1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年三月十五日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
三月八日
辞任 補欠選任
三木 亨君 岡田 直樹君
三月十四日
辞任 補欠選任
岡田 直樹君 高野光二郎君
藤川 政人君 中西 哲君
勝部 賢志君 小沼 巧君
三月十五日
辞任 補欠選任
小沼 巧君 勝部 賢志君
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出席者は左のとおり。
委員長 豊田 俊郎君
理 事
西田 昌司君
藤末 健三君
森屋 宏君
牧山ひろえ君
山本 博司君
委 員
大家 敏志君
櫻井 充君
自見はなこ君
高野光二郎君
中西 哲君
宮沢 洋一君
宮島 喜文君
小沼 巧君
勝部 賢志君
熊谷 裕人君
古賀 之士君
難波 奨二君
杉 久武君
大塚 耕平君
浅田 均君
小池 晃君
大門実紀史君
浜田 聡君
渡辺 喜美君
国務大臣
財務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(金融)
) 鈴木 俊一君
副大臣
内閣府副大臣 黄川田仁志君
財務副大臣 大家 敏志君
大臣政務官
財務大臣政務官 高村 正大君
事務局側
議事部長 金子 真実君
常任委員会専門
員 小松 康志君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官 加野 幸司君
金融庁総合政策
局長 松尾 元信君
外務省大臣官房
審議官 有馬 裕君
財務省大臣官房
長 新川 浩嗣君
財務省主計局次
長 阿久澤 孝君
財務省主税局長 住澤 整君
国税庁次長 重藤 哲郎君
経済産業省大臣
官房審議官 龍崎 孝嗣君
中小企業庁事業
環境部長 飯田 健太君
中小企業庁経営
支援部長 佐々木啓介君
国土交通省大臣
官房審議官 大澤 一夫君
国土交通省大臣
官房審議官 塩見 英之君
参考人
日本銀行企画局
長 清水 誠一君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/0
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001・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、三木亨君、藤川政人君及び勝部賢志君が委員を辞任され、その補欠として高野光二郎君、中西哲君及び小沼巧君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/1
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002・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
所得税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、財務省主税局長住澤整君外十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/2
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003・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 御異議がないと認め、さよう決定をいたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/3
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004・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
所得税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に日本銀行企画局長清水誠一君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/4
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005・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 御異議がないと認め、さよう決定をいたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/5
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006・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/6
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007・西田昌司
○西田昌司君 おはようございます。自民党の西田昌司でございます。
今日は、所得税法の改正の法律案があるんですけれども、まず、その所得税以前に、財政がこのままでは破綻するということを現職の事務次官が昨年、衆議院選挙のさなかに月刊誌に発表されまして物議を醸したんですけれども、あの論文を読んでいまして、私は残念ながらこの方は全く財政のことを分かっておられないなと思いました。なぜかというと、つまり国債発行というのは一体何を意味するのかという根本的なところが理解がされていないように思いますので、まず、今日はそのところを皆さん方と一緒にちょっと議論をさせていただきたいと思っています。
まず、一番大事なポイントは、信用創造ということなんです。これは、銀行がお金を貸し出すことによって銀行預金が生まれてくると、言わば無から有が生まれてくる、そういう仕組みで、現代の社会の中で当たり前に行われているこれ事実であります。理論ではなくて事実でありますが、まずこの信用創造について日銀さんから説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/7
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008・清水誠一
○参考人(清水誠一君) お答え申し上げます。
現実の銀行実務に即して申し上げますと、民間銀行は、家計や企業に資金需要があり、かつ貸出金利が借り手の返済能力や審査費用などに見合った水準にあると判断すれば、貸出しを実行いたします。その際、借り手の預金口座には同額の預金が発生し、ここに信用創造が行われることになるというふうに理解してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/8
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009・西田昌司
○西田昌司君 皆さん方には資料を配らせていただいていますが、まず、一番最初に書いてある銀行による貸付けってありますね。これが今、日銀の局長が説明していただいたことです。銀行側は貸付金という資産が生まれるわけですね。そして、反対側に負債として預金というのが生まれると。で、同じことが、今度は民間のその借りた方の人はどうなるかというと、預金というこの資産が生まれる、そして借入金という負債が生まれる。これは、こういう仕訳で発生するわけですね。
ここにお金のやり取りというのは一切ないんですよ。ただ単に記帳している、それだけで生まれる。お金のやり取りじゃなくて、記帳して、要するに、これはコンピューターのキー操作で、キーストロークで生まれるとか万年筆で書いて生まれるとか、そういう言い方しますけれども、要するに実物のお金、紙幣が動いたり金が動いたりしているんじゃなくて、こういう情報がお互いにやり取りされることで生まれる、こういうことでいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/9
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010・清水誠一
○参考人(清水誠一君) お答え申し上げます。
先ほど御説明いたしましたとおり、貸出しの際には、借り手の預金口座には同額の預金が発生し、ここに信用創造が行われるというところについては先生御説明のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/10
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011・西田昌司
○西田昌司君 ここが大事なポイントで、ちょっと皆さん方と一緒に確認させていただきたいんですね。そういう、要するに、銀行は、皆さん方がお金を預けた、預けたお金を貸しているというふうに一般的に思われているんですが、現実はそうではないということなんです。預けたお金で貸しているんじゃなくて、何にもないところからお金を貸したら、その貸した人の銀行預金が増える、これが事実だということを今、日銀が言ってくれたわけですね。
それで、実はこの同じことが、新規国債発行により財政出動すると、そうすると、政府の負債は増えるが同額の民間預金が、預金が民間部門で増えることになるということなんですが、これも事実だと思いますが、日銀の方から説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/11
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012・清水誠一
○参考人(清水誠一君) お答え申し上げます。
こちらも銀行実務に即して申し上げますと、銀行は、国債の金利や償還までの期間といった条件が自らの投資目線に見合うものと判断すれば、国債を購入いたします。その後、政府が国債発行により調達した資金を実際に使いますと、その資金は家計や企業の預金口座に流入し、預金がそれだけ増加いたします。
このように、銀行の国債購入分だけ民間の預金が増えているという意味で、貸出しの場合と同様、信用創造が行われているということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/12
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013・西田昌司
○西田昌司君 今、明確に言ってくれましたね、信用創造と同じことが行われていると。
これをもう少し詳しく説明すると、これ資料がありますが、国債発行による財政出動が事実上の信用創造であると書いていますが、これは、今、日銀が言ったように、まず国債を政府が発行します。そうすると、日銀当座預金、まあ政府預金なんですけれども、日銀にある政府預金がその分増えます。そして政府側は国債という負債を発生させることになります。銀行がこれ新規発行した場合引き受けますから、銀行側では国債を買うと。そして代金として日銀当座預金、まあ準備預金というものですけれども、それを支払うと、こういう仕訳になるわけですね。
そして、二番目の財政出動。ここは、政府側は財政支出を何かしますと、そのことによって政府預金が出るわけですね、日銀当座預金、政府預金がその分出ていくと。そして民間側は、例えば財政出動したそれを、工事を例えば民間事業所が公共事業で受けたとしましょう。その場合は、民間の方で自分の銀行預金が増えて売上げというものが立つと、こういうことなんですね。そして、この銀行、民間銀行はどうなるかというと、民間銀行に預金が増えますから、預金が増えた分だけ銀行側は日銀当座預金、準備預金が増えると、こういう仕訳になるわけです。ちょっとこれ複雑ですけれども、これを各部門ごとにまとめたのが次のページなんですよ。
次のページのを見ていただきますと、政府側はどうなるかというと、政府側まとめると、日銀当座預金対国債、それから財政支出対日銀当座預金という仕訳になり、民間側は、先ほど言ったように、預金が増え、売上げが増えると、こういう仕訳になり、そして銀行側はどうなるかというと、国債を購入し、日銀当座預金が出ると。そして民間の企業がお金を預けたことによって、日銀当座預金が増え、銀行預金が貸方に出ると、負債として出ると、こういう形になるんです。
これをまとめると、要するに相殺するものがありますね、日銀当座預金というのは、それぞれ。これ相殺をしていると、政府部門で行うものは、財政支出、そして国債というこの取引が残るだけであります。それから、民間の方では、預金と売上げという取引が残ると。そして、銀行の方では、国債を購入して銀行預金が増えたと、こういう仕訳になるわけですね。
これを見ていただきますと分かりますように、要するに、これも全く、銀行の貸付け、銀行から借入れと同じように、政府の負債が増えた分、結局民間側に預金が増えていると、こういうことになるわけです。つまり、財政出動も元手の資金なしにこの預金が発生すると。いわゆる信用創造と全く同じことになっているということであります。
そして、問題は、じゃ、この国債を買うときに、日銀当座預金というので民間銀行買っていますね。だけど、この日銀当座預金というのは一体何なのかということなんですけれども、まず日銀に聞きますのは、新規国債発行を引き受ける銀行の財源、これは日銀当座預金、まあ準備預金とも言いますが、いわゆる預金者から預けられた預金ではないですね。そのことをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/13
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014・清水誠一
○参考人(清水誠一君) お答え申し上げます。
銀行が国債を購入する際には、貸出しの場合とは異なり、即座に預金が発生するわけではないため、一旦何らかの手段で購入資金を用意する必要がございます。すなわち、日銀当座預金などの手元資金を潤沢に保有している場合には、銀行はそれを使って国債を購入するというふうに考えられます。一方、手元資金が不足する場合には、短期金融市場等から必要な資金を調達することになります。
その後、政府が国債発行により調達した資金を実際に使えば、その資金は家計や企業の預金口座に流入するため、日銀当座預金を復元させたり、市場から調達した資金を返済したりすることが可能になります。その結果、全体のプロセスを通しますと、銀行の国債購入と財政支出による預金増加が見合うことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/14
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015・西田昌司
○西田昌司君 今お話しになりましたように、要するに、財政出動することによって民間側に預金が出ると、そしてその購入、国債を購入するための資金は日銀当座預金だと、預金者から預けられているお金でやっているんじゃないということを言ったわけですね。
じゃ、そもそも、その日銀の当座預金、準備預金ということが国債引受けの財源であるということなんですが、それでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/15
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016・清水誠一
○参考人(清水誠一君) お答え申し上げます。
銀行が日銀当座預金などから手元資金を、日銀当座預金などの手元資金を潤沢に保有している場合、通常は日銀当座預金を使って国債を購入すると考えられます。その意味では、日銀当座預金が国債購入の財源という言い方も可能かと思います。
一方、銀行の手元資金が不足する場合には、通常、短期金融市場等で資金調達を行い、その資金を使って国債を購入いたします。このケースにおける国債購入の財源は市場経由での借入金になるかというふうに理解できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/16
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017・西田昌司
○西田昌司君 一般論で言っているんですけれどもね。
現実論で聞きますと、今、日銀当座預金は銀行側にもう過剰なほど供給されているんですが、そうじゃないですか。短期金融市場から調達する必要がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/17
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018・清水誠一
○参考人(清水誠一君) お答え申し上げます。
日本銀行は、現在、二%の物価安定の目標の実現という金融政策運営上の目的から、イールドカーブコントロールの枠組みの下で、十年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう必要な金額の国債の買入れを行っております。
日本銀行がこうした国債買入れオペレーションを通じまして銀行から国債を買い入れた場合、その分だけ日銀当座預金を供給していることになります。かつ、先生御説明ございましたとおり、現在は潤沢な当座預金が供給されているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/18
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019・西田昌司
○西田昌司君 今言いましたように、潤沢な当座預金が供給されていると、潤沢にね。
それで、そもそも日銀が国債を買って準備預金を供給していることを買いオペと言うんですけれども、その買いオペについて、今説明していただいたように、要するに金利調整ですね、日銀が政策目的としている長短金利を今ゼロ%付近にやるために、決済のための口座である日銀当座預金、準備預金口座に潤沢な資金提供をして日銀のそういう政策目的を実行していると、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/19
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020・清水誠一
○参考人(清水誠一君) お答え申し上げます。
先ほど御説明したとおり、日本銀行は、現在、二%の物価安定の目標の実現のため、イールドカーブコントロールという枠組みの下で、短期金利だけではなく、長期金利も低位で安定的に推移するよう必要な金額の国債を行っております。
そうした下で、二%の物価目標が持続的、安定的に達成された際には、現在の大規模な金融緩和を継続する必要はなくなり、長期金利には上昇圧力が掛かり得るということになります。
もっとも、現状は物価安定の目標の実現にはなお時間が掛かるというふうに見込まれてございますので、引き続き現在の大規模な金融緩和を継続することは適当であるというふうに判断してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/20
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021・西田昌司
○西田昌司君 ありがとうございます。
それで、この資料の三ページ目、めくってください。済みません。
三番目に、日銀の買いオペというものをこれまた仕訳で説明しておりますが、日本銀行の方でいうと、国債を買い取ると。ですから、資産としての国債が増える、そして日銀当座預金を供給するという、こういう仕訳になるわけですね。そして、銀行側は、その国債を売った分、日銀当座預金が増えると、資産としての日銀当座預金が増えると。これが買いオペで、要するに、日銀が政策、要するに金利目標を実行するために、必ずこういう買いオペ、特に今は大胆な異次元な金融緩和でどんどん国債を買い取っていますから、銀行には常に十分な当座預金があるという、この事実を是非皆さん方も御理解いただきたいんです。
ということで、今までの話をまとめますと、要するに、信用創造、民間の銀行がお金を貸すというのは、無から有をつくる、貸付けをしたらその分のお金が銀行の当座、銀行の預金勘定が増えると、これが事実なんです。同じく、国債を発行すれば、政府の負債、国債は増えるけれども、その分だけ、財政出動した分だけ民間の企業、家計の預金残高が増えると。ここまでが今私が申し上げてきたことです。そしてさらに、その国債を買い取る資金というのは日銀当座預金なんですけれども、銀行が、その当座預金というのは日銀自体が供給していると、こういうことなんですよ。ですから、まさに無から有をつくる仕組みが、政府と日銀、財政出動、この取引の中でも行われているということです。
ここを理解した上で、先ほど冒頭言いましたように、財務省の事務次官が、このままでは政府が財政破綻すると、この主張をしているわけなんですけれども。私は、財政破綻というのは一体何を意味しているのかよく分からないんですけれども、一般的には、財政破綻というと、いわゆる支払不能、デフォルトですね、デフォルトになると。それから、金利が暴騰してしまってとんでもないことになっちゃうとか、物価が上がって大変なハイパーインフレになる等々言われているんですけれども。何をこの財務次官が言っているのか、具体的なことは書いてないんですけれども、とにかくこのままでは財政破綻が起こると言っているんですけれども、財政破綻起きるんですか。これ、事務方からちょっと説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/21
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022・阿久澤孝
○政府参考人(阿久澤孝君) お答えいたします。
日本の財政につきましては、少子高齢化等を背景として社会保障関係費が大きく増加する中、諸外国と比べて債務残高GDP比が高いなど、厳しい状況にあるということでございます。そうした中で、社会保障制度を持続可能なものとするため、受益と負担のアンバランスという構造的な課題に取り組むなど、歳出歳入両面の改革を進めてきたところでございます。
その上で申し上げれば、年々厳しさを増す財政状況に鑑みますれば、仮に市場等の信認を失うといった事態が発生すれば、金利の上昇などを通じまして、市場からの資金調達が困難となる可能性も否定できないと考えております。このため、政府といたしましては、市場の信認を失うような事態が生じないよう、引き続き財政健全化に取り組んでいくということが重要であると、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/22
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023・西田昌司
○西田昌司君 今の意味分かりましたか。まあ財務省の方はそう言うんですね。普通の人は全く分からないんですね。
つまり、市場の信認と言いましたけれども、市場の信認というのは一体どういう意味なの。市場の信認の具体的な意味を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/23
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024・阿久澤孝
○政府参考人(阿久澤孝君) 失礼いたします。
ある程度、まさに国債等がちゃんと市場に消化されるということにつきましては、その国債に対する一定の信認というものがなければ消化はなされないということでございます。
したがいまして、市場の信認というものが失われますと、市場からの資金調達が困難となるなどの状況が発生すると、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/24
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025・西田昌司
○西田昌司君 そこが全くおかしいこと言ったわけですね。
要するに、新規国債が消化されますかと、買ってもらえない、市場で買ってもらえなかったら、その市場、要するに国債暴落するとか金利が上がると、こういう話なんですが、今、その前に説明しましたね、日銀が。新規発行するのは、買うのは誰かといえば銀行が買うんですよ、銀行が。銀行が買うんですが、買うための資金はどこから調達しているかというと、日銀が供給しているんですよ。これ事実なんですよ。今、阿久澤さんがおっしゃった説明というのはこういうことなんですよ。
要するに、市場にお金、まあ預金残高ありますね、あるんだけれども、そのお金から国債は買い支えてもらっていると思っているんですよ。民間預金の残高が今あるからいいけれども、民間預金残高がこれからどんどん高齢化で減ってくるかもしれない、そうなってきたときにそれを買い支えられないんじゃないかと、だからそれが困ると、こういうことでしょう、阿久澤さん、あなたが言いたいのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/25
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026・阿久澤孝
○政府参考人(阿久澤孝君) お答え申し上げます。
先ほど来のお話の中で、国債発行による財政支出をすれば、結果として民間預金が増加をするというお話でございました。ただし、個々の銀行などが国債を購入する場合、それは採算性だとか、また金利変動リスクを考慮をする必要がございまして、実際にどれだけの国債を銀行が購入するか、これにつきましては金利の水準などの条件によるものと、このように承知をしています。
したがって、国債発行がある意味無条件に、無制限に行えるということではないと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/26
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027・西田昌司
○西田昌司君 まず、一問一答でいきましょう。
だから、私が言っているのは、国債発行したら新規預金が増えると、これ事実で、これ彼らも認めた、今ね。国債を買っているのは日銀当座預金の話であって、それは、日銀が金融政策を実行するためにあらかじめ銀行に供給しているお金、それで買っているんですよね。それで、銀行側が新規国債を発行すれば必ず買うんですよ。何で買うか。何で買うかといえば、基本的に準備預金、当座預金というのは、これ金利付いていません、金利ないんですよ、決済用のお金ですから、準備預金というのはね。決済用のお金ですから金利がないんですよ。豚積みしても意味がない。意味がないから、そういう有利子の国債が発行されたら必ずそれを買うんです、そちらの方が得ですからね。そういう仕組みなんですよ、これは。
ところが、今は、基本的なこと今申しましたけど、今は日銀の金融政策、異次元の金融緩和やっちゃいましたからね。この銀行の方も、国債を取り上げられるばっかりだったら、これはたまりませんから、当座預金にも付利、利息が〇・一%でしたかね、付いたりしています。それから、ある一定以上のこの金利、当座預金残高になると、今度はマイナス金利になったりね。
いろいろなこの金融政策上の利息の付き方、マイナス付けたりしていますけれども、原則として、原則として、日銀に聞きますよ、原則として日銀当座預金というのは決済用の、銀行間取引の決済用のお金ですから金利は付かないし、新規国債発行すれば必ず買う。だから日銀の金融政策が有効になるんだから。もし民間銀行が国債買わないとかいう話になっちゃったら日銀の金融政策は全くできなくなっちゃうんで、そこのところ、しっかり答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/27
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028・清水誠一
○参考人(清水誠一君) お答え申し上げます。
日本銀行の当座預金は、先生御指摘のとおり、決済等に使われるものというふうな存在でございます。現状は、大規模な金融緩和の下で当座預金残高非常に膨らんでございますけれども、それにつきましては、日本銀行のマイナス金利政策の下で、マイナス〇・一%、〇%、それからプラス〇・一%、その三層にわたって金利を付与しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/28
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029・西田昌司
○西田昌司君 私の言ったことが正しいということを言っているわけですね、同じこと言っているわけで。
つまり、財務次官が言っていた金融、財政破綻というのは一体何なのかと。新規国債が消化されないんじゃないかというようなことを言っているんだけれども、そんなことは絶対にないということを言っているわけですよ、日銀は。あり得ないんですよ。
そして、そもそも、デフォルト、国債が償還日来たら、それ、その償還ができなくなる、このことをデフォルトと言いますけれども、そもそもそれがないというのが財務省の公式見解で、財務省のホームページにもそう書いています。
国債のデフォルトは起きないということでいいんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/29
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030・阿久澤孝
○政府参考人(阿久澤孝君) お答えいたします。
先生御指摘のお話につきましては、二〇〇二年の意見書ということで、格下げを行った外国格付会社にその判断の客観的説明を求めたものでございますが、それは、この中で、財政構造改革を始めとする各般の構造改革を真摯に遂行していること、また日本経済の強固なファンダメンタルズを考えますと更なる格下げは根拠を欠くこととしておりまして、こうした財政健全化の取組や当時のマクロ経済環境の中で自国通貨建て国債のデフォルトは考えられないとしているものでございます。
すなわち、この意見書は、財政運営に対する信認が損なわれるような事態が生じれば、金利の上昇などを通じて国債の償還など様々な影響が生じる可能性まで否定しているものではないと、このように認識しております。
このため、政府といたしましては、市場の信認を失うような事態が生じないよう引き続き財政健全化の取組を進めていくことが重要であると、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/30
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031・西田昌司
○西田昌司君 頭が固い人というのはこうなんですね。事実を事実として認めないと。
要するに、新規国債発行は、日銀が供給している当座預金残高がある限り必ず買うんですよ。そう言っているわけ。市場の信認とか言うけど、そもそもあなた方が言っている論拠になっているのは、通貨、この国債を、国債を消化する、新規国債を消化する財源が預金残高でやると、そういうふうに思っているわけですよ。これが実は根本的な間違いなんですよ。
そうじゃなくて、それは信用創造そのものですから、国債を発行すれば民間預金が増えるだけの話で、民間預金から調達するんじゃない。彼らが言っている話は、民間預金から調達するから、だから、国債をたくさん発行して民間預金を吸い上げちゃうと今度金利が上がってくるんじゃないのかと。つまり、自由に使えるお金が先に国の方で吸い上げられちゃったら、今度は、その市場から今度民間が借りようと思ったら、お金がここのプールからなくなっちゃっているから金利が上がる。これはクラウディングアウトといって、財政出動を少なくしようとか財政拡大すると経済が悪くなるという理論に使われる理論なんです、これは。
ところが、これは理論であって、現実はそうじゃない。現実は、お金を政府が出せば、国債を出せばお金が市場の方で増えるんですから。全く間違っているんですよ。これをずっと延々、何十年やってきているわけですよ。
そして、もう一つ大事なことは、今言いましたように、民間企業がお金を借りれば預金が増えると言いましたね。同じく、政府が国債を発行して財政出動すればお金が増えると言いました。じゃ、お金が減るというのはどういうことかというと、これ逆の処理なんですね。つまり、民間がお金を返すということですよ。借入金をしない、民間がお金をどんどん返済していったときに預金量は減っていくんです。それが日本で起きているんですよ。
御存じのように、いわゆるバブルが崩壊しましたね。で、平成九年か十年ぐらいに不良債権処理というのをやりました。一年で二百兆円ぐらいの債務を返済させたんですよ。一挙に二百兆円のお金が消えたんです、市場から。それはどうなりますか。経済悪くなるに決まっていますね。そこからずっと日本は経済が成長しない状況になっています。
経済が成長しないから、当然のことながらそこでいわゆる税収も減りますから、政府の方は赤字国債を出してしのいでいかなきゃ仕方なかった。それがどんどんどんどん積もって、ワニの口が開いている、大変だ大変だと、こう言っているんですが、問題は、問題は世の中全体で要するに負債が増えているかということなんです。民間のこの負債残高というのは、このコロナ禍で最近ちょっと増えました。しかし、それまでは二十年間ずっと低い水準のままなんですよ。つまり、信用創造していない。もっと言えば、民間企業は、家計も民間企業部門も含めて、預金超過なんですよ。お金借りていないということ。お金借りていないということは、資金が供給されていないということなんですよ。そういう状態が二十年間続いているんですよ。
そして、政府の方もプライマリーバランスを黒字化しようとまだ言っている。プライマリーバランスの黒字化というと、はっきり言って信用創造しないということと同じことですよね。国債発行、新規の発行額が減るわけですからね。そうなっちゃうと、民間が預金超過しているときに政府部門もお金を出さないとなったら経済どうなりますか。あっという間にどん底に落ちるんですよ。
こういうことを、実は残念ながら、アベノミクスでせっかく経済良くなってきても、何かというとプライマリーバランス論が出てきて、これ財政を締め付けますから、民間がお金をどんどん借り出したらいいですよ、使い出したらいいですよ、そうなっていない環境でそういうことをやると、経済一挙に落ちるんですよ。これが現実なんです。
何でこうなったかというと、財務省の、要するに矢野さんだけじゃなくて、事務次官だけじゃなくて、財務省全体が自分たちは税収の範囲内で予算を組むのが正しいんだと思い込んでいるからなんですよ。この思い込みというのは全く間違いでして、いわゆる昭和の時代、これ戦後、昭和の時代は、まず高度経済成長がありましたね。この時代というのは、民間がどんどんどんどんお金を借りて投資しているんですよ。だから、政府部門がそんなお金を出さなくても、要するにプライマリーバランスがプラス・マイナス・ゼロでやっていけば、つまり税収の範囲でお金を供給していけば、民間側がどんどん供給していっているから経済良かったわけ。ところが、平成になってバブルが崩壊し、不良債権処理をしてからですよ、民間は預金超過、借入金をしていないわけですよ。そのときに昭和の時代と同じ財政ルールでやっていると、つまりプライマリーバランスを黒字化させなきゃならないという話やると、経済落ち込むのは当たり前なんですよ。
そして、まさに財務省が言っている話というのは、国家の財政は赤字になったら困りますと、民間は勝手にやってくださいという話で、そうじゃなくて、国家と民間とトータルで見てお金がちゃんと投資されて使われているのかと、つまり成長路線になっているのかということを見なきゃいけないということなんですね。これが間違ったことになってきたのは、まさに信用創造というのが分かっていなかったと。預金残高の中から、民間の預金残高から自分たちの国債は使われていると、だから、市場もこの国債をたくさん使うと国債の消化ができなくなって市場の価格に影響するとかいう全く間違った論法をいまだに言っているんですよ。
阿久澤さんも、あなたも財政検討本部で毎週来てくれて、今日も来てくれているんですけれども、あなた方が推薦したこの公述人というか参考人の方で、一人だけまともなことを言っている人がいた。それは日銀の理事であった早川さんなんですよ。この方は、今言っている信用創造、国債を出せば民間預金が増えるんだと、そのことをはっきり言いましたけれども、ほかの方は皆分かっていないんですよ。財務省と同じように、民間預金の中からこの国債を消化させてもらっているんだという間違った論法をしている。これではとんでもないことになりますよ。
それで、もうちょっと時間なくなってきたんで、それぞれ政務三役、最後にまとめて大臣に聞きますが、政務官、副大臣から、今私の話を聞いて、財政破綻それでもすると思いますか。一言ずつ答えてください。最後に大臣に聞きます。大臣が先言っちゃうと、ほかみんな右に倣えになっちゃうから。だから、政務官と副大臣、そして最後大臣、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/31
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032・高村正大
○大臣政務官(高村正大君) 高村正大です。
西田先生、ありがとうございました。いろいろ勉強になりました。
一方で、どうしても、古い考えと先生がおっしゃいますけれども、ある程度財政規律をしっかりと保っていくことが国にとっても大切だとまだ私自身思っております。まだまだ勉強が足りない部分は、今後、是非先生から御指導いただければと思います。
今日はありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/32
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033・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) 西田先生とはもう長い付き合いになって、様々な場面でこの話、御教示いただいてきたところでありますが、やはり日本の財政は厳しいと認識をしております。ですから、しっかりとした信認を損なわないということが大事だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/33
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034・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今から六年、もしかしたら七年ぐらい前かもしれませんが、西田先生から本を頂戴をいたしまして、その本を読んだときの私の率直な印象は、何かすごく新鮮な衝撃を受けたようなことを今覚えております。
今回の矢野次官の寄稿でありますが、寄稿なされた直後からいろいろな反響が、ハレーションがありまして、記者会見などでもこの質問を受けたところでございますけれども、矢野次官からも事前に説明を受けて、読ませていただきました。読んでみて、表現なんかにおいて、例えば政治に対する表現なんかは、こんな表現するのかなというような、そういうところはございましたけれども、しかし、寄稿の内容につきましては、今までの政府の方針に基本の部分において反するようなものではないと、そういうふうに受け止めているところでございます。
また、矢野さんからも、矢野個人の意見を述べたものであるということをその際に聞いたこと、そのことを申し添えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/34
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035・西田昌司
○西田昌司君 この今日話を聞いていただいて、高村政務官、なかなか見どころがありますね、勉強しようと。そうなんですよ、これ、事実を勉強すれば見えてくるんですよ。大家さんも勉強していただきたいと。というか、そして、鈴木大臣も含め、要するに、私が今言ったこと日銀呼んで聞いてくださいよ。財務省の言っている説明と日銀の説明が何で違うかと。
で、財務省は理屈言っているんです。いわゆる主流派経済学に今私が言った信用創造の理論がないんですよ。これが恐ろしい話なんですよ。主流派経済学の言っている理論は、預金は、預金を集めて、集めたお金で貸していると。同じように、集めたお金で国債は買ってもらっていると、こういう理論なんです。これが主流派経済学の理論で、財務省が言っているのはそれなんですよ。
ところが、現実は違うんです。現実は、無から有をつくっている。このことは、日銀始め金融に関わっている人間だったら常識中の常識。ところが、その常識が財務省の中では通じない。というか、通じてしまうと、自分たちが今言ってきたことがとんでもないうそ話になっちゃうんですよ。彼らはそれで苦しんでいるんで、別に私も財務省嫌いじゃありませんよ、かわいい人ばっかりですから。ですから、ちゃんと、しかし誤りを正してもらわなきゃいけないんで、是非政務三役で今私が言ったことをもう一度勉強するということで、ちょっとその辺をお願いしたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/35
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036・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
それでは、最後に、鈴木財務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/36
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037・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 七年前に頂戴した本をまた探し出して、一度読んでみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/37
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038・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 立憲民主・社民の牧山ひろえです。
所得税法についての質疑を担当させていただきます。よろしくお願いいたします。
税は、国民の負担をお願いするものですから、適正かつ公平に課税させていただく必要が当然ながらございます。その観点から、去年の所得税法の審議に際しても、法人税実調率、すなわち法人数に対する税務調査件数の割合のことなんですけれども、この法人実調率の向上を主張させていただきました。
その後、法人実調率、加えて所得税実調率の最新の動向をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/38
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039・重藤哲郎
○政府参考人(重藤哲郎君) お答えいたします。
まず、法人のいわゆる実調率、法人の数に対します法人の実地調査の件数の割合でございますが、こちらにつきましては、まず平成三十事務年度、事務年度というのは七月から翌年六月までですが、三十事務年度は三・二%、令和元年度は二・四%、令和二年度は〇・八%でございます。
それから、個人の方ですが、これは納税額のある申告を行った個人の納税者に対する実地調査の件数の割合でございますが、平成三十事務年度は一・一%、令和元年度は〇・九%、令和二事務年度は〇・四%となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/39
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040・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 今の数字を聞いて、本当に相変わらず低いなと思いました。実調率低迷の原因の一つとして、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う職員の出勤抑制により調査実務量が減少したこと、そういったことが答弁で触れられておりました。ある程度のアクシデントを吸収できるレベルの人員の厚みはやはり必要だと考えております。
当局は、この実調率の低迷についてどのような認識を持ち、そしてどのような方針、目標で対処しようとしているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/40
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041・重藤哲郎
○政府参考人(重藤哲郎君) まず、この実調率が下がってきている要因や環境に関しましてですが、税務行政取り巻く環境を見ますと、経済活動の国際化あるいはICT化に伴いまして調査事務が複雑化していること、あるいは平成二十五年一月に国税通則法が改正されまして、それに伴って税務調査手続が法定化されたこと、そういったことによりまして、実地調査一件当たりの日数が増加しているという実情がございます。また、法人の数が年々増加傾向にあるということも法人に対する実地調査の割合を押し下げる一因となってございます。
さらに、今委員からも御指摘ございましたが、令和元事務年度以降におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う職員の出勤抑制によって調査事務量が減少したこと、あるいは、実地調査を行う際には新型コロナウイルス感染症の影響等を踏まえて納税者等の状況に即した対応を行ってきたことなどによって調査件数が更に減少したといった要因もございます。
このような要因の下、国税当局におきましては、各種事務の集約化を図るなどの効率化を進め、外部事務量、外部事務量というのは調査とか徴収に充てる事務量ということですが、の確保に努めているところでございます。
また、外部事務の実施に当たりましては、多額の申告漏れや悪質な所得隠しが見込まれる事案に対しては実地調査を行い、簡易な誤りであれば来署を依頼して調査を行う、あるいは電話や書面による行政指導によって納税者の自主的な見直しを要請するといった、納税者のリスクに応じた適切な接触方法を組み合わせることによって、効率的かつ効果的な調査等の実施に取り組んでいるところでございます。
引き続き、こうした取組を進めることによって、税務コンプライアンスの維持向上に努めるとともに、また国税庁の定員等につきましても、複雑化する実地調査事務に対応するため必要な人員の確保に努めるなど、そういったことに取り組んでいきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/41
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042・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 おっしゃるとおり、コロナの影響というのはある程度やむを得ない面もあると思うんですけれども、コロナ禍以前から実調率というのは長期低落傾向にあるんですね。この傾向を放置するのではなくて、やっぱりしっかりとした具体的な目標を定めて達成に向けて取り組んでいただきたいなと思います。お願いします。
同じく、税徴収に関しまして、消費税の不正還付の問題について取り上げたいと思います。
消費税の仕組みとして、仕入れ時に支払った消費税が売上時に受け取った消費税を上回ると差額が還付されます。この仕組みを土台に、輸出免税制度を悪用した不正還付が横行しています。
法人消費税の還付申告に関する追徴並びに不正による追徴の件数、並びに金額についての近時の推移を教えていただきたい。それからまた、還付申告に対する調査件数、その中の故意又は過失を含めて何らかの非違が見付かった件数と割合の傾向を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/42
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043・重藤哲郎
○政府参考人(重藤哲郎君) お答えいたします。
令和元事務年度、それから令和二事務年度におきます消費税の還付申告をした法人に対する調査の事績を申し上げますと、まず、令和元事務年度は五千八百三十八件の実地調査を行い、約二百十三億円を追徴課税をいたしました。このうち不正計算を把握したものは全体の一二・一%に相当します七百七件であり、不正計算に係る追徴税額は約二十五億円となっております。令和二事務年度におきましては三千六十六件の実地調査を行い、約二百十九億円を追徴課税をしたところでございます。このうち不正計算を把握したものは全体の一六・七%に相当する五百十件、不正計算に係る追徴税額は約三十四億円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/43
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044・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 金額もさることながら、件数も非常に多いなと実感いたしました。税に対する国民の信頼をまさに腐らせるような、そんな深刻な状況を感じております。
消費税の不正還付は国庫金の詐取とも言え、非常に悪質性が高いと言われております。法人消費税還付申告件数中の調査件数の割合、還付調査率とも言うべき割合は、平成二十五年の五・九%から令和元年の三・七%と、元々高くなかったのが更に輪を掛けて低迷しております。これでは不正還付に対する十分な牽制効果が発揮できないと思うんですね。
また、調査件数中の非違の割合は、調査の母数を増やせば摘発される非違の額もそれから件数も更に増加するだろうと思わせる比率だと思うんですね。ですが、現実は、売上げが六千万円程度の会社が、展示用の猫の仕入れ代金として三十億円近くを架空計上して、消費税二億円弱の還付申告を受けるという、そういった事件が起きたという事例がございます。
悪質性を増していくこの消費税の不正還付に対して当局はどのように対応する御方針なのか、お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/44
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045・重藤哲郎
○政府参考人(重藤哲郎君) お答えいたします。
国税庁におきましては、従来から、消費税の適正課税の確保、これを重点課題と位置付けて取り組んでおります。とりわけ不正還付事案については厳正に対処していく必要があると考えております。
具体的には、消費税に係る還付申告書の提出があった場合には、申告書の添付書類や保有する資料情報等に基づいて厳格な審査を行い、申告内容に疑義がある場合には還付を留保し、書面照会や実地調査を行うなど、還付原因等の解明、確認を行っております。そうしたことを通じて、申告内容に誤り等が認められた場合にはこれを確実に是正し、悪質な不正還付事案については刑事告発を行うなど、厳正に対処しているところでございます。また、令和四年度予算案におきましては、消費税の不正還付事案を専門的に担当する消費税専門官を増設するなど、執行体制の強化を図ることとしているところでございます。
今後とも、不正還付事案の態様や手口も見極めながら、こうした厳格な審査と的確な税務調査等を通じて不正還付の防止に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/45
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046・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 不正還付に対する調査というのは非常に複雑で困難な場合が多いと思うんですね。調査が長期にわたる傾向にあるので、しんのある調査を実施するためには、やはり消費税専門官、消費税の専門官の増設は効果的であると考えております。また、不正還付につきましては、調査が難しく、相当程度の手間と時間を必要としますので、専門官だけではなくて、人員の確保が必要不可欠だと思います。
先ほどの法人税実調率の問題と併せて、この適正、公平な課税を担保、確保するためには、やっぱりヒューマンリソースの確保も含めて取組を是非要望したいと思います。
このヒューマンリソースの確保について、当局の見解と決意をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/46
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047・重藤哲郎
○政府参考人(重藤哲郎君) お答えいたします。
先ほども申し上げましたとおり、経済活動の国際化、ICT化に伴う調査、徴収事務の複雑化などによりまして、税務環境、税務行政を取り巻く環境は厳しさを増しております。また、消費税の不正還付事案については、厳格な審査と的確な税務調査を通じてその防止に取り組んでいく必要があると考えております。
こうした中、国税庁の定員につきましては、平成二十四年度から二十八年度にかけては五百九十七人減少いたしましたが、平成二十九年度以降は増加に転じているところでございます。また、平成四年度の予算案におきましては、消費税不正還付などへの対応を図るための所要の体制整備を盛り込み、三十五名の純増を計上しているところでございます。
引き続き、業務の効率化を図りつつ、必要な定員、機構を確保し、税務執行体制の強化を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/47
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048・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 ありがとうございます。
是非、国民の税金に対する信頼を守るために、よろしくお願いいたします。
さて、本法律案では、税理士制度について多岐にわたって見直すこととしております。その内容の一つとして、税理士法に違反する行為又は事実に関する調査の見直しがあります。この点、与党税制改正大綱では、税理士法に基づく税理士業務の制限又は名称の使用制限に違反していると思われるいわゆる偽税理士についても調査の対象とするということとされています。
本法律案におきましては、偽税理士に対する調査については、法制的な観点から精査すべき点があるとして盛り込まれなかったということのようですけれども、この法制的な観点から精査すべき点とは具体的にどういうことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/48
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049・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 税理士でもないにもかかわらず税理士業務を行ったと疑われる者など、いわゆる偽税理士に対する調査につきましては、当初検討していた規定と同様の規定が他の士業法には例が見当たらず、調査対象となる範囲等を慎重に検討する必要があるといった法制的な観点からより慎重な精査が必要となったために、今般の税制改正法案での措置を見送ったところであります。
なお、本項目は、与党税制改正大綱においては令和五年四月一日の施行を予定しているものであるために、直ちに大綱の内容とそごを来すものではないと考えておりますが、引き続き大綱の内容に沿って規定の精査を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/49
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050・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 そうすると、政府も偽税理士に対する問題を認識して、基本的には法制度による対応を考えていらっしゃるということですね。早期に法制的な課題を整理して、調整いただくことを希望したいと思います。
では、偽税理士への調査について、これまで税理士法のどの条文に基づいてどういった対応をしてきたんでしょうか。また、法制的な手当てについては今後も検討が続けられるのだと思いますけれども、それまでの間、偽税理士にどのようにして実効的な対応をしていくおつもりなのか、お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/50
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051・重藤哲郎
○政府参考人(重藤哲郎君) お答えいたします。
まず、済みません、その前に、先ほど御答弁申し上げたとき、私、令和四年度予算と言うところを平成というふうに間違って言ったようでございます。済みません、訂正させていただきます。
それで、今の御質問に対するお答えでございますが、現状、税理士法には、いわゆる偽税理士の調査に関する条文はなく、したがって、財務省設置法第十九条において、税理士業務の適正な運営の確保を図ることが国税庁の任務とされていること、これを根拠にいわゆる偽税理士行為等の疑いがある者に対しまして、行政指導として接触をし、必要な厳重注意等を行っているところでございます。
しかしながら、税理士法に根拠がないことを理由に対象者が国税当局の調査に難色を示す例があることが課題となっていたことから、税理士法に偽税理士に対する調査の根拠規定を整備するように求め、検討をいただいていたところでございます。
いずれにいたしましても、国税庁といたしましては、偽税理士行為等の是正のため、調査対象者の理解と協力を得つつ、必要な対応を引き続き行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/51
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052・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 行政指導ということもそれなりに効果があると思うんですけれども、やはり、取締りの法的根拠の有無という点でやはり実効性に違いはあると思うんですね。税理士業務への信頼を守るためにも、偽税理士への厳しい対応をよろしくお願いしたいと思います。
同じく、本法律案には税理士の業務等のICT化が挙げられております。ある意味、経済社会のICT化が進展する中で当然の要請とも言える内容ではありますけれども、例えば、税理士におけるe―Tax利用率は法人税申告数ベースで約九三%と既に高水準ではありますし、全てと言っていい税理士さんがパソコンを使っており、財務会計ソフトを駆使して業務をしておられます。
改正案で求められる税理士業務のICT化とは具体的にどのようなことをイメージされているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/52
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053・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今回の改正では、経済社会のICT化の進展に伴い税理士を取り巻く状況が変化していることを踏まえまして、税理士は業務の電子化その他の取組を通じて納税義務者の利便の向上等を図るよう努めるものとする旨の規定を整備をいたしまして、税理士が取り組むべき方向性を明確にしたものでございます。
この業務の電子化について具体的にどのようなものかというお尋ねでございますが、例えば、e―Taxの利用等を通じました国税当局との間の税務手続の電子化のほかにも、メールやウエブ会議システムの活用による顧客との間の税務相談や書類のやり取り、あるいは税理士事務所内部における事務につきまして電子化を進める等が挙げられるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/53
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054・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 確かに、デジタル化が進む顧客や世の中のニーズに合わせていくことは必要だと思います。ただし、それは税理士それぞれの裁量の枠の中で進めていくことでありまして、重要なのはICTに対応しやすくするための環境整備だと思うんですね。デジタル化、ICT化ということで申しますと、現状ではむしろデジタルディバイドを抱えた顧客が依頼を受けていただける、すなわちデジタルならぬアナログに対応できる税理士を探すのに苦労するという側面にも、そういったことにも配慮すべきではないかなと思うんですね。
税理士業務の依頼側のデジタルディバイドについて、どのような御認識をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/54
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055・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今般の改正でありますが、これはあくまで税理士の行う業務の電子化その他の取組を通じて納税義務者の利便向上等を図るよう努めるものとする規定となっております。
したがいまして、納税者側に対して何らかの制限を設けようとするものではありません。また、税理士が行うべき取組について、業務の電子化に限定しているものでもありません。例えば、従来どおり税理士と書面のやり取りを希望するような納税者の方もいらっしゃるかと思われますが、そうした方々に対してICT化を強いるような趣旨の改正ではない点、この点は御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/55
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056・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 税理士業務の依頼側である納税者本位で、大臣おっしゃっていたようにいろんな方がいらっしゃいますので、より自由度が高く、かつ使い勝手のいいものにしていただくこと、これが重要だと思います。
令和四年二月四日に行われました衆議院財務金融委員会におけます我が党の末松議員からの災害損失控除の創設を求める質問に対しての答弁は、次のようなものでした。災害関連税制の常設化、それから災害減免法、これを理由として当局から前向きな答弁は結局いただけませんでした。
災害損失について一定の配慮がなされることはおっしゃるとおりだと思いますが、ですが、この常設化は、住宅ローン減税の継続適用の特例や災害損失の繰戻しによる法人税額の還付など、当該措置を受けられる者が限られるものとなっているんですね。また、災害減免法については、災害のあった年の所得金額が一千万円超の者は適用を受けられず、また、損害額が住宅又は家財の価格の二分の一以上となった場合に限られるなど、適用を受けるための条件が結局課せられているんですね。
そもそも、自然災害というものは所得やその人の状況に関係なく誰にでも降りかかるものであります。また、災害による損失は、生活基盤に甚大な影響を与える非常に大きなものであります。そこで、こういった誰にでも起こり得る災害に関する税制については、災害関連税制の常設化や災害減免法だけでは不十分でありまして、災害における担税力の喪失を最大限に勘案する観点を踏まえた措置をとるべきだと考えております。
この件に関する大臣の御見解をお願いしたいということと、あわせて、災害損失控除を創設することにためらいをお感じならば、災害損失控除を創設することにどのようなマイナス点あるいはデメリットがあるのか、これらを御教示いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/56
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057・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) まず、最近の気候変動もあると思いますが、自然災害が頻発をいたしておりまして、それへの対応というものは政府としても大変重要な課題であると、そのように認識をしておりまして、税制においても災害への対応は重要であると、そのように考えております。
ただ、御指摘の災害損失控除の創設に関しましては、例えば、高価な美術品でありますとか宝石でありますとか帳簿上明確でない損失について、損失額を確認するための仕組みをどうするか等の論点がありまして、納税者間の公平性が損なわれるおそれがあることから慎重に検討する必要がある、そのように考えております。
なお、災害関連税制の常設化や災害減免法といった現行の制度では税制としての災害への対応が不十分ではないかという御指摘もいただいているところでありますが、災害への対応に係る政策手段については、税制だけではなく、例えば被災者生活再建支援金という制度もございますが、こうした歳出も含めた総合的な対応を行うことが重要であると考えております。
今後も適切に対応をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/57
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058・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 創設が期待される災害損失控除は、所得控除の適用順の最後とするよう制度設計するべきだと思います。被災者に寄り添った税制の構築という視点に立って災害減免法と災害損失控除の両制度が整備されることで、被災者に対し力強く税制面でバックアップできるのではないかなと思います。
格差是正に関連して、金融所得課税における一億円の壁がかねてから指摘されております。一億円の壁とは、金融所得の多くが分離課税で一律の税率が適用され、また、高所得者ほど所得に占める株式等譲渡所得の割合が高いことから、一億円を境に合計所得金額が増加するほど税負担率が減少するという逆転現象のことをいうもので、税の重要な役割である所得再分配の機能が正しく働いていないとして問題視されております。当委員会におきましても、これまで何度もこの質疑が行われてきました。
去年の自民党の総裁選で岸田総理が金融所得課税の見直しについて前向きな姿勢を示していたことから、令和四年度税制改正で見直しが行われるのではないかと、そのような期待が高まったんですけれども、早々に検討の俎上から下ろされてしまったんですね。その理由について、岸田総理が自民党総裁に選出されたことを受けて株価が下落したためだとの見方も一部にありました。
岸田総理御自身としては、国会答弁で、金融所得課税の見直しは分配政策における選択肢の一つとして挙げたものであり、分配政策の中での優先順位として、まずは賃上げ促進税制の強化に取り組むこととしたという趣旨の説明をされておりました。
ここでまず疑問に思うのは、金融所得課税の見直しと賃上げ促進税制の強化というのは、同時に議論し、同時に、同時並行に実現することが不可能なのかということです。岸田総理は、分配政策については様々な政策の順番が大事であるとおっしゃっているんですけれども、賃上げ促進税制の強化を実現しなければ金融所得課税の見直しをすることができないという何か法制上の制約や倫理、必然性が一体あるんでしょうか。大臣にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/58
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059・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 牧山先生が御紹介ありましたが、岸田総理も度々本会議また予算委員会等で答弁をしているわけでございますが、分配戦略において各政策を進めていくためには順番が大事であるということを繰り返し発言をされているところであります。
この点につきまして、賃上げ促進税制の強化を実現しなければ金融所得課税の見直しができないという法制上の制約などがあるわけではございませんが、これはもう岸田総理の政策判断といたしまして、令和四年度の税制改正では賃上げに向けた税制の抜本的強化に取り組むこととしたものと、そのように理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/59
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060・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 時間となりましたのでここで終わらせていただきますが、何か、順番があるというのはちょっとおかしいので、是非大臣から、大臣御自身もお考えになって進めていただきたいなと思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/60
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061・熊谷裕人
○熊谷裕人君 立憲民主・社民の熊谷裕人でございます。
昨年一年間、違う委員会に行っておりましたが、また財政金融委員会に戻ってまいりました。委員長始め、諸先輩方の御指導、どうぞよろしくお願いいたします。
財政金融委員会で一年ぶりの質問になります。今日は、所得税法等の一部改正について、まず先輩の牧山議員の後、法案の中身を少し質問させていただいて、その後、所得税に関わると思いますロシアのウクライナへの侵攻、侵略の影響、どのように日本の財政金融に影響があるかという点も御質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
最初に、所得税法の関係でございます。個人所得課税の関係で、まず住宅ローンの控除制度の見直しについて御質問をさせていただきたいと思います。
今回の見直しでは、消費税の税率変更に伴う反動減対策の上乗せ措置の見直しがあって、これを二〇二五年のカーボンニュートラル実現の観点から、省エネ性能の高い認定住宅、これは新築も、それから買取り再販や既存住宅というところにも適用がなされて、借入金の限度の上乗せだったりいろんなことをやりながら、適用期間、控除率、そして所得要件の引下げ等、いろいろと対策が打たれております。
そして、ちょっと気になるところは、合計所得金額が一千万円以下の場合には、その物件の平米数が五十平米から四十平米以上に緩和をされたというところがあります。これは、社会情勢で今お一人様が増えているので、そういう人だったり、いろいろな状況からお子様を持たない御家庭も増えているからそういうところに対応しているのかなと思っておりまして、時代の変化に沿ってこの住宅ローン控除制度の見直しが行われていると私も思っておりますが、住宅政策については、私自身は、今人口減少だったりというところで空き家が増加をしていて、この空き家をどうしたらいいんだろうかというような状況が社会的な課題として浮上しています。
私自身は昨年一年間は国交委員会におりまして、この住宅政策なんかもやらせていただきましたが、既存住宅ストックを利用して、利活用するべきだという持論を持っておりまして、所管は、住宅政策の所管は国交省になるんですが、この住宅ローン控除制度という観点から、財務省としては、この住宅政策について、このローン控除制度を考えるときにどのような住宅政策を考えて制度設計をしているか、お聞かせをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/61
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062・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) 先生から御質問いただきました。秘書、それから地方議会から国政へと、勝手に、僕も似たような経歴でありまして、親近感を持たせていただいております。まず、私からお答えをさせていただきたいと思います。
今先生もおっしゃいましたけれども、この住宅政策全般の在り方につきましては国交省の所管ではあります。しかし一方、住まいは生活の基盤であり、様々なニーズに応じた住まいの確保を支援していくと、そういう観点からこの住宅の取得について住宅ローン控除の仕組みがあるというふうにまず承知をしております。
それで、今回の見直しですけれども、新築住宅の取得支援のみならず、今先生もおっしゃいました中古、空き家等々、既存住宅のストックの有効活用及びこれの優良化を図る観点も踏まえ、既存住宅における借入限度額の上乗せ措置の新設、これ環境性能の高い住宅は二千万から三千万というものであります。これを行っております。
また、今先生が御指摘の床面積要件につきましては、住生活基本計画に定められている四人世帯の最低居住床面積水準を念頭に、五十平方メートル以上と設定されてきたところであります。今回の見直しにおきましては、現下の経済状況を勘案した例外的な措置として、あくまで時限的に、令和五年以前に建築確認を受けた新築住宅について、合計所得金額一千万円以下の者に限り四十平方メートル以上の住宅を対象とするとしたところであります。そのため、あくまでも、今回の見直し後も五十平方メートル以上の住宅を原則として対象とするという点については変わらないところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/62
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063・熊谷裕人
○熊谷裕人君 ありがとうございます。
今の平米数の緩和のところで、時限的という御答弁を今いただきました。
この住宅政策というのは、新築を取るのか、私は、さっき言ったように、既存住宅の利活用という方に重きを置きたいなというふうに思っております。そして、この持家なのか賃貸なのかということも、多分この住宅政策全般としてはこれからの課題になってくるかと思いますので、そういった観点から、またこの住宅ローン控除制度についてはそういう幅広い視野を持ってまた政府の方とも議論をしていきたいなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
その次は、法人課税についてです。
賃上げ税制について最初にお聞かせをいただきたいと思いますが、これまでも様々議論がなされてきました。この税制、赤字の企業には、適用されるので、私自身は恩恵にあずかる企業が少ないんではないのかなというふうに思っておりまして、また、賃上げを行った企業の給与総額の一定割合を控除するという制度になっていて、それではやはり多くの企業が恩恵にあずかれない制度になっているんではないかなというふうに思っております。
度々議論をされておりますが、この制度、賃上げのためにインセンティブを与えるのであれば、この制度ではなくて別な形、例えば法人税、まあ地方自治体への手当てをしなければいけませんが、固定資産、それから外形標準課税、そして、これも社会保障の方の財源手当てをしなければいけなくなりますが、社会保険の控除などという、企業運営をしていれば必ずタッチをしているところをもう少し幅広く恩恵、インセンティブを与えられるような制度に設計するべきだったんではないのかなというふうに思っておりますが、その点について、この賃上げ制度について御答弁をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/63
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064・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 政府といたしましても、現在、賃上げというのは大変、最重要課題であると、そういうふうに認識をしているわけでありまして、この賃上げに向けてあらゆる施策を総動員することとしております。
現在御審議をお願いをしております税制改正法案における賃上げ税制の拡充に加えて、看護、介護、保育等の公的価格の引上げ、補助金による中小企業の生産性向上のための支援、下請対策の強化など、中小企業が適正な価格転嫁を行うための環境整備、最低賃金の見直しなどの施策にしっかりと取り組んでいきたいと、このように考えております。
成長の果実が賃金の上昇や雇用の拡大につながり、それが消費の拡大を通じて更に次の成長に結び付くという好循環が実現することが重要でございます。先ほど申し上げましたとおり、政策総動員で賃上げを実現するということでございますので、財務省としても引き続き関係省庁と連携をして持続的な賃上げの実現を目指してまいりたいと考えております。
そして、所管外ではございますが、先生御指摘の社会保険料の減免や固定資産税の引下げにつきましては、もう既に先生から言及があったわけでございますけれども、社会保険料の減免については、社会保障の給付の見直し等を行わない限り社会保障制度の持続可能性が保てなくなると、そのように考えますし、また、一般論といたしまして、固定資産税など地方税の減免につきましては、地方の貴重な財源であるという点を踏まえる必要があるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/64
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065・熊谷裕人
○熊谷裕人君 しっかりと、個人消費をやっぱり喚起しなければ景気回復望めないと思っておりますし、そのためには賃上げ、やはりしっかりと行っていただかなければいけないというふうに思っております。
そもそも、従業員の方がその会社、自分のいる会社を愛することですとか、その会社にいることに満足をするというところを、そういった気持ちを高めるためには、やっぱり、給与水準が上がるということがやっぱり直接的なそういった満足度等を上げることになるんだと思っておりまして、基本的な従業員さんの処遇改善、給与の水準上げたくても上げられない企業が今すごく多いんだと思っておりまして、この制度の恩恵をあずかる企業が大企業の一部ということになると、ますます今言われている中小企業との給与格差というものも広がってくるんではないかなというふうに私自身は懸念をしているところでございます。
また、昨今、大企業が資本金を一億円以下に減らして減資をしてという、様々な優遇策を、課税逃れという批判もありますが、して、選ぶようなところも見受けられるようでございます。これは多分、法人をめぐる税制のゆがみがどこかにあってそういう逃避行動が出ているんではないかなというふうに思っておりますし、財務大臣の今の御答弁の中にコスト転嫁のお話もございました。コスト転嫁をしないと、やはりその給与の引上げのところにも影響が大変来ると思っておりますので、企業間の抜本的な構造改革が必要ではないかなというふうに思っておりますので、政府としては、しっかりと賃上げも、そしてこの税のゆがみの部分、私はあるんじゃないかなと思っておりますので、しっかりと取り組んでいただければと思います。これは要望にさせていただきたいと思います。
続いて、社会的ケア従事者の賃上げ、先ほども、保育や看護、そして高齢者、障害者、そして学童保育などの福祉サービスに従事する皆さんの三%程度、そして九千円の賃上げのための予算が三年度補正予算、そしてこの四年度予算で組まれておりますが、とりわけ、今、四年度の予算の審査中でもございますので、十月からの賃上げについて、政府の方は、公定価格、診療報酬や介護報酬の改定も含めて公定価格の引上げで対応されると承知をしておりますが、この四年、予算組まれてもう当然おりますので、しっかりやっていただけるものと思いますが、内閣全体としての対応方針について、いま一度お聞かせをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/65
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066・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 熊谷先生からの御指摘のとおり、看護、介護、保育等の処遇改善につきましては、令和四年二月から九月まで収入を引き上げるための措置を令和三年度補正予算において講じているところでございます。そして、こうした措置が継続的なものとなるように、令和四年十月以降でありますが、看護、介護等については、それぞれ診療報酬、介護報酬の改定で対応し、保育につきましては公定価格の見直し等により措置することとしておりまして、令和五年度以降も継続してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/66
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067・熊谷裕人
○熊谷裕人君 ありがとうございます。
五年度以降も継続をしていただけるということで、処遇改善につながると思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
それから、予算を付けていただいておりますが、各省庁にあとは任せるということではなくて、予算付けをしていただいた財務省としても、しっかりその点の目配りをしていただければと思っておりますので、こちらもお願いしたいと思います。
続いて、納税環境の整備についてでございます。
牧山先生の方からもありました税理士制度の見直しの中で、二つほどお尋ねをしたいと思います。
まず、税理士試験の受験資格の緩和が行われます。税理士さんになり手が今少ないという話も聞いておりますが、この緩和によって若い人たちの関心を呼ぶことができるのかという点についてお答えをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/67
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068・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
今回の法案におきましては、税理士試験のこの受験者数の減少に対処いたしますとともに、若年層を始めとして多様な人材の確保を図る観点から、御指摘のように、この税理士試験の受験資格の緩和を行うことといたしております。
それで、若年層とこの見直しの関係についてでございますが、現在のこの税理士試験制度におきましては、例えば、その若年層の典型でございます大学生の方々がその学識レベルによってこの受験資格を満たそうとする場合には、法律学又は経済学に属する科目を含めて六十二単位以上を取得した大学三年次以上の学生であるということが要件となっておりまして、法律学、経済学という非常に狭い範囲に限定をされているという状況がございます。また、足下のこの税理士試験の受験者の状況を見ますと、多くの受験生の方、特に若年層の方にとっては、税法科目よりも先に会計学の科目、簿記、財務諸表論といったものを受験する傾向が見られるところでございます。
こういった状況を踏まえまして、今般の見直しにおきましては、まず、会計科目については受験資格を不要とするということで、もういつでも受けられるようにするということを行っております。また、税法科目の受験資格につきましても、学識により満たそうとする場合に修める必要がある科目の範囲を法律学か経済学という狭い範囲から社会科学に属する科目という広い範囲まで拡大するということによりまして、この若年層の受験者の増加への効果が期待できるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/68
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069・熊谷裕人
○熊谷裕人君 私も大学が税理士さんだったり公認会計士さんになる人が多い大学の出身で、商学部でありましたので、友人もたくさん、在学中に試験を受けている友人もたくさんいました。緩和されて、多くの方が受けていただいて、この税務に関する仕事に携わってもらえる方が増えるといいなというふうに思っておりますので、更なる見直し等も含めて、受験者の増えるように取り組んでいただければと思います。
それからもう一つが、税理士法人の業務拡大について、後見人等の地位に就き、他人の法律行為について代理を行う業務等というのが挙げられております。いわゆる成年後見に関する契約を結ぶことだと私は思っておりますが、今、この成年後見人、大変なり手が少ないというところもあってこれが課題になっておりましたので、有り難いことだと思います。
この法人で対応していただくこと、少し遅かったのかなと思われるところもありますし、この会計とか税務の専門家が果たしてこの成年後見という、社会的なケアの分野もしなければいけないことが出てくるかと思います。お金を預かってというところはスペシャリストですから当然お願いはできるんだと思いますが、そういった社会的ケアのところが対応できるのかなというふうにちょっと思っておりまして、その辺の懸念持っておりますが、その懸念についてしっかりと対応できるものかどうか、そして、ほかの分野の士業の方とも連携をしていただくことになろうかと思いますが、その点についての御見解をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/69
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070・重藤哲郎
○政府参考人(重藤哲郎君) お答えいたします。
税理士は暮らしのパートナーとして、委嘱者の税務関係のみならず、経営相談や財産管理等にも対応しており、その対応の一つとして成年後見制度に関する業務が挙げられるところでございます。
成年後見業務を行うに当たりましては、法定成年後見制度でございますと家庭裁判所によって成年後見人に選任される必要がございます。また、任意成年後見制度であれば家庭裁判所が選任した任意後見監督人の監督の下で業務を行う必要がございます。このため、税理士又は税理士法人が成年後見業務を行う場合もこうした手続を経て行うことになるというふうに承知しております。
また、税理士が税理士業務を適正に執行していくためには、民法や商法といった、租税法や会計以外の法律の基礎的な知識も必要に応じて活用されているものと考えております。
こういったことを踏まえますと、税理士あるいは税理士法人が裁判所のルールの下で成年後見制度に関する業務を行うことには一定の合理性があるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/70
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071・熊谷裕人
○熊谷裕人君 続いて、ロシアのウクライナ侵略に関する我が国の影響について幾つか御質問させていただきたいと思います。
まず、ロシア国債の状況について、デフォルトの懸念があるのではないかというような新聞報道もございます。格付機関がそろって大幅に信用格付を下げていますし、明日十六日にはロシア国債や政府機関債のソブリン債の決済が期限を迎えるという話もありますし、また四月の四日には大規模な決済が来るのではないかというふうに言われておりますが、デフォルトの状況に陥ってしまった場合に、ロシアで三大メガバンクがいろいろと金融取引や債券を持っているようでございますし、GPIFも債券を持っているようでございまして、そういったことを考えると、我が国の金融システムだったり、影響があるんではないのかなと思っておりまして、その懸念の状況について財務省としていかに考えているか、お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/71
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072・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) ロシア国債、先生御指摘の懸念につきましては、それが日本経済や市場の動向に与える影響を現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、その上で、これも先生今御指摘ありましたが、格付会社が格付を引き下げている中、三月十一日、ロシア債十年債は債券利回りが一六%になるなど、大幅に上昇するなど、国債市場に不安定な動きがあるものと承知をしております。
引き続き、緊張感を持って市場の動向や経済を注視してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/72
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073・熊谷裕人
○熊谷裕人君 大変な危機がもしかしたら来るかもしれないので、しっかりと備えをしていただきたいと思っております。
それから、ロシアの方が非友好国指定をして、ルーブルで支払だとか、撤退した企業の資産を差し押さえるんだなんという話もございます。本当に、こういった経済の方でも暴挙が行われる可能性がある中で、しっかりと日本の金融システム、そして進出している企業を守っていかなければいけないと思っておりますので、そのリスクに対して政府としてもしっかりと備えていただければと思っております。
次は、アメリカとEU、イギリスなんですが、の利上げについて、日本の対応、日銀さんに来ていただいておりますので、FRBの連邦公開市場委員会もすぐ行われますし、日銀の方の政策決定会合も行われる直前でございますので、いろいろ影響が出てもいけないので、お答えのいただける範囲でお答えをいただければと思っておりますが、この金利差、イギリスは決定していますし、アメリカもすぐ〇・五%上げるんじゃないかというふうに言われておりますが、その点について、金利差が拡大、日米、そしてEUとの金利差が拡大をすることについて、日銀のお考え、どういうような影響があるというところを御答弁いただくと影響が本当に出てしまうかもしれないですから、御答弁できる範囲で、そこの金利差が拡大するところについてお話をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/73
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074・清水誠一
○参考人(清水誠一君) お答え申し上げます。
米欧が利上げに動く下での日本の対応という御質問かと思います。
米欧と我が国では、経済、物価情勢が大きく異なるため、金融政策の方向もおのずと違ってまいります。すなわち、米欧では、消費者物価の上昇率は、米国では八%程度、ユーロ圏や英国、イギリスでは六%程度まで高まっております。こうした中、特にイギリスやアメリカでは、人々の予想物価上昇率の高まりを通じまして、実際のインフレ率が目標の二%から上振れた状態が長引くリスクが意識されており、このことが金融緩和縮小の動きにつながっているというふうに理解してございます。
一方、我が国では、コロナ禍からの景気回復はなお道半ばでございまして、今後予想される消費者物価の上昇は、ウクライナ情勢を受けたエネルギー価格の上昇が主因でございます。こうしたコストプッシュ型の物価上昇は、持続的、安定的な二%目標の達成にはつながらないというふうに見てございます。
我が国の予想物価上昇率や賃金上昇率の低さを踏まえますと、日本では欧米のようにインフレの二次的な波及を懸念するような状況にはございませんので、日本銀行としては、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていく方針でございます。
また、海外とのこの政策の差に伴います市場の影響につきましては、きちっときめ細かくモニターしてまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/74
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075・熊谷裕人
○熊谷裕人君 ありがとうございます。
また別の機会にしっかりとまた議論させていただきたいと思います。
最後に、物価高への対応でございます。
今、日銀の方からの御答弁にもありました。様々な影響が原油や穀物相場のところに出ておりますし、コストプッシュ型のインフレが始まっているという話もありますし、予算委員会では、うちの森議員の方から、スタグフレーションの陥ることも懸念されているというような話がございました。
この急激な物価高、悪い物価高に対して政府としてはどのように対応していくのか、方針をお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/75
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076・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 足下の物価高でありますが、やはり、原油を始めとする世界的な原材料価格が高騰するということがその背景であると存じておりますが、政府といたしましては、三月四日に原油価格高騰に対する緊急対策を取りまとめました。そして、その中で、国民生活等への不測の影響を緩和するため、激変緩和措置の大幅な拡充強化などを実行に移しているところであります。また、この緊急対策において、漁業、農林業、運輸業などの業種別の対策や中小企業の資金繰り支援なども併せて講じ、国民生活や事業者への悪影響を最小限に抑えてまいります。
まずはこれらの支援措置をしっかりと実施しつつ、今後につきましては、今般の対策の執行状況や国際情勢、経済状況、原油価格の動向等を見極めながら、政府全体として引き続きしっかりと検討し、対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/76
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077・熊谷裕人
○熊谷裕人君 時間が参りましたので、最悪なシナリオをしっかりとシミュレーションして対応していただきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/77
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078・杉久武
○杉久武君 公明党の杉久武でございます。
本日は、所得税法の一部改正案につきまして、国税のみならず、税制全般の観点から順次質問をしてまいりたいというふうに思います。
先ほど他の委員からも御質問がございましたが、まず法人課税について、とりわけ注目を集めておりますのが企業に積極的な賃上げを促すいわゆる賃上げ促進税制でございます。
これは、従来の所得拡大促進税制からの抜本的とも言える見直しでありまして、岸田内閣が掲げる成長と分配の好循環の実現における分配戦略の中核を成すものと認識をしております。
この賃上げにつきましては、我が国の国内総生産、GDPの半数以上を占める個人消費を伸ばすということによって、企業利益を拡大させ、更なる賃上げにつなげていくという好循環を実現する上で重要な一翼を担うものでございまして、昨年の与党におけます税制改正論議の中でも、私も税調のメンバーでございますが、公明党としても賃上げに積極的な企業に対する控除率の拡大について強く訴えてまいりましたので、この賃上げ促進税制については大きな期待をしているところでございます。
この賃上げ促進税制の中身でございますが、既に御承知のとおり、企業が基本給やボーナスを含めた賃金などの総額を増やした場合、その増額分のうち大企業は最大で三〇%、中小企業では最大四〇%を法人税から控除するというもので、これは過去最高の控除水準と言えます。
そこで、まず経済産業省に質問いたしますが、これまで行ってきた賃上げ税制についてその効果はどの程度あったかを確認するとともに、今般の賃上げ促進税制の期待する効果について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/78
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079・龍崎孝嗣
○政府参考人(龍崎孝嗣君) お答え申し上げます。
賃上げは、税制のみならず企業収益や雇用情勢等に影響を受けるものでございます。税制の効果だけを取り出して経営者の賃上げ判断への影響を図ることや、税制の導入による賃上げの効果を定量的にお示しすることは難しい部分もございますけれども、アベノミクスの中でコロナの影響が出るまでは二%前後の賃上げを継続して達成してきておりますので、その中で税制も一定程度寄与してきたものと考えております。
その上で、今般の改正では、先生からも今御紹介ありましたが、税額控除率の大胆な引上げなどの抜本強化によって、より多くの企業の賃上げを後押しできると考えてございます。
私どもとしましては、あわせて、事業再構築補助金等による生産性向上への支援、それから、ものづくり補助金等における賃上げ等に取り組む赤字企業の特別枠の設定、パートナーシップ構築宣言の拡大等による下請取引の適正化などの環境整備に併せて全力で取り組んでまいろうと思ってございまして、これらの取組を通じまして、社会全体の賃上げに向けた機運をつくり上げ、賃上げを実現してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/79
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080・杉久武
○杉久武君 このこれまでやってまいりました所得拡大促進税制につきましては、企業の賃上げに向け後押しする上で一定の効果のある税制だったと理解をしておりますが、その中でもやはり重要なのが、我が国の全企業数の九割以上を占め、雇用の約七割を支えております中小企業の賃上げをどのように促していくかという点でございます。特に中小企業につきましては、労働分配率、すなわち付加価値に占める人件費の割合が大企業よりも高いことから、賃上げの原資を確保するためには国による手厚い支援が欠かせません。今年度補正予算の完全な執行と来年度予算の早期成立、そして賃上げ促進税制による重層的な支援を行うことによって、中小企業が賃上げに取り組むことのできる環境づくり、これを急ピッチで進めていく必要があるというふうにございます。
そこで、経済産業省に続けて質問いたしますが、先ほども少し触れてはいただきましたが、賃上げ促進税制については、中小企業の皆様が制度を十分に理解し活用できるよう、丁寧な周知と相談体制の一層の充実を行うべきと考えます。取組状況の確認とともに、例えば大企業の下請となっている中小企業が賃上げのために製品価格を引き上げたいと考えた場合、大企業が下請に妥当な対価を支払うよう、取引の適正化に向けた監督体制についても強化すべきと考えますが、経産省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/80
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081・飯田健太
○政府参考人(飯田健太君) お答え申し上げます。
ただいま委員の方から二つ、周知と取引適正化について御質問いただいたと思います。順にお答えいたします。
まず周知でございますけれども、中小企業向けの賃上げ促進税制でございますが、令和二年度で約十万件御活用いただいております。今般の税制改正におきまして、上乗せ要件の見直しでございますとかあるいは税額控除率の引上げ、こういったことも盛り込まれておりますので、こういった変更点も踏まえまして、多くの皆様に税制御活用いただきたいと考えております。
そのために、中小企業の皆様御自身にも直接、あるいはその支援機関、税理士、商工会、関係の団体いらっしゃいますけれども、こういった方々に対して、ホームページやチラシによる周知、あるいは地方経済産業局で説明会を実施したりですとか、あるいは電話で税制サポートセンターとかも設けております。こういったところでの相談対応なども通じまして周知に努めてまいりたいと思っております。
それから、取引の適正化の関係でございます。御指摘のとおり、中小企業が賃上げの原資を確保していくためには、やはり価格転嫁対策を含む取引の適正化、下請取引の適正化が非常に重要だと思っております。
具体例として幾つか御紹介させていただきますが、一つは、全国今百二十名いらっしゃる下請Gメンを倍増することによりまして、年間で今約四千件ぐらいのヒアリングを一万件へと倍以上に増加させて、様々なお悩みを伺ってまいりたいと思っております。それから、サプライチェーン全体での共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言、これも進めてまいりたいと思っております。それから、今、ただいま三月なんでございますけれども、この三月を価格交渉促進月間ということで設定をしておりまして、これは二回目なんですが、このフォローアップもしっかりしていくことによりまして、二千社に対して下請Gメンによるヒアリング、あるいは十五万社の下請中小企業に対する調査も実施しまして、こうしたことを踏まえて、下請振興法に基づく指導、助言なども実施していきながら、適切な取引が、利益が下請企業に残るように、関係省庁とも連携しまして、取引の適正化に全力で取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/81
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082・杉久武
○杉久武君 是非、丁寧な周知と相談体制の一層の拡充、そして賃上げに伴う取引適正化に対する管理監督の体制の強化について一層の取組をよろしくお願いしたいと思います。
この賃上げ促進税制は、言うまでもなく法人課税に対する優遇措置でございますので、国内企業の現状を見ますと、現在利益を出している黒字企業は企業全体の僅か約三五%にすぎません。そして、当然ですが、黒字企業の多くは大企業であり、中小企業が中心の残り約六五%は赤字経営となっているため、法人税を納める状況にございません。つまり、賃上げによる税法上の恩恵を受けることができるのは黒字経営の大企業と僅かな中小企業にとどまります。その結果、国内経済を支えている中小企業の大半は賃上げ促進税制による賃上げ効果が期待できないのではないか、こういった指摘もあるところであります。
他方、大企業であったとしても、航空業界など、現下のコロナ禍で大きなダメージを受けている業種では大幅な減収減益が続いていることを考えますと、賃上げ促進税制が我が国全体の賃上げに果たしてどの程度の効果をもたらすのか、疑問視する声もあるところでございます。
そこで、経済産業省に続けて質問いたしますが、現下のコロナ禍で業績が厳しい企業やあるいは法人税を納めていない赤字企業が賃上げに挑戦する場合、どのような支援策があるのか、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/82
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083・飯田健太
○政府参考人(飯田健太君) お答え申し上げます。
今委員御指摘ありましたように、賃上げ促進税制、法人税を納めていない赤字法人はなかなか御利用いただけないわけでございますけれども、今、中小企業についてお話ありましたので、特に中小企業についてお話ししたいと思います。
中小企業は赤字法人多いわけですけれども、こういった方々もまずは賃上げの原資をしっかりと確保できるように生産性の向上を応援してまいりたいと思っております。その際、赤字の方々、赤字でも生産性向上の取組を行うという法人には特に配慮してまいりたいと思っております。
それから、先ほども御答弁しました下請取引の適正化、こういったことにも努めてまいりたいと思っております。具体的には、まず、補助金の審査に当たりまして、設備投資、生産性向上に向けた補助金審査に当たりまして、赤字企業には補助率の引上げを実施してまいります。具体的には、赤字事業者が賃上げをした場合には、設備投資を支援するものづくり補助金におきましては中小企業向けの補助率を二分の一から三分の二に、それから小規模事業者持続化補助金におきましては三分の二を四分の三に、それぞれ引き上げる措置を盛り込んでおります。それから、労務費などの上昇分が下請価格に適切に反映されて賃上げ原資となる付加価値が適切に中小企業に残るように、先ほども御答弁いたしましたが、下請取引の適正化、親事業者への働きかけにも取り組んでまいります。
こうした取組を通じまして、赤字の中小企業の賃上げについてもしっかりと後押ししてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/83
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084・杉久武
○杉久武君 昨今、メディア等でも様々指摘をされておりますが、我が国の賃金水準が二十年以上にわたってほとんど横ばいの状態になっているということが指摘をされております。伸びない理由といたしましては、円安政策の下、企業体質を改善せずとも利益を上げ続けられていたためであるとか、諸外国と比べてIT化が進まず生産性が低いとか、あるいは我が国企業全体が労働者に低スキルの作業を求めていることから給与を上げるインセンティブが働かないなど、様々な理由が論じられているところでございますが、いずれにいたしましても、我が国を取り巻く閉塞的とも言える状況を少しでも改善できるよう、賃上げに挑戦する企業については、どんな規模の企業であれ、政府一丸となってあらゆる施策を動員していただきますよう、徹底した取組をお願いをしたいというふうに思います。
その上で、賃上げがいかに重要であるかということについては改めて指摘をさせていただきたいのでございますが、例えば少子高齢化が進む我が国では社会保障費の増加は避けられません。しかし、その財源となる社会保険料は労働者の所得がベースになっております。にもかかわらず賃金が増えないということは、増加する社会保障費をいずれ賄うことができなくなる、こういったことも危惧されるところでございますので、賃上げが我が国の存在に関わる重大事であり、絶対的に不可避な施策であることは言うまでもございません。
そこで、財務大臣に御質問いたしますが、我が国を維持し発展させるためには、岸田内閣が掲げる三%超の賃上げに向け政府一丸となって断固取り組まなければなりませんが、賃上げに向けた財務大臣の御決意を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/84
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085・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 賃上げにつきましては、本年の春闘に向けた議論の中で、岸田総理から、業績がコロナ前の水準を回復した企業について、新しい資本主義の起動にふさわしい三%を超える賃上げを期待するという趣旨の発言があったものと承知をしております。
政府といたしましても、賃上げに向けてあらゆる施策を総動員することとしておりまして、現在御審議をお願いしております税制改正法案における賃上げ税制の拡充に加えて、看護、介護、保育等の公定価格の引上げ、補助金による中小企業の生産性向上のための支援、下請対策の強化など、中小企業が適正な価格転嫁を行うための環境整備、そして最低賃金の見直しなどの施策にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
成長の果実が賃金の上昇や雇用の拡大につながり、それが消費の拡大を通じて更に次の成長に結び付くという好循環が実現することが重要でありまして、財務省といたしましても、引き続き関係省庁と連携をして、持続的な賃上げの実現を目指し、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/85
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086・杉久武
○杉久武君 もう是非財務省挙げて取り組んでいただきたい、強く要望しておきます。
次に、個人所得課税について確認をしたいと思います。
まず、住宅の購入に係る税制につきましては、住宅そのものが高額な耐久消費財であることから、現下のコロナ禍にある我が国の景気、経済への動向にも大きな影響を与えるものでございまして、好循環実現のためにしっかりとした制度構築が不可欠であるということは言うまでもございません。
特に、住宅取得促進のための税制改正については、環境性能等に応じた借入限度額の上乗せ措置を講じた上で住宅ローン減税の適用期限を四年間延長するということで、住宅を安心して購入いただくための大きなインセンティブとなるような環境整備が進められているところでございます。
そこで、国土交通省に伺いますが、住宅ローン減税における借入限度額の上乗せや住宅ローン減税の適用期限を四年間延長する効果について確認するとともに、これら制度の利用に向けた周知活動についても伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/86
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087・塩見英之
○政府参考人(塩見英之君) お答えを申し上げます。
税制の効果とその周知ということでございますが、今回の住宅ローン減税の見直しでは、新築住宅の約八割を占めます省エネ基準適合住宅で見ますと、最大で三百六十四万円の減税を受けることができます。また、ゼロエネルギーハウス、いわゆるZEHでございますが、環境性能がより高い、省エネ性能がより高いということで、断熱材などの増量が必要になります。そういったことで建築費が幾分高くなるわけでございますけれども、最大で四百九万五千円というより優遇した支援を受けることができますため、これによりまして住宅の供給が促進される効果があると考えてございます。
その周知でございますけれども、この制度がより多くの国民の皆様に活用していただけますように、分かりやすさを重視した形で、制度の概要でありますとかQアンドAといった情報コンテンツの充実を図ってまいります。そして、住宅の取得を検討している方々への訴求の機会が多く持っておられる民間の住宅情報サイトでありますとか住宅の関連団体などと連携をしまして、効果的な周知に取り組んでまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/87
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088・杉久武
○杉久武君 大きな期待が、大きな効果が期待できますので、利用促進に向けた一層の周知をお願いしたいというふうに思います。
次に、住宅ローン減税については、税額控除がローン金利を上回るいわゆる逆ざや問題の解消が今回の法律案で図られることとなっております。
従来の控除率は一%でしたが、金利低下が進み一%を下回る住宅ローンが増えたため、住宅ローン減税による控除額が支払った利息を上回ってしまい、住宅ローンを借りると実質的に利益が生じるといった逆ざやの状態が指摘をされておりましたが、今般の制度の見直しによりまして、控除率を一%から〇・七%へ引き下げることとしております。
ただ、ここで特に指摘をしておきたいのが、控除の上限を一%から〇・七%へ引き下げるという点でございます。控除額を下げるということは減税の幅が縮小されることにほかなりませんので、ともすると恩恵が少なくなってしまったのではないかと受け取る方もいるかもしれません。しかしながら、控除を中間所得層から見ますと、従来の制度では年間の所得税額が控除の上限に届かず減税の恩恵が十分に受けられなかったということが指摘されますので、今般の改正によって、控除期間の延長と合わせることで実際には減税の総額が増えるというケースもございます。
そこで、国交省に質問いたしますが、今回の住宅ローン減税における控除率の引下げと控除期間の延長を合わせることで中間層や低所得者層にとって具体的にどの程度のメリットが享受できるのか確認するとともに、見た目は減税率が縮小していることから、住宅を購入しようとする方が減税の恩恵に浴さないのではないかといった間違った認識を持たれないよう、具体的な減税効果について分かりやすく周知いただきたいと思いますが、国交省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/88
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089・塩見英之
○政府参考人(塩見英之君) お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、今回の住宅ローン控除の見直しにおきましては、控除率の見直しと併せて控除期間の延長を行うこととしております。この結果、中低所得の納税者の方にとりましては、従来の制度ですと、毎年の税額が少なくて満額控除できていなかったのに対しまして、控除期間が延長されることによりまして、トータルの控除額が増えることで支援の充実につながるものと考えてございます。
具体的には、省エネ基準適合住宅を取得する年収六百万円の納税者の方を想定いたしまして、この年収の方々の平均借入額が四千二百三十万円程度でございます。返済期間を三十五年ということを前提といたしますと、十三年間の総控除額は見直し前よりも約十五万円増えまして三百十四万円程度になるというふうに試算をしてございます。
こうした減税効果を分かりやすく周知するために、この税制の拡大、活用拡大を図ってまいりますために、中間層や低所得者層をモデルケースに設定をいたしまして、複数の借入額のパターンに応じまして具体的な減税額を解説した広報資料を作成しまして、先ほど申し上げました民間サイドの方々とも連携をした発信に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/89
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090・杉久武
○杉久武君 ありがとうございます。
立派な制度をつくっても、国民の皆様の理解なくして効果は発揮できませんので、これらの施策についても国民の認知度を高めるために一層の周知徹底をいただきますようお願いしたいと思います。
次に、住宅ローン減税に関連して、少し国税から外れますが、資産課税について確認をしたいと思います。
今般の税制改正においては、住宅建設を促進するために、例えば新築住宅においては固定資産税の減額措置を二年間延長することとなりまして、住宅を購入される方の初期負担が大幅に軽減されることが期待されております。
そこで、続けて国交省に質問いたしますが、この固定資産税の減額措置の二年間延長によって、住宅を購入された方はどの程度負担軽減効果を感じることができるのか、確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/90
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091・塩見英之
○政府参考人(塩見英之君) お答え申し上げます。
新築住宅に係ります固定資産税の減額措置は、住宅取得者の初期負担の軽減を通じまして、耐震性能などが確保された住宅の建設を広く促進しようとするものでございます。例えば、新築の戸建て注文住宅の場合、平均的な建物価格が約三千万円でございまして、新築から三年間固定資産税が二分の一になります結果、三年間合計の減税額は約四十四万円というふうになります。
一般に、物件価格以外にも、例えば火災保険料などのように初期負担、初期費用が一定程度発生します。物件価格の数%と言われてございますが、土地代込みの物件価格を四千四百万円程度とし、また、その五%を初期費用といたしますと、約二百二十万円程度が物件価格以外の初期費用として掛かるということになります。
本税制の約四十四万円という減税によりまして、この初期費用の負担が大きく軽減されるというふうに考えてございます。こういった減税効果につきましても、先ほど申し上げました分かりやすい周知の中でお示ししてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/91
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092・杉久武
○杉久武君 これも大きな効果があると思われますので、個人消費の下支えとして大いに期待をしております。
この資産課税につきましては、昨年末に議論した税制改正大綱の中でも特に焦点となったのが、商業地における土地の固定資産税の軽減措置でございます。
土地の固定資産税は三年に一度設定する評価額を基に算定した課税標準額に応じて税額が決まりますが、商業地では、地価が上昇した場合、前年度の課税標準額に土地の評価額五%を上乗せして新たな課税標準額を算出いたします。
今回の軽減措置をめぐっては、与党税制改正大綱をまとめる際にも意見に大きな隔たりがございましたが、来年度は商業地の約二割で一〇%以上の負担増となることや、コロナ禍で営業が制限されている事業者を支援する必要性に鑑み、来年度は上乗せを半分の二・五%に抑えることで合意に至りました。
そこで、国交省に確認いたしますが、商業地における固定資産税の軽減措置について、どの程度の効果が見込まれているのか、確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/92
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093・大澤一夫
○政府参考人(大澤一夫君) お答え申し上げます。
令和四年度の商業地に係る固定資産税の負担につきましては、コロナ前の地価上昇の影響を受けることとなります。具体的に申し上げますと、先ほど御指摘のとおりでございます。商業地の約二割の地点で一〇%以上の負担増となるような状況と見込んでございます。
このようなことを背景といたしまして、令和四年度の税制改正におきましては、景気回復に万全を期すため、激変緩和の観点から、税額上昇分を半減する措置を講じることとしてございます。この措置によります固定資産税及び都市計画税の負担軽減効果は約四百七十億円と見込んでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/93
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094・杉久武
○杉久武君 今回のこの商業地の軽減措置継続につきましては、固定資産税は地方税でありますので、自治体にとっては税収が減ってしまうことにつながりますが、他方、コロナ禍で傷んだ商業の立て直しを図る上では、この軽減措置の継続は不可欠なものと考えます。
既に業界団体からは、経済の底割れを防ぎ、持続的で確実な成長を実現するための不可欠な措置と認識しており、高く評価しているといった歓迎の声もいただいております。岸田内閣の掲げるコロナ後の新しい社会の開拓の一助となるものと強く期待しておりますので、税制の着実な執行を重ねてお願いをしたいと思います。
そこで、次に、こうした様々な税制を実効たらしめる心臓部となるのが納税環境整備の最前線に立っておられます国税庁であるというふうに思います。なかんずく、国税職員の皆様であるということは言うまでもございません。
私も、六年前に安倍内閣で財務大臣政務官を務めさせていただきましたが、在任中に埼玉県和光市にあります税務大学校を視察する機会をいただきました。大学校では、職員の皆様が本当に熱心に、また真剣に研修されておりまして、その責任感の強さ、私も大きな衝撃と感銘を受けたことを思い出します。
しかしながら、本委員会でもしばしば取り上げられているとおり、国税庁の定員はこの二十年で八百人近くの純減となる一方、所得税の申告件数は高止まり、法人税の申告件数に至っては増加する一方でありまして、直近の令和元年における法人税の実調率は三%を割り込み、ついに二%まで低下をいたしました。そして、先ほどの質疑の中での答弁では、令和二年は更に低下をしているということでございました。
実調率が二%といいますと、まあ乱暴な言い方をしますと五十年に一度調査が来るという話になりまして、まあ俗に会社の寿命は三十年という説もございますが、仮にこの三十年説が正しいとしますと、ある企業にとっては起業以来一度も税務署の調査を受けないという、そういう状況になりまして、二%という数字はそういう意味になるのではないかというふうに思います。
もし、このような現状を放置し続けるならば納税意識の希薄化を招くのは当然で、本来、税金が私たちの日常生活やインフラの全てを支え、そのインフラを納税者たる私たちが公平に、そして自由に利用できるという権利を享受するための義務であるということを忘れ、単に税金が取られているといった意識や、コンプライアンスの低下に手を貸していることには、ならないのではないかというふうに危惧をしております。
また、グローバル経済の飛躍的な進化に伴い、暗号資産等の新たな経済活動や情報通信技術の発展に対処し、公平で適正な納税環境を整備するためにも、現場を担う国税職員の人数を増やさなければならないということは火を見るより明らかではないかというふうに思います。
そこで、国税庁にお伺いいたしますが、国税庁の現在の定員について、率直な見解を伺いたいと思います。また、暗号資産といった新しい経済活動や情報通信技術の発展により、複雑化、困難化する税務調査をどう対処していくのか確認するとともに、今後の納税環境整備をどのように進めていくのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/94
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095・重藤哲郎
○政府参考人(重藤哲郎君) お答えいたします。
経済活動が国際化、ICT化が進み、また、暗号資産などの新しい経済活動が広がる中、調査、徴収事務は複雑化しており、税務行政を取り巻く環境は厳しさを増していると認識しております。こうした状況の下で、適正、公平な課税徴収を引き続き実現していくためには、税務執行体制の強化を図っていくことが重要であると考えております。
こうした中、令和四年度予算案におきましては、軽減税率制度の実施、消費税不正還付や租税回避、あるいは日本産酒類の振興などへの対応を図るため、所要の体制整備を盛り込み、国税庁の定員について三十五名の純増となっているところでございます。
また、暗号資産等の新たな経済活動や情報通信技術の発展により複雑化、困難化する税務調査に的確に対応するため、電子商取引に係る調査等を専門に担当いたします情報技術専門官の設置を積極的に進めているところでございます。
引き続き、業務の効率化を図りつつ、必要な定員、機構を確保し、税務執行体制の強化を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/95
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096・杉久武
○杉久武君 定員をすぐ増やすということは難しいことだとは承知をしておりますが、それ以上に難しいのはやっぱり人材育成だというふうに思っております。税務調査は職員の皆様の日頃の鍛錬に基づく眼力と嗅覚によって支えられていると、私はそう理解しております。まさにAI化できない分野、生身の人間にしか行うことができない私は職人としての技術なんじゃないかなというふうに思っております。ベテラン職員の深い知識と豊富な経験、そして現場での対応力や人間力を継承していくためにも、毎年滞りなく継続的に職員を確保することは組織を維持発展させるためにも不可欠だというふうに思います。事務処理の一部など人の手を介さずとも処理が可能なものはIT化による効率化を図っていただきながらも、マンパワーの確保につきましては、我が国の根幹たる税制の土台を揺るがしかねない問題でありますので、私もしっかりと応援をしてまいりたいというふうに思っております。
次に、納税環境整備の視点を今度は税理士制度の側から質問したいと思います。
昨年末に決定いたしました来年度の与党税制改正大綱の中で、税理士制度の見直しが示されました。その中でも特筆すべきは、デジタル社会における税理士事務所の在り方が記載された点でございまして、具体的には、税理士及び税理士法人は、税理士の業務の電子化等を通じて、納税義務者の利便の向上及び税理士の業務の改善進歩を図るように努めるものとする旨の規定を設けることとしておりまして、今後の法制度の整備によって税理士を取り巻く環境が変化するのではないかと思っております。
しかしながら、税理士は税の専門家でございますが、ICTに詳しいかどうかは別の問題でございますので、税理士の業務のICT化を進めるに当たっては、税理士は今までにないスキルというものが求められるというふうに思います。
そこで、国税庁に確認いたしますが、今後の税理士業務におけるICT化の推進に向けて国税庁としてどのようにサポートしていくのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/96
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097・重藤哲郎
○政府参考人(重藤哲郎君) お答えいたします。
今委員御指摘もございましたとおり、税理士業務を取り巻くICT化も変化しており、また、今般の税理士法の改正におきましては、ただいま委員から御指摘がありましたような規定が設けられているところでございます。
国税庁といたしましては、これまでも日本税理士会連合会から寄せられたe―Taxの使い勝手を向上させるための要望に対応するなど、税理士業務のICT化に資する取組を行ってきているところでございます。また、必ずしもICT知識が高くない税理士の方もおられるということは日税連も認識されており、こうした方にどのようなサポートができるかについても検討されていると承知しております。
国税庁といたしましても、税理士業務のICT化をサポートするため、日税連の議論にしっかりと関与し、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/97
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098・杉久武
○杉久武君 このICTによる納税環境整備は何よりも納税者の、納税者にとって役に立つものでなければならないというふうに思いますので、納税者の利便性向上に資するよう、国税庁には税理士会とも連携をよく取っていただきながら、税理士業務のICT化に向けて御尽力いただけますようお願いをいたします。
税理士制度の見直しに関して、もう一つ伺います。
税理士や税理士法人は、税理士業務を行うために事務所を設けなければなりません。しかし、現行制度では税理士事務所を二か所以上設けてはならないということになっております。このいわゆる二か所事務所禁止規定については、税理士が税務を独占しており、税理士業務が納税義務の適正な実現に資するという社会公共性の高いものであるために設けられた措置でありますが、他方、先ほども触れたように、税理士業務のICT化や多様化する働き方、さらには長引くコロナ禍で広がるリモートワーク等に対応していくためには、設備状況といった客観的事実を判断基準とする現行の税理士事務所の定義について見直しを行うべきではないかといった声もございます。
そこで、国税庁に質問いたしますが、税理士業務のICT化や働き方の多様化、そしてコロナ対策としてのリモートワーク等に対応するため、現行の税理士事務所規定について国税庁としてどのように対応していくのか、確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/98
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099・重藤哲郎
○政府参考人(重藤哲郎君) お答えいたします。
税理士法四十条では、税理士、税理士法人は税理士業務を行うための事務所を設けなければならないと、また税理士は税理士事務所を二以上設けてはならないとされているところでございます。これらの規定は、顧客との法律関係を明確化する観点、あるいは税理士事務所の使用人等の事務を事務所の面から規制する観点から措置されているものと承知しております。
このうち、まず事務所を設けているか否かにつきましては、これまでは外部に対する表示の有無、設備の有無、使用人の有無などによって判断をしていたところでございますが、税理士業務のICT化や働き方の多様化に対応する観点から、今般、税理士事務所の該当性の判定を外部に対する表示によって判断を行うこととしたいと考えており、これを国税庁の法令解釈通達で明確化することを考えております。
また、税理士が登録した税理士事務所ではなく自宅等でリモートワークをしているような場合も、一定の条件の下に、事務所を二か所設けていることにはならないという旨を明確化したいと考えております。
さらに、税理士法第四十一条の二は税理士事務所の使用人等に対する監督義務を規定しておりますが、この監督の方法としても、ICTを活用した対面以外の方法も可能であることも明確化したいと考えています。
国税庁としましては、こうした通達の改正によって、税理士業務のICT化や働き方の多様化、あるいはコロナ対策としてのリモートワーク等が推進されることになるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/99
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100・杉久武
○杉久武君 現下のこの社会情勢を踏まえた税理士業務が行えるように、御尽力を是非よろしくお願いしたいと思います。
最後に、大臣に伺いたいと思います。
岸田内閣の柱である成長と分配の好循環の実現、そしてコロナ後の新しい社会の開拓を目指す上で今般の税制改正は極めて重要でございまして、コロナ禍に苦しむ我が国の社会経済を支え、中長期的な成長を実現するためにも、税制改正に伴う諸施策の遂行はもう断固行う必要がございます。
そこで、大臣に最後質問いたしますが、新しい資本主義の実現に向けた今般の税制改正に対する財務大臣の御決意をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/100
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101・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 令和四年度税制改正は、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現を図るためのものであり、賃上げを積極的に行いマルチステークホルダーに配慮した経営に取り組む企業に対し、税制上の措置を抜本的に強化することとしております。また、オープンイノベーションを更に促進するため、税制措置を講ずることで新たなビジネスの創出を進め、事業革新と付加価値の向上につなげる二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、住宅の省エネ性能の向上などの観点から所要の見直しを行った上で、住宅ローン控除について延長をすることとし、また、税理士業務におけるICT化を推進するなどの観点から税理士制度を見直すなどの措置を講じております。
令和四年度税制改正には、今申し上げましたように、成長と分配の好循環やグリーン化、デジタル化にも対応するものとなっていると考えておりまして、これにより、新しい資本主義の実現を目指してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/101
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102・杉久武
○杉久武君 時間になりましたので、以上で質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/102
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103・大塚耕平
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。
今、杉委員の御質問の最後の方で税理士さんの話が出ておりましたけれども、今日の本題と関係ないんですが、昨日から電子申告システム、通信障害でパンクしているということで、先ほど税理士の先生からちょっと連絡があって、個別申告の期限が何か延長になったというふうに言われておりますので、事実関係、私もこれから確認しますけれども、的確に御対応いただきたいと思います。
私たちは、先般の本会議でも、税制についてどういう考え方をしているかというのは大臣にお伝えしたとおりでございます。賃上げ税制については、もちろん賃上げ税制が入ったこと自体は、同じ方向ですし、いいことだと思いますが、様々見直す点もあろうかと思いますので、この辺りはより柔軟にお考えいただきたいと思いますが、同時に、どうやって税収を確保していくかということを考えますと、金融所得の総合課税化ということも我々の政党としては明確に打ち出させていただいております。それから、格差の是正ということも大きな課題ですので、富裕層への課税強化も、これも不可避であると思っております。
まず、この金融所得の総合課税化と富裕層への課税強化について、大臣のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/103
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104・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 金融所得課税につきましては、現状は、税制の中立性、簡素性、適正執行の確保などの観点から、総合課税ではなく分離課税が導入されてきた、きているところでございます。
その上で、今後の金融所得に対する課税の在り方につきましては、令和四年度の与党税制改正大綱において総合的な検討を行うとされているところであり、今後、与党の税制調査会の場で議論が行われていくものと考えております。財務省としても、その議論に基づき対応してまいりたいと思っております。
それから、先生から今、富裕層に対するこの課税強化についてもお尋ねをいただきました。
税制においては、これまでも時々の経済社会の変化を踏まえながら、累次の改正を行ってきております。具体的には、所得税や相続税について最高税率の引上げなどの見直しを行っております。
今後とも、税制の在り方については、経済社会の構造変化も踏まえながら引き続き検討をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/104
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105・大塚耕平
○大塚耕平君 本会議では、自動車税制についても意見を述べさせていただいて、来年エコカー減税がなくなるこのタイミングで自動車税制も抜本的に見直すべきだという意見も申し上げさせていただきました。
我が国が、世界の先進国と比べて、産業や経済の競争力という面で大分かつてと比べると脆弱な状況になっているというのは、もうこれ与野党共通した認識になってきていると思いますけれども、そうであるとしたら、その原因はいろいろあると思うんですけれども、例えば税制が、税制というのはもう国の骨格ですから、税制が時流に合っていないとか、世界の潮流に対応していくのに必ずしも合理的に適していないかもしれないとか、そういう観点から、是非鈴木大臣の在任中に我が国の税制の抜本改革をやっていただきたいと思いますが。
特に通告は申し上げておりませんが、来年度に向けて、税制の抜本改革、幾つか申し上げました。自動車税制、金融所得課税、富裕層への課税、あと賃上げ税制については論点は本会議でもるる申し上げましたが、大臣としての御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/105
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106・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほども申し上げましたけれども、経済社会の変化に対応して税制の在り方というのは不断の見直しをするという、そういう姿勢が大切であると思います。
現在の税制改正の決定プロセスは、与党の税制調査会においての議論、そこで取りまとめられた税制改正大綱を踏まえて進めるというのが、この実態としてそういう決定プロセスがございます。そういうことも踏まえながら、より良い税制ができること、それはしっかり念頭に置いて頑張らなければいけないことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/106
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107・大塚耕平
○大塚耕平君 税調会長にも聞こえるように今申し上げましたので、よろしくお願いいたします。
税制の話から少し離れまして、所信、大臣の所信について二、三、改めてお伺いしたいと思うんですが、大臣は所信の中で、金融機関による事業者に対する資金繰り支援の徹底ということをお述べになられたんですが、もう少し具体的に、これから何をされようとしているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/107
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108・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 新型コロナの感染拡大によりまして多くの事業者が影響を受ける中で、事業の継続、雇用の維持に万全を期すため資金繰り支援を徹底すること、これは非常に重要なことであると認識をしているところでございます。
このため、例えば、令和二年三月より実質無利子無担保融資を行い、本年一月末時点で官民合わせて約二百三十四万件、約四十一兆円の融資を決定をしてきたところでございます。また、三月の四日には、経済産業省、金融庁、財務省の連名で中小企業活性化パッケージを公表し、政府系金融機関による実質無利子無担保融資の六月末までの延長などを盛り込んだところであります。そして、三月七日には会議を開催をいたしまして、私からも直接、官民金融機関の代表の方に対しまして、政府の支援メニューも有効に活用をして、厳しい経営環境にある事業者支援にしっかりと取り組んでいただくよう、重ねてお願いをしたところであります。
引き続き、コロナの影響を受けた方々の資金繰り支援、これには全力を尽くしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/108
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109・大塚耕平
○大塚耕平君 今、最後のところで、コロナの影響を受けた皆さんへの資金繰り支援ということをお触れになられたんですけれども、実は、今ではもう法案としては、法律としてはなくなっている中小企業等金融円滑化法というものがかつてあったんですが、あれは二〇〇九年の政権交代直後に、私も金融担当副大臣として、当時、亀井大臣の下に、連立政権でしたので、民主党側から私が亀井大臣のお世話をするということで副大臣をやらせていただいたんですが、そのときに最初に作った法律、当時の民主党政権として最初に作った法律がこの中小企業等金融円滑化法だったんです。
したがって、中身は自分で作った法律なのでよく存じ上げているわけでありますけれども、俗にモラトリアム法案と言われていたこの法律の効果というのは想像以上の効果がありまして、倒産件数がその後相当減っていくということに大きく寄与しました。もちろん、それによって、まあ言葉が適切かどうか分かりませんが、批判的な見方としては、本来は淘汰されてもおかしくない企業が随分生き残ったという、こういうお声があったことも理解はしております。
ただ、やはり金融機関というのは、顧客や、経済を支えている企業にしろ個人にしろ、そういう経済主体が困っているときにどう対応するのかというのが問われているんだという当時の亀井大臣の強い思いは当時の金融庁の皆さんにも十分伝わって、その後、三・一一があったためにその法律の有効期限を延長して、その後、法律は失効しましたけれども、その内容は監督指針に今反映されています。したがって、その精神は生きているんですけれども。
さて、これから、コロナの影響で、借りたかったわけではないんだけど借りざるを得なかったという事業者の方や個人の方が返済に直面していくわけであります。先ほど大臣は、無利子無担保融資二百三十四万件、四十一兆円という数字を御紹介くださったんですが、多くの議員の皆さんも御承知のとおり、この中には無利子無担保ならこの際借りておいて投融資をしようという人も随分たくさんいて、本当に苦しい人たちは、そんなに一生懸命債務を増やしたいとは思わないと思います。しかし、借りざるを得なかった。そういう方々がこれからその返済に直面して苦しくなってくると思います。
そこで、私たち国民民主党は、この中小企業等金融円滑化法を、コロナ対策の一環として、必要なところをリメークして近々法案として提出をさせていただく予定でございます。大きなポイントは、昨日も予算委員会でうちの舟山委員が総理に申し上げていたと聞いておりますけれども、一点目は、今、監督指針に反映されて旧金融円滑化法の精神が生かされている点として、条件変更等の申込みがあったら、その申込みにできるだけ弾力的に応じるようにと。しかも、その申込件数と申込みに応じた件数は公開するということで、コロナになってからこの公開が復活しておりまして、今応諾率九〇%以上ということで、この数字だけ見ると随分きちっと対応していただいているように思えるんですけれども、実は、その申込件数というのは、金融機関と事前の相談をして、ある程度これは融資ができそうだというものを、どうぞ、お客様、申込書を書いて申し込んでくださいというふうに誘導しているわけですね。そうすると、当然応諾率高くなるんです。
この申込みの前段階、こういう状況なんだけどどうでしょうかという相談、この相談件数というところからフォローをして数字を公開するということが必要だと思っておりますので、今度提出する法案の第六条にそのことを明記をしております。
それと、もう一つは、実際にこの法律を作るときにも、住宅ローンを入れるべきだということで、かんかんがくがく議論をして住宅ローンを入れました。ただし、今回は、コロナで生活資金をやむを得ず借りざるを得なかった方々がこれから苦しくなります。
そこで、この金融円滑化法の枠組みでは個人にすぐ対応するのは難しいと思いましたので、取りあえず附則の三条に、個人に対して行われた貸付けに関わる債務の状況について調査を行い、その結果を踏まえ、当該債務を有する個人の当該債務の弁済に関わる負担の軽減を図るための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとするという条文を入れさせていただいておりますので、これを近々提案をさせていただきます。
ここまでの説明を聞いていただいて、大臣としての御所見を伺えれば幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/109
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110・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 大塚先生からも質問の中で御説明ございましたけれども、既に政府といたしましては、かつての中小企業金融円滑法と同等の対応を実施しておりまして、貸付条件の変更の件数、またその条件変更の実行率、これを公表しているところでございます。
そして、先生からは、ただいま、それに加えまして相談段階の実態を確認すべきだと、こういうような御指摘があったと思います。金融機関におけます相談対応は、コロナの影響を受けた方々の資金繰り支援において非常に重要であると思っております。そして、御指摘がありましたとおり、昨日、予算委員会で総理に対して質問がございまして、そのときに総理からも答弁があったように、まずは金融機関における相談体制等の実態、これを確認をしてまいりたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/110
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111・大塚耕平
○大塚耕平君 是非確認していただきたいですし、私も、前職の経験上、そして国会に来てからも、去年を除いて十九年間、ここ財政金融委員会でずっとこの間の景気の波と金融機関の対応も直接、間接に理解しておりますので、その相談のところをどうフォローアップして、金融機関が門前払いをしない状況をどうつくっていくかというのがこのコロナの影響を受けた個人の皆さんにとってはとりわけ大事だということは恐らく調べるまでもなくポイントだというふうに思っておりますので、改めて大臣にはお伝えをしておきたいと思います。この議論はまた今後もさせていただきたいと思っております。
あともう一問だけお伺いしますが、所信の中で、地域金融機関等が地域経済の回復、成長に一層貢献できるよう持続可能なビジネスモデルの構築ということをおっしゃったんですが、つまり、地域金融機関本当に今苦しいですから、私がさっき申し上げたようなコロナ対応の条件変更を申し出てくる人たちに柔軟に懐深く応じられるだけの余力が余りないんですね。だからこそ、さっきの提案を申し上げているんですが。
最後に、ただいま申し上げました、大臣がおっしゃった持続可能な地域金融機関のビジネスモデルというのはどういうものを想定しておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/111
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112・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 地域金融機関には、地域経済を支える要として金融機能を強化をし、地域企業の価値向上等を図ることによりまして地域経済の回復、成長に一層貢献し、こうした取組を通じて地域金融機関自身も持続可能性を高めていくことが期待をされているところでございます。
そのために必要な取組は必ずしも一様ではないと思いますが、地域金融機関は、人口減少など厳しい経営環境が続く中でも、地域の実情に応じ、将来を見据えた経営改革に取り組むことが重要であると考えております。
こうした地域金融機関の取組を支援する観点から、合併、経営統合を含む経営基盤の強化の取組を支援するための資金交付制度の創設、デジタル化や地方創生など持続可能な社会の構築に幅広く貢献できるようにするための業務範囲規制や出資規制の抜本的な見直しなど、様々な環境整備を行ってまいりました。地域金融機関には、これらの環境整備も活用しつつ、持続可能なビジネスモデルの構築に向けた取組を進めてもらいたいと考えております。
金融庁としても、後押しをしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/112
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113・大塚耕平
○大塚耕平君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/113
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114・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時三十三分休憩
─────・─────
午後一時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/114
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115・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、小沼巧君が委員を辞任され、その補欠として勝部賢志君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/115
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116・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 休憩前に引き続き、所得税法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/116
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117・浅田均
○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。
私は、今日、デジタル経済とそれに対する課税ということで議論させていただきたいと思っています。
デジタル経済と言われる経済、シェアリングエコノミーとか、それからギグエコノミーとかトークンエコノミーとかいろいろありますけれども、デジタル化されることが可能になった、デジタル化されることで可能になった経済活動とか経済、これをデジタル経済と言っているというふうに私は理解しております。それで、その経済とか経済活動のどの部分にどういうふうな課税をしていくのが必要なのかという問題意識を持って議論を展開させていただきたいと思っております。
皆さんそういう世代に属していると思うんですけれども、それまではみんなアナログだったんですよね、アナログの世界。それが当たり前の世界で、アナログがデジタル化されたということであります。
アナログというのは、いわゆる連続量といいますか、私がここで今しゃべっている音声、これはアナログですよね。で、これをデジタル化することもできる。水の流れとか連続したものがアナログで、それを微分して二と一に、一とゼロに二値化するというか、それがアナログ化するという作業であります。
こういうアナログ信号、アナログ情報がデジタル化することによって何が変わったかといいますと、まず、まあ三十年ぐらい前を思い出していただきたいんですけれども、ウォークマンというのがあって、みんな音楽、みんなではないけど、好きな人は音楽を聴くのにそこにカセットテープというのを入れて聴いていました。そのカセットテープというのは物なんですよね。だから、音楽を聴くときはまずそういう手段があった、カセットテープという物を買う。それがデジタル化されることによって、そのカセットテープの中に入っていたアナログ情報がデジタル化されると。で、そこでそのデジタル資産というのができるわけですよね。そのデジタル財をネットワークを通じてダウンロードすると、それを音楽として聴くと。
だから、ここで物からサービスに変わるという大きな転換が一つ生じます。その物からサービスに変えて提供する主体である、GAFAと呼ばれていますけれども、プラットフォーマーという、仲介業といいますかね、そういう企業が台頭してきます。これが二点目ですね。
企業価値の無形資産化といいますか、要するに、持っている物のデジタル財、コンテンツと今言っていますけれども、コンテンツというのは、著作権等が、特許権とかいう無形資産のことなんですね。だから、アナログがデジタル化されるということでそれだけの変化があって、ここにいらっしゃる皆さんはこの過去三十年多分生きておられる方でしょうから、そういう変化を身をもって体験されてきたと思います。
デジタル経済が大きくなって、私たちの認識で一番大きく取り上げられているのは、そのプラットフォーマーというのの存在ですね、GAFAと言われている。アマゾンとかグーグルとか、そういうプラットフォーマーと言われる存在、これは、単なる物を作っている多国籍企業とはもう全然実態が違うわけです。ここで租税回避とか大きな問題が生じてきて、国際的な問題が生じてきて、OECDのBEPSプログラム等でどこでどういうふうに課税するのが適切であるかというふうな議論がされて、ルール化が一部された部分があります。
それで、まずお尋ねしたいのは、このGAFA等の国際的租税回避問題に対し、欧州委員会というのは独自のデジタル課税を導入しようとしておりました。アメリカはそれに反対していた。欧州委員会なんかの考え方は、今までの経済とは別にデジタル経済というものを考えて、そこに課税しようという考え方です。それに対して、反対していたアメリカというのは、デジタル経済という、だけを取り上げる、切り離すのではなしに、経済の中の一つの分野として捉えて総合的に課税するというふうな考え方で対立していたんですけれども、こういうGAFA等の国際的租税回避問題、行動に対して我が国はどういう立場に立って、例えばEU側の、欧州委員会側の立場に立つのか、あるいはアメリカ側の立場に立つのか、どちらの、どういう立場に立ってどういうふうに対応しているのか、まず質問します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/117
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118・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) 先生御指摘の多国籍企業と国内企業の間で競争条件が違うではないかという指摘は、これまでも随分と行われてきました。今御指摘のこの国際的な租税回避については、それが必ずしも違法性があるとは言えないとも言われておりますけれども、それが税制の公平性を損なうものであれば、納税者の信頼を揺るがしかねない大きな問題であると考えています。
こうした考えの下、我が国は、国際的な租税回避に対抗する国際的な取組であるBEPSプロジェクトをその立ち上げ時から一貫して主導してきたところであります。二〇一五年にはBEPS対応のため十五の勧告として最終報告書が取りまとめられており、我が国としてもBEPSプロジェクトに関連した様々な国内法の見直しを着実に実施してきているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/118
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119・浅田均
○浅田均君 アメリカ側の立場には立たなかったというところですけれど、明確に欧州委員会とも同じというわけでもないので、難しいところだと思うんです。
今副大臣に御答弁いただきましたけれども、そういう状況があって、それまでほとんど、別に僕はアマゾンという会社だけを攻撃しているわけではないんですが、法人税を、あれだけ稼いでいるのにアマゾンという会社は日本で法人税をほとんど払っていないという指摘があって、今副大臣御答弁いただいたような御努力があって法人税を支払い始めたと聞いておりますけれども、これで、例えばほかの日本の、いわゆるプラットフォーマーと言われている楽天とかがあるんですけれども、この楽天とアマゾンの間で不公平性というのは完全に払拭されたと考えていいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/119
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120・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
個別の企業の課税関係に関することにつきましては、国税庁の所管でございますが、国税庁におきましては守秘義務の観点からお答えは差し控えさせていただいているものと承知をしております。
そこで、一般論として御答弁申し上げますと、我が国は、先ほど副大臣からも御答弁ございましたように、国際的な租税回避を防止する観点から、このBEPSプロジェクトに関連した様々な議論に積極的に参画するとともに、それに伴う国内法の見直しも着実に実施をしてきておりまして、公平性の確保に努めております。
具体的には、例えば平成二十七年度の税制改正におきまして、国外事業者が海外から配信してくる電子書籍等のデジタルコンテンツの配信につきましても国内事業者が行う場合と同様に消費税を課税するといったような見直しをこのBEPSプロジェクトの一環として行うでありますとか、平成三十年度改正におきましては、法人税の分野におきまして、意図的なPE認定の回避を防止する観点から、PEの範囲の見直しを行うなどの適正化を行ってきております。
また、今御指摘がございましたが、市場国に物理的拠点を置かずにビジネスを行う多国籍企業に対しても市場国で課税を行えるようにするための国際課税原則の見直し、これにつきましては、昨年十月に経済のデジタル化に伴う課税上の課題の解決策の第一の柱として合意をされておりまして、こうした新しいルールのグローバルな実施に向けて、これを通じて国際的に公平な課税の実現を実現するべく取り組んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/120
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121・浅田均
○浅田均君 今のこの御答弁の中でPEの範囲を変えたという中身があったんですけれども、例えば、そうしたら、私たちがふだん使っているというか、ネットフリックスというのがあるんですけれども、ああいうところに対して消費税を取るということは今可能になっているんでしょうか。個別のあれでは答えられないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/121
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122・住澤整
○政府参考人(住澤整君) PEの範囲の見直しと申し上げましたのは、これ、法人税の課税におきまして、従来の国際課税原則の中で、恒久的施設、PEが存在する国において課税をするというのが原則でございます。ただ、そういう物理的な施設の中にも様々な、簡易なものなどもございますので、意図的にこのPE認定外すために様々な操作をすることが可能だということで、これは法人税の観点からPEの範囲の見直しを行ったということでございます。
御指摘の消費税の課税の問題につきましては、これはPEとは関係がございませんで、二十七年度改正以前の消費税におきましては、国外事業者が国外から我が国に向けて配信をしてくる、デジタルで配信をしてくる電子書籍等の役務の提供につきましては、消費税が国外取引として認識するということで課税されない仕組みになってございました。これを、そのサービスの提供を受ける側の所在地、つまり日本の消費者がいるところということで、国内で消費税を課税できる仕組みに変えたということでございまして、今のちょっとネットフリックスの件につきましては、ちょっと個別のあれでお答えするのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、海外から配信してくる消費税についても、国内で国内事業者が配信するサービスと同様に課税をすることができるようにしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/122
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123・浅田均
○浅田均君 しつこくて申し訳ないんですけど、海外から配信して日本には会社はないと、ただサーバーが置いてあるとか、そういう基地、基地というかな、会社としてはやっていないけれども経由基地みたいなやつはあるということになると、何か課税対象はないということですか。なら、通信業者を経由して消費者に直接来てしまうわけですから、何か課税はされていないという理解でいいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/123
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124・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
この問題、ヨーロッパの諸国におきましては二〇〇〇年代の初めぐらいから見直しを始めておりまして、それとほぼ我が国は同じ仕組みを取っておりますが、国外事業者が電子書籍ですとか音楽などを国外から配信してくる場合というのは、国内にはサーバーすらないようなことも想定されるわけで、インターネット上でサービスが提供されているという状態になります。
こういう場合の課税方式としては、国内においては納税管理人を置かせるという仕組みにしておりまして、ただ、これは書類の提出のときの窓口といったような意味付けしかないわけでございますが、直接の納税義務はその国外事業者そのものに課すというような仕組みになっておりまして、そういった仕組みで実際に課税をいたしております。これはBツーCの配信の場合でございます。
他方、BツーBで、配信を受けるのが事業者であるような場合につきましては、あるいは役務の提供を受けるのが事業者であるというような場合につきましては、国内で役務の提供を受ける事業者の側に逆に納税義務を課すと、専門用語ではリバースチャージというふうに申しますけれども、そういった方式によって課税が行われているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/124
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125・浅田均
○浅田均君 今議論させていただいているようなことが、ヨーロッパ委員会、欧州委員会とアメリカなんかで問題になって、それでBEPSは進んでいるんですけど、BEPS以外に、OECDが大枠合意したこのピラー1、第一の柱と呼ばれる多国籍企業への課税権配分ルールというのがあるらしいんですけれども、これについてちょっと簡単に御説明いただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/125
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126・住澤整
○政府参考人(住澤整君) 今御指摘のこの第一の柱、ピラー1でございますが、これは先ほども申し上げました、市場国に物理的拠点を置かずにビジネスを行う多国籍企業に対しても、実際にその消費者のいる市場国で課税を行えるようにするためのルールづくりということでございます。
具体的にその内容を申し上げますと、売上高が二百億ユーロ、日本円にいたしますと約二・六兆円を超える大規模企業、そして利益率が一〇%超の高利益水準の多国籍企業を対象といたしまして、こうした多国籍企業グループの利益率一〇%を超える部分を超過利益というふうに認識いたしまして、その超過利益の二五%を国際的な売上げの分布状況に応じまして市場国に配分するという仕組みが昨年十月に合意をされているわけでございます。これ、デジタル経済をその対象にして特別の税をつくるというEU各国の取組との違いは、これデジタル企業に限らず、こういったデジタル企業を含めた多国籍企業が無形資産から生み出している超過利益というものに着目をいたしまして、その一定割合を売上げに応じて配分するという仕組みを国際的に合意をいたしたわけでございます。
このピラー1のグローバルな実施によりまして、現在のこの経済活動をより踏まえた国際的な課税権の配分がより公平なものになるというふうに考えておりまして、その実施に向けて現在、各国と協調して取り組んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/126
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127・浅田均
○浅田均君 これ、利益率一〇%を超えるところに関して課税して、その超過分の二五%ですか、課税する。これも、だからこの方々はもう非常に、租税回避というか、頭脳明晰な方が多いんで、二五%、その一〇%を超えない九・何%でばらけさせるとか、きっとそういうことをやってくるんで、私、直感的に、ピラー1でなしにピラー2もやがて必要になってくると思いますんで、そういう準備もしておいていただきたいと思います。
で、イントロの部分でもう終わりになってしまうんですけれど、まずシェアリングエコノミーについて、今申し上げましたプラットフォーマーというところに関する質問を一つだけさせていただきたいんですけれど、このプラットフォーマーですよね、言わばマッチングサービスと言ってもいいと思いますけれども、エアビーアンドビーとか、日本では認められていませんけれどもウーバーとか、だから、そういうそのマッチング、需要と供給をマッチングさせる、で、そのプラットフォーマーに対して……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/127
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128・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 質疑時間が参りましたので、質疑をおまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/128
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129・浅田均
○浅田均君 それじゃ、中途半端で申し訳ないんですけど、この続き、あしたやらせていただきますんで、ここまで覚えておいていただきますように、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/129
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130・大門実紀史
○大門実紀史君 大門でございます。
今日は、オープンイノベーション促進税制、いわゆるベンチャー投資減税について質問をいたします。
今回の改正で、今資料を配ってもらっていますけれど、延長、拡充されたオープンイノベーション促進税制でありますが、これ岸田総理が施政方針演説の中で、本年をスタートアップ創出元年として五年計画を策定して大規模な、企業の、起業ですね、スタートアップの創出に取り組みと、戦後の創業期に次ぐ日本の第二創業期を実現するというふうに意気込みを述べられて、このオープンイノベーション税制もその一つの、スタートアップの一つの政策の一環というふうに考えられるわけでありますけれど、オープンイノベーションというのは、まあベンチャー企業と特に大企業が協働していろんな仕事をやっていく、開発していくという、そういうことでありますが、それに関する減税措置でありますけど、資料配っていただいていますが、一応、まず改めて、このオープンイノベーション促進税制について簡単に説明をしてもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/130
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131・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
今回のオープンイノベーション促進税制の改正でございますが、このオープンイノベーション税制は二年前に創設をしたものでございまして、事業会社による一定のベンチャー企業への出資に対しまして、出資の一定割合の所得控除を認めるという措置でございます。
さらに、今回、スタートアップとこの既存企業の協働によるオープンイノベーションを促進していく観点から、設立十年以上十五年未満の研究開発型のスタートアップを適用対象に追加するとともに、取得した株式の保有期間を五年から三年に短縮するなどの拡充を行った上で、適用期限を二年間延長することといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/131
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132・大門実紀史
○大門実紀史君 この図のとおりでありますけれど、要するに、事業会社が、既存の事業会社がベンチャー企業に出資する際に減税を行うということでありまして、二年前もこの委員会で議論をいたしましたけれども、税改正がされて今度は適用期限が延長するということも含めて改正されるわけですけれども。
この図の、配付資料の出し手の要件というところがありますが、ここにベンチャー企業に直接又はCVCを通じて出資を行うとなっております。CVCというのはコーポレートベンチャーキャピタルでありまして、要するに、ベンチャー企業に出資するファンドをつくって、そのファンド、CVCを通じて出資を行うという形でありますが、いずれについても出資額の二五%を所得控除をしましょうという制度であります。
今回、制度が拡充されたというその一つが、事業会社からベンチャー企業への出資期間の短縮というのがございます。現行制度は出資期間は五年以上と、五年間は出資しておいてくださいと。この上の方の枠のところに書いてある特定期間、出資後五年間というのがありますが、これを今回三年間に短縮するということであります。今までは五年以上出資は引き揚げないでくださいよとありましたけど、それを三年でいいよと、引き揚げていいよとなるわけでありますけれども、今回の改正でこれを五年から二年間短くして三年にすると、この意味はどういうことがあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/132
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133・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
この税制、二年前に創設をいたしまして、実際に執行いたします中で、ベンチャー企業とこの事業会社などがスピード感を持って協業すると、協力して業務を遂行するという流れが加速している中で、事業会社とベンチャー企業のこの実際の協業実務を踏まえますと、五年間の協業期間を前提とする、そういった必要性は必ずしもないのではないかといった声があったものと承知をいたしております。
具体的には、五年以内でこのシナジーがそもそもこの二つの会社の間に存在しないと。協業を進めていく意味が余りないであろうということを双方が了解したような場合に、双方了解の上でこの出資を引き揚げるということが、なかなか、この税制の、今の従前の仕組みですと障害になるといったような声がございまして、こうした声を踏まえまして、オープンイノベーションを一層促進する観点から、この保有期間を五年から三年に短縮するという改正にいたしておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/133
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134・大門実紀史
○大門実紀史君 そういう声があったということなんですけれども、そもそも今回の改正は誰の要望なのかということなんですが、これ出資を受ける側、まあ何かちょっとベンチャー企業も言っているような話がありましたけれど、実際には今回の改正要望出したのは経団連などの十五の経済団体、つまり出資する方、ベンチャーじゃなくて出資する方の大企業の、まあ十五ですから全部言いませんけど、経団連や、商工会議所も入っていますが、各地の経済連合ですね、あと石油連盟とか日本自動車工業会等入っていますが、出資する側の要望があって改正になったんではないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/134
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135・龍崎孝嗣
○政府参考人(龍崎孝嗣君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおりでございまして、今回のこの制度でございますけれども、御要望は出資する事業会社側からの、事業会社側の業界団体からは御要望いただいておりますけれども、スタートアップ企業側からは特段の御要望も、他方、反対の御意見もなかったというものと承知をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/135
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136・大門実紀史
○大門実紀史君 今説明あったとおり、この出資する側の大企業の要望で五年を三年にということでありますけど、実は二年前、ここの委員会で、三月十八日のこの財政金融委員会でこれが議論になりまして、この出資期間とは何だろう、何で五年にしたんだろうというのがあったんですね。
これは、ベンチャー企業にとっては安心できる株主に最低五年は持ってほしいと、持っていてほしいと、途中で売買するようなことじゃなくてですね。そういう基本的な要望があって五年にしたんですよね。そういう議論をしたわけであります。普通は、新しい挑戦的なことを非常に頑張ってもらわなきゃいけないんですけど、そういうベンチャー企業は見通しが見極めにくいし、そう簡単に答えが出ないという面もありますので、そういう、何というか、ちょっと時間が掛かるけどやってみたいんだという企業ほどやっぱり五年ぐらいは支えてほしいというのがあって五年ということになったわけですね。
もちろん、中には株をもう、もうここまで来たんで早く売りたいというような企業も中にはあるかも分かりませんが、そもそも、この税制の最初五年にしたのは、そういう企業をきっちり育てようというのがあって五年にしたんだと思うんですね。そういう議論したわけですね。大体、スタートアップ、ベンチャーファンド出資の契約期間というのは通常十年ぐらいが普通になっておりますので、五年が決して長いとは思わないんですよね。
ちょうど、さっき言いました、二年前この委員会でどんな議論があったかというと、先ほどから話題の矢野さんですね、今事務次官の。矢野さんがそこで主税局長だったんですが、私の質問に対してこう答えておられます。
この制度は検討の過程で、まあ私がちょっとこれ、ベンチャーが過熱ぎみで、マネーゲームでベンチャーの売買が過熱になっていますよということをちょっと申し上げた上だったんですけど、その矢野さんが、この制度を検討する上で私が指摘したような懸念が与党の中にもあったと、このマネーゲームにね、企業の売買に使われるんじゃないかと。その結果、要件を課してオープンイノベーション性がしっかりあるということを事前にチェックするという仕組みを入れると。あるいは出資期間を五年間しっかり抱えて、いわゆるハゲタカ的な、買って売り抜けるというようなことがないように五年というものを課したというふうに、課したと。で、五年未満で転売等などした場合には恩典をゼロにするという仕組みにしたというふうに当時、矢野さんがここでお答えになっているんですね。
まだ二年しかたっていないんですね。その矢野さんの答弁といいますか、あのときの認識がそんなに変わるわけが、状況が変わるわけないと思うんですけれども、なぜ二年でこの矢野さんの答弁が変わるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/136
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137・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今般の税制改正におきましては、事業会社とベンチャー企業の協業実務を踏まえ、オープンイノベーションを一層促進する観点から、取得した株式の保有期間を五年から三年に短縮したところでございます。
委員御指摘の、二年前、創設時の議論では、取得した株主の保有期間を五年間とし、五年以内に株式譲渡した場合などは税制の恩典を受けられなくすることで投機目的のような投資が本税制の対象とならないようにしている、そういう御議論であったと承知をしております。
で、二年経過したわけでありますが、この点に関しましては、出資する事業会社にとっての革新性や出資を受けるベンチャー企業の成長への貢献など、オープンイノベーション性の要件を既に設けていることを踏まえれば、保有期間を三年間に見直したとしても投機目的のような投資は排除できると考えております。
今般の改正により、引き続き、投機目的のような投資が本税制の対象となることを防ぎつつ、よりスピード感のある投資により、オープンイノベーションが一層促進されることを期待をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/137
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138・大門実紀史
○大門実紀史君 基本的に、もちろん大企業の方も大事にベンチャー企業を育てている場合もあると思うんですね。協力している場合もあると思うんです。それが多いと思いますよ。
ただし、今の状況はそう甘くはなくって、この資料でいくと一番最後の資料六に、今何が起きているかということで資料を付けてありますけれど、実はもう、そのベンチャー企業と事業会社、大企業の間でも優越的地位の濫用に関わるようなことがもう、前からありましたけど、ちょっと顕在化しているんですね。要するに、出資者ですから大企業が出資すると、その出資引揚げを、引き揚げるぞというようなことを言って特許などの無償譲渡を求めるといった例が増えていて、で、公取も乗り出して経産省と一緒に指針を作ろうということ、こういう動きになってきているわけですよね。つまり、そうきれい事ばかりじゃなくって、そもそもこの出資する方もいろんなこと考えて出資をしていると。
で、守らなきゃいけないですね、やっぱり日本経済のためには、こういうベンチャー企業の技術なんか。ところが、こういうことが起きているという、基本的にこういう泥臭い世界があるということはまず考えておく必要があるんですね。
その上で、先にちょっとこの、何といいますか、この税制そのものが必要なのかどうかという点で申し上げたいんですけど、要するに、このことを促進する、国が減税して促進する必要があるのかということも一つ申し上げておきたいんですけど。
資料二枚目で、物すごく増えているんですよ、今、スタートアップに対する投資というのはですね。事業会社からの投資、CVCからの投資合わせると、この一番右側、青い部分で、三千二百十四億ですから、ずうっと伸びているんですね。つまり、ちょっと過熱化しているわけですね。二年前と同じですね。過熱化していると、もっと過熱化しているということであります。
で、日経新聞によりますと、去年十月に行った大企業百社へ日経がアンケートして、取っておりますが、このスタートアップ投資、ベンチャーへの投資というのは急速に拡大して、投資予算額は約六千億と、去年に比べて三割増えているというような状況になっていて、とにかくもう今急速にこの投資が伸びているということなんですね。
で、正確な数字分からないんですけど、ネット上ではこのCVCファンド二百以上のリストなどが出ていますけど、これも急増、数が急増しておりますし、事業会社から直接の投資も増えているし、ファンドCVCを通しての投資も急増しているというんで、今非常に、何ですかね、ここの分野は過熱して投資がうわっと膨らんでいるということでございます。
で、こういう、特にもう大企業が中心がなんですけれど、どれくらいの減税措置あるいは適用額になっているかということなんですが、これは法人税の租税特別措置でありますので、その実績が公表されることになっております。
ちょっと教えてほしいんですけれど、確認のために。二〇二〇年度分については今年の一月に公表されていると思います。二〇二〇年度分の実績について、その適用した総額と、そのうち上位十社、上位十社の適用額と、あと大企業ですね、資本金十億円以上の大企業に対する適用額、それぞれ教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/138
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139・住澤整
○政府参考人(住澤整君) 令和二年度、二〇二〇年度の租特透明化法に基づく適用実態調査におけるこの適用実績のお尋ねでございます。
適用件数は全体として五十三件で、適用額、これは所得控除による損金算入額の数字でございますが、全体で約五十六億円でございます。それで、上位十社につきましては三十三億円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/139
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140・大門実紀史
○大門実紀史君 何といいますかね、ほとんど大企業が利用しているということで、これはこの前この委員会でも申し上げたとおり、今大企業は利益を積み上げていて内部留保が膨らんでいて、私たちはそれ返せと、還元しろと言っているぐらいのときに、こういう、さっき言ったように、ほっておいても、ほっておいても今物すごく過熱しているんですよね。促進しなくても、促進しなくてもみんなやっているわけですね。それにわざわざこういう大企業が投資するために減税してあげるというのがなぜ必要なのかと、このときにですね。
だから、この制度そのものがまだ要らないんじゃないかと。ほっておいたってこれだけ、さっき言った、伸びているわけですよね。みんな、それぞれの企業の将来を考えてやっているわけじゃない。なぜこんな、これを促進する必要があるのか、促進までしなきゃいけないのか、なぜ減税する必要があるのかと、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/140
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141・住澤整
○政府参考人(住澤整君) 大門委員御指摘のとおり、こういったスタートアップに対する投資というのが、まさにその事業会社そのものの経営判断によって行われていくというのが本来のこの経済の中の姿であろうということは、我々もそのように存じております。
ただ、今回このオープンイノベーション税制を二年前に創設いたしましたときに、先ほど御紹介いただきましたような様々な議論がございまして、当時の矢野局長からも答弁申し上げましたように、単なるMアンドAのような投資、単にお金が投資されるということだけではなくて、やはり事業会社とそのスタートアップ企業の間のそのシナジーを追求するための協業というのがきちんと進んでいくということに着目した制度として設計するということでオープンイノベーション性のこの要件というのを課しているわけでございます。
先ほど大臣からの御答弁にもございましたように、特にこのスタートアップ企業の成長に貢献するような取組が行われていることというのが第三の要件として課されてございまして、これは、例えばで申し上げますと、自動運転用のOSを開発しているようなスタートアップが存在した場合に、それに対して自動車会社が出資をする、この税制の適用をするというときに、例えばその自動車会社が蓄積している走行データ、このビッグデータをそのスタートアップ企業に利用させることによって、スタートアップ企業の単なる財務的な面の支えだけではなくて実質的な成長につながるような取組が行われている、こういったような要件が課されているということで、単にこの金額の拡大だけを目的とした制度ではないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/141
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142・大門実紀史
○大門実紀史君 だから、それはほっておいてもやりますよと言っているんですよ、要らないですよと、こんな減税は。この減税しなきゃ今言ったようなことをやらないわけじゃないんですよね。既にやっているわけですよ。だから、これ全く必要のない減税だというふうに思うんですよね。
今、先ほど言いましたとおり、非常に過熱しておりますし、逆に言うと短期でその企業の株を売買したいと、ちょっと見込みがあるとそれで高く売れたりしますから。そういうことが過熱しているんで、五年じゃなくて三年という要望が出資する方から、株を持っている方から出てきたんではないかというのは色濃く感じるんですよ、その上にですね、減税する必要がない上にですね、思います。
そうですね、今の現状をよく財務省も、経産省に言われて、そうですかじゃなくて、見てほしいんですけれどね。
例えば、資料四なんか、もういろんなことを報道されているんで、財務省も、経産省言うことだけじゃなくて、ですけど、これがもうヘッジファンド、今やベンチャーキャピタルとかCVCだけじゃなくて、ヘッジファンド、プライベート・エクイティー・ファンド、未公開株ですね、要するにね、未公開株に投資するようなファンドがここにどんどんどんどん入ってきていて、その過熱感がむしろ心配されているという状況になっておりますし、この左の小さなグラフですけど、一件当たりの投資額も平均五億八千万、去年に比べても四割増というふうに超過熱状態に入ってきているわけでございます。
もう一枚めくってもらって、資料五は、海外マネーがここに入ってきているということで、これも日経新聞でありますけれども、巨額の海外マネーが流入していると。
世界的に、確かにスタートアップ投資、これ怖い部分もあるんですよね。アマゾンとか大きな、フェイスブックとか大きな企業がちょっと、ちょっと何か開発するとすぐ買っちゃうといって、もう独占ですよね。という面もあるんですけれども、もうそういうことも、そういう可能性があるんで、ちょっといいところがあれば目を付けて、買ってすぐ売るというようなことで過熱して、決して本当の意味のベンチャー企業を育成するのに貢献していない、今の状況はそうなっていないというのが、この世界の投機マネーが入ってきていると。
逆に言うと、本当の企業価値以上に株価が上昇して売買されている場合も考えられるわけですね。ちょっと実態を懸け離れた企業売買がされている可能性もあるぐらいの膨張、超過熱状態ということになるわけであります。
やっぱり、ちょっと改めて原点に戻って、これは経産省なのか財務省なのかってありますけれど、本当の意味で、二年前のここでの議論にもありましたが、このベンチャーバブルとか投資の過熱とかじゃなくて、大事にベンチャー企業を育てるということを改めて、政府として今改めて考え直す必要があると思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/142
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143・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
確かに、そのスタートアップ育てていく上で、このスタートアップを含む中小企業に対して支援を行っていくということも重要でございますし、大企業のその内部留保の活用を促していくということも重要な観点であろうと考えております。
内部留保の活用という観点では、このオープンイノベーション促進税制の拡充もそうですし、賃上げ促進税制の抜本的な強化といったようなことで取り組まさせていただいております。また、スタートアップを含むこの中小企業に対する対応という意味では、中小企業投資促進税制でありますとか中小企業経営強化税制などの中小企業税制によりまして積極的な投資を促すという枠組みはあるわけでございます。
ただ、いかんせんスタートアップ企業、赤字の場合が多うございますので、こういった税制、御活用いただけない場合もあるということで、事業会社側からのハンズオンの意味のある経営支援も含めた、あるいはその経営資源の提供も含めた支援を促していくという観点から、このオープンイノベーション税制、促進税制を位置付けて取り組まさせていただいているということでございます。
三年にこの投資期間縮めたことによって、その転売がより簡単になるんではないかといったような御懸念もあろうかと思うんですが、ここは、聞いておりますところでは、本税制の対象となるこの非上場のベンチャー企業の株式については、その株式譲渡の際にスタートアップ側の同意が必要となる譲渡制限の条項が設けられることが一般的というふうに聞いておりますので、出資をしている事業会社側の都合で、このスタートアップ企業の意に反して株式を売却するということは簡単にはできない仕組みになっているとは聞いてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/143
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144・大門実紀史
○大門実紀史君 それで先ほど申し上げたんですよね。優越的地位の、出資引き揚げるから云々というようなことをやられているわけで、そんなに守られていないんですよ、そういうことが、実態として。非常に貪欲な世界になっているということをやっぱり知っておかないと、知っておかないと、そんなきれい事では今済んでいないから申し上げているわけですね。
今の話、経済産業省、何かございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/144
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145・龍崎孝嗣
○政府参考人(龍崎孝嗣君) 委員御指摘の買取り請求権の件でございますけれども、スタートアップ企業と出資者との契約の適正化に向けまして、公正取引委員会と経済産業省におきまして新たなガイドラインを策定中でございます。
本ガイドライン策定の過程におきまして、出資企業がスタートアップ側にとって不利益な要請をして、これに応じない場合には株式の買取り請求権を行使すると示唆されたような事例が実際にあったものとは承知をしておりません。
一方、本税制でございますけれども、出資する事業会社の経営資源を活用したスタートアップ企業の成長を後押しするものでございまして、事業会社によるスタートアップへの貢献など、オープンイノベーション性の要件を確認することで担保してございます。
その際、私ども、その証明を求められてございますけれども、投資契約におきまして、スタートアップの成長を著しく阻害するような買戻し条項が含まれている場合には、本税制の趣旨に反するものとして税制活用に必要となるその証明書を交付しないこととしてございます。
したがいまして、現行制度におきましても、大企業に一方的に有利な買取り請求権が付与されている場合には本税制を活用できないことに加えまして、今般、さきにお話をした新たなガイドラインを策定することで万全を期すことから、今回の株式保有期間要件の短縮化がこうした買取り請求権を助長するようなことになるとは考えてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/145
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146・大門実紀史
○大門実紀史君 そのガイドライン含めて、ベンチャーの大事な企業をきちっと育てていくというのはもう頑張ってもらいたいと思うんですけれども。
もう一つは、今議論しているのは、そうはいっても、若干、若干ちょっと大きな規模のベンチャーなんですが、これから、日本経済とか、今までの日本経済もそうですけれども、余り大きな規模じゃなくても、これから大きく貢献する、いろんな、AIとかバイオとかフィンテックとか、いろんな新しい分野での本当の小規模のベンチャーも考えられるわけですけど、そういうところもきちっと支援していくことが日本経済の発展につながると思うんですが、そういう点で、税制でもそういう面は、それこそそういう促進税制みたいなものを考えていただきたいというふうに思いますけれど。
この点で実はいい制度があったんですけれど、廃止されたんですね。創業補助金というのが、これは中小企業庁所管の国の制度ですけど、二〇一八年度を最後に廃止されました。これは、まさに起業、創業、会社をつくって、やろうというようなところに対する創業補助金だったんですけれども、これは経産省、なぜ廃止したんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/146
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147・佐々木啓介
○政府参考人(佐々木啓介君) お答え申し上げます。
御指摘いただきました創業補助金でございますけれども、行政事業レビューにおきまして、一つは、補助金と融資の性質の違いを考慮し、補助金投入の必要性があるものに限定して実施すべきという御指摘、それから二点目といたしましては、開業率の安定的な増加のためにも民間を活用した資金調達の仕組みを検討すべきという指摘をいただいたところでございます。
このような指摘も踏まえまして、創業支援につきましては、創業後直接的に補助する創業補助金という形ではなく、民間資金を活用した支援策に取り組んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/147
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148・大門実紀史
○大門実紀史君 これは二〇一八年に廃止しましたけれど、今年、二〇二二年度の商工会議所の要望で復活を求めておられますね。なぜ日本商工会議所は復活を求めているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/148
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149・佐々木啓介
○政府参考人(佐々木啓介君) お答え申し上げます。
日本商工会議所からこの創業補助金についての復活の御要望いただいているところでございます。この点につきましては、やはりこれまでの議論でもございましたけれども、この起業、創業が非常にこの日本の構造改革を進める上で重要だということで、その中で一つのツールとして産業界側としてはこの創業補助金について言及をされているということだと思っております。
他方で、この創業補助金という形ではございませんけれども、例えば中小企業庁で行っております小規模事業者持続化補助金につきましては、令和三年度補正予算におきまして、創業間もない企業が活用する場合には補助上限額を引き上げる創業枠を設ける予定となっておりまして、創業後の企業を支援する政策も進めてきているところでございます。
さらに、これらの措置に加えまして、この資金供給を促すための個人投資の優遇税制、それから政府系ファンドによる出資、日本政策金融公庫の低利融資、さらには知識、ノウハウ取得等の支援など、予算措置だけではなく事業者のニーズに合わせた重層的な支援を行っているところでございまして、経済産業省といたしましては、引き続き、様々なツールを活用することによって創業支援にしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/149
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150・大門実紀史
○大門実紀史君 そういうのを全部分かった上で、商工会議所は改めてこの創業支援金を復活してほしいという要望が出されているわけです。
この創業補助金はどういう意味があるかというのは、経済産業省そのものがこれを廃止させようというふうな変な有識者との議論の中ではっきりとおっしゃっているんですよね。もちろん、利子補給とか有償資金とか融資というのは大事だけれども、日本人が創業するというときは、自己資金のみで、いわゆる融資に頼らないで創業される方が八割だと。これは日本人の気質も反映していると思いますけれど、融資だけで創業率というのは一〇%しかないと。
やはり、これはいろんなケースあると思うんですけれど、やっぱり商売始めるときにできるだけ自己資金でやりたいと、借金で始めるんではなくてね。もちろん商売始めてから運転資金借りたりあるわけですけど、始めるときはやっぱり自己資金でやりたいというのが日本の起業の特色だというのは経産省自身がおっしゃっていて、ですから廃止しないでほしいということを当時反論としておっしゃっていて、それが当たっているんですよね。二年間たって、いろいろ、ばらばらでいろんな制度ありますとおっしゃいますけど、やっぱりストレートに創業補助金というのを復活してほしいというのが商工会議所の皆さんの要望だと思うんですよね。
そういう点はやっぱり大きな意味で検討していく必要があると思いますけれど、これは税制のことじゃないかも分かりませんが、最後に、鈴木大臣、全体としてこういう方向を強めてほしいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/150
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151・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) これからの日本の国の経済の成長につながるのは、やはり一つはイノベーションだと思いますし、その担い手の一つがスタートアップ企業だと、こういうふうに思いますので、総合的に、今回税制でこれお願いしていますが、これも含めて、またその他の補助金もございますが、こうしたスタートアップ事業を、これからも企業を育てていっていきたいと、そのための方策、しっかりやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/151
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152・大門実紀史
○大門実紀史君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/152
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153・浜田聡
○浜田聡君 所属政党NHK党、参議院会派みんなの党、浜田聡でございます。
参議院財政金融委員会、私の質問は恐らく昨年五月以来でございます。委員長、委員の皆様、そして鈴木大臣、政府の皆様、よろしくお願いいたします。
まず、この委員会で他の委員も取り上げておられましたが、昨年十月に文芸春秋に掲載された論文について取り上げたいと思います。「財務次官、モノ申す「このままでは国家財政は破綻する」」というタイトルで、財務省矢野康治事務次官が書かれたものでございます。内容はともかく、現役の官僚中の官僚である財務省の事務次官が書いた論文ですから、国民の影響が大きいことは容易に想像できます。
国家公務員法第百二条というものがあり、その条文を読み上げます。
職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他利益を求め、若しくは受領し、また何らの方法をもってするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除くほか、人事院規則で定める政治的行為をしてはならないとあります。
この国家公務員法百二条について人事院が解説した資料を見ますと、政治的目的を有する文書の発行が制限される行為として挙げられております。しかも、刑事罰まで規定されております。
この論文には、繰り返し、官僚は政治家に物言う犬でなければならないと自身のポリシーを述べられております。その上で、意に沿わない政治家の施策を非難し、国民を不安におとしめる財政論を展開しております。これは典型的な政治的な行為であり、職名、職権の影響力を利用した行為であると考えます。鈴木大臣は、職務上必要な手続を取っており問題のない行為だとしておりますが、法律の条文上においては看過される行為ではないと考えます。
官僚とは、国民の税金を預かり管理する人です。使い道を決めるのは、国民の代表である我々政治家です。その政治家の決め方に異論があるということで雑誌で堂々と物申したということなので、その気概があるなら議会に出てきて説明、答弁すべきと考えまして、今回、矢野康治財務事務次官にこの委員会での質問を通告させていただきました。
ただ、財務事務次官が国会で答弁することについて、前例から懸け離れているということのようですので、ひとまず、本日の質問において矢野次官への質問を強引に行うことは現実的ではないと判断しました。
この関係で、まず財務省に幾つかお聞きしたいと思います。
過去の国会におきまして、財務事務次官が国会に招集されて実際に答弁する事例があったか否かについて教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/153
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154・新川浩嗣
○政府参考人(新川浩嗣君) お答え申し上げます。
平成十三年に財務省が発足いたしましたが、それ以降、財務事務次官が国会で答弁を行った事例は把握している限りございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/154
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155・浜田聡
○浜田聡君 前例がないということを確認いたしました。
ただ、前例がないといっても、やはり、やるべきときというのは、やるべきことはしっかりとやっていくべきだと我々は考えております。
矢野次官についてお聞きしたいと思います。
今回の質問通告での質問内容に対して、矢野次官自身は国会で答弁をしたがっているのか、あるいは嫌がっているのか、御本人の意思を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/155
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156・新川浩嗣
○政府参考人(新川浩嗣君) お答え申し上げます。
私どもは事務方でございますので、国会におきまして自らの個人的な意見を申し上げる立場にはございませんが、財務省といたしましては、政府参考人あるいは参考人の招致については国会の運営に関することであり、国会がお決めになることと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/156
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157・浜田聡
○浜田聡君 本日の委員会の前に行われました理事会で、私は、あしたの委員会での私の質問の際に事務次官に答弁をお願いすることを希望として出させていただきました。この希望に対して、他の理事の先生方から御賛同いただくこともありました。ただ、基本的には前例を踏襲するということとなり、矢野次官への、矢野次官がここに来ていただくことは実現なりませんでした。少し残念でございます。
したがって、あしたの委員会、矢野次官に質問予定であった質問については、矢野次官の意思を確認した上で他の方に御答弁いただくことで妥協しました。あと、この件に関していろいろと各方面で御調整いただきました皆様に感謝を申し上げます。特に、本日とあしたの質問の大部分を双方チェンジすることになりましたので、本日の質問内容が前日になってしまったことをおわび申し上げます。
次に、現在、ロシアのウクライナ侵略が問題となっておりまして、多くの国民にとって最大の関心事と言っていいのではないかと思います。そのロシアについて、ロシアが現在不法占拠している北方領土について取り上げたいと思います。
現在、ロシアが不法占拠している北方領土については、全ての閣僚や全ての国会議員が問題意識を持っているべきという考えの下、私は財務大臣に伺っていこうと思います。
北方領土をどうやって取り戻すかということに関して様々な考え方があるとは思いますが、私としては、ロシア国内が様々な要因で大混乱に陥った際に、そのチャンスを逃さずに取り戻すべきだと考えております。これまでにロシア国内が大混乱に陥った機会といえば、ソビエト連邦崩壊時が挙げられると思います。ソビエト連邦崩壊時は日本が北方領土を取り戻すチャンスであったにもかかわらず、それができなかったことを反省すべきではないかと思います。
現在、ロシアがウクライナ侵略中ですが、ウクライナの抵抗、そして世界各国によるウクライナへの支援によって、ロシアによるウクライナの早期占領はかなっていない状況です。今後の状況に予断は許さないものの、戦闘が長期化する可能性はあろうかと思います。そうなった場合、ロシアが、世界各国による経済制裁によるその影響などが徐々に出てくることになります。そういったことから、今後、ロシア国内が大混乱に陥り、国として崩壊する可能性もあるのではないかと思います。仮にロシアが国として崩壊した場合、日本が北方領土を取り戻す大きなチャンスが訪れる可能性があり、私はそのチャンスを逃すべきではないと考えます。
これに関連して、鈴木大臣に二点お聞きします。二点まとめてお聞きします。
一点目は、一九九一年十二月、ソビエト連邦崩壊時、調べたところ、鈴木大臣は衆議院議員一期目、一九九〇年二月初当選だったと承知しております。当時、ソ連崩壊を契機に北方領土を取り戻そうという考えといいますか、国会の中での雰囲気といいますか、そういうのがあったのか、お聞きしたいと思います。
もう一点は、仮にロシア崩壊時にはそのチャンスを逃さず北方領土を取り戻そうという考えについて、財務大臣の御意見を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/157
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158・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) この問題につきましては、所管外でありますので、財務大臣という立場でのお答えはできないわけでありますが、随分昔のことになり、記憶も定かではありませんが、あの当時、ソ連が崩壊したときに、私を含め私の周りで、この機会に北方領土を取り戻そうという、そういう議論が行われていたということは記憶にはございません。恐らく自民党の外交部会等でも、まあ一部にはあったかもしれませんけれども、そう大きな議論にはならなかったのではないかと、そういうふうに思います。
それから、これから先どうなるのか、混乱した際にそれに乗じてというお話ございましたが、それは先生の御意見だということでお聞きをさせていただくところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/158
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159・浜田聡
○浜田聡君 北方領土をどうすべきかについては、大臣おっしゃるとおり様々な考え方があるとは思いますが、ロシアのこれまでの歴史を鑑みれば、話合いで北方領土が返ってくることはあり得ないと思います。だとすれば、私は、そのチャンスが訪れることを待ちつつ、チャンスを物にできるよう準備を進めるべきであると考えます。今後も引き続きこの旨を訴えて、国民の理解を深めていこうと思います。
次に、日本の非核三原則について話を移します。
ロシアのウクライナ侵略を背景に、日本でも国防や核保有に関する国民の意識が高まりつつあるのではないかと思います。今月上旬には自民党の安倍晋三元首相が、テレビの番組において、米国の核兵器の核共有政策について日本でも議論すべきだと考えを示したとされています。
そこで、日本における核を議論する際に避けて通れない非核三原則について、政府、そして参議院事務局の方にお伺いしたいと思います。
この非核三原則について、行政側、立法側双方の位置付けを考えてみるために、その経緯を簡単にたどってみたいと思います。
まず、一九六七年、昭和四十二年に佐藤栄作首相によって、この非核三原則、表明されました。その後、沖縄返還を控えた一九七一年十一月に非核三原則を守るべきとする衆議院の決議が採択されました。その後、内閣はその立場を表向き堅持していると理解をしております。以上、かなり簡潔ですが、このような流れになるのではないかと思いました。
そこで、まず外務省の方にお聞きします。
非核三原則の経緯については、先ほど述べたような流れでよろしいのでしょうか。訂正箇所などあれば、また補足事項などあれば指摘いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/159
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160・有馬裕
○政府参考人(有馬裕君) お答え申し上げます。
非核三原則の経緯でございますが、委員が述べられた最初の点でございますけれども、一九六七年十二月に佐藤栄作総理が、核は保有しない、核は製造もしない、核を持ち込まない旨を表明され、一九七一年十一月に非核三原則を守るべきとする衆議院決議が採択されたと承知しております。
政府としては非核三原則を堅持してきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/160
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161・浜田聡
○浜田聡君 衆議院では非核三原則を守るべきとする決議はなされましたが、参議院ではどうなったのかというのをお聞きしたいと思います。
参議院事務局の方にお聞きしたいんですが、参議院では非核三原則を守るべきとする決議はされたのでしょうか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/161
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162・金子真実
○参事(金子真実君) お答えいたします。
一九七一年十一月二十四日の衆議院本会議において非核兵器ならびに沖縄米軍基地縮小に関する決議が行われましたが、本院ではそれと同趣旨の本会議決議は行われておりません。
なお、非核三原則に触れた参議院の本会議決議は、一九七八年の国際連合軍縮特別総会に関する決議等三件ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/162
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163・浜田聡
○浜田聡君 ありがとうございます。
ここで少し架空の話を想定してみます。
参議院で例えば非核三原則とはコンセプトの異なる日本における核に関する原則というものが新たに決議されたとします。その場合、衆議院の、衆議院で決議されている非核三原則を厳守するべきという決議とどちらが優越するのでしょうか。いわゆる衆議院の優越というのはあるのでしょうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/163
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164・金子真実
○参事(金子真実君) お答えいたします。
決議につきましては、議院の意思を表明するものとして一院限りで行われるものであり、いわゆる衆議院の優越はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/164
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165・浜田聡
○浜田聡君 ありがとうございます。
日本国内で核について世論がどういう方向、方針を望むようになるのかというのは、現時点では分かりません。ただ、将来的には非核三原則に代わるものが参議院で決議されることもあると思って、今回、非核三原則について幾つか質問させていただきました。
日本の核に関する政策については、当然拒絶反応を起こす方もいることは承知しておりますが、それでも日本が今後文明国として生き残るためには必要な議論であると考えます。私の所属するNHK党は、核抑止力の観点から核共有や核保有の議論を進めていくべきであるという考えをお伝えした上で、次の質問に移ります。
さて、日本国内において核共有や核保有の議論を進める際に、日本にとって最も連携が必要な国はもちろんアメリカであるというのは疑いの余地はないのではないかと考えます。その場合、日米における各々の国防に関する方針、計画など確認しておくことは重要であると考えます。
そこで、ここでは日米それぞれの国家安全保障戦略について、外務省と内閣官房の方に質問させていただきたいと思います。
日本の隣国には複数の核保有国があります。中国、ロシア、北朝鮮です。これら三国は、いずれも民主主義が機能しているとは言い難いところであります。簡単な言葉で言い換えれば、独裁と言っていい状態です。民主主義でない独裁の国であり、かつ核保有国であるという点からは、この三国は脅威となる隣国であると考えます。
ここで、内閣官房にお聞きしたいと思います。
日本の国家安全保障戦略において、この三国についてどのように位置付けているのか、つまり、敵か味方か、三国それぞれについて教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/165
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166・加野幸司
○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
お尋ねの国・地域につきまして、平成二十五年に策定されました現行の国家安全保障戦略における位置付け、申し上げさせていただきます。
まず、中国につきましては、その対外姿勢、軍事動向等は、軍事、安全保障政策に関する透明性の不足と相まって、我が国を含む国際社会の懸念事項となっており、中国の動向について慎重に注視していく必要があるという旨を記載してございます。
次にロシアでございますけれども、安全保障及びエネルギー分野を始めあらゆる分野で協力を進め、日ロ関係を全体として高めていくことは我が国の安全保障を確保する上で極めて重要であるという旨を記載してございます。
最後に北朝鮮でございますけれども、核・ミサイル開発問題は、国際社会全体の平和と安定に対する重大な脅威であるという旨を記載してございます。
その上で、国家安全保障戦略におきましては、特定の国や地域を敵、味方というふうに位置付けることはしておりませんで、あくまでそれぞれの国や地域に関する安全保障環境上の情勢や認識等について記載をしているということでございます。
年末に向けまして、新たな国家安全保障戦略の策定に際しましては、この八年間の様々な安全保障環境上の変化を踏まえまして、それぞれの国・地域についてどのように記載していくのかを含め議論してまいる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/166
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167・浜田聡
○浜田聡君 ありがとうございます。
私の考えとしては、繰り返しになりますが、やはり脅威となる国、言い換えれば、脅威となる国についてはやっぱりほぼほぼ敵国と捉えております。もちろんそうでないという考え方も理解は示しますが、とはいえ、中国であっても、やはり、慎重という言葉があって、確かにそのとおりだと思いますが、パートナーなどと表現することについては注意が必要なのではないかと考えております。
次に、米国の国家安全保障戦略におけるこの三国の位置付けについて外務省にお聞きしたいと思います。米国は大統領選挙の結果いかんで方針が大きく変わる可能性があるので注意が必要だと思って、この場で確認していこうと思います。
米国の国家安全保障戦略において、中国、ロシア、北朝鮮をどう捉えているのかについて、政府の把握しているところを教えていただきたく思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/167
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168・有馬裕
○政府参考人(有馬裕君) お答え申し上げます。
二〇二一年三月三日にバイデン大統領が発表した国家安全保障戦略暫定指針において、中国は、安定して開かれた国際システムに深刻な挑戦を呈し得る経済、外交、軍事、技術力を有する唯一の競争相手である旨記述しております。
また、ロシアは、引き続きグローバルな影響力を増進させ、国際社会において混乱をもたらす役割を果たす意思を有している旨記述しております。
北朝鮮については、米国の同盟国及びパートナーを脅かし、地域の安定に挑戦している旨記述しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/168
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169・浜田聡
○浜田聡君 ありがとうございます。
今後も日米同盟によって日本の安全を保持していくためには、日本の国家安全保障戦略における三国の位置付けについては米国のものと合わせるべきではないかと考えております。
日本の方では中国について余り敵視するような表現ではなかったと思いますが、一方アメリカは、それなりに敵視している、中国を敵視しているような表現も見受けられます。
そこで、先ほど、もう繰り返しになりますが、日本の国家安全保障戦略における三国の扱いについて米国のものと合わせるべきではないかと考えるんですが、これについて政府の見解を教えていただきたく思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/169
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170・加野幸司
○政府参考人(加野幸司君) お答えを申し上げます。
新たな国家安全保障戦略の記載内容につきましては、現在検討中でございますので、予断をするということについては差し控えさせていただきます。
その上で、日米間におきましては、本年一月の2プラス2、その共同発表におきまして、日米の戦略を完全に整合させ、共に目標を優先付けることによって、同盟を絶えず現代化し、共同の能力を強化する決意を表明したところでございます。こちらにつきましては、三国間についてだけということではございませんけれども、いずれにつきましても、もとより日米間では平素から様々なやり取りを行っているところでございまして、新たな国家安全保障戦略の策定につきましても、日米2プラス2の共同発表も踏まえて議論をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/170
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171・浜田聡
○浜田聡君 ありがとうございます。
アメリカ議会では、バンデンバーグ決議というものが採択されていると承知しております。この中に含まれている内容の一つとして、アメリカは自国防衛に尽力しない国の援助はしないというものがあり、日米安保条約にも関係していると承知をしております。したがって、日本の国防をアメリカに頼りきりというのはあり得ないことであり、日本は自衛力をしっかりと高める必要があると考えます。国民それぞれが、自分の国は自分で守るという意識を高めていくことが重要であることを付け加えさせていただきまして、次の質問に移ります。
次に、岸田政権の掲げる新しい資本主義と関連することについてお伺いしたいと思います。とはいえ、新しい資本主義がどうこうというよりも、これと関連してよく言われるキーワードに新自由主義からの脱却という言葉が度々使われており、ここではこちらを取り上げたいと思います。
新自由主義の定義についてはここではどうこう言うつもりはありませんが、私はこの新自由主義からの脱却という言葉がおかしいのではないかと思っております。
どういうことかといいますと、いわゆるこの三十年、失われた三十年と言われまして、経済成長はほとんどしなかったわけです。その間、税金や社会保険料の負担は上がる一方です。国民負担率が右肩上がりで、国民の自由に使えるお金がどんどん減っていると言えます。そして、国民の経済活動を縛る原因となる規制がどんどん増えております。
一年以上前の財政金融委員会で私が取り上げたことなのですが、総務省の行政評価局の公表している資料に、許認可等の根拠条項等数の推移というものがあります。それによると、平成十四年に一万個ほどだったものですが、平成二十九年には一万五千まで許認可等の根拠条項等数が増えております。つまり、一日一個ぐらいのペースで国民の自由を縛る規制がつくられていると言えるのではないかと思います。
このように、国民の金銭的な負担や経済活動を縛る規制が増える一方で、国民の自由がどんどん奪われているわけだと考えます。このように、自由が奪われている中で新自由主義からの脱却というのが大きな違和感があるということでございます。
そこで、財務大臣にお聞きします。
この数十年間政府がしていること、国民負担率を増加させたり規制を増加させたりということについて、国民の自由を奪っているという認識があるのかどうか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/171
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172・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 浜田先生御指摘のような、負担率や規制の増加によりまして国民の自由を奪ってきているかどうかにつきましては一概には評価しづらいと認識をしておりますが、まず負担率につきましては、確かに社会保障負担や租税負担の増加により国民負担率の上昇が生じていることは、これは事実でありますが、これは高齢化の進展等を背景とした社会保障給付の増大等を反映しているものであり、負担率の増加は国民に恩恵のある社会保障給付の増大と一体となっていることと併せて評価されるべきであると思っております。
また、規制に関しましては、そもそも規制とは一般に国や地方公共団体が国民や企業の活動に対して特定の政策目的のために関与、介入するものを指すと考えられますが、その多くは国民や企業の権利を保護することを目的とするものであることに鑑みれば、規制の数のみを捉えて国民の自由を奪っているとの評価は必ずしも適当ではないのかと考えております。
その上で、岸田政権では、新自由主義的な考え方が主流となって、それが世界経済の成長の原動力となった反面、格差や貧困が拡大するなど様々な弊害を生んだとの認識の下、新しい資本主義の実現を目指し、社会課題を解決しながら持続可能な経済社会を実現していきたいと、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/172
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173・浜田聡
○浜田聡君 新自由主義という言葉については、小泉、竹中というキーワードが出されて、批判の対象になることもあって、私も新自由主義に戻せとは言いません。ただ、少なくともこの三十年間、少なくとも金銭的な自由は失われていると考えますので、自由を尊重するような考え方、自由主義は大事にしていくべきであるということを申し上げて、次の質問に移ります。
次に、日本が経済成長をするために重要なこととして、政府の数値目標について、その考え方について大臣にお聞きしたいと思います。
日本国の経済成長のためには、国民のいわゆるマインド、言い換えると期待感というものが重要であるというのは多くの方に御理解いただけるのではないかと思います。
例えば、第二次安倍政権では、アベノミクスということで年率二%のインフレ目標を示しました。年率二%という具体的な数値目標と言えます。このように、具体的な数値目標があるからこそ、当時デフレと言っていいような状況で苦しんでいた国民が期待を持つことができ、結果として経済が上向いたのではないかと思います。もちろん、この年率二%の目標は達成がなかなか難しい状況であるというのも事実です。ですが、数値目標があるからこそ、達成できないのはなぜなのかということで、様々な対策を考える契機にもなるという側面があると思います。
そこで、財務大臣にお聞きします。
政府が経済に関して数値目標を打ち出して国民に期待を持たせることの是非について、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/173
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174・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 御指摘のとおり、経済に関しましては、実体経済の状況に加えて、企業や家計の経済活動に対するマインド、期待感、これも重要であると考えております。
その上で、骨太の方針二〇二一では、デフレ脱却、経済再生に取り組み、実質二%程度、名目三%程度を上回る成長、名目GDP六百兆円経済の早期実現を目指すことを数字としても掲げているところでございます。
まずは、我が国経済をコロナ前の水準に戻すよう立て直していくことに専念しなければならないと考えておりまして、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期しつつ、感染症による危機を乗り越えて、新しい資本主義に向けて成長と分配の好循環を実現してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/174
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175・浜田聡
○浜田聡君 大臣のおっしゃるように、政府の立てている数値目標に対してはしっかりとやって、取り組んでいただきたいとは思っております。
一方で、数値目標が重要であるという考えの下、私からも国民負担率に関して数値目標の御提案をさせていただきたいと思います。
各種資料によりますと、二〇二一年度の国民負担率は四八・〇%、前年度から〇・一%増とのことです。国民からすると稼ぎの約半分が国に持っていかれる状況でありまして、こんな状況で消費も投資もやる気が出ないのではないかと思います。経済成長しないというのは当然であると考えます。
ここで高度経済成長期に目を向けたいと思います。一九六〇年代は日本の経済成長率が年平均一〇%を超えて、諸外国にもなかなか例を見ない急速な成長を遂げました。この時期の国民負担率は現在の半分程度であったと承知をしております。
そこで、突然ですが、一つ提案させていただきます。
現在四八%という高水準の国民負担率を半減する目標として、国民負担率半減計画などを出してみてはいかがでしょうか。仮に国民負担率が半減すれば、国民の可処分所得は大幅に増えて、消費や投資も増えて経済活性化が期待できるのではないかと思います。大臣、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/175
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176・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 国民負担率の水準と経済に与える影響につきまして、これを一概に申し上げることは困難であると考えます。仮に御指摘のように国民負担率を半減したとしても、それがどのような経済効果をもたらすかについて確たることは申し上げることができないところです。
その上で、国民負担率の水準につきましては、国民が望む社会保障給付や行政サービスの水準に応じて決まっていくものでありますので、現状、あっ、決まっていくものでありますが、現状、日本は給付に見合う負担を現在世代で確保できておらず、赤字国債を通じて現在世代への給付に必要な経費の負担を将来世代に先送りしている状況となっております。こうした中、給付等の水準を維持しつつ国民負担のみを半減したとしても、財政の持続可能性に対する懸念を一層増大させることになると考えます。
次の世代に未来をつないでいくため、社会保障の持続可能性を高める改革など、今後も歳出歳入両面の改革の取組を続け、経済再生と財政健全化をしっかりと進めていくことが重要であると、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/176
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177・浜田聡
○浜田聡君 まあ何となく予想どおりの答弁ではありますが、ただ、私としては、現状の日本の国民負担率は異常に高い、高過ぎるということを申し上げた上で、次の質問に移ります。
次は、税の、いわゆる税の基本原則、公平、中立、簡素についてお聞きしたいと思います。
この税の基本原則については、内閣府、財務省、いずれのウエブサイトにも掲載されており、私、確認の方させていただきました。そこの解説に次のような記載があります。公平、中立、簡素、三つを同時に成立させるのは難しいということであります。そうであれば、どれかポイントを絞って重視すると、すべきという考え方もできるんではないかと思います。
そこで、まず財務省にお聞きします。この税の基本原則、公平、中立、簡素のうち、この三つのうち財務省が最も重視するものはどれでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/177
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178・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
内閣府のウエブサイトに掲載されております平成十二年七月の政府税制調査会の答申の御指摘だと思いますけれども、この中では確かに、公平、中立、簡素のこの三つの原則については、常に全てが同時に満たされるものではなく、ある程度トレードオフの関係に立つ場合もあるという記述があるのは事実でございます。ですので、全ての場合において排他的であるということではないと受け止めております。
この重点の置き方という御質問でございますが、やはり様々な状況にある人々がそれぞれの負担能力に応じて分かち合うという意味で公平の原則が税制の基本原則の中でも最も大切なものであるというふうには考えてございますが、中立性でありますとか委員御指摘の簡素性といった視点も欠かすことのできない重要な原則であるというふうに認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/178
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179・浜田聡
○浜田聡君 ありがとうございます。
先日の参議院本会議で、ここにおられます浅田委員がこの税の基本原則について取り上げておられました。この浅田委員がおっしゃられたことについては注目していきたいと思うんですね。
浅田委員が本会議で言われたことについては、この順番が注目すべきと思います。内閣府とか財務省では、公平、中立、簡素と、そういう順番なんですけれど、浅田委員は、簡素、公平、中立と指摘をされたんですね。私も浅田委員の考えに同意するところなんでございますが、どういうことかといいますと、やはり私は簡素を最も重視すべきだと考えます。税は簡素で理解しやすいものでなければ、公平であるか、あるいは中立か、中立なのかどうかという判断が難しいのではないかと思います。
したがって、税の基本原則としては、やはりその順序を簡素を第一に持ってきて、簡素、公平、中立とすべきではないかと考えるんですが、この考えについて財務省の考え、聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/179
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180・住澤整
○政府参考人(住澤整君) 委員御指摘のとおり、税制を簡素で分かりやすいものとすべきという考え方につきましては、税制の在り方を考える上で重要な考え方の一つであるというふうに受け止めてございます。このため、税制の公平性を確保する上であっても、その必要性の限度を超えて過度な複雑なものとなるような税制を構築することは避けるべきというふうに考えております。
一方で、先ほど申し上げましたとおり、公平性の原則は税制の基本原則の中でも最も大切なものだと考えておりますので、簡素性を優先する余り公平性が著しく損なわれるということは適当ではないと考えております。
いずれにしても、分かりやすくこの税制の仕組み、内容を国民の皆様に説明をし、御理解いただくことは重要であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/180
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181・浜田聡
○浜田聡君 ありがとうございます。
様々な考えがある中、やはり私は簡素が重要であると考えております。簡素でないことによって様々な日本国内における弊害が出ているのではないかと思っております。
改めまして、この三原則については、簡素、公平、中立の順番にすべきであると申し上げて、今回の質問については終わらせていただきます。
引き続き質問を、所得税法改正案について質問があったのですが、切りのいいところでございますので、続きはあしたさせていただきたいと思います。
御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/181
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182・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後三時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00320220315/182
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