1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年三月二十二日(火曜日)
午後一時開会
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委員の異動
三月十八日
辞任 補欠選任
進藤金日子君 朝日健太郎君
中西 哲君 松川 るい君
小池 晃君 吉良よし子君
三月二十二日
辞任 補欠選任
末松 信介君 上月 良祐君
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出席者は左のとおり。
委員長 豊田 俊郎君
理 事
西田 昌司君
藤末 健三君
森屋 宏君
牧山ひろえ君
山本 博司君
委 員
朝日健太郎君
大家 敏志君
上月 良祐君
櫻井 充君
自見はなこ君
松川 るい君
宮沢 洋一君
宮島 喜文君
勝部 賢志君
熊谷 裕人君
古賀 之士君
難波 奨二君
杉 久武君
大塚 耕平君
浅田 均君
吉良よし子君
大門実紀史君
浜田 聡君
渡辺 喜美君
国務大臣
内閣総理大臣 岸田 文雄君
財務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(金融)
) 鈴木 俊一君
副大臣
財務副大臣 大家 敏志君
事務局側
常任委員会専門
員 小松 康志君
政府参考人
内閣官房新しい
資本主義実現本
部事務局次長
兼内閣府大臣官
房審議官 吉岡 秀弥君
内閣府規制改革
推進室次長 辻 貴博君
内閣府男女共同
参画局長 林 伴子君
デジタル庁審議
官 山本 和徳君
外務省大臣官房
審議官 徳田 修一君
外務省大臣官房
参事官 石月 英雄君
外務省大臣官房
参事官 金井 正彰君
外務省総合外交
政策局長 岡野 正敬君
財務省大臣官房
総括審議官 小野平八郎君
財務省主税局長 住澤 整君
国税庁次長 重藤 哲郎君
厚生労働省雇用
環境・均等局雇
用環境総合整備
室長 岸本 武史君
経済産業省通商
政策局長 松尾 剛彦君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/0
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001・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る十八日までに、小池晃君、中西哲君及び進藤金日子君が委員を辞任され、その補欠として吉良よし子君、松川るい君及び朝日健太郎君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/1
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002・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。
所得税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、財務省主税局長住澤整君外十三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/2
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003・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 御異議がないと認め、さよう決定をいたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/3
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004・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 所得税法等の一部を改正する法律案を議題とし、内閣総理大臣に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/4
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005・勝部賢志
○勝部賢志君 立憲民主・社民の勝部賢志でございます。
早速総理に質問をさせていただきますが、通告の順番を変えて、まずはウクライナ問題におけるロシアへの対応について伺います。
ロシア・プーチン大統領による国際法を無視したウクライナ侵略から約一か月が経過をいたしました。戦争犯罪とも言うべき市民無差別攻撃による無辜の民の犠牲者は想像を絶する数に上っています。国際社会と協調し、あらゆる手段を行使して、一刻も早くこのような戦争を止めなければなりません。
ロシア軍は、十八日、外に子供たちと書かれたマリウポリの劇場を空爆し、数多くの子供たちの命が奪われました。ウクライナの検察当局はこれまでに百十五人の子供の命が奪われたと述べ、国連大使は子供たちが故意に狙われていると批判しています。欧米諸国のロシアへの非難は日に日に高まっており、アメリカ・バイデン大統領は、人殺しの独裁者とロシアを糾弾しました。
このような子供や一般市民を標的としたロシアの蛮行を岸田総理はどのように受け止められているのか、まずはお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/5
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006・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今回のロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更であり、国際秩序を大きく揺るがすものであると認識をいたします。委員御指摘のように、罪のない市民、そして未来のある子供たちが多く命を落としている、こうした状況を、状況について、さらには、原子力施設などが攻撃対象になるなど、国際法が、国際法違反の行為が次々と行われている、我が国としましては強く非難をするところです。
そして、こうした思いを形にするために、国際社会とともに協力しながら強い制裁措置を我が国も行っているところですが、これからも国際社会と協調しながらロシアに対してしっかりとしたメッセージを行うと同時に、ウクライナ、また周辺国における人道支援についても我が国としてしっかり努力をしていかなければならないと考えています。
ロシアに、ロシアの緊張緩和に向けた動きを促すために制裁措置をしっかりと行うと同時に、人道支援、さらには第三国へ避難された方々の我が国の受入れ等の取組も我が国として、我が国政府としてしっかり進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/6
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007・勝部賢志
○勝部賢志君 丁寧に御答弁をいただいたというふうに思いますけれども、今我が国ができる最大の取組として、総理も言及をされましたが、G7を中心とした国際社会と協調して一致結束した経済制裁を行うと、これが今第一の取組だというふうに思います。しかし、その行動に対してロシアは、それを理由に北方領土交渉を中断し、共同経済活動から撤退すると、そういう表明をされました。
総理は、このようなロシアの表明をどのように受け止めておられ、そしてどう対応されるのか、お伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/7
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008・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今のウクライナ情勢についての我が国の考え方は申し上げたとおりであります。
そして、今回の事態を引き起こしたのは、全てロシアのこうした国際法違反の暴挙であると考えます。それを今回、ロシア外務省は、我が国に対して北方領土交渉や平和条約交渉を停止する等の措置を明らかにしたわけでありますが、これは、自らが引き起こした事態であるにもかかわらず、それを日ロ関係に転換、転嫁するかの行動であり、我が国としてこれは到底受け入れることができない、逆に強く抗議するところであります。
我が国としましては、引き続き、先ほど申し上げました基本的な方針に基づいて、国際社会と協調しながら事態の緊張緩和に向けて努力を続けていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/8
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009・勝部賢志
○勝部賢志君 今朝行われました予算委員会で、我が会派の福山委員が、予算を凍結するぐらいの対応が必要だと、この予算を残しておくことが国際社会に対して間違ったメッセージになりかねないと、そう指摘されました。私も全くそのとおりだと思います。この予算というのは八項目の経済協力の予算のことです。
岸田総理は、この間、新たな前進することはできない、今後の展開、不透明な段階で修正は考えていないと、そういう答弁を繰り返されました。経済協力については新たな進展がないというのは私も十分理解ができますし、ロシア側からも撤退と、こう言われたわけですから、事実、前進することはないでしょう。しかし、今後の展開が不透明な段階で云々というのはどういう意味なのかが十分理解できません。展開次第では令和四年度中に予算執行が可能になるということを意味することなのでしょうか。
残念ながら、ロシアの蛮行がここまで至った以上、戦争状態が長期化すればもちろんのことですが、もし仮に明日にでも戦争状態が停止をしたとしても、簡単に経済協力や関係修復というのは到底図れないのではないかと考えられます。そして、対ロシア経済協力は更に見通しが立たないのではないかと、そう思うわけです。
先ほど申し上げましたように、協調して抜け道をなくしていくことがロシアに対して脅威となるわけです。我が国が曖昧なあるいは弱腰の対応をしたとなれば、ロシアに対しても隙を与え、国際社会からも信頼を失うことになりかねません。
今回のロシアからの表明は、我が国にその非があるような言い方をしておりますが、先ほど総理もおっしゃられました、まさにこれ自体お門違いの話なわけでありまして、そのような脅しに屈することなく、まずはロシアの攻撃を阻止するために、武力攻撃を止めるために、国際社会と協調した対応を毅然と取り組むことが必要だと思います。だからこそ、八項目の経済協力は少なくとも当面は凍結をするという明確なメッセージを示すことが必要ではないかと、これは何度も繰り返して私どもが指摘をしているところであります。
改めて総理にお伺いをいたしますが、先ほどロシアに対してもメッセージが必要だと、こうおっしゃいました。そのメッセージ、どのように発するのかというのが重要だと思いますし、何を発せられるのかということが私は重要だと思います。先ほど申し上げましたように、この経済協力の予算が残っていることは間違ったメッセージになりかねないということでありますから、改めてしっかりとした、予算の凍結などを含めたメッセージを発することが必要であります。そのことを含めて、総理の見解を改めてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/9
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010・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、先ほども申し上げたように、我が国は、こうしたロシアに対する厳しい非難を毅然とした行動で示さなければいけないということで、金融措置、輸出入管理あるいは資産凍結など、こうした厳しい制裁を国際社会と協調しながら明らかにしています。我が国の対応は国際社会から再三にわたって高く評価されている、こうした状況にあります。
その中にあって、御指摘のこの令和四年度予算に組み込まれた二十一億円の経済協力プランの予算についてでありますが、この予算の中身につきましては、この経済協力に今まで協力してきてくれた日本企業に対する情報提供など、日本企業が今後この取組、おっしゃるように新しいこの取組を進めるなどということは全く考えられない状況でありますが、この取組を今後どう展開していくのか、その中にあって日本企業を支えていくための予算あるいは人道的な予算も含まれているということを申し上げています。
加えて、事態が今後どう展開していくのか、もうこれは全く予断は許されないわけでありますが、その中にあっても、関係した日本企業を支えていくような予算を使うことは十分あり得るということも考えなければなりません。
いずれにせよ、今後展開が不透明な中にあって、今の時点で確定的にこの予算について修正を行うとか取り下げるということは政府としては考えていないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/10
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011・勝部賢志
○勝部賢志君 日本企業への影響は、八項目の協力企業だけじゃなく、これだけ制裁を行っていけば影響は出てくると思います。その企業に対する支援策などは、改めて別途やはりそこは対応を考えるべきだと思うんですね。だから、先ほどから申し上げている、この予算を残すことが間違ったメッセージになりかねないということを是非頭の中に入れていただいた対応が必要だと、改めて指摘をさせていただきます。
総理は、インド、カンボジア両国を訪れ、ロシアへの対応について協議をされてきたと思います。近隣諸国との連携を図るということは非常に重要だと思います。
その上で更にやらなければならないことは、私はロシアとの直接外交だと思います。総理として戦闘停止への働きかけが私は必要だと思っています。やり方はいろいろあるのではないかと思います。直接プーチン大統領と話すことができれば、もちろん、そういう方法もあるでしょうし、それがかなわないのであれば、こちら側からしっかりとしたメッセージを送るということも必要なのではないでしょうか。
唯一の戦争被爆国の総理として、核兵器の使用は絶対にさせてはならないということなども含めて働くべきと考えますが、見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/11
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012・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、委員おっしゃるように、こうした事態を収拾する、軍事行動を停止させる、緊張を緩和させるために話合いということは重要であると認識をしています。そして、今、ウクライナとロシアの間においては暫定的に交渉が行われている、こうしたことです。
ただ、交渉の中身を見ますと、非軍事化、中立化、クリミアの承認、あるいは二つの自称共和国を承認せよなど、とてもウクライナとしては受け入れられないような要求がされている、こういった状況であります。
こうしたロシアに対して、意味あるこの話合いの場に引き出すためにも、国際社会が一致して厳しい姿勢を示し、そして毅然として行動することが重要であると考え、今の時点においては日本としてG7を始めとする国際社会と協調しながら厳しい制裁に参加していく、こうしたことが重要であると認識をしています。
しかし、今後、今後の展開は不透明であります。様々な展開が想定されます。その中にあって、日本としてどのような発信をするのか。唯一の戦争被爆国として核の問題についてそれこそ毅然とした日本の考え方を示していく、ロシアに緊張緩和に向けてこの努力をさせる、こうしたメッセージを発することは重要であると認識をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/12
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013・勝部賢志
○勝部賢志君 まだお聞きしたいことたくさんあるんですけれども、本題の方にも移らなければいけませんので、引き続き、総理、最後におっしゃっておられた毅然とした対応を取るということをしていただくように申し上げて、次の質問に移りたいというふうに思います。
所得税法についてでありますけれども、その内容に入る前に、この一年間、財務省として諸課題にどのように取り組んでこられたのか、財務省にお伺いをしたいと思います。
一つは、税制の見直し、それから租税特別措置法の対応、そして加えて、ちょっと時間がありませんので併せて御答弁いただけたらと思いますけれども、国税職員の待遇改善、あるいはコロナによって休む方も出てこられたと思いますが、その辺の勤務状況など、併せて簡潔にお答えをいただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/13
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014・住澤整
○政府参考人(住澤整君) まず、税制面についてお答え申し上げます。
税制につきましては、所得再分配機能等の観点も踏まえながら累次の改正を行ってきておりまして、この一年で申しますと、令和四年度税制改正におきまして、格差の固定化を防止する観点等も踏まえ、住宅ローン控除や住宅に係る贈与税の非課税措置の見直しを行うこととしております。
他方、租税特別措置についてのお尋ねでございますが、租特透明化法に基づく適用実態調査の調査結果や政策評価の点検結果などを参考にしながら、その必要性や政策効果をよく見極めた上で税制改正プロセスの中で精査を行ってきたところでございます。
令和四年度の税制改正におきましては、法人税関係の租特につきまして、三項目については廃止、二十三項目については適用対象の見直しなどの縮減を伴う見直しを行うこととしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/14
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015・重藤哲郎
○政府参考人(重藤哲郎君) 国税組織の体制や環境、職場環境に関して御答弁申し上げます。
経済活動の国際化、ICT化に対応して適正、公平な課税徴収を実現していくためには、税務執行体制の強化が必要だと考えております。
こうした中、令和四年度予算案におきましては、軽減税率制度の実施、あるいは消費税不正還付や租税回避への対応などを図るため所要の体制整備を行うこととし、国税庁の定員について三十五名の純増となっております。また、機構面では、国際課税に対する調査等を専門的に担当する国際税務専門官などを増設をしておるところでございます。さらに、デジタルの活用により職員が働きやすい環境を整備していくためのデータ分析ツールの導入やデータ活用に必要となる研修を実施しているところでございます。
引き続き、国税庁においては、職員の処遇の改善を図るとともに、必要な機構、定員の確保、職場環境の整備や職員の育成に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/15
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016・小野平八郎
○政府参考人(小野平八郎君) コロナの感染状況について御答弁申し上げます。
国税庁本庁、それから霞が関の財務省本省を合わせまして、定員二千八百四十七名のうち、これまでの累計でコロナ感染者百五十四人ということになっております。多くの方が休業等されているわけですけれども、テレワーク等も活用しながら、業務に支障の生じないよう工夫をしているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/16
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017・勝部賢志
○勝部賢志君 御答弁ありがとうございました。
お気付きの方もいらっしゃるかもしれませんけど、これは昨年の附帯決議の記載事項の一部なんです。このことがどのように取組を図られたかということなんですけれども、ちょっと御答弁だけではなかなか分かりにくいかもしれませんけれど、私の印象としては、とにかく量的にも質的にも評価に足る成果とは言えない状況にあるというふうに実は思っています。
本当は詳しく細かくお聞きをしたいところですけれども、これは引き続きまたやりたいと思いますが、その中で私は一番、これは総理にお伺いしますけれども、大事だと思っているのは、やはり格差を是正する、格差を狭くしていく、そういうその税制改革ということが大変重要であり、総理は自ら金融所得税の改革ということを旗頭に掲げてこられたわけでありまして、しかしながら、それが今回十分になされていないということであります。これは、時間的に足りなかったということもあるのかもしれませんけれども、私はその旗を決して下ろしてはならないと思います。
ですから、今回、その具体の中身が盛り込まれていないということについては厳しく指摘をさせていただきますけれども、引き続きどのような取組をこれからされていくおつもりなのか。これはできるだけしっかりとした対応をすべきだと思いますけれども、見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/17
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018・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 岸田内閣においては、まずはコロナ、新型コロナの危機を乗り越えた上で経済の再生に取り組んでいかなければいけないということで、新しい資本主義という考え方を示させていただいています。これは、すなわち、官民が協働する形で成長戦略と分配戦略を展開していく、その中で、デジタルとか気候変動といった課題を解決し、そして持続可能な経済を実現する、こういった考え方を示させています。
ですから、委員御指摘の今税制ということにつきましても、まずはこの成長戦略において、設備投資減税、設備投資税制を始めとする成長を実現するための税制、デジタル、気候変動といった政策課題に投資を促すような税制、これを重視し、そして分配政策においては、この成長の果実を分配するための賃上げ税制、こういったこの分配のための税制、こういったものを優先させるということで、今回のこの予算の議論の中でも優先して取組を示させていただいているということであります。
そして、御指摘のこの金融所得税制につきましては、こうしたまずは優先すべき税制課題にしっかり取り組んだ後に、この問題については与党税制調査会においても大きな課題として議論が行われるということであります。その中であるべき税制を考えてもらうということで、税制改正を考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/18
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019・勝部賢志
○勝部賢志君 時間が参りましたので、最後の問いとなりますが、今ほどコロナでも数多くの方が休まれているという話もありました。国税職員の定員確保と処遇改善について、総理の見解をお願いします。是非取り組んでほしいと思いますので、その点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/19
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020・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 時間が参りましたので、お答えは簡潔にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/20
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021・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 税務行政は、国際化やあるいはIT化により複雑化しています。申告件数も増加している、その中で引き続き適正、公正な課税を実現していく、大変重要な課題を抱えておられます。
こうしたこの税務の複雑性、困難性を踏まえて、引き続きこの国税職員の皆さんの処遇改善を図るとともに、必要な機構、定員、あるいは職場環境の整備、さらには職員の育成、こうしたものに政府としても努めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/21
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022・勝部賢志
○勝部賢志君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/22
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023・大塚耕平
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。外交日程でお疲れのことと思いますが、よろしくお願いします。
首脳会談、とりわけ対面での首脳会談は、この局面、本当に重要だと思いますので、是非精力的に御対応いただきたいと思います。
今日は、この予算及び税制とも関係ありますこの我が国の景気及びその景気対策について、短い時間ですが、お伺いをしたいと思います。
これまで我が国の経済は、技術革新の後れとか新しい企業の勃興の面で他国に後れを取っているとか、こういうことが長く議論されていて、これはまだ解決していません。今も御答弁にあったように、設備投資を支援する等々の様々な政策的対応で何とかしていきたいと我々も思っておりますけれども、今日はその問題は取りあえずおいておいて、今我が国経済が直面しているのは、安倍政権からずっと続いている需要不足。直近の需給ギャップは七―九月の最新データで二十七兆円と言われています。この需給ギャップにどう対応するのかというその需要の問題と、それから、ウクライナ情勢も加わってインフレになってきた、特に明らかな、もう教科書的なコストプッシュインフレが起きているわけです。つまり、需要が多いからインフレが起きているわけじゃなくて、コスト側の、供給側の要因でインフレが起きている。
そこで、総理にお伺いしたいのは、相変わらず需給ギャップがあるというこの需要不足にどう対応するのかという点と、それから、典型的なコストプッシュインフレが起きている、これにどう対応するのか、この二点を新年度入り後の景気対策も絡めて御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/23
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024・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の点は大変重要な課題であると認識した上で、需要不足に対してどう対応していくのか。
まずは、今現在、コロナ禍の影響が残る中にあって、このコロナ禍をしっかり乗り越えた上で経済の再生に努めなければいけないわけですが、その中にあって、その需要不足についてどう考えるのか。
基本的には、経済の好循環を果たす中で需要も回復し、そして持続可能な経済をつくっていかなければいけないわけですから、この需要不足のみならず、この循環の中で賃上げから消費につなげ、そして消費を次の成長につなげていく、こうした流れも完成することによって需要を盛り上げていく、こうした成長と分配の好循環の中で需要を盛り上げていく、こうした視点が重要だと思います。
もちろん、一つ一つ、税制ですとか規制改革ですとか予算ですとか、様々な課題は、問題はしっかりと乗り越えるべく政策を用意しなければなりませんが、基本的には今言ったこの好循環を完成する形で需要を用意する、これが大事だと思います。
そして一方で、今この物価高、これはこの我が国の国民の生活、そして経済にとって大きな課題を突き付けています。この為替の動向等もあるのかもしれませんが、大きな背景として、世界的なこの市場の状況、市場の高騰、これがあるわけでありますので、こうしたこの状況を前にして、国内政策としても様々な物価高騰対策、ガソリンにおける激変緩和措置、あるいは穀物に対する様々な政府の取組など、様々なこの価格高騰対策も至急用意し、そして国民の元に届けていかなければいけない、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/24
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025・大塚耕平
○大塚耕平君 一点目の需要不足には分配と成長の好循環が必要であるという御見解で、もうそれは全く同感でありますが、まずはセルモーターを回すためにも、これは予算、これから本予算が成立する前ではありますけれども、成立後には何らかの景気対策が必要だと私は思います。これは、この本予算を編成しているときにはなかった事態が今起きているわけでありますので、そこは果断な御判断をお願いしたいというのが一点と、それからインフレ対策の面では、もうすぐ春闘が山を越えますけれども、春闘の賃上げではカバーし切れないインフレに、働く皆さんや家計がどう対応するのかというのが今後の課題になります。私は、今後、企業がインフレ手当的なものを今年度中に社員に提供した場合には、それは損金に算入するような新たな仕組みもつくった方がいいと思います。
もう時間もあと一、二分ですので、今申し上げた二点について、新年度での景気対策と、それからインフレ対策について、もし御見解があればお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/25
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026・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今の経済の状況、景気の状況をしっかり政府としても受け止めて、先ほど申し上げました価格高騰対策と併せて、様々なこの事業支援のための対策、雇用調整助成金ですとか無利子無担保融資ですとか事業復活支援金ですとか、こういった取組も少なくとも六月まで続けるということで対策を充実させています。そして、それをまず国民の皆さんに早く届けることが第一だと思います。
しかし、その上で、不透明な国際情勢を考えますと、様々な動きも想定しておかなければならない、更なる政策が必要だということについては、状況を判断して機動的に対応していきたいと考えています。
そして、もう一点が……(発言する者あり)あっ、インフレ対策。インフレ対策については、こうした価格の高騰に対して消費者物価の方がまず追い付いていないという点を考えますときに、価格転嫁、これがまず大事であると思います。中小企業、零細企業の支援のためにも価格転嫁が円滑に進むためにパッケージを用意したわけですが、これをしっかりと稼働させることが重要であり、そして一方で、この価格高騰に見合うだけの賃金の引上げ、これをしっかり実現していかなければなりません。
春闘につきましても、つい先日、連合から発表された数字ですと、二年ぶりに二%を超える高い数字が今、途中経過ではありますが、示されているという報告も受けております。
是非、こうした民間の賃上げの雰囲気をこれからも押し上げるために、政府としまして、賃上げ税制ですとか公的価格の引上げですとか、この呼び水となる政策を引き続き続けることによって社会全体の賃上げの雰囲気を盛り上げていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/26
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027・大塚耕平
○大塚耕平君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/27
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028・浅田均
○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。
今日は、総理お越しいただきまして、これからの日本経済の方向性という大きな話の中で財政の果たす役割というものを議論させていただきたいと思っております。
今、大塚委員とのお話の中で、需給ギャップ埋めていくのにその成長と分配の好循環で賃金を上げていくことが必要だという御答弁がありまして、GDPが増えていく限り、少々プライマリーバランス対象経費を広げていっても対GDP比でいいますと発散しないので、それは経済の、財政の安定性につながると思うんですけれども、そうでないときですよね、GDPが成長しないと。今のまま、総理は成長するとお考えでしょうけれども、今のままでいったときに、財政の持続可能性というものを考えるときに、やっぱりプライマリーバランスというのが基礎になるんだから非常に重要であると。
日本政府としては、統合政府論、いわゆる統合政府論というものは取らないというふうなお考え方を先般、財務大臣の方からお聞かせいただいております。だから、もうプライマリーバランスというのの黒字化が重要なんだというお答えもいただいております。
それはそのとおりだと思うんですけれども、こういう状況で、そのプライマリーバランス対象経費、今八十兆円ぐらいあると思うんですけれども、これをどこまで総理大臣として拡大すべきとお考えなのか、拡大できるとお考えなのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/28
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029・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、これ従来から申し上げているところですが、私の内閣として、まずはコロナ禍をしっかり乗り越えた上で経済の再生に取り組んでいかなければならない。そして、財政についてももちろん考えていかなければならないわけですが、しかし、経済あっての財政であるということ、経済をまず再生した後、財政を考えていくという順番を間違えてはならない、これは再三申し上げております。
先ほども少し申し上げさせていただいた形で経済再生にしっかり取り組みながら、一方で、財政というのは国の信頼の礎でありますので、そしてそれは、それを判断するのは市場であり国際社会でありますので、これは、市場や国際社会において日本のこの財政の信頼、これを損なうことがないように財政政策も考えていかなければならない、こういったことであると思います。
まずは経済再生にしっかり取り組んだ上で財政の信認をしっかり維持していく、その際にプライマリーバランス等をどう活用してその信頼の引き止めに資するようにしていくのか、これが重要であると思います。こうした考え方に基づいて財政についてもプライマリーバランスについても考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/29
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030・浅田均
○浅田均君 それで、二〇二五年にプライマリーバランスの黒字化が達成されると、それを否定する根拠は何もないというふうな答弁をずっとされております。
そのときですね、二〇二五年にプライマリーバランスの黒字化というのを一旦達成します、そうすると、その後ですね、その後、GDPが大きくなっていったら、少々プライマリーバランス対象経費を大きくしても財政規模を大きくしても発散することにはなりませんから、日本政府の財政に対する信頼、信認というのは失われることにはならないと思うんですけれども、そういう場合、そのプライマリーバランス対象経費を増やしていこうというお考えなのか、あるいは、現状というか、ある上限を決めてそれ以上はプライマリーバランス対象経費は増やさないというふうなお考え、どちらでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/30
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031・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御質問は、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化という大きな目標を達成したとして、その後どう経済財政運営を行うのか、こういった趣旨かと思いますが、仮に二〇二五年度プライマリーバランス黒字化、これを実現できたとして、その後については、この持続可能な経済成長を引き続き維持、実現し維持していかなければならないと思います。そして、それとともに、中長期的な財政の持続可能性へのこの信頼、市場や国際社会においてこうしたこの信認が失われないように責任ある経済財政運営をしていくということだと思います。
その状況、具体的な目標、数字とおっしゃいましたが、その今言った考え方に基づいて、その時点での状況をしっかり判断して持続可能な経済を実現し、なおかつ国際的な信認を、信認が失われないような経済財政政策を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/31
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032・浅田均
○浅田均君 そうしたその状況いかんで、プライマリーバランス対象経費を大きくしていく、すなわち財政を拡大してもいい場合もあるし、そうでない場合もあるとお考えであるというふうに受け止めさせていただいて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/32
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033・大門実紀史
○大門実紀史君 総理、お疲れさまでございます。
税法については予算委員会で総理と詳しく議論させていただきましたので、せっかくの機会ですので経済全体の話をお聞きしたいと思います。ジェンダー平等と経済との関係でございます。
この問題、二年くらい前に麻生大臣と議論したんですけれど、どういうわけかアマテラスオオミカミの話を延々とされて、あれはあれで勉強になったんですけど、一体何の議論したのか分からなくなった記憶がありますが、今日はかみ合う議論をしたいというふうに思っております。
御存じのとおり、世界経済フォーラムが毎年公表するジェンダーギャップ報告書では、日本は百五十六か国中百二十位ということですね。G7では最下位で、先進国の中でも最低レベルということで、これは何度も言われている話でございます。特に、政治の順位が百四十七位、で、今日はちょっと経済の話をしたいんですが、経済の順位も百十七位ということですね。この理由は、日本は女性管理職の割合が低いと、パートタイムの職の女性が男性のほぼ二倍だということ、あとは女性の平均所得の低さ、格差があるという点が指摘されております。一位が十二年連続アイスランドなんですね。その一位の理由は日本と反対でございまして、今言ったことが最も進んでいるということになるわけなんですけれども。
総理は、この百二十位の我が国と一位のアイスランド、なぜこれだけ差があるのか、国の考え方といいますか社会の考え方といいますか、どこに差があってこういう結果になっているのか、アイスランドとの違いといいますか、いかがお考えかお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/33
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034・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、アイスランドと日本、その御指摘の順位において大きな差があるわけですが、アイスランドでは、男女の賃金を同一にすることを法律で定めるとともに、女性の労働参画が進んでいる、こういった指摘があります。他方、日本では、男女間の賃金格差の存在や固定的な性別役割意識など構造的な問題があると考えています。
政府としては、男女間の賃金格差の是正に向けた企業の開示ルールの見直し、あるいは同一労働同一賃金の徹底など、女性の経済的自立ですとか、公共調達を活用した女性活躍企業の優遇やコーポレートガバナンス・コードの改訂など、女性の登用目標の達成など、各施策、着実に推進していくことで一つ一つ課題を解決していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/34
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035・大門実紀史
○大門実紀史君 私伺ったのは、そういう差が生まれている根底にあるものは何なのかということなんですけど。いや、私も実は、なぜアイスランドと日本がこんなに違うのかなといいますか、アイスランドがなぜこんなにいろいろ進めているのかということで、私も分からなかったんですね。
アイスランドというのは、北海道よりちょっと大きいぐらいの面積で、人口も少ないですし、歴史も違いますし、産業も違いますよね。水産業、観光、再生可能エネルギーというのが主ですから、日本と全然違うんです。いろんな面で違いますですね。で、歴史も違いますよね。一九七〇年代まではアイスランドというのはひどい男性中心の社会だったということでありまして、その反動もあって女性だけのストライキが起きるとかいろんなことがあって、こう起きて、おっしゃったように法律でばんばんと決めていくという、非常にドラスチックな改革をやっているんですね。
なぜそれができるんだろうと、何が違うんだろうということで、実は、今年の一月の初めに「クローズアップ現代」というのがありまして、NHKで、そこでヤコブスドッティルさん、女性の首相がインタビューを受けていて、キャスターが、なぜジェンダー平等のために困難でも努力続けるんですかと、その原動力、何でしょうかと聞いたときに、ヤコブスドッティル首相は、アイスランドは人が大事な国だと、人材だと、そういう点で、労働市場において女性の参加率が世界的に見ても最も高い国の一つで、そのことは、女性が労働市場に多数、参加が多い、あるいは会社で女性の役員が多い、賃金格差が少ないということが経済にとって非常に有益だと思っていると、証明されているということをおっしゃっていますね。
キャスターが、なぜジェンダー平等が経済が良くなることに結び付くんでしょうかと聞いたときに、このヤコブさんは、女性が提供できるリソース、つまり女性の能力、発想、感性、こういうものを使わないということは社会全体にとって損なんだと、ロスなんだと、女性が労働市場に参加していなければ彼女たちが提供できる多くのものをそのマーケットは失っているんだというふうなことをおっしゃっています。
言い換えれば、男女が平等に働く環境になれば、賃金も格差もなくなっていけば、その社会は社会が持っている資源を、リソースを十分に生かしていけると、逆に言えば、それを生かさないのは経済成長につながらないんだというようなことをおっしゃっていまして、で、私もすとんと分かったんですけれども。要するに、女性が労働市場や企業経営に参加した方が経済も成長するということでございまして、特にアイスランドはこの点に国の生き残りを懸けているといいますか、命運を懸けているんで、社会的公正の意味からこの男女の格差、ジェンダー平等だけではなくて、むしろ国の経済的な将来を考えて非常に力を入れているというのが分かって、ああ、なるほどと、だから男性もそうだと思って、一緒に法律にも賛成しているんだなということがよく分かったわけです。
ただ、これはアイスランドだけではなくて、今やEU、IMFも男女の格差の是正が経済成長の推進力になるとリポートを発表している。だんだんだんだん広がっている考え方だと思います。
総理は、私、この点をいかがお考えになるか聞きたかったんですけど、やっぱりジェンダー平等が経済成長にもつながるんだと、この考えを持つかどうかで大きく国の在り方とかいろんな政策も変わってくると思うんですけれど、こういう考え方についていかが思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/35
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036・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、私も、女性の社会進出を促進することが経済の成長につながる、あるいは社会の活性につながる、こうした考え方に同感であります。そうした考え方は重要であると認識をしております。
御質問には、それでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/36
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037・大門実紀史
○大門実紀史君 この点で具体的に、この間、国会でも議論になっているのが有価証券報告書ですよね。これは、有価証券報告書というのは金融商品取引法、金商法で企業内容の外部への開示ということの資料でありますが、実はこの有価証券報告書は、一九九八年までは男女別の給与額とか従業員数とか平均年齢などの項目があったんですけれど、もう企業が負担だろうということでやめちゃったんですよね。その後、このジェンダーの問題が課題になってきて、二〇一四年に、積極的な改正だと思いますが、企業の女性役員の比率、数を開示するように義務付けたということであります。
この背景にあるのは、先ほど申し上げました、女性が多く役員に占める企業ほど、あるいは女性の社員が多いほど、もちろん女性の方が多いというのは男性よりも多いという意味ではありませんよ、大体あの比率は同じようにするという意味での女性を増やすという意味ですけれども、あと、男女賃金の格差がない企業ほど将来性があると、将来性があるというふうな見方をマーケットがするんで、これはIMFも言っていますけど、今や投資家にとって企業の価値を判断するときに重要なんで、そういう指標を明らかにすべきだという考え方がずっとあるわけであります。
内閣府も、資本市場での見える化ということで、この男女の格差を是正する努力をその企業がしているのかどうかということをはっきりさせる、明快にすべきだという報告も出しておられるところでございます。
つまり、申し上げたいことは、本来なら、この有価証券報告書に書きなさいとか開示しなさいと言われるよりも、これからの企業であるならば自ら、うちは女性の賃金格差これだけなくしてきておりますとか女性の役員の数はこれだけ多いですとかそういうことを自分でアピールした方が、投資家は将来性があるといってその企業に投資をしてくれると。だから、本来は自らやればいいと思うんですよね、企業、自分たちでこういう努力をしていると。そういう時代が来るとは思うんですけれども、今のところ、まだまだ企業というのは男性中心の企業がたくさんあって、そういうことがよく分からないで、今のままでいいとか実力主義だとか、その古い、よく分かっていない、市場のリソースというのを分かっていない、そういう旧態依然とした経営者のいる会社が多いので、多いので、EUなんかはもうちょっと義務付けなきゃ駄目だと、その企業にとっての将来にとっても駄目だということで、EUは今、男女間の賃金格差解消に向けて、二百五十人以上の従業員抱える企業には賃金格差是正の情報を開示するように義務付ける法案を出そうかというふうな動きになっているわけです。
そういう点でいきますと、この有価証券報告書の意味なんですけれど、何か隠したいものを出せとか、出せとかね、そういう意味ではなくて、そういうことがあなたの会社にとってもこれからいいことなんですよと、投資家はそれを見ているんですよという意味で、そういう意味で、この有価証券報告書にさらに男女賃金の是正状況とか努力している経過とかも含めて公表を義務付けていくということはその企業のためにもなるという意味で、この間、国会でも議論になっておりますけれど、できるだけ早くそういうふうに改善していただきたいと思いますが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/37
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038・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、この男女間の賃金格差の解消を含め、全ての女性が活躍できる社会を実現していくこと、これは重要な課題であると思っています。
そして、委員御指摘のその情報開示の部分ですが、この男女間の賃金格差の是正に向けて、有価証券報告書の開示項目、有価証券報告書の開示項目にすることについて現在金融審査会において具体的に検討していることであり、ところであり、この春をめどに取りまとめを目指したいと思っています。
あわせて、上場企業以外の企業も対象となる女性活躍推進法においても、男女間賃金格差の開示を充実する制度の見直しについて具体的に検討し、速やかに着手してまいりたいと思います。
こうした企業においても女性の賃金に関わる情報を開示することが重要であるという社会的な風土をつくるために、こうした有価証券取引、有価証券報告書、そして女性活躍推進法、こうした取組を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/38
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039・大門実紀史
○大門実紀史君 ありがとうございます。終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/39
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040・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、末松信介君が委員を辞任され、その補欠として上月良祐君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/40
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041・渡辺喜美
○渡辺喜美君 みんなの党、渡辺喜美でございます。
私が小学校四年生ぐらいのときだったでしょうか、キューバ危機というのがありまして、キューバ危機、本当にこれで俺の人生も終わりかなと真剣に心配したことがありました。二十年くらい前にケビン・コスナー主演の「13デイズ」というキューバ危機をテーマにした映画がありましたけれども、今回、バイデン大統領が、ウクライナ禁止空域なんか設定したらそれはNATOの参戦と同じで第三次世界大戦になっちゃうとか、あっ、それはプーチンが言っているのか、とにかく第三次世界大戦という言葉が飛び交っているんですね。
ゼレンスキー大統領も、交渉、停戦交渉の失敗は第三次世界大戦につながると、こういうことを言っておられて、ちょっと想像力たくましい人たちは非常にそういう事態を心配し始めているというか、もう実際に、参戦しないといっても、情報、インテリジェンス情報はアメリカから提供してありますし、武器の供与も行っておりますから、これは後々の歴史家が第三次世界大戦がもう始まっていたと見ているかもしれないというとば口に立っていると思いますが、総理はどのような危機管理、最悪の事態、想定しておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/41
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042・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のゼレンスキー大統領の第三次世界大戦発言等につきましては、間違いなくゼレンスキー大統領を始め当事者の大変な危機感の表れであると思います。そうした強い危機感をそういった言葉に、言葉を使って表明している、こうしたことであると受け止めています。
そして、こうした事態は決してヨーロッパにとどまるものではなく、アジアを含めて世界全体として我が事として受け止め、こうした力による一方的な現状変更は許してはならない、こうした思いを国際社会全体としてしっかり示すことが大事であると思います。
そして、そのために今強い制裁が国際社会協力して行われているわけですが、是非そうしたことをロシアがしっかり受け止めて、緊張緩和に向けて様々な話合いが進むことを期待し、事態の収拾を考えていかなければならないと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/42
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043・渡辺喜美
○渡辺喜美君 吉田ドクトリンというのがありまして、非核、軽武装の経済大国、宏池会の伝統的哲学とも言われています。残念ながら日本は経済大国でもないし、三十年間の名目GDPが一・一倍にしか広がっていないという現実、また、非核、軽武装というかつての、かつてのやり方でやっていけるんだろうかという国際環境ですよ。
永井陽之助先生という国際政治学者がいらっしゃって、「平和の代償」という、大変古典的な名著でありますが、ここで永井先生、憲法九条改正について、政争の具になってしまったと、でも、日本を昔に戻すんだという人たちが少数派になれば、憲法はきちんと改正、九条は改正すべきだということを言っているんですね。
私、冷戦終結後、永井先生に直接お聞きしました。そのときに、九六年か七年だったかと思いますが、はっきり言っていましたね、憲法九条は変えないといけませんと言っておられました。
リアリストをもって任ずる岸田総理、どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/43
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044・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の吉田ドクトリンは、その後、池田勇人総理に引き継がれ、そしてその流れを宏池会という政策集団が引き継いでいるということでありますが、こうした吉田ドクトリンと言われるような考え方、委員御指摘のように非核、軽武装、経済重視という考え方、これは、最初からまず軽武装、経済重視というものありきではなかったと思います。徹底した現実主義、リアリズムに基づいて、その当時の日本がこの国際情勢の中で、また当時の日本の国力の中で最も国益を大きくするためにはどういった政策を取るべきなのか、こうした極めて冷徹な、現実的な政策判断があり、その結果として当時はこの軽武装、経済重視という政策にたどり着いた、こういったことであったと思います。
宏池会、私も含めて、その伝統はしっかり引き継いでいます。この今の国際情勢の中で国益を最大にする、国民の命や暮らしを守るためにはどうあるべきなのか、徹底的なリアリズムを追求していきたいと考えています。
そういったことから新時代リアリズム外交ということを申し上げているわけですが、一つは、この自由や民主主義、法の支配といった基本的な価値観を重視する外交、もう一つは、この地球温暖化あるいは核軍縮を始めとする世界的な課題に、地球規模の課題に貢献することによって存在感を示す外交、そして自らの国民の命を守るための安全保障、この国防の在り方、こういったことについて徹底的に考え、そして充実させていく、この三本をしっかり追求することによって現実的な外交を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/44
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045・渡辺喜美
○渡辺喜美君 永井先生はこの「平和の代償」の中で、国際秩序観、国際秩序観、三つ分けているんですね。一つは、普遍主義、法律的、道徳的アプローチ。二つ目、力の均衡、これも軍事リアリズムと政治リアリズムに分かれていきます。三つ目、革命型、革命型ですね、これは私流の言い回しでありますけれども。
恐らく永井先生は政治的リアリズムという立場で、冷戦時代は弱者の恐喝、これが可能であったので、今総理がおっしゃったような吉田ドクトリンを支持しておられた。
しかし、冷戦が終わったということは、平和も可能になったが、戦争も可能になった時代であります。今、もしかしたら今回のウクライナ侵略によって更にまた新しい時代、もしかしたら第三次世界大戦が始まっているかもしれないという中で、では一体、総理のリアリズムというのはどういうことなんでしょう。法律的、道徳的アプローチなのか、バランス・オブ・パワーなのか、それも軍事リアリズムなのか、政治リアリズムなのか、それとも状況型、革命型なのか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/45
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046・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 最後の革命型というところをちょっとまだ十分理解しておりませんが、委員が御指摘のような様々なこの課題、物差しの中で我が国はどのバランスを取っていくのか、これが現実的な対応であると思っています。
今回のウクライナ情勢の中で私たちは様々な教訓を得たわけですが、一つ大きな教訓として、この自由や民主主義、法の支配、人権といった基本的な価値を共有する同盟国、同志国との関係の大切さ、これを強く認識をいたしました。
こうしたこの認識の下に国際社会が一致して意思表示をし行動していくことの重要性、こういったことも感じたところでありますし、また、こうした基本的な理念を大事にする一方で、やはり自らの国をどう守っていくのか、国民の命や暮らしを現実的にどう守っていくのか、こうしたことについても改めて考えなければいけないということで、私も国家安全保障戦略等三文書の見直しの中で我が国の安全保障についてもしっかり考えていきたい、こういったことを申し上げているわけであります。
この辺りのバランスの中で我が国の国民の命をどう守るのか、政治にとって最も大切な役割について考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/46
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047・渡辺喜美
○渡辺喜美君 お手元にお配りした、こういう国民負担率と国民総所得のグラフがあります。毎年お配りしているんですが。残念ながら、国民総所得が上がっても国民負担率がほぼ一貫して右肩上がり、これでは日本の経済力が大きく強まることはない。政治的リアリズムというのは、恐らくソフトパワー、経済力とか文化力とかそういったことも含まれるんだろうと思うんです。
やはり、日本が中国よりも経済力において小さな国になってしまった、これにはマクロ経済政策の失敗があると思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/47
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048・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 我が国の今日までのありようについては様々な議論があり、そして我々はこれからコロナ禍を乗り越えて新しい時代を切り開かなければならない、これまでの道のりも参考にしながら新しい時代をどう切り開いていくのか、これを考えていかなければならないと思います。
その中で、委員の方から国民負担率の話がありました。
まず、国民負担率の引上げありきではなくして、やはりこの国民負担率の分母の部分、国民所得、これを引き上げることをまず考えていかなければならないと思いますし、加えて、社会保障についても、特に若い世代の負担を増やすことがないように全世代型の社会保障と、よりその能力のある人間がしっかりと支え手に回るという形で持続可能な社会保障制度も構築していかなければならない。これらの制度のバランスの中で、是非、国民生活の安定や充実に努めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/48
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049・渡辺喜美
○渡辺喜美君 要は、先ほど来議論聞いていても、コストプッシュ型インフレが進んでいる。これがひどくなったときはスタグフレーションというやつですよ。物価高でなおかつ不況というやつで、ミザリーインデックスというのがあって、これは大体アメリカでは大統領が替わるということに、通り相場になっています。
日本でこういうリセッション、コストプッシュ型のリセッションに対応するには、やはり減税というのが必要になります。ガソリン減税だけでなくて、これから食料危機が現実のものになってまいりますので、消費減税というのが必要になりますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/49
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050・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 申合せの時間が来ておりますので、答弁の方は簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/50
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051・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 済みません、消費減税、消費税減税でよろしいですか。
一言申し上げるならば、おっしゃるように、税制、大変重要であり、経済のコントロールのために税制はしっかりと考えていかなければなりませんが、その中にあって、消費税ということについては、政府としては、社会保障の重要な財源であり、これにたちまち触ることは考えていないというのが基本的な考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/51
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052・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。
他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/52
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053・勝部賢志
○勝部賢志君 立憲民主・社民の勝部賢志です。
私は、会派を代表し、所得税法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論を行います。
本法案に反対する最大の理由は、現在の税制に課せられた最重要課題である所得再配分問題への取組が見えない点に尽きます。
二年有余にわたるコロナ禍にあって、金融バブルが引き続き、世界中で格差、経済格差は更に拡大し、各国共に所得再配分問題への取組に向き合ってきています。特に、岸田総理は、昨年九月の自民党総裁選で新しい資本主義の旗頭を掲げ、そのシンボルとして政策集に金融所得課税の見直しなど一億円の壁の打破を明記されました。だからこそ、厳しくその姿勢が問われなければなりません。
政権発足直後の昨秋の解散・総選挙時にはこれを封印され、今次の改正案では、今夏の参院選を勘案したのか、更に封印ということであれば、そもそも新しい資本主義の旗頭が看板倒れということになりかねません。耳にたこで終わった全国津々浦々にアベノミクスの恩恵をと同様に、永遠の蜃気楼に成り果てると断ぜざるを得ません。もとより、諸般の利害が激突する税制改革の問題は一朝一夕に片が付くものではないことも確かでしょう。昨秋の政権発足からでは残された時間は少な過ぎたというのかもしれません。
しかし、時の総理の強い意思、意欲と不退転の決意があれば、例えば平成二十一年所得税法一部改正附則第百四条のように、時限を切ってその検討条項を書き込むこともできたのではないかと思います。前政権までとは異なる成長と分配といっても、今次の改正案で見る限り、成長ではオープンイノベーション促進税制や5G導入促進税制など相も変わらない大企業減税制度の拡充、継続のみであり、一方の分配も、安倍政権以来、官製春闘と呼ばれた賃上げ促進税制の拡充と前車の轍を踏み続け、政策的効果が疑わしい大企業優遇措置を繰り返している限りであります。結果は同じと考えざるを得ません。
その他、反対理由として指摘しなければならない点はたくさんありますが、持ち時間の関係上、以上、最大の反対理由を述べ、討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/53
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054・浅田均
○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。
会派を代表して、所得税法等の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論をいたします。
コロナ禍からの経済の回復道半ばの中、ウクライナ危機により石油製品から食品にまで物価高騰が拡大するなど、景気停滞とインフレが同時進行するスタグフレーションに陥るリスクが増大しています。需給ギャップを抱える中、金融緩和は継続しつつ緊急経済対策を講じていく必要がありますが、賃上げもコストプッシュインフレには有効な施策の一つです。
しかしながら、賃上げは本来、企業間の市場競争の結果として実現されるものであり、企業が高成長分野への事業転換を進め、結果として生産性が向上し、働く人の賃上げを実現していくことこそが正しい道筋です。今般の税制改正は、これまで十年近く実施している賃上げ税制の税率を少し改定するといった内容で、これでは三十年にもわたる低迷、横ばいしている賃金を持続的な上昇軌道に乗せられるとは思えません。企業が高成長分野への事業転換を進め、経済成長を実現していくためには、簡素、公平、中立というよりは、むしろ簡素、公平、活力の税制が必要だと考えます。
しかしながら、デジタル社会経済の進展により新たに生まれているトークンエコノミーなどに対応した税制については、我が国が雑所得としての課税方式を取る中、世界では既に株式と同様キャピタルゲイン課税となっており、国際競争上不利となっていますし、シェアリングエコノミー、ギグエコノミー、さらにはガバナンストークンの保有者に対する課税やプロトコル創始者、開発者に対する税制の在り方もいまだ示されておりません。
また、いわゆるゾンビ企業の延命策となっている可能性がある租税特別措置に関しても、経済活性化の観点からの効果検証がよく見えず、徹底して公平、簡素を目指すという方向性が見えません。トークンエコノミーのように、展開にスピードが求められる産業に対する規制の在り方での発想の転換の検討の姿勢も感じられず、政府が高成長分野への事業転換を促進するようには見受けられません。
日本維新の会は十五日、ウクライナ危機から国民生活を守るための緊急経済対策の提言を政府に提出しました。原油価格、穀物価格等の高騰による物価への影響が落ち着くまでの間、軽減税率適用品目への税率を段階的に軽減すること、低所得者、企業負担の社会保険料を大幅に減免することなどを提言しています。
今こそ、コロナ禍とコストプッシュインフレという二重苦に対応し得る緊急的な税制対応を行いつつ、中期的な構造改革を実現する抜本的な税制改革を行うべきであることを強く申し上げ、反対討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/54
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055・大門実紀史
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
反対の討論を行います。
反対する最大の理由は、金融所得課税の見直しを先送りするなど、格差是正に背を向けていることです。金融所得課税の見直しは、格差是正の一丁目一番地です。こんなことにもすぐ手を着けられないで、新自由主義の弊害を是正するなどできるわけがありません。
また、オープンイノベーション促進税制も、ベンチャー企業のためというより、出資する事業会社、主に大企業の都合による改正であり、過熱化するベンチャー投資に拍車を掛けるおそれがあります。そもそも、巨額の内部留保をため込んでいる大企業にこれ以上減税する必要はありません。
また、今回の改正に盛り込まれた証拠書類のない簿外経費への対応策についても、悪質納税者以外に恣意的な適用がされないか、税務調査における税務署側の立証責任が免じられないか、推計課税において従来より納税者に不利にならないかという三つの懸念が払拭できません。
本案にはコロナ関連の給付措置の非課税措置、差押禁止措置など改善点もありますが、以上の理由から全体として反対をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/55
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056・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
所得税法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/56
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057・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
この際、牧山君から発言を求められておりますので、これを許します。牧山ひろえ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/57
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058・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 私は、ただいま可決されました所得税法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会、日本維新の会、日本共産党及びみんなの党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
所得税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
一 成長と分配の好循環及びカーボンニュートラルの実現に向け、賃上げ及びオープンイノベーションの促進に係る税制の拡充、住宅ローン控除制度の見直し等の措置がどのように貢献したのか適切に把握することができるよう、政策効果の徹底した検証を行い、その結果を確実に公表すること。
二 成長と分配の好循環による持続可能な経済を実現するため、実効性のある戦略の下、民間企業の賃上げ等を支援する中で、積極的な賃上げ等の機運が醸成されるよう適切な広報を通じて制度の周知を図り、利用を促進するとともに、税制上の措置と補助金等を適切に組み合わせることで、政策効果が最大限に発現するよう努めること。
三 租税特別措置については、租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書や、租税特別措置等に係る政策評価の点検結果等を積極的に活用し、適用実績の把握と効果等の検証を十分に行い、効果が不透明なもの等は廃止・縮減するなど、税制の公平性等を確保する観点から不断の見直しと徹底した改革を推進すること。
四 貧困世帯の増加や所得格差の拡大・固定化が進むとともに、人口減少・少子高齢化、働き方やライフコースの多様化、グローバル化や経済のデジタル化の進展等、経済社会の構造変化が加速している状況を踏まえ、税制における再分配機能の強化を検討するとともに、公平で中立的な課税に配慮しつつ、税体系全般の大胆な見直しを早急に進め、その結果に基づき必要な改革を躊躇なく実行すること。
五 税収の見積りと実績に乖離が生じた場合には、国債発行額等に影響を与える可能性もあることから、税収の見積りやその前提となる政府経済見通しについては、経済や産業構造の変化等の精緻な分析を通じて、消費の実態の的確な把握を含め、税収に与える影響を検討するなど、不断の見直しにより正確性に万全を期すること。
六 高水準で推移する申告件数及び滞納税額、経済取引の国際化・広域化・ICT化による調査・徴収事務等の複雑・困難化、新たな経済活動の拡大、軽減税率制度実施等への対応など社会情勢の変化による事務量の増大に鑑み、適正かつ公平な課税及び徴収の実現を図り、国の財政基盤である税の歳入を確保するため、国税職員の定員確保、職務の困難性・特殊性を適正に評価した給与水準の確保など処遇の改善、機構の充実及び職場環境の整備に特段の努力を払うこと。
特に、社会的関心の高い国際的な租税回避行為や富裕層への対応、消費税の不正還付防止への対応を強化し、更には納税者全体への税務コンプライアンス向上を図るため、定員の拡充及び職員の育成等、従来にも増した税務執行体制の強化に努めること。
七 新型コロナウイルス感染症をめぐる現状を踏まえ、国税職員を含む財務省職員の健康管理の徹底等、感染拡大防止に万全を期すとともに、必要に応じ迅速かつ適切な措置を講ずること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/58
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059・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) ただいま牧山君から提出されました附帯決議案を議題として、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/59
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060・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 全会一致と認めます。よって、牧山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、鈴木財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。鈴木財務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/60
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061・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/61
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062・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/62
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063・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 御異議がないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/63
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064・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。鈴木財務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/64
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065・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
政府は、最近における内外の経済情勢等に対応するため、関税率等について所要の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、令和四年三月末に適用期限が到来する暫定税率等について、その適用期限の延長等を行うこととしております。
第二に、海外事業者から国内の事業性のない者に宛てて郵送等で持ち込まれた商標権等侵害物品を関税法の輸入してはならない貨物として規定する等の改正を行うこととしております。
このほか、個別品目の関税率の見直し等、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/65
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066・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00620220322/66
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