1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年四月十四日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
四月四日
辞任 補欠選任
山下 雄平君 世耕 弘成君
真山 勇一君 白 眞勲君
四月五日
辞任 補欠選任
世耕 弘成君 山下 雄平君
白 眞勲君 真山 勇一君
四月六日
辞任 補欠選任
清水 真人君 水落 敏栄君
山添 拓君 市田 忠義君
四月七日
辞任 補欠選任
中川 雅治君 有村 治子君
水落 敏栄君 清水 真人君
市田 忠義君 山添 拓君
四月八日
辞任 補欠選任
有村 治子君 中川 雅治君
四月十四日
辞任 補欠選任
石川 博崇君 若松 謙維君
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出席者は左のとおり。
委員長 矢倉 克夫君
理 事
清水 真人君
高橋 克法君
有田 芳生君
安江 伸夫君
川合 孝典君
委 員
岡田 広君
加田 裕之君
中川 雅治君
福岡 資麿君
森 まさこ君
山崎 正昭君
山下 雄平君
真山 勇一君
石川 博崇君
若松 謙維君
東 徹君
山添 拓君
高良 鉄美君
嘉田由紀子君
国務大臣
法務大臣 古川 禎久君
副大臣
法務副大臣 津島 淳君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長 小野寺真也君
最高裁判所事務
総局人事局長 徳岡 治君
最高裁判所事務
総局経理局長 氏本 厚司君
最高裁判所事務
総局家庭局長 手嶋あさみ君
事務局側
常任委員会専門
員 久保田正志君
政府参考人
人事院事務総局
審議官 原田 三嘉君
総務省大臣官房
審議官 阿部 知明君
法務省大臣官房
司法法制部長 竹内 努君
法務省民事局長 金子 修君
法務省刑事局長 川原 隆司君
法務省矯正局長 佐伯 紀男君
出入国在留管理
庁次長 西山 卓爾君
財務省主計局次
長 坂本 基君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/0
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001・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/1
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002・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に清水真人君を指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/2
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003・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) この際、古川法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。古川法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/3
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004・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 今般、名古屋局における死亡事案の調査報告書の令和三年三月三日の記載について、ウィシュマさんが自ら発言していない言葉を自ら発言したかのような虚偽の記載があるのではないかとの御指摘があると承知をいたしております。
この点に関しましては、私自身も調査報告書の記載とビデオ映像の双方を確認しておりますが、その上で、これまで、調査報告書は客観的な資料に基づくものである旨を答弁してきたところでございます。もっとも、当該記載がそのような認識を生じさせ得る表現となっているとの御指摘があることは理解できるところでありまして、真摯に受け止めたいと考えております。
また、調査報告書の根拠となりました資料の一部について国会への提出を求める御意見があることも承知しておりますが、法務省としては、これに応じることは困難であるとの見解をお示ししてきたところでございます。
これらにつきましては、今国会の会期中に、調査報告書がこのような記載となった理由や資料提出のお求めに対する考え方について改めて整理し、委員長のお許しをいただいた上で、入管庁から補足説明の書面を理事会に提出させたいと考えております。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/4
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005・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案外一案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、人事院事務総局審議官原田三嘉君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/5
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006・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/6
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007・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/7
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008・清水真人
○清水真人君 おはようございます。自由民主党の清水真人です。
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案、裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案について、通告に基づき、順次質疑をいたします。
その前に、先般、岸田総理の指示により、ポーランド政府要人との意見交換を行い、ポーランドにおける避難民受入れの状況や課題、そして日本に対する要望等を伺うためにポーランドへ外務大臣とともに出張された津島副大臣に、出張後初めての法務委員会ということもございますので、改めて今回の出張の意義と成果、そして課題についてお伺いをさせていただきたいと思います。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/8
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009・津島淳
○副大臣(津島淳君) 清水真人委員にお答え申し上げます。
御指摘のとおり、四月一日から五日の日程で、既に約二百六十万人ものウクライナ避難民を率先して受け入れ、積極的に支援を行っているポーランドに出張してまいりました。この出張におきましては、現場の生の声、情報、避難民支援のニーズを的確に把握することを目的としております。
ポーランドでは、政府要人との意見交換、ワルシャワにある避難民施設やウクライナとの国境施設の視察、現地で活動する国際機関やNGOとの面談を行いました。その際、多くの避難民の方々や避難民の支援に従事されている方々と直接お会いをし、避難民の方々の置かれた困難な状況や支援に当たっての具体的課題等について現場の生の声を聞くことができました。
特に、寒さの中、徒歩で避難してくる方々に対し、国境検問所でボランティアによる温かい食事の提供や健康相談を行っていたこと、ワルシャワの避難民施設でも、食事や衣服の提供のみならず、医療カウンセリングや子供の遊び場の提供などのほっとする支援が行われていたということが強く印象に残ってございます。
こうした視察の成果を帰国後速やかに古川法務大臣に御報告をし、特に避難民の約九〇%が女性、子供ということに着目をした支援、とりわけ子供に対しては心理カウンセリングなどを含めたほっとする支援の必要性についても、入管庁を始め省全体に共有をいたしたところでございます。
今後も、この出張で把握した実情とニーズをしっかりと踏まえた上で、政府として、必要かつ効果的であり、特にほっとする温かい支援が提供できるようにしっかりと取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/9
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010・清水真人
○清水真人君 今の報告を聞きまして、本当に現場に行った価値というのがあったんだなということを思いました。特に、女性や子供、そしてほっとする支援という話がありましたが、まさに心を精神的にも痛めている避難民の方々に対するどのような支援を日本がしていくのかという点においては、非常に意義深い出張であったというふうに改めて認識をさせていただきました。
そこで、津島副大臣のポーランド出張で明らかに今されました現場のニーズや課題を踏まえて、今後ウクライナ避難民支援のために法務省としてどのような対応を取っていくおつもりか、法務大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/10
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011・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 清水先生にお答えいたします。
ウクライナ避難民の受入れや支援に当たりましては、何よりもまず、避難者の方々のニーズ、これを的確に把握することが重要であるというふうに考えております。現地のニーズや課題を的確に把握するために当初私がポーランドに赴く予定でございましたけれども、御案内のとおり、新型コロナ感染のために林外務大臣に代わっていただくこととなりました。
ポーランド視察の結果につきましては、ただいま津島副大臣からこの報告、答弁がございましたとおりでありまして、やはりその中でも、避難民の約九〇%が女性と子供であること、ここには、そこに着目をした支援が必要であるということですね。それと、とりわけ子供に対しては心理カウンセリングなどを含めたほっとする支援が必要だという報告をいただいたわけですけれども、これを大変重要なポイントだというふうに受け止めているところです。
身寄りのない避難民の方々に対しては、既に、一時滞在場所の提供、それから生活費、医療費の支給を始めておりまして、今後は、カウンセリング、日本語教育、就労支援など、受入れ後の各場面に応じた具体的な支援策を実施することといたしております。
引き続き、津島副大臣がポーランドから持ち帰ってくれたこの知見をそこにしっかり踏まえまして、その上で、避難民のニーズをきめ細かく酌み取りながら、しっかりと受入れや支援を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/11
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012・清水真人
○清水真人君 今本当に全国の様々な自治体が既に手を挙げていただいていて、受入先というのはもう十分過ぎるぐらいあるのかなというふうに思います。
ただ、そこにどのようにマッチングをして、そういった方々が日本の中で避難民として受け入れられて生活をしていくのかというのが一つの課題なのかなとも思いますし、大きな面でいえば、外国人共生というところにもつながると思いますが、まだまだ自治体の中においてはそういったものが十分に対応できていない自治体もあるわけでございまして、特に、心を痛める中で日本に来た避難民の方々に適切に、先ほどほっとする支援というのがありましたが、そうしたものもより重視していただいて対応できるように、各自治体にもいろいろな支援をする形でサポートをできるようにしていただければ大変有り難いと思いますので、よろしくお願いいたします。
続いて、法案の方に移らせていただきます。
今回の法案にて、家庭裁判所調査官を二名増員するとされているところであります。まず、昨年の裁判員定員法の一部改正の附帯決議でありますが、こちらにおきまして、子をめぐる事件の複雑困難化、また、増え続ける家事事件に対し、専門性に配慮した適正な人員配置を行うことというものが出されたところでありますけれども、この附帯決議に対してどのように対応されているのか、お伺いをしたいと思います。
そしてまた、今回のワーク・ライフ・バランス推進のために二名の増員ということでありますけれども、この人数で十分にこのワーク・ライフ・バランス推進というのができていけるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/12
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013・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答え申し上げます。
家庭裁判所調査官につきましては、その特色であります行動科学の知見等に基づく専門性を十分に発揮して的確な事件処理を図れるよう、これまでも、事件動向や事件処理状況等を踏まえて、事件処理体制の整備に努めてきたところでございます。
近年増加傾向にあります後見関係事件では家庭裁判所調査官の関与が限定的であること、少年事件の事件数について見ると、この十年だけでも約三分の一程度にまで減少していることなどを踏まえまして、近年は現有人員の有効活用によって引き続きその役割を果たすことができると判断いたしまして、家庭裁判所調査官の増員をしてこなかったところでございます。
このような事件動向等には変化がないところでございますが、育児と仕事の両立が実現し、職場のワーク・ライフ・バランスを推進するような人的体制を確保するために二名の増員をお願いしているところでございます。
二名という員数につきましては、これまでに同じ趣旨で増員をいたしました事務官や書記官の定員の活用状況を踏まえまして検討したものでございます。この活用によりまして、産前産後の休暇期間の代替職員を確保しやすくなるなど、子育てや介護をしながら活躍できる職場づくりの実現に生かすことができると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/13
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014・清水真人
○清水真人君 この二名で十分に推進ができるということでございますので、しっかりと対応をしていっていただければと思います。
続いて、育児休業について質疑をさせていただきたいと思います。
男性の裁判官の育児休業取得率につきましては、平成二十八年には僅か五・六%であったとのことであります。これが令和二年には三六・九%ということで、飛躍的に伸びてきているというふうに認識をしております。
今回の法改正によりまして、原則二回まで育児休業を取得可能、さらに、出生後八週間以内に二回取得、いわゆる産後パパ育休というんですかね、これが取れるようになるわけでありますが、これによりましてこの三六・九%というのが私は増えるのではないのかなというふうに思っているんですが、なかなか予測はしづらいと思いますが、どの程度伸びると予測をしているのか。
また、育児休業中の、それぞれの方が持っている手持ちの仕事というのがあると思いますけれども、これが、休業することになるわけでありますが、こうした仕事に対する補佐、また仕事の振り分け等について不都合があってはいけないわけでありますけれども、これをどのような体制で行っていくのか、お伺いをさせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/14
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015・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答えを申し上げます。
今回の育児休業法の改正によりまして柔軟な育児休業の取得が可能となります。これによりまして育児休業の取得が拡大をするというふうに思われますけれども、それが実際どの程度拡大するのかを試算することは困難でございますが、改正の趣旨に即して、制度の周知に努めるとともに、必要があるときはちゅうちょしないで育児休業を申し出ることができるよう、環境の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。
なお、裁判官が育児休業を取得する場合には、各庁の実情を踏まえて、当該裁判所における裁判官の配置換えや事件配填の変更、係属事件の配填換え等の工夫のほか、裁判官の異動等の措置により、裁判運営等に支障が生じないよう対応してきたところでございます。
今後とも、育児休業が柔軟に取得されるよう配慮しつつ、裁判運営等に支障が生じることのないよう対応に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/15
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016・清水真人
○清水真人君 いろいろ今、審議の長期化だとかということもよく言われているわけでありますが、一人一人が抱えている仕事の量というのも多いのかなというふうに私自身は思っていたんです。そういう中で、この育児休業を取ることが、そういったいろいろな裁判に関わるものの中で影響があっては困るので、そういった点について、ないように適切に対応していただければというふうに思っております。
続いて、先ほど家事事件の少年の部分が減ってきているだとかという話もありましたけれども、家事事件の新受件数に関しましては、平成十六年には六十九万件であったものが令和三年では約百十四万件へと増加をしているということであります。これは、我が国の高齢化社会の進行を背景として、成年後見制度への認知、そして理解が社会一般でも進んできた、そしてその活用が行われてきているからというふうに思っております。
他方、成年後見人による被後見人等の財産搾取、使い込みの事案もいまだ多く、最高裁判所の、後見人による不正事例、このネット上のページを見てみますと、平成二十六年が最高値で八百三十一件、被害額が五十六億七千万円であったということであります。それから比べると、令和三年は百六十九件、約五億三千万円と十分の一程度に減ってきているわけでありますが、額だけ見ればまだ五億を超えるということで、多くの方が被害に遭われているというふうに認識をしております。
裁判所には成年後見人等の不正行為に対する監督機能が求められているところでありますが、不正行為を更に縮減していくための取組についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/16
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017・手嶋あさみ
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
令和三年に最高裁判所が報告を受けました不正件数、被害総額はいずれも委員御指摘のとおりでありますところ、この数値のいずれにつきましても親族などの専門的知見を有しない成年後見人等による不正が全体の八割以上を占めておりまして、その原因といたしましては、成年後見人等としての責任や義務に関する理解不足や知識不足といった点があるのではないかと考えております。
したがいまして、家庭裁判所におきましては、成年後見人等に選任された親族の方などに対して、最高裁判所において作成しましたDVDやパンフレットなどを用いて成年後見人の役割等について御理解いただけるように説明するなどといった取組を進めておりまして、親族後見人等による適正な事務が確保されるように努めているものと承知しております。
また、家庭裁判所におきましては、当該事案において予想される後見事務の内容などに応じまして弁護士や司法書士などの専門職を成年後見人や後見監督人等に選任したり、それから御本人の金銭財産のうち通常使用しない部分を信託銀行等に信託し、その払戻し等につきましては家庭裁判所の発行する指示書を必要とする後見制度支援信託や、これと同様の機能を有します後見制度支援預貯金という仕組みを活用したりするなどして、不正の防止に努めているものと承知しております。
こうした様々な不正防止策を講じることによりまして、平成二十七年以降、不正事案の報告件数及び被害総額は年々減少しているところでございます。
最高裁判所としても、今後も引き続き不正防止の徹底に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/17
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018・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間になりましたので、おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/18
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019・清水真人
○清水真人君 時間になりましたので、質問を終わりにさせていただきたいと思います。残った質問については、いずれかの機会があればまたさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/19
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020・真山勇一
○真山勇一君 立憲民主・社民会派の真山勇一です。どうぞよろしくお願いします。
今日はこの委員会は、裁判所の職員数を決める法律と、それから職員の育児休業について改善を進めていく法律、この二つについての質疑ということで、今日は私は裁判官の働き方をちょっとめぐる質問というのをやらせていただきたいと思っています。
扱う事件の増加、今歯止めが掛かってきているというふうなことと、それから、やはりどこの部署でもそうですけれども、デジタル化というのが進んで、仕事の効率化というのが言われております。そういう中で、今回はその裁判官、まあ判事補ですけれども四十人減らして、家裁の調査官二人、事務官三十九人増やすという。でも、裁判の関係全体でいうと、職務の効率化とか合理化が進んでいて減らしていく方向にあると、大きな流れがあるというふうに理解しておりますけれども。
私、この委員会で何回か、委員会のたびに質問させていただいている裁判官の働き方、普通の民間の会社ですと、まあ一般職もそうですけれども、働く時間、勤務時間というのはどうなっているのかというのはやっぱりつかみながら人員配置など、それから民間の会社でいえば転勤などいろいろなことをやるわけですけれども、私、何回か伺ったんですけれども、裁判官にはその勤務時間を把握する、実態を把握するようなそういう仕組みというか、そういうことはやっていないという、そういう答弁を繰り返していただいたわけですけれども、私は今の時代、やはりどういうふうに働いているかというのは把握することというのはとっても大事なことじゃないかなというふうに思っています。
裁判所には一般職と呼ばれる普通の公務員の方と、それから裁判官がいて、それで、それによってそのやっぱり働き方って全然違うということは理解しているんですけれども、やはり裁判官のその勤務時間、そうしたものを把握する仕組みがないということは、今でもそれはやっぱりないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/20
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021・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答えを申し上げます。
裁判官につきましては、憲法で職権行使の独立が定められ、日々の職務遂行もその自律的判断に委ねられているという特質があり、勤務時間を個別具体的に把握、管理することになじまないところがありますため、現在も勤務時間を調査するという形のことは行っていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/21
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022・真山勇一
○真山勇一君 司法の独立ということが言われていますので、裁判官に関して様々な干渉があっちゃいけない、これはもう私、とってもよく分かります。
それから、今お答えにありましたが、憲法で職権行使の独立というのを認めていると、守られているということが、それも分かっているので、この職権行使の独立というのはまたちょっと後で伺いたいと思うんですが。
ここでちょっと人事院にお尋ねしたいんですけれども、裁判官というのはどういうふうな地位にあるのか、立場にあるのかというようなことをちょっとお答えできる範囲で伺いたいんですが、人事院というのは公務員の管理をして、公務員のその勤務状況とかそうしたことを調べているわけですけれども、私は、裁判官も、裁判官であると同時に、まあ裁判官である前にと言う方がいいかもしれませんね、やっぱり働く者であり、そういう意味では労働者としての基本的人権みたいなものはあるのではないかと思うんですけれども、人事院としてはその辺の考え方、一般の公務員とどんなふうに違うのか、その辺ちょっと聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/22
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023・原田三嘉
○政府参考人(原田三嘉君) お答えいたします。
まず、裁判官の地位でございますけれども、国家公務員法上、特別職の国家公務員として位置付けられております。
一般論として申し上げますと、公務員は、一国民として憲法上の基本的人権が尊重されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/23
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024・真山勇一
○真山勇一君 基本的人権はやっぱり尊重されるということだと思うんですね。そういう意味でいえば、裁判官という仕事、その仕事の重要さとか責任の重さということはもちろん重々それは認めながらも、やっぱり裁判官も働く者としてその基本的人権、例えば残業をやり過ぎちゃいけないとか、休みが取れないとかって、いろんなことがあると思うんですね。そういうところは改善していくべきだというふうに私は思っている。これは、やはり裁判官の人材確保する意味でもやっぱり大変大事なことじゃないかなというふうに思って、常々思ってきているんです。
今日出ているこの法律のことですね、ちょっとこちらのことも伺いたいと思うんです。
先ほどちょっと出ました、今回育児休業というのが出ていますが、大分これ改善、いただいた表によると改善できていますね。でも、やっぱり、見ると、裁判官と一般職でかなり違う。一番最近の数字、いただいた数字見ますと、令和二年度ですけれども、育児休業の取得率、一般職の公務員は六二・四%、でも、裁判官は、先ほど数字出ましたが三六・九%、大体半分ぐらいしかやっぱり休業取れていないということですね。
まあ、取れていないのか取っていないのか、その辺は中身、実はですね、これも調べている、取っているのを調べているのかどうかということと、それからもう一つ伺いたいのは、年次有給休暇というのがありますね。年次有給休暇についても、一般職と裁判官でやっぱり取れる、取れるというか取る日数などが違っているんじゃないかと思うんですが、その辺ちょっと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/24
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025・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、男性の裁判官の育児休業の取得率あるいは年次休暇についての裁判官の取得状況は一般職とは若干状況が違うということは委員御指摘のとおりでございます。
裁判官についてもワーク・ライフ・バランスは重要であるというふうに考えておりまして、今後も仕事と育児や介護との両立支援制度の周知に努めるなどして積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/25
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026・真山勇一
○真山勇一君 勤務時間についてはその調べるあれはやっていないということなんですけれども、この育児休業とそれから年次休暇についての調査というのはやっているんですか。どんなふうにやっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/26
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027・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答えを申し上げます。
年次休暇の件、育児休業の取得、これはいずれも届出等がありますので把握をできますので、それで把握をしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/27
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028・真山勇一
○真山勇一君 そうですね、取りたい方から申請があるわけだから、それをまとめればある程度統計できるというのはよく分かります。
育児休業もまだまだちょっと男性の裁判官は取る率が低いなということと、それから、年次休暇の取得状況というのをいただいたんですが、これ、この数字は、これ単位、日数でよろしいんですかね。令和二年は九・四五というのが出ているんですが、これは日数ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/28
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029・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) 御指摘のとおり、日数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/29
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030・真山勇一
○真山勇一君 年次休暇なんで、年間で何日あるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/30
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031・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) 二十日でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/31
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032・真山勇一
○真山勇一君 やっぱりこの年次休暇、裁判官というのも半分しか取れていないということで、やはり裁判官の仕事、勤務時間も含めて、仕事本当に忙しいのかなということと、それから、そんなに、まあそんなに忙しくないことは僕は、私はないと思っていますけど、どのくらい忙しいのかなという、つかむためには、やっぱり勤務時間というのは必要、つかむことは必要でないかというふうに思うんですけれども。
例えば、先ほどの人事院の答弁でいただいた、裁判官も労働者として基本的人権があるということだったんですが、裁判官にやはり、例えば法定労働時間というのがありますね、こういうものを超えて勤務する、させるということには問題はないかどうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/32
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033・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答えを申し上げます。
裁判官についても心身共に健康な状態で職務に当たることができるようにすること、これは重要であると考えているところでございます。
そのため、勤務時間の把握、調査というのはしていないというふうに申し上げましたけれども、事件数及び事件処理状況等を踏まえて各裁判所に適切に人員を配置するとともに、各地の裁判所においては、個々の裁判官が休日や夜間にどの程度の仕事をしているかや、裁判官の手持ちの事件数や内容を含めた負担の程度について、部総括裁判官を始めとする周囲の者がきめ細かく把握するように努め、必要に応じてその働き方について指導、助言をしたり事務負担を見直したりするなどして裁判官の心身の健康に配慮しているものと承知をしております。
今後とも、裁判官の職務の特質を踏まえつつ、裁判官が健康な状態で職務に当たることができるよう努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/33
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034・真山勇一
○真山勇一君 今出ました部総括裁判官という方が、裁判官のそうした勤務時間も含めての管理、管理というか把握ですね、やっておられるということだったんですね。
この部総括裁判官というのは、どういう立場で、どういうふうな形で例えば勤務時間なんかは把握、具体的にしているということなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/34
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035・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答えを申し上げます。
部総括裁判官というのは、事件処理の単位となる部、あるいは合議体の単位となること多うございます。そこで、部総括裁判官は裁判長も、合議体の裁判長も務めるというような立場にあります。あるいは、基本的には同じ部屋で部の構成員である陪席裁判官と仕事をするということが多うございます。
したがいまして、そういう立場にありますので、日常、仕事を共にしながらふだんの様子も見ているということでございますので、特に部総括裁判官におきまして陪席裁判官等の負担の状況、仕事の状況を把握しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/35
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036・真山勇一
○真山勇一君 その現在の仕組み、部統括裁判官のその役割で、例えば、いわゆる裁判所、人事管理、ちょっと人事管理と言うことが適正かどうかは別にしましても、人事管理的な、普通の会社でいう人事部みたいな仕事が適正にできているという判断でいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/36
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037・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) 御指摘のとおり、適正に負担状況等を把握できるよう努めているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/37
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038・真山勇一
○真山勇一君 やっぱりどこの会社でも、それからお役所、官庁でもそうだと思うんですけど、やはり人事管理ってなかなか難しいんじゃないかなというふうに思うんですよね。やっぱり公平公正にやらなくちゃいけないということがあるし、よく働いている人は恵まれなくちゃいけないし、問題のある人については指導もしていくというようなこともあるんじゃないかという、いろんなことも、普通のところではそういう人事についてはいろいろあると思うんですね。
でも、やっぱり、私、難しいんじゃないか、どこでもやっぱり人事管理って悩みの種じゃないかと思うんですよね。どうやって公平公正にできるのか。やはりえこひいきがあったり、それから人間ですから、やっぱり好き嫌いもあるでしょうし、ですから、部統括管理官という、あっ、裁判官という方が、同じ裁判官仲間の、ふだんから、何というんですかね、連絡を取り合っているというか、意思の疎通を図っているというふうにいっても、やっぱり、こいつは余り好きじゃないなとか、それから逆に、報告するのはちょっと言いにくいから言わないなとか、そういうことがあるんじゃないか。やっぱり、そういう限られたサークルの中でそういうことを報告したことがどこまで客観的になるかというのは、とっても難しい面があるんじゃないかなというふうに私は感じているんです。
ですから、やはりそれは、そうしたものでなくて、やっぱり何かオープンな、情報公開ができるような形で何かやっていかなくちゃいけないというふうに思うんですけれども、職権行使の独立というのは先ほど言葉出ました。それがあるので裁判官の勤務時間については触れないということになっていますけれども、私は職権行使の独立というのを守りながら勤務時間の管理ってやれないことはないと思うんですけれども、その辺りはどんなふうに考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/38
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039・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答えを申し上げます。
先ほどの人事の評価の関係についてでございますけれども、裁判官につきましては、公正な人事の基礎とするために、裁判官の主体的な能力の向上に資するため、裁判官の人事評価に関する規則というものがございまして、これに基づいて人事評価を実施しているところでございます。
人事評価の実施に当たって裁判官の職権行使の独立に配慮すること、御指摘のとおり重要であるというふうに考えておりまして、各評価権者におきまして細心の注意を払っているものと承知をしているところでございます。
さらに、職権行使の独立を守りつつ勤務の実態を把握することができるのではないかというお話でございました。裁判官につきましては勤務時間を個別具体的に把握、管理することになじまないところがありますので、その勤務時間の調査ということを行うことは予定はしておりませんけれども、先ほど申し上げたとおり、各地の裁判所におきまして、裁判官の負担の程度を把握し、その健康に配慮しているところでございまして、今後とも裁判官が健康な状態で職務に当たることができるよう努めてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/39
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040・真山勇一
○真山勇一君 今の答弁の中で、人事管理は細心の注意を払いながらやっていらっしゃるということなんですけれども、私は、裁判官の職権行使の独立というのこそ、やっぱり裁判官はいわゆる人事管理するのはおかしいんじゃないかと、そう思うんですよ。管理しちゃいけないわけですよね、裁判官のそういうものは。つまり、仕事に関わることはいけないわけですよね。
人事というのは、やっぱりその人間が仕事がよくできるとかできないとか、基準はいろいろとあると思うんですが、やっぱりそういう、つまり、何というんですかね、組織である以上、人材を、スタッフを動かすということはやっぱり必要だと思うんですね。
ただ、その中でもやっぱり裁判官という仕事は特殊な仕事であると、やはり独立を尊重しなくちゃいけないというのはよく分かるんですが、勤務時間を単に把握するということが今おっしゃっているような職権行使の独立を侵すことになるのか、あるいは、言い方としては、いわゆるまあ人事管理と言うとちょっと一般的に何か拘束するようなあれがあるので、言い換えると、これも司法関係の本にあるんですけれども、司法行政の監督権ですね、監督権、それと裁判官の裁判権との兼ね合いになるんじゃないかと思うんですが、勤務時間を把握することが、やはり今の答弁ですと、裁判官の職権行使の独立を侵すことになるという、そういうやっぱり解釈をなさっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/40
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041・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答え申し上げます。
裁判官の場合、どの事件にどの程度の時間を使うかでありますとか、各事件の調査、検討、判断の過程でどのように時間を使うのかということなども含めて仕事の進め方は各裁判官に委ねられておりますので、それは職権行使の独立というところの関係で少しセンシティブなところがあろうかというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/41
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042・真山勇一
○真山勇一君 確かに、裁判官の働き方というのは独特でなかなか見えない。私は、やっぱり裁判官の勤務というのはある意味ブラックボックス、つまり本人にもう任せてあるということになっているんじゃないかと思うし、裁判官のその職業の上での独立というのが大事だからそれを尊重するということになると思うんですけれども、ただ一般的に、A裁判官、B裁判官って、特別に、個別にしなければ、例えば勤務時間というのはどうなっている、どんな働き方しているのかと調べるのは、一般的な統計としては出せるんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/42
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043・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答え申し上げます。
勤務時間ということになりますと、それぞれその裁判官がどう勤務の時間を使ったかということになりますので、なかなかこれ個別に把握することは難しいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/43
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044・真山勇一
○真山勇一君 いや、だから、個別に把握することが難しいから、逆に裁判官を特定しないで、Aさん、Bさん、Cさんという、いわゆる例えば無記名で、勤務どうなっているか提出してくださいというような、まあ例えばアンケートのようなものを職場で取ったとしたら、その中で、裁判所で働いている時間がこれこれの時間です、それから持ち帰って、裁判官の仕事というのは必ず、私なんかもよく見ますけれども、風呂敷に大きな資料を抱えていって自宅で広げて、自宅で仕事をする場合もあると。
だから、自宅でどのぐらいの時間を仕事しているかということも、だって、それが、つまりそういう仕事だからつかめないから調べていないんですということと、そういう、例えば無記名のアンケートのようなものを取って、やっぱり裁判官ってどう働いているのか、身内の裁判官がどう働いているのかというのは、私はやれないことはないと思うんですけど、そういう仕組みというのはなじまないんでしょうか、あるいは考えておられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/44
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045・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間ですので、お答えは簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/45
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046・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) 今のような調べ方ということについては今のところ考えておりませんけれども、今後とも裁判官の執務の実情の把握に努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/46
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047・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間が過ぎております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/47
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048・真山勇一
○真山勇一君 時間になりましたので。
いつもよく職業のときにネットで引くと、十三歳のハローワークというのがあるんですが、職業、なりたい職業ですよね、その一覧表というのがあって、最近、一位がユーチューバー、二位がプロスポーツ選手、三位イラストレーター、五位が外交官などというふうになっているんですが、法曹界どうかなと見ると、三十六位に弁護士、それで、裁判官どのくらいかなと思ったら、九十七位です、裁判官。この表の中には検察官というのはないんですけれども、裁判官は九十七位。やはり最近の若い人に裁判官なりたいなという気持ちがきっとないのかもしれない。やはり裁判官、なり手がなくて、まあ少子化もあるんでしょうけれども、大変人集めが困っているということを伺っている。
私は、やはり法を守る裁判官というのは優秀な人材に是非集まっていただきたいというふうに思っている。そのことから、やっぱり裁判官が若い人たちに魅力ある仕事になるためにも、やはり今……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/48
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049・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 真山さん、時間が過ぎております。おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/49
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050・真山勇一
○真山勇一君 はい。
働き方改革とかワーク・ライフ・バランス、それから今テレワークも言われています。今、いい時期じゃないかというふうに思って、改めて提案をさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/50
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051・安江伸夫
○安江伸夫君 公明党の安江伸夫です。
まず、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について伺います。
同法案では、判事補の定員を四十名減員するということになっております。平成二十八年には定員一千名であったところ、これが令和三年には八百九十七名、そして本改正法案では八百五十七名と、この六年で約百四十名の減員となります。
改正の趣旨として、近年の事件動向及び判事の充員動向というふうにされておりますが、こう一口に申し上げましても、判事補の減員は裁判の担い手である裁判官の減員でもあり、またそのまま将来の判事の減少にもつながります。このことにより、事件処理に当たりまして、将来において裁判官一人当たりの手持ち事件が増加するのではないか、またそれに伴って審理期間が長期化してしまうのではないか、また将来的に判事となる者の人数を十分に確保し司法を維持、継続することが十分にできるのか、ひいては裁判を受ける権利の保障が減退をしてしまうのではないかということが一般的には懸念されるのではないかと思います。
そこで最高裁にお伺いいたしますが、今私が指摘したようなこれらの懸念は当たらないという理解でよかったか、確認をさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/51
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052・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答え申し上げます。
今回の判事補の定員につきましては、充員が困難な状況が続いていることや、直近の事件動向、令和三年四月六日参議院法務委員会附帯決議等を踏まえまして総合的に検討した結果、令和四年度におきましては判事補を四十人減員することとしたものでございますが、将来の事件処理に支障を来さない範囲での減員を検討したものでございまして、今回の減員によって事件処理に支障は生じないものと考えております。
判事につきましては、近年、民事訴訟事件の複雑困難化への対応として、合議制による審理を進めること、成年後見関係事件の増加への対応や後見監督体制の強化を行うことなどを目的に、相当数の判事を増員し、着実に人的体制の整備を図ってきたところでございます。
判事補が将来の判事の給源になるものであることにつきましては委員御指摘のとおりでございまして、裁判所といたしましては、裁判官にふさわしい資質、能力を備えた人材をより多く採用し、引き続き充員に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/52
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053・安江伸夫
○安江伸夫君 ありがとうございます。
今御説明いただいた理由については理解いたします。ただ、やはりこれによって司法の機能が減退してしまうことが断じてあってはなりません。外部的な環境によりやむなく減員をするという消極的な理由ではなくして、事件処理の合理化、効率化を高めた結果、減員をしていきますというような、こういうような体制の方向性になるように努めていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
また、この事件処理の合理化、効率化とも関連をして、審理期間の長期化に対する対応状況についてもお伺いをします。
平成十五年に制定されました裁判の迅速化に関する法律等に基づいて裁判の迅速化に努めていただいているものと承知をしております。同法は、第一審については二年以内に事件を終結するという目標を設定しておりますが、私自身、裁判実務に携わってきた一人でありますけれども、二年程度裁判に時間が掛かるということは、裁判官や弁護士の立場からは間々あることでありますが、実際に訴訟を利用されている当事者の立場からすれば、一年とか二年とか裁判に時間が掛かることについては、事件の内容にもよりますけれども、長過ぎるという、長過ぎると感じる方が多数なのではないかなというふうに思います。
また、この審理の長期化が、裁判を通じた権利の実現を求めるに当たっての大きなハードルの一つになっているというのもあるのではないかと感じております。その意味におきましても、できる限り早期に事件を終結していくということは大変重要であり、審理の充実を担保しつつも、終局に至るまでの審理期間の短縮につきましては、訴訟当事者、そして代理人弁護士を始めとした訴訟当事者と、また裁判所の不断の連携、協働も重要と考えます。裁判所におきましても、審理の迅速化について積極的に取り組んでいただきたいと存じます。
これに関連しまして、令和三年四月六日の当委員会における裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議の第一項では、民事訴訟手続の審理期間及び合議率の目標を達成するため、審理期間が長期化している近年の状況を検証し、審理の運用手法、制度の改善等に取り組み、その上で、目標達成に必要な範囲で削減を含め裁判官の定員整理を行うことと定められたものと承知をしております。迅速かつ充実した審理を通じ法の支配の原理を確立し、国民の裁判を受ける権利を充実させるためにも、当附帯決議は重要と考えます。
そこでお尋ねしますが、審理期間の長期化の検証と審理の運用手法及び制度の改善に向けた検討状況について裁判所の御見識をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/53
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054・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答え申し上げます。
民事第一審訴訟事件の平均審理期間の長期化の原因につきましては、種々考えられるところでございますが、例えば、医療関係訴訟、建築関係訴訟、労働関係訴訟等といいました平均審理期間が長い事件類型につきましては相当に複雑困難な事件が多く含まれておりまして、これが平均審理期間の長期化の一つの要因となっているというふうに考えられます。
審理の運用手法の改善に向けまして、複雑困難な事件につきましては、合議体による審理を活用することにより適正かつ迅速な処理が可能となると考えられますところ、複雑困難事件等の合議体で審理すべき事件を適切に合議に付して、訴訟関係人の理解と協力を得つつ、争点中心型審理の実践に努めるとともに、裁判官が適切な訴訟指揮権を行使して終期を見通した計画的な審理を実践できるよう、争点整理や合議の充実、活用について各種協議会等を通じて議論を重ねているところでございます。
また、裁判の迅速化に関する法律に基づきまして、外部有識者による検証検討会における意見等も踏まえながら、制度面、運用面を含めた多角的な検討を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/54
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055・安江伸夫
○安江伸夫君 ありがとうございました。御丁寧に答弁いただきました。
前段の審理の長期化の原因で、複雑性、専門性の高い事案が増えているという御指摘もありました。当然、現状も取り組んでいただいているところかと思いますが、そうした専門訴訟にも対応できる人材の育成、そうした裁判官の養成というところにも引き続き積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
いずれにしましても、世の中全体がデジタル化が進んでおります。社会全体の流れあるいはビジネスの流れも迅速化していく中にあって、司法の機動力が旧態依然としているという状況は避けなければなりません。司法が世界標準にもかない、信頼され、そして使いやすい、このように評価されるよう、引き続き審理の充実が担保された形での裁判の迅速化に取り組んでいただきますことをお願い申し上げます。
続きまして、法曹養成機能の向上、また法制志望者の状況についてお伺いをいたします。
判事補の減員の理由としても、先ほどありました、判事補の定員の充足ができないということがあります。すなわち、司法試験合格者からの裁判官の希望者が減少しているという状況があります。先ほど真山委員の質問の中にも、裁判官が九十何位ということで、余り人気がない順位というような発言もありました。人気がないというのはちょっと語弊がありますね、済みません。なかなか高くないという。
そもそも、司法試験受験者も減少傾向が続いております。志望者の減少により法曹の質が低下してしまわないかということも懸念されているところです。
これに関連しまして、先ほども指摘させていただきました附帯決議の第四項、法曹養成機能の向上と法曹志望者の増加に向けた取組を加速化させること等が示されております。有為な人材を多数法曹界に輩出していくこと、それは我が国における法の支配の原理を強固なものとするために極めて重要な観点であると思います。
この更なる法曹養成機能の向上、法制、法曹志望者の増加に向けた法務省の取組状況を確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/55
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056・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員御指摘の附帯決議につきましては、平成二十七年六月の法曹養成制度改革推進会議決定に基づきまして、法科大学院の集中改革に取り組んでまいりました。現在、法曹資格取得までの時間的、経済的負担を軽減し、かつ予測可能性を高めることを内容といたします法曹養成制度改革法が段階的に施行されているところでございます。
そして、来年、令和五年でございますが、の司法試験からは、新たに法科大学院在学中の者にも一定の場合に司法試験の受験資格が付与され、法学部三年と法科大学院二年のルート、いわゆる3プラス2の制度と呼んでおりますが、これを経た者の受験も始まるところでございます。
法務省といたしましては、引き続き関係機関とも連携しながら、法科大学院教育等を一層充実させるための支援やこの3プラス2の制度の更なる周知を行うとともに、法曹志望者の回復に向けまして、法曹の魅力や幅広い分野での活躍についての積極的な情報発信などにも取り組み、より多くの有為な人材が法曹を志望していただけるよう、環境づくりに努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/56
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057・安江伸夫
○安江伸夫君 ありがとうございました。
繰り返しになりますけれども、法曹の養成、有為な人材を送り出していくこと、これはもう将来にわたって我が国の司法の基盤を維持し、法の支配の原理を強固なものとするために重要であるという、こういう観点を持って力を込めて推進をしていただきたいというふうに存じます。
また、これに関連して、法曹の質というテーマについても一問伺いたいと思います。
先頃公表されました法曹の質に関する検証結果におきまして、その結論として、現行の法曹養成制度下で輩出された法曹の資質、能力やその活動の低下を招いている具体的な影響を見出すことはできなかったと分析された旨承知をしております。
もっとも、こうした分析の必要性そのものを否定するわけではありませんが、より重要なことは、法曹三者が、現下の社会情勢を踏まえて、国民、市民から求められている職責を現に果たしているかという観点からの不断の分析と、また不断の研さんが重要かというふうに思います。
その意味におきましても、法曹三者の資質及び能力の向上につき、弁護士については弁護士自治の名の下に弁護士会が、裁判官については最高裁が、検察官については検察庁が、それぞれ第一義的な責任を担うべきものと考えます。
そこで、今日は、最高裁及び検察庁に対しまして、法曹の質を向上させる必要性の御認識と、そのための近時の具体的な取組についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/57
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058・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答えを申し上げます。
御指摘のとおり、裁判官は、その職責を果たす上で資質、能力を向上させていくことが重要でございます。裁判官としての資質、能力を向上させるためには、何よりもまず日頃の執務において具体的な事件処理を通じて行う自己研さんが中心となりますが、そのような自己研さんを支援し、裁判官に幅広い視野や専門的知見を身に付けさせるために、司法研修所において様々な研修プログラムが用意されております。また、裁判所の外部におきまして、若手の裁判官に多様で豊かな経験を積ませるということを目的とし、民間企業等への派遣、弁護士職務経験、海外留学、行政省庁での勤務等を行っております。
今後とも、日頃の事件処理に地道に取り組むということを中心としながら、研修等を効果的に組み合わせるなどして、裁判官の資質、能力を高める取組に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/58
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059・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) 検察官の関係で、私からお答え申し上げます。
検察が国民の信頼に応え続けていくためには、時代や社会情勢の変化を的確に捉えつつ、事案の真相を解明し、適切に検察権を行使するための資質及び能力を更に向上させることはもとより、新しい犯罪事象にも適切に対処するための専門性や対応力を強化するため、組織として不断の取組を行っていくことが重要であると認識しております。
そのために、法務省といたしましては、検察官の経験年数等に応じた各種研修を実施し、検察官として必要な知識、技能を習得させ能力を向上させるとともに、広い視野と識見を養うための啓発等を行っているところでございます。
また、先端の知識を習得させ専門性を向上させる観点から、これらの研修の中で、例えば、増加し続ける児童虐待事案等に適切に対処するための児童の事情聴取方法等に関する講義、演習等、検察官の捜査、公判能力を向上させるための様々なカリキュラムを取り入れているほか、デジタルフォレンジックの技術の習得や医療事犯等に適切に対処するための各種の専門的研修を実施するなどしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/59
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060・安江伸夫
○安江伸夫君 ありがとうございました。引き続き法曹の質の向上に向けた不断の取組をお願い申し上げます。
裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案についても一問お伺いします。
今回の改正の趣旨を踏まえて、裁判官のワーク・ライフ・バランスの確立を一層推進すべきものと考えます。裁判官につきましても、その職務の性質上長時間の労働になりがちで、自宅に仕事を持ち帰って起案をすることも少なくないかと思いますし、私の裁判官の知人も、やっぱり持ち帰って起案をすることというのは一般的に間々あるというふうに聞いているところでおります。引き続きの改善を求めたいというふうに思います。
そこで、裁判所に対しまして、裁判官のワーク・ライフ・バランスの更なる確立に向けた取組状況をお伺いするとともに、労働時間の把握状況についても私からも確認をさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/60
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061・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答えを申し上げます。
裁判官のワーク・ライフ・バランスは重要であると考えておりまして、各庁の事件動向等に応じた裁判官の配置に努めるとともに、各庁の実情に応じて担当事務の分担の仕方を工夫するなどの配慮を行うほか、仕事と育児や介護等の両立支援制度の周知に努めるなどして積極的に取り組んでいるところでございます。今後とも、ワーク・ライフ・バランスを実現できる執務環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
裁判官の執務時間、失礼しました、裁判官の勤務時間につきましては、裁判官の職務の性質上、勤務時間の定めがなく、裁判所として個別具体的な裁判官の勤務時間の把握、管理はしていないところでございますが、各地の裁判所におきましては、個々の裁判官が休日や夜間にどの程度仕事をしているのか、裁判官の手持ちの事件数や内容を含めた負担の程度について、部総括裁判官を始めとする周囲の者が様々な形できめ細かく把握するよう努め、必要に応じてその働き方について指導、助言したり、事務負担を見直したりしているものと承知をしております。
今後とも、個々の裁判官の状況等を把握し、ワーク・ライフ・バランスを実現できる執務環境の整備に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/61
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062・安江伸夫
○安江伸夫君 ありがとうございました。
先ほど、真山委員からも大分突っ込んで、様々、質疑聞いておりました。やはり裁判官の独立性を侵さない範囲でその実態の把握の、更なる把握に努めていただきたいということを私からもお願いをしたいと思います。
最後に一問だけ、ちょっと法案を離れて一問だけちょっと質問させていただきます。
いわゆる同性パートナーの在留資格についてでございます。現在、日本人との同性パートナーである外国人については、配偶者としてはもとより、特定活動による在留資格による入国、在留も認められていないものと承知をしております。もっとも、双方外国人の場合は、現行制度の下でも、当事者双方の本国で有効に婚姻が成立していれば特定活動の在留資格が認められております。
しかし、本邦に入国を希望する当該外国人の立場からすれば、配偶者の国籍が日本人かあるいはそうでないかによって取扱いが異なることは、法の一般原則たる平等原則の観点からも不適当ではないのかなというふうに考えております。
また、同性婚を制度化する諸外国が増えていく中で、日本国内のその制度化の是非の点はおいておくとしても、多様性を尊重する国際社会における態度としては望ましくないのではないでしょうか。さらには、同性婚をしている優秀な人材が、外国人材が、現行制度の下では我が国では活動が阻害されていることも看過できません。
少なくとも、日本人との同性パートナーである外国人についても、少なくとも相手国において有効に婚姻が成立していると言えれば、双方外国人と同様の取扱い、すなわち特定活動による在留資格を認めるべきものと改めてお願いを申し上げます。古川大臣の御所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/62
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063・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 日本人との同性パートナーである外国人について、配偶者ないしはそれに近い地位にあることを前提とした在留資格を付与すべきではないか、そういう問題意識からの御質問と承りました。
まず、我が国の入管法の考え方といたしまして、配偶者ないしはそれに近い地位にあることを前提とした在留資格を認めるためには、それぞれの国籍国において法的に夫婦関係にあり、我が国においても配偶者として扱われるような関係性にある者であることが必要でございます。
同性婚の当事者がいずれも外国人であって、それぞれの本国で有効に同性婚が成立している場合は、在留資格を有する外国人の同性パートナーについては、本国におけるのと同様に安定的に生活できるようにとの配慮から、特定活動の在留資格による入国、在留を認めているところでございます。
これに対しまして、当事者の一方が日本人の場合には、我が国において法律上同性婚が認められていないことから、仮にパートナーの本国において同性婚が認められていたとしても、我が国において公的な手続を何ら取ることなく関係を解消できるということになるわけです。そのため、身分関係の明確性、確実性の点などに課題がございますことから、現在の運用として、そのパートナーには、特定活動を含め、在留資格を認めていないところでございます。
ただ、委員御指摘のとおり、同性パートナーの在留資格の在り方につきましては様々な御意見があることも十分に承知をいたしております。今後、先ほど申し上げた課題への対応も含めて、様々な御意見を十分に踏まえ、委員の御指摘も踏まえてしっかりと前向きに検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/63
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064・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間が過ぎております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/64
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065・安江伸夫
○安江伸夫君 前向きな検討をお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/65
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066・川合孝典
○川合孝典君 国民民主党の川合孝典です。
法案の質疑に入ります前に、一件、前回の法務委員会で指摘をさせていただきまして、古川大臣の方からお取組を進めていただくことをお約束いただきました矯正施設の被収容者等に対する新型コロナ予防接種の対応についてと、この件について確認をさせていただきたいと思います。
お手元に一枚、法務省矯正局からの資料を提出させていただいております。三月二十九日の法務委員会の質問で、ワクチン接種が矯正施設収容者の方々に対して十分に行われていないということの指摘をさせていただきました。それに対しまして矯正局長の方から明確な御答弁がなかったことから、大臣が追加で御答弁をいただいたという流れになっております。
それを受けて、四月一日付けの矯正局の資料がこういった形で私のところに届けられました。その内容を委員の皆さんと共有をさせていただいているということで御理解いただきたいと思います。
記載されている内容についてはこのとおりということでありまして、現在までの対応状況ということで、令和三年一月以降、厚生労働省の間で様々な協議を進めているということについて、その内容が記載をされております。
こういった対応をしていただいているわけでありますが、残念ながら、指摘をさせていただいた時点では十分に収容者の方がワクチン接種にアクセスできていないという状況が全国的に認められるということでありまして、したがって、これまでの法務省矯正局としてのワクチン接種推進に向けた取組が残念ながら十分な効果を出していないということが御理解いただけると思います。
そうしたことを踏まえて、今後の対応ということで矯正局の方から御連絡をいただいておりますが、右欄の2の今後の至急の対応についてというところで、(1)、(2)で、各施設と所在自治体との調整の現状、それから各施設に対する視察委員会、弁護士会、マスコミ、出所者、支援団体等からの意見等の状況、こうした調査を行うということで、自治体との綿密な調整について改めて文書を発出して指示をすると、こう記載をされております。
それから、この紙を頂戴してから半月ほど経過をしているわけでございますが、実際、この文書はどういった内容で発出をされたのかということについて矯正局にお伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/66
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067・佐伯紀男
○政府参考人(佐伯紀男君) お答え申し上げます。
ワクチン接種の推進に関しましては、大臣から、接種状況の改善のため、現状を緻密に精査すること、各矯正施設において所在自治体との調整を綿密に進めることについて御指示をいただいておりましたが、前回の委員会までの十分な進捗が得られておらず、速やかに取り組むよう改めてお叱りを受けまして、当局において至急取り組んだところでございます。
現状を精査した結果、ほとんどの施設におきまして、所在自治体の協力を得て円滑に調整を行っていることが判明いたしましたが、一方で、一部施設におきまして、自治体からのワクチンの供給が不安定であるため、希望しても供給されない場合があることも判明しております。
また、被収容者に対するワクチン接種に関する各種団体等の御意見として、例えば、高齢である被収容者の御家族から速やかに接種を要望する声が寄せられるなどの事例も認められたところでございます。
これらの結果を踏まえまして、当局におきまして厚生労働省と協議を行いまして、厚労省の御理解を得まして、接種券のない被収容者であっても、再発行申請を事後に行うことを前提としまして、接種券が手元にない段階で先に接種を行うことを可能とするようなこと、それから、ワクチン供給の問題につきましても、矯正施設所在の市町村から被収容者分のワクチンが適切に分配、融通されるよう、令和四年四月十一日付けで厚労省から各自治体に対して依頼文を発出していただいたところでございます。また、当局からも、各施設に対しまして、施設長自らが所在市町村に対して改めて要請に赴くなど強いリーダーシップを発揮して、各施設や所在市町村の実情に応じた緻密な調整を進めるよう改めて指示をしたところでございます。
これらの対応によりまして、矯正施設に円滑にワクチン供給がなされる見込みとなりまして、接種券の課題も含めて、これまでの接種が十分に進められなかった要因が解消されるものと認識をしているところでございます。
引き続き、適切にフォローアップをいたしまして、ワクチンの接種の推進を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/67
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068・川合孝典
○川合孝典君 今局長御説明いただきました内容について資料等というのは頂戴できますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/68
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069・佐伯紀男
○政府参考人(佐伯紀男君) 後ほど提出させていただきたいと、後ほどお渡ししたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/69
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070・川合孝典
○川合孝典君 申し訳ありません。しつこくこの話をさせていただきましたのも、今変異株がどんどん交代してきていることで、いわゆる陽性化しても無症状な方ですとか、どちらかというと軽症化しているような傾向が広がってきていることを受けて、ワクチン接種自体についての国民の皆さんの関心も低くなってきている結果、三回目の接種が進まないという状況が今ございます。
が、しかしながら、一度もワクチン接種をしていない方にとっては大変危険なウイルスであることはこれ間違いないわけでありますので、一つ間違えますと施設内でのいわゆる感染の拡大、若しくは、出所された方が出所されてから非常にきつい感染症症状を呈されることが容易に想定されるわけでありますので、したがって、ここは法務省の責任でもって、収容者、被収容者に対するワクチン接種はしっかりと進めていただきたいという、そういう問題意識でこのことを申し上げさせていただいておりますので、是非しっかり進めていただきたいと思います。
それでは、法案の内容について少し質問をさせていただきたいと思いますが、まず、通告した内容に従って御質問します。
裁判官のいわゆる今後の必要な定員について、裁判官一人当たりの処理件数ですとか、いわゆる残業の実態ですとか、今後支部機能をどう充実させていくのかといったような観点から、今後裁判官数はどうあるべきだと考えていらっしゃるのかということについて認識をまずお伺いしたいと思います。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/70
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071・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えを申し上げます。
裁判所は、これまでも、事件動向等を踏まえまして、着実に裁判官を増員し、人的体制の整備に努めてきたところでございます。直近の事件動向を見ますと、成年後見関係事件などの一部の事件を除きまして、増加に歯止めが掛かり、落ち着きが見られるようになっていることから、令和四年度につきましては、これまでの増員分も活用しつつ、審理運営の改善、工夫等も引き続き行うことで、適正かつ迅速な事件処理を行うことができるものと考え、判事の増員を求めないこととしたものでございます。
今後の裁判官数につきましては、事件動向、事件処理状況、社会経済情勢の変化や、これに伴う事件の質的な変化、法改正の状況など、その時々の諸事情によって定まるものでございます。その検討には努めてはおりますものの、いずれの要素も正確に予測することが難しい面も多く、中長期的な計画のようなものをお示しすることは困難であるということについて御理解をいただきたいと思っております。
委員から御指摘をいただきました裁判官一人当たりの事件処理件数等につきましては、支部を含め、事件動向や事件処理状況を注視する中で把握をし、また執務の状況につきましても、各裁判所の所長等が把握している裁判官の繁忙状況を高裁を通じるなどして聞きながら各庁の実情の把握に努めているところでございます。
裁判所といたしましては、今後もこのような把握した状況に基づきまして全国に均質な司法サービスを提供できるよう体制を整備してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/71
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072・川合孝典
○川合孝典君 要は、客観的な数字はないということですよね、目標についての。はい。
先ほどの質疑の中で話を聞いていて私大変驚いたんですが、労働時間、いわゆる裁判官の労働時間の個別管理を一切やっていないということについてなんですけど、それがそのいわゆる司法の独立性ゆえにということの論旨で話をされていたのを聞いて大変違和感を感じました。
確かに、憲法七十六条には司法の独立について書かれておりますが、そこには、全ての裁判官は、「その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」と、こう書かれております。
労働基準法は適用除外になっているんですか。労基法は法律ではない、そこをちょっと確認させてください。かみ合わないんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/72
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073・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) どなたに対して。最高裁判所でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/73
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074・川合孝典
○川合孝典君 最高裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/74
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075・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答えいたします。
裁判官につきましては勤務時間の定めがないものですから、その点については労働基準法にそのまま準拠するものではないというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/75
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076・川合孝典
○川合孝典君 勤務時間の定めがないというのはどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/76
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077・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) 一般職でございますと七時間四十五分ということで勤務時間の定めがございますけれども、裁判官についてはそういうような何時間というような定めがないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/77
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078・川合孝典
○川合孝典君 つまりは、労働基準法の労働時間の適用の除外になっているということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/78
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079・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) 済みません、今すぐ手元でどういう機序というかあれで、解釈上こうなるということ、明確にお答えすることはできませんけれども、勤務時間の定めがないということはそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/79
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080・川合孝典
○川合孝典君 憲法をどう、憲法規定をどう理解していいのか、もう私には正直言って分からなくなりました。
この裁判所の職員や裁判官の定員のことについて去年もこれ議論をさせていただきましたけれども、どうも話を聞いていて、御答弁聞いていてかみ合わないなと思っていたんですけど、その理由がここにあったんだなということに先ほど気が付きました。
ちなみに、裁判官の労働時間についての定めがないということでありますけれども、つまりは、裁判官はそうすると憲法規定をも超えた存在として、基本的人権の部分だとかということも要はそこから除外されるということになってくるんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/80
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081・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答え申し上げます。
裁判官につきましても、もちろん憲法の規定から除外されるというようなことは全く考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/81
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082・川合孝典
○川合孝典君 でも、憲法に書かれている「憲法及び法律にのみ拘束される。」のこの「法律」というものを、では何だと理解されているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/82
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083・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答え申し上げます。
もちろん、裁判官に適用のある法律についてはそれは当然適用されるということになろうと思いますが、裁判官については、先ほどの一般職の公務員のように勤務時間を定めた規定がないということで、そういう適用されるものがないということを申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/83
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084・川合孝典
○川合孝典君 こういう議論は余り法務委員会でやったことないんじゃないかと思うんですけれども、要は、その労働時間の管理もできていない、労働時間の決まりもない、残業を一体どれだけやっているのかも分からない、こういう状況の中で適正な定員なんて考えられるわけないじゃないですかね。そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/84
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085・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答えを申し上げます。
個別の仕事の仕方はそれぞれ裁判官によって、裁判官も、その事件状況とかそのとき担当している事件の様子とか、そういうことによって仕事の仕方も大きく変わってまいります。したがいまして、勤務時間という形で把握することは難しゅうございますけれども、実際に持っている事件の負担量でありますとか、あるいはその際の仕事の仕方でありますとか、その辺りを部総括裁判官を中心にきめ細かく把握をして、その繁忙状況等も把握をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/85
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086・川合孝典
○川合孝典君 結局、それを管理していらっしゃる方のある意味主観でもってそこが判断できてしまうということですよ、それが、つまりは。だから、扱っていらっしゃる件数が多いか少ないのかということも過去からの経緯、流れの中でそのことを判断されていて、かつてに比べれば、例えば訴訟の件数が物によっては随分減ってきているといったようなことも含めて考えると、以前よりは多少楽になっていますねという議論に当然なるわけでありますけど、現実問題として、一体一人の裁判官がどれだけの案件を持って、どれだけの労働時間、失礼、いわゆる仕事に携わっている時間があるのかということが判断できなければ、正確な、適正、本当の意味で適正な、ワーク・ライフ・バランスとおっしゃっているから言っているんですけど、あえて、適正なその定員数というものが把握できないと私は思います。
長く厚生労働委員会で仕事をやらせていただいてまいりましたので、そもそも議論の、定員の議論の前提になるものがないということに私は本当に驚いたわけでありますが、大臣、最後に、もう時間参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、裁判官も労働時間の管理はまずやるべきなんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/86
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087・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間が過ぎております。簡潔にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/87
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088・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 裁判官の人数だとか働き方を含めたその人的体制については、先ほど来委員から大事な問題意識の御指摘があったというふうに思います。
ただ、これ、司法の独立という観点からしますと、まずはやはり最高裁判所におきましてしっかりした検討がなされるべきであろうと思いまして、私、法務大臣の立場からはあえてここでコメントを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/88
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089・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間が過ぎております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/89
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090・川合孝典
○川合孝典君 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、是非最高裁には労働時間の管理はまずはやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/90
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091・東徹
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
ちょっと質疑に入る前に、一言大臣にお伝えしておきたいのかなというふうに思っております。
これは本当は大臣に対してではなくて我々国会側の問題かもしれませんが、今回大臣がコロナに感染されたということで法案審議が遅れたわけであります。これ、コロナに感染するというのは誰がなってもおかしくないわけでありまして、当然こういうことは全員においてあり得るわけであります。
そんな場合のときの対応として、やはり、そういった不測の事態が起こったときの対応をしていくためにやっぱり副大臣というのがおられるんだというふうに思っておりまして、是非、これ会期末であったらやっぱり法案審議も非常に大事な局面も出てくるわけであります。そんなときに、誰もがコロナに感染するということってあり得ることだというふうに思いますので、そういったときにはやっぱり副大臣が対応する、そういったものの制度だというふうに考えておりますので、是非そういう対応をお考えいただければなというふうに思います。
今日の裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に入る前に、ちょっとウクライナの避難民へのことについてお伺いをしたいと思います。
国連のUNHCRによりますと、ウクライナから国外へ避難されている方というのは四百六十五万人ということで、当初見込まれていた四百万人を既に上回っております。これは本当に深刻な事態が続いておって、もう残虐極まりない事態がウクライナでは起こっておるわけでありますが、これ、停戦まではまだまだ時間が掛かるため、避難民も更にこれ増えてくるんだろうというふうに思っております。
アメリカは、米国は、最大十万人の避難民を受け入れると表明しております。我が国としても、どれぐらい受け入れる能力があるのか、やっぱり検討を進めた上で、受入れ人数の最大値を示していくべきではないかというふうに思いますが、現時点での受入れ人数と、最大どの程度を想定しているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/91
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092・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 日本では、三月二日から四月十二日までの間に五百四十四人のウクライナ避難民を受け入れてきております。現状では、支援の見通しが立つ、その規模感で、この受入れの人数ですね、推移をしております。今後、受入れだけではなくて、やっぱりしっかりとした支援を進めていく必要があるということは、非常にこれは大事なポイントだというふうに思っておりまして、何よりも、その避難された方々の御希望などを最大限尊重しながら支援をしていきたいと、このように考えております。
そこで、お尋ねですけれども、今後このウクライナ情勢がどのように展開するかというのは、極めてこれ流動的な状況であります。足下は、この規模感というのは大体、何万という感じではないという規模感は今の現時点ではありますけれども、将来にわたって予断を持ってこの見通しを語ることはなかなか難しいというふうに思っております。したがいまして、その受入れ人数ということについて具体的な想定はこうだということは、なかなか申し上げるのは難しゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/92
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093・東徹
○東徹君 これから恐らく増えてくるんだろうというふうに思いますので、やっぱりそれに備えた体制を是非つくっていっていただきたいというふうに思います。
今回、ウクライナのことも非常に問題になっておりますが、一方、ウクライナだけではなくて、ミャンマーでも紛争がこれ続いている状況があります。今回のウクライナの避難民の受入れというのは人道上必要なものでありますが、ウクライナ以外でもこのような紛争が生じてきた場合に避難民の受入れというのがやっぱり必要だというふうに考えます。
そういった際の避難民について、今回同様、短期滞在の在留資格で一旦受け入れる形を取って、またそれを延長していくというふうにするのか。きちんと入管法を改正して、補完的保護対象者、これ当初出そうとしておられた法案、私は今回出すべきだったというふうに思っておりますが、そういったもので対応していくのか。また、今報道でもありますが、準難民というふうな形で受け入れていくか。どのようにこの受入れをしていくのか、お考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/93
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094・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 前回の委員会でも御答弁申し上げましたけれども、その入管法改正案、残念ながらこれ廃案になってしまったわけですけど、その中に盛り込まれておりました補完的保護対象者という認定制度の創設を目指しておったわけですけれども、これはやはり非常に大事な制度ではないだろうかという考えは今なお変わりはありません。
と申しますのは、いわゆる条約難民ということに限定していきますと、なかなかやっぱりこれ狭くなってしまう、認定が狭くなってしまうという嫌いがこれあります。しかし、やはり状況に応じて、やはり臨機応変にと申しますか、やはり保護を必要とする、庇護を必要とする者に対して適切に、適時にこの手が差し伸べられるということを行うためには、やはりそれにふさわしい制度が必要であると。それが、私ども今考えておりますのは、一旦廃案になりましたけれども、あの入管法の中にありました補完的保護対象者の制度ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/94
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095・東徹
○東徹君 ありがとうございます。
是非、臨機応変に対応できるような体制づくりということで、本来、補完的保護対象者というふうな形で法案を提出しようとしておったものが残念ながら廃案になってしまった。本来、今回出すべきだったと私は思うんですけれども、是非その法案を出していただきたいと思いますし、あわせて、あわせてですね、やはり不法滞在が問題になっている、また長期収容、入管のですね、長期収容、こういったこともやっぱり問題になっておりますので、今国会は出さないというふうなお話でありましたが、私は出すべきだと思いますし、選挙を気にして、報道では、選挙を気にして先送りしたというような、自民党が先送りしたというような報道もありましたが、是非、選挙終わったらきちっと臨時国会でも法案を出していただいて、早急に整備をすべきだということを申し上げさせていただきたいと思います。
続きまして、今回の法案のことについて質問させていただきますが、裁判所職員の定員法の一部を改正する法律案ですけれども、一点は、近年の事件動向及び判事補の充員状況を踏まえて判事補の員数の四十人減少しようとするもの、そして第二点は、裁判官以外の裁判所の職員数を二十六人減少しようとするもの、家庭裁判所調査官を二人、裁判所事務官を三十九人それぞれ増員して、地方において、裁判所の事務を合理化して、及び効率化することに伴って技能職務職員数等を六十七人減員して、以上の増減を通じて裁判官以外の裁判所の職員を二十六人減少しようとするということでありますが、まず、その中で、地方裁判所における民事訴訟の合議率のことについてお伺いをさせていただきたいと思います。
司法制度改革が進められていた平成十三年頃でありましたけれども、裁判官を増やせば、合議率がアップし複雑な訴訟に対しても十分な対応ができると考えられておりました。地方裁判所では、合議体、三人の裁判官でこれは構成されるわけでありますが、当時、最高裁判所は「裁判所の人的態勢の充実について」という文書を公表しておって、そこには、当時五%であった合議率を二倍の一〇%へ大幅アップするという体制を築くと、こう書かれておりました。
当時とは訴訟の件数、複雑さも変化してきていると思いますが、この目標、今でも維持されているのかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/95
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096・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答え申し上げます。
平成十三年の司法制度改革審議会におきまして、裁判所といたしましては、地方裁判所の民事第一審訴訟事件の合議率の割合を一〇%にするという目標を掲げ、これを目標に取り組んできたところでございます。
現状も、合議体で審理するのがふさわしい複雑困難事件は相当数あるところでございまして、その目標に向けて、引き続き合議体による審理を充実させてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/96
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097・東徹
○東徹君 それでは、裁判、ごめんなさい、簡易裁判所の判事を除く裁判官の定員ですけれども、二〇〇六年の二千五百三十五人から二〇二一年には三千七十五人まで、これ五百四十人増やしておりますけれども、合議率は、二〇〇六年がこれ四・八%だったものが二〇二一年には五・五%、しか増えていないんです。
合議に見合う、まあ案件が少なければ、これは無理に合議にすることはないわけでありますが、合議率が低くなっても、合議すべきものが合議にできていないということであれば、これは問題だというふうに思います。
これからも合議率の向上を目指すということであれば、裁判官を増やすのかどうかを含め、いつまでにどのように目標を達成していこうとしているのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/97
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098・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答え申し上げます。
合議率につきましては、従前から司法制度改革審議会等において目標と掲げた合議率一〇%に取り組んできたところでございますが、一定の成果は上がっているものの、御指摘いただきましたとおり、目標は達成しておらず、一層の運営改善の努力が必要であるというふうに認識しておるところでございます。
合議体による審理は、様々な経験、知見を持つ三人の裁判官が議論を尽くして多角的検討を行う中で紛争の実相をつかみ、適正な判断を実現しようとするものでございます。そのためには三人の裁判官による相応の時間と労力を投じることになるため、合議に付すかどうかはそのときの、その時々の事件動向等にも大きく左右されるものでございます。将来の事件数等の予測は極めて困難でありますことから、達成可能な時期を具体的に掲げることは困難でございます。この点、御理解をいただきたいというふうに思っております。
裁判所といたしましては、これまでの裁判官の増員分も活用しつつ、審理運営の改善、工夫等も引き続き行いながら、複雑困難事件等の合議体で審理すべき事件を適切に合議に付すことによって、複雑困難化する民事訴訟事件について適切かつ迅速な事件処理に努めてまいりたいと考えているところでございます。まずはそういった審理運営の改善、工夫を行った上で、事件数の動向や事件処理状況等を踏まえながら、裁判官の増員の必要性について検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/98
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099・東徹
○東徹君 先ほども言いましたように、二〇〇六年、裁判官の定員は二千五百三十五人であったものが二〇二一年は三千七十五人ということで、まあある程度裁判官は増えてきている。ただし、合議率で見ると、二〇〇六年は四・八%で二〇二一年は五・五%ということで、〇・七%しか増えていないというような現状です。
まだ更に一〇%を目指すというのであれば、これはやっぱり、高い目標を持っておられるわけですけれども、じゃ、高い目標を持っておられるのはいいんですけれども、じゃ、それだったら、やっぱりいつまでにどういうふうに具体的に目標達成していくのかというところも非常に私は大事だと思います。だから、目標があるんだったらやっぱりいつまでにということは併せて検討していくべきだというふうに考えますので、目標値を変えるのか、またきちっとその目標に向けてのシナリオをつくっていくのか、是非今後更に検討を深めていただきたいというふうに思います。
ちょっと時間がなくなってきましたので、一点だけちょっと判事補の定員についてお伺いをさせていただきたいと思います。
判事補の定員の在り方ですね。これ、平成二十九年は欠員が百六十四人、ごめんなさい、ちょっと時間がないので、はしょってしゃべってしまいましたけれども、平成二十九年は判事補の定員は九百七十七人で、そのとき八百十三人しかいなくて、欠員が百六十四人でしたという状況です。令和三年になりますと、定員が八百九十七人で現在員の数字が七百十五人、欠員が百八十二人という現状です。
これ、判事補の定員を減らすのか、定員を維持して採用を増やしていくのか、その判事補の定員の在り方、これどのように考えているのかですね、一点お伺いさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/99
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100・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答え申し上げます。
判事補の定員につきましては、参議院法務委員会における附帯決議、あるいは事件動向、あるいは充員状況、これらを勘案しまして、将来の事件処理に支障を来さない範囲での減員を検討してきたところでございまして、今回は四十人の減少ということにしたところでございます。更に判事補の減員を行うかどうかということにつきましては、事件動向、事件処理状況、充員状況等々、これまでの減員の影響等も見極めた上でまた引き続き検討していくことになろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/100
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101・東徹
○東徹君 もう時間が来ておりますので、もうこれで質問いたしませんが、また引き続き、また一般質問等で聞かせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/101
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102・山添拓
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
裁判所職員定員法改定案について伺います。
判事補を四十人減らし、裁判所職員を二十六人減らす、裁判所全体で六十六人、過去最大の純減をもたらす法案です。判事補四十人減少というのは、これは過去最大で、それ自体、事件の複雑困難化に対応できるのか疑問もあります。ただ、これは最高裁の概算要求時にも盛り込まれていたものでありました。
一方、裁判官以外の職員は、概算要求の時点では、増員要求と定員合理化と、それを差引きして、トータルではプラス・マイナス・ゼロというものでありました。最高裁としては、この概算要求時点ではこれが必要な定員だとして要求したものだったわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/102
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103・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答え申し上げます。
令和四年度の概算要求におきましては、判事補の減員のほかに、一般職につきましては、国家公務員のワーク・ライフ・バランス推進を図るため家裁調査官二人、事件処理支援の体制強化を図るため事務官六十五人の増員要求をしております。速記官の振替減及び定員合理化減との差引き合計でプラス・マイナス・ゼロの要求をしたところでございます。
概算要求の時点におきましては、そのような人員の増員が必要であるというふうに考えているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/103
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104・山添拓
○山添拓君 政府の定員合理化計画への協力を考慮しつつ、必要かつ十分な定員としてせめてプラス・マイナス・ゼロにと、こういう趣旨であろうと思います。
財務省に伺います。
この最高裁の概算要求にどのように対応したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/104
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105・坂本基
○政府参考人(坂本基君) お答え申し上げます。
独立機関でございます裁判所の予算につきましては、その独立性を十分に尊重しつつ、意見調整を図り、合意を得る必要があるものと承知してございます。
お尋ねの裁判所の定員につきましては、最高裁判所の定員要求を踏まえまして、最近の事件動向や人的体制強化の必要性等を総合的に勘案しながら最高裁判所との間で意見調整を行い、合意を得たものでございます。
なお、裁判所におきましては、令和三年度の裁判所定員法の改正に際しての附帯決議等も踏まえまして、その定員充足に努めつつ、減員等による欠員の是正などの取組を講じているものと承知してございます。財務省としても、その定員が適正となるよう努めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/105
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106・山添拓
○山添拓君 意見調整と今おっしゃったんですけれども、最高裁とは何回ぐらい、どういう意見交換をされたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/106
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107・坂本基
○政府参考人(坂本基君) お答え申し上げます。
ちょっと回数という形での把握はございませんけれども、九月、八月の末の御要望をいただいてから十二月中旬にかけまして密接に意見交換をさせていただいて意見調整をさせていただいたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/107
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108・山添拓
○山添拓君 その密接な意見交換の中で、最高裁に対して、政府の定員合理化方針にもっと従うようにと、もっと協力するようにと、こういうことも求められたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/108
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109・坂本基
○政府参考人(坂本基君) お答え申し上げます。
政府全体の定員合理化の動きというふうなものを御紹介しながら、最終的には、最高裁判所におきまして意見調整の結果、自主的に最終的に御判断をいただいたというものと承知してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/109
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110・山添拓
○山添拓君 そうおっしゃるんですけれども、最高裁は最高裁として必要だと考える定員数を財務省に概算要求で上げているわけですよ。それに対して、定員合理化方針を紹介して、更にもっと頑張るべきだと、こういうふうに伝えられたということですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/110
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111・坂本基
○政府参考人(坂本基君) 定員合理化の動向でございますとか、先ほど申し上げましたような最近の事件の動向の数、例えばでございますけれども、事件動向を見ますと、成年後見人関係の事件など一部の事件を除きましては増加に歯止めが掛かっているというふうな状況の中、事務官三十九名の増員を図ることで事務処理の支援のための体制強化等を図ることができるのではないかといったような議論をさせていただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/111
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112・山添拓
○山添拓君 最高裁は、今財務省が述べたようなことを検討せずに概算要求を上げていたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/112
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113・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答え申し上げます。
裁判所事務官につきましては、事件処理の支援のための体制強化のために、概算要求の際には六十五人の増員が必要というふうに考えたところでありますが、概算要求後、財務省と意見交換を行った上で、政府が国家公務員の定員について厳しい姿勢で合理化に取り組んでいることや、他の行政機関が定員の再配置により業務の増大に対処し増員を抑制しているというようなことも踏まえまして、裁判所におきましても、国家機関として現有人員の有効活用を更に図れるかを精査し、改めて増員の必要性について検討したところ、事務官三十九人の増員を図ることで事件処理の支援のための体制強化等を図ることができるものと自主的に判断したものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/113
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114・山添拓
○山添拓君 いや、そんなこと自主的に判断されないでいただきたいと思うんですよね。元々最高裁として必要だと提起した人数ですから。
財務省に伺いますけど、三権分立の下で最高裁の予算や定員というのは独自に定められる、決められるべきものだと思います。財務省は、最高裁の概算要求から更に減らせと、こういうふうに求める権限はないですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/114
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115・坂本基
○政府参考人(坂本基君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、裁判所の予算につきましては、裁判所の意に反して、例えば行政府において歳出の見積りを減額して予算に国会を、提出するというふうなことになる場合には、財政法十九条の規定により、裁判所の歳出見積りの詳細を記載するとともに、国会が裁判所の歳出額を修正する場合に必要な財源を明記するという、いわゆる二重予算制度ということになっていると、これ御指摘のとおり、三権分立というふうな趣旨を踏まえたものと承知してございます。
その上で、いずれにしましても、現在の予算制度におきましては、裁判所の予算について、その独立性を十分に尊重しながら、合意の下に意見調整を図るというふうなこととしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/115
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116・山添拓
○山添拓君 ですから、これに最高裁が無理やり従う必要はないわけです。ところが、資料御覧ください。一番下のところですが、概算要求では裁判所事務官について十八人の増員要求だったものが、法案提出時はマイナス八と、減員要求になっています。最高裁が事務処理の適正化のために必要だとして増員を求めたものが、何だか知らないけれども財務省との意見交換をすると増員どころか減員でよしということになったと。これでは、最高裁として本来必要な定員数を満たせないということになると、こう読むのが普通だと思うんですけれども、最高裁、それでよいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/116
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117・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) 先ほども御説明させていただきましたとおり、概算要求時に六十五人の増員が必要というふうに考えたところでありますが、その後の意見交換を踏まえ、私どもとして現有人員の有効活用を更に図るということで対応できるというふうに考えたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/117
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118・山添拓
○山添拓君 とても頼りないと思うんですね。
最高裁は、昨年、私の質問に対して、どのような体制を整備していくべきかについては裁判所が自主的、自律的に判断している、政府の定員合理化計画に協力するのかしないのか、その範囲をどうすべきかについては毎年判断したいと答弁しました。自主的、自律的に判断した上で提出されたものがこの概算要求であったはずです。ところが、そうして最高裁が必要に基づいて示した概算要求を財務省との意見交換を通じてすぐに引っ込めてしまうと。これでは三権分立などあったものではないと思うんです。
これは私は、司法の独立、あるいは司法の公正、それに対する国民の信頼に関わると思うんですね。とりわけ、国が相手方となる行政訴訟や国家賠償請求事件で、じゃ、裁判所は実は予算も人員も財務省に握られているではないかと。そうなると、裁判の公正さに国民から疑問を持たれても仕方がないと思うんです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/118
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119・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) 定員の予算要求等につきましては、先ほど申し上げましたとおり、概算要求をし、財務省と意見交換を重ねた上で、私どもで改めて検討をして、対応できるということで変更したというものでございます。そのことと裁判事務をしっかり適正、確実に行っていくということは引き続き行っていくべきものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/119
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120・山添拓
○山添拓君 政府の定員合理化計画に裁判所がそこまで追従する必要はないですよ。しかも、国の行政機関は、この間、デジタル庁の創設などによって二年連続で純増になっています。そのツケを司法府に負わせるということは、これはあってはならないと思います。
大臣にも伺います。
最高裁の概算要求については、よほどのことがない限り、これはそのまま認めるというのが筋だと思うんです。財務大臣に法務大臣からそのように進言すべきじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/120
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121・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 裁判所の経費は独立して国の予算に計上するものとされておりまして、裁判所の予算の原案は独立の機関たる最高裁判所が独自の判断に基づいて内閣に提出することとされております。したがいまして、予算編成過程における財務当局との協議も最高裁判所の事務当局が当たるものでございまして、法務省はこれに介入すべき立場にはないと考えております。
もっとも、裁判所の予算につきましても、最終的に予算案を作成するのは内閣の責務であります。そのため、法務大臣としては、内閣としての意思決定の段階において、閣議の一員として、また裁判所の職務に最も近い関係にある法務を担当する大臣として、裁判所の要求が正しく理解されるよう努めてまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/121
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122・山添拓
○山添拓君 そう大臣おっしゃるんですけれども、しかし、今聞いていただいたように、しかも、これもう長年そのように行っていると。概算要求から更に削れということを財務当局との意見調整の名の下に行っているというのが現実なんですね。
大臣も内閣の一員ですから、やはりそういうことはやらないようにするべきだと。三権分立の下で最高裁の掲げてきた要求、これも非常にささやかなものだと思うんです、プラス・マイナス・ゼロですから。それについては尊重するべきだと、こういうことを閣議の中でもおっしゃるべきじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/122
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123・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 三権分立の精神はいかなる場面においても尊重されるべきものであると考えております。
御指摘の点について、司法が、司法の独立が侵された状況にあるというふうには認識しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/123
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124・山添拓
○山添拓君 その認識は改められるべきだと思います。やはり、司法府に定員合理化計画を押し付けるような、そういうやり方そのものを改めるべきだと指摘しておきたいと思います。
残りの時間で家裁調査官の問題について伺います。
二名増員となった、ワーク・ライフ・バランス推進を理由として増員とされたのは初めてですので、これは前進だと思います。しかし、全国で二人では十分とは思えませんので、今後もそのための増員を視野に入れていくべきだと思います。
ちょっと気になる点がございます。調査官は調査官補として採用されます。約二年間の養成課程を修了して任官する仕組みです。研修所での研修や家裁での実務研修もあり、言わばOJTで研さんを積んでいきます。
資料二ページを御覧ください。
ところが、近年、調査官補として採用されながら任官されないというケースが目立ちます。二〇一九年採用者では四十五人中四人、二〇年度は四十八人中四人が任官されていません。
最高裁は、その背景や要因についてどのように分析していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/124
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125・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答えを申し上げます。
御指摘のとおり、家庭裁判所調査官補として令和元年度には四十五人を、令和二年度には四十八人を採用し、そのうちそれぞれ四人ずつが家庭裁判所調査官として任官しなかったところでございます。
もっとも、このような傾向が今後も続くのか、一時的な現象にとどまるのかは慎重に見極める必要があると考えているところでございます。
いずれにしましても、採用された家庭裁判所調査官補に対しては、これまでも一人一人の資質、能力等を踏まえつつ、家裁、家庭裁判所調査官としてその職責を果たしていけるよう指導してきたところでございますが、今後とも適切な指導、育成に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/125
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126・山添拓
○山添拓君 せっかく調査官補として採用されながら任官に至らない人が増加傾向にあるというのは看過できないと思います。
調査官は、少年事件であれ家事事件であれ、人に寄り添い、丁寧に対応しなければならない重い仕事だと思うんですね。知識も経験もOJTで積んでいくもので、かつては研修も三年だったと伺っています。安易に退職に追い込むことのないように、丁寧に研修をしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/126
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127・高良鉄美
○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。
法案に入る前に、今、山添委員の言われたことですね、改めて、法の支配というのをずっと政府一丸となって海外にまで訴えている、この法の支配は何だという中身も何度も聞いてまいりました。適正手続とか最高法規性とか裁判所の判断の尊重とか、そういうこと入っている中で幾つか挙げられるのが四つ、五つあるわけですけれども、それ全て司法権が関連しているんですよ、法の支配というのは。だから、その法の支配というのをこれだけ大々的に言いながら、やはりそこを過小評価しちゃいけないと。それは司法権がきちんと作用しないといけないということをまず認識していただくということで、今回の法案、後でいろいろお聞きしますけれども。
まず、法案について質問する前に、住民票の続き柄の記載について伺います。
選択的夫婦別姓が実現していないために、法律婚をして通称使用をしたり、事実婚を選択する夫婦は少なくありません。事実婚夫婦の場合には、住民票の続き柄には夫(未届)、若しくは妻(未届)という記載方法があると承知しています。
一方で、居住実態が変わらないにもかかわらずペーパー離婚したために、自治体が続き柄欄への妻(未届)の記載を認めず同居人としたケースの報告を受けました。その方は、家族関係を証明するのに御苦労があって、今後のことについても心配されています。同居人と記載すると不都合、不利益があるから、それを解消するために続き柄記載を夫(未届)、あるいは妻(未届)としたのだと思います。
住民基本台帳で市町村によって違ったり、違った取扱いになることは望ましくないと思いますが、総務省の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/127
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128・阿部知明
○政府参考人(阿部知明君) お答えいたします。
住民基本台帳法第七条におきまして、住民票には世帯主との続き柄を記載することとされています。また、事実婚の場合の続き柄の記載につきましては、総務省からお示ししております住民基本台帳事務処理要領におきまして、法律上の夫婦ではないが、準婚として各種の社会保障の面では法律上の夫婦と同じ取扱いを受けているため、お話がございましたように、夫(未届)、妻(未届)と記載することとされてございます。
住民票の記載内容につきましては、市町村において個別の実態に基づき判断されるものではございますけれども、住民基本台帳が住民に関するあらゆる行政の基礎であることに鑑み、事務処理要領等を踏まえ、その記載内容が住民の実態と合致するよう適切に運用されるべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/128
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129・高良鉄美
○高良鉄美君 居住実態があれば、事実婚で、居住実態があって事実婚であれば、夫(未届)、あるいは妻(未届)として記載できるという御答弁でした。
そもそも、選択的夫婦別姓の民法改正が実現していればこのような問題は生じないわけでありますから、一日も早く民法改正を行うことを求めて、次の質問に入りたいと思います。
裁判所における男女共同参画について伺います。
二〇二一年度から実施する第五次男女共同参画基本計画では、指導的地位に女性が占める割合を二〇二〇年代の可能な限り早期に三〇%程度としています。司法分野の具体的取組として、最高裁判事を含む裁判官全体に占める女性の割合を高めるよう裁判所等の関係方面に要請すると盛り込まれたことは前回の審議でも申し上げたところです。
最高裁に伺いますが、裁判官、調査官、書記官など裁判所の職員に占める女性の割合と管理職に占める女性の割合、さらに、育児休業取得率もそれぞれお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/129
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130・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答えを申し上げます。
令和三年十二月一日現在における裁判官に占める女性の割合、これは二三・七%でございます。令和三年七月一日現在における裁判官以外の裁判所職員につきましては、書記官が三七・二%、家庭裁判所調査官、これには家庭裁判所調査官補を含みますけれども、が五五・九%、事務官が四六・〇%という女性割合でございます。
裁判官以外の裁判所職員の令和三年七月一日における最高裁課長相当職以上に占める女性の割合、これは一七・四%、下級裁課長、最高裁課長補佐相当職に占める女性の割合は三〇・〇%、係長相当職に占める女性の割合は四八・一%でございます。
令和二年度における裁判官の育児休業の取得率は、女性が一〇〇%、男性が三六・九%でございます。裁判官以外の裁判職員の育児休業取得率は、女性が一〇〇%、男性が六二・四%でございまして、裁判所全体では、女性が一〇〇%、男性が五六・七%ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/130
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131・高良鉄美
○高良鉄美君 ありがとうございました。
やはりこれも、男女共同参画基本計画で求められている三〇%を超えているところもあったり、そうではないところもあるんですけれども、その裁判所職員の中の管理職の占める割合というのは、やはり女性の地位がだんだん、女性の地位という、女性の占める割合が、まあ下級職員と言ったら変ですけれども、そうなるほど多くなるという形があるのが見て取れると思います。
そして、育児休業も、女性が一〇〇%で、男性は特に裁判官の場合は三六・七でしたでしょうか、三六・八%と。それに対して、事務職員の場合、もっと倍ぐらいあると、倍近くあると。そこも、やはり裁判所職員ということは、これ全体的に一つの見方としてあるわけでしょうけれども、その中にあるやっぱり平等と、あらゆる平等というのを実現するためのやはり社会というのが非常に重要だと思っています。
ですから、裁判所においてそういうことを率先して、これから今回の育児休暇についてはそういう形で進んでいくんだろうと思いますので、是非ともそういう実現に向けて実施をしていくということ、そしてアピールをしていくということが非常に重要だと思います。
これも毎年伺っていますが、裁判官の通称使用状況について伺います。
最高裁は二〇一七年九月一日から裁判関係文書においても旧姓の通称使用を認めていますが、現在、旧姓を使用している裁判官はどれくらいいらっしゃるのか、直近の調査でお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/131
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132・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答え申し上げます。
旧姓使用者数、これは先ほど御指摘ありました裁判関係文書についても旧姓使用を認めることとした平成二十九年九月一日の時点では、裁判官が十八人でございました。ちなみに、裁判官以外の職員は二百三人というところでございました。
令和三年十二月一日現在では、裁判官が百七人、裁判官以外の職員が五百五十九人となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/132
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133・高良鉄美
○高良鉄美君 ちょっと驚きましたけれども、やはりこれだけニーズがあるということですよね。余りにもこの伸び方があって、何を意味するのかと、この数字はですね。やはり裁判官の通称使用だけではなくて、もう抜本的ないろんな改革というのが必要だろうと。この数字を見ますと、どんどんどんどんまた増えていくんだろうと思いますね。やっぱりそれも我々議論をしていかなければならない重要な問題だと思います。
裁判所の充実について、先ほど山添議員のお話がありましたけれども、毎年、裁判所職員定員法の審議では、家事事件の増加に伴う家裁の充実を例示して裁判所の充実を訴えてきました。
行政機関でない裁判所は、政府の定員合理化計画に拘束されるものではないとしつつ、政府からの協力依頼を受け、まあ自主的にと言っていますけれども、最高裁は定員を削減しています。しかし、労働訴訟の急増などで裁判官の負担は増えており、裁判官の増員や訴訟手続のIT化などで負担軽減を試みても、抜本的な解消には至っていないという指摘もあります。
何より、裁判所の組合から裁判所の人的、物的充実を求める請願署名が出され続けているということを最高裁は重く受け止めるべきだと思います。
裁判官はもちろん、その他の裁判所の職員を増やすことは、法の支配の役割を果たす司法の充実や司法の独立にも資すると思いますが、裁判所の見解をお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/133
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134・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答え申し上げます。
判事につきましては、近年、民事訴訟事件の複雑困難化への対応として、合議制による審理を進めること、成年後見関係事件の増加への対応や後見監督体制の強化を行うことなどを目的に、相当数の判事を増員し、着実に人的体制の整備を図ってきたところでございます。
他方、事件動向につきましては、成年後見関係事件などの一部の事件を除きまして、増加に歯止めが掛かり、落ち着きが見られるようになってきていることから、令和四年度につきましては、これまでの増員分を活用しつつ、審理運営の改善、工夫等も引き続き行うことで、適正かつ迅速な事件処理を行うことができるものと考えており、判事の増員は求めないこととしたものでございます。
また、その他の裁判所職員につきましては、例えば裁判所書記官におきましてはこれまでも事件動向等を踏まえながら大幅な増員を行うなど、必要な人的体制の整備に努めてきたところでありまして、直近の事件動向等を踏まえますと、令和四年度につきましてはこれまでの増員分を含む現有人員を有効活用することで適正かつ迅速な事件処理を行うことができるものと考えております。
裁判所といたしましては、裁判官及びその他の裁判所職員、いずれにつきましても、今後とも事件動向等を踏まえつつ適正な事件処理が図られるよう、必要な体制の整備に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/134
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135・高良鉄美
○高良鉄美君 裁判所の定員の問題ということと、それから司法権の役割というものは少し考えてみる必要があると思うんですね。
司法権の役割というのは、先ほど申し上げましたように、法の支配との関連が非常に深いと。それから、この法の支配の及ぶ社会になっていくというのは、ずっと多様性の問題も、日本国内の、生活の多様性もそうですが、外国人はもちろんのこと、あらゆる生物の多様性、いろんな形があります。この多様性ということは、考え方もあるいは事件の問題についても、あるいは紛争についてもそれだけ多様性があるということで、それは多様性があるから、違うからこそ訴訟に上がってくるなり、そういう過程に入ってくるわけですよね。だから、そこに対応するためには、今のままじゃ対応できるのかどうかというのが非常に私は疑問に思うんです。
そして、それだけ訴訟社会になるんじゃないかということを想定して法科大学院もできたと思うんですね。そこを考えますと、これからの社会の方に対応しながら、先ほど検討していくということでしたので、その見ながらですね。私は、これからは法化社会になっていくんだろうと。個人個人が一生を過ごす間でなるべく裁判には掛からない方がいいなという人もいるかもしれませんけれども、それは悪い意味ではなく、きちんと自分がどういう立場にあって、どういう人権あるいは権利の侵害があり、あるいは要求があるということがとても重要なことだと思っています。
そして、やはり法の支配の担い手である司法権がどのような自覚をするのか、あるいはどのような姿をして外に見せるのかということも非常に重要だと思います。
さらには、この適正手続ということもありますが、裁判が迅速じゃないということ自体がこれ適正じゃないというのは、海外では通常なんです、なるべく早く終わるというのが。これはもう、どこでもそうですけれども、賞味期限と言ったら変ですけれどもね、裁判を起こして何年もたってしまったらもう意味がないんですよ。だから、そういう意味で、迅速な裁判をするためには、裁判官含めて、で、裁判官だけじゃ、これはいかないわけですよ。それ支えているのは事務職員です、判事補も含めてですね、先ほどの。
だから、そういった形をしっかりと実現するという基本的な構造を理解した上で、この委員会でも、そしてまた法務省の方でも、そして最高裁判所の方でも対応するようにお願いを申し上げまして、私の質問としたいと、終わりたいと思います。
ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/135
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136・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、石川博崇君が委員を辞任され、その補欠として若松謙維君が選任をされました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/136
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137・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 碧水会の嘉田でございます。
本日の裁判所職員定員法一部改正案につきまして質問させていただきたいんですが、一つ前回の取り残しがございますので、そこから始めさせていただきます。
三月二十九日に、子供の虐待死の背景について法務大臣にお伺いしようとしたときに時間が切れてしまいました。少しおさらいさせていただきますと、近年、子供の虐待死、大体平均五十人ほど、親あるいは関係の方に殺されていると、大変悲惨な状況でございます。
そういう中で、養育者の世帯の状況を見ますと、実父母が最も多くて、十五年間で四七・四%、次に一人親、四つのパターン、離婚、未婚、死別、別居、そのカテゴリーで二七%。この比率がどれほど高いかというと、国民生活基本調査で、児童のいる世帯は千百二十二万世帯、その中で、ちょっと前回一桁間違って報告してしまったんですけれども、これは議事録を直させていただきました、一人親世帯は七十二万となると、約六・五%。ですから、この六・五%の一人親という比率に対して二七%、子供を虐待死させてしまった親というのはかなり、社会現象ですから因果関係は言えないんですけれども、言いにくいんですけれども、相関関係として、かなり一人親の方が孤立する、子育ての中で苦しんでいるのじゃないかということを想定できるわけです。
一人親がなぜ増えるかというと、これは民法で、離婚後、八百十九条、子供の単独親権というところが規定されているわけです。それで、前回、法務大臣に、現行民法の離婚後の単独親権制度が子供の虐待死と何らかの関連をしているとお考えかどうか、法務大臣の御認識をお聞かせいただけたら幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/137
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138・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 前回の委員会で、時間が来てしまいまして途中で終わってしまったわけですけれども、委員の問題意識として、単独親権であるかどうかということがこの悲惨なあるまじき虐待死というようなことと関係性があるのかということでございましたというふうに思っておるんですけれども、明治民法、明治民法の立て付けがございまして、それも単独親権であり、それは父権、父親であるということの民法の成り立ちからありまして、戦後の民法の中ではそれが父、父権に限るということはなくなったわけでございますけれども、しかし単独で親権ということはそのまま引き継がれた格好になっておると、そういう背景があったという御説明も申し上げました。
その上で、にわかに、単独親権であるかないか、それがこの暴力であるとか虐待とかということに必ずしもつながっているかというと、そのような印象は持たないということを申し上げたというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/138
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139・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
印象は持たないということでございますけれども、社会現象として、両親が離婚後も経済的、社会的、そして精神的に支えられるような家族生活と、これを完全に切ることが離婚の条件だというこの二者択一は、私は大変孤立する子育てを増やしているのではないかということを申し上げておきます。これは、因果関係と言われると、私も社会学者ですからそうは申し上げませんが、相関的な関係があるのではないかということは申し上げておきたいと思います。このことが今回の民法の改正問題と大きく関わっているということ、問題提起をさせていただきます。
そういう中で、本日の裁判所職員定員法一部改正案ですけど、もう既に皆さんが随分深く議論いただいております。
資料を三点出させていただいておりますが、資料一は、判事補の定員、欠員、採用者数の推移でございます、過去二十年ほどの。これも、山添議員が言っていらしたように、そもそも定員を下げていることの問題。
それから資料二は、これは、戦後、法曹関係の人口がどう変わってきたか、総人口との関係で、昭和二十一年から令和三年です。御存じのように、裁判官は一万人弱から、あっ、弁護士は一万人弱から五万人近くまで増えておりますが、裁判官は戦後本当に増えていないと、今も三千五百人くらい。それが裁判の問題に関わるんじゃないかと。私のところにも、特に家事裁判などで本当に期日が取れない、どんどん先延ばしされると。
先ほど高良議員が、やっぱり裁判とかいろいろな司法判断というのは、言い方難しいかもしれないんですが、賞味期限というかタイミングがありますね。特に、子供が関わる家事裁判は、その間に、子供は半年、一年、二年、成長してしまうわけです。家族生活が分断されるということで、ここ、できるだけ早くしてほしいというニーズあるいは苦情も私は国会議員として受けております。
そういうところで、これを見ると、弁護士の数は増えている。しかし、意外と民事事件の新受件数は増えていない。いっとき、二〇〇八年から十年くらいにいっとき増えたことがあるんですけれども。
こういう状況の中で、幾つか質問させていただきます。少し時間が迫っておりますので、まず、判事及び判事補の欠員が生じている状況、欠員が生じている理由をどのようにお考えでしょうか。最高裁判所さん、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/139
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140・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。
判事補の欠員につきましては、令和三年十二月一日時点では定員二千百五十五人に対して百九人となっておりますが、令和四年一月の判事補からの任官を経た時点におきましては三十四人となっておりまして、適切に充員が図れております。
他方、判事補につきましては、御指摘のとおり欠員等が多くなっております。裁判所といたしましては、できる限り判事補の充員に努めているところでありますが、判事補の給源となる司法修習修了者の人数が減少していることに加え、渉外事務所等の法律事務所と競合するといった事情が相まって、ここ数年の採用数が伸び悩んでいることから、このような欠員が生じているものと考えております。
先ほど、冒頭で私、判事補と申し上げたかもしれませんが、判事の欠員は二千百五十五に対して百九、それが令和四年一月で三十四ということでございますので、御了解いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/140
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141・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
家事裁判に関わってくると、裁判官の採用者数、それから先ほどの調査官、山添議員が質問しておりましたけれども、調査官のことは先ほど既に聞いていただいているので、裁判官の採用者数、逆に裁判官採用しにくくなっていると。先ほど来、子供たちの職業願望の中にも、裁判官、意外と見えていない、弁護士さんの方が逆に人気があるということらしいですけれども。
この裁判官の採用者数確保というのは、日本のこの司法制度、大変大事な司法としての判断になると思いますけれども、今後の動向、どのように見通しをお持ちでしょうか。最高裁判所さん、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/141
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142・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答えを申し上げます。
裁判所としては、裁判官にふさわしい資質、能力を備えている者にできる限り任官してほしいと考えているところではございますが、新任判事補の採用数は伸び悩んでいる状況にございます。
その理由としては、先ほどもありましたけれども、判事補の給源となる司法修習終了者の人数が減少していることに加えまして、弁護士として活躍する分野が広がっているだけでなく、大規模法律事務所等との競合が激化していることや、大都市志向の強まり、配偶者が有職であることの一般化に伴って異動、転勤ですね、への不安を持つ司法修習生が増えていることなどが理由となっていると考えているところでございます。
今後とも、裁判官にふさわしい資質、能力を備えている者にできる限り任官してもらえるよう努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/142
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143・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
私も知り合いの裁判官がおりますけれども、転勤の問題、それから家族生活の維持が難しいとか、特に女性の場合にはその辺の困難もあると思います。それに比べて、大型の弁護士事務所は大変給料なり待遇もいいというようなところで、なかなか裁判官になっていただけない。ただ、これはいろいろ工夫をしていただきたいと思います。地方別採用にするとか、民間企業も転勤についてはいろいろ工夫しておりますので、この辺り、やはり裁判官の人数を確保していただきたい、先ほどの調査官と一緒でですね。
次は、家族関係の多様化、これ常々申し上げておりますけれども、今この状態で、最高裁判所は裁判官の員数、このままの状態で国民の期待に応えられるとお考えでしょうか。その辺りの御見解をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/143
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144・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答え申し上げます。
家事事件につきましては、特に成年後見関係事件の申立てが増加している状況にありますことから、裁判所としては、例えば大規模庁において成年後見関係事件を専門的に取り扱う部署を設置するなど事件処理体制の整備に努めてきましたほか、書記官や裁判官を相当数増員するといった人的体制の整備も図ってきたところであります。
それらに加えまして、近時の新受事件数を見ますと、民事訴訟事件及び刑事訴訟事件についてはいずれも横ばいないし微減、少年事件につきましては長期的に減少傾向にあるなどの全体的な事件動向も踏まえますと、令和四年度につきましては、これまでの増員分を含む裁判所全体の現有人員を有効活用することにより、これらの事件を適切に処理していくことができると考えております。
もっとも、例えば子供に関する紛争につきましては、当事者間の対立が深刻であるなど困難な事件も多いところでございまして、近年審理期間が長期化する傾向があるというふうに承知しておりまして、問題意識を持っているところでございます。
現在、各家庭裁判所におきましては、調停運営を一層充実改善させるために、事件類型に応じた進行計画の共有や、効果的な争点整理の工夫等様々な取組を行っているほか、令和三年十二月からは、東京、大阪等の四つの家庭裁判所で家事調停手続におけるウエブ会議の運用を順次開始し、さらに、令和四年度中には十九庁において運用開始することについて検討、準備を進めているところでございます。
調停運営の改善によりまして、調停期日をより合理的で密度の高いものとし、ウエブ会議の導入によって期日間隔が短縮したり柔軟な期日設定が可能となったりすることが期待でき、全体として迅速な手続にも資するものと考えております。
裁判所といたしましては、こうした取組を今後とも加速させていくことにより、紛争解決に対する国民の期待に一層適切に応えてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/144
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145・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間が過ぎておりますので、おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/145
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146・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
最後、法務大臣に一言お伺いしたかったんですが、ちょっともう時間が来ておりまして、済みません、また次回に延ばさせていただきます。
一言、先ほど来申し上げておりますけれども、今子供をめぐる裁判が大変多いんですけど、子供を奪い合うという、離婚の後、その構造自身がより対立化させるということで、私は諸外国の家族の例を見ておりますと、父母は離婚しても、共同養育、共同親権、フレンドリーペアレントルールというようなことがございますので、そこはまたこの法的需要についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/146
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147・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 嘉田君、おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/147
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148・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 どうもありがとうございました。
失礼します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/148
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149・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
これより両案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/149
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150・山添拓
○山添拓君 日本共産党を代表し、裁判所職員定員法改正案に反対、裁判官育児休業法改正案に賛成の討論を行います。
憲法が定める国民の自由と権利を保障するためには、裁判が公正、厳格に行われることが不可欠の要請であり、そのために司法府の独立が求められます。本来、その予算や定員は、行政府の介入を受けることなく独自の権限として行使されるべきです。
ところが、この間、最高裁は、政府の総人件費抑制方針に協力すると言い、内閣人事局が主導する定員合理化計画に追従してきました。本年の定員法改正案は、裁判所全体で六十六人、過去最大の純減であり、事件の複雑困難化、増加傾向にある家事事件、IT化の検討、準備などへの対応を迫られる現場に過大な負担を強いるものです。
審議を通じて、昨年の概算要求時点では、判事補四十人減、裁判官以外の職員はプラス・マイナス・ゼロとしていたものが、財務省との意見交換、意見調整を通じて、最高裁が裁判官以外も二十六人の減員に後退させていたことが明らかになりました。最高裁が自ら必要とした概算要求の定員を財務省の意見を受け減らしてしまうのでは、司法の独立が問われます。
また、国の行政機関がデジタル庁の推進などで全体として二年連続の純増となる中、最高裁がその要求以上に定員削減を進めるのは不合理です。いわゆる行(一)職と呼ばれる書記官、家裁調査官、速記官、事務官等の純減は初めてです。最高裁は合理化、効率化を進めるとしますが、その検証もないままに定員削減を先行すべきではありません。
家裁調査官について初めてワーク・ライフ・バランス推進のために増員としたことは前進ですが、全国で二名では全く不十分です。調査官補として採用されながら調査官に任官されないケースが増えており、増員とともに丁寧な研修が求められます。
なお、裁判官育児休業法改正案は育児休業の取得回数制限を緩和するもので、裁判官にとっても育児休業制度の改善になるため、賛成です。
司法権の独立を確立し、国民の裁判を受ける権利の保障、ひいては基本的人権を保障するためには、裁判所予算の抜本増と増員こそ求められることを指摘し、討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/150
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151・高良鉄美
○高良鉄美君 私は、沖縄の風を代表して、裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案に賛成、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について反対の立場から討論いたします。
法の支配については、総理を始め歴代の大臣が所信で言及されているとおり、その重要性は委員各位にも共有されているところです。
憲法学においては、法の支配の内容は、人権の保障、憲法の最高法規性、司法権重視、適正手続の保障とされています。権力の恣意的な行使をコントロールする裁判所の役割に対する尊重を法の支配として位置付けながら、政府からの要請を受け定員を削減することは、司法権の尊重とは逆行するものと言わざるを得ません。憲法の最高法規性を担保するには、司法権の優位が確立されていなければなりません。
また、人権保障のとりでとも言われる裁判所は、恣意的な権力行使から個人の人権を守る役割を憲法上担っています。適正手続によって実態的に人権保障を行うのも裁判所の役割にほかなりません。
さらに、司法権の優位を指す司法国家の構図は、法の支配の一内容である権力の恣意的な行使をコントロールする裁判所の役割に対する尊重が前提になっています。憲法七十六条は、「すべて司法権は、最高裁判所及び」「下級裁判所に属する。」と。それに対して、立法権、行政権については「すべて」という言葉が入っておりません。その意味を考えていただきたいと思います。
このように、司法権は権力分立の一つの権力というだけでなく、政治的権力であるほかの二つの権力、つまり立法権、行政権をチェックする役割が憲法上付与されています。二つの強大な組織をコントロールするには、司法の権限がその役割に見合う強さがなければなりません。組織的にも、削減と縮小を重ねては、必要な司法権の力を発揮することはますます困難になってきます。
これまで私は、本委員会で度々、家事事件の増加に伴う家裁の充実を例示して裁判所の充実を訴えてきましたが、裁判所は職員を削減してきました。一方で、裁判所の単純ミスで判決が変更されたり、集団訴訟の判決文でいわゆるコピペが行われたことにより、三つの地裁判決で同じ誤記があったことが報道され、マンパワーの問題が指摘されています。
それを裏付けるように、裁判所職員の労働組合からは、裁判所の人的、物的充実を求める請願署名が提出されてきました。裁判官を増やすことはもちろん、裁判官を支える事務職員も組織的充実が図られるべきであり、今回の裁判所職員定員法の改正はこれに逆行するものであり、司法権に期待する役割を過小評価するものと考えます。
このことは、ひいては法の支配をますます危うくするものであるということを申し上げ、反対の討論とさせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/151
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152・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 他に御意見もないようですから、両案に対する討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
まず、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/152
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153・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
次に、裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/153
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154・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/154
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155・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X00620220414/155
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