1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成二十八年四月二十七日(水曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第二十三号
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平成二十八年四月二十七日
午前十時 本会議
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第一 原子力発電における使用済燃料の再処理
等のための積立金の積立て及び管理に関する
法律の一部を改正する法律案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
一、請暇の件
一、裁判官訴追委員予備員辞任の件
一、裁判官訴追委員予備員の選挙
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/0
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001・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
武見敬三君から来る五月一日から八日間、林芳正君から明二十八日から九日間、平木大作君から来る二十九日から九日間、それぞれ海外渡航のため請暇の申出がございました。
いずれも許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/1
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002・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。
よって、いずれも許可することに決しました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/2
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003・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) この際、お諮りいたします。
牧野たかお君から裁判官訴追委員予備員を辞任いたしたいとの申出がございました。
これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/3
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004・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。
よって、許可することに決しました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/4
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005・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) この際、欠員となりました裁判官訴追委員予備員一名の選挙を行います。
つきましては、本選挙は、その手続を省略し、議長において指名することとし、また、同予備員の職務を行う順序は、これを議長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/5
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006・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。
よって、議長は、裁判官訴追委員予備員に真山勇一君を指名いたします。
なお、同君の職務を行う順序は、第二順位といたします。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/6
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007・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) 日程第一 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案(趣旨説明)
本案について提出者の趣旨説明を求めます。経済産業大臣林幹雄君。
〔国務大臣林幹雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/7
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008・林幹雄
○国務大臣(林幹雄君) 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
我が国は、エネルギー基本計画に基づき、使用済燃料の再処理やプルサーマル等の核燃料サイクルを推進することを基本的方針としているところです。
他方で、本年四月に電気事業の小売全面自由化が開始されるなど、電力システム改革が進行し、また、原発依存度が低減していく中で、再処理等の事業に必要な資金が安定的に確保されないといった事態が生じ、使用済燃料の再処理等が滞ることも否定できません。
こうした新たな事業環境においても、使用済燃料の再処理等が着実かつ効率的に実施される仕組みを整備するべく、本法律案を提出した次第です。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、現行の積立金制度を廃止し、発電時に再処理等に必要な資金を拠出金として納付することを原子力事業者に対して義務付ける拠出金制度を創設します。その際、MOX燃料加工等、再処理工程と不可分な関連事業の実施に要する費用も拠出金として納付させることとします。
第二に、再処理等事業を着実かつ効率的に行うための主体として、認可法人に関する制度を創設します。認可法人は、使用済燃料の再処理等の実施に関する計画の策定、拠出金単価の決定、拠出金の収納、使用済燃料の再処理等の実施を行います。解散については別に法律で定めることとして、自由な解散に歯止めが掛かることとします。
第三に、必要な資金を安定的に確保するのみならず、効率的に事業を実施する観点から、認可法人の運営に関し、有識者を含む運営委員会において意思決定を行うとともに、実施計画の策定を経済産業大臣の認可制とするなど、国が一定の関与を行うこととします。
以上が本法律案の趣旨でございます。
なお、本法律案につきましては、衆議院において、本法律案による改正後の新法の規定についての政府による検討の開始時期を、施行後五年を経過した場合から施行後三年を経過した場合に改める修正が行われております。
何とぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/8
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009・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。岩井茂樹君。
〔岩井茂樹君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/9
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010・岩井茂樹
○岩井茂樹君 自由民主党の岩井茂樹です。
私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました核燃料再処理積立金法案について、経済産業大臣に質問いたします。
まず冒頭、今回の熊本地震で被災された方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。我々自由民主党も、政府と全面的に協力をし、一日も早い復興のために全力を尽くすことをお誓い申し上げます。
それでは、質問に入ります。
我が国はこれまで、使用済核燃料を再処理をして再利用する核燃料サイクルを国策として推進してきました。平成二十六年四月に決定された現行のエネルギー基本計画では、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度低減等の観点から、核燃料サイクルを推進するとしております。
その核燃料サイクルの中核施設として青森県六ケ所村で行われている再処理施設の建設は、当初は平成九年に竣工予定でありました。それが度々延期をされ、現在は再来年の平成三十年完成予定となっております。
なぜこれほど時間が掛かるのかというのは、誰しも思うところではないでしょうか。原発の再稼働が進んでいない現状で、今すぐ大量の再処理は必要ないという状況はありますが、それと施設が完成しないというのは別問題であります。
現在は、新規制基準について原子力規制委員会の審査を受けているところだと承知をしております。完成をいつまでも先延ばしにするのではなく、この審査が終われば、平成三十年には再処理工場をしっかりと完成させるべきだと考えます。六ケ所再処理工場の竣工の見通しについて、大臣の御説明を伺います。
本法案では、これまで再処理事業を行ってきた日本原燃とは別に、新たに使用済燃料再処理機構という認可法人をつくって再処理事業の実施主体とし、拠出金の管理もそこで行うことになっております。ただし、実際には、再処理事業は認可法人から日本原燃に委託することが想定をされております。
認可法人を新設をし、そこを再処理事業の実施主体とするのは、株式会社である日本原燃に比べて国の関与が強まるという意味はあるかもしれません。
一方で、これまで政府は、行政改革という流れの中で特殊法人等の削減を進めてきたのも事実であります。今回も、例えば日本原燃を実施主体としたままで国の関与を強めるという選択肢も検討されたはずです。
様々な選択肢を検討された上で、最終的に認可法人を新設して再処理の実施主体とするという方針に至ったのだと思いますが、この新しい仕組みによって再処理事業の進展がどのように加速をするのか、大臣の御見解を伺います。
関連いたしまして、再処理事業に関する政府の責任について伺います。
本法案では、原発の設置者が使用済核燃料の再処理等の責任を負うと規定されております。原子炉の設置者が使用済燃料にも責任を持つべきであるというのは確かに正論だと考えます。
しかしながら、エネルギー基本計画は閣議決定であり、政府は、国策として核燃料サイクルを推進している立場であります。したがって、民間がやるならどうぞというだけの話でないことは明らかであります。
これは原子力発電全体に当てはまることですが、実施主体は民間であっても、国の明確な政策的意図があり、国の指導監督の下で事業が行われている以上、何か問題があったときには、一事業者の責任だけではなく、国が責任を持って対応すべきことは当然であります。
使用済燃料の再処理等について、国は認可法人の事業計画を認可するなどの責任を負っていることは承知しておりますが、核燃料サイクル事業については、電力自由化の中で、従来より国が責任を持って対応すべきだと考えますが、いかがでしょうか。大臣の御見解を伺います。
本法案では、従来の積立金制度を廃止をして、新たに拠出金制度を設けることになっております。原発の設置者から認可法人への拠出金は、従来の積立金より対象範囲が拡大をし、これまで対象であった六ケ所再処理施設に関係する費用に加えて、MOX燃料加工工場の費用など、再処理事業全般に関連する費用が対象となります。
現在、多くの原発が停止していることに伴って、積立金の額は年間で一千七百億円ほどとなっており、また、これまでの積立金の受入れ総額は五・一兆円となっております。これが拠出金になると、対象範囲が拡大するわけですから、金額も増えることになると思います。
この四月から電力小売事業の全面自由化が始まり、電力会社間の競争が激しくなっております。こうした状況の中で、拠出金が各社の経営に影響を与えることがないようにすべきだと考えますが、その点は大丈夫なのでしょうか。拠出金の規模と各社の経営への影響について、大臣の御見解を伺います。
最後に、我が国のエネルギー政策の方向性について伺います。
国内の原発については、現在、原子力規制委員会により、規制基準に適合しているかの審査が順次行われております。私の地元である静岡県でも、浜岡原発の三号機と四号機の適合審査が現在行われているところであります。
東日本大震災を教訓として、原発の安全には万全の対策を講じる必要があることは論をまちません。
一方で、地域の電力会社の中には約四千億円の安全対策費を講じているところもあります。これらの電力会社の負担の増加もあることから、地域への影響、特に雇用や消費などへのマイナスの波及効果の懸念もございます。必要な電力エネルギーが、安定した量と価格で持続可能な形での供給が担保されることは、我が国のエネルギー安全保障のために、また、今後も成長し続ける物づくり日本にとっても必要不可欠なことだと考えます。
以上を踏まえ、我が国のエネルギー政策をどう考えるのか、大臣の御見解を伺って、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣林幹雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/10
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011・林幹雄
○国務大臣(林幹雄君) 岩井議員から五つの質問がありました。
まず、六ケ所再処理工場の竣工の見通しについてお尋ねがありました。
六ケ所再処理工場については、これまで、ガラス固化施設のトラブルなどによりその竣工が延期されてきたことは事実です。しかしながら、その後、技術的課題を克服し、現在は原子力規制委員会の審査に臨んでおります。昨年、竣工時期が平成三十年度上期に変更されましたが、この変更は一層の安全性向上の観点から行われたものであります。
引き続き、日本原燃には、審査に厳格に対応し、六ケ所再処理工場の竣工へ向けて着実に取り組むよう指導してまいります。
次に、再処理等事業の実施主体についてお尋ねがありました。
本法案においては、電力の小売全面自由化を踏まえ、最終処分法も参考に、自由に解散ができる株式会社ではなく、民間主導で設立される一方で、国が必要な関与を行うことができる認可法人を設立し、事業全体の工程管理等を行うこととしています。
日本原燃については、再処理等に関する技術、人材が蓄積していることを踏まえ、引き続き委託先として再処理等の現業を行うことを想定しています。これにより、競争環境下においても使用済燃料の再処理等を着実かつ効率的に行うことが可能になると考えております。
次に、再処理事業に関する国の責任についてお尋ねがありました。
我が国では、再処理等事業は、核燃料サイクルを推進するという政府の方針の下で、民間主体による事業として実施されてきています。
本法案では、新たに設立される法人も民間主導で設立されることとしています。他方で、国も拠出金単価や実施計画の認可等により一定の関与を行うこととしています。さらに、現時点で想定し得ない事態が生じ、他の方策を講じてもなお認可法人が業務困難となった場合には、国として別途の立法措置により所要の対応をすべきことを明確にしております。このように、本法案は従来よりも国の役割を強化するものであると考えております。
次に、拠出金制度への変更が原子力事業者の経営に与える影響についてお尋ねがありました。
拠出金の単価については新法人で精査することとなりますが、御指摘のとおり、MOX燃料加工に必要な費用などを拠出金制度の対象とすることで、現行の制度に比べ、足下の原子力事業者の資金負担は大きくなります。他方で、新制度の下でも事業者が負担する費用の総額には変更はありません。したがって、今回の制度変更は事業者の収支に大きな影響を与えるものではなく、事業者の経営に特段の支障を来すとは考えておりません。
次に、エネルギー政策の基本的な考え方についてお尋ねがありました。
エネルギー基本計画は、安全性を確保しながら、エネルギーの安定供給、コストの低減、CO2排出抑制の三つを同時に達成することを出発点にしております。こうした中で、徹底した省エネの推進、再エネの最大限の導入、火力発電の高効率化等により、原発依存度は可能な限り低減させていくこととしています。
他方、火力発電への過度な依存、国民や中小企業の負担増加など、我が国が直面する課題を踏まえれば、原子力という選択肢を放棄するのは難しく、安全性は最優先にしつつ、一定程度の原発は稼働させなければ責任あるエネルギー政策を実行できないと考えています。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/11
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012・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) 直嶋正行君。
〔直嶋正行君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/12
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013・直嶋正行
○直嶋正行君 民進党・新緑風会の直嶋正行です。
会派を代表して、ただいま議題となりました再処理等拠出金法案について質問いたします。
その前に、この度の熊本地震により、熊本、大分を始め甚大な被害が出ております。犠牲になられた方々と御遺族の皆様に対し、深くお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
さて、我が国が原子力の平和利用を掲げ核燃料サイクルを構想してから、既に半世紀以上たちます。しかし、いまだにサイクルのどの部分も稼働していません。当初、一九九七年を予定していた六ケ所再処理工場の竣工は二〇一八年度上期へと約二十年遅れており、建設費用も既に当初見込みの約三倍の二・二兆円にも達しています。一九九五年の「もんじゅ」の事故以降はプルサーマル計画を主軸に据えて取り組んできましたが、こちらもほとんど進捗をしていません。
また、将来、MOX燃料を再処理するとすれば、現在とは別の施設が必要ともなります。さらに、高速炉を商業ベースで活用するとすれば、そのための燃料加工施設、再処理施設も必要となります。つまり、核燃料サイクルの輪は、政府の説明のように一つではなく、複数の輪がなければ成立しないのです。
このような状況で核燃料サイクルの維持に国民の理解が得られるのでしょうか。半世紀たっても施設が動かず、かつ経済合理性をなくした核燃料サイクルが、日本の経済、社会に具体的にどのような成果を生み出すのか、国民にどのような恩恵をもたらすのか、まず、経済産業大臣にその今日的な意義と効果について伺います。明快に御答弁をお願いいたします。
本法律案を提案する背景として、経済産業省は電力システム改革に伴う事業環境の変化を挙げています。地域独占、総括原価方式が撤廃される電力自由化により、原子力事業者の経営状況が悪化し、必要な資金が安定的に確保できないことや、各原子力事業者の共同子会社である日本原燃が存続できないことにより、再処理が滞るおそれがあるため、早急な対応が必要であるとしています。
しかしながら、原子力は運転コストが低廉であると政府は説明してきたはずです。コスト面に優れる電源であれば競争上有利であり、自由化はむしろ事業拡大のチャンスです。撤退する事業者が出るはずがありません。この点、これまでの説明と提案の背景が明らかに矛盾しています。電力システム改革によってなぜ原子力事業の経営悪化が心配されることになるのか、経済産業大臣の説明を求めます。
次に、法律案の対象とはならない海外で保管されているプルトニウムについて伺います。
本法律案では、この法律の施行前に締結した委託契約に基づき行われた再処理等については、原子力事業者は拠出金を納付する必要がありません。つまり、英国やフランスで再処理され取り出されたプルトニウムからMOX燃料に加工する費用等は拠出金の対象から外れているのです。したがって、政府が説明するように、仮に原子力事業者の経営状況が悪化した場合、海外で保管されているプルトニウムに対してはMOX燃料に加工するために必要な資金が確保できず、利用目的のないプルトニウムとして宙に浮くおそれがあります。
海外の分についても本法律案の対象とする方が法案を提案する背景と整合的であると思いますが、なぜ対象から除かれているのか、今後の扱いについてどのように考えているのか、経済産業大臣の見解を伺います。
また、仮にそうした事態に至った場合、委託先国との間で外交上の問題に発展するのではないかと懸念します。海外に置かれたプルトニウムに関し、原子力事業者が経営状況の悪化に伴い発生者責任を果たせなくなった場合、国としてどのように解決するのか、外務大臣に伺います。
政府が、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を掲げていることは承知をしております。しかし、現状ではプルトニウムは増え続ける一方です。既に再処理されて取り出された国内外のプルトニウム総量は、核分裂性三十一・八トンを含む四十七・八トンにも上ります。さらに、六ケ所再処理工場の稼働後は、使用済燃料を全量再処理すれば総量では二百トンを超えることが見込まれます。原発でMOX燃料として消費されるプルトニウムの量から再処理工場から出るプルトニウム発生量を引いた実際のプルトニウム消費量を考えると、全てを消費するまでに百年を要する可能性があります。原子炉等規制法は運転期間を原則四十年と定め、加えて政府は、新増設、リプレースは考えておらず、原発依存度を低減させていくと表明しているわけですから、全くつじつまが合っていません。
二〇一八年七月には、現行の日米原子力協定が満期を迎えます。こうした不透明で不明確な日本の現状に対し、米国政府高官を始め内外から懸念の声が寄せられていることについて、外務大臣の見解を伺います。
いつになったらプルトニウムの保有量を減らせるのか、プルトニウムバランスに時間軸を入れ、国内外に示す必要があるのではないでしょうか。それこそが責任あるエネルギー政策のはずです。プルトニウムバランスの在り方について、経済産業大臣の見解を伺います。
ところで、今申し上げたプルトニウムバランスの数値は全て予定のものです。原発の発電量、使用済燃料の再処理量、プルトニウム消費量は相互に関係しています。加えて、少しでも計画どおりに事業が進まなければサイクル全体が成り立たなくなります。
例えば、原発を稼働させるかどうかは事業者の判断です。実際に稼働できるかどうかはこの限りではありません。まず、安全性を確保するために新規制基準をクリアする必要があります。次に、地元の理解が必要です。さらに、地域住民が納得するような地域防災計画、避難計画も必要となります。最近では、高浜原発の運転差止め仮処分に見られるように、裁判所の判断も外部要因となり、原発の稼働見込みを推し測ることはほぼ不可能です。このような状況下で、再処理量もプルトニウム消費量も正確に見積もることなど、そもそもできるはずはないのです。
本法律案は、原発から出る使用済燃料を全量再処理することを前提にしていますが、その前提が間違っているのではないでしょうか。例えば、一部を直接処分に回し、プルトニウムの発生量をコントロールすることで、相互に関係する数値の余裕度を確保する取組が必要だと思います。
エネルギー基本計画では、直接処分などの代替処分オプションに関する調査研究を推進することとしていますが、本腰を入れて研究しているようには見えません。直接処分研究に関する現在の進捗について、文部科学大臣に伺います。
また、全量再処理を前提としている特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律を改正し、直接処分の道を開くべきであると考えますが、いかがでしょうか。経済産業大臣の見解を伺います。
二〇一二年九月に、日本学術会議は、高レベル放射性廃棄物の処分に関して総量管理という考え方の導入を提言しています。これまでの最終処分政策に関する政府への批判と不信の根底には、高レベル放射性廃棄物が無制限に増大していくのではないかという危惧があります。現在及び将来の発生量を見込み、これに上限を設けることが、社会的合意に基づいて高レベル放射性廃棄物問題を解決するためには必要と考えますが、政府はどのような見解をお持ちでしょうか。官房長官に伺います。
青森県など立地自治体や住民等の関係者がエネルギー安定供給に果たしてきた役割は非常に大きいものがあります。青森県と六ケ所村、日本原燃、電気事業連合会が締結した立地協力の基本協定について、認可法人設立後もその趣旨は従前どおり継続されると政府は答弁しておりますが、再度、経済産業大臣に確認を求めます。
また、新たな認可法人は、再処理費用等を算定し、再処理等の実施計画を定めるなどにより、事業に関わることとなります。認可法人と日本原燃との関係は、単なる委託者と受託者との関係にとどまるとは思えません。そうである以上、新たに設立する認可法人と地元との関係について、政府は明確な方向性を示すべきではないでしょうか。例えば、認可法人が作成し、経済産業大臣が認可を行う業務方法書に立地協力に関する事項を定めておくことも一つの方法と思われます。認可法人による立地協力を実質的に確保するような指導を政府が行う意向があるか、経済産業大臣の見解を伺います。
次に、「もんじゅ」について伺います。
一九九五年十二月のナトリウム漏えい事故以来二十年、その間、「もんじゅ」は四十五日しか稼働しておらず、もはや夢の原子炉ではありません。エネルギー基本計画では、この「もんじゅ」を国際的な研究開発拠点と位置付け、克服しなければならない課題について、国の責任の下、十分な対応を進めるとしています。文部科学省はそのために必要な予算を措置していますが、稼働実績がほとんどない「もんじゅ」に新たな役割を与え維持していくことは、研究開発費の確保のために「もんじゅ」を利用しているようにも見えます。アメリカやフランス等との国際協力を進めつつ、高速炉等の研究開発に取り組むにしても、「もんじゅ」の過去を振り返れば、年限を区切り、予算も限定するなど、厳しい対応で臨む必要があります。国際研究開発拠点としての「もんじゅ」の活用期間、今後の研究開発予算の見通しについて、文部科学大臣に伺います。
さて、安倍総理は、三月三十一日から四月一日にかけてワシントンで行われた核セキュリティ・サミットに出席されました。そのオープニングセッションで、日本は利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を実践していると御発言されたそうです。
我が国のプルトニウムバランスに疑義のあることはるる述べてきましたが、総理はどのような思いで、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則について実践していると御発言されたのでしょうか。現状を実践していると表現したのであれば、今後想定される日米原子力協定の更新交渉に悪影響が及ぶのではないかと危惧しています。核セキュリティ・サミットにおける総理発言の真意について、官房長官に伺います。
最後に、本法律案は、再処理に係る費用を確実に担保するという面では有効です。しかし、日本の核燃料サイクルの根本的な問題を解消するものではありません。
福島の事故以降、政府は原子力の重要性を訴えてこられたと思いますが、国民の意見は依然として割れたままです。政府は、放射性廃棄物処分を含めた原子力政策に係る全ての絵を描き、国民に提示し、その上で国民の意見を聞く謙虚さを持つべきです。そうした国民世論との対話がないままに、これまでどおりのやり方でエネルギーミックスに基づく原発稼働を推進しようとする政府の強引な姿勢が、国民との距離をますます大きくし、最終処分場の選定をどんどん難しくしていることを自覚すべきであります。
日本学術会議の提言にもありますが、世界で最も処分場選定のプロセスが進んでいる国の一つであるスウェーデンでは、原発から将来的に撤退する方向であり、高レベル放射性廃棄物の総量の増加に対する明確な歯止めが存在しています。
我々民進党は、二〇三〇年代に原発稼働をゼロにする方針を堅持し、国民との相互理解の下、この国の原子力政策の課題解決に向け全力で取り組んでいくことをお約束し、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣林幹雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/13
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014・林幹雄
○国務大臣(林幹雄君) 直嶋議員から六つの質問がありました。
まず、核燃料サイクルの意義と効果についてお尋ねがございました。
我が国は、エネルギー基本計画において、高レベル放射性廃棄物の量の減少や放射能レベルの低減、資源の有効利用などの観点から、核燃料サイクルを推進することとしております。こうした効果のある核燃料サイクルは、経済性、気候変動の問題にも配慮しつつ、エネルギー供給の安定性を確保するため、原子力を重要なエネルギーとして使用してきた資源に乏しい我が国にとって必要なプロセスであると考えます。
次に、電力システム改革と本法案の関係についてお尋ねがありました。
原子力発電については、他の電源と比較して発電コストが遜色なく低廉な電源であると考えております。他方、電力自由化に伴って地域独占や料金規制がなくなれば、原子力事業の競争力が高いこととは関係なく、他の要因によって電力会社が破綻する可能性を想定しておく必要があると考えております。
したがって、こうした環境下においても使用済燃料の再処理等が着実かつ効率的に実施されるよう、本法案によって必要な資金を安定的に確保するなどの措置を講ずる必要があります。
次に、海外で保管されているプルトニウムの扱いについてのお尋ねがありました。
御指摘のプルトニウムについては、現状、海外におけるMOX燃料加工事業においては、拠出金単価の算定の前提となる事業に要する費用の総額の特定が困難であることなどから、今回の拠出金制度にはなじまないと判断し、対象から除外しております。このプルトニウムは、今後、民民の契約に基づき、海外のMOX燃料加工事業者によってMOX燃料へ加工されることを想定しております。
プルトニウムバランスの在り方についてお尋ねがございました。
プルトニウムの利用については、エネルギー基本計画において、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を堅持し、回収と利用のバランスを考慮しつつ、適切な管理と利用を行うこととしております。このため、これまでも、事業者が、この方針の下、プルサーマル等を実施するよう指導し、原子力委員会が電気事業者によるプルトニウム利用計画を確認するとともに、IAEAによる厳格な監視の受入れ等を行ってきております。
また、電気事業者は、六ケ所再処理工場でプルトニウムの回収が開始されるまでに新たなプルトニウム利用計画を策定することとしています。この計画には、一定の時間軸の下、プルトニウムの消費を進める内容が盛り込まれるものと認識しています。さらに、今回の法案が成立すれば、経済産業大臣が再処理等事業の実施計画を認可することとなります。万が一政府の方針に反するような計画が策定された場合には、認可いたしません。
これらの取組を通じ、今後とも、エネルギー基本計画の下、時間軸も意識しながらプルトニウムの適切な管理と利用を行ってまいります。
使用済燃料の直接処分に関するお尋ねがございました。
我が国は、エネルギー基本計画において、高レベル放射性廃棄物の量の減少、放射能レベルの低減、資源の有効利用などの観点から、核燃料サイクルを推進することとしております。こうした方針の下、使用済燃料の再処理を行った後に生ずる高レベル放射性廃棄物の最終処分を着実に実施するための法律が措置されています。
このように、我が国として核燃料サイクルを推進する方針である以上、御指摘の使用済燃料の直接処分を行うための法律改正が必要とは考えておりません。
次に、地元との基本協定の扱いと認可法人の立地地域への協力における政府の関与についてお尋ねがありました。
使用済燃料の再処理等を実施するに当たっては、立地自治体等関係者の理解と協力が極めて重要です。再処理等の事業は、新たな認可法人が設立された後も日本原燃に委託されることを想定しています。したがって、電気事業連合会の立会いの下、日本原燃と青森県、六ケ所村が締結した立地基本協定の趣旨は従来のとおり継続されるものと考えており、現在、日本原燃が担っている地元雇用や地域振興といった立地地域への協力の趣旨が損なわれることはないと認識しています。
経済産業大臣は、認可法人に対し、その設立や実施計画に対する認可等の措置により、一定の関与を行うこととなります。新たに設立される認可法人が、その事業の運営に当たって立地地域の理解と協力を得られるよう、認可法人による立地地域への貢献を促してまいりたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/14
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015・岸田文雄
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国が海外に保有するプルトニウムの扱いについてお尋ねがありました。
本法案に関しては、経済産業大臣から申し上げたとおり、海外に保有するプルトニウムについては、民民の契約に基づきMOX燃料加工が進められることを想定しています。我が国のプルトニウムの利用については、海外に保有するプルトニウムも含め、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則の下、適切な管理と利用を行っていくこととしております。御指摘の懸念が今後生じることがないよう、経済産業省とも一層緊密に連携しつつ、また、英仏両国とも連携して適切に対応してまいります。
プルトニウムバランスについてお尋ねがありました。
我が国の保有するプルトニウムを含む全ての核物質は、IAEAの厳格な保障措置の下で平和的活動にあるとの結論を得られています。
政府としては、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を引き続き堅持し、回収と利用のバランスを十分に考慮し、プルサーマルの推進等によりプルトニウムを着実に利用するとともに、高いレベルの透明性を確保しつつ国際社会にも明らかな形で適切な管理、利用を行っていきます。こうした方針を米国を始め国際社会に丁寧に引き続き説明してまいります。
日米原子力協定については、我が国の原子力活動の基盤の一つを成すものであり、極めて重要です。政府としては、今後の協定の在り方も含め、日米原子力協力に関する様々な課題について米国との間で緊密に連携していく考えです。(拍手)
〔国務大臣馳浩君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/15
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016・馳浩
○国務大臣(馳浩君) 使用済燃料の直接処分に関する研究についてのお尋ねでありますが、使用済燃料の直接処分に関する研究については文部科学省と経済産業省が連携して取り組んでおります。具体的には、使用済燃料が核分裂を継続的に起こさないようにする対策や、発熱量が大きい廃棄体を封入する容器などを検討し、直接処分の実現可能性について調査研究を進めております。
今後とも、エネルギー基本計画の方針にのっとり、経済産業省と連携しつつ、必要な取組を行ってまいります。
次に、国際研究拠点としての「もんじゅ」の活用期間、今後の研究開発予算の見通しについてのお尋ねでありますが、エネルギー基本計画において、核燃料サイクルの推進は、資源の有効利用や放射性廃棄物の減容、有害度低減等の観点から我が国の基本的な方針とされており、「もんじゅ」は核燃料サイクルの推進において重要な施設です。
一方、「もんじゅ」については、原子力規制委員会の勧告に真摯に対応するため、昨年十二月に私の下に「もんじゅ」の在り方に関する検討会を設け、検討を進めているところであります。この議論を踏まえ、「もんじゅ」が果たすべき研究成果の取りまとめを目指し、必要な検討を進めてまいります。(拍手)
〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/16
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017・菅義偉
○国務大臣(菅義偉君) 高レベル放射性廃棄物の発生量に上限を設けることについてのお尋ねがございました。
徹底した省エネルギー等に全力で取り組み、原発依存度を可能な限り低減していくのが政府の方針であります。一方、資源に乏しい我が国が、経済性や気候変動の問題にも配慮しつつ、エネルギー供給の安定性を確保するためには、原子力は欠かすことができないと考えております。そのような中で御指摘の高レベル放射性廃棄物の発生量に上限を設けることは、将来、廃棄物の発生をなくすこと、すなわち原子力の利用を止めることを意味することになり、困難と考えております。
他方、我が国は、既に相当量の使用済燃料を保管しており、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の確保という課題は避けて通ることはできません。このため、政府は最終処分関係閣僚会議を設置し、新たな基本方針を定めるなど、国が前面に立ち課題の解決に向けた努力を続けてまいります。
核セキュリティ・サミットにおける総理の発言についてのお尋ねがございました。
核セキュリティ・サミットにおいて、安倍総理は、世界の核テロ対策の観点から、リスクの高い核物質を削減するための取組等に積極的に発言をしております。その中で総理からは、政府としては利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を引き続き堅持する旨を改めて世界に明らかにした次第であります。
我が国の保有するプルトニウムを含む全ての核物質は、IAEAの厳格な保障措置の下で平和的活動にあるとの結論を得られております。引き続き、回収と利用のバランスを十分に考慮し、プルサーマルの推進等によりプルトニウムを着実に利用するとともに、高いレベルの透明性を確保しつつ、国際社会にも明らかな形で適切な管理、利用を行ってまいります。
日米原子力協定につきましては、米国との間で緊密に連携をしていく考えであります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/17
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018・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) 倉林明子君。
〔倉林明子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/18
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019・倉林明子
○倉林明子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました法律案について質問します。
質問に先立ち、熊本、大分県を中心とした九州地方の地震で亡くなられた皆様と御遺族に対し、哀悼の意を表明するとともに、被害に遭われた全ての皆様に心からお見舞いを申し上げます。
被害の全容把握はこれからであり、避難所や屋外、車中泊、やむを得ず自宅に戻る被災者の生活改善は急務となっています。政府として、二次災害や被害の拡大防止に全力を集中すること、被災者の実態に応じた支援を求めるとともに、日本共産党も被災者支援に全力を尽くす決意を表明するものです。
今回の地震は、マグニチュード六・五規模の前震の後、それを上回るマグニチュード七・三の本震が発生したもので、気象庁は、過去にこうした例はなく、今までの経験則から外れているとの見解を示して、地震活動が今後どのようになっていくかは分からないとしています。震源域は九州を横断して拡大し、識者からは南西側の警戒も必要だと指摘されていますが、政府はどう認識していますか。
川内原発が稼働し続けていることに多くの不安の声が寄せられています。不測の事態に備えて、川内原発は直ちに停止すべきです。
規制委員会は今のところ問題はないとしていますが、過酷事故の発生を想定外として対策を取らずに引き起こしたのが福島第一原発事故でした。余震で夜も眠れず苦しむ住民、国民の不安に応えるために、少なくとも、稼働継続ありきではなく、稼働継続の是非について政府として英知を結集して真剣な検討を行うべきです。官房長官の答弁を求めます。
本法案は、電力自由化の下でも使用済燃料の再処理を着実に実施するために、原子力事業者に原発の稼働実績に応じて再処理事業費の拠出を義務付けるものとなっています。膨大な再処理費用を将来にわたり安定的に確保するためには、相当数の原発の再稼働が前提となります。どれだけの原発の稼働を前提にしているのか、経産大臣、お答えください。
さらに、この拠出金総額も示されておりません。現行法制定当時の二〇〇四年に示された試算では十二・六兆円、今回新たに拠出を求めるMOX燃料加工工場に係る費用は当時でも一・二兆円が見込まれておりました。合計十三・八兆円に上りますが、その後、原発事故を受けて作成された新規制基準に伴う新たな安全対策費は反映されていません。加えて、これまで積立金の対象外としていた使用済燃料の再処理に係る費用と合わせると、原発事業者に義務付けられる拠出金総額の見込みは一体幾らになるのか。
経産大臣は政府として試算を行っていないと答弁していますが、事実なら極めて無責任です。また、当時と大差がないとも答弁していますが、具体的な根拠を示すべきです。
しかも、誰がこの費用を負担するのかもはっきりしていません。経産大臣は、衆議院の質疑で、発電に関わる費用は電気の利用者から料金の形で回収することが一般的だと答弁し、さらに、再処理等の費用を託送料金に乗せることはないのかと問われて、明確に否定しませんでした。
再処理費用は原発固有のコストです。電力自由化の下で、原発ではなく再生可能エネルギーを使いたいという消費者の選択に応えるためには、全ての利用者に広く負担させる託送料金に上乗せすべきではありません。一体その総額が幾らになるのか、今後どれだけ増えていくのかも示さず、巨額の費用負担を国民に電気料金という形で転嫁するなど、到底容認できません。
そもそも、本法案の大前提となっている核燃料サイクルは、どこからどう見ても行き詰まっています。核燃料サイクルは原子力政策の根幹に位置付けられ、その中核となるはずの高速増殖炉「もんじゅ」は、これまでに一兆円以上を投じ、年間二百億円の維持費を掛けながらトラブルを繰り返し、ほとんど稼働せず二十年経過しました。昨年十一月、日本原子力研究開発機構は、規制委員会から、適格性に重大な懸念があるとして、新たな実施主体を示すよう最後通牒を突き付けられました。
一九九五年のナトリウム漏れ事故以来、使用済燃料を再処理、加工したMOX燃料を通常の原発で使うプルサーマル発電でプルトニウムを利用するとしてきました。しかし、青森県六ケ所村の再処理工場は、竣工予定を二十三回も延期してなお完成していません。MOX燃料加工工場も完成時期は延期され、経費は膨らむばかりで、国産のMOX燃料は一度も生産されていないのです。既にサイクルは破綻していることを認めるべきではありませんか。
それでもなお、経産大臣は、核燃料サイクルを推進する意義を廃棄物の減容化、放射能レベルの低減及び資源の有効利用としています。衆議院の質疑を通じて、再処理をすることで廃棄物量は減るどころか、日本原燃の見立てでも一年で五・三倍に増えることが明らかになりました。
さらに、通常の原発では排出しない毒性の高いクリプトン85やプルトニウムを気体、液体として放出します。また、再処理で生じるウランは全体の九四%を占め、既に七千トンに上るものの、その使い道は全く示されていません。これでも核燃料サイクルの意義があると言えるのか、明確な答弁を求めます。
政府は、プルトニウムの利用について、計画遂行に必要な量以上のプルトニウム、すなわち余剰プルトニウムを持たないとの原則を堅持し、プルトニウム利用計画の透明性の確保に努めるとしています。二〇一五年度までに十六から十八基の原発でプルトニウムを利用するという計画は実施されないまま、今年三月、電事連は今後のプルトニウムの利用計画を出すことができませんでした。
利用するとしていたプルトニウムが実際は利用されず、使うめども立っていません。利用計画もない現状で保有しているプルトニウムは、客観的に見れば余剰としか言いようがありません。日本は現在、余剰プルトニウムを保有しているという認識を持つべきです。
以上、経産大臣の答弁を求めます。
日本が保有するプルトニウムは国内外合わせて四十七・八トン、核兵器に換算すれば数千発分にも上ります。二〇一八年七月に満期となる日米原子力協定は、日本が再処理を進める土台となるものです。日米いずれかが六か月前に通告すれば破棄されることとなっていますが、日米原子力協定の延長にはアメリカ議会の承認が必要となります。日本がプルトニウムを減らす具体策を示せない下で、米側からは、再処理事業の停止や期限を示すべきだとの声が伝わっています。現状のまま再処理を進めるなら、プルトニウムが増えることは明らかです。これで協定の延長ができるとお考えか、外務大臣の見解を求めます。
本法案は、原発の再稼働を大前提に、破綻した核燃料サイクルにしがみつくものにほかなりません。東京電力福島第一原発事故から五年、再稼働反対、原発のない日本を国民の多くが望んでいます。この声に真摯に向き合い、核燃料サイクルから撤退し、再エネ最優先のエネルギー政策へ抜本的に転換することを求めて、質問といたします。(拍手)
〔国務大臣林幹雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/19
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020・林幹雄
○国務大臣(林幹雄君) 倉林議員より六つの質問がありました。
まず、使用済燃料の再処理費用と原発の稼働状況の関係についてお尋ねがありました。
原発については、何よりも安全性を最優先し、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合のみ、地元の理解を得つつ再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針です。政府としては個別具体的な原発の稼働見通しを有しておりませんが、原子力発電が行われ、使用済燃料が発生する以上、稼働基数にかかわらず認可法人が適切な拠出金単価を設定することになります。これにより、再処理等のために長期的に必要な資金を確保することが適当と考えております。
次に、事業費の総額についてお尋ねがありました。
拠出金の対象となる事業費の総額については、法案成立後、認可法人の運営委員会において専門家等の外部有識者にも加わっていただき精査することとしていることから、政府として予断を持ってお答えすることは適切でないと考えております。
また、事業者からの最新の報告によれば、六ケ所再処理工場における再処理事業に要する費用は、現時点で明らかになっている新規制基準への対応に必要な費用も含め、二〇〇四年の審議会の試算とほぼ変わらず、約十二・六兆円であると承知しております。
再処理費用と託送料金についてお尋ねがありました。
本法案においては、再処理等に要する費用は原子力事業者が負担することを大前提としており、託送料金による費用回収に係る新たな措置は講じておりません。その上で、原子力費用の負担の在り方については、今後、個別の内容を踏まえて検討するべきものと認識しておりますが、いずれにせよ、現時点で何らか具体的な決定をした事実はありません。
核燃料サイクルは破綻しているのではないかとのお尋ねがありました。
核燃料サイクルについては、エネルギー基本計画で閣議決定したとおり、自治体や国際社会の理解を得つつ推進する方針です。
その上で、昨年十一月に日本原燃が、六ケ所再処理工場やMOX燃料加工工場の竣工時期の変更を公表しましたが、この変更は、トラブルによるものではなく、新規制基準への対応など一層の安全性向上の観点から行われたものと認識しています。引き続き、日本原燃には、審査に厳格に対応し、六ケ所再処理工場やMOX燃料加工工場の竣工へ向けて着実に取り組むよう指導してまいります。
また、「もんじゅ」の管理体制の問題は、核燃料サイクルを推進する基本方針に影響を及ぼすものではないと考えています。
こうした直面する課題を一つ一つ解決しながら、安全確保を大前提に核燃料サイクルを推進してまいります。
核燃料サイクルの意義についてお尋ねがありました。
放射性廃棄物を安全に処分するという観点からは、極めて有害度の高い高レベル放射性廃棄物の量の減少、その有害度の低減を図ることが非常に重要であります。また、再処理工場から放出される放射性物質については、原子力規制委員会により適切に規制されております。再処理の過程で生じる回収ウランについては、将来に備えた資源として保管しております。
このように、核燃料サイクルは、高レベル放射性廃棄物の量の減少、放射能レベルの低減、資源の有効利用などに資するものであり、引き続き推進してまいります。
プルトニウムの利用についてお尋ねがありました。
我が国は、利用目的のないプルトニウム、すなわち余剰プルトニウムを持たないとの原則を堅持しています。こうした方針を遵守するため、これまでも、事業者が、この方針の下、プルサーマルや再処理等を実施するよう指導し、また、原子力委員会が事業者の策定するプルトニウム利用計画の妥当性を確認するとともに、核不拡散条約に基づいてIAEAとの協定を締結し、その厳格な監視の受入れ等を行ってきております。
さらに、今回の法案が成立すれば、経済産業大臣が再処理等事業の実施計画を認可することとなります。政府の方針に反する計画が策定されることは想像し難いですが、万が一そのような計画が策定された場合には、当然のことながら認可いたしません。
このような取組により、今後とも、利用目的のないプルトニウム、すなわち余剰プルトニウムを持たないとの原則を引き続き堅持し、プルトニウムの適切な管理と利用を行ってまいります。(拍手)
〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/20
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021・菅義偉
○国務大臣(菅義偉君) 今後の地震活動についてお尋ねがありました。
熊本地震は、熊本県から大分県にかけて地震活動が続いておりますが、現時点の観測結果において、活動地域が更に南西側に広がっているという状況にはありません。
一般に地震活動の予測は困難でありますが、政府としては、活断層が存在しているということを念頭に、地震活動について引き続き厳重に警戒をしてまいります。
川内原発の稼働についてお尋ねがありました。
稼働中の川内原発は、今回の地震による最大の地震加速度が約十二ガルと、原発を停止する基準値八十から二百六十ガルよりも十分に低いことなどから、原子力規制委員会は専門的な議論を行った上で、現状において停止する必要はないと判断をいたしております。
原発については、安全最優先の観点で、原子力規制委員会の専門的な判断を尊重するのが基本方針であり、政府として今後とも適切に対応してまいります。(拍手)
〔国務大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/21
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022・岸田文雄
○国務大臣(岸田文雄君) 日米原子力協定についてお尋ねがありました。
日米原子力協定の当初の有効期間は三十年、すなわち二〇一八年七月十六日までですが、その後は自動的に失効するのではなく、日米いずれかが終了通告を行わない限り存続されます。
日米原子力協定については、我が国の原子力活動の基盤の一つを成すものであり、極めて重要です。政府としては、今後の協定の在り方も含め、日米原子力協力に関する様々な課題について、米国との間で緊密に連携していく考えです。
なお、我が国の保有するプルトニウムを含む全ての核物質は、IAEAの厳格な保障措置の下で平和的活動にあるとの結論を得られています。
政府としては、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を引き続き堅持し、回収と利用のバランスを十分に考慮し、プルサーマルの推進等によりプルトニウムを着実に利用するとともに、高いレベルの透明性を確保しつつ、国際社会にも明らかな形で適切な管理、利用を行っていきます。こうした我が国の方針について米国に丁寧に説明しながら連携をしてまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/22
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023・山崎正昭
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119015254X02320160427/23
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