり一番市町村長さんが御懸念をなさっていらっしゃいますことは、六十五歳以上のお年寄り、つまり高齢者の保険料を徴収することに果たして御理解いただけるのか、こういうことが大変心配である、そういう意味において、今回の猶予であるとか、要するに軽減負担というものは大変評価できるんだということを、私のところに来て率直に申し上げられる方もいらっしゃいます。そのことをあえて申し上げます。
それから、山本委員あるいはごらんになったかどうかわかりませんが、たまたま私も先日テレビを見ておりまして、これは市町村長じゃなくて一般の方に対するアンケート調査でございますけれども、保険料の軽減分を国の財政で負担することの必要性について、必要とする意見が五二%、過半数を上回っておるわけでございます。それからまた、慰労金など支援措置の必要性について、必要とする回答は五七%であります。
ですから、私は、これはたびたび申し上げておるのですが、大変御熱心に取り組んでいらっしゃる市町村長さん、それから一般の方、一般の方ということは要するに現役世代の方々、それからお年寄りの認識、介護保険に対する取り組み方といいますか考え方というものが非常に多様に分かれているんだということではないかなと思っているような次第でございます。
いずれにいたしましても、来年の四月に向けて、心を一つにして、介護保険について御理解をいただきながら円滑な実施に取り組んでいきたい、この考え方に変わりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/31
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032・山本孝史
○山本(孝)委員 あるアンケート調査の数字を用いられて、国民は今度の特別対策に対して理解をしている、歓迎しているという御趣旨の御答弁だと思います。
同じように年金問題について、年金が将来給付水準が下がるよということについて国民にアンケートをすれば、同じように半数以上の人が下がらない方がいいというふうに答えると思います。では、その数字をもって自分たちは考え方を変えるのかという話ではないと私は思います。アンケートというのはそのときの状況を極めて反映します。負担を求められれば嫌だというのが国民の素直な気持ちです。そういう安易なアンケートの数字でもって介護のことについてそういうふうにお話をされる。
では、年金のことはどうなのかというと、私は、これは政治家として余り好ましい姿ではないのではないかというふうに思います。大臣に御注意を申し上げるような立場ではございませんけれども、事年金のアンケートをすれば同じような答えが出てしまうのではないか、そういうふうに私は思います。
大臣は、そういう意味では見直し案についての認識は改めておられないということで、せっかく参考人が地方から来られて、遠くから来られて御意見を述べておられる、もう少し厚生省全体として、市町村の率直な声を真摯に受けとめる、そういう謙虚な姿勢が必要であるというふうに私は思います。
本論に入ります。
基礎年金の国庫負担の引き上げの時期についてお尋ねをさせていただきます。
本会議場で、総理は、「今後、安定した財源確保のための具体的な方法と一体として検討する必要がある」というふうに御答弁をされておられます。あるいは厚生大臣は、景気が回復して税収がふえたとき国庫負担は引き上げるんだというふうにおっしゃって、私見だが、予算配分を議論する中で、二〇〇四年、平成十六年までに決着をつけるという強い御答弁もなさいました。
私の質問は、税収が上がらなければ国庫負担の割合は二分の一にならないのか。例えば、消費税の問題も含めて、消費税引き上げへの国民の理解を求めつつ基礎年金の国庫負担割合を引き上げる、そのような強い政治的な意思はないというふうに理解してよろしいのでしょうか。
宮下厚生大臣はかねて委員会で、「あらゆる手段、経済政策その他を通じて安定した財源を得るべく努力するということでございます。」こういうふうにおっしゃっておられます。要は、税収が上がらなければ上がらないのか、外の話なのか、政治としては上げていくという姿勢はないのか、そこは一体どちらと理解すればいいのか、この点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/32
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033・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 御案内のように、二〇〇四年までの間に安定的な財源を確保して二分の一に引き上げる、こういうようなことが今回の附則に盛られておるわけであります。
では、安定的財源というのはどうなのか、こういうようなことでございますけれども、オーソドックスな考え方といたしましては、景気の回復によって税収が増加することが最も望ましい姿であることは、山本委員も御理解賜ると思います。そのほか、例として申し上げさせていただきますならば、消費税を引き上げるとか、いわゆる歳出の見直しとか、あるいは、何もないから赤字国債を発行するとか、それから、場合によっては積立金の取り崩しなど、こういうようなさまざまなものが選択肢としてはあると思います。
ただ、率直に申し上げて、消費税の引き上げについては、現時点において果たして国民の皆さん方から御理解をいただけるのかどうか、こういうような問題がございますし、いわゆる積立金の取り崩しにつきましては、現在百四十兆ございますけれども、これはあくまでもいわゆる後世代の負担の過重を軽減するために蓄えておるものでございますので、こういうことが果たして年金制度の姿としてあるべき姿か、こういうような問題があるわけでございます。
それでは、おまえやらないのかということでございますけれども、私は、年金制度の国民に対する信頼、あるいは老後に対する不安というものを解消して、二〇〇四年までには国庫負担を二分の一にすべきだ、こういうような考え方に立つものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/33
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034・山本孝史
○山本(孝)委員 大臣のかねてからの御発言を見ておりましても、国庫負担の二分の一というのは妥当である、早くそうすべきだという御持論であったかというふうに思います。
重ねてで恐縮でございますが、そうしますと、平成十六年には国庫負担が二分の一になっているのかいないのか。大臣としては、強い決意を持って平成十六年には国庫負担は二分の一になっているというふうにお示しいただいているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/34
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035・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 今の時点で平成十六年のことまで申し上げることは適当かどうかわかりませんけれども、私見といたしましては、年金制度の拡充充実のためにとにかく二分の一を目指して知恵を出していくべきだ、こういう考え方に立つものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/35
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036・山本孝史
○山本(孝)委員 今の時点で言うことは適当でないという御発言ですので、そうしますと、平成十六年には二分の一には国庫負担はなっていないということもあるということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/36
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037・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 私、何回も申し上げておりますように、年金の国庫負担については三分の一から二分の一に二〇〇四年までの間に実現すべきものだ、こういうような立場に立っているものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/37
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038・山本孝史
○山本(孝)委員 済みません、ちょっと私理解できませんでしたので、もう一度お伺いします。
三党合意とか自自合意、あるいは春の凍結法案のときの年金制度の大綱、そして今回の法案の附則に盛り込まれている表現、いろいろ読み取りができるわけですね。
税収が上がればという前提で平成十六年には二分の一になっているかもしれないというふうにお聞きしますと、あるいは、今言うことは適当でない、こういうふうなお話もありますと、そうすると、税収が上がらなければ国庫負担の二分の一はないのかという質問に、また繰り返しになるわけです。したがって、我々国民のサイドからすれば、あるいは年金の将来像を考えるときに、平成十六年は基礎年金の国庫負担は二分の一になっているということでその先のことを考えればよろしいというふうに理解してよろしいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/38
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039・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 私は先ほど、財源の選択肢として五つ六つ挙げさせていただきました。いろいろな方法があると思いますけれども、オーソドックスな考え方としては、先ほどから申し上げておりますように、景気が回復して税収が伸びてやることが一番望ましいのですが、場合によっては、消費税の問題もそのときになりますと国民の皆さん方の御理解をいただけるかもしれません。いずれにしても、私は、基礎年金をこのまま三分の一に放置しておくことはとてもできない状態だ、こういう認識の上に、二〇〇四年までの間には知恵を出して国庫負担二分の一という実現を目指すべきだ、こういう考え方に立つものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/39
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040・山本孝史
○山本(孝)委員 平成十六年には国庫負担は二分の一になっているということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/40
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041・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 なっているというのと、そうあるべきだというのとは、若干違うのです。(山本(孝)委員「違います。全然違います。どっちですかと聞いているのです」と呼ぶ)私は、なっているということを今私の立場で申し上げることはできないということをさっき申し上げたのであって、そうあるべきであるということを私は率直に申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/41
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042・山本孝史
○山本(孝)委員 大臣の希望とかお考えじゃないのですね。これは厚生省がお出しになっている政策なんです。法案に附則として表現があるわけですね。ですから、平成十六年には、その間にいろいろな御議論があります、選択肢もお示しになりました、いろいろな選択肢はあるけれども、国の基礎年金に取り組む姿勢として、厚生省の考え方として、あるいは国の意思として、平成十六年には基礎年金の国庫負担は二分の一にする。かねてからの御持論でもあった。今回の考え方でもあった。我々前回の年金審議にかかわった者としては、国庫負担の二分の一への引き上げはもう解決済みの問題であると思っているわけですね。
しかし、そうではないのだ、平成十六年になってもまだなってないかもしれないよ、なっていたらいいなと私は思うけれども、なってないかもしれないよというのが今の大臣のお答えのように聞こえるので、そうすると、政治の意思として、平成十六年には二分の一になっているのだ、何が何でもそのときにはするというお考えでないのですね。希望じゃなくて、ちゃんとした政策としてお話をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/42
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043・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 ですから、御案内のように、附則におきましては、安定した財源を確保してという大変厳しい前提が実は置かれておるわけでございますが、今の年金に対する国民の不安感であるとか信頼感であるとか、そしてこれから少子・高齢化社会における年金制度のあり方を考えておりますと、とにかく私は、なるということを今断言することはできませんけれども、そうあるべきだ、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/43
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044・山本孝史
○山本(孝)委員 では、法律はそう読めないじゃないですか。あり方を幅広く検討し、当面十六年までの間に引き上げを図るものとする、これは、そうすると、努力目標として書いてある、理念だ、思いなんだということであって、国民の皆さんには、ひょっとしたらなってないかもしれないよということもあるということなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/44
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045・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 いわゆる附則の条項でございますので、私が今この立場で申し上げることが適当かどうかわかりませんけれども、単に附則だけではなくて、最近の国会の内外の議論を通じまして、この国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げるというような御意見といいますか考え方というのは大勢になりつつあるし、極めて重いものではないか、こう考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/45
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046・山本孝史
○山本(孝)委員 実は、それはもう五年前に大勢になっていて、五年の間に検討するということでこの五年間やってきているはずなんですよ。自自の合意の中でも、税方式を主張されておられる向きもあって、ここはやはり二分の一は一つのステップなんだねというふうに自自で合意されたのだと私は思うのですね。
今度、自自公の合意文書を拝見しておりましても、一年先にはなっておりますけれども、二〇〇五年までの間には、年金については、その財源のおおむね二分の一を公費で賄うと書いてありますので、年金というのは基礎年金のことだと理解をしますけれども、そうすると、自自公合意の中でも、基礎年金二分の一というのは年限を明示して二〇〇五年と書いてあるわけですね。そういう意味でいけば、自自でも合意している、自自公でも合意している、だから、附則という形ではありますけれども法律の中に載っているんだと私は理解しているのですよ。
それは単に、大臣が長年思ってこられた思いがここにこもっていて、お気持ちはわかりますけれども、しかし、法律を審議するという中において、この文章はどう読めばいいのかというときに、それは我々の思いが残っているのです、したがって、税収が上がらなければそれは二分の一になっていないこともあると。ここは政治ですからね。大臣がおっしゃいました、予算の配分を皆さんに議論していただいて、要らないところを削ってこっち側に持ってくるというのは、これはまさに与党の政治の姿勢だと思います。そういう意味で、消費税の話をするのも、これも政治だと思います。
そういうことはなくて、思いだけがあるのですというのであれば、それはまさに、言葉は悪いですけれども、だましているんじゃないですか。こうなりますよというプラスチックの商品、食べ物屋さんに行ったらきれいなものがある、おいしいねと思う、でも食べられない。それは子供だましになってしまいますよ。政治がうそをついていることになる。(発言する者あり)ちゃんと保険料だけ払えという話でしょう。だって、国庫負担の二分の一の話が決まらないと将来の話ができなくなるじゃないですか、基礎年金の話も。
思いはわかります。我々は、早く上げなければいけないと思います。だけれども、ここで言明されないのですよ。思いであって、わかりませんと。わからないというのでは、それはちょっとおかしいのじゃありませんか、こういうふうにお書きになって。やはりここは政治の力でもって、少なくとも平成十六年には国庫負担は二分の一になっているんだ、そういうふうにするのが与党であって、厚生省であって、大臣であるという決意をちゃんと表明してくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/46
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047・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 三党合意というのがございまして、政策責任者の中で、安定した財源を確保した上で、こういうふうに前提がついているのです。
そこで、山本委員から申し上げさせていただければ何か私がもう一つ歯切れがよくないな、こういう感じがしないでもないかな、こういうような御印象を受けるのかな、こういう思いが私なりにしておるわけでございますが、私が五年前に国庫負担を二分の一にすると言ったときは、大変失礼でございますが、なかなかこの委員会、今のような雰囲気ではなかったことも五島委員御存じであられますので、丹羽雄哉は何を寝ぼけたことを言っているんだというような雰囲気が一部にあったことも紛れもない事実であります。
しかし、現在におきましては、年金というのは老後におきます大変重要な、いわゆる医療、年金、介護とすれば、これは中軸に置くべきだ、そういう中において特にまた若い人たちの負担が非常に過重になっているんだ、こういう中において年金の充実を図っていかなければならない。だから、社会保険方式のぎりぎりである二分の一まで引き上げるべきだ……(山本(孝)委員「理念はわかりますよ。政策ですから」と呼ぶ)こういうようなことが、いわゆる理念じゃなくて、五年前と全くさま変わりしたのだということを私はあえて申し上げたい。
そういうことでございまして、私は、とにかく、そういうような前提があるわけでございますので、今すぐどうのこうのということではありませんけれども、景気が回復して税収が安定するなり、あるいは先ほど申し上げました五つ六つ、その一つをとるということではなく、さまざまな組み合わせの中で、とにかく私自身は、個人的には国庫負担を……(山本(孝)委員「個人じゃないよ、大臣だもの」と呼ぶ)では大臣として申し上げますけれども、二分の一にするということが、ある意味において、国民に対する一つの大きな約束として重く受けとめています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/47
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048・山本孝史
○山本(孝)委員 ようやく国民に対する約束だとおっしゃったけれども、その後、重く受けとめているだから。
でも、こんな歯切れの悪い答弁ないですね。大臣、答弁されておられて、御自身も随分歯切れが悪いと思われるかもしれません。質問は非常にシンプルなんですよ。
平成十六年には国庫負担は二分の一になっているのか、なっていないのか、なるためにどういう努力をするんだと。いろいろな選択肢があるよと。それをやるのは政治じゃないですか。だから、それを放棄してしまったのでは、全然これから先の議論は成り立ちませんよ。これだけでもう三十分近くになってしまって、とても先へ進めなくなってしまいますけれども。
では、質問を変えますけれども、この春の保険料凍結法案を審議した折に、保険料の凍結解除と国庫負担の引き上げとはセットであると。これは先ほど私御指摘申し上げましたように、年金制度の改革の大綱をまとめられた中にもそうなっておる。あるいは前任の宮下厚生大臣は、この委員会で何回も、この国庫負担の引き上げと保険料の凍結解除はセットである、同時に行うんです、こうおっしゃっておられました。
今、大臣の歯切れが非常に悪いのでお聞きするわけですけれども、平成十六年、国庫負担が二分の一になっていないかもしれないというふうなことがもしあるのであれば、保険料は凍結は解除されずにずっと凍結されたままということになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/48
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049・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 まず、保険料の問題と国庫負担の問題は、ある意味において、景気回復によって税収が伸びて安定した基盤が得られるという点においては共通な基盤に立つものでありますけれども、基本的には別なものと考えております。
しかし、私といたしましては、保険料の凍結については、平成十六年、つまり二〇〇四年までの間に安定した財源を確保しながら国庫負担の割合を二分の一に引き上げを図ることとし、保険料の凍結解除も、国庫負担割合の二分の一への引き上げ、そのための財源確保と基本的に同時に実施するべき筋のものではないか、こう考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/49
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050・山本孝史
○山本(孝)委員 これは大臣、担当からもお聞きになっておられるかもしれません。この春いわゆる保険料の凍結法案を審議したときに一番の議論はここだったんですね。保険料の凍結解除と基礎年金国庫負担二分の一への引き上げ、これはセットなんですと。今席におられませんけれども、公明党の福島さんが、セットというのは理論的にはおかしいのではないかという質問まで実はされて、宮下厚生大臣は、年金制度改革大綱の中にもちゃんと明記しておりますように、この凍結解除と国庫負担の引き上げとはセットにさせていただいておりますというのが、これは大臣の答弁ですよ。今私、議事録を持っておりませんけれども、これが答弁なんです。
今大臣はセットでないという御認識をされたので、これは厚生省のこれまでの見解を百八十度変えることになるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/50
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051・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 ちょっと御理解いただけないようでございますが、私が申し上げているのは、保険料の問題と国庫負担の問題というものは本来別のものです、しかし、今申し上げましたような経済状況の中においては、共通した基盤といいますか、そういうものを背景にしながら考えなければならない問題です。こういうことでございます。
私が申し上げたことは、要するに、保険料の凍結解除と国庫負担を引き上げるというのは、基本的には同時に実施する方向が望ましい、私はこう考えているような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/51
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052・山本孝史
○山本(孝)委員 私はちゃんと理解して質問しております。
福島先生はわざわざ、セットでないのにねとおっしゃったけれども、宮下厚生大臣はセットなんですと。大臣は今経済環境とおっしゃいましたけれども、国民の側からすると、凍結解除で保険料も上がる、国庫負担の二分の一への引き上げがなされないというと、単に負担だけが上がるだけなんだねと。国庫負担が二分の一に引き上がる、それで保険料は下がるというような、これが両方絡みの話ですねというので、宮下厚生大臣は、セットなんです、こうおっしゃったんですね。
私の質問を繰り返します。国庫負担二分の一は平成十六年の段階でどうなっているかわからない、でも、これは公約だから、国民に対する約束だから重く受けとめると先ほどおっしゃいました。ということは、平成十六年に二分の一に引き上がっていれば、保険料の凍結はその時点で解除される、すなわち、保険料の凍結解除時期と国庫負担の二分の一への引き上げ時期はどういう関係に大臣の頭の中では整理されているのか、もう一度お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/52
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053・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 先ほど来山本委員から御指摘がございましたように、大綱におきましてはそのようなことが出されておりますけれども、今回の法律を提出するに当たりまして、自民党だけでなく、自由党、公明党、三党連立政権のもとで決めましたいわゆる三党合意の中では、安定した財源を確保しながらということでありまして、この保険料の凍結解除の問題には直接言及しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/53
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054・山本孝史
○山本(孝)委員 では、お伺いします。
保険料の凍結解除はいつなさるおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/54
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055・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 いずれにいたしましても、今凍結をしておるということは、後代の負担のことを考えますと、大変これは異例のことでございますし、景気が回復いたしましてできるだけ早い機会に凍結を解除したい、こう考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/55
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056・山本孝史
○山本(孝)委員 景気が回復すれば税収が上がっているのでしょうから、そのときは凍結を解除される、同時に国庫負担は二分の一にされる時期になっている、こういう理解ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/56
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057・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 大綱におきましてはそういう方針が打ち出されておりますが、今回の法律においてはそのようなことが明記されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/57
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058・山本孝史
○山本(孝)委員 では、大臣のお考えをお聞かせください。
保険料の凍結解除と国庫負担の二分の一への引き上げ、これはどう考えるのかによりますけれども、これまでは、そういう説明でなされてきました、この委員会では。したがって、大臣としては、国庫負担の引き上げと保険料の凍結解除と、これから先どういうふうに厚生省はやっていこうとしておられるのか。思いじゃなくて、厚生省の方針として、政策としてお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/58
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059・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 私から先ほどから申し上げておりますけれども、保険料の凍結解除と国庫負担の二分の一は同時に行うことが望ましいと考えておりますが、しかし、現実問題として、今三分の一で国庫負担が四・九兆円、さらに、二分の一にいたしますと二・二兆円でございますので、現実的な判断として、この財源をどこに求めるかということを抜きにして軽々に私から申し上げるわけにいきません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/59
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060・山本孝史
○山本(孝)委員 これはやはり今回の改正の大変に重要なポイントだと思うんです。
その点について、先ほどせっかく、これは国民への約束として重く受けとめるという御発言をされながら、軽々しく言うわけにはいかない、こうおっしゃいますね。聞いておりますと、基礎年金の国庫負担の引き上げの時期についても、あるいは今凍結されております保険料の解除の時期にしても、これまでのこの国会での宮下厚生大臣の御答弁と丹羽厚生大臣の御答弁は明らかに違うと私は思います。そして、それをどうするのかということをはっきりとお示しにならない。
経済状況がありますから、いろいろな前提を置かなければいけないのかもしれません。しかし——あれだけの国債を発行しながら努力をしておられる小渕内閣でしょうから、宮澤さんになって五十兆円も国債をじゃぶじゃぶに発行している。そういう中で、しかし、それでもなおかつ、この国民の老後生活の基本になる年金のそのまた基礎になる基礎年金の将来像についてどうするのか、どうなっていくのかというビジョンがしっかりと厚生省から、大臣からお示しいただけないというのは、私はこの法案の審議というものが非常に軽々しく思われていると思います。
きちんとした答弁をいただかなければ、この質問を続けていても意味がないと私は思うんですけれども、もうちょっとちゃんと整理をされた御答弁をいただければなというふうに思います。時間が少ないので、また後日残りの部分は質問させていただかなければいけないと思います。
ちょっと順番を飛ばしまして、後の質問を先にさせていただきます。
保険料の半額免除制度というのを今回新たに厚生省としては設けられるわけですね。局長答弁で結構ですから、国民年金保険料の半額免除制度の対象者とされる低所得者の範囲、これはどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/60
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061・矢野朝水
○矢野政府参考人 国民年金の半額免除制度でございますけれども、保険料が上がっていくにつれ負担感が増してくる、そういう中で、現在は全額免除か全額納付か二者択一でございます。そういう中で、半分ぐらいは保険料を何とか納められる、したがって、それに見合う年金、従来の国庫負担見合いの三分の一じゃなくてもう少し欲しい、こういう方もいらっしゃるわけでございます。
そういうことで、この半額免除という制度は、従来の全額免除対象者プラスもう少し、プラスアルファといいますか、住民税の非課税世帯よりももう少し所得の高い方、このあたりまでを対象にしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/61
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062・山本孝史
○山本(孝)委員 住民税の非課税対象世帯よりももう少し高いところまでとおっしゃいましたね。そうしますと、例えば国民年金の加入者、あるいは国民の中で何%ぐらいまでの人たちを半額免除対象にするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/62
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063・矢野朝水
○矢野政府参考人 これは、この法律成立後に具体的な範囲を決めたいということで今検討中でございますけれども、内部で検討しておるのは、国民年金の対象者の三割ぐらい、今でも二割ぐらいが全額免除の対象になっておりますので、一割ぐらいを上乗せして三割ぐらいの人が該当する基準を設定したらどうだろうか、そういう方向で内々議論をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/63
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064・山本孝史
○山本(孝)委員 もう一つ、年金局長にお尋ねをします。
この考え方でいきますと、国庫負担が二分の一になったときに、この制度はどういう扱いになるのかなと思うわけです。今は国庫負担三分の一ですから、保険料の半分、残り三分の一を払って三分の二もらうということをおっしゃっておられるわけですね。今度、国庫負担が二分の一になったときに、同じような考え方でいけば、四分の一払って四分の三もらうのかということになるのか。そこはどういう整理をされておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/64
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065・矢野朝水
○矢野政府参考人 ただいま山本委員の御指摘のあったような考え方も確かにあり得ると思います。ただ、この問題というのは、二分の一への国庫負担引き上げが正式に決定した段階、その時点で具体的にどうするのかということを検討し、決定したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/65
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066・山本孝史
○山本(孝)委員 国庫負担の引き上げは、平成十六年という近々のところで上がるという前提でやっているわけですね。今の局長の御答弁は、上がってから考える、上がるようになったら考えるとおっしゃるんだけれども、国民の基礎的な生活にかかわるところの基礎年金の半額免除制度という新しい制度を考えていく中で、二分の一になったらどうするかまた考えるわというのは、制度を設計する側として、非常にこれはずぼらといいましょうか、そんな話はないですよ。年金制度のこんな大きなものを考えているときに、そんな考え方でいいんですか。
大臣、ちゃんと御説明を受けておられると思いますけれども、今のような、またこれから二分の一になったときは二分の一になったときに考えるわという局長の御答弁、この半額免除制度、こんなことでいいんですか。これは大臣、答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/66
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067・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 まず、ちょっとお許しいただいて、先に、前大臣と私の認識が違うんじゃないか、こういうお話がございました。
宮下大臣のときは、保険料の凍結解除と国庫負担を同時にするということが大綱の中で明記されております、それを踏まえて御発言なさったと思いますが、それからしばらくたちましてから、自自合意あるいは自自公合意がございまして、そういう中において今回の法律案においては明記されておらない、こういうことでございますので、念のため、前大臣の名誉の問題もございますし、前大臣と私との意見が違うじゃないか、こういうような御指摘もありましたので、あえてこのことを申し上げさせていただきます。
それから、半額免除制度の創設の問題でございますけれども、これはあくまでも、委員御指摘のように、要するに被保険者の負担能力に配慮してつくったものでございます。ですから、これはあくまでも所得に応じて決めるという……(山本(孝)委員「制度はわかっているんです。今の局長の答弁に対してのお考えなんです。二分の一になったときは二分の一になったときに考えたらええわとおっしゃったから、そういう制度なんですか」と呼ぶ)ちょっと早くてわからないのですが、もっとゆっくり言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/67
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068・山本孝史
○山本(孝)委員 では、もう一遍繰り返します。ちゃんと局長の御答弁を聞いておいてもらわないと。話がややこしくなるんです、前のことをおっしゃると。私も前のことに戻らなきゃいけなくなっちゃう。
大綱ではこうなっている、こういう話があったんです。議事録をぜひ読み返してください。わざわざ助け船的に、みんながそう思ったんです、あのとき、これはどういうことなんですかと。保険料の凍結を審議している法案ですから、凍結解除時期はいつになるんですかという当然の質問はあるわけです。そのことについて、それは基礎年金国庫負担二分の一への引き上げと同時なんです、リンクさせていただいているんですと。
厚生大臣としてあえて、これは丹羽大臣もおっしゃるように違う話なんだけれども、リンクさせることで国民の理解はいただきやすいから、ここはリンクしているんです、こうおっしゃってきたんです。だから、我々はリンクしているというふうに理解をしてきているんです。基礎年金の国庫負担二分の一への引き上げ時期と保険料の凍結解除時期は一緒なんだというふうにみんなが理解してきているんです。
それで、その後、自自公合意ですか、与党間の合意があって、その前提は変わったんだということなのであれば、それは一つの御答弁だと思います。変わったんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/68
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069・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 変わったというよりも、その点が言及されておらない、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/69
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070・山本孝史
○山本(孝)委員 それは変わったんですね。
リンクしていると言った人がいて、その点はリンクされていないとおっしゃるのであれば、それは変わったんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/70
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071・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 御案内のように、大綱というものと法律というものは別のものでございまして……(山本(孝)委員「いや、大綱とは離れてちゃんと答弁されたんですよ、あのとき参議院では」と呼ぶ)ですから、宮下大臣は、大綱に基づいて御発言をなさった。実は、私自身がそういう考え方に立つものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/71
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072・山本孝史
○山本(孝)委員 でも、変わったんですか。何かよくわからないな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/72
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073・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 率直に申し上げて、私自身が、保険料の凍結解除と国庫負担は同時にすべきだということを申し上げて、大綱の中にそれを明記させた張本人でございますが、法律においては、三党間のいろいろな協議を経て、そのくだりが明記されておらないという事実関係を申し上げているだけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/73
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074・山本孝史
○山本(孝)委員 では、その事実関係に基づいて、厚生省の考え方の中からはなくなった、こう理解してよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/74
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075・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 いや、それはあくまでも二〇〇四年までに二分の一を目指すということでございますから、場合によっては保険料凍結の解除の方が早い場合もあり得るし、それから、二分の一という財源、要するに三分の一から二分の一に引き上げる二兆二千億円の財源がどうしても保険料解除とリンクできないという場合には若干のずれもあり得る。
しかし、いずれにいたしましても、私どもは二〇〇四年までに国庫負担を三分の一から二分の一にしたい、こういうような考え方は変わっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/75
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076・山本孝史
○山本(孝)委員 では、さっきの半額免除の話に戻る前に、もう一問だけ。
国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げるという時期がありますね。それと若干前後するのかもしれませんけれども、この引き上げをしたときに、保険料は今の水準から下がりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/76
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077・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 当然のことながら、そのときの人口構成であるとか経済情勢によって変わりますけれども、基本的には変わるもの、私はこう考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/77
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078・山本孝史
○山本(孝)委員 人口構成とか経済状態という話ではなくて、これはこういう話なんです。
国庫負担が三分の一から二分の一に引き上がる、そのときに、いろいろな経済状況の中で、消費税を引き上げるという話にもなり得るだろう、そんな状況もある。あるいは、ほかのところのお金を削れば、当然、財源が足りなくなって、そんな話にもなるだろう。そうすると、国民の負担はそこで上がるんですね。消費税というものであれば国民全体の負担は上がるんです、三分の一から二分の一にするために。それとあわせて保険料も上がっていくのでは、ダブルパンチじゃないかという御指摘があって、三分の一から二分の一に上がるときには、上がる部分に応じて保険料は下がるんだね、すなわち、国庫負担が上がればそれだけ保険料は少なくなるはずですから。そういう考え方なんです。人口構成だとか経済状況だとかそういう話ではないんです。これは保険料の計算の中の話なんです。そこはちゃんと理解をしてください。
それから、さっきの半額免除の話に戻ります。
矢野局長は、二分の一にならないだろうと思って答弁しているんですよ。平成十六年といいますと次期財政再計算までの間ですから、いわば三、四年の間にこの制度をどうするという話を考えなきゃいけないんですよ。それを今、国民年金の半額免除制度というのをスタートさせる。数年のうちに、国民に対する約束を重く受けとめられた厚生大臣として、厚生省として、国庫負担を上げるわけですね。そうすると、基礎年金の保険料の半分は国庫負担になるわけですね。その時点で半額免除制度というのはどういう形になっているのか、こう考えたときに、局長は、そうなってから考えたらええわ、こういう答弁なんですよ。
しかし、こんな大きな制度を考えるときに、スタートする時点で、しかも、二分の一にする話を頭の片隅に置きながら制度をスタートさせるのに、そんなずぼらな考え方はないでしょう。基礎年金二分の一になったときに、では保険料の半分を払えば、すなわち四分の一部分を払えば四分の三もらえるという考え方がありますねと。そういう考え方もありますね、こうおっしゃったわけだ。そういう考え方もありますねということは、違う考え方もあるんですねと。
では、今回スタートさせようとしている半額免除制度は、国庫負担が二分の一になったときにどういう形になるんだろうという想定を置いてやっていくのか、その想定なしにスタートさせるような厚生省は、年金制度に対して非常に無責任ではないですかというのが私の指摘です。大臣、答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/78
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079・矢野朝水
○矢野政府参考人 山本委員は非常に厳しく受けとめられたわけですけれども、私どもは、国庫負担が二分の一になった場合にこの半額免除制度がどうなるかというのは、それは当然内部でいろいろ検討はしておるわけです。一番素直には、今山本委員がおっしゃったように、半額免除期間を四分の三と計算する、こういう考え方が一つの考え方として非常に有力だと思います。
ただ、この問題というのは、国庫負担を二分の一にしたときに、ほかにいろいろ関係してくる問題もございます。したがいまして、そういった問題の一つとして、この問題につきましては内々検討はしておりますけれども、こういった国会の場で、二分の一になった場合には半額免除期間は必ずこうしますという明確な結論を申し上げることはいささかまだ問題があるんじゃないか、こう思って、結論を申し上げるのは差し控えさせていただきたいということでございまして、真剣にこの問題は議論しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/79
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080・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 現行の国庫負担は三分の一ですから、三分の一を前提にして今の半額免除制度というものを考えた、このように認識しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/80
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081・山本孝史
○山本(孝)委員 御答弁になっていませんと言うとまた怒られますから。がっかりされるといけませんから。
しかし、四十年近くも払う、そうするとようやく満額年金がもらえる、こういう非常に長期の、しかも、もらい始めてから二十年、三十年と生きていくかもしれない、こんな長い制度を考えているときに、どうなるかわかりませんというような制度変更はやめていただきたい。
私は、国民年金保険料の半額免除制度というのは、きょうはもう議論する時間ありませんけれども、厚生省みずからが、モデル年金の一つ低目の水準をつくられたとしか思いようがありません。自分たちがこうだこうだと喧伝されてきておられる金額でない、もう一つの年金水準をおつくりになる。
言ってみれば、我々が税方式を主張しております根拠の一つですけれども、低所得の方たちがずっと苦労して働いてこられた、その方たちが老後になってもさらに貧しい生活をしていってもいいんだというメッセージを厚生省が発しておられるような気が私はするんです。やはり、それでは国民の将来に対する不安は解消されないと思うわけですね。半額免除制度というのは、そういう意味で、一見聞こえはいいかもしれませんけれども、これは明らかに政策選択として間違っていると私は思います。再考してください。
五分しかありませんので、最後の質問にさせていただきます。
基礎年金の手取り金額がこれから将来とも減っていくではないか、そのところを厚生省はどう考えているのかという質問です。
席を離れられました大野政務次官は、先般のこの厚生委員会の質疑の折に、今後増加するであろう高齢者自身の税や保険料負担、社会保障給付にかかわる自己負担分は、年金給付額の改定に反映させないというお考えをお述べになりました。増加分のすべてを給付額に反映させて、若い人たちがそれを負担し直せ、埋め戻せという話は、これはなかなかない話だろうと私も思いますけれども、全く反映させなくていいのだろうかという思いがします。
介護保険料を、今回新たな負担になりますけれども、一万五千円以上年金を受け取っておられる方たちからも天引きをする。その方たちにとっては、これはやはりかなりの目減りになります。介護保険の低所得者対策のための財政措置というのは別に必要であったと私は思いますけれども、政策改定によって基礎年金を増額させてあげる、そして今回の介護保険に対する大きく高まった不安を静めるという一つの対応策があったのではないかと私は思います。
そういう意味で、今回の介護保険料の一部を基礎年金の増額分で埋め合わせるという考え方、こういう考え方を検討されたことはあるのか、あるいは検討されなかったのか、検討されなかったのならなぜか、検討して、結果採用されなかったのならばなぜか、お考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/81
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082・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 結論から申し上げますと、検討しておりません。
介護保険料については、年金給付のみに着目して負担が求められているわけでなく、年金以外の収入や資産の状況などを十分に配慮して負担能力に応じて設定されるものだ。年金制度というのはこういうような兼ね合いのものでございます。
ですから、これまでもさんざん申し上げておりますけれども、物価の変動に応じて年金の給付というものは決まっていくんだということで御理解をいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/82
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083・山本孝史
○山本(孝)委員 物価の変動要因を織り込んで基礎年金は改定をしてきた、こういうお答えでございました。
では、お伺いをします。
消費税というものはこれからも上がる可能性がある税目だというふうに思います。これまで、消費税が上がれば物価が上がって、その分基礎年金額は上がってまいりました。大野政務次官の言葉をかりれば、税や保険料負担が上がることは年金額では埋め合わせしないというお答えでしたけれども、今後、もし消費税が上がるときに、それに見合った基礎年金の改定をされるのか。すなわち、消費税が上がる、物価が上がる、しかし、消費税の上がりによって上がった部分は減らすという形で年金改定をされるのか、あるいは消費税分の上がりも含めて年金改正をされるのか、どちらのお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/83
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084・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 消費税を導入した際も、消費税が三%から五%になった際も、あくまでもこれは物価の上昇に応じて年金額の給付水準を決めさせていただいている、こういうことでございますし、その考え方に変わりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/84
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085・山本孝史
○山本(孝)委員 そうしますと、消費税が上がったときにそれに伴って物価が上がる、それはその分で見合いをしている。そうすると、消費税の部分でのはね返りはちゃんと基礎年金で見ますというお答えなんですね。
ところが、先般の大野政務次官の御答弁では、これからふえる高齢者自身の社会保険料負担やあるいは税負担というものについては、年金額の改定には反映させないというお考えでございました。その中で、唯一消費税だけは反映をする税目として残るというお考えの整理かというふうに思います。
しかし、基礎年金の水準というものは、先ほどの介護保険の保険料の新たな徴収をするときに、それが大きく変わることを緩和する意味で、この基礎年金の額というものを考慮されなかったのか。すなわち、介護保険料を年金から天引きするという政策をとりつつ、その年金水準は高齢者の皆さんについて妥当なのかどうかという議論をしたときに、それは全く考慮されなかったという大臣からの驚くべきお言葉を聞いて、私はあきれております。
そんなことはなかったはずだ。だって、年金と介護と保険とはセットにして考えなければだめだ、これは大臣も何度もおっしゃっておられる。だから、基礎年金から今度介護保険料が天引きされることについて、では、将来の基礎年金水準はどうなるんですか。これだけ来ておられるお年寄りの皆さん、とっても心配しておられる。そのことについて、全然大臣は、きょうの御答弁の中では、国庫負担の二分の一引き上げの問題も含めて、明確な厚生省の方針を示しておられません。
厚生大臣は、優秀なスーパーマンのような山本先生とおっしゃいましたけれども、私は、丹羽大臣は、今アメリカで大フィーバーしているポケモンのような感じで思っているのです。ピカチュウじゃないかというぐらいに私は期待を申し上げている。ぜひ頑張ってください。思いを言うのじゃなくて、ちゃんと政策を説明していただきたいというふうに思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/85
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086・安倍晋三
○安倍(晋)委員長代理 中桐伸五君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/86
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087・中桐伸五
○中桐委員 民主党の中桐伸五でございます。
きょう私は、従来余り取り上げられてこなかったというふうに聞いているのですが、雇用と年金のあり方、その相互の関連性、接続、そういった問題を中心に質疑を行いたいというふうに思っております。
雇用と年金ということについては、特に労働力人口の少子・高齢化による大きな変化というものが背景にあり、これは日本経済にとっても非常に重要な、激変と言ってもいい大きな変化になってくると思うのです。そういったこともさることでありますけれども、高齢者の老後における生活のありようというものから考えてみたときに、雇用というものが高齢者にとって持つ意味ということと、同時に、これが老後の所得保障である年金との関係でどのような関連性があるのかということは、高齢者の生活のありようを規定する大変重要な要因になるということはもう議論の余地はないというふうに思うわけであります。
そういう中で、雇用に年金の制度がどのような関連性を持って影響を及ぼしてくるかという問題、この問題を一つ焦点にしながら考えていきたいというふうに思うのです。
私は医者を経験して今国会に出ておるわけですが、高齢者の特徴というのは、医学的に見て、身体的、精神的に個人差が非常に大きくなる。例えば、年金ということとの関係でいえば、健康を害して早くリタイアしたいという人から、非常に元気で七十を超えてもまだ働ける、働きたい、そういうふうな状況にある身体的、精神的な特徴を持っている方まで、若い層に比べて高齢者の場合には非常に個人差が大きいというところに特徴があるわけであります。
したがいまして、雇用と年金ということを考えたときに、また雇用を通じて高齢者が自己実現を図っていくということからいいましても、就労ということは非常に重要な意義があるわけであります。しかし同時に、個人差が大きいということですから当然その幅が非常に大きいということで、例えば六十歳でリタイアせざるを得ない、そういう状況になる高齢者の方も当然出てくるわけであります。
そういうことに対しまして、年金制度のあり方が中立性をどこまで追求できるか。つまり、中立性ということを説明させていただきたいのですが、わかりやすく言いますと、リタイアせざるを得ない身体的、精神的状況に陥っている高齢者が労働市場に追い出されざるを得ないということにおけるひずみ、これはやはり中立性を損なうということになろうかと思います。反面、勤労意欲を持っていて、しかも身体的にも精神的にもそれに十分こたえられるという高齢者が、年金制度のありようによっては勤労意欲を阻害される、そういう要因も一方で出てくると思うわけであります。
そういう点から、年金制度と雇用というものとの関連性、特に、今回の改正のポイントであります、厚生年金の報酬比例部分も支給開始年齢を六十歳から六十五歳に引き上げる、既に定額部分は二〇一三年までにかけて六十五歳に引き上げるというのは前回の改正で行われているわけであります。そういう一定の期間を設けて新しい支給開始年齢に移行するとはいえ、その際に、雇用と年金という関連性の中で十分検討が加えられた上で年金制度の設計の変更がなされてきているのかどうかという点が私のきょうの質疑の中心ポイントであるわけであります。
そこで、高齢者を取り巻く就労状況、就労環境、そういったものについて、まず現実を認識した上で、今回の年金制度の改正が妥当なものかどうかということを検討していきたいというふうに思うわけであります。
きょうは、労働政務次官の長勢政務次官においでいただいておりますので、年金制度の検討に入る前に、現在の高齢者が雇用との関係でどういう状況に置かれているのか、また、高齢者の就労意欲はどのような状況になっているのか、この点について、まず現実把握から始めたいと思うわけです。
そこで、全部包括的に答えていただくというよりも、私の方から幾つか問題を具体的に取り上げながら長勢政務次官の方に順次現状を御報告いただきたいというふうに思うのです。
まず、現在の高齢者を取り巻く雇用状況の中の失業率とかあるいは有効求人倍率、要するに高齢者を取り巻く雇用情勢の中の失業あるいは求人という点に関する実態から入りたいと思いますが、その点について長勢労働政務次官の方からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/87
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088・長勢甚遠
○長勢政務次官 高齢者の雇用失業情勢は、全般的に厳しい現在の中でも特に厳しい状況にあることは御案内のとおりでございます。
完全失業率及び有効求人倍率についての御質問でございますが、全体として完全失業率は九月現在で四・六ということでございますが、六十から六十四歳については七・〇という大変厳しい状況にございます。また、有効求人倍率につきましても、全体としては〇・四八でございますが、六十—六十四歳層については〇・〇六、極めて厳しい状況にあるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/88
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089・中桐伸五
○中桐委員 長勢政務次官、では推移はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/89
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090・長勢甚遠
○長勢政務次官 高齢者についての完全失業率、有効求人倍率は、他の年齢層に比べて厳しい状況にあることはずっと一貫した状況でございますが、特に近年、六十—六十四歳層については、その厳しさが他の年齢層以上に厳しい状況になってきておるというのも事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/90
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091・中桐伸五
○中桐委員 今の長勢政務次官のお話によりますと、失業率もだんだん厳しくなっている、特に最近は長期不況ということがありますが。平成三年からの統計を見ても、それ以来、バブルがはじける過程がずっと深刻な経済不況で、そういう現在の経済状況を反映しているということでありますけれども、徐々に失業率がふえてきている。そしてまた、六十歳から六十四歳層の有効求人倍率は十人のうち一人もない、それを割っているという状況で、しかもそれがだんだん悪くなってきているという報告だったと思うわけであります。
そういう状況の中で、つまり六十歳から六十四歳層の雇用状況は極めて厳しい状況にどんどん悪化しているという状況の中で六十五歳に支給開始年齢を引き上げる、この計画を今新しい年金制度の改正で出されているということをまず認識しておきたいと思うのです。
その次に、では今度は、働く現場で一体どのような受け入れ体制の整備が進んでいるのかということについて長勢労働政務次官にお聞きしたいのですが、その際、日本の雇用制度というものの特徴として、定年制という制度を導入することによって雇用の安定確保を図る、そういうことが大企業を中心に進められてくる。その定年制ということから見まして、六十五歳に年金の支給開始年齢を引き上げていく、その六十五歳というポイントを取り上げて六十五歳まで定年を延長している、そういう努力をしてきた事業所は現在どういう実態になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/91
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092・長勢甚遠
○長勢政務次官 一律定年制を採用しておる企業というものはほぼ一〇〇%に近くなっておるわけでございますけれども、九〇%は六十から六十四歳の定年を定めておる企業でございまして、六十五歳以上に定年を定めておる企業は六・二%というのが現状でございます。
ただ、六十五歳まであるいはそれ以上の勤務延長、再雇用制度等もあわせて持っている企業も相当あるということも申し添えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/92
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093・中桐伸五
○中桐委員 ということは、支給開始年齢以前の定年企業、つまり六十から六十四歳は九割程度というふうに御報告されたと思いますが、しかし六十五まで達している事業所というのは七%強ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/93
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094・長勢甚遠
○長勢政務次官 六十五歳以上の定年を定めておる企業は六・二%と先ほど御説明申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/94
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095・中桐伸五
○中桐委員 六十五歳まで定年制度の達している事業所は六・二%という現状である。そういう状況を考えてみますと、六十五歳まで引き上げる環境というのは必ずしも十分に整っているとは言えないのではないかというふうに思うのですが、その点、もう既に定額部分の六十五歳への引き上げというのは決まっているわけであります。
二〇一三年以降は、今回の改正で、二〇二五年までに報酬比例部分の支給年齢を引き上げるという案が出されているわけであります。この点、長勢政務次官にお聞きしたいのですが、この二〇一三年までに定額部分の支給開始年齢を引き上げ、そして二〇二五年までに報酬比例部分の支給開始年齢を引き上げるというプログラムと、雇用する現場の事業所の中における定年制延長の見通しといいますか、それに対する対策といいますか、そういったことはどのような形になっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/95
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096・長勢甚遠
○長勢政務次官 先ほども少し補足させていただきましたが、定年として六十五歳まで決めておるのは六・二%でございますけれども、定年としては六十から六十四という中でも、例えば、六十五歳までは再雇用あるいは継続雇用等の制度を有する、あるいは原則として希望者全員をずっと継続雇用の対象としていくといったような企業もたくさんあるわけでございまして、それらを含めますと、六十五歳以上にわたって何らかの形で雇用が継続される企業というものは一八・一%というのが現状でございます。これは、定年と、継続雇用も含めてでございます。
年々こういう傾向が進んでおるわけでございますし、先般の高齢者雇用関係の法律でもその制度を強化したわけでございますが、今、御案内のように、年金の支給年齢も引き上げる状況にある、また高齢者の就業意欲も大変強いわけでございます。こういう中で、今後の少子・高齢社会の中で高齢者の雇用を確保するように、次回国会には関係の法律の改正もお願いをしたい、こう思っておるわけでございまして、鋭意六十五歳以上の雇用の確保のために政策を強化してまいる、こういう方針で今検討を進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/96
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097・中桐伸五
○中桐委員 雇用情勢ということから考えまして、先ほどの定年制の調査というものは、事業所の制度の継続雇用とか再雇用とかいろいろなものを全部集めてのデータですから、私はかなり定性的なデータだと思うのですね、定年制延長の調査の実態というのは。数量的な、つまり一人一人の高齢者をとったときにどういう雇用状況に数量的になっているかということを示すのは、失業率あるいは有効求人倍率、この問題の方が、年金制度との関係で議論するときに、私は重要な材料だと思うわけです。
そのときに、六十から六十四歳で既にもう極めて厳しい雇用情勢にある高齢者、六十歳代前半の高齢者、この人たちが置かれている環境の中で、しかし高齢者の就労意欲というのは一体どのような現実になっているのか、ここについて、長勢政務次官にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/97
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098・長勢甚遠
○長勢政務次官 確かに、制度とそれのカバーする従業員には若干乖離があるでしょうし、また現実に個々の方々がどうなっているかについては先生の御指摘の向きもあると思いますが、おおむね、一八%に上る、二割近くの企業では六十五歳までは雇用が確保されているということも一つの現実として理解をいただきたいものだと思います。
今、意欲の問題についての御質問でございます。世界各国の中でも我が国の高齢者の就業意欲は大変高いわけでございます。調査によりましても、多くの高齢者、ほとんどの高齢者が六十五歳以上あるいは年齢にこだわらず働くのがよい、働きたい、こういうのがデータとしても上がっておりまして、現実に、六十から六十四歳層の男性の場合ですけれども、労働力率は約七五%というのが現状でございます。
また、勤務形態につきましても、短時間勤務者の比率が、六十歳を超えますと相当高い比率になっておりまして、六十から六十四歳では一九%、六十五から六十九歳では三六・四%ということであります。つまり、就業を希望する雇用形態というものも、年齢によって、体力その他の状況に応じて多様化しておるということになっておると思っております。
また、今後につきましても、これからの高齢者の健康状態、生活状態、あるいは年金の状況も影響してくると思いますけれども、雇用政策研究会の推計では、今後とも高齢者の就業意欲というものが高まっていくだろう、急速に高齢化も進展するわけでございますので、労働力率も高まり、また労働力人口というものも相当程度に高まっていく、このように推計をしておるところでございますので、先ほど申し上げましたとおり、高齢者対策の強化充実ということが労働政策の一つの大きな急務である、このように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/98
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099・中桐伸五
○中桐委員 私、今のお話、要点がちょっとよくわからなかったのですが、雇用情勢は有効求人倍率などを見て非常に厳しいんだけれども、年齢層によってそれぞれ違いがあるが高齢者の働く意欲は非常にあるというふうに理解をしてよろしいですね。要するに、問題は、働く意欲と今の雇用の現場の雇用情勢との間に非常に大きなギャップがあるという現実があるというふうに認識をしたいと思います。
そういう認識の上で、では次に年金の問題との関係に移りたいと思いますが、先ほど私申し上げましたように、高齢者は非常に個人差が大きいということを前提にして、その場合に、高齢者が、早期にリタイアしたいという方から、いや七十を超えても働きたいんだ、働けるんだというふうな状況にある人まで、これは年齢によっても若干の違いがあるが、それぞれ高い率でそういう意欲を示している人もいらっしゃる。さらに、それはこれまでブルーカラーといいますか、現場の作業についてきた方とホワイトカラーの人でもまた違ってくるだろう。そういうふうに多様な幅を持った就労状況に置かれるのが高齢者だろう。
そのときに、中立的な制度、つまり、リタイアを希望しているが生活等の関係で労働市場に追い出されて仕事をしなきゃいけない、あるいは仕事に意欲は物すごくあるんだけれども年金制度との関係でそれにブレーキがかかる。そういうふうな、年金制度が雇用にひずみを及ぼしてはいけないだろう、できるだけ中立的な年金制度というものが必要だろうというふうに考える観点から、先ほどから確認をしてきた今の雇用情勢の中で、現在、年金制度の中に在職老齢年金制度という制度がございますね、部分就労、部分年金というふうにも呼ばれているわけですが。
この制度は、いわば年金と賃金で生計、所得を獲得するというシステムになっておると思うのですが、大きく分けて、高齢者の年金との関係でいえば、六十五歳に支給開始年齢が上がれば六十歳の時点で繰り上げ受給を求める、リタイアしてしまうという選択と、いやいやもっと働きたいという選択とあると思うのですが、そのときに、働きたいという選択の中の一つが部分就労、部分年金である。フルタイムでもっともっと年金と賃金の調整を受けないで働きたいというものがもう一つあるだろうと思うのですが、そのときに、在職老齢年金制度というのは雇用にどういう影響なりを及ぼしているというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/99
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100・長勢甚遠
○長勢政務次官 おっしゃるように、雇用に中立的な制度設計が望ましいということはそのとおりかもしれませんが、現実になかなか難しい点もあるような気がいたします。
今どういう影響があるのかなということでございますけれども、当然、今高齢者の雇用状況は大変厳しい、また、どうしても高齢者に対する労働条件というものも、そういう観点から、本人がそれだけで収入を立てられるというほどの場がたくさんないということから、年金収入と賃金収入を合わせて生活設計ができるという役割を持つ場合もございますし、逆に余り給料が高いと年金が減らされる、それならはっきり言って年金をもらった方が楽だという部分も影響としては出てきます。こういうことが実を言うと高齢者の再就職相談等において、いい悪い、両面からいろいろ問題が起きておるのも事実でございます。
これをきちんと整理をする、中立的なもの、どちらの側にもうまくいくというのはなかなか現実には、雇用情勢も踏まえる中で難しいというのが実態だろうと思います。そういう点は、しかし御理解いただきながら、高齢者の方々が、生活のために就業したいという方もおられますし、生きがいのために就業したいという方もおられますし、雇う側の方とすれば、当然賃金の分だけは働いてもらいたい、しかしもっと働いてもらいたくて給料を払いたくてもそれは困るというケースもある、非常に複雑な影響を持っているなというのが実感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/100
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101・中桐伸五
○中桐委員 この在職老齢年金制度については幾つか問題があるんです。年金と賃金で所得の保障をするという仕組みになっておりますので、結局のところ、フルタイムでしっかり今までのキャリアを生かして働きたいというふうな人にとっては非常に中途半端なものになるし、また企業という場で見ると、年金というものの要素が入ってまいりますから、賃金がそれだけ低いものでいい、ある意味ではそういう調整をするわけですね。そういう調整をするということになりますと、ある種考え方を変えれば年金が企業の払う賃金を要するに補てんする、そういう要因もあるわけですね。つまり、本来高齢者が職場で自己実現をしてしっかり働く、その仕事を通じて自己実現をする、そのときの賃金というものにひずみが来る。私は、見方を変えればそういう要素があるだろうと思う。
そこで、やはり年金財政が厳しいという中で、そういう賃金の補てんをするということが、より就労意欲の高い人がより自己実現したい就労の形態になっていくシステムとしてこの在職老齢年金制度というのが適切かどうかという問題は、私は非常に疑問だと思っているわけです。その点については後ほどまた議論を幾つかしたいと思うので、長勢政務次官の方にはそこの議論は後ほどまた労働委員会の場ででもやるとします。
要するに年金制度の制度設計のところで、例えば今回の改正に至るまでに、厚生省の方が選択肢をA案からE案まで出しましたね。
そのA案からE案の中にはそういった、本当にフルタイムで働いてフル働いた分の賃金を得て、その得た賃金をベースにして年金の所得というものも含めて総合課税で課税して、そしてアメリカなどではその課税した税を年金会計に入れるというふうなことも導入しているようでありますから、聞くところによると。そういう考え方を問題提起してきている研究者というのもいるわけですね。
ところが、厚生省のA案からB案の中にはそういう発想はない、そういう選択肢はない。確かに年金局の範囲で、年金の財政再計算の範囲でデザインを考えるものですから、それは当然そういう範囲を超えるもの、つまり税制との関係を議論しなければいけないという問題が入ってくるものだから、とりあえず選択肢から外れてしまう。
しかし、これは厚生省の年金局に財政再計算や年金制度の設計をずっとこのまま任せていて——そういう議論の選択肢の一つとして総合課税という問題を含めて、いわば中途半端な賃金と年金で所得保障をするという、これは企業のサイドにとっても一つの新しい制度設計による新しい変化が起こるわけですから、そういうものを含めて、もう少し選択肢を広げてやる必要があると私は思っておるわけです。その点については、次の議論に移るときにまた出していきたいと思うのです。
労働政務次官はここでお引き取りをいただいて結構です。
そこで、次に取り上げたい問題は、先ほどから申し上げている高齢者のライフスタイルといいますか、その選択というものが非常に多様である、これは先ほど申し上げたとおりでありますが、この多様な選択をできるだけ保障するような観点から年金という制度も検討を加えられるべきであると私は思うのです。その多様なライフスタイルの選択の一つに、六十歳で完全にリタイアしたいという選択をする方がいらっしゃると思うのですね、健康上の理由だとか等々で。そういう場合に、六十五歳に支給開始年齢が引き上げられるということになりますと、当然この支給開始年齢との関係で非常に所得保障において大きな変化がもたらされる。
そのときに、既に前回の改正で厚生年金の定額部分を二〇一三年までに六十五歳に引き上げるということでプログラムが進行しているわけでありますが、今回の改正案にはさらに特別支給の厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げを行うということになっているのですが、前回の支給開始年齢、そして今回の報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げ、この目的というのは一体何なんでしょうか、厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/101
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102・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 まず、先生も御案内のように、我が国の平均寿命というものが大変延びております。男性の平均寿命が七十七・一九歳、女性が八十三・八二歳でございます。かつては北欧のスウェーデンであるとかデンマークであるとか、こういった国々が世界の中で最も長寿国と言われておりましたけれども、今や世界の中で最も平均寿命が長い。先生も医師でいらっしゃいますけれども、先生方の御尽力、そして皆保険制度、とにかく日本という国が豊かになった、その一つのあらわれではないか、私はこう思っておるような次第でございます。
その一方で、この年金制度というものが導入されましたのはちょうど四十年前でございます。当時の平均寿命は、男性が六十五歳、それから女性が七十歳であります。まさに人生八十年時代と大変大幅な、要するに今よりも十二、三歳短かったわけであります。こういうことを十分に考慮しながら現役世代の負担の過重、賦課方式でございますので、こういうことも十分に年金制度の長期的、安定的な確立のためには考慮しなければならない、こういうことであります。
さらに、欧米各国を見ましても、先生も十分に御案内と思いますけれども、大体、支給開始年齢というのは六十五歳が一般的になっております。それ以上のところもあるわけでございまして、そういうようなことも十分に勘案しながら、要するに一階建ての部分、つまり基礎年金の部分は二〇〇一年から十二年かけて二〇一三年までにするということは既に前回決めておるわけでございます。今回は、やはり一階と二階との整合性という点も十分に考慮しながら、二〇一三年から十二年かけまして二〇二五年までに行っていきたい、こういうことであります。
先ほど来先生から、いろいろライフスタイルがあるじゃないか、こういうような御指摘がございました。御案内のように、今回も六十歳から希望すれば厚生年金の支給が受けられるという制度は当然のことながら創設させていただいているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/102
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103・中桐伸五
○中桐委員 寿命というところとの関係で今話が出されたわけですが、次の質問に移るわけでありますけれども、平均寿命で支給開始年齢を引き上げるというのであれば当然——六十歳でリタイアせざるを得ないというかしたいという状況でリタイアをする人の繰り上げ受給の減額率、これは私の調査によると、昭和三十六年に導入されたもので、昭和三十年代の生命表を使って行われたものだというふうに聞いておるわけですね。
そうすると、おかしいじゃないですか。先ほど平均寿命の説明で、いわゆる生命表、つまり余命が延びた、そこで支給開始年齢はやるが、減額率は昭和三十六年に決めた、つまり昭和三十年代の平均寿命、平均余命でそのまま訂正しないでいっているというのは、これは全然整合性がないのではないかと思うのですが、ちょっと今大臣いらっしゃいませんから、その点について、年金局長に来ていただいております、非常に技術的な話になりますので、年金局長にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/103
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104・矢野朝水
○矢野政府参考人 ただいま厚生大臣から答弁がございましたように、厚生年金の二階部分、報酬比例部分につきましても、二〇一三年から二〇二五年にかけて、現在の六十歳支給を段階的に六十五歳支給に、支給開始年齢を引き上げていくということを今回法案に盛り込んでございます。そこで、六十五歳支給開始へ向けて支給開始年齢が引き上がる二〇一三年度から、直近の死亡率等を用いまして新しい減額率を設定したい、こう思っておるわけでございます。
そこで、今先生の御指摘がございました、今の減額率は非常に古い死亡率を使っておっておかしいのではないか、こういう御指摘でございます。
これは、昭和三十六年に国民年金ができまして、国民年金は当初から六十五歳支給でございます。したがって、六十歳から支給を希望される方につきましては、当時の直近の生命表、これは昭和三十年の生命表でございますけれども、それを使って減額率を設定した、こういう経緯がございます。
これは非常に厳しいではないか、こういう御意見があるわけですけれども、ただ、この減額率を緩和する、そしていつの年齢でもらっても生涯にもらう年金額は全く同一にする、こういうふうに減額率を設定いたしますと、自分は早く死ぬんじゃないか、こう思うような人は六十歳から早くもらってしまう。それから、六十からもらえば亡くなってもらえなくなるというリスクは全くなくなるわけで、早くもらった方がリスクが少ないわけでございますので、どうしても早期支給を促進してしまう。
そうしますと、年金の支給開始年齢は六十五歳というのがこれからのあるべき姿だと思いますけれども、そういうことで、早期支給を促し年金財政の悪化にもつながるのじゃないかということで、これは、二〇一三年から支給開始年齢が引き上がるのに合わせて新しい減額率を設定したい、こう思っておるわけでございます。
〔安倍(晋)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/104
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105・中桐伸五
○中桐委員 質問したことに簡潔に答えてもらいたいのですが、全く説明になっていませんね、今のは。
大臣は先ほど、六十五歳へ支給開始年齢を引き上げるということは、平均寿命との関係で説明されたわけです。そこで私はお聞きしているのですよ。
つまり、三十六年当時にできた減額率をそのままにして、そこはほっておいて、引き上げのことだけやるというのはどうですか。六十歳でリタイアせざるを得ないという人のことを考えてみたときに、そのことを検討しなければいけなかったのではないですか。そもそも定額部分の引き上げを行うときにこれはやるべきことではなかったかと私は思いますが、さらに報酬比例部分の引き上げは出しておいて、減額率は全く触れていない。これはどういうことなんですか。全く理解できないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/105
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106・矢野朝水
○矢野政府参考人 繰り返しになりますけれども、二階部分の支給開始年齢が引き上げられる二〇一三年から新しい減額率を設定したいということでございます。
何しろ、今予想を上回る少子・高齢化が進んでおるという中で、年金財政は非常に厳しい状況でございます。減額率を見直しすることによって早期支給を促し、それがまた年金財政の悪化にはね返る、こういうのはぜひ防ぎたいということで、二〇一三年から新しい減額率を設定したい、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/106
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107・中桐伸五
○中桐委員 委員長、おわかりでしょう。要するに、六十歳でリタイアせざるを得ないという人の年金の額が、減額率で非常に大きく左右されるわけです。六十五歳に引き上げるというのは、生命表の変化で、つまり寿命の変化で設定しましたよ、もう既に前回やりました、今回は上の二階の部分をやりますよと。ところが、減額率は三十六年の三十年代の生命表でやっている。それはおかしいと言っているのです。それについて、私が納得できる答えが全くいただけないのですよ。これでは前に進めないのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/107
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108・矢野朝水
○矢野政府参考人 そもそも年金の支給開始というのは、国民年金で六十五歳が原則になっておるわけでございます。それから、厚生年金につきましても、これから時間をかけて六十五歳に引き上げよう、こういう計画を今回法律案に盛り込んでおるわけでございまして、やはり六十五歳が年金の支給開始の原則だ、ここはしっかり押さえておかなければいけないのじゃないかと思うわけです。
そしてまた、今おっしゃられますように、いろいろな事情でそれよりも早く年金を受給せざるを得ない、こういう方もいらっしゃるわけでございまして、そういった方のための繰り上げ減額年金制度というのが今回も設けられるわけでございます。
そして、先生がおっしゃられますように、今の時点で減額率が厳しいじゃないか、こういうお話でございますけれども、これは確かにおっしゃられることはよくわかるわけでございます。
ただ一方で、年金の財政といった問題もございますし、減額率を早期支給がより有利になるという形に改めますと、六十歳から早期受給しよう、こういう方が多くなるわけでございまして、そうなると、ますます年金が厳しくなる、こういうことでございますので、ぜひこれはもうしばらく我慢をお願いしたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/108
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109・中桐伸五
○中桐委員 非常に時間のロスをしているのですが、大臣が帰られましたから。
実は、今年金局長と議論していたのは、大臣が、六十五歳に引き上げる要因として平均寿命のことを指摘されて、そのことを考慮して六十五歳への引き上げをというお答えをいただいたのですね。それはもっともなところがあるわけですが。そうすると、六十歳で繰り上げ受給をせざるを得ない人の減額率というのがあるのですが、つまり前倒しで年金を受給する、その人たちの減額率が今厳し過ぎるといういろいろな人の指摘があるわけです。その減額率は、昭和三十年代の生命表、つまり平均寿命をベースにして昭和三十六年に決定をしたものがそのままになっている。これではおかしいじゃないか。なぜそれを同時に検討しないのか。その問題で明快な説明を受けられないものですから前に質問が進んでいないわけです。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/109
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110・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 この問題についてはいろいろこれまでも経緯があったように承知をいたしております。
基礎年金の繰り上げの減額率でございますが、昭和三十六年の制度発足当時のいわゆる生命表をもとにいたしまして、六十歳の方に対する繰り上げ支給というものは四二%減額する、こういうことでございまして、余りにも現実に合わなくなってきているんじゃないか、こういうような先生の御指摘ではないかと思います。
確かに、先ほど私から申し上げましたように、平均寿命というものも延びておりますし、その一方で、減額率を見直せば六十歳からの繰り上げ支給が大変ふえてしまうのではないか。六十五歳に片っ方で延ばす、その一方で、六十歳の繰り上げ支給というものが、一階も二階も認められておるわけでございますけれども、額が多い少ないということもさることながら、それが大変ふえるのではないかということとか、それから、厚生年金の繰り上げ制度が創設されます二〇一三年に新たに減額率を設定する、こういうような方向でございますが、先生の御指摘の点もごもっともだと私自身も思います。
いずれにいたしましても、今後、年金審議会におきまして十分に御議論をいただきまして、早い機会に結論を得たい、このように考えているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/110
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111・中桐伸五
○中桐委員 この問題は本当はここで詰めたいところなんですが、もう五分しか時間がなくなりました。
そもそもこの問題を今回検討しないで改正を、しかも非常に短い臨時国会で、審議時間も十分とれない様相を呈している中で、私は非常に不本意であるわけですね、この改正の審議。こういう問題を十分検討しないで、この時点で既に中央公聴会を、終わりをもう決められたような形の委員会運営というのは極めて私は心外だと思っているわけです。その点をちょっと問題提起をさせていただいて、時間がなくなってまいりましたので、大臣に最後に二つほどお聞きしたいんです。
先ほど、減額率を今この時点で訂正するとたくさんの人が前倒しで受給するんじゃないかということをおっしゃいましたが、その問題はもう一つの要因、つまり、高齢者が自己実現のために、本当は年金プラス賃金というふうな形じゃなくて、もっとどんどん働ける環境があって、働く条件も受け皿もあって、そういうことであれば私はシフトが変わってくると思うんですよ。
というのは、高齢者の就労意欲は、先ほど労働政務次官の長勢さんがおっしゃったように、非常にあるわけです。ところが、環境の問題や待遇の問題やいろいろなものがあって、結局のところ高齢者の労働力市場は供給過剰になっているんですね。その問題があるから、結局環境の中に受け皿がないからそういう問題が起こるわけです。
それを、先ほどからお聞きしていると、財政論で説明されようとすることになると、私は、年金の制度設計上、自己実現、つまり、高齢者もそれぞれの置かれた状況の中で思いっ切り、いろいろな選択肢を持って、生きがいを持って、高齢者の生活を実現しようというふうに考えたデザインを絶対に年金制度の中に入れてもらいたい。
そういうことを考えたときに、今回のAからEの厚生省年金局の提出された選択肢というのは、そういう発想が乏しいと私は思う。もう欠乏していると言ってもいい。そのことは、専ら財政問題に終始せざるを得ないという背景があるということはわかるにしても、非常に残念で仕方がない。
その中で、しかし、厚生省の年金局が出された「21世紀の年金を「選択」する」という本の中には幾つか学識経験者の意見も載っている。その中の東京大学教授の宮島洋さんとかあるいは奈良女子大学の木村陽子さんとかの意見を見てみると、年金の財政論の中に閉じこもっちゃって物を考えるだけではいけないんじゃないか、つまり、年金と税制の総合的な観点から、年金制度というものの改正論議をもう一つの選択肢を設けてやるべきじゃないかということが言われているんですよ。その中で、特に高齢者の就労意欲を阻害するような制度になっているんじゃないか、その阻害要因を是正するのは、総合課税というふうな概念も導入して、年金制度の設計をいろいろな角度から、財政の問題もその中に含めて検討するという必要があるんではないかと問題提起されているんですよ。年金局の出された本の意見の中にあるわけです。
この意見は全く今回の中に選択肢としてない。それは、雇用というものと年金というものと税制というもの、つまり、国が所得がなくなった人に所得を保障しますよという従来型のパターナリズムの発想がまだあるんじゃないかというふうに私は思うわけです。そこをもう少し変えなきゃいけないというふうに思うんですが、そういう意味において、雇用と年金のあり方というものの背景にある、財政上の論理だけではなくて、そういう新しい発想も導入したグランドデザインをやはり考え直すべきじゃないかというふうに思うわけであります。
この点について、特に大臣の御意見をお聞きして、そしてまた、今度厚生労働省になりますが、厚生省の管轄の年金といえども労働と非常に密接な関係がありますから、これはタスクフォースチームを早急につくって、これは労働だけではなくて税制ですからもう一つ大蔵も関係するでしょうけれども、そういった観点から、年金制度のデザインの一つの選択肢を、ぜひ検討に入ってもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/111
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112・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 先ほど来委員の御質問をお聞きいたしておりまして、確かに一面をついていらっしゃる御指摘だと思ってお聞きしております。
その一方で、率直に申し上げまして、先ほど私は平均寿命が大変延びているということも申し上げました。その一方で、いわゆる少子化であります。つまり、生涯の間に女性の産む子供さんの数が年々減っております。私どもの時代は、統計といたしましては昭和二十二年でございますが、四・五四人でございました。それが今や一・三八まで下がってきている。これは決して財政的な面だけではなく、いわゆる賦課方式という中において長期的、安定的に年金制度というものを確立させていかなければならない、このことも一面において配慮しなければならないということにつきましては、先生も御理解を賜るものと考えているような次第であります。
特に、今回の改正におきましては、若い方の間で大変な年金に対する不安があるんだ、こういうようなことを中心に十分に考慮をいたしまして、いわゆる若年世代への過重の負担ということを考慮いたしながらこのような措置をとらせていただいたような次第でございます。
それから、当然、これまで労働省それから厚生省というような別な組織でございます。今後、二〇〇一年から厚生労働省ということになるわけでございますが、確かにこれまでは両省で年金政策であるとかあるいは高齢者の雇用問題、こういう問題をそれぞれ所管いたしておったわけでございますけれども、二〇〇一年の一月から厚生労働省が誕生するわけでございますので、さらに一体的な取り組みができる、このように確信をいたしておるような次第であります。
ですから、私どもは、今先生から御指摘がございましたいわゆる雇用と年金の問題、そして少子・高齢化社会を迎えていかにして若年世代に過重な負担を避けていくか、こういったような面から、大変難しい選択でございますけれども、とにかく今大切なことは、国民皆年金制度でお年寄りの皆さん方が六割も年金に頼っていらっしゃるんだ、こういう中で、十分に今後とも長期的、安定的な年金制度を確立していくということを主眼にして今回の改正案を出させていただいたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/112
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113・中桐伸五
○中桐委員 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/113
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114・江口一雄
○江口委員長 石毛えい子さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/114
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115・石毛えい子
○石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。
大臣、お疲れになられたと思いますが、引き続きよろしくお願いいたします。
私は、きょうの質問は、主として女性の年金についてお尋ねしたいと思います。
御存じでいらっしゃることだと思いますけれども、女性の年金につきましては、第一号被保険者が加入者約一千万人弱、第二号で一千三百万人ぐらい、それから第三号被保険者で一千二百万人ということで、ほぼ均等にこの三つの年金保険に多くの女性が加入しているということでございます。ただ、男性に比べまして、女性の場合に、年金制度の中でさまざまな問題にぶつかることが多いという現実が非常に明らかになってきているということだと思います。
詳しく申し上げるまでもないと思いますけれども、第一号被保険者の女性の中には無年金者になるおそれのある方もたくさんおられますし、それから、仮に年金受給者になったとしましても、ようやく二十五年の拠出期間の限度をクリアしたというようなことで、夫婦で老齢基礎年金を受給したとしても満額に近づく人は決して多いとは言えない。
それから、第三号被保険者で、第二号被保険者の夫とともに六十歳ないしは六十五歳から年金額を受給するようになれば合わせて二十数万円の給付水準になりますというような説明がしばしばされるわけですけれども、御存じでいらっしゃいますように、昨今のさまざまな変化の中で、離婚率も高まってまいりましたから、必ずしも第三号被保険者の女性が世帯としての給付に該当するわけではないということもございます。
それから、第二号被保険者の中にも、シングルで働き続けている女性、かなり無理をしてキャリアを積んで結構高い年金額になる方もそれはそれでおられると思いますけれども、大変厳しい状況の中で低い年金水準に甘んじざるを得ないというようなことで、年金制度に伴いますさまざまな問題といいますのは、男女に共通している部分ももちろんたくさんございますけれども、矛盾といいますか問題は女性により重くあらわれてきている実態になっているというふうに私は認識しております。
そこで、国の年金制度の基本的なコンセプトと申しましょうか考え方が、いまだに、第一号被保険者は夫婦合わせて老齢基礎年金幾らになりますからまあ妥当な水準ではないでしょうか、今でいいますと合わせまして満額十四万円弱ですか、そして、二号、三号の夫と妻がいれば二十数万円になりますというような、世帯単位で年金設計をするというのが基本的なコンセプトになっているわけですけれども、これでは、多様な暮らし方をしている方々、とりわけ女性にとって安心できる年金制度とは言えなくなってきているのではないか。
したがって、多くの声が上がってきておりますけれども、年金制度の設計について基本的な考え方を世帯単位から個人単位へ切りかえていく、こういう時期に来ているんだというふうに私は認識しておりますけれども、この点につきまして大臣の御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/115
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116・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 経済の担い手でもございまして、そして自立して働いていらっしゃる女性の皆さんという視点から年金制度のあり方を考えますと、年金制度は先生御指摘のようにこれまでのどちらかというと世帯単位中心から個人単位中心に組みかえていくことが望ましい、私はこのような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/116
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117・石毛えい子
○石毛委員 それでは、今の大臣の御答弁は、世帯単位から個人単位に切りかえていくことが望ましいという大臣御答弁として重く受けとめさせていただきまして、今後の年金審議におきましてその点を基本に置いて十分な審議がされますようにということをまず要望させていただきます。
次の質問でございますけれども、それにいたしましても、九九年、今回の年金再計算におきまして、女性の年金につきましてのさまざまな課題を、全面的にとまではいかなくても、幾つかの課題につきましては改革が図られてよかったのではないか。経過を見てみますとプログラムに載せることは載せられたと思いますけれども、結論を導かれる点が幾つかあったのではないか。今回の年金改正の法案の中にはそういう内容は育児休業の関連を除きますと見受けられないというふうに言わざるを得ないと思いますけれども、この点につきまして大臣はどのように認識されますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/117
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118・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 女性の年金権の改革をもっと進めていくべきだという観点からの御質問と受け取らせていただいてよろしゅうございますでしょうか。(石毛委員「はい」と呼ぶ)女性をめぐる年金の問題でございますけれども、最近の女性の社会進出や、家族、就労形態が大変多様化いたしておるわけでございます。年金全般にわたります検討が大変必要になっていることは私も十分に認識をいたしておるような次第でございます。
しかしながら、具体的な検討を行う場合には、就労状態であるとか賃金水準、こういった女性が置かれております社会的状態というもの、これも現実問題として大変女性の皆さん方の中で意見が分かれておるわけでございます。いわゆる第三号被保険者と言われる方々、一千二百万人いらっしゃるわけでございます、その問題であるとか、それからパートの課税の百三万円以上の問題、こういうさまざまな問題もございますし、また、これは単に年金制度の問題だけではなくて、さまざまな法制における、離婚時の財産分与のあり方であるとか、それから税制におきます配偶者の取り扱いであるとか、こういったような問題を抱えておるわけでございます。
率直に申し上げて、私の認識は、先ほど先生に申し上げましたように、要するに、基礎年金というものが導入されて初めていわゆる女性の年金権というものが確立されたわけでございますが、一面において必ずしも十分でない面もまだまだあるわけでございますし、今後、幅広く御意見を求めながら集約を図っていきたい、このように考えているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/118
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119・石毛えい子
○石毛委員 私は、女性の年金の課題につきましてもそうですし、それから一般的な問題につきましても、AかBかというように意見の内容としては二分されて、なかなか価値判断がつかない、選択がしにくいという状況はいつでもあると思います。そのときに、どういう価値観を持ちながら政策判断としてどちらの道を選択していくかということが、何事に関しましても非常に重要なんでしょうし、政策立案をしていく場合も非常に重要なんだというふうに思います。この件につきまして、こういう見方もあるしこういう見方もあるというような言い方をいつまで続けていくのか、女性の年金に関する課題についてはもうそういう状況に来ているんだというふうに私は認識しているわけです。
そこで、もうちょっと踏み込んでお尋ねしたいと思いますけれども、九八年十月九日の年金審議会の国民年金・厚生年金保険制度改正に関する意見におきましては「第三号被保険者等女性の年金」という項を起こしております。その内容につきましては、大臣に先ほど御答弁いただきました、個人単位化のことですとか第三号被保険者制度、それから遺族年金、離婚の場合の取り扱いというような具体的な項目を指摘しているわけでございます。
しかしながら、その意見では結論は導かずに、民事法制、税制、社会保障、それから年金数理等の専門家から成る検討の場を設けるというように、課題は指摘しましたけれども、結論を求めるプロセスについては先送りをしているわけでございます。
そこで、もうちょっと踏み込んで確認をいただけたらこれからの女性の年金についての議論にとても有益であると思いますので尋ねさせていただきたいと思いますけれども、個人単位化ですとか第三号被保険者の問題、あるいは遺族年金や離婚の場合の取り扱いといいますのは、民事法制、税制、社会保障、年金数理、それぞれどんなふうにかかわりを持つのでございましょうか、そこを披瀝していただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/119
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120・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 ただいまの御質問は極めて細目的、具体的でございますので、お許しいただければ政府参考人の方から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/120
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121・石毛えい子
○石毛委員 具体的な事項についての答弁ということですので年金局長の方から御指摘をいただきまして、それを踏まえまして大臣のお考えを承れればと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/121
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122・矢野朝水
○矢野政府参考人 女性の年金が他の分野とどういうつながりがあるか、こういう御質問でございますけれども、まず民事法制につきましては、厚生年金を離婚する際に夫婦で分割したらどうか、こういう有力な意見があるわけでございます。そういたしますと、民法上の取り扱いというのは夫婦別産制になっております、民法の取り扱いとの整合性をどう考えるか、こういった問題があるわけでございます。
それから、税制ということになりますと配偶者控除がございます。これが今、三号の方でも、百三十万以上の所得になりますと一号として国民年金の保険料を納めなければいけない、こうなるわけでございます。こういうことで、配偶者控除と三号の取り扱いとの関係というのが出てくるわけでございます。
それから、社会保障の分野ですと、三号制度と全く同じ仕組みが今の医療保険制度でございまして、医療保険も、配偶者につきましては、医療保険料を納めることなく医療給付が受けられます。この医療と年金との整合性をどう考えるか、こういった問題があるわけでございます。
年金数理につきましては、女性の年金制度をいろいろ変えるということになりますと、それに伴って将来の保険料がどうなるのか、こういった問題が出てくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/122
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123・石毛えい子
○石毛委員 局長にもう一度お尋ねしたいと思いますけれども、今、それぞれ女性の年金課題と民事法制、税制等々の関連がどのようにあるかということについては御指摘いただきましたけれども、これは年金審ではどれぐらい踏み込んで議論がされて、検討会をということになったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/123
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124・矢野朝水
○矢野政府参考人 女性をめぐる年金問題につきましては、年金審議会で随分議論されました。年金審議会の議事録というのは、紙にしますと、こんなに厚くなるわけでございます。あるいはインターネットでも見られるわけですけれども、随分審議が行われました。
それからまた、有識者調査ですとか学生調査、いろいろな調査もいたしましたし、こういった調査結果をもとにまた議論をしていただいたということで、随分議論をいただいたんですけれども、いろいろな調査結果におきましても、さらにまた年金審の議論におきましても、意見の集約ができなかったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/124
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125・石毛えい子
○石毛委員 随分議論をしても意見の集約はできなかったということでございますけれども、それでは、検討会を設けるというふうに意見には書かれておりますし、方向もそういう方向というふうに審議のプロセスの中で伺っておりますけれども、いつごろこの検討会を設置されるというふうに予定しておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/125
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126・矢野朝水
○矢野政府参考人 厚生省の事務方といたしましては、今、国会に提出をしておりますこの年金改正法案、これが成立いたしますれば、速やかに検討会を開催したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/126
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127・石毛えい子
○石毛委員 速やかに検討会は設置するという御答弁、それはそれでありがたい御答弁だと思いますけれども、例えば離婚時の年金権の分割に関しては、民事法制にかかわる、民法の夫婦別産制とのかかわりの解決というような御指摘がありました。税制は配偶者控除との関連等々の御指摘をいただいたわけでございます。
この前の審議の経過ではまとまらなかったということでございますけれども、検討会を設置して、担当省庁としまして、今度はどれぐらいでまとめ切る、民法の問題、税制の問題あるわけですけれども、大分議論してもまとまらない、では、いつごろまでにまとめていく、そこのあたりはいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/127
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128・矢野朝水
○矢野政府参考人 これは、国会に提出しております今の法案が成立してから人選をして検討会を立ち上げるということで、その中で徹底して議論をしていただいて、私どもとしましては、できるだけ早く結論をいただきたいということでございますけれども、女性をめぐる年金というのはなかなか悩ましい問題でございまして、理屈で割り切るわけにもなかなかまいりません。
そういうことで、できるだけ早く結論をいただきたいわけですけれども、今の時点で、いつまでに必ずその結論を出しますということを確約するのはなかなか難しいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/128
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129・石毛えい子
○石毛委員 いつの時点でという結論は難しいというふうにおっしゃいましたけれども、でも、私は、女性の年金の問題をきちっと制度として解決していかなければ、年金制度そのものが非常に成り立ちが難しくなっている、こういう状況なんだというふうに認識しております。女性の年金はフリンジの話ではないわけです。年金加入者数でいきますと、女性も男性もほぼ同じぐらい、たしか三千五百万人ぐらいだったと思います。一号、二号、三号のウエートは違っておりますけれども、年金制度の中でそれだけ大きな女性の年金の問題を制度からスピンアウトさせていけば、年金制度そのもの自体が非常に成り立ちが難しくなってくる、こういう課題があるというふうに認識しているわけでございます。
大臣にお尋ねしたいと思いますが、今局長は、検討会の設置については、この法案成立後速やかにというふうにお答えになりました。できるだけ早く結論を得たいと思うけれども、いつ結論を得られるかわからない、わからないというふうにはおっしゃいませんでしたけれども、そういう響きというふうに私は受けとめましたけれども、大臣、いつごろ結論を導きたいという大臣としてのお考えはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/129
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130・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 先ほど、私といたしまして、女性の年金権の問題に絡みまして、いわゆる世帯単位から個人単位に組みかえていくべきだ、こういうような認識は申し上げました。しかし、先ほど来局長からも答弁を申し上げておりますように、例えば、一千二百万人を超えるサラリーマンの主婦の皆さん方にいきなり負担を求めるということが現実問題としてできるかという問題もございますし、この問題につきましては、一言で申し上げますならば、竹を割るように問題を解決はできないということは、先生も十分に御理解をいただけるのではないかと思っております。
しかし、私といたしましては、先ほど申し上げましたような、あくまでも女性の個人単位の年金権を確立するという観点に立って、できるものから一つ一つ国民の合意を得ながら進めていかなければならない、こういうような認識に立つものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/130
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131・石毛えい子
○石毛委員 大臣は、竹を割るようには解決できないというふうにおっしゃいましたし、私もそのとおりだというふうに思います。配偶者控除の問題に関しましては、企業がどういう受けとめ方をするか、あるいは大蔵省がどう考えるか、社会保険関連でいえば厚生省自体としてのとらえ方もありますでしょうし、そんなに簡単に済むものだとは思えないからこそ、法成立後速やかに検討会を設置して結論を導きますというようなことで、はい、そうですかと申し上げるわけにはいかないというふうに私は思うわけです。
そして、竹を割るように解決できない、大臣がそうおっしゃいますことには非常に私も同感をいたしますので、であるとすれば、この九九年改定の中で、新聞報道ではつとに、例えばパートタイマーの方に年金にお入りいただくという方向で百三十万円を幾らに引き下げるかというようなことも議論になったわけでございます。
それから、離婚時の年金のあり方につきましては、確かに民法の本則といいましょうか、法自体の問題であると思いますけれども、しかしながら、五年の事実上の別居ということで、破綻制度が判例上はもう認められているというようなことを援用して、その財産の処理の仕方をどうしているかというようなことを考えれば、私は、十分に今度の九九年年金改定までに詰めて、制度改定に結びつけていけるというようなこともあったのだというふうに思いますので、この点は少し細かい議論になりますから御指摘だけにさせていただきたいと思います。
検討会は立ち上げても、やはり次期年金再計算ですね。私は、今回、この政府提案の法案が通らなくても、差し当たってこれが大きなマイナス影響を及ぼすというふうには受けとめておりませんから、別にことし改定じゃなくても、延ばして来年の審議でもいいわけですから、そういうふうに私は思いますけれども、そういうスタンスも含めまして、第三号被保険者の取り扱いですとか離婚のときの判例、破綻主義に基づく取り扱いというようなことを考えれば、検討会を設置して、解決ができ得るもの、あるいは少し時間が長引くだろうというようなもの、そういうところを、局長、今までの審議を踏まえてもう少し披瀝していただければと思います。それはこれからの取り組みのベースになることだと思いますので、ぜひ要請したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/131
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132・矢野朝水
○矢野政府参考人 女性をめぐる年金問題として、どういった問題が議論されたか、あるいはどういった問題が指摘されておるか、こういう御質問だと受けとめて……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/132
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133・石毛えい子
○石毛委員 どういった問題が指摘されたかといいますのは審議会の意見書にも書かれているわけでございまして、局長も今御答弁くださいましたので、局長が御答弁くださった中身の中で、例えば法改正、しないというわけにはいかないのでしょうけれども、検討、再検討の手だてからいって、この問題は比較的至近の距離で整理がつく見通しがあるとか、そのあたりを少し御紹介いただきたい。要するに、ウエートづけがどうなっているかということを御指摘いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/133
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134・矢野朝水
○矢野政府参考人 女性をめぐる年金問題というのは、いずれも悩ましい問題でございます。
これは、どの問題が比較的解決が容易で、どの問題が難しい、そう簡単に割り切れないわけでございまして、そういった割り切りができれば、とっくの昔にかなりの問題が解決しておったんじゃないかと思います。これは、理論的な立場、理屈からいいますと、本来こうあるべきだ、こうしなきゃいけないというのがあるわけでございますけれども、一方で社会の実態がございます。女性の職場というのはまだまだ非常に限られておるわけでございますし、賃金も低い。あるいは、女性には、出産とか子育てとかいろいろな問題が現実問題として大きな負担になっておるわけでございます。
したがって、理屈で言いますと、例えば三号被保険者の問題につきましても、みんなが保険料を納めてそれに応じて年金をもらうのが当然じゃないかと。理屈からいいますと確かにこれは正論でございますけれども、それをやりますと、年金をもらえない女性がたくさん生まれてくるのじゃないか。こういう現実とあるべき理想とのギャップというのが女性の問題については非常に多々ございまして、それで、いずれも解決が非常に難しいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/134
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135・石毛えい子
○石毛委員 局長、そういう答弁はおかしいと私は思いますね。割り切れればとっくの昔に解決していた。じゃ、今御答弁になられたように、割り切れないからこれからも解決しないということを言外におっしゃったと同じことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/135
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136・矢野朝水
○矢野政府参考人 そこのところは、だからこれだけ議論もしてきたわけですし、そのための専門的な検討会を今度つくるわけですから、場合によっては、将来を見通して、この際割り切って大きく一歩を踏み出していただく、検討会を今回つくればそういうこともできるのじゃないかということで、私どもとしては非常に期待をしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/136
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137・石毛えい子
○石毛委員 この際割り切って、視点をきちっとお示しになって、検討会で検討をしていただく。次の再計算時はいつになるのか、これからの課題だと思いますけれども、次の改正時までにはお出しいただきたいということを、それでは遅いと私は思いますけれども、納得できないけれども、これで時間をとるわけにもいきませんので、これからぜひ注目をしてまいりますということを申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。
これまでの意見交換の中でも少し触れてきたことですけれども、年金の第一号未加入者につきまして、女性の未加入者が七十万人強いるということでございます。それから、九四年に厚生省で公的年金の受給調査をしているということでございますけれども、仮に二十五年の残り期間、保険料を納めたとすれば受給権が発生するといいましても、高齢の任意加入というのは難しいと思いますから、そういう人数ですとか、それから、受給権なしというような方が多分三十万人ぐらいおられるだろうと思います。そうしますと、女性の第一号被保険者のうち恐らく百万人を超えて無年金者になるであろう。十人に一人、九人に一人、そういう状態はこれからも続くのではないか。
今回の法改正で低所得者には保険料を半額にするというような案が出されているわけでございますけれども、果たしてこれで未加入者とか年金保険料を納めない方というようなことが解決していくのだろうか。先ほどの山本委員の御質問にきちっとした答弁はいただけなかったと思います。
仮に納めたとしても、結局のところ、半額保険料だったらば給付も低くなるということになれば、恐らく基礎年金として設定した金額まではいかないということになれば、受けたとしても、とてもじゃない、非常に厳しい年金水準にしかならないだろう。今回提案されている法案は、未加入者とか、非常に低い年金にしかならないだろう、無年金になってしまうだろうという第一号被保険者の問題、これは男性にも女性にも共通しておりますけれども、長命ということから考えれば、女性の方が平均寿命が長いということを考えれば、より女性に集中して重い問題としてあり続けると思います。
ですから、私どもは、保険料を操作したぐらいではこの第一号被保険者の方の生活の安心感というのは無理だというふうに考えるところで、民主党とすれば、基礎年金は基本の年金として財源を税でということを政策として提案しているわけでございますけれども、恐らく百万人を超えていくであろうと思われます女性の第一号被保険者の問題につきましてどのようにお考えになっておられるかということをお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/137
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138・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 女性の無年金の問題について、御案内のように、昭和六十年の改正で、六十一年からいわゆる第三号被保険者制度を導入いたしまして、専業主婦にも年金権というものを確保したわけでございます。
今先生から御指摘がございましたのは、女性の方々にいわゆる未加入者が多いから税方式にすべきだ、こういうような御主張のようにお聞きしたわけでございますけれども、私はかねてから、確かに現在の年金制度の中において未加入者の割合は決して少なくないわけでございますけれども、税方式になれば一〇〇%未加入者がいないということは当たり前でありますから、その問題と未加入者の問題とは違った次元で議論をするべきだ、こう考えているような次第であります。
問題は、今の年金制度に対する信頼といいますか、特に若年世代におきます不安というものが多いわけでございますから、こういう問題を解消することとか、それから、前回の改正において学生の皆さん方にも二十から加入をお願いしたわけでございますが、現実問題としては、収入のない学生さんがほとんどでございますので、親御さんに保険料を負担していただく問題であるとか、それから、先ほどからお話が出ております、低所得者に対します保険料の半減によりまして三分の二を給付するとか、いずれにいたしましても、このようなさまざまな措置を通じて、そして何よりも周知徹底を図ることによって未加入者の問題の解消を図るべきであって、未加入者が若干いるから社会保険方式を税方式に改めるという考え方には、私は残念ながら賛同しかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/138
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139・石毛えい子
○石毛委員 若干というのは、どれぐらいから若干というふうに大臣はお考えになられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/139
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140・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 現在、加入者の中で、保険料の免除者というのが一番多いわけであります。つまり、所得が少ないために免除になっておる、こういう方を中心にして三百五十九万人でございます。これには、当然のことながら学生さんなども入っておるわけでございます。それから、未納者が百七十二万人でございます。
そういうことから、いわゆる未納、未加入の中におきましても、本来払うべきであるはずなのに御加入にならない方と免除されている方と、この辺はきちんと分けて考えるべきではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/140
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141・石毛えい子
○石毛委員 私は、若干とはどれぐらいの水準をとらえて若干というふうにお考えになられるのでしょうかということをお伺いいたしました。これで時間をたくさん使うつもりはありませんので。
女性の第一号被保険者は約九百八十万人ぐらい。それで、今女性未加入七十三万人。それから、加入しているけれども受給資格なしという方と、高齢で保険料を追納すれば受給資格が出てくるけれども、でも恐らく高齢ですから無理であろう、そう思われる方が二十一万人ぐらい。現在、未加入と高齢その他、そういう状況の方を合わせて、九百八十万人ぐらいのうち百万人がそうです。百万人いるとすれば、これは若干とは言えないのではないでしょうか。
そして、これから未加入対策をとっていくとしましても、これから保険料を納めていただく施策を強化していくにしましても、五%ないしはそれ以上の無年金者が出てくるときに、保険料の徴収対策をしたからといって、保険で基礎年金が貫徹し得るというふうな状況認識はできないのではないかというふうに私は申し上げておきたいと思います。
質問時間があと十数分しかありませんので、次の質問に移らせていただきたいと思います。大分質問を残していくということになってしまいますけれども。
女性と年金という角度とは違いますけれども、新しい法律の提案の中で、年金福祉事業団の新法人移行の課題がございます。これに伴いまして、年金住宅融資がどういうふうになっていくかということのお尋ねでございます。
現在、被保険者の住宅取得に大きな力を発揮している年金住宅融資は、二十五兆円の貸出実績があって、毎年一兆円の新規貸し出しがあるという報告を拝見しております。法案の中にどのように規定されているかということでございますけれども、年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案の概要では、この住宅融資事業につきまして、別に法律で定める日までの間、次の業務を実施するというふうになっております。別に法律で定める日までの間というふうになっておりますけれども、この住宅融資事業というのは、その間までの限定というふうにされておりますのでしょうか。それとも、その後も継続するというような内容も持ちましてこの法律案の中には盛り込まれているのでしょうか。そこのあたりをお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/141
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142・矢野朝水
○矢野政府参考人 これは法律の実務的な問題ですので、私の方からお答え申し上げます。
別に法律で定める間といいますのは、この期間につきましては、次々回以降の財政再計算時に、この融資状況等を総合的に勘案して、その時点で最終的にどうするかを決めるということでございます。したがいまして、次々回以降ですから、最終的にそこでやめるのか、さらに続けるのかというのは、二〇〇九年時点でそれまでの融資状況等を勘案して決めるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/142
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143・石毛えい子
○石毛委員 働いていらっしゃる勤労者の方々にとりましての住宅融資といいますのは、公務員の皆様にとっては公務員共済での年金住宅融資があるというふうに伺っております。年金福祉事業団が行っております年金住宅融資につきましては、民間で働いていらっしゃる皆様にとっては、先ほども申し上げましたように、二十五兆円の貸し出しがあって、毎年一兆円の新規貸し出しがあるというようなこと。それから、昨今ではバリアフリー住宅の推進というような意味で、高齢社会に対応した住宅融資の内容になっているということでございます。
もしも、今局長が御答弁になられましたように、次々回以降に融資状況を見てということで、その後はそこで検討ということでございますけれども、万々が一にもこれがなくなるというようなことになりますと、私は、公務員の方については公務員共済の中から住宅融資がされているというその実態と比べまして、民間の勤労者の方々に、十年先かどうかわかりませんけれども、もしこれがなくなっていくようなことがあるとするならば、新しく住宅取得における官民格差を生み出していくということになるわけですので、そこのところは十分な認識をしていただきまして、ぜひともずっと続けていただくというふうに要望したいと思います。
そしてまた、つけ加えさせていただければ、大変な金額の積立金の運営を行っていく新しい法律が今提案されているわけですけれども、投資をどういうふうに金融市場でしていくのか私は存じませんけれども、それこそ、勤労者が積み立てた年金を勤労者にきちっと還元していく、そういう意味でもこの施策は大変大きな意味を持っていることだと思いますので、ぜひそこの意義を確認していただきまして、次々回以降、継続するというような方向で受けとめていただけますよう要請をしたいと思います。
もう一点、残された時間で質問したいと思いますけれども、前回のこの厚生委員会の一般質疑におきまして、介護休業中の社会保険料本人負担分の免除につきまして質問をいたしまして、政務次官からは、慎重に検討という御答弁をいただきました。私は、今回の年金法の改正にかかわります法案を見て大変驚いたわけでございますけれども、育児休業中の社会保険料事業主負担分につきまして免除というのが出てくるというのは存じておりましたけれども、それと並びまして、児童手当の事業主負担分免除、そういう内容が今度の法案に盛り込まれているわけでございます。
私は、これは趣旨からいってもおかしいのではないか。児童手当は、育児休業をとろうととるまいと児童手当として出されるということがございますし、それからもう一つは、児童手当の拠出金というのは、これは児童手当だけに支給される性格ではなくて、児童公園ですとか、そうした内容として使われる、社会資本の整備として利用されるという側面も持っています。いわば企業の社会的貢献という意味もあるわけでございまして、その免除というのが今回の法案に盛り込まれていて、その一方では、介護休業中の保険料本人負担分の免除というのは、余り繰り返しませんけれども、未来の保険料を負担する人かしないかというような議論で整理するというのはどうも承服しがたい。
児童手当の事業主負担分を免除するぐらいであったら、介護休業中の保険料の本人負担分を免除するというふうに考えるのが至当ではないかというふうに申し上げたいと思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/143
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144・大野由利子
○大野(由)政務次官 石毛先生の御指摘はもっともではないか、このように思っております。
児童手当の事業主拠出金負担を今回免除される。これはやはり、働いている人が育児休業をとりやすいように、育児休業をとるような人がいるのを事業主が敬遠するようなことがあってもなりませんし、遠慮しないで育児休業を堂々ととることができるようにとかというようなこともあっての措置でありますし、また確かに、こちらではこういうふうに措置されているのに介護休業はそれができていないのは不十分だという石毛先生の御指摘はもっともな点もございますので、今後の大事な検討課題ではなかろうか、このように思っております。
ただ、介護休業は期間が三カ月という短い期間でもありますし、介護のための介護保険施行とか、いろいろ今大きく制度がスタートをしております、別の次元の話ではありますが。この制度を定着させる中で今後の重要な検討課題として検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/144
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145・石毛えい子
○石毛委員 もう時間がなくなりましたので、この問題についてこれ以上質問を続けるということは無理なわけですけれども、一生懸命それこそ勤め続けてきて、もう何年働けば定年に達するというような女性の方が介護でおやめになる、そういう方が今随分多くなってきているというふうに思います。そして、そのすべての理由が介護休業中の本人保険料にあると言うつもりは別にございませんけれども、しかしながら、その年代の一生懸命働いてきた女性にとりまして、保険料の負担というのは、三万、四万、恐らく数万円に上る金額だろうと思いますから、それを払うより、いろいろな思いもあって、思い切ってやめて介護をしようというような方が決して少なくないというふうに思います。
ですから、期間が短いというようなことだけではなくて、やはり女性が定年まできちっと働き続ける、仕事と家族責任を両立させるという意味でも、大変重要なテーマ、これは政務次官もそういうふうに御認識でいらっしゃるわけですけれども、事業主免除というようなところを考えるのだったら、ここの部分も入ってよかったのではないか、今回の法律改正案の中に当然入るべきであったのだろうというふうに申し上げたいと思います。
それから一言だけ申し上げさせていただきたいと思いますが、冒頭申し上げましたけれども、AかBかというふうに意見として分かれているときに政策選択をどうするかというのは、現実がどう動いていてその現実をどう見据えて解決策を求めていくかということ、そこが大事なのだろうというふうに私は思っております。
そういうふうに思いましたときに、例えば第一号被保険者の加入者が大変未加入が多いですとか、これから保険料の支払い状況によって無年金者がふえていくだろう。それからきょう質問したかったのですけれども、第二号被保険者で遺族年金を受け取っていらっしゃる方は、老齢年金として女性の方が自分の年金でずっと年金権を全うするのではなくて、配偶者と別れたときにどういう年金選択をしているかといえば、遺族年金を全額選択している、夫の厚生年金四分の三を全額選択している方が八〇%を超えているわけです。この方たちは、自分の保険料を、いわば報酬比例部分につきましては無にされているわけですね。だから、制度が今どういう方向に動いているか、そこからどんなスピンアウトが起こっているかということをきちっととらえることが、やはり年金制度を安心した制度として構築していく上で重要だと思います。
繰り返させていただきたいと思いますけれども、女性の年金権の問題は年金制度全体の問題だということを強調させていただきまして、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/145
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146・江口一雄
○江口委員長 児玉健次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/146
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147・児玉健次
○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。
世界における年金の一つの重要な原則は、職場を離れるときと年金受給日の間に空白がない、この問題です。その観点から、今度提起されている年金のいわゆる改定、私は大改悪だと思うけれども、それを少し客観的に検討してみたいと思います。
私は、大臣の答弁をこの後ずっとお願いします。
政府自身がやはり今の観点の必要性を考えていたと、ここ十何年かを振り返って、私は考えます。
前々回の年金法審議、一九八九年のときです。そのとき、私は衆議院本会議でこの問題をめぐって質問をしました。厚生年金の支給開始年齢六十五歳繰り延べ、五十五でやめて、もし六十五でもらうということになると、その間、十年間の空白が生まれる、かすみを食って生きていけというのか、そういう声が当然出てきます。その立場から尋ねた私の質問に対して、当時の海部首相は「六十歳代前半層の雇用の場の確保を図りつつ、支給開始年齢を時間をかけて段階的に六十五歳に引き上げていくことが必要であると考えております。」こういうふうにお答えになった。すなわち、六十歳代前半の雇用の確保がなければこの繰り延べは困難という、その意思をにじませた答弁でした。
そして前回、五年前です。ここでも政府は、本委員会の議論の中でさまざまに述べていますが、その中の一番端的なもの、はっきり根拠を示したいけれども、一九九四年十月二十六日のこの衆議院厚生委員会における議論の中で、「六十歳定年制を基盤とする六十五歳までの継続雇用の推進、」すき間があってはならない、六十歳定年制を基礎にして六十五歳までの継続雇用、その推進が必要だと述べている。
この点に関して、厚生大臣、今の高齢者雇用の状況をごらんになって、これまで政府が支給開始年齢の繰り延べの前提としてきた条件が満たされているとお考えでしょうかどうですか。まず、そのことを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/147
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148・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 雇用と年金の連動の問題につきましては、かねてから重要な課題として、年金法の改正の問題、特に前回の、二〇〇一年から二〇一三年までの基礎年金引き上げの段階でも議論をしたところでございます。
現在、大変厳しい経済環境の中において、特に高齢者の雇用の問題というのは大変深刻であるという認識は、まず私は十分に持っております。六十歳代前半で何らかの形で働いていらっしゃる方は大体六〇%弱、近年着実にふえておる、こう私は認識をいたしております。
それから、先生も御議論なさったあの当時は、率直に申し上げてほとんどの企業が定年制五十五歳でありました。その後だんだん延びてまいりまして、現在では定年制六十歳まで定着しているということが紛れもない事実でありまして、先ほど来お話し申し上げておりますけれども、平均寿命そのものが延びてきている折から、元気で働ける方はやはり働いていただく、そして働けなくなったら年金をいただく、こういうようなライフスタイルというものを確立しなければならない、こう考えているような次第でございます。
ですから、率直に申し上げて、先生が御指摘のような点で一〇〇%満たされているかというと、そうとも言い切れない部分がございますが、今回私どもが考えておりますことは、二〇一三年から十二年間かけて二〇二五年までに段階的に引き上げを図っていく、こういう中においては、私は、働きたいお年寄りの雇用は確保されるべきものであるし、少子・高齢化社会においては、お年寄りの労働力というのはますます重要になってくる、このような認識のもとに立つものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/148
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149・児玉健次
○児玉委員 私は、このようにあってほしいという願望、期待と、現実に今どうなっているかという問題は区別しなければならないと考えますね。
それで、今、厚生大臣がお話しになった、二〇一三年まで幾ばくかの時間があると。この点で言えば、海部さんが私に答えたときは一九八九年ですから、もっと時間があったんですよ。それだけの時間があって、なおかつ政府は六十歳代前半層の雇用の場の確保、そのことを一つの、言ってみれば繰り延べの前提として提示されてきた。この点は今も変わりがありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/149
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150・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 六十歳代前半の雇用の確保というのは、私どもにとって大変大きな課題だと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/150
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151・児玉健次
○児玉委員 現実をやはりしっかり見なきゃいけない。
五年前の審議のとき、いろいろ当時の会議録を拝見していて、非常に私が注目したのは、この委員会の公聴会で、慶応大学教授の丸尾直美氏御自身が、日本の企業のさまざまな活動をリードされる社会経済生産性本部、そこで多くの仕事をなさっていたという経験を披瀝されながら、そしてかつ六十五歳支給繰り延べに賛成であるとおっしゃりながら、こう述べられた。「支給開始年齢引き上げ以前に定年を年金支給開始年齢と連動するようなことを確実に行うことなどへの一層の配慮をお願いしたい」、これは政府に対する一層の配慮ですね。
例えば六十二歳まで支給開始年齢が繰り上げられるとすれば、丸尾先生のおっしゃっているのは、それに先行して定年制が六十二になっていないとだめだ。そうなっていないと私は思うんだけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/151
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152・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 今児玉委員の方からお話がございました丸尾先生の説について、もう一つよくわかりにくい点があるわけでございます。
いずれにいたしましても、今大切なことは、確実に六十歳代の前半まで、定年といいますか何らかの形で職につく人間がふえてきている、さらに私どもはそういう方向に向かって努力をしなければならない。
そのことが人生八十年時代、私は先ほどの委員のときに申し上げたわけでございますけれども、昭和三十六年の年金法の導入当時と現在のいわゆる平均寿命そのものが十五歳から十六歳も変わってきている、そういう中において年金制度の支給のあり方も当然変わっていくべきだ、しかし、だからといって雇用というものを無視してはならないという考え方に立つわけでございまして、私どもは、引き続き労働省とも十分に協議をしながら、六十歳代前半の雇用の確保のために全力で頑張っていく決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/152
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153・児玉健次
○児玉委員 資料を配っていただいていると思いますが、どうですか。——では、すぐ配ってください。
委員長、恐縮だけれども、皆さんに配っていただく間、速記をとめていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/153
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154・江口一雄
○江口委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/154
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155・江口一雄
○江口委員長 速記を起こします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/155
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156・児玉健次
○児玉委員 今お配りした、私の下手な鉛筆で書いた資料一というのを見てください。
大臣、ここで私は、どう願うかでなくて、現実がどうかという点で認識を一致させなきゃいけないと思う。六十五歳支給繰り延べに向けて定年がどうなっていくかというのが一つの重要なポイントです。しかし、今はそのような状態よりはるかに事態が厳しくなっている。
それは、労働省の高年齢者就業実態調査、平成八年、その一番上を見ていただきたいんだけれども、定年制を定めている事業所の退職者、五千人以上の規模の企業にあっては、定年前退職者が四三・三%ですね。さっき大臣がちょっとおっしゃったように、定年が六十歳になっているかどうかというのが一つの問題だけれども、それよりもっとシビアな問題は、六十歳の定年まで働き続けられないという厳しい現実ですよ。百人のうち四十三人が定年前にその職場を去っていく。
この状態で六十五歳繰り延べが可能かどうか、そこのところを働く国民の立場で考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/156
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157・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 今児玉委員の方からこのような資料を拝見させていただきまして、私はこれを直ちに分析するような能力は持たないのでございますが、近年、大企業におきましても定年まで勤める方というのは少なくなってきている。
それは、リストラの場合もありますけれども、私の知人であるとか友人なんかの場合には、要するに、大企業で働くよりはもっと自分の持ち味なり能力というものを生かせるようなところで働くということで、全般的にいわゆる終身雇用制というものが崩れつつあるのではないかな、その一つとして私なりに拝見をさせていただいたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/157
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158・児玉健次
○児玉委員 この点は私、厚生省に対して、この資料を使うからと言って、昨日の夕刻、既に紹介をしているわけです。
それで、今大臣がおっしゃったこと、あなたの友人のケース、それは私は優雅なケースだと思うな。
というのは、今、高齢生活への願いからみずからの意思で企業を去る人というのは本当に日本の中の特定の部分です。今の労働統計で最大の問題は何かというと、非自発的離職です。みずからの意思でなく、会社の意思で強要されてやめていく人、その人が百万人を超えて、そしてここ数カ月の間に自発的離職と逆転してしまった。そのことと、今の労働省の、定年まで働き続けることが可能な人が五六%しかいない、ここが重なっているのですね。そこはひとつ大臣の注意を喚起しておきましょう。
そこで、次の問題です。
定年前に退職した方を待ち受けているのはどんな状況か。年金が支給されるはるか前、定年前に退職をする、何が待ち受けているか。
つい数日前、総務庁の統計局が、平成十一年八月労働力調査特別調査というのを私のところに持ってまいりました。これを見てみますと、項目自身が非常に今の中高年齢層の現状に適合していますね。例えば次のようなことです。仕事につけない理由、中高年の年齢ミスマッチ。なぜたびたび職安に行っても仕事につけないのか。求人の年齢と自分の年齢とが合わない、それで仕事につけない人が、三十五歳から四十四歳で二一・四%、四十五歳から五十四歳が三六・〇%、そして五十五歳以上が実に四八・六%ですね。二人に一人が年齢上の理由で仕事につけない、定年前に退職をして。
それもそのはずです。労働省が直轄している日本労働研究機構、そこの資料を見たわけだけれども、求人に年齢制限をつけている企業が八三・九%です。大臣、その年齢制限の上限の平均は何歳だと思いますか。私も、見て愕然としました。求人の年齢制限の上限の平均は三十七・三歳ですよ、三十七・三歳。
先日私は何人かの同僚議員と一緒にドイツ、オランダ、スウェーデンに行ってきました。オランダでは、求人のとき年齢制限をすることは禁止されています。そういった措置が今日本で必要だと思います。六十歳代前半の雇用の場を図りつつという前提が、非常に残念ですけれども、今日本で崩れている。そのことを率直に認めた上でこの年金審議を進めるべきではないかな、私はそう考えますが、大臣の率直なお答えを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/158
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159・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 高齢者の方々でございますので、どうしても若年労働者に比べまして技術の能力なんかが肉体とともに衰えているということで大変ミスマッチも多い、こういうふうに聞いておるわけでございます。
そういう状況の中において、確かに先生が御指摘のように、高齢者の再雇用、再就職というのが難しくなっておるわけでございますけれども、一方で、先ほども申し上げましたけれども、定年が六十歳以上の企業というのが九九・二%になっている。それから、一律定年制を定めている企業のうちで定年後の勤務延長制度や再雇用制度を設けているのは六七・八%で、高齢者の雇用というものは、少しずつでございますけれども、だんだん普及しつつあるのではないか、私はこういうような考え方に立つものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/159
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160・児玉健次
○児玉委員 それでは、今の問題を厚生年金本体との関連で、ちょっと事実で見てみましょう。
恐縮ですけれども、お配りした資料の二を手にとってください。
六十歳代前半の雇用の確保が支給開始年齢繰り延べの前提になっている、その前提が今大きく崩れてきているという点は、これまでの幾つかの資料でも既に明らかになっています。深刻な雇用状況と失業者の増加は厚生年金全体に文字どおり正面から打撃を与えていますね。
厚生年金の被保険者数の推移、平成九年度、一九九七年四月、三千四百十七万一千人でした。それがちょうど二年経過した平成十年度、一九九九年三月、三千二百九十五万七千人。わずか二十四カ月の間に百二十一万四千人、被保険者が減少しています。
平成九年度平均標準報酬月額を厚生省から伺った。三十一万六千八百八十一円。これを基礎に計算してみると、私の試算で八千九億二千四百万円の保険料収入の減が出ていますね。局長、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/160
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161・矢野朝水
○矢野政府参考人 ここ二年ほど景気が非常に悪くなってマイナス成長というのは御案内のとおりでございます。そういう中で企業のリストラが進むということで、厚生年金は民間企業のサラリーマンの方の年金でございますので、加入員が大幅に減少しております。それからまた、こういう厳しい中で給料がなかなか伸びない、むしろ減るところも少なくないということでございまして、これが厚生年金の財政にも非常に深刻な影響を与えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/161
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162・児玉健次
○児玉委員 大臣もお読みになったと思うけれども、文芸春秋に奥田碩氏の「経営者よ、クビ切りするなら切腹せよ」という、これはなかなか、私は読んでいて、じゃトヨタ自身はどうなのかという疑念を今でも持っているけれども、しかし、日本の経営者の一角からこういう議論が提起されているという点では私は非常に興味深く拝見をした。
今、問題は何かというと、公的年金制度の確立と前進のためにも、日本における雇用の現状を直視して、まずこれを正常な状態に近づけていく、そのことが私たちにとって緊急の課題ではないかと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/162
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163・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 御案内のように、二年連続マイナス経済成長、そういう中において、各企業におきましては、これまで、不採算部門というものをどちらかというと切り捨てる、そういう中でいわゆる各大企業におきましても大幅なリストラというものが行われていることは事実でございます。そういう中において、いわゆる厚生年金加入者というものも年々減ってきているということは、大変ゆゆしき状態ではないかと思っております。
そのためにも、まず私どもは、小渕内閣では経済新生内閣あるいは再生内閣、こう銘打っておるわけでございますけれども、とにかく、ことしは何とか経済成長がプラスに転ずる見込みがついておるわけでございます。来年、再来年と二%から三%の確実な経済成長をなし遂げるということが今先生の御指摘にありましたような厚生年金の安定にもつながる、このように考えているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/163
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164・児玉健次
○児玉委員 現在の日本の経済困難の中心的な問題は消費の冷え込み、消費不況である、この点ではこれまでの予算委員会での小渕首相などとの議論の中でも見解が一致しています。
そういう中で、年金をどうするかと考えるときにも、今大臣がおっしゃったように、どのようにしてこの問題が日本経済の再建ないしは再生に資するか、その立場が非常に必要ですね。そして、雇用の厳しさ、とりわけ中高年齢層において、今まで我々が考えていた状況よりはるかにそれが厳しくなっている、この点もよく御認識だと思うのです。
そのことを一つの前提にして、私は、どうやって国民の生活を前進させるかということに関連して、先ほど同僚議員が議論なさった国民年金における繰り上げ減額率の問題、かなり議論していますから、もう繰り返しません。私はずばり聞きたいけれども、現在の国民年金受給者に適用されている繰り上げ減額率、この生命表は昭和三十五年ではなく一九五五年、昭和三十年のものだと思いますが、局長、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/164
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165・矢野朝水
○矢野政府参考人 おっしゃるとおり、昭和三十年の死亡率に基づくものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/165
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166・児玉健次
○児玉委員 そこで、昭和三十年、一九五五年と一九九五年、厚生省からいただいた直近のもの、その間で、六十歳の男子、六十歳の女子の平均余命はどのように変化したか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/166
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167・矢野朝水
○矢野政府参考人 昭和三十年の死亡率、これで見ますと、男子の場合、六十歳の平均余命は十四・九七年、これが、第十八回の生命表、これは平成七年の死亡率に基づき算定したものでございますけれども二十・三〇年ということで、六年ほど大きく延びております。
それから、女子の場合でございますけれども、六十歳の平均余命、第十回生命表、昭和三十年の死亡率でございますけれども十七・七二年、これが二十五・三五年ということで、大幅に延びておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/167
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168・児玉健次
○児玉委員 そこで、私は先ほどの議論をもう少し発展させたいのですが、仮に六十歳の方がいるとする。その人が特別な霊感力を持っていて、そして自分は六十二歳で死ぬということを知っているとすれば、その減額率が仮に三割だとしても、多分受け取るだろうと思うのです。そんなことは不可能です。
それで、これを設計するときには、平均余命がどうか、そして、そのことについて、個々の人にとってはそれはさまざまな出入りがあるけれども、トータルとしては出入りのない形で設計するのが国際的な常識ですね。六十二歳に着目した場合に、ドイツは支給率が八九%ですから、減額率は一一%です。アメリカは八〇%、日本は六十二歳で七二%です。
私は、先ほど政府参考人である矢野局長の答弁を聞いていまして、年金財政にはね返るから困難だという趣旨のことを言われたけれども、これは、はね返るのは個人にはね返っているんですよ。むしろ、年金財政にはこの減額率はプラスに機能している。そうじゃありませんか。その事実関係を私は局長に聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/168
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169・矢野朝水
○矢野政府参考人 先ほど私が申し上げましたのは、現在の減額率を緩和すべきだ、見直すべきだ、こういう御指摘がございましたので、それを見直しまして直近の死亡率を使いますと当然減額率は少なくなるわけでございます。そういたしますと、どうしても、早く年金をもらおう、いつ死ぬかわかりませんので早くもらおう、こういう傾向が強まるんじゃないか。したがいまして、早期受給を促すことによって年金の財政にはマイナスの影響が来るんじゃないか、こういうことを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/169
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170・児玉健次
○児玉委員 この点は、私は丹羽大臣の政治家としての御判断も求めたいと思うのですね。
私は、この議論をやったのは二回目です。前々回の年金審議のときにやりました。そして、前回は、会議録を調べてみると、参議院においてかなり突っ込んだ議論がされていますね。
大臣、そのときの井出厚生大臣の答弁をちょっと紹介しましょう。五年前ですよ。「局長、正直のところ大変苦しい答弁をしておるように私も思います。」「今までも随分この問題は検討をしてきたことも事実のようでありまして、その昭和三十年の寿命をいまだに使わざるを得ない状況にもあったようであります。」ただいまの「お話もまたよくわかるところも大変ございますから、これまた少し検討をしなくちゃならぬ問題かな、こう考えてはおります。」大臣もそうお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/170
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171・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 井出元厚生大臣がそのような発言をしたということは、私は正式に聞いておりませんけれども、認識は全く同じであります。
要するに、減額率を見直せば、一方で六十歳からの減額繰り上げ支給というのはふえるのではないか、これがひいては現役世代に対する負担になるんじゃないか、こういうような意見もございますし、また、厚生年金の繰り上げ制度が創設されるのが二〇一三年でありますから、新たに減額率を設定するというのはこれと一緒にやったらどうか、こういう意見もありますけれども、余りにも悠長な話でございまして、私は、できるだけ早く年金審議会にこの問題をかけて、この減額率が適当かどうか結論を出したい、このように考えているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/171
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172・児玉健次
○児玉委員 本当に、その点は速やかにしていただきたいと強く要望します。
さて、基礎年金に対する国庫負担の問題、きょう午後、山本議員が随分詰めて御議論になりました。私は、まず現状について認識を一致させたいと思うのですが、国民年金の現状は今どうなっているかという問題です。
これは社会保険庁と実務的にも随分詰めました。そして、さまざまな議論をこの委員会でもやってきたから数字についての争いはないと思うのですが、要するに、第一号被保険者となるべき数は、未加入者百五十八万人を含めて約二千百万。ただし、この未加入者の数字は一九九五年十月の数字です。同じ時点の数字がないという点が、委員長、この問題の一つの重要な特徴なんですね。これほど国民的な関心事である年金で、何かをデータで突き合わせようとするとき、例えば一九九八年の十月、そこでデータが並べば審議は相当進みますけれども、ばらばらなんです。全体としていえば約二千百万人。そして、どれだけの人が保険料を納付しているか、一番よく示すのは基礎年金算定対象、これは月数で出ていますが、人数に換算することができます。千二百四十八万人、一九九七年。ついに保険料の納付率が六〇%を切った。
この状態はすべての公的年金の基礎を危うくすると私は考えますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/172
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173・江口一雄
○江口委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/173
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174・江口一雄
○江口委員長 速記を起こします。
矢野年金局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/174
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175・矢野朝水
○矢野政府参考人 未納、未加入の状況でございますけれども、確かに時点が一年ずれておるわけでございます。これは、調査を毎年実施しておりませんで、この公的年金加入状況等調査というのは数年置きにやっております。そういうことで必ずしも完全に一致しておりませんけれども、一年しかずれておりませんので、ほぼ同じような状況ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/175
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176・児玉健次
○児玉委員 大臣、数字のことについての若干の出入りは私は問題にしません。私が大臣に聞きたいのは、国民年金の納入状況が非常に危機に瀕しているという点では、大体今までこの委員会では共通の認識になっています。国民年金の空洞化はすべての公的年金の空洞化につながるのではないか、そう私はお尋ねしているのです。そこを改めることが急務ではないかというふうにお尋ねしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/176
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177・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 先ほど私がこの国民年金の未納、未加入の問題について申し上げましたのは、特に問題なのは、私は、第一号被保険者に、本来強制適用でございますので、入るべくして入らない未加入の問題であろうと思います。これが大体百五十八万ということでございまして、先ほど申し上げましたように、いわゆる免除者というのは低所得者ゆえに免除であるということで、これとちょっと次元は違うのじゃないかということを、さっき石毛委員のときに、若干ということで申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/177
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178・児玉健次
○児玉委員 この国民年金の状況を改善することが、公的年金制度を私たちが考えるとき一つのポイントになる、この認識については一致しますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/178
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179・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 全く同じ認識であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/179
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180・児玉健次
○児玉委員 そこで、基礎年金に対する国の負担の問題の議論をしたいと思います。
これも、どう考えるかではなくて、事実に基づかなきゃならないので、前回の改正時、法の附則で「平成七年以降において初めて行われる財政再計算の時期を目途として、」ちょっと省略しますが、「必要な措置を講ずるものとする。」附帯決議では「二分の一を目途に引き上げることを検討すること。」合わせて一本と言いますが、この附則と附帯決議を合わせて一本に考えたら、平成七年に二分の一というのが出てくるのですよ。これが国会の国民に対する約束ですね。ところが、それが今どうなっているか。「平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、」云々となっている。
私は大臣に端的に聞きたいけれども、平成十六年、二〇〇四年、これは次期再計算です、次期再計算までやらないというところに重心があるのか、それとも次期再計算までに可及的速やかにこれを行うというところに重心があるのか、どちらに重心はかかっているのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/180
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181・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 附則にこのような点が明記されておるわけであります。つまり、「基礎年金については、財政方式を含めてその在り方を幅広く検討し、当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るものとする。」こういうことでございますし、私は、当然のことながら、二分の一実現に向けて努力すると受けとめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/181
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182・児玉健次
○児玉委員 次期再計算までこのままにしておくことに重点があるのか、それとも、それまでの間にできるだけ早くやろうとするところに重点があるのか、どちらでしょうか。前者でしょうか後者でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/182
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183・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 やるということは後者ですね。後者であることを願っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/183
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184・児玉健次
○児玉委員 そうであれば、この議論は一歩踏み込むことができますね。
できるだけ早くやることが必要だ。そして、私たちは来年の四月からやるべきだ、こう考えています。そのことで、いわゆる保険の財政状況が変わってきます。そして、さっき議論した国民年金の空洞化の問題も新しいアプローチが可能になります。
問題は、安定した財源なるものですけれども、そこで私は、これまでの年金審議会の議論をちょっと振り返りたいと思うのです。この点は矢野局長に確認を求めます。
厚生省は、昨年八月三十一日、第二十五回年金審議会で一つのシミュレーションを出された。一九九八年度、基礎年金を三分の一から三分の三に引き上げていくとすれば、もしそれを消費税を財源として仰いだ場合に、どのような問題が起きるか。そのことについて厚生省の担当者は年金審議会の諸先生に次のように説明なさっている。「基礎年金の拠出部分につきましても、これは労使折半でありますから、その労使折半の使用者側の負担が全部消費税に移り変わるために法人負担が減少する。現時点で三・三兆円という計算になりますが、その分国民負担が増加するということについて、その辺の財源の移動についての議論が要るのではないかということです。」こういう説明が行われたことについて、局長、確認を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/184
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185・矢野朝水
○矢野政府参考人 今手元に議事録がございませんのではっきり一〇〇%自信を持って申し上げられないのですけれども、このときの議論は、一階の基礎年金は全額消費税で賄う、こういう議論があったわけでございます。その場合に……(児玉委員「解釈はいいから、そのような発言があったかどうかを聞いている。解釈は聞いていない」と呼ぶ)その場合に、事業主負担分が減りますので、その分、家計部門の負担が余計にふえる、これについてどう考えるか、これは議論が必要である、そういう趣旨の話は行われたと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/185
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186・児玉健次
○児玉委員 ちょっと今後の委員会運営のために申しておきますが、今の、昨年八月三十一日第二十五回年金審議会の会議録、これは準備しておくようにと、きょうの昼、私は通告をしています。そして、もちろん、私がさっき読んだのはその会議録と一字一句違いがありません。
それで、政府参考人というのは、私は、大臣と議論をしていくとき、事実の認識を一致させるときに限って答弁を求めるので、ぜひその役割をこの後一生懸命やっていただきたい、こういうふうに思います。
さて、問題は、財源を新たな負担として国民に求めるのではなく、国の財政の支出構造を転換することでこれは確保可能だ。そうなると、さっきの大臣のお答えの中で、私がある意味では非常にそのとおりと思ったのは、二〇〇四年まで放置するのでなく、できるだけ早くこの基礎年金二分の一に向けて努力をする、その努力と国の予算の支出構造を変えていく、この前介護の集中審議のときに議論した点ですけれども、その立場があればこの基礎年金の負担の問題は非常に広い道が開けていく、私はそう考えるのです。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/186
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187・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 今、厚生予算は全体の歳出の三分の一を占めております。しかも医療費も年々大変増大をいたしておるわけでございますし、また介護保険関係で補正でも一兆円を超えておるという状況でございまして、願わくは一日も早く国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げるという中で、私は幾つかの選択肢として申し上げたわけでございますけれども、現実問題として、先ほど児玉委員が御主張になりましたような、今直ちに三分の一から二分の一に引き上げるということは不可能と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/187
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188・児玉健次
○児玉委員 その点は続けて議論しましょう。
最後の問題です。
今度の年金改正案、かぎ括弧をつけますが、この年金改正案は今までの年金改正案とは違った特殊の生い立ちを持っています。それは何かというと、財政構造改革法との関連です。この財政構造改革法、私は特別委員会にずっと参加していたので、これはもう本当になじみの法律になりました。
この法律の第十条、集中改革期間中、一九九八年から二〇〇〇年ですね、その間に、厚生年金法と国民年金法、共済各法について次のような改定をすると言っています。年金の額の改定の方法、六十五歳以上の者に対する年金たる給付のあり方、受給権者となる年齢、すなわち受給開始年齢です、年金たる給付の水準。今度厚生省が提起されてきている年金改定のメニューの全部がここに入っているじゃありませんか。
そして、この法律の準備のための財政構造改革会議、九七年五月二十六日に開催された。その結論がこれですが、その翌日たまたま年金審議会が開かれた。ある委員が次のように発言した。「財政構造改革会議でいろいろな方向を出しています」ちょっと省きましょう、「この会議で我々が議論するのはそういうことを一切無視して白紙で議論をしなければいけないのではないかと思うんですが、こういう既成の路線を引かれて、その上で議論をするのでありましょうか。」まじめに年金のことを考えている審議委員であれば、このような発言は私は当然のことだと思う。自分たちが論議しているとき、別の場所で次の年金の改定のメニューが全部出されてしまう、どうなんだ、そこにこの年金改定の大きな問題があります。
しかもこの財政構造改革法、去年の十二月、別に法律で定めるまで施行を停止することになりました。私も参加して、宮澤大蔵大臣もこの議論は非常にかみ合った形でやりましたが、そこで特別委員会の共通の認識は、財革法が限りなく廃止に近い凍結になったと。宮澤大臣はこうも言った、もし凍結が解けるときには、この法律は思い切って書き直さなきゃだめだと。まさに限りなく廃止に近い凍結。この財革法は今は凍結されていますけれども、その法によって国民生活に生じた不利益の最大のものがこの年金改悪ですね。
ですから、私はこの問題は結論的に言って二つ問題がある。一つは、中高年齢層の雇用状況が、皆さんがこの法律を十年前に考えたときに夢想された、あえて私は夢と言うけれども、夢想された状況とははるかにかけ離れてきた、前提が崩れた。そしてもう一つは、直接この年金改定の設計をした財革法が今施行を停止している、そういう局面だということを踏まえて十分な審議をしたいと私は考えております。大臣の所見を伺って、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/188
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189・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 児玉委員が御紹介をなさった審議会の委員の御意見は、それはそれとして承っておきます。
ただ、率直に申し上げて、これは私からも先般来何回となく申し上げておるわけでございますけれども、私どもは今、想像を絶するような少子・高齢化社会を迎えております。欧米の高齢化に比べまして三倍か四倍のスピードで来ている。こういう中において、いかにしてこの年金制度というのを守っていくかということは、大変重要な、肝要な問題である、こう認識いたしております。
率直に申し上げて、特に若い方の間で大変な不安が起きておるわけでございまして、私どもは、今回の年金法改正を通じまして、保険料率をいわゆる総報酬の二割程度の負担にする、そして、現役の手取り賃金の六〇%前後確保する、またさらに、先ほど来お話が出ておりましたが、附則で、前提がございますけれども、安定した財源を確保しながら二分の一に引き上げる、そういうことによって年金制度に対する信頼をかち得て、そして今何よりも大切なことは、将来に向けて年金像というものを示すことである。そういうことを示さずして国民の皆さん方は安心してこれから老後を送ることができないのではないか。
そういう意味におきまして、これまでこの年金法の改正案は長い間いわば審議されない状態であったわけでございますけれども、審議をしていただいて、そして一日も早く成立をさせていただいて、国民の皆さん方に少子・高齢化社会における新しい年金像ということをお示しすることが私どもの役割である、このように認識をいたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/189
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190・児玉健次
○児玉委員 十分な審議を求めて、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/190
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191・江口一雄
○江口委員長 笹木竜三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/191
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192・笹木竜三
○笹木委員 笹木竜三です。質問を始めさせていただきます。
今度の法律案の中で、主に年金資金運用基金法案についてお尋ねしたいんです。大臣に細かいことはお聞きしませんけれども、基本的な御意見をお聞きしたいわけです。今まで年福事業団が一部だけを自主運用してきた。残念ながらこれは赤字を生んで、運用にも失敗してきたと言っていいと思うわけですけれども、その一番の原因は何だと思われるかを、総括を聞かせていただきたいと思います。
それとあわせてもう一つ、今度は一部じゃなくて全額、公的年金の積立金をこの年金資金運用基金で運用していくわけですけれども、平均的な一般の国民の方が、これを頼もしい、いいことだなと考えておられると思っておられるのか、あるいは、年福事業団の自主運用でもあれだけ失敗をしてきた、今度はそれを全額この基金で運用する、さらに不安だと思っているか、どちらだと思っておられるのか。御意見をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/192
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193・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 今回年福事業団を廃止して新たに基金を設けることになりましたのは、御案内のように、行政改革の中の一環として行われたものでございます。
これまで年金の積立金は、御案内のように、一たん資金運用部の方に全額預託をいたしまして、一部は我々が自主運用しておりまして、一部を改めて年福事業団が借り入れて市場運用しておる、こういうことでございます。御案内のように、近年の低金利、株価の低迷、こういうことによりまして運用収益が資金運用部への利回りを下回った、これが最大の累積欠損の生じた要因だ、このように考えているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/193
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194・笹木竜三
○笹木委員 確認させていただきますと、大臣は、年福事業団の運用の失敗は資金運用部との逆ざや、この原因一点に尽きる、そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/194
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195・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/195
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196・笹木竜三
○笹木委員 あわせて、先ほどの二つ目の質問にも答えていただきたいわけですけれども、今度はそれを全額、逆ざやはなくなって積立金百四十兆円をこの基金が全面的に自主運用していく、これを国民は頼もしいことだ、そういうふうに感じていると大臣は確信を持たれているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/196
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197・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 いわゆる年金の加入者に対します福利事業という観点から、これまで年福事業団では大規模保養基地であるとか、さまざまな事業を行ってまいりました。これは撤退をすることに決まりました。それから、住宅ローンであるとか教育ローンであるとか、これにつきましてはさまざまな議論がありまして、さらにもう一度検討しようじゃないか、こういうことでございますが、いずれにいたしましても、先ほど来私が申し上げておりますように、かなり高い金利のもとで資金運用部からお金を借り入れていたわけであります。たしか平均で四・四%で借りておりました。直近は二%ぐらいでございますが、これは直接できるわけでございますので、その分だけでも十分に年金の加入者の期待にこたえることができる、このように確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/197
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198・笹木竜三
○笹木委員 今前半の方で、逆ざや以外のことについて、いろいろな運用の事業について問題があるということを若干はお話をされていたみたいですけれども、最近、例えば選挙区でいろいろな方々、若い方も含めて年金のことについては聞かれたり意見交換をする場があるわけですけれども、率直に言って、全額積立金を運用するということに対してはむしろ不安は大きいと思います。
それの最大の原因は、やはりお役所仕事になって、お役所の方全員を否定しているのじゃございません、一般の感覚として、責任をとらない、そこに運用を任せるのはやはり不安だということ。それと、よくいろいろな新聞、テレビでも報道されております、天下り先の確保とかで運用にいろいろなゆがみが今後も生じるのじゃないかといった不安、あるいは情報の開示が今まで十分じゃなかった。大きく言うとそういった三つのこと、責任をとらない、天下りの問題、そして情報開示の問題、この三点が非常に大きな心理的な要因としても不安を持っている。こういったことに対してどうお答えになるのか。それがないと、今後、年金の空洞化という事態を避けることはなかなかできないと思います。
さらに、情報開示について、余り時間がないのでまとめてお伺いをしたいわけですけれども、今後、財務諸表と決算報告書は備えつけて一般の閲覧にも供するということですけれども、財務諸表というのは今いろいろな特殊法人もつくっております。決算報告書もつくっております。どうとでもつくれる。それだけが公開されても全く情報の公開にはならない。その根拠となる計算式ですとか数字、そういった資料も含めてしっかりと公開をしていくおつもりがあるのかどうか。それもあわせてお答えをいただきたい。これは政務次官にも大臣の後でお答えをいただきたい、そう思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/198
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199・大野由利子
○大野(由)政務次官 御指摘の点は大変大事な点だと思いますので、しっかりやってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/199
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200・丹羽雄哉
○丹羽国務大臣 年金制度に対する最大の不安は、先生御指摘のように、国民から見て十分な情報開示がなされていないのじゃないか、こういう点が不安の大部分を占めているのではないかと私は思います。
御案内のように、今度は基金ができるわけでございます。それを契機にいたしまして、年金制度に対する国民の信頼を一層確保していくために、年金に関するあらゆる情報をわかりやすい形で国民の皆さん方に積極的に提供していくことが大変重要である、このように考えているような次第でございます。
それから、これまでも財政再計算の報告書であるとか、それから年金白書、これは毎年やっておりますけれども、こういう形で国民の皆さん方の御理解をいただくように努力をしてきたわけでございますけれども、今後は、現行制度の仕組みや改正の考え方などを取りまとめて、とにかく国民の皆さん方に理解される年金制度をつくり上げていきたい、このような決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/200
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201・笹木竜三
○笹木委員 終わりますが、今の御答弁で、根拠となる数字も公開していくという御答弁だと解釈しました。ぜひよろしくお願いします。
それと、目標利率を達成しなかったときにはだれが責任をとるのか、これもしっかりと明示をしていただきたい、そう思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/201
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202・江口一雄
○江口委員長 この際、一言申し上げます。
公聴会の開会をめぐり、大変御心配をおかけしましたことは、まことに遺憾に存じます。今後とも、円満な委員会運営に努めてまいる所存でございますので、委員各位の御協力のほど、よろしくお願いを申し上げます。
次回は、来る二十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114604237X00619991119/202
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