1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年三月二十四日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
三月十八日
辞任 補欠選任
本田 顕子君 山本 順三君
三月二十二日
辞任 補欠選任
山本 順三君 本田 顕子君
三月二十四日
辞任 補欠選任
羽生田 俊君 自見はなこ君
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出席者は左のとおり。
委員長 山田 宏君
理 事
石田 昌宏君
小川 克巳君
川田 龍平君
山本 香苗君
田村 まみ君
委 員
衛藤 晟一君
自見はなこ君
島村 大君
そのだ修光君
羽生田 俊君
比嘉奈津美君
藤井 基之君
古川 俊治君
本田 顕子君
三原じゅん子君
石垣のりこ君
打越さく良君
福島みずほ君
森屋 隆君
秋野 公造君
竹谷とし子君
足立 信也君
石井 苗子君
梅村 聡君
倉林 明子君
国務大臣
厚生労働大臣 後藤 茂之君
副大臣
厚生労働副大臣 古賀 篤君
厚生労働副大臣 佐藤 英道君
事務局側
常任委員会専門
員 佐伯 道子君
政府参考人
内閣官房新しい
資本主義実現本
部事務局次長 三浦 章豪君
総務省統計局長 井上 卓君
厚生労働省大臣
官房高齢・障害
者雇用開発審議
官 奈尾 基弘君
厚生労働省健康
局長 佐原 康之君
厚生労働省職業
安定局長 田中 誠二君
厚生労働省雇用
環境・均等局長 山田 雅彦君
厚生労働省社会
・援護局長 山本 麻里君
厚生労働省年金
局長 高橋 俊之君
厚生労働省人材
開発統括官 小林 洋司君
参考人
日本年金機構理
事長 水島藤一郎君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/0
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001・山田宏
○委員長(山田宏君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
雇用保険法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省職業安定局長田中誠二君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/1
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002・山田宏
○委員長(山田宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/2
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003・山田宏
○委員長(山田宏君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
雇用保険法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に日本年金機構理事長水島藤一郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/3
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004・山田宏
○委員長(山田宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
また、明二十五日に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/4
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005・山田宏
○委員長(山田宏君) 異議ないと認めます。
なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/5
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006・山田宏
○委員長(山田宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/6
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007・山田宏
○委員長(山田宏君) 雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。後藤厚生労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/7
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008・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が雇用に大きな影響を与える中、雇用の安定と就業の促進を図ることが重要な課題となっています。また、雇用保険財政の安定運営を図るため、その費用負担について所要の措置を講ずるなどの必要があります。
こうした状況を踏まえ、失業等給付の特例の継続、求人メディア等のマッチング機能の質の向上、地域のニーズに対応した職業訓練の推進等の措置を講ずるとともに、雇用保険について、保険料率の暫定的な引下げ、機動的な国庫負担の仕組みの導入等を行うため、この法律案を提出いたしました。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
第一に、雇用保険制度における失業等給付について、雇い止めによる離職者等に係る基本手当の給付日数の特例及び教育訓練支援給付金制度等を継続するほか、離職後に事業を開始した者に係る基本手当の受給期間の特例を創設するとともに、公共職業安定所長が受講を指示する公共職業訓練等の対象に求職者支援制度に基づく訓練を追加することとしています。
第二に、職業安定法における募集情報等提供事業について、その機能強化と事業運営の適正化を図るため、労働者になろうとする者に関する情報を収集して行う募集情報等提供事業に係る届出制の創設や、募集情報等提供事業を行う者に対する求人等に関する情報の的確な表示等の義務付けを行うとともに、必要な指導監督規定の整備等を行うこととしています。
第三に、職業能力の開発及び向上の促進のため、地域の実情に応じた取組が適切かつ効果的に実施されるよう、都道府県の区域ごとに関係者による協議会を組織する仕組みの創設等を行うこととしています。
第四に、雇用保険財政について、令和四年度の保険料率を激変緩和のため引き下げるとともに、雇用情勢や雇用保険財政に応じ、失業等給付に係る国庫負担を機動的に行える仕組みを導入するなどの措置を講ずることとしています。
加えて、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国庫負担の特例措置を継続するとともに、積立金から雇用安定事業費に充てるために借り入れた金額について、一定の範囲内で返済の猶予を可能とするなどの措置を講ずることとしています。
最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和四年四月一日としています。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。
御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/8
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009・山田宏
○委員長(山田宏君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/9
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010・川田龍平
○川田龍平君 立憲民主党の川田龍平です。
雇用保険法の質疑に入る前に、一点確認しておかなければいけないことがあります。
これ、先日、与党の幹事長、政調会長が、現役世代の賃金低下が来年度の年金支給額に影響を及ぼしているということで、年金受給者に対し一律五千円の給付金を支給すべきとの申入れを総理に行ったと聞いています。しかしながら、平成二十八年の年金改革法により、年金のマイナス改定時には現役世代の賃金変動に合わせることを徹底するとしたのは当時の与党だったのではないでしょうか。令和四年度の年金額改定はマイナス〇・四%となりますが、この制度見直しがなければ、物価変動と同じマイナス〇・二%にとどまっていたことになります。
なぜこの改革を行ったのかを、まず年金局長に答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/10
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011・高橋俊之
○政府参考人(高橋俊之君) 来年度の年金額改定、今先生御指摘のとおり、前年度までの賃金、物価の動向を反映してマイナス〇・四%となってございます。
これは平成二十八年改正の施行に伴うものでございますけれども、この平成二十八年の改正、賃金スライドを徹底する、また、キャリーオーバー制度を導入したものでございますけれども、これは、公的年金制度を将来世代の負担が過重なものとならないようにしながら、一方で長期的な給付と負担のバランスを確保すると、そういうためにこういう仕組みを設けて年金を支給していくという改正をしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/11
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012・川田龍平
○川田龍平君 これ、思い起こせば、当時強行採決で通した法案でした。
そして、年金の支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とすると、それがこの改正のポイントということでしたが、現役世代の賃金が下がり年金額も下がってしまった、だから年金受給者に給付金を配ろうというのでは、これはもうばらまき以外何もないんですが、与党が自分たちで決めたルールを無視することにほかなりません。完全に論理が破綻しています。
申入れを行った幹部議員の一人からは、現役世代の賃金が上がっても年金受給者に効果が出てくるまではタイムラグがある、そういった説明があったとも聞いています。しかし、現役世代の賃金が上がったとしても、マクロ経済スライドという仕組みがある以上は年金額はそう簡単には上がりません。しかも、平成二十八年の年金改革法では、キャリーオーバーという仕組みが新たに導入されています。
確認ですが、これ、政府が進める賃上げ政策がうまくいき、来年度の現役世代の賃金が上がった場合に、再来年度の年金額が全く同じ水準で引き上がるのか、この点についても年金局長に答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/12
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013・高橋俊之
○政府参考人(高橋俊之君) 令和五年度の年金額改定率がどうなるかでございますけれども、これ、令和四年の物価変動率と令和四年の名目賃金変動率から、令和五年度のマクロ経済スライド調整率と、それから令和四年度からのマクロ経済スライド調整率のキャリーオーバー分、これを名目額を下らない、下回らない範囲で調整して改定率を求めることになってございます。
このうち令和四年の名目賃金変動率につきましては、令和元年度から令和三年度までの三年間の実質賃金上昇率の平均に令和四年の物価変動率を乗じて算出すると、こういうことになってございまして、令和四年度の賃金が仮に上昇した場合につきましては、令和六年度から令和八年度の年金額に反映されるという仕組みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/13
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014・川田龍平
○川田龍平君 非常にこの物価スライド、キャリーオーバー、そういった制度がある中で、今本当にこの年金の額がなかなか上がりにくいと。
我が党も、今後は長期にわたって基礎年金水準の低下が見込まれている中、年金の最低保障機能を強化するべく提言を行ってきました。特に長引くコロナ禍により賃金の低下や出生率の低下が続いており、次回の財政検証では極めて厳しい将来見通しが示されることを大変危惧しています。
報道によりますと、昨年秋のあるシンポジウムで高橋年金局長が、次回の財政検証では、比較的経済が好調なケース三のような場合でも所得代替率五〇%を割り込むおそれがあると発言したと聞いています。この報道は事実でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/14
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015・高橋俊之
○政府参考人(高橋俊之君) 今の先生の御指摘、昨年十一月三十日、年金の日のシンポジウムにおきます私の発言かと思います。
次の財政検証、令和六年の公表を予定してございますけれども、直近の出生率の推移を見ますと、前回の財政検証で前提とした出生率と比べて低く推移してございます。したがいまして、次の将来推計人口の結果次第では、年金の財政にとってマイナスの影響を与える要因となるというふうに考えてございます。
こういった状況を踏まえますと、次の財政検証では、経済成長と労働参加が進むようなケースでも、将来の所得代替率、すぐということではないんですが、将来の所得代替率が五〇%を下回るという試算になるというおそれがあるということを一つの可能性として申し上げたものでございます。
一方で、年金財政、賃金、物価、積立金の運用利回りといった経済の要素、労働参加の状況など、出生率以外の様々な要素からの影響も受けますので、出生や経済の動向につきまして引き続き注視をしながら、次期財政検証に向けて着実に準備を進めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/15
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016・川田龍平
○川田龍平君 今の局長答弁からも分かるように、政府・与党に求められているのは、今の年金制度の問題点を真正面から議論して、年金の最低保障機能をいかに高めるのかという観点ではないでしょうか。
ただ単に、年金額が下がるからといって選挙前にこの給付金を配るということであれば、選挙目当てのばらまきと言われても仕方ありません。大臣は、この件どう受け止めて、今後どのように対応されるおつもりか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/16
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017・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 先日、自民党、公明党の幹事長、政調会長より、年金生活者等に対する臨時特別の給付金の支給について申入れをいただいたところでございまして、政府全体としては検討を、物価等の状況等も見ながら進められるものというふうに承知をいたしております。
大臣としてはここの答弁まででやめるべきかもしれませんけれども、新型コロナの影響による賃金の低下によって年金額がマイナスになって、そして、賃金が上がってもそれが反映されない年金生活者の皆さんに対して何らかの措置をとるという趣旨での与党からの申入れだというふうに思いますけれども、そうしたことも踏まえて、今後政府でしっかり検討させていただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/17
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018・川田龍平
○川田龍平君 検討、何でも検討総理大臣から、検討するということで、検討する、またそれをやめるとかもういろいろ、本当にもう、押し付け合っているとかいろいろ聞いていますけれども、本当にこれ、国民が苦しんでいる状況は変わりません。物価高に苦しむのは、これ年金受給者だけではありません。特に賃金低下と物価高で直撃を受けるのは、ワーキングプアと呼ばれる非正規雇用労働者なども同様です。
我が党は、この既に支援を受けている住民税非課税世帯以外で困窮度を深める方々への給付を行うコロナ困窮労働者給付金法案を既に衆議院に提出しておりますが、与党に対しても、まずはこの法案の審議を優先すべきと申し上げておきます。大臣からも是非この法案の審議を与党に促していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/18
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019・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 法案の審議については国会における委員会の差配にお任せをしているわけでございますけれども、立憲民主党がコロナ困窮労働者給付金法案を提出したことはもちろん承知をいたしております。
厚生労働省においても低賃金で働く方々への支援を講じておりまして、無料の職業訓練と月十万円の給付金を支給する求職者支援制度について、働きながらでも制度を利用できるように収入要件を緩和する特例措置や、新型コロナの影響によって収入が減少した方に対して緊急小口資金などの特例貸付けによる支援を実施しております。
このほかにも、最低賃金の引上げ、賃上げしやすい環境整備、キャリアアップ助成金の活用等による非正規雇用から正規雇用への転換等の支援、そうしたことも講じておりまして、低賃金で働く方々に対してしっかり支援を行ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/19
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020・川田龍平
○川田龍平君 是非、この法案も、参議院に送られてきた場合には迅速に審議すべきと申し上げておきます。よろしくお願いいたします。
次に、雇用保険の質問に入ります。次に、雇用保険料率の引上げに関して、一問大臣にお伺いします。
これちょっと通告していなかったかもしれません。先進諸国の中で唯一我が国だけが過去三十年間で賃金が上がっていません。なぜ賃金が上がらない状況が続いているのか、なぜ賃金が三十年間上がらない状況が続いているのか、まず大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/20
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021・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 賃金が上がらない理由というのは、我が国の経済政策の課題にとっても最も重要な課題であるというふうに思っています。
やはり、生産性、労働生産性含めて、それが上がっていないということが大きな原因だと思いますし、それから、もう一つ言えば、コストをそのままマークアップして売値に乗せていく、しっかりと付加価値を確保しながら、賃上げをするためのコストをきちんと、コストカットに向けてしまうのではなくてそれを売値に乗せていくこと、そうしたしっかりとした付加価値に基づく値付けを行っていく、そういうこともやっぱり社会としては必要なことだろう、そのことによって賃金がしっかりと担保できていく、そういうことだろうというふうに思います。
今後とも、経済政策全般としてしっかりとした政策をやって、パイを大きくしていくこととともに、そうした企業行動や社会の認識を変えながら、我々は内需を中心にして賃金を引き上げて経済を良くしていく、そういう道に進んでいく必要があると思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/21
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022・川田龍平
○川田龍平君 やはりこの三十年間といいますと、やっぱり非正規労働者の数が非常に増えたこと、それから女性の賃金の格差の問題、もう本当に根本的なやっぱり問題がまだ解決されていないことが原因にあるんではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/22
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023・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 分析的に申し上げると、まさに委員の御指摘のとおりだというふうに考えております。
女性の就労が増えました。そのことはいいことですけれども、今はまだ女性の就労が非正規のパートみたいなものに偏っているという事態のままですと、一人当たりの賃金が減っていくということが事実上生じてしまいます。そうしたことも含めて、働き方に合わせて、やはり賃金の形あるいは就労の形態をしっかりと実質的な目でチェックしていく必要があるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/23
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024・川田龍平
○川田龍平君 是非、この賃金アップのためにできることというのは、本当に経済対策としてしっかりやっていかなければいけないと思いますが、その根本的なところの解決をやっぱりしていかなきゃいけないというふうに思います。
先月七日に内閣府が発表した日本経済二〇二一から二〇二二のこのミニ経済白書では、一九九〇年代以降、企業の売上高が伸び悩む一方で、利益が相対的に増加してきたのは経営の合理化によるものと解釈できるとしています。他方で、その利益は労働者ではなく株主配当として分配され、国内での設備投資に充てられることもなく企業の内部留保として積み上がってきたとも指摘しています。
岸田政権では、この悪循環を打開するために、税制面での優遇を中心とした対応に踏み出していることは承知しています。しかし、この日本の多くの企業、特に経営体力に乏しい中小企業の多くは赤字経営であり、税制優遇による対応では効果がありません。特に中小企業にとっては、黒字、赤字関係なく一律で納付が求められている社会保険料の負担が極めて大きくなっています。
年金、医療、雇用保険料の引上げは成長と分配の好循環とは真逆であり、賃金停滞という悪循環を招く原因の一つとなっているのではないでしょうか。大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/24
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025・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 雇用保険財政が極めて厳しい状況にある中、保険料率の見直しに当たっては、実際の費用負担者である労使も参画した労働政策審議会の報告書も踏まえて、令和四年度における激変緩和措置を講じることとしております。
雇用保険制度は、労使から広く御負担をいただいた保険料を元に、雇用を失った方への失業給付や業況が苦しい企業への雇用調整助成金の支給といった再分配を行う機能を有しておりまして、単純に負担増の観点からのみ論じられるべきものではないというふうに考えております。
保険料等の安定的な財源に基づいて雇用保険制度の有する機能が最大限発揮されることによりまして、国民の生活と雇用の維持、継続的な能力開発や生産性の向上などが図られ、これが国民の所得水準の確保、向上をもたらすという、成長と分配の好循環の実現に資することになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/25
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026・川田龍平
○川田龍平君 今回の保険料引上げは、飲食・宿泊業、観光業、本当にコロナの下で、コロナ下で特に厳しい影響を受けている企業、労働者にとって大変厳しいものです。その点指摘して、法案の審議の方にもまた移ります。
現在、雇用保険臨時特例法により、新型コロナウイルス感染症等の影響による離職者に対して基本手当の給付日数を延長できる特例措置が設けられています。本法案では、緊急事態措置が終了し一定期間が経過した場合には、求職活動に対する新型コロナウイルス感染症の影響も相当程度減少すると考えられるとして、緊急事態措置が終了してから一年が経過した都道府県においてはこの特例措置を適用しないとする見直しが行われることになります。
この特例措置については、令和三年においても毎月三万人から五万人が新規適用者となっていましたが、本年四月以降、都市部を除く大多数の県がこの特例措置の適用対象から外れることになります。
厚生労働省においては、本年四月以降の新規適用者数の影響、これどのように想定されていますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/26
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027・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 今般の改正において、今御指摘がありましたように、新型コロナウイルス感染症に係る延長給付について、緊急事態措置が終了し一定期間が経過した場合には、その影響により求職活動が制限され給付金の延長が必要となるような状態も相当程度減少すると考えられるため、緊急事態措置の終了から一年経過時を終期とすることとしております。
なお、本改正については経過措置を設けておりまして、施行日、令和四年四月一日前の緊急事態宣言については、直近の緊急事態宣言が終了した日から一年を終期としております。具体的には、仮に今後緊急事態措置が実施されない場合であっても、令和四年九月三十日までに基本手当の支給が終了し、要件に該当する方に対しては、延長給付を受けることが可能となります。
引き続き、この特例につきましては多くの方に御利用いただいております。今後の雇用情勢又は感染状況に応じてこの人数は変わってくると思いますけれども、引き続きこの特例が運用される状況はしばらく続くと考えておりますので、適切に周知し、対応してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/27
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028・川田龍平
○川田龍平君 この特例措置が適用が停止される県について、できる限り早く周知を進める必要があると思います。特に飲食・宿泊産業など、いまだにコロナの影響が大きい業種で働く方にとっては、この特例措置の停止による影響は大きいと思われます。もちろん、現在審査中の法案ですから、厚生労働省の立場として、関係機関への周知、これは難しいと思いますが、本法案が成立した場合には、厚生労働省としてどのような周知を行うのでしょうか。例えば、今月まではハローワークに案内があったのに、ある日突然運用が変わることになると、受給者の方も大変困惑されると思います。ハローワークの窓口などでも適用が停止される可能性をきちんと伝えているのでしょうか。現在の対応状況を含めて御説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/28
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029・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 本法案が成立しましたら、この特例給付の延長の考え方、見直しの内容については、今後しっかりと周知していきたいというふうに思っております。経過措置の内容も含めて周知をしたいと思っております。
具体的には、厚労省のホームページやハローワークにおける案内に加えまして、雇用保険の受給資格決定時あるいは雇用保険受給者の初回説明会など、受給者の方がハローワークに来られる機会があります。その機会をしっかり捉えて周知を重ねて行うなど、丁寧に対応してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/29
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030・川田龍平
○川田龍平君 本法案では、離職後に新たに事業を始めた受給資格者について、通常一年間の基本手当の受給期間を最大四年間まで延長できる特例措置を導入することとしています。事業失敗のリスクを懸念して起業に二の足を踏んでいる方の後押しにつなげたい、そうした改正の趣旨はよく分かります。新たな事業の立ち上げは、経済活性化のみならず今後の雇用創出にもつながるものであり、これから良い循環が生まれることを期待したいと思います。
一方で、雇用保険部会における議論では、制度運用が難しいのではないかとの指摘があったとも聞いています。起業の確認については、現在も再就職手当の認定などを行っていることからハローワークにも一定のノウハウがあると思いますが、廃業の確認については、本当に廃業したのかどうか、また、いつ事実上の廃業状態になったのかなどなど、実態把握の面で運用が困難なところがあると思います。病気によって基本手当の受給期間を延長する場合には、例えば診断書といった第三者による証明書によって働けなかった期間を客観的に示すことができますが、廃業については本人の意思によるところが大きく、いつからいつまでこの事業を行っているのかということを第三者が証明することは困難です。
この改正は本年七月に施行予定とのことですが、早急に起業、廃業の確認に関する運用方針などを検討していただく必要があると思います。また、その際には、既存の受給期間延長制度の利用者との間で不公平な仕組みにならないようにする必要もあると思いますが、厚生労働省の現時点での対応方針を御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/30
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031・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 今般の改正で創設いたします事業を開始した方に対する受給期間の特例措置について、具体的な運用方法については現在検討中であります。この起業、廃業、御指摘のような事項についてもしっかり確認しないといけないということでございますので、法案を御可決いただいた後に、労働政策審議会での議論等も経た上で速やかに準備を進めてまいりたいと思います。
具体的に、起業したことの確認につきましては、例えば登記事項証明書、開業届の写し、事業許可証などにより確認できると考えております。また、廃業したことの確認は、登記事項証明書、廃業届の写しなどの書類により確認することを想定しておりますけれども、これについても、実態を踏まえて具体的な手続を考えていきたいと思います。
この廃業の確認は、その後、雇用保険の基本手当の受給につながるものであります。事業を行う状況のまま雇用保険を請求して受給したりすると不正受給にもなりますので、そこら辺については御本人さんにもしっかりとこの趣旨を説明して、事実確認をしっかりできるような仕組みを取っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/31
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032・川田龍平
○川田龍平君 この特例措置の運用の問題については先ほど懸念をお伝えしましたが、この仕組み自体は、一旦フリーランスや自営業者になった方にも雇用保険を受給できる可能性を広げるという意味で一定の評価をしております。
その上で確認しておきますが、今回導入される特例措置は、これまで副業として事業を行っていた方が副業を本業化するために勤め先から独立したようなケースでも利用できる仕組みとなっているんでしょうか。一から事業を立ち上げる場合だけでなく、副業として既に事業を立ち上げている場合にも利用できた方が利用者数の増加につながると思いますが、いかがでしょうか。また、副業を行っている場合もこの制度を利用できるということなのであれば、副業で得ている収入の多寡、多い少ないはこの適用の可否に影響していくのでしょうか。それぞれ厚生労働省にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/32
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033・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 今般の受給期間の特例は、原則として離職の日後に事業を開始した場合が対象となるというふうに考えておりますけれども、これに準ずるものとして、離職前に事業を開始し、離職後に当該事業に専念する場合も対象とすることを予定をしております。このため、現在副業として既に事業を立ち上げている方が離職して雇用保険の受給資格者となった場合において、制度施行後に当該事業に専念することとなれば、特例の対象となり得ると考えております。
最後の副業に係る収入の点でございますけれども、副業収入というものは、失業の認定、失業給付を受ける際に、この控除をしたり、あるいはその収入があるために失業認定を受けられないといった、こういう効果は雇用保険の制度ではあるんですけれども、例えば、受給をしていない間の収入ということは基本的には関係がないということでございますので、そういったよく整理をして、収入があることを心配して状況を報告をいただけなかったりするのが一番まずいので、そういった収入の取扱いについてもしっかりと周知をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/33
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034・川田龍平
○川田龍平君 また、先日の本会議では、起業支援として再就職手当の仕組みを説明されていましたが、事業の立ち上げ時にはまとまった資金が必要となるため、起業される多くの方は再就職手当を受給することになると思います。
では、再就職手当を受給した後の残日数分の基本手当についても今回の特例措置で延長できることになるんでしょうか。念のため確認させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/34
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035・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 御指摘の場合の取扱いについては、雇用労働によって再就職した方との均衡なども考慮して取扱いを考えていく必要があると思います。
この詳細については、施行に向けて検討中であります。この取扱いの均衡などを踏まえて適切に判断してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/35
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036・川田龍平
○川田龍平君 次に、国庫負担についてお伺いします。
ちょうど二年前、この雇用保険法の審査が行われた際に、この委員会室において次のような内容の附帯決議が全会一致で可決をされました。この場にいらっしゃった方、委員の皆さんも御記憶かと思いますが、改めて該当部分を読み上げます。
雇用政策に対する政府の責任を示すものである雇用保険の国庫負担については、改正後の雇用保険法附則第十五条の規定に基づき、早期に安定財源を確保し、本則に戻すこと。また、今回、前回改正時の本委員会附帯決議のとおりでなく時限的な国庫負担率の引下げ措置が継続されたことは遺憾であり、今回の措置については、令和三年度までの二年度間に厳に限った措置とすることと。この当委員会の要請は極めて重いものだと思います。
また、この附帯決議では、平成二十九年の附帯決議の要請を無視したことについても厳しく批判しています。しかし、今回の改正では、これらの要請をことごとく無視して、時限的な措置を言わば恒久化するような形となっています。当委員会の附帯決議というのはそこまで軽いものなのでしょうか。ここに座っておられる委員の皆さんも怒りを覚えているのではないでしょうか。
先週の本会議での森屋委員からの質問に対しては、コロナ以前に行われた附帯決議だから関係ないと言わんばかりの乱暴な答弁がありましたが、改めて、当委員会の附帯決議というものをどう受け止めているのか、大臣の見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/36
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037・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 令和二年の雇用保険法改正の際の附帯決議は、コロナ前の雇用情勢等を踏まえて、国庫負担の暫定措置の延長を行うことに関して決議をいただいたものと受け止めております。
その後、コロナ禍における多額の財政支出に対応するために、雇用保険臨時特例法において、定率負担とは別の一般会計による国庫繰入れ規定を創設をいたしました。そして、今年度の補正予算においては、この規定等に基づきまして約二・二兆円の繰入れを実施したところでございます。
今般の法案については、過去の附帯決議等の趣旨に加えまして、こうした経緯も踏まえて、失業等給付の国庫負担については、雇用情勢及び雇用保険財政の状況に応じて負担割合を四分の一又は四十分の一とした上で、こうした定率の負担とは別枠で機動的に国庫繰入れができる仕組みの常設化を行うことといたしました。
こうした新たな国庫負担の仕組みを通じて、国の雇用政策に係る責任を果たし、雇用保険財政の安定を図ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/37
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038・川田龍平
○川田龍平君 この国庫負担割合についてですが、その本則、四分の一と四十分の一とこれ二つありますけど、これどっちなんですかね、本則は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/38
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039・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 本則は、先ほど御説明させていただいた四分の一又は四十分の一とした上で、こうした定率の負担とは別枠で機動的に国庫繰入れができる仕組みの常設化を行うと、この全体をもって本則であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/39
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040・川田龍平
○川田龍平君 ちょっと通らないところもあるんですが、先日、本会議で、この国庫負担割合、四十分の一としたこの数字の根拠について、現行の国庫負担割合を基にしているとの答弁がありました。同じ答弁は衆議院の質疑でも何度も聞いています。
これお聞きしたいのは、この四十分の一という数字について保険数理上の合理的な根拠があるのかどうかということです。恐らく、現在の国庫負担が四十分の一だからということ以外に何の根拠もないのだと思いますが、そもそも過去の国庫負担の引下げについてはどのような経緯で行われてきたのでしょうか。過去の国庫負担の引上げ幅も特に根拠なく決めてきたということなのかもしれませんが、平成四年以降に何度か行われてきた国庫負担の引下げ、引上げについて、これまでの改正の経緯とその根拠について一つずつ御説明をお願いします。資料も一部配付しております。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/40
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041・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 失業等給付に係る国庫負担は、昭和三十四年以降、法律上の本則として四分の一が定められておりました。その後、平成四年、五年、十年にそれぞれ本則の九〇%、八〇%、五六%水準に引き下げた後、平成十三年に法律上の本則に復帰し、さらに、平成十九年、二十九年にはそれぞれ本則の五五%、一〇%水準に引き下げられてきております。
こうした国庫負担割合の見直しは、雇用保険財政に余裕がある場合に保険料率の引下げに合わせて国庫負担も引き下げてきたほか、国家財政の状況が厳しい中で、各時点における財政構造改革や行政改革など、政府全体の方針を踏まえて行われてきたものでございます。
なお、こうした見直しは暫定措置として行われてきており、雇用保険の保険事故である失業は、政府の経済政策、雇用政策とも関係が深く、政府もその責任を担うべきという失業等給付の国庫負担の考え方そのものを変更したものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/41
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042・川田龍平
○川田龍平君 ちょっと根拠らしい根拠がないということが分かったんですが。根拠がないと。
国庫負担について、これまで大臣の答弁で疑問に思うことが一つあったので、念のため確認させていただきます。
政府は、今回、国庫負担が四分の一となるための要件として、二年度前の受給者実員数が七十万人以上になることを基準にするとしています。この七十万人以上という基準は現実的ではないというのが我々の主張ですが、先日の本会議における大臣の答弁では、過去に、平成二十一年のリーマン・ショック時やアジア通貨危機、ITバブル崩壊時など長期的な不況にあった平成十年前後も受給者数が七十万人以上になっていたため、今後も十分に想定し得る、され得る水準としています。
しかし、厳しい雇用保険財政の中、平成十四年度の途中に失業認定が厳格化され、それ以降受給者数の水準自体が大きく引き下がったことを忘れてはいませんか、いけません。そもそもこの基本手当の受給要件自体が変わっているのに、それ以前の数値を例示するのは不適切ではないでしょうか。
衆議院では、我が党の井坂議員の質問に対する答弁として、平成五年から十五年までの間はずっと七十万人を超える受給者の実員数がいた、そういうことも含めての受給者実員数七十万人であるとの説明がありました。
この七十万人の基準の議論をするときに、失業認定が厳格化される平成十四年より前の数字を出すことは不適切だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。また、今後、基準見直しの議論を行うことになった際には、平成十四年より前の数字を持ち出すことは金輪際やめていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/42
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043・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 御指摘の受給者実人員七十万人という水準は、雇用情勢が相当程度悪化した状態として、原則の雇用保険料率を設定するに当たっての基本想定としている六十万人と、近年で最も高い水準であるリーマン・ショック時の八十五万人の中間程度の水準をもって設定しているものでありまして、必ずしも平成十四年より前の数値を根拠としているものではございません。
なお、御指摘の失業認定の見直しを行いました平成十四年当時の受給者実人員は百万人を超えておりまして、七十万人を大きく超えている状態でありました。こういうことに鑑みれば、この七十万人という水準は今後においても想定され得るものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/43
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044・川田龍平
○川田龍平君 やっぱりちょっと、前の話出してくるのはちょっと違うと思うんですが。
気になるのは、今後、雇用保険財政が更に悪化した場合に、平成十四年と同様に失業認定を更に厳格化しないのかという点です。今回も、平成十四年にこの失業認定を厳格化したことを無視した上で、過去の数字だけを見て答弁するといういいかげんなことをしているわけです。
今後、大臣、まあ後藤大臣を疑うわけではないんですが、今後大臣になられる方が、どんどん失業認定を厳しくしていけば七十万人には届かないだろうという安易な方向に流れないか大変心配をしています。そういう極めて不適切な目的で失業認定を厳格化することは絶対しないとこの場でお約束いただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/44
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045・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 平成十四年に行った失業の認定業務に係る見直しは、受給資格者の早期再就職を一層促進するという制度趣旨に沿ったものとなるように実施したものでありまして、受給者実人員数を減少させる目的で実施したものではないというふうに思っております。
いずれにしても、適切な失業認定を行うことで雇用保険制度のセーフティーネット機能をしっかりと果たせるように引き続き努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/45
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046・川田龍平
○川田龍平君 じゃ、ないということでよろしくお願いします。
この七十万人という基準については、衆議院厚生労働委員会の附帯決議において、「新型コロナウイルス感染拡大後の雇用構造も踏まえ、実態に応じて適宜見直しの検討をすること。」との内容が盛り込まれました。
特にいつ見直すのかという時期は明記されていないわけですが、七十万人という基準と受給者数の実態がどのくらい乖離すれば労政審で見直しの検討に入るんでしょうか。厚生労働省の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/46
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047・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 厚生労働省としては、まずは新しい保険料及び国庫負担の仕組みにより、雇用保険財政の安定的な運営を確保してまいりたいと思います。
その上で、労働政策審議会に法案要綱を諮問した際に、今回の諮問案における求職者給付に係る国庫負担の仕組みの導入後においても、引き続き、新たな国庫繰入れ規定を含めた雇用保険財政の在り方について、制度、運用両面において継続的に検証、検討し、必要な対応を行うよう強く求めるとの意見が付されたことをしっかりと受け止めまして、継続的な検証、検討の中で適切な対応を図ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/47
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048・川田龍平
○川田龍平君 今回の法案の検討規定を見てみると、育児休業給付や職業安定法などには見直し規定が設けられていますが、雇用保険制度そのものについては見直し規定が設けられているわけではありません。今後の制度見直しの検討については、法案要綱に対する労政審の答申を踏まえて対応すると大臣も答弁されていますが、次の制度見直しは恐らく三年後になると思います。
今回の見直しは本則自体を見直すという大改正なわけですから、七十万人という基準が妥当かどうかについて、当然三年後に改めて点検し直す必要があると思います。次の制度見直しのときにはこの基準についても労政審の審議対象にしてもらいたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/48
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049・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) いずれにいたしましても、厚生労働省としては、まずは新しい保険料及び国庫負担の仕組みによりまして雇用保険財政の安定的な運営を確保するとともに、労働政策審議会の意見をしっかりと受け止めまして、継続的な検証、検討の中で適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
なお、受給者実人員七十万人の基準については、労働政策審議会に法案要綱の諮問をした際にお示ししておりまして、今後政令を定める際にもお諮りをする予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/49
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050・川田龍平
○川田龍平君 この国庫負担が四分の一となる条件が極めて厳しい以上、今回の改正法案の中では任意繰入れの実効性確保が重要な論点となっています。衆議院の議論においても、機動的な任意繰入れがきちんと実行されるのか、同僚議員が何度も大臣の答弁を求めてきました。
また、衆議院厚生労働委員会の附帯決議では、雇用保険部会報告に示された新たな国庫繰入れ制度の運用の考え方を尊重することや、報告書の内容を省令等に規定することを政府に求めています。この点について、先日の参議院本会議では、後藤大臣は、労政審の報告書の趣旨を尊重し、適切に対応するとともに、この考え方を何らかの形でお示しできるか検討してまいりますと答弁されていました。
考え方を示すというのはどのような形を想定されているのでしょうか。将来、新しい厚生労働大臣が就任した後も考え方がしっかり引き継がれるような形にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。また、この考え方を示す際には労働政策審議会のメンバーとも事前に協議を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/50
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051・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 本法案において新設する機動的な国庫繰入れ規定の運用に当たりましては、労働政策審議会の報告書において、保険料の本則を超えた引上げが可能である弾力倍率一を下回る場合であって、雇用保険財政の悪化により積立金が不足し、失業等給付の支払に支障が生ずるおそれがある場合等において機動的な国庫繰入れにより対応すべきであるとの考え方が示されております。
厚生労働省としては、こうした趣旨を尊重しまして適切に対応するとともに、この考え方を文書等でお示しすることについて検討をしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/51
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052・川田龍平
○川田龍平君 この何らかの考え方というのは文書でということですね、文書で出すということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/52
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053・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 文書でお示すことについて検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/53
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054・川田龍平
○川田龍平君 このまた任意繰入れ規定の運用に関する労働政策審議会の諮問について、衆議院で我が党の井坂議員が大臣に何度も確認したおかげで、雇用保険法第七十二条で規定されている諮問事項の中に含まれるということが明確になりました。この点についても、参議院本会議において、解釈を何らかの形でお示しできるかどうか検討してまいりますと答弁されていました。
では、どのような形で示すことを想定されているのでしょうか。先ほどと同様、将来新しい厚生労働大臣が就任した後も考え方がしっかり引き継がれるような形にしていただきたいと思いますし、解釈を示す際には、労働政策審議会のメンバーとも事前にこれも協議を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/54
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055・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 労働政策審議会への諮問事項の対象となる雇用保険法第七十二条の法律の施行に関する重要事項について、少なくとも機動的な国庫繰入れの実施に関することはこの施行に関する重要事項に含まれると考えております。そうした解釈を文書等で示すことについて検討してまいりたいと思います。
いずれにせよ、厚生労働省としては、今回の改正後の仕組みについて、労働政策審議会の報告書において示された考え方を踏まえつつ適切に運用し、雇用保険財政の安定的な運営を確保してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/55
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056・川田龍平
○川田龍平君 次に、雇用保険二事業の今後の運営についてお伺いします。
新型コロナウイルス感染症による影響に対応するため、政府は、雇用調整助成金の大幅な拡充により雇用維持の取組を進めてきました。これにより、失業率の悪化に一定程度の歯止めを掛けられたことは評価しておりますが、新型コロナウイルスの流行が二年以上になる中、雇用調整助成金の累計支出額は既に五兆円を超えています。必要な費用を賄うため、雇用保険臨時特例法により失業等給付の積立金から経費を借り入れることができるスキームが設けられましたが、雇用安定資金における累計借入額は、来年度末で三兆円を超えることが見込まれています。
雇用安定資金からこの三兆円超の借金を本当に返済できるのかという点については、雇用保険部会でも様々な議論があったと承知しています。しかし、この借金の大半は、労使が失業等給付の支出に充てるために拠出した保険料が原資であり、今後の失業等給付への支出を考慮すると、今後も保全されるべきものだと考えます。
今回の雇調金による対応は、あくまで政府による感染症対策の一環として行われたわけですから、二事業保険料の余った分を返済に充てたり返済自体を免除したりするわけではなく、一般会計から雇用安定資金に返済費用を直接繰り入れ、それを積立金への返済費用に充てるという対応を取るのが筋ではないでしょうか。厚生労働大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/56
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057・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 御指摘の雇用保険二事業の借入金の返済の在り方につきましては、労働政策審議会の議論におきましても、労働者代表委員からは、労働者が拠出した保険料が含まれる積立金からの貸出額が保全されるべきとの意見があった一方で、使用者代表委員からは、雇用調整助成金の特例や休業支援金制度の創設により、失業等給付に係る労使や国庫の負担等を実質的に肩代わりしている側面もあることから、受益者全体で負担すべきとの意見もありました。
こうした意見を踏まえた検討は、今後、雇用調整助成金の特例的な支給が落ち着いた段階で行うことが適当であることから、今般の法案においては、令和六年度までをめどに累積債務や返済の在り方について検討する旨の規定を置いております。
新型コロナ禍におけるこれまでの多額の国庫負担や今後の雇用調整助成金等の支出状況、積立金、雇用安定資金の額等の財政状況も踏まえながら、適切に検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/57
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058・川田龍平
○川田龍平君 また、今回、この新型コロナへの対応により、労働者の雇用維持などを図る上で、雇用安定事業を安定的に運営するための国の責任は極めて重いことが明らかになったと思います。今回のコロナ禍においては、雇調金の上乗せ給付分を国庫から直接繰り入れる仕組みも導入されましたが、これは適切な判断だと思います。
そこで伺いますが、失業等給付に対する国庫負担が国による雇用、経済対策への責任を果たすためのものであることを踏まえれば、今後は、雇用調整助成金を含めた雇用安定事業についても国庫負担の仕組みを常設化することを真剣に検討するべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/58
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059・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 雇用調整助成金等を含む雇用安定事業につきましては、事業主の共同連帯の制度として、事業主からの保険料のみを財源に、失業の予防や雇用機会の増大等を目的として行っているところでございます。そのため、原則として、雇用安定事業の費用を国庫が負担することは適当でないと考えております。
なお、雇用保険臨時特例法によりまして、雇用調整助成金の日額上限を超えた部分等について一般会計を繰り入れる暫定措置を設けておりますが、これはコロナ禍における特例的な対応として実施しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/59
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060・川田龍平
○川田龍平君 是非これ、常設化をすることも真剣に検討していただきたいと思います。
雇用保険二事業では、雇用安定事業だけでなく能力開発事業も実施されるとしています。岸田政権では、人への投資として、今後三年間で四千億円を投じるとしています。しかし、このデジタルトランスフォーメーション、DXや、グリーントランスフォーメーション、GXへの対応など、政府の産業政策に直結する施策も盛り込まれており、失業対策などを目的とした雇用保険制度の枠内だけでは対応し切れない部分も出てくると思います。
今後は、経産省、文科省など関連施策を実施している他省庁との連携を深めつつ、一般会計の更なる活用など、財政面も含めた能力開発事業の運営の在り方について検討を進める必要があると思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/60
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061・小林洋司
○政府参考人(小林洋司君) 厚生労働省におけます能力開発事業だけでなく、御指摘いただきましたように、他省庁の一般会計施策も含めまして、政府全体として人材開発政策がより効果的なものとなるよう、関係省庁で緊密に連携していくことが重要であるというふうに認識しております。
現在でも、例えば文部科学省や経産省の事業により開発された教育訓練のプログラムを厚生労働省の教育訓練給付や人材開発支援助成金による助成の対象とするといった連携を行っておるところでございます。
また、今後の取組といたしましては、企業におけます学びや学び直しを促進するためのガイドラインを策定したいというふうに考えておりまして、この中でも、厚生労働省に限らず、他省庁の施策も含めた支援策について体系的にお示ししていきたいというふうに考えております。
こうした取組も活用しながら、引き続き関係省庁とも連携し、学びや学び直しの促進に努めてまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/61
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062・川田龍平
○川田龍平君 ここまで主に失業等給付の国庫負担について質疑を行ってきましたが、本法案には、育児休業給付の国庫負担割合を本則の十分の一とする時限措置を更に三年間延長する内容が含まれています。
財政運営試算では、現行の国庫負担のままでは令和六年度末まで運営が可能ということですが、想定よりも育休給付の支給が上振れした場合には、令和六年度中に財源が枯渇するというリスクケースも示されています。
政府が男性の育休取得、育休休暇の取得を促進する中、リスクケースも想定しているのであれば、失業等給付の積立金から費用を借りて対応できるようにするのではなく、そもそも国庫負担を増やすのが自然な発想だと思いますが、いかがでしょうか。
また、どうしても国庫負担を増やさないということなのであれば、今後積立金から費用を借りる事態が生じた場合には、借入分を育児休業給付の保険料から返済するのではなく、返済費用を一般会計から育児休業資金に繰り入れた上でそれを返済に充てるべきと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/62
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063・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 育児休業給付につきましては、累次の制度改正による拡充の影響もありまして、給付額が一貫して増加してきたところでありますが、過去の実績等からは、通常想定される伸び率で増加を続けるとしても、令和六年度まで運営可能であることを確認しております。
その上で、今般の法案では、仮にこのような想定を超える高い伸び率が継続した場合の財政リスクに備える観点から、失業等給付の積立金からの借入規定を令和六年度まで延長することとした上で、仮に借入れが生じた場合には返済の在り方について検討するという旨の規定を盛り込んでおります。
令和七年度以降の取扱いにつきましては、令和六年度までをめどに、育児休業給付及びその財源の在り方について検討を行う旨の規定を置いておりまして、この中で今後検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/63
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064・川田龍平
○川田龍平君 育児休業給付制度については、令和七年度以降の制度の在り方を今後検討していくとの見直し規定が設けられております。
この静かなる有事とも言われる少子化ですが、この問題を解決していくためには、育児休業給付制度そのものに加え、給付水準の在り方についても議論を進める必要があると思います。
今後の検討に当たっては、制度の対象者を雇用労働者に限ったままでいいのかという論点だけでなく、給付内容の更なる充実についても議論を進める必要があると思いますが、厚生労働大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/64
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065・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 育児休業給付の対象を雇用保険被保険者以外にも拡大することは現行の法律の枠組みを超えることとなりまして、給付の仕組みや水準、費用負担の在り方など多くの課題があるというふうに考えております。
また、育児休業給付は、累次の制度改正によりまして拡充を行ってきておりまして、特に給付率については、労働政策審議会において労使委員から、給付率の引上げは雇用保険料の引上げに直結するため慎重に検討すべきであるとの意見が出ていることにも留意する必要があります。
その上で、今般の法案においては、少子化社会対策大綱において、育児休業給付について、中長期的な観点から、その充実を含め、他の子育て支援制度の在り方も併せた制度の在り方を総合的に検討するとされていることや、現在の保険料率では令和七年度以降安定運営が可能な見通しとなっていないことも踏まえ、令和六年度までをめどに育児休業給付及びその財源の在り方について検討を行う旨の規定を置いております。
厚生労働省として、これらを踏まえまして、令和四年度から、子育て支援施策を担当する関係省庁とも連携しながら、そうした検討を開始してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/65
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066・川田龍平
○川田龍平君 次に、職業安定法の改正についてお伺いします。
求人広告には正社員と書いていたのに実際は契約社員だった、求人広告に書かれている額よりもずっと低い賃金で契約をさせられた、こうした実態と異なる求人広告によって不利益を受けている多くの労働者がいると承知しています。
今回の改正では、求人者や雇用仲介事業者に対して虚偽又は誤解を招く表示をしてはならない、また、その表示についても正確かつ最新の内容にしなければならないという義務が課されるようになります。
雇用仲介事業者に対して具体的に求める措置の内容については、法成立後に労働政策審議会で議論すると聞いていますが、負担が増えるのを嫌う事業者側からは様々な要求が出てくると思います。厚生労働省においては、そういう要求にばかり耳を傾けるのではなく、悪質な広告で不利益を受ける求職者をゼロにすると、そのために求職者保護の観点を最重要視する、そういう強い意思を持って検討を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/66
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067・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今回の改正案は、求職者等が安心してサービスを利用できる環境となるように、求人メディア等が依拠すべきルールを法令で整備するものであります。施行に当たり整備する厚生労働省令や指針については、まさに今、川田委員から御指摘のあったように、悪質求人の排除を求め、求職者の保護の観点から労働政策審議会で御議論をいただき、しっかり検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/67
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068・川田龍平
○川田龍平君 ありがとうございます。
今回の改正が求職者の保護に一定程度つながることを期待したいと思いますが、苦情をそのまま放置したりするなど不適切な対応を行う悪質な事業者は少なからず出てくると思います。被害を受けた求職者が泣き寝入りすることにならないよう、各都道府県の労働局に相談、通報窓口を設けるなど、厚生労働省の体制を強化する必要があると思いますが、今後の対応方針を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/68
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069・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 今般の改正法においては、募集情報等提供事業者に迅速かつ適切な苦情処理等を義務付けておりますけれども、悪質なケースについては行政として対応することが必要と考えております。
都道府県労働局におきましても、悪質な求人に関する御相談があれば、実態を把握し、必要に応じ指導等を行うことといたしますが、どこに相談に行けばいいのか、通報すればいいのか、これを分かりやすく周知していきたいと思います。
さらに、今回の法案の確実な履行確保に当たりましては、従前の各労働局での対応に加え、厚生労働省本省に募集情報等提供事業の実態把握や指導監督を行う新たな組織を設置するなどの体制強化を図る予定でありまして、指導監督などに適切に対応できるようしっかり準備してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/69
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070・川田龍平
○川田龍平君 また、今回の改正では、募集情報等提供事業者に対して、助言、指導だけでなく、新たに立入検査や改善命令などの対応を取ることができるようになりました。審議会では、使用者側から、指導が行き過ぎないようにという意見もあったと承知しておりますが、何度も虚偽表示を繰り返すような悪質な事業者に対しては、立入検査や指導、改善命令などの対応をちゅうちょなく実施していただきたいと思いますが、厚生労働省の今後の対応方針を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/70
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071・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 今回の改正法案では、募集情報等提供事業を行う者について立入検査を可能とするとともに、募集情報の的確な表示等の義務に違反した場合には、改善命令等の行政処分の対象としております。
事案に応じて対応していきたいと考えておりますけれども、悪質な場合においては、行政の権限をしっかりと行使して改善を求めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/71
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072・川田龍平
○川田龍平君 また、労働市場に流通する無数の求人広告は、元をたどれば全て求人者が発信する情報に由来しています。今回の改正では、求人者に対しても、募集情報を正確かつ最新の内容にする義務を課していますが、具体的にどのような対応を想定しているのでしょうか。
また、求人者に対しては、募集情報等提供事業者などと異なり、具体的な措置内容を省令で定めることを規定していません。なぜ省令で細かく規定しないのでしょうか。あくまで訓示的な規定にすぎないということなのでしょうか。
それぞれ厚生労働省の見解を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/72
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073・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 募集情報を正確かつ最新に保つ責任は一義的には求人企業にあるため、求人企業には、募集内容を正確かつ最新の内容に保つことを直接的な義務としております。求人企業における具体的な対応としては、求人が充足した際には速やかに募集を終了する、募集内容を変更した際には速やかに募集情報を変更するなどを想定しております。
募集情報の、御指摘の、省令に規定すべきではないかという部分についてでございます。
この募集情報を正確かつ最新に保つ責任が一義的に求人企業にあるということ、それから、募集情報等提供事業者に対しては正確かつ最新に保つための措置を義務付けていると、この違いがございます。
そのため、この募集情報等提供事業者に対する措置の具体的な内容については、様々な事業形態があって求められる措置も事業形態ごとに異なると考えられることなどから省令に委任したものですけれども、求人企業の場合は、先ほど申し上げましたように、自ら募集を行う者としての一義的な義務であり、募集内容を正確かつ最新の内容に保つことについては、求人が充足した際には速やかに募集を終了する、募集内容を変更した際には速やかに募集情報を変更するなど、今想定しているものは必ずしも省令に委任せずとも法律で規定できているというふうに考えております。
なお、この法律の解釈については、指針等においてしっかりお示しして周知してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/73
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074・川田龍平
○川田龍平君 先ほど申し上げましたように、情報の出どころという観点から、全ての求人者がきちんと正確な情報を発信することが、健全な労働市場をつくる上で極めて重要になります。
本法案の成立後、関係省庁とも連携し、業界団体などを通じて全ての企業に今回の改正内容が周知されるよう取り組んでいただきたいと思いますが、厚生労働省の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/74
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075・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 改正後の職業安定法の対象となる求人企業や募集情報等提供事業者は全国に広く存在しております。
このため、改正法の内容の周知については、ホームページ等の活用はもちろん、経済団体や業界団体などを通じたきめ細かな周知を含めて広く周知ができるように努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/75
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076・川田龍平
○川田龍平君 今回の改正では、職業紹介事業者などが求職者の個人情報の収集、保管、使用を行う際には、収集の目的などを明らかにすることが求められるようになります。
個人情報の取扱いについては、二〇一九年に、リクナビが就活生に無断で内定辞退率のデータを企業に提供していた事件がマスコミに大きく報じられたことがありました。しかし、この事件でも指摘されていたことですが、サービスを利用するためには、利用者には個人情報の使用を同意する以外に選択の余地はありません。
例えば、就活生にとっては、リクナビなどは就活を行う上での必須のサービスとなっており、たとえ個人情報の使用目的の中に利用者が望まない項目があっても、利用者側は諦めて受け入れざるを得ないという実態があると思います。
先ほど申し上げたように、今回の改正では、個人情報の使用目的等を明示することが求められるようになりますが、サービスを利用するために、結局は個人情報の使用、収集等に同意せざるを得ないのであれば、求職者保護には不十分と言わざるを得ないのではないでしょうか。また、そうした事態を避けるためには、目的ごとに個人情報の利用を拒否できるような仕組みも検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/76
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077・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 今回の改正法では、御指摘のとおり、業務の目的の範囲内の場合は、求職者から同意を求めるのではなく、目的の明示をあらかじめ行うことで利用目的を理解、納得した上で求職者がサービスを利用する環境を整備するというふうに規定を作っております。まずはこの法改正の施行にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
なお、職業安定法では、個人情報をみだりに他人に知らせてはならないことも規定をしておりまして、こうした規定も運用して、しっかりと取り組んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/77
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078・川田龍平
○川田龍平君 また、サービス利用当初には個人情報の使用目的などを理解した上で同意していたとしても、後で撤回したいと思うことも出てくると思います。こうした場合については、後から同意を撤回する仕組みを設けておく必要があると思いますが、厚生労働省の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/78
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079・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 現在の法制においては、個人情報保護法においても職業安定法においても、同意の撤回に係る規定は存在をしません。ただ、個人情報に関する個別の同意あるいは撤回に関する様々な議論があることは承知しております。
今後、個人情報の取扱いに関する同意の在り方については、我が国の個人情報保護法制の議論の進展も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/79
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080・川田龍平
○川田龍平君 今回改正される職業安定法の施行日は本年十月一日となっています。今後、労働政策審議会で省令の内容などを議論し、その後に詳細な改正事項を周知することになると思いますが、施行日まで余り時間がありません。
特に、募集情報等提供事業者については、元々厚生労働省で実態把握ができていないところに、今回の定義拡大で対象事業者が更に拡大することになります。把握できていない事業者については、本省の職員がインターネットで検索しながら一つずつ当たっていくということも考えていると聞いていますが、それで本当に全て把握できるのか、少し心配に思うところもあります。
大変な作業だと気の毒にも感じますが、求職者保護の観点からは、新たに募集情報等提供事業者となる事業者も含め、施行日までには確実に改正内容を周知していただきたいと思います。厚生労働省において、今後どのような広報を実施されるおつもりか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/80
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081・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 今後、改正内容につきましては、しっかりとホームページあるいは業界団体を通じた周知と先ほどお答えしたことに加えて、届出の状況も踏まえながら、ネット検索などの方法も使って、事業者を確認して周知をするといった取組も進めてまいります。
募集情報等提供事業については、インターネットを事業として使っている場合が多いので、ネット検索は結構効果があります。ただ、それでは引っかかってこない、把握できない部分についてもあろうと思いますので、様々な工夫をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/81
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082・川田龍平
○川田龍平君 今回の法改正は、求職者がより安心して雇用仲介サービスを利用できるよう、募集情報等提供事業者の定義や規制の見直しをするものと理解しています。
一方、募集情報等提供事業者のサービス形態が多種多様なものとなる中で、求職者からしてみれば、どの事業者が安心して利用できるのか、判断に困ることがますます増えてくると思います。
現在、厚生労働省においては、適正な業務運営を行っている職業紹介事業者を認定し、その利用を促す職業紹介優良事業者認定制度を設けていると承知しています。
今後、求職者がより適切な募集情報等提供事業者を選択しやすくなるよう、同様の優良事業者認定制度を設けることも一つだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/82
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083・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 現在、募集情報等提供事業者については、求人情報の的確性の確保、求人情報に掲載すべき事項や表現など、求人メディアが実施することが望ましい事項をまとめたガイドラインに適合した事業者が自主的に宣言を行う枠組みを設けております。
今後、更に事業運営の質の向上を図るため、自主的な宣言にとどまらず、優良な事業者を認定する取組についても検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/83
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084・川田龍平
○川田龍平君 そこで気になるのは、厚生労働省のアンケート調査において、職業紹介優良事業者認定制度を知っているとした回答が、求人企業、求職者とも一〇%程度しかないことです。せっかくお金を掛けて優良事業者の利用を促す仕組みを、取組を実施しても、関係者が制度を知らなければ利用されませんし、何の意味もありません。
既存の優良事業者認定制度の認知度が低いことに対する厚労省の現状認識と今後の対応方針についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/84
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085・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 今年度に実施しました平成二十九年改正職業安定法の施行状況に関するアンケート調査において、職業紹介優良事業者認定制度を知っていると回答した求職者は九・一%、求人企業は一二・八%という低い比率にとどまっている状況でございます。
厚生労働省としては、本制度の認知度を高め、優良認定事業者を増やしていくことが重要だと考えております。今後、認定や周知の方法を含めしっかり見直しを行って、この制度の活用を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/85
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086・川田龍平
○川田龍平君 この優良事業者認定制度、分かりにくいので、漢字ばかりですから、何か愛称ですとかゆるキャラとか何か付けてでもやっぱりやれば周知徹底できるのではないかと思いますが、是非広報していただきますようよろしくお願いします。
雇用仲介サービスについては、テクノロジーの進化と並行して、まさに日進月歩で多種多様なサービスが登場しております。数年後には、現時点では想像も付かないようなサービスを使うのが日常となっているかもしれません。今回の改正では、求人検索エンジンや人材データベース、SNSサービスなど、平成二十九年の前回改正で触れられていなかったサービスにも焦点が当てられることになりました。今後の制度見直しについては、本法案の検討規定にも盛り込まれているように、五年後というのが一つの区切りになると思いますが、技術の進歩はしばしば我々の、私たちの想像を超えてきます。
特に、AIを利用したレコメンド機能については今後ますます進化することが見込まれており、職業紹介事業と募集情報等提供事業の境界は一層曖昧なものになりつつあります。こうしたAI技術などの進歩に対して厚生労働省が後追いせざるを得ないという状況は求職者保護の観点からも問題ですし、マッチングのアルゴリズムなどがブラックボックス化しないよう、実態把握や調査研究に積極的に取り組んでいただく必要があると思います。
こうした実態把握や分析を行う中で求職者保護という面で重大な懸念が生じた場合には、五年という区切りにこだわるのではなく、必要に応じて柔軟に制度見直しの検討を行っていただきたいと思いますが、厚生労働大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/86
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087・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 改正案におきましては、施行状況を勘案しまして、五年をめどとして規制の在り方について検討を行うことが規定されております。法律の施行後、まずはこの規定に沿って施行状況をしっかり把握していきたいというふうに思っております。
施行状況につきましては、随時労働政策審議会にも報告を行いまして、必要に応じ御議論をいただきたいと考えております。新しい形のビジネスの展開等も予想されることから、しっかりと検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/87
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088・川田龍平
○川田龍平君 是非、五年にこだわらずに、是非前向きにやっぱり検討の方を進めていただきたいと思います。
最後にじゃないんですが、フリーランスの保護についても一点お願い申し上げておきます。
職業安定法は、あくまで雇用契約に関する仲介事業を対象としており、フリーランスなど雇用類似の仕事の仲介は対象になっていません。しかし、フリーランスだからといって虚偽の表示をしていい理由にはなりませんし、労働法制によって保護されないフリーランスだからこそ、仕事の仲介にはより正確な表示が求められると考えます。
改正職安法の運用によって得られる知見、そして厚労省が委託実施しているフリーランス・トラブル一一〇番などの相談内容を踏まえ、今後、フリーランスの保護に向けた取組を進めていただきたいと思いますが、大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/88
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089・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) フリーランスとして働く方が安心して働ける環境を整備するために、厚生労働省では、令和二年十一月より、関係省庁と連携をいたしまして、フリーランスと発注事業者とのトラブルについてワンストップで相談できる窓口としてフリーランス・トラブル一一〇番を設置し、丁寧な相談対応に取り組んできております。
今後、事業者がフリーランスと取引する際の契約の明確化などについて、内閣官房を始め関係省庁で検討し、新たなフリーランス保護法制を含む所要の措置を講じていくこととしているところでございます。フリーランス・トラブル一一〇番に寄せられた事例や傾向については、保護法制を検討していく中で関係省庁とも共有しつつ、実態を踏まえた対応を行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/89
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090・川田龍平
○川田龍平君 特にこのフリーランスの保護については、文化芸術、芸能従事者、この契約関係などを適正化しなければいけないとか、なかなかこの法案、法律、保護法制がまだ存在していないという中で働き方の実態もまだ把握できていないということですので、是非その保護と、それから活動基盤強化のため、是非取組を、厚労省だけではなく、これは文科省もですけれども、そういった、文化庁も含めて是非検討していただきたいと思います。
また、フリーランスの保護については、仕事の仲介に限らず、ウーバーイーツなど、サービスを利用して働くいわゆるギグワーカーの保護に関する検討も必要です。
EUでは、昨年の十二月に、ギグワーカーの保護に関する新たなルール案を公開したと聞いていますが、日本においてもこのギグワーカーの労働者性等について総合的な議論を開始する必要があるのではないかと思いますが、大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/90
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091・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 昨年、EUにおきまして、プラットフォーム労働における労働条件の改善に関する指令案が提案され、デジタル労働プラットフォームと、それを通じて労働する者との契約関係について、一定の要件を満たせば雇用契約と推定するといった規定が盛り込まれていると承知をいたしております。
一方で、我が国では、労働関係法令の適用につきましては、契約の名称にかかわらず、労働者として保護されるべきか否かを実態を勘案して総合的に判断しております。労基法九条でございます。
このため、昨年三月に策定したフリーランスガイドラインにおいてこうした現行の判断基準の枠組みを分かりやすくお示ししたところでありまして、厚生労働省としては、関係省庁と連携しましてこのガイドラインをしっかりと周知してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/91
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092・川田龍平
○川田龍平君 次に、職業能力開発促進法についてお伺いします。
本法案では、労働者の求めに応じて事業主がキャリアコンサルティングの機会を確保するよう定めています。ここで言われている労働者は、正規雇用の労働者だけでなく非正規雇用の労働者も含まれると認識しています。非正規雇用労働者が自らのキャリア形成の相談をしやすくなるという意味では評価できる改正だと考えます。
しかし、そもそも非正規雇用労働者は、キャリアに関する相談に積極的でない傾向にあるようです。令和二年度の能力開発基本調査によると、各事業所が正社員以外にキャリアコンサルティングを行う上での問題点として多く挙げていたのが、労働者からのキャリアに関する相談件数が少ないという回答でした。
非正規雇用労働者がより良い労働条件で働くためには、必要なスキルを身に付けることで自らのキャリア形成を図っていくことが重要になります。また、そのためには、自分自身の将来のキャリアプランを考えるための機会を得ることも重要です。
非正規雇用労働者のキャリアコンサルティングの機会確保に関して、本法案が具体的にどのような効果を与えると考えているのでしょうか。また、非正規雇用労働者に限らず、就労を希望する障害者、それから生活保護受給者、一人親家庭などの多様な事情を持つ求職者への対応も重要になると考えますが、それぞれ、それぞれ厚生労働省の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/92
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093・小林洋司
○政府参考人(小林洋司君) 今般の改正では、企業によるキャリアコンサルティングの実施に関しまして、節目ごとの実施ですとか、労働者の求めに応じた実施についての規定の整備を行っております。非正規雇用労働者にもこうした取組がなされるよう、企業に対してしっかりと促してまいりたいというふうに思います。
また、キャリア、国によるキャリアコンサルティング機会の確保に関する責務規定も設けております。現在でも国がキャリア形成サポートセンターを設けておりますが、今後とも、こうした直接的なキャリアコンサルティングの支援が非正規雇用労働者の方に行き届くように、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
また、障害者や生活保護受給者、一人親などの方に対しても、キャリアコンサルティングを受けていただき課題を明確化し、今後のキャリアプランですとか当面の目標の設定等を行っていただくということは大変有効なことであるというふうに考えております。
こうした取組を進めていくためには、やはり特定分野に強いキャリアコンサルタントを増やしていくということが必要であります。そのための専門能力を習得していただくことが必要となるわけでございまして、厚生労働大臣が指定する更新講習の受講の機会ですとか、あるいは研修教材の開発の提供、開発提供などを通じて専門性の向上を図っていきたいというふうに思います。
また、障害者雇用など特定分野に対する就労支援を行う機関におきましても、キャリアコンサルタントが活躍できるよう、関係者とも連携しながら、認知度ですとか信頼性の向上などに取り組んでまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/93
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094・川田龍平
○川田龍平君 このキャリアコンサルティングの機会の確保については、事業主側にも課題があります。労働者にキャリアコンサルティングの機会を提供するためには、そのための人材確保や体制整備など様々な負担が掛かり、特に中小企業にとっての負担感は大きいと思います。
令和二年度の能力開発調査では、事業所がキャリアコンサルティングを行っていない理由として、労働者からの希望がない、人材育成が難しい、サービスの外部調達にコストが掛かるという回答が上位を占めています。特に、労働者からの希望がないは五〇%近い回答を得ているようです。コストが掛かり、人材確保も体制整備も難しい上、せっかく人を確保しても希望者が少ない可能性が高いということになれば、中小企業はキャリアコンサルティングの実施にちゅうちょしてしまうのではないでしょうか。
厚生労働省では、キャリア形成支援に関するインフラ整備のため、キャリア形成サポートセンターなどの事業を展開していると承知していますが、キャリアコンサルティングを行う仕組みの導入が難しい中小企業については、本法案の成立後、具体的にどのような支援を想定しているのでしょうか。厚生労働省の支援状況や今後の取組を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/94
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095・小林洋司
○政府参考人(小林洋司君) 中小企業への支援のお尋ねでございます。
今お話のございましたキャリア形成サポートセンターでございますが、ここにおきましても、キャリアコンサルティングの機会を十分提供できない中小企業ですとか、その従業員の方にキャリア形成支援の取組を直接受けていただけるような支援をしております。その際、企業におけるキャリアコンサルティングの体制整備についての助言もできるようにしているところでございまして、そうした取組を更に強化していきたいというふうに思います。
また、雇用する従業員に職業訓練等を実施した際に助成する人材開発支援助成金というのがございます。訓練等の一環としてキャリアコンサルティングを実施した場合には、それに要した費用についても助成対象としているところでございまして、こうしたものの活用も促しながら、中小企業におけるキャリアコンサルティングが更に進むよう努めてまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/95
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096・川田龍平
○川田龍平君 先ほど申し上げたキャリア形成サポートセンターですが、ホームページを確認してみると、このキャリアコンサルティングを受けた在職者の九九%が有益と回答したとの紹介がされていました。利用者の評価が高い事業ということは分かりましたが、では、それならなぜ、キャリアコンサルティングを導入する事業所の割合はずっと四割のままで横ばいなのでしょうか。
企業におけるキャリアコンサルティングにより具体的にどのような効果があったのか、厚生労働省の資料を拝見しましたが、漠然とした将来が具体化できたなどといった、それ自体が漠然とした記述や、キャリア形成を組織全体で支える仕組みをつくることでチーム医療の良さを高める契機となったなどといった、具体性がうかがえない記述ばかりです。
合理化の流れの中で各企業のコスト意識がますます高まっています。キャリアコンサルティングを推進するためには、各企業に制度導入のメリットを理解してもらえるよう、キャリアコンサルティング制度を導入した結果、社内で具体的にどのようなスキル向上につながったのか、また、社員一人一人の悩みなどが明確化したことで具体的にどのような勤務環境の改善につながったのかなどの具体的な事例を調査、分析した上で結果を公表してもいいのではないでしょうか。
このキャリア形成サポートセンター事業は、いつもどおり、いつもどおり、いつもどおり、このパソナ社に委託しているようですし、調査も大変手慣れたものだと思います。支援先の企業や労働者に対する追跡調査を行いキャリアコンサルティングの具体的な効果測定を行うとともに、それによって得られた分析結果を基に説得力のある形でメリットを周知、広報する、こうした取組も重要だと思いますが、厚生労働省の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/96
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097・小林洋司
○政府参考人(小林洋司君) キャリアコンサルティングの効果測定につきましては、その取組が適切かつ効果的に実施されているかの検証だけではなく、御指摘いただきましたように、キャリアコンサルタントの認知度や信頼性の向上にもつながる重要な課題であるというふうに認識をしております。
これまでも満足度等の効果測定は行っておるところでございますが、今御指摘いただきましたような、より踏み込んだ効果測定というのが求められてくるというふうに思います。キャリア形成サポートセンター事業の分析ですとか、あるいは、個々のキャリアコンサルタントにおきましては、定着状況やエンゲージメント調査の結果などもまとめている例がございます。こうしたものを活用できる部分があると思いますので、そうした方法を検討していきたいというふうに思います。
また、それらによって得られたキャリアコンサルティングの効果やメリットにつきましては、関係者とも共有、連携をして、周知、広報などに取り組んでまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/97
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098・川田龍平
○川田龍平君 この本法案では、国や自治体が職業訓練を実施するに当たって、労働者が生活との調和を保つことができるよう、職業訓練の期間や時間等について配慮するとの規定を設けることとしています。育児や介護に追われる方にとっては朝から夕方まで職業訓練を受けるのは難しいわけですが、この改正により、国や自治体においては、どのような生活環境にある方でも職業訓練を受講しやすい環境を整備する必要が出てくると理解しています。
ただ、この生活に配慮するといっても、生活環境や家庭環境、これは人それぞれです。現在、コロナ特例として、短時間、短期間の訓練コースの設定やオンラインでの職業訓練なども行っていると承知しておりますが、生活との配慮として今後具体的にどのような対応を想定されているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/98
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099・小林洋司
○政府参考人(小林洋司君) 御指摘いただきました求職者支援訓練でございますが、現在は、コロナ特例ということで、職業訓練の期間ですとか、内容の多様化、柔軟化を図る特例措置というのを令和三年度末まで設けているところでございます。この特例措置でございますが、現下におけるコロナ禍の状況を踏まえ、令和四年度末までの延長に向けて現在関係省令の改正等の手続を進めているところでございます。
その上で、職業人生の長期化ですとか働き方の多様化等を踏まえて、希望する誰もが職業訓練を受講できるように環境整備をしていくということが重要であるという御指摘はそのとおりでございます。そして、本特例措置が実際に育児中や健康上の配慮が必要な方にも使われているということがございますので、そういったことも踏まえながら効果検証しつつ、今後の対応について検討していきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/99
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100・川田龍平
○川田龍平君 ただ、生活に配慮した結果、職業訓練の効果が落ちてしまったのであれば、訓練を実施する側の国、自治体にとっても、そして訓練を受ける本人にとっても良いことではありません。通常の訓練とどこまで効果に差があったのかなど、効果測定を適切に行う必要があると思いますし、分析結果を基に生活面と訓練の効果面とのバランスをどう取っていくのかという検討も今後必要になると思います。
現在、コロナ特例としてオンライン訓練なども実施していると承知していますが、受講生の就職率などに関する現状分析をお伺いするとともに、効果測定に関する今後の対応方針をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/100
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101・小林洋司
○政府参考人(小林洋司君) 御指摘いただきましたように、求職者支援訓練の特例措置につきましては、就職につながるより効果的な訓練の実施に向けて効果の検証をきちんと行うということが重要であるというふうに思います。
本特例措置のうち、短期間、短時間訓練の効果の検証につきましては、ちょうど昨日、労政審の人材開発分科会がございまして、当該訓練の受講者数ですとか就職実績を含む受講事例のほか、訓練の分野別のコース設定の状況等についてお示しをしたところでございます。
今後でございますが、さらに、訓練期間や訓練時間を区分した上で、お話のございました就職率の分析等も行っていきたいというふうに思います。こうした特例措置の効果の検証を行いながら、より効果的な対応について検討していきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/101
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102・川田龍平
○川田龍平君 通告したのは終わってしまったんですけれども、質問を続けます。
職業訓練の御当地メニュー、これ厚労省によると、現在地域ごとで内容に大きな違いはないということですが、都道府県ごとにこの産業構造、今後伸ばしたい分野が異なるということもあって、求められるスキルと訓練内容のミスマッチ、指摘する声もありますが、この御当地メニューについてはどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/102
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103・小林洋司
○政府参考人(小林洋司君) これから、地域ニーズに対応した職業訓練の推進というのがますます重要になってくるというふうに思っております。
今回、法改正の内容に、都道府県単位で関係者によります協議会を設けるという規定を入れております。ここに地域の様々な関係者にお集まりをいただきまして、地域のニーズがどこにあるのか、そしてそのためのカリキュラムをどういうふうに設定していくのかということについて真剣に御議論いただきたいというふうに思っておりまして、そうした場を最大限活用して、それぞれの地域にふさわしい訓練コースの設定を促進していきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/103
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104・川田龍平
○川田龍平君 この新たな協議会の構成員には罰則付きの守秘義務が掛かりますが、守秘に当たる基準、それから内容、具体的にどのようなものか、また、その守秘義務によって、協議会内での議論が公開されずに議論がブラックボックス化する懸念があることについてはどのように考えておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/104
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105・小林洋司
○政府参考人(小林洋司君) 今回守秘義務を入れさせていただいておりますのは、訓練の効果検証に当たりまして、個別企業の方ですとか個別の訓練受講者の方ですとか、そういった方々から忌憚のない御意見をいただく、それを訓練の改善につなげていこうという趣旨でございます。守秘義務を設けたことによってそういった御意見というのをより多くいただけるようになると思います。
その上で、実際に訓練のニーズが、地域のニーズがどこにあるかとか、その訓練のそれぞれの進捗状況がどうなっているかですとか、こういう改善図っていきますとか、その協議会で得られた成果についてはしっかり公表いたしますし、それが全国で見える化されるということで、全国的にニーズに即した訓練の設定が更に促される、そういうふうにしていきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/105
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106・川田龍平
○川田龍平君 大臣、ちょっとこれ通告にしていないんですけれども、ちょっと今私が大変興味のある質問として、コロナウイルスのワクチンについて、新型コロナウイルスワクチンについて、特に子供、この間も質問させていただきましたが、子供のワクチンについてはできるだけ慎重に接種すべきではないかと思っております。
これについて、また新たに四回目接種という話も出てきておりますが、これは子供ではないですけれども、今までの検証をやっぱりしっかり行った上で、四回目のこの、大人も含めて、ワクチンの接種の効果や必要性、それから課題や問題点についてやっぱりしっかり示すべきだと、考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/106
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107・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今委員から御指摘がありましたのは四回目の接種でありますけれども、そのことにつきましては、今後の感染の状況や、あるいはワクチンに対する知見、そうした科学的な知見をしっかり踏まえた上で、国民の健康をしっかり守るための観点から検討をして進めていきたいというふうに思っております。
ワクチンの手当てをしたからといって、別に四回目のワクチン接種にただ急ぐということではなくて、必要であればしっかりと取り組める準備をしたということなので、そこの部分については、しっかりとした検討をした上で進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/107
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108・川田龍平
○川田龍平君 あと、子供のワクチン接種についても一言、慎重に是非進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/108
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109・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 子供のワクチン接種につきましては、予防接種法上の取扱い等についてもいろいろ配慮をしながら検討もいたしております。いろんな御意見もあることも踏まえて丁寧に検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/109
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110・川田龍平
○川田龍平君 最後に、大臣、大臣の地元で原村というのがありますが、四月から高齢者の医療費が無料でなくなるということで、本当に低所得者、これから高齢者も大変苦労すると思いますが、村とかそういった地域における医療費、本当に、これは本当に深刻な問題だと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/110
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111・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 原村というのは、Iターンの方たちが大変多いことでも有名な村でありまして、小さな村でありますけれども、合併をしないで頑張ってきている村で、その中にあって、医療費の問題も特徴のある施策を掲げてきました。
どういう政策がいいのかということについて言えば、それは地方でもいろんな選択肢、横出し、縦出しということもありますけれども、いずれにしても、しっかりと地域の医療を守っていく、あるいは地域の医療と介護の包括ケアだとか地域の地域共生社会の確立だとか、そうした観点から、それぞれの医療資源に合った適切な医療をしっかりと守っていく必要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/111
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112・川田龍平
○川田龍平君 ありがとうございました。
本当に、原村の例は、本当にもう四月からということですので、これから大変苦労する方が多くなると思いますので、是非しっかり取り組んでいただきたいと思います。
ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/112
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113・足立信也
○足立信也君 国民民主党・新緑風会の足立信也です。
資料が今渡っていると思うんですけれども、法案の審議の前に、ちょっと現場の悲痛な叫びがありますので、その点だけ一点質問したいと思います。
それは、四月からの診療報酬のこの減点ですね、資料にありますように、値段でいうと五千円、PCR検査の委託の場合、五千円下がるということです。
皆さん御存じのように、患者さんが来れば、陽性であろうが陰性であろうが、これは感染防御対策として、ガウンはもちろん、N95マスク、それからシューズカバー等々、一人一人替えていかなきゃいけないわけです。特に、この診療所の場合は元々患者さんの数が減っている。それから、発熱外来を開いている以上、そこに割く時間の関係上、診療時間も制限されると。こんな、こういう状況の中で、先週金曜日も、私の地元で、やっぱり現時点では発熱外来を受診する患者さんの数は変わらないと、しかも半分以上が陽性だというような状況なんです。
ここで、この検査料、五千円ですよね、これが相当きついという話です。新規患者数あるいは発熱外来を受診する方々が、この減少が、つまり発熱外来の必要性がなくなるぐらいまではこれは継続をしないと、途中で、まだ数が多い中で急に下がっていくというのは現場はつらいと思うんです。この点は、大臣は、そういう声は届いておりませんか。また、どうお考えになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/113
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114・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今委員からお示しのありました保険収載価格の見直しにつきましての資料、実を言うとこのお話は、医療関係の皆様から大変に大きな声でお話を伺っております。
御指摘のPCR検査については、実勢価格を踏まえた保険収載価格の検証を行いまして、その結果を踏まえて必要な見直しを行っているわけでございます。
具体的には、PCR検査を外部に委託する場合の点数について、昨年十二月に千八百点から千三百五十点に引き下げた上で、本年四月からは七百点に引き下げることとしておりました。しかし、今般、感染状況や医療機関での実施状況を踏まえまして、激変緩和のための更なる経過措置といたしまして、実態調査を行った上で、六月までは八百五十点とすることといたしました。
新型コロナウイルス感染症に係る対応については、引き続き、現場の声もよく聞きながら必要な対応を講じてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/114
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115・足立信也
○足立信也君 必要な対応ということをおっしゃったので、ちょうどここ、アンケート調査があるんです。
千三百三十人の医師のアンケートで、今まで六波までありますけれども、最も大変だった時期はいつでしたかというアンケートで、コロナ患者の受入れ病院では、やっぱり重症者も多かったですから、第五波がやっぱり最も大変だったと三二・八%の方が答えている。第六波は二九・八%、若干少ない。ですが、発熱外来のある診療所、発熱外来のある診療所では、第六波が一番大変だと、四七・一%。第五波は二八・四%ですから、圧倒的にこれが高い。これは、感染力は強いけれども重症化は少ないと、まさに診療所、発熱外来のある診療所が、そこにもろに患者さんとしては殺到している状況なんですね。
なので、これは、第六波の今の状況で、これが収束しているとはとても言えない中でなぜ下げるんだということなんですよ。
ところで、今ちょっと、済みません、突然思い付いたんですが、発熱外来というのは、そもそもこれは何かの法律、法令で必置されなきゃいけないものなんですか。それとも、対策として、知事やあるいは市町村長等々が要請するものなんですか。それとも、その外来をやっている方々、診療所の方々が自主的にやられているものなんですか。ちょっと突然で済みませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/115
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116・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 発熱外来、診療・検査医療機関ということでございますけれども、本当に、今先生から御指摘いただいたように、オミクロン株というのは感染力が強くてさほど重篤化しないという特徴があるので、第六波におきましては、本当にこの発熱外来、診療・検査医療機関の皆様方に大変御苦労をいただいて、今の非常に厳しい状況に臨んでいるという認識がございます。
この診療・検査医療機関につきましては、発熱、それは新型コロナウイルスの感染のおそれのあるということでございますので、そうした医療機関として診療が可能であるところについて医院の方で対応をしていただくというのがもちろん基本でございます。もちろん、医師でございますから、応招していただくということで多くの皆さんに手を挙げていただいているわけでありますけれども、しかし、体制の取れないところでやるわけにはまいりませんので、そういう意味では、診療・検査医療機関については手挙げをしていただいているということでございます。
今でも、一月から六千ほど増えまして、全国で二・九万から三・六万までに増やしておりますし、これ名前も公表するということで、多くの皆さんに分かりやすく、国民の皆さんに診療を受けていただけるようにという御協力もいただいているということで、改めて感謝を申し上げたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/116
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117・足立信也
○足立信也君 そうなんです。私も法令はずっと調べましたし、対処方針も見ました。これは自主的な取組なんですね。医療を預かる者としての、患者さんが訪れる、発熱した方々が訪れる、その方々がそうではない方と接触しないように、あるいは自分たちも身を守るためもあります、人にうつさないため、これ、医者の矜持としてやっているんですよ。
で、数は減っていない、数は減っていないところでなぜ下げるのかと。今までも、全国の医療者に対しては、大変な思いをされていると皆さん共有しているじゃないですか。なぜ今下げるんだと、もっと患者さんが減ってからでいいじゃないかというのは当然の思いだと思いますよ。
多くの国民の皆さんは、発熱した場合に、帰国者・接触者相談センターあるいは保健所に電話します。そうすると、指定医療機関やあるいは発熱外来のあるところに行ってくださいねと言われる。発熱外来は自主的にやっている。これ、別に利ざやを増やせと言っているわけじゃないですよ。今までも苦労しながらやってきて、あるいは自分の診療所、クリニックにとっては非常に厳しい状況を覚悟しながらやってきているのになぜ下げるんですかということなんですよ。これはつらいですよ、やっている人たちとしては。クリニックの理事長が隣におりますけれども、つらいと思いますよ。
だから、これは一つは、やっぱり第六波がもっと早く収束するだろう、二月の末か三月の上旬ぐらい、やっぱりそういう見通しを私も持っていました。これがやっぱり一つ甘かったんですよ。BA.1から、日本の場合はそれが下がり切らずにBA.2に移行しているから、波がこう高いまま続いたと私は思います。であるならば、今下げる必要ないじゃないですか。
これね、大臣の判断で機動的に、これ少なく、私が現場の人に聞いたら、せめて二か月ぐらい、せめて二か月ぐらい、それまで継続できていれば、持ち出す分は変わらないわけですから、クリニックとしては非常に助かるという思いでした。これ今、有効な手段考えていくという話がありましたが、この四月一日から委託料を下げるというようなこと、これはちょっと延期できないですか。現場の切実な声だと思いますよ。判断できないですか、そこは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/117
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118・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 保険収載の価格については、基本的には実勢価格を踏まえた価格設定ということであります。一方で、PCR検査の点数が高いことに対する御発言も、医療関係者とは申し上げませんが、いただいていることもございます。
基本的には、実勢価格を踏まえて保険収載価格を検証して決めるということでございまして、そうした方針で粛々と進めているということなんでございますけれども、いずれにしても、その状況、医療をめぐる状況、今回も調査をして決定をさせていただいたわけでありますけれども、今後とも、引き続き現場の声もよく聞きながら、必要な対応を取っていきたいというふうに考えております。
今回、このPCRの診療報酬の取扱い等もございましたけれども、例えば、診療・検査医療機関が公表されている場合に診療報酬を加算する三百点から五百点を三月末から七月末まで、また、診療報酬でいえば、電話等初再診の場合の追加的対応の二百五十点分だとか、特例的な診療報酬について延長をするような措置等もとっておりますし、全体として見ると、本当に御苦労をいただいている現場の医療機関がきっちりとやっていけるようにするということについては、このPCR検査の保険収載価格ということだけではなくて、しっかりと全体として日本の医療の現場、特に発熱外来で頑張っていただいている医院のお立場をよく目配りしながらやらせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/118
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119・足立信也
○足立信也君 あえて下の段に変わらないものを示したのはそういう意味なんです。延長の話が今ありましたね。延長していますからと、それは今までと変わらないからです。なぜこのタイミングで下げるんですかということなんですよ、現場としては。ちょっと待ってくださいよと、一か月、二か月、そういう主張があるんだという。
必要な対応をされると言ったので、これはこの場だけではなくてまた別の機会でもしっかり言いたいですし、やっぱり今まで頑張っている人の心の叫びですよ、もうつらい思いをしてやっているんですからね。延長は延長でそれはいいですよ。ただ、なぜ今変えるんだということです。是非受け止めてもらいたいと思います。うなずいていられたので、結果を期待しております。
じゃ、済みません、法案の方に行きます。
今回の法案のポイントは、やっぱり雇用保険法あるいは特例法の特例措置の延長と、雇用仲介制度の在り方と、それから職業訓練、能力開発、この制度の見直し、この三点だと思います。ほとんどの方が、ポイントが絞られているので恐らく質問項目は変わらないという思いがあるので、ちょっとニッチなといいますか、その部分でいきたいと思います。
私は、国庫負担のこともずっと指摘がありますけど、リーマン・ショックの後、民主党政権だったときに保険料率も国庫負担も上げました。その後、二〇一七年、一九年とどちらも下げました。やっぱり、積立部分に大きな影響のある保険料の部分と給付に関係する国庫負担の部分というのは連動性があるんですよ。今回何で別々なんですかという疑問がすごくあるということだと思っています。
それから、もう一つ大事な職業訓練、能力開発は、これはもうリンダ・グラットンさんの人生百年時代のライフスタイル、ライフスタイルはその年齢あるいは立場に応じて一人一人が希望する変化に対応すると、こういう意味を取り入れたリスキリングや労働移動の円滑化だと思うんですね。だから、方向性としては、本当に百年時代になるかどうかは別にして、そういう取組をしなきゃいけないということだろうと思っています。
そこで、失業等給付暫定措置の延長に関してなんですが、これ、地域延長給付というのがありますですね、その地域労働局、そして公共職業安定所、今は五つの労働局と七つの公共職業安定所でしょうか、これ六十日間延長すると。これ、資料を見ていますと非常に少ないですよね。今見ると、初回受給者数の実績が、令和元年度が九人、二年度が二十三人。じゃ、三年度はどうなのかと。三月は難しいですが、二月までで結構ですが、何人でしょう、今年度は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/119
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120・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 御指摘の地域延長給付の三年度の初回受給者数の実績、最新で令和四年一月時点まで出ていまして、十三人となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/120
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121・足立信也
○足立信也君 ただ、ちょっと増えるかもしれませんけど、九人、二十三人、十三人と、この数ですよ。
もう一つ、二年前の雇用保険の臨時特例法で、緊急事態措置終了後一年までは六十日間給付日数を延長するという、この仕組みが、つくりましたですよね。これと一体どう違うんだと、同じ六十日間延長でね。そこは違いがあって、そしてこれが必要なんだという認識の説明をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/121
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122・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) この地域延長給付については、その前身の制度はリーマン・ショックに対応した形でできておりまして、それを改正したり名前を変更したりなどしながら続けてきております。
基本的な制度の趣旨は、雇用情勢が悪い地域に居住していて、かつ重点的に再就職の支援が必要であると公共職業安定所長が認めた特定受給資格者等に対する措置でありまして、要は、その地域ではなかなか就職できないけれども、違う地域の求人を探していくと就職の可能性があるというような方について、より長期間重点的に支援するような趣旨でございまして、非常に地域の雇用情勢にリンクした形になっております。
コロナ延長給付というのも、これも非常に地域的な影響はありますけれども、一般的に、これはコロナの特例法に基づいてつくられた制度でして、コロナの感染の影響によってなかなか就職が難しいという、コロナの影響を踏まえた理由によって給付期間を延長するという制度であります。
同様に六十日間の給付日数延長でございますけれども、その制度の趣旨が異なりますので、それに応じて、この制度をそれぞれの方に応じて適用して運用しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/122
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123・足立信也
○足立信也君 今、雇用状況の悪い地域と、これが五つの労働局ですよ、五つの。でも、このコロナ禍で、全国的なコロナ禍で、雇用状況の悪い地域っていっぱいあるじゃないですか。そこで五つ、今は五つに限定している意味がどこにあるんだという話なんです、私が申し上げたいのはですね。
やっぱりコロナというこの状況の中で、雇用状況が非常に悪いという状況ができたわけですから、そこは一体的にやればいい話ではなかろうかと私は思うんですよ。あえて、これは緊急事態終了後一年ということなので、これはもう間もなくなくなるだろうと、特例法のものはですね。で、地域のものはずっとこれは、ずっとというかしばらくは継続したいと、そういう思いですか。それだけの差が出ますか、雇用状況に、各地域で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/123
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124・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) この地域延長給付というのは、今後の見通しということもあるんですけれども、やはり地域的に、ある意味局地的に雇用情勢が、様々な要因、それは大きな企業があったのが倒産したとか、そういうこともあるかもしれません。そういったことに対してあらかじめ備えているという、備えておくという意味で非常に重要な制度だと思っています。これはコロナ禍の前であろうと途中であろうと後であろうと、コロナ禍と関係なく起こり得る事象に対して対応するという意味では重要な制度だと思っております。
また、数が少ないからといっても、今後起こり得るリスクが非常に大きいという場合もあります。例えば雇調金にしても、コロナ前までは年間数十億円しか出てこなかった制度でありまして、もう廃止したらどうかという意見もあったぐらいの制度でありますので、そういう状況も重要ですけれども、もう一つ、将来のリスクに備える、雇用リスクに備えるという観点から見てこの制度は果たして有効なのかどうなのか、これはきっちり検証しながら対応していきたいと思いますけれども、今回は三年間、コロナ禍からの経済の回復途上にあることも踏まえて延長するというのが労働政策審議会の結論となったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/124
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125・足立信也
○足立信也君 それではもう一つ、臨時特例法の中で休業支援金と休業支援給付金がございますよね、ちょっと通告の漢字は間違っていますが、それはそれとして。要するに、雇用保険の適用である休業支援金と雇用保険適用外の休業支援給付金、これの今までの累計の支給額というのはどれぐらいなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/125
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126・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 休業支援金と給付金の累計支給額は、直近の三月十七日時点で約二千八百億円となっておりますけれども、このうち、雇用保険の被保険者に係る休業支援金は約九百億円、雇用保険の被保険者以外の方に係る休業給付金は約一千九百億円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/126
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127・足立信也
○足立信也君 人数の違いはあるんでしょうが、雇用保険の適用になっている方々の支援金は約九百億円で、適用じゃない方は千九百億円です。
大臣、これを見ても明らかなように、雇用保険の適用であるかないか、手当金等々を考えると、雇用保険の適用拡大こそが重要なんじゃないかと思うんです。今の給付金、それから支援金の支給額さえ倍以上だということを考えると、それから雇用に対しては国の責務を果たすという意味でも、やっぱり雇用保険の適用拡大、これがもっと大事なことであって、だと思うんですが、その方針、適用拡大の方針についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/127
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128・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 雇用保険制度は、週所定労働時間が二十時間以上かつ三十一日以上雇用見込みがある労働者を適用対象といたしております。これは、本制度が、自らによる労働で、賃金で、労働による賃金で生計を維持している方が失業した場合に、失業中の生活の安定と再就職の促進を図ることを目的とした社会保険の枠組みであることによるわけでございます。
週所定労働時間が二十時間に満たない方は、労働時間がフルタイム、四十時間の半分にも満たない方であるため、こうした趣旨に照らして雇用保険適用の対象外としているわけでございます。
週所定労働時間が二十時間に満たない方を雇用保険の適用対象とすることにつきましては、こうした雇用保険制度の考え方とかなり異なる働き方をする者も含まれている可能性がありました。こうした方に対して一律に強制適用を行うことの是非、週二十時間未満という短時間労働者の把握に伴う事務的なコストや実現可能性等、整理すべき課題が非常に多い、慎重な検討が必要であるというふうに考えております。
雇用保険の適用対象とならない方につきましては、無料の職業訓練と月十万円を支給する求職者支援制度など重層的なセーフティーネットによりまして、安定した雇用につなげるための支援策を講じておりまして、引き続き、こうした制度を利用しやすくする取組は併せて進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/128
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129・足立信也
○足立信也君 この問題は、この国の年金制度、公的年金制度を安定化させるための一番の手段としては厚生年金の被保険者数を増やすことだと、拡大していくことだと、これと全く連動する話なんですね。
安心して働くことができる、雇用保険というものに入っていることでどういう要求が権利としてできるというようなことも、これから十八歳以上成人になるに当たって若い世代にきっちり教育することが大事だというのは以前参考人の方もおっしゃっていたように、ここはやっぱり拡大の方向性で考えていかないといけないと思いますし、また、少しだけうなずいていらっしゃったので、多分その方向性で検討してくれるのではなかろうかと思いますし、これはやっぱり急務だと思いますよ。労働力人口が減る中で、年金の安定性についても同じようなことだと思います。
そこで、次は、失業等給付における制度の拡充について、事業を開始した基本手当の受給資格者に受給期間の特例措置というのがありますが、これは要するに、雇用保険の適用被保険者に限定される話なのか、それとも休業支援給付金受給者、つまり雇用保険の適用じゃない、この方々にも当てはまる仕組みなんでしょうか、そこを確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/129
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130・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 今回の起業した者に係る受給期間に係る特例ですけれども、雇用保険の基本手当の受給資格者が事業を開始した場合に、一定期間、廃業後の求職活動を支えることができる仕組みとして設けるものでございます。
一方、新型コロナウイルス感染症対応休業給付金などを受けている被保険者以外の方については、そもそも雇用保険の基本手当の受給資格者ではありませんので、この受給資格の期間を延長するということがそもそもあり得ないということに、そういう整理になりますので、もう一度申しますと、この制度は雇用保険の被保険者のみについての制度だということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/130
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131・足立信也
○足立信也君 そういう理解なんですが、それもやっぱり残念だなと。先ほどの支援金あるいは支援給付金の受給額を見ても倍以上違う中で、雇用保険の適用でない方々というのが、これから起業していただかなきゃいけない、そのための訓練も受けてもらいたいというようなことで、やっぱり雇用保険の適用者だけに限ることなんだというのが非常に寂しい、そんな気がしています。
ちょっと飛ばしますね。次は、雇用保険二事業なんですが、国庫負担の話に関係するんですが、これから先、人生百年時代の話もしました。それに加えて、現状、新型コロナの影響での失業のみならず、休業を余儀なくされた労働者がいっぱいいらっしゃる。雇用保険の適用を問わずいっぱいいらっしゃる中で、この職業安定事業というのは、能力開発促進というのは非常に大事だと言っている中で、ここの部分だけなぜ国庫負担がないんでしょうか。この点について、私はすっきりはしないので説明してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/131
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132・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 雇用安定事業、それから能力開発事業は、雇用保険の附帯事業として存在しております。
この附帯事業のそもそもの趣旨ですけれども、事業主の共同連帯の制度として設けられております。それにより、失業の予防あるいは雇用機会の増大等を目的として行っているものでありますので、事業主からの保険料のみを財源として実施することとなっているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/132
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133・足立信也
○足立信也君 それは、今後、いろんな取組、事業主としての取組も必要でしょうが、国民の側、働く側、労働者、保険適用の有無は問わず、自分たちも動かなきゃいけない話じゃないですか。そうなると、労使の負担が必要かなと思うんですけれども、それはそれとして、事業主の連帯だという話なんだけれども、そこに国庫負担が入ってはいけないということなんでしょうか。それとも、国の方針として、そこの取組が、この後言いますけれども、能力開発等々が極めて大事だという中で、国庫負担というものは考えないものなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/133
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134・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 先ほど局長からお答えをしたとおり、雇用調整助成金等を含む雇用安定事業につきましては、事業主の共同連帯の制度として、事業主からの保険料のみを財源に、失業の予防や雇用機会の増大等を目的として行っているところというふうに御答弁させていただきました。今後においても、原則として、雇用安定事業の費用を国庫が負担することは適当ではないというふうに考えております。
なお、雇用保険臨時特例法によりまして、雇用調整助成金の日額上限を超えた部分等について一般会計を繰り入れる暫定措置等を設けているわけでございますが、これはコロナ禍における特例的な対応として実施しているということだというふうに考えております。
今委員の方からも大分制度について弾力的な御発言も出ておったようには思うんでございますけれども、制度の在り方としての検討を否定するような、別にかたくなな姿勢で答弁をさせていただいているわけではありませんけれども、従来からの雇用調整助成金の枠組みを前提として考えると、原則として、国庫が負担することは適当でないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/134
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135・足立信也
○足立信也君 最後の質問にします。
能力開発についてなんです。この事業についてなんですけれども、行政府、国、地方を問わず、行政府でさえデジタルトランスフォーメーションというのが非常に遅れているというのはもう皆さん御存じのとおりの中で、厚生労働省、局が抱えていて、この範疇で、例えば文科省とか経産省とか、ほかの省庁との連携がないと、私は能力開発、職業能力開発ってなかなか難しいものだと思っているんです。
そういう政府全体としての取組、今後は、先ほどから何度も言っていますように、能力開発というのは非常に大事だ、人材育成。この政府全体の取組と厚生労働省の局の取組、これの関係をどういうふうに捉えておられるか、是非お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/135
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136・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) デジタル化の急速な進展や職業人生の長期化、人生百年時代、そうしたものに対応するために、政府全体として、学び直しを始めとした人材育成施策を強力に進めていくことが非常に重要だというふうに思います。このため、学び直しなどの人材育成施策について、文部科学省、厚生労働省、経済産業省が連携して取り組んでいるところでございます。
具体的には、文部科学省や経済産業省の事業により開発されました教育訓練のプログラムを厚生労働省の教育訓練給付の指定講座の対象とするとか、文部科学省が行う大学等のリカレント教育に関する授業による講座を受講した場合に厚生労働省の求職者支援制度の対象とするなどの連携を図っております。
引き続き、人材育成という大きな目標に向かって、関係省庁とも連携しながら施策を促進してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/136
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137・足立信也
○足立信也君 今日はこれで終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/137
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138・山田宏
○委員長(山田宏君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時十分休憩
─────・─────
午後一時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/138
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139・山田宏
○委員長(山田宏君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、羽生田俊君が委員を辞任され、その補欠として自見はなこ君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/139
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140・山田宏
○委員長(山田宏君) 休憩前に引き続き、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/140
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141・小川克巳
○小川克巳君 自民党の小川克巳でございます。
昨年は委員長を務めさせていただきましたので、本当に久しぶりの質疑ということになります。もうまるで六年前の新人のような気持ちで御質問をさせていただきたいというふうに思っております。(発言する者あり)ありがとうございます。
法案の質疑に入ります前に、ちょっと個人的に非常に関心を持っております障害者雇用について、先にお伺いしたいと思います。
私のバックグラウンド、皆様既に御存じのとおりですけれども、理学療法士でございます。作業療法士、言語聴覚士と合わせてリハビリテーション専門職という、何とも味わいのない言葉にくくられることの多い専門職ですけれども、その問題はちょっと別に譲ることにいたしまして。
リハビリテーションといいますのは、WHOによれば、能力低下の場合に、機能的能力が可能な限り最高の水準に達するように個人を訓練あるいは再訓練するため、医学的、社会的、職業的手段を合わせ、かつ調整して用いること。これちょっと、一九六八年ですね、若干古いんですけれども、別に全人間的復権というふうにも訳されたりします。
私は、十九歳のまだ初々しい頃ですが、大分県別府市にあります、ここに衛藤先生、それから足立先生おられますけれども、別府市にあります太陽の家を見学したことがございます。ボランティアサークルで在宅障害児を何とか社会参加させようということで活動しておりました私にとって、その体験というのは結構な衝撃でございました。そこには、救じゅつの対象として考えられることが一般的であった時代に労働者として生き生きと働く障害者の姿がありました。チャリティーより機会を、をスローガンに、タックスイーターからタックスペイヤーへの転換を進める、創設者の中村裕先生のその考え方が、もうそれ以来、私の中のリハビリテーションというものに対する軸になっております。
そういったことから、コロナ禍下における障害者雇用の状況、とっても気になっておりました。つきましては、その辺りのことについて、障害者を取り巻く雇用の状況、また民間及び中央省庁における実雇用率の状況についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/141
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142・奈尾基弘
○政府参考人(奈尾基弘君) お答え申し上げます。
まず、求人の状況でございますが、令和二年度にハローワークが受理しました障害者専用求人は、一般求人と同様でございますけれども、対前年度比で減少してございます。また、民間企業について産業別に雇用障害者数を見ますと、主に宿泊業、飲食サービス業、それから生活関連サービス業、娯楽業の職種で減少してございます。
これらから、新型コロナウイルス感染症による障害者雇用への影響は一定程度あるものと考えてございます。
一方で、令和三年六月一日現在の障害者雇用状況でございますが、民間企業の実雇用率は二・二〇%と、これは十年連続で過去最高を更新してございます。なお、雇用障害者数が減少しました宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業におきましても実雇用率は上昇しております。
また、令和三年六月一日現在の国の行政機関における障害者雇用状況でございますが、実雇用率が二・八五%でございまして、三十七機関全てが法定雇用率を達成してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/142
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143・小川克巳
○小川克巳君 ありがとうございました。
少なくとも中央省庁に関しては実雇用率が法定雇用率達しているということで、少なからずほっとしておりますけれども、引き続き、障害者雇用に関しては優しい目を向けていただきたいということと、合理的配慮、これ要件になっておりますので、是非よろしくお願いをいたしたいと思います。
その過程で、いわゆる障害者雇用に関する課題等について、また、民間企業への障害者雇用の継続に向けて特段の配慮を求めるなどの発信なんかがありましたら教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/143
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144・奈尾基弘
○政府参考人(奈尾基弘君) 委員御指摘のとおり、コロナ禍におきましても、企業においてできる限り障害のある方の雇用の維持に努めていただくことは重要と考えております。
このため、厚生労働省におきましては、障害者の方の雇用の維持を支援するため、事業主団体等に対する累次の要請というのを行っております。また、障害者の方の職場適応を支援するジョブコーチ、これを活用する事業主さんに対して助成する等、障害者の職場定着を図るための支援を実施しております。
さらに、ハローワークが地域障害者職業センター等関係機関と連携して、障害のある方の従事しやすい職務の設計でありますとか当該業務への配置転換など、職場定着に関する専門的な支援等を実施してきたところでございます。
引き続き、障害のある方の雇用の維持に向けて積極的な支援を行ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/144
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145・小川克巳
○小川克巳君 ありがとうございました。是非どうぞよろしくお願いいたします。
では、法案についてお伺いをいたします。
午前中の審議で、川田委員から九十分、詳細な質疑がございました。私はその三分の一の三十分ということで、足立委員も言われましたように、論点が比較的明確なものですから、川田委員の質問のおさらいということになろうかと思いますけれども、政府参考人には、先ほどの答弁で答え漏らしたことなどありましたら、追加して御発言いただければというふうに思っております。
初めに、教育訓練支援給付金制度についてお伺いいたします。
まず、専門実践教育訓練給付の対象となる教育訓練の内容と数についてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/145
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146・小林洋司
○政府参考人(小林洋司君) お答えいたします。
専門実践教育訓練給付でございますけれども、これは働く方の中長期的なキャリア形成に資する講座を対象としておりまして、看護師や介護福祉士の養成課程など、令和三年十月現在で二千五百八十四講座を指定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/146
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147・小川克巳
○小川克巳君 内容については。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/147
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148・小林洋司
○政府参考人(小林洋司君) 内容でございますが、働く方の中長期的なキャリア形成に資するというのが包括的な概念でございまして、これに基づいて、例えば、業務独占資格あるいは名称独占資格の取扱いを訓練目標とする養成課程ですとか、一定レベル以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とする課程ですとか、そういった全体で七つぐらいの類型に分けて区分をしております。
そのうち最も多いのが業務独占資格又は名称独占資格の取得を訓練目標とする養成課程でございまして、例としては、介護福祉士、看護福祉士等の養成ということでございます。そして、指定講座数、全体として二千五百八十四ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/148
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149・小川克巳
○小川克巳君 ありがとうございます。
教育訓練支援給付金制度で資格を得て雇用された人の割合、またその定着率等についてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/149
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150・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 教育訓練支援給付金の受給者のうち、受講修了後に目標とする資格等を取得して、かつ再就職した方の割合はおおむね七割程度となっております。また、この再就職者のうちで、再就職日から一年後において就業を継続している方の割合は八割程度となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/150
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151・小川克巳
○小川克巳君 ありがとうございます。比較的定着率は高いということで認識をいたします。
それから次に、教育訓練支援給付について、受給者数も増加傾向であるというふうに伺っております。これまでにその費用対効果という観点から受講者のその後について効果検証等はなされているかどうかについてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/151
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152・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) この教育訓練支援給付金については、令和三年度までの暫定措置ということになっておりますけれども、今般の改正に当たって、先ほど御答弁した目標資格の取得状況などの実績を確認した上で労政審で議論を行いまして、コロナ禍からの経済の回復途上にあることなども踏まえて三年間延長することとしたところでございます。
その際、同審議会において、本給付金の支給期間が長期にわたることなどに鑑み、費用対効果の観点も踏まえつつ、受講した教育訓練の対象資格の取得状況や受講後の再就職状況などの面から効果検証を行いしかるべき制度改善につなげるべきとの意見もいただいておりまして、厚生労働省としては、今後適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/152
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153・小川克巳
○小川克巳君 是非よろしくお願いいたします。
次に、専門実践教育訓練給付として、指定講座の偏りあるいはオンライン講座の更なる活用など、現状ある制度として更に改善すべき点があればお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/153
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154・小林洋司
○政府参考人(小林洋司君) お答えいたします。
専門実践教育訓練給付の指定講座でございますが、デジタル関連が少ないなど分野の偏りも見られるところでございまして、先ほど話に出ました雇用保険部会報告書におきまして、同様に、効果検証の上しかるべき制度改善につなげるべきとの御指摘をいただいておるところでございます。また、同報告書におきまして、オンラインや土日開催を進めるなど利用しやすい環境整備を図るべきとの御指摘もいただいておるところでございます。
今後、必要な効果検証をした上で、受講者等のニーズに応じた必要な見直しを検討するとともに、オンラインの活用等による利便性の向上や指定講座の充実を図る、そして制度の周知、広報にも取り組んでまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/154
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155・小川克巳
○小川克巳君 先ほどお答えいただきました指定講座、七分類というふうなことで、ちょっと拝見しますと、ゼロ、講座数がゼロというものもあるということで、それから、今国策として進められている情報通信系の人材育成に資するべき講座が極めて少ないというふうなこともあります。是非、今後に向けて見直しをよろしくお願いいたします。
では次に、国庫負担についてお伺いいたします。
雇用保険制度における国庫負担の考え方、これについて大臣からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/155
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156・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 失業等給付に係る費用の一部を国庫により負担しているのは、雇用保険の保険事故である失業は、政府の経済政策、雇用政策とも関係が深く、政府もその責任を担うべきとの考え方によるものであります。この考え方については、今回の改正によっても変わるものではないと考えております。
今般の国庫負担に係る改正は、新たな国庫繰入れ規定を創設するなどにより、雇用情勢等に応じて機動的な財政運営ができる枠組みを新たに設けることによって、雇用政策に係る国の責任を果たしていくものであります。
こうした仕組みを適切に運営するとともに、総合的な雇用政策を効果的に推進してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/156
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157・小川克巳
○小川克巳君 ありがとうございます。
雇用政策あるいは経済政策に影響される部分がこれについては大きいということからの政府の責任を果たすためだというふうなことの意義であるというふうに理解をいたしました。その観点、非常に大事だと思います。
その上で、国庫の負担、これをどうあるべきかというのを考えるべきだというふうに思いますが、午前中の議論あるいは衆議院の議論を拝見しましても、少しそこら辺の感覚がどうなのかなというふうに思われるような部分もございましたので、その点について、少しもう一度原点に返るなりの考え方の修正がお願いできればというふうに思っております。
基本手当については原則四分の一の負担割合とされていますけれども、令和三年度末、暫定措置として一〇%水準に下げられております、四分の一が四十分の一になっていると。この背景と効果について御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/157
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158・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 現行の国庫負担割合は、平成二十九年法改正の際に雇用情勢が安定的に推移しておりまして、財政状況も良好であったこと等を踏まえ、時限的に引下げを行っていたものであります。
コロナ前までは、この前提となった保険料でありますとか国庫負担割合を踏まえて、財政収支としては少しずつ積立金が減っていくという形で、これは意図したものでありましたけれども、そういう状況でありましたが、コロナになりましてこういう直近の支出が増えたこと、それに対して特例法で貸付けをするというような状況になりましたので、そういったことも影響して、財政的には積立金の枯渇に至っているという状況であります。そういう状況でありますので、今回、そういうことも踏まえて、新たな国庫負担のこういった仕組みを構築させていただいたということでございます。
現下においては雇用保険財政も非常に厳しい状況でありますけれども、今回の国庫負担の見直しでは、雇用情勢及び雇用保険財政が悪化したときには四分の一、それ以外のときには四十分の一とした上で、これに加えて、機動的に国庫からの繰入れを可能とする枠組みを新たに設けることとしたものでありまして、これらの規定によって、先ほど大臣が申し上げました雇用政策に係る国の責任を果たしていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/158
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159・小川克巳
○小川克巳君 四分の一から四十分の一にという、その十分の一になっているということの経緯についてもちょっと知りたいなと思うんですが、その辺りお答えいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/159
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160・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) この四十分の一というものは、今般の改正において、雇用情勢や雇用保険の財政状況に応じた国庫負担割合を設定するということにいたしておりますけれども、この四十分の一の負担割合につきましては、現行の国庫負担割合を基にしておりまして、雇用情勢等にかかわらず、政府の経済政策、雇用政策の結果としての失業の発生に対する国の責任を継続的に果たすために設定したものでございます。
なお、現行の国庫負担割合を四十分の一としているのは、平成十九年改正において、行政改革推進法の趣旨を踏まえて失業等給付の保険料率を千分の四、国庫負担を過去の引下げ幅最大四四%を超える四五ポイント引き下げたところです。また、平成二十八年、二十九年の改正によって失業等給付の保険料率併せて千分の四引き下げたことを踏まえて、平成二十九年改正においても平成十九年改正と同様に国庫負担の割合を四五ポイント引き下げることとして、五五%から一〇%としたものであります。そういった背景にある四十分の一を今回の国庫負担割合の選択肢の一つとしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/160
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161・小川克巳
○小川克巳君 ありがとうございました。
この今回の改正で、先ほど来お話に出ております新たな国庫繰入れ制度というものが提案をされております。この発動基準について合理的な説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/161
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162・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 今般の法案における国庫負担の仕組みのうち、機動的な国庫繰入れの発動基準についての御質問と理解しております。
この部分で、失業給付、失業等給付に係る保険料率が法律上の本則千分の八である中において、雇用保険の財政運営上必要である場合には機動的な国庫繰入れを実現可能とするということを基本的な考え方としておりますが、その基本的な考え方の上で、それに準じた場合として、翌年度に保険料率が本則千分の八となる場合や、雇用情勢や雇用保険財政が急激に悪化した場合も対象となるように、今後政令で基準を定める予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/162
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163・小川克巳
○小川克巳君 新しい国庫負担の仕組みによりまして、雇用情勢が急激に悪化して財政悪化した局面においても、保険料率を引き上げるよりも迅速に必要に応じた金額を繰り入れられるというふうなことになったということなんですけれども、雇用保険財政の安定を図ることがこれで可能になるわけですけれども、本則の四分の一に戻さざるを得ない状況というものが発生する可能性であるとか、さらに、その発生したとしたときにどのような場合が考えられるのかといったことについて御説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/163
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164・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 今回のスキームの中で、失業等給付の国庫負担率が四分の一となる雇用情勢及び雇用保険の財政状況の判断基準として、雇用情勢につきましては、前々年度の各月の受給者実人員の平均が七十万人に達しているか、かつ、いること、それから、かつ、雇用保険の財政状況については、保険料率と同じ方法による弾力倍率が一を下回っているということとすることとしています。
雇用保険の財政状況については当面非常に厳しい状況が続くと考えており、また、受給者実人員についても、過去には、リーマン・ショック時の平成二十一年度、アジア通貨危機、ITバブル崩壊など長期的な不況にあった平成十年度前後の時期においてこの七十万人という水準を超えており、これらの要件をいずれも満たすことも今後十分想定され得るものと考えております。
いずれにいたしましても、新たな国庫繰入れ制度を含めた国庫負担の枠組みの適切な運用などによりまして、引き続き雇用保険財政の安定的な運営を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/164
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165・小川克巳
○小川克巳君 衆議院の方でも、先ほどの午前中の質疑でも、その七十万人の基準というのがちょっとまだすっきりとしないというような部分もあるというふうな御指摘でもありまして、私自身も、どうなのかなというちょっと疑問に感じる部分ではあるんですけれども、そういったこれまでの説明で取りあえず了としようかなというふうに思っていますが。怒られそうですけれども。
休業支援金、それから給付金制度、休業支援金・給付金制度についてお伺いをいたします。
まず、支給累計額が今年の二月十七日時点で約二千七百億円、このうち休業支援金約八百六十六円、休業支援給付金がおよそ一千八百三十六円に上っているということなんですけれども、この額面に対する評価はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/165
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166・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 休業支援金・給付金の支給額、直近の三月十七日時点の数字を申し上げますと、累計で約二千八百億円であり、このうち被保険者を対象とする休業支援金は約九百億円、被保険者でない者を対象とする休業給付金は約千九百億円となっております。
これまでも相当数の方に活用いただいており、特に休業給付金の方が多く活用されている、このことから、特に雇用保険の対象ではない非正規雇用労働者の方の雇用維持に効果を発揮しているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/166
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167・小川克巳
○小川克巳君 まるでさっきのというか、午前中の足立議員の質問と全く真逆の視点だったと思いますけれども。
やはり、そういう評価もあるでしょうけど、雇用保険に参加といいますか、加入する割合を増やすという方向性をやっぱり考えるべきだというふうに私も思います。是非その観点をよろしくお願いします。
また、この支給累計額が大きな額に上るということは、ある意味企業側の非協力的な姿勢がかいま見えるということも言えるのではないかなというふうにも思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/167
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168・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 休業支援金・給付金については相当数の方に活用をいただいておりますけれども、雇用調整助成金と比較しますとその支出規模は二十分の一程度でありまして、多くの企業においては、雇用調整助成金を活用して休業手当をお支払いしていただいていると受け止めております。
その上で、厚生労働省としては、企業から雇用調整助成金の活用が難しい旨の相談があった場合は、その事情についてよく聴取し、やむを得ない事情があると認められる場合に休業支援金・給付金の案内を行うなどの対応を行っているところでありまして、引き続き、企業に対して雇用調整助成金の活用等を丁寧に働きかけてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/168
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169・小川克巳
○小川克巳君 是非よろしくお願いいたします。
続いて、失業等の給付についてお伺いをいたします。
フリーランスなどの自営業者に対する支援について、その対応はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/169
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170・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 今回の法案において、基本手当受給資格者が事業を開始した場合に、一定期間、廃業後の求職活動を支えることができる仕組みを設けております。フリーランスを直接雇用保険適用することは難しいですけれども、雇用保険の被保険者だった方がフリーランスあるいは自営業、起業に行って、また雇用の世界へ戻ってくる、こういうようなパターンについては、一定、そういった方々のセーフティーネットとして機能するのではないかというふうに思います。
このほかの様々な議論の中で、今回のような制度も十分周知して御利用いただければ有り難いと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/170
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171・小川克巳
○小川克巳君 ありがとうございました。
続いて、雇用保険料率についてお伺いいたします。
令和四年度の雇用保険料率については、前半は千分の二、それから後半千分の六と、いわゆる激変緩和措置が講じられております。
そもそも、この激変緩和措置を実施する意義というのは何でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/171
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172・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 雇用保険財政が厳しい状況にある中、失業等給付に係る保険料率は、現行の規定を前提とすれば原則の千分の八に戻ることになります。一方、全体的に回復途上にあるものの、新型コロナウイルス感染症の経済への影響もいまだ残っている状況にあること、また、特に年度当初からの引上げは労働者、事業主に急な負担を求めることになることに配慮し、労使の負担感も踏まえた激変緩和措置として、令和四年度の前半を千分の二、後半を千分の六とすることとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/172
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173・小川克巳
○小川克巳君 まあ趣旨はそうなんだろうなというふうに思いますが、その年度の途中で料率が変わるということの弊害といいますか、現場の負担感とか、そういったものに対しては理解を得ていくということが必要だと思うんですけれども、どういうふうに取り組まれるつもりか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/173
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174・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 確かに、年度途中の保険料率の変更についてはしっかりとした対応が必要と考えております。労働政策審議会においても、使用者代表委員から、丁寧な周知等を求める御意見をいただいているところでございます。
厚生労働省としては、変更内容のお知らせや説明会の実施などにより、できる限り早期に事業主の皆様への周知が行き届くよう、あらゆる機会を通じた周知の徹底に努めてまいりたいと考えております。
また、保険料を納付いただく際の事務負担の軽減のため、申告に当たって活用できる計算支援ツールを作成し、ホームページで周知するとともに、都道府県労働局における丁寧な相談対応を行うなど、円滑な手続に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/174
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175・小川克巳
○小川克巳君 年度途中で料率が変わるというのは過去ないんじゃないかと思いますけれども、そういったいわゆるデジタルツールを使うことで推進ができるということであれば幸いだというふうに思います。是非周知のほどお願いいたします。
求職者支援制度についてお伺いいたします。
制度の対象者を踏まえますと、全額国庫負担としてもいいのではないかなというふうに思いますが、国庫負担についてどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/175
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176・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) お答えする前に、年度途中に雇用保険料を変えたことは過去一回だけございます。そのときは、年度の当初には変えるということではなくて、途中に判断をし直して変えたということで、今回の場合は年度初めにあらかじめ年度後半の保険料を決めておりますので、今回はそういった意味では初めてでございます。その年度を通じた保険料を早期に周知して、混乱のないようにしたいと思っております。
それから、求職者支援制度に関するお問合せ、質問ですけれども、雇用保険の給付を受けられない方について無料の職業訓練と月十万円を支給する仕組みでございまして、その国庫負担については、制度創設時の三大臣合意において本則二分の一とされた上で、失業等給付の国庫負担と同様に、令和三年度末まで本則の負担割合の一〇%水準とする暫定措置が講じられております。
今般の改正では、求職者支援制度の国庫負担について、令和四年度以降当分の間、本則の負担割合二分の一の一〇%から五五%に引き上げるとともに、令和七年四月一日以降できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止することとする旨の規定を盛り込んでいるところでございまして、こうした規定を踏まえ、適切に検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/176
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177・小川克巳
○小川克巳君 ありがとうございました。
最後の質問になろうかと思いますが、労働市場の整備、職業安定法であるとか促進法についてお伺いをいたします。
昨今、多岐にわたる求人メディア等を法的に位置付け、ハローワーク等との相互協力の対象に含めるとともに、求人メディア等が依拠すべきルールが明確にされるとのことで、これによって安心してネット利用ができるようになるというふうに私も考えます。
ですが、これまでに得られた具体的な問題等につきましてはどのようなものがあったのか、また、今回の改正でそれらが改善する見通しについて、ちょっと質問が漠としておりますが、お答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/177
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178・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 求職者アンケート調査によりますと、求人メディア等を利用する中で、掲載されている募集情報を見て応募をしたら既に終了した求人だった、掲載されている募集条件と実際に求人企業が提示した条件が異なっていたといった事例が存在していることが確認されました。
こうした事例も踏まえて、今般の改正では、募集情報等提供事業の定義を拡大するとともに、募集情報の的確な表示等の義務を課す、違反があった場合に迅速、的確な指導が可能となるよう届出制を導入する、改善命令等の行政処分の規定を設けるといった内容を盛り込みました。
これにより、こうしたトラブルの発生が防止され、新しいサービスも含めた求人メディア等を求職者が安心して利用できる環境が整備されることで、労働市場における公正、効率的なマッチングが促進されると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/178
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179・小川克巳
○小川克巳君 ありがとうございました。時間ですので、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/179
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180・山本香苗
○山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。よろしくお願いいたします。
職業能力開発促進法の改正案についてまずお伺いさせていただきますが、今回の改正案におきまして地域訓練協議会を法定化することとなっておりますが、この意義は何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/180
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181・小林洋司
○政府参考人(小林洋司君) デジタル化の急速な進展等の課題への対応、そして希望する仕事への再就職、ステップアップなどの実現のため、地域の人材ニーズですとか求職者のニーズというのを的確に踏まえて人材育成を積極的に行っていく、こういう視点が今後ますます重要になってくると考えております。
このため、今般法定化する協議会におきましては、産業界など幅広い関係者を集めまして、地域における今後の産業展開や求職者のニーズも踏まえた詳細な訓練ニーズをしっかりと把握して、精度の高い教育訓練の設定を効果的、効率的に進めていくこととしております。また、協議会では、参加者に守秘義務を課した上で、訓練を修了された方やその採用企業に対するヒアリング等を通じて訓練効果の把握、検証を行い、訓練内容の改善、改良につなげていくこととしております。
こうした取組を通じて、地域の人材ニーズ、求職者のニーズというのを適切に反映することにより、効果的な人材育成を図ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/181
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182・山本香苗
○山本香苗君 効果的な訓練を実施する上で、現場のニーズの把握、対象者の状況分析、重要です。特に、先ほど出ていました求職者支援訓練、これについては特に重要です。是非、訓練修了者だけではなくて、修了しなかった方も含め、受講者の声を丁寧に聞いていただきたいと思います。
現在実施しているアンケートに加えて、訓練を受けようと思った目的やきっかけ、訓練について、ちゃんと付いていけたかどうかとか、また、受けてよかったかどうかと、また、その理由も含めて訓練受講者の状況を詳細に把握、分析をし、訓練内容の改善、向上のみならず、他の方々が受講する際の参考として活用できるようにしていただきたいと思います。また、訓練実施機関からも課題を吸い上げて次につなげていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/182
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183・小林洋司
○政府参考人(小林洋司君) 御指摘いただきましたように、現在は、受講者に対して訓練内容等に対する満足度のアンケート調査は実施しておるところでございますが、御指摘いただきましたような、訓練修了後就職した方に対して、例えば就職先が御本人の希望に沿うものであったかということを問うような詳細なアンケートですとか、あるいは訓練実施機関に対するアンケートというのは現在は実施をできていないところでございます。ただ、御指摘いただきましたように、訓練効果の把握、検証に当たっては、そうした情報は非常に有益でございますので、今後、そうしたアンケートについて具体的にどのように実施していくかを検討したいと思います。
その上で、今回の協議会では、訓練効果の把握、検証をしっかりと行うということとしておりますので、そうしたアンケート調査の結果を活用して、効果的な訓練実施ですとか、あるいはハローワークにおける適切な受講勧奨にもつなげていきたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/183
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184・山本香苗
○山本香苗君 コロナ禍におきまして、一人親、非正規雇用、個人事業主、フリーランス等、求職者支援訓練を受講することが想定されている方々に向き合ってきたのは生活困窮者自立支援制度の主管部局や関係団体でありまして、その支援の中で訓練ニーズというものについても把握をしています。しかしながら、それをフィードバックする場がないんですね。そのため、現在社援局で行われております生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会の中で、求職者支援訓練については、地域訓練協議会に生活困窮者自立支援制度主管部局等も参加し、訓練ニーズについて現場の声を伝えることができるようにするなどの連携強化をお願いしたいという声が上がっています。
是非、この地域訓練協議会に生活困窮者自立支援制度主管部局や関係団体を加えていただきたい。あわせて、国におけます中央訓練協議会にも同様に加えていただきたいと思いますが、副大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/184
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185・古賀篤
○副大臣(古賀篤君) 求職者支援訓練におきましては、就業経験がない方などを対象に、就職に必要なコミュニケーション能力等を踏まえまして、含めまして基礎的な能力を付与する基礎コースを設けているところですが、生活困窮者等の就職困難者に対しましてより効果的な職業訓練を実施するためには、訓練期間中の更なるきめ細かな支援が必要だというふうに考えているところであります。こうした観点から、訓練期間中の支援方法等につきまして、今委員から御指摘あったように、生活困窮者自立支援制度主管部局等からの意見を伺うということは大変大事なことだというふうに考えているところでございます。
このため、厚生労働省において開催しております中央訓練協議会に生活困窮者自立支援制度主管部局等も参画しまして、効果的な職業訓練の支援の在り方の検討を進めてまいりたいと考えます。また、法定化されます都道府県単位の訓練協議会におきましても、地方公共団体の生活困窮者自立支援制度主管部局等の参画を求めるように促しまして、生活困窮者を含めた求職者のニーズに応じました効果的な職業訓練が実施されるように取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/185
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186・山本香苗
○山本香苗君 ありがとうございます。
自治体におけますこの生活困窮者自立支援制度の就労準備支援や就労支援などによりまして、訓練付きの就労支援や職場体験等を活用した就労支援とかが広がってきています。労働行政の領域におきましても、障害者や高齢者、一人親等の就職困難な方々の雇用を進める企業に対して、特定求職者雇用開発助成金、いわゆる特開金ですね、だとか、またトライアル雇用助成金などを支給する支援策が実施されています。しかし、こうした自治体の福祉施策とこの労働部局におけます支援策はほとんど連携できていません。
こうした状況の中で、私の地元の大阪の豊中市におきましては、この生活困窮者自立支援制度における就労支援と、無料職業紹介による支援を受ける特定求職者を雇い入れる企業にこの特開金を活用して支援すると、組み合わせた取組を実施をしております。特定求職者の状況に応じて、職場体験だとか就労訓練、短時間のバイトなど、きめ細かにステップを踏んで、一定の期間を経て一般就労に至ると。こうした形であれば、この特定求職者の方は自分のペースで徐々に職場になじんでいけるわけですね。いきなり一般就労で雇い入れるのは難しいよという企業に対しても、このステップを踏んでいる間に徐々に雇ってみようかなというふうになってくるわけなんです。実際、豊中市では、この特開金を活用した就労支援によりまして、令和二年度で四十八件、令和三年度で五十一件の採用実績があると伺いました。
こうした豊中市の取組というのは、特定求職者とこの企業双方にとってメリットのある、まあ大変なんですけど、効果的な取組であって、推進すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/186
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187・奈尾基弘
○政府参考人(奈尾基弘君) お答え申し上げます。
御指摘の特定求職者雇用開発助成金でございますが、御案内のとおり、様々な理由によって就職が特に困難な方を、ハローワークや自治体、民間の職業紹介事業者等の紹介によって継続して雇用する労働者として雇い入れられた事業主に対して助成するものでございます。これらの方の雇用機会の増大、雇用の安定を図ることを目的としております。
委員御指摘のとおり、生活困窮者の自立支援に取り組む地方自治体の一部におきまして、この特定求職者雇用開発助成金を活用した職業紹介を実施していると承知してございまして、これは生活困窮者にとっても雇い入れた事業主にとってもメリットがあると認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/187
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188・山本香苗
○山本香苗君 メリットがあると。是非推進していただきたいわけでありますが、推進するに当たって解消していただきたいことがあります。この特開金には、雇い入れた事業所と同一事業所で雇入れ以前の三年間に通算して三か月を超える職業訓練や実習などを行った場合には助成金の対象から外すという要件があります。なぜ、通算して三か月を超える職業訓練や実習などを行った場合、助成金の対象外としているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/188
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189・奈尾基弘
○政府参考人(奈尾基弘君) 特定求職者雇用開発助成金でございますが、就職困難者の新たな雇用機会の増大を目的としてございますため、過去に当該事業所で雇用したことがある方など、事業主において対象労働者の能力や適性の見極めが付いている場合には助成の対象にしないということでございます。
こういった考え方に照らしまして、御指摘の要件、すなわち、雇い入れた事業所と同一事業所で雇入れ以前の三年間に通算して三か月を超える職業訓練や実習を行った場合、これは相当期間見極めを行っているという理由から不支給としているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/189
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190・山本香苗
○山本香苗君 副大臣、是非よく聞いていただきたいんですけど、要するに、雇うことが見込まれているような場合には助成金出さないよと言っているわけなんですが、雇用予約じゃ駄目ですよということなんですけど、先ほど御説明申し上げましたとおり、これ訓練実施イコール雇用予約じゃないんですね。あくまで事業所という場所を活用した支援なんです。雇用は前提となっていないんです。
何度も何度も丁寧に、企業にも協力してもらいながら特定求職者に合った訓練や実習など実施して、モチベーション上げて一般就労できる状況まで持っていって、企業とこの求職者双方が相思相愛になったら、なったらようやくここで雇用なんです。最初から雇用の約束ないんですね。にもかかわらず、認定就労訓練事業所で訓練を始めた場合に、開始時から雇用予約ありとみなされてしまい、特開金を使えなかったという話も各方面から伺っています。
一般就労ができる状況になるまでどれぐらいの期間の訓練だとか実習が必要かというのは、特定求職者の状況によって異なります。是非、特定求職者の実態を踏まえて、同一事業所、一律、一律通算三か月以内という要件を見直していただけないでしょうか。
あわせて、特開金を活用した就労支援を実施するに当たって、どういう場合が対象となってどういう場合が対象外になるのかよく分かりません。週二回以内の実習を三か月以内であったらマルで、週三回以上だったらバツというような対応をしたところもあったそうなんです。もうそんなんどこに書いてあんねんって感じなわけなんですけれども、是非、詳細な基準を示すとともに分かりやすく周知していただきたいと思いますが、副大臣、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/190
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191・古賀篤
○副大臣(古賀篤君) まず、山本香苗委員の問題意識、しっかりまず共有させていただきたいと思います。
その上で、雇入れ前の通算三か月の要件等ですが、この対象労働者の能力や適性の見極めの期間として短いと、実態に即していないんじゃないかというような御指摘をいただいたと思います。ほかの支援施策との関係性とかこういったものの整理、あるいは検討すべき課題、こういったことを整理した上でどのような対応が適切かを検討していきたいというふうに考えているところであります。
また、もう一つ御指摘いただきました、この助成金の活用促進に当たって、現在、ハローワークの窓口あるいは厚生労働省のホームページ等でいろんな機会を捉えて周知を行っているところでありますが、より事業者の方にとって明瞭、分かりやすいものになるようにしっかり取り組んでいきたいと考えております。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/191
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192・山本香苗
○山本香苗君 是非見直しをしていただきたいと思います。
このハローワークに今何度行っても仕事が見付からない、こうした方々の相談をこの生活困窮者のところで受けて、そして、その人に合った訓練場所を確保して、実習、訓練、様々な選択肢を準備して、受け入れる企業もよく分からないですから、そこもちゃんとサポートしてあげながら一般就労できる状況まで持っていくんです。その後の定着支援のフォローアップも七割の自治体ではやっているわけでありまして、こうした取組がなければ、このコロナ禍で就職困難な方々の就労は進みません。もう今、本当にこれに悩んでいます。是非よろしくお願いしたいと思います。
関連いたしまして、生活保護と公的職業訓練についてお伺いさせていただきますが、生活保護を受給している一人親の方が看護師になるために専門学校に通いたいと希望したところ、生活保護から抜けなければならないと言われました。生活保護の場合、高卒程度の能力で就労すればいいと、それ以上の技能は身に付ける必要はないということなんですが、これは生活保護から脱却したいという自立を阻害しているんじゃないでしょうか。
生活保護世帯の子供の大学進学の問題に加え、生活保護受給者の本人が資格取得のために進学することにつきましても、是非とも、是非ともこの生活保護制度の見直しの中で検討していただけないでしょうか。佐藤副大臣、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/192
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193・佐藤英道
○副大臣(佐藤英道君) 大学や専修学校の専門課程につきましては、保護を受給しながら就学することを認めることは、一般世帯で高等学校卒業後に大学等に進学せずに就労する方やアルバイトなどで自ら学費や生活費を賄いながら大学等に通う方等のバランスを考慮する必要があり難しいのでありますけれども、他方、高等学校や高等専門学校、高等学校での就学に準ずる専修学校の高等課程につきましては、保護を受給しながら就学することができるようになっております。
また、被保護者が職業能力開発促進法に基づく職業訓練や雇用保険法に基づく教育訓練等を受講するため、保護を受けながら就学することが認められる学校に就学し給付等を受ける場合には、収入認定をした上で、技能習得のために必要な費用を保護費として支給できることとしているところであります。
いずれにいたしましても、生活保護世帯の被保護者の自立を助長するための就労促進等の施策の在り方につきましては、次期制度の改正に向けて検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/193
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194・山本香苗
○山本香苗君 ありがとうございます。引き続き、また別途質問させていただきます。
職業安定法改正案についてお伺いさせていただきますが、IT技術等の発展やインターネットの普及によりまして、多種多様なサービスを提供している求人メディア、また雇用仲介事業者が労働市場において大きな役割を果たしております。その役割を評価して、労働市場においてマッチングの機能を担うものとして位置付け、職業安定法のこの枠組みに入れるということは極めて重要なことだと考えております。
そこで、具体的に伺います。コロナ禍においてスマホのアプリを通じて数時間から数日の雇用契約を個別に結ぶスポットワークという働き方が増えておりますが、こうした新しい働き方を厚生労働省はどう認識しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/194
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195・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 御指摘のような短時間、単発の雇用契約については、働く時間などに融通が利くといった利点があり、そのような働き方を望んで選択される方も多くなっていると思います。
ただ、労働条件など労働者保護のためのルールが守られることがまずは重要ですし、さらには、雇用の安定性などの面でも課題を抱えておりますので、より安定した雇用への移行支援も含めて、円滑な労働力需給調整が行われるような環境整備が必要と考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/195
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196・山本香苗
○山本香苗君 スポットワークというのは、長期アルバイト同様に労災と最賃が保障され、すぐ現金が手に入るということで、コロナ下、かなりニーズが高まっています。また、雇う企業側においても、コロナ収束が見通せずに長期の継続雇用を増やすことがなかなか難しいという中で、人手が必要になったときにスポットワークで人を集めることができるということで求人も増えていると伺っています。
このように、働く側と雇う側の双方のニーズが相まって、スポットワークマーケットは急速に拡大をしており、それに伴いスポットワークマッチング事業者も急増していると伺っておりますが、このスポットワークマッチング事業者というのは、法的にどういう位置付けになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/196
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197・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) それぞれ様々な形態が存在しておりますので、それぞれの事業に応じて法的位置付けを判断すべきと考えております。
例えば、募集情報の提供にとどまる場合は募集情報等提供事業者に該当する一方、最近登場しています、アプリ等を通じて求職者が応募した時点で原則として雇用契約を成立させるようなサービスについては職業紹介事業者に該当するものと考えておりまして、今後、その実態に応じてしっかり判断して、ルールの適用の明確化、周知を図っていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/197
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198・山本香苗
○山本香苗君 今、雇用契約に及ぶようなマッチングをやっている場合は職業安定法上の職業紹介の許可を取らなきゃいけないということでありますけれども、今、この異業種からの参入というのが急増しておりまして、問題のある事業活動が行われているケースもあると伺っております。
こうしたこともあって、先月、スポットワークの主要マッチング事業者が中心となって、スポットワークの健全な発展を目指してスポットワーク協会というものが設立されたと報道されておりました。
こうした業界団体の自主的な取組は重要なんですけれども、自主的な取組に任せるのではなく、是非厚生労働省としても業界団体と連携をし、事業の実態を把握するとともに適正な事業運営を確保していくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/198
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199・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 今回の改正案では、従来の職業紹介事業の許可制に加えて、募集情報等提供事業にも届出制を導入し事業実態の把握を図るとともに、事業者団体の役割や国との連携についても法律上位置付けております。
こうした新しい規定を活用して、事業者団体と連携しつつ、しっかり実態把握をして、必要に応じて指導監督も実施しながら適切な事業運営の確保に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/199
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200・山本香苗
○山本香苗君 是非、働く側も、また雇う側も安心して活用できるような、今、働き方に制約を抱えていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。こういう方が利用、悪用されちゃいけないんですけれども、そういう選択肢もあっていいと思うんですね。適正に短時間でぱっと働けるというこの選択肢も、是非厚生労働省とよく連携をしながら確保していただきたいと思います。
このように、職業紹介事業等既存の雇用仲介サービスにおいても、業務の効率化や、またマッチング機能の向上のために、AIやマッチングアルゴリズムなどの技術が利用されています。もう既に利用が進んでいるわけであります。そうしたこともあり、労政審においても、AIやマッチングアルゴリズムに係る留意点についても検討を進めることが適当という見解が示されておりました。
欧州のAI規則案、これは世界で初めてのAIの法的枠組みに関する提案でありますが、この中で、個人の評価等に関してAIが用いられる場合に、評価データ等についての正確性、公平性を確保すること、透明性を確保すること、人間による監督を保証することなどを実施者に義務付けています。
今後、欧州議会での議論等によりまして変更する可能性はあると思いますが、こうした諸外国の動向も把握しつつ、デジタル庁等関係省庁とも連携をして、このAIやマッチングアルゴリズムに係る留意点について早急に検討をすべきと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/200
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201・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) AIなどの高度な技術を活用した場合については、アンコンシャスバイアスの再生産が生じるおそれなどが一般的に指摘されておりますが、今般、労政審等においてこの点も議論いただきましたが、現時点で我が国において直ちにそのような問題が生じているとの指摘はありませんでした。
AIには、人の経験や思い込みなどにとらわれない客観的で新しいマッチングが期待できる一方で、今後、新しい技術の活用が進展する中で、アンコンシャスバイアスの再生産などが生じ、特定の求職者が不利に取り扱われることのないように留意することが必要であると考えております。
労政審においても、AIやマッチングアルゴリズムの使用に係る留意点について、今回講じる具体的措置の状況を踏まえ必要に応じて検討を進めていくことが適当と建議をいただいたところでありまして、関係省庁とも協力して、諸外国の動向の把握や検討に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/201
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202・山本香苗
○山本香苗君 アンコンシャスバイアスという話なんですが、今、実際のところ、この古典的な差別の再生産であったり新たな差別の助長といったようなことが招くんじゃないかということが大変懸念をされているわけであります。求職者保護の観点から、そんなに時間掛けている場合じゃないと思うんですね。検討会を立ち上げるなどして早急にこの留意点をまとめていっていただきたいと思いますので、是非よろしくお願いいたしたいと思います。
最後に、雇用保険法の改正案についてお伺いしたいと思いますが、検討規定におきまして、令和六年度までをめどに育休及びその財源の在り方について検討を行うと規定されておりますが、いつからどこでどういう内容を検討されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/202
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203・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 育児休業給付については、少子化社会対策大綱において、育児休業給付について、中長期的な観点から、その充実を含め、他の子育て支援制度の在り方も併せた制度の在り方を総合的に検討するとされていることや、現在の保険料率では令和七年度以降安定運営が可能な見通しとなっていないことも踏まえ、今般の法案において、令和六年度までを目途に育児休業給付及びその財源の在り方について検討を行う旨の規定を置いています。また、労政審の報告書においても、育児休業給付の在り方等については、他の関係諸施策の動向等も勘案しつつ、令和四年度から検討を開始し、令和六年度までを目途に進めていくべきとされているところです。
厚労省としては、こうした議論も踏まえつつ、令和四年度のできる限り早期に検討の場を設定し、雇用保険制度で運営している育児休業給付及びその財源の在り方について、子育て支援策を担当する関係省庁とも連携しながら検討を開始してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/203
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204・山本香苗
○山本香苗君 大臣、ここから最後二問お伺いさせていただきますが、二年前にこの当委員会におきまして、ドイツのように、育児しながら短時間勤務をした場合に、減額されるけれども育児休業給付が支給される仕組みを検討してもらいたいということを提案させていただきました。当時の加藤大臣は、しっかり議論したいと、加藤大臣にしては前向きにお答えいただいた感じだったんですね。当然、今局長おっしゃいましたけれども、この点も検討の対象になるという認識でよろしいでしょうか。
あわせて、育休を労働施策じゃなくて子育て支援策に位置付ける議論もなされると先ほどのお話の中にありましたけれども、その際に、よく自営業、フリーランスというのは出てくるんですが、会社や団体を経営している雇用主も当然のことながら含まれるという認識でよろしいのか、この二点を併せてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/204
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205・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今般の育児休業給付に関する検討規定は、財源のみならず、今委員御指摘のような給付内容の在り方も含めて検討対象となるものと考えております。また、自営業、フリーランスなど雇用契約によらない働き方を行う方の育児期間中の生活保障については、少なくとも雇用保険の育児休業給付制度の枠内での対応は困難であるというふうに考えています。
いずれにしても、育児休業給付について、中長期的な観点から、その充実を含め、他の子育て支援制度の在り方も併せた制度の在り方を総合的に検討するとされた少子化社会対策大綱の内容等も踏まえて、子育て支援策を担当する関係省庁とも連携しながら、子育て支援施策として検討するということも含めて考えてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/205
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206・山本香苗
○山本香苗君 この点はまたじっくり議論させていただきたいと思いますが、コロナに加えてウクライナ情勢により、経済の見通しが極めて不透明になってきております。雇用に対する影響も避けられないと思います。労政審におきまして、労政審にこうした雇用情勢や雇用保険の財政状況の推移を逐次報告するとともに、労政審での意見も踏まえて、今回新設される機動的な国庫繰入れを着実に実施をしていただきたいと思います。
最後に大臣の決意をお伺いして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/206
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207・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今般の法案において新設いたします機動的な国庫繰入れ制度につきましては、労働政策審議会の報告書において御指摘があったように、機動的繰入れを行うべき状況として報告書に記載された四つの類型に該当する又は該当するおそれがある場合には雇用保険部会に早急に財政の状況を報告し、財政安定化のための必要な財源の内容やその確保も含めて議論を行い、必要な対応を取るべきとされているところでございます。
厚生労働省としては、労働政策審議会の報告書において示された考え方を尊重し、適切に対応してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/207
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208・山本香苗
○山本香苗君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/208
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209・梅村聡
○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。
今日は、雇用保険法等の一部を改正する法律案、この質問の前に、一つテーマをお伺いしたいと思います。
先週から今週にかけて、これはマスコミ報道ベースではありますけれども、新型コロナワクチンの四回目を検討し始めたというニュースが流れてきています。正直、三回目が終わっていないときにほんまかいなという感じもしますけれども。
まず、事実関係として、これ報道ベースを読みますと、政府は、三回目接種について四月に接種機会の提供にめどが立つ見通しだとして、四回目接種について五月の開始を目指す方向で検討に入ったということですという、こういうニュースなんですね。最新の科学的知見を踏まえるとともに、三回目接種から四回目接種までの間隔については、イスラエルでの五か月の事例などを研究して改めて検討することですと。これ、昨日夜のネットニュースというか、テレビ報道のニュースだと思うんですが。
ちょっと最初にお伺いしたいのは、この四回目接種というのはそもそも具体的に何を目的としているのかと、それから、海外で四回目接種を行っているのはイスラエルだというふうに承知をしておりますけれども、現時点でどのような知見が報告されているのか、あるいは厚生労働省として何を認識しているのかと、更に言えば、これちょっと四回目とは違いますけれども、五歳から十一歳の子供さんのワクチンは、これオミクロン対応だということだと思いますので、三回目接種というのはこれ考えておられるのか、ちょっとこの辺り御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/209
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210・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) まず、新型コロナワクチン接種、これは新型コロナの蔓延予防上緊急の必要があると認めるときに実施することとされておりまして、四回目接種についても、これを踏まえて検討を進めているところでございます。
本日の審議会では、現時点までに得られている科学的知見や諸外国の対応状況等を踏まえ、四回目接種の実施に向けて、三回目接種を受けた全ての住民に接種機会を提供することを想定して自治体が準備を開始することについては適当とするという方向で御意見をいただいている一方で、四回目接種の対象者、接種間隔等については、ワクチンの有効性、安全性、効果の持続期間等に関する最新の科学的知見を踏まえて引き続き検討するということにされています。
それから、イスラエルの四回目接種に関する知見についてのお尋ねでしたけれども、イスラエルにおける四回目接種については、査読前の研究結果ではあるものの、感染予防効果と重症化予防効果が得られたと報告されていると承知しておりますけれども、引き続き最新の科学的知見を注視してまいりたいというふうに思っております。
五歳から十一歳までの子供への三回目接種につきましては、まずは一、二回目接種の円滑な実施に全力を尽くしまして、三回目接種については科学的知見や諸外国の動向を注視してまいりたいと、そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/210
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211・梅村聡
○梅村聡君 申し上げたいことは、今の御説明はよく分かったんですが、ちょっと落ち着きましょうということだと思うんですね。これ今までの三回目まで見ていたら、結局、打ってから三か月ぐらいは抗体も高くなって何か効果があると、それが急激に下がってくるのでまた三回目打ちましょうと。ところが、三回目も、どうも打った後また三か月ぐらいしたら急激に下がってくると。で、次四回目ですとなってくると、国民側からしたら結局何をしているのかよく分からないと、もうそんなことを言い出したら、春夏秋冬、毎回皆さん打ちましょうねというキャンペーンをせざるを得なくなる話なんですね。
だから、私は、ワクチンそのものが駄目だと言っているんじゃなくて、こんだけ打て打てどんどん、はい、毎三か月ごと、四か月ごとにとやること自体が、何の説明もないままにしていたら、国民の皆さん、何も信じなくなりますよと。そこの説明をどうしますかということを、私は今一番大事なことで、査読前か査読後かが問題じゃなくて、やっぱりちゃんとそれを国民に説明できるのかと。
私も、自分自身の知識からいいまして、同じワクチンを年間に四回も五回も打つことが本当に人間の体にとってどうなのかなと、これは一般の国民の人はみんな疑問に思いますね。そういう説明がないままに、専門家の方が四回目を検討したから、検討していますというのは、僕はちょっとそれは、ちょっと立ち止まっていただいて、国民への説明を考えていただきたいなというふうに思います。
やるかどうか検討中ということですけれども、三月十六日に厚生労働省からプレスリリースがありまして、財源の確保を前提に、ファイザー社から七千五百万回分、モデルナ社から七千万回分の新型コロナワクチンを追加購入することに合意しましたのでお知らせしますと。これ合わせて一億四千五百万回分、新たにこれ追加購入することが先週合意したということで発表されていますけれども、これ聞いたら、何か四回目すること満々、気分満々なんじゃないかなと思うんですけれども。
これ、仮に四回目を、じゃ、接種しないという、検討の結果ですね、なった場合は、この一億四千五百万回分はこれどうするおつもりなのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/211
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212・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
新型コロナワクチンの四回目接種の在り方については、科学的知見あるいは諸外国の状況を注視しつつ、専門家の知見も踏まえて検討したいと考えております。
そして、いかなる結論になっても対応できるように、ファイザー及びモデルナ社との交渉を進めてきたところでございます。その結果、今御指摘ありました、順次、現在順次輸入されるワクチンに加えまして、本年下半期に輸入されるワクチンとして、財源の確保を前提に、ファイザー社から七千五百万回、モデルナ社から七千万回分を追加購入することに合意したわけでございます。
コロナワクチンにつきましては、これまでも人口を超える数を購入していますけれども、ファイザー社やモデルナ社のワクチンについては、輸入されたものから順次接種会場に配送し、会場でも有効期限が短いものから使用するようお願いし、また、アストラゼネカ社のワクチンについては、国内で使用しない分は新型コロナを収束させていくための国際貢献として海外供与に活用しておりまして、貴重なワクチンが無駄にならないように努めているところでございます。
四回目接種を行わないことになった場合の対応という仮定の御質問にお答えすることはなかなか難しいのでありますけれども、今後も各社からワクチンの供給を順次受ける中で、引き続き国内での活用あるいは海外供与に取り組みまして、有効活用に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/212
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213・梅村聡
○梅村聡君 国際貢献はいいかとは思うんですけど、国民が一番困るのは、もう購入したから在庫一掃セールで打たないといけないみたいなメッセージになったら、これは一番駄目なことなんですよ。このプレスリリースは、私はそういうことを想起させると思いますので、くれぐれも、これちゃんと科学的な検証の下にですよ、四回目やるか、やるべきかということは慎重に考えていただきたいと思いますし、国民に対する説明を是非しっかりお願いをしたいと思っております。
それでは、今日の法案の問題に行きたいと思いますけれども、今回は、一つは、先ほどから質問が続いておりますけれども、いわゆる求人メディアですね、募集情報等提供、この言葉が定義が拡大されまして、今までは募集情報等提供というのは、あくまでも求人企業がその情報を求人メディアに渡して、そして求職者に対してそれを見えるように広告していくと、これが募集情報等提供だったと思いますけれども、やっぱりネット社会になってきまして、いわゆる求人メディアが勝手に情報を集めてきて、そして掲載をして検索ができるようにすると、こういうタイプも出てきたので、今回はそういう新しいタイプも募集情報等提供の定義に入れて、そして法律に定めていこうということだと認識をしております。
そうしますと、求人メディアですね、この場合は、今回、特にネット上の求人メディアが対象になるかと思いますけれども、二つのタイプの求人メディアが存在することになります。
すなわち、今までのような、伝統的に求人側から情報が与えられて、そして求職者がそれにアクセスしていくというパターンと、それから、ネット上に転がっている、ホームページとかそういう募集のものを拾ってきて、拾ってきて言うたらあきませんね、収集してきて、そして求人メディアが載せるという二つのタイプが出てくるんですけれども、これ、いずれも、今回、厚生労働省令で定めるところにより正確かつ最新の内容に保つための措置を講じなければならないとされておるわけですから、この二つのタイプのものが存在すると、その求人メディアにも二つのタイプが出てくる場合があるわけですね。あるいは、今言った二つのタイプの情報を一つの企業が混ぜて出している場合もあります。
そうしますと、厚生労働省令で定める措置の内容、これは当然企業ごとに変わってくる、あるいは広告ごとに変わってくるということになるんじゃないかなと思いますが、その辺りはどのように今回考えておられるのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/213
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214・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 募集情報等提供事業者に求められる措置の内容については、委員御指摘のとおり、情報提供の依頼を受けている者と受けていない者など、それぞれの事業者の募集情報等の収集、提供の対応が異なることを踏まえ、今後、労働政策審議会においても御議論いただき、省令で定めることとしています。
また、募集情報等提供事業者の中には、情報提供の依頼を受けた募集情報と自ら収集した募集情報の両方を提供している事業者も存在していると承知しておりまして、原則的には、それぞれに求められる措置を講じる必要があると考えておりますけれども、省令の検討に当たっては、事業者に過大な負担を強いることのないよう、実効的な措置となるよう留意して検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/214
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215・梅村聡
○梅村聡君 これから労政審で議論をされるということだと思いますが、そうしたら、具体的にちょっと新しいタイプの求人メディアについてお聞きしたいと思いますが、そうしますと、勝手に収集してきた情報、これが最新かつ正確なのかと。例えば、役職はどうなのかとか時給がどうなのか、社保に入れるのかどうか含めて、そういうものを勝手に収集してくるわけですよね。
そういう求人メディアに対しては、これ具体的にどういう取組をすればそれを満たすことになるのかと。これ、一方で求人側の企業の都合もありますから、ここのところは非常に気になるところだと思いますが、これはどの程度の措置を考えておられるのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/215
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216・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 募集情報等提供事業者に求められる措置の内容については、情報提供の依頼の有無にかかわらず、情報が正確又は最新でないことを確認した場合に、遅滞なく当該情報の提供を中止することなどを想定しております。
さらに、募集情報を自ら収集して提供するような募集情報等提供事業者については、情報を収集した時点を明らかにするなどの対応も予定しておりますけれども、いずれにしましても、今後、労政審で実態を踏まえて議論いただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/216
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217・梅村聡
○梅村聡君 済みません、これから決まるということなんですが、これ、何でその話をしたかというと、求人企業側にも今後指導が来るおそれがあるわけですね。つまり、勝手に自分たちの募集情報を持っていかれて、これが最新かつ正確じゃないよというのが、求人メディアじゃなくて、実はそこを通じて、いや、求人企業側がそのまま残しているからじゃないかとかと言われて、求人企業側からしたらびっくりするわけですね。突然、突然そんな指導がやってきたというのは、これはやっぱりびっくりすることだと思いますので、どういう規制をしていくのか、どういう措置が本当に必要なのかということ、そこをしっかり明示をしていただければなというふうに思っております。
それでは、今日二つに分かれたので最後の質問になってしまうんですが、二〇二〇年の厚生労働省雇用動向調査によりますと、この入職経路、新卒以外の入職経路、どういう経路で就職をしているのかと聞きますと、これハローワークは今二〇%なんですね。職業紹介を通じてが五・六%、学校が一・七%、そして、今申し上げたいわゆる求人メディア、広告、これを通じての入職経路が三二・八%と今一番多くなっているんですよね。そういう状況でありながら、あと縁故が二四・六%ですから、ハローワーク二割ぐらいということだと思います。
一方で、有効求人倍率とよくこれ報道で言われていますけれども、この数字は、ハローワークにおける求人、求職者のデータに基づいて算出をされているということなんですが、明らかにもう求人メディアとか広告の方が圧倒的に多数になってきているわけですから、やっぱりこの有効求人倍率は、ハローワークのデータ以外のものも加味した上でその数字をやっぱり出していく、新しい指標の計算にしていくことが私は必要なんじゃないかなと思いますが、この点に関して、大臣、見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/217
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218・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 求職活動におけるインターネットの利用が拡大する中で、委員御指摘のように、就職、転職の主要なツールとなっている民間求人メディア等の動向等を把握していくということは、非常により広く労働市場の状況を捉えるという意味で重要だというふうに思います。一方で、御指摘のような民間求人メディア等のデータも活用し、新たな指標を作成するには、複数の広告媒体に掲載されている求人をどのようにカウントするか等、技術的に様々な課題があると考えております。
今回の改正法案においては、募集情報等提供事業者からの事業報告や国と事業者団体の連携規定を定めたところでありまして、まずはこれらの規定も活用して、民間求人メディア等の求人動向の把握に取り組んでいく、ここから始めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/218
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219・梅村聡
○梅村聡君 有効求人倍率というのは、要するに需給調整の状況を見る指標でありますから、やっぱり実態を反映するにはどのような算出方法がいいのかということ、これをしっかり厚生労働省として、今後検討課題としてやっていただければなと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/219
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220・石井苗子
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。
本日は、雇用保険法の一部を改正する法律案について質問ということなんですが、私はこの分野に誠に疎くて、勉強が追い付いていっていないかもしれませんけれども、読むだに非常に複雑化してきているなという感想を持っております。
今日はハローワークについて質問させていただきますが、この中で、皆さんの中でハローワークに行ったことがある方どのぐらいいらっしゃるか分からないんですけれども。私は、一九八〇年代に、路頭に迷うほど仕事がなくてハローワークに行きまして、その当時はパソコンもございませんで、前にいたおじさんがスーパーコンピューターのように速く私に対して道路の清掃の仕事を与えてくださったことを忘れもしないんですけれども。本当に速くて、時間的にもすばらしく、どうやったら端的に稼げるかということを教えてくれたという、後に私がキャスターをやっているときにその方から、石井さん、仕事があってよかったですねという番組に電報をもらったという記憶がございまして、忘れもしません、ハローワークについて。
まさかこんなところに立って私がハローワークの、雇用保険法の質問するとは当時思ってもみなかったですけれども、大変な宿題というかミッションを私背中にしょってございまして、ここの席にずっといらっしゃいました東徹議員が、悲願がございます。
ここに書いてありますけれども、読ませていただきますが、これ令和元年でございます。私は、このハローワークというのは、全国知事会の方でも移管せよ、移管せよ、移管せよという希望があるわけですよ、全国知事会でも、これ厚労省なかなかうんと言わないですね、一年前も同じ質問をさせていただき、なかなかうんと言わせてもらっておりませんという、非常に強いアピールがあるんですが。
さすがに、四十何年前からハローワークがどう変わったかということをここで教えていただきたいとは思わないんですが、ちょっとおさらいになると思いますけれども、お聞きしたいと思います。
これ、平成二十四年にハローワーク特区というのができまして、埼玉県と佐賀県においてハローワーク特区事業が行われ、ハローワーク浦和とハローワーク佐賀が対象になりました。これ当時、二〇一二年のことですから十年前ですね、地域主権戦略会議というのがありまして、ハローワークチームで枠組みが合意されるということがありました。そこで、特区では二〇一二年に、職業相談、就職相談、職業の紹介、そして生活・住宅相談までこの時代にワンストップの支援がされたという記録があります。かなり前ですね、十年前。
このハローワーク特区のこのときの実績、この特区内で就職がどれだけ増えたか、埼玉県と佐賀県ですね、これデータがあったら御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/220
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221・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) ハローワーク特区は、厚生労働大臣と知事が協定を締結して、協定に定めた業務の範囲内で知事から労働局長に対して指示ができるという仕組みでありまして、平成二十四年十月から約四年間にわたり、埼玉県及び佐賀県にて実施したものでございます。特区の結果については、いずれの取組でも利用者のためのサービスが強化された、国と県で協議を重ねたことにより両者の連携が強化されたなどの効果があったと考えております。
ここではちょっと比較できないんですけれども、例えば、満年度でやっていた平成二十五年から二十七年度でいきますと、埼玉県で、二十五年には五万二千人、二十六年五万九千人、二十七年五万八千九百人といった利用者数の中で大体就職件数は千二百件から千四百件程度、佐賀県の場合は、同様の期間で、二十五年度一万三千六百人、二十六年度一万五千人、平成二十七年度一万五千五百人の中で、正社員就職件数が、二十五年八百九十三人、二十六年千二百四十九人、平成二十七年が千三百四十一件といった数字になっております。
ハローワークの特区の状況等も踏まえて、政府内においてハローワークの在り方について議論、検証を行って、平成二十八年の第六次地方分権一括法で、地方公共団体も公的な無料職業紹介事業である地方版ハローワークを実施できるとした上で、雇用対策協定や地方公共団体から国への要請など、国と地方公共団体が緊密に連携しつつ地域の雇用対策に取り組む仕組みが設けられました。
要は、ハローワークを移すのではなくて、地方に移すのではなくて、地方もハローワークができるという形にして、両者の良いところを連携して出していこうという発想に立ってこの第六次の地方分権一括法が制定されたという経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/221
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222・石井苗子
○石井苗子君 数字の御提示、ありがとうございます。
エクスプロイテーションレートという、開発率という計算を今してみると、余り高くないですね。二九・八%ぐらいだと思うんですよ。そうすると、もう少し効率のいい開発をしていけるようなデータの見方というのがあると思うんです。
地方版ハローワークというお言葉が今出まして、これ、全国知事会から要望が出ているのは、平成二十二年から出ているんですけれども、地方版ハローワークというのは、記憶が正しければ、第六次分権一括法というのでできたわけですよね。そのときに職業の安定法が改正されたということなんですが、地方自治体が民間の職業紹介事業者とは異なる位置付けで公的な主体として無料職業紹介を実施できることになった、これが大変私は大きなことだったと思うんですけれども。
つまり、規制緩和や地方分権を進めるという点においては一歩進歩した大変好ましいことであったんじゃないかと、歴史を振り返ってそう思うわけなんですが、現在、この地方版ハローワークの状況、またお聞きしてよろしいでしょうか。どんなふうになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/222
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223・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 地方公共団体がこの無料の職業紹介を行うという制度なんですけれども、通常の民間ですと、許可とか届出という形での規制を掛けた形になりますけれども、このときに地方公共団体は、無料の職業紹介を行う場合に国への通知でいいということで整理をさせていただいております。現在、こういう地方版ハローワークにつきましては、この四年一月末現在ですけれども、全国九百三十八か所で設置されております。
この地方版ハローワークでは、例えば、地域の主要産業に重点を置いた就労支援を実施するほか、住居や子育てなどの生活支援も併せて提供するなど、地方公共団体が提供する福祉サービスや産業振興施策などと一体となった職業紹介を実施している自治体もあると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/223
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224・石井苗子
○石井苗子君 ちょっと一足飛びなんですけれども、令和に入ってからコロナ三年間なんですね、三年目に入りまして、私たちが何を今学習しているかというと、今後の国民の皆様の暮らしやすさとか、これからの住まい方はどうなるのか、仕事はどうなるのかというのが、コロナで大分意識改革があったと思うんですね。
働くということは、社会の意識改革があって行動変容が起きるというふうに私は理解しているんですね。無理やり押し付けても絶対に意識は変わらないし、簡単な言葉で言うと、だんだん近頃は潮目が変わってきたねという言い方があるんだと思うんですけれども、言ってみれば、リモートワークなんというのは今まで考えなかった、それから、もう東京に来ていれば仕事があるんだと思っていた、そして、高層マンションというのは便利で暮らしやすかったんだということが、これだけ十年の間に災害が勃発したり世界の情勢が変わったり、そして仕事がリモートでもできるようになるとなると、女性も含めて暮らしやすさ、子育ての在り方、こういったものと仕事をどう関連していくかと、変わっていくと思うんです。
ですから、今、地方版ハローワークの状況というのをお話しいただきましたけれども、自分の生き方と暮らし方によってどういう仕事を選んでいくかということは、やっぱりこの意味でいくと、今までのように東京一極集中型の暮らしや仕事ではなくなってくる可能性が私はあると思うんです。
その意味において、ハローワークの地方移管に関する基本的な考え方というのをお聞きしたいんですけれども、以前から、地方から、労働局、労働基準監督署、ハローワークを地方に移管すべきではないかという御意見はたくさんあるというのを読んでいれば分かるんですけれども、引き続き国による全国ネットワークサービスの体制を堅持するべきであるという、いまだにその結論が出ているんですが、ハローワークを地方移管すべきでない理由について、これまでの政府の見解、これまでのですね、それから今後の政府の見解というのがもし違いがあるんでしたら教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/224
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225・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) ハローワークの在り方については、これまでも政府内でも、また国会でも議論、検証を幾度となく行ってきたところでございます。その成果の一つが、先ほど先生から御紹介いただいて議論にもなっていた第六次地方分権一括法の取扱いでございます。
厚生労働省として、今後とも、ハローワークの運営を含めて雇用のセーフティーネットについての国の責任をしっかりと果たしつつ、地方公共団体と一丸となって地域の雇用対策に取り組んでいきたいというふうに考えております。
なお、ハローワーク自身を地方公共団体に移管することについては、雇用保険の財政責任と雇用保険の失業認定等の事業を行う主体との不一致が、失業給付の濫給など雇用保険制度の適正な運営に支障が生じることにつながりかねないかとか、全国的なネットワークによる広域的な職業紹介ができなくなること、震災など緊急災害時に、あるいは急激な経済情勢の変化等に際して、全国一斉かつ機動的な雇用対策が実施できなくなるのではないかと、雇調金の特例なども一挙に対応できましたけれども、そういうようなことなどの問題が生じるのではないかということで、ハローワークの利用者である国民に対するサービスの向上に、地方移管をすることが国民のサービスにつながるものとは考えておりません。
今の見解は現在の見解でもあり、一応、将来に向けても今はこういうふうに政府としては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/225
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226・石井苗子
○石井苗子君 ありがとうございます。
ちょっとさらさらとめくってみたら、平成二十七年から同じ回答だということなんですね。片山虎之助先生のが出ていまして、同じ回答が返っておりましたですね。
やっぱり私が申し上げたように、リモートで仕事ができるんだったら、もっと広いところに住んで自然の環境がいいところで子供を育てたいなんというような意識改革が起きてきたら、日本の雇用制度、雇用の在り方も大きく変わってくるのではないかと思うんです。
これはあなたが考えるほど簡単なものじゃないんだとおっしゃられるかもしれませんけれども、たくさん理由は、どうしてできないかの理由は、勉強させていただいたら十三項目ぐらいあるんですね、生保のこととかですね、あります。それを逐一、もうILOまで出てきちゃったりして、逐一ごもっともだと思うところもあるんですけれども、やっぱり良くしていこうと思うという姿勢も大事なんじゃないかと。
ワンストップというのを、皆さん、ワンストップというのをどういう英語のつもりでお使いになっているんだか、私よく分からないんですけれども、ワンストップという英語の意味は、何でもかんでも至れり尽くせりそこでできるということなんですよ。ですから、ワンストップで言うことというのは、自分が困っていることを先に言うわけですね。それに対しての答えを全部もらえるからワンストップでいいということなので、あれはできません、これはできませんということを教えてもらうのはワンストップではなくて、そういうのはトラップといいまして、蹴つまずいているというような感じなんですね。なので、ワンストップだったらワンストップでできるようにしていかなきゃいけない。大臣、分かりますよね。
それで、ワンストップの必要性について質問させていただきます。
ハローワークの特区では、職業紹介、就職相談、生活・住宅相談までワンストップのサービスがあって、求職活動をしている皆様にとっては大きなメリットであったということなんですが、これは、地方版ハローワークにおいても、例えば生活資金の貸付けや公営住宅のあっせん、これをセットにして就職紹介を行うなど、ワンストップ住民という方々は、これは私が作った言葉じゃないんですけれども、ワンストップ住民の方は、寄り添っていただく支援ができたなということで、ワンストップサービスを設ける自治体が増えていったと、これはやっぱり需要と供給の意味で必要とされたからそうなっていったと思うのですが。
さっきの御答弁にもありましたように、国がハローワークを運営することもそれなりに理由があると私は思っております。しかし、自治体がハローワークを運営するメリットがそれに勝るのではないかなという点もあるんです。東議員がおっしゃることも分かるなと思うわけなんですが。ハローワークを地方に移管するのでないんだったら、せめてワンストップで住民の方に職業紹介サービスを提供できるよう、この十分な配慮をしていただきたいと思うんですが、これまでよりも良くなったという、特に第二セーフティーネットに関してですね、前より良くなりましたという例がありましたら教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/226
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227・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 地域の課題やニーズに応じた雇用対策に取り組んでいく上で、国と地方公共団体がそれぞれの立場で役割を果たしつつ、緊密な連携でサポートしていくということは重要だということは、もう委員の御指摘のとおりだと思います。
現在、連携施策の一つとして、ハローワークが行う無料職業紹介と地方公共団体が行う生活支援等をワンストップで提供する一体的実施事業を実施しているところであります。今後も、一体的実施事業の取組事例の横展開を図るなど、国と地方公共団体の更なる連携強化を進めて、地域の雇用対策、また生活を支える対策等、万全を期してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/227
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228・石井苗子
○石井苗子君 時間がないからもうこれで終わりますけれども、要するに、ワンストップなのにたらい回しにされて窓口がばらばらですって、これは全然ワンストップじゃないので、ここのところを、やっぱり周りの方の意見を吸い上げてシステムをつくっていくということ、デジタル社会なんですから、よろしくお願いしたいと思います。
ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/228
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229・倉林明子
○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
質問に入ります前に、旧優生保護法の東京高裁、これ上告期限が迫っております。我々も、各党からも、上告するなという声明、談話等が出されているところです。本当に、繰り返し申し上げてまいりましたけれども、重ねて申し上げたい。上告はすべきでないと申し上げて、質問に入りたいと思います。
最初に、雇用保険法に入る前に、取り上げてきましたねんきん定期便の談合問題について、今日、年金機構理事長も来ていただいていますので、よろしくお願いします。
この談合についてですけれども、改めておさらいをしますと、年金機構が平成二十八年一月八日に匿名情報を受けました。入札希望十九社に聞き取りをいたしましたが、全社が否定をいたしました。そして、誓約書を取るなどして、入札を再開したのが同年の五月です。ところが、今回、公取の調査で明らかになったのは、この再開直後から令和元年十月まで談合が継続していたということだったわけですね。公正取引委員会の調査で判明したこの事実です。
年金機構の、年金機構には内部のマニュアルとして談合情報対応要領があります。これによりますと、調査結果にかかわらず速やかに公取に通報するとしているわけですね。しかし、ただしということで、明らかに対応の必要が認められないものに該当する場合はこの限りではないと規定して、規定があるので、通報しないという判断になったんですね。この通報しないとした判断の根拠は何だったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/229
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230・水島藤一郎
○参考人(水島藤一郎君) まず、ねんきん定期便の作成、発送業務に関しまして談合が行われていたということに関しましては、誠に憤怒の念に堪えません。対象事業者に対して、入札参加停止の措置を講じますとともに、違約金の請求、損害賠償請求を行い、損害の回復に全力を尽くしてまいる所存でございます。
先生御指摘のとおり、年金機構におきましては談合情報対応要領がございまして、通報等が行われた場合、談合情報の提供があった場合、入札等の執行前である場合には、当該入札を停止をする、そして事実関係を調査する、また、調査終了後、その結果にかかわらず速やかに公正取引委員会に通報すると。ただし、匿名の情報であって明らかにこの対応の必要が認められないものについてはこの限りでないというルールがございます。
平成二十八年一月八日、匿名の談合情報が寄せられました。二十八年一月二十七日に予定いたしておりました入札の執行を停止をいたしました。そして、二回にわたり対象事業者からヒアリングを行いました。その結果、匿名情報であって明らかに対応の必要がないものというふうに判断をいたしましたので、公正取引委員会に通報を行わず、入札参加者から、参加希望者から独占禁止法等に抵触する行為は行っていない旨の誓約書を提出させた上で、改めて入札手続を行ったものでございます。
しかしながら、結果といたしまして談合が行われていたということについては極めて遺憾でございます。今般、公正取引委員会から談合情報に接した場合の対応等について適切ではなかったと改善要請がございました。これ、大変重く受け止めております。
今後、改善要請を踏まえまして、公正取引委員会の御指導も仰ぎながら必要なルールの見直し等を適切に行ってまいる方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/230
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231・倉林明子
○倉林明子君 いや、明らかに、この時点で通報していたら、調査が入って、早く談合が発覚できたんですよ、結果論ですけどね。
だから、問題は、その通報しないとした判断がどうだったのかということを問うているわけです。
二回目のヒアリング、一回、二回とヒアリングをやっているんですね。二回目のヒアリングでは、入札、落札実績や単価についての考え方及び再委託等の状況を確認しているんですよ。これ、何をどう確認したのかというのは、極めて判断の材料になっているはずなんですよ。
私は、改めて、事業者には非公表ということでこのヒアリング調査に応じてもらっているということを伺っていますので、事業者特定できない処理をした上で、この二回目のヒアリング調査結果について報告、提出を求めたいと思います。これ、御協議願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/231
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232・山田宏
○委員長(山田宏君) ただいまの件につきましては、後刻理事会にて協議をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/232
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233・倉林明子
○倉林明子君 公取は、一九九二年の年次報告書で、トッパン・ムーア株式会社ほか三名による社会保険庁発注支払通知書等貼付用シールの入札談合事件について取り上げて、勧告を受けながら談合を繰り返し行っていたということで告発を行っています。そして、二〇一〇年、年金記録を照合する業務委託に関わって、機構の職員が官製談合防止法違反容疑、情報提供を受けたNTTソルコの職員が逮捕されるという事件が発生いたしました。これ、情報提供を受けた職員は、情報漏えいした機構職員と社会保険庁時代の同僚だったんですよ。
今回の談合事件で同様の構図がないと言い切れるのか。違反事業者に機構のOBはいなかったのか。確認しますか、確認していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/233
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234・水島藤一郎
○参考人(水島藤一郎君) お答えをいたします。
当機構におきましては、平成二十四年七月一日に施行いたしました日本年金機構役職員の再就職等の規制に関する取扱要領におきまして、役員及び管理職員が在職中に再就職の約束をした場合及び退職時に部長級以上の役職員であった者が離職後二年間に再就職をした場合、これは届出を行うことになっております。この届出の確認をいたしましたが、違反事業者に再就職した事実は確認をできておりません。
なお、今回の談合事案に関しまして、事業者の職員から機構職員への口利きや働きかけが行われたという事実は指摘されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/234
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235・倉林明子
○倉林明子君 この二〇一〇年のときに、要は社会保険庁時代の同僚同士で情報を共有するという構図があって談合になっていたと、こういう大きなことが分かったのは、これ第三者検証会議でやっぱり徹底して調査したんですね、このとき。ここで分かったというふうに、記録を見る限りそうだと思うんですよ。
私、改めて、第三者による調査、前回も求めましたけれども、これは厚労省、本気でやっていただきたいと。今日は答弁求めません。持って帰ってよう検討していただきたい。
それでは、雇用保険法に移ります。
三月二十日、今日、資料の一ページ目に入れて、あっ、済みません、年金、理事長はここまでです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/235
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236・山田宏
○委員長(山田宏君) 水島理事長は御退室をいただいて結構でございます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/236
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237・倉林明子
○倉林明子君 東京新聞の三月二十日付けです。失業給付の特集になっております。これ、A3紙、広げていただきますと、右側に、最新のデータを基に日本の受給者が僅か受給率二割と、十年ほどその状況で推移していて、給付率はG7で最低レベルだという告発なんですね。
そもそも受給要件に満たない、先ほど来議論あった週二十時間未満で働く非正規労働者は一体どれほどいらっしゃるのか、人数。個人事業主含むフリーランス、こういう方々も対象外です。こういう方々は喫緊で何人になっているのか、御報告ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/237
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238・井上卓
○政府参考人(井上卓君) 週二十時間未満で働く非正規労働者の人数についてお答え申し上げます。
労働力調査の結果によりますと、非正規の職員、従業員のうち、月末一週間の就業時間が一時間以上十九時間以下の人数は、二〇二一年平均で六百四十九万人となってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/238
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239・三浦章豪
○政府参考人(三浦章豪君) フリーランスの人数についてお尋ねございました。
内閣官房において二〇二〇年に実施した実態調査では、フリーランスといった働き方を選択する方の数は約四百六十二万人と試算しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/239
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240・倉林明子
○倉林明子君 新しいところでも、これだけの失業保険の対象にならないという方々が多数存在しているんですよね。私、失業してもセーフティーネットは機能しないと、こういう事態というのがコロナ禍で本当浮き彫りになったと思うわけです。
本会議で私、大臣に質問しました。多くの労働者がセーフティーネットからこぼれ落ちているという認識はありますかと。答弁はなかったんですよ。もう一回聞きたい。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/240
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241・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 雇用保険制度は、週所定労働時間二十時間以上の方を対象としておりまして、その趣旨は、本制度が、自らの労働による賃金で生計を維持している方が失業した場合に、失業中の生活の安定と再就職の促進を図ることを目的とした社会保険の枠組みであることによるものでございます。
一方、週二十時間未満の労働者など、雇用保険の適用対象とならない方に対しても、無料の職業訓練と月十万円を支給する求職者支援制度など、重層的なセーフティーネットにより、安定した雇用につなげるための支援策を講じております。加えて、コロナ禍においては、求職者支援制度を利用しやすくする特例措置を設けたほか、雇用保険の被保険者以外の方も含めた雇用調整助成金の特例措置や休業支援金等を実施するなど柔軟に対応してきたところでありまして、様々な仕組みの活用を図りつつ、引き続き必要な支援に取り組んでまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/241
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242・倉林明子
○倉林明子君 こぼれ落ちている人たちがいるんだというところを、私は、正面から、大臣、見て、この雇用保険、失業給付の在り方についても考えるときだと思うからこそ質問をさせていただいたんですね。深刻な事態に追い込まれていると、コロナによってですね、非正規、短時間の非正規、シフト、こういう働き方をしている方が、本当に辞めるのか、それとも週一回勤務という首の皮一枚のシフト契約を迫られると、こういう実態がコロナ禍で告発されております。女性の見えない失業者の増加、コロナ禍で急増しています。
これ野村総研が、二〇二一年二月に、シフトを五割以上減少かつ休業手当を受け取っていない人、実質的な失業者として定義して推計しましたところ、全国の実質的な失業者は、女性で百三万人を超え、男性四十三万人を大幅に上回っておりました。もう女性不況と言われるような様相を呈したわけですよ。
これ、女性の実質的な失業者が男性と比べて何でこんなに増えたのかと、大臣の認識をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/242
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243・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 総務省の労働力調査で見ますと、新型コロナウイルス感染症等の影響を大きく受けた宿泊、飲食サービス、大変な状況でございました。そういう職場で働いていた女性の非正規雇用の方々を中心とした雇用者数の減少が顕著に見られたということは、先生の御指摘のとおりだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/243
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244・倉林明子
○倉林明子君 減少じゃなくて、何でかと聞いたんですね。(発言する者あり)あっ、結構です。
雇用保険の対象とならない女性労働者が多くいると、こういう人たちが直ちに生活困窮になっているんですよ。大臣は、二十時間未満が対象外としている理由ということでお述べになっているんですね、雇用保険の。自らの労働による賃金で生計を維持している方について失業時に必要な給付を行い求職活動を支援するという考え方に基づいていると、こういう説明です。
二十時間未満なら生計維持者でないという根拠は何なのかと。二十時間未満の労働者についても広く雇用保険の加入対象とすべきだと議論もありました。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/244
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245・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 雇用保険制度は、週所定労働時間が二十時間以上で、かつ三十一日以上雇用見込みがある労働者を適用対象といたしております。
週所定労働時間が二十時間に満たない方は、労働時間がフルタイム、四十時間の半分にも満たない方であるため、雇用保険制度が、自らの労働による賃金で生計を維持している方の失業を保険事故として備えるものであるという趣旨に照らして、雇用保険適用の対象外といたしております。
週所定労働時間が二十時間に満たない方を雇用保険の適用対象とすることについては、こうした雇用保険制度の考え方とかなり異なる働き方をする者も含まれている可能性がある。こうした方に対して一律に強制適用を行うことの是非、週二十時間未満という短時間労働者の把握に伴う事務的なコストや実現可能性の問題等、整理すべき課題が多く慎重な検討が必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/245
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246・倉林明子
○倉林明子君 共働きでも、妻が働かないと生計費は賄えないと、こういう実態あるんですよ。二十時間だから生計維持者でないという説明なんだけれども、妻が失業、こうなると、直ちに生計維持に影響が出ているんですよ。シングルマザー、単身女性、まさに主たる生計者ですよ。
でも、二十時間未満に仕事が切られちゃっているというところ、本当にあるわけですよ、起こっているんですよ。二十時間未満の仕事だと生活できないからダブルワークと、こういう人増えているんですね。その場合、失業給付から除外されているというのが今の実態なんです。女性は家計の補助と、夫がセーフティーネットになると、そんな実態が崩れてますねん。崩れてますねん。
その場合、女性はそういう位置付けがいまだに雇用保険の中で生きているんですね。セーフティーネットとしての雇用保険の対象拡大、こういうコロナ禍の現象を踏まえて、拡大こそ求められるということを強調したい。
さらに、平成十五年度の改正で、失業給付の基本日額、これが引下げになりました。支給期間の短縮が行われたわけです。当時の副大臣は言いました。高額の基本手当の存在によって、ともすると、ともすると再就職時、再就職より基本手当を受給するという判断が働いて、再就職時期が遅れる方が相当数存在すると。ところが、その後、調査、検証しているんですね、制度改正の検証ということで。
基本手当に係る過去十年の制度改正の検証、そのまとめの部分を紹介していただきたい。資料は二ページ目に付けています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/246
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247・田中誠二
○政府参考人(田中誠二君) 御指摘の資料においては、このように記載されております。
基本手当支給終了までに就職した者の割合、就職率は、若干の経済情勢による変動はあるものの、過去十年間おおむね五割前後で推移している。平成十二年度・平成十四年度・平成十六年度の所定給付日数別に就職率を比べると、おおむね五割前後で一定している。ただし、特定受給資格者(うち所定給付日数九十から百二十日)については、就職率が四割前後となっている。また、法定賃金日額・給付率の減による就職率の低下はほぼ見られない。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/247
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248・倉林明子
○倉林明子君 つまり、要は、日額を高くしておくとなかなか就職しないということで、日額の引下げが十五年改正あったわけだけれども、実際経過してみると大差ないという結果が出たんですね。再就職時期が遅れると、日額高いと、こういう根拠は乏しいという調査結果なんですね。もちろん、雇用環境の変動の反映というのもあるでしょうけれども、事実としてこういう数字が出ているということは重要だと思うんです。
今、基本日額が本当に引き下げられたことで、失業給付では食べることできないというような状況も広く生まれています。就職までの生活の安定を図るという基本手当の趣旨から見ると、私はこの日額は余りにも低いと思うんです。
この基本日額を今本当に引き上げるということ求められていると思います。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/248
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249・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 労働者が失業した際に支給される基本手当については、失業中の労働者の生活保障のみを目的としたものではなくて、その早期の就職を促進することを目的として行うものだというふうに思っております。したがって、基本手当の水準は、一つには、受給者の再就職促進に及ぼす影響も考慮し、もう一つは、労働市場における再就職賃金水準とのバランスの取れた給付水準に設定される必要があるということは、これまで続けてきたとおり、答弁のとおりでございます。
こうした考え方を踏まえまして、現在の制度を見ても、基本手当の給付水準は、離職前賃金によって五〇から八〇%の間で変動し、離職前賃金が低いほど高い給付水準を保障するという制度の仕組みになっておりまして、制度の趣旨も踏まえた適切なものというふうに考えております。
今後の雇用保険制度における具体的な給付水準等については、その時々の雇用情勢等も踏まえ、労働政策審議会における議論も経た上で検討する必要があると考えておりまして、今後とも、雇用保険制度にセーフティーネット機能が十分果たされるよう適切に対応してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/249
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250・倉林明子
○倉林明子君 いやいや、コロナ禍で浮き彫りになったんですよ、失業給付の脆弱性が。これを、その目的にふさわしく機能させなあかんと、そういうときにやることは何かといったら、国庫負担、これを実質的には本則をこれ四十分の一にする、こんなことしたら逆行になると、充実の、申し上げて終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/250
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251・山田宏
○委員長(山田宏君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後三時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X00420220324/251
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