1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十八年三月二十七日(月曜日)
午後四時四十一分開議
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○議事日程 第十号
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平成十八年三月二十七日
午後四時 本会議
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第一 平成十八年度一般会計予算
第二 平成十八年度特別会計予算
第三 平成十八年度政府関係機関予算
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一より第三まで
一、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基
づき、公共職業安定所の設置に関し承認を求
めるの件
一、平成十八年度における財政運営のための公
債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
一、所得税法等の一部を改正する等の法律案(
内閣提出、衆議院送付)
一、国有林野事業特別会計法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
一、地方税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
一、地方交付税法等の一部を改正する法律案(
内閣提出、衆議院送付)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/0
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001・扇千景
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
日程第一 平成十八年度一般会計予算
日程第二 平成十八年度特別会計予算
日程第三 平成十八年度政府関係機関予算
以上三案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。予算委員長小野清子君。
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〔審査報告書は本号(その二)に掲載〕
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〔小野清子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/1
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002・小野清子
○小野清子君 ただいま議題となりました平成十八年度予算三案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
平成十八年度予算の内容につきましては、既に谷垣財務大臣の財政演説において説明されておりますので、これを省略させていただきます。
平成十八年度予算三案は、去る一月二十日、国会に提出され、一月二十五日、谷垣財務大臣より趣旨説明を聴取した後、衆議院からの送付を待って、三月六日より審査に入りました。
以来、本日まで審査を行ってまいりましたが、この間、三月十日には税制・財政改革・金融市場調節に関する集中審議を、十五日には証券・金融に関する集中審議を、十七日には外交・防衛に関する集中審議を、二十四日には国民生活・教育に関する集中審議を、さらに本日、安全に関する集中審議を、また三月十六日には公聴会を行い、さらに二十二日及び二十三日午前には各委員会に審査を委嘱するとともに、予備審査中の二月十五日から十七日にかけて秋田、岩手、宮城県及び福岡、広島県にそれぞれ委員を派遣して現地調査を行うなど、本日に至るまで終始濃密かつ熱心な審査を行ってまいりました。
以下、質疑のうち若干につき、その要旨を御報告申し上げます。
まず、小泉内閣の構造改革について、「総理はこの五年間の構造改革をどう見ているのか。今国会を行革国会と位置付けているが、行革国会に臨む総理の決意はどうか。近年、様々な格差が拡大し、固定化してきているのではないか」との質疑があり、これに対し、小泉内閣総理大臣及び関係各大臣より、「改革なくして成長なしとの方針の下、諸施策に全力を挙げて取り組んできた。不良債権の処理を進めてきたほか、規制緩和に取り組み、各地域において様々な特区構想が生まれるなど、改革は成果を上げてきている。しかし、改革はまだ道半ばであり、今後とも、経済を活性化し、国民生活を豊かにするため、改革路線を継続していかなければならないと考えている。行政改革に終わりはなく、官から民へ、国から地方へという考え方の下、政府の役割を見直し、簡素で効率的な政府をつくっていきたい。今般、特別会計改革、政府系金融機関の整理統合等を進めることとしており、今後、こうした取組を更に推進していく必要があると考えている。格差の問題については、どの国、どの時代にも格差はあるが、こうした格差が拡大し、固定化しないようにすることが大事であり、社会としてセーフティーネットを用意し、社会保障など様々な制度で対応していくことが必要と考えている」旨の答弁がありました。
次に、経済・景気動向について、「景気は順調に回復しているが、景気の回復は今後も続くと見ているのか。日銀は量的緩和政策を解除したが、今後の金融政策の進め方についてはどう考えているのか」との質疑があり、これに対し、経済財政政策担当大臣及び日本銀行総裁より、「今回の景気は、個人消費、設備投資、輸出がバランス良く回復し、財政が需要拡大のために出動することなく、民間主導の回復が実現してきており、今後も景気の回復は持続可能と考えている。量的緩和政策については、経済実態が着実に回復の方向に進み、目安としてきた消費者物価が安定的にゼロ以上になったと判断し、異例な政策として続けてきた量的緩和政策を解除した。ただし、金融政策のなすべき仕事はまだ道半ばで、今後とも、安定的な物価を目指し、経済の動向に合わせ、適切な金利水準を設定し、より持続性のある景気回復を実現していきたい」旨の答弁がありました。
次に、財政、税制について、「政府は、歳出歳入一体改革にどう取り組んでいくのか。財政再建に当たって、経済成長率と金利の関係をどのように見ているのか。二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支回復後の財政再建の目標についてどう考えているのか。定率減税の廃止は、税制の抜本的見直しを行うまで実施するとした法律の趣旨に反するのではないか」との質疑があり、これに対し、小泉内閣総理大臣及び関係各大臣より、「現在、財政状況は大変厳しい状況にあり、まず、徹底した歳出削減を行うとともに、政府資産の売却などにより増収措置を講じていくが、それでも財政の健全化は至難の業であり、税制全体の改革を視野に入れて考えていく必要がある。六月に示す歳出歳入一体改革案の中で、具体的な選択肢や工程表を示し、国民的な議論を深めていく必要があると考えている。高い経済成長率を達成すれば、税の自然増収は増えるが、他方、金利が上昇すれば、国債の利払い費や物価に連動する社会保障関係費が増加するため、差引きすると成長率の上昇が必ずしも財政にプラスに働くとは限らない。基礎的財政収支の回復は財政再建の一つのステップであり、なお巨額の債務残高が残ることから、その後はGDPに対する債務残高の比率を低下させていくなど、更に踏み込んだ目標が必要と考えている。定率減税が実施された個人所得課税については、既に配偶者特別控除など人的控除を見直ししてきたほか、十八年度税制改正においては、地方への税源移譲に伴い税率構造を変えることとしており、抜本的な見直しに取り組んでいる。こうした認識の下、当時の厳しい経済状況の中で実施した定率減税は、経済情勢が好転してきたことから、廃止するのが自然であると考えている」旨の答弁がありました。
次に、社会保障制度改革について、「厚生年金と共済年金の統合により、解決される問題と残される課題は何か。政府は医療制度改革をどのような理念で進めようとしているのか」との質疑があり、これに対し、小泉内閣総理大臣及び関係各大臣より、「厚生年金や共済年金という被用者年金制度の一元化は、民間のサラリーマンと公務員の間にある負担と給付の格差を是正するものであるが、なお残されている課題として、厚生年金の国庫負担割合の引上げに伴う財源、国民年金を含めた年金制度一元化等の問題がある。医療保険制度については、戦後、我が国の大きな目標の一つであった長生きできる社会は実現されたが、現在の医療保険がこれからも持続可能かどうかといった新たな課題が出てきている。負担と給付の関係、医療供給体制など様々な問題があり、具体的な各論に踏み込んで医療保険制度の改革に取り組んでいきたい」旨の答弁がありました。
次に、三位一体改革について、「三位一体改革に取り組んで三年が経過するが、当初の目的は実現しているのか。地方公共団体の裁量の拡大にはつながっていないのではないか」との質疑があり、これに対し、小泉内閣総理大臣及び関係各大臣より、「補助金、税源移譲、地方交付税の改革については、様々な議論があり、これまで難しいと思われてきたが、今回、四兆円以上の補助金改革、三兆円の税源移譲を実現するほか、約五兆円の交付税の削減などを行い、国、地方の行財政のスリム化に取り組んできた。また、施設費を税源移譲の対象に加えるなど地方の裁量を拡大する手当ても講じており、今後もこうした成果を踏まえて改革を進めてまいりたい」旨の答弁がありました。
次に、ODA改革について、「ODAは国益のために戦略的に活用すべきではないか。国際協力機構などODA実施機関の見直しは援助の効率的な実施につながるのか」との質疑があり、これに対し、小泉内閣総理大臣及び関係各大臣より、「ODAは我が国の国益を実現していく最も重要な外交手段の一つで、戦略性を持たせて実施すべきものと考えており、今回、総理直属の会議を設置するとともに、外務省の組織を大幅に見直すなど、体制整備を進めている。ODAの実施機関の再編については、国際協力銀行の改革と併せて行ったもので、ODAの実施を基本的にも国際協力機構に一本化し、被援助国の発展状況に応じて切れ目のない援助ができる体制を整えるなど、実効あるものにしていきたい」旨の答弁がありました。
最後に、防衛施設庁の官製談合の問題について、「政府は官製談合の再発防止に向けてどう取り組むのか。原因の一つに公務員の天下りと早期勧奨退職の慣行があるのではないか」との質疑があり、これに対し、小泉内閣総理大臣及び関係大臣より、「現在、再発防止のための調査委員会を設け、防衛施設庁の在り方、財団法人等の在り方を検討している。チェック体制の整備とともに、防衛施設庁を解体する方向で新しい組織づくりの作業を進めており、十九年度概算要求に間に合わせるよう再編を行っていきたい。天下りが今回の談合の一つの要因になっているならば、早期退職の慣行を見直すことも含めて、改善策を検討していきたい」旨の答弁がありました。
質疑はこのほか、在日米軍基地の再編、東アジア外交への取組、北朝鮮拉致事件と六か国協議の進捗状況、防衛庁等における情報管理の現状、少子化対策、雇用・賃金制度の見直し、障害者施策の進捗状況、新型インフルエンザ対策、ライブドア問題、米国産輸入牛肉問題、耐震構造偽装問題、会社法制の見直し、市町村合併と道州制の導入、学校教育及び教育基本法の見直し、リサイクルや化学物質対策等の環境問題など、広範多岐にわたりましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
かくて、本日をもって質疑を終局し、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して主濱委員が反対、自由民主党及び公明党を代表して加藤理事が賛成の旨、それぞれ意見を述べられました。
討論を終局し、採決の結果、平成十八年度予算三案は賛成多数をもっていずれも原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/2
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003・扇千景
○議長(扇千景君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。辻泰弘君。
〔辻泰弘君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/3
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004・辻泰弘
○辻泰弘君 私は、民主党・新緑風会を代表し、平成十八年度政府予算三案に対し、一括して反対の討論を行います。
昨年八月、安倍官房長官は、小泉内閣が構造改革を進めなければ堀江氏は出てこなかったと語りましたが、その堀江氏のライブドアの錬金術の主な道具となったのが株式分割でありました。それを可能にした商法改正は、自民党と政府が連携し、平成十三年、立法作業着手から五か月のスピード改正で成立したのであります。
一方、租税債権の労働債権に対する優位性、すなわち、会社の破産の際、当然に勤労者が受け取る権利を有する給料、退職金より先に税金や社会保険料が持っていかれる極めて冷たい法制の是正には長時間を要し、十七年一月の改正破産法の施行まで待たなければならず、倒産多発の時期には間に合いませんでした。
同じ法務省所管の法案でありながら、改革に臨んで不可欠である庶民や勤労者のためのセーフティーネット対策には極めて不熱心、後回しに終始する一方で、いわゆる勝ち組の金もうけのためには迅速に対処する、正に小泉政権の体質、本質そのものであります。
総理は、セーフティーネットの整備は政治の極めて重要なことと言いながら、その実、この五年間、個人に着目したセーフティーネットの新たな整備はほぼ皆無でありました。のみならず、年金、医療、介護、生活保護、障害者福祉、雇用、労働などの政策領域において、むしろ国民を不安にさせる政策運営を続けてきたのであります。
この五年の間に、一部の勝ち組と都市にのみ富を集中させ、社会的弱者や地方を切り捨ててきた小泉改革が日本の社会にもたらしたものは、格差の拡大とその固定化であったと言わざるを得ません。
さらに、昨年来の耐震偽装問題、ライブドア事件、BSE問題、防衛施設庁の官製談合のいわゆる四点セットは、競争偏重、安全軽視、官業癒着の小泉政治の帰結であり、常に後手後手、場当たり的な対応によって、安全が求められる国民生活に多大な不安をもたらし、社会的公正を揺るがせた責任は極めて重大であります。
このような政治運営の下で編成され、それらの正当化につながるとも言うべき本予算案を我が党は到底容認できません。
以下、政府案に反対する主な理由を申し上げます。
まず第一の理由は、所得課税の抜本的見直しを行うまで続けると法律に明記し、時の総理も大蔵大臣も約束していたにもかかわらず、公約に反した形で定率減税の廃止を行っていることであります。
財務大臣は、老年者控除の廃止などが抜本的改革に当たると強弁されましたが、それらの法案提出時には抜本的改革とは一言も言わなかったものを、今になってあれが抜本的改革だったのですなどと言うことは、余りにも身勝手な解釈であり、ルール違反のだまし討ちと言わなければなりません。速やかに白紙撤回すべきであります。
第二の理由は、国の長期債務残高が六百兆円を超える状況にもかかわらず、基本認識についての閣内の統一さえ図られず、財政再建の明確な方針が全く示されなかったことであります。
総理が三月十六日の経済財政諮問会議において、今までの政治の例を見ても想定どおりにいくわけがない、予算も年度年度で違い、予想どおりにいったことなどない、政治というのは毎年度違う、だれが総理になるか分からない、必ず複数のケースを出せと述べたことは、大相撲も顔負けの総理お得意の大技、丸投げ、先送り、見掛け倒しの小泉政治の本性をさらけ出したものであり、政策決定能力のなさ、その無定見、無責任ぶりには開いた口がふさがりません。政権の最終盤に至るも、なお日本の将来を真に憂うる心がかいま見られないことは誠に痛恨の極みであります。
第三の理由は、国民年金を含めた年金制度の一元化、最低保障年金の創設、社会保険庁と国税庁との統合などの抜本改革を行わず、国民年金保険料の未納や無年金状態などを放置するとともに、医療保険制度においてIT化や支払方式の見直しなどの改革を積極的に進めず、医療提供体制の改善を十分図らないままに高齢者等への負担増を求めていることであります。これらは、社会保障が最大の関心事である国民の期待にこたえるものではありません。
第四の理由は、第二次ベビーブーム世代が出産年齢期である二〇一〇年ごろまでが、我が国の人口構成上、出生率、出生数回復の最後のチャンスであるとの少子化白書の指摘にもかかわらず、少子化対策が極めて不十分なことであります。我が党が求めた義務教育終了時までの子ども手当の創設や実質的な出産の無料化などを見送り、のみならず、予算が成立してから検討を開始しようとの姿勢には、その重要性、緊要性への認識が完全に欠落しており、容認できません。
第五の理由は、三位一体改革が地方負担を高める形だけの改革にとどまるとともに、特別会計の改革が掛け声倒れに終わっている点であります。単なる地方への負担転嫁にとどまらない真の改革と肥大化した特別会計の実効ある改革を強く求めるものであります。
以上、平成十八年度予算案に反対する主な理由を申し上げました。
最後に、経済を支配する論理は競争原理しかないであろうが、社会を規定する論理が競争原理になったときに人間の幸せはない、これが私の信念であります。小泉総理は、この五年もの歳月を掛けて、私にその信念の正しさを再確認させてくださいました。そのことだけは唯一感謝しております。
近時、格差の拡大や安全神話の崩壊といった小泉改革の影の部分がますます顕著になっております。にもかかわらず、これを謙虚に受け止めることなく、改革の一面的な成果ばかりを強調し、国民生活や我が国社会の現状を直視せず、改革のゆがみに一向に目を向けない総理には、もはやその任にいていただく必要はありません。半年後と言わず、一刻も早く御退陣願いたい。
我が民主党は、必ずや近い将来、国民の負託を得て政権交代を果たし、もって国民生活の安定向上に、そして人間の幸せを追求する本来の政治の姿を取り戻すために今後とも全力を傾注することをお誓い申し上げ、私の反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/4
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005・扇千景
○議長(扇千景君) 鶴保庸介君。
〔鶴保庸介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/5
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006・鶴保庸介
○鶴保庸介君 私は、自由民主党、公明党を代表して、ただいま議題となりました平成十八年度予算三案に関しまして、賛成の立場から討論をさせていただきます。
さて、興奮冷めやらぬところですが、先日、ワールド・ベースボール・クラシックにおいて日本が初代世界一の栄冠に輝きました。二次リーグでの敗退といったがけっ縁からの起死回生であるだけに、選手はもとより、日本国民の喜びもひとしおであります。
最高五六%というテレビの視聴率を見ると、正に全国民を巻き込んでの熱狂でしたが、今回の野球ドラマは、勝利への強い執念があったればこそ多くの人に感動を与えたのだと思います。負けてもあきらめない、逆境にあってもくじけない、勝利を信じて再挑戦する姿は、野球に限らず多くの共感を得ました。今、正に国民が求めるものはこうした強い意志であり、この意味では政治も例外ではあり得ないと思います。
小泉政権の展開する構造改革が、当初はなかなか成果を上げず、むしろ地方経済や中小企業を苦しめ、このままでは日本全体が沈没してしまうとの危機感が多くの人たちに広がったのは事実であります。しかし、総理を始めとする関係各位の強い意志によって改革が次々と実行され、経済に明るい兆しが見えてきました。全体としては、失業率は低下し、求人倍率は改善し、株価が上昇していることは、だれしも否定しようのない事実であります。
正に、改革、勝利への強い意志と、目的達成のための並々ならぬ努力、日ごろの研さんが最終的には大きな成果につながったのであります。こうしたことを背景にして、今や我が国社会にはやればできるという自信が芽生え、新しい社会に挑戦する意欲が生まれてきつつあると言えます。ただ、改革はまだ道半ばです。だからこそ、これまでの改革を一層推し進め、将来への国民の期待、夢を末広がりに導いていく予算でなければならないことは言うまでもありません。
以下、本予算に賛成する具体的な理由を申し上げます。
まず強調すべきは、この予算が我が参議院での決算審査の結果をしっかりと踏まえ、編成されたことであります。例えば、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省などの一般会計、特別会計については、平成十五年度決算審査における様々な指摘を受け、それを踏まえて適切に措置されました。政府の取組を是とし、このことを高く評価するものであります。
決算重視の参議院では、衆議院から予算案が送付された翌日、予算委員会に先駆け、決算委員会で全般質疑を行いました。決算審査を予算に反映させるため、参議院の総意で実施されたものであります。その後の参議院予算委員会における与野党通じた充実した審議が行われ、本日、予算案成立の日を迎えることとなりました。
次に、賛成の理由としては、予算の重点化と財政再建が一段と推進されている点であります。改革なくして成長なし、民間にできることは民間にといった規制改革によって経済活動に活気が戻り、税収も期待以上に増加しております。
その中で全般的に予算の合理化が図られ、主要な項目にめり張りを利かせたものになっております。科学技術立国のための科学技術振興費、そして少子高齢化社会へ着実に対応する社会保障関係費は拡充されております。一方、公共事業関係費、経済協力費、防衛関係費は抑制され、選択と集中の傾向が鮮明になっています。
このため、一般会計の規模は八年ぶりに七十兆円台に縮小し、国債発行額は五年ぶりに三十兆円を下回り、財政再建が一段と進められる編成となっています。
さらに、小泉改革を加速する予算であることであります。今国会での重要法案である行政改革推進法案によって、特別会計の整理統合、役割の見直しに踏み切り、国債発行額の圧縮につなげ、そして国家公務員の純減により、小さくて効率的な政府への取組を強めています。
このほか、高齢者医療制度の創設を柱とした医療保険制度の抜本改革、補助金削減や税源移譲の恒久措置化など三位一体改革が進められ、政府系金融機関の統合、さらには国有財産の有効活用なども財政構造改革の一環として実施されることになっております。
以上のように、平成十八年度予算は、小泉改革の集大成であり、かつ改革を加速するものであります。政府におかれましては、本予算成立後、迅速かつ適切に執行されることを強く要請いたします。
なお、最後になりますが、メール問題等、国民に申し訳の立たないどたばた劇があったことは、誠に遺憾であります。国会は何を審議しているのか、国民のためになるまじめな審議をしてほしいという声に我々国会議員は真摯に耳を傾けなければならないと思います。
その中で、我が参議院は、実に公聴会を含めて七十七時間にも及ぶ議論を重ね、多くの建設的な意見を得ることができました。総理も、現実的かつ具体的な提案には与野党を問わず虚心坦懐に耳を傾けると明言しており、多くの成果を得たものと自負しております。
また、少しでも多くの国民の目に触れるようにとの内外の配慮から、六度ものテレビ中継を導入したことは画期的であります。そのおかげで一般の国民から数多くの反応が寄せられており、本予算の審議が十分かつ濃密であったことはだれよりも衆目の判断するところであると考えます。
この意味では、正に参議院らしい審議ができたと思います。関係者の御協力を無にしないためにも、これまでの議論を踏まえた一日も早い予算の成立こそ国民の求めるものであることを強調して、平成十八年度予算に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/6
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007・扇千景
○議長(扇千景君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/7
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008・扇千景
○議長(扇千景君) これより三案を一括して採決いたします。
足立信也君外九十四名より、表決は記名投票をもって行われたいとの要求が提出されております。
現在の出席議員の五分の一以上に達しているものと認めます。
よって、表決は記名投票をもって行います。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/8
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009・扇千景
○議長(扇千景君) 投票漏れはございませんか。──投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/9
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010・扇千景
○議長(扇千景君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/10
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011・扇千景
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十七票
白色票 百三十四票
青色票 百三票
よって、三案は可決されました。(拍手)
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〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/11
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012・扇千景
○議長(扇千景君) この際、日程に追加して、
地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、公共職業安定所の設置に関し承認を求めるの件を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/12
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013・扇千景
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長山下英利君。
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〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔山下英利君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/13
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014・山下英利
○山下英利君 ただいま議題となりました承認案件につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本件は、厚生労働省の所掌事務の円滑かつ効率的な遂行を図るため、新たに千葉南公共職業安定所を設置することについて、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、国会の承認を求めるものであります。
委員会におきましては、公共職業安定所の定員合理化計画の内容及び業務への影響、公共職業安定所が行う事業を民間委託することに伴う問題等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/14
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015・扇千景
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/15
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016・扇千景
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/16
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017・扇千景
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十六
賛成 二百三十六
反対 〇
よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/17
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018・扇千景
○議長(扇千景君) この際、日程に追加して、
平成十八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案
所得税法等の一部を改正する等の法律案
国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/18
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019・扇千景
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長池口修次君。
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〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
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〔池口修次君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/19
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020・池口修次
○池口修次君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、平成十八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案は、平成十八年度の適切な財政運営に資するため、同年度における公債の発行の特例に関する措置、電源開発促進対策特別会計からの一般会計への繰入れの特例に関する措置、財政融資資金特別会計からの国債整理基金特別会計への繰入れの特別措置及び年金事業等の事務費に係る国庫負担の特例に関する措置を定めようとするものであります。
次に、所得税法等の一部を改正する等の法律案は、現下の経済・財政状況等を踏まえ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向け、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施するとともに、定率減税を廃止し、併せて法人関連税制、土地・住宅税制、国際課税、酒税、たばこ税等について所要の措置を講じようとするものであります。
次に、国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案は、特別会計の見直しに伴い、国有林野事業特別会計の治山勘定を国有林野事業勘定と統合するための規定の整備等を行おうとするものであります。
委員会におきましては、以上の三法律案を一括して議題とし、国債の安定消化の方策、金利変動準備金取崩しの根拠、所得再分配機能の回復に向けて税制の抜本改革を行う必要性、定率減税の廃止の影響、役員給与の損金算入制限措置の導入理由、国有林野累積債務の返済に向けた取組等、各般にわたる熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
三法律案につきまして、質疑を終了しましたところ、民主党・新緑風会を代表して広田一委員より、公債特例法案に対し、年金事業等の事務費に係る国庫負担の特例に関する規定の削除及び特例公債の発行額の縮減を内容とする修正案が提出されました。
これに伴い、国会法第五十七条の三の規定に基づいて内閣の意見を聴取いたしましたところ、修正案に反対である旨の意見が開陳されました。
次いで、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して大久保勉委員より、三法律案に反対、修正案に賛成、日本共産党を代表して大門実紀史委員より、三法律案に反対、修正案に賛成する旨の意見がそれぞれ述べられました。
討論を終了し、順次採決の結果、修正案は否決され、三法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、所得税法等改正案に対し、附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/20
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021・扇千景
○議長(扇千景君) 三案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。尾立源幸君。
〔尾立源幸君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/21
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022・尾立源幸
○尾立源幸君 民主党・新緑風会を代表して、政府提出の平成十八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、所得税法等の一部を改正する等の法律案及び国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案に反対の立場で討論を行います。
まず、特例公債法案に反対する理由を申し上げます。
第一に、平成十八年度予算においては、見掛け上の国債発行額は三十兆円以下に抑えられているものの、これは歳出の抜本改革という本来あるべき手段によるものではなく、辛うじて実現したものにすぎません。すなわち、電源開発促進対策特別会計からの繰入金は隠れ借金ともいうべきものであり、また定率減税の廃止、たばこ増税等は場当たり的に国民に負担を押し付けるものです。政府がこれまでの財政運営の失敗を省みず、将来世代に赤字をツケ回す法案であることに変わりありません。
第二に、財政融資資金特別会計の金利変動準備金約二十四兆円のうち十二兆円を取り崩して国債残高の縮減に充てることとしておりますが、なぜ十二兆円にとどまったのか、政府の説明では一向に明らかにされません。しかも、平成十三年度の財投改革以降もこの準備金が本当に必要であるのか、政府から最後まで明確な説明はありませんでした。財政融資資金特別会計の資産負債の管理、リスク管理を適切に行うことによって、この準備金は限りなくゼロに近づけることが可能であります。
第三に、今回の法案においても、一千十四億円もの年金保険料を社会保険庁の事務費に流用しようとしておりますが、年金保険料の流用は、年金財政を不安定化させるだけでなく、国民の年金制度への不信を増大させるものであり、到底認められるものではありません。
これに対して民主党は、時限措置として始められた年金保険料の流用をやめて、年金制度を本来の姿に戻して事務費を全額国庫負担とし、併せて平成十八年度の歳出について、無駄遣いの温床である年金事務費を含めて歳出全般について徹底した検証を行うことにより、特例公債の発行額の縮減を図るよう努めるという内容の修正案を提案いたしました。
次に、あるべき社会像、それを反映するあるべき税制について考えを述べさせていただきます。
私は、税はできるだけ簡単で分かりやすく、かつ安くなければならないと思っております。自分でできることは自分でやらなければ、どんどん官の領域が大きくなり、税金となって跳ね返ってきます。しかし、自分ですべてのことができるわけではありません。そこで、できるだけ多くの人が元気なうちは社会に貢献することで、民と官の間にある第三の領域を拡大することができ、それによって税負担を抑制しながら、求めるサービスを受けることができるのではないでしょうか。
この第三の領域の担い手の重要性については、ヨーロッパ型資本主義の社会的資本という考えが参考になります。すなわち、社会的資本には政府が提供する道路、民間企業の生産設備などの物理的な設備、資本市場、司法制度など市場経済を支える公的な制度、労働人口の量や質などの人的資本、人間と人間がつくる一定の関係や各種の組織や団体などの人間同士が築く信頼関係というものがあり、これらが社会を構成する要素だという考えです。このうち最後に挙げた人々の信頼関係や組織、団体といった社会的資本こそ、先ほど申し上げました民と官の間にある第三の領域なのです。
しかし、アメリカでは、市場原理中心主義的な政策の影響によって、ここ三十年間で社会的資本の崩壊が進んでいます。小泉内閣も市場原理一辺倒で社会的資本に目を向けておらず、同じような結果をもたらす可能性があります。格差が拡大しているのもその一端ではないでしょうか。
これに対してヨーロッパでは、民と官の間にある第三の領域が一層充実する傾向にあります。オランダでは全人口の一四・四%が第三の領域にかかわっており、またベルギー、アイルランドなどその割合は一〇%を超えています。日本に関するデータは残念ながら持ち合わせておりませんが、こういった分野の充実、支援こそが持続可能な日本社会を構築する上で大変重要だと考えます。しかし、今回の所得税法等改正案にはそういった視点が全く見られないだけでなく、幾つかの問題点を含んでいます。
そこで、所得税法等改正案に反対する理由を申し上げます。
第一に、定率減税の廃止であります。そもそも定率減税は、平成十一年の負担軽減法において、経済状況が改善するまで、そして税制の抜本改革を行うまでの間、実施することとされたものです。しかし、この二つの条件のうち、経済状況については、デフレからの脱却が見られるものの、依然として地域間格差が存在するなど、地方への波及は遅れています。また、所得格差の拡大など、新たな社会問題も生じています。さらに、税制改革についても、今回の三兆円の税源移譲に伴う所得税の見直しが抜本改革の名に値するものでないことは言うまでもありません。
したがって、これらの前提条件を欠いた定率減税の廃止は、負担軽減法に違反していることは明らかであり、格差社会の拡大を助長するものであります。
第二に、同族会社の役員給与の損金不算入は、関係者に対する十分な説明もないままに唐突に提案されたものであり、まじめに働く中小零細企業に過重で不合理な税負担を及ぼすものであるほか、新会社法による経済活性化を阻害するおそれがあります。
第三に、公示制度の廃止は、個人情報保護の観点からやむを得ない面があるものの、個人情報保護と何ら関係のない法人の公示制度の廃止は、法人の所得の実態を見えにくくするだけであります。近年の格差社会の拡大を踏まえて、今後の税制改革においてきめ細かな政策を立案していくためには、高額所得者の情報を職種別に公表するなど、公示制度に代わる新たなデータの充実と開示が必要であります。
最後に、国有林野特別会計法案に反対する理由を申し上げます。
本法案では、一兆円を超える多額の累積債務を抱えている国有林野特別会計について根本的にメスを入れることなく、国有林野事業勘定と治山勘定の統合という小手先の改革にとどまっております。財政の全体像を不明確にしている特別会計は、抜本的な改革が不可欠であり、平成二十二年度末までの検討という悠長なことではなく、即刻廃止した上で、必要な事業は一般会計で行うといった改革に早急に着手すべきであります。
以上、三法案に反対する理由を申し述べましたが、財政再建への道筋を示されていないまま場当たり的な負担増がこれ以上続くと、将来の希望の持てない社会になるのではないでしょうか。
私は、子供たちにツケを回さないために、そして将来に希望の持てる社会にするために、行財政改革及び税制改革に真剣に取り組んでいく必要があると考えております。このことを強く訴えまして、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/22
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023・扇千景
○議長(扇千景君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/23
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024・扇千景
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
まず、平成十八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する等の法律案を一括して採決をいたします。
両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/24
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025・扇千景
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/25
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026・扇千景
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十七
賛成 百三十四
反対 百三
よって、両案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/26
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027・扇千景
○議長(扇千景君) 次に、国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/27
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028・扇千景
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/28
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029・扇千景
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十七
賛成 百四十四
反対 九十三
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/29
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030・扇千景
○議長(扇千景君) この際、日程に追加して、
地方税法等の一部を改正する法律案
地方交付税法等の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/30
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031・扇千景
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。総務委員長世耕弘成君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔世耕弘成君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/31
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032・世耕弘成
○世耕弘成君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、地方税法等の一部を改正する法律案は、国から地方公共団体への税源移譲を行うための個人住民税の税率見直し、定率減税の廃止、不動産取得税の税率引下げ措置の延長、平成十八年度固定資産税の評価替えに伴う固定資産税等の税負担の調整、地方のたばこ税の税率引上げ、所得譲与税の増額等について所要の改正を行おうとするものであります。
また、地方交付税法等の一部を改正する法律案は、平成十八年度分の地方交付税の総額の特例措置を講ずるとともに、国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入れに関する特例等を改正するほか、地方交付税の単位費用の改正等を行おうとするものであります。
委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、三位一体の改革の総括、地方財政計画の適正な歳出見積りによる交付税総額の確保、地域間の税収格差の拡大に対する認識と格差是正に向けた方策、団塊の世代の大量退職が地方財政に与える影響、税源移譲に伴い税収が減る自治体への対応、臨時財政対策債を地方一般財源に含めることの是非等について質疑が行われました。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して高橋千秋委員、日本共産党を代表して吉川春子委員、社会民主党・護憲連合を代表して又市征治委員より、それぞれ両法律案に反対する旨の意見が述べられました。
討論を終局し、順次採決の結果、両法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、地方税法等の一部を改正する法律案に対し四項目から成る附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/32
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033・扇千景
○議長(扇千景君) 両案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。蓮舫君。
〔蓮舫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/33
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034・蓮舫
○蓮舫君 私は、民主党・新緑風会を代表して、地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、平成十八年度地方財政計画に反対の立場から討論を行います。
少子高齢化の進展、住民の価値観やニーズの多様化、右肩上がりの経済の終えんなど、経済社会構造が大きく転換しようとしている今、真の地方分権が求められていることは皆さん同じ思いだと思います。そもそも地方分権とは、税源移譲、あるいは権限の面で地方の自由度を高め、地方自治体が住民ニーズや地域の実情に応じた多様なサービス展開を可能にするために行うものです。しかし、小泉総理が進めてきた三位一体改革はどうでしょうか。地方が自由に使い道を決められる財源はもとより、独自の行政サービスを行える権限さえも十分に与えられていません。つまり、三位一体改革は、国が地方を縛る権限が温存されるなど、地方分権のあるべき姿とは懸け離れた結果に終わっています。
議題となりました二法案と地方財政計画は、地方分権とは名ばかりの三位一体改革と密接不可分な関係にあり、三位一体改革同様、改革としても内容としても私たちは全く評価することができません。
以下、反対理由を具体的に申し述べます。
まず、地方税法改正案に盛り込まれている所得税から個人住民税への三兆円規模の税源移譲です。
税源移譲そのものは、地方が自由に使える財源を増やすもので、望ましい施策です。しかし、税源移譲の前提となる国庫補助負担金改革は、地方の自由度が高まらないお粗末な結果で終わっています。なぜなら、国庫補助負担金の削減額を積み上げる際に、政府は、国庫補助金そのものを廃止するのではなくて、国の負担を引き下げるという手法や交付金化を多用したからです。
その代表的な例が義務教育費国庫負担金です。昨年の政府・与党合意では、義務教育費国庫負担金の国の負担を二分の一から三分の一に引き下げるという形ばかりの結論を出されました。
国からの補助金が維持される限り、国の負担額をどのように変えようとも、地方はこれまでと同じく国の関与を受けることになるのは説明するまでもありません。さらに、地方は、国の関与を受け続けるばかりか、国の負担率引下げに伴い、二分の一から三分の二に増える財政負担という痛みに耐えなければいけなくなります。
国から見れば、これまで二分の一の負担で行使していた権限を三分の一の負担で行使できるのですから、これまでよりも効率よく地方を支配することができ、都合のいいことばかりでしょうが、地方にとっては踏んだりけったりの結果です。国の財政支出削減策に終わり、肝心の義務教育の在り方、子供を育てる教育に国と地方がどのように取り組むのかという議論がないものを、政府・与党と違い、私たちは改革と呼ぶことはできません。
次の問題点は、三位一体改革の一つに掲げられながら、抜本的な議論がほとんど行われてこなかった地方交付税改革です。
地方交付税に関して政府が行ってきたことといえば、地方交付税の大幅削減にしかすぎません。平成十六年には地方交付税及び臨時地方財政対策債を約三兆円も削減し、地方自治体の財政運営に大きな支障を及ぼしたことは記憶に新しいところです。
平成十六年からの三年間で見ると、政府は約五・一兆円の削減を行ってきたことになりますが、これは、国が自らの失政で積み上げてきた膨大な赤字のツケを地方に転嫁したことにほかなりません。地方交付税は、地方にとって安定した財政運営をするための貴重な財源です。国が自らの無駄遣いをなくす努力を怠り、安易に地方交付税を削減するということは許されないと考えます。
地方交付税改革について抜本的議論をしてこなかったツケは、今回の地方交付税改正案にも表れています。
財源移譲に伴う影響を緩和するために行われる交付税総額の加算措置は、三年間のみの期限付き措置にしかすぎません。また、税源移譲に伴う地方自治体間の財政力格差緩和策は、税源移譲に伴う影響額を基準財政収入額に当面一〇〇%算入するという暫定的なものにしかすぎません。
このような取り繕いの策ばかりでは、地方は平成十六年度のように地方交付税を大幅に削減され、必要最低限なサービスを行うことも難しい状況になるのではないか、財政力の乏しい自治体が一層苦しいことになるのではないか、そのしわ寄せが市民に押し付けられるのではないかといった不安をぬぐい去ることはできません。
地方分権のほかにも、定率減税の廃止、たばこ税の引上げなど、国の財政改革という努力抜きの、安易に国民に負担を課すという問題点があることも見過ごすことはできません。
定率減税は、地方税法附則第四十条に、所得課税の在り方の抜本的見直しが行われるまでの措置と規定されています。しかし、小泉総理はいつ抜本的見直しを行ったんでしょうか。政府の地方税法改正に従ってこのまま定率減税を廃止することは、制度の趣旨に反し、法律違反のそしりを免れないことを指摘しておきます。
小泉総理はこれまで、配偶者特別控除の廃止、酒税、たばこ税の引上げ、年金課税の強化など、個人への増税を繰り返し行ってきました。これらに加えて更に定率減税の廃止を行うということは、家計を苦しめ、個人間の所得格差を助長することにつながりかねません。子育て世帯の平均年収は七百万円、定率減税廃止でこの世帯の負担増は年八・二万円。一方で少子化対策が大事と言っておきながら、他方で子育て世帯に厳しい増税感を与える定率減税廃止には断固として反対をいたします。
定率減税のように個人に負担を課す重大な政策を実行するのであれば、選挙などを通じて国民の理解を得なければなりません。しかし、昨年の総選挙はどうでしょうか。選挙時、与党は、定率減税の廃止をマニフェストに記載しておらず、国民に対して説明も行っておりません。選挙公約に反する政策を強行することは、国民に対する背信行為ではないでしょうか。
さらに、地方税法改正案ではたばこ税の引上げが盛り込まれておりますが、これは公債費を圧縮するために、取りやすいところに安易に課税をして取るという小手先の増収策にしかすぎません。そこには、たばこが健康に与える害あるいは医療保険財政に与える負担に対して思いを致すことや、国民に負担を課す前に政府の無駄遣いをなくそうという姿勢が全く見られません。
地方分権とは言えない三位一体改革を前提とし、政府の無駄遣いを放置したまま国民に負担を強いる本法案等には断固として反対であるということを述べ、私の反対討論を終わらせていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/34
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035・扇千景
○議長(扇千景君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/35
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036・扇千景
○議長(扇千景君) これより両案を一括して採決いたします。
両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/36
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037・扇千景
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/37
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038・扇千景
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十五
賛成 百三十二
反対 百三
よって、両案は可決されました。(拍手)
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〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/38
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039・扇千景
○議長(扇千景君) 本日はこれにて散会いたします。
午後五時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01020060327/39
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