1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十六年四月二十八日(水曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第十九号
平成十六年四月二十八日
午前十時開議
第一 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第二 旅行業法の一部を改正する法律案(内閣
提出)
第三 海上運送事業の活性化のための船員法等
の一部を改正する法律案(内閣提出)
第四 商品取引所法の一部を改正する法律案(
内閣提出、衆議院送付)
第五 特定商取引に関する法律及び割賦販売法
の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
第六 労働審判法案(内閣提出、衆議院送付)
第七 私立学校法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、請暇の件
一、高速道路株式会社法案、独立行政法人日本
高速道路保有・債務返済機構法案、日本道路
公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等
に関する法律案及び日本道路公団等民営化関
係法施行法案(趣旨説明)
一、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案
(趣旨説明)
一、地方自治法の一部を改正する法律案、市町
村の合併の特例に関する法律の一部を改正す
る法律案及び市町村の合併の特例等に関する
法律案(趣旨説明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/0
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001・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
扇千景君から本日から九日間、林芳正君から来る五月二日から八日間、小川勝也君から明二十九日から十一日間、いずれも海外渡航のためそれぞれ請暇の申出がございました。
いずれも許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/1
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002・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。
よって、いずれも許可することに決しました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/2
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003・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) この際、日程に追加して、
高速道路株式会社法案、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案、日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案、以上四案について提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/3
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004・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。石原国土交通大臣。
〔国務大臣石原伸晃君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/4
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005・石原伸晃
○国務大臣(石原伸晃君) 高速道路株式会社法案、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案、日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団につきましては、民間にできることは民間にゆだねるとの原則に基づき、およそ四十兆円に上る有利子債務を確実に返済し、真に必要な道路を、会社の自主性を尊重しつつ、早期に、できるだけ少ない国民負担の下で建設すること等を目的として、平成十七年度中に民営化を実施いたします。
あわせて、高速国道の整備計画区間のうち未供用区間に係る有料道路事業費を当初のおよそ二十兆円から最大で十兆五千億円程度にほぼ半減するとともに、高速国道に係る有利子債務は、民営化時の総額を上回らないとしました。
これらの四法案は、道路関係四公団の民営化を実現するため、提出することとしました。
まず、高速道路株式会社法案につきまして申し上げます。
この法律案は、道路関係四公団を民営化し、高速道路の建設、管理等を効率的に行わせるため、東日本高速道路株式会社、首都高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、阪神高速道路株式会社及び本州四国連絡高速道路株式会社を設立するものであります。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、会社は、有料道路事業のほかサービスエリア等の関連事業等を実施できるとしております。
第二に、各会社が原則として事業範囲とすべき高速道路を定めております。
第三に、政府等は会社の総株主の議決権の三分の一以上の株式を保有するとしております。
次に、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案につきまして申し上げます。
この法律案は、高速道路に係る道路資産の保有及び会社に対する貸付け、債務の早期の確実な返済等の業務を行う独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構を設立するものであります。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、機構は、会社と協定を締結し、貸付料、債務返済計画等を記載した業務実施計画を作成するとしております。
第二に、機構が会社に道路資産を貸し付ける際の貸付料の額は、債務の返済に要する費用等を貸付期間内に償うものとしております。
第三に、機構は、民営化から四十五年後までに債務の返済を完了させ、解散するとしております。
次に、日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案につきまして申し上げます。
この法律案は、道路関係四公団の民営化に伴い、道路関係法律について所要の規定の整備等を行うものであります。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、道路整備特別措置法の改正であります。
従来の公団に対する施行命令方式等を廃止し、会社は、国土交通大臣に事業許可を申請して事業を実施できるとしております。
また、会社が徴収する料金の額は、道路資産の貸付料及び会社の維持管理費を料金徴収期間内に償うものとし、その徴収期間の満了日は、民営化後四十五年を超えないものとしております。
第二に、道路法及び高速自動車国道法の改正であります。
それぞれ、自動車専用道路及び高速自動車国道と連結することができる施設として、サービスエリア等の施設を追加する等としております。
次に、日本道路公団等民営化関係法施行法案につきまして申し上げます。
この法律案は、道路関係四公団の民営化等に伴い、さきの三法の施行に関し必要な事項を定めるとともに、関係法律の廃止及び改正を行うものであります。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、会社及び機構の設立に関し、所要の手続を定めております。
第二に、供用中の高速道路については、当該高速道路を事業範囲とする会社が管理及び料金徴収を行うとし、建設中又は調査中の高速道路については、国土交通大臣が会社と協議して、会社が建設を行うべき高速道路を指定できるとしております。
第三に、日本道路公団法等の五法律を廃止するほか、関係法律について所要の改正を行っております。
以上が高速道路株式会社法案、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案、日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/5
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006・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。岩城光英君。
〔岩城光英君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/6
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007・岩城光英
○岩城光英君 岩城光英であります。自由民主党、公明党を代表して質問いたします。
質問の第一は、高速道路網整備に関する基本的な考え方についてであります。
小泉総理は、就任以来、数々の構造改革に着手されました。高速道路問題、道路関係四公団の改革についても精力的に取り組んでこられました。
先進各国では例外なく高速道路網整備を国家戦略の中核として取り組んでおります。例えばアメリカでは、自治意識の極めて高い各州を一つの合衆国として統合するため、また、力強いアメリカ経済を復活、維持させる観点から、その整備が強力に進められております。一九八〇年代前半に既に八万キロのネットワークを持ちながら、この二十年間で更に約一万キロの建設が進められました。こうした傾向は、ドイツ、フランス、イタリア等においてもおおむね同様であります。
また、中国では、二十年間で約二万五千キロのネットワークを整え、しかもこの数年は毎年四千キロ以上が新たに供用されるという信じ難いスピードでその整備が進展しており、それが近年の高度成長を支えているものと思われます。
一方、我が国では、昭和六十二年に、高速道路網へのアクセスについて、全国どこでも一時間以内、主たる物流拠点からは三十分以内を目標に、一万四千キロの高速道路網計画が策定されました。このうち、一万一千五百二十キロについては、衆参全会一致をもって国幹道法を改正し、高速自動車国道として整備することにいたしました。しかしながら、その整備は昨年度末で七千三百四十三キロと、いまだ道半ばという状況にあります。
資源を持たず、輸入して付加価値を持たせ、輸出により経済を成立させている我が国では、物流基盤の拡充が経済発展にとって不可欠であります。これに対し、一部に、改革とはすなわち高速道路の建設をやめることだと言わんばかりの論調があるのは誠に残念に思います。
そこで、総理にお尋ねします。
私は、真に必要な高速道路を見極めたなら、様々な知恵と工夫を出し合いながら着実に整備を進めることが重要と考えますが、いかがでしょうか。御所見をお示し願います。
さらに、石原大臣にお尋ねします。
高速自動車国道一万一千五百二十キロのうち整備計画が定まっていない区間約二千百八十キロの中には、東京外環など大都市圏の環状道路も含まれています。これらの区間の整備は、今後は会社からの申請方式によるとされていますが、法律で定めている整備内容の実現の可否を民間会社の自主性に完全にゆだねて本当に大丈夫なのでしょうか。必要なネットワークの形成の上で支障になることはないのでしょうか。お答えを願います。
第二は、今回の公団改革、民営化の意義や目的についてであります。
昭和三十年代以降、現在の四公団が順次設立され、我が国の高速道路網の整備が進められてきました。これらのネットワークが、日本の高度成長、地方の発展を支えてきたことについては異論のないところかと思われます。しかし、新たに道路を造るたびに、償還期限、すなわち無料開放の時期が先送りにされることなど、多くの国民が従来の公団方式に疑念を抱くようになりました。したがいまして、そうした国民の疑問、疑念を払拭するため、従来の仕組みを徹底的に見直し、必要があれば、それを根本から変革することにちゅうちょしてはならないと考えます。
私は、十五年度予算において道路公団への国費投入をやめた時点で、改革は既にスタートしたものと理解しております。一方、一部には、立派な黒字会社を作らなければ改革ではないとか、今後も高速道路を造るようでは改革に値しないなど、改革の目的と手段とを履き違えた無責任な主張を繰り返すメディアがあることは大変残念な思いであります。
そこで、総理は、従来の公団方式のどこが問題で、これをどのように改革しようとされるのか、また、その軸足は、国民や利用者のメリット拡大にあるのか、あるいは新たな会社の繁栄にあるのか、併せて御見解をお伺いいたします。
第三は、民営化推進委員会の意見書並びに地方の意見についてであります。
先ほど私が申し上げたとおり、既に改革は動き出しております。事実、石原大臣の指揮の下、昨年末の国幹会議では、新直轄区間の設定、整備計画におけるコスト縮減の具体化、抜本的見直し区間の設定などが決定されました。
さて、民営化推進委員会の意見書と異なる部分は、会社による高速道路の買取り、高速料金への利潤の上乗せという二点に尽きると考えています。この二点については、高速道路の公共性に対する基本哲学にかかわる部分だと思われます。
そこで、石原大臣にお尋ねします。
意見書が求めたこれら二点について、今回採用しなかったのはどのような理由からでしょうか。また、この二点について、地方の意見をどのように聞き、その内容はどのようなものであったのか、併せてお答えを願います。
第四は、国土政策における政治の役割についてであります。
国民一人一人が誇りと生きがいを持てるようにすることが政治の最大の使命であり、それは、単に効率主義や合理主義だけでは達成できるものではありません。全国には、まだまだ道路を始め社会資本の整備が立ち後れている地域が数多く残されており、時には生命や生活を脅かされながら、不安を抱えて暮らしている住民がいることも忘れてはなりません。
政治とは、本来、効率だけではなく、平等に豊かさを分配するなど愛情を注ぎ込むことであり、それが我々政治に携わる者に課せられた使命でもあります。正に、そのような局面においてこそ、小泉総理が日ごろ唱えられる、恐れず、ひるまず、とらわれずの精神が発露されるべきものと考えます。
私が福島県いわき市長を務めていましたとき、住民とともに旧建設省に幾度となく足を運び、ようやく実現したのが御斉所トンネルでありました。当時、あるテレビのニュース番組で無駄な公共事業の見本と報道され、私たちは大きな憤りを覚えたものであります。現在、地域住民はもとより、広く県内外の方々からも利用され、必要不可欠なトンネルとして立派にその役割を果たしております。
また、道路ネットワークは命のネットワークでもあります。
これも福島の事例で恐縮ですが、民謡の宝庫と言われる相馬地方における産前産後の子供の死亡率は、平成十三年度で千人当たり七・七人と、全国平均の五・五人を四割も上回る状況であります。高度医療の集積している仙台まで相当の時間が掛かることがその要因の一つとなっているのであります。死ななくてもよい幼い命が失われていく。地方に住む者として、こんなに悲しい、理不尽なことはありません。
道路の必要性を単に採算性や効率性だけで一方的に決めるのではなく、地域の実情、実態に合わせて柔軟に政策を遂行することこそ政治の基本であると私は考えますが、いかがでしょうか。総理の御所見をお伺いいたしまして、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/7
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008・小泉純一郎
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 岩城議員にお答えいたします。
道路の必要性及び今後の高速道路事業の進め方についてでございますが、道路の整備に当たっては、採算性、効率性のみならず、環境、安全の観点など、地域の実情を踏まえた外部効果も含めて判断した上で、国、地方及び利用者の適切な負担の下、国民にとって必要な道路を整備すべきであると考えております。
中でも高速道路は、御指摘のあった物流基盤といった観点も含め、全国的な自動車交通網の中核となる社会資本であり、厳格な評価を行った上で、真に必要な道路については、早期にできるだけ少ない国民負担の下で建設することが重要であります。
今般の民営化により、今後の高速道路の整備については、債務を確実に返済するとともに、採算性、費用対効果など必要性を厳しく評価した結果に基づき、可能な限りコスト縮減を行いつつ、利用者からの料金収入による有料道路方式と国、地方の負担による新直轄方式を適切に組み合わせて、整備効果の高いものから着実に整備を行うことができるものと考えております。
従来の公団方式の問題点及び改革の考え方についてでございますが、従来の公団方式に対しては、厳格な事業評価を行う仕組みがなく、楽観的な需要予測やプール制の下、返済期限が順次先送りされる等、不採算路線の建設に歯止めがないこと、一方的命令の仕組みの下、経営努力の有無が公団の業績に反映されず、建設、管理コストの削減努力が不十分な高コスト体質であること等の様々な批判や指摘がございました。
このため、今回の改革においては、民間にできることは民間にゆだねるとの方針の下、民営化委員会の意見を基本的に尊重して、九千三百四十二キロメートルのこれまでの整備計画を前提とすることなく、未供用の区間について、費用対便益分析等を厳しく実施するとともに、抜本的見直し区間を設定し、これについては現行の計画のままでは整備を進めないこととしました。
また、徹底したコスト縮減等により約二十兆円の有料道路事業費をほぼ半減するとともに、約四十兆円に上る債務については民営化後四十五年以内にすべて返済します。さらに、民営化までに平均一割を超える高速国道料金の引下げを実施し、競争原理の導入のため、日本道路公団を三分割・民営化します。
以上のようなこととしたところであります。
このように、今般の民営化案は、単に利益を上げる会社を作るということではなくて、債務を確実に返済しつつ、真に必要な高速道路を早期に、できるだけ少ない国民の負担の下で建設するという民営化のメリットを、利用者はもちろん、すべての国民に対し実現する画期的な改革案であると考えております。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣石原伸晃君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/8
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009・石原伸晃
○国務大臣(石原伸晃君) 岩城議員からは二点のお尋ねがございました。
まず、整備区間以外の高速自動車国道の整備についてでございますが、法定予定路線一万一千五百二十キロのうち、整備計画区間九千三百四十二キロメートル以外の区間については、いつ、だれが、どのルートで、どんな手法で整備するかは未定です。しかし、その中には、議員御指摘のとおり、東京外郭環状道路のように重要な道路が含まれていることもまた事実でございます。
整備計画区間以外の区間についても、整備計画区間と同様に、費用対効果、採算性、外部効果で構成される客観的な基準による厳格な評価を実施いたします。事業の着手いかんはその結果次第と考えております。
整備計画区間以外の区間は、会社の自主的な経営判断に基づく申請方式によります。仮にいずれの会社も建設を行わない区間が生じた場合は、国は構造、規格の見直し等の再検討を行います。その上で、関係地方公共団体の意見も聞きつつ、新直轄方式による整備を含め、今後の整備の在り方について検討いたします。
いずれにいたしましても、今後の高速自動車国道の整備については、選択と集中の考えの下、厳格な事業評価を実施し、真に必要な道路については、コストの縮減を図りつつ、スピードアップに努めてまいりたいと考えております。
次に、民営化推進委員会の意見のうち、採用しなかった点に関するお尋ねがございました。
今般の公団民営化においては、民営化委員会の意見の大半を実現し、民営化委員会の意見を基本的に尊重させていただいております。しかしながら、委員御指摘のとおり、会社による道路資産の買取りと高速料金への利潤の上乗せの二点については、政府案では採用いたしませんでした。
この二点については、高速道路は、無料自由通行が原則の、極めて公共性が高く、私有になじまない国民の共有の財産であること、あるいは、利潤を上乗せすれば料金の引上げにつながり、会社の利益になりこそすれ、国民の不利益になることなどから、政府案において採用いたしませんでした。さらに、固定資産税の課税の問題も生じ、債務の確実な返済という最優先課題にも反するものと考えております。
これらの点については、昨年末に六十の都道府県知事及び政令市長に対して意見照会を行い、その結果、会社による道路資産の買取りについては支持する意見はなく、四十三自治体からは明確に不支持との意見が表明されたところでございます。また、料金に利潤を含めることについては、一つの自治体を除き支持する意見はなく、特に三十八の自治体からは明確に不支持との意見が表明されたところでございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/9
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010・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 池口修次君。
〔池口修次君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/10
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011・池口修次
○池口修次君 池口修次でございます。
私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま提案のありました道路関係四公団民営化関係四法案につきまして、小泉総理並びに関係大臣に質問いたします。
我が国の有料道路制度は、かつて道路整備の財源が乏しかった時代に、集中的に資金を投入する必要のある道路を整備するために、その建設、管理の費用を自動車ユーザーの通行料金で賄い、償還後は無料開放することを約束して導入されました。そして、世界にもまれな有料道路制度によって、これまでに七千三百四十二キロメートルの高速道路が整備されてきました。
当初の約束では三十年で無料開放するということでしたが、いまだに世界一高い料金を払い続けさせられており、その額は既に総額四十四兆円以上にもなります。さらに、四公団合わせて四十兆円を超える借金と、公団及び会社の新規建設費十・五兆円のために、今後四十五年も通行料金を払わされ続けることになろうとしています。政府の計算によると、自動車ユーザーは今後百三十兆円を超える膨大な料金を払わされ続け、実に合計百八十兆円払ってやっと無料で利用できることになります。
そこで、まず、高速道路の受益者負担の問題についてお伺いいたします。
現在は、高速道路を通行する自動車ユーザーのみが、その巨額の建設費の償還と称して、毎年、膨大な通行料を負担し続けています。一方、高速道路の持つ社会的かつ経済的な波及効果は無視できるものではありません。高速道路は国の基礎的な社会資本であると同時に、国民全体の共有財産であり、その便益の受益者は国民全体であると私は考えています。このことは、政府も、高速道路の事業評価について外部効果による評価を導入したことを見ましても、便益を受けるのは自動車ユーザーだけではなく、国民全体であると暗に認めている左証であると考えております。
しかし、政府は、受益者負担原則の下に、自動車ユーザーのみに負担を押し付ける有料道路制度を、完済見込みもあやふやなまま今後も続けようとしています。一部の自動車ユーザーだけに過重な負担を強いる制度の早急な見直しが必要であると考えますが、小泉総理はいかがお考えでしょうか。総理と石原国土交通大臣の所見をお伺いいたします。
次に、高速道路と地方の活性化に関してお伺いします。
今回の民営化法案をめぐる政府の国会答弁は、形式的な技術論、組織論だけに終始し、高速道路の本来の在り方において、最も効果的な利用手法の開発に向けての展望を欠いていると言わざるを得ません。総理が大きな成果と自慢されている民営化の是非は、あくまで手段にすぎず、国民が求める究極の目的は、高速道路という貴重なインフラを、地方の活性化と日本経済の再生、そしてすべての国民の利便向上のために、余すところなく、いかに速やかに有効に活用するかに尽きます。
政府案によれば、今後更に四十五年間の長期にわたり、多くの高速道路が有料道路の名の下に、世界一高い通行料金によって有効活用もされず、さらには早期無料開放予定であった一般有料道路すら料金を取り続けることになります。このように有効な資源である高速道路を特殊な道路としていたずらに放置し、国民が利用できない状況を抜本的に是正しないで、何が改革でありましょう。
一方、政府は、地方の活性化のための各般の施策を講じていると言っています。
しかしながら、政府が意図する三位一体の改革では、実質的な権限、税財源は移譲されず、国が本来持つべき責任と財政負担だけが地方に押し付けられ、交付税の大幅削減等による地方自治体は予算編成すら困難な状況に立ち至っているのが現実であります。地方の怨嗟の叫びは果たして総理の耳に届いているのでしょうか。
政府の進める三位一体の改革は本当に地方の活性化につながっていると認識しているのか、総理と麻生総務大臣の明快な答弁を求めます。
私は、地方の活性化、ひいては我が国の繁栄を図るための即効的かつ抜本的な処方せんは、まやかしの三位一体改革などではなく、高速道路を速やかに無料化することであると考えております。これにより、地方や経済的、社会的弱者などが抱える時間的、距離的ハンディを解消し、車と人と物が活発に動き出すことで、通勤圏、生活圏の飛躍的拡大、活力の地方分散、物価の内内格差の解消などが図られ、国民の本来持っていた豊かで多様なライフスタイルの実現や時代の閉塞状況打開のための起爆剤になると考えます。
政府案の四十五年後の高速道路料金無料化ではなく、国民の持つ力を最大限引き出し、その輝きを取り戻すためにも、高速道路の早期無料開放による地方の活性化が必要と考えますが、その効果について改めて総理の所見をお伺いします。
次に、道路特定財源の使途についてお尋ねいたします。
国税の揮発油税、自動車重量税については、本則税率のほぼ倍の暫定税率が適用されております。この暫定税率は、第一次石油ショックの影響を受けた昭和四十九年度から導入されたものであり、導入時の政府の趣旨説明では、「資源の節約、消費の抑制、道路財源の充実等の観点から、二年間の暫定措置として、」と述べられております。
既に石油ショックからはや三十年がたとうとしております。二年間の暫定措置として設定された暫定税率は、何度も延長され今日に至っております。自動車ユーザーにとって道路が必要であることは言うまでもありませんが、道路整備速度の問題と相まって、これまで非常に過大な負担を強いられてきているのもまた事実であります。
これに加えて自動車ユーザーは、繰り返し指摘させていただきますが、高速道路を通るために世界一高い通行料を支払い、その上、その走行に使用する燃料等については、別途、道路特定財源諸税を負担するという、二重の負担を強いられているという考えられない事態が放置され続けているのです。
若き日の小泉総理も、この暫定税率が導入された当時、大蔵委員会において、揮発油税、地方道路税及び自動車重量税の引上げは、現今の石油情勢の下において資源の節約と消費の抑制を図るとともに、道路財源を充実するものとして、的を得た措置であると考えますと賛成討論されておりますが、暫定が恒久化している今日の事態について、どうお考えか、総理にお尋ねいたします。
さらに、総理は、道路特定財源の見直しの中で、その使途拡大を行いました。
数ある拡大策の中でも、例えば地下鉄路線整備への使途拡大については、自動車ユーザーへの直接的な還元策とはとても思えません。こうした使途拡大を行うぐらいならば、暫定税率を下げることが先決ではないかと思いますが、いかがでしょうか。総理と石原大臣にお聞きします。
あるいは、道路特定財源の一部を高速道路の債務の返済に充てて、一日も早く無料開放を行うか、料金の引下げを行い、自動車ユーザーの目に見える形で直接的な還元を図るべきであると考えますが、いかがでしょうか。併せて総理と石原大臣に御答弁願います。
次に、道路関係四公団民営化関係四法案の問題点について具体的にお尋ねします。
第一に、この法案では本当に無駄な道路建設を行わない方向で会社の自主的な経営判断が反映され得るのか、お伺いしたいと思います。
石原大臣は、新規路線について、それぞれの会社の自主的な判断に基づく申請方式が採用されると説明しておりますが、法案では、現時点で建設中の路線、調査中の路線について、国土交通大臣が民営化から原則四か月以内に指定し、民営会社と協議することとなっております。しかし、整備計画九千三百四十二キロメートルの未供用路線のうち、建設中・調査中区間でない路線はあるのでしょうか。会社による自主的な申請方式が採用されるのは、衆議院の国土交通委員会で石原大臣は整備計画九千三百四十二キロメートルの外と答弁されておりますが、基本計画を含む法定予定路線一万一千五百二十キロメートルを前提として初めてそうなるのではないですか。実際には、九千三百四十二キロメートルの整備については、すべて国が決定し、民営会社と新直轄方式で建設することになります。
この点を確認するとともに、再度、石原大臣の明確な答弁をお願いいたします。
また、建設中・調査中区間において、会社が拒否した理由の正当性について、社会資本整備審議会の意見を聴くとは言いつつも、最終的に判断するのは国土交通大臣であります。そもそも、民営化されてから原則四か月以内とされていますが、そのような短期間で実質的に国及び地方公共団体の一〇〇%子会社である民営会社が自主的な判断を行えるとは思いません。総理の所見をお伺いいたします。
第二に、競争原理を働かせるために日本道路公団を三分割すると胸を張っておられますが、政府案の分割されたイメージを見ましても、単に全国プール制から範囲を縮小させただけであり、相変わらず地域独占が行われるとしか思えません。通行料金から直接利潤を得ることができない状況で、どのような競争原理が働くというのでしょうか。現在の日本道路公団をそのまま三分割するのと、一体どういう違いがあるのかが分かりません。石原大臣の御説明をお願いします。
第三に、新規建設コストについてお聞きします。
総理は、建設コストを二十兆円から半分にしたんだと、改革の成果を強調しています。本当にコストは半分になるのか、総理にお伺いします。
一方で、政府は今後の建設に必要なコスト二十兆円を十三・五兆円に縮減したと強調しておりますが、削減ではなく縮減といった言葉を使った意味を明らかにしていただきたいと思います。
さらに、平成十五年三月に公表された四兆円のコスト削減に加えて、民営化以降二・五兆円のコスト縮減を行うとのことですが、具体的にはどのような縮減を考えているのでしょうか。具体的に石原大臣にお答えいただきたいと思います。
最後に、民営化の主たる目的とされる債務返済の実効性の問題であります。
現在までの四十兆円という巨額の債務と新たな投資分十・五兆円の債務は、今後の交通需要、金利動向、建設物価の動向等のリスクにさらされることになります。はっきり申し上げて、四十五年で完済のお話は信用に値し得ないと思います。
さらに、返済しなければいけない債務は、政府の償還価格に基づいて計算したとしても総額百三十兆円となり、高速道路の利用者だけに想像を絶する巨額な負担を押し付けることになります。仮に国民一人当たりで見ても百万円の負担であります。
このように、先が見えず、だれも責任の取れない制度を国民に押し付けること自体、到底認められるはずがありません。
結局、四十五年たっても借金が返せない上、高速道路も無料開放にならず、本州四国連絡公団のように税金によって債務処理して、正に第二の国鉄処理と呼ばれるのが関の山ではないかと思います。民営化すれば税金を投入しなくても債務を完済し、無料開放できる証拠を明確に示して、国民に約束をしてほしいと思います。総理の明確な答弁を求めます。
いずれにしましても、今まで過重な税負担を強いられている自動車ユーザー、ひいては広く国民への過度のしわ寄せがそれこそ孫子の世代まで及ぶのであれば、この政府案は全く有害でしかなく、正に我が国財政をまっしぐらに破綻へ導く高速道路であることを主張して、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/11
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012・小泉純一郎
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 池口議員にお答えいたします。
有料道路制度の見直しと早期無料開放についてでございますが、道路は極めて公共性の高い社会資本ですが、財政的な制約もあり、特に利用者に特別の便益がある高速道路については、建設費を借入れする一方、受益に応じ利用者からの負担を求めることにより、早期整備を行うための特例の措置として有料道路制度が設けられているものであり、現状においては合理的な制度だと考えております。
一方、民主党が提案している高速道路の無料化については、それをどのように実現するか必ずしも明らかではありませんが、そもそも債務の返済などに要する財源の確保が可能か疑問に思っております。高速道路を使わない人にも債務の負担を求めることになり、不公平ではないかという問題もあるものと考えております。
今回、政府から提案している民営化案は、約四十兆円に上る債務を確実に返済しつつ、真に必要な高速道路を早期にできるだけ少ない国民負担の下で建設するという民営化のメリットをすべての国民に対して実現する画期的な改革案であると考えております。
三位一体の問題でございますが、平成十六年度においては、一兆円に上る補助金の廃止、縮減及び地方交付税総額等の抑制により、財政力の弱い町村等では予算編成が厳しいというお話は承知しております。しかし、今回の改革において、平成十六年度から所得譲与税及び税源移譲予定特例交付金を創設し、併せて平成十八年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施することとしたところであります。こうした改革は、各地方が自らの創意工夫と責任で政策を決め、自由に使える財源を増やし、自立できるようにしていくものであり、地域の活性化につながるものと考えております。
道路特定財源についてでございますが、これまで道路交通の安全確保と円滑化を図り、生活環境の改善に資するための事業に充てる観点から、納税者の理解を求めつつ暫定税率を延長してきたところであります。昨年の延長に当たっては、法律の使途の規定を五十年ぶりに改正して、道路建設以外の使途にも活用できるよう明記し、道路の混雑や環境への影響を軽減するなどのため使途の多様化を図ってきたところであります。また、我が国の自動車に係る税負担は国際的に見ても高くない水準にあることなどから、その税負担を水準を現在引き下げる考えはありませんが、今後検討すべき課題であると思っております。
なお、これまで一切引下げが行われてこなかった高速国道の料金については、民営化までに平均一割程度引き下げることとしておりますが、道路特定財源を債務の返済に充てることについては、道路の維持管理や真に必要な道路の整備等に支障を来すこととなるなど問題があるものと考えております。
いずれにしても、道路特定財源については、今後とも納税者の考え方を踏まえつつ幅広く検討していきたいと考えております。
建設中・調査中区間に関する会社の自主性についてのお尋ねですが、建設中・調査中区間の取扱いについては、国と会社との協議が調わない場合、国は、会社が拒否する理由について社会資本整備審議会の意見を聴き、その結果、正当な理由があると認められる場合には、国土交通大臣は当該区間の整備を会社に行わせることができないこととしているほか、やむを得ず、これらの手続を民営化後四か月以内では終えることができない場合には、国土交通大臣が期間を延長することもできることとしており、会社が実質的な拒否権を有し、その自主性を確保できる仕組みとしております。
また、会社が申し出る建設拒否の理由や審議会の意見は、いずれも公表することが法律上定められており、一連の手続について透明性を最大限確保しております。
さらに、これらの区間の整備に当たっては、会社が建設資金を市場から自己調達した上で、完成後の債務を貸付料の支払を通じて実質的に返済しなければならないこととし、市場規律が働く仕組みとしております。これらにより、会社は独立した経営体たる民間企業として自主的な経営判断が十分に可能であると考えます。
高速道路のコスト縮減についてでございますが、有料道路の事業費については、公団が約二十兆円で整備を行うという従来の方式を改め、昨年三月に決定したコスト削減計画による約四兆円のコスト縮減、昨年末の民営化の基本的枠組みにおいて決定した二・五兆円の更なるコスト縮減等により、有料道路事業費をほぼ半減することとしたものであります。
このうち、四兆円のコスト縮減については、個別箇所ごとに詳細な積算を行った上で、既に昨年末の国幹会議の議を経て整備計画に反映したところであります。さらに、二・五兆円の追加的な縮減については、現在その詳細について民営化後の制度も踏まえつつ検討を進めており、結論が出次第、整備計画に反映させることとしております。
税金投入することなく債務が完済できるかというお尋ねでございます。
今回の民営化法案については、債務の返済期限を民営化後四十五年以内に法定し、それ以上の先送りを認めないこと、国からの一方的命令の枠組みを廃止する等、会社の自主性の尊重のための仕組みを導入すること、債務返済が終了した後は無料開放することを明確にしております。
さらに、これと併せて、高速国道について厳格な事業評価を行うとともに、コストを大幅に縮減すること、建設資金を市場から調達することで市場規律の利く仕組みとすること、高速国道の債務総額について上限を設けることなどとしており、厳格な歯止めを設けることにより、債務の責任ある返済を担保する全く新しい仕組みを構築しております。これらの措置により、約四十兆円に上る債務を四十五年以内に完済し、確実に無料開放できるものと考えております。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣石原伸晃君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/12
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013・石原伸晃
○国務大臣(石原伸晃君) 池口議員にお答え申し上げます。
有料道路制度の見直しについてまずお尋ねがございました。
高速道路の整備効果は、物流の効率化や生産性の向上など多岐にわたっており、広義、広い意味では議員の御指摘のとおり、その受益者は広く国民一般であると考えております。その中でも最大の受益者は、やはり目的地に早く到達することや定時性が向上するなどのメリットを直接受ける高速道路ユーザーであるとも認識しているところでございます。
財政的な制約の中で高速道路の早期整備を行うために、高速道路ユーザーに対しまして、その受益に応じた適切な負担を求める有料道路制度というものを設けているところであるわけでございます。
さらに、道路特定財源につきましてのお尋ねがございました。
道路特定財源の在り方につきましては、昨年の通常国会におきまして、平成十五年から平成十九年度までの措置として、暫定税率を含め道路特定財源制度を延長いたしました。さらに、納税者の理解の得られる範囲で、環境分野等への使途拡大を行うため、特定財源の使途に関する法律の規定を五十年ぶりに改正したところでもございます。
今後とも、道路特定財源を活用して、受益者負担の考えの下、厳格な事業評価に基づき、真に必要な道路整備を着実に推進し、自動車ユーザーの御理解をいただきたいものと考えております。
高速道路の今後の進め方についての御質問がございました。
今般の改革におきましては、整備計画区間九千三百四十二キロ以外の区間につきましては、会社の自主的な判断に基づく申請方式を採用することになります。
九千三百四十二キロメートルの未供用のおよそ二千キロにつきましては、これまでも整備計画作成に先立ってルートの検討、構造の検討のための各種調査を行ってまいりました。その上で、昨年、費用対効果、採算性、外部効果から構成される基準に基づき、厳格かつ客観的な事業評価を行ったところでございます。
その上で、必要性があり料金収入で管理費が賄える区間を有料道路方式、必要性はあるんですけれども、有料の場合の費用対効果が一未満又は料金収入で管理費が補えない区間を新直轄方式で整備するということにしたところでもございます。
なお、今般の公団民営化においては、国からの一方的命令の枠組みを廃止いたしまして、仕掛かり品の路線、二千キロメートル程度でございますけれども、につきましては、複数協議制の下で、正当な理由がある場合の会社の実質的拒否権を付与する等の仕組みを導入することとしたところでございます。
また、評価結果を踏まえまして、投資効果や採算性の観点から現行整備計画による規格、構造での整備が困難でその抜本的な見直しが必要となる区間として、五区間百四十三キロにつきましては抜本的見直し区間と設定させていただいたところでございます。これらの区間につきましては、事業を一時中断し、規格、構造を含めた抜本的な見直しを行うところでございます。抜本的見直し区間については、計画が抜本的に見直されない限り、現行の計画のまま整備するということはございません。
日本道路公団を三分割することによってどのような競争原理が働くのかというお尋ねがございました。
今般の民営化におきましては、会社間の競争性を高めてコスト意識の向上や地域の実情に応じたサービスの提供の充実を図るために、民営化委員会の答申のとおり、日本道路公団を三社に分割することとしております。
それぞれの会社は、地域のニーズを十分に把握した上で民間の経営センスを生かしていただき、会社の自主的な判断による更なる弾力的な料金設定、サービスエリア、パーキングエリアにおけるサービス水準の向上、インターチェンジの増設、迅速でかつきめ細かな道路情報の提供などなど、利用者サービス向上に向けた会社の努力、創意工夫を行うものと期待をされているところでございます。
収入源であるところのサービスエリア、パーキングエリアのサービス向上につきましては、会社間で直接に競争原理が働くと思います。また、サービスエリア、パーキングエリアの利用の拡大のためには道路利用者の拡大が不可欠であることから、道路事業におけるサービス向上にも競争原理が働くものと考えております。
最後に、コスト縮減についてお尋ねがございました。
私も改めて広辞苑を引かせていただきましたが、コストの削減とコストの縮減については、いずれもコストを減らすという意味に変わりはありません。
およそ四兆円のコストの縮減については、インターチェンジ、ジャンクションのコンパクト化などの規格の変更、トンネル掘削に関する施工方法の見直し、六車線のトンネル部の四車線化などを行うこととしております。昨年十二月二十五日の国幹会議の議を経て、個々の路線について具体的にコスト縮減のための整備計画の変更を行いました。
二・五兆円の追加的な削減につきましては、民営化によって実現が可能となりますところのサービスエリア、パーキングエリアの負担区分の見直しや契約方式の見直し、さらに大胆な大規模改築事業の削減、規格、構造の見直し、ジャンクションの事業区分の見直しなどにより達成するものでございます。これらにつきましては、その詳細について検討を進めているところでございまして、詳細がまとまり次第、今後の国幹会議の議を経て整備計画に反映する予定でございます。(拍手)
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/13
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014・麻生太郎
○国務大臣(麻生太郎君) 三位一体の改革が地方の活性化につながっているのかとのお尋ねでありましたが、三位一体の改革につきましては、財政面におけます地方の自由度を高め、地域主権、地方分権等々の権限というものが確固たるものにしようとするものであります。そのためには、いわゆる税源の移譲、国庫補助負担金の廃止又は縮減、そして地方交付税の見直し等の三つを内容といたしております。
平成十六年度におきましては、一兆円ものいわゆる国庫補助負担金の廃止、縮減を行いましたとともに、所得譲与税を新たに創設をいたしております。税源移譲を進めたということであろうと存じます。また、地方の財政健全化を進めることは、これは避けて通れないというところでありますので、その判断から地方交付税の総額を抑制をいたしております。必要な財源につきましては、適切に処理をいたしたことと思っております。
三位一体の改革は、基本的には地方にやはり元気が出るような改革、そのためには地方に自由度が増す、そしてそれを、自由度を増すためには自主財源を拡充していくということがこの改革の主たる目的でありまして、地方が自らの財源で行政サービスを行えるような選択の幅を拡大することを目指しており、地方の活性化につながっていくものと存じます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/14
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015・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 大沢辰美君。
〔大沢辰美君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/15
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016・大沢辰美
○大沢辰美君 私は、日本共産党を代表して、道路公団関係四法案について、小泉総理に質問いたします。
この法案は、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団の四つの公団を六つの民営化会社にし、その資産と借金を受け継ぐ独立行政法人債務返済機構を設立するための法律です。
法案の質問の前に、首都圏中央連絡自動車道路、いわゆる圏央道の裁判について質問いたします。
去る二十二日に、圏央道の建設に関する国の事業認定と東京都収用委員会裁定を取り消す東京地裁の判決が出されました。この判決は、高速道路建設の在り方を根本から見直すことを求め、次のことを明らかにしました。
その内容は、国の事業認定には公共の利益に関する具体的な根拠がないこと、圏央道建設によって都心や周辺の交通渋滞が緩和されるという国の主張は裏付けのない期待感の表明にすぎないこと、さらに、我慢の限界を超える騒音や大気汚染の被害発生の疑いが払拭できないのに正確な調査をしていないとの指摘です。
これらのことは、まず高速道路の建設ありきで、公共性や環境問題を軽視する国の姿勢が根本から問われたものです。
総理、控訴は撤回し、この判決を真摯に受け止め、道路建設の在り方を根本から改めるべきではありませんか。見解を求めます。
以下、法案に即して具体的に質問をいたします。
道路公団の民営化について、小泉総理は、民営化すれば無駄な道路は造らなくなると言ってきました。ところが、法案では、政府でさえ無駄があると認めた九千三百四十二キロを事実上すべて造り続ける上に、その枠外にある圏央道や東京外環自動車道路などの全国総合開発計画で定めた一万四千キロ、更に都市高速道路についても建設を進めようとしています。しかも、これらすべての計画路線は、新会社が建設申請をしない場合でも、国と地方の税金による新直轄方式で造ることになるのではありませんか。
そうだとすれば、結局、現在計画している高速道路をすべて造ることになってしまうではありませんか。
総理、国民に言ってきたこととやっていることが全く逆ではありませんか。そうでないなら、その根拠をお示しください。
今、国と地方の長期債務が六百七十兆円という未曾有の借金地獄の下で、公共事業の在り方、税金の使い方が厳しく問われています。
このようなときだからこそ、日本共産党は、様々な問題のある高速道路建設、今の九千三百四十二キロの整備計画や全国総合開発計画などに基づく高速道路計画を根本から見直すべきだと考えますが、総理の見解を求めます。
計画した高速道路を造り続ける根拠として、政府は、走行時間短縮などプラス要因だけを指標として計画の継続を判断材料としています。高速道路の建設には、自然環境を破壊したり、大気汚染による人体への影響や騒音公害、景観を損ねるおそれのあるマイナス要因もあります。こういう点も考慮するのは当然ではありませんか。
今回の整備路線の検討に当たって、継続を判断する段階で環境や景観に与える悪影響について、どのような考慮をしたのですか。答弁を求めます。
次に、四十兆円に上る道路公団の債務返済の問題についてです。
四十兆円の債務は巨額ですが、四公団合わせて年間二・五兆円の通行料金収入があります。新たな建設さえしなければ、維持管理費を考慮しても、債務返済に回す財源を確保することは可能です。新たな国民負担、税金導入を極力回避し、債務問題を解決しながら、高速道路料金を段階的に引き下げ、債務の返済が終わった時点で高速道路の無料化を実現するべきです。
法案は、債務の返済の期限を四十五年とし、想定金利を四%としています。返済総額は約百兆円規模になります。政府の試算でも、四%なら返済できるが金利がそれ以上では返済できないとしています。四十五年という長期間、四%の金利が維持される保証は一体どこにあるというのでしょうか。ましてや、道路を借金で造り続けるならば、債務は膨らみ、ますます返済が困難になるではありませんか。
結局、四十五年以内の返済を堅持しようとすれば、通行料金を値上げするか、足りない分を税金で穴埋めすることになり、国民に新たな負担を強いることになるではありませんか。
今必要なことは、我が党が提案しているように、新規建設を凍結し、四十兆円の債務返済を最優先とし、組織の徹底したスリム化、国民の管理、監視の下に返済を進めること、そして返済後は道路料金を無料化する、そのことではありませんか。答弁を求めます。
次に、政官財の癒着構造を断ち切り、ファミリー企業にメスを入れる問題について伺います。
我が党の調査によって、一九九八年から二〇〇二年までの五年間で十億円以上の公団の工事は三百六十一件ありました。その受注企業には、一社を除いて、すべて公団幹部職員が天下りしていることが明らかになりました。このたびの民営化によってこのような天下りが減少するのでしょうか。明確にお答えください。
しかも、これらの工事発注に当たって、国土交通省の役人が自民党政治家の事務所を訪問したり、自民党政治家から道路局長に直接電話をして問い合わせや依頼などをした事実もあったことが明瞭になりました。
総理は、三年前の就任直後の所信演説では、「痛みを恐れず、既得権益の壁にひるまず、過去の経験にとらわれず、」と豪語していました。ところが、新しく作られる民営会社に対しては、国の出資金が二分の一未満とした場合、入札契約適正化法も官製談合防止法も、さらには情報公開法も適用しません。これでは入札の透明性も確保されません。談合の横行を野放しにするものです。
結局、既得権益を断ち切るどころか、政官財の癒着構造を温存することになるのではありませんか。答弁を求めます。
最後に、総合的な交通体系を作ることについての質問をいたします。
今、ヨーロッパでもアジアでも二十一世紀の持続可能な交通政策や町づくり計画の中に鉄道事業とともにバス事業などが位置付けられており、それが世界の大勢になっています。
特に都市計画においては、住民の環境を守ることや渋滞の緩和のために自動車を市街地に入れることを制限するライド・アンド・パークの取組が進められています。
ところが、日本では、高速道路先にありきで、例えば京都市内のど真ん中に景観を無視して高速道路を建設しようとしており、こんなことが許されるものではありません。
モータリゼーション一辺倒の政策を見直して、電車、バスなどを始めとする公共交通部門を充実させることや高齢者や障害者に優しいバリアフリーの町づくりを含む総合的な交通体系を作ることこそ、二十一世紀に求められていると思います。総理の答弁を求めます。
この法案は、あくまで九千三百四十二キロの高速道路計画、それを前提とし、そのための新たな巨額の税金投入の仕組みを作るものです。
結局、この法案では、政官財の癒着構造をも温存し続けるなど、何ら問題が解決しないことを指摘し、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/16
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017・小泉純一郎
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 大沢議員にお答えいたします。
圏央道に関する裁判についてでございますが、四月二十二日の判決については、事業の公益性を否定し、事業認定等を取り消す内容となっていたことから、これを不服として、昨日午後、国土交通省等から東京高等裁判所に控訴したものと承知しております。
今後の道路建設に当たっては、公共性、環境等に十分配慮した上で、厳格な事業評価を行い、国民にとって真に必要な道路を整備すべきであると考えております。
今後の高速道路整備の進め方についてでございますが、高速道路は全国的な自動車交通網の中核となる社会資本であり、厳格な評価を行った上で、真に必要な道路について、早期にできるだけ少ない国民負担の下で建設することが重要だと思います。
このため、今般の改革においては、九三四二キロのうち未供用の約二千キロについて、これまでの計画を前提とすることなく、コストの大幅縮減を行うとともに、費用対効果、採算性等の客観的な評価基準に基づき、厳格な評価を初めて実施いたしました。
この評価結果に基づき、抜本的見直し区間を五区間百四十三キロ設定し、これらについては事業を一時中断し、計画を抜本的に見直すこととしており、現在の計画のままで整備を進めることはありません。
残る区間についても、一層のコスト縮減は当然であり、今後とも不断の精査を行うこととしております。
なお、全国総合開発計画等に基づく道路計画について、その整備は今後の検討課題であると考えます。
事業評価における環境、景観に与える影響の取扱いについてでございますが、高速道路の整備に当たっては、あらかじめ環境に及ぼす影響を評価し、できる限り悪影響を及ぼすことのないよう、環境影響評価法に基づいて環境アセスメントを実施し、その結果を踏まえ、必要に応じて環境保全措置を講じることとしています。
今回実施した客観的な事業評価においても、環境アセスメントの結果を前提としつつ、周辺道路網全体における負荷の軽減等の環境面の外部効果を評価しております。
四十兆円に上る債務の返済についてでございますが、今回の民営化法案においては、債務の返済期限を民営化後四十五年以内に法定し、これ以上の先送りを認めないこと、国からの一方的命令の枠組みを廃止する等、会社の自主性の尊重のための仕組みを導入すること、債務返済が終了した後は無料開放すること等を明確にしております。
さらに、これと併せて、高速国道について厳格な事業評価を行うとともに、コストを大幅に縮減すること、建設資金を市場から調達することで市場規律の利く仕組みとすること、高速国道の債務総額について上限を設けることなどとしており、厳格な歯止めを設けることにより、債務の責任ある返済を担保する全く新しい仕組みを構築しております。
これらの措置により、真に必要な高速道路を早期に、できるだけ少ない国民負担の下で建設しつつ、約四十兆円に上る債務を四十五年以内に完済し、確実に無料開放できるものと考えております。
なお、債務返済の試算は、国土交通省において、過去の実績を踏まえて長期的な視野から合理的な将来金利の水準を設定し、行っているところであります。
公団職員の天下りについてでございますが、これまで、道路関係四公団のいわゆるファミリー企業については、役員の多くが公団OBによって占められていることなどに対する批判があったことから、昨年三月に、公団職員については今後ファミリー企業の役員に就任しないこと等を決定し、公団とファミリー企業との関係の透明化に取り組んでいるところであります。
なお、民営化後においては、会社の自主的な経営判断により、会社間の人事交流等があり得るものと考えます。
新会社における業務の適切な運営及び透明性の確保等についてでございますが、高速道路事業の運営に当たっては、関係法令を遵守することはもちろんのこと、国民の疑惑を招くことのないよう十分配慮して業務に当たらなければならないことは言うまでもありません。
今般の民営化の枠組みにおいては、コスト削減を行うとともに、厳格な評価を実施し、事業の必要性を客観的な指標で明らかにすること、道路建設に当たって会社の自主性を尊重するとともに、資金の自己調達による市場規律を導入すること、企業会計原則に準拠した財務諸表を公表すること、ファミリー企業を抜本的に見直すとともに、料金の別納割引を廃止することなどによって、客観性、透明性を十分に確保することとしています。
これらにより、高速道路事業の実施に当たっては、国民の疑惑を招かないよう、適切な運営が行われるものと考えております。
二十一世紀に求められる総合的な交通体系についてですが、交通体系は、各交通機関の競争と利用者の自由な選択によることが原則ですが、その整備に当たっては、陸海空の各交通機関がその特性を生かし、十分な連携を図ることが重要であります。
このため、公共交通機関についても、利便性の向上を図るとともに、交通結節点におけるバリアフリーの町づくり等を推進し、二十一世紀にふさわしい総合的な交通体系を実現していく考えであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/17
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018・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/18
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019・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) この際、日程に追加して、
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/19
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020・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。野沢法務大臣。
〔国務大臣野沢太三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/20
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021・野沢太三
○国務大臣(野沢太三君) 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
国民の中から選任された裁判員が裁判官とともに刑事訴訟手続に関与することは、司法に対する国民の理解を増進させ、また、その信頼の向上に資するものと考えられます。そこで、この法律案は、刑事裁判に裁判員が参加する制度を導入するため、裁判員の参加する刑事裁判に関し、裁判所法及び刑事訴訟法の特則その他必要な事項を定めるものであります。
以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、裁判員の参加する合議体で取り扱う事件を定めるとともに、当該合議体の構成は、原則として、裁判官の員数を三人、裁判員の員数を六人とすること、裁判所の行う事実の認定、法令の適用及び刑の量定は、当該合議体の構成員である裁判官及び裁判員の合議によることなど合議体の構成並びに裁判官及び裁判員の権限等について所要の規定を置いております。
第二に、裁判員は衆議院議員の選挙権を有する者の中から選任するものとするとともに、裁判員となることのできない事由、裁判員候補者名簿の調製、裁判員候補者に対する質問等の裁判員の選任の手続及び裁判員の解任の手続等について所要の規定を置いております。
第三に、裁判員の参加する合議体で取り扱う事件については第一回の公判期日前に公判前整理手続に付さなければならないことなど、裁判員の参加する裁判の手続に関し所要の規定を置いております。
第四に、裁判官と裁判員の合議による判断は、裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見によることなど、裁判員の参加する刑事裁判における評議及び評決について所要の規定を置いております。
第五に、労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したこと等を理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはならないことを定めるほか、裁判員等を特定するに足りる情報の取扱い及び裁判員等に対する接触の規制に関して裁判員等の保護のための所要の規定を置いております。
このほか所要の規定の整備を行うこととしております。
政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院におきまして、裁判員等による秘密漏示罪について、懲役刑の期間を「六月以下の懲役」とし、「裁判員又は補充裁判員の職にあった者」の処罰を金銭対価を得る等の悪質な場合を除き罰金刑に限定するとともに、附則において、裁判員の参加する刑事裁判の制度を円滑に運用するために、国は必要な環境の整備に努めなければならないものとし、また、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする旨の規定を設けること等を内容とする修正が行われております。
以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/21
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022・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。江田五月君。
〔江田五月君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/22
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023・江田五月
○江田五月君 私は、民主党・新緑風会を代表して、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案につき質問します。
まず、今の日本の裁判に国民は満足しているかどうか、政府の認識を法務大臣に伺います。
私は、国民は今の裁判に大いに不満だと思います。裁判が遅いこと。裁判所が不親切なこと。検察官や弁護士も含めて法曹全体が国民から遠い存在で、仲間内だけでしか通用しない言葉でやり取りをして、結論を押し付けてくる。冷たい、言うことを聞いてくれない、分かるように説明してくれない。つまり、日本の司法は官僚的で、国民主権の原則にのっとっていないということです。
我が国は、戦後、天皇主権から国民主権への大改革を成し遂げ、司法も形は国民主権になりましたが、実態はどうか。国民も司法関係者も、国民主権という実感を持っていないのではありませんか。そこを変えるのが今回の司法制度の大改革ですね。戦後改革で取り残された分野の改革という意味では、半世紀ぶりの改革です。明治維新改革でできた官僚制司法の改革という意味では、一世紀ぶりの改革です。歴史的大改革という気概があるかどうか、法務大臣の認識を伺います。
司法制度改革は、制度だけでなく意識の改革も重要です。裁判の関係者が皆、在朝も在野も含めて、国民主権の原理にのっとって主権者に仕えるのだと、つまり自分たちは公僕だという意識を持つかどうかです。
〔議長退席、副議長着席〕
人の意識は、お説教だけでは変わりません。制度を変えて、公僕意識を持たないと良い仕事ができないような制度にすることです。制度改革が意識改革を伴うものになっているかどうか、これが制度改革が合格点かどうかを決める尺度の一つになると思いますが、いかがですか、法務大臣。
意識の改革は、司法関係者だけに求められるのではありません。国民もまた、裁判の場面においても、自分たちが主権者だという意識を持つようになることが必要です。日本の民主主義は輸入品だからなどと泣き言を言う時代は過ぎました。今回の改革が、国民の主権者意識をはぐくむことになるかどうか、これが合格点かどうかを決めるもう一つの尺度になると思いますが、法務大臣、いかがですか。
私たち民主党は、このような観点から、司法制度改革審議会に積極的に意見を申し出てきました。当初、改革の柱と考えたのは、法曹一元と陪審制度の導入です。その基盤として、法曹人口の抜本的増加も不可欠です。これらが思いどおりにならなくても、市民が主役の司法の実現という理念が生きて育っていく状態であれば、合格点を付けようと考えました。
そして、審議会の意見書が出たとき、不満もありますが、総合的に見て合格と判断しました。さらに、理念実現に向けて、意見書より更に前進するように、また、決して意見書から後退することのないようにその実現に努め、今回の裁判員制度の導入に当たっても、その姿勢を貫いてきました。
しかし、この改革は、これまで経験したことのない、言わば海図のない航海です。手探りでやみ夜を進んでいくようなところがあります。ですから、制度設計に本当に合格点が付けられるかどうかは、その後の試行錯誤の道筋を見ないと分からないことです。そこで大切なことは、柔らか頭と決断です。課題に直面したとき、決断は不可欠ですが、その結果の評価については、常に柔軟な頭で、いつでも過ちを正す態度、これまた不可欠です。
そこで、法務大臣に質問します。
司法制度改革の制度設計を決定するに当たって内閣が取った基本的な姿勢と、これから制度の構築を進めていくに当たって内閣が取ろうとする態度は、以上私が述べた方向と一致するのでしょうか、違うのでしょうか。また、政府案は衆議院で修正されました。政府は最善の法案を出したと言うのが常ですが、今回は、以上述べたような柔らか頭で修正を受け止めてほしいと思いますが、いかがですか、法務大臣。
私は、特に今、裁判官の養成プロセスを改めなければならないと思っています。裁判官訴追委員会には、裁判官が国民の奉仕者になっていないことに起因する案件がたくさん寄せられています。裁判官以外の社会経験を何も経ずに人を裁く立場になってしまえば、のぼせ上がるのは当たり前です。私自身も、裁判官だった当時を思い返してみると、汗顔の至りです。
こうした裁判官の意識改革を、彼らの独立した職権行使の気概を損なわずに実現するには、純粋培養された官僚裁判官とは全く異質のものを裁判の現場に深く介入させることが一つ考えられる制度改革だと思います。
今回の裁判員制度は、多様な価値観を持った社会人を裁判に参加させることにより、裁判に社会常識を取り入れようというものですが、同時にこれにより、裁判官が裁判員も含めた評議を経て結論を得るためにする苦労が裁判官の意識を変えることにもなるのです。私は、そのことも裁判員制度で期待したいのですが、法務大臣はどうお考えですか。
我が国では、陪審制度が一九二八年の陪審法施行により導入され、十五年間実施された後に、一九四三年に戦争の激化により停止されました。しかし、その際、停止法附則第三項で、「陪審法ハ今次ノ戦争終了後再施行スルモノトシ其ノ期日ハ各条ニ付勅令ヲ以テ之ヲ定ム」と規定されているのです。ですから、裁判制度の改革には、この規定に従った陪審再施行という方法もあります。
そこで伺います。
今回の裁判員制度は、過去にあった陪審制度を手直しして再開するものではなく、裁判官制度と陪審制度をうまく組み合わせ、両者の融合により全く新しい裁判制度を作ったとの自負がおありなのだろうと推察いたしますが、いかがですか、法務大臣。
この点は重要だと思っています。我が国最初の平民宰相、原敬首相は、枢密院での陪審法案審議の中で、「憲法実施後三十年を経たる今日に於ては、司法制度に国民を参与せしむるは当然の事なり。」「此の際陪審法を設けざれば、国家の前進の為に害多し。人民をして司法に信用を置かしめ、上下の阻隔と杜絶怨嗟の勢を絶ちたし。」と述べました。
後に枢密院議長になる穂積陳重博士は、陪審法施行の前日、現在を将来の因、因果の因、因と見ますれば、立法における選挙権、行政における自治権と相並んで、司法参与の要望が国民全体の胸中に潜在し、潜勢力の状態において存在することは明らかであります。ゆえに過去の果、因果の果ですね、果たる現在のみに着目して国民の要望にあらずと言うは、盾の一面のみを見た偏見であると言わねばなりませぬ。すべて立法は将来のためにするものでありますと述べているのです。
今回の新制度導入に当たって、このような人の心を揺さぶるような言葉が聞かれないのはなぜでしょう。木に竹を接いだものだから、そのような言葉が出てこないのではないでしょうね、法務大臣。
実は、私はこの新制度が新たな光を放つ理想的なものになってほしいと願いながら、運用次第では木に竹を接いだ不細工なものになり、立ち枯れの危険もあると感じています。それは、一つには裁判官と裁判員の数のバランスが、裁判官に偏っていると思うからです。
裁判員は素人です。法律のことは知りません。それが良いのです。法律は、法律の玄人であると素人であるとを問わず、すべての人にかかわります。そこで、国民が法律の適用対象としてだけでなく、法律の適用主体としても法律とかかわろうというのが裁判員制度の眼目です。かかわるなら、実質を伴っていなければなりません。法律のプロである裁判官と、社会生活のプロである裁判員とが、実質的な協議ができなければなりません。裁判員が何ら気後れすることなく自分の考えを述べ、そのため評議が結構手間取ることがあっていい。むしろ、なければなりません。
そこで、私たちは、裁判官に比べて裁判員の数を圧倒的に多くし、しかも評決には特別多数決を要するということを考えたのです。私たちも政府案を了承はしましたが、実は心配なのです。実務の扱いでは、過半数が得られたから評議はおしまいではなく、極力全員一致の結論を得るように努力すべきです。その努力が貴重なのです。法務大臣に御見解を伺います。
裁判を国民主権のものに変えるには、判決内容だけでなく、裁判のプロセス自体に対しても国民の参加を得ることが大切です。法律の素人が主体的、実質的に裁判過程に参加するためには、公判手続や証拠調べを裁判の知識や経験がなくても分かるものに変えなければなりません。そのためには、迅速で充実した集中審理のため、検察官に十分な証拠開示を義務付け、その上で準備手続を充実させること、さらに、裁判員にも分かる審理とするため、いわゆる直接主義、口頭主義を徹底するよう、例えば、供述証拠は証言を原則とし、供述録取書面については取調べの可視化を条件とするなど、制度上、運用上の工夫をすることが必要と思います。本法案ではこの点が不十分ではないか、法務大臣に伺います。
国民の常識を裁判に反映させるのが裁判員制度ですが、現在の常識が常に正しいとは言えません。特に悩ましいのは、憲法や法律と裁判員の常識が食い違う場合です。例えば差別禁止のように、法規範は現実を正すという面があり、その場合は裁判員も法規範に従うことが求められます。法の解釈や運用の場面ですと裁判官の出番ですからよいのですが、事実認定にこれが紛れ込むと厄介です。陪審でも最も悩ましい課題なのですが、この法案ではどのように手当てされていますか、法務大臣に伺います。
裁判員制度は国民の理解と支持なしには成り立ちませんが、そのためにはこの制度の情報が豊富に国民に知らされる必要があります。この点で心配なのは、裁判員や裁判員経験者の守秘義務です。政府案は修正されましたが、そもそも守秘義務はなぜ必要なのか、これはじっくり考えてみると結構難しい問題です。法務大臣はなぜだとお考えですか。
裁判員が報復を恐れて自由な発言ができなくなることを防ぐためと言われます。秘密のベールで覆っておく方が裁判の権威が高まると言う人もいます。いずれもそれほど必要性が高いようには思えません。これに対し、秘密のベールをはぎ取ると実態が明らかになりますから国民に身近なものになり、事後の検証も可能になります。より良い制度に育てていくには、秘密は少ない方がいいです。
もちろん、プライバシーの保護や風紀を乱すことの防止は必要です。多様な利益をしっかり見比べてバランスの取れた判断をするため、守秘義務の範囲をもっと具体的に記述できないでしょうか。
この判断は具体的なケースによってまちまちですが、最後は裁判所が裁判員制度に及ぼす有害な影響の程度を判断するのですから、法定刑の下限は刑の免除とするのが望ましいと思います。
これらの点につき、法務大臣の見解を伺います。
細かなことは省き、最後に法務大臣に伺います。大先輩の角田義一議員が私たちの会議で、裁判員制度は裁判の革命だと喝破されました。私もそう思います。及び腰ではうまくいきません。腹をくくって大決断をやる勇気があるかどうか、法務大臣、覚悟を述べてください。
終わります。(拍手)
〔国務大臣野沢太三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/23
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024・野沢太三
○国務大臣(野沢太三君) 江田議員にお答えを申し上げます。
まず、現在の裁判に対する国民の意識についてお尋ねがありました。
我が国の司法制度につきましては、これまで国民のニーズにこたえるべく、司法関係者において努力が重ねられてきたものと承知しており、我が国の現在の裁判は基本的には国民の信頼を得ているものと認識しております。しかしながら、社会の複雑多様化、国際化等がより一層進展する中で、行政改革を始めとする社会経済の構造改革を進め、明確なルールと自己責任原則に貫かれた事後チェック・救済型社会への転換を図り、自由かつ公正な社会を実現していくためには、その基礎となる司法制度を、新しい時代にふさわしく、国民にとって身近なものとなるよう改革していくことが不可欠であると考えております。
次に、今般の改革は歴史的な大改革であるという点についてお尋ねがありました。
今般の司法制度改革につきましては、内外の社会経済情勢が大きく変容している中で、我が国において司法の役割の重要性が増大していることを踏まえ、司法制度の機能を充実強化することが必要であることから、国民の期待にこたえる司法制度とするため、司法制度をより利用しやすく、分かりやすく、頼りがいのあるものとすること、司法制度を支える法曹の在り方を改革し、質、量ともに豊かなプロフェッションとしての法曹を確保すること、国民的基盤の確立のために、裁判員制度等の導入により、司法に対する国民の信頼を高めることを三つの基本的な方針として行われるものであり、我が国の司法にとって極めて重要な意義のある改革であると考えております。
次に、法曹の意識改革についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、制度を生かすのは一にも二にも人でありますから、司法制度改革に伴って、これに携わる者の意識改革が求められるのは当然のことであると考えております。
今般の司法制度改革は、国民の期待にこたえる司法制度を構築するとともに、司法に対する国民の信頼を高めることを基本方針としていますから、法曹三者におきましてもこの趣旨を踏まえました意識改革が求められているものと考えております。
次に、国民の意識改革についてお尋ねがありました。
司法がその求められている役割を遺憾なく果たしていくためには、国民の広い支持と理解が必要であります。特に、裁判員の参加する刑事裁判の制度は、司法への参加についての国民の意識と、これに基づく協力の下で初めて我が国の司法制度の基盤としての役割を十全に果たすことができるものと考えております。
そして、国民に刑事裁判の過程に参加していただくことは、社会秩序や治安あるいは犯罪の被害や人権といった問題について、国民一人一人にもかかわりのある問題としてお考えいただく契機になるものと考えております。
次に、司法制度改革の制度設計と今後の制度構築についての内閣の姿勢と態度についてお尋ねがありました。
今般の司法制度改革は、社会経済情勢の大きな変化の中で司法がその役割を十分に果たしていくために、その基本的制度を抜本的に見直すという大改革でありますので、各界各層の御意見を十分踏まえながら、その制度設計を行ってきたところであります。
また、制度実施後におきましても、国民の声に耳を傾けつつ、その実施状況を検証し、必要な見直しを行っていくべきであることは当然と考えております。
次に、衆議院における修正についてお尋ねがありました。
政府といたしましては、司法制度改革審議会意見や各方面での御議論を踏まえ、最善の制度であると考えて法案を提出させていただいたところでありますが、本法案のように、我が国の刑事裁判の在り方にも大きな影響を及ぼす基本的な制度に関する法案が、衆議院における慎重な御審議をいただき、一部修正の上、与野党の御理解を得まして御可決いただきましたことは、大変意義のあることと考えております。
次に、裁判官の意識改革についてお尋ねがありました。
裁判員制度の下では、裁判官と裁判員が評議を通じてそれぞれの知識、経験を共有し、その成果を裁判内容に反映させることによって、司法に対する国民の理解と信頼を深めることが期待されております。
裁判官におきましても、このような裁判員制度の趣旨を十分に理解した上で、評議の場において、裁判員に対して必要な法令等に関する説明を丁寧に行うとともに、裁判員が発言する機会を十分設けるなどすることによって充実した評議が行われるようにし、この制度の趣旨の実現に努めることが期待されているものと考えております。
次に、裁判員制度は全く新しい裁判制度ではないかとのお尋ねがありました。
裁判員制度は、我が国においてかつて行われていました陪審制度のみならず、諸外国の陪審制度や参審制度をも参考にしつつ、我が国の裁判制度や社会の在り方などを踏まえた上で制度設計したものであります。その結果、我が国にふさわしい独自の制度を作ることができたものと自負しております。
次に、裁判員制度に関する言葉についてお尋ねがありました。
御指摘の言葉は、戦前における陪審制度の導入の意義を述べたもので、誠に当を得たものであると考えるところであります。
さて、今般の裁判員制度の導入につきましては、国民が裁判の過程に参加し、その感覚が裁判の内容に反映されることによりまして、司法に対する国民の理解や支持が深まり、司法がより強固な国民的基盤を得ることができるようになるという、非常に大きな意義があると考えております。そして、より強固な国民的基盤を得た司法は、社会経済情勢の変化の中で増大するその役割を十全に果たすことができるようになるものと考えております。こうした点につきましては、これまでも度々申し上げてきたところでありますが、今後とも裁判員制度の意義を広く御理解いただくため、努力してまいりたいと考えております。
次に、評議についてお尋ねがありました。
もとより、評議を尽くすべきであることは言うまでもないところであります。そこで、本法案では、評議の整理に当たる裁判長に対し裁判員が十分に意見を述べ、その職責を果たすことができるよう配慮する義務を課しているところであります。ただし、評議を尽くしても最終的に意見の一致が見られない場合も考えられますので、そのような場合には、本法案の規定に従いまして評決が行われることになります。
次に、裁判員が裁判過程に実質的に参加することができるようにするための制度上、運用上の工夫についてお尋ねがありました。
一般の国民が裁判員となり、裁判内容の決定に主体的、実質的に関与することができるようにするためには、裁判員に分かりやすい裁判とすることが重要であると考えております。
そこで、第一回公判期日前から十分に争点や証拠を整理することができるよう、公判前整理手続を創設し、裁判員制度の対象事件では、これを必要的なものとしております。そして、検察官は、同手続において取調べを請求した証拠を開示するほか、それ以外の一定の証拠についても開示の必要性と弊害とを勘案して開示しなければならないものとしております。これによりまして、争点の整理と被告人の防御の準備に十分な証拠が開示され、公判前整理手続を充実させることができるものと考えております。
このことは、ひいては、明確化された争点をめぐって当事者が活発に主張、立証を行い、それに基づいて裁判官及び裁判員が心証を得ていく公判審理の実現、すなわち直接主義、口頭主義の実質化に資するものと考えております。
また、本法案では、裁判官、検察官及び弁護人は審理を迅速で分かりやすいものとすることに努めなければならない旨を明記しており、この規定の趣旨に従いまして、審理をできるだけ分かりやすくするための工夫が行われるものと考えております。
なお、取調べ状況の録音、録画等については、司法制度改革審議会意見においても、刑事手続全体における被疑者の取調べの機能、役割との関係で慎重な配慮が必要であること等の理由から将来的な検討課題とされているところであり、慎重な検討が必要であると考えております。
次に、法規範と裁判員の常識が食い違う場合の手当てについてお尋ねがありました。
裁判が法に従って公平に行われなければならないことは言うまでもないことであります。この点に関しまして、裁判員制度では、まず、法に従った公平な裁判が行われることを担保するために、事件関係者等を裁判員から除外する制度や、不公平な裁判をするおそれを示して行う、理由を示す不選任請求及び理由を示さないで行う不選任請求の制度を設けるなどしており、冷静に判断することができない者は裁判員となることができないこととしています。
また、裁判官と裁判員とが十分に評議を行うことで双方の有する知識、経験が合議体全体に共有されるとともに、その過程を通じ、適正な結論に到達することが予定されています。
さらに、評決の要件としましては、単に過半数であるだけでなく、その意見が裁判官と裁判員の双方の意見を含むものであることを要するものとしています。
これらの手当てを講ずることにより、裁判員制度の下でも法に従った公平な裁判が確保されるものと考えております。
次に、裁判員の守秘義務はなぜ必要なのかについてお尋ねがありました。
裁判員の守秘義務は、他人のプライバシーを保護するとともに、裁判の公正さや裁判への信頼を確保し、評議における自由な意見表明を保護、保障するためのものであります。
このうち、評議における自由な意見表明を保障することにつきましては、裁判員が後に批判されることを恐れたりして自らの意見を述べることを差し控えることがないようにして、自由濶達に様々な意見が交換される充実した評議が行われるようにしようとするものであります。このことは、裁判において適正な結論が得られるようにする上で大変重要な意味があるものと考えております。
また、評議において述べたことが公表されず、事後的に追及、報復されるようなおそれをなくすという点で、裁判員の負担を軽減する意味もあると考えております。
次に、守秘義務の範囲と守秘義務違反に対する刑についてお尋ねがありました。
この法案では、評議の秘密につきましては、評議の経過並びにそれぞれの裁判官及び裁判員の意見並びに多少の数と明確に規定した上で、守秘義務の範囲を評議の秘密その他の職務上知り得た秘密としており、ただいま述べました守秘義務の趣旨からして必要な範囲を明確に規定しているものと考えております。
刑の免除につきましては、守秘義務の趣旨や刑の免除の制度の趣旨に照らし、秘密漏示罪に関しこれを設けるべき特段の理由はないものと考えております。
次に、裁判員制度の導入に向けた決意についてお尋ねがありました。
裁判員制度の導入につきましては、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資するものであり、大変に重要な意義のあるものと考えております。
このような裁判員制度の意義を踏まえまして、その実施に向け、全力を尽くしてまいりたいと考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/24
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025・本岡昭次
○副議長(本岡昭次君) 木庭健太郎君。
〔木庭健太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/25
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026・木庭健太郎
○木庭健太郎君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案に対し、法務大臣に質問いたします。
二十一世紀の我が国社会においては、国民一人一人が自律的で責任ある主体者として互いに協力しながら、自由で公正な社会の構築に参画していくことが求められております。司法の分野においても、国民が自律性と責任感を持って司法の運営全般に広く関与することが重要であると考えます。
司法に国民が直接関与することになれば、国民の視点に立った評価や判断が行われ、国民に納得される解決を図ることが期待できます。また、司法への関与を通じ、司法と国民との関係が緊密化するのに伴い、司法に対する理解が深まり、信頼の向上に資することになります。そして、このように司法の過程に国民の感覚や常識が反映されることは、司法の基盤をより一層強固なものとし、司法がその期待される役割を十分に果たすことにつながると思われます。
私は、このような観点から、国民が職業裁判官とともに刑事裁判に関与する裁判員制度の実現に大いに期待するところであります。そこで、まず、裁判員制度の導入の意義について法務大臣にお伺いいたします。
次に、裁判員制度が対象とする事件について伺いたいと思います。
本法案では、死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪などの重大犯罪を対象事件としております。つまり、殺人事件や現住建造物放火事件などについて、国民が裁判員として有罪、無罪を判断し、刑を決めることになります。このような重大犯罪に関与する裁判員はかなりの負担を感じるに違いありませんし、死刑判決することになれば、精神的重圧は並大抵ではありません。導入に際しては、まず軽微な罪を対象とすべきとの意見もあるようですが、重大犯罪の裁判だからこそ、裁判員が関与して常識的な判断を求めるべきであるという考え方も成り立つように思います。
そこで、対象事件を重大犯罪とした理由についてお伺いをいたします。
裁判員が実質的かつ主体的に評議に参加できるようにするためには、合議体を構成する裁判員の人数と裁判官の人数のバランスが非常に重要となります。裁判官が多過ぎれば裁判員は萎縮して発言することをちゅうちょするかもしれませんし、逆に、裁判員が多過ぎても各裁判員の発言の機会が少なくなり、評議としての実効性を保つことができないということも考えられます。
本法案では、原則として、裁判官三人、裁判員六人の合議体により審理、裁判をすることといたしておりますが、このような人数構成にする根拠はどういうところにあるのか、明確な御答弁をお願いいたします。
国民が裁判員として司法に参加することは国民の権利であり、義務でもあります。しかし、裁判員は、選挙人名簿から無作為に抽出された者の中から選任されることになりますので、現実には、裁判員として参加したくない、あるいは諸般の事情から裁判員として参加することができないという人もいるはずであり、全く辞退を認めないということはできません。だからといって、裁判員となることについて際限なく辞退を認めることは裁判員制度そのものの崩壊にもつながります。
本法案では、辞退理由について具体的に幾つか列挙した後、その他政令で定めるやむを得ない事項があって職務を行うことが困難な者も辞退の申立てをすることができるとしております。裁判員候補者となった国民の皆さんにとっては、どういう場合に辞退が認められて、どういう場合に認められないのか明確でないと、辞退を認められなかったときに極めて不公平感を抱くことになり、制度自体の信頼を揺るがす結果ともなりかねません。
そこで、私は、政令においてはできる限り辞退理由を明確に定めておく必要があると考えますが、それについての御所見をお伺いするとともに、法律で明記せず政令に委任した理由と、政令で定めると見込まれている事項についても御答弁をお願いいたします。
読売新聞が昨年行った世論調査によれば、裁判員として是非参加したい、参加してもよいと答えた人に、参加する場合に必要だと思う条件を選んでもらったところ、以下多い順に、裁判のやり方を市民に分かりやすくする、六〇%、拘束時間が長くならないよう審理を速くする、四五%、仕事を休むことについて勤め先の理解が得られるようにする、四三%であったと報告されております。
審理や評議において専門用語が飛び交えば、法律や裁判の知識のない裁判員はそれを理解することができず、裁判員が実質的に審理や評議に加わることが困難になります。こうした面でも、裁判員にとって分かりやすいものとする必要があると考えます。
また、裁判員は裁判所に出頭するために仕事を休まなければなりませんし、出頭すべき日に予定が入っている場合にはそれを変更する必要も出てくるなど、裁判員となることは相当な負担を伴うものであると考えます。そうした負担を軽減するためには、事前に十分な争点整理等を行うことで審理に要する期間を短縮することやきちんと審理計画を立てることが必要であり、裁判員として拘束される期間がどれくらいであるかをあらかじめ分かるようにすることが重要であります。
私は、裁判員制度が今後適正に運用されることが分かりやすい裁判の実現と審理の一層の迅速化を可能にすると考えます。迅速で分かりやすい審理のためには、本法案では裁判員に対してどのような手続上の配慮をしているのか、御答弁を求めます。
裁判員制度は、国民の協力がなくてはその成功は望めません。裁判員制度を支えるのは国民です。しかしながら、国民は裁判員制度の意義を理解し、裁判員として参加したいという意欲を持っているのでしょうか。裁判員制度の導入について議論されていることすら知らない国民がいると聞きます。今年二月に行われたNHKの世論調査の結果では、是非参加したいと回答した人は全体の三・九%、参加してもよいと回答した人は全体の二六・八%であり、参加に意欲を示した人は合わせて三割程度にすぎませんでした。
このような状況では、私は裁判員制度を導入することについて若干不安も正直に感じます。裁判員制度を成功させるためには、裁判員制度の意義について国民から幅広い支持と理解を得ること、これこそ私は本制度の根幹であると考えますが、国民の理解と参加意欲を向上させるため、どのような方策を考えているのでしょうか。御見解を伺いたい。
最後に、G8諸国においては、我が国以外の国はすべて陪審制若しくは参審制という形で国民の司法参加を、制度を採用しております。裁判員制度の導入は、我が国の民主化の発展に寄与するばかりでなく、司法の分野においてもようやくG8の諸国の仲間入りをすることになります。私たちはその裁判員制度を他国に誇れるようなすばらしい制度に作り上げてまいりたい。
最後に、主権者である国民の手による裁判員制度確立へ向けての努力を重ねて要望し、簡潔、適切な御答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣野沢太三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/26
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027・野沢太三
○国務大臣(野沢太三君) 木庭議員にお答えを申し上げます。
まず、裁判員制度の導入の意義についてお尋ねがありました。
国民が裁判官とともに刑事裁判に関与することは、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資するものであります。すなわち、裁判員制度の意義は、広く国民が裁判の過程に参加し、その感覚が裁判の内容に反映されることによりまして、司法に対する国民の理解や支持が深まり、司法がより強固な国民的基盤を得ることができるようになることにあると考えております。
加えて、裁判員制度が導入されますと、職業や家庭を持つ国民の方々に裁判に参加していただくことができるようにするため、裁判が迅速に行われることになります。また、裁判の手続や判決の内容を裁判員の方々にとって分かりやすいものにする必要がありますから、国民にとっても分かりやすい裁判が実現されることになります。
次に、裁判員制度の対象犯罪についてお尋ねがありました。
まず、裁判員制度の円滑な導入のためには、対象事件を限定する必要があると考えております。そして、その範囲につきましては、国民の関心が高く、社会的にも影響の大きい重大事件とすることが相当であると考えたものであります。
そのような観点から、まず、最も重い法定刑が定められている罪として、死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件を対象とするとともに、特に国民の関心が高いものとして、法定合議事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件を対象としたものであります。
次に、合議体の構成についてお尋ねがありました。
まず、評議の実効性の確保や、個々の裁判員が責任感と集中力を持って裁判に主体的、実質的に関与することを確保するという観点から、合議体全体の規模には一定の限度があり、十人に至らない程度が適当であると考えられます。
次に、裁判員制度の対象事件は、法定合議事件のうちでも特に重大と考えられる一定の事件であることから、現行の法定合議事件と同様に、原則として、裁判官三人による慎重な判断を行うことが必要であると思われます。そして、合議体全体の規模を一定の限度内とした上で、裁判に国民の感覚がより反映されるようにするため、相当程度の裁判員の数を多くするという観点から、その人数を六人とすることとしたものであります。
次に、辞退事由を明確に定めておく必要があるのではないかとのお尋ねがありました。
政令の具体的内容につきましては、今後検討していくこととしておりますが、裁判員となることをどのような場合に辞退することができるのかという問題は、裁判員となる国民にとって重要な問題でありますので、政令を定めるに当たっては、辞退事由ができるだけ明確になるように努めてまいりたいと考えております。
辞退事由を政令に委任した理由と政令で定めると見込まれている事項についてお尋ねがありました。
法律にすべての場合を掲げることは困難でありますことから、法律には典型的な類型のみを掲げ、その余の場合については、政令でその内容を明確化することとしたものであります。また、法施行後の実施状況をも勘案して事情の変化に速やかに対応する必要があります上、その内容を適時に国民に対して明らかにすることで、国民に分かりやすい制度とすることが必要でありますため、政令にゆだねることとしたものであります。
先ほど申し上げましたように、政令の具体的内容につきましては、今後検討していくことになりますが、裁判員となることに伴ってどの程度の負担をしていただけるかについての国民一般の意識のありようをも踏まえて定める必要がありますので、今後の広報活動の成果をも踏まえてその内容を考えてまいりたいと考えております。
次に、迅速で分かりやすい審理のための手続上の配慮についてお尋ねがありました。
法律の専門家でない一般の国民が裁判員となり、専門家である裁判官と協働して、裁判内容の決定に主体的、実質的に関与するためには、迅速で分かりやすい裁判とすることが重要であると考えております。そのため、法案におきましては、次のような措置を講じております。
すなわち、第一に、事前に、十分な争点整理を行い、明確な審理計画を立てることができるようにするために公判前整理手続を創設するとともに、裁判員制度の対象事件についてはこれを必要的なものとすること、第二に、公判期日は、できる限り連日、継続して開廷することとしていること、第三に、専門的な知識を要する法律解釈や訴訟手続に関する問題については、裁判官が判断することとしていること、第四に、裁判官、検察官及び弁護人に対し、審理を迅速で分かりやすいものとする努力義務を課していること等の手続上の配慮をしているところであります。
次に、国民の理解と参加意欲を向上させるための方策についてお尋ねがありました。
議員御指摘のように、裁判員制度の円滑な導入、運営には、国民の支持と理解が不可欠であります。したがいまして、裁判員制度の意義やその具体的内容についての理解と関心を深め、進んで刑事裁判に参加していただけるよう、積極的かつ十分な広報活動を行う必要があると考えております。
具体的には、例えば、制度の内容を分かりやすく説明したパンフレットやビデオの作成、頒布等も考えられるところでありますが、広報活動の効果的な在り方につきましては、今後更に検討を進めてまいりたいと考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/27
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028・本岡昭次
○副議長(本岡昭次君) 井上哲士君。
〔井上哲士君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/28
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029・井上哲士
○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案に対し、法務大臣に質問いたします。
裁判員制度は、国民から無作為に選ばれた裁判員が裁判官と同じ権限を持って刑事裁判に関与する制度です。我が国では、戦前の一時期、陪審裁判が行われたことがありますが、その後六十年以上も職業裁判官が裁判を独占してきました。日本共産党は陪審制度の実現を主張してきましたが、今回の裁判員制度は、戦後初めて刑事裁判に一般国民が参加するという点で大きな意義があります。
司法制度改革の大きな柱として裁判への国民参加が強く求められた背景には、現在の刑事裁判の問題点があります。我が国の刑事裁判は、有罪率が九九%と世界でも突出しており、その下で、死刑判決を受けながら再審で無罪になった事件を始め数々の誤判が生まれ、捜査段階で自白した被告人から無実を訴える声も絶えず起こっています。裁判員制度はこうした現状を変えるものにしなくてはなりません。法務大臣、こうした日本の刑事裁判の状況をどう認識しておられるのか。そして、本法案によってどこがどう変わるとお考えでしょうか。答弁を求めます。
裁判員制度の意義は、何よりも、国民が主権者として裁判に参加し、国民の常識を裁判に生かすことにあります。そのためには、これまでの裁判制度に国民を付け足すだけ、言わば国民が裁判官のお手伝いをするような制度ではなく、国民こそが主人公だと言える新しい制度にしなくてはなりません。国民は裁判官のお手伝いなのか、それとも主人公なのか、政府案ではどう位置付けられているのでしょうか。明確な答弁を求めます。
国民こそ主人公の制度とし、裁判員制度の意義を生かすには二つの柱が必要です。一つは、一般国民から選ばれた裁判員の実質的な裁判参加が実現できる制度にすることです。
そのためには、法律には素人である裁判員が職業裁判官の前で萎縮することなく発言できる構成にしなくてはなりません。政府案は、裁判官三人、裁判員六人としています。これでは、裁判が職業裁判官の主導で行われ、国民参加は形だけになるおそれがあります。日本共産党は、裁判官は一人、裁判員は九人を提案していますが、少なくとも裁判員を裁判官の三倍以上にすることが必要ではないでしょうか。
また、現状の裁判は、事前に被告人や証人を調べた調書を検察官が読み上げる形で進行することが多く、このままでは、裁判員には理解が困難です。裁判員が法廷で自ら見聞きして判断できる直接主義、口頭主義へと裁判のやり方を根本的に改めることが必要です。
特に重要なのは、取調べ過程をガラス張りにすることです。これまでの刑事裁判の長期化の要因は、捜査段階での自白が果たして被告人の自発的な意思で行われたのかどうか、いわゆる自白の任意性をめぐる争いです。取調べが密室で行われているために明瞭な証拠はなく、法廷での水掛け論が行われてきました。このようなことが繰り返されるならば、裁判員は十分な証拠もなしに自白の任意性の判断を強いられます。しかも裁判は長期化し、裁判員制度は成り立ちません。この問題の解決には、取調べ過程を録音、録画する可視化が必要です。裁判員制度が施行されるまでに、取調べの可視化に踏み出すべきではないでしょうか。答弁を求めます。
裁判員が長期間仕事等を休んで参加することは不可能であり、集中的審理が必要です。そのためには、事前の早い段階で検察の手持ち証拠が開示され、集中審理のための準備が検察側、弁護側が対等にできるようにすることが必要です。ところが、政府案では現在の証拠開示を若干広げる程度にとどまっています。これでは、集中審理で真実を究明することが妨げられ、冤罪を作る原因になりかねません。検察の手持ち証拠は全面開示すべきです。少なくとも証拠の一覧表は弁護士に示すことを義務付けるべきです。答弁を求めます。
もう一つの柱は、国民が参加しやすい制度にすることです。世論調査を見ても、裁判員制度自体は評価をしても、自分は裁判員になりたくないという声が国民の多数です。それは、制度自体がよく知られていないことに加え、裁判員になることに重い負担感があるからです。
特に、法案が裁判員に懲役を伴う過度の守秘義務を課していることです。被告人や他の裁判員のプライバシーや名誉を守ることは当然ですが、判決が出た後も、自分の意見、判決の事実認定、量刑の当否について意見を述べてはいけないというのは行き過ぎです。裁判員になった国民に生涯の沈黙を強制することは重い負担であり、自由な論評を通じて制度への国民的理解を広げることの妨げにもなります。衆議院での修正で、懲役刑の範囲から評議の経過が外されましたが、裁判員への守秘義務の範囲を更に限定し、懲役を外すべきです。答弁を求めます。
さらに、仕事や育児、介護など、容易に休暇を取れない実態も負担感を重くしています。国民が参加しやすくするために、有給での裁判員休暇制度や裁判員就任の延期制度、託児所、介護施設の整備、十分な休業補償制度などを整備すべきではありませんか。
戦前、陪審員制度が施行されるときには、全国各地で模擬裁判や講演会が行われるなど、大規模な啓発活動が行われました。法廷の構造を裁判員制度にふさわしい形にする等の準備も必要です。施行までの啓発、準備はどのような規模と内容を想定しているのか。また、啓発、準備のためには市民も加わった推進体制の確立が必要ではないでしょうか。答弁を求めます。
裁判員制度導入に伴い提案されている刑事訴訟法の改正案では、冤罪の温床となっている代用監獄制度や保釈がなかなか認められないことなど、人質司法とも言われる刑事裁判手続の問題点が放置されています。更に重大なことは、被告人の防御権、弁護権を著しく侵害しかねない問題点が含まれていることです。
その一つが、開示された証拠をその審理の準備以外の目的で使用することを一律に禁止していることです。これまで、無実を訴える被告人が、開示された証拠の問題点を指摘し、批判する文書を配布して支援を求める活動がなされてきました。かつての松川事件や死刑再審事件など、多くの国民が公開された訴訟記録をよく検討して真実を訴え、公正な裁判を求めることにより、冤罪が晴らされたことは少なくありません。開示された証拠の目的外使用の禁止は、こうした活動を妨げ、裁判公開の原則にも反します。衆議院で修正され、正当な理由がある場合は配慮する規定が入りましたが、禁止規定は残ったままです。被告人の防御権の擁護のためには、禁止規定自体を外すべきではありませんか。答弁を求めます。
もう一つの問題は、訴訟指揮権の実効性の確保の名の下に、弁護活動に対し裁判所が制裁権を発動する権限を新設することです。例えば、弁護人が期日に出頭しない場合等に裁判所が職権で別の弁護人を選任するというものがあります。しかし、弁護士の不出頭が裁判の遅延をもたらした事実はここ二十年以上なく、仮にあったとしても、それは弁護士倫理の問題として解決すべきものとして弁護士会がルールと制度を作ってきました。このような新たな措置を設ける立法事実はないのではありませんか。答弁を求めます。
日本共産党は、国民のための司法改革、国民の求める真の刑事裁判の改革を求めて奮闘する決意を述べて、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣野沢太三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/29
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030・野沢太三
○国務大臣(野沢太三君) 井上議員にお答えを申し上げます。
まず、我が国の刑事裁判の状況についてお尋ねがありました。
刑事裁判は、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正かつ迅速に適用、実現することを目的としておりますが、これまでの我が国の刑事裁判は、基本的にはよくその目的、求められている役割を果たし、国民の信頼を得ているものと認識しております。
次に、裁判員制度法案によって我が国の刑事裁判がどう変わるかについてお尋ねがありました。
裁判員制度が導入され、国民が裁判官とともに刑事裁判に関与することによりまして、司法に対する国民の理解が増進し、信頼が向上するものと考えております。すなわち、広く国民が裁判の過程に参加し、その感覚が裁判の内容に反映されることによりまして、司法に対する国民の理解や支持が深まり、司法がより強固な国民的基盤を得ることができるようになると認識しております。
加えて、裁判員制度が導入されますと、職業や家庭を持つ国民の方々に裁判に参加していただくことができるようにするため、裁判が迅速に行われるようになると考えております。また、裁判の手続や判決の内容を裁判員の方々にとって分かりやすいものとする必要がありますから、裁判が国民にとって分かりやすいものになると考えております。
次に、裁判員の位置付けについてお尋ねがありました。
裁判員制度の導入につきましては、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資するものであり、大変に重要な意義があると考えております。
裁判員は、有罪、無罪の決定及び刑の量定については裁判官と同等の権限を持って判決内容の決定に関与するものであります。また、裁判員制度は、裁判官と裁判員がともに評議し、相互のコミュニケーションを通じてそれぞれの知識、経験を共有することが期待される制度であります。したがいまして、裁判員は裁判官の知識、経験の補完のために裁判に関与するにすぎないということではなく、裁判官と協働して司法を担っていただくものと考えております。
次に、裁判員の人数についてお尋ねがありました。
合議体の構成につきましては、まず評議の実効性の確保や個々の裁判員が責任感と集中力を持って裁判に主体的、実質的に関与することを確保するという観点から、合議体全体の規模には一定の限度があり、十人に至らない程度が適当であると考えられます。
次に、裁判員制度の対象事件は、法定合議事件のうちでも特に重大と考えられる一定の事件であることから、現行の法定合議事件と同様に、原則として裁判官三人による慎重な判断を行うことが必要であると思われます。そして、合議体の規模の限度内で、裁判に国民の感覚がより反映されるようにするため、相当程度の裁判員の数を多くするという観点から、その人数を六人とすることとしたものであります。
このように、裁判官三人、裁判員六人という合議体の構成は、裁判員が萎縮することなく発言できるよう十分配慮したものとなっていると考えております。
なお、法案では、評議の整理に当たる裁判長は、裁判員が発言する機会を十分に設けるなど、裁判員がその職責を十全に果たすことができるように配慮しなければならないとの規定も設けているところであります。
次に、取調べの可視化についてお尋ねがありました。
裁判員制度の導入に伴って、裁判員に分かりやすく迅速な審理が行われるようにすることは極めて重要であると考えております。しかしながら、取調べ状況の録音、録画等につきましては、司法制度改革審議会意見においても、刑事手続全体における被疑者の取調べの機能、役割との関係で慎重な配慮が必要であること等の理由から、将来的な検討課題とされているところであり、慎重な検討が必要であると考えております。
次に、証拠開示についてお尋ねがありました。
刑事訴訟法等の一部を改正する法律案では、検察官は、取調べを請求した証拠を開示するほか、検察官の取調べ請求証拠の証明力を判断するために重要な一定類型の証拠、被告人側が明らかにした主張に関連する証拠についても、開示の必要性と弊害とを勘案して開示しなければならないものとしております。これによりまして、争点の整理や被告人の防御の準備のために十分な証拠が開示されることになるものと考えております。
これに対して、検察官手持ち証拠を全面開示するものとした場合には、プライバシーの侵害など証拠開示に伴う弊害が生じるおそれのある証拠について、開示の必要性が認められない場合であっても開示をしなければならないこととなり、相当ではないと考えております。
また、証拠の一覧表につきましても、供述調書、鑑定書、証拠物といった証拠の標目だけが記載された一覧表を開示しても意味がない一方、各証拠の内容、要旨まで記載した一覧表を開示するものとすると、検察官手持ち証拠を全面開示するのに等しく、適当ではないと考えております。
次に、守秘義務についてお尋ねがありました。
まず、守秘義務の対象は、評議の秘密や他人のプライバシーなどの職務上知り得た秘密でありまして、裁判の公正さや裁判への信頼を確保し、評議における自由な意見表明を保障するために極めて重要なものと考えております。
罰則につきましては、御指摘のとおり、衆議院において一部修正されたところですが、多額の報酬を得た上で評議内容を明らかにしたり、重大なプライバシー侵害を生じさせるような非常に悪質な事案も想定されるところであります。このような事案も含めまして、一定の場合には、犯情に応じて適切な処罰が可能となるよう、罰金刑だけでなく懲役刑も選択できるようにするのが適当と考えております。
次に、有給での裁判員休暇制度、裁判員就任の延期制度、託児所、介護施設の整備、十分な休業補償制度等についてお尋ねがありました。
裁判員制度の趣旨にかんがみまして、幅広い国民に裁判員となっていただくことは重要であり、様々な事情を抱える一般の国民が裁判員として参加しやすくするために様々な工夫をする必要があると考えております。
しかしながら、有給での裁判員休暇制度、託児所、介護施設の整備、休業補償制度等につきましては、事業主側の負担、託児所などに対する需要の程度、主婦や無職者との間で不公平が生ずるおそれがあること、財政事情、国民の意識等も勘案して、今後慎重に検討すべきものと考えております。
また、延期制度につきましては、裁判員を広く国民から公平に選ぶという制度の趣旨からして、慎重に検討すべきであると考えており、辞退を認められた者を裁判員候補者名簿から除外せず、再度裁判員に選任されることを可能とするにとどめるのが適当であると考えております。
次に、施行までの啓発、準備やその推進体制についてお尋ねがありました。
裁判員制度の円滑な導入、運営につきましては、国民の理解と協力が不可欠でありますので、裁判員制度の意義やその具体的内容についての理解と関心を深め、進んで刑事裁判に参加していただけるよう、積極的かつ十分な広報活動を行う必要があると考えております。
具体的には、例えば、制度の内容を分かりやすく説明したパンフレットやビデオの作成、頒布、講演会の開催等が考えられるところでありますが、広報活動の効果的な在り方につきましては、今後更に検討を進めてまいりたいと考えております。
また、こうした広報活動のほか、人的、物的態勢の整備等の準備が必要であると考えております。
裁判員制度の実施準備のための体制の在り方につきましては、今後更に検討する必要があると考えておりますが、もとより、広く国民の意見を伺いながら、広報活動等の準備を進めていくことが必要であると考えております。
次に、開示証拠の目的外使用の禁止についてお尋ねがありました。
検察官による証拠開示につきましては、あくまでも現に係属する被告事件について十分に争点を整理するとともに、被告人、弁護人が訴訟準備を十分に整えることができるようにするために行われるものであります。
また、開示証拠の複製等をそのような本来の目的以外の目的で第三者に交付することなどが許されるものとすると、プライバシーの侵害などの弊害が拡大するおそれが大きく、また、そのことを考慮することにより、かえって証拠開示の範囲が狭くなると考えられます。
他方、現行法におきましては、開示証拠の取扱いに関する明確なルールは定められておらず、開示証拠の複製等が暴力団関係者に流出したり、雑誌やインターネットで公開された事例が発生しております。
そこで、開示証拠が本来の目的にのみ使用されることを担保し、証拠開示がされやすい環境を整えるため、被告人、弁護人は、開示証拠の複製等を本来の目的である被告事件の審理の準備等の目的にのみ使用すべきことを法律上明らかにする必要があるものと考えております。
御指摘のように、開示証拠の問題点を指摘し、一般の支援を求めることが必要であるとしましても、あえて開示証拠のコピーをそのまま引用するのではなく、その概要を明らかにすることによってその目的は達せられると考えられますが、今回の法案はそのような行為を禁止するものではありません。
次に、訴訟指揮権の実効性の確保についてお尋ねがありました。
当事者が裁判所の期日指定に従わず、期日に出頭しない事例や、裁判所の示した期日指定方針に応じられないとして、当事者が不出頭をほのめかしたため、裁判所が当初の方針どおりの期日指定を断念する事例があり、審理遅延の原因の一つとなっていると承知しております。
また、当事者が裁判所による重複尋問等の制限に従わないことが審理遅延あるいは焦点の定まらない審理の原因の一つとなっていると承知しております。
そこで、期日指定や尋問等の制限などの訴訟指揮権の実効性を確保するための方策を導入することとしたものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/30
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031・本岡昭次
○副議長(本岡昭次君) これにて質疑は終了いたしました。
これにて午後一時まで休憩いたします。
午後零時二十八分休憩
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午後一時一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/31
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032・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
この際、日程に追加して、
地方自治法の一部を改正する法律案、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び市町村の合併の特例等に関する法律案、以上三案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/32
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033・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。麻生総務大臣。
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/33
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034・麻生太郎
○国務大臣(麻生太郎君) 地方自治法の一部を改正する法律案、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び市町村の合併の特例等に関する法律案の趣旨について御説明を申し上げます。
まず、地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、地方分権を推進するとともに、地方公共団体の組織及び運営を合理化するため、都道府県合併の手続の整備、地域自治区の制度の創設、条例による事務処理特例の制度の拡充、収入役の制度及び議会の定例会の制度の見直し等を行おうとするものであります。
次に、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明を申し上げます。
この法律案は、現行の市町村の合併の特例に関する法律が失効する平成十七年三月三十一日までに市町村が合併の申請を行い、平成十八年三月三十一日までに合併したものについて、同法律はなお効力を有するものとするものであります。あわせて、合併後の一定期間、合併関係市町村の区域を単位として、合併特例区を設けることができるものといたしております。
次に、合併に関する新たな法律として提案いたします市町村の合併の特例等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
第一に、議会の議員の定数に関する特例、一部事務組合等に関する特例及び地方税に関する特例等の措置を講ずることといたします。
なお、衆議院における修正により、合併後の市となるべき要件は、人口三万以上を有することとする旨の修正が行われたところであります。
第二に、合併関係市町村の協議により、市町村の合併後の一定期間、合併関係市町村の区域を単位として、合併特例区を設けることができるものとしております。
第三に、総務大臣の定める基本指針に基づき、都道府県が自主的な市町村の合併の推進に関する構想を定めるものといたします。また、市町村合併調整委員による合併協議会に係るあっせん及び調停、都道府県知事による市町村の合併に関する協議の推進に関する勧告等の規定を設けることといたしております。
なお、この法律は平成十七年四月一日から施行するものとし、平成二十二年三月三十一日に効力を失うものとしております。
以上が地方自治法の一部を改正する法律案、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び市町村の合併の特例等に関する法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/34
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035・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。小川敏夫君。
〔小川敏夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/35
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036・小川敏夫
○小川敏夫君 私は、民主党・新緑風会を代表して、政府提出の地方自治法の一部改正案、市町村の合併の特例に関する法律の一部改正案及び市町村の合併の特例等に関する法律案について質問いたします。
我々民主党は、地域のことは地域で決められる地域主権型社会の創造を目指して地方分権の推進を訴えてきました。地方の自立には、地方の自覚とともに、国から地方への権限と財源の移譲が不可欠であり、財源、権限を受け入れるための体制作りとして、民主党も住民や市町村の自主性を尊重しつつ、市町村合併を推進することを基本的考えとしていることを初めに申し上げます。そして、市町村合併を推進するに際しては、大胆な税源移譲と一括交付金制度の創設をセットで行うことを約束してきました。
それに対し、小泉内閣の地方分権改革は、税源移譲を先送りし、補助金と交付税総額カットを先行させた三位一体改革により地方を困窮の極みへと追いやり、合併特例債をえさにしゃにむに合併を促進しようとしています。
民主党は、去る三月五日、全国三千二百三十四の自治体に対し小泉内閣の三位一体改革に関する緊急アンケートを実施し、千八百六十の自治体から回答をいただきました。予算編成時期に大混乱、完膚なきまで打ちのめされた、基金の取崩しでしのぐほかないが基金が底をつけば予算編成は不可能、将来の財政計画が立てられない、住民に説明のしようがない、地方分権の名をかり地方を切り捨てたものなど、返ってきたコメントはこれまでの政府答弁とは大幅に乖離した厳しい内容のものでありました。小泉総理の国から地方への名ぜりふは全くの掛け声倒れであることが明らかです。
小泉内閣の地方分権は、三位一体改革にしても市町村合併にしても、ただただ地方への支出を抑え国の財政スリム化を図るだけのものであります。地方の自立どころか地方の破綻を推進しているようなものです。市町村は地方財政の将来不安と迫りくる合併特例法の期限に挟み打ちに遭い、行くも地獄、帰るも地獄の状態にあります。地方を追い詰めるばかりの小泉政権に、本当に地方分権を行う意思があるのかと疑わざるを得ません。
そもそも、なぜ市町村合併が必要なのか。自治体が合併の必要性を判断するための材料が明らかに欠如しています。
まず第一に、合併の理念が不明です。このような国と地方の関係を目指す、だから市町村合併が必要なのだというような肝心の地方分権の全体像、将来のビジョンが示されません。このままでは机上の数字だけで役人による日本全土の区画整理が行われ、歴史と文化と多様性を持った自治体がつぶされていくのではないかと危惧の念さえ抱きます。将来のビジョンを示した上で、自治体に合併の判断をゆだねるべきです。小泉内閣は日本をどのような国にしようと考え、そのためになぜ市町村合併を必要とするのか、総務大臣、総理に代わってはっきりお示しください。
欠如しているのは合併の理念だけではありません。地方財政の見通しもまた欠如しています。三位一体改革によって今後の地方財政が全く不透明な状況を作り出し、自治体の不安をあおって合併を促進するなど、余りにお粗末な手法であります。
麻生大臣は、二十六日の経済財政諮問会議において、今後の三位一体改革の進め方について、税源移譲額を先に提示し改革を進める提案をしたとのことです。改革に当たっては全体像を示すことがいかに大切かということを、地方の悲鳴に直面し、ようやく気が付いたのかと、リーダーとしての資質を疑わざるを得ません。
また、独自に編成した平成十六年度予算において既に五・五兆円の所得税から個人住民税への移譲を提案している我々民主党からすれば、今ごろになって税源移譲の目標値が出てくるとは、今年度の三位一体改革の数字は一体何であったのかと首をかしげざるを得ません。
麻生大臣に伺います。経済財政諮問会議において提案された麻生プランの税源移譲額、補助金削減額、交付税改革の見通しを御説明ください。また、財務省は、この案に対し相当強い反対姿勢を打ち出していると聞きます。財務大臣に麻生プランの評価を伺います。
ここで申し上げておきたいことは、総務省と財務省がいつまでも対立姿勢を崩さないようでは、地方分権が前進しないことはもちろん、両省の対立に振り回され、被害を被るのは地方自治体であるということです。このままでは、両省の綱引きによって予算編成期に地方を混乱に陥れた今年度の二の舞を踏むことになりかねません。このことを総務大臣及び財務大臣に強く申し上げておきます。
以下、三法案の内容に触れながら質問いたします。
合併新法では総務大臣が合併推進のための基本指針を策定するとされており、この指針には一万人未満という人口基準が盛り込まれる予定といいます。人口基準を法律に明記することに対する自治体からの反対で指針に書かれることになりましたが、総務省の裁量で作成される指針が将来、より厳しい数字に書き換えられる可能性は否定できません。基本指針の見直し及び人口基準の変更の可能性について、総務大臣お答えください。
また、現実に、一万人を超えずとも、合併せず自立する決意を固めている自治体が既に存在します。小さくても努力次第でやっていける、こう判断し、努力と工夫を重ねる自治体をつぶすようなことがあってはなりません。よもや今後、合併しない選択肢を取った自治体にばかり、交付税削減などの財政的ペナルティーを科すような卑劣な行為を取ることはないと信じますが、総務大臣に確認いたします。お答えください。
加えて、合併しない又は合併できない自治体における適正な住民サービスの確保のため、どのように仕組みを想定しているのか、近隣の自治体へ事務を委託するなど考えられますが、総務大臣、指針を、方針をお示しください。
続いて、知事の勧告権について質問します。
総務大臣が作成した基本方針に基づき、都道府県知事が市町村合併推進に関する構想を策定することが法律化されます。これまで、地域の実態を知らない中央の役人が地方の声を無視し、日本全国に無駄な公共事業を実施してきたことを思えば、中央官僚が机上で合併構想を練るよりは、地域の実情を知る知事が構想を策定する方がはるかにましと言えます。
しかし、この構想に基づき、知事は合併協議会に勧告、あっせん、調停を行うことができるとされているところには注意が必要です。強制合併への道を開くものではないかと危惧します。合併そのものに対する勧告権は与えられていないとしても、例えば協議会設置の勧告に従わない市町村長が現れたときにどのような対応が取られることになるのか、総務大臣お答えください。
次に、合併特例債に関して伺います。
合併特例債は、自治体の負担三割、国による交付税措置七割という、財政難の地方自治体にとって一見魅力的な地方債です。しかし、この地方債が後年度に与える影響の大きさを考えると、この地方債を制限なく発行することは将来世代に過大な負担を押し付けることにつながります。
我々は、合併特例債のような後年度負担が大きくなるような仕組みは縮小していくべきであると主張してきました。合併するすべての自治体が特例債を限度額まで発行したら財政をどれだけ圧迫することになるのか、政府は国民の前に明らかにすべきです。そしてまた、我々国政を預かる者が、どれだけの負担を将来世代に先送りすることになるのか、その数字を認識せずに現行法の延長を認めることは無責任のそしりを免れないものであります。
現在、合併協議会を設置している市町村の合併が順調に進むと千七百程度の市町村の数になると政府はこれまで答弁を繰り返してきました。数字を問います。合併協議会を設置している市町村の合併が順調に進んだと仮定して、合併特例債の発行額の上限は幾らとなるのでしょうか。麻生大臣お答えください。
次に、地方自治法改正案に関し、特に地方自治区について伺います。
この地方自治区の制度は、あえて今回の地方自治法の改正をせずとも、現在も条例により創設できるものです。例えば、今は自治区の長を選任とするのも互選とするのも地方の自由です。しかし、今回の法改正によって、認められるのは市町村長の選任だけとなります。既に全国に、名称こそ違えども、条例により地域自治区を設置している地域があり、それぞれの地域に合った運営を行っているというのに、わざわざ法律で定めて縛りを掛ける理由を麻生大臣お答えください。
条例により現在も設置が可能な地方自治区をわざわざ法律で定めようとしていることからも明らかなように、政府が考える住民自治はあくまでも上からの住民自治にすぎません。本当の意味での住民自治は、住民が主体となって活動していかなければなりません。そのためには、地域自治区においてもコミュニティーやNPOを積極的に活用できる環境作りを目指すべきであります。住民主体の地方自治及びNPO等の活用について、政府は何らかの施策を講じているのか、総務大臣、御説明ください。
続いて、都道府県合併について伺います。
今回の地方自治法の改正案では、道州制を視野に入れた都道府県合併の手続の整備がされようとしています。折しも、小泉総理は二十八次地方制度調査会に道州制の在り方について議論するよう諮問しています。他方では、北海道における道州制特区の検討が進められています。
道州制についての認識は、議員一人一人を取っても千差万別です。連邦制的な道州から単なる都道府県の広域連合まで考えられます。都道府県合併、二十八次地制調の道州制議論、北海道の道州制特区、小泉総理の理念なき丸投げにより、このままでは今後議論の錯綜を生ずるのではないかと懸念せざるを得ません。
麻生大臣に伺います。
小泉内閣の考える道州制とはどのような国の姿を想定しているのかをお答えください。あわせて、今国会法整備されようとしている都道府県合併、二十八次地制調の道州制議論、北海道の道州制特区、これらはどのような関係をもって議論されているのか、それぞれどのように作用し合うものなのか、お答えください。
また、それぞれ独立して検討されている議論を最終的にどのように集約させるつもりなのか、伺います。
終わりに、民主党は地方分権を推進すべきであると考え、その過程においては地方の自主性を損ねないことを前提にした上で、市町村合併を推進すべきであると考えています。
しかし、政府が進めるこの間の地方分権を見る限り、地方の自立、独自性、多様性といった地方分権における重要なキーワードが忘れ去られていることを認識せざるを得ません。掛け声ばかりの無責任小泉内閣に、これ以上地方分権改革を任せておくことはできません。今こそ、民主党が政権を担い、住民が主体となる地方分権改革を担うときであると最後に申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/36
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037・麻生太郎
○国務大臣(麻生太郎君) まず、市町村合併の必要性についてのお尋ねがあっております。
今後更に地域主権、地方分権というものを進めてまいるためには、市町村はこれまで以上に自立性の高い行政主体となることが必要と存じます。すなわち、教育、福祉といったサービスは住民自らが身近な市町村でおいて自ら処理できるようにしなければならないと存じます。このために、行財政基盤の強化というものは不可欠であり、町村合併を推進していくことが必要であると認識をいたしております。
次に、経済財政諮問会議に提出した三位一体プランに関する、につきましてのお尋ねがあっております。
今回の計画は、現在政府が進めております三位一体の改革を進めるに当たって、地方団体との信頼関係を確固たるものとし、地方が不安に思っていることにこたえるために取りまとめたものであります。
この計画のポイントは、本格的な税源移譲の規模を約三兆円といたしておりますが、内容は、住民税の所得割の一〇%を比例税率化するということを先行決定すること、二つ目に、地方の自由度の拡大を目指して三兆円の国庫補助負担金の改革を行うこと、三番目に、地域再生などを進めるためには平成十七年度には地方税、交付税等一般財源総額を前年度と同程度の水準を目指すことなどであります。
これらによって地方団体との信頼を確保しつつ、三位一体の改革を着実に進めてまいりたいと存じます。
次に、総務大臣の定める合併推進のための基本指針についてのお尋ねがありましたが、これは現時点ではまだ基本指針を策定しておりませんので、その見直しかどうかが必要かはちょっとお答えすることができません。しかしながら、既にいろいろ必要に応じていろいろ御意見もいただいておりますので、必要に応じて見直すことも考えられると存じます。
ただし、都道府県の構想の対象となります小規模な市町村の目安となりますおおむね一万人未満という数字につきましては、合併新法の五年の期間中に変更することは考えておりません。
次に、合併しない自治体について幾つかお尋ねがありました。
まず、合併しない自治体に対して、交付税を削減するといったペナルティーを科すということは考えておりません。
次に、合併しない自治体に対する住民サービスの確保についてでありますが、合併新法においても合併が困難な市町村というのがありますが、第二十七次地方制度調査会の答申を踏まえて、法令上義務付けられた一定の事務処理を都道府県に行わせる特例的制度の導入については、引き続き検討してまいりたいと存じます。
さらに、合併協議会の勧告に従わない市町村についてでお尋ねがありましたが、合併新法において都道府県知事が合併協議会設置の勧告を行った場合、市町村長は協議会設置について議会に付議することとし、また、議会が否決した場合に住民投票を行う道は開いております。しかし、勧告を受けた市町村に対して強制的に合併協議会を設置させることはありません。
次に、合併特例債の発行見込額についてのお尋ねがありました。
御存じのように、最終的にまだ合併市町村の総数が決まっておりませんので、合併特例債の発行総額の具体的な見込みについては分かりませんけれども、大まかに申し上げて、約、この十年間、合併後十年間で七兆ないし八兆円ぐらいと思っております。
次に、地域自治区についてのお尋ねがあっております。
今回の改正の意義は、地域自治区を創設する道を開くことではありませんで、広域化する市町村の区域内のより狭い区域で住民の意思を反映させる仕組みというものを地方自治制度上明確に位置付けるところにあります。
また、地域自治区の仕組みにつきましては、最大限条例にゆだね、各地方公共団体の判断が生かされるようにいたしております。
また、住民自治の環境作りについてのお話がありました。
正に御指摘のとおり、地域自治区は住民自治の拡充ということをするための手段でありまして、NPOや町内会始め様々な団体というものが既にありますので、そういう団体の参画を期待しているところでもあります。各市町村におきましてこの地域自治区の仕組みを活用していただいて、生き生きとした住民参加の執り行われますことを心から期待をいたしております。
最後に、道州制についてお尋ねがあっておりました。
今回提案をいたしております都道府県合併と道州制とは、区域の拡大という点では確かに共通しておりますが、道州制は単なる都道府県の合併ではなく、国と地方との役割分担の変更を含みます地方自治制度の大きな変革であると考えております。
また、北海道におけます道州特区構想は、将来の道州制を考える上でモデル的な取組として検討が進められているところでもあります。
道州制は国の在り方にも関連する事柄であり、大きな問題でもありまして、第二十八次地方制度調査会において精力的に議論が進められていくことを期待をいたしております。(拍手)
〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/37
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038・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 小川議員にお答えいたします。
麻生プランについてのお尋ねでございますが、国と地方の改革は基本方針二〇〇三等を踏まえまして、全体像を示して三位一体で決めるべきものであり、地方の権限と責任を拡大すると同時に、国、地方を通じた行政のスリム化も併せて行っていくものと考えております。
具体的には、補助金改革について総理の御指示に沿って十七年度、十八年度に向けて三兆円の改革を着実に行い、その結果を受けて税源移譲にしっかり取り組んでまいります。同時に、地方歳出の見直し、地方交付税の抑制もしっかり進めてまいります。
国と地方の改革については、以上の考え方を踏まえ、総務大臣ともしっかり議論し、年末までに全体像を示す方向で精力的に取り組んでまいります。
以上でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/38
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039・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/39
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040・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第一 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長山本一太君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔山本一太君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/40
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041・山本一太
○山本一太君 ただいま議題となりました法律案につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
この法律案は、防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画において定められた防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を進めるとともに、必要な機能の充実等を図るとの観点から、陸上自衛隊の第八師団の改編等、並びに海上及び航空各自衛隊並びに統合幕僚会議の情報機能の強化等に伴い、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数を変更するものであります。
委員会におきましては、統合幕僚会議の自衛官の増員、防衛計画大綱の見直しの基本方針、自衛隊による国際平和協力業務の在り方、日米共同対処行動等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終え、討論に入りましたところ、日本共産党の小泉理事から反対する旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/41
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042・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/42
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043・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/43
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044・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百八十四
賛成 百六十二
反対 二十二
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/44
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045・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第二 旅行業法の一部を改正する法律案
日程第三 海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長輿石東君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔輿石東君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/45
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046・輿石東
○輿石東君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、旅行業法の一部を改正する法律案は、公益法人に係る改革を推進するため、旅程管理業務に関する研修の課程に係る指定制度を登録制度に改めるとともに、近年の旅行需要の多様化等を踏まえ、新たな旅行契約の態様の設定、営業保証金制度の改善等旅行者の利便の増進を図るための所要の措置を講じようとするものであります。
次に、海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律案は、航行の安全の確保及び船員の労働保護を図りつつ、海上運送事業の活性化を促進するため、船員の労働時間に係る規制の見直し、船員派遣事業に係る制度の創設、内航海運業に係る参入規制の緩和等所要の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、二法律案を一括して議題とし、旅行業法改正の趣旨、観光立国実現のための具体策、内航海運業の構造改革の推進、船員労務監査の現状と今後の取組、船員保険加入率の向上策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表し富樫委員より海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律案に反対する旨の意見が述べられました。
次いで、順次採決の結果、旅行業法の一部を改正する法律案は全会一致をもって、海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律案は多数をもって、いずれも原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/46
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047・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
まず、旅行業法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/47
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048・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/48
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049・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百八十五
賛成 百八十五
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/49
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050・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 次に、海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/50
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051・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/51
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052・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百八十七
賛成 百六十七
反対 二十
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/52
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053・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第四 商品取引所法の一部を改正する法律案
日程第五 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長谷川秀善君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔谷川秀善君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/53
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054・谷川秀善
○谷川秀善君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、商品取引所法の一部を改正する法律案は、委託者保護を強化し、信頼性及び利便性の高い商品先物市場を整備するため、取引証拠金を商品取引所に直接預託する制度の創設、商品取引所外における決済を可能とする清算機関制度の整備及び商品取引員に対する規制の適正化等の措置を講じようとするものであります。
なお、衆議院において、商品取引員が行ってはならない行為に、委託の勧誘を希望しない意思を表示した顧客に対し、委託の勧誘を行うこと等を加える修正が行われております。
次に、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案は、近時、悪質な訪問販売やマルチ商法に関する消費者トラブルが急増していることにかんがみ、訪問販売等について、事業者に対する販売目的の明示の義務付け、違法勧誘により締結した契約の取消し等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、商品先物取引における個人委託者の保護方策、商品取引所の合併、統合の在り方、消費者トラブルに対する取組強化の必要性、消費者啓発に対する取組等について質疑が行われましたほか、商品取引所法改正案については、商品取引所の実情を調査いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して西山委員より商品取引所法改正案に反対する旨の意見が述べられました。
次いで、順次採決の結果、まず、商品取引所法改正案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、特定商取引法及び割賦販売法改正案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、両法律案に対しそれぞれ附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/54
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055・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
まず、商品取引所法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/55
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056・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/56
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057・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百八十七
賛成 百六十七
反対 二十
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/57
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058・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 次に、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/58
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059・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/59
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060・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百八十六
賛成 百八十六
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/60
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061・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第六 労働審判法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長山本保君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔山本保君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/61
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062・山本保
○山本保君 ただいま議題となりました労働審判法案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、企業組織の再編や人事労務管理の個別化の進展等に伴い、個々の労働者と事業主との間の労働関係に関する民事紛争が増加していることにかんがみ、紛争の実情に即した迅速、適正かつ実効的な解決を図るため、裁判官及び労働関係に関する専門的な知識、経験を有する者で組織する委員会が行う労働審判の制度を設けようとするものであります。
委員会におきましては、各種の労働紛争解決手段に加え本制度を導入することの意義、労働審判員に人材を得るための選任方法、労働審判員に対する教育、研修の在り方、本制度の利便性についての周知徹底等について質疑が行われ、また、参考人からの意見聴取を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/62
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063・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/63
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064・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/64
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065・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百八十六
賛成 百八十六
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/65
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066・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 日程第七 私立学校法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長北岡秀二君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔北岡秀二君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/66
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067・北岡秀二
○北岡秀二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、理事会の設置を法律上明確にするなど、学校法人の管理運営制度の改善を図るほか、学校法人に対し、利害関係人への財産目録等の閲覧を義務付けるとともに、各都道府県の実情に即して私立学校審議会を構成することができるようにするため、委員構成の割合等に関する規定を削除しようとするものであります。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、理事会の今後の在り方、内部監査機能の充実策、情報公開の拡充の必要性、私立学校審議会が果たすべき役割等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/67
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068・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/68
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069・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/69
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070・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 百八十七
賛成 百八十七
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/70
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071・倉田寛之
○議長(倉田寛之君) 本日はこれにて散会いたします。
午後一時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/115915254X01920040428/71
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