1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十八年四月二十四日(月曜日)
午前十一時一分開議
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○議事日程 第十九号
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平成十八年四月二十四日
午前十一時 本会議
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第一 簡素で効率的な政府を実現するための行
政改革の推進に関する法律案、一般社団法人
及び一般財団法人に関する法律案、公益社団
法人及び公益財団法人の認定等に関する法律
案、一般社団法人及び一般財団法人に関する
法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認
定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整
備等に関する法律案及び競争の導入による公
共サービスの改革に関する法律案(趣旨説明
)
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○本日の会議に付した案件
一、請暇の件
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/0
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001・扇千景
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
中曽根弘文君から海外渡航のため来る二十六日から十四日間の請暇の申出がございました。
これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/1
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002・扇千景
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。
よって、許可することにいたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/2
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003・扇千景
○議長(扇千景君) 日程第一 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案(趣旨説明)
五案について提出者の趣旨説明を求めます。中馬国務大臣。
〔国務大臣中馬弘毅君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/3
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004・中馬弘毅
○国務大臣(中馬弘毅君) 初めに、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
国際化及び情報化の進展、人口構造変化等の経済社会情勢の変化の中で、我が国の国際競争力を強化し、国民が豊かで安心して暮らすことのできる社会を実現するためには、民間の主体性や自律性を高め、その活力が最大限に発揮されるようにすることが不可欠となっております。
このため、政府は、簡素で効率的な政府の実現を喫緊かつ最重要の課題の一つとして位置付け、昨年十二月二十四日に行政改革の重要方針を閣議決定するとともに、これを着実に実施するため、ここに本法律案を提出する次第であります。
次に、本法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
第一に、基本理念として、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革は、政府及び地方公共団体の事務及び事業の透明性の確保を図り、その必要性の有無及び実施主体の在り方について事務及び事業の内容及び性質に応じた分類、整理等の仕分を踏まえた検討を行った上で、国民生活の安全に配慮しつつ、政府又は地方公共団体が実施する必要性の減少した事務及び事業を民間にゆだねて民間活動の領域を拡大すること、並びに行政機構の整理合理化その他の措置を講ずることにより行政に要する経費を抑制して国民負担の上昇を抑えることを旨として行われなければならないこととするほか、国及び地方公共団体は簡素で効率的な政府を実現するための行政改革を推進する責務を有することとしております。
第二に、政策金融改革については、平成二十年度において現行政策金融機関を再編成して新たに一つの機関を設立することとし、その機能は、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援する機能、我が国にとって重要な資源の海外における開発及び取得を支援する機能等に限定することとしております。ただし、国際協力銀行の政府開発援助に係る機能は国際協力機構に担わせることとしております。
また、商工組合中央金庫及び日本政策投資銀行は完全民営化し、公営企業金融公庫は廃止することといたしております。
第三に、独立行政法人の見直しについては、国の歳出縮減を図る見地から、組織及び業務やこれに影響を及ぼす国の施策の在り方の検討を行うことや、融資等業務の見直しを行うこととしております。
第四に、特別会計改革については、平成十八年度から平成二十二年度までの間を目途に計画的に推進すること、財政の健全化に総額二十兆円程度を寄与することを目標とすること及び本法律の施行後一年以内を目途として特別会計の廃止及び統合等を盛り込んだ法制上の措置を行うこととしております。さらに、各特別会計の廃止、統合、事務及び事業の合理化等を行うとともに、特定財源についても見直しを行うこととしております。
第五に、総人件費改革については、国家公務員の年度末総数を、今後五年間で五%以上の純減とすることを目標として、これを達成するため必要な施策を講ずることとしております。
給与制度の見直しについては、職務と責任に応じた給与の体系、民間における賃金との比較方法の在り方についての人事院における検討の状況を踏まえ、必要な措置を平成十八年度から順次講ずることとしております。
さらに、地方公共団体に対し、職員数の厳格な管理を要請するとともに、独立行政法人等における人件費の削減に向けた取組を行うこととしております。
第六に、国の資産及び債務に関する改革については、将来の国民負担を極力抑制するなどの財政運営原則を盛り込むとともに、国の資産の圧縮や資産及び債務の管理の在り方の見直しを行うこととしております。
第七に、公務員制度改革、規制改革、競争の導入による公共サービスの改革、公益法人制度改革、政策評価の推進との連携を図ることとしております。
第八に、行政改革推進本部を設置し、これらの改革を総合的に推進することとしております。
以上が本法律案の趣旨でございます。
次に、公益法人制度改革に関する三法案、すなわち一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案並びに一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
現行の公益法人制度については、主務官庁の許可主義の下、法人格の取得と公益性の判断や税制上の優遇措置が一体となっているため、法人設立が簡便でなく、また、公益性の判断基準が不明確であるなど様々な批判、指摘がなされてまいりました。一方で、内外の社会経済情勢の変化に伴い、民間の団体が自発的に行う公益を目的とする事業の実施を促進して、活力ある社会を実現することが重要となっております。さらに、官から民への流れの中で、こうした民間の団体の発展を推進することは、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の実現にも不可欠なものであります。
そこで、現行の公益法人制度を改め、法人格の取得と公益性の判断を分離することとし、これら三法案を提出するものであります。
それぞれの法律案の概要について、順次御説明申し上げます。
まず、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案は、剰余金の分配を目的としない社団及び財団について、その行う事業の公益性の有無にかかわらず、設立の登記をすることにより簡便に法人格を取得することができる一般社団法人及び一般財団法人の制度を創設し、その設立、組織、運営及び管理について定めようとするものであります。
次に、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案は、社団法人及び財団法人の設立の許可及びこれに対する監督を、主務官庁の裁量により行うこととしていた現行の制度を改め、公益社団法人及び公益財団法人としての認定及びこれに対する監督を、独立した委員会等の関与の下で内閣総理大臣又は都道府県知事が行う制度を設けようとするものであります。
次に、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴い、中間法人法を廃止し、民法その他の関係法律に所要の整備を加えるとともに、所要の経過措置を定めようとするものであります。
以上が、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案等三法案の趣旨でございます。
最後に、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
今後、簡素で効率的な政府への道筋を確かなものとするためには、国や地方公共団体が行っている業務について、限られた財源の中で公共サービスの受け手である国民に対しより質の高いサービスを提供していく観点から、事務及び事業の内容及び性質に応じた分類、整理等の仕分を踏まえた検討を行った上で、必要な措置を講ずることが重要となっております。
以上の認識の下、ここに本法律案を提出する次第であります。
次に、本法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
本法律案は、国の行政機関等又は地方公共団体が自ら実施する公共サービスに関し、その実施を民間が担うことができるものは民間にゆだねる観点から、これを見直し、民間事業者の創意と工夫が反映されることが期待される一体の業務を選定して官民競争入札又は民間競争入札に付することにより、公共サービスの質の維持向上及び経費の削減を図る改革を実施するため、必要な事項を定めるものであります。
具体的には、その基本理念を明らかにした上で、公共サービス改革基本方針の策定、官民競争入札及び民間競争入札の手続、落札した民間事業者が創意工夫を生かしながら公共サービスを適正かつ確実に実施するために必要な措置、官民競争入札等監理委員会の設置など、国民のため、より良質かつ低廉な公共サービスを実現することを旨として、競争の導入による公共サービスの改革を実施するために必要な措置を講ずるものであります。
政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案につき、衆議院におきまして、競争の導入による公共サービスの改革は、公共サービスによる利益を享受する国民の立場に立って行う旨を本法律案の基本理念に加える修正が行われております。
以上が本法律案の趣旨でございます。
よろしくお願いします。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/4
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005・扇千景
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。若林正俊君。
〔若林正俊君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/5
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006・若林正俊
○若林正俊君 自由民主党の若林正俊でございます。
私は、自由民主党を代表して、政府・与党が今国会の最重要法案と位置付けております行政改革推進法案等につきまして、総理並びに関係大臣にお尋ねをいたします。
小泉政権発足以来五年間、官から民へ、地方にできることは地方にという大方針の下で、こんなこと本当にできるのかと言われていた郵政や道路公団の民営化を始め、三位一体改革や規制改革など、聖域なき構造改革を大胆に進めてまいりました。国民も厳しい環境の中で、改革の痛みに耐えながらも、総理のひたむきな改革路線を支持し、自らも努力し、日本経済はデフレ克服を展望して、ようやく自信を取り戻してきていると思います。
総理はいつも改革には終わりがないとおっしゃっておられますが、小泉政権が終わっても、改革によって生ずるひずみには配慮しつつも、この改革の流れは決して止めてはならないと思います。
本日、議題となっている行政改革推進法案等は、小泉政権の総仕上げであるとともに、今後、だれが総理になろうとも、行政のスリム化、効率化等の改革をプログラムに従って着実に実行していくという基本姿勢を国民の前に明らかにするという重要な法案だと認識しています。
そこで、まず総理の口から、この法案の基本理念である簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の目的を国民に分かりやすく明らかにしていただきたい。
次に、改革の具体的課題について、中馬行政改革担当大臣に伺ってまいります。
まず、国家公務員及び地方公務員の総人件費の改革についてでありますが、行政改革推進法第四十二条において、その総数の純減及び給与制度の見直しを行うとともに、独立行政法人、国立大学法人等、特殊法人及び認可法人の役職員についても人件費の総額の削減を図るとしています。
この場合、国家公務員の人件費の総額については、国内総生産の額に占める人件費の割合について同条第二項で長期的な目安が示されていますが、地方公務員についてはどのように考えておられるか。さらに、独立行政法人等を含め、公務員以外についてトータルとしてどの程度の目安を考えているのでしょうか、お伺いをいたします。
国家公務員について厳しい純減を求めることになりますが、仕事減らしによって、本来、国の責任において執行すべき行政事務がおろそかにならないよう配慮しつつ、これを厳しく精査するとともに、政府全体としての職員の配置転換の円滑化対策が必要と考えますが、所見を伺います。
総人件費改革を進め、改革の実効を上げるには、公務員の労働基本権、公務員の給与制度を含む公務員制度の改革が欠かすことができません。公務員制度改革関連法案を早期に提出しなければならないと考えていますが、総理と行革担当大臣に見通しを含めその所見をお伺いいたします。
次に、政策金融改革について伺います。
小泉総理の強い指示により政策金融改革が断行され、民営化する機関などを除き、政策金融の必要な分野について新しい政策金融機関は一つに統合させることになりました。
今回の改革を通じて政策金融機関の民業補完の原則が貫徹され、官から民へと資金の流れが変わることは歓迎すべきことですが、その反面、中小零細企業や農業者にはきめ細かな配慮が必要であり、一つの政策金融機関に統合された場合、個々の部門への目配りがどうしてもおろそかになるのではないかという懸念があります。
こうした不安の声に対して政府はどのようにこたえ、政策金融機能の役割をどのように担っていくのか、行革担当大臣の御所見をお伺いいたします。
完全民営化される商工組合中央金庫及び日本政策投資銀行については、民営化後の財政基盤について所要の措置を講じ、その金融機能に障害が生じないよう十分な配慮が必要であることを意見として申し上げておきます。
次に、財務大臣にお伺いいたします。
まず、特別会計改革について伺います。
特別会計は、特定の歳入を特定の事業に充てることにより、当該収支を区分経理し、事業目的や収支を明確化させるとともに、事業の推進と政策目的の実現に貢献してまいりました。
しかし、その一方で、特別会計が政府の無駄遣いの象徴として批判されてきたことも確かであり、本院の決算委員会でも、勤労者福祉施設等の投売り問題などが大きく取り上げられてまいりました。
こうした中、我が党は、特別会計全体の改革について、今後五年間において合計約二十兆円程度の財政健全化への貢献を目指す、一覧性、総覧性を持った形で国の財務状況を説明し十分な説明責任を果たす等の方針を示し、個別の特別会計の具体的な見直しを含んだ特別会計整理合理化計画骨子を取りまとめました。これは今回の法案に反映されておりますが、特別会計改革の帰趨は今後の協議に懸かってきます。法案成立後、具体的制度設計が行われますが、その際、各省庁の強い抵抗が予想されます。決して数合わせに終わることがないよう、明確なスケジュールと強い決意で進めることが大切であります。
そこで、特別会計が今後どのように変わるのか伺うとともに、五年間で二十兆円といった数字の根拠や今後の進め方について谷垣財務大臣に答弁を求めます。
次に、政府資産・債務改革について伺います。
国民は、社会保険庁や防衛庁等の度重なる不祥事によって、行政に対して厳しい批判と不信を抱いております。行政が国民のためにその役割、責任を果たすためには、国民の行政への信頼がなければならないのは言うまでもありません。さらに、徹底した歳出削減など、しっかりとした行財政改革を断行しなければ、将来、国民に増税などの負担について理解をお願いすることは到底できません。
財政制度等審議会は、政府資産・債務改革について、資産売却収入の目安は今後十年間で約十一・五兆円と試算しております。これに対し、不十分であるとの指摘も見られます。
特に批判が多いのが、都心の一等地にあり、家賃も低廉な公務員住宅の問題です。緊急事態に対応するため、一定規模は都心に配置することは必要ですが、宿舎の高層立体化など一層の有効活用を図るべきと考えます。また、貸付債権の証券化については、その有効性をめぐって両論あるようですが、政府としてしっかりとした検討を行っていくべきです。
以上の点を踏まえ、政府資産・債務改革の取組方針を財務大臣に伺います。
このたびの行政改革関連法案は、将来の国の形に大きな影響を与える重要な法案であり、その内容も、今まで取り上げた問題以外に、独立行政法人の見直し、規制改革、官民競争入札の活用による公共サービスの改革、いわゆる市場化テストの本格的導入や、明治二十九年の民法制定以来初の抜本的な改正となる公益法人制度の改革など、画期的な改革となっております。
よって、その早期成立を図り、改革の道筋を確実なものとすることが政治の責任であることを強く申し述べて、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/6
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007・小泉純一郎
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 若林議員に答弁いたします。
本法案の基本理念である行政改革についてですが、本法案は、民間にできることは民間にとの方針の下に、政策金融改革や資産・債務改革などの資金の流れの改革、総人件費改革や市場化テストなどの仕事の流れや人と組織の改革を総合的に取り上げ、行政の簡素化、効率化等を着実に推進することを目指すものであります。これにより、多くの国民や地域が持っている潜在力が発揮され、国民一人一人が将来の夢を実現できる、また実感できる活力ある社会を実現したいと考えております。
公務員制度改革でございますが、総人件費改革を進めるに当たっては、定員の純減や御指摘の給与制度改革に取り組む必要があると考えており、定員については、現在、約六十八万人の国家公務員について今後五年間で五%以上純減する、給与についても、横並び、年功序列の給与体系を抜本的に改めるとともに、給与水準も民間の給与実態に合わせたものとなるように見直す、地方公務員の定員、給与についても同様の取組を要請するとの方針の下に改革を推進してまいります。
また、公務員制度改革については、職員の意欲と仕事の成果を引き出し、能力・実績主義の人事管理を徹底するとともに、退職管理の適正化を図ることが必要と考えており、人事評価の取組状況等も見ながら関係者との調整を進め、できる限り早期に具体化を図ってまいります。
なお、公務員の労働基本権の在り方等については、国民意識も十分に踏まえ、幅広い観点から検討していく必要があると考えております。
残余の質問については関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣中馬弘毅君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/7
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008・中馬弘毅
○国務大臣(中馬弘毅君) 国家公務員以外の公的部門の人件費削減の目安についてお尋ねがありました。
総人件費改革は、簡素で効率的な政府を実現するため、国家公務員のみならず公的部門全体として取り組んでいくべき課題であると認識いたしております。地方公務員については、政府は地方公共団体に対して五年四・六%以上の純減を要請し、各地方公共団体において職員数の厳格な管理を行うとともに、国家公務員に準じた給与制度の見直しを行うことといたしております。また、独立行政法人等については、五年五%以上の人件費削減を基本として取組を行うこととしているところであります。
こうした取組によりまして、長期的にも国家公務員に準じた人件費削減の効果を期待できるものと考えております。まずはこれらの取組が確実に達成されるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
国の責任において執行すべき行政事務の精査と政府全体としての職員の配置転換の円滑化対策についてお尋ねがありました。
今般の総人件費改革における国の行政機関の定員純減に当たっては、もとより、国の責任において執行すべき行政事務がおろそかにならないよう配意しつつ、事務及び事業の要否及び主体の在り方について検討を行い、事務事業について大胆な見直しを進めてまいります。
また、定員の純減に伴う職員の異動の円滑化について、行政改革推進法第四十五条第二項に、府省横断的な配置の転換及び職員の研修を行う仕組みの構築や配置転換される職員を受け入れるための採用の抑制等を行う旨の規定を盛り込んでおります。配置転換、採用抑制等の具体的な方策については、先月末の行政改革推進本部で枠組みについて了承しましたが、更に内容の具体化を進め、定員の純減についての具体的な方策を定める六月ごろには全体計画を策定していきたいと、このように考えております。
公務員制度改革についてお尋ねがありました。
公務員制度改革については、職員の意欲と仕事の成果を引き出し、能力・実績主義の人事管理を徹底するとともに、退職管理の適正化を図ることが必要であると考えております。法案の提出については、連合等から労働基本権の問題についても併せて検討すべきとの要請があることも考慮しつつ、人事評価の試行の取組状況等も見ながら精力的に調整を進めてまいります。
なお、労働基本権の在り方等については、国民意識も十分に踏まえ現実的な姿勢で検討していく必要があると考えており、労働基本権についてニュートラルに検討する場を設けることとし、検討の場の在り方等について関係者と調整していくことといたしております。
政策金融改革についてお尋ねがありました。
本改革においては、民業補完の原則を徹底していくという方針の下、借り手側の視点にも立ち、新政策金融機関に中小零細企業や農林水産業者の資金調達を支援する機能をしっかりと残すこととし、行政改革推進法案にその旨を盛り込んだところであります。
さらに、国内金融部門については、当該業務の態様に応じた区分を明確にしてその内部組織を編成するものとするほか、専門的能力を有する職員の配置及び育成を可能とするものとする旨を規定しているところであります。
以上であります。(拍手)
〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/8
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009・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 若林議員にお答えいたします。
まず、特別会計改革の今後についてでございますが、特別会計改革については、今後五年を目途に特別会計の数を現行の二分の一から三分の一程度に大幅に削減するほか、今後五年間において合計約二十兆円程度の財政健全化への貢献を目指す、こういうこととした踏み込んだ改革案を策定したところでございます。
また、今後、改革の道筋を確かなものにするため、特別会計の統廃合等を内容とする特別会計整理合理化法案を平成十九年を目途に国会に提出することとしております。
財務省としては、今後も改革案に沿い、剰余金等の見直しの徹底、更なる歳出削減、特会の統廃合等を通じた事務事業の効率化などにより、簡素で効率的な政府の構築に資する実質的な効果を伴った改革とするよう努力してまいる所存でございます。
次に、資産・債務改革についてお尋ねがございました。
国の資産・債務改革の一環として資産規模を縮減することは重要であり、そのためには、保有資産を厳選し、売却可能な資産があれば積極的に売却、有効活用してまいります。その一環として、例えば公務員宿舎については一層の有効活用等を図るべく、現在、有識者会議において民間の視点から検討していただいているところであり、また貸付債権の証券化については幅広い観点からその適否を検討してまいります。
いずれにせよ、今年度中に作成することとされている改革の工程表を極力早期に示すよう努めるなど、引き続き国の資産・債務改革を積極的に推進してまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/9
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010・扇千景
○議長(扇千景君) 直嶋正行君。
〔直嶋正行君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/10
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011・直嶋正行
○直嶋正行君 民主党・新緑風会の直嶋正行です。
ただいま議題になりました行政改革推進法案外四法案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
まず、冒頭に総理の行政改革に対する基本的な理念について伺いたいと思います。
最近、格差という言葉がマスコミをにぎわせ、国会でも議論が繰り返されています。また、新聞社の世論調査でも、小泉内閣の構造改革によって社会の格差が広がったと六割以上の人が見ています。所得格差、地域間格差、企業間格差、さらに低所得者層の教育機会の制限や雇用機会の制限などによる社会階層の固定化、生活保護世帯や自殺者の増加などの社会問題も深刻化しています。
社会が大きく変化し、そのために数多くの国民が新しい不安、痛みに直面しています。この不安や痛みを解消し、国民が安心して暮らせる社会をつくる、これこそが今政治に求められていると思います。
我が党の渡部恒三国対委員長が本法案の衆議院質疑で、政治の本質は弱い人、恵まれない人、本人の責任ではなくて世の中の変化に困っている人、そういう人が幸せに暮らせるためにあると小泉総理を諭しました。
民主党は、政府の行革推進法案に代わる対案を作りました。真に国民の利益となる行政改革を念頭にまとめました。あえて「国民がゆとりと豊かさを実感しながら安心して暮らせる安全な社会を構築できる効率的で信頼される政府を実現する」という長めの前置きを法案の名前に付けましたのは、これがずばり民主党案のねらいを示しているからであります。この場をおかりして民主党案の基本理念を紹介いたしますのは、正にこれが政府案の問題点を鋭く指摘しているからにほかなりません。
民主党案は、七つの基本理念を基に作りました。すなわち、一、税金の無駄遣いを許さない、二、格差を縮小し、国民の不安・不公平感を払拭する、三、地方分権を強力に推進する、四、民間にゆだねることがふさわしいことは民間にゆだねる、五、国、地方、企業、NPOの協力による新しい公共を実現する、六、中立性・公共性・透明性の確保、事務事業の見直しに沿った公務員制度の抜本的見直し、七、官製談合の根絶、天下りの禁止の七つであります。
総理に伺います。
総理は、簡素で効率的な政府をつくると繰り返し発言されていますが、行政改革とは本当にそれだけでよいとお考えでしょうか。行き過ぎた格差については、これを縮小していくために政府の果たすべき役割があるのではないでしょうか。渡部国対委員長の発言を思い出していただき、改めて総理の行政改革に対する基本的な理念、そして行政改革を通じてどのような政府をつくっていこうとされているのか、御説明をお願いいたします。
続いて、地方分権についてでありますが、地方分権なき行政改革はあり得ないというのが民主党の立場であります。
そこで、民主党では、行政改革の出発点として、また地方分権を強力に進める観点から、現在、政府の行っている事務事業についてすべて見直し、不要な事業は廃止するとともに、政府の行うべき事務事業を補完性の原理に従って国と地方に配分し直す作業を行いました。その結果、徹底的に地方分権を進めれば、中央政府の規模、国家公務員数は現状よりもかなり大胆に縮小することが可能であるとの見通しが立ちました。
中馬行政改革担当大臣に伺いますが、国と地方の役割の見直しと行政改革は不可分の関係にあるにもかかわらず、政府案にはこの視点が完全に欠落しております。その理由をお聞かせください。
総理にお伺いしますが、政府も民主党と同じように地方分権と行政改革を一体的に進めるお気持ちはないでしょうか。本法案は、総理退陣以降も改革の流れを止めないためのものと総理御自身も発言されているようです。そうであるならば、総理退陣以降の国と地方の役割を見直す分権改革に道筋を付けるべきと考えますが、どのように進めていかれるおつもりか、総理のお考えを伺います。
個別の問題について幾つか伺います。
まず、官僚の天下り、談合について伺います。
天下りや談合は、今、国民の最も激しい怒りを買っている問題です。天下り、官製談合問題の解決こそ行政改革の本丸であると言っても過言ではありません。これまでの官製談合事件から見ても、天下りと官製談合は不可分の関係にあると言えます。これは単に税金が無駄に使われるだけでなく、公務員が再就職先を確保するために犯罪に手を染めるという異常事であり、一刻も早く解消しなければなりません。
政府は、入札契約の改善やその透明化、適正化を図るとしていますが、その手順として、最初に元栓を締めてから水道工事をするように、まず天下りを時限的にでも禁止し、その間に公務員の退職管理も含めて抜本的に対策を打つべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。
天下り等の弊害の原因とも言われる早期退職慣行については、総理の言われる五年間で平均三歳以上の退職年齢の引上げというのは問題の先送りにすぎません。民主党が提案する天下り規制法案のような厳しい規制が必要だと考えます。
衆議院での国家公務員の天下りに関する予備的調査では、公益法人だけで二万二千人を超える天下りの実態が明らかになりました。民主党は、天下りを助長する早期退職慣行の是正及び国家公務員の退職管理の適正化を図ることを提案しています。
元々、国家公務員法八十一条の二において、定年は満六十年とすると定められています。歴代の自民党政権があしき慣行の見直しを怠ってきた結果が天下りを容認し、官製談合につながったのではないでしょうか。竹中総務大臣に御所見を伺います。
次に、特別会計について伺います。
本法案は小泉内閣五年間の総仕上げと称されているにもかかわらず、改革の方向性が極めて不明瞭であります。特に特別会計ではそのことが顕著です。
特別会計改革において、一般会計化、独立行政法人化が決定されているのは三十一特別会計のうちたったの四つにすぎず、ほとんどが検討するといった内容にとどまっています。議論をしようにも検討中との答弁が返ってくるばかりで、改革の具体的内容にまで議論を深めようがありません。
また、特別会計の統廃合では、例えば国土交通省所管の公共事業関係四特別会計を統合しながら、他省庁の公共事業関係の特別会計は別に取り扱われるなど、従来の縦割りそのものです。
民主党は、特別会計改革について、これを先送りすることなく、三つの特別会計を除きすべての特別会計を廃止し、事業の廃止や一般会計化することなどを提言しており、政府とは単なる数の違いを超え考え方が異なります。
総理は衆議院本会議で、改革の方向が不確定であるとの質問に対し、特別会計一つごとに統廃合などの具体的な方向性を盛り込んだと答弁されていますが、統合は現在の各特別会計を勘定として残せば何ら現状と変わりません。廃止や一般会計化、独立行政法人化についてはほとんどの特別会計でどのようにするのか不明です。このような内容では改革の先送りと非難されても仕方がないと思いますが、総理の御見解をお聞かせください。
続いて、特別会計による財政への貢献について伺います。
本法案では特別会計改革による財政再建への寄与を総額二十兆円程度としていますが、総理はさきの三月三日の参議院決算委員会での私との議論の中で、二十兆円から更なる上積みの示唆とも取れる答弁をされています。また、三月十六日の経済財政諮問会議の議事録を拝見しますと、特別会計の積立金の更なる取崩しについて、民主党の意見にも耳を傾けよと、あえて議論を遮り谷垣大臣に指示を出されています。
改めて伺いますが、総理として特別会計の改革によって財政再建にどの程度の寄与を実現したいとお考えなのでしょうか。先日の委員会答弁、経済財政諮問会議での発言の真意をお聞かせください。
また、民主党は今後五年間で総額三十兆円程度の寄与を目指しています。政府も改革の成果を示すべく、この際目標を引き上げてしかるべきと考えますが、総理の御所見と決意を伺います。
次に、積立金の水準について伺います。
剰余金や積立金一つ一つについて実情を明らかにし吟味しなければ、本当の意味での財政貢献の規模の適否など評価できるものではありません。例えば、十五兆円以上の多額の積立金が積み上がる外国為替資金特別会計については、その取崩しの是非についてより議論を深める必要があると考えます。財政健全化が急務となっている現状において、外国為替資金特別会計など個別の特別会計について、積立金を無原則に積み上げるのではなく、その適正な水準を明確にする必要があるのではないでしょうか。
また、そもそも政府の二十兆円との目標はどのような根拠において示された額なのでありましょうか。併せて谷垣財務大臣に伺います。
次に、借入金を積み上げてしまっている特別会計の問題について伺います。
例えば、一兆三千億円の借入金を抱える国有林野事業特別会計については、木材価格の低迷などから財務内容は厳しい状況にあります。政府案では平成二十二年に一般会計への統合、独法化を検討するとなっていますが、最終的に国民の負担が増大する可能性を否定できないのではないでしょうか。
特別会計の負の部分の改革を先送りしていては、真の改革とは言えません。現状の特別会計が抱えている新たな国民負担の可能性についてどのように認識されているのか、そして今回の改革においてなぜそうした部分に切り込まなかったのか、中川農林水産大臣の御所見を伺います。
総人件費改革について質問いたします。
政府の総人件費改革では、国家公務員の総数を五年間で五%以上純減するとしています。これに対し、民主党は、事務事業の見直し、地方分権の強力な推進、公務員制度改革を行うことにより、その成果、結果として総人件費の削減を図ることを主張しています。
総人件費改革は、国の事務事業を国と地方、官と民の役割分担から見直すことの結果でなければなりません。
中央省庁等改革基本法第四条三号では、中央省庁等改革の基本方針の一つとして、国と民間とが分担すべき役割を見直し、及び地方分権を推進する。それに伴い、国の行政組織並びに事務及び事業を減量し、その運営を効率化するとともに、国が果たす役割を重点化することが規定されています。
政府案の総人件費改革は、国の行政組織、事務事業の中身を検討する前に、人と金を一律に削減するものであり、この中央省庁等改革基本法の精神に反すると考えますが、総理の御所見を伺います。
次に、公務員制度改革について伺います。
能力・実績主義の人事管理と退職管理の適正化は、いずれもキャリアシステムの廃止を伴わなければ問題の本質的解決につながらないと考えます。ところが、政府の法案では、制度の在り方について幅広く検討を行うと規定しているだけで、極めて意識が低いと言わざるを得ません。
民主党は、キャリアシステムを廃止し、能力及び実績に応じた処遇の徹底を可能とする人事管理制度を導入することといたしています。公務員制度改革においては、我が国官僚制の悪弊であるキャリアシステムを廃止すべきと考えますが、竹中総務大臣に答弁を求めます。
続いて、独立行政法人改革について伺います。
独立行政法人は、国が行っている事務事業の自律的、効率的実施と弾力的運営をねらいとして創設された制度です。しかし、実態は、会計法の適用除外であることをよいことに、随意契約が常態化し、また官僚の天下りの待機場所になり、仕事を丸投げして無為の給料を払っているところもあります。
今回の政府案は、こうした実態を黙認し、検討や必要な措置、見直しといった文言が躍り、何も改革しないに等しい内容となっています。
民主党は、天下り規制や独立行政法人の第三者評価機関の設置、調達の一般競争入札等を提案しています。独立行政法人が本来の機能を発揮し、必要な事業をより効率的に実施できるようにするためには、これら民主党の提案は必要最低限の改革だと考えます。
まず、総理に、独立行政法人制度の問題点をどのように認識されているか、伺います。また、独立行政法人の抜本改革の必要性はないとお考えなのでしょうか、併せてお伺いいたします。
最後に申し上げます。
昨日投開票の衆議院千葉七区補欠選挙で、負け組ゼロと格差解消を訴えた我が党の候補者が、僅少差でありますが勝利をさせていただきました。私は、改めて、国民の皆様の民主党への期待の大きさを痛感いたしました。明らかに国民の多くがこの五年間の小泉政治に限界と危うさを感じておられると思います。本当に必要なことは、単に九月に総理・総裁を替えることではなく、政権政党を替えることだと思っております。
後半国会もしっかり取り組み、民主党の責任を果たし、政権獲得に向け邁進する決意を申し上げ、また、答弁が不十分であれば再質問させていただくことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/11
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012・小泉純一郎
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 直嶋議員に答弁いたします。
行政改革の理念でございますが、私は、高齢化の進展等の変化に対応して、国民が豊かで安心して暮らすことができる社会を実現するためには、それぞれの地域や企業、個人が特色を生かしながら発展していく機会を提供することにより、我が国の社会経済を活性化していくことが必要と考えております。このため、国が行う必要がない業務は民間にゆだね、無駄を徹底的に省くことにより、民間活動の領域を拡大し、簡素で効率的な政府を実現することが行政改革の基本理念であると考えております。
なお、行政改革を推進する上で、安全、安心や持続可能な社会保障制度の構築など、国として責任を持って当たるべき業務をしっかりと実施することは当然のことであります。
地方分権改革でございますが、地方がその地域特性に応じて発展していくため、自由に使える財源を増やし、地方の自立を可能にして、自らの創意と責任で自治体の政策を決められるようにすることが重要であり、国は本来果たすべき役割を重点的に担うようにすべきであると考えております。
地方分権に向けた改革に終わりはありません。このため、地方にできることは地方にとの方針の下に、平成十八年度までの改革の成果を踏まえながら、市町村合併の推進など国と地方を通じた行財政改革を進め、道州制の検討など真に地方の自立と責任を確立するための取組を行ってまいります。
天下りや官製談合の問題についてですが、談合等の不正行為はあってはならないことであり、早急な対応が必要であると考えております。このため、議員立法で官製談合防止法の改正案が取りまとめられ、国会に提出されていると承知しており、十分御審議いただきたいと考えております。
また、各省庁において行っている随意契約及び公共工事等の入札契約の在り方について、どうしても随意契約が必要であるというもの以外は競争入札にすべきとの考え方に立って、各大臣がしっかり取り組むよう指示したところでございます。
また、いわゆる天下りの問題について、今回の官製談合のように問題のある場合には、当該省庁において天下りの自粛を含め再発防止のための抜本的対策を講じておりますが、今後とも、特殊法人等の長及び役員の選任について国家公務員出身者の割合を二分の一以下とする、早期退職慣行の是正に向け幹部職員の勧奨退職年齢を五年間掛けて段階的に平均三歳以上引き上げることなどを基本方針として、政府一体となって取り組んでまいります。
なお、公務員の再就職を時限的にでも禁止すべきとの御意見については、時限的であるにせよ、再就職を一切禁止することは職業選択の自由との関係で問題があるものと考えております。退職管理の適正化に向けて、職業選択の自由との関係や官民の人材交流の面も考慮し、早期退職慣行の是正に取り組みつつ、総合的な検討を行っていく必要があると考えております。
特別会計についてですが、第一に、具体的な方向性が不明で改革の先送りであるとの御指摘ですが、今回の改革案は、三十一あるすべての特別会計について、資金の流れの透明性の確保、業務の効率化等の効果を確実に出すなどの観点から個別具体的に十分な検討を行った結果、二十一特別会計について統廃合など見直し内容を決定し、今回の法案に盛り込んだところであり、残る十特別会計についても、一般会計化や独立行政法人化など目指すべき方向性は明確に示されていることから、御指摘は当たらないと考えております。
次に、財政健全化への寄与に関する私の発言の真意、及び民主党案を踏まえ財政健全化への貢献目標を三十兆円に引き上げるべきとのお尋ねでありますが、各特別会計の剰余金、積立金についてはできる限り財政健全化に活用するとの考えの下、それぞれの性格を検討した結果、例えば金利動向等の要因に左右されるものがあること等を踏まえ、二十兆円の目標を定めているものであり、現時点では適切であると考えております。
しかしながら、私としては、予断を持つことなく広く意見を聞くことが重要であると考えており、さきに直嶋議員から御提案をいただきましたが、その内容を含め、今後政府として検討してまいりたいと考えております。
政府の総人件費改革についてですが、総人件費改革は、簡素で効率的な政府を実現し、政府の規模を大胆に縮減するため避けては通れない課題であり、国家公務員の五年五%以上の純減などの目標を持って確実に実施することが必要と考えております。
その際、一律に削減を行うのではなく、安全、安心など真に必要な行政需要には増員を含め適切に対応しつつ、事務及び事業の要否や主体の在り方について、時代の変化に応じて廃止すべき業務は廃止し、職員の配置転換を進めるとともに、民間にゆだねる業務は民間にゆだねる、地方が担うべき事務は地方へ移管するとの観点から検討を行い、事業の大胆な見直しを行い、純減を確保することにより、国民が真に必要としている行政サービスの提供を実現してまいりたいと考えております。
このように、改革は人と金を一律に削減するものではなく、中央省庁等改革基本法の精神に反するとの指摘は当たらないものと考えております。
なお、民主党案では三年で二割の人件費削減とされておりますが、是非具体的な見直しの内容を示していただきたいと考えております。
独立行政法人制度につきましては、中期的な目標を設定した上で、業務実績を第三者により事後評価することなどにより、業務の効率性を確保するとともに、法人の長による経営責任を明確にしていくことが重要であり、中期目標期間終了時を始め適時適切に必要な見直しを行い、効果的な制度運用に努めてまいりたいと考えております。
御指摘のあった点について、既に、独立行政法人の随意契約の適正化、長及び役員の選任について国家公務員出身者の割合を二分の一以下とするなどの再就職の適正化、外部の有識者による厳格な事後評価の実施など、それぞれ適切に対応しております。
さらに、今般の行政改革推進法案については、十八年度以降に初めて中期目標期間が終了する独立行政法人について、国の歳出の縮減を図る見地から、その組織及び業務の在り方等について検討を行い、その結果に基づき必要な措置を講ずる、国家公務員に準じて五年五%以上の人件費の削減に取り組むなど、より効率的な運営を促すための取組方針を定めたところであり、こうした方針に沿って積極的に改革に取り組んでまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣中馬弘毅君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/12
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013・中馬弘毅
○国務大臣(中馬弘毅君) 国と地方の役割の見直しについてお尋ねがありました。
本法案においても、地方分権の観点が全く含まれていないわけではなく、総人件費改革に当たっては、国の事務事業について実施主体も含めた仕分を行うこととしており、この過程において、現在国が実施している事務事業の地方への権限移譲も含めた見直しに取り組むことといたしております。
地方分権については、平成五年に国会が決議された我が国の基本的な方針でありまして、地方分権一括法以来の取組に加え、三位一体改革を進めているところであり、十八年度までの改革の成果を踏まえつつ、引き続き、真に地方の自立と責任を確立するための取組を行っていくことにいたしております。(拍手)
〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/13
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014・竹中平蔵
○国務大臣(竹中平蔵君) 直嶋議員から二問、御質問がございました。
まず、国家公務員の早期退職慣行の是正及び定年まで働ける仕組みが必要なのではないかというお尋ねでございます。
現在、早期退職慣行の是正が必要であるとの観点に立ちまして、幹部公務員の勧奨退職年齢を五年掛けまして平均三歳引き上げることなどを基本方針として、政府一体となって取り組んでいるところでございます。このためには、まず能力・実績主義の徹底によりまして、年次主義やピラミッド型人事構成の見直しを進めること、また、幅広い民間との人事交流も含めましてキャリアパスの多様化を図ることなど、個々の職員の能力を生かした人材活用を図っていくことが重要であるというふうに認識をしております。
総務省としましては、今後とも、政府を挙げて早期退職慣行の是正を進めてまいるつもりでございます。
次に、キャリアシステムの廃止についてお尋ねがございました。
いわゆるキャリアシステムは、幹部候補となる人材を効率的に選抜し育成する仕組みとしては有用であるというふうに考えます。しかし、その一方で、採用後の横並びの昇進など、硬直的な人事運用について批判があることは承知をしております。このような観点から、幹部職員の登用に当たってはⅡ種、Ⅲ種試験採用者の積極的な登用を進めるほか、新たな人事評価の試行などを通じまして、能力・実績主義を徹底していくことが重要であるというふうに考えております。
いずれにしましても、今後とも、公務員制度の改革については努力をしてまいりたいというふうに考えております。(拍手)
〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/14
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015・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 直嶋議員にお答えいたします。
まず、積立金の水準についてでありますが、特別会計の積立金については、各特別会計の性格に応じ固有の意義がございます。適正な積立水準もまちまちであって、一律に論じることは難しいものと考えておりますが、ただ、現下の厳しい財政状況にかんがみますと、明確な必要性のない積立金について財政健全化への活用を検討することは必要であると考えておりまして、今後五年間における合計二十兆円程度の財政健全化への貢献の一環として、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
そこで、二十兆円の目標の根拠についてのお尋ねがございました。
二十兆円の目標については、平成十八年度予算における十三兆八千億円に加え、剰余金等の更なる活用を行うべきであるとの観点から、個別具体の特別会計を指定することなく、全体として上積みして達成するべきものとして設定したものであります。残り六兆二千億円についても、対象とする特別会計を限定することなく、およそすべての特別会計の剰余金等を対象として、可能なものはすべて活用するべく厳しく精査してまいる所存でございます。(拍手)
〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/15
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016・中川昭一
○国務大臣(中川昭一君) 直嶋議員にお答え申し上げます。
国有林野特会の一般会計化、独法化に係る新たな国民負担についてのお尋ねでございますけれども、国有林野事業におきましては、平成十五年度までを集中改革期間として、組織要員の徹底した合理化、縮減など、抜本的改革に全力を挙げて取り組んできたところでありまして、平成十六年度には新規借入金をゼロとし、収支均衡を実現したところであります。
国有林野事業が有する債務につきましては、成熟しつつある人工林資源を伐採することなどにより、平成六十年度までに返済することとしておりますが、それまでの間、一般会計からの利子補給により債務の累積を防止する措置を講じているところでございます。
これらを踏まえまして、引き続き国有林野事業の抜本的改革に努力していくとともに、今般、独立行政法人化及び業務のスリム化等により二千四百人の定員の縮減に取り組むこととしておりまして、平成二十二年度までに、国民負担の在り方などを踏まえました債務の着実な処理その他国有林野の適切な管理運営に必要な措置を検討していく考えでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/16
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017・扇千景
○議長(扇千景君) 直嶋君から再質疑の申出があります。これを許します。直嶋正行君。
〔直嶋正行君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/17
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018・直嶋正行
○直嶋正行君 お聞きしたいことはたくさんあるんですが、時間の制約もございますので、総理にあと一問質問させていただいて、より議論を深めさせていただきたいと、こういうふうに思います。
総理も先ほどの答弁の中で総人件費改革についてお答えになりました。その中で、民主党の三年二割のお話もされました。
私どもは、先ほど質問の中でも申し上げましたように、地方分権を徹底して国の事務事業を見直すことによって十分可能であると、つまり、事務事業の見直しをする結果として総人件費の削減が可能であると、こういうことを申し上げているわけであります。
ところが、総理も先ほど御答弁の中で、手順を踏んでやる、人と金を一律でやるわけではないと、こうおっしゃっているんですけど、政府の法案には公務員総定数五%以上の削減が明確に書かれているわけでありまして、私は、これが手順が逆じゃないかという意味で先ほど中央省庁等改革基本法の精神に反するんではないでしょうかということで申し上げたわけであります。
したがいまして、もう一度総理に、この五%純減が先にありきという内容になっていますが、この五%純減についての御所見を伺いたいと思います。
以上です。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/18
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019・小泉純一郎
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 直嶋議員に再度答弁いたします。先ほど質問で答弁いたしましたが、再度の御質問でありますので再度答弁いたします。
公務員の総人件費五年五%以上の純減でございますが、これは人と金を一律に削減するものではなく、中央省庁等改革基本法の精神に反するとの御指摘は当たらないものであります。
そこで、私は、民主党案では三年で二割の人件費削減とされておりますが、是非具体的な見直しの内容を示していただければ有り難いと考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/19
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020・扇千景
○議長(扇千景君) 風間昶君。
〔風間昶君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/20
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021・風間昶
○風間昶君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました行政改革関連法案について、総理並びに関係閣僚に質問いたします。
今般の行政改革関連法案は、小泉内閣において平成十二年の行政改革大綱や平成十六年の今後の行政改革の方針の流れを確かなものとするために、昨年十二月に閣議決定された行政改革の重要方針に沿って法案化されたものであります。
まず第一に、公務員の総人件費削減について伺います。
国と地方を通じた公的債務残高の累増が抜き差しならない状況にあり、公務員の総人件費の削減はもはや避けて通れない喫緊の重要課題であります。しかし、中央省庁においては総論賛成各論反対の様相を呈していることが、行政減量・効率化有識者会議の中間取りまとめにより明らかとなりました。有識者会議においては、遅くとも本年六月までに行政改革推進本部の成案を得て政府方針として決定するよう今後とも鋭意ヒアリングを行うというふうに伺っておりますが、総理の強い指導力で早急に成案を得るよう努力すべきであると考えますが、総理の御決意を伺いたいと思います。
さらに、公務員総人件費改革は、長期的には対GDP比で半減させることを目標に取り組んでいるわけですが、公務員の給与の更に踏み込んだ改革を断行するおつもりがおありかどうか、総理の御所見を伺います。
私の地元であります北海道におきましては、昨年度を初年とする新たな行財政改革の取組をスタートさせました。今後十年で道職員の給与を一〇%カットし、知事部局の職員を三〇%削減するというものであり、国が地方に要請する予定の内容を大幅に上回って先取りしております。国が行う国家公務員数の削減には、今後、中央から地方へ業務が移管されるのに伴うものが予定されていると考えられますが、地方公務員数削減に関して、自治体の取組の違いや、国の削減に伴う地方の業務増加というような問題に関してどのような対応を考えておられるのか、総理並びに担当大臣に伺います。
国と地方の公務員人件費を対比すると、国家公務員八兆六千億に対して、地方公務員二十八兆九千億と、約三倍地方公務員の方が多くなっております。地方公務員数削減の要請にとどまらず、先進的な取組を奨励する方策も必要と考えますが、総務大臣の御所見を伺います。
第二に、債務・資産改革について伺います。
日銀が量的緩和の解除を決定して以来、次はいよいよ公定歩合の引上げかという観測も流れる中、長期金利においては着実に上昇していると言っていいと思います。金利上昇局面において、財政運営への影響を極力回避する具体的な方策についてどうお考えか、総理に伺います。
また、国の資産の圧縮方針が定められておりますが、土地に関して言えば、都市圏では現在正に地価の回復が始まっており、その売却のタイミングについては臨機応変の対応が求められるべきであると考えます。この点について、財務大臣に御所見を伺います。
第三に、政策金融改革について伺います。
行政改革を推進する上で、官から民への標語の下、政策金融についてもいまだかつてない大胆な見直しが行われております。政策金融は、零細企業の運転資金や小規模事業者の開業資金など、小口・短期の資金需要にも積極的にこたえてまいりました。バブル崩壊後の苦しい時期、私ども公明党の主張により、資金繰り円滑化借換保証制度が実現するなど、数多くの中小企業が救われました。今後、こうした機能が新たに設立される金融機関にきちんと承継されることが最も重要なことであります。政策金融が果たすべき、小口・短期の融資業務の今後の在り方について、総理に御所見を伺います。
第四に、特別会計改革について伺います。
既存の特別会計の存続の要否を五年ごと検討、五年をめどに財政健全化に二十兆円規模の寄与をさせるとの方針は画期的であります。しかしながら、純計で二百兆円余りの特別会計のうち、その大部分は、国債の償還や社会保障費、地方交付税など義務的な支出に充てられています。二十兆という目標がやや過大に見えるわけでありますが、総理にその目標の内訳をお示しいただきたいと思います。
第五に、年末の行革方針に盛り込まれながら、今国会に関連法案が提出されていない案件について伺います。
電子政府、電子自治体の推進により、国民一人一人が行政改革の進展を肌で感じることが重要であります。さらに、公務全体の生産性を高め、更なる業務・システムの最適化を行うためにも、電子政府、電子自治体の推進は必要不可欠であります。
本年一月に決定されたIT新改革戦略では、国、地方公共団体に対する申請・届出等手続におけるオンライン利用率を二〇一〇年度までに五〇%以上とすることを定めております。e―Japan戦略はほぼ達成され、我が国は世界で最も進んだブロードバンド環境が整っております。この環境を今後の行政改革にどのように生かしていくおつもりか、総理の御所見を伺います。
なお、私どもの議員会館の事務室には、毎日毎日読み切れないほどの情報が紙媒体でもたらされます。中には、表紙だけを見てごみ箱に直行というようなもったいないケースも少なくありません。そこで、オンラインの利用目標に伴う紙媒体による政府情報などの削減目標を併せて明確にしていただきたいと思います。
ITによる行政効率の向上を図る一方で、その安全性の確保も忘れてはならない課題であります。電子認証制度の確立や個人情報の保護など、研究すべき課題は多いと思われますが、総理に、この所要の法案提出の予定も含めて今後のIT利用推進について伺います。
今回の関連法案がプログラム規定であり、その細かい部分は今後詰めていくという要素も大きいため、もやの中に茫漠と見えるだけで一連の改革が国民の生活実感としてまだ沸いていないというのも事実でありましょう。私ども公明党は事業仕分を主張しておりますが、それは行政を国民の目線に近づけ、行政改革の進展と成果を国民が実感できることが大切だと考えるからであります。
そこで、総理、この先に広がるのはどんな光景なのか、国民の暮らしはどのように変わるのか、最後に力強いメッセージをちょうだいして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/21
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022・小泉純一郎
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 風間議員に答弁いたします。
公務員の純減方策の策定についてですが、簡素で効率的な政府を実現し、政府の規模を大胆に縮減するため、総人件費の削減は避けて通れない課題であり、国家公務員の五%以上の純減目標について確実に実現できるよう、業務の大胆かつ効率的な見直しを断行してまいります。
具体的方策については、行政減量・効率化有識者会議の知見も活用しつつ、六月ごろまでに政府の方針を決定することとしておりますが、私からは、行政改革担当大臣が取りまとめを行い、各大臣は行革担当大臣に協力するよう明確に指示をしているところであります。
公務員給与改革についてですが、公務員の給与制度については、横並び、年功序列的な給与体系を抜本的に改革するとともに、給与水準を民間の給与実態に合わせたものとすることが重要と考えております。このため、人事院において官民給与比較の在り方等について早急に検討を行い、政府として、厳しい財政状況も踏まえ、給与水準の民間準拠を一層徹底するなどの改革に取り組んでまいります。
地方公務員数の削減についてですが、地方公務員総数について今後五年間に四・六%以上の純減を図ることとしておりますが、各地方公共団体に対してそれぞれの地域の実情を踏まえた自主的な取組を要請しているものであります。
また、国の事務事業について、地方でできることは地方にとの観点から引き続き見直しを進める中で、地方公務員総数の純減目標の達成に向けて、地方公務員の配置に関し国が定める基準を見直すなど、地方公務員の増員をもたらすことのないよう努めることとしてまいります。
金利上昇局面における財政運営についてですが、今般の法案においては、国の資産及び債務の改革に資するため、市場金利の変動その他の要因が財政運営に与える影響を極力抑制するとの原則により財政運営に当たる旨を定めておりますが、国、地方合わせた長期債務残高が平成十八年度末でGDP比一五〇%を超える膨大な水準に達する見込みであることを踏まえれば、金利の上昇による利払い費への影響には特段の注意を払う必要があると認識しております。
したがって、国債管理政策を適切に実施するとともに、債務残高の増加を抑制するため、まずは基礎的財政収支の黒字化を確実に実現し、さらに債務残高をGDP比で見て引き下げることまでを視野に入れ、将来に向けた財政健全化の道筋を示していくことが重要であると考えます。このため、本年六月を目途に、歳出歳入を一体とした財政構造改革の方向についての選択肢及び工程を明らかにし、改革路線を揺るぎないものとしてまいります。
政策金融改革ですが、私は、資金の流れを官から民へ改革することが国民の大切な資産が民間部門で活用され経済の活性化につながるとの一貫した考え方の下に、郵政民営化等の改革を進めてきたところであります。
政策金融改革についても、経済全体の活性化を考えれば、必要な政府の関与は残しておきながら、民間にできることは撤退していく方向で改革案を取りまとめたところであります。
具体的には、借り手側の視点に立ち、小口・短期の融資業務を含め、中小企業金融公庫や国民生活金融公庫が担ってきた中小零細企業などの資金調達支援の機能は、新たな政策金融機関にしっかりと残すこととしております。
特別会計に関する二十兆円の目標ですが、厳しい財政事情の下、特別会計について多額の剰余金、積立金が存在し、財政資金の効率的な活用が図られていないとの指摘があるところであります。このことを踏まえ、剰余金、積立金の更なる活用を行う観点から、十八年度予算において、財政融資資金特別会計の積立金十二兆円を始め合計十三兆八千億円の活用を既に行ったところであります。
御指摘の二十兆円の目標まで残り六兆二千億円となりますが、これについても、およそすべての特別会計の剰余金、積立金を対象として、可能なものはすべて活用するべく厳しく精査することにより、是非とも目標を達成したいと考えております。
行政改革に当たってのIT活用ですが、政府は、これまで利用者本位の行政サービスを提供し、効率の高い簡素な政府を実現するため、電子政府、電子自治体の推進に取り組んでまいりました。
今後も、世界で最も進んでいる我が国のブロードバンド環境を始め、ITを最大限に活用し、業務・システムの最適化やオンライン利用促進による経費の削減、業務処理時間の縮減等を図るとともに、利便性やサービスの向上を実感できるような改革を進めることにより、世界一便利で効率的な電子行政の実現を目指してまいります。
オンライン手続の利用促進に伴う紙媒体による政府情報の削減についてですが、電子申請などのオンライン手続の利用促進については、本年一月に策定したIT新改革戦略において、申請・届出等手続におけるオンライン利用率を二〇一〇年までに五〇%以上とするという目標を掲げ、この目標を達成するため、国の手続のオンライン利用促進に関する行動計画を先月末に策定いたしました。この計画を着実に進めることに伴い、紙媒体による政府情報を大幅に削減できるものと期待しております。
ITの安全確保、ITの利用推進についてですが、国民や企業からの申請・届出等の手続におけるオンライン利用を促進するためには、利用者の利便性の向上とともに安全性が十分に確保されることが必要であります。
政府は、電子認証や個人情報保護に関する法制度の整備のほか、先ごろ定めたIT新改革戦略及び第一次情報セキュリティ基本計画の中で、情報セキュリティ対策の強化について具体的な目標を掲げるなど、ITの安全性確保に向けた取組を推進しているところであり、今後とも国民が安心して利用できる電子政府の実現に努めてまいります。
行政改革で国民の暮らしはどう変わるのかということでありますが、この法案は、国が行う必要がない業務は民間にゆだね、無駄を徹底的に省くことにより民間の主体性や自律性を高め、企業、地域、個人が持てる能力を最大限に発揮できるようにする環境を整え、これにより我が国経済を活性化し、国民が豊かで安心して暮らすことのできる社会を実現することを目指すものであります。
本法案には、平成二十年度までに政策金融機関の統廃合を行う、今後五年間で行政機関の公務員の定員を五%純減させるといった、改革に当たって政府がよるべき方針を、期限、数値目標などを示して盛り込んだところであります。
今後、こうした方針に沿って事業仕分などの改革を着実に進めることにより、国民にも改革の成果を一層実感いただけるものと考えております。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣中馬弘毅君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/22
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023・中馬弘毅
○国務大臣(中馬弘毅君) 国から移管される業務増を地方公務員数削減に考慮されるのかについてお尋ねがありました。
現下の厳しい行財政状況を踏まえ、国、地方を通じ、広く公的部門で公務員の総人件費を削減していく必要があることから、地方公共団体においても総人件費削減に向け主体的な取組がなされる必要があると考えております。このため、過去五年間の純減実績が四・六%となっていることを考慮しまして、地方公務員の総数について、今後五年間、これまでの削減努力を下回らない四・六%以上の削減を図ることとしたところであります。
政府としては、国の事務事業について、地方にできることは地方になどの観点から引き続き見直しを進めてまいるとともに、地方公共団体における人件費削減の取組を後押しするため、地方公務員の配置に関し国が定める基準を見直すほか、地方公共団体の事務及び事業に係る施策については地方公務員の増員をもたらすことのないよう努めることとしておりまして、地方公共団体の自主的な努力と相まって、地方公務員の純減が達成されるようにしっかりと取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/23
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024・竹中平蔵
○国務大臣(竹中平蔵君) 風間議員から一問、地方公務員の削減に関して先進的な取組を奨励してはどうかというお尋ねをいただきました。
総務省におきましては新地方行革指針を策定しておりまして、地方公務員の総定員について、過去五年間の四・六%純減を上回る純減を図ることが必要であるとの考え方をお示ししております。また、各地方公共団体に対して、平成二十二年四月一日の定員管理の数値目標を明示した集中改革プランの公表を要請したところでもございます。
これを踏まえまして、各団体においてはそれぞれ積極的な取組をいただいているところであり、先日の調査結果、これはまだ速報値でございますけれども、既に集中改革プランを公表しました都道府県及び政令市全体の今後五年間の純減率は五・三%となっているところでございます。これから引き続き、各団体に対して集中改革プランに基づく着実な改革に取り組むよう要請をしてまいります。
また、御指摘のように、先進的な取組でありますけれども、これは他の団体の確かに参考となるものでございます。総務省においては、地方公共団体の参考に供するように、民間委託の推進、指定管理者制度の活用、組織・マネジメント、人事管理等に対するそうした事例を取りまとめた事例集を作成しておりまして、地方公共団体に周知をしているところでございますので、いずれにしましても、今後も先進的な地方公共団体の取組を把握しまして、言わばベストプラクティスとして広く周知するなど、積極的な情報提供を行ってまいりたいと思っております。(拍手)
〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/24
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025・谷垣禎一
○国務大臣(谷垣禎一君) 国の資産の圧縮に関し、土地の売却のタイミングについて風間議員からお尋ねがございました。
ただいまの財政事情を踏まえますと、売却可能な資産は、土地を含めてできる限り早期に売却、有効活用し、財政健全化に最大限役立てることが原則であると考えます。そういう原則の下で、個々の財産に関し、どういった活用を図れば最も有効かという観点から、売却に限らず様々な方策について民間の知見も参考にしながら検討してまいりたいと考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/25
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026・扇千景
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116415254X01920060424/26
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