1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年六月二日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月二十四日
辞任 補欠選任
竹内 功君 自見はなこ君
五月二十五日
辞任 補欠選任
堂故 茂君 岡田 直樹君
六月一日
辞任 補欠選任
岡田 直樹君 中西 哲君
自見はなこ君 中田 宏君
六月二日
辞任 補欠選任
末松 信介君 堂故 茂君
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出席者は左のとおり。
委員長 豊田 俊郎君
理 事
西田 昌司君
藤末 健三君
森屋 宏君
牧山ひろえ君
山本 博司君
委 員
大家 敏志君
櫻井 充君
堂故 茂君
中田 宏君
中西 哲君
藤川 政人君
宮沢 洋一君
宮島 喜文君
勝部 賢志君
熊谷 裕人君
古賀 之士君
難波 奨二君
杉 久武君
大塚 耕平君
浅田 均君
小池 晃君
大門実紀史君
浜田 聡君
渡辺 喜美君
国務大臣
財務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(金融)
) 鈴木 俊一君
副大臣
内閣府副大臣 黄川田仁志君
財務副大臣 大家 敏志君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 宗清 皇一君
事務局側
常任委員会専門
員 小松 康志君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官 村井 紀之君
内閣官房内閣審
議官 成田 達治君
内閣府子ども・
子育て本部審議
官 相川 哲也君
金融庁総合政策
局政策立案総括
審議官 井藤 英樹君
金融庁総合政策
局審議官 有泉 秀君
金融庁企画市場
局長 古澤 知之君
金融庁監督局長 栗田 照久君
消費者庁審議官 長谷川秀司君
総務省大臣官房
審議官 武藤 真郷君
総務省大臣官房
審議官 川窪 俊広君
財務省主計局次
長 坂本 基君
財務省主税局長 住澤 整君
国税庁次長 重藤 哲郎君
防衛省大臣官房
政策立案総括審
議官 川嶋 貴樹君
防衛装備庁技術
戦略部長 堀江 和宏君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図る
ための資金決済に関する法律等の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/0
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001・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、竹内功君及び堂故茂君が委員を辞任され、その補欠として中西哲君及び中田宏君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/1
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002・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、金融庁企画市場局長古澤知之君外十四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/2
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003・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 御異議がないと認め、さよう決定をいたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/3
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004・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/4
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005・藤末健三
○藤末健三君 自民党・国民の声の藤末健三でございます。
今回の資金決済法及び金融商品取引法の改正案には、信託受益権を分散型台帳技術上で用いる仕組みに関する法的手当てが含まれています。これは、暗号資産取引の更なる拡大につながる重要な法改正であると考えております。
現在、多くのステーブルコインは、情報開示やその裏付けとなる資産の担保が分散台帳技術上で行われていないのが現状です。そのため、実質的所有者とは別に、信託されている記録と証明が、分散台帳技術上、ブロックチェーン上に存在しないで、信用リスクが伴う自社発行型又は資産の裏付けがない危ないコインと実質が変わらなくなっております。金融市場の不安定化や金融危機を逆に招いてしまうリスクがあるのではないかと懸念しています。
こういうリスクを低減するための一つの方法として、この法案における資産が信託銀行によって信託されている旨を分散型台帳技術、ブロックチェーン技術上で確認、証明できるよう求めることも一案だと考えますが、こうした方法も含めて、政府として、金融市場を不安定化させないための方策として現時点でどのようなことを考えているか、教えていただきたいと思います。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/5
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006・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、本法案におきましては、信託を用いた電子決済手段として特定信託受益権を規定しているところでございます。これは、顧客から受け入れた金額の全額を預貯金により保全するということによって信託受益権の価値を一定に保つ仕組みということでございます。
そのため、信託財産が適切に管理されること及びそれが確認できることということは重要でございまして、こうしたことが、先生御指摘の、金融市場の不安定化につながらないという点でも重要と考えているところでございます。
特定信託受益権に係る信託会社等の義務の具体的な内容につきましては、今後、内閣府令において規定することを予定してございますが、御指摘の信託財産の状況に係る情報開示といった点につきましては、例えば、信託会社等に対して特定信託受益権に係る預貯金の残高証明書、これを定期的に提出いただくことなどを含めまして、適切に検討してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/6
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007・藤末健三
○藤末健三君 是非よろしくお願いいたしたいと思います。
次に、このブロックチェーン技術を用いました暗号資産についてお話をさせていただきます。
皆様のお手元に資料をお配りしておりますが、暗号資産に関するデータを書いております。
一ページ目の左上の図を見ていただきますと、これは東証と暗号資産の時価総額ということを比較しておりまして、昨年三月、あっ、失礼しました、今年の三月三十一日時点、東証の大体時価総額が七百兆円という中で、暗号資産、世界の暗号資産は大体三百兆円ぐらいになっているという状況になります。
また、メタバース、これはVR技術とかを使ったメタバースでございますが、これがどんどん市場が伸びてくると。恐らく二〇三〇年には二百兆円に達するんではないかと言われております。これは何かと申しますと、暗号資産というのは、このメタバースにおける恐らく取引・決済手段となると言われておりまして、かつ、もう既に資金規模も大きくなっていると。新しいイノベーションを生み出す資金源になっているというふうに言われております。
また、二ページ目御覧になっていただきますと、現在の暗号資産の保有者数というのがございます。左上にございますように、暗号資産の国内登録ユーザー数は五百万人となっておりまして、証券口座数が二千九百でございますんで、大体六分の一の規模になっていると。かつ、このユーザー数は今どんどん急激に増えているという中で、国内においてもこの暗号資産というものが非常に普及しているという状況でございます。
そしてまた、次のちょっとページを見ていただきますと、三ページ目でございますが、三ポツで国内事業者の成長力ということであります。この財務データの中にコインベースというアメリカの暗号資産取引所のデータがございますが、これはもう今上場しています。資産規模が大体二十兆円と、あっ、失礼しました、三十二兆円となっておりまして、これは日本のメガバンクの大体規模の半分ぐらいの大きさになっていると。これは、暗号資産を預かっているのみならず、その暗号資産を資金源とした新しいイノベーションを生み出す、特にメタバースの世界でイノベーションを生み出すための資金源として今活用されているという状況の中で、この暗号資産のインフラ整備が非常に喫緊の課題であるという状況にございます。
ただ、我が国の場合は、非常に早く法整備を進めたものの、暗号資産、また仮想通貨と過去は言っておりましたが、したものの、大きな課題がございます。それは、一つありますのはこの総合課税の問題でございます。我が国の、この三ページ目の四、税制面における課題ということで書いてございますが、我が国は原則雑所得として総合課税されると。したがいまして、最大国税で四五%、住民税を入れると五五%の課税がされると。一方、アメリカでは、一年以上保有した、基本的にキャピタル課税であり、一年以上保有した場合は最大二〇%までの課税。イギリスはキャピタル課税と、二〇%の固定税率。そしてまたドイツは、最近法律を改正しまして、一般原則に従って課税と書いてございますが、一年以上保有した場合については課税されない。フランスはキャピタル課税となっているという状況の中、我が国だけが総合課税となり、累進課税の下、最高で五五%の課税がされるという状況でございます。
このように、状況でございまして、是非、この主要国において一般投資家による暗号資産取引により得られた所得が累進課税の対象となっている国はどれぐらいあるかというのを教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/7
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008・住澤整
○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
お配りいただいている資料の三ページ目の主要国における課税関係、これについて表に記載のない部分も補足して御説明申し上げますと、まず米国のニューヨーク州ニューヨーク市の場合でございますが、このお配りいただいた表には連邦税の数字しか書いてございませんが、州税、市税含めますと、一年以下の短期保有の場合には最高で五一・八%の総合累進課税が行われ、一年超の長期保有の場合には、分離課税ではあるものの、最高三四・八%の累進税率による課税が行われております。
英国においては、おおむねここに書かれているとおりですが、保有期間にかかわらず、分離課税ではあるものの、最高二〇%の段階税率による課税が行われております。
ドイツにおきましては、一年以下の短期保有の場合に、ごく少額の場合を除いて最高四七・五%の累進総合課税が行われますが、一年超保有の場合についてはここにあるとおりでございます。なお、非課税所得の場合、損益通算も認められないということになります。
また、フランスにおきましては、総合累進課税と比例税率による分離課税の選択制となっておりますが、分離課税の比例税率は、ここにありますとおり、三〇%と我が国よりも高い水準となっているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/8
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009・藤末健三
○藤末健三君 是非、今度、同席している委員の方にお伝えしたいんですが、実は、ここにわざと書いていないんですけど、シンガポールはゼロです。かつ、企業が進出した場合に五年ぐらい無課税という状況でございまして、日本の新しく、このブロックチェーン、メタバースのイノベーションを起こそうと、企業をつくろうとしていた人たちが日本ではなく海外に行っているという状況がございますので、是非この税制の問題、是非皆様も御認識いただきたいと思います。
ちなみに、日本暗号資産ビジネス協会が試算したデータがございまして、四ページ目にございます。これは、アンケート調査に基づいて計算したものでございますけれど、暗号資産の取引を分離課税に変えた場合、五二%の税収の拡大が見込まれるというデータがございます。これはあくまでも、暗号資産取引における年間所得が二十万円以下のために確定申告をしていない人がいますので、更に取引を拡大し確定申告を行うようになった場合の試算となりますけれど、暗号資産の国内登録ユーザーは五百万人以上に上がっており、取引額を見ても、二〇二〇年度は現物取引で前年度比二六九%、約三〇〇%、証拠金取引でも一四一%の伸びを見せておりまして、あながち想定として不合理であるとは言えないと思っています。
是非国税庁においても、暗号資産取引を把握するために申告書の記載事項を変えたと聞いておりますけれど、どのように変更したのか、またデータはいつぐらいに出るのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/9
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010・重藤哲郎
○政府参考人(重藤哲郎君) お答えいたします。
暗号資産の取引に関しましては、国税庁としましても、納税者の方に適正に申告をしていただけるよう的確な周知、広報に取り組むとともに、適正に納税を行っている方々が不公平感を抱くことのないよう申告誤りの適正な是正を通じて適正、公平な課税を実現することが重要だと考えております。
こうした観点から、暗号資産取引に係る収入がある方につきましては、これは令和三年分の確定申告からですが、確定申告書のその他雑所得の区分という欄があるのですが、そこに暗号資産取引に係る収入がある方には印を入れていただくということとしております。こうすることによって、暗号資産取引の申告状況の確認を行えるようにしているところでございます。
令和三年分の確定申告からということでございますので、今まだその計数を集計をしているところでございます。それらの公表の仕方などにつきましても、今後検討していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/10
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011・藤末健三
○藤末健三君 是非いろんな学者の方々や事業者の方々の知恵をいただいて、こういう税制の問題を把握していただきたいと思います。
繰り返しになりますけど、今非常に大きい勢いで成長していますし、これがまた日本の経済の成長の基盤となることは間違いないと思っています。ほかの国におきましては、やはり分離課税とか税制を抑えながら、国内に暗号資産が集まり、かつ流通する状況をつくる、それは恐らく次の代のイノベーションに向けての基盤となりますので、是非考えていただきたいと思います。
実際に、岸田総理は五月五日のシティーにおける講演で、ブロックチェーンやNFT、メタバースなどウエブ三・〇の推進のための環境整備を含め、新たなサービスが生まれやすい社会を実現しますと発言されています。
また、五月二十六日の衆議院予算委員会においても、自民党、我が党の小倉衆議院議員からの質問に対して、ウエブ三・〇時代を迎えるに当たり、政治の立場から環境整備をしっかり進めていかなければならないと答弁されています。
そして、五月三十一日に公表されました骨太の方針において、フィンテック推進のため、セキュリティートークン、括弧、デジタル証券での資金調達に関する制度整備、暗号資産について利用者保護に配慮した審査基準の緩和、決済手段としての経済機能に関する解釈指針の作成などを行うと明確に記されております。
私は、これまで何度も申し上げていますように、この総理がおっしゃるウエブ三・〇、メタバースとか、そういうNFTなどを使った環境整備、この中核には暗号資産取引に関する所得税に、暗号資産に関する所得に対する分離課税の導入、ほかの国と同じレベルにするということが必要であると考えておりますが、是非、鈴木財務大臣の政治判断で前向きに検討を進めていただきたいと思いますが、金融庁と財務大臣に答弁いただければと思います。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/11
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012・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 暗号資産の取引に係る所得についてでございますが、外国通貨の為替差益と同様に原則として雑所得に区分されておりますので、したがいまして総合課税の対象となっているところでございます。
一方におきまして、上場株式等の譲渡益等につきましては、税制の中立性、簡素性、適正執行の確保などの観点のほかに、貯蓄から投資への政策的要請を受け、一般投資家が投資しやすい簡素で中立的な税制を構築するといった考えから、二〇%の分離課税が採用されているところでございます。
暗号資産の取引による所得に二〇%の分離課税を採用すべきとの御意見があること、これは承知をいたしております。しかし、給与や事業で稼いだ方は最大五五%の税率が適用される一方で、暗号資産で稼いだ方は二〇%の税率でよいとすることについて国民の理解を得られるのか、株式のように家計が暗号資産を購入することを国として推奨することが妥当なのかなど、様々なこれも意見や課題があると考えておりまして、丁寧な検討が必要であると思っております。
いずれにいたしましても、フィンテックの推進、これは重要なことでございます。今般の資金決済法等の一部を改正する法律案を含めまして、様々な環境整備に努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/12
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013・藤末健三
○藤末健三君 是非議論を深めていただきたいと思います。
ただ、時間がないと思っておりまして、今どんどんこのメタバースとか暗号資産などの分野で新しい事業を起こす若い人たちが海外に行っている。特にシンガポールとかドバイに行って事業をしている状況がございます。私の知り合いも実際に三月にドバイに行きまして、ドバイの方には、この暗号資産とかメタバースをやるための専用のインキュベーション、ベンチャーが集まったビルができているという話も聞いております。
是非、新しいこのウエブ三・〇の世界で日本が新しいイノベーションを起こし、本当にアジアのハブになるためには、今まで考えられていましたように、これ、元々二〇一七年に仮想通貨という名前で通貨的な扱いになってしまった。したがいまして、ドルやユーロといった為替の利益と同じように雑所得課税をされたという歴史がございます。その流れがずっと続いていますけれど、今どんどん変化が進んでおりまして、先ほど骨太の方針でも書かれたように、セキュリティートークン、実際に証券があって、その証券を分散台帳に分割して資産管理を行うような仕組みもできておりますので、実はもう資産化、投資の資産化、資産の新しいこの表記の仕方みたいな形もございますので、是非、決済手段としての通貨なのか、それとも資産なのかということで、どんどんどんどんこの資産としての価値が高まっている。
実際にこの暗号資産を通じてガバナンストークンというものがございまして、証券を買って投資するような形で、このトークン、暗号資産を買って、そしてそれが会社の投資になるという仕組みももうアメリカでは動き始めていますので、是非ともこの新しい仕組みを日本に早く導入し、ほかの、海外でやっぱり話をしていますと、この暗号資産というのは今までの金融システムとは全く違うシステム、もう国境がなく個人が、個人がもう自由に取引できる、コスト低くという新しい世界が生まれますので、是非、次の世代の日本の金融サービスなど新しいイノベーションを起こすためにも、この税制改正、できるだけ早くやっていただくことをお願いしまして、私の質問を終わらさせていただきます。
よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/13
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014・熊谷裕人
○熊谷裕人君 おはようございます。立憲民主・社民の熊谷裕人でございます。
今日も資金決済法の法案質疑、立たせていただきますが、その前に、ちょっと気になることが幾つかございますので、先に聞かせていただきたいと思います。
一つは、この委員会でも度々懸念を示してまいりましたが、ロシア国債のデフォルトという見出しが先日新聞で見付けまして、どんな状況になっているのかなと思いまして調べたところ、四月四日の決済のドル建て国債がどうもデフォルトになるんではないかということで、世界の金融機関で構成をしているクレジットデリバティブ委員会の方で今協議が始まっているというふうに出ておりました。
ロシア国債、ロシア政府が外貨建ての国債の利子の一部を払わなかったことがデフォルトに当たるかどうかということで今協議が行われているようでございますが、この委員会の見通しなんかを見るとデフォルトになる可能性が高いというふうに報じられておりまして、もしロシアのこの四月四日払いのものがこれからデフォルト認定をされると我が国の金融システムにも若干影響が出てくるんではないのかなというふうに思っておりまして、その辺の影響をどのように考えているのか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/14
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015・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
昨晩、今お話がありましたクレジットデリバティブ決定委員会におきまして、四月四日が償還期限となっておりましたロシア国債について支払不履行が認定されたというふうに承知をしております。
ただ、日本の金融機関によりますロシア向け与信は海外向け与信全体の〇・二%程度でございまして、個別の金融機関を見ましても、その与信割合は僅かにとどまっておりますし、ロシア国債の保有も極めて少ないというふうに承知しています。
日本の金融機関は今充実した資本基盤を備えておりますので、現時点でロシア向け与信が日本の金融機関の健全性に与える影響は限定的であると考えております。
ただ、今後のロシア、ウクライナ情勢がどのように推移して波及していくのか、確定的に申し上げることは困難でございますので、内外の金融市場等に及ぼす影響など様々な影響を注視して、日本の金融システムに与える影響をしっかりとモニタリングしていきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/15
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016・熊谷裕人
○熊谷裕人君 前に質問したときも、余り、我が国の金融システム自体には余り影響はないんではないかと答弁をいただいておりましたが、昨夜認定をされたということになります。
ロシアの経済は、四月の末現在で今年のGDPの予測が出ておりまして、マイナス八%から一〇%ぐらいの減速をするんではないかというふうにロシア経済は見られておりまして、このデフォルトを契機にして更なるロシア経済の減速が見込まれるんではないかというふうに思っておりまして、そうなった場合に、世界的な経済に影響も及ぼすでしょうし、我が国の経済にも影響は出てくるんではないかなというふうに思っておりまして、この辺の、ロシアのこのデフォルトを契機にした、まあロシアのウクライナ侵攻という要因もありますが、このデフォルトを契機とした経済状況が我が国の経済にどのような影響があるかと認識しておられるか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/16
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017・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) おはようございます。
熊谷先生より、金融システムへの影響に続いて日本経済への影響についてという問いであると、お答えをいたします。
ロシア経済につきましては、ウクライナ侵略や経済制裁を受け、二〇二二年のGDPは、先ほども先生からお示しされたとおり、IMFによる予測においてマイナス八・五%と、ソ連崩壊後の混乱期以来となる大幅マイナスとなることが見込まれておりますが、ロシアのGDPが世界の全体に占める割合、これはIMFによれば一・七%程度にとどまっており、また日本の輸出相手国としてロシアが占める割合は、これは二%未満となっているなど、ロシア経済の減速それ自体が日本経済に与える影響は限定的であると考えています。
また他方、ロシアによるウクライナ侵略等を主な背景に、原油や穀物等の価格や供給の不安定化など、先行きの不確実性は高くなっており、今後、コロナ禍からの経済社会活動の回復の足取りが大きく阻害されかねないとの認識をしています。
このため、総合緊急対策を迅速に実行することで国民生活や経済活動への影響に対応するとともに、今般成立した補正予算により今後の情勢変化にも万全の備えを固めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/17
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018・熊谷裕人
○熊谷裕人君 こちらも限定的だという認識でおられるというのはよく分かりました。
今、大家副大臣の方から補正予算の話が出たので、次は、財政民主主義についてちょっとお尋ねをさせていただきたいと思っております。
その前に、ちょっとこれも報道で知ったんですが、日銀の二一年度決算を見ました。資産総額が前年対比で三%増になって、総額七百三十六兆円余りの過去最高の資産になっていて、黒田総裁が就任をされてからに比べると四倍ぐらいの資産の規模になっているというのを見ました。そして、日銀から金融機関への貸出しも二〇・四%増、百五十一兆円余り、そしてETFも一・九%増の三十六兆円余り、そして国債の引受けの方は一・一%減の五百二十六兆円余りというような数字を見ました。そしてまた、民間銀行への当座預金残高五百六十兆円というような数字を見まして、これで、日銀の財務がこんなに膨らんでいる中で、ETFの出口とか金利政策の出口をどうしていくのかなというのがちょっと心配になりました。
今日も、昨日のニューヨーク・ダウも下げているみたいですし、今日の日経も下げで始まっているようでございまして、全体的なトレンドが、株のトレンドは、ニューヨーク株がずっとここ一年下げていますから、同じようなトレンドで来ている日経もずっとこれから下がっていくんじゃないかなというふうに思っておりまして、また、利上げでドルの回収が始まっていますので、市場が影響を受けるようなことになって、ますますこの株というものが状況が厳しくなっていく中でのETFの出口、難しくなっていくのかなというふうに思っております。
そういった中で、日銀に国債を、我が国、随分引き受けていただいているんですが、安倍元総理の、日銀は政府の子会社の発言の裏側を私個人なりに、個人でいろいろ考えると、これからも日銀に国債を引き受けてもらえばいいというような意図があるのではないか、それから、元総理は防衛費をGDP二%超、今から、今の防衛費の倍ぐらいの予算にしたいというので、それもまた国債発行だと言っていますので、これも日銀にファイナンスしてもらえばいいというような思惑があるのかなという発言だと勝手に解釈をしておりますが、この国債発行というのは、元々財政法上、赤字国債というのは発行を禁じられているはずだと私は認識しておりまして、今は特例法でこの赤字国債の発行が認められて、常態化をしている状況だと思っています。
コロナ禍という特殊事情で、私もどちらかというと財政均衡派だったんですが、国債の発行は仕方ない、今のこの状況に対応していくにはある程度仕方がないというふうに思っておりまして、思っているんですが、今後、先ほど言ったように国債の発行が更に続いて、日銀に国債を引き受けさせればいいという認識なのかどうか。財政民主主義という観点もありますので、財務省にその辺の認識、国債発行を日銀にこれからも引き受けさせればいいというふうに思っているのかどうかという点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/18
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019・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) 日銀が保有する国債は、日銀が物価安定目標の実現に向けて、金融政策の一環として買い入れているものであり、政府が日銀に国債を買い入れさせているということはありません。
政府としては、今後も永続的に日銀が国債を買い入れるとの前提に立った財政運営を行うことは適切とは考えておらず、また市場からそのような疑いを持たれ、市場の信認を失うような事態を招くことがないようにしていく必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/19
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020・熊谷裕人
○熊谷裕人君 ありがとうございます。そういう認識であるというのを確認をさせていただきました。
財政規律という面では、それでは、これまでも随分引き受けていただいているんですが、これからは今の御答弁のとおりだということも考えて、財政規律という点ではどのようにお考えかを更にお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/20
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021・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) 財政規律という点について御質問いただきました。
政府としては、財政は国の信頼の礎であり、中長期的な財政健全化のためには、プライマリーバランスの黒字化、同時に債務残高の対GDP比の安定的な引下げを目指していくこと、これを政府の方針として閣議決定をしているところであります。
また、累積した債務への対応につきましては、成長と分配の好循環の実現等に向けた取組を強化し力強い成長を実現することに加えて、歳出歳入両面の改革を実行して、継続していくことが重要であり、中長期的な財政の持続性への信認が失われないよう、責任ある経済財政運営を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/21
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022・熊谷裕人
○熊谷裕人君 しっかりと財務省も取り組んでいただきたいなというふうに思います。
次に、ちょっと予備費についてもお尋ねをしたいと思います。
予備費というのは憲法の八十七条の一項と財政法で規定をされておりまして、憲法の八十七条一項では、予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設けて、内閣の責任でこれを支出することができるというふうに憲法上されております。そして、予算の関係の憲法のところは八十三条から始まるんですが、八十三条では、国の財政を国会の議決に基づいて支出をするんだというような規定がございまして、八十五条、八十六条も国会の議決が必要だというふうに憲法上決められております。
国会が事前に議決をしなければ予算の執行ができないということで、国会の役割というものはすごくこの憲法上も高く位置付けられておりますが、この予備費というのは、私は憲法の八十六条の例外で置かれているんではないかなというふうに思っておりますが、今回の二・七兆円の補正予算のうちの一・五二兆円、一兆五千二百億円については、昨日成立をいたしましたけれど、予備費の穴埋めということになっています。
二二年度予算自体も五・五兆円の予備費が積まれておりまして、国会開会中に、昨日の議論の中でも、国会開会中のこの予備費の扱い方というのはどうなのかというような議論がございましたけれど、元々国会開会中ですから、予備費を使うということではなくて、補正予算をしっかりと出して対応するというのが筋だというふうに思っておりますが、この国会開会中であるにもかかわらず、予備費の名目を、コロナ対策というところに物価高対策というところを加えてまで補正予算の中に予備費を組み込んでいくということについて、私は必要がなかったんではないのかなというふうに思っているんですが、その辺の認識についてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/22
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023・坂本基
○政府参考人(坂本基君) お答え申し上げます。
まず、予備費でまずもって対応したという点につきましてでございますけれども、先般策定されました総合緊急対策、これは、新型コロナによります厳しい状況が残る中で、ウクライナ侵攻などの影響により世界規模で不確実性が高まり、原油や穀物の国際価格が変動を伴いつつ高い水準で推移しているといったことから、これらが国民生活や経済活動に重大な影響を及ぼし、コロナ禍からの経済社会活動の順調な回復を妨げることを避けるためのものでございます。
四月二十八日の御指摘の予備費使用決定は、この総合緊急対策に基づきまして、直面する危機に緊急かつ機動的に対応するため、まずは予備費を活用した迅速な対応を優先したものでございまして、憲法、財政法の規定に沿った適切な使用であったと考えております。
その上で、補正予算で予備費を積み増したということについての御指摘がございました。
我が国経済社会、新型コロナの影響が続く中、ウクライナ情勢が原油価格、物価に及ぼす様々な影響について確たる見通しが困難な状況が続いてございます。これらの複合的な影響も見据えまして、状況の変化に臨機応変に対応していく必要があることから、先日成立いたしました補正予算におきまして、コロナ予備費の使途を拡大し、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費とすることといたしました。これは、国民生活を守るという観点から必要な対応であったというふうに考えてございます。
なお、予備費の使用に当たりましては、財政民主主義の観点から、これまでと同様、憲法、財政法の規定に沿いまして適切に使用を判断してまいりますとともに、予備費を使用した場合も含めて、予算措置について国会、また国民の皆様に対して説明責任を果たしていくということが重要と考えてございまして、国会の御判断も踏まえつつ、丁寧な説明に努めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/23
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024・熊谷裕人
○熊谷裕人君 しっかりと使い方についても、まあ国会に後から承認求めなきゃいけませんので、しっかりと説明をしていただきたいんですが、やっぱり先ほど言ったように、予備費というのは八十七条の一項で予見し難い予算の不足に充てるためというふうに規定をされているわけですから、何かコロナとか物価高みたいなところの名目を付けて積んでいくというのは私は避けていくべきだというふうに思っております。
それから、今まで政府の方は、予備費の支出については繰り返し、比較的軽微な経費に充てるという形で閣議決定をなされてきたというふうに私は捉えておりますが、今回の一・五兆円というのはこの比較的軽微なという経費に入る規模なんでしょうか。
これまで、一年の年度予算の中で予備費というのは当初二千億円、そして大きな災害がずっと続いてきたので五千億円に積み増すということは国会も了承して五千億にしていた。それが、コロナということで十兆を超えるような予備費だったり、今回も五・五兆円の予備費。そして、一回の予備費の支出のところが一・五兆円というのはこの軽微な経費というところに私は当たらない、今までの閣議決定に反する行為だというふうに思っているんですが、その辺の認識、どのようにお考えなのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/24
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025・坂本基
○政府参考人(坂本基君) お答え申し上げます。
政府といたしましては、国会開会中の予備費使用につきましては、閣議決定によりまして、主に四つの経費についてのみ使用を決定することができるということを決めてございます。
第一に、事業量の増加等に伴う経常の経費、二番目のカテゴリーが、法令又は国庫債務負担行為により支出義務が発生した経費、三番目といたしまして、災害に起因して必要を生じた諸経費その他予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる緊急な経費、そして第四に、御指摘のその他比較的軽微と認められる経費という四つを掲げてございます。
先生御指摘の四月二十八日に使用した予備費につきましては、この閣議決定に掲げられたもののうち、四番目のこの比較的軽微という経費ではなくて、三番目のその他予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる経費という考えの下、使用を決定したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/25
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026・熊谷裕人
○熊谷裕人君 三番目の時間的なというところの理由を今おっしゃっていましたけれど、一・五兆円が本当に予備費というところに当たる額なのかどうかというところも私は問題意識を持っていまして、私の認識は、今お答えいただいた三番目じゃなくて比較的軽微なところという意味だと思っていたので、一・五兆円というのは大き過ぎるんじゃないかと、その閣議決定からすると大き過ぎるんではないのかなというふうに思っておりまして、これからも、まあ今三番目という、三番目の時間的な猶予がないというところでの御答弁でありましたけれど、これからも、この予備費、元々そんなに大きな額ではないけれど緊急を要するものであるから支出をするというような予備費を、今後も一兆円を超えるような額、そしてこの間のように一・五兆円というような大きな額の予備費の執行というものを、これからも政府として考えていくのか、それとも今回が特別であって、これからこの一・五兆円という予備費の規模というのはスタンダードではありませんよという考えなのか、どちらなのかをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/26
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027・坂本基
○政府参考人(坂本基君) お答え申し上げます。
今後の財政需要につきまして、先ほども申し上げましたように、現下のこの不透明な状況が続く中、国民生活を守っていくという観点に立ったときに、あらかじめこのような規模の予備費は想定できないといったことをなかなか定量的に申し上げることは難しい状況にあると考えてございますが、いずれにいたしましても、予備費の使用につきましては、必要性、緊急性などについてよく所管省庁との間でも議論、検討を行った上で、憲法、財政法、閣議決定に沿った形で丁寧に決定してまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/27
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028・熊谷裕人
○熊谷裕人君 国会開会中は、できれば予備費というものは私はなるべく使わないで、国会のやっぱりこの予算の審議権というのもありますし、憲法でも国会の議決が必要だというふうに八十三条、八十五条、八十六条というところで言われているわけですから、しっかりと予備費ということではなくて補正予算というような形で国会の議決を経てから執行するように私はしていただきたいなというふうに思っております。
続いて、資金決済法の法案の中身について入っていきたいと思いますが、まず最初に、マネーロンダリング対策についてお尋ねをしたいと思います。
今回というか、二〇〇八年の十月に、FATFの方の第三次対日相互審査報告書で、我が国はこのマネーロンダリング対策について通常フォローアップ国の評価を受けておりました。そして、二〇一四年の六月には、FATFの方から日本を名指しして不備への迅速な対処を促す声明が出され、そしてそれを受けるような形で、政府の方でも国民の安心、安全を確保して健全な経済を維持発展させていくために、これまでの、何というんですかね、犯収法を始めとしたマネーロンダリング対策だとか、テロ対策、テロ資金供与対策に対するガイドラインを作ったりということで、様々な金融機関向けの指針も作ったりして対処をしてきました。
その上で、この二一年の八月三十日に今度は第四次の報告書が公表をされているんですが、この第四次の報告書でも三次に続いて余り高い評価を得られなかった。様々なことを対策してきたにもかかわらず、重点フォローアップ国としての分類となってしまったというふうに私は認識をしておりますが、いろいろとFATFに勧告を、勧告じゃないですね、報告書で指摘をされて、いろいろやってきたのに、また第四次でも余り高い評価を得られなかったというところに対して、この国際的な評価が何で高くなかったのかなというふうにちょっと疑問を抱いているんですが、大臣としてはこの辺の国際的な評価が余り高くなかったというところについての所見をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/28
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029・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 先生御指摘がございましたが、FATFの第四次対日審査では、日本のこれまでのマネロン、テロ資金供与対策は成果を上げていると評価された一方におきまして、金融機関等に対する監督など、一層の強化に向け、優先的に取り組むべき事項が示されました。そして、日本は米国やカナダと同様に重点フォローアップ国の範疇にランクされたところでございます。
このため、政府といたしましては、昨年八月の対日審査報告書の公表を契機といたしまして、財務省、そして警察庁を共同議長といたします政策会議を設置をいたしまして、行動計画や基本方針を決定、公表をいたしました。それとともに、必要な法整備の検討を含めまして取組を現在進めているところでございます。
マネロン等をめぐる情勢、これは、経済、金融サービスのグローバル化でありますとか技術革新による資金の流れの多様化など、絶えず変化をしているという分野であると思いまして、日本といたしましても世界各国が年々強化されるFATF勧告にしっかりと対応することが重要であると、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/29
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030・熊谷裕人
○熊谷裕人君 今大臣から、大変、今、年々複雑化をしているというふうに、金融システムの方も複雑化をしてますけれど、逆に言うと、マネロンの犯罪も複雑化、グローバル化してきて、まあイタチごっこみたいな形になっているんじゃないかなというふうに思っておりまして、本格的なマネロン対策の法案というものが必要だというふうに私は思っておりますが、政府として今現状、この本格的なマネロン対策法については現状どのようになっていて、今後どのような対策を考えているのか、マネロン対策法についての検討状況というのをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/30
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031・村井紀之
○政府参考人(村井紀之君) お答えをいたします。
昨年八月に公表されました第四次FATF対日相互審査の結果を踏まえまして、我が国のマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策を強化するため、内閣官房におきまして関係省庁と連携をしましてFATF勧告に対応するための法改正を取りまとめているところでございます。
法案の具体的内容につきましては現在検討中でありますけれども、早期にマネロン等の対策を強化し、国際基準に引き上げることが必要でありまして、今後できる限り早く国会に提出できるよう検討を加速させてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/31
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032・熊谷裕人
○熊谷裕人君 検討中という御答弁でございました。できるだけ、今国会に出るんじゃないかなという話もあったところでございますので、できるだけ早く検討を済ませて、できるだけ早い時期に国会に提出をしていただいて、国際的な評価に堪えられるだけのマネロン対策を我が国もしているんだというふうに姿勢を示してもらいたいなというふうに思っております。
今の御報告、今の答弁で検討中ということもありましたけれど、私が今言ったように、国際的な評価につながるマネロン対策に関して、財務大臣というか金融担当大臣としてどのように今後対処をしていくか、御決意をお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/32
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033・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほども申し上げましたけれども、マネロン等をめぐります情勢、これは、経済、金融サービスのグローバル化でありますとか技術革新による資金の流れの多様化などによりまして、絶えず変化をしております。日本としても対策を強化していくことが必要であると、これは先生の御指摘のとおりでございます。また、世界有数の金融セクターを有する我が国がマネロン等対策を強化することは国際的にも意義は大きく、開かれた国際金融センターを実現していく上でも重要なことであると思います。
引き続きまして、政府一体となって、国民の理解と協力を得ながらマネロン対策等の一層の向上に取り組んでいく決意であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/33
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034・熊谷裕人
○熊谷裕人君 しっかりとお願いをしたいと思いますし、国会としてもしっかりと対応しなければいけないというふうに思っております。
具体的中身に入りたいと思います。電子決済法、電子決済手段等への対応についてまずお尋ねをしたいと思います。
なかなか、ステーブルコインだとか暗号資産というと私の頭の中じゃなかなか理解しにくいシステムなんですが、今回の法案を通して、電子決済手段等の取引業者に、発行者に加えて新たに仲介者の創設がなされます。
資金決済ワーキング・グループでも、グループの中の報告書を読ませていただくと、その議論の中で、その発行者と仲介者を分離することに当たって幾つか課題があるんだというような議論があったというのを見させていただきました。そして、また、それぞれの発行者、仲介者というところの規律の問題にもいろいろ課題があるというふうに指摘をされておりましたが、この今回の法案の中で発行者と仲介者を分離をしたというところは、このワーキング・グループの指摘を踏まえながらそういうふうに決定をされていると思っているんですが、発行者と仲介者とそれから利用者にとって、今回その仲介者を置いたということはどのようなメリットがあるのか、お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/34
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035・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
近年、金融のデジタル化というものが進む中で、法定通貨と価値を連動させた、先生御指摘のステーブルコインを用いた取引が海外において増加しているわけでございます。こうしたステーブルコインは、元々、為替につきましては、発行者と仲介者、同じ方がサービスを提供するというのが従来の為替取引でございますが、そこが分離されているというところが一つの特徴でございます。
こういった中で、ステーブルコインにつきましては、将来的に幅広い分野で送金・決済手段として用いられる可能性があるという御指摘をいただいている一方で、海外の当局などから利用者保護、マネロン上の課題を指摘されていると、そういったものもあるわけでございます。
こうした状況を踏まえまして、金融審の報告書では、広く送金・決済手段として用いられるステーブルコインというものにつきまして、仲介者を業規制の対象に含めるとともに、発行者と仲介者を併せた全体としての適切なガバナンスの確立が重要であるというふうにされているところでございます。
現行の資金決済法でございますけれども、暗号資産という規定がございます。そこの規定の定義からは通貨建て資産というものは除かれてございまして、現在、ステーブルコインの取引を仲介する行為については、資金決済法上の規制というものがある意味掛かっていないという状況になってございます。こういった中で、今申し上げましたような金融審の報告書を踏まえまして、本法案では、広く送金・決済手段として用いられるステーブルコインにつきまして、その取引の仲介者に登録制を導入するなどの措置を講じているところでございます。
こうした対応におきまして、ある意味ステーブルコインに関する制度上の取扱いが明確化されるということでございますので、利用者にとっては、適切な利用者保護の下、利用者利便に資する決済サービスが利用可能になるということだと考えてございますし、発行者や仲介者につきましては、適切な利用者保護やマネロン対策などを図りつつ、分散台帳技術を活用した新たな決済サービスの提供が可能になると、こういったメリットがあると考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/35
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036・熊谷裕人
○熊谷裕人君 また一方、一定の要件を満たせば、その今言った分離を、仲介者を置くという法律の中身だったんですが、一定の要件を満たせば、発行者と仲介で、発行者が仲介をできるという特例が設けられていますけれど、その理由は端的に言うと何なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/36
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037・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、現行のデジタルマネーに関する規制におきましては、発行者と仲介者の分離を前提としていないということでございますので、発行した方は仲介もできるという枠組みになってございます。まあ銀行ですとか資金移動業者でございますけれども。
今回の電子決済手段の取引業者の行為というものは、利用者と発行者の間に立って電子決済手段の売買、交換、これらの媒介、管理を行うというものでございまして、現行の制度の下では発行者自身、銀行、資金移動業者が自らできるというものを、発行者以外でもできるというふうにしている枠組みでございます。
逆に申しますと、発行者が、自分が発行したものについて、所定の業登録の取消しから一定の期間を経過しないと、登録拒否事由に該当しない場合でございますけども、そういった場合には、改めて電子決済手段等の取引業の登録を受けることなく、届出で売買、交換、これらの媒介、管理を行うことができるようにするといった、行うようにできるとするとともに、こうした業務につきましては、当該発行者を電子決済手段等取引業者とみなして所要の規制を適用するということで、業者の手続上の便利を図っているというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/37
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038・熊谷裕人
○熊谷裕人君 あと、その利用者保護というところを私は重要だというふうに思っておりまして、世界で発行されているステーブルコイン暴落なんというニュースを見まして、アメリカや韓国で今大変なことになっているというようなニュースを見ておりますと、この利用者保護というところを大切にしなきゃいけないな、片や金融イノベーションの推進ということをしっかりとやっていかなければいけないというふうに思っておりますが、その両立についてどのようなバランスを取っていかれるのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/38
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039・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 電子決済手段や暗号資産等を取り巻く環境がグローバルにかつ急速に変化する中、金融庁といたしましては、利用者保護やマネロン対策等の確保とイノベーションの促進による利便性の高いサービスの実現、この二つについて両立をさせていくことが重要であると認識をしているところでございます。
こうした課題に的確に対応していくためには、民間事業者のビジネスについて実態把握やフォローをしっかり行い、規制がイノベーションを阻害していないか、あるいは利用者保護に支障が生じるおそれはないかなどを絶えずチェックしていく必要があると思っております。
また、海外のビジネス動向や規制、監督に関する国際的な議論を把握することも適切な行政判断を行っていく上で重要でありまして、金融庁としては、こうした議論に積極的に参加、貢献するなど取組を現在行っているところでございます。
引き続きまして、こうした取組を通してビジネスの環境変化に適切に対応し、利用者保護とイノベーション促進の両立、これを図るように努めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/39
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040・熊谷裕人
○熊谷裕人君 ありがとうございます。しっかりと利用者保護に重点的に取り組んでいただきたいなと思います。
時間がなくなってきてしまいましたので、次の為替取引分析業者のところで幾つか質問させていただきたいと思いますが、この取引業者の許可要件の中に、複数の金融機関等のというふうに規定をされております。金融庁として、この取引業者を検査、監督していくという観点からすると、どれくらいの委託業者の数を適正と捉えているのか、ワーキング・グループの報告書も目を通しておりますが、改めて金融庁としての考え方をお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/40
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041・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
本法律案におきます為替取引分析業に関する規制につきましては、多数の金融機関から委託を受け、その業務の規模が大きくなる場合に、金融機関による為替取引分析業者に対する管理、監督に関する責任の所在が不明瞭となる、その実効性が上がらないおそれがあるんじゃないかということ、それから、為替取引分析業者はマネロン対策などの中核的な部分を担うものでございまして、業務が適正に、適切に行われなければ日本の金融システムに与える影響が大きいものとなり得ると考えられるところから、一定の規模、態様の為替取引分析業者に対し当局による直接の検査、監督を及ぼすことで業務運営の質を確保するというものでございます。したがいまして、本法律案におきまして、為替取引分析業というものは主務大臣の許可制ということでございます。
他方、業務の規模、態様が当該業務に係る委託元の金融機関の数その他の事項を勘案して主務省令で定める場合であるときは、この限りでないと、すなわち適用除外となるという枠組みになっているところでございます。
御指摘の委託金融機関の数も含めまして、どういう場合に適用除外となるかにつきましては、主務省令で定めるということでございますが、先ほどございました金融審の報告書の中では、委託を受ける業務が小規模な場合など一定の態様で業務が行われる場合には業規制の直接の対応とする必要は必ずしもないとされているところでございまして、こういった趣旨や金融機関などにおきます業務の個別具体的な実施状況を踏まえた上で判断してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/41
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042・熊谷裕人
○熊谷裕人君 時間がなくなってしまいましたので、ちょっとプリペイドカードのところは飛ばしまして、金融庁の組織体制についてちょっと決意をお尋ねをしたいと思います。
大変いろいろと複雑化して、世界の、このフィンテックの世界、すごいスピードで、日進月歩で進んでいるところに対応していかなければいけませんので、金融行政を進めるに当たって、専門家だとか、それから今いる金融庁の職員さんのスキルアップというのは当然必要になってくると思いますが、この必要な体制の整備を金融大臣としてどのように考えているのか、御決意をお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/42
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043・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) ステーブルコインを含むフィンテック分野の検査、監督におきましては、利用者保護が図られるよう、利用者財産の保全、システム管理体制や法令遵守体制の整備などを求めていくことと実効的なマネロン対策を確保すること、これが重要と考えております。
進展のスピードが非常に速いフィンテック分野の金融サービスに的確に対応していくため、金融庁におきましては、これまでも暗号資産交換業や資金移動業などの検査、監督に関する機構、定員の充実に加えまして、法律、会計、ITの専門的知見を有する外部人材の確保、金融庁内での研修を通じた職員のスキルアップなど、体制の増強を図ってきたところでございます。
今後とも、こうした取組を通じまして、監督当局として十分な検査監督体制の構築に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/43
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044・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 時間です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/44
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045・熊谷裕人
○熊谷裕人君 はい。
国民を守るためであれば、私もしっかり勉強して後押しをしていきたいと思いますので、大臣、よろしくお願いいたします。
終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/45
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046・山本博司
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
本日は、資金決済法の改正案について質問をしたいと思います。
今回の改正案では、金融のデジタル化などに対応し、安定的かつ効率的な資金決済制度の構築の必要性から、ステーブルコインの規制導入などが盛り込まれている次第でございます。
この法改正が施行されますと、ステーブルコインが定義をされ、決済や送金などの電子決済に利用が大きく広がることが予想される次第でございます。一定の規定が定まることにより方向性が明確になるため、例えばスマートフォンで写真を送るように簡単に送金できるなど、イノベーションの進展によって資金決済の利便性は一層高まると思います。また、銀行口座を持たない貧しい国の人でも利用できるため、貧富の格差の是正という観点から普及が期待されている面もあると言われております。
そこで、まず、この法改正におけるステーブルコインの定義について確認するとともに、電子決済手段としてのステーブルコインの可能性、どのように認識しているか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/46
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047・黄川田仁志
○副大臣(黄川田仁志君) 委員の御質問のいわゆるステーブルコインについては明確な定義は存在しておりませんが、一般的には、特定の資産と関連して価値の安定を目的としたデジタル資産で、分散型台帳技術を用いるものとされております。
近年、金融のデジタル化が進む中で、法定通貨と価値を連動させたステーブルコインを用いた取引が海外において増加しております。こうしたステーブルコインにつきましては、将来的には幅広い分野で送金・決済手段として用いられる可能性も指摘される一方で、海外の当局等から利用者保護やマネロン上の課題を指摘されているものも存在しております。
このような状況を踏まえまして、本法案により、広く決済手段として、送金・決済手段として用いられるステーブルコインにつきまして、その取引の仲介者に登録制を導入するなどの措置を講じることといたしました。足下で金融決済システムをめぐる国内外の環境が急激に変化する中、今後の動向を見通すことは容易ではございませんが、金融庁といたしましては、国際的な動向等を注視しながら、適切な利用者保護やマネロン対策等を図りつつ、分散台帳技術等を活用した金融イノベーションを促進することが可能となるよう、不断の制度見直しに努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/47
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048・山本博司
○山本博司君 今お話しされましたような可能性がある一方で、投機的な側面やマネーロンダリングの手段としての悪用やテロ資金への活用、ハッキングによる消失も話題になっておりまして、暗号資産の規制強化、これも必要となってきております。
今回の法改正は、二〇二〇年十月のG20財務大臣・中央銀行総裁会議が公表した声明を踏まえまして、米欧の各国と協調して検討されてきたと認識をしております。我が国だけが規制しても、取り締まることはできないわけでございます。国際的な連携が重要であると考えますけれども、海外における規制の動向どのようになっているのか、また、これまで我が国がどのような役割を国際社会で果たしてきたのか、御報告をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/48
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049・有泉秀
○政府参考人(有泉秀君) お答え申し上げます。
アメリカが、フェイスブックが公表したリブラ構想も踏まえまして、日本が議長を務めますG20財務大臣・中央銀行総裁会合は二〇一九年十月にプレスリリースを公表しております。その中で、グローバルステーブルコインについて、政策や規制に関連する一連のリスクに適切に対処しなければサービスを開始してはならないという認識を示したところでございます。
G20での議論も踏まえまして、二〇二〇年の十月に、金融安定理事会、FSBは、グローバルステーブルコインに関する十のハイレベルな規制、監督、監視上の勧告を公表しております。こうした国際的な議論を受けまして、アメリカや欧州においても、今回の法案と同様に、規制の導入に向けた動きが本格化しているものと承知しております。足下、金融安定理事会、FSBでございますが、市場動向や各国の規制対応状況も踏まえながらこの勧告の見直し作業を進めているところでございます。
金融庁としては、今後ともこうした国際的な取組に積極的に貢献していきたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/49
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050・山本博司
○山本博司君 ありがとうございます。
この暗号資産に関連をしまして、四月に成立しました外為法の改正では、暗号資産が制裁の抜け穴として悪用されるのを防ぐために、制裁対象者から第三者への暗号資産を移転する取引等を規制対象とするほか、暗号資産交換業者に対しても、銀行等と同様に、制裁対象者に関する移転ではないことを事前に確認する義務を課した次第でございます。
そこで、財務省に伺いたいと思います。
この外為法改正を受けまして、ロシアがビットコインなどの暗号資産を使って経済制裁を回避するのを阻止するために、財務省としてどのような対応を行っているのか、現在の対応状況、御報告いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/50
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051・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) 山本先生より、改正に伴う財務省の対応についてお尋ねをいただきました。
先般御審議をいただき成立をいたしました外為法改正により、暗号資産交換業者は、銀行等と同様に、制裁対象者に係る暗号資産の移転ではないということを事前に確認する等の義務を負うこととなりました。
具体的には、この暗号資産業者において、大きく三つの対応を行っていただくことといたしております。まず一つ目は、自身の顧客に制裁対象者がいないかを確認すること。二つ目に、暗号資産の移転先が制裁対象者であるとき又はその疑いがあるときにはその移転を行わないこと。三つ目は、制裁対象者からの暗号資産の移転の依頼を取り次がないこと等の三つの対応を行っていただくこととなっております。
このうち、顧客に制裁対象者がいないかの確認、一つ目でありますけれども、これは犯罪収益移転防止法により既に義務付けられており、この確認を実施していれば、制裁対象者からの依頼を取り次がないことという三つ目の対応についても実態的に対応していると認識をいたしております。
また、暗号資産の移転先が制裁対象者である等の場合にその移転を行わないという二つ目についてでありますけれども、制裁対象者に係るアドレスをリスト化したものの利用等を推奨しており、業界全体として利用が進みつつあると、ほぼ全ての業者が行っていただいておると認識をいたしております。
こうした確認義務を適切に行っていただくため、財務省では、暗号資産取引業者に対して複数回にわたって直接の説明会を行ったほか、文書での周知を行うなど、制裁の実効性確保に向けて鋭意取り組んでおります。
三月のG7首脳声明におきましても、G7各国は暗号資産を制裁回避の手段として活用することができないことを確保するとされており、引き続き、G7を始めとする国際社会と緊密に連携をして、暗号資産が制裁の抜け穴とならないよう適切に対応してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/51
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052・山本博司
○山本博司君 ありがとうございます。
次に、法案の内容に関して伺います。
今回新たに創設しました電子決済等取扱業、電子決済手段等取引業につきましては、届出制ではなく登録制として、業務運営の質を確保し、利用者保護、またマネロン対策を行うこととしている次第でございます。
当局によるこの検査、監督で、一定の質の担保、これは保たれると思う次第でございますけれども、この登録制をすることでこの仲介者に対しましてどのような規制を行い、利用者保護につなげようとお考えなのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/52
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053・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
委員御指摘の電子決済手段等取引業でございますが、登録制を導入して利用者保護に必要な措置を講ずるわけでございますが、利用者保護の措置といたしましては、サービスの利用者がその業者について銀行などの他の事業者と誤認しないようにきちんと説明した上で、取り扱います電子決済手段の内容、それからその手数料等の契約内容について情報提供を行うと、それから利用者から預かりました電子決済手段をきちんと分別管理すると、それから利用者に損害が生じた場合における賠償責任の所在の明確化のため発行者との間で契約締結を行うべきということを規定して、講じなければならないとしているところでございます。
こうした対応によりまして、我が国におけるステーブルコインの制度上の取扱いが明確化され、利用者保護、マネロン対策等を図りつつ、利便性の高いサービスの提供を始めとする金融イノベーションの促進が可能になると考えているところでございます。
なお、具体的な中身につきましては、内閣府令、ガイドラインなどによって定めるということにしてございまして、関係者の皆様の御意見も伺いながら適切に検討してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/53
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054・山本博司
○山本博司君 また、今回の法改正によりまして、為替取引分析業も定義を定めております。
許可制を導入することで、この為替取引に関する取引フィルタリング、取引モニタリングの共同化が可能となっておりまして、マネロン対策の改善につなげることになっている次第でございますけれども、この為替取引分析業を共同化することでこのマネロン対策に対するメリットはどのような効果があると考えているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/54
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055・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
マネロン対策につきましては、足下、国際的に金融機関に対しましてより高い水準でのマネロン対策の実施というものが求められているわけでございますが、他方で、中小規模の金融機関におきましては、システムの整備、人材確保などの面で単独での対応が難しいという声があると承知してございます。こういった中で、銀行界におきましてはマネロン対策の共同化といった検討が進められていると承知してございます。
こういったマネロン対策の共同化の取組の効果といたしましては、各金融機関のマネロン対策の知見、ノウハウが集約されまして業界全体として活用可能になるといった点もございますし、さらには、より高度なシステムを共同で整備するということが可能になりまして、業界全体としてのマネロン対策の高度化、効率化が図られるということかと考えてございます。
こういった点によりまして、各金融機関におきますマネロン対策の実効性の向上が図られますと、詐欺などの犯罪の未然防止、犯罪の関与者の捕捉といった点のほか、被害者の損害回復といった点でも利用者保護につながるということが期待されるところでございます。
金融庁といたしましては、引き続き、銀行などによるマネロン対策の共同化の取組がより実効性のあるものになるよう、業界としての取組をフォローしてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/55
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056・山本博司
○山本博司君 次に、この暗号資産取引に伴う消費者問題に関してお伺いをしたいと思います。
今回の改正でこの暗号資産が資産決済の手段として活用することが想定されましたけれども、暗号資産というものは、現在のところ、まだ、決済手段というよりは投機というか、投機目的で利用する人が圧倒的に多いと思われます。先日も、ネットカジノから暗号資産へ資金が流れているのではといった報道もあった次第でございます。また、若い人の間で気軽にこの暗号資産に投資する人が増えているという話もお聞きをしております。これ大きな消費者問題につながることでございまして、注意喚起、これが必要でございます。
そこで、消費者庁に伺いますけれども、この消費生活相談として、暗号資産の関連する相談がどのように寄せられているのか、最近では増えているのか減っているのか、また、トラブルを回避するためにはどのような注意喚起を行っているのか、対応状況を報告いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/56
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057・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
委員御指摘の暗号資産に関し、全国消費生活情報ネットワークにおける相談件数についてここ三年間の状況を見ますと、現時点では、二〇一九年度は二千八百一件、二〇二〇年度は三千三百四十七件、二〇二一年度は六千三百四十三件程度と承知しております。
具体的な相談事例といたしましては、例えば、絶対にもうかるなどと持ちかけられて投資をしたが、返金されない、出金できない、また、無登録業者に勧誘されて投資をしたが、その後当該業者と連絡が取れない、また、マッチングアプリで知り合った者に勧誘されて投資をしたが、その後返金されない、連絡が取れないといった趣旨のものがあると承知しております。
こういった相談の傾向も踏まえまして、消費者庁においては、金融庁等の関係省庁と連携しつつ、暗号資産に関する注意喚起を行っているところでございます。
具体的には、金融庁、財務局での登録の有無など、暗号資産交換業者の情報を確認すること、また、マッチングアプリ等で知り合った人から投資の勧誘を受けても安易に投資をしないことを主なポイントといたしまして、暗号資産に関するトラブルに御注意いただくようにお願いしているところでございます。
暗号資産に関する消費者被害の防止に向け、消費者庁といたしましても、引き続き、金融庁等の関係省庁と連携しつつ、消費者への適切な注意喚起に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/57
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058・山本博司
○山本博司君 これに関連しまして、国税庁にお聞きしたいと思います。
急拡大するこの暗号資産の取引によりまして、所得の申告漏れ、また無申告が相次いでいるともお聞きしております。国税庁は二〇一七年に、この暗号資産による取引の利益、雑所得として確定申告の対象として取締りを強化しているわけですけれども、しかしながら、SNS上では暗号資産同士の交換は非課税といった誤った情報も出回るなど、認識不足から巨額な追徴課税を求められるケースもあると、こう聞いている次第でございます。こうした誤った情報を打ち消して正しい知識を伝えることも大変大事でございまして、取締りを強化することが納税意識の向上にもつながると思います。
こうした適切な納税に関する周知、広報、しっかり取り組んでいただきたいんですけれども、国税庁の対応状況をお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/58
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059・重藤哲郎
○政府参考人(重藤哲郎君) お答えいたします。
国税庁としましては、暗号資産の取引を行った納税者の方に適正に申告をしていただけるよう、的確な周知、広報に取り組むとともに、適正に納税を行っている方々が不公平感を抱くことのないよう、申告誤りの適切な是正を通じて適正、公平な課税を実現することが重要だと考えております。
主な周知、広報の取組としましては、国税庁ホームページに暗号資産の売却等による所得などの申告漏れに関する注意喚起について掲載をするほか、暗号資産関連団体を通じて、各交換業者や利用者に対して、暗号資産の税務上の取扱いについてまとめたFAQなどの周知について協力依頼を行うといったことをしております。
加えまして、暗号資産取引について、あらゆる機会を通じて課税上有効な各種資料情報の収集に努め、所得を捕捉し、無申告も含め、課税上問題があると認められる場合には的確に税務調査等を実施してきたところでございます。
国税庁としましては、適正、公平な課税の実現に向けて、引き続き周知、広報や申告誤り等の適切な是正に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/59
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060・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 時間が参っておりますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/60
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061・山本博司
○山本博司君 最後に大臣に、この利用者保護、大変大事だと思いますけれども、最後に、暗号資産取引に関する、注意喚起に関する大臣の決意を最後にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/61
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062・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 時間が参っておりますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/62
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063・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) はい。
ただいま消費者庁から御説明ございましたが、暗号資産取引については様々なトラブルが生じておりますので、利用者保護を図る観点から、利用者への注意喚起、これを十分に行っていかなければならないと、そのように考えているところでございます。
金融庁といたしましては、これまで消費者庁、警察庁と連名で、暗号資産の取引上の注意点、被害事例をまとめ、注意喚起を実施しております。この注意喚起の内容につきましては、金融庁に寄せられた最新の相談内容などを踏まえまして適宜見直しを行っておりますし、また、その周知方法につきましても、金融庁のウエブサイトのみならず、ツイッター、ユーチューブといった媒体を活用するなど、情報発信にも強化しているところでございます。
今後とも、こうした取組をしっかりと行いまして、暗号資産取引に関する注意喚起の充実に努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/63
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064・山本博司
○山本博司君 質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/64
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065・大塚耕平
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
今回の法案は大きく三つの内容が含まれているんですが、限られた時間ですので、銀行等による取引モニタリング等の共同化に関連してお伺いしたいと思います。
この法案では為替分析業なる業務が創設をされるわけですが、為替取引のフィルタリングとかモニタリングは、しからば現在は、各金融機関はどのように行っているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/65
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066・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) 御質問の為替取引分析業、現在は各金融機関どうしているかということでございます。
実際の業務の実施方法、様々でございますけれども、例えば各金融機関におきまして自ら分析を行う、情報システムを保有いたしまして自行内で行うケースというものもございますし、同じ業態の一定の金融機関において勘定系など基幹的な情報システムを共同化するという動きがございますけれども、そういうことを行っている場合に、それと併せて共同で行っているというケースもあるというふうに承知してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/66
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067・大塚耕平
○大塚耕平君 であれば、そのままやってもらってもいいような気もするんですが、この度、新たにこういう業をつくるというのは、今では足らざる部分があるという理解でいいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/67
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068・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) まさに、御指摘のように、二つございまして、一つは、先ほど来ございますFATFの議論もございました。国際的により高度なマネロン対策が求められているという事情もございますし、それから、今共同化の例を申し上げましたけれども、そういったものだけでは必ずしも対応できないということで、さらに、共同化を更に一歩進めたいという金融機関サイドの方の事情もあるというふうに認識しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/68
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069・大塚耕平
○大塚耕平君 なるほど、事情は理解しました。
そうすると、この為替分析業を行う、それを受託する株式会社を設立できることになっているんですが、その企業に対して政府は出資することができるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/69
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070・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
今回の法律案におきましては、為替取引分析業者に関する規制というものにおきまして、為替取引分析業における業務の実施態様、これが様々だということを踏まえまして、株主につきましては特段の制限を設けてございません。為替取引分析業の運営主体、それからそこに業務を委託する金融機関の経営判断に委ねるという枠組みでございます。
したがいまして、本法律案の枠組みにおいて、為替取引分析業者において政府関連の資金を出資として受け入れることは制度上排除しているというものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/70
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071・大塚耕平
○大塚耕平君 出資者に特に制限を設けていないということは、外国資本や外国企業も出資できるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/71
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072・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) この為替取引分析業の許可をする、する際の資料といたしまして、どういう人が株主になるかというものも見る枠組みとしてございます。
それから、当然でございますけれども、情報を取り扱うという業務の特性に鑑みまして、業務が適正に行われるかどうかということを許可の中できちんと見ていくということかと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/72
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073・大塚耕平
○大塚耕平君 大臣、今のやり取りを聞いていただいていて、どのようにお感じになっているか、また後でちょっとお伺いしたいんですけれども、マネロン対策もしなきゃいけないので、その為替取引のモニタリング、フィルタリングを現在もしていると。現在もマネロンに対して各金融機関がちゃんとチェックをしてくれてあるのであれば、別にそのままにしておけばいいわけですよね、やってもらえばいいわけですから。だけど、改めて、それでは不十分な点があるので、今回、業を設けると。まあそれも分からないではありません。さりながら、その業を設けて、それを担う会社は特に出資について制限は設けてないので、審査の段階でチェックするということは確かにおっしゃっていただいていると。
なぜこういうことを伺っているかというと、証券取引等監視委員会があるわけですね、現に。証券取引については、政府の機関としてまさしくその取引のモニタリング、フィルタリングをやっているわけです。私は、もし日本の金融機関が為替取引のフィルタリング、モニタリングで不十分な点があるという観点で今回これをおつくりになるのであるならば、証券取引等監視委員会のように為替取引等監視委員会というものを公的関与の下でつくる方が実質的な意味があるのではないかなという気がするんですが、大臣にはまだお伺いしませんけども、なぜ今回はそういう選択をしないでこの業の方でアプローチをするのかは金融庁内ではどういう議論が行われたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/73
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074・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
先生御指摘の監視委員会との比較というのが一つあろうかとございます。
監視委員会の業務は大きく三つございます。一つが、例えば証券会社に対するモニタリングというのもございますし、それから、ディスクロージャー、企業の開示に対するチェックというものもございますが、もう一つございますのが、不正な取引を見るというものでございます。いわゆる金商法に定めています不公正取引、インサイダーなどをチェックするということでございますが、この三つ目の分野につきましては、我々は何人も規制と申しますが、何人の間でもそういう取引をやってはいけないというタイプのルールでございまして、それをモニタリングするのが監視委員会という立て付けになっているところでございます。
今回の為替取引分析業につきましては、基本は為替取引でございますので、為替取引というのは、もちろん受注する、サービスを受ける方は幅広くいらっしゃるわけですけれども、サービス自体は基本的には金融システムのネットワークの中で行われるというものでございまして、ある意味、為替取引というのは銀行業務の中の中核でもあるという性格もあるということでございますので、その何人も規制をモニタリングするというのではなくて、まさに銀行が中核として行っています為替取引業の枠の中での業務を見てもらうということで、共同化という発想になったということと承知してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/74
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075・大塚耕平
○大塚耕平君 今回の内容が悪いと申し上げているわけではなくて、今僕が質問させていただいているような切り口でのより深い検討はあってもいいんではないかなということを申し上げています。
というのは、まさしくその何人規制よりも、じゃ、その為替の取引のフィルタリング、モニタリングは難しいのか簡単なのかということとも関係してくるんですけれども、むしろ私は難しいと思うんですよ、為替の取引。そもそも、実際にディールをやるその取引者の背後に誰がいるか、これは証券取引でも一緒ですけどね、一緒ですけども、私の経験上はよりディープな感じもしますし、それから、今回三つの項目が入っているうちの電子決済手段の、本来は電子決済手段、暗号資産でいろいろ決済をやっているのでそれでコンプリートのはずなんですが、それを現実のマネーに置き換えて、最後、ディールした同士の決済をこの為替取引でやるというケースも現に幾つか知っているんですけれども、そういうことも起きるので、私は、もし日本の金融機関が今独自にやっていることで不十分な面があるかもしれないということであり、かつ今の日本の金融機関の現状を踏まえると、公的関与の下でこの業をやった方がいいのではないかなと。
したがって、その政府出資を幾ばくか行って、例えばメガバンク三行でこのフィルタリング会社つくって、まあメガバンクはしっかりやってくれるとは思いますけれども、思いますけれども、ちょっと古い話になりますが、バブル崩壊後の様々なあの当時の金融機関の不祥事のフロントで実務を処理した立場からすると、性善説に立ってこの件を考えていいと一〇〇%言い切る自信は個人的にはないなと思っています。
したがって、この新たな業を設けて共同出資会社を認めるならば、私は、法が規制していないのであるならば、当初は政府が一定の関与をするという形で、金融機関の皆さんに対してもより厳格にやってほしいという姿勢を示すべきではないかと思いますが、政府出資はあり得るという理解でいいですか。法的には制約を設けていないということでしたので、あり得るというふうに考えていいかどうかを、現時点の金融庁の考え方を聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/75
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076・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
先ほどの答弁と重なるところがございますけれども、為替取引分析業というものは、元来銀行の中で為替取引について行っている業務、これを銀行からの委託を受けて取引のフィルタリング、モニタリングを共同化して行うということで、その高度化、効率化を図る言わば民間主導の取組というふうに考えてございます。
こうしたため、制度の枠組みは先ほど御答弁したとおりでございますけれども、為替取引分析業者に対し政府関連の資金を出資するということについては、現時点においては考えていないというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/76
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077・大塚耕平
○大塚耕平君 大臣、大体問題意識は今お伝えをしたつもりでありますので、本法案で創設する為替分析業及び取引フィルタリング、モニタリングの枠組みについて、マネロン上の課題とか、あるいはその業務が適正に行われるのかという観点から、どのような所見をお持ちなのかをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/77
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078・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) マネロン対策等につきましては、足下、国際的にもより高い水準での実施が求められております。
そして、中小規模の金融機関におきましては、システムの整備ですとか人材確保等の面で単独での対応が難しいとの声があるということも承知をしているところでございます。
このため、マネロン対策等を共同化することで、各金融機関の知見やノウハウ等が集約され、活用可能となる、より高度なシステムを共同で整備することが可能となるなど、各金融機関が抱える課題に対応し、対策の高度化、効率化を図ることができると考えております。
一方で、為替取引分析業者は、多数の金融機関から業務を受託することとなるため、多くの金融機関の利用者や取引のデータを適切に管理する必要があるとともに、そうした多くのデータを的確に処理しつつ、各取引が抱えるマネロンリスクに応じた適切な分析能力、精度を備えるなど、質の高い業務を継続的かつ安定的に行っていく体制を備えていくこと、整えていくことが求められると考えております。
金融庁といたしましては、為替取引分析業における業務運営の質が確保されるように、本法律案で定める業規制に基づき、検査、監督をしっかりと行ってまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/78
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079・大塚耕平
○大塚耕平君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/79
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080・浅田均
○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。
私は、今日も、今日はこの為替取引分析業、今、大塚先生からいろいろ御指摘がありましたし、冒頭、藤末先生の方からも非常に重要な御指摘があったと思っております。
これからですね、今日は、この委員会の中では専らステーブルコインという言い方をされていたんですけど、トークンエコノミーの中でいうとステーブルトークンが即ステーブルコインで、ステーブル、トークンエコノミーという言い方をすると何か全然別、別種の話をしているのかなと思われる方もおられると思いますので注釈を加えておきますと、今言われているトークンエコノミーのトークンの中に、そのユーティリティートークンというのに分類されるトークンですね、これは企業が自らのブロックチェーンサービスを開始しますということで、ICO、イニシャル・コイン・オファリングというところで配布されるトークンのことです。配布されるといっても、これ一応、物体として配られるわけではなしに、その分散台帳の上にそう記載されるというだけの話であります。それから、セキュリティートークンというのは、これブロックチェーンによって記録される株式というふうに業界では分類されていると伺っております。そして三つ目がこのステーブルトークン、ステーブルコインですね、今回テーマの中の一つに掲げられているやつであります。
私は、今、為替取引分析業者というものに対して大塚先生が指摘されましたことももっともかなと思っておりますけれども、そもそもがこのブロックチェーン技術というのは中央管理者がいない仕組みということで、様々な分野に応用され始めている技術と理解しております。
それで、これからこのトークンエコノミーというのは、後で質問しますけれども、マイクロペイメントなんて物すごくその手数料が安くて送金できると。〇・一円とか〇・〇一円で送金できると。だから、銀行業に対する、与える影響というのはもう非常に大きいものがあると思っておりますけれども、そういうそのブロックチェーンという技術ですよね。これはそうだから分散、自律分散型の管理です。特定のコンピューター何台かをつないで、そこの中で特定の中央管理者がいない相互監視といいますかね、共有する、データベースを共有するという仕組みです。
これを、トークンエコノミー、いわゆるトークンエコノミーというのを拡大していくためにはどうしてもインターネットに接続する必要が出てくる場合があると、当然のことながら想定されます。で、信頼性を確保したインターネット、トラステッドウエブと言われていますけれども、これの実現が不可欠だと考えられておりますけれども、こういう点に関して、財務省、あっ、金融庁側の御見解をお伺いしたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/80
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081・成田達治
○政府参考人(成田達治君) お答えいたします。
担当しております内閣官房でございます。
御指摘ありましたトラステッドウエブでございますけれども、まさに先生御指摘になりましたように、信頼性を確保したインターネットを実現すると、これを目指して取り組んでいるものでございます。
具体的には、特定のサービスに過度に依存せずに個人、法人によるデータのコントロールを強化する仕組みであったりとか、あるいはやり取りするデータ、あるいはやり取りするデータの、データのやり取りの相手方ですね、こういったものを検証できる仕組み、こういったものを現在のインターネットの上に付加するような形で、それによって信頼を高めていく、こういったことを目指す構想でございます。
トラステッドウエブは、御指摘のありましたように、ブロックチェーン技術も含めて様々な技術を使いながら、技術中立的に取り組んでいるものでございますけれども、御指摘ありましたトークンエコノミーを含め、データやデジタル技術を活用して様々な主体が価値を創出する、そういうことを進めていくためにはこうした新たな信頼の枠組みの構築というのが極めて重要だというふうに考えております。
引き続き、トラステッドウエブの具体化に向けて、具現化に向けて進めてまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/81
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082・浅田均
○浅田均君 例えば、インターネットの場合はISOのOSIという言われ方がして、国際標準化機構のオープンシステム・インフラストラクチャーですか、ISOのOSIという言われ方をして、結局、その通信のプロトコルなんかいろいろありましたけれども、TCP/IPというプロトコルが最後に残って、今皆さん使っておられる、まあ一般的にインターネットでは使っておられるということになっているんですけれども、こういう国際標準化ですよね、国際標準化というのはどういうこれからプロセスを経てつくっていくことになると想定されるのか、教えていただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/82
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083・成田達治
○政府参考人(成田達治君) お答え申し上げます。
トラステッドウエブの機能の国際標準化に向けては、今御指摘のありましたISOであるとか、あるいはインターネットの世界でありますとW3Cという別の組織もございます。その国際標準化に向けて特に日本としても是非貢献していきたいというふうに考えておりまして、大きく二つ取組が重要だと考えております。
一つは、やはり求められる機能のこの詳細を検討しながら、それを様々なユースケースですね、実際のケースに当てはめて検証していく。で、そのケースを国際標準化のプロセスに提示しながら貢献していくと、こういったことが大事だというふうに考えております。こういった観点から、今年度、トラステッドウエブ共同開発支援事業といったものを通じて、様々な産業分野で民間企業の皆様からユースケースを募って検証していくと、こういったことを取組進めております。
それから、もう一つ重要なのは国際的な連携だと考えております。このため、例えばトラステッドウエブの構想に近い考え方を持ったEU、こちらなんかはデジタルIDウオレット構想といって、やはり自分のデータをコントロールするという構想を今進めておりますけど、EUと協力をしたりとか、意見交換、情報交換、連携しながらということを進めておりますけど、こうした海外連携、こういったことも進めながら、国際標準化、ひいてはトラステッドウエブ構想の具現化に向けて進めていきたいと、このように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/83
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084・浅田均
○浅田均君 お話は聞いていて理解できるんですけれども、そのブロックチェーン技術が中に使われていると。で、このブロックチェーンなんて、検証しようと思ったら、まさしくビットコインにおけるマイナー的な人が要るわけですよね。そのためにコンピューター何万台も使って、そのハッシュ関数を解いて、その中に入っているナンスの数値が何であるかというのを当てて稼いでいるような人がいて、しかも物すごく電力を消費するほどにコンピューターを使っていると。
だから、そう何か簡単にできるとは思わないんですけれども、どれぐらいの時間を想定されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/84
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085・成田達治
○政府参考人(成田達治君) 御指摘ありましたように、ブロックチェーンについては電力の消費であるとか様々な課題がございます。
そういう意味で、我々今考えておりますトラステッドウエブの構想は、ブロックチェーンの技術も非常に有力なものの一つだと考えておりますけれども、それによらないようなソリューションというのはあり得るだろうということで、そういう意味で、技術中立的に進めることがより現実的じゃないかというふうに考えております。
我々の構想としては、二〇三〇年頃を目安に一つのゴールとしてインターネットなりウエブにそういったものを少しずつ組み、付加していくということを目指してはどうかというふうに今考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/85
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086・浅田均
○浅田均君 今がウエブ三ですので、二〇三〇年にそれができたとしても何かちょっと周回遅れになっていないかなという、現実はもうはるかに早く先に進行しておりますので、現実を見てそれに対応できるようなところに合わしていただくというのが重要かなというふうに思っております。
それで、三つ目の質問でございますが、先ほど申し上げましたセキュリティートークン、これはデジタル証券、この業界ではセキュリティーというと証券のことを指しますが、デジタル証券での資金調達を制度としてどのように整備していくおつもりなのか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/86
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087・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) セキュリティートークンにつきましては、二〇一九年の法律改正によりまして金融商品取引法上の有価証券に位置付け、株式等と同様に、投資家に対する情報開示の枠組みや販売、勧誘に関する規制等が整備されたところでございます。
近年では、実際にセキュリティートークンの発行が行われていると承知をいたしております。一方におきまして、発行されましたセキュリティートークンの流通につきましては、現状では取引の機会が証券会社と相対取引等に限られております。そのため、投資家は必要な場合にセキュリティートークンの売却等を柔軟に行い難いことが要因でセキュリティートークンの活用が進んでいないとの指摘もございます。
こうした指摘も踏まえまして、現在、金融審議会におきまして、多数の投資家による取引参加が見込まれる私設取引システム、PTSにおいてセキュリティートークンの取扱いが促進されるよう、セキュリティートークンの適切性確保の枠組みを構築するなど、PTSでセキュリティートークンを取り扱う場合の制度整備につきまして御検討を審議会でいただいているところでございます。
金融庁といたしましては、金融審議会における御議論も見据えながら、今後、セキュリティートークンの適切な流通を確保するための施策を講じ、資金調達環境の整備にもつなげてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/87
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088・浅田均
○浅田均君 今PTSというお話がありましたけど、そういうものこそ言わばメタバースの中に、メタバースの中に証券取引所みたいなのつくって、そこで、持っている人のアバターがそこへ行って取引できるような仕組みというのはそんなに難しい仕組みではないと思いますんで、話題になったのかどうか分かりませんけれども、そういうのも議論していただけたらなと思っております。
時間が余りありませんので、最後の質問にさせていただきます。
先ほど来お話ししておりますけれども、ユーティリティートークンとか、そのトークンエコノミーの中で一番大きいなと思われるのは送金手数料がもうほとんど〇・何円、物すごく安くなるということであります。そうすると、送金に関して、今の銀行だと何百円という手数料取っているわけですね。だから、そういう銀行にとってはすごく大きな打撃になると思われるんですけれども、そういう点はどういうふうに対応するおつもりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/88
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089・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
経済取引のデジタル化ですとかキャッシュレス化の進展に伴いまして、今御指摘がありましたような、まさに少額の金銭を現金によらないで様々な手法を使って送金をする、マイクロペイメントなどがその重要性を増してくるということだと承知をしておりました。
こうした動きが銀行経営にどういう影響を与えていくかというのを今確たることを申し上げることは非常に難しいわけでございますけれども、例えば、銀行サイドにおきましては、大手行が主導する形で小口決済の利便性向上を目的とした新たな個人間送金インフラの構築が今進んでおりまして、こうした取組を含めて、金融庁としては、よくフォローアップをしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/89
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090・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 時間が参りましたので、おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/90
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091・浅田均
○浅田均君 時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/91
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092・大門実紀史
○大門実紀史君 大門です。
今回の法案は、全体として必要な規制を導入するものですから、賛成でございます。
原則的な点だけ、幾つか確認させていただきます。
お手元に資料を配っておりますけれど、ちょっと全体、この電子暗号資産等々含めて分かりにくい話なので、何がどういうふうに全体としてなっているかというのを、全体像を資料にいたしました。これ、電子的支払手段などを分類したものでございまして、何とかコインとか、何とかマネーとかいろいろあって、大体この世界そのものが大変複雑で、本当に正直申し上げて、全部を詳細まで把握するのは難しいようなところがございます。
これ大きなくくりで書いてございますが、左端の上から、電子的支払手段と、下の方に前払式支払手段とあります。右端の方に暗号資産という、全体像こういうことなんですけれども。
電子的支払手段というのは、言ってみれば法的通貨により発行価格と同額で償還されるという裏付けがあるということであります。前払式支払手段というのは、Suicaとかですね、そういう電子マネーなんかそうですが、もう一遍買いますと償還はできないと。ただ、電子的支払手段も前払式支払手段も価値は固定化されておりますので基本的に変動はしないということですね。一方、右側の暗号資産は価格が変動すると。なぜ変動するかというと、それ自体が売買されるからということになります。したがって、暗号資産は決済手段であるんですけど、売買されますので、需給の、需給関係でですね、価値が変動すると、値段、価格が上下するということです。
今回の改正案の主役は、この中のデジタルマネー類似型ステーブルコイン、電子的支払手段の方に入りますけれども、これが今回の改正で電子決済手段と、電子決済手段と定められるわけでございます。この電子的支払手段、あっ、ごめんなさい、電子的支払手段であると同時に暗号資産のように売買されるという特徴がありまして、価値が固定化されているはずなんだけど価値が変動するという分かりにくいところはありますが、そういう性格のものでありまして。
で、その上でお聞きしますが、例えばですね、五月の九日以降、暗号資産型の方に入りますけれど、ステーブルコインのテラUSDというのがありますが、真ん中の方にありますが、これが暴落をいたしました、暴落をいたしました。そのときにですね、その上にありますデジタルマネー類似型ステーブルコインのテザー、これは電子的支払手段の方に入るんで暗号資産ではないんですけれども、これも同じように下落をいたしました。テラUSDほどではないですけど、このデジタルマネー類似型ステーブルコイン、テザーも、今回の電子決済手段ですね、も価格が四%から五%下落をいたしました。もちろんテラUSDに比べれば安定はしているわけですけれども、今までにない大きな下落でございました。
なぜこのような動きが起こったのか、金融庁はどう見ておられるか、ちょっと説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/92
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093・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
先生の御質問にございましたテラUSD、それからテザーでございますけれども、まず、テラUSDでございますが、これはアルゴリズムによって価格を安定させるということでございまして、先生の御指摘のとおり、我々の資金決済法上のカテゴリーといたしましては暗号資産として規律されるという枠組みでございます。
それから、もう一つございましたのはテザーでございますが、こちらは法定通貨の価値と連動した価格で発行され、基本的に発行価格と同額で償還するという説明をしておりまして、現時点におけるサービス対応などを前提といたしますと、電子決済手段として規律されると、こういう枠組みでございます。
我々の方で見ました民間の情報サイトで、コインマーケットキャップというところのデータでございますけれども、価格変動を見ますと、テラUSDにつきましては、一ドル付近で推移いたしておりましたけれども、今月九日、先月九日以降下落いたしまして、現在〇・一ドルにも満たないという水準でございます。
テザーでございますけれども、一ドル付近で推移していた価格が、先月の十二日でございますが、五%ほど下落いたしまして、その後一ドルまで戻るというものというふうに承知してございます。
この御指摘のテザーの方の価格の下落の理由につきましては、様々な要因がございますので確定的なことを申し上げることは困難でございますけれども、テザーにつきましては、これまでも海外当局から情報開示ですとか裏付け資産について懸念が示されてございます。報道などによりますと、こうした裏付け資産に関する懸念、それからそのステーブルコイン全体に関します弱気な見方ということが広がったことが要因として指摘されているというふうに承知してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/93
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094・大門実紀史
○大門実紀史君 やっぱり不安定要素といいますか、法定通貨により発行価格と同額で償還されるといえど、そういうことが起こるわけであります。
このデジタルマネー類似型ステーブルコイン、すなわち電子決済手段ですね、今回の、これやっぱり決済手段であるとともに売買の対象でもあるということで、その価値は保証されるので大きく乱高下することは考えにくいんですが、今回のように、今回のテザーのようにですね、一定の変動は免れないということで、これはある意味、暗号資産と同様の性格があるということは考えておく必要があると思うんですね。
暗号資産というのはそもそも、この委員会でもこの議論始まったのはそんなに昔からじゃないと思うんですけれど、今どういう評価になっているかというと、五月十七日の財政金融事情で特集を組んでおりますけれど、かなり厳しい評価になっておりますね。暗号資産というのは、まあ呼び方はいろいろ、良くないとかあったんですが、そもそもは始まりは、決済手段として大変優れているのではないかという点が強調されていたんですけれども、今、決済手段としての広がりというよりも投機的な、投機の対象の方が色彩が強くなっていて、今日も御指摘ありましたが、マネロンなどに使われているリスクもあるということで、最初期待されたこととは違って、かなり問題点が指摘されているようになってきております。金融財政事情などでもそういうふうに評価されているところですね。
このような暗号資産の現状を踏まえますと、その電子的支払手段であれ電子決済手段であれ、そういう今暗号資産の現状を踏まえて今後のことを考えておく必要があるというふうに思います。
この点で、金融審議会の資金決済ワーキング・グループの報告ではきちっとこの電子的支払手段について、それはもう決済手段であって投資の対象ではないんだということを金融審議会の報告書は明確に述べておられますけれど、これ改めて確認いたしますが、金融庁の立場はこの電子的支払手段というのは投資の対象ではないというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/94
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095・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、電子的支払手段につきましては、金融審議会の報告書におきまして、社会で幅広く使用される電子的な送金・決済手段としての機能を果たし得るものであり、投資対象ではなく決済手段であるというふうにされているところでございます。
委員の御指摘のとおり、今回の制度改正は、投資の対象ということではなく、送金・決済手段としての規律を設けるということでございます。こうした観点から、電子的支払手段につきましては、一コイン一単位通貨といった償還の確実性の確保というものが非常に重要というふうに考えてございまして、発行者は銀行、資金移動業者、信託会社といったいずれかとすることを想定しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/95
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096・大門実紀史
○大門実紀史君 そういうことなんですけども、お手元の次の資料ですけど、日本暗号資産ビジネス協会がこのステーブルコインについて提言をしております。要するに、何を言っているかといいますと、仲介者がこの利用者から金銭の預託を受けることを原則禁止していると。原則ね、原則ですね、例外あるんですけれども、原則禁止しているということは賛同できないというような提言を出しております。
資料二の二に具体的に文章が、線引いたところ辺りありますけれど、その提言何を言っているかといいますと、海外発行のステーブルコインは、価格変動と為替変動を伴うものであるために、FXのように投資対象として、投資の対象としてステーブルコインの売買が行われることも想定されるということですね。その最たる例が、海外発行のステーブルコインを投資対象とする裁定取引。裁定取引というのは、要するに一時的に価格が上下したときに利ざやを稼ぐ、そういう取引ですね。裁定取引であり、そういう取引においては、取引の相場を見計らって、見計らってステーブルコインの売買を行う必要があると。その隙間を狙っていろいろやる必要があると。そのために、仲介者に対する金銭の預託を前提とした、金銭を預託してもらって、任せてもらって、機動的な売買が求められるというのは言うまでもないということですね。
このように、金銭の預託を原則として禁止することは、パーミッションレス型ステーブルコイン、パーミッションレスだから、パーミッションは許可だから、許可のない、利用者の許可なくとか管理者の許可なく自由に売買できるという意味でしょうかね、パーミッションレス型ステーブルコインを取り扱う仲介者のビジネスモデルを真っ向から否定するものであって賛同できないと。つまり、もう金銭の預託やらせてくれと、そしたら利ざや稼ぎますよというようなことを暗号資産ビジネス協会が提言として出しているということですね。
これは、このデジタルマネー類似型ステーブルコインを含めて投資の、投機ですね、投機の対象として、しようと、そのために預託禁止の原則をなくしてほしいということを言っているんだと思いますね。このようなことをずっとやっていきますと、これだんだん暗号資産的になってきて、非常に不安定なものになっていくんではないかと思うんですよね。
これは大臣に、大事なことなのでお聞きしたいと思うんですけれども、このデジタルマネー型、類似型ステーブルコインを投資対象としたいと、投機の対象にしたいから利用者資金の預託禁止の原則をなくしてくれという声がもう業界から出ているんですけど、これは応えていくと大変なことになると思うんですよね。やっぱりきちっと、先ほどありましたが、投資の対象ではないんだと、ましてや投機の対象ではないんだということをきちっとこの法改正とともに、法改正のときに示しておく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/96
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097・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 本法案におきましては、電子的支払手段については、これはもう投資対象ではなくて決済手段であり、基本的には価格の変動が想定されずに、常に価格が変動する暗号資産等の売買のように利用者に機動的な売買の機会を確保する必要性、これは高くないと考えられることを踏まえまして、御指摘の電子的支払手段の仲介者が顧客から金銭の預託を受けることを原則として禁止しております。
ただし、利用者保護等の観点から問題がない場合に限り、例外的に内閣府令で定めることによりまして金銭の預託が認められる枠組みとなっておりますが、その具体的内容につきましては、原則禁止の趣旨に反することがないよう、今後、内閣府令を整備する過程で丁寧に検討していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/97
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098・大門実紀史
○大門実紀史君 今回の法案の趣旨のように、投機対象じゃなくて決済手段として健全に発展させていただきたいと思います。
残った時間なんですけど、先日、自民党の経済成長戦略本部の皆さんが一億総株主という提言を出されたと、あっ、総理に申し入れられたんですかね。意味が不明なんですけれど、要するに、前回、岸田首相が言われた資産所得倍増、問題あるんじゃないですかということで質問させていただきましたが、要するに中身は同じ、同じといいますか、貯蓄から投資へと、資産が、資産所得が増えればいいんだということで、そのための措置をみたいなことだと思うんですけれども。
これはメッセージとして、国民に対するメッセージとして大変誤解を与えるのではないかというふうに、これは前回、岸田首相が言われた資産所得倍増についても申し上げましたが、またそういう提言が出たので、改めてこの問題申し上げたいのと、そもそも、岸田さんとか自民党の何とか本部だけではなくて、金融庁の考え方そのものが同じようなことをずっと前から言ってきたんじゃないかということでございまして。
資料をお配りいたしましたけれど、これは金融庁のホームページに掲載されている基礎から学べる金融ガイドというパンフレットですね。これは金融教育の教科書的なガイドブック、パンフレットでございまして、一般の社会人の方あるいは高校生、大学生向けに作られているということで、学校教育なんかでも使われている場合があるということでございます。
このパンフレットそのものが、とにかく貯蓄から投資なんだということでいろいろ書かれていて、この資料三の一、ちょっと気になるので指摘したいんですけど、右側の下の方に、老後の生活費用約二十六万円というの、そこの数字があるんですけど、要するに、いろいろ、いろいろこういって、生活資金が足りなくなるから投資をしなさいというふうなストーリーなんですが、この老後の生活費一か月二十六万円というのは、これ実は三年前に金融庁の審議会が老後に夫婦で二千万円の蓄えが必要ですという提言を、報告を出して、出した途端国民から猛烈な批判を受けて、麻生大臣が受取を拒否したと、その基になる数字がまだ残っているんですね。
二十六万円、まあ収入、年金ですよね、二十六万円から年金収入が二十一万円しかないと、そうすると、毎月五万円足らないと。これを三十年掛けるんですかね、で、約二千万だというので、あのときに二千万円必要ですよというのを出されて、猛烈な批判を受けて、大臣も受取を拒否したんですけど、その数字がまだここに残っているんですけど、これは金融庁としては、ずっとそういう考えで、撤回しないということなんですかね。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/98
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099・井藤英樹
○政府参考人(井藤英樹君) 御指摘の数字は、委員おっしゃるとおり、二〇一九年六月の市場ワーキング・グループで公表した報告書と同じく、総務省の家計調査年報を出典としているものでございます。
ただ、あのガイドの意図なんですけれども、働き方を含めましてライフスタイルが多様化している中、個々人が生涯にわたって豊かな人生を送るためには、若いうちから自らのライフプランを検討するとともに、人生の様々なステージで必要となる資金について計画的に考える生活設計を行うことが重要だということで作っているものでございまして、御指摘のそのガイドですけれども、こうした問題意識を踏まえまして、まずは家計管理の重要性、その次に生活設計の重要性を説明しておりまして、その上で預貯金について説明し、さらにその上で株式、債券、投資信託等による資産形成を説明しております。さらには、このガイドではクレジットやローン、金融トラブルへの対処などについても盛り込ませていただいておりまして、金融に関するリテラシーを高めるための様々な必要となる要素を盛り込んでいるものでございます。
それで、このガイドの御指摘のページですけれども、これ見ていただければ分かるんですけれども、老後の生活費用だけではなくて、例えば結婚、出産、住宅、教育に掛かる費用など、二十代以降のライフイベントに掛かるお金とライフプランについて、これ、何もその金額がないということではイメージも湧かないものですから、金額を含めて具体的な例を示しながら生活設計の必要性について説明したものでありまして、少なくとも、当庁といたしましては、老後の不安をあおるというような意図は全くないというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/99
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100・大門実紀史
○大門実紀史君 これ、ガイドブックもう改訂されるんですよね。またこの数字載っけられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/100
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101・井藤英樹
○政府参考人(井藤英樹君) 委員御指摘のとおり、このガイドブックですけれども、今改訂作業中でございます。来年の早い段階で新しいガイドブックを御用意できればというふうに考えてございます。
この改訂作業におきましては、私どもといたしましては、ライフプランの重要性を適切にお伝えできるものとなっているかということは極めて重要だというふうに考えてございますが、御指摘の点も踏まえまして、どのような形が一番良いのか検討してまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/101
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102・大門実紀史
○大門実紀史君 今もう年金がどんどん切り下げられていますから老後の生活資金が足りないというのは何も否定しているわけではなくて、あれだけのことがあって、大臣が受取拒否したものの数字が載っかっているというのはいかがなものかと、それだけの指摘でございます。
問題は、そういう細かい話よりも、これ本当に全部読んだんですけれど、前もちょっと取り上げたことあるんですけれど、やっぱり基本的な視点が欠けているといいますか、金融庁としてですよ。長期、分散、積立投資といっても元本割れはあるわけですよね。このパンフレットは何か、金融教育のテキストといいながら、実は何か投資の勧誘のパンフレットになっているんですね。これは証券会社の仕事で、金融庁の仕事じゃないと私は思うんですよね。証券会社がいろいろ、証券会社だってリスク説明しないと大変なことになりますよね、今はですね。ところが、金融庁は、もう本当にこれ、元本割れのリスクがあることも、生活資金を投資に回すべきではないということも、ちょっと何かそれらしいことが触れられてはいるんだけど、明確に出てこないんですよね。
当たり前の話ですけど、投資を説明するときに、民間の証券会社がお客さんに説明するときも、元本割れのリスクと生活資金までつぎ込むことはよくないですよと言うのは当たり前のことでありまして、生活資金までつぎ込んでくれと、リスクがあるのに、元本割れするかも分かんないのにということは、民間でさえ余りそういうことはやっちゃいけないとなっているのに、金融庁のガイドブックでそういうことが明確に、全然示されていないというのはちょっと、次改訂されるときに、やはり、民間の証券会社でもないわけだから、投資の勧誘ではなくて、全体として貯蓄から投資へというのを言われるのは政府の立場で構わないんですけど、やっぱりきちっとした筋はきちっと守って、必要な、大事なことはきちっと明確にしながら、その上でおっしゃるならまだいいと思うんですが、非常にその点では不十分なパンフレットではないかと思うんで、その点踏まえて改訂をきちっとしてほしいと思います。
最後に、鈴木金融担当大臣にお伺いしたいんですけど、このパンフの論理がそうなんですけど、生活資金が足りませんよと言っているわけですね、言っているわけですね。生活資金が足りないから投資してくださいと言っているんですね。これ、生活資金を投資に回してくださいと言っているのと同じなんですよね。本来は、投資というのはやっぱり、生活資金があって、余剰資金でやっていただくと。あるいは、将来不安が何らかの社会保障とか何かでもう安定しているから、そういう意味で余剰資金が生まれて投資に回すというのが通常、欧米なんか当たり前の考え方でございますので、生活資金が足りませんよと、だから投資してくださいというのはちょっとおかしい話じゃないかと思います。
そういう点も踏まえて、きちっとした、今、金融庁は、フィデューシャリーデューティー、顧客本位の業務運営とおっしゃっているような、そういうやっぱり顧客といいますか、そういう方々の立場を守るというようなパンフレット、ガイドブックに変えてほしいと思いますけど、鈴木大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/102
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103・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) まず、国民一人一人が生涯にわたって豊かな人生を送るためには、老後や人生の様々なステージで必要となる資金を確保するために安定的な資金形成に取り組むこと、これは重要なことであると私は思っております。
その一方で、大門先生御指摘のとおりに、投資には元本割れのリスクもあることから、金融商品のメリットだけでなく、リスクについても十分に理解した上で、生活に無理のない範囲で資産形成に取り組むことが重要であると考えます。
金融庁では、投資のリスクについての理解を含め、金融に関する知識や判断力の向上を図るべく、金融経済教育に力を入れて取り組んでいるところでございます。学生時代、社会人時代など、人生のいろいろなステージで金融経済教育を受ける機会が確保されること、これは重要なことと考えているところでございます。
そして、先ほど来先生から、金融庁が発行しておりますこのパンフレットについて、何かミスリードになるようなところもあるのではないかという御指摘もあったと思います。
先ほど局長からお話がありましたとおりに、また見直しの機会がございますので、そういう視点もよく見ながら、より良いパンフレットになりますように努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/103
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104・大門実紀史
○大門実紀史君 終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/104
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105・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、末松信介君が委員を辞任され、その補欠として堂故茂君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/105
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106・浜田聡
○浜田聡君 NHK党、参議院会派みんなの党、浜田聡でございます。
今回、資金決済法等改正案の審議ということで、まず法案に関する質問をさせていただきます。
今回の法改正に当たって、関連分野については、キャッチアップに苦労しながら自分なりにいろいろと調べております。まあ正直不慣れなところではあるんですけれど、自分なりに意識していることとしては、自分で使ってみることが大事だと思っております。
昨年は、私、ビットフライヤーで口座の方を開設させていただいて、幾つか購入の方をさせて、保有とか、ビットコインやイーサリアムなど保有をしておるところでございますし、最近ですと、シンボルというブロックチェーンを使ってウオレットを作るなどしております。最近ですと、自民党さんの方で岸田トークンを発行されたり、そういう取組があるわけですが、我が党でもトークンの方を発行するなど予定をしておりまして、いろいろとキャッチアップの方をしていこうと思っております。
それはさておき、これまでの質疑で指摘されておりますように、今回の法案のカバーする範囲というのは今後ますます進んでいく分野であり、日本が世界で置き去りにされることなく、逆に日本が世界を引っ張れるようになるかもしれない分野であると考えております。
今回の法改正が必要とされる背景として、マネロン対策など世界各国で法整備をしていきましょうという流れの中で、ステーブルコインの法整備など、業界からいろいろと文句言われながらも、苦労しながら道筋をつくろうとしているものと認識をしております。FATFであったりFSBのロードマップなどを考慮しつつ、業界と板挟みになりながらバランスを大事にされているとは思います。
今回通告させていただいた質問については、多少言葉がきつい表現になっているかもしれませんが、攻撃することが目的ではなく、より良い制度をつくっていただくことが目的ですので、御容赦いただきたいと思います。
最初の質問なんですけれど、今回の改正案の条文第二条五項についてです。今回その条文を配付資料として準備させていただきました。
第二条第五項では、電子決済手段の定義がなされております。一号から四号まで羅列されておりまして、ここで取り上げたい文言として、内閣府令で定めるものというのがあります。この内閣府令で定めるものというのは、一号と四号にその記載があるわけでございます。この法案成立後に、我々国会議員の目の届きにくいところ、霞が関の省庁において、その内閣府令で定めるものとしてその詳細の内容が決まっていくわけですが、それについて業界の方から懸念が寄せられていると思っております。
懸念の内容としては、この四号の文言から、ほとんど何でも電子決済手段に指定できることにより、その内容によっては強過ぎる規制になり得るわけで、そういったおそれから、イノベーションが萎縮するのではないかという懸念であったり、適法に流通している前払式支払手段や無償ポイント、地域通貨などが突然内閣府令で電子決済手段に当たるとなった場合に国民生活に混乱が生じることにならないのかといったものでございます。
そこで、参考人の方にお聞きします。
業界の方が懸念するような規制を政府がつくることによって関連企業の経済活動に大きな支障を来すことは望ましくないと考えるわけですが、こういった懸念に対する政府の見解を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/106
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107・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
御指摘の資金決済法改正案の第二条第五項第四号ということでございますが、これ電子決済手段の定義を定めている条文でございまして、前三号に掲げるものに準ずるものとして内閣府令で定めるものというふうに規定しているところでございます。例えば特定信託受益権に準じるようなもの、それから、先生の資料にもございます通貨建てのステーブルコインに準じるようなものと、こういったものにつきまして、内閣府令で定めた上で電子決済手段に係る規律を適用するというものでございます。
電子決済手段でございますけれども、これは銀行などが発行いたします既存のデジタルマネーと同様に、ポイントを送金・決済手段として社会で幅広く使用されることが考えられるということで、暗号資産とは区別いたしまして、登録制の導入、それから、先ほど来ございます金銭の預託の原則禁止、顧客との契約締結義務というものを課しているところでございます。一方、暗号資産型につきましては、現時点ではそういう事情にはないということでございますので、現行の暗号資産交換業としての規律と、こういう規律が分かれているという状況でございます。
こういった中、暗号資産、電子決済手段、御議論もございましたとおり、技術革新によるサービス提供の形態のスピードが非常に速いという事情がございます。そういった中で、同一の機能、サービス、例えば決済・送金サービスでございますが、こういった同一の機能、サービスについては同一のルールを適用するという考え方に基づきまして、例えば暗号資産型のステーブルコインでございましても、将来的に広く送金・決済手段として利用されるという場合におきましては、その幅広く使われる送金・決済手段という機能を果たすことに着目いたしまして、機動的に同一の規律を及ぼすことができるようにするというのが先生の御指摘の府令の趣旨でございます。
先ほど申し上げましたとおり、第四号の規定は、前三号に準じるものというものに限定した上で内閣府令で定めるということとさせていただいてございまして、イノベーションが萎縮するということではないかと思っています。現在流通してございます前払式支払手段につきまして、金融審議会の報告書で枠組みについてのお答えがございますけれども、例外的に送金・決済手段としての機能が強いというものといたしましては、例えば、発行者がパーミッションレス型の分散台帳で不特定の者に対して流通可能な仕様で発行し、発行者や加盟店以外の不特定の者に対する送金・決済手段として利用できるものについては、電子的支払手段に該当し得るといったこととされてございまして、現在の前払式支払手段のサービス提供の実態を踏まえますと、電子決済手段に該当するものというものは極めて限られるというふうに考えてございます。
いずれにいたしましても、内閣府令で定めるに当たっては、サービス提供の実態を十分に踏まえて検討するとともに、民間事業者の方々とも十分に意見交換をすることによって、御指摘のような様々なイノベーションの取組に悪影響が出ないように検討してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/107
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108・浜田聡
○浜田聡君 詳細な御答弁、ありがとうございます。答弁にありましたように、イノベーションが萎縮しないような配慮をいただきたいと思います。
業界の方からは、やっぱり資金決済ワーキング・グループの報告書で、広範囲に電子決済手段に当たり得るという脚注が付いたことで、先ほど御指摘したように、今までの前払式支払手段やポイントなどが内閣府令を見ないとどうなるか分からないということで、民間事業者のビジネスが内閣府令が公開されるまでの間ストップするという指摘があります。
どういった内容に決定するのか心配で、決まらないと動けないといった声もありますので、今回、配付資料に、一般社団法人DeFi協会と一般社団法人ブロックチェーン推進協会からの提言も掲載させていただきました。御存じかもしれませんが、その辺りの配慮、私の方からもよろしくお願い申し上げたいと思います。
次に、日本国内における法定通貨と連動させるステーブルコイン、DCJPYについての話をさせていただきます。
今回、配付資料に、そのDCJPYの紹介をしている東洋経済二〇二〇年一月二十九日付けの記事を準備させていただきました。
日本では、メガバンク三社を含む国内主要七十四社が参画するDCJPYというステーブルコインの取組が進んでいるものと認識をしております。銀行預金と連動するなどユニークな試みでありまして、評価に値する取組であるとは思います。
ただ、不可解な点もあるわけで、というのは、日本国内では通貨建て資産に該当するステーブルコインの事業者としてJPY社というのがあります。そこのステーブルコイン、社名と同じなんですけど、JPYCというのがあります。JPYC社は、いろいろと各方面と調整をしつつ整備を進めて、かなりのスピードでその普及が進んでいる印象を持っております。
何が言いたいかというと、日本国内の代表的なステーブルコインとしては、これを使えばいいのではないという中で、これがあるのにあえて銀行主導でDCJPYの取組がなされるのかという点がやや不可解なところでございます。
JPYC社の岡部社長によりますと、この両者について、JPYCはオープンプロトコルでパブリックチェーン、DCJPYはクローズドループでプライベートチェーンという違いがあって、補完関係だと思いますとのことでしたが、本心は、社長本心としては複雑な気持ちなのではないかと想像をしております。また、他の方の意見として、スタートアップのJPYCを潰して、銀行によるDCJPYを国のお墨付きで布教させるのではという指摘も見られました。
そういった意見を踏まえて、以下の二点、まとめて質問させていただきます。
一つは、DCJPYがJPYCを潰そうとしているのではないかという懸念について見解を教えてほしいと思います。もう一つは、DCJPYとJPYCが今後も共存は可能なのかどうかということについて見解を教えてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/108
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109・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
個別の事業者の方々が提供しておられるサービスに関するコメントというものは差し控えさせていただければと思います。
その上で、一般論ということでございますけれども、現在、銀行などが提供してございますいわゆるデジタルマネーサービスというものは、現行制度に基づいてサービス提供が行われてございまして、今回の制度改正とは直接関係しないというふうに考えてございます。
それから、前払式支払手段を用いたデジタルマネーサービスにつきましては、先ほども御紹介させていただきましたけども、金融審議会の報告書におきまして、原則電子決済手段には該当しないということでございますが、パーミッションレス型の分散台帳で不特定の者に対して流通可能な仕様で発行され、発行者や加盟店以外の不特定の者に対する送金・決済手段として利用される蓋然性があるというようなものについては電子決済手段に該当し得ると考えられるというふうにされているところでございます。
また、前払式支払手段を用いたデジタルマネーサービスにつきましては、発行者から利用者に対する償還が制限されてございますし、また、発行者に対して利用者資産の全額保全義務というものが課されているわけではないということでございまして、いわゆる電子決済手段として流通するということにつきましては利用者保護の観点から問題があると考えられるとされているところでございます。
今後、こういった金融審議会の報告の趣旨を踏まえまして、内閣府令の策定などを含め、施行に向けた準備を適切に進めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/109
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110・浜田聡
○浜田聡君 追加の説明も、どうもありがとうございました。
DCJPYの取組自体を否定するものではないですし、ある程度競争原理を働いた方がいいと思いますが、こういう意見があることを知っていただきたいですし、当然、出るくいを打って可能性のある試みを潰すというのは望ましくないと思いますので、その点を強調させていただきまして、次の質問に移ります。
次に、ウクライナ情勢によって国民の国防に関する意識が変わりつつ状況において、日本の国防費に関する話をさせていただきたいと思います。
今年の二月には、「ドイツ、国防費をGDP比二%超へ ロシア侵攻で方針転換」というタイトルの報道がありました。また、スウェーデンでも三月、それに続いて同様の国防費増を発表したと承知しております。
先般、自民党内で防衛費をGDP比で一%程度だった目安を二%以上に引き上げるべきだという提言が出されたと承知しております。防衛費をどうするかについては、当然、反対意見も含めていろいろあるとは思いますが、昨今のウクライナ情勢を踏まえてか、四月末の日経新聞の世論調査では、防衛費を上げることに賛成が五五%、反対が三三%で、賛成が上回ったとのことであります。多くの国民がしっかりとした国防を今求めているんじゃないかと考えております。
日本の隣国を見回してみると、独裁体制と言っても過言ではない政治体制を取っておりつつ、核保有国というのがあるわけでございます。中国、ロシア、北朝鮮があるわけです。我が党は、政府に求める方針としても、国への現実的な対応として、国防費GDP比二%の、ある意味、国際標準くらいには引上げを望むところでございます。
そこで、防衛省にお聞きしたいと思います。ロシア、ウクライナ情勢を受けて世論が防衛費の増額を望む声が強くなっている状態で、防衛費としては、あっ、防衛省としては防衛費を増やす機会であると考えるわけでございます。防衛費を増額することを国民が望んでいることについて、防衛省の認識であったり、今後の方針を教えてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/110
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111・川嶋貴樹
○政府参考人(川嶋貴樹君) 防衛省でございます。お答えを申し上げます。
現在、政府の中で新たな国家安全保障戦略等の策定に現在取り組んでいるところでございまして、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討し、防衛力を抜本的に強化してまいりたいというふうに考えてございます。
また、このような中、先般の日米首脳会談におきまして、総理は、防衛費の相当な増額を確保すると決意を述べられてございます。防衛省といたしましては、総理の決意を重く受け止めまして、一層厳しさを増す安全保障環境の下で、我が国を守っていくために必要な経費について国民の皆様の御理解を得られるよう十分に説明を行うとともに、防衛力を抜本的に強化するために必要な予算をしっかりと確保してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/111
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112・浜田聡
○浜田聡君 こういうのはすごくタイミングが重要だと思うわけでございます。言い方が悪いかもしれませんが、防衛省一丸となって予算を分捕ってくるぐらいの気合がほしいかなと思っております。その意気込みは先ほどの答弁で感じられました。
次に、防衛と関連する科学技術予算の所管に関する話をしたいと思います。
二〇二〇年四月の日経新聞にあった記事なんですが、国家安全保障局次長であった兼原信克さんという方が、日本政府の研究予算四兆円のうち、防衛省に割り当てられる予算が千三百億円にすぎないことを問題視しております。私も同様の意見でありまして、四兆円の科学技術予算が安全保障分野とはほぼ完全に切り離されているのは問題ではないかと思うわけでございます。少々乱暴な言い方かもしれませんけれど、国防についての国民の意識が高まっているこの機会に、科学技術予算の所管を文部科学省から防衛省に変更することも考えていいんじゃないかなと思うわけなんですね。
そこで、政府参考人の方にお聞きします。科学技術予算の所管を防衛省に変更することについて、御見解を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/112
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113・堀江和宏
○政府参考人(堀江和宏君) お答え申し上げます。
量子技術あるいはAIといった急速に進展する民生の先端技術が将来の戦闘様相を一変させ得ると考えられておるところでございます。
こうした中、将来にわたりまして我が国の防衛を全うする観点から、防衛省といたしましては、令和四年度予算におきましては契約ベースで二千九百十一億円の研究開発費を計上しておりますが、こうした防衛省の取組のみならず、政府において推進しております研究開発事業の成果、これを防衛分野で活用していくことが重要だと考えております。
こうした考えの下、内閣府を始めといたします科学技術の関係府省とは、科学技術政策に関する戦略文書の策定、見直し等への参画、定期的な意見交換や個別プロジェクトへの協力など、平素から連携をしておるところでございます。
我が国の技術力を結集し、優れた防衛上の機能を実現するため、関係府省との連携を一層強化していくことが不可欠でございます。科学技術予算による研究開発プロジェクト等への参画も含めまして、その連携や在り方につきましては、関係府省と相談させていただきながら、防衛省としてもしっかりと検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/113
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114・浜田聡
○浜田聡君 是非前向きに進めていただきたいと思います。
以上を踏まえて、鈴木大臣にお聞きしたいと思います。
防衛費増額や科学技術予算の所管変更の提案について、大臣としての見解を教えてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/114
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115・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 防衛予算につきましては、まず行うべきことは、国民の命、暮らしを守るために何が必要なのか、具体的かつ現実的に議論をし、積み上げていくことであり、その結果、必要とされるものの裏付けとなる予算をしっかり確保していく、そのことが重要であると考えております。
それから、科学技術予算について御指摘がございましたが、科学技術予算につきましては、科学技術や学術の振興の観点から、その半分程度を文部科学省が所管していることは、これは事実でございますが、一つの省庁が全てを所管しているわけではございません。科学技術予算については様々な分野があり、かつ基礎研究から実装段階まで多岐にわたりますので、引き続き、事業、研究の目的や性質等に応じて個別に所管を判断する必要があると考えます。
その上で、防衛分野の研究開発を進める上では、防衛省のみならず関係省庁と連携するとともに、民間分野の既存の取組も活用するなど、国全体で総合的に取り組んでいくこと、そのことが重要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/115
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116・浜田聡
○浜田聡君 国防力の向上を国民が求めているわけですが、国民のみならずアメリカからも求められていると承知をしております。是非とも前向きに進めていただきたいということを申し添えて、次の質問に移ります。
次に、いわゆる規制に関してです。日本はその数が無尽蔵に増えている問題に関する話でございます。
冒頭の質問でも資金決済法に関する話をしましたけれど、ああいう規制の一つ一つが民間の自由な経済活動を制限する可能性があるわけでございます。当然、必要な規制はすべきだと思いますが、企業活動を縛るために、その規制の評価というのはしっかりする必要があると思います。
ここでは、国内の規制の数に該当するものとして、総務省が出している資料を今回配付資料として用意させていただきました。許認可等の根拠条項等数というものでございます。
先般、私の支援者の方から御要望がありまして、最後に公表された一万五千四百七十五から毎年どのくらいずつ増えたのか、問い合わせた経緯があります。で、総務省からの回答が、実はこのとおりでした。当局が行っていた許認可等の統一的把握は平成三十年六月に公表したものが最後になり、その後の数値は把握していないため、一万五千四百七十五より後の数値はお示しすることができませんというものです。今後はデジタル庁による行政手続数の把握のみになっているということでした。このやり取りでは、何となく総務省とデジタル庁の間で、まあ言葉が悪いですけれど、押し付け合いのような感じがしたわけでございます。
それはさておき、規制が国内の経済、社会に及ぼす影響というのは非常に大きいわけですが、先ほど申し上げた状況というのは、国内の規制を政府がしっかりと把握することを放棄しているような感じだと思うわけで、それに対して危機感を覚えるわけでございます。
そこで、総務省の方に今回提案をさせていただきたいと思います。総務省がこれまで行ってきた許認可等の統一的把握の業務を再開するべきだと思うんですけれど、この提案についての御見解をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/116
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117・武藤真郷
○政府参考人(武藤真郷君) お答えいたします。
今御指摘いただきました許認可等の統一的把握でございますが、これは昭和六十年に開始したものでございます。当時は、規制の実態を示すものがほかになくて、許認可等の見直しを推進するための基礎資料を整備するという観点から実施してきたものでございました。その後、平成三十年になりまして、法令に規定されている全ての手続を網羅的に把握するために、行政手続等の棚卸しというものが開始されたところでございます。
私どもがまとめておりました許認可等の統一的把握につきましては、その目的とか内容がこの行政手続等の棚卸しに基本的には包含されてございます。このため、作業の重複を避けることもありまして平成三十年をもって終了したところでございまして、再開することは考えてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/117
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118・浜田聡
○浜田聡君 御答弁にいろいろと言われているわけなんですけれど、やはり日本政府として国の規制がやっぱりしっかりと把握できているのかというと、私は大いに疑問があるわけでございます。
OECDの資料を今回用意させていただきました。OECDのレギュラトリー・ポリシー・アウトルック二〇一八というものがありまして、これはいろんな見方あると思うんですけど、一つの指標として、新たな規制が整備される際の透明性のランキングがあると思います。日本は、OECD加盟国中、これが最下位であるとのことなんですね。
私は、この日本のランキングを、最下位だとちょっとやっぱり余りにもひどいと思いますので、このランキングをもうちょっと上げる努力をするべきだと考えるわけなんですけれど、政府の認識を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/118
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119・武藤真郷
○政府参考人(武藤真郷君) お答えいたします。
御指摘のOECDにおける調査結果でございますが、これは各加盟国の法律の立案過程において比較的多く見られる手続があるのかないのかということを基準として数値化したものと承知してございます。
この法律の立案過程におきましてどのように関係者の意見聴取を行っていくかということにつきましては、各国の行政慣行により様々な形態があると考えられます。例えば、我が国におきましては、審議会の場を活用するなどして様々な方法で関係者の意見聴取を行っているところでございますが、こうした実態がこのOECDの調査には十分に表されておりませんで、御指摘の指標のみで法律の立案過程の全ての実態が表されるものではないというふうに考えてございます。
いずれにいたしましても、先生も御指摘になりましたように、規制の新設、改廃の検討に際して広く国民の理解を得ることは重要でございます。各行政機関において必要な取組が行われているところでございますが、こうした我が国の状況について、OECDとの対話の場を通じて理解を求めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/119
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120・浜田聡
○浜田聡君 ありがとうございます。
規制改革について、オンライン上の資料などを調べてみると、各国との比較をして日本の至らない点を指摘しているものが多く見付かるわけでございますが、そういった資料をどこが作っているかというと、総務省が作っているものが多く見受けられるわけです。
恐らく、総務省としても、しっかりとした改革をやっていきたいという意思はあるのだと思います。規制に関する国民の意識が低い状態であると思いますので、そういった状態でできることには限りがあるわけですが、規制が及ぼす影響についてはその大きさについて国民に知っていただき、規制に対する意識を高めていく努力を私はしていきたいと思います。共に頑張っていければと思います。
次にです、最後の質問になります。児童手当などの各給付金における所得制限を設けることについて、反対の声が多いことについて取り上げさせていただきます。
以前の委員会でも何度か申し上げたとおり、私はお金を配ることは必ずしも否定はしませんが、やっぱり配るよりは減税をしてほしいということは度々申し上げているところでございます。ただ、仕方なく配るとなった場合にも、やはり所得制限掛けない方がいいと考えております。その理由としていろいろとあると思うんですけれど、ここではそのデメリット、所得制限を掛けるデメリット、三つ挙げさせていただきます。
一つ目は、累進課税の問題です。高所得者は既に累進課税で多くの税金納めているんですけれど、所得制限に引っかかって給付金もらえないというような、二重の累進課税だと考えられるわけでございます。
二つ目は、労働意欲の問題です。所得制限があることによって、その上限付近にいる世帯にとって働く意欲が失われる可能性があります。
三つ目は、選別コストの問題です。給付側にとって所得制限に引っかかるか否かのチェックは、労力というのはそれなりに掛かると思うんですけれど、そういったコスト意識というのが非常に重要だと思います。
これらのデメリットを考えると、所得制限設けるべきではないと考えるわけなんですけれど、政府の認識を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/120
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121・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 時間が過ぎておりますので、お答えの方は簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/121
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122・相川哲也
○政府参考人(相川哲也君) お答えいたします。
児童手当は、児童手当法に基づきまして、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭等の生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的として支給しているものでございます。
児童手当を始めとする各制度において所得制限を設けるか否かと、どうかにつきましては、個々の制度の目的や支援方法などに応じてそれぞれ判断されるものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/122
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123・浜田聡
○浜田聡君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/123
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124・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/124
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125・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) ありがとうございます。
全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/125
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126・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01520220602/126
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