1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
平成十八年六月二日(金曜日)
午前十一時開会
─────────────
委員の異動
六月一日
辞任 補欠選任
泉 信也君 秋元 司君
鶴保 庸介君 野村 哲郎君
主濱 了君 平野 達男君
藤末 健三君 山本 孝史君
六月二日
辞任 補欠選任
秋元 司君 泉 信也君
野村 哲郎君 鶴保 庸介君
大久保 勉君 主濱 了君
山本 孝史君 前川 清成君
荒木 清寛君 山下 栄一君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 池口 修次君
理 事
岩井 國臣君
田村耕太郎君
中川 雅治君
櫻井 充君
峰崎 直樹君
委 員
秋元 司君
泉 信也君
田浦 直君
田中 直紀君
鶴保 庸介君
野上浩太郎君
野村 哲郎君
溝手 顕正君
若林 正俊君
尾立 源幸君
大久保 勉君
大塚 耕平君
主濱 了君
富岡由紀夫君
平野 達男君
広田 一君
前川 清成君
荒木 清寛君
山口那津男君
山下 栄一君
大門実紀史君
糸数 慶子君
事務局側
常任委員会専門
員 藤澤 進君
参考人
株式会社三井住
友銀行前頭取 西川 善文君
日本弁護士連合
会消費者問題対
策委員会委員 山崎 敏彦君
日本商品先物取
引協会副会長 坂井 宏君
株式会社大和総
研執行役員・資
本市場調査本部
長 吉川 満君
─────────────
本日の会議に付した案件
○財政及び金融等に関する調査
(三井住友銀行に関する件)
○証券取引法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴
う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
○金融商品取引監視委員会設置法案(櫻井充君外
五名発議)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/0
-
001・池口修次
○委員長(池口修次君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日までに、泉信也君、鶴保庸介君及び藤末健三君が委員を辞任され、その補欠として秋元司君、野村哲郎君及び平野達男君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/1
-
002・池口修次
○委員長(池口修次君) 財政及び金融等に関する調査のうち、三井住友銀行に関する件を議題といたします。
本日は、参考人として株式会社三井住友銀行前頭取西川善文君に御出席をいただいております。
西川参考人におかれましては、本日は御多忙のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、参考人及び質疑者ともに御発言は着席のままで結構でございます。
まず、私から西川参考人に二点ほどお伺いいたします。
三井住友銀行は、融資先企業に対しデリバティブの一種である金利スワップの購入を強要したとして、昨年十二月、公正取引委員会から排除勧告を出されました。また、金融庁から本年四月に、同商品の新規販売の半年間停止等の業務改善命令が出されました。独占禁止法が禁ずる優先的地位の濫用を理由に、銀行がこうした処分を受けるのは今回が初めてと承知しております。
そこでお伺いいたしますが、参考人は、問題の取引のあったとされた時期に頭取をされていたわけですが、三井住友銀行の法人営業部のこうした営業活動が、法令遵守をおろそかにし、利益偏重に走ったとされたことについてどのような所感をお持ちなのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/2
-
003・西川善文
○参考人(西川善文君) お答えをいたします。
まず、今回の事態は誠に遺憾でございまして、当時銀行全体の業務の監督に責任を持っておりました立場にあった者といたしまして、これを非常に重く受け止めるとともに、真摯に反省をいたしております。また、金利スワップ契約をいただいたお客様を始め、関係者の皆様に御迷惑、御心配をお掛けすることになりまして、誠に申し訳なく思っております。
私は、三井住友銀行の頭取といたしまして、バランスシートのクリーンアップ、これは不良債権処理のことでございますが、バランスシートのクリーンアップと戦略ビジネスにおける収益力の強化という主に二つの経営課題に取り組んでおりましたが、コンプライアンスにつきましては、これらの経営課題に取り組む際に当然の前提であり、当然遵守すべきものと認識をいたしておりました。
具体的には、私自身、行内の会議等におきまして、コンプライアンス遵守を徹底し、経営としての意思を明確に打ち出してきたほか、すべての本部、営業店にコンプライアンスオフィサーを配置するとともに、コンプライアンスに関する各種行内規定の整備や研修の実施など、コンプライアンスの体制の整備に努めてまいりました。当然のことながら、経営や本部から法令を無視してでも金利スワップを販売しなさいといったような指示を出したことはございません。
にもかかわりませず、今回このような事態が発生してしまったということは誠に遺憾なことでございます。結果的に複数の問題事案が発生しておりまして、当時、銀行全体の業務の監督に責任のあった立場の者といたしまして、真摯に反省をいたしております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/3
-
004・池口修次
○委員長(池口修次君) 次に、金融庁の業務改善命令の中には、問題発生時の役職員を含む責任の明確化とありますが、この点について西川参考人はどのように受け止めておられるのか、見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/4
-
005・西川善文
○参考人(西川善文君) お答えいたします。
本日、三井住友銀行から金融庁に対しまして、責任の明確化等を含めました銀行法に基づく報告書を提出すると聞いておりまして、その上で何らかの要請が銀行から私にあるものと思っております。私といたしましては、これを厳粛に受け止めまして、速やかに整々と対処いたす所存でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/5
-
006・池口修次
○委員長(池口修次君) 私からの質問は以上でございます。
それでは、質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/6
-
007・岩井國臣
○岩井國臣君 今般の事態は、三井住友銀行が、融資先である中小企業に対しまして優越的地位を不当に利用して金利スワップを販売したということで、公正取引委員会から勧告を受け、また金融庁から一部業務停止を含む行政処分を受けたというものでございます。
私の理解では、金利スワップという金融商品は、金利上昇リスクの回避にもなる有用なもので、商品そのものに問題があるということではなくて、言わば売り方に問題があったということだと思っております。また、どのような売り方をすれば問題になり得るのか、優越的地位の濫用になり得るのかという事実認定も、一件一件の状況を踏まえなければならないわけでございまして、なかなか難しい面があると考えております。
したがいまして、優越的地位の濫用があったから直ちに貴殿がけしからぬという、まあそういう言い方をする人もあるわけでありますけど、そういうことにつきましては、私としては違和感がないわけでもないのでございます。
しかしながら、経営トップは、その在任時に現場で起きたことを含め、その組織の業務運営全般に責任を持つ立場である。そういうことを踏まえますと、やはり結果責任は負わざるを得ないのではないかと、そのようにも考えております。
つきましては、貴殿が頭取を務めておられた三井住友銀行という我が国を代表するメガバンクが、貴殿の在任中の事案に対して公正取引委員会の勧告、金融庁の行政処分を受けるという極めて残念な事態になぜ至ったのかという観点から少しお尋ねをしたいと思います。貴殿のお考えを率直に語っていただきたいと存じます。
まず、第一でございますが、貴殿は、頭取在任中に、公的資金導入、合併などトップとして様々な経験、決断をされたと思います。そういう中で、思いがかなえられた点、あるいは、逆に思うようにいかなかった点、様々だと思いますけれども、どのような銀行を目指して経営に当たってこられたのか、お聞かせいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/7
-
008・西川善文
○参考人(西川善文君) お答えをいたします。
主として合併以降のことにつきましてお答えをいたしたいと存じます。
三井住友銀行は平成十三年四月に住友銀行とさくら銀行が合併をいたしまして発足をいたしました。そのときに、この新銀行、三井住友銀行を最高の信頼を得るトップバンクにするということで三つの点を行内に示しました。第一に、お客様から信頼を得ること。第二に、株主、市場から信頼を得ること。第三に、信頼を得る源泉となります自由濶達で活力に満ちた銀行づくりをすること。この三点でございました。お客様、株主、市場、従業員から最高の信頼を得ることが新銀行、三井住友銀行の経営理念でもございまして、私もこれを目指して経営に当たってきたつもりでございます。
そこで、法人のお客様にはお客様ごとの経営や財務上のニーズに対しましてソリューションとして様々な金融サービスを提示いたしまして、お客様に御評価をいただく、喜んでいただくというビジネスモデルを目指してまいりました。特に、中小企業のお客様に対しましては、当時デフレが長期化し、貸し渋り問題が社会問題化していた状況の下で、中小企業向けの新しい形の貸金、私どもはビジネスセレクトローンと名付けておりましたが、これを開発、導入するなどの施策を講じてまいりました。
具体的に申しますと、これは、従来からございました担保主義から脱却をいたしまして、クレジットスコアリングモデルを活用いたしました中小企業向けの無担保そして第三者保証なしの融資商品でございました。これを開発いたしまして、積極的に御融資を行うことで中小企業の皆様のお手伝いをさせていただいてまいりました。
ちなみに、昨年九月末までの累計では、取組件数が十四万一千件、取組金額にいたしまして約三兆四千億円になりました。こういったものを始めたのは三井住友銀行が初めてであったかと記憶をいたしております。
こういった努力にもかかわらず、今回このような問題が発生いたしましたのは誠に遺憾なことでございました。繰り返しになりますが、当時、銀行全体の業務の監督に責任のある立場にあった者といたしまして真摯に反省をいたしておるところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/8
-
009・岩井國臣
○岩井國臣君 先ほどコンプライアンスの問題に触れられましたけど、更に突っ込んで質問をさせていただきたいと思います。
金融庁の処分理由を見ますと、経営管理に関するいわゆるガバナンス体制の問題及び内部管理体制の問題、そして法令等遵守に関するいわゆるコンプライアンスの体制の問題が指摘されております。
貴殿は優越的地位乱用の事態は当時知らなかったと述べられている、そのように承知しておるわけでございますが、知る、知らない、そういった事情の有無にかかわらず、そもそもガバナンス等の体制面の確保は経営者の重要な仕事、経営そのものではないかと考えるわけでございます。
こうした面から、貴殿の頭取時代の取組について教えていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/9
-
010・西川善文
○参考人(西川善文君) 正に先生御指摘のとおりでございまして、ガバナンス等の実態面での確保ということは経営者の最も重要な仕事の一つであるというふうに認識をいたしております。
三井住友銀行におけるガバナンス面におきましては、執行と監督のバランスが肝要であるという認識でこれを行ってまいりました。この新銀行発足当初から取締役会の二つの機能、すなわち経営の重要事項を決定する機能と業務の執行を監督する機能につきまして、執行役員制度を採用いたしまして、業務執行機能、これを分離いたしますとともに、取締役会の議長であります取締役会長は執行役員を兼務せずに主に業務執行の監督に当たる体制といたしました。
また、取締役会の内部にはリスク管理委員会、人事委員会、報酬委員会の三つの内部委員会を設置いたしまして、それぞれ社外取締役の方に入っていただきまして、業務執行から離れた客観的な立場で審議可能な体制の構築を図ってまいりました。
その後、平成十四年の十二月に持ち株会社であります株式会社三井住友フィナンシャルグループを設立いたしましたが、そのねらいの一つとして経営管理機能の強化というものがございました。
以上のような取組を通じまして有効なガバナンスの確立に配意してまいったところでございます。
また、コンプライアンス面につきましても、先ほども触れましたが、すべての本部、営業店にコンプライアンスオフィサーを配置いたしますとともに、コンプライアンスに関する各種行内規定の整備や研修の実施など、コンプライアンス体制を整備いたしてまいりました。
それにもかかわらず、繰り返しになりますが、今回このような事態が発生してしまったということは誠に遺憾なことでございまして、当時、銀行全体の業務を監督する立場にあった者といたしまして本当に真摯に反省をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/10
-
011・岩井國臣
○岩井國臣君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/11
-
012・峰崎直樹
○峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございます。今日は、西川前頭取、ありがとうございました。
それでは早速、今委員長あるいは自民党の方からの質問とも絡むんでありますが、そのようにコンプライアンスという体制を準備しておきながら、なぜこのような事態が起きたのか、率直にその原因、背景、これらについてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/12
-
013・西川善文
○参考人(西川善文君) コンプライアンスに関する私の基本的な認識は、企業が法令等を無視して経営を継続していくということはできないというものでございまして、この認識は今も昔も変わらないものでございます。もとより、法令遵守には法の趣旨や社会通念、社内規定も含めた広い意味と受け止めております。
そういうことで、なぜこういうことが起きたかということでございますが、こういう体制を、きちんとコンプライアンス体制を整えてきたわけでございますが、そのコンプライアンス体制と申しますのはやはり実際にそれが実行されているかどうかということをしっかりとモニタリングをしていくということが肝要だというふうに考えまして、行内の監査部門を他部門から独立した部門としたり、あるいは苦情に対しまして、その苦情がどういうところに原因があるのかといったことにつきまして、CS委員会を設けましてそこで詳細検討をするといったような努力もしておったわけでございますが、今回の事態はやはりそのモニタリングがいま一つ不十分な点があったというふうに私は感じております。モニタリングをもっと真剣に詳細にわたってやっておれば、早期にこの問題の在りかを見いだすということができ、それが経営にも上がってまいりまして適切な対応を取るということができたんではないかというふうに考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/13
-
014・峰崎直樹
○峰崎直樹君 実は、二〇〇一年の四月に旧住友銀行、さくら銀行が合併する前に公正取引委員会から両行に対していろいろと各種調査も行われまして、銀行の優越的地位の問題、そういったことについて、実は、両行から公正取引委員会は、法令遵守機能が働くよう尽力をすると、こういう約束をされて実はスタートをしたというふうに私どもは伺っています。
そうすると、そのときも実はその約束をしたことがその後も実は守られなかった。今も実はモニタリングの機能が不足をしていたというふうにおっしゃったわけでありますが、モニタリングの組織がありながら機能しないというその実は背景というのは一体何だったんだろうなと。
これは、組織が大きくなればなるほどどうしても、今、前頭取おっしゃいましたように、法令を守ればいいんだと、それを、決まったことを守ればいいんだということだけに終わって、実は、ともすれば組織の論理、すなわち、先ほどおっしゃいましたあのいわゆる不良債権の処理だとか、あるいは積極的な政策を打っていかなきゃいけないだとか、そういうことの方が優先されてしまうというのがどうもやはり私は三井住友銀行の構造的な体質として根付いていたんではないか。
こういう問題を解決をするための手だてというのは一体どうしたらいいんだろうかということについて、ただモニタリングを強化をする、そして私は、やはり内部通報制度とか様々な制度はあると思うんでありますが、そういう意味でいうと、コンプライアンスというもののとらえ方が、単に法令遵守ということではなくて、もっとやはり、先ほど社会通念とかおっしゃいましたですけれども、そういうことを含めて広く行員の皆さん方に周知徹底させるということが私は非常に重要な課題だったんではないかと思うんですが、その点、時間もありませんので、少し何か感想があればお聞かせ願いたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/14
-
015・西川善文
○参考人(西川善文君) 先生御指摘のとおり、平成十二年、両行から公正取引委員会に対しまして、独禁法違反がないよう、関係規定の整備、教育・研修の実施、ハンドブック配布等の施策を通じ、役職員へ周知徹底し、自律的な法令遵守機能が働くよう尽力するという旨の報告をいたしております。この点、先ほど来申しておりますように、三井住友銀行ではこうしたことを実施してきたわけでございますが、結果的に今回の事態に至ったということでございました。誠に遺憾なことでございます。
モニタリングにつきましても御指摘をいただきましたが、正に先生御指摘のとおりでございまして、そのモニタリングが形式に流れる、上滑りをしてしまうと。あるいは、苦情に対しましても、法的には対応ができると、訴訟になれば負けることはないといったような考え方で処理をしてしまっているといったようなことがあるわけでございまして、この点をもっとやはり真剣に掘り下げて、顧客満足度の向上、そしてお客様から見てそれがどうなのかということをもっと真剣に考えなければならないことであったなというふうに私は反省をいたしております。
もちろん、内部通報制度もあるわけでございますが、実際にはこれもそれほど機能をしていないというところがあったかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/15
-
016・峰崎直樹
○峰崎直樹君 時間も余りないんで、もう少し端的にお答えしていただきたいと思うんですが。
このいわゆる様々なコンプライアンスに違反するような事件が起きてきている。その背景には、当時竹中金融担当大臣でございましたけれども、不良債権処理を急げと。時期を定めて、そして自己資本の充実に努めろと。こういう、ある意味では大変当時では皆さんにとっては厳しかったと思いますが、そういうノルマというものを何としても達成しなきゃいけないと、こういうものが背景にあったんではないかと。これについては、そういうものが背景にあったというふうに理解をしてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/16
-
017・西川善文
○参考人(西川善文君) お答えいたします。
不良債権問題につきましては、これはやはり金融システムの安定性の回復といった観点からも、あるいは経済の活性化という観点からいたしましても、早期に処理をする必要があるということは、これはもう間違いないことでございまして、これと日常の営業活動というものは切り離して、この不良債権処理をまずは優先してまいらなきゃならないということでございます。
もちろん、この原資は期間収益というものもそれに充当するということになるわけでございますが、これにはおのずから限界がございまして、収益が上がらないから不良債権処理を遅らせるというわけにはまいらない、むしろ処理を優先するということにしなければならないということでございました。
それではどうするかということになりますが、それは資本の増強等、財務的な手当てを極力していくということでカバーするということでございまして、この不良債権処理の問題と今回の問題が何か関係があるということでは決してございません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/17
-
018・峰崎直樹
○峰崎直樹君 そこで、ちょっと立ち入った事実関係の確かめをしたいわけでありますが、二〇〇三年の十二月というふうに私は聞いておりますが、今お話がありましたように、何としても自己資本を充実させなきゃいけない。そこで、翌年でしょうか、ゴールドマン・サックス社とたしかいろいろと出資をしていただくというようなことが成立したわけでありますが、二〇〇三年の十二月の中旬か初旬だったと思いますが、西川頭取と、当時の頭取と竹中金融担当大臣、そしてポールソンさん、当時のゴールドマン・サックスの社長さんです、今度のアメリカの財務大臣だと思いますが。この三人だけで、泉ガーデンと言われる中に住友クラブというのがあるんだそうでありますが、そこでお会いになったかどうか、この点だけちょっと事実関係教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/18
-
019・西川善文
○参考人(西川善文君) その件に関しましては、たしか二〇〇二年の十二月であったかと存じますが、ゴールドマン・サックスのハンク・ポールソン会長から竹中大臣に紹介をしてくれないかというお話がございました。私は、紹介はする、ただし個別銀行のことについては一切触れないでくれと。それが守られるのであれば紹介をさせていただくということで、竹中大臣に一般的な日本の経済金融情勢についてお聞きしたいと、こういうことでございましたのでお願いをいたしまして、今先生がおっしゃった泉ガーデンではないんでございますけれども、別の場所でございましたが、短時間お会いしていただいたことはございます。そこに立ち会いましたが、個別銀行の話は当然のことながら一切出なかったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/19
-
020・峰崎直樹
○峰崎直樹君 ちょっと、その際に事実関係だけ教えていただきたいんですが、この三人の方以外にはお供の方は入らなかったというふうに聞いておるんですが、それは事実でしょうか。三人の方だけで、つまり西川さん、竹中さん、ポールソンさん、この三名だけでお会いになさったというふうに聞いておりますが、それは事実なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/20
-
021・西川善文
○参考人(西川善文君) お答えいたします。
ゴールドマン・サックスのCEOはハンク・ポールソンでございましたが、一緒にセインというCOOが参っておりまして、今彼はニューヨーク証券取引所の理事長でございますが、これが一緒に付いてきておりまして、計四人でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/21
-
022・峰崎直樹
○峰崎直樹君 それ以外にお供のお付きはいらっしゃらなかったと、これに関しては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/22
-
023・西川善文
○参考人(西川善文君) ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/23
-
024・峰崎直樹
○峰崎直樹君 ございません。はい、ありがとうございました。
また、ゴールドマン・サックスとの関係で、最近、最近というよりも東京の支社長の持田さんという方御存じだと思いますが、この方とはどんな御関係なのか、ちょっと教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/24
-
025・西川善文
○参考人(西川善文君) 持田さんはゴールドマン・サックス東京の社長でございますが、私どもの方の資本調達その他の案件につきまして幾つかゴールドマン・サックスのお世話になっておりますが、その際の責任者でございます。そういうことがございまして、必要に応じて持田社長と私自身も話をいたしております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/25
-
026・峰崎直樹
○峰崎直樹君 今年に入られて持田社長とお食事をされるような、そういう機会などはございましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/26
-
027・西川善文
○参考人(西川善文君) 今年に入りましてからはなかったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/27
-
028・峰崎直樹
○峰崎直樹君 ありがとうございました。ちょっといろんな意味で背景を聞きたいなと思って、聞かせていただきました。
そこで、実は、ちょっとこれは事前に御質問の中、通告をしてなかった問題なんですが、この財政金融委員会で私ども財政金融やっていまして、特に金融関係で、西川社長が今度、郵政の持ち株会社の社長さんになられたということで、実は全銀協の会長時代と申しますか、西川前頭取がいわゆる官業が民業を圧迫することのないようにと。こういうことで、実はこれは日本の国内だけじゃなくてアメリカの商工会議所辺りからも、いわゆる国がまだ関与している間にどんどんと郵便貯金銀行やあるいは簡易保険会社がどんどんと広がっていくということについて大変懸念する声が出ております。
西川社長もいわゆる全銀協時代にはそういうお話をされたやに聞いておりますし、その点どのように現在思っていらっしゃるのか、そういう声に対してはどのような御見解をお持ちなのか、お聞かせ願えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/28
-
029・西川善文
○参考人(西川善文君) 来年の十月に現在の公社が四分社化されまして民営化がスタートすることになりますが、御承知のように、法律上、スタート時点のこの四社の業務は現在の公社の業務をその範囲において引き継いでやっていくということになっております。一部新しい業務として国際物流が法律で認められておりますので、それが加わるということでございますが、スタート時点は原則的にそういうことでございます。そして、資本の状況、さらに、特に貯金銀行、保険会社の場合は株式を十年以内に売却するということになっておりますので、その資本関係が変わっていくのに従って段階的に新しい業務が認められていくというふうに理解をいたしております。
日本郵政といたしましても、現在の郵便貯金の業務あるいは保険の業務につきましては非常に偏った業務をやっておりますので、多くの国民の皆さんにサービスをしていくという点におきましても弱い面がございますから、できるだけ早く新しい業務もやれるように努力はしてまいりたいと、こういうふうに考えておりますが、法律上はそういうことでございますので、それに従ってまいるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/29
-
030・峰崎直樹
○峰崎直樹君 時間が来ましたので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/30
-
031・大門実紀史
○大門実紀史君 大門でございます。
西川さんには行政改革特別委員会でもう既に二回いろいろお伺いしていますし、日本郵政の社長を潔くお辞めになるべきだということもその場では申し上げておりますが、今日は三井住友問題の中身の解明ということですので、そういうことはあえて申し上げませんけれども。
私は、三井住友が公取に処分を受ける前から、三井住友のこの抱き合わせ販売の問題は取り上げてまいりまして、現場の調査もしてまいりました。コンプライアンス体制とかいろいろおっしゃいますけれども、私は、コンプライアンス体制というのはいろいろ苦情があってそれをどう処理するかになるんですけれども、一番の問題は、当時、金利スワップ商品が、西川さんの号令だと思うんですけれども、それそのものは別に違法だということはないと思いますが、頑張って売ってほしいと、これは三井住友の方針だったわけですね。それが法人事業部の段階に来ますと、かなり厳しいノルマ、まずこれぐらい売ってほしいというのが立てられたと。当然、どこに売るかとなると、取引先にどうですかというのが無理がないわけですね、新たにやるよりも。自然、融資先にいかがでしょうかとなる。で、銀行から言われると付き合わなきゃいけないかなと、こうなる。こういう中で起きてきた問題でございますね。
ですから、幾らコンプライアンス体制を整えても、その中で何人が不当に押し付けられたと思うかどうかというところになりますので、この問題はコンプライアンス体制をいろんな委員会とか何かつくったところで、それで発見できるものではないと。営業姿勢そのものにかかわる問題だったんではないかというふうに思っておりますが、その点で、西川さん、いかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/31
-
032・西川善文
○参考人(西川善文君) それは確かに先生おっしゃるような側面がございます。スワップといいますのは、御承知のとおりでございまして、抱き合わせでやるような商品ではないということでございます。なかなかそれと、大企業の専門家はともかくといたしまして、中小企業の皆さんには理解のしにくい面もございますし、また仕組みにも複雑な面がありまして、途中解約ということになりますとコストも掛かってくるという商品でございまして、私はそういった点について、本当に理解の得られるお客様であれば問題はないと思いますが、そうでない場合にお願いをするということはとかくやはり問題を起こしやすいというふうに思います。
そういったことについて、責任者として私が推奨したわけでは決してございません。それはございませんが、やはり営業の第一線において自分たちの業績目標をそういったもので一部達成していくと、達成の努力をするといったことが行われて、それがあだになったという側面があるように私は感じております。そこまでやはり徹底した指導をしてこなかったと、本部としてしてこなかったというところにやはり問題があったかなというふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/32
-
033・大門実紀史
○大門実紀史君 この問題は委員会で私何度も取り上げておりますので、別の話をお聞きしたいんですけれども、三井住友が消費者金融との提携にずっと入っております。今御存じのとおり高金利引下げの問題が社会問題になっておりますけれども、テレビでも物すごい宣伝を三井住友はしておりますけれども、最近プロミスとの一緒の宣伝はちょっと少なくなったような気がいたしますけれども、いろんな議論があって、与謝野大臣の答弁もあって、アットローンとか三井住友独自のローンの宣伝が多いですけれども、それにしても高金利の部分で宣伝をされております。
この消費者金融と一緒にやっていく、提携していくというような方向も西川さんのときにお出しになったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/33
-
034・西川善文
○参考人(西川善文君) 確かに私が頭取を務めました最後のころに提携を考えました。この趣旨は、アットローンという消費者金融会社、これは一般の消費者金融会社よりも金利の低いゾーンを扱うという会社でございますが、この会社の運営につきまして、特に与信リスクの判断という面で銀行とは違うノウハウをプロミスさんはお持ちだということで、このノウハウを提携によって得ていくと、こういうねらいがあって提携を進めたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/34
-
035・大門実紀史
○大門実紀史君 私、こういう問題が起きて、サラ金のことを聞くと、そういうふうに平気で言われるところに非常に心配するところがあるわけでございます。わずか二・何%で調達したものを二〇パーとかで貸すようなことをサラ金はやっていて批判を受けているわけですが、大銀行がやるのかというところで批判が出ているわけですから、そういうことも含めて、西川さんだけじゃありませんけれども、今の銀行業界の経営者の方々、いろんなことを、もっと社会的責任とか銀行の本来あるべきものをお考えいただきたいなと思うわけですけれども。
最後に、日本郵政のことでいきますと、日本郵政は今投資信託の販売をかなり、この前も指摘いたしましたけれども、現場では相当、日本郵政、ごめんなさい郵政公社ですね、今の段階ですと、現場にノルマを与えてやっておりますけれども、西川さんお考えの日本郵政、郵貯銀行で今申し上げたようなクレジットローン、個人金融、カードローンですね、こんなことをやっていこうというお考えはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/35
-
036・西川善文
○参考人(西川善文君) 今のところ、新規業務としてカード業務をできるだけ早い時期にやりたいというふうに考えておりますが、ローン分野は当面やる予定はございません。これも新規業務として認められて初めてできることでございまして、カード業務自体そういうことでございますので、あくまでも構想でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/36
-
037・大門実紀史
○大門実紀史君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/37
-
038・糸数慶子
○糸数慶子君 無所属の糸数です。
西川前頭取は、一九六一年に住友銀行に入行されて一九八六年に取締役になられるまで三十五年間、正に現場の銀行マンでいらっしゃいまして、十分現場を承知されていたと思われますが、実際に不公正取引が行われたその現場、部門はどのようなところだったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/38
-
039・西川善文
○参考人(西川善文君) これは、今回金利スワップの販売に関しまして優越的地位の濫用が問題となりましたのは、私どもで言っております法人部門、これは中堅中小企業を担当する部門でございますが、その部門における法人営業部というところでございます。法人営業部は主に中堅中小企業のお取引の担当窓口でございまして、現在約二百拠点ほどございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/39
-
040・糸数慶子
○糸数慶子君 その現場を直接に視察したことがどの程度おありでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/40
-
041・西川善文
○参考人(西川善文君) 現場への訪問につきましては、時間を見付けてできるだけ私は営業拠点を訪問いたしまして、第一線の話を聞くように心掛けてまいりました。頻度につきましては、今ここで正確なことを申し上げられる材料はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/41
-
042・糸数慶子
○糸数慶子君 実際に不公正取引が行われたわけですが、通常、現場からの情報の上がり方、それはどのような形でどの程度の頻度であるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/42
-
043・西川善文
○参考人(西川善文君) お答えいたします。
日常業務の中で営業拠点を訪問した際に部長などから話を聞いておりましたほか、会議を開きまして、地域ごとに部長を集めまして直接現場の状況を聞きますなど、できるだけ私は現場の情報に接するように心掛けてきたつもりでございます。
また、直接ではありませんが、適宜現場を所管しております本部の部長などからも現場の状況を聞くように努めておりました。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/43
-
044・糸数慶子
○糸数慶子君 トップとしてのその情報把握が現場におけるコンプライアンス確保の観点から十分なものであったというふうに思われますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/44
-
045・西川善文
○参考人(西川善文君) 先ほども申し上げましたとおり、現場の情報につきましては、時間の許す範囲でその状況、情報を把握するように努力をしてまいりました。しかし、それだけではなかなか現場の状況がすべて把握できるというわけではございませんで、今回このような事態が発生してしまったということは誠に遺憾なことでございまして、銀行業務全体を監督する立場にあった者といたしましては真摯に反省をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/45
-
046・糸数慶子
○糸数慶子君 いろいろな方がこれまでいろいろ質問されたわけですが、実際には、その問題の取引のあったその時期に頭取をされていたわけですから、やはり三井住友銀行の法人営業部のこうした営業活動が法令遵守をおろそかにした、利益偏重に走ったということがこのような問題を引き起こしたということは事実でございます。その辺りを指摘いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/46
-
047・池口修次
○委員長(池口修次君) 以上で西川参考人に対する質疑は終了いたしました。
西川参考人におかれましては、本日は貴重な御意見をいただき、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしましてお礼を申し上げます。
午後一時まで休憩いたします。
午前十一時五十二分休憩
─────・─────
午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/47
-
048・池口修次
○委員長(池口修次君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、秋元司君、野村哲郎君、大久保勉君、山本孝史君及び荒木清寛君が委員を辞任され、その補欠として泉信也君、鶴保庸介君、主濱了君、前川清成君及び山下栄一君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/48
-
049・池口修次
○委員長(池口修次君) 証券取引法等の一部を改正する法律案、証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び金融商品取引監視委員会設置法案、以上三案を一括して議題といたします。
本日は、三案の審査のため、参考人として日本弁護士連合会消費者問題対策委員会委員山崎敏彦君、日本商品先物取引協会副会長坂井宏君及び株式会社大和総研執行役員・資本市場調査本部長吉川満君、以上三名の方々の御出席をいただいております。
この際、参考人の方々にごあいさつを申し上げます。
本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
参考人の方々から忌憚のない御意見を賜りまして今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
本日の議事の進め方でございますが、まず、山崎参考人、坂井参考人、吉川参考人の順序で、お一人十五分程度でそれぞれ御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
また、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おき願いたいと存じます。
なお、参考人及び質疑者ともに、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず山崎参考人からお願い申し上げます。山崎参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/49
-
050・山崎敏彦
○参考人(山崎敏彦君) 弁護士の山崎敏彦でございます。
本日は、貴重な意見陳述の機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。
日弁連は、消費者保護の立場から、これまで何度も関係諸機関に意見書を提出し、金融サービス全般にわたっての業界横断的、商品横断的な消費者保護立法の制定を求める提言を行ってきました。本日は、そのような立場から日弁連を代表して意見陳述をさしていただきます。また、私は常日ごろから先物取引被害を中心とする多くの投資者被害の救済に携わり、その中で多くの投資者被害の実態を目の当たりにしている者として率直な意見を申し述べたいと思います。
日弁連の意見の詳細は、先日の衆議院財務金融委員会における参考人として当会の大田清則弁護士が意見陳述したとおりでありますので、また、既に衆議院で原案が可決された現段階においては、特に強調しておくべき二つの点に限って以下に意見を申し述べます。
まず第一には、不招請勧誘についてであります。
金融商品取引法案においては、電話、訪問による不招請勧誘を禁止する規定を置いていますが、その対象を限定し、現在、外国為替証拠金取引の店頭取引に限って適用される予定とのことであります。しかし、消費者保護の観点から見て、不招請勧誘についてはすべての金融商品について原則禁止としなければならないものであり、その適用を除外する商品の方をそれぞれの商品性やコンプライアンスの状況を検討して指定すれば足りるものと考えます。また、百歩譲って、他の金融商品について不招請勧誘禁止の対象が外れることがあったとしても、商品先物取引についてだけは決してその対象から外されてはならないものと考えるものであります。
第二は、先物取引における損失補てんの禁止についてであります。
本法案においては、先物取引についても新たに損失補てんの禁止制度を導入するとしています。しかし、損失補てんの禁止の規定を設けると、深刻な被害が問題となっている先物取引について、ますますその被害回復が図れなくなるものであります。トラブルの多発し続けている先物取引の早期の解決を図るという意味から、先物取引について損失補てんの禁止の規定は決して導入されてはならないと考えるものであります。
以下に理由を述べさせていただきます。
まず、不招請勧誘の禁止一般についてですが、不招請勧誘が多くの投資被害の端緒となっていること、また不招請勧誘こそが投資被害における諸悪の根源となっていることについては、既に当財政金融委員会における与野党一致した御議論となっているものと理解しております。これに対する政府の答弁は、不招請勧誘の禁止は営業の自由を奪う側面があるなどといったことのようですが、一体どんな業者のどんな営業を行う自由が阻害されるのか考えてみていただきたいものであります。
既に、近畿弁護士会連合会では、平成十五年十一月二十八日に、投資勧誘に限らずすべての商品、すべてのサービスについて不招請勧誘を禁止すべきだとする決議を行っております。電話勧誘や訪問勧誘は、それ自体非常に迷惑だ、特にそれらによって有益な商品知識が得られたということもめったにないから、禁止されても全く構わないという人が多くの方の率直な気持ちではないでしょうか。
いわんや、金融商品の不招請勧誘禁止について言えば、金融商品の取引で業者が突然訪ねてきてよく分からない取引に何百万円も払う。それが好ましい形で行われるといったことは極めて想定しにくい事態ではないでしょうか。ごくまれにそんなことがあるとしても、それを禁止して侵される営業の自由、取引の機会とそれを禁止することにより守られる消費者の利益を比較すれば、消費者、投資者の利益の方が圧倒的に重要であるということは論を待たないところであります。
あるいは、百件のうち一件しか聞いてもらえないような電話勧誘で、九十九人に迷惑を掛けてでも一人に電話を聞いてもらうなどという営業の自由は、そのことからだけからしても、もはや自由の名に値しないと言うべきであります。
また、新聞広告やダイレクトメール、チラシなどという複雑な金融商品についてのより誤解を呼ばないであろう広告媒体による営業の自由は何ら制約されないことからしても、電話勧誘、訪問勧誘の自由を何としても保護するなどという必要性は、その意味からも極めて低いと言うべきであります。
今回の法改正は、横断的規制による法のすき間をなくすというのが主目的のはずです。しかし、去る五月三十日の朝日新聞によると、未公開株販売の件で、初めて東京都の会社が証券取引法違反、無登録営業容疑で逮捕されたとのことであります。あれだけ金融庁もホームページで警告し、社会問題化している未公開株の無登録業者について、これまで行政処分も刑事処分も全くなされてこなかったということですが、未登録業者の営業規制が実質的にも専ら警察による摘発を待つという仕組みは、改正法でも特に変化はありません。
金融について素人の警察が重い腰を上げるまでに被害の多くは出尽くしてしまうというこの実態をなくすには、不招請の電話や訪問があっただけで違法であるとして入口の部分でどんどん摘発していく不招請勧誘の禁止以外にないと思われますが、いかがでありましょうか。
結局、金融商品の不招請勧誘は、前記の観点から、特に問題が少ないと考えられるものについて特別に許すという規制にすべきであって、現在予定されている店頭の外国為替証拠金取引に限って不招請勧誘を禁止するなどというのは余りにも範囲が狭過ぎると言うべきであります。
次に、商品先物取引の不招請勧誘禁止についてですが、数ある金融商品の中でも先物取引は極めて複雑でリスクが大きいにもかかわらず、これまで経済産業省、農林水産省が規制や摘発を怠ってきたため、その被害がもはや放置できない域に達していることについて、また平成十七年五月施行の改正法によっても被害はまだまだ極めて多いことや、今回の改正により導入される勧誘規制等では先物取引被害は減らないであろうことについては、既に当財政金融委員会における連日の御審理の中で与野党一致した御認識になっているものと思料いたします。
先物取引における被害のほとんどは不招請勧誘で契約が結ばれます。これは、悪質先物取引業者の多くが大量電話勧誘の手法を多発しているということや判決で認められた事案から見れば、被害者の多くは、絶対もうかるという断定的な言葉で勧誘されたり、あるいは絶対という言葉こそ使わないものの、今なら確実にもうかる、今ならとらの子百万円を払っても大丈夫だなどと思い込まされるからこそ取引を開始してしまうという実態があります。それまで何十年間もまじめにこつこつと働いて貯金をしてきたような人が、先物取引に心ならずも引き込まれてしまう、その諸悪の根源が不招請勧誘とそこから始まる不当勧誘なのです。
以上のとおり、結局、先物取引こそ不招請勧誘禁止が最も必要であるのに、今後も先物取引だけは不招請勧誘を禁止する法律がない、政令指定もできないというのは、今回の法改正の最大の欠陥であり、また投資被害を減少させて国民の投資に対する信頼を回復させるという趣旨からすれば、最大の投資被害である先物取引の極めて不当な実態を放置するものとして、本法案には致命的な欠陥があると言わなければなりません。
当財政金融委員会における審理が先物取引の悲惨な被害発生を食い止める最後のチャンスであります。この機会を逃すと最低でも向こう数年間、先物取引の悲惨な被害が大量に発生し続けるということを御理解いただき、そのような事態は決して許してはならないという観点から、何としてでも先物取引に不招請勧誘禁止を導入していただきたいと考える次第であります。
最後に、先物取引における損失補てんの禁止についてであります。
先物取引においては、損失補てん禁止の必要など、そもそも全く存在しないということを最初に申し上げます。
この問題は、証券取引における損失補てん禁止の制度との比較において考えるべきであります。平成三年の証券不祥事のときに、本来、自己責任であるべき証券取引において、損をした大企業に大手の証券会社を中心に、次もまた取引をしてもらうという観点から損失補てんがなされたわけですが、そういうことは極めて不当であると、市場の公正を害すということで導入されました。しかし、そのような実態は、先物取引の世界においてはこれまで問題になったことは皆無と言っても過言ではありません。
これに対して、先物取引に損失補てん禁止を導入することの弊害は極めて大きなものがあります。まず、絶対的に言えることは、泣き寝入りをする人が確実に増えるということであります。結局、業者にとっては今まで以上にやりたい放題だ、願ったりかなったりの制度だということになりかねない、極めて不当な事態をもたらすものであります。また、十分な審査体制が取れないおそれも高いと言えます。このようなたくさんの被害について一体どこが審査するのかということも申し上げなければなりません。
百歩譲って、仮に損失補てんの制度が先物取引に導入される場合には、損失補てん禁止の例外を確認する制度自体を不要とすることが絶対に必要であると考えるものであります。
現に、今回同じように損失補てんの制度を導入する銀行法、証券業法などの規定には、金融商品取引法三十九条三項ただし書の規定が準用されていません。つまり、事故、損害賠償に基づく補てんについて内閣総理大臣による確認は必要ないという制度となっており、先物取引における損失補てん禁止の制度も同じようにすることによって、不法行為があった場合の損害賠償なら自由に行えるということになり、その弊害はかなりの程度是正されるものと考えられます。
以上のとおり、先物取引における損失補てんの禁止は、それによって防止しなければならない損失補てんの実態などほとんど存在しないにもかかわらず、本当は損失補てんなどではなく、不法行為、違法行為があったのだから速やかにその損害が賠償されなければならない事案について、その被害回復を困難にする方向に働くものです。先物取引における損失補てん禁止の制度は、独り悪質先物業者のみを利する悪法の極みと言わざるを得ません。
以上のとおり、本法案には極めて重大な欠陥、問題点が存在するものであり、先物取引などにおける不招請勧誘禁止が具体的に実現し、損失補てん禁止の弊害が現実になくなるような修正がなされるべきであると申し上げて、私の意見陳述とさせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/50
-
051・池口修次
○委員長(池口修次君) ありがとうございました。
次に、坂井参考人にお願いいたします。坂井参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/51
-
052・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 日本商品先物取引協会の坂井でございます。
本日は、証券取引法等の一部を改正する法律案に対する意見を申し述べる機会を与えていただき、深く感謝申し上げる次第でございます。
それから、日ごろより当協会の業務に大変御理解を賜っておりますことについても御礼を申し上げたいと思います。
御意見を申し上げる前に、少し日本商品先物取引協会について御説明を申し上げたいと思います。
当協会は、商品取引所法に基づき、農林水産大臣及び経済産業大臣の認可を受けまして、平成十一年四月に設立されました特別の法人でございます。当協会の目的というのは、その商品取引所法の第二百四十一条に定められておりますが、「商品市場における取引等の受託を公正かつ円滑ならしめ、かつ、委託者の保護を図ること」にあるわけでございます。すなわち、商品先物取引業界の純粋の自主規制機関でございまして、その意味で証券業協会とも違って全くその自主規制のみを行っているということでございます。それからまた、いわゆる業界の振興を行う業界団体というものでもございません。その辺を御理解をいただければと思います。
当協会は、法律に定められました目的を達成するために様々な活動をやっております。例えば、会員たる商品取引員が勧誘及び受託業務において遵守すべき規則の制定を行います。そして、会員企業の役員、使用人の資質の向上を図るための研修事業を行います。さらに、法令及び自主規制規則の遵守状況をチェックするための企業に対する監査を行います。さらに、委託者からの苦情の受付及び処理をいたしますとともに、委託者と会員企業との間の紛争の解決のためのあっせん及び調停を行っております。また、実際に商品取引員たる企業において勧誘あるいは受託業務の実務に当たります外務員の講習、試験及び登録を行っておりまして、その他、会員企業に対する指導あるいは問題のある行為を行った企業や外務員に対する制裁までも行うということをやっているわけでございます。
現在、本委員会において審議中の証券取引法等の一部を改正する法律案、大変大部なものでございまして、様々な内容でございますが、今申し上げましたような日本商品先物取引協会の性格にかんがみまして、本日、私からは、この審議中の法案の第十二条に掲げられております商品取引所法の一部改正について意見を述べさせていただきたいと思います。
その前提といたしまして、二点ほどまず申し上げさせていただきたいと思います。
第一点は、商品先物取引そのものについての評価でございますが、私といたしましては、商品先物取引自体、重要物資の公正かつ適正な価格形成、さらにはリスクヘッジの場の提供、それから確かにハイリスク・ハイリターンではございますけれども、資産運用機会の提供といった機能を有しておりまして、我が国の経済社会の中で重要な産業インフラであるというふうに考えております。
第二番目は、さはさりながら、商品先物取引というのは、一つの資産運用の場ではございますけれども、非常にリスクが高い、そこに参加する一般個人に対しては十分な利用者保護が図られなければならないということでございます。
この二点を前提に御意見を申し上げたいというふうに思っております。
そして、その意見を申し上げる場合には、やはり、何と申しますか、昨年の五月一日に商品取引所法の改正が行われまして、非常に大幅な改正が行われたわけでございますが、その中でも、商品取引員による勧誘及び受託業務に関しまして新たな規制措置が盛り込まれておるわけであります。そういう内容について少し御説明をさせていただきたいと思います。
勧誘、受託業務に関しまして、顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘は行わないという適合性の原則の法定化、さらには受託契約に当たって、一般委託者に対する説明義務の法定化、さらに再勧誘の禁止及び勧誘に当たっての細かい規制措置が導入されておるわけであります。それに対応いたしまして、私ども日本商品先物取引協会においては様々な自主規制措置を講じたところでございます。
まず第一に、改正法や主務省が定めました商品先物取引の委託者の保護に関するガイドラインに基づきまして、適合性原則の厳正な運用や勧誘行為規制の強化が図られたことから、本会といたしましても、受託業務の適正化を図るために具体的に各会社が守るべき受託等業務に関する規則を改正をいたしました。それから、会社の内部規定でございます受託業務管理規則、これを各社定めておりますが、こういう受託業務管理規則の制定に関するガイドラインを改正し、また勧誘規制あるいは適合性審査、説明義務の履行に関する受託業務管理規則の改正のためのマニュアルを策定いたしました。事細かに実際のそういう勧誘及び受託業務の実施に当たる職員の行動についてきめ細かく決めるというような指導をいたしたところでございます。
それから、そういう法規制及びそういう自主規制規則につきまして、その徹底を図るために会員企業を対象とする説明会を開催いたしますとともに、経営幹部のセミナーあるいは総括管理責任者に対する研修、営業幹部に対するセミナー、それから登録外務員の講習会等を開催をいたしまして、会員企業の経営幹部、社内管理責任者、営業担当の役員、部長、支店長、営業幹部三役から登録外務員に至るまで、あらゆるレベルにおいて新たな規制措置の徹底を図るべく研修を行ったところでございます。
さらに、いわゆる委託者保護という観点から、会員の営業広告についても、既に自主規制といたしまして、いわゆるリスクの説明をきちっとすることとか、あるいは商品取引員の顧客相談窓口の明示、さらには当協会の相談センターの紹介を必ず入れてもらうということにするとか、そういうような広告の規制も実施をいたしたところでございます。さらに、そういう結果、商品先物取引のリスクにかかわる注意喚起というのは相当徹底されたんじゃないかと思っておりまして、当協会の相談センターについても多くの理解を得て苦情相談が相当幅広く集まるようになったと理解をしております。
それから、当協会の相談センターの紹介パンフレットを全国の消費生活センターに配付をいたしますとともに、各地の消費生活センターと当協会との間の情報交換も密にいたしまして、消費者の保護の徹底を図るようにいたしたところであります。
これらの活動によりまして、各地域の消費生活センターを経由して当協会へ寄せられます苦情とか問い合わせも増加をしてきておりまして、それに対して私どもの方で専門的な立場から円滑かつ迅速な解決を図るようにしておるところであります。
それから次に、会員及び役職員の受託等業務に関する指導等でございます。会員企業に対する指導も大いに徹底をしております。そういう指導のための強化策を具体的に作りまして、個別企業の指導を徹底をしております。その結果、約三十三社に対しまして受託等業務の適正化の観点から必要とされる指導等を行いました。また、十七年度だけで三社に対しまして過怠金徴収という形での制裁も行ったところでございます。
それから、会社の役職員に関しましても、具体的に苦情のあった役職員について調査をいたしまして、約七十二名については個別に指導をし改善を求めたところでございます。また、十七年度だけで、五名の外務員については外務員登録の拒否等の処分をいたしたところであります。
さらに、あっせん、調停におきましては、私ども多くの弁護士の方々を中心とするあっせん・調停委員を委嘱しておりまして、具体的な紛争の解決を図っております。これによって、裁判外紛争処理としては相当の効果を上げているんではないかというふうに理解をしております。平成十七年度におきまして、あっせん二百八件、調停五十件について受付をしております。そして、あっせんの受付件数二百八件ございますが、実はその三分の二は改正法施行前に発生した案件であるということもまた事実であるわけでございます。
こういう様々な活動の結果、それなりの成果が上がっているというふうに考えているわけでございまして、これはよく言われておりますが、国民生活センターが集計した相談の件数、平成十六年度には七千件超ございました。十七年度には四千件超にまで減少したということであります。まだまだ水準は高いかもしれませんが、これだけ多く減ったのもまた事実でございます。
ただ、当協会に寄せられる苦情というのは、実は国民生活センターから回されてくるものも含めまして、平成十六年度の百九十一件から十七年度には二百十九件に増加をいたしましたが、これは、先ほども申し上げましたとおり、当協会の苦情処理なりあっせん、調停の寄与に関するPRが効果を発揮して、当協会に多くの苦情が集まってきたというふうに前向きに評価をしているところでございます。
それから第二に、当協会の会員たる商品取引員の数は、平成十六年度末の九十六から十七年度末には八十六に、現在は八十三ということで大きく減少をしております。すべての企業がそうではございませんけれども、法令遵守の面で問題のある企業が商品先物取引の世界から退出せざるを得ないというような状況になってきていると言っても過言ではないかというふうに思っているわけであります。
それから第三でございますが、最近の商品先物取引業界の経営状況を見てまいりますと、平成十七年度の商品先物取引の出来高は前年度に比べまして二〇%減少しております。その結果、会員企業の経営状況は大きく悪化いたしまして、十七年度の決算見通し、まだ正確な数字は出ておりませんが、概況を見てまいりますと、おおよそ半数に近い企業が赤字という状況になっております。さらに、外務員の数、これも十六年度末の一万四千人から十七年度末に一万一千人ということで大きく減少しているところでございますから、これも改正法の規制に伴う規制強化が一つの大きな要因であろうというふうに思っております。
それから第四に、会員企業の姿勢も大きく変わったように見受けられるわけであります。法令遵守をしなければもう経営ができないと。そういう意味で、法令遵守に対し真剣に取り組みつつあるということが言えると思います。ただ、当協会といたしましても、まだ一層の改善努力が必要と考えておりまして、今後の一層の指導強化等によりまして、勧誘及び受託業務の適正化に向けて改善が期待できるというふうに考えているところでございます。
以上のような点を踏まえて、現在の御審議のなされております商品取引所法の一部改正部分について御意見を申し上げたいと思います。
一般論として申し上げますと、商品先物取引業界におきましては、昨年五月に施行された改正法の遵守徹底に全力を挙げて取り組んでいるところでございまして、そこに更なる規制が加わることについては、業界にとっては大変厳しいものがあると言わざるを得ません。それは事実かと思います。業界サイドとしては、昨年実施に移した規制が定着するまでの間、新たな規制の導入は待ってもらいたいというのが偽らざる気持ちだと思います。しかしながら、現在の商品先物取引業界に対する社会的評価を踏まえ、商品先物取引業の将来というものを考えた場合には、現在審議中の法案に盛り込まれている内容については真摯に受け止め、法案が成立すれば、その着実な実施を図っていかなければならないというのが基本的な考え方でございます。
具体的に若干のコメントを申し上げます。
まず、商品取引員の広告規制でございますが、これは既に自主規制としても実施をしておりまして、法律において具体的に規定されることについては、適切なことであり、十分対応可能というふうに考えております。
次に、損失補てん措置でございます。商品取引員の受託業務の公正の確保と、それから法規制の遵守を徹底するという上で必要な措置と考えておりまして、商品先物取引においても避けて通ることはできず、導入していかなければならないというふうに考えております。
ただ、改正後の商品取引所法第二百十四条の二第三項において、事故の確認の方法等についての規定がございます。そこで省令で具体的に決めるようになっているようでございますが、法律が成立した場合には、実態を踏まえ、十分実効性が上がるような形で対応する必要があるというふうに思っておりまして、十分慎重に検討していただく必要があると考えております。
その他の勧誘規制の強化につきましては、法案が成立した暁には、当協会といたしましても、その実効を確保すべく全力を尽くす覚悟でございます。
以上、現在御審議中の商品取引所法の一部改正に対する意見を申し述べた次第でございますが、最後に一言申し上げますと、当協会といたしましては、商品先物取引に対する社会の厳しい指摘を踏まえまして、個別の指導を始め様々な手段により、法令の遵守の徹底による受託業務の適正化と委託者保護の徹底に全力を挙げているところであり、その点につきましては何とぞ御理解を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
以上をもちまして、私の意見表明とさせていただきます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/52
-
053・池口修次
○委員長(池口修次君) ありがとうございました。
次に、吉川参考人にお願いいたします。吉川参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/53
-
054・吉川満
○参考人(吉川満君) 株式会社大和総研執行役員・資本市場調査本部長の吉川満でございます。
日本の金融市場を今正に激動の波が襲いつつあります。五年前に通用したことが全く通用しなくなっていることも珍しくないのも金融市場の特徴でございます。
このときに当たって、折しも、証券取引法等の一部を改正する法律案が三月十三日、国会に提出され、五月十六日には衆議院を通過しました。現在、正にこの参議院において審議中ということでございますが、総じて審議は順調に進んでいる模様で喜んでおります。
証券取引法は、戦後間もなく、米国の法制を参考に我が国に導入された法律ですが、その後、時代の変遷の中にあって、現在では実社会の中で現に起こっている現実を規制するのに困難を生ずる面が多々見られるようになってきました。代表的な例は、我が国でも敵対的MAが現実に起こるようになってきたということです。
昨年はまだこのトレンドは一時的なものではないかと考える向きもあったようですが、MAの波は今年になっても一向に収まる気配は見えません。今年に入ってからの新聞は、毎日何かしらの敵対的MA関係の記事でにぎわっています。やはり、これまで世界の証券市場の例外であった我が国においても、ほかの先進主要国同様、敵対的MAが定着したのだと考えざるを得ません。
これまで敵対的MAがなく、それに対処する法律、制度もなかった我が国では、従来の制度のままではとても適切な対応を取ることができません。この敵対的MAの定着という一点から見ても、我が国の法制度は大きな対応を迫られることになるのです。
ちょうどこんな時期に審議が行われることになった証券取引法等の一部を改正する法律案ですが、一読して、敵対的MAを乗り切るために欠かせない内容が三点も盛り込まれていることに私は驚きました。
第一は、公開買い付けと株式の大量保有の開示に関する規制の見直しです。昨年来、ライブドア、村上ファンド、ドン・キホーテ等の企業若しくはファンドが、市場外取引あるいは立会い外取引を市場内取引と組み合わせて株式取得を行い、本来必要な公開買い付けを回避した疑いが持たれております。しかも、こうした公開買い付け回避行為は、違法の可能性が強いとされながらも、はっきりと違法と断定はされず、投資家にとっては極めて困った存在となっていました。
申し上げるまでもなく、公開買い付け制度の本来の目的は、会社の支配権の移動を伴うような株式の大量取得行為が行われます際に、一般投資家が適切な投資判断を行うために必要な情報開示を担保するためのものであります。言い換えますと、買収者と一般投資家との間に生じます情報の格差、情報の非対称性を悪用した不平等、不公正な取引が行われることを防ぐためのものでございます。
このような制度趣旨に照らしますと、公開買い付けを意図的に回避する行為は、十分な情報開示を行わないまま不透明な形で会社の支配権を獲得しようというものだと言うことができます。その意味では、投資者保護上、極めて問題が大きいと言わざるを得ません。本来であれば、現行法の下でも、制度趣旨に照らして不適切な公開買い付け回避行為を取り締まることが望ましいと申せましょう。しかし、我が国の厳格な罪刑法定主義の下においては、それが現実には難しいこともよく理解できます。その意味では、常時、公開買い付け制度の見直しを行い、制度の抜け穴をふさぐことが重要となります。
昨年の証券取引法の改正におきましては、一定の立会い外取引を公開買い付け規制の対象とすることが明確化されました。これに続きまして、今回の法案におきましても、市場外、市場内を組み合わせた一連の株式買い付け行為を公開買い付け規制の対象とすることが明文化されております。これらの対応は、公開買い付け制度について不断の見直しを実践し、速やかに制度の抜け穴をふさぐという点で評価できるものと考えております。
また、大量保有報告書についても様々な問題が指摘されております。
上場会社株式をだれが大量に保有しているのかという情報は、投資家の投資判断にとって大変重要な情報でございます。その会社の経営に対してだれが影響力を持っているのかを見ることができるからです。
そこで、証券取引法では、原則として、上場会社の株式の五%超を取得した者は五営業日以内に大量保有報告書を提出することを義務付けております。これは、上場会社株式の大量保有という重要な情報を投資者に対して迅速に提供して、市場の公正性、透明性を高め、投資者保護を図る目的であることは申し上げるまでもございません。
ところが、この大量保有報告書制度には特例報告という例外が設けられております。つまり、証券会社や機関投資家などについては、基本的に三か月ごとの基準日ベースで報告を行えばよいという簡便法が認められているわけです。これは、証券会社や機関投資家は日々ディーリングやトレーディングで大量かつ反復的な売買を行っております。こうした売買は、取引規模は大きいものの、一般に企業の経営権の取得などを目指すそういうものではございません。これを、取引の都度報告を求めるとすると、業者にとって事務負担が重くなるばかりでなく、逆に様々な憶測を生んで市場に悪影響を及ぼしかねません。こうした点を考慮して設けられたのが特例報告制度です。
ところが、近年、この特例報告制度を、本来の趣旨に反して、自らの株式の大量買い付け行為をカムフラージュするために悪用しているのではないかと疑われる事例が見受けられるようになってきました。特に、いわゆるファンドなどがMAに関与するケースに多いように思われます。仮に、こうした行為がMAに際して意図的に行われると、一般投資家は十分な情報が開示されないまま、保有する株式を売却すべきか継続すべきかという重要な投資判断を迫られることになってしまいます。
もちろん、現行法でも、会社の事業活動を支配することを目的とする場合には特例報告の利用は禁止されております。しかし、会社の事業活動を支配することの定義が必ずしも明確ではないことから、目的はあくまでも純投資という言い逃れを結果的に許してしまっているのが現実と申し上げざるを得ません。
こうした目的について、法案では、会社の事業活動を支配することを目的としていなくても、会社の事業活動に重大なる変更を加え、又は重大な影響を及ぼす行為として政令で定めるものを目的とする場合には特例報告を認めないとしております。政令の内容にもよりますが、従来よりも厳格な運用が可能になるものと期待しております。
また、法案では、特例報告の報告頻度を現行法の三か月ごとから毎月二回以上に大幅に高めることとしております。これによって、特例報告が認められる場合であっても株式の大量保有状況の開示はより透明性が高まるものと期待されます。
確かに、報告頻度が高まることによって、証券会社や機関投資家などはコスト負担を強いられることになります。しかし、我が国の証券市場の公正性、透明性を向上させるためには、ある程度やむを得ないのではないかと個人的に考えております。
公開買い付け制度と大量保有報告書制度の見直しは、いずれもタイムリーかつ必要な改正でございます。投資者保護の観点からも、是非早期の実現をお願いしたいと考えております。
第二は、ファンド規制の整備です。
法案では、集団投資スキーム持分についてはこれを有価証券とみなすものと定めております。集団投資スキーム持分の定義規定を拝見しますと、米国の投資契約についての判例であるハウイ基準を範とした包括的な内容となっております。その結果、いわゆるファンドは、組合であれ、匿名組合であれ、どのような形式を採用した場合でも、原則、金融商品取引法の規制対象に含まれ得るという方向性が示されたと理解しております。
これによって、アイドルファンド、ラーメンファンド、ゲームファンドといった各種ファンドの募集、販売、運用に対して、適切な投資者保護規制が整備されることが期待されます。ただ、この点は、既に諸先生方が御指摘なさっておりますので、ここでは繰り返しません。私は少し別の視点からコメントしたいと思います。
御存じのとおり、ファンド形態を採用すれば大量の資金調達を行うことができます。こうして集めた大量の資金を用いて、最近ではMAに積極的に関与するファンドも出現しています。もちろん、MAにファンドを活用すること自体は決して違法な行為ではありません。しかし、ファンドにはその実態が把握し難いものが多く、不適切なMAの隠れみのとして悪用される危険性があります。最近の新聞報道などで問題とされているのもこうした点だと理解しております。
法案では、ファンドに対して、原則、当局への登録を義務付けることとしております。適格機関投資家のみを相手方とするファンドであれば登録は不要ですが、この場合でも当局への届出が義務付けられます。これによって、当局がファンドの実態を捕捉することが容易になるものと予想されます。最近、特に問題となっておりますファンドを利用して違法な企業取得を行う行為に対しても、この法案の下では厳正に対応することが可能になると期待しております。
第三に、証券取引所の自主規制機能の独立性確保です。
今日では、MAの対象は一般企業に限られるものではありません。証券取引所もMAの対象となり得るのです。最近の米国、英国の動きを見ますと、取引所の世界覇権を目指す動きが活発化しております。まだ流動的な面はありますが、NYSE、ユーロネクストを軸とした陣営と、NASD、ロンドン証券取引所を軸とした陣営に集約されつつあるように思われます。
こうした中、我が国の証券取引所も、国のアイデンティティーを確立し、自分の存在感を示すべく努力することが必要です。具体的には次の二点が求められることでしょう。
まず、システムをめぐるトラブルを二度と起こさないことです。そのためには、適切なシステム投資を行って信頼性の高いシステムを構築する必要があります。次に、将来的な国境を越えた証券取引所同士のMAに備えることです。そのためには、大局的な国際戦略を構築すると同時に、事態の変化にも柔軟に対応できる体制を整備する必要があります。
これらの問題に対処するには、いずれ証券取引所にとっては、その株式を上場して、市場を通じた資金調達を行うことが必要となるでしょう。ただ、証券取引所は自主規制機関としての公共的な役割も果たしています。したがって、証券取引所が上場する前提として、上場後も証券取引所の自主規制が適切に機能することは不可欠であると言えます。
金融商品取引法には、こうした証券取引所の自主規制機能の独立性確保についての規定も盛り込まれています。これは、今後予想される世界規模での証券取引所の再編に備える意味でも重要なことだと評価できます。
以上、公開買い付け規制・大量保有規制の見直し、ファンド規制、証券取引所の自主規制機能の三点について意見を述べさせていただきました。いずれも、我が国の証券市場においては喫緊の課題であります。その意味でも、是非、早期の実現をお願い申し上げる次第でございます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/54
-
055・池口修次
○委員長(池口修次君) ありがとうございました。
以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/55
-
056・中川雅治
○中川雅治君 自由民主党の中川雅治でございます。
参考人の皆様方には、大変お忙しいところ、貴重な御意見を拝聴させていただきまして、ありがとうございました。
それで、時間も限られておりますので、これから各党の先生方から商品先物取引についての不招請勧誘の禁止の問題についていろいろ御質問が出るかと思いますが、私も、与党の立場を踏まえてこの問題についてお伺いをしたいと思います。
今、山崎参考人の方から、この商品先物取引についての不招請勧誘というものが諸悪の根源だというお話もありましたし、営業の自由というようなことであれば、それは自由の名に値しないというような大変厳しいお話を承ったわけであります。そして、昨日の池尾和人参考人の話でも、元本が保証されているもの、それから、元本は保証されていないけれどもその損失が元本を毀損していくその範囲内で収まるものはともかく、元本を大きく超えて損失が生ずる可能性のあるそういうリスクのある商品については、一般投資家については不招請勧誘は禁止すべきであるという御意見が述べられました。
私も、そうしたお話を聞いておりますと、もう本当に単純に胸に率直に響くわけでありまして、非常に納得的なわけであります。しかしながら、本日、坂井参考人のお話を伺っておりまして、この辺のところに対する十分な反論というものをまだお聞かせいただいていないように思うわけであります。
確かに、昨年五月一日の商品取引所法の改正の結果、適合性の原則をきちんと守る、説明義務も法定化されたし再勧誘も禁止されたと。日本商品先物取引協会におかれましても、そうした改正に伴って、ガイドラインを作ったり、あるいは研修やセミナーを開かれる、あるいは会員の会社の個別指導もされるということで、それなりに努力をされておられるということは十分に認めるわけでありますけれども、そもそもこの不招請勧誘を禁止するということがなぜ困るのか。
恐らく、私も含めて、不招請勧誘の電話があって迷惑でないと思う方はまずいないと思うんですね。しかし、私も休みの日などに家におりますともう電話が掛かってきます。何か緊急の電話かなと思って取ると、不動産だとかマンションのどうのこうのというような電話でありますが、電話を掛けている方もそれなりに仕事として一生懸命やっているんだろうと思うからがちゃんと切ったりは私はいたしませんが、しかしやっぱりだれでも迷惑なわけです。
特にこの商品先物取引ということになりますと、弁護士会の方が言われましたように、そこからいろいろな被害が生まれてくるというようなことでございますので、やはりこの不招請勧誘の禁止を導入すべきだという声がこれは非常に高まっていることは私は事実だろうと思いますし、当委員会の議論の流れもそういうふうになっていると思うわけであります。
そこで、端的に坂井参考人にお伺いしたいと思いますが、不招請勧誘を禁止されたらどういうふうに困るのか。それから、そうすると会社が成り立たない、立ち行かなくなるということであれば、それじゃ不招請勧誘で会社が成り立っていたのかということにもなるわけですから、それはちょっと説得的でないと思いますので、そこを、なぜ不招請勧誘の禁止をされたら困るのか。いろいろこういうことをやっていますよという話でなくて、不招請勧誘の禁止をされたらなぜ困るのかというところに的を絞ってお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/56
-
057・坂井宏
○参考人(坂井宏君) ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げたいと思います。
確かに不招請勧誘の禁止について声が非常に高いということは私どもよく承知をしているところでございますが、先ほど申し上げましたとおり、昨年の五月の法律改正で相当厳しい措置が導入されているわけでございます。
じゃ具体的にどうしているかをちょっと御説明をさせていただきたいと思うんですが、今の法律及び主務省のガイドラインにのっとれば、取引の外務員というのは電話なり訪問なりにしましても、参りまして、まず自分の名前を名のり、今回の電話なり訪問の趣旨を説明して、商品取引の勧誘でございますと言わないといかぬわけであります。それで、もういいよと言われれば、そこでもう退かざるを得ないと。それから、じゃ分かりましたと、聞きましょうというところになって初めて商品取引についての内容の説明に入れると。それでも、いや、私やんないよと言えば、もう二回、再度同じ人に勧誘はできないと。
相当厳しい措置ではないかというふうに思っておりまして、言わば電話をすること自体もいかぬ、訪問もいかぬというところまで言われるといかんともし難いのでございますけれども、それ以外にもいろんな勧誘の電話等あろうかと思いますが、商品取引においては、むしろそういう意味で本人が全く関心がないと言った途端に勧誘する行為そのものに入れないという状況にあるのも事実でございます。
そういう非常にきめ細かな、言わば勧誘規制措置がもう既に導入されていると。したがって、私ども、一般の国民の方々に御迷惑を与えないようにするためにはそれをいかに徹底するかであるというふうに思っております。先ほども申し上げましたが、この業界、今八十三社でございますが、一万一千人ぐらいの外務員がいるわけでありまして、そこに鋭意、徹底を図るべく努力をしているところであります。
ただ、御案内のとおり、人間、なかなか習い性というのがありますから、すぐにそれがなかなか徹底できないのでありますが、もう具体的に個別に問題のあるところは、私ども個別に呼んで随分注意をしてやるとか、会社にも注意をするとかいろいろやって、徹底を図ることによって不愉快な勧誘がなされないようにということで努力をしているところでございますので、その点を是非御評価いただきたいと。そこまでやっているわけであります。ということが第一点でございます。
それから第二点は、じゃ、今、中川先生から御質問がございましたが、じゃ、不招請勧誘の禁止が導入されたら何がどういうことになるのかという点でございますけれども、これはなかなかお答えが難しゅうございます。
想像の域を出ない部分もあるんですが、業界の中でどういうことを言われているかといえば、もしこれが導入された場合には、現実問題として今の商品先物取引業界におけるいわゆる委託者というのは相当部分が勧誘によって入ってきているのは事実でございまして、それがもし電話を掛けたり、訪問して勧誘することができないとなるとすれば、相当程度委託者の数は減少せざるを得ないであろうなというふうに思っております。
大体今十一万人ぐらいがこの商品取引の委託者の数でございます。それで、大体毎年七万人ぐらいが新たに入ってきている、同数ぐらいが退出をしていると、そういうような形になっております。三、四千人が恒常的にやっておられる。その中でも多分本当にプロの方というのはそんなにいないとは思いますけれども、そういう状況でございまして、そうなりましたときには、多分、不招請勧誘が導入されれば業界の今の相当部分の企業というのは相当厳しい立場になるであろうと。そうなったときに、これはどうなるか。絶対そうなるとか言えるものではございませんけれども、今の日本の商品先物のシステム自体きちっと機能するのであろうかと、その辺についての危惧を抱かざるを得ないというところでございます。
御案内のとおり、商品先物市場自体はこの今の経済社会の中で証券市場、金融市場とともに産業経済活動の重要な要素を成すものでございまして、これはアメリカ、イギリス等ヨーロッパにおいても同様でございますが、そういう機能について日本においてやはりきちっと機能させていくことが必要ではないかというふうに私は思っているわけでございます。
そして、ここに参画している企業、やっぱりきちっとやっておられる企業も結構あるわけでございまして、そういうものも含めて一緒くたにした議論もどうかなと。やっぱりきちっとやっておられる方によってきちっとした商品先物のシステムがワークするような形にしていかなきゃいかぬと。
そういう意味では、やはり現在、昨年の導入された規制を徹底することによって何とかそういうものを達成していくことが必要ではないかというふうに私は思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/57
-
058・中川雅治
○中川雅治君 今、委託者が七万人とおっしゃいましたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/58
-
059・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 十一万人大体おります。毎年、大体十一万人ぐらいでございます。毎年七万人ぐらい新たな委託者が参画されて、やっぱり同数ぐらいが退出をされていくというような構造になっているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/59
-
060・中川雅治
○中川雅治君 そうしますと、先ほどのお話で、外務員が一万四千人ぐらいおられたのが一万一千人ぐらいに減られたということでございましたが、毎年七万人ぐらいの方が入って同数退出されるということですが、その外務員と新たに入ってくる委託者の数を比べますと、相当外務員の数が多いような印象を受けたわけであります。
それほどやはり大変な思いをされて、大変な労力を使われてこの商品先物の世界に一般の投資家を正に勧誘していくという姿なのかなと思うわけでありますが、やはり本来これはプロの方の商品であり、またそれぞれの事業をやっておられる方がそのリスクヘッジをするための産業インフラであるということは認めるわけであります。
ですから、そういう意味で、何か一般投資家に対しての商品ではそもそもないような気がするわけでございますが、その辺はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/60
-
061・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 御指摘の面、そういう声も非常に強いということも十分承知はしております。
さはさりながら、やはりアメリカでもそうでございますけれども、商品取引のマーケットがきちっと機能していくためには、やはり一般の投資家の方々も参画して、より大きな規模で行われることによって初めて適正な、かつ公正な価格形成がなされていくというものではないかというふうにも思っておりますし、やはりこれは、考え方かと言われればそうかもしれませんけども、やはり一つの重要なハイリスク・ハイリターンの資産運用の機会でもあって、そういうものについて全く事実上参画がしにくいような形にしてしまうのもいかがなものかなというふうに私としては考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/61
-
062・中川雅治
○中川雅治君 ありがとうございました。
弁護士会の方からは、私の方にも各地の弁護士会から意見書がもう多数寄せられております。今日もお話を承りまして、弁護士会のお考えは私も十分にもう認識いたしております。それと、今、坂井参考人のお話を改めてお伺いしたわけでありますが、最後に吉川参考人に、市場の専門家としてこの問題についてどうお考えか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/62
-
063・吉川満
○参考人(吉川満君) 我が国の金融証券市場では、今大きな言葉として貯蓄から投資へと、そういうスローガンがあります。単に貯蓄というんじゃ、これが預金になって、企業に行っても貸し借りになってしまって、そういうお金であって、なかなか、ダイナミックに企業の成長を支えたり、そういうお金にはなりにくいと。貸し借りのお金であっては企業の格付も良くならないと。こういうお金を、言葉はリスクマネーなんですけれども、リスク分散がしてあって、マネージできるような、そういう仕組みのお金に変えて、企業の体力も高め、個人の収益も高め、そういう方向に持っていくこと、そういうことを試みております。
そういう中で、実際に個人の人に売る場合、どういうふうに考えるかという問題なんですが、個人投資家は従来から余りそういう投資は行ってこなかったんですよね、貯蓄はやってきたかもしれないけれど。そういう人が新しく貯蓄じゃなくて投資をやるという場合には、なかなか何を選んだらいいか分からない、どこにアクセスしたらいいかが分からない、そういうのが実態なんですね。そういう個人投資家に、国全体が目標にしているような新しい投資商品、金融商品に目を向けてもらうためには、やっぱりだれか自分から情報を提供する人がどうしても必要なんじゃないかと思います。
不招請な勧誘を始め、勧誘にはそれにリスクが伴うことは分かりますけれども、やっぱり勧誘にはその反面メリットもあるわけで、このメリットを捨ててしまう手はないんじゃないかと思うわけです。個人投資家がいろんな金融商品の存在を知って、その特性を知って、じゃ何を選んだらいいか、そういう段階までいくためには、実際には勧誘の形で提供される情報が機能していくことが多いんじゃないかと思います。
例えば、証券会社の商品でいうと、投資信託なんかはリスク分散もされていますし、そんなにリスク集中するものじゃありませんから、リスクの程度は低いと思うんですね。そういうところに現実に個人投資家も注目しているようになっていて、今年になってから投信の残高は随分増えています。
こういう状況を続けていって、本当に貯蓄から投資へ、これを駆け込みに終わらせないためには、さらに、現在も行われているような勧誘、これをある程度できる余地を残しておいた方がいいと。もちろん、再度の勧誘は禁止するとか、適合性の原則はこれを重視しなきゃいけないと、それは絶対でありますけども、そんなに、投資信託のようにリスク分散もして、リスクマネージできるということをいつも考えているような投資については、過度に神経質になる必要はないんじゃないかと、そんなふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/63
-
064・中川雅治
○中川雅治君 ありがとうございました。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/64
-
065・前川清成
○前川清成君 民主党の前川清成でございます。
参考人の三名の方々、どうも御苦労さまでございます。
冒頭、お願いがございます。限られた時間でございますので、どうか、私がお尋ねしたことにまずお答えいただきたいと思います。追加して理由の御説明等をいただきたい場合にはまた改めてお尋ねいたしますので、この点くれぐれも守っていただくようお願い申し上げます。
まず最初に、坂井参考人にお尋ねいたします。
坂井参考人の御経歴を、簡単で結構ですから、お聞かせいただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/65
-
066・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 私は、そもそもは通産省の出身でございます。その後、中小企業事業団、そして中小企業総合事業団を経て、直前、流通システム開発センターにおりました。その後現職でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/66
-
067・前川清成
○前川清成君 委員長にお願い、そして委員部の皆さんに抗議させていただきたいことがあります。
私、今日の参考人質疑に先立って資料をちょうだいしましたが、坂井参考人についてだけ経歴がなかったんです。それで、もしかして天下りの方かなと思いましたら、案の定、天下りの方でした。これ、役所と意図的に共謀されたのかどうか分かりませんが、山崎参考人や吉川参考人については詳細な経歴が添付されておりますので、この点、委員部には強く抗議申し上げたいと思います。
次に、坂井参考人にお伺いしたいんですが、日本商品先物取引協会、これ、会長は荒井さんという方で弁護士さんですが、この方は常勤ではありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/67
-
068・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 非常勤でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/68
-
069・前川清成
○前川清成君 常勤は坂井さんと、坂井さんが副会長、そして山口さん、この方が専務理事、お二人かと思いますが、山口さんもやはり天下りの方でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/69
-
070・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 山口専務は農林水産省の御出身の方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/70
-
071・前川清成
○前川清成君 山崎参考人にお尋ねをいたします。
先日のこの委員会の質疑で与謝野大臣が、損失補てんについてお尋ねしたいんですが、この委員会の議論で与謝野大臣は、損害賠償というのは、やはり相手方がなすべきことをなさないで被害を受けたという場合、損害賠償は当然できて、これは損失補てん、禁止されている損失補てんとは全く別のものですと、こういうふうにお答えになっています。
そこで、お伺いしたいんですが、この損失補てんと損害賠償が概念においてきっちりと峻別されているのか。特に、損失補てんの禁止という条文だけを金融商品取引法あるいは商品取引所法に入れた場合に実務に混乱が生じないのか。具体的に言いますと、被害者からの損害賠償請求に対して業者からの格好の口実を与えるのではないかな、こんなふうに思うんですが、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/71
-
072・山崎敏彦
○参考人(山崎敏彦君) 前川委員のおっしゃるとおりだと思います。損失補てんも損害賠償も、業者の側から被害者に対してお金が支払われるということにおいては全く同じなわけであります。よく調べてみて、それが損害賠償に基づくものなのか、そういうものが全くなくお客さんを呼ぶための損失補てんなのかということで、しっかり調べなければいけないということになります。それはよく分からないし、ごまかされてしまってはいけないということで、損失補てん、違法な損失補てんでないというならば裁判を経なさい、あるいは一定の機関の確認を経なさいということになっておるわけで、正に法律もその区別を峻別しなければいけないということで規定されていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/72
-
073・前川清成
○前川清成君 坂井参考人にお伺いをいたしたいと思います。
先ほど、坂井参考人御本人からもお話がありましたが、私もまとめさせていただきましたところ、二〇〇五年の、これは日弁連が出しております先物被害白書をまとめたんですが、期首の委託者数が十万八千二百六十四名、ざっと参考人おっしゃったとおり十一万人です。新規の委託者数が七万四千六百四十九人。ところが、期末の委託者数が十一万一千五百十三人と。参考人もおっしゃったとおり、およそ七万人の方が新しく参加をされて、七万人の方がやっぱりやめていかれる。
十一万と七万の違いはありますけれども、ほぼ一年間で委託者が入れ替わってしまう。これはどうしてなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/73
-
074・坂井宏
○参考人(坂井宏君) これまで確かにそういう実態がございました。それは多分、なかなかこの商品取引自体、非常に難しい取引であり、ハイリスクであることは確かでございまして、その面で、実際にそこに参加された委託者の方々がなかなか継続ができなかったというケースが多いからだろうというふうには思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/74
-
075・前川清成
○前川清成君 今、委託者の方がなかなか継続できなかったと、こういうふうに御答弁されましたが、それは委託者の方々が損をされたと、こういうことでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/75
-
076・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 具体的に、それがすべてかどうかは申し上げられませんけれども、損をした方も相当おられるというのは事実だろうというふうに想像いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/76
-
077・前川清成
○前川清成君 外務員さんの数についてお伺いしたいんですが、やはり日弁の先物被害白書によりますと、二〇〇五年ですが、期首の外務員数が一万三千四百十四人、新規で四千八百三十九人が登録をされたけれども四千五百五十三人が登録を抹消されたと、こういうふうになっています。
全体で一万三千人。五千人が入ってきたけど五千人が辞めていく。これはどういうところに原因があるとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/77
-
078・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 私ちょっと、今申し述べられました数字についてはちょっと把握をしておりませんけれども、確かに傾向として、新たに外務員になられる方、それから外務員から外に出ていかれる方、あるのは事実でございますが、実態として、この業界の中で、統計上、一回ある会社から離れられましても別の会社に移られるというケースも随分あるものでございまして、何といいますか、それごとに登録、抹消、登録ということをやっておりますから、すべてが業界の外に出ていったというわけでもないというふうに思っておりまして、むしろ、結構中でほかの会社に移っておられるケースも随分あるんじゃないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/78
-
079・前川清成
○前川清成君 次の質問に移らさせていただきたいんですが、先ほど中川委員の方から、与野党ともこの不招請勧誘禁止がこの委員会の流れになっているという大変力強いお言葉を賜ってうれしく思っているんですが、それに対するちょっと坂井参考人の御答弁が分かりにくかったんです。
るる述べておられましたが、その中で、厳しく指導はしているんだけれども、人間習い性があってなかなか徹底できない、こういうふうにおっしゃいました。この厳しく指導しているけれども人間習い性があってなかなか徹底できない、この点を、何が徹底できないのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/79
-
080・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 私が申し上げましたのは、やっぱりずっと一定のやり方で業務をやっておりますと、人間なかなかそれを変えるのには相当の努力が要るということを申し上げたわけでございます。ちょっと表現が悪かったとすればおわびを申し上げますけれども、趣旨としてはそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/80
-
081・前川清成
○前川清成君 先ほどのお言葉の中で、厳しく指導しているというのは何を厳しく指導しておられるのか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/81
-
082・坂井宏
○参考人(坂井宏君) まず第一に、各企業、やはり苦情の多い企業というのはあるわけでございます。そういう企業につきましては、私ども、状況に応じまして個別に管理担当者を呼びまして、状況を……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/82
-
083・前川清成
○前川清成君 指導の内容だけでいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/83
-
084・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 状況をお話しします。今の法律の規制の中身あるいは主務省のガイドラインの中身を徹底するようにということを厳しく言っております。場合によっては社長を呼んで徹底を図るように伝えております。
それから、外務員につきましても、例えば再登録とかの際とか、会社を変わって別の会社に登録する際には、その行状を見まして、苦情の多い外務員については、一体なぜそういうことをやったのかと、そういう理由を厳しく問いただして是正を図るように言っておりますし、場合によれば具体的な、先ほど申し上げましたとおり、制裁措置に踏み切っているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/84
-
085・前川清成
○前川清成君 今のお答えは、法令遵守について会社や外務員を厳しく指導しているけれども、それぞれ会社や外務員にこれまでのやり方があってなかなか法令を遵守していないと、ついては厳しく処罰せざるを得ない場合もあります、処分をせざるを得ない場合もあります、こういうお答えですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/85
-
086・坂井宏
○参考人(坂井宏君) そうではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/86
-
087・前川清成
○前川清成君 どういうことなの、じゃ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/87
-
088・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 私が申し上げておりますのは、新たな規制措置について徹底を図るべく、繰り返し繰り返し言うことによって今までのやり方を改めて、今の規制に合致するようにさせていこうということを指導しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/88
-
089・前川清成
○前川清成君 坂井さん、役人だから分かっていると思うけど、法令を守るのは指導しなくても守らなあかぬ、法律はできたら守らなあかぬのですわ。それを守らないから厳しく何回も何回も何回も指導しているというのは、法律を違反してます違反してます違反してますということでしょう。そんなうその答弁はやめてください、ここで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/89
-
090・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 何と申しますか、先ほど申し上げたとおり、大変多くの方がいらっしゃるわけでございます、業界の中にも。そこに、法令ができれば、それでもって、はいみんながそれを読んで徹底するというのはなかなか現実問題としては難しいということはもちろん先生も御理解いただけると思いますし、したがって、我々も繰り返し時間を掛けて会社及び外務員に対して厳しく今の規制を、新しい規制の中身を徹底させているのは、これは本当に何とぞ誤解ないように御理解をいただきたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/90
-
091・前川清成
○前川清成君 たかだか外務員一万五千人の団体で人数が多いから法律を守れない、そんな理屈はないんです。日本の人口は一億二千万人ですけれども、人を殺してはならないという法律あればみんな守っていますから。
あなたと議論しても仕方ないので次に進めますが、先ほど、中川委員の質問に対して、不招請勧誘の禁止になぜ反対なのかというような中川委員の質問に対して、不招請勧誘を禁止してしまったら委託者の数が減る、それが困ると、委託者の数が減るとこのシステムが機能しなくなってしまうと、だから一般投資家も参加してもらわなければならないというような御答弁がありました。
そこで、お伺いするんですが、この商品先物取引が坂井参考人のおっしゃるように産業インフラとして重要な機能を持っているにしても、それはプロの皆さん方でなされば足りることであって、プロの土俵に素人を引きずり込む必要はない、私はそう思いますが、参考人、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/91
-
092・坂井宏
○参考人(坂井宏君) これは、あくまで今日は私、意見を述べさしていただくわけでございますけれども、やはりこれは一つのマーケットの成り立ち、それから各国における現状等も含めてお考えいただく必要があるかと思いますが、やはり商品取引所につきましても、日本のみならず欧米においても、一般投資家も含めて参画をして、公正な価格形成なりリスクヘッジ等が機能しているというふうに私は理解しておりますし、そういう機能についてはやはりきちっと日本においても維持をしていくべきだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/92
-
093・前川清成
○前川清成君 先日のこの質疑で、与謝野大臣自身が商品先物取引というのはゼロサムなんだと、得をする人があれば必ず損をすると、こういうお話をされていました。
何十年もなさっているプロと、いきなり電話で勧誘されてやってきた全くの赤の素人、けんかをしてプロが負けることなんてあるんでしょうか、素人が勝つことなんてあるんでしょうか。そうであるとすれば、このマーケット自体がアンフェアな状態と言わざるを得ないと私は思いますが、参考人、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/93
-
094・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 商品取引自体は確かにレバレッジが大きくリスクが高いものであるのは事実でございます。これは一つのシステムとして確立したものでございますので、それについて御議論してもしようがないと思います。
それから、ただ、何といいますか、したがって、そのギャップを、いわゆる情報ギャップを埋める意味でここで説明責任、説明義務とかきちっと情報を提供するとか、そういうことが今回掲げられているわけでございまして、やはりそこは実際に勧誘をする外務員がもうちょっときちっとしたディシプリンの下に勧誘なり受託業務の実施に当たっていくことによって埋めていくというべきものだというふうに私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/94
-
095・前川清成
○前川清成君 例えばですけれども、あらかじめ個人投資家の方が、私は勧誘しないでくださいと、私は商品先物取引の電話は掛けてこないでくださいというふうに申し出ておられて、その人たちのリストがあるとする。そのリストに名前が載せられた人たちに対しては電話をしないんだと、こういう制度を設けたとしても、商品先物業者の側に嫌だと言っている人に無理やりに電話を掛けて勧める権利はないはずですから、私は営業の自由を何ら侵害することはない、そんなふうに思うんです。合理的な解決の方法として、嫌だと言っている人たちを登録してもらう、私は電話や訪問はしないでくださいという人を登録して、業者はそれに対しては電話を掛けない、このルールを確立するべきではないかと思いますが、参考人、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/95
-
096・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 現在、現状を申し上げますと、各企業とも再勧誘の禁止については極めて神経を使っておりまして、一回勧誘をして断られた方については社内で再勧誘をしないと、再度アプローチをしないということは相当徹底をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/96
-
097・前川清成
○前川清成君 今おっしゃる再勧誘というのはどういう状態を指すのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/97
-
098・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 各企業が、ある企業のある外務員が勧誘をして断られた場合に、同一社内においてはもはやその方には勧誘をしないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/98
-
099・前川清成
○前川清成君 その一つの会社じゃなくて、せっかく業界団体もあるわけですから、百五十何社しかないわけですから、その団体でデータを共有するようにしたらいかがかと、こういうふうに申し上げているんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/99
-
100・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 御指摘の点、極めて重要な点だと思っております。
ただ、やはりそのシステムをどうやって実効を上げるかという面につきましては、会員でございます各企業の理解を得るとともに、やはり相当の具体的なシステムをつくるとすればお金も掛かる問題でもございますので、そういう点も含めて十分検討をいたしたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/100
-
101・前川清成
○前川清成君 時間の都合で最後になりますが、坂井参考人もいらっしゃった経産省、そして専務理事もいらっしゃった農水省がまとめた資料によりますと、この商品先物取引に参加した投資家の八割は損をしていると、こういうふうに報告されています。先ほどどなたかが件数は減ったと、こういうふうにおっしゃっていましたが、それでも、国民生活センターに対する苦情や被害の相談だけで年間四千件もある。これ毎年、私にしてみれば、毎年、豊田商事事件が起こっているようなものだと思っているんです。この数多くの被害、投資した人の八割も損をする、これはもう投資と言わないんですよね。しかも、素人同士じゃなくて、プロと素人とやっているんですよ。で、八割が損をしているんですよ。この商品先物取引の危険性、あるいはマーケットの不健全性、どう思われるか。
そして、この被害を救済するには、私は、もはや素人は引きずり込まない、これしかないと思うんですが、素人を引きずり込まないために、不招請勧誘以外の方法があれば御教示願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/101
-
102・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 私といたしましては、先ほどから申し上げておりますけれども、今の我が国における商品先物取引というシステム自体は非常に重要なものであって、それをいかに国民の支持を得て十分機能する形に持っていくかというのが重要だと思っております。
その意味では、今の再勧誘の禁止、先ほど申し上げましたとおり、相当、再勧誘のみならず、具体的な手順を決めておるわけでありまして、これを徹底していけば一般の方々に御迷惑を掛けることはないだろうというふうに思い、それに向けて全力を尽くしたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/102
-
103・前川清成
○前川清成君 時間です。残念です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/103
-
104・山口那津男
○山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。
三人の参考人の方々には貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございます。
まず初めに、山崎参考人にお伺いしたいと思います。
この不招請勧誘の禁止というのが今回法律に規定されたわけでありますが、政令で特定した一部のものしか対象になっておりません。そして、商品先物取引については全く法の適用の対象外と、つまり政令で特定することすらできないと、こういう制度のつくり方になっているわけですね。
しかし、この不招請勧誘禁止を取り入れた分野、なぜこれを取り入れたかというと、被害の実態を見て行うというのが主たる理由であることは再三答弁に出てきているところであります。そうした場合に、この商品先物取引を見た場合に、この被害の実態、これが国民生活センターのしばしば引用される数字ですと、七千件の苦情相談レベルが四千件のレベルに落ちたと、苦情は減っているんだということがその不招請勧誘禁止を取り入れない理由の一つとして言われているわけであります。
しかし、本当に実態としてこの被害ないしは苦情というものが減っているのかどうかという点が定かではありません。弁護士会の一一〇番で行った実績、あるいは商品先物取引の協会の方でも苦情処理を行っていらっしゃると。そこの実数、こうしたものを見た場合に減っているかどうかという認識をまず伺いたいと思います。
それともう一点は、昨年は相談件数が一時的に減ったとはいっても、これは平成十二年の水準に戻ったにすぎないんですね。それ以前でも三千件、二千件とかなり高い水準にあります。
私も二十年ほど前、弁護士を現役でやっていたころに、やはりこの商品先物取引の被害というのはいろいろと取りざたをされておりました。その時期でもやっぱり一定のトラブル件数というのはあった、かなり多かったと、こういう認識だったわけです。
そういたしますと、昨年一年で四千件のレベルに減ったということが果たして被害が無視するに足るほど減ったということになるのかどうか、この点もまた評価が必要だろうと思います。
この二点について御意見をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/104
-
105・山崎敏彦
○参考人(山崎敏彦君) まず、被害の件数ですけれども、減ったというような情報もあることにはあります。しかし、例えば日商協への苦情が一四・七%増えたというふうに五月二十八日の日経新聞に書いております。それから、我々の一一〇番をしても、この五月の改正以降の事案に絞ってもいまだに同じような相談事案がたくさんありますし、数としてはむしろ増えているというような地域もあります。経産省は七千件の被害が四千件に減ったなどと言うんですけれども、最近ちょっと減ったとか減っていないとかいうようなことは余り問題ではないと思います。
長年株の運用をしてきたけれどもバブルがはじけて大損をしたとか、運悪く株を買っていた会社が倒産して大損をしたとかというようなことなら自己責任かもしれませんけれども、事先物取引については、二十年、三十年前からずっともうこの被害が問題にされ続けているわけですね。経産、農水あるいは協会はいろんな施策を講じて減らします、減らしますと、改善しましたと言っているんだけれども、その被害の実態は変わっていないと。こういう国会での議論も最近初めてこういうふうにしていただいているわけですけれども、ずっともう減らないというまま来ているということであると思います。
これまでいろいろやってきたけれども、不招請勧誘を禁止しなければ減らない。このままではいけないということが自民党、公明党を始め与野党の皆様方の一致した見解になっているということを目の当たりにしまして、私としては本当にもう感激の極みというところでございます。
是非、不招請勧誘禁止を導入して、この長年何ともできなかった先物取引の被害について、この委員会で抜本的な対策を打ち立てていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/105
-
106・山口那津男
○山口那津男君 国民生活センターや弁護士会やあるいは協会の相談件数四千件とか数百件という話でありますが。
実は、警察庁も資産形成事犯ということで取締りを行っておりまして、昨年の十一月に摘発された事件がありますが、これは一法人で九名の逮捕者が出ました。これは、商品先物取引に関する業法違反の事件でありますけれども、これで被害人数がこのたった一件で五百六十名と言われております。被害額は十六億八千万円。わずか一件でこれだけの被害者が出ている、これだけの被害額が出ている。ですから、氷山の一角だと私は思うわけであります。
ですから、いずれの機関に寄せられた苦情も、それもまた氷山の一角でありまして、かなりの被害がまだあからさまにならないで眠っていると、こう思われるわけでありまして、是非ともこの被害の実態というものをとらえて私は制度を打ち立てるべきであると、こう考えております。
さて、もう一点、山崎参考人に伺いますが、損失補てんの禁止という制度をつくったわけでありますが、これは、かねて弁護士会の方も、本来あるべき損害賠償の交渉すら妨げられる可能性があると、こういう懸念をお持ちだろうと思うんです。
そこで、今回の法制度では確認制度というのがつくられているわけでありますが、この運用の在り方が果たしてその弁護士会の懸念されるような弊害を消していくものかどうか、あるいは懸念は解消されないのかどうか、この点について御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/106
-
107・山崎敏彦
○参考人(山崎敏彦君) 先ほど、冒頭の私の御報告の中で、銀行法や保険業法など、金融商品取引法三十九条三項ただし書の規定が準用されない事案があるというふうに申し上げました。
そのように、損失補てんの規定を定めたからといって、必ず確認を経てからでないと損害賠償ができないということにはなっていないわけですね。現に多くの法令では確認までは必要としないということになっているわけですから、この先物取引についても確認が必要であるという制度を取らないようにするというふうにすれば損害賠償としては簡単にできるわけですから、裁判などを経たものでなくても違法でなくなるということで、損失補てん禁止の弊害というのは大幅に少なくなると思います。
次に、確認の制度がどうしても必要なんだとすれば、例えば消費者センターや弁護士が関与するものについては確認の制度の例外とするとか、あるいは、それらの諸機関が事後報告をもって確認に代えるというような制度をつくることによって大幅に事態は改善すると思います。ここは政令で定めるだけで済むわけですから、くれぐれも今回の法改正が先物取引被害回復の妨害にならないようにお願いしたいところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/107
-
108・山口那津男
○山口那津男君 次に、坂井参考人に伺いたいと思います。
業界としていろいろな努力を重ねているということは大変よく分かりました。そこで伺うわけでありますが、先ほど来、年間十一万件余りの取引があって七万人余りが出入りをするというお話でありましたが、そういたしますと、言わばプロとして恒常的にとか繰り返しこの取引をしている方というのはどれぐらいになるということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/108
-
109・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 今の数字から判断いたしますと、多分三千人から四千人の方がある程度の期間この商品先物取引をやっておられると思います。
ただ、申し訳ございませんが、本当にプロの方で継続してやっておられる方の数はちょっと分かりかねますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/109
-
110・山口那津男
○山口那津男君 そうしますと、三千人から四千人のレベルの人が恒常的な取引者であるということだろうと伺いました。
七万人の方がやめられていくと……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/110
-
111・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 済みません。一つ、間違えました。
申し訳ございません。差額でございますので、三万人から四万人の間違いでございます。申し訳ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/111
-
112・山口那津男
○山口那津男君 そうだろうと思って聞いたわけでありますが、じゃ、十一万から七万の差額が恒常的な取引をしている人と、こういう認識で、三万人から四万人ということですね。
それで、七万人の方がやめられていくということですが、これはなぜやめられていくと御認識でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/112
-
113・坂井宏
○参考人(坂井宏君) これは先ほども御質問ございましたけれども、やはりこれは相当リスクの高い商品でございますので、なかなか、場合によって損失を発生させ、それによって本取引を継続できないという方がやはり多いというのは事実だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/113
-
114・山口那津男
○山口那津男君 そういたしますと、三万人から四万人が恒常的な取引で、七万人の方は何らかの損失を被ってやめていくと。こうなりますと、このやめた七万人の方は、再勧誘したって当然取引するはずがありませんわね。つまり、こういう方々に対しては、再勧誘の禁止というのはやっても意味がないということになります。そうすると、今の十一万人余りの市場規模を維持するためには毎年七万人以上の方々を新規に勧誘しないといけないと、しかも再勧誘は禁止されているわけでありまして、恒常的取引者は三万人から四万人しかいないわけですから、あとの七万人以上はすべて不招請勧誘をしないと市場に取り込めないということになるんじゃありませんか。いかが御認識ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/114
-
115・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 今の業界の現状から見ますと、ほとんどがそういう形でもって、電話とか訪問によって勧誘をしているのが実態であることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/115
-
116・山口那津男
○山口那津男君 そうだとすると、七万人の方を毎年不招請勧誘しないと市場に取り込めない。しかし、せっかく努力して取り込んだのに、七万人近くの人がまた何らかの損を被ってやめていくと。これはやっぱり健全な市場として成り立たないということを数字の上で今、坂井参考人が証明されているということになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/116
-
117・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 今までの実態を見ますと、確かにそういう大きな問題があることは事実だろうと思います。
ただ、それを踏まえて、これまでも度々法改正がなされ、昨年の五月には相当厳しい規制がなされております。その中身は、繰り返しになりますが、やっぱり適合性の原則をきちっと適用するということと、それから説明義務をきちっと果たさせるということと、さらには勧誘において、先ほど申し上げましたとおり、不招請勧誘の一歩手前ぐらいのところまでやっているわけであります。ちょっと私は、こういう身分を名のり、それから商品先物取引の勧誘をしますがいいでしょうかと聞いて、駄目だと言えばそこで終わりなわけであります。そして、更に説明しても、私は関心ないと言えばもはやできないというくらいでございますので、これは、徹底することによって業界に対する評価も随分変わってくるんじゃないかというふうに期待し、私どもは鋭意業務に励んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/117
-
118・山口那津男
○山口那津男君 役所の説明でありますと、商品の現物取引に伴うリスクをヘッジするために商品先物取引があるという一方で、投資商品として先物取引があると、こういう説明なされるわけですね。しかし、この七万人もの不招請勧誘で加入される方々というのは、現物取引やそのリスクをヘッジするために加入される人はほとんどいないと思います。そういう方々は、やっぱり恒常的に三万、四万という中に含まれているんだろうと思うんですね。
そうすると、専ら、専ら投資目的で、投資運用のために、資産運用のために加入してくるとすれば、これは他の金融商品の規制と何ら異なる必要がないはずなんですね。にもかかわらず、この商品先物取引については不招請勧誘禁止をする法律そのものがないということはこれは全くおかしい話だと、こう思うわけであります。
さあそこで、今回の改正法が成り立ったとして、坂井参考人は、この苦情や被害の相談というのが目に見えて激減していくと、ここ数年のうちに激減していくと、こう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/118
-
119・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 先行きのことでございますのでこれはなかなか確たることは申し上げられませんけれども、御案内のとおり、先ほども度々言及されておりますが、十六年度から十七年度にかけまして国民生活センターに対する苦情が大幅に減ったと、この傾向が続くことを強く念願しておりますし、それに向けて私どもは鋭意努力をしてまいりたいというのが私どもの気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/119
-
120・山口那津男
○山口那津男君 私は、今度の改正法によっても商品先物取引分野についての効果はほとんどないと、こう認識をいたしております。
しかし、今、参考人が努力をして期待すると、こうおっしゃられるのであれば、もし今後、ここ数年のうちに激減すると、つまり十年前や二十年前の水準以下にこの苦情やトラブルの件数が減るという結果が出なければ、今回の改正法も皆さん方の運用の努力も全く意味がないということになるんだろうと思いますが、そういう認識でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/120
-
121・坂井宏
○参考人(坂井宏君) その辺については大変難しい御質問でございまして、私個人としましては、やはり商品先物取引自体の重要性を勘案した場合、それを生かすという意味では、何とか参画するプレーヤーである企業の仕事の仕方自体、それからそれを実際に行う外務員の仕事の仕方自体を適正化することによって、例えば証券業並みぐらいの水準に是非持っていくべく努力をすべきだというふうに私は思っております。
したがって、そういう方向でいかなければならないと思っています。それはなかなかお答えとしては難しいわけでございますが、気持ちだけ申し上げますと、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/121
-
122・山口那津男
○山口那津男君 次に吉川参考人にお伺いしたいと思います。
私、今ここに資料として、大阪高等裁判所、平成十六年八月三十一日の判決、事件番号でいいますと平成十六年(ネ)第八百十四号損害賠償請求控訴事件という判決書を持っているんですが、裁判所の認定した事実及び判断の中にいろいろ専門用語が出てくるんですね。これは商品先物取引に関する判例であります。
私は必ずしも専門家ではありませんので、この言葉の意味がよく分からないんですね。吉川参考人、例えば両建て、商品先物取引における両建てという言葉の意味はお分かりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/122
-
123・吉川満
○参考人(吉川満君) 私は証券会社系のシンクタンクの人間なので、商品取引のことは詳しくありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/123
-
124・山口那津男
○山口那津男君 それはもう当然のことかもしれません。
しかし、いやしくも金融のかかわるお仕事で高度な専門知識をお持ちの吉川参考人でさえこの両建てと、商品先物取引の両建てと、言葉を聞いてもよく意味がお分かりにならないわけですね。ましてそういう金融商品分野に全く経験、知識のない人が、いきなり不招請勧誘でいろいろ説明をされても到底私は理解できないだろうと思うんですね。
そういう点において、この商品先物取引、もう一つこの判決が指摘している部分があります。先物取引の特色として三つ挙げているんですね。一つは、仕組みが複雑で相場の予測も極めて困難であり、多額の損失を被る危険性を有すると。二点目は、委託証拠金によって実際に支払うに比して高額の取引が可能な制度があり、しかも取引の手数料が高く、相場の予想が的中しても手数料を差し引きすると損が出る場合があること。三つ目、限月というんですかね、があるため、相場の改善を待つとしても限界があるから、損を承知で決済しなければならない場面もあることなどの特色があると、こう判決は指摘しているんですね。
吉川参考人はこの判決の指摘を今お聞きになって、どういうことを言っているか、商品先物取引の特質についてお分かりいただけましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/124
-
125・吉川満
○参考人(吉川満君) 正確には分からないかもしれませんが、イメージは何となく伝わってきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/125
-
126・山口那津男
○山口那津男君 それが正直な感想かと。私も同感であります。
これ一見して、こういう説明をされても、イメージがぼやっと分かっても、実際の取引に自分の自主的な主体的な判断で選択をするということはかなり難しいだろうなと、こう思うわけでありまして、この商品先物取引については非常に規制が緩過ぎると私は感想を持つわけであります。
私の質問は以上で終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/126
-
127・大門実紀史
○大門実紀史君 先ほどから坂井参考人に質問が集中しておりますけども、私も坂井参考人にお聞きをしたいと思います。
別に坂井参考人個人を特に詰めるとかそういうことではございません。先ほどからお聞きのとおり、この委員会でかなりこの問題がなっているもんですから、業界の方の考えを直接聞きたいということでございます。
先ほど十一万人のうち七万人の出入りという話、私、事前に承知をしておりまして、要するに、与謝野大臣も言われましたけど、商品先物取引というのは、株の取引とかほかの取引とちょっと違う性格がございまして、やはりゼロサムゲーム的なところがございまして、だれかが得をすればだれかが損をすると。
どうも私は、その損をする人を、さっきでいえば七万人の出入りですね、どうしてもつくらなきゃいけない構造になりがちな、なっているとは断定できませんけど、なりがちな取引、マーケットであると。だれが自分たちはいつももうかって損する人をつくりたいかというと、皆さんというよりも、皆さんは扱う方ですけれども、取引を扱う方ですが、私は、実物を生産している、扱っている業界ではないかと。皆さんの更に石油業界とか実物業界があるんじゃないかというところまで思ったりしているところでございますけれども、そういうところがバックにあって、先物取引があって、自分たちが損しないように、価格ですね、で、損する人をつくっていると。そこに不招請勧誘の問題が出てきているというような気がして、うなずいていらっしゃいますけど、そう思うわけでございます。
私は、そういうマーケットでいつまでもいいのかと。商品先物というのは、私、全部否定はいたしません。外国で見ても、何も悪の業界とか、そういう意味では見ておりません。元々古い歴史がございますから、必要な部分もありますですよね。どうもゆがんだ構造になっているんじゃないか思うわけです。
ですから、本来あるべき姿に戻してもらう必要があると思っているわけですけども、そういう点でそもそも論なんですけども、なぜ商品先物について自分でよく知っていて自分で取引をしてみたいと、こういう人だけのマーケットであったっていいじゃないかと思うんですよね。なぜそれじゃいけないんでしょうか、坂井参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/127
-
128・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 基本的に、商品先物取引、いわゆる一定の証拠金を納めてその何倍の取引をするわけでございますが、非常に損した場合にはハイリスクであることは事実でございまして、ただ、そういうハイリスクの商品等、資産運用を望む方に対するそういう資産運用の場を提供する、それも一般的にどこにでもなされている形態であるわけでございますから、それをあながち否定すべきではないというふうに私は思っております。
問題は、結局、勧誘の仕方とか、実際にその知識のない方、引きずり込んでいるんではないかというような非常な大きな問題を生じないように、いかに勧誘のときにきちっと法令を守り、それから説明をきちっとしてやっていくかということであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/128
-
129・大門実紀史
○大門実紀史君 現場はそんなきれい事じゃありませんで、じゃ、お聞きいたしますけど、電話とか突然の訪問というのは何のためにやられるのかと。そもそも商品先物やりたかったという人を、まあ百人に一人もいないと思いますけども、見付けるために電話したり突然の訪問されるのか、それとも、まるっきりそんなこと考えてない方、あるいは商品先物ってちょっと危ないななんていろいろ思っている方、そういう人を説得するために電話したり訪問をされるのか。何の目的で電話、突然の訪問等をしなけりゃいけないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/129
-
130・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 各商品取引員企業もやはり株式会社でございますし、自分の事業を拡大する上では自分が商う数量を増やしていく必要がある、そのためには実際の委託をする方々を増やしていかなければならないと。委託をしていただく方々を増やすに当たって、一つの手段として一般の方々に電話をしたり訪問をして、こういう投資機会があるけれどもいかがでしょうかということを説明し、投資の場に入っていただくようなことをお勧めしているというのが実態だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/130
-
131・大門実紀史
○大門実紀史君 じゃ、ちょっとリアルな話をしないとどうもかみ合わないんですけど、皆さんおっしゃっていますけども、これはある先物を扱っている訪問の電話で勧誘するときのマニュアルでございます。こういうものがあるんですけどね、実際に使われているものですけれども。
例えば、いろいろおっしゃいますけども、再勧誘の禁止なんか、一回断られたら二度としないということを書いていますけども、例えばこのマニュアルなんかは、断られたら笑顔で聞き流しましょうと、つまり、断られたということを認識しないように、相手にも断ったという意識を持たせないようにと、こういうことがずっとやられているわけでございますね。
で、そもそも論でいくと、もうずっとありましたとおり大変リスクのある商品だと。もうこれ、取り上げれば大変なことが一杯書いてあります。リスク、説明全然しません。いかに買わせるかだけですよね。こんなことが行われているわけですね、この危ないリスクの高いやつですね。ですから、何といいますか、そもそものところの入口からという意見がずっと出てきているわけでございます。
もう一つは、先ほどちょっと言われて気になったので指摘はしたいなと思うんですけれども、これ以上規制を厳しくすると、つまり不招請勧誘を禁止するとマーケットがもたないと、商品先物市場がもたなくなるというふうな言い方をされましたけれども、ちょっと脅しっぽいなというふうに私思うわけですね。そういう言い方していいのかと思うんですね。
例えば、外国で不招請勧誘を禁止している国がありますが、商品先物市場ちゃんと存在しております。どうして不招請勧誘が禁止するとマーケットが駄目になるとかそんなことまで思われるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/131
-
132・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 先ほど申し上げましたとおり、これは非常に難しくて非常に確定的なことは申し上げられないという前提でございますが、今の日本の業界を踏まえて、業界の方々がこんな感じで、そういう気持ちでおりますということを申し上げたつもりでございますけれども、今申し上げましたとおり、やはり相当一般の委託者の方々が入って今成立しておりますから、それが新規が途絶えた場合には相当大変なことになるというのは事実だと思っています。
それで、本当に商品先物のシステム自体が壊れるかどうかということについてまでは私も確たるということは申し上げられませんけど、そういう危惧は抱かざるを得ないということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/132
-
133・大門実紀史
○大門実紀史君 ですから、最初申し上げた七万人の損する人をつくらなきゃもたない業界の今の構造だからそうなんですよ。もっと健全な、健全な商品先物の市場をつくっていくと。絶えず損する人をつくらないと業界も皆さんの商品先物の扱う人たちももたないような、そうじゃなくて、本来の日本の先物市場の健全な在り方を目指さないと、不招請勧誘で、もう山口先生から御指摘あったけど、不招請勧誘でもっているような構造になっているからそういう言葉が私はつい出るというふうに思うんです。そういうところは基本的な、根本的に考え直さないと、この機会にですね、業界の方は、そう思います。
私は昨日ここで質問いたしまして、この問題の根本には、本当に愚鈍な、経済産業省と農水省の愚鈍な対応というのは根底には天下り問題があるということを昨日の質問で申し上げて、失礼ながら坂井さんのお名前も昨日の私の資料に出させてもらって、山口さんも農水省出身と出させてもらって、もう御存じかと思いますけれども、これは別に個人的な攻撃するつもりはございません。どうしてこういう仕組みになっているのか、ちょっとお伺いしたいんですけれども。
坂井さんは、例えばこの協会の副会長、常勤者はお二人でございますよね。二人とも天下りといいますか官僚OBでございますよね。これは前からこういう仕組みなんですか、この協会は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/133
-
134・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 平成十一年に当協会、いわゆる商品取引所法に基づく法人として認可を受けましたが、それ以降はそういう形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/134
-
135・大門実紀史
○大門実紀史君 平成十一年から絶えず経産省OB、農水省OBで、どちらが何やるかは別として……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/135
-
136・坂井宏
○参考人(坂井宏君) さようでございます。それは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/136
-
137・大門実紀史
○大門実紀史君 それはだれが決めたんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/137
-
138・坂井宏
○参考人(坂井宏君) これは難しい御質問でございますが、実態を申し上げれば、それはそれなりの業界の方からそれぞれの監督官庁の方に相談をしながら、やはり当業界の実態にかんがみて、多分中立性の確保とかそういう物資に対する知識とか、そういうことを勘案してしかるべき人間を推薦したんだろうというふうに推測をいたしております。
なぜかといいますと、私はこれどうかという打診を受けて、いろいろ考えた、こちらにも選択権がございますから、考えた上で、やはり商品先物取引そのものは非常に重要なものだと思っておりましたので、非常に面白いんではないかと思ってお受けをいたしました。ただ、それは実際には当協会の総会、これは構成員は商品取引員でございますけれども、総会において承認を受けて就任をしているというのが規則でございます。そういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/138
-
139・大門実紀史
○大門実紀史君 それじゃ、坂井さん自身はどう思ってここへ座られたかは別として、この仕組みですよね、農水省、経産省の今のお役人の方々にとっていうと、先輩が業界の代表でおられる。取引所もそうなんですよね。取引所も大体トップが農水か経産の人なんですよね。そういう先輩がそういうところにいて、今の現官僚が、現職の官僚がこういう消費者の利益を守るか業界の利益を守るかとなったら、どうしてもやっぱりその先輩がいる業界の方に配慮するとか、自分たちもいつか行くかも分からないと。この天下りの構造が、私は、人間ならどうしても業界の方の意向は無視できないという立場に、天下り問題というのは大体そういうことですけれども、そういうふうになりがちなんですけれども、なりがちだと思うんですが、その渦中におられて全体をどういうふうに見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/139
-
140・坂井宏
○参考人(坂井宏君) この問題はちょっとこの場で私がお答えするような話かなという気もいたします。ただ、一つのそういうシステムができ上がってワークしているのも事実でございますし、それが問題かどうかについては、具体的に本当に問題があるかどうかで御評価をいただきたいというふうに私自身は思っているところでございます。
私自身について申し上げれば、役所の出身だからといって役所の言うことをはいはいと言うつもりもございませんし、役所にはきちっと物を言います。それから、基本的には当協会は役所の監督下にございますから、役所からの最終的な命令というのはそれは尊重するという前提になっております。きちっとそこはやっているのは事実でございますし、業界の方々についても同様でございまして、当協会に与えられた使命を達成すべき、誠心誠意やるというのは当然のことだと思っておりますし、今の、はっきり申し上げまして、天下り等に対する非常に批判の厳しい中、我々それぞれ身を律して職務に邁進しなければならぬというふうに強く考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/140
-
141・大門実紀史
○大門実紀史君 いや、あなたが役所にずけずけ言われるのは、そのとおりだと思うんです。それを、言うことを聞く方の役所の問題ですよね。それは、業界の方ですから、業界代表して言うのは、それは何言っちゃいけないということないんですよ。あなたは元々出身が経産省だから、そういう構造になっていることを申し上げているんで、むしろ役所がずけずけ言われたことを聞いちゃっているということの方が、指摘しているわけでございます。
これは、あれですか、何か三年間ごとに交代されるとか、そこまでもうなっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/141
-
142・坂井宏
○参考人(坂井宏君) そこまで明確なルールができているわけではございませんけれども、何といいますか、現実問題として私の前任者は専務で辞めておりますから、その後、私が副会長で参りました。農水省の方は六年ぐらいずっとおられますし、必ずしも明確なルールがあるというものでもないと思います。そのときの状況に応じて、例えば通産省の人間が副会長で、農水省の方が専務の座にあった時代もございます。それとなく、そういう状況、交代というような暗黙のあれがあるかどうかというようなことでございますけれども、基本的にはそのときの状況に応じて決めているものだと思っています、私は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/142
-
143・大門実紀史
○大門実紀史君 いろいろ率直にお話をいただきました。
山崎参考人、私はこの問題の核心がこういう天下り問題を含めた癒着構造にあるというふうに、議論を通じて、調べて思っているわけですけれども、その辺を被害者の方々と闘ってこられて、いかが思われますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/143
-
144・山崎敏彦
○参考人(山崎敏彦君) 私も天下りそのものが問題であるかというようなことは率直には分からないと言わざるを得ないんですけれども、国民の一人として見れば、これまで二十年、三十年、経産省、農水省にあれだけ被害者の声を届けてきたはずなのに、全く反応がなかった。今日まで、この委員会で取り上げていただいて初めてこういうふうに理解していただいたわけですけれども、これまで被害を出し続けてきた経産省、農水省の実態を見ればそういうこともあるのかなというのが国民の一人としての率直な感想でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/144
-
145・大門実紀史
○大門実紀史君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/145
-
146・糸数慶子
○糸数慶子君 無所属の糸数です。
三名の参考人の方にいろいろお伺いいたしまして、これから私がお聞きすることも重なることもございますけれども、せっかくのチャンスでございますので、改めてまた御質問させていただきたいと思います。
今、私の手元の方に沖縄弁護士会の会長の大城浩さんの声明がございます。五月二十五日付けで、金融商品取引法案に関する会長声明になっております。その内容は、大きく言いまして二点あります。第一点、不招請勧誘を禁止する規定を設けるべきであるということ。それから第二点、本法案に新たに商品先物取引に損失補てん禁止条項が追加されたことは到底容認できないという内容になっております。
まず、山崎参考人にお伺いいたしますが、先物取引被害全国研究会の代表幹事をされて意見書も提出されていらっしゃいますが、実際にかかわった事件を踏まえて、現行の制度の問題点、どう考えていらっしゃるのか、改めてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/146
-
147・山崎敏彦
○参考人(山崎敏彦君) 長年この事件を取り扱ってきて、勧誘のプロである外務員の手に掛かってしまうと、普通の人はもうひとたまりもないということであります。それまでギャンブルや浪費をすることなく、何十年とこつこつとお金をためてきて、質素に生活をしてきたサラリーマンのような人が先物取引をさせられて破産の一歩手前までされてしまうと。そういうことがごく普通にあるのがこの世界です。毎週三万円パチンコですってしまう人を軽べつしていた人、そういう堅実な人が突然の電話で何百万円ものお金を、上がるかも下がるかも本来全く分からない、言わばギャンブルのような取引に、先物取引に手を出してしまう。これは確実にもうかるというふうに思い込まされてしまったに違いないわけですね。業者は巧妙に違法だとされる言葉を避けたり、あの手この手で取引をさせようとします。一たび取引が始まってしまうと言った言わないという世界になってしまったり、あるいは損をしたときには、こんなところでやめてどうするんですか、取り戻しましょうなどと、まるでおぼれた人がわらをもつかむような気持ちに、そのわらがわらだったらまだ上がっていくんだけれども、物すごいおもしで本当にどつぼに落とされてしまう。
そういう実態をいつも目の当たりにしているものですから、もう始まってしまうとしようがない、電話を受けてしまうとしようがない、まずは水際で止めないと大変なことになるということで、不招請勧誘の禁止というのは先物取引の被害撲滅に不可欠な制度だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/147
-
148・糸数慶子
○糸数慶子君 ありがとうございました。
次に、坂井参考人にお伺いいたします。
商品先物取引の規制の在り方について、金融商品として同等の規制を課すべきという意見がありますが、商品先物取引の商品性や業者に対する行為規制についてどうお考えか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/148
-
149・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 御指摘の点、これまでも御議論があったわけでございますけれども、私は、商品先物取引、非常にハイリスク・ハイリターンという性格は明らかでございます。それから、ゼロサムゲームであることも事実であります。
ただ、そういう投資家へ望む方に対してその道は開かれてもいいのではないかというふうに思っておりますが、現実問題として、こういう難しい分野、ただ広告をするだけで入ってくるのはなかなか難しく、現に外務員の方が勧誘をして投資にお誘いをするようなことがなされているという実態があるのは事実でございます。
したがって、そういう投資の性格を十分御理解をいただいて、入るかどうかの御判断ができるようにしていかなきゃいかぬということであります。したがって、先ほど申し上げましたとおり、勧誘の際には、勧誘をしますけれどもいいですかと聞いて、いいと言えば説明すると。きちっと説明をしなきゃいかぬ。実は、その説明、確かに複雑なんですが、私どもの方で委託のガイドという割合まとめました資料を作り、これを必ず各委託者には配って、十分説明するようにということを自主規制としては義務付けをいたしているところでもございます。
そういう意味で、私どもとしては、そういうことで、今の各商品取引員及び外務員の勧誘の仕方、受託業務の仕方について更にきちっと徹底をしまして、適正化を図るような形にしてまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/149
-
150・糸数慶子
○糸数慶子君 それでは、吉川参考人にお伺いいたしますが、昨年来、四つの誤発注事件について分析をされていらっしゃいます。誤発注事件とそれから防衛策というレポートをまとめていらっしゃいますが、株式市場の信頼回復に向けて今一番何が必要であるとお考えでしょうか。お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/150
-
151・吉川満
○参考人(吉川満君) 信頼を回復するためには、まず取引所の誤発注をなくすということも最重要なテーマの一つだと思います。しかし、それだけではなくて、堀江事件とか幾つかのそういうような証券市場の不正行為みたいなもの、これを取り締まっていくことも同じように重要と思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/151
-
152・糸数慶子
○糸数慶子君 今、御三方にいろいろお伺いしてまいりましたが、問題は、今回のこの改正を踏まえた残された課題、あるいはその次の法改正の課題としてどのようなものが挙げられるのか、具体的にお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/152
-
153・池口修次
○委員長(池口修次君) どなたに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/153
-
154・糸数慶子
○糸数慶子君 三名の方に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/154
-
155・池口修次
○委員長(池口修次君) 三名に聞くんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/155
-
156・糸数慶子
○糸数慶子君 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/156
-
157・池口修次
○委員長(池口修次君) じゃ、山崎参考人、坂井参考人、吉川参考人の順番でお願いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/157
-
158・山崎敏彦
○参考人(山崎敏彦君) 今回の法改正がなされたとしても、現状のままでは先物取引についての不招請勧誘の禁止は全く実現されないわけであります。政令指定でもされないということになります。
先ほど来お話をお伺いしておりまして、自民党の中川先生、公明党の山口先生始め、正に本当に与野党一致して完全な意見の合致を見たのではないでしょうか。これだけ大きな悲惨な先物被害を目の当たりにされて、このままではいけないと、経産、農水のようなこれまでのやり方ではいけないという状況認識も一致されているんですから、この法案をこのまま通してはいけないのではないでしょうか。ここは附帯決議でお茶を濁すようなことはなく、きっちり修正をしていただいて。
簡単なんです。先物取引にも不招請勧誘の規定の準用を入れるという一文を入れるだけで済むんです。それだけで、毎年七万人、何十億、何百億という被害が救済されるんです。それによって、もしかすると先物業界が根本的な打撃を受けるかもしれない。だけど、そんなおかしなことをしているおかしな部分が小さくなって場合によったら破滅的打撃を受けるとしても、それはしようがないじゃないですか。そのお金が証券市場に流れ込めば、また株が上がって、国としてもいい方向に行くんじゃないでしょうか。こんないいことをどうしてやっていただけないんでしょうか。
是非、本当に簡単な話なんです。先物取引について不招請勧誘を禁止する、それがこれから残された最大にして唯一の施策だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/158
-
159・坂井宏
○参考人(坂井宏君) 私どもといたしましては、先ほどからも申し上げておりますけれども、昨年の五月の商品取引所法の改正に伴う規制強化、これをまず徹底すると。それから、もしこの法案が成立すれば、今回盛り込まれました新たな規制の強化、広告規制それから勧誘規制の強化部分についても着実に実行に移していくということがまず重要であるというふうに考えております。
それから、損失補てん措置の導入によりまして、この分野では証券業と同様の規制が入るわけでございます。これもある意味では、簡単にそういうお金で解決できないということになれば、取引員の方もきちっとやっていかざるを得ないという効果も期待できるのではないかというふうにも思っております。
そういう意味で、今回の改正の実効を上げることによって、去年の改正法及び今回提案されております法案の新たな内容を着実に迅速に実行することによりまして、商品先物取引業界の健全性の確保を図っていくことが重要であるというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/159
-
160・吉川満
○参考人(吉川満君) 先ほどから不招請の勧誘とか損失補てんとか、そういう問題が話題になっていますので一言ずつ申し上げますと、証券については不招請の勧誘ということに過度に過敏になるんじゃなくて、貯蓄から投資へという今の国の目標、そういうことだと思いますから、そこにどうやって証券界として貢献できるのか、そちらをメーンに考えていくべきじゃないかと思っています。
それから、損失補てんの問題については、これは証券では禁止されていまして、これは二十年前ぐらいになりますかね、禁止しなきゃいけないということになったんですね。損失補てん、これ実際にしちゃうと、その会社は補てんの原資を探して違法行為をやる場合があると。例えば、会社に飛ばしを勧めて手数料をもらって、その手数料を使って損失補てんをするとか、そういう面があるということによって証券の場合には損失補てんは禁止しなきゃいけないと、そう信じています。ほかの業界の場合はよく分かりません。
あと、もう一点、別の観点からいいますと、さっき総論のところで申し上げましたが、今の証券業というのは世界的に再編が進もうとしています。アメリカとそれからイギリス、ここが中心なんですが、イギリスは従来と違って証券取引所を自分で持つ必要はないんじゃないかと、そう考え始めています。
そういう中で、欧州とアメリカが連合して二十四時間取引をしようとしている。この二十四時間取引はブックを回してやると言っていますから、そうすると、じゃ日本、東アジア、その辺はどこが核になるのかという話に、じきに出てくると思うんですね。そういう中にあって、日本の証券取引所はやっぱり日本のそういう金融の一翼を担っている存在としてアイデンティティーを保ちながら存在を続けていかなきゃならないと、そう思っています。そのために、これから大きな努力が必要になっていく局面があるんじゃないかと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/160
-
161・糸数慶子
○糸数慶子君 ありがとうございました。
本法案は、商品先物取引を規制の対象とはせず、法案に対して付随して商品取引所法改正を行ったところ、その中では、先ほどからお話ありますように、電話それから訪問による不招請勧誘、取引を希望していない消費者に対する勧誘を禁止する規定を置いていない。商品先物取引においては一般消費者が、取引員の、外務員によるコンプライアンス無視の不当勧誘を受けて取引に巻き込まれ、その後は一方的に勧誘されて被害を拡大させていくという実態があるということで、かかる被害実態を踏まえた場合、何よりも肝要なのは入口での規制であり、やはり一般消費者による取引参入はリスクを承知で自ら積極的に取引を希望した場合にのみ限定されるべきであるというふうに思います。
商品先物取引その他、投資をめぐるトラブルの大多数は不招請勧誘に端を発しているのであり、不招請勧誘はすべての金融商品について原則としては禁止することが必要であるということを今参考人の方々、そして他の委員の皆さんのいろんな質疑を受けて感じたところであります。
今日は本当にお忙しい中ありがとうございました。
以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/161
-
162・池口修次
○委員長(池口修次君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。委員会を代表しまして厚くお礼を申し上げます。
本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後三時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116414370X01920060602/162
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。