1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十八年六月十三日(火曜日)
午前十時六分開会
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委員の異動
六月九日
辞任 補欠選任
谷 博之君 森 ゆうこ君
六月十二日
辞任 補欠選任
家西 悟君 櫻井 充君
六月十三日
辞任 補欠選任
櫻井 充君 家西 悟君
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出席者は左のとおり。
委員長 山下 英利君
理 事
岸 宏一君
中村 博彦君
津田弥太郎君
円 より子君
渡辺 孝男君
委 員
阿部 正俊君
岡田 広君
坂本由紀子君
清水嘉与子君
武見 敬三君
中原 爽君
西島 英利君
藤井 基之君
水落 敏栄君
足立 信也君
朝日 俊弘君
家西 悟君
櫻井 充君
島田智哉子君
下田 敦子君
辻 泰弘君
森 ゆうこ君
山本 保君
小池 晃君
福島みずほ君
国務大臣
厚生労働大臣 川崎 二郎君
副大臣
文部科学副大臣 馳 浩君
厚生労働副大臣 赤松 正雄君
大臣政務官
厚生労働大臣政
務官 岡田 広君
事務局側
常任委員会専門
員 江口 勤君
政府参考人
内閣府大臣官房
審議官 松山 健士君
内閣府政策統括
官 浜野 潤君
内閣府規制改革
・民間開放推進
室長 田中 孝文君
金融庁総務企画
局参事官 山崎 穰一君
総務省自治行政
局長 高部 正男君
財務大臣官房審
議官 佐々木豊成君
財務省主計局次
長 鈴木 正規君
文部科学大臣官
房審議官 山中 伸一君
文部科学大臣官
房審議官 磯田 文雄君
文部科学省科学
技術・学術政策
局次長 下村 和生君
厚生労働大臣官
房審議官 白石 順一君
厚生労働省医政
局長 松谷有希雄君
厚生労働省健康
局長 中島 正治君
厚生労働省医薬
食品局長 福井 和夫君
厚生労働省労働
基準局長 青木 豊君
厚生労働省職業
安定局長 鈴木 直和君
厚生労働省社会
・援護局長 中村 秀一君
厚生労働省老健
局長 磯部 文雄君
厚生労働省保険
局長 水田 邦雄君
社会保険庁運営
部長 青柳 親房君
資源エネルギー
庁電力・ガス事
業部長 安達 健祐君
国土交通省住宅
局長 山本繁太郎君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○派遣委員の報告
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○良質な医療を提供する体制の確立を図るための
医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/0
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001・山下英利
○委員長(山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、谷博之君及び家西悟君が委員を辞任され、その補欠として森ゆうこ君及び櫻井充君が選任をされました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/1
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002・山下英利
○委員長(山下英利君) この際、申し上げます。
去る五月三十日、辻泰弘君要求の資料につきましては、理事会協議の結果、本日の委員会において配付をさせていただきます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/2
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003・山下英利
○委員長(山下英利君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省保険局長水田邦雄君外二十名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/3
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004・山下英利
○委員長(山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/4
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005・山下英利
○委員長(山下英利君) 健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
昨十二日、当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。岸宏一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/5
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006・岸宏一
○岸宏一君 委員派遣について御報告申し上げます。
派遣委員は、山下英利委員長、円より子理事、津田弥太郎理事、渡辺孝男理事、清水嘉与子委員、西島英利委員、水落敏栄委員、足立信也委員、朝日俊弘委員、小池晃委員、福島みずほ委員及び私、岸宏一の十二名で、昨十二日、北海道において地方公聴会を開催し、六名の公述人から意見を聴取した後、委員からの質疑が行われました。
まず、公述の要旨について報告いたします。
最初に、奈井江町長の北良治君からは、医療費適正化計画の中に医療と介護の両面にわたる総合的な地域医療・ケア体制の整備を盛り込むべきであること、療養病床の再編は評価するが、経過措置の間に安心して移行できる受皿の整備が重要であること、高齢者の負担見直しに当たっては十分な低所得者対策が必要であることなどの意見が述べられました。
次に、北海道医師会常任理事の山本直也君からは、法案に医療費の伸び率管理が盛り込まれなかった点は評価できること、北海道においては、多くの地域で産科・小児科医の不足が深刻化していること、また、高齢化率が高い一方で在宅介護の基盤が弱いため、療養病床の大幅削減は困難が多いことなどの意見が述べられました。
次に、医療法人社団平成醫塾苫小牧東病院理事長・院長の橋本洋一君からは、療養病床の大幅削減は十分な審議が必要であること、今回の診療報酬改定における入院基本料の区分には疑問が多く、療養病床を有する病院にとって打撃が大きいこと、民間病院の健全経営を維持するためには、診療報酬の引下げ幅の縮小等が必要であることなどの意見が述べられました。
次に、株式会社トータルヘルスサービス代表取締役社長の細川曄子さんからは、これからの医療は予防の分野に重点を置くべきであること、病気の予防策や生活指導等の情報提供を日ごろから行うことで病気にならない未病が実現できること、生活習慣病だけでなく白内障等加齢に伴い予測される病気に対しても健診や啓蒙活動が必要であることなどの意見が述べられました。
次に、北海道勤労者医療協会副理事長の堀毛清史君からは、療養病床の削減や療養病床に係る診療報酬改定は地域医療・地域介護の崩壊につながること、療養病床の削減により、行き場をなくした患者が医療難民・介護難民となってあふれ出す可能性があること、高齢者が在宅で暮らせる基盤整備を行うとともに、急性期医療、療養、介護等に広く対応可能な医療機関・施設を強化することが必要であることなどの意見が述べられました。
最後に、社会福祉士の片山憲君からは、在院日数が短縮された結果、退院後も継続して医療を受ける必要がある患者の受皿の確保に苦慮していること、広大な面積を持つ北海道においては、救急医療体制の充実が予後の医療費の削減につながること、在宅医療推進のためには医療保険と介護保険の施策の連携が必要であることなどの意見が述べられました。
公述人の意見に対し、委員より、療養病床再編に伴い介護難民を生まないための対策の在り方、高齢者の窓口負担増に対する懸念、医師不足への対応策、医療費適正化策が医療現場に与える影響、小児期からの生活習慣病予防事業の効果、保険免責制に対する見解等について質疑が行われました。
会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。
以上で報告を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/6
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007・山下英利
○委員長(山下英利君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
なお、地方公聴会の速記録につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/7
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008・山下英利
○委員長(山下英利君) 健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案について質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/8
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009・下田敦子
○下田敦子君 おはようございます。委員の下田敦子でございます。よろしくお願い申し上げます。
医療従事者の資質の向上及びチーム医療についてお伺いいたします。
我が国の一般病院における医療従事者国家資格名とその資格制度が創設された年及び配置標準数をお伺いいたします。
これは、時間の関係上、すべてにわたってお答えいただくのは大変無駄、無駄といいましょうか時間が掛かりますので、例えばリハビリ職種何項目何年誕生というお答えの仕方をお願いしたいと思います。最終的に現在我が国の医療関係職種は合計で何種類あるか、これをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/9
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010・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 医療従事者の国家資格の創設された年代順でございますが、昭和二十年代には医師、歯科医師、看護師、准看護師、栄養士、昭和三十年代には薬剤師、昭和四十年代には診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、昭和六十年代には臨床工学技士あるいは言語聴覚士が創設されてございます。
なお、准看護師及び栄養士につきましては都道府県知事の免許となってございます。
また、人員配置標準でございますが、医師、歯科医師につきましては、一般病院において、患者さん十六人に対して一人、薬剤師さんにつきましては七十人に一人、看護師、准看護師につきましては三人に一人、栄養士につきましては、病床数百以上の病院に一人、理学療法士等あるいは診療放射線技師、臨床工学士につきましては、療養病床を有する病院にあっては病院の実情に応じた適当数という具合になってございます。
なお、何職種あるかということでございますが、数え方にちょっとよるのでございますけれども……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/10
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011・下田敦子
○下田敦子君 結構です、その後にまたお答えいただければ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/11
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012・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 済みません。今申し上げたような職種がございます。この中では、リハビリ関係の職種が細かく分かれてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/12
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013・下田敦子
○下田敦子君 ありがとうございました。
我が国は、この百年の間に、医師、そしてそれに伴う看護婦さんですね、看護師、大変一生懸命医療の場をやりこなしてこられた歴史がございます。戦後の昭和二十二年、二十三年の第一次ベビーブームのときに既に今日の二〇〇七年問題を予想して、例えばリハビリ専門職であるPT、OT、STなど養成し始める必要があったと思います。
いわゆる人材育成には時間と人手が掛かります。ところが、今局長の御答弁にありましたように、ほとんど我が国のいわゆるコメディカルスタッフと言われる人たちは戦後生まれ、しかもなおかつ最も必要な資格者である例えば臨床工学士、手術場にはなくてはならない人などなどはつい最近生まれているという状況がございます。せんだって、私どもの委員会でもちょっとこのことについてお話をさせていただいていたんですが、何かといえば今法案の中で医師の不足、看護師の不足、したがってこれらのその資格者の増を図るとか資質の向上を図るということにばかりのみ目が行っているような状況がございます。
そこで、医師、看護師不足、これらのチーム医療について厚生労働省はいかがお考えでありますか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/13
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014・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 医療機関において安全で質の高い医療を患者に提供するためには、今お話しいただきましたけれども、医師や看護師だけではなく、その他の医療従事者も含め、関係者が十分な連携を図りつつ適切な役割分担に応じて業務を行うチーム医療の考え方が重要であると考えております。したがって、医療機関では、医療機能や規模、患者の状態などの状況に応じて適切に医療従事者が配置され、連携を図り、チーム医療を行うことが必要と考えております。
なお、今回の医療法改正においては、一つの医療機関内における関係職種の連携だけでなく、例えば医療機関の管理者が患者の退院時に在宅医療を提供する者等との連携を図るいわゆる退院調整機能を位置付けること、医療従事者のほか、介護サービスの従事者などの連携が図れるよう、地域における在宅医療にかかわる連携体制の構築を医療計画に位置付けることなどの措置を講じることにより、関係者間の連携の強化を求めております。
厚生労働省としては、こうしたことを通じてチーム医療をより一層充実させ、患者にとってより良い医療が提供できるように努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/14
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015・下田敦子
○下田敦子君 大臣にお願い申し上げます。
斎藤十朗厚生大臣のときに、これらのコメディカルスタッフの資格者をきちんと法律付けて増員を図らなければならないということをおっしゃって、それを実行に移されたのを鮮やかに記憶しております。
そこで、大変釈迦に説法でありますが、せんだって、ニュージーランド医療のアングロサクソン・スタンダードの、結局は財政の緊縮その他から医療の現状が非常に落ち込んでしまったというお話をさせていただきましたが、ただ一つ私、ニュージーランドの調査、あるいはこれはイギリスも同じでありますが、非常に分担化された医療の現場があると。これは日本から出掛けていったナースの方が、実情をレポートしてくださった方がございまして、そのことに基づいて申し上げます。
例えば、ゼネラルプラクティショナー、いわゆる一般医、かかりつけ医でありますが、この方々が医療を施行する場合に看護師が行っているものがあると。スメア検査、これは子宮がんの検査です。それからスワブ検査、細菌検査。それからインフルエンザ、肝炎などの予防注射はドクターの指示なしで行えると。もちろん、この場合には看護師の専門コースを取り、認定される必要がありますが、病院業務が非常に分担化されていて、患者さんの輸送や食事、例えば配膳など行うことは必要がないと。看護という仕事に集中できて、非常に日本の看護の業務に比べて仕事がしやすいということをおっしゃっておりました。
そこで、このたびのこの一部改正に当たって、例えば看護職員の配置が手厚いほど診療報酬を高くする方向を強められました。その支払条件としての診療報酬改定でありますが、逆にこれが看護師の不足を生んでいる現状がございます。こういうことと併せて次の質問をさせていただきます。
まず、先般、森ゆうこ委員が質問されましたけれども、昭和五十七年、臨調の答申において、閣議決定を受けて、医学部の入学定員、医師数の削減が行われました。大変私立の医学部は困っておりました。国立で一人、二人減って、一割減っても内容には変わりないでしょうけれども、私立の医学部においては、たしかあのときで〇・五%ぐらいの削減だったでしょうか、大変難儀をしておられたのを聞いております。
今日、その状況を迎えまして、この医師不足という問題に今私どもが遭遇しているわけですが、この問題との整合性をどういうふうにお考えであるか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/15
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016・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 御指摘の昭和五十七年七月の臨時行政調査会答申及び同年九月の閣議決定では、医師について、過剰を招かない合理的な医師の養成計画を確立することとし、その後、医学部の定員は、ピーク時の昭和五十九年と現在と比較いたしますと七・九%、人数でいいますと六百五十五人減少しているところでございます。
また、こうした医学部の定員減を踏まえました平成十年の医師の需給に関する検討会報告では、遅くとも平成二十九年度から供給医師数が必要医師数を上回り、将来的には供給過剰になるとの推計結果が示されているところでございます。
近年、医師数の総数につきましては、毎年三千五百人から四千人程度増加しているということを踏まえますと、現在の医師の不足感は、昭和五十七年以降の医学部の定員削減ではなくて、基本的には、へき地等の特定の地域、あるいは産科や小児科といった特定の診療科における医師の偏在により生じているものではないかというふうに推察しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/16
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017・下田敦子
○下田敦子君 ありがとうございました。
平成十二年の十一月でありますが、医療関係者審議会理学療法士作業療法士部会において、平成十六年を目途に新たな需給推計が行われました。その意見書によりますと、需給と供給は平成十六年以降に、二年から三年以内に均衡に達して、過剰になるという予想が立てられてありました。この推計は現状とマッチしていますか、お尋ねいたします。
それからもう一つ、誤嚥性の肺炎の研究は日本が今一番進んでいると世界的にも評価されているようですが、例えば経鼻胃管患者さん、あるいは気管切開後の気管カニューレの挿入状態、これは誤嚥性の肺炎のリスクが非常に高いということを言われているわけですが、この摂食機能療法に准看が含まれていて診療報酬の対象になっているということはせんだってお尋ねをさせていただきました。そうしたら、帰り掛けに、どちらの御当局の方か分かりませんが、それはどこでお聞きになりましたかという、大変私もびっくりしたことでございまして、これは、必要であれば後でまた申し上げますが。
この准看のカリキュラムよりはやはり言語聴覚士の配置を強化すべきでないかと、私はそう考えます。いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/17
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018・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) まず第一点目の、理学療法士、作業療法士の意見書の関係でございますが、御指摘のとおり、平成十二年十一月に取りまとめられました需給の推計に関する意見書におきましては、今御質問の内容のことが示されてございます。
現状におきましても、理学療法士、作業療法士の数につきましては近年着実に増加しておりまして、平成十七年末現在で理学療法士が約四万六千人、作業療法士が約三万人と、平成十二年末、五年前と比べまして理学療法士は約一万九千人、作業療法士は一万五千人増加しております。また、養成所の定員につきましては、さらに近年着実に増加してございまして、両資格合わせまして平成十七年度で約一万六千人となってございまして、平成十二年度に比べまして、五年前と比べまして五年間で約二倍となっているということ等から、必要な供給は行われているものというふうに考えております。
それから、後段の摂食機能療法、誤嚥性肺炎を防ぐための手段の一つでございますが、御指摘のように、診療の補助行為ということで、看護師あるいは准看護師の方もできるわけでございますが、摂食機能ということからすると、言語聴覚士におきましても、その専門性から対応することは可能ではないかと思っております。
なお、言語聴覚士につきましては、冒頭の御質問のときに昭和六十年代の創設というふうに申し上げましたけれども、平成に入ってからでございましたので、追加させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/18
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019・下田敦子
○下田敦子君 次にお伺いいたしますが、欧米諸国と我が国のこのコメディカルスタッフの需給数の比較、現状をどのように認識されますか。
ただいまの御答弁によりますと需給は成り立つんだと。地域間格差をいろいろ考えてみる必要があると思います。なぜ常に五十倍の求人があるか。そのことを考えていかなければ正式な需給バランスは推計にならないと思います。
さて、お手元に今配付させていただいておりますが、これは国内の看護師の不足状況数であります。赤いのが不足で黄色い部分が過剰とありますが、果たしてこの長崎県辺りが本当に過剰なのか。大分県も過剰とありますが、この辺が、ちょっとこの推計が、労働安全センターで出しておられるものであります。次に理学療法士の過不足状況であります。それから作業療法士であります。痴呆の治療、それから様々な今後の不足している精神科分野のところにかなりきちっといなければならない職種だと思います。
さて、これを土台に、ちょっと、人口千人当たりの医師数、看護師数、これ二〇〇〇年でございますが、比較いたしました。日本が常にこういう、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー等々に比べますと非常に少ない。看護師数しかりであります。それから理学療法士数。それから、作業療法士に至りましてはこういう状況で、かなり向こうは古い歴史を持ってこの資格が存在しているようでありますが、日本の場合には、非常に浅いという状況から見てこういう結果が今あります。
それから、これはちょっと時間がありませんが、ベッドサイドでのいわゆる介護、そういうものの資格の与え方が今少し錯綜しておりまして、こういう状況があります。参考までに付けさせていただきました。
さて、せんだって、参考人をお招きをいたしまして、熊本から橋本洋一郎先生がおいでになりました。地域リハビリテーションを完結させていくためには、どうしてもやはりそれぞれの分野において各急性期から慢性期に至るまでの専門家が必要であると、そうしないことにはやはりリハビリその他の状況が改善されないということを大変有り難く御指導をいただきましたが、全くそのとおりだと思います。
それで、この結果をどういうふうにおとらえになりますか。この足りない状況の国際比較をごらんになりまして、どういうふうにお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/19
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020・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 昨日、オランダの保健大臣が今、日本に来られて、日本の医療制度を勉強したいということで厚生労働省の中でいろいろ議論をさせていただいております。私も昨日二時間ほど大臣とゆっくり話し合う機会がございました。いろんな意見交換をいたしたわけでございますけれども、そういった中で、日本の勉強に来ていただくということは、それぞれ国の長所、短所、そんなものを感じながらお見えいただいたんだろうと思っております。彼のお言葉をかりるならば、オランダとフィンランドが今医療制度では一番進んでいると、ヨーロッパの例えばフランスとかイギリスとかドイツ、必ずしもうまくいっていないという表現を使われました。
いずれにせよ、我々も、諸外国の例も見ながらしっかり日本の医療というものをつくり上げていかなければならないと、このように思っております。
そこで、OECDのデータでございますけれども、人口千人当たり、我が国の看護職員数、お示しのとおり、北欧諸国よりは我が国は少のうございます。ただ、アメリカ、フランスとは同程度でございますし、イタリア、韓国等と比較すると多い。そういう意味では、看護職員数、国際比較ということでは中位の水準になるかなと思っております。
一方で、斎藤十朗先生、私の郷土の先輩でございますので、そのときに一つ大きく方針を打ち上げて養成をしてきたと。理学療法士、作業療法士、確かに北欧諸国と比べますと相当少ないことは事実でございます。一方で、ずっと推移を見ていますと、十二年が、理学療法士、四千二百三十一名だったものが九千四十八名、それから定員数ですね、四千二百三十一から養成所の定員数が九千名まで上がってきております。作業療法士が三千五百名の定員数だったものが今六千六百、約倍近くになっている。そういう意味では、ある程度の体制が整って、先ほど局長から答弁のように、だんだん増えてきた、そういう意味では今後十分な供給が行われていくだろうということは間違いないと思っております。
ただ、そのスタートが遅かったんじゃないかという御指摘だとすれば、それは我々も反省をしていかなければならないだろうと、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/20
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021・下田敦子
○下田敦子君 そのとおりでございます。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
放射線技師についてお尋ねいたします。
国の配置基準によりますと、病院の実情に応じた適当数ということがうたわれておりますが、実情として、ドクターの指示を受けながら助手がレントゲンを撮ると、こういうふうなことがよく見掛けられるわけでありますが、せんだっての当委員会の中で、マンモグラフィーの設備が非常に上がったということを御答弁の中にありました。それは大変喜ばしいことだと思いますが、とかくこういう場は、骨粗鬆症は骨の密度の機械はまず入れると、そして診療報酬の対象になるというふうなことがやりがちでありますが、さて、この触診だけじゃなくて、女性の放射線技師を備えて初めてしっかりとした受診ができるというふうなことを言われているわけでして、非常に現場としては女性の放射線技師が足りない、増やしてほしいという意見があります。この点の対策をいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/21
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022・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 放射線技師等の件でございますが、過去十年間の実際に就労しております診療放射線技師等の数に占めます女性の割合を見ますと、平成七年時点での一六%から平成十六年時点で見ますと二一・七%に上昇してございまして、診療放射線技師につきましても女性の役割の拡大が進んでいるというふうに考えております。
さらに、近年の診療放射線技師国家試験の合格者に占める女性の割合はおおむね三割で推移してございまして、毎年五百名から七百名の女性が新たに診療放射線技師となっているということから、免許取得者全体でも女性の数が順調に増加しているというふうに考えてございます。
今先生御指摘のとおり、マンモグラフィー等撮影するに当たりましては、患者さんあるいは、マンモグラフィーですから患者さんでもない一般の方だと思いますが、女性がそれを受診するに当たっては、女性の診療放射線技師の方がいろいろな点でよろしいという御指摘だと思いますけれども、そういう意味では今、診療放射線技師の中に女性の割合も着実に増えているということで、その需要には対応しつつあるということではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/22
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023・下田敦子
○下田敦子君 しっかりとその辺を見極めて、医政局並びに関係課でお願いを申し上げたいと思います。
様々質問を用意いたしましたが、あと何分もなくなりました。ちょっと要望だけとどめておきたいと思います。
去る五月の二十六日ですが、青森県六ケ所村で、例のプルトニウム再処理工場において、今現在アクティブ試験中であります、日本原燃の協力会社の社員が放射性物質を取り込みまして体内被曝をいたしました。大変、何回も何回もこれに類する事故が、ここのところ再処理の試験、テストが始まって今まで四つ目ぐらいだったと思いますが。
私は大変心配になりますので、被曝医療に対してどういうふうな備えがあるんだろうと思って地元にちょっと問い合わせましたが、大変心もとないものがございます。まず、医師が第三次医療としての中では三人しかいないと、それから、ベッド数がICUその他使って一ないし二名分だと、放射線技師が動けるのは五名ぐらいだろうと、こういうふうなことなんですけれども、これに対して弘前大学医学部が県内における第三次医療圏の施設になっておるようでございますが、どういうふうにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/23
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024・下村和生
○政府参考人(下村和生君) お答えいたします。
地域の被曝医療機関の整備につきましては、地域防災計画に基づきまして地方公共団体の責任において行われるものでございますが、国といたしましても青森県の地域防災計画におきまして三次被曝医療機関として定められております弘前大学医学部附属病院における設備整備のための支援を行ってきたところでございます。
具体的には、弘前大学医学部附属病院におきましては、このような国の支援を活用いたしまして、被曝医療に必要とされる計測器具、汚染拡大防止用器具、除染器具等を整備しているところでございます。また、国といたしましても、必要に応じまして現地に医師等を派遣するほか、高度な専門的診療が必要とされる者については、国の三次被曝医療機関でございます放射線医学総合研究所への転送を図るなどの措置を行うこととしております。
今後とも、文部科学省といたしましては、緊急被曝医療活動を充実強化するため、関係省庁及び地方自治体と協力して、体制の整備と充実に取り組んでまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/24
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025・下田敦子
○下田敦子君 それでは、混合診療についてお尋ねをしたいと思っておりましたが、これをいろいろ資料を見ております間に、日本政府へのアメリカ政府からの要望書というのに出会いました。読めば読むほど、これは郵政民営化のときに櫻井委員が質問されました、アメリカのロバート・ゼーリック国務副長官の竹中大臣に対するあの質問は印象的でありましたが、非常に国民に知らされてない医薬のやり取りがあるということが何となく想像して余りあるものがあります。
それで、一々質問させていただく時間がありませんが、こういうことが書かれてあります。
二〇〇一年、ブッシュ大統領と小泉総理大臣が立ち上げた成長のための日米経済パートナーシップの下、日本の市場開放をより一層促すことを目的として、さらにアメリカは、知的財産権、これは大事です、日本でも痛くない注射針など発明いたしましたし、持ち合わせているものだと思いますが、こういう知的財産権、そして医療、農業、民営化、競争政策などにおいて、小泉政権が改革の実施が重要であると位置付けた分野の問題に引き続き焦点を当てる。アメリカ政府は、日本にこういうことを要求できる、そして日本からこの要望書を、お答えが返ってくることを喜ばしく思うというふうなことをいろいろ書いてありました。
医薬品それから医療機器の規制改革との関連問題というところでまいりますと、時間がありませんので一点だけ、血液製剤に絞ってだけお尋ねをしたいと思います。
これに関しても、アメリカの企業に対して、販売や製造の機会を公平に与えることにより、公平に透明性を持って扱うことを求めると書いてあります。これは、WHOの規定は、血液製剤は自国製品として一〇〇%作り、使うことということがかつて出されたのを記憶しております。
現在、アメリカの製品が何%入っているのか、そしてこれをこの要望に伴ってどのようにお考えなのか、それをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/25
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026・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) まず、血友病関係のものにつきましては自給率一〇〇%でございます。血漿分画製剤の中で、アルブミン製剤、これが五四%、国内自給でございます。グロブリン製剤、八九%ございます。その他が当然外国から入っているということになります。アメリカと特定できるかどうか、ちょっと資料を持っていませんので、少なくとも輸入であるということでございます。
お尋ねのことでございますけれども、血液製剤については、安全な血液製剤の安定供給の確保に関する法律、血液法により、倫理性や安定供給の観点から、原則として国内で行われる献血により得られた血液を原料として国内自給することとされており、厚生労働省としてはその推進に取り組んでおります。基本的には平成二十年を目途に、国内自給の達成を目指すという目標でやらせていただいております。
一方、二〇〇五年十二月、米国政府から血液製剤に関する要望においては、米国企業に対して、販売や製造の機会を公平に与えることにより、公平に透明性を持って扱うことを求めるとされております。ただ、このことは血液製剤の国内自給の方針そのものについて反対しているわけではないと私ども理解いたしております。
厚生労働省としては、国内で行われている献血により得られた血液を原料として国内自給達成を進めるに当たっては、貿易上のルールに沿って、輸入規制等の手段によらない方法によって、患者や医療関係者等の各方面の理解と協力の下で取り組んでいくべきものと考えております。この点、これまでにも献血の推進や医療機関における血液製剤の適正使用の推進などに取り組んできており、血液法の基本理念である血液製剤の国内自給を達成するため、血漿分画製剤の製造体制の在り方に関する検討会において、今最終結論を得るべく検討をいただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/26
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027・下田敦子
○下田敦子君 時間がなくなりましたのでこれで終わらせていただきますが、厚生労働大臣と規制改革担当大臣との間で合意した事項はすべて対応済みというのが何か所か出てまいります。是非、情報を公開しながら、国民に余り不安を与えないような運びをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/27
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028・森ゆうこ
○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。
本日は、馳文部科学副大臣にお越しをいただきました。医師不足の問題、全体としては不足しているわけではないけれども地域偏在があるということは川崎厚生労働大臣もお認めになったところでございますけれども、その問題に関する具体的な解決策がいまだに何も示されておりません。この地域における医師確保の問題は、官僚に任せるだけではなく、政治が私は決断をすべきであると考えております。したがって、担当部局ではなく、国会議員、政治家である馳文部科学副大臣に明快なる御答弁をいただきたいということで本日お越しをいただきました。
まず、地域での勤務を条件とした奨学金制度を導入している例があると聞きますけれども、済みません、その前に、皆さんに、お手元に資料が配られたと思います。私の方から説明をさせていただきたいと思います。
先日も地方の大学の医学部の定員増について伺いましたけれども、今、医学部の医学科における地域を指定した、つまり地域枠についてお手元の資料をごらんいただきたいと思います。ごらんのとおり、今年度、十八年度、十六大学で百二十一人と、昨年度に比べますと急増をしております。これは、各地域において様々な取組がなされた結果だというふうに認識しておりますけれども。
そこで、このほか、地域での勤務を条件とした奨学金制度を導入している例があると聞いておりますが、その実態をどのように把握していらっしゃるのか、馳副大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/28
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029・馳浩
○副大臣(馳浩君) おはようございます。
今年五月現在ということで自治体、地域等、事情を伺いまして調べてみました。二十三の県と一つの市、これは静岡県掛川市でありますけれども、地域枠を設けて特別一般枠も含めて入学をいただいたそのインセンティブの一つとして奨学金を貸与する制度を取っておるところがございます。大体平均して貸与期間の一・五倍ないしは二倍ぐらい、その特定の地域において勤務をいただければ返還を免除するということで、やはり医学部生の入口の段階から、ある志を持っていただいて地域医療に貢献しようとする、そういう学生を育てて、医師としてへき地、またそういった公的医療機関で働いていただくことを誘導するようにしているということを理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/29
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030・森ゆうこ
○森ゆうこ君 五月二十二日の山本孝史議員の質問に対する答弁で、小坂文部科学大臣が、入学時においても、今ほどお話もありましたように、入学時においても地域医療への参加を求めていくことは、地域医療問題の対応策として有効であると考えており、文部科学省としては各大学等の積極的な対応を今後とも要請していく、このように答弁されたわけでございますが、副大臣に伺います、馳副大臣に伺いたいんですけれども、これまで具体的にどのような要請を大学に行ってこられたのか、また今後どのような要請を行っていくおつもりなのか、ただいまのようにまた元気な御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/30
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031・馳浩
○副大臣(馳浩君) 今ほど申し上げたように、二十四の県、市でこういった誘導策によって、偏在はありますけれども、できる限りやはり地域の公的医療機関で働いていただく医学生、お医者さんを育てて配置していこうということにしておりますので、これは具体的に申し上げますと、平成十八年、今年ですけど、五月十八日には国立大学医学部長会議、社団法人日本私立医科大学協会総会、五月十九日には全国医学部長病院長会議、六月八日には国立大学医学部長等との意見交換、六月十二日、昨日ですね、大学病院を有する国立大学長の会、それから六月二十二日には国立大学附属病院長会議等を通じて、いわゆる地域枠の導入についてのお願い、要請をすることにいたしております。
森委員から御指摘ありましたように、偏在ということでありますから、やはりいかにしてその特定の地域において医療活動を生涯の生きがい、目標としてやっていただくかどうかということを導いていくことは重要な観点だと思いますので、そのためのインセンティブもあらゆる方策を取っていくべきと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/31
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032・森ゆうこ
○森ゆうこ君 地域枠の決定については、それでは、それぞれの大学からの要望に従って文部科学省としてはきちんとそれを認めていく、検討の上、認めていくということでよろしいでしょうか、念のため。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/32
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033・馳浩
○副大臣(馳浩君) 御指摘のとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/33
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034・森ゆうこ
○森ゆうこ君 それでは、定員増に関してはいかがでしょうか。度々この委員会でも指摘をされております。また、衆議院の方でも指摘をされておりますが、これは厚生労働省マターではないということでなかなかよい御答弁がいただけないわけですけれども、医学部の定員増に関しましてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/34
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035・馳浩
○副大臣(馳浩君) 一概に定員を増やしたからという問題ではないという考えに立っております。ただ、各国立大学法人、医学部を抱えておる大学の要望等を、そして実態等をお伺いしながら対応していくべき問題と考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/35
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036・森ゆうこ
○森ゆうこ君 この問題についても副大臣が自ら各大学の要望を聞かれましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/36
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037・馳浩
○副大臣(馳浩君) 私としてはまだ聞いてはおりません。当然、部署部署、つかさつかさで対応しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/37
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038・森ゆうこ
○森ゆうこ君 先ほども申しましたように、担当部局、要するに官僚に任せておいてもこの問題は解決しないんですよ。アクションというのが馳文部科学副大臣の、まあ勝手に私が考えたキャッチコピーだと思うんですけれども、是非まず聞いていただきたい。
私、土曜日も地元に帰りまして、新潟大学の学長さんに、定員増についてまた更にやってくれという、質問をですよ、お話をいただきました。まずは要望を受ける、そして可能な限り定員増を図るという方向で検討していただきたいと思いますが、政治家としての御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/38
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039・馳浩
○副大臣(馳浩君) 私も是非聞いてみたいと思っているんですよ。
私は石川県ですけれども、やはり産婦人科、小児科等、やっぱり特定の分野についてはとっても足りないと、是非枠をつくって養成してくれという声も地元では伺っておりますが、全国的な状況はどうなのかと。そして、これは当然医師会の方にも話をお聞きし、医療関係者からもお話をお伺いしながら、とりわけ過疎地域の、公的医療機関に頼らざるを得ないわけなんですよね、その地域の方々は。そこにおけるやっぱり医療の提供体制をどう考えるかということと連動して、加えて医師の偏在ということを考えなきゃいけないと思っておりますので、森委員おっしゃるように、私のところでもやはり実態をお伺いした上での定員についての判断をせざるを得ないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/39
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040・森ゆうこ
○森ゆうこ君 せざるを得ないというか、要するに、今のはちょっとまだまだ、実際にそれをすぐおやりになるという御答弁になっておりませんので、私は、評論家的にそういう偏在があるとか、そういうふうに話を聞いて考えざるを得ないとか、そういう御答弁ではなくて、すぐできることだと思いますので、それを馳副大臣がすぐおやりになっていただくと、各大学からの要望を聞いて、可能な限り対応を検討すると、そのような御答弁をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/40
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041・馳浩
○副大臣(馳浩君) 国会がどこまで延長になるのかならないのか私も存じませんが、国会がある場合には私どももこうして委員会に張り付いておりますので、終了次第、できる限りの医学部の先生、病院長ですね、大学の先生方にお話は伺ってみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/41
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042・森ゆうこ
○森ゆうこ君 やっていただけるということでよろしいんですか。伺ってみたいとかじゃなくて、やって、きちんと検討して、対応するというふうなことを今ここで御答弁いただかないと、もう来年度のこれは予算に反映することは今ここで答弁してもらわないと、何にも具体的に進みませんよ、副大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/42
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043・馳浩
○副大臣(馳浩君) これは、定員の問題は学部の改組の話と通ずる問題でありますので、私がさっきから何度も答弁しているように、実態をお伺いした上で判断をしなければならないと、こういうふうに申し上げておりますので、早々に、私は今まで聞いておりませんけれども、要望のある大学等の声を聞いて判断をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/43
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044・森ゆうこ
○森ゆうこ君 何かすっきりしないんですが、川崎厚生労働大臣、いかがでしょうか。この医師の定数の問題は文部科学省の問題だっていうふうにここではなかなか大臣がきちっとした御答弁をいただいてないんですけれども、せっかく副大臣をお呼びしたんで、厚生労働大臣の方からも要請していただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/44
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045・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 基本的には、閣議決定でございますから、内閣全体でこの問題を考えなきゃならぬと、文科省の副大臣に決めろと言ってもそれは決まらない、これからの議論でございます。
一つは、例えば青森とか私の三重県でいいますと、百名の定員がございますけれども、現実問題、地元へなかなか残ってもらえない。青森だとほとんど関東圏に戻ってきてしまう。私のところは、逆に今研修制度、新しい研修制度の中で三重大学に残っているのは三名だけというような状況になっております。また、将来的に戻ってきてくれる可能性のある人、こうやってチェックしていきますと、やっぱり三重県出身者が三重県へ戻ってきてくれる、他の大学へ行った場合もそうであります。
そういう意味では、地域で、地域枠とかそういうものをつくることによって解決できる県と、それから、新潟もその対象になるのかもしれません、新潟とか福島とか、一県一大学という定数の中で果たして今後足りるかどうかという問題が当然出てくるだろうと。
一方で、六年、十年後には三十万人体制になるわけですから、これから定数を増やすことによって本当に実効性上がるものになるかどうかという議論もしていかなければならないだろうと。来年定数を増やしましても七年掛かるわけですから、そういった意味では、そういったものの議論をしっかりしながらやらなきゃならぬと。その基礎となるデータは、今、医師の状況を今調査をさせておりますので、それを持って文科省としっかり議論をしてまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/45
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046・森ゆうこ
○森ゆうこ君 私としてはちょっとすっきりしない。これだけ医師不足ということが叫ばれている中で、特効薬はないと思うんですけれども、少なくとも、あっ、すぐこれをやってくれるんだなというもっと突っ込んだ具体策を、これをやりますという答弁をいただきたかったんですけれども、納得できませんけれども、こればっかりやっているわけにいきませんので、次に行きたいと思います。
馳副大臣、ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/46
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047・山下英利
○委員長(山下英利君) 退席していただいてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/47
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048・森ゆうこ
○森ゆうこ君 はい、結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/48
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049・山下英利
○委員長(山下英利君) 退席していただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/49
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050・馳浩
○副大臣(馳浩君) ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/50
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051・森ゆうこ
○森ゆうこ君 この医師の不足の問題、これを解決するために、私は医療事故の問題をきちんと何らかの対策を取っていかなければならないというふうに思っております。
参考人としてこの委員会で意見を述べられた虎の門病院の小松先生の方からも、立ち去り型サボタージュ、病院からどんどん医師がいなくなる、危険なリスクの高い医療から医師がいなくなっていくという警鐘が鳴らされているところでございますけれども。
まず、六月一日の松谷医政局長の答弁によれば、国内で発生しているすべての医療事故の数は把握していない、このように御答弁されましたけれども、なぜ把握できないのでしょうか、御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/51
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052・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 医療安全対策を進める上で、事故の発生予防、再発防止というのは最優先課題だと考えてございます。
このため、特定機能病院に医療事故の報告を義務付けまして、第三者機関で事故の原因分析を行い、再発防止策等について医療現場への周知を図っているところでございます。再発防止策、対策を検討するという観点からは、特定機能病院のような事故の分析体制が確立している病院から院内で検討した改善策を含めて情報を収集し、第三者機関が分析を行うことによって一層効率的で効果的な検討ができるものと考えてございます。なお、一般の医療機関でございましても、この医療事故事例収集事業に任意に参加することは当然できるようになっているわけでございます。
また、医療事故の総数ではございませんけれども、事故の発生頻度等につきましては、厚生労働科学研究におきまして抽出した診療録に基づきまして推計、把握をしているところでございます。
事故の報告の目的をどう考えるかということだと思いますけれども、その再発防止ということが一番そのために大事だということで、そういう意味でこのような体制を取っているということで御理解いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/52
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053・森ゆうこ
○森ゆうこ君 この問題を解決するには、医療事故の定義を私はまずはしっかり定めて、そしてそれに基づいて医療事故の発生状況を全国的に正確に収集し、そして分析しなければいつまでたっても効果的な医療安全対策を講じることはできないというふうに考えます。
今の御答弁ですと任意で参加できるところもあるということですけれども、この間も申し上げましたけれども、そもそも医療事故とは何なのか、どこまでが医療事故でどこまでがそうじゃないのかということの定義もきちんとされていないということが私はまず問題だと思いますし、そして、その定義に基づいて医療事故の発生状況をきちんと把握すると、そういうことなしには分析もないでしょうし、本当の対策も作られないと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
私は、医療事故の定義をまずしっかり定める、そして発生状況をきちんと調査をして分析し対策を講じるという、このプロセス必要だと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/53
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054・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 医療事故という定義になると、医療にかかわる場所で医療の全過程において発生する人身事故一切を包含したものと考えております。
医療機関における医療の安全確保は医療政策における最重要課題の一つであることにかんがみ、医療事故の発生予防、再発防止策を講ずるため、先ほど局長から答弁いたしましたように、特定機能病院に事故等の事案の報告を義務付けております。この事故であるか事故でないかという問題についても様々な議論があるところでありますので、一律にすべて報告を法律で規定してやるということについては、なかなか切り口的には難しいものがあるだろうと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/54
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055・森ゆうこ
○森ゆうこ君 医療事故の定義というものがまず決まっていない。つまり、明らかに誤った医療行為や管理上の問題により患者が死亡若しくは処置や治療を要した事例なのか、それともそういうことではない、そもそも医療には様々なリスクが伴いますのでそういうことなのか、それ以外の原因なのか、そういうきちんとした定義もない。
そして、そういう定義に基づいての情報の収集がないという中では、私はやはり、先ほど申し上げましたように、有効な安全対策は講じられないのではないかと思うんですけれども、先ほど全国調査というふうな話、若干あったと思うんですが、一つの要因に、高度化した医療の中でそのマンパワー不足を感じる方、医療現場の、医療関係者の方たちが多いというふうに伺っておりますけれども、医師若しくは医療関係で働く人たち、コメディカルスタッフ等を含めまして、マンパワー不足と感じるか否かの全国的な調査を行って、現在の医療提供体制を続ければどのような弊害があると考えるかを調査する必要があると思うんですけれども、大臣、このような調査を行うということはお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/55
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056・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 先ほどチーム医療の話もございましたけれども、良質な医療を提供する体制を確保する上で、医療提供体制の現状を把握し必要な対策を実施するよう努めることがもちろん大事だと思っております。厚生労働省においては、従来より医療施設調査や医療経済実態調査などを実施し、医療従事者数を含む医療機関の体制や運営の状況などに関する統計データの収集、分析を行っております。
また、今回の医療提供体制の改革の議論の過程におきましても、社会保障審議会医療部会等におきまして、医師、看護師など医療関係者や医療機関の経営者の代表、都道府県の代表の方々の参加をいただき、医療従事者の状況について御議論いただいたほか、病院団体など関係団体の御意見も十分踏まえた上で改革案を取りまとめたというように考えております。
また、看護師につきましては、第六次看護職員需給見通し、これは正に都道府県で各医療機関に対して実態調査を行ってもらい、全国の需給見通しを出していただいて、それに基づいて議論をさせていただいているところでございます。
そういった意味では、調査ということになれば、一定の調査をさせていただいております。また、医師の需給見通しについては今後どうなるかということについては再検討という中で、八月ごろをめどに数字を出させていただく。先ほど申し上げたように、全体的な数字の問題を含めて文部科学省としっかり議論をしなければならないだろうと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/56
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057・森ゆうこ
○森ゆうこ君 この委員会で厚生労働省の方から、大臣の方から様々なその現場の状況について御報告がある内容と、私どもがその医療現場の皆さんから、先ほどの下田委員の御指摘等もありますけれども、医療現場の皆さんから聞くお話とは何か乖離、認識において非常に何か乖離があるのではないかというふうに感じます。
そして、中には、このままこういう状況を放置すれば医療の崩壊ということを、そういう警鐘を鳴らされている先生方が大勢いらっしゃるわけでございますので、ある意味での調査はというふうにおっしゃいましたけれども、私は先ほど申し上げましたような調査をまずはやるべきであるというふうに考えますが、そのことについては検討するおつもりはないか、いま一度伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/57
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058・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) ですから、一つ一つの問題については、医師については今需給見通しの全体的調査をいたしております。それから、看護師については、先ほど申し上げたように、第六次の計画の中で需給見通しを各都道府県に下ろしてきちっとした調査をいたしております。
また、先ほど申し上げたように、様々な情報収集の中で分析をいたしておりますので、どういう調査をしろと言われているのか、ちょっと私には分かりかねますけれども、具体的にお示しいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/58
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059・森ゆうこ
○森ゆうこ君 逆に私に質問しないでください。
私の方は、医師若しくは医療関係で働く人たちに、現場の人たちに直接マンパワー不足と感じるか否かの全国的な調査を行い、現在の医療提供体制を続ければどのような弊害があると考えるかを調査する必要があるというふうに申し上げたんです。そのような方向に基づいてやっていただければいいということなんですけれども、そのアイデアがないということですか、厚生労働省は。次の質問に絡めてまた見解を伺いたいと思います。
時間も限られておりますので、次の質問に移らせていただきたいと思います。
医療事故につきまして、続けて質問させていただきたいと思います。
先ほど、事故の定義というものがそもそも決まっていないという問題を指摘させていただいたわけですけれども、さはさりながら、患者、家族に対する相談支援体制の在り方というものをきちっと構築していくことが必要だと思います。そのような相談支援体制は現在どのようになっているのでしょうか、御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/59
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060・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 医療に関しまして、患者さん、あるいはその家族からの相談に対応する体制を確保するということは重要なことでございます。このため、医療法施行規則におきまして、特定機能病院及び臨床研修病院に対して患者相談窓口の設置について義務付けているところでございます。
また、患者さんやその家族からの医療に関する相談に中立公平に対応する体制の確保という観点から、医療の提供を行う当事者としての医療機関とは別に、第三者としての立場から都道府県等が相談に応じる医療安全支援センターの設置を平成十五年度から進めているところでございます。
これまでに、すべての都道府県に少なくとも一か所設置されまして、二次医療圏レベルに設置されたものを含めますと、全国で三百三十か所が設置されているところでございます。相談窓口には医師や看護師等の職員が配置されてございまして、都道府県や保健所設置市区におきましては一施設当たり四・四人の職員が配置されてございます。
今回の改正法案では、この医療安全支援センターの制度化を行うことといたしておりまして、都道府県、保健所設置市区はセンターを設置するように努めなければならないとするほか、センターの機能として、患者さんやその家族からの苦情や相談に対応するとともに、必要に応じて医療機関に助言すること等を明確にしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/60
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061・森ゆうこ
○森ゆうこ君 そこで伺いたいんですけれども、今ほどは医療安全支援センターの設置状況について御報告がありましたが、弁護士が結成した医療事故相談センターと今ほどの御報告の医療安全支援センターとの関係はどのようになっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/61
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062・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 委員御指摘の弁護士さんによる医療事故に関する相談センターが各地で設置され、医療事故被害者に対する法律相談活動が行われているというふうに伺っております。
医療安全支援センターにおきましては、活動方針等を協議するために医療安全推進協議会を設けることといたしてございますが、例えば愛知県及び名古屋市の医療安全支援センターにおきましては、医療事故相談センターの弁護士さんが医療安全推進協議会の委員として参加していらっしゃいます。また、地域における患者さんやその家族からの相談内容によっては法律の専門家との連携が適当なものもあることから、必要に応じて医療事故相談センター等と連絡調整を行っているという状況でございます。
このように、医療安全支援センターにおきましては、患者さんやその家族からの多様な相談内容に応じられるよう、医療事故相談センターを始め地域の医療関係団体や消費者相談センター等、他の機関と連携を図るよう努めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/62
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063・森ゆうこ
○森ゆうこ君 この医療事故の問題につきましては、いたずらに医療紛争として訴訟にならないで解決した方が私は患者さんのためにも、それから医療従事者のためにもなると思います。
それで、紛争をせずに、裁判せず解決する方法としてADR等を活用した第三者による患者と医療機関側の意思の疎通を図るべきではないかと考えますが、その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/63
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064・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 医療機関に対する苦情の多くは、患者さん、家族と医療機関とのコミュニケーションが十分でないということが考えられますので、患者等と医療機関との意思疎通を図る上で第三者による相談等を活用するということも有用であると認識してございます。
このため、厚生労働省におきましても、従来から、医療機関以外の第三者による相談窓口といたしまして今申し上げました医療安全支援センターを設置してきたところでございます。また、今回の法案につきましても、このセンターを制度化し、その機能の強化を図っているというところでございます。
あわせまして、研修の実施によりましてセンターの職員資質の向上を図るなど、話合いが円滑に行われるような環境整備にも併せて努めておるところでございます。
御指摘のADR、裁判外紛争処理制度でございますが、これの活用につきましては、この医療安全支援センターの活用も含めまして、裁判外紛争処理制度の在り方に関し、現在厚生労働科学研究におきまして諸外国の制度等について研究を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/64
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065・森ゆうこ
○森ゆうこ君 その結論が出るのはいつですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/65
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066・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 今研究を行っておるところでございまして、今手持ちの資料で、何年度に終了する研究であるかが明確でありませんが、通常、三年がめどでございますので、今が何年目かによりますけれども、あと一、二年の間にはこれの研究の成果は出てくると思います。
ただ、この研究成果を待ってということではなくて、この成果をもちろん待ちますけれども、併せて今モデル事業等も行っているところでございまして、各方面の意見、審議会の意見等も含めまして、ADRというものをどのように進めていくかということについては検討を進めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/66
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067・森ゆうこ
○森ゆうこ君 大臣に一言伺いたいんですけれども、こういうようなものを活用してきちんとした被害者の救済制度というものを早期に私は構築すべきではないかと考えます。通告はしておりませんけれども、二年待って、三年待ってという話では、これはますます医療現場の荒廃というものが進むのではないか。また、患者さん、そして被害者、家族等々の苦痛というものが解消されないのではないかと考えます。
通告していなくて申し訳ないんですが、ある程度の期間を少し政治家として示していただければ有り難いんですけれども、そのようなADR等も活用したきちんとした救済制度等の構築について大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/67
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068・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 医療事故の問題で、福島県の大野病院でしたでしょうか、ああいうケースの場合について、届出を第三者機関にして、それがどういう形で医療行為が行われてそういう結果になったか、それを明確にしていくと、その機関というものを各県単位若しくはブロック単位、また若しくは診療科単位で持つべきであろうと、こういう議論を私ども今させていただいているところであり、これについては私どもも今様々なモデル事業をやっておりますけれども、方向性はできるだけ早く出さなきゃならぬだろうと、こういうふうに一つ思っております。
これは正に医療関係者の皆さん方から強い御要望のあることであり、司法がすぐ介入するということではなくて、第三者機関に届けてしっかりその実態を把握してもらうということが医療機関からの一つの提案だろうと思っています。
一方で、被害者の皆さん方からいきますと、やはり治療に当たられたお医者様との間のコミュニケーションの問題等もありますので、最終的には弁護士をもって争う、司法をもって争うということになるかもしれませんけれども、その前に、医療安全支援センターでしっかりお話を聞かせていただいて、専門家も含めてそうしたものに対応できるようにという制度を持たせていただいております。その支援センターでやっていく中で、裁判でもってやった方がいいか、ADRみたいな形で処理をした方がいいか、これはいろんな方法、方向が出てくるであろうと思いますので、もちろんADRでやっていくのも当然一つの処理手段だろうというように私ども思っております。
だから、そういう意味では、もう少し議論をさせていただいて方向性は出さなきゃならぬと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/68
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069・森ゆうこ
○森ゆうこ君 この問題に関しましては後で櫻井委員の方からもまた詳しく質問があるかと思います。私の方からは一つ提案をさせていただきたいと思うんですけれども。
きちんとした救済制度をつくる。その中で、医療というのはある意味リスクがあるわけでございまして、医療事故に遭われた患者さんにやはり補償をきちんと円滑に行うということが非常に重要ではないかと思います。私は、自動車の自賠責保険のような強制加入の制度をこの医療に関しても創設する必要があるというふうに考えますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/69
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070・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) これは今現状を申し上げますと、医療事故に遭われた患者に対する補償について、病院や医師が民間の医療賠償責任保険に加入することなどにより対応されております。問題は、この医療賠償責任保険に入る人が少ないがために国が強制で掛けたらどうだという御提案だろうと思いますけれども、基本的にはやはり民間の保険というものを使う方がいいんではないかというように思います。しかし、国で何か担保した方がいいという議論も一つのお考え方としてあることは私ども承知しております。
ただ、国がそういう形で入るということになりますと、これは自賠責も同じでございますが、警察が事故の認定を行うということでございますので、補償の前提となる事実関係をだれかが認定しないと、国の強制という保険になりますと、それが動いていかないということになります。そうしたものも含めて議論をしなければならないだろうと。
また、現実に医療賠償責任保険にどのぐらい医師の方が入られているか、ちょっと私今数字を持っておりませんので後で、その実態で、この民間保険にきちっと入っているということなら、あえて国が自賠責保険を掛ける必要はないだろうと、このように理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/70
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071・森ゆうこ
○森ゆうこ君 交通事故と比較して申し訳ないんですけれども、そもそも医療事故の実態というのは、先ほどの議論の中でもありましたように全体を把握していらっしゃらないんですね、厚生労働省は。まずそのことは問題だと思いますし、ある研究報告によりますと、年間の医療事故による死亡者数は二万六千人という、このような御報告もあります。
一方で、交通事故は七、八千人というような現状の中で、我々もみんな運転免許を持っている。運転するときには交通事故を起こすリスクがあるわけですね。そして、歩行者等も被害者になるリスクがある。そのときに、重大な過失または故意ではないのに一々裁判になって、またその補償等がきちんとされないということでは非常に不幸な結果を招くと思いますので、私はそういう意味で、医療にはやはりリスクがあるという観点から立てば、このような自動車の自賠責保険のような強制加入の制度というものは早急に検討すべきであるというふうに考えております。
時間がありませんので、最後の方の質問に移らせていただきたいと思います。
この問題に関しては、医療と介護の機能分担、そして連携の必要性について最後に質問させていただきたいと思います。
医療と介護の連携については、先般の質問でも言及をさせていただきましたけれども、この道のりは遠いのが現状でございます。しかし、退院時に主治医とケアマネジャーがケアカンファレンスに参加して医療と介護の機能分担と連携を果たしている尾道市の例がございます。いわゆる尾道方式のように、地域では地道に医療と介護の連携を模索する動きが広まっております。このことを考えますと、尾道のような好事例を生かすことが私は重要であると考えます。
そこで、今回の医療法改正によって、「病院又は診療所の管理者は、患者を退院させるときは、退院後の療養に必要な保健医療サービス又は福祉サービスに関する事項を記載した書面の作成、交付及び適切な説明が行われるよう努めなければならない。」というふうに、医療法第六条の四第三項でされております。
このように、法律案では、退院時に説明しなければならないとしている項目に保健医療サービスのみならず福祉サービスが入っておりまして、本来ならば私としては評価できるというふうに思っているんですが、しかし、五月三十日の当委員会で足立議員から御指摘があったように、リハビリテーションの算定日数に診療報酬上の上限を設けてみたり、それから医療と介護のリハビリテーションに係る診療報酬上の連携が悪ければ、せっかくの医療と介護の連携の好事例も広がらないのではないかと、このような懸念がますます強まってまいりました。
そこで、医療と介護の連携を円滑に推進するためには、足立議員が指摘されたように、医療と介護の連携を十分に果たせるような診療報酬、そして介護報酬を設定していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。また、診療報酬以外にどのような課題があるのか、そしてそうした課題にどのように取り組まれるおつもりなのか、最後に伺いたいと思います。大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/71
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072・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 今御指摘いただきました医療と介護の連携、高齢者に対して良質な医療、介護サービスを効率的に提供してその生活の質を改善していくという観点から重要な課題だと考えております。このため、医療保険サービスと介護保険サービスの間で円滑な連携が得られるよう、診療報酬及び介護報酬において様々な仕組みを設けております。
例えば、診療報酬において、先ほどお話しいただきましたように、医療機関から退院する場合に診療情報提供料を算定できる介護保険関連施設の範囲を拡大する。診療報酬上の在宅療養支援診療所の届出に当たって、介護支援専門員等との連携を要件とする。介護報酬において、介護支援専門員が、要介護者の退院、退所に当たって、病院、施設等と居宅サービス事業者との連携を図りつつ、居宅サービス計画を策定した際の加算を創設する等の措置を講じております。
一方、今御指摘いただきましたリハビリテーションについては、限られた医療保険財源を発症後早期のリハビリテーションや集中的かつ専門的なリハビリテーションに重点的に配分する一方、症状が固定した後の機能の維持を目的とするリハビリテーションについては介護保険で対応するということにさせていただきました。医療保険によるサービスと介護保険によるサービスが適切に提供されるために主治医と介護支援専門員との間の連携が、今何が必要だと言われましたら、ここのところをしっかり積み上げていけるような対策を組んでいくことが極めて重要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/72
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073・森ゆうこ
○森ゆうこ君 時間ですので、終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/73
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074・山下英利
○委員長(山下英利君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に財務省大臣官房審議官佐々木豊成君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/74
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075・山下英利
○委員長(山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/75
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076・櫻井充
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井でございます。
今いろいろ議論をお伺いしておりましたが、なかなか具体的に、こうしていきたいと、こういう方向にしていくんだと、その方向性がなかなか見えてこないと、そこが一番大きな問題なのかなと思いますし、大臣、もう一つ、これ現場で何が困っているのかというと、制度がころころころころ変わることです。つまり、そういうことに対して設備投資をしました。ところが、今度は療養病床のところはまた変えなきゃいけないわけですね。こういうことをやられたら現場は何ともなりませんよ。医療費が削減されているだけの問題ではなくて、こういうことをきちんとした形でやっていただかないと、つまり将来推計そのもの自体将来どういうふうにしていくんだということがきちんと見えてこないからこういうことになっているんだろうと思いますし、もし制度を変えるとしても、前段、例えば一年とか二年とかの猶予期間を持つとか、こういう方向でやっていきたいとか、そういうことをやらないとかなり大変だと思いますね。
前回の診療報酬体系のときも、整形外科が相当利益を出しているからなのかもしれませんが、MRIの点数が物すごく激減されるわけです。私の知り合いの方などは、MRIを導入してわずか三か月後に保険点数が変わって、もう四苦八苦しておりますね。ですから、そういうような混乱を避けるためにもう少しきちんとした制度設計をしていただければ有り難いなと、そう思います。
その意味で、医療費のことについて相当議論はされていると思いますが、まず経済財政諮問会議の方々の答申の案として、平成三十七年度には四十二兆円でやっていけるんだと、こういうふうな提示がございました。
時間がないので端的にお答えいただきたいと思いますが、この医療費の水準できちんとした適切な医療が提供できるとお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/76
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077・松山健士
○政府参考人(松山健士君) 先生ただいま御指摘の点でございますけれども、お断りいたしておきたいと思いますのは、御指摘の議論、経済財政諮問会議の議論は昨年夏から秋にかけまして……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/77
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078・櫻井充
○櫻井充君 端的に答えてくださいよ。時間がないんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/78
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079・松山健士
○政府参考人(松山健士君) はい。昨年秋にかけまして行われた議論でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/79
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080・櫻井充
○櫻井充君 ちゃんと端的に答えてくれよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/80
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081・松山健士
○政府参考人(松山健士君) はい。その議論でございますけれども、諮問会議では、有識者議員から、今後急速な高齢化の進展に伴いまして医療費の増大が見込まれる中、国民の安心の基盤である皆保険を負担面から見て持続可能なものとするためには経済規模とその動向に留意する必要があるという認識の下、民間議員から、例えばということで、名目GDPに高齢化を加味したマクロ経済指標を用いて医療給付費の伸びを抑制するということについて提案がございました。
しかし、その後、厚生労働大臣からもいろんなお話を伺いまして、その後の議論の中で、政府・与党協議会、先生御存じのとおりでございますけれども、最終的には政府・与党協議会で……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/81
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082・櫻井充
○櫻井充君 結構です。そんなの聞いてませんから。いいです、もう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/82
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083・松山健士
○政府参考人(松山健士君) 医療制度改革大綱が取りまとめられたと、そのように承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/83
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084・櫻井充
○櫻井充君 時間がないんだから、端的に答弁してください。ここはお願いしておきます。
申し上げたい点がありますが、私は、この四十二兆円という数字が適切だったのかどうかということをお伺いしているんです。これで適切な医療が提供できるとお考えですか。そのことでこれは提案されたんですね。その点についてだけ私はお伺いしたいんです。これは経済の規模から推定したものであって、経済の点から考えてこの四十二兆円を出されたということなんですね、今の答弁は。つまり、医療全体としてきちんとした適切な医療が提供できるかどうかの観点ではなくて経済的な点から出してきた数字ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/84
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085・松山健士
○政府参考人(松山健士君) 今の点でございますけれども、結論的には経済の面から出された数字であると。それは、一点だけ補足です、その医療保険制度を負担面から見て維持可能であるかどうかと、そういう観点から出されたものと、そのように承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/85
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086・櫻井充
○櫻井充君 その負担面からというのは、恐らく大きくは国の財政ということになるんだろうと思いますが、それでよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/86
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087・松山健士
○政府参考人(松山健士君) 財政のみならず保険料も含めまして国民が負担していくことが可能かと、そういう観点であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/87
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088・櫻井充
○櫻井充君 財務省にお伺いしますが、今、国の負担は八兆円、税金は八兆円程度だったかと思います。道路特定財源だけで十兆円を超える財源があるわけであって、道路にこれだけのお金を使うこと、そして医療費にこれだけしか使わないということ、これが適切なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/88
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089・鈴木正規
○政府参考人(鈴木正規君) 国の財政事情、委員御承知のとおり大変厳しゅうございますので、ただいまあらゆる経費につきまして節減の努力をお願いしてきているところでございまして、お話がございました道路事業につきましても、公共事業ベースでこの五年で二〇%を超える削減を努めるなど、そういう意味ではあらゆる経費について節減合理化の御努力をお願いしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/89
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090・櫻井充
○櫻井充君 私がお伺いしたいのは、削減するしないのの問題ではなくて、財務省が最終的な要するに割合を決めるわけでしょう。例えば厚生労働省が、四十二兆円ではなくて、この年に例えば極論を言えば百兆円にしたいといったって、それは財務省からすれば、それはできませんという相談になるんであって、そうすると、そこの調整は全部財務省が最終的に行うはずですね。そうすると、財務省として考えられるところは、いわゆる公共事業費とそれから社会保障、特に医療に対しての税金の投入額のバランスが今これでいいとお考えなのかどうか、私はそれをお伺いしているだけですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/90
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091・鈴木正規
○政府参考人(鈴木正規君) そういう意味で、各経費についていろいろそれぞれの経費の特殊性、その性格に応じて削減の御努力をお願いしているところでございますけれども、こうした結果、医療を含めました社会保障関係費の一般歳出に占める割合は、平成十二年度三五%程度でございましたけれども、それが年々上がっておりまして、現在四四%を超えるところまで上がっておりまして、そういう意味で各経費の性格に応じてそれぞれ各年度の予算編成をさせていただいているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/91
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092・櫻井充
○櫻井充君 つまり現状が、これが適正だということなんですね。私はそういうふうにお伺いしているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/92
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093・鈴木正規
○政府参考人(鈴木正規君) 毎年、政府部内で十分議論をいたしまして、その時点での最善の予算を提出させていただいているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/93
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094・櫻井充
○櫻井充君 なるほど、これがベストの選択だということだということだけはよく分かりました。
それでは、先ほど国民負担というお話がありましたが、私は一つ提案させていただきたいことがあります。それはこの国の生命保険料がどれだけ支払われているかということです。特に第三分野の伸び率は極めて大きくて、昨年度だけで約五千億円あります。アメリカンファミリーの、これコマーシャルを見ていただければ分かりますが、アメリカンファミリーは今一番選ばれている、医療保険も今一番選ばれているのはアフラックだと、これは大きな間違いです。一番選ばれているというか、少なくとも日本で一番選ばれている、そしてきちんとされている医療保険制度は、これは国民皆保険制度であるわけです。つまり、こういう、まず国民の皆さんに誤った情報を伝えるということは、僕は大きな問題だと思っております。
そして、もう一つ申し上げれば、例えばアメリカでステントを四本ぐらい入れると医療費は幾らぐらい掛かるかというと、九百万弱掛かります。アメリカの保険ですと保険の支払の上限が決まっていますから、例えばこの間、日本で旅行中に不幸にも心筋梗塞になられた方は四本ステントを入れて、そのときに全額で保険料は六百万しか出ませんでした。二つの保険会社に入っておられました。結局自費で幾らかというと、二百数十万支払うことになったんですが、医療費を掛け合いまして、最終的に百五十万で済んでおります。ただし、そういうことがあるので民間保険に相当な額で入らないといけないというのが、これアメリカの医療保険制度なんですね。
ところが、じゃ日本でもし四本ステントを入れたとすると一体入院費で幾ら掛かるかというと、まあ二百五十万円ぐらいだろうと思いますが、少なくとも上限が決まっておりますから、七万何がしか若しくはその倍の負担であって、要するに十数万円のところの負担で済むんだろうと思います。そうすると、今テレビのコマーシャルでじゃんじゃん流れていますが、一日入院したら一万円出ますと、三十日入院したら三十万出ます、こんなお金必要ないんですね。
こういったものを、本来であれば、民間の第三分野に投資させることではなくて、これを公的皆保険に回すシステムをつくっていくことの方が私は大事ではないのかな。この国の医療制度の一番すばらしいことは国民皆保険制度であって、それをまず維持するシステムをつくるべきだと、私はそう考えますが、厚生労働大臣、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/94
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095・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) もちろん、国の制度として国民皆保険制度を守っていくというのが私どもの一番基本方針でございます。
一方で、民間保険が様々な形でPRをしている。もちろん、その内容に問題があれば政府の方からも物を申し上げていかなければならないだろうと思います。しかし、現実、国民皆保険制度という制度と、多分、民間の保険の中で一番入っているのはというPRでしょうから、誤解を招くような部分があれば私どもチェックはしてみたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/95
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096・櫻井充
○櫻井充君 私は今ずっと財政金融委員会におりますが、その第三分野のところの保険がどういう経緯で入ってきたか、大臣、御存じでしょうか。
結局、ここの部分はアメリカの保険会社が独占的に入ってまいりました。そして、大事な点は、日本の生命保険会社はここにずっと手を出せなくて、そしてアメリカのところがほとんどのシェアを取った上でやっと日本のところの企業が参入できるようになっていっているんですよ。これが対日要望書にあるんですから。つまり、こういってアメリカの人たち、アメリカの企業の利益を出すためにこんなことをやらせる必要性、僕はないと思っているんですね。ですから、日本の国民皆保険制度が、すばらしい制度を守るためには、まずここを僕は是正していく必要性があるんだと思っているんです。
その意味で、もう一点お伺いしますが、財務省として優遇税制を掛けられているかと思いますが、その優遇税制によって税としての、税収、本来得られるべき税収が幾ら損失されているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/96
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097・佐々木豊成
○政府参考人(佐々木豊成君) 御質問は生命保険料控除に係る減収額であると存じますけれども、平成十八年度減収額の見込みでおよそ二千六百億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/97
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098・櫻井充
○櫻井充君 つまり、国策として、ある種こういうものに加入しなさいということを言っているわけですよ。そこがまず根本的な間違いで、そしてもう一つは、なぜこの制度ができたのかというと、貯蓄を推進するからこういった形の税額控除が創設されたと私は記憶しておりますが、それでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/98
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099・佐々木豊成
○政府参考人(佐々木豊成君) 御指摘のとおり、生命保険料控除が昭和二十六年に創設されましたときの理由として、長期貯蓄を奨励するための誘因的な措置であるというふうに言われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/99
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100・櫻井充
○櫻井充君 この国は貯蓄から投資に変わっていっているはずなんですね。であったとすると、まずこういう税制そのもの自体を変えていく必要性があるんじゃないでしょうか。
改めて、なぜこういうことを申し上げているのかというと、先ほどの経済財政諮問会議から出てきているのは、国民の皆さんの負担もなかなかでき難いからというお話でした。しかし、国民の皆さんは分からずにこういう医療保険制度には加入されているわけですよ。そしてしかも、この保険会社がどれだけの利益を上げているかということです。保険料収入が約七兆円で、そして保険の支払が四兆円弱だったかと思いますが、莫大な利益を上げてきている。
それから、もう一点申し上げると、アメリカはほとんどが民間の保険会社になっていますが、民間の保険会社のメディカルロス、要するに、お金を集めて給付する割合は八五%以下です。ところが、公的皆保険制度のメディカルロスは九八%。つまり、どちらが効率的なのかというと、集めたお金を医療に関して給付するという観点から考えれば、公的皆保険の方が圧倒的に効率的です。つまり、民営化されればすべてが効率的だと、そういうことを小泉総理や竹中大臣はおっしゃいますが、医療の分野に関しては決してそうではありません。
ですから、この辺のところのまず制度設計を見直していって、国民の皆さんに負担していただく、そのところを変えていかないといけないんじゃないかなと、私はそう思いますが、改めて、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/100
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101・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 今の御指摘は、民間のことを私がどうのこうの言う立場にはないと思いますけれども、私どもの皆保険制度のPRといいますか、内容の説明がまだ不行き届きだと、将来に対して医療に対する不安を与えてしまっておるという御質問の趣旨もあるだろうと思います。我々、やはりこの皆保険制度をしっかり守りながらやっていく、そしてその内容、もし入院するとしたときにどのぐらい掛かるかということもしっかり国民に周知するように努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/101
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102・櫻井充
○櫻井充君 民間のことだから口出しできないということとはそれは違うと思いますよ。つまり、国民の皆さんに対して誤った情報が提供されていて、誤ったお金の使い方をされているんだから、それを是正していってくださいと言うのは、これは当然のことなんじゃないですか。そして、何回も申し上げますが、そういうことをやることの方が国民皆保険制度を維持できることにつながっていくんじゃないだろうかと、私はそう思いますけれども、是非、大臣、そういう観点から改めて検討していただきたい。
特に、コマーシャルなど、かなり、かなりですね、我々からしてみると誇大広告ではないのかなと。先ほど申し上げましたとおり、日本で一番売れている医療保険だと。この医療保険がないとさも安心できないような、そういうような内容になっていますが、日本の制度は決してそうではありません。そのことを改めて強調しておきたいと思います。
それから、医師の問題についてるる質問がございましたが、改めてお伺いしたいのは、平成二十九年になると医師は過剰になると。そのときの医師数の設定の要件ですね、どういうことを、今は例えば入院ベッド十六に医者一人、それから外来四十人に医者一人という、そういう要件で医者の数を、必要数を算出しているんでしょうが、その平成二十九年のときに必要な医師数という、その算定要件を教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/102
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103・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 平成十年に行われました医師の需給に関する検討会では、必要医師数は患者数の動向や救急やへき地医療などの特定の分野における必要数を積み上げて求めてございまして、医療のあるべき姿を基に推計された上位推計と現状での医療提供体制を基に推計された下位推計を作成しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/103
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104・櫻井充
○櫻井充君 そんなの知っています。ですから、例えばどのぐらいの割合で医師が必要だということの医師定数をまず積み上げていく根拠となるところの要件を教えてくださいと申し上げているんですよ。
これ、通告していますからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/104
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105・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 今申し上げました考え方に沿って上位推計、下位推計を作成してございますけれども……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/105
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106・櫻井充
○櫻井充君 答弁になっていない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/106
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107・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 今回の推計とは、平成十年の推計とは少し異にしてございますけれども……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/107
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108・櫻井充
○櫻井充君 ちゃんと答弁できないなら止めてくださいよ、委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/108
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109・山下英利
○委員長(山下英利君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/109
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110・山下英利
○委員長(山下英利君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/110
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111・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 失礼をいたしました。
外来と入院と、大きい面では分けてございまして、外来につきましては、医師一人当たりの一日患者数について、患者一人当たりの平均診療時間を現在よりも長く見て十分といたしまして、これに伴い、医師一人当たりの一日患者数を四十二人で設定をしてやってございます。
それから、入院患者につきましては、一般病床と療養型病床群に、当時療養型病床群でございましたが、これに入院する者を区分いたしまして、これらの施設に勤務する医師数がそれぞれ医療法の標準定員を一割程度上回る数になるというふうに設定をしてございます。
そのほかに、へき地、救急あるいは国際協力、臨床研究、その指導医、大学病院等の数をこれに上乗せをしている、そういうやり方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/111
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112・櫻井充
○櫻井充君 前から申し上げているんですが、手術する医者の数がまず入っていないんですよ。検査する医者の数も入っていないんですよ。我々、毎日外来だけやっているわけじゃないんですね。ちゃんと検査もやっていますよ。例えば心臓のカテーテル検査をやるとすれば、最低医者は二人必要です。午後にやって三人ぐらいやれるかやれないか、そういうレベルですね。まずその人たちが算出されないでどうして医者が足りるということになるんでしょうか。
それから、当直の医者はどうなっていますか。そしてもう一つは、救急で当直をやった医者は次の日も働いていますよ、今。こういうことをやられているから、申し訳ないけれども、医療事故を起こす確率は高くなっていくわけですね。
お伺いしたいのは、なぜ、そういう手術をやる医者やそれから検査をやる医師、それから当直医など、それが算定要件に入らないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/112
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113・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) これは、このときの委員会の考え方に沿って行って、外来患者一人当たりの平均診療時間ということから患者数を割り出したということで、それから入院についても、先ほど申しましたように、医療法の標準定員を一割程度上回る、この中でのみ込めるという判断を当時いたしたものだというふうに考えてございます。
なお、昨年二月より実施してございます、今行っている新たな医師の需給に関する検討会では、今御指摘の、医師の労働時間や入院期間の短縮化など新しい状況を加味した新たなモデルによる定量的な検討を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/113
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114・櫻井充
○櫻井充君 そこの中で是非そういう数字も入れていただきたいと思います。もうこれ議論してもしようがないので。
その上で、じゃ医者は今偏在していると、ある部分は足りているんだということでしたが、そうすると、これもちゃんと通告していますが、常勤医だけで、医者の常勤医だけでですよ、定数を満たしている病院は今何割あるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/114
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115・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 平成十六年度における医療法第二十五条に基づく立入調査の結果によりますると、病院八千六百六十施設のうち八三・五%の七千二百三十三施設が医師の配置標準を満たしてございます。このうち常勤の医師だけで標準を満たしている病院がどのくらいあるかについては把握しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/115
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116・櫻井充
○櫻井充君 済みませんが、常勤で満たしてないものを満たしているとは言わないんですよ。私は現場にいたからよく分かりますけれども、しかも、これ一週間いなくても常勤に換算しているんですよ。週四日いて、一日は研修日だということにして大学で研修している医者もいますよ。それは僕は決してそれを否定するわけでも何でもありませんが、そういう人たちも全部、要するに一週間働いていることになって換算してその数字なんですね。
いいでしょうか。常勤医じゃなければきちんとした仕事はできませんよ。つまり、残った人たちがその部分を負担させられているわけであって、常勤医である数字をまずきちんと把握することによって、医師が足りてる、足りてないという論議になるんじゃないですか。
済みませんが、もうこれ以上議論しませんけれども、この数字を出していただきたいと思います。委員長、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/116
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117・山下英利
○委員長(山下英利君) 理事会で協議します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/117
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118・櫻井充
○櫻井充君 まずこの数字をきちんと把握した上で、偏在しているとか偏在していないという議論をするんだろうと思います。その上で、偏在している最たるはどこにあると厚生労働省はお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/118
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119・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 医師の偏在は、大きく分けて地域的なもの、それから最近話題になって、課題になってございます診療科によるものとがございます。
特に地域によるものにつきましては、これはかねてからへき地の問題というのは大きな課題となってございまして、そこは引き続き大きな課題であることは間違いないと思ってございます。
それから、診療科につきましては、最近、小児科、産科というようなところについての偏在ということが言われております。このほかにも、外科その他についてもあるというようなことを訴えるということを耳にすることはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/119
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120・櫻井充
○櫻井充君 じゃ、もうちょっと具体的にお伺いしましょう。
施設によって偏在もしているはずですね。どこの施設に医者が多く配置されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/120
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121・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 端的に申しますれば、大学病院が一番多いかと思います。そのほか、近年は研修病院がございますので、研修病院の一部には相当の志願者が集まっているというふうに伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/121
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122・櫻井充
○櫻井充君 研修病院の志願者というのは、これは研修医ですから、あくまで勉強する人たちなので、これまで医師定数に加えてもらっちゃ、ちょっと困るんですね。それから、指導される方々は臨床を基本的にはある程度免除されないといけないので、そこも算定数から本当は外してもらわないといけないはずなんですよ。ただ、そうすると医師定数満たさなくなるので大変なことになるから、もうそれは仕方がないと思います。
そこで、今問題になるのは、恐らく大学病院なんだろうと思います。私は五年半無給でございました。無給医局員をどうするかという議論になって、たしか大学院大学という形でもう身分の保障、身分というか、そういう身分にしてしまって、これは研究するという大義名分を付けていますが、実際のところはどういうことから起こっているのかといえば、その大学病院そのものがその人たちに対して給料を支払えないからなんじゃないのかなと、私は個人的にそう思っています。
私は、最後、医局員で辞めたからですが、月十五万の、しかも日雇い労働者で終わりました。社会保障もあのときはあったかないか忘れましたが、そういうような身分でしか働いていないというところに問題があって、もう一つ言うと、結局は医者が一番ていのいい労働者なんですよ。医者以外でやれるようなことをさんざんやらされておりまして、つまりここの大学病院に偏在している人たちをもう少しきちんとした形で吐き出すような形のものを取らないと、これは幾ら努力されても何ともならないんだと思うんですね。
こういう点に対して、文部科学省、いかがお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/122
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123・磯田文雄
○政府参考人(磯田文雄君) 大学院生の大学病院における診療への従事につきましては、自身の研究や診療技術の向上等を目的として診療に従事していると認識しておりますけれども、診療の実態が本来の目的と懸け離れているような場合には本来の目的に沿うように改めるほか、実態によっては雇用契約を締結し、雇用実態に見合った報酬を支払うなどの対応も検討するなど適切な対応を各大学に促しているところでございます。
また、大学院生の研究の状況や意向、大学病院の体制、地域の実情等に応じて大学院生が大学病院以外で診療に従事することも考えられると思います。今後とも、大学院や大学病院がその機能を十分発揮できるように努めるとともに、厚生労働省、総務省とも連携し、地域における医師の確保に取り組んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/123
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124・櫻井充
○櫻井充君 川崎大臣、もう医師免許を持ったら管轄は文部科学省から厚生労働省に移した方が私はいいと思いますけど、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/124
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125・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 一方で、大学病院で働くということになれば、これは当然大学病院の権限の中にありますから、文部省の管轄下に入っていくということについては、これは否定できないだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/125
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126・櫻井充
○櫻井充君 大学病院そのものが文部科学省にあることに関しては、じゃ大臣はいかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/126
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127・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) これを切り離すことができるかということですね、文科省、病院だけを。多分、大学病院の実態からいくと難しいんだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/127
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128・櫻井充
○櫻井充君 大学病院の実態から難しいことはよく分かっておりますが、しかしそのために様々な弊害があることも事実ではないでしょうか。
例えば、あそこは、特定機能病院に関していうと大学病院も指定から外れたはずですが、たしか研修指定病院のところは大学病院又は厚生労働大臣が指定した病院ということになって、どんなに大学病院が不適切なことをやっていたとしても、これは研修指定病院から外れないんですね。まず、こういうところから改めていく必要性があると僕は思っているんですよ。つまり、文科省そのものだけにそこを任せることではなくて、もうこれは金融の業界なんかも全部そうなっていますけれども、言わばきちんとした形で共管するという、そのまず一歩としてそういう考え方に立つべきではないのかなと、そう思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/128
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129・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 御指摘いただいた件について、文科省と私どもの連携をしっかりしていかなきゃならないという形で私は受け止めさせていただいております。
先ほどの大学の定員問題、地域枠問題とか、文科大臣が言われましたのは自治医科大のようにその地域に十年やってもらうようなことができないだろうかとか、いろんな御提案を小坂さんからももらっている。私の方も申し上げている。一方で、担当者レベルでもう少しやり合わなきゃならぬ。
そういう意味では、人事交流も含めて、この部門をしっかりやっていかなきゃならぬと。言われるように、両省がしっかり目を光らせてやっていく部門というように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/129
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130・櫻井充
○櫻井充君 こういうことはいつから取組されたんですか。
私、この間、財政金融委員会で、証券取引法等の一部を改正する法律で物すごく苦労したのは商品先物の扱いについてだったんですよ。これ、農水、経産でして、金融庁は全然手出せなかったんですよ。ですから、そのために不招請勧誘が残念ながらまた原則盛り込まれて、これ消費者の方々は物すごく苦労されているんですね。縦割り行政のもう、何というか、弊害というのはもう様々見られるわけですよ。
文部科学省に、僕ら、おかしいと思っているのは、私たち、免許を厚生労働大臣からいただいているんですよ。厚生労働大臣からいただいたって、働く先は今度は文部科学省にごちゃごちゃごちゃごちゃ言われるというのは、これおかしな話ですよ、ここのところは。
そして、今回の独立行政法人になって研究者の方々、相当苦労されています。ああいうシステムを文科省に任せていることそのものが僕は問題だと思っているんですね。やはり、医療の研究そのもの自体は、それは今度は教育の分野だけではなくて、医療という今度はそこの提供体制のところに全部関係してくることになるわけだから、ここのところはそんな交流へったくれの問題じゃなくて、共管にするかしないかは、これは大臣の当事者で話をするべきことであって、それは大臣がこれは政治家として決断されることですよ。大臣としてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/130
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131・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) この議論、昨日かおとといの答弁で少し申し上げたように、医官というものは多くが厚生労働省の中にあります。約二百三十名ですか。そういう意味では、その中の百十名が例えば総務省、例えば文科省、例えば防衛庁ということに出向しているのが実態でございます。そういった意味では、医療の専門家が文科省という分野にも入りながら、お互いの調整をしながらやっていると。これはかなり前からやらせていただいている。
ただ、私ども、小坂さんとお話し申し上げているのは、もう少しいろんな問題で前向きに進めなきゃならないという認識の下で話合いをさせていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/131
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132・櫻井充
○櫻井充君 こういうところをちゃんとやっていくのがこれは政治家の役割だと思っていますので、是非頑張っていただきたいと思います。
医師の需給問題は、平成二十九年には過剰になるんだそうです、これは推計で。つまり、医師を増やす、定員を増やすとか増やさないと先ほど大臣がおっしゃったのは、これ、今から増やしても六年後ですからねって。ですから、このままいくと、あと十年間は国民の皆さん、医師が足りないけど我慢してくださいと言われているようなものなのかなと、私は先ほどの答弁、そう感じました。
一方で、歯医者はどうなっているかというと、もう完全な供給過剰ですよね。もう都市部は相当廃業されている方が出てきていると。そうすると、歯科の方に関しての需給問題一切手を付けてないというのは、これ一体どういうことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/132
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133・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 歯科医師数が供給過剰になっているという認識は私、強く持っておりまして、かなりこれも文科省と話しています、もう少し踏み込んでくれないかと。まだいい返事はもらっていません。
しかし、全体の数を見たときに何らかの対策を打たなきゃならぬ状況にはあると、こういう認識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/133
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134・櫻井充
○櫻井充君 文科省、なぜいい返事ができないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/134
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135・磯田文雄
○政府参考人(磯田文雄君) 文部科学省におきましては、平成十年に厚生省で需給に関する検討が行われた、新規参入医師数を更に一〇%程度抑制すると、この方針の下に……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/135
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136・櫻井充
○櫻井充君 医師じゃない、歯医者だよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/136
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137・磯田文雄
○政府参考人(磯田文雄君) 失礼しました。歯科医師でございました。失礼しました。
新規参入歯科医師を更に一〇%程度抑制するということで、各国公私立大学に対しまして入学定員の削減を各種会議等の機会をとらえて要請を行ってきているところでございます。
平成十一年度以降平成十七年度までに、歯学部では国立大学四十五人、私立大学二名の削減というところでございます。今後とも、各大学等に働き掛けてまいりたいということで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/137
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138・櫻井充
○櫻井充君 大臣、医師が増えた際に、医師を養成するときに相当なお金が掛かって、だから供給過剰になったら問題だって書いてありますよ。これは歯医者も同じですよ。一人育てるのに三千万から四千万ぐらい掛かりますよね。そこのお金が完全に無駄になっているじゃないですか。そして、ましてや私立に入られる方々、親がそれは相当な負担をされて、歯医者になれなかったらどうなるんですか。
そして、もう一つ言えば、そういう供給過剰の状態にあるから、大変申し訳ないけど、過剰診療していかないと食べていけない人たちが山のようにいるという、これ、実態をどう解決していくのかということ、これ大変な問題ですよ。これこそ早期に是正していただかなきゃいけないと思いますけれども、大臣の決意をお述べいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/138
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139・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 実は、この問題点、歯科医師会の皆さん方、新しい体制になってごあいさつに来られましたので、私の方から実は切り出しをしてあるんです。どういうふうに、先ほどの議論のように当然業界の意見もしっかり聞けと、こういうお話がございますので、実はこういう問題についてどう考えるか、一方で文科省どう考えるかということで、正に調整をしなきゃならぬ課題であると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/139
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140・櫻井充
○櫻井充君 不思議なのは、医師が足りない業界からの話はちゃんと聞いているんですか、じゃ。地方自治体の話はちゃんと聞いているんですか。そういうのは聞いているのかどうか分かりませんが、そちらにも対策を取らない。そして、こちら側は多いのに、じゃ、これから聞きましょう、そしてそれから対策を取りましょうと。要するに何もしていないということじゃないですか、これじゃ。こんなことやっていたら国民の皆さんにとって大変なことになりますよ。それこそ福島の県立大野病院のところは、これは産婦人科が閉鎖になりましたからね。そうすると、どこで産むことになるんでしょうか。
つまり、リスクを持っている、先ほどの話になりますが、要するに医療ミスと医療事故のところのまず区分けをしていただかなきゃいけない。リスクのある患者さんに対してリスクを持って治療するということは、事故とミスとをまずきちんとしていただかなきゃいけないし、時間がないので、私は、そういう点でいうと、無過失補償のような制度を設けてやらないといけないんじゃないか。このことによって、医療従事者は医療従事者である程度リスクがあっても安心して医療に携わることができるし、患者さんは患者さんにとってみたって今は訴訟をして勝たないと補償が得られない。そうでない重症な人たちもかなりいらっしゃって、そういう人たちに対しての補償制度を充実させることの方が大事で、むしろ民間の保険会社にやってもらうんだったらこういう分野のところの保険を担ってもらった方が私はいいんじゃないのかなと、そう思いますけど、大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/140
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141・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 一つは、正にその補償の問題にどう国が関与するか、また財源的にどうするかと、こういう問題が一つあるだろうと。もう一つは、医療事故と決定されるのかどうか、そういうものが起きたときに、第三者の機関に届けて、それでしっかり解明をしてもらう、この二つの制度をしっかりつくってほしいと。これは、話を聞いているのかというお話がございましたから、この間もいろんな皆さん方、産科の皆さん方来ていただいて、学会また医師会、また診療に当たられておる女医さんの話も聞かせていただいて、方向性としてはその二つの方向性があるなというように私も理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/141
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142・櫻井充
○櫻井充君 よろしくお願いします。
これは、今、産婦人科や医療関係者からということになっていますが、むしろこれ患者さんにとってもすごくいい制度なんですよね。ですから、患者団体の方々で御苦労されている方がいらっしゃいますから、まずそこのところをきちんと聞いていただければ有り難いなと、そう思います。
もう一点、この間、歯科のことについて質問させていただきました文書の件でございますが、あれだけのあのアンケートの数をお示ししまして、それで関係者に読んでほしいというお願いをいたしました。その結果、厚生労働省として今どう考えていらっしゃるのか、御答弁いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/142
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143・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 委員が申されたのは、今回の診療報酬改定で患者への情報提供を推進する、そのときに文書により患者に情報提供することを指導管理料の算定要件にしたということに関するものだと思います。
委員が独自に行われたアンケート調査、私ども拝見させていただきましたけれども、一日当たりの文書提供患者数は約十八人、それから文書提供に費やす一日当たりの時間が約九十四分ということであったと承知をしてございますけれども、まず時間に関して申し上げますと、今回の改定に当たりまして私どもが参照いたしました日本歯科医学会のタイムスタディー調査の結果、すなわち文書提供を伴う情報提供に要する時間が平均で四分から十分程度ということでございましたので、大体これは同じような結果であったんじゃないかと、このように考えてございます。つまり、事実関係としては私どもも共通の認識でございます。
それからもう一つ、委員が独自に行われたアンケート調査の中で、歯科医師の方から文書作成のために治療時間を削らざるを得ない、こういう意見でありますとか、歯科医師の目から見た患者の意見ということでございますけれども、患者から説明文書は不要ではないかといった意見が出されたものと承知をしてございます。
事務負担の点につきましては、私ども、必要、適切な範囲で文書提供をお願いしたということでございますが、さらに実施に当たりましては、カルテでありますとかレセプトの記載につきまして、運用面での簡素化を行うなど、事務負担の軽減にも配慮したところでございます。
それから、ただこの文書提供を受けた患者の意識につきましては、実は私ども今回の改定前、平成十七年二月でございますが、日本歯科医学会が行った調査によりますと、説明用紙を受領している方が受領していない場合よりも非常に分かりやすかったとする回答が多かったと把握してございます。その意味ではちょっとニュアンスが違うのかなと思っております。
いずれにしましても、今回の診療報酬改定の結果につきましては、中医協の下の診療報酬改定結果検証部会におきまして検証作業を行っていくこととしてございまして、御指摘のその歯科診療におきます情報提供の推進につきましては、これは平成十八年度改定全体のスケジュールの中で、文書提供による患者の満足度、それから文書作成に係る事務負担等の観点から調査設計を行い次第、今年の秋にも調査を始める方向で検討してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/143
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144・櫻井充
○櫻井充君 済みません、秋ですか。私はもうこの間終わりましたよ、まあ二千件弱ですけどね。厚生省、どのぐらいやられるのか分かりませんが、これ現場の歯医者さんだけじゃなくて患者さんからも本当に待ち時間が長くなって診療時間短くなって困るって言われていることをなぜそんな秋からやるんですか。
それからもう一つ、これ日本歯科医学会の私は報告書をいただいて見ましたが、これは非常に分かりやすかったという点でいうと確かに四四・五対二六・四ですよ。ですがね、普通はこういう取り方しないじゃないですか。非常に分かりやすかったと分かりやすかったとを合わせた数字出してくるじゃないですか。しかも、今回の全体の初診時の説明用紙なしの中で無回答というのが一七・三%もあって、こちら側の説明ありのところはほとんどないんですよ。つまりは、厚生労働省からしてみれば、この無回答はよく分からなかったのところに入れてこれはカウントしていることと一緒ですよ。こんな恣意的なやり方をしてみたら、それは、そこのところの有意差を取ってみて有意差がありましたと言ったらこれおかしな話ですよ。この無回答がなくなって、分かりやすかった、非常に分かりやすかったを足すと九五%ぐらいと八八%ぐらいで、ほとんど有意差ないですよ、これは。ほとんどじゃありません、有意差出ませんよ、統計学的に言ったら。そして、この総括の中でも、今までも説明は十分受けていると。ただ、分かりにくいと書いてあるのは、恐らくはその診療内容について分かりにくいということだと思います。
それから、歯科医学会の名誉のために言っておきますが、歯科医学会は今回のこういうことのためにやっているのではなくて、あくまでかかりつけ初診のことについてのみやったのであって、毎回毎回出さなきゃいけないのかという意識調査とは違いますからね、これは、言っておきますが。
つまり、元々違っている形でやっている調査をねじ曲げて、都合のいい形でデータとして出してくること自体はアンフェアじゃないですか。この間そういう答弁をされたからちゃんと全部調べましたよ。学会の関係者にお伺いしました。しかし、やっていることは違いますからね。このデータを使える、今の数字の、おかしいと、私はおかしいと思いますが、大臣、私のこの考えを聞いてどうお考えになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/144
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145・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 実は櫻井委員からそういう御質問を過日いただきましたので、歯科医師会の幹部の皆さんが来たときも直接お話をさしていただきました。先ほど申し上げたように、いろいろな作成方法の簡略化、資料が重複しないようにやるというようなことで通達を四月末と五月ですか、出さしていただいた、それによってある程度改善をされてきているというお話は聞かしていただいたところでございます。一方で、我々はやはりしっかり検証もしなきゃならぬという中で、検証をしていこうということでやらしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/145
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146・櫻井充
○櫻井充君 調査されるんなら調査されるで結構ですが、秋などと言わずに今すぐ始めてもらいたい。そうじゃないと本当に現場の歯医者さんとそれから患者さんが苦労されている。
それからもう一つは、大変申し訳ないけど、現場で本当に最前線でやっている方々とその会の運営のために診療時間をそこに割いている方々と意識は全く違いますからね。特に、若手の開業医の方々は歯科の供給過剰によって相当苦労されていて、そこの中でまた時間を削減しなきゃいけない。いい医療を提供したいと思ってもできない。ここの声をきちんと聞いていただけたら有り難いなと思います。
最後に、今回の後期高齢者医療制度保険料について質問させていただきますが、この後期の医療制度の保険料で、基礎年金の受給者、基礎年金七十九万円の方、この方は応益負担で九百円だと。ところが、子供と同居すると応益負担が三千百円になると。なぜ子供と同居すると保険料が上がるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/146
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147・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 後期高齢者医療制度の保険料についてのお尋ねでございますけれども、まずこの保険料につきましては、公的年金制度の充実化、成熟化ということで、高齢者の経済的、社会的自立を踏まえて、被保険者である高齢者お一人お一人に対して保険料を賦課することを基本にしているわけでございます。
その際、この後期高齢者の方々が約八割が現行の国民健康保険に加入しておられて、その大半が住民税を課税されていないという事情がございます。したがいまして、所得把握が難しいという事情がございます。もう一方で、社会実態といたしまして世帯単位で生計が維持されているということを考慮いたしますと、保険料を軽減する際の基準につきましては、現行の国保と同様、世帯としての負担能力に着目して決定するということが適当であると考えてございます。
したがいまして、保険料を決定する際に世帯としての負担能力に着目するので、同居する場合には高くなるということがございますし、お一人で、完全にお一人の世帯ということになりますと、基礎年金だけでありますと御指摘のように月額九百円程度になると、このような結果になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/147
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148・櫻井充
○櫻井充君 それは、制度の説明はそれで分かっております。なぜそういうことがまかり通るんでしょうか。
つまり、例えば、今私はおふくろと別れて生活していますが、体も動かなくなったんで、じゃ我が家に引き取りましょうといったらこれ保険料上がるんですよ。まだ私に余裕があったらそれは払えるかもしれないけれど、そうでなくてかつかつでやっている方にしてみれば、なぜ月々二千二百円の差が出てくるんですか。家族と同居すると保険料が上がるなんという制度があったら、これは家族と同居するなと言っているようなもんじゃないですか。違いますか、大臣。大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/148
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149・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 今御答弁させていただいたように、世帯の負担能力という形で算定をさせていただいているというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/149
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150・櫻井充
○櫻井充君 それは分かっております。世帯でそうやって負担しろということは、親と同居すると負担が増えるということになりますね。そういう認識ですよ、これは。そのことが国民の皆さんに受け入れられるとお思いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/150
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151・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 確かに、できるだけ同居を進めていきたいということは一つの大きな方針でございます。しかし、一方で、どういう御負担をお互いが公平の中でやっていくかという中で、負担能力がある人たちには、大変厳しい負担になるかもしれませんけれども、お願いをしていきたいと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/151
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152・櫻井充
○櫻井充君 お願いするのは自由ですが、公平にお願いしていただきたい。
つまり、例えば介護保険なら介護保険で、まあ介護保険じゃなくてもいいです、御家族がやはり子供さんと、自宅で亡くなりたいといっても、一人でそこで生活することは無理な話ですから、最後は家族と同居することになるんですよ。その家族と同居をすると保険料が上がりますという制度はあるんでしょうか。ましてや、例えば家族と同居して少しでも介護保険を、そういう負担を掛けないように努力しようと思って家族が介護するような形になったとしても、この人たちは医療保険だって何だって全部負担させられるということになったら、これは家族をばらばらにするような制度じゃないですか。私はおかしいと思いますけど、大臣、違いますかね。大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/152
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153・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) まず、親子の同居、別居ということが必ずしも別の要素で、この保険料だけで決まってくるものではないと思いますし、むしろ居住でありますとか生計維持関係の上に立って、それに保険料を適用していくと、保険関係を適用していくと、こういうことでございます。
したがいまして、社会実態として世帯が分離していれば分離する扱いになるし、一緒であれば同様に扱うということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/153
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154・櫻井充
○櫻井充君 大臣、今の国の制度を見てると、いいかどうかは別としてですよ、ゼロ歳児保育を推進したら、これは子供と、赤ん坊と別れて生活しなさいということですね。介護の施設介護をどんどん充実しなさいと言ってったら、これは最後は別れて生活しなさいということですね。そうでなくて、じゃ今度は在宅介護だと、在宅医療だと。じゃ、今度は女性は、働く女性は、女性のためにと言って政策を取られてますね、でも女性は、じゃどうするんですか。そこの家で例えば女性が出ていって、女性が面倒見ることが全部がおかしいと言われて、じゃ男性がそこのところに入っていくんでしょうか。つまり、今の制度設計を見てくると、すべての方向性がばらばらでしかないんじゃないのかなと、そう思います。もう一度申し上げると、今の制度設計そのもの自体で全部絵をかいて見てください、厚生労働省がおっしゃっているようなこと。これで本当に成り立っていくんでしょうか。
それから、何度も申し上げますが、こういう形で家族が家族を面倒見ようと、そういう家族が少なくなってきている中で、この家族が家族を面倒見ようといったときには家族の負担として保険料が引き上がるなんという、こういうばかな制度をつくられたら同居しなくなりますよ。いいですか。今まで別々に暮らしていたら九百円だったのに、引き取ったら三千百円になるんですからね。そういうような、同居すると不利になるような制度設計にすること自体、私は問題だと思ってますし、むしろ高齢者の方々と一緒に暮らしたら、高齢者扶養控除とかそういうような制度を創設して、家族一緒に暮らしましょうよという、そういう国をつくっていくべきではないのかなと、私はそう思っておりまして、そのことを指摘して、質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/154
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155・山下英利
○委員長(山下英利君) 午後一時三十分から再開することとし、休憩いたします。
午後零時十六分休憩
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午後一時三十九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/155
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156・山下英利
○委員長(山下英利君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として家西悟君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/156
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157・山下英利
○委員長(山下英利君) 休憩前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/157
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158・島田智哉子
○島田智哉子君 民主党・新緑風会の島田智哉子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、思春期における子供の心の問題についてお聞きいたしたいと思います。
先週の本会議で、自殺対策基本法が参議院で可決をいたしました。これまで超党派でお取り組みいただいてまいりました議員の皆様に心より敬意を表する次第でございます。
この自殺の中でも、思春期の自殺ということで見ましたときに、今年三月に報告のありました健やか親子21中間評価報告の中で十代の女子について増加傾向にあることが指摘されておりました。そこで、まず十代の自殺の状況について御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/158
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159・白石順一
○政府参考人(白石順一君) 今御指摘いただきましたように、健やか親子21の中間報告を今年の三月に発表いたしましたが、その数字で策定時の平成十二年と平成十六年の値を比較してみますと、十歳から十四歳、男女合わせてでございますけれども、人口十万人対一・一から〇・八と若干減少しておりますが、十五歳から十九歳では六・四から七・五へと増加しております。また、特に御指摘いただきました女子につきましては、十歳から十四歳の場合〇・五から〇・八、十五歳から十九歳では三・八から五・七と若干ではございますが増加傾向にあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/159
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160・島田智哉子
○島田智哉子君 参議院を可決しました自殺対策基本法の中では、「基本的施策」、「調査研究の推進等」として、「国及び地方公共団体は、自殺の防止等に関し、調査研究を推進し、並びに情報の収集、整理、分析及び提供を行うものとする。」こととされております。
そこで、文科省にお聞きをいたします。
文科省では児童生徒の自殺者数について、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査の中で報告されております。平成十七年九月の公表されたものの中で、平成十六年度の全国の公立の小学校、中学校及び高等学校の児童生徒の自殺者数は、小学生で四人、中学生で三十人、高校生で九十一人の合計百二十五人の子供たちが自殺によって亡くなったとしております。しかし、他方、警察庁の自殺の概要資料によりますと、平成十六年の自殺者数は小学生十名、中学生七十人、高校生二百四人、合計二百八十四人とされておりまして、それぞれの自殺者数は大きく異なっております。これは暦年と年度の違いがあるにしましても、余りにもその数に乖離がございます。
その大きな理由として、文科省の調査は公立学校に限定をしております。なぜ公立学校に限定されているのでしょうか。これでは、調査研究を行うにしても分析を行うにしても、その実態の把握すらされていないということになると思いますが、この点についてどういった理由があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/160
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161・山中伸一
○政府参考人(山中伸一君) 文部科学省でございます。
先生御指摘のとおり、文部科学省で自殺に関しましては生徒指導上の諸問題に関する調査の一環として実施しているところでございます。これは、いろいろないじめの問題でございますとか、問題が発生いたしましたときにその状況を把握しようという過程で調査してきているその一環でございますけれども、先生御指摘のとおり、文部科学省の調査は公立の学校、小中高等学校を対象としているということがございまして、警察庁の調査の方は国公私を問わず小中高校生が調査の対象になっておりますので、その数が文部科学省の百二十五人に対して、警察の方の調査でございますと二百八十四人といった状況になっているところでございます。これは、文部科学省で調査いたします場合に、調査の協力が得られやすい公立学校をまず調査してきたというところがあったところでございます。
また、数の把握の点でございますけれども、警察庁の調査でございますと捜査権限がある警察が行うということがあるのに対し、文部科学省の把握の方は、あくまでも学校、それからそれを通じまして教育委員会が把握できた情報を基にしているという点がございまして、保護者がそういう自殺という情報を提供を望まないという場合には自殺の情報を把握することが困難な点も、そういう事情もあるのではないかとも考えられるところでございます。しかしながら、先生御指摘のとおり、現在自殺対策基本法案、これ審議中でございまして、やはり子供の自殺の問題、これにどう対応していくかということについての基礎的な資料であると思っております。
文部科学省といたしましても、今後、公立に限らず、公立、私立の小中学校における状況についてもできるだけ調査の対象とするようなことも含めまして、調査の在り方について検討し、自殺を防止するための取組というもの、この充実を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/161
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162・島田智哉子
○島田智哉子君 是非そのようにお願いいたします。公立学校だけが子供たちが行っているわけではありませんので、広く全般的にお調べいただきたいと思います。
この調査の中で、自殺の原因について、家庭不和、学業不振などの項目に分かれておりますが、その他が最も多く、全体の六二・四%となっております。このその他とは何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/162
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163・山中伸一
○政府参考人(山中伸一君) 現在の児童生徒の問題行動等に関する調査でございますけれども、この中で、自殺に関しまして、その主たる原因と思われるものを、家庭事情、学校問題等理由を挙げまして選択していただいているところでございます。その中にその他ということがございまして、理由が不明の場合にはその他に記入していただき、また、その他の具体的な事由が分かる場合にはその他具体的に記述していただくというような形で調査しているところでございます。
その他のところが、割合としては委員御指摘のとおりでございますけれども、学校、教育委員会において調査を行ってもその主たる理由が特定できないという場合にこのその他に計上されるということになっております。具体的にそのその他のところの記述を見ましても、様々な理由が複合していて特定できない、あるいは遺書がなく心当たりもなく、それで原因を特定できなかった等、ほとんどが主たる理由が特定できないという場合について不明ということでその他のところに整理されているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/163
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164・島田智哉子
○島田智哉子君 調査についてはもっと真剣に行っていただきたいと思います。自殺は未然に防ぐことができるわけですから、その調査というものがいかに大切であるかということをもう一度御認識いただきたいと思います。
この調査研究につきましては健やか親子21の中間評価報告書の中でも指摘されておりまして、女子が増加傾向にある要因分析、また都道府県ごとの分析や地域格差、そして、そうした背景や社会的事象との関連も含めた調査研究の必要性があると言われております。そうした指摘を受けて、厚生労働省としてどのような対応をお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/164
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165・白石順一
○政府参考人(白石順一君) 中間評価報告書を受けまして、厚生労働省といたしましては、いわゆる厚生労働科学研究におきまして十代の自殺を含めた要因分析というものを実施をしておりまして、今年度は三年目になりますが、これを引き続きやっていくと。それから、精神保健福祉センターの窓口を含めました思春期外来の対応機関の充実ということを考えております。
それから、先ほど御答弁いただきました文部科学省との連携の下で、例えばスクールカウンセラーを配置している中学校の割合を高めていくこと、それから学校におきます命を大切にする教育の実施等々もやってまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/165
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166・島田智哉子
○島田智哉子君 四月の毎日新聞に次のような記事がございまして、前任地の長崎県では昨年度、中高生の自殺が相次いだ。いじめや体罰、虐待などは浮かんでこず、学校や県教育委員会は子供の自殺に予兆がなかったと結論付けた。でも、始業式前後に命を絶つ生徒が多いことが気になり取材した。学校は、ほかの子供に影響がありますので、県教育委員会は、自殺の連鎖を招くおそれがあると言われた。記事を書くかどうか迷ったが、一人の精神科医に出会い、最終的に書こうと決断した。この人は大村共立病院の長岡先生。予兆なく死ぬ人間などいないと断言し、医師の立場から学校や今の子供の生育環境の問題を語ってくれたとあります。
正にこうした子供たちの自殺を未然に防ぐために、子供たちが自殺をするというのは本当に異常な事態ですので、自殺に追い込まれた子供に何があったのか、そして学校や地域、家族がなぜ未然に防ぐことができなかったのか、新しい法律にございますように、調査研究、情報の収集、整理、分析を徹底して行わなければならないと思います。
文科省の御見解と川崎大臣の御見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/166
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167・山中伸一
○政府参考人(山中伸一君) 子供たちの心の問題、その対応ということでございますけれども、子供たちの心のサイン、こういうものを見逃さないで問題行動の予兆を把握し、早期に対応すると、その場合、学校、厚生労働省あるいは医療関係者を始めといたしまして関係者、そういう方々とも一体となった対策を取るといった点、これは非常に委員御指摘のとおり重要なことだと思っております。
命の大切さを教える道徳を始めとする教育活動、あるいは悩みを持った子供が気軽に相談できるといったスクールカウンセラー、こういうものの体制の整備を図るとともに、文部科学省といたしましても、厚生労働省を中心とする調査研究とも連携いたしまして、児童生徒の自殺の特徴あるいはその傾向、そういうものを分析しながら自殺予防の取組の在り方を調査研究するという研究会、これを設置したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/167
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168・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 自殺は様々な要因が絡み合って起こるものであり、統計調査等から得られたデータを分析するとともに多角的に調査研究を進めることが必要であると考えております。
このため、厚生労働省としては厚生労働科学研究等を活用しつつ、遺族の協力を得ながら自殺に至るまでの心理的経過の調査を進めるとともに、地域におけるうつ病等による自殺の発生状況とその予防策の研究を進めるなど、自殺の実態や要因の調査分析を多角的に進めることとしております。
自殺予防総合対策センター、まだ仮称でございますけれども、新たに設置する予定であり、自殺の実態やそれを踏まえた対策の在り方に関する研究を行うことといたしております。こうした調査分析等を通じて自殺の実態を把握しつつ、また関係省庁と連携しながら自殺対策に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/168
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169・島田智哉子
○島田智哉子君 どうぞよろしくお願いいたします。
次に、性同一性障害、GIDの低年齢児の治療とサポート体制についてお聞きいたしたいと思います。
先月、兵庫県の播磨地域の小学校にGIDと診断された七歳の男児が女児として教育委員会、学校が受け入れているとの報道がございました。私はこの対応をとても評価いたしておりまして、個々の子供の個性に沿ったこうしたきめ細やかな対応こそが今正に求められているのではないかと感じました。
四年前に特例法も制定され、社会の理解が深まりつつあるとはいえ、子供たちのみならず、親御さんにとりましてもとてもとても悩み続けられている方が身近にも事実いらっしゃいます。厚生労働省として、こうした子供たちのサポート体制についても是非調査研究をお願いいたしたいと思いますが、大臣の御見解をお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/169
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170・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 性同一性障害は、心の中で考えている性別と身体上の性別が食い違う障害であり、診療の現場においては日本精神神経学会が作成した性同一性障害に関する診断と治療のガイドラインに沿って診療が行われているものと承知いたしております。
このガイドラインの中では、精神面の治療とホルモン療法、性別適合手術など身体面の治療があり、ホルモン療法等については十八歳以上、性別適合手術については二十歳以上で行うこととされております。これは、低年齢における性同一性障害者については、成長の過程で心と体の性別が一致していくことも多く、また治療選択に関する自己決定や自己責任等の面からも慎重を要する問題であることから、主に精神面の治療によるべきとの考え方によるものと承知いたしております。精神面の治療、患者への共感及び支持、実生活経験をさせて揺るぎなく継続できるかを明らかにする、心の性別による服装等の生活体験、うつ病等の合併症がある場合にはその治療を優先させる、このような事例でございます。
精神面の対応としては、厚生労働省においては、性同一性障害に限らず、心の問題を抱えた子供への支援の充実を図るため、研修等を活用して子供の心の診療について専門的な対応ができる医師の確保、養成を図るとともに、保健所や精神保健福祉センターにおいて思春期精神保健に関する生活指導等を行っているところでございます。
今委員から御指摘がありました、やはりこういった事例をしっかり私ども調査する中でまた方向性を出していきたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/170
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171・島田智哉子
○島田智哉子君 是非、子供の心の問題についてしっかりと国で取り組んでいっていただきたいと思います。
次に、先ほどの櫻井委員と少しダブるところがあるかもしれませんけれども、次は、大臣がこれまで御答弁の中でも、御自身が七十五歳になられたとき、つまり団塊の世代が後期高齢者になったときのお話が、これまでの御答弁の中、たびたびございましたけれども、正に少子高齢社会において私たちの社会は、あるいは一軒一軒の家庭にとってどういった家族の姿を選択していくことになるのか。
大臣の御家庭のように、御夫妻とお母様と御子息様と御一緒にお暮らしになっていらっしゃる。もちろん、お母様も大臣も奥様もお互いに話し合って、望んでそのような家庭を築いていらっしゃるんだと思うんですけれども、これから団塊の世代が後期高齢者になったときに、今の核家族化した中で、どれだけお互いが望んで選択して三世代あるいは四世代家族という姿を形成していけるのか、それはそうそう簡単なことではないと思います。
やはり一緒に暮らしたいと望んでも、親世代からしますと遠く離れた娘や息子たちの住む都会へ行きたくない、そんなケースもあるでしょうし、その場合はできる限り福祉サービスを利用しながら自立した生活を送っていただければ、それはそれでお互いが望み選択した結果であれば幸せなんだろうと思いますが、しかし、逆に年老いた親だけで生活できなくなって、どうしても都会に住む子供たちのところで生活を選択するケースも多々あることだと思います。
また、別の選択として、どうしても子供の家では暮らすことができずに福祉施設への入所を選択する場合もございます。ただ、現状の待機状況を見ますと、それもそんなに簡単なことではありませんから、家の間取り一つ取っても大変、しかも介護が必要であれば子供夫婦のどちらかが仕事を休むとか辞めなければならないケースも出てきます。それでも家族のきずなで三世代が支え合って生活していこうとする家族に対して、私は社会として支え合い、支援していくことが必要なんだと思います。大臣は今後の少子高齢社会における望ましい家族像についてどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/171
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172・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 私が三十一歳でしたか、初めて選挙出たとき、落選したときですけれども、今言われた三世代同居というものを強く訴えました。田舎ではどんどん人口が減ってきている中でございますので、おじいちゃん、おばあちゃんと息子と孫たちが一緒に暮らしていける社会をできるだけつくりたいというのが選挙の一番大きなスローガンでございましたけれども、二十数年たって、社会全体が何となくその逆の方向へ進みつつある、核家族化がより進んできたと、こういう感はいたしております。
しかし一方で、できるだけやはり地域に企業等が進出をされて、地元で就職をして世代が引き継がれていく社会というのは望ましいな。しかし、一方で見ていますと、それでいても必ずしも同居しない、十五分ぐらいのところに住んでますという回答が特に二十代の夫婦には多いようでございます。何かあったらすぐ行ける、お母さんのところにそれこそ夕飯だけ取りに行って帰っちゃうとか、こんなことが多いようでございます。三十代、四十代になると地方においては大体同居の方向に変わってきている。二十代のときは何となく近くで夫婦だけで住むと、こういうコースが多いように思いますけれども、一緒に住むのがいいのか、スープの冷めない距離にいるのがいいのか。
いずれにせよ、親子というものはなるべく近くに住んでいたいなと思いますけれども、息子が就職決まって地方に行ってしまいましたので、そういう意味では少し立場が離れてしまいましたけど、これも仕方がないことだなと思いますけれども、世の中、理想論としてはやはり三世代が同居できるような家が望ましいんだろうと私自身は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/172
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173・島田智哉子
○島田智哉子君 私は、大臣がそうして三世代でお住まいになっていらした、そういった人間的な温かさというんでしょうか、親孝行な方だなと私はいつも思っておりました。そうした高齢者への配慮ですとか、国としてメッセージが一つ一つ政策に込められていかなければならないと私は思っております。
そうした観点からお伺いいたしたいと思いますが、今回新しく導入することを提案されております高額医療・高額介護合算制度について、その内容と趣旨の御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/173
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174・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 高額医療・高額介護合算制度についてでございますけれども、これは平成二十年度からの措置でありますが、介護保険受給者が存在いたします医療保険各制度の世帯につまして、自己負担額の合算額が負担限度額を超える場合に、被保険者の申請に基づいてその差額を被保険者から支給するというものでございます。
この負担限度額についてでございますけれども、七十五歳以上の一般所得者につきましては年間五十六万円と、これを基本にいたしまして、医療保険各制度やあるいは所得区分ごとの限度額を踏まえましてきめ細かく設定することを考えてございます。
これによりまして、医療保険各制度の世帯におきまして医療保険と介護保険の自己負担の合算額が著しく高額となる場合の負担軽減が図られると、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/174
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175・島田智哉子
○島田智哉子君 今後、一人っ子同士の結婚という場合なども考えられると思うんですね。子供夫婦の両方の親と同居するという家族スタイル、こういうことを選択する人も増えてくるのかもしれません。
そうしたときに、子供夫婦であったりあるいは孫たちが病気やけがで入院、多額の医療費が掛かったとして、そして親が病気で入院したり介護が必要で、その医療費や介護費用が高額になるケースがあった場合に、例えば子供夫婦や孫は国保であって、親は七十五歳以上であれば後期高齢者医療制度ということになりますが、この場合の同一世帯の家族についてはすべて合算の対象になるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/175
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176・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) この新しい制度の基になりますのが高額療養費制度でございますけれども、ここにおきましては、原則として医療保険制度におきます世帯単位で所得に応じた自己負担限度額としてございまして、高齢者等につきましては限度額を低く抑えると、こういったきめ細かな配慮を行っているところでございます。
その趣旨を踏まえまして、この新しい高額医療・高額介護合算制度におきましても、医療保険各制度の世帯における所得の状況に応じましてその負担限度額をきめ細かく設定することを考えてございまして、特に後期高齢者医療制度の対象者につきましては、受療の特性あるいは医療費の状況を考慮して低い限度額を設定することとしてございます。
負担関係につきまして、例示、具体的に申し上げますと、勤労収入と申しますか稼得収入のある健保加入者あるいは国保加入者が子で、その親である年金収入のある後期高齢者がおられるこういう世帯、御提示いただいたわけでありますけれども、これにつきましては、ただいまの考え方に基づきまして、それぞれの収入に応じまして現役世代は健康保険制度なり国民健康保険制度、高齢者の方につきましては後期高齢者医療制度で個別に負担限度額を設定しているわけであります。
もう一つ、共働きのことも若干お触れになりましたけれども、勤労収入のある健保加入者と例えば共済加入者の共働き世帯、これ、それぞれ収入がありますので、それぞれ別に負担限度額を設定しているわけであります。あえて申し上げますと、収入ごとにその区分に応じて負担限度額を設定するという立て方を取っているわけでございまして、こうした中で医療保険制度の世帯の単位を超えて合算を行うということになりますと、負担能力、ちょっと建前論的に聞こえるかもしれませんけれども、負担能力を有するにもかかわらず負担軽減がなされる。
先ほどの例えば共働きのケースを考えますと、お二人にそれぞれ収入があるわけでありますので、それぞれの負担限度額までは負担していただきたいということでございます。現象的にはこれ一つの世帯を形成されているわけでありますけど、負担能力という点で見ると、やはりそれぞれの負担限度額までは御負担いただくということがひとつ制度の趣旨にかなうんじゃないかということが一点。
それからもう一つは、実務的なことでございますけど、異なる被保険者間、異なる医療保険者間で合算を行う場合は、これはかなり事務的に難しい問題がございます。
こういった問題考えまして、御指摘のようなケースにつきましては合算対象とならないという扱いにしているわけでありまして、この点、御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/176
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177・島田智哉子
○島田智哉子君 もっと分かりやすいといいなと思うんですけれども。
社会的入院をなくす方向であるならば、やはり施設か家かということになっていくわけなんですよね。だから、こういった制度でもっと心のある政策を取っていかないと、家族のきずなを弱めてしまう制度では私はいけないんだと思います。
保険料の普通徴収の規定、高齢者医療確保法百八条の二項では「世帯主は、市町村が当該世帯に属する被保険者の保険料を普通徴収の方法によつて徴収しようとする場合において、当該保険料を連帯して納付する義務を負う。」と、保険料の納付義務については同一世帯となっています。
そして、何より、子供の学費もかさんで、親と一緒となると間取りも増えて、家のローン又は家賃ですとか、ぎりぎりの生活。しかし、家族のきずなで助け合いながら生活されている方々、老人福祉施設も簡単に入れる状況にはなくて、独りで老後生活ができなくなった場合など、それぞれが望む望まないにかかわらずそうせざるを得なくなる場合もあり得ることだと思います。
そうした親世代と同居を選択する息子や娘の子供たち世代に対して応援するというメッセージが国として是非とも必要なんではないでしょうか。それほど財政的にも影響があるとは思えません。
大臣の御家族のケースの場合、お母様の医療費や介護費用と大臣の医療費は、お母様が後期高齢者ということであれば合算されないというわけですけれども、この三世代同居に対する支援という観点から見ましても、この点、せめて連帯納付義務の対象となる世帯主と後期高齢者医療制度に加入する高齢者については合算対象とするようにしていただきたい、そしてそれが国として三世代同居を支援していくというこのメッセージにつながるんではないかなと私は思います。
三世代同居で保育所を利用する場合、祖父母が所得がある場合は、合算で保険料を算定することから大変高額になっていく。今家族の単位が崩壊して個になりつつあると私は思っております。特殊出生率も本当に、一・二五でしょうか、大変低くなって危機感を感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/177
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178・山下英利
○委員長(山下英利君) 島田君、時間が来ておりますので、まとめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/178
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179・島田智哉子
○島田智哉子君 はい。同居をすればそういった子育て支援にも少し力が向けられると思うんですが、大臣のこれらの政治判断をお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/179
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180・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) まず、委員の御提案の同居をした方が有利になるようなメッセージ、税制とかそういういろんなものでしっかり考えるべきだろうということは私もそう思います。
一方、この制度を自分で照らして考えてみたときに、今同居しております妻の母親は年金が多分五、六十万しかないと思いますので、非常に低い限度額に抑えられる。母親が私と全部一緒だよということになると、八万幾らになりますね、私の所得で勘定されますから。そういう意味では、母親が病気になったときは割合分けていた方が限度額は低く設定されますから有利になる。しかし、母親と私の妻が一緒に病気になっちゃったと、こういうときは確かに委員が言われるような場合に相当するのかなと。
実は、頭の中でずっと委員の質問を読ませていただきながら考えまして、今のところでいうと、必ずしも一緒になることが、私の所得がすべてに適用されてしまいますから余り有利ではないな、もう少し勉強させていただいて有利な形を将来的につくっていかなきゃならぬと。これはよく御提案は承らせていただいて、勉強させていただきたいと、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/180
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181・島田智哉子
○島田智哉子君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/181
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182・足立信也
○足立信也君 民主党の足立信也です。
この法案の審議の前に同僚の朝日委員と相談していたことなんですが、二人とも医師でありますから、朝日先輩には健康保険法のことを中心にやっていただいて、私は、良質な医療をという医療法の方を中心にやってきたわけです。まだまだ残っております。そして、私自身も健保法については問いただしておきたいことが一杯ございますので、時間の許す限り御協力をよろしくお願いしたいと、そのように思います。
ちょっと通告しておりませんが、最初に大臣にお聞きいたします。
世界は、この十年、医療の質をいかに良くするかという動きをずっとしてきているんですね。その大事なこととして、提供されるべきサービスが提供されない場合がある、そして明らかに効果があるというエビデンスが得られているサービスが提供されないことがある、そして技術的な未熟がまだ各国で差があると、こういったことが医療の質の改善として挙げられているんですね。
それに対して、この前も言いましたが、将来推計、あるいは現状の医療の質をしっかり変えていくんだということではなく、将来推計に基づいた医療費抑制策というものは医療の質の低下を必ず招くと、そして人材の確保や離職の防止が非常に難しくなるんだと、サービスや医薬品の供給不足に陥る可能性もあると。これは、OECD三十か国が話合いを持ってまとめた本に書かれてあるわけですね。これがそうです。二〇〇四年にまとめられて、去年、日本語訳で出ております。
大臣、私は、二十三年間の外科医としての経験と、それから、がんを扱ってきた人間、そして各学会、がん学会、外科学会、その方たちの意見を一杯聞いてきました。そして、ある意味、研究者としての仕事もありましたから、そのことも踏まえて、我が党では「崖っぷち日本の医療を救う」という冊子を作らせていただきました。大臣、この本、読まれましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/182
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183・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 読んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/183
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184・足立信也
○足立信也君 これは厚生労働省が訳されている。世界の医療制度改革です。方向性が出ております。これを十分に参照しながら私は冊子を作ってきたつもりです。
では、医療法について入ります。
順次やっておりましたが、今、五番目まで来ました。五、医療安全の確保についてです。資料も行っていますよね。
まず、私は、患者さんが相談するところというのは、一つ大事なことは、自分が掛かっている医療機関ではないところに相談する体制があること、そしてそれは、例えば行政、役所のようなところではなくて医療機関に、医療の専門家、現場の経験のある人に相談したいということが大事なんだと、そのように思っております。
その点におきまして、今、安全支援センターというのが設置されておりますが、これは、どこに設置されていてだれが相談に乗っているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/184
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185・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 医療安全支援センターがどこに設置されているかということでございますけれども、これは、医療機関とは別に第三者としての立場から都道府県等が相談に応じるということで、都道府県ないしは保健所設置市あるいは保健所設置区に設置をしているものでございます。
もちろん、相談に来られる方は、医療に掛かられる患者さんあるいはその家族という方々が来られて、苦情や相談に対応するということで、医療機関に対する助言等も今回明確にしたところでございます。
今回の法案では、御存じのとおり、この医療安全支援センターの制度化を行って、その機能を明確にしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/185
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186・足立信也
○足立信也君 役所の窓口とかあるいは保健所、それももちろんよろしいんでしょうが、私は、せっかく、がんに関しては地域がん拠点病院、あるいは小児に関しては二次医療圏内でそういうセンターを設けるという構想もあるわけですから、やはりそのような医療機関に相談できる窓口をしっかり設置すると、そのことが大事なんだということを申し上げておきたいと思います。
次に、日本医療機能評価機構、ここには医療安全支援センター総合支援事業というのがございます。そのパンフレットといいますか、見ますと、これ、国民への情報提供というのが業務の内容として掲げられておりますが、実際、この評価機構から国民へ対して情報の提供というのはどのようなものがあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/186
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187・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 日本医療機能評価機構におきましては、その本来的な機能として、医療機関の第三者的な評価を行うほか、医療安全支援センターの総合支援あるいは医療事故等に関する情報の収集、分析、提供というようなことをやっているわけでございまして、その機能の一つとして、一般国民に対する情報提供も行っているところでございます。
どの医療機関が第三者的な機能評価を受けたのか、あるいは医療安全支援センターの総合支援で申しますれば、センターの業務内容あるいは身近な相談窓口の紹介、あるいはセンター職員や医療機関に対する研修の状況及びセンターで受けた相談の傾向などの情報提供、それから研修を受けた支援センター職員を通じての相談内容に沿った情報提供、また医療事故等に関する情報提供につきましては、特定機能病院等から報告された情報を収集、分析をいたしまして、そのまとめにつきまして情報提供を行っているとかいうようないろいろな面での情報提供が行われていると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/187
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188・足立信也
○足立信也君 いろんな面での、多分それ、質問の二番と三番、今まとめてお答えになられたんだと思います。三番では何を聞こうと思ったかというと、医療事故防止センターという補助金事業があります。そのことも今触れられたんだと思うんです。
追加で質問さしていただきますが、今内容はこういうことをやっているというのをおっしゃいました。どのように国民に知らされているのか、これが一点。
それから、先ほど医療安全支援センター総合支援事業という、これ委託事業ですね、そのことをさっき聞いたわけですね。この十八年度予算とそれにかかわる人員、それから今度の質問である医療事故防止センター、これ補助金事業ですね、それにかかわる予算と人員、それをお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/188
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189・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) まず医療安全支援センター総合支援事業でございますが、事業の予算額は六千二百万円でございまして、四人の人員体制で業務を行っております。
それから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/189
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190・足立信也
○足立信也君 事故防止センター。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/190
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191・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 医療事故に関する情報提供の関係でございますけれども、これにつきましては、医療安全にかかわる医療専門職、安全管理の専門家などで構成される二十六人の分析班を設けまして、六人の事務局員の人員体制で業務を行っております。事業の予算額は一億二千万円ということとなってございます。
この情報提供につきましては、この機構のホームページ等を通じまして情報提供を行っておりますし、また、医療事故等につきましては冊子も作成をしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/191
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192・足立信也
○足立信也君 合わせると一億八千二百万、国の医療の安全あるいは事故防止に関して中枢的にやられているところ、この件に関しては一億八千二百万で終わらせようと。このことが、良質な医療を提供する体制で果たしてうまくいくのかな、実際に分析されていて、その予防策、解決策まで提示できるような体制になっているのかなって、多くの疑問が私はあるわけです。
そして、午前中にありました、無過失補償制度のことがありました、医療事故に関してですね。これはなるほど私は必要だと思っているんですが、この無過失医療制度、検討会、審議会で国の方から委託されてやられていると思います、今。私の同級生がそのメンバーの一人ですが、これ前提条件が、きちっと、報告だけではなく調査機関を、第三者的な調査機関があって、そして無過失補償制度に該当するのか、あるいは訴訟に該当するのか、民事なのかということの判断、医療がどの程度かかわっているかということを調査する機関がないと意味ない話なんですね。その大前提があるんです。このことを前回まで私はずっと申し上げてきたわけです。
次に行きます。
三番、いよいよ地域や診療所による医師不足問題への対応というところです。
資料をごらんください。これ、もう何度か皆さん、目で見られていると思うんですが、大事な点は、これはOECD三十か国で、日本の人口、この場合は千人になるんですね。十万人に直すと、日本が三十か国中二十七番、二百人ですね、十万人当たり。もっと大事なのは、これは何を言いたいか。プラクティシングフィジシャンズと書いていますね。要するに、医療に従事している人の数をきちんと出しているんですよ。ですから私は、今日午前中の議論にもありましたように、医師免許を持っている人の数ではなくて医療機関に従事している人の数が大事なんです。
そして、この右側にあるのはもっと大事なことです。じゃ、医師をどういうふうに増やそうとしているのか、減らそうとしているのかということです。日本よりも十万人当たりの医師数の少ない国は、すべて日本よりも多く増やそうとしております。そして、日本よりも多い国でも、これざっと見て、半分以上は更に増やそうとしているということなんですね。
午前中、どれぐらいの、策定の要因は何があるかということと、それから基準はどれぐらい考えるかという話がありました。そのことで私はこれを、資料を前回求めたわけですね。
これが、実は私、理事会へ諮っていただいて全議員に届けてほしいといった内容が、二次医療圏別人口十万人当たりの従事している医師数、表の資料の二番目です。これは全部を全委員には渡さないということですので、表紙だけ。よろしいですか、三百七十・二次医療圏でどれぐらいの医療従事者が、医療機関に従事している医師がいるかという表の一部です。十何ページあります。
そして、これだけでは分かりにくいので、次の資料をごらんください。資料二の二です。これを、人口十万人当たり従事している医師数を度数分布に表しました。
まず、これを眺めている間に一つお聞きしたいのは、今まで衆議院からまた参議院へ、十六年度末の医師数は二十七万人という話がずっと出ております。では、医療機関に従事している医師数、看護師数は何人でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/192
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193・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 国内の医療機関に従事している医師数につきましては、平成十六年の医師・歯科医師・薬剤師調査によりますると、平成十六年十二月末現在で二十五万六千六百六十八人となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/193
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194・足立信也
○足立信也君 それは、私がお渡ししました二の一、資料の一番右の欄、ごめんなさい、右から四番目になりますか、人数ですからね、これを足し合わせると二十五万六千六百六十八名になるわけですね。これを十万人で割ると、十万人当たり二百一人という数になるわけですね。大臣答弁は二十七万をベースに二百六人というふうに来ているわけですね。
では、この中で重複ですね。例えば、私が大学に勤めている間は、うちの科は平日の他の病院へ行くこと禁止でしたが、科によっては週に一回数時間とか、それは地域医療のためということで仕事へ行かれる、そういう方はそこの非常勤医師という扱いにもなっている。これ、重複はあるんですか、ないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/194
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195・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) この調査は医師・歯科医師・薬剤師調査というものでございまして、それぞれの医師、歯科医師、薬剤師から二年に一度お届けをいただく、法律に基づいて御報告をいただくというものでございますので、医療機関を通じた調査ではございませんので、重複はないものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/195
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196・足立信也
○足立信也君 ここで、先ほどの資料の説明へ入らしていただきます。
もう一度、二の二をごらんください。
この上の段、赤い線で区切ったのは、今、日本の平均が、従事している医師数は二百一と私言いました。ということは、それより左側、二百八十二の二次医療圏はここに達していないということです。
そして、十万人当たり二百から二百五十まではちょっと小刻みに出してみました。これは、大臣が平成二十九年には三十万人になる、それ以降は過剰になると、そのときの人口を一億二千万とすると人口十万人当たり二百五十人です。この二百五十人というラインで区切ってみました。
それ以上医師が存在する二次医療圏は、全国三百七十のうち四十六個です。そこに、将来これ以上は過剰だとおっしゃる二百五十というラインの、現在で二百五十以上医師がいる、人口十万人当たりですよ、二次医療圏数を書き出してみました。全国で三十五都道府県。で、四十六・二次医療圏ということなんですね。
これは、例えば北海道は二次医療圏が二十一個あるのに、今現在二百五十人以上いるところは一か所しかない。で、当然のことながら、十二県は一つもないわけですね。これで、都道府県内で偏在を解消せよという根拠はどこにあるのかということをまずお聞きしたい。
その点について、前回の質問で、都道府県の中で対処し切れないものはその枠を超えてやるしかないという話でしたが、実際上、こういう現実なんですね。この三百七十・二次医療圏ある中で、これ以上は過剰だとおっしゃる数に今現在あるのが四十六にすぎないんだと。トップは断トツに東京なんですね。千人を超えております。ある区だけですけどね。
この分析をごらんになって、果たして都道府県内でどれほどの偏在の解消ができるとお思いですか。その点をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/196
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197・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 二次医療圏ごとの詳細な分析でございますが、これを見ますると、特定の、例えば各都道府県で中心的な場所の二次医療圏に医師が集中をしているということを表しているのではないかと思っております。また、全国的に見ますと、東京が十三か所のうち五か所ということでございますので、二百五十人以上いるところはそういうことだということであろうかと思います。
どの程度が足りるか足りないかということでございますけれども、全体で見ますと、二百八十二が二百未満ということでございますので、各都道府県の中で高いところというところからこういったところにどのような形で医療の提供を進めていくことができるのかということをまず考えるということではないかと思いますが、それが困難な場合もあろうかと思いますので、そのための手だてもまた場合によっては必要になるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/197
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198・足立信也
○足立信也君 実際上は都道府県内では無理だということなんですね。
それと、先ほど私はこれ、理事会に対して、委員長に資料請求しました。これは委員にはどうもお出しできないということなんですが、これは、もう一つ私、一ページ目だけ出しましたが、非常に重要なのは、診療所に勤務している医師、それから病院へ勤務している医師もしっかり数が出ているというところなんですね。これは今後の医師数の需給状況あるいは設定をするに当たって非常に重要な資料だと思います。
ただし、これは、こういう形で計算をしてくださいと医政局医事課へお願いして出していただいたものですよ。通常はこういうデータを用いていないということなんですね。医事課の方には非常に短期間で御努力いただいて、大変ありがとうございますが、これがないとやはり計画というものは立てられないんじゃないかと私は思います。そして、この中に、午前中もありましたが、では非常勤、常勤の区別は、この病院に勤めている医師数、診療所に勤めている医師数の中で、統計的に常勤者の数、非常勤者の数はとらえているんですか、厚生労働省としては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/198
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199・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 午前中も御答弁申し上げましたけれども、この統計は、医師・歯科医師・薬剤師調査でございますので、それぞれのお医者さんからの御報告ということでございますので、そのようなデータとしては統計調査からは把握できないということになってございます。
なお、これとは別に、医師数につきましては、それぞれどの程度の常勤職員、非常勤職員が病院に勤務しているかということについて、医療法第二十五条に基づく立入検査結果を取ってございますが、その中では、常勤、非常勤についても個票に戻りますと区別がございますので、これを集計し直すことにおいて算出することは可能でございますので、お時間をいただければ算出させていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/199
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200・足立信也
○足立信也君 私は先ほどいろんな立場のことを言いましたが、実は日本では、これが事故死なのか、あるいは病死なのか自殺なのか、あるいは事件なのか、その死因を究明するに大切な病理医あるいは法医学者も非常に足りない。あるいは、外国から見ると、行政に携わる医師というものも足りない。そして、基礎医学の研究者も足りない。つまり、医療機関に従事していない医師も足りないと言われているわけですね。そして、医療機関に従事している医師の数を出していただいたら、常勤、非常勤の区別はないけれども、OECDの平均が今二百九十人、十万人当たり二百九十人という事態の中で二百一と。そして、二百五十に達したらもうそれ以上は要らないという根拠が一体どこにあるのかということを私は改めて申し上げたいと、そのように思います。
〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
先ほど、医療の質の改善に向かってこの十年世界は動いてきたと、そのように申し上げました。患者さんが要求する、要望するサービスの質を上げれば上げるほど、それに従事する人間の数というのはやっぱり必要になってくるんですね。
私は、今、なぜこれほど医師不足という問題が表面に出てきたか。これは、やはり常勤の医師数が非常に足りなくなってきたことと、そして国立大学の独法化にあると私は思っています。
医師数が、医師数の中に占める女性の割合が増えてきた。それは、女性が医師になることがいけないというんではなくて、その女性医師に対して労働環境の整備をしてこなかったということが一番の原因だと私は思っています。
今、二十九歳以下では男性医師は毎年百人減っていると、女性医師は毎年三百五十人増えている。ところが、女性医師は、三十代から四十代にかけて結婚、出産、育児等で半数の方が辞める、常勤ではなくなる。このことが一番の問題で、これは私が、そうですね、大学卒業して数年、ですから、今からもう十五年ぐらい前、既に女性の医学部の学生は四〇%超えていましたね、四〇%、私の大学の場合。それぐらい、もう昔からの話なんですね。このことを改善してこなかったと、あるいは目を向けなかったと、これが非常に大きいんじゃないかと私は思います。そして、今まで、医師需給に関する検討委員会の報告の話が出ましたが、先日もちらっと触れましたけれども、医師の過剰は医療費の高騰を招くんだと、そういう強いどうも基礎的な認識があるんですよね。
一割削減という形が出てきて、大臣が非常によくおっしゃられる平成六年から十年までの、この前川委員会の中では、先日も言いましたように、平成二年以降、病院から開業医へ流れる方が増えてきた。これは、もう病院では医師が過剰状態で就職できないから開業の方へ回っているという、そういう共通認識がどうもあった。それから、今、医師不足の問題でいろいろ言われております卒後臨床研修、これによって、二年間研修することによって総医師数としては五%削減効果があると。これは本末転倒の話なんですね。
これちょっと、先ほど女性医師のことをちらっと私言いましたので、もうちょっと詳しく言いますと、小児科学会が大学やあるいは急性期の、大きな病院を対象に調べたアンケートで、女性医師が妊娠したとき深夜勤務あるいは当直の免除がないのが三割、産休の代替要員がないのが五割、産休中の身分保障がないのが二割、育児休業制度がないのが三割、こういう状態なんですね。このことをまずすぐにやらなければ女性は常勤の職場へ戻ってこない、そのことを強くまずは訴えたいと私は思います。
そして、医師需給に関して、勤務状況調査というのを厚生労働省やられました。この中で、じゃ実際に、今医療現場で働いている人間がどれだけの週当たりの労働時間働いているか、平均労働時間と週八十時間以上勤務の割合、これを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/200
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201・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 現在行っております医師の需給に関する検討会に関連いたしまして、昨年十二月から本年一月にかけて行われました医師の勤務状況調査の中間報告によりますると、病院常勤医師の休憩時間も含めました一週間当たりの在院時間は平均で六十三・三時間でございました。その中で、外来診療及び入院診療の時間は一日およそ七、八時間程度であったということ等が報告されております。
なお、この報告で、今御質問の週八十時間以上働いている者の割合につきましては、勤務時間の取り方もあるため確定的には申し上げられませんが、仮に、例えば休憩時間も含めたその病院にいる時間、在院時間といたしますと、勤務医で一五・三%、開業医で二・四%、また外来診療、入院診療、それから教育研究を合わせた時間で見ますると、勤務医で四・八%、開業医で〇・七%の方が週八十時間以上働いているということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/201
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202・足立信也
○足立信也君 あれ、今言い間違いですか。合わせた数の方がパーセントが少ないというのはおかしくないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/202
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203・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 休憩時間も含めた在院時間、要するに、病院に行ってから帰るまでの時間の方が長くなります。そのうちの診療、外来、入院の診療、教育研究の部分、休憩等を除いた時間が合わせた時間の方でございます。そっちの方がちょっと短いということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/203
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204・足立信也
○足立信也君 衆議院からずっと、大学病院が抱え込んでいる、大学に人を一杯呼び寄せて、卒後臨床研修の必修化によって、そして市中病院の医師が減っているという議論がずっとありましたね、私はそうは思ってないんですね。先ほど言いました独法化がかなり絡んでいるんだと思っていますが。
〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
今数として、厚生労働省が同じく十五の国立大学病院の計六十診療科を対象に行った調査がございますね。これで週八十時間以上の勤務をしている人のパーセンテージ、三七%ですね、大学、今、お話ですと一五・三%です。二倍以上、週八十時間以上働いている状況なんですね。参考人の意見陳述でもございました急性期病院の疲弊は極度に来ている、大学病院も同じように、急性期病院と同じように疲弊した状態で元気がない、さらに教育研究もやらなければならない、こういう実態で病院にいる時間、週八十時間以上いる方が三七%だというのが現状です。
これは非常に危険な状況で、もちろん労働基準法違反で過労死認定にもかかわってくる程度なんですが、調査をすると九十時間未満はそれほどストレスは増えないと書いてあるんですが、九十時間を超えると、うつ病とか疲労感のストレス反応が労働時間に比例して増えていくということが出ています。そして、最初は自分の自由時間を削るけれども、八十時間以上になると睡眠時間を削るという非常に危険な状況になっている。こういうことに対しては今ドイツで大ストが行われていますね、大学病院に勤める医師たちのストライキが続いております。こんな労働条件ではやっておられないと。
私は、そういう状況だけはお話しするとして、先ほどなぜ独法化と言ったのは、そうは言いながらも少しずつ、労働基準局の努力、指導などによりまして少しずつ改善してきている。それから、独法化によってやはり労働基準法はできるだけ守らなきゃいけないという方向性で人が必要になってきているんですね、法を犯さないために。このことが実は大きいんだと思います。
そこで、先ほど、これから文科省にちょっとお伺いしたいんですけれども、私は医療機関に従事する医師の数も従事しない医師の数も非常に世界的に見て少ないということを申し上げてきた。だとすると、緊急避難的に今増やすための努力かあるいは中長期的な努力が必要だと、これはそう思います。
そこで、自治医大のように、十年間地域医療を義務付ける、奨学金という形で、返済しなくても済むのはそういう義務付けという意見ございましたね。私はこれ非常に危険だとある意味思っているんです。それは、今、医学部六年、臨床研修二年、合わせて最低八年ですね。そこから十年間義務付けられた場合に、日本が今世界のトップクラスにある基礎医学の研究者がいなくなりますよ。これは是非とも避けなければいけない。ここ数年ずっとノーベル医学賞候補には名前が挙がっている人もおりますけれども、彼らはやっぱり二十代後半に非常にいい研究をやっております。この芽が摘まれる可能性がある。これをすべてに適用するのはやはり間違いだと思っていますし、十八歳のときに現役で行って、二十六歳で働けるとなって、これから十年間地方へというこの義務化は非常に厳しいと思います。
そこで、私自身の経験でもあるんですけれども、入学当時は、例えば防衛医大、自治医大、私立の医科大学、国立一期校、二期校、公立医大と、六回ぐらい受験の機会があったですね。自治医大に合格した方で国立の医学部へ合格した方は辞退者が多かったです。これは、九年間という義務があるから、ない方がいいということで辞退された方、非常に多かったと私は記憶しています。
そこで、これ調べるの難しいかもしれませんが、今現在、自治医大の受験者で、都道府県のレベルで選考される方、あるいは栃木に行って最終選考の方もいると思いますが、辞退者ってどれぐらいいらっしゃるんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/204
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205・磯田文雄
○政府参考人(磯田文雄君) お答え申し上げます。
自治医科大学の平成十八年度入学者選抜におきまして、合格後に辞退した人数は、第一次試験におきましては合格者三百十四名中十六名、第二次試験におきましては合格者百六名中十二名であると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/205
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206・足立信也
○足立信也君 非常に多いと思いませんか。一割以上が辞退するんですよ。やはり十八歳の時点で将来の義務化まで含んだ決断をするのは無理ですよ。そして、医学を大学で勉強するということは必ずしも、皆さんは医師イコール臨床医と思われるかもしれませんが、そうじゃないです。やはり基礎医学へ進む人間、社会医学へ進む人間、いろんな人間を育てたいし、そういう場面を見せなきゃいけない。それを十八歳の時点から、どの程度考えられているか分かりませんけれども、強制していくのは私は非常に無理があると、そのように思います。一割以上の辞退者というのは普通の事態ではないと思います。
そこで、じゃ、どうしたらいいかと。午前中も地方枠ですか、の話がありましたけど、現状はどうなっているかと。
私の大学の例で言いますと、元々定員が百人。医学部というのは義務は六年以上百八十八単位ですね。百人いたと、それを、先ほど言ったいろんな委員会で医師は削減しなきゃいけないということで一割減になって九十人になった。そして、その九十人の中に推薦枠というのがあって、何人にするか、二十人とか二十五人とか。地方枠というのはその推薦枠の中にすぎないんですね。じゃ、これをどんどんどんどん広げていったら、推薦枠以外の一般入試、頑張って勉強した方の枠がどんどん狭められることになるんですね。
私が提案したいのは、定員百人、仮に、今仮の話です、百人と出ていますが、それを一割で九十人にした。残り十あるんですよ。この十で今何をやっているかというと、編入学ですね。編入学というのは、その十の枠の中で幾らでもいいわけですよ。今、編入学、いわゆる学士入学という話、聞いたことあると思うんですが、この規定は、大学で、他の大学で取得した六十単位までは認めようということですね。ですから、もちろん、ほかの大学を卒業した方も六十単位認めてもらって三年から編入、あるいは卒業していなくてもそれだけの単位を認められて入ってくるという枠があるわけですね。
私は、その編入学の中にも、編入枠の中にも地方枠というのを設けたらどうかと。つまり、百から九十へ減ったその中の、推薦枠の中のさらに地方枠以外にも、百から九十に減ったその残りの十の差、その中に地方枠というものを設けたらどうかということを考えておりますが、その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/206
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207・磯田文雄
○政府参考人(磯田文雄君) 今御指摘の学士編入学制度でございますが、平成十年度以降、各大学の医学部で導入が進められておりまして、平成十七年度現在、国立二十九大学、私立八大学において実施されておりますが、地域医療に従事する医師の養成の観点からは編入学生に占める県内出身者の割合や卒業生の県内の医療機関への定着状況等を見守る必要があるとの意見もあります。
こうした状況の中で、御指摘のような学士編入学の募集人員の一部を地域枠、当該都道府県の高等学校等卒業者の枠として設定した大学の例や、現在検討を進められている大学の例も承知しており、このような取組は地域に貢献する医師の確保のための取組の一つであり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/207
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208・足立信也
○足立信也君 もう一つ提案したいのは、ほかの学部、ほかの大学を卒業した人は六十単位まで認められると。今日、午前中、歯科医師が余ってきている、歯学部の入学定員の削減もしているという話が出てきました。歯学部の学生というのは六年間の教育を受けた後に卒後臨床研修もやると、こうなりました。人体解剖も行い、基礎医学もきちんと勉強している。歯学部の学生が、例えば六十単位ではなくて、百単位まで認めるという枠を設定すれば、歯学部から医学部への編入が、四年生へ入ったりということが可能になるんじゃないでしょうか。これは一番現時点では最速の医師養成の手段の一つかと思いますが。
例えば、六十単位という枠を、六年間のそういう教育を受けた、あるいは保健学科でもあり得ると思いますが、これを広げるという可能性はあり得るんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/208
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209・磯田文雄
○政府参考人(磯田文雄君) 今御指摘のような御意見も一部にはあるということは伺っておりますが、現在、私どもといたしましては、そのような御提案も含めた様々な取組について工夫、改善の検討を重ねておりまして、そのような検討の中で考えてまいるべき事項と考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/209
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210・足立信也
○足立信也君 じゃ、検討をお願いします。
先ほど、十八歳で、将来十年間の間あっちへ行けということを言うのは非常に難しいと私は言いました。私は、やはり医師になって、前期の卒後臨床研修が終わった三年目、ここにやはり国としては科ごとあるいは地域ごとに標準数あるいは目標数というものを掲げてあげた方が選ぶ側の人間も選びやすいと思います。必ずしもそれは、衆議院の議論で職業選択の自由とかいう話が出ておりますが、科を選ぶということは、私自身の経験からいって、それほど人生を左右するようなことではないという印象がございます。もっとやはり目標設定数というものははっきりしていいんじゃないかと、そのように思います。
医療法改革のもう最後になりますが、六番目の医療法人制度改革。私は、これは、この改革案、解散時の残余財産の帰属先の制限あるいは社会医療法人債の発行、そして基本的に、公的であるということと公益性を持つということは同義ではないと私はずっと思っておりますので、基本的にこの改革案、私は賛成です。
しかしながら、やはり先ほどからの議論をずっと聞いておりまして、高齢者が特に増えてくる時代に、医療と介護のすき間はないんですね。シームレスですよ。だとしたら、私は、特養もこの社会医療法人が併設設置できるということは必要なんではないかと思います、個人的な意見ですけれども。
それでは次に、生活習慣病のこともちょっとあるんですが、どうしても触れなきゃいけない高齢者の自己負担の増加、これはちょっと看過できないので、資料をごらんください。
これはまず日銀の調査です。家計の金融資産に関する世論調査、日銀のものです。
貯蓄、つまり預貯金ですね、の保有世帯と非保有世帯、これスケール違います。保有世帯の方は上が一〇〇、非保有世帯は上が三〇、で、このように推移しています。意図的と思われるかどうか分かりませんが、交差地点は二〇〇一年、現内閣の誕生のときです。これだけでは分かりづらい、あるいは所得格差は高齢者一人世帯の増加による、ジニ係数の変化はそれが原因ではないかと、はっきりした所得格差はないというような意見もございますので、分かりやすく、次の資料をごらんください。
これは、年代ごと、そして年間収入ごと、貯蓄のない世帯、ある世帯を三次元的にこの日銀からいただいたデータで作ってみました。貯蓄のない世帯、二十代から七十代まで全部増えている。これ年間収入別に見ると、貯蓄のない世帯というのは、やはりさすがに一千万以上の収入のところは貯蓄のない世帯がそれほど増えてはいない。しかし、それ以下、一千万以下の世帯においては貯蓄のない世帯がどんどん増えているということです。
やはり高齢者は自分の健康あるいは生活のために貯蓄を取り崩して今の生活を保っている、あるいは保てない人ももういるかもしれない、こういう現状なんですね。
そこで私は、かねがね言っていますように、元々老人保健法の中ではこれはなぜ高齢者の自己負担が少なかったのか。これは、生理的機能の低下あるいは併存する疾患が多い、例えば手術をした後でも合併症を併発しやすい、そういうリスクがあったから自己負担は低く抑えられてきた、そうですね。ところが、現役並みの所得があれば、現役並み所得と称して一般の方と同じ自己負担をお願いするという考え方が果たして正しいのか。
障害者自立支援法のときにも言いましたが、障害者というのは、その障害の原因になった疾患、病気以外の病気で医療機関へ受診する機会が三倍以上ある。高齢者は四倍以上だと言われている。それだけリスクが高いような状況の人に、いわゆる健康弱者の人に、所得の面で現役並みと同じであったらリスクを顧みず同じ負担を設けるという考え方が本当にいいんだろうかということです。
確認のためお聞きしたいんですが、障害者自立支援法における自立支援医療の中で自己負担の限度額というのがありますね。それ以外の病気で受診した場合、今回、自己負担限度額という、少し増額されますが、あるわけですね。それは自立支援医療の分は除外されてトータルの医療で掛かった上限が今回の医療保険における上限額、自己限度額の設定ですね。これは確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/210
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211・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 御指摘の、自立支援医療を受ける障害者に対する高額医療費の適用の問題でございますけれども、計算過程に即して申し上げますと、まず自立支援医療の対象となる医療における自己負担額を算出いたします。次に、この自立支援医療の対象外の医療に係る医療保険の定率負担分を算出いたします。その両者を合算した上で、合算額が医療保険における自己負担限度額を超える場合にその超えた額と同額の高額療養費が支給されるということになります。
したがいまして、いずれにしましても、自立支援医療の対象となる医療と対象外である医療の両方を受けた場合でありましても、最終的な自己負担額が医療保険の自己負担限度額を超えることはないという結果になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/211
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212・足立信也
○足立信也君 安心いたしました。ちょっと一部、厚生労働省の方でもちょっとそこら辺理解されてなかった方がいらっしゃったので、あえて聞きました。
現役並み所得の話を今したわけですけど、これ実際、説明によりますと、現役並み所得と把握される方が百二十万人から、七十歳以上高齢者ですよ、二百万人という、八十万人増える。その現役並み所得の判断は、一人世帯の場合は年収で三百八十万ですね、二人の場合は五百二十万。その現役並みの収入と言われる方が八十万人増える。実際は保険料も上がり、年金給付も下がりという中で八十万人増える。
そして、十分な低所得者対策をしますと言われますが、いわゆる低所得者とされる方々、これが五十万人減るんですね、計算上は。これで、現役並み所得とされる人が八十万人増えて、低所得者とされる人が五十万人減るという、これが十分な低所得者対策を取っていますという説明になるんでしょうか。その点をお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/212
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213・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 新たに現役並み所得者になる方の数は、実はこれ、現在百二十万でそれが改正後二百万ということで、単純に差を計算しますと八十万人でございますが、これ四捨五入の関係がありまして、実は実際には九十万人の方が新たにこの現役並み所得者になるわけでありますけれども、それから、もう一つおっしゃいました低所得者のうち五十万人が一般の所得者になるということであります。
これ、それぞれにつきまして、言ってみますと経過措置なりを講じているということもございますし、申し上げておりますのは、現役並み所得の方につきましては、例えば外来につきましては、入院と異なって受診回数が多くても自己負担限度額に達することは少ないということを考慮しまして、高齢者につきましては入院、外来を合わせた自己負担限度額とは別に外来に掛かる自己負担限度額、月額四万四千四百円でございますけれども、それを設けることとしたというふうに、個別それぞれにつきまして、それぞれの状況に応じまして特例措置なりを講じているということを申し上げているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/213
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214・足立信也
○足立信也君 低所得者という対象は少なくなると、この事実は変わらない。現役並み所得だという対象者も増えるということです。
今日の最後に、大臣にお伺いしたいと思います。
私たちは、年齢で区切るなと、そして、患者さんの望みをできるだけかなえるように努力する、テーラードメディスン、まあいろんな言われ方しますけれども、一人一人の状態に合った治療を選ぶ、これが理想だと、そのように思っております。そのためには、十分な注意が必要ですし、例えば手術した後は十分にフォローアップしないと危険です、危ない。ある意味、医療費は増えるでしょう。ただ、世の中はそういうふうに動いているし、それが正しいんだと、自己決定に基づいて行えば正しいんだと、私は思っています。そのことと、高齢者医療制度を設けて、これから診療報酬をつくり上げるということを言われております。高齢者にふさわしいということと、一人一人の状況に応じた、その人に合った医療、テーラードメディスンという考え方、矛盾はないですか、どのように大臣は整合性を求めていますか、それだけお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/214
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215・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) もちろん医療の提供に当たっては、患者個々人の病態等を踏まえた適切な対応をなされるということはまず基本だろうと思います。そういった意味では、まず、国民皆保険制度の中で保険によって医療は提供される、これをまず守らなければならないだろうと思います。
一方で、後期高齢者の心身の特性等にふさわしい新たな診療報酬体系を構築すると。これを、後期高齢者全体を典型的にとらえるのではなく、いずれにせよ、七十五歳以上のお年寄り、いろいろあっても、我々が一日も早く職場に復帰するための受ける医療と、後期高齢者がそういう意味では身体の病状を回復しながら介護制度まで移るまでの全体の流れをかきながら描いていくものとはかなり違うんだろうと、こういうふうに考えております。
したがって、まず前提は、委員も御心配いただいておりますとおり、患者個々人の病態を踏まえた医療というものが原則にはなってくるだろうと。そこはこの間も少し申し上げたんですけれども、私ども、二〇二五年の目安ということで出させていただきました四十八兆円、そのうち後期高齢者の医療には二十三兆円が掛かることになるだろうと。そういった意味では、その当時、私どもが、約二千万人でございますけれども、一人当たりの単価が非常に急激に下がる、削減するというような体系にはしていないということは御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/215
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216・足立信也
○足立信也君 終わりますが、まだまだ私も聞きたいことはございます。そして、大臣も、この本を一度は読まれて、もっと時間を掛けて審議した方がいいのではないかなと思ってくれれば幸いだと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/216
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217・朝日俊弘
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日です。
三度目の機会をいただきました。ありがとうございます。
引き続き、老人保健法の全部改正、高齢者の医療の確保に関する法律について逐次お尋ねをしていきたいと思います。
ただ、宿題が幾つか残っておりましたから、先に宿題を片付けます。
その第一、五月三十日の当委員会における質疑の中で、私は、高齢者の医療の確保に関する法律のスタートはいつからなんですかというふうにお尋ねしました。そうしたら、いともあっさりと、法律的には施行期日で決めておりますというお答えでした。
私は、聞きたかったのは、施行期日ではないんです。施行期日はもう平成二十年の四月というのが分かっていることで、例えば、気になったのは、今回提案されている健康増進法の第六条を見ますと、こういう書きぶりになっているんです。「高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)の規定により」と、こう書いてあるんですね。あれっ、待てよ、高齢者の医療の確保に関する法律は平成二十年四月ではなかったのか、何でここに五十七年と出てくるのか。よくよく考えたらこれは老人保健法が制定された年じゃないか、何だろうというふうに思ったんで、いつからスタートするんですかということをお聞きしたんです。もう一遍お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/217
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218・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) ちょっと答弁が不十分だったかもしれません。
順序を追って御説明いたしますと、まず、現行の老人保健法は昭和五十七年八月十七日に公布されまして、委員御指摘のとおり昭和五十八年二月一日に施行されまして、その後数次の改正を経て現在に至っているものでございます。
法律の一部改正の場合には、もちろん改正法の施行日はそれぞれ改正する内容に応じて設定されるわけでございますけれども、基となった法律、今回でいいますと老人保健法自体につきましては、この制定時の施行日及び法律番号は変わらないわけでございます。
したがいまして、今回の改正法の施行日は健康保険法等の一部を改正する法律案附則第一条第四号において平成二十年四月一日と規定しておりまして、法律の題名及び目的規定を始め、改正される規定につきましては平成二十年四月一日から施行されることになりますけれども、これまでの改正と同様、老人保健法の一部改正でございますので、老人保健法改め高齢者の医療の確保に関する法律の施行日は、現行の老人保健法の制定時の施行日と同じく昭和五十八年二月一日でございまして、法律番号も現行と同じく昭和五十七年法律第八十号でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/218
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219・朝日俊弘
○朝日俊弘君 法律解釈上はそうなるのらしいんですが、結局、基本的な認識の違いは、あなたは老人保健法の一部改正だと主張する、私は、全然変わっているじゃないか、だから全部改正だと言っている、この違いなんですね。
もうこれ以上追及しませんけれども、私は今回、老人保健法から高齢者の医療の確保に関する法律によって大きく老人保健法は変質させられた、特に、国や市町村が中心になって住民の健康の保持、増進に努めるという責務規定を削った、だから法律は変わったと思っている。ここのところをはっきりしておかなきゃいけないと思うんですが、今のお答えは、あくまでも老人保健法の一部改正だというふうに、あれだけ変えておいて一部改正だというふうに強弁されているというふうにしか思えない。
次行きます。
もう一つ宿題がありました。六月六日、今回の法律改正の中で何で地域保健法も併せて改正がなかったのかということをお尋ねしました。私は基本的には地域保健法の改正が連動してあってしかるべきだったと思うんですが、百歩譲って、地域保健法に基づく基本指針というのがあるので、これはきちっと変えていく必要があるんじゃないかという話をしました。そうしたら大臣は、もう少し明確にやっていけということで指示をしましたと、こういうお話でしたので、大臣からの答弁は結構ですが、それを受けて局長の方はどう受け止めているのかがいまいちはっきりしないんですね。だから改めてお尋ねします。
地域保健法に基づく基本指針について、中身を読んでみますと、やっぱり今の老人保健法があることを前提にした書きぶりになっているんですよ。例えば、市町村及び都道府県は、老人保健対策の実施に当たってはというふうに、明らかにそう書いてある。だから、少なくとも、少なくとも今回の法律ができることによって、改めて地域保健法の枠組みやあるいは地域保健法に基づく基本指針についてきっちり検討をし、改めるところを改めるというふうにしなければならないんじゃないかと私は思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/219
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220・中島正治
○政府参考人(中島正治君) ただいま御指摘の地域保健法に基づく地域保健対策の推進に関する基本的な指針につきましては、地域保健対策の円滑な実施及び総合的な推進を図るために、地域保健体系の下で国、都道府県、市町村等が取り組むべき方向性を示しているものでございます。
今回の医療制度改革におきまして、生活習慣病対策も含めて、国、都道府県、市町村及び保険者等がどのような役割を担っていく必要があるかということにつきましては、健康増進法の基本方針において示すことに加えまして、地域保健法に基づく基本指針についても今回の改革の趣旨を踏まえまして、その内容の必要な見直しを検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/220
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221・朝日俊弘
○朝日俊弘君 よろしくお願いします。
大臣、一言追加しておきますと、健康問題については何か、一つは今回高齢者の医療法で定める、もう一つは介護保険法で定める、もう一つは労働安全衛生法で定めるというふうに、こればらばらに切られちゃっているんですよ。そうじゃなくて、健康増進あるいは健康の保持の観点から法律を全体を組み立て直さないとうまくいかないんです。ですから、ここは是非、今後の実施に当たって、もう少し今ある幾つかの関連する法律案の全体の見直しとうまくそれが整合するような形で検討をお願いしたいというふうに思います。
さて、次に、やっと四十八条まで来ました。
高齢者の医療制度についてお尋ねをします。この点については既に幾つかの同僚議員からの御質問もありましたので、私は絞って広域連合の問題についてお尋ねしたいと思います。
どうしてもこの四十八条の書きぶりが二つの点で納得できないんですね。一つは、「市町村は、後期高齢者医療の事務を処理するため、都道府県の区域ごとに当該区域内のすべての市町村が加入する広域連合を設けるものとする。」、この「事務を処理するため」と「設けるものとする」という書きぶりがどうもよく分からぬ、腑に落ちない。
まず先に、「広域連合を設けるものとする」という書きぶりは、これは義務規定なんだろうと思うんですね。この規定に基づく後期高齢者医療制度の運営については自治事務なのか法定受託事務なのか。もし何らかの理由でこの設置に反対したり設置できなかった場合にはどうするのか。国は何らかのペナルティーを科すのか、それとも国が代執行するのか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/221
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222・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 今法案をお読みいただきました、「市町村は、後期高齢者医療の事務を処理するため、都道府県の区域ごとに当該区域内のすべての市町村が加入する広域連合を設けるものとする。」、この規定についてでございます。
この市町村による広域連合の設置及び広域連合が処理する後期高齢者医療の事務は地方自治法上の自治事務であります。また、広域連合の設置は、この規定により市町村に義務付けられているものでございます。自治事務について代執行する仕組みはございませんが、厚生労働省としては、今後財政の広域化及び安定化の必要性といった広域連合の設置の趣旨を市町村に説明するなど、広域連合の円滑な設置に向けて最大限努力してまいりたいと思います。現在の段階において、法案の趣旨は御理解いただいていると思っております。現在、広域連合に加入しないという市町村は把握はできておりません。
一方で、是正要求はできるのかということになりますと、地方自治法上では、各大臣は、市町村の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、都道府県知事に対し違反の是正又は改善のための必要な措置を講ずべきことを当該市町村に求めるよう指示することができると、こういう規定の置き方になっております。そういった意味では、どうしても御理解をいただけないという場合は、私ども、県と相談をして、県の方から要請をしていただくと、このような法体系になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/222
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223・朝日俊弘
○朝日俊弘君 少し分かったんですけど、それでもどうしても嫌だとかあるいはできないとかなったらどうするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/223
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224・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 法律構成上はこれ以上ありません。我々は代執行はできない。したがって、我々はまず制度をしっかり説明をすると、それでも御理解いただけない場合は県に要請をする、県の方から市町村に要請してほしいと。そのときに我々の場合は県に指示することができるとされておりますけど、県が今度市町村に対してどこまで命令権というんですか指示権を持っているか、そこがちょっと私どもではよく分かりませんので、逆に総務省の方でちょっと調べて、場合によっては後で報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/224
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225・朝日俊弘
○朝日俊弘君 そんなこともあろうと思って、総務省に来ていただいていますので、後でお尋ねします。
それで、一つ飛ばして、もう一つの納得できないという理由が、高齢者の医療の事務を処理するため、これが、この書きぶりが全く無責任。この法案の質問の最初のときに後期高齢者医療制度というのは社会保険かどうかという話をしました。社会保険の枠組みで組み立てているという話もありました。とすれば、この広域連合は明らかに保険者と位置付けるべきなんです。なぜ保険者と位置付けて、その保険者としての保険者機能を十分に発揮できるように、むしろそこを強調すべきじゃなかったかと私は思うんですね。
もう既に御存じのとおり、現在の、これ大臣もお答えになっている、老人保健制度の一つの大きな問題点は保険者機能が発揮できないと。いろんな健康保険からお金をいただいて、拠出していただいて、それが市町村で給付する。なかなかそこに保険者機能が十分に発揮できなかったから新しい制度をつくりましょうということになったと大臣自身おっしゃいました。
何で後期高齢者医療の事務を処理するためといとも事務的に書いて、しかも保険者という位置付けを明確にあえて書かないでこんな規定ぶりをしたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/225
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226・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) これについては随分御議論いただいておることは承知いたしております。
法案では、後期高齢者医療の事務を処理するための広域連合を設ける旨の規定を置いておりますが、この規定における後期高齢者医療の事務には保険料の決定、保険給付が含まれており、財政責任を持つ運営主体であるという意味では広域連合が保険者であるということは明確であることから保険者という規定は置いておりませんが、広域連合が保険者機能を発揮する上で支障はないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/226
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227・朝日俊弘
○朝日俊弘君 保険者であることが明確であると、何かどこかで書いてありますか。それとも何かで示しますか。ちょっとしつこいようですけれども、あなたたちは保険者ですよというふうにちゃんと言ってほしいんですよ。明確にどこかで書くか示すかしてほしいんですよ。ここに書かなくてもいいとおっしゃるんだったら、どこかに書いていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/227
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228・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) それをどういう形で書くかは別といたしまして、保険者といいますか、財政責任を負う主体であるということはこれは繰り返し答弁しておりますし、これまでもどのような形であれ明らかにしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/228
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229・朝日俊弘
○朝日俊弘君 違う、違う。そんなことを聞いているんじゃなくて、保険者機能を遺憾なく発揮してくださいということを書いてほしいと言っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/229
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230・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) それはもうはっきりそのように明らかにしていきたいと。文書によりまして明らかにしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/230
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231・朝日俊弘
○朝日俊弘君 何によって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/231
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232・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 今申し上げましたのは、文書ということを申し上げました。いろんな会議でも申し上げますし、これ実は、広域連合で給付とそれから保険料、財政の両方の責任を併せ持つということは一番の眼目であります。したがいまして、この点は明らかにすることといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/232
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233・朝日俊弘
○朝日俊弘君 どうも、私がしつこくこだわるのは、どこかでやっぱり妥協したんじゃないか、どこかであいまいに、うまく持っていきたいんじゃないか、そんな気持ちがあるんじゃないかという気がしてなりませんので、はっきりと後期高齢者医療の運営を担う広域連合は保険者なんだよと、だから保険者機能を遺憾なく発揮するんだよということはきっちり書いていただきたい。でないとこの法律そのものの組立てがうそになるというふうに思います。
さて次に、総務省の方においでいただきました。
まず、広域連合を設置する場合の法的根拠について改めてちょっと勉強をしたい。と同時に、現在ある広域連合、これまだできてから余り年数たってないと思うんですけれども、どれくらいあって、どれくらいの自治体の数が参加した広域連合が実際にできているのか、ちょっと教えてほしいんですね。私が知るところでは、全部の市町村が参加する広域連合が全都道府県にできるなんて例がないと思うんです。ですから、ちょっとその根拠と現状についてまず御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/233
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234・高部正男
○政府参考人(高部正男君) お答えを申し上げます。
広域連合でございますが、平成六年に制度化されたものでございます。これも委員御案内かと思いますが、地方自治法の第三編、特別地方公共団体という位置付けの中で、このうちの三章の中で、地方公共団体の組合というものの中の一類型として広域連合が位置付けられているところでございます。
〔委員長退席、理事岸宏一君着席〕
そして、広域連合は、都道府県や市区町村等がその事務で広域にわたり処理することが適当であると認めるものに関し、広域にわたる総合的な計画を作成し、その事務の管理及び執行について広域計画の実施のために必要な連絡調整を図り、並びにその事務の一部を広域にわたり総合的かつ計画的に処理するため、その協議により規約を定め、それぞれの議会の議決を経た上で、都道府県知事等の許可を受け設置することができるというような仕組みが一般的なこの自治法の広域連合の仕組みでございます。
そこで、設置件数等でございますけれども、平成十七年四月一日現在の数値を把握しているところでございますが、七十一件ございまして、構成団体の数は延べで二県、百三十五市、三百三十一町、百四十九村、四組合というふうになっているところでございまして、また、広域連合が処理する主な事務の種類は、厚生福祉、介護保険でございますとか老人福祉、それからごみ処理やし尿処理などの環境衛生、防災といったようなものが処理する事務となっているところでございます。
最後に御指摘がございました、都道府県単位ですべての市町村が参加する、すべての市町村を構成団体とするような広域連合でございますけれども、これは全国で二件の例がございまして、これはいずれも人づくり等を目的とするものでございまして、二件存在すると。日本国じゅうの全県という意味じゃなくて、ある県の中で全市町村が入っているような広域連合というのが二つございます。
以上が状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/234
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235・朝日俊弘
○朝日俊弘君 念のため確認ですけれども、少なくとも、今回提案されているように、すべての自治体が都道府県ごとに参加してそれを全国すべての県につくるというような例はないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/235
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236・高部正男
○政府参考人(高部正男君) 先ほどお答えしたとおりでございまして、おっしゃられるとおり、日本国じゅうの四十七都道府県すべてですべての市町村を構成団体とする広域連合といったような仕組みは承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/236
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237・朝日俊弘
○朝日俊弘君 いやいや、今私が言ったのは、都道府県ごとにすべてまとめて、それが四十七都道府県に全部できるという意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/237
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238・高部正男
○政府参考人(高部正男君) おっしゃられるような組合は今まで設置されていないというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/238
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239・朝日俊弘
○朝日俊弘君 次に、もう一つ勉強させてください。
広域連合、これは一般的な規定ぶりの説明で結構ですが、広域連合ということになると、その運営の仕組みあるいは政策決定の範囲とかプロセスとか最終的な責任の所在とか、制度上どういう規定ぶりになっているのか、ちょっと御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/239
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240・高部正男
○政府参考人(高部正男君) 先ほど申し上げましたように、広域連合も地方公共団体の組合の一類型として位置付けられているところでございまして、都道府県や市区町村等がその事務で広域にわたり処理することが適当であると認めるものについて共同処理をするために設置するものでございます。
〔理事岸宏一君退席、委員長着席〕
設置については地方自治法に規定がございまして、組織する団体、区域、処理する事務、広域計画の項目、議会の組織及び議員の選挙の方法、長等の執行機関の組織及び選任の方法などについて規約を定めまして、関係地方公共団体の議会の議決を経た上で総務大臣又は都道府県知事の許可を得ることとされているところでございます。
広域連合でございますけれども、規約に定めるところによりまして、先ほど申し上げましたように、議会や長等の執行機関が置かれることになるわけでございます。規約により処理することとされた事務でございますとか広域計画の作成、その実施のために必要な連絡調整を行うということになるわけでございます。規約により処理することとされている事務は、その広域連合が責任を持って処理するということになるわけでございます。
いろいろ申し上げましたけれども、基本的には特別地方公共団体でございますが、長と議会が置かれますので、おおむね一つの市町村と同じような格好で議会が意思決定し執行するというような仕組みで運営される、規約でいろいろ定める部分はありますけれども、そういうものだというふうに御理解いただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/240
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241・朝日俊弘
○朝日俊弘君 おおよそどういうものかというのが、御説明いただいたわけですが、それであるとすると、多分この法律を提出する前に厚生労働省から総務省の方に事前の御相談があって、こういうふうにしようと思うがどうかという相談があったと思うんですね。そのときに総務省は何でこんな法律を認めたのかなと、いまだに私不思議なんです。というのは、今御説明いただいた地方自治法に定める規定ぶりは、主語は市町村なんですよね、市町村がこうこうこういうものをつくることができると。なのに、今度は違うんですよ。先ほども言いましたけれども、四十八条に「すべての市町村が加入する広域連合を設けるものとする。」、これ主語も何もよく分からぬような。
だから、私は、最終的には自治体の判断、市町村の判断があってしかるべきと思うから、それで先ほどしつこく聞いていたんです。どうしても嫌だと言った場合どうするの、あるいはできないという場合はどうするの。そういうことを重々承知している総務省が何でこういう提案をすることを了解したのか、非常に理解し難いんですけれども、ちょっと説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/241
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242・高部正男
○政府参考人(高部正男君) 制度の設計に当たりまして、厚生労働省の方から私どもの方にお話をいただきました。その中で、るる既に御説明があったかとも思いますけれども、財政運営の広域化あるいは安定化という観点でこういう仕組みが必要だということで御説明いただいたところでございます。
御指摘ございましたように、地方自治法の規定は一般的な仕組みでございますので、組合にしても広域連合にしても事務の共同処理等のために市町村等が自分たちでこういう形で処理しようとする仕組みではありますけれども、そういう一般的な仕組みがあることを前提に厚生労働省の方でいろいろ御検討をいただいて今回のような制度設計をされたものというふうに理解しておりまして、この辺については私どもといたしましても説明をしていただいたというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/242
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243・朝日俊弘
○朝日俊弘君 いや、説明していただいたのは分かったんです。当然説明あってしかるべき、何でオーケーと言ったのかというのが分からぬと。
あくまでも地方自治法に定める、一部事務組合というのもあるし広域連合というのもある、それはより広域的にやった方がうまくいくだろうと市町村が判断した場合に自分たちでつくることができるんですよ。そこがスタートなんですよ。ところが、今回は高齢者の医療の確保に関する法律の第四十八条につくるものとすると、こう書いちゃったわけです。そうしたら、こんな調子でいったら次々とできるじゃないですか、法律で書いたら。そんなことがあっていいんですか。広域連合というのはそんな趣旨にある意味では悪用されていいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/243
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244・高部正男
○政府参考人(高部正男君) 御指摘ございましたように、自治法の仕組みは市町村等が、先ほど言いましたように、事務の広域処理、共同処理といったような観点で自分たちで制度を組み立てて、そういう事務処理をしていくことがいいということに対応する、そういうことをするための手続等々について定めている仕組みであることは御指摘のとおりでございます。
今般の仕組みにつきましては、厚生労働省の方で今回の後期高齢者医療制度をつくるに際してどういう仕組みがいいのかといろいろ御検討をされた上で、こういう仕組みが必要だということで御説明をいただき、いろんな、何といいますか、総合的に判断して、こういう仕組みを取ることについて私どもといたしましても理解をしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/244
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245・朝日俊弘
○朝日俊弘君 今度、ちょっと別の機会に大臣と一遍やり取りやってみようと思います。どうも今の答えでは納得いかない。
それで、次に移ります。
幾つかの質問をすっ飛ばしまして、療養型の転換の話に話を一気に持っていきます。
法律の中では、一番最後の附則というところに病床転換助成事業という項目が書かれています。本則ではなくて附則になっています。
そこで、まず最初にお聞きしたいのは、この病床転換助成事業の概要について、その対象の範囲はどういうものをどういうものに転換する場合なのかということも含めて御説明をいただきたいということと、「政令で定める日まで」というふうに書いてあるんですが、それはいつごろまでを想定しているのか、だれがどういうふうにその時期を判断するのか。そもそも、この部分は丸っぽ附則にしたのは時限立法と解していいのかどうか、御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/245
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246・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 病床転換助成事業についてでございます。
これにつきましては、委員御指摘のとおり、附則に定めているわけでありますけれども、事業の概要といたしましては、まず都道府県を実施主体としているわけでございます。医療療養病床等の長期入院病床を老人保健施設等に転換するための費用の一部を助成するというものでございます。
助成対象範囲といたしましては、法律上のまず規定ぶりを申し上げますと、病床の種別のうち厚生労働省令で定めるものの病床数を減少させるとともに、介護保険施設その他厚生労働省令で定める施設の新設又は増設により、病床の減少数に相当する数の範囲内において入所定員を増加させることとしてございます。
具体的な内容でありますけれども、平成二十年から平成二十四年度の第一期医療費適正化計画の期間におきましては、転換元の病床といたしましては医療療養病床を定めまして、転換先の施設といたしましては老人保健施設のほか有料老人ホームやケアハウス、認知症高齢者グループホームを助成の対象に加える考えでございます。なお、転換先の大半は老人保健施設を想定しているところでございます。
それから、転換整備の方法といたしましては、改修による転換のほか、新規の建て替えによる整備も対象とする考えでございます。
それから、期間限定ということがございました。これは政令で定める期間における事業というふうに位置付けてございます。これは法律そのものの有効期限を定めます時限立法とは異なりますけれども、事業の存続の必要性を一定期間ごとに見直すという仕組みとして設けているわけでございます。
具体的には、医療費適正化計画の計画期間にこの事業の実施期間をそろえまして、施行時におきましては期限を平成二十四年度末というふうに政令に規定をいたしまして、その後も継続するかどうか、あるいは事業の内容をどうするかにつきましては、平成二十五年度から始まる第二期医療費適正化計画の在り方を検討する過程で保険者等の関係者の御意見も承りながら検討していくことになるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/246
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247・朝日俊弘
○朝日俊弘君 そうすると、時限立法ではないと、まず。しかし、ずっと続くということを想定しているのではなくて、適正化計画の五年ごとに言わば見直していくというか、そういう位置付けのものだと、こういう理解でいいんですね。
そうしたら、その次に、今の問題の説明をもう少し詳しくしてほしいんですが、ここで言っている、附則で言っている病床転換事業というのは、あくまで今の御説明によると、医療療養型の病床が老人保健施設等へ転換する場合に限定されるというふうに御説明があったと思うんですね。
ところで、一方、今回の改正の中に介護保険法の改正があって、介護療養病床についても六年後には廃止するよという規定がありますよね。だから、介護保険法から介護療養病床の規定が全文削除されておりますよね。これとの関係はどうなるのかということと、介護療養病床の転換についてはここに言う病床転換助成事業は適用されないという理解でよろしいんですかどうか、説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/247
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248・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) この病床転換助成事業、またこれから御質問もあろうかと思いますけれども、医療保険財源の活用を図ることとしてございますので、医療保険が適用されている病床からの転換に対して実施されるものでございます。したがいまして、介護保険が適用される病床、具体的には介護療養病床からの転換をその対象に、この高齢者医療確保法に言うところの病床転換助成事業ではこれは含めてございません。
一方で、これにつきましては、老人保健局の方で別途対応しているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/248
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249・磯部文雄
○政府参考人(磯部文雄君) 介護療養病床を老人保健施設等に転換する際には、市町村が必要と判断した場合には地域介護・福祉空間整備等交付金を活用できるようにする予定でございます。
ただ、その具体的な助成内容は、本法律制定後、今後、本交付金全体に係る市町村のニーズも踏まえた上で詰めていくこととしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/249
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250・朝日俊弘
○朝日俊弘君 そうすると、もうちょっと質問してから聞きます。
今の介護療養病床と関連するんですが、従来、診療報酬上の枠組みだったと思いますけど、精神病床の中に老人性痴呆疾患治療病棟とか療養病棟とかというのがありました。まあ今日的に言うと高齢者認知症治療病棟というのかな。この中に療養病床とあるんですね、老人性認知症療養病床。これはたしか介護保険の方で見ていただいている分だから、そうすると介護療養病床ということに含まれるのかなというふうに思うんですが、その際の転換支援方策はどうなるのか、念のため確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/250
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251・磯部文雄
○政府参考人(磯部文雄君) 老人性認知症疾患治療病棟につきましては、十八年度の診療報酬改定におきまして、認知症疾患に対する入院医療を重視する観点から看護職員の人員配置基準等の見直しを行ったところでございまして、引き続き医療保険適用として診療報酬上の評価を行っております。これは治療病棟の方です。
療養病棟でございますが、療養病棟は二つに分かれておりまして、医療保険適用の部分、これにつきましては十六年度の診療報酬改定の際の経過措置によりまして、本年の三月三十一日をもって廃止されたところでございます。そして、療養病棟のうちのもう一つの介護保険適用の部分につきましては、引き続き介護保険適用として介護報酬上の評価を行っているところでございます。
そこで、介護保険適用の療養病棟、老人性認知症疾患療養病棟ですが、は介護療養型の医療施設の一部でございますので、今回の再編を踏まえまして、医療保険適用の治療病棟やあるいは老人保健施設等の介護施設に転換するということになろうかと思います。その場合に、例えば療養病棟が老人保健施設等に転換する場合にも、円滑な転換を促進する観点から、療養病床に対する転換支援策と同様の措置を講ずることとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/251
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252・朝日俊弘
○朝日俊弘君 そうすると、こういうことですかね。従来、精神病床の中の一部で認知症の療養病床を引き受けていたんだけれども、既に医療保険の適用からは外れて今は介護の保険の適用を受けているけれども、それも廃止すると。そうすると、両方ともなくなるので認知症の療養病床はもう要らないと、こうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/252
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253・磯部文雄
○政府参考人(磯部文雄君) 先ほども、最初にも申し上げましたが、認知症の治療病棟、医療保険適用の治療病棟は引き続き残ります。療養病棟の方は、御指摘のとおり医療保険につきましてはもう既にございませんし、介護保険につきましては六年後、六年間を経て、治療病棟に移るかあるいは老健施設等に転換していただくということになろうと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/253
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254・朝日俊弘
○朝日俊弘君 だから、そうすると認知症の療養病床はなくなると。そういう方たちはどこでケアするんですか。どこでケアするの。なくなっちゃうんでしょう。制度上なくすんだから、そしたらどうするという答えがなきゃ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/254
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255・磯部文雄
○政府参考人(磯部文雄君) 繰り返しになりますが、その場合には、その御老人の方の状況にもよると思いますけれども、老人性認知症疾患治療病棟、医療保険適用の治療病棟になるか、あるいは老人保健施設等の介護施設でそうした方々のケアをするということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/255
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256・朝日俊弘
○朝日俊弘君 おおよそそのことで影響を受ける数についてはつかんでいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/256
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257・磯部文雄
○政府参考人(磯部文雄君) 昨年の十二月末ですので、まだ介護の方の医療病床があるところでございますけれども、治療病床は全国で一万七千ぐらいでございます。これは医療保険適用です。介護保険適用の方の療養病床は四千八百床、それから医療保険適用の療養病床が七千床というのが昨年末の状況です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/257
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258・朝日俊弘
○朝日俊弘君 これはちょっとどこまで関係者の皆さんと十分お詰めいただいたのか、やや不信感が残りますが、少し改めてこの問題については、きちっと御説明をいただける資料を作って、関係者の皆さんにも見ていただけるようなものを作っていただきたいと思います。少なくとも一万、二万程度の数の対象となる施設があるわけですし、しかもそこに入っておられる認知症の方がいるわけで、これを全部治療病棟に移したらいいでしょうという話ではないだろうと思うんですね。是非これから、特に気になっていますのは、認知症に対するアプローチの仕方が厚生労働省の中でもちょっとばらついているんですよね、精神保健福祉課からアプローチする場合と、介護保険の方からアプローチする場合と、老人医療の方からアプローチする場合と。だから、その谷間に落っこちちゃうと大変なことになるなと思うので、改めてちょっときちっとその説明をできる資料を作っていただいて、機会をつくってください。これはお願いします。
さて、もう一遍全体の話に戻します。
療養病床を医療療養病床にしろ介護療養病床にしろ、それをできるだけ少なくしていく方向に持っていく、そのためにできるだけ円滑な転換を進めていく方向、これは私は方向としては認めたいと思います。ただ、問題はその転換をしていくための必要条件をどうやって整えるかということだろうと思うんですね。
そこで、幾つか課題別にお尋ねしたいと思います。
私の問題意識は、確かに療養病床に言わば社会的入院という形で入院していることは必ずしも適切な状態ではないだろうと。しかし、その病床数を削減すればそれでいいということではなくて、その社会的入院と言われる理由を一つ一つつぶしていかないと、克服していかないといけない、こういうことだと思います。
そこで、現在入院している方たちにどういう社会的理由があるのかということを考えてみますと、まずは単純に高齢者のための住宅がない、少ないということが一つあると思うんですね。必ずしもまだ介護が必要な状態にはなってない。しかし、先ほど三世代住宅の話もありましたけど、なかなか高齢者自身でアパート借りるにもなかなか借りれないというようなことがある。有料老人ホームも結構高いということもある。さてどういう施策を、つまり高齢者の皆さんに対して高齢者のニーズに対応した住宅を造ろうという施策が一方であっていいと思うんですね。
まず、これについて、これはどうやら厚生労働省の仕事ではなくて国土交通省の仕事らしいので、今日は来ていただいていますから、一遍、国土交通省としてこれまでどういうことをやってこられたのか、そしてこれからどんなふうにやっていこうとされているのか、是非御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/258
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259・山本繁太郎
○政府参考人(山本繁太郎君) 高齢者が安心して自立した生活を送るために、高齢者のニーズに対応した住宅供給を推進することは大変大事な課題であると考えております。
このために、まず公営住宅についてでございますが、平成三年度から新たに整備するものにつきましてバリアフリー化することを標準といたしました。その上で、大規模な公営住宅などを建て替える際には福祉施設等との併設を原則とすること、それから福祉部局と連携をいたしましてライフサポート・アドバイザーを配置した公共賃貸住宅でございますシルバーハウジングというプロジェクトを進めてまいりまして、高齢者のニーズに対応した公営住宅の整備を進めてきたところでございます。
また、平成十三年に制定していただきました高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づきまして、高齢者世帯に対してバリアフリー化された居住環境を備えた高齢者向け優良賃貸住宅を整備する民間事業者に対し助成を行いますとともに、高齢者の円滑な入居を促進するために、高齢者の入居を拒否しない民間の賃貸住宅の登録制度を設けてまいりました。
さらに、昨年の十二月でございますが、高齢者の多様な住宅ニーズに対応するため、専ら高齢者世帯を対象としている賃貸住宅につきまして、より詳細な情報提供を行う高齢者専用賃貸住宅制度を位置付けたところでございます。
これらの施策によりまして、民間事業者による高齢者の生活に適した住宅の供給を促進する取組を行ってまいっているところでございます。
なお、今国会で制定していただきました住生活基本法の基本理念におきまして、住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策の推進は、高齢者などの居住の安定の確保が図られることを旨として行わなければならないものとすることが定められました。
住宅政策といたしましては、今後、この理念に基づきまして、更に積極的に高齢者のニーズに対応した住宅供給に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/259
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260・朝日俊弘
○朝日俊弘君 ありがとうございました。
いろいろ取組されているということを御説明いただきましたが、一つ苦言を呈すれば、宣伝が下手というか、PRが必ずしも十分できていないのではないかと。だから、利用される方たちに届いていないのではないかという気がしますのと、それから、せっかく厚生労働省といろいろそういう意味では連携をしながらやっているわけですから、せめてこの厚生労働委員会の皆さんには、こんなものがあるよというパンフレットの一枚ぐらい持ってきてもらうと有り難いなと思いますので、これは要請をしておきます。
それと、今後の課題として二つ宿題を出しておきますから、また一年ぐらいたってから聞きます。
一つは、保証人の問題なんですね。高齢者だけだと嫌がる人、家主がいるんですよ。これ、共同して何か連帯保証するような仕組みなんかはできないのかなというのが一つ。それからもう一つは、グループリビングというのかな、高齢者が何人か、元気な者同士が、似た者同士集まって一緒に暮らそうよという、そういうときに対するつくり方が日本は何かもう一つ一つの小さな家庭みたいなつくり方になっていて、グループリビングできるようなものに対する支援もあっていいのかなというふうに思います。是非この二つは検討していただければと思います。わざわざ来ていただいて、宿題持って帰っていただいて恐縮ですけど、よろしくお願いします。
さて、課題のその二は、やっぱり厚生労働省の方で、現在ある老人保健施設とか特別養護老人ホームなどの介護施設やケアハウス、あるいは有料老人ホーム、グループホーム等についてどういうふうに整備を進めていくのか、こういうことについて改めてお尋ねをしたいと思います。
そのことと併せて、一緒に聞いちゃいますが、健康保険法の改正案の附則に検討規定が付けられています。それを読んでみると、療養病床再編後におけると、これまた随分先の話を書いている。再編がうまく進むかどうかもよく分からぬのに、こんな先のことを書いていいのかなと思うんですが、再編後における老人保健施設、特別養護老人施設に関する再整理、基本的な在り方の検討等について、いつごろ、どういう場で検討する予定なのかも併せてお聞きしたいと思います。
読み方によっては、今まで介護施設は三種類あったと。介護療養型があって、老健施設があって、特別養護老人ホームがあった。今回、六年後までには介護療養施設を削ります、廃止しますよと、こうなった。残る二つも今後は一本化するということの前提で考えるのかなと思ってみたり、これは先読み過ぎかもしれませんけど、ちょっとそういうことも書いてありますので、その点も含めて厚生労働省として、介護入所型の介護施設の整備とその再編成についてどう考えているのか、御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/260
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261・磯部文雄
○政府参考人(磯部文雄君) 介護サービス基盤の整備につきましては、できるだけ住み慣れた自宅や地域で生活が続けられることを基本としつつ、在宅で介護を受けることが困難な方のために入所あるいは居住系サービスの整備を進めていくことが基本だと考えております。
全国的に見ますと、かなり入所、居住系サービスの整備が進んでいる地域があります一方で、都市部、特に首都圏におきましては、今後、高齢者人口が著しく増加し、特に独り暮らしや夫婦のみの高齢者が増えてくることが予想されており、このようなニーズの増大に対応した計画的な基盤整備を進めていくことが必要であろうというふうに考えております。
それから、御指摘の附則の件でございますが、ここには、入所者の状態に応じてふさわしいサービスを提供する観点から、老人保健施設等の基本的な在り方や入所者に対する医療の在り方等について検討を行う旨の規定が盛り込まれておりまして、三つを二つとか二つを一つとか、そこまで具体的なことが考えられているわけではございません。
また、この検討方法につきましては、本法案の成立後できるだけ速やかに検討会を始めたいと思っておりますが、具体的な検討の場やスケジュールにつきましては今後詰めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/261
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262・朝日俊弘
○朝日俊弘君 そうすると、現在ある審議会とは別途検討会を設けるという理解でいいですか。そこまで決めてない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/262
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263・磯部文雄
○政府参考人(磯部文雄君) そこも含めて検討事項でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/263
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264・朝日俊弘
○朝日俊弘君 それではその次に、課題のその三は、在宅あるいはグループホームとかケアハウスとか、いわゆる入所施設型ではない地域の様々な居住されている方たちに対して、一つは在宅の、居宅介護サービスの充実と、もう一つは訪問看護などの医療関連サービスを多様化し豊富化すると。そのことによって支えるということがどうしても必要になるんですね。
そこについてはどう考えておられるのか。つまり、私がずっと聞いているのは、国土交通省における住まいの確保と、それから厚生労働省における施設介護の再編整備と、それから在宅ケアの充実と、この三拍子がそろわないと駄目だと思っているんですね。その点についてどう考えているのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/264
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265・磯部文雄
○政府参考人(磯部文雄君) 介護保険の制度創設以来、在宅サービスの利用の伸びが特に顕著でございまして、事業者の参入も進み、在宅サービスの基盤の充実が図られてきていると認識しております。
昨年の介護保険制度改正におきまして、高齢者世帯の増加や認知症高齢者の増加に対応するために、具体的に申し上げますと、夜間対応型の訪問介護という制度を設けました。また、小規模多機能型の居宅介護の創設というのもいたしました。それから、地域の相談支援の拠点となります地域包括支援センターの創設なども行っております。
それから、これは本年度の介護報酬改定におきましてでございますが、中重度者への対応を強化する、在宅でですね、在宅の中重度者への対応を強化するということで、一つは、医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ方の通所の場所として、療養通所介護という報酬を設定しております。それから、訪問看護の充実として、夜間、早朝型の短時間の訪問看護ができるように創設をいたしました。それから、在宅におけるターミナルケアへの取組も訪問看護において評価をしております。それから、ショートステイの緊急利用体制の評価なども行っております。
また、入院あるいは入所しているところから退院する際の退院時の円滑な在宅復帰のために、今日も少し議論がございましたが、地域包括支援センターによる医療機関とケアマネジャーの連携の形成、それから退院時に在宅からのケアマネジメントが、ケアマネジャーが行きまして、そのケアマネジメントに対しまして加算を創設するということで、医療と介護の連携を図っております。
それから、具体的に、これは診療報酬の方でございますが、十八年度から新たに在宅療養支援診療所というのを位置付けまして、二十四時間体制、特に介護との関係で申し上げますと、当該診療所から介護保険給付の対象となりますケアハウスや有料老人ホームに入居している末期のがんの患者さんを訪問して診療した場合に新たに診療報酬を算定できるなどの対応を図ってきているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/265
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266・朝日俊弘
○朝日俊弘君 今、ざっと三つの領域に分けて、私なりに克服すべき課題について整理をしてみましたが、以上の話、やり取りをお聞きになって大臣から総括的にコメントいただきたいと思うんですが、繰り返しますけれども、私は方向としては是とします。しかし、そのことを進めていくに当たっては、いわゆる社会的入院となった事例の一つ一つの社会的理由を解決、克服しなければ駄目だと、そのための施策の具体的な拡充、充実と併せてこの転換の話も進めていかなければ、これはある意味で無責任と言わざるを得ないと思うんですが、大臣のお考えをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/266
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267・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 療養病床の問題は、昭和四十八年の老人医療費無料化以降、病院が高齢者介護の受皿となってきた社会的入院問題として三十年来の懸案となっており、介護保険法施行後六年を経て、介護基盤の整備も進んだことから、積年の課題を整理し、いわゆる社会的入院を是正することとしたものでございます。
療養病床の患者が入院している理由については、在宅でも対応できるが家族の受入れ体制が整わないためといった社会的入院と考えるものが相当あるものと認識いたしております。
一つは、療養病床の入院理由、症状に応じた医学的管理を受けることが必要なため、これが四四%。在宅でも対応できるが、家族の受入れ体制が整わないため二八%、こういう資料になっております。そうしたことから、今、国土交通省なり私どもの担当から、そうしたものに合わせながら、正に療養病床の利用者が在宅等へ復帰するに当たってどのような体制整備が必要かということを今委員から御質問いただき、答えさしていただきました。
私ども、退院前から、ケアマネジャー、その方の身体状況や御家族の状況、住宅状況なども踏まえ、適切なサービスの組合せを行うことが重要であり、平成十八年度介護報酬改定において、ケアマネジャーによるこのような業務に対する報酬を創設いたしたところでございます。
また、今回の介護保険法制度の改正においては、在宅生活の継続を支える環境づくりを進める観点から、先ほどこれも答弁いたしましたけれども、地域包括支援センター、ここを中心とした地域包括ケアのネットワークを活用することとしており、こうした取組を着実に推進していくことにより社会的入院の是正を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/267
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268・朝日俊弘
○朝日俊弘君 それで、あと残された時間が少なくなりましたから、ちょっとかいつまんで、改めての御説明をお願いしたいと思いますが、要するに、医療療養型の方は、病床転換に際して、今回の法律に定めた規定に基づいて、例えば国からの交付金とか、あるいは病床転換支援金とか、そういうもので支援をしていくと、こういう仕組みをつくる、そういうスキームをつくる。その際に保険料も一部使うというふうに読めるんだけれども、それでよいのかどうか。
一方、介護療養型の転換については、どうやら別のスキームでやるということになる。介護保険の方には病床転換奨励金みたいなのがないですね。そうすると、介護保険の方は介護保険の保険料は使わないと、一般財源でやると、こういうことになってくるのかな。ほとんど中身的には一緒な医療療養型と介護療養型と金の出どころが大分違うという話になりはしないかと思うんですが、それぞれ説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/268
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269・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) まず、病床転換助成事業、医療保険のサイドの話でございますけれども、まず、これは基本的には都道府県の事業として構成しているわけでありまして、都道府県、医療提供体制に責任を有する、医療計画にも責任を有する、それから医療費適正化計画につきましても作成主体になるということから、都道府県が一般財源により費用の一部を支弁するという構成を取ってございます。ただ、これに加えまして、国も医療費適正化に責任を持っているということから、一般財源により都道府県への交付金を負担するというのが一つはございます。
もう一つは、保険者からの支援金でありまして、この病床転換に伴いまして後期高齢者の医療の医療費が適正化されるということで、この支援金の負担軽減の言わば受益者である保険者が保険料を財源とした病床転換支援金を社会保険診療報酬支払基金に納付しまして、これを元に支払基金から都道府県に病床転換助成交付金を交付するということとしてございます。
したがいまして、財源構成からいいますと、国と都道府県と保険者の各主体が費用負担を行うということでございまして、その負担割合につきましては、後期高齢者医療制度の負担割合から、後期高齢者御本人の保険料部分を除いたものに準拠をいたしまして、ちょっと数は半端でございますが、十対五対十二というふうな費用の持ち合いを考えているところでございます。
医療保険においては保険料財源を用いるということでございますけれども、これは実は平成六年度から十一年度に、老人保健拠出金による老人保健施設等整備事業、これはそういった介護施設を整備することによって医療費の適正化が図られると、今回と同様の観点でございますが、それにつきまして保険料財源を元に施設整備を行ったということもございまして、今回もこういった支援金という形で保険者に費用負担をお願いしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/269
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270・磯部文雄
○政府参考人(磯部文雄君) 介護保険の方につきましては、社会福祉施設整備費補助金というのが元々古くからある特養あるいは老健等に対する施設整備についてございました。それが十六年度から十七年度になりますときに、先ほど申し上げました地域介護・福祉空間整備等交付金ということで交付金化されまして、そのうち、かつ本年の三位一体法によりまして、十八年度からこのうちの都道府県部分につきましては地方財政措置が講じられることになっておりまして、都道府県の判断によってその施設整備を行うということで、それはもう都道府県に移譲しておりまして、残っております市町村の交付金がございます。その市町村の交付金を使いまして、介護療養病床の老人保健施設等への転換につきましては、市町村がその介護療養病床の転換に関する整備計画を国に提出いたしまして、国がこの整備計画に基づき交付金を市町村に交付するという仕組みを今回新たに考えているところでございます。
この交付金につきましては、こうした経緯もございまして全額国費で行おうとしているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/270
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271・朝日俊弘
○朝日俊弘君 大臣、ちょっと二つのスキームが違うんですよね、お金の出どころが。これでいいんですかね。私は基本的には保険財源を使うことについては反対なんですが、やるんならちゃんと国と都道府県と市町村でやれと言いたいわけですけれども、どうですか、最後に大臣に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/271
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272・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 事業をやる中で様々な財源を組み合わせながらやらしていただいていることは事実でございます。一方で、今御質問ございました療養病床が老人保健施設等へ転換することに伴い、後期高齢者の医療費が適正化され、後期高齢者の支援金の負担の軽減につながることにより被保険者の利益となるものであると、このような考え方から、保険料財源を充てることについては御理解を賜りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/272
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273・朝日俊弘
○朝日俊弘君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/273
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274・小池晃
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
審議やればやるほど問題点が明らかになってきております。今日も新たな問題が幾つか浮かび上がってきていると思うんですが、私は、そもそもの発端である医療費の将来推計の問題を改めて取り上げたい。
これは、今年三月の予算委員会の締め総でも私質問をいたしました。そのときの論点というのは、一人当たりの医療費の伸び率の設定が最新の数字ではなくて、五年以上前の数字を使っているじゃないかということで、そのことによって二〇二五年の医療費が過大推計になっているんではないかということを指摘したんですが、今日、今お配りしている資料の一枚目が、そのとき私が予算委員会で配付した資料、厚労省からもらった資料です。
ところが、この資料の七十歳未満の一人当たり医療費の伸び率が、数字が間違っていたということを最近言い出しております。どういうことなのか、なぜ間違ったのか、説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/274
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275・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) ただいま委員が引用された資料でございますけれども、これは三月に厚生労働省が議員に対しお示しした資料でございます。これは、議員からのお求めにできるだけ回答すべく、毎年度の数値、平成十二度以降も毎年度の数値を提出させていただいたところでございます。
これらの数値は、昨年四月の経済財政諮問会議におきまして、いわゆる医療費の自然増が必ずしも経済成長と連動するわけではないということをお示しするためにこの医療費の伸びを分解した資料を提出しておりまして、この資料を作成する過程で、医療費の伸びを様々な形で要因分析する必要が生じまして、それに応じて一定の前提で計算した結果が既に手元にあったということでありますので、お求めに応じてまとめて御提出をしたわけであります。
しかし、この数値を用いた計算の手法ということにつきましては、これは繰り返し申し上げていますように、平成十二年度以降、介護保険制度の創設、あるいは平成十四年に健保の三割負担の導入と、医療費に大きな影響を与える制度改正が毎年のようにあったということから、医療費の自然体の伸び率を見るためにはこれらの精度が落ちるなどの問題があるということで、医療費の将来見通しの前提には使わなかったということでございまして、誤りということではございません。それぞれ目的に応じて制度が違うものを用いたということで、ただ、手元にあったものは、議員のお求めに応じて提出したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/275
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276・小池晃
○小池晃君 今の説明、全く意味不明ですよね。本当に一人当たり伸び率というのがいろんな数字を持っているということになるじゃないですか。その都度、都合のいい数字を使っているということになるわけですよ。
じゃ、その将来推計に使ったものは何かということで出てきたのが二枚目のこの表なわけです。
これは、一人当たり医療費の伸び率というのは、私は純粋にその年の一人当たりの医療費の伸び率を使っているのかと思ったらそうじゃなかったんですね。実はいろんな細工がしてあった。要するに、各種の補正をやっているわけです。補正は二つあって、一つは制度改定による補正で、もう一つは高齢化の影響による補正だというわけです。それを示しているのがこの二枚目の資料なんです。この結果、七十歳未満の一般の医療費の伸び率は二・一%であり、七十歳以上の高齢者の伸び率が三・二%になったというわけなんですが、ちょっとこれ細かく中身を見ていきたい。もう一枚めくっていただいて、制度改正の効果がどう出たのかということをこういうふうに厚労省、説明しているわけです。
これは、九七年と九八年と制度改定の影響が出ていると言うんですが、それは後で議論をするとして、九七年。これ九七年の制度改定の計算の仕方が、平成九年の四月からが直後の期間とされているんですが、これ九七年の制度改定というのは九月にやっているんですね。何で九月に制度改定したのに四月からが直後の期間で、そういう補正を行うんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/276
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277・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 平成九年度、一九九七年度の制度改正におきまして、健保の二割負担の導入あるいは老人の一部負担の引上げなどが実施されたわけでございますけれども、確かに、委員御指摘のとおり、制度改正の施行は九月でございます。一般的には九月からその影響が出るものと考えられますが、法案提出時点におきましては平成九年五月施行を予定しておりまして、また、五月の施行を前提に制度改正の内容が早くから報道されていたことから、毎月の医療費の伸びの実績を観察していましたところ、明らかにこの四月以降、伸び率が低下しているわけであります。アナウンスメント効果ではないかと私ども言っておりますけれども、こういった効果が出た、それが実績上明らかになったということでございますので、平成九年度の制度改正につきまして、四月から制度改正の影響が出ていたために、この四月からの一年間の伸び率というものを基礎にして考えたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/277
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278・小池晃
○小池晃君 もうこれ本当奇妙な話だと思うんですね。アナウンス効果というのは、アナウンス効果があって、その前は普通は増えるんですよ。それがその制度改定の前から減っているんだと。
これは本当に、私、恣意的な数字のマジックといいますか、普通だったら、九月の改定だから、九月から影響があったとして補正するのが筋なんです。これちゃんと九月から補正すれば、伸び率〇・三%低下するんです。すなわち、〇・三%水増しになっているんです。これは極めて恣意的だと私は思う。
しかも、九八年にも、先ほどの二枚目の表にあるように、制度改定による影響って補正しているんですね。九八年、何の制度改定もないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/278
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279・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 先ほど御指摘がありましたとおり、平成九年度の制度改正、九月に実施されているわけでありまして、一般に、制度改正が実施された月からおおむね一年間その影響が出て、その後、従来の伸び率に戻るということは経験的に確認されているわけでありまして、そういう意味では、平成九年度の制度改正、九月実施でございますので、平成十年までこの改正の効果が、影響が及んでいるということで計算をしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/279
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280・小池晃
○小池晃君 それもおかしいじゃないですか。だって、四月から影響出ているんだったら、一年だったら四月で終わりでしょう。何でそれが九八年まで行くんですか。これ論理がここでもまたすり替わっているわけですね。
しかも、さらに、九九年の制度改定の影響は、それを見ますと、これは直後の期間は九九年の七月になっているんです。しかも、これはどうも入院外の医療費に限って補正したようなんですね。これ九七年の補正と全く手法が違いますが、これはなぜですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/280
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281・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 平成十一年度、一九九九年度の制度改正におきましては、七月から高齢者の薬剤負担を国庫で肩代わりするという措置を実施したわけでございますけれども、これは外来、入院外医療費にしか影響がないことから、入院外医療費につきまして、直後の期間、平成十一年七月から平成十二年三月までの期間をいたしまして、その期間の対前年同月の伸び率は六・〇%。それから、参照期間は平成十年九月から平成十一年六月までの期間でございまして、その間伸びが四・一ということでございます。その差は一・九でございますけれども、外来、入院外の医療費は約半分でございますので、それに二分の一を掛ける。それから、七月施行による影響といたしまして、十二分の九というものを掛けまして〇・七%と、こういった影響率を算定したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/281
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282・小池晃
○小池晃君 私、本当にこれいい加減だと思います。補正するというんであれば、一定の原則に基づいて客観的な基準でやらなければ、ちょっと影響が出たかもしれないっていうんで適当に補正、それぞれによって全然補正の取り方が違うなんというのでは、私はこれは客観的な数字にならないというふうに申し上げたい。
しかも、その上、四枚目を見ていただきたいんですが、高齢化の効果についてもこれは補正、これ控除って書いてあるんですね。要するに、高齢化による影響というのは、これはきちっと人口構成の推移から計算すると〇・六%になるわけです。それが〇・五%になっているんですね。これはなぜですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/282
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283・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 医療費の将来見通しに用いる一人当たり医療費の伸び率の算定に当たりましては、実績率から、実績値から制度改正効果のほかに、年齢構成の高齢化による効果、いわゆる高齢化効果を補正しているところでございます。これは、将来に向けては将来推計人口を用いるために、いったん高齢化の影響を除くということが必要であるために、この控除の措置を取っているわけでございます。
医療費の将来見通しで用いました平成七年から平成十一年度の一般の高齢化効果の具体的な計算につきましては、これは、平成六年度の国民医療費の年齢階級別の一人当たり診療費に平成六年度の年齢階級別の人口を乗じまして診療費の総額を算出しまして、さらに全体の人口で割りますと、一人当たり医療費十四・四三万円になるわけであります。この、同じく平成六年の国民医療費の年齢階級別一人当たり診療費に平成十一年度の年齢階級別の人口を乗じたところでございますが、これは結局、高齢化の影響がこの人口構成の変化に表れるわけであります。これを全体の人口で除しまして一人当たり医療費を算出すると、十四・八九万円になるわけであります。この結果、この五年間における年齢階級別の一人当たり診療費を固定した場合の一人当たり医療費の年当たり伸び率は〇・六%でございます。
最後に、この国民医療費には老人保健制度に含まれる障害認定者の医療費が含まれておりまして、これにより数値が大きくなる影響があるために、〇・一%を控除して〇・五%としたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/283
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284・小池晃
○小池晃君 だから、本当にこれ補正に次ぐ補正、もう数字を本当にいじくっているんですね、厚労省は。私は、一人当たりの伸び率を伸ばしましたという説明を聞いて、それはもう単純な実際の数字を伸ばしているのかと思っていたらば、高齢化の補正というのもかなりいい加減な、もうその都度その都度違う仕組みであるし、制度改正の、それから高齢化の補正についても、今言った〇・一%というのを更に補正している。こんなことをやっているから結局厚労省自身も訳分かんなくなっているんじゃないですか、今。私、そういうふうにしか思えないんですよ、これ。
大臣にお聞きしたいんですが、この一人当たり医療費の伸び率のこの補正のやり方、大臣、これ普通の人が聞いたら、余りにも恣意的だというふうに感じるんじゃないでしょうか。こういう前提に基づく医療費の将来推計というのが法案の根拠になっているとすれば、これは正当性がないということになるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/284
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285・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 将来見通しについては、衆議院におきましても、参議院におきましてもいろんな議論をいただいておりますし、私どもも、二〇二五年の数字については正直言って目安。過去のいろんな予測も必ずしも当たっていないと、こういう御批判もいただいているところでございます。したがって、これは私どもは機械的に算出をさせていただきましたと、過去の一定期間の実績を取りながらやらせていただいた。一方で、若干の補正はいたしております。これは今局長がるる委員の御質問に答えて、御答弁を申し上げたとおりでございます。
そういった意味では、私ども、将来、後期高齢者の数が今千二百万人から二千万人に増えていく。そういう時代を迎える中、大体このぐらいの見通しになるだろうということをお示しをさせていただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/285
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286・小池晃
○小池晃君 いや、私が言っているのは、機械的じゃないじゃないかと言っているんですよ。機械的だったらまだいいんですよ、きちっと一定のルールで自動的にやるようなものだったら。これ正に恣意的じゃないですか。九月の改定の影響が四月から出ていました、だから補正しました。これ機械的じゃないですよ、極めて恣意的ですよ。
こういうやり方では、正に法案の正当性の根拠、崩れているじゃないかと、そう言っているんです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/286
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287・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) まず、法案の正当性につきましては、先ほどから申し上げているとおり、将来見通しについては様々な御意見がございます。しかし、私どもは、こうした算式、数式によって出させていただきましたということを明確にいたしております。また一方で、後期高齢者の数が増える中でやはり医療費というものがある程度大きなものにならざるを得ない。これは国民の皆さん方にもよく御理解をいただいているところだろうと思っております。
二番目の問題で、恣意的かと言われれば、るる御説明申し上げたように、若干の補正すべきものは補正させていただいておると、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/287
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288・小池晃
○小池晃君 もう答えられないんだと思うんですが、これ、目安だ目安だというふうに、医療費伸びるんだって、そんな大ざっぱな議論されたら困るんですよ。これ二〇二五年の医療費というのは十兆も二十兆もこれ変わってくるわけですよ。しかも、目安だ目安だとおっしゃるけれども、与党の皆さんはこれを根拠にしているんですね。
例えば四月十二日の公明新聞にはこうあるんです。改革の背景には、高齢化の急速な進行で増加の一途をたどる医療費の伸びをどう抑制するかという、先送りが許されない課題がある。厚生労働省の推計によると、現在三十一兆五千億円の国民医療費が、二〇二五年には六十五兆円にまで膨らむことが見込まれる。将来の変化を織り込んだ改革を実現することは、正に政治に課せられた責任であると。
正に与党が、この六十五兆円という数字を正ににしきの御旗にして、これでは大変だろう、だから制度改定なんだと、だから痛みはしようがないんだと、そう宣伝しているじゃないですか。目安なんてものじゃないですよ、これは。あなた方が根拠にしていた数字なんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/288
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289・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) ですから、さんざん申し上げているとおり、様々な御議論をされている中でございますけど、私どもは、基本的にはこういうスタンスにおいて計算をさせていただきましたと、一部の補正は加えておりますと、こういう御説明をさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/289
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290・小池晃
○小池晃君 全然説明になってないです。一部の補正じゃないです。極めて恣意的な、将来の医療費を大きく見せ掛けて、私は国民に負担増を強いるやり方は許されないということを申し上げます。
続いて、出産手当金や傷病手当金の改定もあるので、そのことを聞きたい。
これは、政管健保、健保組合のみならず、国公共済、地方共済、私学共済、併せて改正されるわけですが、この手当金が作られたのはいつか。その理由を簡単に説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/290
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291・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 出産手当金及び傷病手当金についてのお尋ねでございますけれども、大正十一年の健康保険法の制定当初から法定給付とされてございます。ただ、給付につきましては、療養の給付と同様に昭和二年一月から開始をされているものでございます。
まず、このうち出産手当金につきましては、被保険者が出産の前後における一定期間内において労務に服さなかったことによる所得の喪失又は減少を補い、生活の保障を行うことを目的としているものでございます。
また、傷病手当金につきましては、被保険者が疾病又は負傷の療養のため労務に服さなかったことによる所得の喪失又は減少を補い、生活の保障を行うことを目的としているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/291
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292・小池晃
○小池晃君 これ八十年ぶりの改定になるわけです。任意継続被保険者に手当金を支給しないということになる。今までは任意継続の被保険者と強制保険の被保険者は区別していませんでした。この理由はどういうことでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/292
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293・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 区別してなかった理由というのは明らかでございませんけれども、同じ被保険者であるということから支給していたものだと思います。
ただ、内容を見てみますと、まず労務に服しなかったことによる所得の損失を補てんするという観点から今回見直しを行いまして、こういった任意継続被保険者に対しましては廃止をする等の措置をとったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/293
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294・小池晃
○小池晃君 その区別していなかった理由も分からないと。そういうときに今回の改定で任意継続分は廃止するというのは、私はこれは極めて無責任ではないかと思うんですね。なぜ給付を見直すのか、今説明ありましたけれども、私はそれは理由になってないというふうに思います。
加えて、埋葬料のことについても聞きますが、これも一九二二年ですね、作られたのは。これ、なぜ報酬比例にしてきたのか、説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/294
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295・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 埋葬料につきましても、大正十一年の健康保険法の制定当初から法定給付とされているところでございます。
この埋葬料、被保険者が死亡した場合にその埋葬に要する費用を保障いたしまして、遺族の救済ないし弔意を図ることを目的として創設されたものと承知してございます。
その支給額につきましては、創設当時は必ずしも保険医療機関の整備が十分でない中で保険料負担はお願いするわけでありますので、こういった負担への理解が得られるよう、報酬比例の負担に対して埋葬料の額も報酬比例の支給としたものと考えられます。
それから、あえて、先ほどちょっと傷病手当金、出産手当金のところで答弁漏れましたけれども、今回の全体の措置といたしましては、賞与を含めた水準とするために、賃金の六割相当額から三分の二に改善するということが一方でございます中で、合理的に説明が付く部分につきましては合理化をしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/295
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296・小池晃
○小池晃君 任意継続の人には何の合理的な説明にも私ならないというふうに思います。
今御説明ありましたが、八十年前の話じゃなくて、ずっと最近まで報酬比例で来たのを、これ標準報酬の一か月分を支払われていた埋葬料を今回定額の五万円にする、その理由はなぜですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/296
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297・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 現金給付の見直し、今回行ったわけでございますけれども、これにつきましては、少子化対策の観点も踏まえました充実を図る一方で、給付の重点化を図るということがこの理由でございます。
埋葬料につきましては、先ほど申し上げましたとおり、制度創設当初からの状況と異なりまして、保険医療機関の整備も進みまして保険料負担への理解も得られてきた一方で、埋葬に要する費用自体は必ずしも報酬に比例するものではないわけでございますので、これと連動させる必然性に乏しいことから定額化を図ることとしたものでございます。
また、その金額につきましては、国民健康保険における葬祭料、葬祭費の平均額が約五万円である、そういったこと等を踏まえまして五万円とすることとしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/297
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298・小池晃
○小池晃君 国保とは運営主体も違えば保険料も違うわけで、全く五万円にする説明にはならないと思います。
定額の五万円にした場合の財政効果、平成十五年度決算の支給実績は幾らで、五万円にするとどうなるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/298
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299・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 平成十五年度、二〇〇三年度の被用者保険制度において支給された埋葬料等は、約二十二万件、四百三十億円でございます。
この支給件数を基に、仮に埋葬料等一件当たり一律五万円の支給とした場合の総支給額を計算いたしますと約百九億円ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/299
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300・小池晃
○小池晃君 だから、三百二十一億円も削減されるということになるんですね。これ、結構大きい問題だと私は思う。出産一時金増やしますよと大宣伝していますけれども、増額は結局手当金とか埋葬料の削減と引替えになっているわけです。
これ、説明ペーパー一枚もないんですよ。私、まともにこういう問題説明もなしに、健保、共済含めて大改正、八十年ぶり。大臣、今のこういうやり方で説明責任果たしているというふうに言えるんですか。被保険者からの理解を得られるとお思いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/300
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301・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 是非御理解を賜りたいと思います。厳しい医療保険財政の下で、一方で、少子化に対応する給付ということで今回の取りまとめを行わさせていただきました。
改めて申し上げますと、出産育児一時金について三十万円から三十五万円に引上げ、傷病手当金及び出産手当金について賞与を含めた水準とするため、賃金の六割相当額から三分の二相当額に引上げる。傷病手当金及び出産手当金について、傷病等により労務に服すことのできなくなった者に対する所得保障という性格を踏まえ、任意継続被保険者等に対する支給については廃止、埋葬料については、国保が今五万円でございましたので全体的にも定額五万円という形にさせていただいて、出産一時金、出産手当金等少子化の方向へこの保険料の使い道をこういう形にさせていただいたと。時代の一つの方向性でございますので、是非御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/301
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302・小池晃
○小池晃君 医療費適正化の名で、葬儀やあるいは病気など暮らしの基本、一番深刻なときに係る給付も切り捨てる、安心料さえむしり取るというやり方は私は容認できないということを申し上げたいと思います。
さらに、今回、医療費適正化が高齢者医療確保法の法の目的に盛り込まれる。医療費適正化基本方針を定め、メタボリックシンドローム対策など様々な事項、在院日数の短縮などを定めた医療費適正化計画ということを定めると。医療計画の中では、疾病別の年間総入院期間の短縮、在宅みとり率の向上、地域連携クリティカルパスの普及、こういった目標を新たに掲げると。数値目標を定めて、達成状況を都道府県にチェックさせて診療報酬にも反映する。余り問題があれば、厚生労働大臣が都道府県ごとの特例というペナルティーを課してまで入院日数を減らすという仕組みであります。
大臣、この医療内容を充実させて、結果として在院日数が減少していく、医療費も減少する、これは歓迎すべきことだと私は思うんです。在院日数を減らすことは悪だと思いません。しかし手法として、例えば厚労省の医療課長がどんな発言しているかというと、ある医療団体との懇談で、これは家で死ねということだと、病院に連れてくるなと、とにかく病院には来ないでと思っているんだと、こういう発言もしている。
私、この入院削減の、在院日数削減の数値目標を決め、在宅みとり率の向上も目標として掲げる、こういうやり方すれば、結局患者の追い出し競争ということになってくるし、そうしたやり方が国民の命や健康に私は重大な悪影響を与えるのは必至ではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/302
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303・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 今回の医療制度改革の中で、諸外国と比べて極めて長い我が国の平均在院日数を短縮する、大きな目標であることは事実でございます。限られた医療資源を有効に活用し、効率的で質の高い医療を実現するためには、各医療機関が適切に役割を分担し、医療機関同士が連携して疾病の状況に応じた適切な医療を提供していく必要がある。
このため、今般の改革においては、医療費適正化計画に基づき、生活習慣病対策や長期入院の是正などに取り組むと同時に、医療計画制度を見直し、脳卒中、がん、小児救急医療など事業ごとに地域における医療連携体制を構築し、それを医療計画に具体的に位置付けることといたしております。これにより、急性期から回復を経て在宅に戻るまで、治療が途中で中断することなく、切れ目のない医療提供体制を実現し、転院、退院後も考慮した適切な医療の確保が図られるように対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/303
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304・小池晃
○小池晃君 いや、だからそうならないでしょうと言っているんですよ、こういうやり方したらば。機械的な数値目標を押し付けるというやり方をしたらば。そういうことを指摘しているんであります。
続いて、基本健診、特定健診の問題、ちょっと聞きたいんですが、今回老健法に基づいて地方自治体が行ってきた基本健診が廃止されて特定健診ということになっていくというわけであります。これは、保険者に対して保険料を財源とする特定健診の実施を義務付ける。これは、保険というのは保険事故に対する給付というのは保険原理だと思うんですが、私はこれ保険原理を超えることになるんじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/304
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305・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) これは我が国の医療保険制度におきまして、従来から保健事業の推進によりまして疾病又は負傷の発生率が減少する、ひいては保険給付を適切なものにすることにつながるということで、保険者の財政の安定化も図られるということに基づきまして、健診等の保健事業を保険料を財源とする事業と位置付けて既に実施をしてきているわけでございます。
今回の改正におきましては、保険者が行います保健事業のうち、生活習慣病に着目した健診、保健指導につきましては、加入者の健康増進に資するとともに医療費の適正化効果が期待されるということでございますので、取組を確実なものとするために努力義務から義務へと改めるところでございますけれども、医療保険におきまして、保健事業を行う基本的な考え方そのものは従来と何ら変わるところがございません。そういう意味で、社会保険の考え方にこれはのっとったものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/305
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306・小池晃
○小池晃君 今のは説明になっていないと思いますね。この部分が保険原理を超えないという説明にはなっていないというふうに思います。
加えて、加入者全員の健診の記録を長期間にわたって管理すると。これ、個人情報保護という観点からも極めて問題があるんじゃないかというふうに思うんですが、これ、全国レベルで健診情報を集中管理するようなことも考えているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/306
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307・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 今回の改正におきまして、保険者に対しましてはデータの保存ということを義務付けることとしてございます。これは、保健指導のときに過去の健診データの推移を活用する、あるいは保健指導後の健診データの改善状況から見まして、保健指導を行う事業者の評価あるいは選定に活用すると、こういうことが考えられるわけでございます。
一方、国におきましては、統計的な処理を行うためのデータの収集あるいは分析ということはあり得ると考えておりますけれども、個人を特定した記録の管理等を行うことは、これは考えてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/307
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308・小池晃
○小池晃君 といっても、私、非常にこれは危険なことになると思うんですね。統計のためだけだと言うけれども、情報としては行くわけですから。健康情報の国家管理は、私は国民は望んでいないというふうに思います。これも問題点だと思います。
加えて、医療保険の加入者の特定健診の受診達成状況が悪い場合に、後期高齢者の医療費に充てられる特定保険料を高くすると。この理由は一体何ですか。両者の間にどのような因果関係があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/308
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309・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 委員御指摘のとおり、各保険者における特定健診等達成状況を踏まえまして、後期高齢者支援金の加算、減算の措置を講ずることとしてございますけれども、その理由は、保険者が糖尿病等の生活習慣病対策を講じますと、糖尿病や高血圧症、高脂血症等の発症が減少する。さらに、これによって脳卒中や心筋梗塞等の重症な疾患の発症も減少するということでございますけれども、こうした重症な疾患は後期高齢者において発症することが多く、後期高齢者の医療費の適正化につながることを踏まえまして、こうした保険者の努力を評価し、特定健診や特定保健指導の実施に向けたインセンティブとするためにこういった加減算の措置を設けているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/309
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310・小池晃
○小池晃君 健診の達成状況を高めるということは大事なことだと思いますが、その結果が後期高齢者の時代に発症するというのはエビデンスがないというふうに思います。極めていい加減な話だというふうに思います。
さらに、被用者保険に比べれば、市町村国保というのは健診率の引上げはなかなか困難ではないかというふうに思うんです。市町村国保の財政をこれは圧迫することになるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/310
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311・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 市町村国保が実施する健診につきましては、従来市町村が実施していた老人保健事業では国と都道府県が三分の一ずつ負担していたということでございますので、引き続き同様にこういった負担を行うことを考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/311
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312・小池晃
○小池晃君 いや、違うんです。
私が聞いているのは、市町村国保と被用者保険を比べれば、健診、なかなか市町村国保はいろいろと困難な状況はあるだろうと。そういう中で、これが特定保険料の問題に跳ね返ってくれば国保財政を悪化させるんじゃないですかと聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/312
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313・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) その点は、正に健診費用を掛けることによって高齢者医療の負担を下げるという努力をしたところとしないところで差を付けるというのは、ある意味でそれはインセンティブという面でも理由があることだと考えております。その結果として、それはもちろん市町村国保の財政に影響はあるわけでございますけれども、その点は制度設計とも関連いたしますので、実施までに関係者の御意見も伺いながら具体的な設定については考えていきたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/313
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314・小池晃
○小池晃君 こういう重大な問題を考えていないということ自体が大問題ですよ。
それから、健診の問題で日本経団連がこんなことを言っている。今年の四月十四日に、生活習慣病予防に係る特定健康診査・特定保健指導のアウトソースの推進に向けてという要望書です。これは、アウトソース先の能力・信頼性等に関する評価基準を早急に整備し公表すべき、施設や有資格者に関する基準が過重になるのはアウトソース先の自主性・多様性の阻害につながり望ましくないと、こう言っている。この記者会見で日本経団連の高橋秀夫産業本部長はこう言っているんですね。フィットネスクラブなどに健診機器を設置した上で医師がアドバイザーになるか立ち会うなどすれば、恐らく民間でもできるだろう。日本経団連の会員でもある電機メーカーなどが計測機器を開発すれば、医師がすべてを計測しなくても、保健師であってもよいのではないか、こんなことを言っているんですね。
老健事業の基本健診というのは、これは医療機関かそれに準ずる施設で行われております。それは正に医師が、健診というのはこれは診断を伴う行為だからだというふうに思うんです。日本経団連言っているように、医者はアドバイザーとか立会い者でいいんだと、こういうことを検討しているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/314
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315・中島正治
○政府参考人(中島正治君) 今回、医療保険者に義務付けられます特定健康診査の具体的な健診項目につきましては、現在、有識者や医療保険者にも御参加をいただいた検討会において検討をしていただいているところでございます。糖尿病のほか、高血圧症、高脂血症、さらに重症化した結果としての脳血管疾患や、あるいは心疾患等をスクリーニングできるような内容ということを予定しておりまして、現在の老人保健事業の基本健康診査におおむね該当する内容と考えております。
医療保険者によります特定健康診査につきましては、従来の老人保健事業の基本健康診査と同様、採血などの医行為が含まれる内容となる予定でありまして、こうした特定健康診査の実施方法としましては、集団健診として市町村保健センターや職場の診療所等で実施する方法、あるいは医療機関に個別委託する方法などが考えられます。したがって、診療所のないフィットネスクラブにおいてこうした特定健康診査を実施するといったことは考えてはおらない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/315
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316・小池晃
○小池晃君 さらに、この特定健診規制緩和、外注化で本当に営利企業のマーケットにするなんということは絶対に許されないことだということを申し上げておきたいというふうに思います。
それから、昨日の公聴会でも大問題になりました介護療養病床の廃止と医療療養病床の大幅削減問題、これ、与党推薦の公述人からも懸念が表明されました。
今回の診療報酬、七月から改定されるものですが、これは医療療養病床から介護施設などへの移行を強力に誘導する性格のものであります。一方で、介護保険の参酌標準の上限、ここに今現実としては病床数張り付いている。参酌標準変えない限り、老健施設への転換が事実上不可能な県が数多く存在している。これ大変な混乱になっていると思います。今回の法改正やあるいは診療報酬の改定、これを前にして廃業を決意すると、そういう病院も出てきている。
老健局長、私、これは第三期の参酌標準、直ちに見直す、あるいは柔軟な運用を認める、手だてがなければこれは大変な混乱が生まれると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/316
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317・磯部文雄
○政府参考人(磯部文雄君) 第三期は十八年度から二十年度の三か年でございまして、介護保険事業につきましては各市町村がこの間のサービス見込み量や保険給付などを明らかにした計画を策定しまして、それに基づいて保険料を設定し終えたというところでございます。その中で各市町村は医療療養病床が介護施設等に転換する分の費用を見込んで介護保険料を設定しているわけでもございませんし、仮に現行計画の見込み量以上の転換を認めた場合には保険料が不足するということになりますので、私どもといたしましては第三期の途中で参酌標準を見直すことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/317
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318・小池晃
○小池晃君 私、今のは非常に無責任だと思うんですよ。だったらこんな法案出すなって言いたいですよ。だって、第三期の計画立てた、それがあるから変えられませんと。その計画立てた後でこんな法案出してくるからこういう混乱が生まれるんじゃないですか。こういう診療報酬改定やるから大混乱になるんじゃないですか。余りにも無責任だし、三期の計画があるから変えられません、これは余りに私は無謀、無理な議論であるというふうに言わざるを得ないというふうに思うんです。
大臣、昨日の公聴会でもこの問題、本当にリアルな実態が出されて、特に北海道、根室、釧路の地域は、療養病床なくなるだけじゃなくて、それに伴ってやっぱり急性期医療にも大きな影響を与えてくるということがこれは報告をされました。地域医療が崩壊するんだと、そういう声まで上がっているわけです。これ、七月からなんですよ、もう診療報酬の改定は。これは、医療療養病床に入院している、医療区分一とされると、これは明らかに追い出すことを目的とした診療報酬になっている。一方で、こんな診療報酬で追い立てる仕組みだけはつくりながら、参酌標準がありますからそっちは変えられません、受皿はつくれませんと。これはあんまりじゃないですか。
私、こういうやり方は本当に理不尽だし、この問題は与党推薦の公述人からも危惧が表明されている。私、参酌標準見直せないというのであれば、これは七月からの療養病床に係る診療報酬改定、これを見送る、見直すということがなければ、私は行政としても余りにも無責任な姿勢だと言われても仕方ないと思うんですが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/318
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319・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 今回の診療報酬改定におきましては、平成十五年三月に閣議決定されました基本方針に沿って、医療療養病床について患者の医療の必要性等に応じた評価を導入することとし、具体的には、医療の必要性の高い患者に係る医療については評価を引き上げるとともに、医療の必要性の低い患者に係る医療については評価を引き下げたところでございます。
こうした診療報酬体系の施行に当たっては、通常四月実施ということでございますけれども、医療機関への周知期間等を勘案して七月施行といたしたところでございます。
なお、医療区分一の患者について医療療養病床で対応する場合にあっても、医療の必要性が低い患者が多く入院する病棟については、平成二十四年三月までの経過措置として、医師、看護職員の配置を薄くする場合でも診療報酬上の評価を下げずに算定できる介護保険移行準備病棟を認める予定であり、医療機関がコストを引き下げて入院医療を継続する選択肢を設けることとしたほか、さらに、このような措置を講じてもなお一時的な資金の不足が生じた場合には独立行政法人福祉医療機構の融資を受けることができることとするとの措置を講じることといたしております。
いずれにせよ、六年掛かって療養病床の転換を図るわけでございますけれども、その経過期間の中でしっかり状況をウオッチしながらやってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/319
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320・小池晃
○小池晃君 最初のときの答弁と全く同じで、一歩も進んでないんですよ、これだけ危惧が表明されていながら。
大臣、六年掛かってというけれども、六年じゃないんですよ。この七月から改定になるんですよ。もうすぐに患者さんの側は追い出しが、そして病院の側は経営困難がということになる構造がもう七月にはできるんですよ。にもかかわらず六年あるからいいんだと、こういう議論じゃないでしょう。
私、これだけ問題がいろいろ出されているのに、最初に言った答弁を一歩も変えない、このまま通してくださいよ、これ余りにも硬直した姿勢じゃないですか。こんなやり方で法案通してくれなんていうのは余りにも、私、国民に対して無責任過ぎるというふうに思いますが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/320
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321・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) これは衆議院でも御答弁させていただき、参議院でも御答弁させていただいてまいりました。また、一方で、先ほど申し上げたように、介護保険移行準備病棟という一つの制度も設けながらやってまいりたいと思っておりますので、あとは一つ一つの事例を我々丹念に見ながら対応してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/321
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322・小池晃
○小池晃君 事例ができて追い出されてからでは遅いんですよ。この法律ができればそういう人が出てくるんですよ。その一人一人にとってみれば、それは人生の問題であり、命の問題になるんですよ。そういう無責任な発言は私許されないと思う。追い込む手だてだけはつくりながら、それを救う手だてすら取ろうとしない。いろいろとおっしゃったことでは救いにならないんですよ。これは余りにも私、無責任過ぎるということを指摘しておきます。こういうやり方で法案を通すなんということは断じて許されないというふうに思いますね。
がん対策の問題を最後に取り上げます。
がん対策が言われております。これは非常に大事なことだと思うんですが、これはがん検診の助成が九八年に地方の裁量を広げるということで一般交付金になった。これ以降、検診の受診率低下しているんです。東京では、二十三区中十四区、三十市町村中二十二、六八%の自治体ががん検診を有料化しています。それ以外も含めて大多数が有料化を検討している。有料化されると受診率下がるというのはどこでも出ています。がん検診の受診率は、この間全体としては非常に伸びていない実態がある。だとすれば、私、この一般財源化ということを見直す必要があるのではないかと思うんですね。
総務省にがん検診の交付金の交付額を聞きますと、九八年以来ずっと六百四十億円と、変わらないんです。これでは私、検診率を向上させようといったって無理があるというふうに思うんです。こういうときに自治体の責任だということだけで済ませていいのかということが問われているんじゃないですか。老健局長、このがん検診の問題について、一般財源化について見直す必要があるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/322
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323・磯部文雄
○政府参考人(磯部文雄君) 費用負担のお話がございましたけれども、元々自治体の大部分は一般財源化の前から自己負担を徴収していたと承知しております。そして、十年のときのがん検診の一般財源化を見直せというお話でございますが、当時は地方分権推進法などが施行されるなど、地方分権の大きな流れの中で、この事業を平成十年時点において、既に市町村の事業として同化定着していたということを踏まえまして一般財源化されたところでございます。現在も引き続きこうしたやり方で進めていくということとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/323
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324・小池晃
○小池晃君 千葉県の船橋市は、二〇〇二年からがん検診が有料化されて一検査当たり五百円掛かるようになったそうです。年金暮らしの女性は、今まで無料だったので気軽に受けられたが、肺がん、大腸がん、子宮がん二種、マンモグラフィー、五つで二千五百円掛かる、毎回検診のたびにどうしようかと迷ってしまうというふうにおっしゃっています。
日本総合研究所の「サステイナブルな医療制度の構築に向けて」という医療費の試算では、各都道府県のがん検診の受診率が上位五県平均レベルにまで上昇すれば、老人医療費を一一%抑制できるという試算もあるんですね。これはもう言うまでもなく、病状が深刻になってからでなくて、早期治療する方が財政的に見ても少なくて済む。これは当然の話だと思うんです。
地方分権だ何だというふうにおっしゃるけれども、私、がん対策だということをこれだけ言い、国の国家的事業なんだ、大臣、何度も言っていますよね、これ、がん対策重要なんだと。だとすれば、国家的課題とまで言うのであれば、やはりこの検診の受診率を引き上げるためにも補助の在り方を見直す必要があるんじゃないですか。少なくとも私は一般財源化によって有料化が広がっているという実態についてこれ調査をする。先ほど局長が前から有料でやっているところ多かったと言うけれども、実態調査なんかやられていないんですよ。だから、この一般財源化でどういう事態が起こっているのかちゃんと調査する。大臣、このぐらいのことやるべきじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/324
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325・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) まず、様々な政策、極めて重要な政策を進めていくときであっても、すべてそれを国が予算でやっていくという時代では私はないと思います。やはり地方を信用しながらやっていかなければならない。国、県、市町村が重層的に役割を担いながらやっていくと。そういう意味では、私は一般財源化はいいことであったと思います。そして、先ほど委員が示されたように、がんの検診をすることによって早く治療ができ、そして結果として医療費が適正化されるということをやはり都道府県、市町村に御理解いただくように我々も一層努力をしてまいりたいと思っております。
一方で、がん対策基本法が、今日の本会議で衆議院を通過いたしました。与野党で御議論をいただいて、そして全会一致、委員長提案で衆議院を通過いたしたところでございます。参議院でも御議論をいただいて、どうぞ成立をお願い申し上げたいと思います。
その中におきましても、やはり検診の重要性というものを改めて取り上げられておりますので、それに基づきながら、私どもは来年、がん対策基本法に基づいた新たな計画というものを書いていくことになっております。その中においてがん検診というものをどういう位置付けにしていくか、もう一度しっかり議論をしながら積み上げてまいりたいと、このように思っております。その中で都道府県や市町村がどういう理解をされているか、委員の御指摘の問題についてもしっかり議論をし、調べて次の対応を書いてまいりたいと、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/325
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326・小池晃
○小池晃君 一般財源化は正しいというのは私は驚きであります。これ検診が増えれば増えるほど国の補助金も増えるという仕組みと、幾ら、受診者が増えれば自治体の持ち出しが増えるという仕組みは、自治体にとってみれば天と地ほども違いますよ。だからこそこれだけ有料化が広がっているんです。がん対策が必要だと言いながらこういう制度を見直そうとはしないというのは、私はこれでは政府の言うがん対策も絵にかいたもちになりかねないということを指摘しておきたいというふうに思います。
まだまだ法案には多数の問題点があるということが今日の質問でも出てきているというふうに思いますので、引き続き徹底審議を求めます。
以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/326
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327・福島みずほ
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
まず冒頭、今日も出ておりますが、七月一日に実施される療養病床の診療報酬の改定の理由は療養病床削減のためでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/327
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328・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 七月一日に、新たな診療報酬改定におきまして療養病床におきます入院基本料の見直しを行いまして、医療の必要性の高い方については評価を上げ、医療の必要性の低い方につきましては評価を引き下げるということで全体の見直しを行っていきたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/328
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329・福島みずほ
○福島みずほ君 診療報酬体系が突然七月一日に変わるのでお聞きをしています。なぜこの診療報酬体系を変えることが必要のない人と必要のある人、質の問題につながるんでしょうか。本法案で議論をしている医療療養病床削減のための診療報酬改定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/329
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330・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 通常の診療報酬は四月一日付けで改定行われますけれども、この療養病床の部分につきましては、様々準備もおありかと考えまして七月一日実施にしたわけでございます。
この診療報酬の見直しにつきましては、実はこれは平成十五年三月の医療制度改革の基本方針におきまして考え方が示されたわけでありまして、慢性期の入院医療の在り方につきまして、医療の必要度あるいはADLの区分、こうしたものについて見直しを行うという方針が既に示されておりまして、二年掛けまして、中医協の下の専門的な調査、専門委員会におきまして調査をし、その上でこの新しい療養医療費の診療報酬の中身を定めたものでございます。それは全体として療養病床の再編成という流れと軌を一にするといいますか合致した整合性のあるものと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/330
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331・福島みずほ
○福島みずほ君 結局、療養病床削減のために七月一日に療養病床の診療報酬の改定をするという答弁ですね。これはひどいと思いますよ。
今日は六月十三日、七月一日の診療報酬からもう病院が極めてやっぱり成り立たなくなる制度をやる。もうほとんど時間がないんですよ。兵糧攻めをやっていく。先ほどから参酌基準のことが議論になっています。先日も西島委員の方から質問がありました。参酌基準があるのでなかなかそれは変えないと言っているわけですね。答弁でも、これは来期に参酌基準を見直すことになる。そうするとひどいことが起きる。つまり、七月一日に診療報酬体系をもう変えてしまう。病院側は抱え込むことができなくなる。そして、参酌基準はそのままなのでその人たちの行き場がない。どうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/331
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332・磯部文雄
○政府参考人(磯部文雄君) 参酌標準につきましては、国が基本的な方針を示しまして、それを受けまして、都道府県において、介護保険事業支援計画というのをそれぞれの都道府県でお作りになり、さらに、それに基づきましてそれぞれの市町村におきまして介護保険事業計画ということを作りまして、そのそれぞれの市町村において必要なサービスの量を測って保険料を決定していくという形でございます。
先ほどから申し上げておりますように、第三期、すなわち十八年から二十年の事業計画につきましてはこれが既に決定されておりまして、それに基づいた保険料となっております。ただ、その中の介護保険のサービス見込み量でございますが、我々が集計したところによりますと、十八年から二十年で、例えば老人保健施設ですと二万六千床ぐらいの増加の予定を立てております。
それからまた、介護療養施設が仮にそのまま老人保健施設に変わるということになりますと、これは都道府県の御判断でございますが、基本的には介護保険の保険料の中でのやりくりになりますので、恐らく認められるだろうと思います。それから、介護療養の中で医療の必要の高いものにつきましては、例えば医療の療養型に移るということも考えられます。この場合にも、これも都道府県の御判断によりますけれども、介護保険の療養の空きの部分につきまして、例えば老人保健施設を造るといった現行内でのやりくりもできるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/332
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333・福島みずほ
○福島みずほ君 法案では、参酌標準、ベッド規制を見直すよう配慮することとされております。しかし、今答弁があったとおり、これは自治体が行う、実際に行うのは市町村なので、国が果たしてこういうものを作っても、適正に運用されるという保障は一切ありません。とにかくひどいことなんですよ。
この法案を作る、七月一日にはもう診療報酬体系を変えてしまう、病院側がもたなくなってしまう。参酌基準はあって、ベッド規制があって、市町村に期待するけどそれは先の話。しかも、それが本当に担保されるかどうかは分からないわけですよ。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/333
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334・磯部文雄
○政府参考人(磯部文雄君) 七月の先ほどお話がございましたので、ちょっと三期に限って申し上げましたが、第四期、すなわち二十一年度から二十三年度の事業につきましては、これから厚生労働省が参酌標準を示し、先ほど申し上げましたような、それぞれ都道府県が事業支援計画、あるいは市町村が事業計画を立てていくということになろうと思います。その場合におきましては、我々も、今回のこの法律が通りましたらば、介護療養型の病床の再編ということを踏まえまして、そうした参酌標準を定め、それをそれぞれの都道府県の方に実施をお願いするということになろうかと思います。
確かに、最終的に法的な義務という点ではございませんけれども、介護保険及び医療保険におきます負担を勘案すれば、多くの自治体におきまして、国の方向性について御理解いただけるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/334
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335・福島みずほ
○福島みずほ君 都道府県では、一般病床から療養病床への変更は認めないと言っているところもあります。
厚生労働省がひどいと思うのは、午前中も出ました、猫の目のように政策が変わることです。一九九〇年、ゴールドプランが出てくる。一九九三年、平成五年、療養型病床群の創設、医療法の改正が行われます。二〇〇一年には療養病床の創設、医療法の改正をやります。去年はこの委員会で介護保険の改正をやりました。そのときにこんなことは全く議論されなかったんですよ。全く議論されなかった。
日本療養病床協会からのたくさんのペーパーも出ておりますが、私が病院の経営者だったら本当に怒り狂うだろうというふうに思います。信用して療養病床を増やし、まじめにやろうと思っていたら、七月一日から突然診療報酬が改定になる。参酌基準はどうなるか分からない。病院は経営が成り立っていかないですよ。患者だって大変ですよ。家族だって大変。順番が違うじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/335
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336・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 診療報酬のことでありますんで、私どもの考え方、申し述べたいと思いますけれども。
まず、今回の改定におきまして、医療の必要度が高い人につきましてはむしろ診療報酬上がるわけであります。したがって、多くの方が医療の必要度が高いところはある意味上がりますし、下がらないという状況があるわけです。今回一番影響を受けますのはこの医療区分の非常に低い方、ほとんど、介護施設での対応がほとんどのところが診療報酬が下がるということになるわけでありまして、ある意味でこれは、これまで非常に、介護相当な方を入れつつ病院での高い診療報酬を享受されてきた方々であるわけでございます。
そういう意味で今回合理化しようと考えているわけでありますが、ただいまの参酌標準の問題もありましたので、平成二十三年度末までは、むしろそういった医療の必要度が低い方が入っておられる病棟につきましては、介護保険移行準備病棟というものを設けまして、報酬水準は同じですけれども、コストを下げるということで対応すると、こういう道を開くことによって対応しようと思っておりますし、それから、先ほど老健局長がちょっと言いましたけれども、介護療養病棟と医療療養病棟、あるいは医療療養病棟を二つ持っているというところでは、こういった医療区分の配置を様々考えることによって対応を緩和することができようかと思います。
そういった対応が難しいのは、療養病棟、医療療養病棟、一個病棟だけ持っている、しかもそこに入っておられる方が医療区分が一でADLも一と、こういう方々のところをどうするかということでございますが、それにつきましては数も少なかろうと思っておりますので、必要があれば個別にも相談に応じたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/336
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337・福島みずほ
○福島みずほ君 個別に相談に応じたいという意味が全く分かりません。
先ほど答弁されたじゃないですか。今回の療養病床の削減と七月一日に行われる診療報酬の改定は軌を一にしている、整合性があるという答弁でした。結局、療養病床の数を減らすために診療報酬の体系変えて追い出すんですよ。採算が合わないようにして兵糧攻めにして追い出すんですよ。こういう政策を厚労省が平然とやって答弁していいのかというふうに思います。
地方公聴会で多くの公述人が療養病床、特にこれ北海道でしたから非常に困るということ、行き場がなくなるということ、そのことを力説をいたしました。今年四月に根室市の隣保院附属病院が閉鎖されたこと、そのことなどの記述もありました。公述人の一人は、吹雪の中、裸で放り出すようなもんだというふうに言いました。
大臣、昨日の地方公聴会のそれぞれの切実な声をどう受け止められましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/337
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338・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 昨日は私も決算委員会、衆、それからこちらの行政改革の特別委員会、ずっと国会で答弁をいたしておりましたので直接は聞いておりません。しかし、一方で、今お答え申し上げましたように、十五年三月の閣議決定におきまして、評価基準、基本的には医療が必要なところには評価を高くしよう、医療の必要性が低いところについては評価基準を下げるという形で基本的な認識をまず示してきたところでございます。
一方で、今回の療養病床の転換につきましては、真に医療が必要な方々、また介護に変わっていった方がいい方々と、こういうものをしっかり六年間掛かって方向を変えていこうというのが今回の基本でございます。その経過期間中にやるべき施策についても局長から申し上げたとおりでございます。
どうぞ御理解賜りますようお願い申し上げますとともに、我々も状況をしっかりウオッチしながら対応もしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/338
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339・福島みずほ
○福島みずほ君 先ほどからもありますが、六年掛けて移行するんじゃないんですよ。去年、介護保険法を議論するときはこんな議論なんかしなかった。
まだ私たちが審議中に、七月一日からは診療報酬が改定される、療養病床でやっていくのが極めて困難になっていく、そして行き場がないんですよ。どうするのか。社会的入院を減らすことはとても必要なことです。しかし、家で見ることができない、あるいは日本はケア付きの住宅などもまだ少ない。結局行き場がなくてどうするのか。北海道でも意見が出ました。結局行き場がなくて自宅で引き取るあるいは自宅で暮らすという人たちが非常に増えているという声が出て、結局この法案が通った後の問題点も完璧にあぶり出しているというふうに思います。
それで、私が分からないのは、ちょっと教えてください、医療型病床と介護型病床、これはどうやって区別するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/339
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340・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 医療法では一般病床のほかに療養病床というのが決められてございますが、いわゆる医療型、介護型というのはそれぞれの病床においてどの保険を適用しているか、医療保険が適用の場合が医療保険適用型の医療型療養病床、介護保険を適用している病床が介護保険適用型療養病床と、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/340
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341・福島みずほ
○福島みずほ君 なぜ私がこの質問をするかというと、医療型病床と介護型病床で全廃とそれから削減となっているわけですね。ところが実際はこれは、今日もずっと委員の方から出ておりますが、介護と医療ってシームレスであると。両方重なったり、両方必要だったり、有機的であったりするわけですね。そうしますと、介護型病床と医療型病床に分けて、一方は全廃、一方は削減といったところで、一体どういうふうに仕分をするのか、これは実はよく分かりません。
大臣、この厚生労働委員会でどうも議論がかみ合わなくて、私としては非常に怒り狂ってしまうんですが、吹雪の中を裸でほうり出すのかということが公述人から言われました。この間、村山参考人はこう言いました。病院に来ないでねと、それから来ても早く退院してねと。要するに、長期入院していますと単価が下がっていきますから、病院に来ないでねと、来ても早く退院してねと、そういう法案だと。私はもう一つ思うのは、病気になっても家でじっとして余り薬飲まないでねという、そういう法案ではないかと。七十五歳になったらちょっと覚悟してねというそういう法案ではないかと、そういうふうに思います。そういう声はどうお聞きになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/341
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342・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) そこはいろいろお話し申し上げておりますとおり、私どもが後期高齢者を迎えたときに大体四十八兆円ほどのお金が掛かるであろうと。その中で、後期高齢者医療だけで二十三兆円という金額が掛かるんだということをお示ししているわけです。
今、福島委員の言われるようなことがあれば、これはもう正にそんな予算は掛からないじゃないかという議論になりますので、私どもは、医療費というものはこのぐらいの中で、国民が負担し得る中でやっていこうということで御提案申し上げているわけで、正に雪の中ほうり出そうと、こんなことは一切考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/342
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343・福島みずほ
○福島みずほ君 いや、しかし、七月一日に診療報酬が改定になって病院の経営が困難になれば、実際は、帰ってください、もう駄目ですということになるんですよ。現に参酌、ベッド規制については動かせないわけだから、そこには連れていけない、だからといって病院の中では抱え込むことができない。だったら、もう無理やり退院してください、そうなりますよ。実際、病院の閉鎖で各地でそういうことが起きているわけです。だとしたら、このシステムが何を生むかということを考えていただきたい。よって、反対です。
アメリカは国民皆保険ではありません。日本の倍ぐらい医療費が掛かっていると言われます。むしろ、国民皆保険でなく、十分な医療を提供しないことがむしろ高負担になるといういい例だというふうに私は思います。
次に、これは先日から質問していることですが、介護保険施設及び療養病床における食費、居住費負担問題に関して、統一的な調査を厚生労働省はやらないと言っているわけです。これやってくださいというのは私の希望です。社会的入院がこれだけあるのだと厚生労働省は調査をして本法案を提案をしました。自分たちの都合のいい法案を作るときには統一的な調査をして、自分たちが作った法案でどういう問題が起きたかということについては統一的な調査をされないんでしょうか、してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/343
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344・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) これはこの間も、都道府県から調査、また政令指定都市等から調査した結果について一部御報告申し上げました。対して、厚生労働省が直接施設に当たるべきではないかと御意見でありましたけれども、私の方から、多くの、ほとんどの都道府県にそうした資料が、事実上調査されているだろうと、また調査されていない県があればお願いもしようということで御答弁さしていただいて、昨日、老健局から再度、都道府県に対し対象者調査の情報提供につき協力依頼をいたしました。
こうした資料がまとまり次第、御報告を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/344
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345・福島みずほ
○福島みずほ君 社会的入院があるかどうかについては、厚生労働省は統一的な調査をされています。
それで、介護保険の改定のときに附帯決議で、「介護保険施設等における食費及び居住費を保険給付の対象外とするに当たっては、利用者の負担が過重なものとならないような負担上限額を設定し、低所得者への配慮と激変緩和に努めること。」など、例えば社会福祉法人に過重な負担とならないように適正な措置を検討すること、こういう附帯決議が付いております。
本当にそうなっているかどうか、きちっと厚生労働省として調査をしていただきたい。というのは、各地の調査結果、幾つか見ましたが、非常にばらばらなんですね。ですから、厚生労働省として、厚生労働省が提案しこの国会で成立させた法案が現実に何を生じているのか、その検証が必要だと考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/345
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346・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) それは、先ほどからも御答弁申し上げているとおり、医療につきましても、また介護保険につきましても、それぞれ国の責任、都道府県の責任、市町村の責任の中で重層的に責任を担いながらやらしていただいている。
一方で、我々も当然そうした資料が欲しい、一方で都道府県においても地域の実態という声を聞きながら様々な方策を練っていることも事実でございますので、私の方から、都道府県から全部もらうようにすると、こう御答弁申し上げて、福島委員もそれをやるようにということで、昨日、そういうふうにまた老健局長から都道府県にお願いをしたところでございますので、御提案を受けた中で、私、御返事申し上げて昨日実行に移したところでございますので、ひとつ資料を少しお待ちいただきたいと、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/346
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347・福島みずほ
○福島みずほ君 是非、ある程度統一的な資料として出てくるように、心からよろしくお願いします。
そして、ちょっとこの医療制度とずれて申し訳ないんですが、障害者自立支援法の改正によって応益負担の結果、いろいろ困った事例が起きているということがたくさん寄せられています。
これについても、大臣、厚生労働省自身がやるかどうかは別にして、是非実態調査をしていただきたい。昨日、きちっと各都道府県に指示をしたということでしたら、早くそれが上がってくるように期待をしておりますが、障害者自立支援法案についても、何が現場で起きているか、是非調査をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/347
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348・中村秀一
○政府参考人(中村秀一君) 障害者自立支援法についてでございますが、四月に施行されております。介護保険等とは半年ずれております。
現段階では、四月分の請求支払事務も完了していないため、詳細、全体像把握はできておりませんが、そもそも支援費制度で非常に財政的に行き詰まったということもあり、私どもも、この障害者自立支援法の給付費等がどうなっているか、施行状況について最も動向を気にしているところでございますので、実施状況につきましてはできる限り早く把握をするように努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/348
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349・福島みずほ
○福島みずほ君 よろしくお願いします。
次に、看護職員の在り方について質問いたします。
現在、検討会で検討中ですが、より質の高い看護職員育成のために看護基礎教育制度の改正に取り掛かるべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/349
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350・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 何回か御答弁さしていただいたと思いますけれども、医療の高度化等、近年の医療を取り巻く環境の変化に伴い、医療従事者の資質の向上が強く求められております。一方、看護師について、看護師学校養成所修了時点の能力と看護現場で求められている能力の間に乖離があり、必要な能力が必ずしも身に付いていないのではないか等の指摘があることから、その資質の向上を図っていくことが重要であると考えております。
そこで、看護師の養成の在り方について、国民の看護ニーズに的確に応じられるよう、看護基礎教育の更なる充実を図ることを目的として、本年三月より看護基礎教育の充実に関する検討会を開催し、検討しているところでございます。
今後、検討会での検討結果を踏まえ、医療安全を確保し良質な医療を提供するための看護師の資質の向上に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、来年は予算付けをしてやりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/350
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351・福島みずほ
○福島みずほ君 卒後臨床研修を制度化すべきだと考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/351
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352・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 医療の高度化や患者さんのニーズの増大、多様化を踏まえまして、新人看護職員の資質の向上を図っていくということは重要なことだと思っております。
このため、平成十五年度には新人看護職員の研修到達目標及び研修指導指針等を作成をいたしたところでございまして、平成十六年度からこれを活用をして講習を開始しているところでございますし、今年度からはその教育責任者、教育担当者の実務研修を行っているところでございます。
新人看護職員の研修については、今後、また検討会等からの御意見もいただいておるところでございまして、その課題等について引き続き検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/352
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353・福島みずほ
○福島みずほ君 現在は病院側の努力のみなので、是非やっていただいて離職率を減らしていただきたいと思います。
保健師の確保についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/353
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354・中島正治
○政府参考人(中島正治君) 健診や保健指導が生活習慣病予防の効果を上げていくという上では、健診によって対象者の状態を把握した上で対象者の健康課題に合わせた保健指導を提供していくことが必要であり、保健師の役割はますます大きくなっていくものと考えております。効果的な保健指導を提供する上で、保健師だけでなく管理栄養士なども含めた様々な職種の活用も進めていくことが重要と考えております。
このため、医療保険者による保健指導を計画的に拡大していくに当たりましては、市町村の保健師、管理栄養士に加えまして、在宅の保健師、管理栄養士、あるいは保健指導を提供する外部の保健サービス機関等の活用によるマンパワーの確保と有効活用を推進していくこととしております。またさらに、都道府県や医療保険者、関係団体とも連携をいたしまして、研修の充実を図るなど、保健師及び管理栄養士等のマンパワーの資質の向上にも努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/354
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355・福島みずほ
○福島みずほ君 現在、この委員会でも労働条件の話がかなり出ましたが、現在、新人看護師が一年以内に離職する率は九・三%です。看護師の離職防止のためどのような施策を考えていらっしゃいますか。
今まで、検討することが必要であると考えるという答弁ばかりでしたので、いつなのか、いつからこういうことを考えるのか、どういう施策を考えているのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/355
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356・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 日本看護協会が実施した調査によりますると、約五万人いる新人看護職員のうち一年以内に勤務先を退職した者は御指摘のとおり約九%であるということは認識しておるところでございます。なお、看護職員全体の離職率は、同じく日本看護協会による調査によりますると、ここ十数年、約一〇%から一二%程度で推移してございまして、これは、全産業の離職率、一六%でございますが、また特に女性の離職率は一九・六%でございます、これよりは低い水準となっているところでございます。
看護は国民の保健医療に関し重要な役割を果たしておりまして、高度な専門的知識と技能を有する看護職員を確保する必要があることから、従来から看護師等の人材確保法等に基づきまして、養成力の確保、離職の防止、再就業の促進などの総合的な看護職員確保対策を実施しているところでございます。特に、職場環境の改善による離職の防止に関しましては従来から院内保育所の整備等を行ってきてまいりまして、また、平成十八年度の診療報酬改定では急性期入院医療における手厚い看護体制等の評価を行ったところでございます。
さらに、新人看護職員につきましては、看護基礎教育の充実、それから新人看護職員に対する研修を充実するなど、離職を防止して定着を図るための施策を講じてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/356
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357・福島みずほ
○福島みずほ君 前回の答弁から余り変わってないような気もしますが、もう少し踏み込んでお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/357
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358・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 新人看護職員の離職防止ということは看護師の確保の上で大変大事でございまして、今更なる答弁を求められましたけれども、看護職員についての人材確保法の趣旨に基づきまして今まで行っていた事業を更に充実するとともに、今、新人看護職員あるいは基礎教育といったようなことについての検討もスタートしているところでございまして、そこらでもいろいろな提言がなされると思いますが、それらを踏まえて更に前向きに進めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/358
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359・福島みずほ
○福島みずほ君 小児緊急の在り方について、この委員会で大変議論になりました。
小児緊急の実態把握なんですが、緊急相談事業の実施都道府県数は三十県、うち二十六県は国から補助金があり、看護師が相談対応を行っている県が十九、二十四時間体制で実施している県の数はわずか大阪と大分だけです。現在は国からお金が出て、二十六の都道府県が小児緊急相談医療を既に行っているわけですが、依然医師不足により対応し切れないなど、整備されていない部分も大きいです。
そこで、小児緊急相談事業において看護師が相談対応を行う認定看護師制度の導入、あるいは現在二つの県しか二十四時間電話相談を行っていませんが、これをもっと拡張していくなど、きちっと制度化したらよいと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/359
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360・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 御指摘の小児救急電話相談事業でございますが、これにつきましては、医師のみの対応が難しいなど、地域の実情によりまして、看護師等、医師以外の者が電話相談に一時的に対応する場合においては、小児科医師による支援体制が確立されているのであれば看護師による電話相談についても実施できるように指導しているところでございます。
看護師の中で小児看護の経験が豊富で電話相談における保護者の不安等にも適切に対応できるという方も多いというふうに伺っております。そのような専門的な能力の高い看護師さんについて積極的に活用するということは望ましいものだと考えております。いずれにしても、地域の実情に応じて看護職員の協力も得ながら小児救急電話相談事業の充実を図るというふうにしてまいりたいと思っております。
また、二十四時間体制等の充実でございますが、小児救急電話相談事業の更なる普及ということから、一つには今御指摘のようにすべての都道府県でまず実施をすること、それから今普及してございます携帯電話から短縮ダイヤル、シャープ八〇〇〇番でございますが、これでアクセスができるようにすること、それから地域の実情に応じた深夜帯での電話相談体制を整備するということで更なる充実を図っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/360
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361・福島みずほ
○福島みずほ君 すべての都道府県で電話相談をやっていくということなどについて徹底した、是非指導とか、指導通知を出してください。お願いします。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/361
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362・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) 通知というよりも実際にやっていただくということが大事でございますので、全都道府県でやるように徹底的に指導してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/362
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363・福島みずほ
○福島みずほ君 肝炎について改めてお聞きをいたします。
薬害フィブリノーゲンの問題についてです。これは諸外国ではかなり早い段階で問題があるというふうになっていたにもかかわらず、日本では取組が遅かったと。アメリカでは七七年に肝炎リスクの軽減を目的に承認取消しとなりましたけれども、日本はその後も販売が認められております。この薬害フィブリノーゲンの問題について、どうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/363
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364・山下英利
○委員長(山下英利君) どなたに質問ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/364
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365・福島みずほ
○福島みずほ君 じゃ、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/365
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366・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 御指名でございますので。
医薬品は人体に対する効能効果があるとともに有害作用は避けがたいものでございます。厚生労働省としては、これまでの医薬品等による健康被害を真摯に受け止め、医薬品の有効性及び安全性の確保に最善の努力を重ねてきたところでございます。
一方で、このC型肝炎の問題、実は今係争中でございます。今承認審査等について原告から国家賠償法上の過失責任を問われております。国としては医薬品の有用性は認められていたものと考えており、今訴訟においてその旨を主張しておりますので、この問題について細かい言及はひとつ御勘弁賜りたいと思います。今ちょうど係争中でそろそろ裁判が出るところでございますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/366
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367・福島みずほ
○福島みずほ君 六月二十一日に判決予定です。
川崎大臣、薬害の問題について、残念ながら、この委員会で繰り返し繰り返し薬害について、この間はアスベストの問題でしたけれども、繰り返し繰り返し国の対応が遅いじゃないかという質問を私たちはしなければならないということが多かったです。今回の医療制度の改革においてもう少し薬害の問題や、もっと議論されてもよかったんじゃないかと思いますが、大臣、この薬害防止のために厚生労働省はこうするという決意を示してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/367
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368・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) これは医療制度改革というよりも薬事法改正のときにも御議論を賜りました。
私ども、国民の皆さん方に、薬というものは効能効果はあるけれども、片一方で当然有害作用もあると、このことをしっかり周知しながら、そのものに対応する医療機関なりまた薬局なり、そういう専門家がしっかりとした対応をしていかなければならないと、このように考えております。一方で、健康被害を受けたことについて、私ども何回も反省をしながら、体制を立て直したいということで努力してきているところでございます。
また、今係争中でございますけれども、こうしたものを受けながら、我々も日ごろの仕事、点検をしながらこうしたことを起こさないような努力をしてまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/368
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369・福島みずほ
○福島みずほ君 薬害の問題で共通項は、外国ではもうやめたにもかかわらず日本ではそのまま使い続けて、告知やいろんなことが遅れるということが非常に薬害を生んでいるというふうに思います。これには政官業の癒着やいろんな問題もあるのではないかと思いますが、この点についてはまた後日、薬害防止とそれからこのフィブリノーゲンの問題について、係争中ですが、明確に、外国では使うのをやめたにもかかわらず日本では使っていたという、この問題がありますので、厚生労働省として徹底的にやっていただきたいというふうに思います。
カルテの開示について一言お聞きをいたします。
これは、個人情報保護法により医療機関はカルテ開示に原則として応諾する義務を負うこととされていますが、カルテ開示に関しては平成十五年に指針が示されております。この中で開示を拒み得る場合が掲げられておりますが、これは極力限定的に運用されるべきであることを確認させていただきたい。
特に、遺族に対するカルテ開示については、開示することで患者本人と医療関係者との人間関係が悪化したり、患者の心理に重大な影響を与えることはないのですから、要求があった場合は原則開示するべきと考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/369
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370・松谷有希雄
○政府参考人(松谷有希雄君) お尋ねのとおり、平成十五年九月に策定いたしました診療情報の提供等に関する指針におきましては、診療情報の提供が第三者の利益を害するおそれがあるとき、さらに診療情報の提供が患者本人の心身の状況を著しく損なうおそれがあるときには、診療情報の全部又は一部を提供しないことができるとされているわけでございますが、このいずれかに該当しないのであれば、患者本人からの開示の求めがあれば原則としてこれに応じる必要があるというふうに考えております。
また、五千人以上の個人情報を保有する病院等につきましては、個人情報保護法の規定に基づき、本人からの求めに応じて原則として診療録を開示する義務が課されることとなっております。
なお、先ほど申し上げました理由によりまして開示を拒否する場合であっても、個々の事例の適用につきましては個別具体的に慎重に判断すべきであること、診療録の開示を拒む場合には、原則として文書によりその理由を示すことなどが必要であるというふうに考えてございます。
また、患者さんの御遺族に対する診療録の開示につきましては、第三者の利益を害する等のおそれがないのであれば原則として開示する必要があると考えております。ただし、御遺族に対する診療情報の提供に当たりましては、患者さん御本人の生前の意思や名誉等を十分に尊重することが必要であり、各医療機関におきましてはこの点も踏まえて適切に対応していただく必要があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/370
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371・福島みずほ
○福島みずほ君 医療過誤などでカルテが出ない。ですから、差押え的なものをやらないとカルテが出てこないとかという問題もありますので、カルテ開示については、本来なら本法案にカルテ開示の明示については設けるべきであったというふうには思います。また、医療過誤については、参考人の中から無過失責任などを検討すべきだという強い意見が出ました。それは一つの考え方で、遺族の人たちの、あるいは被害に遭った患者さんの救済とお医者さんのやっぱりリスクを冒さざるを得ない点の調整等の制度化について今後是非一緒に協議をしたいと思います。
高齢者医療制度については、この委員会でも多くの意見が出て、私自身も質問をしてきました。私自身の根本的な疑問は、七十五歳以上でハイリスクの人たちのための集団で制度をつくるということがやはりどう考えても理解ができません。高齢者医療を年齢輪切りにすることは介護保険のエージフリー化の流れと正に逆行をしています。
一言、医療保険部会などで出ていた六十五歳で区切る案が採用されなかったのはなぜですか。七十五歳がなぜかということをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/371
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372・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) まず、介護保険におきまして被保険者範囲の見直しが課題となっていることは承知しているわけでありますけれども、一方、医療保険におきましては、昭和三十六年以来、まず国民皆保険というのがあったと、その中でこの高齢者の医療費をどのように分担するかということが医療保険においては課題であるということでございまして、介護保険と医療保険ではまず事情が違うという点は強調しておきたいと思います。
その上で、この社会保障審議会医療保険部会におきまして、年齢につきまして、一つは高齢者の心身の特性、あるいは、まだ元気な方の多い前期高齢者、こういう方々をその支えられる側として位置付けていいのかといった観点から、これはやはり七十五歳以上の者にするべきであるという意見がある一方で、年金制度との整合性、あるいは、七十五歳以上とした場合には、六十五歳から七十四歳の保険者間の財政調整の仕組みが非常に複雑なものになるので六十五歳で区切るべきであると、こういったことがあったわけでございますけれども、最終的には、政府・与党の議論を経まして、昨年十二月の医療制度改革大綱におきまして、七十五歳以上の後期高齢者につきまして独立した制度を設けるということになったわけでございます。
その論拠でございますけれども、これは繰り返し御答弁させていただいておりますけれども、七十五歳以上の後期高齢者につきましては、その生理的機能の低下、あるいは日常生活動作能力の低下による症状が増加すると、あるいは生活習慣病を原因とする疾患を中心に入院による受療が増加すると、こういった特性がございます。その特性に応じたサービスを提供する必要があるということ。
それからもう一つは、今後、高齢化の進展によりまして七十五歳以上の後期高齢者の給付費が増大いたします。二〇二五年時点では二十三兆円、医療給付費全体の四七%を占めるわけでございまして、限られた財源の中で公費を重点的に投入する観点から、対象者を重点化するという考え方に基づきまして、既に現行老人保健制度におきまして平成十四年度改正によりまして対象年齢を七十歳から七十五歳に引き上げているものでございまして、新たな独立制度におきましてもこの七十五歳以上という年齢区分を踏襲することとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/372
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373・福島みずほ
○福島みずほ君 長く答弁していただきましたが、なぜ七十五歳かというのはやはりちょっと基本的には分かりません。
保険者の再編統合についてちょっと細かく聞こうと思いましたが、ちょっと時間がなくなってきました。
市町村国保間の一人当たり保険料格差の現状、平成十四年は五・四倍ですが、現在はどれだけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/373
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374・水田邦雄
○政府参考人(水田邦雄君) 平成十五年におきます市町村国保の一人当たり保険料は、年間保険料調定額の全国平均値で約七万八千円となってございます。一方、最も保険料が高い保険者の一人当たり年間保険料調定額は約十一万六千円、最も保険料が低い保険者では約二万四千円でございまして、最高を最低で割りますと四・九倍となってございます。
ただ、これは都道府県別という単位で見ますと、最も高い都道府県で八万六千円、低い都道府県で五万四千円でございまして、一・六倍の差と、このように縮まるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/374
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375・福島みずほ
○福島みずほ君 平成十四年度よりも保険料格差が拡大していないということで、ちょっとほっとしました。
ただ、今回の法案がもし成立をすれば、広域連合における診療報酬体系も違ったり、あるいは一体保険料がどうなるのかといった地域間の格差の問題もいずれ出てくるのではないかというふうに思っております。
大臣、最後にというか、もうちょっと時間があるんですが、お聞きしたいのは、私が今回の法案で一番危惧をするのは、社会的入院は問題だけれども、行き場がない人は一体どうするのか。午前中に大臣は在宅を進めたいというふうにおっしゃいました。今、在宅と老老介護は半々だというふうにも言われています。
ただ、これからいろんなライフスタイルの人がいますので、子供がいない人もいる、子供がいても外国にいるかもしれない、遠くにいるかもしれない。あるいは、離別、死別、夫婦の間でもあるでしょうし、結婚していない人もいるかもしれない。
そうしますと、在宅で見るということを進めるとしても、面倒を見てくれる人がいない。北海道などでも強く声が出ましたが、吹雪の中、在宅医療とか言われても、掛かれないわけですよね、地域で。つまり、在宅診療の在宅医療支援というのをちゃんとやれる環境がない限り、在宅を進めると言われても、病院はない、何もない、独りぼっちというもう悲惨な状況になるわけです。私は、高齢者の人、病気の人を結局やっぱりほうり出す結果になるこの法案はどうしても大きな危惧を感じざるを得ません。大臣、在宅を進めるというのは結構なんですが、在宅を進めることができない、その現実について、どうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/375
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376・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) まず、療養病床の転換については、老健施設等が多いだろうという考え方をいたしております。もう一方で、やはり在宅というものを進めていきたい中で、先ほど国土交通省が来ておりましたけれども、住宅、例えばバリアフリーの住宅とか、そういう形での整備を今国土交通省として急いでもらっております。私どもは、ケアハウスとかグループホームとか、より在宅に近い形、在宅といってももう全部家かと言われると確かに違います。在宅の形の環境に近い形のものを我々は積み上げながら、その中で自分たちの住みかとして選んでいただくというものをしっかりつくり出していくということが一番大事だろうと。もう御指摘いただいたように、追い出しにつながらないようにしっかりやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/376
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377・福島みずほ
○福島みずほ君 バリアフリーの家は結構なんですが、そもそも在宅医療支援がなければ病院を出ても行き場がないというふうに思います。
大臣ははっきりと保険免責反対ということをこの間明言をしてくださいました。厚生労働省も国民皆保険を守るという強い立場から、保険免責反対ということでよろしいですね。
最後に決意表明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/377
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378・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) 何回か申し上げてまいりました。そして、衆議院での審議、そして参議院でこれほど皆さん方からいろいろ御意見いただいております。私が立場を変えることはあり得ない、保険免責制度については私の立場としては反対と申し上げてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/378
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379・福島みずほ
○福島みずほ君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/379
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380・山下英利
○委員長(山下英利君) この際、お諮りをいたします。
両案に対する質疑を終局することに賛成の方の挙手を願います。(発言する者あり)挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/380
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381・山下英利
○委員長(山下英利君) 多数と認めます。よって、両案に対する質疑は終局することと決定いたしました。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
討論ありませんか。討論をしてください。(発言する者あり)御静粛に。着席してください。──委員長の指示に従ってください。着席をしてください。──御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。討論のある方は挙手を願います。──円より子君、円より子君、討論してください。──討論に入ってください。──討論に入ってください。──御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。(発言する者あり)静粛に。委員は着席してください。──討論に入ってください。──討論に入ってください。──委員長の指示に従ってください。──はい。──円より子君、円君、討論ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/381
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382・円より子
○円より子君 あります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/382
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383・山下英利
○委員長(山下英利君) じゃ、討論に入ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/383
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384・円より子
○円より子君 反対することはたくさんありますよ、もちろん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/384
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385・山下英利
○委員長(山下英利君) 討論に入ってください。──どうぞ。着席してください。──討論に入っていますので、討論に入ってください。──委員長の指示に従ってください。着席してください。──もう既に討論に入っておりますので、討論に入ってください。──討論に入ってください。着席してください。──円より子君、討論に入ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/385
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386・円より子
○円より子君 民主党の筆頭理事をしております円より子です。
やっと今三十二時間の参議院での審議が終わり、しかし多くの重要問題が提起されました。また、与野党を問わずどの議員からも、そして参考人や公述人の方々からも、この法案が通ることに多くの危惧と懸念が出されました。その問題点、懸念も全く払拭されないままこうして終局の採決が行われたことに、国民に対してのこれは裏切り行為だと思います。小泉さんのやる気のなさ、責任放棄の態度が国会にまで伝染したのでしょうか。
私たち民主党は、怒りを持って席を立ち、法案採決を欠席することもできるのですが、そうしたところでこの法案は通ってしまうでしょう。そうするよりも、国民の皆様にどれだけこの法案が国民生活に密接なかかわりのある重要な法案であるか、そして様々な問題点があるか、これを更に知っていただくために反対討論をすることといたしました。また、政省令や運用で歯止めを掛けていくためにも附帯決議を付けることを決意いたしました。
では、反対討論に入ります。
我が国の医療制度は今崩壊の危機にさらされています。相次ぐ産科、小児科の閉鎖、特定の診療地や診療科やへき地における医師不足、このような悪条件の中、医師を始めとする医療従事者の皆さんは過重労働に耐え、自分の生活まで犠牲にして医療の質が低下しないよう涙ぐましい努力を続けておられます。
しかし、こうした医療現場の純粋に患者を救いたいという責任感と使命感だけで医療制度を支えることはもはや限界に来ております。我が国の医療費は諸外国と比べても決して高いものではありません。にもかかわらず、小泉政権は、診療報酬を引き下げるとともに、医療費適正化という美名の下に医療費の削減や抑制を図り、医療現場を更に苦しめようとしています。
衆参の審議を通じ、イギリスでは長年の医療費抑制政策によって医療が崩壊したという認識が共有されました。サッチャー政権が効率と競争を求め医療費を抑制した結果、イギリスでは医療が荒廃し、医療従事者の士気が大幅に低下しました。日本では日常的に行われる超音波検査をある患者は二年間も待たされ、風邪で主治医に診てもらおうとしても、二、三日先まで予約が取れないという信じられない事態がイギリスでは実際に生じています。
ブレア政権は医療費の大幅拡大を宣言し、その立て直しを図りましたが、五年間の改革を経ても医療制度を再び改善するには至っておらず、いかに医療費抑制によって崩壊した医療を再建することが困難であるかを物語っています。希望格差社会とも健康格差社会とも呼ばれている今、我々は、社会全体の共通の財産である医療を享受する機会の格差の解消に努め、結果の不平等をなくさなければなりません。
健康保険証を返還する世帯が二〇〇〇年度の十万世帯から、五年後の二〇〇五年には百三十万世帯に激増し、受診が遅れて病状が悪化したり、死亡した患者すら多数いるということは御存じですね。小泉政権の五年間は、こうした人々や自殺者を増やしただけであり、国民の財産であるはずの医療が多くの国民から奪われ続けた歳月でした。そして、今回の医療制度改革は、医療費の削減だけを目指した改革以外の何物でもありません。
以下、両法律案の反対の理由を申し述べます。
反対の理由の第一は、合理的な根拠のない医療給付費の将来設計を基に制度改革を実施しようとする点です。
政府は、このままでは二〇二五年に五十六兆円となる医療給付費を医療制度改革により抑制する必要があるとしています。ところが、この数値は平成七年度から十一年度までの医療給付費の平均伸び率を二〇二五年まで延長した値にすぎず、平成十二年と十四年の二回にわたって行われた医療制度改革や平成十二年度から始まった介護保険制度導入の効果が反映されておりません。
仮に、医療給付費を平成六年度から十五年度までの十年間の平均伸び率を当てはめて推計しますと、二〇二五年には三十四兆円になります。また、日本医師会のシンクタンクである日医総研は、患者の自己負担分を含めた国民医療費ベースでも二〇二五年には四十九兆円となると試算しています。
一方、政府のこれまでの医療費の将来推計は予測値と実際の将来推計値が大きく乖離しており、平成七年の推計で平成十四年度に五十兆円となるとされていた国民医療費は実際には三十二・一兆円にとどまっています。経済成長の伸び率の鈍化や制度改正の影響はあったとしても、余りにも乖離し過ぎているのではないでしょうか。
当委員会に参考人として御出席いただきました日本医師会の竹嶋副会長も、厚生労働省が示す国民医療費の将来推計値が毎回その予測値と実際の結果が大きく乖離しているにもかかわらず、今回の医療制度改革は、こうした推計を基に医療費の将来高騰の危機感を募らせ、ひいては、公的給付を抑えて、代わりに国民負担増、とりわけ医療を受ける際の患者の負担増を強いているとしか私どもには理解できないという旨の意見を述べられております。
今医療制度改革に求められているのは、世界最高水準の医療制度を維持しながら、いかに医療の質を高めていくかにあります。したがって、医療費の議論は各医療分野における質の改革を積み重ねた結果についてなされるべきであります。与党推薦の参考人でさえ疑問を抱いている根拠の乏しい医療費の将来推計を基に、苦しむ医療現場の実情に目を向けることなく、これまでにも増して医療費を抑制しようとする今回の医療制度改革に私は強い怒りを感じるとともに、改めて反対の意思を表明するものであります。
反対の理由の第二は、新たな後期高齢者医療制度の創設が高齢者の医療の質の低下を招く危険性がある点です。
医療費適正計画が高齢者の医療の確保に関する法律に規定されていることからも分かるとおり、今後高齢者医療費に対する削減圧力が掛かることは必至であります。しかも、終末期医療やみとりの医療はどうあるべきか、リビングウイルに対する国民の合意形成のための道筋をどう付けるのか、高齢者に対する診療報酬の具体的な中身はどうなっているのか、これらは審議を通じても明らかにされることはありませんでした。これでどうして高齢者医療の切捨てにつながらないと言えるのでしょうか。後期高齢者医療制度が高齢者の皆さんに安心して医療を受けてもらえる制度となっているとは到底思えません。
また、高齢者医療保険制度の創設は、高齢者の医療費問題の解決にならないばかりか、現行の老人保健制度の抱える問題、すなわち現役世代による支援と高齢者自身の保険料及び自己負担増を強いるだけであり、問題を拡大するだけに終わってしまいます。
反対の理由の第三は、健診、保健指導の手法に多くの懸念がある点です。
政府は、今後、メタボリックシンドロームの概念に基づいて健診や保健指導を行おうとしています。しかし、このメタボリックシンドロームの概念は内臓脂肪蓄積型という疾患の診断基準にすぎません。これでは逆に患者を増やし、医療費を引き上げる結果となりかねません。また、これまでの老人保健事業について、健診、保健指導は保険者が、健診、保健指導以外の保健事業は市町村が実施するなど、一貫性を欠いていると言わざるを得ません。
そもそも国民の健康を維持して医療費の抑制を図ると言いつつ、多くの労働者は依然として長時間の残業を強いられ、将来への明るい見通しも持てずに心身ともに疲れ切っています。また、食生活の欧米化が多くの現代病の原因であると言われながら、食料自給率は先進国で最低水準のままであり、いかにして食料の自給率を上げていくのか。医療は医療だけを議論して済む問題ではありません。そうした社会経済政策にかかわる骨太の戦略を示してこそ、責任ある医療制度改革についての議論ができるのではないでしょうか。
反対の理由の第四は、先ほどから何度も出ております療養病床の再編成が行き場のない介護難民を生み出す可能性が高い点です。
療養病床の再編という重要事項を厚生労働省は唐突に提案し、十分な議論を経ないまま、その方針を決定しました。しかし、平成十八年度から始まる第三期介護保険事業計画において介護療養型医療施設の廃止と診療報酬改定による療養病床再編計画が盛り込まれていないことを考えると、現場が混乱することは避けられない状況にあり、介護等のケアも保障されない中、退院を余儀なくされる入院患者が続出することは必至であります。しかも、老健施設などへの転換コストについて、その見通しが明確に示されないまま、その病床転換のための支援金は保険給付とは全く関係のない貴重な保険料財源から支出するとしています。
療養病床に入院する高齢者の実態を無視し、在宅医療や介護サービスの受皿の見通しのないまま、性急に療養病床を削減するやり方には矛盾を感じざるを得ません。
我が国の都市部における住宅事情で一体どのように在宅医療や在宅介護を実施することができるのか。また、社会的入院を強いられている患者の家族状況はどうなっているのか。厚生労働省は、現在療養病床に入院している患者の方々の家庭や住宅の状況を調査せず、また病床転換に必要な細やかな施策について国土交通省などの関係府省とも協議、検討した形跡もないのに、どうしてこの法案を成立させることができるでしょうか。
反対の理由の第五は、医師不足問題の課題に的確に対応できていない点です。
政府は、産科、小児科の医師不足に歯止めが掛からない現状を前にしても、医師は足りており、将来医師は過剰供給となるとして総量規制の方針を転換しませんでした。しかも、平成十七年度中に取りまとめるとしてきた医師の需給見通しを、医療制度改革法案が審議されているにもかかわらず、八月まで先延ばしにいたしました。
当委員会に参考人として御出席いただきました熊本市民病院の橋本医師は、我が国は世界の中で一番選択肢がある非常に恵まれた国であるにもかかわらず、急性期病院の医師が非常に少ないという問題がある。また、急性期病院の医師とナースが非常に消耗しているという現状がある旨の意見を述べられました。
医師不足が引き起こす過重労働、過重労働に耐えられない医師の離職により更に過酷さが増す急性期病院。日本看護協会の調査では、二〇〇四年度に医療機関に就職した新人看護師の実に八〇%以上が辞めたいと回答しました。
こうした過重労働がたたり、次々と医師や看護師が離職していく救急医療の現場を直視せず、医師の需給の見通しも示さない中、医療の集約化と重点化だけでこの難局を乗り切ろうとするやり方には疑問を呈さざるを得ません。
とりわけ、我が国において急速な少子化が進展する中で、次代の社会を担う子供たちの命を守るため、小児救急医療体制の整備を始め小児医療の充実が喫緊の課題であるにもかかわらず、政府はそのために必要な施策を何ら示していません。
当委員会における審議の中でも、医師の偏在、地域間格差、小児医療の不採算性、勤務医の過重労働などの問題に政府からは納得のできる答弁はございませんでした。
また、お産についても、産婦人科医の減少や偏在の問題に緊急に取り組む必要がありますが、一方で、正常出産を扱う助産師についてはその活用について全く触れられておらず、むしろ助産医の開業を抑制するかのような嘱託医制度の変更が盛り込まれているだけです。これでどうして安心して満足のいくお産ができるのでしょうか。我が国の少子化を食い止めることができるというのでしょうか。
反対理由の第六は、医療事故対策が不十分である点です。
医療事故の原因が医師個人の不注意のみならず、システムの問題にあることについては一般の認識が確立しています。しかし、今回の法案では、そうした問題意識を持って現状を分析し、必要なシステムの改善は提案された形跡はございません。これでは今後も事故を起こした医療当事者個人にその責任を押し付けるだけで、そして不幸にも医療事故で亡くなった方々や残された方に対しての最大の務めである事故原因の究明と二度と悲劇を繰り返さないということは止められることができません。こうしたことをするためには、異状死の届出制度の見直しも含めた医療事故報告制度を確立し、医療事故の収集、分析、再発防止等の措置を講じることが不可欠であります。
反対理由の第七は、公的医療保険制度の再編成の方針は問題解決にほど遠い内容であることです。
多様化する雇用就労形態に対応できる公的医療保険制度をいかに目指すのか、その中でいかに保険者の機能強化を図るのか、また、ますます深刻化する国民健康保険制度をどう再構築するのか、そうした展望が全く示されておりません。
最後に、医療費適正化計画の策定、実行及び国民健康保険、政管健保等の運営など都道府県の役割が強化されているものの、そのための権限と財源及び人材の確保が担保されておりません。三位一体の改革の名の下に国が責任を放棄し、地方に負担を押し付けているのと同じ構図です。そのため、実際に適正な計画が策定され実施に移されるかどうか、疑問を持たざるを得ません。
以上、本法案に反対の理由を申し述べてまいりました。
覆水盆に返らずと言います。イギリスの例が示すように、医療制度が一度壊れてしまえばもう元には戻りません。私たち民主党は、医療制度の崩壊を食い止め、日本の医療を再構築し、国民が求める理想の医療に一歩でも近づけるよう、これからも努力を重ねていくことをここに宣言いたしまして、大変終局は残念ではありますが、私の反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/386
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387・中村博彦
○中村博彦君 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となっております健康保険法等の一部を改正する法律及び良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案に対して、賛成の立場から討論をいたします。
我が国は、国民皆保険の下、だれもが安心して医療を受けることができる医療体制を実現し、世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成し、国民の安心、安全な生活の基盤となってきました。
しかしながら、急速な高齢化や医療技術の進歩、国民の意識の変化など大きな環境変化に直面している中、国民皆保険を堅持し、医療制度を将来にわたり持続可能なものとするとともに、国民の医療に対する安心、信頼を確保し、質の高い医療サービスが適正に提供される医療提供体制を確立するため、患者の視点に立った制度全般にわたる改革を行うことが今我々に求められている重要な責務であると考えております。
今回、政府から提出された法案は、政府・与党医療改革協議会において取りまとめられた医療制度改革大綱に沿って医療の安心、信頼を確保するとともに、国民皆保険制度を堅持することを目的として、医療制度の構造改革を行うものであります。
まず、健康保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法律案は、生活習慣病対策の充実や平均在院日数の短縮などの中長期的な方策に患者負担の見直しなどの短期的な方策を組み合わせた医療費適正化の総合的な推進、七十五歳以上の高齢者を対象とした独立した医療制度の下、現役世代との負担の公平化、明確化を図ることを目的とした新たな高齢者医療制度の創設、国民健康保険及び被用者保険とともに、都道府県単位を軸とした再編統合や、かねてから課題であった社会的入院の是正のための療養病床の再編等の措置を講ずることを主な内容としております。
これらの取組により、予防を重視し、必要な医療を確保しつつ医療給付費の伸びを適正なものとしていくことや、超高齢化時代を展望した安定的な高齢者医療制度の創設、給付の平等を図りつつ、負担の公平と財政運営の安定化を図ることが可能になると考えます。
次に、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法律案は、患者等への医療に関する情報提供の推進、医療計画制度の見直し等を通じた医療機能の分化、提供の推進、地域や診療科による医師偏在問題への対応等の措置を講ずることを主な内容としています。
これらの取組により、患者による医療に関する適正な選択を支援していくことや、地域において切れ目なく医療が提供される医療連携を実現していくこと、へき地等の特定の地域や小児科、産科などの特定の診療科における医師偏在問題に対応し、都道府県が中心になって地域における医師確保を推進することが可能となり、質の高い医療を安心して受けられる体制が構築されていくことと考えます。高齢化の進展に伴い医療費の増大が見込まれる中で、将来にわたり持続可能な医療保険制度とするためには、給付と負担の均衡を図り、良質かつ効率的な医療の提供を行う必要があります。
今回の政府提案の法案はこうした課題に対応した改革であり、安心の基盤である医療制度を子や孫の世代にまで引き継ぎ、皆保険制度の下、良質な医療を国民に将来にわたって提供し続けていくためには成立させなければならないと考えており、必要不可欠な改革であると考えております。
以上で私の賛成討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/387
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388・小池晃
○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、健康保険法及び医療法の一部改正案に対し、反対の討論を行います。
委員会の運営というのは全体の合意で行うべきものであり、それは議会制民主主義の最低限のルールであるというふうに思います。多数をもって押し切るというやり方は、議会の自殺行為であるというふうに言わざるを得ません。
今日の審議でも問題点は次々と出されました。理事会では、与党の理事からも欠点のある法案だという発言もありました。そういう中で多数で強行するということは本当に許し難いことで、怒りを込めて私、抗議をしたいというふうに思います。
先ほど与党の議員は、世界一の医療だというふうに誇られましたが、その医療をつくったのは自民党でも公明党でもありません。それをつくったのは患者さんであり、医療従事者であり、国民であります。正にその努力をぶち壊そうとしているのがこの法案であり、このままでは子や孫にぼろぼろになった医療制度、ぼろぼろになった医療保険制度を引き継ぐことになってしまうのではないでしょうか。
本法案は、具体的には高齢者や重症患者に情け容赦ない負担を強いる、そして後期高齢者医療制度という差別医療の仕組み、療養病床の大幅削減など、二十一世紀の日本の医療を大きくゆがめるものであります。さらに、混合診療の拡大によって、保険証一枚あればだれでもどんな病気でも診てもらえる日本の医療制度の根幹を揺るがす法案であると言わざるを得ません。
多くの問題点が指摘されたにもかかわらず、いまだに、一度たりとも政府から納得の得られる説明はされていないと思います。与党の議員の質問に対してもまともな答弁はなかった。最後まで納得のいく説明はなかったというふうに言わざるを得ません。このような段階で審議を打ち切り、採決を行うことは、繰り返しますが、国会の責任放棄以外の何物でもないということを申し上げたいと思います。
本法案に反対する第一の理由は、患者、高齢者の負担増の深刻さです。
今年度の患者負担増は、平年度ベースで千七百億円であり、今回の改悪法案に盛り込まれた負担増がすべて実現される、実施される〇八年度には二千九百億円に上ります。七十歳から七十四歳までの患者負担の一割から二割への引上げ分だけで年間千二百億円、一人当たり年間二万円もの負担増です。
療養病床の居住費、食費の徴収、高額療養費の自己負担額の引上げも、入院患者、重症患者に重くのし掛かるもので到底容認できません。
医療費の負担増は、受診抑制を招き、深刻な健康被害をもたらします。しかし、川崎厚生労働大臣は、必要な医療は妨げられないと繰り返すだけで、その根拠は全く示されませんでした。
反対する第二の理由は、七十五歳以上の高齢者を対象とした後期高齢者医療制度の創設が、保険料負担増とともに、高齢者への差別医療をもたらすものであるからです。
新制度では、七十五歳以上のすべての高齢者から保険料を徴収し、滞納者から保険証を取り上げることまで法定化しています。現役世代の保険料を現役向けと高齢者向けに明示的に区分することと相まって、介護保険と同様の給付抑制につながるものです。
しかも、後期高齢者の心身の特性等にふさわしい医療が提供できるよう、新たな診療報酬体系を構築するとしています。この点について、川崎大臣が差別医療となる可能性を否定しなかったことも重大です。
後期高齢者医療制度の創設は、六十五歳以上の透析患者などの障害者、あるいは高齢者への医療給付費を抑制し、憲法違反の差別医療をもたらすものであり、断じて認めることはできません。
反対の第三の理由は、療養病床を六年間で二十三万床も削減することが地域の医療と介護に深刻な打撃となることです。
先ほど切れ目なく医療を提供するとおっしゃいましたが、正に切れ目だらけ、ばらばらに地域の医療が切断されてしまうのではないでしょうか。
先取りとして七月からの診療報酬の改定で、療養病床の入院患者の半数を医療の必要性が低いと決め付けて、点数を大幅に引き下げ、文字どおり病院から追い出そうとしており、事態は切迫しております。
厚労省は、療養病床に入院している人の半分以上に医療の必要性がないと言いますが、審議を通じてその根拠に合理性がないことも明らかになりました。これは与党の議員も指摘をしています。
療養病床の削減について、昨日の北海道での地方公聴会で、与党推薦の公述人からも、病床が更に少なくなるのは大変な苦しみだ、病床が廃止されても在宅に戻れない人が多いのが現実だ、まず受皿づくりだと懸念の声が出されました。こうした声を直接聞いておきながら法案を通してしまう、これこそ正に無責任なのではないでしょうか。
反対の第四の理由は、混合診療の本格的導入によって保険の利かない医療が拡大し、所得の格差が治療の格差、命の格差となる危険を一層拡大させるからです。
保険の利く診療と保険の利かない診療を併用する混合診療は、必要な医療はすべて保険で行うという公的保険の大原則を崩すものです。
しかも、この背景には、自分たちの保険料負担を軽減させたいという日本の大企業、財界と、日本の医療を新たなもうけ口にしようとねらっているアメリカの保険会社、医療業界の強い要求があることは、大臣も審議の中で米国からいろいろ言ってきたことは事実と認めたとおりであります。なぜ日米の保険会社や医療産業のもうけのために国民の命や健康、国民皆保険制度が犠牲にならなければならないのか、余りにも理不尽であります。
反対理由の第五は、健診の在り方を大きく変質させるからです。
現在は老人保健制度に基づき、市町村が住民の健診に責任を持っていますが、この制度をなくし、健保組合など各保険者に健診が義務付けられます。健診を積極的に行うこと自体は必要ですが、市町村の責任をなくすことは公衆衛生の観点から見て問題です。
健診の実施率や効果に応じて七十五歳以上の後期高齢者制度に出す負担金の額に格差を付ける、健診率の低いところはペナルティーとして増額する、これは全く筋違いの話であり、行く行くは、健診を受けなければ病気になったのは自己責任だと言われ、保険で見ないということにもつながりかねません。
さらに、政管健保については、保険料を引き上げる仕組みを盛り込んだ上、強制保険である政管健保を、公法人と称する民間に運営をゆだねることは、国の責任の後退にほかなりません。このようなやり方は、社会保険庁の改革とは無縁であり、容認できないということも申し上げておきたいと思います。
法案の前提となる医療費の将来推計についても、医療費の伸び率に極めて恣意的な補正が行われており、伸び率の期間の取り方も併せて過大な推計であると言わざるを得ません。法案の前提が完全に崩れていると申し上げたいと思います。
最後に、すべての国民は貧富にかかわりなく医療を受ける権利を持っており、国はその権利を保障する義務を負うべきです。そのためにも、窓口負担の引上げをやめ、引き下げる。保険診療が可能な医療を狭めるのではなく、充実させる。削減されてきた国庫負担を計画的に元に戻す。この立場に立って、日本の医療を立て直すことこそ今強く求められているということを指摘をして、私の反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/388
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389・福島みずほ
○福島みずほ君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、政府提出の健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案について反対討論を行います。
政府提出の法案は、明確に欠陥法案です。与党の議員も、そして与野党を問わず、参考人、公述人の人たちも政府提出の法案に懸念を表明し、あるいは明確に批判をしました。これだけ問題があることが与野党間で明らかであるにもかかわらず、採決の段階に至ったことは極めて残念です。
反対の第一の理由は、医療給付費の削減や特定療養費制度の改変による混合診療の拡大などによって、国民の共通財産である国民皆保険制度が縮小させられ、さらに医療に所得格差が持ち込まれることです。
更なる医療費抑制政策は、国民、患者、医療現場、地方に負担を押し付けるばかりではなく、小児緊急医療、産科医療の不足、医師の偏在、多発する医療事故、医療従事者の労働条件の悪化と士気の低下など、既に危機的な状況にある諸課題を取り返しの付かない事態へと追いやるものです。
第二の理由は、高齢者及び重症の患者に対する負担の押し付けと医療の切捨てです。
高齢患者の窓口負担割合の引上げ、高額療養費支援の縮小、療養病床における食費、居住費の自己負担化など、何重もの負担は高齢者の家計を直撃し、患者が必要な医療を受けることを困難にします。
第三の理由は、地域の受皿が担保されないまま三十八万床の療養病床を六年間で六割削減することです。
在宅医療の構築、老人保健施設の拡充など、確実な社会基盤の整備なしに数量のみの機械的な削減が行われれば、多くの医療難民、介護難民が発生することは明らかです。また、介護型療養病床の全廃、老人保健法の実質的な廃止が昨年の介護保険法改正の際には全く示されず、今回のような形で行われることは断じて許されません。
第四の理由は、保険制度を逸脱した高齢者医療制度の新設です。
負担増を労働で補うことのできない七十五歳以上の高齢者に新たな保険料負担を求めることは、そもそも無理です。しかも、保険料を滞納すれば保険証は取り上げられるのです。また、リスクの高いものを一くくりにして新たな診療報酬体系を設けることは、厳しい財政状況にあって医療内容の引下げにつながる危険があります。
さらに、後期高齢者医療制度支援金、前期高齢者医療制度納付金などの特定保険料は、現役世代に給付を伴わない保険料負担を強制的に課すものです。しかも、将来的に増加する特定保険料には上限が掛かっておりません。
第五の理由は、生活習慣病対策として健康診断や保健指導を全面的に組み替え、外部委託を可能にし、民間企業に市場を拡大させていることです。予防、公衆衛生を保険財源で行えるようにしている点も非常に問題です。
厚労省が生活習慣病対策の診断基準としてメタボリックシンドロームに重点を置いていることにも大きな疑問があります。メタボリックシンドロームについては、既にアメリカ、ヨーロッパの学会が批判的に吟味すべき、科学的エビデンスがないと指摘し、本年四月の日本内科学会総会でも異論が続出しています。国民の健康不安をあおり、エビデンスに基づく適切な健康診断、保健指導が行われなければ国民は健康を害し、医療費の増大は避けられません。
医療改革において最も優先すべきは、国民の立場に立った医療の中身の改善と医療提供体制の充実、そして国民の信頼を得る医療保険制度の構築です。
しかし、政府案には国民の医療、健康に対する明確なビジョンも戦略も何ら示されておりません。医療は命に直結をしています。命に関する格差拡大を生み、国民の命を軽視する政府案には断固として反対をいたします。
小泉構造改革のこの五年間の間に、健康保険の改悪、そして年金の改悪、去年は介護保険の改悪、障害者自立支援法案、そして今回は医療の改悪、負担増、そういう事態を迎えました。福祉の切捨てをし格差拡大をしていく、その最後の総仕上げとして医療制度改悪法案が成立することには断固として納得できません。
以上で反対討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/389
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390・山下英利
○委員長(山下英利君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
まず、健康保険法等の一部を改正する法律案の採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/390
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391・山下英利
○委員長(山下英利君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案の採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/391
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392・山下英利
○委員長(山下英利君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、津田君から発言を求められておりますので、これを許します。津田弥太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/392
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393・津田弥太郎
○津田弥太郎君 民主党・新緑風会の津田弥太郎です。
私は、ただいま残念ながら可決されました健保法の一部を改正する法律案及び医療法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。
一、新たな保険外併用療養費制度においては、医療における安全性・有効性が十分確保されるよう対処するとともに、保険給付外の範囲が無制限に拡大されないよう適切な配慮をすること。
二、後期高齢者医療制度については、後期高齢者医療広域連合の設立をはじめ、その創設の準備が円滑に進められるよう、都道府県、市町村、広域連合、医療保険者等に対する必要な支援に努めること。また、後期高齢者支援金を負担する保険者等の意見が広域連合の運営に反映されるよう、保険者協議会の活用等について指導を行うとともに、意見を聞く場の設定について検討を進めること。
三、後期高齢者医療の新たな診療報酬体系については、必要かつ適切な医療の確保を前提とし、その上でその心身の特性等にふさわしい診療報酬とするため、基本的な考え方を平成十八年度中を目途に取りまとめ、国民的な議論に供した上で策定すること。
四、高齢者の負担については、高齢者に対する高額療養費の自己負担限度額の設定、療養病床に入院する高齢者の食費及び居住費の負担の設定、後期高齢者医療制度の保険料の基準の策定に当たって、その負担が過度とならないよう留意し、低所得者への十分な配慮を行うこと。特に、被用者保険の被扶養者に対する新たな保険料負担については、特段の軽減措置を講ずること。
五、後期高齢者支援金、前期高齢者納付金等については、その負担の歯止めとなるよう、保険料率の内訳の明示、著しく負担が高くなる保険者への配慮措置などを含めた方策を検討すること。あわせて、現行制度と比較して急激な負担増とならないよう、激変緩和のための適切な措置を講ずること。
六、高額療養費制度の自己負担限度額の在り方について、家計に与える影響、医療費の動向、医療保険財政の推移等を踏まえ、検討を加えるとともに、その適用の利便に資するため、政府管掌健康保険は把握している情報の速やかな通知に努め、国民健康保険においても通知が行われるよう保険者の努力を促すこと。また、後期高齢者医療制度において、広域連合による被保険者への通知が十分行われるよう配慮すること。さらに、高額医療・高額介護合算制度と、障害者自立支援法のサービスに係る利用者負担とを調整する仕組みについて、今後早期に検討すること。
七、レセプトのオンライン化については目標年次までの完全実施を確実なものとするよう努めるとともに、これと併せて個別の医療内容・単価の分かる領収証の発行の普及に努めること。
八、今後の保健事業の推進に当たっては、生活習慣病の予防健診や住民の健康増進のための事業を充実するよう、地域医療を担う関係者の協力を得つつ、医療保険者や市町村の健診・保健指導の実施体制の確保に一層努めるとともに、入手した個人データについては、委託先を含め個人情報保護法の観点から万全な管理体制を確立すること。さらに、地域・職域における健康づくりを体系的・総合的に行うために、生活習慣病予防に向けた国民運動を積極的に展開するとともに、生活習慣病予防対策の実施状況を踏まえ、必要に応じ健康増進法の見直しについて検討すること。また、被扶養者の健診の普及を図るため、その利用者負担も含め機会の確保に十分に配慮すること。
九、生活習慣病予防を強力に推進するために、市町村に加え、保険者又はその委託先等に、地域医療を担う関係者の協力を得つつ、保健指導の担い手である保健師又は管理栄養士等を適正に配置するよう努め、計画的に実行できる体制を整備し、その効果の検証を行うこと。
十、療養病床の再編成に当たっては、すべての転換を希望する介護療養病床及び医療療養病床が老人保健施設等に確実に転換し得るために、老人保健施設の構造設備基準や経過的な療養病床の類型の人員配置基準につき、適切な対応を図るとともに、今後の推移も踏まえ、介護保険事業支援計画も含め各般にわたる必要な転換支援策を講ずること。また、その進捗状況を適切に把握し、利用者や関係者の不安に応え、特別養護老人ホーム、老人保健施設等必要な介護施設及び訪問看護等地域ケア体制の計画的な整備を支援する観点から、地域ケアを整備する指針を策定し、都道府県との連携を図りつつ、療養病床の円滑な転換を含めた地域におけるサービスの整備や退院時の相談・支援の充実などに努めること。さらに、療養病床の患者の医療区分については、速やかな調査・検証を行い、その結果に基づき必要に応じて適切な見直しを行うこと。
十一、産科、小児科を始めとする特定の診療科及びへき地医療における医師不足問題に対応するため、地域の実情を考慮した医療機能の効果的な集約化・重点化の促進と拠点病院への搬送体制の整備、大学医学部の入学定員の地元枠の設定、地域の病院に医師を紹介する体制の見直し等について、地域医療の関係者が参画する都道府県の医療対策協議会における検討を踏まえ、必要な措置が講ぜられるよう支援を行うこと。
十二、小児救急医療については、小児救急医療拠点病院への支援等による二十四時間対応が可能な体制の確保、小児救急電話相談事業等保護者が深夜等でも相談ができるような施策の充実、患者の容態に応じた適切な受診についての啓発に努めること。
十三、安心して出産できる体制の整備を進めるため、地域における産科医療の拠点化・システム化を図るとともに、助産師の一層の活用を図ること。また、母と子の安全のため、助産所の連携医療機関が確実に確保されるよう努めること。
十四、小児医療・産科医療両者の連携・協力の下に、地域における周産期医療体制の整備を図るとともに、NICU(新生児集中治療室)の確保と、その長期入院患者の後方支援施設も含めた支援体制の構築に努めること。
十五、医療の高度化、チーム医療の推進、安心・安全の医療の確保など、医療をめぐる状況の変化や国民のニーズを踏まえ、質の高い医療従事者を育成するために、教育や研修の在り方について必要な検討を行うこと。また、医療従事者によるチーム医療の推進を図り、関係府省の連携の下、総合的な医療従事者確保対策について検討すること。特に、医療の現場において看護師の果たす重要な役割にかんがみ、大学教育の拡大など教育期間の延長を含めた看護基礎教育の在り方について検討するとともに、医療・介護提供体制の見直しに伴い必要となる看護職員を確保するために、離職防止対策やナースセンター事業の推進を始めとした看護職員確保対策を講ずること。
十六、入院時の治療計画等に関する書面の交付及び説明に当たっては、患者又はその家族に十分な理解と同意が得られるよう配慮すべきことを医療関係者に対し周知すること。
十七、医療計画制度の見直しに当たっては、数値目標の設定や、達成のための措置の結果、地域格差が生じたり、患者・住民が不利益を被ることがないよう配慮すること。また、医療連携体制の構築に当たっては、地域の医療提供者の意見を十分尊重するとともに、地域医療連携については、地域連携クリティカルパスの普及等を通じた連携体制の確立を図るため、診療報酬上の評価等によりその支援に努めること。さらに、在宅医療を推進するため、診療報酬上の在宅医療の対象範囲の見直しを検討すること。
十八、社会医療法人については、地域の医療連携体制の一員として、地域住民の信頼の下、適正な運営が図られるよう指導すること。
十九、医療事故対策については、事故の背景等について人員配置や組織・機構などの観点から調査分析を進めるとともに、医師法第二十一条に基づく届出制度の取扱いを含め、第三者機関による調査、紛争解決の仕組み等について必要な検討を行うこと。
二十、臨床修練制度における対象資格の拡大に当たっては、低賃金・劣悪な労働条件の下での労働につながることがないよう、改正の目的等の周知に努めること。
二十一、国民生活の安心を保障するため、将来にわたり国民皆保険制度を堅持し、平成十四年の健康保険法等の一部を改正する法律附則第二条第一項に明記された、「医療保険各法に規定する被保険者及び被扶養者の医療に係る給付の割合については、将来にわたり百分の七十を維持するものとする。」ことを始めとして、安易に公的医療保険の範囲の縮小を行わず、現行の公的医療保険の範囲の堅持に努めること。また、今後の医療制度改革に当たっては、個々の制度見直しのみならず、社会保障全体の在り方に深く留意し、国民の視点に立った給付と負担の関係を明らかにすること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/393
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394・山下英利
○委員長(山下英利君) ただいま津田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/394
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395・山下英利
○委員長(山下英利君) 多数と認めます。よって、津田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
ただいまの決議に対し、川崎厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。川崎厚生労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/395
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396・川崎二郎
○国務大臣(川崎二郎君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/396
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397・山下英利
○委員長(山下英利君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/397
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398・山下英利
○委員長(山下英利君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後六時三十六分散会
─────・─────
〔参照〕
北海道地方公聴会速記録
期日 平成十八年六月十二日(月曜日)
場所 千歳市 千歳全日空ホテル
派遣委員
団長 委員長 山下 英利君
理 事 岸 宏一君
理 事 津田弥太郎君
理 事 円 より子君
理 事 渡辺 孝男君
清水嘉与子君
西島 英利君
水落 敏栄君
足立 信也君
朝日 俊弘君
小池 晃君
福島みずほ君
公述人
奈井江町長 北 良治君
北海道医師会常
任理事 山本 直也君
医療法人社団平
成醫塾苫小牧東
病院理事長・院
長 橋本 洋一君
株式会社トータ
ルヘルスサービ
ス代表取締役社
長 細川 曄子君
北海道勤労者医
療協会副理事長 堀毛 清史君
社会福祉士 片山 憲君
─────────────
〔午後一時開会〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/398
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399・山下英利
○団長(山下英利君) ただいまから参議院厚生労働委員会北海道地方公聴会を開会いたします。
私は、本日の会議を主宰いたします厚生労働委員長の山下英利でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、私どもの委員を紹介いたします。
自由民主党所属の岸宏一理事であります。
民主党・新緑風会所属の円より子理事でございます。
同じく、民主党・新緑風会所属の津田弥太郎理事でございます。
公明党所属の渡辺孝男理事でございます。
自由民主党所属の清水嘉与子委員でございます。
同じく、自由民主党所属の水落敏栄委員でございます。
同じく、自由民主党所属の西島英利委員でございます。
民主党・新緑風会所属の朝日俊弘委員でございます。
民主党・新緑風会所属の足立信也委員でございます。
日本共産党所属の小池晃委員でございます。
社会民主党・護憲連合所属の福島みずほ委員でございます。
以上の十二名でございます。よろしくお願い申し上げます。
参議院厚生労働委員会におきましては、目下、健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案について審査を行っておりますが、本日は、両案について関心の深い関係各界の皆様方から貴重な御意見を賜るため、当地において地方公聴会を開会することにいたした次第でございます。何とぞ特段の御協力をよろしくお願い申し上げます。
次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。
奈井江町長の北良治公述人でございます。
北海道医師会常任理事の山本直也公述人でございます。
医療法人社団平成醫塾苫小牧東病院理事長・院長の橋本洋一公述人でございます。
株式会社トータルヘルスサービス代表取締役社長の細川曄子公述人でございます。
北海道勤労者医療協会副理事長の堀毛清史公述人でございます。
社会福祉士の片山憲公述人でございます。
以上の六名の方々でございます。
この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
皆様には、御多用中の中、本公聴会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
両案につきまして皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の委員会審査の参考にいたしたいと存じておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、公述人の方々からお一人十分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べ願います。
まず、北公述人にお願いいたします。北公述人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/399
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400・北良治
○公述人(北良治君) それでは、早速でございますけれども、まずは参議院の厚生労働委員会の先生方、御遠方のところ大変御苦労さまでございます。また、私どもの意見を聞いていただくことに深く感謝を申し上げます。
早速でございますが、本論に入らせていただきたいと思います。
まず、国民皆保険の堅持についてでございますが、少子高齢化の進行に伴いまして、医療保険財政の破綻を回避し、国民の生命を守る国民皆保険を堅持いたしまして、持続可能な保険制度を構築する必要がある。高齢化の進展に伴いまして将来的な医療費の増大が見込まれ、医療費の適正化を進めていく必要があると思いますが、しかしながら生活習慣病予防対策、入院日数の短縮等によりまして医療費適正化を進める上では、国民の生活の質の向上、医療の安全確保や質の向上を図ることが前提でなければならないと思います。
特に、生活習慣病予防対策につきましては、保険者が中心となりまして、健診、保健指導を始めとした各種事業を展開することとされたが、保険者が効果的な取組を行うために、保健師の配置、生活習慣病の要因分析データの提供等、都道府県、国としての支援措置を講じていただきたいと思います。
地域において住民が安心して生活できる地域づくりを進めるためには、保健、医療、福祉の総合的、一体的サービスの提供が必要であります。このような理念の下、都市部を除き、地方の市町村では合併による統廃合、病院医師確保の問題を抱え、特に地域医療を取り巻く環境は非常に厳しいものがございます。
奈井江町では、平成六年より、地元診療所の医師と町立国保病院医師とのいわゆる病診連携事業に取り組み、病院の一部病床、十二床でございますが、診療所の医師に開放いたしまして、継続してかかりつけ医として診療に当たり、また高度医療機器や検査業務の共同利用を行いまして、医療費の削減に努力しております。
また、町内の老人保健施設、特別養護老人ホームの入所者に対しましても、病院同様、地元開業医医師が引き続き診療に当たっておりまして、さらには、病院内に設置している在宅支援室における退院から在宅へのサービスのつなぎの時点では地元開業医師がかかわり、地域医療を核として地域包括ケアシステムの体制が確立されております。
今後は、さらに広域的視点に立った病院間、診療所等のいわゆる機能連携、機能分担を目指すとともに、あわせて医師確保の問題をどうするかが重要となります。
このような中で、隣の市における二次医療圏のセンター病院と、昨年十月に、医師の派遣に関すること、機能分担の中の病床の有効利用に関すること、高度医療機器の共同利用に関すること等、八項目にわたりまして医療連携の協定を結びまして、地域における医療資源の有効活用による安定的、継続的な医療体制づくりに取り組んでおります。
また、北海道では、道内三医育大学、北大、札幌医大、旭川医大、二市七町の各市町村長、北海道医師会、二十二機関三十二名で構成されている北海道医療対策協議会を設置して、協議会の主な検討、協議の内容等として、医師確保が困難な市町村立病院に対して三医育大学、市町村、民間病院、北海道がネットワークを組みながら調整を行う新たな医師派遣紹介システムの構築について、医師養成のために三医育大学の大学入学定員の中の地元地域枠の設定、市町村との連携の中の奨学金制度導入について、新しい地域医療体制の在り方として病院間の機能分担、広域連携推進の方策について、この三点を協議の柱といたしまして、現在、取組を進めているところであります。
このような地域医療の新たな姿を模索しながら、また医師確保問題に積極的に取り組みながら、予防、入院から在宅医療までの切れ目のない形での医療と介護の両面にわたる総合的な地域医療・ケア体制の整備といった取組を、国とともに都道府県で作成する医療費適正化計画の中に盛り込みながら取り組んでいただきたい。
また、療養病床の廃止についてでございますが、今回の改正で療養病床を大きく再編することとなっていますが、医療と介護を明確に区分しながら、本来の医療の必要度の高い方への適切な療養病床での提供と、医療の必要度が低い方への介護施設、在宅ケアへの結び付きの中で、個々の状態に適したサービスの提供を推進するということでは大変重要なことであり、評価に値するものだと思います。
しかしながら、現在入院している方の状況の中では、慢性的疾患等医療の必要度が低い方で寝たきり状態、又は認知症を持つ介護度四又は五の重度で、在宅に戻りたくても家族介護の問題等で戻れない、いわゆる社会的入院のケースが非常に多いことも現実であります。
今後、六年間の経過措置の中で、中長期的に老人保健施設、ケアハウス等また在宅ケアの整備以外にこのような方々たちが安心して移行できる受皿づくりを含め、整備をお願いしたいと思います。
保険給付の内容、範囲の見直しについてでございますが、今回の医療制度改革法案の中では、高齢者の医療費負担の見直しが挙げられているが、これからの高齢化の波、医療保険制度の維持、継続していくためには、国民全体が制度を守り、ともに支え合うことが重要であると思います。その点については、現役並みの所得者に関してはある程度必要なことと認識しております。
しかしながら、高齢者の中では低所得者が非常に数多くおります。少ない年金の中で、医療ばかりでなく介護を含めた医療費用負担の中で大変つらい生活を送られている方も数多く存在いたします。
このようなことから、今回の改革に当たりましては、低所得者への対策を十分考慮して進めていただきたいと思います。現在の改正案については、現行のままでございますから、このことを堅持していただきたいとお願いを申し上げるところでございます。
次に、医療保険制度の一本化についてでございますが、負担と給付の公平化を図るため、我々市町村は、かねてから医療保険制度の一本化を主張してきました。一本化により、保険運営の広域化による保険基盤の強化及び負担と給付の統一化が図られることとなる。今回の医療制度改革大綱においても、医療保険制度の一元化を目指すことが明記され、基本方針に示される方向が再認識されていることでございます。これは前進ととらえているところでございます。
また、高齢者医療については、時間がちょっとございませんからはしょって申し上げますが、国保財政を単独で運営することが財政的に非常に厳しい、事務的にも困難でございますから、そこで、平成十年八月に、私どもは既に一市五町で空知中部広域連合を設立いたしまして、十二年から介護保険とともに国民健康保険、老人保健事業の広域的保険者として運営を進めているところでございます。
今般の改革案におきましても、後期高齢者医療制度の財政運営の主体が広域連合となったことは、財政運営の広域化及び安定化という観点から評価できるものと考えておりますが、これは市町村だけでなく、国、都道府県の責任を分担すべきものと考えております。保険料の未納や見込みを超える医療費の増加によって、必要な給付を保険料で賄えないという財政リスクは広域連合としても起こり得るものでありまして、こうした財政リスクの軽減を図るためには、広域連合や市町村だけでなく、都道府県や国の役割が欠かせず、それぞれに財政責任を果たしていただくシステムづくりが必要であると思います。
国民健康保険の財政──まだいいですか、もう少しよろしゅうございますか。国民健康保険の財政安定化についてでございますが、我が国の医療保険制度につきましては、自営業者や無職者等を対象とする市町村国保と政管健保及び組合健保から構成される被用者保険に大きく二分される構造となっておりますが、国民健康保険制度は、ほかの医療保険に属さない人をすべて受け入れる構造となっておりまして、近年の急速な少子高齢化の進展、リストラ、フリーター及びニートの増加に起因する無職者、低所得者の増加、毎年一兆円規模で増加している老人医療費など、多くの問題、課題を抱えております。
失業者の増加により所得のない加入者が増加し、保険料未納の増加につながっております。収納率が低下すれば制度を維持することに非常に難しいものがありますから、一般会計よりも補てんしているのが現状でございますから、これらについての支援をよろしくお願い申し上げて、私からの発言を終わらしていただきます。
以上でございます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/400
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401・山下英利
○団長(山下英利君) ありがとうございました。
次に、山本公述人にお願いいたします。山本公述人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/401
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402・山本直也
○公述人(山本直也君) この発言の機会を与えてくださいました先生方、本当にありがとうございます。
北海道は今日はもう寒さの中におりますけれども、我々北海道人も寒さの中におって、本当に御苦労さまでございます。
それでは、北海道医師会、医療者の一員としまして、北海道の地域医療を担っております現場の医療担当者の一員としまして、今回の医療制度改革関連法案に対して意見を簡単に申し上げます。数字をできるだけ参考のために申し上げたいと思いますので、後ほど、資料をお手元に配付してございますので、参照をお願いいたします。
基本的には、今回の改定は、副作用を伴う苦い薬を飲むといいますか、合併症のあり得るつらい手術を前に決断をする患者さん方の気持ちというのはこんなものなのかなという、改めて考えさせられたものでございました。
少し残念だなと思っているようなことは、我が国の医療制度の基盤を成す財源の在り方というものを、負担と給付の整合性、それから管理運営主体の中立性ということ、中長期的な視野の取組らの国民に真っ正面から問うべき課題が十分に論議されたのかなと、そういう思いをいたしました。
我々の立場からいいますと、まず第一に国民全員で最初に最も重要な議論すべきことは、近い将来も含めましての日本の国民医療費、公的給付というものが国民所得の何%程度が振り向けられるべきものなのかと。財源というのは、この五十年も続いております税、保険の割合、形というものはこんな形でよいのだろうかと、そういう基本的な論議をしていただきたいなという切実な思いを持っておりました。
また、弊害あるいは無駄が多いと一般的にはOECDの先進国でよく言われております中央政府によるその日暮らしのごとき単年度主義の社会保障あるいは社会保障基金の財源の管理運営を、生活に密着する部分というものは何とか中立性の高い効率的な管理主体に変えていくべきではないかと。また、中長期的な視点で財政運営をしていくべきでないかという当たり前の論争をもっと深くやっていただきたかったというのが私たちの立場でございます。
ちなみに、現在の日本の国民所得の七・三%という数字は、やはり極めて低い水準ではないかと。従来より我々は、せめて一〇%ほどの、先進国では世間並みの当たり前の値ではないかと我々は主張してまいりました。
現在のマスコミの方々を中心にする、流れてくる、我々、情報操作にも等しいのではないかと思われるようなよく分からない、根拠の何か薄弱な財政破綻キャンペーンというんでしょうか、誠に声高な、改革に名をかりた支出の抑制策しかもうあり得ないというような、非常に劇場型のポピュリズムとやゆされるようなやり方、状況には、怒りというよりもちょっと悲しみを感じております。
一方で、私たちにとっては良かったなというような思いを一方では感じてございます。経済財政面からの医療費の抑制に隔たった、経済財政諮問会議が打ち出した、いわゆるキャップ制とか伸び率管理といった極めて乱暴で、我々専門的な現場の立場からいうとちょっと粗野な意見ではないか、そういう主張が排除されまして、少なくとも良識ある人々、特に先生方を始めとする医系の先生方、保険医療を長い間専門的になさってきました厚生省の官僚の方々を中心にする真っ当な、下からの政策の積み上げの案として少なくともこの政府案が出てきたということに、それで、その内容があくまでも患者中心の国民皆保険制度を将来も持続可能にすることを目指してという、医療の質の向上や安全の確立、制度の効率化を掲げて法改正が行われたことに関しましては評価をしてございます。
時間が制限されておりますので、総論的な私たちの気持ち、考え方は以上で終わりにいたしまして、今回の生活予防対策、あるいは扶養家族の健診の保険導入ら、新しい取組に対しまして評価することは多々ございますけれども、そういうことは抜きにいたしまして、我々の北海道の地域医療の直面する現場からの問題点、それから苦しみというものを二点ほど、現実的な厳しい数字を基にして説明さしていただきます。
まず第一点でございます、医師の偏在と不足。これは、今まで十分論議されております北海道の状況でございます。お手元の資料を参照してください。
これは、第二次保健医療福祉圏といいまして、二十一の区域に分けてございます、北海道は。これに北海道の状態が書いてございます。
右上を見ていただきますと、北海道もついに減少、人口の減少という状態に入りました。左の上を見ていただきますと、千人当たりの周産期死亡率、新生児の死亡率、乳児死亡率が提示してございます。これは平均値でございます。全国とそう変化はございません、この数字はですね。
地域ごとの数字を示してございます。
濃い黄色の枠をごらんください。この濃い黄色の枠は、すべてが平均値をオーバーして死亡数が多いという数字でございます。その地域でございまして、代表的に選んでございます。根室の方の地域、南の方の日高の方の地域、宗谷の方の地域、オホーツクの北網というところと、それから羽幌というところと、こういうところはすべての数字が、千人当たりの子供の死亡率も高うございます。こういう数字が出てございます。
二枚目の資料をお願いします。
これは、北海道のそこの同じ地域における産婦人科のお医者さんの数でございます。その代表的な場所をイメージとして数字を抜いてございます。
まず、右の根室の方の数字を見てください。この一番最初の赤で書いてある数字は、人口当たりのあってほしい産婦人科医の数でございます。六名という数字。実際には三名しかおりません、右の数字でございます。その下は勤務形態でございます。一番左が開業医の方の数で、真ん中は常勤の勤務医の数でございます。右は大学や大手の病院から参ります非常勤の先生方の数でございます。こういう形になっている。三名のうち一人の方が開業医で、市立病院にお二人の方が勤務してございます。こういう状態です。人口が八万六千ございます。年間八百七十件ございます。これは我々医療の現場から見ますと、この体制で不可能な数字でございます。あり得ないことが起きているということは、近隣の医療施設の整った地域に行っているということでございます。同様のことが一番下の日高の地方も、ここは、五・八人必要なところに二人しかいらっしゃいません。こういう状況です。
これを後ほど、またあれば説明申し上げます。
三枚目をお願いいたします。
これは小児科医の数でございます。同様の傾向がございます。医療資源の乏しい地方があるということでございます。
その次の四ページ目をお願いします。
こういうことに対しまして、やはり医療の安全ということを考えまして、北海道ではこのような周産期のセンターを示しながら機能を集中してございます。
五枚目をお願いいたします。
これはもう本当に命にかかわることでございますので、小児救急ということで、このような地域に集中した大型病院に機能を集中してございます。このためにはどうしても、北海道は広域で寒冷で広うございますので、搬送手段を何としても整備しなければなりません。これは医療の世界だけでやれることでございませんので、是非この北海道のこういう状況を御理解いただきたい。
次の資料でございます。
これは、お年寄りの対象の療養病床の問題でございます。北海道にも三万ございますけれども、一万七千床、恐らくこの六年の間に削減されるであろうと思われますが、一番困ることは、根室の方を見ていただきたい。同じ黄色でございます。もともとベッド数が少のうございます。一番下に百九床がマイナスと書いてございます。あるべき基準値より少ないんでございます。その上で、この百八十七と三施設が持っている療養型がある程度削減されたときにまた大きな問題が起きるという、これが北海道の現状でございます。日高もそう、羽幌、すべてそうでございます。こういう地域ごとの差があるということを御理解いただきたいと思います。
あと資料ございますけれども、何か質問がありましたらそのときに説明申し上げたい。
高齢化率がほぼ三五%を超えてございます。在宅介護力などというのは、我々の現実でいいまして家捜ししてもないような状況でございます。是非とも、地域ごとに違うと、そういう困難な状態を御理解いただきまして、この法案を生かす形で、個別の強い優遇策あるいは弾力的な法の運用と、政治の真の力と行政の心をいただきたいと思っております。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/402
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403・山下英利
○団長(山下英利君) ありがとうございました。
次に、橋本公述人にお願いをいたします。橋本公述人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/403
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404・橋本洋一
○公述人(橋本洋一君) 私は、苫小牧で病院を経営している苫小牧東病院の橋本と申します。このような意見を述べる機会を与えていただきましたことに対しまして、深く感謝申し上げる次第でございます。
さて、私の方からは、民間中小病院の一経営者及び毎日、直接患者と接している一医師として、このたびの健康保険法等の一部を改正する法律案の医療費適正化推進の中で、特に療養病床の再編とそれにかかわる今年四月の診療報酬改定につきまして、やや具体的な内容となりますが、意見を述べさせていただきます。
まず初めに、当院の紹介をさせていただきます。
「私たちは、医療サービスを通じ、地域社会に安心・安全を提供します」を理念として、平成元年、北海道苫小牧市の東部住宅街に開院し、今年十月には満十七年を迎えます。急性期、亜急性期、慢性期の領域に対応する二百六十床の内科・リハビリテーション病院ですが、平成十六年十一月には、日本医療機能評価機構の病院機能評価をバージョン四・〇で新規取得しております。
当院の特徴といたしまして、開院当初よりリハビリテーションの充実を図ってまいりました。回復期リハビリテーション病棟は、平成十二年十二月、北海道内の第一号の認定を受け、平成十五年八月には、東胆振地域リハビリテーション推進会議の事務局病院として指定、平成十六年七月、日本リハビリテーション医学会研修施設に認定、今年一月には、日本医療機能評価機構のリハビリテーション付加機能の認定を全国七番目、道内二番目で取得するなど、東胆振地域、日高地域におけるリハビリテーションの中核病院としてリハビリ機能の向上に努めています。
さて、今般の医療制度改革関連法案の全体について整理いたしますと、昨年十二月、政府・与党医療改革協議会で決定された医療制度改革大綱で、国が進める今後の医療制度改革の方向性が明示され、柱として、一、安心・信頼の確保と予防の重視、二、医療費の適正化の推進、三、新高齢者医療制度の創設、四、診療報酬の引下げの四つが掲げられました。
これは、中長期的な改革の展望というよりは、当面、二〇〇六年から二〇〇八年の三年間の予算対策の色彩が強く、以上の二から四においては財政問題が直接的に扱われたものとなっており、中でも、四の診療報酬の引下げについては、マイナス三・一六%、本体部分一・三六%という過去最大の下げ幅で決定し、実施されたことは周知のとおりでございます。
この医療制度改革大綱に基づいて、医療制度改革関連法案が今般の健康保険法等改正案と良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等改正案、いわゆる第五次医療法改正の二本立てで審議されているところですが、健康保険法等改正案の中で、医療費適正化につきましては、中長期の対策である在院日数の短縮と生活習慣病予防など、短期の対策では、患者負担の見直し、括弧、自己負担等ですけれども、引上げ等ですが、と診療報酬改定、療養病床の患者分類に基づく評価導入等などを組み合わせ取り組むことで医療費の伸びを抑えることを主眼としております。
また、医療法等改正案につきまして、目玉としては医療計画制度の見直しがあり、一、医療機能の分化、連携を推進し、切れ目のない医療を提供すること、二、早期に在宅生活へ復帰できるようリハビリテーション及び在宅医療の充実を図ることを二本柱としております。
これらの制度改革は、医療保険だけでなく医療提供体制、診療報酬、介護保険、健康増進などの対策を一体的に推進するものですが、そうした中で、特に療養病床の再編とそれにかかわる診療報酬の改定に絞って意見を述べたいと思います。
療養病床を抱える民間病院として、今回の改定は、地域に良質かつ安定的な医療を継続的に提供し、社会に還元していくには余りにも厳しい改定内容であり、経営に大きな打撃を与えることはもちろんのこと、淘汰される病院の続出が予想され、医療業界は戦後最大の転機と言っても過言ではありません。
先般、診療報酬と介護報酬の同時改定が実施されました。慢性期入院医療については、病態、日常生活動作能力、ADLですね、それから看護の必要度等に応じた包括評価を進めるとともに、介護保険との役割分担の明確化を図るという平成十五年三月の閣議決定を受け、その後の各種審議会等の議論、昨年十月、厚生労働省の医療制度構造改革試案及び医療制度改革大綱を踏まえ、今回の改定がなされましたが、療養病床すべてを介護保険適用にすべきとの考え方が強かった中で、突然、六年後に介護保険適用の療養病床を廃止し、療養病床を医療保険適用に限定、さらには、北海道でも地方において在宅分野の整備が不十分な中で、介護を含む療養病床三十八万床を十五万床まで削減すると打ち出されたことは誠に寝耳に水の感があり、十分に審議を尽くす必要があると考えます。
導入当時から物議を醸していた療養病床の医療保険適用型と介護保険適用型の問題が未解決のままであったことに対し、療養病床を医療保険適用に限定することは一つの決着には違いありませんが、今回の療養病床にかかわる診療報酬改定の特徴と問題点について申し上げたいと思います。
まず、今回の療養病床にかかわる診療報酬改定の最大の特徴は、入院基本料を看護職員の配置による評価から患者の医療必要度やADLに応じて点数を付ける、主に医療必要度ですが、患者分類による包括評価に転換したことと、患者分類の適用に伴い、重度障害者など向けの特殊疾患療養病棟入院料が七月から廃止、一般や精神病床を除きますが、廃止される点です。
お手元の資料三ページを御参照ください。
患者分類による包括評価は、医療療養病棟で医療区分、ADL区分に基づいて九分類、認知機能分類を加えて十一分類に患者が分類されていますが、医療必要度のないかあるいは少ない人、医療区分一、これはすべて介護保険でといった考え方が適切であるかどうか。特に、医療区分の一の範疇には医療必要度の少ない人も入るという点で疑問を持たざるを得ません。
また、医療区分の分類について、資料四ページにございますが、かつて特殊疾患療養病棟入院料一の範疇であった医療必要度の高い神経難病、一般に進行性であり、原因不明か原因が究明されていても根治療法がないか、あっても効果が限定されている特徴を有する神経・筋疾患や脊髄損傷、主に頸髄損傷で四肢麻痺による著しいADL障害のみならず、神経因性膀胱、知覚障害を有する等に加えて、一般病棟での治療対象である肺炎、尿路感染症等が医療区分三ではなく医療区分二に含まれていることは理解し難く、一方、医療区分三は医師及び看護師による二十四時間体制での監視、管理を要する状態とされ、さながらICUを思わせる極めて重篤な病態とされている点も同様に理解し難いと考えます。病院機能の分化という過程が平成になってからの医療改革の柱のはずが、一般病棟で対応するような患者を療養病棟入院基本料の医療区分に入れるのは病院機能分化の面でも逆行と言えるのではないかと思っています。
また、一般病棟、精神病棟の特殊疾患療養病棟については、資料六ページにございますが、三か月の猶予ではなく二年間の経過措置を設けた点について、一般と療養の病床区分の違いはあったとしても、今年三月までは同じ施設基準での特定入院料として算定し、患者状態も同様のはずなのに、病床区分の違いのみをもって経過措置に格差を付けるのはいかがなものかと考えます。現に、病床区分を療養から一般へ移行し、その上で特殊疾患療養病棟を届け出直すことを検討している医療機関もあります。
最大の問題として、従来の特殊疾患療養病棟入院料と新しい医療区分における新点数との差が余りにも極端過ぎる点が挙げられます。
当院は、一般病棟、回復期リハビリテーション病棟、特殊疾患療養病棟一が二病棟、二が一病棟の合計五病棟を有していますが、中でも特殊疾患療養病棟は三病棟あり、特殊疾患療養病棟を運営している病院には一層深刻な改定となっています。特殊疾患療養病棟入院料一と比較して、医療区分三のケースで約一二%減、医療区分二のケースでは実に約三二%減の点数となっております。特殊疾患療養病棟入院料二でも、医療区分二のケースで約一六%減、医療区分一のケースに至っては約五二%減と制裁的な点数設定であり、六年後の療養病床十五万床達成のため、あるいは医療必要度の低い患者の療養病床から介護保険施設又は在宅へシフト促進のためとしても、民間病院が地域医療を支え健全経営を維持していくには、減少幅をせめて閣議決定した三・一六から五%程度とするか、又は段階的な引下げをするなどの対応が不可欠と考えます。
この間、全国各地からの同様の声があり、厚生労働省も四月に入ってようやく特殊疾患療養病棟入院料等の見直しに伴う措置として、医療区分における経過措置を通知しました。資料の七ページです。これは神経難病等に該当する患者を二年間に限り医療区分三にみなす措置ですが、これにつきましては是非とも期間限定をせずに対応すべきであり、今後も強く主張していきたいと考えております。
非常に時間が差し迫ってますが、看護師の問題、医師の問題については、今、北海道医師会の山本先生からもお話がありましたので、割愛させていただきます。
最後になりますが、当院の場合、第一段階での収入シミュレーションでは、神経難病等に該当する患者の経過措置が不明であったため、暫定数値で年間二〇%を超える減収でした。いずれにしても、特殊疾患療養病棟三病棟だけでこれほどの減収となれば、民間病院として収益維持・確保の限界を超えており、経営の大幅見直しを余儀なくされるものでした。
今般の改定及び制度改革は、リハビリテーションや在宅医療の重視、療養病床の削減などの方向性が打ち出されていますので、この方向性を十分に踏まえ、当院の機能、特色を生かし、二つ目の回復期リハビリテーション病棟を特殊疾患療養病棟から移行を予定しております。
当院といたしましては、今後も地域及び患者の医療ニーズにこたえ、質の高い医療を安定して提供し、地域医療に貢献していきたいと考えております。
御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/404
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405・山下英利
○団長(山下英利君) ありがとうございました。
次に、細川公述人にお願いいたします。細川公述人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/405
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406・細川曄子
○公述人(細川曄子君) 細川でございます。大きな時代の変革のときに、このように私見を述べさせていただける機会を得ましたことをとても幸せに思っております。
私は、自治体の保健婦をやりました後、三年やりました後、小学校と高校の養護教諭を務めまして、二十年の公務員生活の中で多くのいろいろな思いを胸に秘めまして、そちらに、お手元にございますような、ちょっと御紹介させていただいておりますが、脱サラ、いわゆる脱サラをしまして、もう行政から離れたと。とにかく自分の思いを、本当に世の中を見て今必要だと思うことをやってみようということで、十六年前に会社をつくりました。これも今考えますとNPOで良かったわけですが、そういうことで夢中で今日まで参りましたが、その中で幾つかの立場でお話ししたいと思いますが、多分、このことは医療というような段階の前の生活者の立場の世界ですので、多分こういうお話は余り今回意義がないかなとも思いますが、お話ししてみたいと思います。
行政の中におりましたときに、健康診断をしたり保健指導というものでお話をしたりという機会の中で、でも、どうしてもっと世の中には病院じゃなくて健康院というのが何でないんだろうと本当に思いました。今この人がちょっと生活に、具体的に一緒に歩いてやったり一緒に味わったりすることによって、この人は今日、今から頭の中のスイッチが一つ変わって、価値観が変わって、三年後は病院に行かなくてもいいんだよなというような、そういうものに対する大きな焦りがありまして、私が地域の中でこういうことをやってみたいと思っているときにちょうど、労働省と厚生省が別でしたので、労働省の方からトータル・ヘルス・プロモーション・プランというのが出ました。本当にこのときは、私だけじゃなくて、多くの全国のドクターや公衆衛生で働く人たちは時代が変わったと思ったと思います。なぜならば、本当に具体的な健診の結果に基づいて、生活者の立場で生活改善を提案することによって、その費用は国と企業から出て、要するにその人の幸せになるためのことに私たちがようやく手が行くというふうに思ったわけです。
ですが、なかなか本当に、今も思っておりますが、すべてのことに規制緩和がなくて、それでもう全国が全部特区になってくれればいいというふうにそのときも思いましたんですが。本当にオホーツクの小さなエリアですので、そこのエリアの中では中央がこんなにすばらしいことをやるといったことが同じようにできないということに気が付きました。
では、田舎ならではのやり方でそのメッセージを、逆にこんなふうにできるんだよということを中央の方に向かって言ってあげようと、そういうぐらいの思いになりまして、地域の先生方にも多くの御協力をいただいて、いわゆる私たちが未病という、病気にならないための手だてというもの、これが本当にいいサービスであれば、世の中の生活者の自立と幸せのために必要なことであれば、お金を出してでも、自費ででも成り立つはずだと、それが成り立たないんだとしたら多分私の方に問題があるというふうに飛び出しました。具体的なことはそちらに書いてありますので、本当に何も持たずに頭の中の理念一つで飛び出してしまいましたんですが、多くの仲間をおかげさまで全国に持つことができました。
この十六年の間で今やっていますことは、具体的には一つは、健保組合ございますね、健保組合はいろんなことをやっていらっしゃいますが、財政云々のことでなかなか、保健施設活動といいますか、保健師を置けないというようなことがあります。それで、そこの委託を受けております。ですから、道外の製薬会社ですとか大きな企業の、北海道に赴任をしたというだけでマイナスイメージで体を壊しちゃったり、特に北海道は、北方うつ病というのをお聞きになったことがあるかもしれませんが、日照時間が少なければやはりうつっぽくなります。そういうようなことに対する寂しさを、じゃ私が北海道全部を引き受けようということで、各企業の健保組合やそれから財団、道外の財団と契約を一つ一つ取っていきました。そこにも紹介していますように、一番こういうようなことに感度のいいのは大企業でして、NTTとか北海道電力のおかげで本当にここまでやってまいりました。
それだけに、私の願いますことは、本当に世の中、文明はどんどん進歩しているんだ、で、医療というか治療ということを受けなくても、もっともっと情報が豊かであれば私たちはそういう不幸な道を行かなくても済む、要するに、医療依存でなくてよろしいんじゃないかというふうな考えでおります。これは本当に幸せな人たちを対象としているから言えることかもしれませんが。実際には、企業戦士である人たちの、今メタボリックシンドロームとか言っておりますが、私は会社設立当初からシンドロームXという名前で、今おなかの回り、脂肪を付けたら大変だよという話を、今は本当にこれが説明が明快にできるほどに新聞、テレビでも言われるようになってまいりました。このようなことに、全部これは自費です。
私は、今大きなこの制度の、財政破綻とかいろいろ言っておりますが、医療経済機構そのものの中に、価値あるところに本当に経済、お金はリンクしているだろうかということではないかなというふうに思っております。それは、もう本当にゲノムの医療の時代が目の前にありまして、いろいろな情報がありますときに、規制緩和の云々で問題になっておりましたんですが、薬に頼らなくてもちょっと熱は耐えてみよう、下痢はちょっともう少し耐えてみようというような、生活者としての能力をアップする情報とそれから文明の手だてを本当に伝えることが幸せに結び付くのではないかというふうに思いますので、今回のように大きな変革のときに、制度の設計理念といいますか、脈々と私たちに哲学を投げ掛けてほしいと思います。
ところが、見ますと、まだ本当に不勉強ですが、経済破綻ですとか医療費が掛かるとか、もうお金、お金、お金、お金の論理しか出てきていません。私は、そうであるから、もう本当にもっと自分で自分を鍛えようぞと思う人たちまでも、例えば七十五歳から後期高齢者と、そうかと。私たちは、活動としてはサードエージというジャンル含みまして、サードエージというのは、要するに、これから社会に貢献するんだと、自由を得てもっともっと人間らしく、果敢に闘うといいますか、能力アップしながら生きていくんだという人たちにとってみれば、七十五、えっ、もう後期かというようなインパクトも与えかねないなというふうにも思ったりもいたします。
私が本当に申し上げていることは、勝手な持論でございますが、例えば健保の中で取り上げられようとしている特定健診なんかも糖尿病云々ということだけになっておりますが、私たちはもう百歳まで生きます。であれば、白内障になったり緑内障になったり、男の方だったら前立腺肥大になったり、もうおよそ予測の付くそういう人生イベントがありますので、そういうものに対して啓蒙活動と未病対策というものを是非進めるようなことも盛られてはいいのではないかというふうに思ったりします。また、そういう予防給付のようなことがどこからか生まれてこないか。また、生活者の自由裁量が利くようなそういうような設計がなければ、今幾ら健康保険があるといっても、独自で皆さん、小児保険とか、まあペット保険は別ですが、そういうふうにいろいろな民間保険に行って自由裁量しようというほどに健康意識や生活能力、判断能力ですね、こういうことは上がってきているというふうに思います。
今、イギリスなんかの情報も、随分医療破綻を起こして、医療従事者の問題とか起きているようですが、最近、私の周辺にいるドクターたちは本当にこの予防活動ということに大変に進んでいらっしゃいます。本当にそういう面では、病院の中での医療給付経済構造よりも、もうちょっとそのシフトをずらして、予防の方に、今お医者様たちの多くの深い経験と英知をそちらの方に持っていく。要するに、医療法人の規制じゃなくて、規制緩和の方に向けることによって、もっとウエルネスのジャンルに医療従事者がどんどん、正しいといいますか、これはそういう方向に導くようなことができていれば私たちにとっても幸せであるし、その結果ですね、その結果、保険財政は絶対にいい方向に向かっていくというふうに考えたいというふうに思います。
最後になりますが、WHOの健康定義の中にはスピリチュアルという言葉が入って、ここ十年以上いろいろ議論されておりますが、やはり終末医療や何かを考えますときに、もっと心のケアといいますか、それから私たちの死生観をも規定するような多くの情報と、そういうことが、この医療だけじゃなくて、私たちの生きていく力になることではないかなというふうに考えております。それは必ずしも宗教とかそういうことではなくて、音楽だったり、芸術だったり、大自然の空気だったり、景色だったり、小川の音だったりするかもしれませんが、そういうことも本当に私たちの免疫力を、それから未病というふうに、究極のところ医療費の軽減というふうにつながっていくのではないかなというふうに思っております。
大変早口で思いのたけだけを述べさせていただきました。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/406
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407・山下英利
○団長(山下英利君) ありがとうございました。
次に、堀毛公述人にお願いをいたします。堀毛公述人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/407
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408・堀毛清史
○公述人(堀毛清史君) 北海道勤医協の堀毛でございます。本日は、こういう公述の場を与えていただいて、本当にありがとうございました。
私は、この三月まで釧路の勤医協の病院で療養病棟を持ちながら釧根地域の医療に当たってきた者として、そしてまた北海道全体の医療や介護について強い危機感を持っている一人の医師として今法案についての意見を申し述べたいというふうに思います。
私のレジュメの一番後ろのところにカラーの一枚のレジュメが付いております。せっかく今日は委員の皆さんに北海道に来ていただきましたので、私の撮った写真で少し北海道気分を味わっていただこうと思いまして、一枚目は氷の摩周湖なんですけれども、これを使いながら御説明したいと思います。
今年の三月末でもって根室市の隣保院附属病院が閉院となりました。根室は約三万の人口ですが、この病院はその根室市の唯一の療養病床を有する病院でした。閉院によって入院中の五十七人の患者さんが、言葉はいいかどうか分かりませんが、強制退院となりました。行き先がなかなか決まらずに、最終的には十八人が市外の病院、施設へ転入し、十四人が転入先が見付からないために在宅の条件が十分整わない中での自宅への退院となりました。既に四人が亡くなられたというふうに聞いております。退院されて自宅へ戻って、その日に熱発、肺炎で市立病院に入院された方もありました。
この中で、八十四歳の男性、隣保院に入院されたときには寝たきり状態だったのですが、少しずつリハビリを続けておりました。今回の事態でおうちに帰ることを余儀なくされ、五十七歳の息子さん、二人暮らしになったわけですが、建設会社に勤めておられた息子さんは、父親を見るために会社を辞められ、約三十万あった収入がアルバイトの五万円となり、朝から晩までお父さんのおむつ、それから車いす介助をやるというような生活への変更を余儀なくされております。
また、ある患者さんの家族は漁業をしておられて、朝三時から夕方まで仕事をしておられたのを、その親の面倒を見るためにお昼に一遍現場から帰ってきて、そしてもう一度漁業に出るというような生活をされている方もあります。
根室全体がこのことで大変な状況になりました。私が今回最も強調したい発言の趣旨は、今回実施される療養病床の診療報酬上の改定及び本法案での病床数の縮小案は、ある病院が存続できるかどうかのみならず、そのことを通じて地域の医療そのものが崩壊しかねないのではないか、そういった危惧を強く持つという点でございます。
今回の隣保院附属病院の理事者は、政府による六年後の療養病棟全廃の方針でもって将来の見通しを持てなくなった、あらゆるケースを想定して検討したが、どの方針を取ろうとしても医師や看護師の確保が必要になる、その確保が現状では道内、見通しが持てない、やむを得ない判断だというふうに発言をされました。
私は、これが根室だけの事態ではないと考えております。例えば釧路市、人口が十九万の北海道の中では中核都市に相当しますが、市内の医療機関は現在、急性期病院、専門科を主とした病院、療養型病院に分けられます。
私のレジュメの右上をごらんください。
一九八〇年代から九〇年代初頭にかけては、それぞれの病院が単独で言わば外来も入院もその後のフォローもしておられる時代がございました。しかし、高齢者人口の増加に伴い、そしてまた第四次医療法が制定される際に、それぞれの病院が地域においての役割を鮮明にすることが強く求められました。現在、釧路では、この黄色と緑とブルーに分けておりますような形での、急性期を担当される病院、専門科病院、療養病棟を中心にした病院となっています。高齢者は、肺炎だとかいろんな病気が悪化しますと急性期病院や専門分化した病院に運ばれます。そこでは入院期間が非常に短くなっておりまして、一週間、二週間という単位で退院の方向が出されます。
しかし、高齢者の場合には、いったん急性病変化した場合に全身の様々な臓器が一緒に悪化することが多く、一遍に元の体に戻れるわけではございません。したがって、その際にリハビリ機能を持った病院や療養病床を持つ病院への転入院が必要になってまいります。そして、そこでの一定在宅への準備が進んだ段階で在宅ないし施設へというのが一般的な方向かと思いますが、釧路の場合には、まず在宅で自分の家族を見る力が極めて弱うございます。在宅で見るためには、家族がしっかり介護ができるか、そのことを経済的にやっていけれるかどうか、医療機関や行政との連携が十分か、地域の町内会で支えがあるかどうか、そういったことが必要になってくると思いますが、極めて不十分な状態です。
そして、一方でも、一つのついの住みかとなるべき特別養護老人ホームが三百七十ベッドほどありますが、そこは今満床で、待ちベッド患者数が千四百人から千五百人。特養は、基本的には死亡退院以外には簡単に空きませんので、これらの方が大勢待っておられる。どこで待っているかというと、在宅の条件のない中での在宅で待っておられるか、療養病床で待っておられるわけです。したがって、療養病床が空かない。療養病床が空かないので、急性期の病院の先生方は大変な御苦労をなさって急性期病棟でそういった患者さんを診るか、何とか引き受けてほしいといって釧路以外の近隣のところへ頼むか、大変な御苦労をされているわけです。
そうしますと、療養病床がその中で閉院あるいは内容的に縮小ということになってきますと、そこへ送っていた患者さんが送れなくなる、急性期のベッドが空かないために急性変化した患者さんを診るところがなくなる、こういう構図になるわけです。したがって、療養病床が閉鎖するかどうかではなくて、その地域全体の医療、介護を支える機能が崩壊しかねない構図になっています。
こういったことは決して釧路単独の問題ではなくて、道内の地域病院の、あるいは地域の実情がほとんどがこれと同様なものというふうに考えられます。
北海道内では療養病床が三万床、法案が実施された場合には一万二千床まで減ることになります。この中で各地で苦労が続く。いわゆる医師も看護婦もいなくてベッドもない、介護が必要な、医療が必要な人が難民となってあふれ返るという事態が想定されるわけです。しかも、医療区分一の御老人は、一見安定して見えても、感染や転倒などで容易に病状は悪化します。そういう点での医療の必要性ということを全く抜きにして、社会的入院だからといって地域にあたかも吹雪の中に裸で追い出すようなことは、とっても残酷なことだというふうに私は思います。
今必要なのは、在宅で暮らしたいという高齢者の希望をかなえるために、行政の責任で基盤整備を整えて、そして医療機関や介護に携わる人々が一緒になって町づくりを進める。急変時の対応はもちろんですけれども、広くリハビリ、介護を充実させて、急性期医療から療養、在宅、そういったものを全面的に支えていく中でお年寄りを温かく見守ることだというふうに思います。
私は、北海道の高齢者が本当に誇りを持って、みんなから尊敬されて暮らしておられるのかということを心配いたします。釧路でこういうことを聞きました。高齢者は尊敬されているんだろうか。釧路では、国鉄がつぶれ、漁業が駄目になり、炭鉱が駄目になり、酪農があえいでいる、そういう中で、高齢者は自分たちが伝えるべき技術や経験がどんどんなくなってきた、誇りと一緒になくなってきたんだというふうにおっしゃった方がありました。
そういった高齢者につらい思いをさせない、温かい私は行政と、そして周りのみんなでネットワークをつくることが今こそ必要だということを強調して、私の発言とさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/408
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409・山下英利
○団長(山下英利君) ありがとうございました。
次に、片山公述人にお願いをいたします。片山公述人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/409
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410・片山憲
○公述人(片山憲君) 御紹介ありがとうございます。片山と申します。
まずは、本日、このような貴重な機会を与えてくださいました皆様に感謝申し上げます、また、日ごろより厚生労働行政に御尽力されている皆様方に敬意を表したいと思います。
私は、社会福祉法人北海道社会事業協会岩内病院で社会福祉士として、また精神保健福祉士として、現在では介護支援専門員として日々業務を行っております。今日は、日々の実践から今回のテーマに関しまして幾つかの御意見を述べさせていただきたいと思います。
早速、レジュメに沿って話を進めたいと思います。
初めに、我が国における現代社会の一側面は、長期的に人口の少子高齢化と経済の低成長が続いている状況にあります。この問題は、現象として高齢者に対する財政支出の増大とそれを支える若年者の財政負担の増大をもたらし、税収と財政支出のギャップは財政赤字をもたらし、医療、福祉の支出を含めた政府支出の効率的な使用が求められています。
私が働く岩内病院は、北海道の南西部に位置する地域にあり、診療圏域人口二万六千六百十四人、有床病数二百四十六床で、うち療養型病棟九十床を有し、本地域における唯一の基幹病院として子供から高齢者までの幅広い医療を担っています。しかし、病院経営は地域住民にとっての医療機関としての重要な役割とは裏腹に非常に厳しい状況にあり、経済的な効率が求められるようになっています。
その一つとして、在院日数の問題があり、継続して医療を受ける必要があると思われる患者の受入先をめぐり、対応に苦慮しています。また、看護やリハビリテーションの実際では、自分たちの持てる知識や技術が十分に発揮されないまま退院をさせなければならないというジレンマも存在しています。私の十二年余りの医療、介護、福祉をつなぐ実践を通し、地域医療を守るということ、個人の福祉に貢献するということに難しさを感じています。
しかし、医療や福祉の目的は、競争して個人的な利益を得ることが重要なのではなく、すべての国民がひとしくサービスを享受できることに大きな意味を持つと考えます。
日々の実践から、事例を通し意見を述べさせていただきます。事例紹介に移ります。
M氏、八十歳、男性。家族構成は、主介護者の妻七十六歳、長男五十一歳との三人暮らしで、農家を営んでいます。
これまでの経過としまして、平成十三年八月、交通事故により受傷。救急処置後、ヘリコプターで二十分のS市立病院へ搬送、形成外科にて緊急手術が行われています。傷病名は、左眼球破裂による失明、左頬骨骨折、左上顎骨骨折等でありました。
約一か月の入院治療が終了し、主治医より在宅生活を勧められましたが、在宅生活への具体策が示されず、当院への入院紹介となっています。
平成十三年九月、リハビリテーションを目的として転院、三か月後退院。その後、在宅生活を送り、在宅生活では徘回等の認知症状が認められていたようですが、福祉サービスを利用することなく家族が介護を続けていました。
次に、平成十七年二月、多発性脳梗塞にて当院内科に入院。入院中、肺炎を併発し、症状は消失しましたが、その間の長期臥床によると思われる身体機能の低下と食欲不振、経口摂取でのむせ込みが強く、口から取る食事から経管栄養に変更され、身体障害者手帳一種一級を取得。平成十七年六月より療養型病棟へ移り、療養型病棟では嚥下訓練が開始され、訓練により口からの食事摂取へ変更され、六か月後退院となりました。
現在の障害特性としましては、日常生活動作では、すべての動作においてほぼ全介助の状況にあります。認知症のレベルは、不快なものについては言語、非言語でアピールすることはできますが、介護についての協力や理解はできない状況にあり、昼夜の逆転も見られ、介護者の負担となっています。
具体的な介護の手間としましては、洗顔、ひげそり、食事介助、口腔ケア、移乗、移動の介助、ベッド上での体位変換、服薬、点眼薬の介助、受診介助等が挙げられます。また、介護に対して拒否、抵抗を示すときもあり、介護者の手にはひっかき傷が絶えません。介護保険で言う介護度は要介護度五です。
現在利用している福祉サービスは、訪問看護週二回、通所リハビリテーション週一回、通所介護週一回、移送サービス月一回、福祉用具のレンタル、ベッドと車いすということになっています。
現在の生活上の問題点としては、一、誤嚥、転倒、床擦れの危険性は依然として高く、医療との連携が不可欠です。二、在宅で利用できるサービスに限界があり、在宅生活では家族介護に大きく依存しています。三、農家を営んでおり、農繁期は介護者も労働に駆り出されるため、一定期間の入院を考慮してくれる医療機関との連携が必要です。四、俗に言う老老介護であり、身体機能の低下と認知症を呈している本事例では、長期的な在宅介護は困難と言わざるを得ません。
最後に、意見に代えて述べさせていただきたいと思います。
一、本事例では救急医療が病状の予後を最小限にとどめることができました。北海道という広大な地域性を考慮した救急医療の充実が予後の医療費削減に連動すると考えられます。二、在宅生活を支える上で、サービス利用者の基礎疾患と要介護状態への支援の在り方は、医療保険と介護保険の具体的施策の連携、融和が求められています。三、医療依存度の高い人へのショートステイは現行の介護保険制度では制限されていることが多く、病院を利用してのメディカルショートステイが要求されていると考えます。四、主介護者の高齢化に伴い、老老介護の実態が明らかになりました。介護者のレスパイトを目的としたショートステイの充実は緊急課題であると考えます。
以上、つたないお話で失礼しましたが、御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/410
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411・山下英利
○団長(山下英利君) ありがとうございました。
以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。
それでは、これより公述人に対する質疑を行います。
なお、委員の質疑時間が限られておりますので、公述人の方々には御答弁を簡潔にお願いを申し上げます。また、御発言は、挙手の上、私の指名を待ってからお願いを申し上げます。
なお、質疑者は、答弁をお願いする公述人を指定の上、質疑をされるようお願いを申し上げます。
それでは、質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/411
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412・水落敏栄
○水落敏栄君 自由民主党の水落敏栄でございます。
公述人の皆様には、お忙しいところありがとうございました。また、貴重なお話をお聞きいたしまして、大変参考になりましたことを感謝いたしております。
十五分という限られた時間でございますので、奈井江町長の北公述人と医師会常任理事の山本公述人のお二人にお考えをお聞きしたいと思います。
健康保険法等の一部を改正する法律案並びに良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案でありますが、新たな高齢者医療制度の創設、生活習慣病予防等による医療費の適正化、医療の質の向上を主眼としておるわけであります。
そうした中で、社会的入院、つまり入院治療の必要がないのに、家庭の事情や介護施設が見付からない等の理由で退院できない方々が少なくないという問題への対応が課題となっております。その多くは高齢者の方々であります。
そこで、厚生労働省は療養病床の実態調査を行い、その結果として、医療保険適用型、介護保険適用型のいずれでも医師による医療の提供をほとんど必要としない、そうした患者が半数、週一度程度で済む場合を合わせると約八割に上ったというデータから、法案に療養病床の六割削減を盛り込んでおります。六割削減の内訳は、介護療養病床、これは十三万床でありますが、二〇一一年度末までに全廃する、医療型療養病床は二十五万床ありますが、これも二〇一二年度までに十五万床に減らすということであります。
そこで、公述人にお伺いします。私が心配しているのは、病院からの退院を余儀なくされた入院患者の皆さんがどこに行くのかということであります。特別養護老人ホームも老人保健施設も満床のところがほとんどであります。また、自宅療養といっても、家族は勤務や授業があり面倒を見ることができない。こういうことから、介護難民が生まれるのではないかと危惧しております。
つまり、療養病床の再編に伴う受皿整備が必要ですけれども、北公述人に町長の立場から、また山本公述人に医師会の立場から、それぞれどのように考えておられるのか、お聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/412
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413・北良治
○公述人(北良治君) それでは、今、水落先生の御質問といいますか、に私なりの考えを申し上げたいと思う次第でございます。
そこで、今お話ございましたように、いわゆる療養型病床群、介護型、医療系、特に介護型が全部廃止される、医療系についてもこれまたベッド数を大きく減らすということについては、私どもも非常に困惑しているところでございます。
ただしかし、その中で、先ほどもちょっと申し上げましたように、医療と介護を明確に区分していかなければ、将来、中長期的に見ますると、何といいましても、いわゆる医療の制度を確保していくという点では、そういった点では、やはり必要度の低い方といいますか、医療の必要度の低い方についてはできるだけ在宅に持っていかなきゃいけない。
しかし、今ここで申し上げましたように、在宅の介護力は非常に弱まっているということもありますから、この六か年の経過期間の中で私ども自治体として身近な皆さん方をどう支えていくかということを真剣に検討しなけりゃいけませんが、同時に、老健施設だとか、あるいはまた様々な介護的なグループホームなんかもそうでございますし、在宅もそうでございます、受皿整備をこの間にどうしていくか。
やはり、国も真剣になって考えていただくと、私どもも真剣になって考えていく、そしてその中で介護難民が絶対に起きないように、せっかく、申し上げましたように、医療と介護を明確に分けていくという中でございますから、その区分分けの中で介護難民が出ないような方策を整備していかなけりゃいけない。国はやはりある面ではそういう、何といいますか、受皿整備をきちっとした処置をしていただかなけりゃいけないだろうと、方向性としてはそうせざるを得ないだろうというふうに私どもも考えています。そのためには生活重視型施設の整備も視野に入れた安心感のあるサービスの受皿づくりの必要があるんでないかと私なりに考えている。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/413
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414・山本直也
○公述人(山本直也君) ただいまの御質問でございますが、私の方は、では資料の六を用いて御説明申し上げます。
先ほどの根室のことが一例でございますけれども、北海道の場合は、この問題でやはり大きな影響を受けるのはこの濃い黄色の地域でございます。札幌や旭川という都市には、ほとんどこういう問題ということでは大きな影響は受けないんだろうと思いますけれども、この地方の問題をどうするかという、これが、ただ介護の問題ではなくて、医療と密接な問題なんですね。
根室の例を取りますと、これがただでさえマイナス百九床という、平均値から低いベッド数の中で療養型という形で何とか維持していた医療の要素、薄いながら用意していたものが、それさえも少なくなるということ、これは大変な苦しみでございまして、これを何とか地域ごとの幅のある対応をしていかなければならないというのが我々の立場でございます。
もう一つ、私たちの悩みを申し上げますが、家族の介護力といいますか、そういう問題に対しまして、北海道はやはり長野のようなモデルと言われるような地域と全く違いまして、離婚率は日本で一番の地域でございますし、持家もそんな高い率ではございません。それから、高齢化率は非常に高いと、一番高いところは四〇%ほどございますし、この地方は大体三五%を超えてございます。ということは、先ほど家捜ししても介護力なんかないという、私、極端な言い方をしました。それが我々北海道の地方の現状だろうと思うんですね。
特に北海道は産業構造の転換が遅れてございます。物や機械は効率を考えて移すことはできますけれども、人というものは簡単にそういう効率だけで動かすことできないというのが現状だろうと思います。
我々は、医療の現場で直面してございます、人に接する仕事でございます。是非ともソフトランディングするための幅の広い対応力を考えていただきたいと。こういう流れは国としては当然の流れだと思うんですけれども、そこにいわゆる幅の広い対応力を与えていただきたいというのが私たちの現実のお願いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/414
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415・水落敏栄
○水落敏栄君 ありがとうございました。
次に、高齢者の負担増についてお聞きしたいと思います。
少子高齢化がますます進む中で、高齢者医療費の増加を少しでも緩和するために高齢者の患者負担を見直そうということで、法案に示されております。その内容はもう御承知のとおりでございますが、七十歳以上の現役並み所得者、この場合、単身で年収三百八十万円以上、夫婦二人世帯で年収五百二十万円以上の方ですが、これらの方々について窓口負担を現行の二割から三割に引き上げる、七十歳から七十四歳の窓口負担を現在の一割から二割負担にする、療養病床に入院している高齢者に食費、居住費の負担を求める等であります。
そこで、北公述人と山本公述人にお伺いしますけれども、私は、少子高齢社会の中で支え手である現役層が減っていく以上致し方ないのかなと、こうも思います。また、現役並み所得の方々については相応の負担もやむを得ないんじゃないかな、このようにも思いますが、一方、低所得者の方には十分な対策を講じるべきだ、このようにも思っております。
こうした高齢者の窓口負担増についてお二人の公述人はどのように思っておられるか、端的にお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/415
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416・北良治
○公述人(北良治君) 今ほどのお話でございますが、私どもはできるだけ、言うまでもございませんが、高齢者の医療費負担を上げないようにしていただきたい、こういう願いは同じだと思います。
ただしかし、今お話ございましたように、やはり世代間で支えていく、世代間の公平性ということを考えますと、ある程度の負担というものはやむを得ない点もあるだろうと。しかし、やはり何といっても懸念され心配されることは低所得者層でございまして、これがやはり耐えられない、そういう人たちに対しては、やはりきちっとした対策を、政策を掲げながら、取りながらやっていただかなければ、私どもも、直接住民に接する者といたしましては、一番その線が心配でございます。
特に、私どもの地方については高齢者が多い、低所得者が多いと、こういうこともございますから、そのシフトをきちっとしていただく、ネットワークをきちっとしていただくということが一番大切なことで、ただ、私どもといたしましては、国民皆保険あるいは医療保険制度、これをやはりきちっと皆保険というのは守っていただかなけりゃ、守らなけりゃいけない、持続可能なこととしなければいけない。その範囲の中で様々な政策展開というのはあり得ると思いますから、そういった意味で、今先生がお話あったようなことと同じ意見になるかと思いますが、そういうつもりで私もおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/416
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417・山本直也
○公述人(山本直也君) それでは、私の方から。
ただいまの高齢者の窓口負担のことでございますけれども、私たちの実感としましては、北海道という現実の中では、こういう高い収入を持っているお年寄りというのはかなり少ないという印象を持ってございます。これが私たちの実感です。
私の母は、例を申し上げまして、お金を払ってもいいだろうと思っております。収入のある方は当然そのくらいの責任取ってもよろしい、私個人としてはそのように思っております。しかし、一般的には大変少のうございます、そういう方々は。
それから、高齢者の場合は、一般的なイメージでございますが、有病率がやはりかなり高いというのがありまして、外来で掛かる数はやっぱり三倍から四倍というのがこれは通常でございます。まあ外来だけを取っただけの場合ですけれども。そうなりますと、同じ割合の負担をしていても、若い人よりはそれだけの、三倍、四倍のお金を払うということが、これが現実でございますから。入院で高額療養の枠というのはございますけれども、それでもその枠というのは大変な負担だろうというのが私たちの実感でございます。
もう一つ、例を挙げて本当に申し訳ありませんけれども、畑正憲さんという動物作家を御存じだと思います。私たち北海道の人間にとってはとてもすてきなすばらしい方でございました。北海道の自然に恵まれて、あこがれて参りまして、動物農場というものをお造りになり、子供たちに大変夢を与えていただきました。
高齢になられた段階で奥様が御病気になられまして、根室の近くの大変豊かな自然の中で皆さんとすばらしい仕事をなさってございましたけれども、奥様の病気ということで、医療資源の大変少ない中で、急遽、お友達の関係もありまして、周辺の都市ではございません、東京にお戻りになりました。奥様、日本でも一流だと言われる、赤坂にございます前田先生のところの病院にお世話になりましてお元気になられ、大変良かったと思いますが、先生は大変ショックを受けたと言われておりまして、その後、悩みながら栃木の方にお戻りになりまして、その農場をお造りになったと。苦しんだ記事を読んだことがございます。
お金のある方はそのくらいのお力があるんで、私たちはもうそれはそれでやむを得なかったんだろうなと思いますが、私たちのように、北海道で生まれて現実に長くいる人間にとったらそのようなことは不可能でございまして、現実にいる現場の人間を何とか大切に守っていきたいというのが私たちの切実な気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/417
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418・水落敏栄
○水落敏栄君 医師不足について、先ほど山本公述人からるる説明がございました。私も本当に大変だと思っております。
小児科につきましては、休日であろうと夜間であろうと診察が求められる大変な過重労働、それから産婦人科も、生まれてくる赤ちゃんはもう昼ばかりではございませんからこれまた大変な重労働で、そうした意味からもお医者さんになり手がいなくなってくると。私の出身は新潟でございますけれども、私の出身地の新潟県の阿賀病院では、常勤医の大量退職で診療科の一部を閉鎖したと、こうした事実もございます。
政府は、へき地や小児科、産科を始めとする医師の確保については、都道府県が中心となって大学病院など地域の医療関係者と話合いを行って医師の効果的な確保とか配置を図る仕組み、医学部の卒業生が地元に残るようにする方策、また小児科、産科の診療報酬上の評価を充実させる、こうしたことを考えておるようでありますけれども、しかし医師不足問題についてこれらの方策に即効性が期待することはできない、こう思っています。
先ほど、本当に北海道の深刻な医師不足のことについて山本公述人からお話ございましたけれども、山本公述人としてはそうした状況をどのようにこれから対応していかれるのか、また今後どうしたらいいのか、また政府に対してこうしたことをやったらいいかというふうな御要望があったら、残り時間があとちょっとしかございませんので、二分以内でおまとめいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/418
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419・山本直也
○公述人(山本直也君) 資料の四をちょっと説明させていただきたいと思います。
これは、周産期の母子の医療センターのモデル図でございますが、北海道も、やむを得ずといいますか、安全のために医療の効率化を図る制度として医療資源をこのような形で集中してございます。その次の五ページでございますが、小児の救急医療体制も、このような輪番制の地域とそれから拠点病院構想とを用いまして、何よりも効率というのはあくまでも制度の効率でありまして、患者さん方にとって効率がいいということではございません。あくまでも安全を優先するしかないというのが現状だろうと思います、北海道の場合は。ですから、大変な負担が患者さんや家族には掛かるだろうと思っております。
そのような中で、産婦人科の数の激変ということはもう目を覆うような状態でございます。これは二ページにあるとおりでございます。このようなもう過激といいますか、大変な状況の中で産科の先生が働いておられます。西島先生もお医者さんでございますから、いろんな細かいことをお分かり。
私の同級生の個人のお話をさせてもらいます。産婦人科の医者として、私の同級生三人産婦人科の医者になりましたけど、二人は心筋梗塞と急性期の病気で五十代に亡くなりました。年間百四、五十の出産をやっていた、地域の中で、やらざるを得ない状況に追い込まれ、これは個人の数字ですから何とも言えませんけど、そのような厳しい、私たちの仲間からとりましたら大変だったんだなという意識しかございません。そのようなのが北海道の現実でございます。
それから、御存じのように、医療の安全ということで、裁判の多発ということで若い先生方がもう婦人科の産科を拒否しているという状況は、これは、一つのことを解決すれば解決するような問題だとは決して思いません。多くの原因を排除しながら、直しながら、何とか小児科と産科の方に若い先生が夢を持っていけるような体制をつくっていくのが我々みんなの責任だろうと思っています。一つの答えでどうにかなるという問題ではございません。このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/419
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420・水落敏栄
○水落敏栄君 ありがとうございました。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/420
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421・円より子
○円より子君 民主党の円より子でございます。
今日は皆様ありがとうございます。
参議院では、これまでに対政府質疑を二十六時間やってまいりました。そして、参考人質疑も二回、そして今日、北海道にお邪魔いたしまして、皆様方に来ていただいて地方公聴会という形になったのでございますが、私ども、今回の医療制度改革は医療費を抑制することが主眼であって、こういうことをしていては、我が国の医療制度、もう壊れて、一度壊れてしまえばもう元には戻らないんじゃないか、そういう思いがしておりまして、反対の立場から審議を進めてきたんですが、今の自民党の水落さんからのお話でも、私どもと同じ、実は私も質問したかったことが出ておりますし、参考人の方々も、与野党からの推薦でいらしても、皆様大変問題だということを言っていらっしゃいます。
こうした大変問題のある、まだまだ審議を尽くして、それこそ修正をしなければいけないような法案が、残念ながら今週、国会が閉じられてしまいまして通ってしまうかもしれないというような状況にございまして、今日せっかく皆様方のお話を聞く機会でありながら、私は何ともむなしい気持ちで質問をさせていただくという立場にあるんですけれども、まず橋本公述人、堀毛公述人にお聞きしたいと思いますが、先ほどの質問にもありましたように、療養病床の削減問題です。
社会的入院は確かに重要な問題でございますけれども、これが社会的入所になるだけではないかとも言われておりますし、それから在宅については、先ほど片山さんからもお話がありましたように、私の周りでも、在宅で介護をするために仕事を辞めざるを得なくて食べていけないという人たちはもう十何年前から何人も、大勢、ケースがございます。
そうしたときに、往診ができる医者とか二十四時間の医療機関とか、そういう医療体制だけを整備しても在宅医療というのはできない。住宅問題もありますし、それから北海道のような広いところでは例えばドクターヘリのようなことも整備しなければいけませんし、何よりも経済が疲弊していては、それぞれの方が経済的にどんなに家族を介護したくてもできないという状況があるわけで、もう政府が、どの省ももうこぞってこのことをしっかりやらなければいけないというときに、先ほど山本さんからもソフトランディングが必要だと、六年の経過措置の間にどれだけのことをやれるかということがあるんですが、実際、橋本さん、堀毛さんにお伺いしたいんですが、閉鎖とかそういうものが起きてきたり、また待機で特養が入れないというようなときに、在宅やそういった人たち、難民が出ないようにするには本当にどんな具体的な施策があるのかどうか、できればお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/421
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422・橋本洋一
○公述人(橋本洋一君) 非常に難しい御質問なんですけれども、実際、今おっしゃられましたように、受皿の問題が非常に緊急課題としてクローズアップされてきまして、現在でも特養で入所一—三年というのは常識でありますし、特養ですね、老健も大体半年ぐらい掛かるというのが現状です。
確かに今、社会的入院というものが療養型病床群のある部分ではかなりの位置を占めているんだという御指摘も一部は正しいことだと思いますけれども、今までの日本の歴史をずっと見ていった中において、療養型病床群が他の先進諸国にない、そういうナーシングホーム的な役割の一端も担ってきたということなんですね。
そういう、ちょっとお答えに合致することばかりじゃなくて申し訳ないんですけれども、そういう経過があることを、やはり時間を掛けて少しその受皿づくりをきちんと整備していくことが必要だと思うんですけれども、現況で、現在そういうことがこれから起きてくるということに対して、私たちは、一つは、当院でやっていることは、訪問診療というんですか、それをかなり整備していって、実際に自宅にいらっしゃって、いつでも入院するというんですか、そういうようなことに対して、緊急避難的な状況を、ここまで行ったらこれはもう大変だというような方がかなりいらっしゃいますから、そういう方をそういうことで察知するという形にしています。
ただ、残念ながらまだパワー不足でございまして、それが完璧な状況になっていないことは事実でありますが、少なくとも、目の前に患者さんがいて、そういった方々が高齢であってもやっぱりそれなりの治療を、一般病棟での治療を必要とするような方々である場合、やはりそういう形で逐次モニタリングしていくということが必要だと思いまして、それを実施しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/422
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423・堀毛清史
○公述人(堀毛清史君) 堀毛でございます。
私は、今の御質問、在宅が出ないようにするにはどうしたらいいかということで、短期的な課題と長期的なものがあると思います。
最も短期的には今回の法案を廃案にしていただくことだというふうに思います。このことを抜きにして、通ったときにどうしようかという話ではなくて、是非とも今日の公述人の意見も受け止めていただいて、今日おいでの委員の方には国会での大活躍を私は是非期待したいというふうに思います。
中長期的には、基本的には人に金を掛けるというふうに私は考えております。先生方がそれぞれおっしゃっていますように、実は、在宅の受皿ということで受皿だけを増やして物事が解決するということでは決してございません。社会的入院と言われている医療の一の方も、先ほど申し上げましたように、いつでも急変することがあり得る医療と介護がともに必要な人だという認識が私は必要だと思います。行政上で医療と介護を区分して対応することは大事であっても、同じ患者さんを、この人は医療の方、この人は介護の方というふうに分けるのは、人間を臓器別に分けるのが不自然なのと同じように不自然なことだと私は思います。
したがって、そこの地域で暮らしていく、先ほど円理事がおっしゃった諸条件、経済的な、家のことも含めて、そして何よりも、医療機関や行政の皆さんや、それから介護福祉を担当する人方がネットワークをつくって、そこでそういう人方を支えていけるような社会づくりを長期的にはする、そのためには人にお金も掛けるし、そのことを尊重する社会をつくり上げることがどうしても必要だというふうに私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/423
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424・円より子
○円より子君 ありがとうございます。
細川公述人にお伺いします。
財源とか医療費の方からばかり見ていて、本当に人を見ていないというような法案がたくさん、医療の今回もそうなんですが、ありますが、地域で予防、未病ですね、未病って大変面白い言葉だと思うんですが、そういうことをやっていらっしゃると。医療でやはり、地域で見ていらっしゃる人というのがすごく大事だなというのがあるんですが、今の日本では医療費、人にちゃんと使われて、適正に使われているとお思いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/424
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425・細川曄子
○公述人(細川曄子君) 本当に私見ですけども、私は、介護保険がスタートするときに、もちろんケアマネの試験も受けて勉強もしたし、大変期待をしました。見ていると、すばらしい、見たこともないような立派なのがどんどん建ちまして、それを、私はドクターのネットワークがたくさんありますので、相談に来られたのは建設屋さんでして、実はこういうのをしたいと言うので、私は私の周辺のドクターとお話ししました。細川さん、それはやめた方がいいと。で、私も、制度の方向性を見る意味でそうだなと思いましたし、今も本当に介護予防の活動をやっていて初めて、何かもう一度炎が付くような思いをしておりますんですけど、本当に大きな流れの中で、国の大切な税金とか、最も効果良く、最終的に国民の幸せにこう流れてこう使われるのだというところが本当に大事ではないかなというふうに思います。
言葉は悪いですが、病院の院長の高級車になったり、それから、言葉は悪いですが。実際に私は検診車も、今胃がん検診車持っています、対応として。その前ももう一度。本当に何も持たないんですが、ネットワークと創意工夫と、苦しいからいろいろな方法を考えて、多くの人材の人と働き具合を相談することによって、今は道外の先生方とのネットワークも大変良くて、実際に検診のようなこともできています。その検診は、検診をやりたかったわけではなくて、その後の保健指導をするために、やはりメディカルデータが即自分のところにあって、説得力があって、効果が測定できてと、そういうことの実際にやるにはどうしたらいいかということで作り出したことですが、決してビルを建てなくてもできております。十何年やっております。もう管内では年間三千人ほどの健康管理をしております。本当に事業所は、もう二十人とか三十人の事業所に検診車が行きますので、本当に皆さんが心配してくれて、社長さんたちも心配してくれて、もうかってんのとか言いながら、これは大変だということで慌てて機材の持ち運びから、いろんな御紹介をしてくださったりします。
そういうふうに、お金に頼ったり、受け手のところが、薬代に、の大きな巨大な製薬会社に流れたりというような、どこかに何かひずみがあるのではないかと。このことは断固、本当に政治と政策の理念で修正していかなければ、文明の進歩に合ったような幸せ感が実感として出てこないのではないかと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/425
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426・円より子
○円より子君 山本公述人と橋本公述人にお伺いしたいと思います。
医療というのは国民の財産でございますけれども、これがすべての国民が効率的に平等に分け合える改革と今回の法案がなっているのか。そういう意味で医療費適正化というものが、適正化なんて何となく美しい名前に聞こえますけれども、この下に医療費の削減や抑制を図るだけで医療現場が更に苦しめられるのではないか。今回のこの医療費適正化が北海道の医療にどのような影響を与えるか、お話ししていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/426
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427・山本直也
○公述人(山本直也君) 私も、大変つらい、北海道の人たちは今大変な状況だろうなという。実は、昨年の予算の決算が税収不足で二十億近い赤字になるということが分かりました。北海道の予算は二兆八千億ほどこの数年ございますけれども、赤字団体に落ちる寸前であると、これが現実でございます。私の兄弟も実は役人でございましたので、その悩みはよく分かります。
産業は福祉の糧であるという有名な言葉がございます。北海道の今の産業の状況は先ほどの釧路のお話にあったとおりでございまして、社会そのものの構造が変化している中で、お年寄りに大変な負担を、悲しみを与えていっているんだろうということは誠につらいことでございますけれども、私たちの世代も含めて次の世代のことを考えましたときに、本当につらいことを耐えながら物をやっていかなければならない。
このたびは、政府の方から、私たちが願った案とは少しは違いますけれども、最悪の形でなくて、よく頑張ってくれたなと思えるような仕組みで僕は案が出てきたのではないか。これは苦しんで手術を受けるしかないんでないかなと。医者というものは一〇〇%求めることはいつもいたしません。常に不完全な形でしか患者さんに接することができません。それが現実でございますので、次の世代のためにも私たちはやはり大変なつらさを今耐えていかなければならないんだ、お年寄りとともに逃げるわけにはいかないんだろうと思う。これが私の今の切実な気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/427
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428・橋本洋一
○公述人(橋本洋一君) 非常に今、七十五歳以上の後期高齢者というんですか、今までは六十五歳以上を高齢者と言っていたのが、七十五歳は前から後期高齢者でしたけれども、そのうちに七十五歳以上だけが高齢者になるんじゃないかなというふうな危惧を抱くぐらい、お年寄りといいますか、確かに先進諸国どこも、その中で日本が特に高齢化率が非常に加速している状況にはありますが、高齢化ということに基づいてエージングに伴う医療的な疾患の合併率が非常に高くなると。この医療区分二に書いてありますパーキンソン病関連疾患なんかもその代表でありますし、ここに書いていませんけれども、アルツハイマー病とかアルツハイマー型痴呆とか、そういった高齢化とともに増していく疾患が非常に多うございますね。だから、高齢者という年齢、そういった方々が社会で今活躍できないという状況があるからという、ちょっと私自身の独断と偏見もあるかもしれませんけれども、そういった方に対する費用というのはできるだけ抑えようという試みが片っ方でされていることは事実だと思うんですけれども、しかしそれと反対に、いわゆる合併率の高さという面ではやはり高齢になればなるほどそうだという、そういうデータは客観的にはいろいろな発表をされています。それを薬物治療に偏った治療だけでやれるとは私は思っていませんし、リハビリテーションがすべてをかなえるとも思っていませんが、そういったものを複合的に活用して、やはりそういった方々のQOLを高めるということが現在の医療に課せられた課題だと思うんですけれども。
今回のこの医療区分の分類は、アメリカのRUG3分類に準じたものとはいえ、非常に、さっきも申し上げましたけれども、本当にこれをモデル病院として、国の方でそういうことで適正なこの金額できちんと運営していけるモデルを見せていただきたいと。私は、正直言いまして、これはきちんとしたことは絶対できないと思っています。
だから、その対症療法として、先ほどちょっとお示ししましたけれども、この七ページですけれども、厚生労働省の。神経難病等に含まれるものの中において、今度、仮性球麻痺とかそういったものをそこに加えて暫定的な措置を二年間とりましたが、この仮性球麻痺というのは多発性脳梗塞とか何かに多い、特に出る。もちろんそれ以外に、ちょっと専門的な話になって恐縮ですけれども、錐体路というものの上の障害ですね、その神経核の上の障害が両方に現れた場合において出てくる疾患ですけれども、そういう重症なものを今回は暫定的に医療区分三に加えるということでしたけれども、これは是非、何回も申し上げますけれども、暫定的にするんじゃなくて、これからもずっとこれを維持していただきたいと思いますし、実際にそういった方は嚥下障害とか構音障害、言葉が出ないとか、特に嚥下障害というのは命にかかわりますから、栄養摂取の面で。そういった方々はやむを得ず、いろいろ議論はあるでしょうけれども、胃瘻造設なんかするんですけれども、そういった方のある部分で肺炎とか何かで亡くなる方が非常に多いというのも事実なんです。
だから、今までこの社会の中において一生懸命頑張ってこられた高齢者の方にとって無慈悲にならないような、やはりそれぞれの障害とか、いろいろ持った方が一般の我々の社会の中において生きていくという感じの中で在宅を進めていくことについては私も賛成ですし、今行っています回復期リハビリテーション病棟の結果として、日本全国で毎年、今までのデータで七万数千人が自宅に帰られているという、そういう実際の実態もあるんですね。
だから、私は、療養型病床群自身が一番最後の住みかと考えるべきかどうかということについてはちょっと疑問ですけれども、でも現実的にそういう部分もやっぱりあることは事実です。それを完全にもうそうなんだと決め付けることはやっぱりしないで、やっぱりそれをできるだけ自宅復帰にしていきたいというか、私たちが自分が住みたいところはどこなのかということを自分で自問自答しながらそれが実現していくような社会をやっぱりつくっていくべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/428
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429・円より子
○円より子君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/429
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430・渡辺孝男
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。
今日は公述人の皆様に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
まず最初に、北公述人の方にお伺いをしたいんですが、やはり病気になってから、重症化してから医療を行うと高額な医療になってしまうということで、やっぱり保健ですね、健康を保つ方の保健に力を入れていく、治療から予防の方に力を入れていくということで、北公述人の方でも大変努力をされているということでありまして、何か子供さんの方からの健康対策というものもされているということでございますので、この点ちょっとお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/430
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431・北良治
○公述人(北良治君) 今、渡辺先生のお話でございますが、私どもの町はやはり今お話があったように予防と。そして、そのためには何といっても、名前でも生活習慣病になっておりますから、その予防対策として、やはり子供のときからその生活を変えていく努力、そのためには実態を把握しようということで、小学生、中学生、高校生も含めてでございますけれども、児童に対して、子供たちに対して健診をやっております。健康診断をです。そのデータを見ますると、非常に肥満が多いだとか、あるいは場合によっては貧血が多いだとか、あるいは疾病内容のものを含んでいるだとか、こういった人たちが意外に多かったと。
ということは、やはり今、朝食をきちっと食べて、さらにはまた生活をきちっとするということがなかなかなくなってきた。したがって、そのデータを皆さん、家庭のお母さん方に示します。お母さんたちは、だんなさんがちょっと具合悪くなっても余り関心ないんですが、子供たちがやはり異常であるということになりますと大変な関心を示しまして、それが保健運動につながっていっている。
そして、それがいわゆる子供たちから家庭へ、家庭からまた地域社会全般に、奈井江町の場合は保健運動、そして予防運動ということで大きく広まっている事実がある。大変効果が、予防運動に効果があるのではないかと思います。そのゆえをもって奈井江町は高齢者医療も若干ずつ下がってきておりますし、言えば健康で、健康寿命長くて幸せにしていくということが子供のときからいわゆるその習慣を付けていくという展開をしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/431
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432・渡辺孝男
○渡辺孝男君 今回の医療法あるいは様々な医療保険制度の改革ではそういう予防を重視していくということでありますので、そういう地道な努力が本当に大切なのかなというふうに思っているわけでございます。
もう一つは、やはり医師不足というお話も今ございました。地域で医師の偏在といいますか、診療科におきましても数においてもなかなか不足を解消できないということでありますけれども、北公述人の方では、地域の広域の市町村で連携をしながら、病院の方も共同の病床を持っておられて、開業医、かかりつけの医師がそこを利用しながらやっているということでございますけれども、これは非常に多くの地域でも参考になるのではないかなと思いますが、これの効果等につきましてお話をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/432
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433・北良治
○公述人(北良治君) 今、渡辺先生からお話ありましたように、先ほどもお話し申し上げましたけれども、病診連携をやらせていただいております。これは、いわゆる民間医の皆さん方が私どもをリードしていただきまして、指導していただきまして、奈井江町の町立国保病院で、開放型病院という共同型病院ということで、民間の先生方が、患者さんが入院が必要になると奈井江町立国保病院に入院していただく。そして、併せて診療、検査等も全部、町立国保病院の医療機器を全部使っていただいて、そして医療の継続性、それから町立国保病院と共同でカルテを持ち合わせながら一人の患者に対してきちっと対策を練る。そして、私どもはプライマリーケアを中心としておりますから、専門的になりますと専門医のところに行かなけりゃいけません。そこも先ほど申し上げましたように病病連携で、これまた隣の病院と連携し合いながら、患者に安心、安全のネットワークをつくっていっております。
それが効果として地域住民の安心、安全をつくっていると同時に、先ほどもちょっと申し上げましたが、あの地域としては老人医療費も下げてきているということが結果として出ておりますし、予防活動、疾病予防とも、お医者さん自体が、ただ治療をするのでなく、いかに予防をしていくか、そして病気になる前に健康運動を何をしなけりゃいけないかという、お医者さん自身がそれを考えていただいておるというシステムづくりをしております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/433
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434・渡辺孝男
○渡辺孝男君 高齢化率、お話を聞きますと三〇%ぐらいになっているということでありまして、今、そういう国会の方で議論をされているのは、二〇二五年のときに、どう、高齢者の医療費が上がった場合にそれを適正化するかということでありますけれども、二〇二五年の段階では大体三〇%ぐらい高齢化率になるのではないかと、まあ全国ですけれども。それの、現在三〇%でありまして、しかも、そういう病病連携あるいは病診連携、そしてまたそういう予防対策、そういう健康を保つ方の保健対策をしっかりやっていると、医療費も下がってきているというようなデータがあるということで大変参考にさせていただいたわけでございます。
それで、山本公述人からちょっとお伺いをしたいんですが、そのように病病連携あるいは病診連携で地域の皆さんに良質な医療を、サービスを提供していくということは非常に大事なんですが、しかしまた北海道のことを考えますと、地域の医師不足というのは本当に大変深刻だということであります。
様々な形で医師が地域医療に参加してもらうことが大切なんですが、先ほどのお話ですと、道内の三つの医育機関が協力をしていただいて、そういう地域医療にも貢献をしていただくということでありますけれども、なかなか地域、北海道内でそういう医師を十分に確保するというのは難しいと思うんですが、道外からもそういう地域医療に従事するという方をどう確保していくのか、その点は何かいろいろ協議がなされているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/434
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435・山本直也
○公述人(山本直也君) 私の資料の、一番最後の資料、九枚目の資料でございます。平成十六年度と十七年度の医学部を卒業した研修医の二年間の状況でございます。一番左の数字が研修医の数でございます。それから、大きな病院のことは四角い枠に書いてございますけれども。
では、一番分かりやすい場所で一番下の方を見てください。日高の方でございます、日高地方でございます。上の列が十六年、下の列が十七年ということになります。一番左が研修医の数、ゼロでございまして、施設数、実際にやっているのが二番目でゼロでございます。私のところはやりますよと言って手を挙げているところがこれは一つございます。そういうふうにこれは表してございます。北海道全体で見ますと、大変中央に出ていく研修生が多うございまして、研修制度のなかったときに比べますと本当に少ない状態になっているというのがこの数字でございます。
例えば、旭川医大というのを見てください。右側の上に書いてございます。一年目が六十四人の枠があったんでございますけど三十八人しか応募がなかったと。翌月は二十五名でございます。今、旭川医大の私の友達の教授たちは悲鳴を上げているというのが現状でございます、どうするんだと。この研修医制度の形というものがどれだけ大きな影響を今残しているかと。良かれと思ってやったことでございますけれども、弱いところに大きな影響を与えているということだろうと思います。北大も札幌医大もそれほどいい数字ではございません。北海道全体がこのような数字でございます。
この中で私たちが考えていかなければならないことは、予防は今言ったように本当に大切でございますから、そういうことをやっていかなければなりませんが、現実問題としては、大学の医局という今まで医師の供給を何とか支えてきた制度がもう崩壊寸前にあるということでございます。
室蘭にある大手の四百床近い病院の産婦人科が医者がいなくなって大学引き上げたと、医局が成り立たないから引き上げるという話でございます。そういうことが現実に今起こっておりまして、まあ本当にどうしようかということで目の前が真っ暗な状態だというのが実情と。
ただ、北海道というのは、努力、地域のために、定年で、就職なさってお辞めになった方を熟年ドクターバンクということで選んで積極的に送るようなシステムと、女性のお医者さんが増えておりますので、これをいかに活用するかということで、保育その他含めて、女性の休眠状態の先生方をできるだけ社会的に活用すると、女性ドクターバンクというのも今動いてございます。
そのような中で何とか、産科、小児科の減少する大きな流れの中で、北海道のこの困難な状況の中で、我々今努力していることでございますけれども、何せ制度の効率化を図りながら、安全第一に何とか図っていきたい。そして、医師の応募を、どのような魅力のある研修制度を設けながら全国から多く引き受けるような、そういう努力もしてございます。しかし、本当に大変な状況だというのがこんな数字で表れております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/435
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436・渡辺孝男
○渡辺孝男君 北海道、大変広い地域をカバーしているわけでありまして、先ほどもお話がございました救急の患者等、地域に専門医がいないときにはやはり専門の病院に運ばなければいけない、そこで治療を受けなければいけないということでありますけれども、北海道ではドクターヘリという事業が一事業行われておりますが、これが非常に、そういう医師の偏在の解消にも多少ともお役に立つんではないかと私どもは考えて、公明党は推進をしているわけですが、北海道の広い地域を考えますと、今後どの程度そういう救急等でドクターヘリのニーズがあるのか、もしお考えがございましたらば教えていただければと思います。山本公述人です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/436
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437・山下英利
○団長(山下英利君) 山本公述人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/437
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438・山本直也
○公述人(山本直也君) 四番目の資料、ごらんになっていただきたいと思います。
今、私、この地図を見まして、札幌を中心にしてグリーンの線が走ってございます。患者の搬送の方向を示しておると同時に、これは患者の年間の数を太さで示してございます。ちょっと大分前に作った記録で、これ、ちょっと記憶に十分ないんですけれども、釧路からこの細い線で行っているのが十名単位だったと思いますので、この太いところはかなりの数なんですね。こういうふうな形でドクターヘリが動いてございます。これが北海道の今の、機能の集中している札幌を中心にして動いている現状でございます。
このようなものが、これだけでなく、整備された高速道路を使いながら救急患者を運べると。冬六か月間、私たちの土地は雪で埋まりますので、何としてでも安全に患者さんを図ると。大変不便でございますけど、効率というのは制度のための効率で、患者さんにとってはもう効率どころではございませんで苦しみですけれども、安全を優先してと、何とかこのように医療の資源を集中してやっていきたいという、是非ともドクターヘリを始めとしました社会的な基盤を応援していただきたいというのが私たちの希望でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/438
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439・渡辺孝男
○渡辺孝男君 先ほど、未病の対策というものも健康を保つために大事であるということで、今、公明党の方も未病を含めた統合医療ということで推進をしているわけですが、健康保険の中での健康を保つ事業、保健事業を推進をしていくと同時に、また、自助努力でそういうヘルスプロモーションをしていくということは大変重要だと思うんですが、時間がありませんけれども、北海道でのどのような展開をされているのか、少し短い時間ですけれども、お話をいただければと思います。細川公述人の方ですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/439
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440・山下英利
○団長(山下英利君) 細川公述人、簡単にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/440
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441・細川曄子
○公述人(細川曄子君) 今のは、本当に道内の、具体的に言いますと、例えば信金健保組合というのがあります。ですから、函館信金から稚内信金まで、皆さんの健康診断後のデータをパソコンの中に入れまして、それを持って、実際に、データとか文書は行くけれども、やはり人をその日から、今日から変わろうというようなことは、やはりフェイス・ツー・フェイスでなければ説得力がありませんので、今年はこれに絞ろう、五年間で体重十キロ以上増えたのに絞ろうとかですね、協議をしまして、本当に五年間で十七万キロ走っていますので、私の車も。本当に広いです。
ただ、十分にそれに対して費用が出るんであれば私も多くの人をネットワークでつなぐことができるんですが、何分にも命懸けでまだ走って、そうかというようなことですので、これはなかなか、企業としてどんどん自力で増やしていくということにはちょっとなっておりません。
ただ、道外からいらっしゃる企業の方たちは、例えば政府系の金融機関ですとか、それはもうほとんど、あるところは全部一手に引き受けていますので、大体具体的にこういう働き盛りの人と面談で指導するというのは、年間五百人くらいはいろんなところからやってます。
そのほかに、あと、健康づくりの講演とか、明日も実は帯広の中で道内の精糖会社の、東京からの健保組合の依頼を受けまして、確かにそのメタボリックシンドロームのことについて、エクササイズを含めてそういう時間を持ったりします。そういうことは、やはりやってみせることによって意識が変わっていって広まっていくという、もう本当にそれしかないと思います。
管内のものについては、本当に健康診断、たった一回の労働時間ですので、本当にそのときに、教育のチャンスとして本当に、お酒を飲み過ぎちゃいけないとか交通事故を起こしちゃいけないというような話から含めて、事前に何時間かを事業主が時間を取ってくれると。貴重な労働時間でも、みんな講堂に集まって話を聞こうというようなことを実際にしていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/441
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442・渡辺孝男
○渡辺孝男君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/442
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443・小池晃
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
国会の中では、法案の枠組みについて言わば議論をしているんですが、実際に施行されるのは現場であり、医療現場ということでいえば、本当に今日のお話でリアルな実態をお聞きすることができたというふうに思っております。
堀毛公述人にまず最初にお伺いしたいんですが、やはり北海道の場合、医師不足の問題が非常に深刻だということが先ほどからも話に出ております。この問題について、その原因とかあるいは解決方法について御意見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/443
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444・堀毛清史
○公述人(堀毛清史君) 堀毛でございます。
北海道の医師不足は本当に深刻だというふうに思っておりまして、この二年間で医師派遣を打ち切られた自治体病院が全体の四分の一に上るというふうに言われております。内科が一番多いんですけれども、産婦人科と小児科が多くって、北海道には無医地区と呼ばれるところが一杯あるわけですけれども、無産科医地区、無小児科医地区が増えてくると。ですから、私は、地産地消といいますけど、無産無小なんですよね、こういうところは。こういう地域が次々と生まれて、安心して子供を産めない地域が広がっているというのが実態です。あるいは、そこの地域にたった一つしかない医療機関や、それから先ほどのようなたった一つしかない療養病棟が崩れていくというのが大きな特徴になっているわけです。
私は、この医師不足についてどうしても一言申し上げたいのが臨床研修制度についてです。この間実施されましたこの制度については、当初、多くの問題を抱えながらも、私は基本的には大きな前進面が主たる評価だというふうに考えています。この新しい研修制度の下でそれぞれの医師が、本当に総合的な力量のある医療、患者さんに対して誠実に向き合う医師がたくさん生まれてきているということを強く実感しております。
しかし、その一方で、この制度が一つのきっかけになって大学からの派遣が引き揚げられた。これは、大学の先生が何か楽をしようだとかそういう思いでやったことではなくて、大学そのものが今大変な状況になっております。旭川医大では実際に大学に残られる先生方が三十を切るというような事態になっていまして、大学の基本的な診療や研究そのものが本当に崩壊の危機にさらされているというようなことがございます。
私は、今回の医師不足については、確かに科における偏在、地域における偏在もあるには違いないんですけれども、そもそも日本においての絶対的な医師不足が根底にあるという見方をしております。ここをどう見るかがやはり一番大きいと考えています。その元々の絶対的医師不足のところへ、研修の先生方を基本的には直接的な医師労働から外すという研修の位置付けをすれば、日本全体の一〇%の医師が減った勘定になるわけなんですよね。ですから、直接的にはそれが問題のように見えているということかというふうに考えています。
私は、この医師不足問題については、長期的に見たときには間違いなく、日本の政策として医師を充実強化するという方針を取らない限りは、そのほかのどんな方針を取っても、根底が絶対的医師不足にあるということを乗り越えることはできないのではないかというふうに考えます。
したがって、そこのところが一番の強調点ですが、それと同時に、そうなるまで私たちは手をこまねいているわけにはいきませんので、私は、先ほど山本先生が具体的な提案を幾つかされました。本当に私も賛成です。それと同時に、大学、医育機関とそれから民間の研修病院、これが今一緒になってニポポの会というものをつくりまして、北海道全体の研修医養成に責任を持とうという大変意気高い取組が行われております。これと、地域の自治体病院や医師会の先生方、こういった力を結集して道内全体の研修のレベルを上げると同時に、場合によっては、そこで医師の派遣も含めた検討をできるようなネットワークづくりが必要なんではないかというふうに考えます。
そうしなければ、やはりいろんな条件の下で、単純に現在いる医師の中で個人の責任だけに任していては、その医師の研修やそれから医師の生活そのものがいろんな困難にぶつかるわけです。ここには、公的な責任と私たち医療機関に従事している者が一緒になってそれをつくり出す力、それが必要だというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/444
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445・小池晃
○小池晃君 ありがとうございました。
加えて、この法案の問題点、療養病床のことを公述人は中心にお話しされたんですが、何といっても負担増ということが当面の問題としてもあるわけですが、これについての地域の皆さんの声、患者さん方の声、ありましたら御紹介ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/445
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446・堀毛清史
○公述人(堀毛清史君) 実際に私のところへ見えている患者さんでは、圧倒的に多いのが薬の間引きでございます。薬を毎日飲まなければいけないのを、二日、三日に一回にする。それから、話題になっておりますジェネリック製品を是非とも導入してほしい。これには極力私どももこたえるようにしておりますが、そういうことがあります。しかし、それと同時に、食べるものを食べないで何とかしのいでいるというお年寄りがたくさんあるのも事実です。
この間、私どもは、今回の負担増に関してアンケート調査、それから新聞にはがきを折り込んでの御意見をいただきました。約六千通の返信がありましたので、その中の声を紹介したいと思います。
私は目が見えないのでみんなに世話になっているものですから、何があろうと病院には行きたくない、家で死んだ方がいい、どうしてお国は意地悪ばかりするのですか。別の方、まじめに働いて税金を納めて、老後は安らかに暮らしたいと思っていたが、あらしが吹き荒れようとしています。私の一生は何だったのかと自問自答の毎日です。さらには、九十歳の父は入院中です。何とか医療費は支払っているけれど、いつまでもつか分かりません。病院に行くたびに早く死ねばよかったと言う父。一体いつから年寄りにこんなことを言わせる世の中になったのか。戦後頑張ってきた両親に豊かな老後を送らせてあげたい。
こういった声がたくさん寄せられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/446
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447・小池晃
○小池晃君 ありがとうございました。
続いて、山本公述人にお伺いしたいんですが、療養病床の問題で、この七月からもう診療報酬の大幅な改定があります。これが急性期病院も含めて地域の医療に大きな影響を与えるのではないかという点については公述人はどんな御意見をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/447
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448・山本直也
○公述人(山本直也君) もう一度、急性期病床との……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/448
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449・小池晃
○小池晃君 いや、療養病床の削減の大方針が出て、七月にはもうすぐにこの診療報酬の医療区分の問題が持ち込まれて、かなり病院の経営自体も深刻になるし、あるいは追い出しという事態も想定し得ると思うんですが、これが北海道の医療全体に、急性期の医療も含めてどんな影響を与えるというふうにお考えかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/449
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450・山本直也
○公述人(山本直也君) 先ほどから申していますとおり、やはり地域に圧倒的な差の違いが出てくるというのが現状でございます。
医療資源の弱い地域は、慢性期の病床が急性期病院と何の差もない形で働いているというのが現状だろうと思うんです。必要な病床と、基準病床そのものなんだろうと思います。それが同じような形で、条件の悪いという、経済的な条件が悪いというだけで同じ比率で減っていった場合に大きな打撃を恐らく、このような不利な資源の状況にあるところは圧倒的な影響を受けるだろうと、それを大変心配しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/450
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451・小池晃
○小池晃君 続いて、橋本公述人に療養病床のことをお伺いしたいんですが、七月からすぐに診療報酬の問題が始まる、一方で参酌標準はそのままにしておくと。これ見直すのかということを国会で問われて、厚労省の方はこれは変えられないと言うんですね。言わば、出ていけということだけあって、受皿としては当面転換できないと。こういう実態をどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/451
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452・橋本洋一
○公述人(橋本洋一君) ちょっと先ほどは時間がなくてお話し申し上げなかったんですけれども、今おっしゃったように、参酌標準によって平成二十年まで三年間、結局、何といいますか、そういう規定の数自身が撤廃されない限り、いわゆる療養病床の方からは、医療区分の一の人とか何かというのは、片っ方でもう病院には入院する必要ないんだと言わんばかりの点数を付けられて、実際そのことで医療機関から、そちらから強制退院という言葉はいいかどうか分かりませんけど、そういう状況になりつつある中で、受皿の方は全然変わっていないわけですね。
だから、これは早速、まず受皿づくりを緊急避難的というか、まずこの参酌標準をすぐ撤廃していただかなかったら、もうおっしゃるとおりどうしようもないと思いますね。だから、受皿自身をつくりますよといっていてもそれが全然動いていない。しかし実際に、その大本の言わば社会的入院だと言われている医療区分の人たち自身に対するこういう点数が実際にもう七月一日から実行されようとしていますから、これはもう早急にそういうことについて手当てしていただかない限り、正に療養難民は目の前にもうあふれ出てくるだろうということは必至だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/452
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453・小池晃
○小池晃君 ありがとうございました。
北公述人にお伺いしたいんですが、低所得者対策の重要性を強調されておりました。私の方も、この間、医療、介護、年金、それぞれそれなりの低所得者対策あったかもしれないけれども、こう立て続けにやられると、全体としてどういう影響が出るのかということをまともに検討しているんだろうかというのは非常に疑問に思うんですが、そういうトータルとして、この間、連続して毎年のようにやられている社会保障の制度改定による、特に低所得者への影響をどんなふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/453
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454・北良治
○公述人(北良治君) 今、小池先生がおっしゃったことなんですが、医療、介護、年金含めて全般的に大きく変化してきておる。しかも、特に介護についても、介護保険等の負担も増えたこともこれまた事実でございますけれども、そしてまた今回、医療の問題ありますけれども。
ただ、私ども考えるに、確かに低所得者、私のところも、非常に地方は多いものですから、先ほど申し上げましたように、この対策をきちっとしていただくということが大前提だと、こういうふうに思っております。その中では、この法案そのものの中では、現在のところですよ、低所得者対策といいますか、医療制度改革等についても従来の形をある程度取ってきているんでないかと、こういうふうに考えています。
それから、そういう意味では先生のおっしゃった、いわゆる全般に、トータル的にどんな影響があるか。確かに地方は大変になる、ますます大変になってきておりますけれども、この辺についても、やはりきちっとした受皿づくりといいますか、低所得者対策に対してなお一層継続してこれいっていただきたい、こういう願いを込めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/454
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455・小池晃
○小池晃君 最後に、堀毛公述人、国会審議についておっしゃりたいことを是非、一言でもいいですから、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/455
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456・堀毛清史
○公述人(堀毛清史君) 先ほどから低所得者層の人の問題がありますが、決して一部の限られた人ではなくて、本当に大勢の方があえいでいるというふうに私は感じています。
私が実際に診ていた人の中でも、医療費が掛かって払えないこともあって、暖房を止めて釧路川で流木を拾って暖を取っていた方ですとか、これは報告を聞いたんですが、同じような理由で、食費を切り出せなくて草を食べて飢えをしのいでいた人だとかがこの間、報告をされております。
私は、医師になるに当たって、日本国憲法二十五条になぜ最低限という言葉が入っているのかということが非常に疑問でした。どうして最高の医療を目指さないのかというふうに思ったことがありました。勉強して、社会権であるから最低限という言葉を入れて、これより下の、人間としての尊厳を切るような生活あるいは人のありようは絶対にないように国が責任を持つんだという意味だというふうに勉強いたしました。こうした方が本当にこの最低限を切っていないのか、それから、医療の面での憲法二十五条を支える国民皆保険制度が根本から崩れようとしているのではないかということを多くの医療従事者と一緒に非常な危惧を持って見ております。
私は、今回の中身がそういった問題でもあるというふうに考えておりますので、是非とも、日本の医療をどうするのか、憲法二十五条に保障されている基本的人権を守るためにどうするのかということをうんと時間を掛けてしっかりと議論をしていただきたい、このことを強く願っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/456
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457・小池晃
○小池晃君 ありがとうございました。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/457
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458・福島みずほ
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
今日は、公述の皆さん、本当にありがとうございます。現場の様々な問題点を具体的にあるいは包括的に分かりやすく話をしてくだすって、大変本当にありがとうございます。
本日は、療養病床の削減に伴う問題点について、橋本公述人、山本公述人、堀毛公述人、皆さん話をしてくだすったというふうに思っております。
そこで、片山公述人にもお聞きをいたします。
病院が、療養病床が九十床ということで基幹病院ということです。また、ケースの中で長期的な在宅介護は困難という人の紹介もしてあります。療養病床の削減の問題についての御意見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/458
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459・片山憲
○公述人(片山憲君) 療養型病棟の削減に関してですが、今まで議論を聞かせていただく中で医療と介護の明確な区分が必要であるという御意見があったかと思うんですが、医療と介護を明確に区分するというのは具体的にどういったことなのかなというふうに思うんですよね。
日々実践をしている中で、介護保険のサービスを利用されている方は在宅にもたくさんいらっしゃいますし、僕もケースを持っていますが、介護保険で服薬の給付ができるわけでは、お薬を給付することができるわけではないので、必ずそれはお薬を飲んでいれば医療保険の給付を受けているわけですから、利用している人からすると、医療保険と介護保険の給付を受けている、併用しているというふうに思いますし、似たような問題として、例えば今回のケース挙げましたけれども、考察というか意見の中で、医療依存度の高い人に関しては介護保険のサービスが制限されているというのは、具体的には、例えば経管栄養の患者さんに関してショートステイを利用するということでいくと、利用する人数はかなり限られてきていると思うんですね、管理上の問題。
ですから、療養型病棟、特に医療保険での療養型病棟を削減していくということになると、こういった人たちがどこで医療の処置を受けて、どういった生活をして、また、先ほども紹介しましたように、老老介護なわけですから、経管栄養もして認知症もあってということでいくと、七十数歳の彼女には非常に過酷であると、そういった問題を家族にゆだねるのは。
また、あとは、介護保険の医療処置に関しては余りきちんと議論されていない中での介護という言葉でくくるには余りにもやっぱり僕は危険だというふうに思いますので、そういった意味での療養型病棟の利用、あと長期的にはやはり医療費の問題、取りざたされていますので、なるべくは短期的に、そういった問題を短期的に回避していきながら在宅と病院、医療と介護保険というものをうまく併用していくことが大事だというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/459
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460・福島みずほ
○福島みずほ君 ありがとうございます。
在宅療養は家族がいないとできませんけれども、これから少子化だったり、子供がいない人だったり、遠くに子供がいたり、十分在宅療養ができない中で、今日皆さんが指摘されたように、高齢者が行き場がなくなってしまうということが大変よく分かりました。
ところで、せっかく北海道に来ましたので、格差の拡大の中で地域の格差が拡大をしていると、北海道の中で病院が閉鎖されるというNHKの番組なども見たりをしております。
それで、堀毛公述人にお聞きをいたします。
ちょっとばくっとした話で申し訳ありませんが、民営化できるものは民営化、あるいは格差拡大、地域の中から病院がどんどんなくなっていっている、北海道新聞の中でも、先ほどの話でも病院の閉鎖の話がありましたけれども、全体的にそういう問題について一言教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/460
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461・堀毛清史
○公述人(堀毛清史君) 北海道全域をすべて私、調べたわけではございませんが、先ほどお出ししたような釧路の実情というのは、恐らく札幌市を除いたほとんどの地域、市町村に当てはまるのではないかというふうに見ています。それがもっと激烈な形で出ているところもたくさんあるということです。
じゃ、札幌はどうかといいますと、内容的には確かにほかの市町村に比べてまだたくさんの医療施設や介護施設があるのは事実ですが、それを、じゃ支える地域力、私が言う意味の地域力は先ほど申し上げたような全般的なものを含んでいるわけですが、それがないという点でも、それから経済的な困難を抱えておられる方が札幌にもたくさんあって、そういう意味では、私は北海道全体で見たときには地域格差が低い方で統一されているという状況でないかというふうに思っています。
そういった中で民営化、これは民営化された病院も本当にいろんな御苦労をされながら頑張っておられるところがありますけれども、医療の場合にはやはりその最低限の困っている方を助けなければいけないというところがございますので、その民営化された病院や医療機関が生き残るためにそういう人方をどうやって支えていくのかというのが大変きっと御苦労されている中身だろうというふうに思うんですよね。ですから、そこについては私は公的な援助がはっきりなければ、一般的に民営化だけで物事がうまくいくというふうには全く考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/461
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462・福島みずほ
○福島みずほ君 山本公述人にお聞きをいたします。
北海道医師会の意見書を拝見して、そのとおりだというふうに思ったんですが、特にお聞きしたいのは、入院時の食費、居住費の負担という問題と、それから保険免責の創設の問題についての御意見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/462
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463・山本直也
○公述人(山本直也君) 一題目の質問、入院、何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/463
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464・福島みずほ
○福島みずほ君 済みません、入院時の食費、居住費の負担の問題について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/464
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465・山本直也
○公述人(山本直也君) ああそうですか、はい、分かりました。これが一点目ですね。二点目は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/465
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466・福島みずほ
○福島みずほ君 保険免責ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/466
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467・山本直也
○公述人(山本直也君) 保険免責ですね。はい、分かりました。どうも失礼しました。
この入院時のいわゆる食事とホテルコストの問題でございますけれども、大変難しい悩みを抱えた問題だと思っています。現場にいる者にとっては大変大きな問題でございまして、このようなことが起きるとは思ってもいませんでしたので、大変ショックを受けております。
しかし、我々はこの目の前に起きるこの現実を、より悪い条件にある人たちのことを考えたときに、これ負担できる人に負担してもらうしかないのかなという気持ちを一方で持ちます。それよりも悲惨な状況の方がいるわけでございまして、そのときにそう考えざるを得ないと。私は、実は北海道の経済状態の悪さというのはもういろんな条件でもう身にしみるほど知ってございます、立場上分かってございます。
これが直接のお答えになるか分かりませんけれども、夕張市というところは実は私の大切な妹が一度いたところなんですが、それはもう有名な産炭地の立派な市でございましたけれども、産業の構造の喪失の中で二百億の負債を抱えて、もう病院の維持、市立病院の維持はもうほとんど不可能だろうという状態になってきております。そのようなもうあらゆる要素の中での負担の問題として、私としてはとらえざるを得ないとして、払えない人がいるんだろうと思いますが、払える人には払ってもらうというのが残された道なのかなというのが、私は生身の医者でございますから、目の前の問題をそのような形で、本当の解決になるのかどうか分かりません、しかし、目の前にいる人間を相手にして一つ一つをそのようにして判断しております。そのくらいつらい状態にございます。これが一つ目のお答えです。
保険免責制は、もうこれ以上こんなことをやったら日本の医療保険制度は崩壊します。絶対反対でございます。そのことは申します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/467
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468・福島みずほ
○福島みずほ君 ありがとうございます。
今回の改正案では、七十五歳から以上の人についてブロックで制度をつくると、広域連合で都道府県でやるということなんですが、ここ北海道は北海道という単位での広域連合になると、そして七十五歳以上の人については診療報酬体系も違うものができるわけです。これは北海道でどのように機能するのか、うまく機能するのか、それについて橋本公述人の御意見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/468
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469・橋本洋一
○公述人(橋本洋一君) 食費といいますか、それはもう御存じのようにかなり前から、厚生労働省というか、昔、厚生省でしょうけれども、考えていたことありまして、まあ人間はどこへ行っても食べるんだということは実際ございまして、ただその中において、まあ今までの、生活習慣病の防止のためにどうこうという議論が今言われていますけれども、医療区分的な見方といいますか、そういうことで必要度で、薬を飲んで治療するというようなレベルの方もたくさん七十五歳以上の方においてもいるんですけれども、そういった方々に関して食事自身が一部やはり医療的な意味合いというか要素を持つものを今回これは無視している部分がやっぱりあると。それがまず一点ですね。
これは北海道の特性と言っていいかどうか分かりませんけれども、北海道は非常に寒いし、御存じのように、雪とか何か多くてほかの地域に比べると冬は非活動的になって余り外へ行ったりしないことによって廃用症候群みたいなのが一杯できるんだという意見もあったりいろいろありますけれども、そういうことですね。
そして、あと、ちょっとこれお答えになるかどうか分かりませんけれども、七十五歳以上の方に限るというか、このホテル費の問題ですね。
このホテル費の問題自体は、実を言うと、よく考えていただければ分かるんですけれども、一般病棟に入院される方にはもちろんされないわけですね。したら、このホテル費の議論というのは何かというと、実際に住む家の住居費の代わりに払ってくださいという考え方なんですね。そうしますと、そういうようなところでは長期についてずっと入院すること自身は良くないということを建前として言い、そして在宅復帰に、良くなったら帰るんだということを言われていながら片っ方でホテル費を要求するというんですか、そういうことの自己矛盾性がそこに内在しているということを一つ申し上げたいんですけれども、したら回復期の場合ももちろんそれは要求されない、したら療養型の中において今言った高齢な方は自宅復帰自身が少ないから、だからでいいんじゃないかという議論になってしまうのかもしれませんけれども、もちろん裕福な御高齢な方からお金を取るのは全然僕は構わないと思いますけれども、先ほど山本先生もおっしゃられましたように、北海道だけかどうか分かりませんけれども、北海道において必ずしもその御高齢な方が十分そういうことに対して支払ができるというような状況にはないということは事実でありまして、今実際に各医療機関において十分な、現時点においても未納の方というんですか、そういう方が増えてきつつあることは現実でして、やはりそういうことについてもうちょっと冷静に客観的なデータに基づいて分析していただいて対処していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/469
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470・福島みずほ
○福島みずほ君 お医者さんにお聞きしたいんですが、私自身は七十五歳で年齢を区切ることが理解ができないと。診療報酬体系を変えると、悪くすると七十五歳以上の人は、終末期医療ではないですけれども、北海道新聞にもちょっと書いてありますが、七十五歳以上の人はみとり推進という形に行ってしまうんではないかというふうなことも思うのですが、橋本公述人、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/470
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471・橋本洋一
○公述人(橋本洋一君) 男性の平均寿命、女性の平均寿命で考えますと、男性の場合は、七十五歳以上であと何年といいますと、八十に届いていないものですから、実際に、何というんですか、それが適用される年数は非常に少ないかもしれませんけれども。
それにしても、世界一の長寿国になっている日本において七十五歳以上までどのような生き方をするかというか、完全にもう痴呆に陥って寝たきりになって、そして無理やりに生かされているという状況である場合もあったり、いろいろ議論はあるところですが、これはなかなか難しいですけれども、年齢でその方の状況をどこまで正確にチェックできるかということなんですね。
そんなこと言ったら切りないじゃないかと言われるかもしれませんけれども、この方の健康寿命は何年なんという議論というのはいろいろされますけれども、一つの年齢で、どこかで基準を作らなくちゃいけないということは事実ですけれども、七十五歳という年齢が出てきたという中においては、後期高齢者の数がかつての高齢者の数に合致するぐらいにどんどん増えているわけですよね。そこにどうも焦点が当てられているという感じがして致し方ないんですけれども。
ちょっときちんとした御返答になっているかどうかは分かりませんけれども、そういったことなんです。済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/471
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472・福島みずほ
○福島みずほ君 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/472
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473・山下英利
○団長(山下英利君) 以上で公述人に対する質疑は終了をいたしました。
この際、公述人の皆様に一言御礼を申し上げます。
皆様には、長時間にわたりまして大変貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して心から厚く御礼を申し上げます。本日の御意見、審査の参考にさせていただきたいと、このように存じております。(拍手)
以上をもちまして参議院厚生労働委員会北海道地方公聴会を閉会といたします。
〔午後三時三十二分閉会〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414260X02720060613/473