1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年六月二日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
六月一日
辞任 補欠選任
山下 雄平君 竹内 功君
六月二日
辞任 補欠選任
山崎 正昭君 高橋はるみ君
高良 鉄美君 伊波 洋一君
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出席者は左のとおり。
委員長 矢倉 克夫君
理 事
清水 真人君
高橋 克法君
有田 芳生君
安江 伸夫君
川合 孝典君
委 員
岡田 広君
加田 裕之君
高橋はるみ君
竹内 功君
中川 雅治君
福岡 資麿君
森 まさこ君
山崎 正昭君
真山 勇一君
石川 博崇君
東 徹君
山添 拓君
高良 鉄美君
嘉田由紀子君
国務大臣
法務大臣 古川 禎久君
国務大臣
(国家公安委員
会委員長) 二之湯 智君
事務局側
常任委員会専門
員 久保田正志君
政府参考人
警察庁長官官房
審議官 森元 良幸君
警察庁刑事局長 大賀 眞一君
法務省大臣官房
政策立案総括審
議官 吉川 崇君
法務省民事局長 金子 修君
法務省刑事局長 川原 隆司君
法務省矯正局長 佐伯 紀男君
法務省保護局長 宮田 祐良君
法務省人権擁護
局長 松下 裕子君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○刑法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
○刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係
法律の整理等に関する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
○参考人の出席要求に関する件
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/0
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001・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、山下雄平君が委員を辞任され、その補欠として竹内功君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/1
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002・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
刑法等の一部を改正する法律案外一案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、警察庁長官官房審議官森元良幸君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/2
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003・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/3
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004・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 刑法等の一部を改正する法律案及び刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/4
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005・清水真人
○清水真人君 おはようございます。自由民主党の清水でございます。
前回に引き続きまして、質疑をさせていただきたいと思います。
前回、最後の方で侮辱罪の法の概要等について質疑をいたしましたが、今回は引き続きまして、関係ということで、誹謗中傷対策についてお伺いをしたいと思います。
誹謗中傷対策として重要なことの一つに、学校や警察、自治体との連携を密にした上で相談窓口を幅広く広報をしていくことが挙げられます。特に、年齢層としては若年層対策が必要と考えますが、今後どのように対策をしていくのか、現在しているのか伺います。
また、そのほかにも、捜査機関の速やかな対応も必要と考えるところであります。重大な被害に遭われた方が相談する機関として挙げられるのが警察等の捜査機関でありまして、その際には、迅速な被害届の受理や積極的捜査を望むものであります。また、そのためには、ネット上の誹謗中傷等への専門的に対応する体制というのを強化を更にしていかなければならないと思いますが、見解を併せてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/5
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006・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
法務省の人権擁護機関では、全国の法務局におきまして誹謗中傷被害等を含む人権相談に応じております。委員御指摘のとおり、被害者の救済のためには相談窓口の周知等が重要でありますところ、法務省におきましては、相談者のニーズに応じた関連省庁等の各種相談窓口を分かりやすく整理したフローチャートを法務省ホームページ等に掲載するとともに、リーフレットとして広く配布したり、SNS被害解消を目指して開設している特設サイトや人権擁護機関のSNSなどにおきましても法務省の人権相談窓口の周知を図っておりますほか、特に若年層に向けましては、学校に人権擁護委員や法務局職員を派遣して行っております人権教室においても相談窓口を周知、紹介するなどの取組を行っております。
今後とも、関係省庁等と連携しつつ、相談窓口の周知を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/6
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007・大賀眞一
○政府参考人(大賀眞一君) 警察では、誹謗中傷等に関しまして相談や被害の届出がなされた場合には、被害者の心情に寄り添って適切に対応することとしているところでございまして、法改正後においても引き続きこうした対応をしっかりと行ってまいりたいと考えております。
また、体制につきましても、被害の届出状況等に応じまして必要な人員を配置するなどして適切に事案対応を行うよう都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/7
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008・清水真人
○清水真人君 質疑をさせていただいた点につきましては、自民党のネットによる誹謗中傷対策、こうした提言も上げさせていただいているところでありますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、またこの委員会でも、ほかの議員からもそれぞれこうした広報についてはいろいろな質問が出ているところだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
また、未然の対策というのも私は非常に重要だと思っておりまして、例えばツイッターとかいろいろなスレッドが立つようなところですと、いろんな会社の広告等が載っておりますけれども、そうしたところにこの相談窓口の広告だとか、侮辱罪がこういうふうになりましたというような広告をもし載せるようなことができれば、書く側にとっても僕は抑止になるのかなという気がしますし、もしそういうことをされた場合にも、すぐそこを例えばクリックすればその窓口の方につながっていくだとか、何かそういう取組がもし検討できるんであれば是非検討していただきたいなと思いますので、よろしくお願いをいたします。
続いて、外国会社の登記要請についてお伺いをいたします。
SNS利用者が、国内にいるグーグルやメタなどの海外大手IT会社を含む外国会社に対しまして、法務省と総務省が、連名だと思いますが、三月下旬に、会社法に基づき電気通信事業者である海外会社の日本での登記をするように要請、しない場合についてはその理由についても説明を求めたというふうに認識をしているところでありますが、各社の対応状況についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/8
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009・金子修
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
会社法上、外国会社は、日本において取引を継続しようとするときは、日本に住所を有する日本における代表者を定めなければならないとされております。また、外国会社が日本における代表者を定めたときは、三週間以内に外国会社の登記をしなければならないとされ、登記申請義務の違反等について過料の制裁がございます。外国会社の登記は、外国会社の日本における業務について権限を有する者を明らかにするものであり、発信者情報開示請求などの民事裁判手続が円滑に行われるためにも重要であると認識しております。
法務省におきましては、令和三年十月以降、法務省ホームページに日本語と英語で登記義務及び登記手続を説明する文書を掲載し、さらに本年三月二十九日には、総務省と連名で、電気通信事業者のうち、外国会社の登記義務を遵守していないと思われる四十八社に対して外国会社の登記を促す文書を発出するなどして、外国会社が登記義務を履行するように促してきたところでございます。
現状ですが、現時点で四社が登記済みと把握しているほか、五社から登記の申請に向けて準備中との回答を得ていますが、なお多くについて外国会社の登記がされていない状況にございます。登記義務を履行しない外国会社に対しては、過料の裁判を行う裁判所に対して義務違反の事実の通知を実施することも含め、今後とも、関係省庁とも連携して、外国会社の登記義務の履行に向けて取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/9
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010・清水真人
○清水真人君 この発信者の開示請求、これがどれぐらい早くできるかというのは、こうした問題に対応する上では非常に重要なことであると思います。
今の答弁ですと三十九社まだしていないということでありまして、過料ということもありますが、過料がたしか百万円でしたかね、ということで、これが会社によっては大きいのか安いのかということもあろうかと思いますし、ここは粘り強く登記していただけるようにしていかなければいけませんし、そのための何か、場合によっては強制力というのも今後は考えていかなければいけないのかなと思う事案かなというふうにも思っておりますが、まずはしっかりしていただけるように再度の要請なりしていただければというふうに思います。
続いて、保護観察に移らせていただきます。
今回の改正によりまして、保護観察所の業務が増大していくのではないかというふうに思っているところであります。その一方で、現在の保護観察に関わる人員に目を転じてみますと、保護観察対象者の数が令和二年で五万五千三十五人であるのに対しまして、対応する人員である保護観察官の人員が令和二年度で千四百十人ということであります。その数は保護観察対象者の僅か四十分の一、約四十分の一という人数であります。この体制で十分な対応ができるのか気になっているところであります。
今法改正によりまして、よりきめ細やかに、立ち直り、再犯防止に向けた処遇の充実を図っていく諸制度を導入するわけでありますが、こうした人員の点にもしっかりと目を向け、総合的に再犯防止に向けて取り組まなければならないというふうに感じているところでありますが、見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/10
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011・宮田祐良
○政府参考人(宮田祐良君) 委員御指摘いただきましたとおり、今回の法改正は社会内処遇の大幅な充実強化を図るものでございます。保護観察官の業務につきましては、これら業務を円滑かつ適切に運用するための負担等が生じ得るものと考えます。
新たな制度下における各種業務の遂行に万全を期するべく関係機関等との連携を一層緊密にするとともに、これに対応するために必要な保護観察官の確保や、更生保護行政のデジタル化の着実な実施などの人的、物的体制の整備に取り組んでまいりたいと考えております。
また、保護観察官と協働して我が国の再犯防止を支えてくださっている保護司につきまして、これは保護観察官と同様、大変大事であります。活動のデジタル化の着実な実施や自宅以外の面接場所の提供といった地方公共団体による支援の確保など、保護司活動の負担軽減や活動環境の整備にもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/11
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012・清水真人
○清水真人君 保護司さんもたしか平均年齢がもう六十五歳を超えてくるというところで、デジタル化等を入れながらやっていくということですが、保護司さんにも分かりやすいそうしたシステムをしっかりつくる中で対応できるようにしていただければというふうに思っております。
続いて、被害者等から聴取した心情等を受刑者に伝達する制度についてお伺いをいたします。
拘禁刑の導入に伴いまして、今までの被害者等の視点を取り入れた教育から一歩前進をしまして、改正案では、被害者等が求める場合には被害者等から聴取した心情を受刑者に伝達する制度を設けることとされております。
実際の運用では、誰がどのような場所でどのように聴取をし、またどのように受刑者へと伝達をするのか、まずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/12
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013・佐伯紀男
○政府参考人(佐伯紀男君) お答えいたします。
被害者等の心情を伝達、聴取、伝達の制度でございますが、具体的な運用につきましては現在検討中でございます。現時点において詳細をお答えすることは困難でございますが、この制度の趣旨に照らしまして、被害者等の方々の御要望にも、踏まえた上で十分に配慮した適切な運用ができるよう引き続き検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/13
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014・清水真人
○清水真人君 しっかりとこれは早く決めていただかなければいけないのかなと。やはり今回の肝は処遇の改善とか立ち直りを促すものでありますから、しっかりと対応していただければと思います。
また、この被害者等から聴取した心情等を受刑者に伝達する制度については、改正案にて、同じく新たに創設されることとされている被害者等の心情を適切に矯正処遇に活用することを目的とした規定にも関連されるところでありますが、どのように矯正処遇に生かしていくのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/14
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015・佐伯紀男
○政府参考人(佐伯紀男君) お答えいたします。
御指摘のとおり、被害者等の心情を聴取してこれを伝達する制度が導入されることを目指してございますが、この矯正処遇を行うに当たりましては、聴取した被害者等の心情を必ず考慮した上で、受刑者ごとに定める矯正処遇の実施要領を策定することになります。
具体的には、改善指導において、個々の受刑者の事件の受け止め方などを踏まえながら、受刑者自身が自己の責任を自覚し、被害者等に対する慰謝の念を深められるよう、受刑者ごとに被害者等の心情等を具体的に理解させる働きかけを行うとともに、被害者等の心情等に十分考慮しながら、謝罪であったり被害弁償等の具体的な行動を促す指導を実施することになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/15
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016・清水真人
○清水真人君 この矯正処遇に活用すると、生かしていくということで、この心情を受刑者に伝えるということによって受刑者の状況というのは変わってくる可能性があると。そうした状況というものがその被害者側に伝わることが可能ということになれば、またその状況を得て、被害者の方が二回目の例えば心情の伝達をしたいというようなことを思うことも自然なのかなというふうに思っておりますし、そういうケースも考えられるだろうというふうに思っておりますが、そういったことというのはできるのか、見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/16
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017・佐伯紀男
○政府参考人(佐伯紀男君) 先ほどもお答えいたしましたとおり、具体的な運用につきましては検討中でございますが、法制審議会におきましても、聴取した心情等をどのように処遇に活用したか、また伝達後の受刑者の状況について被害者等の方々に情報提供してほしい旨の御意見も示されているところでございます。
このような御意見を踏まえまして、被害者等の方々に配慮した適切な運用ができるよう、委員御指摘の点も含めて引き続き検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/17
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018・清水真人
○清水真人君 一番の目的は、しっかりと矯正処遇に生かしていくということでありますし、受刑者の立ち直りにつなげていくということであると思いますから、どのような形がベストなのかということについては速やかに判断をして検討を進めていただきたいということを要望したいと思います。
続いて、執行猶予の拡充についてお伺いをいたします。
ちょっと一点飛ばしまして、現行法上、執行猶予期間中に再犯を犯した場合について、その執行猶予期間中に罰金以上の有罪確定しなければ刑の言渡しの効力が失われるわけでありますが、改正案では、再犯した罪の有罪が確定するまでに先に犯した罪の執行猶予期間が終わっても、執行猶予期間中に公訴がされていれば、なされていれば効力継続期間となり、刑の言渡しについて効力が続くこととされているところでありますが、この改正によりどのような効果が生まれると期待をしているのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/18
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019・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
現行法上、執行猶予の期間内に再犯に及んだことに基づいて執行猶予の言渡しを取り消すためには、猶予の期間内に有罪判決が確定することが必要とされております。
もっとも、執行猶予制度の趣旨は、執行猶予の言渡しの取消しによる心理的強制により改善更生、再犯防止を図ることにあるところ、犯罪の発生から判決が確定するまでに一定の期間を要することに照らすと、猶予の期間の満了が近づくにつれて、再犯に及んでも執行猶予の言渡しを取り消されない可能性が高まることとなり、執行猶予の趣旨、機能が全うできないことになりかねないところでございます。
そもそも、先ほど申し上げた執行猶予制度の趣旨に鑑みれば、猶予されていた当初の刑を執行すべきかどうかを判断する上で重要なのは、再犯についての有罪判決が猶予の期間内に確定したことではなく、猶予の期間内に再犯に及んだことであると考えられます。
そこで、今回の法改正では、刑の執行猶予期間の経過後にもその刑の執行ができるようにするものでありまして、これにより、猶予の全期間を通じて執行猶予の言渡しの取消しによる心理的強制により改善更生、再犯防止を図るという執行猶予制度の機能が十全に発揮されることになるものと期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/19
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020・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) お時間になりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/20
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021・清水真人
○清水真人君 時間になりましたので、終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/21
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022・真山勇一
○真山勇一君 立憲民主・社民会派の真山勇一です。質問させていただきます。よろしくお願いします。
前回の質疑途中になってしまった、今の清水委員も取り上げておりましたけれども、今回の刑法改正での被害者心情というものについてどんなふうに考えているのかということをちょっと改めてまた伺っていきたいと思います。
今回の刑法改正で、拘禁刑は、懲罰よりも受刑者の改善更生の支援に重きを置いているという、そういう答弁でございました。
今の刑法、明治四十年にできたという刑法のその理念ということで、当時はそういうことだったんだと思うんですが、悪いことをしたら罰を受ける、悪いことをしたら懲らしめるということを一つの懲罰に対する理念ということになっていて、これは被害者に対し、被害者がやはりそういう犯罪の被害になったということに対して、相手に対していろんな感情を持っているし、場合によってはその仕返しをしたいという、そういう率直な気持ちもあった、そういうことのために、公権力が懲罰、懲役ということで代わりにやるんだよということでその理念があったんじゃないかと思うんですが、それが今回、それは懲罰、懲役ということがなくなって拘禁ということになりましたけれども、これで刑法というものが新しい、私はこれ評価するんですけど、新しい形に変わったというふうなものなのかどうか、その辺のどう変わったのかということを法務大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/22
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023・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) いわゆる応報刑論につきましては、講学上様々な考え方があるものというふうに承知をしております。
今回の改正案におきましては、いわゆるこの相対的応報刑論、つまり、刑罰の目的、機能については、応報と一般予防とそれから特別予防、これらを目的とする、そういう理解を前提とする、そのようないわゆるこの相対的応報刑論という考え方に立っております。したがいまして、今回のその創設をしようとする拘禁刑というものは、このような今までの相対的応報刑論という立場から何らかの変更をするものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/23
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024・真山勇一
○真山勇一君 ということになりますと、変更することではないということですけれども、今回の大臣の答弁の中にもありましたように、被害者感情に対するいろんな対応というのは幾つか挙げておりますけれども、こうしたものは今とそうすると変わらないということなのかどうかということが一つと、それから、このここに幾つか挙げている点で、被害者というのは対応は十分なのか、納得してもらえる方法なのかどうかということを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/24
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025・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 今回のこの改正案に盛り込まれております被害者等の心情等の聴取・伝達制度は、これは犯罪被害者の思いに応えるものであるというふうに私ども考えております。
法制審議会におきましては、犯罪被害者でもある御遺族、ごめんなさい、犯罪被害者の御遺族でもある委員から、この制度について、望んでいたものなのでとてもうれしいとのお声があった上で、心情伝達が矯正教育上どのように使われたのか、加害者の状況はどう変わったのかについて、一方通行ではなくて被害者側にも提供していただきたいとの御意見が出されたところであります。さらに、その際、被害者に加害者の状況を伝えてくれたなら被害者側の回復にもつながると思うという御意見も示されたというふうに承知をいたしております。
このように捉えているところなんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/25
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026・真山勇一
○真山勇一君 私が認識しているところによると、やはり被害者とかそれから御家族の方の主張として、やはり裁判、裁判が始まって、それで刑期が決まって、その処遇が決まっているんですけど、受刑者のなかなかそういう情報が被害者の方に今まで伝わっていなかった、何かほとんど、どうなっているのかが私たちには何も知らされていないんですよということがやっぱりこれまで多かったと思うんですね。もちろん、裁判所が少しずつ改善してそういう情報が行くようになったとは私思っているんですが、でもまだまだやっぱり足りないんじゃないか。やはり、もう少し丁寧に被害者とかその家族に対して、やはりその受刑者がどういうふうな状況にあるのか、どういう心情になっているのかとかということをいろいろやはり伝えるのが当然じゃないかなと思うんですが、その辺が非常にこれまで少なかったというふうに思うんですね。
だから、是非、今回改正したのならば、その被害者の心情というものももう少し、これだけ受刑者に対してはもう本当に、まあ言ってみれば十分なくらいいろいろ手当てを今回やるわけですね、指導とか作業とかということでね。何とかして社会復帰させよう、何とかして再犯防止させようという、その思いはもう本当によく今回の改正出ていると思うんですけど。
一方で、被害者の方は、やっぱり今回も、今の大臣の説明もありましたけれども、やはり、その被害者たち等の声をやっぱりもう少しこれから生かしていく、先ほども出ましたけど、被害者への情報提供ということをやっぱりやっていただかないと、被害者の方たちはやっぱり、本当に彼は、彼女は反省しているのかなとか、罪を犯しても何か大事に大事に、とにかくもっと社会へ復帰してくださいということをやるけれども、被害に遭った一方は置き去りにされちゃうんじゃないかという、そういう心理というのはやっぱりあると思うんですね。被害者というのは、やっぱり心の傷というのは深いと思うんですよ。そう簡単には治らないと思います。
そういう意味で、法務大臣が私の本会議の質問の中で、こういうことで被害者の心情などについてはいろいろ伝えて、受刑者に真の反省につながるようにと。真の反省というのは、例えばどういうふうなことをイメージしていらっしゃるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/26
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027・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) やはり大事なことは、この受刑者が、悔悟の情及び改善更生の意欲、これを持つことが非常に重要であるというふうに考えておるわけですが、これまで施設内処遇におきましては、悔悟の情及びこの改善更生の意欲があるかどうかを判断するに当たりましては、自らの犯罪による被害の実情及び当該犯罪に至った自己の問題性を正しく認識した上で、これを悔いる気持ちが認められるかどうかといった点ですとか、自己の犯罪による被害者等に対してどのように償うべきかを正しく認識し、かつ償いをする気持ちが備わった上で、再び犯罪をしないためにどのような生活を送るべきかを正しく認識し、かつ過去の生活を改め健全な生活を送る気持ちが認められるかどうかといった点などに留意をしておりまして、これらが認められる状態が、私が本会議でお答えしたときのこの真の反省ということを申し上げたかった趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/27
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028・真山勇一
○真山勇一君 被害者の心情と同時に、被害者が受刑者の行動、立ち居振る舞い、それから社会復帰した後の態度などをやはりしっかりと見てもらえるようなまず体制をつくることが一つと、そういうことによって、あっ、本当に対象者は反省しているんだなと、本当にざんげの気持ちがあるな、ああ、もうこれなら許せるなんていう、やっぱりそういうところまでやはり被害者にとっても気持ちを持っていけることが一番いいんじゃないかというふうに思いますので、是非この辺りはしっかりと、さっき検討中というものがありましたけど、やっぱり対策しっかり立てていただきたいというふうに思います。
それでは次に、もう一つの問題点として侮辱罪のことについてお伺いしたいと思うんです。
この侮辱罪の法定刑引上げということについては本当にいろいろ論議が出ていて、正当な論評を萎縮させる、表現の自由を萎縮させるという声が各方面から上がってきております。
お配りした、改めてちょっとお配りした資料を見ていただきたいんですが、一つは、日本ペンクラブの出したこれはやはり声明ですけれども、ネット上の誹謗中傷はエスカレートしていることもあり、これを見逃すことはできないから、これに対しての対策は必要だとする一方で、ただ、その厳罰化によって言論、表現の自由が不当に制限されるということに対して憂慮しておりますという日本ペンクラブのこれは声明です。今年の四月に出されたものですけれども。
御存じかもしれませんけど、この日本ペンクラブというのは国際ペンクラブの日本センターで、それで、メンバーは、創作活動をいろいろやっているジャーナリストあるいは小説家、文筆業の人たちですね、そうした人の集まりということです。千六百人、七百人ぐらいの会員がいらっしゃるというふうに伺っております。で、このペンクラブ、日本ペンクラブからもやはり懸念の声がこういうふうに上がっております。
ほかにも、報道機関ももちろん懸念の声がありますし、弁護士グループとか市民団体、そうした方も出ている、これだけいろいろなことが出ている。
それから、その一方で、二枚目の、これは新聞のネットニュースですけれども、これを見ていただきたいんですが、もう皆さんよく御存じの報道の自由度ランキングという、国際ジャーナリストの組織であります国境なき記者団が毎年出している報道自由度ランキングというところで、見ていただければ、上から、百八十か国ぐらいが参加しているんですが、国と地域を見ているんですが、日本、三行目に出ています、去年から四つまた順位を下げて七十一位。まあ、八十か国・地域の中で七十一位という、その順位がどうなのかということが一つあるかもしれませんが、私はやっぱり少し、民主主義を標榜する日本としてはこれはどうかなという順位です。
そして、その下をちょっと見ていただければ分かるように、今回のウクライナ侵攻、これに絡んで報道規制を強化したロシアは百五十五位、こういうふうに順位を下げているということで、やっぱり報道の自由あるいは表現の自由ということは、民主主義を標榜する国にとっては大事なことじゃないかというふうに思っています。
それで、お伺いしたいんですけれども、こうした懸念がこれだけある、やはり特にその表現をなりわい、表現を大事にしている人たちからそういう懸念の声が出ている、これ本当に、これまでの大臣の答弁、それから国家公安委員長の答弁も、心配ないよということなんですが、それは本当そうなのかどうか、大臣と国家公安委員長からそれぞれお伺いしたいと思います、改めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/28
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029・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) お答えいたします。
表現の自由は、これはもう憲法上も規定されている非常に極めて重要な権利でありまして、これが不当に制限されるということはあってはならないというふうに思っています。
今回の改正は侮辱罪の法定刑を引き上げるのみでございまして、構成要件を変更するものではありません。処罰の対象となる行為の範囲が変わるわけではありませんから、したがいまして、これまで処罰されなかったものが今回の法改正によって新たに処罰されることになるということはないわけでございます。
また、拘留、科料というこの刑罰の下限を存置、残すことにしてありますので、一律に、この当罰性の低い行為まで一律重く処罰するというようなことでもございません。
さらに、公平な論評といった正当な表現行為につきましては、仮に相手の社会的評価を低下させる内容であっても、刑法第三十五条の正当行為として違法性が阻却され、処罰されないと考えられます。
その上で、御懸念の点につきましては、法制審議会の部会におきましても、捜査、訴追を行う警察、検察の委員から、これまでも表現の自由に配慮しつつ対応してきたところであり、この点については今般の法定刑の引上げにより変わることはないとの考え方が示されたところでございます。
したがいまして、今回の法改正は、言論を萎縮させたり表現の自由を不当に侵害するものではないというふうに私も、私は自信を持っております。
しかしながら、一方で、この表現の自由というのは非常に大事です。それを萎縮させるのではないかという御懸念の御指摘、お声に対しては、これは真摯に受け止めたいというふうに思っております。したがいまして、この法改正の趣旨、内容等につきましても、やはり丁寧な説明に努めていきたいというふうに思っているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/29
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030・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 私も法務大臣と同様でございます。
衆議院の委員会でも、今回のこの侮辱罪について大変御懸念の発言が多いわけでございますけれども、やはり表現の自由というのは憲法によって保障された極めて重要な権利でございまして、これが不当に侵害されるということがあっては私は決してならない、いけないと、このように思っているところでございます。
また、今回の法改正では、侮辱罪の構成要件は決して変わっておらないわけでございますから、正当な言論活動が侮辱罪による処罰の対象とはならないわけでございます。また、警察においては、これまでも表現の自由の重要性に、表現の重要性に配慮しつつ捜査を行ってきたところでございまして、この点についても、法定刑の引上げについて決して変わるものではないわけでございます。
こうしたことから、今回の法改正によって表現の自由が不当に侵害されることとはなってはならないと、このように強く考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/30
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031・真山勇一
○真山勇一君 大臣からも、それから今国家公安委員長からも、これまでと変わらないんだという答弁をいただいたんですが、変わらないんだという、変わらない、そうかな。でも、刑罰は厳罰化しているわけだから、じゃ、これまでと変わらないけれども、じゃ、その厳罰化した部分というのはどういうことが考えられるのかというところが私分からないんですが、これ、厳罰化した、それじゃ立法事実みたいなものはあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/31
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032・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 近時、インターネット上で誹謗中傷によるいろんな悲惨な事件などがあります。そういうことを契機として、やはりこの侮辱罪、そういう行為に対する非難の声というものが非常に社会的に高まってきている、インターネット上も、またそれ以外においてもそのような要請が、社会の中でですね、要請があるというふうに考えております。
そういうことに対応するために今回この法定刑を引き上げるという対応を取るものでございますけれども、これはやはり、その行為、侮辱罪という対象となる行為が、やはり非難されるべき当罰性の高い行為であるというこの法的な評価をきちんと示すことによって、やはりいけないことなんですよということを社会的に示すこと、そして、当罰性の高い行為に対しては、それを厳罰、重罰を科すという、そういうことが可能になるということによって、やはり一定の抑止効果を持ち得るということによってこの侮辱行為というようなものを抑えていこうと、根絶していこうというものでございます。
ただ一方で、このことのみ、この法定刑の引上げのみでいわゆるこの侮辱によって様々な生じているこの社会的な問題が全て解決されるものではありませんから、やはりその及ばざるところは、様々な行政上の措置や施策によっていろんな取組を通じて問題と向き合っていかなければならないと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/32
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033・真山勇一
○真山勇一君 今日は二之湯国家公安委員長にせっかく来ていただいたのでお伺いしたいんですが、やっぱり、これまでと変わりないと言いながら、現に現状で、例えばこの委員会でもよく話が出ていますが、北海道の、北海道警の、安倍総理の演説の会場で安倍辞めろと言った途端に排除された例がありますね。やっぱり現に今の段階でもそういうことがあるんだから、やっぱりもっと厳しくなったらこういうものに対する対処の仕方というのは絶対変わってくるんじゃないかという不安はありますよ。その辺についてはどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/33
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034・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 今回のいわゆる法定刑の引上げは、今法務大臣おっしゃったように、SNS上なんかの書き込みといいますか、それの抑制効果というのはあるんです。それに関連して侮辱罪もかなり厳しくなるんじゃないかと。いわゆる、これによって御懸念のいわゆる言論の自由が抑制されるんじゃないかとか表現の自由が非常に不当に侵害されるんじゃないかと、こういう御懸念はございますけれども、これは、正当な言論活動は処罰の対象にならないというわけでございます。
また、捜査は一般に任意捜査でございますので、侮辱罪に関しては、表現の自由というものを非常に配慮しつつ、より慎重な運用を期していきたいと、このように思っております。
御懸念のことがないように一生懸命警察を指導してまいりたいと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/34
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035・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) お時間になりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/35
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036・真山勇一
○真山勇一君 時間が参りましたので、ありがとうございました。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/36
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037・安江伸夫
○安江伸夫君 公明党の安江伸夫です。
本日はまず、受刑者等の社会復帰支援に関連してお伺いしてまいります。
再犯の防止を推進する上で最も重要なこと、それはいかにして出所後の住居を確保し、かつ就労を確保、継続するかという点にあると考えます。あわせて、受刑者が自らを律する自律と自ら立つ自立を可能とする生きる力を付与していくことも肝要かと考えます。今回の法改正によって一層柔軟な処遇が可能となり、受刑者に対する社会復帰支援が充実されることとなりますが、今申し上げたような観点も踏まえた取組が強化されることを期待したいと思います。
その上で、犯罪を犯してしまった者について、その障害ないしこれに準ずる特性についても更に焦点を当てた処遇が行われるべきものと考えます。彼ら、彼女らは何らかの生きにくさを抱え、社会になじめず、犯罪に手を染めてしまう場合も少なくないかと思います。例えば、軽度の知的障害であるとか発達障害ないしそれの特性を有しているにもかかわらず、それが一見して見えにくい特性であるがゆえに、医師等による適切な診断及び治療等を受ける機会がなく、周囲の無理解によるコミュニケーションを中心とした問題を抱え、結果として犯罪に手を染めてしまうというケースもあるのではないでしょうか。
今回の法改正を契機として、受刑者の社会復帰を支援するに際しては、こうした見落とされてきた障害者の特性等についても十分に調査がなされ、適切な処遇につなげていくべきものと考えます。矯正局の御所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/37
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038・佐伯紀男
○政府参考人(佐伯紀男君) 委員御指摘のとおりでございますが、知的障害であったり発達障害があるものの、刑事施設に入所した段階でこれらの対応となります療育手帳等を取得できておらず、入所後に初めて障害が認知されるという方が一定数いるということが現状でございます。
刑事施設におきましては、知的障害や発達障害を含む受刑者の特性につきまして、医師や心理学を専攻する調査専門官による処遇調査などによりましてその把握に努めてきたところでございます。
これらの受刑者に対しましては、障害を考慮したプログラムの実施や、養護的な働きかけができる工場、軽作業の指定、社会福祉制度に関する知識の付与のほか、出所後、福祉サービスが円滑に受けることができるような、社会福祉士の資格を有する福祉専門官が必要に応じて関係機関と連携して、療育手帳などの取得支援を行ってきたところでございます。
今回の法改正によりまして、こういった柔軟な処遇がよりやりやすくなりますほか、刑事施設の長の責務として社会復帰支援が推進していくということになります。今後におきましても、その法改正の趣旨を踏まえまして、これまで以上に受刑者の知的障害や発達障害などの特性を十分に把握し、必要な社会復帰支援の実施に努めてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/38
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039・安江伸夫
○安江伸夫君 犯罪には必ず原因と結果があるというふうに私も考えております。
そして、その原因はやはり、本人が、犯罪を犯したその者が内心的にこの悔悟の念を生じなければいけないところもあるかと思いますが、やはり外部環境、その精神的な障害やあるいは知的障害等はその外部環境と身体的な要因が相まった最たるものだというふうに思っておりますので、今、今回の法改正を契機にその特性に応じた再犯防止の取組を強化していただければというふうに思います。
続いて、コレワークについて伺います。
再犯者のおよそ七割が犯行時において無職であるという実態に鑑みれば、就労の確保こそ再犯防止の要です。出所後の就労を支援する上では、施設内から一貫して就労指導が不可欠であり、特に出所前に就業先を確定する取組の強化を図っていくことが重要かと思います。
この点に関連しまして、事業主と受刑者等のマッチング、これを行っているコレワークの一層の周知、活用、機能強化が重要と考えます。コレワークの意義、またこれまでの実績、また現在の課題について矯正局にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/39
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040・佐伯紀男
○政府参考人(佐伯紀男君) 矯正施設在所中から就労先を決めることは再犯防止に極めて重要であるというふうに認識してございます。
受刑者を雇用しようとする事業主の方の便宜に資するよう、全国の受刑者等の資格取得の状況であるとか、こういった情報を一元的に管理しまして、事業主の方のその雇用条件に適合する者がどこの矯正施設に在所しているかということなどの情報を提供しているのがコレワークでございます。
平成二十八年十一月にコレワークが本格稼働を開始いたしましてから本年三月末までに全国八か所に設置しましたコレワークにおきまして、事業主から合計八千五百四件の御相談を受け付けてございます。このうち千六十件が矯正施設在所中に就職内定に結び付いたという実情でございます。
一方で、企業から受けた御相談の中で、就職の採用内定の多くが建設関係に言わば偏った状況となってございまして、必ずしも受刑者等のニーズと合致していない点が課題として認められるところでございます。
法務省といたしましては、引き続き幅広い業種の事業主の方にコレワークの認知度を高め、より活用していただけるよう、その役割などについて周知を図ってまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/40
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041・安江伸夫
○安江伸夫君 私も名古屋のコレワークを見させていただいたこともございます。今回の法改正を機に、またその使命一層大きくなるかと思いますので、更なる体制の強化、活躍を御期待したいというふうに思います。
受刑者等がようやく就業先を見付けたとしても長続きしないということも課題かと承知をしております。様々な原因が考えられますが、その一つが、今も指摘をいただいた雇用のミスマッチの問題です。これを解消するためにも、より多くの事業者とマッチングできる機会を確保していく必要性があります。
受刑者等を雇用するに当たっては、犯罪等を犯したことを理解した上で雇用に協力をしていただける協力雇用主の制度が重要ですが、この協力雇用主に関連しまして、現在の登録数、またその一層の確保に向けた取組状況について保護局に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/41
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042・宮田祐良
○政府参考人(宮田祐良君) 協力雇用主の登録数ですけれども、おかげさまをもちまして順調に増加しておりまして、昨年、令和三年十月一日現在、約二万五千事業者に登録いただいているところでございます。一方で、実際に雇用する協力雇用主の数ですけれども、これ、同日現在で約千二百事業者にとどまっております。また、御指摘ありましたとおり、円滑な社会復帰と職場定着には事業主とのマッチングが重要でありますけれども、協力雇用主の約半数が建設業という業種の偏りが見られます。
このような課題に対応するため、協力雇用主に対する支援を充実するとともに、多様な業種の事業主に協力雇用主となっていただけるよう経済団体や業界団体等への働きかけを行うとともに、各都道府県には民間の立場から協力雇用主の活動を支援してくださっている就労支援事業者機構がございます。これらとも連携しまして、協力雇用主の確保に引き続き努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/42
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043・安江伸夫
○安江伸夫君 やはり協力雇用主、たくさんいろんな業種の方に手を引き続き挙げていただきたいというふうに思います。再犯防止に当たって非常に重要な取組かというふうに認識をしております。
そこで、先ほども支援の充実という点を挙げていただきましたが、協力雇用主になることによって受けられるその支援メニューの強化についても検討の必要性があるのではないかというふうに考えております。
現在は、刑務所出所者等就労奨励金の支給や公共事業などの入札優遇を受けることが可能となっていると承知をしておりますが、例えばこの前者の奨励金につきまして、現在は最長一年間、最大で七十二万円支給されることになっているものを、この支給年限の延長あるいは金額の増額も検討されるべきではないでしょうか。
また、これ、私が実際現場でいただいた声でもありますけれども、例えば、受刑者等の出所後の住居を確保したりすることによって再犯防止につながるという観点から、そうした点についても財政的な支援が欲しい、事業主が寮や社宅等の住居を確保した場合には一定の財政的支援を行うといったことも有用ではないかというふうに考えております。
これらの取組は、協力雇用主となることのインセンティブの強化にもつながるかと考えます。例えばでありますけれども、今申し上げたような手法も講じて協力雇用主の確保を一層図るべきと考えますが、保護局の御所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/43
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044・宮田祐良
○政府参考人(宮田祐良君) 御紹介いただきました刑務所出所者等就労奨励金制度でございますけれども、就労継続が困難な十八歳、十九歳の若年者を雇用してくださって、職場定着に向けて手厚く指導などをいただいた協力雇用主さんに加算金を支給する制度というのを本年度から新たに導入したところでございます。一方で、協力雇用主からは、実際に雇っても約五割は半年以内に辞めてしまうという意見ございます。職場定着支援の更なる強化が必要であると考えております。
刑務所出所者等と協力雇用主と双方にきめ細かな寄り添い型の職場定着等の支援を行っています更生保護就労支援事業というのを今全国二十五か所で実施しておりますけれども、その実施状況を踏まえ、各地域で必要な支援が円滑に行われることが課題であると考えています。
息の長い支援に協力雇用主の存在意義は大きく、また有り難く、引き続き協力雇用主に対する支援の充実に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/44
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045・安江伸夫
○安江伸夫君 引き続きの強化をお願いしたいと思います。
古川法務大臣にもお伺いしたいと思います。
協力雇用主の拡大も含めた受刑者等の就労支援の一層の充実に向けてお取組をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/45
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046・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 受刑者等が矯正施設を出た後、速やかに仕事に就いて、かつ定着していくこと、これは再犯防止の観点から、そして何よりも本人の立ち直りのために極めて重要なポイントだというふうに考えております。
法務省におきましては、今、両局長から答弁をいたしましたように、コレワークによる施設在所中からの就労支援、そして、刑務所出所者等就労奨励金支給制度や更生保護就労支援事業などの就労支援の充実等に努めておりまして、事業主の御理解、御協力の下、早期就労、それから職場定着に一定の成果を上げているものというふうに考えております。
引き続き、受刑者等の再犯防止に向けて、しっかりと事業主の方々の御意見も聞きながら、協力事業主の拡大も含め、より充実した受刑者等の就労支援に取り組んでまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/46
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047・安江伸夫
○安江伸夫君 是非とも強化をお願いしたいと思います。
続きまして、痴漢の再犯の防止に関連してお伺いしたいと思います。
今回の法改正を踏まえまして、保護観察処遇の一層の充実が図られることとなります。そのためにも、前回の委員会でも指摘させていただきましたが、更生保護施設の人的、物的体制の更なる強化を求めたいと思います。
他方で、刑事施設や保護観察所が行う専門的処遇プログラムの対象にならない犯罪者についても再犯の強化を図っていくべきです。特に、いわゆる痴漢や盗撮行為を行った者への対策の強化が重要と考えます。公共交通機関での痴漢等は迷惑防止条例等の条例違反によって捕捉される場合が多いですが、類型的、また相対的に刑が低いため、性犯罪等に対する専門的処遇プログラムの対象にならない場合が多いです。
他方で、痴漢等は再犯率も高く、病的要因も指摘されていることに鑑みると、性犯罪処遇プログラムやこれに準じるような対応を早期に行うことができる体制の整備が重要と考えます。
そこで、刑法犯以外の痴漢の再犯率についての法務省の御認識をお伺いするとともに、保護観察の下以外においても痴漢の再犯防止施策を一層強化していくべきと考えますが、法務省の御所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/47
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048・吉川崇
○政府参考人(吉川崇君) お答えいたします。
まず、お尋ねの再犯率につきましては、平成二十七年に法務総合研究所におきまして、性犯罪により懲役刑の有罪判決を受けた者の判決確定から五年後の再犯状況を調査したところ、罪名が条例違反のみで犯行態様に痴漢を含む者は、他の類型の性犯罪者よりも性犯罪の再犯率が高いという結果でございました。調査対象数、調査期間等が限られていたものであるため、その調査結果を直ちに一般化することは難しいものの、痴漢行為に及んだ者には、これを繰り返す者が一定程度いるものと認識しております。
その上で、委員御指摘のとおり、法務省では、矯正施設及び保護観察所におきまして、痴漢を含む性犯罪者に対する専門的処遇プログラムを実施しておりますが、これまで、刑事上手続が終了した後は、これらの者に対する働きかけが必ずしも十分に行われていなかったものと承知しております。しかしながら、これらの者の再犯を防止するためには、地域社会でも矯正施設や保護観察所に準じた取組が実施されるなど、息の長い支援を行うことが重要であると考えております。
そこで、法務省では、今年度、調査研究事業として、痴漢を含む性犯罪者を対象として地方公共団体等が実施可能なプログラムを開発し提供することとしております。これらの取組を通じて、痴漢を含む性犯罪者についても地方公共団体等による再犯防止の取組を促進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/48
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049・安江伸夫
○安江伸夫君 やはりこの痴漢被害というものも大変深刻な問題だというふうに思っております。被害者の方に大変大きな心の傷を付ける重要な犯罪であるというそういう認識の下で、その再犯の強化を、強化していただくことをお願い申し上げます。
続きまして、ちょっと一問飛ばさせていただきまして、侮辱罪の関連についてお伺いをいたします。
インターネット上の誹謗中傷の深刻化等の社会情勢の変化に対応し、今回侮辱罪の法定刑が引き上げられます、引き上げられる予定となっております。その一般予防効果を高める効果が期待をされているところでありますが、他方で、法定刑が重くなって表現行為に萎縮効果が働くとの御指摘がございます。
そこで、他国における侮辱罪ないし我が国の侮辱罪と類似の犯罪法制がどうなっているか、例えばドイツ、フランス、韓国ではどうなっているのか、参考にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/49
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050・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
我が国の侮辱罪に相当する罰則として把握しているところで申し上げますと、まずドイツでございますが、ドイツでは、刑法典におきまして、侮辱は一年以下の自由刑又は罰金刑に処し、侮辱が公然と、集会において、文書の頒布により、又は実力を用いて遂行されたときは、二年以下の自由刑又は罰金刑に処するとされております。
フランスにおきましては、刑法典におきまして、人に対する非公然の侮辱は、扇動によって行われたものでない場合には、第一級違警罪について定める三十八ユーロ、これは昨日現在の為替レートに基づいて計算いたしますと約五千三百円相当でございますが、この三十八ユーロ以下の罰金で罰するとされ、報道の自由に関する一八八一年七月二十九日付け法律において、公共の場所又は集会において行われた演説等による個人に対する侮辱は、扇動によって行われたものでない場合には一万二千ユーロ、これは先ほどと同じような為替レートで計算いたしますと約百六十五万九千百円相当でございますが、この罰金で罰するとされております。
韓国におきましては、刑法典におきまして、公然と人を侮辱した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮又は二百万ウォン、これも先ほど申し上げました為替レートに基づき計算いたしますと約二十万円相当でございますが、この二百万ウォン以下の罰金に処するとされていると、このように承知しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/50
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051・安江伸夫
○安江伸夫君 ありがとうございました。
当然、それ、各国によって社会状況も違うかと思いますので一概には言えませんが、必ずしも類似の制度で日本が突出して高いわけではない、今回の法改正を踏まえても突出して高いわけではないということも評価としてはあり得るのではないかということを指摘させていただきたいというふうに思います。
ネット上の誹謗中傷の問題を念頭に、刑罰による一般予防効果のほか、被害の早期救済の強化も引き続きお願いをしたいかと思います。
この点に関連をいたしまして、法務省が違法性があると判断して国内外のプロバイダーなどに行った削除要請のうち、その三割が応じられていなかったという報道がございます。要請に応じてもらえない場合、被害者は法的措置を検討せざるを得ないと思いますけれども、その際、法務省は助言などの支援を行っているのかを確認するとともに、またさらに、要請に応じない者に対しての実効性を高めていくべきかと考えますが、この点についての問題意識及び今後の方策について法務省の御所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/51
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052・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、法務省の人権擁護機関が投稿の削除を要請しても削除されない場合がございます。その際には、相談者の意向や事案に応じまして、裁判手続を案内したり法テラスなどを紹介するなどの支援を行っております。
また、削除されない場合があることの背景には、我が国の人権課題に対する理解が十分でないとうかがわれる海外事業者があること、また、当機関からの削除要請に何らの反応もしない小規模な事業者等があることなどの事情があると認識しております。
そこで、法務省においては、削除される割合を少しでも改善するために、総務省とともに継続的に開催しております実務者検討会の場で、また、プロバイダー等の個々の事業者と個別に協議、意見交換を行うなどして、我々がしかるべき法的判断をした上で削除要請を行っているということをプロバイダー等に示したり、あるいは反応のない小規模な事業者等につきましては、我々との関係の構築等を粘り強く促すなどして削除要請に対する理解を求めているところでございます。
今後も、こうした取組を通じて、インターネット上の誹謗中傷による被害の救済に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/52
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053・安江伸夫
○安江伸夫君 済みません、最後の質問でございますが、やはり今回の法定刑の引上げの有無にかかわらずに、表現の自由に対する不当な萎縮効果を生じさせないための工夫が必要かと思います。侮辱に当たるとされた裁判例を分かりやすく整理する、あるいは法務省が削除要請を実行した事例を整理をする、あるいは今有識者検討会で検討されている違法性の判断基準についても分かりやすく整理をする、こうした取組も重要かと考えます。
法務省の御所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/53
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054・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
委員も御指摘のように、表現の自由は憲法で保障された極めて重要な権利でございまして、これを不当に制限することがあってはならないのは当然のことでございます。
今回の法改正は表現の自由に対する不当な萎縮効果を生じさせるものでないと考えているところでございますが、この点を懸念する御指摘があることは真摯に受け止めまして、引き続き、委員から御指摘をいただいたような方法も踏まえまして、適切な周知の在り方について検討し、丁寧な周知に努めてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/54
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055・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間が参りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/55
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056・安江伸夫
○安江伸夫君 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/56
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057・川合孝典
○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合孝典です。
私、まず、侮辱罪の法定刑引上げがいわゆるオンラインハラスメントを今後抑止していく上でどういった効果があるのかといったことからまず質問させていただきたいと思います。
今回の侮辱罪の法定刑引上げの背景には、「テラスハウス」の事案を念頭に今回この法改正が行われると理解しておりますが、今回の法改正によってオンラインハラスメントへの具体的な何らかの対応が図られることになります。
そこでなんですが、どういった行為がハラスメントなのかと、先ほどの安江委員の御質問にもつながる話ではあるんですが、このオンラインハラスメントの定義ですね、その対象や範囲が明確化されていないということでありますので、そうすると、実際にオンライン上で誹謗中傷を行う人たちに対して、どういった行為を行うことがオンラインハラスメントに該当するのかということが、明確に一定の基準というものが提示されていないと抑止効果が期待できないのではないのかと私はふと感じたものですから、法務大臣にお伺いしたいと思います。
オンラインハラスメントの定義とは何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/57
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058・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
お尋ねのオンラインハラスメントという言葉についてでございますが、民間において様々な用いられ方をしているということは承知をしておりますが、これにつきまして、政府として、その定義につきまして特定の見解を有しているわけではないと承知しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/58
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059・川合孝典
○川合孝典君 特定の定義を示しているわけではないがゆえに、その曖昧なところがあるから、結果的にオンラインハラスメントが行き過ぎるところまで行かない限り問題が表面化しないという状況になっております。
この定義、いわゆるこれを定義付けるのか、ガイドラインとしてある程度明示化するのかという話は別にして、これ、きちんと法務省としての考え方を示すべきだと思いますが、法務大臣、いかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/59
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060・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 今刑事局長が答弁しましたとおり、オンラインハラスメント、その定義ということなのでございますけれども、そのオンラインハラスメントというものが指し示している事柄の態様というものが様々あるだろうと思いますので、それらを厳密に定義をするということになると、これはなかなか難しいことではないかなと思います。
したがいまして、今回の侮辱罪の法定刑の引上げというように、侮辱罪の場合は、公然と、事実を摘示せずに公然と誹謗中傷したということなわけですけれども、そのような侮辱罪として対応できることについては侮辱罪でというふうにして対応するということになるのではないでしょうか。一概に、オンラインハラスメントとは何々であるというような、この画一化した定義は難しいのではないかと。そのオンラインハラスメントを対象とした何らかの刑罰というようなものは、ちょっと理論的に直結しにくいのではないかという印象を持ちます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/60
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061・川合孝典
○川合孝典君 定義という言葉を使うと、強くそのこと自体をもう定義付けてしまって決めるということになりますので、それは適切ではないという御指摘については理解します。
ただ、こういった行為を行うとこういう問題が生じて刑罰に該当する可能性があるということを指し示すことはできるんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/61
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062・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 済みません、ちょっとお尋ねの意味が正確に私理解できていないのかも分かりませんが。
オンラインハラスメントというふうに呼ばれるものの中には、様々な、嫌がらせといいましても何か脅迫みたいなものであったり、何でしょうか、様々、何というんでしょうね、様々な態様のものをひっくるめてオンラインハラスメントというわけでしょうから、それを因数分解してそれぞれに対しての対応というのは、例えば侮辱罪であるとか名誉毀損であるとか脅迫だとか何だとか、様々なその刑としてのこのカテゴライズがされているのだろうと思いますけれども、そのオンラインハラスメントという一言で様々な態様を一言で表現するのは難しいのではないかということを申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/62
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063・川合孝典
○川合孝典君 その今大臣がおっしゃったことは理解できます。
つまりは、定義というよりガイドラインのようなものですよね。一定の基準のようなものが何らか明示的に示されていることで、オンライン上でいわゆる誹謗中傷を行っている人たちの行動に対して注意喚起を与えるというようなことはやはり必要なんじゃないのかなというふうに、どこまで何をやっていいのかということが全く分からずに、そのことの結果として自らにどういった罰が与えられるのかということも恐らく認識しないままにその場の感情で書き込むというようなことが多分多かろうと思いますので、そういうことに対して事前に注意喚起を行うという意味での一定のそういったガイドラインのようなものを示した方が、抑止効果という意味で高いのではないのかということの指摘をさせていただいています。
ちなみに、このいわゆるオンラインハラスメントと言われるものの特性としては、いわゆる匿名性が高いということ、高度の流通性があるということ、オンラインにおける永続性、もう繰り返し繰り返し何百回、何千回と一度書いたものが要は繰り返されるということ、同時に、回避困難性があるといったようなことを有識者の先生は御指摘をされています。
したがって、これ一回書き込みをするということが、何百回、何千回言い続けていることと同じ効果が実はこれ生じているということ、そのことに対してどう対応するのかというのは、いわゆる一言何か言って侮辱罪かどうかということの議論をしているのとは全く質が違うということを理解した上でこのことにどう対応するのかが問われているというふうに思っています。
こればっかりやっていると一問で終わってしまいそうなので、ちょっと事例で、例えばということで質問させていただきたいんですが、法制審の刑事法の侮辱罪の部会において、その侮辱罪の事例というものについて検証された、昨年検証されているんですけれど、その中でも少し取り上げられておりましたが、例えばなんですけど、小売業の現場で、来店者が勝手に店内で従業員を要は追いかけて店内や従業員を撮影して、それをSNSにアップした上で、その店員、従業員に対する誹謗中傷のようなコメントを付けているといったような、実はそういう事例が増えてきております。被害者に誹謗中傷、罵詈雑言がなされることにより被害者の自尊心が傷つけられ、PTSD等を発症し自殺に追い込まれる危険性があることから、脅迫罪、強要罪、ストーカー行為規制法の犯罪に類似した形に、状況になっていると考えられます。
今回の侮辱罪の法改正によって、今申し上げたような小売業の現場で撮影をして、勝手に撮影をしてSNS上にアップして罵詈雑言を浴びせるといったような事例に対してはどのような、どこまでの対応が可能になるのか、このことについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/63
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064・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答えを申し上げます。
今回の法改正は、大臣からも再三答弁がございましたように、侮辱罪の法定刑を引き上げるのみでございまして、構成要件は変更しておらず、処罰対象となる行為の範囲は変わらないものでございます。したがいまして、今回の法改正の後でありましても、侮辱罪は、事実を摘示せずに公然と人を侮辱した場合に成立するということ、場合に構成要件に該当することになるものでございます。
委員御指摘の事例でございます、恐らくその書き込まれるいろいろなコメントは様々なものがあるのだろうと思いますが、個別の事案における犯罪の成否につきましては、収集された証拠に基づき事案ごとに判断されるべき事柄であるので、この場で私ども法務省として確定的なお答えをすることは困難でございます。
ただ、いずれにいたしましても、検察当局におきましては、委員御指摘のような事例につきましても、刑罰法令の観点から侮辱罪やその他の犯罪が成立するものにつきましては、個別具体の事案に即して法と証拠に基づき適切に対処するものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/64
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065・川合孝典
○川合孝典君 理屈はそういうことなんですが、どうやったって後追いになるんですよね。いかにして抑止するのかということの観点が今の御答弁の中にもやっぱり入っていないわけであります。当然、表現の自由の問題がありますから触れられないことがあるということについては重々理解しておりますけれども、その上で、昔と違ってこのSNSという新たな情報媒体が与える影響というものを考えた上で、それに合った形での対応、もっと言ってしまえば、先ほど来申し上げておりますとおり、事前にそうした行為に至らないようにするためにどういった対処が可能なのかということの議論をしなければいけないということです。
法定刑を引き上げたからそのことによっていわゆる犯罪の抑止効果になるのかということについても、どこまでやったらその犯罪に該当するのかということについてのスケールすら全くない状況の中で、要は法定刑だけ引き上げるということになってしまったときに一体どれだけのその効果があるのかというと、これは甚だ疑問だと思います。
飲酒運転に対するいわゆる罰金を上げたことで抑止効果が相当に出たということが過去ありましたけれど、あれは罰金が、酒飲んで運転をしたら物すごい罰金を取られるという極めて明示的なものがあったがゆえに、あのことによって抑止効果があったわけで、今回のように何が対象になるのか分からない状況の中で罰金、量刑だけ引き上げるということになったとき、本当に効果があるのかということについては、疑問だけ私からは申し上げておきたいと思います。
時間がありますので、次に参ります。
三番目の質問でありますけれども、このオンラインによるハラスメントの特性を考慮したいわゆる個別の処罰の規定といったようなものの導入についても、今すぐできるかどうかは別にして、検討する必要があるのではないのかということの問題提起をさせていただきたいと思います。
オンラインハラスメントは、侮辱罪、名誉毀損罪、ストーカー罪、脅迫罪といった犯罪に該当しない事例が少なくないこと等もあり、オーストリアの刑法にはオンラインによる嫌がらせ行為を独自に処罰する規定があると聞いております。我が国において今後侮辱罪の法定刑が引き上げられたとしても、それとは別にオンラインハラスメントの特性を考慮した新たな処罰規定の導入を模索することの必要があるのではないのかと考えておりますが、この点についての大臣の御認識をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/65
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066・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) インターネット上で行われる嫌がらせ行為には様々なものがあると思われますし、侮辱罪であるとか名誉毀損罪であるとか、例えばストーカー行為規制法違反とか、様々な犯罪が成立することはあり得ます。ただ、それは個々の事案ごとに収集された証拠に基づいて個別に判断をされるべきことであります。
この処罰対象とならない事案であっても、被害に遭われた方を救済するための行政的な諸施策を推進していくことはこれは重要だというふうに考えておりますから、例えば法務省においては人権相談への対応ですとかプロバイダー等に対する投稿の削除要請などを行っておりますし、これは引き続き関係省庁や関係機関とも連携しながら必要な取組をこれ進めていかなきゃならないと考えておるわけです。
その上で、このインターネット上で行われる嫌がらせ行為を処罰するための新たな刑罰を設けるということについては、今回の法改正ですとか様々な行政上の諸施策による効果なども踏まえながら、既存の罰則に加えてどのような行為について新たな罰則を設ける必要があるのか、保護法益をどのようなものとして考えるのか、罰則は明確でなければならないわけですけれども、処罰すべき行為を明確に定めることができるのかといった様々な観点から慎重な検討が必要になるものというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/66
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067・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
時間が参りましたのでこれで終わりにしたいと思いますが、いわゆるそのオンラインを使ったハラスメント、今回の侮辱罪法定刑引上げのきっかけになったのも、そもそもいわゆる「テラスハウス」の事件があったことが一つの大きなきっかけになったということでありますし、これまでの概念とこれまでの社会情勢の中でどう判断、侮辱罪を、量刑を判断するのかということの延長線上では、やっぱりSNSを使った現代のこのいわゆるハラスメントというものに対しては対応し切れない状況があるということをやっぱり我々は認識しなければいけないと思っています。
あわせて、今の若い世代の方々は我々の世代とは全く違うこのSNSとの向き合い方をしているということを考えたときに、我々、未来の世代に対してどうこの法律の見直しの方向性があるべきなのかということは今のうちから議論をする必要があるということだけ御指摘させていただきまして、私の質問は終わります。
ありがとうございます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/67
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068・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、山崎正昭君が委員を辞任され、その補欠として高橋はるみ君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/68
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069・高良鉄美
○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。
刑法十二条の改正案によれば、拘禁刑受刑者に対しては作業と指導を組み合わせて課すほか、作業を大幅に減らして指導を増やすこと、さらには作業を課さず指導のみを行うこともできます。
他方、刑事被収容者処遇法、いわゆる刑収法九十三条改正案のただし書は、作業の必要性が認められる場合であっても、作業を行わせることが相当でないときには作業を行わせないとしています。このただし書に該当する場合について、五月十一日の衆議院法務委員会で矯正局長は、他の事情によって作業、就業が難しい場合であると、具体例として、①感染症の蔓延を防止する必要がある場合、②条約との関係で作業を課すことに配慮が必要な場合を挙げています。
この①は、現行法下でも作業に従事させられないのはまあ感染症の問題ですから当然ですけれども、②の方のこの条約とはILO第百五号条約という理解で間違いないでしょうか。それから、同条約が禁止する強制労働に該当するおそれのある国内法規定の法定刑については、懲役が禁錮に改められましたが、同条約の対象犯罪に係る受刑者は、類型的に九十三条ただし書の相当性を欠く場合に当たり、作業を課せられないということでよいでしょうか。その場合、受刑者本人が作業を行うことを希望する場合には作業を行わせるのでしょうか。以上、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/69
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070・佐伯紀男
○政府参考人(佐伯紀男君) お答えいたします。
御指摘のとおり、今回の法案による改正後の刑事収容施設法第九十三条ただし書の相当でないと認めるときは、ILO第百五号条約、いわゆる強制労働の廃止に関する条約でございますが、との関係で、作業を課すことに配慮が必要な場合が含まれるものと理解をしております。
この条約が保護対象としております行為を行ったことにより拘禁刑を科された受刑者につきましては、仮に改善更生を図るためには作業を行わせることが必要性があると認められる場合であっても、条約に配慮し、作業を課さないこととする予定でございます。
作業等の矯正処遇につきましては、処遇要領に基づいて行われます。処遇要領は、必要に応じて受刑者の希望を参酌して定めるものとされていることから、条約との関係で配慮を要する受刑者につきましても、本人が作業を実施することを希望されるのであれば、必要に応じてそれが処遇要領に反映され、作業を実施することになると考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/70
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071・高良鉄美
○高良鉄美君 今、本人の希望というのいろいろありましたけれども、それを前提としますと、同じ拘禁刑であっても、本人の意に反して作業を課すことができない受刑者、それと、そうでない受刑者とが存在することになります。
受刑者が正当な理由なく作業や指導を拒むことを遵守事項違反とし、懲罰の対象となり得るところ、国連の経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会は、日本の第三回定期報告に関する総括所見において次のように勧告しています。委員会は、締約国の刑法典が、本規約の強制労働の禁止に違反して、刑の一つとして刑務作業を伴う懲役を規定していることに懸念を持って留意する。委員会は、締約国に対して、矯正の手段又は刑としての強制労働を廃止し、本規約第六条の義務に沿った形で関係規定を修正又は破棄することを要求する。社会権規約委員会は、ILO第百五号条約の対象犯罪に限らず、受刑者全般について、たとえ矯正の手段であったとしても強制労働を廃止することを求めています。
四月二十七日の衆議院法務委員会における矯正局長の答弁では、受刑者本人が全く不同意の状態である場合には、強制することで作業を効果的に実施できるとは考えていない旨を述べますが、問題は、懲罰を科されるかもしれないという心理的強制、懲罰による威嚇の下に、意思に反してでも作業に従事させられるという点にあります。
最終的には、意に反してでも作業を義務付けられるという意味での作業の強制的性格は、拘禁刑も懲役と変わらないのではないでしょうか。また、従来の禁錮との比較では、自らの意思とは関係なく作業を課せられ得るという点で重罰化ではないのでしょうか。お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/71
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072・佐伯紀男
○政府参考人(佐伯紀男君) 刑事収容施設法におきましては、受刑者の遵守事項として、正当な理由なく作業等を拒否してはならない旨を定めてございます。これに違反した場合には、各種の事情を考慮した上で懲罰を科すことができることとされております。
拘禁刑受刑者につきましても同様に懲罰を科すことができることとしておりますが、これは、拘禁刑の趣旨を踏まえまして、個々の受刑者の問題性等に応じて必要と認められる矯正処遇を専ら受刑者の意思に委ねるということは相当ではないと考えたものでございます。
これまでも御答弁させていただいておりますが、拘禁刑の創設というのは、個々の受刑者の特性に応じて作業や指導を柔軟に組み合わせて処遇を行うものでございます。矯正処遇の効果を高めるためには、受刑者自身に自らが受ける処遇の意義を十分に理解させ、自発的に受ける気持ちを持たせることが重要であるということは御承知のとおりでございまして、法改正後も、拘禁刑導入の趣旨を踏まえて引き続き動機付けを高めるための働きかけをしっかりと行いまして、効果的な矯正処遇の実施に努めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/72
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073・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) 私の方から、禁錮刑との比較において重罰化じゃないかという点についてお答え申し上げます。
今回の法改正におきましては、懲役及び禁錮に代えまして拘禁刑を創設することとしておりまして、拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができることとしております。
その結果、現行法の下であれば禁錮に処せられ、作業が課されない者について、拘禁刑における処遇として作業が課されることがあり得ることとなりますが、もとより全ての拘禁刑受刑者に常に作業が課されることとなるわけではない上に、そもそも拘禁刑を創設するのは、個々の受刑者の特性に応じ、作業と指導とをベストミックスした柔軟な処遇をすることができるようにし、その改善更生、再犯防止を図るものであって、そこで課される作業は、懲役における作業とは異なり、過去の犯罪に対する報い、懲らしめではなく、拘置することに加えて罰を与えるものではないことから、重罰化との御指摘は当たらないと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/73
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074・高良鉄美
○高良鉄美君 従来の懲役、禁錮というのは、これ、割かし分かりやすいというんですかね、作業のあるなしということだったんですが、今回一緒になっていると、名前がもう拘禁刑と。同じ拘禁刑で結構違う形での処遇がなされるということなので、今まででしたら禁錮に当たるような方々は、もう作業はありません。何もありませんと、中でいるだけであるというような形で、気持ちの上でも、いろんなことがあったのかもしれませんが、この辺ちょっと分かりにくいなというのがあって、ベストミックスというのも、誰から見てベストミックスなのか非常に分かりにくい点があることをちょっと私の感想として申し上げたいと思います。
〔委員長退席、理事高橋克法君着席〕
次に、五月十一日の衆議院の法務委員会において刑事局長は、拘禁刑の規定におきまして、作業と指導については、いずれも改善更生を図るための重要な処遇方法として特別予防のために課すものであることを明確にするため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができることを明記することとしたものと答弁しています。
これは、作業や指導が拘禁刑の内容として課されるものと理解してよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/74
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075・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答えいたします。
刑の内容ということについてお尋ねでございますが、何をもって刑の内容というかにつきましては、法制審議会の部会でも指摘されましたように、講学上様々な理解があり得るところでございまして、お尋ねにつきましても様々な理解があり得ると考えられるところでございます。
〔理事高橋克法君退席、委員長着席〕
いずれにいたしましても、拘禁刑におきましては、作業と指導について、いずれも刑を犯した者の改善更生という特別予防のために課すものとして位置付けることとし、刑法において、拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができると規定することとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/75
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076・高良鉄美
○高良鉄美君 まだ少し、その拘禁刑の内容というものと実際の中身というのが一緒なのかどうかちょっと分かりにくいんですが、もしそういうものであるとすると、受刑者にとってこの指導を受けることは、刑法上の義務にとどまらず、拘禁刑の内容として義務付けられるということを意味しますけれども、とりわけ、作業を課されずに専ら指導を受ける受刑者にとっては、指導を拒む場合、拘禁刑の十全な執行がなされないという状態になりますが、本人が同意しない場合、そういったときにでも強制しても指導の効果が上がらないことというのは、先ほどちょっと紹介しました四月二十七日の衆議院法務委員会で矯正局長も認めています。
ですから、同意しない場合に強制しても指導の効果が上がらないので、結局はそういうことはやらないだろうと。現実上、指導を本人が同意しない場合に強制するかというと、そうはならないだろうと、考えにくいということですね。この矛盾というのは、そもそも正当な理由なく指導あるいは作業を拒むことを遵守事項違反として懲罰の対象としていることから生じるのであり、遵守事項違反の対象から外すべきではないでしょうかと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/76
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077・佐伯紀男
○政府参考人(佐伯紀男君) お答えいたします。
作業や指導を拒む者に対しまして、その改善指導や改善更生、再犯防止のための働きかけを行うことが一切の、ある種の強制といいますか、これが懲罰等の対象にならないとすれば、これを実施することが相当困難な状態となります。再犯リスクの高い人が矯正処遇を希望するとは限らないわけでございまして、むしろその改善更生が必要な者に対してより働きかけを行えなくするおそれも生じるというふうな観点から、拘禁刑創設の目的が達成できないことになるというふうに考えてございまして、正当な理由なく作業を拒否する行為については遵守事項から外すということは相当でないと考えてございます。
ただ、これまでも度々御答弁申し上げてきたとおり、矯正処遇の効果を高めるためには、御指摘のように、受刑者自身にこれを自発的に受ける気持ちを持たせること、これは非常に重要でございます。こういったことを十分認識してございますので、引き続き、動機付けを高めるための働きかけを行いまして、効果的な矯正処遇の実施ができるように努めてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/77
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078・高良鉄美
○高良鉄美君 先ほどから矯正の方に視点を置いているということで、受刑者の矯正を進めていくというところからすると、なるべく働きかけを中心にはするけれどもそこに見合ったものをと、先ほどの言い方ですとベストミックスの形で指導と作業を入れていくということだと理解いたしました。
この問題というのは、前回、私は侮辱罪の法定刑の問題で重罰化というようなところを聞いたわけですけれども、今回、この拘禁刑を、先ほど言ったように、今回は拘禁刑の問題を内容にしているんですけれども。そのミックスが、何ですか、バランスが、最初はもう重罰化の問題だけかと思ったら、結構ここでも問題があるなというふうに感じた次第です。
したがって、法制審の答申もきちんとなっているかということにちょっと、まだまだ疑問がありまして、次回またゆっくりいろいろとお聞きしたいと思います。
時間が来ましたので、終わりたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/78
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079・東徹
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
懲役刑という名前から拘禁刑という名前に変わるということで、なかなか、この根拠を聞いてもなかなかよく分からぬなとつくづく思うわけですね。再犯防止というのは当然私も大事だというふうにはもうこれ当然思うわけでありますけれども、やっぱり更に大事なことは、やっぱり再犯防止よりもまずは一回目の犯罪ですね、それをやっぱり抑止していく、その一回目の犯罪が減れば当然再犯も減っていくわけでありますから、そういったことは大事なことであります。懲役刑であったとしても、きちんと作業それから指導、そういったことがその人に特性に合わせて行っていくことができればそれでいいんだろうというふうに思うので、なかなかこれ、懲役刑に変えなきゃ、懲役刑から拘禁刑に変える根拠がよく分からないなというのが非常に率直な思いです。
まずお聞きしますが、今回の法案で新しい拘禁刑の名称について前回の委員会でも質問させていただきましたけれども、懲役とか禁錮、これ英語でどのように言うんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/79
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080・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
日本法令外国語訳データベースシステム上、刑の種類について定める刑法第九条におきまして、懲役はインプリズンメント、禁錮はインプリズンメント・ウイズアウト・ワークとされているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/80
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081・東徹
○東徹君 この中で英語の得意な人おられるかどうか分かりませんが、僕も発音に自信ないですが、懲役というのはインプリズンメント、禁錮というのはインプリズンメント・ウイズアウト・ワークということですけれども。
新しい拘禁刑の名称について、政府参考人から懲役刑という名称のまま内容を変えることも考えられなくないというふうに答弁もあったので、余計これ変える必要がどこにあるんだというふうに思うわけですけれども、これ英語の名称を変更しないとすると、日本語でも変更する必要はなかったというふうに思いますが、これ新しい拘禁刑、これ英語ではどのように表現するのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/81
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082・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
この新しい拘禁刑の英訳、英語訳につきましては、先ほど御答弁申し上げました現在の懲役、禁錮の英語訳も踏まえつつ、この刑法等一部改正法案の成立後に検討をしたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/82
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083・東徹
○東徹君 だから、これインプリズンメント又はインプリズンメント・ウイズアウト・ワーク、これが一般的な世界共通の言葉じゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/83
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084・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
世界共通の言葉かどうかということでございますが、これは日本法令外国語訳データベースシステム、これは我が国において法令の外国語訳をするシステムでございますが、におきましてその一定の作業工程を経た上でこういった、先ほど申し上げた内容が英語訳としてされているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/84
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085・東徹
○東徹君 何回も指摘しましたけれども、拘禁刑と名称を変えることで、国民の中で懲役よりも軽くなったイメージが浸透してしまうと、これは再犯の防止どころか一回目の犯罪の抑止効果すら弱くなってしまうわけですね。拘禁刑って、初めて聞く人が、まあこれできたとしたらですよ、法律ができたとしたら、拘禁刑って何よって多分思う人が大半じゃないのかなと思いますよね。今まで懲役、禁錮、こういった言葉が大体だったんです。国民からすれば、拘禁刑って何って、こうなると思いますよね。
私は、これ名称というのは非常に重要だと思うんですね。刑の名称という大きなこれ変更ですよ、大きな変更です。懲役刑という今まで使ってきた言葉を新たに変えるというのは本当大きな変更だと思うんですけれども、変えるということはやっぱり英語の名称も当然示すようにしておくべきと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/85
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086・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
委員が御指摘になりましたこの英語の名称につきましては、先ほども御答弁申し上げましたけれども、本法案の成立後に検討したいと考えているところでございます。
改正後の法律の規定のその英訳をなぜ今まだかということでございますが、改正後の法律の規定の英語訳につきましては、日本法令外国語訳推進会議の構成員による品質検査等を経た上で、専用のホームページである日本法令外国語訳データベースシステムにおいて一般公開することとなります。
今回の法改正後の刑法等の英語訳につきましても同様の手順を経て公開することとなりますが、その前提として新たな刑の名称や規定の内容等が確定していることが必要であるところ、現在まさに御審議をいただいているところでございます。そのため、拘禁刑の英語訳につきましては、再三申し上げておりますように、この法案が成立し、これ、先ほど申し上げたような内容、名称等が確定した後に検討したいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/86
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087・東徹
○東徹君 いや、だから、別に、例えばこういった英語訳がありますよというふうなことで示すことができて当然だと思うんですね。
もう一つお聞きいたしますが、これ私、何でちょっとこれ聞くかというと、結構報道、新聞とか見ていても、世界で、いろんな刑罰を受けた方、懲役という言葉はやっぱり報道ベースでも出ているわけですね。だから、懲役の英語訳というのは何なのかなというふうな立場で、今回、じゃ、拘禁刑ってじゃどういうふうな英語訳するんですかとお聞きしているわけなんですけれども、これ、今回の法案では再犯防止のために刑の名称を変更しようとしておるわけですけれども、これ、世界的な流れとしてはやっぱりそういうふうな流れになっておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/87
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088・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
委員お尋ねのその再犯防止を目的として刑事施設に収容する刑の名称を変更した国の有無ということについては、申し訳ございませんが、私どもとしては把握しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/88
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089・東徹
○東徹君 だから、世界の状況をこれは把握もしていないのに、日本だけでこうやって変えていこうとする、これ、古川大臣、ちょっと違和感ありませんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/89
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090・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 国それぞれ取っております刑事政策には、それぞれの事情があって、それぞれの成り立ちが、刑事政策のありようがあると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/90
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091・東徹
○東徹君 それを言っちゃおしまいだと思うんですね、そんなことを言い出すと。
一方では、やっぱり世界の流れの中で日本だってやっぱり改正をしておかないといけないよねというのが、この間の民法のデジタル化による提起というのはそうだったと思いますし、やっぱり世界の流れの中でやっぱり日本も見ていくというのは非常に大事なことだと私は思います。
これは、やっぱり国際社会の中で、日本だけがこうやってやっていくんだというんじゃなくて、やっぱり取りあえずはやっぱり日本の在り方、そしてまた世界の動き、この両方、縦と横をきちっと見ながら物事を改正していくというのは、私、これ非常に大事なことだと思うんですね。でも、これについては、世界のことは全然分かりませんという答えでは、ちょっと余りにも、何ぼ何でもひどいなというふうに思います。
大臣、別に答弁求めてないんですけど。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/91
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092・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 先ほどの……(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/92
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093・東徹
○東徹君 私、答弁求めてないんですね。別にこれで時間取りたくもないので、もうこれで勘弁してください。済みません。
次に、性犯罪のことについてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
令和二年の性犯罪の起訴、不起訴の数ですが、強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪、三千三百三十五人のうち起訴されたのは千九十人、不起訴になったのは二千二百四十五人ということで、約、不起訴の方が二倍になるんですね。で、全体の三分の一しかこれ起訴されないわけです。また、強制性交罪と準強制性交罪、この数字を見ても、千二十三人のうち起訴されたのは三百六十三人、不起訴になったのは六百六十人ということで、この数字を見ても全体の三分の一しかこれ起訴されていないわけですね。
このような傾向というのは、これ令和二年だけに限りませんが、なぜこのように三分の一しかこれ起訴されない、まずこの理由についてお伺いさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/93
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094・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
委員御指摘のようなその起訴率の理由でございますが、検察当局におきましては個別具体の事案に即して起訴又は不起訴の判断をしているものでございまして、その結果として下された判断の集積である起訴率につきまして、その原因を一概に述べることは困難であることをまず御理解賜りたいと存じます。
その上で、あくまで一般論として申し上げますと、委員御指摘の性犯罪について不起訴とされる理由には様々なものがございまして、不起訴処分とされる事案の中には、被疑者が犯人であるとは認められない事案や、あるいは犯罪の成立を認めるに足りない事案がございます。また、被疑者が行った行為が犯罪であると、そういった事案でございましても、被疑者と被害者との間で示談が成立いたしまして、被害者において被疑者の処罰を望まない事案なども相当含まれているものと承知しているところでございます。
いずれにいたしましても、検察当局におきましては、個別具体の事案に即しまして、法と証拠に基づき適切に起訴又は不起訴の判断をしているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/94
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095・東徹
○東徹君 僕、個別の話をしているわけでもありません。大体全体的に、今御答弁のありました三つに分かれましたけれども、三つのそれぞれのカテゴリーに分けると、どれぐらいの分類に、まあ大体多いのはどれだとかというふうになるんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/95
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096・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
この令和二年のまず強制わいせつと準強制わいせつ、それと強制性交等で分けてちょっと御答弁をさせていただきますが。
不起訴人員中に占める割合というもので調査結果が出てございます。起訴猶予というのがまずございまして、これは被疑者による犯罪であるということが認められた上で起訴をしないというものでございますが、これにつきましては不起訴に占める割合が約四七%でございます。それから、嫌疑不十分、これは私、先ほど答弁した中で申し上げますと、被疑者が犯人であるとは認められない、あるいは、当該行為を被疑者が行ったことは認められるものの当該行為が犯罪であるとは認められない、したがって犯罪であるという嫌疑が、疑いが不十分であるというもの、これが約四一%になります。
これが強制わいせつ及び準強制わいせつ罪の関係でございまして、それから強制性交等罪、準強制性交等罪の関係でございますが、これも同じく令和二年で申し上げますと、起訴猶予が不起訴人員に占める割合として約二六%、それから嫌疑不十分が約七二%と、こういう数字になってございます。
もちろん、これは年によって違う部分がございますので、これが必ずしも全体的な傾向であるということではございませんが、一例としてお答え申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/96
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097・東徹
○東徹君 ありがとうございます。
そういうふうに説明していただけると大変分かりやすいなというふうに思いますし、この議論にも非常に役に立つなと思いました。
性犯罪の再犯率は、これ高いというふうに一般的に言われていますよね、性犯罪の再犯率というものは。令和三年版の犯罪白書によれば、強姦や強制わいせつの五年以内の再入率は二割程度というふうになっています。強姦、強制わいせつ罪、五年以内再入率というのは二割程度。この二割という数字には、不起訴となった人の再犯はこれ含まれていないわけですね。
で、強制わいせつ罪等に問われながら不起訴となった人のうち、再び、再びですよ、強制わいせつ罪等に当たる行為を行った人の割合というのはどれぐらいなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/97
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098・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
私どもとして、お尋ねのような観点から統計を取っておらず、網羅的に把握しておりませんので、お尋ねにお答えすることは困難であることを御理解賜りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/98
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099・東徹
○東徹君 私、この数字も非常に大事かなと思いますね。三分の二は不起訴になるわけですよ、性犯罪のうちですね。じゃ、不起訴になった人たちのうち、じゃ、またこれ性犯罪を繰り返し行う人の数というのは、やっぱりこれ、やっぱりそういうデータというのは取っておくべきじゃないのかなというふうに思いますよね。その上において、またこれ刑法の改正とか、やっぱりそういうのにつながっていくんだというふうに思います。
是非、これ改正すべきと、データをしっかりと取っていくべきと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/99
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100・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間ですので、簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/100
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101・川原隆司
○政府参考人(川原隆司君) お答え申し上げます。
先ほども御答弁申し上げましたが、性犯罪で起訴された事案の中には、被疑者による犯罪であると認められない事案や、あるいは被疑者による犯罪であると認められるものの、被害者との間で示談が成立して、被害者が被疑者の処罰を望まない事案などがございます。
そうしますと、不起訴にされた者の再犯ということが、その再犯予防の観点の上で、それが、何といいますか、そういった様々な、不起訴処分はそういった様々な要因について行われるものでございまして、また、不起訴とされた者がまた再犯を犯した場合にも、その原因や犯罪に至るまでの期間も様々であることから、お尋ねの調査をすることについては慎重に検討する必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/101
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102・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間ですので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/102
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103・東徹
○東徹君 もう時間ですので、終わります。私は大事だと思いますので、また次回にさせていただきます。
ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/103
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104・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、高良鉄美君が委員を辞任され、その補欠として伊波洋一君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/104
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105・山添拓
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
侮辱罪の法定刑引上げについて伺います。
逮捕が容易になることが懸念をされております。そこで、法務省と警察庁連名による政府統一見解が出されております。侮辱罪による現行犯逮捕について、表現の自由の重要性に配慮しつつ慎重な運用がなされる、実際上は想定されないなどと記されております。
国家公安委員長に伺います。
前回の質疑で法務省は、侮辱罪で現行犯逮捕を必要とするかどうか、これを判断するのは逮捕者だと答弁しました。ですから、慎重な運用とありますが、実際に現行犯逮捕するかどうかの判断は現場の捜査官次第ということになるかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/105
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106・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 逮捕権の運用につきましては、身体の自由に直接関連することから、犯罪捜査規範において、逮捕権は慎重適正に運用しなければならない旨を規定しているところでございます。
その上で、侮辱罪による現行犯逮捕については、身体の自由に加え表現の自由への配慮も重要と考えられることから、先般、表現の自由の重要性に配慮しつつ、逮捕権の運用を慎重に行う旨を政府統一見解としてお示しをしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/106
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107・山添拓
○山添拓君 いや、私が伺ったのは、その上で、最終的に現行犯逮捕をするかどうかの判断は現場の捜査官が行うことになると思いますが、そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/107
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108・大賀眞一
○政府参考人(大賀眞一君) 大臣からも、国家公安委員会委員長からも答弁がありましたとおり、侮辱罪については慎重な運用が求められるということは重々承知をしております。そして、表現行為という性質上、現行犯逮捕時に正当行為でないことが明白と言える場合は実際上は想定されないと考えております。
改正法の成立後、逮捕権の慎重適正な運用、こうした趣旨について十分警察庁から都道府県警察に対して周知を徹底していくということとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/108
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109・山添拓
○山添拓君 三回目ですから。その上で、最終的に現行犯逮捕するかどうかの判断は現場の捜査官が行うわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/109
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110・大賀眞一
○政府参考人(大賀眞一君) 現行犯逮捕でございますので、逮捕者が行うということには間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/110
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111・山添拓
○山添拓君 慎重な運用というのは当然ですけれども、最終的には現場の捜査官次第ということになります。それは歯止めにならないのではないかということを指摘してきたわけです。
これは、二〇一九年の参院選、安倍元首相が行った街頭演説で、安倍辞めろ、増税反対などと声を上げた市民二人を北海道警察が排除した事件からも明らかです。
警察庁に伺いますが、やじを飛ばした二人は警官らに肩や腕などをつかまれて移動させられたり長時間付きまとわれたりしました。この二人を排除してほしいと主催者から何か要請はあったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/111
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112・森元良幸
○政府参考人(森元良幸君) お答え申し上げます。
お尋ねの点でございますけれども、これはいずれも現場の警察官が、それぞれの状況を踏まえて、トラブル防止の観点から、法律に基づき必要と判断した措置を講じたものであるとの報告を受けているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/112
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113・山添拓
○山添拓君 主催者から要請はなかったわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/113
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114・森元良幸
○政府参考人(森元良幸君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/114
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115・山添拓
○山添拓君 この二人とも言葉を発してから十秒程度で排除されています。要請などなく、道警が勝手に判断して行ったものです。国家賠償請求の裁判で道警は、警察官職務執行法四条、五条に基づく行為だと主張しました。しかし、この主張自体理解し難いものです。
四条は、何らかの危険が及びそうなので避難させることができるという規定です。原告の二人が誰かから危害を加えられかねないと、言わば被害者と見て移動させたということになります。ところが、被害者として移動させたというのなら、加害者はどうなったかということになるんですが、加害者については放置されております。
一方で、五条というのは、犯罪が行われようとしているときに制止することができるという規定です。原告の二人を今度は言わば加害者と見たということになります。しかし、加害に及びそうな原告が興奮状態だったとか、あるいはポケットに手を入れて何か物を投げ出そうとしたとか、そういった警察官が証言した事実は裁判ではいずれも否定されております。
警察庁は前回、有田議員の質問に、トラブル防止の観点から移動させたと説明しました。トラブルなら相手がいるはずです。なぜ相手はおとがめなしで、やじを飛ばした二人が排除されたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/115
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116・森元良幸
○政府参考人(森元良幸君) お答え申し上げます。
事案でございますけれども、札幌駅前の聴衆の中で大声を上げる方がおられ、周囲からは反発の声が上がり、聴衆の一人がその男性を手で制するなど、手で押すなどの行為が発生したところでございます。
トラブル防止の観点から当該男性を移動させたとの報告を受けておりまして、その根拠といたしましては、周囲の聴衆とのトラブルによって危害を加えられるおそれがあり、また、興奮して暴行などに及ぶおそれもあったということで、警察官職務執行法四条一項、五条に基づき避難及び制止の措置をとったと報告を受けているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/116
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117・山添拓
○山添拓君 私が伺っていますのは、そのトラブルがあったと、あるいはそれが懸念されたということであれば、その相手方ではなく、なぜこのやじを飛ばした方を排除したのですかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/117
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118・森元良幸
○政府参考人(森元良幸君) お答え申し上げます。
北海道警察からは、周囲の状況に照らし、そのような方法しかなかったというふうに報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/118
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119・山添拓
○山添拓君 原告を排除した後、警察官は、演説しているから、それ邪魔しちゃ駄目だよ、選挙の自由妨害すると発言したといいます。
トラブル防止ではなく、演説の邪魔をするなということだったんではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/119
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120・森元良幸
○政府参考人(森元良幸君) お答え申し上げます。
先ほどもお答えいたしましたとおり、この度の警察官の措置ですけれども、多数の聴衆と個人とのトラブルを防止するために現場の警察官が必要と判断した措置を講じたものでございまして、意見の内容などに着目した措置ではない、こういう報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/120
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121・山添拓
○山添拓君 そのような報告を受けられていると言いますが、札幌地裁の判決は、警察官が安倍総裁の街頭演説の場にそぐわないと判断し、表現行為そのものを制限し、また制限しようとしたものと推認せざるを得ないと判断しました。そのとおりだと思います。
国家公安委員長に伺います。本当に現場の警察官の対応が適切だったと言えるでしょうか。御自身はそのことを確認されましたか。判決お読みになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/121
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122・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) お尋ねの事案は、平成元年の七月十五日の……(発言する者あり)あっ、令和元年、済みません、七月十五日の札幌市においての参議院通常選挙に係る街頭演説が行われた際に、警護、警備を行う中で北海道警察の現場の警察官がトラブル中止の観点から一部の方々を移動するとしたなどの事案であると承知をしているわけでございます。
本件に関しては、北海道警察からは、いずれも現場の警察官がそれぞれの状況を踏まえ、警察官職務執行法に基づき必要とした、必要と判断した結果との措置、結果であるということの報告を受けております。
今後とも、各種法令に基づきまして適切に職務を執行していくよう警察を指導してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/122
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123・山添拓
○山添拓君 札幌地裁の判決は、公安委員長自身はお読みになったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/123
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124・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 読んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/124
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125・山添拓
○山添拓君 証人尋問の中で現場の警察官が次のように証言しているんですね。質問、一般的に有形力を行使するには法律の要件を満たしている場合に限るということは間違いないですか、答え、仮定の質問にはお答えできません。質問、要人警護のためであっても、警察が有形力を行使するには法律の定める要件を満たしていなければならないと思うんですが、それはあなたの認識と合致していますか、答え、個別の法解釈については回答できません。質問、やじは憲法上保障されているやってもいい行為だという認識はありましたか、答え、個別の法令解釈についてはお答えしかねます。質問、適法か違法か分からなかったら現場で対処できないんじゃないですか、答え、法令に基づいて適切な判断をしたと思っております。
これが現実ですよ、公安委員長。先ほど委員長が、現場の警察官がそれぞれの判断を、それぞれ状況を踏まえて、法律に基づいて必要と判断した措置だと、そうおっしゃったその警察官の認識というのはこういうものなんですね。御存じでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/125
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126・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 恐らく、私が現場にいたわけではないわけでございますけれども、あくまで現場の警察官はトラブル防止という観点からそのお二人に移動を、移動してもらったということでございます。これが札幌地裁でのああいう判決になったわけでございますけれども、現在係争中でございますから、そのことに関しましては私はコメントを差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/126
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127・山添拓
○山添拓君 トラブル防止であれば、法律ののりを越えて有形力を行使してよいということにはならないと思うんですよ。しかし、その現場の警察官の認識、裁判で聞かれて、問われて答えた認識というのは、個別の法令解釈については答えない、だけど現場では適切に法令に基づいて対処した、これは答えになっていないと思うんですが、こういう認識で現場に臨んでいたということなんですね。
排除の法的根拠についても、先ほど警職法四条、五条というお話がありました。これ、現場での説明はありませんでした。初めて四条、五条を持ち出したのは七か月後のことです。これは、実際には排除ありきの対応だったと非難されても仕方ないと思うんですね。
国家公安委員長は本会議で、官邸の指示を含めて、道警の組織的な関与も疑われるとの指摘は当たらないと答弁されました。この当時の状況を知る方に伺うと、このとき異常なほど警察官がいて、事件となった場所のほかでもあちこち止められていたというんですね。
警察庁、伺います。当日、現地には警視庁の要人SPもいましたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/127
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128・森元良幸
○政府参考人(森元良幸君) お答えします。
警護、警備の具体的な体制の話になりますので、お答えを差し控えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/128
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129・山添拓
○山添拓君 警視庁の要人SPも配備されていたことは裁判の資料上明らかになっているんですね。
安倍元総理の街頭演説に当たって警察庁から何らかの指示はしていたということかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/129
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130・森元良幸
○政府参考人(森元良幸君) 先ほど答弁申し上げたとおり、北海道警察からは現場の警察官が状況に応じて法律に基づき必要と、基づく判断を行ったと報告を受けておりまして、警察庁から特段の指示は行ってございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/130
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131・山添拓
○山添拓君 やじを排除したことについての指示ではなく、安倍元総理が街頭演説をするに当たって警察庁から何らかの指示をしていたことは事実ですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/131
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132・森元良幸
○政府参考人(森元良幸君) 個別具体的な警備における指示、措置につきましては答弁を差し控えますけれども、一般的に平素から、重要な警護、警備におきましては、要人の安全確保、雑踏事故の防止などの観点から指示を行うとともに、教養を実施しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/132
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133・山添拓
○山添拓君 これは裁判でも記録が開示されたんですけれども、黒塗りでした。何ら組織的な関与がないとおっしゃるのであれば、いかなる指示をしていたのか明らかにされるべきだと思います。
国家公安委員長はこのやじ排除について、先ほどの答弁でも、現場の警察官の判断としてあくまで適切だという立場であろうかと思います。そうなりますと、今後も現場の警察官は全国で同様の対応をすることになると思うんですよ。何の問題意識もありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/133
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134・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 札幌駅での安倍首相の演説で、つまりお二人ですか、の方が移動を強制されたということですが、これはあくまでトラブル防止という観点からでございまして、決して言論の自由、表現の自由を圧迫するという目的では何らないわけでございますから、そういうことについての配慮はこれからも十分に慎重にしていかなければならないと私は思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/134
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135・山添拓
○山添拓君 トラブル防止などではなく排除ありきの対応だったということが裁判では指摘をされております。
私は、先日、池袋で街頭演説を行ったんですけど、道路占用許可も得て警察とも調整してのものでありました。ですから、大勢の警察官がいたわけです。ところが、右翼の街宣車が私たちの車のすぐ横、あるいはすぐ前、聴衆が耳を塞ぐような大音量で罵声を浴びせ続けました。一時間近くに及びました。しかし、警察がこれを実力行使で排除するなどということはありませんでした。
一方で、札幌ではやじを飛ばしただけの二人がすぐさま実力で排除されました。この警察の恣意的な運用について問題意識すらお持ちでないと。その下で、侮辱罪の現行犯逮捕は慎重な運用、実際には想定されない、これは全く説得力がないということを申し上げて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/135
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136・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。碧水会の嘉田由紀子でございます。
今課題となっております刑法の改正問題に入ります前に、最新情報ですが、私ずっと一貫して日本の家族法制改革について質問申し上げております。ちょうど今、この瞬間に、アメリカのジャック・ストーンさんというお父さんが、子供と引き離されて、日比谷公園でハンガーストライキをやっております。ちょうど昨年の七月にも、フランス人のヴィンセント・フィショさんが、オリンピック前でしたけれども、やはり子供と引き離されて、三週間ほどハンガーストライキで訴えました。
引き離されているこの二人の事例に対して、この間、アメリカ人のエンリケ・グティエレスさんという方が私の会館の部屋に来てくれまして、実は、引き離されていたんだけど、本当に今うまく共同養育できているという事例もお話しくださいました。子供さんが、三年間会えなかったんだけど、子供さんの方が、何でお父さんに会えないのということで、母親が連れ去っていたんですけれども、親子会わせるようにして、今は仲よく共同養育をしているということで、このグティエレスさんがおっしゃるのは、日本の法律は父母にとって重要な分断をしていくんだと、弁護士が、裁判所も調停委員も紛争を解決できずに、逆に両当事者の間に摩擦を生み出していると、解決策を見出す代わりに問題を悪化させているという状況について大変強く訴えておりました。日本の監護法制改革、ここは、子供を連れ去って、子供自身に連れ去りの後遺症を何年も持ち続ける、場合によってはその子供がある意味で不幸になってしまう、そういう状態というのを自分は改善したいと言って、今NPOグループもつくっておられます。
法務大臣、今法制審で議論をしているのでこれ以上のコメントは無理という御回答かもしれませんが、この親子の引き離し、日本国内だけではなくて海外の国際結婚でも生じております。海外では、もうコペアレンティング、共同養育は当たり前なんですね。そのようなことで、今の日本のこの状態、どうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/136
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137・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 御紹介をいただいたような個別的な取組についてコメントをすることは差し控えたいと思いますが、父母の離婚後の子の養育の在り方は、子供の生活の安定や心身の成長に直結する問題であり、子供の利益の観点から大変重要な課題と認識をしております。
父母の離婚後の子の養育の在り方やそれに関連する諸課題につきましては、法制審議会におきまして、様々な方からのヒアリングも踏まえて幅広く調査審議中であります。例えば、ヒアリングの対象としては、親の離婚を経験した子の立場、離婚を経験した監護親又は非監護親の立場、家庭問題に関する支援の現場、紛争解決を行う立場など様々なお立場から、お立場の方から実情をお伺いしているものと承知をしております。また、法制審議会の調査審議の過程では、韓国、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ドイツなど諸外国の法制度が紹介された上で、それを踏まえた調査審議が行われていると承知をいたしております。
引き続き、父母の離婚後の子の養育の実情や海外法制等をしっかりと踏まえた上で、子の最善の利益の確保の観点から充実した調査審議が行われることを期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/137
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138・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 実は日本のマスコミさんはこのことをほとんど取り上げてくださらないんですね。去年も、ヴィンセント・フィショさんのハンガーストライキのときにフランスからは大変な取材があり、私自身もフランスのテレビから取材を受けました。日本はどうなっているんだ、国会議員として改善できないのかというようなことで。それから、今のジャック・ストーンさんのこともほとんどニュースになっておりません。
ただ、つい最近、法制審が一年以上議論していて、ほとんど、中間試案が出るということなんですけれども、右往左往しているところで、民間団体が、離婚後の共同監護をということで独自試案を取りまとめたようでございます。今日の産経新聞に取材が出ておりましたので、これはもうあらかじめ質問出しておりませんので、法務大臣、産経新聞を御覧いただけたら幸いでございます。
二点目ですけど、罪を犯した者の施設内の処遇について、刑法の今回の改正に伴って質問させていただきたいと思います。
今日、資料をお出ししました。入国者収容室、居室というものですけど、デンマークのストーストレム刑務所内の様子と、それから日本の資料と両方をお出しさせていただきましたけれども、デンマークと日本の言わば受刑者に対する扱い方が違うなということがこの施設の違いで分かると思います。
デンマークでは、受刑者に対してできるだけ自由が認められるような住環境を提供することによって社会復帰に向けたリハビリテーションを行い、再犯率の低下に結び付けています。再犯率定義するには様々な留意事項がありまして、単純に国際比較はできませんが、例えばある統計では、米国の再犯率の範囲は約四九から八〇%に対してデンマークでは二七%とされております。再犯率が低いということです。
デンマークのように懲罰よりも更生支援を重視する政策判断の背景には、私も、デンマーク、世界でも最も幸せな国と言われておりますので、いろいろこれまでも勉強させていただきましたけれども、感情的に抑圧されることなく、穏やかな団らんの中に、ふと幸せ感、満足感を感じるヒュッゲという思想があるとも指摘されております。これ、日本ではゆったりとした心の満足とかそういう言葉、英語ではコージーという雰囲気だろうと思いますけれども、このヒュッゲに基づいて、犯罪を犯した人たちの施設もゆったりと造られていると。
一方、日本では、本日午後、当委員会が視察に伺います川越少年刑務所に対する刑事施設視察委員会の意見がございますが、その意見を見ておりますと、大変厳密な措置がなされております。例えば受刑者の少年のノートの冊数まで制限している、二冊までしか駄目だと。で、書きたい少年はそれ以上書けないというようなことで、通常の刑務所では更に厳格な管理が行われているということです。
そこで、法務大臣、どのような理念や思想に基づいて法務省の任務を遂行しようとお考えでしょうか。この理念、思想、日本人だけではなくて、日本と縁を持っている外国人の方も含めて、法の支配が単なる法律用語の政治的なアナウンスではなく、お一人お一人の人権を確実に保障する基盤となることを願いながら、法務大臣に確認をさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/138
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139・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) お答えいたします。
どのような理念、思想に基づいてこの法務行政に向かっていくのかというお尋ねでございました。私は、所信におきましても、このようにこの委員会で申し上げております。
人類社会は、人の尊厳が重視され、尊重される社会へと、一歩ずつではありますが、着実に歩んできたと認識しており、自由、基本的人権の尊重、法の支配、そして民主主義は、そうした社会を実現するために、人類があまたの困苦を乗り越えながら獲得してきた原理だと考えております。法務省は、法秩序の維持、国民の権利擁護等を任務とし、我が国の法制度の基盤を担っており、このような大局観を常に念頭に置きつつ、諸課題に取り組むことが大切だと考えておりますと、このように私は本委員会でも申し上げたところでございます。
この法の支配の理念を法務行政のあらゆる場面で具体化していくことが大事だというふうに考えておりますが、刑事施設におきましては、被収容者等の人権を尊重しつつ、個々の受刑者の資質及び環境に応じた処遇を通じて、改善更生の意欲の喚起及び社会適応力の育成を図っていくことが重要だというふうに考えております。
また、入管行政におきましても、ウィシュマさんが亡くなった名古屋の事案のこの強烈な反省を踏まえた上で策定をいたしました使命と心得の下で職員の意識改革を進め、また、有識者会議の御提言を受けて、収容施設内の医療体制を強化していくなど、被収容者等の人権を尊重しつつ、適正な処遇を行っていくことが必要であるというふうに認識をしております。
今後も、冒頭に申し上げた理念に基づきまして、そして、この理念をあらゆる場面で具体化していく努力、それを怠ることなく、適正な法務行政の遂行に取り組んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/139
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140・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 法務大臣、ありがとうございます。
本当に一人一人の人権が根本から尊重されないとなかなか犯罪からも立ち直りできないということを共有の価値観にしていただいていると思います。
そういう中で、先ほど来から議論になっていたんですけれども、罪を犯した方が、施設内の処遇ですけど、刑の執行段階で、被害者等の心情を伝達することが受刑者の立ち直りにどのような効果を及ぼすと評価しているでしょうか。
既に先ほど清水議員のときにもございましたけれども、法務省さん、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/140
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141・佐伯紀男
○政府参考人(佐伯紀男君) お答えいたします。
受刑者に対しまして、自らの犯罪に対する反省や悔悟の情を深めさせるためには、被害者及びその親族等の被害に関する心情やその置かれている状況等について正しく理解させることが極めて重要であると認識しておりまして、現行の法の下におきましても、被害者の方やその支援団体等による講話であったり、被害者等の命を奪う罪を犯した者など一定の人に対しまして、被害者の視点に、被害者の視点を取り入れた教育を行うなどの働きかけをしておるところでございます。
今回、法制審議会における議論におきましても、これまでは被害者等の心情を直接私どもが受け入れるような形のものはしてございませんでしたが、法制審議会の部会におきましても、例えば、加害者にとっても被害者の心情等を早い段階から知ることが更生の出発点であるといった御意見などが寄せられたものと承知してございまして、こういったことを含めた法改正でございますので、この法改正の趣旨を踏まえまして、受刑者の反省や悔悟の情を深めさせ、その改善更生などを効果的に図るための処遇を引き続き推進してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/141
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142・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
これまでも被害者の心情を加害者に伝えるというのは、社会的には言われていたんですけど、なかなか施設内でできていなかったということで、今回の法改正でここはより徹底して効果を出していただきたいと思います。
時間も迫っておりますので、最近、高齢者が受刑者の中で増えておりますけど、この受刑者の高齢化に関する課題と対応はどうなっているでしょうか。法務省さん、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/142
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143・佐伯紀男
○政府参考人(佐伯紀男君) お答えいたします。
令和二年度の、令和二年の新受刑者のうち六十五歳以上の高齢者の割合につきましては約一三%ということで、十年前の平成二十二年に比べまして約一・七倍に増加してございます。
高齢受刑者の中には、認知機能や身体機能などの低下に伴う疾病、あるいは出所後に適当な帰住先がないなどの問題を抱える者も少なくないというのが実情でございます。高齢受刑者の特性に応じた処遇を行う必要がございますが、出所後に速やかに福祉サービスを受けることができるよう環境を、生活環境を調整することが課題となっております。
こういった点も踏まえまして、今回の法改正によりまして、受刑者には、刑事施設の長の責務として明記されました社会復帰支援の取組でございますが、福祉施設等の関係機関と連携した社会復帰支援を一層充実させる、こういったことを含めまして、あるいは拘禁刑の柔軟な処遇が可能ということがございますので、社会適応に必要な知識、能力を付与させる改善指導であったり、認知機能や身体機能を維持向上させるための措置を柔軟に実施して、高齢受刑者が円滑に社会復帰できるよう努めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/143
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144・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) お時間になりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/144
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145・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 日本語が不自由な外国人の方の教育のことをお伺いしたかったんですが、もう時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/145
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146・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/146
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147・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
刑法等の一部を改正する法律案外一案の審査のため、来る七日午前十時に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/147
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148・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 御異議ないと認めます。
なお、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/148
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149・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01520220602/149
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