1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十七年十月五日(水曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第四号
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平成十七年十月五日
午前十時 本会議
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第一 障害者自立支援法案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
一、裁判官訴追委員辞任の件
一、裁判官訴追委員等各種委員の選挙
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116315254X00420051005/0
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001・扇千景
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
福山哲郎君から裁判官訴追委員を辞任いたしたいとの申出がございました。
これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116315254X00420051005/1
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002・扇千景
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。
よって、許可することにいたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116315254X00420051005/2
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003・扇千景
○議長(扇千景君) この際、欠員となりました
裁判官訴追委員一名、またあわせて
皇室経済会議予備議員一名、
国土審議会委員二名、
国土開発幹線自動車道建設会議委員一名の選挙
を行います。
つきましては、これらの各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、皇室経済会議予備議員の職務を行う順序は、これを議長に一任されたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116315254X00420051005/3
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004・扇千景
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。
よって、議長は、
裁判官訴追委員に前川清成君を、
皇室経済会議予備議員に田名部匡省君を、
国土審議会委員に佐藤雄平君及び前田武志君を、
国土開発幹線自動車道建設会議委員に北澤俊美君を、
それぞれ指名いたします。
なお、皇室経済会議予備議員の職務を行う順序は、田名部匡省君を第二順位といたします。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116315254X00420051005/4
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005・扇千景
○議長(扇千景君) 日程第一 障害者自立支援法案(趣旨説明)
本案について提出者の趣旨説明を求めます。尾辻厚生労働大臣。
〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116315254X00420051005/5
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006・尾辻秀久
○国務大臣(尾辻秀久君) 障害者自立支援法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
障害者保健福祉施策につきましては、障害者及び障害児の地域における自立した生活を支援することを主題に取り組んでおりますが、現在は身体障害、知的障害、精神障害といった障害種別等によって福祉サービスや公費負担医療の利用の仕組みや内容等が異なっており、これを一元的なものとすることや、その利用者の増加に対応できるよう、制度をより安定的、効率的かつ持続可能なものとすることが求められております。
これらの課題に対応し、障害者及び障害児がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付その他の支援を行うことにより、障害者及び障害児の福祉の増進を図り、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与するため、障害者自立支援法案を第百六十二回国会に提出しましたが、衆議院の解散に伴い廃案となり、成立を見るに至りませんでした。
しかしながら、制度をより安定的、効率的かつ持続可能なものとするため、今回の改正を一刻も早く実現する必要があることから、ここにこの法律案を提案し、御審議を願うこととした次第であります。
以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、自立支援給付は障害福祉サービス、自立支援医療、補装具の購入などに要する費用の支給とし、当該給付を受けようとする者は、市町村等に申請を行い、その支給決定等を受けることとしております。
第二に、自立支援給付の額は、障害福祉サービス等に通常要する額の百分の九十を原則としつつ、利用者の負担が多額となる場合等については、家計に与える影響等を考慮して給付割合の引上げを行う等、負担の軽減措置を講ずることとしております。
第三に、市町村及び都道府県が行う地域生活支援事業に関することを定めることとしております。
第四に、市町村及び都道府県は、国の定める基本指針に即して障害福祉サービスや地域生活支援事業等の提供体制の確保に関する計画である障害福祉計画を定めることとしております。
第五に、自立支援給付に要する費用は、一部都道府県が支弁するものを除き市町村が支弁し、その四分の一を都道府県が、二分の一を国が、それぞれ負担することとしております。
このほか、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律を始め関係法律について所要の改正を行うこととしております。
最後に、この法律の施行日は、障害者支援施設に関する事項など一部の事項を除き、平成十八年四月一日としております。
以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116315254X00420051005/6
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007・扇千景
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。下田敦子君。
〔下田敦子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116315254X00420051005/7
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008・下田敦子
○下田敦子君 下田敦子でございます。
民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました障害者自立支援法案について質問の機会をいただきましたので、よろしくお願いを申し上げます。
質問に先立ちまして、このたびの選挙後の政局について、国際教養大学副学長グレゴリー・クラーク氏は、改革という魔術が人々を幻惑したとさえ分析しておりますが、郵政民営化の底にあると言われる三百五十兆円の郵貯、簡保の資金は、アメリカの経常収支赤字の四年分に該当し、アメリカの海外投資を復活させるには十分な額と聞き及んでおります。こういう話題は、アメリカでは既に六年も前から情報公開されていると言われておりますが、残念ながら大方の我が国の国民はこの事実を知る機会が皆無に等しかったと私は思っております。アカウンタビリティー、説明責任を果たさない政治ほど非民主的なものはないと考えます。
さて、平成二年より福祉八法の改正により国から地方自治体へ責任主体が移譲され、平成五年からは障害者基本法により少しずつ横断的にとらえられてくるようになってまいりましたが、我が国の身体、知的、精神の障害に対するそれぞれの縦割り行政の現状は残されております。
また、御案内のとおり、平成十五年に支援費制度が始まり、措置制度から契約という考え方が芽生えましたが、初年度予備費から充てられた百二十八億円ではその需要にこたえられることも難しく、事実上破綻状態であるという意見も聞かれます。ちなみに、その予算不足分は、額にして二百億円、高速道路建設費に直せば五キロ分にしかすぎません。
こういう流れの中で、我が党としては、同法案が国会に上程されてから、各障害者団体の皆様と意見交換をした上で、去る六月九日、障害者自立支援法案の骨格部分を含む九項目の修正要求を与党に対して行いました。
本法案は、戦後の福祉行政の中で最大の法改正案であり、重要法案であります。あくまでも障害のある方の立場からこの法案は育てていかないとならないと考えます。
そこで、まず第一に、総務大臣にお伺いいたします。
政府は、ザ・トリニティー、いわゆる三位一体なる施策を打ち出されましたが、地方自治体への課税権の分配がなされないまま今日を迎え、地方自治体の混乱は実に目に余るものがあります。
先ごろ、全国市長会、各町村長から障害者福祉施策に関する決議要望が、そして各議会からも意見書が届きました。内容はおしなべて障害者の多様なニーズに適応した財政措置の充実を図る要望ばかりであります。
こういう状態の中で、市町村合併の財政混乱も重なり、責任主体である市町村が同法案に基づき移譲された事業、本法案にかかわる地域生活支援事業等を財政上堅持していけなくなった自治体が出現した場合の対応をどうするのか、お尋ねいたします。
また、今朝の厚生労働省の説明にもありましたが、地域間格差はサービスの利用増加とともに拡大してきており、障害者自立支援法の一部に、来年四月からの重度心身障害者医療費は、無料だったものから、低所得者以外は自己負担になるなど、利用者側の生活がますます苦しくなることへの不安と不満は大きく、課題は山積したままであります。障害者の福祉と医療費の切り詰めは、財政難を大義名分にして拙速主義に走っているという声も国民の多くから届いています。
一方では、国民の大方が望まないイラクへの自衛隊の派遣及び活動等の経費として、今日まで、十七年度経費も含んで六百四十九億円、実に費やしております。どうも、この国の予算編成の理念が正常でなくなっていることを昨今強く感じます。
この六月、七月と連日のように、障害を持った方々始め、その関係者の方々が座込みをし、先日は、全国から集まられた一万弱の方々がこの国会周辺を行進され、ハンガーストライキまで行っていかれました姿を、同法案の審議を前にして、恐れ入りますが、財務大臣はどうお感じになられましたか、お伺いいたします。
次に、同法案にかかわり問題となっている点がございます。
障害者自立支援法の害という字、害虫の害ではなく、いしへんに疑う、礙げられるという文字に変える運動が、また仮名文字を使用する運動が長く続いておりますが、一向に改まる様子がありません。ちなみに、お隣の韓国は、いしへんに疑うの障礙に既に変えましたが、まずノーマライゼーションの意味からも、この障害の害という字を改正するべきではないかと考えますが、内閣官房長官はいかがお考えでございましょうか。
次に、重度の障害を持つある親子の暮らしを通して、このたびの法案の及ぼすと考えられる生活の変化について、起こり得ることを具体的にケースワーク化して、順次論点を整理してお尋ねいたします。
Kさんは一級身体障害者で、トイレや入浴など全介助が二十四時間、三百六十五日必要とする四十一歳の女性であります。週五日は区内の身体障害者通所授産施設に通っています。Kさんは年金暮らしのお母さんと二人暮らしで、月々の収入は、八万三千円の障害者年金と授産施設の作業工賃を足して、トータルで約十万円の生活をしておりました。しかし、この障害者自立法案が成立したとすれば、毎月、生活費だけで四万円前後の負担が増え、新たな負担として、授産施設利用料一万六千円、月二十日分の昼食代が一万四千円、さらに週六日の自宅の入浴ヘルパーの一割負担が発生してきます。
もっとも、負担には上限が設けられていて、低所得者区分に入るというものの、実質的な毎月負担金分はかなり増加いたします。自己負担をゼロにする窮余の策として生活保護の取得も考えてみるものの、様々な問題から断念を余儀なくされました。
現在、最も問題である第二十九条の三、第五十八条の三、厚労大臣が定める基準により算定した費用の額の九割を給付し、残りの一割が利用者負担となるといういわゆる応益負担の考え方が、各種障害者団体及び御家族からも強い反対の声が寄せられています。障害者本人の、及び配偶者の所得に基づくことの選択可能な仕組みとすることも考えていかなければなりません。
先ごろ厚労省から発表されました国民生活基礎調査から見ると、ただでさえ生活が苦しいと答えている世帯が実に五五%を超え、最悪を更新している中で、この生活を苦しめる応益負担について今後どのように検討されるのか、財務大臣及び厚生労働大臣にお尋ねいたします。
次に、第五条の十八、自立支援医療の中で「自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療であって政令で定める」とありますが、平成十七年度から公費負担医療の見直しがなされ、いわゆる更生医療等の患者負担増案が実施されれば、重度かつ継続的医療の必要な難治性の心臓疾患等を抱える方々や透析を必要とする腎臓疾患の方々、いわゆる内部障害でありますが、この方々も大変な負担となり、大きな不安を抱えているという声が届けられております。この点について厚生労働大臣はいかがお考えでしょうか。
もし財務大臣にこのKさんのようなお身内がいられたならば、この同法案をどう思われますか。安心した生活ができると確信され、御納得されますか、お伺いいたします。
お話はそれますが、総理は還暦を過ぎて三年もたちなんとしておられ、尾辻厚生労働大臣はこの十月二日にめでたく六十五歳のお誕生日を迎えられました。おめでとうございます。大変軽やかなステップを春のように踏まれまして、眼鏡を掛けることもなく、現在は掛けておられますが、先ほどは掛けておられませんでした。細かい字の答弁書をこのたびは特に当院において御丁寧に読んでおられます。その若さのもとは、さぞ食生活が良く、栄養管理が行き届いておられるからだと拝察しておりました。
障害を持っておられる方は、身体障害もそれぞれ個人差が大きく、日ごろより施設又は訪問栄養指導のために、利用者のアセスメントに基づき作成した栄養ケア計画に基づいて行うことも重要であります。また、食事形態も日々の状態に合わせて個々に対応した栄養管理が必要となります。食費も自己負担となり、治療食という本来の目的から懸け離れた解釈がされがちで、このことについてどうお考えなのか、尾辻厚生労働大臣にお伺いいたします。
続いて、障害者福祉の一元化に一番多くの課題を抱えている政策の一つである精神障害者福祉政策を中心に質問させていただきます。
重度かつ継続の範囲について、統合失調症、躁うつ病、難治性てんかんとありますが、去る六月の九日、主管課長会議における厚労省の説明では、財政上の要請による選別であって、医療的重症度ではなく、対象疾患の範囲を決定するものではないということでありましたが、厚生労働大臣はいかがお考えであるか、お尋ねいたします。
また、精神衛生法当時の一部改正によって創設された三十二条の理念のとらえ方はどうなるのかも加えてお伺いいたします。
次に、障害者介護給付について、現行の介護保険要介護認定を活用して障害程度区分を設けると予定されていますが、精神障害者には当てはまらない点が多々あることが明らかであり、障害者区分について、その状態、生活能力を加味した精神障害者の特性を専門的に、客観的にデータに基づいて分析し、医療サービスを受けてきた精神障害者にこれから福祉サービスの連携を強めたサービスをより適切に受けることができるよう定める必要があると考えますが、厚生労働大臣はいかがお考えでしょうか。
精神障害者の自立については、期限を定められ職業就労訓練との考え方が示されていますが、精神障害者は、長期間の生活障害により、就労訓練期間等の、他障害者と同様な評価基準ではなじまないものがあります。また、高次脳機能障害者等においてもこの点について当てはまり、専門的検討が必要と考えられます。厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。
その他、地方精神保健福祉審議会等のこれまでの必置規定についても検討していかなければならない点が多くあると思います。
次に、ヨーロッパ諸国では、当事者も加わりまして関係者全体で話し合い、いかに支え合う社会をつくるべきか、ソーシャルインクルージョンという理念が社会福祉政策の基調となっており、そのためには、学校教育、社会教育のインクルーシブ、いわゆる包括的教育が必要不可欠となっておりますが、第一条の同法案目的は、分離して行う教育は教育する側の都合を考慮するものであって、実際、欠格児童とされた児童生徒は普通の小中学校に通うことが許されません。欧米では、普通教室に補助教員を入れてその授業を行っている国も多く、健常児童は障害を有する児童と共生し、障害を理解して育つ、いわゆる共生共学の場を、環境を享受しております。我が国のこの囲いの中の特殊学校教育をしてきた結果、点字ブロックの上に駐車する黒塗りの車が見掛けられる社会になりがちです。障害児の分離教育から特別支援教育の移行について、文部科学大臣にお伺いいたします。
また、障害児への在宅支援サービスが圧倒的に不足し、この制度は空白地帯と言っても過言ではございませんが、この整備をどうされるのか、厚生労働大臣にお伺いいたします。
最後に申し上げます。あの真夏の炎天下、座込みをされている方々がどんな悲痛な懇願を政府にしているのか、数多くの当事者や家族の方々の深刻な思いを重くおもんばかりながら、壇上からの質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116315254X00420051005/8
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009・尾辻秀久
○国務大臣(尾辻秀久君) 利用者の負担の見直しの考え方についてのお尋ねがございました。
一昨年に支援費制度が施行されて以降、障害福祉サービスを実施していなかった市町村が新たに事業に取り組むこと等により急速に給付費が増大しているところであり、今後とも、増大するサービスを確保していくためには、福祉サービスの利用者の方々を含め、皆で支え合っていくことが必要でございます。
このため、障害者自立支援法案においては、サービスの利用量と所得に着目した費用負担の仕組みを導入するとともに、障害者の在宅サービスに関する国及び都道府県の負担を義務的なものとすることとしており、これにより必要な財源を確保しながら、制度をより安定的に運営することができるものと考えております。
ただし、利用者負担を求めるに当たっては、障害基礎年金のみで生活している方や資産の少ない方がおられることを考慮して、各般の負担軽減措置をきめ細かく講じ、障害者が暮らしていく上で支障が生じないようにするための仕組みを提案しているところでございます。
公費負担医療制度の見直しについてお尋ねがございました。
今回の見直しにおいては、障害に係る公費負担医療制度について、持続可能な制度とするために、低所得の方などに配慮して、医療費のみでなく所得にも着目した負担をお願いすることとしています。その中で、低所得の方や、医療上の必要性から継続的に相当額の医療費負担が発生する方については、月の負担上限額を低く設定し、負担軽減を図ることといたしております。
障害者の栄養管理について、私のことにも触れてお尋ねがございました。
新制度におきましては、在宅生活との負担の公平を図る観点から、入所施設における食事の提供に係る費用について、原則利用者が負担することとしております。これに伴い、利用者の選択の幅をできる限り広げるとともに、食事の質を高めることが重要と考えております。食事の質を高めることは、御指摘のとおり大事なことだと考えております。
このため、利用者ごとに食事の提供に際し留意すべき事項を含めた個別支援計画を作成し、これに基づきサービスを提供するとともに、特別な栄養管理が必要となる方については、サービス提供に係る報酬面で配慮することの必要性について検討いたしてまいります。
重度かつ継続の範囲、精神通院医療についてのお尋ねがございました。
現行の精神通院医療は、精神障害の適正な医療の普及という趣旨で創設されたものでございまして、今後もその趣旨は変わらないものでございます。今回の見直しにおいても、対象となる疾患の範囲は従来どおりとすることといたしております。
今回の見直しにおいては、申し上げておりますように、原則として一割の負担をお願いしつつも、所得に応じて負担額に上限を設け、医療費と所得の双方に着目した御負担をお願いすることといたしております。
その中で、継続的に相当額の医療費負担が発生する方については、一定の負担能力のある場合でも重度かつ継続として月の負担額に上限を設けて負担の軽減を図ることとしており、その範囲については、有識者にも御議論いただき、結論を得たものから順次対応したいと考えております。
精神障害者の特性を踏まえた障害程度区分の設定についてのお尋ねがございました。
障害程度区分は、福祉サービスの必要性に関し、障害者の心身の状態を総合的に表すものですが、その開発に当たっては、障害者の状況を適切に反映したものとすることが重要であると考えております。
このため、要介護認定基準の七十九項目に加えまして、より障害種別の特性を踏まえた基準とするよう、日常生活に関する項目や、働き掛けに応じず動かないでいるなど精神障害者特有の項目等二十七項目を新たに追加した百六項目の素案を策定し、全国六十の自治体で試行事業を実施したところでございます。
その結果については集計・分析中でございますけれども、精神障害者について言えば約九五%が要支援以上と判定されておりまして、精神障害の特性を把握できる内容であると考えております。
今後、更に分析を進めますとともに、有識者などの御意見も伺いながら、より良い障害程度区分の開発に努めてまいります。
精神障害者等への就労移行支援サービスの提供に関するお尋ねがございました。
就労移行支援事業を始めとする訓練等給付につきましては、本人の心身の状態、意欲などをきめ細かく判断することが適当と考えられますことから、暫定的な支給決定を行いまして、実際にサービスを利用して、その効果を評価した上で正式な支給決定を行う仕組みといたしております。
また、就労移行支援事業につきましては、あらかじめ利用期間を定めてサービスを提供することとしていますが、利用期間が終了した場合であっても、それまでの支援の成果、引き続き支援を行うことによる効果の見込み等を総合的に勘案して、期間の延長を可能とすることも検討をいたしております。
一方、新制度ではこのほかに、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者に対し、期限を定めることなく就労の機会を提供する就労継続支援事業の実施も予定をいたしておるところでございます。
障害児の在宅支援サービスの不足と制度の未整備についてのお尋ねがございました。
一昨年に支援費制度が施行されて以降、障害福祉サービスを実施する市町村が増えまして、それまでサービスを利用できなかった障害児や知的障害者の多くの方が新たにサービスを利用できるようになってきておるところでございます。
早期療育を目的とする児童デイサービスを始めとする在宅支援サービスにつきましては、今後ともサービス需要に適切に対応するための基盤整備を推進することが重要であると考えております。
そのため、障害者自立支援法におきましては、市町村等にサービスの種類ごとの必要な量の見込みを定めた障害福祉計画を策定することを義務付け、計画的にサービス提供体制を整備し、サービス量の確保を図ることといたしております。
また、平成十七年度より、障害児タイムケア事業を創設し、障害児の在宅支援サービスの充実を図ることといたしております。(拍手)
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116315254X00420051005/9
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010・麻生太郎
○国務大臣(麻生太郎君) 障害者自立支援法により、市町村が地域生活支援事業を実施する際の財源の問題についてお尋ねがあっております。
障害者自立支援法により、平成十八年度から地方団体は、例えば手話通訳者の派遣、移動用リフトの生活用具の給付などを行うこととされております。これらの費用につきましては、国庫補助金が充てられるほか、地方団体の負担が生じるということでありますが、現在、厚生労働省と協議を行っているところであります。
地方団体が必要とする金額につきましては、地方交付税等を導入するなど、事業の執行に支障が生じることのないように努めてまいります。(拍手)
〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116315254X00420051005/10
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011・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 下田議員にお答えいたします。
まず、本法案に対する反対活動等についてのお尋ねがございました。
この法案は、第一に、精神障害を含めて、一元的に福祉サービスを提供する仕組みを構築する、それから二番目に、公平なサービス利用のための手続や基準の透明化、明確化を図る、それから三番目に、増大する福祉サービス等の費用を皆で支え合うという考え方に立って利用者負担の見直しを行い、また、障害者の在宅サービスに関する国の負担の仕組みを改めるといった改革を行うものでございまして、これらの改革を総合的に行うことによって、より公平かつ安定的な制度の運営を図ることが可能になると考えております。
私の身内に重度の障害のある方がいた場合についてのお尋ねもございましたけれども、このように、今般の改革は必要なサービスの安定的な確保に資するものと考えております。障害のある方が地域で自立した生活を送れる社会を築く上で重要な改革であると考えているところでございます。
今般の改革の意義や必要性については、広く国民の御理解を得られるよう努めていく必要があると考えております。
それから、応益負担についてのお尋ねもございました。
今般の自立支援法におきましては、増大する福祉サービス等の費用を皆で負担し支え合うという観点から、各般の見直しを行うこととしており、利用者負担の見直しに際しては、所得に応じた負担上限の設定や各般の軽減措置も講じることとしております。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣細田博之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116315254X00420051005/11
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012・細田博之
○国務大臣(細田博之君) 下田議員から、法令上の用語としてこの障害の害の字、どうかという御質問がありました。
まず基本の、現在の規則でございますが、法令上の用語としては当用漢字を原則とすると。しかし、当用漢字以外の漢字を使う場合には平仮名表記をするか、あるいは漢字表記をする場合にはルビを振ることができるということで、それ以外の使い方はないと、こういうふうな内閣訓令が昭和五十六年に出されております。現に、覚醒剤の醒の字、酉年の酉に星と書くのは、この字は法令上の漢字として使われておりまして、ルビが振られておるわけでございます。
そして、障害という表記について下田議員から、差別や偏見を助長しかねない文字ではないか、他の表記を求める御意見も多いと、こういうことでございます。
漢和辞典等を調べますと、いずれの字も妨げとか障りとかいう意味では共通の意味がございますが、現在使われている障害の害の字は災いとか壊す、傷付けるというようなマイナスのイメージで使われる言葉が非常に多いものですから、その点、差別につながるのではないかという危惧が出されていることはよく承知しております。
したがって、御指摘のように、現時点では法令、条例、規則、通達、公文書、私文書、教科書等、非常に全国的に幅広くこの言葉が現在使われておりますから、このことを変えるという決断をするには、またどういう表記をしたらいいのか、平仮名表記にするか、いしへんに疑うという本字を使うのか、いしへんに元旦の旦の下に寸という字を書く、これは俗字だそうでございますが、いしへんに疑うの礙の俗字だそうでございますが、これを使うとか、ルビを振るとか、様々な方法について今後いろいろな議論をしていただきたいと思いますし、障害者やその御家族も参加する中央障害者施策推進協議会等の御議論等も参考にしながら考えていくことが必要だと思っておりますが、いずれにしても、政府としては、障害の有無にかかわらず、国民だれもが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会を実現するために、障害や障害者に対する国民の理解を促進し、関心を深めていくことが重要だという考え方には変わりはないわけでございます。
また、今後の幅広い御議論を期待しております。(拍手)
〔国務大臣棚橋泰文君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116315254X00420051005/12
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013・棚橋泰文
○国務大臣(棚橋泰文君) 特別支援教育への転換についてお尋ねがございました。
特別支援教育とは、障害のある児童生徒等の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、一人一人の教育的ニーズを把握し、適切な指導や必要な支援を行うものであるというふうに認識をしておりますが、現在、中央教育審議会におきまして、これまでの盲・聾・養護学校を障害種別を超えた特別支援学校へ転換することなどにつきまして、特別支援教育を推進するための制度の在り方についての鋭意検討が行われていると理解しております。
なお、児童生徒の就学すべき学校につきまして、障害を把握し、保護者や専門家の意見を聞き、自立と社会参加のために適切な教育が行われるよう総合的に判断すべきと考えております。
これに関しまして、盲・聾・養護学校の就学基準に該当する児童生徒につきまして、市町村の教育委員会が認める場合には小中学校に就学できる制度を創設し、弾力的な対応を可能としているところでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116315254X00420051005/13
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014・扇千景
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116315254X00420051005/14
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