1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十八年四月十八日(火曜日)
午前十時開会
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出席者は左のとおり。
委員長 中島 啓雄君
理 事
大仁田 厚君
北岡 秀二君
佐藤 泰介君
鈴木 寛君
委 員
有村 治子君
荻原 健司君
河合 常則君
小泉 顕雄君
後藤 博子君
中川 義雄君
山崎 正昭君
神本美恵子君
西岡 武夫君
林 久美子君
広中和歌子君
水岡 俊一君
浮島とも子君
山下 栄一君
井上 哲士君
国務大臣
文部科学大臣 小坂 憲次君
副大臣
文部科学副大臣 馳 浩君
大臣政務官
財務大臣政務官 野上浩太郎君
文部科学大臣政
務官 有村 治子君
事務局側
常任委員会専門
員 山口 俊史君
政府参考人
外務大臣官房参
事官 辻 優君
財務省主計局次
長 松元 崇君
文部科学省初等
中等教育局長 銭谷 眞美君
文部科学省スポ
ーツ・青少年局
長 素川 富司君
厚生労働大臣官
房審議官 白石 順一君
厚生労働省社会
・援護局障害保
健福祉部長 中谷比呂樹君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提
出)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/0
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001・中島啓雄
○委員長(中島啓雄君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
学校教育法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、外務大臣官房参事官辻優君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/1
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002・中島啓雄
○委員長(中島啓雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/2
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003・中島啓雄
○委員長(中島啓雄君) 学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/3
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004・河合常則
○河合常則君 自由民主党の河合でございます。
実は、この法律が出されて、僕は昭和六十一年から地元の養護学校の教育後援会長をしておったのでございます。昭和五十五年か六年にできたんですけど、その前は私の先輩の県会議員、お医者さんでしたが、精神科のお医者さんでしたが、その方が後援会長をされていました。二人でいろいろ県に働き掛けて、場所とかいろいろと考えてつくって今日あるわけでございます。
それで、何となくこのことについては関心持っておったのでございますが、せんだって地元へ帰ったときに校長先生に聞いたんですね。例えば、ほかの先生は、教頭先生は、盲・聾・養護学校から特別支援学校へ転換すると、京都では二、三年前からそういうことをやっておって総合的な養護学校になっておると、これは障害のある子供たち、いろんな障害、視覚障害とか聴覚障害とか、それから肢体不自由児の方とか、そういう、大人が心配、先生方が心配するより、子供たちが上手にお互いを思いやってうまくできるものだというふうにおっしゃいました。なるほど、そういう方法があるのかなと。それで、もう学校には全部点字ブロック入れたり、いろんなことしないと駄目だねという話をしておったんですね。
それで、いろいろ調べたら、聴覚障害とか視覚障害という方々は減っておるんですよね。それで、知的障害とか、そういう知的と肢体不自由児とはこれミックスしておると言われますが、これがどんどんどんどん増えておるんだと。これは養護学校というものに対する教育の理解が進んだということによるかもしれません。それから、医学が進んで子供たちが助かるんだと。
僕はこのようなこと、変な言い方ですが、そういうことはあるのかもしれませんが、こういうふうに盲とか聾が減って、それから普通の養護学校というか、そこの子供たちが増えていくというのはどういうことだというふうに思っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/4
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005・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 近年、養護学校に在籍する子供の数は増加の傾向にございます。お話のございました、例えば知的障害の児童生徒のための養護学校について申し上げますと、平成十七年の五月一日現在で、全国に五百三十五校が設置をされ、約六万八千人の児童生徒が在籍をしております。これは十年前と比較をいたしますと、学校数で三十四校、幼児児童数で約一万六千人、三一・一%と大幅に増加をいたしております。
この増加は種々の理由によるものと考えられるわけでございまして、先ほど先生がお話しになったようなことが一因というふうに考えられるわけでございますが、特に申し上げるべきことといたしましては、一つにはやはり養護学校における一人一人の障害の状態等に応じた教育に対する理解が深まったということと、もう一つは知的障害養護学校の中でもとりわけ高等部の整備が進められてきたということがあろうかと思っております。高等部につきましては、これは十年前と比較をいたしますと約四割、在籍する生徒の数が増えているという状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/5
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006・河合常則
○河合常則君 なるほど。ああ、そうですね。そういうことは、小学部、中学部よりも高等部の生徒が物すごく増えておる傾向にあるとか、そう言われたらそうだというふうに思いますね。
知的障害の養護学校が今生徒増えてきておるという。それで、その養護学校は非常に、プレハブで校舎を取りあえず造るとか、余っておる校舎を二つにカーテンで仕切るとか、いろんなことをして苦労されておるようでございます。これ大変な、手間でもそんな感じがあるというふうに聞いていました。
私は、数年前に、あれは愛知県の岡崎高校でなかったかなと思いますけど、進学校で有名な、そこへ行ったら、高校の生徒はやっぱり減るものですから、学校の一棟を養護学校にしたんですね、分校か何かに。こういう方法もあるのかなと。それが、グラウンドは一緒なんですね。体育館は別だったというような気がするんですが、いろんな方法があるなとも思います。
これは、やっぱりこれからそういう知的障害の子供たちが増えていくと、そういう傾向にあるというようなことなど考えると、国としてはどういうふうにこれを上手に、減っていく子供たち、増えていく子供たち、バランス取ってきちっとノーマライゼーションの地域社会を子供たちのときから体験させるというのはかなり重要なことなのではないかなと思いながら質問するんですが、大臣、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/6
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007・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 委員御指摘のように、近年、知的障害児の数の増加に伴いまして、一部の都道府県、例えば静岡県のようなところでございますけれども、養護学校を新設したり、分校や分教室を地域の小中学校や高等学校の空き教室に設置するといった取組が進められていることは承知をいたしておるわけでございます。こうした取組につきましては、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒の交流及び共同学習を積極的に進める観点からも有意義な取組であると考えております。
静岡県におきましては、共に生きる、共に育てると書く、共生・共育の勧めというようなことも行われておるわけでございまして、文部科学省としては、こうした取組を含めて、盲・聾・養護学校と小中学校等の交流及び共同学習の推進方策につきまして、事例の収集等を行いまして、必要な情報提供などに努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/7
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008・河合常則
○河合常則君 それともう一つは、先日、その地元の校長先生は、今度法律になると盲・聾・養の学校が特別支援学校になると、そしたら学校の名前変わるのかねと言うたんですね。校旗もあるし、それから歌もある、校歌もあるわけですけど、そしたら、さてどうなるのかなと、こう言っていましたですね、まあ平成十九年からですけど。それからまた、聾学校や聴覚障害者の学校というのは卒業生にとってはかなり重要な意味を持っておって、非常に歴史のある学校が多いと。卒業生の精神的な拠点、同窓会もちゃんと行われておるというようなことなどあるんですね。ほかの養護学校と違うんですね。ほかの養護学校はなかなか同窓会できませんけど、聾学校や盲学校はそういうことが行われておると。そうすると、これはなおさら、学校の名前とか基本的なことでどうなるのかなと、そう思って質問するんですが、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/8
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009・有村治子
○大臣政務官(有村治子君) 河合先生御指摘の学校の名称に関しては、大変に愛着もあり、また学校の保護者あるいは児童生徒の関心も高いところで、全国でそのような御懸念がおありになるというふうに認識をいたします。
盲学校、聾学校、養護学校という文言は、必要な経過措置にかかわる場合を除いて法令の規定上は使用されないこととなります。このため、本法案の施行期日である、これから約一年後になりますが、平成十九年四月一日以降には盲学校、聾学校、養護学校という学校種は法律上なくなることになります。
しかし、その一方で、昨年十二月の中央教育審議会の答申においても、「主として特定の障害に対応する形態の特別支援学校については、引き続き「盲学校」、「聾学校」又は「養護学校」と称することができるよう検討することが適当」との提言をいただいてもおります。
そこで、文部科学省としては、条例や寄附行為、特定公益増進法人などの寄附行為などの各学校の設置根拠においては、それぞれ当該学校が学校教育法上の特別支援学校であることが明確にさえなっていれば法的な問題はないものと認識しておりまして、その上で呼称として盲学校、聾学校、養護学校を引き続き使用することは可能であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/9
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010・河合常則
○河合常則君 そうですか。それなら特別な混乱はないかもしれません。
それでは、この特別支援教育に携わる先生のことについてお伺いしたいと思います。
これは、こういう特別支援教育、もちろん教員の資質によるところが大きいと思います。教員の免許についてですけど、今は盲学校、聾学校、養護学校ごとのものにその免許はなっておるわけですね。今度は特別支援学校制度の創設によって教員の免許状は一本になるみたいなふうに聞いています。これは、一本の免許状にすると、この種類によって、これ免許状一つになると非常に障害ごとの専門性が薄れるのではないかとか、それがきちんと維持されるかどうかという心配もあるわけですね。これ、いや、盲学校の免許だったんだ、それにはこれだけの単位要ったんだ、聾学校の免許だったらこれだけの単位要ったんだ、知的障害の免許だったんだと、これだけの単位要ったんだというのが、これが一本になると、一人の先生が全部それできるのかなとか、一本になると専門性が薄れるというか、レベルが低下するのではないかなという心配をするんですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/10
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011・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 教員の免許の件についてのお尋ねでございます。
これまで盲・聾・養護学校での教員免許状は学校ごとに別個の免許制度となっていたわけでございます。今回の法改正におきましては、学校制度が盲・聾・養護学校の障害種別のものから特別支援学校へ一本化することに伴いまして、特別支援学校の教員免許状につきましても一本の免許状とするということを提案をいたしております。
この特別支援学校の教員免許状につきましては、重複障害児童生徒等の増加や小中学校等への支援への対応のために、重複障害や発達障害等を含む幅広い障害についての知識、理解という点と、特定の障害の分野における専門性、この双方を担保しようと考えております。したがって、その上で、大学での単位修得の状況に応じまして、特別支援学校の教員免許状の中で担当できる障害の教育領域というものを定めることといたしております。例えば、大学での単位修得の状況に応じまして、視覚障害と知的障害を担当できるとか、あるいは知的障害と肢体不自由と病弱等を担当できるとか、そういう担当領域をまず定めるということにいたしております。
そういたしますと、特別支援学校の教員免許状取得のときに、すべての教育領域について担当できるというわけではない可能性があるわけでございますので、更にその後単位修得を重ねまして他の障害についての専門性を獲得した場合には、担当できる障害の教育領域を順次拡大することができるようにしております。そして、その場合、改めて別の免許状を取得するということではなくて、特別支援学校教員免許状に担当できる障害の教育領域を追記をしていくという、そういうことを今考えております。
これは例えば、卒業時点で、免許状取得時点では、先ほど申し上げましたように、知的障害と肢体不自由と病弱が担当できる教育領域であったと。その後単位修得を重ねて視覚障害についても担当できるようになったという場合には、その特別支援学校教諭免許状にその旨を追記をしていくということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/11
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012・河合常則
○河合常則君 なるほど。そうすれば、卒業して先生になってから改めて講習受けて単位取ると、単位取るというのか免許取ると、こういうことをずっと続けていくわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/12
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013・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 免許を取得する時点で一つの領域とか二つとか、場合によっては三つの領域を担当できるということになって免許を取得をするということになりますが、その後、ただいま先生がお話のありましたように、講習を受けて単位を修得をして、更に加えて別のまたもう一つの領域を担当できるようになるというふうにしていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/13
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014・河合常則
○河合常則君 なるほど。そうすれば、今現在の盲学校とか聾学校、養護学校の先生の免許の保有率は六割とか幾らとか余り高くないと、そういう免許のない方もおられるというふうにも聞いておるのでございますが、それはやっぱりだんだん、今言われた特別支援学校教員免許状のこの創設、この仕組みによって、講習を受けてもらったら保有率は高まるという、そういうことを期待しているわけですな、それは。そういうことになるわけですね。
これは、特別支援学校の教員のレベルを高める、資質を高めるというのは非常に重要なんだと思いますが、ちょっとこれはかなり先生方の負担にもなると、こういうことなのか、それから、なに、今までやっていたことで大丈夫なんだと、こういうことなんですか、どうですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/14
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015・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 先ほど申し上げましたように、特別支援学校の教員免許状におきましては、幅広い障害に関する総合性と障害種ごとの教育の専門性、この双方を担保するものとしております。
まず、その幅広い障害に関する総合性という意味で申し上げますと、これまでの盲・聾・養護学校の教員免許状に比べまして、重複障害や発達障害等を含む幅広い障害についての知識、理解を得ることとしておりまして、一種免許状の場合、全体でこれまでは二十三単位だったわけでございますが、これを二十六単位というふうに三単位増を図っております。
それから、専門性の分野でございますけれども、これにつきましては、従前の盲・聾・養護学校の教員免許状取得の場合と同程度の専門性を確保するということを可能にいたしております。
先ほど申し上げましたように、免許状につきましては、担当できる教育領域を定めて免許状をまず授与いたしまして、更にその後講習等によりまして単位を修得をして領域を増やしていくということを考えているところでございます。それによりまして特別支援学校の教員の全体としての資質の向上を図っていくということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/15
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016・河合常則
○河合常則君 分かりました。まあ分かったというのは、申し訳ありません。
それで、今度は小学校、中学校における特別支援教育についてお尋ねをしたいんですが、実は私は、さっき申し上げたように、この十何年間、教育後援会、同窓会ないものですから、できぬものですから、みんなで会費集めて、遠足とか学園祭とかの、修学旅行に行くとちょっとお菓子をあげるとか、学園祭のときはもちつきするお米代とかいろんな、そういうふうなことにみんな使っておるんですよね。そういうので地域社会からもみんな、ついでに今度はロータリークラブやライオンズクラブから和太鼓を寄附してもらったり、そういう仕組みで地域と密着した学校になっておるんですが。それで、入学式行ったり、入学式と運動会と学園祭と卒業式に招待状をもらって、たまに時間あると行くんですよ。今、参議院議員になったら行けなくなりましたが、県会議員のとき行ったんですよ。そうしたら、卒業式はすごいものですわ。普通の学校と全然違う。まず、校長先生がごんごんごんごんと泣くんですな。やっぱり思い入れが大変なんだろうと思いますよ。ほかの、生徒もそうですけど、先生方も、担任の先生方もそうですね。入学式のとき、大変だった入学式、卒業式になるとぴしっとしておるんですね。高等部の生徒が増えたということもございますけど、それほどすごいなと。これは相対評価じゃなしに絶対評価の世界だから、なおさら先生方の生徒への思い入れも大変なんだと。本当にいい体験を、そういういい体験をさせてもらったなと、僕自身が、そこに出させていただいて、卒業式に出るとそんな気がするのです。
ところが、この何人かの先生方は異動で、二、三年おられて普通の学校へ替わられるんですね。僕ら初めは、それは免許を持たない、小学校や中学校の免許を持った先生、そういう免許だけの先生がその養護学校におられたんだなと思っていました。そして、普通の学校に行かれたら、先生なんかに聞くと、養護学校で体験したあの三年間が何とも言えないと、教師として本当に大事なことを体験できたと言うんですね。僕も本当に卒業式に行ってみただけでも、ああ、やっぱりそうなんだろうなと思いますよ。
そこのまた、たまたまうちの近所にそこの父兄の方おられて、その子供が一年生に入った、それから六年生になったと、順番に行ったら、いや、河合さん、数数えることができるようになったとか、名前を書くことができるようになったとか、何かの会合で会うたびにそこのお父さん、そう言って喜んでおるんですよね。すごいものだなと、そう思って、同じことを先生方も思っておられるんだなと思っていました。
それだけにやっぱり養護学校の先生を体験するということは、その三十数年間の先生方、教師の人生の中で、教員としての中で非常に重要な意味を持つのではないかと。そういう意味ではローテーションも是非要るだろうし、ほとんどの小学校や中学校の先生方に、今局長おっしゃったような、何というか、その体験、講習受けてもらって、その免許を取ってもらってやればいいのではないかなというふうにも思うのですね。
そして、学習障害のLDとかADHD、これは多動性障害とかいうのか、それから高度自閉症か、これはその子供たちも含めて支援学級、特別支援学級つくる、今は特殊学級というのか、今は、これが、特別支援学級というのをそれぞれの学校でつくるということになると。ここでまたLDとかADHDの診察、診断を受けるというのは父兄は大変断る、こだわるそうですね。普通の学級で一人ならまだいいけど、二人だったらもう学級崩壊になると。こういうのを昨日も、実は普通の学校で聞いたのですが、こういうことを考えると、先生方に全部今言われた免許を持ってもらって、学校全体で障害のある子供たち支えていくことは大事なんでないかなと、こういうことも思うのでございますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/16
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017・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 小学校、中学校に在籍をしております教員の方が障害児の問題についてよく理解をし、特別支援教育について実践力を持つということは、先生お話しのように大変必要なことだと思っております。
ただ、幾つか課題がございまして、一つは、先ほど先生ちょっとお話ございましたけれども、まず盲・聾・養護学校の先生自体、在籍する校種の盲・聾・養護学校教諭免許状の保有率が昨年の五月一日現在で五八・三%ということでございます。これは四年前に比較をいたしまして七・六ポイント増加をしてはいるわけでございますが、まだ六割に満たないと。
ですから、今後、その盲・聾・養護学校、これからは特別支援学校で働いておられる先生方がまた講習を受けまして、その特別支援学校教諭の免許状を取得をしていただくということを私どもも促進をしていくと同時に、新規採用の方で、あるいは異動してくる方で免許状を所有しているという人を増やしていくという努力が要ると思っております。
あわせまして、一般の先生方についても、その特別支援教育についていろいろ研修を積んでいただくということは必要だと思っております。今、初任者研修とか、それから十年経験者研修の中でこういう特別支援教育について大体の県では触れているわけでございますけれども、こういった措置を通じまして、一般の小中高等学校の先生方についても特別支援教育についての理解を深めていくというための研修の充実を図っていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/17
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018・河合常則
○河合常則君 実は、僕は養護学校の先生のことについて、運動会とか学園祭とかだけでなしに、実はすごい体験したことございまして、荻原さん、スキーだけど、僕はたまたまスキーの国体に行ったら、ある大会のときは、本当にすごい、小さなおふろでもう寒くてかなわぬ、そんな旅館だったんですよ、宿舎だったんですよ。それで、大会本部はいいホテルの、あそこに大分大きなふろあるなといって、そこへ行ったんですが、そうしたら、おふろから上がろうとするころだったな、どやどやどやどやと入ってこられたんだな、お客さんが。養護学校の生徒なんですね。これはもう大変なものですよ。僕は先生方見ておって、おふろの中で先生方見ておって、すごい大変だなと。うんちもするんだから、それはもう大変なものですよ。それで、そのときにずっと服脱いだり着たりするのを見ておったんですけど、いや、養護学校の先生は大変だなと、そう思って地元の養護学校の校長に話をしたら、いや、そうなんですよと、それはやっぱり並のことでないと、そう言っていました。普通には考えられぬと、想像できぬところが一杯あるんですね。
養護学校のプール造った。小さなプール造った。それで、一年じゅう入れる温水プールでなしに、屋根付きの、冬は入れないけれども、春も秋も入れる小さな温水プール造った。そうしたら、プールの水は毎回抜かにゃならぬのですよ。普通の学校では考えられぬことなんだと言っておられました。私は、それを見ると、やっぱりすごいものだなと、本当はそう思ったんです。これはまあ余分ですが、それほどの努力を先生方がされておられて、障害教育に携わっておられるなと思いました。
ところで、この学習障害とかADHDとか高度自閉症とか、こういう子供さんたちは、全部の生徒千八十九万人のうちの六十八万人、六・三%おられると。ということは、十六人に一人そういう子供さんたちがおられるということですよね。それが普通の学級とかどこかへお入りで授業をしていくと、こういうことになるんですが、これからは特別支援学級つくっていくのかな、そういうふうになるんだと思いますけど。いや、私は本当に単純に計算してでも十六人に一人の子供さんがそういうものだということになる、だんだんこれが増えていくということになると、これは文部科学省としては、大変な心構えでこの対策を考え、子供たちの教育、障害教育というか、この特別支援教育をしっかりと方向付けてやっていかねばならぬのではないか、これ非常に日本の教育、将来にとって非常に大事なことなんじゃないかというふうに思うのでございますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/18
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019・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 今御指摘のLD、ADHD等の発達障害のある児童生徒に対する教育的対応、そういったものも増えてまいりまして、こういった各種の障害をお持ちのお子さんたちに対して的確に対応することは喫緊の重要課題であると認識をいたしているわけでございます。
今般の学校教育法の改正において、小中学校等における特別支援教育の実施についての明示的な規定を設けることとしておりまして、これによりましてLDやADHDなどの障害のある子供に対する教育の一層の充実が期待されるところでございます。
今御指摘のように、学校現場におきましては教員の皆さんが必死の努力の中でノーマライゼーションの考え方に立って日々努力をしていただいているわけでございまして、そういった取組に対して私どもは的確な認識を持つとともに、平成十五年度から全都道府県への委嘱事業を通じまして、発達障害のある子供に対する総合的な支援体制の整備も進めておるわけでございます。小中学校の通常の学級に在籍しつつ障害に応じた特別の指導を受ける通級による指導の対象、これにLD及びADHDも新たに加えまして、必要な定数改善等を行っているところでございまして、指導的立場にある者に対する研修を実施するなど各般の施策も充実をいたしております。
文部科学省としては、これらの取組に加えて、厚生労働省とも連携を図りながら、LD、ADHD等の児童生徒に対する支援の充実に努め、また、ただいま御指摘にありました知的障害者の対応につきましても、先ほど答弁申し上げましたけれども、今後とも適切に調査を進める中で必要な情報提供に努めてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/19
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020・河合常則
○河合常則君 どうも丁寧な御答弁ありがとうございました。
僕、時間まだありますけど、これでやめます。後、荻原さん、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/20
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021・荻原健司
○荻原健司君 自民党の荻原健司です。おはようございます。
河合委員に続きまして、このたびの学校教育法等の一部を改正する法律案について御質問を申し上げたいと思っております。よろしくお願いいたします。
盲・聾・養護学校、これらの一本化に伴って、新たな障害のある子供たちへの教育改革が今始まろうとしています。先日、視察に訪れました、これは筑波大学ですね、筑波大学の附属盲学校、こちらに行ってまいりました。いろんな先生方の取組、また実際の子供たちが授業を受けている風景も見させていただきまして、また現場の先生方や、さらには校長先生にもいろいろと御説明をいただいて、視察、行ってまいりました。
その中で校長先生が、ちょっとこれ個人的な意見なんですがということはおっしゃっておりましたけれども、この今回の新たな盲学校、聾学校、養護学校の一本化、これは大変非常に新しい教育改革として、文科省であるとか中教審の取組、この方向は絶対に間違っていない、新しい教育改革が今始まろうとしているんだと、非常に好意的に受け止めておられたなというふうに思っております。やはり、現場で日ごろからそういう障害のある子供たちを見ている方からの御意見でしたので、正にそのとおりなんだろうなというふうに思っています。
また、私はこれまで、とはいいながらも教員の先生方だけの立場ではなくて、やはり障害を持っておられるお子さん方の保護者の方からにもいろいろと御意見を伺ってまいりましたし、またさらには障害のあるお子さんをこれからどうやって将来自立をしていけるか、いわゆる職業を紹介するような、そういった方々にもお話を伺ってまいりました。ただ、その中では、特に保護者の方からは、学校が一本化するこの制度の中身がやはりまだ見えてない中でのかなりの不安があるなということは実感をしてまいりました。
そういう意味で、今日はそういう保護者の方々、やはり学校の先生方も現場で混乱が起きないか、大丈夫なのかというような心配はあろうかと思いますけれども、やはり学校に行かせている保護者の方々の一番の心配を取り除くのが必要だというふうに思いますので、これから質問をさせていただきたいと思っております。
ただ、その前に、今日はちょっと障害のある方々、障害者というところで質問をする前に、私、スポーツにちなんだこともちょっとお伺いしたいなというふうに思うんですが、小坂大臣は長野県長野市選出の国会議員ということで、私も参加いたしましたけども、九八年の長野オリンピックを皮切りに、パラリンピック、そしてさらには知的障害のある方々の四年に一度の国際一大イベント、スポーツ大会、スペシャルオリンピックス、これらを長野市を中心として長野県下で行ってまいりましたけども、そういう意味で私は、全国たくさん国会議員おりますけども、これだけの国際大会、世界的なスポーツ大会を開催して、またそれにかかわった政治家というのは、これはまたもう小坂大臣しかいない、もうたった一人しかいないというふうに私は思っています。そういう中で、やはりスポーツに対する思いというのはまた相当なものがあると思いますし、また、特にパラリンピック、スペシャルオリンピックスを通じて、やはり障害者スポーツというところにもかなりの御理解を持っておられるというふうに思います。
その中で、やっぱりスポーツはスポーツなんだと、障害があろうがなかろうがやっぱりスポーツはスポーツだなんというような思いを多分私は思っておられるんだというふうに思いますけれども、そういう中で、是非今日は、大臣の障害者スポーツに対する個人的な思いも含めまして、スポーツ全体の振興について御意見いただければというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/21
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022・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) ありがとうございます。
荻原委員におかれましても、スポーツ選手として、また国会議員として、特に昨年のスペシャルオリンピックスの招致に関しても、その運営に関しても大変な御尽力を賜ってまいりましたし、オリンピックの選手として長野オリンピック、その後のパラリンピックの企画運営に関しても大変な御尽力を賜ってまいりました。
私も地元といたしましてこれにかかわってまいりましたけれども、まずもって、委員がおっしゃったように、スポーツというものは本当に人生を明るくする。健康にするだけじゃなくて、その健康を通じて心身ともに健全な肉体を育てる。それと、またスポーツは充実感というものを味わわしてくれます。明るく豊かで活力に満ちた社会の形成のためには、スポーツは必要不可欠なものだという認識を持っているわけでございます。
文部科学省は、そういう意味ではスポーツを、学校スポーツ、競技スポーツ担当してまいりましたし、私は今日総務省の、前麻生大臣がお持ちであった国民スポーツ担当という仕事もいただいておりまして、そういう意味では国民だれもがスポーツに親しむ社会づくりということに腐心をしているところでございます。
また、国際的な競技大会などにおける競技力の向上というのも、これもまた重要な仕事だと思っております。国際大会で金メダル、メダルを獲得する選手の姿、またメダルに至らなくても全力を出し切っているスポーツ選手の姿というのは、国民に大きな感動と、そして勇気を与えてくれると思っております。
また、障害者スポーツの活動を支援するということも、私は長野のパラリンピックに携わったその経験の中で感じたことは、やはりオリンピックを招致したことによってボランティアの力が育った、そのボランティアの力がパラリンピックの運営を通じて更にそれがより強いものになって、それぞれの市民の中に確信のようなものが育って、それが長続きするようになって、昨年のスペシャルオリンピックの際にもあのような、これまでのスペシャルオリンピックスの中で一番成功したのが長野大会じゃないかと言っていただけるようなすばらしい結果を生むことになったと思っております。
そういった意味で、障害者を含む地域住民が日常的にスポーツに親しむ環境を整備し、そして障害者のスポーツ大会への参加が円滑に行われるように、そういった環境をつくって配慮をしていくこと、これは大変重要なことであり、今後ともそういった意味で取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/22
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023・荻原健司
○荻原健司君 ありがとうございました。
やはりもう数々の国際大会、そしてさらには障害者スポーツの祭典であるパラリンピックやスペシャルオリンピックスを生で現場で体験した大臣ならではの御発言だったなというふうに思っています。
私も特にスペシャルオリンピックス、やはり知的障害のある方々のスポーツというのは、正直私はなかなか見る機会もありませんでしたし、かつ、国際的な大きなイベントというものがきちんと運営されて、本当にその選手たちは競技ができるんだろうかという思い、これは結果的にはある意味私の偏見であったなと非常に反省をしているわけなんですが、非常にすばらしい大会を私はスペシャルオリンピックスで見させていただきまして、逆に知的障害のある方々の競技を通じて、やはりスポーツというのはこういうものなんだなというものを何か学ばされたというか、本当に私は考えさせられました。
特に、彼らは、勝ち負けというのはもちろんそうですが、やはりスポーツそのものを楽しんでいる、そしてかつ、例えばゴールしたシーンの彼らの笑顔であるとか、又は泣き崩れるようなシーンを見るたびに、自分の目標を成し遂げた、やり遂げたときのあの達成感、そしてあのほとばしるような感情がこれはやっぱり我々も学ばなきゃいけないな、本当にそのピュアなハートを持った方々の国際大会、いいもの見させてもらったなという思いをいたします。
ただ、やはりそういう中で、一方ではオリンピックではドーピングを始めとする非常にやましい行為をして、ばれなかったらドーピングしてちょっと成績を向上してしまおうか、メダルさえ取れればいいんだという、そういうある意味健常者スポーツの方がちょっと頭の中に障害を持っているような人が何人かいるというのは、これは本当に残念なことだというふうに思います。そういう意味で、私は本当にスペシャルオリンピックスにかかわったことによって、本当に改めてスポーツの見方というものを再認識させられたような気がいたします。
本当に、そういう意味で、大臣始め長野県の皆さん方がこのボランティアを通じて障害に対する方々の理解深まった。これはやっぱり私も、国際大会を開催するわけですから、また招致から大会運営始め、本当に大きな莫大な予算掛かったと思います。しかし、私はその予算を取り戻す分の、やはりボランティアの方々が障害のある方に対する意識、取組、こういうものは本当に大きく変わったなというふうに思うんですね。僕は、だからそういう意味でもこれらの大会を開催したことは本当に大成功だったなというふうに心から思っております。こういう障害者スポーツも是非文部科学省の大臣としても取り組んでいただければなというふうに思っております。
そういう中で、私の中ではやっぱりスポーツには垣根がないな、ないなというより垣根はないというふうに私は思っております。今の国の行政でいうと、例えばオリンピックというと文部科学省、パラリンピックというと同じスポーツでもやはりこれは厚生労働省マターになってしまって、どうしても行政の縦割りを感じざるを得ないわけなんですが、やはり私はスポーツはスポーツなんだというふうに思っています。
僕は、ですから教育をするためにスポーツというのを手段として使うということではないと思いますし、また障害のある方に何かこう勇気や元気を付けさせるためにスポーツを与える、やらせるんじゃないと思うんですね。やっぱりまず基本的に中心にはスポーツがあって、時には人間形成に非常に効果がある、教育的に効果がある。また一方では、障害のある方には、勇気だとか明るさ、また自信というのを持ってもらえる。やっぱり、コアの中心の部分にはスポーツなんだと、スポーツが中心にあるんだというふうに思うんですね。
そういう中で、私は、今、国も小さな政府、これを掲げていろんな行財政改革に取り組んでおられますけれども、僕としては、やっぱりそういう意味でスポーツはスポーツ、これはもう文部科学省の予算、厚生労働省とかいろんな各省庁にあると思いますけれども、こういうのを一つにしてしまえばもっと財政的にも効率的にうまくいくんじゃないかなというふうに思うんですね。
私は選手の傍らいろんな各国へ行ってまいりましたけれども、特に先進国を始めスポーツ省というのがどこにでも今あるような時代になっております。そういう中で、残念ながら日本にはありません。私、自分のこれからの将来の目標としては、やはりスポーツ省の創設というのは内に秘めて活動しております。そのことによって小さな政府にも貢献できると思っていますし、いろんな意味で効率化を図り、行財政の、何というんでしょうか、この取組に貢献できるというふうに思っているわけなんですが。
大臣も今、文部科学省の大臣としてやはり日ごろからスポーツというものを積極的に推進していただいておりますが、これはちょっと私のところじゃないな、これは厚生労働省さんじゃないか、これはまた私のところじゃないな、違う省庁じゃないかな、何かちょっと矛盾も時には感じておられる場面があるんじゃないかなと。
そういう中で、大臣、私が日ごろから思っていますこのスポーツ省の創設、これは今必要な時期に来ているんじゃないかと思いますが、大臣はどんなようなお考えをお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/23
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024・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 荻原委員が御指摘のように、外国においては、スポーツを特に切り出してスポーツ省という形で国民スポーツから競技スポーツ、あらゆるスポーツは全部そこが所管すると、非常に分かりやすい取組をされているところも多いと思います。我が国においては、行政改革という中で、むしろ各省庁を併合する形で流れができてきておるわけでございまして、今新たに省を設置するということについては慎重に検討すべきであるとは考えます。
また、障害者のスポーツ活動を支援する観点から、スポーツ振興基本計画におきましても、スポーツ指導者の養成や施設の充実などに関連して障害者への配慮に関する事項を盛り込んでいる、そういうことは私どももやっているわけでございますし、また、障害者スポーツについては、特に厚生労働省との連携を図るために、文部科学省と厚生労働省による障害者スポーツ施策連携協議会というものもつくって連携の強化を行っておるわけでございます。
そういう意味で、御指摘は理解できます。そしてまた、私も、省というものの縦割りにこだわらずに、予算面においては厚生労働省に最終的にお願いするというようなことであっても、その企画とか、あるいは地域のそういった意見をお聞きするとか、そういうことについてはむしろ自分たちが担当であるというような気持ちで接して、そして必要に応じ厚生労働省の担当の部分についてお願いをする。また、文部科学省の施設であれば、そういう中でこの障害者への配慮を更にしていく。また、スポーツ大会であっても、一般的なスポーツ大会に、健常者のみではなくて障害者も一緒に参加できるということは大会の運営者の配慮でできるわけでございますし、そういったことを拡大することによって、実際には例えば肢体不自由な方でも健常者より速く滑る、スキーを滑ったりされる方も多いですし、ヨットの競走においても立派にやっていらっしゃいます。そういったような一般の大会に障害者が参加され活躍する場ももっと多くていいと思っておりますし、そんな意味で、共通のスポーツという言葉の下に垣根をできるだけ低くして取り組んでまいりたい。このことで、当面のこういった形によって障害者スポーツ、健常者スポーツという区分けをなくして、また、そうはいいながらも、それぞれやっぱりスポーツというものは同じような力量の方々を集めてクラス分けをするということもありますから、そういったものにも配慮しながら取り組んでまいりたいと、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/24
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025・荻原健司
○荻原健司君 ありがとうございました。先ほど大臣から、同じスポーツでも健常者より障害のある方の方がよっぽど速かったりする場面もあると。
これは、実は先日、長野県の志賀高原というところで民間のボランティア団体が主催をしているスキー大会、私ちょっとゲストという形で呼ばれて行きました。ここには、障害のあるなしにかかわらず、また、老若男女ですか、年齢も関係なく、いろんな幅広い世代やいろんな方々が参加をしておりまして、大臣おっしゃるように、ここにはパラリンピックで、銀メダルかな、銀ですね、銀メダルを獲得した東海選手ですかね、足の不自由な方でしたけれども、その方の方がやっぱり健常者よりよっぽど速いわけですね。やっぱりさすがメダリストなんですよね。また、チェアスキーといって、足の不自由な方が一本のスキーに付いたそりのようなものに乗って滑るスキー、あれもやっぱりそりの重さが二十キロぐらいあるんです。ですから、勢い付けばかなり速いんですよね。ですから、やっぱり健常者の方が負けてしまうんですよね。
だから、そういうシーンを見ながら、これやっぱり障害のあるなしにかかわらず、健常者だろうが障害者だろうがやはり一つの大会に出て、こういう大会があるんだなというのは非常に興味深く見させていただきましたし、是非大臣もそういう、健常者はこっち、障害のある方は向こうというようなことではなくて、またいろんなスポーツ関係者からお話を伺いますと、やはりどうしても大会に障害のある方が入ってくると、いや、それはうちじゃないんだ、ちょっと厚生課とかあっちの、向こうのセクションに行ってくれなんていうことで非常に煩わしさを感じることも多々あるということでございますので、是非、まあスポーツ省というのは、これは相当な作業と労力と国民のやはり総意というのも必要だと思いますから、これは大変難しいところだと思いますけれども、できるところから是非そういった垣根をなくしていっていただきたいなというふうに思っています。
また、先日、ちょっと話、また質問に移行していきたいと思いますが、先日視察で行きました筑波大学の盲学校でいろいろ授業の風景を見させていただきましたら、学校の先生が、今授業を受けている彼らの中にメダリストがいるんですよなんていう話で、え、だれですかなんていう話を聞きましたら、ちょうど車いすを押す練習してたんですけれども、ちょっと名前を、個人のお名前を聞くのは忘れてしまいましたが、かつてシドニーとアテネで水泳でメダルを取られたと。これちょっと、何色のメダルかというのはちょっとそこまでやはり聞けなかったんですが、まあメダリストがいると。いろいろお話を伺いましたら、かつてもう何人もメダリストを輩出しているそうなんですよね。
これはすごい学校だなと思って、彼らが育ったといいますか練習したプールはどんなものかと思って、ちょうどたまたま視察の途中にプールが見えたもんですから、これですかと言ったら、これですと言うんですね。見てびっくりしましたが、まあ委員の皆さんも見て相当驚いておられましたけれども、パラリンピックの水泳のプールというのはあれ五十メーターあるわけなんですが、その盲学校のプールは長さ十二メートルです。飛び込んでボチャーンといったらもう多分手が届いちゃうぐらいなんだと思うんですけど。まあ今時期も時期でコケが生えて緑で、桜が散って、まあ桜が散ってますからきれいなのかどうか、何と申し上げていいか分からないような光景だったんですが、ただそこで一〇〇%練習してパラリンピックに行ったんではないと、民間のスポーツスイミングプールへ行ってやっていたというようなお話も伺いましたけれども。
それと、その筑波の附属の盲学校には世界じゅうからその視察に、いろんな教育関係者、また障害者団体の方々が視察に来るそうなんですよ。やはり、日本の国立の盲学校、どんなすごい取組をしているのかと思って来るそうなんですね。ですから、そんな場合に、ここからパラリンピックのメダリストが何人も輩出しているんですよなんて話になったときに、じゃそのプールを見せてくれといって行ったら、十二メートルのプールでコケが生えていて緑だったというんじゃ、これはちょっと、何かこれが日本の国力かなんて、ちょっと情けないような気もいたしますし、また化学ですか、理科の実験室に行って、いろんな教材が置いてあるんですけれども、そういうフラスコだとかビーカーだとか、入れている器が豆腐の空きパックだったですね。これどうしたんですかと言ったら、いや、やっぱり予算限られていますんで、教員が持ち寄ってこういうのを使っているんですなんて言ったんですよ。ちょっと、何というか、寂しいなという感じしましたね。もう少し立派なもので子供たちの教育、また先生方もちゃんといいもの使って、実際現場で活躍していただければななんというふうに思っていました。
ですから、是非、特にそういう国立の学校ということで、また世界じゅうからいろんな方々が視察に来るということも含めて、見栄えのいいというよりは、見掛けだけじゃいけませんけれども、見栄えも内容も是非良くしていただきたいな、これは私の個人的なお願いにしたいと思います。
さて、本題に入っていきたいと思いますけれども、今回の法改正で、現在、盲学校、聾学校、養護学校、これらの各種学校に通っている生徒の数、これはおよそ十九万人だったと思います。今度、特別支援学校、特別支援教育ですか、特別支援教育の対象者にLD、学習障害ですね、ADHD、注意欠陥多動性障害、また高機能自閉症、こういった子供たちが含まれることになりました。従来のこの特殊教育を受けていた子供たちの、これ四倍の数ですね、六十八万人弱というふうに言われています。先ほど河合委員の方からも六・三%というような数字が出ておりまして、十六人に一人だったでしょうか、これ、今までの障害のある子供たちの学校に十九万人行っていた。今度はLDやADHD、いわゆる軽度発達障害の子供たちが六十八万人弱というと、相当の先生方がそういう障害のある子供たちを見る必要があるわけなんですが。
その中で、やはり保護者の方々にいろんな意見を伺ってまいりましたら、あっ、そういうことですか、ということは、じゃ先生方が、障害のあるお子さん方が増える、いわゆる先生方もじゃ当然増えるんですよねという、そういう認識を持っておられるんですね。ただ、そういうことは、多分そういうお考えは特別、きちんとした措置はしていただけるんでしょうけど、大幅にいわゆるLDやADHDを持っているお子さん方が四倍だから、教員もじゃ四倍増やしますということにはならないんだと思いますが、ですから、そういう意味で保護者の皆さん方の心配というのは相当なものがあったなというふうに思います。また、そういう中で、先生方も、制度は変わる、これは制度としてはよく分かるし理解もできるけれども、本当に自分たちがじゃ今度四倍も増える子供たちに的確に指導できるかというようなやっぱり心配もありました。
そこで、今後、特別支援学校に当たる教員の数、これは十分な確保が行われるんでしょうか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/25
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026・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) ただいま先生からお話がございましたように、今回の改正案は特別支援学校の制度を創設をするということ、それから特別支援学校は地域の特別支援教育のセンターとしての機能を果たすよう努めること、そして三点目に、ただいまお話のございました小学校、中学校等における特別支援教育を推進することによりまして、LD、ADHDを含む障害のある児童生徒の教育の一層の充実を図るということを内容としているものでございます。
このうち、特別支援学校における教育に必要となる人員配置につきましては、現行の教育水準を維持するという方針の下、標準法に基づきまして現行と同等の教職員定数を算定することといたしまして、特別支援学校における円滑な教育活動が可能になるようにしているところでございます。
それから、小学校、中学校における特別支援教育の担当の教員の問題でございますけれども、いわゆる従来の特殊学級、今度は特別支援学級といいますけれども、その担当の教員についても、これまでと同様の人員の措置をするということでございます。
そして、問題は、今般新たに特別支援教育の対象となりましたLD、ADHDを含む障害のある、いわゆる発達障害の子供さんに対する指導という問題でございます。これまでも小学校、中学校ではこういった発達障害の子供さんの教育についていろいろな取組を行ってきたわけでございますけれども、まあこれまでの調査でこういう方が非常に在籍率が高いということが言われております。ただ、本当に取り出しての指導が必要な発達障害のお子さんとか、あるいは特に非常に配慮が必要な子供さんの数がどの程度かというのはなかなかまだ十分把握し切れてない部分もあるわけでございます。
当面、私どもといたしましては、LD、ADHDを含む発達障害のお子さんが通級の対象として指導を受けられるようにしようということで、平成十八年度二百八十二人の教職員の加配を行うということで今対応しているところでございます。また、一般の先生方におきましても、これまで以上にその発達障害のお子さんの指導に十分当たっていただくということを考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/26
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027・荻原健司
○荻原健司君 そういう中で、やはりこのLDやADHDの子供たちが、相当な数の子供たちがいて、それに当たる先生方がやっぱり忙しくなっちゃうんじゃないか。その中で、保護者の方々、やはりもう不安だらけなんだと思いますが、今、学校に行けない子供たちというのは当然いるわけなんですよね。やはり、そういう子供たちのために訪問教育というのは行われていると思いますけれども、そういった訪問教育にも、もう先生方が時間がなくなっちゃって手に負えなくなっちゃうんじゃないか、その訪問教育を受けている子供たちというのはどうなっちゃうのかなという心配もございました。
こちらの訪問教育の方はどうなんでしょう。こちらの教員の配置も十分確保されるんでしょうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/27
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028・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 障害が重度又は重複しているために養護学校等に通学をして教育を受けることが困難な児童生徒に対しまして、養護学校等における教育の一形態として、養護学校等の教員が家庭、児童福祉施設、医療機関等を訪問して教育を行う訪問教育を、盲・聾・養護学校の小中学部につきましては昭和五十四年度から、高等部におきましては平成十二年度から実施をしているところでございます。現在、訪問教育の対象となっております子供は小学部、中学部、高等部を合わせて三千百六十九人という数でございます。
この訪問教育の実施のための教職員定数につきましては、特別支援学校制度に転換をした後も現行と同様に標準法に基づいて算定をされるということになっております。具体的には、従来と同様、訪問教育の実施に当たりましては、児童三人をもって一学級とみなして教職員定数を算定をするということにいたしております。
今後とも、訪問教育につきましても、きちんと一人一人の教育的ニーズに応じた指導ができるように努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/28
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029・荻原健司
○荻原健司君 ありがとうございました。
やはり保護者の方々の心配、不安というのは相当なものがありますので、是非こういった先生方の配置には十分気を付けながら、また充実をさせていく方向で取り組んでいただければというふうに思っております。
その先生方が今度ちょっと免許を取得する際に、今度は幅が広くなるわけですね。ちょっとこの免許の、この特別支援学校教諭の免許状については、先ほど河合委員の方から質問がありましたし、私もこれを質問しようかと思ったんですが、十分な御回答をいただいておりますので、こちらは飛ばしていきたいというふうに思っています。
ただ、やはり、これ先ほど三単位だったですか、増えるようなお話もありましたけれども、広く深くやはり先生方が学んでいただきたいと思いますし、そういうカリキュラムが組まれているのだったらいいと思いますけど、広く浅くというところだとやはり心配が残りますので、是非広く深くお願いをしていただければというふうに思います。
ですから、そこはちょっと飛ばしていきたいと思いますけれども、LDやADHD、高機能自閉症などの軽度発達障害、これに対する確実な知識を持っていなかったら、やはり子供たちに的確な指導がなされないというふうに思っております。やはり、軽度発達障害というのはなかなかその見分けも非常にしにくいというようなこともあって、逆に先生方が何か怠けているんじゃないかなんて時に理解を間違って、逆にその子供のやる気をなくしてしまう、学びの姿勢を崩してしまう、そんなことにもつながりかねないという心配もございます。そのために、軽度発達障害のある子供たちの増加を受けて、一般の教員、先生方にこれらの知識を正しく持ってもらうことも重要なことだと思います。
そこで、一般の先生方に対して正しい知識を持たせるためにどんなことを行っておられるのか、また、一般の教諭免許のためのカリキュラムですね、ここには軽度発達障害のことも盛り込んでいるのでしょうか、その場合、それらの充実についてどんなことをお考えなのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/29
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030・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 小中学校の教員に特別支援教育、特に今お話のございました軽度発達障害に関する理解を促進をし、教育に必要な資質、能力を高めるということは重要な課題だと思っております。
今私どもとして行っておりますのは、まず一般の先生方の指導に当たるリーダーの方の養成ということで、これは国立特殊教育総合研究所あるいは文部科学省の特別支援教育体制推進事業といった中で、各学校における特別支援教育の中核的な役割を担う特別支援教育コーディネーターの養成研修といったようなことを行っているところでございます。この方たちが中心になって校内研修等を行っていただくということがまずあるわけでございます。
さらに、一般の先生方につきましては、都道府県教育委員会において、初任者研修や十年経験者研修、こういった現職研修の中で特別支援教育を内容に含むようにしているところでございます。
それから、教員養成におきましては、小中学校の教員免許状のカリキュラムにつきまして、平成十年でございますけれども、小中学校の教員免許状を取得する際の障害に関する知識技能の修得に関して、障害のある児童生徒等の心身の発達や学習の過程に係る内容を必修化をしたということがございます。
さらに、昨年、十七年の四月に発達障害者支援法が施行されたわけでございますけれども、文部科学省から各国公私立大学等に対しまして、小学校等の教員養成課程において発達障害に関する内容も含めて取り扱うこととして、その充実に努めるよう指導、助言を行っているところでございます。
先生お話しのように、小中学校の教員について、発達障害を含む障害のある児童生徒に対する特別支援教育に関する資質、能力の向上ということに努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/30
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031・荻原健司
○荻原健司君 ありがとうございました。
やはり現場の先生方がそういう軽度発達障害に対する理解、やはりきちんと持っていただけるように是非取り組んでいただきたいと思います。
また、続いてなんですが、先日、各障害のある子供たちを対象にした学校視察を行ってまいりまして、先生方は本当に御苦労されているなということを認識して帰ってきました。
その中に、先生方が子供たち一人一人に個別指導計画というのを作っています。これも先日行った学校のちょっと資料の中に個別指導計画というのが、こんなものだというので、ありましたけれども、これは相当細かくカテゴリー分けされて、本当に的確な指導をなされているんだな、これを作るだけでもこれは相当な大変な御苦労だなというふうに思うんですね。
今度、軽度発達障害の子供たちというのがいわゆる四倍弱も増えるわけなんですけれども、こういう軽度発達障害の子供たちに対してもこの個別指導計画というのを作成されるんでしょうか。ちょっとその辺りをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/31
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032・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 昨年の四月の発達障害者支援法の施行に合わせまして局長通知を発しまして、発達障害のある児童生徒への支援について、各小中学校に応じて必要に応じて個別の指導計画を作成するように促しているところでございます。
文部科学省としては、それに先立ちまして、各学校における教員の個別の指導計画作成に資するために、平成十六年一月に、小中学校におけるLD、ADHD、高機能自閉症等の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドラインというものをお示しをいたしまして、個別の指導計画を作成をすることや、作成に当たっての方法、手順及び具体例や様式例などを示して指導を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/32
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033・荻原健司
○荻原健司君 この個別指導計画、今、盲・聾・養護で行われているこれ見ますと、やっぱりこれを一枚作るのに相当な労力が必要だろうと。これを今度、六十八万人弱と言われる子供たちに対してもやれということになると、ちょっとどうなのかな、この辺はまだそれぞれの学校の取組にもよるのかなというふうに思いますけれども、私は以前から質問に立たせていただきながら、やはり学校の先生方の校務の負担を軽減させていただきたいと、その中で学校の職員室のIT化なども、これ個人情報も、今先生方が自分でパソコンを持って自宅でやったり何だかんだしていますので、そういう上でもIT化なんということもお願いをしてきた経緯があります。
是非、また、先生方が子供たちと向き合わずにパソコンや資料だとか報告書の作成だけに追われるようなことにならないように、また、この指導計画も今後どういうふうになるか分かりませんけれども、是非、先生方がやはり子供たちに、現場で子供たちといつも触れ合えるようなやはり環境をつくっていただきたいというふうに思っています。
続いてなんですが、やはり教育というのは、私は、障害あろうがなかろうが、これはもう人づくりなんだというふうに思っています。そういう中で、やはり将来自立をして社会の形成者として役に立てる人間、人をどういうふうにどれだけつくれるかというのがこれは教育の役目だというふうに思っております。
先日、いろんな方に今までお話を伺ってきました。その中で、ハローワークにお勤めの方、障害者の就職を支援するような方なんですけれども、その方からお話伺いましたら、盲学校とか聾学校とか養護学校のいわゆる重度の障害のある子供たちの方が、社会に送り出したときに彼らの方が辛抱強く仕事が長続きするというようなお話も伺ってまいりました。逆に、軽度の子たちの方が就職を紹介してもすぐ辞めてしまう、そういうようなことだったんですね。
これどういうことかなとお話聞きましたら、やっぱり障害のある子供たちを対象にした学校で学んでいる子供たちの方がきちんとした訓練を受けていると。逆に、障害の比較的軽い子供たちの方が、何というんでしょうね、いわゆる将来社会に自立していくときのための準備としてはちょっと不十分なのかなというようなお話をされていました。
そういう中で、やっぱりこういった子供たちが学校を出てから社会の中で職業を持っていくためには、LDだとかADHD、高機能自閉症などの軽度発達障害に対する、これ何というんでしょうね、多分一般社会の理解なんだと思うんですよね。この一般社会の理解と啓発、ここにも力を入れるということが必要なんじゃないかなというふうに思っておられますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/33
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034・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) お話がございましたように、LD、ADHD、高機能自閉症など発達障害のある子供たちに対する社会一般における正しい理解と認識といいましょうか、こういうことがやはり子供たちが社会の一員として主体的な生活を営む上でも不可欠なことではないかなというふうに思うわけでございます。
文部科学省といたしましても、発達障害に関する理解を深めるための広報や啓発活動について都道府県教育委員会等に対して通知をし、促すとともに、国立特殊教育総合研究所においても、発達障害に関する指導資料の作成、セミナーの開催、ホームページでの情報提供等を行っているところでございます。
特に、十八年度予算におきまして、発達障害のある子供たちへの教育を含めまして、特別支援教育の理念を普及するために、保護者、教育関係者等を対象といたしました特別支援教育全国フォーラムというものを開催を予定をいたしておりますし、また、十八年度、交流及び共同学習を推進するための指導資料の作成なども行うことといたしております。
今後とも、軽度発達障害を含む障害のある児童生徒に対する特別支援教育に関する理解、啓発を積極的に推進をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/34
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035・荻原健司
○荻原健司君 ありがとうございました。
ちょっと私の持ち時間、四十五分だったんですが、河合委員から時間分けていただきましたので、もうちょっと続けて質問をさせていただきたいというふうに思っております。
先日、視察の中で、東京都立の中野の養護学校にも行ってまいりまして、子供たちが授業の中で、教室の床のぞうきん掛けやっておりました。これ、やはり将来社会に出ていったときにも役に立てるようにということで、学校の先生方が子供たちに教えて、子供たちも本当に上手に、上手にというか、やっぱりプロのふき方というのがあるんですね。何か我々、適当にやるようなあれじゃなくて、きちんとやっていたなというふうに思うわけなんですが、お話伺いまして、そういう清掃会社の方々と協力をして、またそこに先生が出向いてプロのふき方というか、お掃除のやり方というのを学んで帰ってきて、それを子供たちに教えているというふうに思いました。
ですから、これはもう社会に出ていったときというのはある意味もう即戦力だななんていうふうに思ったわけなんですが、こういう今、特に高等教育の中、高校の方だったですか、理容とかクリーニングなんというか、いろいろありましたけれども、こういう、何というんでしょう、各種業界との連携というんでしょうか、やはり障害のある子供たちの就職というのは確かに厳しいものがあるという中で、やはりこういった業界の方々との連携を図っていく必要もあるんじゃないかというふうに思いますが、この辺り何か、どのようなことが行われているのか、お伺いできればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/35
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036・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 障害のある生徒の職業的自立を促進をするためにも、職業教育や進路指導の改善充実ということが必要だと思っております。
今、盲・聾・養護学校におきましては、例えば第三次産業に対応した専門科目の新設でございますとか、コンピューターや情報通信ネットワークの活用ですとか、あるいはただいまお話のございました産業界との連携を図った就業体験の機会の促進といったような改善を図ってきているところでございます。
教育、福祉、医療、労働の関係機関と連携をし、あるいは養護学校と各種団体とが連携をして、企業の人から直接様々な業種に係る指導を行っていただくといったようなことは非常に効果のあることだと思っておりますので、今、養護学校でも各種業界や団体と連携した取組が行われているところでございます。
また、これまでのこういった取組に加えまして、養護学校等の生徒の職場実習の受入れの協力等につきまして、小坂大臣の方からも経済団体に対して呼び掛けをしているところでございます。
文部科学省として、引き続き障害のある子供たちの職業的自立を促進するための施策の充実に努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/36
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037・荻原健司
○荻原健司君 ありがとうございました。
確かに、今局長おっしゃったように、ITだとかパソコンというのはすごいですね。やはり、我々なんかより手先の器用さとか感覚というのは鋭いですから、そういう中で、我々にない能力を持っておられると思いますから、そういう能力が伸ばせるような環境づくりをお願いしたいなというふうに思っています。
最後、ちょっと、あと二つなんですが、先ほど一番冒頭に大臣のスポーツに対する思い、伺いました。そういう中で、私はスポーツ省というのを考えているんだと。大臣は、すぐにスポーツ省というのは難しいけれども、各省庁と連絡を取り合って取り組んでいただくというふうなお話も伺いました。
その中で今、文部省のスポーツ政策、行政の取組の中で、総合型地域スポーツクラブというのがこれありまして、今全国各地にあります。今回いろんな方にお話を伺って、確かにそうだななんということも感じたわけなんですが、高校レベルだと結構、部活動ですね、運動部活動なんかも盛んにやられていますし、養体連なんというのがあるそうなんですね、養護学校の体育連盟。そういう主催して、スポーツの大会、また交流も盛んだというふうなお話伺いました。
ただ、学校の中でのスポーツ以外で、例えば障害のある方々が地域や自宅に帰ったときに、いわゆる障害のある子供たちが一人になったときに、なかなか出掛けられるようなスポーツ施設やまたクラブもないというお話も伺っています。ですから、そういう中で、やはり私は、総合型地域スポーツクラブというのがその彼らの受入先として非常によろしいのではないかなというふうに思っている中で、今この総合型スポーツクラブ育成の取組の中で障害者の受入れに対する取組を強化する必要もあるのかなというふうに思いますが、どんなことをお考えか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/37
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038・素川富司
○政府参考人(素川富司君) お答え申し上げます。
総合型地域スポーツクラブ、地域住民が日常的にスポーツを行う拠点として整備されているものでございますけれども、障害者の参加に関する全国的なデータは把握しておりませんけれども、既に造られておる、活動されている総合型地域スポーツクラブにおきましては、例えば地域住民の要望にこたえて障害者も参加して活動しているクラブもございますし、また例えば車いすのバスケットボールの活動とか体験教室を開催しているクラブもあると。そういうことで、障害者スポーツに取り組んでいる総合型地域スポーツクラブもあるということは承知しているわけでございます。
今先生御指摘がありましたように、総合型地域スポーツクラブにおきまして、障害者を含む地域住民がスポーツを行う拠点として、住民のニーズに応じました活動の充実発展に取り組むということは重要なことだと考えております。
私どもといたしましては、この総合型地域スポーツクラブに関するいろんな会議はございますけれども、それらの中で、障害者の参加に取り組んでいるクラブの紹介を積極的に行うというようなことで支援をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/38
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039・荻原健司
○荻原健司君 ありがとうございました。
やはり、障害のある方もどんどんどんどん地域に出ていってやはり地域の方々と触れ合って、やはりまたそういうスポーツを通じてお互いの理解が進んでいくんだというふうに思います。そういうことからやはりノーマライゼーション社会の構築の第一歩を踏み出していけるんじゃないかなというふうに思っているわけなんですが、そういう中でやはり学校教育のこれからの課題というのは本当に大きいと思いますし、特にこの法案の改正を受けてやはりいろんな教育改革が始まっていくんだろうなというふうに思っています。
そういう中で、やはり真のノーマライゼーション社会、これを構築していくために、社会に出ていったときにはやはりお互いを、障害があろうがなかろうが、やはり一人の人間としてお互いを理解をして尊重をするというそういう社会、これこそがノーマライゼーション社会の一番の重要なポイントだというふうに思います。社会に出るための準備段階としてのやはり子供たちの教育があると。ですから、その中では、やっぱり教育の中で差別があるというのは私は絶対にいけないことだと思いますが、やはりそれぞれの個人のいろんな資質、個人の特徴に合った教育をする、いわゆる区別をして教育するというのは、これはもう必要なことだと思います。
いわゆる、その後の社会に出ていったときにみんなが同じある意味土俵にのれるような、その準備段階の教育ですから、そういったことは必要なんだろうなというふうに思いますけれども、最後にこのノーマライゼーション社会構築に向けた教育の果たすべき役割、これは何かなということを最後にお伺いをして終わりにしたいと思います。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/39
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040・馳浩
○副大臣(馳浩君) 障害があることによって自己実現を図ろうというそういったことが阻害されないような社会、ということは当然、健常者が障害のある方とともにやはり学び合い支え合いすることのできる社会、これを目指すということが本当にノーマライゼーション社会構築、人間として当然の私はあるべきことであり、また学校教育においてどうなされるべきかということを我々文部科学省もお示しをしていくべきだと思っています。
当然、障害のある子と健常者と交流及び共同学習と、こういう考え方でお互いを理解し合う場面、これも今改訂作業に入っておる学習指導要領、この作業の中で十分検討されるべきだと思っておりますし、また就学に際して、就学制度についても十分保護者の御理解を得ながら進学する学校を決定すると、これ極めて重要な問題であると思っております。
そういったことを踏まえて、教育現場で、将来あるいは子供たちが、ノーマライゼーション社会構築、障害のある方もまた健常者の方も、お互いに理解し合いながら支え合いながら、そして特に障害者が自己実現を図ることのできる社会を目指していく、それをサポートする役割があるというふうに考えておりますので、各先生方の御指導をよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/40
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041・荻原健司
○荻原健司君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/41
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042・林久美子
○林久美子君 民主党の林久美子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず冒頭、滋賀県選出の議員といたしまして、このたび、ふるさとの近江八幡市を、正に風景の国宝ともいうべき重要文化的景観の第一号にこのたび御選定をいただきましたこと、心より厚く御礼を申し上げます。県民の一人といたしましても、しっかりと美しい風景をこれからも守っていきたいと、大きな励みとなりました。本当にありがとうございました。
それでは、早速質問へと入らせていただきたいというふうに思います。
今回の法案は、盲・聾・養護学校における障害の重複化への対応、あるいは通常の小中学校における発達障害児などへの対応が大きな柱であるというふうに伺っておりまして、非常に現状を踏まえた理念の下実行されるということで、一定の評価もさせていただきながら期待も抱いております。
しかしながら、先ほど馳副大臣の方からもお話ございましたけれども、これからの社会を考えていくときに、障害のある子供もない子供もともに学び育ち合っていくことが最終的には大きなノーマライゼーション社会の構築につながるのであるということをベースに考えましたときに、国際的なインクルーシブ教育の流れとは逆の方向に向かってしまうのではないかなと、まだ分離・別学教育というものにこだわりを持っていらっしゃるのではないかなという懸念を払拭することができないということがございます。
そこで、本日は七十一条、七十五条を中心に、法の解釈も含めてお話を聞かせていただければというふうに思っております。
まず、七十五条の第一項では、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び幼稚園においては、次項各号のいずれかに該当する児童、生徒及び幼児その他教育上特別な支援を必要とする児童、生徒及び幼児に対し、文部科学大臣の定めるところにより、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとするというふうに記されております。
この規定は、幼稚園から高等学校のあらゆる教育機関におきまして、障害のある子供たちあるいは教育上特別な支援を必要とする子供たちに対してしっかりと教育を行うものとすると、ものとするというふうに書いてあるわけですから、これは必ず行わなくてはいけない、まず義務規定であるという理解をしてよろしいんでしょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/42
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043・馳浩
○副大臣(馳浩君) 義務規定であります。
第二項で特別支援学級を置くことができるとしてありますので、そこにおいては義務規定として教育を行われなければならないというふうに御理解をいただきたいと思います。
また、冒頭の滋賀県の文化財としての指定、本当、おめでとうございます。というのは、景観のことについて改めて申し上げますが、地元の皆さんの取組のおかげで今日に残っているということを考えると、しっかりと我々としても、指定をした上で、今後とも是非そういった景観を大事にお守りいただきたいという熱い思いがこもっているということもまたお伝えいただけたらと思います。
よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/43
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044・林久美子
○林久美子君 どうもありがとうございました。
それでは、もう一点、この七十五条について確認をさせていただきたいと思います。
後段、「その他教育上特別の支援を必要とする児童、生徒及び幼児」という文言がございますけれども、これはどのような子供たちを指していらっしゃるのでしょうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/44
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045・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 七十五条一項にございます、「その他教育上特別の支援を必要とする児童、生徒及び幼児」といいますのは、特別支援学級に在籍する児童生徒等を除きまして、LD、ADHD、高機能自閉症などの発達障害を含めまして小中学校等に在籍をする障害のある児童生徒等を指しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/45
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046・林久美子
○林久美子君 今のLD、ADHDという御答弁をいただきましたけれども、アスペルガーなどはこちらには含まれないというふうに伺っておるんですが、その点の確認をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/46
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047・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 小中学校等に在籍をしているアスペルガーの方もこの中には含まれるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/47
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048・林久美子
○林久美子君 分かりました。ありがとうございました。
そして、七十五条第一項では「教育を行うものとする。」というふうに書かれているだけで、教育がどの場において行われるのかということの規定はなされておりません。また、第二項で特別支援学級、こちらは置くことができるとされているわけでございますから、すべての学校に特別支援学級が置かれるということでは、現状もそうですけれども、残念ながらないということでございます。障害のある子供たちは、だから必ず特別支援学級に在籍しなくてはならないということにはならないというふうに読み取れることができるわけでございますが、この法案のレクチャーを受けたときに、実は基本的に障害の重い方は特別支援学校の方に行っていただくようにしてもらえればというような御発言もございまして、障害の重さに応じてやっぱり子供たちの行く先が分けられてしまうのではないかというような懸念を抱いているところでございます。
この文言を見たときの確認なんでございますけれども、この七十五条第一項の解釈というのは、特別支援学級ではない通常の学級においても障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うことができる。つまり、障害を持っている子供たちでも小中学校の通常学級に在籍をしながら通級指導を受けたりすることができるということがきちっと保障されると理解してもよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/48
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049・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 七十五条の一項の規定は、小中学校等における特別支援教育の一層の充実のために、障害のある子供に対する教育の実施につきまして明示的に規定を設けたものでございます。障害のある児童生徒の就学する学校につきましては、保護者や専門家の意見を聞いた上で、当該児童生徒の自立と社会参加のために適切な教育が行われるように総合的に判断をされるものでございまして、今回の法律改正によりましてその大きな枠組みに変更はございません。
ただ、就学指導の結果、認定就学を含めまして、障害のある児童生徒が通常の小学校、中学校に在籍をする場合があるわけでございます。障害のある児童生徒を、その場合、特別支援学級に在籍をさせるか、通常学級に在籍をさせるか、又は通常学級に在籍をし、通級による指導の対象とするかどうかにつきましては、各学校において判断をするということになります。
つまり、障害のある子供の就学先につきましては、保護者や専門家の意見を聞きつつ、特別支援学級に在籍をさせるか、通常学級に在籍をさせるか、又は通常学級に在籍をし、通級による指導の対象とするかは学校の方で決定をするということになるわけでございます。就学先は通常の小中学校にするかどうかは教育委員会が決めまして、小中学校に在籍をした場合にどういう指導を行うか、これは学校が決定をするということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/49
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050・林久美子
○林久美子君 済みません、よく分かったような分からないようなという感じなんですけれども。
要は、ちょっと質問の順番が前後して大変申し訳ないんですが、今の御答弁を受けまして確認をさせていただきたいんですけれども、確かに認定就学制度というのがございますね。一定のきちっとしたハード、ソフトの支援が受けられるという体制がつくられて、きちっと認められて通っていると。しかしながら、実態を見ると、認定就学を受けて、かなりの財政的な整備もしていかなくちゃいけないので学校も市町村、やっぱり大変なんだと思うんですね。実態を見てみると、認定就学制度では認められてはいないけれども、それぞれの学校や設置者である市町村であるとかあるいは保護者の方、地域の方、いろんな方の支えを受けながら、いわゆるおっしゃるような認定就学のラインには乗らない障害を持つ子供さんたちも通常の学校で学んでいるという現状があるわけですね。
私はそもそも、確かに障害の種別に応じていろんな適切な教育を受けて社会に出ていかなくてはいけないと。子供たちがそして社会に出ていったときに、ちゃんと障害のある人ともない人ともともに生きていけると、そういう社会をつくっていかなくちゃいけないというのは、多分、この場にいらっしゃる方皆さん一致した見解だとは思うんですけれども、そのために何が大事かと考えれば、やはり少しでも幼いときから多様な仲間と勉強し合い、交流をすることでお互いに理解を深めながら、二十年、三十年たったときに社会が大きく変わっていくのじゃないかなというふうに思うわけですね。
認定就学制度に乗らない子供たちというのは、実態、かなり一杯いるわけで、そういう子供たちが、先ほどおっしゃったように教育委員会によって通う学校を決められるというような御発言もございましたけれども、では、今そういう状況で学んでいる子たちは、この法律が作られることで出されてしまうのか、あるいはきちっと今後も認めてもらえるのであれば、それはこの法律の中のどの部分できちっと規定をされて読み込むことができるのかというのを教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/50
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051・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 先ほど来取り上げていただいております学校教育法の七十五条の第一項、ここの規定は、小学校、中学校等に在籍をする障害のある児童生徒全体を指して、小学校、中学校は教育を、障害による学習又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとすると、こういう規定でございますので、先生お尋ねの児童生徒につきましては、この七十五条の一項に基づきまして教育が小中学校等において行われるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/51
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052・林久美子
○林久美子君 もう少し具体的にお伺いをしたいんですが、七十五条の一項のどの部分かということでございますが、事前にお話を伺ったときは、「その他教育上特別の支援を必要とする児童、」というところで読み込むことができるんですというふうに私はレクチャーを受けたんですが、それでよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/52
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053・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 今先生のお話しされたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/53
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054・林久美子
○林久美子君 どうもありがとうございました。しっかりとこれからも、できるだけ子供そして保護者、地域の実態に応じて、なるべくその当事者の思いが酌み取られるような形で、紋切り型で障害の種別や障害の重さによって切ってしまうのではなくて、これからの社会の形成を思ったときに、現実にしっかりと目を向けていただいてお取り組みをいただきますようにお願いを申し上げます。
七十一条と七十五条、特別支援学校の部分ですね、いろいろちょっと読み比べてみたんですけれども、かなり書きぶりに違うところがあるんだなということを感じました。七十一条の特別支援学校についての規定は、「視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)」となっているんですけれども、一方の七十五条の第二項では、知的障害者、肢体不自由者、身体虚弱者と、ここまでは七十一条と文言一緒なんですけれども、ここからが違うと。病弱者の規定がないということと、弱視者、難聴者と表現が変えられておりまして、七十一条で視覚障害者、聴覚障害者と記されているのに対して表現の仕方が変わっていると。さらに、先ほど来いろいろと伺っておりますが、これに言語障害とかが入るというふうに言われている、「その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの」というような規定も入っていると。
伺いたいのは、何で病弱者の規定がないのかということと、片方では視覚障害者と書かれているものがもう片方では弱視者になっていると。もう一つの方では聴覚障害者と書かれているものが一方では難聴者と書かれていると。ということは、何を意図してわざわざ書きぶりを変えられたのかということを伺いたいと思います。またあわせまして、こういう書きぶりを見ると、どうしても思ってしまうのが、例えば全盲の子供たちは通常の小中学校では支援を受けることができないのかな、特別支援学校に行くという選択肢しか残されないのかなという不安を感じるわけですが、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/54
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055・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) ちょっと説明が長くなることをお許しをいただきたいと思いますけれども。
まず、学校教育法の七十一条に規定をする特別支援学校が教育の対象とする障害を持つ児童生徒の障害の程度につきましては、具体的には学校教育法七十一条の四において政令に委任をされておりまして、政令において障害の程度についての基準が示されることになるわけでございます。
一方、学校教育法七十五条の二項は、特別支援学級を設けて、その教育の対象となる障害を持つ児童生徒について規定をいたしております。その特別支援学校の対象となる児童生徒の障害の程度は、特別支援学校が教育の対象とする程度ではない比較的軽度の障害ということを考えております。したがいまして、法律上、例えば視覚障害者、七十一条では視覚障害者と書いてある部分が、七十五条の二項では弱視者といった表現に、規定になっているということでございます。
いずれにいたしましても、学校教育法におきましては、特別支援学校と特別支援学級のそれぞれにつきまして対象となる障害の程度が異なるという前提に立って各障害に係る規定のしぶりになっているということでございます。
それから、病弱者、病弱児の規定につきましては、学校教育法七十五条第二項で身体虚弱者のために特別支援学級を設置することを可能にしております。七十五条の三項では、疾病によりまして療養中の児童生徒に対しまして、いわゆる院内学級という形で特別支援学級を設置をするということを可能にいたしております。この場合、病弱者ということになると思いますけれども、このように療養中の病弱者に対しても特別支援学級の設置は可能にしているところでございます。
なお、現行の学校教育法施行令では、盲・聾・養護学校等への就学の対象となる児童生徒の心身の故障の程度について規定をいたしております。この規定に該当する児童生徒はすべて盲・聾・養護学校に就学しなければならないという運用は今は行っておりません。すなわち、その政令に該当する児童生徒であっても、当該児童生徒の障害の状況に照らして地域の小学校、中学校において適切な教育を受けることができると市町村教育委員会が認める場合には、地域の小中学校へ入学をするということがあるわけでございます。就学に際しましては、専門家や保護者の意見を聞いた上で総合的に判断をするというのが現在の運用でございます。
したがいまして、これらの規定によりまして、保護者や専門家の意見を聞いた上で、障害に対応した小学校や中学校の学校の施設や設備が整備されていることや、専門性の高い教員が配置されているなど環境が整っているといったようなこと、あるいは小中学校においてそういうことで適切な教育を受けることができると市町村の教育委員会が判断する場合には、お尋ねのような児童生徒であっても小中学校に就学をさせるということがあり得ることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/55
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056・林久美子
○林久美子君 ありがとうございました。
つまりこういうことなんですね、多分。七十一条と七十五条の書きぶりの違いというのは、このほかにも教育の目的の部分についても、ちょっと省略をしますが、書きぶりが違うのですけれども、いわゆる施行令の二十二条の三項ですよね、あれの規定を境に非常に巧みに分けられているんだなということを感じております。その例外としてあるのは認定就学制度であり、先ほど来御答弁をいただいているような市町村が独自に十分な体制を取ったときに例外的に認められると。
しかしながら、教育の根本、障害者政策の根本、あるいはこれからの社会を考えたときに、この後、多分、また後ほど神本委員の方からも御質問あると思いますけれども、ベースは共通の土壌に障害のある子もない子も私はやっぱり置くべきだと思うんですね。その上で、認定就学制度の問題もそうですけれども、基本は地域の小中学校に通うんだと。その中で、なかなか支えられる体制が整わない、あるいは子供さん、保護者の皆さんが、いや、うちは特別支援学校の方に行って何らかのこういった知識を身に付けたいんだという場合は、選択肢としてそちらに行くことが認められると。やっぱりこのベースのラインを、軸足の置き方をもう一度考えていただきたいなということをお願いを申し上げます。
次なんですけれども、七十一条の四に障害の程度は政令でこれを定めると、先ほど来お話をされています学校教育施行令なんですけれども、これは特別支援学校に就学させる際の判別基準的な要素を持っているものでございます。しかしながら、一方の特別支援学級に関しましては障害の程度を政令に委任する規定は設けられておりません。
これは、現行法でもそうですけれども、特別支援学級に関しては、かつてこういったものが存在をしておりまして、「教育上特別な取扱いを要する児童・生徒の教育措置について」という通達があるわけでございますけれども、これは昭和五十三年に出たものですけれども、要するに、これの中で、IQによって区切られているわけですね。例えば、二十以下の者、二十ないし二十五から五十の程度、五十から七十五の程度、非常に分断をされていると。大まかに言うと、IQ五十以下の者は養護学校に就学をさせて、又は特殊学級に入れて指導することが望ましいということをうたっております。
つまり、国としては、施行令の二十二条の三で障害の程度を示しつつ、更に細かな基準をこうした通達で示して、まあ言葉は悪いですけれども、IQで選別しているとしか思えないという状況が続きました。
今回の学教法の改正によりまして、こうした通達、言ってみれば新たな判別基準を作って都道府県や市町村を指導するということはないんだと確認をさせていただきたい。既に地方分権一括法によって自治事務になっているんですから、それは各自治体に任せていかれるというふうに受け止めてもよろしいんでしょうか。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/56
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057・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 就学に関する事務につきましては、お話のように、市町村の自治事務となったところでございますが、特別支援学級につきまして、全国的に著しい不均衡が生じないように、国において学級編制の標準を定めるとともに、これに必要な教員給与を国庫負担の対象としているところでございます。
このように、国としての責務を果たす観点から、現在の特殊学級につきましても制度の運用に当たりまして一定の障害の種類及び程度を示しているところでございまして、特別支援学級につきましても引き続き特殊学級が対象としております児童生徒の障害の程度等を示すことを今考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/57
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058・林久美子
○林久美子君 済みません、要するにそれは基準は作るということなんですか。もう一度お願いします。済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/58
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059・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) どういう基準の示し方をするかというのは十分検討しなきゃなりませんが、特別支援学級が対象としている障害の程度等についてはこれを示すということを今考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/59
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060・林久美子
○林久美子君 ということは、これ、平成十四年の五月二十七日付けの「障害のある児童生徒の就学について」というこの通知がございますね。先ほど御紹介をした「教育上特別な取扱いを要する児童・生徒の教育措置について」は、これはもう既に失効していると、地方分権一括法によってしているというふうに伺っていまして、今あるのは多分これだと思うんですね。これを更に変えて、新たに出されるのかどうか、そういうことになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/60
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061・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 先生からお話がございましたように、昭和五十三年十月の初等中等教育局長通知は、もうこれは廃止をいたしております。現在の通知としては、平成十四年五月の「障害のある児童生徒の就学について」と記されました初等中等教育局長通知でございます。基本的にはこの初等中等教育局長通知を基本とすることを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/61
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062・林久美子
○林久美子君 ということは、この通知を変えるか変えないかは今後の検討課題なんでしょうけど、大きくは変わらないと。変わらない可能性も大であるというふうに受け止めてよろしいわけですよね。よろしいですよね。──はい。
ということなんでございますが、ただ、実態を見てみますと、数多くの自治体が先ほど失効となったいわゆる古いバージョンのIQによって区切られているものをいまだに基準として使っているところが本当に多くあるわけでございます。この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/62
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063・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 今の局長の答弁繰り返すようにもなりますけれども、特殊学級への就学につきましては、先ほどから紹介がありました平成十四年五月二十七日の通知におきまして障害の種類及び程度を示すとともに、各都道府県における適切な取組を促しているところでございまして、この通知において従前の関連通知は廃止したということになりますので、先ほど御指摘のありました五十三年十月の初等中等教育局長通知はこれによって効力を失っております。
今御指摘がありましたように、特別支援教育を含めて初等中等教育に関する各種施策につきましては、都道府県の教育委員会を始めとする関係機関の理解と協力が十分でないという御指摘でございます。それにつきましては、今後、様々な機会をとらえまして適切な取扱いについての周知徹底を図っていくということでございまして、新たな、この十四年五月にオーバーライドした通知は今のところ出すつもりはございませんけれども、この基準はそのままでございますので、しかしながら、従来の取扱いを継続しているような事例があるという御指摘もありますし、しっかりと周知徹底を図ってまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/63
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064・林久美子
○林久美子君 是非お願いしたいと思います。
実際に子供たちが学ぶ一番近いところにあるのが市町村であり都道府県であるわけでございますので、その部分でいまだに非常に乱暴な区切り方をされているものを判断基準に使っているということはもう本当に嘆かわしいことでもありまして、そういう障害を持っているお子さん、あるいはそういう子供を持っている保護者の思いに立ったときに、本当にそのニーズにこたえた温かい教育をしていくために、こういう乱暴なものはもう失効したんだ、もっと地域でこういう教育をしていきましょうと、むしろ新しいビジョンを示していただくようなつもりで周知徹底を図っていただければというふうに思っています。
では、残りの質問は午後へ譲らせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/64
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065・中島啓雄
○委員長(中島啓雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
午前十一時五十八分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/65
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066・中島啓雄
○委員長(中島啓雄君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/66
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067・林久美子
○林久美子君 午前中はどうもありがとうございました。引き続きまして、よろしくお願いいたします。
冒頭、是非大臣にお願いをさせていただきたいんですけれども、この通知の件なんですけれども、これが変わらないということでございましたら、再度周知徹底をするという観点からいま一度全国に出していただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/67
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068・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 先ほど答弁申し上げたとおり、もう失効しているものでございますので、古いものが行われていること自体、本来あるべきではないわけでございますので、そういう観点から、今後ともいろいろな機会を通じて周知徹底を図るということは申し上げました。
今後、そういった事例が私どもで確認がされましたら、それに個別的な対応をするか、あるいは包括的に新たな通知を出すか、検討さしていただきたいと思います。いずれにしても、そういうものをなくすように努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/68
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069・林久美子
○林久美子君 ありがとうございます。是非前向きに御検討をお願いいたします。
それでは次に、今回の法案で新たに特別支援学校に加わる機能としてセンター機能がございますけれども、この点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
今回の改正案で、特別支援学校には特別支援教育等に関する相談・情報提供機能や障害のある幼児児童生徒への指導・支援機能など、そうしたセンター機能を持たせるということでございますが、これ事前にいただいた文部科学省さんの資料でございますけれども、支援をする先に幼稚園、高校、中学校、小学校、保育所というふうになっているんですね。うちの子供も実は今保育所に通っていますので大変心強いなと思った次第なのですが、実はこれ、法律を読んでみますと、条文の七十一条の三では、幼稚園、小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校の要請に応じて、第七十五条第一項に規定する生徒又は幼児の教育に関した必要な助言又は援助を行うよう努めるものとするというふうに規定をされています。
言ってみれば、保育所が外れておりまして、特別支援学校からの助言や援助を受けることのできる対象というのがいわゆる学校に限られてしまっている、学校の列挙という形になっております。
支援が必要なのは、今更申し上げるまでもなく、学校だけではないはずでございまして、幼稚園と同様、保育所でもそうした支援は求められているし、子供にとっても保護者にとっても働いていらっしゃる先生方にとっても、そうした助言、援助をもらいたいと思っていらっしゃる方数多くいらっしゃると思いますけれども、何で今回法案から保育所が外されてしまったのか、理由をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/69
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070・馳浩
○副大臣(馳浩君) センター的機能に関しては今までも努めることというふうな書きぶりで、努力義務規定のようなものであったのを今般の改正で明確に法律上位置付けたと。
そこで、委員御指摘の点でありますが、三つの理由がございます。
まず、想定される機能や対象は多岐にわたるものであり、法律の規定としては、このうち中核的なものについて定めることが適当であると考えられること。
二つ目は、特別支援学校は障害のある児童生徒等の教育についての専門性を有する教育機関であり、助言、援助の内容についても教育にかかわるものが中心となると想定されることから、助言、援助の対象としては教育機関を明示することが適当と考えること。
三つ目は、保育所などの児童福祉施設を始めとする各種施設までも網羅的に明示することは適当ではないと考えること。ちなみに、考えられる各種施設等についての例は、委員御指摘の保育所とか児童自立支援施設などの児童福祉施設、障害者福祉施設、病院、保護者などが考えられるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/70
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071・林久美子
○林久美子君 今回のこの条文の読み方なんですけれども、これは例示列挙なのか、限定列挙なのかというところではいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/71
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072・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 今回法律に規定をいたしましたのは、教育にかかわる者が中心になるということが想定されていることから、典型例として教育を行う学校を規定をしたわけでございますが、これはあくまで例示の列挙でございまして、これ以外の機関に対する支援を行わないというものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/72
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073・馳浩
○副大臣(馳浩君) 御指摘の点についてですが、しかしながら、助言や援助の対象としては第七十一条の三に規定されていない機関等を排除するものではなく、保育所も助言、援助の対象となると考えております。
この点については、施行通知等により明らかにしていくことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/73
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074・林久美子
○林久美子君 ありがとうございます。
是非とも、例示列挙であるということであれば、ちょっと気になるのは優先順位の部分なんですね。要は、努力義務であるという以上それすらかなわない可能性も当然あるわけでございまして、小学校、幼稚園、中学校というものに初めて支援の手が伸びて、それが完成してから保育所という形になるのではないかなという点で非常に危惧をしております。そうした意味では、先ほど馳副大臣がおっしゃいました三つの理由の中の一つ目に中核的なものという表現がございましたけれども、中核的なものという概念からは恐らく保育所は外されたのであろうと思っております。
また、一方で排除するものではないということでございまして、しっかりと施行通知等でフォローいただけるということでございますけれども、同じ年の子供たちが、保育所に行っているか幼稚園に行っているかというのは、すなわち保護者の方が働いているかいないか、特にお母さんが働いているかいないかによって行っている、学ぶ場が違うわけですね。今衆議院の方で審議をされている認定こども園法案でもそうですけれども、その親の就労形態によって子供たちが受けられる教育、保育、あるいは支援の内容に差が付いてしまうというのは決して望ましくないし、不自然なことなんではないかなというふうに私は思っておりますので、後回しになることのないように極力お願いをしたいと思いますし、せっかくでございますので、この条項を是非、今回、等という言葉も要するに入っていないわけですね、学校に限定していらっしゃって。修正もいただきたいと思うんですけれども、それは可能でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/74
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075・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) ただいま馳副大臣が御答弁申し上げましたように、また局長からも答弁いたしましたように、まあ言ってみれば例示的な規定として書いてあるわけでございまして、それ以外のその他の施設等を排除しない、すなわちそこは差別しないということであります。
この施行に当たりましては、当然施行通知出しますので、その施行通知の中にただいまの御意見も踏まえて例示をさしていただきます。例示の中に、これを限定するものではないという趣旨のことが分かるようにさしていただきまして、誤解を解いていきたいと、このように思いますのでよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/75
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076・林久美子
○林久美子君 前向きな御答弁をいただきましてありがとうございました。
なぜ私がこういうことを申し上げるかといいますと、実際に私の周り、友人の子供さん、あるいは親戚の子供も、本当に今発達障害を含め多様な障害を抱えながら悩んでいる人って本当に今増えているわけなんですね。特に、長崎で何年か前に事件がございましたね、駿ちゃんの。あの事件があったときなどに、私の知っているそういう発達障害を抱えた子供のお母さんは、通っていらっしゃる保育園の、保育所のほかのお母さんたちに、おたくの子供が来るとうちの子が殺されるからもう連れてこないでくれと、こんなことすら言われているわけですね。
障害というのは、なるべく早い時期に発見をして適切な支援を受ければ十分に社会の中でともに共生をしていくことができると、その年齢というのは保育所にいようが幼稚園にいようが変わらないし、その支援を求めるのは子供のみならず保護者の方も同じなわけです。
私の地元滋賀県でも、長浜で、幼稚園でございましたけれども、園児二人が同級生の母親から殺害をされるという事件がございました。もちろん、決して許されることではありませんし、本当にひどい事件であって憤りを感じたわけでございますけれども、一方で報道されているのは、殺害した加害者が子育てについての非常に不安を抱えていたということも伝えられております。保育所、幼稚園にとらわれず、本当に前向きな支援の手を差し伸べていただきますようにお願いを申し上げます。
そしてまた、今回の七十五条では、先ほども、午前中にも申し上げましたように、幼稚園においても障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとするというふうにされておるわけでございますが、七十五条の二では、特別支援学級を置くことのできるところとして今度は幼稚園が含まれていないのですね。
これはなぜなのかということを伺いたいわけなんですが、幼児期の段階では学級を分けて行うことが正しくないと、統合して行う方が良いとお考えでこういう形を取られたのか、あるいは特別支援学級を置くような財政的な余裕もなかなかないという厳しい現状からきたものであるのか、是非教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/76
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077・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) ただいま先生からお話がございましたように、七十五条の一項で幼稚園も特別支援教育の対象として規定をしているところでございます。
ただ、七十五条の二項では、幼稚園については特別支援学級を置くという規定がないということでございますけれども、これは、これまでも幼稚園教育につきましては特殊学級の時代も特殊学級は置かないということできたわけでございます。その背景でございますけれども、小学校以上の教育が各学年ごとに体系的に定められた教科の内容の習得を中心として行われるというものであるのに対しまして、幼稚園の教育が子供集団の中での子供同士のかかわりを基本としながら、遊びや具体的な体験活動を通じて様々な力が身に付けられるように指導を行うという、その幼稚園教育の特性にあるというふうに考えております。したがって、障害児により編制をされる通常学級とは異なる教育活動を実施をする特別支援学級というのは、今回の改正においてもこれまでの取扱いと同じということにした次第でございます。
なお、幼稚園教育要領におきましては、幼稚園における障害のある幼児の受入れにつきまして、家庭及び専門機関との連携を図りながら、集団の中で生活することを通じて全体的な発達を促すとともに、障害の種類、程度に応じて適切に配慮をすることと記してございまして、幼稚園における障害のある幼児の教育について必要な配慮事項を示しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/77
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078・林久美子
○林久美子君 分かりました。ありがとうございました。
このセンター機能につきましては、私は保育所も含めてほしいという思いに変わりはないわけでございますが、何せ一番最初の中核的なものとして挙がっている学校にすら手が届かない可能性があると先ほど申し上げましたけれども、要はやっぱり人と財源であるというふうに思っている次第でございます。
今回、先ほど人的な配置が十分に行われるのかどうかというような議論もございましたけれども、言ってみれば、学校の先生がきちっと専門知識を持って育成をされていくことと十分に配置をされていくこと、そうした基盤整備を果たさずしてこのセンター機能はあり得ないと、正に「絵にかいたもち」に終わってしまいますので、しっかりとその点も御努力をいただきたいと思います。
今申し上げました学校の先生方の専門的な知識ということでございますけれども、そうした意味では、幼稚園の先生あるいは保育士の皆さんにも一定、幼いころからきちっと適切な教育をしていくためには、様々な障害についてより一層深い専門的な知識を養っていただくということが保護者の立場からしても非常に安心であるなというふうに思うわけでございますけれども、これ是非文部科学省さんと厚生労働省さんにお伺いをしたいんですけれども、養成課程でカリキュラムの見直しというのは一つの課題であると思います。この点についてはどのようにお考えであるか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/78
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079・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 幼稚園教員につきまして、特別支援教育に関する理解を促進をし、その資質、能力の向上を図ることは大変大きな課題でございます。
幼稚園教員の養成段階におきましては、平成十年に、障害のある児童等の心身の発達や学習の課程に係る内容の必修化という措置を行っているところでございまして、幼稚園教員になる方はこの障害のある児童生徒の心身の発達や学習の課程について学習をして免許を取得をしているということでございます。
さらに、昨年の四月、発達障害者支援法の施行に際しまして、文部科学省よりすべての国公私立大学等に対しまして、幼稚園等の教員養成課程において発達障害に関する内容も含めて取り扱うように、その充実に努めるよう通知をして、その内容の充実を促しているところでございます。
今後とも、教員養成カリキュラムにおける特別支援教育に関する内容の充実の促進等を通じまして、幼稚園等の教員の特別支援教育に関する資質、能力の向上に努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/79
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080・白石順一
○政府参考人(白石順一君) 保育士の養成課程のお尋ねでございました。
保育士の養成課程におきましては、障害をお持ちのお子さんに関する知識の習得という観点から、様々な障害への理解、それから障害をお持ちのお子さんへの個別援助の方法等を学ぶための障害児保育という科目が必修となっております。同じく必修の科目であります精神保健あるいは発達心理学、それから小児栄養という科目におきましては、それぞれ乳幼児の心の健康障害であるとか乳幼児期の発達援助の在り方、それから障害児の食生活等々を内容とした必修科目がございまして、全体の六十八単位の中の七単位がこれらの障害関係の必修の科目ということになっております。
また、厚生労働省におきましては、保育所におきますそういう障害児保育に必要な専門的知識、技術に関する教育訓練という観点から、毎年障害児保育担当者の研修会を実施をしております。
このようないろいろな取組を今後更に充実を図ってまいりまして、障害をお持ちのお子さんの健全な発育、発達ということに関しての保育士の専門性と資質の向上を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/80
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081・林久美子
○林久美子君 両省とも本当にそれぞれに工夫を凝らしながら取り組んでいらっしゃるということでございますけれども、聞くところによりますと、やはり今の体制ではなかなか厳しいと、先生方にもそれぞれに迷いがあるということを非常によく聞きます。進んでいるところでは既に専門知識を持った医師の方なんかに定期的に来ていただいていろんな御指導をいただいているということも伺っておりますけれども、また国としても何らかそういう、自助努力に頼るだけではなくて、いろんなところと連携をしながら、医療機関も含めて、医師そのものにまだまだ専門家が少ないという問題もございますけれども、多様な角度から是非子供たち、そして保護者の皆さん、御支援をいただきますようにお願いを申し上げます。
それでは、後の質問は神本委員の方に譲らせていただきます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/81
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082・神本美恵子
○神本美恵子君 民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。
林委員に続きまして質問させていただきます。
私は、学教法の法律に入る前に、弱視の子供さんの拡大教科書の問題についてまず質問させていただきたいと思います。
この問題については、先般の一般質疑でも我が党の鈴木委員からも質問がございました。私も、著作権法の一部改正のときにもこの問題について質問させていただきまして、当時の遠山文科大臣の方から、すべての通常学級で学ぶ弱視の子供たちに例外なく教科書が無償で渡るように最大限努力をしたいという答弁をいただきまして、それを受けて、(発言する者あり)ありがとうございます。それを受けて、文部科学省としてもすぐに着手されて取り組まれたことは私も知っております。
ところが、それで一定の改善は見られましたが、まだ遠山大臣がおっしゃった例外なく教科書が手渡るというところまでいっていないという実態を党のヒアリング等で聞きまして、私もちょっと茫然としたんですが、すっかりもう手渡っていると、無償でと思っていたんですけれども、現状どうなっているかということをまず御紹介したいと思います。
今日、委員の皆様にもお手元に資料を配らせていただいています。これ、先般の視察の折に筑波大盲学校でもいただいた資料なんですけれども、視覚障害児の教科書の実態ということで、現状、盲学校においては点字教科書は無償ですべて発行されて手渡っているわけですが、拡大教科書については、盲学校においても、国語、算数、理科、社会、それから中学校はそれに英語がプラスされたものは民間の出版会社が発行しておりまして、それが手渡っているわけですけれども、右の方の弱視学級、通常の学級、ここにいる子供さんたちのための拡大教科書は発行されておりません。無償にはなったんですね。しかし、発行されておりませんので、ただ一部、※の一というふうに書いて、下の方に欄外に書いておりますけれども、盲学校で採択された教科書と同じ教科書が採択された地区の学校に行っていればこの拡大教科書が手に入るわけですけれども、それ以外はほとんどボランティア作成による教科書になっております。
今日、これは盲学校の先生にお借りしたんですが、これが民間の出版会社が発行している拡大教科書で、こういう、これは何ポイントかな、二十二かな、ああ、十八ポイントですかね、そしてこれが二十二ポイント、それから二十六ポイントというふうに三種類、これは東京書籍が大活字という出版社に依頼して、委託して作ったものであります。
その資料の裏にどういうところがどういう教科書を出版しているかという一覧表がございますけれども、光村、それから東京書籍がこういう教科について、ポイントは、文字の大きさというところにありますけれども、十八、二十二、二十六ポイント出しているところと、二十六ポイントや二十二ポイントというふうに一つずつの種類しか出していないところもございますけれども、こういう状態です。
で、これ以外の教科書を採択した地域の学校に通っている弱視の子供さんには、ボランティアが作成したこういう、手書きなんですね。本当に私は感動したというか、何かこう、何とも言えない気持ちがしたんですが、サインペンで、本当に整った字で、手書きの教科書が一冊一冊作られているということです。これは英語の一と書いてありますが、恐らく拡大しますので、普通の教科書がこの厚さであれば、この何分冊かになるというお話も聞いております。
今、現状としてはそういう状況にあるということです。これ、よろしければ回して、皆さん方、手に取って見ていただけたらと思います。
この拡大教科書をボランティアで作成されている、そのボランティアが現在全国で約六十団体あるそうです。その方たちが、一人一人のニーズに合わせて今のような手書きで行われているということです。
しかし、二〇〇五年度で既にこのボランティアが作成する教科書のその供給体制といいますか、それはもう能力を超えて、もう悲鳴が上がっているんですね。いつまでボランティアに任せるのかというような悲鳴が上がっております。実際には、依頼をされた分の六、七割しか供給できていないという現状にございます。
そこで、今現状、通常の学級に通いながら検定教科書の文字が読みづらい、いわゆる弱視児童生徒数は千七百三十九名いるのに対し、実際に拡大教科書が無償で給与されたという子供さんは五百十八名、三分の一以下なんですね、というような現状にあります。これは本当に、すべての子供に例外なく無償で教科書が与えられるというのは、これは憲法、教育基本法をまつまでもなくもう当たり前のことですので、それが供給されていないということについて、是非これはもう、何というか、国の責務としてやるべき問題だと思いますので、早急な供給体制の確立をということで幾つか御質問をします。
まず、ボランティアや弱視問題研究会の方々にお聞きしますと、教科書会社が二十二ポイント版の拡大教科書を出版すれば約七割のニーズにこたえられると。あわせて、三十ポイント程度の拡大教科書も出版されればほぼすべて、一〇〇%近くそれでカバーできると言うんですね。ですから、一番早いのは、教科書無償法を改正して、それを出版社に義務付ければいいと思うんです。それが一番簡単に国が責任持って供給するということになるんですが、恐らくこれは多分駄目っておっしゃるかもしれませんけど、ちょっといったん聞いてみたいと思います。いかがですか。どういう駄目な条件があるのかということも含めて。予告していませんでしたけれど。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/82
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083・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) ただいまお話がございましたように、拡大教科書を必要とする児童生徒に拡大教科書が確実に無償で給与されるということは大変重要なことだと思っております。文部科学省としても、各教科書発行者に対して、拡大教科書の作成について取組を促しているところでございますけれども、まだ各教科書発行者が拡大教科書を発行するというところまでは至っていないのはただいま先生からお話があったとおりでございます。新たな義務を課すということになりますと民間の企業に対して規制を掛けるということになるわけでございますので、直ちにはなかなか難しい状況にはございます。
ただ、私ども、一日も早く必要な児童生徒に拡大教科書が給与されることを目指しまして、各教科書発行者と具体的な方策について検討していきたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/83
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084・神本美恵子
○神本美恵子君 直ちに義務を課すことは難しいということなんですけれども、ずっとこの作成に携わってきたボランティアの方たちから言わせれば、いつまでさせるんだと、まあさせるんだ、本当に善意で子供たちのためにやってこられた方たちの言葉だからこそそのままに聞いてほしいんですね。国がやるべきことを自分たちがやっている。しかし、それでも電話が掛かってきて、うちの子の視力に応じたこういう教科書欲しいと言ってもそれを断らざるを得ないという、そのつらさを含めておっしゃっております。しかも、皆さん退職された方や主婦の方たちで、しかも、今、回していますように、本当に同じ形のゆがみのない手書きの文字ですから、熟練も要するわけですね。これ以上、その人材育成、高齢化しているということで、熟練をしていくというような人材養成についてもなかなかそう簡単ではないという現状であることをまずしっかり認識していただきたいと思います。
そこで、じゃ一歩譲って、すぐにそれができないとして、拡大教科書のためのすべての教科書のデータの提供、これを義務化することはできないかということですね。まあ、文科省としても努力をしていただいて、教科書会社の協会の方に指示をされて、今年の四月七日、出版社にデータ提供の協力要請を行われております。これについては関係者の皆さんも一定評価をなさっております。
しかしながら、それはあくまで協力要請でありますし、提供されているデータも、お聞きしますと、すべての子供が手に持っている教科書の全データではなくて、例えば教師用指導書のデータであったり、教科書の一部であったり、挿絵とか写真とかのデータが抜けていたりと、完全なものではないと言うんですね。
ですから、そこですべての教科書のすべての情報が含まれるデータがこのボランティアの方たちに入手しやすいように、提供されるよう出版社に義務付ける、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/84
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085・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 教科書のデジタルデータの提供につきましては、三月の本委員会におきましても御指摘をいただいたところでございます。私ども、その審議を踏まえまして、社団法人教科書協会に対しまして加盟各社にデジタルデータの提供について協力要請をするよう指示をいたしまして、教科書協会は、四月四日付けで加盟各社に対しまして国会での議事録を添付して協力要請の文書を発出をしたところでございます。
また、デジタルデータ等の提供の仕組みにつきまして、改めてボランティアの方々に対しまして周知するように教科書協会に対しまして指示をいたしまして、教科書協会では四月七日付けで個々のボランティア団体の方々に、現時点で提供できるデジタルデータの一覧を添付をしまして、提供の仕組みなどについてお知らせする文書を発出をしたところでございます。
さらに、ボランティア団体の方々にとりまして使い勝手の良いデジタルデータとすべての教科書のデジタルデータが提供されるように、社団法人教科書協会に対しまして早急に検討するように今指示をいたしております。
教科書協会は、四月の十日に著作権専門委員会を開催をいたしまして、提供するデータの内容、提供する教科書の種類数が改善されるように検討を開始をしたと承知をいたしております。
いずれにいたしましても、義務付けというのはなかなか難しい状況もあるわけでございますが、このデジタルデータの提供につきまして、私どもとしても最善の努力をしてまいりたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/85
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086・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 今、この手書きの、正に最初は印刷だと思ったんですが、この後ろの方の百五十九ページ辺りは印刷なんですが、手前の方は全部明らかに、これ百四十四ページ辺りはこれ手書きなんですよね。本当に活字と同じように手書きで努力をされて読みやすいように作っているとか、大変な御苦労をいただいております。
今、OCRとか読み取り機で電子的にデータをデジタルデータにして、そして拡大して印刷するということは可能だとは思いますが、それでも正誤訂正の努力とか相当なマンパワーが掛かってまいります。そういうことからすると、今答弁、局長が申し上げたように、デジタルデータを提供していただければ、それが一番簡単なわけでございますから、拡大教科書を発行しない場合にはデジタルデータを積極的に提供してほしいと。これは義務化するのはやはり、ビジネスとしてやっている教科書の出版社に対して私は命令することはできませんが、私の名前でもう一度、この委員会で積極的に答弁したということで、再度担当の方から教科書協会に対して依頼を出すということで、これを積極的にやってもらえるように私も努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/86
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087・神本美恵子
○神本美恵子君 ありがとうございました。
ボランティアの方たちも大臣がじかにその作成教科書を見ていただいて、そして今のような前向きの御答弁いただいたこと、きっと喜んでいただけると思います。私も一歩譲ったかいがありました。
ただ、今のことで本当に前向きな答弁をいただいて有り難いんですが、実は支援者の方からいただいた資料で、二〇〇四年の十一月の点字毎日の新聞記事なんですが、例えばアメリカなどでは障害児教育法の改正案が審議されておりまして、その中で、こういう教材のアクセシビリティーを確保するための基準を国が策定すると。そして、教材出版社に対して、新たに設立する国立教材アクセスセンターというようなものを設立しまして、そこが今のような電子データをきちっと整備をして、そしてだれがその教科書を必要としていて、必要としている子の教科書はこれで、それをどこに依頼するというようなことをコーディネートする。国がそういうことをするというような動きが今出ている。これ、おととしの記事ですので、恐らく今成立しているのではないかと思われます。
国の責任でやるということで、当面は大臣のお名前で先ほどのようにしていただき、早急に供給体制を取るための一歩をしていただく。で、後は安定的に継続的に、毎年これは必要なことですので、安定的な供給体制ということでそういうコーディネートをする機関といいますか、それ文科省にやっていただいてもいいんですが、きちんとやりますよということについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/87
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088・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 今の神本委員の御指摘は、実は与党の皆さんの部会等でも私、直接聞いたこともありますし、また、委員からまた御提言をいただきました。
私は、IT、ICTの教育振興という観点から、そういった教材がどこにあるのか、それから先生方が努力して作られた教材で版権を主張しない、著作権を主張しないようなものについてはどこかにプールして、そして全国からアクセスをしてダウンロードできるようなポータルを作るべきだと私は思っているんです。
そういうことを今検討してもらっておりますので、そういった検討の中で、そういうポータルに、今の電子データ等についても、視覚障害者等の障害のための教材はこういうところにアクセスしていただいて、こういう条件でできますよとか、そういったものの提供というものを併せて検討する必要があるかなと、こういう認識を持ちましたので、今ここでやるとかやらないとか明確に答弁することはちょっとまだ猶予をいただきたいと思いますが、ちょっと研究さしていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/88
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089・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 教科書本文のデジタルデータの提供促進につきましては、大臣の方から先ほど御答弁をいただいたところでございまして、私どもの担当といたしましてもしっかり取り組んでいきたいと思っております。
なお、具体的には、各都道府県においてもどのぐらいの子供さんが拡大教科書を必要としているのか、あるいは拡大教科書を製作するボランティアの方々からいろいろな相談や情報の提供依頼などに対応していく窓口というものをしっかりつくってもらう必要があると思っておりまして、近く、今月末に都道府県の教科書担当者の事務連絡協議会がございますので、その席におきまして、各都道府県教育委員会に拡大教科書の相談窓口をきちんとそれぞれつくっていただくということをまた要請をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/89
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090・神本美恵子
○神本美恵子君 まあ前向きにやるという大臣の力強い御答弁をいただきましたので、もうそれで結構だと思います。
あと、こういうふうに文科省として、国として拡大教科書が手渡るように努力しています、こういうふうになっていますよということを是非当事者の弱視の子供さん、保護者の方に、周知徹底ができないとアクセスができないわけですね。通知が国から都道府県、市町村、教育委員会から学校まで行って、学校の先生からその子供さん、保護者まで行かないと手渡らないわけですので、そういう保護者、すべての保護者が知ることができるように、これはもうお願いをしたいと思います。例えば文科省のホームページとか、あらゆる手段を使って周知できるように御努力も併せてお願いしたいと思います。
そこで、学校教育法等の改正案につきまして御質問をこれからさせていただきたいと思います。
この前、本会議でも私、質問をさせていただきました。私なりに自分の経験も、それから一緒に学んできた子供たちのことも、その保護者の方たちのことも思い浮かべながら、思い起こしながら質問させていただいたんですけれども、やはり本会議の場ということもありまして、なかなかじっくりとやり取りができませんでしたので、今日は大臣にもしっかりと受け止めていただいて、一歩でも前向きの答弁をいただければという立場でさせていただきたいと思います。
実は、この質問をするに当たって、特殊教育百年史という、何かこんな分厚い本がありまして、どこが出版したのか、ちょっと貸してもらったのを概要をぱらぱらと見たんですが、その最初の方に、明治五年、学制発布のときの、学制のところを見たんですけれども、その中に何と、小学校、中学校を置くという中に、廃人学校、廃屋とか廃棄するという廃ですね、廃の人、廃人学校を置くというふうな表現がございました。
そして、特殊教育というのはいつごろから出てきたのかなと思って、ぱらぱらと見ましたが、これはどうも戦後のようでして、戦後、特殊教育と、そして今回の改正で初めて特殊教育から特別支援教育というふうに法律的な文言が変わってきたのだなということを思いながら、やはり障害を持って生まれてきた子、あるいは途中から障害を持つことになった子供さん、まあ大人の方もそうですけれども、そういう人たちが置かれてきた状況というのがこの言葉の変化だけでも分かるのではないかと思います。
要するに、廃人ということは、あるいは特殊という言葉も、何といいますか、特別という言葉とはまた違ったニュアンス、特殊という言葉には込められているように思うんです。排除するというか、社会から、エクスクルージョンと英語では言うそうですが、今、正に問われているインクルージョンの反対ですね。ですから、排除するのではなくて特別支援教育に変えるということは、包み込む、包摂する、インクルージョンの方向に向かっていくのだというふうに私は是非この改正がなってほしいと、そういう願いを強く持っております。
そういう立場から具体的な質問をさせていただきますが、大臣、衆議院の審議において、これは衆議院の文部科学委員会で大臣が委員の質問に、馬渡委員の質問に御答弁をされて、学校教育法施行令の原則分離を撤廃せよというお話は、まず、実態というか、環境が付いてこないと、ということで、どちらが先かという問題は確かにありますと。その後続けて、今ようやく一歩前へ踏み出しております、これを一歩、二歩、三歩と、足早にか着実にか知りませんが、進めて、環境を早く整備して、通常の学校にみんなが通える、そしてその中で特別支援を必要とする人はその部分でそうして、それ以外の部分はみんなと一緒に行動する、そういう理想の形へ向けて努力をしたいと。
これは恐らく大臣の見識の中での正直な御答弁だったと思うんですけれども、この通常の学校にみんなが通える、そしてその中で特別支援を必要とする人はその部分でという理想は、失礼ですけれども、変わらない。まあ答弁されたばっかりですけれども、改めてこの参議院の場でも御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/90
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091・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 今お読みいただいたとおり、私自身の考えとして、通常学校にみんなが通えるというのは一種の合理性からいってもいいんだろうと思う。しかしながら、理想ではあるが、まだ環境が付いてこないということを含めて気持ちを述べたものでございます。
今回の法改正は、障害のある児童生徒等の教育について、個々の児童生徒等の教育的ニーズを的確に把握して、これに応じた最も適切な教育を弾力的に提供していく、そういうことを目指したものでございます。ただし、障害のある児童生徒の就学すべき学校の決定の仕組みについては、今回の法改正によって直ちに現行制度が変わるものではございません。
就学すべき学校の決定については、一人一人の教育的ニーズを踏まえた適切な教育を行うことを基本にして、保護者や専門家の意見を聞きつつ、総合的な観点から判断をすることとしているわけでございまして、児童生徒の障害の状況のいかんにかかわらず一律に通常学校に就学させることを原則とするということは、現状においては困難であると考えております。
なお、障害のある児童生徒の就学の在り方につきましては、昨年十二月の中央教育審議会の答申におきまして、就学前及び就学後における教育的ニーズの一層の把握及び反映という点、また、児童生徒及び保護者に対する的確な説明及び情報提供という観点からの検討が必要である旨を提言をいたしております。
文部科学省として、今後、就学の在り方について、中教審の提言も踏まえて、保護者の意見を十分に聞くようにしていく方向で検討をさせていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/91
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092・神本美恵子
○神本美恵子君 通常の学校でみんなが通えるということが理想だということは再度言っていただいたんですけれども、そのための環境が付いてこないと。しかし、今回の法改正でそちらへ、その理想の形へ一歩でも前へ踏み出したというふうにおっしゃっているわけですが、じゃ、そちらへ二歩三歩と近づいていくためには、どこをどういうふうにすればそちらへ向かっていくのか。ちょっとこれは最後にお聞きした方がいいかと思います。
今詳しくいろいろ言っていただきましたけれども、理想の形に向けてどういうふうに踏み出していくのか、どこを整備していけばいいのか。じゃ、副大臣、あります。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/92
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093・馳浩
○副大臣(馳浩君) これは、委員の御指摘は今後のやっぱり重要な検討課題だと私は思っております。
就学制度に関して今回改正するというたぐいのものではありませんけれども、実際には、特別支援学校、そして通常の学校に通う障害をお持ちの方、通常の普通学級に通う、それから特別支援学級に通う、通常の学級から特別支援学級に通級という形を取ると、こういうふうな仕分けにはなっておりますよね。そうなる場合に、就学制度のときは、やはり保護者の御意見を十分に伺いながら、そしてそれにどう現場が対応できるか。
基本的には、これは設置者は都道府県教育委員会ですよね。そして、その通おうとする身近な学区制度の中での学校長の判断と。そういう障害のあるお子さんを受け入れるに当たっての教育条件の整備、こういったことをすべて勘案しながら、保護者の意見を十分に伺いながら対応すると。ここが私は、大臣の衆議院での答弁も聞いておりましたけれども、委員の御指摘にもあるとおり、ここは十分に保護者の意見を尊重しながら十分に対応できるかどうか、現場が。その子にとって、特別支援学級がいいのか、通常学級がいいのか、特別支援学級がいいのか、通常学級にいながら通級という形がいいのか、これすべてを勘案した上で、そのために必要な情報も提供し、丁寧な説明もしながら対応していくということ、この作業を積み重ねることが大事だというふうに考えています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/93
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094・神本美恵子
○神本美恵子君 大臣も副大臣もお気持ちは十分私も共有できる今御答弁でございました。ただ、実際の制度がどうなっているかということについて、これから順次御質問、後でさせていただきたいと思います。
その前に、今日外務省にちょっとおいでいただいたんですけれども、本会議で私、麻生大臣に障害者権利条約の策定状況について幾つか質問させていただいたんですが、そのときに麻生大臣から御答弁いただいたのは、この権利条約策定作業における日本政府の姿勢として、三点お答えいただいたと私は受け止めております。一つは、障害のある子供たちに義務教育を保障すること。それから、その教育の保障には多様な方法がある。また、インクルージョン教育が大きな流れとなっていることを踏まえて、外務省としては文科省ときっちり協議をしながら今後の対応を図っていくということで御答弁をいただいたんですが。
その中で、これは一月二十四日の国連のアドホック委員会の中で日本政府がいろいろ発言しているわけです。一般教育制度の「一般」を除外するようにということについては本会議で指摘をさせていただきました。そのほかに、普通教育であれ特別学校であれ、障害がある子供が行く学校はその子供の最善の利益に従って決定されるべきであると私どもは考えていますというふうに日本政府として発言をされております。
子供の最善の利益に従って決定されるべきと、私はまさしくそのとおりだと思うんですが、この決定は一体だれが行うのか、だれが行うということでこういう発言になったのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/94
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095・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 最善の決定をだれが行うのかという御質問をいただきました。
児童生徒のその就学すべき学校につきましては、保護者の方や専門家の意見を聞きながら、当該児童生徒にとりまして最適の教育が行われるように総合的に判断すべきものと考えるわけでございまして、その際には子供の最善の利益を考慮をして決定をすることが重要であると考えるわけでございます。その場合、最終的には市町村の教育委員会が決定をするということになるわけでございます。
ただ、しかしながら、就学につきましては、この決定に際しまして、専門家はもちろん、保護者の意見を十分に聞くようにしていくということが重要であると考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/95
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096・神本美恵子
○神本美恵子君 外務省。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/96
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097・辻優
○政府参考人(辻優君) お答え申し上げます。
今文部省の担当局長の方が御説明されましたけれども、基本的に我が方の代表団から発言した趣旨はそういう趣旨だと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/97
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098・神本美恵子
○神本美恵子君 外務大臣はインクルーシブ教育の流れを踏まえてというふうに御答弁をいただきましたけれども、どうも今の局長の御答弁をお聞きしていても、子供の最善の利益に従って決定する、決定するのは保護者の意見も聞きながらということではありますが、やはり設置者あるいは教育委員会が決定するというところになっておりますので、そこに若干外務省と文科省の間に認識のずれがあるのではないかというふうに私は受け取ります。
それで、是非これは外務省の方にお願いをしたいんですが、国際的に求められているノーマライゼーションやインクルーシブということは、外務省が一番肌で国際会議に出ておられるわけですから感じていらっしゃると思うんですね。そのことが日本の文部行政、文部科学行政の責任、文部科学省にきちっと伝わっているのかということに、私はちょっとその辺を、乖離とまでは言わないけれども、ちょっとギャップを感じますので、是非今後文部科学省とアドホック委員会に臨む際にもしっかり協議をして、国際的な流れの空気を入れ込んでほしいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/98
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099・辻優
○政府参考人(辻優君) お答え申し上げます。
先般、本会議で、委員からの御質問に対しまして、麻生大臣の方から、インクルーシブな教育が大きな流れとなっているということを踏まえまして、文部科学省と協議をしつつ対応を検討していくと、こういうふうにお答え申し上げたとおりでございます。
議場の雰囲気につきましては、先生おっしゃるとおり、インクルーシブな教育を支持する声が多かったのもまた事実でございます。文部科学省からの参加者がある場合には参加者に直接感じていただき、また、そうでない場合は私どもの方から会議場の雰囲気についてはきちんとお伝えする、それは当然そうさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/99
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100・神本美恵子
○神本美恵子君 それでは、外務省にもう一つお伺いしたいんですけれども、この作業委員会で日本からはNGO団体も加わっておられまして、JDF、日本障害者フォーラムという団体は外務省ともしっかり連携をされている団体だとお聞きしています。
そのホームページに、教育などでは時代の流れに逆行するとも取られかねない発言を日本政府が行った、これは日本政府の問題であると同時に自分たち障害者団体にも大きな課題を突き付けたように思われるというような記載があるわけですね。ですから、連携している障害者当事者団体の方々からも日本政府の国際会議における発言は時代の流れに逆行するというようなとらえ方をされているわけです。
外務省として、今後しっかり当事者団体の方々とは連携をより緊密にやっていかなければいけないんですけれども、このJDFの受け止めについてどのように認識していらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/100
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101・辻優
○政府参考人(辻優君) お答え申し上げます。
今先生直接JDFを引用して御質問ございました。JDFのホームページ自身を私どもも見させていただきましたが、直接今おっしゃられたような趣旨は、済みません、私自身は見付けられなかったんですが、他方で、ほかのNGOのホームページの中には今先生がおっしゃったような趣旨で世界的な潮流に逆らっているのではないかと、こういう評価がございましたことは私どもも承知してございます。
この条約の検討に際しましては、私どもも、先ほど来申し上げていますとおり、文部科学省等関係省庁といろいろと検討させていただいて対処方針を決めておりますけれども、それに対して現状を反映して様々な評価があるということは私どもも十分承知してございます。
外務省とNGOとの連携という御質問でございますけれども、外務省としましては、本件条約交渉の早い段階からNGOと協力連携をしてきてございます。具体的には、アドホック委員会の第二回会合から障害のある当事者として専門的知見を有する弁護士の方に顧問を委任して代表団の一員として参加していただくとか、アドホック委員会会合開催前には事前に障害者施策にかかわる関係省庁とともに障害者NGO団体との間で意見交換会を開催して、政府の対処方針を策定するに当たってはそれを参考にさせていただいているということでございますので、引き続きこうしたような協力関係は継続していきたいと、こういうふうに考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/101
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102・神本美恵子
○神本美恵子君 JDFのホームページではないんですかね。私の見間違いかもしれませんが、確かに先ほど言ったようなこと書かれておりまして、その前段には、日本政府の姿勢については、定義における文字表記の問題や自立生活の条項で私たちの考えに近い発言を行った反面ということで、教育だけが流れに逆行しているというふうな受け止めが当事者団体からされているということは、これは外務省だけではなくて、文部科学省はしっかりとそのことを受け止めていただきたいなと、これは御要望しておきます。
それで、具体的に法案の中身についてお伺いをするわけですけれども、大臣が理想の形と言われるそういった方向に持っていくためには、環境整備をとにかくしていかなければいけない、制度的にそちらの方向に重心を移していかなければいけないと思うんですが、今回の改正案では幾つか不明な点もありますし、それから逆に懸念される、インクルージョンの方向ではなくて、逆にエクスクルージョンの排除や分け隔ての方に行くんではないかというような、私の杞憂だったらそれが一番喜ばしいことなんですが、そういう部分がございますので、大きく三つに分けてお伺いしたいと思います。
一つは、先ほど林委員も聞かれておりましたが、就学決定について、就学指導の在り方について、それから二点目は就学奨励費について、それから三点目はセンター機能の在り方について、それと、それら全体を通して人的、物的環境整備というようなことについて、順次お伺いをしていきたいと思います。
まず、就学事務の在り方についてですが、先ほど通知の問題が話題になっておりました。二〇〇二年に学校教育法施行令が一部改正されて、第五条一項二号に認定就学制度が設けられております。その背景には、「二十一世紀の特殊教育の在り方について」という協力者会議の報告があると考えられますけれども、この認定就学制度というのはどういう理由によって設けられたのか、改めて文部科学省から御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/102
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103・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 認定就学制度でございますが、盲・聾・養護学校が教育の対象とする児童生徒につきまして、児童生徒の障害の状況に照らして、小中学校に就学させることができる特別の事情がある場合には小中学校への就学を可能にする制度でございます。
この制度は、平成十三年の一月に取りまとめられました「二十一世紀の特殊教育の在り方について」の報告を踏まえまして、教育の地方分権の推進と障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた適切な教育の推進の観点から設けられたものでございまして、平成十四年の九月から施行をされております。
「二十一世紀の特殊教育の在り方について」の報告では、小中学校において適切に教育を行うことができる合理的な理由がある特別な場合には、盲・聾・養護学校に就学する児童生徒であっても小中学校に就学することができるよう就学手続を見直すことという報告をいただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/103
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104・神本美恵子
○神本美恵子君 協力者会議では、市町村教育委員会は、障害の種類、程度の判断だけでなく、本人や保護者の意見等を総合的な観点から判断しというふうに、本人、保護者の意見というものをこれまでよりも一歩踏み出して入れると。それも入れて、ただ障害の種類、程度だけではなくて、本人、保護者の意見を入れて市町村が判断するというように答申が出されて、それに基づいて今の認定就学、就学手続が見直されたというふうに承知しているんですが、私は、もう一歩進めて、就学指導から就学相談というふうに重心を移せないものかというふうに思っております。
最終的な決定は本人、保護者が自分の学ぶべき就学先を決定すると、それを保障することこそがインクルージョンの方向だというふうに思うわけですけれども、まあ、これは法律事項ではございませんので、ここで法律のここをどう解釈するのか、解釈を入れろとかいう話にはならないと思います。しかし、中教審でも就学相談・指導というふうに、相談・指導というふうに相談が入っているわけですね。ですから、中教審は、そして引き続き見直しを行うことというふうに求めているわけですが、この見直しというのは、当然インクルージョンの観点、そちらの方向を向いての見直しだと思いますが、中教審の言う見直しの方向をどのようにとらえていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/104
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105・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 障害のある児童生徒の就学の在り方につきましては、昨年十二月の中央教育審議会の答申におきまして種々意見が示されているわけでございます。
その要点は、特別支援教育の理念にかんがみると、障害のある児童生徒の義務教育諸学校への就学相談・指導は、就学時のみならず、就学後を含めて一層重要な役割を担うこととなるとした上で、国際的な動向や、平成十四年の九月から実施をされている認定就学制度の運用状況等にも十分留意をして、引き続き検討し、必要な見直しを行うことが適当であるということを答申しているわけでございます。
具体的には、第一点には、就学指導に際しての児童生徒の教育的ニーズの的確な把握及び反映の一層の充実ということでございます。具体的には、児童生徒の教育的ニーズをきめ細かく把握をし、就学先の決定に反映するための調査審議を行う就学指導委員会の構成、開催方法等について工夫をすると。それから、児童生徒本人及び保護者の意向を把握をし、これを就学先の決定に反映させるための就学指導の在り方を検討する。乳幼児期からの相談体制の構築を含めた就学前からの教育相談の在り方、さらに、個別の支援計画の活用を含めた関係機関と連携した就学指導の在り方など、就学指導に際して児童生徒の教育的ニーズを的確に把握し、これを教育内容や就学先の決定に反映する取組を一層充実する観点が示されております。加えて、就学指導についての的確な説明及び情報提供の一層の充実ということもうたわれているところでございます。
私ども、こういった中央教育審議会の答申も踏まえまして、国連の障害者権利条約の検討の状況などの国際的な動向、答申にも示されております認定就学制度の運用状況等にも十分配慮をしつつ、本人や保護者の意見を十分に聞くようにしていく方向で今後検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/105
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106・神本美恵子
○神本美恵子君 どこまでも保護者の意見は聞くというだけで、決定は市町村というふうにおっしゃっておりますけれども、例えば学校教育法施行規則第三十二条では、これは障害児のことではなくて、市町村の教育委員会が就学すべき小中学校を指定する場合に、あらかじめその保護者の意見を聴取することができる旨の規定が置かれております。
それで、これは幾つかの今自治体で始められている通学区域の弾力化に当たるところだと思いますが、このときは保護者の意見をあらかじめ聞いて、そして決めるというふうになっていますので、この規定に障害のある子供は入らないのか、そこはいかがですか。施行規則三十二条。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/106
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107・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 学校教育法の施行規則三十二条は、市町村の教育委員会が、複数その市町村内に小学校、中学校がある場合に、子供が就学すべき学校を指定をするわけでございますけれども、その指定をする場合にあらかじめ保護者の意見を聴取することができる旨の規定でございます。ですから、これは小学校、中学校に就学をする際の手続を定めたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/107
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108・神本美恵子
○神本美恵子君 ですから、それと同じように、障害のある子供さんも地域の、自分の居住している学校に行くのか、それとも特別な支援をする盲・聾・養護学校に行くのかというような複数の選択肢があるわけですから、あらかじめ保護者の意見を聴取して、それからするというふうに、同じ扱いにはもしできないとすれば、これは障害児に対する制度的な差別ではないかと、区別ではなくて明らかな差別ではないかというふうに思うわけですけれども、そこはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/108
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109・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 学校教育法の施行規則三十二条と同様に、障害のある子供の就学先の決定に当たりましても、現在、保護者の意見を聞いた上で就学先について総合的な見地から判断をするということになっているわけでございます。保護者の方の意向、意見というのを聞き、さらに専門家の意見を聞いて総合的に判断をしていくというのが現在のシステムでございます。
この点につきましては、再三申し上げて恐縮でございますが、今後、保護者の意見を十分に聞くようにしていく方向で、今後更に十分な検討を進めてまいりたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/109
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110・神本美恵子
○神本美恵子君 もう少しこれ具体的に、制度的にこれは差別ではないかと思われるのが、学校教育法施行令二十二条の三、「盲者等の心身の故障の程度」というところで、「盲学校、聾学校又は養護学校に就学させるべき盲者、聾者又は知的障害者、肢体不自由者若しくは病弱者の心身の故障の程度は、次の表に掲げるとおりとする。」ということで、心身の故障の程度の区分がずっと細かく分けられていまして、そこに就学させるべきというふうに非常に強制的な書き方になっておりますが、これは先ほどの三十二条と、施行規則三十二条と比べても全然、障害者に対してはなぜこんなにきつく、固くやっているのかというふうに感じるんですけれども、そこはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/110
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111・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 学校教育法の施行令第二十二条の三の規定は、学校教育法第七十一条の二の委任を受けまして、盲・聾・養護学校がその教育の対象とする視覚障害者等の障害の程度を定めているものでございます。この規定につきましては、今後、特別支援学校が対象とする障害の程度を示すという観点から、今後とも必要なものであると考えております。
ただ、先ほど先生からお話がございましたように、施行令の第二十二条の三は、盲・聾・養護学校に就学させるべき者という規定ぶりになっております。この規定に該当する人はすべて盲・聾・養護学校に就学しなければならないというふうに読めるわけでございますけれども、運用は、現在はそういう運用ではないということでございます。これはあくまでも盲・聾・養護学校が対象とする障害の程度を示しているという扱いでございます。すなわち、この規定に該当する児童生徒につきましては、保護者や専門家の意見を聞いた上で、小中学校において適切な教育を受けることができると市町村の教育委員会が判断をする場合には、小中学校に就学をするといったような弾力的な対応が可能になっているところでございます。
なお、今後、この点が明確となりますように必要な検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/111
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112・神本美恵子
○神本美恵子君 当然、この二十二条の三のところの心身の故障とか盲者とか聾者とか、そういう文言も含めて見直しがされると思いますが、先ほど局長おっしゃっていただいたように、就学させるべきという非常に強制的な、固いこの文言については、実際に弾力的に運用されている、あるいはもう少し、もう一歩進めて、この表現はもう削除して、義務規定というようなこういう表現ではなくて、本人、保護者の相談を受けて、そして行くべきところを決定するというような表現にしていただきたいんですが、もう分かっていただいていますよね。いかがですか。
そういうふうにするのがインクルージョンへ半歩、一歩進めていくその方向、重心をそっちに移すことですので、是非ここは御答弁もう一度お願いします。はっきりと言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/112
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113・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 学校教育法の施行令の第二十二条の三の規定は、今回の法律改正に伴いまして用語等の改正を含めて今後その改正を検討しなければならないわけでございますので、ただいま私の方から答弁申し上げましたようなことが明らかに、明確になるようにきちんと検討を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/113
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114・神本美恵子
○神本美恵子君 ありがとうございました。後でまた、ちょっと議事録精査して、確認をさせていただかなきゃいけないかもしれません。
次に施行令の第五条ですが、施行令の第五条で「入学期日等の通知、学校の指定」というのがございます。私は、ここも一歩踏み出すためには見直すべきではないかということで指摘をさせていただきたいと思います。
お配りしました資料の二枚目に、こういう絵が載っているものを用意させていただきました。
今、学校教育法施行令によると、先ほどの二十二条の三の心身の故障の程度によって、盲者、聾者、知的障害者、肢体不自由者、病弱者がこの二十二条の三によってどこの学校に就学させるべきかというふうに、普通の言葉で言えば振り分けられているわけです、就学指導委員会の判定によってですね。ただし、市町村の責任で環境整備ができるならばということで、先ほどお話しになりました、例外として認定就学者を一部認めましょうということで二〇〇二年度から導入されたわけですけれども、実際にはこの認定就学者というのはおよそ千人ぐらいの数でしかないというふうにお聞きしております。
私は、この学校教育法施行令二十二条の三と今から申し上げます五条を見直して、その紙の裏側に書いています「教育のノーマライゼーションを言うならば」ということで、まず、原則すべての就学予定者に地域の、校区内の小中学校の入学通知を出して、そして例外として、本人、保護者が、いや、うちの子には小学校一年生の間は例えば養護学校に行ってとか聴覚障害の聾学校に行ってというように、それを選択されるんであればそちらに変更するというように、中学に行ったら今度はその逆もあり得るというようなことで、原則地域の学校にというように、そちらを原則にしていただけないかなと。そうすることが教育のノーマライゼーションではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/114
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115・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 障害を持つ児童生徒の就学すべき学校につきましては、一人一人の教育的ニーズに応じまして、保護者や専門家の意見を聞いて総合的に判断をするというのが現在の考え方でございます。
現在、障害を持つ児童生徒が学ぶ学校としては、小中学校等と盲・聾・養護学校があるわけでございます。特に盲・聾・養護学校は、障害のある児童生徒に対する専門性の高い教員、また施設設備を備えまして障害のある児童生徒の教育を長年にわたって行ってきたという経験がございます。一方、小学校、中学校も、認定就学などを通じまして障害のある子供の教育を行える条件を備えつつある学校もございます。
こういった状況の下で、すべての児童生徒を一律に小中学校に入れるということではなく、一人一人の教育的ニーズに応じた教育を行うという観点から、保護者や専門家とよく話し合って、その意見を聞いて総合的に就学先を決めるというシステムが現在のところ適当ではないかと私どもは考えているところでございます。
なお、先ほど来繰り返し申し上げておりますけれども、保護者の意見については十分にこれをお聞きをするという方向でよく検討してまいりたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/115
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116・神本美恵子
○神本美恵子君 もう具体的に、この就学先をどうするかというところの場面で様々な人権侵害にも思われるようなことが起きているわけですね。それで私は制度として原則こちらだと。そして、もちろん保護者の中には盲学校を選びたい、養護学校を選びたいという方はいらっしゃるでしょうし、それならいいんですが、保護者の意見と教育委員会あるいは就学指導委員会と意見が合わなかった場合に、そこで様々な差別的な発言、扱いが起きているということで、もう私のところにも寄せられているんですが。
専門家による助言とか必要な支援ということで、盲・聾・養護学校で様々な専門的な指導が行われていることは私も分かるわけですけれども、でも、保護者や本人が、まず保護者が、我が子についてはたくさんの友達をまずつくってほしいと、そのためにたくさんのいろんな子がいる地域の学校にやりたいと、これが我が子の今のニーズだというふうに判断した場合、そのことをお願いしようとすると、じゃ、お母さんこの子に付いてきますか、毎日付き添えますかとか、例えば車いすが必要な子供さんだったら、介助はお母さんずっと付きっきりでやりますかとか、身辺の生活的自立に補助が必要な場合はずっと付きっきりでやりますかとか、何かそういうことが起きているわけですね。それから、毎年、知能検査を受けさせられて特殊学級や養護学校を勧められるとか、そういうことが起きているわけですので、保護者の意見を把握しながらとか聞きながらとかいうことではなくて、そういうことが起きないようにするために制度的に整備をする必要があると思うんですが、いかがでしょうか、そういう差別をなくすという観点から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/116
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117・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 先ほど申し上げました中央教育審議会の答申でも触れているところでございますけれども、児童本人及び保護者の意向を把握をして、これを就学先の決定に反映するための就学指導の在り方ということについて今後よく検討しなさいということが記されているわけでございます。就学指導に際しまして、児童生徒の教育的ニーズの的確な把握及び反映の一層の充実につきまして、私ども、今後十分検討してまいりたいと思っております。
ただ、それぞれの現場といいましょうか、教育委員会におきまして、ただいま先生からお話がございましたような不用意な発言等々がまだあるとすれば、私どもとしては、やはり一人一人のニーズに応じた特別支援教育という観点から、きちんとそこは教育委員会の方を指導してまいりたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/117
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118・神本美恵子
○神本美恵子君 私は、そういう差別的な発言や人権侵害のような言動が出てくるのは、必ずしも教育委員会や就学指導委員会に携わっている人たちの個人的な人権意識とか、学校の校長さんや教職員も個人的な人権意識、もちろんそれもあると思います。障害児者に対する内なる差別意識といいますか、そういうものもあると思いますが、私は、やっぱり条件が整っていないがために、受け入れてやりたいのは、受け入れて一緒にともに学ぶ教育をやりたいのはやまやまだけれども、とても私はあなたの学習権を保障できませんという意味でそういうことを言ってしまう。そうすると、そう言われた保護者、本人の方は物すごく傷付いてしまうというような、制度の不備が当事者同士、当事者というか、現場にそのしわ寄せが一番来ているんです。
両方傷付いているんですね。この先生は本当に何と分かってくれないんだろうと保護者は思うし、先生は先生で心を痛めながら、本当は私がしたいんだけれども、三十、四十人近くの子供の中にこの子がいたら、この子に十分なことできないし、この子にかかわっている間はほかの子に私は何もできないといって心を痛めながら、何とか協力して受け入れてやって、本会議で言わせていただいたような、あのすばらしい子供同士の交流や助け合いの中でドラマが生まれているわけで、ドラマといいますか、教育活動が行われているわけですね。
そういうことを保障するのが私は行政だろうと思うんですね。そうするために、是非この学校教育施行令第五条ですべての子供に入学通知を出して、その後、障害のある人たちが専門機関なりの就学指導委員会に相談をして、こっちの方が、こういう情報もありますよ、これがありますよというように十分教えてあげて、そして本人、保護者の決定ができるというような施行令改正をしていただきたいんですが、その方向性についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/118
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119・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) やはり、現在の状況の下で、まずすべての児童生徒を一律に小中学校に入れ、その上でということはなかなか困難であるというふうに思っております。やはり、一人一人の教育的ニーズに応じた教育という観点から、保護者や専門家の方とよく話し合って総合的に就学先を決めるというこの考え方が十分それぞれの市町村において取り進められるように私ども考えていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/119
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120・神本美恵子
○神本美恵子君 私が申し上げたのは、一律にすべての子を地域の学校に入れておいてではなくて、すべての子に入学通知をまず出してくださいと。そして、その入学通知を出した上で、障害を持っているお子さん、あるいは特別ニーズをほかに、例えば外国人で日本語が十分しゃべれないとか、いろんな特別ニーズがあると思いますので、そういう人たちは就学相談に行って、就学指導委員会、指導委員会で、就学相談委員会か何かに私はした方がいいと思うんですが、そこで様々な情報を提供してもらって、ここへ行けばこういうニーズにこたえられます、この学校ではこういうニーズにこたえられるけれどもここは不十分ですというような様々な情報を提供して、そして本人、保護者が我が子の今必要なニーズにどの学校がいいかということを決めていくという、そういうふうに制度を変えることによって一杯差別的な現場のお互いにそういうふうになってしまう部分は随分消えると思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/120
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121・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 大切なことは、私ども、就学に当たりまして的確な情報提供をする、それから、就学前からいろいろな就学相談を行っていくということがまずあろうかと思っております。したがいまして、乳幼児期からの相談体制の構築を含めた就学前からの教育相談の在り方、それから、障害のある児童生徒のための就学指導についての的確な説明及び情報提供の一層の充実といったようなことについて、今後とも努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/121
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122・神本美恵子
○神本美恵子君 どうしてそんなふうにこだわられるのか、今ちょっと先輩の西岡先生にお聞きしましたら、以前は私が申し上げているようになっていたはずだよと、養護学校義務化から今のようになってしまったんではないかというふうに御助言いただいたんですけれども、以前できていたんであればできるはずなんですよね。
当然、すべての子がこの地域の学校に学ぶ権利があると。これは、子供たちの学習権なんですよね、学ぶ権利があると。その権利を充足する手だてがここの学校にもありますよ、ここの学校には不十分ですよというような現実はあります、それを私はこれから整えていただきたいのですが。しかし、この学習権をどこで行使するかというのは、権利の中に含む、その選択権は本人、保護者に含まれていると思うんで、そのことを申し上げているんですが。
入学通知をすべての子に出すというお返事をいただきたいと思います。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/122
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123・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 現在、義務教育を履行するための学校として小学校、中学校、それから盲・聾・養護学校、それから中学校以上では中等教育学校があるわけでございますけれども、就学に当たりましては、現実の対応といたしまして、その障害のある子供につきまして、十分に保護者や専門家の間での話合いをした上で、就学先の指定というのは、これは最終的な指定ということになるわけでございますので、それまでの間十分に話合いをしていただきまして、総合的に判断をして就学先の学校を決めていくということをまず今行っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/123
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124・神本美恵子
○神本美恵子君 局長の個人的なことをお伺いしたくはないんですが、やっぱりこの入学通知が来る、来ない、そのことによってその後ずっと、障害がある、しかし地域の学校で幼稚園、保育園一緒だったお友達と一緒に入学させたい、そのことを子供も保護者も望んでいる、お友達も望んでいる、しかし入学通知が来ない、そして、入学通知来ないけれども、もう親の判断で地域の学校に行った、この子はここにいるべきでない子ということが、この制度でそういうレッテルが入学のときから張られて、ずっと過ごすわけですよ。それを、そのレッテルを張らないでくださいと、すべての子にまず通知を出してくださいと、ただそれだけを言っているんですが、簡単なことだと思いますけれども、いかがですか。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/124
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125・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 入学通知を出す前に保護者の方と、あるいは専門家の意見を聞いて、十分に話合いをした上で最終的な総合的な判断をして、その結果、通知が出るということになっているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/125
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126・神本美恵子
○神本美恵子君 いいです。大臣は後で、後で聞きます。
いや、だから、そうなっていることを変えてくださいと言っているんです。今度せっかく特殊学校から特別支援学校に変えるわけでしょう、特別支援教育に変えるわけでしょう。この差別的な、一方的に振り分ける学校教育法施行令第五条、ここを変えるということが、私は、特別支援教育をこれから本当に文科省も望んでいるインクルーシブの方向へ持っていく大きな、もう重要なところだと思うんでこだわって言い続けているんですけれども、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/126
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127・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 神本さんの御主張そのものは、言いたいことは理解できるんですよね、言っていることは。
今、市町村教育委員会があって、就学適齢になった子がいると、そうすると、まずそこで専門家と保護者の意見を聞く、そういう意見聴取の場を設けてそこでしっかり聞いて、そして、それから通知を出すわけですわね、就学通知をね。で、非該当の、非該当というか、そういう障害をお持ちでない方に対する通知は、その適齢になったときに一定の時期に来れば出ていくわけですね。相談がその時期にもかかってくると、その就学通知は少し遅れます、若干ね。
ただ、それは今度は、養護学校等に行くということになりますと、今度はその判断は県立の部分に行きますので、その市町村の教育委員会から今度は県の教育委員会にこの就学通知の発出が今度移管されて出ていくということになるんだろうと思うんですね。これちょっと実務的なことはあれですけど、多分そうだと思うんですが。そうなると、その時間的な差が出てくるということで、今おっしゃっているような、他の隣の子には就学通知が来たのに自分の子にはまだ来ないと。そして、行くべき学校も違うということが最終的に決定されると。
もし、できれば、今おっしゃった、神本さんのおっしゃっているのは、一番最初の時点で、相談に入る前にもう全員に通知を出してくれと、こういうことですよね。だけれども、それをやるということになりますと、現場の受入れ側の状況だとかいろんな状況を判断するのはそれじゃだれがやるのかということになりますね。(発言する者あり)それから判断するというふうにおっしゃいますが、実際にはそれで変更になるとか、いろんな事情が出てくるよりも、まず決定権者がだれだということになりますと、今の原則は私どもは教育委員会が最終決定権者だという制度をつくっているわけです。それを保護者ないし、あるいは就学児童そのものが、本人が決定権があるかのごとくその制度を変えるというのは、やっぱりそこには無理があると思うんですよね、今の段階で。
ですから、そういう意味で、今のプロセスを踏む以上、どうしても時間的な差異は出てくる。しかし、それはそれぞれの児童、保護者の意見を十分に反映した中で適切な教育が受けられる、そういうところに就学をしていただくということになるわけですので、そこはひとつ議論いただいて、議論じゃなくて御勘案いただいて、これ以上議論を続けても私どもの回答は現時点ではそう申し上げて、この制度の運用をさせていただくという形だと思うんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/127
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128・神本美恵子
○神本美恵子君 大臣に御答弁いただきました。私、冒頭にですから大臣に御発言いただいて、そして大体共有できますと言ったのは、そこだったんです。通常の学校にみんなが通える、そしてその中で特別支援を必要とする人はその部分の方にというようなことで、大臣もそうおっしゃっているじゃないですか。
みんなが通常の学校に通えるということの権利のあかしとして入学通知をまず出してくださいと。その後、用意している学校は、ここの校区の学校には先生が、このくらいのクラスがあって先生の加配が何人ぐらいしかいなくて、こんな状況ですよと、しかし、百キロぐらい離れた盲学校に行けばすごい充実していますよと、さあ、どちらがいいですかということを、そういう情報を上げて、そうしたら保護者の方が百キロでも送っていきますから盲学校へ行かせますとか、この学校に行きますとか、そういう条件も含めて情報提供をして、保護者の方に判断を任せるという。決めるのは市町村教育委員会、それはほかの子もそうです。ただ、通学区の弾力化などで保護者の意見を尊重しながらという、先ほど三十二条のお話しましたけれども、そういう運用も今はできていますので、同じ扱いにしてほしいということを申し上げているんです。
もうこれ以上話してもというお話ですけれども、最後に大臣、最初におっしゃった、通常の学校でみんな一緒に学ぶというそのことが理想の形だと、そこへ持っていく一歩です。一気に変わるわけではないんですよね、これは。一歩ですから、何とか前向きに検討するという御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/128
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129・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 今申し上げたように、お気持ちは理解しているつもりでございますが、しかし、実際に就学するという事実と就学通知を出すということはやっぱり違うんですよ。
就学通知を出したところに行けないという状況がいろんな相談の中で出てきたときに、それが今度変更されるわけです、一回決定したことが。(発言する者あり)いや、そうではなくて、この今の障害者に対する相談は、百キロ通いますというふうにおっしゃるんであれば、それは御相談のときに言っていただくというのが現行の取組なんですよ。それで、今そういう形の中でやっていった方が、いったん就学通知を出して、実はいろいろ検討した結果やはり難しいので変えましょうといって変更するんではなくて、そういうふうにやっていく。ただ、皆さんの取組、それからこれからの考え方として、インクルージョンの考え方の中で、先ほど私が申し上げたように、みんなが通常の学校に行かれるというのは理想ですと申し上げたのは、その理想を、最初からじゃ通知を出してしまいなさいということとはやっぱりちょっと違うと思うんでございますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/129
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130・神本美恵子
○神本美恵子君 ちょっと、もう時間が来ましたけれども、そこが変わらなければ今回のはただ名前を変えただけで、何も特別支援、本当に一人一人の特別ニーズにこたえる教育ではなくて、それこそ特殊な扱いをして、障害児は別に学びなさいということから何も変わらないのではないかというぐらいの私は気持ちを持ってしまいましたので、また後日の質疑に譲りたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/130
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131・浮島とも子
○浮島とも子君 公明党の浮島とも子です。
本日は、学校教育法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。
これまでの審議の中と若干重なってしまう部分もあるかと思いますけれども、どうかよろしくお願いいたします。
まず、特別支援教育の体制強化へ向けた人員配置、財政措置の充実についてお伺いをさせていただきたいと思います。
特殊教育から特別支援教育への転換については、単に名称を変えただけという批判も聞かれますけれども、その批判を払拭するためには十分な人員配置が必要であると考えております。中教審の答申でも、特別支援学校がセンター的機能を有効に発揮するためには、高い専門性を有する教員が適切に養成、配置されることが必要であり、任命権者である各都道府県教育委員会等においては人事上の配慮が望まれると指摘されております。
この点につき、まず文部科学省の基本認識をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/131
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132・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 今回の改正案は、特別支援学校制度を創設をすること、それから特別支援学校は地域の特別支援教育のセンターとしての機能を果たすように努めること、それから小中学校等における特別支援教育を推進することによりまして、LD、ADHDを含む障害のある児童生徒等の教育の一層の充実を図るといったようなことを内容としているものでございます。
このように、特別支援教育を実施をするために必要となる人員配置につきましては、これは大変私ども重要な課題だと思っております。特別支援学校につきましては、現行の教育水準は維持をするという方針の下、標準法に基づきまして現行と同等の教職員定数を算定をすることとして、特別支援学校における円滑な教育活動が可能になるようにしているところでございます。
なお、小中学校における特別支援教育を推進するための教員につきましては、実は第八次の教職員の定数改善計画というものを十八年度概算要求をしてその充実を図ろうと考えたわけでございますが、総人件費改革の中で第八次の定数改善計画は十八年度は見送りということになりまして、LD、ADHDを含む発達障害の子供たちの指導に必要な加配定員として二百八十二人の定員を措置をしたところでございます。
文部科学省といたしましては、今後とも、教職員の配置など必要な条件整備につきましては十九年度以降も大切な課題としてよく検討をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/132
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133・浮島とも子
○浮島とも子君 ありがとうございました。
十分な人員配置ができるよう、これからも格段の財政的な配慮を含めまして、よろしくお願い申し上げたいと思います。
また、午前中の審議にもありましたけれども、平成十四年に文部科学省が実施した全国実態調査によれば、小中学校の通常の学級に在籍している児童生徒のうち、LD、ADHD、機能自閉症により学習や生活面で特別な教育的支援を必要としている児童生徒が約六%程度の割合で存在する可能性が示されております。これは、先ほどにもありましたけれども、約六十八万人ということで、十三人に一人に相当すると先ほども午前中の審議でありましたけれども、仮に四十人学級とすれば、一学級当たり二人か三人はこういった児童生徒がいることになり、これらの児童生徒に対する適切な指導及び必要な支援は学校教育における喫緊の課題になっていると思います。
一方、中教審の答申では、十分な専門性を有しない教員が配置されるなど、必ずしも効果的に活用されていない例も見られるという指摘がございます。この専門性を持った教員を多数配置する必要性を指摘しているんでございますけれども、LD、ADHD等ある児童生徒への支援の充実のための小中学校への大幅な教員加配を可能とする財政措置が必要だと考えております。
今までの実績を見てみますと、義務標準法施行令第五条第二項第一号に基づき、通級指導対応のための加配措置として平成十七年で千七百十七人、第七次義務教育諸学校教職員定数改善計画により、特殊教育諸学校における教職員定数の改善で九百十四人、また、先ほどからもお話あります第八次義務教育諸学校教職員定数改善計画は見送られましたけれども、この十八年度の教職員定数の改善により特別支援教育の充実で二百八十二人とございますけれども、まだまだ不足しております。
今回、LD等も新たに通級指導の対象になることを踏まえて、一層の充実が必要ではないでしょうか。文部科学省、財務省の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/133
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134・馳浩
○副大臣(馳浩君) 実は、私も一昨年に発達障害者支援法の提案者としてこの参議院でも答弁をさせていただきました。やはり、とりわけ小学校低学年において通級指導の対象としてLD、ADHDも含んでいただいて少人数でやはりきめ細かい対応が必要であると、こういう認識を、法律でも認識をいただいたところでもあります。その要請に対応した教職員配置もすべきと考えております。
残念ながら、昨年は総人件費改革ということで第八次定数改善できませんでしたが、何としても、何としても平成十九年度の予算編成に向けてこの教育現場の実態を踏まえた上での対応をしなければならないと文部科学省挙げて努力をしておるところでありますので、先生御指摘の認識は私、ともに共有しておるつもりでおります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/134
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135・野上浩太郎
○大臣政務官(野上浩太郎君) いわゆるLDですとかADHDの生徒の増加が懸念される中で、やはり障害を持たれた児童生徒について、それぞれの可能性を最大限に伸ばして自立や社会参加するための必要な力を培うため、一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導や必要な支援を行う重要性につきましてはよく認識をいたしております。
他方で今、行政改革を進めるべく現在国会で御審議をお願いしております行政改革推進法案におきましては、総人件費改革を行うために、教職員定数については自然減以上の削減を行うことといたしておるところでございます。
こうした方針の下、平成十八年度予算におきましては、教職員定数につきまして、自然減等の削減を行う中で、先生も御指摘ございました今日的課題である特別支援教育を充実してきたところであります。所要の措置も講じてきたところであります。
今後とも、総人件費改革など行政改革を進めつつ、今先生御指摘のございました特別支援教育関係予算について適切に対応してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/135
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136・浮島とも子
○浮島とも子君 先ほども申しましたけれども、まだまだ本当に人は不足しております。今、馳副大臣の方から少人数できめ細かい、是非何としても、是非何としてもと何度も今言っていただいたんですけれども、特別支援教育の理念を実現するために専門性を持った教員の必要な人員確保に文部科学省として全力で取り組んでいただけますようお願い申し上げます。
また、財務省に対しては、小中学校への大幅な教員加配を可能とする財政措置を講じることを強く要望させていただきたいと思います。
また、小中学校において障害のある児童生徒が多数学ぶことになれば、教員のみならず、教育指導の補助や介助的な支援を行うための人員の配置が必要になるとも考えております。このため、地方では、独自の財源で特別支援教育のための支援員というのを小中学校に配置しているところもございます。しかし、地方の財政状況により格差が生じることは教育の機会均等の見地から避けなければならないと考えております。全国どの自治体でも十分な配置ができるよう必要な財政措置を講じる必要があると考えておりますけれども、平成十九年度からの特別支援教育の実施に向け、交付税措置の充実等必要な財政措置を講じるべきと思いますけれども、文部科学省の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/136
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137・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 介護を必要とするような障害の程度の重い児童生徒につきましては、盲・聾・養護学校において適切な教育を受けているわけでございますけれども、これら盲・聾・養護学校につきましては、介助員など教員や児童生徒の支援を行う職員を配置するための経費が地方財政措置されているところでございます。
ただ、最近、介助等の支援を必要とする障害の重い児童生徒についても、認定就学制度の活用等を含めた市町村教育委員会の総合的な判断によりまして小中学校に就学している場合もあるところでございます。
小中学校における介助員など、教員や児童生徒の支援を行う職員の配置につきましては、先生お話ございましたように、各市町村の教育委員会において適切に判断をされているものでございますけれども、これに対して国としてどのような支援が可能かにつきましては、今後検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/137
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138・浮島とも子
○浮島とも子君 先日も当委員会で視察に行かせていただきましたけれども、どの現場を見てもやはり人が必要であるということが実感されているところでございますけれども、本当にこの専門性を持った教員を十分配置するとともに、この支援員、この役割はとても重要だと考えておりますので、小中学校に配置できるよう、また、それに伴う必要な財政措置に積極的に取り組んでいただきたい、そうお願いを申し上げます。
次に、特殊教育就学奨励費についてお伺いをいたします。
特殊教育就学奨励費は、過去、児童生徒の保護者の過重な経済負担から盲・聾・養護学校への就学が低調であったことから、昭和二十九年に制定された盲・聾・養護学校就学奨励法に基づき、保護者の経済的負担能力に応じ就学に必要な経費を援助する制度でございます。制定後、徐々に補助対象を広げ、昭和五十四年には養護学校義務制導入が行われるなど、この制度の就学状況の改善に大きな役割を果たしてきたことは十分に評価できます。
この特殊教育就学奨励費でございますけれども、三位一体の改革の中で地方六団体の国庫補助負担金移譲対象のリストの中に入っておりましたが、議論の末、結果として移譲されないこととなりました。
私は、この制度を国の責任の下、引き続き堅持していくべきと考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/138
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139・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 御指摘の就学奨励費につきましては、特殊教育諸学校等への就学の特殊事情にかんがみまして、保護者等の経済的な負担を軽減するために、経済的負担能力に応じて就学に必要となる経費について補助を行うことを目的として、御指摘のように昭和二十九年に創設され、必要に応じて拡充を図ってきたところでございます。
平成十八年度には、予算額にいたしまして六十四億九千百万円、十六年度の実績で約十四万人を対象としておるわけでございますが、この十八年度は予算の面においてもしっかりと確保をいたしまして、近年の障害の重度化、重複化等によりまして保護者の経済的負担が大きくなる傾向が強まっている中で、本事業についてはその必要性はむしろ高まっているというふうに考えておりますので、昨年十二月の中央教育審議会の答申においても、盲・聾・養護学校に就学する幼児児童生徒の保護者に係る経済的負担については、引き続きその軽減に努めることが重要であると提言されておるわけでございます。
御指摘のように、文部科学省といたしましては、今後とも障害のある子供の就学の実態を踏まえて、就学奨励費の堅持に努めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/139
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140・浮島とも子
○浮島とも子君 ありがとうございます。
今大臣の御答弁にもございましたように、必要性が一層高まっていると思います。引き続き堅持し、より一層の充実を図っていただけるようお願いをいたします。
また、私は、この制度の対象を、盲・聾・養護学校のみでなく、小中学校等に在籍する障害のある児童生徒に対しても適用対象を拡充するべきと思いますけれども、文部科学省の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/140
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141・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 現在、小中学校の通常の学級に在籍をしております児童生徒につきましては、他校におきまして、ほかの学校におきまして通級による指導を受けているために交通費が必要な場合には就学奨励費の対象となっております。
このほか、通常の学級には、より軽度の障害の児童生徒や、認定就学制度により比較的重い障害のある児童生徒が在籍をしている場合がございますけれども、これらの児童生徒につきましては現在は就学奨励費の対象となっていないわけでございます。
これら通常の小中学校に在籍をする障害のある児童生徒を就学奨励費の対象とすることにつきましては、保護者等にどのような経済的な負担があるか等について調査をする必要があると考えておりまして、この点、今後の検討課題としてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/141
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142・浮島とも子
○浮島とも子君 是非ともしっかりとした調査をしていただき、是非適用の拡充を図るよう、今後ともしっかりとした検討をよろしくお願い申し上げます。
特別支援教育は、学校間の連携のみならず、各種NPOや関係団体との連携が有効であり、一層の連携強化が望まれます。しかし、これらの団体の多くは、ボランティアに頼らざるを得ず、財政的に苦しいところがほとんどでございます。これら団体への財政的支援を含めた支援策について御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/142
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143・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 障害のある児童生徒に対する適切な支援を行うに当たりまして、NPO等の関係団体や医療福祉等の関係機関と各学校が連携協力を図るということは重要であると考えております。
文部科学省では、特別支援教育体制整備事業を全都道府県に委嘱をして推進をしておりますけれども、この事業の中で各都道府県や地域レベルにおきまして、関係機関のネットワークを構築するための組織として特別支援連携協議会の設置を促進をしているところでございます。この協議会へのNPO等の参加についても促しているところでございます。現に、参加をしている県が十県ほどございます。
また、NPO等に対しまして、障害のある子供一人一人の教育的ニーズに応じた適切な支援の在り方についての実践研究を文部科学省として本年度から新たに委嘱をすることといたしております。
こういった取組を通じまして、NPO等の関係団体との連携を図りながら、障害のある児童生徒等に対する適切な支援体制の整備に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/143
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144・浮島とも子
○浮島とも子君 しっかりとした連携強化を図るよう、また、適切な支援について検討することを強くお願いを申し上げたいと思います。
次に、教員の養成研修についてお伺いをいたします。
今回の改正案で小中学校で特別支援教育を行うことが明記されておりますけれども、すべての教員免状等の取得の際、特別支援教育に関する基礎知識の修得及び教育実習の積極的な実施等、教員養成段階でのカリキュラム編成に適切な配慮が必要ではないかと考えております。そして、本法案で特別支援学校が期待されているセンター的機能を有効に発揮するために、高い専門性を有する教員が適切に養成、配置されることが必要です。
午前中にも河合委員の方から専門性が薄れてしまうのではという御懸念もありましたけれども、特別支援学校教員免許状の取得に当たっては、専門的な科目の修得はもちろん、特別支援教育に関する教育実習を充実させ、より一層の専門性の育成に努めることが必要であると考えております。実際の教育の現場では取組が高い専門性をはぐくむこととなりますけれども、文部科学省はどのようにお考えでしょうか。
また、通級指導の拡充により、従来特殊教育とは余り関係がなかった一般の教員の役割も更に大きくなります。特別支援教育は、校内の教職員全員がかかわることになり、教員の意識改革とともに、新たに専門的知識が要求されることになります。そのため、すべての現職の教員に対し特別支援教育に関する研修を実施する必要があるのではないでしょうか。併せて文部科学省の見解をお伺いいたします。
さらに、特別支援学級の設置が大幅に増えることが予想されます。担当教員の新規配置も必要となりますけれども、現在でも担当教諭の盲・聾・養護学校免許状の保有率はそれぞれ三二%、二六%、また三〇・二%と、三割程度にとどまっているのが現状でございます。特別支援教育担当教諭についてはより一層の専門性が求められることから、特別支援学校教員免許状取得促進のための認定講習等を充実していく必要があると思いますけれども、御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/144
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145・有村治子
○大臣政務官(有村治子君) 浮島委員、御質問ありがとうございます。
私が担当させていただいているところでも三問御質問を同時にいただきましたので、心してお答えをさせていただきたいと思います。
すべての教員、先生方が特別支援教育に関する理解を深めて、その教育、資質、能力を向上していただくことは大変重要で、かつ現実的な課題だと認識をしております。このため、今までも教員の養成段階において、小中学校の教員免許状を取得する際の障害に関する知識技能の修得に関して、平成十年には障害のある児童等の心身の発達や学習の過程に係る内容を必修にするよう措置をしたところであります。また、特別支援学校教員として併せ保持することが必要な小中学校の教員免許状の取得の際にも、引き続き教育実習先として、小中学校だけでなく特別支援学校も可能とする、また、特別支援学校等における七日間の介護等の体験を義務付けることとしております。
さらに、先ほど副大臣からもコメントがありました、発達障害者支援法の施行に際し、文部科学省からは、すべての国公私立大学等に対して、小中学校の教員養成課程においても発達障害に関する内容を含めて取り扱うこととし、その充実に努めるよう通知をし、努めているところでございます。今後ももちろんその資質向上に努めていきたいと存じております。
また、第二番目の御質問ありました特別支援学校の教員免許状の取得に当たってですが、これは先ほどから何度か御質問いただいておりますが、重複する障害や学習障害を含む幅広い障害についての知識、理解を得ること、これを強調していくとともに、午前中もありました、従来からの盲・聾・養護学校の教育免状の取得の場合、同程度の専門性を担保する、かつ単位取得の状況に応じて専門の障害の教育領域、例えば視覚障害、知的障害などを定めるようにしております。ですから、言ってみればT字形の、広域の、広範囲で総合的に指導できるということと専門分野を持った先生が特別支援教育に当たられること、またこれを支援していきたいというふうに思っております。
最後になりますが、現職の教員、先生方に関してはどうするかというところですが、これは特別支援学級、学校に当たられる先生方のみならず、どの先生方もやはり特別支援学校に、学級、教授法に対しての知識を深めていただくことが何より肝要かと思っております。
そこで、横須賀にあります国立特殊教育総合研究所では、各都道府県において特別支援教育の指導的立場に立たれる方を対象とした専門的な研修を実施しております。また、文科省においても、全都道府県に、先ほど委員が御指名がありました、特別支援教育体制推進事業ということを委嘱して、この中で、小中、特別学校も含めて、各学校における特別支援教育コーディネーターの養成研修を進めているところでございます。
また、初任者研修や十年研修、これは法的にも義務付けられていますが、など、現職研修の中では特別支援教育を取り上げるよう指導しています。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/145
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146・浮島とも子
○浮島とも子君 ありがとうございます。
財務省の方、もう質問終わりましたので御退席されても結構でございます。また、次回、しっかりと質問をさせていただきたいと思います。
今御答弁いただいたように、実際に子供たちの教育現場に立つ先生方が一番大切になってくると考えております。先生たちがどうやって対応していいか悩まれたりすることはとてもかわいそうというか、とても大変なことだと思いますので、それぞれの子供たちの目線に立った指導ができるようにするためにも、教育実習の充実、専門性の育成、またカリキュラムの編成などに配慮するとともに、すべての現職教員に対しても研修等の充実を更に図っていくようにお願いを申し上げます。
次に、特別支援教育にかかわる制度的課題についてお伺いをさせていただきたいと思います。
ここではいわゆるインクルージョンという考え方についてお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、国際的な動向として、平成六年にスペインのサラマンカで開催された特別なニーズ教育に関する世界会議において、障害のある子供を含めた万人のための学校を提唱したサラマンカ宣言が採択され、平成十三年には、国際連合総会において、障害者の人権及び尊厳を保護・促進するための包括的総合的な国際条約決議案が採択され、現在、障害者権利条約の策定に向けた審議が行われているところでございます。
国内的な動向としては、障害者の自立と社会参加の一層の促進を図ることを基本理念として、平成五年、障害者基本法が公布をされました。平成十六年の六月の一部改正では、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒の交流及び共同学習の積極的推進による相互理解の促進についても規定が設けられました。また、平成十五年から十か年計画で障害者基本計画が閣議決定されました。この中において、障害のある子供一人一人のニーズに応じてきめ細やかな支援を行うために、乳幼児期から学校卒業後まで一貫して計画的に教育や療育を行うとともに、学習障害、注意欠陥多動性障害、自閉症などについて教育的支援を行うなど、教育、療育に特別のニーズのある子供について適切に対応することが基本方針として盛り込まれました。
このように、国際的にも国内的にも、インクルージョンという言葉こそ使われていないものの、この考え方をベースにした方針が打ち出されております。
そこで、三点ほどお伺いをさせていただきたいんですけれども、まず今回の改正案でこのインクルージョンという理念がどの程度反映されたのか。確実にインクルージョンに向かっていると言えるのか。インクルージョン教育という考え方について文部科学省の基本的認識をお伺いいたします。
また次に、このインクルージョン教育という観点から、就学の在り方についてお伺いをさせていただきます。
子供のためにどこで教育を受けるのが一番いいのか、まず本人や保護者の意向を十分に尊重する必要があると考えます。その上で対象の各校の設備や教員の配置等の情報を明らかにし、総合的に判断して保護者と教育委員会が真摯に話し合うべきと考えております。
障害を持つ児童生徒の就学に関して規定する学校教育法施行令五条は、障害があれば原則として盲・聾・養護学校に通学することを強制されるもので、学校選択をしやすくする見地からはこの規定を見直すべきだと思います。保護者及び児童生徒の意向に反映して、より反映して、盲・聾・養護学校の通常の小中学校との学校の選択をしやすくするべきと考えますけれども、この学校教育法施行令第五条の見直しということも含めまして文部科学省の御見解をお伺いいたします。
また、現在、就学の在り方に否定的な意見の背景には、盲・聾・養護学校の就学に、そこに就学したために、小中学校における生涯で一番よく学び、一番またよく遊ぶ時期、大切な時期を別の地域の特別支援学校で過ごすことにより、生活する地域に友人ができず、卒業後地域に帰っても孤立してしまうといった懸念の声がございます。
就学先の選定に当たっては、学習面のみならず、こうした障害児童生徒の一生涯を通じた生活全般を考慮して決定する必要があると思いますが、このような声に対しても文部科学省としてどうこたえるか、以上三点につきまして御見解をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/146
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147・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) まず、インクルージョン教育についての基本認識についてのお尋ねがございました。
障害を持つ児童生徒の教育につきましては、いわゆるインクルージョン教育を志向することが国際社会の中で大きな流れになっているという認識は持っております。
そのような中で、多くの国におきましては、高い専門性を有する特別の学校を設けつつ、障害のある児童生徒の就学先の決定に際しましては何らかの形で保護者の意見を把握をし、これに反映させているものと認識をいたしております。
我が国におきましても、特別支援学校を含む多様な教育の場を設けつつ、児童生徒の就学校の決定に際しましては、保護者や専門家の意見を聞きながら、総合的な観点から判断をすることとしているところでございます。今回の法律改正はこういった就学の大きな枠組みを変えるものではございませんが、一人一人の教育的なニーズに応じた特別支援教育の充実のために必要な改正を行おうとするものでございます。
それから、就学の在り方、親の意向の反映等との関連で、学校教育法施行令の五条の規定の見直し等につきましてお尋ねがございました。
学校教育法施行令第五条の規定は、市町村の教育委員会が、域内の就学予定者であって小学校又は中学校に就学することとなった者の保護者に対しまして、小学校又は中学校の入学期日等を通知をするという旨を定めております。なお、盲学校、聾学校又は養護学校に就学することになった者の保護者に対しましては、都道府県の教育委員会が入学期日等を通知をすることになっているところでございます。本施行令の具体的な規定ぶりにつきましては、本法律案の改正後に用語の見直し等必要な検討を行うことは予定をいたしておりますけれども、学校の入学期日等の通知に関する規定につきましては今後とも必要であると考えております。
現在の就学の考え方は、健康診断等を行いました後、一人一人の障害の状況に応じまして、親や専門家の意見を十分に聞いて、本人にとって最も最適な教育が行われるように総合的に判断をして就学先を決定をするということでございますので、この点の徹底については今後十分検討してまいりたいと思っているところでございます。
それから最後に、インクルージョン教育を求める声の背景には、地域に友人がいないようなそういう状態、あるいは卒業後、地域で孤立してしまうということがあるので盲・聾・養護学校の就学ということにためらう現実があるのではないかということについてのお尋ねがございました。
就学先の決定につきましては、先ほど来申し上げておりますように、保護者や専門家の意見を聞きながら、当該児童生徒の自立と社会参加のために適切な教育が行われるように総合的に判断をされるということがまず重要だと考えております。また、障害のある児童生徒が地域社会の中で積極的に活動して、その一員として生き、また障害のない子供と交流をしたり共同学習を通して相互理解を図るということは、これは大事なことでございます。
文部科学省としては、そういう意味で特別支援学校と小中学校との交流及び共同学習、これを進めるための指導資料の作成や、交流及び共同学習に関する講習会の実施等を通じてその趣旨の実現を積極的に進めているところでございますし、今後もそのことに努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/147
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148・浮島とも子
○浮島とも子君 是非、第五条を見直すとともに、機械的ではなくて一人一人のニーズに合った、保護者及び児童生徒の意向を反映した学校選択ができるように御配慮をお願いしたいと思います。
中教審答申では、特別支援教室の構想について、児童生徒の障害の程度に応じて教員配置をする、障害のある児童生徒が原則として通常の学級に在籍しながら特別な場で適切な指導及び必要な支援を受けられるようにする、そのために制度的見直しを行うことが適当とされております。
一人一人のニーズに応じた適切な支援を行う特別支援教室の考え方を実現していくために先導的な取組を積極的に進めていくべきであると考えますが、今後の取組方針についてお伺いをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/148
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149・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) ただいまお話のございました特別支援教室は、障害のある児童生徒がすべて普通学級に籍を置いて必要に応じて特別支援教室で学習をするという構想でございますけれども、中央教育審議会で久しく議論してまいったわけでございますが、今回は、必要な教員配置をどのように行うのか、やはり固定式の学級でございます特別支援学級の維持を求める声もある等々の課題が指摘をされて、直ちに制度化ということには至らなかったわけでございます。
ただ、昨年十二月の答申におきましても、特別支援教室については更に検討を進めるということが言われておりまして、通級による指導の拡充、弾力化などを通じまして私ども更に検討してまいりたいと思っております。
そのためにも、ただいま御指摘のございました研究開発学校制度あるいはモデル校、こういうものを活用いたしまして、特別支援教室の制度の在り方や運用上の課題につきまして引き続き検討してまいりたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/149
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150・浮島とも子
○浮島とも子君 ありがとうございます。
様々な課題はあると思いますけれども、先ほどから局長の方も申しておりますように、一人一人のニーズに応じた適切な支援を行うために環境整備をしっかりとしていただきたいと思います。また、その際、現在の特殊学級が有している固定式学級の機能を維持することについての検討もお願いをいたします。
特別支援教育の理念を実現するためには、早期の就学相談の実施や保護者の理解を広げるための研修会の実施等、特別支援学校のセンター的機能を活用し、障害を持つ児童生徒が安心して生活できる環境整備が必要と考えます。特に、障害児のみならず、支援体制だけではなく、障害児の親に対する様々な支援策が必要ではないかと考えております。少子化や核家族化の進行により子育ての経験がなくて、相談する人も身近にいないため、子供の障害に気付くのが遅かったり、また障害に気が付いたときのショックが大きく、事実を受け入れることができなくて御両親の方がノイローゼになってしまうという事例も聞いたことがございます。
この障害児を持つ親への支援という面も含め、地域での各種機関の連携体制の整備について、参考とすべき事例、またベストプラクティスを文部科学省の方で把握している範囲でお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/150
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151・馳浩
○副大臣(馳浩君) 早期発見、早期対応という、これが一番重要な方針の下にいろいろやっております。専門家チームを設置して巡回相談の実施をしております。具体的に、特別支援教育体制推進事業というのをやっておりまして、ちょっと香川県の事例、ちょっと報告いたします。
香川県は、県内すべての公立幼稚園、保育所に巡回相談の希望調査を行い、希望のあるすべての幼稚園、保育所、計二十二園、延べ三十三回、に対し巡回相談を行った結果、特別支援教育研修会、発達障害者支援セミナー等の研修会を通して教員の理解促進を図ることができたと。巡回相談を実施した幼稚園からは、教師の指導が安定して子供の成長につながったと、巡回相談員からの助言により多面的な取組ができるようになったという報告がなされておりまして、こういった事例は報告したいと思います。
もう一つ、先生、連携ということをおっしゃいました。この事業は平成十七年度から幼稚園も対象となっておりますが、そう考えますと、また当然、保育所との連携も考えられるわけですし、同時に幼稚園、保育所と小学校との連携も考えられるところでありますから、この点に関しましては、文部科学省と厚生労働省とこういった連携体制を強力に取りながら進めて、早期発見、早期対応に取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/151
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152・浮島とも子
○浮島とも子君 今、馳副大臣もおっしゃった、早期発見、早期治療ということで、障害を持つ児童生徒の教育については、本当に早期発見から一貫した関係機関の連携体制整備が必要だと考えておりますけれども、現在、就学時健康診断では入学五か月前に行われており、この結果により行くべき学校が指定されることとなっています。一方、母子健康法により、一歳児半健診と三歳児健診が行われておりますけれども、特に発達障害については早期発見が有効と言われておりますが、三歳児健診では症状を発見するには早過ぎ、また就学時健診のときでは遅過ぎると指摘をされております。
県独自に五歳児健診を実施し障害の早期発見に役立てている地方もあると伺っておりますけれども、教育委員会と母子健康部局との連携等、まだまだ検討課題はたくさんあると思うんですけれども、各地方におけるこうした連携体制の整備状況について早急に調査をして、また地域での体制整備に資するべき対応が必要と考えますけれども、御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/152
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153・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 現在、文部科学省におきましては、すべての都道府県に委嘱をいたしまして、特別支援教育体制推進事業において、障害の早期発見、早期支援の重要性にかんがみまして、事業対象に幼稚園も含めて実施をいたしております。今、この事業を通じました各都道府県内の取組の状況について、報告書の内容を取りまとめているところでございます。
先生お話のございました、福祉、医療の関係機関との連携、こういうことを含めた様々な取組が報告をされておりまして、私どもといたしましては、先生お話のございましたように、早期からの発見、そして早期からの就学相談の重要性にかんがみまして、今後とも厚生労働省等と協力をいたしまして、地域における相談体制整備について各市町村教育委員会等を指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/153
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154・浮島とも子
○浮島とも子君 早急に調査をして、地域での体制整備に資するべく対応が必要と考えておりますので、どうか全力で調査、把握、そして今後の取組に生かしていただきたいと、そう強く要望させていただきたいと思います。
また、先ほどにもありましたけれども、連携という観点から、地域での連携の整備をしていくことが重要であると考えております。
幼稚園、保育所、小学校、特別支援学校との連携についてでございますけれども、幼稚園、保育所への障害を持つ子供の受入れについてはまだまだ不十分な面があると思われます。施設整備や人員配置等の体制を支援、強化する必要があると考えますけれども、今回、総合施設に関する法案も提出されており、障害を持つ子供の就学前支援の充実という観点から適切に対応していくべきであると考えております。
加えて、幼稚園、保育所と特別支援学校及び小学校との連携強化も必要であります。就学前の幼いときにはなかなか障害を発見しにくいと聞いておりますけれども、子供たちに日常的に接している幼稚園の教諭や保育士、小学校の教員等が連携をして切れ目のない支援体制を構築していくべきと考えております。
東京都の狛江市では、就学支援シートというものを幼稚園、保育園、療育機関と保護者が協力して作成をして学校に引き継いでいるということでお伺いしておりますけれども、このような取組に代表される幼稚園、保育所等と小学校、特別支援学校との連携を進めていくべきであると考えますけれども、文部科学省と厚生労働省の見解をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/154
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155・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 幼稚園、保育所、小学校、特別支援学校との連携の強化についてのお尋ねでございました。
文部科学省では、平成十五年度から、幼稚園における障害のある幼児の受入れや指導に関する調査研究事業を実施をいたしております。教育課程や指導計画の工夫、指導体制の整備や教員の専門性の向上、家庭や地域や関係機関との連携について実践的な調査研究を行っているところでございます。
また、幼稚園を含みます児童生徒等に対する総合的な支援体制の整備を図るための特別支援教育体制推進事業を全都道府県に委嘱をして実施をいたしております。この事業の実施に当たりましては、保育所を対象に含む厚生労働省の発達障害者支援体制整備事業と連携協力をして実施をいたしているところでございまして、医療、保健、福祉、労働等の関係機関と連携の下、乳幼児期からの一貫した支援体制の整備について推進をしているところでございます。
今後とも、幼児期の障害のある子供につきまして、幼稚園と保育所、小学校、特別支援学校が、それぞれの立場を踏まえ、かつ特別支援学校のセンター的な機能も活用しながら積極的な取組を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/155
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156・白石順一
○政府参考人(白石順一君) 御案内のように、保育所におきましても、ここの十年で受入れの障害をお持ちのお子さんの数、施設数とも大体一・六倍ぐらいになるということで、全国的に障害をお持ちのお子さんの保育所への受入れというのは進めてきておるわけでございますけれども、今文部科学省の方の御答弁にもありましたように、本法案における特別支援学校のセンター的機能というものも十分活用させていただきながら、さらにそういう保育所とほかの小学校あるいは特別支援学校との連携と、こういうことについてもより一層充実してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/156
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157・浮島とも子
○浮島とも子君 是非とも、切れ目のない支援対策の構築のために全力で取り組んでいただきたいと思います。また、放課後の支援、そして配慮の方についても、また今後とも検討していっていただきたいとお願いを申し上げたいと思います。
先ほどから、就学前から就学までについてお伺いをさせていただきましたけれども、最後に、就学中から卒業後に関しての文部科学省と厚生労働省との連携についてお伺いをさせていただきたいと思います。
まず、就学中については、小中学校と発達障害者支援センターとの連携が強化されるよう必要な措置を講じるべきと考えておりますけれども、就学中から卒業後に掛けては、就労支援で学校とハローワーク等の連携が求められると考えております。
この就労支援は非常に重要です。と申しますのも、親にとって一番心配なのは、自分が老いてから、あるいは亡くなった後、子供がどのように自分で生きていけるか、子供が独りになったときちゃんと生活していけるかということが、そのことにすごく大きな不安を抱かれていると伺っているんでございますけれども、その意味においても、障害を持つ方々の就労を促進するため、特別支援学校等の厚生労働省等関係部局との連携を強化するとともに、職業体験教育や就労のための個別指導を充実させていくべきだと考えております。
また、採用する企業側については、障害者が働くということについて理解がまだまだ十分でないということも感じております。特に、発達障害については適切な対応を取れば十分な労働力になることをもっと知ってもらう必要があり、障害に対する理解促進の施策が必要でございます。さらに、卒業後も継続した就労支援が必要であります。せっかく就職したのに、誤解に基づくトラブルなどで短期のうちに離職をしてしまうケースもあるのではないでしょうか。トラブルなく継続して雇用されているのか、また困った点はないか等、障害者等の雇用主側、双方へのアフターケアが必要不可欠だと思います。
この点につきまして、文部科学省、そして厚生労働省の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/157
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158・中谷比呂樹
○政府参考人(中谷比呂樹君) 御答弁申し上げます。
発達障害を始めといたします障害のある方々への支援につきましては、委員御主張のとおり、ライフステージごと、また各個人に着目したニーズに対応した支援体制づくりが必要でありまして、そのためには様々な分野間の連携が必要であると考えております。
そうしたことから、厚生労働省といたしましても、例えば昨年四月から施行されております発達障害者支援法によります発達障害者支援センターにつきまして、保健、医療、教育、雇用など関係者と連携して相談事業を行う機関として各都道府県への設置を目標としておりますし、また、発達障害に関しまして、先ほど文部科学省御当局からお話がありました、発達障害者支援体制整備事業におきましては、教育、雇用を含む複数分野の関係者の方々によりますネットワークをつくりまして、個別的な支援計画を作ることになっております。
また、今お尋ねの就労等の問題につきましては、就労を希望される障害のある生徒に対しまして、職業相談や職業評価、職場実習先の確保など、学校におきます進路指導に御協力を申し上げ就労促進に努めるとともに、卒業後もジョブコーチの支援などによりまして職場適応を支援をし、また受入先の企業への普及啓発、こういう事業も努力してまいりたいと思っております。
さらに、新たに施行されました障害者自立支援法におきましては、就労支援事業の創設など雇用施策と福祉施策の連携強化を図ることとしておりますので、このように関係分野が連携をした支援体制づくり、途切れのない支援ができるように努めてまいります。
今後とも、文部科学省を始めといたします関係省庁と連携を十分いたしまして、各般の施策を行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/158
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159・中島啓雄
○委員長(中島啓雄君) 銭谷局長、簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/159
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160・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 卒業後も含めまして、教育、福祉、労働の関係機関の連携による個別の教育支援計画を策定をするということが大事だと思っております。その中に、職業教育の充実や進路指導の改善ということをこれから盛り込んでいく必要があると思っております。
文部科学省といたしましても、ただいま厚生労働省からお話がございましたように、地域の労働関係機関や企業等との連携を図るためのネットワークを構築する取組を進めるなど、障害を持つ児童生徒の卒業後の就労の問題について関係省庁と連携をして取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/160
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161・浮島とも子
○浮島とも子君 是非とも関係部局、そして企業との連携強化をより一層お願いを申し上げます。
ありがとうございました。これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/161
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162・井上哲士
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
朝から障害児教育の国際的な動向と本法案との関連などの質疑が行われてまいりました。子どもの権利条約では、障害児の特別のケアへの権利と特別なニーズを認め、可能な限り全面的な社会的統合並びに文化的及び精神的発達を含む個人の発達を達成することに貢献する方法で教育、訓練、保健サービス、雇用準備及びレクリエーションの機会を保障するということが定められております。それから、先ほど来議論になっています特別なニーズ教育に関する世界会議で採択されたサラマンカ宣言でのインクルージョンの理念を推進する取組も進めてこられました。
私、気になるのは、一部の教育行政などにこのインクルージョンという考えを障害児学校や学級の廃止、縮小の根拠とする考えがあることであります。決してこのインクルージョンという考え方は障害児学校や学級といった特別な場を否定をするものではないと思うんですね。
そこでまず聞くんですけれども、日本におけるこの特別な場、障害児学校等に在籍する状況を世界と比較してどうなっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/162
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163・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 多くの国では、小中学校のほか、障害のある児童生徒のための特別な学校を設けているわけでございます。
各国の特別な学校に在籍をしている児童生徒の割合でございますけれども、私どもが把握している限りでは、イギリスは一・五七%でございます。イタリアは〇・〇六%、ドイツは四%、アメリカは〇・六%、日本は〇・五%という状況でございます。これはいわゆる特別な学校ということで申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/163
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164・井上哲士
○井上哲士君 国際的に日本のいわゆる特別な学校の在籍児童数が、率が特別に多いというわけではありません。
一方、軽度発達障害を持ったりした子供たちが通常学級に在籍をしているという場合に、法的な位置付けもなく必要な支援が受けてこられなかったと、この点を今度の法案では位置付けていくということなんだろうと思うんです。やはり、特別な場の教育ということと一人一人のニーズに合った教育ということを対立させるんではなくて、子供の基本的人権を根幹に据えて、障害によって発生する様々な困難や必要に最も適切な対応をする体制をどうつくるかということが求められていると思うんですが、そこで大臣にお聞きするんですが、そういう点で今回の法案はどういう考え方に基づいているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/164
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165・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 今回の改正案につきましては、障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズを的確に把握をして、そして適切な教育を弾力的に提供していくことを目指すものであります。
児童生徒の就学校の決定につきましては、今後とも一人一人の教育的ニーズを踏まえた適切な教育を行うことを基本にいたしまして、保護者や専門家の意見を聞いて、そして総合的な観点から判断をすると、このようにしているわけでありまして、総合的な判断の結果によっては特別支援学校などの特別な場において一人一人のニーズに応じた手厚い教育を行うこととする場合も当然あるんでありまして、そういった意味で、御指摘のように両者の教育は相対立するものではないと、このように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/165
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166・井上哲士
○井上哲士君 その特別な場の教育状況が今どうなのかということなんですが、この間、午前中の質疑にもありましたように、盲・聾・養護学校を合わせますと、在籍の児童数はかなり増えておりますし、障害の重度・重複化ということも進んでおります。その中でいろんな教育条件の問題が出ております。
例えば東京の例を言いますと、これは二〇〇四年五月一日現在の調べですが、知的及び肢体不自由学校の学級総数が千五百六、そのうち普通教室の数が九百七十九ですから、その差は五百二十七になるわけですね。特別教室を転用しているのが二百六十三ということになりますが、これでも足りないということですから、かなりの部分で一つの教室をカーテンで仕切って使っているなどの状態があるという状況があります。
特殊学級、通級指導などもまだまだ充実が必要だと思うんですが、しかしながら、二〇〇三年に出されました「今後の特別支援教育の在り方について」の最終報告ではこう書いています。「障害のある児童生徒の教育の基盤整備については、全ての子どもの学習機会を保障するとの視点から、量的な面において概ねナショナルミニマムは達成されているとみることができる。」と、こうしております。
私は、こういう認識だと今の現実とは随分違うと思うんですね。まだまだこの通常学級での特別な支援はもちろん、障害児学校、障害児学級、それぞれの拡充が求められていると思うんですが、現状についての大臣の認識をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/166
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167・小坂憲次
○国務大臣(小坂憲次君) 盲・聾・養護学校は障害の程度の比較的重い児童生徒の障害の状態に応じた適切な教育を実施する観点から、専門性を有する教員を手厚く配置するとともに、障害の特性に応じた施設整備を行っているところでございます。
学級編制の標準にいたしましても、小中学校では四十人を上限としておるわけでございますが、盲・聾・養護学校は六人を上限、重複障害の場合には三人というふうにしておりますし、また盲・聾・養護学校においては手厚い配置、その施設整備が可能となっておるわけでございます。
本務教員一人当たりの児童生徒数で見ますと、小学校が十七・三、中学校が十四・六、これに対して盲・聾・養護学校、これにおきましては一・六というふうになっております。
基準面積は、小学校が四十人で百八十七平米、知的障害養護学校の小学部では六人で二百平米という形でございまして、また、更に言うならば、児童生徒一人当たりの学校教育費という観点から見ますと、小学校におきましては九十万九千円、まあ百のけた切り捨てるとですね、千の台で言えば。また、中学校では百二万八千。全部言いますと、小学校が九十万九千八百九十二円ですね。中学校が百二万八千八百二円。これに対して盲・聾・養護学校は九百十二万九千百六十五円ということでございまして、非常にそういう意味で手厚く対応しているところでございます。
また、一方、盲・聾・養護学校の絶対数が少ないこともありまして、対象障害種によっては児童生徒が遠距離の通学を行っている例もあるものと認識をいたしております。今回の法律改正におきましては、一つの特別支援学校が多様な障害種別を教育の対象とすることが可能となることから、障害のある児童生徒等がより身近な特別支援学校に就学することが可能となるなどの利便性の向上が期待できると、このように考えております。
文部科学省といたしましては、今後とも障害のある児童生徒のための条件整備の充実に努めてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/167
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168・井上哲士
○井上哲士君 一般の子供たちに比べて非常にやはり困難が多いわけですから、手厚い支援が行われるのはこれは当然のことだと思うんですね。
問題は、先ほど言いましたように、一人一人の正にニーズに合わせて、それにふさわしい状況になっているかということが問われるんだと思うんです。今、遠距離通学の例もあるなど、まだまだ改善すべき点があるということはお認めになったんだと思うんですね。
先ほど二〇〇三年の最終報告を引用しましたけれども、その前に出た二〇〇一年の「二十一世紀の特殊教育の在り方について」の最終報告の中では、盲・聾・養護学校について、自立相談とか教育相談活動に必要な教職員の充実が求められている、このような教職員の定数の改善を図る必要があると、こういうふうに言っておりましたし、通級による指導については、対象児童生徒に対し適切な教育ができるように教員の配置に努めることと、こうあるわけです。
ですから、二〇〇一年の時点ではこういった教員配置の点でも相当の改善の必要があるということを認めていたわけですし、少なくとも障害児教育に新たな課題を位置付ける以上は、こういった人的配置、教職員の定数改善が必要だということだと思うんです。
ところが、今回は既存の人的、物的資源の配分についての見直しということで対応している。そのことが結果としてはナショナルミニマムを引き下げて、これまでの障害児教育の質が下がるんじゃないかといういろんな危惧が出てきているわけです。
そこで、具体的に特別支援学校についてお聞きしますが、先ほど特別支援学校になることによってより身近なところに通うことができるんだと、こういう御答弁がありました。障害の重度・重複化に応じて障害種別を超えた学校をつくることを評価をする声があります。同時に、これで教育の水準が下がるんじゃないかという懸念もあるわけですね。
先ほどの答弁との関係でいいますと、例えば秋田ですけれども、これは秋田市内にある盲学校、聾学校、二つの養護学校、そしてもう一つの養護学校の一部を統合して総合エリア構想というのが出されておりますが、報道によりますと、統合後の児童生徒数は二百三十四人、学級数は八十二だと。そうすると、教職員数は二百四十九人で、各校を単独設置する場合よりも百一人少なくなると、こういうことなんですね。ですから、三分の一の教職員の数が減るということにこの場合なりますし、四つを一つに統合するわけですから、相当の児童はむしろ遠距離通学になってしまうということがあるわけです。
地方の財政状況によって、結果として統廃合によってこういう教員の削減であるとか遠距離通学が余儀なくされるんじゃないかと、こういう不安の声があるわけですが、この点の懸念にはどうこたえられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/168
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169・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 今回の法改正におきましては、児童生徒の障害の重複化に適切に対応することができるように障害種別を超えた特別支援学校制度を創設をし、設置者の判断によりまして地域のニーズに応じた学校を設置することが可能になるわけでございます。
既に、盲・聾・養護学校の配置や機能の見直しに着手をしていただいている自治体もあると承知をいたしておりますけれども、今回の制度改正は、あくまでも今申し上げました地域のニーズを踏まえた柔軟な取組を行えるようにすることを目的とするものでございまして、学校の統廃合の促進を目的としたものではございません。
なお、各都道府県の今後の特別支援学校の設置について把握をしている限りでは、児童生徒数の自然減への対応を除きまして、特別支援学校の創設を契機として統廃合を掲げる方針については承知をしていないところでございます。再編ということはあろうかと思いますけれども、統廃合によって学校数をずっと減らしていくとか、そういうことは承知をしていないところでございます。
むしろ、私どもといたしましては、特別支援学校ができる限り地域の中で、身近な場で教育を受けられる場になっていくという視点も重要であるというふうに認識をいたしておりまして、柔軟な特別支援学校の編制によりまして地域のニーズにこたえる教育が展開されるように指導してまいりたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/169
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170・井上哲士
○井上哲士君 統廃合とか、そしてそれによって遠距離通学が強いられるようなことは法の趣旨と違うんだということだと思います。
さらに、先ほどの答弁で、特別支援学校になっても標準法に基づいて現行の教育水準を維持をすると、こういうことが出ておりました。ただ、複数の障害を持つ障害種別に対応した特別支援学校になりますと、障害種別の違う子供による学級が仮につくられた場合に、学級数としては減るわけですね。そうしますと、標準法に基づく教職員定数も減っていくということになります。こうなりますと教育条件は大きく後退するわけで、この点の学級編制というのは一体どうなるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/170
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171・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 特別支援学校の学級の編制につきましては障害種別に行うこととして関係省令に規定をすることを予定をいたしております。その学級編制を踏まえまして、標準法によりまして、一学級の児童生徒の基準は六人、重複学級は三人、これを標準といたしまして学級編制がなされるということになろうかと思っております。
これによりまして、特別支援学校につきましては従来と同様の教職員定数が算定することになりまして、それぞれの障害種別の専門性に応じた教育が円滑に行い得るものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/171
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172・井上哲士
○井上哲士君 それによって教職員が従来よりも減ることがないと、こう確認をしてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/172
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173・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 障害種別に学級編制を行いまして、その学級編制の標準というのが従来の一学級の児童生徒数は六人、重複は三人ということでございますから、もちろん児童生徒数の増減というのはこれはあると思いますけれども、考え方としては従来と同様の教職員定数を算定をするということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/173
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174・井上哲士
○井上哲士君 実際どうなるのか、もう少し今後詰めていきたいと思います。
この特別支援学校にセンター的機能を持たせるというわけですが、この間、いわゆるモデル校と言われたとこにも幾つか行って、また関係者からもお話を聞きました。例えば、巡回一つ取っても、担当地域の学校への訪問を基本にしているとこもあれば、来てもらうというのを基本にしていて、そんなん回るのはできませんというとこもお話も聞きました。
このセンター的機能というのは具体的にどういうことが求められているのか。そして、従来の学習指導要領から法文化されたわけですが、それでも「努める」という言葉が残ったわけですが、ここの趣旨はどういうことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/174
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175・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) センター的機能につきましては、今お話ございましたように、現行の盲・聾・養護学校の学習指導要領におきましても、障害のある児童若しくは生徒又は保護者に対して教育相談を行うなど、地域における特殊教育に関する相談のセンターとしての役割を果たすよう努めることとされておりまして、既に多くの学校で取り組まれてきているわけでございます。
今回の法改正におきましては、こうした取組の状況も踏まえまして、特別支援学校の担うべき役割としてセンター的機能を法律上明確に位置付けるということとしたところでございます。
センター的機能として想定をされる機能は多岐にわたるものでございまして、当該特別支援学校の特質や地域の実情に応じましてその機能を担うべきものと考えております。各地域あるいは学校の分布、学校の担当しております障害種等々様々な観点から、それぞれの学校がそれぞれのセンター的機能を発揮をし、県内全体でセンター的機能が活用できるような支援体制が構築されるように私ども取組を促してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/175
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176・井上哲士
○井上哲士君 現状をいろいろ聞きましても、やはり必要な体制がなければ、どうも「絵にかいたもち」、名前だけになりかねないという危惧を非常に持つわけであります。
養護学校は今でもなかなか人手が足りないという悲鳴の声をお聞きをいたします。ところが、今回、このセンター的機能に対応する教職員の定数は配置をされておりません。
例えば、モデル校でもある京都市の北養護学校、私、お邪魔してきたんですが、ここではいわゆる総合養護学校という形で知的と肢体の一体の学校になっていますけれども、百三十人なんですね、全体の教職員が。そのうち、校長一人、教頭二人、事務長一人、副教頭が三人ということで、ここは七人なんです。そして、支援部というところが実に二十四人ということになるわけですね。これ足しただけでも三十人になりまして、全体の二割を超す数になるんです。ですから、いわゆる子供の授業を直接持たない部門が非常に膨れ上がっているという状況があります。
その一方で、小学校の授業を持つとこは、三十二人のうち十人が講師なんですね。講師の方も非常に頑張っていらっしゃるわけでありますけれども、やっぱり専門性、そしてその継承という点からいいますと一体どうなるんだろうかということがあるわけです。
ですから、こういう形で広がっていきますと、子供を指導するという体制の面でも、それから専門性の育成とその継承という点でも非常に後退するんじゃないかという危惧を私はこの京都の実態を見て思ったわけですが、こういう点についてはいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/176
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177・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) もちろん特別支援学校でございますから、在籍をする生徒に対する教育ということは大変その学校にとって大事なことでございますので、そこは十分に取り組んでいただかなければならないし、体制も整えていただきたいと思っております。
また、センター的機能につきましては、先ほど申し上げましたように、既に多くの学校において取り組まれているところを法律上明記をし、一つの県の中において、それぞれ得意分野あるいは得意な方法等によりまして、幅広く就学あるいは障害の困難の克服等いろいろな相談に応じていただくということでございます。
これについては、第七次の定数改善計画におきまして、教育相談の充実ということから所要の定数措置をずっとしてきたわけでございます。また、聾学校において、小中学校の児童生徒に対する通級による指導のための定数措置も講じてきたところでございます。
今般、この新たなセンター的機能を法令上明確化するということに関連をいたしまして、第八次の定数改善計画の中にセンター的機能への対応を含む定員措置を計画をしていたわけでございますけれども、御案内の総人件費改革を進めるという政府の方針の中でやむを得ず見送ったところでございます。
文部科学省といたしましては、センター的機能に着目した定数措置の問題を含めまして今後の教職員配置の在り方につきましては、平成十九年度以降の予算編成過程においてよく検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/177
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178・井上哲士
○井上哲士君 結果として学校の中で子供の授業を持たない教員が相当数に上るという事態については適切とお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/178
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179・銭谷眞美
○政府参考人(銭谷眞美君) 学校におきましてはやはり子供の教育、指導ということが中心でございますので、教職員というのは基本的には授業を持って指導に当たるのが本来であろうと思いますけれども、それぞれの学校によりまして、様々な教員の協力体制あるいは指導体制の工夫によりまして、授業を担当する教員と、一方、管理的な業務あるいは教育相談に当たる教員と、そこは学校において適切に判断をして対応すべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/179
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180・井上哲士
○井上哲士君 やはり子供への教育というものが、直接の教育というものがおろそかにならないということが必要だと思います。
時間ですので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/180
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181・中島啓雄
○委員長(中島啓雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
次回は来る二十日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415104X00820060418/181
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