1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
平成二十九年四月六日(木曜日)
午前十時開会
─────────────
委員の異動
三月三十日
辞任 補欠選任
元榮太一郎君 鶴保 庸介君
三月三十一日
辞任 補欠選任
鶴保 庸介君 元榮太一郎君
四月三日
辞任 補欠選任
元榮太一郎君 佐藤 正久君
東 徹君 片山 大介君
四月四日
辞任 補欠選任
佐藤 正久君 元榮太一郎君
片山 大介君 東 徹君
四月五日
辞任 補欠選任
古川 俊治君 自見はなこ君
小川 敏夫君 羽田雄一郎君
四月六日
辞任 補欠選任
自見はなこ君 松川 るい君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 秋野 公造君
理 事
西田 昌司君
山下 雄平君
真山 勇一君
佐々木さやか君
委 員
猪口 邦子君
自見はなこ君
中泉 松司君
牧野たかお君
松川 るい君
丸山 和也君
元榮太一郎君
柳本 卓治君
有田 芳生君
羽田雄一郎君
仁比 聡平君
東 徹君
糸数 慶子君
山口 和之君
国務大臣
法務大臣 金田 勝年君
副大臣
法務副大臣 盛山 正仁君
大臣政務官
法務大臣政務官 井野 俊郎君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局家庭局長 村田 斉志君
事務局側
常任委員会専門
員 青木勢津子君
政府参考人
警察庁長官官房
審議官 高木 勇人君
総務大臣官房総
括審議官 稲山 博司君
総務省自治行政
局公務員部長 高原 剛君
法務大臣官房司
法法制部長 小山 太士君
法務省民事局長 小川 秀樹君
法務省刑事局長 林 眞琴君
法務省人権擁護
局長 萩本 修君
法務省入国管理
局長 和田 雅樹君
外務大臣官房審
議官 水嶋 光一君
文化庁長官官房
審議官 永山 裕二君
厚生労働大臣官
房審議官 中井川 誠君
─────────────
本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
(リーガルテックに関する件)
(家事事件の調停制度に関する件)
(外国人の人権問題に関する件)
(テロ等準備罪における対象犯罪及び組織的犯
罪集団の定義に関する件)
(東日本入国管理センターにおける被収容者の
死亡事案に関する件)
(技能実習法施行に向けた準備状況に関する件
)
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/0
-
001・秋野公造
○委員長(秋野公造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、小川敏夫君及び古川俊治君が委員を辞任され、その補欠として羽田雄一郎君及び自見はなこ君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/1
-
002・秋野公造
○委員長(秋野公造君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、警察庁長官官房審議官高木勇人君外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/2
-
003・秋野公造
○委員長(秋野公造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/3
-
004・秋野公造
○委員長(秋野公造君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/4
-
005・元榮太一郎
○元榮太一郎君 おはようございます。自由民主党の元榮太一郎でございます。
本日も、金田大臣、盛山副大臣、そして井野政務官始め政府参考人の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。
前回の委嘱審査に続きまして、司法の強化、そして法の支配の貫徹の観点から、本日は、刑事司法の強化に関してまずは御質問させていただきたいと思います。
刑事司法に対する信頼強化も非常に重要なことは当然のことだと思います。法を犯した者が適正に処罰をされることで初めて安心、安全な社会がつくられるということであります。しかし、弁護士の仲間からは、刑事告訴の現場で受理されてから一年、二年掛かっているような案件が散見される、このような話もお聞きします。
刑事告訴は、犯罪の被害者などが捜査機関に対して犯罪事実を申告して加害者の処罰を求める意思表示をいいますが、やはりこの処罰感情が大きいケースが多くございます。まず、弁護士は被害者から相談を受けて警察署に掛け合って告訴を受理していただきますと、今度は刑事訴訟法の第二百四十二条によって、司法警察員は告訴を受けたときは速やかにこれに関する書類及び証拠を検察官に送付しなければならないということで、いわゆる警察官、司法警察員には捜査義務と迅速な検察官への送付というものが義務付けられていることになります。
そこで、検察官への送付の目標期限というのが実は定められておりまして、それがお手元の資料の一の一、一の二になります。
例えば広島県ですと、このマークアップされている、告訴事件の処理はおおむね三か月以内に行い、送検しなければならないという趣旨の通達があります。そしてまた、私の地元の千葉県におきましても、二枚目になりますが、一の二、事件の受理日から六月以内に捜査を終結して検察官に送付ということとなっております。そしてまた、それ以外の都道府県においても、明確には目標期限が定められていない県においても、例えば岐阜県においては、特別の理由のあるもののほかは特に速やかに捜査を終え関係書類及び証拠物件を検察官に送付することとされております。
このようにいろいろな、態様は様々ではあるんですけれども、検察官への速やかな送付のためには、三か月や六か月を一つの目安としているように思われます。
そこで、警察庁に伺います。
告訴が受理されたとしても、刑事告訴から検察官に送付されるまでに、とりわけ詐欺や横領といった知能犯罪に関してはかなりの時間が掛かっているようなケースもあります。検察に送付されるまで、告訴受理後ですね、実際どのくらいの期間が掛かっているのか、近年の司法警察員への告訴の件数の推移も含めまして御説明を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/5
-
006・高木勇人
○政府参考人(高木勇人君) お答えいたします。
平成二十四年から二十八年までの間に各都道府県警察の知能犯捜査部門が受理した告訴、告発につきましては、平成二十四年千九百五十八件、二十五年二千二件、二十六年千八百三十八件、二十七年千八百九件、二十八年千九百二十六件と、おおむね横ばいとなっておる状況でございます。
平成二十八年に処理された千八百六十八件について、その処理に要した期間を見ますと、受理後三か月未満で処理したものが約二八%、三か月以上六か月未満が約一四%、六か月以上一年未満が約一七%であり、これらの合計すなわち約六〇%が一年未満で処理されておりますけれども、一方、受理後一年以上二年未満で処理したものが約一九%、二年以上処理に要したものが約二二%となっている状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/6
-
007・元榮太一郎
○元榮太一郎君 ありがとうございます。
配付資料二のとおり、知能犯罪の刑事告訴の件数はおおむね横ばいとなっていることなんですが、御答弁のとおり、検察官への送付までに要した期間としては、一年未満の件数と捉えても全体の約六割にとどまっているということで、やはり通達の趣旨、方針から離れて長期化している印象を受けます。
依頼者は、処罰感情が大きいということでやはり弁護士に依頼しているので、なぜ事件が動かないのかということで問合せを受けることがありまして、これはやはり刑事司法の信頼に関わる一面もあるかなと思っております。この短期化がよりできれば、国民からの警察、司法に対する信頼がより強いものになるんじゃないかなと私は思うわけです。
そこで、告訴の取組強化のために各警察署も警察署告訴・告発センターというものを設置されており、告訴の相談や受理、不受理の判断が迅速になされるような判断整備もされているかと思います。そして、警察本部においても、本部告訴・告発センターを設置して警察本部における告訴対応を行うほか、各警察署に対して未処理事件の解消に必要な指示、指導を行っていると伺っております。
この刑事告訴受理後の処理期間の短期化のために、本部から各警察署に対して、事件処理の目標設定やその目標達成のための施策を立てるなどのより実効性のある対策を行うことはできないのでしょうか、警察庁に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/7
-
008・高木勇人
○政府参考人(高木勇人君) 処理期間の目標を設定して進捗を管理していくといったことも一つの方策であるものと考えておりますけれども、告訴、告発の迅速かつ的確な処理のために特に必要な重要な点は、警察署幹部による指揮の徹底と警察本部による警察署に対する指導、支援であるものと認識をしております。
そのため、警察本部に、委員御指摘のとおり、本部告訴・告発センターを設置しているほか、知能犯捜査を専門とする捜査第二課に告訴専門官を置くなどして体制を確立し、警察署において取り扱っている告訴・告発事件について、個々の案件の進捗状況に即して具体的な指導を行うほか、警察署の捜査体制が不足するような場合には捜査員を応援派遣するなどの対応を行っているところでございます。
迅速、的確な処理がなされるよう、警察庁として都道府県警察を指導してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/8
-
009・元榮太一郎
○元榮太一郎君 ありがとうございます。
被害に苦しんでいる方にとってみると、犯人の処罰を求めることは、まさにこの点において検察、警察は最後のよりどころであると思います。告訴を、その後の処理を的確、迅速にすることが、検察、警察に課された責務ではないかと思います。
そこで、この告訴についての的確な受理そして処理の重要性を再度御認識いただき、被害者と国民に寄り添った対応の徹底をお願いしたいと思いますが、警察庁、そして法務省からは同じ弁護士としていろいろな御経験をお持ちの井野政務官から御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/9
-
010・高木勇人
○政府参考人(高木勇人君) 御指摘のとおり、告訴、告発をした被害者や国民の立場を十分考慮して捜査を推進することが重要と認識をしております。
今後とも、告訴、告発に対する迅速、的確な対応を徹底するよう、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/10
-
011・井野俊郎
○大臣政務官(井野俊郎君) 元榮先生には大変日頃から御指導いただいておりまして、私も同じ弁護士として、元榮先生のような御経験というか、同じような経験をした思いを持っておるところでございまして、本当に先生のお気持ちが大変よく分かるところでございます。
検察当局においても、警察当局に告訴、告発がなされた場合は、必要に応じて事前協議を行うなどして検察当局への事件送付が適切になされるように努めておりまして、事件送付を受けた後においても、鋭意必要な捜査を続けた上で処罰を適切に処理しているものだというふうに考えているところでございますが、当然、検察当局に対してももちろん告訴、告発がございまして、こういったものについても、要件を欠く以外の事情がない限りは適切に処理しているというふうに考えているところでございます。
いずれにしても、被害者の方や犯罪の存在を認識した方が犯人処罰を求める心情、これは十分理解しているところでございますので、今後も、こういった告訴、告発の趣旨を理解した上で適切に対応していくようにこれからも、先ほどの検察、警察との協力をしながらしっかり取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/11
-
012・元榮太一郎
○元榮太一郎君 熱のこもった、身に余るお言葉をいただきましてありがとうございます。私、機会があれば、またこの点についても進捗等々を確認させていただけたらと思います。
続きまして、がらりとテーマは変わりますが、第四次産業革命ということで、アベノミクスの成長戦略の一つに位置付けられていますIoT、AI、ビッグデータ、こういうような最先端の技術の活用によって新しいサービスそして経済成長を生み出そうと、そういうような考え方であります。この波は、流れは司法の世界にも全く例外ではないと私は考えています。
最近、アメリカの方から出てきている言葉として、情報技術、ITを利用して法律に技術革新をもたらすリーガルテックという、こういう言葉が生まれて広がりつつあります。まだ御存じない方もいらっしゃるかと思いますが、最近フィンテックという言葉はかなり新聞や報道等でも見かけると思います。金融にインターネットの技術を掛け合わせて金融をより身近で便利なものにしようということです。スマートフォンでいろいろと決済ができるようになったのもフィンテックの一つですし、最近ですと、家計簿のツールがありまして、スマートフォンのカメラでレシートを撮影しますと、その情報が家計簿アプリに反映されて収支の確認がしやすいとか、このような形で劇的に金融や家計の現場でイノベーションが起きているわけです。それの法律版、司法版、これがリーガルテックということであります。
資料三の一にリーガルテックに関するものをまとめていますが、サービス内容は多岐にわたるんですけれども、法律専門家のアクセス支援だったり、法的な文書、契約書などの作成支援、裁判の手続支援、紛争やトラブル、法律の悩みの解決支援、そういうようなものにいろいろと分類されていて、そこで使われている技術もやはりAI、人工知能だったり自然言語処理などなど、いろいろと最先端の技術になっているわけです。既にアメリカで展開されているサービス、イギリスで展開されているサービスを例に挙げるとイメージが付きやすいと思います。
ロス・インテリジェンスという会社、二〇一四年創業ですが、これは、破産に関して訴訟のリサーチを弁護士がするときに、人工知能に基づいて、もう大量の、数千件の関連判例から、質問に対して、担当する事件に役立つ内容を抽出した上で、このくらいの確信度ですよというデータとともに回答してくれるというものです。関連の資料も表示されるということで、回答が的確であれば承認ボタンを押して保存し、そうでなければ、却下を押すとまた、これではどうでしょうかというような情報が出てくるということで、これは弁護士の労働時間を劇的に軽減したと言われているものであります。
そして、資料三の三ですが、ドゥー・ノット・ペイという、これは二〇一五年、イギリスでリリースされておりますが、交通違反の切符の異議申立てを行うためにつくられた世界初のAI弁護士ロボットと言われておりまして、交通違反の切符を切られたときに、チャット形式、最近LINEだったりいろいろなチャットツールがありますが、あの形式で質問に答えていくと、AI弁護士ロボットが、違反切符が取消しとなった過去の類似事例などの異議の申立てに必要な情報及び異議申立ての申請書まで画面に御丁寧に表示してくれるというものでして、実際に二十五万件の相談を受けて十六万件の違反切符を取消しにしたというような実績があって、いろいろとほかのサービスにも展開していくということのようです。
そして、日本でも、二〇〇三年に創業したフロンテオという会社は、アメリカの民事訴訟手続などで証拠開示を求める手続、ディスカバリーというもの、これは海外展開する日本企業、米国展開する日本企業も当然巻き込まれるわけですが、その際に、社内の膨大な資料の中から適切な証拠を抽出するという、数百万単位の書類の中からお目当ての書類を見付けるとか、この膨大な作業を人工知能に委ねることによって劇的に弁護士の業務量を軽減して、企業にとっての弁護士費用の負担も軽減しているというものであります。
このような動きがある中で、資料四、弁護士法七十二条というような法律があって、弁護士以外が有償で法律業務を行うことを簡単に言うと禁じている条文があります。そうしますと、先ほどのドゥー・ノット・ペイのようにAIが有料で顧客との法律相談を行う場合、これはこの七十二条との関係でどうなるのかと、こういうような問題といいますか、今まで考えも付かなかったようなことになっておりまして、一九四九年の弁護士法制定時に想定できなかった、そういうような時代になっております。
私としては、このようなリーガルテックによって利用者にとって身近な司法、法律になって、そしてまた経済的ハードルも下がる、そしてリーガル市場の拡大も期待されます。オンラインで契約をガイダンスに従って作成する、そのようなオンライン契約マーケットというのがアメリカにありますが、もう既に数千億円の市場規模になっていて、二〇二〇年には兆の、三兆円になると、こういうような試算もあるぐらい、経済成長を後押しする効果もあるかと思いますし、また、二割司法という、今までずっと叫ばれていた、実際に弁護士や司法が救済するべき案件のうち僅か二割しか実際に司法サービスが利用されていないということに対する解決肢にもなるかと思います。
是非このような新しいリーガルテックという流れを法務省としても普及に向けて検討すべき時期に来ているのではないかと思いますが、法務大臣の御見解を御教示いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/12
-
013・金田勝年
○国務大臣(金田勝年君) 元榮委員が御指摘のリーガルテック、これはリーガルとテクノロジーの造語であるというふうに承知しておりますが、法律サービス等の分野で人工知能といったような最先端のIT技術を活用するものであると、このように理解しております。その想定される具体的な内容というのは様々なものがあるものと認識をいたしております。
弁護士等の提供する法律サービスにおけるIT技術の活用につきましては、それが国民全体の権利利益を損なうことなくサービスの質の向上に資するものであれば普及が進むことは望ましいのではないかと、このように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/13
-
014・元榮太一郎
○元榮太一郎君 心強い御答弁をありがとうございます。
私としては一つ思い出すことがありまして、最後に御質問させていただきますが、検索エンジンのときにやはり、もう本当にグーグルや、そして最初はヤフーもあったんですけれども、基本的にはもう国外勢がまさに今この日本の市場も席巻しているわけですが、このリーガルテックに関しても、世界はもう始まっていますので、迅速に対応するべきだと思いますし、当時、検索エンジンのときは、著作権法の複製権侵害になるんじゃないかという解釈で私の顧問先のベンチャー企業さんもその手の領域においては非常に萎縮効果があったというふうに聞いています。
そこで、是非とも、この新規ビジネス創出を阻害している可能性があるかもしれないという、そういう著作権法の利用をめぐって制度が過度に個別的で限定列挙だった、こういうようなことで、法律というのは非常に重要だと思うんですが、リーガルテックにおいても同様のことにならないように是非政府としても御検討いただきたいと思います。最後に一言だけ御答弁いただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/14
-
015・永山裕二
○政府参考人(永山裕二君) 文化庁といたしましても、デジタルネットワーク化の進展に伴います新しい産業の創出等のニーズに的確に応え、将来の変化にも柔軟かつ適切に対応ができるよう、著作権制度の適切な柔軟性を確保することが重要だというふうに認識しております。
このため、先生御指摘のような権利制限規定の問題も含めました具体的な制度の在り方につきまして、現在、文化審議会におきまして検討を行っているところでございます。検討の状況も踏まえまして、具体的な制度整備を図っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/15
-
016・元榮太一郎
○元榮太一郎君 ありがとうございます。質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/16
-
017・真山勇一
○真山勇一君 民進党・新緑風会の真山勇一です。
大臣、申し訳ありません、一言、通告はしていないんですが、一つ質疑に入る前にお伺いしたいことがございます。というのは、ゆうべ遅くになるんですけれども、例の組織犯罪処罰法、いわゆる共謀罪、この法案の審議入りについて、昨日、衆議院議院運営委員長の職権で決められて、今日午後、衆議院の方では本会議が開かれるということになりました。
この今回の法案は、これまでも政府は、三度にわたって出されてきた法案とは異なって犯罪の対象を限定したというふうに説明はしてきていらっしゃいますけれども、しかし、一般の人が巻き込まれるという、そういう懸念は依然として払拭されていないというふうに思います。それから、テロ防止を後付けで加えるような混乱も見られました。
さらに、やはり先に国会に提出されました性犯罪強化する刑法の改正案、これを飛び越えて先に審議するという、これは異例の事態だというふうに思います。私たちは、やっぱりこういうことは認めることはできません。被害者の人たちからは、この刑法の改正、性犯罪強化ということを一刻も早く成立させてほしいという、そういう声も届いております。
こうしたことから、私たちは今回のこの法案、認めることはできないし、反対の立場を改めてここで表明させていただきますとともに、今回の、今日午後いよいよ衆議院で審議入りするわけですけど、これについて大臣から一言答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/17
-
018・金田勝年
○国務大臣(金田勝年君) 真山委員のただいまの御質問にお答えをいたします。
法案審議の順序というものにつきましては、やはり国会審議の在り方でもございます。国会においてお決めいただく事柄であると、このように考えておりまして、私からこのことにつきましての思い、意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと。
しかしながら、ただいま御指摘のありました法案についてのことを申し上げますと、いずれもやはり国民の安全、安心という観点からまいりますと密接に関わるものとして極めて重要な法案であると、このように、どちらも重要な法案であると、このように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/18
-
019・真山勇一
○真山勇一君 取りあえず衆議院で始まって、いずれ場合によっては参議院でも徹底審議をしなくてはならなくなることもあると思います。大臣には、成案を得たら誠意を持って答弁をするということをおっしゃったわけですから、これからしっかりとやはり審議をしていきたいというふうに思います。ただ、改めて私たちは反対であるということは申し上げておきたいというふうに思います。
それでは、今日予定されていた質問の方に入りたいというふうに思います。
今日は、ちょっとまた家族をめぐる問題を取り上げたいというふうに思っています。私たちの社会とか暮らし方が今大きく変わってきております。そうした中で、家庭、家族の在り方、こうしたものも大きく変わってきている、それが法体系に与える影響も今大きく出てきているわけで、そうした改正も一方では進められているということです。
私、委員会でも度々取り上げてきている夫婦の離婚、離婚に絡んで別居とかそうしたケースで、特にお子さんがいる場合、その子供をめぐってのいろいろな問題が数多く出てきている。特に子供を養育する側が子供を連れていってしまうと、残された親の方は子供に会いたいというような問題とか、あるいは子供を養っている方は養育費が大変負担になってくるとか、いろいろな問題が出ております。
こうした問題というのはやっぱり、一番、調停、審判という形で取扱いをしていくということになるんですけれども、こうした問題について今日は伺っていきたい。特に、やっぱり夫婦とか別居をしたカップルが、子供がいた場合当面する問題についての調停。審判という裁判の過程の方は、これは裁判で決まるわけですけれども、そうじゃなくて、お互いに話合いをして、そして何とか解決を見出したいという、その調停について少し詳しくお伺いしていきたいなというふうに思っております。
まず、お配りした資料を見ていただきたいんですが、まず一枚目、資料一です。
これはもうこうした場にもよく出てきております最高裁の資料なんですけれども、家事事件が増えているという棒グラフで、平成十八年からの統計をずうっと棒グラフで表していると。一方では、刑事事件あるいは少年事件といったものは少なくなっているんですが、これでお分かりのように、調停事件、審判事件、家事をめぐる家庭裁判所が扱うものはこうやって増えてきているということがはっきりと証明されています。
そして、二枚目を見ていただきたいと思います。二枚目は、その家事事件の内訳を見ていきたいと思います。上は審判事件で、今回はちょっと審判の方には触れません。下の枠の中の調停事件の方を見ていただきたいと思います。
増えている中でも、調停の内訳という真ん中辺を見ていただくと、夫婦の問題、婚姻の費用とか子の監護、私はやっぱり注目をしたいと思いますのは、子の監護というところです。左側に子の監護、それから監護者の指定、養育費、面会交流とか子の引渡しということが書いてありますが、一番右側の数字を見ていただくとお分かりのように、この十年間に一・五倍、場合によっては三倍にも増えているものがあります。例えば監護者、つまりどっちが子の面倒を見るのかというようなことの指定ですね。それからもう一つは、どっちか片方の親が子供を連れていった場合、その子供、お子さんをどうするかというようなこと、子の引渡しという、これもやっぱり三倍ぐらいに増えているということがこの統計ではっきりとお分かりになるというふうに思います。
このように、調停が大変大きな役割、家事事件の中で、特に不幸にして離婚あるいは別居する夫婦の問題の中でこうしたことが一番取り上げられることになると思いますので、まず、そういう問題を抱えた当事者同士が最初にいろんなところへ相談を行く、そして、相談をした後にやはり調停にかかるわけですけれども、調停制度、恐らくそんなにたくさん利用する人なかなかいないと思うんですね。利用するにしても、初めて行くという方もいらっしゃいます。それで、初めて調停というのは、ああ、こういうものかということを理解するという方が多いというふうに聞いております。
まず、この調停というのの基本的な、細かいと時間が掛かりますので、基本的な流れをコンパクトにちょっと説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/19
-
020・村田斉志
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。
家事調停制度は、委員の御指摘ございましたとおり、当事者の話合いを通じて、合意によって家庭に関する争いを解決しようとする制度でございます。
基本的な流れでございますが、家庭裁判所に調停の申立てがされますと、裁判官が話合いを行う日としての調停の期日を指定いたします。当事者双方に期日を通知する書面を送付いたします。その後、調停の期日が開かれることになりますが、調停の期日におきましては、裁判官と、それから、通常は男女一名ずつということが多いかと思いますが、家事調停委員で構成される調停委員会、合計三名になりますけれども、が当事者双方から事情を尋ねたり意見を聞いたりして、当事者双方が納得の上で妥当な解決ができるように働きかけを行っております。必要に応じて一回で終わらずに期日を重ねることもございますけれども、当事者双方に紛争解決の合意ができれば、調停が成立し、事件が終了するということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/20
-
021・真山勇一
○真山勇一君 ありがとうございました。
基本的な流れということになるとそのぐらいになるんですが、その実、やっぱりこの調停の中身というのは、それぞれ悩みとか問題を抱えて相談をするわけですから、そうなかなか簡単には解決しない問題が多いんじゃないかなというふうに想像するんです。
三枚目の資料を見ていただきたいと思います。これは、家庭裁判所がそうした問題を抱えた当事者たちに、家事事件、こんな、もし悩んでいるんだったら相談をしてほしいということで出しているしおりでございますが、見ていただきたいのは一番後ろ、とじているのをそのままひっくり返していただいて一番後ろ、今説明していただいた、家事事件の仕組みという大きな流れの中のこの辺りを今説明していただいたんだというふうに思います。緑色の四角の中のことですね。
家庭裁判所で問題を抱えた当事者たちが申立てをして、そして審判か調停ということでやっていくわけですが、今回、今私が取り上げさせていただきたいというふうに言っておりますのはこの右側の調停の方ですね。これが成立、あるいは不成立になって改めて審判をするということもあると思うんですが、この右側の調停、今流れを説明していただきましたけれども、やっぱり相談しようとすると、ここで見てお分かりのように、テーブルにやっぱりたくさんの人が関わり合うということですね。相談をする当事者にとっては、こういう方たちと初めて会って、これからどういうことをしてくれるんだということを聞くわけですけれども、やはり不安もいろいろ抱えているんじゃないか。それから、当事者の方からの声なんかをお聞きすると、どういう人かよく分からないと、どういう人が私の悩みとか問題点を聞いてくれるのか不安があるというようなこともおっしゃっていることが言われております。
そのために、まずお伺いしたいのは、調停に入るに当たって、こうした問題を抱えた、申立てをしてきた当事者たちにどんなふうなこれからのことを説明しているのか、ちょっとなかなか分かりにくい、説明を聞いても分かりにくかったという、そういうアンケート結果も出ているので、どんな説明をしているのか。それから、それについて当事者の方に対して分かりましたかという、これでよく、あなたが申し立てることについての、これからどういうことが行われるかというような、理解できましたかというようなことの確認というのはしておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/21
-
022・村田斉志
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 調停手続を行うに当たりましてどのような説明を行うかというところは、個別の事案によるところもございますけれども、通常は、第一回調停期日の冒頭におきまして、まずは調停委員が自ら名を名のるところから始まりまして、調停制度の基本的な内容の説明をいたします。手続の進め方といった点についても説明がされているものと承知をしております。
調停手続を行うに当たっては、当事者が制度について十分御理解をしていただくということは非常に重要なことだと認識をしておりますので、調停委員会としては、必要に応じてかみ砕いた説明を行ったり説明を繰り返し行ったりするなどして、制度に対する当事者の御理解の具合を確認をしながら進めているものというふうに承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/22
-
023・真山勇一
○真山勇一君 やはり説明をして、どういうことをしてもらえるのかということをしっかりと当事者に説明することというのは大切なことではないかというふうに思うんですが。
ただ、この調停の仕組みでいいますと、裁判官がおりまして、それから調停委員というのがいる、そして当事者がいて、記録をする書記官というような方もいらっしゃるんですけれども、裁判官というのは、この調停の役割としては、最初に同席する、あるいは最後だけ、申立ての最後の結論のところだけで立ち会うとかというふうなことになっているふうに伺うんですけれども、調停の途中というのは裁判官というのは立ち会わないのかどうか、それで、なぜ裁判官は最初と最後だけで、あとは調停委員に任せるという形になるんでしょうか。その辺りはどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/23
-
024・村田斉志
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 家事調停事件におきます裁判官の役割としましては、調停委員会の一員として手続を主宰するというものでございまして、法的観点を踏まえつつ、紛争の実情を的確に把握して解決の方向性を示すことによって当事者に建設的な話合いを促すと、こういった役割が重要であると理解をしております。
裁判官は、調停委員との評議によりまして解決の方向について調停委員との間で共通認識を形成した上で、調停委員を通じて当事者に働きかけを行っておりますが、なお必要な場合には、調停期日に裁判官自身が直接立ち会って当事者に話合いを促すといったこともございます。冒頭に出て説明を行うこともあれば、途中で非常に話合いが難しいといった局面で裁判官が自ら説得を行うという場面もございますし、また、最後は調停が成立した場合であってもそうでない場合であってもその結果を裁判官が出てきて確認をするといった具合でございますので、必ず最後だけとか、あるいは最初だけとかといったことではございませんで、事案に応じて必要な範囲で直接立ち会うこともあるというところでございまして、そのような形で充実した調停が行われるよう手続を主宰することに努めているというふうに承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/24
-
025・真山勇一
○真山勇一君 随時出ることもあるというふうな、裁判官が出るということも今あるというお答えでしたけれども、やはり調停を依頼しているその当事者たちにとっては、何か裁判官の顔が見えないということをよくおっしゃる方がいらっしゃるんですね。
やっぱり相談をしている過程で、多分、相談する人の立場でいうと、裁判官の人に聞いてもらうのが一番相談している人間からいえば安心ができる、信頼できるというところもあるんじゃないかと思うんですが、今のお話ですと、そうすると、なかなかちょっと、裁判官に話をしたいと言ってもなかなかそういかないというような現場の声もあるんですが、その辺りは、そういうことはないと、その必要があれば出てくるというふうに考えてよろしいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/25
-
026・村田斉志
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 裁判官は同一の期日にたくさんの調停事件を同時的に担当しているということがございますので、同時的にたくさんの事件に期日に立ち会うというのは物理的に難しい場面もございますけれども、その中で優先順位等を適切に判断をして、特に必要な事件については自ら立ち会うということももちろん行っているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/26
-
027・真山勇一
○真山勇一君 やはり相談している当事者が裁判官の姿が見えないという声もありますけれども、その辺りも、逆に言えば、きちっと説明をしていけばそれほど当事者の不安というのもなくなるのではないかというふうに思っています。こういう声があるので、是非その辺りも、裁判官の役割というのをきちっとやっぱり伝えることも重要なことだというふうに思っています。やっぱり調停の中での役割としては一番大事な要になると思いますので、是非その辺りをしっかりとお願いしたいというふうに思っております。
次に、この調停に関わる裁判官、そして大事なのは調停委員だと思いますね。調停委員は必ず男女二人というふうに聞いております。この二人がペアになって当事者から話を聞くというふうに言われております。
そして、最後の四枚目のちょっと資料を見ていただきたいんですが、家事事件というのはこういう方たちが立ち会うということで、判事、判事補、この方たちは裁判官ですね。それから家裁の調査官、これは調停をするに当たってのいろんな調査をなさる方というふうに伺っています。それから、実際に当事者に毎回面接をして、事情を聞いて話を進めていく家事調停委員。家事調停委員というのが、これ今、最高裁の統計ですと全国で一万一千人余り、一万一千六百六十七人ということが出ておりますけれども。
まず、この調停委員ですけれども、この数というのは、今、最初の資料の方でやはり家事事件増えていますね。このぐらい、その調停委員、やはりこの数字はそれに合わせて増えてきているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/27
-
028・村田斉志
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 事件数の増加があった場合にはそれに必要な調停委員の確保に努めるという努力はしておるところでございまして、最高裁判所におきまして、事件動向を踏まえて適正かつ妥当な人数の調停委員の任命を行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/28
-
029・真山勇一
○真山勇一君 やはり増えているので、それに合わせてということなんですが、調停委員という人の、何というんですか、この方は裁判所の職員ではないというふうに伺っているんですけれども、どういう立場の方がこの調停委員というのをやっていらっしゃるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/29
-
030・村田斉志
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。
家事調停委員につきましては、家事事件手続法の二百四十九条で、非常勤とし、その任免につきましては最高裁判所規則で定めるということになっておりますので、非常勤の裁判所職員という立場を持っているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/30
-
031・真山勇一
○真山勇一君 非常勤の職員、非常勤の国家公務員ということになるんでしょうか。私も保護司をしていて、保護司も非常勤の国家公務員というふうに言われているんですけれども、そうすると、仕事は保護司とこの調停委員とは違うと思うんですが、調停委員、非常勤ということになると、当然保護司と同じようにいわゆる民間の方が選ばれるということになりますね。
それで、やはり当事者の皆さんにとっては、調停委員の方が余りどういう人か、これもまたよく分からない、自分たちのとても大事な問題を相談するんだけど、調停委員というのがどういう方か分からないということなんですが、どんな方がどんな基準で選ばれてくるのかということと、調停委員という方は当事者の方に自分のことをどんなふうな形で何か理解をさせるというような、そういうような方法というのは取っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/31
-
032・村田斉志
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 調停委員の任命の要件でございますけれども、家事調停委員は、弁護士となる資格を有する者、家事の紛争の解決に有用な専門的知識経験を有する者又は社会生活の上で豊富な知識経験を有する者であって、人格識見の高い原則として四十歳以上七十歳未満の者の中から最高裁判所によって任命されるというふうになっております。
任命までの流れについても申し上げますと、裁判所としては広く社会の各界から家事調停委員としてふさわしい方を得たいということで努力をしておりまして、各地の家庭裁判所におきまして、各界から御推薦のあった方あるいは自らお申出のあった方の中から家事調停委員の候補者として適任の方を最高裁判所に各家庭裁判所から上申をしてきて、その候補者の中から最高裁判所が適任者を選び家事調停委員に任命をしているというところでございます。
実際の調停期日におきましては、先ほど申し上げたとおり、調停委員は自らの氏名を名のるということはあるかと思いますが、そのバックグラウンド、どのような背景を持った方かということにつきましては特に御説明する機会は基本的にはないかなというふうには思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/32
-
033・真山勇一
○真山勇一君 やっぱり相談する相手が誰か分からないと当事者としては不安な面も多分あるんじゃないかと思いますが、その辺りは、実際の相談、話合いの中で少しずつお互いの理解を深めていって、それでより良い最終的な結論を得るということが大事だと思うんですけれども、ただ、やはり申し立てている当事者にとっては、かなり調停委員に対して、満足度もあるんですが、満足なところもあるんですが、大変分かりやすい説明をしてくれるとか親身になって相談に乗ってくれるとか、そういうこともあるんですけれども、やっぱりその一方で、話をきちっと聞いてくれないとか相手の肩を持つように聞こえるとか、いろんな、やはり当事者の方たちというのはそれぞれ複雑ですので、思いもいろいろあると思うんです。
そうしたことで、非常にやっぱり調停委員というのは難しい仕事であるというふうには思うんですが、何かやはり調停委員、今選ばれる方の出身母体というのは分かりましたけれども、かなり基礎はあると思うんですね、いろんな意味で。ただ、こういう特殊な仕事、任務に就くということで、やはりなるべく相手のことをしっかりと理解して対応できるような、任期中に研修なり、何かそういうものということはやっておられるんでしょうか。それによってやっぱり対応の仕方も変わってくるだろうし、当事者の不満というのもある程度和らげることができるというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/33
-
034・村田斉志
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 調停委員の研修につきましては、各家庭裁判所において、例えば新任の家事調停委員でございますと、調停委員として必要な心構え、あるいは基礎的知識、こういったものを習得させる研修を行っておりますし、経験が豊富な家事調停委員に対しても、事例研究の方法などによりまして、事件を扱う上で起こり得る諸問題に適切に対応できるように、必要とされる実践的な知識、技法、こういったものを習得させる研修を行ったりするなど、調停委員の経験に応じて各種調停の進め方等に関する講義、事例検討等の様々な研修を行っているものというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/34
-
035・真山勇一
○真山勇一君 やはり家族の問題とか、特に子供の問題ですね、お子さんの問題考えるというのは、非常に微妙で難しい問題もたくさんあるというふうに思うんです。相談する方も、そうしたことに応えてくれるような、信頼に足る、本当にこの人に頼っていいんだなというようなやっぱり調停委員をつくっていかなければならないと思いますので、やはり適切なそういう人材の確保、是非それもお願いしたいというふうに思うんですが。
ただ、万一、いろいろ相談していても、どうしてもやっぱりこの人とは駄目だと、いろいろ理由はあると思うんですが、不適切だというようなことになった場合、どういうことができるのか。つまり、調停の途中で調停委員を回避したいと、どうしてもこの人では私はもうとにかくやっていけないみたいなことが、そういうケースはあるのか、そしてそういう場合はどう対処されているのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/35
-
036・村田斉志
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。
調停委員に対する不満の申出などがあった場合には、そういったものを担当の書記官等がお聞きする場合もございますので、その内容によって、裁判所として調停委員に対する指導をするなど、必要な措置をとっているものと承知をしております。
さらに、それが調停委員としての適格性に関わるといったようなことになりますと、最高裁判所規則であります民事調停委員及び家事調停委員規則の六条では、最高裁判所は、家事調停委員について、職務上の義務違反その他家事調停委員たるに適しない行為があると認めるときなどの場合には家事調停委員を解任できるものというふうに定めておりますので、このような場合については、最高裁判所は調停委員の任期中であっても家事調停委員を解任することができるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/36
-
037・真山勇一
○真山勇一君 その辺りも、調停のたびに当事者が会うのは調停委員だけということになりますので、やはりその人に対するいろんな注文があった場合、その声がなかなか、届かないといけないと思うんですね。そういうことが起きたら、やはりそれをしっかりと受け止めて、調停を依頼してきている当事者たちの声を反映させていく。そのまま受け入れるということではなくて、それはもちろんしっかりと検討した上で受け入れていくということも必要だというふうに思いますので、是非その辺もしっかりとお願いしたいというふうに思っております。
それからもう一つ、この調停で大事なのは、裁判官、調停委員も大事ですけれども、私はこの人も大変重要な役割だと思うんです、調査官という。これ、調査官は裁判所の職員の方というふうに伺っているんですけれども、調査官という名前のとおり、いろいろ調査やるんでしょうね。例えば、調停をやるための二人のお話を、それぞれのお話を聞く、その話の裏付けとか、あるいはそれに対する証拠の資料ですとか、いろんなものが必要になってくる。あるいは、お子さんの問題の場合は、お子さんが、いや、本当にどうなのかなと。子連れでこれ調停に来るわけではないですよね、当事者だけがそれぞれ来ている。そういう場合、そのお子さんの問題のとき、子連れで来ることがあるのかどうか。あるいは、そういう問題というのはその調停官がやるんじゃないかと思うんですが、その辺の調停官、あっ、ごめんなさい、調査官の役割をちょっと説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/37
-
038・村田斉志
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 家事調停事件におきまして、家庭裁判所調査官は、裁判官の命を受けて、心理学、教育学等の行動科学の専門的知見及び技法を用いて、当事者が問題の解決に向けた話合いを円滑に進めていけるよう必要な調査あるいは調整を行うことをその役割としております。
御指摘のありました子供をめぐる紛争におきましては、子供の意思を適切に把握するために子供に面接をしたり、あるいは保育所等を訪問して子供の様子を見た上で保育所の職員から事情を聞いたりといったことで得られた情報を分析して、これを裁判官に報告するといった活動をしております。
御夫婦でお子さんもいらっしゃるというような当事者の場合に、お子さんを連れて家庭裁判所にいらっしゃることもございまして、どなたか見てくれる方がいらっしゃる場合には待合室でお子さんと一緒に待っていただくというようなこともあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/38
-
039・真山勇一
○真山勇一君 やっぱりその基礎的な調停に関わる調査をいろいろなさるということは、まあインドアだけじゃなくて外へ出ていっていろんなことを、フィールドへ出ていってやると思うんですね。
ちょっと例えが唐突になりますけど、やっぱり私はテレビで仕事をやっていたとき、テレビの番組とかそういうものを作るときも、一番大事なのはリサーチャーと呼ばれている人たちなんですね。つまり調査をして中身を厚くする、裏付けを取る、こういうことをやるそのリサーチャーの能力があると、作る番組も非常に質が高くなって良くなるわけですね。そうすると、この調停という作業も、やはり主役は、主役というか当事者たちと、当事者の方たちはもちろん当事者ですけれども、やっぱりそれをスムーズに進めていく、あるいはいい方向に進めていく、当事者たちが望んでいる方向に持っていけるのかどうかということを進める上で、調査官ってそういう資料を集めるという大変大事な役割じゃないかというふうに思っておりますが。
この調査官というのは、今ちょっといろんな専門の知識必要なことをおっしゃいましたけれども、採用基準、これについてはそういう専門的な方というのが多いんでしょうか。そしてまた、任期中にそういう専門的な知識が必要なということで、研修とかやはりそういうこともやっていらっしゃるのかどうか、その辺りを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/39
-
040・村田斉志
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 家庭裁判所調査官につきましては、裁判所職員総合職試験、家庭裁判所調査官補という試験がございまして、これに合格をして、その上で家庭裁判所調査官補に採用された後約二年間の家庭裁判所調査官養成課程の研修、これを修了した者を任命をしております。
家庭裁判所調査官には、法律学に加え、心理学、社会学、社会福祉学、教育学等の行動科学についての専門的知見が求められることから、今申し上げました採用試験におきましては、この必要な専門的知識を問うための試験が含まれておりますほか、人柄、資質などについての人物試験も実施をしております。
また、その後の二年間の養成課程では、心理学、社会学等の行動科学の最新の知識でありますとか、あるいは面接、心理テストといった専門的技法を身に付けるための研修を受けることになっております。このような採用試験を経て養成課程を修了した者を家庭裁判所調査官に採用をしております。
また、その採用後の任期中にも、必要に応じて、経験年数に応じて専門的な知識や技法を更に応用、活用できるようにするために体系的な研修を受けることになっておりますほか、家事事件及び少年事件の喫緊の課題を取り上げて適正な実地検証につながるような調査の在り方について検討したり、さらには高度の知識や専門的技法を獲得するための研修に参加するなどして能力の向上を図っております。
また、このような専門性向上のための研修に加えて、部下を指導したり組織を運営するために必要な能力の向上や意識の高揚を図るための研修、こういったものも行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/40
-
041・真山勇一
○真山勇一君 説明を伺うと、かなり調査官というのはなるのも大変みたいな感じもありますし、二年間の研修というとやっぱりそう簡単にすぐ増やしたり減らしたりとなかなかできないと思うんですけど、先ほどの私の資料の四枚目で、家裁調査官というのは調停委員の数なんかから比べるとかなり少ないんですけれども、これで大丈夫なんですか、足りないということはないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/41
-
042・村田斉志
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 家庭裁判所調査官の人的体制につきましては、家事事件及び少年事件の動向や事件処理状況等に照らして検討しているところでございます。
家事事件につきましては特に増加傾向にございますけれども、例えば非常に増加傾向の顕著な後見関係事件ですと家庭裁判所調査官の関与は限定的なところでございますし、少年事件につきましては、先ほど委員のお話にもございましたとおり、長期的にかなりの減少傾向にございます。こういったことに照らしますと、調停事件において子をめぐる紛争が増加しているというふうなことを踏まえましても、家裁調査官については現有人員を有効に活用することで適正迅速な事件処理を図ることができているものというふうに認識をしております。
裁判所といたしましては、今後も事件数の動向や事件処理状況等を注視して、必要に応じて適正迅速な事件処理ができるような体制の整備に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/42
-
043・真山勇一
○真山勇一君 分かりました。
そういうことで、調停に関わる方たちの仕事、役割とか、それからどんな状況なのかというのを伺ってきたんですが、何よりもその調停を、不成立ということになることもあるわけですけれども、そうじゃない、なるべくお互いに納得のいく成立した状態というのが理想なわけです。その辺は日々大変なお仕事だと思うんですが、たくさんある事件をこういう形で処理をしていただいているということは理解をできました。
ちょっとあと幾つかお伺いしたいんですが、例えば当事者の方たちからの声、これでちょっと多いのが、やはり調停の日が少ないとか、あるいは平日の日中しかできないとか、やはり勤務の関係とか子供の関係とかいろんな状況で、夜間とか休日の調停というのができないだろうかという、そういうふうな声。あるいは、できなければ、ネット的な通信機器なんか使ったような、そうした形ででもできないかというような注文もあるんですけど、こうしたものに対する対応というのはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/43
-
044・村田斉志
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 委員御指摘のような要望があるということは承知をしているところでございますが、一般論として申し上げますと、夜間あるいは休日に調停事件を行うということになりますと、関係人等のニーズがある一方で、夜間、休日に出頭を求められる相手方の御負担というのもございますし、セキュリティー確保といった点での裁判所の庁舎の管理に関する問題、あるいは裁判所職員の執務体制や、これを維持するためのコストといった点を考慮して検討する必要があるというふうに考えております。
もう一点、通信機器等を利用してというお話がございました。家事事件手続法におきましては、当事者が遠隔地にお住まいになっている場合などにおいて、電話会議あるいはテレビ会議といったシステムを使用して家事調停を行うことができるというふうにされておりまして、現に多くの事件において活用されているものと承知をしております。もちろん、事案の性質上、直接当事者が会ってお話をお伺いすることが望ましいという場合もあるかと思いますが、家庭裁判所におきましては、当事者の御意見もお聞きした上で、電話会議あるいはテレビ会議のシステムを利用して家事調停を行うことが相当な事案では、これを適切に活用しておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/44
-
045・真山勇一
○真山勇一君 ありがとうございました。
あと伺いたいのは、調停あるいは審判も含めてそうなんですけれども、当事者が夫婦二人ということだと、ある程度その当人同士が納得すれば、それである程度は納得できる解決方法も見出せると思うんですが、お子さん、子供がいた場合、やはり問題はその面会交流、お子さんと会いたいという、一方の親が子供を引き取っている場合、やっぱり子供のいなくなってしまった親の方は何とか会いたいということもありますし、それから養育費、引き取っている方にとっては今度養育費の問題というのが起きますね。
こうしたことというのは、調停が始まって終わったその段階で、ある程度お互い納得ずくの約束事は成立するんでしょうけれども、その後、そうはいかなくなっちゃう、いろんな事情でいかなくなっちゃうということもある。それから、調停を始める前にだっていろいろ相談きっとしたいことがあるかもしれない。別に調停に行かなくても、もしかしたらうまく二人で話し合えばお子さんのその問題というのは解決できるかもしれない。
そうした調停以外の前後、つまり前後、特に後が、やっぱりアフターフォローということが、これフォローアップが非常に大事になってくると思うんですが、そういうシステムというのは今この調停の中ではあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/45
-
046・村田斉志
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 養育費ですとか面会交流の事件につきまして、家庭裁判所において調停が成立したり、あるいは審判がされたりとした場合には、事件としてはそれで終局、終わってしまうということになりますので、裁判所が当該事件の終局後に取り決められるなどしたその養育費あるいは面会交流の履行状況を確認するといったフォローアップを行うというのは、法律上予定はされていないということになっているかと思います。
もっとも、養育費や面会交流の履行がされないといったような場合において家庭裁判所に当事者の方から履行の勧告等の申出があったときには、これは制度としてございますので、家庭裁判所はその義務の履行状況を調査して義務者に対してその義務の履行を勧告することができるというふうにされておりまして、家庭裁判所としては、そのお申出があればその履行状況を調査した上で義務者に対してその履行の勧告をするといったことをしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/46
-
047・真山勇一
○真山勇一君 やはり調停は、今いろいろ伺って、充実している面もあるというふうに思うんですね。だけれども、やっぱり家族の問題というのはそこだけで終わらなくて、特にお子さんの場合は成長をしていくわけで、その過程でやっぱりいろんな問題がまた出てくると思う。その辺のケアがやはり、まあ調停ではなかなか難しい面も私はあると思うんですね。
そこで、法務大臣にお伺いしたいんですけど、私、ちょっとこれ御覧いただくと分かりますが、オーストラリアの例なんですけれども、(資料提示)これお配りしていないんですけど、資料を。家庭紛争を解決するためのサービスというのがあって、それに対して政府が補助金を出してやっているんですね。しかも、これオーストラリアですから元々は英語の、これホームページから出したんですが、英語でいろいろ家庭の紛争、子供の問題、ここへ相談してくださいということがあるんですが、これ英語で書いてあるんですけど、オーストラリアの場合はきちっと日本語、ホームページにこうやって日本語でも出しているんです。家庭紛争の解決という、この英文を訳したものですね。FDR、ファミリー・ディスピュート・レゾリューションということらしいんです、そういうサービスをしている、しかも政府がお金を出している。こういう仕組みをつくって、子供の抱えている問題なんかをずっと継続的にケアをしていくというシステムができているんですね。
やっぱりこういうことも、これからやはり家族の問題を考えると必要な、法律を作ることも大事ですけれども、これも必要じゃないかというふうに思うんですが、その辺りの法務大臣の見解、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/47
-
048・金田勝年
○国務大臣(金田勝年君) ただいま真山委員の御指摘、お聞きをしておりました。
我が国にはオーストラリアのような、同じ制度といいますか、一つの機関あるいは組織において離婚した子供の養育費や面会交流について取決めから実施までを継続的にサポートするという制度は、我が国にはないものと承知をしております。
でも、もっとも、その養育費及び面会交流の取決めが適切に行われない場合には、その取決めが確実に履行されること、適切に行われて、取決めが、確実に履行されることは子供の利益を図る観点からは極めて重要である、委員の御指摘と同じ思いでございます。そういうふうに認識しております。
こういう観点から、私ども法務省といたしましては、平成二十八年十月から、養育費及び面会交流の重要性について分かりやすく解説をするとともに合意書のひな形を掲載しましたパンフレットを作成をいたしておりまして、全国の市区町村で離婚用の用紙を取りに来られた当事者の方々への配付を開始をいたしております。
今後も政府広報を通じて周知活動は行っていく予定でありますし、離婚後の子供の問題は重要な問題であるものとの認識しておりますので、関係機関とも連携をしながら取り組んでいきたいと、このように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/48
-
049・真山勇一
○真山勇一君 ありがとうございました。
時間が過ぎましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/49
-
050・佐々木さやか
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
先日、法務省の人権擁護局から外国人住民調査結果というものが公表をされました。私たち公明党のヘイトスピーチ問題対策プロジェクトチームでは、平成二十七年の七月に申入れを行いまして、外国人に対する差別、そうしたものの撤廃に向けて、実効性がある対策を行っていくためには各地の人種差別の実態調査というものを早急に行うべきであると、このように主張をさせていただきました。また、そうした実態調査を行うに当たっては、そうした差別についての聞き取りということもありますので、当事者に配慮をした方法で行う、また政治的中立性を担保することが重要などと、そうした点についても要望をしたところでございます。
こうした公明党の指摘も受けた上で、こういった、今回、外国人の住民に対する調査というものを行っていただいたと認識をしておりますけれども、まずこの調査の実施状況について最初に説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/50
-
051・萩本修
○政府参考人(萩本修君) 先週公表いたしました外国人住民調査ですが、これは、今委員から御指摘のありましたとおり、平成二十七年七月に公明党ヘイトスピーチ問題対策プロジェクトチームから出された要望を受けまして、平成二十八年度に法務省が公益財団法人人権教育啓発推進センターに委託をし、同センターがその調査研究事業として実施したものでございます。
これは、外国人住民の人権状況を把握し、国及び地方公共団体が行う人権啓発活動、その他の人権擁護施策をより一層充実させていく上での基礎資料とすることを目的としたものでございます。
調査事項は、日本社会における差別、偏見の有無について、外国人に対する差別的な表現について、差別や偏見をなくすための施策について等でございました。調査は、全国の地方公共団体から三十七の市と特別区の協力を得まして、我が国に住む合計一万八千五百人の外国人の方々に調査票を郵送し、郵送で回収する方法で実施をいたしました。
結果としましては、四千二百五十二人の方から回答をいただきましたので、回収率としては二三%でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/51
-
052・佐々木さやか
○佐々木さやか君 公益財団法人人権教育啓発推進センターというところへの委託という形で事業を行っていただきました。また、調査の事項などについても専門家による検討会議を設置をしていただいて、様々な観点から決めていただいたということであります。
こうした調査を行うこと自体初めてであるというふうに認識しておりますし、一定の資料として重要なもので、結果が得られたのではないかなというふうに思っております。
また、回収率について申し上げますと、二三%ということで、一定の回答をいただいておりますけれども、今回の調査に限ることではないんですが、例えばインターネットを使って簡単に回答していただけるようにするとか、今後このような調査を行うときには回収率を上げるための方策も様々と検討をいただきたいと思いますので、その点はお願いをしておきます。
そうした調査の結果としてどのようなことが分かったのかという、この調査の結果、概要について、では説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/52
-
053・萩本修
○政府参考人(萩本修君) 先ほど御答弁いたしました三つの調査事項ごとに主な回答結果を御紹介したいと思います。
一つ目の日本社会における差別、偏見の有無についてですが、過去五年間に日本で住居を探した経験がある外国人のうち、外国人であることを理由に入居を断られた経験がある人、それから、日本人の保証人がいないことを理由に入居を断られた経験がある人、これらはそれぞれ約四割でした。また、過去五年間に仕事を探したり働いたことのある外国人のうち、外国人であることを理由に就職を断られた経験がある人は約四人に一人の割合でした。さらに、過去五年間に日本で外国人であることを理由に侮辱されるなど差別的なことを直接言われた経験について、よくあるとたまにあるの回答を合計しますと全回答者中約三割でした。
二点目の外国人に対する差別的な表現についてですが、日本に住む外国人を排除するなどの差別的なデモ等を見聞きした経験について、全回答者中、テレビ、新聞、雑誌等のメディアを通じて見聞きしたと回答した人は、よくあるとたまにあるを合計しますと約四割、インターネットで見たと回答した人は、よくあるとたまにあるを合計しますと約三割、直接見たと回答した人は、よくある、たまにあるを合計しますと約二割でした。
三点目の差別や偏見をなくすための施策についてですが、全国の法務局、地方法務局で行っている人権相談窓口を知らない外国人が全回答者中八割を超えた一方で、人権相談窓口を利用したいと考える外国人は約五割でした。
以上、御紹介しましたような調査結果は、経験のある人がそうでない人よりも多く回答し調査票を返送した可能性もありますので、その辺りは差し引いて考える必要もあるかとは思いますが、全体としまして、現在の我が国社会における外国人の人権状況を示すものではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/53
-
054・佐々木さやか
○佐々木さやか君 ありがとうございました。
今お聞きいただいたとおり、やはり、例えば、外国人であることを理由に入居を断られるとか、外国人であるということを理由に就職に採用されなかったと、このように回答する外国人の方は一定程度いらっしゃるということで、そうした差別や偏見というものが残念ながら日本の社会にあるというふうに言えるのではないかというふうに思っております。
ヘイトスピーチについても調査をしていただいております。この差別的なデモ等を見聞きしたときにどのように感じたかと、こういう回答、複数回答ですけれども、不快に感じたが三九・二%、許せないと感じた一一・三%、そうした回答を始めとしまして、日本人や日本社会に対する見方が悪くなったと、このように回答する方も一五・九%と決して少なくないという状況であります。ヘイトスピーチ解消法がこの委員会の先生方の御努力で成立をいたしましたけれども、引き続きこの差別をなくしていくための施策を進めていきたいというふうに思っております。
今御説明いただいたもののうち、最後に説明していただきましたけれども、こうした差別を受けたと感じたときに、じゃ、どこに相談をするかという点が一つ重要であると思います。
そこで、こうした外国人の方たちが何か困ったことがあったとき、差別を受けたと感じたときに相談をしていただく先として、外国人のための人権相談所というところがありますけれども、この体制を充実をしていくということが重要であると思っております。
この人権相談所、現在もございますけれども、従来は対応言語が英語と中国語のみということであったり、また予約をして訪ねていってそこで直接話を聞いてもらえる場所というものも非常に少ないというふうに認識しております。こうしたやはり相談体制の充実ということについても、これは昨年の五月ですけれども、先ほど申し上げた我が党のPTでも、再度この充実強化を申し入れたところであります。
この外国人のための人権相談所の現在の体制、設置数や人員等について教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/54
-
055・萩本修
○政府参考人(萩本修君) 法務省の人権擁護機関におきましては、従来から、日本語を自由に話すことの困難な外国人からの人権相談に対応するため、外国語人権相談ダイヤルという電話相談窓口、それから外国語インターネット人権相談受付窓口を設置し、英語と中国語による相談を受け付けるとともに、全国十か所の法務局、地方法務局に、今御紹介いただきましたが、外国人のための人権相談所を設置し、日本語を自由に話せない外国人からの人権相談に応じてきたところでございます。
この三つの相談の受付体制、電話、インターネット、それから法務局、地方法務局の窓口のうち、電話と法務局、地方法務局の窓口の二つにつきましては、今年度、すなわち平成二十九年四月から民間業者が提供する多言語電話通話サービスを利用しまして、その利用者の利便性を向上するための体制の整備を行いました。
具体的には、電話による相談受付と法務局、地方法務局の窓口での相談受付につきまして、対応言語を六か国語に拡大するとともに、対応時間も延長をいたしました。また、法務局、地方法務局の窓口での相談受付につきましては、従来、全国十か所であったものを、全国五十か所の全法務局、地方法務局に拡大したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/55
-
056・佐々木さやか
○佐々木さやか君 今御説明いただいたとおり、この四月から体制を充実をしていただいております。以前は、外国人のための人権相談所、全国に十か所しかありませんでしたけれども、全国五十か所に拡大をしていただきました。また、人権相談ダイヤルについては、英語と中国語だけだったものを六言語に拡大をしたと。また、事前にいただいた説明では、対応時間についても、平日でありますけれども、時間を延長していただいて、四月からは平日の九時から十五時までということであります。このような体制の整備を行っていただいたことについては感謝を申し上げたいと思います。
ただ、例えば対応時間が平日だけということになるとお仕事をしている方も多いと思いますので、そういう場合にはインターネットも使えるかもしれませんけれども、やはり引き続き今後の相談状況などについてしっかり把握をして、改善すべき点については引き続き検討していっていただきたいと思います。
こうした体制を充実をしていただいたわけですから、利用したいという方には是非利用していただきたいと思います。先ほどの調査結果についていいましても、こうした法務局の人権相談窓口というのは認知度が非常に低くなっておりまして、そうした相談窓口があるということを知らない人が八五%を超えております。他方で、そうした窓口があるのであれば利用したいというふうに答えている方が五二・五%と大半でございまして、利用したいんだけれどもしにくいという人も合わせると六五・四%となりますので、やはりニーズというものはあるのではないかと思っております。
ですから、せっかく体制も充実していただきましたので、併せてこの認知度を上げるように広報活動についても取り組んでいただきたいと思いますが、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/56
-
057・萩本修
○政府参考人(萩本修君) 今委員から相談受付の時間について御紹介をいただきましたが、平日九時から十五時という御紹介をいただきましたが、午前九時から午後五時でして、九時から十七時で対応させていただいております。
その上で、今御質問いただいた点ですけれども、今回の外国人住民調査によりまして、全国の法務局、地方法務局で行っているその外国人向けの人権相談窓口を知らない外国人の方々も多い一方で、人権相談窓口を利用したいと考える方々も少なくないということが明らかになったと認識をしております。その意味では、今委員から御指摘のありましたとおり、こうした相談窓口の認知度を上げていく努力が求められているところというように私どもとしても改めて認識したところでございます。
今後は、その認知度を上げるための相談窓口の周知、広報の在り方を含めまして、外国人からの人権相談に関して更に改善すべき点がないか、報告書もしっかりと精査した上で検討していきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/57
-
058・佐々木さやか
○佐々木さやか君 次に、そうした相談窓口があるということの広報啓発も重要ですけれども、差別を防止するための啓発活動というものも非常に重要であります。
このアンケートの中でも、回答者の方々に差別や偏見をなくすためにどういった施策が重要かということを聞いた箇所がございまして、その中で一番割合が多かったのが、外国人の文化や生活習慣の違いを認めてお互いを尊重することを積極的に啓発することだと、こういう回答が一番多くなっております。やはり、こうした啓発活動、引き続き力を入れていただきたいと思います。
侮辱的なことを言われた経験がある方も三割いらっしゃるわけですが、その中で一番多いのが、見知らぬ人から言われたというふうに回答している方がいらっしゃいます。また、近隣の住民ということもありますし、中には公務員や公共交通機関の職員という回答もありまして、こういったことは決してあってはならないなというふうに思っております。
こうした広報、差別、偏見をなくすための広報についてどのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/58
-
059・萩本修
○政府参考人(萩本修君) 法務省の人権擁護機関におきましては、外国人に対する偏見、差別を解消し国際化時代にふさわしい人権意識を育てることを目指しまして、人権啓発活動の強調事項の一つとして「外国人の人権を尊重しよう」という標語を掲げまして、啓発ビデオの作成、啓発ポスターの作成、啓発冊子の配布等、各種の啓発活動を実施してきたところでございます。
今回の調査結果を踏まえまして、新たな啓発活動の在り方、より効果的な啓発手法等を検討しつつ、引き続き外国人に対する偏見や差別の解消に向けた啓発活動をしっかり取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/59
-
060・佐々木さやか
○佐々木さやか君 外国人ということで国籍は日本ではないかもしれませんが、地域住民の一員として実際にそこで生活をされていらっしゃるわけでありまして、地域の一員でありますので、やはり相互理解を深めていって、例えば災害が起こったときなどには協力をし合っていかなきゃいけませんし、また教育の面でも、日本で生まれて育つ子供たちは、日本で就職をして、その後も社会の一員になっていく可能性が非常に高いわけですので、そういった面からも教育というものも重要であるというふうに思います。
こうした相互理解や、地域での対立ではなくてお互いに協力をしてより良い地域にしていく、そういった観点からも、地方自治体におけるこうした外国人と地域の交流の機会を増やすための施策というものが非常に重要であると思っております。
そこで、この点について、この多文化の共生をどのように実現をしていくかについてどのように取り組んでいるのか、総務省に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/60
-
061・稲山博司
○政府参考人(稲山博司君) 外国人と地域住民の交流あるいはそういう交流等を通じました相互理解の促進につきましては、地方自治体におきまして重要な課題でございます。地域の実情を踏まえながら様々な取組がなされてきたものと承知をいたしております。
総務省におきましても、平成十八年に多文化共生推進プラン、これは国籍等が異なる人々が地域社会の構成員として共に生きていくこと、こうしたことを支援するものでございますが、これを提示いたしまして、各自治体におきまして多文化共生の推進を計画的そして総合的に実施するようお願いをしてきたところでございます。
近年、外国人住民の出身地の多様化でございますとか高齢化など、日本における外国人を取り巻く環境も変化しております。地域における多文化共生施策の更なる推進のために、全国の優良な取組をまとめました事例集をこの三月に公表したところでございます。その中でも、外国人と地域の交流の機会を増やす取組なども紹介をいたしております。
今後とも、こうしたモデルとなるような取組の普及、展開を図るなど、外国人住民の方々と地域との交流も含めました多文化共生の更なる推進に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/61
-
062・佐々木さやか
○佐々木さやか君 最後に大臣に、ちょっと時間がほとんどないので一言、こうした調査結果を受けて、又はこの外国人の人権問題についての御所見を最後に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/62
-
063・金田勝年
○国務大臣(金田勝年君) 佐々木委員の先ほどからの議論を伺っておりまして、今回の外国人住民調査につきましては、外国人であることを理由とした差別を受けたといったようなことを感じる方々が少なからずおられるということを認識をいたしました。これらの調査結果を受けて、外国人に対します不当な差別的言動、取扱いがあってはならないものだということを改めて認識をいたしますとともに、人権擁護行政を所管する法務省として、今回の調査結果を貴重な基礎資料といたしまして外国人の人権に関する施策を今後も適切に推進していきたいと、こう考えておりますのが一点。
それからもう一点は、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。日本を訪れ、あるいは日本で生活する外国人が増加することが予想されるわけであります。法務省といたしましては、こうした世界的なイベント開催を一つの推進力といたしまして、文化の多様性を認めて、そして外国人の生活習慣等を理解、尊重していく、そして偏見や差別をなくしていくための人権擁護施策を適切に推進していきたい、これが二点目であります。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/63
-
064・佐々木さやか
○佐々木さやか君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/64
-
065・仁比聡平
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
共謀罪について、政府・与党が本日午後、衆議院本会議における審議入りを強行しようとしていることは断じて許されません。
資料をお手元にお配りしていますが、「「テロ等準備罪」の対象犯罪」という政府資料にあるように、政府は、対象犯罪の合計は二百七十七個で、テロの実行、薬物、人身に関する搾取、その他資金源、司法妨害、この五つに分類されると説明をしています。この点、二枚目の資料に、朝日新聞の二月二十五日付けから抜粋をいたしましたけれども、これのみならず、メディアで一斉に、テロの実行は百十罪、薬物は二十九罪、人身に関する搾取は二十八罪、その他資金源が百一罪、司法妨害が九罪に政府は分類したと一斉に報じているわけです。
ところが、二百七十七の罪のそれぞれがどの分類に当たるのかと、私ずっと法務省に聞き続けているんですが、昨日の午後になっても説明ができないと言うわけですね。これ、大臣、一体どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/65
-
066・盛山正仁
○副大臣(盛山正仁君) 今の御質問に対してでございますけれども、テロ等準備罪の対象犯罪は、長期四年以上の懲役又は禁錮の刑が定められている罪のうち、組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定される罪を選択したその結果でございます。
このテロ等準備罪の対象犯罪は、今、仁比委員が御指摘のとおり、おおむね五つに大別できるものと考えております。すなわち、テロの実行に関する犯罪、薬物に関する犯罪、人身に関する搾取犯罪、その他資金源犯罪、司法妨害に関する犯罪ということでございます。
これらについてでございますけれども、テロ等準備罪の対象犯罪の中には五類型のうちの複数の類型に該当し得るものが少なくない上、そのようなものの中にはその類型に当たるか否かの判断が分かれ得るものもございます。このため、個々の罪につきましてそれぞれがどの分類に該当するかを網羅的にお示しすることは困難であると、そんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/66
-
067・仁比聡平
○仁比聡平君 いや、大臣、副大臣の助っ人を借りないと御答弁ができないんですか。
今、副大臣がなかなか、つまり困難だとおっしゃるわけですけれども、私、訳が分からないんですね。おおむね五分類なんておっしゃいますけれども、法務省が説明せずにマスコミが一斉にこんなふうに報道しますか。あり得ないでしょう。
どの対象犯罪をどれに分類しているか、政府が分類しているかということは、政府が、組織的犯罪集団の関与が現実に想定されるとか、それのみを限定的に規定したなどという説明に直接結び付く基本的な問題です。それを明らかにしたらですよ、大臣、それを明らかにしたら絞り込みの是非が国民的に検証されてしまう、テロ対策とは無縁な合意が広く処罰対象に当たることが明らかになってしまうから、大臣、出さないと言っているんじゃないんですか。いや、これとんでもない話ですよ。
刑事法研究者だとかテロ対策の専門家なども含めて、政府が法案提出して審議入りをやるんだと言っている以上、国会と国民にこれ説明するのが当然じゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/67
-
068・金田勝年
○国務大臣(金田勝年君) 仁比委員の御指摘に、ただいま法務副大臣から申し上げてお答えをしておりますが、それに加えまして私から、報道の根拠につきましては承知をしておりません。したがって、その点についてはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
ただ、テロ等準備罪の対象犯罪の中には、五類型のうちの複数の類型に該当し得るものが少なくないということは申し上げたとおりでありまして、そのようなものの中には、その類型に当たるか否かの判断が分かれ得るものもある、このため個々の罪につきましてはそれぞれがどの分類に該当するかを網羅的にお示しすることは困難であると、このように申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/68
-
069・仁比聡平
○仁比聡平君 よく分からないですよね。複数の類型に当たり得るものがあるんだったら、この罪はこのテロの実行類型とあるいは司法妨害類型に、これに両方当たるといって説明すればいいじゃないですか。
判断が分かれ得るものがあるというのはこれ訳が分からなくて、政府がテロの実行などに現実的に想定できるという判断をしているから二百七十七があるわけでしょう。だったらば、二百七十七の一つ一つがどうして現実的に想定されるというのか、そのことを示す上でもこれ説明しなきゃいけないでしょう。大臣、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/69
-
070・金田勝年
○国務大臣(金田勝年君) テロ等準備罪の対象となる犯罪につきましては、この法律案、本法律案の別表第四に掲げることによって明確にいたしております。
そして、テロ等準備罪においては、死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮が定められている罪のうち、組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定されるものを対象犯罪としているわけであります。
したがって、そういう組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定し得るか否かということをしっかりと検討をしておりますことも御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/70
-
071・仁比聡平
○仁比聡平君 いや、何言っているんですか、大臣。
今おっしゃっていることは、私が示している政府の説明資料に書いてありますよね。組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定されるもののみを限定的に規定したというんでしょう。別表に書いてある罪名はそれは分かりますよ。それを五つに分類した、テロの実行ほかの五つに分類したと言っているわけでしょう。だからテロ等準備罪だというんでしょう。ならば、その一つ一つがどう現実的に想定されるというのか、どう限定的に規定しているというのか、これが説明の対象じゃないですか。
自分たちが、法務省が、しっかり検討しているというふうに自分で言うだけで、対象犯罪がどう結び付いているのかを国会が、あるいは野党が質問する前提を説明しないと、これ審議の前提欠くじゃないですか。大臣、そう思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/71
-
072・金田勝年
○国務大臣(金田勝年君) 委員の御指摘に対しまして、繰り返しになりますが、テロ等準備罪の対象犯罪の中には五類型の、あると。その五類型のうちの複数の類型に該当し得るものが少なくないということ。そのようなものの中には、その類型に当たるか否かの判断が分かれ得るものもあります。したがって、個々の罪について、それぞれがこの五類型の中のどれにどのように該当するかを網羅的にお示しすることは困難であると、このように申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/72
-
073・仁比聡平
○仁比聡平君 大臣の言うとおりなんだったら、二百七十七というのは全然根拠がないということじゃないですか。現実的に想定されると、自分たちがしっかり検討したと言いながら、それを具体的に説明することはできないと言っているのと同じですよ。二百七十七もの罪を合意したからといって一挙に処罰するという法案をあなた方提出している。さも五分類でテロ対策に不可欠であるかのような看板を掲げている。けれども、個々の罪については、組織的犯罪集団の関与がどう想定されるのか、その想定がどう現実的かについて説明できないし、大臣、する気もないということですか。これ、とんでもないですよ。
与党の幹部、公明党の漆原さんですけれども、二月の二十八日の産経新聞でインタビューに答えて、こうおっしゃっています。テロ等準備罪は、東京オリンピック・パラリンピックがテロの巻き添えにならないよう国家を挙げてやろうとしていること、テロなど防止の構成要件はしっかりでき上がっている、これがなければテロは防げないという必要性について国民に分かってもらえるかどうかだというんですね。
大臣、いいですか。テロ防止の構成要件はしっかりでき上がっていると言いながら、具体的に説明できないと。これ、なぜ隠すんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/73
-
074・金田勝年
○国務大臣(金田勝年君) その罪の主体、客体、行為の態様、犯罪が成立し得る状況、そして現実の犯罪情勢等に照らして、その判断は現実的に組織的犯罪集団が実行を計画することが想定し得るか否かをしっかりと検討しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/74
-
075・仁比聡平
○仁比聡平君 いや、しっかり検討しているとか、その上で二百七十七だとか、幾ら大臣が言ったって、国会で審議ができない、質疑ができない、検証できない。刑事法の研究者だって検討できないと。そんなことで国民が納得するわけないじゃないですか。結局、大臣、いいですか、共謀罪がテロ対策のために必要で、それに限って限定したというこの言い方そのものが国民を欺く宣伝なんですよ。いやしくも、刑罰法規についてそんなごまかしは憲法が厳しく求める罪刑法定主義に反するものです。
もう一点、大臣に聞きます。二百七十七のうち、予備さえ処罰していないのに共謀を処罰するのはどれかと。つまり、現行法で未遂、予備や準備、陰謀など結果発生に至らないときは処罰規定は置いていないけれども、本法によって合意、計画を処罰しようとするものはどれなのかというこの私の問いにも、法務省はずっと答えないんですね。これ、新旧の条文照らせば分かることなのに、何で答えないのかと。これ、大臣、説明できないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/75
-
076・金田勝年
○国務大臣(金田勝年君) ただいまの御指摘に対しましては、国際組織犯罪防止条約、TOC条約の第五条は、重大な犯罪を行うことの合意又は組織的な犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方を処罰することを義務付けております。
未遂罪、予備罪又は準備罪を設けただけでは国際組織犯罪防止条約を締結できないことから、法案の作成に当たって、御指摘のような観点を踏まえながら、各犯罪について未遂罪、予備罪又は準備罪が設けられているか否かを網羅的に整理する必要がないということがその考え方になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/76
-
077・仁比聡平
○仁比聡平君 いや、条約がここでそうした説明の論拠に出てくるの、私さっぱり分からないですよ。
これまで、結果発生がしなくても処罰してきた罪がある。けれども、それを全然処罰していないものを、いきなり合意を罰しようとしているのが今度の法案になっているという指摘を厳しくされながら、その条文はどれなのかということさえ説明をしない。成案を得ても説明ができない。これ一つ取ったって、共謀罪法案の審議の前提はないということです。これを数を頼んで衆議院の審議入りをごり押しするなど、とんでもないではありませんか。
外務省に今日おいでいただきました。二〇〇七年に、自民党の条約刑法検討に関する小委員会というのがありまして、そこで対象犯罪を百二十八とか百五十一とか百六十二とかに絞る三つのパターンの修正案というのが作られています。結局、二百七十七の今回の法案でも、その三つのパターンの修正案、これ提出されていませんから骨子ということですけど、これ結局どれでも条約の担保はできるという、そんな話なんじゃないのか。当時の自民党の法務部会長だったと思いますが、小委員会の事務局長を務められた早川忠孝元衆議院議員は、あくまで小委員会限りの成案だが、当時の法務省と外務省の担当者と何度も検討して練り上げた成案だと言っているわけです。
これ、そういう対象犯罪を、どんなやつにしたって、どんな数にしたって、これ結局条約は担保できるということなんじゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/77
-
078・水嶋光一
○政府参考人(水嶋光一君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、自民党が平成十九年、法務部会に条約刑法検討に関する小委員会を設置をいたしまして、当時国会に提出されておりました組織的な犯罪の共謀罪の新設を含む法案について修正試案を作成をしたことは承知しております。ただ、その同試案は国会には提出されなかったというふうに承知をしております。
そういうことを踏まえまして、政府としてその試案に対しての立場をお答えするのは控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/78
-
079・仁比聡平
○仁比聡平君 終わりますけれども、結局テロに絞ったと言うけれども、法益保護の観点から具体的な検討をしていない恣意的な選別ではないのかと。共謀罪をつくらんがために説明を積み重ねれば積み重ねるほど、政府の説明というのは支離滅裂になっているわけです。ここであらわになっているのは、そもそも条約の義務付けだから共謀罪が不可欠だというその年来の説明自体がごまかしだったということなんですよ。
こんな法案は断固として撤回をすべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/79
-
080・秋野公造
○委員長(秋野公造君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、自見はなこ君が委員を辞任され、その補欠として松川るい君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/80
-
081・東徹
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
今日からテロ等準備罪、衆議院の方では審議入りというふうに聞いておりますので、今日はちょっとテロ等準備罪の基本的なところについて聞かせていただきたいというふうに思います。
まず、テロ等準備罪におけるテロについてでありますけれども、この法案には、テロリズム集団という文言が出てきておりますけれども、このテロリズム集団とはどういう意味なのか、まずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/81
-
082・林眞琴
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪の法案におきましてテロリズムというもののその法律の中での定義は置いておりませんが、これにつきましては、テロリズムにつきましては、政府といたしましては次のように理解しております。一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受入れ等を強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうと、このように承知しております。その意味で、今回、テロリズム集団というものを使っておるわけでございます。
その中で、このテロリズム集団というのは、このテロ等準備罪におきます組織的犯罪集団という定義を置いておりますが、この組織的犯罪集団の定義について、いかなる団体がこの組織的犯罪集団に該当するのかをより分かりやすくするための例示としてこのテロリズム集団というものを置いておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/82
-
083・東徹
○東徹君 そうしたら、組織的犯罪集団の中でより分かりやすくするためにテロリズム集団というふうなことを挙げているというふうなことでありますけれども、ただ、だとしても、それがどういったものなのかというのをきちっとやっぱり明確にしていくべきだというふうに思います。
そもそもテロとは何かということが問題になってきますけれども、三月九日のこの法務委員会においても私、前に聞かせていただきまして、二〇一三年のボストン・マラソンの爆破事件、そして二〇一五年のフランスで起こりましたシャルリー・エブド襲撃事件、これ、テロに該当するんですかというふうに聞きましたら、一般にはテロに該当するという答弁ありましたけれども、テロ等準備罪の法案との関係で、テロに該当するかどうかは法案が出された時点で答えたいという答弁でしたので、改めてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/83
-
084・金田勝年
○国務大臣(金田勝年君) 外国で発生した事案についてのお尋ねという点は申し上げざるを得ません。詳細を、その事実関係を把握していないという点はあります。でも、そうなればお答えすることが困難ということになるんですが、一般にこれらはテロと認識されているものと承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/84
-
085・東徹
○東徹君 一般に、一般にという答えになるんですけれども、やはりこういった法案を作る以上は、それが当てはまるのかどうかというのはやっぱりきちっと検証しておくべきじゃないのかなというふうに思います。
この法案ではテロリズム集団を組織的犯罪集団の例としておりますけれども、テロがどういうものかどうか分からないとテロリズム集団が何かということも明確にはならないわけでありまして、テロ等準備罪におけるテロと言える具体的な例についてお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/85
-
086・金田勝年
○国務大臣(金田勝年君) テロリズムというのは、一般に、特定の主義主張に基づいて、国家等にその受入れ等を強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうと承知をしております。
その具体例としては、平成七年に我が国で発生をしました地下鉄サリン事件、あるいは平成十三年九月十一日にアメリカ合衆国で発生しましたいわゆる九・一一事件の攻撃などがこれに当たるものと考えられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/86
-
087・東徹
○東徹君 そうしましたら、今回のテロ等準備罪でありますけれども、今まで未遂罪でなかった犯罪もこれ対象になってくるわけでありまして、例えばテロ等準備罪の対象である株主等の権利の行使に関する利益供与の罪、これ会社法の中に出てくるわけですけれども、いわゆる総会屋のこれ処罰になるわけですけれども、この犯罪には未遂罪がなくて、既遂にならないと処罰されないわけでありますね。
このような未遂処罰のない犯罪では、複数の人が犯罪を共謀し、共同して実行するという単なる共謀共同正犯の場合、既遂にならないと処罰されないわけであります。一方で、その複数人の集まりが組織的犯罪集団となる未遂や予備にとどまらず、合意と準備行為の段階で処罰されることになります。
なぜ現在の規定では未遂すら処罰されない犯罪が合意と準備行為の段階で処罰されることになるのか、特に、同じ複数人による犯罪であるにもかかわらず、単なる共謀共同正犯と組織的犯罪集団との間ではどうなのか、その理由について見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/87
-
088・林眞琴
○政府参考人(林眞琴君) テロ等準備罪におきましては、単に対象犯罪を、その対象犯罪が規定しております主体が行った計画というものを処罰するわけではございませんで、そこに一定の厳格な組織性の要件というのを課しております。すなわち、組織的犯罪集団が関与するということ、そして、それが一定の重大な犯罪の遂行の計画行為に加えて実行準備行為が行われた場合にこれを処罰すると、こういう形に定義しております、構成要件を定義しております。
そこで、ここで組織的犯罪集団といいますのは、まず、その団体の中で構成員の結合関係の基礎としての共同の目的が一定の重大な犯罪を実行する、ここに目的があるということ、さらに、これは団体でございますので、その団体の中にその団体の共同の目的、犯罪の実行の目的を実現するための組織というものが存在すること、こういったものの組織によって反復継続してそういったことが行われる、こういった組織性の要件を備えている、これが組織的犯罪集団でございますが、この組織的犯罪集団が行う計画というものを犯罪の危険性ということでどのように考えるかということでございますが、やはりこういった組織的犯罪集団が関与する犯罪につきましては、各自が任務を分担して組織の指揮命令に基づいて行われるというなどの点におきまして計画をした犯罪の実行の可能性が非常に高い、あるいは一たび実行されますと重大な結果や莫大な不正利益といったものが生ずることが多い、そういったことから、こういった組織的犯罪集団が関与する計画というものにつきましては、特に悪質で違法性が高い、また未然防止の必要性も高いということで、今回、実行の着手前の計画行為に加えまして、実行準備行為が行われた場合にも処罰するということにしたものでございます。
つまり、テロ等準備罪は、単独で行われ、あるいは組織的犯罪集団の関与のない複数人により行われる未遂行為などよりも悪質性、違法性が高くて、実行着手前の段階であっても処罰する必要性が高いと認められるので今回設けているものでございます。したがいまして、未遂罪が処罰されていない犯罪、これを対象犯罪としてテロ等準備罪の成立を考えるといたしましても、その点はこういった理由から合理的であると考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/88
-
089・東徹
○東徹君 今御答弁ありましたけれども、目的が一定の重大な犯罪等を実行することにあって、団体とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的は、意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるものというふうな話なんですけれども、それでまた指揮命令に基づいてということなんですけれども、これ総会屋というのは、これまでやっぱりそういうある一定の組織でもあるし、そして役割分担もあるし、指揮命令等もあって、それぞれが行うんじゃないのかなと、こう思っているんですけれども、そこはどうなんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/89
-
090・林眞琴
○政府参考人(林眞琴君) 犯罪の主体として、今委員が指摘された犯罪自体がそういった法律上の定義を持った犯罪の主体として限定されている、そのような形として犯罪が規定されているわけではないと考えております。したがいまして、今回は、一般に犯罪の主体が限定されていない対象犯罪、この中で重大な犯罪を選び取るわけでございますが、それらが組織的犯罪集団という法律上の定義を持った団体によって行われるといった場合に、その危険性に鑑みまして処罰をするということを考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/90
-
091・東徹
○東徹君 ちょっと分かりにくいんですが、改めてもう一度お聞きしますけれども、組織的犯罪集団と、こう認定されると、準備行為の段階で処罰される可能性が出てくるなど、テロ等準備罪においては、行為の主体が組織的犯罪集団かどうか、これ非常に重要になってくるわけでありますけれども、そこでまず組織的犯罪集団とはどのようなものなのか確認したいと思いますので、短くお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/91
-
092・林眞琴
○政府参考人(林眞琴君) 短く申し上げますれば、組織的犯罪集団とは、組織的犯罪処罰法の中で、団体の中で、その中で構成員の継続的な結合関係の基礎となっている共同の目的が一定の重大犯罪を実行することにあるということとなります。すなわち、共同の目的が一定の重大な犯罪を実行すること、これが最大の要件でございますが、組織的犯罪処罰法上の団体でなくてはいけませんので、先ほど申し上げた、この共同の目的が犯罪実行目的だけでは駄目でして、団体と言えること、すなわち団体の中に共同の目的を実行するための組織というものが存在していないと、すなわち指揮命令系統がある組織という形での実体が存在していないと組織的犯罪集団とはなりません。
こういったものの団体性それから組織性、その上で共同の目的、こういったものが全てそろって初めて組織的犯罪集団と認定されるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/92
-
093・東徹
○東徹君 そうしたら、具体的に例を挙げてお聞きしたいと思いますけれども、オウム真理教についてお伺いしたいと思いますが、オウム真理教は、松本死刑囚が一九八四年にオウム神仙の会を創設して、一九八七年、オウム真理教と改称して、一九八九年に宗教法人の認証を受けました。その後、一九八九年十一月には坂本弁護士一家殺害事件があって、一九九三年夏には上九一色村でサリンプラントの建設を始め、一九九四年に松本サリン事件、一九九五年に三月に地下鉄サリン事件が起きたわけでありまして、最初に大臣からも、オウム真理教、地下鉄サリン事件が当たるというふうな話ですけれども、政府はこれ、普通の団体が団体の性質が変わって組織的犯罪集団に一変することがあるというふうにしておりますけれども、このオウムの場合、一連の状況を踏まえて、遅くともいつの時点までに組織的犯罪集団へと一変したのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/93
-
094・林眞琴
○政府参考人(林眞琴君) まず、ある特定の団体がこの組織的犯罪集団と認められるかどうかということについては、やはり証拠に基づいて個別具体的に判断されるということ、それからまた、今オウム真理教について言われましたけれども、やはり、今回テロ等準備罪、法案を出させていただいておるわけでございますが、それのまだ存在しなかった時点の組織について、その当てはめについてはなかなかお答えできない部分があることは、申し訳ないんでございますがそのように思っております。
その上で、一般論としていきますれば、やはりこれは、まず宗教団体等がありまして、その宗教団体等がある時期に国家転覆等の犯罪実行を共同の目的としたということがまずそのような団体として認められ、かつその共同実行の、犯罪実行の目的のための組織をその団体の中に備えている、そういった事態になってきた段階では組織的な犯罪集団としての認定が可能となろうと思います。
その上で、その上で、この組織的犯罪集団の認定の時期というものについては、これは具体的に、例えばテロを行う等の行為を計画するその時点において組織的犯罪集団というものとしての存在があるのかどうか、これが認定されることでございまして、例えば当初の宗教目的の団体がその計画の時点で組織的犯罪集団として認定されるとすれば、それまでの間、どの程度の長い時間が掛かるか分かりませんが、それまでの間にその組織的犯罪集団に変わっているということが想定されるわけでございますが、どの時期に変わっているのか、どの時期に少なくとも組織的犯罪集団として変わったのかと、こういったことは、少なくともこの罰則の適用上、これは必須の要件ではございません。
したがいまして、そのことを、どの時期に変わったのかということを立証する必要はないと考えております。あくまでも、具体的に組織的犯罪集団というものがその計画の時点で認められるかどうか、これが全てその立証の対象となろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/94
-
095・東徹
○東徹君 組織的犯罪集団の認定ぐらいこれ当然できて当たり前だというふうに思うんですね、どの時点かというのは。ちょっともう時間がありませんのでこれはまたにしたいと思いますけれども、また続けてお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/95
-
096・糸数慶子
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。
いわゆる共謀罪法案を性犯罪の厳罰化の刑法改正より先行させ審議することを与党で合意いたしました。昨日、超党派の女性議員で、佐藤勉衆議院議院運営委員長に、刑法改正による性犯罪の厳罰化の早急な実現に向けた要望書を提出してまいりました。性犯罪、性暴力は魂の殺人と言われ、性犯罪の厳罰化は性暴力の被害者の悲願であり、緊急、切迫した課題であります。にもかかわらず後回しされたことを強く抗議いたします。
金田大臣は、早期実現を求める被害者の声を真剣に受け止めていらっしゃるのでしょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/96
-
097・金田勝年
○国務大臣(金田勝年君) 糸数委員の御質問にお答えをいたします。
法案審議の順序といったものは国会審議の在り方でございます。その法案審議の順序等の国会審議の在り方につきましては国会においてお決めいただく事柄でありまして、法務大臣として申し上げるべきことではないと、このように考えております。
その上で、いずれも重要な法案であるということを申し上げたいのでありますが、まず性犯罪に関する刑法の一部改正法案は、明治四十年に現行刑法が制定されて以来初めて性犯罪の構成要件等を大幅に見直すなどするという点におきまして、非常に大きな意義があるものと認識をいたしております。
また、テロ等準備罪処罰法案は、三年後に迫った東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控えた中でTOC条約の締結のための法整備として必要なものであって、テロ等準備罪を新設しTOC条約を締結することは喫緊の課題であると、このように認識をいたしております。
以上申し上げましたように、いずれも国民の安全、安心に直接に関わるものとしまして極めて重要な法案であると、このように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/97
-
098・糸数慶子
○糸数慶子君 国民の安心、安全に関わるというのであれば、やはりこの被害におののいている人たちがたくさんいるという状況を考えていきますと、この共謀罪の法案をまず議論する前にやはり刑法改正を先行させるべきだということを改めて申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
沖縄県知事による辺野古新基地建設に関する埋立承認撤回について損害賠償請求を検討しているとの金田大臣の発言がございました。大臣は、三月二十八日の閣議後の会見で、沖縄県の翁長知事が前知事の辺野古新基地建設に関する埋立承認を撤回した場合、知事に対して損害賠償請求を行うことを関係省庁と検討しているというふうに発言されました。金田大臣のこの発言に驚き、憤りさえ感じております。
米軍基地があるゆえに、沖縄県民は今でも強盗、殺人、軍用機墜落、環境破壊や騒音など、多大な不利益、損害を七十二年ずっと受けてきております。第三次嘉手納爆音訴訟では、二月二十三日、騒音が受忍限度を超えているというふうに認定され、国に過去最高の三百二億円もの損害賠償の支払が命じられました。しかし、これさえ国は不服として控訴しております。米軍基地の七四%を沖縄に押し付け、人権侵害や多大な損害で沖縄県民を苦しめておきながら、国の方針に従わないなら損害賠償請求も辞さないという態度は、かつて立ち退きに抵抗する住民を銃剣で排除し、強制的に畑や家屋を破壊した米軍の銃剣とブルドーザーをほうふつさせます。
人権を所管する金田大臣は、沖縄県民がこうした感情を抱いていることをどのように受け止めていらっしゃるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/98
-
099・金田勝年
○国務大臣(金田勝年君) ただいまの御指摘に対しまして、お尋ねの私の発言というのは今年の三月の二十八日の定例記者会見のときのものを指すのではないかと認識をいたしております。この点、その際の私の発言は、具体的な事案における損害賠償請求の検討状況を述べたものではありません。あくまで一般論として、行政の長が権限を濫用した場合の対応について申し上げたものでございます。お調べいただければ御理解できると思いますが、そういう点をまずは申し上げます。
その上で、私は、七十二年前、沖縄の地が凄惨な地上戦の場となって、また、今も沖縄の方々が大きな基地の負担を背負っているという事実を重く受け止めて、引き続き国を挙げて基地負担の軽減に一つ一つ取り組んでいかなければならないものと認識をいたしております。
私は、今後とも、沖縄のこうした歴史や県民感情等にも十分に思いをはせながら、法務大臣としての職責を果たし、より一層国民の権利擁護を図ってまいりたいと、このように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/99
-
100・糸数慶子
○糸数慶子君 県民の思いに寄り添うのであれば、先ほど申し上げましたこと、是非とも県民の心に寄り添うような発言をしていただくことを強く要望したいと思います。
次に、旧姓の通称使用の取組について、総務省にお伺いいたします。
三月九日の法務委員会で、旧姓の通称使用が自治体に十分届いていないため、政府の方針を文書等で通知してはどうかと申し上げたところですが、総務省としてはどのような対応をされたのでしょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/100
-
101・高原剛
○政府参考人(高原剛君) 御答弁申し上げます。
各地方公共団体における職員が旧姓を使用しやすい環境づくりについては、先般の委員の御指摘を踏まえ、本年三月三十日付けで各地方公共団体宛てに事務連絡を発出し、旧姓使用に関する規定等を定めていない団体にあってはこれを定めること、旧姓使用が可能である旨の職員への周知を充実させることなど、より一層の積極的な取組を要請したところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/101
-
102・糸数慶子
○糸数慶子君 今まで声を上げられずに諦めていた人が多いわけですが、沖縄の各市町村を通していろんな調査をいたしました。地方の自治体によって対応に差があることをこの調査を通して実感いたしましたが、総務省の周知徹底、いわゆるその文書での通知によって多くの自治体で通称使用が認められ、不利益を被る人たちが確実に少なくなるというふうに思います。対応していただきました結果、名護市でもすぐに対応ができるような成果が出ております。すぐに対応していただきましてありがとうございました。
続きまして、金田大臣にお伺いいたします。
所信表明で大臣が言及されました無戸籍の問題についてであります。九日、そして二十二日の法務委員会で質問ができなかったわけですが、この無戸籍の要因の一つとして出ておりますいわゆる嫡出推定規定についてでありますが、この件について改めてお伺いいたします。
最高裁判決の違憲判決があったことに鑑み、昨年、再婚禁止期間を六か月から百日に短縮する民法改正が行われました。これは、嫡出推定について定める民法七百七十二条二項を前提にすれば、前婚、後婚それぞれの間で嫡出推定の重複を避けるためには計算上百日で足りるとのその判決により法改正がなされたわけですが、一方で、再婚禁止により女性が被る支障をできる限り少なくすべきとの観点から、法務省は、離婚時に妊娠していないことが医師の証明で明らかな場合は百日を待たずに再婚できることといたしました。これは事実上の嫡出推定規定の見直しと言えます。
再婚禁止期間が百日に短縮されたことで、無戸籍問題は、後婚成立後に出生したが前婚離婚後三百日以内の推定期間に入るという事例が増えることになり、この問題が更に深刻化するとも指摘をされております。また、近時の学説によりますと、再婚禁止期間の廃止を前提として、再婚後二百日までに生まれた子供も後夫の嫡出子と推定する、あるいは推定が重なる場合にも後婚の推定を優先させるといった考え方も有力に主張されています。
この法改正では、施行後三年を目途として再婚禁止に係る制度の在り方について検討を加える旨の規定が附則に追加されました。この検討は当然、嫡出推定の見直しも論点に加わるものと理解しておりますが、この附則第二項の再婚禁止に係る制度の在り方に関する検討とは、具体的にどのような点について検討することを考えていらっしゃるのでしょうか、大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/102
-
103・金田勝年
○国務大臣(金田勝年君) 糸数委員の御指摘にお答えをいたします。
民法の一部を改正する法律、御指摘ありましたこの法律の附則におきましては、再婚禁止に係る制度の在り方についての検討は改正後の規定の施行の状況等を勘案した上で行うべきものとされておりますことから、現在はその運用状況を注視をしているところであります。
いずれ、改正後の施行状況について検証を加えた上で再婚禁止に係る制度の在り方について検討を行います。その予定でありますが、例えば再婚禁止期間の規定の適用除外事由の在り方や、それに該当するか否かの判断方法について検討することなどが考えられるものとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/103
-
104・糸数慶子
○糸数慶子君 引き続きまた伺いたいと思います。
次に、東日本入国管理センターでの死亡事件についてお伺いをしたいと思います。
これは、茨城県牛久市にある東日本入国管理センターで、三月二十五日、ベトナム人男性がくも膜下出血で亡くなりました。三月三十一日付けの法務省入管局が作成した資料には、意識、呼吸がない様子であったことから心臓マッサージをし、救急車を呼んだけれども、搬送先の病院で死亡が確認されたとあります。
現在法務省が調査中ということなので、詳しいことはその調査報告を待ってからということになりますが、関係者や報道によりますと、このベトナム人男性は亡くなる一週間前の三月十八日から職員に対して首に強い痛みがあることを訴えていたようです。対応に問題があったのではないかとも報じられております。このくも膜下出血を発症した場合、すぐに対応が必要となりますが、痛み止めの処方がされただけで部屋に戻されたということです。普通の食事ができないため、おかゆを求めたのに駄目だと言われ、亡くなる前日には収容者が痛い痛いと言っているのに、職員は静かにしろと言ったということでありますが、激痛で苦しんでいるにもかかわらずなぜ救急車を呼ばなかったのかと理解に苦しみます。
収容所個室のモニターでくも膜下出血と判断するのは難しいという医師の指摘もありますが、再発防止のためにこの事件の真相の徹底究明が必要だと考えますが、いつ頃調査結果が出るのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/104
-
105・和田雅樹
○政府参考人(和田雅樹君) ただいま委員から御指摘のございました事案についてでございますが、容体の異変を認めました後、直ちに救命措置をとるなどし、救急搬送するなどの措置をとったところでございますが、そこに至るまでの処遇上の対応などの一連の経緯について、現在、御指摘のあったとおり、調査を進めているところでございます。
調査に当たりましては、医学的知見に基づいた専門家の意見をお伺いするといったようなことも検討しておりまして、現時点においてはお尋ねの調査結果の出る時期ということを明言することはできませんが、重要な案件であるということは入管局としても認識しておりますので、できるだけ速やかに進めていく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/105
-
106・糸数慶子
○糸数慶子君 入管センターでの死亡事故はこれまで度々報告されております。
四月から常勤の医師が勤務されているということですが、医師だけではなく医療スタッフの充実や収容所内でのビデオカメラの設置状況が適切かどうかの見直しなど、再発防止のために体制の見直しが必要と考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/106
-
107・和田雅樹
○政府参考人(和田雅樹君) ただいま委員から御指摘ございましたように、医療関係、大変苦しいところがございます。
現在、先ほどの事案につきましては調査しているところでございますので、その検証結果も踏まえまして、今後とも被収容者の人権を尊重しつつ適正な処遇が行うことができるよう、必要に応じて所要の医療体制の確保に努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/107
-
108・糸数慶子
○糸数慶子君 時間でございますので終わりますけれども、調査結果が出たら改めてまたお伺いしたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/108
-
109・山口和之
○山口和之君 無所属の山口和之でございます。
今日は、昨年十一月に技能実習適正実施及び実習生保護法が成立いたしました、法の施行に向けてどのように準備を進めているのか、確認させていただきたいと思います。施行日のめどや、新しい監理団体の申請の期日等を含めどのように考えているのか、また、技能実習本体部分と新しく対象に追加された介護部分とに分けて答えていただきたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/109
-
110・和田雅樹
○政府参考人(和田雅樹君) 昨年十一月二十八日に公布されました外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律につきましては、今月の四日、関係政令の閣議決定を受けまして、本年十一月一日から施行することとなりました。現在、政省令の早期の公布に向けまして、最終の調整作業を行っているところでございます。
また、新制度におきましては、監理団体の許可制でありますとか技能実習計画の認定制の枠組みを設けているところでございまして、新たに設立されました外国人技能実習機構においてそれらの申請の受付をすることとなっております。監理団体の許可申請につきましては施行日の五か月前、技能実習計画の認定申請につきましては施行日の四か月前をめどに、それぞれ事前申請を受け付ける予定でございます。
いずれにいたしましても、法務省としましては、厚生労働省と協力しながら、制度の適正化のため、新制度の円滑な施行に向け、所要の準備を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/110
-
111・中井川誠
○政府参考人(中井川誠君) 続きまして、介護関係について御説明申し上げます。
技能実習制度への介護職種の追加につきましては、技能実習法の施行日と併せまして、十一月一日に行うこととしているところでございます。
このための省令や介護固有要件を定める告示につきましては、技能実習法の施行の二、三か月前までに公布できるよう、それを目指して準備を進めているところでございます。
職種追加の省令でございますとか介護固有要件を定める告示の公布の後に、技能実習計画の認定や監理団体の許可の申請を受け付けることとしているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/111
-
112・山口和之
○山口和之君 そうしますと、本委員会で附帯決議でも、技能実習生のいわゆる転籍、実習先の変更について人権保護の観点から取組が求められていたと思います。この点、主務省令の案ではどのように考えているのか、お答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/112
-
113・和田雅樹
○政府参考人(和田雅樹君) まず、現状でございますが、現行の指針におきましては、技能実習生の責めによらない事由によって技能実習が継続困難となった場合に転籍が認められるということにしております。
この点につきまして、先般の法案審議の中で、現行の指針では、技能実習の継続が困難になったことについて、技能実習生本人に少しでも責任があれば転籍を認めないようにも解釈されるのではないかというような点でありますとか、基準として不明確であり、実際の運用とも整合していないのではないかといったような御指摘を受けたところでございます。
そこで、新制度では、こうした指摘でございますとか、先ほど御指摘をいただきました附帯決議の内容も踏まえまして、技能実習生が実習先の変更を求めることについて、やむを得ない事由、事情があると認められる場合には変更を認めるということを主務省令に明記することを予定しております。
また、技能実習法では、実習実施者や監理団体は、技能実習を行うことが困難になったときには、技能実習の継続のための措置を主務大臣に届けなければならないとされているところ、主務省令におきましては、届出事項として、技能実習を行わせることが困難となった事由並びにその発生時期及び原因、技能実習生の現状、技能実習の継続のための措置などを定めることを予定しておりまして、その内容を踏まえまして、主務大臣や外国人技能実習機構において必要な支援をきめ細かく行うことを考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/113
-
114・山口和之
○山口和之君 技能実習というのであれば、本人の希望で途中変更ということも可能であるような体制を是非検討していただきたいと思います。
同じく、附帯決議で送り出し機関の適正化について措置を求められていると思うんですが、主務省令の案ではどのように考えておるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/114
-
115・和田雅樹
○政府参考人(和田雅樹君) 附帯決議で求められております送り出し機関の適正化につきましては、主務省令において、送り出し機関の要件といたしまして、手数料の徴収に当たって算出基準を明確に定めて公表するとともに、当該費用を技能実習生に対して明示して十分に理解させること、保証金の徴収や違約金契約を行わないこと、技能実習生に対する暴行、脅迫等の人権侵害を行わないことなど、十項目にわたる基準を定めることを予定しております。
こうした基準によりまして、不適正な送り出し機関を排除してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/115
-
116・山口和之
○山口和之君 そうすると、その送り出し機関の人材をあっせんする、いわゆる送り出し機関の前のブローカー等の適正化についてどのような処置をとって適正化を図っていくのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/116
-
117・和田雅樹
○政府参考人(和田雅樹君) 一口にブローカーと申しましても、その関与の仕方は様々であると考えられますが、主務省令では、技能実習計画の認定を基準といたしまして、相手方を問わず、技能実習生等が保証金を徴収されたり違約金の約束をしないことを求めるということを予定しております。したがいまして、保証金の徴収等の不適正な行為を行う者が関与している場合には技能実習計画は認定されないということになりますし、さらに、こうしたことが事後的に判明しましたならば、当該計画の認定が取り消されるということになります。
また、主務省令では、外国の送り出し機関以外で技能実習生となろうとする者の外国における準備に関与する外国の機関を外国の準備機関と定義した上で、外国の準備機関又はその役員が、過去五年以内に技能実習計画の認定を受けさせる目的などで偽変造文書や虚偽文書を行使していた場合には、技能実習計画の認定を受けられないこととする予定であります。
さらに、団体監理型技能実習につきましては、技能実習計画の認定の申請の際に、技能実習生や技能実習生となろうとする者が、外国の準備機関に支払う費用につき、その額及び内訳を十分理解して合意していることを明らかにする書類の提出を求めることを予定しております。
新制度におきましては、こうした仕組みを利用しながら、不適正な形で技能実習に関与する者の排除に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/117
-
118・山口和之
○山口和之君 是非とも実習生が保護されるように働きかけていただきたいと思います。
次に、介護技能実習については、N3程度の日本語や介護技能の基礎を現地である程度教育してから日本の監理団体や実施機関に紹介するというビジネスとかが最近登場しているわけですが、そういったものは、適正に行われれば、これは好循環として起こることも期待できるんですが、実習生の保護の観点からこうしたビジネスもチェックすることができないかというふうにも思うんですが、その辺について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/118
-
119・和田雅樹
○政府参考人(和田雅樹君) 技能実習生になろうとする者からの技能実習に係る求職の申込みを監理団体に取り次ぐためには、主務省令で定めます外国の送り出し機関の要件に適合していなければならないというのがまず第一でございます。したがいまして、仮に委員の御指摘のような事業者が、外国の送り出し機関の要件に適合しないにもかかわらず監理団体への取次ぎを行っているというような場合には、技能実習法に違反するものとして排除されるということになります。
また、先ほども申し上げましたように、外国の準備機関というものを定義しておるわけでございますが、技能実習計画の認定の申請の際に、技能実習生や技能実習生になろうとする者が外国の準備機関に支払う費用につきましてその額及び内訳を十分に理解して合意していることを明らかにする書類の提出を求める予定にしておりますので、例えば委員の御指摘のような事業者が十分な説明をしないで技能実習生から費用を徴収するというようなことがないよう、適切に審査してまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/119
-
120・山口和之
○山口和之君 ただ、適切に稼働すれば、実習生の教育をしっかり行って日本に来ていただくということになると、受入れ側の日本としても非常にいいですし、場合によっては、帰国、自分の国に戻ったときに、介護に就くこと、働くことができるようになったり、これ、非常にいいことだとも思いますので、是非そこら辺の支援あるいはチェック体制等々も頑張っていただきたいと思います。
最後に、平成二十八年の外国人技能実習における不正行為について、先月、法務省から発表がありました。実習生の受入先の不正行為は三百八十三件で、前年よりも十三件増えていると。現在の制度になった二〇一〇年以降では最多ということです。新制度の効果が出る再来年の調査ではこの数が大幅に減ってゼロに近づくというふうに考えてよいのかということを大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/120
-
121・金田勝年
○国務大臣(金田勝年君) 山口委員の御質問にお答えします。
技能実習法では、監理団体の許可制や技能実習計画の認定制を導入しまして、その許可や認定、さらにそれらの取消し等に関する主務大臣の権限を定めるなど、監理団体や実習実施者を直接規制することができる枠組みを構築しております。あわせて、技能実習生からの相談、申告への対応、そして援助といった技能実習生保護業務をきめ細かく行っていくことにいたしております。また、政府間取決めによりまして送り出し国や送り出し機関による技能実習生に対します制度趣旨の周知徹底を求めることにいたしております。
こうしたことを通じまして、不適正な監理団体や実習実施者をしっかりと排除をしていき、制度運用の適正化を図っていきたい、このように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/121
-
122・山口和之
○山口和之君 是非ともウイン・ウインの関係が構築できるように、新しい法律が施行されるようになったときには、まあその前からもしっかり取り締まっていただきたいと思いますけれども、是非アジア諸国に貢献できるような日本になっていただきたいと思います。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/122
-
123・秋野公造
○委員長(秋野公造君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/123
-
124・秋野公造
○委員長(秋野公造君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。金田法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/124
-
125・金田勝年
○国務大臣(金田勝年君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明をいたします。
この法律案は、下級裁判所における事件の適正かつ迅速な処理を図るため、判事の員数を増加する等の措置を講じますとともに、裁判所の事務を合理化し及び効率化することに伴い、裁判官以外の裁判所の職員の員数を減少しようとするものでありまして、以下その要点を申し上げます。
第一点は、民事訴訟事件及び家庭事件の適正かつ迅速な処理を図るため、判事の員数を五十人増加し、判事補の員数を二十三人減少しようとするものであります。これは、判事の定員を二十七人増員するとともに判事補の定員から判事の定員へ二十三人の振替を行うことにより、執務態勢の強化を図ろうとするものであります。
第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数を三十五人減少しようとするものであります。これは、民事訴訟事件及び家庭事件の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判所書記官を二十四人増員し、並びに事件処理の支援のための体制強化及び国家公務員の女性活躍とワーク・ライフ・バランス推進を図るため、裁判所事務官を十七人増員するとともに、他方において、裁判所の事務を合理化し及び効率化することに伴い、技能労務職員等を七十六人減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所の職員の員数を三十五人減少しようとするものであります。
以上が、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/125
-
126・秋野公造
○委員長(秋野公造君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315206X00420170406/126
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。