1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成二十九年三月十七日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第九号
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平成二十九年三月十七日
午前十時 本会議
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第一 雇用保険法等の一部を改正する法律案(
趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315254X00920170317/0
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001・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) これより会議を開きます。
日程第一 雇用保険法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
本案について提出者の趣旨説明を求めます。厚生労働大臣塩崎恭久君。
〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315254X00920170317/1
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002・塩崎恭久
○国務大臣(塩崎恭久君) ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
急速な少子高齢化が進展する中で、就業促進や雇用継続を通じた職業の安定を図り、誰もが安心して活躍できる環境の整備を進めることが我が国の重要な課題となっています。また、基本手当の給付日数を延長する等の暫定措置の期限が今年度末までとなっております。
こうした状況を踏まえ、雇用保険の失業等給付の拡充、失業等給付に係る保険料率の暫定的な引下げ、職業紹介事業等の適正な事業運営を確保するための措置の拡充、子育てと仕事が両立しやすい就業環境の整備等を行うこととし、この法律案を提出をいたしました。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
第一に、雇用保険制度について、離職者の実情に応じた失業中のセーフティーネットの確保や労働者の職業能力の向上等に取り組むため、若い世代の基本手当の所定給付日数の拡充、教育訓練給付等の拡充を行うとともに、災害により離職した方等の給付日数の延長を可能にすることとしています。
また、平成二十九年度から平成三十一年度までの間、暫定的に、失業等給付の保険料率の引下げを行うとともに、失業等給付等の国庫負担について国庫が負担することとされている額の百分の十としています。
第二に、職業紹介等に関する制度について、その機能強化と求人情報等の適正化を図るため、ハローワーク等が労働関係法令違反の求人者等からの求人を不受理とすることができる制度の強化、虚偽の求人申込みに係る罰則や募集情報等提供事業に係る指導監督権限の創設を行うとともに、求人票等で明示した労働条件を変更しようとする場合等に、変更内容等の明示義務を課すこととしています。
第三に、育児休業制度について、男女共に働きながら子育てができる環境を整備するため、子が一歳六か月に達するまで育児休業をしてもなお雇用の継続のために特に必要と認められる場合には、子が二歳に達するまで育児休業ができることとし、あわせて、育児休業給付の給付期間の延長を行うこととしております。
最後に、この法律案は、一部の規定を除き、平成二十九年四月一日から施行することとしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315254X00920170317/2
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003・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。太田房江君。
〔太田房江君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315254X00920170317/3
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004・太田房江
○太田房江君 自由民主党の太田房江です。
私は、自民・公明を代表し、ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
安倍内閣は、二〇二〇年頃までに名目GDP六百兆円を達成する目標を掲げ、これに向けて一億総活躍社会の推進を進めています。そして、一億総活躍社会を実現するための最大のチャレンジは働き方改革です。
今回の改正案は、就業促進や雇用継続を通じた職業の安定を図ることで、この働き方改革を進める非常に大切な法案です。政府には、今回の改正で、この働き方がどのように変わり、どのようなメリットがあるのかということについて分かりやすく説明をしていただきたいと思います。
まず初めに、失業等給付に係る保険料率の引下げの効果について伺います。
アベノミクスの成果による失業率の低下や雇用増により、雇用保険の財政状況等は良好です。失業等給付に係る積立金は、平成二十七年度決算で約六兆四千億円となっています。
この成果を還元する趣旨で、昨年も雇用保険法の改正により保険料率を〇・八%へと引き下げましたが、今回の改正では暫定的に更に〇・六%へと引き下げます。これにより、働く人々の手取り収入は増加をいたします。失業率が下がり、雇用が増え、手取り収入が増えるという経済の好循環を実感いたします。
また、雇用保険料は労使折半ですから、企業側も保険料負担が軽減されることになります。この分が設備投資や賃上げに活用されれば、今後更に経済の好循環が加速化されると考えますが、この効果について、塩崎厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。
続けて、失業等給付の拡充に関連して伺います。
今回の改正では、雇用機会が不足している地域に居住する方に対し、基本手当の給付日数を六十日延長する暫定措置が五年間実施されます。これは、景気回復の波を全国津々浦々に広げ、地方創生を後押しする意味でも重要な取組です。
一方、地域や業種によっては人手不足も心配です。四十七都道府県の有効求人倍率は全てで一倍を超えていますが、業種によっては人手不足状態にあると思われる数字となっており、例えば、介護関係業種は全国平均で三・五倍、またトラック運転手も二・二四倍と高水準です。
人手不足を背景に、外食産業では営業時間を短縮する動きがあり、物流業界でも再配達や時間指定配送の仕組みを変更し、賃金も上げようという企業が現れています。超過勤務規制など労働環境を改善する動きは、働き方改革を進め、生産性向上を牽引する上でも好ましいことです。しかし、この動きに円滑に対応できるのは業界のトップ企業であり、中小零細企業は取組が遅れがちで、結果として、全体で見ると雇用需給のゆがみが大きくなることも懸念されます。
このような雇用需給の不均衡について、一億総活躍社会実現の全体像の中でどのように捉え、どのように対応されようとしているのか、加藤担当大臣にお伺いをしたいと思います。
雇用保険関連でもう一つお伺いをいたします。
雇用保険料の積立金の安定性は、健全な経済成長に支えられていることは申し上げるまでもありません。そして、この経済成長は、我が国の事業所数の九九・七%、従業員数では七〇%を占める中小企業が支えています。この成長と分配の好循環を持続させるためには、中小企業の労働生産性を一層向上させ、賃上げできる体力を付けていくことが重要と考えます。
労働関係助成金制度では、生産性の向上を図る企業に対して助成の割増し等を行うこととなっていますが、仮に生産性の伸びが大きくない場合でも、金融機関の事業性評価を活用して判断することになっています。しかし、金融機関は中小企業の融資に対して厳しい対応を取ることが多いとの不満を耳にすることも依然多く、本当に財務データや担保、保証に必要以上に依存することなく、事業内容や成長可能性などから適正に判断できるのかという懸念がございます。
アベノミクスにおいて地方創生と並んで大切な中小企業の生産性の向上をしっかりと後押しできるよう、この助成金の割増し等を適切に運用していくための工夫について、厚生労働大臣にお伺いをいたします。
次に、仕事と育児や介護との両立支援についてお伺いをいたします。
多様な経験を持つ人々が活躍する企業は、ユニークな製品やサービスを生み出す力が高いと言われています。我が国の産業の強みは、このような消費者の視点に立って考えるところにあり、このことは、子育てや介護の経験を持つ方々にも当てはまります。子育てや介護の経験があったからこそ、その立場に立った製品を生み出すことができたという事例はたくさんございます。このような方々が活躍できる環境をつくることは、我が国の成長にもつながることになるわけです。
子育てや介護をしている方々も安心して働くことができる、職に戻ることができるという環境ができれば、安心して子育てや親の介護にも踏み出すことができる、そんな好循環をつくり出すことが大切です。
今回の雇用保険法の改正案でも、保育所の入所時期との関係で、原則一歳まである育児休業を六か月延長しても保育所に入れない等の場合には、更に六か月、つまり二歳まで延長できるようになり、また、この延長にあわせて、育児休業給付の支給期間も延長できることになっております。これにより、キャリアを継続したいと考えている方々の不本意な離職が防止できます。
そこで、厚生労働大臣にお伺いをいたします。この六か月の再延長ですが、職場の雰囲気が再延長しにくいということであれば、その効果が半減してしまいます。育児休業の取得促進の環境づくりのためにどのように企業に働きかけていくおつもりでしょうか、お聞かせください。
最後に、出産などを機に離職した方々の再就職支援について伺います。
現代は、技術革新の急速な進展により、僅か数年のうちに仕事に求められるスキルが変わっていく時代です。この変化に遅れることを心配して、子育てを諦めたり、介護のために離職したりする方々もおられます。離職後、資格を持っているがブランクが心配で現場に復帰したくてもできないという看護師、保育士、介護士さんなどの方々がたくさんいるともお伺いしています。有能な方々が活躍できないのはもったいない話です。
今回の雇用保険法の改正で教育訓練給付が拡充されることにより、就業ニーズの高い分野において、高度かつ実践的なスキルの習得を目的とする講座の増設などが期待されています。
厚生労働大臣に、今後も出産などを機に離職した方々の再就職に向けた支援に全力で取り組んでいくという決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315254X00920170317/4
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005・塩崎恭久
○国務大臣(塩崎恭久君) 太田房江議員にお答えを申し上げます。
保険料率の引下げの効果についてのお尋ねがございました。
近年の雇用情勢の改善により、雇用保険の被保険者数が増加するとともに、受給者も減少傾向にあるため、雇用保険財政は安定的に推移をしております。このため、昨年の引下げに加えて、平成二十九年度から三十一年度までの三年間に限定して保険料を引き下げることといたしました。これによりまして、昨年の引下げと合わせると、労使それぞれ約三千五百億円の負担軽減が図られ、このことが消費の底上げや企業の経営力強化につながることを強く期待をいたします。
労働関係助成金の運用につきましてお尋ねがございました。
生産性を高めていくことは働く方の職業の安定にもつながると考えられることから、生産性の向上を図る企業に対して労働関係助成金の割増しを行うことによって、こうした企業を積極的に支援をすることとしております。
この生産性の判定に当たっては、地域の企業の経営状況を的確に判断をし、育成していく使命のある金融機関の知見を活用することが有効であり、金融機関が各企業について行う事業性評価の結果を参考とすることが適当であると考えております。この取組を進めるに当たりまして、助成金の支給事務を行う労働局と金融機関との間で密接な連携を図ることにより、企業の生産性が伸びる可能性を適切に判断してまいります。
育児休業の取得促進についてのお尋ねがございました。
厚生労働省では、これまでも、事業主向け説明会や事業所訪問等により育児休業制度について周知啓発を行ってまいりました。また、昨年の育児・介護休業法の改正では、事業主に対して育児休業取得に対するハラスメント防止措置を新たに義務付け、本年一月より施行されております。
これらに加え、今回の法案では、事業主が育児休業の対象となる方を把握したときは、その方に個別に取得を勧奨する仕組みを設けることとしております。これらの施策により、引き続き育児休業を取得しやすい職場環境づくりに取り組んでまいります。
出産などを機に離職をされた方の再就職支援についてのお尋ねがございました。
今回、教育訓練につきましては、専門実践教育訓練給付の支給割合を最大六〇%から七〇%に引き上げ、離職後に受給できる期間を現行の最大四年から最大十年に延長するとともに、子育て中の女性が土日、夜間でも受講できる講座を増設をする等の拡充を行うこととしております。
また、教育訓練以外にも、平成二十九年度予算では、復職に積極的な企業を支援する助成金を創設することとしています。これらの取組により、出産などを機に離職した方の再就職や学び直しを支援してまいります。(拍手)
〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315254X00920170317/5
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006・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 太田房江議員より雇用需給の不均衡に対する取組についてのお尋ねがございました。
アベノミクスにより雇用情勢が大きく改善する中で、介護関連職種やトラック運転手などの分野において人手不足といった課題があると認識はしております。
議員御指摘の中小零細企業への取組については、下請法や独占禁止法の違反が疑われる場合に、その取締りを通じて長時間労働を是正する仕組みを構築するなど、関係省庁が連携して総合的な支援を進めているところでございます。また、中小零細企業における人手不足の問題に対応するため、ハローワークでのきめ細かなマッチング支援、職業訓練の実施、職場の魅力を高めるための雇用管理改善への支援などの取組を進めております。
こうした足下の人手不足への対応も含めて我が国の活力を維持していくためには、女性、高齢者など潜在的な働き手の方々に労働参加をしていただくことが極めて重要であり、ニッポン一億総活躍プランを具体的に実現していくことが求められております。
そのための最大のチャレンジが働き方改革であります。働き方改革については、昨年九月以来、働き方改革実現会議において、中小企業を含めた労使のトップや有識者にお集まりをいただき、働く人の立場、視点に立った議論を重ねております。同一労働同一賃金の実現、長時間労働の是正、柔軟な働き方の実現など幅広い分野について、三月に実行計画を取りまとめ、働き方改革を強力に推進してまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315254X00920170317/6
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007・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 石橋通宏君。
〔石橋通宏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315254X00920170317/7
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008・石橋通宏
○石橋通宏君 民進党・新緑風会の石橋通宏です。
ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、会派を代表して質問いたします。
本題に入る前に、学校法人森友学園に対する国有地の異常格安売却問題に関して一言申し上げるとともに、塩崎大臣に一点質問いたします。
森友学園問題については、連日のように新たな問題や疑惑が発覚し、政府答弁のうそや矛盾も次々と明らかになっていたところですが、今週に入り、稲田防衛大臣が国会で虚偽答弁をしていた事実が発覚するとともに、昨日は、山本委員長始め本院予算委員会理事の皆さんが現地を視察訪問していたところ、籠池理事長御本人より、安倍総理からの寄附金が学園側に提供されていたとの発言がなされました。
これを受け、三月二十三日に衆参両院で籠池理事長の証人喚問を行うことで自民党と民進党の国対委員長間で合意に至ったとのことです。遅過ぎた感はありますし、疑問も多々ありますが、真相究明に向けての第一歩として歓迎したいと思います。
政府に対しては、本件について国会に対する説明責任を負うているのは政府の側であることを改めて指摘しておきたいと思いますし、特に、安倍総理におかれましては、その先頭に立って国民の疑問や疑念を払拭するための努力を誠実に尽くしていただくことを強く要請しておきます。
その上で、塩崎大臣にお聞きします。
森友学園の籠池理事長が代表を務めている社会福祉法人肇國舎が運営する保育園において、児童虐待を疑わせる行為があった可能性や、助成金、所長設置加算約一千万円が不正受給されていた疑いが明らかになっています。現状、大阪市が調査に着手したとも伝えられていますが、国費が投入されている保育園で児童虐待や巨額の不正受給があったとすれば、これはゆゆしき事態であります。国としても徹底調査が必要だと考えますが、塩崎大臣、現時点でどこまで問題を把握し、今後どのような方針で対処するおつもりか、答弁をお願いします。
それでは、本題に入ります。
初めに、雇用保険法改正案に関連して質問します。
まず、塩崎大臣に、雇用保険法第一条の目的に鑑みて、現状、労働者の生活及び雇用の安定がどのような状態にあり、どのように問題があると認識しているのか、確認を求めたいと思います。
安倍総理は、繰り返し、有効求人倍率が上昇し、失業率が低下していることをもって雇用は良くなっていると言い続けています。しかし、有効求人倍率の上昇が、求職者、とりわけ若者たちが、自らの希望にかなう、給料のいい、質の高い、安定的な雇用に就けていることを表しているのでしょうか。多くの地方都市では、むしろ、労働力人口の減少や若者の都会への流出によって求職者数が減少し、求人を出しても人が集まらず、特に、介護や保育、農林漁業や水産加工、建設や物流などの現場で人手不足が一層深刻化して、それが結果として統計上の有効求人倍率を押し上げているのが実態なのではないでしょうか。
求人があっても、不安定かつ低賃金な非正規の雇用ばかりであったり、正規の職であっても、仕事の価値や労働の量に見合う賃金が保障されていない雇用が中心なのであれば、ミスマッチが広がるばかりで、労働者の生活及び雇用の安定には程遠いはずですし、そのような問題認識に立てば、今回の雇用保険法改正案はもっと違う中身になったのではないかと思いますが、塩崎大臣の見解をお聞かせください。
次に、雇用保険制度における国庫負担の在り方について質問します。
初めに、昭和二十二年の雇用保険制度創設時に国庫負担が法定化された立法趣旨と、当初、その負担割合が三分の一とされたことの理由を教えてください。
その上で、昭和三十四年に本則が四分の一となり、平成四年以降は一時期を除いて負担率が本則より更に引き下げられる暫定措置が常態化しているわけですが、当分の間の措置としながら減額が恒常化していることが国庫負担の立法趣旨に鑑みて正当なのかどうか、大臣の説明を求めます。
そして、本法案は、その国庫負担率を、本則の何と十分の一に減額します。これは国民の雇用の安定に対する政府の責任を放棄するものではないかと、その姿勢を疑わざるを得ませんが、およそ国庫負担が法定化されている他の制度において、その負担率が本則の十分の一にまで引き下げられた例が存在するのか、そして今回、いかなる理由でこの大幅な政府責任の後退が正当化されるのか、答弁をお願いします。
加えて、本則からの減額措置で浮かせた財源が年間幾らで、それが一体何に使われてきたのか、そして、今回の十分の一への引下げで生じる約一千億もの財源が今後三年間一体何に使われるのか、説明をお願いします。
法案では、三年に限った措置としていますが、減額がまた延長される懸念が拭い切れません。十分の一減額措置が延長されることなど絶対にないことを明言してください。また、法案には、暫定措置そのものを、その後できるだけ速やかに廃止すると書かれていますが、三年後には直ちに本則に戻すべきであり、この点も明確に約束をお願いいたします。
次に、特定受給資格者に対する所定給付日数の延長について質問します。
本法案では、倒産や解雇等による離職者の一部についてのみ延長を提案していますが、なぜこの一部のみ給付日数を延長するのか、説明をお願いいたします。
結果、対象者以外の離職者については給付日数の改善がなく、特に自発的離職者については、平成十二年及び十五年の改正で大幅に引き下げられている水準が今後も続きます。積立金に余裕があるのであれば、まず真っ先に、自発的離職者等について少なくとも引下げ前の水準に戻すべきですし、それ以外の離職者についても、ヨーロッパの先進諸国並みの水準を目指して給付日数の拡充をすべきだと思いますが、塩崎大臣の見解を求めます。
続いて、特定理由離職者に対する所定給付日数の拡充について質問いたします。
今回、雇い止めによる離職者など特定理由離職者に対する所定給付日数を、倒産や解雇による離職者と同様に扱う暫定措置が、更に五年間の暫定措置として提案されています。この暫定措置は、平成二十一年、リーマン・ショック後の厳しい雇用情勢を踏まえた対策として三年間の暫定で導入され、その後、暫定延長が繰り返されてきたわけですが、政府はこの拡充措置の政策効果をどのように評価しているのか、教えてください。
現状、雇用全体に占める有期雇用契約の割合が非常に大きくなっている中で、更新継続を希望しても雇い止めとなるケースは今なお多発していると思いますが、政府はその実態をどのように把握しているのでしょうか。常に雇い止めのリスクにさらされている多数の有期雇用労働者のことを考えれば、むしろこの拡充措置こそ恒久化すべきだと思いますが、塩崎大臣の見解をお示しください。
次に、教育訓練給付に関連して質問します。
本法案では、専門実践教育訓練に係る給付の拡充が提案されています。まず、この施策がいかなる位置付けで行われているのか、対象者と到達目標も併せて御説明ください。
この教育訓練給付は、国庫負担のない、労使折半による財源で行われています。だからこそ、雇用保険の本来目的である本体給付とこの訓練給付とのバランスを欠いてはなりません。そもそも、これらの教育訓練は、政府の責任において一般財源で行われるべきですし、もし政府の主張どおり雇用情勢は良くなっているのであれば、専門実践教育訓練を雇用保険制度の下で恒久化するのは政策の整合性がないと思いますが、塩崎大臣の見解を求めます。
次に、雇用保険二事業への留意事項の追加について質問します。
今回、二事業に、労働生産性の向上に資するものという留意事項を付すことが提案されていますが、その効果、狙いは一体何なのでしょうか、何を基準にこの生産性向上を図るのでしょうか、説明を求めます。
そもそも、労働関係助成金には、雇用調整助成金や特定求職者雇用開発助成金など、雇用の安定を守るために大切な役割を果たしている、しかし生産性要件にはなじまないものが存在しています。法案では、全ての事業に生産性要件が掛かってしまうように読めますし、そうであれば政策としては不適切だと思いますが、塩崎大臣の見解をお願いいたします。
次に、職業安定法改正案の関連で二点質問いたします。
一点目は、労働条件の変更等の明示の義務化についてです。
今回、変更の明示の義務化が提案されたことは評価しますが、問題はその時期です。例えば、変更の明示が入社の直前でも構わないのであれば、特に新卒入社の場合、不満があっても受け入れざるを得ません。一体いつの時点までに、またいかなる方法で変更の明示が行われるべきなのか、見解をお示しください。
二点目は、求人申込み不受理の対象範囲と確認方法についてです。
本法案では、不受理の対象者について、労働に関する法律の規定であって政令で定めるものとしていますが、いかなる規定が対象に含められる予定でしょうか。また、その中に先ほどの労働条件変更の明示義務の違反も含まれるべきだと考えますが、政府の方針を御説明ください。
なお、求人者が不受理の対象になっていないかどうか、ハローワーク等が求人者に報告を求めることができる規定になっていますが、実効性確保のためには、必ず報告を求め、虚偽報告は処罰できるようにすべきだと考えますが、塩崎大臣、見解をお示し願います。
最後に、育児休業法改正案に関連して質問いたします。
今回、育児休業の二年までの延長が提案されています。まず確認しますが、現状、育休期間を一年半まで延長取得されている方々は何人で、一年半では足りず、仕事を辞めざるを得ない方々、つまり、今回の延長で直接救済される方々は何人おられるのか、事実を是非教えてください。
今回、この延長を提案するに当たって、政府は、当事者の皆さんにヒアリング調査などを行ったのでしょうか。その結果として、当事者の皆さんの多数が二年までの延長を希望されたのでしょうか。当事者の皆さんの希望は、待機児童を一刻も早く解消することではなかったのでしょうか。塩崎大臣に説明を求めたいと思います。
結局、育休二年を利用するのはほぼ女性労働者になってしまうのではないかと思われますが、そうなれば、ますます女性をキャリアから遠ざけ、男女間格差を広げてしまいます。であれば、これは安倍政権が標榜する女性の活躍と明確に矛盾する政策だと思われますが、塩崎大臣、政策の整合性を是非明確に御説明ください。
ちなみに、政府は待機児童ゼロの達成時期目標を先送りしたと理解していますが、では、育休を二年まで延長した後、必ず保育所が見付かって職場復帰できる保障があるのかどうか、併せて確認をお願いいたします。
以上、法案について質問させていただきました。
私は、残念ながら、現下の雇用情勢は決して良くなってはいない、それどころか、過去二十年にわたって続いてきた雇用の質の劣化がいまだに続いていると考えています。働けど働けど安心して暮らすことができない多くの労働者たち、仕事に就いても将来に希望を持てず結婚や出産をためらってしまう若者たち、ダブルワークやトリプルワークで一生懸命働いても子供に満足な食事すら与えることができない一人親家庭の皆さん、政治は一体何をやっているのかと悔しくてなりません。
今政治がやるべきは、アベノミクスは成功している、雇用は増えている、有効求人倍率は過去最高だなどと表層的な自画自賛を繰り返すことではありません。雇用の質の改善を最優先課題と位置付け、労働者保護ルールを強化し、再分配機能を再構築して、教育や能力開発を含む人への投資を拡大し、真に労働者のための働き方改革を実現することであり、私たち民進党はその先頭に立って全力で取り組んでいく決意を申し上げ、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315254X00920170317/8
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009・塩崎恭久
○国務大臣(塩崎恭久君) 石橋通宏議員にお答えを申し上げます。
保育園における不適切な保育や不正受給についてのお尋ねがございました。
御指摘の保育園に対しましては、指導監督権を持つ大阪市において、不適切な保育や不正受給を行っていないかなどの実態を把握するため、三月中に立入検査を実施する予定と聞いております。その調査結果を踏まえて必要な対応を検討してまいります。
現下の雇用情勢を踏まえた雇用保険法の改正内容の妥当性についてのお尋ねがございました。
アベノミクスにより、正規雇用の増加、不本意ながら非正規の職に就いておられる方の割合の低下、賃金の緩やかな増加等、労働者の生活及び雇用の安定が図られてきております。このような中、リーマン・ショック時に創設をされた暫定措置の期限が到来すること、雇用保険財政が安定的に推移をしていることを踏まえ、労働政策審議会で議論を行いました。
その結果を踏まえ、若年層の所定給付日数の拡充、雇い止めされた有期雇用労働者に対する暫定措置の延長、賃金日額の引上げ等、労働者の生活及び雇用の安定といった視点に立って更なる見直しを行うこととしております。
雇用保険制度の国庫負担の在り方についてのお尋ねがございました。
失業が国の経済政策、雇用政策と関係が深く、政府もその責任を担うべきとの考え方により、関係する労使と国の三者で負担を等分することとしており、制度創設当初に三分の一の国庫負担が法定をされております。平成十九年度以降、国庫負担の割合は暫定的に本来の五五%となっておりますが、こうした国庫負担についての基本的な考え方は変わっておらず、今回の法案でも、できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止することを法律附則で明示をしております。
他の社会保険制度において同様に国庫負担が引き下げられている例は承知していませんが、今回の引下げは、雇用保険制度の安定的な運営を確保できることを前提としており、三年間に限定して行うものであり、国庫負担の基本的な考え方を変更するものではございません。
仮に、二十八年度予算における五五%のベースの国庫負担について、本則に割り戻した場合との差額を計算をすれば約一千二百億円となります。また、今回の二十九年度予算における十分の一への引下げで生じる財源は約一千百億円でございますが、これは一般会計予算全体の中で適切に使われるものと承知をしております。
繰り返しになりますが、今回の国庫負担の引下げは、三年間に限定をし、時限的に行うものでございます。引下げを三年間に限り行うことは法律上明記をされております。国庫負担の本則復帰についても、法律上明記しているとおり、平成三十二年度以降、その実施に向けてできる限りの努力をしてまいりたいと考えております。
所定給付日数の拡充についてのお尋ねがございました。
倒産、解雇等により離職した方のうち、被保険者期間が一年から五年の三十歳から四十五歳の層につきましては、所定給付日数内での就職率が他の層と比較して低くなっていることを踏まえ、給付の拡充を行っております。さらに、基本手当を拡充することは、早期再就職のインセンティブを弱め、かえって再就職を阻害することにもつながりかねないとの意見もあることから、慎重な検討が必要と考えております。
雇い止めによる離職者等に対する暫定措置の評価と恒久化についてのお尋ねがございました。
御指摘の暫定措置については、リーマン・ショック後の急激に悪化をした雇用失業情勢等に鑑み設けられたものであり、そのような状況下では離職者のセーフティーネット機能の強化に役立ってきたと考えております。この暫定措置については、雇い止めによる離職者は減少傾向にあること、他方で、非正規の仕事で働く方が増加傾向にあることを踏まえて、引き続き暫定措置として今後の推移を見極めることが適当であると考えております。
専門実践教育訓練給付の拡充についてのお尋ねがございました。
専門実践教育訓練給付は、能力の向上により、より安定した雇用を希望する方が、資格取得等を通じ、これを実現することを目標に実施をしております。今回の改正案におきましては、就業促進や雇用継続を通じた職業の安定を図るため、失業給付について必要な手当てを行うとともに、働く方の職業能力の開発、向上が今後ますます重要となってくると考え、専門実践教育訓練給付を雇用保険法に基づく恒久措置として拡充をしたものでございます。
生産性要件についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
急速な少子高齢化が進展をする中で、働く方の能力を向上させ、生産性を高めることが雇用の安定にもつながることから、生産性の向上を後押しする理念を雇用保険法に明記をいたしました。生産性の向上は、助成金を申請する事業所の決算書等から導き出される雇用保険被保険者一人当たりの付加価値額の伸びや、金融機関による事業性評価の内容等に基づいて評価をいたします。
一方、御指摘のように、経済上の理由により事業を縮小せざるを得ない企業への支援や就業が困難な方々の就労支援のための助成金など、生産性の向上を求めることが必ずしもなじまないものにつきましては、これを要件とすることは考えておりません。
労働条件の変更等の明示義務につきましてのお尋ねがございました。
今回の改正で新たに義務化をする労働条件の変更等の明示については、労働契約を締結をする前に行わなければなりません。その上で、働く方の保護の観点からは、労働条件が確定した後可能な限り速やかに行い、働く方の考える時間が確保されることが望ましいと考えております。明示の方法は、書面の交付か電子メールによることとする予定でございます。新卒者につきましては、採用内定時に労働契約が成立するというケースもあり、事案に応じて適切に明示を行う必要があるものと考えております。
求人の不受理についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
今回の改正による求人不受理の対象のうち労働関係法令違反を繰り返す事業主等の範囲は、若者雇用促進法における対象を参考としつつ、労働条件の変更等の明示義務違反も含め、改正法施行までの間に検討をしてまいります。
ハローワークでは、求人不受理の対象に該当するかどうかについて事業主に対して必ず報告を求めます。また、職業紹介事業者も事業主に対して報告を求めるべきであると考えております。事実と異なる報告を行った事業主には勧告を行い、勧告に従わない場合はその旨を公表できる規定を新設をし、厳正に対処をしてまいります。
育児休業の再延長の必要性、女性活躍との関係、待機児童ゼロとの関係などについてのお尋ねを頂戴をいたしました。
今回の改正内容は、公労使の代表から成る労働政策審議会において、雇用均等基本調査や昨年行いました保活の実態に関する調査等の各種調査も踏まえつつ御議論をいただきました。その中で、保育園等を利用できないために離職せざるを得ない方が一定数存在をしておりますことから、これを防ぐ緊急的なセーフティーネットとして育児休業の再延長が求められました。また、待機児童問題に引き続き取り組むことが確認をされました。
育児休業期間の再延長に当たりましては、女性に育児の負担が更に偏り女性活躍の取組に逆行することのないよう、男性が積極的に育児をすることも重要と考えております。今回の改正案においても、事業主が育児休業の対象となる方に個別に取得を勧奨する仕組みを設けるとともに育児目的休暇を新設をするなど、男性の育児休業取得を促進するための措置を講じております。
また、これらにあわせて、育児休業からの復帰を希望する時期に子供を預けられる環境を整備するため、保育の受皿を確保し、待機児童ゼロを絶えず実現することを目指してまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315254X00920170317/9
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010・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) 片山大介君。
〔片山大介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315254X00920170317/10
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011・片山大介
○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。
私は、我が党を代表して、雇用保険法等の一部を改正する法律案について質問させていただきます。
少子高齢化と人口減少が進む中、労働生産性を高めるとともに、雇用の安定を図り、子育てや介護をしながら就労もできる環境を用意することは、国民の福祉に資するだけではなく、経済成長や財政再建のためにも必要です。また、限られた財政資金を経済状況に応じて効率的に利用することも求められます。
今回の改正案はこうした目標に向けた一歩だと思いますが、あるべき働き方の実現を加速するため、以下に質問いたします。
まず、雇用保険の保険料率などの引下げについてお尋ねします。
最近の雇用指標の改善により、労働保険特別会計では、フローでの剰余金もストックでの積立金も膨大な額に上っていて、その有効活用が課題となっていました。我が党は、こうした観点から、繰り返し雇用保険の保険料率と国庫負担率の引下げを訴えてきました。
改正案で、保険料率は去年に続いて二年連続で引き下げられたこと、そして一般会計からの国庫負担も引き下げられたことについては評価します。一方、今後の給付と負担のバランスの検討に当たり、積立金の規模に関する判断基準の明確化や労使双方への更なる説明も必要と考えています。
雇用保険も社会保険なので、責任準備金に相当するストックが必要なのは理解できますが、その規模は適正なものであるべきです。現在の基準では、積立金残高などが失業給付費の二倍を超える場合に雇用保険料の引下げが可能となっています。今回の改正では、平成三十一年度の積立金残高が給付の二倍程度となり、三年間の引下げなら安定的な運営が維持される見込みとしています。
この二倍という数字の根拠は何なのか、保険数理などの考え方から導かれたものなのか、厚生労働大臣にお伺いします。あわせて、雇用保険制度について、給付と負担のバランスという点から、資金の更なる効率利用の余地がないかどうか、御所見を伺います。
次に、雇用保険の適用についてお尋ねします。
日本型雇用の慣行が変化しつつある中、複数の職場における労働者であるマルチジョブホルダーも増加傾向にあります。現行法令では、一か所で週二十時間以上の契約で労働する人が雇用保険の適用を受けますが、例えば、三か所で十時間ずつ、週の合計で三十時間という労働者は雇用保険の資格要件を満たすことができません。
総務省の調査によると、平成二十四年時点で百五万人に上っていて、このうち雇用保険が適用されない人はおよそ二十九万人と推定されています。また、全雇用者のうち、副業をしている人の数を本業の所得階層別に見ると、二百九十九万円以下の階層が全体のおよそ七割を占めているなど、低所得者層においては兼業せざるを得ない現状があります。
不安定な就労環境の中、失業の不安を抱きながら働かざるを得ない労働者にセーフティーネットが張られていないことはゆゆしき問題だと考えます。政府として、マルチジョブホルダーへの雇用保険適用について具体的にどのような対策を検討されるのでしょうか。
また、世界的にシェアリングエコノミーが拡大する中、誰もが個人事業主になる可能性が広がりつつあります。こうした新しいビジネスモデル、新しい就労モデルに対して、日本の雇用保険制度はどのように対応し、セーフティーネットとしての機能を充実させるのでしょうか。厚生労働大臣の御所見を伺います。
次に、専門実践教育訓練給付についてお尋ねします。
この給付制度は、個人の主体的な能力開発や中長期的なキャリア形成を目的としていますが、今回の制度拡充は、この訓練給付制度に係る事業成果を定量的、定性的に把握した上で決定されたのでしょうか。具体的にどのような効果が新たに期待できるのか、厚生労働大臣の御所見をお尋ねします。
続いて、労働基準監督業務について伺います。
本法案では、一定の労働関係法令の違反を繰り返す求人者などの求人を受理しないことなど、ハローワークについての求人段階でのルールの厳格化が求められています。いわゆるブラック企業対策としてこれらの対応は必要と考えますが、ブラック企業に限らず、日本企業ではまだまだ労働法令の遵守が十分ではありません。
我が党は、去年の臨時国会で、労働基準監督署等の業務民間委託・職員配置適正化法案を提出しました。公権力の行使に当たるもの以外の事務を原則として民間事業者に委託すること、それによって労働基準監督官が臨検、強制捜査などの業務に専従できるよう、集中配置に向けて必要な措置を講ずるとしています。残念ながら、審議されずに廃案となりましたので、今国会でも、先週の九日、その他の百本の法案とともに再提出しました。
一方、最近になって開かれた規制改革推進会議で、労働基準監督業務の民間活用タスクフォースの設置が決まりました。会議では、労働基準監督官の業務の一部を、社会保険労務士など民間に委託できないか検討することが提案され、今後、答申に向けた作業が進められるとのことです。
厚生労働大臣に伺います。労基署の業務につき、今後、民間委託を広げる余地はどの分野でどの程度あるとお考えなのでしょうか。さらに、民間委託を含めた効率化を前提とした上で、労働基準監督行政への予算、人員について、今後一層の充実を図るおつもりはおありでしょうか。
次に、育児休業に係る制度の見直しについて伺います。
今回、育児休業の最大二歳までの延長を可能にし、あわせて、育児休業給付の支給期間も延長する改正案が提案されています。しかし、実際のところ、この制度を利用できる環境にある人は限られていると思います。特に、働く女性の六割弱は非正規雇用です。非正規の女性にとって、育休を取っても復帰できると考えている人は少ないと思います。
取得の要件は、この一月から緩和され、一年以上の雇用継続に加え、子供が一歳半になるまでに契約が更新されないことが明らかな場合は駄目などとなっています。しかし、非正規を含めた有期雇用の人たちの八割が契約期間が一年以内です。そして、更新回数も一回だけという人が二割近くいます。こうした人たちに対して、働きながら安心して子供を産み育てられると自信を持って言えるのでしょうか。
そこで、伺います。育休制度を非正規雇用の女性にとってもっと利用しやすい制度にできないのでしょうか。そして、いまだに二%台にすぎない男性の育児休業の取得率を上げることにもっと積極的に取り組むべきではないでしょうか。二〇二〇年度までに男性の育休取得の目標は一三%、これは可能なのかどうか、併せて厚生労働大臣の御所見を伺いたいと思います。
我が党は、あらゆる国民が性別や年齢によらず、生き生きと働けるように、雇用の安定を図り、経済成長を実現し、将来世代により良い未来を築くことを目指していきます。
以上をお約束して、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315254X00920170317/11
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012・塩崎恭久
○国務大臣(塩崎恭久君) 片山大介議員にお答えを申し上げます。
雇用保険の積立金の目安の根拠とその効率利用についてのお尋ねを頂戴いたしました。
雇用保険の積立金は、雇用情勢が悪化した際にも安定的な給付を行うためのものでございます。積立金の水準については、労働政策審議会での議論の結果、保険料率の弾力条項発動の要件である倍率が二倍程度を一つの目安としていくべきとの考え方が示されたことに基づくものでございます。今回の雇用保険料や国庫負担の引下げについては、雇用保険制度の安定的な運営の確保の観点を踏まえ、最大限の措置として、三年間に限定して行うものでございます。
マルチジョブホルダーへの雇用保険適用についてのお尋ねをいただきました。
いわゆるマルチジョブホルダーに雇用保険を適用するに当たりましては、複数の事業主の下での労働時間をどのように把握をするのか、また、仮に適用するとして、何をもって失業と判断をするのかといったような問題を解決する必要がございます。今後は、専門家による検討会を設置をし、働き方の実態も踏まえた上で具体的な検討を進めてまいります。
新しい就労モデルに対する雇用保険制度の対応についてのお尋ねがございました。
雇用保険制度においては、失業者が早期にその自立につながる事業を開始した場合には再就職手当の対象とするなど、御指摘のような新しい就労モデルも踏まえた対応を行っております。今後とも、こうした働き方に対する諸施策の動向等も見つつ、必要に応じた検討をしてまいります。
専門実践教育訓練給付の拡充についてのお尋ねがございました。
少子高齢化が進展する中で、我が国が持続的に成長をしていくためには、働く方の職業能力の開発、向上に取り組むことが重要でございます。そのような中で、専門実践教育訓練給付についての受給者アンケートによれば、希望の職種、業界で就職できる旨の回答が七割を超えるなど、肯定的な意見をいただいております。今回の見直しにより、働く方々のキャリア形成を更に支援をしてまいりたいと考えております。
労働基準監督業務の民間委託と労働基準監督行政の予算、人員の充実についてのお尋ねがございました。
昨日、規制改革推進会議において、労働基準監督業務の民間活用タスクフォースが開催をされ、労働基準監督官の業務の一部を民間に委託できないかとの提案を受けたと聞いております。労働基準監督署では、現在も、平日夜間や休日の電話相談窓口やインターネット上の求人情報等の監視等を民間委託するほか、社会保険労務士等の民間人材も非常勤職員として活用しながら、効率的な業務の遂行に努めております。いずれにしても、今後、タスクフォースの構成員の御意見を伺いながら、どのようなことができるか、議論を深める必要があると考えております。
また、長時間労働の是正を始め、事業場の監督指導に当たる労働基準監督官の確保は重要だと考えており、厳しい行財政事情の中、平成二十九年度は五十人増員されることとなっております。さらに、平成二十九年度予算案では、先ほどの民間委託の費用を含め、労働基準監督行政に係る予算額は総額で約二十四億円となっており、今後とも、必要な人員と予算の確保に最大限努めてまいります。
男性の育児休業取得率の目標についてのお尋ねがございました。
これまでも、男性の育児休業の取得促進に向けて、イクメンプロジェクトや企業に対する助成等を行ってきたほか、昨年の育児・介護休業法の改正では、事業主に対し、育児休業取得に対するハラスメント防止措置を新たに義務付けております。加えて、今回の法案では、事業主が育児休業の対象となる方を把握したときは、その方に個別に取得を勧奨する仕組みを設けることとしております。
これらの施策などにより、二〇二〇年までに男性の育児休業取得率を一三%にするという政府目標の達成に向けて、引き続きしっかり取り組んでまいります。(発言する者あり)
失礼をいたしました。
非正規雇用で働く方の育児休業についてのお尋ねがございまして、大変失礼をいたしました。
昨年の育児・介護休業法の改正では、有期労働契約で働く方の育児休業の取得要件を緩和をし、本年一月より施行をされております。これにより、引き続き雇用された期間が一年以上である方であれば、労働契約の更新回数に上限がある場合など雇用関係が終了することが確実と判断される方を除いて、育児休業が取得できることとなっております。
この要件緩和を事業主や働く方に周知徹底をし、非正規雇用で働く方がその希望に応じて育児休業を取得できるように取り組んでまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315254X00920170317/12
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013・伊達忠一
○議長(伊達忠一君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/119315254X00920170317/13
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