1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成二十年五月二十九日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月二十八日
辞任 補欠選任
相原久美子君 梅村 聡君
柳澤 光美君 鈴木 寛君
鈴木 政二君 林 芳正君
古川 俊治君 鴻池 祥肇君
五月二十九日
辞任 補欠選任
石井 一君 友近 聡朗君
岩城 光英君 石井みどり君
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出席者は左のとおり。
委員長 岡田 広君
理 事
芝 博一君
松井 孝治君
有村 治子君
松村 龍二君
委 員
梅村 聡君
神本美恵子君
工藤堅太郎君
自見庄三郎君
島田智哉子君
鈴木 寛君
友近 聡朗君
簗瀬 進君
石井みどり君
岩城 光英君
北川イッセイ君
鴻池 祥肇君
中川 義雄君
林 芳正君
風間 昶君
国務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(科学技
術政策)) 岸田 文雄君
事務局側
常任委員会専門
員 小林 秀行君
政府参考人
内閣府政策統括
官 丸山 剛司君
特許庁総務部長 長尾 正彦君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○内閣の重要政策及び警察等に関する調査
(研究開発システムの改革の推進等による研究
開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等
に関する法律案に関する件)
(我が国の研究開発力強化に関する決議の件)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/0
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001・岡田広
○委員長(岡田広君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨二十八日、鈴木政二君、古川俊治君、柳澤光美君及び相原久美子君が委員を辞任され、その補欠として林芳正君、鴻池祥肇君、鈴木寛君及び梅村聡君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/1
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002・岡田広
○委員長(岡田広君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
内閣の重要政策及び警察等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣府政策統括官丸山剛司君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/2
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003・岡田広
○委員長(岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/3
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004・岡田広
○委員長(岡田広君) 内閣の重要政策及び警察等に関する調査のうち、研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律案に関する件を議題といたします。
本件につきましては、鈴木寛君、林芳正君及び風間昶君から委員長の手元に研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律案の草案が提出されております。内容はお手元に配付のとおりでございます。
この際、まず提案者から草案の趣旨について説明を聴取いたします。林芳正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/4
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005・林芳正
○林芳正君 ただいま議題となりました研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律案の草案の趣旨及び主な内容について御説明申し上げます。
近年、グローバル化の加速やいわゆるBRICs諸国等の台頭により、世界の勢力地図に大きな変化が見られており、国際的な大競争の時代に入ったとも称される状況が出現しております。このような中、我が国については国際競争力の低下が指摘されておりますが、資源に乏しく、人口減少、少子高齢化による労働力人口の減少がますます顕著となる我が国にとって、国際競争力を強化するとともに、経済成長を維持し、豊かな国民生活を継続、発展していくためには、科学技術を通じたイノベーションの創出が不可欠であります。
米国や中国を始め諸外国におきましては既にイノベーションの創出による国際競争力の強化のため、科学技術の発展に必要な研究開発システムの改善のための法整備を行うとともに研究開発投資の拡大を活発化させており、我が国が諸外国に後れを取ることは許されない状況にあります。
本法律案はただいま申し上げました状況に対処すべく、研究開発推進のための基盤整備、予算、人材等の資源配分から研究開発成果の普及、実用化に至るまでの研究開発システムの改革を推進することにより、公的研究機関、大学、民間も含めた我が国全体の研究開発能力の強化及びイノベーションの創出を行おうとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。
第一に、科学技術に関する教育水準の向上、若年研究者等の能力の活用、研究者の人事交流及び国際交流の促進、研究開発法人による人材活用等に関する方針の作成等を行うことにより、研究開発等の推進を支える基盤を強化することとしております。
第二に、競争的資金の活用により、研究開発等に係る競争の促進を図ることとしております。
第三に、科学技術の振興に必要な資源の柔軟かつ弾力的な配分、研究開発法人及び大学等の研究開発能力の強化、研究開発等の適切な評価等を行うことにより、国の資金により行われる研究開発等を効率的に推進することとしております。
第四に、研究開発施設等の共用の促進、研究開発の成果の実用化を不当に阻害する要因の解消等を行い、研究開発成果の普及、実用化を促進することとしております。
第五に、研究開発システム及び国の資金により行われる研究開発等の推進の在り方に反映させるため、研究開発システムの改革に関する内外の動向等の調査研究を行うこととしております。
なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
また、附則において、研究交流促進法を廃止するほか、法施行後三年以内に、研究開発システムの在り方に関する総合科学技術会議における検討の結果を踏まえて見直しを行うこととしております。
以上が、本法律案の草案の趣旨及び内容であります。
何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/5
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006・岡田広
○委員長(岡田広君) 本草案に対し、質疑、御意見等がございましたら御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/6
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007・梅村聡
○梅村聡君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の梅村聡でございます。
本日は私、初めて内閣委員会での出席そして質問という形になりますが、まずは先輩委員の方々にこの時間を御配慮いただきましたことを厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。
では、早速ですが、本日、ただいま草案の趣旨説明がございました研究開発力強化法案につきまして質問を始めたいと思います。
まずは、現在の日本の科学技術振興及び科学技術分野における研究開発に対する施策について質問を行っていきたいと思います。
過去の科学技術政策を振り返ってみますと、一九九五年、平成七年に、我が国の科学技術の振興を総合的かつ計画的に推進するため、超党派の議員立法により科学技術基本法が成立をいたしました。そして、この法律では、政府は、科学技術の振興に関する施策を実施するため必要な法制上、財政又は金融上の措置その他の措置を講じなければならないと規定をされております。
そして、この法律に基づきまして、我が国の科学技術振興に関する基本的な計画である科学技術基本計画が閣議決定され、平成八年から十二年度の第一期、そして十三年度から十七年度までの第二期を経て、現在は第三期科学技術基本計画、これは平成十八年から平成二十二年度になりますが、の実施期間中ということになるわけであります。
この今現在進めている第三期の科学技術基本計画では、第一期、第二期の基本計画により基礎固めは進んだと、しかし一方で、世界における頭脳の競争、これが非常に激化しており、資源のない日本にとっては科学技術立国をより強力に推し進めていかなければならないと、こういう基本認識の下で進められているわけでございます。
目標といたしましては、政府の研究開発投資総額は五年間で二十五兆円、そして基礎研究の推進、政策課題対応型研究開発においては重点化を進めていくと。この重点推進四分野としましては、ライフサイエンス、そして情報通信、環境、ナノテク・材料と、この四つの分野が挙げられているわけであります。そしてさらに、推進の四分野としましては、エネルギー、物づくり技術、社会基盤、そして宇宙、海洋などのフロンティアに取り組むこととされておるわけでございます。
現在の日本の科学技術予算に目を向けてみますと、平成二十年度予算では約三兆五千七百八億円、前年度比一・七%増でありますが、計上をされております。
このように、この十数年間にわたりまして我が国は科学技術の基本計画の策定及び科学技術予算の充実に取り組んでまいったわけでありますが、海外主要国との国際競争、政府の推進体制、人材交流、人材育成等の課題への対応は喫緊の課題ではないかと考えております。
そこで、まずは今回の法案につきまして提案者の方々に質問をしていきたいと思います。
まずは、研究開発予算の充実についてでございます。
我が国の官、それから民間を含む全体の科学技術研究費は平成十八年度ベースで十八・五兆円、このうち国、地方公共団体の科学技術予算が三・三兆円、民間企業の支出が十五・一兆円となっております。ですので、科学技術研究費総額の八二%が民間企業が支出をしていると、そういった状況であります。
これを、各先進国の現在の科学技術の研究開発政策を眺めてみますと、まずアメリカでございますが、アメリカは、昨年、二〇〇七年に、競争力強化を目指しまして、科学技術予算の大幅な増額、研究開発の推進、理数教育の強化を図るため競争力強化法案を成立させました。この競争力強化法の中では、二〇一〇年までにNSF、DOE予算等を約一・五倍に増額をしていくと。そして、理数教育の強化、科学技術への理解へ向けて教師の質、量を向上させると。あるいは、中高生や一般国民を対象とした教育プログラムの充実、若手や女性研究者への支援、ハイリスク研究の推進等の施策がこのアメリカの競争力強化法の中に盛り込まれております。例えばアメリカのNIHを見ましても、予算規模としては年間二百九十四億六千五百万ドル、日本円に直しますとおよそ三・一兆円と、一つの研究機関の予算が日本政府の科学技術予算の総額にほぼ匹敵すると、そういった状況になっております。
EUに目を向けてみますと、EUは、二〇〇七年から二〇一三年の第七次フレームワークプログラムの下で研究開発費の対GDP比を、二〇〇〇年度はこれ一・九%でしたけれども、二〇一〇年度には三%に引き上げていく。
中国を見てみますと、二〇〇七年の科学技術進歩法改正で、科学技術強国というものを合い言葉に研究開発投資をGDP比二・五%、これも現在の二倍になると、これを数値目標として設定をしているわけであります。
このように、諸外国を見てみますと、研究開発に関する予算、それから体制強化というものを急速に図ってきております。二〇〇〇年度を一〇〇として研究開発予算を基準として算定しますと、二〇〇五年度の各国の研究開発費の相対値は、日本が九七と若干微減であります。しかし、アメリカは一四六、中国が二二六、EUが一六一と、いずれも予算に関しては大幅増額となっているわけであります。
このように、主要国が軒並み研究開発費を増加させているのに対しまして日本は明らかに後れを取っていまして、このままでは我が国の国際競争力は低下していくのではないかというおそれがございます。日本の競争力を強化するためにも科学技術予算の更なる充実が必要ではないかと考えておるわけでありますが、そこでまず提案者の方々にお伺いをいたします。
本法案において、科学技術における研究開発予算の充実のために対策がどのような対策、提案となっているのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/7
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008・鈴木寛
○鈴木寛君 お答えを申し上げます。
ただいま委員より御指摘をいただきましたように、欧米を始め中国などのアジア諸国が科学技術を国力の源泉として、とりわけ予算強化を急速に図っている現状を踏まえますと、我が国は大変厳しい状況に置かれているというふうに認識をしております。我が国が引き続き持続的な発展を図るためには、科学技術投資の質的にも量的にもその拡充を図ることが重要でございます。
これとともに、国民の税金であるこれら予算をいかに効果的、効率的に活用していくか。すなわち、研究開発のために投じた国費を最大限活用し、より多くの優れた成果を創出していく、そのことによって我が国の競争力強化につなげていくことが極めて重要でございまして、これができるような環境を整備することが研究開発費の拡充と並んで大変重要だというふうに認識をしております。
こうした認識に立ちまして、私どもが提案をさせていただきました法案草案におきましては、我が国の優位性等のある分野についてより効果的、効率的に当該分野の研究が実施されるよう、第二十八条において、科学技術の振興に必要な資源の柔軟かつ弾力的な配分等といたしまして、海外等の状況を踏まえ、柔軟かつ弾力的な資源配分が行われるように規定しております。また、第三十一条におきまして、研究開発法人及び大学等における積極的な外部資金導入の促進に必要な施策を国が講ずべき旨定めております。また、第三十二条におきまして、研究開発法人や大学等について柔軟かつ弾力的に科学技術の振興に必要な資源の確保を国は図るべき旨を定めているところでございます。
これらの取組によりまして、我が国の科学技術予算の効率的、効果的な活用を進め、科学技術予算の拡充と相まって我が国の研究開発力を更に高めていくことが必要だというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/8
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009・梅村聡
○梅村聡君 ありがとうございます。
今、日本は少子高齢化社会を迎えておりまして、医療であるとか年金であるとかあるいは教育、こういった分野に特に重点的に予算を配分しなければならない状況でありますが、同時に、やはり日本のこれからの国際的な競争力を考えたときには、この研究開発予算というものを更に充実させていかなければならないと感じるわけでございます。
そこで、では我が国の研究開発力を強化するということを考えた場合に、もちろん民間での様々な研究開発、これも大切でありますが、同時に、基礎研究でありますとかあるいは教育活動を担う大学の役割というのが私は非常に重要ではないかと考えております。
先ほども申し上げましたように、日本の研究開発予算は八二%が民間に依存をしている。また、大学というものを眺めてみますと、国立大学法人に関しましては毎年運営費交付金も削減されていると。これが続いていきますと、大学は研究に加えて教育機関という働きもございますから、こういった研究あるいは教育活動に支障が出るのではないかという懸念がございます。
日本の研究開発力の充実というものを目指す場合、大学の基盤強化は避けて通れないと考えるわけでございますが、この点について提案者の方の御意見をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/9
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010・鈴木寛
○鈴木寛君 御指摘のとおり、大学というのは非常に重要だと思います。現に、日本の研究者の六割から七割は大学で研究をされている方ということもございます。加えまして、大学の役割は、今御指摘ございましたように、幅広い教養の厚みに裏打ちをされた知性あふれる社会人や専門家の育成、独創的、基礎的な研究の推進、多様な活動を通じた地域や社会の発展への寄与というふうにございますけれども、まさに研究開発力の強化に当たりましては大学はそのキープレーヤーでございますので、またそのことをこの法案をもって更に進めていかなければならないというふうに考えております。
そうした大学が教育、研究を安定的、持続的に発展をしその役割を十分に果たしていくためには、やはりその基盤をしっかり支えることが前提でございまして、例えば国立大学について申し上げますと、学部はもとより、研究開発力の原動力となっております大学院の研究科、また附属の研究所を組織的に支えていくということが非常に重要でございまして、そのための運営費交付金というものの存在も重要であるということを確認をさせていただきたいと思います。
例えば、京都大学の再生医科学研究所におけるiPS細胞の作製の成功というのは大変我々も本当に喜んでいるところでございますが、これが可能となりましたのも、この中長期的な地道な研究を、運営費交付金をもってこの研究所を支えてきたという背景があったということを御理解をいただきたいと思います。
もちろん競争的資金の充実もこれ重要でございますが、それのみに頼った場合には、将来の人材の育成など、教育面での劣化というものが避けられない。また、教育面でも、日常的な研究活動を支えてそして成果につなげていくためにも、その主たる財源でございます運営費交付金は極めて重要だというふうに認識をいたしております。
したがいまして、研究開発力の強化に当たりましては、運営費交付金や私学助成金のような基盤的な経費を確実に措置した上で、更に優れた教育、研究の取組を優先的、重点的に助成するために、競争的資金も活用しながら、国公立そして私立大学を通じた予算の拡充というものに努めてまいりたいと。まさに、競争的資金とこの運営費交付金がそれぞれの役割を最大限に発揮していただいて、それがうまくマッチをしていくということが双方重要であるというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/10
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011・梅村聡
○梅村聡君 ありがとうございます。
今、鈴木議員からのお答えでは、やはり大学というものの特殊性、これは教育をやはり担っているという面、それから基礎的な研究を担っているという面を考えると、やはりまず運営費交付金をしっかり充実をさせると、そして更にそこへ、競争的資金の導入により更に活性化を図っていくというお答えでございました。私も、本当にその施策が確実に実行されることを望んでいる一人でございます。
今、財政的な大学の基盤という話が出てまいりましたけれども、基盤的経費の運営費交付金、さらに科研費を始めとする競争的資金、それに加えて、私は、やはり寄附金等の外部資金、これが大学でしっかり活用されるということが大学の財政基盤の強化という点から考えると重要ではないかと思っています。この外部資金、民間からの寄附等ですけれども、これをしっかり活用することで、大学における研究者が制約に縛られることなく自由で効率的な研究活動を行うことが可能になるのではないかと考えております。
近年、寄附に関する税制につきましては様々な税制改正が行われているわけでありますが、大学における寄附金税制の充実について提案者のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/11
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012・鈴木寛
○鈴木寛君 御指摘のとおり、この寄附金税制の問題、特に諸外国との比較をいたしますと、我が国における大学の寄附というのは、残念ながら、例えばアメリカなどに比べますと相当格差といいますか差があるなというふうに感じております。もちろん、これは主としては各大学の自助努力ということ、そして社会全体がこの寄附の重要性というものを御認識をいただくということが重要でございますけれども、我々政策、立法サイドといたしましても、この御指摘をいただきました寄附金税制については更に充実を図っていくべく、この法案も成立をさせ、そしてこの委員会あるいは国会全体でも御議論を深めていただきたい、その先頭に我々も立たせていただきたいというふうに考えております。
公的資金と授業料中心だけではなかなか自由な研究、そして多様なテーマによる研究というのは実現できないと、そういう意味で、この寄附税制、頑張ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/12
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013・梅村聡
○梅村聡君 私の知り合いの研究者の方に、海外での研究歴が長い方にお聞きしますと、やはり外部資金を海外は非常に有効に活用していると。しかし、日本はやはり予算ごとの制約が大きかったりですとか、あるいは外部資金がいろんな制約で活用されてないという現状があると思いますので、やはり国際的な競争力強化という観点においては、非常にここの税制あるいは仕組みの再整備というのが私は必要ではないかと思います。
ここまでは財政的な措置についてお伺いをしてまいりましたけれども、やはり財政に加えて、研究開発については人材確保あるいは人材養成が非常に重要ではないかと考えております。
私事なんですが、実はつい昨年までは医師という臨床の現場におりまして、病院での診療業務に加えて大学での研究であるとかあるいはそこでの教育ということに携わってまいりました。本当に、期間としてはそれほど長い期間研究に携わっていたわけではありませんけれども、そのときの経験を基に考えますと、我が国が研究開発の分野で国際的に重要な地位を占めるためには、独立行政法人だけではなくて、やはり国立大学における優秀な研究者の確保、これが急務ではないかなと思います。まず、国立大学における優秀な研究者の確保についてお考えをお聞きしたいと。
そして、その中でも特に、今政府は行革推進法の中で、独立行政法人、それから国立大学法人の人件費の一律削減、これが五年間で五%という努力目標が打ち出されているわけでありますが、優秀な人材の確保という点を考えると、この行革の中での人件費の一律削減、これは非常に大きな問題ではないかなと考えております。特に、研究者の確保というのは、これは国内だけの問題ではありませんで、例えば海外の研究所それから海外の大学と、もう本当に今人材が争奪戦になっているという中で、この行革の中の人件費削減というのが本当に日本の科学技術のこれからの発展にとって足かせにならないかと、私はそこが非常に懸念されるところなんですけれども、そこの点に関しましてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/13
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014・鈴木寛
○鈴木寛君 まさに、この度党派を超えて我々がこの法案を提出をさせていただきたいと思うに至った背景は、今先生が御指摘をいただきました危機感にございます。
この法律の骨子、中核的なメッセージもまさにここの部分にございまして、法案に即して申し上げますと、優秀な研究者の確保につきましては、本法案の第十三条におきまして、国が、海外の地域からの卓越した研究者等の円滑な招聘を不当に阻害する要因の解消その他の卓越した研究者等の確保に必要な施策を講ずるということを規定をいたしております。それから、研究開発法人のみならず、大学等、事業者を含め、給与の優遇措置等による卓越した研究者等の確保の努力義務を課してもおります。
また、御指摘をいただきました研究者の人件費の増というのは、確保というのは大変重要でございまして、それに逆行する流れがあったということは大変残念なわけでありますが、本来、プロジェクトの動向に連動するわけでありまして、研究者の人件費といいますのはですね、プロジェクトごとに研究機器などのハードと人材と双方にきちっと目配りをしながら調和の取れた資源投入を行っていく必要があると、こういうふうに考えております。
知的研究者というのは、いったん離れてしまいますと、なかなかそれを取り戻すということが大変難しいわけでございまして、機械的に一律削減の対象に行革推進法がしてきたということが研究の開発現場に大きな影響を与えてきたことは否めないのではないかなというふうに思っております。
したがいまして、本法案におきましても、第二十四条におきまして、研究開発法人に対して人材活用等に関する方針の策定を義務付けをさせていただきました。国立大学法人等も、これに準じて人材の活用等に努めるという規定を置かせていただいております。
そして、こうしたことを可能にするために、法案第三十二条におきまして、研究開発法人及び大学等への柔軟かつ弾力的な資源の確保を図ること、そして法案の第三十三条におきまして、いわゆる行革推進法の五十三条の第一項の規定の運用に関しまして、今先生が御指摘をいただきました人件費削減に関する条項でございますが、この我々の法案の第三十三条におきましては、卓越した研究者の確保や研究人材の流動化促進のための人件費を確実に確保し、研究開発法人の研究開発能力の強化等を図ることができるよう配慮するという規定を明文化し、そして明記をさせていただいたところでございます。
こうした措置によりまして、国の資金による研究開発の中核を担います大学そして独立行政法人の研究開発力、その資源はまさに人材でございますから、優秀な人材の確保というものに努め、そして研究開発力を強化していきたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/14
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015・梅村聡
○梅村聡君 元々、行革というのは、国民の方々に公共のサービスなりあるいは施策をどうやって効率的にやっていくかということがそもそもの考えでありまして、本当の国民のためにとっての有益なことまでがそれによって阻害をされてしまう、そういったことがないようにと、私はやはりこの法案の一番の肝はそこではないかなと考えております。
そこで、次に、実際研究を進めていくに当たって、特許体制、特許の審査体制についてお伺いをしたいと思います。
昨今も、iPS細胞の研究、こういった例を見ていますと、民間企業の研究開発においては、知的財産、これの重要性が非常に高まっているのが分かると思います。特にライフサイエンスの分野においては、戦略的分野の研究開発の促進を図るために速やかな特許取得体制の整備が必要ではないかと思うわけでありますが、我が国の研究開発全体において国際競争力を持つためには、特許等の審査を迅速かつ的確に行えるよう審査体制の充実を図る必要があるのではないかと考えるわけでありますが、この点についてのお考えをお聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/15
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016・長尾正彦
○政府参考人(長尾正彦君) お答え申し上げます。
経済のグローバル化がまさに進展しております中、知的財産を早期に権利化するために環境を整備することは、先生御指摘のとおり、ライフサイエンス分野のみならず、研究開発分野全体にとりまして、イノベーションの促進を通じて我が国産業の国際競争力強化のために極めて重要な課題だと思っております。
このため、政府の知的財産戦略本部におきまして昨年決定されました知的財産推進計画二〇〇七におきましても、二〇〇八年の審査順番待ち期間を二十九か月台にとどめて、二〇一三年には十一か月に短縮するという中期目標を既に掲げておりまして、政府として世界最高水準の迅速的確な特許審査を実現することを目指しておるところでございます。
また、経済産業省におきましては、甘利経済産業大臣を本部長といたしまして、特許審査迅速化・効率化推進本部というものを設置いたしまして、ここでイノベーション促進のための特許審査改革加速プラン二〇〇七を策定いたしております。例えば、任期付審査官の増員など必要な審査官の体制確保、あるいは先行技術調査の外注の一層の拡大、さらには特許審査ハイウェイを含む外国特許庁とのサーチ結果、審査結果の相互利用の推進等々、特許審査の迅速化、効率化に向けた具体的な取組を一層強力に推進していくこととしております。
今後とも、特許審査迅速化に向けまして、総合的な実効ある取組を強力に推進することによりまして、世界最高水準の迅速的確な特許審査を実現していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/16
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017・梅村聡
○梅村聡君 お答えありがとうございます。
特許というと、我々は研究開発した最後の結果を特許というイメージをしがちなんですけれども、同時に、研究の途中の様々な研究のツールであるとか方式であるとか、こういったものにも実は特許というのが入っていて、そういったことから考えると、やはり日本国内での充実した研究開発にとってはこの特許審査体制の充実ということは私は不可欠ではないかなと、ここも併せてこれから特許庁にしっかり取り組んでいただきたいと思っております。
それでは、少し時間が参りましたので、最後の質問にさせていただきたいと思います。
実は今回のこの法案は、一つは国立大学法人、さらには公的な研究機関、ここの体制づくりを一番目玉にしているわけでありますが、国の公的な研究機関を担うその機関の在り方ですけれども、独立行政法人という形、これは一定の成果を研究開発にとっては出してきたとは思いますけれども、では今後、先の話として、この独立行政法人という形を、形態あるいは運営方法も含めて研究開発を担う機関として本当にふさわしいのかどうか、あるいは今後見直していく必要、再検討の必要はないのかという点につきまして政府のお考え、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/17
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018・岸田文雄
○国務大臣(岸田文雄君) 昨今話題になっておりますiPS細胞研究のように、将来飛躍的に発展が見込まれるような研究分野、あるいは国として総力を挙げて取り組まなければいけないような重要プロジェクト、こうしたものにつきましては、国がまず戦略的に計画ですとか方針を策定して、人材ですとか資金を結集し、組織的、重点的に研究開発に取り組まなければいけない、このように考えております。
一方、現在、国の研究開発機能の中核を担っているのが、御指摘の研究開発独法と言われる組織体であります。この研究開発独法というものは、まずは国の政策課題をしっかりと検討する明確なミッションを持っているというのがこの独法の特徴でありますが、このミッションの下に、基礎研究から生み出されるシーズを発展させてイノベーションの創出につなげていく、そしてさらには社会に成果を還元するという基本的な考え方、方針に基づいて研究を進めております。これは一定の成果が生み出されている、委員も御指摘いただいたとおりでございます。
ただ、ただいまの御指摘の中にもありましたように、この研究独法というもの、他の事業ですとか事務を担当している独法との比較において、やはり成果を上げるためには機動的な資源の配分に努めなければいけない、あるいは人材の確保ですとか、あるいは資金の導入につきましても研究の進捗状況に合わせて柔軟な対応をしなければいけないというふうに思うのですが、現状の制約ですとか制度を考えますと、十二分にその能力を発揮できていないという点があるということ、この点につきましては我々も認識をしております。検討の必要を考えているところであります。
同法案におきまして、附則第六条において、更なる研究開発能力の強化やその効率的推進の観点から、研究開発システムの在り方について総合科学技術会議において検討を行い、法律の施行の状況や内外の動向の変化等も踏まえ、必要な措置を講ずることと規定が置かれております。この中で、是非、国の研究開発を担う組織の在り方につきましても適切な検討が進むことを期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/18
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019・梅村聡
○梅村聡君 ありがとうございます。
いずれにしましても、この研究開発という分野が、今後少子高齢化社会を迎える日本、あるいはこれから国際貢献をしていく中で非常に大きな役割を占めると。そして、それに対するサポートとして今回の法律案が議員立法として出せたということの意義が私は非常に大きいのではないかという感想を最後に述べさせていただきまして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/19
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020・岡田広
○委員長(岡田広君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、石井一君及び岩城光英君が委員を辞任され、その補欠として友近聡朗君及び石井みどり君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/20
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021・岡田広
○委員長(岡田広君) 引き続き、質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/21
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022・松村龍二
○松村龍二君 自民党の松村龍二であります。
先ほど御提案のありました研究開発力強化法案に関しまして、提案者に対しまして質問をさせていただきます。
多少ただいまの梅村先生の質問とダブる点があろうかと思いますが、切り口が違うということで答弁をお願いしたいと思います。
我が国は、これまでの官民を挙げたたゆまぬ研究開発や事業活動の成果といたしまして、自動車分野を始めとする卓越した物づくり産業を有するほか、近年の人工多能性幹細胞、いわゆる先ほど来お話のありますiPS細胞研究を始めとする世界に誇る研究成果を上げてきたのであります。このような我が国に蓄積された研究開発力の優位性や強みはいまだに大きく、これらにより我が国の経済成長や豊かな国民生活が支えられてきたと言っても過言ではありません。しかしながら、近年、世界のグローバル化、IT化は更に進展するとともに、中国を始めとするBRICs諸国などが驚異的な経済発展を遂げ、台頭しつつあります。
これらの情勢変化により、我が国をめぐる競争環境はこれまでにないほど激化いたしました。このままでは、我が国が有する研究開発力の優位性が失われてしまう可能性も必ずしも否定できません。このため、私としても、早急に抜本的な研究開発力の強化に取り組む必要があると考えますが、まず、法案提出の背景となった世界情勢の変化に関する認識及び本法案を今策定する理由をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/22
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023・林芳正
○林芳正君 ありがとうございます。
今、松村先生が御指摘をされましたように、世界の制度間競争というのが起こっている状況でございまして、中国を始めといたしまして、いわゆるBRICs、ブラジル、ロシア、インド、チャイナということでございましょうが、こういうところの台頭で世界的に競争環境が激化をしておると。これに対応して、やはり世界で科学技術によるイノベーションの創出、それのための研究開発システムの改革への取組ということがもう共通の課題になっていると、こういうふうに言えると思います。
具体的に若干申し上げますと、アメリカにおきましては、昨年の八月でございますが、超党派で議論されて、国立科学財団、ナショナル・サイエンス・ファウンデーションというところなどの研究開発機関の大幅な予算増額等を掲げて競争力法というのが成立をしておりますし、中国では、昨年十二月に、いわゆる海外人材、留学へ行った方を呼び戻すという、ウミガメ戦略などと言われておりますが、こういうものや、それからリスクの高い研究、ハイリスクの研究の促進などを内容といたしました科学技術進歩法というものの抜本的な改正が行われております。またさらに、イギリスでございますけれども、高等教育から科学技術の振興、そしてイノベーションの創出というところまでを一貫して担当するイノベーション・大学・技能省というのを創設をして積極的に取り組んでおると。
こういうことに見られますように、世界で科学技術によるイノベーションをやっていこうということの強化が、それをするための研究開発システムの改革の動きというのが加速をしておる、こういう状況でございます。
そういう状況の中で、我が国としても、元々先を走っていたという御指摘もありましたけれども、この世界の動きに遅れることなく、我が国の研究開発力の向上を制約する様々な要因を取り除きまして、研究開発力を更に強化をしていき、限られた資源で効率的にかつ効果的に研究開発を推進をするということをやっていく必要が非常に大きいということで今回この法案を策定をしたと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/23
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024・松村龍二
○松村龍二君 資源に乏しく少子高齢化が進展する我が国が、アジア諸国等の追い上げに対抗し、今後、経済成長を維持発展させ、豊かな国民生活を実現していくためには、科学技術によるイノベーションを不断に創出していくことが不可欠であることは論をまちません。
しかしながら、経済的、社会的に大きなインパクトが見込まれる技術であっても、研究開発のリスクが高い、長期的な視点からの先行投資が必要などの理由から特定の民間事業者の利益につながらない場合には、国の関与の下に強力に研究開発を実施する必要があると考えます。
過去の例を見ましても、現在、巨大な市場として成長しておりますハードディスクドライブ、HDDや青色発光ダイオードの製品化も、長年にわたる国立大学による研究開発の継続や競争的資金など多様な国の資金の供給が功を奏して生み出されたイノベーションであります。
現在、我が国の研究開発投資のうち約八割は民間が担っており、諸外国と比べ国の資金による研究開発の割合が低い状況にあります。このため、今後とも、このようなイノベーションの創出に向け、国の資金による研究開発を更に充実させていく必要があると考えております。
特にその中でも、先日のiPS細胞作製の成功の背景として、国立大学法人であります京都大学における継続的な研究及び研究開発法人である科学技術振興機構の競争的資金の支援があったことに見られますように、国の資金による研究開発を促進、推進する上で、競争的資金の配分などを行う研究開発法人及び大学の役割は極めて大きいものと考えます。
ここで、国の資金による研究開発の中での研究開発法人及び大学の役割についてお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/24
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025・風間昶
○風間昶君 お答え申し上げます。
今先生が御指摘になりましたように、我が国の研究開発はほとんどが民間によって行われておりますのはもう御承知のとおりでありますが、そういう中にあって、研究開発の独法、大学の役割というのは極めて高いわけでありまして、今御指摘のありました京都のiPS細胞の、これは山中グループがiPS細胞を抽出することに成功したわけで、そうなりますと、今度、患者さん自身からiPS細胞を取り出すことができれば、例えば事故とか病気で失った部分を他人の方からの移植を、提供を受けなくても自分の細胞からこのことがリカバリーできるといったようなことで、また移植における免疫拒絶反応も出てこないということからしますと、これは再生医療に極めて大きな道を開くものでありまして。
これは、今まさに先生が御指摘になりましたように、大学における継続的な研究を支えている運営交付金、そして独立行政法人であります科学技術振興機構の競争資金の支援と合体した形でできたものでありまして、そういう意味では、大学においては人材育成と同時に自由な基礎研究を含めて一方ではやっている、一方では研究開発独立行政法人では様々な基礎分野から応用までやっているということからすると、イノベーションの創出に極めて大きな役割を担っているわけでありまして、こういったように、国と独立した法人格を持っていることで柔軟かつ競争的な研究開発の推進が可能であるということも大事なことでありまして、この法案でも、三十二条におきまして、必要な資源の確保と同時に、研究開発法人の自律性、柔軟性、競争性の更なる向上を図るというふうに規定させていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/25
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026・松村龍二
○松村龍二君 研究開発法人及び大学の研究開発力を強化するためには、これら研究機関及びその研究者等がその能力を最大限に発揮させることが重要であり、これに加え、研究開発独立行政法人、大学等がこれまで以上に相互に連携協力し、我が国全体としての研究開発力が最大化されるような取組を行う必要があります。
しかしながら、近年、厳しい財政状況の中で、これらの機関におきます研究者の人件費や運営費交付金について他の独立行政法人と横並びで一律削減等の措置がとられており、このことがこれらの機関による卓越した研究者の獲得や研究者の流動性の向上を困難とし、研究開発法人及び大学の研究開発力の発揮を妨げているのではないかとの指摘がなされるところであります。
国民の税金が投じられている以上、これらの機関の運営に当たっては効率化を一層進めていくことが重要であることは言うまでもありませんが、投入した国費を最大限効率的に活用し、より多くの優れた成果を創出するためには、研究開発の特性を踏まえ、機動的かつ弾力的に研究資金や研究人材を投入できる体制、制度が不可欠であると考えております。
ここで、本法案においては、優れた研究人材の確保や人材の流動化促進、国として進めるべき研究課題への予算措置への対応等についてどのような措置を講じているのか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/26
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027・林芳正
○林芳正君 今先生御指摘がありましたように、この研究開発力の強化、そのために基礎となる研究者の人件費を着実に確保をしていく、また国の重要なミッションへの研究費の柔軟かつ弾力的な対応ということが非常に大事になってくるわけでございます。そうした観点で研究開発法人や大学等における研究人材に係る人件費や研究費については、一般のたくさんある独法、法人横並びではなくて、研究開発の特性を踏まえた対応が必要であるというふうに考えておるわけでございます。
先ほど梅村委員からの御質問にもあって鈴木委員からお答えがあったとおりでございますが、三十二条で、こういう法人や大学等への柔軟かつ弾力的な資源の確保を図るということと、三十三条でございますが、卓越した研究者の確保や研究人材の流動化促進のための人件費を確実に確保し、研究開発法人の研究開発能力の強化等を図ることができるよう配慮するということを規定をしております。さらに、従来は研究公務員の人事交流の促進を内容としておりました研究交流促進法をこれは附則で廃止をして、実態的にはこの法律の中に取り込むということをやってございます。
御案内のように、大学も法人化され、また独法も非公務員型の研究法人が多いわけでございますので、広くカバーする範囲を広げた上でここに取り込んだということでございますけれども、さらに研究開発法人に人材活用等に関する方針の策定というものを義務付ける、こういうことを行いまして、研究の公務員というのは非常に狭い分野になってまいりましたが、研究開発法人や大学を含めた全体の研究者の人事交流の促進というものを図ってまいらなければならない、こういう考えで規定をしておるところでございます。
こういうことをやることによりまして、国の資金によります研究開発等の中核的位置を占める研究開発法人や大学の研究開発力の強化というものを図ってまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/27
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028・風間昶
○風間昶君 追加的に補足させていただきます。
研究者の件については、この法案では十二条におきまして、特に若手の研究者あるいは女性研究者、それから外国人の方々の研究開発力の強化の観点から極めて重要でありまして、国の資金において若手、女性、そして外国人の研究者の方々の活用を図るというふうに規定しておりますことを付け加えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/28
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029・松村龍二
○松村龍二君 諸外国の強力な科学技術、イノベーション政策の推進に対抗していくためには国の研究開発投資を着実に拡充していくことが必要と考えていますが、一方で、厳しい財政事情の下、急激に研究開発投資を拡充する中国などの諸外国に対抗していくためには、研究開発能力の向上に加え、研究開発の効率的推進が極めて重要であるというふうに認識しています。
このような観点から、研究資金の使用の柔軟化、国の資金に係る収入や購入研究機器等の民間企業を含めた積極的活用、民間企業からの外部資金の確保などが重要と考えますが、本法案においてはこの点についてどのような措置を考えておられますか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/29
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030・風間昶
○風間昶君 まず、御指摘のありました研究資金の使用における柔軟化につきましては、二十九条において、例えば経費を翌年度に繰り越すといったような会計制度の適切活用、また二十七条においては、いわゆる競争資金の独立行政法人への移管、あるいは契約も複数年度によって資金を効率的に活用するといったふうに法律上規定をさせていただいております。
また、二番目の国の資金に係る収入、購入研究機器などの活用につきましても、三十九条において、国の資金で行われる研究開発に係る収入、設備などについては、まさにそれが研究開発の実用化に有効に活用されるようというふうに規定をしているところでございます。
そして、三点目の民間企業からの外部資金の確保につきましても、三十一条で研究開発法人、大学などによる外部資金の取得の促進をきちっと規定をさせていただくことによって外部資金の確保のインセンティブを高めていくというふうにさせていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/30
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031・松村龍二
○松村龍二君 最後の質問でありますが、我が国全体の研究開発能力を向上させ、イノベーションの創出を図っていく上で、我が国研究開発投資の約八割を担っている民間企業の役割も極めて重要であり、本法案においては民間企業による研究開発の促進についてどのような措置を講じているのか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/31
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032・林芳正
○林芳正君 まさに、民間は八割を担っておるわけでございまして、国としても、この研究開発法人や大学等のいわゆる公的なセクターでやりました基礎研究をイノベーションにつなげていくということをするためには民間企業による研究開発を振興していく必要があると考えておるわけでございまして、本法案でも、四十四条におきまして中小企業やその他の事業者の革新的な研究開発の促進を規定をしております。
さらに、事業者の研究開発力の強化を図る観点から、三十五条におきましては研究開発に係る施設や設備、研究材料等の知的基盤の供用の促進を規定をいたしておりますし、三十六条、三十七条におきまして国有施設等の使用に係る規定を置いております。
こういうような事業者に対する支援措置が研究開発法人及び大学の研究開発力の強化と相まって我が国全体の研究開発力の強化が図れるように期待をしていきたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/32
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033・松村龍二
○松村龍二君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/33
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034・岡田広
○委員長(岡田広君) 他に御発言もないようですから、本草案を研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律案として本委員会から提出することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/34
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035・岡田広
○委員長(岡田広君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
なお、本会議における趣旨説明の内容につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/35
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036・岡田広
○委員長(岡田広君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
この際、松井孝治君から発言を求められておりますので、これを許します。松井孝治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/36
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037・松井孝治
○松井孝治君 私は、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党・無所属の会及び公明党の各派並びに各派に属しない議員糸数慶子君の共同提案による我が国の研究開発力強化に関する決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
我が国の研究開発力強化に関する決議(案)
政府は、研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律の施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。
一、我が国の研究開発力の強化に当たっては、独創的・基礎的な研究活動及び教育活動を実施する大学の基盤の強化を図るため、国立大学法人の運営費交付金や私学助成を確実に措置すること。
二、国際的な頭脳獲得競争の中で、我が国の研究開発力の強化を図るためには、その基礎となる優れた研究人材の養成・確保を図ることが不可欠であり、研究人材に係る適切な人件費の確保、若手・女性・外国人研究者のための研究環境整備に努めること。
三、我が国の研究開発等を効率的に推進する観点から、国の資金による研究開発に係る収入や購入研究機器等については、その積極的な活用が図られるよう制度面・運用面での改善を図ることが重要である。
その際、我が国の研究開発における民間企業の果たす役割の重要性にかんがみ、これらの機器が広く民間企業にも共用されるよう十分配慮すること。
四、研究開発法人における外部資金の積極的な受入れを促進する観点から、研究開発法人における自己収入増大に向けた経営努力については、毎年度の運営費交付金の算定に際して、その経営努力を積極的に評価し、更に促すよう適切な対応を図ること。
五、我が国の研究開発力の強化を図るためには、技術士等の人材の有する技能及び知識の有効な活用及び継承が非常に有効であることを踏まえ、その積極的な活用・推進に努めること。
六、研究開発システムの在り方に関する総合科学技術会議の検討においては、研究開発の特殊性、優れた人材の確保、国際競争力の確保などの観点から最も適切な研究開発法人の在り方についても検討すること。
七、国際競争力の確保の観点から、特許その他の知的財産に係る審査等の手続きについて、迅速かつ的確に行うための審査体制の更なる充実・強化その他必要な施策を講じること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/37
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038・岡田広
○委員長(岡田広君) ただいまの松井君提出の決議案の採決を行います。
本決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/38
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039・岡田広
○委員長(岡田広君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、岸田内閣府特命担当大臣から発言を求められておりますので、これを許します。岸田内閣府特命担当大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/39
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040・岸田文雄
○国務大臣(岸田文雄君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、我が国の研究開発力の強化に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/40
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041・岡田広
○委員長(岡田広君) 本日はこれにて散会いたします。
午前十一時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/116914889X01720080529/41
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