1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年十一月十七日(水曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第五号
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平成十一年十一月十七日
午前十時 本会議
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第一 中小企業基本法等の一部を改正する法律
案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
一、請暇の件
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/0
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001・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
高野博師君から海外渡航のため明十八日から八日間の請暇の申し出がございました。
これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/1
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002・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
よって、許可することに決しました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/2
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003・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第一 中小企業基本法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
本案について提出者の趣旨説明を求めます。深谷通商産業大臣。
〔国務大臣深谷隆司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/3
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004・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 中小企業基本法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
現行の中小企業基本法は、昭和三十八年、その当時における経済社会の動向等を踏まえて、大企業との格差の是正を政策目標とし、中小企業の規模の拡大等によりその高度化、近代化を図るための施策を総合的に推進すべく制定されました。
しかしながら、基本法制定後三十六年が経過し、この間の急速な経済成長とその後の成熟経済への移行、これに伴う消費者の価値観の多様化、急激な国際化の進展等により我が国経済社会も大きな変化を遂げるとともに、開廃業率の逆転など中小企業をめぐる状況も大きく変化いたしております。
こうした中、現行基本法が規定する政策体系につきましては、関係者の多大な努力により成果を上げてまいりましたが、一方で、今日の中小企業が抱える多様な経営課題や新規創業の促進など新たな要請には十分こたえられなくなっております。
このため、中小企業政策審議会の答申を踏まえ、二十一世紀を見据えて、政策体系を抜本的に再構築し、今後の中長期的な政策展開の基軸を明確化するとともに、経済実態の変化も踏まえ、中小企業関係の法律に規定しております中小企業者の範囲を改定するため、本法律案を提案した次第であります。
次に、この本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、中小企業基本法の一部改正でございますが、新たな基本法では、中小企業は我が国経済の活力の源泉であり積極的な役割が期待されるものとして位置づけ、小規模企業からベンチャー企業まで多様な中小企業が抱えるそれぞれの弱みを克服し、機動性など中小企業ならではの独自の強みを発揮し活躍できるような政策へと転換すべく、独立した中小企業の多様で活力ある成長発展を基本理念といたしております。
また、新たな政策理念に基づき、資金、人材等中小企業に不足する経営資源の確保の円滑化、取引の適正化等基盤的な施策として中小企業の経営基盤の強化を、また、中小企業の強みを生かし創意工夫に基づく成長に向けた自主的努力をすそ野広く支援する施策として経営の革新及び創業の促進を、そして、経済環境の急激な変化等に対して脆弱な中小企業に対する施策である環境変化への適応の円滑化の三点を、政策の基本方針として再構築することとしております。
第二に、中小企業基本法を初めといたしまして、関係法律における中小企業に関する施策の対象とする中小企業者の範囲を、製造業その他の事業を営む企業につきましては、資本金基準を現行の一億円以下から三億円以下に引き上げ、卸売業については、資本金基準を現行の三千万円以下から一億円以下に、サービス業については資本金基準を現行の一千万円以下から五千万円以下に引き上げるとともに、従業員基準を現行の五十人以下から百人以下に、小売業については、資本金基準を現行の一千万円以下から五千万円以下とすることとしております。
本改正は、中小企業基本法のほか、関係の三十二法律が対象となっております。
以上が本法律案の趣旨であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/4
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005・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。須藤良太郎君。
〔須藤良太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/5
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006・須藤良太郎
○須藤良太郎君 私は、自由民主党、公明党及び自由党を代表いたしまして、ただいま議題となりました中小企業基本法等の一部を改正する法律案に対して質問をいたします。
昨年夏、不況のどん底からスタートした小渕政権は、まず経済再生、とりわけ金融システムの改革、そして暗たんたる不安、不振にあえぐ中小企業対策に全力を注いだところであります。
本年一月の通常国会における所信演説では、総理は、全国の中小企業の皆様から何とか苦境を乗り切ることができたなどの声が数多く寄せられたと率直な心境を吐露されております。が、今日、幾分明るい兆しがあるものの、中小企業にあってはまだまだ厳しい状況が続いております。
そして、さきの通常国会では、引き続き産業再生、経済新生対策への強い取り組みの中で、今回の臨時国会を中小企業国会と位置づけ、中小企業の果たす役割に高い評価と期待を表明しているところであります。
さて、今までの中小企業政策を振り返ってみますと、戦後復興期の昭和二十三年の中小企業庁設置に始まり、昭和三十八年に中小企業基本法が制定され、その礎が築かれました。しかし、昭和四十八年の第一次石油ショックを契機として、これまでの物、金といったハード面の対策よりも、技術、人材、情報といったソフトな経営資源などに重点が移ってきました。さらに、近年では新規創業や新分野進出、技術の向上、産業集積の活性化支援などが施策の重点とされてきております。
このように、我が国の中小企業政策は時代環境の変化に応じて、それぞれ施策の重点を変えてきておりますが、その基本的な目標は一貫して、経済の二重構造論を背景とした非近代的な中小企業構造を克服するという格差の是正にありました。
しかし、今回の政府提出の改正案では、中小企業政策の理念、重点政策等が大幅に変更されるわけでありますが、変更するに当たりまして、今日まで講じられてきた中小企業政策をどのように評価されておられるのか。
特に、今期の雇用情勢は景気回復のおくれ、企業倒産、リストラなどにより依然として厳しいものがありますが、今後の雇用確保の見通しを伺うとともに、このような時期に雇用の大宗をなす中小企業に係る政策を変更しなければならない理由をまず総理にお伺いいたします。
次に、昨今、新規事業の創出やベンチャー企業の育成が円滑に進めば、景気回復、産業構造転換、雇用確保などが著しく進展するかの風潮があります。
改めて申し上げるまでもなく、我が国雇用の大多数を吸収し、現在も我が国経済の屋台骨となっているのは既存の中小企業であります。もちろん創業支援も必要でありましょうが、既存の中小企業の活性化がなければ我が国経済の本格的な回復にもおのずから限界があるのではないでしょうか。しかも、こうした圧倒的多数の中小企業が存在する中で新たな政策転換を行うに当たっては、既存の中小企業にとって、政策転換に伴う不利益をいかに少なくし、新たな政策との調整を行っていくことが重要であると思うのであります。
総理は、こうした既存の中小企業に対して、今後とも積極的に支援を行うことの必要性についてどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
次に、定義改定の問題についてお伺いいたします。
中小企業の範囲の拡大によって新たに一万六千社が中小企業の中に入ってまいりますが、それによって中堅企業も対象となり、限られた中小企業予算が中堅企業にも配分されて、切実に必要としている中小零細企業対策に十分に行き届かなくなってしまうおそれがあります。
ちなみに、一般会計における中小企業対策のための当初予算は、過去十年間、千九百億円台で推移しており、ほとんど変化しておりません。したがいまして、この範囲の拡大のためはもとより、中小企業重視にふさわしい平成十二年度予算の大幅な拡充が必要であると思いますが、大蔵大臣の所見をお伺いいたします。
さて、さはさりながら、日本経済を立て直すためにはどうしても創業・ベンチャー対策をぜひ充実させなければなりません。研究開発や技術開発したものの商品化、市場開拓、資金等の経営上の問題等に対して積極的に国がかかわっていくことが必要ではないかと考えます。
幸いにも、今回の改正案の主要な柱の一つはこの考え方に沿って策定されたものであり、経済新生対策では、五年後に年間開業企業数が十万社程度増加することを目標として掲げております。その実現のためには、創業精神に大きなインセンティブを与えるアクションプログラムについて、規制緩和を含め、具体的に打ち出すことが緊要であり、その取り組みについて通産大臣にお伺いいたします。
次に、中小企業に対する金融支援のあり方であります。
中小企業にとりまして最も大きな問題は資金調達であります。最近、石原都知事が債券市場の創設を提唱したり、米国のNASDAQ市場を我が国にも開設しようとする動きがあります。また、中小企業の発行する私募債に対して信用保証協会が信用保証を付与することができるよう、中小企業信用保険法と信用保証協会法の改正が今国会に予定され、ハイテク企業やベンチャー企業等に対し直接金融へ新たな道が開け、大いに期待されるところであります。
他方、一方、先月の中小企業地域景況モニターによれば、現在の資金繰り状況について依然として厳しいとする中小企業は約半数以上も占めております。したがって、これまで間接金融に依存してきた中小企業にとって今後とも経営の安定を維持していくためには、政府系金融機関による低利融資制度や公的信用保証の充実が引き続き必要であると思います。特に、中小企業金融安定化特別保証の枠を十兆円拡大し、期間も一年延長するとの施策は非常に高く評価できるものであります。
昨今、商工ローン問題などが取りざたされていることを考えますと、一層強力な金融支援策が必要であると思いますが、通産大臣の所見をお伺いいたします。
最後に、中小・ベンチャー企業における税制改革及び人材確保についてであります。
まず、事業承継税制であります。
現行の相続税・贈与税制のもとでは、中小企業の円滑な世代交代や事業の存続が難しい状況にあります。農業では、相続後二十年間農業経営を継続した場合には相続税の支払いが免除される扱いになっておりますが、我が国雇用の大半を担っている中小企業の存続も極めて重要な国家的課題であり、農業と同様、地域に定着し、多くは生産と生活が一体であります。中小企業の事業承継を円滑に行うため、相続税の軽減初め、留保金課税制度の廃止、エンジェル税制の拡充等の政策配慮が不可欠であると思います。税制改正につきまして、大蔵大臣の基本的姿勢についてお伺いいたします。
もう一つは、中小企業の人材確保の問題についてでありますが、大企業に比べまして人的資源の少ない中小企業の場合、従業員一人一人の能力が企業の業績に直接結びつくため、いかに優秀な人材を確保するかは中小企業にとって将来の成長を左右する大きな課題であります。
我が国の経済社会では、これまで企業の安定性を求める大企業志向が強い傾向にありました。しかし、総理は、二十一世紀は中小企業の時代と位置づけておられ、また、改正案の基本理念でも、中小企業は「我が国経済の活力の維持及び強化に果たすべき重要な使命を有する」と高らかにうたっております。二十一世紀人材立国計画も活用しながら、中小企業が志向される社会経済体制が確立されて初めて中小企業基本法の基本理念も実現されるのではないかと思いますが、こうした中小企業の大活性化に向けた総理の御決意をお伺いして、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/6
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007・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 須藤良太郎議員にお答え申し上げます。
冒頭、これまでの中小企業政策を振り返られた上で、政策の評価についてお尋ねがありました。
中小企業のこれまでの発展は、中小企業の皆様方の額に汗する努力の結果ではありますが、政府の講じた施策が貢献したことも事実であると考えております。
今回の中小企業基本法の改正は、現下の企業の開廃業率の逆転や依然として厳しい雇用情勢のもとで、中小企業を日本経済のダイナミズムの源泉と位置づけ、創業の促進等産業と雇用を生み出す政策体系の構築を目指すものであります。中小企業の多様なニーズに対応するきめ細かな政策を展開することによりまして、雇用の創出につなげたい、このように考えておる次第であります。
既存中小企業に対する支援についての御質問がありました。
新基本法は、創業者やベンチャー企業への支援を政策の新しい柱の一つとするだけではありません。新基本法は、既存の中小企業や零細な小規模企業を含む多様な中小企業に対して、その政策ニーズに応じてきめ細かな政策展開を行い、その経営基盤の強化を図ることを目指すものであります。
中小企業の活性化に向けた決意につきまして最後にお述べになられました。
中小企業の活性化は今後の我が国経済新生のかぎを握るものでありまして、優秀な人材の確保が中小企業の発展に不可欠であることは御指摘のとおりと考えます。このため、新基本法におきましては、研修を初めとする人材の育成、技術情報の提供等の経営資源の確保に対する支援を重点施策として位置づけております。また、御指摘の二十一世紀人材立国計画も中小企業の人材の育成を図る上で重要な役割を果たすものでありまして、これらの施策を活用しつつ中小企業の活性化に全力で取り組んでまいる所存であります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
〔国務大臣深谷隆司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/7
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008・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 須藤議員の私への質問は二つでございます。
一つは、創業・ベンチャー対策の具体的な中身についてでございます。
議員御指摘のように、創業・ベンチャー企業の育成というのは、新たな産業を興すというだけでなくて、関連産業もさらに興していくという点で極めて重要であります。創業率が廃業率よりも低いという我が国の現状からいきますと、創業・ベンチャー企業を中小企業対策の柱に置くというのは全く御指摘のとおりでございます。
具体的に申し上げますと、そのために、創業者向けの資金供給の円滑化、あるいはベンチャー企業等への投資を行う投資事業組合への公的機関による出資の拡充を図る、あるいは人材、技術等のソフトな経営資源の円滑な確保をきめ細かく行う、そのためのワンストップサービス型の支援体制を整備していく等々が極めて重要であると考えます。創業者やベンチャー企業のニーズに合わせた総合的な対策を積極的にとってまいりたいと思っております。
もう一つは、中小企業向けの金融支援策についての御指摘をいただきました。
貸し渋りの環境はやや改善しているものの、中小企業に対する貸し渋りは依然として厳しさがあると思っております。
当省といたしましては、特別保証制度の延長、一年延長させていただき、その枠を十兆円追加させていただいたところでありますが、政府系金融機関による貸し渋り対策融資制度の的確な運営等に努めてまいりますとともに、社債への信用保証の付与といったようなことなど中小企業者の資金供給手段の多様化を図って、中小企業者の自助努力に少しでもこたえていけるように頑張っていきたいと思っております。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/8
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009・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 中小企業の範囲が拡大されますと、減免等の措置は、当然これを受ける企業が多くなるわけでございますから、それは問題がないわけでございますけれども、御指摘のように企業の数が拡大いたしますと、従来どおりの予算の配分ということになれば、それだけ薄くなる心配があるではないかという御指摘でございます。
このたびの定義の見直しによりまして、恐らく数千、四千ぐらいではないかと思いますが、中小企業の数が対象として増加をいたしますので、ただいま言われますようなことがありませんように十分注意をいたします。私どもこの国会を中小企業国会とすら考えておりますので、予算につきましては遺漏のないように万全を期してまいりたいと思っております。
それから、従来、中小企業の事業承継についていろいろな障害があった。例えば小規模宅地等、土地の高騰によりまして親から土地を受け継ぐだけで相続税が払えないというようなことがあって、承継に支障があったということはしばしばございました。
しかし、累次における法律の改正をしていただきましたのと、それから土地の価格の高騰がやみましたために、現在、最近の税制では百坪までの評価は八割軽減となっておりますので、二割だけが課税の対象になるということになりましたので、この問題は土地価格の上昇がやまったこともありましてほぼ解決されたのではないかと思っておりまして、御指摘のように残りました問題は、上場されていない株式をどう評価するかといったような問題、事業用資産の評価の問題でございますが、あるいは留保金課税、法人と個人とのバランスをとるというような措置について、これらについて行政が間違いませんように十分注意をいたしてまいります。
エンジェル税制につきましては、今後この国会に中小企業創造法という法律を御審議いただきたいと思っておりますわけですが、それによりましてエンジェル税制の対象はベンチャー企業等の範囲の拡大を当然考えておりますので、この点につきましても、この法律を御審議いただきまして成立いたしますと範囲が広がるものというふうに考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/9
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010・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 円より子君。
〔円より子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/10
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011・円より子
○円より子君 私は、民主党・新緑風会を代表し、中小企業基本法等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。
小渕総理は、この臨時国会を中小企業国会と銘打たれました。看板としてはなかなかのもので、コピーライター的素質がおありなのだと感心しておりました。
我が国経済には少し曙光が差してきたというものの、中小企業については幾らお金をつぎ込んでも回復の兆しが見えてまいりません。会社倒産やリストラで昨年の男性の自殺者は二万二千三百四十九人と前年比約一〇%増ですし、倒産件数を見ても資本金五千万円未満の企業の倒産が九六・一%を占めております。
こうした中、喫緊の課題である中小企業対策を本気でやってくださるのだと大いに期待していたのですが、小渕総理、あなたは衆議院本会議での中小企業基本法の質疑にもお出になりませんでした。あなたの意気込みは言葉だけだったとしか思えません。総理、意気込みとそして実行力をしっかりとお見せくださいますか。
前国会において通信傍受法が審議されましたが、共産党幹部宅への盗聴事件等の追及について、小渕総理は警察を信頼しているとお答えになりました。そしていわゆる盗聴法は警察への信頼を前提にして強行採決されてしまいました。神奈川県警の一連の組織ぐるみの不祥事をどう考えるのか。うそつきは泥棒の始まりと申しますが、国民の信頼を大きく裏切ったという点で、子供たちにあなたはどのように説明なさるのでしょうか。
また、今回のHⅡロケットの打ち上げ失敗は非常に残念なことです。来年三月に運用満期を迎える静止気象衛星「ひまわり」にかわる運輸多目的衛星も失われてしまい、気象観測への影響が心配ですが、打ち上げ費用三百四十三億円もむだになってしまいました。打ち上げ失敗は昨年二月に続いて二回目ですし、東海村の臨界事故直後でもあります。
臨界事故について想定外の事故と政府はおっしゃるが、事故とはすべて想定外であり、国民の不安をかき立てないように危険性を情報公開し、想定外のことが起きても対処できるすべをつくるのが安心できる政治ではないでしょうか。
しかし、このことでも政府は国民の政治不信を一層高めるだけでした。そして、藤波議員の有罪判決や企業・団体献金の禁止、介護保険の実施をめぐる迷走ぶりには国民もあきれ果てております。こうしたことが日本の将来に対する漠然とした不安を強め、景気についても元気が出ない元凶となっているのではないでしょうか。幾ら中小企業国会と頑張ってみられても、根本の信頼をかち得る努力が必要だとはお思いになりませんでしょうか。
さて、戦後日本の急速な経済復興、その後のさまざまな経済環境の変化に対して、常に中小企業は日本経済を牽引してまいりました。私たち民主党は、二十一世紀にふさわしい産業構造とは、ピラミッド型系列や護送船団方式といった従来型の形態ではなく、また、欧米のような市場経済万能型でもないリベラル資本主義であると考えています。リベラル資本主義とは、大企業と中小企業、物づくりとサービス、ハードとソフト、中央と地方が互いにビジネスチャンスを与え合っていく豊かな共存型社会です。その実現のためにも中小企業の持つ柔軟性、スピードはこれからの日本経済に欠かせないものではないでしょうか。
そこで総理、中小企業国会とおっしゃるからには、中小企業政策に対する将来までを見通した基本理念とビジョンがおありだと思います。それをまずお聞かせください。
次に、今回の改正は、中小企業基本法の趣旨を、弱者を保護するという立場から、やる気のある中小企業を大きく育て、日本経済を活性化させる形に変えるということであり、それは日本経済の再生のかぎは中小企業にあるということです。この位置づけには私も賛成です。
しかしながら、中小企業が現在甚だしい苦境にあるのは、そもそも銀行に多額の公的資金が投入されましたが、依然として貸し渋りが続いているからなのです。これは人災ではないでしょうか。
例えば、商工ローン大手二社に対する大手銀行の融資残高は一千八十億円にも上るといいます。中小企業の人々が額に汗して納めた税金が銀行に大量に投入されているのに、銀行は中小企業には融資せず商工ローンに融資し、その商工ローン各社は四〇%もの高金利で中小企業に貸し付けております。その金利で中小企業は首が回らず、倒産に追い込まれたり、人々は自殺を余儀なくされているのです。商工ローンの手口に対する批判は当然です。しかし、銀行は手を汚さずに中小企業を追い詰めているという構図がはっきりと見えます。これを放置していた責任は政府にあるのではないでしょうか。総理と大蔵大臣の答弁を求めます。
さらに、社会的な批判に対応して銀行は商工ローンへの新規融資を中止するようですが、高金利とわかっていても銀行からは資金を借りられないために商工ローンから借りていた企業が、今度は商工ローンからも借りられず四苦八苦しております。こうした状況にどう対処すればいいのか、大蔵大臣の御意見をぜひお聞かせください。
最近、外資系企業が日本のノンバンクや倒産した銀行を買収したことが話題になりました。聞くところによりますと、これらの外資系企業は、従来日本でおくれていた無担保個人ローンや中小企業ローンの分野により低い金利での貸し付けを積極的に行おうとしているそうです。日栄等の問題が表面化する前に、なぜ日本の商工ローン業者が実質的にもう少し低い金利で健全な貸し付けをやれなかったのか。また、事業の将来性を見通した保証人抜きの無担保事業金融に積極的になぜ出られなかったのか。外国の方が日本より金融技術が進んでいるためにこのようなことになるのでしょうか。大蔵大臣の御所見を伺います。
政府の無策と間違いによる人災で疲弊している中小企業の中にも自助努力で頑張ろうとしている企業は多くあります。そのやる気を支援するために、事業承継に関する税制上の優遇措置の確立、法人税の軽減税率改定、留保金課税の改廃、エンジェル税制の抜本強化などを図るべきと考えますが、これも大蔵大臣、いかがでしょうか。
中小企業の定義で資本金基準の引き上げにより小規模企業への対策が手薄になるという懸念が既に指摘されております。小規模企業に対し従来以上に配慮するとの総理の御見解ですが、具体的にはどのような施策を講ずるおつもりなのでしょうか。
次に、中小企業の発行する社債に信用保証をつける法改正が今回含まれております。しかし、中小企業の中で直接金融を行えるところはごく一部でしかありません。大多数は依然間接金融に頼らざるを得ない状況にあるというのが現実です。そのような企業が、今回問題になっている商工ローンなどからの借り入れを余儀なくされているのです。民主党では既に出資法等改正案を前国会で提出しておりますが、出資法と利息制限法の改正についてはどのようにお考えになるのか、通産大臣と大蔵大臣の答弁をお伺いいたします。
また、中小企業向けの特別信用保証枠を十兆円拡大するのにあわせ、来年四月からは企業の経営改善計画の提出を義務づけるとのことですが、信用保証協会の融資については、将来性のあるベンチャー企業や新しい雇用の創出につながる事業に絞り込んだり、既往の銀行借り入れの返済に優先充当されることのないよう指導するなど、現実的で効果的な行政があってしかるべきだったのではないでしょうか。また、計画に盛り込むコスト削減策や雇用拡大策等は本当に審査ができるのでしょうか。さらに、計画の実施状況についてはどのようにチェックし、フォローアップするのか、通産大臣の御所見を伺います。
スウェーデンや米国では、金融不良債権処理に公的資金を投入した後、株価や資産価格が約三五〇%上昇し、短期間でストック効果による経済の再生、健全化が達成されたと聞いております。宮澤大蔵大臣が総理と大蔵大臣を歴任された期間を通して、日本はいまだ資産ストック面からの再生が達成されておりません。大銀行、大企業のリストラで、中小企業はいまだに深刻な逆境に苦しんでおります。根源的な解決のためにストック政策も検討すべきだと私は思っておりますが、大蔵大臣と経済企画庁長官の御所見をぜひお伺いしたいと思います。
今回の中小企業基本法の定義に、実はNPOは含まれておりません。福祉、介護、育児など、これからますます女性の就労増が見込まれる分野ではNPOや組合などの小規模事業が多いと考えられるだけに、NPOに対する政府の小規模事業支援についてどのようにお考えでしょうか。また、事業の発展段階や環境変化に応じて柔軟な組織再編が可能となるよう、NPOや中小企業組合などから株式会社、有限会社への組織変更が行いやすくなるような施策を講ずることについてのお考えもお聞かせください。NPOは企業ではないからとおっしゃらず、経企庁に任せていてはNPOの活性化は期待すべくもないとの意見が大きいことを踏まえ、ぜひ踏み込んだ御答弁を期待いたします。
米国では女性経営者の割合が四割ですが、しかし日本ではたった五・五%と格段に少ないのが現状です。日本の銀行は担保を持っていない人には基本的に融資しないため、これは、銀行には担保以外の審査能力がないのではないか、今判断能力を失っている銀行が多いと思いますけれども、そういった状況のため、女性は運営資金が得にくいのです。
例えば東京市民バンクは、小規模ながらも市民事業に対して担保なしで融資をしていて、地域の豊かな町づくりに貢献しております。女性起業家への融資も約七割を占めていますが、今のところ貸倒率はゼロでございます。日本の銀行は担保を持たない小規模企業やベンチャーなど、少しでもリスクのある融資には及び腰なのです。先ほど申し上げました金融技術の問題と関連し、日本の銀行にはリスクを予測し、それに対応した自由化された利率を設定するノウハウが欠如しているのではないでしょうか。これについても大蔵大臣と通産大臣に御答弁願います。
また、二〇〇〇年問題に関連して、資金ショートを起こす中小企業がこの年末に出てくることが予想されますが、これについてもどのような支援策を講じられるのか、総理と通産大臣の答弁をお願いいたします。
やる気を支援する、チャレンジ精神を鼓舞するという点では、中小企業だけでなく教育も大切です。これまで日本は、物づくりに対する日本人特有のきめ細かい技術の改良と創意工夫が国内外の激しい競争に打ち勝つ原動力になってまいりました。しかし、今はどこの大学を卒業したのかという学歴至上主義で、むしろ技能を軽視する傾向にございます。起業家精神を養うために、初等中等教育から資質を醸成し、子供のころから物づくりになじむ教育システムを構築すべきではないかと考えます。そして、技能を持つ人々を尊重し評価する制度が必要ではないでしょうか。
また、全国の大学や専門学校などにベンチャーインキュベーターを設置し、ベンチャー企業を創業したいと思っている人のアイデアを支援する仕組みをつくるべきだと考えますが、総理の御所見はいかがでしょうか。
最後に、経済情勢の変化は、情報通信分野に代表されるように、我々が思っている以上に目覚ましいものがございます。今回、資本金と従業員の区分で定義した中小企業者の範囲を十年程度をめどに見直すという衆議院の附帯決議もあります。この一九九九年秋の鳴り物入りで始まった中小企業国会が、今国会だけの中小企業対策に終わらず、経済情勢の変化に見合う見直しを重ね、真に中小企業が経済新生の原動力となるよう努力されることも約束していただけるでしょうか。
また、こうした急激な変化に政府の対応は後手後手に回っているだけでなく、政策がくるくる変わることに国民の信頼は地に落ちております。二十一世紀の日本社会と国民の人々のために即刻解散・総選挙で国民の信を問われることを要求し、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/11
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012・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 円より子議員にお答えいたします。
中小企業対策への私自身の取り組みについてお尋ねがありました。
前国会での産業活力再生特別措置法、この法律の成立を受けまして、私は、産業の再生から経済の新生へと我が国経済の活力を回復していくためには中小企業の活性化が不可欠であると考え、本年八月末、通産大臣に対し、法律、予算等の総合的中小企業対策の具体化、創業・ベンチャー政策とこれに対する思い切った措置の検討などを指示したところであります。今般の中小企業基本法の改正等や経済新生対策に盛り込まれた一連の施策は、このような私の指示を踏まえたものでございます。
また、総理就任以降、各地の中小企業の現場を訪れ、その生の声に耳を傾けてまいりましたが、今後とも可能な限り中小企業の方々との意見交換を行い、その御意見を施策に反映させていきたいと考えております。
警察の不祥事についてのお尋ねがありました。
神奈川県警察の一連の不祥事案により、国民の警察に対する信頼を損なったことは、まことに遺憾のきわみであります。警察におきましては、現在不祥事案の未然防止対策の推進及び厳正な対応策等、信頼の回復に向けて全力で取り組んでいるものと承知をいたしております。私といたしましても、警察の厳しい反省のもとで真摯な努力を強く期待いたしてまいりたいと思っております。
HⅡロケットの打ち上げの失敗、東海村の臨界事故の例などを示された上で、政治への信頼についてのお尋ねがございました。
国民の負託と信頼にこたえることこそ政治の原点であることをしっかりと踏まえ、引き続き全力で国政運営に当たる覚悟であります。
二十一世紀に向けての我が国経済を展望するとき、中小企業は、機動性、柔軟性、創造性を発揮し、我が国経済のダイナミズムの源泉として、市場経済の苗床、イノベーションの担い手、魅力ある就業機会創出の担い手、地域経済の活性化の牽引力として大いに活躍することが期待されております。このため、中小企業がそれぞれの弱みを克服し、持てる強みを十分に発揮できるよう、政策を構築してまいりたいと思います。
銀行の中小企業に対する貸し渋り及び銀行の商工ローンに対する融資についてのお尋ねがありました。
いわゆる貸し渋りの問題につきましては、政府におきましてこれまで、信用保証協会等の信用補完制度の拡充、早期健全化法による新たな資本増強制度の創設、政府系金融機関による中小中堅企業等に対する融資の拡充などの措置を講じてまいったところであります。
また、昨年末には、私みずから、借り手である中小企業団体や貸し手である金融機関との懇談会を設け、融資の実態や意見等をお聞きするとともに、金融機関に対して改めて適切な対応をお願いしたところであり、金融機関の融資動向につきましては今後とも注視を怠りなくいたしてまいりたいと考えております。
いわゆる商工ローン業者に対する融資を含め、銀行の個々の融資につきましては、民間当事者間の私法契約上の取引でありまして、基本的には各行の自主的な経営判断により行われるものであると考えております。
小規模企業に対する政策についてのお尋ねでありましたが、国はその自助努力に対して支援し、創業の促進、経営の向上を図るべきものであると考えております。
今般の経済新生対策におきましても、きめ細やかな支援体制の一環として、身近な地域ごとの支援拠点を整備するとともに、創業者や小規模企業等を対象とする無利子設備資金貸付制度を創設するなど、施策の充実に努めておるところであります。
起業家精神を養うための教育の充実についてのお尋ねでありました。
チャレンジ精神を持った人材を育成することは、もとより極めて重要な課題と考えております。
このため、物づくりなど体験的学習の重視、また学校教育や社会教育の中で身につけた技能を評価する技能審査制度などの充実、さらに国立大学等の共同研究センターなどの機能を活用し、ベンチャー企業の支援に努めてまいります。
最後に、中小企業者の定義、範囲の見直しについてのお尋ねがありました。
基本法は、中小企業に関する施策について中長期的に基本となる事項を定めるという性格上、頻繁に改正するものではないと考えますが、経済社会情勢等の中小企業をめぐる環境の変化を踏まえ、必要に応じて見直しを行っていくことが重要だと考えます。
また、中小企業の活性化につきましては、今後とも全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣深谷隆司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/12
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013・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 円議員の御質問にお答え申し上げます。
一つは、出資法及び利息制限法改正に関するお尋ねでございます。
いわゆる商工ローンと呼ばれている中小企業向け貸金業者と保証人や債務者との間のトラブルの防止につきましては、金融監督庁や業界団体においてただいま取り組みが行われておるところであります。
法的な規制のあり方については、貸金業者に対する監督や業界における取り組みの状況等を踏まえて、関係省庁において十分な検討がなされるべきだと考えております。
なお、通産省といたしましては、中小企業庁等に窓口をつくりまして、貸し渋りの対応で商工ローンの苦情等に対して万全を期すように努力をしております。
二つ目の質問は、特別保証制度についての御指摘でございました。
今回の制度の延長に当たりましては、原則として貸し渋りを受けている中小企業を広く対象とするとの基本的な考え方に立ちながらも、来年度においては雇用の増大であるとか販売、生産、仕入れ面における改善等の建設的な努力の計画を有することを保証の要件として追加することにいたしております。しかし、これは来年四月からの問題でございますので、円議員等大勢の皆さんの御意見を踏まえながら、その内容面、手続面の詳細について、さらに今後鋭意検討してまいりたいと思っております。
三番目は、リスクに対応した融資制度についての御指摘でございました。
これは、リスクの伴うところには例えば金利を高く設定するといったような、そういう新たなやり方でございましょう。これは一部の金融機関においては既に始まりつつございますが、だんだんにこのような体制は広がっていくのではないかと考えます。
通産省としましても、民間金融機関が中小企業のリスク評価を行う際の一つのよりどころとして、我々が持っております例えば政府系金融機関とか信用保証協会等でありますが、これらの企業データを活用するデータベースの構築などにも取り組んでまいりたいと思っております。
それから、最後の御質問は中小企業のコンピューター西暦二〇〇〇年問題につきましてでございますが、通商産業省といたしましては、昨年からさまざまな取り組みを行ってまいったところであります。
その結果といたしまして、中小企業の対応の今日の状況を申し上げますと、本年十月の調査でございますけれども、対応済みまたは作業中と回答した企業は、事務処理系システムでは九二%であります。マイクロコンピューター内蔵機器では八五%というふうに、大幅に対応は増加しているわけであります。
今後は、中小企業に対して危機管理計画の策定を一層促進しますとともに、年末年始、さらに万一の事態を考えまして、緊急相談窓口の設置だとか専門家をいつでも派遣するような体制をつくりたいと思います。
なお、コンピューター西暦二〇〇〇年問題への対応も含めて、年末における資金需要の増大につきましては、特別保証制度の活用などを通じて、中小企業の皆様の資金繰りに困らないような状態で万全を期していきたいと思っております。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/13
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014・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 銀行が商工ローン等に多額の融資をして中小企業を顧みていないという趣旨の御質問につきまして、先ほど総理から御答弁になりましたが、そのような世評、世論にかんがみまして、金融監督庁におきまして十一月の初めから、日栄及び商工ファンドに対して多額の金融をしております銀行十三行、外銀を含むようでございますが、等に対して実態調査を開始いたしております。調査はまだ完了しておりませんが、銀行側もこの状況にはかなり敏感に反応しておるようでございます。いずれにしても、調査が済みましたらトータルの姿は公表するという由でございます。
なお、総理が言われましたように、いわゆる信用保証協会あるいは政府系金融機関でも一生懸命金融をやっておるわけでございますが、他方で、今おっしゃいました商工ローンのことはそれでいいが、そうすると今度は金を借りたい人が借りられなくなるだろうということにつきましては、先ほど立法にお触れになりましたので、それに関しまして後ほど御答弁を申し上げます。
それから次に、どうも日本の金融というのは、今、商工ローン業者なんかも高い金利で、おまけにそれを保証人に押しつけて債務者や保証人と非常ないざこざを起こすと。どうももうひとつ知恵がないではないかということは、実はおっしゃるとおりだと思っていまして、それは、やはり長いこと護送船団方式がありまして競争がございませんでしたから、新しい商品や技術を開発するという努力を金融機関は一向にしてまいりませんで、ようやくここで自由競争になりましたり外銀が来たりして、急速にこれは変わっていくようでございますけれども、過去においてそういうことがございましたことは否定できないと思います。急速に、しかし、それは変わってまいると考えております。
それから、中小企業の事業承継につきましては、先ほどお答えもいたしましたが、いわゆる土地が非常に高くてお父さんの仕事を継げないという問題は、長年立法もしていただきましたし、しまして、今百坪までの土地の評価は八割軽減でございますので二割になっております。したがって、これは、土地が下がったこともありましてこの問題は済んだと思いますが、あと資産の評価であるとか、あるいはいわゆる同族会社の留保であるとかということにつきましては十分注意をいたしまして、おっしゃいますようなことになりませんように行政をしなければならないと思っております。
それから、先ほどの商工ローンの問題でございますが、民主党が出資法等の改正案を前国会でお出しになって、また今国会でもいろいろ御検討であるということを承知しております。これは、私どもの党もいろいろ検討をいたしておりまして、各党がおのおのの該当委員会でこの辺の問題をどうするかということを皆さん御検討のようでございます。
御承知のように、昭和五十八年に当院でこの問題について、このときはサラ金という問題でありましたが、大変に御検討になりまして貸金業の規制法をつくられまして、これでいわゆる利子が一つ四〇%まで落ちたわけでございますが、それから時間がたちまして、今日新しい問題が出ております。
今、両院で御検討の御様子を拝見していますと、各党でお話しの上で、この出資法、利息制限法、貸金業規制法等々をひっくるめて、どういうことをしたらば議員のおっしゃいますように、社会悪は除けるが、しかし借りたい人には金が貸せるという、適正な利息でということを、立法を御検討のようでございますので、政府といたしましてもできるだけ意見を申し上げまして、新しいならば立法ができることに政府としても貢献をいたしたい、こう考えておるところでございます。
それから、ストックを軽視してきたことは、どうもまことに申しわけないことでございますが、事実でございますが、景気の回復に従いまして新しく国民がストックを築いていかなければならない。これにつきましては経済企画庁長官からもお答えがあるようでございます。
それで、先ほども申しましたが、日本の金融のノウハウというのは、おっしゃいますように大変におくれておりますので、金利を含めまして、あるいは担保であるとか保証であるとか、あるいは金融技術、新しい商品の開発、これは恐らくここまで参りますと、自由競争等々の中から外銀の影響もありまして、ここで大変に変わってまいると思いますけれども、金融行政としてもこの点は十分それを刺激してまいりたいと思っております。(拍手)
〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/14
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015・堺屋太一
○国務大臣(堺屋太一君) 企業の資産面の再建についての御質問がございました。
日本の企業は、今、不良債権の処理等企業資産の再建に懸命に努力しているところでございますが、まだ決して十分な段階には達しておりません。ようやくこの九月期で利益の減少が下げどまったと言われている程度でございまして、まだ全体として増加に転じるところには参っておりません。
株式につきましては、昨年十月に日経平均が一万三千円を割るという非常に低い相場がつきましたけれども、きょうあたりは一万八千円を上回っておりまして、約五〇%ほどに近い上昇でございます。このことは、株式を保有いたします中小企業を含めた企業の資産内容をよくしているという点では効果があろうかと思います。
政府といたしましては、金融の支援あるいは借入保証、その他あらゆる点をとりまして中小企業の再建には尽力しておりますし、何よりも重要なことといたしまして、この景気をいま一度一押し二押しよくすることによって一般の中小企業の資産内容を改革したいと考えております。
日本の企業者の方々は、長年、営々として資産を積み立ててまいられました。ところが、あのバブルがはじけました結果、多くの土地、株式資産が失われてしまった。まことに残念なことでございますが、今、これらにつきまして、不良債権の償却あるいは再び資産の積み上げという大変な努力をしていただいているところでございまして、我々政府といたしましても、その努力が報われますように最善の施策をとりたいと考えている次第でございます。
また、NPOにつきまして質問がございました。
NPOを中小企業にしてはどうかということでございますが、NPOというのはもともとノンプロフィットオーガニゼーション、利益を対象としていない団体でございまして、中小企業、株式会社、有限会社等、中小企業とはその発生と目的を異にしております。したがって、NPOから中小企業へ直接組織がえをするのは非常に困難を伴いますし、そのような法体系にもなっておりません。したがいまして、NPOから出発してその事業が株式会社にふさわしいものになりましたら、その段階で株式会社組織にするという道はございますが、NPOをそのまま株式会社に転換するというのはちょっと現在の法体系でもできませんし、哲学的、思想的にも困難な問題だと考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/15
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016・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 答弁の補足があります。小渕内閣総理大臣。
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/16
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017・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) コンピューター二〇〇〇年問題に関連いたしまして答弁補足をさせていただきたいと思います。
先ほど通産大臣の立場からの御答弁もございましたが、極めて重要な問題でございますので、改めて私から答弁をお許しいただきたいと思います。
中小企業のコンピューター西暦二〇〇〇年問題につきましては、政府としては各種の支援策を実施してきた結果、中小企業の対応状況は着実に進捗いたしております。引き続き、各種支援策の実施や危機管理計画策定の一層の促進を図るとともに、年末年始、さらには事後の影響を最小化するための支援策等を検討してまいりたいと思っております。
なお、コンピューター西暦二〇〇〇年問題の対応も含め、年末における資金需要の増大に対しては、特別保証制度の活用などを通じ、中小企業の皆様の資金繰りに万全を期してまいりたいと考えております。
お話しのように、いよいよ西暦二〇〇〇年まで五十日を切ってきておるわけでございまして、この問題につきましては気を許さず最後まで努力をいたしていかなきゃならぬと思っております。
国際的には、先年のAPECにおきましても、日本を中心にいたしまして、Y2Kを通じまして先進国同士のこうした問題についてはほぼ問題は皆無と考えておりますが、一般的にはまだ開発途上国との間のコンピューターの連結の問題等々考えますと、いまだ問題がなしとしないということもございます。
また、中小企業につきましては、先般調査をいたしました結果、実はまだこれに対する回答率が極めて低いところがございました。先般政府としても検討いたしましたが、率直に申し上げますと、中小企業あるいは零細な企業におきましてはオンラインでコンピューターをつないでおりませんものですから、したがって自社としてはコンピューター問題、二〇〇〇年問題はないという意味での指摘がございまして、そういった意味から考えますと、中小企業の場合にはオンラインできちっと、それぞれ二〇〇〇年問題が発生すべき諸問題もございますが、企業におきましては簡単なパソコン程度でございまして、そういう意味では大きな問題になるという要素もある意味では少ないという点もあろうかと思っております。
しかし、いずれにいたしましても、この問題は極めて重要であり、日にちも差し迫っておることでございますから、特に中小企業におきまして問題が発生してはいけないということで、先ほど通産大臣から御答弁させていただきましたが、あらゆる施策を講じて万遺漏なきを期してまいりたい、このように考えておる次第でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/17
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018・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 山下芳生君。
〔山下芳生君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/18
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019・山下芳生
○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、中小企業基本法等改正案に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
日本の中小企業は全事業所の九九%を占め、勤労者の七八%がそこで働いています。また、世界でも群を抜く技術水準で日本の物づくりを土台から支えるとともに、地域の文化、伝統を守り、安心して住み続けられる町づくりに貢献しています。まさに中小企業は日本経済の主役であります。
そこでまず、中小企業の果たす役割について総理の認識を伺います。
中小企業基本法を改正するというのなら、こうした役割を正しく評価し、大企業中心の産業政策の補完役として中小企業を位置づけてきた歴代自民党政権の中小企業政策を根本的に転換すべきであります。ところが、改正案はこうした期待に全く逆行する内容であると言わざるを得ません。
第一に、中小企業全体の底上げを放棄し、ベンチャーなど一握りの企業に支援を重点化する問題であります。
改正案は、「基本方針」の第一の柱に、「経営の革新及び創業の促進並びに創造的な事業活動の促進を図ること。」を掲げています。もちろん経営革新は必要ですし、創業やベンチャー支援も当然であります。しかし、これらを大企業の大規模なリストラ、人減らしに対する雇用の受け皿として過大に評価することは到底できません。
今、政府が最も力を注ぐべき政策は、六百四十万に上る既存の中小企業への救済と活性化策であります。そうしてこそ雇用と地域経済を守ることができるのです。ところが、堺屋経済企画庁長官は、限りなく非効率、非能率な企業を保護することはできないなどと答弁しました。長官は何をもって非効率、非能率な企業と言うのですか。結局、中小企業全体の一%にも満たないベンチャー企業や一部優良企業は重点的に支援するが、圧倒的多数の既存の中小企業は非効率、非能率のもとに見捨てるということではありませんか。総理、経企庁長官の答弁を求めます。
戦後最悪の不況の中、中小企業は経営努力を日々懸命に続けているのです。それでも消費税増税による売り上げの減少、大企業の下請切り捨てや大型店の出店に苦しみ、存立の危機に立たされているのであります。こうした企業を全体として支援することこそ中小企業政策の中心柱に据えるべきではありませんか。
とりわけ、我が国中小企業の七割を占める小規模事業者や個人事業者に対する支援は重要であります。SOHOの関係者からも、安心して仕事に打ち込むことができるよう、取引上立場の弱い個人事業者を守る法律をとか、病気やけがで入院した際の公的補償制度の創設をなどの提言がされています。今現に事業を営んでいる小規模事業者のこうした不安を解消してこそ、広く国民に創業意欲が芽生え、開業が進むと思いますが、いかがですか。
第二は、大企業の横暴から中小企業を守るルールを一層弱める問題であります。
改正案は、現行法の前文や第一条に掲げられた「中小企業の経済的社会的制約による不利を是正する」との条文をばっさり削除しています。しかし、全国中小企業団体中央会の下請動向調査によると、調査した九つの業界のうち、すべての業界で親企業からのコストダウンを迫られ、八つの業界で下請企業の選別が進行しています。
中小企業の不利は是正どころか大企業の横暴によってますます拡大しているではありませんか。
これを放置したのでは、日本の経済と社会を土台から破壊することになります。実際、大企業のリストラによる下請の切り捨て、果てしないコストダウンの押しつけが物づくり基盤技術の継承さえ危うくしています。日本共産党は、雇用対策として、大規模なリストラに対し、自治体との協議や計画の変更、中止の勧告ができるリストラアセスメント法をつくるべきだと提案してきましたが、これは下請問題でも重要であります。現にヨーロッパでは、工場閉鎖などに対し、事前の情報開示と労働者との協議を義務づけるなどEU指令でリストラを規制しているのであります。日本でも、日産の空前のリストラ計画に対し、経済界のトップから、隣の家を壊してまでも自分の家の火を消すやり方は受け入れられないなどの批判が起こっています。
総理、リストラは経営にかかわるもの、法制化は適当でないなどと傍観するのでなく、日本経済の健全な発展を図る立場から、大企業のリストラ、人減らしに対する適正な規制に踏み切るべきではありませんか。政治の力をこの分野でこそ発揮すべきではありませんか。明確な答弁を求めます。
大型店の身勝手な出店や撤退を規制し、商店街、中小小売店の振興を図ることも急務であります。九〇年代、ヨーロッパ各国は、需給調整などの経済的規制と生活環境などの社会的規制の両面から、大型店の出店規制を強化しています。また先日は、米国式の市場原理を導入すると弱肉強食で強いものだけが生き残り、結果的にはその横暴で消費者にも迷惑がかかるなどの反省の弁とともに、自民党内に規制緩和を見直す会が発足したと報じられました。総理、今こそ規制緩和万能論から脱却し、商店街の果たす多面的機能を守り、発展させる政策に転換すべきではありませんか。
第三に、中小企業予算の問題です。
予算は政治の顔と言われます。ところが、今年度当初予算における中小企業対策費は一千九百二十三億円、一般歳出のわずか〇・四一%にすぎません。しかも、中小企業基本法が制定された三十六年前と比べてもその比率は低下しています。宮澤大蔵大臣は、中小企業と名のついたものだけが中小企業対策費ではないなどと強弁しましたが、これは言いわけにもなりません。総理、あなたが本気で中小企業は我が国経済のダイナミズムの源泉と言うのなら、中小企業予算を思い切って拡充すべきではありませんか。
地域に根差した事業活動を営む中小企業にとって、地方自治体の中小企業対策の充実は大変切実な願いであります。東京・墨田区では、中小企業センターを拠点に技術研修や新製品開発のための異業種交流、受注の仲介など親身な経営支援をしておりますが、国からも都からもほとんど補助はありません。大阪・東大阪市でも、実効ある中小企業対策に向け、先月から市内全事業所の訪問実態調査を独自に始めました。改正案は地方自治体との役割分担を強調していますが、それならこうした積極的努力を行う自治体への財政的支援も拡充すべきではありませんか。
近年、ILO、OECDで中小企業や自営業の促進に関する決議、勧告が相次いでなされています。中小企業が雇用や地域経済発展に果たす積極的な役割が再評価されているのであります。
二十一世紀は中小企業の時代、これが世界の流れです。日本共産党は、中小企業に真に光の当たる政治を目指し奮闘することを表明し、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/19
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020・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 山下芳生議員にお答え申し上げます。
中小企業の日本経済における役割についてお尋ねでありました。
中小企業は、企業数で九九%、従業者数で六六%を占める存在であり、地域に根差した小規模企業もあれば、成長分野での飛躍を目指すベンチャー企業もあります。私は、こうした多様な中小企業が雇用を生み出す主役となり、日本経済の牽引力として活躍していただきたいと思っております。
新基本法では、中小企業を我が国経済の活力の維持及び強化の上で重要な役割を有するものと位置づけており、私としては、中小企業の振興に全力で取り組み、日本経済の新生をなし遂げたいと思います。
既存中小企業に者対する支援についての御質問でありました。
中小企業の中には、成長分野での飛躍を目指すベンチャー企業もあれば、地域に根差した小規模企業もあります。また、未来を志向して創業を志す方々も多数おられます。これらの中小企業等は、新たな雇用や産業を生み出す担い手、いわば我が国経済のダイナミズムの源泉であると考えております。
このような認識のもと、新基本法では、中小企業の自助努力を支援するとの原則に立ち、ベンチャー企業や創業者のみならず、懸命に経営の向上に努力されている既存の中小企業を含む多様な中小企業に対して、その政策ニーズに応じたきめ細かな政策展開を図ることといたしております。
小規模企業などの支援についてのお尋ねでありましたが、国は、その自助努力に対して支援し、創業の促進、経営の向上を図るべきものであると考えております。
今般の経済新生対策におきましても、創業者や小規模企業等を対象とする無利子設備資金貸付制度を創設するなど、施策の充実に努めております。また、中小企業が適切かつ公正な取引環境のもとで新たな開業を含めた健全な発展が遂げられるよう、下請代金の支払い遅延の防止等の取引適正化対策を重要課題として位置づけ、その対策に取り組んでまいります。
中小企業の不利は拡大しておるのではないかとの御質問でありましたが、中小企業と大企業の間に生産性等の格差があるのは事実であり、中小企業の生産性の向上は引き続き重要な政策課題であると考えております。
このため、新基本法におきましては、経営基盤の強化を重点施策として位置づけ、施策の推進に努めてまいる所存であります。
議員が御指摘になりました現行基本法の政策理念としての格差の是正や不利の是正は、中小企業を画一的にとらえており、その実態を是正すべきという考え方であります。しかし、実際には、中小企業は多様で活力ある存在であり、我が国経済の活力の源泉と正面から位置づけることがより適切であると考えます。
大規模なリストラに関する対応についてお尋ねがありました。
リストラは企業の経営にかかわるものでありまして、御指摘のような法制化については適当でないと考えますが、リストラが地域の経済や雇用に大きな影響を及ぼす場合には、企業と自治体との協議がなされることは重要と考えます。
政府としては、企業や経営者団体に対して、従業員の雇用の安定に向けての最大限の努力を求めるとともに、雇用の安定等の面から必要な指導、援助を行うなど、雇用対策に万全を期してまいります。
なお、今回の経済新生対策におきまして、大規模なリストラの実施により大きな影響を受ける地域における雇用創出を図るため、特定地域・下請企業離職者雇用創出奨励金、仮称でありますが、これを創設することといたしたところであります。
お尋ねの大型店の出店に関する規制でありますが、欧米主要国の多くでは、生活環境や都市計画の観点からの規制が主流となっておりまして、昨年の都市計画法の改正と大店立地法の制定による我が国の対応は、これと同様の観点に立ったものと考えております。
また、商店街や中小小売店の振興のためには、計画的な町づくりと同時に、商店街を魅力あるものとすることが重要であり、中心市街地活性化法等により、対策の着実な実施に努めてまいります。
中小企業予算についてのお尋ねがありましたが、中小企業対策費が一般歳出予算額に占める比率は、中小企業基本法が制定されました昭和三十八年以来、おおむね一%以下で推移しておりますが、政府としては、毎年度、予算の効率的な使用に努めるとともに、必要な予算を確保してまいりました。
このほか、中小企業対策費以外にも、中小企業向け官公需や中小企業技術革新制度、SBIRなど、中小企業の方々に役立っている予算があり、こうした取り組みも含め、今後とも、必要な中小企業対策費の確保に十分意を用いてまいります。
最後に、国と地方公共団体の役割分担についてのお尋ねでありましたが、今後の中小企業施策におきましては、地方公共団体を国と同様に重要な政策主体と位置づけ、地域の実態に応じたきめ細かな施策を講じていただくことといたしております。
具体的には、中小企業に対する相談窓口機能が発揮し得るよう、全国各地に支援拠点や都道府県支援センターの整備を進め、国としてその体制の整備を図ってまいりたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/20
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021・堺屋太一
○国務大臣(堺屋太一君) 私が、著しく非効率、非能率な企業をいつまでも限りなく保護することはできないという趣旨のことを申し上げた件につきまして御質問がございました。
小渕内閣は、発足以来、中小企業の金融、政府系金融の拡大や借入保証枠、特別保証枠の新設、拡大等、中小企業対策につきましては特段の配慮をしてまいったつもりであります。
しかし、中小企業基本法が制定されました一九六三年当時から世の中は大きく変わりました。当時、日本は、規格大量生産を目指して、大きいことはいいことだ、規模が小さいことは不利なことだと、そういった発想を持っておりました。
ところが、現在になりますと、量の大小によって企業の強弱あるいは経営の優劣が決まるものではございません。企業の競争を左右するのは知恵であり技術であり特色であるという時代に変わってまいりました。
私は、中小企業の大半は著しく非効率、非能率などとは思っておりませんで、それぞれの経営者、従業員の方々が懸命の努力をしていただいている結果、日本の国民生活、消費生活に非常に役立つ、効率的ですぐれた供給をしていただいていると考えております。
そうした中にあって、中小企業が小さいがゆえにやはり市場で不利になる面もございます。そういった人材とか資金とか情報、技術等につきまして円滑な確保ができるように、経営環境の変化にも対応しやすいように、これらの側面を補足するような政策を今回の中小企業施策でもとっていきたいと考えております。
しかしながら、さまざまな政策を講じましても、どうしても経営効率が悪くて、高い値段でしか商品、サービスを供給できない企業というものをすべて永久に保護、温存するとなりますと、消費者の方々にも納税者の方々にも多大の負担をかけることになります。また、経営者の方々にも従業員の方々にもよりよい職業につくチャンスを失わせてしまうということもございます。私が著しく非効率、非能率な企業と言うのはこのような意味でございまして、決して市場経済のもとで日々地道に努力しておられる多数の中小企業を見捨てるなどということは考えたこともありませんし、小渕内閣は全くしておりません。
現に、今回の中小企業の措置を多様化いたしまして、ベンチャービジネスのみならず、中小・小規模企業を含め、さまざまなタイプにそれぞれのニーズに合った施策を対応していくものと承知しております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/21
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022・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 三重野栄子君。
〔三重野栄子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/22
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023・三重野栄子
○三重野栄子君 社会民主党・護憲連合の三重野栄子でございます。私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました中小企業基本法等の一部を改正する法律案について、関係大臣に質問いたします。
政府は、現在の中小企業について、一時の厳しさを脱したものの回復は遅いと、その経営環境を分析しておられますが、認識が少し甘いのではないかと思います。
中小企業を取り巻く経営環境や雇用情勢は、現下の未曾有の長期不況も加わり、これまでになく厳しいものとなっています。歯が抜けたようにシャッターを閉める商店街や、親企業から横暴な要求を突きつけられる下請業者など、全国の中小企業者が不況のしわ寄せに苦しんでいます。一時の厳しさを脱したなどという表現をなさるのは、起業・ベンチャー支援への転換を進める政府の念頭に元気なベンチャー企業しかないのではと考えざるを得ません。
まずお伺いしたいのは、とりわけ小規模企業や個人事業者を取り巻く厳しい経営環境をどう御認識なさっているのか、小渕総理大臣の御所見を求めます。
こうした厳しい経営環境を見るまでもなく、中小企業は、大企業との圧倒的な格差を前提とせざるを得ず、経済的には弱者であり、その経営基盤は依然として脆弱であります。大企業と中小企業の間に厳然と存在する格差や不公正取引については政府自身も肯定されていますし、また経済の二重構造論の前提となっている生産性の格差についても否定されないはずであります。まず、この点を確認いたします。
このように、格差や不公正取引が存在しているのに、なぜ基本法の改正案で格差是正という政策の基本理念を転換するのでしょうか。政府は、スケールメリットを追求するような格差是正策が時代にそぐわないので、中小企業の自助努力を支援する中で全体として日本経済の活性化を図るとおっしゃっています。
しかし、これまで中小企業の生産性や取引条件の向上を図るさまざまな施策を展開してきたにもかかわらず、不利、格差は依然として解決されていません。中小企業政策の重要な柱である大企業と中小企業との格差解消や不公正な取引条件の是正といった政策目標は、改正案において、また基本理念において、どのように位置づけられているのでしょうか、あるいは位置づけられていないのでしょうか。通産大臣の明確なお答えをお願いします。
中小企業政策の基本は、きめ細かな実態に沿う支援策の展開にあります。ベンチャーを積極的に支援する一方で、今回政府は、定義変更により中小企業を約一万六千社ふやそうとしています。これまで中堅企業とされていた企業が新たに中小企業向けの支援策を利用できるようになれば、小規模、零細な事業者が切り捨てにされるのは必至であります。
このため社民党は、中小企業の定義を個人、小規模、中小、中堅などに細分化して、十分な財源をもって各規模別にきめ細かな施策を講じるべきと繰り返し主張してまいりました。とりわけ創業や雇用の中心であり、最も政策的な援助を必要としている小規模・零細企業については、手厚い総合的な支援がこれまで以上に不可欠になります。
しかし政府は、定義を細分化すれば施策が煩雑になり利用しにくくなると一顧だにしないだけでなく、改正案第八条には小規模企業への配慮が掲げてあり、施策も従来どおり展開するから小規模対策は万全だとおっしゃるばかりです。小規模・零細事業者の不安や心配を解消することは到底できません。
従来は中堅とされてきた企業やベンチャー企業などとは区別する形で小規模・零細事業者を明確に位置づけるとともに、少なくとも小規模・零細事業者に対する支援策を拡充し、制度整備を進めながら予算を抜本的にふやすと明言していただきたいと考えますが、通産大臣の明確な御見解をお伺いいたします。
下請業者は、工事の作業日程や請負代金などの全般にわたって上位の業者の言いなりにならざるを得ないのが現状であります。最近では、もともとの請負契約さえ踏みにじって、工事代金が約束どおり支払われないなどのいわゆる下請いじめが激増していると言われておりまして、深刻な問題を引き起こしています。下請いじめをなくすために、実際に起きている事案につきまして行政が関与できる仕組みをどのように確保すべきかが問われるはずです。
建設業の下請取引問題については、まず建設業法において建設省が担当し、問題ありと判断すれば公正取引委員会に措置請求する仕組みになっています。しかし、一九四九年に建設業法が制定されて以来、建設省から公正取引委員会に措置請求されたことは残念ながら一遍もなかったのではないか。これまでの建設省の取り組みも含めまして、建設大臣の御見解を伺います。
また、下請いじめ被害を受けた業者や団体が、中小企業庁や自治体の商工担当部門に駆け込んでも、建設省を差しおいて先に動くわけにはいかないとして、ゼネコンに対する指導に動くことはありませんでした。建設省任せにせず、機動的に動ける体制を構築すべきと考えます。これまでの通産省が独自に対処してきた事例などもあわせまして、通産大臣の御見解を伺います。
社民党は、地域で頑張る身近な中小企業、とりわけ地域の女性や中高年、障害者の方々が行う生活基盤型の創業、経営を積極的に支援することを主張してまいりました。
国として、中小企業を景気回復の先導役、雇用の受け皿としてとらえるのなら、これからの中小ベンチャー支援はこうした生活基盤型の創業支援を中心に据え、かつ、この大前提の課題として、中小企業の抱える不利是正、格差解消に向けた施策や制度の拡充について、これまで以上に取り組むことが求められています。
中小企業予算は二千億円、国の予算の一%にも満たない現状にあります。補助的に展開されてきた従来の中小企業政策を、経済政策、雇用創出の中心として抜本的に位置づけ直すことが必要と考えますが、小渕総理大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/23
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024・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 三重野栄子議員にお答え申し上げます。
中小企業、小規模企業や個人事業者の経営環境について御質問がございました。
中小企業の業況は、過去最低を記録した昨年末からは回復しているものの、昭和六十年の円高不況期と比べても極めて厳しく、設備投資や雇用を見ても極めてこれまた厳しい状況にあります。
また、個人事業者を含む小規模企業の業況につきましても、中小企業一般と同様、極めて厳しいものと認識をいたしておりまして、これが解消のために今全力を挙げて努力をさせていただいているところでございます。
中小企業政策の位置づけについてお尋ねがありました。
中小企業は、我が国経済のダイナミズムの源泉であり、新たな産業と雇用を生み出す主役であると考えております。このため中小企業基本法を改正し、生活基盤型を含めた幅広い創業の促進や既存の中小企業に対する経営基盤の強化への支援を政策の柱に据えております。
また、先日決定をいたしました経済新生対策では、中小企業等金融対策として七兆円超の事業規模を確保する等、政府全体として産業と雇用を生み出す中小企業政策の推進に全力を挙げてまいりたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣深谷隆司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/24
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025・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 三重野議員にお答えいたします。
中小企業政策の理念の転換はどういうわけかということでありますが、現在までの基本法というのは、三十年代にありましたいわゆる大企業と中小企業という経済の二重構造、大企業近代的、中小企業非近代的、その実態を変えるのが大事だというそんな観点でありました。しかし、あれから時代が変わって環境も大きく変わりまして、今や中小企業は経済の活力の源泉だ、雇用の創出の源泉だという、真っ正面からとらえようという考え方でございます。
しかし、結果としての指標において、おっしゃるとおり格差があることは事実でございます。新基本法におきましては、従来の格差の是正や不公正な取引条件の是正として位置づけられていたものを経営基盤の強化という点に転換いたしまして、中小企業のその持てる力を存分に発揮して自助努力を政府が正面から支援する、こういう前向きの政策体系として位置づけることにいたしたわけであります。
二番目の御質問は、小規模企業に関する御指摘でございますけれども、新基本法は中小企業を多面的にとらえているということでありまして、それぞれの面に合ったきめ細かい対策をしようということでございまして、小規模企業を切り捨てようというようなことは全く考えておらず、一層力をかけていかなければならぬと思っています。
今回の基本法改正では、このような小規模企業が例えば経済資源の確保が困難であるという点の事情を踏まえて、金融であるとか税制などについて必要な考慮を払うべき旨を明示的に新基本法の第八条で規定をいたしております。
また、小企業、零細企業の経営革新等を支援するための全国三百カ所における支援センター、これはいわゆるワンストップサービスという内容を整えていこう、あるいは小規模企業のための設備導入資金助成制度を整備して、そして小規模零細企業に一層の支援を図ろうと考えているところでございます。
三番目は、建設工事の請負における下請取引の適正化についてのお尋ねですが、通商産業省としては、建設業法に基づいて厳正な対処をいたしてまいりました。
具体的に申し上げますと、建設省と共同いたしまして、元請及びその下請についての報告徴収を行う。その結果問題があった場合には、元請に対して改善指導を行うとともに、必要に応じて立入検査等を行っております。
今後とも、不公平な下請取引につきましては、建設省と連携をとりながら、適正にそして厳正に対処してまいる覚悟であります。(拍手)
〔国務大臣中山正暉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/25
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026・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) 三重野栄子先生にお答えを申し上げたいと存じます。
建設業における下請取引の適正化についてお尋ねがあったわけでございますが、今、通産大臣からもお答えがありましたように、建設省といたしましてはこれまで、元請・下請間の取引の適正化については、書面による契約の締結、そしてまた現金払いの促進及び手形期間の短縮等について通達による指導、そしてまた講習会の実施を行うとともに、下請代金の支払い状況等に関する実態調査を行いまして、五十八万社あると言われておりまして、一社が倒産をすると三社ができるというような大変今難しい事情にございます。また、多くのいわゆる専門工事業者もいらっしゃるわけでございますので、情報の収集に当たりまして、具体的な改善の指導をしてまいりたい。
今後とも、元請業者に対する指導を徹底して、元請・下請間の取引の一層の適正化に努めてまいる、かようにお誓いをして答弁といたしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/26
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027・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 菅川健二君。
〔菅川健二君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/27
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028・菅川健二
○菅川健二君 私は、参議院の会を代表して、ただいま趣旨説明がありました中小企業基本法等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。
昨日発表された経済企画庁の十一月月例経済報告によりますと、景気は、民間需要の回復力が弱く、厳しい状況をなお脱していないが、緩やかな改善が続いていると概観しております。しかしながら、地元の中小企業等を中心とする経済界の実情を聴取すると、依然として底冷えの状況が続いております。
経済企画庁の発表と地域経済の実態にはなお乖離があると思われますが、経済企画庁長官には、中小企業を取り巻く最近の経済の実態と今後の見通しについてどのようにお考えになっておられるか、お伺いします。
さて、法案に関連し、中小企業政策の基本理念と政策のあり方についてお伺いします。
中小企業は、我が国経済の発展と活力の源泉であることは言うまでもありません。新たな中小企業政策の理念として、多様で活力ある独立した中小企業の育成、発展を図ることに求められることは時代の要請でありますが、政策の目標としては、あくまで独立した中小企業の自主的な努力を側面から支援し、伸び伸びと創造性を発揮できるような諸条件を整備すること、すなわち自立意欲を喚起する視点が最重要であることを忘れてはなりません。政府は、あくまで個々のプレーヤーが思い切ってプレーに専念できるよう環境整備に徹するべきで、素人のコーチや球団のフロントが過分な干渉や先走っては成果が上がりません。
この観点から、具体的な政策手段を精選し、あくまで中小企業が活動しやすい環境条件を整備することにとどめるべきで、おんぶにだっこであってはなりません。中小企業政策のあり方について、総理大臣にその基本姿勢をお聞きいたします。
また、中小企業は、地域にしっかり根をおろし、地域の特性を生かし、その活力の源泉として地域とともに発展するものです。したがって、多様な中小企業を第一次的に支えるのは地域住民であり、地方自治体であります。
従来の中小企業政策は、ややもすれば国が施策を細目に至るまで決定し、地方自治体に実施をゆだねる中央集権的な枠組みをとっておりましたが、地方分権整備法が成立した直後でもあり、地域における多様な中小企業政策を展開するため、国は基本政策のフレームワークは構築するものの、地域特性に応じた具体的な政策の企画、実施は地方自治体にゆだねる方向に転換すべきではないかと考えます。いかがでしょうか。通産大臣にお聞きいたします。
特に、中小企業ソフト支援体制を全国三百カ所、広域市町村圏の拠点まで設置しようとする政策は、国の画一的な政策を地域の末端まで押しつける印象を与えますが、この実施に当たっては各都道府県の実情に合うよう弾力的に対応すべきであり、地域の商工団体とも密接な連携を図るべきであると考えますが、どうでしょうか。あわせてお聞きいたします。
次に、中小企業への貸し渋り対策として昨年十月に導入した特別信用保証制度は、このたびの経済新生対策の中で、現行二十兆円の特別保証を十兆円拡大するとともに、期限を一年延長することとされました。この制度は、貸し渋りや倒産防止に一定の役割を果たしていることは評価されるものの、市場で淘汰されるべき企業を延命させ、構造改革をおくらせているとの批判があることも事実であります。
新たな保証枠の拡大に当たっては、これまでの制度を見直し、雇用の拡大や構造改革を条件づける等、意欲のある中小企業に重点的に配分されるように改善すべきではないかと考えます。通産大臣、いかがでしょうか。
次に、ベンチャー企業の育成策についてであります。
ベンチャービジネスの国際的な研究組織の調査によると、「ベンチャービジネスの創始者が社会的に尊敬されているか」という質問に対して、「はい」と回答した率はアメリカで九一%に達しておりますが、日本は八%という低い水準にとどまっております。起業家活動の重要性が議論されている割には、起業家に対する社会的評価が低く、そのためリスクを背負ってまでベンチャービジネスを始める意欲が高まっていない日本の実態をよくあらわしていると思います。
この際、政府は、ベンチャービジネスに対する諸施策と並んで、ベンチャービジネスの成功を積極的に顕彰し、機会あるごとに経済全体への貢献を啓蒙するなど、起業家を尊敬する風土づくりを全力で進めるべきではないかと考えます。通産大臣に御所見をお聞きいたします。
最後に、今臨時国会が中小企業国会として、後世から中小企業中興の祖と呼ばれるように、活発な議論が展開され、実り多い成果が上げられますよう期待して、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/28
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029・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 菅川健二議員にお答えいたします。
中小企業政策のあり方につきましてお尋ねがございました。
今回の中小企業政策の見直しは、中小企業の自助努力を支援するとの原則に立って、多様な中小企業がその持てる力を存分に発揮できるよう、政策ニーズに応じたきめ細やかな政策展開を図るものであります。
具体的には、資金、人材など中小企業に不足する経営資源に関する支援といたしまして中小企業の経営基盤の強化、中小企業の自主的努力への支援策として中小企業の経営の革新及び創業の促進、また中小企業に対するセーフティーネットといたして経済的・社会的環境の変化への適応の円滑化、この三点を中小企業政策の基本方針として構築してまいる所存でございます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣深谷隆司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/29
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030・深谷隆司
○国務大臣(深谷隆司君) 菅川議員にお答えいたします。
国と地方公共団体の役割分担についての御指摘でございます。
確かに、現行基本法では、「地方公共団体は、国の施策に準じて施策を講ずる」と、こうなっておりまして、いわば縦の関係のような書き方をいたしております。しかし、現実には、今や地方分権へ向かって流れが進んでいるわけでございまして、地方公共団体も国と同様に重要な政策主体だと考えていくのが適当でございまして、その意味で、新基本法の第六条で対等あるいはパートナーという位置づけをいたしたわけでございます。今後は、このような観点から現行の支援体制を再構築していくつもりでございます。
全国三百の中小企業支援センターの実施についてのお尋ねがございました。
このセンターの設置に当たりましては都道府県の実情に合うようにという御指摘でございますが、全く同感でございまして、十分協議を進めてまいります。
また、これらのセンターの事業の実施に当たっては、商工会であるとかあるいは商工会議所が行う経営改善普及事業等とも密接な連携をとりながら事業を進めていくつもりでございます。
特別保証制度について御指摘をいただきました。
今回の制度の延長に当たりましては、原則として貸し渋り対策ではございますけれども、来年度分につきましては、雇用の増大であるとか、販売、生産、仕入れ面における改善といったような建設的な要件もその条件の中に加えていくつもりでございまして、これによって多くの中小企業者がさらに経済構造改革に向け前向きに努力されていくような、それを支えるような体制をつくってまいりたいと思っております。
最後の質問は、ベンチャー企業の育成に当たって起業家を尊敬するような風土がないのではないかという御指摘ですが、これも私は同感であります。
通産省といたしましては、積極的に事業に、あるいは創出ベンチャーに果敢に取り組む人々に対して積極的な応援を行うとともに、先ほどその状況を顕彰せよということでございましたが、例えば通商産業大臣賞の表彰を行うなど今までもやってまいりましたけれども、これを継続、拡大していきたいと思っております。
また、子供のころからこのような起業家精神を涵養するということは大事でございまして、これは、ただいま文部省も教材の開発だとか起業家教育のための対応を考えているようでございますので、文部省ともよく連携をとりながら、こういうようなベンチャー企業が社会的に尊敬されるような風土をつくってまいりたいと思っております。(拍手)
〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/30
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031・堺屋太一
○国務大臣(堺屋太一君) 経済企画庁では景気は緩やかに回復していると報告しているが、中小企業の実際の景状感はもっと厳しいのではないかという御質問がございました。
我が国経済の最近の動向を見ますと、民間需要の回復は依然として弱く、厳しい状況をなお脱しておりませんが、各種の政策効果が浸透いたしまして、アジア経済の回復で輸出が伸びたこともございまして、やや緩やかに改善しています。
こうした中で、中小企業についても、昨年後半には極めて厳しい状況にございましたが、それよりはやや改善しているというのが現状だと考えております。景気が悪いとする中小企業はなお数多いわけでございますけれども、景状感、景気の状況に関するアンケート調査等でもかなり回復が見られているということでございます。しかし、これはあくまでも大きな数で、全体でとらえた場合でございまして、個々の中小企業をとらえてみますと、あるいはそれぞれの地域をとらえてみますと、極めて厳しい状況にあるところが非常に多い。まだ景気がいいというところよりも悪いというところの方が三五%、引いた残りが三五%もあるという状況でございます。
したがいまして、これからは景気回復に一層の努力をいたしますとともに、今般発表いたしました経済新生対策の中でも、中小企業・ベンチャー企業対策を中心的な課題といたしまして、一日も早く景気の回復、中小企業政策の強力な推進を実施したいと考えている次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/31
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032・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十七分散会
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114615254X00519991117/32
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