1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年十二月十三日(月曜日)
午前十時三十一分開会
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委員の異動
十二月十三日
辞任 補欠選任
亀井 郁夫君 斉藤 滋宣君
久野 恒一君 森下 博之君
江田 五月君 千葉 景子君
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出席者は左のとおり。
委員長 風間 昶君
理 事
北岡 秀二君
塩崎 恭久君
竹村 泰子君
魚住裕一郎君
平野 貞夫君
委 員
阿部 正俊君
岩崎 純三君
斉藤 滋宣君
竹山 裕君
服部三男雄君
森下 博之君
江田 五月君
小川 敏夫君
千葉 景子君
角田 義一君
橋本 敦君
福島 瑞穂君
中村 敦夫君
松田 岩夫君
国務大臣
法務大臣 臼井日出男君
政務次官
法務政務次官 山本 有二君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局民事局長
兼最高裁判所事
務総局行政局長 千葉 勝美君
事務局側
常任委員会専門
員 加藤 一宇君
政府参考人
法務省民事局長 細川 清君
法務省人権擁護
局長 横山 匡輝君
労働省労政局長 澤田陽太郎君
労働省労働基準
局長 野寺 康幸君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民事再生法案(内閣提出、衆議院送付)
○電気通信回線による登記情報の提供に関する法
律案(第百四十五回国会内閣提出、第百四十六
回国会衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/0
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001・風間昶
○委員長(風間昶君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
民事再生法案の審査のため、本日の委員会に労働省労政局長澤田陽太郎君及び労働省労働基準局長野寺康幸君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/1
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002・風間昶
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/2
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003・風間昶
○委員長(風間昶君) 民事再生法案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/3
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004・竹村泰子
○竹村泰子君 おはようございます。
民事再生法に対する私どもの質疑をさせていただきたいと思います。
バブル経済崩壊後の企業倒産件数の推移と、倒産の処理に用いられた和議、会社整理、会社更生、破産、特別清算などの件数がおわかりでしたら教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/4
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005・細川清
○政府参考人(細川清君) 民間調査機関の調査によりますと、企業の倒産件数は平成四年から平成八年までの間に約一万四千件から一万五千件程度でございましたが、平成九年には一万六千件、平成十年には一万九千件になっております。
他方、裁判所にあらわれた手続の件数でございますが、法人の倒産事件の申し立て件数につきましては、破産、和議、会社整理、特別清算及び会社更生の各手続を合わせた概数で平成四年に二千七百件程度でございましたが、平成七年には三千件を超え、平成九年には四千八百件に、平成十年には約六千三百件に達しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/5
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006・竹村泰子
○竹村泰子君 大変多数の数なんですけれども、これらの私的任意整理の実態についてはどのように認識をしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/6
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007・細川清
○政府参考人(細川清君) 我が国では私的整理あるいは任意整理と言われるものが大変多数用いられておるところでございます。
先ほど申し上げました実態的な倒産件数と現実に裁判所にあらわれた手続を見てみますと、昨年の段階では三分の一程度が法律上の倒産手続を利用しているということになっていると認識しております。この割合は、平成二、三年程度に比べますと徐々にではありますが本来の法的な手続が増加しているというふうに認識しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/7
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008・竹村泰子
○竹村泰子君 今お答えいただいたんですが、和議その他の法的処理手続がほとんど用いられず、七〇%から八〇%が任意整理によって、その原因は何か、今大体お答えになったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/8
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009・細川清
○政府参考人(細川清君) 任意整理が行われる場合は、さまざま具体的事案にございますが、基本的には当事者間で、つまり債権者の数が少なくて当事者間で話し合いがついていて迅速にそれを処理したいという場合、あるいは非常に債務者の方の財産が少なくて法律上の手続をしてもほとんどの弁済がなされる見込みがないといった場合、さらには債務者自体が行方不明になっていわゆる夜逃げになってしまったということで債権者が集まって関係者と整理する、そのような場合があるのではないかというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/9
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010・竹村泰子
○竹村泰子君 倒産法制の全体の改正については、五年をめどとして倒産法研究会というのができて論点整理を行い、そして平成九年十二月には倒産法制に関する検討事項を公表されました。関係各界に意見を照会されておりますが、その主な内容はどのようなものかおわかりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/10
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011・細川清
○政府参考人(細川清君) 公表いたしました倒産法制の検討事項は、倒産五法すべてにわたる問題点、さまざまに指摘されている問題をすべて拾い上げまして意見をお聞きいたしました。さらには、その中には調停に関する部分も含んでおるわけで、問題点として御意見を伺った事項は非常に膨大な数になっておりまして、基本的なものだけでも百項目以上に上っております。
和議法につきまして申し上げますと、やはり開始原因はこれでいいかどうかとか、保全処分はこれでよろしいかどうかとか、特に保全処分の中でいわゆるオートマチックステイを認めるかどうかとか、あるいは計画認可の要件はどうあるべきかとか、そういう基本的な問題がすべて網羅されているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/11
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012・竹村泰子
○竹村泰子君 私どもも大変膨大な中身だというふうにお聞きしておりますが、特に中小企業向けの再建手続の整備でありますとかあるいは消費者破産手続の整備でありますとか国際倒産などが挙げられるのかなと拝見しておりました。
平成十四年ごろに、いろんな法律が絡みますから関係法律を一括して国会に提出することをめどとされているというふうに聞いておりましたけれども、民事再生法案だけを大幅に前倒しして立法化しようとする理由は、大臣、何なのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/12
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013・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 法務省におきましては、平成八年十月に倒産法制全体の見直しの作業を開始いたしたわけでございます。そして、平成九年十二月には倒産法制全般につきまして見直しが考えられる具体的事項を取りまとめいたしたのでございます。いわゆる倒産法制に関する改正検討事項を策定いたしてこれを公表するとともに、関係各界に対する意見照会というものを行ったのでございます。その後、この意見照会に対する関係各界からの意見を踏まえまして、倒産法制全体についての統一的な見直しを図るべく作業を進めてまいったのでございます。
しかしながら、先ほど委員御質問されましたように、近年特に企業倒産が激しく増加をいたしておりまして、そうした経済情勢にかんがみまして、特に緊急の対応を必要とする中小企業等に利用しやすい再建型の倒産処理手続の整備につきまして、他の検討課題と切り離しまして最優先の課題として検討することといたしまして、それ以降、法制審議会においてこの課題について集中的に討議を進めまして、本年八月二十六日の答申に基づきまして民事再生法の提出に至った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/13
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014・竹村泰子
○竹村泰子君 平成十年九月に当時の中村法務大臣が、中小企業向けの再建手続の整備について日程を繰り上げて平成十一年中に立法をするようにと指示をなさった。したがって、ほかの手続との整合性確保や実体法の整備は後回しにされた、民事再生法案だけをとにかく急いで出されたというふうに聞いているんですが、現行制度は四法律、つまり和議法、商法、会社更生法、破産法による五制度、つまり和議、会社整理、会社更生、破産、特別清算というふうな五制度であると思いますけれども、各制度の制定時期が異なり、そして立法思想や時代背景を異にしているために、手続相互の関連性が考慮されていない、適用対象に応じたきめ細かな手続が用意されていないということが指摘されております。
このため、現行制度では煩雑で使いにくいものになっております。そこを改めようと今回の改正で和議法を全面改正して民事再生法を制定しようとされたというふうに思っているわけですが、急ぐ余りに倒産法制全体の整合性を欠くことにならないように注意すべきだと思いますが、この点どのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/14
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015・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) いわゆる倒産五法、破産法、和議法、会社更生法、会社整理、特別清算でございますが、これらは大正十一年から昭和二十七年までの間に制定されたものでございますけれども、これらは制定の時期が今委員御指摘のとおり異なるだけではなく、立法思想や時代的背景を異にするために複雑な法体系を形成しておりまして、したがって、委員御指摘をいただきましたとおり、倒産法制全体について整合性のある統一的な見直しが必要であることは法務省としても十分認識をいたしているところでございます。
そこで、今回、民事再生法案を提案する際にも、倒産法制全体との整合性を欠くことにならないようにできる限りの配慮をいたしているわけでございます。もっとも、各種債権の優先順位の検討、国際倒産に関する規定の整備、大規模倒産に関する規定の整備などにつきましては、今後の倒産法制の見直しの中で引き続き検討すべき課題として残されております。
そこで、これらの点につきましての検討の結果を踏まえまして、再生手続についても見直しを行うことはあり得るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/15
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016・竹村泰子
○竹村泰子君 現行の和議の問題点について、あるいは会社整理の問題点について、会社更生の問題点について一つずつお聞きしたいと思いますけれども、まず和議の問題点について、どんな欠点があったと思われるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/16
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017・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 現行の和議法が定める和議手続につきましては、次のような問題点があると指摘されております。
第一に、和議開始の原因が破産原因と同様とされておりますために、開始の手続の時期がおくれ、事業の再建が困難になる場合があるということでございます。
第二に、開始手続の申し立てと同時に再建計画に相当する和議条件を裁判所に提出しなければならないわけでありますけれども、倒産前後の混乱の時期に将来を見通した適切な和議条件を定めるということは困難であると言われております。
第三に、債務弁済禁止の仮処分を得て、みずからは手形不渡りを免れつつ、下請業者を初めとする連鎖倒産を招きながらみずからが危機を免れる、申し立てを取り下げるということなど、保全処分を乱用する事例が見られることでございます。
第四に、担保権者は手続と無関係に担保権を実行することができますために、事業の継続に不可欠な財産が散逸をしてしまうということによりまして再建が困難になる場合があるということでございます。
第五に、破産管財人、更生管財人のような管理機関を選任する制度がないために、従前の経営者の事業経営や財産の管理、処分が失当である事業につきましては適切に対処することが困難であるということでございます。
第六に、和議の成立により手続が完了いたしまして、その履行を監督する機関が存在いたしておらないために、債務者が和議条件の履行を怠ることも少なくないわけでございまして、履行確保のための実効性のある制度が設けられておらないことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/17
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018・竹村泰子
○竹村泰子君 それでは、会社整理の問題点について、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/18
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019・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 会社整理につきましては、第一に、債権者の多数決原理が導入されておりませんために、ごく一部の債権者の反対によりまして再建が困難になってしまうことが挙げられておりまして、また、法律の規定が非常に少のうございまして手続構造がわかりにくくあるということなど、問題点が指摘をされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/19
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020・竹村泰子
○竹村泰子君 続いて、会社更生の欠点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/20
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021・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 会社更生手続につきましては、手続の細目的な事項についての見直しの必要性が指摘をされているわけでございますが、基本的には現代の経済社会の中で合理的に機能しているものと私どもは認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/21
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022・竹村泰子
○竹村泰子君 ありがとうございました。
今度の法案の第一条には、「経済的に窮境にある債務者について、」「債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。」としておりまして、対象となるのは株式会社のみならず医療法人、学校法人等すべての法人事業者、非事業者を含む自然人というふうに聞いております。
しかし、特に中小企業が利用しやすいと言われているのはどのようなことによるのでしょうか、特色があるのでしょうか、説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/22
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023・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) この再生手続は、すべての法人、個人が利用できる手続であることは言うまでもございませんが、特に中小企業が利用しやすい手続とするべく次のような点において手続構造を簡素化するものといたしております。
第一に、原則といたしまして、担保権や優先権がある債権や株主の権利を制約せず、企業との組織法的な事項にも変更を加えないものといたしておることであります。
第二に、再生債務者自身が業務を遂行しながら手続を進めることを原則といたしておりまして、管財人を初めとする手続の機関はすべて任意的に選任されるものとしていることでございます。
このような再生手続の特色は、再生債務者が法人であるか個人であるか、事業規模は大規模なものであるかあるいは小規模なものであるかというものを問いませんで、手続を合理的かつ機能的なものとすることに資するものと考えられております。そして、個人や大企業が利用する場合であっても使いにくいものではない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/23
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024・竹村泰子
○竹村泰子君 再生手続の申し立てに関して、労働者や労働組合が債権者として行うことができるのはどのような場合でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/24
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025・細川清
○政府参考人(細川清君) 再生手続におきましては、一般的な優先権のある債権につきましては、これを手続外といたしまして、手続に取り込んで制約を加えるということはいたしておりません。したがいまして、そういうものは申し立て権がないわけでございます。
労働者の賃金債権は、再生手続開始後の賃金債権は共益債権でありますし、また、開始前の債権は一般的には商法及び有限会社法によりまして全額について先取特権がございますので一般優先債権として取り扱われることとなります。
したがいまして、そういう場合には、賃金債権がこの手続によって影響を受けることあるいは制約を受けることはございません。ですから、申し立て権者にはならないわけですが、民法に定める先取特権は賃金等の六カ月分に限られていますので、この部分を超える未払いの賃金債権がある場合にはこれが再生債権になりますので、こういう場合には労働者は債権者として申し立てをすることができるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/25
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026・竹村泰子
○竹村泰子君 手続開始後、労働協約や労働契約の扱いに制約が生ずることがあってはならないと思いますけれども、確認したいと思います。
同様に、労働組合や労働者代表の交渉権についてはどうなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/26
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027・細川清
○政府参考人(細川清君) 再生手続におきましては、まず労働契約については影響はないわけでございます。また、労働協約についても同様でございます。また、労働組合が有する労働団体交渉権その他組織法的な権利につきましても再生法は何ら制約を加えていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/27
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028・竹村泰子
○竹村泰子君 ありがとうございます。
それでは、民事再生手続において労働組合の意見聴取あるいは労働組合への通知などが盛り込まれておりますけれども、労働組合が文書などで意見をまとめた場合、裁判所はきちんと受理すべきであると思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/28
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029・細川清
○政府参考人(細川清君) 民事再生法におきましては、労働組合あるいは労働者の過半数を代表する方々から意見を必要的に聞くべきものとしては二カ所ございます。一つは、営業譲渡に関する意見聴取でありまして、もう一カ所は再生計画の認可に関する労働組合の意見を聞くという場面でございます。
こういう場合には意見をお述べになる方法については制限ございませんので、文書であろうとも口頭であろうとも、どちらでもよいわけですが、文書で提出されればそれは裁判所は当然受理されるというふうに私どもは思っておりますし、またそれ以外の場合、裁判所から積極的に聞くという条文がない場合でも、労働組合から文書等で意見が出された場合には、これは再生計画が円滑に遂行できるかどうか非常に大きな事柄に影響するものですから、それは裁判所は当然受理されるというふうに理解しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/29
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030・竹村泰子
○竹村泰子君 文書で出してきちんと受理されるというふうに確認させていただきます。
次に、債権者集会、債権者委員会において労働組合、労働者代表が求めた場合には参加できますか、どうでしょうか。これも確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/30
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031・細川清
○政府参考人(細川清君) 債権者集会におきましては、これは債権者集会が開かれる場合には裁判所から通知がされることになっております。その通知をする趣旨は、意見を述べる機会を与えるという趣旨でございますので、当然意見を述べることができるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/31
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032・竹村泰子
○竹村泰子君 参加できるものであると確認させていただいてよろしいですね。
それでは、ついでにといっては何ですが、労働債権関係を少しお聞きしたいと思います。
民事再生手続の中で労働債権はどのように位置づけられるのでしょうか。和議法、会社更生法と比較してどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/32
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033・細川清
○政府参考人(細川清君) まず、再生手続から御説明申し上げます。
民事再生手続におきましては、再生の開始決定があった後の労働者の賃金債権は、要するに再生のために必要な債権でございますので、これは全額共益債権として位置づけられますので、随時に他の一般の再生債権に先立って弁済されるわけでございます。
それから、開始前の未払いの賃金債権がある場合の問題でございますが、この場合には株式会社、有限会社の労働者の場合には、これは全額について一般先取特権がございます。したがいまして、全額につきまして一般優先債権としての取り扱いを受けまして、先ほどの共益債権と同様に随時に自由に弁済され、他の再生債権に先立って弁済されるということになるわけでございます。これが再生手続の扱いでございます。
次に、破産手続での扱いでございますが、破産手続におきましては、破産開始後に賃金債権が発生した場合にはこれは財団債権となりますが、多くの場合に問題となるのは未払いの債権でございます。この場合には、先ほど申し上げましたように、一般先取特権がある部分につきましては優先的破産債権ということになりまして、破産の配当の中で支払われるという形になるわけでございます。
それから、会社更生でございますが、会社更生の場合には、一般先取特権等の優先権のある債権につきましてもすべて更生計画にこれを取り込むということになっておりまして、この場合には全額、労働債権等も優先権のあるものも優先的更生債権として扱われます。ですから、基本的には更生計画の中で支払われる。逆に申しますれば、更生計画が可決され裁判所によって認可されなければ支払われないという問題があるわけでございまして、その点を緩和するために会社更生法では特別の規定を設けまして、未払い賃金のうち六カ月分につきましては共益債権としてこれを随時に計画によらないで支払うことができるという扱いになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/33
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034・竹村泰子
○竹村泰子君 民事再生手続から破産手続に移行する場合のことを考えますと、今半分ぐらいはお答えになったのかなと思いますけれども、破産法の改正が同時に必要であると思います。しかし、改正検討の日程と内容は、大臣いかがでしょうか。予定に上っておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/34
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035・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 今、今回の再生手続と破産手続についての、あるいは破産法、会社更生法の関係につきまして御報告を申し上げたのでございますけれども、今政府参考人の方から御説明をいたしましたいろいろな差異があるわけでございますが、これらの取り扱いの差異というものは破産手続における一般的な優先権のある債権の取り扱い自体に起因をいたしているというふうに考えておりまして、この点につきましては法務省における今後の倒産法制の全面的な見直しの作業におきまして引き続き検討を行っていく予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/35
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036・竹村泰子
○竹村泰子君 改正検討の日程などはまだはっきりとはしていないということであると思います。
賃金債権は一般優先債権に位置づけられておりますが、破産移行時には破産法上の財団債権とならないため、その確保に支障が出ることはないのでしょうか。これらについてはどのような対応が考えられているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/36
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037・細川清
○政府参考人(細川清君) 先ほど申し上げましたとおりに、共益債権というのは再生債権者全体の利益に資する共益的費用の性格を有します。そういうことから随時弁済を認められているものでございます。このような再生手続における共益債権の性格にかんがみますと、破産手続移行時期における保護を図ることのみを目的として賃金債権を共益債権とすることは相当ではないというふうに考えております。
先ほど申し上げました会社更生法の規定は一部開始前の労働債権を共益債権としておりますが、これはこのような手当てをしませんと、更生手続開始前の労働債権が優先的更生債権という扱いとなって手続開始後の弁済を禁止され、計画が成立しなければ支払われないという問題があるからでございます。
御指摘の問題はこういった再生法や更生法というよりもむしろ破産法の一般的な扱い、優先債権をどういうふうに扱うかという問題でございますので、今後の倒産法制の整備の中で引き続き慎重に十分検討してまいりたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/37
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038・竹村泰子
○竹村泰子君 いろいろお聞きしてまいりましたが、大臣、労働者の賃金債権については共益債権と同レベルの一般優先債権として、再生手続外の債権として権利行使できるものと百二十二条でしているわけですけれども、会社更生法と比較して賃金全体を優先債権に含み手続内債権とする部分がない点は優位にありますけれども、共益債権と異なり破産移行の場合に優先的な財団債権とならないという問題があるわけであります。
つまり、未払いの労働債権については再生手続において優先的に支払われますけれども、破産に移行すると破産手続によらなければ支払いを受けられず労働債権が保証されないことになるのではないか。未払いの労働債権を例えば財団債権とするなどして、労働者の人権を擁護する観点から労働債権の保証を図るべきであると考えますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/38
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039・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 破産手続における財団債権について随時弁済が認められます理由は、債権者全体の利益に資する共益的目的費用としての性格を有するということに由来するものでございまして、これに対して再生手続における一般優先債権というものは、手続の構造を簡易なものにするため、一般の優先権のある債権を手続の対象に含めないものにするという政策的理由に由来するものでございます。
したがいまして、御指摘のとおり、再生手続が不成功に終わりまして破産手続が開始された場合におきましては、再生手続においては随時弁済の対象となっていた一般優先債権も優先破産債権としての処遇を受けるにとどまるのでございます。
このような扱いの差異というものは、破産手続における一般の優先権のある債権の取り扱い自体に起因するものでございまして、この点につきましては、先ほどもずっと申し上げましたけれども、法務省において今後倒産法制の全面的な見直しの作業において引き続き検討していくものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/39
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040・竹村泰子
○竹村泰子君 今の点は十分な御検討をお願いしたいというふうに思います。
第百四十八条から第百五十三条に担保権の消滅制度が規定されています。この制度はこの法律をモデルとしたアメリカ連邦倒産法チャプターイレブンにはない制度であります。債務者はこの制度によって、再建のため必要不可欠な財産については、財産の客観的な価額に相当する弁済をすることにより担保権を消滅させ当該財産を保持することを可能とするもので、再生のための有力な手段となります。
この制度を採用した背景、他の倒産制度との整合性、金融機関等の担保権者に及ぼす貸し渋り等の影響について御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/40
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041・細川清
○政府参考人(細川清君) 御指摘のとおり、この担保権の消滅制度は全く新しい制度でございまして、従来の法制にはないものでございます。また、委員御指摘のアメリカの連邦破産法の中のリオーガニゼーションのところのチャプターイレブンにも規定がないものでございます。
これを採用した背景でございますが、再生手続は中小企業等に利用しやすい手続とするため、手続構造をできるだけ簡素化し、特別の先取特権、質権、抵当権及び商事留置権を有する別除権者は再生手続の制約を受けないで自由に担保権を行使することができるものとしております。
しかし、これらの担保権の実行について何ら手当てをしないものとすれば、再生債務者の事業の継続に欠くことのできない財産について担保権が実行されることにより事業の継続が事実上不可能となる場合が生じる可能性があります。そこで、利害関係人の間の公平を図りつつ、再生債務者の事業継続に欠くことのできない財産を確保するため、担保権者に対して目的財産の価額に相当する満足を与えることにより当該財産の上に存すべき担保権を消滅させる制度を創設したものでございまして、これは現実に倒産の実務を担当しておられる方々から大変強い要望があったものでございます。
次に、他の倒産法制との関係あるいは整合性についてお尋ねでございますが、先ほど申しましたような担保権者を別除権とする扱いをしている法律には破産法があるわけなんですが、破産法は、破産手続は清算型の倒産処理手続でございまして、結局、事業継続を前提としていないわけでございます。ですから、結局のところ、担保権を実行しても事業継続に差しさわりがあるという事態が生じることがありませんので、破産法ではこういう制度を設ける必要はないだろうというふうに考えております。
また、会社更生は、実はこの再生手続では別除権者として扱われている担保権者も更生担保権者として手続内に取り込まれておりまして、更生計画によらなければ担保権者も満足を得ることはできないという形になっておりますので、これも会社更生法上は今度の担保権消滅のような制度は要らないということになるわけでございます。
最後に、金融機関等の担保権者に及ぼす影響についてお尋ねでございますが、結局、担保権の消滅制度では、再生債務者の事業の継続に不可欠な財産であることを裁判所が認定した上で担保権消滅の許可を与え、さらに再生債務者等が当該財産の価額に相当する金銭を現実に裁判所に納付して、そして初めて担保権が消滅するわけでございます。その上で、さらに裁判所から担保権者に担保権が実行された場合と同様な配当がなされるということになります。ですから、担保権者は担保権を実行した場合に比べてこの担保権の消滅制度が行われた場合について不利益になるということはございませんので、現実の問題としては貸し渋り等のような悪影響が生じることはないものと私どもは考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/41
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042・竹村泰子
○竹村泰子君 我が国の倒産手続の中では、労働債権が租税債権に劣っているために賃金債権確保に重大な支障を生じていると私は思います。労働債権を租税債権より上位に位置づけられるように、今後の制度の見直し、このことについて大臣はどのようにお思いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/42
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043・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘の、企業が倒産いたしました場合には、労働債権のほか一般の取引債権、担保つき債権、租税債権、公課債権等のさまざまな債権の間の優先関係が問題となるわけでございますけれども、このような各種債権の優先関係というものは国税徴収法、地方税法、国民健康保険法、民法、商法等の実体法により定められているのでございます。そして、各倒産手続におきましては、各種の債権について実体法上の優先関係を前提としつつ、その範囲内におきまして、各手続の目的や性格に応じましてその手続の取り扱いについてこれを規定いたしているのでございます。
委員御指摘をいただきました労働債権と租税債権の優先関係の問題につきましては、倒産法制のあり方のみにとどまらず、各種の債権者の利益の調整という実体法上のあり方にもかかわる極めて大きな問題であると認識をいたしておりまして、今後ともさらに十分な検討をいたしてまいる必要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/43
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044・竹村泰子
○竹村泰子君 非常に大事な点でありますので、大臣から今後の見直しを含めた検討という御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
済みません、レクと順番が少し、申しわけありません。
もう一つお聞きしておきますが、国税徴収法が労働債権より租税債権を優先しているのはどのような理由だとお思いでしょうか。倒産時ですら租税債権が最優先で取り立てられ、数十年勤務した労働者の未払い退職金が支払えないという事例が続出しております。これをどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/44
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045・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 我が国におきましては、租税債権は原則として納税者の総財産について他の債権に先立って徴収するということになっておりまして、実体法上、租税債権というものは先取特権の登記のない労働債権に優先することとされているのでございます。
租税債権について優先性が認められている理由というものは、一般的に国家存立の財政的裏づけでございまして、国家の活動の基盤をなすものであることから確実に徴収をしなければならないということが理由の一つでございます。さらに、私人の債権というものは債務者の資力を考慮して任意に成立させることができるものに対しまして、租税債権というものは法律に基づきまして一律に成立をするということであるために確実な徴収を確保することは困難である、これらのことが理由である、こういうふうに言われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/45
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046・竹村泰子
○竹村泰子君 我が国においても労働債権を租税債権より優位とする必要があると考えますが、その点はいかがでしょうか。どのような日程と内容で進めるべきとお考えでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/46
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047・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほどちょっと御質問があったわけでございますが、重複することはお許しをいただきたいと思うわけでございますけれども、企業が倒産をした場合には、労働債権のほか、先ほど申し上げました取引債権とか担保つき債権とか租税債権、公課債権等々のさまざまな間との優先関係、いろいろな先ほど申し上げました法律が絡んできておりまして、実体法によって定められているということでございます。したがいまして、各倒産の処理手続においては実体法上の優先関係というものを前提にしつつ、その範囲内において各手続の目的や性格に応じましてその手続上の取り扱いを規定いたしているわけでございます。
したがいまして、この労働債権と租税債権の優先関係の問題というのは今後大変大きな問題でございますので、倒産法制のあり方のみにとどまらず、各種の債権者との利益の調整という実体法上のあり方にもかかわるものでございますので、十分な検討をいたしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/47
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048・竹村泰子
○竹村泰子君 労働省においでいただいておりますが、ILO条約百七十三号、企業の支払い不能時の労働債権の確保を図るものがありますけれども、国際労働基準では労働債権と租税債権はどのような位置づけになっているでしょうか。なぜこれを批准しないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/48
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049・野寺康幸
○政府参考人(野寺康幸君) 先生お触れになりましたILOの百七十三号条約の関連でございますが、この条約は、主要な部分は第二部と第三部に分かれております。第二部の方で労働債権の優先、それから第三部の方で未払い賃金の支払い保証と二つの内容が規定されております。
まず、前半の労働債権に関する部分でございますけれども、先生御質問の中でいろいろお触れになりましたように、現在の我が国におきましては、国税等の公租公課の方が労働債権より優先するというふうにされております。一方、この条約の方では、労働債権は特権を付与された他の大部分の債権、特に国及び社会保障制度の債権よりも高い順位を有する、こういうふうに規定されておりますので、この点がまず矛盾でございます。
第二に、未払い賃金の支払いの保証の部分でございますが、我が国におきましては、賃金の支払の確保等に関する法律という法律がございますけれども、この法律の中で、倒産企業から退職労働者にかかる賃金債権のみを対象としております。一方、条約の方では、使用者が支払い不能に陥った場合のすべての賃金債権について保証する、つまり倒産以外の支払い不能の場合についても保証するといったような内容になっておりまして、この点が第三部の方の矛盾でございます。
そういった理由によりまして、我が国は批准しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/49
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050・竹村泰子
○竹村泰子君 それでは、先ほどからお聞きしているように、そういった点が改正されて矛盾が生じないときには批准をしますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/50
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051・野寺康幸
○政府参考人(野寺康幸君) 日本はILOに加盟しておりますので、ILOの条約は可能な限り批准に努力するということになっております。国内法制が整備されれば、当然ILO条約の批准に向けて努力するということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/51
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052・竹村泰子
○竹村泰子君 私どもの同僚の小川さんがあと質問をいたしますので、時間がなくなってきましたが、最後にそれでは一つだけ。
第四十三条、債務超過の株式会社については、株主総会の特別決議にかわる裁判所の許可により営業の譲渡をすることができるとして、営業譲渡を促進しております。
これに対して四十二条は、「再生手続開始後において、再生債務者等が再生債務者の営業又は事業の全部又は重要な一部の譲渡をするには、裁判所の許可を得なければならない。」として、株主総会の特別決議のほかにさらに裁判所の許可が必要だとしてその要件を加重しています。
まず、営業と事業とはどのように区別されるのか。次に、裁判所の許可という要件を加重した理由は何なのか、どの程度拘束されるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/52
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053・細川清
○政府参考人(細川清君) 四十二条による営業譲渡の許可は、これは営業譲渡を裁判所の許可にかからしめたもので、これを制約したものでございます。
四十三条では「営業の全部又は重要な一部」と規定しており、四十二条では「営業又は事業の全部又は重要な一部」と書いてございますのは、四十二条は株式会社にとどまらずすべての企業、すなわち有限会社あるいは例えば医療法人とかすべての企業に適用あるものですから営業という言葉をこの場合使えないわけでございます。営利を目的とする場合、事業のことを法律では営業と言っておりまして、営利を目的としていない事業を事業と言っていますものですから、四十二条は双方に適用ある規定でございますので「営業又は事業」と書いてあるわけでございます。四十三条は、これは株式会社の場合にのみ適用ある規定でございますのでこれは「営業」と書く、商法に倣って営業と規定するということになったわけでございます。
それから、四十二条と四十三条の関係ですが、四十二条はすべての営業譲渡に必ず裁判所の許可が必要だとしたものでございまして、これが不適切に行われますとその再生債権者の利益を害することになりますし、ひいては雇用の安定も害するということになるので、裁判所の許可を必須なものとして再生に資するものであるかどうかを確認させる、こういう意味でございます。
四十三条はどうして置かれているかと申しますと、債務超過になっている場合には株主権の実質は失われているわけでございますが、他方、倒産的な状態になった場合には株主が経営に対して関心を失って、株主総会を開いても特別決議に必要な定数を満たすことができないという場合がありますので、そういう場合に備えて四十三条で代替を許可することができるということにしているものでございます。これと同様の規定は、昨年の臨時国会で成立しました金融機能の再生に関する特別措置法の二十二条だったと思いますが、そこにもあるわけでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/53
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054・竹村泰子
○竹村泰子君 裁判所は、再生債権者及び労働組合の意見にどの程度拘束されるのかというところで、労働組合の意見に反しても譲渡の許可を与えるのでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/54
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055・細川清
○政府参考人(細川清君) 裁判所は、第四十二条に規定する営業譲渡の許可をする場合には、知れている再生債権者、労働組合等の意見を聞かなければならないというふうに規定されているわけでございます。そして、裁判所は許可、不許可の判断をするに当たって、これらの意見を十分に尊重することになりますが、法律上はこれらの意見に拘束されるということになっておりません。
そこで、厳密な法律論として申し上げれば、労働組合等が反対の意見を表明しているときでも、裁判所が、営業譲渡が再生のために資するんだというふうに判断すれば許可することは可能であります。もっとも、裁判所は、四十二条の規定する営業譲渡を許可する場合には、営業譲渡がこの法律の目的、すなわち再生債務者の事業の再生に資するものであるかどうかを判断しなければならないわけでございます。
したがって、労働組合等が何らかの理由に基づいて営業譲渡について反対の意見を表明している状況におきましては、裁判所は当該営業譲渡が事業の再生に必要であるかどうかについて極めて慎重に判断するというふうに考えられますので、労働組合が絶対反対と言っている場合には、それを裁判所が許可するということは私どもの考えでは容易に想定できない事態だというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/55
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056・竹村泰子
○竹村泰子君 容易に想定できないということで、労働組合が強く反対している場合に裁判所がどうしても譲渡の許可を与えるということは余りあり得ないというふうに考えてよろしいんですか。
衆議院において、裁判所が許可を与えるに当たって、「この場合において、裁判所は、当該再生債務者の事業の再生のために必要であると認める場合に限り、許可をすることができる。」との修正が加えられました。裁判所が許可を与えるに当たっては、当該営業または事業の全部または重要な一部の譲渡が再生債務者の事業の再生に資する場合にのみ行われることを明確にしたわけであります。この事業の再生に資する場合と、四十三条の「事業の継続のために必要である場合」とはどのように違うのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/56
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057・細川清
○政府参考人(細川清君) 四十三条の「事業の継続のために必要である」という意味は、営業譲渡がなされないで従前の企業のもとにおいてその営業を続けていようとしてもできない場合、つまり営業譲渡が事業の継続に必須不可欠の場合のことを言っているわけでございます。四十二条はそうではなくて、全体の事業の再生に資する、役立つ場合だという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/57
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058・竹村泰子
○竹村泰子君 ちょっとよくわかりにくいのですが、あとは小川議員にお願いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/58
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059・小川敏夫
○小川敏夫君 民主党の小川敏夫です。
この民事再生法の立法の趣旨とかそういう非常に一般的なことをお尋ねするのですけれども、これまで会社を立て直す形の倒産法制といいますと会社更生法と和議法があって、今回、和議法が実情に照らして機能していないということで民事再生法の制定に至ったという御趣旨ですが、もう一つ会社更生法がございまして、再生というのも更生というのも実質的には言葉の意味するところは余り変わらないと思うのです。この民事再生法、個人の場合でなくて会社の場合と会社更生法、ここの目的とするところのすみ分けといいますか違いといいますか、ここら辺はどういうふうになっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/59
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060・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) いわゆる再生手続というものは、中小企業等に利用しやすい手続とするべく手続構造を簡素化しているために、次のような特色を有するもの、こういうふうに申し上げられます。
第一に、原則として担保権や優先権がある債権や株主の権利を制約せず、企業の組織法的な事項にも変更を加えないものとするということでございます。第二に、再生債務者自身が業務を遂行しながら手続を進めることを原則といたしておりまして、管財人を初めとする手続の機関はすべて任意的に選任されるものとしている点でございます。
これに対しまして会社更生手続は、より規模が大きく複雑な案件にも対応できるようにするために、次のような特色を有するものとなっております。
第一に、担保権や優先権がある債権及び株主の権利すべてを手続に取り込みまして、組織法的な事項についてもこの手続によらなければ変更等ができないものとなっているのでございます。第二に、手続が開始された場合には必ず管財人が選任されまして、管財人が事業の運営を行いながら手続を進めるということになっているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/60
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061・小川敏夫
○小川敏夫君 そうした民事再生法と会社更生法の違いのお話を聞きまして、私が感じとして受けとめるところは、民事再生法の方は、会社組織をいじらない、株主の権利も基本的にはいじらないということで会社経営者にとって非常に都合がいい。会社更生法ですと実際上自分の経営権というものは取り上げられてしまうわけですから、会社経営者から見て、自分の立場が温存されてなおかつ会社が再生できるということで非常に都合がいいということ。
これを考えますと、これまで会社更生法にしても、申し立てをするのは実際上その会社すなわち債務者本人、債務者会社が申し立てをしていた、すなわち会社のそれまでの経営者が申し立てをしていたわけですが、そうしたことを考えると、大企業とか中小企業ということに限らず、経営者は自分の身が安泰になりやすい民事再生法の方ばかりを申し立てして、会社更生法は実際上利用する人がいなくなるんじゃないかというふうに私は感じるのですが、そこのところはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/61
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062・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 再生手続と会社更生手続とは、管財人が必要的に選任されるかどうかという点が異なりますほか、手続において変更の対象となる権利の範囲が異なっているのでございます。
すなわち、再生手続は、中小企業等に利用しやすい手続とするべく手続構造を簡素化しているために、原則として担保権や優先権のある債権や株主の権利を制約せず、企業の組織法的な事項にも変更を加えないものといたしているのでございます。これに対しまして会社更生手続は、担保権や優先権のある債権及び株主の権利のすべてを取り込みまして、組織法的な事項についてもこの手続によらなければ変更はできないということにいたしております。
このように、会社更生手続には再生手続と異なる独自の存在意義があるわけでございまして、したがいまして、担保権や優先権のある債権をも権利変更を行わなければ企業の再建を達成できないような事案でございますとか、企業の組織法的な事項をも再構築する必要がある事案等につきましては、今後とも会社更生手続が利用されるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/62
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063・小川敏夫
○小川敏夫君 この民事再生法の問題ですが、仮に再生法が適用されれば、再生計画ということで基本的には債権の回収が棚上げになったりあるいはカットされたりということで、債権者に負担のしわ寄せが行くというふうに思うんです。そもそも会社の経営を傾かせてしまった経営者に経営責任というものがあると思うんですが、その経営責任について、何もとらせない、あるいは何もとらせないというわけでなくても必ずしもとらせるわけではないという一方で債権者にそうした負担を強いるというのは少し経営者に甘過ぎるのじゃないか。そこら辺、この民事再生法における経営者責任のとらせ方についてはどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/63
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064・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 再生手続におきましては、会社更生手続とは異なりまして、管財人が必ず選任されるということにはなっておらないのでございますが、再生債務者の財産の管理または処分が失当であるというとき等につきましては、裁判所が管財人による管理を命ずる処分をすることができるということになっております。
具体的に申し上げますと、経営者が放漫経営を続けておりましたり、経営者の経営能力が不十分であるために再生債権者の多数が経営者の交代を希望しているという場合でございますとか、経営者が再生手続の継続中に重大な職務上の不正行為をしたような場合でございますとか、そうした場合には管財人が選任されるということになると考えられるのでございます。
これに加えまして、経営者等の役員の忠実義務違反による損害賠償責任を簡易迅速に追及するための決定手続による査定の制度を設け、またその前提といたしまして、役員の財産の散逸を防ぐための保全処分の制度を設けているのでございます。さらに、経営者の既往財産の隠匿行為などに対しましては、十年以下の懲役または二百万円以下の罰金という刑罰を定めております。
このように、再生手続におきましては、倒産前後に違法行為を犯した経営者の民事、刑事上の責任を厳格に追及いたすということにいたしているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/64
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065・小川敏夫
○小川敏夫君 どうも私の率直な感想では、余り経営者責任のとらせ方が十分じゃないような感じを持っております。
話はちょっと別の方向に行くんですが、昨年の金融国会でも、金融パニックが起きそうになって、その点について民主党その他の政党が一致して金融再生法というものを成立させた後、さらに資本注入ということで金融健全化法案というものが出てまいりました。基本的に民主党も金融機関に資本注入することについては賛成だったんですが、法案には反対しました。
その反対した理由は、銀行の経営を傾かせたその経営者についての経営責任のとらせ方が十分でない、それから、経営の今後のリストラ策、そうした合理化策について、こうしたものがきちんと担保されなければ資本注入すべきではないんだという立場で民主党は反対したんですが、しかし、与党の方々の賛成で法案は成立しました。
私、そういうのを考えますと、どうもそういうモラルハザードといいますか経営責任というもの、あるいは会社の経営者に限らずすべて物事の責任のとらせ方というものが随分不十分になっているんじゃないかということをつくづく感じてしようがないのでございます。
さらに言えば、今のこの国の問題も、大変国家財政が破綻しておるわけですけれども、こういう国家財政の破綻を招いたこれまで政権を担っていた方も何の責任もとらないということで、責任というものに関して非常にあいまいになっているんではないか、この社会全体が。これはやはりあるべき姿、将来の日本ということを考えた場合に間違った方向ではないかというふうに感じておるわけです。この点までについては別に答弁は要りませんけれども。
そう思いますと、やっぱり今御答弁いただいた経営者責任でも、これは忠実義務違反という、別にこの再生法がなくたって商法なりそうしたことで責任を追及できる場合は追及できるのは当然でございます。そうした法的な違反ではなくて、会社の経営をそこまで破綻あるいは破綻に近いような状態におとしめたということがそもそも経営者としての責任があると思うんです。
忠実義務違反とかそういったことを言わないでも、経営者責任というのは明らかにあると思うんですが、場合によっては、すなわち余りにもひどい経営、放漫経営とかそういった場合にだけ経営者交代とかその他の責任のとらせ方があるけれども、それ以外に経営責任をとらせないというのはどうも経営者に甘過ぎるんではないかというふうに思っておるわけです。
そこのところ、経営者に甘ければ、先ほども言いましたように、経営者に大変厳しい会社更生法ということを逆に皆さん使わないでどっとこの民事再生法ばかりに来てしまうんじゃないかというふうに考えてやまないわけです。
それから、裁判所の判断で例えば管財人を選任するとかいう方法があると言いますけれども、特に中小企業ですと、例えば企業のこれからの経営の再生のためにはやはり人間関係がある従前の経営者がどうしても必要だとか、そうした論理によって結局は経営者が経営責任をとらないまま居残ってしまうんではないかというような不安を私は持っておるんですが、どうでしょう、もう一度この民事再生法における経営者の経営者責任について、大臣かあるいは民事局長さんでも結構ですけれども、詳細に御答弁いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/65
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066・細川清
○政府参考人(細川清君) 民事再生法では、会社更生法と異なりまして、必ず管財人を選任するものとはしておりません。
その理由を申し上げますと、一つは、ただいま御指摘もございましたように、中小企業等は経営者の個人的ないろんな能力とかノウハウ等によってその事業が行われているという場合がありますので、これを法律上必ず排斥するものだとすれば事業の継続がうまくいかない場合もあるんだということが第一点でございます。
第二点といたしましては、やはりこれは、経営者が継続を続けるといたしましても、再生をするためには債権者の法定の過半数の、法定の多数の同意がないと再生計画が認可されないわけでございますから、そういう点で当然債権者の判断が入ってくるということでございます。
それから、中小企業の場合にはこの費用の予納の負担というものも相当多くございます。会社更生法ではその管財人等が必須の機関とされているためにいろんな、少なくとも一千万ぐらい予納しなければならない、大きい企業ではもっと、二千万とか予納しなきゃならないということで、そういうことができないために会社更生手続も利用できないという方があるものですから、中小企業に利用しやすい手続にするためにはやっぱり管財人等の機関を必須にするのは適当ではないという判断もあるわけでございます。
そういうことで、先ほど大臣から御説明申し上げたようなさまざまなモラルハザードの防止の方策をとりまして、経営者の責任があいまいにされないようにしているわけでございます。
それから、再生法では経営者は必ずしも交代されることになっておりませんが、これは管財人を必須なものにしていないというだけでありまして、従前の経営者がこのまま経営を続けたんでは再生がうまくいかないという場合には、本来の商法の手続によって経営者をかえることはもう十分考えられるわけです。それを必要的にしていないのは、先ほど来申し上げたように、費用の負担とかいろんな営業の継続に資さない場合があるからだ、そういうことでございます。
最後に外国の点を申し上げますと、アメリカの会社更生手続は、従前は連邦破産法の十一章にあったわけでございますが、これが全面的に改正されて現在のチャプターイレブンになっているわけでございます。その一番改正の大きな眼目は、従来管財人が必須とされていたものが必須としなくなって、今度の再生手続と同じようにしたわけでございます。
その趣旨は、やはり管財人が必ず選任されて必ず経営者が退任しなければならないとすると、ぎりぎりまでにそれが嫌だと頑張ってしまってかえって企業状態が悪化することがあるからだというふうに言われているわけでございまして、そういうことも考えまして、今回の改正ではアメリカの法律にも倣いまして、従来の和議法の考えも取り入れまして、法律的に必ず管財人が置かれるということにいたさなかったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/66
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067・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 今お話がございましたとおり、その経営者が破綻状態に至るという理由はさまざまなものがございまして、特に現下極めて破産がふえているという現況は、経済のこの状態の中でもって取引先の破綻でございますとか親会社の破綻でございますとか、本人の努力いかんにかかわらずそうした環境になるという方々が非常に多いと思っております。
委員御指摘のとおり、このモラルハザードについてはしっかりと防止していかなければならないと思っているわけでございまして、今後、御指摘も受けまして特に努力をいたして、放漫経営あるいはこうした民事再生手続を使って自分の罪をうまく、会社をやっていこうとするような者についてはしっかりとチェックをしていくということをいたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/67
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068・小川敏夫
○小川敏夫君 経営者責任とは別に、今度は企業の経営が行き詰まっておるわけですから、この株主なんですけれども、債務超過であれば実質無価値、債務超過でなくても無価値に限りなく近い状態にあると思います。そうしますと、債権者に負担を強いて会社を再生する以上、やはり株主についても当然それだけの負担を分け合わなくてはいけないといいますか、要するに価値が減じてしまった株式に相当するだけのやはり措置を講じなければならないと思います。
ただ、どうもこの法案ですと債務超過の場合だけ減資というものがありまして、債務超過でない場合、限りなく無価値に近いけれどもしかし債務超過でないという場合には、特に減資ということで株主の責任ということが明確に定められていないんですが、しかし債務がカットされれば当然会社の資産内容がよくなって株式の価値が増加すると思います。そうすると、どうもその場合、株主は何かぬれ手にアワのような気もするんですが、その株主の責任についてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/68
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069・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 再生手続は、中小企業等に利用しやすい手続とするべく手続構造を簡素化するために、担保権や優先権のある権利のほか株主の権利についても特に制約をせず、企業の組織法的な事項にも変更を加えないということを原則としているということを申し上げました。
しかしながら、再建のための経済的支援を得るためには、適切な資本の減資をするとともに新たな出資者に新株を発行することによりまして、株主の責任を追及しつつ、新資本を導入する必要がある場合も考えられます。
そこで、再生手続におきましては、株式会社である再生債務者がその財産をもって債務を完済することができない場合、すなわち債務超過である場合には、裁判所の許可を得ることによりまして、株主総会の特別決議を経ることなく資本の減少に関する事項を定めた再生計画案を提出することができるものといたしております。このような形で資本の減少が行われる場合には株主責任が追及されることになるのでございます。
再生債務者が債務超過の状態にない場合には、株主の権利は実質的価値を有するものであることになりますので、憲法上の財産権の保障の観点から株主総会の特別決議を不要とすることは困難であると考えております。したがいまして、このような場合には、商法で定める通常の手続に従いまして資本の減少等を行う必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/69
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070・小川敏夫
○小川敏夫君 債務超過の場合はわかったんですが、例えば額面五十円の株が債務超過に限りなく近ければ一円か二円の価値しかないんだと、しかし債務超過ではないから価値があるわけです。しかし、実際これで再生法が適用されて債務が大幅にカットされるということになれば、債務が減るわけですから当然資産内容はよくなる。ですから、一円、二円の価値の株が四、五十円に戻るかもしれませんし、少なくとも債務がカットされたことによって会社資産がよくなるわけですから、当然一円、二円の価値の株がもっともっと高い評価になると思うんです。
そこのところの措置が、債務超過の場合にだけ減資等の措置があるんだけれども、債務超過になっていない場合は通常の一般手続によるといっても、それじゃ要するに株主に任せるみたいなところでして、果たしてそれが実行されるのかどうか。どうもそこのところが不十分じゃないかという点、今御答弁いただきましたけれども、ちょっと株主責任のとり方が欠けているなと。むしろ再生計画の中で裁判所が減資というものを一つの条件とすること、これはよろしいわけですね、民事局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/70
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071・細川清
○政府参考人(細川清君) 減資をするかどうかは基本的には再生債務者等が御決定になるわけで、株式会社の場合は経営者が判断した上で株主総会の決議で行うということになるわけでございます。ですから、裁判所がどのように決断するかというのは要するに事実上の問題でございまして、裁判所が、そういうことをしないと債権者の大方の同意を得られないぞという御判断ならばそういうことを進めるという場合もあろうかと思っております。
それからもう一つは、債務超過に近い場合なのに裁判所の許可でできないのはおかしいではないかという御指摘なんですが、実は昨年の臨時国会の金融機能再生法の問題で大変議論された問題でございまして、その議論の結果、現在の金融機能再生法の二十二条であったと思いますが、ここではこれと全く同じ条文になっているわけなんです。その理由は、やはり少しでも株主の権利が実質的価値を持っている場合には、議決権まで飛ばしてしまうというのはやや財産権の保障から見て行き過ぎではないかという議論でそうなっておりまして、先例がありますことも考えましてこのようになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/71
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072・小川敏夫
○小川敏夫君 どうも債務超過でない場合に株主が得してしまうのではないかというふうに私は思っておりますので、そういう意見も述べさせていただきます。
次の質問に行きますけれども、これは再生法に限らず会社更生法でも破産法でもそうなんですけれども、すべての債権者に手続が十分に理解できるように説明されているか。あるいは会社の状況が例えば貸借対照表が出てきて通り一遍の説明で終わってしまうとかいうようなことが何か多いような感じがあって、どうも債権者からすると、何かよくわからないうちに会社やあるいは大口の債権者等が決めてしまって、蚊帳の外に置かれてしまうというようなことを述べる方も多いんです。
この民事再生法において、手続の透明性とかあるいは債権者その他利害関係者に対する実情の把握ができるような情報公開といいますか、こういった点についてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/72
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073・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 御指摘をいただきましたとおり、破産法や会社更生法等におきましては、一定の範囲の文書について利害関係人の閲覧に供するために裁判所に備え置く旨の規定があるのみでございまして、裁判所に提出されたその他の文書につきまして閲覧をすることができるかどうか明確ではございませんでした。
そこで、本法律案におきましては、再生手続に関しまして、裁判所に提出され、または裁判所が作成した文書一般につきまして、閲覧、謄写に関する明文の規定を設けて、どのような文書についてどのような場合に閲覧をすることができるか等が明確になるよう立法的な解決を図っているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/73
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074・小川敏夫
○小川敏夫君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/74
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075・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
先行委員の質問でかなり論点が出てきたなと思っておりますが、若干重複もあるかと思いますが、質問をさせていただきたいと思います。
ここ二十年くらい各国で倒産法制がかなり新たな形で改正されて整理されてきたというような世界の動きがあるようでございます。また、そんな中で日本においても、先ほど御説明がありましたけれども、数年前から倒産五法の問題点を整理しながらやってきたということでございますが、この民事再生法を先行させて、和議法にかえてやっていくというその理由をもう一度教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/75
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076・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 法務省におきましては、平成八年十月に倒産法制の見直し作業を開始いたしまして、平成九年十二月には倒産法制全般につきましての見直しが考えられる具体的な事項を取りまとめました倒産法制に関する改正検討事項を策定いたしました。これを公表いたしますとともに、関係各界に対する意見照会というものを行ったのでございます。その後、この意見照会に対する関係各界からの御意見等も踏まえまして、倒産法制全体についての統一的な見直しを図るべく作業を進めてまいったのでございます。
しかしながら、昨年九月に、経済情勢にかんがみまして、特に緊急の対応を必要とする中小企業等に利用しやすい再建型の倒産処理手続の整備につきまして、他の検討課題と切り離しまして最優先の課題として検討することといたしまして、それ以降、法制審議会においてこの課題について集中的に検討を進めまして、本年八月二十六日の答申に基づいて民事再生法案の提出に至ったものでございます。
なお、個人債務者の破産事件も年々増加をいたしております。その傾向がございますので、早急に法的制度の整備を図る必要があるということは十分に認識をいたしております。
法務省といたしましても、できる限り早期の法制化を目指しまして、現在、法制審議会倒産法部会におきまして鋭意検討を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/76
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077・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 昨年九月から中小企業に適する手続をということでございますが、バブル崩壊後、本当に大変な経済状況が続き、政府においても数次にわたってずっと景気対策をやってきているところであるわけで、去年の九月から突然ふえたというわけではないと思うんです。
確かに中小企業は大変だと、地元を回っていても中小企業の経営者の皆さんが大変な状況であるということはよくわかっておりますが、ただ、これ一本、これだけを中小企業対象に先行させていくのは私はどうかなと実は思っております。
というのは、やはりこれは倒産法制全体をきっちり整合性を持った形で本来やるべきではないか。外国の例でありますと、多分一本化して、仮管財人みたいなものを置いて、再建型あるいは倒産型というふうにそこで見きわめていくというか、手続に入ってから見きわめていくというようなやり方もあろうかと思うんです。
また、先ほども再生手続から破産手続とかそういう移行の問題もありましたけれども、やはりそのように一本化していった方が倒産法制としてもより使いやすいものになるんではないかというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/77
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078・細川清
○政府参考人(細川清君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおり、平成八年に改正作業を始めたときは、ただいま魚住委員御指摘のような事情を踏まえまして、倒産五法全体の改正をしようという考えで始めたわけでございます。
ところが、何せ対象の条文は現行の法律だけでも全部で八百条ぐらいあるんですが、これを全面的に見直すためには相当時間がかかるということで、当初五年ぐらいかかるという見込みで始めたんですが、御承知のとおりの経済情勢がございまして、非常に倒産企業がふえている。特に中小企業では、自分のところの問題だけではなくて、いわゆる連鎖倒産的なものも相当あるということで、やはり再建型の倒産法制を早くしてほしいと。大会社については会社更生法がございますのでそれなりに機能しているんですが、中小企業の使えるのは和議法しかないものですから、和議法が、先ほど来御質問がありますように、竹村委員からも御質問があってお答え申し上げたとおり非常に問題点があるということで、やはりこれをさらに早くしなきゃいかぬという意見が大変強くなってまいりました。
それで、最終的には当時の中村法務大臣から私に御指示がありまして、やはりこれを早急にすべきではないかという御指示があったので、私どももなるほどということで一年間頑張ってこの法案だけを出させていただいたということでございます。
御指摘のとおり、全体を見直すことは当然でございまして、その中でまた再生法に関係することも出てくるかもしれません。ですから、私どもといたしましては、残りの部分についてもできるだけ早く作業を進めたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/78
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079・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 そうすると、まずこの法律で一本先行させていく、また今後残ったものもやっていくというふうになりますと、当然相互に関連がありますし、整合性をきちっととるということが大事になるし、もう一度この民事再生法も見直す必要が出てくるんではないか。だから、法制審議会においても二度手間になるんではないかというような意見もあったかもしれませんけれども、その辺と、全体の見直しへの決意というものをちょっとお聞きしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/79
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080・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 今、参考人の方からお答えをいたしましたとおり、現下の経済情勢で中小企業の倒産等も急速にふえている、こうした環境にぜひとも対処しなければならない。中小企業が頼りにしております和議法というものは使い勝手が悪い、こうした中でもってこれを先行させたわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、残りました個人破産の法制につきましても引き続き、できるだけ早い機会に成立させるようにいたしまして、努力をいたしてまいりたいと思っております。
なお、これらの相互の関連につきまして、当然のことながら、問題がある場合には改正するにやぶさかではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/80
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081・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 先ほど申し上げたような倒産法制の一本化という点も踏まえて、その点もぜひ考慮の一つに入れていただきたいなというふうに思うところであります。
続きまして、先ほど来、賃金債権のことがかなり先行質問の中で出てまいりました。私も本当にそうだなと思うところであります。さきの特定調停の法案審議の中でもこの租税債権というものの取り扱いが問題になりましたし、よく考えてみたら、オウムの破産に関連して租税債権を放棄するような法律も前にやりましたね。それほど租税債権というものが、各地方の税では条例で放棄したような形でオウムの破産財産形成に一生懸命国も地方もやったというような記憶があるんですが、やはり租税と債権者の関係というのは問題になるのではないか。
特に、賃金債権になると、メキシコではまず第一順位が賃金債権ですか、そういうふうになっているようでありまして、賃金債権、それから管財人の報酬、その次が税金だというような順位になっているようで、私などは管財人の報酬がまず一番に来なきゃ物事は動かないなと思っているところでございますけれども、それほど賃金債権というものを最優先で考えていこうというのが世界の大勢だと思うんです。
大臣も、また先ほど労働省の方もいろんなことを言いますし、それは国全体の基盤を支える債権だというようなことでその理由づけがあるんですが、そういう状況から見ていくと、もう一度抜本的に租税債権と賃金債権の優劣という問題を、多方面に係るわけでありますが、そういうような見直しというものをしっかりすべき時期に来ているのではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/81
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082・細川清
○政府参考人(細川清君) 基本的な考え方は先ほど大臣が御答弁なされたとおりでございまして、こういった労働債権のほかに一般の取引債権、それから租税債権、担保つき債権あるいは公租公課等の債権、さまざまな債権の優先関係が倒産の処理手続では問題になるわけでございます。
こういった優先関係は、国税徴収法とか地方税法、国民健康保険法、民法、商法等の実体法に規定されている。さらに、これらの問題は倒産の後処理の中だけではなくて個々の民事執行の場面でも問題になってくるということで、すべての問題に係る問題で、しかも手続法の問題ではなくて実体法の問題でございます。
ですから、これは極めて広い問題でございまして、かつ先ほど申し上げましたいろんな実体法の規定の中には、民法、商法は法務省の所管ですが、それ以外のものには他省庁の所管のものもあるということで非常に難しい問題を含んでいるわけでございますが、これは各種債権の利益の調整という実体法のあり方にかかわる極めて大きな問題でございますので、今後ともこれは検討していかなければならない問題だというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/82
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083・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 先ほど竹村理事からの質問の中で、民事再生手続から破産にもし移行した場合の賃金債権の扱いが変わって云々というような話がございましたけれども、実際、破産管財業務になった場合、普通の破産管財業務でもそうですが、賃金債権は優先的破産債権ですから配当の中でも優先されるわけですね。そうなると、配当期日まで待ってその満額を出すということよりも、生活もあることですから、ほとんど破産管財人が労働者と和解といいますか、示談をやって、それを財団債権化して、事実上裁判所の許可を得てやるというのがかなり多い。これは、最高裁の破産事件実務みたいな資料集の中にもそういうような事例がありまして、やっぱり労働者、働いている人の生活そのものにかかってくるわけで、実務ではそんな隘路を使って何とかクリアしたいというのが実態の動きなんですね。だから、それは建前の国のあり方、税のあり方、もちろん大事ですけれども、やはりそういうことを考えていったら、もう一度大臣、この租税債権と労働債権のあり方について真剣に大蔵も含めて議論をしていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/83
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084・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御自身の御経験の中で実態のお話がございまして、それらの実態というのは極めて大切だと思いますので、貴重な御意見としてお伺いをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/84
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085・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 それで、あとちょっと二点ほどお聞きしたいんですが、保全措置がありますが、これは包括的な禁止命令もありますが、先ほど民事局長の方からオートマチック云々とありますが、やはり取り立ての自動停止装置といいますか措置といいますか、抜け駆け禁止であるとか手続の公正等を考えた場合、これを導入した方がより簡便ではないかと。こういう倒産直前の事態において個別に判断していくよりも、まずはオートマチックに停止という形でやった方がいいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/85
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086・細川清
○政府参考人(細川清君) アメリカの法律にありますいわゆる自動停止の問題、オートマチックステイの問題でございますが、この問題は非常に大事な問題でございまして、実は、改正検討事項を公表した中にそういう制度を取り入れるかどうかということも重要な一項目として入っていたわけでございます。
これについて多数の意見をいただきましたが、やはりこれは乱用の危険があると。要件をそんなに限定しているわけではありませんので、申し立ててあれば直ちに全部債権者の強制執行がとまってしまうというのは、日本ではややちょっと乱用のおそれが大き過ぎるという意見があって、賛成する意見は余り多くなかったわけです。
ただ、その反面、現在の個別的執行ではちょっと煩瑣に過ぎるのでもう少し包括的な停止命令ができないか、あるいは事前に包括的に禁止していくのを裁判所が認めることができないかという意見が相当数ありましたので、今回の改正法案におきましては、包括的禁止命令という従来の倒産法制ではない手続を設けまして、そういったオートマチックステイを賛成だと言われた方の御要望にもその何割かは要望におこたえするということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/86
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087・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 それから、今回、担保権消滅制度というのが取り入れられました。これは、事業の継続に不可欠なものであるということで裁判所の許可に基づいてやるわけですが、これ、担保権ですから、大体不動産の登記があると考えていいと思うんですが、これは、登記も嘱託で抹消されるんでしょうか。確認です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/87
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088・細川清
○政府参考人(細川清君) 担保権の価額に相当する金銭を再生債務者が納付いたしますと、担保権の登記は裁判所の嘱託によって抹消されることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/88
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089・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 その場合、賃借権の仮登記とか、実務的になると、担保権かどうかというのが争われることが多いんですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/89
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090・細川清
○政府参考人(細川清君) まず、法律の理論的なあれですと、賃借権は担保権ではないのでこの手続で抹消するのは行き過ぎだということで、そこは抹消しないことにいたしたわけでございます。
ただ、これは、対象の物件が事業の再生に欠くことのできない財産でございますので、そういうところに賃借権がついているというのは普通は考えられないであろうということも考慮しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/90
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091・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 考慮しているということですが、そうすると、抹消登記請求を起こさぬといかぬということですか、この賃借権仮登記は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/91
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092・細川清
○政府参考人(細川清君) ですから、賃借権があってそれを抹消すべき理由がある場合には、従来と同じように、相手方が任意に応じない場合には抹消請求を起こさざるを得ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/92
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093・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 租税債権に基づく差し押さえ命令が登記される、これはどうなりますか。何しろ事業の継続に不可欠なものであるときということになりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/93
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094・細川清
○政府参考人(細川清君) これは、租税債権は一般の優先債権でございまして、この手続の対象内に取り込んでいないわけでございます。したがいまして、そういう観点から、国税徴収法による差し押さえ等については、これは担保の消滅という規定は置いておりません。
ただ、国税徴収法に、一定の要件がある場合にはその競売の続行を停止し、あるいは一定の場合には一定の期間停止することができる、あるいは場合によっては解除するという規定もあったと思いますが、国税徴収法に基づく対処が可能だということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/94
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095・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 時間を余らせておりますが、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/95
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096・風間昶
○委員長(風間昶君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
午後零時七分休憩
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午後一時三十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/96
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097・風間昶
○委員長(風間昶君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、民事再生法案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/97
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098・橋本敦
○橋本敦君 今回の民事再生法案が出てまいりまして、今、全国的に大企業を中心に大変なリストラで、多くの労働者が解雇あるいはさまざまな不利益を受けて社会的問題になっております。
こういう中で、今度の民事再生法がそういう企業のリストラをどんどん進めるということに使われ、労働者の権利、労働組合の権利が不当に侵害されることがあってはならない、これはもう基本的に大事な前提でございますけれども、その点について、提案について事務方で責任を負われる民事局長はどんなふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/98
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099・細川清
○政府参考人(細川清君) 民事再生手続の実施によりまして労働者の権利が不当に害されるようなことがあってはならないことは御指摘のとおりでございます。
私どもといたしましてもこの点については相当の配慮をいたしたつもりでございまして、まず労働債権につきましては一般優先債権として手続外で随時に弁済されるものといたしました。また、各手続の節目節目で、重要な情報につきましては労働組合に通知し、そして意見を聞くべきところは意見を聞くということの規定を設けまして、労働者の権利が害されないようにということを配慮したつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/99
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100・橋本敦
○橋本敦君 具体的には、二十五条を見てみますと、裁判所がこの再生手続開始の申し立てを棄却する、棄却しなければならない場合の一つとして、「不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、」という規定がございますね。この「不当な目的で」ということの中には、当然、労働組合を嫌悪しあるいは不当労働行為的に労働者の解雇を容易ならしめる、そういったことを通じて再生を図ることが意図であるというようなことが明確なときには、不当労働行為というのはまさに法違反ですから、そういった場合は裁判所はこの二十五条によって再生手続の開始については棄却をすることになる、こう理解してよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/100
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101・細川清
○政府参考人(細川清君) 御指摘の法案第二十五条第四号の「不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。」の意味でございますが、これは真に再生手続の開始を求める意思や真に再生手続を進める意思がないような場合を指すものでございます。したがいまして、ただいま御指摘がございました、例えば専ら労働者を解雇する目的でなされたとか、あるいはもう全く労働協議に応じないためにやった、そんなことは許されないわけでございますから、そういう場合にはこの再生手続の目的に照らし不当な目的で申し立てされたという場合に当たる。したがってそれは開始がなされないということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/101
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102・橋本敦
○橋本敦君 それは裁判所が判断するわけですが、そういう不当な、不当労働行為的目的でなされたということを裁判所はどういう機会にどういう方法で審判、判断の対象になり得る規定になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/102
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103・細川清
○政府参考人(細川清君) 申し立てがなされた場合に、開始決定をするかどうかを裁判所が判断するわけですが、その場合には申し立て者がさまざまな疎明資料等を出すわけですが、それ以外に裁判所が職権で調査することになります。したがいまして、また、関係者がその申し立ての事実を知っていて事実を知らせてくるということがあれば、そのことも裁判所は考慮して判断されるわけでございます。労働組合等が開始について御意見があれば、御意見を提出されれば、その職権調査の一環として当然に裁判所がこれを考慮した上で判断されるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/103
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104・橋本敦
○橋本敦君 その職権調査というのは何条で規定されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/104
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105・細川清
○政府参考人(細川清君) 八条第二項でございまして、「裁判所は、職権で、再生事件に関して必要な調査をすることができる。」と規定してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/105
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106・橋本敦
○橋本敦君 したがって、裁判所はその職権調査に当たって八条の規定により労働組合に意見を聴するという手続をとることは、これはこの規定から可能だということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/106
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107・細川清
○政府参考人(細川清君) そのとおりでございます。
現在の会社更生法の運用におきましても、裁判所は労働組合のあるところには労働組合の御意見を聞いて職権調査をするというのが一般的な実務の扱いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/107
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108・橋本敦
○橋本敦君 そこで私は、一つの提案ですが、そこまでおっしゃるならば、二十一条の再生手続の開始について労働組合の意見を聞く、労働組合に通知しその意見を聞くというようにしてよかったのではないか。私どもはそうすべきだということで修正案を用意しておりますけれども、今の御答弁を法的に保障するということのためには二十一条で当然労働組合に意見を聞くというようにすべきだ、こう考えますがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/108
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109・細川清
○政府参考人(細川清君) 先ほど御答弁申し上げました職権の調査の方法には全く方法に限定がございませんので、裁判所は、労働者や労働組合等の意見を聴取することを含めて必要と認めるあらゆる方法を用いることができます。
このように、裁判所が必要と認める事案においては労働者から意見を聴取することができるのでありますので、すべての事案について一律に労働者等の意見聴取を義務づけるというのはかえって手続を硬直的にするのではないかということで、今回はそれは取り入れていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/109
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110・橋本敦
○橋本敦君 それは、先ほど民事局長が答弁された労働組合の意見の尊重という点からいえば、法的にそうしておいて一向に差し支えないと思いますよ。
そこは意見が違いますから、次に進みますけれども、労働組合に対して再生計画で人員整理を基本的に内容とするいわゆるリストラ、これを再生計画の中に入れるということが初めから意図されているような場合は、これはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/110
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111・細川清
○政府参考人(細川清君) 再生計画によって権利を変更したりすることができるのは再生債権者の権利でございます。御指摘の、労働契約を解除する、こういう問題は再生計画の内容になりませんので、仮に再生計画にそれを書くということは、それによって法律的な効力が生ずるわけではないわけです。ですから、労使の間で協議されて話がまとまっているというものを再生債権者に知らせるために、情報提供のためだけに計画に載っているというのは差し支えないんですが、再生計画により解雇するというのがあったら、これは法律で無効なことが書いてあるわけですから、それは裁判所がこれはだめだと言って直させる、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/111
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112・橋本敦
○橋本敦君 今の御答弁は非常に大事であって、一方的に再生債務者つまり企業の側が労働組合との協議なしに人員整理計画を再生計画案で出すというわけにいかないという筋があるということですね。
そこで私はもう一つ御意見として伺いたいんですが、そういう状況ですから、再生計画、これを作成するに当たって再生債務者は労働組合と事前協議をするのが、当然、労働組合には団体交渉権という憲法上の権利があるんですから、事前の協議をするということをこれは明文で法的にも書いておいてよかったのではないかと思いますが、局長の御意見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/112
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113・細川清
○政府参考人(細川清君) 再生手続におきましては、裁判所は提出された再生計画案について労働組合等の意見を聴取しなければならないものとされております。これは法案百六十八条で規定しているところでございます。これは、労働組合等の計画案に対する意見が計画案の遂行の可能性を判断するに当たり重要な判断資料となるからでございます。したがって、そういう意見を出す以上は、再生債務者である企業体は労働組合の意見を聞きながら裁判所に意見を提出するというのが通常のたどるべき筋道じゃなかろうかと思っています。
ただ、義務づけの点について申し上げますと、先ほど申し上げましたように、再生計画は再生債権者の権利の全部または一部を変更するものであって、共益債権や一般優先債権に該当する労働債権は計画により権利を変更されることはないわけでございます。また、労働条件の変更等の労働法上の権利義務も計画による変更の対象とはならないわけでございまして、これらについては通常の労働関係法規に基づいて企業と労働者、労働組合との間に団体交渉をして協議をするということになろうかと思います。したがいまして、この民事再生法の中で作成に関して意見聴取以上に事前協議を義務づけるというのは、法律の性格からいっても適当ではないという判断に至ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/113
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114・橋本敦
○橋本敦君 しかし、百六十八条あるいは百七十四条で、再生計画案について、あるいは認可について、労働組合に対して通知し意見を聞く、こういう手続がありますね。だから、そこで意見を聞くというのは、今局長がおっしゃったように、労働者の権利保全、労働組合の地位保全ということもありますが、再生計画それ自体を円滑に進める上でも労働組合の協力が要るんですから、そういう意味でこの立法趣旨としては、労働組合の意見を聞くというのは、そういう趣旨で再生計画を円滑に進める上でも必要だということから出てきているんじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/114
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115・細川清
○政府参考人(細川清君) 事業を継続してその企業が再生するためにはそこに働く労働者の合意があることが、合意といいますか協力が必要なことは言うまでもありません。この会社が見込みがないと思って従業員の皆さんがみんなやめてしまえば再生ができないことははっきりしているわけです。そういう意味で、労働者側の理解と協力が再生計画の実施のために必要だということは御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/115
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116・橋本敦
○橋本敦君 そういう意味で手続上も法律上も重要な意味を持つわけですから、労働組合が意見を言った場合には裁判所は誠実にそれを尊重するという立場で御検討願うのが法の趣旨に沿うことだと私は思いますが、法務大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/116
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117・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘のとおりでございまして、再生のためには働いておられる労働者の皆さん方の御協力が必要でございます。そういう意味において、裁判所におきましてもそれらの意見というものを最大限尊重するということはそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/117
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118・橋本敦
○橋本敦君 そこで民事局長、ちょっと法的な問題で百七十四条についてお聞きをするんですが、第一項で、裁判所は次の場合を除き再生計画認可の決定をする、こうございますね。次の場合というのは次項ですから、2に書いてございます。それで、労働組合の意見を聞くというのは、「再生計画案を認可すべきかどうかについて、意見を述べることができる。」、意見を聞くというのは第三項になってございますね。ですから、労働組合の意見は聞くけれども、聞かなくても、あるいはこの手続を怠っても、あるいは中身、内容について十分誠意を持って債務者が聞かなくても、第一項に基づいて、第二項の場合以外はこれは再生計画の認可を決定する、こう書いてあるんですから、無視されたらどうなりますか。第一項は、無視してよいという規定に読めますか、どうですか。そこが問題なんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/118
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119・細川清
○政府参考人(細川清君) これは、規定の順番はただいま橋本先生が御指摘のとおりでございますが、労働組合等は要するに百七十四条の第二項にある事由があるかどうかということについて意見を述べるということになります。ですから、例えば労働組合が全く協力する意思がない、反対だというときにはそれはどこで考慮されるかと申しますと、二号の再生計画が遂行される見込みがあるかどうかというところで考慮されるわけです。
それから、先ほど言いましたように、御指摘のような例えば労働者をちゃんとした労働協議も経ないで首にするというようなことを仮に目的としているとすれば、それは再生計画の決議が債権者の一般の利益に反するということには直接には当たりませんけれども、全体としての中で考慮されていくわけでございます。再生手続が遂行される見込みがあるかどうかという点において主として考慮されるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/119
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120・橋本敦
○橋本敦君 第一項があるからといって決して無視はされないという御答弁だというように理解をいたします。それでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/120
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121・細川清
○政府参考人(細川清君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/121
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122・橋本敦
○橋本敦君 では、次は営業譲渡問題に移りますが、四十二条、営業譲渡ですね、これで衆議院の方で修正がなされました。この修正は、四十二条の再生手続の中で営業譲渡ということによって労働者、労働組合の権利や地位が大変大きく重大な侵害を受けるというようなことがあってはならないということも含めて、この修正で言う「当該再生債務者の事業の再生のために必要であると認める場合に限り、」ということの中にはその趣旨も含まれていると解してよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/122
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123・細川清
○政府参考人(細川清君) 四十二条でただいま御指摘のような修正がなされた趣旨は、要するに、営業譲渡を許可する場合には、この営業譲渡が一般の債権者あるいはその企業で働く労働者に対する影響が大きいものですから、そういったことを考えた上で全体の再生に資するかどうかを考慮しなければならない。そういう再生のために資する場合に限るんだということを明らかにした修正であるというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/123
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124・橋本敦
○橋本敦君 したがって、労働組合を嫌悪し労働者の解雇をしたいということの意図が明々白々だというような場合には、これはだめだよというように解釈して裁判所は判断されるというように理解できるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/124
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125・細川清
○政府参考人(細川清君) 労働者を解雇するだけの目的というのは再生に資するわけではありませんので、そういう場合には許可はされないということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/125
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126・橋本敦
○橋本敦君 もう一つ問題なのは四十三条なんですが、四十二条と違って四十三条での営業譲渡ですね、この場合には裁判所が労働組合などの意見聴取の規定がないんですが、これは統一的に四十三条でも当然意見聴取をしていいはずだ、こう思うんですがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/126
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127・細川清
○政府参考人(細川清君) 四十二条は営業譲渡をする場合のすべての場合に適用される規定でございまして、株式会社であっても債務超過に陥っていないような場合には、その場合には四十二条の許可を得た上で株主総会の特別決議が必要となるわけでございます。
四十三条は特別決議ができないような場合を踏まえて規定しておりますので、四十三条の許可を得ようと思うときは四十二条の許可も得なきゃならない、双方の許可を得なければならないわけです。ですから、四十二条のところで四十三条のところも、全体を含めて御意見を伺うということになりますので、四十三条のところは法文上はあえて規定していないというだけのことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/127
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128・橋本敦
○橋本敦君 したがって、労働組合の意見を聞かなくてもよいとまで読む必要はない、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/128
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129・細川清
○政府参考人(細川清君) 御指摘のとおりですが、四十二条で四十三条の場合にも適用がありますから、当然意見を聞かなければならないということになっているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/129
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130・橋本敦
○橋本敦君 そこで、今回の手続では、労働組合に対してあるいは労働者に対して、再生計画案について、あるいは営業譲渡に関する許可に当たって、あるいは財産状況報告集会における意見について意見を陳述する機会を認めるとか、そういう規定が置かれました。これは私は結構なことだと思います。また、竹村委員から御質問ありましたが、債権者集会の通知を受けたら出ていって発言することもできるんだよというお話もありましたから、これも結構だ、こう思うんです。
そこで、企業と労働組合が協力しながら再生、再建をしていく上で、労働組合は企業の財務状況、取引状況その他についてやっぱりある程度の誠実な情報開示を受けていなければ、私はきちっとした意見を申し上げる、あるいは協力するということは難しくなると思うんです。この規定全体から見てそういう情報開示規定がないのは一つの欠陥じゃないかと私は思うんですが、いかがでしょう。どうお考えでしょうか。
十七条の関係で言えば、利害関係人は裁判所書記官に対して裁判所に提出された資料等を閲覧あるいは謄写できる、こうありますね。この利害関係人には、そういう意味では当然労働者、労働組合も含むと私は解釈すべきだと思いますし、一般に労働組合、労働者に対して、意見を述べる前提として資料の開示あるいは情報の開示、こういったことはどうあるべきだとお考えですか。私は積極的に開示した方がいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/130
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131・細川清
○政府参考人(細川清君) 民事再生法案では、労働組合に意見を聞く場合が幾つかございますが、この労働組合が述べる意見が適切でかつ充実したものとなるためには、再生事件に関する十分な情報が開示される必要があるわけで、この点は御指摘のとおりでございます。
この法案におきましては、再生事件に関して裁判所に提出されまたは裁判所が作成した文書一般に関して利害関係人が閲覧、謄写をすることができる旨の規定を置いております。これは十七条でございます。これが原則でございます。そして、労働組合はこの利害関係人に当たるというふうに解釈されますので、再生事件に関する文書の閲覧ができるわけでございます。
それから、労働組合は債権者集会に参加して事件の進行に関する十分な情報を得ることができますように、裁判所は債権者集会の期日を労働組合に通知することといたしておりますので、そこに出席していただければ情報を得ることができるということにしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/131
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132・橋本敦
○橋本敦君 だから、基本的に民事局長としては、こういった再生を労使が協力しながら進め、あるいは労働者が権利を保全し自分の立場を守る上でもそういういろんな機会を使って情報開示を要求できる、また要求していいんだ、こういうように解釈していいわけでしょう。
そこで、もう一つの問題は、にもかかわらず営業譲渡ということがやむを得ず行われる場合、四十二条、四十三条の関係で出てくるんですけれども、この営業譲渡というのは労働組合、労働者に重大な影響を及ぼすんですけれども、労働契約や労働協約がこの営業譲渡で引き継がれていくということをこの法律ではどこにも書いていないんですが、それは重大な問題なんです。そこらはどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/132
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133・細川清
○政府参考人(細川清君) 実は、労働契約等が営業譲渡の場合にどういう影響を受けるかというのはさまざまな見解があるところでございます。
ただ、この問題は再生手続が開始した場合だけに限って起こる問題ではなくて、そういう手続が開始していない場合にも営業譲渡がされる場合は多々あるわけでございまして、そういうところの一般の問題でございます。ですから、そういった一般の問題としてこれから考えていかなければならない問題だというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/133
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134・橋本敦
○橋本敦君 一般論ということになりましたが、一般論で言うなら労働判例のやっぱり成果と傾向というものをとらまえておく必要がありますね。
例えば、一九五〇年七月六日の東京地裁判決、これは済生会中央病院事件ですが、「正当の事由なくして特定人の承継を拒否し得ないと解しなければならない。けだし経営組織ということに着目してみれば、その活動の継続中経営主体の交代に際し、特定人を排除することは、実質的には、そのものを解雇すると同じことになる」、こういう判断を示しているわけです。
特定人の承継を拒否し得ないんだよ、正当の理由がなければと。つまり、企業譲渡をするけれども、その労働者の首を切るんだということが前提になってはならないというのが判例理論の基本なんですが、こういった判例理論、今日までずっと発展をしてきておりまして、基本的には営業譲渡について労働者の労働条件が維持されるというのが基本でなくちゃならぬというように思うんです。
例えば、ECの理事会指令等でいわゆる解雇規制に対する指令あるいは営業譲渡の場合の雇用、労働条件の保障に関して既得権指令が出されている。こういったことを見ましても、企業譲渡の時点で存在している労働契約、労働関係から生ずる譲り渡し人の権利義務は譲り受け人に移転するというふうにEC指令では言っているんです。あるいは、譲り渡し人が締結した労働契約に定める労働条件は譲渡後も譲り受け人に維持するものとするということが基本的に言われているんです。
こういうEC指令の法制というのはグローバルスタンダードとして当然我が国にも生きていかなきゃならぬ、こう思うんですが、営業譲渡ということに関してそういったことをきちっとやっていくためには、労働組合との事前協議あるいは営業譲渡について裁判所が許可をする場合に、労働組合の意見を聞くだけじゃなくて十分それを尊重するということを法規範として明記をしておくことが私は大事ではないかと思うんですが、局長の御意見はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/134
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135・細川清
○政府参考人(細川清君) まず、御指摘の済生会中央病院の東京地裁の判決でございますが、これは今御紹介があったような内容でございます。これと同じような裁判例も多々ありますが、最終的にはまだ最高裁判例がございませんので確定した判例となっているわけではないという状況でございます。
そして、その状況を踏まえまして、こういった企業の再編が労働関係に及ぼす影響については、今後私どもとしても、問題があるということは認識しておりますし、また直接の所管省庁である労働省におかれましてもそういう問題があるということを認識しておられて、いろいろさまざまな検討をされておられるというふうに聞いております。私どもとしてもこれに十分協力してまいりたいと思っておるところでございます。
最後に、十分に意見を尊重するのは当然ではないかということでございますが、わざわざ意見を聞くようにしているわけですから、当然それを尊重するという前提で意見を聞いているということといたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/135
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136・橋本敦
○橋本敦君 あなたの御答弁は、法の運用について裁判官、裁判所にも十分立法意図として、立法趣旨として尊重してもらう必要があると思いますので念のために聞いておいた、こういうことです。
それで、もう時間がありませんから、最後に、労働債権の問題をたくさん用意したんですが、竹村先生、魚住先生からも御意見がありましたから、もうごく省略をいたしますけれども、御存じのように、この労働債権の保全という問題については非常に重要な問題があるわけですね。特に破産手続に移行した場合にどうなるかということが議論されました。私も全くそう思うんです。
それで、例えば再生手続開始中に特定の融資が、再生のために必要だということで融資がなされればそれは共益債権になるわけでしょう。労働者もそこで働いて企業のために協力しているわけですから、再生手続が進んでいる間は再生のために。その労働債権はその部分で当然共益債権とみなされていいはずだと。ですから私は、そういう意味で労働債権というのはすべて共益債権ということにして、雇用関係に基づき生じた債権というのは、これはもう優先的に弁済ができる共益債権ということにして、破産手続でもきっちりそうしたらいいんじゃないかというように思うんですね。
衆議院の附帯決議の第六項ですか、この第六項でも「破産等いわゆる倒産法を改正するに当たって、労働債権については、特に再生手続から破産手続に移行した場合に、その優先性が維持されるようにするなど格段の配慮をすること。」ということが言われておるわけですね。
それで、午前中にも議論が出ましたけれども、ILOの百七十三号でも労働債権の優先性というのは国際的にも高く主張されていることでございまして、この条約を我が国はまだ批准していないのが問題なんですけれども、そういうことも含めて労働債権を共益債権ということで、破産手続に移行しても財団債権に入ってきちっと弁済が優先的になされるという方向で、積極的にこの附帯決議も受け、ここでの議論も受けて検討していただきたいということを最後に法務大臣にお願いをして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/136
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137・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 委員御指摘のとおり、今後ともしっかりと研究してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/137
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138・橋本敦
○橋本敦君 よろしくお願いします。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/138
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139・福島瑞穂
○福島瑞穂君 社会民主党の福島瑞穂です。
和議法を改正して、今回、民事再生法案を成立させようとされているわけですが、これが中小企業にとって果たして使い勝手のいい法律かどうかという議論が御存じのとおりあると思います。
例えば弁護士会、東京弁護士会は一九九九年五月二十日、東弁新聞で、問題の多い和議法を改正し中小企業向けの簡易な再建型倒産手続の制度を期待していたけれども和議法よりずっと重い手続になっていて会社更生法に近づいている、小規模企業にとって果たして使いやすい手続なのかという問題提起がされていますけれども、この点は改善されたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/139
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140・細川清
○政府参考人(細川清君) 私どもが民事再生法の立案の過程で考えておりましたのは、一番の眼目は中小企業にとって利用しやすい手続とするようにということでございます。
今回の法案で具体的に挙げている点を申し上げますと、まず、会社更生法と違いましてすべての法人、個人が利用可能な手続としている。あるいは、再生手続の開始原因を緩和して破産状態に至る前でも申し立てをすることができるようにいたしましたし、また、再生手続の開始後も従前の経営者による事業経営及び財産の管理、処分を継続することを原則としつつ、事案に応じて監督委員あるいは管財人等の各種の機関の選任を柔軟に行うことができるようにした。あるいは、一つの命令で再生債務者に対するすべての強制執行等を禁止する包括的禁止命令の導入をした。あるいは、親子会社等の場合それから法人とその代表者の場合に、再生手続が申し立てられた場合には管轄について柔軟な取り扱いをする、そういうことにいたしたわけでございます。
それで、日弁連からはもっと簡易なものも認めるべきではないかという御意見がございまして、この法案の最終段階でそういう強い御要望、御意見がございましたので、この法案の十一章に簡易再生及び同意再生に関する手続というのを設けたわけでして、これは日弁連から強い要望があったところにおこたえしたというところでございます。
簡易再生の手続を簡単に御説明いたしますと、要するに、債権の調査確定の手続をしなくてもよろしいということで、そのうち、債権の調査確定をしないことについて債権者の六割が賛成しているという場合には、調査確定の手続を経ないで権利変更を定めた再生計画を決議に付し、裁判所が認可するということになります。そうしますと、形といたしましては従来の和議法の手続と似ているわけですので、そういう簡易な手続も導入いたしまして手続が重くならないでも済むようにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/140
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141・福島瑞穂
○福島瑞穂君 和議法の場合は調整計画案が初めにつくられるのに対して、今回の民事再生法は冒頭にはその調整案を、再生案をつくらないで途中でつくります。これが遅延する結果になるのではないかという批判もありますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/141
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142・細川清
○政府参考人(細川清君) これは、従来の和議法では申し立てと同時に和議の条件、つまり再建の計画を提出しなければならないということになっておりましたので、倒産前後の非常に混乱した時期にそれを作成するのは非常に難しいという御批判がありまして、それで同時に提出しないでもいいようにしたわけでございます。
今回の法案では、債権の調査期日が済んだ後に計画を出していただくのが原則ですが、事前に債権者との間に話し合いがついているというような場合にはそれより先に提出することも排除していないわけでございます。
また、先ほど申し上げましたように、もうほとんど話ができ上がっているという場合には簡易再生という場合もございますし、また全員の同意、債権者の同意がある場合は同意再生ということができまして、決議も要らないで、裁判所がこれでいいかどうかを判断して認可だけすれば計画が進んでいくという手続もつくりました。
ですから、そこのところは柔軟に対応できるようにいたしたつもりでございますので、特に計画案の作成がおくれて問題が生ずるということはないであろうというふうに期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/142
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143・福島瑞穂
○福島瑞穂君 開始原因を前倒しして、事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないときというのは、債務者のみが申し立てをすることができると。ただ、破産の原因たる事実を生ずるおそれがあるときは債務者と債権者に申し立て権を認めています。債権者に乱用されるおそれはあるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/143
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144・細川清
○政府参考人(細川清君) 御指摘のとおり、破産原因の生ずるおそれがあるときには債権者もこの再生手続の申し立てをすることができることとされております。
この申し立てをするためには、債権者はその開始原因があることを疎明しなければなりません。ですから、債務者の方の財産状況を調べた上で、これは債務超過になるおそれがあるということを疎明しなければなりませんので、そう簡単に立証できるわけではないわけでございますし、また債権者の方が手続を申し立てる場合には自分が債権者であるということも疎明しなければなりません。さらに、申立人でありますから、再生手続に必要な費用というものも再生債権者が予納しなければならないということになるわけでございます。ですから、そういうことを考えあわせますと、債権者が乱用的に申し立てるということはないものというふうに考えております。
もう一つは、破産原因が生ずるおそれというのは、放置すれば破産原因が生ずる客観的な事情があるということでございますので、これによって特に債権者の権限の行使が乱用されるということはないだろうと思っています。現に会社更生法では同じ事実が開始原因となっておりますが、これは学者等の、あるいは実務家等の間で会社更生の開始原因が緩和されているので乱用的な申し立てが多いというふうに指摘されていることはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/144
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145・福島瑞穂
○福島瑞穂君 破産の原因たる事実を生ずるおそれがあるときというのは客観的に判断をするとおっしゃいましたけれども、やはり条文上はあいまいな要件と思います。具体的にはどのようなときを言うのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/145
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146・細川清
○政府参考人(細川清君) 資金繰りがございまして、そしていつ手形の満期が来るのが幾つあるというふうに考えまして、そして現在手持ちの金が幾らあって、それで取り立てられる債権が幾つあるということを考えますと、おのずから支払い不能になる日が経営者自身にはわかると思うんですね。そういうようなことを言っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/146
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147・福島瑞穂
○福島瑞穂君 午前中、竹村理事の方から、担保権の消滅について、貸し渋りなどの逆に影響が出るのではないかという質問が出ました。
例えば、ある会社がある。ある工場がどうしても非常に重要な不可欠な再生に必要なものであるというふうになったときには、例えば私が五億円担保価値を持っているのに現在の価値は三億円であると。それで、財産の客観的価額に相当する弁済をすることによって担保権の消滅ができるわけです。担保権者はいつでも担保権の実行ができるとしても、いつ担保権の実行をするかということは選択によるわけです。要するに担保権者が切り札を持っているわけですけれども、それが自分の選択によらずに担保権の消滅という形で消滅をさせられるということについては、恐らく議論があったと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/147
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148・細川清
○政府参考人(細川清君) 担保権者は担保権を実行することによって優先的に弁済を受ける権利というものがございますが、その権利のほかに、担保権者は実行する時期を選択できるんだという利益もあるわけで、それは福島委員御指摘のとおりでございます。ですから、この法案は銀行等の担保権者が担保権を実行する時期を選択する権利を少し制限している、奪っているということになるわけです。
しかし、担保権の本質的価値は、やはり目的財産の価額の中から優先的に弁済を受けるというのが担保権の本質だと考えておりまして、実行時期の選択の利益は他の政策の目的との関係では制約を受けてもいいんだろうというふうに考えております。例えば、民法の滌除の制度でございますが、これは担保物の所有者がそれを他に売った場合には買った人が弁済時期にかかわらず滌除することができるということになりますから、その例外を認めているところもあるわけでございます。
本民事再生法案では、事業の再生を目的とする再生手続において事業に不可欠な財産を確保することがどうしても必要でございまして、そこのところを守るためには担保権の実行時期の選択の利益を制限することもこれは正当化されていいと思いますし、実は法制審議会では金融界の代表者である委員の方もおられたんですが、最終的には企業再生という大きな目的のためにはこれもやむを得ないものだろうということで判断されて賛成されておられました。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/148
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149・福島瑞穂
○福島瑞穂君 では、これで担保権を消滅させた後、会社の再生に必要があるとしてお金を借りたいとすると、今度また抵当権、何らかの担保権をつけてお金を借りるということもあり得るわけですね。そうすると、もともとの担保権者からすると、自分の担保権は、担保権が消滅されてしばらくたったらやっぱり資金繰りのために担保権をつけましたと。またすぐ担保権がついたりするわけです。そういうことは起こると思いますが、この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/149
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150・細川清
○政府参考人(細川清君) 破綻に瀕した企業等を再生させるためには、スポンサーといいましょうか、要するに資金を供与する方がいなければできないことでございまして、これは非常に大事な問題でございます。アメリカでもDIPファイナンスと、こういいまして、連邦倒産法の中に、新しく融資先が見つかるようにということでさまざまな手当てをしているわけでございます。
この民事再生法案におきましては、その点は、新しく資金援助がされることが大事でございますので、まず第一点、開始後の融資等は共益債権とすることができるというふうにしておりますし、また、失礼しました、当然に共益債権になるわけでございますが、そのほかに担保権をつけることもこれは可能でございます。これは通常の場合は裁判所の許可にかかわらしめることになろうかと思いますが、裁判所の許可があるならば担保権をつけることも可能となる、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/150
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151・福島瑞穂
○福島瑞穂君 きょうは労働債権のことが民主党の委員からも公明党の委員からも共産党の委員からも出たと思います。答えが大体もう出ているんですが、やはり私も、未払いの労働債権については再生手続においては優先的に支払われるけれども、破産に移行すると破産手続によらなければ支払いを受けることができず、労働債権が保証されないと。未払いの労働債権を例えば財団債権とするなどして労働債権の保証を図るべきであるというふうに思います。
衆議院のときの答弁などを見ると、労働債権については何か非常にややこしくて、再生手続開始後に使用者側の都合により退職した場合は、退職債権の全額が共益債権となり、随時弁済を受けられると。しかし、今度はまた再生手続開始後に労働者側の都合により退職した場合には、退職金請求権のうち、再生手続開始後の従業に対応する部分については共益債権、その他については一般優先債権というように、使用者側の都合により退職するのか労働者側の都合により退職するのかでもまた労働債権がどれだけ強いかということが違います。
この点について、ちょっと二つの質問を同時にして申しわけないんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/151
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152・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 詳細につきましてはまた後ほど参考人の方から御説明申し上げたいと思っておりますが、破産手続における財団債権につきましては、随時弁済が認められる理由が、債権者全体の利益に資する共益的費用としての性格を有することに由来をしている、こういうことでございまして、再生手続における一般優先債権というものは、手続の構造を簡易なものにするために一般の優先債権のある債権を手続の対象に含めないものとするという政策的な理由に由来をするものでございます。したがいまして、御指摘のとおり、再生手続が不成功に終わりまして破産手続が開始された場合には、再生手続においては随時弁済の対象となっておりました一般優先債権も優先的破産債権としての処遇を受けるにとどまることになっております。
このような扱いの差異というものは、破産手続における一般の優先権のある債権の取り扱い自体に起因をしているということでございまして、この点につきましては、法務省における今後の倒産法制の全面的な見直し作業において引き続き検討をいたしてまいる予定でございます。
あとのことは政府参考人の方から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/152
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153・細川清
○政府参考人(細川清君) これは再生手続でも破産手続でも同じですが、共益債権とするかどうかは、つまり債権者全体の利益に資するものであるかどうかという観点から決められているわけです。ですから、再生手続開始後に労働者が働いた債権というものは、その働くことによって再生が図られて債権者に対して弁済がなされるわけですから、当然のことながら共益的債権になるわけでございます。退職金も同じでございまして、使用者の都合によって例えば整理解雇のように解雇された場合には、それによって賃金が支払われなくなって最終的には債権者の利益に資するということもありますので、ですからそういう場合には共益的債権ということになるわけです。
ですから、問題は、開始前の共益的債権でないものをどういうふうに扱うかという問題でございます。これにつきましては、実は牽連破産の場合と一般の破産の場合とを区別する合理的な理由を見出すのもこれもなかなか難しいものですから、破産法改正のときに、労働債権等の一般優先債権のある債権の取り扱いについて一般的にもう一度見直したいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/153
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154・福島瑞穂
○福島瑞穂君 ありがとうございます。
きょうは委員会の中で租税債権より優先すべきでないかという意見すら出たぐらいですので、破産法のときに検討されるということですから、ぜひILOのことや外国の制度を参考に、労働債権を保護するような形でお願いしたいと思います。
ところで、下請会社、非常に不況になりますと連鎖倒産や下請の保護ということが問題になるわけですが、日本は系列が非常にありますから、下請会社の債権の保護などについてはどのような処理がなされるか、概略で結構ですので、簡単で結構ですので、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/154
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155・細川清
○政府参考人(細川清君) この民事再生法案では、御指摘のような問題に対処するために二つの規定がございます。一つは、再生債務者を主要な取引先とする中小企業の債権について特別な取り扱いをしておりまして、取り扱いの一つは、要するに裁判所の許可を得れば再生計画によらないでも弁済することができるという柔軟性を取り入れておりますことと、それからそういうものについては再生計画について若干別の取り扱いをしてもいいという扱いがございます。これが下請業者に対する保護に役立つと思っています。それからもう一つ、一般的に少額債権についても先ほど申し上げました中小企業の場合と同様の特別の手当てをしておりますので、二つのものが御指摘の問題について適用がある規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/155
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156・福島瑞穂
○福島瑞穂君 今回の民事再生法案は、裁判所の裁量あるいは裁判所の指揮権あるいは分析、判断というのが非常に大きな役割を果たすと思います。例えば、衆議院における修正で、「裁判所は、当該再生債務者の事業の再生のために必要であると認める場合に限り、許可をすることができる。」として、解体屋が入ってばらばらにするようなことを裁判所はさせない、裁判所が事業の再生のために必要であると認めるかどうかということが本当に認めるポイントになっていると思います。
裁判所としても、しかし、この裁判所の判断で果たして認めるか認めないかという両極端の結論が出るわけですけれども、この「事業の再生のために必要であると認める場合に限り、」というのをどういうふうに判断をされるのかという点、先ほど橋本委員の方からも少しありましたけれども、もうちょっと教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/156
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157・細川清
○政府参考人(細川清君) 通常の民事訴訟におきましては過去に特定の事実があったかどうかを判断するわけでございますが、再生手続というのは基本的には非訟事件でございまして、また将来の展望的判断をするものでございます。そういうことで、特に裁判所が英知をもって判断されることが必要になるような手続でございます。
具体的に四十二条に追加された要件でございますが、これは要するに、この営業譲渡をすることによって、その影響が大きいものですから、一般の再生債権者の利益を害することがないか、あるいは雇用の継続が図れるかどうかというようなことについて具体的に勘案して営業譲渡の範囲あるいは種類あるいは対価、そういったものを、具体的内容といったものを裁判所が判断された上で最終的に結論を出すということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/157
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158・福島瑞穂
○福島瑞穂君 非常に悪意のある経営者が、不採算部門を切り捨ててやれ、うるさい者たちを切ってやれということで、例えば民事再生手続における営業譲渡の制度を利用して行うという、そのことに対する歯どめはどのようなものがあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/158
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159・細川清
○政府参考人(細川清君) 再生手続の再生計画と申しますのは、再生債権者の権利を減額しあるいは支払い時期を延期するというような変更を加えることを目的としているわけでございまして、再生計画で解雇何人と書いてもそういった法律上の効果が生ずるわけではございません。ですから、その点は問題はないわけですが、要するにそういうような不当な目的で再生手続を申し立てたことが明らかだという場合には申し立ては認容されないということにもなりましょうし、また再生計画がそういう内容を含んでいる場合には裁判所は認可しないということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/159
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160・福島瑞穂
○福島瑞穂君 営業譲渡の場合に、裁判所は再生債務者の事業の再生のために必要であるとしてある営業譲渡を認めた、しかし半年ぐらいたってどうもやっぱり業績が悪い、その場合にばらばらに解体をしていく、つまり例えばパソコンはどこに売るとか、この部門はこういうふうに細分化する、またそこでいろんなことなども起こり得ると思うんですが、そういうことの歯どめはこの法律であるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/160
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161・細川清
○政府参考人(細川清君) 御質問の場合は、営業譲渡した先でさらにということだと思うんですが、営業譲渡された先は再生手続の対象となっておりませんので、そこまでちょっと歯どめをかけるのは法律上難しいということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/161
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162・福島瑞穂
○福島瑞穂君 裁判所の判断が今回の法律の中で非常に大きな役割を果たしているので、その辺はぜひ研修やあるいはさまざまな事案の検討などをお願いしたいと思います。
それで、再建型手続の利用促進を図って手続が円滑に機能するように手続に要する費用の負担については法律扶助制度を利用すべきであるというふうに考えております。法律扶助制度については、この委員会でもほかの面からもいろいろ議論をされておりますけれども、例えば今検討をされていらっしゃると思うんですが、法律扶助に関する基本法を制定するに当たり、再建型倒産手続を利用する法人も法律扶助の対象にすべきではないかというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/162
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163・横山匡輝
○政府参考人(横山匡輝君) 我が国の民事法律扶助制度のあり方につきましては、従来重ねられてきました検討結果を踏まえまして、緊急の必要性に対処するため、次期通常国会に民事法律扶助の制度上の基本的枠組みを定める法案を提出することを予定しております。
ただいま委員御指摘の件につきましては、法律扶助のあり方にかかわり、幅広く検討されるべき問題であって、今後十分慎重に勉強してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/163
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164・福島瑞穂
○福島瑞穂君 この委員会でも、少年事件の付添人に法律扶助をぜひ認めてほしい、いろんなところで法律扶助をもっと認めてほしいという意見もありますが、この民事再生法は大きな法人だけでなくて小さいところ、個人、それから協同組合なども利用するわけですから、ぜひ法律扶助の制度の対象にしてくださるようにお願いしたいというふうに思います。
それでまた営業譲渡に戻ってちょっと申しわけないんですが、きょうも橋本委員などの方から営業譲渡の件の質問が出ました。どうもやっぱり営業譲渡というと、買ってくれる人がいる部門はそこそこ優良だろう、問題なのは、営業譲渡もされない部分があるだろうと。そうしますと、優良部門は営業譲渡され、残った部門は引き取り手のないというとあれですが、債務超過部門のみ残ってしまうんではないか、そういうことについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/164
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165・細川清
○政府参考人(細川清君) どの営業を営業譲渡するかというのは、再生の行方を左右する非常に重大な問題でございまして、通常の債権者がその事業体をそのまま再建しようと思えば、一番もうかっている部分を営業譲渡は普通はしないはずなんですが、仮にそういうことが、一部譲渡するということがあった場合に残りがどうなるかということが問題になるものですから、衆議院で全会一致で修正された部分はそういうことも考慮いたしまして、全体が再生に資するようにという意味でこの修正がなされたものだと理解しております。私どもも、それはそういう趣旨であるということが法律全体からわかるということを御説明申し上げたんですが、やっぱりそこのところははっきりしておいた方がいいということで修正がなされたというふうに理解しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/165
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166・福島瑞穂
○福島瑞穂君 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/166
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167・風間昶
○委員長(風間昶君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/167
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168・風間昶
○委員長(風間昶君) 委員の異動について御報告いたします。
本日、江田五月君、亀井郁夫君及び久野恒一君が委員を辞任され、その補欠として千葉景子君、斉藤滋宣君及び森下博之君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/168
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169・風間昶
○委員長(風間昶君) 本案の修正について橋本敦君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。橋本敦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/169
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170・橋本敦
○橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になりました民事再生法案について、日本共産党の修正案の趣旨説明をいたします。
修正案はお手元に配付してありますので、案文の朗読は省略いたします。
今日、不況倒産の激増と大企業のリストラにより、下請・地域中小企業や労働者に対し多くの犠牲が強いられています。このような状況に対応し、企業の再生を図る上で、労働者、労働組合の権利と地位の保全がとりわけ重要であります。また、そうしてこそ労働組合等の協力も得られ、企業の再生が可能となるはずであります。そのため、民事再生の手続において労働組合等の関与を法律上さらに強化、保障しようとするのが本修正の趣旨であります。
第一に、まず再生手続開始に当たっても労働組合等は裁判所に対し意見を述べることができる旨を規定しております。第二に、裁判所に営業譲渡の許可を申請しようとするときは、事前に労働組合等との団体交渉などにより事前協議をしなければならないとする規定を設けるものであります。第三に、以上のほかに企業再生計画案の作成と認可、営業譲渡の許可など、本法案の他の手続において労働組合等の意見聴取をすることになっている場合には、裁判所はその意見を聴取するものとするとの規定を設けて法的保障の趣旨を明確にしようとするものであります。
何とぞ御賛同くださいますようお願いいたします。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/170
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171・風間昶
○委員長(風間昶君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
まず、橋本敦君提出の修正案の採決を行います。
本修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/171
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172・風間昶
○委員長(風間昶君) 少数と認めます。よって、橋本敦君提出の修正案は否決されました。
それでは次に、原案全部の採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/172
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173・風間昶
○委員長(風間昶君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、竹村泰子君から発言を求められておりますので、これを許します。竹村泰子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/173
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174・竹村泰子
○竹村泰子君 私は、ただいま可決されました民事再生法案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び自由党の各派並びに各派に属さない議員中村敦夫さん及び松田岩夫さんの共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
民事再生法案に対する附帯決議(案)
政府並びに最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一 本法が、再建型倒産手続の基本法として幅広く利用されるよう、その趣旨、内容、他の倒産手続との違い等について、司法関係者、経済団体、労働団体等のほか、一般国民にも十分周知徹底がなされるよう努めること。
二 社会・経済的観点から、民事再生手続が真に適正かつ迅速に運用されるよう、裁判所の人的・物的体制の整備に遺漏なきを期すること。
三 第四十二条の規定による営業譲渡に関しては、再生債務者の事業の再生に資する場合にのみ行われることについて周知徹底し、この制度が適正に運用されるよう格段の配慮をすること。
四 企業組織の再編に伴う労働関係上の問題への対応について、法的措置を含め検討を行うこと。
五 倒産法制全体の手続における労働債権、担保付債権、租税債権、公課債権等の各種の債権の優先順位について、諸外国の法令等も勘案し、所要の見直しを行うとともに、賃金の重要性にかんがみ、労働債権について、特に再生手続から破産手続に移行した場合に、その優先性が維持されるようにするなど、格段の配慮をすること。
六 第八十五条に規定する中小企業者の有する再生債権の弁済等に関し、再生債務者を主要な取引先とする中小企業者の事業の継続とその従業員の労働債権確保に十分配慮がなされるよう周知徹底に努めること。
七 本法が和議法を廃止して制定された経緯を踏まえ、民事再生手続の運用状況等を勘案して、必要に応じて、更なる制度の見直しを行うこと。
八 今後の倒産法制の見直しに当たっては、倒産法制の統一性・整合性の確保に努めるとともに、破産法の抜本見直しを始め、個人債務者更生手続、国際倒産手続、倒産実体法など、倒産法制の改革を進めること。
九 民事再生手続が円滑に機能するよう、その手続に要する費用等の負担を含め、関連諸施策の整備、充実に努めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/174
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175・風間昶
○委員長(風間昶君) ただいま竹村泰子君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/175
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176・風間昶
○委員長(風間昶君) 全会一致と認めます。よって、竹村泰子君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、臼井法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。臼井法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/176
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177・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/177
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178・風間昶
○委員長(風間昶君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/178
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179・風間昶
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/179
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180・風間昶
○委員長(風間昶君) 電気通信回線による登記情報の提供に関する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。臼井法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/180
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181・臼井日出男
○国務大臣(臼井日出男君) 電気通信回線による登記情報の提供に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、最近における高度情報化社会の進展やこれに対応した行政サービスの質的向上の要請にかんがみ、不動産登記、商業登記等についての磁気ディスクをもって調製された登記簿に記録されている登記情報のより簡易かつ迅速な利用を図るため、登記情報を電気通信回線を使用して提供する制度を創設するための措置を講じようとするものでありまして、その要点は次のとおりであります。
第一に、法務大臣は、登記情報の電気通信回線による閲覧をしようとする者の委託に係る登記情報を電気通信回線を使用して当該委託者に送信することを業務とする法人を、全国に一を限って指定することができることとしております。
第二に、指定法人に対し、登記情報の電気通信回線による閲覧をしようとする者の委託に係る登記情報の提供を電気通信回線を使用して請求する権利を認めることとしております。
第三に、指定法人に対する法務大臣の監督等に関する規定を設けることとしております。
以上がこの法律案の要旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/181
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182・風間昶
○委員長(風間昶君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/182
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183・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
今回、オンライン登記情報の提供制度を新たに創設するということになったわけであります。インターネット等を含めてこれだけIT革命とか言われている状況の中で、時代の趨勢等を踏まえて大事な制度を創設するということになるわけでございますが、二、三の点について若干質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず今回、謄本、抄本の交付までいかないわけですが、閲覧をコンピューターをもってできるという形にするわけであります。そこで、確かに登記というものは不動産取引等について取引の安全を図る、そのためには公示をする、公示の原則というのがありますけれども、そういうような機能を果たすわけであります。ただ、じゃやみくもに、例えば不動産に限っていえば、国民の大事な財産を表示するものでございますので、例えば不動産登記法二十一条一項、何人といえども謄本あるいは抄本の写しの交付を請求できるというふうになっているわけですけれども、閲覧についてはそうなっていないわけです。利害関係ある部分に限り閲覧を請求することができる、こういうふうになっているわけであります。古い法律かもしれませんけれども、今回コンピューターを使って閲覧できるということは、その利害関係ある部分というのはどういうふうに判断をしていくのか。この不動産登記法の精神とちょっと違うんではなかろうかというふうに思うんですが、民事局長で結構ですから、ちょっとその辺教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/183
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184・細川清
○政府参考人(細川清君) 御提案申し上げておりますこの法律案では、利害関係の有無等は審査せずにすべての方に閲覧に相当する機会をお与えする、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/184
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185・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 ということは、今回の法律で二十一条一項後段の部分は事実上変えてしまうという趣旨なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/185
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186・細川清
○政府参考人(細川清君) 情報公開法の行政機関の情報公開に関する大きな法律がございましたが、あの中で実は不動産登記法のところも改正されておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/186
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187・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 では、現行法でもう変わってしまっているということですか。私は古い六法を見たということになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/187
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188・細川清
○政府参考人(細川清君) 改正後の不動産登記法はまだ一般の市販の六法に載っていないので、多分先生は古いのをごらんになったんではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/188
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189・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 ただ、その場合でも恐らく、これは公示のための制度とはいえ、利害関係ある部分というふうに絞ったというのは私はやっぱり意味があったんだろうというふうに思うんです。
というのは、利害関係ある部分に限ることによって、不動産の登記情報というのは個人情報等もあわせ持つものでありますから、例えば営業のために使えるのか。これから取引関係、家を買おうかなと思っている人はまさにそうかもしれませんけれども、そういうような不動産を持っているかどうかに限って営業活動をかけるとか、そういうような利用もあるから逆に利害関係ある部分に限ってというふうに絞っていたのではないかというふうに思うんですが、その点ちょっと確認ですが、もう一度お願いできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/189
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190・細川清
○政府参考人(細川清君) これは非常に古い法律ですから、立法当初はただいま御指摘のような趣旨もあったのではないかと思うんですが、ただ、謄抄本等は利害関係の有無を問わず発行しておりまして、閲覧だけにそういう制限があったのは、簿冊をそのまま閲覧してもらうわけですので、それが余りたくさんになると大変だということもあったのではないかと思うんです。事実上、従来の実務でも、閲覧について特に利害関係を審査しているわけじゃなくて、閲覧に来ればどなたでも閲覧していただくという扱いになっておりましたので、そこのところを今の実態に合わせて改正したというのが経緯でございます。
この法律案では、一々簿冊を書庫から出してお見せするということは必要でありませんで、インターネットで機械と機械との間で直接見ていただくわけですので登記所側の方に特段の閲覧に伴う負担というのはございませんので、今回はそういう制限をつける必要はないんだということに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/190
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191・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 続きまして、法律実務家としての御経験豊富な山本政務次官に、指名していいのかどうかわかりませんけれども、ちょっとお聞きをしたいのでございますけれども、私たち法律実務家隣接の職種として、専門家として司法書士さんがおられるわけでありまして、いろいろ登記実務について研究をし、またいろんな意見、実務に即した話も出てくるわけであります。先般の成年後見のバックアップ体制も含めて大変な公的な役割も果たしているというふうに私は考えているところでございます。
今回、指定法人ということが出てまいります。まず、今回この第三条では、「全国に一を限って、」という部分につきまして、どうして一つなのか。それから、一に限ってといった場合、既にもう予定されている、念頭にある法人があるのかどうか、あればそれはどういう法人なのか、簡潔に教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/191
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192・山本有二
○政務次官(山本有二君) まず、全国一に限った理由でございますが、指定法人の数を全国で一つとしていますのは、登記情報システムの安全性、すなわちセキュリティーでございますが、これを確保する上で登記情報システムに接続することができる指定法人の数はできる限り少なくする必要がある、こういう観点でございます。
他方、指定法人を全国に一つといたしましても、利用者にとりましては不利益が生ずることがございません。また、指定法人は利用者の利用料金の支払いにおける利便性を確保するために設置されるものでございますので、登記所における登記簿の閲覧の手数料が全国一律であるのと同様に、指定法人に支払うべき利用料金も全国一律にすべきでございます。さらに、指定法人は登記所のコンピューターに記録されている登記情報をそのまま送信することを業務とするものでございまして、これに加工等をすることは許されませんので、複数の法人を指定し競争させることによって利用者に利益が何らか生ずることもございません。
なお、指定法人の利用料金は登記情報の提供に要する実費を利用見込み件数で除して算出されることとなりますが、複数の法人を指定する場合には、各法人につきまして登記情報を提供するため経費を要する上、各法人の利用見込み件数は一つの法人を指定する場合よりも少なくなるためかえって利用料金が高くなり、利用者の利便性の確保の要請にも反する結果となってしまいます。これが理由でございます。
なお、この指定法人につきまして、今のところの予定といたしましては民事法務協会、この財団法人にお頼みするつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/192
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193・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 今、政務次官がおっしゃったいろいろの理由はありますが、これは例えば、この法案の中では業務を勝手にやめちゃいけないよと。当然であります。それはもちろん大事な制度ですから、罰則つきで休廃業をしちゃいけないというようなことが載っています。つまり、一つだからこそ逆に、そういうふうな不測の事態になった場合大変なことになるということでいろんな手当てをすると思うんですね。そうしたら、じゃ二つだったらどうなんだと。一方がやめてももう一方でバックアップできますわね、あるいはお互いに競争する、サービスを今度つけられるということになるんだろうというふうに思うんですね。
また、今この三条にいろんな条件が書いてあります。経理的基礎あるいは技術的能力、あるいは公正な遂行に支障を及ぼすおそれがないもの、そういうことがあります。あるいは登記情報提供業務が不公正にならない、そういうようなものでなきゃいけないということでございますが、私それを考えた場合、政務次官が今おっしゃった民事法務協会、役員の構成等を見たら、理事十九名中十七名が元法務省の職員の方でございまして、関係者でございまして、手なれた分野でその辺の公正もきっちり図られるというような法人かと私も思料するところでありますが、ただもう一つ私はあると思うんですね。例えば、先ほど申し上げた司法書士会の連合会、これはまさに今条件を挙げた能力も、職務の公正性を考えた場合も当たるんではないか。そうすると、一つに限るよりも二つの方がより安全性も図られるのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/193
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194・山本有二
○政務次官(山本有二君) 司法書士の皆さんには私も随分お世話になっておりますし、公的な役割を見事に実現されているというように思います。
そこで、司法書士会を指定法人にしたならばという御示唆でございますが、指定法人が登記情報提供業務以外の業務を行っているときは、その業務を行うことによって登記情報提供業務が不公正になるおそれがないものである必要がございますが、司法書士は報酬を得て登記申請手続の代理を行うことを業とし、職務上登記情報と密接な関係を有しますので、司法書士が構成員となっている司法書士会を指定法人とした場合には、業務遂行の公正につきまして外部の方に疑念を持たれるおそれがないとは言えないものと考えております。
したがいまして、司法書士会を指定法人とすることは適当でないと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/194
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195・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 司法書士会の皆さんにはちょっとお聞かせできないような、怒るんじゃないかなというような御答弁かと思いますが、本当に職務に忠実に誠実に私はやっていると思っておりますけれども、じゃこの民事法務協会、何もほかにやってないのかと。出版活動もやっている、そういうことがありまして、ある意味では五十歩百歩ではないか。つまり、司法書士さんとしての職務は各個人がやっているのであって、書士会あるいは書士会連合会としてはそういうような、他に不公正になるおそれがあるかのような業務をやっているとは、それはとんでもない話だなというふうに私の意見を述べさせていただきたいと思います。なおあれば、民事局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/195
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196・細川清
○政府参考人(細川清君) ただいま政務次官の御答弁された趣旨は、現実に不正なことが起こる可能性があるといった趣旨ではないことはもちろんでございまして、外部の方から見て、そういう制度の利用者の大部分が司法書士さんなので、利用者が、かつ提供する方もやったら疑念を持つ方があるかもしれない、だからそこは慎重にいかなきゃならぬという御趣旨であったように聞きました。
それから、この問題につきましては、日本司法書士会連合会と私どもお話しいたしまして、連合会としては公式な意見として自分たちがやりたいということは言っておられないわけでございます。ここのところは、実は一部の司法書士の皆さん方で司法書士の団体でやりたいという意見はございましたが、それは日本司法書士会連合会の意見ではないということはぜひ御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/196
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197・魚住裕一郎
○魚住裕一郎君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/197
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198・橋本敦
○橋本敦君 まず、大臣から説明されました法案提案理由説明の文言について一言確認をしておきたいんですが、「この法律案は、最近における高度情報化社会の進展やこれに対応した行政サービスの質的向上の要請にかんがみ、」と、こうあります。高度情報化社会の進展というのはこれはもうだれが見てもよくわかるんですが、これに対応した行政サービスの質的向上の要請というのは、具体的には現状に対してどういう点に問題があり、どういう行政サービスの質的向上ということがここで言われている内容なのか。民事局長で結構ですが、御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/198
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199・細川清
○政府参考人(細川清君) 登記所ではさまざまの事務を取り扱っておりますが、やはり一つには大変事件がふくそうしておりまして、その処理が遅くなるということで利用者の方に御不便をかけているという問題がございます。それからもう一つ、そういうことで事件のふくそうで追われておりますので、登記のいろんな判断業務において間違いが生ずるということがございまして、それを機械化できるものは機械化することによって、最終的には職員が本来の判断業務に専念することができて質的向上が図られる、そういう意味を込めましてここで行政サービスの質的向上の要請にかんがみということを申し上げたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/199
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200・橋本敦
○橋本敦君 局長、ちょっと私、解せないんですけれども、間違いが起こるというのは私は余り経験したことがないんですけれども、今おっしゃった間違いが起こるというのは、具体的にどういうケースなんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/200
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201・細川清
○政府参考人(細川清君) 私どものことで余り申し上げたくないんですが、例えば最近あった事例では、抵当権が一億円のところを一円と登記したという例がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/201
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202・橋本敦
○橋本敦君 なるほど、わかりました。コンピューター化によってそこはもうそのものが正確に反映される、こういう趣旨ですと。理解できるわけです。
そこで、その登記情報ですが、それを簡易かつ迅速な利用を図るというのは、コンピューター化によって確かに簡易、迅速になるでしょう。それはよくわかります。
そこで、それを実際に行っていく上で、この法案では指定法人に一つを指定する、こういうことになるんですが、その指定法人に対する関係でちょっとお尋ねしておきたいんですけれども、指定法人は、当該業務年度の開始前に事業計画、収支予算を作成し、法務大臣の認可を受けなければならない、こうあります。その指定法人はこのコンピューター委託業務だけをやっているわけじゃありませんで、いろいろな法務局に対する協力事業をやっているわけですが、それらも含めて、これはもう当該年度の開始前に事業計画、収支予算を全部作成して出さなきゃいけないよと。そういうことまでする必要があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/202
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203・細川清
○政府参考人(細川清君) 法案第六条で、指定法人は、毎事業年度、事業計画及び収支予算を作成し云々とございます。これはもちろんのことでございますが、本法に基づく業務のことを言っているわけでございますが、ただ、全体がうまくいくかどうかというものは本法に基づく事業に影響しますので、全体の方についてもやはり参考的に出していただくということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/203
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204・橋本敦
○橋本敦君 趣旨はわかりました。
そこで、その監督の問題ですけれども、役員の選任について、指定法人の役員の選任、解任は、第十条によりますと、法務大臣の認可を受けなければならない、こうあります。現在、例えば民事法務協会は、役員の選任、解任はこういう関係はあるんですか、ないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/204
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205・細川清
○政府参考人(細川清君) 法律上は認可要件となっているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/205
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206・橋本敦
○橋本敦君 ありませんね。ですから、私は、これは指定法人に指定するということでは非常に強力な法務省の監督権限の行使だと思うんですが、特に認可をしないという欠格条項、要件というのはどういうものなのか、内部規則か考え方か、あれば教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/206
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207・細川清
○政府参考人(細川清君) 法案第三条におきましては指定法人の要件を定めております。
そこで、第三条の第一項第五号で、「役員のうちに次のいずれかに該当する者がないこと。」ということが要件となっておりまして、イロハとございます。
ですから、このイロハに当たる人であるかどうかというのが新しく任命されるときの認可の判断基準でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/207
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208・橋本敦
○橋本敦君 イロハだけでは私わからぬのですが、イロハ、具体的にどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/208
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209・細川清
○政府参考人(細川清君) 説明不十分で失礼いたしました。
まず、「役員のうちに次のいずれかに該当する者がないこと。」でございまして、イとしましては、「禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者」でございます。
ロは、「この法律又は不動産登記法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者」でございます。
一般の法律の違反の場合には禁錮以上の刑に処せられることが欠格事由でございますが、この法律の、あるいは不動産登記法の違反でございますと、業務の関連性が強いものでございますから、そういう場合には罰金の刑であっても欠格事由となるということでございます。
ハといたしまして、「第十条第二項の規定による命令により解任され、解任の日から五年を経過しない者」と定められておりまして、第十条第二項は、「法務大臣は、指定法人の役員が、この法律の規定若しくは第五条第一項の規定により認可を受けた業務規程に違反する行為をしたときは、指定法人に対し、その役員を解任すべきことを命ずることができる。」ことになっております。
そして、不適当な人だとして解任を命じて現実に解任された人がまたすぐ間もなく任命されるということはまさに不適当でございますから、それは五年たたなければ最低限任命することができないということを明らかにしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/209
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210・橋本敦
○橋本敦君 御丁寧な御説明をいただいてよくわかりました。
だから、決して社会的、法律的に見て過重な要件を付加しているということでないということで私も理解できました。
そこで、監督の問題なんですが、当該業務に関して法務大臣は監督上必要な命令をすることができると。登記業務の委託、コンピューター化ということで、実際にこれをやっていく上で必要な命令というのはどういうことがあるのかなということが考えられるんですが、この規定を置いた趣旨と、それからこの規定を置くことによってどういう命令ができるのか、これ一定の想定になりますけれども、お考えがあればお知らせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/210
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211・細川清
○政府参考人(細川清君) 法案の第十一条におきましては、御指摘のように、「法務大臣は、登記情報提供業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、」「監督上必要な命令をすることができる。」こととなっております。
一番大きな問題は、やはり利用者に対してきちんとサービスができているかという問題でございます。
ですから、やり方が悪くて料金が高くなるというようなことがあってはいけませんので、そのやり方が本当に間違いがないのか、あるいは料金等をよく精査して、安くできるならば安くするようにいろいろな方法を検討させるとか、そういうことが主でございます。あるいはソフトウエアが仮に問題があるとすれば、そういうものを直すようにということで、本法案で定めている指定法人の業務が円滑、適正迅速にかつ低料金でできるようにということが監督の主眼でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/211
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212・橋本敦
○橋本敦君 今のお話を伺いますと、利用する国民の側から見て不当な負担が加重されるとか間違いが起こるとかないようにしたいという趣旨に理解できるんですね。
そこで、今お話があった料金の問題ですが、この料金の設定、それについて指定法人はどれぐらいの権限があるのか、法務省との監督上の関係で料金の設定はどういう仕組みでどうやるのか、ちょっと御説明いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/212
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213・細川清
○政府参考人(細川清君) 指定法人が利用者に請求する料金は、指定法人が登記所に支払う手数料プラス指定法人自体の費用ということになります。
登記の手数料一般の考え方は、謄抄本等の交付に要する実費の三カ年分をまず計算しまして、今度は三カ年分の利用件数を積算いたしまして、それで除してやっているのが現在でございますが、基本的には指定法人が登記所に支払う料金も同じような観点からいたすわけでございます。
それから、指定法人自体の手数料というのもあるわけですが、それは指定法人が現実にこの制度を指定法人として運用していくために必要な費用、例えばコンピューターを置く場所を借りたり、あるいはクレジット会社あるいは銀行等から料金を徴収してもらいますので、そこの手数料を支払ったり、そういう経費を三年間積算いたしまして、そして利用見込み件数でそれを除して出てきた数字が指定法人の手数料になります。
その両方を合算いたしまして利用者からそれをちょうだいする、こういう仕組みになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/213
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214・橋本敦
○橋本敦君 それで、一情報当たり大体五百円から千円かということが言われておるんですが、そういう見当で考えておられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/214
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215・細川清
○政府参考人(細川清君) これはさまざまな予測をしなければならないのでございます。それが第一点。
それから、これは基本的には予算の歳入になるわけでございますから、財政当局と協議しなければなりませんし、最終的には予算の内示等で示されるものですから、現時点で確たる数字を申し上げられないことは御勘弁いただきたいと思うんですが、私どもとしては、なるべく利用しやすい額にいたしたい、少なくとも千円は超えないようにいたしたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/215
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216・橋本敦
○橋本敦君 それで、今のところ民事法務協会に指定法人として指定するという方向でいっているというのは私もそれは理解をしております。それは結構だと思うんですが、コンピューター化が進むことによって、指定法人として指定を受けた協会自身が経済的にこの料金によって厳しいから人員整理やらなきゃならぬとか、あるいは合理化やらなきゃならぬとか、そういうことに追い込まれていくのも、これは安定的に国民にサービスする上では避けなきゃならぬことなんですが、法務局として、あるいは法務省としてそういった配慮も、事業計画をずらすとか、経営上のいろんな監督権限もあるんですけれども、民事法務協会の運営自体が合理的に人員整理などやらなくてできるように、しかも国民へのサービスは過小にならないように、こういった面についての配慮というのは私はぜひやらなくちゃならぬ大事な法務省の責任になってくると思うんですが、民事局長、そのあたりについてどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/216
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217・細川清
○政府参考人(細川清君) 指定法人が徴収するみずからの手数料につきましては、先ほど申し上げましたような方法で算出いたしますので、このこと自体から赤字が出るというような料金を設定しないようにいたしますれば問題は生じないというふうに考えております。
民事法務協会全体の問題としましてはそれなりに問題がありますが、問題がありますがということは、つまり現在登記簿の移行作業をやっておりますが、それが完成するといずれなくなるという問題がございまして、そこの点につきましては現在民事法務協会で労使でいろいろお話し合いになっていますので、私どもとしてもそれを支援してまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/217
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218・橋本敦
○橋本敦君 今おっしゃった支援というのは、不当な人員削減その他が起こらないように円滑な業務遂行ということで前向きにという意味なんですか、首切りを支援するという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/218
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219・細川清
○政府参考人(細川清君) 民事法務協会にも組合がございますので、そこと経営者がよくお話し合いになった上で円満な解決ができるように、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/219
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220・橋本敦
○橋本敦君 最後に一点だけお伺いしますが、料金の支払いですけれども、法人は銀行口座引き落とし、こうありますが、個人の場合は、個人はクレジット、こうありますね。個人の場合も銀行引き落としでいいんじゃないかという意見もあるんですが、そこはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/220
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221・細川清
○政府参考人(細川清君) 最終的には指定法人の業務規程で決めることになりますが、クレジットカードというのは大体どなたでもお持ちなものですから、クレジットカードの場合の方が手続が簡単でございます。要するに、登録契約を結ぶ場合に画面で指定法人の指定画面、ホームページをクリックしていただきまして、そこでクレジットナンバー等を入れますと契約ができるんです。ですから、その方が便利だというので、私どもとしてはそれがいいのではないかと思っておりますが、最終的にはなお業務規程を定める場合に、私どもとしても十分指定法人からの意見を聞かせてもらいたい、こう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/221
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222・橋本敦
○橋本敦君 わかりました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/222
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223・福島瑞穂
○福島瑞穂君 社会民主党の福島瑞穂です。
先ほど魚住理事の方からプライバシーとの関係で質問が出ました。私自身もその問題、関心と非常に似ておりまして、抵当権がついているのかどうか、だれが所有者なのか、売却が行われたのかなんというのはやはりその人のプライバシーに非常に関することである。登記簿謄本を見れば、資産状況、例えば根抵当権がついているかどうかなどわかって、だれからどういう借金をしているのかということも全部わかってしまいます。
今までは、例えば法務局に行かないと見られないのであれば、どうしても見る人の数が必然的に狭められていたと思うんですが、よくもあしくもコンピューター化されればかなり不特定多数の人間が閲覧できる。私たちは不動産を買うときに、日当たりがいいかとか、間取りはどうかということは気になりますが、最後に買う段階では抵当権がついているかどうかは問題になりますけれども、買おうかなどうしようかなという段階で登記簿謄本をまず見るということは恐らく一般の人は少ないんではないかと思います。
そのプライバシーとの関係、例えば芸能人に関する週刊誌だと、抵当権がついているとか、どこに借金があるとかというのがばっと出たりしますけれども、そういうプライバシーとの関係では、この法律策定に当たってどう考えていらっしゃるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/223
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224・細川清
○政府参考人(細川清君) 登記簿に記載されている情報は、現行法上は何人でも閲覧を請求することはでき、謄抄本も請求することはできるということになっておりまして、そういう意味では一般に公開されている公開情報でございます。
ただ、パソコン等でインターネットを通じて閲覧するということになりますと、閲覧の機会がふえるということでございますので、そういう他の人の財産状況を見る機会というものがふえることは間違いないわけです。
ただ、私どもとしては、これは制度上は公開情報でありますから、それはそれでやむを得ないと思っているんですが、それ以上にプライバシーを侵害することになってはいけないということで、請求する場合には請求する対象である土地、建物の所在と、それから家屋番号あるいは地番を入力することによって初めて検索できるということにしております。したがいまして、名前によって、例えば私、細川でございますが、細川清という名前で検索はできないということになっていますので、いわゆる名寄せはできないということにしております。
それからもう一つは、利用者が送信を受けた登記情報は利用者のパソコンの記憶装置にデジタル情報としてダウンロードをすることはできませんので、そこでいろいろ編集する、たくさんのものをこの制度で閲覧してそこで編集するということはできないことにいたしまして、そういうことでプライバシーの保護を図ることとし、あわせて登記情報の不正利用を防止することとしているわけでございます。
したがいまして、こういう考えでいたしましたので、基本的には今回の法案でよりプライバシーが侵害されるということはないんではなかろうかというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/224
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225・福島瑞穂
○福島瑞穂君 例えば、平成十一年度予算に登記情報システム実施経費として書かれているのは七百五億二千七百万円であります。コンピューター化のために要する費用というものの合計というのはなかなか難しいかもしれないんですが、それがもしわかったら教えてください。それから、ランニングコストとして毎年毎年どれぐらいかかるのかについても教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/225
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226・細川清
○政府参考人(細川清君) 平成十一年度予算でありますと、登記情報システム等に必要な経費として七百三億四千五百万円を計上しているわけでございます。このうち移行実施経費、つまり簿冊である登記簿ですから、コンピューターの磁気ディスクに移す費用が三百二十一億八千六百万円ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/226
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227・福島瑞穂
○福島瑞穂君 ランニングコストはどれぐらいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/227
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228・細川清
○政府参考人(細川清君) 本制度のランニングコストでございますと、これは純粋なランニングコスト、つまり回線経費あるいはゲートウエー機器の借料、保守経費、登記情報システム機器借料の増額等で、合わせますと一億八千万でございます。これだけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/228
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229・福島瑞穂
○福島瑞穂君 お金のことが非常に気になります。コンピューター化に伴っては本当に何千億というお金が平成十一年度だけで計上されているのと、それから御存じのとおり、登記簿謄抄本などの値上げがずっと行われております。平成十年、一通八百円が千円、登記簿の閲覧が一通四百円が五百円というふうにコンピューター化に伴って手数料が値上げをされているんですけれども、これはずっと続くのでしょうか、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/229
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230・細川清
○政府参考人(細川清君) 登記手数料の値上げにつきましてはさまざまな御意見があることは私どももよく承知しているところでございます。そしてまた、登記情報システムの実施経費あるいはコンピューター化の経費というのは、利用者負担の原則から登記手数料をもって賄うことになっているわけですが、実は経済情勢がこういう問題になってきましたので、なかなか容易に値上げしても納得していただける状況ではないというふうに思っていまして、私どもとしては当面は現在の手数料の収入の中でやっていくほかないなというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/230
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231・福島瑞穂
○福島瑞穂君 私は、これは何のためのコンピューター化か、あるいはだれが利便を得るのかと考えたときに、恐らく企業、不動産会社などがいながらにしてパソコンを打つことによってその不動産に関する情報を入手できるというメリットがあると思います。一般の人にとってはどうか。これはパソコンからの画面では証明書として使えないので、実際に法務局に行かないといけないわけですよね。ただし、法務局は逆に統廃合がどんどん進んでいます。そうしますと一般の、一生に一通とるかどうかなんという人は、法務局の統廃合でなかなか遠くなって、半日かかる、一日かかる状態。むしろ不動産会社、一般の企業はパソコンを打つだけで不動産状況をぱぱぱっと理解できる。そうしますと、実は一般の人にとって非常に統廃合の結果不便になるという面もあると思うんですが、この法務局の統廃合についてお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/231
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232・細川清
○政府参考人(細川清君) 全国で登記所は今八百七十ちょっとあるわけですが、これはもともと明治時代の地理的状況、交通状況を反映して設けられておりましたものを順次縮小してこのような数になったわけでございます。そして、この統廃合につきましては、何度か行政改革の関係でさらにこれを進めるようにという指摘がなされておりまして、ごく最近も総務庁から統廃合の進捗状況が低いんではないかという御指摘があったところでございます。
私どもといたしましては、民事行政審議会で統廃合についての、私どもは適正配置と言っていますが、登記所の適正配置の基準をお示しされておりますので、この基準に従って統廃合をしてまいりたいと思っているところでございます。
その過程では、やはり地元の利用者の皆様方の御理解が得られることは大事でございますから、これは十分地元の方に御説明した上で、サービスの程度が落ちることがないようにできるだけの努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
この本法案が実施することができればパソコンで見ることができますので、そういった問題も若干は緩和される可能性があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/232
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233・福島瑞穂
○福島瑞穂君 パソコンの普及率は非常に高いものがありますが、年齢によって、場所によって、地域によって普及率は大変違うと思います。そうしますと、一定の年齢、余りパソコンを使ったことがないという年代の人が、このコンピューター化によって手数料がもし上がったり統廃合が進むのであれば何もメリットはないというふうに思うだろうと思うんです。
ですから、ちょっとくどいようですが、手数料には理解を得なければと言いつつ、登記所の統廃合に反対している町村の理解を得ることなく廃止を強行するということは非常に問題ではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/233
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234・細川清
○政府参考人(細川清君) 統廃合というのは総論賛成、各論反対の典型的な問題でございまして、国全体で取り組んでおる行政改革の視点からいえば、これは現在の非効率的な分散的配置機構ではだめだということはどなたにも御理解いただけると思うんです。
今、私どもの登記所では職員が一人しかいない、あるいは二人しかいない、三人しかいないというところが多数ございまして、これが非常に大きな非効率のもとになっております。国の役所では、例えば税務署等は六百弱しかございませんし、八百を超える数があるというのはやはりまだまだ統合する必要があろうかと思っております。
私どもといたしましては、なるべく地元の方に事前に統合しなければならない実情を十分御説明し、そして必要な、可能な限りの事後のサービスの充実を図るということで御理解を得ながらやっておりますが、最終的には、どうしても御理解を得られない場合がありますから、そういう場合には形式的には御理解を得られないままでする場合もありますけれども、私どもの努力目標としましては、なるべく地元の方々の御理解を得られるようにとしている実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/234
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235・福島瑞穂
○福島瑞穂君 地方分権、高齢社会の中ではむしろ、簡易裁判所などの統廃合も進んでおりますが、統廃合というのが果たして地方分権や高齢社会に合致しているのかどうかという疑問を呈して、次の質問に行きたいというふうに思います。
今回、民事法務協会、法務大臣が指定する公益法人が仲介者というふうな形になるわけですが、要するにアウトソーシングにされるというようなイメージで私は思っているんですが、いろんな役所のアウトソーシング化というのは、調べますと例えばその省庁の天下り先になっていたり非常に深い関係があったりということもあるわけですけれども、この民事法務協会のみが今回仲介になるのか、それとも将来いろんな団体も仲介になり得るのか、天下りとの関係はどうかということについてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/235
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236・細川清
○政府参考人(細川清君) この指定法人がしている業務は、コンピューターを設置した上で主として料金等を徴収する業務でございます。ですから、それにはそれなりの人数が必要でございますので、これをそのまま役所でやるのは非常に難しいという面もございます。法務局の職員はこの二年間で相当減らされておりますので、政府全体の合理化計画の中で、新たな人を捻出するのは難しいということでアウトソーシングという考え方もとられておりまして、それも一つの指定法人を採用する理由でございます。
それで、民事法務協会が天下り先であるかどうかというのは、これは私どもが申し上げるより事実として御判断いただいた方がいいと思うんですが、民事法務協会の役員は十九名おりますが、このうち有給は二名、会長、副会長だけでございまして、その余の十七名は無報酬でございます。
それから、職員は二千人ほどおりますが、大部分は、一千人を超える数は登記簿の謄抄本の作成及びコンピューター化された登記所における登記事項証明書を発行するためのオペレーティング作業をやっている職員の方々でございます。残りは登記相談とか、登記所の利用者のいろいろの各種相談がございますので、そういう相談に応じてもらう仕事、それから登記簿の簿冊に入っている登記事項をコンピューターに移行するための移行作業に従事していただくということで、これは法務局のOBが八百名ぐらい要ります。これはそういう登記の知識がある方でなければそういうことはできませんので、そういう方をお願いしているというのが実情でございます。
それが民事法務協会の実情でございまして、いわゆる法務省の幹部が天下って甘い汁を吸う、そういう意味での天下り先ではないと私たちは確信しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/236
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237・福島瑞穂
○福島瑞穂君 天下りでないという説明がありましたが、ただ法務局のOBがいるのが民事法務協会になるわけですね。そうすると、結局定年後の就職先の場としての新しい仕事という見方もできるのではないか。私が不思議なのは、法務局の統廃合をやったり法務局の人員をばんばん削っています。本来であれば、アウトソーシング化するのではなく、なぜ法務局本体の業務としてやらないのか、そこをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/237
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238・細川清
○政府参考人(細川清君) これは相当長い経緯がございまして、登記の申請事件あるいは謄抄本の交付事件が爆発的にふえたことがかつてずっと続いておりました。そういう段階では、相当毎年何十人という単位で法務局の職員を増員していたわけですが、それでは到底追いつかないということで民事法務協会を設立いたしまして、昭和四十六年から民事法務協会に登記簿の謄抄本の交付等の業務を委託しまして、国から料金をお払いし、そしてコピーの作成、謄抄本の作成を委託している、そういうのが実情でございます。
ですから、これは全部職員でできればいいのではないかとおっしゃればそのとおりなんですが、国全体の行政の効率化というふうに考えれば、そういうことがかつてできなかったもので、これによって代替してきたというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/238
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239・風間昶
○委員長(風間昶君) お持ちの時間を超過しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/239
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240・福島瑞穂
○福島瑞穂君 以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/240
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241・小川敏夫
○小川敏夫君 民主党の小川敏夫です。
指定法人が法務局に納める費用ですが、一般人が登記簿の閲覧をしますと一件につき五百円かかります。そうすると、指定法人もやはり五百円が相当じゃないかと私は思うんですが、そこら辺の料金設定はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/241
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242・細川清
○政府参考人(細川清君) これは実は登記の情報管理に必要な経費総体をそれぞれの比率に応じて、事件の種類に応じて分担してもらうという考え方になっております。そして、閲覧ですと登記所にあるものをそのままお見せするわけですが、オンラインによる請求の場合にはそれなりにいろんな経費、設備等がかかるものですから、それを考慮しますとその部分はプラスせざるを得ないということで、ちょっと五百円では無理ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/242
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243・小川敏夫
○小川敏夫君 指定法人が法務局に納める費用のことですけれども、そういう趣旨ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/243
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244・細川清
○政府参考人(細川清君) 指定法人が登記所に納める費用と、それから指定法人自体も手数料をいただかないと成り立ちませんから、その両方を合わせた額について申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/244
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245・小川敏夫
○小川敏夫君 私は、指定法人が法務局に納める費用、一般人が見に行けば五百円なんだから指定法人が納めるのも五百円、ですから指定法人が依頼者に請求するのは五百円にプラスアルファ自分の手数料、こういう計算になるんじゃないかという意味で質問したんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/245
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246・細川清
○政府参考人(細川清君) これは将来の予測に係るさまざまな変数がありますので難しいんですが、実は、登記事項証明書は千円なんです。従来のコンピューター化されている登記所における閲覧にかわるものは登記事項要約書というんですが、登記事項要約書には登記事項証明書にある全部の事項が載っているわけではないんです。今度のオンラインの提供法案では、登記簿謄本と同じように登記事項は全部出るようになっているんです。そういたしますと、従来の登記事項証明書を請求している数が相当数これに代替する可能性がありますので、単純に変わってしまいますと総体の手数料収入がこれによって落ちてしまいますので、やっぱりそれはできない。それで、全体の経費を分担、種類の予想される見込み件数に案分して負担していただくことが必要でございますので、ちょっと五百円では無理で、もうちょっと高くなるということを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/246
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247・小川敏夫
○小川敏夫君 私の方は、一般人が見に行くのも指定法人が同じ情報をコンピューターという方法によっていわば閲覧するのも同じだから同じ費用でいいじゃないか、こういう考えを述べたわけでございます。
閲覧の業務に関して、司法書士さんの仕事が多少減るかもしれないとも思うんですが、これまで司法書士さんが依頼者から依頼を受けて、かわりに閲覧してきてその情報を教えるという分野の司法書士さんの仕事があったと思うのですが、これを司法書士さんを通さないですべて指定法人ができることになる。そうすると、若干司法書士の職分を侵すというような、言葉はおかしいですけれども、その分野で幾らか司法書士さんの仕事が減るような気がするんですが、ここら辺、司法書士さんの方のお考えというのは聞いておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/247
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248・細川清
○政府参考人(細川清君) こういった登記法の改正等につきましては、司法書士さんに影響があるということは私ども承知しておりますので、当然のことですが、事前に日本司法書士会連合会、これは司法書士会の全国団体でございますが、こういうところに、こういう法案を提出したいと思っているんですが考えはどうですかというふうに、いろいろ意見を伺っております。
そういうところでいろいろ伺いますと、この制度は現行の閲覧制度に新たにオプションとして追加する趣旨のものなので、司法書士さんは本制度を利用することによって利便性を享受するという立場にはあります。ただ、これによって仕事が減るという立場ではないんではなかろうかと私どもは思っておりますし、ですから、この法律を制定することについて、日本司法書士会連合会は当然のことで賛成しておられまして、仕事が減るから困るという声は聞いておらないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/248
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249・小川敏夫
○小川敏夫君 依頼者と指定法人との間の情報提供契約ですが、これは継続的な契約というものを予定しているんでしょうか。
初めに情報提供に関する基本契約を結んでおいて、その基本契約を結んだお客さんだけが利用できるということなんでしょうか。あるいは、そういう基本の契約がなくても、ある日初めての人が突然情報を入手したいと言ってきた場合も受け付けるんでしょうか。
この情報提供契約の継続性といいますか、基本契約制といいますか、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/249
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250・細川清
○政府参考人(細川清君) 利用者の方々と指定法人とは契約を結んでいただく必要があるんですが、その対象者は、法律の条文にございますように、基本的にはだれでも対象者になれるということでございます。
契約を結んでいただく理由は、要するに、利用した後どういう方法で料金を支払っていただけるのか、その点についての契約、事を明らかにするために契約していただいているわけです。例えばクレジット払いでしたら、マスターならマスター、ビサならビサと、どういうクレジットを利用したい、自分の登録番号は何番ですよということを登録していただければ、それが確認できればそこで利用契約は成立して、後は何回でもそれに基づいて請求できるという仕組みになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/250
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251・小川敏夫
○小川敏夫君 そうすると、単発の情報提供の申し込みであっても即座に応じることができる、こういうことでよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/251
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252・細川清
○政府参考人(細川清君) 基本的にはそうでございますが、この人が確実にクレジットの契約があるということを確かめなければなりませんから、その間に時間がかかる。携帯電話の申し込みをするときにも若干かかりますが、それよりずっと簡単ですが、同じような趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/252
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253・小川敏夫
○小川敏夫君 そうすると、パソコンを操作できないような人たちがおりますので、例えば司法書士が情報提供契約を結んでおいて、司法書士がいわば依頼者と指定法人との間を取り持つという形態のビジネスができ得ると思うんですが、そういうことも予定しておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/253
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254・細川清
○政府参考人(細川清君) 司法書士の業務の中には謄抄本等を請求することも入っておりますので、この制度を利用して閲覧して、その内容を依頼者に知らせるということも当然のことながら司法書士の業務の一類型となるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/254
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255・小川敏夫
○小川敏夫君 それから、情報提供契約を結んだその依頼者が、その気になれば独自にビジネスもできると思うんです。
その人が、不特定多数の人を相手に、特定の人でもいいですけれども、有償で自分が情報提供契約を結んでおいて、周囲の人間からお金を取って登記情報を入手するということで情報提供契約者がビジネス化することもできると思うんですが、これは許されるんでしょうか。あるいは司法書士との関係で許されないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/255
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256・細川清
○政府参考人(細川清君) 司法書士の業務に属する事項を有償で反復継続して行うということは司法書士法違反でございますから、今の御指摘の事例もやはり司法書士法違反ということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/256
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257・小川敏夫
○小川敏夫君 法務局から直接情報を入手するんじゃなくて、いわば指定法人というところから入手した情報を他に有償で頒布するということも司法書士法に触れるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/257
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258・細川清
○政府参考人(細川清君) 司法書士法第二条では、「司法書士は、他人の嘱託を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。」としておりまして、第一号として「登記又は供託に関する手続について代理すること。」というふうになっております。それから、同じく司法書士法の第十九条では、「司法書士会に入会している司法書士でない者は、第二条に規定する業務を行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」ということになっております。
ですから、基本的には先ほど言ったような謄抄本をビジネスとして請求するというのはやはり司法書士法に抵触するというふうに私どもは考えているわけでございます。本件の法律でやる場合も、手段がそういう指定法人を介在して請求しているだけで、結果的には司法書士の業務である登記所に行って閲覧するということ、この方法をかりてやっているということになりますから、同様な解釈をすべきではないかというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/258
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259・小川敏夫
○小川敏夫君 細かい議論は余りあれですけれども、指定法人に対する申し入れが登記手続というのかどうか、ちょっとそこら辺のところ将来見解が分かれないようにきちっとしていただければそれでよろしいんですが。
指定法人は、この定められた事務、これを他の事業者に再委託することはできるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/259
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260・細川清
○政府参考人(細川清君) この法律では、指定法人についてさまざまな要件を規定しております。
そのことは、指定法人がその業務をみずから行って適正にできるかどうかという観点から定めておりますので、これを再委託するということは法律上明文に禁止する規定はございませんが、この趣旨からいえば許されないということになると思いますし、またそういうことが業務規程に盛られるようであれば法務省としてはそれは認可することができないという解釈になろうかとは思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/260
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261・小川敏夫
○小川敏夫君 それから、コンピューターの専用回線の接続ですが、これは指定法人が個々の法務局と結ばれるんでしょうか。それともそうではなくて、法務省の中で各登記所を統括したホストコンピューターのようなものが一つあって、そこと結んで、それから先へ、法務省の統合したところから個々の法務局に行くんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/261
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262・細川清
○政府参考人(細川清君) 現在の登記のコンピューターの組織を申し上げますと、これは原則として各登記所にコンピューターを置いて独立的に処理しているんですが、各地方法務局単位でこれを全部統括するバックアップセンターがございまして、そこに回線がつながっていて、そしてバックアップをしているわけです。そのさらに上部に、法務省民事局に登記情報センターというのがございまして、ここで、全国の情報が当然集まってきて、かつ全国のバックアップをしているという形になっております。
そういうわけでございますので、今回の法案では、指定法人から各地方法務局にあるバックアップセンターのコンピューターに回線をつないでいただきましてそこから各登記所にアクセスする、そういう仕組みを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/262
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263・小川敏夫
○小川敏夫君 あと、登記情報の管理という点ですが、先ほどほかの委員の方の質問の中で、指定法人が定められた様式に合わない情報は取り次がない、例えば名寄せができないというようなお話をお伺いしました。
その関係なんですが、指定法人は依頼者から例えば名前だけの登記物件の確認ができないということですが、指定法人そのもののコンピューターの機能として、指定法人は法務局にある全情報にアクセスして、指定法人がその気になれば名寄せもできるような仕組みになるんでしょうか。それとも指定法人そのものが、指定法人が法務局にアクセスするときに名寄せができないようなシステムのオンラインのやり方になるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/263
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264・細川清
○政府参考人(細川清君) 指定法人にあるコンピューターから名寄せができるようなシステムをつくることは技術的には可能でございますが、そういうことはさせないつもりでございます。ですから、現実に採用されるシステムでは、指定法人から名寄せをすることができないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/264
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265・小川敏夫
○小川敏夫君 登記の情報は公開されている情報が基本ですから、一般の公務員の守秘義務とはまた違うと思うんですが、今の名寄せの問題とかいろいろ考えれば、場合によっては秘密に関する事項もあり得るかとも思うんです。
今回の法案を見ますと、指定法人の役職員について、業務上入手した秘密の漏えいを禁止する規定が入っていないように思うんですが、そこのところはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/265
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266・細川清
○政府参考人(細川清君) 法案の第九条におきまして、「指定法人の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、登記情報提供業務に関して得られた情報を、登記情報提供業務の用に供する目的以外に使用してはならない。」という規定を設けておりまして、これにつきましては、違反がありますと、次の十条に規定がありますが、「法務大臣は、指定法人の役員が、この法律の規定若しくは」云々とありまして、「違反する行為をしたときは、指定法人に対し、その役員を解任すべきことを命ずることができる。」という制裁を定めているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/266
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267・小川敏夫
○小川敏夫君 済みません。規定がないんじゃなくて、罰則規定がなかったんですが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/267
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268・細川清
○政府参考人(細川清君) 失礼しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/268
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269・小川敏夫
○小川敏夫君 いや、私の質問が不十分だったんですが、その罰則の点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/269
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270・細川清
○政府参考人(細川清君) 罰則でございますが、この法律では先ほど申しましたような監督上の措置を考えておりまして、その場合には必要な報告を求め、監督命令を発し、是正措置をさせるということを考えております。
指定法人の役職員が顧客リスト等、こういった情報を持ち出したり横流しした、あるいはそれを打ち出して紙にして他の目的に使用したという場合には、これは刑法の窃盗罪が適用されるわけでございます。これは実例も最近ありました。こうした場合は、こういう窃盗罪によって逮捕できるわけでございます。
さらに、それ以上にわたって罰則を設けるかどうかというのは、これは指定法人が民間の法人でございますから、民間の銀行、その他の機関が顧客情報を流出させた場合の責任、罰則というのと同じような問題でございまして、今後、そういう民間からの情報の流出を防止し、個人情報を保護するためにどういう法制をしたらいいかということの全体の一環の中で検討すべき問題だろうというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/270
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271・小川敏夫
○小川敏夫君 あと、コンピューターで接続するわけですけれども、どうも私、コンピューターは素人で、なかなか十分には理解できないんですが、ハッカーというのがいて、第三者がコンピューターの回線に割り込んできて、貴重な情報を攪乱してしまうという被害が出ております。その防止対策とハッカーの方の技術手段も、防止対策が講じられればまたその上を行くというようなイタチごっこで、かなり高度な技術を持ったそういう妨害者がいるんです。
このハッカー対策に関しては、どうなんでしょうか、コンピューターは攪乱されると意外にもろい点もございますので、そこら辺の対処の方法などをお聞かせいただきたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/271
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272・細川清
○政府参考人(細川清君) 確かに登記簿に載っておりますのは国民の皆さんの財産に関する重要な情報でございますから、これがハッカー等でいろいろ操作されるということがありますと大変でございます。そういうことをぜひとも防止しなければならないわけでございます。
それで、本法案で考えておりますのは、一つは、登記所のコンピューターシステムにアクセスするルートを持っている人が多いとそれだけ危険性が比例的にふえるということになりますので、アクセスできる指定法人を全国一に限ることによってそういう危険をよりできるだけ少なくしようとしております。
それから、実施に当たっての問題ですが、実施に当たりましては、指定法人の中にゲートウエーシステムというコンピューターのシステムを置くことになりますが、この中にいわゆるファイアウオールというシステムを設けることとしております。これは要するに、本来の登記情報の提供に必要な情報だけではなくて余分な情報が来たときにそれをはねのけるソフトウエアとハードウエアの総体のことをゲートウエーシステムと言っていますが、これを導入することとしております。
これにつきましては、現時点で考えられる最もよいものということを私たちがコンピューター会社に言って注文しているところで、そういうものが導入されるであろうというふうに今考えております。
それからもう一つは、指定法人のコンピューター室の中に部外者が侵入してその操作をするということも考えられますので、これにつきましては、現在の登記所でも非常に厳重な入室退室管理をしていますが、それにまさるとも絶対劣らないような厳重な体制をこの指定法人にとらせるように、私どもとしてもしっかり指定のときに指示しなければなりませんし、その後も監視していかなければならないというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/272
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273・小川敏夫
○小川敏夫君 最近、原子力のように事故が起きてから想定外であったなんという話を聞くことがありますと、どうもコンピューターもなかなか素人にはよくわからない、しかし現実にそういうかなり高度な技術を持ったハッカーによる被害が全国各地で出ているというような実態もあります。そういった点を、想定外であったというようなことがないように十分心して安全に努めていただきたいと思います。
では、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/273
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274・風間昶
○委員長(風間昶君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615206X01119991213/274
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