1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年十一月十八日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
十一月十七日
辞任 補欠選任
岩崎 純三君 脇 雅史君
北岡 秀二君 阿南 一成君
小山 孝雄君 亀井 郁夫君
斉藤 滋宣君 世耕 弘成君
森下 博之君 森田 次夫君
山崎 正昭君 岩瀬 良三君
川橋 幸子君 前川 忠夫君
北澤 俊美君 福山 哲郎君
松 あきら君 山下 栄一君
山本 保君 海野 義孝君
十一月十八日
辞任 補欠選任
釜本 邦茂君 木村 仁君
足立 良平君 石田 美栄君
今泉 昭君 江本 孟紀君
前川 忠夫君 川橋 幸子君
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出席者は左のとおり。
委員長 陣内 孝雄君
理 事
岩井 國臣君
加藤 紀文君
須藤良太郎君
野間 赳君
寺崎 昭久君
円 より子君
弘友 和夫君
池田 幹幸君
梶原 敬義君
委 員
阿南 一成君
岩瀬 良三君
加納 時男君
釜本 邦茂君
亀井 郁夫君
木村 仁君
久世 公堯君
世耕 弘成君
仲道 俊哉君
馳 浩君
保坂 三蔵君
森田 次夫君
森山 裕君
山下 善彦君
脇 雅史君
足立 良平君
朝日 俊弘君
石田 美栄君
今泉 昭君
江本 孟紀君
川橋 幸子君
木俣 佳丈君
高嶋 良充君
羽田雄一郎君
福山 哲郎君
前川 忠夫君
海野 義孝君
加藤 修一君
木庭健太郎君
山下 栄一君
緒方 靖夫君
西山登紀子君
山下 芳生君
三重野栄子君
高橋 令則君
渡辺 秀央君
菅川 健二君
水野 誠一君
西川きよし君
国務大臣
内閣総理大臣 小渕 恵三君
大蔵大臣 宮澤 喜一君
通商産業大臣 深谷 隆司君
国務大臣
(経済企画庁長
官) 堺屋 太一君
政務次官
通商産業政務次
官 細田 博之君
通商産業政務次
官 茂木 敏充君
労働政務次官 長勢 甚遠君
建設政務次官 加藤 卓二君
自治政務次官 橘 康太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 塩入 武三君
政府参考人
内閣審議官 下矢 雅美君
厚生大臣官房審
議官 堤 修三君
通商産業省産業
政策局長 村田 成二君
通商産業省機械
情報産業局長 太田信一郎君
通商産業省生活
産業局長 横川 浩君
中小企業庁長官 岩田 満泰君
自治省財政局長 嶋津 昭君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○中小企業基本法等の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/0
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001・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) ただいまから中小企業対策特別委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、松あきら君、山本保君、川橋幸子君、北澤俊美君、岩崎純三君、北岡秀二君、小山孝雄君、森下博之君、山崎正昭君及び斉藤滋宣君が委員を辞任され、その補欠として山下栄一君、海野義孝君、前川忠夫君、福山哲郎君、脇雅史君、阿南一成君、亀井郁夫君、森田次夫君、岩瀬良三君及び世耕弘成君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/1
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002・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
中小企業基本法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に政府参考人として内閣審議官下矢雅美君、厚生大臣官房審議官堤修三君、通商産業省産業政策局長村田成二君、同機械情報産業局長太田信一郎君、同生活産業局長横川浩君、中小企業庁長官岩田満泰君及び自治省財政局長嶋津昭君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/2
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003・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/3
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004・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 中小企業基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/4
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005・足立良平
○足立良平君 民主党・新緑風会の足立良平でございます。
きょうは、総理以下、御出席をいただきまして、中小企業関係の問題についてざっくばらんに議論をさせていただきたい、このように思います。
それで、私の方の議論の焦点は、中小企業をめぐっての今日の経済状況なり、あるいは政治の問題を含めて、ちょっと総括的に少し触れていきたいというふうに思います。
それで、私、自己紹介を先にいたしますと、比例区の選出でありますから、実は今でも土曜日、日曜日とかいろんな、こちらであきましたときには全国を飛び回っています。全国を飛び回ってみて、最近共通して有権者、国民の皆さん方から出てくる問題が二つあります。
その一つは、今日の政治というのは、政局全体の問題も含めてなんですが、一体これはどうなっているんだよと。それぞれ永田町なりこの国会の中というのも、私もずっと十年くらいおらせてもらっていますけれども、わかっているようであって実は私も余りわかりません。けれども、地方の皆さん方なり国民の皆さんからすると、今日の政治というのは一体どうなっているんだよということがまず一番、これはどこへ行っても必ず聞かれることが一つです。
そして二つ目に、この経済というのを、これを何とかしてくれぬかと、この不況になっているのを。この景気もうちょっとたまらぬよというような、これは私も中小企業主の社長も含めて多く知っているんですけれども、そういう人たちから異口同音にしてそういう言葉が出てくる。
それで、私は、そういう面で改めてこれはちょっと総理にお伺いをいたしたいと思うんですけれども、考えてみると、これちょっときょうの朝の新聞を見ておりますと、自由党の小沢さんが一時は連立離脱であるとかいろんなことをおっしゃっていて、むしろこれは補正予算は賛成して連立離脱はしないというふうなことも記事がちょっと出かかったりして、正直言ってこれはわかりません。
ですから、これは今、小渕総理にどうこうということを聞くつもりはありませんが、世間一般の国民の皆さんからすると、これははっきりひとつ小渕総理も認識をしておいてもらわにゃいけませんのは、三年前の衆議院選挙のときには、この自由党の皆さん方も公明党の皆さん方も、これはちょっと党名が違いましたけれども、自民党の政治では日本はよくならないと。これは自民党の皆さん方ですから、それはちょっと立場の違いというのはあったとしても、少なくとも自由党の皆さん方も公明党の皆さん方も自民党の政治ではだめだ、こういうふうにおっしゃってきた。それから、昨年の参議院選挙も全く同じことを言って、そして選挙を戦われてそれなりの国民の審判をお受けになった。そして今、連立内閣というものができている。
そうすると、選挙というのは一体何なんだと。選挙というのは、政党の哲学あるいは理念、綱領、そういうものを掲げて、これから四年間なら四年間の任期の間、我が政党はこういうふうにやってまいりますということを国民の皆さん方にある面においては契約をする、約束をするということが選挙であったと私は思います。そして、国民の皆さんはそのことを聞いて、よし、わかったということで投票をされている。去年の七月の参議院選挙はまさにそうだった。それが変わっちゃった。これはある面においては政治に対する不信感というものを大変に増長しているというふうに私はずっと全国走り回っていて実は感じるわけです。
これは、私は、もし感想が小渕総理にございましたらちょっと一回感想を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/5
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006・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 民主政治におきましては、選挙によって国民の意思をしっかりと受けとめながら、それぞれの選挙時における主張につきましては、これを具現するために最善の努力をしていかなきゃならぬという先生の御指摘は、私はそのとおりだと思います。
ただ、政党としてお約束をされたことと、それから当選しました議員その者の政治的な対応についてはそれぞれその時点において変わるということもこれまた許されるものだと思いますし、参議院におかれましては六年、衆議院においては四年間、与えられた議席の中で国政を担うに値する国会議員それぞれがみずからの信念に基づいて行動することも、これは否定し得ないものだろうと思います。
なぜなれば、しからば選挙時における政党のものにすべて制約されるということになると、その後の情勢を見ましても、選挙時における政党が離合集散をして所を変えて政党が変わるというケースもあるわけでありまして、しからばそうした議員の各位というものは、政党がそのときに約束した綱領なりお約束事をされるということ、政党としてのことを守り抜かなければならぬということになると、政党が分かれたりあるいは一緒になったりということがこれまたある意味では許されないことにもなりかねないわけであります。
私としては、やはり基本的に選挙のときの政党の公約そのものはたっとんで、その政党としての約束した国民に対する責務を果たさにゃならぬと思いますが、しかし同時に、当選された方々が御自身の意思によって新たな政党に参画するなりするということまで、選挙民の意思に最終的にこたえていくということであれば私は許されるのではないか、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/6
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007・足立良平
○足立良平君 これは、ちょっともうこれ以上この問題余り突っ込もうとは思いません、私は。趣旨がちょっとそこ以外であるのですが。
これは政党の、今こういう変化の時代でありますから、総理が今おっしゃったように、ある面では新しい政界再々編成も含めていろんな動きがあるのかもしれません。ですから、その上での話になってくるわけでありますが、個人の問題を含めて、例えば比例代表制で当選して、そしてこれは政党の名前で当選をしているわけですから、そういう人が全然違った政党、相反する政党に移動するということは一体いかがであるか。これはまさに政治に対する不信の出てくるもう最たるものではないかというふうに私は思いますので、これはあえてここでこういう定義だけ一応しておきたいと思います。
それで、総理、これはちょっと私、今思い出しておりますと、この前の国会における国旗・国歌の特別委員会ですか、あの中でも私はちょっと総理と議論したんですが、国旗・国歌のあの法案をつくるに当たりまして、総理はこの参議院の予算委員会で、ちょうど自民党としてこれを進めていくということをおっしゃる一週間前に、たしか明確に法案化をしようという考え方はありませんというふうにおっしゃった。それ以降事情が変化したんだと、事情が変化という表現をずっとされていたわけですけれども、一週間前に総理はこれは法案化する考え方はありませんというふうにおっしゃっている。
それから、企業・団体献金の禁止の問題。きのうもクエスチョンタイムでいろんな議論がありました。これも新聞等の報道を見ておりますと、自民党の中山政治改革本部長の考え方をむしろ肯定的に総理もおっしゃっていたように私は新聞記事をずっと見ておりました。
それから、これは総理だけの問題ではありませんけれども、定数削減の問題にしても介護保険の問題にしても、それからガイドラインにおける船舶検査の問題、これはある面においてはガイドラインの一つの大きな柱であった。三党の考え方が違うから若干先送りしましょうと。前の通常国会の中では必ずこの問題をきちんといたしますというふうにおっしゃっていた、これもちょっと先送りされた。
考えてみると、私は、総理の言葉じりをとらまえて、そしてあれがけしからぬ、これがけしからぬと言うつもりは全然ないんですよ。それはない。けれども、はっきりと正式の、フォーマルな公の場所で私はこう考えますよというふうにおっしゃっていたやつがころころころころ変わっちゃって、そして本来やると言っていたやつがずっといつの間にか先延ばしされている。
私が今申し上げた一つ一つの項目について、これはどうだこうだということはきょうは詰めるつもりはありません。けれども、結局これは、総理というのは政治の一番最高の責任者なんです。この最高の責任者の言動、総理の言葉あるいは表現の仕方、これは国民の皆さん方がそれをじっと見ていて、そしてこれは本当に信頼に値するのかしないのかという観点で国民の皆さん方は総理の一挙手一投足を実は見ていると私は思うんです。
それからもう一つ、最近の神奈川県警のあの不祥事。私はもう大変なことだろうというふうに実は思っているんです。これは今の日本の社会的な秩序、これをきちんと担保してくれる、安全というものを担保してくれるのは私はやっぱり警察だと。そして、一般の警察官というのは大変まじめに職務に精励をしていると私は信じています。けれども、本部長以下最高幹部ですよ、最高幹部からああいうふうな状態をしてきたということについては、私は、警察というものに対して大変な不信感というものが国民の皆さんにできていると。
そして東海村の原子力事故です。これも一応安全だと言っていた。そしてまた、これはひょっとしたら通産大臣の所管というよりは科技庁の所管なのかもしれませんけれども、これも今日まで何十年間にわたって原子力の安全問題について営々として努力してきたその努力があの行為によって一遍に水泡に帰してしまったんです。
こうずっと考えてみると、今日の政治に対して国民は、これは一体どうなっているんだよと。そして、これに対して日本の文化というのは恥の文化だと。自分が責任があるとすれば潔く責任をとるということが日本人の今日までの文化だし、そして皆がおおそうか、もう一遍新たにやろうではないかという気持ちになってくるのが今日までの日本の美学だと私は思っているんです。それが全く飛んでしまっている。
総理、私はいろいろと考えてずっと振り返ってみまして、これはちょっと大変な状態になっているように思えてならないんですが、いわゆる責任をとるということ、あるいはまた国民の信頼を失墜してしまっているということについて、総理として一体どのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/7
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008・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 政治は、先人が申されているように、信なくば立たずということでございますから、国民の信頼を失ってはこのことを行い得ないということでありまして、最近これに関して、いろいろな事件が発生をすることによりまして大変国民の皆さんに信頼を失墜するような事態が生じておることにつきましては、政治の責任者としても深く反省し、再び信頼を取り戻すために何をなすべきかということにつきまして最善の努力を傾注していかなければならない、こう考えておる次第でございます。
個々の問題に触れまして御指摘がありましたが、いずれにいたしましても既に事件としてこれが明らかになっておることでございますから、例えば警察の不祥事の問題等につきましても、具体的に申し上げれば、神奈川県警における本部長が事件を部内にとどめて処理しようということだったということでありまして、この事案につきまして、いわゆるこれをチェックすべき国家公安委員会に答申がなされない限りにおいてはなかなかその事案が明らかにならないということでもありますし、また警察内部においても恐らくチェック機能、すなわち監察関係がそうしたものについて、常に部内の問題については、起こった場合にはいかにこれを処理しているかということについて厳正なやっぱり対処をすべきではないかと思いますが、どうも身内の中で一種のいわゆるかばい合いというような形になった結果、このような事件が発覚をしているということでありまして、これに対しまして、こうしたことが起こらないためのシステマチックな処理の問題についても、きのうも御答弁させていただきましたが、いろんな角度から検討させていただいて、二度と再びこうした事案が発生しないための努力をしていかなきゃならないというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/8
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009・足立良平
○足立良平君 憲法の六十五条、「行政権は、内閣に属する。」ということが明確に書かれています。
私は、今申しましたように行政的にいろんな責任というものがある中で、そういう面での、今の総理の答弁というものを聞いていまして、これから行政の長としての総理大臣が本当にこの種の問題を絶対に起こさないというふうな決意というものはどうも感じられないというふうに思います。これは本当のところ、私は改めて責任の問題ということを明確にしていただかなければならないということを一応申し上げて、このまま終わりたいと思います。
それで通産大臣、ちょっと東海村の問題が出ましたから、私はあえてお聞きをしておきたいと思う。
原子力というのは、我が国のエネルギーにとって極めて重要な問題であるというふうに私は思っています。したがって、そういう面で、この東海村の事故を契機にして原子力に対しては大変な今逆風が吹いている、あるいはまた原子力というのはもうこれはだめではないかというふうな議論もあるやに聞きます。私は、そういう面ではそれはちょっとおかしいと思いますが、政府として我が国のこれからのエネルギー政策というもの、これを一体どういうふうに考えていこうとされているのか、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/9
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010・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 今、委員のお話を伺いながら、本当にいろいろな出来事がありますけれども、その一つ一つを大事な反省点として国民の信頼を回復するために、総理を中心に全力を挙げて頑張っていかなければならないという、そういう思いを新たに強くしているところであります。
東海村での燃料加工工場におけるこのたびの事故というのは、本来あり得ない、起きてはならない話でございました。したがって、まことに遺憾で残念であります。しかし、その反省を反省として、今後二度とそのようなことがないような対応を今全力を挙げて取り組んでいるところであります。
ただ、問題なのは、燃料加工工場と原子力発電所における安全性というのは全く別物でございます。例えば、原子力発電所ではウラン溶液等は扱っていないわけでありますし、二重、三重、四重という多重防護対策というのを立てて万全を期しているというのが現状でございます。だから、東海村のあの事故は大いに反省しなければなりませんが、そのことで原子力発電所まで非常に危険でだめなんだという、そういうような不安や不信の念が広まるということはまことに遺憾なことでありまして、それを払拭するために、例えば私どもは電力会社の社長、責任者を全部呼んで一堂に会して、さらに常に緊張感を忘れずに頑張るように、あるいは検査のマニュアルをきちんとやっているかどうかについての総点検などもさせたところでございます。
私も、福島県の第二原子力発電所を視察してまいりましたが、原子力発電所におけるそのような緊迫感というのはしっかりしているし、防護体制も目下万全であるというふうに思っております。そして、そういう万全を期した上で、国民の信頼を回復するということを日々努力しながら、しかしエネルギー政策における原子力の位置というのは変わるものではないと、そのように思っています。
といいますのは、委員御承知のように、例えば安全供給の確保、継続的な供給とか、経済発展とか、あるいは環境の保全ということを考えて、同時決着を考える、エネルギー行政を考える場合に、目下のところ原子力エネルギーが最適であり、重要であると考えているからであります。
いずれにしても、通産大臣というみずからの責任においてしっかり対応していくようにいたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/10
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011・足立良平
○足立良平君 これはけさの東京新聞ですか、ちょっと読んでいまして、多分お読みになったと思うけれども、日経連の奥田会長です、「たるんどる」と、こう一喝したという、こういう記事がある。結局これは、HⅡロケット、あの失敗の問題にしても、あるいはまたこの臨界事故のジェー・シー・オーのああいう仕事の仕方にしても、日本の製造業というのが、これはこれから極めて重要なんだけれども、しかし一方で、そういう面でいささかたるんでいるんではないか。そして、これは後ほど少し議論をしていきたいと思いますけれども、人員を削減すれば例えば株価が上がっていく、リストラをやればいいんだというふうな物の考え方だけで本当にいいのかこれは、という警鐘をこの奥田会長は今鳴らしています。
私は、これは本当に正しいんではないかと。私は、これから日本の産業、中小企業も含めて、あるいは雇用問題も含めてこれから考えていくときに、もう一度、企業におけるグローバルな競争関係の中で、しかもそれに勝ち抜いていきながら、一方で企業の社会的責任というものをどう考えていくかということは、これからの議論の俎上に乗せていかなきゃならない課題だというふうに思っておりますので、これはあえてそれだけ申し上げておきたいというふうに思います。
それで、次に私はお聞きをいたしたいと思いますのは、これは経企庁長官にお聞きいたします。
つい最近、月例経済報告が行われました。それで、もう時間も余りありませんから内容はそう詳しくは要りません。私の理解しているのは、要は公的な資本なりそういうもので一応経営陣が支えてきた。けれども、これは民需に完全にまだ移っている状態ではない。そして、アジア貿易を中心にしてそれで何とか今ずっと動いているんだ。だから、これからはもうちょっと気をつけなきゃいかぬというのが大筋だろうというふうに私は実は思っておりますので、その点で付加して、もし間違っている点がありましたらと、それから長官の見解をお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/11
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012・堺屋太一
○国務大臣(堺屋太一君) 先ごろ政府は月例あるいは経済新生対策を出しまして、そこでの景気判断は今委員がおっしゃったとおりでございまして、政府のさまざまな対策によりまして一時よりは景気はかなりよくなっておりますが、依然として民間需要は回復力が弱い、いま一押し二押しのてこ入れが必要だという認識を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/12
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013・足立良平
○足立良平君 GDPの中で占めるウエート、個人消費は今やひょっとしたら六〇%弱になっているのかもしれません。五八%か九%、若干変化するとしても約六〇%。民間の設備投資も、これも大体一六、七%くらいなんでしょうか。合計いたしますと七七、八%、八〇%弱。我が国の経済のこれからの成長というものを考えてみますと、個人消費と民間設備投資が正常な状態になるということはもう必須の状態なのではないかと私は実は思っています。
それで、実はこれ私、改めてちょっと調べてみたわけでありますが、個人消費はまだずっと冷え込んだまま今日まで来ている。来ていて、実はこれは日銀の金融資産の統計表を調べてみますと、若干これちょっと統計のとり方が違うのでありますが、個人の金融資産というのは私は従来千二百兆円だというふうに思い込んでいました。今度調べてみると、ちょっと統計のとり方を変えちゃって、ざっと千三百三十二兆、統計がちょっと変わっていますからそういうふうになっている。若干だけれども、大体千三百三十兆円あるんです。
しかも、この千三百三十兆円の個人の金融資産の中で預貯金が七百三十二兆円ある。この七百三十二兆円というものを各年別に見ていきますと、実は、大変に不況だ不況だということで今日までどんどこどんどん国債をつぎ込んで今言われたように支えてきた日本経済、そして国民はもう大変だと言っているけれども、この預貯金は多いときで四十兆円、少なくとも二十七、八兆円、三十兆円弱は毎年ずっと増加をしてきている。地域振興券とかなんとかばっとばらまいても、ほとんどそれは個人消費の増大にはつながっていない、ほとんどですよ、若干それはあったかもしれぬけれども。
そうすると、ここで私は、このことをめぐって、ちょっと総理の考え方をお聞きしたいんです。
この不況下で、しかも国民の方は預貯金という、株式なり、これはもうほとんど動いていませんが、預貯金にどんどんやる、そして個人消費はほとんど動いていない。これは将来に対する不安感というものが大変に強い。そこからやっぱり預貯金をしておこうということにつながってきていると私は思っているんですが、そういう面をめぐって、総理、どういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/13
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014・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 国民の預貯金が増加しておるということでありまして、これは裏返して言えば、個人の消費がそれだけ伸びないという点もあるんだろうと思います。
そのよって来る原因は、今先生も御指摘のように、一つは将来に対する不安といいますか、そういうものに対してみずから防御しなければならぬということもあろうかと思います。また同時に、金利その他も非常に低迷しておる中で、いわゆる物価も極めて超安定というより、むしろ卸売物価等は下がりぎみであるというようなところでございまして、そういう中では、一般的に、俗にインフレ傾向がありますれば消費というものはかなり進むということも歴史の示すところでありますが、こういった状況でもない。
さらに、物の中ではかなり新しい需要を喚起するような個々の製品も売られておりまして、一つ売れれば相当そこに飛びつくというものがありますが、特に若い人たちがかなり消費に向かうような情報産業関係のいろいろな機器その他ありますけれども、一般的にはそういうこともございましょう。また、季節によっては、寒さ、暑さによって衣類その他がなかなか思うように消費が伸びないというようなこともあるかと思います。
いずれにいたしましても、個人が預貯金を持つということ自体は決して私は悪いことではないと存じますけれども、しかしそれが適正な消費に向かわないということについての原因その他につきましては、今幾つか申し上げましたけれども、その実態を十分踏まえて対処する必要がある。でなければ、六割近い個人消費というものは景気に対しての影響が極めて大きいものでございますから、こういった点も十分勘案しながら対処いたしているつもりではありますけれども、御指摘のように、この問題についてどのような形で消費を拡大していったらいいかという点についてはさらに知恵を絞っていかなきゃならぬ、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/14
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015・足立良平
○足立良平君 今ずっとお話を聞いていまして、確かに総理の答弁というのは、なるべくはっきり物を言わずに、言葉じりをとらえられないように何とはなしにふわっと終わっておくというのは、ひょっとしたら技術なのかもしれませんね。
私は冒頭ちょっと申し上げましたけれども、例えば厚生年金の問題一つとってみても、これは二、三日前テレビでやっていましたけれども、厚生年金から厚生事業団に移ったお金のあれが大変ないろんな問題を起こしてきている。あるいはまた介護保険をめぐっても、これもある。年金に対してもあるいは失業保険そのものも、これからひょっとしたら基金がだんだん少なくなってくるぞというふうな話も出てくる。そして、雇用の問題は先行き、きょうの新聞を見ていましたらNTTにおいてすら二万一千人削減だ、こう言っている。あるいはまた将来二年間くらいはもう一切採用はストップだ、こう言っていますね。あるいはまた銀行、大手銀行もこれまたいろんなのが出てくる。人員整理もどんどん出てきます。将来に対する不安感というものが、国民はそれではちょっとわからないぞというところから自助努力、自分でやっぱり防衛しなきゃならないということで預貯金の方に今どんどん走っている。ここに一番の問題がある。
そういう面では、個人消費をよく考えて云々という総理の今の言葉じゃなしに、そういう点を踏まえてこれから政府としてどうするんだということを明確に国民に対してメッセージを出さないと、今この沈滞している国民の意識というものが、よし、これからそれなら頑張ってやろうじゃないか、ある面においてはちょっと消費もふやそうではないか、こういう気持ちに全然なってこない。私はその点が一番問題なのではないかと思いますが、その点含めて総理の考え方をもう一度お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/15
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016・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 御指摘はそのとおりでありまして、したがって第一に私は安心へのかけ橋と申し上げておるんですが、この世紀から次の世紀に向かって国民が本当に安心できるシステムは何か、その中に御指摘のように年金の問題とか介護の問題とか、そういったことで国として、また地方自治団体もそうでありますが、公的機関が取り組まなければならない問題についてしっかりとした答えを出していくということに尽きるんだろうと思います。
そういう意味で、万全を期してはおりまするけれども、国民皆さんにすべて御安心という点に至っておらない点については反省をしつつ、それぞれの政策を実行していく必要がある、こう認識をして、年金改革の問題、医療改革の問題その他にわたりまして今全力を挙げて努力をいたしておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/16
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017・足立良平
○足立良平君 一応、これ以上続けても考え方が出てこないと思いますから、次の問題にちょっと触れておきたいと思います。
きょう毎日新聞を朝読んでいましたら、社説で、米国における公定歩合の上げということがちょっと出ておる。これを経企庁長官に考え方をお聞きしましょう。これは総理ではちょっと答弁しにくいかもしれません。
これは私は、日本の〇・五%という公定歩合というのは極めて異常ではないかというふうに思えてならない。それで、金融政策というのは、これは日銀の専管事項ですから、総理がそういう面で答弁しにくいというふうに私は申し上げたので、あえて総理からの答弁はちょっと横へ置きます。これは、そういう意味で長官の感想をお聞きしたい。
考えてみると、〇・五%というのは九五年、これは緊急措置が四年間続いているんです、緊急措置が。そして、しかもこれは金利でずっと落としかけたのはたしか、何年くらいからでしょう、九一年か二年くらいからだろうと思いますね。だから、〇・五%になっておるのは九五年からだけれども、そういう面では極めて異常状態がもう七年間ほどずっと続いている、こう見て差し支えない。これは個人消費の問題で、先ほど申し上げたように、例えば今日の状況の中で賃金もそれほど大幅に引き上げることはできない。むしろ賃金ダウンの方が多くなってきた、今、民間企業は。消費もダウンする、あるいはこれもダウン、これもダウン、これも将来不安だと、こうなっておる。
そうなってきて、先ほど言いましたように七百三十兆円くらいの金融資産がある、今個人に、七百三十兆円です。一%仮に金利アップしても七兆円の所得が、金融かあるいはまた企業に移転していたものが今度は国民の方に返ってくる。本来はもっと返らなきゃいかぬです。一%アップで七兆円、二%アップすると十四兆円です。
そうすると、今日の異常なこの金利の問題は、これはそういう面では個人消費を拡大していく、そして一方で、金利を低く〇・五%に公定歩合を抑えているということは、日本の民間企業の設備投資を刺激するという意味を持っている。にもかかわらず、この七年間の日本の民間企業の設備投資なんというのはほとんど、そんなふえていない。〇・五%の公定歩合をやっていることの意味合いというのは、本当はこの景気刺激策という面においては今日の不況下においては全然意味をなしていない、むしろマイナスだと私は実は思います。
あえて言うなら、国債をもうべらぼうにぼんぼこ発行して、小渕総理、そして利払いがほとんどふえていないということです。今日まで六百、これは国債だけだったらもっと金額は少なくなりますけれども、平成元年百六十一兆円が平成十一年、まだこれからちょっとふえると思いますけれども、三百二十七兆円ぐらいになっている。もっとふえるでしょう、この補正を含めてね。これだけ倍以上に国債発行をどんどんやっていて、利払いはほとんど一緒だと。これは政府としては逆に言ったら国債の発行の歯どめが全然なくなってしまっている、皆さん方がやっている今の経済運営というのは、と私は思うんですね。
ですから、長官、この金利の問題についてどういうふうに感想をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/17
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018・堺屋太一
○国務大臣(堺屋太一君) 御指摘のように、個人金融資産はさまざまなものを含めますと七百三十二兆円ぐらいございます。それで、金利でございますけれども、御指摘のように、九一年度に比べまして、最近までの間に比べますと、十七兆円ぐらいやはり金利が、所得が減っております。そういう意味では個人所得に影響を与えているということは言えるでしょう。
しかしながら、一方において現在、日本の物価、これは消費者物価もそうでございますが、特に卸売物価は下落をしておりまして、実質金利という面ではそれほど低くないと言われております。
それで、これが経済に、特に需要にどのような影響を与えるか。消費需要が所得の減少、金利所得の収入の減少で減るという面もございますが、一方では設備投資、住宅投資に対する刺激効果もあります。それからもう一つ、やはり特に最近になって重要なことは、金利を上げますと日米間の金利が狭まってまいりまして、この結果為替に円高の影響を与えるんじゃないか。このことをモデル上で、経済モデルの上で計算いたしますとやはり需要減少の方にかなり大きくきくという判断をしておりまして、当面の間、低金利いわゆるゼロ金利政策は維持せざるを得ないという判断でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/18
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019・足立良平
○足立良平君 日米関係の問題というのは大変複雑、難しい問題であります。けれども今、今日の不況の問題、しかもこれは今の公的なそういう公共投資を中心にして、ある面においては従来いろんな名前をつけたけれども、ばらまきのような状態でどんどんこれはやっぱり支えなきゃいけないという状態に今なっている。これを民需主導に切りかえていこうとするなら、私は、日米間の問題もこれは極めて政治的に取り扱わなきゃいけないとしても、本来、日本の経済政策としてあるいはまた金融政策として、単なる日米間の問題だけで処理できる問題にしてはならない。私はそういう面では、政治の果たす役割というのは極めて強いと実は思っています。ですから、そういう点を一つ指摘をこの問題はちょっとしておきたいというふうに思います。
それから次に、総理にこれはちょっとお聞きをいたしたいと思います。
今申しましたように、総理の所信表明演説、ずっとこれはもう一度、私、今回じっくりと読ませていただきました。総理の所信表明演説の中で、公共需要から民間需要へのバトンタッチを円滑に行う、そして個人消費や設備投資を喚起して、将来の発展基礎を確保するための構造改革を一層推進していくというふうに、総理のこの臨時国会における所信表明演説を私は承知をいたしています。
したがって、そういう面からすると、先ほど言いましたように、目新しい、あるいは公共需要いわゆる公共から民需へ移換していくというふうにおっしゃっている内容からすると、私はまだ十分今の補正予算の内容をつぶさに各項目別含めてまだ見させてはいただいておりませんけれども、状況としてはやっぱり、いろんな名称、名前の変更はちょっとされているようだけれども、あるいは若干ちょこちょこと情報通信問題を含めて拾ってあるけれども、実質余り変わっていない。これで本当に民需にこのあたりが移っていくのだろうか、私は疑問に思いますが、総理、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/19
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020・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) これから補正予算を編成し今月の末までに提案させていただきます。またその時点で十分な御審議をちょうだいいたしたいと思いますが、新しい経済対策も含めまして、政府といたしましては、今先生御指摘のように、公需から民需への需要を喚起する種々の施策を講じておる、ぜひこれが実行される段階においては所期の目的が達成できるようにということで、最善の今対策を講じておるということを考えておる次第でございます。
言葉の違いと申されるかもしれませんが、昨年来、政権をお預かりいたしまして、金融問題について対処すると同時に、まずは日本経済を再生させるということであらゆる施策を講じさせていただいてまいりましたが、これからいわゆる構造改革といいますか、企業体におきましても、新しい企業再生のための法律を先国会の最後に通していただきまして、今回、中小企業問題に取り組ませていただいておりますけれども、新たにこうした構造改革を行うという意味で、新しい、新生といいますか、言葉の違いとお話もありますけれども、いわゆる何としても現状、経済をプラス成長にしなきゃならぬという政策と同時に、一方では、企業も含めまして次の世紀に向かってしっかりとした体質にしていかなきゃならぬというための政策と起業、業を起こすための施策を講じておるということでございまして、そういう意味では新しい施策も織り込んでおる、こう感じておるわけでございますが、改めて御批判と予算に対するそれぞれの御見解を承ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/20
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021・足立良平
○足立良平君 また、この補正予算の内容は別途ゆっくり議論をさせていただきたいというふうに思います。
日経の総合経済データバンクの試算によりまして、いわゆる経済新生対策の与える影響というものが一応計算されているわけです。それを見ていますと、個人消費は、対策が仮になかったら一・四だ、対策があって一・六だと、こうなっている。〇・二ポイントちょっとふえるというにすぎない。名目公共投資は、対策を行わなかったら一五・九%のマイナスになるだろう、行ったとしたらマイナス五・一ということになって、差し引きすると一〇・八ポイントのなにが出てくるというふうになっている。
これは、総理が今のように答弁をされているけれども、実際的には本当に民需に向かって今この補正予算も含めてやっておられるかどうかについて、私はそういう意味では極めて疑問だというふうに思います。これはあえてそのことだけ申し上げておきたい、このように思います。
それで、今、総理の答弁の中で、ベンチャー企業云々というふうなお話もございました。ですから、この基本法の関係についてちょっと質問させていただきたいというふうに思います。
それで、創業者、ベンチャー企業の支援ということを今回のこの法律の中で一番考えておられるということは私どもは十分理解をいたしております。また必要だと思う。特に、これはアメリカの今日のベンチャー企業、今度は長官にお聞きをしておいた方がいいと思いますが、アメリカの企業のなには実際的には相当開業率も高い。一方で廃業率も、一・一ポイントぐらい差があるかもしれませんが、高い状態になっている。日本とは大きな違いがある。
これはそういう面で、日本のこれからの開業率と廃業率、そしてそこには当然労働の移動というもの、流動化というものが出てくると思うんですけれども、それらの問題をめぐってこれからの日本の中小企業というものはどうなければならないのかという点で、長官の考え方をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/21
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022・堺屋太一
○国務大臣(堺屋太一君) 日本企業の日本における創業率、開業率、これは八〇年代から徐々に減ってまいりまして、今や十四万件ぐらいとかなり減っているわけです。それに比べてアメリカはどんどんふえてまいりまして、一三%、一六%ぐらいまで一時上がったこともございますし、かなり高い比率になっています。日本は閉業率、業をやめる人の方が多くて、中小零細企業がどんどん減っているという状態であります。
これからの日本は、やはりどんどんと開業率がふえて、中小零細企業がふえなきゃいけない。それはアメリカもそうでございますけれども、決してハイテク・情報産業というようなものばかりではなくして、家事のアウトソーシング、例えばケータリングでありますとかガーデニングでありますとか、あるいは企業サービスでありますとか、もっと一般的な業がどんどん広がり、商店街も盛んになる、そういうような形にならなきゃいけないと思います。
その一方で、また不適任な人あるいは後継者がないところ、そういうところは入れかわって、意欲的な人々がどんどんと中小企業に入ってくる。そういった社会風土全体をつくりかえていく必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/22
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023・足立良平
○足立良平君 これは通産大臣にちょっとお聞きしたいと思います。
通産大臣のこの法案に対する話を聞いておりまして、中小企業を取り巻く状況が変わってきたんだ、いわゆる格差の是正というふうな物の考え方ではないんだと、こういうふうにおっしゃる。それは一つの考え方として正しいし、ベンチャー企業なり、あるいはまた起業がどんどん起こるような、そういう面での状態をつくっていかなきゃならないということも私は当然だと。民主党としても、その考え方で今プロジェクトチームをつくりまして、けさも八時からこのベンチャー企業、いわゆる起業をそういう面でどこにどうすれば一番本当にふやしていくことができるかという勉強会も、実は私も出てやってまいりましたし、これはやらなきゃならないというふうに私は思っています。
そこでお聞きをしたいと思うのは、今も話がありましたように、一方で開業を高めるということは、一方で廃業、閉業というんでしょうか、これがどんどんふえてくるということも事実。そうすると、労働の流動化がどんどん進んでいく。日本の社会の中における労働の流動化とアメリカの社会における労働の流動化している状態というのは、私は受けとめ方が相当違うのではないか。このことを通産大臣として一体どういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/23
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024・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 今までの基本法の中には創業という点に余り力が入っていなかったと。いろんな改正を今度行っているわけでありますが、その中で、やはり新しい事業が生まれていくという勢いがないことが日本の経済の活性化を妨げている。今も経済企画庁長官からお話がありましたように、アメリカは開業率が非常に高い。日本は、昭和六十一年以降というのは非常に低くなりまして、多分、私の記憶が正しければ、廃業率が三・二%ぐらい、創業率は二・七%ぐらいで推移しています。
そこで、私たちは創業ということに力を入れる。それは、中小企業の創業も含め、特にベンチャー企業の創設ということを図っていこうと。我々としては、毎年十四万社ぐらいふえておりますが、これを五年の間にはさらに十万社ふやして二十四万社ぐらいにして、そうすれば雇用は百万人ぐらい新たに採用できるだろうという目標を持っています。
ただいま委員の御指摘の、アメリカにおける労働の移動の状況と日本の状況というのはかなり違いがありますし、また就業に関しての感覚が大分違います。アメリカの場合には、仕事をかわっていくということはむしろ積極的に考えておりますが、日本の場合には、まだ一たん入社するとそのまま定年までいられるといったような、そんな感覚がありますから、場所を移っていくということにかなりの抵抗感がありますが、しかし時代の変化とともにそういうものに対する認識も変わっていくのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/24
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025・足立良平
○足立良平君 予定していたより大分おくれていまして、労働政務次官が見えていますね。せっかく見えていますからちょっと労働問題に触れておきたいと思います。
先ほどもちょっと触れましたけれども、けさのこれはなにでNTT二万一千というような人員削減、これは実は大変影響の大きい、心理的にも大変に大きい記事であろうと思います。
それで、ここで労働政務次官、私はちょっと聞いておきますが、今までの労働政策というものが、企業が雇用を維持していくということを中心にして、そしてそれをある程度ソフトランディングしていくというのが私はその中心であったと思うんです。例えば今それぞれ長官も、それから通産大臣もお話しになったその考え方と労働省の考え方とは同じかどうか、ちょっとそれをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/25
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026・長勢甚遠
○政務次官(長勢甚遠君) 御案内のとおり、雇用の安定を図るために、いろいろ問題が起きた場合に、まず企業内で失業を出さない、それが基本的な政策のポイントでありまして、雇調金等をそのために活用してまいりました。不幸にして離職者が出た場合には、再就職の援助の体制を雇用保険制度を使って最大限活用するというのが従来のやり方であります。
しかし、今回議論になっておりますように、構造転換等も生ずる、しかも不況が長く続くと、これだけではなかなか足りませんので、雇用開発に関する多くの政策を昨年来数次にわたってとってまいりました。さらに、リストラ等の問題が大きく生じてきております。当然、これらの従来の政策をさらに万全を期していくわけでございますが、同時に新たな産業を興すという観点から労働移動も生ずるわけでありますので、この方々が早くかつ適切に新しい産業に移動できるように職業能力開発体制を強化して、早く産業の振興が起こる、その間はつなぎの雇用創出を図っていく、こういう方針で労働政策の万全を期してまいりたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/26
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027・足立良平
○足立良平君 職業能力の教育というのは、私は大変大切だと思っております。ただ実際的に、日本の場合にその能力というのは、例えば労働省も社外資格取得の能力開発とかいろんなことを試みられているけれども、いわゆる日本の企業の求める能力というのは企業の内部の仕事の仕方によって大分違うということで、それが本当に機能するかどうか。流動化することによって新しくまた企業に今度再就職していくことができるかというと、実はミスマッチというのが大変出てきている。ということは、やっぱりこれは労働省として考えてもらわぬと大変な問題だと。
それで、あとは関連質問にゆだねたいと思いますが、私は総理に一つお聞きをしておきたいと思うんです。
振り返ってみますと、石油ショックが昭和四十八年でしょうか、長官が「油断」を書かれた年ですね。たしか十月二十日ごろだったと思います。そして、五年後の中東のあの戦争で第二次石油ショックが起きた。日本の企業というのは実は大変な状態に陥りました。そしてその中で、日本の企業の労働組合と企業経営者というのは、そういうエネルギーコストが物すごく上がった中で、リストラというよりもそれを切り抜けるために大変な努力をした。
それは何かというと、日本の雇用というのはアメリカなりヨーロッパと違って包括契約をしているわけです、職種契約でない。だから、世の中が変わり、経済が変わり、そして消費者ニーズが変化してくると、その企業というのは実質的にはがっと業容といいますか内部が変化してくる。そうすると、それに伴って、これは職種契約していないからどんどん労働組合も協力をして、そして新しい企業の体制に順応してきたという歴史を持っているわけです。そこには企業別労働組合のよさもあったでしょうし、あるいはまた経営者の革新性もあったでしょうし、いろんなそういう要素があったと私は思います。
そうすると、この基本法で今政府の方が考えられているのは、創業なりベンチャー企業をこれから五年後に十万社ふやそうとされている、五年後ですよ。そうしたら、ちょっと計算的に言うと、このとおりきちんとはならないとしても、今廃業は三・八%であるとお聞きしている、そしていわゆる開業が三・七%とお聞きしている。〇・一ポイント違う。五百七万社の〇・一ポイントといいますと何ぼですか、大体五千社くらい毎年どんどん日本の企業数は減ってきている。平均して中小企業の就業人員というのは八・八人くらい、約十人。そうすると、現実的に四万人から五万人はずっと失業がふえてきている。
そして、政府の出されている基本法の物の考え方は、五年後に十万社くらいふえるようなベンチャービジネスなり創業をやろうとしたら、この五年間一体どうするんだよと。この五年間、先ほど言ったように、どんどん大企業もリストラをやりましょう、中小企業もどんどん廃業して減ってくる。今三百十七万人おる失業者がさらにふえてくるじゃないですか。
その点で、私はここで総理にお聞きしたいんです。確かにそれは、労働の流動化あるいは国際的な競争の条件というのは、これは当然考えていかなきゃいけない。けれども、同時に、日本の企業というのは柔構造を持っている。その中で私は、奥田日経連会長が言われるように、企業の社会的責任として労働者あるいは従業員を生かしていくという発想がないと、これからの日本のいわゆる構造転換をしていくに当たってはまずいのではないか。そういう面で、経済というのは経国済民というふうに言われているわけでありますが、まさに本当の意味でこの日本の国民が安心をしてこれから将来に希望を持てるような条件をどうつくるかというのが、私はこの基本法なり中小企業問題をめぐっての一番のポイントだと思うんですが、そういう面でこの失業問題、今言いましたような点も含めて、ちょっと総理の考え方をお聞きをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/27
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028・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 御主張されておられること、私もそれなりに理解しているつもりでございますし、しばしば申し上げておりますが、いわゆる欧米的な大変ドラスチックなリストラによって構造改革をするということに比べまして、日本的といいますか、さりながら、新しいグローバル化している中で従来のような状況というものは、これはなかなかし得ない。
そこで、第三の道と申し上げているのですが、従来の日本の中で、よき慣行の中で労使ともに困難な状況、先ほど石油ショック、狂乱物価時代のことを、先生も恐らく労働運動を通じて大変御苦労された時代じゃないかと思いますが、乗り越えてきたわけですから、そのよき点は持たなきゃならぬと思います。
しかし、同時に、日産に代表されるような形で、国際化の中で経営を改善していかなきゃならぬという一方の考え方もあるわけであります。しかし日産とて、いわゆる生首を切るという、二万一千人の生活を直ちにしていけないような、労働者の生活を維持できないようなことにするとは言ってはおらないわけですから、そういう意味で、徐々にやはり生活を安定させながら、そして同時に企業の経営改革、改善も行わなきゃならぬ。その道をそれぞれが真剣に今模索しながら努力をしていくわけでありますし、それに対して政府としては適切な援助その他をいたしていくというのが今の姿勢ではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/28
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029・足立良平
○足立良平君 以下、私の関連質問を木俣議員にゆだねたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/29
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030・木俣佳丈
○木俣佳丈君 私、民主党・新緑風会の木俣でございます。我が足立大臣に引き続きまして、関連の御質問をさせていただきたいと思っております。
私は、昨年の七月十二日に当選させていただいて以来、私のライフワークとして、中小企業の皆さんとともに歩く政治ということでずっと言い続けさせていただいてまいりました。と申しますのは、私の地元が愛知県でございまして、敬愛する亡くなられました春日一幸先生、そしてまた井上計先生、こういった大変な方々の思いを継ぎながら、自分としても中小企業政策を精いっぱいやってまいりたいという、そういう思いで今日まで来たわけでございます。
この一年四カ月の間に、私の住んでいる町の豊橋であるとか、そしてまた愛知県じゅう、そしてまた大田区、東大阪、そしてまた世田谷の商店街、そしてまた台東区、こういったところへいろいろ出向かせていただきながら、お手間をかけながら、いろんな方に御意見を承ってまいりました。
一言で申しますと、出会ってまいりました方々が本当にその職を天職と思って生き生きとして暮らしていらっしゃる、そんな印象が強く残ったわけでございます。そしてまた、私もあきんどの息子でございますものですから、そういった意味も重ねまして、やはりやりがいのある、まさに元気な企業が残っていくことが本当に日本の将来のためであると強く思っておるわけでございます。
中小企業ということを考えますと、いろいろございますけれども、ちょうど一カ月ぐらい前に私は初めてぎっくり腰をやりまして、大きな体でぎっくり腰をやりますと歩けなくて、ああこれがぎっくり腰かと思ったわけでございます。そのときにまず思いつくのがやはり大病院でございました。大病院に行きましてレントゲンを撮っても、湿布を当てただけでございます。何もやることができないということでございます。そこで、私が日ごろから大変お世話になっておりますマッサージの先生に静岡から飛んできていただきました。この先生に診ていただきましたら、たった二回で多分完治するよと言われまして、なるほど二回で完全な今の原形に戻ったわけでございます。
まさにこういったものが技術の集積した中小企業という姿なのかなとちょっと思ったり、また町を歩きますと、最近少なくなりましたけれども、文房具屋さんというのがまだちらほらございます。文房具屋さんというのはどういうことかというと、最近、私の子供でもそうでございますけれども、鉛筆を買うといったときにはコンビニエンスストアとかそういう大手の量販店でございます。こういったところへ行きますと大体HBしか置いておりません。せいぜい置いてあってHぐらいでございます。ところが、文房具屋へ行きますと4Bから4Hぐらいまではざらに置いておりまして、まさに町の教育力を高めている。こういったものが、商店街の、または個人商店の、そしてまたそこのおばちゃんが子供たちと話す中で教育力を高めている、それを私も自分で体験してきた者として、本当に大事だなと思っておるわけでございます。
そういう意味で、まず冒頭、そもそも論でございますけれども、小渕総理に中小企業というものは何であるかということをちょっと伺いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/30
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031・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) どういう点からお答えしてよろしいかわかりませんが、俗に大企業と中小企業とも言われますが、日本の産業のそれこそ企業体としては九九%に上るところの企業でありまして、また今委員がお話しされましたように、事細かいいろいろなお仕事にきめ細かく対応したりしていくわけでありまして、昔は大企業に対する下請企業的なことが多かったと思いますけれども、これからは、先ほど来お話しのように、みずから新しい業を起こし、ベンチャーとして、その規模は資本金といい従業員といい少ないかもしれませんけれども、非常に特色のあるそういうものがこれからの中小企業のあるべき姿でなければならぬ。こういう趣旨で今回、基本法も三十八年以来新しくさせていただくことも今回の趣旨でございますし、新しいといいますか、日本の産業を支える中小企業が本当にみずから独立的にそれぞれ企業としてやっていけるような形を促進できるようなものにしていかなきゃならぬと思っております。
委員も生家のことをお話しされ、商家の御出身と聞いております。私ごとでありますが、私も小さな企業体を経営する家に育ってまいりました。従来は大企業の下請になるというようなことでやってまいりましたけれども、新しい何か仕事を起こさなきゃならぬという意欲を持ちつつあるやに考えております。
御質問に十分お答えできたかわかりませんが、中小企業ということ、独自のものをしっかり持っていかなきゃならぬ、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/31
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032・木俣佳丈
○木俣佳丈君 ありがとうございました。
中小企業というのは、私は、簡単に言うと、大企業、中小企業というのは何で分けるかというと、要するに政策的な枠組みでしかないということだと思うんです。つまり、弱い立場の、資本力や会社の経営体力というのが弱いものをあえて区分けして、要は大企業と中小企業として、中小企業に対して政策を打つために名づけたのがまさに中小企業の名前の発祥だと私は思っております。ですから、今回、基本法が三十八年以来本当に久しぶりに変わるわけでございますが、時折に変わっていかなければいけないものがまさに中小企業政策であって、中小企業という名前は、つまり政策があって初めて中小企業という名前が出てくるものであるというふうに私は思っておるわけでございます。
この政策についても、やはり中小企業が、先ほども足立議員からもありましたように、まさに日本の八割の雇用者、勤労者を抱えている。そしてまた、先ほどマッサージの方々のお話をしましたけれども、貴重な技術を抱えている。そしてまた、ちょうど今から百年前を考えますと、豊田佐吉さんが井桁商会というのを始めて今の大トヨタになったように、小さな無限の可能性のある芽である。こういったことや、そしてまた通商国家日本として迅速に対応するために中小企業というのがあるべきである。こういった数々の理由から、これを守り育成していくということが大事だと思っておるわけでございます。
しかしながら、今回、中小企業国会、そしてまた抜本的な見直し、拡充ということでございますが、倒産件数を最近見てみましても、九月期が千三百七十二件、その前月が一千四百二件で、ことし最高なんですね。昨年末の保証を二十兆やっても最高に次ぐ最高。そしてまた、減るといってもほとんど減っていない、件数が。
そういう中で、我が党では、六月になりましてから衆議院の上田議員が中心になりまして出資法の改正、そして昨日は貸金業の改正案というのを出しておるわけでございます。
出資法の改正につきましても、あれだけ強く言っていたときにそれを見もしないでおいて、今ごろになって自民党の方々が出資法のことについて考えられている。これはちょっとおかしいじゃないですか。昨年の今ごろから、いや、もっと言えば、遅くとも我々同僚議員が出したときから本当に抜本的に考えていただくならば、この倒産すべてが別に商工ローンのせいだとは思いませんけれども、しかしその中に入っておると思いますし、そしてまた今苦しんでいる方々がいる。もし中小企業国会と言うのであるならば、そして準備をもう夏前ぐらいからしておられたのならば、なぜもっと早い時期にそういう対応をされないのか、本当にこれは思うわけでございますけれども、いかがでございますか、総理は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/32
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033・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 昨今、商工ローンをめぐりまして本院でも真剣な御議論が展開されていると聞いております。
今、民主党の法律案についてのお話がありましたが、こうした法律案はたしか議員立法で成立をしておる法律かと存じておりまして、だんだんにいろいろ御議論があったんだろうと思いますが、特に最近になりまして取り上げられるということについてはそれぞれ政党においても十分検討もしてきておったんだろうと思いますが、もし必要な法律であるという判断でありますれば、これは国会において恐らく御議論されていくことになるんだろうと思います。
ただ、私自身も、不明を恥じるわけではありませんが、こうした必要性ゆえかと存じますけれども、日々、テレビのコマーシャル等を見ておりますと、それぞれこの企業の広告その他がかなり積極的に行われておりまして、それだけの需要といいますか、必要性があればこそ、そういう広告その他宣伝が行われておったのかなという気がいたしておりますが、特に最近は国会での御議論等注目しておりまして、今後どのように扱っていくかということにつきましては、政府としても十分関心を持っていかなきゃならぬ、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/33
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034・木俣佳丈
○木俣佳丈君 本当に後手後手、そしてまた、きょう足立同僚議員が申しましたように、やはりこの政権というのはどういう政権なんだろうか、介護保険も本当にすぐに変えてしまう、こういうことでございます。
所信の中で、中小企業政策というのを多様なニーズに的確に対応できる政策体系を築いてまいられるということで所信を述べられております。本当にこういう政策体系ができないとどうしようもないんだろうというふうに思うわけでございますし、まさに通商国家の日本としても変化に対する対応性というのを強めなければ、つまり中小企業が今まで弱かった資本力とかそういうことではなくて、迅速性、スピーディー、こういったものを利用しなければいけないということが日本の二十一世紀の存続のかぎを握ると言っていいと思っております。
そしてまた、そのときにやはり大事なことということで、これはもういにしえの哲学者が言っている言葉をちょっと引用させていただきたいと思うのでございますが、これはプラトンが言っている言葉でございます。通商国家をもじって、「彼は自給性に欠ける代りに、海辺にあり、自然の良港に恵まれているが故に通商に適した国家は、「強力な救世主と神に導かれた立法者」が得られなければ「道徳的不均質性と道徳的腐敗」とを逃れえないと論じた。」と。つまり、「絶え間なく変動する国際情勢に巧みに対応することは人々を疲れさせる。しかも、その対応とは、所詮妥協だから、それをくり返しているうちに、自分たちの生き方への確信が失われる危険がある。そこに、通商国家として成功して豊かになったときに不可避におこる頽廃が加わる。」、そしてこれを助けるのは、今申しましたように「強力な救世主と神に導かれた立法者」であると、こういうふうにプラトンは言っておるわけでございます。
私、この言葉を本当に感じたときに、これは高坂さんの「文明が衰亡するとき」という本の中の一節でございますけれども、本当に今、日本が二十一世紀に差しかかる中で、これだけ大きな政策変更というのか変質というものを繰り返しているならば、我々の退廃というのかやる気というものはやはり失せます。
ですから、今、私は三十四でございますが、十歳ぐらい下のまさに大学を卒業したばかりの者たちが今フリーターと称してうろうろせざるを得ない。将来どうなるかわからないんだから今楽しく生きればいいじゃないか、まさに今ここに書いてあるように退廃が国家の衰亡を招くということにほかならないと私は思うわけでございます。これについてはちょっと私申し上げたいだけでございます。
大蔵大臣にお越しいただいております。昨日、我が党の円議員の質問の中で、承継税のことでございますが、承継税は、土地の値段が下がった今、もう済んだ話である、こういうような御答弁を大臣はされたやに私は伺いましたけれども、さようでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/34
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035・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 一九九〇年代になりまして、アメリカがにわかによみがえったように強い経済になりましたのは、御指摘のようにこれはやはり中小企業のスピリットであったというふうに思っております。殊に変化のときにはどうしてもやはり大企業というものは早くは即応ができませんで、中小企業のベンチャーというようなスピリットが今のアメリカをつくり、今日でも維持しているのは私は中小企業だと思うので、それは大企業の方が名前が知れていますし、いろいろ報道されますからそう思われますけれども、我が国もしたがって、今の状況を何か退廃というふうに言われました、フリーターを。私はそう思っていないので、やはり日本が変化するときに……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/35
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036・木俣佳丈
○木俣佳丈君 承継税のことを聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/36
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037・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) いや、基本的なことを申し上げなきゃなりません。変化するときに大事だと思うので。
それで、承継税のことを申し上げますが、承継税で私がきのう申し上げましたのは、これはいわゆる土地のブームのときに起こりまして、これが一坪幾らということになりましたから、相続税で承継ができなくなるという事態が起こりました。それはかなり前のことですが、今日の事態は、立法をいただきまして、百坪ぐらいの土地でございますと、今のところ評価額は八割軽減しておりますから二割になっておる。そうしますと、大都会では大体百坪が標準と思いますが、評価が二割であれば、今日これだけ土地が下がってまいりましたから、この点の問題はほぼ済んだのではないか。ほかにいろいろございますけれども、その点に限ってそう申し上げたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/37
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038・木俣佳丈
○木俣佳丈君 問題は、要するに株式の評価のあたりだと思うんですね。ですから、このあたりはどうお考えになるかということだと思うんです。
深谷大臣は、地元の後援会の皆様方にも、強く税制についてはかなり踏み込んでやられるという御決意を述べられておると私も伺っております。通産省の皆さんもこぞってこれは絶対やるんだ、承継税制、そしてまた留保金に限っては廃止ということでよろしゅうございますか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/38
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039・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 木俣委員のいろいろな御意見の中で、地域の中小企業の皆さんに会うと生き生きとしているというお話は大変うれしい話であります。中小企業が生き生きと生きられるように、画一的なとらえ方でなくて多面的にきめ細かい対応をしていこうというのが小渕総理の指示でありまして、それに基づいて基本法の改正その他を提案させていただいている次第であります。そして、その中小企業が次の世代へと継承されていくということは極めて大事なことでございます。その中で障害になっているのは一体何かといえば、その一つが承継税制だと思います。
土地の問題については、今大蔵大臣が言われたとおり、一時と比べたら格段の前進をいたしたと私も認識しています。しかし、市場に出されていない株価についての評価が意外に高くついてしまうために次の継承が困難であるという点がありますので、私は、この株価を正当に評価するために何らかの答えを出していかなければならない。それが承継税制の改正ということで、ぜひ大蔵大臣にも考えていただきたいということは強く申し上げているところでございます。
あわせて、留保金の問題等については廃止の方向に向けて私は全力を尽くすつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/39
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040・木俣佳丈
○木俣佳丈君 最後になりますが、時間がもうございませんが、特に是々非々でやっていただきたいなと思うんです。我が党も、若干条件はございますが、留保金課税については廃止の方向で法案をぜひ出したいと思っておりますので、ぜひ皆様方の御賛同を得たいと思っておりますので、よろしくお願いします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/40
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041・足立良平
○足立良平君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/41
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042・山下芳生
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
まず、基本法の政策理念がどう転換するのかについてただしたいと思います。
我が党は、改正案が中小企業全体の底上げ、これを放棄してベンチャーなど一握りの企業に支援を重点化する、その結果多数の既存の中小企業が切り捨てられ、見捨てられることになると、こう今度の改正案を批判してまいりました。そのことを端的にあらわしたのが堺屋経済企画庁長官の一連の御発言だと思っております。
昨日も本会議での私の質問に対して長官は答弁されて、非効率、非能率な企業は保護しない、経営効率が悪くて、高い値段でしか商品、サービスを供給できない企業をすべて永久に保護、温存するとなると、消費者にも納税者にも多大の負担をかけることになる、こうおっしゃいました。私は、これはどう聞いても、非効率、非能率な中小企業というのは存在自体が迷惑だ、したがって既存の中小企業全体の底上げをするということはもうやめるんだ、こう聞こえて仕方がないんです。
総理にお伺いしたいんですが、あなたも経企庁長官と同じようなそういう認識をされているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/42
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043・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 新しい中小企業基本法の政策理念は、中小企業が多様化していることを踏まえ、ベンチャー企業等のみならず、小規模企業も含めさまざまなタイプの中小企業に対しその政策ニーズに応じた支援措置を講じようとするものでございます。
そこで、堺屋長官の非効率、非能率な企業云々という発言は、このようなさまざまな政策を講じても、どうしても効率が悪い企業をすべて永久保護、保存することはできないという趣旨と受けとめております。決して市場経済の中で日々地道な努力をされている多数の中小企業を見捨てるという趣旨でないと私は理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/43
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044・山下芳生
○山下芳生君 今、総理は、既存の中小企業すべてを見捨てる、切り捨てるものではない、こうおっしゃいました。だったら、何で今回の改正案でいろんな文言が削除されているのかという疑問を私は持つんです。
例えば、現行法の前文にはこうあります。「わが国の中小企業は、」「国民経済のあらゆる領域にわたりその発展に寄与するとともに、国民生活の安定に貢献してきた。われらは、このような中小企業の経済的社会的使命が」「今後も変わることなくその重要性を保持していくものと確信する。」、こう書いてあります。中小企業の経済的社会的役割、使命というのは今後も変わることはないんだと。これは、現行の基本法では中小企業というのは全体のことを指しているんですね、この前文は。ベンチャーだとか創業だけが大事なんであるとは書いておりません。中小企業全体の役割をそう評価して、これは変わることはないんだ、こう述べているわけですが、この前文が、今の表現が条文からばっさり削られてしまうということになるわけです。それだけじゃありません。現行法の前文には、「特に小規模企業従事者の生活水準が向上するよう」、こういう非常にすばらしい理念が掲げられてあるんですが、これもばっさり削られることになる。
私は、既存中小企業を見捨てるものでないとおっしゃるんだったら、なぜ変わることのないと現行法で定義している中小企業全体の役割を述べた部分を削っちゃうのか。しかも今、消費税の増税以来、消費不況に中小企業、零細企業は苦しんでいますよ。大銀行の貸し渋りに苦しんでいますよ。それから、大企業のリストラが下請中小企業に本当に打撃を与えていますよ。一番存亡の危機に立たされている今、なぜ中小企業全体を評価する前文を削除するんでしょうか、総理。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/44
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045・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 基本法全体をお読みいただきますと、ただいまの委員の御指摘と違うということはおわかりいただけると思うんです。
例えば、前文には載っておりませんが、それは第三条の基本理念として書いているわけであります。同時に、ベンチャーあるいは創業ということに力を入れておりますけれども、それは小規模あるいは言葉としては使いたくないんですが零細企業を切り捨てるということとは全く違いまして、多面的に中小企業をとらえて、それぞれにきめ細かく対応していこうというのがこのたびの基本的な考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/45
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046・山下芳生
○山下芳生君 大臣、私も全部読んでいるんです。
それで、確かに新しい三条に基本理念というのがありますよ。しかし、私が先ほど申し上げた現行法にあるそういう表現、文言というのはありません。それは削られているんですよ。違う表現になっています。ですから、変わらないとしていた既存の中小企業全体の社会的経済的使命というものを、これも削っちゃっているんです、今度の改正案は。なぜそんなことを今やるのかという問題を私は提起しているわけです。
それから、削ったのはそこだけじゃありません。前文だけじゃありませんよ。
例えば、現行法の第一条には、「中小企業の経済的社会的制約による不利を是正する」とはっきり書いてあります。それから、「生産性等の諸格差が是正されるように」するとはっきり書いてあります。それから、「中小企業の従事者の経済的社会的地位の向上に資する」、こういうことも書いてあります。それから、現行法の第三章を見ますと、「過度の競争の防止」と、これは中小企業が過度の競争の中で淘汰されることのないようにということをちゃんとうたっている。それから、「中小企業の事業活動の機会の適正な確保を図る」と、これもちゃんとうたっております。それから、「輸入品との関係の調整」、伝統産業だとか地場産業が外国製品の輸入急増によって打撃を受ける場合には、これは輸入に関する制限あるいは関税率の調整をやると、ちゃんとこう書いてあるんですね。
今、私が申し上げました条文の中身、読み上げたところは全部今度の新しい改正案の中からは削除されております。これは全体として中小企業を底上げしよう、格差を是正しようというためにわざわざ盛り込まれた文言だと思いますが、これを削除しているということは、そういうことから手を引くということじゃありませんか。これは中小企業全体を支援しないわけじゃないといっても、削除しているんですから。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/46
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047・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 先ほども申し上げましたんですけれども、現行法と改正法をごらんいただくとわかりますが、例えば、「設備の近代化」であるとか「技術の向上」であるとか「経営管理の合理化」というのは「経営資源の確保」という形で盛り込んでおりますし、「事業の共同化のための組織の整備等」は「交流又は連携及び共同化の推進」という文言にいたしておりますし、「商業及びサービス業」等は「商業の集積の活性化」、「労働に関する施策」は「労働に関する施策」、「事業の転換」については「経営の安定」、「事業の転換」等、今御指摘のあったことも含めて私たちは、中小企業の位置づけというものに対しての物の考え方、いわば基本法に盛られた哲学は、方向性とかその他は変わっておりますけれども、中小企業をしっかり支えていく、そしてそれはよりきめ細かく対応していくという点についてはいささかも変わりがないわけであります。
文言は変わったり場所を変えたりいろいろしておりますけれども、その精神は格別後退しているとは思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/47
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048・山下芳生
○山下芳生君 それは私はおかしいと思うんですよ。では、だったらなぜ削除するのかということなんです、一々。なくなっているんですから。
では、どういう理念になったのか、何が変わったのかということを少し伺いたいと思うんですが、この点でも私はやっぱり堺屋長官がこれは非常に一番わかりやすくいろんなところでおっしゃってくださっているんだと思うんですね。
例えば、これは朝日新聞だったと思いますが、十月十日付ですか、インタビューに答えて長官は、これからは創業やベンチャー支援に力点を置くんだ、「これは、政府の思想的な転換として、非常に重要な部分だと思う」、「弱者として保護する立場をとらず、中小の中から強者を育てていく」んだと、これははっきりおっしゃっていますよ。これまでの政策の重点を、力点を変える、力点を創業やベンチャー支援に置くんだ、これが今度の改正法の政策理念転換の一番のポイントだと堺屋長官はおっしゃっていますけれども、こうじゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/48
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049・堺屋太一
○国務大臣(堺屋太一君) 御指摘の現行法は一九六三年につくられたものでございますが、そのころの考え方は、中小企業というものが小さいがゆえに弱いという考え方でありました。これは、社会全体が規格大量生産を目指していて、規格大量生産に及ばないものはすべて弱いんだ、こういう工業社会独特の発想から出たものであります。
現在の、今度提出させていただいております改正案は、中小企業というものをもっときめ細かくそれぞれの立場で見る、そして新しいベンチャービジネスや新しい事業、こういうものが発展することが非常に重要である、そこに一つの力点がある。
そして同時に、現在ある中小企業に対しまして、先ほども通産大臣が答えられましたように、経営資源であるとか人材であるとか、あるいは今やっております信用保証であるとか、そういった意味での全体的な支援は十分行っていく。
しかし、それでも救い切れないものがやはり時代の変化、技術の転換あるいは人材の老化等で起こってまいります。それをあくまでも全部つぶさないで永久に保護していくというのは、やはり社会の転換から見て困難な問題が余りにも大きくなってくる。それは、消費者に対して高い商品、サービスを提供することになるのか、あるいは納税者の税金で補うことになるのか。いずれにしても、そういうものを無限に保護するわけにはいかない。
やはり社会は、経済は、技術の発展や世の中の変化、需要の変化によってダイナミックに変わっていくことを認めざるを得ない。これは中小企業の考え方で、決して弱者を切り捨てるというわけではありませんが、そういった時代の変化に対応していこうというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/49
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050・山下芳生
○山下芳生君 いろいろ言葉ではおっしゃるんですが、一番今度の基本法の改正による政策理念の転換の中心点は何か、これをはっきりさせないといけないと思うんです。
中小企業政策審議会の最終答申にはこうあります。「中小企業を画一的に「弱者」としてマイナスのイメージでとらえ、かかる中小企業像を前提に底上げ的な施策を一律に講ずるという現行基本法が基調とする政策アプローチは、改めて見直す時期にあると言えよう。」と。
ですから、もうはっきり言っているんです。底上げ的な施策、つまりこれは、中小企業全体を視野に入れてそれを支援していくというのは見直すんだと、こうはっきり書かれてあるんです。これがベースになって今度の基本法改正案というのがつくられているわけですから、この考え方が提案理由でも通産大臣からお述べになられました。
だから、いろいろ言うけれども、転換の中心点はここにある、全体の底上げ的な施策はやめて見直すんだと、そうじゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/50
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051・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 委員のお話を承りながら、言葉の使い方によっては全く逆に伝わるものだなと思って大変私は心配しています。
率直に申しますが、この答申で書かれていること、私たちが考えていることは、中小企業を画一的にとらえて全体を底上げするという、そういう単純な発想でなくて、多面的なものとしてとらえて、中小零細ならばこういうところが足りないからそれを支えましょう、そのためには三百の支援センターをつくろうとか、あるいは設備近代化資金でいうならば、小規模だけに限って業種は指定しませんといった新たな力づけを行うようなやり方をしたり、一方においては、これから創業で頑張っていただくような中小企業には資金的な手当てや制度や税制を考えましょう、ベンチャー企業も大いに出ていかなければいけないからこれにも力を注ぎましょうと。
多面的な中小企業をとらえながら、その一つ一つにきめ細かい政策を転換していくことが中小企業全体の前進になると考えているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/51
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052・山下芳生
○山下芳生君 深谷大臣はそうおっしゃるんですが、堺屋長官ははっきり今度の転換点はここにあると繰り返しお述べになっている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/52
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053・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 所管大臣は私ですから、私が責任を持って進めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/53
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054・山下芳生
○山下芳生君 だから、責任を持ってぜひ答えていただきたいんですよ。
じゃ、はっきりお答えいただきたいんですが、大臣、今度の基本政策の転換の中心点は、中小企業全体の底上げなのか、全体を支援するということにあるのか、それとも創業やベンチャー支援に力点を置くのか、堺屋さんがおっしゃっているように、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/54
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055・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 何度もお答えしておりますように、中小企業と一言で申し上げても画一的なものではありません。
今までのとらえ方は画一的にとらえていた。そして、それを経済の二重構造と言って、大企業対中小企業あるいは近代的な企業対非近代的な企業、そういうような分け方が今や時代には合っていないと思うわけで、それぞれの多面性に着目して、小さなところにはより温かい支援をしていこう、これから伸びていくベンチャー企業に対しては伸びやすいような体制をつくっていこうと、それぞれの立場に応じた対応をしていくわけであります。そして、結果においてそのことが、中小企業が活力を増し、日本の経済を支える力になるであろう、そう考えているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/55
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056・堺屋太一
○国務大臣(堺屋太一君) 私と通産大臣に見解の差があるようにおっしゃいましたが、それはそうではございません。私は力点という言葉は言っておりますが、それは比較の問題でございまして、多くの中小企業のそれぞれの個性、それぞれの立場というものを考えてきめ細かな施策をやっていく、そしてその中に新しく成長する企業、そういったものも従来以上に重点を置いていくということを言っておるのでございまして、決して通産大臣と見解が違うわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/56
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057・山下芳生
○山下芳生君 それだったら、わざわざ私が最初読み上げたところを削除する必要ないと思うんですね。ちゃんと立派なことをうたっているんだから、残すべきですよ。これをわざわざ削るというのは、やっぱり今苦境にある多くの中小零細企業を支援するということをもうこれはやめちゃうと。だから結局、強者になったりあるいは急成長したりしなければもう意味がないんだ、こう基本法がうたっているようなものだと、読んだら受けとめられるんですよ、どこが変わったかを見ればね。そういうことでは私はおよそ中小企業政策とは言えない、今既存の頑張っている中小企業の皆さん全体を応援するのがやっぱり基本法の中心的な眼目であるべきだ、こう思います。
これ以上これはやりません。
そこで、具体的に私は、やっぱり既存の中小企業の存在意義をしっかりとらえるということが大事だと思いますので、その点で中小小売業の持つ多面的な機能について、これはぜひ総理に見解を伺いたいと思うんです。
私は、中小小売業、商店街というのは地域の消費者に必要なものを供給する、これはもちろんですが、役割は決してそれだけじゃないと思います。お祭りなど地域の文化や伝統を担う役割を持っている、あるいはお年寄りや子供たちが安心して生活できる地域をつくる担い手としての役割を持っている、いろんな多面的な機能があると思います。
総理はこういう中小小売業、商店街の持つ多面的機能についてどう認識されているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/57
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058・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 商店街はこれまでも地域住民の買い物の場、そしてまた交流の場、あるいは伝統文化の保存等を担う中核として、地域経済社会において重要な役割を果たしてきたものと認識をいたしております。
今後の役割につきましては、高齢化社会の到来のもとで、高齢者等の身近な購買機会や交流の場を提供するといった役割も大変重要だと考えております。この点については堺屋長官も常々、歩きながらいろいろ活動のできる町づくりということを主張されておられるわけでありますが、そうした役割を果たせるような町づくりを考えていかなきゃならないと考えております。
こうした観点から、中小企業基本法改正法案におきましても、改めて商店街等の商業集積の活性化を図るために地域住民の利便の増進等の施策を講ずる旨の条文を規定しているところでありまして、商店街がその期待される役割を十全に果たしていけるよう政府としても支援に努めてまいりたい、このように考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/58
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059・山下芳生
○山下芳生君 そういう商店街の多面的機能というのは、これからも地域社会にとって大事な役割を果たし得るであろう、二十一世紀にも守り発展させるべき機能であろうということだと思います。
ところが、その商店街のあるいは中小小売業の大事な役割が今危機に瀕しております。これはもうるる述べられていることですが、九〇年代規制緩和で大店法が三回にわたって緩和され、とうとう昨年はこれを来年六月からもう廃止するということになってしまいました。
その間、例えば大型店は、八〇年代五千五百九十五店舗あったのが、九〇年代には一万七千三百三十六店舗へ三倍にふえております。しかし一方、同じ八八年から九七年の十年間をとってみますと、中小の商店数は二十万店減少しているわけですね。二十万店といいますと、例えば東京都の九七年の全体の店舗数というのが十八万店舗ですから、もうこの十年間に東京都の全部の中小商店が消えちゃったというぐらいになっているわけですね。
私は、先ほど総理がおっしゃった、非常に大事な役割を果たしている、そういう商店街の持っている機能というのは地域社会共有の財産だと、こう思いますが、これが今失われかねないゆゆしき事態になっていると思うんですが、この点での総理の認識、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/59
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060・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 確かに私自身の選挙区を見ましても、中小都市におきまして町の中が空洞化しつつあるというような問題が起こってきていることは事実です。でありますから、こうしたことはなくしていかなければならないという趣旨から、今回いろいろの施策を講じていこうということだろうと思います。
大型店の問題等につきましても、これは長年のいろいろな議論のあるところでありまして、そういった点で、確かにいっときは世の中の習いで、車で買い物に行くために便利だということであれば郊外店が非常に発展をしてきたということでありますが、最近住民の考え方もかなり変わってまいりまして、先ほど申し上げたように、堺屋長官のかねての主張でありますけれども、やっぱり町うちを歩きながら、特にお年寄りがそんな車で遠くへ行くということはできないということで、そうした考え方に立ちまして、町の中心にも、先ほど御答弁申し上げたような趣旨の町づくりにこれから精いっぱい努力し、またそのための協力は惜しまない、こういう考え方に立って、今回のこの基本法と同時に、これから各種の政策も講じてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/60
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061・山下芳生
○山下芳生君 今のそれは、総理も御心配されているということだと思うんですが、先日、自民党内で規制緩和を見直す会が旗上げされたということが報道されております。会長には武藤嘉文元総務庁長官が就任されたと。武藤さんはこれまで規制緩和の旗振り役を自任され、実際に先頭に立ってこられた方ですが、その武藤さんはこうおっしゃっております。規制緩和に積極的に取り組んできたが果たしてそれが正しかったのか、私も反省していると。これは一部の報道では、今ごろそんなことを言って何だと、露骨な選挙対策ではないのか、こういう批判もありましたが、私はこれは根拠のない動きではないと思っています。
総理は、こういう規制緩和を見直す会、御自身の総裁としての党内にこういう動きがかなり、百五十人ぐらいの議員が参加するのではないかと言われておりますが、こういう動きについてどういう認識をされているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/61
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062・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 自由民主党は名のごとくに自由にして民主主義な政党でございますから、大いにそれぞれの議員のお考えに基づいて自由な発言をし、時には議員が集まっていろいろの会をつくって、そして提言をしていくことは、これはあってしかるべきものだというふうに思っておりまして、そういう意味で、党内にいろいろの考え方があり御議論されることについては、十分政府としても、与党のことでございます、注目をしていかなきゃならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/62
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063・山下芳生
○山下芳生君 私、こういう動きは、ただ単に自由民主党が自由だからということではないと思うんです。ちゃんとこういう動きの背景に根拠があると思うんです。
最近、全国小売酒販組合中央会、酒屋さんの組合ですけれども、これが「酒販免許制度のこれ以上の緩和に反対します。」という二百万人の署名運動を展開されております。それで、この目的は、一番上に書いてあるんですが、「未成年者の飲酒を防止し、国民の適正な飲酒環境をつくりましょう」、そのために一緒に運動いたしましょうということが書かれてあるわけです。私は、ここに先ほど来提起しております中小小売業の担う社会的機能の具体的な一面があらわれているんじゃないかなと、こう感じました。
今、未成年者の飲酒が社会問題になっております。日本では、一日平均百五十ミリリットル以上のアルコールを飲むアルコール大量消費者が約二百三十万人いると言われております。九七年の国立公衆衛生院の調査によりますと、週一回以上飲酒する十五歳の男子は八%、女子は四%、十八歳の男子は一八%、女子七%、それから、月一回以上飲酒する十五歳の男子は二六%、女子一七%、十八歳の男子になりますと五三%、女子三六%。精神的、肉体的に発展途上にある未成年者にアルコールが浸透しております。
こういう未成年、高校生がどこでアルコールを手に入れているかという調査もありまして、高校三年男子の飲酒者の六割がコンビニエンスストアでお酒を買っている、「高校生ではコンビニエンスストアは比較的飲酒頻度が低い飲酒者にも利用しやすい入手経路である」というふうに報告されております。
これは平成六年、中央酒類審議会の中間報告ですが、「一部のコンビニエンス・ストアにおいては、酒類の特性に関する理解が乏しい未成年者アルバイト等が未成年者に酒類を販売している事例があるとの指摘がなされ、諸外国においても、事業後継者を例外として未成年者による酒類の提供または販売を禁止している例がある。」。日本はちょっとこれは一部だとは思いますが、未成年者が未成年者にお酒を売っているということがあるんじゃないか、これが問題点として提起されているわけです。
そういう実態に対して、小売酒販組合の方は、私がお話を伺いましたら、町の酒屋さんはそんなことはしないとおっしゃるんです。もし近所の未成年者、子供たちがお酒を買いに来ても絶対売りません、それから、もし近所の御主人がかなり酔っぱらって、酩酊してお酒を買いに来ても、これはやっぱり売りません、あるいは近所の奥さんから電話があって、うちのだんながお酒を買いに行っても売らんといてねと言われたら、それをちゃんと守って売りません、それが私たち酒屋の、地域で業を営む者にとっての社会的な責任、使命だと思っているからだ、売ったらもうかるから売るということでは私たちはやらない、こうおっしゃっていました。これは私は非常に意味のある努力だと思うんです。
こういうことは、量販店でありますとかディスカウントショップでありますとか、あるいは先ほど紹介した、高校生がレジでだれが来てもすっとお酒も売ってしまうようなコンビニではやっぱりできないことだと思います。
そこで、総理に伺いたいんですが、これは一つの例ですが、こういう地域の中で果たしている中小小売業の社会的な役割、これについて総理御自身の御認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/63
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064・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 今、例として挙げられた酒類販売店の販売態度といいますか、そういうことは、これはいわば商業道としても大変すばらしい態度だというふうに思っております。他の販売店のことについてコメントすることは控えますが、古きその地域に密着をした酒類の販売店等におきましては、そういった態度で店主あるいはそのお店の方が対応しておられるということも私も知らないではありませんで、それはそれなりに立派なことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/64
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065・山下芳生
○山下芳生君 私は、なぜ小売酒販組合を初めとする中小小売業者の皆さんがこうした社会的役割、責務を担うことができるのか、これもたまたまではない、ちゃんと根拠があると思うんです。
中小業者というのは、みずからが地域住民であります。地域社会に溶け込んでいなければ営業や経営ができない立場の人々であります。そして、地域社会が発展すればそれに伴ってみずからも発展できるし、生活の向上も期待できる。だから地域社会に愛着を持って、その健全な発展にいわば常時心を砕いている人々だと言ってもいいと思うんです。
ですから、実際、多くの中小業者は町内会や地域婦人会の役員を進んでお引き受けになったり、PTA等の地域の自治組織の役員におなりになっています。地域の祭りや文化行事の中心的な担い手になられている。地域に対する愛着、地域に溶け込んで地域の皆さんから信頼を得る、これがなかったらなかなかその地域で商売がうまいことできない、これがそういう存在から出てくる私は社会的な責務であり機能だと思うんですね。
私は、こういう役割というのは、堺屋長官が繰り返しおっしゃっている効率とか能率とか、そういう言葉でははかることができない機能だと思います。しかし、だれもが安心して生活できる地域社会にとっては私はこの機能というのはなくてはならない機能だと思うんですが、この点について総理の御認識を伺いたいと思います。じゃ、まず長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/65
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066・堺屋太一
○国務大臣(堺屋太一君) 私は決してこの地域社会を効率や能率一辺倒とは考えておりません。
ただ、先生のおっしゃるように、商店街というものが地域社会に対して大きな貢献をしていることは全く事実でございますが、その地域というのがずっと同じ商売がそのまま並んでいるのか、その中で中小企業がどんどん入れかわって、今までは小売店のあったところがサービス業になり、あるいはお総菜屋になり、家事のアウトソーシングになり、それで住民により便利な社会が次々と展開していく。その中には商売がえをされる方もいれば、御老体になられた方の後にまた新しい意欲的な人が入ることもあれば、そういう入れかえの中で日本の、世界の商店街、地域社会というのは発展してきたんだろうと思うんです。
したがって、一つのものをじっと保護して、たとえ効率が悪くとも値段が高くともサービスが悪くとも保護していくというわけにはいかないということを繰り返し申し上げておるのでございまして、効率が悪くなったらすぐやめるというわけではございません。その点、この地域社会というものは生きた社会としてとらえていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/66
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067・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 全く今、堺屋長官と同じ考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/67
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068・山下芳生
○山下芳生君 長官は、何も効率という物差しだけで商店街を見るものじゃない、こう言いながら、くるくる新しい店ができることが望ましいとおっしゃる。どうもそれがよくわからないんですよ。それは、きちっと地域の中に中小小売業者や商店街が存在すること自身が私は社会的な機能を担ってきたと。ここを、それをそれとして評価しないと、くるくる変わるのが望ましいんだなどということが何でそこに出てくるんですか。それが私はわからない。それが今度の基本法の基本理念の転換としてなぜ今、現に業を営んでいる既存の中小企業の役割をそれとして評価しないのか、ここがよくわからないんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/68
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069・堺屋太一
○国務大臣(堺屋太一君) 現にそこにある中小企業を評価しておりますが、すべて中小企業が十把一からげに考えられるものならいいんですけれども、そうじゃなくなった。だから、それぞれその中小企業、その商店、そのサービス業がその地域にとって貢献している、役割を果たしている、それが大事なことでございます。だから、中小企業だから全部保護しろという話には全くならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/69
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070・山下芳生
○山下芳生君 るる意見を伺ってまいりましたけれども、やはり私、冒頭提起をさせていただいた今度の基本法から削除された部分が、今お話を聞いていましても、これからの政府の中小企業政策のやはりあるべき方向として、削除された部分が削除されたとして扱われるんだろうなと、こう思わざるを得ませんでした。
一連のILO、OECDの中小企業、自営業の促進に関する決議の中心眼目は、効率だけで見ちゃだめなんだと、やはり社会的な役割、機能なども大いに評価して中小企業を支援すべきだというのが世界の流れであります。二十一世紀にぬくもりのある地域社会を築くためには、私は、現に存在する中小企業を全体として支援することが不可欠だ、このことを指摘して質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/70
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071・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 先ほどから何回も繰り返したことでありますが、削除削除と、全く基本法からなくなったわけじゃありませんで、各所にきちんと書いてあるということは先ほど申し上げたとおりでありまして、もう一回よくごらんいただきたいと思います。
なお、堺屋長官の言われているのは効率一辺倒ということではございませんで、いろんな角度からの議論を率直に申し述べさせていただいているだけでありまして、我々としては、総理の指示のもとで一体となって、同じ考えで進んでいるということを念のために申し添えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/71
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072・梶原敬義
○梶原敬義君 社会民主党の梶原です。
きょうは二十分の時間で、大変もう神経使っておりますが、四つのことを総理に質問をさせていただきたいと思います。
まず第一は、東海村のジェー・シー・オーの臨界事故についてであります。
この事故が発生をしたのが九月三十日の十時三十五分ですね。ジェー・シー・オーから科学技術庁に通報が入ったのが十一時十五分あるいは十一時十九分とも言われております。ファクスで入った。そして、ジェー・シー・オーの方から周辺住民の避難の要請が東海村に対してあったのが十三時五十五分。東海村が三百五十メーター圏内の住民の避難命令を出したのが十五時。茨城県の十キロ圏内の住民の屋内退避勧告が二十二時三十分。
何が言いたいかといいますと、十一時十五分に科学技術庁にどうも臨界事故のようだというファクスが入りながら、結局政府は避難に関しては何にもしていない。もしこれがもうちょっと事故が大きかった場合には、これはもう取り返しがつかない。東海村が避難勧告を出したのが四時間半後ですね、事故が発生して。茨城県は十二時間後。
初動に対する国の対応のおくれを総理はどのように受けとめておられるのか、対策本部長としても答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/72
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073・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 今回の事故に対しましては、事故現場の状況等について得られた情報をもとにいたしまして、政府としては可能な限りの判断と対応を行ってまいったところでございます。
今回の政府の対応について、初動において事故状況の正確な把握が十分でなく、東海村が独自に住民の避難の判断をせざるを得なかったこと等は率直に反省すべきと認識をいたしております。今回の事故の教訓を酌み取り、今国会に原子力防災対策強化のための法案を提出したところであり、その成立により、事故の初期対応等について万全を期してまいりたいと思っております。
まさに梶原先生御指摘のような経過で刻々事態に対処してきたつもりでありますが、昼ごろ私の方にも刻々連絡がありましたときには、既に中性子も含めまして放射線、放射能が臨界状況は終息しているような報告も実は得られておりまして、そういった点では、それに対してきちんとした対応としては、政府としては二時三十分に科学技術庁の本部をつくり、そして三時に科学技術庁長官を本部長としての政府事故対策本部を設置し、そして九時に私を本部長としたこの政府対策本部の第一回会合を開きました。
いろいろと御批判もあることは承知いたしておりますが、例えて言えば、その後十キロ圏内の住民に対する屋内避難を要請いたしましたが、これなども当初はその必要ないのではないかというような御議論もありましたが、時の野中官房長官等からも、この際は向後いろいろな御批判はありましても、できる限り安全の確度の高いことを考えて広い範囲での措置を講じたということでありまして等々、いろいろと今から省みますると反省をしなきゃならぬ点あろうかと思いますけれども、政府としては時々刻々それに対して対応はいたしてきた、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/73
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074・梶原敬義
○梶原敬義君 大変答弁不満でありますが、もう時間がないから要望だけしておきます。
科学技術庁のやった技術的な対策、とった対応というのは非常に問題がある。第一、こっちから次長で現地に行った人は文部省から派遣された方ですね、伊勢呂さん。ですから、そこのところはなぜ、東海村の村長も大変不満を持っておりますが、なぜそういう状態だったかというのは、総理、一回、答弁は答弁でいいですから、検討させてください。よろしいでしょうか。検討してください。それで、はっきり問題がここにあるということをやっぱり出していただきたい。よろしくお願いします。
次に、中小企業政策で、本法案にかかわる問題でございますが、先ほど同僚議員から次々に質問があっておりまして、私も同様な感じを持っておりますが、中小企業というのは日本の大企業を入れました企業者数でいっても大体九〇%近い、従業者数では七七%、七八%近い。
そういう状況の中ですが、問題は全法人に占める赤字法人率です。これの傾向を見ますと、やっぱり景気がいいときは五〇%を切っているんですね。赤字法人率というのは五〇%を切っておる。ところが、景気が悪くなるとこれはばっと上がっております。ちょっと読んでみますと、平成七年度は六四・五%、平成八年度も六四・七、九年度が六四・八、十年度、これは新聞を見ますと、最近出ておりましたが、六八・四%ぐらいになっておるんですね。赤字法人がそんなに急激にふえている。これは景気によって五〇%を下回る場合もあるし、上に行く場合もある。
だから、圧倒的たくさんある企業者、中小企業のことを考えると、やっぱりきめ細かい景気対策をすることが最大の中小企業政策だと思うんですが、総理、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/74
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075・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 結論を申し上げれば、まさに梶原委員御指摘のに尽きるわけでありまして、何としても全体の景気をよくするということが必要でありまして、そのために昨年来いろんな施策を講じてまいりましたが、なお一層その努力をしていかなきゃならないことは事実でございます。
委員御指摘のように、赤字法人の納税に対する比率につきましては、昨今六五%前後になっておるということはまことに残念でありまして、これをできる限り高いものに、数字としていいものにしていかなきゃならぬ、こういうことを考えておりまして、これまた全力を挙げて努力をいたしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/75
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076・梶原敬義
○梶原敬義君 ベンチャー支援とかあるいは起業とか創業とか、これは大事なことで、それはそれですが、要するに枝葉の議論じゃなくて大宗を占める部分を一体どうするかということを抜きにして手は打てないと思うんです。ですから、この大宗を占める部分を一体どうするかということをしっかり考えて対策の手を打っていただきたい、私はこのように思います。
確かに、バブルがはじけまして、総理大臣が何人もかわりました。宮澤さん、それから細川さん、村山さん、景気対策をやった総理大臣をちょっと言いますとそれから橋本さんですね。景気危ないぞと言って景気対策をやったあるいは補正をやった。そのときはいいんです、でも、また落ちている、四回ともですね。だから、これは気を引き締められないと。アメリカは、一九二九年の恐慌の後、何をやったか。やっぱり国策上、フーバーダムをやったり、これからどうしても将来やらなきゃならないことについてはやっているんですよね。
総理、そういう意味ではもっともっと私は今の景気対策は、もっときめ細かく本当に国民のためになるお金の使い道、それが中小企業に対して響いてくる、そういう景気対策を心がけていただきたいと思いますが、一分ぐらいの答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/76
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077・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 歴代の内閣が取り組んでこられました景気対策につきましては、いろいろと御意見があろうかと思いますが、その結果奈落の底に落ちるようなことのない形で何とか経済を維持してきたというプラスの効果というものがあってだと思っております。でありますが、それをもってすべて満足すべきということでありませんので、御指摘をいただきましたような諸点、きめ細かく対応していかなければならないというふうに考えております。
ちょっと時間がありませんが、アメリカのフーバー大統領のTVA計画その他についての御指摘もありましたが、結局、あのときにはいわゆる公共事業というのが中心で当時の景気回復策を大いに講じてきたのであろうと思います。そういう意味では、公共事業の持つ意味合いも決してこれは否定できないことでありまして、これも加えて、かつ同時に自立的な経営が成り立つような形でのおっしゃられるようなきめ細かい中小企業対策というものもこれから大いに考えていかなきゃならない。それはこれからの補正予算もそうした観点で対処させていただきたいと願っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/77
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078・梶原敬義
○梶原敬義君 お願いでありますが、今どんどん首切りが発表されて、人員整理が発表されておりますね。だけれども、人を雇うときは一生懸命頼み込んで人を雇って、ばさばさ切っていくというやり方は、これは経営者の身勝手です。ですから、やっぱり総理が、経営団体の人を集めて、これはワークシェアリングをしながらでも雇用の維持にここのところは努めてくださいよ、こういうようなことをぜひ言ってもらいたいと思います。ぜひお願いをします。
次に三番目の問題ですが、中小企業が直面する資金調達の件です。
商工ローンが問題化されておりますが、商工ローンの利用者というのは、銀行から見放され、信用保証協会も保証してくれない、やむを得ず高い利息の商工ローンに手を出してそして回している、そういう状況だと思うんです。
地方の金融機関の経営者は、私たちは金を貸したいけれども、今のような金融監督庁の検査ではこれはどうしても貸し渋りをやらざるを得ないと。健全性の原則やなんか我々もタッチしてやりましたが、しかし今の状況では信用保証協会も銀行以上に厳しい地域があるんですね、御存じだと思いますが。こういう状況を何とか突破してやらないと、これはやっぱり解決にならぬ。商工ローン自殺者がいっぱい出る、そういう状況だろうと思うんです。中小の地方の銀行の経営者たちと話をすると、もう今のマニュアルどおりやられたら、やっぱり貸し渋りをやる、選別融資をやらざるを得ないと。これが実情なんです。これは理解をしていただきたいと思います。
そこで、私は要請を四つしたいと思うんですが、一つは、国の貸し渋り対策は中小企業に有効に働くようにとにかく知恵を出して指導していただきたい。地域の金融機関に行き渡るような政策をとっていただきたい。これが一つ。
それから、金融監督庁の検査マニュアルの一律適用を改めて、地場中小と非常に強い長年のかかわりのある中小向け融資を行う金融機関に対しては、実情に合った別の適用ができないのか、その検討をぜひしていただきたい。
それから三番目に、信用保証協会の審査をやっぱりもっと緩和する、そういうことができないのか。ぜひ緩和するように指導していただきたい。
四番目に、二〇〇一年四月のペイオフ。これはもう非常にそういう地場の中小金融機関というのは大変なことになると思います。今のように、大手の銀行が大合併をしている、そこならどんどん倒れる心配はない、ほら預けろと。こういうことですから、このペイオフの解禁については延期をするように内閣で検討してもらいたい。以上であります。
時間が、あと一つありますから、簡潔に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/78
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079・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 今、委員の御指摘は、貸し渋りに遭って困っている中小企業の皆様をどうお守りするかということが基本的な問題点だろうと思います。
その中に、検査マニュアルについて、どうもそれを理由にして金融機関が貸さないのではないかという御意見もありました。実は、金融検査マニュアルの策定に当たりましては、私どもからもそれを理由として貸し渋りをしないようにということをきちっと話しておりまして、そしてそのことで検査マニュアルを理由とした資金供給の拒否を行っていないかなどをチェックするような、そういう状態になっております。
当省としても、今後金融機関の融資姿勢についてはきちっと注目しながら、金融監督庁等の関係当局にも話を進めていきたいと思っております。
また、今般十兆円の積み増しをした信用保証協会の融資でありますが、一年延長いたしましたが、いわゆる最低の条件を備えて緊急避難的に貸し渋り対策を行うということになっておりまして、そういう意味では全般的にはかなり順調な貸し出しになっていると思いますが、今御指摘のような一部の地域においてやや問題があるということを実は私も数日前に伺ったことがあるものでありますから、これについては調査をしてみたいというふうに思っております。
それから、ペイオフの問題につきましては、今ここで総理にしても私にしても延長する云々という話は全くできる話ではございませんで、御発言として承っておくということにとどめさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/79
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080・梶原敬義
○梶原敬義君 ぜひ今のことについては内部で十分検討していただけたらと、私は現場を見て言っているわけですから、よろしくお願いします。
それから、ベンチャービジネスの育成について、法律や何かでいろいろなことを書いておりますが、私はベンチャービジネスの育成については、取引金融機関がまず責任を持ってその企業に金を貸し、そして情報を与える。企業の育成に昔はよくそういうことをしてきたものじゃないですか、そして銀行も貸倒引当金というのを持っておりまして。ですから、何か政策的にやる以前に、大宗はやっぱり金融機関がそういう新しい企業やベンチャービジネスを育てていくという風潮を、総理、ぜひつくっていくように。そこから議論をしないと、端からの議論、枝葉からの議論では私はだめだと思うんです。
ぜひお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/80
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081・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) ベンチャー企業は産業の新たな分野を拡大するだけでなく、新たな関連産業の創出に資する存在であり、その支援は中小企業政策の重要な柱の一つであり、全国各地において取り組むべき重要な課題と考えております。
こうした考え方のもとで、各県にあるベンチャー財団を通じた資金供給の円滑化や、ベンチャー企業の取引や投資家との出会いの場であるベンチャープラザの各地域における開催など、ベンチャー振興策を全国各地で展開してきておるところでございますが、私自身も、一環として昨年十月東京で開催されましたベンチャーフェアの現場を訪れ、こうした事業が企業間の情報の交流に効果があることを実感したところでございます。
今後とも、都道府県等と十分な連携をとり、各地域において有望成長分野におけるベンチャー企業の振興に努めることにより、ベンチャー企業が数多く生まれる社会の創設を目指してまいりたいと思っております。
金融機関におきましては、従来は土地を担保にしてお金を貸すということが一般的でありましたが、そうした担保物件ということになりますと、ベンチャー企業というのはなかなか大変だろうと思うんです。したがって、将来性とかそういうものをしっかり見据えながら、金融機関本来はそうした者に助成をすることによって大きく育てていくということがなければならない、そういう金融機関自身の発想も大いに転換していかなきゃならぬと思っております。
それと同時に、やっぱりお金を借りてやるということばかりじゃなくて、もちろん政府でも必要なものはお貸ししなきゃならぬと思いますけれども、やはりある意味ではこうした間接金融に頼ることなく、直接金融としてベンチャーもどんどんと資金手当てができる、こういう形にしていかなければならない。そういう意味では、今日、日本におきましてもこうしたベンチャーに対する資金供給のための直接金融市場というものも考えていくべき時代に来ておると同時に、そういう傾向にあることが新しい時代を迎える大切なことではないか、このように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/81
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082・梶原敬義
○梶原敬義君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/82
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083・菅川健二
○菅川健二君 参議院の会の菅川健二です。
昨日の本会議での代表質問に関連して、若干補足の質問をさせていただきたいと思います。
まず、総理に、中小企業対策の基本的なスタンスについてお伺いいたしたいと思います。昨日も一応模範答弁はいただいたわけでございますけれども、若干ポイントについてお答えいただきたいと思うわけでございます。
と申しますのは、今回の中小企業関連の法制、これから基本法以外にもいろいろ出るわけでございますが、それから具体的な中小企業政策につきまして幾つか既にいろいろな具体策が出ておるわけでございまして、大変盛りだくさんで、いろいろな知恵を絞られたなということは十分察知できるわけでございますが、しかしこれも従来の農業政策のように余り過度になりますと、おんぶにだっこになりますと、中小企業はあめばかりでは育たないとか、それから玉石混交の中小企業政策とか、そういった面で新聞等におきまして若干の批判等もあるわけでございます。
過度な保護政策というものが経済のダイナミズムの源泉を腐らせたり、経済構造の進展を阻害したりすることもしかねない状況もあるわけでございまして、基本的には私は、やはりあくまでやる気のある、自立意欲を喚起する視点が中小企業を育成する観点では最も重要ではないかと思うわけでございますが、総理の御見解をお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/83
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084・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) お説のとおりと思っておりまして、確かにいろいろと社説あるいは見解その他されておられまして、単に優遇措置だけやっておってみずから立つ意欲を失わせるようなことがあってはならぬという御指摘はまた全くそのとおりでございまして、やはり起業というものは、業を起こす者は、まず起業家精神がなきゃならぬということでありますから、ぜひそういった観点に立ちまして、いろいろの助成策を講ずることは当然でありまして、手を差し伸べることも大切、しかし最終的には自己責任、自分の発想、新しい発想やそういうものによって努力をして業を起こしていくという形のものがなければならない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/84
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085・菅川健二
○菅川健二君 基本的な考え方は一致しておると思うわけでございますが、ここで若干気になりますのは、中小企業に対する特別信用保証制度の運用の問題であり、またこれから新たに整備するというふうに言われております全国三百カ所の中小企業のソフト支援センター、こういったもののあり方につきまして具体的に御質問申し上げたいと思います。
そこで、まず中小企業に対する特別信用保証制度でございますが、これは昨日も代表質問で申し上げましたように、貸し渋り対策とかそれから倒産防止につきましては大変大いに役立った、今大臣も言われましたように、緊急避難措置としては大変役に立ったというふうに評価すべきだと思うわけでございます。
ただ中には、ほとんど無審査であったために計画倒産に利用されたり、あるいは優良企業に無理やり貸すことによってそこは使い方に困ってゴルフの会員権に化けたとか、いろいろ企業のモラルハザードを生んでおるという、これはうわさでございますので、それは事実かどうかはっきりいたしませんが、そういったうわさも生んでおるわけでございます。
そこでまず、従来の二十兆円の保証枠の保証実績は現段階でどのようになっておるのか。あるいは事故率、代位弁済の状況、これはこの十月から本格的に始まりますのでほとんど数字という数字は出ていないかと思いますが、とりあえずの状況がどうなっておるかということをお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/85
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086・細田博之
○政務次官(細田博之君) 特別保証制度は、菅川委員御承知のとおり、我が国の金融システムの変革、民間金融機関の不良債権処理の過程で発生いたしました未曾有の信用収縮に対する緊急避難的措置として実施しているものでありますが、これまでの保証承諾実績は先週末現在で百三万件弱でございまして、そうしてとうとう十八兆円を超える額になっておるわけでございます。本制度発足後一年間の代位弁済につきましては、保証承諾全体に対しまして金額ベースで〇・三八%、件数ベースで〇・三四%となっております。
本制度はもともと事故率一〇%という高いリスクを許容する設計となっておりまして、これとの比較で見ますと比較的低い水準で推移しておりますけれども、これはまだ制度適用以来短時間でございますので、この数字で推移するとはもちろん考えておらないわけでございます。過去の例でももっと高い事故率が発生しておるということから見て、一〇%の安全率で見ておるわけでございます。
それから、来年度への──来年度の話はまたでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/86
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087・菅川健二
○菅川健二君 はい、またでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/87
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088・細田博之
○政務次官(細田博之君) それでは、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/88
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089・菅川健二
○菅川健二君 今の段階ではまだ本格的な返済が始まっておりませんので、事故率等につきましては正確に判断することは不可能だろうとは思うわけでございますが、巷間、果たして一〇%でとどまるであろうか、あるいはその回収率が、通産省の方は五〇%、半分は回収できるというふうに判断しておるようでございますが、これは信用保証協会当局に聞きますと、とても五〇%回収というのは不可能だよというのが実情のようでございます。
そこで、これからの枠の拡大が計画されておるわけでございますが、そのためには、やはりこれまでの保証実績を十分分析していただきまして、そして従来のネガティブなリストによる審査ということでなくて、意欲のある中小企業に向けてより重点的に配分をしていくという姿勢が要るのではないかと思うわけでございます。昨日も申し上げましたけれども、雇用の拡大とか構造改善に結びつくような施策を打つかどうか。
ただ、この場合やや心配になりますのは、いつも通産省の政策というのは、こんな分厚い経営改善計画をつくらせてお役人が厳密に審査するというようなやり方をおやりになるんですが、これはやはり裁量行政に結びつくわけでございますので、こういったことでなくて、客観的な審査基準をお示しになって、その基準に該当するかどうかというのを申請企業がみずから判断して申請できるというような審査基準の明示をお願いいたしたいと思うわけでございますが、この点につきましていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/89
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090・細田博之
○政務次官(細田博之君) 委員御指摘のように、この保証制度は両様の問題点を持つわけでございます。あるいは、金融機関はまだ貸し渋っておるから中小企業のこれから景気浮揚に向かって経過的な措置として大いにまだ保証をすべきであるという御意見もございますし、また、過剰な債務保証をすることによってむしろいろいろな問題点が出てくる、ここにモラルハザードが出てきて、いわばまじめでないような企業が出てきていろいろな事故率が高まるというようなことになっては税金のむだではないか、その点をどう考えるんだと。この両様の御意見がございまして、実際は、債務者といいますか保証申し込みの方々、金融機関とも相談しながら、この両様の観点から十分チェックをしていかなきゃならないと思っておるわけでございます。
来年度の制度の延長に当たりましては、これまで貸し渋りを受けております中小企業を広く対象にするとの基本的な考え方に立ちつつも、要件を少し上げておりまして、雇用の拡大とか販売、生産、仕入れ面における改善等の建設的な努力の計画を有するということを一つの基準として考えていこうではないか、またさらにベンチャー、創業という面についても前向きに考えていこうではないかということでございますが、具体的な審査基準については、まだ具体的な内容については今後検討ということで未確定でございます。
ただ、モラルハザードを回避するために何項目かのネガティブリストなどもこれまでも設けておるわけでございますし、これを十分またさらに詰めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/90
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091・菅川健二
○菅川健二君 せっかくの資金でございますし、またこれが運用次第によっては大変後々に税金による穴埋めといいますかツケを残すということでもございますので、ひとつ有効に活用されるように今後の運用を図っていただきたいと思うわけでございます。
次に、中小企業ソフト支援センターの件についてでございますが、今情報で伝わっておるところによりますと、全国三百カ所、しかも各県の広域市町村圏単位ぐらいまで拠点を設けるんだということでございます。大変壮大な計画だなというふうに思うわけでございますが、その権限なり財源なりあるいは組織、人員はどのように考えておられるか、お聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/91
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092・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 小規模企業の皆さん方が一体どういうような健全な経営運営と前進を図られるかという点についていろいろ配慮を加えておりますけれども、逆に言えばどういう点が足らないのか。例えば一例を挙げますと、国がいろんな施策を行っておりますが、それについて熟知していないとか、あるいは会計だとか法律だとかいろんな部分で小規模企業には、これがもし相談相手になる場所があれば大変いいのにという声があるわけでありますが、そういう声にこたえるために全国に三百の支援センターを置こうとしているわけでございます。
この人員配置等についてのお話もございました。専任のコーディネーターを置くとかあるいはその他専門の人を待機させるとか、いろいろ構想はございます。それから同時に、私どもが特に考えていますのは、センターの一部に専用回線を引くとかあるいはオープンネットワークでつないでいくということで、そこに参りますとまさにワンストップサービスという形で、あらゆるものがその回線の中で仕組まれていて、インプットされていてお答えできるような、そういう新たな方法も考えていかなければならないと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/92
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093・菅川健二
○菅川健二君 今のセンターの設置形態ですけれども、私が聞いておるところによりますと、今年度につきましては国が試行的に全額国費で持つんだけれども、来年度以降は半額負担で、半額は都道府県に持ってもらいたいというような意向があるやにも聞いておるのでございますけれども、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/93
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094・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 当面は百カ所を一応目標としていこうと思っています。
それから、これらの予算については、補正予算の中で上げていこうと思っておりますが、これからの折衝その他の問題は残っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/94
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095・菅川健二
○菅川健二君 この点につきまして、まず地方団体が絡んで財政負担ということになりますと、地方財政の状況は御案内のようなことでございますので、十分御配慮いただきたいと思います。
ただ、この設置そのものにつきまして私ちょっと気がかりなのは、かつて都道府県におきましては中小企業相談所というのを出先機関で幾つも設けておったんです。それがだんだん、交通通信手段の発達とか、あるいは中小企業そのものがみずからいろいろなソフトを持ち出した、記帳の問題とかいろいろな財務の問題とか、そういった面でレベルアップしてきたというような経過もございまして、出先機関をなくしちゃって、そして本庁に一括して、本庁で経営診断に応じておるというのが現状だろうと思うわけでございます。
したがいまして、そういった地方行政におきましては、むしろ整理合理化していく、効率化していくという流れの中で、また地方分散といいますか、広域市町村圏ということになりますと、標準県においても七つか八つぐらいの地域になるわけでございまして、大変な分散という形になるわけでございます。
そうすることによりまして、果たしてそれでは分散された場合にそれだけの適当な人間がそれによって配置できるのかどうか。もとより、その配置によりまして大変なお金がかかるわけでございまして、それよりもむしろ、通産省自身も指導しておられるわけでございますが、都道府県の拠点にプラットホームを設けて、そこのプラットホームにおきまして、例えば資金面とか技術面とか情報面とか、いろいろな専門家を抱えていく、その専門家が必要に応じて地域にも出かけていき、それぞれの業態に応じて相談に応じていくという形が一つ考えられるのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/95
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096・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 先ほど申し上げましたように、これからはインターネットその他もろもろ情報機器というものをセットしていくことが大事だと思います。そして、今の御指摘の連携というのがとても大事だし、また国にはナショナルセンターというのを設けますから、ここが有機的に活動していくという、そういう体制をつくることが第一で、いつでも人がセンターで待機していなきゃならないというものでもありませんが、そこいらには相当な工夫を必要とすると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/96
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097・菅川健二
○菅川健二君 それから、御案内のように、商工会議所とか商工会とかいろいろお世話する団体もあるわけでございます。そこには経営を指導する方もおるわけでございますので、基幹となる商工会議所にそういった支援センターのような機能を付加するとか、あるいは経営指導員のレベルをアップするとか、いろいろな既存の組織なり人員なりを活用するということもこれから効率的な運用では必要ではないかと思うわけでございます。
したがいまして、私自身としましての考えを申し上げますと、全国一律的に一つの理念系でもって箇所づけをするのではなくて、地域の実態に応じて都道府県なりそれぞれの商工団体の意見を聞きつつ、最も効果的なことについてそれぞれ地域に裁量を任せていくという方策が重要ではないかと思うわけでございますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/97
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098・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 御意見はごもっともでございます。センターの設置場所の選定については、小規模企業とか創業者の利用のしやすいという点に配慮いたしまして都道府県が行うということになります。したがいまして、地域の実情を踏まえた都道府県の弾力的な対応が可能になるように、制度運用に留意してまいりたいというふうに思っております。
また、今までも地域における中小企業の相談相手に商工会議所とか商工会等がございました。そのほかに地方公共団体が出資する機関等がございますが、ここの中からそれぞれのアイデアを出していただき、手を挙げていただいて、そういう中のどこかにお任せするというような、そういうことなども配慮していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/98
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099・菅川健二
○菅川健二君 ぜひ地域の実情に合った効果的な指導体制を整えていただきたいというふうに要望いたしておきたいと思います。
最後に、起業家を尊敬する風土づくりについて、昨日も申し上げたわけでございますが、大臣の表彰状をいただくというのも一つの手でございますけれども、かつての本田宗一郎さんにしても松下幸之助さんにしてもいろいろな古典的な方の伝記というのは、やはりサクセスストーリーというのはあるわけでございます。現在のビル・ゲイツとかあるいはヤフーの関係の人とか、いろいろ現代におきましても日本においてもそういったベンチャーによる成功者はおられるわけでございますので、そういったサクセスストーリーというものを例えば伝記作家に依頼して書かせるとか、あるいは最低限事例集をつくっていろいろな形で配る、とりわけ多感な学生時代にそういった青少年に夢を与えるような読書を提供するとか、そういったことが一つ考えられるのではないか、これは思いつきでございますが、そういった考えも一考していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/99
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100・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 昨日も参議院の本会議場で委員が御指摘なさった御発言というのは、大変傾聴に値すると思っています。新しい企業を起こすベンチャー企業に対する世間一般の評価というのはまだまだ十分ではありません。逆に、新しいベンチャーを起こす、そういう挑戦的な動きに対してみんなが歓迎するようなムードがあることは、これからそれらを伸ばしていくためのいわゆる環境という点では大事なことではないかと思うのであります。
サクセスストーリーを広く伝えるということはとても大事なことで、今年から通産省としては小中学校で起業家教育のための教材の開発などというのも行っております。こうした事業の中で、起業家のサクセスストーリーなどを学べる内容を盛り込むとか、あるいはただいまのような伝記をつくることも大事かもしれません。文部省とよく相談をしながら、お説のような新しいベンチャー企業に挑戦するような青少年の心構えとか国家的な土壌をつくるために努力していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/100
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101・菅川健二
○菅川健二君 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/101
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102・西川きよし
○西川きよし君 どうぞよろしくお願い申し上げます。総理に御質問をさせていただくのは、娘より三日間長生きがしたいというあのとき以来でございますが、よろしくお願い申し上げます。
まず、私も中小企業政策における介護関連サービスについて御質問をさせていただきたいと思うんですけれども、先月十月十六日の新聞を見せていただきました。総理が老人福祉の施設を視察なさって、そして車いすにお乗りになった。
まず、この車いすにお乗りになった感想からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/102
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103・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 実は、私が参りましたのは国際福祉機器展という、それへ十年ぶりに参りまして、そこの福祉機器あるいは介護用品、こういうものを拝見いたしましたが、十年ぶりに見てまいりまして、大変な開発をされておられました。その中で車いすに乗りましたが、車いすとてまことに超自動的でございまして、操作が難しいぐらいの感じであります。
しかし、いずれにしても大変な開発がされておられまして、身体に障害のある方々にとりましては朗報だと思いますし、特に御両親が大変来ていました。恐らく子供さん方がそういう立場になっておるんだろうと思いまして、そういう意味では非常に関心が深くなって、ますますこれは大いに開発、そして身体に合ったそういう機器を製造していかなきゃならないんじゃないか、それが実感でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/103
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104・西川きよし
○西川きよし君 ありがとうございました。
我が家にも三人の親がいるんですけれども、毎日の生活はそれは本当に大変でございまして、例えばベッドでありますとか歩行器でありますとか、体の状態に合って、もう家内の母親なんかは二十九キロぐらいしかないんですけれども、例えばスリッパの下にちょっとゴムをつける、滑りどめをつけることによってかえって危険になったりもするんですけれども、それぞれ本当に御本人に見合った福祉用具を探して利用する、これがまずお年寄りの自立という観点からも大変大切なことだと私自身は実感をしております。
また、中小企業政策の中でこの介護関連市場、新しく創業される創業支援というところから、総理に改めて一言お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/104
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105・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 民間事業者などの参入を促進し利用者の選択の自由度を一層高めるとともに、新たな成長分野として期待される介護サービス産業につきまして、経済支援性を実現するという観点からも、その振興を図っていくことは極めて重要だと考え、この点につきましても政府としても全力で努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/105
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106・西川きよし
○西川きよし君 ぜひよろしくお願いいたします。冷たい機械ではございます、福祉機器ではございますが、本当に人間の利用の仕方によって随分温かく感じるものでございます。
次に、この分野におきまして、通産省で先月、民間介護・生活支援サービスに関する研究会が発足されました。改めて言うまでもないわけですけれども、介護保険の導入に当たると思うわけですけれども、この研究会の開催趣旨についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/106
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107・横川浩
○政府参考人(横川浩君) 通産省といたしましては、介護サービス市場及びこれに関連をいたします生活支援サービス市場におきます民間事業者の参入、そしてまた活発な新規開業が、サービスの利用者や制度を運用する自治体の多様な選択肢の確保を通じまして介護保険法の実施円滑化に資するものである。そしてまた、あわせて地域経済の活性化や雇用の確保にもつながるものと認識をいたしております。
こうしたことから、本年十月に、学識経験者、民間事業者、地方自治体、NPOの方々等から成ります研究会を設置いたしまして、民間事業者の動きを促進するための市場環境、情報インフラの整備、新規開業に対する政策支援のあり方等につきまして検討を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/107
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108・西川きよし
○西川きよし君 そこで、少し読ませていただきたいんですけれども、
介護保険の導入を契機に市場拡大が期待される介護関連ビジネスに、民間事業者が参入しやすい環境を整えるため、生活産業局が研究会を設けて検討を始めた。介護保険制度スタートが目前に迫った時期での検討開始だが、サービス産業課は「制度自体をとやかく言うつもりはないが、民間事業者の参入を考えたとき、今のままでは問題が多過ぎる」と強調する。問題とするのは、例えば、要介護者のための介護プランを立案するケアマネジャー(介護支援専門員)の独立性が十分に確保されていない点。同課は「ケアマネジャーの資格を持つ人には、看護婦や介護福祉士、医師などが多く、既にどこかの組織に属しているケースが多い。しかも横のネットワークがあまりないから、民間事業者のサービスを把握し切れないし、利用者のニーズを十分吸い上げられる条件が必ずしも整っているとは言えない」
というようなことが指摘されているわけですけれども、通産省といたしまして、このケアマネジメント、こういう部分の問題意識というのはどういうところにあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/108
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109・細田博之
○政務次官(細田博之君) 委員御指摘のように、介護保険法の実施によりまして、在宅サービスは利用者によって選択される、そして今後健全な競争を通じて適切かつ多様なサービスが提供されるような市場環境の整備を行っていく必要があるわけでございます。
そして他方、通産省はやはり産業を育成し、また経済発展に貢献する官庁であるという側面もあるものですから、もちろん福祉の面では厚生省さんにいろいろお願いしながらも、サービス産業として見たときにさまざまな問題点は解決していかなきゃいけない、こういう観点から研究を深めているわけです。
この介護サービスのアレンジを行いますケアマネジャーは、利用者の適切な選択を支援する者として非常に重要なものであると考えておりまして、ケアマネジャーが実際にそうした機能を的確に果たしていきますためには、サービス提供事業者を評価選別し、すぐれた相当数の事業者との連携が図れるかどうかが課題である。また、多様なサービスが市場において提供されていくためには、すぐれたサービスを持った多様な民間事業者が容易に参入できますような資金面、経営面での支援も必要である、こう認識しているわけでございます。
こうしたことから、通産省といたしましては、各種の中小企業支援策を活用することによりまして、介護サービス市場におきます新規開業を支援いたしますとともに、サービス提供事業者とケアマネジャーとの連携を図っていく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/109
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110・西川きよし
○西川きよし君 ありがとうございました。
本当にここへ来て、介護保険がいよいよ来年四月からスタートですけれども、不安なことがたくさん報道されております。
我が家もしかりですけれども、お知り合いの方々もたくさんそうですけれども、やっぱりここへ来てこういうことが出てくる、そしてまた通産省さんの方からこういう問題が報道されますと、我々としては本当に不安です。責任を持っておうちへ来られて、そしてサービス業者にもちゃんと御紹介をいただけるのか、お世話になる方は本当に不安でございます。
そこで、研究会の第一回の議事要旨も目を通させていただいたんですけれども、いろんなお答えがいろんなメンバーの方々から発言をされておられます、このサービスの利用、ニーズ、適格性。
今御答弁を聞かせていただきまして、今度は厚生省にお伺いしたいんですけれども、厚生省は民間事業の参入に関しまして、ケアマネジャーのあり方、引き続き通商産業省とは違うという問題意識をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/110
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111・堤修三
○政府参考人(堤修三君) ケアマネジャー、介護支援専門員というのが正式の名称でございます。利用者の希望をお聞きしながら適切な介護サービスを組み合わせたケアプラン、こういうものをつくるのが大きな仕事でございまして、介護保険制度のかなめとなる役割を担う人材でございます。
こういうケアマネジャーの仕事、これを居宅介護支援事業と言っております。従来のような社会福祉法人あるいは医療法人に限らず、民間の営利企業につきましても幅広く参入していただけるように基準も定めておりますし、それをクリアすれば自由に参入できる、こういうふうになっております。
こういう介護支援専門員にとって一番大事なことは、利用者の立場に立って公正中立な業務を行うということでございますので、この点に徹底をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/111
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112・西川きよし
○西川きよし君 ありがとうございました。
本当に不安な声ばかり聞くわけですけれども、私たちは、お世話になる側は、通産省でも厚生省でもそうした垣根を越えて皆さんに安心していただける、本当にそういう介護保険のスタートをよろしくお願い申し上げたいと思います。
通商産業大臣、そして総理からも一言よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/112
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113・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 今、委員御指摘の御意見は全く同感でございます。
介護の問題に関しての国の対応としては、これは通産省だ、これは厚生省だ、そういう縦割りのものではなくて、垣根を越えて、どうやったら喜んでいただけるか、どうやったら本当の介護ができるのか、その点を真剣に考えながら共同して作業していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/113
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114・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 政府一体となりまして、少なくとも省庁間にそごのあるようなことのないように万全を期してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/114
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115・西川きよし
○西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/115
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116・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十五分まで休憩いたします。
午後零時五十三分休憩
─────・─────
午後一時四十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/116
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117・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) ただいまから中小企業対策特別委員会を再開いたします。
この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、釜本邦茂君が委員を辞任され、その補欠として木村仁君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/117
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118・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 休憩前に引き続き、中小企業基本法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/118
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119・保坂三蔵
○保坂三蔵君 自由民主党の保坂三蔵でございます。
深谷通産大臣、また細田、茂木両政務次官、御苦労さまでございます。WTOの本交渉を控えて大変タイトな日程の中で激務をこなされておりまして、心から敬意を表する次第でございます。
日本経済の骨格をなす中小企業の将来をすべてかけて、小渕政権の看板であります中小企業育成、そして新しい概念のもとで二十一世紀を迎えようという決意のもとで、今国会、中小企業国会と銘打っての国会でございます。その意味におきまして、まさしく主役であります通産大臣を初め両政務次官、どうぞこれからも頑張っていただきたいと思っておる次第でございます。
それにつけても日本経済、バブル経済破綻後九年、その間には紆余曲折、回復の糸口がなかったわけではございませんが、極めて長いトンネルでございました。発生した過剰債務あるいは過剰雇用、過剰設備、重い重いバブルのツケをなかなか解消できないまま私たちは時と闘ってきたわけでございます。そして、特にこの両三年は日本経済にとっては時代を画すというぐらいに厳しい状況であったと考えております。
一昨年の七月には、日本経済のまた日本の最もよきパートナーである世界の成長センターアジアが、タイのバーツの下落から始まりまして、インドネシア、マレーシア、そしてフィリピン、韓国へと飛び火して、激しい金融不安の中で経済は失速し、失業者が町にあふれたわけでございます。
こういう状況の中で、日本はなかなか立ち上がれない、力を持ちつつ立ち上がれないという実態を見て、通貨統合を直前にしたEU、あるいはまたアメリカ、ニューエコノミーの中で発展を続けるけれども、早く日本が景気を回復してくれないと世界恐慌が日本発になってしまうというような、そういう懸念が内外から寄せられていたわけでございます。しかし、そうはいいながらも日本の状態はまことに厳しい状況であり、最も痛手をこうむった金融機関がその過剰債務から抜け切れないで、しかも迎え撃つビッグバンの準備の中で極めて厳しい状況下に置かれ、言ってみれば金融の破綻まで起きていたわけでございます。
一昨年の暮れには、思い浮かびますが、山一から始まって北拓、そして三洋証券と、大手の金融関係の企業の倒産が続きました。そして、倒産なども一千二百件から一千八百件へともう毎月激増しているような厳しい状況下でございましたから、そういう言ってみればデフレスパイラルに片足を突っ込んだような状況で、しかも動脈たる金融界が破綻をしているわけですから、まさしく日本経済は機能を喪失したのではないだろうかと言われ、またこのことに勢いに乗って野党の攻勢が進み、そしてマスコミは、興味本位とは決して言いませんけれども、よいところよりも厳しさを倍増して書き立てるものでございますから、日本経済も日本国民も自信を喪失してしまった、こういう状況下にあった。そこで、その翌年の選挙を通じ財政運営の責任者の交代がありまして、小渕総理大臣がスタートしたわけでございます。
小渕再生内閣は、文字どおり三年連続でマイナス成長にしない、そしてアジアを救おう、同時に雇用不安をこれ以上来さない、こういう命題を掲げて経済再生内閣としてスタートしたわけでございます。
その最初の仕事と言ってもいい仕事がめぐってまいりました。それは、金融機関で特に都市銀行などはもうサバイバルゲームを続けておりましたから、選択融資で悪いところに貸さないというのはいつの時代にもなかったわけではありませんでしょうが、それよりもいいところからまで債権を回収するというような激しい貸し渋りで、言ってみれば本来持っている市中金融機関の責務でありますリテールサービスを放棄したような態度に出たわけで、これで当然中小企業は翻弄されました。
そこで、昨年の十月一日から始まりました特別保証制度、これは前通産大臣の与謝野馨先生、そして、偶然でございますしまたありがたいことに、私たち自由民主党本部の総務会長に現通産大臣の深谷隆司先生がおいでになり、官邸を動かしそして大蔵省を動かして、あの本当に劇的な効果を出した、まさしく中小企業にとっては干天の慈雨とも言われる特別保証制度をスタートさせたわけでございます。
結果においては、今日は百万件を超える方々が利用する。そして、ありがたいことに、このときに同じように財政危機に陥っていた地方自治体、本来信用保証協会は二分の一を補助する、悪くても三分の二ぐらいだといったところを、二千億円真水で丸抱えで補助金を出して、地方自治体の財政状況の悪いところも救った、配慮した。こういう制度が、実は巧みに今日の日本経済の回復の端緒をつくったと言ってもいいような効果を出したことは万人の認めるところであろうと思っております。
特に、私ありがたいと思いましたのは、確かにハードルを低くして信用保証協会の保証承諾を与えていったわけでございますけれども、利用された方々が五千万無担保無保証で借りて、しかも五年、一年据え置きといういわゆるチャンスを与えた中で、もう七五%以上の人が翌月から返済を始めている。これは、モラルハザードを起こすんじゃないだろうかなんていう心配をした方々、そして代位弁済が飛躍的にふえるんじゃないかと言われたような懸念を払拭するような日本の中小企業の良心というのを見せていただいているような気がいたしまして、私は感激しているところでございます。
そして、そういう流れの中で、実は昨年の十二月には、我が国のただいま申し上げた中小企業、特に新事業を起こしていくあるいは育てていかなければ日本の経済の活性化は起き得ない、こういうことで、新事業創出促進法が制定をされたわけでございます。その中で、特に中小企業の研究開発に力を入れなくちゃいけないということで、いわば中小企業革新研究制度、アメリカのSBIRですね、スモール・ビジネス・イノベーション・リサーチですか、この日本版とも言える制度をつくった。これが十二月に制定されて、この四月からもうスタートして実効が上がっているわけです。
そしてさらに本年の三月には、今まで長い間中小企業は二重構造の中で、大企業との格差を圧縮する、そして近代化を図っていくということで支援を受けてまいりましたけれども、それはグループとして業界だとかあるいは組合という形で支援を受けていたわけです。それを今度は思い切ってそういう法律で、いわば今まであった中小企業近代化促進法、これは多くの国民がなれ親しんで頼りにしていた法律でありますが、これを思い切って発展的に解消して、新しい法律として中小企業経営革新支援法を導入したわけです。この支援法のコンセプトは、私の個人的な見解ではありますけれども、今論議している改定中小企業基本法のコンセプトを少なくとも先取りした、いやむしろそういう一連の中小企業対策にやっと中小企業基本法が追いついてきた、こう言っても過言でないぐらいの一連の動きを中小企業向けに政府が打ってきたわけでございます。
そして、特に、最後にことしの七月、この間の七月でございますけれども、いわば景気回復というところで、需要を促進するということでどうも対症療法的に短期的な視野から対策を打ってまいりましたけれども、ふと気がついてみたら需給ギャップが四百兆、こういう状況の中で、私たちはこれを何としてもサプライサイドから中長期的に埋め込んでいかないと日本経済の再生、新生はあり得ない、こういうことで産業活力再生特別措置法というのをつくって、そして中小企業に対しましても、この中で新規の事業を開拓するようなところはそれに認定されたら一層手厚く手を打っていく。
こういうことを数々見てまいりますと、そのほかには、大学の中で非常に有力な技術や新たに開発されたノウハウがそのまま埋もれている状態を大学等技術移転法の法律を通して産学官の一体的な中小企業バックアップ体制をとる。あらゆる今までのシステムがここでパワーアップすべくこの国会に収れんされている、この中小企業国会に収れんされている、こう言っても決して私は過言ではないと思うのでございます。
そして最後に、来年の六月には大店法が廃止をされ、大店立地法、それから中心市街地活性化法、さらには新しい都市計画法、この町づくり三法が生きて、商店街も町づくりの中から守っていこう、活性化をさせていこう、こういう営みが行われようとしているわけでございます。
今やこの中小企業国会は、しかも日本の中小企業だけではなくて、日本の中小企業を兄貴分として背中を見て育ってきたアジア各国はもとよりでございますが、中南米の各国、そして欧米先進各国までがこの国会のありよう、そして日本の中小企業対策の抜本的な新しい姿でのリニューアルを注目している、こういうふうに私は総括的に受け取らせていただいたわけでございます。
前段が長くなりましたが、深谷大臣におかれましては、今度の中小企業基本法の改定に当たりまして、その意義をもう一回確認させていただき、さらに御決意のほどをお述べいただければ幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/119
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120・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 保坂委員から私が答弁申し上げるような内容をことごとくお話しいただいて、心から敬服して聞いておりましたが、それもそのはずで、前通産政務次官でおられて、与謝野大臣とともにいわば今日の中小企業諸問題についての改正を行う準備段階で参加なさった方でありますから、そのような内容のお話をされるのはむしろ当然でございまして、心からその御努力に感謝しながらお話を承っておりました。その中で、余り多くの方は御存じなかった二十兆の保証制度のありようについては、保坂政務次官が総務会長室に何回か駆け込んできて一緒に作業したことなども大変うれしく思い返していた次第であります。
昭和三十八年にできました中小企業基本法、これはもう既に申し上げておりますように、経済の二重構造という観点に立って、大企業と中小企業、近代的な企業と非近代的な企業と対比を行って、中小企業をしたがって少しでも大きくしていく、大企業に近づけていく、そんな観点で基本法というものができ上がっていたわけでありますが、時代が変わりまして、中小企業はむしろ個々の能力を存分に生かして活力を持ってもらって日本経済の再生のための先頭に立っていただこうと、そういう時代になってきているわけであります。
そこで、この基本法の持っていた幾つかの問題点を改正して、時代にふさわしいものに転換していこうというのがこのたびの改正ということになったわけでございます。
今までの、中小企業を画一的にとらえて、そしてそれを非近代的な企業集団という設定をもうやめまして、多面的に、いろんな形の中小企業がございますから、そのそれぞれに対してきめ細かい対応をしていこうというのがその一点でございます。
同時に、創業率と廃業率のバランスがとれていない、それが日本の経済の成長をおくらせているという点を考えまして、創業という点にも力を入れていこうではないか。ベンチャー企業の育成ということに我々はしっかり対応していけば、その発展こそまさに中小企業の得意の分野でもありますから、必ず中小企業の活力にも広がっていくであろうと、ここにも大きな柱の一つとしてウエートを置いたわけでございます。
そして、それらのことについてお話をいたしますと、では小規模企業は見捨てるのかという声もあるようでありますが、全くそうではありませんで、汗水流して頑張っている中小企業、特に小規模企業に対しては、今まで以上の温かい手を差し伸べて頑張っていただくという応援体制をきちっととっていくことが必要ではないか。そのための具体的な政策、法律、制度などもこのたびの国会にかけることになっているわけでございまして、そういう時代の変化とともに、中小企業の持てる力を、そしてその自助努力に対してきちっとこたえていくような体制を国を挙げて進めていこうというのがこのたびの我々の考えであり、中小企業国会と言われるゆえんであると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/120
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121・保坂三蔵
○保坂三蔵君 よくわかりました。
衆議院また参議院の午前中の総理との質疑等々、私ども、野党の皆さんのお話も拝聴してまいりました。今、大臣からお答えいただいたような疑念もあったところであります。また、一方、与党の私たちでさえも、やはり大盤振る舞いじゃないか、ばらまきの範囲の拡大ではないかというような、内心じくじたるものがないものでもないわけです。一部ないわけではない。
ソニーや京セラやあるいはまた本田、ダイエー、遠くをたどれば松下、そういうところもかつての零細企業であり、ベンチャーの出身であります。今日、そういう企業が決して厚い保護で守られて育ってきたとは思わない。むしろ逆風の中で自立して切り開いてきた。こういうところに成功がある。
今や日本のトレンドは、官から民へ、中央から地方へ、そして保護から競争へというトレンドは、やはりこれはグローバルなんという言葉をつけなくても、私たちは事実として新しい時代を迎える中で認めざるを得ない。
そういう中でいけば、これからそういう反論に対しても、現実的には、創業の促進をやる一方、それじゃ既存の企業をどうするんだというときに、既存の企業を助ければ護送船団方式になるじゃないかと言われるけれども、やはりやる気のあるところを救っていくという点ではそこに手をつけていく。これは決してアンバランスでもなければ行き過ぎでもない。努力の芽を摘むどころか、やはり創意工夫だとか創造力を持った多面的な中小企業を育てる中でチャンスを与えていく、中小企業に。こういう仕組みではないかと思いまして、これからどうぞ二十一世紀の中小企業像をこの国会を通じて明確にしていただければ幸いだと思う次第でございます。
両政務次官、大変なキャリアをお持ちの両政務次官でございます。また、細田総括政務次官におかれましては、通産省のOBということで、平素通産行政に深い理解と御指導をいただいてまいりましたので、私たちも心から敬意を表しているところでございます。また、茂木政務次官は大変なアメリカでの御経験を含めて、御見識の高い両政務次官が、助さん、格さんと言うと大変失礼な言い方でございますが、水戸黄門の深谷先生を助けていただいていることに力強さを感じます。
できればこれからの御答弁をいただきたいんですが、その前に、深谷大臣におかれましては、小渕総理が東大阪市に行きました、あるいはまたそのほかにも行きましたけれども、大臣、就任早々、すぐ、御地元とはいいながら、大田区のいわば中小企業群に御視察に入っていただいたわけでございます。あそこは京浜工業地帯の原点でございまして、日本の近代産業の発祥の地でございます。そこを見ていただきまして、海外に親会社が転出した後の苦しみ、あるいは後継者のないところとか受注が不足しているとか、いろいろ悩みのお話を市井から聞いていただいたと思うのでございますが、中小企業城下町御出身の深谷大臣におかれましては、この大田区の状況を御視察の後どういうお考えをお持ちでお帰りになったか、お話しいただければ幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/121
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122・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 保坂委員のただいまお話のありました中小企業の視察をこの間行いました。去る十月二十一日のことであります。余り時間がとれなかったものですから、駆け足で回ったという点については残念に思っておりますけれども、それでも二軒参りました。
一つは、資本金が千二百万ぐらいの会社で社員は二十四人でございます。ここへ参りまして強く感じましたのは、機械化ということとあわせて一方で職人技を残している、近代的な機械化と職人技を融合させてしっかり頑張っていて、そして取引先も四十社ぐらいに及んで、つまり多くの取引先をつかんでいるために安定しているという、そういう現状でございました。少人数で鋭意工夫しながら頑張っている中小企業の姿をまざまざと見まして、大変心強く思いました。
もう一軒は、八千七百十五万円の資本金で現在は百五十名の社員がおります。ただ、これは九年前に社員は十二、三名しかおりませんでした。売り上げもせいぜい十億程度、まあ小さい割には強い方でございますけれども、それが今や三十億円ぐらいの売り上げになっている。
ここで特徴的なのは、例えばいろんなソフトの開発、いろんな機械の設計等を、工場は大田区にあるんですけれども、新宿のビルのワンフロアを全部借り切って、百人ぐらいで専門に毎日毎日かいているんですね。それができ上がりますとそのまま工場に流しまして、それが新たな製品や機械に変わっていく。そのたびごとに特許をとって、それが海外の取引にまで広がっていく。しかも、ここの平均年齢は二十四歳であった。八十キロぐらいの重い機械を動かすのに、それこそ二十代の女性のアルバイトが動かせるようなそんな機械化なども進んでいる。ここは逆に熟練工よりもアルバイトでも即やれるようなそんな工夫もしているということで、大変な伸びようでございます。ある意味でのベンチャー企業だと私は思っておりますが、この二つの中小企業を見てまいりました。
それぞれの特色を生かしながら頑張っているという状態を見て、こういう自主的な、自助努力的な形に対して、我々が一層力を注ぎ込むことが経済が活力を増す原因になる、そのように感じて、非常に印象に残った視察でありました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/122
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123・保坂三蔵
○保坂三蔵君 私は東京出身でございますが、誇りにしているそういう工業地帯を見ていただきましたことに感謝をいたします。また、お話を拝聴しました。
また、大臣は御就任早々、財界のトップとも何度もお会いになっておりますが、とりわけ早い時期に商工団体の代表ともお会いになっているわけでございます。現下の経済情勢を通しまして、商工団体が深谷大臣に何を訴えられたか、できれば御紹介にあずかれば幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/123
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124・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 去る十月二十一日に日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会の四団体と懇談を持つことができました。私自身、中小企業の町に生まれ育っておりますので、経済の牽引力に中小企業はなっていただきたいという私どもの考えを強く申し上げたわけでございます。
そのときにこの四団体からいろいろな注文あるいは陳情、御意見が寄せられたのでございますが、一々全部今申し上げることはできませんが、例えば信用保証協会の融資についてはこれを拡大し十分に貸し渋り対策に対応してもらいたいという強い意見がございましたし、中小企業の持っている活力を増していくための制度あるいは資金や税の問題について積極的に取り組んでくれと。その税の問題の中には承継税制とか固定資産税の問題が入っておりました。
これは先ほど、委員会でも大蔵大臣のおられる前で私は通産大臣としての発言として承継税制について、特に市場に出していない株価についての評価はこの際変えてもらうべきだということを申し上げたのでありますけれども、これらの陳情などがございました。
そして、小規模企業に対しての対応がうっかりするとなおざりにされるという可能性もあるので、そこは十分に目配りを置いてくれという御意見もございました。
これは私どもで既に関西、神戸に視察に参りましたときの記者会見で私から発表したことでありますが、設備近代化資金というのが今までありました。これは、中小企業者全体に担保があるけれども無利子でお金をお貸しするという、そういう仕組みでございましたが、使い勝手が悪かった。つまり、中小企業全体でありますし、業種の指定がありますからなかなか活用する機会がないと。むしろ逆に、これを小規模企業だけに限定する、そのかわり業種指定はしない、約一千億程度の資金を用意すると。
したがいまして、例えばラーメン屋さんを開くにしてもこれが活用できるということであります。担保がなければ、それではしかるべきところにその設備を購入させてリースで貸そうというようなことも発表したわけでありますが、これなどは、小規模企業の方々に対して我々は今まで以上に手を差し伸べて御一緒に頑張っていくんだということの大臣としてのメッセージだということなども申し上げたのでありますが、もろもろの御意見が出されまして、非常に参考になりました。
かなりの多くの部分を今国会の出しました法案や制度の中で吸収できると考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/124
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125・保坂三蔵
○保坂三蔵君 細田総括政務次官にお尋ねしたいと思います。
今、大臣から現場の生々しいライブの報告がありました。聞いていて深く感銘を覚えました。同じラーメン屋さんでも、ビルの谷間のラーメン屋さんもここのところは人気が出てきておりますので、そういう点では励みになるんではないかと思っておりますが、実は、産業再生法などを通じまして一部国民の層から出ましたのは、昨今の経済対策、少しくものづくりに傾注し過ぎていないかという一部の御意見がございました。
なるほど、ものづくりをおろそかにして第三次産業、第三次産業というふうに安易に走ってきた反省はあります。そしてまた、市街地の密集の度合いから、工場三法を初め、追い出していったとか、そういう数々の歴史から、どうも物は外国から買えばいいんだぐらいな時代がなかったわけではないわけでございますが、ここへ来てかなり見直されていることは承知しております。
しかし、大臣が製造業のメッカの町に行かれる、小渕総理がまた東大阪に同じように。やっぱり何かそれを裏打ちしているんじゃないかというような印象も持たないわけではないのでございますが、実は中小企業の大半は非製造業でございます、大半は。そして、日本経済の重要な課題はむしろこのサービス分野の生産性を上げることの一点に尽きるのではないか、こういう見解があるわけです。
私が最近読んだ、吉川洋さんという東大の教授なのでございますが、「転換期の日本経済」という中で、七〇年代以降の需要が物からサービスにシフトする中でGNPに占める三次産業の比率は大幅に高まった、しかし、皮肉なことに非製造業の労働生産性はこのころから伸びが低下している、製造業よりはるかに低くなってしまったと、こういう言い方をされているんです。
これをどう見るか。いろんな見方はあろうかと思いますが、実は、七〇年以降の非製造業の生産性が低下した背景には、政府の保護策が厚くあり過ぎたんじゃないかという非常に厳しい言い方もあるんですね。大店法は実は流通業の革新を妨げているし、あるいは官公需法は建設業の効率化を阻害したと言い切る学者などもいるわけなんです。
そういう中で、私どもは今度は、WTOや日米構造協議との関係もありましたけれども、大店法を廃止して大店立地法にしたり、あるいは中心市街地活性化法などをやって、町づくりから、歴史から、根底から日本のよさをしっかりと守りつつという商店街対策なども打っているわけでございますが、このあたりの非製造業、第三次産業、これをどう見ていくか、また守っていかねばならないか、このあたりの御見解を承れれば幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/125
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126・細田博之
○政務次官(細田博之君) 保坂委員の御質問、まことにごもっともでございまして、基本法上、製造業その他と書いてございますのは、製造業、建設業、運輸業という範疇ですね、それからこのたびは卸売業、小売業、サービス業と分けると。中でも小売業、サービス業、卸売業というのはそれぞれ大きな問題を抱えております。
卸売業につきましては、製造業から消費者に直結した流れ、大型店舗、大型卸、そういったことのはざまにありまして特に卸売業が圧迫を受けているということも事実ですし、小売業におきましても、今委員おっしゃったとおり、大きな問題を抱えております。
そして、私どもは、小売業の問題などにつきましては、中心市街地活性化法等の新しい法律をつくらせていただきまして、そして、今百七十六の地域から認定を受けて再生を図る計画が出ておりますけれども、これを全国に及ぼしていかなければならないと考えております。
それから、サービス業につきましても、これは今創業・ベンチャー対策等と言っておりますけれども、例えばサービス業の中で最も先端的な情報処理サービス業、ソフトウエア業のようなこれから洋々とした前途のある産業もありますし、従来型の、それこそ理容、美容、クリーニングというような形のサービス業もたくさんありまして、それぞれが苦労を重ねているわけでございますけれども、中小企業政策といたしましては、こういった方々を本当に大事にして、これまでどおり育成していこうという考え方には変更がございません。
午前中にもいろんな議論がございましたけれども、五百七万、今度ふえても五百九万の中小企業の大半は、保坂委員おっしゃったとおり、在来型のそういう中小、小規模の企業でございます。特に、サービス業、小売業についてはそういう方ばかりでございますので、これからも引き続き適切なこれまでどおりの施策を充実してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/126
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127・保坂三蔵
○保坂三蔵君 ありがとうございます。
今お話がありましたように、午前中にもお話がありましたが、実はこういう中小企業、特に第三次産業などで昨今再び強い声が上がってまいりましたのは、規制緩和の行き過ぎなのでございます。
このことに関しては、規制緩和というどうも英語はない、規制改革だという説もございますが、いずれにいたしましても行き過ぎがあったんではないかと。例えば分野調整なんというのはどこ吹く風、あるいはまた需給調整も廃止をされる、そして規制緩和三カ年計画の中で起きてきたことは、不当廉売であり、優越性、優位性の悪用だとか、そういう企業のモラルハザードまで生み出してしまった。言ってみれば、結果がよければいいというような優勝劣敗の世界をつくり過ぎていくんじゃないか、こういう反省があるわけです。
例えば、本来飲み過ぎれば健康に害がある酒屋さんの問題も出ました。あるいはまた、タクシー業界を見てください。あれだけ同一地域、同一料金ということでやっていたのを、一たび崩せば、もうこの不景気の中で車が余っているのに増車を認める、会社の創設は認める、そして料金は自由にするというのが一体最終的にエンドユーザーだとかコンシューマーの役に立つんだろうか、こういう意見もあるわけでございまして、規制で栄えた産業はないなんという言い方もありますが、しかし、現実に我々は、そうはいいながらももう世界を相手に取引し、やっぱりステージが世界ということになれば、この規制緩和はやらざるを得ない。
そういう中で、規制の見直しをやっていこうという議員連盟が自民党の中にできまして、武藤嘉文先生といういわば規制緩和を進めていく先生が、反省をしてこれは行き過ぎたという部分はしっかりと見直していかなければ中小企業は生きていけないということを訴えたところ、二百名を超える議員の皆さん方が集まった。こういう実態がありまして、このあたりは、きょうは御答弁は要りませんが、今後のテーマではないかと思いまして、ひとつよろしく御検討いただきたいと思っております。
それから、深谷先生がお会いいたしました日本商工会議所の稲葉会頭の実はそのときのコメントが載っておりました。私、拝見いたしましたら、こういう手厚い支援は少なくとも五年間以上続けてくれ、こう言っているんですね。ばらまきだとか、あるいは旧来の支援の範囲の拡大だというような中小企業対策への批判もあるけれども、しかしアメリカを見てもらいたい。アメリカは、少なくとも雇用なき回復、ジョブレスリカバリゼーションなんて言われた世界を経て、そして現実にSMEあるいはベンチャーを中心に雇用の拡大につなげるためには五年から十年かかっているんですね、アメリカは。やっぱりこの時間はどうしても必要だと。手を打てばあしたからカラスがカアと鳴いてすぐよくなるということではなく、努力の継続が必要だ、そういう意味を私は、稲葉会頭の五年間は支援継続が必要だと訴えている言葉と聞いたわけでございます。
そこで、そういう言葉を前提にして、そうなってくるといよいよもって創業とベンチャーの支援というのは大事になってくる、こう思います。同じく両政務次官、どちらでも結構でございますが、ベンチャーの基本対策と、この中で日本人が考えているベンチャー、千三つ企業だ、千個事業が起きれば三つ当たればいい、九百九十七失敗してもいいんだと。そうすると、敗者復活もできないような状況の日本の風土の中で一体本当にベンチャーが育つのか、あるいは雇用の受け皿になり得るのか、こういうことを言う人が大勢おいでになるわけでございますけれども、創業・ベンチャー基本対策について教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/127
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128・細田博之
○政務次官(細田博之君) 一口で創業・ベンチャー対策と言いましても、いろいろなタイプがあるわけでございます。例えば、今までサラリーマンだったけれども脱サラをしまして、それじゃ何をやろうか、コンビニでも大いにやろうかというのも創業でございます。その商売あるいはいろんなサービス業の機会を見つけて業を始めるというのがまず第一の創業でございます。
他方、先ほど来、本田だとかソニーとかという例をおっしゃいましたけれども、先端的な分野でそれこそ創業をされ、どんどん発展する可能性のある、しかも国民経済に大いに貢献する可能性のある産業というものもあるわけでございまして、そういった人たちを特にまたベンチャー企業と言っておるわけでございますが、残念ながら、この日本の金融体系とか企業人に対する信用の問題というのがもう牢固たるものがございまして、なかなか見ず知らずの人、あるいは新しい人、小規模の企業の人には金融もつかないし、保証もつかないし、出資をする人もなかなか出てこないというさまざまな障害がある。このことがフロンティアスピリットのメッカでありますアメリカ合衆国に比べると非常に劣るところがあって、それがまた新しい産業の発展を妨げている。
こういうことから、通産省を中心といたしまして、これまでも創業者向け資金供給を円滑化する、ベンチャー企業等へ投資を行う投資事業組合への公的機関による出資の拡充を図るとか、人材、技術等のソフトな経営資源の円滑な確保をきめ細かく支援できるワンストップサービス型の支援体制の整備など、創業者やベンチャー企業のニーズに合った総合的な支援を進めていくという考えでございます。
また、こういった施策と並びまして、国民意識の喚起というものも必要でございます。先ほど申しましたように、フロンティアスピリットというのは、生まれながらにして養成していかなきゃいけない、寄らば大樹の陰、同じ農耕民族で隣の人と同じ田植えをするという習慣から抜けられない日本民族とも言われておりますので、こういったことでは二十一世紀、日本が生き抜いていくことは大変でございますから、通産省としても、小中高校生あたりから起業家精神を涵養するための教材開発などを積極的にやっていきたいと思っております。
総合的に各委員のお知恵をまた賜りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/128
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129・保坂三蔵
○保坂三蔵君 日本人の源流にまで触れていただいて、興味のあるお話でございましたが、できることならば、東大御出身の五十番目ぐらいまでは中小企業に行かれる、そういう時代が来るように祈ってやまない次第でございます。
アメリカはディスカバリーをぶち上げて、日本は自動販売機をぶち上げた。ロボット産業を非常に高く評価する、あるいは自動販売機文化を興味本位に見てまいりました日本の社会を、治安のよさだとか、一日に一本しかバスが通らないところに自販機があって衛生管理された飲み物がある。これを驚いている人たちがいるそうですが、昨今、韓国の五百ウォンが物すごい勢いでそこに悪用されている。十分の一ですからね。それで、今、五百円玉を使えないようにしてあるんです。おつりは出てくるんですが、使えないようになっている。お金を集めるアルバイトというのがあるんです。お金というのは集金ですね、自販機から。そういう人たちは、五百ウォンが入っていますと、親方が受け取らない、それで自分が五百円玉を立てかえておいて、どうするかというとほかで使う。こういうことをやっているというんですが、二千円札が出る時代でございますから、五百円玉の何かデザインを変えるという話がありましたが、どうか思い切って形まで変えていただいて、新規の需要が起きればいいのではないだろうかと。
また、東京新聞にはデノミのお話がございましたけれども、費用対効果という点でもいろいろあろうと思いますけれども、思い切った施策をひとつ深谷通産大臣の時代に提言していただければ幸いと思います。これは要望でございます。
ここで景気問題を一応確認させていただきたいと思います。
大分よくなってきたと、しかしぬかるみの中でという堺屋長官のお話がありました。しかし、通産省頑張って〇・五のとき一%と言いましたけれども、その中間の〇・六ぐらいまで来たというのは、これは妙といいましょうか、いい落とし方で、二年後に日本経済が巡航速度に戻れる可能性を国民に示していただいたということは大変よかったと思うのでございますが、気になるのは最近の倒産なんでございます。
確かに最悪の事態ではないにしましても、実はさっきもお話がありましたとおり、件数がふえてまいりました。一千三百、一千四百というところまで来ましたが、不況型倒産の割合が七五%、こういうような報道がございました。一方では、東京のデパートが四カ月ぶりに売り上げが対前月比でよくなった、何か高級品も火がついてきたというような話もあるんですけれども、このあたりのなかなか読みにくい景気の現状と倒産の今の質をちょっと何か御見解がいただければ幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/129
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130・村田成二
○政府参考人(村田成二君) まず、経済の現状でございますけれども、まさしく先生おっしゃいましたように、総じて申し上げれば少しずつ明るさが出てきたという感じかと思います。御案内のように、GDP五期連続マイナスの後、ことしの一―三月期、四―六月期と二期プラスを記録したわけでございます。これも各種の政策効果の浸透ということによって改善してきた面が大きいと思います。
ただ、内訳を見てみますと、やはり民間需要の回復力がいま一つのところがある、むしろ弱いという感じがいたしております。特に、設備投資関係はなかなか水面上に顔を出すという兆候が出てきていない。それからまた、個人消費につきましても、御案内のように所得環境が改善されていないという状況下で、やはり足取りが重いという感じかと思っております。
そういった中で、お尋ねの企業倒産の件でございますけれども、御案内のように、昨年暮れの信用保証制度の拡充の効果といたしまして倒産件数が大幅に減少したわけでございます。そういった傾向を受けまして、ことしの年初は一千件前後という、ある意味でそれまでに比べますと非常に改善したレベルを達成したわけでございますけれども、残念ながらその後春先以降、徐々に倒産件数がやっぱりふえてまいりました。
現在、千三百件から千四百件という状況でございまして、またそういった中で、いわゆる不況型倒産と言われます、販売不振あるいは赤字の累積あるいは売掛金の回収難、こういったものを主因といたします不況型倒産の件数も、押しなべて見ますと今まで大体全倒産件数の半分ぐらいであったものが三分の二以上に達しつつあるということでございまして、全体として申し上げれば予断を許さない状況が続いているということかと判断しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/130
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131・保坂三蔵
○保坂三蔵君 今の解説でよくわかりましたが、私はもう一つ、一方、対極軸にあります大企業のリストラの点についても触れておきたいと思うのでございます。
先ほど野党の先生方からお話がございました。日産自動車のリストラのお話もございました。私も武蔵村山市に行ってまいりまして、お隣の立川と一緒にお話を聞いてまいりました。
理念なきリストラはいいリストラじゃない、リストラは本来企業の行革であって、いつ何どきでも心がけておかなければならない経営者の本分だと、こういう意見なんですね。それじゃ悪いリストラといいリストラとはどう違うんだと言いましたところ、少なくともこのリストラ、これはもうリストラクチャリングですから、指名解雇でもなければ人員整理でもないんですね、本来は。やらなくちゃならないことをやっているんだろうけれども、これだけ大幅なリストラをやるときには、少なくとも働く側あるいは地域の経済を担う側からいうと、リストラのつらく苦しい我慢の日々の後にどんなによいことが待っているか、どんなよい会社になるか、この提示のない限りは理念なきリストラであって悪いリストラだと、こう言っていました。私もそうだなと思いました。
企業の行革はやらなくちゃならない、リストラをやらなければならないけれども、しかし日産自動車が二万人から、これは雇用の再配置ということでございますけれども。あるいは銀行業界がやれ二万だ、何とか企業は何万だと、トータルをしてみますと末恐ろしくなるんですね。今は選択と集中の時代ですから、資本と労働が移動することは当然の時代とはいいながらも、このよいリストラ悪いリストラ論というのは心に残ります。
大きな企業のリストラは影響が大きいだけによいリストラというものを求めてやまない次第でございますが、リストラ観といいましょうか、リストラ観というのはちょっとおかしいんですが、御見解を承れれば幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/131
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132・細田博之
○政務次官(細田博之君) これまでもオイルショックがありましたり円高不況がございましたり、その前はニクソン・ショックがあったり、さまざまなときに産業界はリストラを行ってきました。古くは繊維産業もありましたし、その後鉄鋼業があったり、最近は自動車産業にあったり。
そのときの日本企業のこれまでの対応というのは、あくまでも生首をとらないというとちょっと表現が悪いですけれども、まじめに一生懸命働いている、しかも若い、まだ退職するには、定年までほど遠い人たちを整理しないと。そのかわり、関係企業に出向しております六十三歳とか五歳の方にはそろそろやめていただく、その後にまたおやめいただいたところに行っていただくというふうに、なるべく血の出ないようなリストラを一生懸命考えてやってきたんですね。製鉄所、釜石を閉鎖するとか、そういうときにもそういう努力を各企業がしてこられました。それは労働組合ともいろいろ話をしながらやってきて、最大限の努力をされたと私は思います。もちろん、それでも、問題がなかったかといえばあったでしょうけれども。
それだけの経営者の努力というのは必要でありますから、自動車の場合でも、はい、それまでよというのではいけませんで、あくまでも生産量は維持しようとしているわけですから、例えば部品は要らなくなるのかといえばやっぱり要るわけでございますし、そういった取引面でのこれからの企業全体としての合理化に伴ういわゆるリストラについても、できるだけ影響を少なくするようにすることが企業の社会的責務である、産業人の社会的責務であるということは考え方の基本であると思います。
その際に、そのほかにいろんな問題が起こるでしょうから、それは政策的に配慮していかなきゃならない、そういった考え方をしっかりと確立すべきだと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/132
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133・保坂三蔵
○保坂三蔵君 私もそのとおりだと思います。固定費に手をつけるのが一番早い、固定費の大半は人件費だ、こういう一連のイージーゴーイングでやられては困ることはわかります。
しかし、されどこういう時代、企業体質を強化しようというときに、民主党さんが御用意されているとうわさがある労働者保護法みたいながんじがらめもどうかなと思いつつも、しかしその御提言は決して軽いものではない、こう思っております。
そこで、時間がございませんので、中小企業にとりましてはやっぱり何といいましても命綱は資金調達と税金であります。私は、先ほど申し上げた例の大盤振る舞いじゃないかと言われた今度の十兆円追加の特別保証制度、このことをちょっとだけ分析させていただきたいと思うんです。
ここ十年、日本の企業の実情を冷静に見てまいりますと、やっぱり土地本位制の発想のもとで、バブル経済のときとにかく土地と有価証券に化けていったわけですね。数字を見てみますと、土地に関していいますと、これは大蔵省の法人企業の統計年報なんですが、八八年が八十一兆円の評価、九七年には百六十二兆、八十一兆が百六十二兆。有価証券が三十九兆から七十八兆。要するに、百二十兆円の有価証券や土地の資産が二百四十兆、倍になっているんです。この間、長期借入金も六五%ふえているが、売上高の増加はわずか一五%、十年間で。そして、逆に営業利益は実は減っているんです、四十三兆から三十三兆に。そして、失業率も残念ながら二・九から五%近いところまで来ている。こういうふうな、実際にはもう肥満体質の経済成長の中での企業の体質になっている。そこで九七年の後半から、先ほど申し上げたように倒産が起きてきた。大企業も倒産した。
そこで、私たちが今度の政治的な判断で導入されたこれは、決して大盤振る舞いでもなければ、中小企業の特別保証枠設定というのはどんな批判があろうとも現実に百万の企業が助かったわけです。さらに継続してくれという声がある中で、失業や倒産への恐怖が国民の間にいつまでもついていたらば、これはもう内需は拡大するどころか失速が続いていくということを考えますと、まさしく経済のセーフティーネットの一環を特別保証制度は十分に担ったんじゃないかということを私は評価したいと思うのでございます。
マクロの姿では確かにプラスに成長してまいりましたけれども、私たち、町の中、ちまたを歩きますと、町や生活の目線で見ますとまだまだ景気が肌でわかるところまで回復していなければ、中小企業を守っていくという姿は決して大盤振る舞いでもなければやり過ぎでもない。むしろ今回の場合は、多少アクセントをつけてやろうというしっかりした基本的なコンセプトがあることに関しては私は高い評価をしたいと思っております。
最後に、東京都がベンチャーやベンチャーファンドあるいはまた直接金融を意欲的に手がけようとしております。石原新知事のイニシアチブで、すぐれた発想力や技術力を持った中小企業の資金調達の多様化を直接金融への道を開いていこうということで、自治体としては初めて、信用保証協会による保証がついた中小企業への融資債権を多数集めて、これはCLOと言っているらしいんですが、債券を今年度内にも発行すると、積極的な準備を進めております。
実はこの仕組みについては、融資債権の譲渡に伴って保証がどうなのかという点については現行法上明らかになっていないんです。そこで債権流動化のニーズにこたえられない面が出てきてしまうことは明らかでありますし、東京都も、現行法上で疑義がある以上、種々のスキームをなかなか突き破っていけないということになっております。
また、ベンチャーキャピタルファンドなんでございますが、これまでも民法上の投資事業組合であるベンチャーキャピタルファンドを中心に資金供給を行ってきているんです。しかし、これまでの公開間際の企業、いわゆるレーターステージといいましょうか、これを対象としたケースが多く、必ずしも本来のベンチャー対策として十分に機能していなかった。その反省に基づいて、今度東京都が検討しているのは、昨年十一月に施行されました投資事業の有限責任組合法に基づいてベンチャーキャピタルファンドをやってみよう、将来有望なアーリーステージであるベンチャー企業も投資対象とする、こういう支援策を積極的にやろうとしているんですが、こうした自治体の試みをどう御評価されるか。
そして、与謝野大臣の時代に石原知事がお会いいたしまして、国も、東京都の債券市場参加については、投資家が安心して債券を購入できて債券市場の創生へつながる、また融資の債権を譲渡しても保証協会の保証が有効であることを明確にする所要の法改正を行うとともに、投資事業有限責任組合についても国として何とかしてやりたいなと言ってくれたそうでございますが、東京都と歩調を合わせて積極的な出資を行うべきであると考えておりますが、御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/133
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134・茂木敏充
○政務次官(茂木敏充君) 保坂委員御指摘のとおり、これから中小企業の金融、資金調達も私は今までの間接金融中心から直接金融、こういった方向に基本的にシフトしていくべきだと、このように考えております。
そんな中で、御指摘いただきました東京都における債券市場の活性化やベンチャーキャピタルファンドに対する支援など、最近地方自治体において中小企業の資金調達の円滑化、多様化を図るための取り組みが行われていることは、議員御指摘のように私も大変高く評価しているところであります。
具体的に申し上げますと、当省といたしましても、中小企業が発行する社債、主に私募債になってくるわけでありますが、これに信用を付す制度の創設、さらに信用保証協会の保証つきの融資や社債が金融機関等に譲渡された場合にもその信用保証協会の保証を譲渡先に対しても有効とする措置を今まさに準備させていただいているところであります。この国会でこれが成立できればと思っております。これらの措置は東京都などによります債券市場の活性化の実現に寄与する効果もある、このように認識をいたしております。
またもう一点、御指摘いただきました中小企業総合事業団等によります投資事業組合への出資事業を実施しておりますが、本制度を活用して地方自治体が計画しているベンチャーキャピタルファンドへの出資を行うことも可能となっておりまして、東京都とともにこの方向で実施していきたい、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/134
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135・保坂三蔵
○保坂三蔵君 話を結ばせていただきます。
先ほどございました事業承継税制につきましては、深谷大臣が予算委員会で大分この問題を取り扱っていただいて、相続税などでも大幅な前進を見たところでございますが、今国会のテーマになっているわけでございます。また、地方財政等の絡みもございますし、また外形標準課税の絡みもございますが、固定資産税、大都市ではもう悲痛の声になっておりまして、非住宅用の資産の固定資産税についてもどうぞ御考慮いただきたい。
それから、贈与税、株式評価の問題、これも御論議のあったところで、前向きに今検討が進んでいることに感謝しております。
それから、世界に類例のない同族会社の留保金課税、これも何とか目鼻をつけていただいて、廃止の方向に持っていっていただきたいということが中小企業国会としてのお願いでございます。
それから、コンピューター二〇〇〇年問題、これはいよいよあと一カ月です。しかし、まだ一カ月あります。もうあとは危機管理計画だけと言われますけれども、しかし何が起きるかわからないという現状の中で、アメリカでさえも中小企業の対策が一番おくれていると言っているんです。日本の企業では既にアンケートと称して大企業が中小企業に対して確認書をとろうとしているんですね。もうこういういわゆるインターネットですべてライン化しておりますから、一つのところが何らかトラブルを起こしますとそれは全体に影響してくるということで、どうも大企業は優越性を乱用したアンケートをとっているという声もございます。
アメリカでは対応策や関連情報をきちんと提供している場合には免責になる、法的な責任を制限できるというようないわば法案が既に通っておりまして、これらを見ますと、日本ではこの部分がおくれている。ロイズ保険会社などは一兆円の訴訟が今後総額で起きる可能性があるというような警告をしておりますので、代表訴訟など起こされないように、寄り寄り通産省を中心に御協議いただきたいと思います。
そして、きょう実は中小企業四団体の請願を自由民主党が受けました。大臣、両政務次官も御出席でございましたが、その中で、日本商工連盟、全国商工政治連盟、全国中小企業政治協会、全国商店街政治連盟、読むと長くなりますが、いずれにいたしましても今国会を注目しております。そして、何としても、本当に中小企業が日本の経済の骨格をなすというのならば、そのようにリードを願いたい、支援を願いたい、そして励ましてもらいたい、こういう声が満ち満ちておりましたことをお伝えし、今国会の成功をお祈り申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/135
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136・岩井國臣
○岩井國臣君 今、保坂先生が事業承継問題に少し触れられました。
昨日の本会議におきましては、須藤先生がその問題に触れられまして、宮澤大蔵大臣はまことに消極的な御答弁をなさいました。そしてまた、きょうの委員会におきましても、木俣先生がこの問題に触れられ、やっぱり宮澤大蔵大臣はまことに消極的なお答えをなさいました。深谷通産大臣から大変力強い前向きの御答弁をいただきましたので、少しほっとしておる、救われたような気持ちでございますけれども、少しこの点、私も意見を申し述べさせていただきたいと思います。
やはり事業には最も大事なものが当然あるわけでございますけれども、それが土地である場合が非常に多い。今度の基本法は農業は対象になっておりませんが、わかりやすいので農業をちょっと例にいたしますと、やっぱり生産基盤の一番大事な点は田んぼなんですね、農業は田んぼ。親が亡くなって、遺産相続として長男に分け、長女に分け、次男に分ける、そういうことをやっておったんでは要するに農業が成り立たなくなるわけですね。そういうことを歴史的に、やっぱり田分けをしてはいけない、田分けはだめだ、こういうふうになっておるんです。
それで、こういうことは農業だけじゃなくて、やはり製造業、建設業あるいは流通産業においても同じようなことがあるんですよ。たわけたことをやっておってはいかぬ、こういうことでございまして、承継税制と遺産相続の問題ははっきり区別して考えていかないといかぬのではなかろうかと思うんです。
地方におきます中小建設業、私の場合は中小建設業というのが最大の支持母体でございますので大変関心があるわけですが、中小建設業に限らず、資材置き場であるとか倉庫であるとか、それなりのやっぱり土地というのがないと事業そのものがやっていけない。大都市では百坪ぐらいあればいいのかもわかりませんけれども、大蔵大臣は盛んに百坪百坪とおっしゃるわけですけれども、そんなものはもう全然私の感覚からすると問題にならないんです。だから、たわけた話をするなと、こう言いたいですよ。
それからもう一つ問題は、やっぱり株式なんです。所有しておる株式でございまして、市場に出ておれば相場が決まるわけでございますけれども、株式市場に出ていない非上場の株式、それについての税務署の評価額がべらぼうに高過ぎるんです。私よくわかりませんが、多くの人が言っておられるのは、大体適正な価格の三十倍ないし四十倍の評価額になっておるんじゃないかということなんですね。これを何とかしてもらいたいという声が非常に強いんです。
これに対しまして、午前中の質疑で、深谷通産大臣からまことに力強い御答弁をいただきましたので、ぜひ通産大臣に頑張っていただきたい、そのことだけを申し上げまして、次の質問に移らさせていただきたいと思います。
さて、「二十一世紀日本の構想」懇談会というのがございます。小渕総理はその場で、いわゆる総理の持論、富国有徳のお考えをお示しになっておられます。それは、今後も豊かさを忌避するのではなくて続けていくんだけれども、その豊かさの中で、やはり有徳だと、こうおっしゃっておるんです。豊かな中で我々の価値観、倫理観、宗教観というものをしっかり持って生きていく、そういう国をつくり上げていきたい、こうおっしゃっておるわけです。
そういうことに関連いたしまして、通産大臣に若干御質問をさせていただきたいと思います。
一点目は、地方の問題でございます。
時代の流れは極端に言ってしまいますとグローバル化の流れだと言う人もおります。国家に縛られない自由な企業活動というものが地方にいろいろと芽吹き始めている。スーパーリージョンズ革命というようなことも言われております。結局は地域の問題であり、制度といいますか規制緩和の問題でもあるようでございますけれども、土地だとか資本、それから人の点からいいまして、やはり地方の価値というものをこの際しっかりと見直す必要があるのではなかろうか、こんなふうに思うんです。
高度情報化というものが大前提でございますけれども、やはり地方は自然と歴史、文化の豊かなところでございます。価値観、倫理観、宗教観というものを大切にしていく、いわゆる富国有徳ということであれば、もっと地方にも優秀な人が集まるような大胆な政策展開というものがこれから必要ではないかなと思うんです。そうでないと、地方において中小企業というものが、あるいはベンチャーというものが発展していくのがなかなか難しいように思うんです。
そういったことにつきまして通産大臣のお考えをお聞きしたいと思うのでございますが、さらについでにといいますか、ものづくりの重要性、先ほど来出ておりましたけれども、去る通常国会でいわゆるものづくり法案が成立いたしました。通産省としてものづくりについてどのような姿勢で今後臨んでいかれようとしているのか。大臣のお考え、決意というようなものをお聞かせいただければ幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/136
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137・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 委員御指摘のように、地方が活性化するということは大変大事なことであります。私はかつて自治大臣を務めておりまして、地方分権問題を担当いたしまして、できる限り、国に付随するのは地方とか縦のような位置関係でなくて、地方が自主的に政治を考え、行政を考え、最も身近な地域の文化を踏まえた政治や行政を行うべきだということで、この点の推進に努力をしてまいりまして、現在では地方分権運動は着実に前進しているであろうと思っておりますが、御指摘のように、地域の中小企業が活性化するかどうかということは地域の発展にとって大変大事なことであります。そしてそれは同時に、雇用を創出するという意味でも非常に意味があるわけでございます。
そこで、地域経済を活性化していくために、自立的な発展を支援していくという方向で通産省もしっかり頑張ってまいる覚悟でございます。地域産業集積活性化法という法律をつくりまして、これによって金融、税制、予算措置等を通じて地域の中小企業の技術開発とかあるいは販路の拡大、人材育成などを支援していくことになっておるわけでございます。そして、これらについては法律で定めましたので、ただいま具体的な推進方についての準備を着実に進めているところであります。同時に、地場産業の活性化補助金というようなことを含めて、地域産業の振興を図っていきたいというふうに考えております。
また、今回の中小企業基本法では、第十七条に地域の産業集積の活性化を基本的な施策として改めて明記いたしたのもそのような方向で進みたいということでありまして、委員のお考えは全く同感でありまして、一層努力する覚悟であります。
もう一点、ものづくりの問題でございますが、製造業を支える機関としての重要性を通産省としては十分考えていまして、これまでもものづくり基盤技術の高度化のための支援とか、熟練技術者の確保育成のための施策を講じてまいりました。先般の通常国会で、ものづくり基盤技術振興基本法というのができまして、ものづくり基盤技術基本計画というものをただいま鋭意策定中でございます。ものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策に関する報告書の作成も関係省庁と連携のもとで取り組んでまいっているところであります。
今後とも、ものづくりの、つまり技術的な支援とか資金的なもの、制度の活用等々を十分に生かしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/137
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138・岩井國臣
○岩井國臣君 私は国土づくりだとか地域計画だとかそういったものが専門といえば専門みたいな話ですから、地方の振興あるいは地域の振興という観点でさらに今の問題を続けたいと思いますけれども、それぞれの地域に若い人が定着するには何が最も大事なのか。
私は、それぞれの地域に何といっても働く場というものがないとだめだと思います。しかし、地方には大企業がありません。あるところもあるわけでございますけれども、全市町村にあるというわけじゃない。あるのは、やはり地場産業、中小企業ということになるわけです。ですから、地方のことを考えるのであれば、地場産業、中小企業というものをしっかり育てていかなければならない、そのための技能であるとか技術というものも育てていかなければならない、これは当然のことだろうと思うんです。
しかし、技能工とか技術者の教育訓練施設が、私の見るところ極めてお粗末ではなかろうかという気がするんです。お粗末というよりか、労働省は労働省で技能工のそういう教育訓練をやっておられますし、通産省は通産省でおやりになっておるし、文部省は文部省でおやりになっておる。そしてまた、それぞれ建設省は建設省、運輸省は運輸省、事業の実施官庁でもおやりになっておる。いろいろとおやりになっておられるわけでございますけれども、そこのところが私の目にはばらばらのように映るんです。中途半端な面が非常に気になるのでございます。時間の関係でちょっと具体例を挙げることができませんけれども、所々方々でそういうことを感じるわけでございます。
小渕内閣におきまして、バーチャルエージェンシー、タスクフォースというようなことが目玉になっておりますけれども、私は官邸主導のもと、横断的にそして総合的にそういった技能工だとか技術者の教育訓練に取り組んでいただく必要があるんじゃないか、そういう時期に今来ておるのではなかろうか、こんなふうに思うんです。
これはどなたにお聞きすればいいのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/138
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139・下矢雅美
○政府参考人(下矢雅美君) 御指摘のバーチャルエージェンシーでございますが、これは推進するプロジェクトごとに具体的な目標と使命を明確にして内閣総理大臣直轄で設けられているものでございます。
教育訓練につきましては、さまざまなニーズがあることなどから、具体的な目標や使命を一義的に設定することには困難な側面があること、また、プロジェクトは総理の御判断により決定されるものでありますが、現在のプロジェクトは行政事務のペーパーレス化プロジェクトなど複数省庁に関係する新たなシステムづくりなどについて検討を行っているものであることなどから、教育訓練に係る問題につきましては、関係省庁がそれぞれの役割に応じ施策の実施に当たり連携協力を一層密にして推進していくことが適当であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/139
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140・岩井國臣
○岩井國臣君 ぜひ関係する省庁、やっぱり通産省あたりが中心になっていただくのがいいような感じもするのでございますけれども、技能と技術、一応区別されて考えておりますけれども、かなり密接に関連しておりますし、中小企業の育成、しかも地方における、それぞれの地域における中小企業の育成というようなことを考えたときに、技能工あるいは技術者の教育訓練の問題は極めて大事ではないかと思いますので、ひとつ通産大臣もよろしく前向きにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/140
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141・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 先生御指摘のように、中小企業の育成ということになれば、当然ものづくりということが非常にウエートを置いてまいります。そして、すぐれた技術を持っている人たちが非常に多いわけであります。その技術者が尊敬される社会をつくるということも非常に大事でありますが、同時にその後継者を育成していくということはもっと大事なことだろうと思います。
御指摘のように、例えば労働省が卓越技能者の選定を行うといったような仕事をしたり、あるいは建設省が建設の技術者を養成する機関を持っているとか、それぞれ省庁によって独自の色分けでそのような位置づけがなされているわけでありますが、さて全体を通して見詰めていくにはどうしたらいいかというテーマは、当然今日的に考えていかなきゃならないわけであります。
そういう意味では、すべての経済を担当する通産省が各省庁の動きに気配り、目配りを持つということが非常に大事なことでありますから、委員の御指摘を踏まえて、この点について前向きに勉強していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/141
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142・岩井國臣
○岩井國臣君 それでは次に、基本法の今まで果たしてまいりました役割につきましてお聞きしたいと思います。
昭和三十八年、ちょうどそのころ我が国はガットやIMFに加入いたしまして、資本と貿易の自由化の道というものを歩むようになったわけでございます。そういった大きな流れというものがあるわけでございますけれども、そういう流れの中で、私は今までの基本法はそれなりに大変大きな役割を果たしてきたように感じておりますけれども、従来の基本法が果たしてきた役割を通産大臣としてどのように認識しておられるのか、その辺を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/142
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143・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 昭和三十八年に中小企業基本法というのが生まれました。そして、それに基づきまして今日まで、例えば金融あるいは組織化、診断指導、小規模対策など数々の政策を進めてまいったわけであります。例えば、数字の上で具体的に出るものが何かないかと考えた場合、生産性がどの程度向上したかというのが一つであろうと思うんですが、その場合に小売で大体生産性は二倍になった、製造業で四倍になったという数字が出ておりまして、それなりの政策的な効果というのは当然上がってきたと思います。
しかし、その背景には営々と額に汗した中小企業者の努力があったということを考えていかなければならない。その中小企業者の皆さんに活力を持っていただいて、新しい経済の牽引車となっていただこうというのが今日の私は課題だと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/143
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144・岩井國臣
○岩井國臣君 幾つか通産政務次官にも御質問させていただこうと思って質問通告させていただいておったんですけれども、ちょっと時間の関係がございまして割愛させていただいて、もう一つ通産大臣に、これは感想みたいな話かもわかりませんが、ちょっとお聞きしたいと思うんです。
午前中、山下先生からいろいろ話が出ておりまして、通産大臣、これは哲学の問題かなみたいなことをちょっとおっしゃったと思います。保護と競争といいますか、自立というものは一見相反するわけでございますけれども、実は個というものと全体という問題もこれはなかなか難しい問題なのでございます。
先ほどちょっと申し上げました二十一世紀懇談会の座長をしておられます河合隼雄さんが、これから二十一世紀、矛盾システムを生きていかなければならない、こうおっしゃっておられます。日本の歴史的な文化、伝統文化というものがございます。日本のやり方、日本のシステムというものが当然あるわけでございます。しかし、そういう動きの中で、今どんどん、アメリカだけではございませんけれども、ヨーロッパ、アメリカの文化が入ってきておる。その真っただ中に今あるわけでございます。
そういった日本の伝統文化というものとヨーロッパ、アメリカの諸般の文化というのは、一見といいますか、じっくり考えてもそうなるかもしれませんけれども、百八十度違うような面があるんですね、矛盾する面がある。確かにあるんだろうと思うんです。しかし、二十一世紀においてはそういう矛盾システムを生きていかなければならない、そういうことをおっしゃっておられるわけであります。
先ほど保坂先生からも優勝劣敗みたいな話がございました。我々は、小学校の時代にダーウィンの進化論を習っておるわけでございますけれども、全く考え方の違う進化論として今西進化論というのがあるわけでございます。なかなか白か黒かつけがたいようなところが実はあるわけですね。一見すると矛盾しておるようなことがあるわけです。
この中小企業基本法との関連でいいますと、保護なのかあるいは自立なのか競争なのか、この辺はなかなか難しい問題でございまして、そこのところを通産大臣はうまく御説明なさって、私はよくわかったわけでございます。画一的な物の考え方ではだめなんで、やはり中小企業の持つ、あるいはまたそれぞれの地域の持つ多面的なものに着目して、いろんな政策あるいは施策というものを展開していく必要がある、これが今度の基本法なんだ、こういうことでございました。
諸般、これから二十一世紀において今までの我が国の伝統文化というものとヨーロッパ、アメリカの文化というものが矛盾するような形でぶつかり合いながら、しかしそういう中を我々は生きていかなければならないという、そんな意味でこの問題というものがいろいろ問題になっておりますけれども、日本の従前の連携だとか協調だとか共同だとか、そういったものもなかなかやっぱり捨てがたいものがある、そんなふうに思っておるんです。
そんなことを思いながら午前中の深谷通産大臣の御答弁をお聞きしておりましたのでございますが、今申し上げましたようなことについてのちょっと感想めいたお話で結構でございますので、お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/144
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145・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 中小企業に対する政策を保護政策というふうに表現をしたり思ったりすることは正しくないというふうに思います。本来、中小企業が持っている力というものが社会的に十分に通用できるように自主的に努力をしていただいて、それと四つに組んで支えていくというのが国の政治や行政でなければならないと思っておりまして、いわゆる福祉的な意味での中小企業の対応というのは頭に入れてはならないと私は思っておりますし、それは従前からの考え方だというふうに考えます。
それから、事全体についてという大変岩井先生らしい哲学的なテーマを投げかけられて、私どもはそういう難しい話はわかりませんけれども、率直に申し上げて、今までの、つまり昭和三十八年代の中小企業基本法というのは共同化というのが非常に大きなウエートを占めていたようには思います。ですから、例えば仕事をやっていく場合に、その共同化という場合で言うと物理的なとか固定的な、つまり同じ工場へみんな集まれと、そして大企業と同じような役割をその工場の中で果たしていこうという面がありました。
これは今でももちろん必要なことでありますけれども、今日のように時代が情報化社会、そしてコンピューターで何でもできるような時代になってまいりますと、何も一つの工場に全部集まれというやり方でなくても、例えばマレーシアで部品を購入して、それで中国で、労働賃金の安いところでそれを製造して、日本に持ってきて販売する、つまり時間と空間を超えたという、そういう形での共同作業というのもあるわけでございます。
それからまたもう一つは、例えば一つの技術でも他に例が見られないような新しいアイデアを持ったベンチャー企業的なものが進んでいくと、どんな小さい個であっても世界はそれを受け入れてくれるという、そういうケースもたくさんあるわけでございますから、いわば個が大事なのか共同が大事なのか、あるいは地域的に固定して集積型がいいのか分散型がいいのかというのは、いずれもどれをとっても正しいとは言えない。それぞれの状況を考えながらそれぞれにきめ細かく対応するということの一言に尽きるのではないか、そんなふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/145
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146・岩井國臣
○岩井國臣君 ありがとうございました。
次に、中小建設業の問題について少し触れさせていただきたいと思います。
景気が悪くなるとといいますか、時代が大変大きく変わろうとするとき、それぞれの企業は大変なのでございますが、特に中小企業というのはやっぱり大変なんですね。どうしても弱いところにしわが寄っていく。そんなことでございまして、今中小企業というものは死ぬか生きるかの瀬戸際で七転八倒の苦しみをしておる、そう言っても言い過ぎじゃないように思うわけでございます。今中小建設業につきましては、本当に悲鳴にも似たような声が聞こえてまいります。
そこで質問でございますが、中小企業の中には不良不適格業者といいますか、いいかげんな業者も少なくはないのでございますけれども、やはり災害時におきまして大活躍をするとか、あるいは地域の雇用というものを大変大きく支えておるとか、地域と一体になって、地域と運命共同体のような形になっている健全な中小建設業も当然少なくないわけでございます。
そこで、今度の基本法の第三条、「基本理念」のところに、「中小企業については、」「地域における経済の活性化を促進する」云々と書かれておりますけれども、全くそのとおりでございます。通産大臣は、地域経済とそして中小企業、建設業にちょっと限定させていただくのでございますけれども、中小建設業との関係についてどのように御認識なさっておるのか、お聞かせいただければありがたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/146
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147・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 私どもも東京の下町に住んでおりまして、その地域には中小建設業の皆さん方が非常におられまして営々と努力をされています。
地方においてあるいは地域において、中小建設業は経済の活性化に役立っているのみならず、雇用を引き受けていただく極めて大事な存在だと思っています。にもかかわりませず、この中小建設業の苦しみからまだ脱却できていない状態にあります。
実は、昨日ある県から、中小建設業に対して信用保証協会の貸し出しがほとんどない、けしからぬという抗議を受けました。そんなことは断じて許せないというので、私は本日役所で直ちに調査をすることを命じたばかりでございますが、そのような形があるということは許せないことであると思います。
中小建設業の地域における御努力や今日までの活躍を考えた場合に、この人たちがしっかり頑張っていけるような体制をつくることが非常に大事だと思います。そのためには、例えば地域の自治体も中小建設業が担当できるような仕事は積極的に回すような努力もしていかなければならないというふうに思います。
また、本年七月から施行しております中小企業経営革新支援法という法律がありますが、これも中小建設業を含む新技術の開発等さまざまな御支援をしておりますので御活用をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/147
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148・岩井國臣
○岩井國臣君 次は、自治政務次官に御質問をさせていただきます。
昨今、市町村を中心にいたしまして大変歩切りというものが横行しているんです。歩切りと言ってもおわかりにはならない方がおられると思いますけれども、予定価格を何の理由もなしに勝手に切っちゃうんです。これを歩切りと言っておるんですけれども、そういった歩切りが大変横行しております。
やはり歩切りというのは不良不適格業者をはびこらせることになりかねない、地域と運命共同体にある本当に健全ないい建設業というものをつぶしてしまうようなことにもなりかねないんです。それを私は大変心配しておるわけでございます。
悪貨が良貨を駆逐するというようなことになりかねないんじゃないか、そういったことにつきまして自治政務次官の御見解をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/148
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149・橘康太郎
○政務次官(橘康太郎君) お答えいたします。
先生御指摘のとおり、地方における中小建設業者が大変なことになっては、これはもう我が国が今経済新生策を発表して地方の経済もよくしなければならないという大事な時期にこういうことがあってはいけない、全く私も先生のお考えと同様でございます。
したがいまして、建設省の建設経済局建設業課長殿より、自治省の行政局行政課長それからまた自治省の財政局指導課長に対しまして、平成十年二月六日に、「地方公共団体の入札・契約業務等の執行について」という申し入れ書がございます。
その中には、先生御指摘の「適正な積算の確保」という一項が入っておりまして、「積算に当たっては、基準に準拠した適正な積算の徹底に努める」こと、「予定価格の設定に当たっては、設計書金額の一部を正当な理由なく控除するいわゆる歩切りについては、厳に慎むこと。」と、こういう申し入れがあるわけでございます。
我が自治省におきましては、直ちに、二月十日、同様の文書を地方自治体に発送いたしまして、今後、自治体が入札に当たっては地方公共団体における公共工事に関する入札契約業務を建設省の申し入れどおりきちっとやるように指示したところでございます。
全く先生と同様の考え方でございます。真剣に対応することをお答えいたしておきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/149
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150・岩井國臣
○岩井國臣君 歩切りのほかに、実はダンピングまがいの安値受注競争という問題がございまして、これは建設政務次官の方に御質問させていただきます。
このダンピングまがいの安値受注競争というのがこれまた大変今横行しておりまして、その結果、下請価格がべらぼうに安くなっておりまして、零細業者、設備業者はもちろんのこと、建設資材関係の会社や大工、左官、鉄筋工などを抱えている専門工事業、みんな泣いているんですね。倒産もふえておるのではないかと思います。下請価格につきましては、やはり適正なものでないと、そういった中小企業、零細企業というものはやっていけないのではないかと思うんです。
余りにも下請価格がひどいものにつきましては何らかの対応を考えるべきではないか、そういう時期に来たのではないかと思います。御見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/150
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151・加藤卓二
○政務次官(加藤卓二君) 岩井委員のおっしゃられるとおり、今中小企業は、特に建設業の中小企業者は本当に大変な思いをしております。
はっきり申しまして、行き過ぎた安値の受注競争の結果、そのしわ寄せが全部中小企業の下請業者のところへ来ているわけです。そういう意味で、建設業の設備業者も、またその関係している設備資材を売る人たちも、専門工事をやっている人たちまでも大変な痛手を受けておるわけです。
私たち、そのやり方を見ておりますと、業者が受注を受けても仕事がないからお願いに行く。そうすると、元請の方で出すときに、ちゃんとした契約書をつくらないでスタートしちゃうというような問題が大きなトラブルにつながっているような気がいたしますので、建設省といたしましても、最低制限価格制度というのをまず取り入れるべきだと。
しかしもっと大事なのは、低い入札価格で入れた人は調査制度の中で調査しようじゃないかと。そういうことをすることで、適正な価格でない受注ができないようになる。不正な人たちが参入するチャンスを少なくしないと、その下請業者に全部負担が来てしまうんだと。
はっきり言いますと、資金繰りの悪い人が、四〇%の先取り金があるので、手付金があるんだからというので、それで受注をするときには非常に低価格で受ける場合もあるでしょうから、こんなことがないようにするために、私、きょうもいろいろ話をする中で、建設省としては、元請と下請の取引の適正化について、元請業者に対して、書面による契約の締結、明確な経費の内訳による見積もり、協議等の徹底について指導しております。また、発注者が元請、下請の契約内容を掌握し、その適正化を促進する観点から、下請契約書の写しを添付して、施工体制台帳について元請業者側から発注者へ提出することを義務づけるようにしております。
特に、地方公共団体の発注者に対してこれを行っているわけでございまして、今後とも、発注者との連携を強化して元請業者に対する指導を徹底するとともに、下請、元請の間の取引の一層の適正化を図るようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/151
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152・岩井國臣
○岩井國臣君 ありがとうございます。
自治政務次官、建設政務次官双方から前向きな御答弁をいただいたんでございますが、実はこの問題は相当昔からございまして、一片の通達を出せば、あるいはその担当を集めて話をすればそれで解決するという問題ではないんです。具体的にどういう対策を講じていくのか、具体的な対策というものがやっぱりここで求められておるように思うんです。
今、低入札価格調査制度の話も建設政務次官はなさいましたけれども、これはだめなんです。直轄では監督体制が整っておりますからまあまあこれでいいと思うんですけれども、都道府県、そして市町村では監督体制が全く整っておりませんので、例えば技術屋さんがゼロというところだっていっぱいあるわけでございますから、そういうところが低入札価格調査制度を採用したらだめなんです。それが一つのターゲットになってそれこそ安値受注がひどくなっていくんです。
ちょっとその点の御指摘だけ申し上げまして、時間がございませんので、最後に通産大臣に御質問させていただきたいと思います。
そのほかにも問題はございますけれども、今一番気になっておりますのが歩切りとダンピングまがいの安値受注競争でございます。これらのことはやはり今回の基本法第五条に反するのではないかというふうに思います。
基本法第四条に、国は中小企業に関する施策を総合的に策定し、実施する責務を有するというふうにございます。私は、地域経済あるいは地域雇用の現状にかんがみて、緊急に中小建設業に関する総合的な施策というものが展開されなければならないのではなかろうかと思うのでございます。
ぜひ、通産大臣、今回の新基本法の成立をきっかけにしていただいて、このことを閣議で発意していただき、内閣全体の問題として取り組むようにお計らいいただきたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/152
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153・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) ただいまの御提案は、今この場所で承ったばかりでございますから、戻りまして御意思を大切によく検討させていただきたいと思いますし、この件に関しては建設省とも連絡をとり合う必要があるかというふうに思いまして、とりあえずはお聞きさせていただきましたという答えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/153
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154・岩井國臣
○岩井國臣君 ありがとうございました。
これで終わりたいと思います。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/154
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155・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、前川忠夫君、足立良平君及び今泉昭君が委員を辞任され、その補欠として川橋幸子君、石田美栄君及び江本孟紀君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/155
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156・渡辺秀央
○渡辺秀央君 大臣、午前中から御苦労さまでございます。深谷大臣就任以来の、特に中小企業政策に対して各党から大変な期待、それからまたいろんな機会における御要望が多々出されておりますが、冒頭にぜひひとつ、この中小企業問題というのはもう御案内のとおりで、極めて深く複雑な政策であるし、また行政もそうだと思います。先ほどから御自分の選挙区の状況、あるいはまた御体験等々の中でおっしゃっておられる基本的な中小企業に対するスタンスを何とぞひとつ持ち続けていただいて、中小企業政策における新しい出発として大きな成果を上げていただくように、政務次官ともども、御期待を申し上げたいと思います。
同時に、私も御案内のとおりで、商工関係の多少勉強を浅学ながらいたしてきた一人でありますが、私がここで今までの同僚議員の質問を多少なぞらえながら、あるいはまた角度を変えながらやったのではとても、私の持ち時間はもう一分過ぎてしまいまして、質問あるいは質疑になりません。あるいはまた、私と大臣とここで話をしていると、お互いに一問で時間が終わってしまうみたいなことになりかねませんので、私も幾つかの問題点をなるべく重複しないようにと思って、思いつきみたいに思われると困るんですが、多少感じてきたことをきょうはちょっと問題点として投げてみたいというのが一、二点あります。したがって、どうぞ前後のお互いのあれはいいですから、ぜひひとつ問題点だけに対する御回答をよろしくお願い申し上げたい。時間が極めて足りないところでありますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
私は、先ほどから申し上げているように、実は十五年前からこの中小企業基本法を見直すべきだということをかつて自由民主党の中にあったときから言い続けた一人なんです。それは今、前段申し上げた中小企業の政策というのが非常に多岐にわたるものであるがために、しかもまた実際に再三本会議でもここでもまた大臣が答弁されておられるように、かつての状況とさま変わり、もう十五年前からそういう状態なんですね。なかなか中小企業庁、通産省、私のごく親しい諸君たちも長官になってきて、そのたびごとに言ってきたんですが、手がつかなかった。
しかし、先ほどのお話のとおりで、去年の国会で私が中小企業基本法の見直しをやるべきだということを実は経済・産業委員会で当時の与謝野通産大臣に御提言を申し上げたのでありまして、かつ中小企業庁長官には相当厳しく当時申し上げました。必ず中小企業庁で長官の機関として早晩、国会に提出をして基本法の見直しを提案したいというお話でありまして、心待ちをいたしておったのでありますが、ちょっと思ったよりも若干遅かったんですけれども、しかしあとのまた二法のこともこれありで、そういう意味では大変な御苦労と、中小企業庁にも、さはいうもののよく努力をされたなという、長い間のことですので、私はそんな感じがいたしております。
そこで、本題に端的に入っていきますと、私はメモをしてまいりました、でないと、ちょっとアドリブで演説をやってしまいますと質問になりませんので。
第一に、中小企業者の範囲拡大に伴う小規模事業者、小規模企業者の施策の影響について伺いたいと思うんです。
前段申し上げたことを削除いたしまして、平成五年に中小企業政策審議会の中で議論されて今日来たわけでありますが、そこで指摘されている問題として、施策の上位シフト問題、企業規模により事業活動の規制、調整を行っている法律との関係、税制との関係などがこの中に提起されている。先ほどから非常にいいお話を承ってまいりました。しかし、今日はまさに私が申し上げたように以前とはかなり変わってきている。
私、ちょっと一つの例を申し上げます。私の生まれ在所は繊維産業でありまして、そういう観点から、その繊維産業が非常なさま変わりだということを申し上げたいのであります。
繊維産業は、川上の生産部門から川中の紡績、織布、染色整理などの中間加工部門、そして川下の縫製を初めとする二次製品の生産部門というようにピラミッド型の系列関係が構築されています。このような系列は繊維に限らず自動車、家電製品なども同じだったと思うんです。一九七〇年代の二度の石油ショックを契機とした低成長経済へ移行する中で、産業構造も重厚長大型から軽薄短小型へ変化してきました。それに伴ってピラミッド型の系列関係が一部崩れ、新たに複数の企業間での取引によるネットワーク型の生産形態が生まれてきた。
このようなネットワーク型の生産形態においては、ピラミッド型とは異なって、川上の部門に政策的支援、いわゆる川上川下理論ですが、川中そして川下の中小下請企業に政策効果が浸透していくものでは今日ではありませんですね。これはもう十分おわかりだと思うんです。そのために今日のこの基本法の変更がある、改革、改正があるということだと思うんです。これらの政策体系は中企業、小企業、小規模事業者というように三段階の政策体系を構築し、各規模別に十分な財源をもってきめ細かな政策が講じられてきたと思うし、またさらに必要であるというふうに思います。
中小企業基本法改正では、資本金規模に応じて中小企業の範囲を拡大しておりますが、単なる範囲の拡大であっては施策が拡散してしまいます。全企業のうち約八八%を占める小規模事業、特にこの中小企業でも下請企業というのと自社製品を持っている、かつ自分で販路を持っている、いろんなそういう意味では中小企業、小規模事業者の性格が違っていきます。そういう企業者に対する本来的にきめ細かな政策が必要なんだろうと。
しかし、基本法ですからこれでいいと思うんですが、実際の具体的な施策に対して実行するときに、先ほどもこれでいいのかという論がありました。例えば、今言うような下請の関係あるいは自社製品の開発関係、あるいはそこまで到達しないところ、まさにいろいろあると思うんです。そういうようなことをこの政策上の、この基本法が改正されるに当たってどのようなメリットが担保されるのかというようなことがもし一言で言えるならおっしゃってみていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/156
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157・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 久しぶりにかつて本当に御一緒した渡辺委員の御質問をいただいて、昔を思い浮かべておりました。今あなたのおっしゃったのは、ほとんど答えも含めておっしゃっておられて、全く同感でございます。
まず、ただいまは基本法でございますが、これから具体的にどう行うかという点につきましては、二本の法律にまとめて出すわけであります。その中に御指摘のようなきめ細かい配慮が含まれておりますので、またその折に御審議いただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/157
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158・渡辺秀央
○渡辺秀央君 ぜひ御期待をいたしております。
今までの議論とちょっと角度を変えまして、アジア諸国、開発途上国に対しての我が国の中小企業の進出、特にアジアは御存じのとおり今大企業に来てくれと言うんじゃない。中小企業に来てほしいと言っています。私はその観点からちょっと質問をまとめてみましたので、お考えを聞いておきたいと思います。
一昨年の七月、タイのバーツ切り下げに端を発したアジア経済危機が発生してから既に二年が経過しております。最近ではアジア諸国の経済に明るい兆しが見え始めております。現実に、今アジア貿易で日本の貿易関係がある程度賄っているということもよく承知をいたしております。
昨年、私は参議院の経済・産業委員会で小渕総理にお出ましをいただいたことがございまして、そこで私は、日本経済の再生は日本の国内だけではだめなので、国際的視野あるいは国際的視点からも検討することが必要だと。そういう観点から、アジアの金融、経済の安定は欠かせない喫緊の課題であるとして、小渕ファンドという骨太の政策を創設してアジアに対してアピールしたらどうかという提案をいたしました。総理もすぐに反応していただいて、その後、六千億の小渕ファンド、あるいはまた三百億ドルの資金支援スキームというような宮澤構想を、わざわざ御連絡もいただいたりして、非常に私も喜んで、かつまたすばらしい決断だと思ったのであります。
今日のアジア諸国の経済回復は、当時とられたこれらの対応が功を奏してきていることは間違いない。また、我が国の進出企業も撤退することなく現地の雇用を維持してきていることに対しては現地からも感謝されている。これは貿易保険等のいわゆる担保だと思いますね。
ところで、アジア諸国においては、設備投資や技術移転を通じてすそ野産業を強化し、組み立て産業から脱皮を図ることが中長期的に経済を発展させるための課題となっている。そのためにアジア諸国は日本の中小企業の進出を望んでいるということは先ほど申したとおりでありますが、これまでアジア諸国を大臣は訪問されて、身をもってこのことも感じておられると思います。
中小企業白書において、中小企業海外進出の必要性は感じながらも、経営資源に乏しいことを理由に進出を断念しているようであります。特に中小企業が海外進出を行う場合、国内では予想もできないリスクが生ずるわけです。そういうおそれがあるわけです。このために多くの公的機関が中小企業に対してはいろんな国際化支援を行っているようですけれども、アジア諸国は特にオーナー企業の進出を望んでいるのであります。今回改正される中小企業基本法にこのような要請にこたえられる面があるかどうか。
ついでにもう一点。
我が国の中小企業が海外進出した場合、その危険を担保するために貿易保険制度がありますけれども、先ほど申し上げた、私の調べる限りでは中小企業の海外投資が特別に促進されるような措置は見られません。大企業も中小企業も同じになっている、この貿易保険というのは。それはやむを得なかったと思います。大企業の貿易保険制度同様の扱いになっているんですが、中小企業の海外進出を支援する上で中小企業に対して特別の優遇措置を考え、開発途上国の期待にこたえ、さらにひいては我が国の経済の活性化につながるようなことをお考えになる必要があるのではないかという私の多少の感じも申し述べて、ちょっと別にここで正式な回答でなくてもいいですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/158
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159・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 渡辺委員御指摘のように、今日のようなグローバル化した時代は中小企業も海外に進出するということは大事なことだろうと思いますし、とりわけアジアに進出するというのは、地域的に考えても委員御指摘のとおりだと思います。
しかし、その際に一番問題なのは、申すまでもなくリスクの問題でございます。中小企業というのは海外の制度や経済状態に関する知識等はややもするとおくれがちでありますから、そういう知識を向上させるための支援等を含む考え方を、この基本法では第十五条で経営資源の確保の一環として講じてまいるという考え方を持っております。具体的には、中小企業総合事業団とかジェトロとか、そういう各種の海外情報の提供事業を今後とも膨らませていくということが大事だろうと思います。
それから、貿易保険の適用についてはもうあなたの方が御存じでございますが、例えば中小企業への配慮等お話がありましたが、中小企業の利用が特に多い手形保険について、地方公共団体の協力を得つつ、付保率を高く設定するなどの配慮を従来から行ってきております。そして、現在はユーザーに対するよりきめ細かいサービスの提供を実現することを目的の一つとして、貿易保険の独立行政法人化に関する法律案をただいま国会に提出しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/159
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160・渡辺秀央
○渡辺秀央君 これらのことが、今大臣がおっしゃられたことがこれから審議を促進される中で解決されていくだろうと思って期待をいたしております。
ちょっと時間がなくなってまいりまして、口早でまことに恐縮なんですが、次に、さっきも話がありましたので、重複を避けたいので感じだけ私申し上げておきます。
やっぱり年末の貸し渋りが非常に心配なんですね。現実に、私、一部新聞記事の切り抜きを持ってきましたけれども、八月から九月にかけて大体三千二百七十社ぐらいを対象にした回答の新聞の切り抜きを見てみましても、なかなか容易でない。そして、特別保証制度、保証期間の延長、特別保証料の引き下げ、据え置き期間の延長等々、大変求めていますね。これは、今度の国会で十兆円と延長の問題は恐らく解決すると思うんですけれども、実際には大臣、保証協会の保証渋りが始まったんです。これはさっき大臣がけしからぬということを言ったんで、その余波が行くと思うから、ぜひそれはひとつ堅持していただいてしっかり行政をやっていただきたい、現実に始まってきていますから。
今度は、それぞれ御存じのとおりで県の職員が県のところに入っていますので、最初のうちは、去年の初めのうちはまだよかったんだけれども、やっぱり最後に行くと役人根性が出てきて、これでいいのかなとか危ないのかなとかということになりかねない。非常に懸念をいたしておりますので、その危惧のことを申し上げておきたいというふうに思います。
最後に、ちょっとこれは私の感じでございますから、ここで正式に前向きの返事がいただけるかどうか疑問とは思いましたが、やっぱり触れておきたいと思うんです。それは中小企業の倒産対策についてであります。
昨日の中小企業基本法改正案に対する本会議の与党代表の須藤理事の質問の中で、大企業から中小企業志向への社会経済の構築が求められるという主張については私も同感でありました。しかし、単に啓蒙運動をしただけで優秀な人材が中小企業に向かうという保証は何もありません。つまり、中小企業が倒産しても経営者や従業員もある程度の生活保障が確保できるようにしなければ中小企業の活性化や創業が活発化しないんではないか。何もかもおんぶにだっこという意味じゃありませんよ。しかし、そういう担保が必要ではないのか。そのためには中小企業が倒産したときのセーフティーネットが十分に整備される必要があると思うんです。
今国会には民事再生法が提出されておりますが、これは中小企業が再建しやすい法的枠組みを提供するもので、生活安定資金の面倒を見るものではないということも御存じのとおり。生活安定資金の貸し付けに対しては、小規模企業が廃業した場合の小規模企業共済制度があります。そのほか、取引先企業の倒産によって中小企業者が倒産や経営困難に陥るのを防止する倒産防止共済制度などもあります。みんなそれぞれお互いにやってきた制度であります。
そこで提案でありますけれども、セーフティーネットの機能が適切に発揮されるよう、このような共済制度を、今すぐじゃないです、一本化するぐらいのことがないと、なかなかきめ細かく、しかもまたベースを広げてしっかりとした担保というか、中小企業者を本当に育てようという、おまえら思い切ってやってみろという、言うなら政治の号令にならぬのではないかなということを感じまして、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/160
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161・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 渡辺委員の御指摘の年末融資の問題については、先ほどからお話がありましたように、このたび十兆円の保証協会の特別融資の枠を広げて、一年延長しました。現在、約十八兆が使われていまして、あと二兆あるわけでありますが、年末から来年にかけての資金需要を考えますと、やはりゆとりのある対応をしたいというふうに思いまして、十五カ月的な予算のような感覚で十兆を足して、一年延長ということでありまして、万全を期していきたい。同時に、信用保証協会の窓口には貸し渋り対策の相談窓口も設けまして、きちっとさせていきたいというふうに思います。
ただいまの共済制度の問題は、加入者の相互扶助の精神に基づいて運営されているんですが、委員はもう承知の上で言われているんですが、目的、加入資格が全く違うものでありますから、ただいま直ちに一本化ということは考えておりませんが、セーフティーネットとして十分に役立つような体制は、委員指摘のとおり、これから一層充実させていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/161
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162・渡辺秀央
○渡辺秀央君 ありがとうございました。
時間が経過しましたが一言だけ。
雇用の問題で私が一番懸念するのは、現在の労働者、労働力を持っておられる人たちの雇用も心配ですが、御存じのとおり、大卒の諸君たちが非常に厳しいです。約七十四万人の卒業生が六〇%ぐらいの就職率しかない。やっぱりお互い学生時代も経験してみて、社会に巣立つときに大きく胸を膨らませて社会に出る。しかし、そこに生活の場が、あるいはまた新しい人生の場がないということは、これはやっぱり私は政治の問題だと思うんです。お互い政治を志してきている人間として、若い者に夢と希望を与えられるということ、まずそこからではないかという感じがします。
ベンチャーも大事です。あるいはまた、今現在の就業者に対する保障も大事ですが、若い人たちに対する、大卒に対するおもんぱかりは、文部省の問題じゃない、私は、産業を担当している通産省としてぜひ大臣から留意をいただいて御努力を期待したいと、こう思います。よろしくどうぞ。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/162
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163・加藤修一
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。
今の時代は大競争時代というふうに言われているわけでありますけれども、大企業においても中小企業においても、あるいは中堅企業においてもこういう時代を乗り越えていかなければいけない。そういった意味では、競争力というものをどういうふうにとらえるかということが極めて重要ではないかなと思うわけであります。いわゆる国家的な戦略を持つことが重要であると考えております。これまでの日本の産業の長所、あるいはこの長所をさらに強化していくべきだと考えているわけでありますけれども、この辺について、まず大臣はどのようにお考えか、御見解をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/163
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164・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 加藤委員にお答えいたします。
日本産業はいろんな意味で長所を持っております。例えば、従業員の高い参加意識などもその一つ、あるいは熟練した技術者がたくさんいた、それから柔軟に対応できる下請企業等がしっかり大きい企業を支えながら、高度な品質管理とか生産技術に強みを持ち、これを生かして高品質の商品の提供を行ってきたといったようなことだと思います。
ただ、バブルが起こりましたときに、多くの企業が総花的に事業を広げてまいりました。そして、多大な債務や不採算事業を生み出して、企業全体としての効率性を著しく低下させてしまった。現在は、こうした中で多くの強みを十分に発揮して再生していかなきゃならないという、そういう過渡期に来ているのではないかというふうに思います。
今後、経営者が事業分野の大胆な選択だとか新分野への進出であるとか、需要構造の変化に対応できるようなそういう判断をしながら、日本的長所をより生かして伸ばしていくことが必要ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/164
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165・加藤修一
○加藤修一君 我が国は、これまでに価格競争力あるいは品質の面における競争力、そういった面で国際市場で勝ち抜いてきたという部分があるわけですけれども、大競争時代における今日においては、やはり多面的な競争力、そういったものも今後考えていくべきだと私は思っておりまして、その競争力についてどういうふうに考えていくか、品質のことあるいは価格のこと、それ以外にまだこれからいろいろとあると思いますけれども、大臣はどのようなとらえ方をされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/165
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166・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 今、加藤委員御指摘のほかに、何といってもやっぱり生産性の向上だろうと私は思います。
我が国の生産性の伸び率は非常に低下傾向にございます、残念ながら。九〇年から九八年の平均は〇・三%、これはOECD諸国の平均の一・一%を下回っております。だから、生産性向上を図るために全力を挙げていくということは非常に大事なことではないかと思います。そして、そのためには人材とか資本等の経営資源をより生産性の高い事業分野にシフトしていくということなども大事だし、我が国経済をリードする生産性の高い産業分野の新たな創出を図っていくということが大事だろうと思います。
こうした認識に基づいて、政府としては、環境の整備だとか活性化のための対応とかベンチャー企業の育成とかいったものを産業競争力強化対策として取りまとめたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/166
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167・加藤修一
○加藤修一君 今、御答弁をいただいた内容については私もそのとおりだと思いますけれども、堺屋経済企画庁長官なんかもおっしゃっている部分に入るかもしれませんが、いわゆる知的な面での競争力、新しい発明とか発想、そういったすぐれたものを一つのコンテンツとして生かしていって、最終的にいわゆるデファクトスタンダードあるいはグローバルスタンダード、そういった方向の中で力を増していく、そういった知的な競争力ということも考えられるんではないかなと思います。
さらにつけ加えて、私は、今大臣の答弁の中にありましたように、ソフト産業とかあるいは環境の産業ですか、そういった面についてはどういうことを考えていかなければいけないかといいますと、やはり新しい市場形成における競争力、こういった競争力の観点からその面における強化、拡大を図っていく、こういったこともまた競争力の内実ではないかなと思います。
そういった点から、いわゆる知的な競争力とか新しい市場形成を行っていく競争力、こういった点については、今私が述べたようなことなんですけれども、大臣としてはどのように考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/167
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168・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 全く加藤委員のお考えと同感でございます。
特に、産業強化対策を取りまとめたんですけれども、その中で、迅速な対応が必要だと考える事項で、産業活力再生特別措置法を制定して、企業の戦略的な事業再構築を円滑にするための商法上の特例とか税制措置等を講ずるというふうにしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/168
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169・加藤修一
○加藤修一君 小渕総理は、今回の予算の中でも、補正関係でも、ミレニアムプロジェクト、ミレニアムですから千年紀ということなんですけれども、その中で環境の問題あるいは情報の問題ということを取り上げているわけですけれども、この二つをあえて取り上げて、いわゆる国際市場における戦略的な競争力の強化という点からは、この二つの分野について大臣はどのようにとらえてどういう方向に伸ばしていこうかと、その辺についての御所見をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/169
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170・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 小渕総理は、ミレニアムプロジェクトというのを提案して、多くの国民の皆さんに呼びかけております。
今、委員おっしゃったように、千年紀の始まりを目前にして新たな産業を生み出す大胆な技術革新を行っていくんだ、それに取り組んでいこうというのがミレニアムプロジェクトでございます。
この事業を推進していくためには、まず技術開発力を底上げして、それで国際的な競争力を強めていくという戦略的な観点が非常に重要でございます。今委員は環境及び情報についておっしゃられたのでありますが、それに高齢化対応というのを加えて、三分野を本事業の対象として選択しております。
具体的に申し上げると、環境対応であれば、例えばより高性能で低コストの燃料電池の開発などがその例であろうと思います。あるいは情報化対応であれば、現在の一万倍の速度の超高速インターネットの開発などが今挙げられております。
通産省といたしましては、これらの具体的なものについての積極的な支援を行って、まさに総理のお考えを実現していこうという決意を持っておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/170
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171・加藤修一
○加藤修一君 それでは、中小企業基本法等の改正の中身について入っていきたいと思います。
まず私は、改正するという中で理念の転換、これは政党においても理念を転換するときには、それについて今までどういうふうに考えてきたか、さまざまなことをやってきたことについていわゆる総括をして評価するということになるわけでありますけれども、この理念の転換に至った経緯を含めて、なぜこういうふうに転換をしなければいけないか。さまざまな委員の方が質問しておりますけれども、総括ですね、どういうふうに今までの中小企業の施策体系について評価をしていらっしゃるか、その辺について御提示いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/171
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172・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 昭和三十八年に中小企業基本法というのが生まれまして、これに基づきまして通産省を中心に各般の努力をいたしてまいりました。具体的には、金融の対策であるとか中小企業の組織化、あるいは診断指導、小規模対策などなど、多くの政策を講じてまいりました。
先ほども申しましたけれども、その結果として生産性の向上が具体的に数値であらわれているといったように前進をいたしてまいりました。そして、その背景には中小企業の皆さんの汗と涙の努力があった、そのように思います。したがいまして、昭和三十八年の基本法に基づく今日までの対策は、それなりの前進をいたしたと評価しております。
しかし、あの当時に考えましたまさに三十年代の物の考え方というのは、経済の二重構造という形で、中小企業を小さいもの、数多いものと考え、しかも非近代的なものと位置づけて、だから共同化だとか中小企業が大企業にできるだけ近づくような、そういうようなことを方向づけていたのでありますが、今の時代になりますと、中小企業が持てる技術や能力を生かすことによって、つまり中小企業の活性化によって、むしろ経済の積極的な担い手、牽引車になっていただく、こういう時代だと考えて、それにふさわしい基本法に変えるべきではないかと判断したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/172
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173・加藤修一
○加藤修一君 大臣の御答弁の中に、経済の二重構造というのがございました。それから、今まで聞いている範囲でも格差是正という言葉がございました。
二重構造についても格差是正についても、これが解消されたと私は考えていないわけですけれども、新基本法の理念で大臣は弱みを克服し強みを発揮すると答弁されております。格差是正の点は理念から外してしまうということでありますけれども、私は引き続き必要ではないかと思っていますけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/173
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174・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 格差という意味の違いを私どもは申し上げているつもりであります。つまり大企業と中小企業、二重構造の対比の形において中小企業を底上げするという、そういう考え方の格差是正ではなくて、中小企業が持てる力を発揮できるための中小企業の経営基盤を強化する、そこに思いをいたすということでございます。
委員が御指摘なさっております、現実の例えば指標において差があるではないかということは、全くそのとおりでございます。それを大企業に近づけるという意味での格差の是正でなくて、中小企業の活力を押し上げる、経営基盤の強化を各般の政策によって進めていくということで変えていこうという、そういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/174
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175・加藤修一
○加藤修一君 活力を上げるとか強化するとか、そういったことは過去やってきた中身だということで私は同じことだと思っているんですけれども、やはり大臣の考えは違うということですか。もうちょっとわかりやすく御説明いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/175
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176・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 今までの中小企業のとらえ方は画一的でございました。これからのとらえ方というのは、多面性に思いをいたして、それぞれの中小企業に合った対策をきめ細かく行っていこうという考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/176
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177・加藤修一
○加藤修一君 時間の関係がございますから、次に参ります。
創業・ベンチャー企業に対して強化していく、相当の押し上げを行っていくという話になっているわけですけれども、どのぐらいの雇用創出を見込んでいらっしゃるか、その辺についてどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/177
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178・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 現在、創業数というのは年間十四万社ぐらいでございます。これを五年間で十万社ふやして二十四万社ぐらいにしていきたい、目標としては。その場合に、百万人の雇用創出を想定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/178
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179・加藤修一
○加藤修一君 この創業・ベンチャー企業を相当押し上げていくという中には、さまざまな政策体系があるわけですけれども、技術開発を促進する上でSBIR、ここに黄色のパンフレットを持ってきていますけれども、このSBIRの推進を図ることが重要だと私も考えております。
この中の説明を見てまいりますと、現在五省庁しか参加していないわけです。先ほどほかの委員の方が建設関係の話をされておりましたけれども、建設関係についてもこういうSBIRを十分活用すべきでありますし、そのほかの省庁についても当然つながってくる話があると思うわけです。この辺については多くの省庁を参加させていくことが非常に私は大切だと思っておりますけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/179
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180・岩田満泰
○政府参考人(岩田満泰君) お答え申し上げます。
御指摘のように、中小企業の技術開発を進めようということで昨年来SBIRの制度を制定していただいたわけでございます。現在、御指摘のように五省庁が参加をされておりまして、三十八種類の補助金等がSBIR上の特定補助金等と指定をされまして、中小企業者の技術開発に対する支援が行われているわけでございます。
制度のさらなる拡充、推進、強化ということでございますが、現在五省庁が具体的に参加をされておるわけでございますが、今御指摘のございました建設省を含めた九省庁で関係省庁連絡会議を設置いたしておりまして、特定補助金等に関するいろいろな議論、連絡調整を行っているところであります。
今後とも、この連絡会議を通じまして各省庁と連携をして、省庁の拡大あるいは制度の充実強化について努力をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/180
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181・加藤修一
○加藤修一君 ベンチャー企業を加速的にふやしていくという考え方に立っているわけですけれども、そういった意味では、すぐれた経営資源やいわゆる隠れた優良企業、こういったものを発掘する、それと同時に企業とベンチャーキャピタリストあるいは目きき人材をつなぐ仕組みが非常に私は重要だと思っているわけですけれども、このような仕組みをどのように我が国で実施していくつもりか、その辺についてどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/181
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182・村田成二
○政府参考人(村田成二君) ただいま私どもで検討いたしております内容を御紹介させていただきたいと思いますが、まさしく先生おっしゃいますとおりのような仕組みを特に民間の自立的な仕組みとしてどうつくり上げていくか、これが大事かと思っております。
こうした観点から幾つか考えておりますが、一つは、やはり個々のベンチャー企業のニーズにきめ細かくどう対応して指導助言を行っていく、あるいは支援を行っていく仕組みをつくるかということが第一の点でございまして、かかる観点から、国あるいは都道府県それから全国約三百カ所の広域市町村圏、そういった各レベルにおきまして必要なソフト面の支援を提供する体制づくりをしていきたい、これが第一点考えているところでございます。
また、第二点でございますけれども、やはりこういったベンチャー企業に対しまして、ある意味の目ききと育業と申しましょうか、有望な投資先を見分け、そしてまたそれに沿って経営指導あるいは営業網の提供、紹介など経営支援が行われる、そういった目ききと育業ができるようなベンチャーキャピタリスト、これを育てていくことが大事かと思っております。
そうした観点から、ベンチャー企業とこういったキャピタリストを結びつけるような、そしてまたそういった人材がベンチャー企業で有効活用されるような、そういったインセンティブといたしまして、例えばストックオプション制度の活用、そういったことを考えてまいりたいと思っておりますし、それからまた、こういったベンチャーキャピタリストとして例えば中小企業等投資事業有限責任組合、そういったものが最大限活用されますように、例えば呼び水的な公的出資をこうした組合に出すとか、そういった仕組みを考えてまいりたいというふうに考えております。
いずれにいたしましても、いろいろ多面的な仕組みというものを工夫していく必要があろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/182
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183・加藤修一
○加藤修一君 アメリカの例ですけれども、二十五万人の個人がベンチャーキャピタルに投資しているということであります。金を持っている個人投資家、それはどこで探せるかというのが非常に私は大事だと思うんです。どういうところでそういう人たちを見つけ出すか、あるいはベンチャーキャピタル専門会社、これはどこで探せるか、そういったことも非常に大切である。
私は、アメリカの例を考えてまいりますと、個人投資家はどこで探せるのかということで例えばベンチャーキャピタルのフォーラム、こういったものがつくられている。そういうところで融資、教育、ネットワーク、そういった機会に触れることができる。あるいはベンチャーキャピタルクラブズ、通称クラブと言っているようでありますけれども、個人投資家によって構成されているグループで、いわゆるそこで起業家、業を起こしたいという方々が自分の事業の中身、プレゼンテーションをそういうところでやる、そういうクラブが形成されている。あるいは、プライベート・キャピタル・ネットワークということで、電子ネットワークサービスということで、資本家と起業家のマッチングを探してくれる、そういう仕組みもつくられている。あるいは、ACEネットということで、いわゆるこれはプライベートの投資ネットワークでありますけれども、信頼の置ける投資家、それを探すためにこういったプライベート・ベンチャーキャピタル・ネットワークというものが発展させられている。
あるいは、教育機関としては、先ほど答弁にございましたけれども、起業家育成プログラムのあるビジネススクール等々、あるいはプロフェッショナルなサービス会社、そういったいわゆる環境整備が進んでいて、その結果二十五万人の個人がベンチャーキャピタルに投資するという話になっているわけです。
日本はまだまだこの点については成熟どころかなかなか条件が整っていないということなんですけれども、先ほどの答弁だけでは私は十分なものではないと思うんです。さらに、今御紹介申し上げましたけれども、当然知っている話だと思いますが、こういったことを加味した形で、もっと角度をつけた形でやっていくべきだと私は考えておりますけれども、その辺についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/183
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184・村田成二
○政府参考人(村田成二君) まさしくおっしゃいますとおり、いろいろな形での出会いというのは大事だと思っております。
ちなみに、従来から例えばベンチャープラザ事業というのを通産省は展開いたしておりますけれども、これは各年度全国で大体二十カ所前後でございますけれども、各種の経営資源、資金だとか人材だとか情報だとかを持っておられる方々とベンチャー企業の皆さんとの出会いの場というのを提供してきておりますが、これだけではなかなかうまくいかない。
したがって、先ほどちょっとお答え申し上げました中で触れましたけれども、例えば国、都道府県、全国で三百カ所の市町村レベル、そういった広範な支援システムをつくりたいと申し上げましたけれども、これもやはり情報ネットワークを有機的に組みまして、多種多様な組み合わせでいろいろな情報が利用できるように、そしてまたベンチャー企業の要望に的確にこたえていけるように、そういった運用をあるいは中身の充実を図っていきたいというふうに考えております。
いずれにしましても、おっしゃるとおり、我が国の場合はまだ立ち上がりかけたばかりでございます。いろいろな工夫がまだまだ必要かと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/184
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185・加藤修一
○加藤修一君 三百カ所のいわゆるワンストップサービス施設の関係ですけれども、以前に中小企業の相談窓口を一本化しようとしたことがございますよね。実際に中小企業総合指導所ができた。しかし、平成八年にはこれは廃止されているわけでして、それは不都合が相当あったから廃止したという話だと思うんです。
今回、全国三百カ所にワンストップサービスというそういう機能を持つ施設をつくるということなんですけれども、これが十全に働くためにはどういう具体的なことを考えておりますか。どうも過去のことを考えていきますと非常に不安です。
それから私は、これは一九九八年十月の「通産ジャーナル」なんですけれども、そこで「ベンチャー企業成功の要因」ということで紹介がありまして、日本の件についても触れております。
現在、ベンチャーキャピタル業界において成功している欧米諸国でさえもここまで到達するのに半世紀以上もかかっていると。五十年以上かかっているというふうに紹介されているんです。相当の時間がかかっていると。「紆余曲折の過去があったのである。それに対しまだ二〇~三〇年の歴史しかもたないわが国は、それを謙虚に受け止め、よい点を学び、同じ道筋をより短期間で成し遂げる努力をすべきであろう。」ということなんです。
こういう紹介、説明、こういったことに対して通産省はどういうふうに考えて、今言った三百カ所のワンストップサービスの関係について具体的に効果的にどういうふうにやるのかということをもう少し説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/185
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186・岩田満泰
○政府参考人(岩田満泰君) 全国の身近な地点に三百カ所、あるいは県のレベルにおけるセンター、ナショナル支援センター、こういうものをネットワークして窓口を全国に、今申し上げたものを足し上げたほどの窓口をつくりたいということでございますが、その内容について中央総合指導所構想との関係も含めてお問い合わせでございますが、これは中小企業者が日々の日常事業活動の中で直面をしますさまざまな課題と申しますか、悩みのようなものの解決に支援をしようということでございます。
そのために、総合指導所構想というものが結果的に終了させざるを得なかった理由と申しますのは、この中央総合指導所のやる職員はすべて、すべてと申しましょうか、少なくとも大宗は都道府県の職員がこれに当たるということになっておったわけでございまして、端的に申し上げれば、都道府県職員の、地方自治体の職員の人事の問題と申しましょうか、そういうものが極めて大きなネックになりまして、最終的にはこれがこういう形で続けることはできないというようなことになったわけでございます。
今回考えておりますこの三百カ所の支援センターを含めてでございますが、ただいま申し上げたような日々の日常事業活動から出てくる悩みを解決するという趣旨でございますので、民間に存在をいたします実践的、実務的な能力をまさに活用させていただくという仕組みにさせていただきたいし、今考えておるこの三百カ所の支援センターにしろ県の支援センターにしろ、基本的にこの支援センターの部門を担当されるところについては、そのトップになる、責任者になられるような方もぜひ民間からの公募のような形で実務家にリーダーとして活躍をしていただきたいという、民間能力の活用というところをぜひ修正点として考えさせていただきたいということが一つございます。
同時に、その中におきましては、もろもろの分野の専門家、あるいは大学等々の研究者、あるいはもろもろの地域にどんな企業が存在をするのかという企業の情報、それらを私はひっくるめてデータベースと申しておりますが、そういうことによりまして、中小企業者が具体的に持つ課題、悩み、それに対して具体的にそれに支援できる人を御紹介する、あるいは出会いの場をつくるというようなことで、あるいは企業と企業が連携をできるようなきっかけづくりをする、そのようなことを考えております。
先ほど、出会いについて投資家との出会い等々のお話がございました。まさに私ども、二つの出会いがこのセンターには期待をされると思っておりまして、情報ネットワークを使いました意味での情報提供というようなネットワークと、私どもは、この支援センターの中に投資家と新しい事業計画との出会いの場をつくるとか、あるいは研究者の技術シーズと新しい企業との間での技術シーズを事業化するような出会いの場とか、そのようなある意味ではフェース・ツー・フェースの出会いの場というようなものも展開をするということが望ましい姿ではないかというふうに思っております。
欧米の例をお取り上げでございますが、私ども、アメリカのケースを考えてみましても、あるいはより身近、身近と申しましょうか、一時期我々が見ていた現象との関係でいえば、英国はしばらく前は英国病と言われて企業数がどんどん減るという時期があったわけでございます。
そこで、事実上一九九〇年代と申していいと思いますが、一九八〇年代の末のころから、英国では、私どもがこれからぜひ確立をしたいと思っているもの、彼らの国ではビジネスリンクと呼んでおります。英国の中で、窓口だけで現在二百四十ほどあると言われております。私どもは三百と四十七と一つといいましょうか、これをある程度国のレベルでも窓口をつくると思いますが、私どもが今考えますと、三百五十とかいうようなオーダーの話になるわけでございますが、イギリスのビジネスリンクは二百四十の窓口を持っておる。アメリカのSBDCという中小企業支援センターというものは千を超える窓口が、もちろん大きな国でございますから、身近な相談拠点のようなものを持ってネットワークが組まれているということでございまして、これらの成功例、イギリスの場合には最近はむしろ企業数がふえているわけでございます。
そういう例、英国病からまさにどんどん中小企業がふえるという時代になっている、この成功例にも謙虚に学びながら、ぜひこのネットワークを充実したものにしていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/186
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187・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 簡潔に御答弁はお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/187
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188・加藤修一
○加藤修一君 それでは次に、セーフティーネットについて大臣にお答えいただきたいんです。
説明はちょっと割愛させていただきますけれども、いわゆる今回、特別保証制度をやっているわけでありますけれども、これが終了した場合、期限が終了した後のいわゆる代替措置、これも当然考えていく必要が私はあると思うんですけれども、政府はどのようなセーフティーネットを考えていらっしゃるか、その辺について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/188
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189・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 特別保証制度は、我が国の金融システムの大きな変革と民間金融機関の不良債権処理の過程で発生した未曾有の信用収縮に対するあくまでも緊急避難と考えて行っているものでございます。
しかし、まだなお中小企業者が貸し渋りに苦しんでいるというところから、十兆円を足し、一年間の延長としたところでございます。これは一年延長しましたから、十二年度いっぱいはこれが有効に活用されるわけでありますが、その先の分について、これからもやりますとかやらないとかいう判断は現在持っておりません。
といいますのは、そのころには少なくとも経済再生、景気回復が行われて、公需から民需へ移っていなければなりませんから、そういう点では、経済全体の新生のために我々は全力を尽くすということがもっと大事なことではないかと思うわけであります。
ただ、中小企業をめぐる金融・経済情勢等を絶えず注視しながら対応していくというのは私たちの当然の立場でございますから、そういう目ではきちっとこれからの動きを見詰めていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/189
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190・加藤修一
○加藤修一君 今回の新基本法の定義改定によって一部中堅企業を含むことになるわけでありますけれども、私募債保証を可能にするいわゆる信用保証協会法の改正もあるわけですけれども、その私募債保証とかそういったことをやれる企業、これは、債券を発行し引き受ける会社は極めて私は知名度としても高いし業績的にもしっかりした、そういった意味では中堅の企業であろうと思うんです。ですから、私は、今回の実質的な支援対象者は一部のベンチャー企業と中堅企業が中心になるのではないかという懸念があちこちで言われるわけですけれども、この辺についてはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/190
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191・岩田満泰
○政府参考人(岩田満泰君) 今回、昭和四十八年以来、二十六年ぶりに定義の見直しをさせていただきたいということでございますが、そのことは、昭和四十八年当時からのもろもろの経済指標の変化に対応するものでございまして、中堅企業を取り込んでいこうということの目的ということではないということで御理解をいただきたいと思います。
特に、今回、私募債の保証というような御提案をさせていただく予定になっておりますが、その関係についても、まさに中小企業の中の中小企業における資金調達の手段の多様化でございますとか、あるいはベンチャーというような急速に立ち上がってくるような資金需要を持つものの、そうした側面についても支援をするという対応策の一つであるというふうに御理解をいただければと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/191
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192・加藤修一
○加藤修一君 その点については別の機会にまたやりたいと思います。
それで、雇用の受け皿の視点からちょっと考えていきたいと思いますけれども、いわゆるコミュニティーにおけるビジネス展開という観点であります。
いわゆる元気な高齢者の雇用を考えていくとか、あるいは今問題になっております介護の関係ですけれども、そういった面におけるサービス、そういったものを初めとするいわゆるコミュニティービジネスですか、そういったものがやはりこれからのコミュニティーにおける経済の活性化という点から考えていった場合は非常に私は重要な位置にあるんではないかなと思います。
いわゆるグローバリゼーションの波と同時に、ローカリゼーションという、そのローカリゼーションの中でどういうふうにコミュニティーにおけるビジネスをきちっと位置づけるかということが私は非常に重要だと思いますけれども、この辺についてはどのようにとらえているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/192
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193・横川浩
○政府参考人(横川浩君) コミュニティービジネスでございますが、先生触れられました介護の関係でございますとか、それからまた女性の社会参画を支える育児・家事支援といったようなものなど、まさに地域の生活者のニーズへの対応がビジネスとして展開されたものと理解をいたしております。こうしたビジネスは、少子高齢化が進展をする中で、今後、地域における新規開業でございますとか雇用拡大の受け皿としてさらに発展することが期待をされております。
通産省といたしましては、例えば経営に対します診断アドバイスでございますとか、資金面での支援などの一連の中小企業支援策を活用いたしまして、積極的にコミュニティービジネスの振興を図っていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/193
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194・加藤修一
○加藤修一君 それでは、情報産業の関係について。いわゆる新産業創出ということで情報産業がますますこれから活発になっていくというふうに考えられるわけですけれども、情報を戦略産業と位置づけていく、そういうふうに考えるのも一つの大きな視点に立つものであろうと思いますけれども、情報産業の人材の育成をどう図っていくかということも一つ大事な視点だと私は思っておりまして、以前からスーパープログラマープロジェクト、スーパープログラマー制度、そういったふうにも言っておりますけれども、はしょってまことに恐縮なんですけれども、こういった制度を導入することも非常に私は大切な視点じゃないかなと思います。
インターネットを核にしてさまざまな展開を世界に向かって発信していく、その前にデファクトスタンダードあるいはグローバルスタンダード、そういったものをどんどん輩出できるというのが非常に理想的で望ましい形であるわけでありますけれども、そのときにやはりプログラマーを超えるいわゆるスーパープログラマー、現代版でいいますと、現代というか昔の話を考えてみますと、昔、明治時代にはお雇い外国人制度というのがあって、すぐれた外国人を招いて日本の近代化に貢献させたという経緯がございますね。それと同じような形で、非常におくれている我が国の情報化の進展の中で、そういった面でのいわゆるスーパープログラマーを招いて、我が国の情報化の進展に大きなサポートとして考えていく、簡単に言いますとそういう制度なんですけれども、そういったことについてはどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/194
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195・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 情報分野というのは、小渕総理提唱のミレニアムプロジェクトの中でも戦略的な重点分野と位置づけて、これは先生御指摘のとおりでございまして、その際に、優秀な人材の育成が不可欠だというふうに思っています。画期的なプログラムの創出のためには優秀な技術者の存在が重要であり、私は、大学や企業の中に現在存在するすぐれたプログラマーを発掘して、その能力を発揮させる制度の創設に向けて検討していきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/195
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196・加藤修一
○加藤修一君 関連して、電子商取引の関係がございますけれども、この電子商取引の中枢の一つを占める技術というのは暗号技術がございます。我が国の今後の暗号技術に関する事業に対してどういう見解を持っていらっしゃるか、どういう形で今進めているかどうか、その辺についてもお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/196
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197・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 電子商取引の発展のためには電子署名の基盤技術である暗号技術というのが大変大事であります。現在、世界市場では米国企業の暗号製品が事実上の標準であるということにはなっているんですけれども、日本の企業の暗号技術は諸外国と比べて遜色のないものというふうに私は報告を受けています。
暗号技術は、市場において利用者の自由な選択にゆだねるべきだというのが九七年のOECDの合意でございます。したがって、内外の市場において、技術水準においても遜色のない日本の暗号製品が普及されるように各企業の努力を期待したいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/197
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198・加藤修一
○加藤修一君 この辺についてアメリカは戦略を私は変えたと思います。以前は輸出規制を相当やっておりましたけれども、安全保障の視点から厳しく守ってきておりましたけれども、二〇〇〇年からはそうじゃないと。戦略を変えて、いわゆるIT産業の興隆は安全保障をサポートすることにもなる、それからアメリカメードのものがグローバルスタンダードになり得るということで、そういう戦略を変えた。
しかし、日本の場合は、考えていきますと一九九六年にココムからワッセナー協約に切りかえたときに、非常に私は混乱が生じていると思うんです。今まで輸出できた暗号技術でさえ輸出できないような状態になってしまっている。
通産省、郵政省、警察庁がこれにかかわっておるわけですけれども、通産省はどちらかというと啓蒙的な域を出ていないように私は思っておりまして、基礎研究についての補助金は出している。しかし、郵政省は通信インフラとしてこの暗号の基礎研究をやっている。一方、警察庁については暗号技術の規制に動いている。
そういうことを考えていきますと、ある意味でこれは省庁の間でもばらばらになっている可能性があるわけです。そういった意味では、戦略的な政策としてきちっと私は位置づけるべきだと思います。
これを最後にして、質問は終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/198
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199・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) この暗号技術というのは、今申したように、決して世界と遜色ないと言われているものであります。ただ、御指摘のような、通商産業省も指導育成をやっていますが、情報関係でございますので郵政省も大分力を入れている、警察庁も同様でありますが、横の連絡をとっていくということは御指摘のとおりでございまして、その努力はいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/199
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200・加藤修一
○加藤修一君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/200
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201・陣内孝雄
○委員長(陣内孝雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後四時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114614778X00319991118/201
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