1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年十一月十七日(水曜日)
午前九時三十四分開議
出席委員
委員長 松岡 利勝君
理事 稲葉 大和君 理事 金田 英行君
理事 松下 忠洋君 理事 宮本 一三君
理事 小平 忠正君 理事 鉢呂 吉雄君
理事 宮地 正介君 理事 一川 保夫君
今村 雅弘君 衛藤征士郎君
小野寺五典君 大石 秀政君
河井 克行君 北村 直人君
熊谷 市雄君 栗原 博久君
塩谷 立君 園田 修光君
田中 和徳君 野呂田芳成君
藤本 孝雄君 二田 孝治君
松本 純君 御法川英文君
矢上 雅義君 谷津 義男君
渡辺 喜美君 安住 淳君
石井 紘基君 石橋 大吉君
木幡 弘道君 佐藤謙一郎君
上田 勇君 漆原 良夫君
木村 太郎君 井上 喜一君
佐々木洋平君 菅原喜重郎君
中林よし子君 藤田 スミ君
前島 秀行君
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農林水産大臣 玉沢徳一郎君
農林水産政務次官 谷津 義男君
農林水産政務次官 金田 勝年君
政府参考人
(外務省経済局長) 大島正太郎君
政府参考人
(外務省経済協力局長) 飯村 豊君
政府参考人
(農林水産省経済局長) 石原 葵君
政府参考人
(食糧庁長官) 高木 賢君
農林水産委員会専門員 外山 文雄君
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委員の異動
十一月十七日
辞任 補欠選任
河井 克行君 田中 和徳君
木部 佳昭君 渡辺 喜美君
岸本 光造君 大石 秀政君
矢上 雅義君 松本 純君
木幡 弘道君 石井 紘基君
同日
辞任 補欠選任
大石 秀政君 岸本 光造君
田中 和徳君 河井 克行君
松本 純君 矢上 雅義君
渡辺 喜美君 木部 佳昭君
石井 紘基君 木幡 弘道君
同日
理事岸本光造君同日理事辞任につき、その補欠として稲葉大和君が理事に当選した。
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十一月十七日
新たな米政策の見直し、国内農業を守る政策転換に関する請願(金子満広君紹介)(第一九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百四十五回国会閣法第一二三号)
農林水産業の振興に関する件(WTO問題)
WTO次期交渉に関する件
午前九時三十四分開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/0
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001・松岡利勝
○松岡委員長 これより会議を開きます。
理事辞任の件についてお諮りいたします。
理事岸本光造君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/1
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002・松岡利勝
○松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/2
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003・松岡利勝
○松岡委員長 御異議なしと認めます。
それでは、理事に稲葉大和君を指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/3
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004・松岡利勝
○松岡委員長 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省経済局長石原葵君、食糧庁長官高木賢君、外務省経済局長大島正太郎君及び外務省経済協力局長飯村豊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/4
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005・松岡利勝
○松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/5
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006・松岡利勝
○松岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河井克行君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/6
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007・河井克行
○河井委員 おはようございます。自由民主党の河井克行です。実は、今次臨時国会よりこの伝統ある農林水産委員会に所属をさせていただきまして、いきなり、早々にこのような質問の機会をいただきましたことに、松岡委員長様、松下理事様初め、先輩同僚各位に心から感謝を申し上げたいと存じます。
私ごとでありますが、私の父親は、三十年間にわたりまして広島県厚生農業協同組合連合会に奉職をいたしておりまして、農村、農家、農民の方々の健康を医療面からサポートするという仕事をずっといたしておりました。そういうことでありますから、今日の私のありますのは農家、農民の方々のおかげでありますので、しっかりと今後ともこの委員会で、一生懸命地域の農村、農家の発展のために頑張っていきたいと考えております。
きょうは、十数分しか時間をいただいておりませんので、簡単に、できれば三問ぐらい質問をさせていただきたいと考えておりますが、最近のWTO次期交渉をめぐる国際関係の動きについて質問をさせていただきます。
ちょうどきょうの東京は雲一つない秋晴れ、日本晴れでありますけれども、大臣には先週末のヨーロッパの天気、天気といっても本当の天気じゃないのですけれども、大臣のお目にはどのように映ったかということについて、まず冒頭、質問をさせていただきます。と申しますのも、十三日の土曜日、朝十時三十分に成田空港を出立されまして、昨夜遅くに無事日本に帰国されるまで、ウィーンにおきましてはフィッシュラーEU農業・漁業委員との意見交換、そしてオーストリアの農林大臣、モルテラーさんと意見交換。ローマにお着きになられてからは、FAOの総会で日本政府を代表して演説をされ、その日の昼には、日本主催で多面的機能フレンズ国とのいろいろな閣僚級の昼食会を主催していらっしゃいます。
それらを含めて、きょうまずしょっぱなでありますけれども、お土産話をお聞かせいただきたい、そういった週末のいろいろな動きについて御報告をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/7
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008・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 私は、今委員がおっしゃられましたように、十三日から昨日まで欧州に出張してまいりました。
今回の出張におきましては、まず、FAO総会においてWTO次期交渉に対する日本の取り組み方針について演説しますとともに、シアトル閣僚会議を二週間後に控え、我が国と意見を同じくする国々と連携を深めるとの観点から、各国の農業担当大臣等と積極的に意見交換を行ってきたところでございます。
この中で、EUのフィッシュラー農業・漁業委員との会談におきましては、これまで培ってまいりましたWTO次期交渉に向けての日本、EU間の連携、中でも重要な時期に差しかかっておりますシアトル閣僚会議の準備過程における協力関係の重要性について確認をし合ったところであります。
具体的に、会談におきましては、農業分野におきましては、私から、日本、EU等による八カ国の共同提案が議論のベースであり、農業協定二十条を超えた主張を行っております米国とかケアンズ・グループが柔軟性を示すことが必要ではないか、閣僚会議を成功させる上で重要であるということを指摘したところであります。これに対して、フィッシュラー委員からは、当方の指摘に同意をするとした上で、日・EU間で緊密に連携をとりながら今後折衝をしていく必要があるということも強調されました。
また、林野・水産分野につきましては、私から、これまでの各段階における協議の結果、日・EU間ではこの分野に関する関心事項は極めて近いことが明らかになってきたことに触れた上で、我が国が主張しております資源、環境問題に配慮するための別グループによる交渉という立場に対して理解を求めたところであります。これに対しまして、フィッシュラー委員からは、EUとしては包括的な交渉によるアプローチをとった方が関心事項を実現する上でメリットがあると考えているという意見がありました。日本の提起しているアプローチにつきましては、しかしながら、今後とも双方で調整をとる必要がある、こういう点で意見が一致したところであります。
また、この機会を利用しまして、日本、EU、韓国、ノルウェー、スイスのいわゆる多面的機能フレンズ各国の農業担当大臣、高級事務レベル等との懇談会を開会いたしまして、自由な意見交換を行ったところであります。この会合におきましては、農業の多面的機能や、食料安全保障の重要性、食料輸入国と輸出国、先進国と開発途上国の公平性の確保の必要性、また多くの点で、これらの国々との意見交換を通じまして、まさに認識が一致することを確認したところであります。ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施の経験を分析、検証し、次期農業交渉はこの結果を踏まえて行うことが必要であるということについても、それぞれの国からの指摘がありました。
また、この会合におきまして、多面的機能フレンズ各国は、シアトル閣僚会議におきましても一層連携をとり合って対応していくということを確認するとともに、我々の意見と近い世界の国々に対しましても、できるだけ意見交換をしながら、参加国の拡大を図っていくべきである、こういうことについても意見が一致いたしまして、昨日帰国したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/8
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009・河井克行
○河井委員 私は、交渉事には当然うまくいく部分とうまくいかない部分もあるというふうに思っております。まして、このことは、二国間交渉ではなくて、世界じゅうの国々を対象としたいわば多国間の交渉事でありますから、全部が全部、日本の国益を一二〇%かなえられる、そんなことは最初から幻想でありますが、やはりそうはいっても、前回、八六年から九三年の十二月までずっと繰り広げられました旧ガット体制における前回のURのいろいろな反省点も含めて、検証はしっかりとしていただかなくちゃいけない、そんなふうに考えております。
最終的には、自由民主党が野党に落ちましたので、若干最後の段階に至ってどうしても歯がゆい思いをいたしましたけれども、それを抜きにいたしましても、例えば中身でいいますと、売る立場、つまり、販売する国家の利益が、利益ばかりとは言いませんが、どちらかというと優先される嫌いがあったのではないか、いわゆる余剰農産物の問題が余りにもクローズアップされ過ぎたというふうな反省もあります。それに加えまして、日本の国内で申し上げますと、いろいろな農林水産団体はいろいろ積極的な活動をされたやに伺っておりますけれども、いま一つ、消費者を含めて国民全般が、前回のウルグアイ・ラウンドについてそれほど深い関心があったのだろうか。
私は、それから数年が経過をいたしました今回、もちろん、大臣そして両政務次官を筆頭にしっかりと頑張っていただかなくちゃいけないと思いますけれども、日本国民が幅広く、今回の新しい、これはWTOのシアトル・ラウンドというのでしょうかアメリカ・ラウンド、クリントン・ラウンドというのは多分ないように思いますけれども、どういう名前がつくかはこれから次第でありますが、やはり新しいラウンド交渉に向けてもっと国民に理解をしてもらわなくちゃいけない。
せんだって、農林水産省の方に、今どういうふうな国民向けのパンフレットをつくっているのと聞きましたら、かなり分厚い白い、数字とかいろいろな表が中心のものをちょうだいいたしましたけれども、やはりそのあたりももう少し幅広にやっていただきたい。国民全般的な理解を得ることが必要不可欠だと感じますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/9
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010・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 委員御指摘のとおりでございます。特に、WTO次期交渉に臨むに当たりましては、幅広く国民的な理解と合意を形成して交渉に臨んでいくということが一番大事なことだと思います。
特に、今回の交渉におきましては、日本のみならず世界じゅうの農林水産関係者はもちろんのこと、環境問題や食品の安全性等の観点から市民グループも強い関心を示しておりまして、閣僚会議にも、各国から多数のNGO等がオブザーバーとして参加すると聞いております。こうした状況を見ますと、より一層国民的な合意を形成しながら、我が国の立場を踏まえてしっかりとした交渉をするということが大事である、こう考えます。
したがいまして、消費者の皆さん、あるいは経済界も含めた国民の皆さんの合意をいただきながら、この次期交渉に向けまして、日本の提案を取りまとめましてWTOにも既に提出をいたしておるわけでありますけれども、この日本提案をもとに各界、各団体また国民全体の皆さんの理解をいただきまして、それぞれの国々に呼びかけていくということが大事である、こう思う次第でありますし、関連情報の提供におきましても、それぞれのところに説明をしながら、なおかつ国会の御論議を踏まえて、交渉に臨んでまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/10
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011・河井克行
○河井委員 ぜひしっかりと、よろしくお願いいたしたいと思います。
当然のことでありますが、まず日本人、日本国民を本当に仲間にして、味方に引き連れない限り、真の意味での国際交渉はできないというふうに考えておりますので、まだまだ一般の中では、農産物は本当は安かったらいいんだというふうな空気が残念ながら残っております。そのあたり、農林水産省が先頭となっていただいて、地域の中に分け入っていただいて、今回のWTOのさまざまな広報活動に努めていっていただきたいと存じます。
最後に、もう少ししか時間が残されておりませんが、新しい今回のWTOのシアトル・ラウンドに向けて、大臣としてどのような御決意で臨まれるか、勝算ありやという点についてお話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/11
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012・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 このシアトルの閣僚会議は、まずこれから行われるであろう三年間の交渉の枠組みを決めていく、こういう意味で非常に大事な交渉であるというふうに考えております。
したがいまして、農業分野におきましては、農産物の貿易を他の産物、つまり、鉱工業製品と同じような貿易とすべきであるという考えを持っておるケアンズ・グループあるいは米国、そういう考え方に対しまして、我々としましては、EU、韓国等と連携しまして、農業の持つ多面的機能の重要性あるいは非貿易的関心事項への配慮、こういうものを十分主張しながらバランスのとれたものにしていかなければならない、こういう点を強調いたしておるところであります。
また、林野、水産分野につきましては、我が国及び韓国は、地球的規模の環境問題や資源の保存、管理等の観点から、他の非農産品とは別の交渉グループで取り扱うことが必要という観点から主張しておるわけであります。
各国の意見はそれぞれ隔たりがあるところでありますけれども、何としても、閣僚会議までの準備プロセス、過程におきましても積極的に発言をし、閣僚会議におきましては、我が国の考え方が十分反映されるような形になるように全力を尽くして頑張ってまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/12
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013・河井克行
○河井委員 以上で質問を終わります。お体に気をつけて、しっかり頑張ってください。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/13
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014・松岡利勝
○松岡委員長 引き続きまして、安住淳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/14
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015・安住淳
○安住委員 おはようございます。民主党の安住でございます。
きょうは、大臣が御就任なさって、私、初めて質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いします。大学のクラブの大先輩でもございますし、余談ですけれども、私の祖母が大臣の選挙区に住んでいまして、遺族会で一生懸命大臣を応援しているということですから、きょうはぜひ、祖母にも大臣はやはり誠実な人だということを私はちゃんと伝えますから、正直に、謙虚に答えていただければと思います。
一時間半の質問の中で、私もWTO問題をじっくりやりたいのですが、こういう問題をやる中で、本当はやりたくないというか、大変不愉快な話が最近いろいろ新聞や雑誌に出ていますから、多くの時間を、特に構造改善局の不祥事の問題について取り上げて、私は質問させていただきます。
その前段として、きのう夜遅くお帰りだったようでございますが、WTO関連について、二、三質問をさせていただきたいと思います。
大臣、アメリカと中国との二国間交渉で、北京にバシェフスキーさんが行かれて基本合意をなさって、来年以降どうも中国はWTOに加入をするのではないか。これは、世界経済の中でもはかり知れない大きな影響を持った事案ではないかと私は思っております。
今のところ、この合意内容というのを新聞等々でしか私たちは見ることができないわけですね。その中では、通信、自動車、金融、さらに建設、流通という部門で、かなりの部分、中国が国際ルールにのっとった貿易をするんだということで譲歩をした跡が見られるわけであります。しかし、反面、実は、農業分野において中国がWTOに加入するというのは、我が国にとっても大変な影響を今後及ぼす可能性があると私は思っています。
それは、プラスの部分とマイナスの部分があって、あのとおりの国家でありますから、輸出入の問題に関して言えば、いつでも最大の輸入国にもなるし、輸出国にもなるという国であります。その隣国がまさに我々の国であるということであります。
まず初めに、中国が加盟をする方向になったということについて、大臣、御感想と、今後のWTOに与える影響をどういうふうに考えておられるか。これは別に言質はとりませんから、政治家としての御感想をぜひお話ししていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/15
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016・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 我が国は、従来から、中国のWTO加盟は中国のみならず世界経済の発展にとって重要であるとの認識から、これを積極的に支持したところであります。
このたび、我が国との二国間交渉の合意に続きまして、米中間の二国間交渉が合意したことが、他の主要国との加盟交渉の加速化にもつながり、早期加盟が実現するということを期待しております。
委員のおっしゃられたとおり、これは非常に大きな問題である、こう思うわけでございます。したがいまして、我々としましては、これを歓迎する。その後の影響についてはどうかという点も話がありましたが、これはこれから、加盟が実現をした上でどのような形になるかということはまだ予測することではないと思いますので、とりあえず加盟に向けて合意がなされたということを歓迎いたしたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/16
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017・安住淳
○安住委員 農業分野の交渉が、シアトル・ラウンドも本格的に始まる時期を迎えている。私は、今後のWTOの農業分野のあり方を考えたときに、二十条の問題は次に聞きますけれども、農業の多面的機能という主張ですね、非貿易的関心事項への考慮、この主張をしている我が国にとって、中国の加盟というのは果たしてどういう意味を持つのか。私は、プラスになれば、ケアンズ・グループに対しても大変有効な手段になると思います。しかし、私どもは、中国がどう出てくるのか、今のところは全くわかりませんし、短期的な目でなくて、中長期的に考えたときは、そうは簡単に仲間としては見られない部分もかなり出てくるのではないかなと思うのです。
農業分野に関して、中国の加盟がどういう影響を与えるであろうか。当然それはもう農林省の中でいろいろ分析をなさっていらっしゃるのでしょうから、今の時点でそれをどう判断なさっているのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/17
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018・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 まず、中国がいろいろな要素を抱えておるという今の委員のお話でありますが、中国という国の食料の観点から見ますと、中国は、農産物においては輸入国というよりは輸出国である、それから、農村地域に多くの人口を有している、十二億の人口を抱える国である、こういうような要素があると思うわけでございます。農村にも多くの人々を抱えているという観点からいいますならば、やはり農業の多面的機能というものはこの国でも大きな役割を果たしておる、こういうふうに考えるわけでございますし、また、食料の安全保障という観点からは、非常に多くの関心を持っておるというように伺っておるわけでございます。
一方におきましては、もし加盟が実現するということになりますと、開発途上国に位置するということになるわけでございますから、関税その他の面におきましては特別の配慮等がなされる可能性が出てくる、こういう観点からいいますならば、貿易上は、日本にとりましてはなかなか厳しいものが予想されるということもあり得る。そういう両方の面があるわけでございます。
しかしながら、両国の間で合意をしてきたこともあるわけでございますので、今後いろいろと話し合いをしながら対応していくということが大事ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/18
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019・安住淳
○安住委員 中国が入るということを、我が国の農業の多面的機能、それから、言ってみれば、農業というのは特別な世界で、違う価値観を持っているのだという主張に同調してもらうような努力を私はやはりしていかないといけないと思うんですよ。
公式の場でこういう言い方をするのはちょっとあれですけれども、やはりアングロサクソンの方々と我々は価値観がどうも違うなということを、私も最近非常に感じております、外国に行って。大臣も多分、きのうお帰りになったようでございますが、EU諸国も同調していただいているようだけれども、やはりお金だけでははかれない尺度というのが存在して当たり前であって、そういうことを認めてもらうような仲間として中国を位置づけて、ひとつ今後の農業交渉の分野での連携をぜひ図っていただきたいと思っております。
ところで、WTOの問題というのは、私も長く農水委員会に籍を置かせていただいておりますが、食料・農業・農村基本法を策定する段階でも、このWTO次期交渉との位置づけという点では、はっきり言いますと、食料自給率の向上等々をうたってようやく新しい時代への農業基本法というのを策定したんですが、その法律の言ってみれば根幹にかかわるところで、本当は、木として言えば、植えた木が大木となって大きく育っていかなきゃいけないんだけれども、大臣、その上にどうも屋根があるような気がしてしようがないんですよ。それがWTOだと私は思うんです。
そうなってくると、やはり国際貿易の中に占める位置づけを、今の時点で離脱して勝手にやるなんてことはできないわけだけれども、しかし私は、基本法をつくって、基本計画の策定の中で、これはもう自給率の問題をきちっとやるということは約束ですから、当然農林省はやってもらえると思っていますけれども、その中で考えていったら、これは突き詰めていったら非常に矛盾する話になってくるんじゃないかと私も不安に思うことはあるわけですね。
自給率を上げるということだったら、高たんぱくなものをつくらないといけないわけだから。しかし、それを商業ベースで今の農家の皆さんが、極端なことを言えば、例えば芋をつくるにしても、高たんぱくなものをつくるとなっても、市場のベースの中でそんなの採算とれない、なかなかやっていけないというのは、大臣、それは私のふるさとの宮城だってそうだけれども、岩手もそうでしょう。委員長のふるさとの熊本もそうですね。そういう中で補助金政策が非常に限定される。
そういう中で、どうやって我が国の食料・農業・農村基本法の理念に沿った政策を打ち立てていくのかということは、実は私は、大臣の就任なさったときの、ある意味で一番背負わされた大きな課題だと思いますけれども、このことについての御所見をまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/19
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020・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 これは非常に大事なことだと思いますね。
特に、鉱工業製品と農業というものがどう違うかということは、農業の場合は、自然を相手にしながら営みをしていかなきゃならぬということでございまして、自然状況が悪ければ作柄にも影響する、こういうことがありまして、そういう点では非常に不安定な面もあるわけでございますね。必ずしも計画されたとおりの生産が行われるわけではありませんし、また、国際的にも、豊凶がありますと、貿易の面におきましてもいろいろ影響があるわけであります、価格が上がったり下がったり。
アメリカは、自由化すれば農業が発展するかのようなことを非常に強調する国ではありますが、しかし、ことしの経過を見ていただければ、アメリカにおきましては、議会において農業を支援するために、八十五億ドルの支援措置を法律を通してしておる。こういうようなことを見ましたときには、やはり、農業といいますのは、ただただ市場性とか経済性だけでははかることのできない要素を持っておって、これこそまさに非貿易的関心事項の最たるものであるし、農業を持続せしめていくという上におきましては、この多面的な機能というようなものも大事にして進めていかなければならぬということを意味しておると思うんです。
だから、そういう点をもう少し率直に意見をぶつけ合うということが私は大事だと考えておるわけでございますので、今後とも、委員の提唱された諸問題等については積極的に議論の展開をしてまいりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/20
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021・安住淳
○安住委員 私もそう思っていますけれども、日本の農家の皆さん、みんなそう思っていると思うんですよ。やはりこれはシアトルで、大臣、代表して行かれるわけだから、堂々とそのことについては主張していただく、主張が通らないときは職を賭してもやる、そういう気持ちでぜひ頑張っていただきたいと思います。
さて、この話はここで終わりにしまして、大臣、私、ここからが実はきょうはいろいろお話をしないといけない話で、WTOの、UR、ガット・ウルグアイ・ラウンド関連対策事業、つまり、この何年間かの歴史を少し考えてみますと、ミニマムアクセス受け入れ、非常に苦渋の選択を我が国はしたわけであります。そのときに、こういうことだったですよね、今後の農業の、特に米を中心に基盤の強化を図っていかなければならない。つまり、足腰の強い農業をしっかりつくって、外国からの輸出攻勢に対して我が国農業がしっかりと太刀打ちできるような基盤をつくるために、六兆百億というのを投入して、全国的な規模で構造改善事業を初めやっていくんだということで、この予算というのはたしかできたと思うんですけれども、大臣、そういう認識でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/21
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022・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 趣旨としてはそのようなことで進めてまいりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/22
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023・安住淳
○安住委員 もともとこのお金、何が根拠で、例えば公共部門三兆一千億、非公共二兆八千億、どういうお金で、これぐらいの金がついたのかというのは、私はわかりません。当時の大蔵省の主計当局に聞いても、まあ腰だめというか政治の中で決まったことでございますからということでした。
私は、この農水委員会で延々と実はこの問題をこだわってやってきたんです。何をこだわっているかというと、大臣、六兆百億円を使った、では、六年間使って、まああと二年残っていますよ、これは先手を打たれると困るんで言っておきますけれども、確かに、圃場整備率等は上がりましたよ、何%かは上がった。私の宮城でも、まだまだやっていないところもある、しかし、かなりこのお金で進んだことは事実、そのことについては私は率直に評価をします。
しかし大臣、現実に、この六年間で、結果として、このお金を投入して、あと残り二年だけれども、この時点で日本の農業の足腰は本当に強くなりましたか。我が国の農業を若い人や、農村地帯で、東北なんかでもそうです、頑張ってやっている人はいる。このお金でつくったスキームで大きなハウスをつくって、私の選挙区でも本当に、花をつくったり二、三成功例はあるんです。しかし、全体として、このお金は私たちの国の農業の明るい将来を開いたでしょうか。最初にその話を聞きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/23
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024・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 このウルグアイ・ラウンド合意後の関連対策の目的とするところは、今委員の言われました足腰の強い日本の農業というものを形成して、外国の農業と競争ができるような基盤をつくっていく、こういうことを目標としまして、生産基盤の充実あるいは農業近代化施設の整備、農地の利用集積により担い手の経営規模の拡大、労働時間の短縮、こういうことを目標としましてこれを実施してまいったわけでありますが、完全に目的を達したということは言えないとは思いますけれども、着実に成果が上がってきている、こういうふうに考えております。
例えば、具体的に言いますと、担い手育成型圃場整備事業等で、平成八年度及び九年度に完了した三十七地区について見ますと、例えば担い手の経営規模が約二倍に拡大しております。水稲の労働時間が約七割短縮し、水稲の生産コストも約六割低減するというような成果が上がってきているところもございます。
それから、農業構造改善事業による水稲育苗施設や乾燥調製施設等の農業近代化施設の整備を通じまして、水稲の育苗にかかわる労働時間の半減、乾燥調製コストの二割削減、こういうような効果が生じてきておる。
それから、農地流動化対策では、農地保有合理化法人等による利用集積の促進の結果、平成十一年三月までの四年間で約三十五万ヘクタールの農地が流動化されまして、二百四万ヘクタールが担い手に集積をされまして、担い手農家の経営規模の拡大に貢献してきている、こういう成果を上げておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/24
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025・安住淳
○安住委員 いやいや、数字を見ればそうかもしれないけれども、実態はどうかということです。大臣の地元の盛岡の郊外で、このお金を使っていろいろな事業をやって、ウルグアイ・ラウンド以後、シアトルの次期交渉になって、残念ながらこれは関税化を受け入れたわけですから、関税化を受け入れてこれから関税化のハードルは多分どんどん下がっていく可能性がある。そういう中で、我々はそういうことに太刀打ちできるしっかりした農業、農家をつくったから心配ないんだという明るい希望が見えてきていますかという話を私は聞いているのですよ。
前段で言ったように、圃場整備率なんか上がるわけですよ、お金を使えば、上がるんですよ。私が言っているのは、これは一体の話ですから、大臣、米の話だけさせてもらうと、何ですか、二年間の減反、私は本当にこれは不愉快きわまりない、来年度も続けるという話でしょう。暫定的に二年間減反を強いた、それも、生産の非常に多い、米の収穫の多い地域にこの二年間は減反を強いて、今回抜本的な改革をすると私は期待をしていた。しかし、そうでない。それをまた引き続き強制的にやらせるという話だ。
つまり、大臣、WTOの問題で一番やらないといけなかったのは、六兆百億円をどういう形でもいいからお金を使って、今お話があったように農地の流動化、これもどんどん、三十五万だ、少ないに決まっているじゃないですか。我が国の今の農地面積の、これは一割にも満たないわけですよ。規模の拡大もそう、担い手の育成もそう。やはり目に見える形で、これだけ多くの国民の皆さんの税金を使って、私は農家の皆さんは期待していたと思いますよ、どういうふうに国際化に備えて我が国農業は強くなっていくんだろうかと。しかし、現実には、私のふるさとでもそうですけれども、残念ながら、もう日本の農業の、農林省の言うことに対して期待感を持っている人はいないんじゃないですか。残念ながら、演歌ではありませんけれども、あなたあしたが見えますかと言って、見えると言う人はだれもいないと思いますよ。
つまり、一体で総合政策をやらないといけないわけでしょう。お金を投入して基盤はつくりました、しかし、右手で減反を強制して、みんなでまた横並び主義で、競争主義をできるだけやらないようにしましょうとやっているわけですよ。どうやってこれは外国の、例えば中国の話を、だから私もしたんだけれども、足腰の強い農業をつくるというのは、お金を使って圃場整備率を何%にしたとかそういう話ではないと私は思います。
いかがですか、大臣、私の考え方は間違っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/25
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026・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 つくったものがすべて売れるという状況、米の段階においてそういうことが実現できればこれにこしたことはないわけでありますけれども、残念ながら、生産と需要と一致しない、むしろ消費が減退傾向にある。一方におきましては、豊作等含めまして米が過剰状況になっておる。
そういう中におきまして、減反、転作を進めてきたわけでございますが、これは、今強制という言葉を使われましたけれども、しかし、過剰状況がいつまでも続いていくということになりますと、限りなく米の価格も下がってまいりますから、この再生産を可能とするかどうかという問題点があります。
したがいまして、やはり減反、転作におきましては、できるだけ農家の皆さん、団体の皆さんともよく話し合いをした上で、最善の方法として、最良の方法としてとってきた政策である、こういうふうに考えるわけであります。また、転作としましていろいろな作物をつくっていただいてきたわけですが、しかし、今回、大綱を発表することによりまして、この中でも、大豆、麦それから飼料作物、ここをできるだけ本格的な生産という形で進めてまいりまして、実質的にも米と同じような重要性を持った作物として振興していく、こういう政策もあわせとっておるわけでございますので、こういう点も見ていただかなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/26
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027・安住淳
○安住委員 いや、もう転作、三割減反というのは、要するに、我々の地域なんかでも、一時的な問題なのかなと思っておったら、どうもこれは転作じゃなくて本作だ、そういう話になってくるわけですよ。
しかし、私が言っているのは、本当に農家の皆さんが納得するような解決の仕方というのはあると思いますよ。何で米作地帯に大変な負担を強いたのか。やはりそれは、産地間の特性を生かすという話じゃないわけですよ、全国一律にやっているんですから。強制でないというけれども、それは大臣、素人はそれでわかるかもしれないけれども、農家の皆さん方に言ったら笑われますよ、そんな話を今やっていたら。私はそう思います。
だから、これ以上は、次の話をしないといけないですから、あれですけれども、ウルグアイ・ラウンドのときに、お金を、六兆百億あった、それを本当に六年後の今の時代に合わせて、備えて何をするかということをもう少し深く考えなければいけなかったんじゃないですか。ところが、土地改良なんかは目標があるからまだあれですが、それ以外のことでいうと、農村対策というのもありましたね、大臣、そうですね。
さあ、そこで、私は、本当に現場でまじめに一生懸命農業をやっている方、たくさん知っています。そういう方々から見たら、この話はうんと不愉快な話ですよ、私も不愉快になるぐらいだから。
構造改善局、どういうことをやっているところかというと、今私が話したウルグアイ・ラウンドの予算で、公共、非公共という部門でいうと、特に今回問題になっているのは非公共の予算の使われ方、これをめぐって、一部業者から、農林省のいやしくも課長補佐クラス、これらが接待を受けて、その会社に海外旅行にまで連れていってもらって、大臣、大きな問題になっているわけですよ。
私、こうやって資料を見ていると、とにかく新聞も週刊誌も毎日このこと、神奈川県警も有名だけれども、だんだん農林省の構造改善局も同じようになってきましたよ。これはどういうことですか、大臣。
つまり、六兆百億円を使って、私の考え方をまず言わせてもらいますと、新規の事業をいろいろやろうと思った、しかし、予算がいっぱい、じゃぶじゃぶとは言わないが、本当に農業のために使うというよりも、自分たちの部署で、そういうお金が来たものだから、いろいろな会社を抱き込むような形でそのお金を消化していく、あわせて天下り先をちゃんとつくって、これは政官業の癒着の構造が浮き彫りになっているのじゃないですか。結果として、それが、まじめに現場で働いている農家の皆さんにとっては何の利益にもなっていないという話ですよ。今からじっくりやっていきます。
さすがにこれは農林省も重い話だと思ったのでしょう。前任者のときに、農林省としては初めて、訓令として調査委員会をつくったという話がある。
最初に伺います。大臣はもちろん農林水産大臣でいらっしゃるけれども、現在の農林水産大臣は、過去の農林省で起きたことについても一切責任をとられますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/27
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028・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 農林水産大臣といたしましては、過去における農林水産省の問題についても当然責任を持って対応してまいる考えです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/28
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029・安住淳
○安住委員 特に、東北の御出身で、非常にはっきり物を言う大臣でいらっしゃいますから、今の言葉を私も信じて、これから質問をさせていただきます。
それでは、具体的に入ります。
新聞等々の話も、直接構造改善局、また農林省の中でこの調査委員会をやっている方々から、私も事情を聴取いたしました。なぜ調査委員会を設けて、この事件、この不祥事というのはどういう背景で生まれてきたのか、このことについて、大臣、多分当然お話を聞いているでしょうから、御自身の言葉で、どういう事案なのかということを国民の皆さんにわかりやすく説明してください、後から私は話しますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/29
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030・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 私が就任する前のことでありますけれども、経過をまず申し上げておきたいと思います。
農業構造改善事業につきましては、最近に至るまで幾つかの指摘や投書等がありまして、これらについて事実関係を明らかにするとともに、事業の執行体制の適正化を図るため、本年一月に、大臣の訓令に基づき調査委員会を設置したと伺っております。訓令に基づく調査委員会は過去に例がないと聞いておりますが、これは、厳正かつ徹底的に調査を行い、改善すべき点は改善していくという前中川大臣の強い意思のあらわれであったと認識しておりますし、私もそれを引き継いでやってまいりたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/30
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031・安住淳
○安住委員 私、その調査委員会の、中川大臣が出された訓令を持っております。もっと平たく言いますと、週刊誌等々に載っていますから、大臣、当然ごらんになっているんでしょう。写真まで撮られていますね。
つまり、公共、非公共、中でも今回の不祥事というのは、非公共部門の予算執行にかかわる職員が、後で話すけれども、その予算をいわば一括して、丸投げして工事をもらっている、つまり、補助金をもらっている特殊法人を通して仕事を受けている、そういう関連の業者から過剰な接待を受けて、なおかつ海外旅行にまで連れていってもらった、そういうことですね、大臣、そういう認識でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/31
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032・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 現在、調査委員会におきまして、過去五年間に農業構造改善事業及び山村振興事業に関係するポストに在職した職員を対象に、今言われました会食それから旅行、農林水産省の職員倫理規程に触れるような行為につきまして網羅的に調査しているということで、私も報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/32
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033・安住淳
○安住委員 その続きがあるわけですね。
実は、構造改善局の中には二つの勢力があって、政治的に言うと派閥とでも言うのでしょうか、それが激しい争いをしている。これは多分、予算の獲得等をめぐって激しい争いをしたのでしょう。お互いがお互いの不祥事を告発し合うという事態にまでなっているわけです。そうなんですよ。だから、両方がいわば、こっちの不祥事がある、こっちの不祥事があると。(発言する者あり)いやいや、これは農水省は認めているんですよ。報告書の中にもちゃんとこれは書いてあるんだ。自民党の皆さん、やじるのは勝手ですけれども、報告書をよく読んでからにしなさい。
大臣、私が言いたいのは、二月に、中川大臣のときに、このことについて調査委員会は報告書を出しているわけです。ごらんになりましたですか。構造改善局長渡辺さんの中間報告という形で、一月の訓令を受けて、二月に出しているわけです。まず、これをごらんになったかどうかだけ確認しましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/33
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034・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 中間報告として、見ました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/34
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035・安住淳
○安住委員 そのときに農林水産省は、この中間報告を、故意とは私は言わないけれども、しかし、発表しなかったということは故意だというふうに言わざるを得ない。一月に訓令が出て、それでこの不祥事について関係者から事情を聞いた。事情を聞いたけれども、事情を聞いて出した中間報告については、実は全く表に出さなかった。ある新聞社が七月にスクープをしたから、結果的には公表せざるを得なかった、大臣、そういうことになっているわけですよ。
しかし、その後、もう一つあるんです、二転三転した。この報告書の内容で、農林省の内部では、人事異動もさせたし、問題のある職員の人事の適正化も図って、システムもある程度改善したという話がある。しかし大臣、その後どうですか。十月に入って、また新たな疑惑が出てきたわけですよ。これは新聞にも出ています。つまり、その業者の接待で海外旅行にまで連れていってもらったという疑惑が出てきて、十月二十一日にそのことがある新聞に書かれて、たしか読売新聞だったと思いますが、大臣は取材を受けて、この調査報告では事実関係がさらに出てきたので、もう一回調査をしますと。これは高木事務次官が、その日の午後二時かなんかの記者会見でもそういう話をした。
つまり、中間報告ということになっておるけれども、私の認識では、この中間報告をやった後は、農林省として何も調査なんかしていなかったのじゃないですか。十月になって、もう一回こういう疑惑が出てきたから、大臣が就任してから、大臣は九月前というのは大臣でないからかわいそうなところは私も同情するところはあるのですけれども、十月になってから急遽また調査をするという話だから、今調査を始めたということじゃないのですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/35
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036・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 先ほどから委員もおっしゃっておるように、これは中間報告ですから、調査委員会は続行しまして、さらに問題点があるかどうかというような点については調査をしてきた、こういうように報告を受けております。
したがいまして、今後、いろいろな問題点があったとすれば、その調査も行っていかなければいかぬ、こういう認識です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/36
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037・安住淳
○安住委員 こういう話は私も、嫌になるというか、がっかりしますよ。これからウルグアイ・ラウンドの次期交渉で、シアトルでの交渉が始まるというときに、六兆百億円を使って農業基盤を整備しようという話で、一生懸命期待を持って農家の皆さんも見ていた。実際、足元で予算執行をしている構造改善局が業者から接待攻勢を受けて、それでまた内部のずさんな調査で、これを隠ぺいしようとしたとは、私は言わないけれども、そういう話でしょう。
それで、どんどんまた不祥事が明るみに出てきた。要するに、この話では終われないから、さらに体制を強化して調査をしているという話で、今、現在進行形で来ているという話ですよ。そうですね。
では、この調査報告書の中身について少し、私の方から読み上げますから、大臣、御感想だけ聞かせていただきたいんですよ。私は、この調査報告書、きのう事情を伺いました。どういうことかというと、これは委員会の皆さんもぜひ聞いていただきたい、多分読んでいる方は少ないと思うので。
こういうふうな話があるんですよ。この調査報告書は、六つの点について調べているんです。構造改善事業及び山村振興事業の地区認定や事業費の配分に関して、農水省の当時の担当者がどういう点が問題があったかということを指摘しています。
一点目が地区認定、つまり、我々の言葉で言う箇所づけ、どこに予算を決めるかを、予算の決定前にその地域に事前に連絡をしていた。次に、恣意的な新規採択や予算配分がどうもあったのではないか。さらに、予算を決めて、ある町でこの予算を上げますといったときに、その町の担当者に対して、農水省の構造改善局の方から意図的に、このコンサルタントを使いなさいというあっせんがあった。最後に、これらに伴うコンサルタント業者から役所の職員に対して便宜供与があったのではないか。
さらに、これは個人の問題をひとつ超えて、構造改善局の事業発注のあり方について、関係公益法人の独占受注があったのではないか。この話は詳しく今からやりますけれども、つまり、特定の公益法人に仕事を丸投げして、そこに加盟している会社が全部の仕事をとる、そういう話があった。それから、関係法人から民間企業への一括の再委託、いわゆる丸投げがあった。
この六つの点について関係者から事情を聴取したという話です。それで、事情聴取した内容がそれぞれ書いてあるんですよ。全部を話すわけにはいかないから、特徴的なことをまず言いますと、新規採択や予算配分の問題について、関係者の聞き取り調査をした範囲内で、事実を明確に主張した者は一名あった、さらに、予算配分等に特定の者の意向が強く働いたのではないかという証言もあったと書いてあるんですよ。本件に限らず、構造改善事業については、班長行政と言われるように、それぞれの課長補佐の意向が強く働いていると見られているが、事業の地区認定、つまり、どこに予算をつけるかについての基準が不透明である、新規採択や予算配分が長きにわたり専門的知識や経験を積んだ担当者の裁量によって行われる余地が存在したと認めているんですよ。
ところが、違うこともあるんですよ。違うことというのは、この書き方は役所の文章じゃないかなと私は思いますよ。地区認定の予算決定の前に、おまえのところに予算をつけてやるからという事前連絡があったという問題に対しては、一人の人は明らかにそれがあると主張したのであるが、そのほかの大多数はこれを否定したとだけ書いてあるんですよ。
大臣、私はマスコミにいましたが、例えば、今みたいな書き方をしたらおかしいんじゃないですか。一人でも事実を言っていたら、今度はこれが事実かどうか確認をして調べるのが調査委員会であって、一人の人間がそういうことを言った、しかし、残りの大多数は否定したからという調査委員会の結果中間報告というのは、私はどうもこういう書き方は納得できないですよ。普通、私がもし所管の大臣だったら、この一人の言っていることをもうちょっと調べろとかやり直せという話になると私は思うんですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/37
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038・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 確かに御指摘の点もあるわけでございます。
この調査委員会は誠意を持ってやったと思いますけれども、強制捜査権はないわけでありまして、限界もあるということも御理解をいただきたいと思うんですが、できる限りの事実確認に努めておるということであります。
それで、精力的にヒアリングを行いまして調査結果をまとめたと認識しておりますけれども、当時把握し切れなかった事実関係が最近になって報道されていることから、これを踏まえ、再調査を指示し、現在調査を行っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/38
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039・安住淳
○安住委員 ちょっとそもそもの話からさせていただきます、事実関係を詰める上でも。
大臣、この問題は、実は、先ほど大臣御自身も認めたように、各報道機関やそれぞれの関係者に対していろいろな情報のリークがありました。つまり、構造改善局の中で何がしかの争いがあって、それが言ってみればお互いのグループをたたき合うという状態になった。
ところで大臣、最初に発覚したのは、私の認識では、九七年から八年にかけての話であります。なぜことしの一月になって急遽この問題を、大臣の訓令という極めて異例の、農水省にとっては極めて恥ずかしい訓令だと私は思いますよ、戦後初めてですから、調査委員会を設けてこの不祥事を調べるというのは。大臣、なぜこれを大臣訓令で一月に、だれの示唆で、どういう状況になったから訓令を出して調べるという話になったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/39
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040・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 農業構造改善事業といいますのは、御承知のとおりの、農業発展のために努力するという事業であります。そういう事業を進めていく上におきまして、いささかでも疑念を生ずるような事態があったならば、これはみずから襟を正さなきゃいかぬ、そういう趣旨でこの調査委員会を設けられた、このように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/40
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041・安住淳
○安住委員 最初の調査項目に当たっている担当者の職員は、新聞の取材に対して、みずから、九七年、九八年、二年間だけでも、少なくとも五十回ぐらい接待を受けた、この会社は一年当たりこの接待費に使った金は百五十万を超えていると書いてあるんですね。
大臣、聞いていらっしゃいますね、もちろん。(玉沢国務大臣「ちゃんと聞いています」と呼ぶ)事情ももちろんね。挙げれば切りがないくらいあるわけですよ。
それで、個別の名前は、別に犯罪を犯したわけじゃないから、私は今申し上げません。個別の職員の名前も、それから、どういうふうにこうやって回数を受けて、どこの業者からどういう接待をどれぐらい受けたかということも、大臣、報告はちゃんと入っていますか。聞いていますかということです。どの職員の話で、大臣、いいですね、わかりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/41
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042・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 今調査中でございますので……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/42
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043・安住淳
○安住委員 そうじゃなくて、大臣、私は、ここで別に全部名前を出してもいいんですよ。なぜかというと、全部私のところに来ているんだから、いろいろな報告書が。両方のグループ、何か知らないけれども、垂れ込みでいろいろ来る。わかっているから。
だけれども、私が言っているのは、事実認識をちゃんと持っていらっしゃるかどうかを確認するために、どの職員が、今どこにいる職員が調査対象になっていて、調査委員会がその本人に事情聴取をしている。例えばその業者とどれぐらい飲み食いをしたかとか、そういう話は全部、大臣御認識ありますかと聞いているんです。内部の報告を受けていますかと聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/43
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044・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/44
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045・安住淳
○安住委員 受けているのであれば、なおさら聞きやすいんです。
十月の終わりごろ、新聞にこの問題が再度また出てきました。つまり、その職員の何人かは韓国旅行に業者に連れていってもらったという話がある。そうですね、大臣。それで、さらにもう一方のグループの人間が、今度はほかの業者に中国旅行に連れていってもらったという話が、今度は逆に先週出てきました。大臣、このことも報告を受けていますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/45
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046・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 御指摘の点につきましても、調査対象として現在調査中との報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/46
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047・安住淳
○安住委員 今のお話は、要するに調査委員会の調査対象になっているというふうに認識していいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/47
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048・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 調査対象として、現在調査中との報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/48
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049・安住淳
○安住委員 この新たな事実が出てきた、そして調査委員会がまた調査をしていると。
大臣、先ほど私、ちょっと気になったので聞きますが、調査委員会は中間報告を出した。その後も調査を継続していたのですか、それとも今回新たに出たから再調査を大臣が命じたのですか。どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/49
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050・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 調査委員会は、事実があった場合に調査するという形できたと思います。つまり、姿勢としましては、中間報告を出したのは、中間報告ですから最終報告じゃないわけですから、調査委員会が続行してきているということは、当然問題意識を持って調査に当たってきた、こういうふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/50
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051・安住淳
○安住委員 それだったら随分ずさんじゃないですか。大臣、二月に中間報告をやってから、十月までの間に本当に調査委員会をやっていたのだったならば、新聞紙上や報道機関にこんなことを書かれる前に、調査委員会で、この話は事情聴取の中でちゃんと受けてなきゃいけないのじゃないですか。今言ったことはうそじゃないですか、もしかして。
実は、中間報告を二月にまとめた段階で、調査委員会はその後は何もしない。なぜ私はそういうことを言うかというと、大臣、調査委員会の中間報告が出た後、担当になっている職員に対しての処分を農林省はしているのじゃないですか。それも口頭注意という形でだけやっていますよね。それで実際、人事をやっているんでしょう。そのポストから職員を地方に飛ばしているんですよ。大臣、そうであれば、調査を続行したというのは、今の言葉は本当に正しいですか。私にはとてもそうは思えないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/51
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052・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 前大臣は、調査委員会を続行し、事実があった場合は直ちに調査に入る、こういうことを国会でも明言をされている、こういうふうに考えておりますので、決して隠ぺいするとかなんとかということではございませんで、ちゃんと倫理規程に従って行われているものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/52
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053・安住淳
○安住委員 問題となっている職員の何人かが、その後新たな疑惑が十月二十一日に発覚したわけですよ。はっきり言えば、我々がわかったのも、新聞や報道機関のおかげですよ。調査委員会として、つまり大臣、私がなぜこだわっているかというと、大臣は、二十一日に、これはちゃんと新聞にも載っているんです、高木事務次官の話も、再調査を指示したと書いてあるんですよ。調査委員会がずっと継続してやっていたら再調査を指示する必要なんかないじゃないですか。体制も規模も大きくしてやったと、さっきおっしゃったのですね。ということは、どう考えたって二月のこの中間報告、渡辺局長が中川大臣にこうでしたとやって、その後口頭処分までして、人事の適正化までやったと書いてあるんですよ、中間報告とはいえ。事実上これでおしまいという話になっていたのじゃないですか。それを新たな疑惑がまた書かれたから、大臣、これは見過ごすことができないからやってみろともう一回やって、もう一回動き出したという話でしょう。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/53
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054・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 何回も申し上げておりますけれども、調査委員会は継続してまいりまして、新たな事実とかそういうことが起きた場合におきましては当然再調査するわけでありますから、指示があったという趣旨は、再調査をこの件についてはやるべきではないかということであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/54
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055・安住淳
○安住委員 私が言いたいことはこういうことなんですよ、大臣。最近の神奈川県警、見てください。次から次へと、もう終わりですと言いながら毎日のように不祥事が出ているのですよ。つまり、役所がそういうことをやると、多分神奈川県警で現場でまじめに働いている警察官は非常に嫌な思いをしていると思います。同じことなんです。同じことというのは、私が言っているのは、どうも調査委員会の事実解明というのは身内に非常に甘いのじゃないかと私は思いますよ。大臣、このことは、もし言うのだったら率直に言っていただかないと、甘くないと言うのだったら、我々もまた違う質問の仕方があるのですよ。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/55
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056・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 身内に甘ければ調査委員会など最初から設けないですよ。しかし、設けたということは、みずから明確にしっかりやっていく、こういうことなんでありまして、これは前大臣が決意したという趣旨を、やはり理解していただきませんといかぬと思うわけでございます。
それで、具体的な点についても明確に申し上げておきますけれども、二月に取りまとめた中間報告を踏まえまして、三月から四月にかけて、まず地区認定等の基準の明確化や第三者委員会の設置等による適正かつ円滑な事業の実施、倫理規程の遵守についての職員への注意喚起、他の専門分野との大幅な人事交流を逐次実施しており、改善すべき点は改善しております。
現在調査中の事項につきましても十分な調査を行った上で、処分すべきものは厳正に処分するとともに、改善すべき点はさらに徹底を図るよう指示しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/56
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057・安住淳
○安住委員 お言葉はそれでいいですよ、実際、本当に事実解明をしてやっているのかどうかということを我々は疑問に思うのですよ、今までの対応を見て。そうでしょう。だって、農林省からこういうことがあったという調査報告なんか一つもないのですから。マスコミがそういうことを書いて、こういう不祥事がまたあったのかという話だから、農林省は慌てて、また調査するという話なんじゃないですか、大臣。
私、この問題の本質的な話をしたいと思うのだけれども、一つ質問します。構造改善局で今起きているこの不祥事、事業をめぐり業者から多額の接待を受けたり、言ってみれば接待漬けになっていたり、こういう話というのは職員個人の問題なんですか。それとも構造改善局の事業発注等々をめぐるシステム全体の中に起因する問題なのか。どういう認識を持って調査委員会にこの調査をするよう命じているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/57
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058・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 やはり、これは行政システムの点で問題がないか、あるいは個人的な道義の問題としても問題がある、そういう観点から当然調査をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/58
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059・安住淳
○安住委員 システムの問題でもあるということは認識なさっていますね。もう一回。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/59
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060・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 反省すべきところは反省するという観点で取り組んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/60
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061・安住淳
○安住委員 私は、これからそのシステムの問題についてお話をしたいと思います。
大臣、非公共部門の仕事をしている、特にコンサルタント等の仕事をしている公益法人、今から挙げる五つの法人について、知っているか知らないか、まず伺いますから、お答えをいただきたいと思います。農林漁業体験協会、全国農業構造改善協会、日本農村情報システム協会、ふるさと情報センター、二十一世紀村づくり塾、これらのコンサルタント業務をやっている公益法人のことは当然御存じですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/61
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062・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 今御指摘をされた非公共五協会というもの、全国農業構造改善協会、日本農村情報システム協会、農林漁業体験協会、二十一世紀村づくり塾、ふるさと情報センター、以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/62
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063・安住淳
○安住委員 つまり、ここには農林省の職員の方が天下りをしておられる、そして、補助金をもらっている公益法人ということは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/63
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064・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 農林省をやめましてから再就職した人がいるというふうに伺っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/64
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065・安住淳
○安住委員 補助金も事実ですね。補助金を受け取っているのも事実ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/65
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066・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 委託費等の補助金と伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/66
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067・安住淳
○安住委員 非公共部門の事業発注について、この公益法人がどういう役目を果たしていたか、その中から多分今回の問題というのは起因していると私も認識をしておりますので、少し詳しくこの問題について質問をさせていただきたいと思います。
つまり、構造的にいうと、農水省が事業の認定をして、各都道府県を通じて市町村の採択をする、申請されたものに対して。これに対して、市町村が事業をやるときに、本来であれば市町村は、言ってみればコンサルタント業務等々は業者さんを自由に選べるわけですよ。大臣、そういう仕組みになっていることはまず御理解いただけると思うんですね。
ところが、実態はどうか。非公共事業部門に関しては、今言った五つの公益法人が事実上仕事を独占している状態である。それも、調査委員会の最初の報告にあったように、恣意的に、ここを使えというふうな話で、暗黙の圧力というか、市町村の方々は、予算を採択する前に、採択してあげるから、あらかじめこの公益法人を使いなさいということを実は言われたという市町村もあるぐらいなんです。つまり、そういう仕組みですから、市町村は非公共事業の新規採択を受けて、そのコンサルタントをこの公益法人に委託をする。この公益法人というのは今大臣が認めた五つあるわけです。その中の一つを取り上げて、今度の問題について少し考えてみたいと思います。
大臣、農林漁業体験協会というのがございます。報道によると、役職員中の農林省のOBは四人。ところが、驚くべきことがある。この農林漁業体験協会は、約五十社近い会社がこの協会に加盟をしているんです。民間会社です。名前は言いません。私のところに資料がある。この協会は、農林省の天下った人たちと、この協会に加盟をしている株式会社の社員が出向した形でつくっている協会です。平成十年度に出向社員は二十六人。つまり、こういうことですよ。公益法人というのは名ばかりで、名ばかりというか、名前は確かにある、公益法人は、農林省の天下りと、この協会に加盟している会社の社員が出向した形でつくっている公益法人です。それが、市町村が仕事をもらったときに、コンサルタントして、ここを使えと言われるから、みんなほとんどここを使っているわけですよ。
そうすると、どうなるか。大臣、私が持っている資料でいうと、こういう話なんです。この農林漁業体験協会に来た仕事を、農林漁業体験協会が今度は業者に分けていくんですよ。例えば滋賀県の○○町、何百万の仕事はどこどこの会社、つまり、この体験協会に加盟している会社に仕事を丸投げしているんです。その采配をしているのは、会社から出向した社員である出向者ですよ。これは談合の巣じゃないですか。みんな同じようなことをやっているんですよ、大臣。
最初に聞きますけれども、これは大臣に就任なさってまだ数カ月で本当に申しわけないんだけれども、しかし、これはもう、先ほど私が説明したように、過去のことについても責任を持たれると明確に言われたから私、言いますけれども、農林漁業体験協会というのはそもそもどういう経緯でできたんですか。それで、大臣、なおかつ、私にとっては聞いたこともない会社、何でこの会社はこの協会のメンバーに入って、どういう資格でこの協会を運営しているんですか。それを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/67
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068・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 農林漁業体験協会は、農林漁業の体験活動を推進することを通じて、農家民宿の普及を図り、グリーンツーリズム等都市と農村の交流を促進することを目的として設立された公益法人であります。
具体的な業務内容としましては、農村休暇法に基づく農家民宿の登録、都市と農村の交流の促進のための活動、体験農林漁業に関する広報宣伝、体験施設の計画作成等に関するコンサルタント活動などを行っており、公益法人に対する指導監督権限に基づき業務状況の報告を受けているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/68
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069・安住淳
○安住委員 いやいや、大臣、それは私もわかるんです。そういうことを聞いているんじゃない。いいですか、農林漁業体験協会というのは、一応これは補助金をもらっている団体ですよ。なぜこの団体ができたかという話をしているのではない。体験協会、どういう資格で、何をもってこの会社で構成しているのかという話ですよ。
名前は言わない。例えば株式会社Uという会社は、平成九年、十年にこの体験協会に六人出向者を出しているんですよ。しかし、給与のことを言わせてもらうと、大臣、この職員に対する給与を、農林漁業体験協会は払っているけれども、実はどういう仕組みで払っているかというと、本人に払っているんじゃないんです。Uという会社に対してお金を振り込んでいるんですよ、こっちの調査だと。要するに、それはまるっきりの出向ですよ。体験協会の職員扱いにもしていないんです。つまり、会社の社員という名目で来ている連中に給与分の補助金を払っているんだけれども、もともとウルグアイ・ラウンド予算ができたときからこういう協会というのは結構あるんですよ。その一つとして私は取り上げているんだけれども、ここに書いてある株式会社は何の資格で公益法人の協会のメンバーになったんですか、だれがこれを選んだんですかと聞いているんですよ、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/69
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070・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 農林漁業体験協会においては、協会の趣旨に賛同する市町村、個人、法人が、理事会の議決を経て、一定の会費を納めれば賛助会員となることができると聞いております。また、体験協会が市町村などからコンサルタント業務の委託を受けた場合、その業務の性格、量に応じて一部業務を民間企業に発注しているものと承知しておりますが、それについてはその企業の得意とする専門分野や過去の実績等を踏まえ行っているものと聞いております。
なお、本年度から、体験協会が民間企業を選定するに当たり、協会内に設置した学識経験者から成る第三者委員会に諮っているものと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/70
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071・安住淳
○安住委員 就任なさって、それも外国からゆうべ帰ってきたばかりで、私がこういう質問をするので、なかなかレクも満足に聞けるような時間的余裕がなかったんで申しわけないと思いながらも、大臣、でも過去のことに責任をとると言うんだから、私、ちゃんとやっているんですよ。これは勉強して答えてもらわないと困る。
本当は違うんでしょう。いろいろな事業があるので、農林漁業体験協会という公益法人をつくって、そこに丸投げするシステムをつくったのは農林省じゃないですか。ここに入る会社を恣意的に選定してメンバーズシップの談合体制をつくろうと言ったのは、今回問題になっている職員だというのは定説ですよ。もうこれはうわさとして流れている話です。こういうことから今回の不祥事というのは実は起きているのですよ。この仲間に入れてもらわなかったグループが、新たなグループをつくって指し合いしているという話じゃないですか。
つまり、大臣、私がさっきからこだわっているのは、調査委員会が本当に身内に甘くないというのだったらば、二月の中間報告を出した後、こういうことは、今回の場合、両方の陣営が積極的にみんなしゃべっているのですから、調べようと思ったら幾らでも調べられて、構造改善局の事業のあり方が本質的に問われている話だというのはだれでもわかる。しかし、そういうことを本当に調査でやってないじゃないですか。やっていますか。私はやってないと思いますよ。
まして、肝心のところに大臣は答えていらっしゃらない。だれがこの会社を、この協会のメンバーとして決めたのですか。だれでも入れる。私はそれは聞いていませんよ。大体、この協会がスタートしたときに何でこの会社が入っているのですか。大臣、これはおかしくないですか。過去のことではあるけれども、こういうことを繰り返して、特定の人間が、農業者が潤うはずの、豊かにしないといけない予算を農業の周辺にいる業者が食い物にしたという話になるのじゃないですか、大臣。(玉沢国務大臣「聞いています」と呼ぶ)いや、そちらの話も聞いているようだから。私、問題だと思いますよ。こういうことは、今の時代、許されるのですか。こういうところを公益法人として認定して丸投げさせるという体質は、時代の遺物じゃないですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/71
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072・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 丸投げ丸投げと言っていますけれども、業務の仕方については、全部が全部その協会でやれるというわけではないですから、それは民間に委託する部分もあると思うわけでございます。
それで、今後のことでございますけれども、やはり中間報告を踏まえまして、業務運営の透明化、効率化につき指導してまいりたい。公益法人につきましては、事務手続の改善措置に即した適正な業務執行の確保を徹底いたしますとともに、今後、予算の執行、組織のあり方についても早急に検討してまいりたいと思います。
いずれにせよ、仮にも世の中から指弾を受けることのないよう、厳しく団体を指導してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/72
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073・安住淳
○安住委員 今回は五つのコンサルタント業務の公益法人の問題、大臣、これは非公共の部分でこうですよ、今回、僕は公共はやらないけれども。つまり、農林予算に巣を食うというか、特定の構造改善局で長く仕事にあった人間がこういう業界をいわばコントロールをして、自分たちの予算を発注したところに丸投げをして、協会に加盟している業者に各町の仕事を全部振っているだけですよ。どこに競争原理があるのですか、どこにコストを安くするという意識があるのですか、どこに公の仕事の大義があるのですかと僕は聞いているのですよ、大臣。今後のことの前に、こういうやり方がいいか悪いかという反省や総括がまず必要なんじゃないですか。それを言ってください。そこからどう改善するのかですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/73
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074・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 調査をし中間報告を出したという趣旨は、みずからを厳しくし、またそういうような事態を今後生ずることがないよう反省の上に基づいて行う、こういう趣旨でございます。
特に、この農業構造改善事業等のコンサルタント業務につきましても、例えばですよ、その発注が市町村等の自発性にゆだねられているものであることを徹底をし、さらにまた、コンサルタント業務の委託を予定している市町村名を公表するなど、競争条件の一層の導入に努めていかなければならないと存じます。
さらに、公益法人がコンサルタント業務を受託した場合にも、その一括再委託は行ってはならない旨指導をいたしております。
今後、さらに透明性の確保、手続の適正化を図る観点から、地区認定、事業費配分の基準の公表、地区、事業費、構造改善計画の概要等の公表、コンサルタント業務に関する透明化などの改善措置につき、ブロック会議等の場を通じ、都道府県、市町村に対し、一層、徹底強化を図っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/74
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075・安住淳
○安住委員 つまり、大臣、私が言いたいのはこういうことですよ。個人の不祥事を調べるのは当然ですね、新たなことがいっぱい出てきているのですから。ある職員に対してゴルフバッグを贈りましたなんということを、領収書と買った店のいろいろなものをつけて申告している人さえいるのですよ、調査委員会に。つまり、個人の不祥事は必ず徹底的にやってください。それはもう当たり前の話です。
しかし、大臣が認めたように、それ以外にもう一つの大きい問題として、今回の不祥事を契機に出てきた、構造的なシステムの問題というのはあると言いました。今の話は、それを改善するという話ですね。
それぐらいの認識にもし立っているのであれば、私が言いたかったのは、二月の調査から十月まで、事実上何もしなかったと思いますよ。だって、構造改善事業の、この協会の少なくとも事業の発注のあり方について、来年度からやめるとかやめないなんということは公の場で一切言っていないですから。だれが見たって、こんなのは一〇〇%わかる話だ。
もし本当に、百歩譲って、大臣、再調査を命じて、職員の数をふやして、体制を強化して再調査をして、今度出す最終的な調査報告はもう水漏れがないようにしっかりやらないと、これは農林省全体がもたないという危機感を持っていらっしゃるのでしょう。だから、これは官房長以下、体制を組んでやりますという話だったわけですよ。何をやるかといったならば、私がもう一回言うけれども、職員の不祥事を徹底的に究明すると同時に、私が今話した話なんというのは、本当に氷山の一角なんですよ。
特定の、最初からこだわりますけれども、大臣、何でこの会社はこの協会に入っているのですか。だれがこんな協会をつくって、なぜこの業者にみんな委託したのですか。ほかのコンサルタント会社とここに書いてある会社と、どこがどう違うのですかという話を私はしている。
実はこの話、全く答えられないのですよ。なぜか。ある実力のある役人が、自分の知恵と自分の創意工夫でこういう業界を実はつくったと言われているからです。理由なんか本当はないのですよ。その人たちが今渦中の中でいろいろ批判されて、たたかれているんじゃないですか。その後ろにはいろいろな政治家もいると言われているわけです。まさに政官業の癒着の構図が今回出ているわけですよ。大臣、農水省でまじめに一生懸命企画立案部門で働いている人たち、現場の食糧事務所やなんかで働いている人たちは、本当に不愉快な思いをしているのですよ。私のところにも、どんどんやってください、一気にここでうみを出してくださいと言う人がいっぱいいるのですよ。
だからこそ、一番やらないといけないのは、こういう法人を廃止するなり統合するなり、つまり、もっと開かれた入札の中で、市町村がオープンに自前のコンサルタントを創意工夫でやればいいじゃないですか。天下りをしてつくった協会に会社の職員を派遣させて、そこに仕事を全部委託してくれなんということ自体、もうやめないとだめなんじゃないですかということ。最終報告でそういうお話をちゃんと出しますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/75
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076・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 農業構造改善事業につきましては、御指摘のような点も含め、種々の問題点が提起されていることにかんがみまして、本年三月及び十月に学識経験者から成る第三者委員会を開き、事業手続の改善につき意見を聞いて、手続の適正化、透明化の措置を講じてまいりたいと存じます。
なお、この再調査結果は最終報告と受けとめていいかという質問でありますけれども、現在の調査で事実関係を徹底的に究明し、改善策を講じることが重要であると考えており、再調査の結果が最終報告となるよう、私としましても調査委員会を督励していきたいと考えております。このため、今回の調査におきましては、過去五年間に、農業構造改善事業及び山村振興事業に関係するポストに在職した職員を対象として、網羅的に調査することといたしておりますので、その対象範囲も相当拡大をいたしまして、鋭意この調査をいたしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/76
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077・安住淳
○安住委員 まかり間違っても、中間報告のように、そちらからは公表を一切しないなんということはないでしょうね。最終報告はちゃんと出すのですね、大臣。国民の前にちゃんと出さないとだめですよ。システムの変革というか、さっきの話をそのまま信じれば、この公益法人のあり方も、廃止を含めて抜本的に考えるということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/77
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078・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 当然、責任を持って調査をするわけでありますから、調査結果は公表する。同時に、今後とも御指摘の五つの公益法人につきましては、それぞれ専門的分野から、農業構造改善事業、山村振興事業の推進を図る公益的な活動を行ってきているところでありますが、本年二月の調査委員会の中間報告を踏まえ、その業務運営の透明化、効率化につき指導しているところであります。さらに、これらの公益法人につきましては、事務手続の改善措置に即した適正な業務執行の確保を徹底いたしますとともに、今後、予算の執行、組織のあり方についても早急に検討してまいりたいと考えております。
いずれにせよ、仮にも世の中から指弾を受けることのないよう、厳しく五つの団体を指導してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/78
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079・安住淳
○安住委員 大臣、もう非常に寂しいですよ、堂々たる大臣が下を向きながら文書を二回も読むなんというのは。大臣、私の今までの話、よくわかっていただけたと思いますけれども、これは大臣としての責任で、こういうやり方がもし正しいと思っていないのであれば、やはりこの法人のあり方を抜本的に変えるという話ではないですか。それを大臣、最終答申の中できちっとそれも踏まえて書きますというふうにちゃんと言わないとだめですよ。適正に指導してまいりますなんというのでは、私は、なかなか、世間は多分うんと言わないと思いますよ。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/79
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080・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 納得のいくような措置をとるようにしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/80
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081・安住淳
○安住委員 納得できるような措置を信じておりますから、予算を含めて、また組織のあり方を含めてということで、納得できるようなやり方で、我々がそういう書き方をきちっとするというふうに認識していてよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/81
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082・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 予算の執行、組織のあり方についても早速に検討し、措置をとる、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/82
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083・安住淳
○安住委員 構造改善局長の通達の中に、たしか九一年だったと思いますが、ウルグアイ・ラウンド予算が始まる前から、こういう協会を公益法人としてつくったから、こういうのをどんどん利用して、今後の市町村の事業採択をしなさいという歴史がありました。そうですね、大臣。そういう中で、いわば特定の業者が協会の中に加盟をして、その中でどんどん仕事を独占的にとっていったというのは、今から約十年くらい前の農水省なり、いや、これは全国の風潮だったと言います。別に農林省だけではないです。もしかしたら水産庁の漁港部だってそうではないですか。
だけれども、時代が今明らかに変わっていますよね、大臣。もうこんなことが許される時代ではないはずですよ。きょうははっきり申し上げませんけれども、この協会は公益法人で補助金をもらっているわけです。政治資金規正法には違反にはならないけれども、特定の政治家のパーティー券を購入していますよ。政官業の癒着ではないですか、大臣。私は、これは大臣としてというよりも、政治家の先輩として伺いますが、こういうことは、農業をまじめにやっている人から見たら許されることですか。許されないことではないですか、大臣。これは感想でいいです。
こういうふうな政官業の癒着のあり方、大体癒着ではないですか。特定の業界、何の規約も基準もなくて、仲間に入れてやって、協会をつくって、公益法人にして、そこに仕事を上げて、仕事をもらった業者は協会の名のもとにも、また業者個人の名でも、名前は言いません、名誉がありますから、政治家のパーティー券を買っているのですよ。こういう構図を改めていくのが行政改革であり、今度の組織改革で構造改善局はなくなるわけだけれども、いいチャンスではないですか。だから、簡単な話が、やめればいいのですよ。国民から見て疑惑に思われるようなこういうシステムのあり方をやめないとだめですよ。私はそう思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/83
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084・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 主務大臣といたしまして、公益法人に対する一般的な指導監督は行っておりますが、政治資金規正法に基づく報告を受ける立場にはございませんので、そのような事実については承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/84
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085・安住淳
○安住委員 いや、これは私が掌握しているからいいのです。こんなことはわかっているのですよ。いや、聞いているのはそういうことではないのですよ、大臣。こういうシステムがいいのですか、悪いのですかという話ですよ。やはり謙虚に、こういうあり方を反省しないとだめです。
今までの農政なんというのは、大目標があって頑張ってきた人もいる。しかし実際、農業土木を中心とした事業、すべてこうではないですか。特定の業者だけ潤わせて、それで足元の農家はやせていっている。私は、WTOの問題があるからこそあえて言うのですよ。ウルグアイ・ラウンドの予算というのは、いずれ検証される時代が来るのですよ。必ず来ます。何をこれでやったのだという話になるのです。だからこそ、いい機会だから、この調査委員会が、人だけを処分するのではなくて、システムの問題もきちっとやってほしいという話を私は質問してきたわけであります。
時間がなくなりましたから、引き続きやりますけれども、その答申をきちっと、我々が納得する形で出すとおっしゃっているから、システムの問題も。大臣のその言葉を信じて、私も結果を待ちたいと思います。
最後に、大臣、我が方の佐藤委員が、四月会での大臣の発言を取り上げました。私もるるこれは読みましたけれども、大臣、あのときに言った話はうそではありませんね。心の中からそう申し上げたのですね、特定の宗教団体が政治を支配するというのはよくないという話を申していた、まさにそうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/85
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086・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 日本国憲法の立場から、当然のことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/86
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087・安住淳
○安住委員 大臣は、自自公連立はもう未来永劫ないと言いました、自自公連立は。それも正しいですね。これは組織委員長として言ったのか、個人としてもそう思っていらっしゃったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/87
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088・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 未来永劫ないとは言いません。当面ない、当面ないと。これは組織本部長として申し上げたわけでありますけれども、しかし、それは去年の五月でございますね。その後、政治的な変化等もありました。参議院で我が自由民主党は過半数を確保することができない、そういう中の苦しい状況等を経て今日まで来たわけでございますから、こういうところはお互いに理解をしていただくところもあるのではないかな、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/88
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089・安住淳
○安住委員 やはり、玉沢徳一郎たる大政治家が、自分の信念をそれぞれの場所で使い分けるなんということは、私はないと思うのですよ。四月会で言ったことは、四月会の皆さんもこれはテレビでこれを見ているかもしれないですから、あそこで言ったことはまさに政治家玉沢徳一郎の発言なわけですよ。私はそう思います。
そうしたら、大臣、私は思うのですけれども、自公連立に対しては好ましいと思っていなかったのではないですか、大臣自身は。さまざまな政治的な状況の説明ではなくて、御本心からそう思っていらっしゃったのじゃないですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/89
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090・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 一つの政権を維持するためには、一党で過半数を制して政権を確保するというのが最も理想的なことでございます。しかしながら、それができない場合におきましては連立を組むということも政策協議を通じて行うことができるわけでありますから、したがいまして、一つの発言は発言ではありますけれども、そういう政治状況もまたあるということも含めて、私の見解といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/90
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091・安住淳
○安住委員 つまり大臣、自公連立に反対をして四月会で大演説をぶった方ですよ、大臣は。自公連立はないと。そしたら大臣、私は、政党として自民党が公明党と連立を組むことに何も問題なんかないと言われれば、そうだと思いますよ、政党同士ですから。しかし、あなたは、小渕内閣が自自公をやったときに、もし自分の信念に生きる政治家だったらば、入閣することはおかしいのではないですか。みずから入閣をやはり辞退すべきではないですか、前の発言どおりにやるのだったら。
私はそう思いますけれども、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/91
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092・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 我が党において連立を組む場合におきましては、党内の手続を経まして、党議を決定してやっていく。それにおきまして意見を言い、党議決定がなされたわけでありますから、党員としてそれに従っていく、これも政治家の道であると私は思います。
また同時に、光栄なことにも大臣として指名されまして、今日の日本の農林水産業を振興せしめる、こういう立場に立って政策その他を推進していくという場を与えられた以上は、これを何も断る理由はない、私の持っておる信念を堂々と大臣となって推進をしていくという熱意に燃えておるわけでございますので、この点も委員に御理解をいただければ、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/92
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093・安住淳
○安住委員 この話の続きは次の委員会でまたさせていただきますが、長い間本当に御協力いただいてありがとうございました。私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/93
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094・松岡利勝
○松岡委員長 次に、漆原良夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/94
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095・漆原良夫
○漆原委員 公明党・改革クラブの漆原でございます。
本日は、政府委員制度がなくなって初めての国会であり、また私も当委員会で初めて質問をさせていただくわけでございますが、玉沢大臣、また谷津政務次官、金田政務次官、どうぞひとつよろしくお願い申し上げます。
まず冒頭にお尋ねしたいことは、中国のWTO加入問題に関してでございます。
中国のWTO加入に関する米中二国間交渉が十五日妥結したわけでございますが、これによって中国への配慮からおくれていた台湾の加入も実現に向けて前進し、中台がそろって早い段階から次期交渉に加わることになるだろう、こういう予想でございます。中台がWTOに加入すれば、貿易額で世界の上位二十位以内に入る国々、地域がすべてWTOのメンバーになる、こういう事態になります。
WTOへの加入によって、中国は今後、世界の自由貿易、投資の体制を守る責任を負って、自国のビジネス習慣を透明性の高い国際ルールに合わせていかなければならないことになります。したがって、外資企業では、中国の不透明な商慣習に悩まされていたということがありまして、そういうトラブルがなくなるのではないかというふうに期待されている向きもございます。
他方、中国はみずから、世界最大の途上国、こういうふうに言っておりますが、中国の加盟によって途上国の発言権というのが確実に増す、こう思われます。農産物貿易のルールづくりなどで途上国の意向がより強く反映されて先進国と利害がぶつかるのではないか、激しく対立するのではないかということも指摘されております。
そこで、中国のWTO加入を我が国は一体どのように考えているのか、評価しているのか、まずこれを政府にお尋ねしたいと思います。
〔委員長退席、松下委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/95
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096・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 まず、中国と米国との話し合いがついてWTOに加盟する道を一歩切り開いたということは評価しなければならぬ、このように思います。それで、中国が正式にWTOに加盟していくためには、まだ引き続き残る二国間交渉の妥結とか加盟議定書の確定などを行う必要がありまして、これらの作業が終了した後に正式に加盟国となる、こういうふうに思います。
中国がどういうスタンスを、仮に入った場合にとるか、そういうことについての御質問でありました。中国が農産物については輸出国の立場にあるということ、それから、農村地域に多くの人口を有していること、いろいろな要因がありまして、どのような態度をとるかということについてはまだ定かではありませんけれども、十二億の人口を抱える大農業国である中国がWTOに参加するという場合におきましては、今後の交渉においても大きな影響力を発揮するものと思われますので、我々としましても中国とよく話し合いをしながら交渉等についても臨んでまいりたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/96
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097・漆原良夫
○漆原委員 確かに中国は輸出国でありまして、我が国は純輸入国でございますけれども、我が国と中国との間が相当厳しい対立関係になるのではないかということを心配しております。大臣の予想で、今までの中国の考え方、また、それに対して日本は中国とどんなふうな交渉をしていくのか、その辺のことはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/97
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098・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 日本と中国との二国間については大体話がついておるわけでありますが、やはり十二億の民に食料を供給するという農業の重要性、それからまた、農業があの広大な地域において果たしておる役割、特に、例えば治山治水とかいう点におきましては洪水の防止とか国土の保全、環境の維持、多面的な機能を果たしているものと思われますので、我々が主張しております農業の持つ多面的機能という点についても十分の見識を持っておると思いますし、特に食料については、安全保障という観点から中国は非常に関心が高いものを持っておるというように認識をいたしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/98
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099・漆原良夫
○漆原委員 農業の持つ多面的機能、そして食料安全保障、これについては中国とよく打ち合わせをして、日本の立場もよく理解してもらうように、強く努力を求めておきたいと思います。
外務省、来ていただいていると思いますが、外務省として今回の中国のWTO加盟についてはどのように考えているか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/99
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100・大島正太郎
○大島政府参考人 お答え申し上げます。
外務省としても政府と一体となってWTOとの関係に臨んでおりますことから、中国につきましても、かねてから中国がWTO体制、多角的な自由貿易体制に入ることをぜひ必要だと思っておりまして、その交渉を進めてまいりました。
日本との関係では、既に七月に総理が中国に行かれたときに二国間は妥結しております。アメリカ等に対して早く交渉をまとめるようにという要請もしておりました。したがって、今回の米中の交渉によって中国の加盟が一歩大幅に前進したということを高く評価しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/100
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101・漆原良夫
○漆原委員 本題に入りたいと思います。
閣僚宣言案のことについてお尋ね申し上げます。
現在、WTO次期交渉の枠組みを決める閣僚宣言案の基礎作業が難航している。農業分野では次期交渉の目的などを規定したWTO二十条の解釈をめぐって、日本やECと米国、ケアンズ・グループが対立して、三十日にシアトルで行われる第三回閣僚会議までに宣言案を一本化できないのではないかと非常に心配をされております。米国、ケアンズ・グループは、二十条の最終的な目標は農業貿易を鉱工業製品と同程度に自由化することである、その実現のために関税の大幅な引き下げなどの交渉の具体的方向性を宣言案に盛り込むべきだというふうに主張されていると聞いております。しかし、二十条で規定しております非貿易的関心事項には、農業の持つ多面的機能が含まれると私は解釈すべきであると思います。農業保護の削減と多面的機能のバランスを保つことが同条の精神ではないか、私はこう考えております。
この点について、EUのパスカル・ラミーさんという通商政策委員は、農業の多面的機能と非貿易的関心事項というのは同じ概念だというふうな考えを示して、日本の立場を支持しておられるわけでございます。いずれにしても、日本のように食料の安定的な輸入を必要とする国にとっては、公正、公平な農産物貿易ルールの確立が最も大事であると思います。この二十条の解釈をめぐる大臣の所見をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/101
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102・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 端的に言いますならば、委員が今おっしゃられたことと全く同じでございます。
この第二十条の中には、長期的な改革を目指して、こういうふうに言っておるわけでございますけれども、長期的に貿易的な観点から徐々に改革をしていくという趣旨だと思うわけでございますが、一部のケアンズ・グループとか、そういう国々が言っておりますように、鉱工業製品と同じような観点から農業貿易を進めるということであれば、長期的な改革というものがなくなってしまう、むしろ短期的にこれは混乱を起こす可能性があります。
したがいまして、そういう意味におきましても、農業の場合におきましてはいろいろな要素があります。ただ市場性を拡大していけばいいというものではないし、経済的な観点からだけの意見を進めていけばいいというものではない。やはりそういう観点から、第二十条におきましては、十分バランスのとれた食料の安全保障、環境の保持、そして非貿易的関心事項に十分考慮するという文言が入っておるわけでございます。それは五年前にこの協定をつくる場合におきまして、当然バランスをとって行うべきだという趣旨である、私どもはそう受けとめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/102
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103・漆原良夫
○漆原委員 この第三次閣僚宣言案をまとめているWTO事務局は、最近、農業分野では、日本が主張している農業の多面的機能という文言を案文から外す、そして、今後の農産物自由化に当たっては、関税引き下げ以外の非貿易的関心事項に配慮するよう求めるとの文言が盛り込まれるというような見通しの報道がなされておるわけでございます。こうした案に対して政府はどのような姿勢で進むのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/103
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104・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 この作業は、現在ジュネーブで大使級クラスの交渉が事務局との間に行われていると伺っております。したがって、意見になかなか隔たりがあるわけでございますので、必ずしも統一した見解で案が出されるというふうには今のところは思っておりません。むしろ並列的に、各グループの主張あるいは各国の主張がどのような形で入るか、選択的な形で入るかとか、そういうところで今交渉が行われていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/104
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105・漆原良夫
○漆原委員 万が一、事務協議では宣言案が一本化できない、三十日のシアトルの閣僚会議に間に合わないのではないかという観測があるわけなんですが、どうなんでしょうか。第三次案といいますか、この三十日までにまとまる見通しについて、大臣、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/105
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106・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 三十日までにまとまれば非常にいいわけでありますけれども、しかしながら、我が国としましても、できるだけ今、準備プロセスと言っておるわけでありますが、これに積極的に参加しまして我が国の考え方が反映されるように最大限の努力を行っているところでございます。
しかし、それがまとまらないで三十日の閣僚会議に入ったといたしましても、この場合におきましては三日間あるわけでございますけれども、ここで精力的に新しい閣僚宣言案、これからの交渉で進める枠ということ、これは大臣同士で精力的にやるということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/106
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107・漆原良夫
○漆原委員 大臣は、閣僚宣言に関する日本の立場についてこう述べておられます。EUとノルウェー、韓国などと共同で行った八カ国提案が交渉のベースである、こういうふうに強調されているわけでございますけれども、この八カ国提案の実現のために、大臣は具体的にどのような取り組みを今後されていくのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/107
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108・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 十三日からつい昨日までFAOの総会に出席をしてまいりました。FAOは、御承知のとおり国際連合の一機関で、世界の食料をどのように扱っていくかということについての大きな権限を持ってやっておるわけでございます。そこで私は演説をいたしまして、食料の安全保障の重要性、それから、農業の持つ多面的機能の重要性を主張いたしまして、今後、世界におきましては食糧不足が予想されることもありますし、現在も世界の中で八億人の人々が飢餓に苦しんでおる、こういう事態を見てまいりますと、各国が責任を持ってみずからの国の農業というものを発展せしめて、食料問題に対処していくことが重要であるということを主張し、同時にまた、このWTOの交渉を目前にいたしておるわけでございますので、FAOとしましても、やはり食料の安全保障、農業の多面的な機能、こういう考え方そのものがFAOで確立をされておるわけでございますので、そういう立場からWTOの交渉に対しましても影響力を発揮すべきではないか、こういうことを申し上げたところであります。
同時にまた、会議の最中におきましても、多面的機能フレンズ国というのがございまして、中核になる五カ国があるわけですが、この代表にお集まりをいただきまして、今後とも我々の主張を交渉に向けて主張していく、今後も連携をとっていく、それからまた、同じような考えを持つ国々にもお呼びかけをしまして、できるだけ多くの賛同を得て進めていくことが交渉を有利にする、こういう点でも意見が一致しましたので、そのような方向に向けて努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/108
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109・漆原良夫
○漆原委員 日本とEUは、農業協定で記述されています食料安全保障などの多面的機能を閣僚宣言に盛り込むことについては一致しております。しかし、EUはこの関税の引き下げについて小幅なら許容してもよいという立場だというふうに報道されておりますが、今後も日本とEUと共同歩調をとることができるのかどうか、また、関税引き下げの小幅許容に対して日本はどのように考えておるのか、この二点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/109
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110・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 EUは、農産物の輸入大国であると同時に輸出大国でもあります。我が国とは異なる側面はありますけれども、次期農業交渉における基本的なスタンスは、我が国同様、農業の多面的機能を重視する立場であると承知いたしておるわけであります。
そういう面におきまして、私が昨日まで欧州に参った際におきましても、EUのフィッシュラー農業・漁業委員と会談した際にも、これまで培ってまいりました日本、EU間の連携、それから話し合いというのですか、そういうものを重要視しまして、この閣僚会議の準備過程におきましても、協力関係を持ってこれから進めていこうということも確認をし合ったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/110
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111・漆原良夫
○漆原委員 この関税の引き下げについては、アメリカのグリックマン農務長官は、WTOの新ラウンドで農産物の関税を米国並みの水準にまで下げるよう他国に求める方針を明らかにしております。具体的には、日本の米などの高関税率を設定するものを対象にして大幅な引き下げを求めると思います。
現在、米の関税は、平成十一年、これはキロ当たり三百五十一・一七円、十二年度以降は三百四十一円となっておりますが、アメリカから相当強力なプレッシャーがかかるのじゃないかというふうに予想されますが、現在の税率を維持していけるかどうか、大臣の決意をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/111
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112・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 次期農業交渉は、WTO農業協定上、改革過程の継続のための交渉と位置づけられておりますが、その一方で、いわゆる非貿易的関心事項についても考慮に入れて交渉を行う、これは今まで申し上げてきたとおりでございます。
我が国は、この次期交渉に臨むに当たりましての基本的考え方を日本の提案として取りまとめて提出しておるわけでありますが、農業の多面的機能の重要性、食料安全保障への配慮、輸出入国間の権利義務のバランスの回復の三点を確保することを交渉の目的として位置づけております。
米の関税率の取り扱いにつきましても、我が国における米や稲作の重要性にかんがみ、これら非貿易的関心事項が十分反映された内容での合意を目指してまいります。
この方向に向けまして、我が国と共通の主張を行っている国々と連携をしまして、しっかりと交渉に当たってまいりたい、このように決意をいたしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/112
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113・漆原良夫
○漆原委員 アメリカから見れば、現在の米は高い関税率だ、こういうふうに言われておりますが、これは大臣、堅持していけるというふうにお考えでしょうか。端的で結構でございますが、もう一度その決意を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/113
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114・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 まだ現在のところは、シアトルの閣僚会議において今後の交渉の段取りとかルール、そういう枠組みをつくっていくという段階でございますので、米の関税をどうするかという交渉には入っておりません。
しかしながら、前回の決められたルールに伴いまして我が国が関税化をいたしたわけでございますから、一九八八年の水準のもとにおける関税率というものは今後も継続して維持していけるものと考えておるわけでございますし、交渉に当たっても当然これを前提として進めていく考えです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/114
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115・漆原良夫
○漆原委員 はい、わかりました。
ウルグアイ・ラウンド農業合意は、食料輸入国と輸出国、それから先進国と開発途上国との間での公正、公平な貿易ルールという観点から、私は必ずしも十分なものではないというふうに考えております。
先ほど大臣は、今後この農業交渉に当たって、日本の目的というのを三点述べられました。第一点は農業の多面的機能の重要性、第二点目が食料安全保障への配慮、第三点目が輸出入国間の権利義務のバランスの回復という三点をお述べになったと思いますが、この三点について、具体的に、少し内容に触れていただいて、どんなふうに交渉していくのか、その内容も含めて、少しお話しいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/115
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116・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 この農業協定の中に含まれております趣旨は、やはり農業といいますのは単なる市場原理だけでは、つまり、農業の継続、維持はできない、あるいは、貿易におきましても、自由化という言葉だけでは、農業といいますものは必ずしも発展することはできない、そういうような意味が十分込められておると思うわけでございます。
先ほども申し上げたわけでありますけれども、一層の、工業品と同じように農産物貿易を扱うべきだと主張しているアメリカにおきましても、ことしの経過を見ますと、八十五億ドルもの緊急予算を確保して、非常に価格の低下した農家に対しましての援助を行っておるという状況です。
〔松下委員長代理退席、委員長着席〕
農業といいますのは、やはり自然に影響されたり、国際的な紛争とか市況の影響等によりましていろいろな困難にぶつかる、そういう要素がたくさんあると思いますので、これがやはりこの非貿易的関心事項ということになるのではないのかと思うわけでございます。
したがいまして、やはり我々は、協定の中にもありますように、今までの改革の過程において行われた措置について、つまり、これをどのように評価するかということも含めて交渉するということになっておるわけでございますから、いろいろな各国の経験が出されてきて、やはり農業においては多面的機能が重要である、あるいは食料の安全保障という観点が大事である、こういうことが理解をされなければならぬ、私はこう思うわけでございます。
食料の安全保障等におきましては、最近におきましては、食品の安全性を求める消費者の意向も非常に強いわけでありますから、こういう点も今回は最大の議論の要素にもなり得るというふうに考えるわけでございます。
それから、輸出国と輸入国の不公平の是正等におきましても、前回の協定の中におきましては、輸出国側の方に非常に有利な協定ではないか、こういうふうに認識いたしておるわけでございますが、輸入国側の義務は明確に書いてありますけれども、輸出国側の義務は明確でないという場合に、不作とか、そういうことで食料が供給をできないというような事態になったときに、補償措置は何もありません。
したがって、そういう観点からも、やはり自国において、食料といいますものは責任を持って供給していくという体制をいつまでも維持していくということが大事ではないかということになってくるわけでございますので、そういう観点から議論を進めて、できるだけ日本の主張が取り入れられるように努力をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/116
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117・漆原良夫
○漆原委員 大変ありがとうございました。
それでは、開発途上国対策について、少しお尋ねしたいのですが、先ほど大臣おっしゃったように、アジアでは八億の民が飢餓とか栄養失調に苦しんでいるというふうに申されました。そのとおりだと思います。飢餓、栄養不足といった問題を抱える開発途上国にとって、食料安全保障問題の解決が一番大きなことではないのかな、最重要なことではないのかなというふうに私は考えております。
この点につきまして、さきに公明党、我が党の宮地委員の指摘のとおり、従来の食糧援助については食糧庁の中の限られた予算でやってきたわけでございますけれども、そういうことではなくて、むしろODAの予算の中にきちっと組み込んで、もっと大型の予算の中で食糧援助をしていくべきではないのか、こういう実感を持っておりますが、この点についてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/117
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118・飯村豊
○飯村政府参考人 お答え申し上げます。
これはFAOの資料でございますけれども、現在、開発途上国を中心に約八億三千万人の方々が慢性的な栄養不良に直面しているというふうに言われております。私どもとしても、こういった状況は人道的見地からも看過し得ない問題と考えておりまして、ODAを活用して積極的に食糧援助を行ってまいりたいというふうに考えております。
現時点におきましては、ODA予算を活用いたしまして、食料不足国に対して例えば米、小麦等の輸入に必要な無償資金の供与、いわゆるKR食糧援助でございます、及びWFPへの拠出等で、平成十年度には年間百七十二億のODAを活用しております。さらに平成十年度におきましては、国際機関による緊急アピールなどがあるような大規模な食糧支援のニーズに円滑に対処するため、我が国政府米の貸し付けによる緊急支援の仕組みが構築されまして、インドネシアには七十万トンの米を供与しております。
さらに、食料問題の解決のためには、食料そのものを供与するのみではなくて、食料増産の努力に貢献すべきであるという考え方から、肥料等農業生産資機材を供与する食料増産援助もやっております。平成十年度、約二百六十三億ということで、無償資金協力の中では大体一八%前後を昨年途上国に供与いたしました。今後とも積極的に努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/118
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119・漆原良夫
○漆原委員 最後に、最近、食料の安全性とかリサイクル、有機農産物、農産物や食品に関する消費者の関心が非常に高まり、課題が増大しております。これらの問題は、前のウルグアイ農業交渉時には表面化していなかった問題なのですね。
特に遺伝子の組み換え食品の規制について、EUの、先ほど申しましたパスカル・ラミーさんはこう言っています。疑わしきは規制するという予防の原則に基づいた規制案を検討しているのだ、こうおっしゃっています。この予防の原則というのは、現在の科学水準では安全性を完全に証明し切れないとして、疑わしいものは規制しよう、こういう考えでございますが、この遺伝子組み換え食品の規制に関して、日本の農水省はどういうふうなお考えを持っておられるか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/119
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120・谷津義男
○谷津政務次官 この問題につきましては、さきに農水省といたしましても、表示という形におきまして消費者の選択に任せるというので、二〇〇一年四月一日からそれを実施しようとしているところであります。
この規制の問題につきましては、我が国といたしましては、遺伝子組み換え体、いわゆるGMOに係る問題が非常に総合的な検討を必要とするものではないかというふうに考えておりますものですから、特にWTOの交渉に新たなテーブルをつくりまして、そこで議論すべきであるということを提案しているところであります。
また、遺伝子組み換え技術の大きな可能性というのも正当化しなければならない問題というふうにも考えておりますし、環境や健康等に与える影響についての最新の科学的知見に基づく十分な評価ということも必要ではないかというふうに考えております。特に、消費者の関心に対しましては的確にこたえる必要があるのではないかということで、非常に重要な問題と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/120
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121・漆原良夫
○漆原委員 今のお立場、ぜひ、WTOの交渉の場において強く提案していただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/121
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122・松岡利勝
○松岡委員長 次に、佐々木洋平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/122
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123・佐々木洋平
○佐々木(洋)委員 玉沢大臣には本県同県人として、大臣就任、心からお祝いを申し上げたいと思います。と同時にまた、適材適所という言葉がございますが、もちろん県民はそうですが、全国民が大変期待をしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
特に農林水産業、大変な厳しい状況でございます。産業でいえば一周おくれたランナーかもしれません。しかし、二十一世紀にはトップランナーで走るような産業に育てる、これが私は非常に大事であろうというふうに思っております。
今、前任者が大分質問されたので重複を避けたいと思いますけれども、先ほど以来、閣僚宣言案の起草作業が難航しておるということ、しかしながら、我が国の主張をしっかりと貫徹し、その理論構成をお願いしたいというふうに思っております。
質問に入ります。
先ほどもあったのですが、多面的機能というものを我が国は主張しておりますけれども、これはもちろん、EU、途上国なども共通の認識で形成されるものだというふうには思いますけれども、EUは輸出国ということでございますから、やはり我が国が主張する関税の問題、国境措置を維持しようというふうな主張をしますと、どこかに食い違いが出てくるのじゃないかなという感じもします。その辺の感じはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/123
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124・谷津義男
○谷津政務次官 多面的機能の問題でありますけれども、農業の有する国土、環境の保全あるいは地域社会の維持等の多様な役割、すなわち、これを多面的機能と申しておるわけでありますが、それぞれの国において、持続的に農業を営むことにより発揮されるものであるというふうに考えておりまして、これは貿易では確保することはできないというふうに考えております。
我が国は、従来から、このような多面的機能の考え方を各種の国際会議において主張してきたところでありますが、特にFAOの食料サミットのとき、実は私も松岡委員ともその場に出ておったわけでありますけれども、このときに、多面的機能というのを宣言文の中にはっきりと入れることができました。これにつきましてはEUも同じ考えでございまして、こういう点について多面的機能の認識があったというふうに思います。
それから、OECDの農業大臣会合におきましても、これはケアンズ・グループ等が大分反対をしたようでありますけれども、やはりEUを初めとする国々がこの多面的機能の重要性をちゃんと盛り込んだというところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/124
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125・佐々木洋平
○佐々木(洋)委員 次に、先ほども出たのですが、食料安全保障の問題でございます。
我が国は、これは重要だということで当然盛り込んでおるわけでございますけれども、食料安全保障、これもまた、途上国の中でも農産物の輸出国もあるわけでございまして、あるいは飢餓の国もあるわけでございます。その辺、この食料安全保障の概念構成をどのような方向で持っているものなのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/125
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126・谷津義男
○谷津政務次官 食料は国民生活の基本であると思います。いかなる国においても、食料を安定的に確保することは、国民に対する国の基本的な責務ではないかというふうに考えておるところであります。
このような観点に立ちますると、食料を単に輸出商品としてとらえることは不適当であるというふうに考えております。
今後の国際的な食料需給の不安定性や、先ほどもお話がありましたけれども、開発途上国の飢餓、栄養不良問題等を考慮するならば、それぞれの国において国内生産が基本であることに十分な配慮がなされることが必要ではなかろうかなというふうに考えております。
この問題については、先ほど申し上げましたFAOの食料サミットにおいての宣言文の中にもはっきりと明記されているところであります。むしろ、世界最大の食料純輸入国である我が国が、輸入や備蓄に第一義的に依存するのではなくして、国内の農業生産の増大を図る、これを基本として食料の安定供給を確保することは、世界の食料安全保障に寄与するものであるというふうに考えております。
また、飢餓、栄養不足といった問題を抱える開発途上国においては、食料安全保障問題の解決が最優先の課題であるというふうに思っておりまして、そうしたニーズに応じまして、食料安全保障の達成のために特別な配慮が行われるべきであるというふうに考えておるわけであります。
このような認識に基づきまして、我が国は、次期交渉に向けて日本の提案を取りまとめたところでありますが、今後の交渉においても、日本提案の考えに基づきまして、食料輸入国の代表という認識を持って、しっかりと論議を進めていきたいと思っております。
〔委員長退席、松下委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/126
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127・佐々木洋平
○佐々木(洋)委員 今お話がございましたとおり、ただ最初から食料の安全保障を強調しますと、やはり途上国は疑心暗鬼といいますか、そういうことになりかねないという感じがします。幅広い交渉の妨げにもなりかねないというふうな感じがします。やはりその辺を慎重に交渉を行うべきであろう、こういうふうに思っております。
次に、米の問題についてちょっとお伺いしたいと思うんです。
関税化へ切りかえるということで、アメリカは逆にミニマムアクセス数量の拡大を迫ってくるんじゃないか。それと関税率の大幅な引き下げ、この辺との関係はどうなのか。もし大幅な関税の引き下げということになりますと、本当に日本の、我が国の稲作経営というものは苦境に立つということになります。この辺の状況について、何としても我々は関税化を守って交渉に当たってもらいたいというふうに思うんですが、この辺の関係はどうでしょうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/127
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128・谷津義男
○谷津政務次官 次期農業交渉は、WTO農業協定上、改革過程の継続のための交渉というふうに位置づけられておりまして、その一方で、いわゆる非貿易的関心事項についても考慮に入れた交渉ということが合意されておる、これは二十条の中にあるわけであります。
我が国は、次期農業交渉に臨むに当たって、基本的な考え方を、先ほど大臣からも、提案として取りまとめておりますが、農業の多面的機能の重要性、あるいは食料安全保障への配慮、輸出入国間の権利義務のバランスの回復という三点を確保することを交渉の目的としているわけでありますが、米につきましても、我が国における米や稲作の重要性にかんがみまして、これら非貿易関心事項が十分に反映される内容の合意を目指しているところであります。
アメリカが相当強いことを言ってくるんではなかろうかというお話でございますが、確かに、バシェフスキー代表等の発言を聞いておりますと、そういう面が見受けられます。しかし、私は、こういうことが言えるんではなかろうかと思います。実は、アメリカは、URが終わった後、国内の農業生産というのが非常に増大して、輸出が順調にいくであろうというふうな考え方を持っておりました。
しかし、昨年で約六十万ドル、本年で八十七万ドルぐらいの補助を行っているんですね。これは災害もあるというふうに言われていますが、一方においては、貿易の市場が下がったためにその補償をしているというようなこともありまして、そういうことを考えると、アメリカが一方的にそういうことを言ってくるということは、私は、これに対して十分我が国としても反論できる、そういうものを持っているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/128
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129・佐々木洋平
○佐々木(洋)委員 次に、遺伝子組み換え食品の問題でございます。
我が国は、遺伝子組み換え体などの新たな課題に対する適切な場を設けるべきだという主張をしておるわけでございますけれども、逆に、EUは環境や健康を守る立場から遺伝子組み換え体に対して厳しい立場をとっておるわけでございます。この辺を政府としてどのような対応をしようとしているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/129
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130・谷津義男
○谷津政務次官 お答えする前に、ちょっと訂正をお願いいたします。先ほど私六十万ドルと申し上げましたが、億ドルの違いでありますし、八十七万ドルではなくて八十七億ドルでありますので、訂正をお願いしたいと思います。
実は、遺伝子組み換えの問題で、今EUの話が出たわけなんでありますけれども、この前私がルーマニアとEUに意見交換するために行ったわけなんですね。そのときに、たまたま遺伝子組み換えの話が出まして、特にベルギーの農林大臣と会ったときに、今その話を決めてきたところだというようなことで、ちょうどホットな話を聞いてまいりました。この問題については、EUとしては、実は域内の各国の意見がまちまちで、そこでどういうことに取り決めたかというと、一番きつく言ったところは、一%以上含まれているものを全部表示すべきだというふうに決めてきたところであるというお話を聞きまして、我が国におきましても、先ほども御答弁申し上げましたけれども、WTOの中に新たなテーブルを設けまして、この辺のところをしっかりと話し合っていく必要があるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/130
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131・佐々木洋平
○佐々木(洋)委員 時間が来ましたので、最後に大臣にお伺いしたいと思いますが、先ほど質問もあったんですが、前のウルグアイ・ラウンド農業交渉の中で、国民世論というのははっきり言って二分されておったような感じがします。今回もまだまだ、消費者はもちろんですけれども、農家自身もよくわからない面がある。ですから、やはり国民の世論というものを形成することが一番必要であろうというふうに思います。前回はそういった部分が足らなかったということの反省があろうと思うんです。それと、最後に、次期交渉に臨む決意のほどを大臣から伺って、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/131
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132・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 委員の御指摘のとおりでありまして、やはり外交交渉に臨むに当たりましては、国論を統一して臨むということが最も強いスタンスを確保できる、こう考えておりまして、御指摘のように、国民各界各層へ幅広い説明や関連情報の提供を通じまして、次期の交渉に臨んでいく、多くの人々の理解と協力を得なければならないと考えております。
こういう観点から、農業、漁業の生産者はもちろんのことでありますが、次期交渉の枠組み等について、さまざまな機会を通じて、消費者団体、地方自治体等あるいは経済界に対しましてよく説明を行っておるわけでございます。
四月末には、「次期WTO交渉における対応の基本的考え方」を取りまとめまして、日本の提案をつくり、これをWTOに提出しまして、その提案の内容につきまして、地方農政局単位での説明会を開催し、当省の担当課長等が直接説明を行ったのを初めとしまして、食料・農村・漁業・環境フォーラム等の場を通じて説明を行っておるところでございます。
また、経済界等に対しましてもできるだけ幅広く説明を行いまして、また、消費者団体等におきましても御理解をいただきますように、関連情報を提供し、理解を求めておるわけでございます。
同時にまた、国民の代表である国会における議論が一番大事である、このように思います。各党各派あるわけでありますが、超党派的な御理解をいただきまして、統一の考え方のもとに交渉に臨んで、そして日本の農業、漁業、林業の二十一世紀に向けての発展を期すことができますように、一生懸命努力をしてまいりたいと決意をいたしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/132
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133・佐々木洋平
○佐々木(洋)委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/133
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134・松下忠洋
○松下委員長代理 午後零時四十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十一分休憩
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午後零時四十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/134
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135・松岡利勝
○松岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。中林よし子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/135
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136・中林よし子
○中林委員 私、十日の質問に続いて、まずミニマムアクセス米の問題から質問したいと思います。
この問題の出発点は、一九九四年五月二十七日の衆議院予算委員会での政府統一見解に始まるわけです。この統一見解は、「ウルグァイ・ラウンド農業協定におけるコメのミニマム・アクセス機会の法的性格に関する政府統一見解」、このようになっております。
十日の私の質問に対して、大臣はこのように答弁をしておられます。その法的性格は、関税措置へ切りかえた現在においても変わってはおりません、したがって、これまでの政府統一見解を変更する考えはありません、このように答弁をされております。しかし、この統一見解というのは、表題から見ても、ウルグアイ・ラウンド農業協定における、このようになっており、限定的なものだと解釈されるわけですけれども、次期ラウンド後もこの統一見解に固執する立場でいらっしゃるのかどうか、それについてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/136
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137・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 まず、基本的には、今言われましたように、当然のことでありますが、現協定下においてこれを変える考えはありません。
次期の農業交渉はこれから行われるわけでございまして、その第一段階として、シアトルの閣僚会議におきまして、今後の交渉の枠組みその他を決めるということになっておるわけでございまして、交渉に入るのは、その枠組みその他が決まりましてからその次の段階になる、そうなると思うわけであります。
その交渉がどういうふうな形になるかというのは、今から予断するということは適切ではありませんけれども、御質問の点についての考え方の道筋としましては、交渉結果を踏まえ、必要に応じ、合意内容に即した見解をお示しすることもあり得るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/137
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138・中林よし子
○中林委員 ちゃんと、ウルグアイ・ラウンド農業協定におけると限定的な統一見解となっているわけですね。そうであるならば、少なくとも、次期ラウンドの後までこの統一見解は引きずらない、こういうことでなければ道筋としては非常におかしいというふうに思うんですけれども、この点は御確認いただきたいと思います。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/138
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139・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 さっきも言いましたように、交渉の結果がまだあらわれないときにどうこうするということのお話でございますので、とにかく、現在の状況においての見解を示しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/139
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140・中林よし子
○中林委員 端的に伺います。
少なくとも、ウルグアイ・ラウンド農業協定における政府統一見解となっているわけですから、次期交渉の後にこれが生きるかどうかということは、ウルグアイ・ラウンド農業協定における限定的な意味合いの政府統一見解、それをその後も引きずっていくということ、今からそこも選択肢に含まれるなどということは到底あり得ないというふうに思うのですけれども、限定的なものとして政府はこれを出したのじゃありませんか。もう一度そこを御確認いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/140
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141・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 先ほどしゃべったことでわかると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/141
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142・中林よし子
○中林委員 これは重大な問題だと思います。
ウルグアイ・ラウンド農業協定における、こうなっているわけですから、次期交渉の問題はまた別で、その後に、次期交渉で決着がつく問題はいろいろあるでしょう。しかし、この統一見解をそのまま引き継ぐなどというようなことであるならば、これは重大問題だと言わなければなりません。私は、幾ら聞いても、それは交渉事だからということで、その意味合いまであいまいにされることは到底承知できるものではございません。
それならば、あなた方がおっしゃっているのは、次期農業交渉で、ミニマムアクセスをどのような立場で交渉しようとしているのか、その点について明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/142
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143・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 次期農業交渉は、WTO農業協定上、改革過程の継続のための交渉と位置づけられておりますが、その一方で、いわゆる非貿易的関心事項についても考慮に入れて交渉を行うことが合意されております。
我が国は、次期農業交渉に臨むに当たっての基本的考え方を日本の提案として取りまとめましたが、その中におきまして、農業の多面的機能の重要性、食料安全保障への配慮、輸出入国間の権利義務のバランスの回復の三点を確保することを交渉の目的として位置づけております。
米のミニマムアクセスの取り扱いにつきましても、我が国における米や稲作の重要性にかんがみ、これら非貿易的関心事項が十分反映された内容での合意を目指してまいります。
このため、我が国と共通の主張をしております関係各国と連携しながら、交渉に当たっていく考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/143
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144・中林よし子
○中林委員 一事、非貿易関心事項、この観点からということだけでございまして、ミニマムアクセス米についての、これを本当にはねのけていくのか、それとも、アメリカが言うように、今ミニマムアクセスそのものの拡大を強く要求することが議会の証言でも出てきているわけですから、そういう弾が今いっぱい日本の方に飛んできているさなかで、このようなあいまいな態度では、到底強い立場で交渉に臨むことができないのではないか、私はこのように思います。
そこで、後ろの政府参考人の方からも少し言葉が出ていたようですけれども、厳密な解釈は、私は政府参考人に求めたいと思います。
このウルグアイ・ラウンド農業協定における政府統一見解というのは、あくまでも限定的なものではありませんか。その点だけについてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/144
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145・高木賢
○高木政府参考人 御指摘の統一見解の表題につきましては、今先生がおっしゃられた「ウルグァイ・ラウンド農業協定におけるコメのミニマム・アクセス機会の法的性格に関する政府統一見解」というタイトルでございます。
内容につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、交渉結果による、こういうことになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/145
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146・中林よし子
○中林委員 少なくとも、限定的なものである、表題はそのとおりだとおっしゃっているわけですから、表題どおりやるべきだというふうに私は思います。
といいますのも、今、日本の農家が困っているのは、このミニマムアクセス米というのが相当量日本に入ってきた、これによって本当に困っている状況があるから、このミニマムアクセス米、次期交渉後がどうなるかということは農家にとっては非常に重大な関心事だ、このように思います。この点の認識は、大臣、同じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/146
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147・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 今まで二百二十万トンぐらい入ってきておるわけでございますけれども、この中でかなりの部分も外国に食糧援助としてやっておりますし、また処理の方法についても、主食に影響がないように、こういうことでやってきておりますので、趣旨に基づいて最大限の努力をしてきておる、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/147
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148・中林よし子
○中林委員 大臣、そこの認識が非常に重要だというふうに私は思うのですね。
今おっしゃったようなことは、ミニマムアクセス米を受け入れるに当たって、日本の農家に影響を及ぼさないようにやるんだ、これが政府の答弁だったのです。ところが、今日まで相当量入ってまいりました。確かに援助米だとかそういうところにも回っておりますけれども、しかし、本来、国産米で賄われていた加工用だとか主食にも、ミニマムアクセス米が使われております。
十一米穀年度の見込みの数字をいただいているわけですけれども、これなども、実は加工用に二十八万トン、それから主食用に十万トン行っているんですね。そうすると、合計三十八万トンです。従来は、ミニマムアクセス米が入るまでは、国産米で賄われていたものですよ。それを、ミニマムアクセス米が三十八万トン、そういうところで実は圧迫をしております。
今年度、超過米、要するに、豊作になった部分十七万トン、えさ米として処理する、このようにおっしゃったわけですけれども、この加工用と主食用の三十八万トンをやめれば、あんなえさ米処理などに行かなくても済んだわけではないですか。
だから、そういう意味では、ミニマムアクセス米、これを次期交渉後どうしていくのか、次期交渉に臨むに当たって、どういうぐあいにしていくのかということは、日本の農業生産家にとっては重大な問題だという認識をしていただかなかったら、私は困ると思うのですけれども、重ねて伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/148
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149・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 先週も委員から、米を家畜の飼料にするのはいかがなものであるかというお話がございました。しかし、この過剰対策としまして、やはり生産者の皆さんの合意もいただきながら、この処理を決定いたしておるわけでございます。
飼料米ということになってまいりますと、我が国におきましては、飼料用穀物も千五百万トンも輸入しておるわけでございますから、そういうところの見合いも考えていけば、そちらの方に使ってまいりますならば、米の方に過剰な影響を与えるということも相当軽減されているはずだ、こういう考えです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/149
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150・中林よし子
○中林委員 何を言っているのですか。日本は飼料用の穀物を輸入しているから、生産者が一生懸命つくったお米をえさ米処理に、しかも一俵当たり六百円から千円などと言われている価格で売り飛ばしていいのか。こういうことを農家の人たちが今聞いたら、とんでもないことだ、このように思いますよ。
問題なのは、米がなぜ過剰になったか。この問題は後でもう一度議論させていただきたいとは思いますけれども、少なくともミニマムアクセス米が毎年毎年入ってきているわけでしょう。そのうち加工用に回ったり主食に回ったりするのが、ことしの計画では三十八万トンもあるんですよ。本来、ミニマムアクセス米が入るまでは国産米で賄われていたわけでしょう。大臣、それは否定できませんね、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/150
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151・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 できるだけ国内に影響を与えないという措置としてやってきたわけでございますから、その趣旨は生かされていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/151
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152・中林よし子
○中林委員 生かされていないから減反面積がふえ、米の価格が下がってきたというのは、だれの目にも明らかで、否定することはできないと私は思います。これで議論していると水かけ論になるようですので、次に参ります。
この間の委員会で、ミニマムアクセスというのは、機会の提供であって、輸入義務ではないということは大臣も認められたわけですけれども、国家貿易だから輸入義務があるということで大臣はおっしゃっているわけですけれども、これはWTO協定上の記載もありません。
だから、韓国のようにアクセス数量と輸入通関数量が違っていても、どの国も韓国に対して協定違反だとも言えないし、WTOの方からも韓国に対して異議は唱えられておりません。それを、国家貿易だからアクセス数量のまま輸入しなければならないというのは、日本政府の統一見解だけでそういうふうに言っているわけですよ。
だから、どこからも義務だと言われていないのに、みずから義務だ、義務だと言うことで手を縛っている。これが政府の統一見解の内容ではありませんか。だから、こういう統一見解を堅持したまま次期交渉に臨めば、むしろミニマムアクセス米の拡大の呼び水になっていく、こういう懸念を私は持ち、一層日本の農業を危機的な状況に落としかねない、そういう中身を持っているのだ、このように思うわけですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/152
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153・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 前回の交渉経過をもう少し見ておく必要があると思います。
つまり、我が国がミニマムアクセスを受けるに当たりましては、やはり日本の食料政策の中で国家が米を管理しておる、いわゆる国家貿易、要するにこれが明確に担保されるということが必要だったのではないか。そういう観点から、国が管理するものについては、やはりルールに従ってこれを輸入していく。これがもし確保されなければ、次の交渉等におきまして、つまり、日本の国家貿易そのものが否定されかねない、こういうことになるということも考えておく必要があるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/153
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154・中林よし子
○中林委員 国家貿易、国家貿易ということで、関税化をはねのけ、ミニマムアクセスの例外措置の方をとられたというそのいきさつについては私も知ってはいるわけですけれども、しかし、九三年でしたか、大不作がありましたね、そのときはお米を物すごく輸入したわけですよ。そのとき、国内においてはどういう事態だったでしょうか。本当に、外国のお米は食べたくない、これが国民の正直な気持ちで、国家貿易などとおっしゃっていても、既に九三年の不作の事態ではそれが守れなかったということで証明済みではないかというふうに思います。
私は、さっき言ったように、九四年の予算委員会での政府統一見解というのは、みずからをそういう統一見解で縛って、国際ルールではないということは明確なわけですから、自分で縛った縄は自分で解けばいいじゃないですか。それこそ私は非常に重要な問題だということを申し上げておきたいと思います。
次の問題に移りたいと思います。
米価の審議でも議論になったわけですけれども、今政府は、新農業基本法でも規定されていますけれども、農産物価格については市場原理を導入しています。その典型が米になっているわけですけれども、米についての価格の維持について私どもが尋ねますと、必ず需給調整、これがあるからだ、こういうふうに政府はおっしゃいます。
もし政府が言うようなことをずっと続けていけば、価格を維持するためには、需要が減れば供給量も減らす、すなわち、余ったものはということで、豊作になれば、えさ米処理ということで、隔離しなければならないような状態をつくっていく。すなわち、生産量をずっと減らすことになって、農家へのしわ寄せが来るということです。また、需要が一定であったとしても、先ほど言いましたように、ミニマムアクセス米のような、あるいは関税化措置によって輸入量がふえてくるということになれば、価格を維持するために国内生産を減らすことになると思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/154
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155・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 関税が下がっていくということでありますけれども、今の予想では、下がったとしましても影響はない、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/155
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156・中林よし子
○中林委員 質問の趣旨をちょっと聞いてください。
需給調整とおっしゃるわけですから、需要が減れば、結局、供給量を減らさなければいけない、それから需要が一定であっても、もしも輸入量がふえれば、その分また供給の方を減らす、つまり、国内生産量を減らさなければいけない、こういうことですねと言っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/156
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157・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 そういう事態におきましても、極力影響のないようにやっていくという考えで対処しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/157
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158・中林よし子
○中林委員 今私が言った理屈は否定されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/158
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159・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 否定とか肯定とかということではなくて、要するに、この統一見解に基づいて努力しているということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/159
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160・中林よし子
○中林委員 統一見解の話はもう終わっているんです。米の需給調整についてお伺いしているんです。需給調整とは需要と供給のバランスです。だから、聞いているんですよ。需要が減れば、当然供給量を減らさなければいけないわけですね。それから、もし需要が一定でも、ミニマムアクセス米もふえたりして輸入量がふえたら供給量をその分減らさなければいけないでしょう、価格を維持しようと思えば、そういう理屈ですねと言っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/160
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161・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 ミニマムアクセスについては最初から影響されないように最善の努力をしておるわけでありますが、国内の需給のバランスについては常に注意を払って、需要と供給がよくバランスのとれた形に持っていくということが大事だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/161
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162・中林よし子
○中林委員 なぜことしの生産者米価を下げたのか、こういう話をしたら、米の需給調整でございますとおっしゃったでしょう、だから聞いているんですよ。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/162
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163・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 まず、計算の方式によりまして決定したということを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/163
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164・中林よし子
○中林委員 需給調整といったら、需要と供給のバランスだから、需要が減れば供給を減らすというのは当たり前の話でしょう。そうやって在庫も減らし、えさ米処理までやっていく、こういう話でしょう。それから、供給を減らすためには減反もしなければいけないということで、減反も進めてきたのじゃないですか。これが需給調整だというふうに思います。私は非常に端的な質問をしているつもりなんですけれども、答弁がまともな答弁でないということに大変怒りを覚えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/164
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165・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 需要と供給、こう言うのでありますけれども、鉱工業製品と違うところは、要するに、計画したとおりに必ずしも一〇〇%とれるかどうかということ、場合によってはとれない場合もある。それが作況指数一〇二とか三とかいうような場合、これは、計画よりも供給がふえるわけでありますから、その場合の措置についてどうしたらいいかということでとってきた措置ですから、委員のお話を聞いていると、要するに、作況指数が上がった場合のことについて、そういうことを一切無視して議論していますから、指摘しただけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/165
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166・中林よし子
○中林委員 一般的な話をしているのです。作況がふえるとか減るとか、そういう話じゃなくて、国内で消費されるもの、需要があるもの、その米の量、それから生産者がつくるお米の量、それから在庫もあります、ミニマムアクセス米で米も入ってきます、そういう需給の調整を図ろうと思えば当然こうなるでしょうということを言って、私は、こんなところでわかっていただけないなんて夢にも思わなかったものですから、本当にとんでもないことというふうに思います。
そこで、次の問題に移ります。
米の関税化法案のときの審議の際にも明らかにいたしましたけれども、米の関税率が二・五%低下するだけで、七年間で外国産米が競争力を持つことになる、ことしの三月十八日付の朝日で、鳥取大学の伊東助教授がこういう試算をしている、こういうものがあるわけですね。
二・五%というのは根拠のある数字でして、現在のウルグアイ・ラウンド合意の最低の関税率の引き下げ水準なんですね。次期交渉がこのウルグアイ・ラウンド以上の関税率の引き下げになるということは必至な状況ではないか、私はこのように思います。
米のような高関税をねらい撃ちにして引き下げようとするアメリカの動きというのは、再三にわたって紹介しております。だから、ミニマムアクセス米とともに関税を乗り越えて輸入される米が増加することになれば、結局、米は関税化のもとで絶えず輸入増加基調となって、それが市場原理の中では、国産米の価格維持を図るために、今度は国産米の減産が持続的に続くという結果になるのではないか。そうならないという保証があるならば、その証拠をお示しいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/166
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167・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 本年四月の米の関税措置への切りかえに当たりましては、WTO農業協定の規定に従いまして関税率を設定いたしました。その結果、関税は、平成十一年度でキログラム当たり三百五十一円十七銭、平成十二年度で三百四十一円となっているところであります。
最近の外国産米の輸入価格にこの関税額を上乗せした水準は、最近の自主流通米の主要銘柄の価格を大幅に上回るものであります。このため、現在の外国産米に対する需要実態にかんがみれば、関税を支払って輸入される米としましては、特殊な嗜好に基づくもの以外には考えられません。
現実に、本年四月以降、百六十五トンの米が関税を支払って輸入されておりますが、これらは総量としても極めて少なく、また用途も、タイ料理フェア、試験研究、在留外国人用等の極めて特定の用途に利用されるものであります。したがって、国内の影響はないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/167
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168・中林よし子
○中林委員 現在のことを聞いているわけじゃないのですね。二・五%ずつ六年間減らしていかなければいけないというのは、WTO農業協定上、途中で特例措置をやめた場合にもそれは当てはまるのだということになっているわけですね。この解釈に間違いはないですか。経済局長、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/168
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169・石原葵
○石原政府参考人 お答え申し上げます。
ウルグアイ・ラウンドの結果では、関税率の削減は平均では三六%になっておりますが、最低でも一五%になっておりまして、これが六年間ということになりますと、一年間では二・五%ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/169
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170・中林よし子
○中林委員 だから、上がることはないのです。ずっと二・五%は毎年下がり続ける、これがウルグアイ・ラウンド農業協定上の最低の関税率の引き下げなんです。
今、大臣は、今は影響がないものだ、このように思うとおっしゃるけれども、この鳥取大の伊東助教授の試算というのは、二・五%ずつずっと下がり続けると、七年後には国際競争には勝てませんよ、こういう試算をしているのです。だから、私は、事態は本当に深刻だということをちゃんと受けとめていただかなければならないというふうに思います。
さらに、需給調整の話で大臣と行き違いになっているので、そこを確認して進めないと進められない話なんですけれども、わかっていただいているものだと思って、私はちょっと話を進めたいと思うのですね。
というのは、非常に深刻なのは、実は需要の問題なんですよ。これから伸びるかどうか。私は、政府が出された数字を見ても、今後、人口構成の中で高齢化が進んで、米の需要というのは減退傾向になる。政府が出されている今後の需要見通しというのがありまして、平成十七年にはこうなりますよというのは、減ってきているわけですよ。だから、政府の数字を見ても、米の需要は減退の一途をたどっていく。市場原理のもとでは、需要が減りそして輸入がふえる、こうなれば、当然加速的に日本の米生産は減少せざるを得ないのじゃないか、このように思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/170
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171・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 米の需要が減退しているという状況でありますけれども、やはり米の消費をふやすための手だても考えて、あわせて推進していかなければならぬと私は思いますよ。ただ、減っていくことだけを議論していけば、そうなんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/171
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172・中林よし子
○中林委員 どうしてお認めにならないのか。政府がお出しになった需要の見通しというのは、当然消費拡大も含まれております。消費拡大もうんとやってみて、その上でどうしてこういうふうになるのかということは当然、高齢化していきます、若い者よりお年を召した方がやはり食事は減っていくというのは当たり前の摂理だというふうに思うのですね。これは政府が出した需要見通しですよ。一人当たりの米を食べた量というのがあるのですけれども、平成五年は六十九・二キロ食べるのが、平成十七年には六十一キロから六十五キロですよ、こういう見通しになっているわけですね。そうすると、当然需要の方は低迷していく。
そして、米の関税化によって、試算があるように、今は高関税でいっていたとしても、確実に最低でも二・五%ずつは毎年下げるというのがWTOの協定の規定なんですよ、絶対下がっていくのですね。そうなれば、ミニマムアクセス数量を乗り越えて米が入ってくるということも予測しなきゃいけないでしょう。そうなれば、国内の米生産の農家に影響が出てくるのは当然じゃないですか。出ないというならば、なぜ出ないのか、そこのところをちゃんと説明してくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/172
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173・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 関税が二・五%ずつ下がるということでありますが、これは、協定によりまして、ウルグアイ・ラウンドの際は六年間ということでありますから、来年まででございまして、次の交渉の行われている最中におきましては、実施されないわけであります。そこのところもよく考えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/173
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174・中林よし子
○中林委員 こういうときだけはウルグアイ・ラウンド農業協定と言って、ミニマムアクセス米、その後も引き継ぐのかと言うと、それは明言を避けて、交渉事でございますからと言って逃げる。本当に都合がいいときだけ、こうおっしゃる。
私は、農水大臣は、本当に農家の人たちの声はよく聞いていらっしゃるし、実情もよく知っていらっしゃる、そう思うんですね。そうであるならば、やはり国内の米生産農家をどう守るのか。
私に対して、米だけに偏重しているんじゃないかと、先般そういうことを大臣の方から言われましたけれども、少なくともお米というのは国民の主食です。そして、農業の分野においても、米生産というのは農家のいわばよりどころになってきているわけですよ、収入の面でも。そして、多面的機能の面でも、水田の果たしている役割というのは極めて重大だ。このことを思えば、本当に農家の人たちが安心して稲作経営ができるようにする、これが大臣として当然おやりになることではないのか、こう思うんですね。
私は、このミニマムアクセス、これは輸入義務ではないんだから、政府の統一見解、自分で決めたんなら自分でそれを解いて、これはもうやらない。そして、関税化によっても、ずっと関税率が引き下がってくるわけですから、これも農家へ打撃を与える、このことはもう明らかだと思います。自給率向上をおっしゃっておりますけれども、自給率の中で米が占める役割というのは極めて大きいものですね。米が減れば全体の自給率を下げる、それだけの影響を持っております。
そこで、大臣が、次期交渉に当たっては関係国とも連携しながら強い立場で臨む、このようにおっしゃっております。これは、韓国大使館の農務官に聞いたインタビュー記事がありますが、「日本と足並みそろえ多面的機能訴える」という表題になっております。韓国の金さんという方は、韓国はミニマムアクセスについては全部入れておりませんし、次期WTOに臨む気概として、関税化などは全然考えていないし、自分のところは発展途上国だから日本より長い年限があって二〇〇四年までということになっているんだけれども、その後も関税化などは考えていない、このように言っているわけです。
だから、韓国と連携しながら、国民の主食であり農業生産の主役をなす米をしっかりと守る、そうであるならば、WTO農業協定から米は外す、自由化から米は外すんだ、このぐらい強い決意で臨んでいただきたい、このことを申し上げまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/174
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175・松岡利勝
○松岡委員長 次に、前島秀行君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/175
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176・前島秀行
○前島委員 大臣、やはり私も、今度の交渉で、米は大丈夫だろうかな、稲作は大丈夫だろうかなというのが農民から見て最大の関心事だろうと思います。
それで、一年前に関税化は受け入れました。そのときの政府の説明は、日本の稲作を守る最大の選択なんだ、これしかないんだということを言いましたね。ということは、米が入ってこないようにするんだよということだろうと私は思います。だから関税化を受け入れたんだ、こういうふうに言われました。ここは絶対守ってもらわなきゃ困る。このことが具体的に今度の交渉でも担保されなければ、一年前の関税化は大失敗だった、これは責任を問われちゃうだろうと思いますね。五年前のウルグアイ・ラウンドのときは、確かに自民党さんは野党だったという逃げ道がありますけれども、関税化をやったのは自民党さん、与党ですから、ここは、私は大事な点だろうと思います。
それで、関税化が最大の選択であり、そのことが日本の米を守るんだということは、今の議論にもあるように、高関税を維持することによって入ってくることが防げるんだということと、ミニマムアクセスの輸入量を最小限に抑えられるんだ、この二つの論理があって、最大の選択であり米を守ることができるんだ、だから、関税化に踏み切ったんだ、こういうことだと思いますね。このことを今度の交渉でもちゃんと担保するといいましょうか、担保を守るかどうかが、私は米を守ることができるかできないかの分かれ道になるだろうと思いますね。
そこで、まず第一に、ミニマムアクセスは次におきまして、高関税を維持することによって外国から入ってくる米を阻止する、そのことによって日本の米を守る、稲作を守るという見通しの問題。先ほどの議論の延長下でいけば、どれだけ高関税を維持することができるならば、外国から入ってくる米を今後も阻止できるということになるだろうと思いますね。
そうすると、次期交渉において、この辺のところは見通しとしてあるのかないのか、その方法はどういう方法をもって、まず第一の高関税を維持することによって入ってくることを阻止できるか、ここが私は一つの最大の論点というか見通しだろうと思いますね。これに対する見通し、それを実現するための方法はこんなことを考えている、言える範囲で大臣、答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/176
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177・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 委員の御趣旨はよくわかりました。我々も同じ考えでございますが、ただ、御承知のとおり、交渉の枠組みを決めるいわゆるシアトルの閣僚会議、これに今全力を集中しておるわけでありまして、それとも関連することだと思うわけでございますけれども、閣僚会議の後にどのような交渉が行われていくか、行われるとするならば、関税の問題、ミニマムアクセスの問題等におきましても、できるだけ国内に影響を与えないような交渉を行っていくのは当然のことでありまして、今何をどのようなというようなことは、まだ会議で決まっているわけではございませんので、それについての予見を申し上げるのはまだ早いんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/177
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178・前島秀行
○前島委員 いや、だから今の答弁を聞いていると余計農民は不安になるんですよ。
要するに、関税化に踏み切ったときは、関税化というのは、基本的に限りなくゼロに近づく制度なんですよ。関税の率がなくなるのにどれだけ時間を稼げるかというのが関税化の性格でして、いずれ時間がたてばゼロに近づいていくという、それに踏み切ったんですよ。しかし、その踏み切ったときに、高関税を維持できるんだから、ミニマムアクセスは残るけれども、絶対に米は入ってこないんだから心配するな、こういうことだったわけですよ。
だから、私は、今度の交渉に当たって、具体的に関税率をこれだけ確保するなら、数字を言えと言っているんじゃないんですよ、少なくとも高関税を維持して、関税率を飛び越えて、要するに、米が日本に入ってくるようなことはさせないというその決意なんです。そういう決意を持って次期交渉に臨むか、その決意がないなら、最初から関税化をやったことが失敗だということを今認めるということになっちゃいますよ。そうでしょう。そこのところの決意が、次期交渉においても高関税を維持して、絶対に関税化でもって、数字をもって入ってくるというようなことはさせない、それだけ頑張る、こういう決意があるかということを聞いているんですよ、私は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/178
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179・谷津義男
○谷津政務次官 私の方から答弁させてもらいます。
実は、関税化に踏み切ったときの今お話なんですが、関税化に踏み切るにつきましては、委員のおっしゃるとおりのことが一部あるわけなんですよ。それは、関税化に踏み切ることによってミニマムアクセス米が八%までふえていくのを、その段階からその二分の一になることは御案内のとおりなんですね。ところが、一次関税というのはこれは国際的な面で非常に低いものになるわけです。二次関税が、これはどういうふうに張れるかということになりますと、国際価格と日本の国内の価格との差額を二次関税として張ることができるというのが、附属書の五にしっかりと書いてあるわけですから、日本はそれをとったわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/179
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180・前島秀行
○前島委員 そんなわかり切っていることを聞いているんじゃないんですよ。
そんなことを聞いているんじゃなくして、関税化に踏み切った論理は、関税化に踏み切ったのは、自民党さんと全中さんと政府の三者でもって決めたんでしょう、基本的に。そのことのいい悪いは今は言いませんよ。
しかし、踏み切った論理として、関税化に踏み切ったのは日本の米を守る最大の選択なんだ、こう言ったんですよ。その根拠は何かといったら、高関税を維持できるから、米が入ってこないからだ、心配するな、こう言ったんです。ミニマムアクセスも、今踏み切れば拡大が阻止できるから心配するなと言って踏み切ったんですよ。いいでしょう、それは。だとすると、次期交渉でも、このことが保証されない限りは、逆に、関税化に踏み切ったことによってずっといっちゃったということになるから、振り返ってみると、関税化は失敗だったと言わざるを得なくなるよ、こう言っているんです。
したがって、今度の次期交渉でも、高関税を維持する努力をして、そのことによって米が入ってこないようにするから心配するな、そういう決意があるか、こう言っているんですよ。数字をどうのこうのなんて言っちゃいない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/180
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181・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 決意がなくして交渉しません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/181
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182・前島秀行
○前島委員 それでは、後で、数字があれだから入ってきたなんてことを言わぬでくださいよ。そのときは責任をとるということだ。ここは大事なことなので、ぜひしてほしい。
次に、それでは政務次官に質問します。
内外価格差で決まるんですよ、関税率が。今、日本の国内の米は上がっているんですか、下がっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/182
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183・谷津義男
○谷津政務次官 需給のバランスで、ことしなんかは非常に豊作という形もとれましたから、下がってはきていますけれども、これはまだまだ、今の関税は三百七十一円十七銭だったですか、その後も三百四十一円というのが十二年以降ずっと張れるわけですね、六年の間。そうなりますと、まだまだ相当高い分になります。そして、六年間に二・五%、いわゆる一五%下げるということなのですが、また、交渉の期間中はこれはそのまま維持されるということにもなりますので、その辺のところをしっかり踏まえて次の交渉に当たっていく。しかも、関税化に踏み切ったことによって日本は土俵に乗ったといいましょうか、そういうことが言えるので、今の農業の多面的機能の重要性や食料安全保障の配慮や輸出入国間の権利バランスのことが主張できる、よその国とも一緒になって交渉ができるということできたんだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/183
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184・前島秀行
○前島委員 いや、もう計算の仕方で、内外価格差でもって二次関税のあれが出てくるんですからね。これは関税化のときにさんざん議論をしたんですよ。今の国内の価格というのはどんどん下がっているんですから、内外価格差が縮まっていけば第二次関税というのは必然的に落ちていくんですよ。それでなくても、二・五ずつ自動的に落ちていくということになると、高関税を維持して、物が入ってくるというところはそう簡単ではないぞということを言うのであって、次の交渉でも、そこのところは関税を維持して、絶対に入ってこないようにするんだ、その決意でぜひ臨んでほしいということを私は言っているんであって、それは後で、結果でまた議論をしましょう。ここの決意がない限りは、関税化との関係で大変だよということを私は言っているんですから、その決意をあれしてくれということを言っているんですから、大臣は決意なくして臨まないと言うのですから、それはもう期待していますよ。
では次に、米を守るという一連の中で、政府は、関税化に踏み切った、それで新しい農業基本法をつくっていった。そして、その基本法をつくっていく一つの基本的な考えというのは、価格政策というものから所得補償政策というものに政策を転換していくんだ、そういう形の中で、新しい農政の展開として、いわゆる稲作経営安定対策とか水田活性化対策というものが出てきたんだろうと思いますね。これは、関税化に踏み切ったものと何ら関係なくはないんですよね。この延長線上で、今度の次期交渉というもので何が大事なのかということは必然的に出てくるだろう、こういうふうに私たちは受けとめる。
その第一弾として、関税化に踏み切ったんですから、関税でまず抑える、入ってこないような努力をしてくれよということを私は今言ったので、それは絶対入ってこない決意でやると言ったのですから、それは期待しますよ。
次の、いわゆる価格政策から所得政策に方向転換していくことによって稲作を守っていくんだ云々というこの論理です。そこでぶつかるのが緑の政策、青の政策という形になっていくわけなんですよ。
まず第一に聞きたいのは、EUの直接支払い方式がどうなっていくのかということと非常に連動してくるな、私はこういうふうに思うわけであります。これは、最近行かれたということなんで、政務次官でもいいのですけれども、このEUの直接支払い方式が今後の次期農業交渉の中で、緑の政策じゃないんだから、青の政策として引き続き担保されていくということが、次の我が国の展開上絶対的に必要なことだろう、それがなくしてもうないわけなんですからね。その辺の見通しをまず聞かせてほしいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/184
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185・谷津義男
○谷津政務次官 これはEUの青の政策の話ですけれども、委員も御案内のとおり、実はこの青の政策につきましては、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉の中で直接話し合われたのではなくして、EUとアメリカの二国間の交渉で青の政策が出てきたということは御存じかと思うのです。
そこで、この稲作経営安定政策について、米を対象とした生産制限計画のもとにおける直接支払いのことであるということ、それから、対象になっている生産水準は、基準となる生産水準の八五%以下であることということから、削減対象から除外されるいわゆる青の政策に該当するものと考えているわけなんですね。
一方で、本対策は、米のみを対象として何らかの価格支持効果を有することなどから、ちょっと黄色の面に含まれる要素も持っていないとは申し上げません。また、価格変動が稲作経営に及ぼす影響を緩和することから、緑の政策に含まれる収入保険的な要素も持っているということは、委員も御案内のことかと思います。
したがいまして、本件の取り扱いにつきましては、農業協定のルールや諸外国の類似制度の取り扱い等に十分留意しながら検討、対応していきたいと考えております。
いずれにしましても、稲作経営安定対策は新たな米政策の主要な柱の一つでありますから、WTO上のルールにより本対策の推進に支障を来してはいけないのでございますので、私どもは、その辺のところをしっかりと勉強しながら対処していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/185
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186・前島秀行
○前島委員 ウルグアイ・ラウンドの交渉のときに、EUの直接支払いが青の政策として残ったというのは、アメリカ側の方が不足払いと減反という制度があって、そこで抱き合わせでお互いにやった結果、残ったんですよね。しかし、九六年農業法でアメリカはここを取っ払ったんです。ここがこの間の新たな事態なんで、少なくとも現時点で言えるのは、ウルグアイ・ラウンドのときのように、EUとアメリカが抱き合わせでこの制度を確保する、継続するということについては、少なくとも前回よりは心配事がある、こういうことなんですよ。
しかし、我々日本として、この稲作経営安定対策なり水田活性化対策を、少なくとも青の政策として国際ルール化させるためには、このEUの直接支払い方式が青の政策として改めて次期交渉でも確保されなければ不可能だ、私はこう見ているわけなんで、ここはどうだ、こう聞いているんですよ。ここのところは、絶対に崩せない、譲れない、日本としては重要な柱だよ、こう言っているんですよ。どうですか、そこは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/186
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187・谷津義男
○谷津政務次官 この点につきまして、実は私、EUに行きましたときにその辺のところも確認をしているわけでありますけれども、この件につきましては、引き続き青の政策を存続させる、そして、存続意義を積極的に評価すべきだというふうに考えておりまして、このような考え方を六月に取りまとめました日本の提案の中にも盛り込んでいるところなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/187
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188・前島秀行
○前島委員 私、言っておきますけれども、頑張ってくれという立場ですから、誤解しないでくださいよ。
したがって、私が言わんとするのは、関税化に踏み切っちゃって、関税の率の勝負の世界に入ったんだから、いわゆる高関税をもって、二次関税をもって、入ってこられないような努力を次期交渉でもやらないと、絶対だめよということ。
それから、それを前提にしてやっている国内対策としての稲作経営安定対策も水田活性化対策も、国際ルールとして担保されない限りは日本の農業、稲作はつぶれちゃう、こういうわけです。そこの瀬戸際のところに来ているんですから、簡単な妥協をしてもらっちゃ困るし、腰を据えた形で臨んでもらわなきゃ困るよ、こう言っているわけです。そういう意味で、簡単なことじゃないと私は思いますよ。
先ほど言ったように、確かにアメリカも、一時期、不足払いを取っ払ったり減反をしたときより、最近の穀物不況の中で若干ニュアンスが変わってきたという報道も片っ方にあるけれども、やはり、不足払い制度、減反制度を、アメリカが九六年農業法で取っ払っているという事実は無視できないだろうと私は思いますので、そんな甘くはないのじゃないかなと思うわけなんです。
したがって、高関税で入ってこないようにするということと、この二つの制度が担保されるように、緑の政策、青の政策として確実に次期交渉で確保してもらわなければとんでもないことになる、ここだけはちゃんと押さえてくださいよということを私は言うので、改めて大臣、いいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/188
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189・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 武士に二言なし。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/189
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190・前島秀行
○前島委員 言質としてじゃなくして、私は、それだけ大臣が決意をしたのですから、結果を楽しみにしています。それだけの決意があるというならいいですけれども……(発言する者あり)いやいや、あれだけ言ったんだから、それができなかったら、それはまたそのときの話で、交渉事ですから、結果を先に想定しちゃって物を言ったら失礼ですから、その決意を私たちは歓迎して期待をしていますから、そこはよろしく頼みます。
それで、実現するための手だて、方法としてどういう方法、要するに、一つは、EUとの連携をどう位置づけていいのかというところは、どうしても微妙な部分がありますね。ある部分は一緒にやった方がいいよという部分と、いやいや、そうでもないぞという部分がありますね。共通する部分は、御案内のように多面的機能の問題がある。
しかし、EUの中にもいろいろと国の立場は違うけれども、輸出国というこの原則はやはりEUのスタンスなんだ。そこのところの食い違いが、我が日本との間にどこの場面で出てくるのか。前回、ウルグアイ・ラウンドのときは最後の土壇場で出たというふうに私たちは見ているわけなんですけれども、そういう面で、このEUとの連携というのをどう位置づけているのか。言える部分と言えない部分があると思いますけれども、その辺のところをちょっと聞かせていただければ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/190
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191・谷津義男
○谷津政務次官 ただいまのお話でございますけれども、EUは、農産物の輸入大国であると同時に、輸出大国でもあるという部分があります。これは、国によっていろいろとありますね。そういう中で、我が国とは異なる側面があることは先生のおっしゃるとおりでございます。次期農業交渉における基本的なスタンスは、我が国と同様に、農業の多面的機能を重視する立場であるということは承知しております。
そういう点がありましたものですから、EUにも私も行きました。また大臣もいらっしゃいまして、その辺のところをしっかりと話し合ってきましたし、また特に、今フィンランドが議長国でありますものですから、フィンランドの農業大臣とも私もじっくりその辺のところを話し合いました。そして、現在行われている閣僚宣言案の準備プロセスにおきましても、EUと我が国が農業の多面的機能の重要性ということで一致しまして、韓国やノルウェーやスイス等を含めた八カ国で共同提案を行った、修正案を出したということもあるのです。
そこで、そのとき、フィッシュラー農業・漁業委員からこういう提案がありました。多面的機能を重視する国でフレンドグループをつくったらどうか、実は事務的にはやっているんだけれどもという話がありましたから、私は、いや、これはハイレベルで、閣僚レベルぐらいに持っていって、その辺のところをしっかりとすり合わせて交渉に当たるべきだという話をしましたら、そのとおりだということで、この間、玉沢大臣がFAOの総会に行ったときにも、フレンドグループの閣僚の方々と一堂に会しまして、その辺のところをしっかりと話し合ってきたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/191
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192・前島秀行
○前島委員 言葉は悪いのですけれども、したたかにというのでしょうか、我が日本の国益を貫徹できるような形の中で、さまざまな勢力との連携等々をぜひ国レベルでやってほしいということが一つ。
それともう一つ。今度の交渉をやっていく上に、私は、連携する一つの舞台として、政府間だけじゃなくして、民間NGOその他の舞台、その部分とどう連携していくかということは、ウルグアイ・ラウンドにもあったと思いますけれども、それ以上に今回の最大の焦点ではないだろうか。特にそのことが、私は、先ほど言いました日本の課題を貫徹していく上に重要な手段といいましょうか、方法ではないだろうかと。
遺伝子組み換えだとか成長ホルモン等々の輸入禁止という課題は、消費者、市民が非常に関心を持っている。それは、市民レベル、民間レベルでいえば、アメリカといえども、ヨーロッパといえども関心のあることなんだ。そのことを日本が積極的に取り上げて、そういう舞台、そういう人たちといろいろな連携をすることによって、政府間交渉の問題も有利に導けるということもあり得るだろうし、同時にまた、今回の次期交渉の最大の論点、争点になるこの新しい課題、遺伝子組み換えの問題等々も大きな論点になる。そんなことを考えると、政府間ベースじゃなくして、民間、NGO、市民、農民だけではない消費者、こういうものとどう連携をしていくのか。
それは、国を越えて連携できるのです。アメリカの市民ともできる、アメリカの消費者ともできる問題であるし、ましてやヨーロッパのNGO、市民ともできる問題でありますから、このことがどれだけ盛り上がるかが、政府間交渉で我々の目的を達成するかという、外郭をつくる大きなポイントになってくるのではないだろうか、私はこう思っています。
そういう面で、このNGOその他の市民あるいは消費者との連携は今日までどうやってきているのか、今後どうやろうとしているのか、その辺をどう位置づけているのかについて聞かせてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/192
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193・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 今回の交渉には、地球的規模での環境問題や食品の安全性等の観点から、市民グループが強い関心を寄せておりまして、シアトル閣僚会議に対して、各国から多数のNGOがオブザーバーとして参加することになっておると伺っております。こうした状況を踏まえれば、農林水産関係者のみならず、消費者、経済団体も含めた幅広い合意の形成が重要と考えております。
このような観点から、消費者、経済界を含めた国民全体の合意形成を進めながら、次期交渉に向けた我が国の考え方を取りまとめ、我が国の提案としてWTOに提出しますとともに、この提案に基づき、政府のみならず関係者がそれぞれの立場で積極的な働きかけを行ってきているところであります。
今回の交渉に当たりましても、EU、韓国等との連携を図り、政府ベースでの働きかけを通じて幅広い諸国の理解を得ていくことはもとより、同様の考え方を持つ各国のNGO等との協調も視野に入れて、国際的な世論形成を図って交渉に臨んでまいりたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/193
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194・前島秀行
○前島委員 時間が来たから終わりますけれども、伝統的に、特に、日本の政府というのはNGOを活用するのが非常に苦手だし、弱いですよね。これは事実です。率直に事実ですけれども、しかし、ここが今回交渉の勝負だと私は思いますから、これは、言葉で言えば、今大臣が言われたような言葉しかないと思うけれども、実態は必ずしもそうなっていないと思いますので、ここのところはぜひ頑張っていただきたい、そのことを重ねてお願いして、終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/194
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195・松岡利勝
○松岡委員長 これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/195
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196・松岡利勝
○松岡委員長 この際、お諮りいたします。
WTO次期交渉に関する件について決議いたしたいと存じます。
本件につきましては、理事会等におきまして協議を願っておりましたが、その協議が調い、案文がまとまりました。
便宜、委員長から案文を朗読し、その趣旨の説明にかえたいと存じます。
WTO次期交渉に関する件(案)
WTO次期交渉は、二十一世紀の世界の農林水産物貿易ルールの方向が決定される極めて重要な交渉であり、食料自給率の向上を始めとして将来にわたる我が国の食料・農林水産業・農山漁村のあり方に関わる国家の最大関心事である。よって政府は、次期交渉に臨むに当たっては、その重要性を十分認識し、国会並びに関係者と一体となって、左記事項の実現に万全を期すべきである。
また、議員外交の観点から、本委員会においても、左記事項の実現に積極的に取り組むものとする。
記
一 WTO次期交渉において、農林水産分野については、二十一世紀の我が国農林水産業の担い手が明るい展望をもって農林水産業に携わることができるような交渉結果を獲得することが必要である。このため、WTO次期交渉において、農林水産分野については、いずれの国にとっても真に公平で公正な貿易ルールの確立を図り、各国の農林水産業が共存できるような国際規律とすることを基本とするとの観点から、確固とした立場と強い姿勢で臨むこと。
その際、我が国農林水産業が、国民に食料を安定的に供給するとともに、農山漁村の地域生態系や文化を育んできた歴史と現状を踏まえ、農業分野については、農業・農村の有する多面的機能や食料安全保障の重要性、輸出国と輸入国間の不公平の是正、林野、水産分野については、森林・水産資源のような再生可能な有限天然資源の持続的利用の観点が十分反映されるよう、全力を挙げること。
二 WTO次期交渉に当たっては、我が国の食料・農林水産業・農山漁村の維持発展のため確固とした交渉スタンスの確立が図られるよう、国論を統一して臨むことが何よりも重要であることに鑑み、一層の情報公開に努め、広範な国民的合意の形成を図ること。また、EU、アジア諸国を始めとした各国へ我が国の考え方に対する理解が深まるよう積極的な働きかけを行うことにより、国際的な連携を図ること。
右決議する。
以上でございます。
ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/196
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197・松岡利勝
○松岡委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。
この際、ただいまの決議につきまして農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。玉沢農林水産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/197
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198・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従いまして、我が国の国益を守るとの観点から、最大限努力してまいる所存でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/198
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199・松岡利勝
○松岡委員長 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/199
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200・松岡利勝
○松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/200
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201・松岡利勝
○松岡委員長 次に、第百四十五回国会、内閣提出、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣玉沢徳一郎君。
—————————————
農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/201
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202・玉沢徳一郎
○玉沢国務大臣 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
農林漁業団体職員共済組合制度におきましては、近年、年金受給権者の増加、現役組合員数の減少が続く中で、組合員の将来の掛金負担の急騰が見込まれ、制度の安定性に対する組合員の不安を惹起しております。
本格的な少子高齢社会の到来を目前に控えて、国民の老後の生活設計の柱となる公的年金制度が、今後ともその役割を十分に果たしていけるよう、農林漁業団体職員共済組合制度を長期的に安定した制度とし、将来にわたって引き続き組合員及び年金受給者の信頼を維持していくことが必要となっております。
このような状況を踏まえ、政府といたしましては、他の公的年金制度と同様に、農林漁業団体職員共済組合制度全般にわたり必要な見直しを行うこととし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、農林漁業団体職員共済組合制度の長期的安定を図る観点から、年金額のうち給与比例部分の給与水準を五%適正化するとともに、定額部分の給付水準については、物価水準の上昇を踏まえた改定を行うこととしております。
第二に、六十五歳以降の年金額の再評価率の改定については、物価水準の変動に応じた改定のみを行うこととし、賃金水準の変動に応じた改定は行わないこととしております。
第三に、六十歳以上六十五歳未満の者に対して支給される退職共済年金について、将来の掛金負担の増大を抑制する観点から、その支給開始年齢を、段階的に六十五歳まで引き上げるとともに、これらの者を対象とした退職共済年金の繰り上げ支給制度を創設することとしております。
第四に、世代内の公平を図る観点から、賞与を含めたすべての収入を掛金の賦課及び年金額の算定の基礎とする総給与制を導入することとしております。
このほか、育児休業期間中の掛金の農林漁業団体負担分の免除等所要の措置を講ずることとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/202
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203・松岡利勝
○松岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114605007X00319991117/203
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